平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇19番(喜多正敏君) 希望・みらいフォーラムの喜多正敏でございます。
 発議案第12号TPP交渉参加からの即時撤退を求める意見書の提案理由を御説明申し上げます。
 議員各位御承知のとおり、TPPに関する意見書につきましては、既に平成23年10月に、TPP交渉には参加しないことを内容とする意見書、平成24年12月においても、TPP交渉へは参加しないことなどを内容とする意見書、そして平成25年3月にも、TPP交渉参加の撤回を求める意見書など、3度にわたり岩手県議会で議決され、国に対し意見書を提出いたしております。
 しかしながら、その後、安倍内閣は、4月5日にはTPPに関する主要閣僚会議等の設置についてを閣議決定し、TPP政府対策本部の設置に関する規則を内閣総理大臣が決定する一方、関係国に日本のTPP交渉参加承認の働きかけを進め、4月20日に、インドネシアのスラバヤにおいて行われたTPP交渉参加国の関係閣僚会議において、日本のTPP協定交渉への参加が承認されるという新たな事態に立ち至りました。岩手県民の願いを背負った県議会の議決を全く無視した暴挙と言わざるを得ません。
 また、3月に発表された政府統一試算において、TPP参加による農林水産物の生産額減少は約3兆円、関連産業への波及効果は試算しておらず、雇用数全体は関税撤廃前と不変とし、GDPは約3.2兆円増加するとしています。
 一方、TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会による試算が5月22日に発表されました。これによれば、農林水産額の減少額は約3.5兆円、関連産業は約7兆円の減、雇用は農林水産業や関連産業で190万人も減少し、GDPは約4.8兆円減少すると試算され、さらに中国等の参加希望も伝えられるなど、国内経済には大きな影響が懸念されます。
 岩手県内においても、既に政府試算をもとに試算が明らかになっていますが、主要農林水産物は、壊滅とされた乳牛や小麦を筆頭に、豚肉では70%、米でも50%生産が減少するなど、まさに岩手の農業、農村と地域が崩壊する懸念が強まっています。
 一関市の試算を見れば、県平均を超える44%が減少するとも見込まれ、地方の中でもさらに地方が大きな影響を受けることも明らかになっています。
 7月に予定されているTPPの交渉では、日本の発言も制限され、事実上、丸のみを余儀なくされるのは必定であります。
 報道によれば、既にアメリカとの非公式の交渉では、政府が聖域とした品目以外、自動車や保険などの分野で、日本にとって不利な条件をのまされている状況であり、一たび交渉参加に踏み切れば、もはや、我が国の国の形と地方の崩壊の引き金を引きかねないと言わざるを得ません。
 一部経済界からは、農林水産業分野での減少を補填すればよいとの声も漏れ伝わってきますが、現実には、TPPに参加した場合、米だけでも1兆円を超え、農林水産業全体で2兆6、000億円とも言われる減少額をカバーするのは、現在の我が国の財政状況と、6、000億円程度の農業者戸別所得補償制度をばらまきと批判してきた現政権の過去の行動を見れば、期待すること自体無理ではないでしょうか。それ以上に、弱肉強食の思想が貫かれたTPPは、私たち岩手が大切にしてきた支え合い、助け合い、認め合うという、ともに生きる社会を根底から破壊するものであり、受け入れられるものではありません。
 6月28日は、本県地元紙にも、建設、消費者団体のTPP交渉参加反対、農業団体からTPP参加断固阻止などの意見が掲載されたところであります。
 政府からは、先行する11カ国から集めた情報がほとんど公表されず、TPPの国民への情報提供が不十分なまま、この7月下旬には、12番目の交渉参加国として加わるという切迫した段階を迎えています。
 過去の貿易交渉とは質を異にするTPPへの交渉参加問題は、復興を目指す岩手の希望を踏みにじるかどうかの瀬戸際まで来ています。岩手の政治家として、今こそ行動することが必要であります。
 私どもといたしましては、こうした思いの中、会派同僚議員の賛同を得て、希望・みらいフォーラムとして今議会に提案を行おうとするものであります。
 発議案の詳細につきましては、お手元の案文を御参照いただきたいと思います。
 以上をもって提案理由の説明とさせていただきます。議員各位の御賛同をいただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
〇議長(佐々木博君) これより質疑に入るのでありますが、通告がありませんので、質疑なしと認め、質疑を終結いたします。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております発議案第12号TPP交渉参加からの即時撤退を求める意見書は、会議規則第34条第3項の規定により、委員会の付託を省略いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇議長(佐々木博君) 御異議なしと認めます。よって、発議案第12号TPP交渉参加からの即時撤退を求める意見書は、委員会の付託を省略することに決定いたしました。
 これより討論に入ります。
 討論の通告がありますので、発言を許します。工藤勝子さん。
   〔36番工藤勝子君登壇〕

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