平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇3番(佐々木茂光君) 無所属の佐々木茂光でございます。
 質問に先立ち、このたび、志半ばで天空に召されし同僚議員であります小泉議員の御逝去をいたみ、謹んで心から御冥福をお祈りするものであります。
 平成25年6月定例会に当たり、通告に従い一般質問を行います。
 2回目の登壇の機会を与えていただきました先輩そして同僚議員の皆様に、心から感謝を申し上げます。
 震災から早いもので、間もなく2年4カ月になろうとしております。被災地の風景は、高台の造成工事、浜の活気、仮設商店街のにぎわい等、少しずつではありますがもとの生活が戻っている感もあります。しかしながら、震災瓦れきと言えば種類ごとにきれいに選別され、ところどころに集められ、それぞれの処理方法に合わせてダンプにより運搬、更地はその走るダンプでいっぱいであります。堆積土砂は高く積まれ、雑草が力強くたくましく根を張っております。そんな風景が被災地を覆っているのが現状であります。被災地は、いまだそんな風景を眺めつつ、先の見えぬ将来に不安を抱きながら時を刻んでいるわけであります。
 仮設住宅の住民の暮らしはどうかといえば、足を伸ばせず、物音を立てられず、すぐだまり、腰が曲がる一方であります。外に出ても人はまばら、交わす言葉もなく、ただただ、なずったどと相手を気遣うぐらいであります。いつになったらここを出られるのかと不安がいっぱいであります。将来ある子供たちの思いやつらさは、先の見えぬ不安にそれを酌み取ることができないでおります。
 被災地岩手は、昨年は復興元年、今年度は復興加速年としてスタートを切りました。知事の加速年にかける意気込みと、3年目を迎える被災地に何と声をかけ、先の見えぬ被災地の方々に将来を語っていただきたいものであります。被災地の動きは、被災地であるがゆえに、世の中の動きに明らかにおくれをとっております。知事には、復興計画の先にある岩手の将来、あるべき岩手の姿、ビジョンを語っていただきたいと、このたびの質問をさせていただきます。
 まず最初に、災害廃棄物処理の進捗状況と今後の見通しについてお尋ねいたします。
 本年5月31日時点で、災害廃棄物57%、津波堆積土25%、合計48%と示されておりますが、処理期限とされた来年3月までの全量処理は可能でしょうか。あわせて、現時点での見通しはどうかお尋ねいたします。
 また、堆積土砂については2月定例会の予算特別委員会においても質問いたしましたが、堆積土処理の進捗状況と、資材としての性能評価の進みぐあい、また、活用先等の課題は解決されたのか、具体的にお示し願うものであります。何度も申し上げておりますが、被災地住民にとっては一刻も早い処理を望むものであります。
 次に、暮らしの再建についてお尋ねいたします。
 県が整備する災害公営住宅の完成予定を見ますれば、完成が何と平成26年秋ごろ、あるいは平成26年度末と、仮設住宅の住民からすれば驚くような工程であります。これでは、震災から2年3カ月がたち、さらにあと2年、結局、一番長い方で発災から4年間もの間待たせることになるのであります。何、寝言を言っているのか。足も伸ばせず、物音も立てられず暮らすのでしょうか。仮設住宅に暮らしている住民の一人として、とても耐えられるものではありません。集団移転事業もやっと造成に着手した地域もあります。待つ者の気持ちは同じでしょう。そういった被災地、被災民の現状をどのように捉え、今後どのように取り組まれるのかお尋ねいたします。
 時間の経過とともに、部屋に閉じこもるお年寄りがふえていることや、体の不調を訴える人、また、受験を控え、狭い部屋にもかかわらず、文句一つも言わず一生懸命努力している子供たちを見ると、何やってんだとこの場から大きな声を出したいところであります。
 震災復興特別交付税についてお尋ねいたします。
 さきの定例会で、国の増額交付する震災復興特別交付税215億円を活用し、被災者の住宅再建の支援を充実、強化していくとの知事答弁がありましたが、交付を受けた市町村の活用検討状況はどうかお伺いいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 被災地においては、生活環境はそれぞれに違いがあります。ひとり暮らしの人、高齢者世帯など仮設住宅暮らしが長くなれば長くなるほど、環境は厳しくなる一方であります。
 被災住民の心のケア対策もまた非常に重要な課題であり、県においてもこころのケアセンターを設け、被災住民に寄り添った対策に取り組んでおりますが、現場においては、被災者の置かれた個別具体の状況や事情を十分に踏まえたきめ細やかな対応が求められております。県においては、そうしたニーズに対応し、具体的にどのような心のケア対策に取り組むこととしているのかお尋ねいたします。
 次に、第1次産業の振興策についてお尋ねいたします。
 県内総生産に占める第1次産業の割合は約3%でありますが、その就業者比率は全国3位、12%と、多くの生活基盤となっております。この就業者比率を見るとき、この後の少子高齢化対策でも述べさせていただきますが、ふるさとを守るという観点から、第1次産業をしっかりとした形で振興していくことは、多くの地域を守るという意味からも大変重要なことであり、第1次産業の活力なくして岩手県の発展はないものと確信をしている一人でもあります。
 震災で打ちのめされた農業、漁業を考えるとき、これまでも基幹産業として発展を見、地域経済を支えてまいりました。そしてまた課題も山積しております。震災を機に今こそ立ち上がらなければ、さらなる人口の流出は免れないのであります。今こそ岩手の誇る資源、海、山、川に目を向け、それら資源の利活用に、既成概念に捉われず抜本的な施策を打ち出していくことが急務であると思うのであります。このたびの震災を機に、農業、林業、漁業それぞれについて、今までの第1次産業の施策から将来を見据え踏み出す知事の大きなビジョンをお示し願いたいと思います。
 震災復興と叫ばれ2年が経過した今、復興計画は粛々と進められております。県は、その計画を着実に実行する。まちができ上がるころに、そこに人がいなくなるのではと心配する声があるのも事実であります。
 次に、人口減少社会に対する知事のビジョンについてお尋ねいたします。
 合計特殊出生率は、2006年から2011年までは約1.4人前後で推移しております。少子化についてはさまざまな側面があり、一概に経済の成長で出生率が上がるとか、割り切ることができない社会状況にあります。いろいろな研究がなされ、さまざまな公的施策が行われておりますが、明確な成果が上がっていないのが現状であります。
 女性の労働と結婚を経済的に捉えた研究によれば、結婚後の就業継続が困難であると、女性が結婚をちゅうちょするという因果関係もあるとのことであります。婚姻件数の増加が少子化対策のスタートであります。しかし、近年、若者の多くは学業、就職とふるさとを離れ、都市部に向かう傾向が強く、地元に帰ってくる、こない、それは地元の就業要素が大きな選択肢となっております。
 ちなみに、私は、地元に帰ってきたときの決断は、家督だから家に入らなければならないというものでした。同窓の多くは同じ思いでそれぞれのふるさとへ戻っていきました。私の個人的な思いかもしれませんが、それは、その時代にまだ残っていた古きよき風習かもしれません。30年も前の話であります。
 時代は変わり、時代は流れ、個人がある意味優先される時代に変わったのかもしれません。少子化は時代の流れでしようがないというような考えでなく、今こそ我がふるさとを守るという郷土愛、家族愛、意識の改革が必要と思うのであります。魅力ある職場、魅力ある将来が見えなければ、また感じることができなければ若者はふるさとに定着せず、また戻ってくることもないのであります。
 人口減少社会に歯どめをかけるためには、Iターン、Uターンを促進する取り組みや、若者が戻って起業しやすい環境を提供するなど、さまざまな取り組みを進めていく必要があると思うのであります。
 本県は、大震災を契機に多くのものを失ったわけでありますが、これをむしろ転換期と捉え、国と同じ流れで物事をはかるのではなく、岩手県の将来はこうなんだというようなビジョンをお示しいただきたいと思うのであります。知事の御所見をお伺いするものであります。
 次に、高齢化社会への対応についてお尋ねいたします。
 岩手県は全国を上回るペースで高齢化が進んでおります。問題は、いかに健康を維持し、生きがいを持って生活をしていけるかが大きな鍵であります。身近な家族にとっても、地域社会においても大きな希望であります。
 私の住む仮設住宅や近所にも多くのお年寄りがおります。少しずつではありますが、もとのなりわいに戻りつつあります。最近、そんな仮設住宅に住むお年寄りからこんな言葉が聞かれました。海でカキの仕事が始まり、浜仕事ができるというのはやっぱりいいなと、そんな声でした。このお年寄りは津波で全てを失った方であります。あすの希望は皆健康で働くことにあるのであります。恐らく被災地沿岸で漁業に携わってきたお年寄りは、皆同じような思いを抱くことと思います。
 高齢化において、地域の産業と結びつけた高齢者の技能、経験を活用した取り組みも必要と思われます。健康長寿社会を目指して、高齢者が元気に働ける、あるいは積極的に社会参加できる環境をつくり上げていくことが大事であると考えますが、少子化と同様、黙っていても高齢化は進んでいくわけであります。少子高齢化は県そのものの存続にも影響する大問題であると考えますが、こうした元気な高齢化社会づくりのための具体的な取り組み、方策についてどのように考えられているのかお尋ねいたします。
 次に、地域医療についてお尋ねいたします。
 現在、県立高田病院は、平成23年7月25日、応急仮設から本仮設診療施設として診療を開始し、間もなく2年を迎えようとしております。院長先生を初め職員の方々の献身的な努力により、仮設であるにもかかわらず地域医療のあるべき姿であると、訪れる多くの患者の皆さんが感謝しているところであります。
 震災前の高田病院は、医療と福祉の連携など全国に誇れる病院でありました。震災で全て流れはしたものの、その地域医療が震災後の仮設の中でも続いているということは、被災地にとっては、まさに唯一残された財産であります。再建に当たっては、この評価を踏まえ、さらなる施設等の充実により、住田町を含めた気仙広域圏の地域医療の向上を図っていくべきと考えますが、御所見を伺うものであります。地域医療のあり方がまちの再建には欠くことのできないのであります。地域要望をお酌み取りの上、御協議されることを願うものであります。
 次に、復興道路についてお尋ねいたします。
 壊滅的な被害を受けた被災地は、復興再建、社会資本の根幹である道路整備、再構築と大きく動き出しております。三陸沿岸地域の振興と安全・安心の確保、災害時の緊急輸送等のための重要路線として、三陸沿岸道路、東北横断自動車道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路の整備が進められております。また、県においても、内陸から三陸沿岸各都市にアクセスする道路や横断軸間を南北に連結する道路、インターチェンジにアクセスする道路を復興支援道路として位置づけ、着々と整備を進めているところであります。これにより、これまで以上にネットワーク化が促進され、利便性が図られていくことに、これからの岩手の躍動が感じられ、大変心強いものがあります。
 そこで、さらなる内陸と沿岸部のネットワーク化と強固な物流路線整備の観点から、東北縦貫自動車道から気仙沿岸部に至る道路の整備、また、釜石秋田線の滝観洞インターチェンジへのアクセス道路となる県道釜石住田線のさらなる整備を図るべきと考えますが、当局の考えを伺うものであります。
 さらに、本県の一日も早い復興、知事の描く県土の均衡ある発展を見据え、県全体の道路ネットワーク化により一層の整備充実が必要と思いますが、知事の所見を伺うものであります。
 最後に、JR大船渡線復旧に向けた取り組みについてお尋ねいたします。
 JR大船渡線の鉄路復旧は一日も早い復旧を望むところでありますが、現在運行されておりますBRTは、あくまでも代替交通との位置づけと考えるわけであります。甚大な被害を受け、全線復旧に多額の費用や整備期間を要することは理解できますが、鉄路の流出被害が比較的少ない気仙沼駅から陸前矢作駅間について、せめて復興に向けた第一歩として、先行して整備工事に着手すべきと思いますが、その御所見を願うものであります。
 今回の質問は、知事の復興に対する思いと復興の先の岩手県のビジョン、展望に多くを割いた質問になりました。震災県として、復興に力を注ぐ、被災者に対し全力を尽くす、これは当たり前のことであります。地方の課題である第1次産業の振興、少子高齢化を質問いたしました。壊滅的被害を受けた地域、人口減少地域、第1次産業の衰退地域、少子高齢化の進んでいる地域と、岩手県の地図に白く塗り潰してみてください。多くの問題、多くの課題が見えてくるはずであります。白く塗られた地域を輝く金色に塗りかえるのは、トップリーダーである知事であります。復興を機に大きく踏み出すのも今であると思うのであります。震災県岩手が、これを機に、将来に向けて、国の流れの硬直化した施策から大きく転換することができるかどうかにかかっております。震災県岩手から日本を変える、地方から日本を変える、そのぐらいの意識改革がなければ、地方は存続できなくなります。すなわち、このままだと地方には人がいなくなる時代が来るということになるわけであります。未来に続くぶれない岩手の将来像を復興加速年に打ち上げるべきと強く希望するものであり、被災地住民に希望の持てる復興加速年を示されることに御期待を申し上げ、一般質問を終わります。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木茂光議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、第1次産業の振興策についてでありますが、農林水産業の振興に当たりましては、農林水産業が他の産業への波及も大きい裾野の広い産業であり、地域経済社会を支える産業の一つでありますことから、持続的に発展していくことや、農山漁村で生き生きとした活動が展開されているということが必要と考えております。
 このため、いわて県民計画に掲げますとおり、意欲と能力を持った経営体の育成や、生産性、市場性の高い産地の形成、農林水産物の高付加価値化や販路拡大などに取り組み、食と緑の創造県いわての実現を目指すこととしております。
 さらに、東日本大震災津波を乗り越え、生産活動や農山漁村の活性化を図っていくためには、生産者や産地みずからが地域の将来の姿を描き、その実現に向けて取り組んでいくことも重要であり、農、林、水各分野で、それぞれ地域農業マスタープラン、森林経営計画、地域再生営漁計画の作成を推進しております。
 今後、これらのプランの実践と県の施策による支援が相まって、農業では、地域農業を担う経営体の明確化、その経営体への農地集積とともに、園芸作物の作付拡大や6次産業化の取り組みの進展による地域農業の効率化、多角化、林業では、森林資源の計画的な活用、再生や施業の効率化の進展による素材生産から加工までの木材生産体制の高度化、森林資源のバイオマス燃料等への利用拡大、そして水産業では、漁業と流通、加工業の一体的な再生に加えて、地域漁業の再生を担う経営体の育成や生産体制の再構築と生産拡大の進展による地域漁業の効率化、多角化などが進み、本県の将来の農林水産業の姿を形成していくものと考えます。
 県としては、活力を取り戻した農山漁村で生産者が夢と希望を持って生産活動に携わり、本県の農林水産業が再生、発展していけるよう全力で取り組んでまいります。
 次に、人口減少社会に対するビジョンについてでありますが、本県の人口は平成8年をピークにその後減少を続け、我が国の人口も平成23年から減少に転じ、今後も減少が見込まれているところであります。
 人口減少問題は県としても重要な政策課題と認識しており、いわて県民計画第2期アクションプランでは、第1期アクションプランに引き続き重点的に取り組む政策推進目標の一つとして、地域活力の低下をもたらす人口の社会減を減らすことを掲げ、雇用、労働環境の整備を初め関連の施策を進めているところであります。特にも、被災市町村の復興を進めていくために、現在、復興計画に基づいて、安全で安心なまちづくり、被災者の生活再建、水産業を初めとした地域産業の再生を、市町村等とも連携しながら進めているところであります。
 また、復興の先にある世界に誇る新しい三陸地域の創造を目指して、国際研究交流拠点形成やさんりく産業振興、新たな交流による地域づくりなど五つの分野を基本に三陸創造プロジェクトを進めているところであります。
 このような取り組みに加えまして、現在、県総合計画審議会に人口とゆたかさの二つの検討部会を設置し、今年度末の政策提言に向けて検討いただいているところであり、その議論も踏まえながら、人口減少社会に対応した地域づくりに今後とも取り組んでまいります。
 次に、県全体の道路ネットワークの整備、充実についてでありますが、道路はいわて県民計画を実現するための最も基本的な社会資本の一つであります。また、産業創造県いわてや、安心して、心豊かに暮らせるいわてなどの実現に向け、物流の円滑化、救急医療、災害時の安全・安心や地域間の交流、連携の拡大等、各分野に大きな効果をもたらす道路ネットワークの構築が重要であります。
 また、三陸沿岸地域の一日も早い復興と安全・安心を確保するためには、災害時等における確実な緊急輸送や代替機能を確保するとともに、水産業等の復興を支援する災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築は最も重要な課題の一つであり、県復興計画において、復興道路、復興支援道路、復興関連道路を位置づけ、重点的に整備を進めているところであります。これらの計画に位置づけられた道路ネットワークの整備に力を注いでまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁をさせますので、御了承をお願いします。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) 初めに、全量処理の見通しについてでありますが、処理を確実なものにするためには、処理先の確保と処理のスピードアップが必要と考えております。
 災害廃棄物の処理先についてはおおむね確保が完了しており、管理型処分場への埋め立てが必要な不燃系廃棄物やFRP製の船舶、PCB廃棄物など、処理困難物の一部の処理について引き続き調整を進めているところであります。
 加えて、処理施設の増強や業務改善などにより県内処理を迅速化し、広域処理も有効に活用することで、年度内の全量処理に向けて、引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、堆積土処理の進捗状況についてでありますが、推計総量約145万トンのうち、5月末までに36万トンを処理したところでしたが、5月から陸前高田市に処理施設を増設したことなどにより、県全体で日量約5、500トンの処理体制としたことから、平成26年3月までの処理にめどが立ったものと考えております。
 資材性能の評価については、地盤工学会などの指導を受けて、県が作成した復興資材活用マニュアルに基づき3、000立米ごとに検査を実施し、品質判定証を発行しています。
 本年5月末までに検査を完了した資材は、全て復興事業等で活用されているところであります。
 復興資材化した時点で災害廃棄物としての処理は終了いたしますが、資材の活用先についても、施工時期や輸送方法などの調整を進めております。
 活用先の事業との調整については、全体としてはおおむねめどが立っているところでありますが、事業の進み方によっては活用が年度をまたがる可能性があることから、引き続き調整に努めるとともに、国に対しても保管費用などの財政的支援を求めているところであります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) まず、被災地、被災された方々の現状と災害公営住宅の整備についてでありますが、5月末現在でいまだ1万5、839世帯、3万7、224人の被災された方々が、応急仮設住宅等での不自由で厳しい生活を余儀なくされております。これらの方々が安心して暮らすことのできる恒久的な住宅の確保が急務であると考えております。
 災害公営住宅の整備に当たっては、用地の取得、設計、工事等に一定の期間を要するものであり、現時点で工事に着手したものが県全体で948戸、うち完成したものが133戸となっておりますが、県が整備する災害公営住宅につきましては、平成26年度末までに完成させることを目標に、鋭意取り組んでおります。
 県といたしましては、被災された方々が一刻も早く安心して暮らすことができるよう、設計施工一括選定方式や敷地提案型買い取り方式を活用するなど、市町村とともに、災害公営住宅の整備に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、気仙沿岸部への道路整備についてでありますが、県では、災害に強い高規格道路等による幹線道路ネットワークの構築を被災地の復興に必要不可欠なものと考え、既に計画あるいは事業が行われていた三陸沿岸道路、東北横断自動車道釜石秋田線、宮古盛岡横断道路を復興道路として位置づけまして、国や関係機関と一体となって早期の全線開通に向け、全力で取り組むことが重要と考えております。
 気仙地域と内陸を結ぶ国道284号、343号、397号等につきましては、県復興計画で復興支援道路として位置づけており、交通隘路箇所の解消や防災対策、橋梁耐震化等を重点的に進めており、復興道路と一体となって機能することにより、災害に強く、信頼性の高い道路ネットワークの構築が図られるものと考えております。
 また、滝観洞ICアクセス道路としての県道釜石住田線のさらなる整備についてでありますが、当該路線につきましては、住田町上有住地区の国道340号交差点から約3.4キロメートルの区間につきまして、家屋が連檐し幅員が狭く線形が不良のため、歩行者の安全や円滑な通行に大きな支障があったため、平成4年度から平成24年度まで改良整備を進めてきたところであります。
 そのほかの未改良区間につきましては、県全体の道路整備計画の中で、交通量の推移などを見きめながら検討してまいります。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) 津波被災地域の住民の定着促進のための震災復興特別交付税についてでありますが、昨年度、本県に対し214億6、000万円余が交付されたところであり、その全額を対象となる沿岸の被災11市町村に交付したところであります。
 今回の震災復興特別交付税の追加措置は、津波により全壊した持ち家住宅のうち、防災集団移転促進事業、がけ地近接等危険住宅移転事業の対象とならない住宅を対象とし、これら事業と同等の住宅再建支援を行おうとするものであります。
 具体的には、住宅建築に関する利子補給、宅地のかさ上げ経費、引っ越し経費が支援の対象経費として積算されているところであり、対象市町村への交付に当たりましては、この趣旨を踏まえ、いわゆる制度のすき間に対応した支援策を基本として、上下水道工事費の支援など、被災市町村独自の既存の支援措置等を踏まえた住宅再建支援の充実を図るよう助言したところであります。
 被災市町村での具体的な支援内容につきましては、今回の交付の趣旨を踏まえつつ、市町村が地域の実情に応じて決定できることとされてございまして、大船渡市、田野畑村などで各種支援事業が既に実施されているほか、現在、他の市町村においても早期の事業化に向けた取り組みが行われているところであります。
 県といたしましても、市町村担当者相互の情報共有、意見交換の場を設けるなどにより関係市町村の支援を行っているところであり、被災地の状況に応じた市町村独自の住宅再建支援策の充実が図られるものと考えております。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) 被災住民の心のケア対策についてでありますが、県で委託設置しているこころのケアセンターでは、地域の保健活動への支援を軸に活動を行っております。
 具体的な取り組みとしては、市町村が行う健康調査や特定健診などに専門職を派遣し、市町村の保健師等と協力して家庭訪問や相談対応を行い、より多くの住民の方から丁寧にお話を伺った上で、支援が必要な方へは継続して訪問を行ったり専門機関につなぐなど、その方の状況に応じた対応を行っております。
 あわせて、沿岸7市町村に震災こころの相談室を開設し、身近なところで専門的な相談に対応しているほか、心のケア対策を進めていく上では、専門家による支援とあわせて地域の支え合いが重要であることから、住民一人一人が身近で悩んでいる人がいるときに温かい対応を行うことができるよう、健康教育や普及啓発にも取り組んでおります。
 また、被災地で活動しているさまざまな支援者とも連絡会議などを通じて情報共有を図り、支援が必要な方を適切な機関につなげる仕組みづくりを進めるとともに、支援者の資質向上を図るための研修会など、人材育成の取り組みや住民を支える支援者へのメンタルヘルス対策など、支援者支援の取り組みを推進しております。
 心のケア対策は、中長期的な継続した対応が必要であることから、引き続きこれらの取り組みを進めるとともに、応急仮設住宅からの移転が進むなど、地域の状況の変化により新たに生じたニーズにきめ細かに対応できるよう、関係機関と連携しながら、被災者に寄り添った取り組みを推進してまいります。
 次に、元気な高齢化社会づくりについてでありますが、本県の高齢化率は、平成24年10月1日現在27.9%で、全国より約4ポイント高く、今後も全国を上回って進行していくものと推計されております。
 県では、いわていきいきプラン2014において、高齢者の生きがいづくりと社会参加の促進を重点施策に掲げ、高齢者の生きがいづくりや健康づくりに加え、高齢者がこれまで培ってきた豊かな知識、経験や技能を生かした地域活動、社会貢献活動などに積極的に参加できる環境づくりに努めております。
 具体的な取り組みとして幾つか申し上げますと、岩手県長寿社会健康と福祉のまつり事業の開催や全国健康福祉祭─ねんりんピックへの参加を通じたスポーツ、文化活動の促進、いきいき岩手支援財団のいわて保健福祉基金による高齢者団体が行う地域活動などへの助成、岩手県高齢者社会貢献活動サポートセンターによる高齢者の社会貢献活動に係る相談窓口の設置などを通じた高齢者団体の自主的な活動への支援、老人クラブが行う高齢者社会活動の普及啓発及び指導、育成に対する助成、シルバー人材センター事業を通じた高齢者の就業支援、沿岸被災地において、応急仮設住宅等に入居する高齢者を地元老人クラブなどが訪問を行う、被災地高齢者友愛支え合い事業などを行っております。
 今後も、高齢者のスポーツ、文化活動を通じた生きがいや健康づくりを促進するとともに、介護支援ボランティアの普及など、元気な高齢者が社会参加を通じて、地域で高齢者を支える担い手となるような取り組みを支援してまいります。
   〔医療局長佐々木信君登壇〕
〇医療局長(佐々木信君) 高田病院の再建についてでありますが、気仙保健医療圏は県内でも高齢化率が高い地域であり、高田病院では、これまで寝たきりの方や車椅子の患者等を対象とした予約制の外来、通称ほほえみ外来や、認知症患者を対象とした通称さわやか外来、生活習慣の改善を目的とした健康増進外来など、高齢者向けの独自の診療サービスを行ってきたところです。また、健康講演会の開催や陸前高田の在宅療養を支える会に参画し、在宅療養者のケアに携わる専門職の連携強化に向けた取り組みを行うなど、福祉と連携したさまざまな特色ある取り組みを行ってきました。
 高田病院の再建に当たっては、引き続き一定程度の病床を確保する必要があると考えており、その建設候補地は、既設の特別養護老人ホームや新築される市の保健福祉総合センターとの隣接が見込まれておりますことから、地域における在宅医療を含めた保健、医療、介護の連携に向けたさらなる推進が図られるものと考えております。
 こうしたことから、圏域の基幹病院として高度、専門医療や急性期医療を担う大船渡病院を初め、地域のプライマリーケアを担う住田地域診療センターや他の医療機関等との適切な役割分担と連携のもと、気仙保健医療圏における医療供給体制の中で良質な医療を提供できるよう、地域の皆様方のお話もお伺いしながら、高田病院の再建に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) JR大船渡線の復旧についてでありますが、気仙沼駅から陸前矢作駅までの区間につきましては、他の区間と比べ被害が少なかったことから、陸前高田と気仙沼の両市では、当該区間の鉄道の早期運行再開を切望しており、これまで開催されてきた公共交通確保会議や復興調整会議において、JR東日本に対し強く要請をしてきたところであります。これに対し、JR東日本では、当該区間の利用者が少ないことから部分的な運行再開は考えておらず、仮に運行再開する場合には大船渡線全線での再開の考えを示しており、現時点では運行再開のめどは立っていないところであります。
 県としても、沿線の市の意向を最大限尊重し、当該区間の早期運行再開に向けて、JR東日本や国に対し繰り返し要望してきたところでありますが、今後も沿線市と連携をしながら、引き続き強く要望してまいります。
〇3番(佐々木茂光君) それぞれの部長を初め、知事からも御答弁をいただきましてありがとうございます。
 一番最初に感じたのは、どうも知事、ギアが入っていないんじゃないですか。ことしは、復興元年から続いての復興加速年ということでございますね。今の答弁を聞いていますと、私がそもそも知事にお願いした分というのは、将来を見据えたビジョンということで、私はそれのみ知事にお願いをしました。今、知事の答弁を聞いておりますと、それぞれ部局で取り組まれている今現在の政策等についての紹介でございました。
 私は今、岩手県の置かれているそういった状況を考えたときに、今、震災復興ということで、岩手県はこの沿岸部のみならず、岩手県全体で復興に取り組んでいるわけであります。それにつけても、さらに先ほど言ったように、沿岸部はいろんな問題を抱えております。
 知事が白い地図を広げて、そこに被災されたところを塗り潰していったときに、岩手県にどれだけの被害、どれだけの損害があるかということは一目瞭然であります。そういった中で、その復興計画を着実に進めていったときに、最終的にでき上がったときに、さらに岩手県はどのような色になっているかということが心配がゆえに、復興計画に合わせてさらなる岩手県の振興、発展をしていくためにどうしたらいいのかということを、実は私は知事に聞いたんであります。残念にも、去年は復興元年─一番最初から言いますけれども、仮設住宅の方々に─先ほど県土整備部長も、とにかく一日でも早く仮設から出すため、全力で取り組むと。平成26年、遅い人で平成26年の年度末ということになると、先ほど言ったように4年もかかるわけですね。
 3月の定例会のときにも知事にも申し上げました。あなたたちは、2年で仮設から出すと言ったじゃないですかと。あのとき知事に、被災地の方々にどのような言葉をかけるんですかと。これは皆さんのそういう痛みとかなんかを和らげることができるのは、私は知事しかいないと思っていますよ。みんなそれぞれ部局の方々は、その計画にのっとってそれぞれの与えられた部署でしかできないからなんですよ。知事はまたその上にいる人間であるがゆえに、いろんなところに行って声をかけることは一向に差し支えなくできるはずなんですね。
 あのときにアメリカの話をされた。ニュージーランドの話をされた。私はアメリカの話を聞きたくて、ニュージーランドの話を聞きたくて言ったんではないんですよ。私たちの住んでいる仮設の方々に、何て声をかけるんですかということを聞いたんです。まず、その1点を最初にお話をいただきたいと思います。
 それと、先ほど言った少子化それから高齢化、1次産業等に対する将来ビジョンをお示し願いたいと思います。いや、実はそういう考えを今持っていないというのであれば、それはそれで結構でございます。今、知事が思っていること。私が心配しているのは、復興が終わったときに、まちができ上がったときに、では、岩手はどうなっているかということなんです。今、1年1年こうやってみんな復興、復興とやっている中で、先が見えないでいるということなんですよ。だからこそ、ここにいることもなく、みんなよそに出ていってしまう。やはりここに住み続けさせるためには、岩手県の将来の姿を、今のみんなにこれはやっぱり示さなければならない、そういう強い思いがあるんです。それを─聞いてみてからですけれども、そこをまず知事にしっかりと打ち出していただければと思います。
 実は先ほど1次産業の振興策については、私の先に質問されました高橋昌造議員は、農林水産常任委員会の委員長であります。本来ならば委員長があれだけ言っているということは、委員長であるがゆえに、今まで言う機会がなかったということは一つあります。あれほど委員長が、今までのそういった農業、林業、漁業の政策について質問をされました。だから、皆さんは行政としてのやっていることは確かに言えるはずですね。ただ、私らがいつも見ていたいのは、その成果がどうであったのかということなんです。ことしもやります。来年もやります。その政策がだめならば、その結果を生むための政策変更、政策転換というのはしていかないとだめだと思うんですね。それを動かすのもそういった方向に導いていくのも、私は知事だと思うんです。そういったところをしっかりと示していただきたいと思います。
 それから、廃棄物の全量の処分の見通しですけれども、最終的にはとにかく日程に向けて全力で取り組むと。実際、今48%ということの数字が出ておりますから、それはそれでもしようがないなというか、ただ、復興の事業の見通しが立たないと、逆に言うと、復興材として使う場合土が動かないということですよね。今当面で、これからの復興の公共事業がどのような形で出てくるかはつかめない部分もあるから、恐らく最終年度はいつですよということは言えないのかもしれませんけれども、おおむね、大体遅くてもこのぐらいまでには処理できるという見通しをお示し願えればと思います。
 それから、県土整備部長にもお尋ねをいたしますが、復興道路という位置づけについて、私はここの議会に来て間もなく2年になるわけでありますが、私が常々思っているのは、なぜ沿岸の気仙の地にそういった復興道路に位置づけされる道路がないのかということ。大船渡のまさに物流の拠点であり、被災地は何もない状態の中にある。その社会資本の道路1本引くことによって、まちや─それは、かなりのスピードで私は立ち上がれる機会が与えられるということを言っているんですね。だから、何度も言いますけれども、点線でもいいから何とかここに道路を引こうじゃないかと。そういう思いがありましたらば、それも知事でないとわからないというのであれば知事にお話をいただきますけれども、まさに道路のネットワーク化というのが、これだけ高速の短時間で岩手県を回れるようになれば、まさによそから来る人たちも、かなりいい形で岩手県に入って、いい形で岩手県から去っていくという形になると思うんですね。平泉が言うように、平泉、岩手の遺産のみならず、世界の遺産だということをもう一度皆さんでその辺を考えれば、何かもっともっと違った形での道路のネットワーク化というものが図られるものではないかと思いますので、県土整備部長のほうからでもそれをお話しいただければと思います。
 それから滝観洞インター、私があえて滝観洞インターを引っ張り出したというのは、今度は遠野から釜石のほうに向けて道路が動き出します。今も宮守まで実はもうインターが来ていますので、そうした場合に、もう既にあそこの上有住の滝観洞のインターは整備済みでありまして、ただ、残念にも、そこに行くまでの道路状態が非常に悪いということで、利活用もできなかったと思います。
 先ほど答弁の中で、要するに交通量の問題を出されますと、とても引くような道路ではないというのはもうわかるんですね。だけれども、あえてあそこに道路を─インターがあるんですからね、そのインターを利用させるような道をつくることによって、さらにあそこの利用の形態が出てくると思うんです。まず、その資本としての整備に意を用いてもらえないかということであります。
 それから、今、私は盛岡市から陸前高田市に帰るときは2時間半かかるわけであります。今は宮守にインターチェンジができたおかげで、ちょっとスピードを上げますと、30分ぐらい違います。やはり私たちがそういった道を求めているということも承知していただければと思います。ですから、宮守から住田町の国道107号になりますか、あそこの登坂車線は、このごろ整備はしていただいているんですが、冬道なんか、とてもじゃないけれども、通れる状況にはありません。勾配もかなりきつくなっておりますので、何かもうちょっと手をかけていただくか、本当に短時間で行けるような道路も、地図の上からでもながめていただければ、何となくここに道路が引けそうかなという地形もあるようでございますので、そういったところにも目を向けていただくことを望むものでありますが、御所見を願いたいと思います。
 あわせて、インターチェンジの周辺でありますが、あそこに六郎峠という峠がございまして、そこは県道180号になりますか、実はあそこに250世帯ぐらいの集落がありまして、万が一、救急の場合は住田町内からの救急搬送ということで、要するに、そこに患者を乗せに来て大船渡病院まで行くと2時間以上かかるそうです。果たしてそれで地域医療が守れるのかということを考えますと、そこの六郎峠の道路改良をすることによって15分で大船渡市に入っちゃうんです。そういったところにも目を向けていただきますようにお願いするところでありますが、御所見がございましたならばお答えをいただきたいと思います。とりあえずお話をしたわけでありますけれども、知事のビジョンをお示し願いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 農林水産業それぞれについてのビジョンということにつきましては、今回、この答弁作成のプロセスで改めて担当の者たちと話し合いをいたしました。そして、やはり経営ということが最も重要な部分であり、経営の体制の確立と経営の強化ということがビジョンとして最も重要であろうということで、地域農業マスタープラン、森林経営計画、そして地域再生営漁計画という、農、林、水それぞれの経営計画の作成、そしてその実践というところを軸にしてビジョンとして答弁させていただいたものであります。やはりつくったものが売れなければならない。経営として成り立たなければならない。そして、できるだけ高く所得につながるような形で売れなければならない。今、これをつくれば絶対売れるというものはなかなか難しいですし、また、とにかくコストを下げて安くすればするほど売れるようになるというふうにも言い切れない。それぞれの分野において、どういう人たちにどう買ってもらうのか、また消費してもらうのか。生産と販売、さらには消費の現場のところまで結びつけるような経営のあり方を確立していくということが、農、林、水それぞれにおいて非常に重要であり、また、今まさに復旧復興のプロセスの中で、生産の現場は、今まで失われた道具にかわって新しい道具を使うようになっている。そして、加工の現場でも新しい工場のラインをつくり、そして販売、消費ということについても、これは県内のみならず、全国や世界からのさまざまな御協力もいただきながら、新たな販路の拡大でありますとか、新しいマーケティングの形も出できております。そういったところをうまく結びつけていく経営のあり方というところを確立することが、岩手の農林水産業の将来を切り開く最重要のポイントということで、ビジョンとして申し上げたところでございます。
 それから、仮設住宅での生活が長期化する中で、どのような言葉をおかけしていくかということであります。3万7、000人を超える皆さんに対して、この言葉で全ての皆さんに納得いただける、満足いただけるというのは、これもなかなか難しく、去年は復興元年である、ことしは復興加速年であるという、そうした抽象的な言葉から始まっていろいろ言葉をかけているんですけれども、安倍総理が仮設住宅団地を訪問されたときに私も同行したんですけれども、お年寄りの方は、とにかくここで葬式は出したくないということを強く申されていました。ただ、その方は、私が総理との意見交換会が終わった後で、ちょっと仮設住宅集会所の外に出て直接話をする中で、大変ですね、お気持ちよくわかりました、でも、時間は少しかかるかも─少しというか、時間はかかるかもしれませんけれども、今までよりも安全で、そして豊かな生活ができるような新しいまちづくりを、孫子のために今ここできちんと時間をかけてもやることが大事だと思っていますというようなことを話したら、それは本当にそのとおりだとおっしゃってくださいました。お一人お一人と気持ちを通わせながら言葉を伝えてやりとりしていくことができれば一番と考えますけれども、日々変化していく復旧復興の現場の中で、3万7、000人以上というその全体と同時に、お一人お一人というマクロとミクロを常に念頭に置きながら、県政、復興政策を努めてまいりたいと思います。
〇環境生活部長(風早正毅君) 御指摘のとおり、資材化した災害廃棄物と活用先とのマッチングが必要不可欠でございます。津波堆積土の推計量約145万トンのところ、これもさまざま事業の進捗によって数字も動く可能性もございますが、現時点では利用見込み量全体では170万トン余り、差し引き20万トン余りが全体として上回るのではないかと見込んでおります。ただ、これは数十の事業、個々の復旧事業の積み上げでございます。一つ一つの事業の進捗によってどうなるのか、時期についてなかなか確定的なことを申し上げられないというのが実情でございます。いずれにしましても、少しでも早く活用先の確保についても確定できるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(佐藤悟君) 改めて道路に対する強い思い、特にも高規格道路に対する強い思いをお伺いいたしました。
 先ほども申し上げましたけれども、現在進めております復興道路というものは、もともと計画されていた高規格のネットワークの計画というものがありまして、これまで相当の年月と費用をかけて進めてきたものでありますけれども、東日本大震災津波を機に改めてその重要性を認識いたしまして、これら既に計画されていたものの事業化、あるいは事業化されているもののスピードアップ、そういうことが我々にとって今最も取り組むべきことということで進めているものでございます。
 また、滝観洞のインターチェンジを生かすため、アクセス道路をしっかり整備すべきではないかというお話をいただきました。あそこには立派なインターチェンジが、住田町の御努力もあって完成しております。また、起点側のほうですか、金ノ倉から山脈地までは3.4キロに20年ほどかかったんですけれども、立派な道路を整備させていただいております。
 我々もああいう道路を本当にいろんなところに整備していきたい思いはありますけれども、やはり一定の財政制約の中で、さまざまな路線、さまざまな御要望をいただく中で、交通量あるいはそのときの財政事情等を考えながら、どうしても一定の優先順位を考えながら整備していかざるを得ないというような中で整備を進めているということに御理解をいただければと思います。
 六郎峠につきましてもお話を伺いました。私もあの道路を何度も通っておりまして、すっと引けたら上有住の奥のほうになるんですけれども、非常に便利になるんだろうということはよく感じております。しかしながら、あそこを抜本的にやろうとすれば、かなり長大なトンネルを整備しない限りは、部分的な改良ではなかなか難しいという実情がございます。
 先ほど救急医療というお話がありましたけれども、私どもは、各地区に、消防関係の方々と土木の関係者、道路管理者の両者で救急医療に関する会議を設けております。そういう中で救急医療に関する具体的な課題をお聞きしながら、どういうことができるかということについては考えてまいりたいと思います。
〇2番(佐々木茂光君) 残念ですけれども、知事、やっぱりビジョンじゃないですよね。そう思いますよ。言っているのは、岩手の将来を言っているんです。国も今度は農業に力を入れようとか、岩手県はこれまでも農業の、要は食料の供給基地というようなことを言われていますよね。そういうところを踏まえたときに、知事がどういうことを思っているのかということなんです。今、私たち沿岸部にいる人たちは、岩手を何とかしよう、よくなろう、よくなろうと、みんなそれのために悶々としているわけです。知事が引っ張るからには、こういう岩手を目指そうぜというものが、今、被災地の人たちはみんなすぐだまって何もできない状態で、上を見ることができないでいる。そういった意味で、私は知事からの声で話してほしいということを伝えたかったんですけどね。時間もないですけれども、またの機会にしたいと思いますけれども、そういう思いを、では、いつやるんですか。
〇知事(達増拓也君) 大きなビジョンということで、実は復興の関連では、漁協を解散して大企業に開放すればよくなるとか、農業もそうですし、林業もそうだと思うんですけれども、そうした類いの大きなビジョンが発災直後からあって、過疎地は人がもう一切住まないようにして、人も人口集中させて、そして行政コストを低くして効率的な行政サービスができるようにすればいいという大きなビジョンが大震災以降たくさんある中で、私も国の復興構想会議に出て、いやいや、そうじゃないんだ、そうじゃないんだということで、これは県の幹部たちや県職員たちの力、アイデアもかりながら、地域地域にきめ細かに復旧、復興させていかなければならないものがあるし、また、それによって真の復興ができるんだということを言ってまいりまして、なかなか岩手はそういう大きなビジョンというものを出してないかもしれませんけれども、むしろそのほうが、地域地域に丁寧に当たっていくやり方のほうが、あまちゃんのアマノミクス、小袖みたいな小さな単位で、そこに住んでいる人たちが、そこに住んでいる人たちの創意工夫で経営を工夫して、つくったものを加工して売る、そういう消費、食べてもらうような場も工夫するといったことで、かつ、この復旧、復興の流れの中で、そうしたことがかなり可能な、それを助けてくれるNPOとか社会的な手が非常に多く差し伸べられてきているということもあって、そういったものを大事にしていきたいと考えております。
 そうしたことを丁寧にやっていくことで、岩手の広い県土、豊かな自然、そして海の幸、山の幸にも恵まれた、勤勉な県民が働くこの岩手というところで、130万人の県民が食べていくことは絶対にできると私は思っております。
〇副議長(柳村岩見君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第6号平成25年度岩手県一般会計補正予算(第1号)から日程第41 議案第45号災害公営住宅(陸前高田市中田地区)新築(建築)(第1工区)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇副議長(柳村岩見君) この際、日程第2、議案第6号から日程第41、議案第45号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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