平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇30番(高橋昌造君) 佐々木博議長を初め、議員各位の御配慮により、登壇の機会をいただきました高橋昌造です。心から感謝を申し上げます。
 また、小泉光男議員の県議会におけるこれまでの御功績をしのび、謹んで哀悼の誠をささげ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
 大きく5点についてお伺いいたします。
 質問の第1点目、市町村行財政の課題への取り組みについてお伺いします。
 まず、交付税の合併算定がえの終了に伴う対応についてお伺いします。
 本県においても、平成の大合併により多くの市町村が合併を行ったところでありますが、平成28年度以降、この合併の特例措置である普通交付税の合併算定がえの縮減が本格化します。また、合併市町村には、宮古市や大船渡市といった被災市町村も含まれ、当該合併算定がえの終了による交付税の縮減が、今後の復旧、復興の進捗に悪影響を及ぼすこととならないかといった懸念もあります。既に、市町村から、当該合併算定がえの終了に伴う新たな支援措置を求める声が上がっているとお聞きしておりますが、国への働きかけを含め、県はこの問題に対しどのように対応していくのか、知事のお考えについてお伺いします。
 次に、被災市町村の人材確保についてお伺いします。
 現在、被災市町村では、県内はもとより、全国から多数の職員の方々の応援をいただいているところでありますが、依然として、復旧、復興を担う人材の不足が続いているとうかがっており、一刻も早いマンパワーの確保が求められております。しかし、東日本大震災津波から2年以上が経過し、全国の自治体において、さらなる職員派遣に限界感が生じ始めているなど懸念もあります。
 先般、国から、東日本大震災津波にかかわる人材確保の一環として、被災自治体が、民間企業や土地開発公社等の第三セクターの職員に在籍したまま、被災自治体の職員として採用することができることが示されました。
 そこでお伺いしますが、現在、被災市町村ではどのような職種の人材を求め、その充足率はどうなっているのか、また、昨日の工藤勝子議員の一般質問にもございましたように、被災市町村における民間企業等からの派遣状況はどうなっているのか、お伺いします。
 また、被災市町村の復興に向け、民間企業等からの人的支援の推進を含め、県においては、今後どのように被災市町村の人材確保に取り組んでまいるのか、知事のお考えについてお伺いします。
 登壇しての質問はここで終わり、以降は質問席において質問をさせていただきます。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 高橋昌造議員の御質問にお答え申し上げます。
 交付税の合併算定がえの終了に伴う対応についてでありますが、合併市町村においては、合併時から合併算定がえの縮減を見込んだ財政計画を策定し、職員の削減など行財政改革に取り組んできており、県としても各市町村の財政見通しの作成をサポートするなど、適切に支援を行ってきたところであります。
 一方で、合併後の支所や出張所に係る経費など、合併算定がえ終了後においても措置すべき財政需要がありますことから、交付税の算定に当たり、こうした財政需要が適切に反映されるよう、市町村と連携しつつ国に働きかけるなど、引き続き必要な支援をしてまいります。
 次に、被災市町村の人材確保についてでありますが、被災市町村においては、まちづくり事業等の進捗に伴い、用地関係業務を含む事務職及び土木職の要請が多く、要請数全体の約85%を占めています。また、現在、その充足率は、事務職で約88%、土木職で約94%となっています。また、民間企業等からは、現在、4市町に15人の職員が派遣されています。
 今後の人材確保の取り組みについては、県では、これまで、内陸部市町村や全国の自治体に派遣を要請するとともに、県職員や県が採用した任期付職員の派遣などに取り組んできたところであり、今後も、県による任期付職員の前倒し採用や被災3県による全国の自治体への合同要請など、これまでの取り組みを継続、強化してまいります。
 さらに、自治体からの派遣職員の大幅な増加が期待できない中、即戦力が必要とされている状況を踏まえ、国に対して、国による任期付職員の採用制度の創設や民間企業等への積極的な働きかけを要望しており、国や市町村とも連携しながら、あらゆる手段を講じて、復興に必要な人材の確保に努めてまいります。
〇30番(高橋昌造君) 交付税の合併算定がえの終了に伴う影響額を把握するとともに、今後、合併市町村と連携し、現行特例の延長も含め、財政支援の措置を国に強く働きかけていただきたいと思います。
 それでは次に、市町村派遣職員のメンタルヘルスケア対策についてお伺いします。
 東日本大震災津波の発生以降、被災市町村の派遣職員の方々は、生活の本拠地から遠く離れた土地で、多くのストレスを抱えながら、懸命に復旧、復興業務に取り組んでこられました。そうした中、昨年度、派遣職員の方がみずから命を絶たれるという、非常に痛ましい事故がありました。こうした不幸な事故を二度と起こさないためには、職員のメンタルヘルスケアが極めて重要になります。被災市町村においても、メンタルヘルスケア対策を講じられていると伺っておりますが、県としても積極的な支援を講じていくべきと考えます。
 そこでお伺いしますが、今後、派遣職員のメンタルヘルスケア対策について、県としてどのような取り組みを考えているのか、お伺いします。
〇政策地域部長(中村一郎君) 被災市町村におきましては、これまでも医療関係機関等の支援を受けながら、派遣職員を含め、職員に対するストレスチェックや専門家による面談等の取り組みを行ってまいりました。また、これらの取り組みに加え、派遣職員の定期的な帰省を促すことなどにより、心身のリフレッシュに努めてきたところでございます。
 派遣職員のメンタル管理は、被災市町村において適切に実施していくことが基本ではありますが、県としても被災市町村のみに任せることなく、被災市町村人財確保連絡会議等の場を通じて、地方公務員災害補償基金の支援事業などメンタルヘルス対策に関する情報提供を行うほか、派遣職員との個別面談を行い、業務環境や生活環境の改善を支援するなどの取り組みをしてきたところであります。
 また、今年度、新たに派遣職員を対象にいたしましたメンタルヘルスケア研修を実施することとし、先月、第1回目を開催いたしました。
 今後も、これらの取り組みを継続するほか、帰省旅費の充実等、心のケアのための財源確保について国に要望を行うなど、派遣職員が安心して復興業務に取り組めるよう、市町村を支援してまいります。
〇30番(高橋昌造君) それで、市町村職員のメンタルヘルスの、特にも専門相談窓口の開設など、いずれしっかりした対応をしていただきたい。
 それから、一つお願いがあるわけでございますが、県と同様に、派遣職員のメンタルヘルスケアの経費についても震災復興特別交付税の対象にできるように、あわせて国にぜひ働きかけをしていただきたいと思います。
 それでは次に、被災市町村の財政運営についてお伺いします。
 被災市町村の早期の復旧、復興には、第一に十分な財源の確保が不可欠です。これまで、国から本県市町村に対して、4、000億円を超える復興交付金が交付されるなどの支援が行われておりますが、こうした支援が今後いつまで継続されるのか、非常に危惧しておるところであります。
 また、先日公表された県の資料によると、被災12市町村全体の平成25年度当初予算は、おおよそ6、000億円とかつてない規模になりましたが、一方で、被災市町村の担当職員の数が限られており、適切な予算執行が図られているのか、また、将来の財政運営を見通した対応ができているのか、大変心配しております。こうした状況に対し、県のサポートが極めて重要であると考えておりますが、県では、被災市町村の財源確保、さらには、今後の適正な財政運営の確立に向けてどのような支援を行っているのか、お伺いいたします。
〇政策地域部長(中村一郎君) 県では、これまでも国等に対し、復興交付金など国費による支援を充実させるとともに、地方負担が生じないよう、震災復興特別交付税を確保する等、既存の枠組みを超えた強力な復旧、復興対策を行うよう求めてまいりました。
 また、被災市町村に対して、行財政コンサルティング等あらゆる機会を通じて、中期財政見通しの策定をサポートするなど、復興期間満了後も見据えた適正な財政運営が図られるよう支援をしてまいりました。
 今後も、国に対しては復興に必要な財源の確保を強く要請するとともに、被災市町村に対しましては、適切な助言を行ってまいりたいと思います。
〇30番(高橋昌造君) 市町村の行財政課題の一端を今回取り上げたわけでございますが、今後とも、県は市町村との水平的なパートナーシップのもと連携を密にし、市町村と一体となり課題解決することが県勢の発展の一助にもなるわけでございますので、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 それでは次に、質問の第2点目、保健、医療、福祉の充実についてお伺いします。
 まず、医療と介護の連携における保健所の役割についてお伺いします。
 国は、平成24年7月に、地域保健対策の推進に関する基本的な指針を改正されましたが、この基本指針には、新たに医療、介護及び福祉等の関連施策との連携強化を図ることが盛り込まれ、保健所においては、管内の状況を踏まえ、医療、介護等のサービスの充実強化に努めることとされたところであります。本県においても、医療と介護の連携は重要な課題であり、基本指針に示すように、保健所の積極的な関与が必要と考えております。
 そこでお伺いしますが、保健所が積極的に現場に出向き、医療と介護の連携について市町村等への適切な支援を行い、こうした新たな課題に対応できるようにすべきと思いますが、このことについての県のお考えをお伺いします。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 医療と介護の連携における保健所の役割についてでありますが、保健所には、地域において、保健、医療、福祉に関するサービスを包括的に提供できるよう、市町村や関係機関等と情報を共有し、地域の現状を踏まえつつ、広域的な観点から地域保健対策を推進することが求められております。
 これまで、保健所では、医療、介護の連携協議会を立ち上げるなど、その連携を推進するための役割を担ってきているところですが、さらに地域の現状と課題を踏まえた地域包括ケアシステムの構築支援が求められている中で、直接現場に出向くことにより、現地の情報をしっかりと把握した上で、地域において、保健、医療、福祉に関する各種施策の調整機能をこれまで以上に発揮することが必要であると考えております。
 こうした課題に的確に対応するためには、保健所の運営を担う職員の役割が重要と認識しており、今年度定めることとしている保健師等の育成方針を活用するなど、計画的な人材育成に取り組み、保健所がその役割を適切に果たせるよう努めてまいります。
〇30番(高橋昌造君) ことしの3月に策定されました岩手県保健医療計画にもありますように、県民総参加型による保健医療体制づくりのためには、保健所機能の見える化が求められるわけでございます。どうか、今後とも、このことを踏まえてしっかり対応していただきたいと思います。
 それでは次に、C型肝炎対策の推進についてお伺いします。
 平成23年5月に国が策定した肝炎対策の推進に関する基本的な指針では、肝炎ウイルスへの感染の可能性を判断するために、全ての国民が、少なくても1回は肝炎ウイルス検査を受検する必要があるとされており、肝炎ウイルスの受検促進がうたわれております。
 そこでお伺いしますが、県では、ことし3月に岩手県肝炎対策計画を改定し対策を進めているところでありますが、県内の肝炎ウイルス検査の受検率向上に向けての課題と今後の取り組みについてお示し願います。
 また、相談体制の強化も必要ですが、そのためには、現在県で進めている地域肝疾患アドバイザーの養成が重要と思いますが、市町村によって養成研修の受講状況に差があることから、養成の状況及び今後の見通しはどうなっているのかお伺いします。
〇保健福祉部長(根子忠美君) C型肝炎対策の推進についてでありますが、まず、肝炎ウイルス検査については、本県のC型肝炎ウイルス検査受検率は、40歳から79歳において約47%と推計したところであり、検査による早期発見が重要であることから、さらなる受検率向上が課題と考えております。
 本年3月に改定した岩手県肝炎対策計画では、この課題の解決のため、県民への普及啓発や保健所等で行っている無料検査に加え、市町村で実施している一定年齢の者を対象とする肝炎ウイルス検診の個別勧奨の促進や、職場に出向いての出張型検査の実施などを盛り込んでおり、今後ともさまざまな受検機会の確保に努めてまいります。
 次に、地域肝疾患アドバイザーの養成については、肝炎検査後のフォローアップや受診勧奨及び患者からの相談への対応等を担う地域肝疾患アドバイザーの養成は、これまで養成研修を2回開催し、合計で14市町から76名が受講したところですが、震災等の影響もありまして、内陸部を中心とした地域にとどまっております。アドバイザーの配置は受検率の向上にも資すると考えており、今後、養成研修に未参加の市町村に対して、アドバイザー養成の重要性等についての周知を図るとともに、養成研修への参加を個別に働きかけてまいります。
〇30番(高橋昌造君) それで、C型肝炎対策でございますが、市町村によって受検率、肝疾患アドバイザー養成の状況がいろいろ格差があるようでございますので、やはり県が中心となって市町村の格差もなくすように、格差解消のためにこれからしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、障害者総合支援法についてお伺いします。
 本年4月から障害者総合支援法が施行され、障がい者の範囲に難病が追加されたわけでございます。このことにより身体障害者手帳の有無にかかわらず、政令で定める130疾病にかかっている方々は、市町村の支給決定を受けることで、他の障がい者と同様のサービスを利用できるようになりました。
 そこでお伺いしますが、本県の法施行後における難病患者の障害福祉サービスの利用実態はどうなっているのかお示し願います。
 また、制度改正に当たっては、対象となる方々に対して、市町村と連携し、丁寧に周知していく必要があると考えますが、県では、周知についてどのように取り組んでいるのかお伺いします。
 また、制度改正から3カ月が経過しましたが、難病患者に対する障害福祉サービスの提供に関して、県ではどのような課題があると認識し、今後どのように対応していくのかお伺いします。
〇保健福祉部長(根子忠美君) 障害者総合支援法についてでありますが、法施行後における難病患者のサービス利用実態は、新たにサービスの対象となった難病患者の方に対し、市町村が本年6月15日現在でサービスの支給決定を行ったものが3件、手続中のものが6件となっております。
 次に、周知に係る取り組みでございますけれども、県では、市町村及び障害福祉サービス事業者への説明会や、難病関係団体の協議会などにおいて制度の説明を行ったほか、難病医療拠点病院など医療機関に対し、難病患者の方への周知を依頼するなどの取り組みを進めてきております。
 さらに、特定疾患医療費助成の対象である56疾患の方に対しては、今年度の医療受給者証更新手続の案内に資料を同封して個別にお知らせしたほか、更新申請書の受け付けの際に、各保健所において重ねて個別に周知を図っております。
 次に、課題と対応でございますが、難病患者の方の中には、法施行前から障がいの状況などにより障害福祉サービスや介護保険サービスを利用している方もおられますが、新たに対象となった難病患者の方が必要なサービスを速やかに受けられるよう、サービスの利用に関する情報を届けることが重要であると認識しております。このため、市町村や関係団体、医療機関等との連携により、難病患者個人への案内のほか支援者や県民に対する広報など、今後も引き続き制度周知を図ってまいります。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございます。いずれ、難病患者については、実態の把握も含めて、なかなか難しい状況にあるわけでございますので、難病相談・支援センターを初め市町村ともしっかり連携して、そういった制度改正によるサービスを受けることができることもわからないで、その利用ができないということのないように、これからしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、難病患者の就労促進についてお伺いします。
 障がい者が地域の一員としてともに生活できる社会を実現するためには、就労による自立を進めることが重要と考えるところであります。
 そこでお伺いしますが、本県の障がい者の雇用状況と、その就労促進に向けて県はどのように取り組んでいるのかお示し願います。また、難病患者の方々は、働く意欲はあるものの、その病気のために離職率も高く、容易に就職できない状況にあるとお聞きしておりますが、こうした方々への就労促進策はどのようになっているのかお伺いします。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 本県の障がい者の雇用状況についてでありますが、障害者の雇用促進に関する法律で障がい者雇用が義務づけられている民間企業について見ますと、雇用率は平成24年6月1日現在1.79%で全国18位、北海道・東北では1位となっております。雇用者数は2、318人で、前年より6.1%増加し、過去最高となっております。
 県の取り組みといたしましては、障害者就業・生活支援センターの設置や職場適応援助者養成研修の実施など就業相談支援体制の強化、障がい者職業訓練の実施及び企業等に対する意識啓発に努めているところでございます。
 難病患者の就労促進につきましては、県が設置しております難病相談・支援センターにおいて各種相談、支援を行っているところです。また、ことし6月からは、ハローワーク盛岡に難病患者就職サポーター1名が配置され、難病患者の安定的な就職に向けた支援の強化が図られたところでございます。
 県といたしましては、難病患者やその家族の声にしっかりと耳を傾けながら、引き続き、ハローワーク等関係機関と連携し、難病患者の就労促進に取り組んでまいります。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございました。それで、障がい者、特にも難病患者の就労促進策で、できれば、実態の把握も含めて、例えばどういう仕事につきたいとか、アンケート調査みたいなものを今後検討していくお考えがあるのか、もし、今の段階でわかる範囲内で結構でございますので、その促進策をもう少し具体的にお伺いいたしたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 難病患者の皆様方の県内における実態把握につきましては、今後とも難病患者の団体等の方々ともしっかりと意見交換をさせていただく中におきまして、その実態状況とニーズ等を把握しながら、適切に対応してまいりたいと思っております。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございました。
 それでは、次に災害派遣福祉チームの創設についてお伺いします。
 東日本大震災津波では避難所生活が長期間に及び、避難所の生活環境の改善や、高齢者、障がい者等要援護者への相談、支援などさまざまな福祉的な課題への対応の必要性が強く認識されたところであります。
 県内の福祉関係団体では、ボランティアとして連携、協働して被災者支援を行った経験を踏まえ、昨年3月に災害派遣福祉チームの組織化を求める要望を県に行ったところであり、これを受けて県では昨年度から検討を開始し、先月にはチームの派遣主体となる岩手県災害福祉広域支援推進機構の設置準備会を開催したとうかがっております。
 そこで知事にお伺いしますが、こうした本県の取り組みは全国的にも先駆的なものと思いますが、その特徴やチームの組織化に向けた今後の見通しについてお伺いします。
 また、東日本大震災津波で全国から御支援をいただいた本県としては、他の都道府県で大規模災害が発生した場合にも本県のチームを派遣できるようにすべきではないかと思いますが、知事のお考えについてあわせてお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 本県の災害派遣福祉チームの取り組みの特徴についてでありますが、県内の福祉関係団体が実際に被災地で行った支援活動の経験やそこで得られた課題などを踏まえて、県、福祉関係団体、県社会福祉協議会及び県立大学が、官、民、学の共同により、チーム編成や活動内容などチーム創設に向けた検討を進めていることが挙げられます。さらに、チームの派遣主体となる岩手県災害福祉広域支援推進機構についても、福祉関係団体のほか、保健、医療関係団体、県立大学、市町村代表及び県により構成し、本部長を知事、事務局長を県社会福祉協議会とする官、民、学共同の組織とする方向で検討しております。
 今後は、これまでの検討結果を踏まえ、より具体的な検討を進め、9月ごろをめどに同推進機構を設置し、年度内にチームを創設したいと考えております。
 次に、他の都道府県への派遣についてでありますが、議員御指摘のとおり、他の都道府県において大規模災害が発生した場合にも、本県のチームを派遣できる仕組みにしていくことは重要なことであります。他方、県外に派遣する場合は、手続や費用負担のあり方など全国的なルールが必要になると考えられますことから、国において、災害派遣福祉チームの制度化と、全国レベルでチームを派遣、調整するシステムを構築するよう要望を行っているところであります。
 国では、本県の要望等を踏まえ、福祉分野の広域的な支援ネットワークを構築することについて検討しているとうかがっており、本県の取り組み状況についての情報を提供するなど、その実現に向けて積極的に協力してまいりたいと思います。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございました。それで、東日本大震災津波でも障がい者の死亡率が高かった。特にも難病患者の方々の死亡率が高かったということで、特にも有事こそ災害弱者を守るという強い意識をこれからも持っていただいて対応していただきたいと思います。
 それでは、次に、質問の第3点目、農林業の振興についてお伺いします。
 まず、攻めの農業への転換についてお伺いします。
 本県の平成23年農業産出額は2、387億円となっておりますが、平成3年の3、349億円と比べますと、金額で962億円、率にして約30%の減少となっており、本県農業産出額の落ち込みが激しくなっております。
 農家は今後の経営に不安を持っており、本県農業の振興に当たっては、農家が安心して営農を継続できるような施策が必要と考えますが、県では、本県農業の将来を見据え、地域農業をどのように構築していくのか、また、担い手の育成や産地づくりをどのように進めていくのかお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 攻めの農業への転換についてでありますが、県では、将来の地域農業全体の展開方向をより明確にするため、国が、人・農地プランで求める地域の中心となる経営体の明確化と、その経営体への農地集積のほかに、県独自に、園芸作物の導入や6次産業化、農地の再生、利用など新たな営農展開の要素も加えた地域農業マスタープランの作成を進めております。このマスタープランの実践に向けて、本年度から、県独自でいわて地域農業マスタープラン実践支援事業を創設いたして、経営体の規模拡大あるいは経営の多角化など、新たな営農展開の取り組みを支援しております。
 また、産地づくりにつきましても、新たに園芸産地新生プロジェクト推進事業による産地みずからが消費者のニーズを把握して取り組む産地づくりや、あるいはいわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業による市場評価の高い県有種雄牛を活用した地域内一貫生産体制の強化など、産地力を高めていくための県独自の取り組みも推進してございます。
〇30番(高橋昌造君) それでは、さらにお伺いしますが、本県農業は、近年、その産出額が大幅に落ち込むなど危機的な状況にあるのではないかと。特にもTPP交渉への参加の有無にかかわらず、本県農業の体質強化が喫緊の課題と考えております。
 そこでお伺いしますが、本県における農業経営の安定や農業競争力の強化について、今後どのように対応していくのか、そのお考えについてお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 本県における農業経営の安定向上、そして農業競争力の強化の関係でございますが、国の経営所得安定対策を活用した農業経営の安定向上に加えまして、県独自の取り組みとして、先ほど説明させていただきました地域農業マスタープランの実践に向けて新たな営農展開の支援をしてございますが、これに加えて農業者の経営力、あるいはマーケティング能力の向上を図るためアグリフロンティアスクールを開設いたしております。
 また、農業の競争力強化につきましては、他県よりもおくれております農業生産基盤の整備のほかに、園芸では、産地みずからが実需者のニーズの把握による産地づくりに加えて、いわての園芸産地パワーアップ支援事業によって施設園芸団地の形成を推進してございます。そのような取り組みも含めて、引き続き本県農業の体質の強化を図っていく考えであります。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございます。農林水産部長、いずれ、今の御答弁をお聞きして、私は、これから守りの政策から攻めの政策に転換しなきゃならないと。それで、今お聞きして、これからも農業を続けることができる現実的な政策、何かそういう政策提案があるのかなと思ったんですけれども、私は、県単独事業でもいいわけですから、国の政策もあれなんですが、今はもう県としての単独の事業、政策をもう少し前向きに示していく段階ではないのかなと。今後、いずれ検討していただくようにお願いをいたしたいと思います。
 それでは、次に6次産業化の推進についてお伺いします。
 本県においては、農家による農畜産物の加工や産地直売等の販売分野への進出、食品産業と産地が連携して新たなビジネスを展開する6次産業化の取り組みが拡大してきております。6次産業化の取り組みに当たっては、加工、販売のための施設整備や農家の技術向上はもちろんですが、6次産業化を後押しする官民ファンドなども活用しながら資金を確保し、事業を円滑に進めていく必要があると考えております。
 そこでお伺いしますが、県では、農業者の所得向上につながる6次産業化の取り組みの現状をどのように認識し、今後どのように進めていくのかお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 6次産業化の推進についてでありますが、農産物の加工や直売所での販売、農家レストランなど6次産業化のさまざまな取り組みが県内各地で展開されており、県といたしましても、これまで延べ138事業者の取り組みを支援してまいりましたが、生産者の所得向上に向けた取り組みの一つとして着実に浸透してきているものと認識しております。
 一方、商品開発や販売等のノウハウの不足、事業化に向けた資金確保などの課題もありますことから、今後も、いわて6次産業支援センターによる創業支援や経営サポート、流通、販売等の専門家のアドバイスや実需者との商談機会の提供のほか、御指摘のございました資金確保のためのファンド、あるいは各種助成事業の情報提供など、経営の発展段階に応じましてきめ細やかな支援を行い、取り組みの拡大と定着を図ってまいりたいと考えております。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございます。
 それでは、次に森林経営計画や市町村森林整備計画の策定状況及び計画の実行促進策についてお伺いします。
 本県においては、さきの東日本大震災津波により合板工場が被災し、今のところ、出口が狭まっている状況にありますが、今後は新たな合板工場や木質バイオマス発電所などの設置の動きに加え、復興の加速化による木材の需要増が見込まれます。豊富な森林資源を生かした全国屈指の木材産地の形成を目指す本県においては、このような需要に対応し、求めに応じて木材を潤沢に供給できる体制づくりを進めていくことが必要と思います。
 そこでお伺いしますが、県内では、低コストで森林整備や木材生産を行うため森林経営計画や市町村森林整備計画の策定が必要になっていますが、それぞれの計画の策定状況について、また、計画を実行していくための課題と今後の対策についてお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 森林経営計画や市町村森林整備計画の策定状況及び計画実行促進対策についてでありますが、まず、各地域での森林整備の指針として策定されます市町村森林整備計画は県内全ての市町村で策定を終えており、この整備計画を踏まえて、森林所有者等が作成する森林経営計画は、本年5月末までに約10万4、000ヘクタールの森林を対象に作成されております。
 森林経営計画の実行に当たりましては、計画の実施を担う人材の養成や施業低コスト化に向けた技術力の向上が課題と認識しておりまして、このため、需要動向を踏まえた計画の具体化や現場管理を担います森林施業プランナーの養成、あるいは路網設計等の低コスト施業技術を習得するための研修会の開催などの取り組みを進めてございます。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございます。いずれ、本県の森林、林業の再生のためには、長期的な構想と実効性の高い計画、いわゆるマスタープランが求められておりますので、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 また、県においては、市町村や森林所有者へ、森林計画制度の周知徹底や市町村森林整備計画への助言、指導をぜひ強化していただきたいと思います。
 それでは、次に人工林の間伐の取り組み状況についてお伺いします。
 国では、将来に向けた施策の方針として平成21年度に森林・林業再生プランを公表し、目指すべき姿として10年後の木材自給率を50%以上、また、プランの理念として森林の有する多面的機能の持続的発揮、林業・木材産業の地域資源創造型産業への再生などを掲げ、諸施策を推進しているところであります。
 森林の有する多面的機能の持続的発揮のためには人工林の間伐が不可欠であると考えておりますが、本県における間伐の取り組み状況はどのようになっているのか。また、課題があるとすれば、その課題解決のために今後どのような対策を講じていくか、あわせてお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 人工林の間伐の取り組み状況についてでありますが、本県ではこれまで、間伐等促進法及び岩手県森林吸収量確保推進計画に沿って取り組みを進めておりますが、平成19年度から平成24年度までに6万4、000ヘクタールの間伐が実施されました。今後の取り組みにつきましては、本年5月に改正施行されました間伐等促進法に沿って、現在、間伐の目標も含めて新たな間伐促進方針を検討しております。
 また、今後の間伐では、これまでの切り捨て間伐から搬出間伐へ移行することが課題となりますが、県といたしましては、間伐経費への補助を有利に活用するため森林経営計画の作成を促進するとともに、施業の低コスト化を図るため路網整備や機械活用に関する技術的な支援をするなど、森林資源がより有効に活用されるよう、間伐の促進に取り組んでまいります。
〇30番(高橋昌造君) それでは、次に再造林の現状と県の支援についてお伺いします。
 戦後造林した人工林の伐採拡大の動きを踏まえますと、伐採後に確実に再造林が行われることが森林資源の循環利用の観点から重要と考えております。
 そこでお伺いしますが、本県の再造林の現状はどうなっているのか。また、森林所有者が再造林に取り組みやすくするため、県ではどのような支援を行っているのかお伺いします。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 再造林の現状と県の支援についてでありますが、本県の再造林は、人工林の伐採面積が年間1、500ヘクタール程度であるのに対しまして、再造林の実績は、その3分の1の500ヘクタールほどにとどまっております。再造林を促進していくためには、特に、植栽経費と植栽から5年程度の下刈りに要する経費、造林コストの負担軽減が大きな課題と認識しております。このため、県では再造林経費への補助制度を有利に活用するための森林経営計画の作成促進のほか、植栽本数を減らした低密度植栽や植えつけの作業能率が高いコンテナ苗木の利用のほか、伐採と再造林を一体的に施行する技術の普及など再造林の低コスト化を促進しており、森林資源の再生が図られるよう、再造林の取り組みを支援してまいります。
〇30番(高橋昌造君) ありがとうございました。
 それでは、質問の第4点目、教育行政課題に関する取り組みについてお伺いいたします。
 まず、学校安全計画についてお伺いいたします。
 平成21年から施行されております学校保健安全法では、児童生徒の安全を確保するため、学校の施設及び設備の安全点検、児童生徒等への安全に関する指導について学校安全計画を策定し、これを実施しなければならないとされております。
 そこでお伺いしますが、県内における学校安全計画に基づく取り組み状況と課題についてお示し願います。
 また、東日本大震災津波以降各学校における見直しの状況と、課題があるとすればどのような対応がなされているのか、お伺いします。
〇教育長(菅野洋樹君) 各学校におきましては、計画に基づき、安全マップの作成や地域とともに行う下校時の避難訓練など、それぞれの実情に応じて、地域や関係機関と連携しながら学校安全の確保に取り組んでいるところでございます。
 課題といたしましては、学校安全計画に、生活安全、交通安全、災害安全の3分野を相互に関連させながら、しかも日常生活に即して盛り込むこと、また、計画を生かすため、職員研修の充実を図ることが挙げられております。したがいまして、今後、これらの視点に立った計画の見直し等を行うよう、指導をしてまいりたいと思っております。
 また、東日本大震災津波以降の各学校における見直し状況と課題についてでありますが、各学校においては、地震津波だけでなく洪水や土砂災害、岩手山噴火など、地域の自然条件や子供たちの生活環境の変化を踏まえ、学校安全計画の見直しを進めているところでございます。
 課題といたしましては、学校だけでなく、地域や関係機関との連携をこれまで以上に強化していく必要があることから、県といたしましては、教員はもとより、市町村防災担当職員や教育委員会職員等を対象とした防災教育研修会の開催、防災教育に係る学校訪問を通じて、学校及び地域の防災力の向上を図り、児童生徒や教職員の安全確保の充実に努めてまいります。
〇30番(高橋昌造君) そこで、さらにお伺いいたしますが、昨年の4月に、文部科学省において学校安全の推進に関する計画が策定され、その中に、安全教育にかかわる時間の確保や避難訓練のあり方、児童生徒の状況に応じた安全教育など、7項目にわたり安全に関する教育の充実方策が示されましたが、本県においてはどのように取り組んでおられるのか、お伺いします。
 また、学校安全の推進に関する計画では、学校における安全に関する組織的な取り組みや、地域社会、家庭との連携を図った学校安全の推進が示されていますが、本県における登下校時の安全対策として、スクールガード等の活動実態や市町村を含めた地域との連携はどのようになっているのか、お伺いします。
 また、先月28日、東京で下校中の児童が切りつけられるという事件がありましたが、この際、学校安全に対する総点検を実施するお考えがないのか、あわせてお伺いいたします。
〇教育長(菅野洋樹君) 昨年6月、国からの通知を受けまして、各市町村教育委員会及び県立学校に対しまして、文部科学省から示された方策を参考に、学校安全計画の必要な見直しを行うよう通知をいたしました。ただ、本県におきましては、従前より全ての学校において学校安全計画が策定されておりまして、しかも東日本大震災津波を踏まえ、各学校において積極的に見直しが図られているところでございます。この状況を見ますと、本県におけるこのような取り組みは、結果として、国の取り組み、そういった方策に沿うものと考えております。ただ、一方で、先ほど申し上げました課題もございますので、必要に応じて検討や見直しを進めていく必要があろうと思っておりまして、引き続き、市町村教育委員会、県立学校を指導してまいりたいと思っております。
 また、スクールガード等登下校時の見守りでございますが、当然、見守りにつきましては交通事故防止、それからお話のありました不審者への対応のため、各小学校区ごとにPTAや地域の方々、ボランティアの方々の御支援をいただきながら取り組んでいるところでございます。全ての市町村において、登下校の見守り活動が行われております。
 県といたしましては、特にスクールガードのうち指導的な立場にある方々、こういった方々や教職員を対象とした研修会を開催するなど、関係機関と一体となってこのような活動を支援してまいりたいと思っております。
 さらに、いわゆる学校安全に関する調査についてでありますが、このことに関しましては2年に1度実施されてございまして、最近では昨年の10月に行われております。この結果を踏まえ、それぞれ県立学校や市町村教育委員会におきまして、学校安全の取り組みの充実を図っているところでございまして、こういった調査を一つ一つ積み重ねながら、子供たちの学校安全の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇30番(高橋昌造君) それでは次に、武道必修化に伴う柔道の安全管理についてお伺いします。
 平成24年度から中学校の保健体育において武道が必修化されたところでありますが、武道、特に柔道につては、安全管理に対する不安の声も指摘されたところでありますが、この安全管理の徹底が求められておりますが、マスコミの報道によりますと、柔道による重大事故がゼロということで、これは大変喜ばしいことだと思うわけでございます。
 そこでお伺いしますが、本県における武道、特に柔道を必修として実施している中学校はどの程度あるのか、お示しを願いたい。
 そしてまた、武道必修化における安全管理面での課題をどのように捉え、安全管理の徹底に向けて具体的にどのような対策を講じられているのか、お伺いします。
〇教育長(菅野洋樹君) 平成25年度において柔道を必修として実施する予定の中学校は、県内172校中154校となっております。89.5%、ほとんどの学校ということでございます。
 武道必修化における安全管理面での課題といたしましては、指導者、指導計画、施設設備、事故が発生した場合の対応といった指導体制の整備が必要でございます。その状況について調査いたしましたところ、全ての学校において適切に対応されているところでございます。
 より一層の安全管理の徹底に向けまして、柔道授業担当者の指導力向上を図る必要があることから、教員対象の柔道指導に関する研修を実施するとともに、指導歴が浅い教員のいる学校に対しましては、地域のスポーツ指導者を派遣しているところでございます。さらに、教育事務所指導主事が各学校の状況を常に確認するなど、さらなる安全確保に努めているところでございます。
〇30番(高橋昌造君) 柔道に限らず武道が必修化されたわけでございまして、柔道以外の武道についても安全管理面で徹底していただくよう、お願いをいたしたいと思います。
 それでは次に、学校事故の内容と対応についてお伺いします。
 昨年、県内の県立学校が関西方面への修学旅行中に集団食中毒が発生し、多くの生徒が病院に搬送されるという事故が発生いたしました。このような事故も学校管理下の事故として取り扱われるものと思いますが、このような事故のほかにどういった種類、内容の事故があるのか、お伺いいたします。
 また、学校事故や学校災害の防止についてどのように取り組みをなされているのか、お示しを願います。
 不幸にして子供たちがけがなどした場合には、医療費など何らかの補償があると思いますが、その給付の実態がどうなっているのか、あわせてお伺いします。
〇教育長(菅野洋樹君) 学校事故は、一般的には学校管理下において発生した児童生徒及び幼児の災害事故とされておりまして、具体的には、授業や実習中のけがや負傷、熱中症、学校給食による中毒や、通常の経路での登下校中の交通事故被害などがございます。
 また、学校事故の防止等に係る対応についてでありますが、日ごろから、各学校や各市町村教育委員会等におきまして、施設、設備の点検や整備、児童生徒に対する指導の徹底等、事故防止対策に取り組んでいるところでありますが、県におきましても、特に防犯、防災及び交通安全について、安全教育に係る教職員の研修会を開催する等の取り組みを行っているところでございます。
 また、医療費などの補償の給付実態についてでありますが、学校の管理下で児童生徒等がけがなどをした場合、国、学校設置者及び保護者の三者の負担による公的な互助共済制度があり、県内の公立学校における平成24年度に給付決定をした件数及び給付額は、医療費が8、920件、1億5、405万円余、障害見舞金が4件、1、132万円となっております。
 件数の内訳としては、やはり中学校や高校では部活動中のけが、小学校では休憩時間中のけがなどが多い状況にございます。
〇30番(高橋昌造君) それで、学校管理下の事故として今お聞きすると結構あるわけでございますが、事故を通して、逆にこういう対策を講じたら防げるという事故があると思うんですね。だから給付の実態を通して、事故を起こさない予防的な措置も今後検討してみる必要があるのではないかと思うわけでございます。
 それでは次に、教職員の勤務時間等の勤務条件についてお伺いをいたします。
 学校現場の教職員の多忙化については、以前から指摘をされてきておるところであります。本県の未来を担う子供たちに質の高い教育を提供し、すぐれた人材を育てていくためには、学校現場の第一線で頑張っておられる教職員の心身の健康管理を徹底することが何より大切だと思います。また、さまざまな業務に追われ、教職員が子供たちに向き合う時間が十分確保できないとすれば、その対策を講ずる必要があると思われます。
 そこでお伺いしますが、本県の教職員の多忙化の実態はどのようになっているのか、お伺いします。あわせて、多忙化解消に向けた課題と今後の取り組みについてお伺いいたします。
〇教育長(菅野洋樹君) 教職員の業務負担は、単純な勤務時間数のみではなかなかはかれない面もございますが、ただ、実態把握及び学校長による所属職員の健康管理や職場環境の整備、教職員自身による健康管理等が必要でありますことから、平成24年4月から、全県立学校において教職員の時間外勤務の状況を調査しているところであります。
 この調査の一環といたしまして、県立学校や小中学校から聞き取ったところによりますと、休日や放課後における部活動指導や各種調査、会議などの事務的業務の増加などが主な課題として挙げられているところでございます。
 今後は、調査結果の分析により、教職員の負担の要因も把握した上でその解消策を検討してまいりますが、当面、市町村教育委員会とも連携しながら、各種調査や会議、研修の見直しなど、特に事務的業務の効率化を図ること、優良取り組み事例の共有化などにより、学校における業務の改善を促進すること等によりまして負担軽減に努め、教職員が児童生徒と向き合う時間が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
〇30番(高橋昌造君) いずれ教育長、この教職員の多忙化により私が一番心配しているのは、学校現場で児童生徒と先生が、例えばいじめの問題を初めいろんな問題行動も含めて、見逃すというか見抜くことのできないようなことはないのかと思っておるんです。
 そこで、学校現場の先生方ともよく話し合いの場を設けて、これから時間がかかってもいいわけでございますので、多忙化解消に向けた取り組みにしっかりと取り組んでいただきたいと思うわけですが、ここのところをもう一つ、教育長の思いがあればお聞かせを願いたいと思います。
〇教育長(菅野洋樹君) 県内の教職員につきましては、特に大震災津波発災後、子供たちのためにということで誠心誠意、大変な御苦労をいただきながら職場で御活躍いただいていると思っております。それをサポートするのが教育委員会の役目でありますので、何よりも学校の教員が子供たちに向き合えるような時間を確保するため体制整備を図ることが大事でありますので、そのために、いろんな加配を活用しながら必要な都度配置を行っているところでございますし、また、教員の健康管理、そういった面もひとつ大事にしていかなければならない。さらに、先ほど申し上げましたいろんな面で、特に教職員からは子供に向き合う時間よりも、むしろ事務的作業が非常に苦痛なのだというお話もいただいています。これはそのとおりであろうと思っていまして、何とかそういう時間も減らして、真に子供たちと教育の面で向き合う時間、そういったものの確保、なかなか一筋縄ではいかない問題はございますが、多面的な方策を講じながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇30番(高橋昌造君) 今、教育長の御答弁をお聞きして安心しました。いずれ、実態を教育長もわかっていらっしゃる。だから、あとはこれをいかにして早くスピーディーに解決していくかということをお願いいたしたいと思います。
 それでは最後になりますが、質問の第5点目、警察活動の現況等についてお伺いします。
 まず、東日本大震災津波の対応を踏まえた災害対策の検討についてお伺いします。
 警察の方々には、大震災津波の発生に伴い、被災者の救出援助や被災地の安全・安心の確保など、さまざまな活動を展開し、県民の高い期待にこたえていただきました。現在も全国からの特別出向者を受けて活動を継続中でありますが、未曽有の大震災津波を経験し、さまざまな反省、教訓が得らたれものと思います。今後も、各種の大規模災害の発生が懸念される中、本大震災津波の対応を踏まえて既存の体制を再点検し、今後発生し得る災害に備えて体制を再構築していくことが重要でありますが、県警察の検討状況についてお伺いします。
〇警察本部長(高木紳一郎君) 県警では、平成23年12月に岩手県警察災害対策検討委員会を設置し、東日本大震災時の反省、教訓を踏まえて検討を行い、大規模災害警備計画の改定等を行いました。
 具体的には、災害発生時のこれまでの警備体制は3段階でありましたが、さきの東日本大震災のような大規模な災害が発生した場合には、これまでの体制よりも約400人ほど多い1、500人体制の拡大災害警備本部を設置して対応することといたしました。
 また、警備本部内の各班の編成につきましてもこれを見直し、警備本部の運営、部隊間の調整を図る統括指揮班や被災地、避難場所、仮設住宅等の安全確保を図る地域安全対策班、遺失物、拾得物に対応する会計処理班を新設するなど、17班体制を23班体制に改編いたしました。さらに、活動指針となる大規模災害時における広報マニュアルや行方不明者相談マニュアルなどの各種マニュアルを整備し、今後発生する災害に、迅速かつ的確に対応することとしております。
〇30番(高橋昌造君) それでは次に、業務継続性の確保についてお伺いいたします。
 地震や津波、原子力災害等の大規模災害発生時においては、警察職員や警察施設にも被害が及びます。今回の大震災津波のように、想定以上に被害が甚大である事態おいても、災害対応の業務を行いつつ、治安の確保に必要な警察活動は継続していかなければならないわけです。そのためには、バックアップ拠点の整備や業務継続性の確保にかかわる取り組みが必要ですが、その取り組み状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。
〇警察本部長(高木紳一郎君) 大規模な災害が発生し、職員の被災、ライフラインの途絶、庁舎が倒壊した場合など、人的、物的資源に制約を受けた場合においても、警察は災害対策業務を適切に推進しつつ、限られた人員で警察の責務を果たすことができるよう、治安確保に必要な業務を継続していかなければなりません。
 県警では、平成24年7月に、岩手県警察大規模災害対応業務継続計画を制定し、これに基づいて、本部庁舎や県内17警察署などの警察施設が被災した場合に備え、県、各市町村の施設や警察学校、交番などの警察施設を代替施設、いわゆるバックアップ拠点として確保するとともに、代替施設への業務移転訓練を実施しているところであります。
 また、大規模災害発生時にあっても、管内の治安や地域の方の生活に影響を及ぼさないように、窓口業務や、事件や事故に対応する係員をあらかじめ指定しておくなど、災害業務の業務を行いつつ、治安確保に必要な警察活動を継続することとしております。
〇30番(高橋昌造君) それでは次に、災害対応業務についてお伺いいたします。
 この大震災津波の翌日でございますが、警視庁のヘリが大槌町の小学校校庭にSOSの文字を発見してけが人を救助し、病院に搬送したという事例があったわけでございますが、また、当県の警察ヘリは、地震発生直後に迅速に出動して押し寄せる津波を確認し、その状況を報告、撮影するなど、情報収集や被災状況の把握に威力を発揮されたわけでございます。このように、災害発生時に大きな力を発揮するヘリコプターでありますが、さきの大震災津波において、他県や他機関の応援機も多かったことから、受け入れの調整や燃料、駐機場の確保など、運用に関する課題があったとお聞きしております。
 そこでお伺いしますが、県警察では、この課題に対し今後どのように対応していくお考えなのか、お伺いします。
〇警察本部長(高木紳一郎君) 東日本大震災における警察用航空機の運用に関する課題につきましては、平成24年の警察白書に掲載されているところであります。
 当県においては、平成20年発生の岩手・宮城内陸地震での混乱を教訓として、平成22年1月に、各機関の意思統一を図るため、岩手県ヘリコプター等運用調整会議が設置され、その中で、大規模災害時における岩手県ヘリコプター等運用調整班活動計画が策定され、さらに平成23年1月、震災の2月ほど前でございますけれども、安全運航に関する具体的な岩手県ヘリコプター等安全運航確保計画が策定され、現在に至っております。これら計画の中には、応援機の受け入れ、駐機場の調整、燃料給油の優先順位、さらに離着陸等運用に関する事項も含まれておりまして、さきの東日本大震災津波では、県警ヘリだけでなく、全ての機関の航空機を対象として、安全かつ効果的な運用が行われたと認識しております。
 なお、このシステムは岩手モデルとして、その後、南海、東南海沿岸の地域で参考とされていると聞いております。
 今後とも他県警察の事例を参考としつつ、関係機関との連携をさらに強化し、安全かつ効果的な運航に努めていきたいと考えております。
〇30番(高橋昌造君) それでは次に、女性警察官の採用等についてお伺いいたします。
 平成24年度版の警察白書に、女性警察官の採用、拡大についてという特集がありました。少子化社会の進展に伴い、警察官採用試験受験者の減少が懸念される中、能力、適性等を有する女性警察官の積極的な採用、登用の一層の拡大に取り組まれているとの内容でありました。
 また、警察庁の有識者検討会においては、職員の意識改革により、男性優位の文化を見直し、女性のポストを拡大することなどを求める報告書をまとめたとの報道も先日ありました。
 そこでお伺いしますが、本県における女性警察官の採用、登用の拡大に向けた計画はどのような計画になっているのか、お伺いします。
〇警察本部長(高木紳一郎君) 県警察における女性警察官の採用開始は平成5年でありまして、現在の女性警察官比率は6.2%となっておりますが、女性警察官は生活安全、刑事、交通等の各部門で活躍しているところであり、警察署の課長を初めとする幹部職員も年々増加しております。
 平成23年12月に策定しました女性警察官の採用・登用拡大計画では、平成34年度の女性警察官比率を8.5%に引き上げることとしておりましたが、現場のニーズ及び有識者会議から提出された報告書の趣旨を踏まえ、犯罪被害者への的確な対応等を推進する観点から、女性警察官比率を10%に引き上げることなどを柱とした改正計画を年内に策定すべく、現在検討を進めております。
 県警察では、女性警察官の採用拡大とあわせて、生活安全、刑事等の各部門への配置の拡大、昇任試験制度にのっとった幹部への登用拡大を引き続き適切に推進してまいります。
〇30番(高橋昌造君) それでは最後に、要人等の警護についてお伺いいたします。
 大震災津波以降、天皇、皇后両陛下を初めとする皇族の方々や政府要人が多数来県しております。その都度警察で対応されており、その御労苦に対して敬意を表するものであります。余り表に出ることのない目立たない業務でありますが、要人の身辺の安全を守るための御労苦は多いものと思われます。
 そこでお伺いしますが、県警察においては、大震災津波以降、これまでにどのくらい対応されてきたのかお伺いします。また、今後における課題等があれば、あわせてお伺いいたします。
〇警察本部長(高木紳一郎君) 初めに、警衛警備活動についてでありますが、警衛警備につきましては、天皇、皇后両陛下を初めとする皇族方の御身辺の安全と歓送迎者の雑踏等による事故防止を基本として、その時々の治安情勢を踏まえ、必要な警衛警備活動を行っております。
 東日本大震災津波以降昨年12月末までは、平成23年5月の天皇、皇后両陛下による被災地お見舞いを初めとして、延べ12方、12回、19日間の警衛警備活動を行っており、本年は5月末現在でお二方、2回、7日間の警衛警備活動を行っております。
 次に、内閣総理大臣を初めとする要人警護警備につきましては、大震災以降昨年12月末までで、延べ126対象、157回、229日間の警護警備活動を行っており、本年は、5月末現在で23対象、24回、29日間行っております。
 課題といたしましては、今後とも、被災地御視察などで警衛警護対象者が同一日に複数来県されることが予想されますので、これまで警衛警護を担当した者を増強配置するなどして、警衛警護対象者の身辺の絶対安全を図ってまいりたいと考えております。
〇30番(高橋昌造君) いずれ高木警察本部長、今後も要人の警護等についてはいろいろ御苦労があると思いますが、岩手県警察の名誉にかけて、今後しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 知事を初め、教育長、警察本部長、そして各部長には、誠実かつ前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございました。以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 以上をもって高橋昌造君の一般質問を終わります。
 次に、佐々木茂光君。
   〔3番佐々木茂光君登壇〕(拍手)

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