平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇16番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
 質問に先立ち、このたびの小泉光男議員の急逝に対し、心より御冥福をお祈りいたします。
 それでは、通告に従い、順次質問をいたします。
 東日本大震災津波からの早期復興を県民誰もが待ち望んでいることは言うまでもありません。そのための財源の確保は一部で進みつつありますが、当該事業を執行できる人的体制や資材、機材の不足は、反比例する形で進行しています。
 県職員においても、復興を支え切るだけの人員と人材にはいまだ不足が生じている状態ですが、こうした人材難にさらに拍車がかかる事態が今般発生しました。今議会における給与条例の改定が、まさにそれであります。この件に関しては、既に組合側に当局案が提示となった時点で、復興推進の土台をなす職員のモチベーションは大幅に低下し、今後の有為な人材の確保にも懸念が生じていると認識しております。
 こうした前提に立った上で、初めに、知事に伺います。
 知事は、復興加速をうたわれていますが、現実には、事業執行を支える職員の必要数と必要職種の不足は依然として解消されていません。特に、いまだ非常時と言われる沿岸被災地では、職員みずからも被災しながら、地域住民とともに復興に歩む職員の痛々しいまでの苦労と努力があって初めて、被災地の人々の暮らしが支えられている現実があります。
 このように、他県とは明らかに異なる状況にある本県において、なぜ政府による全国一斉の給与減額の要請を受け入れて、人勧制度にもよらない給与削減に踏み切ったのでしょうか。地域経済への悪影響も明らかに予想されるこうした給与削減の理由と目的について、改めて知事のお考えをお伺いいたします。
 また、今般の給与削減の発端は、政府による地方交付税の一方的削減にあります。地方交付税法の規定にも抵触しかねない事態に対して、達増知事や全国知事会も反対の立場を表明していた時期もありました。しかし、今回と同様の措置が政府によってなおも繰り返された場合は、再度の職員給与の削減はおろか、各種事業の執行にも重大な影響が生じかねないものであります。
 そこで、知事は政府に対して、あしき前例とならないよう地方交付税削減には反対であることを説明し、復興と地域を支える財源の確保を明確かつ強力に要請すべきものと考えます。こうした住民や職員の願いでもある政府への要請行動について、知事はどのように具現化していくおつもりか伺います。
 続いて、人事委員会委員長にお尋ねします。
 県当局は、労働基本権制約の代償措置たる人事委員会勧告制度を尊重するとしながら、今般の職員給与の削減に踏み切ったということは、結果的に労働基本権制約の代償機能が働いていないことになります。本来、憲法で保障されている労働者の権利を侵害する行為は、全てを失った被災地の状況にあっては、職員の勤務意欲ばかりか、人権をも奪ったとさえ言えます。
 今回の給与削減は、中立公平であるべき人勧制度の存在そのものを根本から揺るがす事態でもあることから、人事委員会としては、県当局に対して、毅然とした指導を行うべきものであると考えます。
 そこで、人事委員会としては、人勧制度の労働基本権制約の代償機能が働くよう、今後どのように取り組まれるのか、具体的にお示し願います。
 最後に、総務部長にお尋ねします。
 東日本大震災津波からの早期復興のために果たすべき県行政の役割は、発災直後にとどまらず、復興加速期の今だからこそ、よりその重要性を増しているところです。その意味においては、県民生活と復興を直接的にも間接的にも支えている県職員が、その能力を十分に発揮し、今後も行政の安定性と継続性の確保を果たす必要があり、そのためには、心身の健康確保は無論のこと、勤務条件を含めた環境整備がなされるべきであります。
 翻って、職員の現状、とりわけ被災地職場の実態は、いまだ、かろうじてみずからの精神状態と経済状態を保っているという現実にあります。とりわけ大災害の発生直後の高い緊張感の中で見られる心身の防衛反応は、それが一段落する3年目、4年目のほうが、疲労感や喪失感が高まる傾向にあると言われています。ことし及び来年が、より一層の取り組みの充実を図るべき時期であると考えます。
 職員の自助努力には限界がある中、住民の支援を行うべき県職員もさまざまな方法で支援されなければ、住民生活とそれを支える自治体そのものを守ることはできません。
 そこで、支援者支援に欠かせない職員へのメンタルヘルス対策などの労働安全衛生上の取り組みと総労働時間の短縮、長時間労働の改善等の方策が、人員不足の解消への取り組みとあわせどのように行われているか、具体的にお示しください。
 また、精神的負担の軽減のほかにも、物理的、経済的負担の解消も支援者支援には欠かせない要素であると考えます。職員宿舎としての仮設住宅の利用、遠距離通勤、単身赴任など、沿岸部の職員の勤務には大きな負担がある現実をどう解消するおつもりか伺います。
 さらに、今般の職員給与の減額が県の財政難をも理由にしているとすれば、今年度の財政事情の回復いかんによっては、一旦減額した給料の復元など、何らかの賃金労働条件の改善を行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 東日本大震災から2年3カ月が経過しました。この間、県教委は、学校の施設設備の改善や心のケアなどに重点を置いて取り組んできました。学校そのものは地域に支えられていますが、被災地域は、どうしても人口流出がとまらない状況にあります。人口流出が続くことによって学校統廃合が進むものと思われますが、地域の学校としてコミュニティ・スクールを標榜する県教委は、どのようにして地域と学校をつないでいくつもりなのか伺います。あわせて、学校統廃合が進む現実をどう捉えているのか伺います。特に、高校再編については、復興が一段落するまで協議を開始すべきではないと考えますが、御所見を伺います。
 また、JR線が不通のため代替バスが運行しています。定刻運行が難しく、県立学校の生徒はおくれて登校せざるを得ない実態にあります。被災地の交通機関の復旧は、児童生徒だけではなく、市民生活に直結する問題です。改善の見通しについてお示しください。
 また、仮設住宅に入居している特別支援学校の児童生徒の保護者は、周囲に気を使いながらの生活であるとの報告があり、ストレス発散になる障がいのある子供たちの養護の取り組みが必要と考えますが、現状をどう捉え、今後どのように対応していくかお示しください。
 阪神・淡路大震災の際、3年経過するころから、子供たちが当時のことを思い出し、さまざまな症状が出てきたと言われていますが、現段階で、子供たちの学校や家庭での日常をどのように捉えているのか伺います。特に、3年目に入り、被災当時、保育園児、幼稚園児であった子供の学校での実態はどうでしょうか。あわせて、現在、県教委として子供たちの心のケア等でどのような対策を講じているのか伺います。
 子供と同様に、学校現場で働く教職員のストレスも増してきているとの報告があります。被災前の通常業務のほかに、被災後の業務がなかなか減らない状況にあります。教職員のストレスは、子供たちにも大きな不安を与えます。教職員の健康状態をどのように把握し、対策を講じているのか伺います。
 昨年10月24日、世界経済フォーラムは、政治、経済、健康、教育の4分野での性別格差を評価した国別ランキングを発表しました。日本は135カ国中101位で、前年から3位後退しました。
 報告では、日本について、経済活動への参加の機会と政治への関与のカテゴリーで、それぞれ102位と110位と評価し、女性の企業幹部や議員の少なさを指摘。さらに、女性の教育水準が高いにもかかわらず、労働市場でうまく活用されていないために、教育投資に見合う利益を得られていないと説明しています。加えて、男女の格差をなくすことで、女性の社会進出が進み、その結果、日本のGDPが16%ふえるとの研究も紹介されています。
 ルース駐日アメリカ大使も、女性に投資し、多くの機会を与えることだ。才能ある人材として女性を経済活動で活用しないという手はなく、企業も競争の活力となる女性を無視することはできないと講演の中で話しています。
 また、岩手県の男女の地位の平等感を問うと、約7割が、社会全体として男性が優遇されていると回答しています。
 近年、配偶者からの暴力が大きな社会問題となっており、人権の擁護と男女平等の実現にとって大きな妨げとなっています。2012年度の岩手県のDV相談件数は、配偶者暴力相談支援センター1、504件に、警察署における2012年相談件数は298件とともに減少しています。一時保護の状況は34人と前年と比べ10人減っていますが、保護命令発令件数は60件とほぼ横ばいです。このような状況をどのように分析しているか伺います。
 両親の間の暴力や暴言を吐く場面などDVを日常的に目撃した子供は、目で見たものを認識する脳の一部が萎縮する傾向があり、成長後も心の病といった形で影響があると指摘されています。DVは、配偶者間だけでなく、若い人たちの間でも起こっていることが明らかになってきています。若年層への教育啓発が重要です。
 DV被害者の支援について、被害者の安全確保を最優先に、心の回復や生活設計に向けて意思決定できる安全な場所など、被害者の置かれた状況に即した的確な支援が必要であると考えますが、被害者支援に向けての県の実態はいかがでしょうか。あわせて、課題と取り組みについて伺います。
 東日本大震災津波以降の沿岸地域の配偶者暴力相談支援センターへの相談内容は、夫の震災対応業務や仮設住宅入所のストレスから来る暴力被害、実家や親類、知人などの家といった自力で避難する場所がなくなったことと、夫と離婚すれば被災支援の補助世帯から外れ生計が成り立たないことなどです。
 内閣府と本県を含む被災3県などが協力して実施している東日本大震災被災地における女性の悩み・暴力相談事業での昨年度の岩手県の相談件数は1、283件です。この事業において、電話相談や面接相談のほか、孤立化を防ぐため取り組みを進めていくとのことですが、今年度事業はどのように実施しているのか、具体的な取り組みについて伺います。
 また、男女共同参画に基づく震災復興を進めていくための政策決定の場での女性の参画では、県の復興委員会では、女性3人、沿岸市町村では28人が委員として参画しています。また、県の防災会議では現在5人の女性委員が、市町村の防災会議では、2013年4月に45人の女性が委員として参画しています。
 国の防災計画の内容は男女共同参画の視点を取り入れた記述になっていますが、県、市町村の地域防災計画では、それが生かされた記述になっているか伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 また、国の防災計画の内容から、意思決定の場に必ず女性が参画すべきであり、女性の意見が反映されるようにすべきと考えますが、県としてどのように取り組もうとしているのか知事に伺います。
 男女共同参画とは、単に女性の地位向上のみではなく、性別にかかわりなく居心地のよい社会をつくり、誰もが安全で安心な生活を営む権利を確保する人権保障の問題であると考えます。働く女性の場合は、子育て中であっても就業の機会が奪われないようにすることが大切です。
 こうした子育て中も働きたい女性のニーズに応える就業支援施設として、マザーズジョブカフェが京都ジョブパークにあります。カウンセリングを通して、一人一人に合った働き方をアドバイスする女性再就職支援コーナー。保育園への入所方法など、保育や子育ての情報提供と相談に応じるママさんコンシェルジュ。ひとり親家庭の方の就業生活相談や情報提供を行うひとり親自立支援コーナー。それぞれのコーナーからハローワークの相談員が、職業相談、職業紹介を行うマザーズコーナーにつなぎます。就職活動の際には保育が利用でき、就職しても保育先が見つからない場合は、就職決定後、最長1年間利用可能です。子育てしながら働きたい女性やひとり親家庭の方などのニーズに応じて、就業と子育てをワンストップで支援する事業です。
 岩手県でも、このような子育て中の女性の就業支援施策として、就業と子育てをワンストップで支援する事業の強化が必要と考えますが、現状はいかがでしょうか。今後の取り組みもあわせて伺います。
 沿岸で母子支援活動を展開する母と子の虹の架け橋が、託児施設の虹の家を開所してから1年余りがたちます。復興には、働くママ、働きたい、働かなければのママをしっかり応援するための一時預かり保育が必要です。この施設は、待機児童対策のために始め、待機解消まで預かっています。それと同時に、働く準備としてのスキルアップ、自分を生きるためのエンパワーメント、そのための保育事業を展開しています。
 釜石市は待機児童が続いており、母と子の虹の架け橋は、安心して就職活動をするために子供を預かっています。また、安心して就労に臨むためのスキルアップセミナーも実施しています。さらに、自信を喪失し、周りの価値観のとらわれになり自信をエンパワーメントできないママには、講座を用意して、受講の間、子供を預かっています。いつでも一時預かりの体制にはなっていますが、働くママが経済的に耐えられるか、保育士や子供に困難がないかが課題です。
 女性や若い世代が生活再建することは、復興の重要要因と考えます。子育て層の若い方がまちから出て行ってしまっては復興になりません。就労や健全な子育て支援をすることは、社会の活性化につながります。
 少子化対策は、足元での具体的な支援策がなければ、安心の子育てにはつながりません。沿岸部では特にも母子家庭がふえていると聞いておりますが、そうした母子家庭支援のためにも待機児童の解消が急務と考えます。内陸とは違った形での取り組みが必要と考えますが、具体的にどのように取り組もうとしているのか伺います。
 18歳未満の貧困層の割合を示す子供の貧困率は年々高まっています。厚生労働省の調査では、1985年の10.9%に対し、2000年は14.5%、2009年は15.7%にふえました。18歳未満の子供の6から7人に1人が生活の苦しい家庭で育っていることになります。ひとり親世帯では50.8%にもなり、実に2人に1人の割合になります。
 国際的な比較では、日本だけが所得再配分後の貧困率が再配分前を上回っています。あしなが育英会の調査でも、遺児の母親の年収は1998年には201万円でしたが、それ以降は激減し、2010年には113万円となっています。貧困状態にある子供は日本全体では300万人以上で、親の低所得状態によって日常生活と生育上の不利益をこうむり、社会的に不利な状態にあります。
 我が国の子供の貧困率はOECD加盟国の中でも高い水準となっており、特に、ひとり親世帯の貧困率はOECD加盟31カ国中31位、最下位です。これらの数値は年々高まる傾向にあり、とても看過できるものではありません。
 岩手県のひとり親世帯の貧困の実態をどのように認識しているか、知事に伺います。
 生活が苦しい家庭の子供を貧困から救う子どもの貧困対策法案が国会で成立しました。子供が、生まれ育った境遇で将来が左右されないよう、教育を受けられる環境を整備することを目的にしました。貧困対策を総合的に推進するために政府が策定する大綱に、貧困対策に関する方針、貧困率等の指標や改善策を定めることとなりました。生活や教育の支援とともに、社会制度の抜本的な改善、国、地方自治体での総合的な対策が求められています。
 子供の貧困対策法や大綱から、岩手県の子供の貧困対策計画を定める必要がありますが、計画策定までのスケジュールをお示しください。
 日本の国、地方財政の教育支出が総支出に占める割合は、OECD加盟国中の最下位、8.9%と低く、平均の13.0%から大きく下回っています。逆に、教育への私費負担割合は高くなり家計を圧迫しています。
 政府は、8月から生活保護の基準額を引き下げる方針で、子供のいる世帯への影響が大きいとされます。さらに、生活保護の引き下げによって、経済的な理由から就学が難しい小中学生を支える就学援助制度の認定基準が、厳しくなる可能性もあると言われています。
 2011年度就学援助対象者は1万5、260人で14.4%、沿岸12市町村では6、429人で30.5%にも上ります。生活保護や低所得の子育て世帯にとって家計負担が増しそうです。新たな貧困を生まないためにも、今回の対策法による具体策が欠かせません。
 家計が苦しいために子供が学ぶ機会を奪われ、安定した職業につくことも難しい状況にあるのが貧困の連鎖です。デフレ不況や非正規雇用の拡大も背景にあり、貧困の固定化や格差の拡大が一段と進みかねません。ことしを子供の貧困撲滅元年として、子供の貧困に真正面から取り組み、教育支援や親への所得保障、就労支援等を抜本的に改善すべきと考えます。
 また、子供の貧困は、子供の権利が全て奪われた状態とも言われます。そこで、関係部局で岩手県子どもの権利条例についてこれまでも協議してきたとのことですが、進捗状況はいかがでしょうか。あわせて、教育支援をどのように改善していくか伺います。
 発災から2年3カ月が経過しましたが、東京電力福島第一原発事故は、いまだ、隣接県のみならず、本県など広範囲に大きな影響を及ぼしています。原発事故は、収束どころか、原子力緊急事態宣言はいまだに解除されていません。東京電力福島第一原発では、事故を終わらせるために、毎日3、000人もの作業員が大量の放射線の中で働いています。福島県内外に長期避難を余儀なくされている避難者は15万人以上と言われています。苦しめられている方の数はそれ以上です。
 福島県が行った18歳未満の甲状腺検査で甲状腺がんの診断が確定した子供が既に12人、がんの疑いが15人になりました。これまで言われていた自然発生率の数百倍にも当たると言われています。
 岩手県の子供たちへの影響を最小限にとどめるため、学校施設の除染や給食の食材の放射性物質検査を行ってきたところです。4歳から15歳を対象に行った内部被曝調査では、健康影響は極めて小さいとの発表でしたが、継続して注視していかなければなりません。
 内部被曝調査は、不安が払拭されるまで継続すべきと考えますがいかがでしょうか。また、子供たちを守るため、給食の食材検査の取り組み状況についても伺います。
 また、放射性物質により放牧地が汚染され、公共牧場の利用自粛に伴う畜産農家が多大な負担を強いられたり、原木シイタケの出荷制限により、県南の7割のシイタケ生産者が廃業を余儀なくされたりするなど大きな影響が出ています。畜産農家及びシイタケ生産者にどのような支援対策を講じているのか、改めて伺います。
 原発事業者との協定については、防災計画に盛り込んだ対策を確実に実行できるよう、細部の調整を図り、締結することとしているとのことでしたが、締結した内容について伺います。近隣各道県と広域的な連携が必要となる対策について前向きに対応していくとのことでしたが、その後、どのような共通認識になったのか、知事に伺います。
 震災5日後に一部再開した三鉄の力を現地で感じた。赤字続きの鉄道だったのに、その日は、駅は開業以来の人出になり、沿線で被災者が手を振ったという。外の世界と結ぶ鉄道から、ふだん感じない力を得た人たちも多かったようだと報じられました。三鉄は、国費108億円によって、来年4月に全線再開を予定しています。
 一方、JR山田線、大船渡線については、いまだ復旧の方針が決定していません。広大な面積を有する本県において、鉄道路線は通学、通院などの地域における重要な足であるとともに、地域間の交流や観光などの地域振興に欠かすことができない交通手段であり、三陸沿岸の復興を下支えする重要な社会基盤であるとの県の認識でありました。
 県として、これまで、土砂崩壊や東日本大震災津波により運休となっているJR岩泉線、山田線及び大船渡線の早期復旧に向け、合わせて数十回もJR東日本や関係機関と協議を行い、国への要望を実施してきたと認識しております。JR東日本や国の姿勢についてどのような認識であるか伺うとともに、復旧に向けての強い決意のほどを知事に伺います。
 JR岩泉線は、1982年、昭和57年に廃止対象路線となった際にも、国道340号が代替道路に適さなかったことから、路線維持となった経緯があり、現在でも道路条件に変化はありません。このことを前面に出し、JR東日本と粘り強く交渉すべきと考えます。
 また、被災地の真の復興には、三陸鉄道の復旧とあわせJR山田線、大船渡線が復旧し、三陸の鉄道が一つにつながることが重要であります。JR東日本が、地域の公共交通を担う鉄道事業者として責任を持って復旧すべきです。
 これまでもJR東日本や関係機関との協議を積極的に行ってきたと認識しておりますが、鉄路復旧を具体的に前に進めるために、JR東日本から鉄路復旧の言明を得るために、今後どのように働きかけを強め、対策を講じるのかお伺いいたします。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小西和子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、給与削減の目的と理由についてでありますが、今年度の地方財政対策において、地方公務員給与費の臨時特例により給与関係経費が削減され、これに伴う本県の地方交付税等への影響額は83億円を超える減額を見込んでいるところであります。この措置は今年度限りとはいえ、その影響は極めて大きいものであり、県民サービスを安定的に継続するためには、今年度においてこの歳入減にしっかりと対応しなければならず、人件費も含めた財源確保の努力を行っていく必要があると判断したものであります。
 なお、今回の職員給与の減額措置は、地方交付税等の削減に伴い、本県の財政事情等に鑑み実施するものであり、地域経済への影響について配慮する必要がありますことから、民間従業者の方々の給与について県に追随して下がることのないよう、先般、県経営者協会に特段の御配慮をお願いしたところであります。
 次に、国に対する要請行動についてでありますが、今般の給与削減を地方交付税に反映させる手法については、これまでも、昨年12月の政府予算要望を初め全国知事会や地方6団体を通じて繰り返し国に対し反対の要望を行ってきたところでありますが、今年度の地方財政計画においては、こうした要望にもかかわらず地方交付税が減額されたものであります。地方交付税は、本来、地方固有の財源であり、今回のような手法が今後断じて行われることのないよう、来年度に向けた政府予算要望の際、総務大臣に対し直接強く要望したところであり、来る全国知事会の総会においても同趣旨の提言を行う準備を進めているところであります。
 次に、女性の意見反映に向けた県の取り組みについてでありますが、震災復興においては男女共同参画の視点が極めて重要であり、女性を含めた多様な主体が連携して復興に取り組んでいくということを復興基本計画で定めているところであります。
 このようなことから、復興委員会においては3名の女性委員を任命しているほか、専門委員としても2名の女性専門家を任命して意見を伺っております。また、県内の女性有識者からの意見を震災以降定期的に聴取し、その意見を復興計画等に反映しております。
 市町村に対しては、防災、復興の観点からも男女共同参画の重要性を伝え、女性の意思決定の場への参画拡大について働きかけております。ことしも7月19日に県内女性有識者からの意見聴取を行うこととしており、今後も女性の意見を復興や防災に生かしていくとともに、県の男女共同参画推進の流れと復興を相乗効果で進めてまいります。
 次に、本県のひとり親世帯の貧困の実態の認識についてでありますが、本県が5年ごとに実施している岩手県母子世帯等実態調査によりますと、ひとり親世帯は増加傾向にあります。ひとり親世帯の就労収入については、平成22年度の調査によりますと、県民1人当たりの推計収入との比較で、母子世帯は約50%、父子世帯は約67%となっています。さらに、全国のひとり親世帯の就労収入と比較しますと、母子世帯は約77%、父子世帯は約60%となっています。また、本県の母子世帯の就労形態については、就労している者の割合が約95%と高いものの、パート、アルバイト等の非常勤雇用が約51%となっています。このように、本県のひとり親世帯は一般世帯や全国のひとり親世帯に比較して低収入であることや、また、子育てと仕事を両立させる必要があるなど、その取り巻く環境は厳しい状況にあると認識しております。
 次に、近隣道県と広域連携が必要となる防災対策についてでありますが、災害時における近隣各道県との広域連携については、北海道・東北8道県相互応援に関する協定に基づき、物資の提供や人員の派遣等の応援を相互に行うこととしています。殊に、原子力災害においては、災害情報の共有のほか災害の規模、避難者の収容状況等に応じて広域一時滞在の受け入れ等の調整が必要であり、広域的な連携の必要性について近隣各道県との共通認識を深める必要があります。
 このため、現在、本県において、原子力災害における県境を越える広域避難等を想定し、避難先の確保や避難手段の調整等に係る検討を進めているところでありますが、国及び全国知事会が連携し、広域連携体制の具体化に向けて検討を進める動きもありますことから、こうした動向も踏まえ、北海道、東北各県との広域連携について、一定の方向性が得られるよう取り組んでまいりたいと思います。
 次に、JR東日本等の姿勢についてでありますが、JR岩泉線については、これまで早期復旧を求めてきましたが、JR東日本から一方的に廃線の意思が示され、また、JR山田線及び大船渡線については、まず復旧方針を明示した上で協議を行うよう再三にわたり求めてきましたが、いまだ復旧方針が明示されていないところです。
 JR東日本は、これらの路線が地域住民の重要な足であり、また被災地の復興を下支えするものであることを認識し、地域の公共交通を担う鉄道事業者として責任を持って復旧すべきと考えており、大変遺憾に思っております。
 また、国は、JR岩泉線については、地元とJR東日本の協議の状況を見守りたいとの姿勢でありますが、復旧に向けてもっと積極的な関与をいただきたいと考えております。
 一方、JR山田線及び大船渡線については、国が主催する復興調整会議などで復旧に向けた協議が実施されているほか、JR東日本が国または自治体に負担を求めている鉄道のかさ上げなどのまちづくりに伴う費用についても国と調整を続けているところであり、早期にJR東日本から鉄道復旧宣言を得られるように、さらなる支援をいただきたいと考えております。
 以上申し上げましたとおり、鉄道の復旧は、被災地の復旧や地域の振興にとって欠かすことのできないものでありますので、県としては、今後も沿線市町村と連携しながら、JR東日本や国に対し、早期に鉄道を復旧するよう強く求めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) 復興業務に携わっている職員に対する支援に係るお尋ねについてであります。
 まず、労働安全衛生法上の取り組みにつきましては、メンタルヘルス対策として、派遣職員を含めた全職員を対象としたストレスチェックや、高ストレスや抑鬱状態にあると認められる職員に対する精神科医による個別相談、さらには管理監督者を対象とする研修会を開催するとともに、新たに自殺予防対策研修会の開催や、地方公務員災害補償基金の支援事業を活用したメンタルヘルス相談体制の充実などの取り組みを行うことといたしております。
 また、長時間労働の改善等につきましては、事務事業の緊急度や優先度を勘案した適切な業務執行体制の確保や、グループ制のメリットを生かした随時の事務分担の見直し、部局、広域振興局の枠を超えた一時的な応援職員の派遣、さらには夏季連続休暇や記念日休暇を活用した計画的な年次休暇の取得の促進などについて、各所属への徹底を図っているところであります。
 こうした取り組みを着実に進めつつ、人員不足解消に向け、平成26年度採用予定職員数の拡大及び繰り上げ採用や、平成25年度中の採用も見据えた一般任期付職員の募集、他県応援職員の早期要請などあらゆる手段を講じ、復興人材の確保を進めているところであります。
 次に、沿岸部の職員の負担解消についてでありますが、沿岸部に勤務する職員にあっては、内陸部での勤務とは異なり、住環境も含め、さまざまな負担があるものと認識しております。今年度、仮設公舎の新築や職員互助会の事業を活用した職員公舎への備品の整備を行ったところでありますが、既存の職員公舎についても必要な修繕等に取り組んでいくこととしているところであります。
 また、沿岸部での勤務は単身赴任となるケースも多く、自宅との行き来など経済的な負担についても課題意識を持っているところであり、手当面での改善ができないか、人事委員会とも連携しながら対応してまいりたいと考えております。
 次に、財政事情の回復による賃金労働条件の改善についてでありますが、今般の職員給与の減額については、地方交付税等の減額に伴い、県民サービスを安定的に継続していくため、財源の確保に向けて対応させていただいたところであります。今年度の予算については、多額の財政調整基金の取り崩しにより復興を加速するための予算を編成しているところでありますが、本県の厳しい財政状況に鑑み、減額した給料の復元などは難しいと考えているところであり、さきに申し上げたような職員の業務環境の改善などに努めてまいりたいと考えております。
 次に、地域防災計画への男女共同参画の視点の取り入れについてでありますが、国の防災基本計画では、防災の現場における女性の参画を拡大する等、男女共同参画の視点を取り入れた記述がなされております。これを受け、県では、平常時からの男女共同参画の推進が防災、復興の基盤となるという考えのもと、女性も防災、復興の主体的な担い手と位置づけ、地域防災計画の修正に取り組んでまいりました。
 具体的には、地域防災計画において、自主防災組織や消防団、復興計画作成検討組織等への女性の参画を求めるなど、防災、復興に係る施策に女性の意見が反映されるよう規定を整備するとともに、災害時の物資の調達や避難所の運営に当たって女性に配慮することも規定しているところであります。
 また、市町村においては、地域防災計画の修正に当たり、県の地域防災計画に準じて男女共同参画の視点を取り入れた記述になっているものと考えておりますが、引き続き、男女共同参画の視点を生かした地域防災計画の修正が行われるよう、市町村に対し助言をしてまいります。
 次に、原発事業者との協定についてでありますが、県地域防災計画原子力災害対策編に位置づけた原子力発電所の設置事業者である東北電力株式会社とは、平成24年11月から3回にわたり事務レベルでの調整を行い、平成25年3月28日付で原子力発電所に係る県民の安全確保のための情報連絡等に関する協定を締結したところであります。
 具体的には、原子力災害特別措置法に規定されている原子力緊急事態宣言に結びつく事象や発電所敷地内における火災等の事象が発生したときは、速やかにその内容について県に連絡するという安全確保のための情報連絡を中心とした内容の協定となっております。
 また、協定では、平常時においても定期的に連絡会を開催することとしており、こうした場を活用し、きめ細やかに情報共有を図るとともに、緊急時に連絡が滞ることがないよう、連絡体制等の確認、調整を進めてまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) 被災地におけるJR線の代替バスについてでありますが、JR山田線の不通区間については、震災以降、高校の朝の課外授業やクラブ活動に対応したダイヤの見直し、増便の要望があり、教育委員会や市町村等の関係機関と連携しながら改善を図ってきたところであり、現在は、振りかえ輸送バスが1日11往復運行されております。
 また、JR大船渡線の不通区間につきましては、3月2日から仮復旧としてBRTが1日12.5往復運行され、両路線とも震災前とほぼ同水準の運行回数が確保されているところであります。
 運行状況につきましては、恒常的に登校時間に間に合わないといった状態は改善されておりますが、JR山田線の代替バスにおいては、天候によりダイヤが乱れることがあること、また、朝の便の混雑が激しいという地元の声もあることなどから、今後も利用実態を把握するとともに、沿線の市町と連携しながら、ダイヤの改善などについて、引き続きバス事業者と協議をしてまいります。
 次に、鉄道復旧のための今後の対策についてでありますが、JR岩泉線につきましては、JR東日本は、廃線してマイクロバスで交通を確保したいとの方針であることから、国道340号が急峻な上、急カーブが連続しており、代替道路として適していないことを引き続き強く訴え、沿線の市町と連携しながら、粘り強く鉄道復旧に向けた交渉を実施してまいります。
 JR山田線につきましては、鉄道のかさ上げや駅の移設など鉄道復旧に係る残された課題について、沿線の市町とともに早急に調整を進めていくとともに、JR東日本から要請された地元の利用促進の検討につきましては、5月以降、利用促進検討会議を3回開催し、利用促進策の方向性についてまとめ、先月24日に沿線首長会議において合意が得られたところであり、一日も早く鉄道復旧方針を示すよう、JR東日本に対して求めてまいります。
 JR大船渡線につきましては、鉄道復旧に向けた協議を加速するため、先日も実務担当者間での協議を実施したところでありますが、引き続き、国に対し早急に復興調整会議を開催するよう求めてまいります。
   〔保健福祉部長根子忠美君登壇〕
〇保健福祉部長(根子忠美君) 被災地の障がいのある子供たちの養護の取り組みについてでありますが、応急仮設住宅に入居する特別支援学校の児童生徒数は、寄宿舎生も含め、5月1日現在35人であり、議員御指摘のとおり、保護者からは、大きな声を出すので気を使うといった声などが寄せられております。このような声への対応も含め、特別支援学校に通う児童生徒の放課後等の活動や生活の場を提供し、家族の就労や休息等を支援する事業として、第1に放課後等デイサービス、第2に日中一時支援事業、第3に放課後児童クラブの三つの取り組みを進めてきております。沿岸地域においてもこれらの事業が実施され、特別支援学校の児童生徒も多く利用していますが、実施箇所数が十分ではないことにより、身近でサービスを受けられない場合があることが課題であると考えております。
 県としては、引き続きこれらの事業を推進するとともに、必要な支援がどの地域にいても受けられるようにするため、各地域の障がい者自立支援協議会に対し、ニーズに応じて事業の拡充に努めるよう働きかけ、市町村と連携して障がい児の支援体制の充実を図ってまいります。
 次に、沿岸部の母子家庭支援の取り組みについてでありますが、沿岸12市町村の待機児童数は、平成25年4月1日現在、二つの自治体で41人となっており、前年に比較すると38人増となっています。その発生要因は、保育所定員には余裕があるが、保育士が不足しているために児童の受け入れができないことによるものであります。
 県では、待機児童の解消のため、これまで子育て支援対策臨時特例基金を活用し、民間保育所の整備などにより量的拡大に努めてきましたが、本年度においては、待機児童の解消を図るためには保育士の確保が喫緊の課題であることから、潜在保育士の就職支援などを行う保育士・保育所支援センターの設置や保育士の処遇改善など、保育士の確保事業に係る予算を本定例会に提案させていただいております。
 さらに、現在、市町村を通じて県内保育所の保育士確保に関する調査を実施しており、沿岸部を初めそれぞれの地域における保育士不足の現状と課題を把握しながら、必要な対策を検討することとしております。
 次に、本県の子どもの貧困対策計画策定のスケジュールについてでありますが、先月公布された子どもの貧困対策の推進に関する法律は、1年以内に政令で定める日から施行されることとされており、同法に基づく大綱は、今後、国の子どもの貧困対策会議での審議を経て示される見込みであります。
 県の子どもの貧困対策計画については、法律上、国の大綱を勘案して策定するよう努めるものとされておりますが、県としては、子供の貧困対策の取り組みは重要であることから、計画の策定に向けて検討を進める考えであり、策定スケジュールについては、国の動きを注視しつつ、適時適切に対応してまいります。
 次に、子どもの権利条例に係る協議の進捗状況についてでありますが、これまで、他県の条例の情報収集や実地調査を実施したほか、庁内の関係室課が参加する意見交換会の開催や関係団体との意見交換を行うなど検討を重ねております。意見交換においては、条例の制定について住民等の機運醸成が必要であり、条例の目的、意義や効果などについて整理の上、検討する必要があるとの意見があったところでございます。
 今後、これらの意見を踏まえるとともに、子ども・子育て関連3法による子ども・子育て支援新制度が平成27年4月から施行予定であることや、1年以内に施行される子どもの貧困対策の推進に関する法律など子供の権利擁護をめぐる新たな動きがあることから、こうした状況も総合的に勘案しつつ検討していくこととしております。
 次に、内部被曝調査についてでありますが、県では、過去2年間、比較的空間線量が高い県南部を中心として、子供を対象とする放射線内部被曝健康影響調査を実施してきました。その結果について、平成23年度の有識者会議で、放射線による健康影響は極めて小さいと考えられるとの評価が得られ、さらに平成24年度においては、対象者の内部被曝の減少が見られたことから、科学的な見地からの調査の継続は必要ないとの評価も得られたところでございます。
 一方、県南部を中心に県民の不安は十分に払拭されていないと承知しており、あわせて、有識者会議においても、リスクコミュニケーションの一環として、可能であればもう少し調査を継続してはどうかとの意見もいただいております。調査の継続には調査対象者からの協力が必要であることから、現在、その意向も踏まえつつ、関係市町とも協議の上、検討を行っております。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔環境生活部長風早正毅君登壇〕
〇環境生活部長(風早正毅君) まず、DV相談の件数についてですが、DV相談の件数は、基本的には緩やかな増加傾向にある中、平成23年度が突出して増加したものと分析しています。配偶者暴力相談支援センターからの聴取によると、平成23年度の増加要因は、東日本大震災津波後の生活環境の変化によって、震災前から続くDV被害が表面化したり新たなDV被害が発生したことと分析されており、平成24年度はそれらが沈静化したと捉えています。
 また、一時保護の利用と保護命令の申し立てとは、ともに基本的には緩やかな増加傾向にありますが、被害者が自力で秘匿避難をして避難先から保護命令を申し立てる例もあるなど、全てのケースにおいて両方が行われているわけではないのが実情であります。県としては、DV被害者からの相談の際に両制度の説明を適切に行い、被害者の自立を支援してまいります。
 次に、DV被害者支援の実態と取り組みについてですが、DV被害者は、DVによる精神的ダメージを受け、所持金や仕事、身近な支援者がないまま子供を抱える境遇の方が多い傾向にあります。県では、このような被害者に対し、DV相談支援センターでの相談受理と支援に関する説明、緊急避難のための宿泊場所の提供やシェルターでの一時保護等による安全確保、一時保護中の心身のケアや同伴児の学習機会の確保、一時保護後の経済的自立などの生活再建支援など、個々の被害者に応じてさまざまな分野の支援を行っています。
 支援の課題は、被害者の早期発見と支援への確実な連絡、相談員のさらなる資質向上などが挙げられるところですが、県では、課題に対して、医療関係者向け研修会の開催による被害者の早期発見や支援の周知、相談員研修による各種制度や先進事例、被害者心理等の知識の習得などの取り組みを行っております。
 次に、女性の悩み・暴力相談事業の実施状況についてであります。この事業は、内閣府と県が共催し、関係団体等と連携して、被災女性一人一人に寄り添った支援が図られるよう、昨年度に引き続きフリーダイヤル電話相談のほか、盛岡市での面接相談を継続して実施しているところであります。
 今年度はさらに、複雑化、困難化する相談にも対応するため、相談員等を対象として研修会を県内複数箇所で開催する予定としております。この研修会には、仮設住宅などで活動している買い物代行員などにも参加していただき、孤立化を防ぎ、相談に適切につないでいくことができるよう取り組んでいくこととしております。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 子育て中の女性の就業支援施策についてでありますが、県内のハローワークでは、盛岡、水沢、宮古及び一関の4カ所に、それぞれマザーズコーナーが設置され、子供連れでも来所しやすいようキッズコーナーなどが整備されており、一人一人のニーズに応えるため、きめ細かな相談対応や職業紹介を行うとともに、保育施設や育児サポート等の情報を提供するなど総合的な支援を行っております。
 このマザーズハローワーク事業を円滑に実施するため、岩手労働局においては、県、関係市町村、団体等から成る岩手子育て女性の就業支援協議会を設置し、子育て中の女性にとってよりよい支援がなされるよう努めております。
 県といたしましては、このマザーズコーナーの周知を図るとともに、県が実施しております母子家庭の母を対象とした職業訓練コースや託児ができる職業訓練コースの情報提供を行うなど、子育て中の女性の就業支援に取り組んでまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 畜産農家及びシイタケ生産者への支援対策についてでありますが、まず、公共牧場の利用自粛に伴い影響を受けた畜産農家に対しましては、県では、農家に新たな負担が生じないよう、他地域の公共牧場への利用を調整するとともに、農家等で使用する場合は、生産費などのかかり増し経費を市町村と協力しながら支援しております。
 また、出荷制限により影響を受けたシイタケ生産者に対しまして、放射性物質の影響を受けたほだ木の処分やほだ場の環境整備のほか、原木の確保や新たな栽培方法としての簡易ハウスのモデル的な整備など、生産再開に向けた支援をしております。
 引き続き、原子力発電所事故に起因する放射性物質の影響で、生産活動に支障を生じている畜産農家やシイタケ生産者等の支援に取り組んでまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、コミュニティ・スクールと学校統廃合についてでありますが、本県は、これまでも、教育振興運動を通じ、地域と学校との連携に努めてまいりました。被災経験を踏まえ、改めて地域と学校との関係の再構築が必要となってきていることから、これまでの教育振興運動の考え方や蓄積を生かし、地域と学校の連携に努めてまいります。
 また、学校統廃合についてでありますが、それぞれの市町村において、学校や地域の状況を踏まえ、住民の方々の理解と協力のもとで統廃合を進めているものと考えております。
 県といたしましては、今後とも、住民の方々の十分な理解と協力のもとで計画が進められるよう、支援に努めてまいります。
 次に、高校再編についてでありますが、現時点においては、計画策定に向けた検討再開の時期についてお示しできる段階にはないと考えておりますが、震災後の児童生徒数の動向、推移や被災地における復興の状況等を見据えながら、今後、慎重に判断してまいります。
 次に、子供たちの心のケアについてでありますが、昨年9月に実施した心とからだの健康観察の結果によれば、過覚醒、マイナス思考等4種類のストレス反応のうち1項目でも該当する児童生徒は、小学生13.5%、中学生11.4%、高校生11.9%で、県全体として12.6%であり、どの校種においても昨年度の数値より低い結果が出ております。また、特定の学年に特別な傾向は見受けられなかったところであります。
 本年度もこの観察を実施する予定であり、被災当時、入学前であった子供たちにつきましても、実態を把握しながら、各児童生徒のニーズに応じた的確な支援に努めてまいります。
 また、各学校においてスクールカウンセラーを活用できるよう、今後ともその適切な配置に努めていくとともに、特に医療的ケアを要する児童生徒につきましては、スクールカウンセラーを通じ、いわてこどものケアセンターを初めとする医療機関につなぐなど、より適切な支援を行ってまいります。
 次に、教職員の健康状態についてでありますが、県教育委員会では、関係法令に基づき毎年実施する定期健康診断により、教職員の健康状態を把握しているところでございます。これによりますと、注意や治療が必要とされる職員の割合は、この3年間45%前後で、やや増加傾向が見られるところでございます。これらの職員に対しましては、定期健康診断の実施結果とともに、産業医の所見や指示事項を記載した指導管理票を通知し、医療機関での受診や日常の健康管理等について、随時指導しているところでございます。
 また、これまで、教職員が心身ともに健康で教育活動ができるようメンタルヘルス対策にも取り組んできたところでありますが、平成24年度からは、メンタルヘルスチェックの対象を全職員に拡大し、一人一人がセルフケアを実践できるよう働きかけるとともに、保健師等による巡回健康相談、医師や専門スタッフによる電話や面接相談を実施するなど、教職員の心と体のケアの充実を図っているところでございます。
 次に、就学援助等の教育支援についてでありますが、生活扶助基準の見直しによる影響を緩和するため、国においては、要保護児童生徒に係る就学援助に関しては、生活扶助基準の見直しにかかわらず、平成25年度は、従前の基準により補助対象とすることとされているところでございます。
 このような国の対応の趣旨を踏まえ、県教育委員会といたしましては、経済的な理由から児童生徒の教育を受ける機会が妨げられることがないよう、各市町村において適切に対応いただくよう周知に努めているところでございます。
 次に、学校給食の食材検査についてでありますが、県では、これまで、県立学校及び市町村の放射性物質濃度測定の体制整備を図り、その結果を公表していくことで、一層の安全・安心の確保に向けた取り組みを進めているところでありますが、これまでの測定において、県、市町村とも国の基準値を超過した事例はございません。
 さらに、昨年度から、県内の5施設を対象に、提供後給食の放射性物質濃度について把握する学校給食モニタリング事業を実施しており、これまでの測定において、放射性物質は検出されていないところでございます。
   〔人事委員会委員長熊谷隆司君登壇〕
〇人事委員会委員長(熊谷隆司君) 人事委員会における今後の取り組みについてでありますが、今回の措置は、人事委員会勧告に基づかない異例の措置であり、労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の趣旨と異なるものであると認識しております。
 本委員会は、毎年、職員の給与等が社会一般の情勢に適応するよう、講ずべき措置について報告及び勧告を行ってきており、その勧告が、知事及び議会において最大限尊重され、完全実施されることが、本来あるべき状態であると考えております。
 本年におきましても、現在、職種別民間給与実態調査を実施しているところであり、その結果を踏まえた上で、勧告に向けその内容を検討することとしておりますし、勧告時には、知事及び議会に対して、勧告の完全実施について要請するとともに、委員長談話などにおいてもメッセージを発信していくことにより、粘り強く人事委員会勧告が最大限尊重されるよう努めてまいりたいと考えております。
〇16番(小西和子君) 御答弁ありがとうございました。
 知事におかれましては、給与削減につきまして、政府には、これ以上の削減はないようにと強く発信するということでございましたけれども、これは、この地方自治への挑戦でありますので、あしき前例とならないように、地方交付税削減には反対であるということを政府にもっと力強く発信していただければと思います。
 それから、地方経済への影響があらわれないようにということで、副知事等が経済界にお願いに上がったりしておりますけれども、既に地域経済への影響があらわれておりますので、そこで、地域経済へのてこ入れの施策を講じるべきと考えますし、さらに、雇用の確保をしっかり支える施策を示すべきと考えます。このことにつきましては、御所見があればお伺いしたいと思います。
 次に、防災会議での女性参画についてですけれども、岩手県の防災会議では、委員65名中、女性が5名で7.7%、市町村の防災会議では1、087人中45人、4.1%ということで、決して高い参画率とは言えません。
 市町村の防災会議の中には、女性委員が一人もいないという自治体もあると聞いております。その自治体が幾つあるのかということをお示しください。そして、そのことについて、今後どのように取り組んでいかれるのかお伺いしたいと思います。
 先ほど、女性委員が防災会議に入っていると。それで、外部のさまざまな団体からも意見を聞いているというような答弁がありましたけれども、すごくそれは重要であります。1人、2人、数人の女性委員が入っていたとしても、女性の視点を反映させるためには、短時間で網羅的に考えて議論できるかといえば、それは難しいと考えます。それぞれの専門分野もあるということでございますので。そこで、そのような状況に対して、女性の視点を反映させるための部会をつくっているところがあります。県では、関係の女性団体から意見を聴取しているということでもありますけれども、やはり市町村でもそういうことが必要だと思います。
 それで、各専門分野の方々が複数回会議を重ねて、課題を検討し、報告書を防災会議に提出し、意見反映を図っていく方法等をとっている自治体もございます。このような取り組みについて、御所見がありましたらお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 職員給与の減額措置の地域経済への影響に対し、さまざま地域経済を活性化するための施策が必要であるという御趣旨の質問だったと思います。これはもう、希望郷いわて県民計画におきましても、県民の所得、そして県民の雇用、これをしっかり守っていくことは大きい政策の柱でありまして、そのために必要な財源を確保するためにも、今回、苦渋の決断を行ったというところもございますので、地域経済を活性化させていくための施策については、しっかり取り組んでまいりたいと思います。
 それから、市町村の防災会議等で女性がゼロのものがどこかということについては、担当部長からの答弁をお願いすることでお許しいただきたいと思います。 
 次に、女性の意見反映、特に復興に関してでございますけれども、最近、東日本大震災津波復興委員会の専門委員をお願いした東京大学の大沢真理教授は、ある特定の分野を代表する女性というよりも、男女共同参画的な視点を復興に大いに盛り込んでいくための御助言、御提言をいただこうということで専門委員をお願いしておりまして、この大沢先生にもいろいろ相談をしながら、特に、来年度から復興の次の3年計画に移っていくわけでありますので、次期復興実施計画というものに、より男女共同参画的な視点が盛り込まれるような形で進めていかなければと思っておりますので、そういう方向で努めてまいりたいと思います。
〇総務部長(小田島智弥君) 女性委員が市町村の防災会議においてゼロの市町村の数についてのお尋ねがございました。平成25年4月1日現在で12市町村となってございます。
 それで、そういう市町村にどういう形で女性委員の登用等について指導していくかということでありますけれども、先ほどの答弁の中でも若干触れさせていただいておったんですが、地域防災計画を県で策定したときに、女性の視点を入れた形で、その地域防災計画の修正を市町村があわせて行う際に、そういう女性の視点を取り入れた形で修正するということについて指導している、助言をさせていただいているところでありまして、そういうこととあわせて、県が防災会議の委員について6名増員した際に、うち5名、女性を登用したということもありますので、そういう県の防災会議の委員の女性登用の考え方を伝えるなどいたしまして、市町村防災会議への女性の参加率の向上を支援したいと考えているところでございます。
〇16番(小西和子君) この防災対策において、女性の視点や女性の参画を政策的に位置づけることが重要であるということでこの質問をさせていただいているのですけれども、これは、人口の半分を占める女性のニーズに向き合うという当たり前のことに取り組むことを意味するだけではなくて、男性だけでは見落としがちな生活者の視点をきちんと取り入れることも意味しますし、それから、さらに、さまざまな災害時に、脆弱な方々の視点を取り入れるということも意味しております。
 このように女性の視点、男女共同参画の視点で防災対策のために日常を見直していくことは、誰もが暮らしやすい、働きやすい社会をつくっていくことにもつながると考えますので、これからも県の取り組みをよろしくお願いいたします。
 もしも御所見があったら、お伺いして、終わります。
〇知事(達増拓也君) もう、我が意を得たりと思うような御指摘でありまして、岩手県としても、東日本大震災津波発災直後から、女性の視点というものを大事にしながら、避難所の設営、避難所の対応等々、工夫してきたつもりではございますけれども、一方、さまざま、もっとシステマチックにそういう女性の視点を入れるような工夫が必要ではないかという御指摘もいただいておりました。
 また、私が知事になって全国知事会に参加しているころに、堂本千葉県知事の、女性の視点を防災にということをプロジェクトチームのような形で全国知事会の中でもきちんとやる、そういった議論にも参加しておりましたので、そうした成果も取り入れながら、防災、そして復興ということへの女性の視点を取り入れて、よりよい防災、復興にしていくよう努めてまいりたいと思います。

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