平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇48番(佐々木大和君) 自由民主クラブの佐々木大和でございます。
 質問に先立ち、先般御逝去されました故小泉光男議員に対しまして、これまでの御功績をたたえ、心より御冥福をお祈り申し上げます。
 それでは、通告に従い、順次質問させていただきます。当局の明快かつ前向きな答弁を期待します。
 初めに、東日本大震災津波からの復興についてお伺いします。
 未曽有の被害をもたらした東日本大震災津波から2年4カ月が過ぎようとしております。沿岸地域を初め県民が一丸となって復旧、復興に向けて取り組んでいるところですが、その被害の爪跡は、今もなお被災地に色濃く残されている現状であります。県内では、沿岸地域を中心に、現時点、死者4、672人、行方不明者1、149人、そして家屋被害2万4、000棟を超えており、被災地の方々にあっては、応急仮設住宅等での生活を余儀なくされるなど、依然として厳しい状況に置かれております。
 県では、復興実施計画の平成24年度末時点の進捗状況を取りまとめております。これによると、平成24年度中間目標に対する進捗率は、計画以上、順調が61.8%である一方、遅れ、未実施が38.2%となっています。県では、今現在の復旧、復興事業の進捗状況をどのように評価されているのでしょうか。
 4月30日に公表した岩手県の東日本大震災津波からの復興に関する意識調査結果によると、岩手県全体の復旧、復興の実感について、やや遅れている、遅れているの割合が72.2%で、平成24年の前回調査と比較して12.6ポイント上昇しております。また、6月に発表された平成25年第2回いわて復興ウォッチャー調査によると、被災者の生活の回復実感は前回2月より肯定的な回答がふえている一方、地域経済の回復実感については前回よりも肯定的な回答が減った結果となっております。このように、県の復興計画の事業の進捗状況と被災地の復興の実感との間にずれが生じていると思われますが、県はどのように認識しているのでしょうか。
 復旧、復興事業が一定程度進捗していながらも、被災地の復興の実感が伴わない原因の一つに、被災地の安全の確保、暮らしの再建になくてはならない住宅や宅地の供給、防潮堤や防波堤の整備が目に見えて進んでいないことが挙げられます。例えば、復旧、復興事業の用地の確保については、今後、防潮堤事業、復興支援道路、災害公営住宅などの多数の事業を予定しておりますが、これら取得予定地の約4割に所有者不明や相続未処理等の課題があるとされており、土地収用手続の迅速化など現行制度の抜本的な見直しが必要となっております。
 また、被災市町村では、今後、まちづくり事業が本格化しますが、これに伴い、法令手続の簡素化や許認可等の迅速化が課題となっております。被災者が復興を強く実感し、被災市町村の復旧、復興事業の加速化のため、復旧、復興事業推進における現行制度の改革や改善について、知事はどのような認識を持ち、国に対して要望していくつもりでしょうか。また、県独自の取り組みについてもあわせてお示し願います。
 応急仮設住宅等で暮らしている被災者は、いまだ1万5、839戸、3万7、224人を数えております。県の復興に関する意識調査によれば、被災者が安心して暮らせる新たな住宅や宅地の供給の重要度が全施策中第2位と極めて高くなっているにもかかわらず、その進捗への実感は全施策中最も低くなっており、住宅を失った被災者の切実な願いがいまだかなわない厳しい現実があります。
 被災地のまちづくりがおくれ、住宅の早期再建の見通しがつかないことから、住宅再建が容易な地域に移り住む被災者があらわれてきております。平成25年第1・四半期における沿岸部の新設住宅着工戸数は前年同月比44.7%増となっており、今後もその動きが加速するものと予想されます。さらに、沿岸部では住宅地価や住宅建設コストの上昇の動きが出ており、住宅再建の足かせになってきております。まちづくりのおくれや災害公営住宅建設のおくれが被災者の住みなれた地域での住宅再建や地域の復興そのものにも影響を及ぼし始めていると考えますが、県はどのように認識しているのでしょうか。
 また、まちづくりのおくれや被災者の住宅再建ニーズの変化などの状況変化に伴い、公営住宅や民間持ち家住宅等の建設戸数をどのように見直してきたのでしょうか。
 応急仮設住宅においては、条件の悪い場所で空き部屋が生じるとともに、それに伴い、復興支援者が入居するなどの運用が行われたところです。災害公営住宅においても、被災地の高齢化や立地条件等を考慮すれば、中長期的には空き部屋の発生も予想されるところです。被災地で建設される民間宿泊施設においては、復興需要期が過ぎた一定期間後には介護施設等へ転用するなどの柔軟な運用管理を想定している事例もあります。災害公営住宅の運用管理について御所見をお伺いします。
 県では、被災者生活再建支援制度や生活再建住宅支援事業などにより被災者の持ち家再建を支援しているところです。しかし、被災者の事情で条件は違いますが、現行制度の一例として、全壊で住宅ローンを借り、1、000万円の住宅を建てる場合、支援制度による補助金等は515万円─被災者生活再建支援金300万円、被災者住宅再建支援事業100万円、利子補給新築補助115万円─にすぎず、一方、被災者の自己負担は485万円に及び、9分の8の漁船補助やグループ補助など国が決めたなりわいの助成に比べ、まだまだ不十分なものとなっております。
 被災者による住宅の自立再建は、被災者の元気を取り戻すことに加え、県内建設業者への経済波及効果が大きく、また、被災市町村等の災害公営住宅の維持管理費の抑制にもつながり、被災者自身がオーダーメードで希望する住宅を取得できるなど、多くのメリットがあり、奨励していく必要があると思います。
 県では、住宅の自立再建支援制度の拡充に向けてどのような取り組みを行っているのでしょうか。また、住宅取得に伴い、消費税や不動産取得税、固定資産税などの税制上の負担が発生しますが、その負担軽減に向けてどのような対応を考えているのでしょうか。
   〔議長退席、副議長着席〕
 本県は、我が国の食料供給基地であり、農林水産業は本県の基幹産業、そして、岩手の有利性を打ち出せる成長産業であります。ところが、東日本大震災津波並びに原子力発電所事故により甚大な被害を受けたところです。
 一方、本県の農林水産物の産出額はピーク時と比較し大きく減少するとともに、高齢化の進展等による担い手不足、グローバル化、TPP対応など海外の農林水産物との競合の激化など、本県農林水産業を取り巻く環境は厳しく、震災復旧、復興をにらんだ抜本的、構造的な問題に立ち向かう必要があります。
 東日本大震災津波からの農林水産業の復旧、復興、そして、その後の農林水産業の成長戦略について、知事はどのような基本方針をお持ちでしょうか。
 農林水産業は、食料の安全保障と国土の保全の観点から、日本人にとって共通のかけがえのない財産であり、いわば社会的共通資本であると私は考えております。TPPなどの自由貿易の利益のために国益を損ねることがあってはならないと思います。
 それを前提に、中長期的に県内の農林漁業者が将来を展望し、安心して生産に取り組める環境を整備するとともに、TPPなどの自由貿易の広がりに対応し、国内外との競争を高め経営を強化していくため、国に過度に依存しない県独自の農林水産業の抜本的な構造改革対策を立案、実施していくことが肝要と考えられます。
 例えば、お隣の秋田県では、秋田県農林漁業振興臨時対策基金条例を制定し、平成23年度から平成25年度までの3年間に100億円の基金を造成し、先導的な周年供給産地育成、競争力を持った担い手育成、食・農・観ビジネスの創出、杉集成材の生産拡大などに果敢に取り組んでいると聞いております。
 県独自の農林水産業の構造改革対策について、知事の御所見をお伺いします。
 復興には銀行の役割が非常に大きく、中小企業が特にも多い岩手県では、銀行は復興のキーポイントとなると思います。復興マネーとなる岩手県、宮城県、福島県の地方銀行の残高は、震災直後の2011年3月末に比べ33%、約5兆円ふえました。2年で5兆円ふえた一方で、貸出残高は9、400億円にとどまったと報道されています。自治体が事業に着手しなければ公金預金は減らず、宅地造成が終わらなければ家屋再建などの資金需要も伸びません。国の支出金は潤沢に自治体に流れましたが、金融機関には滞留してしまっています。復興マネーは、現場にはまだ十分行き渡っていないのが実態です。
 一方、金融機関にとっては、復興マネーは、いつでも引き出しに応じられるように備える必要がある資金であるため、運用での利益の確保にはつなげにくい預金であります。この状況を早期に解消して、県内経済活性化を図らなければなりません。そして、希望郷いわてのあすを担う企業に積極的に支援する地元金融機関としての活躍を期待したいものです。県の所感をお伺いします。
 アベノミクスの成長戦略では、ターゲッティングポリシーが重要なキーワードとなっております。沿岸地域においても、これまでの農林水産業、水産加工などの食産業に加えて、内陸における自動車産業、半導体関連産業に匹敵し得るようなターゲッティングポリシー、すなわち新しい産業を戦略的に育成し、震災により流出が加速化している人口減少に歯どめをかけ、世界に誇る新しい三陸地域を創造していかなければなりません。このことは、東日本大震災津波から懸命に復旧、復興に邁進する県内の中小企業のデフレからの脱却にもつながるとともに、今後10年で概成すると言われる三陸沿岸道路を生かす地域づくりにもなると考えられます。
 県では、復興後を見据え、復興計画において三陸創造プロジェクトを掲げていますが、その具体化ともなり、アベノミクスで言う成長戦略、ターゲッティングポリシーの沿岸版となる沿岸における新しい産業創造について、県の考えをお伺いします。
 次に、7月とされている国内候補地一本化に向けて、正念場を迎える国際リニアコライダーについて伺います。
 最近の動向ですが、研究者関係では、ILC国際研究グループが、6月12日、加速器の技術設計報告書の最終版をまとめ、国内研究者グループは、国内の2候補地の技術的・工学的観点、研究環境・まちづくりの観点による評価を行っていると聞いております。
 そこでお伺いします。県は、最新の動向から、国内候補地一本化について、どのように情勢分析しているのでしょうか。県がILC立地評価会議に示した科学的評価、立地環境評価から、九州サイトより科学技術上、社会経済上の優位性を示すことができたのでしょうか、お示し願います。
 国や国会議員関係では、6月14日、内閣府が日本学術会議に専門家を集めた委員会を設置し、議論を開始し、超党派の国会議員で構成するリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟は、6月12日の議員総会で、国内候補地決定は科学的、学術的観点から行うこと、内閣に司令塔を設置、日本誘致に向けた検討開始などを決議、安倍総理に伝えることにしました。
 東北、岩手県関係では、県議会の全議員が参加のILC東北誘致議員連盟が、4月、5月に国、国会議員連盟などに要望活動を実施したところであり、5月31日には、岩手県と東北ILC推進協議会が国に要望活動を行うなど、関係者への働きかけは佳境を迎えております。
 こうした中、日本経済新聞6月13日の1面報道、政府、国内誘致へ、には驚かされました。政府は当初、誤報だと火消しに努めておりましたが、6月26日の県の国への要望の際、下村文部科学大臣は、達増知事に対し、秋の臨時国会で政府の対応を表明できるようにしたいとILCに対する政府対応のスケジュール感を示したと報道されており、政府もいよいよ覚悟を固めたのではないかと期待が高まっております。
 そこでお伺いします。県は、最新の動向から、政府の誘致決定についてどのように情勢分析しているのでしょうか。また、国の決断を促すために、どのような手を打っていこうとしているのかお示し願います。
 最近のILC誘致への運動の広がりは、県南、盛岡エリアを中心に目を見張るほどであります。その一方、盛岡以北や沿岸部では、余り関心が広がっていないという声も聞こえています。ILCは、県始まって以来のビッグプロジェクトであり、県は、全市町村と足並みをそろえて、力を結集するとともに、岩手県、宮城県のみならず、東北各県や東北の関係団体が一丸となって誘致を進める必要があると思いますが、その決意と取り組み内容についてお伺いします。
 ILCの理解促進のため、一般県民や学生、生徒を対象とした講演会等が盛んに開催されております。また、市町村広報紙やリーフレット、看板、パネル展示などによる啓発活動に積極的に取り組まれていると承知しております。
 県内の子供からお年寄りまで全ての県民が、ILCへの理解を深めるとともに、外国人研究者等を温かく迎え入れる意識を醸成する必要があると思いますが、その対策についてお伺いします。
 次に、アベノミクスについてお伺いします。
 デフレは、資本主義にとっては死に至る病と言われます。しかし、デフレを脱却するメカニズムは、市場経済の中には存在しません。アベノミクスは、デフレを脱却するために、市場の外から政策として強い力を加える一大プロジェクトなのです。
 これまで世界的に見ても、デフレを終わらせるのは戦争であるケースがほとんどでした。戦前の日本でも、明治中期の松方デフレは、最終的には日清戦争によって終了し、第2次世界大戦後のドッジデフレは、朝鮮戦争の勃発を受けた朝鮮特需によって終わりました。
 そんな中で、戦争によるのではなく、政策の力でデフレからの脱却を実現した人物が高橋是清です。日銀で国債を引き受けて通貨供給量をふやし、インフレ政策を強力に進めてデフレをおさめます。そして、インフレ率が上がったところで政策転換をします。このとき、二・二六事件で高橋是清は命を落としました。残念ながらインフレ抑制策は実施されず、その後、高いインフレを起こしてしまいました。
 歴史の教訓からしっかりと学び、15年余も続いたデフレからの脱却が最大の課題となっている今、救国の経済学とも言えるアベノミクスが提案され、期待は確実に生まれてきております。
 アベノミクスは、三本の矢を提案しています。大胆な金融緩和、機動的な財政出動、民間投資を喚起する成長戦略の三つの基本政策です。インフレターゲットを2%に設定し、一向に変わらないデフレ予想をどう転換するか。財政出動により短期間でデフレから効率よく脱却することを目指します。そして、成長戦略が始まります。成長戦略には、規制緩和、投資減税による投資の促進、職業訓練による人材育成、貿易の自由化、ターゲッティングポリシー、エネルギー政策などです。間断なく三本の矢を放ち、経済活性化を取り戻さなければなりません。
 そこでお伺いします。大胆な金融政策、機動的な財政出動、そして、今回打ち出した成長戦略を包含したアベノミクスについて、知事の御所感をお伺いします。
 エール大学のノーベル経済学賞受賞者であるジェームス・トービン教授は、財政を積極的に活用して公共投資を行い、デフレギャップを埋め、できるだけ早くデフレから脱却せよと発言しております。岩手県では復旧、復興事業などでデフレギャップが幾らか埋まった感がありますが、具体的に見えてきておりますか、お伺いします。
 国土強靱化計画では、10年間で200兆円という投資規模が示されております。公共投資には、景気をよくする乗数効果や民間投資誘発効果、そして施設効果という三つの効果があります。本県においても地域経済活性化が期待されるところであります。この場合、政府は、老朽化するインフラの維持、修繕や防災、減災対応を財政規律を維持しながら実施するため、PFIやPPPなど、行政と民間が連携して公共施設やその公共サービスを効率的に整備、維持管理する新たな社会資本整備の枠組みの構築を進めようとしています。
 県でも、既にPFIによるいわて第2クリーンセンターの整備や民間の敷地提案型の買い取り制度による災害公営住宅の整備などに取り組んでおりますが、今後、増大が見込まれるインフラの維持、修繕や防災、減災対応等において、官民が連携した効率的な公共投資にどのように取り組もうとしているのかお伺いします。
 最後に、JR東日本の鉄道復旧についてお伺いします。
 JR岩泉線が、平成22年7月、土砂崩壊事故により全線不通となり、はや2年11カ月が経過しました。地元では代行バスによる長時間乗車の不便を強いられ、あげく、復旧の熱望もむなしく、JR東日本は平成24年3月、鉄道の復旧を断念し、バスによる地域交通の確保の方針を示したところです。
 県及び地元市町は、国及びJR東日本に早期復旧を要望するとともに、安全対策費用の妥当性についても追及してきたところであります。最近までのJR東日本と県、地元市町との協議の状況と今後の取り組みについてお伺いします。
 JR東日本は、被災したJR山田線、大船渡線について、いまだ復旧の方針を示しておりません。また、復旧に当たり、JR東日本は、津波からの安全確保、まちづくりとの整合性、まちづくりに伴うかかり増しの復旧費用については、国等への支援を求めている状況であり、山田線については、地元の利用促進策を求めているとのことです。地域の公共交通機関を担うJR東日本の被災地への対応が問われるものと思いますが、県の所感はいかがなものでしょうか。
 JR山田線、大船渡線は、来年4月に全線再開する三陸鉄道とつながり、地域に明るい将来展望を抱かせる、地域交通としても観光鉄道としてもなくてはならない宝物です。全線運行再開に向けた課題とJRとの協議状況、今後の取り組みについてお示し願います。
 以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木大和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、復興加速のための現行制度の改革、改善についてでありますが、復興を加速させるためには、専門的な人材の確保、確実で自由度の高い財源措置、そして、事業用地を円滑に確保するための手続の抜本的な見直しが必要であると考えております。
 このため、まず、人材の確保については、総務省の派遣スキーム等に基づく職員派遣の継続に加え、国による任期付職員の市町村派遣の拡充、民間企業等からの人的支援の推進などを国に対して要望しているところであります。
 次に、財源については、これまで、震災復興特別交付税などの財源確保や繰越手続の簡素化など一定の措置が講じられたところでありますが、今後とも、復興が実現するまでの間、自由度が高く確実な財源確保が必要であり、引き続き国に強く要望してまいります。
 また、事業用地の確保については、住宅再建・復興まちづくりの加速化措置により、土地収用手続の効率化など一定の措置が講じられ、県もこれらの措置を積極的に活用しているところでありますが、復興の加速化のためには、土地の管理権限等を市町村などに付与する大震災復興特例とも言うべき施策を講ずることが必要と考えており、引き続き、国に抜本的な見直しを求めてまいります。
 県独自の取り組みについては、被災により行政機能が大きく損なわれた市町村への職員派遣のほか、復興まちづくりに係る都市計画法上の開発行為許可権限の市町村への移譲や復興事業円滑化チームによる市町村の許認可手続事務の支援、大槌町赤浜地区の防集事業をモデルとした課題解決についての国、町と連携した取り組み、県が実施している災害公営住宅の敷地提案型買い取り方式のノウハウの提供などにより、市町村の復興事業の加速化を支援しているところであります。
 次に、農林水産業の復旧、復興とその後の成長戦略についてでありますが、本県の農林水産業が、東日本大震災津波の被害や原発事故に伴う放射性物質の影響を乗り越え、再生していくためには、被害を受けた施設等の原状復旧にとどまることなく、再び生産者が意欲と希望を持って生産活動に取り組むことができるよう、復旧、復興を進めていくことが重要と考えます。
 このような考え方に基づき、漁船や養殖施設、漁港の復旧、整備など、漁業と流通、加工業の一体的な再生のほか、被災した農地と周辺農地の一体的な圃場整備や沿岸地域の気象特性を生かした園芸産地づくり、さらに、木材加工施設や木質バイオマス利用施設の整備に取り組んでいます。
 また、牧草地の除染や原木シイタケの生産再開支援など放射性物質の影響対策に加え、本県の安全・安心な農林水産物の魅力を国内外に広く発信し、信頼の回復と評価の向上を図っております。
 今後、本県の農林水産業が将来にわたって持続的に発展していくためには、生産者や産地みずからが、地域の農林水産業のあり方を描き、その実現に取り組んでいくことが重要であり、現在、生産者、関係機関、団体が一体となって、将来像や実現工程を明確にするものとして、地域農業マスタープラン、森林経営計画、地域再生営漁計画の作成を進めております。
 次に、県独自の農林水産業の構造改革対策についてでありますが、本県農林水産業の体質を強化していくためには、経営の高度化、生産の効率化等による高い所得を安定的に確保できる経営体の育成や新たな担い手の確保、育成、生産性、市場性の高い産地の形成、農林水産業の高付加価値化や販路の拡大を進めていくことが重要であります。
 このため、競争力の高い経営体の育成に向け、地域農業マスタープランの作成と実践を通じた地域の中心となる経営体への農地集積や、青年就農給付金の活用など、新たな担い手が参入、定着できる環境整備、森林施業の集約化による地域牽引型林業経営体の育成や地域再生営漁計画の策定支援等による漁業経営体の育成に取り組んでおります。
 また、本県においては、これまでも、限られた財源の中で震災復興を加速する経費を最大限措置しつつ、園芸産地が消費地の需要動向を把握し、それを生産、販売に反映させるマネジメントの仕組みづくりや、地元水産資源の漁獲から流通、加工までの一貫した高度衛生管理工程の構築など、産地を主役とする本県独自の取り組みも進めており、今後においても、財源の重点的かつ効果的な活用を図りながら、農林水産業の振興に努めていく考えであります。
 次に、政府のILC誘致の決定についてでありますが、去る6月26日に行いました政府予算要望において、下村文部科学大臣は、日本学術会議のILCに関する検討委員会の意見取りまとめをベースに政府の方針を決め、秋の臨時国会で対応を表明できるようにしたいと述べられるなど、政府がILC誘致に向けて動き出したことは、非常に大きな前進であり、評価しているところであります。
 今後においても、政府への働きかけを行うとともに、ILCの意義や地元の熱意などについて、広く御理解をいただくような取り組みをしてまいります。
 次に、ILC誘致に向けた県内市町村、東北が一丸となった取り組みについてでありますが、ILC誘致のためには、岩手県内はもとより、東北全体の理解を得て、オール東北で誘致を推進していくことが重要であります。
 県では、これまでも、県市長会や県町村会を初め、関係団体とILCの誘致に向けて連携しながら要望活動等を展開してきたところでありますが、地域一体となった誘致活動をより一層推進するため、岩手県国際リニアコライダー推進協議会においては、広く市町村の加盟をいただきながら取り組みを進めているほか、県においても、県北・沿岸部での講演会の開催等、さらなる普及啓発に取り組んでまいります。
 東北一丸となった活動の推進については、本年3月には北海道東北地方知事会、北海道・東北六県議会議長会、東北市長会などと連名で要望活動を行うなど、東北が一丸となった活動を行っております。
 特に、東北各県も会員となっている東北ILC推進協議会との連携をこれまで以上に密にし、誘致活動に万全を期するため、本年4月からは、県職員を1名、仙台にある推進協議会に駐在させているところであり、今後においても、本県がリーダーシップを発揮しながら、東北一丸となった誘致活動を推進してまいりたいと思います。
 次に、安倍政権の経済政策についてでありますが、安倍政権は、東日本大震災津波の復旧、復興予算の総枠の見直しを初め、経済再生に向けた財政出動などに取り組む姿勢が見られたところであり、今後においても、大震災からの復旧、復興を加速するため、引き続き十分な復興関係予算が確保されることや、地域社会全般にわたって活力がみなぎるよう、機動的な財政政策が行われることを期待しております。
 また、このほど成長戦略として取りまとめられた日本再興戦略については、民間の力を引き出すとともに、外需の取り込みや内需の掘り起こしを促していくとしていますが、まずもって、地方の再生なくして日本の再生はないことから、農林水産業を初め、地域に根差した産業の再生、成長に力点を置いて戦略を進めていくよう、さまざまな機会を捉えて訴えていきたいと思います。
 大胆な金融政策については、地方に十分配慮した財政政策や成長戦略と相まって、地方の実体経済に資金が潤沢に流れ、地域経済が活性化していくことが重要であると考えております。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) まず、復旧、復興事業の進捗状況についてでありますが、安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則のもとで、平成25年度までの第1期復興実施計画期間においては、緊急的な取り組みとともに、本格的な復興に向けた基盤づくりを集中的に展開しております。その結果、第1期復興実施計画の平成24年度中間目標に対する進捗率は、計画以上及び順調が61.8%であり、一定の進捗が見られる一方で、遅れ及び未実施が38.2%となっておるところであります。この遅れ及び未実施の中には、被災地におけるニーズが当初の見込みを下回ったものや、国や市町村などが行うほかの有利な制度が活用されたものも含まれておりまして、これらを除く実質的なおくれは18.7%であると考えております。
 その要因を整理いたしますと、第1に、市町村のまちづくりのおくれの影響を受けたものや、第2に、住民との合意形成や国などの関係機関との調整、事業用地の確保に時間を要することなどにより事業の着手がおくれたものなどが多く挙げられるところであります。
 これらの要因の背景には、第1に、復興事業を担う技術者や専門家などの人材不足、第2に、復興に必要な財源の確保や地域の多様なニーズに対応するための財源の自由度の確保が不十分であること、第3に、所有者不明や相続未処理などの課題を有する事業用地を円滑に確保するための手続の抜本的な見直しが図られていないことなどの問題がありまして、これらの課題への対応が被災地の復興を加速させるために重要であると認識いたしております。
 次に、被災地の復興の実感についてでありますが、復興計画に掲げる三つの原則に基づく取り組みが着実に進展する一方、いわて復興ウォッチャー調査の推移などを見ますと、生活と地域経済については、徐々に回復を実感する割合が増加してきていたものの、昨年11月に行いました3回目の調査以降、横ばい状態となっておりまして、回復の実感について停滞感が生じているものと認識いたしております。これは、まず、生活や地域経済の分野の復興の前提となるまちづくりにおいて、住民との合意形成や国などの関係機関との調整、事業用地の確保に時間を要したため事業着手がおくれたことなどが要因となっているものと考えているところでございます。また、復興まちづくり事業などにおいて、事業の進捗が被災者の方々に十分に見える形で進んでおらず、復興の歩みが十分実感できないことなども背景となっているものと考えるところでございます。
 これらについて、まず、いまだ応急仮設住宅で不自由な生活を余儀なくされている多くの被災者の方々に復興を実感していただくために、迅速な復興を進める上で隘路となっている専門的な人材の確保、被災地のニーズにきめ細かに対応することができる財源の確保、また、事業用地を円滑に確保するための手続の抜本的な見直しが必要であり、これらについて、県といたしましては、既存の制度などを最大限活用するとともに、国に対して新たな制度などによる対応を強く要望しているところでございます。
 また、被災者の方々と復興のプロセスを共有し、復興を実感していただけるよう、第1に、住民に身近な社会資本の復旧・復興ロードマップの公表や、第2に、公営住宅の内覧会の開催など、復興事業を実際にじかに見られる機会の確保などにより、復興の進捗の見える化を進める必要があると考えております。
 次に、復興後を見据えた沿岸の新しい産業創造についてでありますが、沿岸地域の復興には、水産業、商工業などの産業再生に取り組むとともに、中長期的な視点に立ち、新しい産業を創造していくことが地域経済の活性化を図る上で極めて重要であると認識いたしております。このため県では、復興基本計画におきまして三陸創造プロジェクトを掲げ、さんりく産業振興、新たな交流による地域づくり、東日本大震災津波伝承まちづくり、さんりくエコタウン形成、最後に国際研究交流拠点形成の五つの分野を基本に取り組みを進めることとしております。
 新たな産業の創造に向けては、第1に、これまでの取り組みを踏まえまして、水産物を初め、国内外に誇れる高品質な農林水産物を活用した食産業の展開を一層促進するほか、三陸ジオパークの取り組みや沿岸地域の文化、伝統を観光資源とした交流人口の拡大など、地域資源を積極的に活用した取り組みを強化していくとともに、第2に、新たな取り組みといたしまして、三陸地域をフィールドとした産学官による海洋研究拠点の形成や、自然条件を生かした海洋再生可能エネルギーの実証による関連産業の集積など、こうしたものをプロジェクトに位置づけていく予定でございます。
 今後は、国の成長戦略の具体化の動向を注視しつつ、復興計画の第2期本格復興期間に向けたプロジェクト事業の具体化を図り、沿岸地域の復興とともに、三陸ならではの新しい産業の創造を目指し、全力で取り組んでいく考えであります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 住みなれた地域での住宅再建についてでありますが、現在、災害公営住宅で入居が始まった戸数は133戸であり、また、防災集団移転促進事業及び土地区画整理事業による宅地の供給はまだ行われていない状況にあります。これは、地域の合意形成や用地の取得、設計、工事等に一定の期間を要するためであり、この間、被災された多くの方々が応急仮設住宅などでの不自由な生活を余儀なくされており、安心して暮らすことのできる恒久的な住宅の確保が急務であると認識しております。
 県といたしましては、被災された方々が一刻も早く恒久的な住宅を確保し、さらには地域の復興が進むよう、市町村とともに、災害公営住宅の建設や防災集団移転促進事業などの推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、災害公営住宅建設戸数の見直しについてでありますが、災害公営住宅の供給戸数につきましては、平成23年10月に策定した岩手県住宅復興の基本方針において、公営住宅を約4、000戸から5、000戸、民間持ち家住宅を約9、000戸から9、500戸、民間賃貸住宅等を約3、000戸から3、500戸と想定しておりました。その後、災害公営住宅につきましては、市町村が行っている意向調査を踏まえて供給戸数を随時見直してきており、現時点では、県、市町村を合わせて5、972戸を建設する予定としております。
 次に、災害公営住宅の運用管理についてでありますが、仮に空き室が生じた場合には、まずは被災された方々に対して入居募集を行うこととなります。しかし、入居を希望する方がいないような場合には、通常の公営住宅と同様に、住宅に困っている一定の所得以下の方々に対して入居募集を行うことになります。また、それとあわせて、状況によっては、当該地域の老朽化した公営住宅の廃止も考えられます。それでもなお空き室が生じるような場合には、入居者の方々や市町村と協議を行い、介護施設や集会施設等への転用についても考えていく必要があるものと認識しております。
 次に、住宅の自力再建支援についてでありますが、県として住宅再建への支援を行うとともに国の支援の拡充を要望してきたところ、先般、住宅再建を目的とした震災復興特別交付税の追加措置が行われ、本県では約215億円の全額を沿岸の11市町村に配分したところです。各市町村では、それを財源の一部とした独自の支援策について検討を進めているところであり、一部の市町村では、既に予算措置について議決を得たものと聞いております。
 また、被災者生活再建支援制度では、住宅を建設、購入する被災者に対しまして最大で200万円の加算支援金が支払われますが、県では、加算支援金の増額、拡充について政府に対してこれまでも要望してきており、先月26日に行った政府要望におきましても強くお願いをしたところであります。
 さらに、被災者の方々が住宅を再建する際の支援制度について情報提供を行ったり、個別相談を行ったりすることによって十分に活用していただくことも重要であると考えております。県では、市町村や住宅金融支援機構等と連携しながら住宅再建相談会をこれまで27回実施してきており、今後も引き続き実施してまいります。
 次に、官民連携による効率的な公共投資についてでありますが、平成25年1月11日に閣議決定された日本経済再生に向けた緊急経済対策におきましても、PFIの推進等により、民間資金を活用したインフラ整備を推進することとされたところであります。施設の運営による収入が見込まれる施設につきましてはPFI事業等による官民連携の事例が多くありますが、道路、河川海岸、港湾などの公共インフラの維持、修繕等につきましては、まだ具体的な事例も少なく、制度の検討もそれほど進んでいないところであります。
 今後、国の動向等を注視しながら、民間資金の活用等による公共施設の整備や維持管理について研究を進めていくとともに、地域と連携した道路や河川の管理、指定管理制度の活用などによりまして、維持管理等を含め、効率的な公共投資に取り組んでまいります。
   〔総務部長小田島智弥君登壇〕
〇総務部長(小田島智弥君) まず、被災者の住宅取得に伴う税制上の負担軽減についてでありますが、県の不動産取得税につきましては、一定の面積要件を満たす住宅を新築した場合、評価額から1、200万円を控除する措置に加え、被災者が住宅を再建する場合、被災家屋とその敷地のそれぞれの面積相当分を課税しない特例措置が講じられております。
 次に、市町村の固定資産税につきましては、一定の面積要件を満たす住宅の場合、新たな家屋の取得から3年間または5年間にわたり税額の2分の1を減額する特例措置に加え、被災家屋の床面積相当分を対象に、4年間は税額の2分の1を、その後の2年間は3分の1を減額する措置が講じられております。
 また、消費税の負担に対応する措置としては、既に所得税の住宅ローン控除において、被災者の住宅再建に対し控除額を通常より2割上乗せする優遇措置が講じられているところでありますが、さらに、来年4月からの消費税率の引き上げに際しては、住宅ローン控除額の引き上げが行われることとされております。
 これらの特例措置のほか、政府では現金による給付措置を検討すると報じられておりますが、本県としても、被災者の住宅再建の妨げとならないよう、実効性のある措置を講じるよう政府に対して要望しているところであります。
 県といたしましては、これらの特例措置について制度の周知に努めるとともに、被災者一人一人の状況を把握し、特例措置が確実に適用されるよう努めてまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 地元金融機関への期待についてでありますが、県内地方銀行3行の平成25年3月期の決算公表資料によりますと、預金残高の増加が貸出金残高の増加を上回る状況となっております。県内の金融機関は、震災以降、グループ補助金の自己負担分の貸し付けのほか、債権買い取りや償還猶予に積極的に応じるなど、被災企業の再建支援に大きく貢献しているものと認識しております。今後、土地の造成など復興事業の進展に伴い資金需要がふえ、融資の申し込みや経営相談もさらにふえるものと考えており、金融機関には、迅速な資金供給はもとより、相談に関する適切なアドバイスなどを期待しております。
 県といたしましても、金融機関、商工団体等から成る中小企業支援ネットワークを構築し、それぞれの課題や支援策を共有しているところであり、関係者が一致協力して、事業者の復興が一層加速するよう支援してまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) まず、ILCの国内候補地一本化についてでありますが、県としては、これまでILC立地評価会議から指示があった項目について、必要なデータの収集、提供を行うなど、評価に全面的に協力をしてまいりました。国内候補地一本化に向けた情勢につきましては、評価の進捗状況が外部には一切明らかになっていないため、現時点では情勢についてはっきりしたことを申し上げることはできませんが、県においては、東北大学や東北ILC推進協議会と連携しながら、地形、地質面やさまざまなインフラの状況など求められた要件について十分応え得るデータを提供してきたところであり、ILC立地評価会議から高い評価が得られるものと考えております。
 次に、ILCへの県民の理解促進につきましては、これまでもさまざまな理解促進活動を行っております。具体的には、小中学校での出前授業や高校、県民向けの講演会の開催、さらには、県政番組の放送や普及啓発用のDVDの作成、配布、県民室や関係機関におけるパネル展示などを行ってまいりました。
 また、外国人を受け入れる意識の醸成を図ることは、多くの外国人が地域に居住することにつながるとともに、県民の国際性の涵養を図る上でも重要な課題であると考えております。このため、今後は、県や市の国際交流協会や奥州市の在住外国人を構成員とするインターナショナルILCサポート委員会など関係機関とも連携しながら、意識啓発のための講演会やワークショップの開催などの取り組みを行ってまいります。
 次に、デフレギャップについてでありますが、いわゆるデフレギャップとは、潜在的な供給能力に対して現実の総需要が下回っている場合の差のことでありますが、統計データの制約などから、県内のデフレギャップを数量的に推計することは難しいところであります。一方、大震災後、県内の公共工事請負金額や新設住宅着工戸数の増加など、復旧、復興関連需要による総需要の押し上げなどにより、大震災前と比較して最近のデフレギャップは縮小しているものと推測しているところであり、こうした影響が有効求人倍率の上昇などにもあらわれているものと考えております。
 次に、JR岩泉線についてでありますが、JR東日本は、鉄道の復旧に関し、約130億円の安全対策費用が必要との認識を示したことから、昨年、県及び沿線の市町で安全対策費用に係る検証委員会を立ち上げ、約22億円で運行再開が可能との検証結果を得たところであります。これをもってJR東日本と鉄道復旧の交渉を続けておりますが、JR東日本は130億円という必要額に対する考え方を変えておらず、利用者も著しく少ないことから、鉄道の復旧は断念せざるを得ないとの姿勢であります。JR東日本からは、昨年11月に、鉄道復旧とは切り離し、当面のマイクロバスによる代替交通の改善について、県及び沿線市町と協議を行いたいとの提案を受けて、現在、実務担当者で詳細について検討しております。JR東日本の鉄道復旧断念の姿勢から鉄道復旧にはかなりの困難が見込まれますが、県としては、沿線市町と連携しながら、今後も粘り強く鉄道復旧を求めてまいります。
 次に、JR山田線、大船渡線についてでありますが、被災地の復興には、来年春に全線復旧する三陸鉄道に加え、JR線も早期に復旧し、三陸沿岸の鉄道が一つにつながることが極めて重要であると考えております。しかしながら、これまで、本県及び沿線自治体が強く要望しているにもかかわらず、JR東日本から復旧の明言がなされていないことは大変遺憾であります。JR東日本には、地域の公共交通を担う鉄道事業者の使命を認識し、鉄路復旧による被災地交通の再建という責任を一日も早く果たしていただきたいと考えております。
 次に、JR山田線及び大船渡線の運行再開に向けた取り組みについてでありますが、鉄道の復旧とまちづくりとの整合性については、鉄道のかさ上げや駅の移設などの調整が課題として残されております。これらの課題について、JR山田線については、JR東日本から本年3月に復旧に要する試算額が示され、JR大船渡線については、被災状況が大きいことから、協議にしばらく時間を要すると認識しております。また、JR山田線は、JR東日本より地元に利用促進の検討を要請されたことから、本年5月にJR山田線利用促進検討会議を立ち上げ、これまで3回会議を開催し、議論を行ってまいりました。さらに、6月24日、沿線首長会議において、その検討状況を報告の上、利用促進策の方向性について沿線首長間の合意が得られたところであります。
 今後は、JR山田線については、残された課題について早急に調整を進めるとともに、さきの沿線首長会議で合意が得られた利用促進策を契機として、JR東日本に一日も早く鉄道復旧方針を示すように求めてまいります。また、JR大船渡線については、鉄道復旧に向けた協議を加速するため、引き続き国に対し、早急に復興調整会議を開催するよう求めてまいります。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時31分 休 憩
出席議員(46名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木   努 君
3  番 佐々木 茂 光 君
5  番 清 水 恭 一 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 後 藤   完 君
8  番 佐々木 朋 和 君
9  番 軽 石 義 則 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 岩 渕   誠 君
18  番 郷右近   浩 君
19  番 喜 多 正 敏 君
20  番 高 橋 但 馬 君
21  番 小 野   共 君
22  番 高 橋   元 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
26  番 工 藤 勝 博 君
27  番 及 川 あつし 君
28  番 飯 澤   匡 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 高 橋 昌 造 君
31  番 五日市   王 君
32  番 小田島 峰 雄 君
33  番 大 宮 惇 幸 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 佐々木   博 君
43  番 田 村   誠 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時47分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。大宮惇幸君。
   〔33番大宮惇幸君登壇〕(拍手)

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