平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(郷右近浩君) 希望・みらいフォーラムの郷右近浩です。
 質問に先立ち、去る6月24日に御逝去されました故小泉光男議員のみたまに対しまして、謹んで哀悼の意をささげ、心より御冥福をお祈りいたします。
 そして、震災から2年3カ月余が経過してもなお被災地において不自由な生活を余儀なくされている被災者の皆様にお見舞を申し上げ、一日も早く復興が進むことを私自身努力いたしますことをお誓いしながら、通告に従いまして順次質問してまいります。
 まず最初に、震災復興についてお伺いします。
 知事は、平成30年度までに本県の復興をなし遂げるとの強い決意を持って復興を進めております。特にも、平成25年度が基盤復興を目指す第1期復興実施計画の最終年度であることから、本年を、まさに復興を加速させる年─復興加速年と位置づけ、復興道路などの災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築、多重防災型まちづくりの前提となる津波防災施設の整備を急いでおります。しかしながら、私は、沿岸被災地に出向き、その状況を見聞きするにつけ、まだまだ復興が進んでいるとは言いがたい状況であると感じております。
 本年6月24日に復興局が公表した平成25年第2回いわて復興ウォッチャー調査結果報告によると、被災者の生活の回復に対する実感は、回復した、やや回復したの合計が49.6%と前回より4.5ポイント上がったとのことですが、地域経済の回復に対する実感は、回復した、やや回復したの合計が41.6%と前回より1.3ポイント下がり、回復していない、余り回復していないの合計は28.3%と前回より7.2ポイント上がっております。この数字は、いまだ十分な実感を持てない被災者の方が多くいることの証左であり、私の感覚と一致しているものと考えます。
 一日も早く被災者の方々の生活の再建を進めるため、暮らしの再建に資する住宅の再建、本格的な雇用による仕事と収入の確保に資する産業の再生は、当然進めなければならない事柄であります。これらのことも含め、復興を加速させるためには、地方自治体がその判断と責任のもと、地域の主体性を発揮できる体制の整備が必要であり、これまで以上にその重要度が高まっていると感じております。
 先般、県議会東日本大震災津波復興特別委員会の現地調査の際、ある首長は、復興予算の使い勝手が以前にも増して悪くなった、省庁縦割りで、平時の際よりもひどくなったと話されておりました。結局は、震災直後、知事が復興院の設置を一番に提唱され、設置された復興庁がいまだ機能していないことがとても残念であります。知事が目指し、多くの県民が期待する平成30年度までの本県の復興をなし遂げるためには、復興基本計画全体の着実な推進が必要と考えますが、これを実現するため、国に対し、復興加速年の名にふさわしい、どのような提案、提言を行っているのかお伺いいたします。
 また、基盤復興を目指す第1期復興実施計画は今年度で終了し、平成26年度から本格的な復興を目指す第2期復興実施計画に移行いたしますが、現計画をどのように評価し、どのような見直しを行うお考えかお伺いします。特に次期計画については、一日も早く被災者の方々が復興を実感できるよう、迅速かつ着実に復興を目指す内容とする必要があると思いますが、県の認識をお示しください。
 次に、職員の給与削減についてお伺いいたします。
 今議会冒頭において職員給与の削減に関する条例が可決したところであり、当該給与の問題については、十分な労使交渉がなされ、その結果の反映であったものと受けとめております。ただし、今回の給与削減は、これまでの県、市町村が行財政改革のため自主的に取り組んできたものと異なり、政府による地方交付税の一方的な削減が直接的に影響したものであることは疑いの余地のないところであります。今回の措置は、復興財源を捻出するため、国家公務員の給与削減を発端に、地方交付税が一方的に削減され、その影響で地方公務員の給与削減に及んだものでありますが、震災復興と関係のない地域、事業へ予算が振り向けられている中にあって、いきなりの、蛇口を絞るがごとき押しつけ的な政府の進め方であり、大いに疑問を抱くものであります。今回の政府の進め方に関する知事の所感をお伺いいたします。
 また、今回の政府の進め方を是認することは、人事委員会勧告によらず、職員給与の削減を政府の方針のみで決めることを了とする前例をつくることになることであり、私は危機感を持って受けとめております。そして、自治体固有の財源である地方交付税制度のあり方を根幹から揺るがす大きな問題であると考えます。
 政府においては、6月14日に経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太方針を閣議決定し、その中では、行政改革や地域活性化の努力を査定し、頑張る地方に地方交付税を重点配分することとしております。仮に、こうした方針のもと、来年度以降の地方交付税の内容が変わるとした場合、住民にとって欠かせない行政サービスの維持に必要な財源が政府の意向次第で減額されることになりかねず、復興加速の最中にある本県の実情からはほど遠い制度設計であります。知事におかれましては、かねてからこうした御認識のもと、全国知事会と歩調を合わせて政府に対する地方交付税削減反対の意見表明をされておりますが、こうした地方分権に逆行し、地方自治をないがしろにする政府の一方的施策に対して、いま一度本県から反対の意思表示を明確に行うこととあわせ、地方の自主性、自立性を高め、みずからの判断のもとに、地域の実情に沿った施策を実現させるため、政府の方針を地方を大事にする方向へと転換させる行動が必要であると考えます。知事の御所見とあわせ、今後の決意をお伺いいたします。
 次に、農業政策についてお伺いします。
 この春、県内では県南部を中心に記録的な少雨となり、田植えができない圃場が相次ぎました。本日も豊沢ダムのことが報道されておりましたが、水不足は深刻であります。岩手県農業共済組合連合会のまとめによると、田植えができなかった圃場は、6月21日現在、一関地区と胆江地区を中心に77.7ヘクタールに上ったほか、田植えはできたものの、その後、水不足により地割れなどにより収量への影響が懸念されている圃場が30.2ヘクタール程度と、全県では107.9ヘクタールに被害が出ている状況であります。ヒデリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ、宮沢賢治のあの雨ニモマケズではありませんが、現代文明をもってしても、天気に左右される運命を農業は背負っております。しかも近年では、今回と対照的に豪雨被害、降ひょう被害などもあり、こうした被害に対する対応が求められる場面がたびたび発生しております。
 県においては、その対応の窓口として地域の農林振興センターや農業改良普及センターがありますが、増田知事時代に地元市町村や農業関係者の懸念を押し切る形で整理統合を進めたため、十分な人的パワーが担保されておらず、情報収集を初めとして、気象被害時などに農家への対応が大丈夫なのか心配されるものであります。庭先で農家と行政を結び、困ったときには頼りになる岩手県の職員という信頼感をまさに現場で体現してきた現地機関の職員は、今回の水不足にどう対応してきたのでしょうか。農業共済組合との情報共有のほか、他作物への転換支援など、圃場を利用して減収分を最小限に抑えられる手段などもあると考えますが、対応策をあわせてお示しいただきたいと思います。
 岩手県の農業は、地域に根づいて日々奮闘している農家が支えており、その農家一人一人と現地機関の職員が向き合い、互いに研さんを積みながら今の地位を築いてきたものと考えます。また、農家の声を聞き、その声を関係機関につなぎ、応えていくことができるのは農業普及員であると認識しており、今後とも農業普及員の確保と資質向上が必要になるものと思います。しかしながら、現実にはマンパワー不足が懸念されているのではないでしょうか。こうした中で、農業改良普及センターにおける農家支援の現状はどうなっているのかお伺いします。
 現在、米の価格は頭打ちの状況であり、水稲単作での農業経営には限界が来ていると感じており、今後は、園芸作物の振興を図ることで農業所得の向上につながるものと考えております。特に施設園芸は、年間を通じた農業所得の確保対策として有効と考えているところであり、ハウスの導入に対して重点的に施策を展開し、農家支援を行うことが重要と考えますが、県の御所見をお伺いいたします。
 次に、TPPの影響についてお伺いいたします。
 知事は、2月定例会の同僚議員の質問に、国において、交渉に向けての方針や優先事項、必要な国内対策をどう講じるかなどを明らかにしていない現段階においては、TPP交渉に参加すれば、農林水産業を初めとする地方の経済、社会に大きな影響を与え、東日本大震災からの復興の妨げになるおそれも大きいと考えられることから、交渉参加には賛成しかねると答弁されておりました。そうした中、3月15日には安倍総理がTPP交渉への参加を表明いたしましたが、各省庁からは、TPPの内容や交渉の状況など新たな情報は何も提供されていないとのことであります。それにもかかわらず、やみくもに政府はTPPの交渉参加に踏み込もうとしているものであり、本県への影響を懸念せずにはいられません。
 県では、去る6月17日に、平成21年岩手県産業連関表の作成に伴うTPP協定による影響の数値の変更についてを公表しました。本県経済への影響額は、本年3月21日の計算値から3億円増加し、1、438億円とのことでした。最も影響額が大きいのは、農林水産物の生産額減少であり、1、015億円と計算されております。県が捉えている農林水産業への影響額は、数字としてはわかりました。しかし、そもそも内閣府のTPP影響試算においても、1次産業で打撃を受ける方々が輸出産業に転職し、失業がないことが前提となっており、失業問題も含め、影響は多岐にわたるものと考えますが、生産者への影響をどのように分析、評価しているのかお伺いいたします。
 知事は2月定例会で、国の方針が不明、情報が不足している段階における交渉参加には賛成しかねると答弁されておりましたが、情報も明らかにしないままTPP交渉に踏み込もうとしている政府の姿勢を、本県の農林水産業の影響額試算を見てどのように認識しておられるのか改めてお伺いします。
 また、本県の農林水産業を守るという観点から、国に対して、言うべきところはしっかりと言っておく必要があるのではないかと思いますが、あわせてお考えを伺います。
 現在の状況のまま政府がTPP交渉に踏み込むことは、本県において各般にわたる影響が大きいと考えられます。独自に農業について影響額を計算しているという市町の情報もありますが、ほとんどの市町村が影響額の試算を行っていないのではないでしょうか。県として、今まで以上に事態を注視しつつ、影響が大きいと考えられる農林水産業については、特に県民に適切に情報提供をしながらきちんと反対していく必要があると考えますが、県の見解をお示しください。
 次に、国際リニアコライダーについてお伺いします。
 ILC戦略会議のもとに設置されたILC立地評価会議による国内候補地一本化が7月下旬にも決定される見通しの中、6月12日、超党派の国会議員連盟は、ILC誘致を総理プロジェクトとして推進すべきだとし、オールジャパンで推進することなどの決議を採択しました。6月14日には、文部科学省の審議要請により、日本学術会議が設置したILCの検討委員会が、ILC計画の学術的意義や建設、運営に必要な予算、人的資源の確保などについて、9月末にも文部科学省に答申すべく審議を開始するなど、国会議員や国でも動きが出てきており、県内においても毎日のように新聞紙面等で講演会や研修会の開催等がニュースになるなど、県内外の関心が非常に高まってきているのを実感しております。
 また、東北ILC推進協議会においては、5月30日に東京でシンポジウムを行ったほか、今後、7月8日の仙台三高などでの講演会の開催、福島県内での一般向け講演会の開催や会員向けILC建設候補地視察会の開催などを企画しているとのことで、一昨日開催された岩手県国際リニアコライダー推進協議会主催による県民集会等とあわせ、活動、情報発信はふえてきている感触を受けております。しかし私は、国内候補地を一本化するという7月下旬までにやれること、考えられることは、岩手県としてまだまだあるのではないかと考えるものであります。
 5月に行われた新産業創出調査特別委員会の県内調査において、建設候補地とされる奥州市江刺区の阿原山から、現在、衝突地点と考えられている一関市大東町大原までを視察し、同行いただいた東北大学大学院理学研究科の佐貫智行准教授より地質の調査結果をわかりやすく教えていただくとともに、海外の研究者の方々が、北上山地に対してはスーパーもコンビニも何もないという誤ったイメージを抱いていること等を教えていただきました。佐貫准教授によれば、脊振山地をインターネットで検索すると福岡が近くにあることがすぐに確認できることに対し、北上山地を検索すると情報が余りにも少ないことに起因するもので、マイナスイメージのすり込みとも言えるとのこと、まさに情報発信の課題だと私は捉えます。
 この6月25日、県は英語版ILC岩手県ホームページのアップロードを行ったことや、東北ILC推進協議会においても日英版ホームページの拡充を予定しておられることは評価すべきものでありますが、現状では、ホームページだけでは周辺の正確な状況の理解にはつながらないという現実もあると考えます。県は今後、東北のILC建設候補地の場所や自然、生活環境等を国内外や海外研究者等へどのように周知していこうとしておられるのかお伺いいたします。
 今さら言うまでもなく、この建設計画は、東日本大震災で被災した我が岩手県、そして東北全体の希望であり、子供たちの未来のためにも、ぜひ北上山地に決定してほしいものと私は強く願っております。ただそのときを待つのみではなく、一本化に残された時間の中で、今できること、やらなければならないことは、ILCの東北誘致実現の意義や可能性、ILCでもたらされる夢を広く伝え、地元はもちろん、国内外に理解者、応援者をふやすことではないでしょうか。
 私たちも、岩手の県議会議員として何としても北上山地に建設してほしいとの思いを態度で伝えたいとの考えから、呼びかけに賛同した超党派10名が県議会議員有志視察団として、関根敏伸団長を筆頭に、5月9日から13日の日程でジュネーブのCERN研究所に視察に行ってまいりました。この場をおかりして、今回の視察に際しまして、御尽力をいただいた本県ILC推進担当の職員、そしてKEK徳宿先生、近藤先生を初めとする皆様に御礼を申し上げます。
 さて、視察してまいりましたCERNでは、実験プロジェクトの核となるアトラス測定器を間近に見たほか、CERNでのプロジェクトのリーダーであり、ILCでも中心的役割を担っているリン・エバンス氏とも懇談の機会を得ました。エバンス氏は、国際的にILCの誘致可能性があるのは日本だけという重要な発言を行い研究者間で高まる期待を示しただけに、我々としても、政府が一刻も早くILC誘致の正式表明を行い、世界と未来に対して科学で貢献する日本の姿勢を示すべきと確信いたしました。
 一方で、CERNで働く研究者とその家族との意見交換の機会も得ましたが、北上山地への誘致実現の折には、解決しなければならない課題も突きつけられました。子供の医療と言語の問題、子育て支援の問題、公共サービスのあり方、滞在期間が異なる外国人研究者への住居支援、家族の就労など外国人労働許可の制度上の改善など、それは多岐にわたるものでした。私は、外国人研究者のみに優しいまちづくりではなく、外国人に優しいまちは地元の人にとっても住みやすいまちとの視点が最も重要であり、それこそが地域と一体となり、岩手らしい受け入れの形だと思いますが、問題解決にどういうコンセプトで取り組むべきと考えているのでしょうか。解決への具体策とあわせてお示しください。
 この質問の最後に、私は、世界と未来に責任を持って、研究成果を出し続け、人類の進歩に貢献する条件を備えているのは北上山地以外にはないと確信いたします。そして、ILCが担う歴史的使命を支え、ともに担うべき用意も意欲も我が岩手県と県民は持っています。だからこそ、一本化の決定のプロセスは、後世の批判に耐え、かつ人類の純粋な探究心を満足させるものでなければなりません。そのことだけは決定にかかわるあらゆる人たちが尊重しなければならない矜持であると考えます。達増知事、こうしたことを踏まえ、ILCの北上山地への建設実現に向け、今の知事御自身のお考えを県民へのメッセージとしてぜひ発信すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、いわて国体の準備状況についてお伺いいたします。
 3年後に迫った国体の開催に向けて、県及び市町村とも平成22年度から競技施設の改修スケジュールを組み、必要な予算を措置し、順次改修に取り組んでおられることは承知しております。しかし、私には、その改修スケジュールがひどく遅いものに思えてなりません。どのような競技でも、国体開催年の前年にはリハーサル大会の開催が通例であり、このスケジュールからすると、改修が必要な主要施設については、最低限、リハーサル大会までに改修が間に合うことにはなりますが、できる限り早期に改修を終わらせ、我が県の種目団体の強化に使わせるべきと考えるものであります。早目に施設の改修を終わらせることは、施設を利用する方はもちろんのこと、国体がもうすぐやってくるのだという意識を広く県民に持っていただくことが可能となり、国体に向けた機運の醸成にもつながるとともに、我が県の選手団が本番の施設で練習をすることがホームの利につながるものと思いますが、県のお考えを伺います。
 一方で、現時点で改修が不要とされている施設についても、選手の安全確保の観点から改修整備の必要がないか、改めて精査、検討が必要ではないかと考えます。過日、盛岡市の県営体育館で開催された体操の東日本学生選手権でつり輪の皮製ベルトが切れる事故が発生し、男子の競技が中止となりました。幸いなことに、選手は軽傷で大事には至りませんでしたが、まことに残念な事態であったと思います。現在、改修が不要とされている施設について、再度精査、検討した結果、改修が必要と判断された場合、どのように対応するのかお伺いします。
 また、主要施設については、それぞれ施設設備の維持管理マニュアルがあると思いますが、県民、選手の生命を守るといった観点から、国体を前にもう一度点検し、必要に応じてマニュアル見直しが必要と考えますが、現在の県営施設設備の維持管理マニュアルの点検、見直し状況はどうなっているのかお伺いします。そして、市町村等に対する情報提供をどのように考えているのかあわせてお伺いいたします。
 さらには、主要施設については、指定管理者制度により管理を委託していると思いますが、やらなければならない管理については、必要な経費は手当てし、しっかりとメンテナンスする必要があると考えますが、県の見解をお伺いいたします。また、この点についても、市町村等に対する情報提供をどのように考えているのかあわせてお伺いいたします。
 次に、世界遺産平泉の日の制定についてお伺いいたします。
 本年6月4日、県内の関係団体が世界遺産平泉の日を実現させる会を設立し、県に対して世界遺産平泉の日の制定を要望したとのことでありますが、県としてはこの要望をどのように受けとめ、今後どのように対応していくお考えなのか伺います。
 東日本大震災津波発災から3カ月後の平成23年6月に平泉の文化遺産がユネスコ世界文化遺産に登録された直後から同僚の岩渕誠議員が提唱してまいりましたが、私も、東洋的価値観である、人間が自然を支配するのではなく、自然によって生かされていたとする価値観、そして、共同体主義の原点とも言える人と人との共生、人と自然との共生という平泉の理念は、今、これから復興を加速させていく我が県にとって、忘れてはいけない理念であり、精神であると考えます。この平泉の価値と理念、そして精神を守り伝えていく必要性から、ぜひとも前向きな御答弁をお願いいたしたいと思います。
 次に、昨今の岩手県における凶悪犯罪に対する県警の対応についてお伺いいたします。
 昨今の県内におけるたび重なる凶悪事件の報道を見るにつけ、どこか本県には無縁、首都圏や他県の話と思っていたものが、本県で、そして身近で発生していることに驚いております。警察本部が県民へ安心感を与える対策と県民から信頼を得る努力を怠らず、凶悪犯罪の防止にも取り組んでいることは承知しておりますが、このような凶悪犯罪の報道がなされるたびに県民は不安な気持ちを持ち、警察に対してしっかりと対応してもらいたいという思いを持つことも事実であります。凶悪犯罪に対するこれまでの対応と今後の対策についてお伺いいたします。
 次に、通学路、通学時の安全対策についてお伺いいたします。
 通学路、通学時の安全対策については、私自身、これまでも機会あるたびに取り上げてまいりましたが、その思いは、一人の親として不幸な事故をなくしたいとの思いからであります。この間、全国的な痛ましい事故の増加を要因としてではありますが、通学路・通学時危険箇所緊急合同点検が行われたことは非常によかったと思っております。しかし、もちろん点検を行ったことが重要ではなく、点検結果への対応を迅速に行うことこそが肝要であり、早期の対応を望むものであります。
 そこで、県土整備部長、教育長及び警察本部長にお伺いいたしますが、通学路・通学時危険箇所緊急合同点検結果への対応と、その進捗状況についてお示し願います。
 また、先日、私の地元奥州市において、奥州市立常盤小学校周辺のエリアを対象に、エリア内を通行する車両の制限速度を30キロ以下に定めるゾーン30を導入、ことし8月から関連工事に着手し、年内導入を目指すことが発表されました。これは、県内では、ことし4月に盛岡市の土淵、長橋町地区に次いでの導入であり、登下校時の小学生児童らの安全確保や、住宅が密集したスペースにおいて車両往来の抑制を図るもので、私も効果を期待する一人であります。つきましては、導入からまだ数カ月もたっていない中ではありますが、施行後の土淵、長橋町地区の状況、そして御所見を警察本部長にお伺いいたします。
 今回、奥州市の周辺住民説明会においては、車道が狭くなり車のすれ違いが難しくなるのではなどの意見、質問が出されたとのことですが、私は、住宅が密集する地域の中の小学校周辺エリアにおいては、エリアのとり方を考慮しながらではありますが、ゾーン30を順次導入すべきと考えますが、今後の県内他地区における導入について考えをお伺いいたします。
 また、私は、ハード面の対応だけではなく、警察官による通学路、通学時危険箇所の巡回を強化していただきたいと考えております。このことにより、運転者への抑止力となり、速度ダウン、安全運転の励行につながるものと考えます。また、防犯、防災上も有効であることはもちろんのこと、何よりも危険箇所の状態をよく把握していただけることで現場起点の細やかな対応が可能になるものと考えますが、御所見をお示し願います。
 そして、警察官の巡回による日常の抑止力に加え、日常からの警察官と子供たちを含む住民との連帯感、DJポリスのような住民との近接感、親近感を抱かせるような取り組みも必要と考えますが、御所見を伺います。
 以上、登壇しての質問とさせていただきます。なお、答弁によっては再質問させていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 郷右近浩議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、復興基本計画全体の着実な推進を実現するための国に対する提案、提言についてでありますが、復興基本計画の着実な推進のためには、膨大な事業を推進するための専門的な人材の確保、被災地のニーズにきめ細かに対応することができる財源の確保、また、事業用地を円滑に確保するための手続の抜本的な見直しが必要であると考えています。
 このため、まず、人材の確保については、県として任期付職員や再任用職員の採用を行う一方、国に対して、全国の地方公共団体、国等の関係機関による人的支援の継続、充実等の要望を行うとともに、国、独立行政法人や民間企業を退職した職員を国において任期付職員として採用し、被災地方公共団体へ派遣するよう提案しているところであります。
 次に、財源については、被災地域の復興のために必要な取り組みが確実に実施されるよう、復興が完了するまでの間の確実な財源の確保等を引き続き要望するとともに、復興交付金基幹事業に被災地のなりわいの再生に資する事業を追加するよう提案しているところです。
 また、事業用地の確保については、現行制度の枠内では限界がありますことから、さらなる土地収用手続の迅速化など国に対して要望しているほか、所有者不明土地等を市町村が管理できる制度の創設等を提案しているところであります。
 今後も復興の着実な推進に向けて、地方負担を含む復興財源を確保するとともに、既存の枠組みを超える強力な復旧、復興の実現のため全力を挙げて取り組むよう、引き続き国に求めてまいります。
 次に、今回の給与の減額措置についてでありますが、さきに議決いただきました職員給与の減額については、地方交付税等が大幅に減額されたことに伴い、県民サービスを安定的に継続していくため、苦渋の判断として行ったものであります。
 この給与費に係る地方交付税の削減については、これまでも、昨年12月の政府予算要望を初め、全国知事会や地方6団体を通じて繰り返し反対の意思を表明してきたにもかかわらず実施されたものであり、これは、地方自治の根幹にかかわる大きな問題であると認識しております。
 次に、地方の自主性、自立性を高めていくことについてでありますが、先般、国家公務員の給与減額支給措置に準じた削減を地方交付税に反映するような手法は、今後断じて行わないよう国に対して強く要望したところであり、来る全国知事会の総会においても、同趣旨の提言を行う準備を進めております。
 また、地方自治においては、自己決定と自己責任の原則を確立させ、真の意味で自立した自治体でなければならず、近接性、補完性の原則に基づいて国と地方の役割分担を抜本的に見直し、国は国本来の役割に専念し、住民に身近な業務は基礎自治体としての市町村が担い、より広域的な業務については県が担うという、地方分権改革をしっかりと推進していく必要があると考えております。このため、今後も国と地方の協議の場の積極的な活用や、国から地方への税財源や事務権限の移譲を求めるなど、全国知事会等と連携し国に強く働きかけてまいります。
 次に、TPPの影響に対する認識についてでありますが、TPP協定参加は、本県の基幹産業であります農林水産業はもとより、投資、医療、労働など、国民生活や経済活動の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されることから、国民に対する十分な情報開示と説明を行い、国民的議論を尽くした上で、慎重に判断するよう繰り返し強く求めてきたところでありますが、このような対応が不十分なままに、政府において交渉参加に向けた準備が進められていることは、非常に遺憾と感じております。
 このため、これまで、本県と同じく農林水産業を基幹産業とする北海道や東北6県、新潟県で構成する北海道東北地方知事会や全国知事会を通じて緊急要請を行うほか、先週には、県として直接、国に対し、国益にそぐわない交渉を行わないこと、経済連携の推進いかんにかかわらず農林水産業を再生、強化する施策を講じること、さらに、被災地の活力を低下させないよう十分配慮することを要請したところであり、今後においても、さまざまな機会を捉え、国に強く要請してまいります。
 次に、ILCの北上山地への建設実現に向けた思いについてでありますが、ILCは、21世紀の科学と技術を大きく前進させ、東北全体の復興、ひいては、日本の再生にもつながる、世界に開かれた国際プロジェクトであると認識しております。
 そのため、岩手県内はもとより、東北全体の理解を得て、東北大学や東北ILC推進協議会などの関係機関と連携しながら、東北一丸となったILCの誘致活動を推進してまいりました。
 ILC立地評価会議においては、科学的、技術的評価に基づいた客観的な判断をしていただき、その結論を受け、政府には、関係国政府とともに、速やかにILC建設に向けて進んでほしいと考えております。
 次に、平泉の日の制定についてでありますが、世界遺産平泉の日を実現させる会から、先般、条例による制定の要望を受けたところでありますが、地元のみならず、県全体のさまざまな団体が結束して平泉の日の制定に取り組んでおり、関係者の皆様の強い思いと熱意を感じたところであります。
 平泉の日の制定については、県民が、世界遺産に込められた、あらゆる生命をとうとび、ともに生きるという共生の理念について理解を深め、遺産の保護や適切な活用を図り、次世代へ継承するとともに、世界遺産を核とした地域づくりを進めていく上で大きな意義があるものと考えております。
 このため、県では、これまで複数の市町村長や有識者等から意見を伺ったところ、平泉の世界遺産は岩手全体の誇りである、平泉の日の制定は復興にも資するなど、制定について積極的に賛同する意見が多く聞かれたところであります。
 これらの意見も踏まえ、さらに幅広く関係者の意見も伺いながら、条例の制定に向けて前向きに検討を進めてまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔理事佐々木和延君登壇〕
〇理事(佐々木和延君) 第1期復興実施計画の評価と次期計画についてでありますが、これまで、復興計画に掲げる三つの原則に基づいて復興の取り組みを推進してきたところであり、安全の確保については、災害廃棄物の処理が5月末現在で48.2%まで進み、復興交付金を活用した面的整備事業については、想定されるほぼ全ての防災まちづくり事業計画地区で事業に着手しているところであります。
 暮らしの再建につきましては、災害公営住宅約6、000戸の整備予定のうち約44%の事業に着手しており、野田村野田地区、釜石市上中島地区などでは、新築の災害公営住宅が完成し、4月から入居が始まるなど徐々に整備が進んでいるところである一方で、用地の確保の問題、資材やマンパワーの不足による影響も懸念されているところであります。
 なりわいの再生については、県内13産地魚市場の全てが再開し、その水揚げ量も約7割まで回復するとともに、被災事業所については、約1割強の事業所が廃業しているものの、一部再開を含め約8割が事業を再開するなど、第1期復興実施計画が目指す基盤復興のための取り組みが進展しているものと認識しております。
 一方で、今なお被災された多くの方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされていることから、第2期復興実施計画期間においては、被災者の方々に復興を実感していただけるよう、復興の取り組みの支障となっている要因の解消に取り組みつつ、本格復興の実現に向けて、被災地の住宅再建や復興まちづくり、地域産業の再生のための取り組みを加速させていくことが重要と考えております。
 こうした観点から、第1期復興実施計画の検証を進めるとともに、被災地域や有識者などの意見を踏まえながら、本年度上半期中を目途に、第2期復興実施計画の方向性を明らかにし、本格復興をなし遂げるための具体的な施策、事業等を盛り込んだ計画を平成25年度中に作成してまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、水稲の水不足への対応についてでありますが、一関市や奥州市などのため池や沢水を利用している地域では、5月の降水量が平年の半分以下となり、代かきや田植えができないなどの状況となったことから、農業改良普及センターや広域振興局等の現地機関の職員は、市町村や農協、農業共済組合等と連携して、実態の把握と被害を最小限にとどめるよう、水の確保や水稲の節水管理の指導などを行ってまいりました。
 また、農家所得を確保するため、田植えができなかった圃場等につきましては、6月中旬以降でも栽培が可能で、国の経営所得安定対策交付金の対象となる大豆やソバなどへの作付の助言を行っております。
 次に、農家への支援についてでありますが、農業改良普及センターは、地域のニーズに的確に対応できる体制とするため農業特性に応じて県内9カ所に設置しており、プロジェクトチームの編成による地域の重要課題の解決や市町村や農協と連携した地域協働による産地づくりなどに取り組んでおります。
 具体的には、JAおおふなときゅうり生産部会における大震災津波からの産地再生や、奥州市上小田代地区における園芸や農産加工部門の導入による集落営農の高度化などの成果を上げております。
 今後におきましても、農家との信頼関係を構築するためのコミュニケーション能力や、地域の合意形成を誘導できるコーディネート力、作物の栽培管理技術力などの農業普及員に求められる資質の向上を図るとともに、市町村や農協等と連携を強化しながら、きめ細やかな普及活動に取り組んでまいります。
 次に、園芸振興についてでありますが、県では、気象変化に左右されにくく、長期間安定的な生産が可能で、高い農業所得も期待できる施設園芸につきまして、これまでも、県単独事業でパイプハウスの導入を促進してまいりました。
 これに加えて、本年度からは、初期投資の負担軽減や運営コストの節減等の課題に対応していくため、新たに施設園芸団地の整備に対する支援を県単独事業のメニューに追加したほか、中古ハウスの活用も支援することとしており、県南部の2地区におきましては、トマト、キュウリの団地整備が進められております。
 今後におきましても、施設園芸の取り組みを促進し、園芸生産者の安定生産と所得向上を図ってまいります。
 次に、生産者への影響についてでありますが、国のTPP協定参加に関する影響試算では、品目により影響の度合いが異なっており、例えば、米では、生産量の3割が輸入に置きかわる、牛肉では、肉質で3等級以下は一部を除き輸入に置きかわる、また、牛乳、乳製品では、都府県の生乳生産はプレミアム牛乳向けを除いて消滅などとされております。
 これら米、牛肉、牛乳について、本県での生産状況を見ますと、米や肉牛は、県南部を中心に県内全域で生産が行われているほか、酪農は、中山間地域を中心に重要な産業となっており、また、関係する生産者も多く、生産額も農業全体のおよそ半分を占めるなど、本県にとって極めて重要な品目であり、そのような重要品目が大幅な減少あるいは消滅といった試算となっていることから、生産者、農山漁村に極めて深刻な影響が及ぶことを懸念しております。
 次に、県民への情報提供についてでありますが、県では、TPP協定に参加した場合、本県農林水産業に大きな影響が及ぶことが懸念されることから、これまで、本県農林水産業への影響額を試算したほか、協定交渉に係る情報収集に努めております。
 県といたしましては、引き続き、他県などとも連携を密にしながら、情報の収集、分析や適時適切な県民への情報提供に努めるとともに、国益にそぐわない交渉を行わないことや農林水産業の再生、強化、被災地への配慮などにつきまして、機会を捉えて国に強く求めていく考えであります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) ILCに係る本県の情報発信についてでありますが、これまでも、県を初め、関係機関のホームページによる情報発信や英語版を含めたPR動画のインターネットへの掲載等、さまざまな媒体を通じた情報発信のほか、外国人研究者の視察の機会を捉えた本県の候補地に関する情報発信に努めてまいりました。
 今般、東北大学が実施しましたILC計画候補地地質調査の結果を見ましても、地質が非常に良好な状態にあり、ILCの建設は十分可能であることが証明されており、そういった科学技術面ですぐれている部分や、豊かな自然環境、生活環境のインフラも整備されていることなどをわかりやすく情報発信するよう取り組んでまいります。
 特に、外国人研究者に東北や建設候補地周辺の生活環境などのさまざまな情報を提供するため、今般、県のホームページに英語版を開設したところであり、内容のさらなる充実に取り組むとともに、研究者の視察の積極的な受け入れや海外メディアへの情報提供等に努めてまいります。
 次に、家族を含む研究者の受け入れ態勢につきましては、地域の既存インフラ等を最大限活用するとともに、ソフト面での対策を充実させることを基本に対応していくことが重要と考えております。
 ソフト面につきましては、県立病院の有する医療提供体制の最大限の活用や、医療関係者の言語能力の向上など、地域全体の医療機関の国際化への対応や、外国人子弟の受け入れ体制、公共サービスにおけるワンストップサービスの提供体制、外国人研究者の家族の就労などが課題であると考えております。
 また、まちづくりについては、既存市街地の活用によるネットワーク型まちづくりや、外国人研究者の住居について、市街地や集落に溶け込む形での整備などが課題と考えており、今後、関係市町村や大学、民間団体、住民の方々と十分な議論を重ねながら、具体的な検討を深めてまいります。
   〔国体・障がい者スポーツ大会局長松岡博君登壇〕
〇国体・障がい者スポーツ大会局長(松岡博君) まず、国体の開催に向けた主要施設の改修についてでありますが、県では、毎年度、競技施設整備計画の見直しを行いながら計画的に改修等の整備を進めているところであり、一部仮設による整備など平成28年度に予定しているものを除き、メーンとなる改修は、国体のリハーサル大会に間に合うように整備を進めてまいります。
 今年度の整備計画の見直しに当たりましては、各競技のリハーサル大会を見据えた整備を万全かつ着実に進めることを主眼として、市町村と協議を進めていくこととしており、本県選手団が、本大会において十分に活躍できるような練習環境の確保といった観点や、また、国体開催の県民への周知と参加意識の高揚といった観点も踏まえ、市町村と十分に調整を図りながら、できる限り早期の整備に努めてまいります。
 次に、現時点で改修が不要とされている施設についてでありますが、競技施設整備計画の見直しの都度、改修等を行わないこととしている施設も含め、施設の状況を点検し、改修等が必要な場合には、整備を進めることとしております。
 特に、今年度においては、体育館の床面や屋外施設におけるコート等の状態、附帯する施設の危険防止対策の状況など、全ての競技施設について、市町村、競技団体と連携し、安全性の面から重点的に点検を行うこととしております。その結果、改修が必要となる施設については、施設整備計画に位置づけ、補助制度などを活用しながら整備を進め、競技に参加する選手が、安心して競技に臨み、持てる力を十分に発揮できるよう、施設の安全確保に万全を期してまいります。
   〔県土整備部長佐藤悟君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤悟君) 通学路・通学時危険箇所緊急合同点検結果への対応とその進捗状況についてでありますが、学校、警察、県などが実施した緊急合同点検において対策が必要とされた箇所は、ことし3月末の時点で1、166カ所となっております。このうち国、県、市町村が管理する道路における箇所数は659カ所であり、平成24年度に対策が完了したところは207カ所、31%となっております。
 県が管理する道路で対策が必要とされた箇所は184カ所であり、平成24年度に対策が完了したところは、新たに転落防止柵を設置するなどした43カ所、以前から歩道整備を進めていた3カ所を合わせて合計46カ所、25%となっております。
 今年度は、歩道整備2カ所のほか、路面標示によるドライバーへの注意喚起など、32カ所において対策を完了する予定としております。
 残る104カ所につきましては、地域住民の方々などの御協力をいただきながら、順次、歩道設置や路肩の拡幅などの対策を進めていくとともに、引き続き学校、警察などと連携し、通学路、通学時の安全確保に向けた取り組みを進めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、県営施設、設備の維持管理マニュアルの点検、見直し状況についてでありますが、県営体育施設では、これまで、それぞれの施設において、各設備、器具等について、その競技特性等に応じた独自の点検項目を定めて日常の点検を行うとともに、大会等が開催される際には、主催者等の立ち会いのもとで準備、点検を行ってきたところでございます。
 今回の事故を踏まえ、今後の再発防止策として、体操競技など設備が毀損した際に利用者の安全性が危惧されるような設備については、個々に管理票を作成した管理を行うことや、必要に応じ専門事業者への点検を依頼すること、また、体育施設管理士の資格を有する職員等が一斉点検を行う点検強化月間を設定するなど、点検や管理のあり方を見直し、一層の安全確保に向けて取り組むこととしているところでございます。
 次に、体育施設のメンテナンスについてでありますが、指定管理者との契約において、小規模な修繕、メンテナンス等については、指定管理料の中に修繕費をそれぞれの施設ごとに計上し、指定管理者において実施しているところでありますが、大規模な改修、修繕の場合は、別途、予算を計上し、設置者である県において対応しているところでございます。
 県といたしましては、日常の点検や修繕等を踏まえながら、利用者の安全を確保するため、指定管理者との一層の連携のもと、必要な経費について確保していくよう努めてまいります。
 なお、こうした一層の安全確保のための点検の見直し状況や利用者の安全確保に向けた施設等の適正な維持管理について、機会を捉えながら、市町村や競技団体などへの情報提供、共有に努めてまいります。
 次に、通学路における緊急合同点検への対応と進捗状況についてでありますが、例えば、登下校の見守りや通学路の見直しなど、教育委員会及び学校において安全対策が必要な箇所として403カ所が報告され、うち対策済みが373カ所、平成25年度中に対策が予定されている箇所が28カ所となっております。
 県教育委員会といたしましては、通学路安全対策アドバイザーを関係市町村に派遣して危険箇所の解消に努めるとともに、学校、家庭、地域及び関係機関が一体となった取り組みを進め、児童生徒の通学路の安全確保の徹底に努めてまいります。
   〔警察本部長高木紳一郎君登壇〕
〇警察本部長(高木紳一郎君) まず、凶悪犯罪に対する対応についてでありますが、県内では、ことしに入り、二戸市内及び盛岡市内において殺人事件が相次いで発生、発覚したほか、釜石市内ではコンビニエンスストアを対象とした強盗事件が発生しております。県警といたしましては、県民に大きな不安を与える凶悪犯罪が発生した際には、緊急配備等の初動捜査の徹底を図るとともに、捜査員を大量動員するなど県警の総力を挙げた捜査を推進し、被疑者の早期検挙に努めております。
 また、凶悪犯罪などに発展するおそれのある住宅対象侵入犯罪や性犯罪などを重点とした抑止対策を推進しておりますほか、これまでにも、金融機関やコンビニ等が実施する強盗訓練への支援や防犯指導、恋愛感情に絡む男女間トラブルに対する迅速、的確な対応と保護対策、子供や女性に対する声かけ事案等への先制的な予防対策など、関係機関、団体との連携を図りながら犯罪抑止のための諸対策を推進しております。今後も、これらの抑止対策を迅速かつ的確に推進し、県民の皆様の体感治安の向上に努力してまいります。
 次に、通学路・通学時危険箇所緊急合同点検結果への対応とその進捗状況についてでありますが、緊急合同点検の結果、警察で対応を実施すべき箇所は182カ所でありますが、平成24年度に対策が完了した箇所は89カ所、48.9%であります。平成25年度においては、横断歩道の新設など42カ所で対策を実施することとしており、合わせて131カ所、72%となります。残りの51カ所につきましては、警察で対応するに当たり、地域住民の方や関係機関との調整が必要な箇所などであり、現在、調整を進めておりますので、今年度中に実施できるものについては早期に実施してまいります。
 次に、警察官による通学路、通学時危険箇所の巡回についてでありますが、議員御指摘のとおり、警察官やパトカーの巡回など姿を見せる活動は、交通安全や防犯の観点からも有効であると考えており、各警察署において活動を強化しているところであります。
 緊急合同点検の結果判明した危険箇所のうち30カ所については、既に警察官の巡回や交通指導取り締まり等の対策を実施しており、今後も継続してまいります。また、対策が実施されていない箇所につきましては、子供たちが安心して登下校することができるように、関係機関、団体等の協力をいただきながら、朝夕の登下校時間帯を中心に警察官を巡回させ、交通取り締まりや交通監視などの活動を行ってまいります。
 次に、ゾーン30の導入についてでありますが、平成25年4月に盛岡市の長橋町地区など3エリアに地域住民の御理解と御協力のもとに整備したところであります。同エリアの交通事故の発生状況を前年4月から6月までの同時期で比較しますと、人身事故がマイナス1件、物損事故がマイナス6件と減少傾向にあり、一定の成果を上げているものと認識しておりますが、今後も、通過交通の抑制や歩行者等の安全確保のため、関係機関、団体の協力をいただきながら交通監視活動等を実施してまいります。
 今後の整備計画につきましては、今年度中に県内4エリアに整備する予定であり、平成26年度以降も順次整備を進めていく計画であります。
 次に、警察官に親近感を抱かせる取り組みについてでありますが、県内各地において開催されております交通安全教室等の場において、その対象の年齢層などに応じ、身近な問題等を取り上げ、ユーモアも交えたわかりやすい講習に配慮するなど、工夫を凝らした安全教育に努めているところであります。今後とも、わかりやすく、かつ親しみやすい活動、手法を取り入れるなどして、効果的な広報啓発活動に取り組んでまいります。
〇18番(郷右近浩君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、何点か再質問させていただきたいと思います。
 まず、これは質問ではないんですけれども、震災復興につきましての次期計画についてでありますけれども、この点につきましては、第1期の復興実施計画の評価をきちんとしていただいた上で、その中で、やはり本当に動く、そうした計画をぜひとも練っていただきたいと思います。そうしたことを進めていきながら岩手の元気というものをつくり直していかなければいけない。
 ただ、その岩手の元気をつくり直していくときなんですけれども、今回の職員の給与削減についてであります。先ほど知事のほうからもお話がありました。苦渋の選択だったとしながらも、そして今後とも国に対して、おかしなことはおかしなことであるということで強く働きかけていくとのことでありますけれども、ただ、そうした中にあって、平成23年3月11日の発災以来、みずから身を削りながらも、体力を使いながらも、一日でも早くとの思いで復興に邁進してきた被災地の職員にとりましては、今回の給与削減は単にモチベーションを下げるものでしかないと私自身考えるものであります。職員が復興加速に邁進できるような、そうした環境整備を直ちに実施すべきと考えるものでありますが、何か知事のほうで職員の皆様方に御提示できるようなものがあれば、そうしたものをお伺いできればと思います。
 次に、農業政策についてでありますけれども、農業普及員の方々が本当に頑張っていただいているのはわかっております。本当に走り回って、いろいろ御指導していただいているということはわかっております。ただしそれが、指導しているというか、やっぱり一緒になって取り組んでいっていただきたい。単純に、そのように話ししているだとか進めているとか、そういう話ではなくて、やはり一緒になって汗水たらして、何とかきちんと農家の方々が安心して進めるような、手とり足とりとまでは言いませんけれども、ぜひそうした形での指導を進めていっていただきたい、そのように思うものでありますけれども、改めましてこの件に関しまして農林水産部長の御答弁をいただきたいと思います。
 次に、リニアコライダーについてでございます。
 あと1カ月で国内の候補地の一本化が決まるとされております。そうしたことでは、今、就労の課題とかさまざまな課題等を認識しているといった御答弁をいただきました。しかしながら、その課題を課題としているだけでは、この1カ月間どのようなことができるのか、我が岩手としてどのように取り組んでいくのか、そうした姿勢こそを出すべきであって、課題を認識しているといったような姿勢では、私はまだまだ不十分ではないのかと思っております。そうしたことで、ぜひとも政策地域部長におかれましては、その課題を何とかしてきちんと解決していくんだと。岩手としては、やる意気込みが本当にあるんだと、そうした部分をぜひ示していただきたいと思うものであります。
 また、岩手国体の整備状況についてでございますけれども、この辺につきましては、大体このような答弁があるんだろうなとは想像はしておりました。ただ、私自身、やはり今回のつり輪の事故、そうしたようなものを考えるに、指定管理者制度という制度、この運用というか、管理を委託した中で、じゃ、どのような形でその部分のさらに中の管理を県として行うべきなのか、そこに例えばどういうお金の充填をすべきなのか、そうした部分は非常に難しいと考えております。
 しかしながら、やはりさまざまな施設において、本当にそうしたことでは、建設以来、そして設置以来時間がたっている施設が多いという中でありますので、本当にやるべきはきちんとやっていかなければいけない。だとするなら、指定管理者制度という制度を使いながらであれば、最低限このぐらいの管理をするといったようなものを、例えばその管理内容として、当初からの受託条件というか、そうしたものに入れるべきというふうな、そうしたものを私自身も考えるものでありますが、この件につきましてぜひとも教育長から御答弁をいただきたいと思います。
 もう一点、世界遺産平泉の日の制定についてお伺いさせていただきたいと思います。
 知事から前向きな御答弁をいただきました。本当に私自身、この世界遺産の日というのはぜひとも制定していただいて、その理念を持って岩手の復興をなし遂げるべきと考えます。
 さまざまな時期であり、いろいろなものが重なった中で、震災直後にこの平泉の世界遺産が認められたと。これを果たして偶然とだけ考えるものなのかどうかということを私は感じているものであります。そうした中にあれば、やはり平泉の持つ共生、そうしたものの考え方であったり、また、さらには、共同体的な考え方、そうしたものというのは非常に大きな意味合いを持つのではないか。そして、それこそがこの復興の中で一番大事となってくるのではないか、そうした思いを持っているものであります。そうしたことでは、この2月定例会におきましての知事演述にもありました。知事の共生という考え方、共同という考え方、そうしたような考え方について、そこに基づくならば、この平泉の日の制定、その点をさらに推し進めるべきと私は考えますが、知事からもう一度だけその点に触れながら御答弁をいただければと思います。
 最後に、警察本部長にお伺いさせていただきます。
 ゾーン30のところ、ちょっと聞き取れなかったんですが、申しわけありません。今後、4エリアをやっていくというような話をいただきました。これも本当にずっと常にまたかなと自分自身でも思いながら、この交通安全という部分については事あるごとにお話を聞かせていただいております。といいますのは、やはり常に私たち子を持つ者にとっては、もちろんそうでなく、お孫さんであり、いろいろな対象があると思います。身近にいた子供が急にいなくなる、これはあってはいけないことだと思います。そうした中で、不幸なことが起こらないように、予防できるなら、未然に防げるならそれを防ぎたいというのが常なる考え方であると思います。その中においては、私自身はこのゾーン30の考え方というのは、地域の理解も最終的には、さまざま当初は、ここはそうなると通勤のときに大変だとか、いろいろな話も恐らく出ることでしょうし、その地域で暮らす方々の不便さと引きかえにしていいものかどうかといったような話というのは出るものであろうとは想像できるものでありますが、私は、できる限りはこのゾーン30というものは、小学校、中学校の近辺等にはぜひともやっていただきたいと思うものであります。
 ですので、そうしたゾーン30の導入、今後、4エリアでやるということでありますけれども、これからもますます進めていただきたいと思いますし、また、もちろん巡回指導等につきましても、今、30カ所等を巡回しているということで安心しました。そして、これからも広げていくということで安心しております。しかしながら、そうした取り組みをぜひ続けていただきたいと思います。ゾーン30自体の、今後、4エリアということですが、その後の展開も含めて、ぜひとも意気込み等を聞かせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) まず、職員が復興に邁進できる環境整備についてでありますが、私を含め、職員が被災者に寄り添い、復興を加速するというミッションを共有し、業務を遂行していくことが大事であると考えております。これまでも、知事、副知事が広域振興局職員と意見交換を行う場を設け、職員との認識の共有、ミッションの共有に努めてきたところでありますが、今年度も引き続きこうした取り組みを実施するとともに、県内各地域を訪問する機会を捉えて私も各職場に赴き、職員を激励していきたいと考えております。
 また、被災地を初め、厳しい環境で勤務する職員に対するメンタルヘルス事業の拡充を通じた心身の健康維持や、職員の住環境の改善などにも意を配っていきたいと考えております。
 次に、平泉の日制定と平泉の理念の関係でございますが、あらゆる生命をとうとび、敵も味方も一緒に、人と人とがともに生きる、また、人と環境がともに生きる、そういった共生の理念、これは、共同体、コミュニティを大切にしていくということにも通ずるものであり、復興の理念にも相通ずるものであると考えます。そうした意味からも、この世界遺産平泉の日を制定することについては、多くの賛成する意見も伺っておりますので、条例の制定に向けて前向きに検討を進めてまいりたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 農業普及員についてでございますが、最先端の現場の職員といたしまして、農家の声に耳を傾けながら、そしてまた、それを必要な箇所、機関につなぎながら、問題となってございます課題の解決に対応していくという姿勢、また、農家の方々とともに問題を解決していくという姿勢、そういった姿勢で今後とも普及業務に携わっていきたいと考えてございます。
〇政策地域部長(中村一郎君) ILCの関係につきまして、ソフト面の課題につきましては先ほど御答弁で幾つか申し上げました。これにつきましては、当然、関係機関と協議等も開始はしてございますが、国内候補地一本化まで残り1カ月弱ということになりましたので、我々としては、また最大限これを加速化させながらしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
〇教育長(菅野洋樹君) 今回の県営体育館での事故を踏まえまして、指定管理者と県との役割分担のもとで県営体育施設のより一層の適切な管理に努めているところでございますが、この中で、今後の管理委託のあり方等の課題等が明らかになった場合については、指定管理者の指定の時期を捉え、必要な見直しを検討してまいりたいと思っております。
〇警察本部長(高木紳一郎君) ゾーン30でございますけれども、通学路や住宅地域等の生活道路において、歩行者等の安全を確保するために最高速度30キロの区域規制を初めとする交通規制の実施や路側帯の拡幅、ハンプ等の設置等の対策を推進するものでございますけれども、今年度中に県内4エリアを予定しております。この予定しておるエリアで実際に成果を出すということが重要であると考えておりまして、成果を出すことができればまた地域住民の方の御理解を得られることにつながると思いますので、この成果を出しながら、平成26年度以降も整備を進められるように進めていきたいと考えております。
〇18番(郷右近浩君) 1点だけ再々質問させていただきたいと思います。
 今、政策地域部長のほうからもILCについて御答弁をいただきました。さまざまな問題点、問題というより、課題がまだまだあると思います。そうした中でありますけれども、この間、副知事におかれましても推進協議会のCERNの視察に同行されておりますが、副知事の目から見て、今、岩手がなすべきこと、そしてどのように感じてきたのか、そうしたことをあわせて御所見をお伺いしたいと思います。
〇副知事(上野善晴君) CERN視察の所感についてのお尋ねでございますが、私は、本年4月10日から15日まで、岩手県の国際リニアコライダー推進協議会の視察に同行いたしまして、CERN内の施設見学を初めといたしまして、CERN要人や日本人研究者、周辺自治体の長の方との懇談などを行ってまいりました。
 その中で感じましたことの概要でございますが、第1に、CERNは非常に大規模な施設でございまして、かつ非常に精密なデータの観測が必要とされるということから、ILCの建設におきましては、科学的に最適な施設が建設可能である候補地が求められているということであります。第2に、研究者の受け入れ態勢につきましては、子弟の教育環境整備、医療現場の多言語対応など、具体的な課題を抽出して取り組みを進めていく必要があると考えております。第3に、CERNと本県の候補地というのは気候や自然環境が非常に似ておりまして、適切な研究環境が提供できると確信いたしましたことなどでございます。
 今回の視察の経験を踏まえまして、今後、県内の自治体や民間団体の方々と引き続き連携しながら、議員おっしゃいますように7月末の絞り込みに向けて、時間が限られている中、やれることは全てやるという考え方のもとで、先ほどの科学的に最適な施設が建設可能である候補地であるということを強調しながら、具体的な受け入れ態勢の課題についてさらに検討を進め、PRをしていくこと、こうしたことを進めていくことによって、私どもの北上山地の優位性ということを引き続き強く訴えかけてまいりたいと思っております。
〇議長(佐々木博君) 次に、佐々木大和君。
   〔48番佐々木大和君登壇〕(拍手)

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