平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 私は、日本共産党を代表して、議案第2号から第5号までの県職員の給与削減に関する条例改正議案に反対の討論を行います。
 今回の給与削減は、県職員、教員、医療局、企業局を含め57億4、900万円に及ぶものであります。45歳の主任主査級の県職員の場合、年間25万円余の削減になるものであります。既に平成11年度から連続15年間にわたり給与削減が続き、その総額は、年間ベースで医療局等は除いて309億8、400万円、県職員平均122万円の減収となるものであります。これは年収の約17%であります。これだけの給与削減が続いていること自体異常なことであり、県職員の生活を破壊するものと言わなければなりません。
 今回の国による地方交付税の削減による地方公務員の給与削減の押しつけは、憲法で保障された団結権と、その代償措置の人事院勧告制度、地方においては人事委員会の勧告制度を無視する憲法違反の暴挙だと言わなければなりません。また、地方固有の財源である地方交付税を一方的に削減して給与削減を押しつけることは地方自治を破壊するものであり、許されません。知事は、こうした国のやり方に強く抗議するとともに、全国知事会や地方6団体としても徹底して抗議し、その撤回を求めるべきであります。
 また、今回の給与削減の口実となった国家公務員の7.8%の給与削減が民自公の談合による議員立法によってまともな審議もなく強行されたことは、国会の歴史にも汚点を残す前代未聞の暴挙でありました。
 岩手県は今、戦後最大の東日本大震災津波の復旧、復興に取り組んでいるさなかにあります。全国から岩手県に応援に駆けつけている職員は160人に及び、県が独自に採用している任期付職員は255人となっています。被災した市町村には全国から519人が派遣されています。こうした献身的に復興に取り組んでいる職員に対し賃金を引き下げるなどということは、血も涙もない冷たいやり方だと言わなければなりません。
 任期付職員については今回の交付税削減の算定に入っておらず、3年から最大5年の任期で復興事業に取り組んでいる職員は給与削減の対象とすべきではありません。復興事業の財源のためだと言うなら、民主党政権での2兆4、000億円余の復興予算の流用、安倍自公政権での1兆2、000億円余の流用こそ正すべきであります。
 県医療局は知事部局と同様の給与削減を実施するとしていますが、医師は、医師確保の立場から給与削減の対象としないとしています。当然のことであります。私は、看護師不足の現状と苛酷な職場の実態から見ても看護師の給与削減は行うべきではないと考えるものであります。医療局は、昨年度の決算では13億2、600万円の純利益となっています。東日本大震災津波による特別損失など、特別利益、特別損失を除いた経常損益では3年連続の黒字であります。医療局職員の基本給は東北各県の県立病院職員と比べても低く、引き下げではなく、引き上げこそ求められております。
 今回の大幅な給与削減は、デフレ不況の打開にも逆行するものであります。答弁にもあったとおり、今回の県職員の給与削減額49億9、000万円の知事部局分等の地域経済への波及効果は約78億円余に及びます。15年連続の賃金削減額309億8、400万円余の地域経済への波及効果は488億円余であります。この間、公務員の賃金が下がり、さらに民間の賃金も下がる悪循環が続いています。労働者の賃金が下がり続け、国民の所得が減少してきたことがデフレ不況の最大の原因であることは多くの専門家が認めるところでございます。
 最後に、大槌町は職員も被災しており、復興に献身的に取り組んでいるとして給与削減を行わない決断をいたしました。高く評価するものであります。
 県や多くの市町村では、期末・勤勉手当については削減しないとしております。これは、労働者の闘いの反映と見るべきであります。しかし、今後、国によるこうした憲法違反の暴挙は絶対に許さない、この取り組みを強化すべきことを訴え、反対討論といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第2号から議案第5号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、議案第2号から議案第5号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立全員であります。よって、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時5分 散 会
第10回岩手県議会定例会会議録(第2号)

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