平成25年6月定例会 第10回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
 議案第2号から第5号について反対の討論をいたします。
 一般職職員等並びに市町村立学校職員等の給与の減額に関する各条例については、その要因が、そもそも国の一方的な地方交付税の減額措置によって地方自治の根幹を侵害するという極めて重大な問題が背景にあります。達増知事におかれましても、さきの2月定例会に臨む姿勢として、平成25年度政府予算決定に対する1月29日付の文書、そして知事演述において、地方交付税の削減は、地方の行財政改革への理解が不十分な、地方自治の根幹にかかわる大きな問題であると認識を示されました。さらに予算特別委員会でその真意についてただしたところ、知事は、地方のこの10年余りの定数削減を初めとする行財政改革の努力が適切に評価されているとは言いがたいとし、国の理解不足を厳しく指摘するとともに、地方公務員給与の地方の自主性に基づく手続に国が一方的に介入したことについて、地方自治の根幹にかかわると答弁されたのです。そして、地方固有の財源を国の政策目的達成のための手段としたことを問題として明らかにしていくと理論武装による対応を表明されたのです。
 しかし、こうした国との対峙姿勢を表明したものの、その後、国との間でどのような議論がなされたのか、具体的な対抗手段はとられてきたのか、地方自治の根幹は守られたのか、何も明らかになっていない状況で、労働組合に示された給与削減の提案は、地方交付税削減を踏まえた措置として、結果的に国と何ら変わらない姿勢を県として踏襲したことであります。国の地方交付税削減という手法について、問題ありとしながらも容認したものであり、知事は、労働組合との交渉において、あくまで国の施策によるものと、その責任は国にあるという言い回しでありますが、問題があることを認めた上で、それを受けて、結果として何の責任もない県職員の生活を脅かす給与削減を苦渋の判断と言いわけし、回避する努力や国に対する明確な責任追及がされていない中、職員に国と同様、犠牲を強いることとなった知事の責任はどう果たされるのでしょうか。
 また、これが今回限りの措置と確約できるものとなり得るのでしょうか。知事は、今後、このようなことがないよう国に求めていくと労働組合に対して答弁されたとのことですが、極めて形式的な答弁で、結局、今回の事例を認めていくという前例だけが確立され、困ったときの交付税削減の道筋が築かれたことを懸念いたします。
 さらに県では、当初予算編成において、政府予算の決定に対する問題を認識し、見越した上で平成25年度歳入歳出予算の枠組みを提案されたものであり、議会の審議とその決定の意味は重いものであります。今回、地方交付税減額の影響を見込み、歳入歳出全体に重大な影響があるとの判断であれば、改めてその財政状況の変化を踏まえ、なおかつ2月定例会であれほど言明してきた国の責任と問題の処し方について何ら説明責任が果たされていない中にあっては、議会に対してこの間の経過と問題を明確に説明し、議論し直す必要があるのではないでしょうか。国による実質的な強制や介入によって地方議会の決定さえもその都度一方的に否定されるような事態は絶対あってはならないことであり、当局としての判断もその意味で安易であり、責任が問われるものと認識します。
 ついては、給与削減に係る条例改正は撤回し、改めて地方自治の根幹にかかわる交付税のあり方について国の対応を追及する取り組みを明確にしていくとともに、予算全般の見直しについて、知事が述べてきた10年余にわたる本県の行財政改革の努力と実態を踏まえ、安易に人件費削減ありきによらない適切な評価のもとに十分に再検討すべきであることを申し上げます。
 以上、反対討論といたします。議員各位の御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、斉藤信君。
   〔37番斉藤信君登壇〕

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