平成25年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成25年3月19日(火)
1開会 午前10時3分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査    村 上   聡
  主査    藤 澤 壮 仁
  主査    藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  農林水産部長   東大野 潤 一
  理事    高 橋 嘉 行
  副部長兼
  農林水産企画室長 菊 池   寛
  農政担当技監   杉 原 永 康
  農村整備担当技監
  兼農村計画課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  水産振興課
  総括課長    寺 島 久 明

  競馬改革推進室長 立 花 良 孝
  技術参事兼
  漁港漁村課
  総括課長    大 村 益 男
  農林水産企画室
  企画課長    高 橋 昭 雄
  農林水産企画室
  管理課長    及 川 健 一
  団体指導課
  総括課長    大 友 宏 司
  指導検査課長   小田島   新
  流通課総括課長  泉   裕 之
  農業振興課
  総括課長    工 藤 昌 男
  担い手対策課長  千 葉   匡
  農業普及技術課
  総括課長    鈴 木   茂
  農村建設課
  総括課長    伊 藤 千 一
  農産園芸課
  総括課長    高 橋   渉
  水田農業課長   中 南   博
  畜産課総括課長  渡 辺   亨
  振興・衛生課長  及 川   団
  林業振興課
  総括課長    佐 野   淳
  森林整備課
  総括課長    阿 部 忠 一
  整備課長    赤 澤 由 明
  森林保全課
  総括課長    佐 藤 順 一
  漁業調整課長   石 田 亨 一
  競馬改革推進監  内 宮 明 俊
  競馬改革推進室
  特命参事    佐 藤   博
  競馬改革推進室
  特命参事    高 橋   徹

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇高橋元委員長 これより本日の会議を開きます。
 木村幸弘委員は欠席とのことであります。
 伊藤勢至委員から、水産業関係の資料を配付したい旨、あらかじめ申し出があり、当職において、これを許可の上、お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第25号から議案第28号まで、議案第35号、議案第37号、議案第38号及び議案第90号の以上28件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月7日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では、農業関係分野について、第2部では、林業関係分野及び水産業関係分野についてそれぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇東大野農林水産部長 農林水産部関係の平成25年度の予算関係議案につきまして御説明申し上げます。
 予算関係議案の説明に入ります前に、平成25年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方について御説明申し上げます。
 まず、本県農林水産業を取り巻く状況でありますが、東日本大震災津波による被害は、これまでの取り組みにより、水産業を中心に復旧は進みつつあるものの、いまだ途上にあるほか、原子力発電所事故による放射性物質の影響は、生産、販売の両面に及んでいる状況が続いております。
 また、本県農林水産業は、高齢化の進行等による従事者の減少や農林水産物価格の低迷による所得の減少など、経営環境や農山漁村の活力を維持していく上でさまざまな課題を抱えております。このような状況にある中、平成25年度は、復興加速年の位置づけのもと、東日本大震災津波復興計画に掲げた取り組みを強力に推進するとともに、いわて県民計画第2期アクションプランに掲げた取り組みを着実に進め、本県農林水産業が、地域経済の基幹産業として再生、発展できるよう取り組んでまいります。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けては、引き続き、漁船、養殖施設等の生産基盤の整備を行うほか、防潮堤等の海岸保全施設の本格的な復旧、整備を推進するとともに、新たに、漁業者みずからが地域漁業の将来像を明らかにする地域再生営漁計画の策定支援を通じた経営規模拡大、担い手確保などを促進してまいります。
 また、被災した農地と周辺農地の一体的な圃場整備による農地の利用集積に本格的に取り組むほか、沿岸地域の地域特性を生かした園芸産地の再生、拡大に向け、野菜のハウス団地の形成等にも取り組んでまいります。
 さらに、放射性物質影響対策として、牧草地の除染や、原木シイタケの産地再生に向けた取り組みを進めるとともに、安全・安心な県産農林水産物の魅力を積極的に国内外に発信するなど、風評被害の防止にも取り組んでまいります。
 本県農林水産業の振興に向けましては、復興の取り組みと軌を一にし、将来の地域農業のあり方や担い手を明確にした地域農業マスタープランの実現に向けた取り組み支援、大学や生産者団体等と連携した先導的な経営体の育成など、農林水産業の未来を開く経営体の育成に取り組んでまいります。
 また、水産物の高度な衛生管理、品質管理の体制を構築する取り組みの支援や、ハウス導入による新たな園芸団地の形成など、生産性、市場性の高い産地づくりを推進するとともに、6次産業化支援などによる農林水産物の高付加価値化や販路の拡大に取り組んでまいります。このほか、野生鳥獣による農作物被害や松くい虫被害につきまして対策を強化してまいります。
 それでは、予算関係議案につきまして御説明申し上げます。
 まず、議案第1号平成25年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の780億6、082万1、000円のうち、県土整備部所管分を除く780億1、497万8、000円、及び9ページの11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費の11億7、357万8、000円のうち、農林水産部関係の予算8億6、839万1、000円と4項農林水産施設災害復旧費の767億1、846万7、000円を合わせまして1、556億183万6、000円となるものです。これを前年度当初予算と比較しますと、金額で118億8、654万2、000円、率にして8.3%の増となります。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げます。
 予算に関する説明書の145ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費です。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費であり、説明欄中ほどのいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、生産者等の6次産業化を支援するほか、いわてブランド再生推進事業費は、安全・安心のアピールや知名度向上、消費拡大に向けて、航空機の機内誌や女性誌を媒体として全国の消費者へ情報発信するなど、新たな形での取り組みを展開しようとするものです。146ページをお開き願います。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し利子補給等を行うものです。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費などのほか、いわてニューファーマー支援事業費による新規就農者に対する就農給付金の交付や、農村起業経営体発展支援事業費による農村起業経営体の事業拡大や多角化へ向けた取り組みを支援しようとするものです。次に、4目農業振興費の主なものですが、147ページの説明欄の中ほど、中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域において農業生産活動を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件の格差の範囲内で交付金を交付する経費などであり、下から四つ目、被災地域農業復興総合支援事業費は、被災市町村が農業復興を実現するために行う、被災農業者等への貸与等を目的とした農業用施設、機械の整備を支援しようとするものです。また、148ページに参りまして、上から三つ目のいわて地域農業マスタープラン実践支援事業費は、地域農業マスタープランに位置づけられた取り組みを行うために必要な機械、施設の整備を支援しようとするものです。さらに、下から三つ目の山と里と人に優しいいわてのふるさと産業育成支援事業費は、間伐材を利用した強度、耐久性の高い園芸用ハウスの整備と、木材を利用した簡易暖房機の改良に取り組み、新たな園芸用施設のモデル確立と普及を図ろうとするものです。5目農作物対策費の鳥獣被害防止総合対策事業費は、野生鳥獣による農作物被害の拡大防止のため、市町村被害防止計画に基づく侵入防止柵の設置などを支援するとともに、新たに、イノシシの被害防止技術の実証や被害防止対策の担い手の育成確保のための指導者養成研修等を実施しようとするものであり、説明欄の一番下、強い農業づくり交付金は、米、麦、大豆などの土地利用型作物について、生産性の高い営農システムの確立等を図るため、共同利用施設の整備に要する経費を助成しようとするものです。次に、6目畑作振興費の主なものですが、説明欄中ほどの園芸産地新生プロジェクト推進事業費は、園芸産地の生産力やブランド力の向上を図るため、産地、生産者みずからが、市場の評価やニーズを直接把握し、それを生産、販売に反映させる産地マネジメントの仕組みづくりを支援しようとするものであり、下から二つ目の三陸みらい園芸産地づくり交付金は、沿岸地域の気象特性等を生かした園芸産地の再生、拡大に向け、野菜のハウス団地の形成を支援しようとするものです。7目北上奥羽山系開発費は、旧緑資源機構が北上、奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業に係る地元負担分の償還金などであり、8目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査などに要する経費です。150ページをお開き願います。9目農業協同組合指導費及び10目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費で、11目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究などに要する経費、12目農業大学校費は、同校の管理運営などに要する経費です。
 次に、153ページをお開き願います。2項畜産業費です。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費などの管理運営費等です。2目畜産振興費の主なものですが、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、黒毛和種及び日本短角種の改良増殖等を推進しようとするものです。154ページに参りまして、説明欄の下から三つ目、放射性物質被害畜産総合対策事業費は、県産畜産物の安全性を確保するため、県内産粗飼料の放射性物質の調査を行うとともに、牧草地の再生対策や廃用牛の適正出荷などを推進しようとするものであり、一番下のいわて生まれ、いわて育ちの牛づくり促進事業費は、高品質な肉牛の生産による畜産農家の所得向上に向け、新たに、能力の高い県有種雄牛の子牛生産や肥育素牛導入の支援をしようとするものです。3目草地対策費は、生産性の高い畜産経営体の育成と畜産の安定的な発展を図るため、畜産農家等の生産基盤の整備への補助に要する経費などであり、4目家畜保健衛生費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する牛海綿状脳症防疫対策事業費のほか、家畜伝染病予防費が主なものです。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費です。
 次に、157ページをお開き願います。3項農地費です。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費などであり、2目土地改良費の農林水産部関係について、その主なものですが、説明欄上から六つ目、経営体育成基盤整備事業費は、水田の大区画化や用排水路、農道等の整備を一体的に実施し、農作業の効率化等を図るとともに、担い手への農地利用集積を促進し、高生産性農業の実現と、それに伴う経営体の育成を図ろうとするものであり、説明欄中ほどの小水力等再生エネルギー導入推進事業費は、県や土地改良区が所有する農業水利施設に、モデル的な小水力発電設備を導入しようとするものです。また、その下の農地・水保全管理事業費は、農地、農業用水及び農村環境の良好な保全等を図るため、地域住民やNPOなど、多様な主体の参画を得て、地域ぐるみで農地や農業用水等を守る活動を行う経費を支援しようとするものです。158ページに参りまして、3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の更新などに要する経費です。説明欄中ほどの農用地災害復旧関連区画整理事業費は、被災農地と周辺農地の一体的な圃場整備を行おうとするものであり、平成25年度は、事業採択済みの9工区の整備を重点的に推進いたします。159ページに参りまして、4目農地調整費は、農地調整関係職員の人件費や農地保有合理化法人業務費補助等に要する経費です。
 次に、161ページをお開き願います。4項林業費です。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や、県有林事業特別会計への繰出金などです。162ページをお開き願います。2目林業振興指導費の主なものですが、説明欄一番下の森林整備加速化・林業再生事業費は、輸入材に対抗できる国産材の生産体制の確立や復興に必要な木材を安定的に供給するため、間伐の実施、作業道の開設とともに、高性能林業機械の導入や木材加工流通等施設の整備などを支援しようとするものです。また、163ページの説明欄中ほどの原木しいたけ経営緊急支援事業費は、原木シイタケの出荷再開に向けた条件整備として、ほだ場からの汚染ほだ木の除去や、落葉層の除去を進めようとするものであり、その下、特用林産施設等体制整備事業費は、人工ほだ場と簡易ハウスのモデル的な設置を支援しようとするものです。3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要する経費等で、農林水産大臣命令による駆除が実施できる見込みの盛岡地域を重点として、松くい虫被害の北上阻止の取り組みを強化してまいります。164ページをお開き願います。4目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、間伐や作業道の整備に対し補助などを行うものであり、5目林道費は、民有林林道網整備計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の開設、改良などに要する経費です。165ページに参りまして、6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要する経費です。166ページに参りまして、7目林業技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費です。
 次に、168ページをお開き願います。5項水産業費です。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や、水産科学館の管理運営等に要する経費です。169ページに参りまして、2目水産業振興費の主なものですが、説明欄上から六つ目の漁業担い手確保・育成総合対策事業費は、漁協が自営する養殖事業等に新規就業者を雇用して、将来の担い手を育成する新たな取り組みを支援し、担い手対策を強化しようとするものであり、その二つ下、高度衛生品質管理型水産物生産加工体制構築支援事業費は、地域内でHACCPの導入など、漁獲から流通、加工まで一貫した高度な衛生管理、品質管理の体制を構築し、加工品の高付加価値化や販路拡大につなげる取り組みを支援しようとするものです。また、その四つ下のさけ、ます増殖費は、本県の基幹魚種であるサケ資源等の回復を図るため、ふ化場に対する技術指導を行うとともに、漁協等が行う稚魚の生産放流に要する経費などを補助しようとするものであり、栽培漁業推進事業費は、本県栽培漁業の復興を図るため、漁協等が行うウニなどの種苗放流の取り組みなどを支援しようとするものです。次に、3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金等の利子補給などに要する経費です。170ページをお開き願いまして、4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費です。171ページの6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費や、老朽化した漁業取締船はやちねの代船建造に要する経費です。7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究並びに老朽化した漁業指導調査船北上丸の代船建造に要する経費です。172ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であり、9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費です。次に、10目漁港漁場整備費の主なものですが、説明欄中ほどの漁業集落防災機能強化事業費は、集落内の地盤かさ上げや集落道、避難路等の生活基盤整備などを行う市町村への補助であり、その下の漁港施設機能強化事業費は、災害復旧事業と連携して漁港の機能強化を図るため、漁港施設用地のかさ上げや避難施設等の整備などを行う工事に要する経費です。
 次に、大きく飛びまして、225ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費です。1目庁公舎等災害復旧費は、被災した農業研究センター南部園芸研究室及び水産技術センターの施設、設備に係る災害復旧に要する経費です。
 次に、229ページをお開き願います。4項農林水産施設災害復旧費です。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、ダム、農地等に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費であり、230ページに参りまして、2目林道災害復旧費及び3目治山災害復旧費は、それぞれ、林道及び治山施設に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費です。231ページに参りまして、4目水産業用施設等災害復旧費は、漁協等が行う漁船、漁具の整備や、養殖施設、水産業共同利用施設等の復旧、整備などに要する経費であり、5目漁業用施設災害復旧費及び、232ページの6目漁港災害復旧費は、漁業用施設や漁港施設、海岸保全施設等に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費です。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その1にお戻りいただきます。議案その1の11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中、8社団法人全国農地保有合理化協会が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、13ページ、31海岸保全施設災害復旧事業までの24件です。その内容は、社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が9件、平成25年度から翌年度以降にわたって施行される工事等に係るものが14件で、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものです。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 20ページをお開き願います。議案第3号平成25年度岩手県農業改良資金等特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ1億2、962万7、000円としようとするものです。
 21ページ、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 22ページをお開き願いまして、歳出の主なものですが、2款就農支援資金貸付費は、円滑な就農を図るため、認定就農者に対し無利子資金を貸し付けようとするものです。
 23ページに参りまして、第2表地方債は、就農支援資金貸付費に充当するものです。
 24ページをお開き願います。議案第4号平成25年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ36億6、700万7、000円としようとするものです。
 25ページ、第1表歳入歳出予算の歳入の主なものですが、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金であり、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分に係る売り払い収入等です。
 26ページをお開き願います。歳出の主なものですが、1款県有林事業費は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理、保育や県債の償還などに要する経費です。
 次に、議案第5号平成25年度岩手県林業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ14億3、225万3、000円としようとするものです。
 28ページをお開き願います。歳入の主なものですが、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 29ページに参りまして、歳出の主なものですが、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものです。
 次に、30ページをお開き願います。議案第6号平成25年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ7億6、244万1、000円としようとするものです。
 31ページに参りまして、歳入の主なものは、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 32ページに参りまして、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものです。
 次に、予算以外の議案につきまして御説明申し上げます。67ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業ほか12事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものです。
 73ページに参りまして、議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものです。
 次に、74ページをお開き願いまして、議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、水産生産基盤整備事業ほか3事業の水産関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものです。
 次に、予算関係の条例について御説明申し上げます。
 議案その2、55ページをお開き願います。議案第35号岩手県漁港管理条例の一部を改正する条例ですが、これは、漁港施設等に係る電柱類などの占用料の額を減額しようとするものです。
 以上で予算関係議案の説明を終わります。
 なお、去る3月8日の予算特別委員会総括質疑におきまして、高田一郎委員からお尋ねのありました原木シイタケ生産者の生産継続に関する意向につきまして御報告させていただきます。
 出荷制限が指示されている14市町村の生産者を対象に、県が1月から2月にかけて行った調査では、生産を継続するが32%、継続しないが45%、決めかねているが23%となっております。
 以上です。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇高橋元委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部の農業関係について質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 それでは、大きく1点について質問をさせていただきます。
 岩手のめぐみ・馬事文化振興事業費にかかわる点でございますが、これまで、馬事文化の振興というものについても長年取り組んできておられると思います。これまでの馬事文化振興に対する経過をどのように認識しているのか、お聞きいたします。
〇内宮競馬改革推進監 馬事文化に関する振興の経緯ということの認識でございますけれども、本県は、日本有数の馬産地として栄えまして、岩手の人と馬がかかわってきた歴史も長く、チャグチャグ馬コや南部流鏑馬など、馬にまつわる多くの伝承、伝統行事が数多くあるところでございます。
 また、藩政時代から各地神社の境内で行われました奉納競馬や農家が馬の優秀さを競う生産地競馬が盛んに行われ、こうした風土の中で岩手競馬が生まれ、多くの県民に支えられてきたところであり、競馬を含め、岩手の馬事文化につきましては、本県にとって大切なものと認識しているところでございます。
 そういった認識を踏まえまして、今年度の事業といたしまして、昨年10月から、JRAのインターネット会員を対象といたしました地方競馬の発売開始を契機といたしまして、馬事文化情報発信事業を展開しているところでございます。その中で、ホームページの開設などにより、岩手競馬を含む岩手の馬事文化の魅力を全国に発信するほか、ファンが参加、交流できる情報ネットワークを構築し、岩手の馬事文化について広くアピールしてきたところでございます。
〇軽石義則委員 それらについての経過というものは十分認識をされているということでございますが、やはり、これからどうしていくかということが大事だと思います。それらの経過を踏まえた上で、やはり馬事文化の振興だけではなかなか次につながらないという思いもございますけれども、馬産という部分もその中には含まれてくると思いますし、岩手競馬とのかかわりもあると思われます。
 馬産振興総合対策事業費補助を見ますと、90万円ということで、平成25年度の部分はそのような金額になっておりますけれども、それらの馬事文化振興と今行われている馬産に対する振興の考え方があれば、お示し願いたいと思います。
〇内宮競馬改革推進監 それでは、馬事文化に関して、来年度の取り組みについて御説明させていただきます。
 来年度につきましても、緊急雇用創出事業を活用いたしまして、県内外のテレトラック所在地の方々に、岩手の馬事文化や岩手競馬に親しみを持っていただくために、岩手県の農林水産物や、イベント会場となる場外発売所所在市町村の特産品などを活用した物産交流や来場者プレゼント、それから、チャグチャグ馬コの来場や馬事文化パネル展など、岩手の馬事文化と触れ合えるイベントなどを想定しておりまして、場外発売所への集客とにぎわいの創出につなげたいと考えているところでございます。
〇軽石義則委員 馬産の部分については通告をしておりませんでしたので、具体的に今後の取り組みの方法等あれば後で示していただきたいと思いますが、私は、一般質問でも、旧ポニースクールいわての活用について質問させていただいて、今後、検討させていただくというようなお答えもいただいているわけでありますが、それらについて、現状どのように認識をし、今後どのように取り組みをしていくのか、お示し願いたいと思います。
〇内宮競馬改革推進監 ポニースクールの活用につきましては、担当部局と今後とも連携を図りながら、先ほど御説明いたしました来年度の岩手のめぐみ・馬事文化振興事業の中で、例えばポニースクールで子供と触れ合えるようなイベントなどを企画するなど、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 先ほどお尋ねのございました馬産の振興について、一言補足をさせていただきたいと思います。
 御案内のとおり、平成22年の農用馬の生産頭数につきましては、全国3位の54頭、主産地は、御案内のとおり、遠野地域、県北地域でございます。飼養形態は小規模の高齢化、戸数、頭数ともに減少傾向でございます。
 県といたしましては、県の家畜改良増殖計画の推進を図るために、先ほどもお話がございましたが、社団法人岩手県馬事振興会に90万円助成いたしまして、馬産の後継者、技術者の育成、優良種馬の保留対策等を連携して実施しているところでございます。
 平成25年度につきましても、引き続き、岩手県馬事振興会への支援を通じまして、家畜改良増殖計画に即した農用馬の改良と馬産農家の育成を支援してまいりたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 ありがとうございました。
 やはり文化の振興のみならず、馬産を含めて今後も取り組みをしていただきたいと思いますし、施設の有効活用というものも十分図っていただきたいという思いでございます。当然、岩手競馬とのかかわりも多くなってくると思いますので、それらについて部長の所感をお聞きして、終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 馬事文化の関係につきましては、それがあって、岩手競馬も取り組みが始まったと承知していますし、ポニースクールについても、これまでもさまざまな形で相互にかかわりを持ちながら来たという経緯もございます。したがいまして、馬事文化の振興というものを念頭に置きながら、さまざま関係部局もございますが、意見交換なりして、今後のあり方を探っていきたいと考えてございます。
〇千葉伝委員 今、軽石委員から馬事文化あるいは馬事振興の件で質疑があったところであります。私は、馬事振興の会長の立場もあるわけでありまして、軽石委員には、一緒にこれからも頑張っていただければと思ったところであります。
 それで、先ほどのポニースクールの後の問題、ここの部分の関連で質問させていただきたいと思います。
 一般質問で軽石委員が知事に、今、馬っこパーク・いわてというところのNPOが、県から借りて管理運営しているという状況であります。あそこの施設を有効活用すると。岩手にとって、馬事、馬産はもちろんですけれども、馬術も含めて、ああいった施設をこれからも有効に活用していく必要があると、私はそう思っているところであります。
 あの施設の有効活用を図る上で、実は、施設がもう老朽化しているということで、私どもももちろんですが、施設のある滝沢村、あるいはこれからの馬事振興を図るということで、チャグチャグ馬コの関連もあって、盛岡市あるいは隣の矢巾町の三つの市町村が一緒になって、あそこの施設に予算も投下して馬の経営をしていただいているところであります。
 聞きたいのは、そこの施設が、今後、来年なりにはもう使えないのではないかという話になっているので、軽石委員が、何とかそこをこれからも継続して使えるようにという立場から質問したと思っております。知事からは、今年度検討する、こういう答弁だと私も記憶しておりますが、その中身として、施設を管理するところ、あるいはポニースクールの関係のところというと、もう既に事業は終わっているし、余り関係ないような言い方がちょっと見え隠れしている、こういうこともあります。
 知事から、検討すると。ただ、検討すると言っても、その関係するところが、農林水産部は馬事振興を図る立場です。それから、施設を管理していくという立場で、そちらの部分も当然これは関係してくるわけなので、関係するところが共同作戦というか、横の連絡をしっかりととって検討していっていただきたい、こういう立場で、そこの部分を、たしか知事の答弁には、関係する団体とか市町村も含めたことで検討するような答弁だったと記憶しておりますが、そういったことでしっかりとやっていただけるのかを確認したいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました馬事公園構想についてでございます。
 旧ポニースクール跡地を馬っこパーク・いわてとしてNPOと競馬振興公社が運営してございますが、経営状況が厳しくて支援が求められている中で、御案内のとおり、岩手県馬事公園構想確立協議会というものが、馬事公園として、馬との触れ合いを通した観光、福祉、教育、文化など多方面に効果をもたらす総合馬事施設として位置づける構想を検討していると認識してございます。
 去る12月に、県庁関係部局、そして関係者と打ち合わせが行われまして、政策地域部長からは、県が一旦廃止を決定した機関であり、支援を行うことはなかなか厳しいところがあるけれども、関係機関、団体とも協議をして検討したいという発言があったところでございまして、今後、庁内部局との協議を進め、先ほど委員からお話がありましたとおり、平成25年には対応方針を決める旨、聞いておりまして、今お話がありましたとおり、横の連携もとりながら確実に検討はしてまいりたいと考えてございます。
〇千葉伝委員 ありがとうございます。ぜひ存続に向けた方向を打ち出していただけるようにお願いするところであります。
 つけ加えると、今、馬産関係、いわゆる農用馬、チャグチャグ馬コに使うものが90ないし100頭という数字になっているわけですけれども、今や岩手県の農用馬の数が200頭を切っております。そういった中で100頭を確保することはもう至難のわざということで、大変厳しい状況にあるということであります。せっかくの馬産地岩手というその昔からのこの流れを、私は断ち切るわけにはいかないし、1頭でも減らしたくない、こういう気持ちで頑張っているところでありますので、ぜひ、ごしんしゃくいただいて、御検討いただければと、これは要望であります。ありがとうございました。
〇工藤勝子委員 牧草地の除染についてお伺いいたします。
 原発事故によって県内の農林水産物にさまざま大きな影響を与えてまいりました。その中の一つが牧草地の除染という、公営牧場も含めた、個人の持っている牧草地もそうですが、これが大きな問題となりました。除染が必要な全体の面積は1万5、272ヘクタールとなっております。平成24年度は74.8%、6万1、070ヘクタールの除染作業が行われたと聞いております。問題は、この除染のできない急傾斜地、岩盤で機械が入れない、そういう牧草地であります。それが全体で2、223ヘクタールもあると聞いております。
 そこで、この耕起不能牧草地の現状と対応についてお伺いしたいと思っております。現在どのようになっているのかというようなことをお聞きいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 耕起不能牧草地の現状と対応についてでございますが、牧草地の除染作業と並行いたしまして、対象となる全圃場の現地確認の結果、主に公共放牧地を中心としまして、急傾斜や岩盤等によりまして、機械が入らないなどの理由で耕起不能箇所と判断された牧草地が、委員おっしゃるとおり、全体で2、223ヘクタール確認されてございます。
 耕起不能箇所につきましては、個別箇所ごとに、関係団体等と協議をいたしながら、利用継続等の方針を定めまして、順次、必要な対策を講じていくことにしてございます。
 協議の結果、草地として利用を中止する場合の牧柵等で隔離するための経費等につきましては平成25年度の当初予算に盛り込んでおりますが、引き続き、国や他県での取り組み状況や知見の収集に努めるなど、耕起不能箇所への対策に取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。ぜひ、これを積極的に進めてほしいと思っているところでもあります。
 そこで、平成25年度の除染計画と、それから、今後の見通しについてお伺いいたします。今年度は8、244ヘクタールの面積の予定と伺っておりますが、計画ですけれども、これは、今年度8、244ヘクタールで、耕起不能分の924ヘクタールを引くと全体的には84.2%の進捗率になっております。
 そこで、この除染計画の今後の見通しについてお伺いいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 平成25年度の除染計画と見通しについてでございますが、飼料の暫定許容値を超過した牧草地の除染につきまして、今年度の除染実施面積は、計画8、244ヘクタールから耕起不能箇所と判断されました924ヘクタールを差し引いた7、320ヘクタールに対しまして、6、170ヘクタールとなってございます。
 除染が必要な全体面積1万5、272ヘクタールのうち、耕起不能箇所と判断された牧草地が2、223ヘクタールでございますので、今年度除染した6、170ヘクタールを引きますと、平成25年度以降の除染面積は6、879ヘクタールとなりますが、24年度の除染実績、そして2回目の除染箇所等を反映させ、25年度以降の除染工程表を年度内に見直すということで今進めておりまして、県牧草地除染マニュアルや国等の知見を踏まえ、十分な除染効果が発揮できるように丁寧に牧草地の除染を進め、平成25年度中には農家委託施工分については完了させてまいります。
〇工藤勝子委員 この除染事業に関しては多額の予算を使っていると思っておりますし、非常にこれは、県単独事業というところに丸もついているわけでありまして、これは、結局は原発事故によってこういう事業を行わなければならなくなったわけでありますので、これに対して東電からの補償の状況はどうなっているのか、いつごろ入ってくるものなのか見当がつかないのかもしれませんけれども、どのような形で請求をしているのか、その辺の状況についてお伺いいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 除染事業におけます東電への賠償請求の状況についてでございますけれども、牧草地の除染に係る経費の賠償については、国と東京電力との間で考え方が整理されておりまして、除染工程内容の確認や除染作業で生じた機械の破損に係る修理経費を賠償対象とすることなども含めまして、東京電力との調整は終了しているところでございます。
 県では、県単の牧草地再生対策事業を創設いたしまして、農家の負担が生じないよう牧草地の除染を進めており、東京電力への賠償請求については、除染実績が確定の都度、県が行うことにしてございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、しっかりと資料をまとめて、国にも話しかけなければならないでしょうし、東電のほうから、この除染に係る経費をしっかりと獲得してほしいという思いであります。
 あとは、遠野においても、どこかの地域もそうかもしれませんけれども、牧草地が、春になると新しい芽が出てきて、雑草がなくなって非常に良好な草地によみがえる、私はそう思っております。去年の早目に除染した方々は、もう秋にはかなりいい牧草地になるなと思って見ておりました。
 ただ、これが、非常に栄養価も高くて、これに鹿対策なんですね。遠野は余り雪が多いわけじゃありませんので、草地を、雪をかき分けて、鹿も生きなければならないですので、そして、現状として、掘りながら食べているんですね。そして、雪が解けてまいりましたので、今度は一斉に山からおりてきます。そしてまた、栄養価が高くなりますので繁殖力がまたよくなるんですね。そうすると、また一斉にニホンジカがふえる。カモシカの被害も同じであります。
 そういう段階において、ぜひ、公営牧場は、もともと牧場ですので電気牧柵みたいなものを張っておりますから入らないのかもしれませんけれども、個人の牧草地はそうじゃありません。面積も大きいんですね。
 そこで、いろいろ田んぼとか畑のほうには、集団で、地域において防護柵を張っている状況が見られますけれども、この除染された草地に対してのこういう防護柵の考え方はあるのでしょうかというようなところをお聞きしたいと思っております。
〇千葉担い手対策課長 除染後の牧草地におけます野生動物の対策についてでございます。
 侵入防止柵でございますけれども、侵入防止柵につきましては、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用しまして、これまでも設置を進めてきたところでございます。この事業を使うに当たりましては、3戸以上の受益者の方が対象になるということでございますので、3戸以上の方で、まず一つは、共同管理をしていただくような体制をつくっていただくことが必要でございますし、また、この国庫の対象にならない場合については、県単事業も、少額ではございますけれどもお願いしてございますので、その辺の活用について進めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 ありがとうございます。ぜひ、申請があった市町村に対して、こういう防護柵が農林水産部の予算でしっかりと守られて、被害をできるだけ、遠野においては、この牧草地の被害が一番大きいわけでありまして、一番草、一番いい牧草をとれないという状況になってきている畜産農家もございますので、その辺のところをぜひしっかりと対応していただければと思っているところであります。
 また、この原発事故によって農林水産物に与えた被害が非常に大きいと思っております。この風評被害についてお伺いいたします。
 これから春になって、どんどん山菜等もとれるようになってくるわけですけれども、これに対しての東電からの補償はありません。結局は、自分たちで栽培しているものじゃありませんので、自然からいただいてくる、自然の恵みをいただいて販売している人たちも産直なんかであるんですけれども、これがもう販売できないような状況。検査をすれば、今年度はどうなるかわかりませんけれども、この風評被害にまとめられた農林水産物の金額等についてお伺いいたしますし、一番影響が大きかったのは畜産ではないかと思っているんですが、大きかった農林水産物について、シイタケもありますが、お聞かせいただきたいと思っております。
 ちょっと通告しませんでしたけれども、海外向けという関係で、海外に出荷している、輸出している農林水産物に与えた風評被害もあるのか、まとめてお伺いいたします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 風評被害としてまとめられた金額ということでお尋ねでございますが、これまでこちらで捉えておりますのは、JA協議会等が東京電力に損害賠償請求した金額というもののうち、風評被害分は13億8、000万円余となってございます。
 それから、風評被害のうち、特に影響の大きかったいわゆる農林畜産物についてでございますが、特に影響の大きかったものは、畜産物の子牛や妊娠牛、成牛、それから林産物の生シイタケ、干しシイタケとなっております。
 なお、干しシイタケにおきましては、価格が原発事故前の2割程度まで低下するなど、特に影響が大きくなってございます。
〇泉流通課総括課長 農林水産物の輸出に対する影響というお尋ねかと思います。
 各国では、日本の食品につきまして、一部、都とか県の食品を輸入停止にしておりますほか、公的機関が発行する証明書の提出を求められております。現地での通関等に独自に放射性物質の検査を実施するなど、輸入制限の強化を継続しているところでございます。
 また、海外の市場におきましては、円高や風評被害の影響で、日本産食品全般の輸出が減少しておりましたが、今、一部回復の兆しも見られているところでございます。
 本県におきましては、シンガポール向けに県産米、それから牛肉を震災前から継続輸出しておりましたが、震災の影響で、平成23年8月には、一時的に県産牛肉が出荷停止となり輸出が中断したものの、輸出が再開され、順調に牛肉と米の輸出は現在でも続いております。徐々に回復していくものと見込んでおります。
〇工藤勝子委員 東電からの賠償の関係は、JAでまとめられている13億8、000万円余となっております。多分これは、JAのほかに、私もそうですけれども個人で東電にじかに被害額を出して賠償してもらっている部分があります。多分県内には、産直等でまとめられない、JAとは関係なくやっている個人の農家の人たちもあると思っております。それを含めるとまだ大きいんじゃないか、私はそう思っております。そういう部分もどこかの時点できちっと岩手県の全体の被害額として調査する必要があるのではないかと思っているところでもあります。
 そして、一部回復もしてきているわけですけれども、今後、2年以上経過して3年目に入ってきておりますし、県産農林産物の安全・安心、そのおいしさも含めて情報発信、こういうところにお金を使ってやらなければならないんじゃないかと思っております。そして信頼を回復していかなければならないと思っておりますので、今後の情報発信の強化について農林水産部としてどう取り組むかお伺いいたします。
〇泉流通課総括課長 農林水産物の被害に対する情報発信の強化についてでございますが、県ではこれまで、風評被害の防止に向けまして、県産農林水産物の安全性の確保やその取り組み、生産者が一生懸命な姿をPRするポスターを作成いたしまして首都圏等で広く情報発信するとともに、実際の取引に結びつけるための商談会の開催のほか、県内外で生産者団体と連携した牛肉や海産物の試食販売会などの消費者へのPR活動に取り組んできたところでございます。
 今後におきましては、これまでの取り組みに加えまして、総務部、商工労働観光部と連携いたしましていわてブランド再生推進事業を実施いたしまして、県内外で行われます県産品フェアや全国的な広報誌など、あらゆる機会、媒体を活用しながら消費者に対しまして安全・安心でおいしい本県の農林水産物をアピールしていくとともに、実需者に対しまして、県産品を紹介するカタログの配布や産地の見学会による生産者との交流の機会の提供などをいたしまして、積極的に情報発信をしてまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 今、工藤勝子委員から放射能問題に絞られて質問がありました。私も用意しておりましたが、ほとんどダブっていますので、ダブっている部分は除きまして質問したいと思います。
 まず、TPP参加の問題でございます。
 政府においてはあのような表明ということで大きな波紋を投げかけておりますが、実は若い人に聞いてみますと、TPP自体がなかなかわからないということでそこから教えておりますが、このTPP参加による岩手県農業への影響はどうなのか、はっきりと示していかなければならないと思っております。
 それで質問いたします。岩手農業に対するTPPの影響はどうでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 TPPへの参加による岩手県農業への影響についてでございますが、本県農業への影響について、3月15日に政府統一試算として国が行った計算方法を参考に試算しましたところ、農産物では、米が312億円、小麦が3億円、牛肉が91億円、乳牛が214億円、豚肉が163億円、鶏肉が95億円、鶏卵が21億円の計899億円、本県農業生産額の約37%に相当する額が減少することとなります。
〇及川幸子委員 この数字は随分変わるものだと思っております。この間の統一地方選挙のときにいただいていた資料とはちょっと違っていますけれども、大分少なくなっているのでびっくりしました。
 この影響というのは、米とか麦、牛肉、豚肉、鶏肉、卵、全て影響があるんですけれども、私が子供たちにどういう影響なのか話していく場合、この数字をはっきり出していかなければならないと思っております。このTPP参加による岩手への影響はわかりましたが、同じく自給率の低下も絶対あると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
〇東大野農林水産部長 食料自給率の関係の政府試算でございますが、同じく3月15日に公表した国の試算では、TPPへの参加ということで、食料自給率は、現在、平成21年度のカロリーベースで40%と計算されておりますが、それが27%に減少するという試算が公表されました。
〇及川幸子委員 これは本当に喜んでいられない表明だったと思うんです。農業関係だけではなく、いろいろな団体に影響を及ぼすものだと思っております。大体27%になった時点で、いざ海外から物が入らなくなって、日本農業、岩手県で何をつくれと言われても、なかなかすぐにはつくれない状況じゃないかと思うんですが、恐らく大変であろう自給率の低下、これに対してはどういう対策をとろうという考えでしょうか、今の時点で。
〇東大野農林水産部長 食料自給率低下については試算でございますが、農林水産業の振興、それから安全な食料の供給といった観点からは、食料自給率は、TPP参加の有無にかかわらず、向上を図るための取り組みは継続されるべきものと考えてございます。
〇及川幸子委員 部長から今、出ました。一番重要なのは、このTPP参加によって、果たして安全・安心な農畜産物が私たちの手に入るのかということ。そのための施策がいろいろとられておりますが、岩手農業を守るため、そして、安全・安心な農畜産物を守るためいろいろな施策をとっておりますが、その内容をお示しいただきたいと思います。
〇工藤農業振興課総括課長 安全・安心な農産物の生産、流通、そのための施策ということでございますが、県では、生産者が意欲を持って生産活動ができるよう、また、消費者へ安全な県産農産物を提供するという観点からの取り組みを進めております。
 生産面におきましては、例えば、今、放射能汚染という問題があるわけですが、牧草地の除染を進めるということ、あるいは放射性物質影響防止のための農作物生産管理マニュアルに基づきまして生産管理の徹底をするということ、それから流通、販売においては、農畜産物の放射性物質濃度の計画的な検査を実施し、適切な情報公開をするという取り組みをしておるところでございますし、今後も続けてまいりたいと思っています。
 あわせて、生産者団体と連携しまして、県内外で行われる農産品フェアや全国的な広報誌などを活用しながら、安全・安心でおいしい県産農産物を積極的にアピールするというふうな評価向上と販路の拡大を図っていく取り組みを進めておるところでございますし、今後ともこの継続をして取り組みを進めてまいる考えでおります。
〇及川幸子委員 相当頑張らないと、このTPP参加が11カ国ですよね。日本が表明してそのまま進みますと、日本農業が本当に破壊されると思っております。若い人たちに聞きますと、安全・安心なものが並んでいるのと値段とどっちをとるかといったら、安全・安心は見た目じゃわからないんですよね。ですから、値段の安いほうをとります。タマネギ、例えば中国からのものが5分の1です。日本のその辺で売っているのが約5倍です。私どもはわかっていますからその5倍のほうを買いますけれども、若い人は食料品にそんなにかけていられないということで安いものを買うんですね。表示は義務づけられておりますけれども、お店に行って裏を見ますと全然表示がないのがまだあるんです。その辺のところはどうなんでしょうか。表示、生産地。
〇東大野農林水産部長 食品流通の関係の表示につきましては当部所管ではありませんで食品安全を所管する部局での指導になりますけれども、守るべきルールは定まってございますので、それに従った表示がされるべきと当部では考えてございます。
〇及川幸子委員 安全・安心な農畜産物ということで全面的に出していくので今、表示のことを言ったんです。私ども消費者は、やっぱり裏を見ます。どこの生産地だったのか、農薬をどのくらい使っているのかということがとても気になるんです。ですから、ほかの部局、ほかの課かもしれませんけれども、それは大変大事なことだと思います。ましてTPP参加となりますとその辺のところが大変破られると思いますので、部長、どうぞこのTPP参加、何日もたっていないんですけれども、それに向けて部局を挙げての対策などをとられる気はないかどうかお聞きします。
〇東大野農林水産部長 TPPの関連でございますが、県として、国に対して、地域における集落営農、それから6次産業化の取り組みの努力が結ばれるような方向で農林水産業の再生強化が図られるような施策を講ずること、そして、東日本大震災津波の問題もございます。そのようなことに十分配慮すること、さらには国益にそぐわないようなそういった交渉を行わないことについては強く求めることとしてございます。
〇及川幸子委員 先ほども話題になりましたが、放射能によって汚染されている農畜産物でございます。それに来たTPP参加の表明、本当にダブルパンチで来ると思いますので、大きな目を開いて、部長どうぞ、異動される方もいらっしゃると思いますが、この部の総力で取り組んでいただきたいということを申し上げて終わります。
〇工藤勝博委員 私は、大きく二つに分けてお聞きいたします。
 国では、平成25年の農林水産予算を前年から5.7%増の2兆2、976億円を計上しておりますけれども、それに合わせて県の農業施策はどのように変わるのか、何点かあわせてお伺いいたしたいと思います。
 一つは、県の農業産出額はここ数年減少傾向にあります。そういう中で全国第12位の産出額でありますけれども、ピークは昭和60年の3、600億円という時代もありました。そういうことも含めて、平成25年度の目標とする産出額をどのようにはじいておりますかお聞きいたします。
〇工藤農業振興課総括課長 農業産出額の目標についてでございますが、御案内のとおり、本県の農業産出額は、近年、生産力の低下などの原因から減少してきております。本県の農業が持続的に発展していくためこの減少傾向に歯どめをかける必要があることから、いわて県民計画第2期アクションプランにおきまして、産出額を平成26年におきまして2、500億円という目標を定めて取り組んでいるところでございます。
 御質問のありました平成25年という途中の部分はございませんが、平成26年として2、500億円と定め、この目標の実現のために、売れる米づくりの徹底、あるいは確実な販路の確保によりまして米の産出額を平成21年の水準にする。それから、園芸、畜産部門を中心に産出額の向上を図ることを想定しまして、県の予算もそういうことで計画しておるところでございます。
〇工藤勝博委員 戸別所得補償が本格実施されてから米の収入も若干ふえる傾向にもありますけれども、いずれ抜本的な対策をしないと、園芸なり畜産は本当に大変な状況にもなってくるだろうと思います。
 そういう中で、目標を達成するための生産基盤の現状と、それぞれの課題もあるかと思います。その点をお聞きしたいと思います。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 本県の農業生産基盤の現状と農業産出額の目標達成に向けた取り組みと課題でございます。
 水田につきましては、30アール区画、いわゆる3反歩区画以上の整備率が、東北平均は63%でありますけれども、本県は10ポイント以上も下回る50%そこそこという状況でございます。東北で一番低いという中にあります。また、水田整備とあわせて実施されることが多い暗渠排水を含めた排水改良もおくれておりまして、小麦とか大豆の単収、それから品質が低いということで、単収についても東北平均を2割ほど下回っている状況にあります。
 そこで、県としましては、水田の大区画化あるいは農地の利用集積とあわせて、転作水田における麦、大豆とか園芸作物の品質、単収の向上に効果があります排水改良を進めてまいりたいと思っておりまして、そのための圃場整備を重点的に推進しているところでございます。
 また、畑地におけるかんがい施設の整備につきましても全国とか東北に比べて立ちおくれておりますけれども、近年、夏場に高温あるいは少雨という傾向が際立ってきておりますので、畑作物の収量あるいは品質の確保といった観点からも、かん水の効果を県内の農家の方々に広くPRしながら、特に県北あるいは県南の畑作地帯を中心にこういうふうな畑地かんがいの整備も進めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 民主党政権時代にかなり基盤整備事業も削られたのが復活しそうだということでその事業も進むだろうと思いますけれども、先ほど課長お話のように、水田にとっては田畑輪換できるような基盤整備をしないと、なかなか麦、大豆の生産が上がらないということが実際あります。それにあわせて、今後どのような規模で平成25年度は実施なされるのかお聞きしたいと思います。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 委員御指摘のとおり、これまで農業農村整備の予算は、平成22年度当初に前年の3分の1というかなり大幅な縮減があったわけですけれども、そのことも踏まえつつ、県の中では、何とか国の予算の落ち込みをとどめようということで、交付金をいただくとか、そういうふうなことを工夫しながら何とかしのいでまいりました。ただ、そうはいっても前年を下回るような予算が続いてきておりましたので、これまでは限られた予算を継続地区の進捗に向けるということで進めてまいりましたけれども、今回、予算確保というめどが立ちつつありますので、これからはやや抑えぎみでありました新規地区の創出というところにも目を向けまして、新しい地区をどんどん出していきたいと思っております。これまで地域の中では新規を出してほしい、やってほしいという要望があったわけですけれども、どうしても抑えぎみだったわけです。これから、関係する土地改良区あるいは市町村の皆さんと連携しながら、新しい地区をどんどん出していって地域農業の振興に努めてまいりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 各地区では、集落営農、営農組合が立ち上がっております。そこを中心としてこれからの経営を発展させるには基盤整備が何よりも大事かなと思っておりますし、水路も含めて土地利用計画ができやすいような状況にしないと、なかなかコストも下がらないし、それに集積すると言ってもなかなか難しい面があるだろうと思います。そういうのは本当にできるだけ早く完成してもらいたいと思います。その2、500億円の復活も目指して、そういうものは大事だろうと思います。
 次に、先ほど海外販売戦略の話もありました。いずれ攻めの農業をするには、国内市場だけでは無理な面もあるだろう、海外に目を向ける部分もあるだろうという思いもあります。そういう中で、畜産では当初アメリカ向けの輸出も計画しておったわけですけれども、放射能の影響とか、あるいはまたいろいろな部分で途中できなかったわけですけれども、再度、昨年からまた復活したということもあります。また、米なり、あるいはまた園芸品目なり、ぼちぼち出ているとは思います。それらを強力に進めるための施策として、どのような考えでこれから取り組もうとしているのかお伺いしたいと思います。
〇泉流通課総括課長 海外の販売戦略についてでございます。
 県の農畜産物の輸出につきましては、平成10年ころからリンドウあるいはリンゴを中心に輸出に取り組みまして、徐々に輸出額が伸び始めまして、平成17年には3億3、000万円ほどの輸出額となってございます。その後は、世界経済の減速や昨年度の原発事故の影響を受けまして、平成23年度は約1億円まで減少してございます。
 一方、米と牛肉につきましては、委員のおっしゃるとおり東南アジア等をターゲットといたしまして、商談会の開催やバイヤー招聘、販売促進活動等に取り組んできた結果、現地の日本食チェーン店におきまして新たな年間取引が開始されるなど、輸出額は今現在、増加傾向にございます。
 国内市場が飽和傾向にある中で、安全で高品質な県農畜産物の輸出を促進することは、生産拡大を通じた生産者の所得向上にもつながる。そればかりにとどまらず、国内市場における本県の農畜産物の評価向上にもつながるということで、本県の農業振興にとって海外販路の拡大は重要な課題だと位置づけてございます。
 輸出先におけます国内の他地域との競合も激化しておりまして、より戦略的な輸出の展開が重要となってきております。今後とも、官民で構成しますいわて農林水産物輸出促進協議会を主体といたしまして、攻めの農林水産業を標榜する国の補助事業も活用しながら、商社等の専門家を活用いたしました海外実需者とのマッチング支援、これまでの東南アジアにおける輸出を足がかりとしました新規取引先の開拓、さらには現地小売店のフェアや実需者との商談会の開催など、輸出促進に向けた支援を積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 この海外戦略に関しては、隣の青森県はリンゴとか長芋等でかなり実績を上げておりますし、北海道でも、ある農協では長芋を当初、台湾に輸出していたのが、台湾も飽和状態だということでアメリカ本土に輸出、アメリカでも日本の食文化が大変受け入れられているということで、大変実績も上がっているようなことを聞いております。
 いずれそういうことも含めて、農業産出額がふえる、そういう関連の事業もこれからぜひ必要だろうと思いますし、知事も東南アジアに何回か行ってセールスしておりますけれども、実際そのセールスの効果はどの程度あったかお聞きしたいと思います。
〇泉流通課総括課長 知事のトップセールスの成果ということでございますが、知事が海外に行っての岩手県フェアというのは、最初の取引の段階で、相手方の量販店、外国のスーパーが実施するということで、そこで我々岩手県の食材を輸入していただくことで、そこでの売り上げというものが、一時的ではありますが、知事が行くことによって購入していただいております。我々は、それを引き続き逓増的なものに努めていきたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 そういう足がかりをつくった、それは確かに評価しなければならないと思いますけれども、その後のサポートをする分野ではどのように県のほうでかかわっているのか、もしわかればお聞きしたいと思います。
〇泉流通課総括課長 知事がトップセールスに参りまして岩手フェアを開催いたしますが、その後につきましては、先ほど申し述べましたいわて農林水産物輸出促進協議会のメンバーにおきまして、お酒とかお米、リンゴを各農協が中心になりまして、定期的に毎年度、12月のリンゴの時期だとか新米の時期であります10月とか、そういった時期に、年1回ではございますがそのフェアに直接生産者の方が行きまして、現地で岩手の安全・安心なものを販売促進するということをやってございます。
〇工藤勝博委員 視点を変えますけれども、オランダは世界第2位の農産物の輸出大国です。面積は九州ぐらいしかないわけですけれども、それが世界第2位といえば本当に農業国だと言われると思いますけれども、その一つはやっぱり農業技術の進歩にあると思いますし、そこから大きなシェアが広がるのかなという思いもしております。そういうことも含めて、県でも内向きではない、外に向けた大胆な発想の取り組みをしていただければいいと思っております。
 次に、これまた別項目ですけれども、強い農業づくりの対策ということで、従来からあった強い農業づくり対策の中でのそれぞれの事業があるわけですけれども、一つは、私が現役のときもそうでしたけれども、昭和60年代、農業産出額が多いときに、どの産地でも集出荷施設とか予冷施設をつくっておりました。それが20年、25年たって老朽化した施設がどんどんふえて、それを更新できないままずるずる来ておるところもあります。そういう中で、今後の産地づくりをするためにも、ぜひともそういう施設の更新も含めて、新たな消費者対応あるいはまた販売対応も考えていかなければならないと思いますけれども、それらを支援する枠組みというのはどのような状況なのかお伺いしいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 農協等が保有しております農産物の集出荷施設あるいは選果施設、予冷施設などは、やはり生産地からの物流を合理化するとか、あとは品質を均一にする、鮮度保持をやるということで、非常に産地のネックといいますか、重要なものと認識してございます。
 今、国の事業メニューでございますけれども、このような施設は、単なる入れかえ─更新というものは認められませんが、例えばスピードアップするなどによって流通コストの低減などに資する─これも機能強化という言い方をしてございますが、これについては助成の対象となります。こういうことから、市町村とも十分連携しながら、この事業の活用を農協等と十分検討して効果的な整備を進めていきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 特に青果物の場合、流通の進歩も速く進んでおります。いかにいいものをいい状態で消費者に届けられるかということも産地としての一つの役割だと思いますし、そういう基盤となる施設整備には、十分意を酌んでもらって産地づくりに貢献してもらいたいと思います。
 それとあわせて産地の強化対策ということでお聞きしたいと思いますけれども、今の各農協─JAの生産組織、生産部会は、高齢化あるいはまた農家の減少ということで、組織をうたっているけれどもなかなか実態は力が伴っていないというのが散見されます。そういう組織対応についての指導力といいますか指導はどのようにこれから考えていくのか伺いたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 工藤委員がお話しのとおり、やはりそれぞれの部会、それぞれの産地ごとに強いところ弱いところがございまして、例えば県南の一部、具体的にはいわい東でございますけれども、営農指導と、あとは農協の教える方とかなり密接に連携して、青年部などが展示圃をやって生産性を上げるという県内でもモデル的な取り組みがなされてございます。こうした取り組みをきちっと県内─ほかにもございますけれども─に普及しまして、それぞれの部会を強化していくことが重要と考えております。それを進めてまいります。
〇工藤勝博委員 ぜひそういうすばらしいモデル、組織はみんなに広めていかないと、内輪だけで、ああ、だめだ、だめだ、大変だ、大変だというのは議論されるわけですけれども、実際こういうこともあるんだよと。こういう部会ではこういう取り組みをしている、そういう背中を押すような取り組みをぜひともやっていただきたいと思います。
 それから、毎度私も質問させてもらいますけれども、岩手県にはすばらしい施設の試験研究機関があります。これがまだ有効に使われていないんじゃないかという思いがありますけれども、その辺の取り組みといいますか、実績も含めて研究センターの状況をお聞きしたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 農業研究センターにおきましては、立派な施設を整備して、体制も整備して取り組んでまいっております。研究体制も、組織化、体系化、そして課題をきちっと設定して、その中での体系的、計画的な研究計画を持って取り組んでいるところであります。人員の問題ですとか予算の問題ですとかある中でいろいろ工夫して取り組んでまいっておりまして、成果におきましては、大豆の小畦立て播種栽培ですとか、それからリンゴの─今回出ますけれども、紅いわてですとか、それから畜産の種雄牛の関係、それから、今かなり普及が拡大しておりますけれども、米の直播栽培につきましても先進的農業者と共同してかなり成果を上げて、一般慣行並みの収量まで上げて、それから園芸でも、特許技術、これらを特許をとっていまして、これから施設園芸については、例えば高田の施設園芸団地ではこの特許技術を使っていくという予定になっておりますので、まだ見えない部分はあるかもしれませんが、これから見えてくる部分も結構あるものと思いますし、そのようになるようにさらに気を引き締めて、施設だけじゃないかと言われないように、これから成果も見せて、今の農業のTPP初め、この難局に試験研究、普及、そして地域の関係者が力を合わせて取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 いずれ技術革新をしていかないと農業生産力の向上には結びつかないと思いますし、せっかくのいい施設を活用しながら、新たなエンジンの発信をする場が私は研究センターの役割だと思っていますので、予算がないとか人員が足りないとかというそんな後ろ向きじゃなく、ぜひとも積極的にやってもらいたいと思います。それとあわせて、普及センターの皆さんが現地で一生懸命頑張っているのはわかるんですけれども、なかなかそれが実を結んでいないのも実態であると思いますので、その辺も含めて平成25年度はさらに力を注いでもらいたいと思います。
 最後になりますけれども、昭和45年あたりの米の減反政策から始まって、農業が曲がり角と言われた時期が何回もあります。ただ、今回のTPPの問題も含めて、平成25年は崖っ縁かなという思いもしております。その崖っ縁の中で岩手県の農業振興を考える場合に、もっと県においては、しっかりとした方針といいますか、いわて県民計画にはあるんですけれども、もっと長いスパンでいろいろ組み立てる必要があるだろうと私は考えております。そういうことも含めて、部長、農業振興計画がないのは東北で岩手県だけなんですよね。基本計画の推進条例みたいなのが。そういう点で部長はどのようにお考えになっているのかお聞きして終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 農業に係る基本計画のお尋ねでございますが、本県は、従前は各部がそれぞれの分野の基本計画を持ち、その上で県としての総合計画が策定されるといった構造の中で各種分野の施策を推進してまいりました。その後、県全体としての施策の計画をどう立案していくかという中で、重複する部分が多いということで今は総合計画に集約されている。各分野の計画推進も含めて総合計画で計画するといったやり方を今、県として採用している方法でございます。
 私どもとしては、全体の方針もございますが、各分野の計画立案に当たっては、もちろん農林水産業、農業の振興をいかにするかという議論を重ねた上で計画は策定してございますので、内容的に従前の個別分野計画があったときと比べて遜色があるといったような姿勢で計画を策定しているつもりもございませんし、本県の農林水産業、農業が将来に向かって発展していけるようにいかに取り組むべきかという点で検討し、計画を策定しているということで御理解願いたいと思います。
〇工藤勝博委員 最後にお聞きします。
 2年前の東日本大震災津波からの復興にもかかわりながら、1次産業、特にも沿岸も悲惨な状況なわけですけれども、それらを含めて、岩手の農業振興、林業、漁業も含めて、目印になるような部分をきちっと作成していければなという思いもしておりますので、よろしくお願いして終わりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 予算の中身についてお尋ねしたいと思います。
 被災地域農業復興総合支援事業という事業がありますが、実施期間が平成23年度から平成27年度までという内容のようです。沿岸地域の振興に関する事業としての位置づけでもあるようでありますが、この内容についてお尋ねしたいと思います。
〇工藤農業振興課総括課長 被災地域農業復興総合支援事業の内容についてでございますが、この事業は東日本大震災復興交付金の構成事業のうちの一つでございまして、被災市町村が復興プランに掲げた農業復興を実現するために行う被災農業者等への貸与等を目的とした、農業用施設、機械の整備を支援するものでございます。国庫交付率は事業費の4分の3となってございまして、その残額の4分の1につきましては特別地方交付税により全額措置されることになっておりまして、実質、市町村の負担のない事業でございます。
〇嵯峨壱朗委員 平成24年度は3億2、644万1、000円で来年度は14億5、702万4、000円とかなりの金額がふえているわけですけれども、これは、特別な理由があるというか、受けるほうで事業が固まってきてこうしたいということなんだろうと思うんですけれども、もう少し具体的に説明してもらえればと思います。
〇工藤農業振興課総括課長 平成25年度に予算計上されている事業費は14億6、000万円ですが、この内容は、平成24年度に採択されて平成25年度に実施するもの、それから平成25年度にこれから申請し採択を予定しているものということで、言うなればちょっと幅広の期間で申請が上がってきているものもございますので、事業費とすれば大きくなっておる部分がございます。
 市町村からの要望も踏まえながら、そういうふうに年度ごとに予算措置をしているものでございますし、特に平成25年の特徴として、今ある要望額で申し上げますと、一部の市町村でちょっと大きい園芸の施設をつくるという計画がございますので、その分の事業費の増嵩というところがございます。
〇嵯峨壱朗委員 悪いことではなくていいことだと思って聞いているんですけれども、これは、所有者は市町村という形になっていますね。全額国庫補助ですからそういうことになっているのかもしれないんですけれども、使い勝手として、使うほうとすれば、確かに所有者は市町村かもしれないけれども、どういうふうに使っていくのか、どういう団体が使っていくのか、それも説明してもらえればと思います。
〇工藤農業振興課総括課長 先ほど申し上げましたとおり市町村が整備して貸与するという形になってございますので、例えば沿岸部の市町村の例でございますが、補助整備して復旧したところに営農組合、営農組織を整備しましてそちらに貸与するという形で取り組まれている事例はございます。いずれおっしゃるとおり市町村の所有ということで、それを貸与しながら活用していくという仕組みのものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 まだ固まり切っていないということなんでしょうけれども、恐らく具体的に答えられないというのはそういうことだと思うんです。結局、市町村が所有するわけですけれども、管理とかメンテナンスというのは、その責任は当然使用者が全部負ってやるという理解でいいんですか。
〇工藤農業振興課総括課長 そういう個々具体のところにつきましては市町村と借りる側の組織の中でお決めいただくということになると思いますが、一般的には、使う側がそこの経費を負担しながらやられているものと理解しております。
〇嵯峨壱朗委員 沿岸地域だろうということで関心があって聞いたんですけれども、また詰まってきたらおいおい確認したいと思いますので。市町村が所有、意外と珍しいケースかなと思っているんです、こういったやり方というのは。実際に使う側に管理がうまくいくように指導していっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次ですけれども、いわてブランド再生推進事業というのがございます。これは予算額で見ると平成25年度3、155万円ですか、新規事業になっておりますけれども、この内容について説明願いたいと思います。
〇泉流通課総括課長 いわてブランド再生推進事業につきましては、県産農林水産物等の販路の回復、拡大を図るため、全国の消費者を対象といたしまして県産農林水産物の安全・安心を発信するとともに、バイヤーを対象といたしました商談会、産地見学会等を開催するものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 シンプルな説明でよかったんですけれども、商工労働観光部にも流通課のいわてブランド再生推進事業というほぼ同名の事業があるわけですけれども、これはどこが違って何の差異があるのか、それについてお尋ねします。
〇泉流通課総括課長 この事業は、岩手県の失われた販路の回復、あるいはブランドをさらに高めるということで、総務部、商工労働観光部、農林水産部が連携して実施する事業でございます。
 農林水産部においては、料理の専門雑誌等を活用した情報発信、それから実需者を対象といたしました商談会、産地見学会の開催、それから首都圏の消費者を対象とした岩手フェア等の物産展を開催するものでございます。
 一方、商工労働観光部におきましては、首都圏での物産展のほか、県のアンテナショップでのイベント、楽天市場を活用したウエブ物産展、それから実需者との商談会、さらに総務部におきましては、女性雑誌等を活用した消費者への情報発信と、それぞれの対象者あるいはそれぞれの持つ分野におきまして、それぞれが分担して事業を実施しまして総合的に岩手のブランドを上げていこうという事業でございます。
〇嵯峨壱朗委員 最初からそう説明してもらえればよかったと思います。
 そういった部局横断的に、いろいろな要素、放射性物質の影響、風評被害に対する対応、そしてまた従来からの販路拡大というのもあるでしょうし、いつも商工労働観光部サイドで、例えば物産展等、消費者に訴える場をきっちりと確保していく必要があるんじゃないかという話をしてまいりました。首都圏の、特に大型の地域一番店といいますか、そういったところでやることの効果は、インターネットが普及しても、やはりその位置づけによって、どこで売るかによって、その農産品なり特産品の位置づけというのは大体消費者って決まってしまうんですよね。ですから、なるべく高いところから落としていかないとその価値が上がっていかない、というか下がってしまうという面があります、特に東京のほうですと。ですから、この百貨店等の物産展の支援もするという内容で、商工労働観光部サイドもそうです、農林水産部もそうですけれども、これは実際にはどういった形でやっていくのか、わかればお知らせ願いたいと思います。
〇泉流通課総括課長 首都圏のデパート等における物産展につきましては、現在も商工労働観光部におきまして物産展を開催しております。我が農林水産部は、実需者、生産者が直接、小売店等のバイヤーに購入していただけるような商談会を開催しようと考えてございます。商談会は、夏に盛岡での大商談会ということで開催いたしますし、そのほか、平成24年度に初めて東京で開催したものを来年度も引き続き開催するとともに、商工労働観光部と連携いたしまして、これまで大阪、福岡で実施しておりました商談会も今年度同様一緒に開催いたしまして、県産品の消費拡大と販路の拡大を図りたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 最後ですけれども、前々から言っていますけれども、海外に売るのも、先ほどの質問で、1億円でしたか、大分下がってきてという話がありましたね、1次産品なのかわかりませんけれども。恐らく利益とかコストの計算からすると国内で流通させたほうがはるかにいいはずです、グロスからいっても。私は非常にいつも疑問に思っているんですけれども、ぜひ国内で少しでも多くの消費をしてもらうように、お金には海外だの何とかってないですから、そのほうに力を入れていくべきだと私は思います。国内が目いっぱいで、もう売る場所がない、岩手産品がどこにも売れないんだったら香港でもシンガポールでもいいですけれども、いっぱいあるんじゃないですか、売るところ。1億3、000万人も人がいるんだし、岩手のものを全部食ったってすぐなくなりますよね。何で海外で売ろうとするのかさっぱりわからないんですけれども、そういう考えはおかしいですかね。部長、どうですかね、それだけ聞いて終わります。
〇東大野農林水産部長 海外での販売戦略の展開についてでございますが、今、委員から御指摘があったとおり、海外に行っての販売戦略の展開は効率が悪いというのも事実だと思いますし、ただ一方で、生産者の方々の中には海外での展開に活路を見出したいといったような御意見もございます。私たちとしては、方策を一つに絞り込むのではなく、海外での展開可能性も開拓していく。ただ、行政のやることですから、最後の最後、商売ベースに乗せていくのはもちろん生産者の方々や業者の方々ではありますが、道を開くというような意味合いで海外の取り組みを今、展開してございます。
 一方で、国内での販売戦略に注力するべきだという御意見も重々わかります。ただ、そっちのほうの力を抜いてということではなくて、そちらはそちらできっちり展開しつつ、さまざまな販路の可能性を開拓していくのも私たちの仕事の一つだと思っていますので、その一環として海外も展開しているというふうに御理解いただければ幸いです。
〇高橋元委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時52分 休 憩
午後1時2分 再開
〇郷右近浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、この後、本日、審査を予定している部局について延べ15人の質問者が予定されております。
 なお、質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑することとし、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には、関連質疑として、短時間かつ簡潔に行うことを基本とするとともに、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は、原則として行わないよう御協力をお願いいたします。
 また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
〇佐々木順一委員 TPP問題に関しまして何点かお尋ねいたしたいと思います。
 午前中は、及川幸子委員がこのTPP問題に触れまして、影響額等々の質問に対して一部、影響の額が出ましたが、これは後ほどまたお願いしたいと思います。
 まず、部長に聞きますが、国は、TPP交渉参加を表明いたしましたけれども、さらに7月の協議への合流も視野に入れているようであります。つきましては、本県の農林水産業や地域経済、コミュニティのあり方に対してどういう影響があるのか、そしてまた、どういう懸念があるのか、改めて部長の受けとめをお聞きしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 TPP交渉参加の影響でございますが、本県農林水産業の生産に関しては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、大きな影響があるものということと、加えまして地域経済あるいは地域コミュニティに関して、あるいは農山漁村そのものに対しても非常に大きな影響があるものと懸念してございます。
〇佐々木順一委員 いやいや、私の質問をそのまま答えていただきましてありがとうございました。
 それでは、ちょっと具体的に聞きます。ことしですか、農林水産大臣に岩手県として貿易交渉に関するさまざまな要望を行っておりますが、このTPPに関しましては、まず一つは、慎重に対応されたいという趣旨を要望しております。その中で、一つは、国民に対する十分な情報提供を行うこと、それから、国民各層の意見をしっかりと聞いた上で国民的議論を行うこと、3番目が、特に大震災から復興を目指す被災地の活力をいささかも損なうことのないよう対処されたい、この3点を岩手県は要請しておりましたが、これらの3点に対して国は誠意を持って対応されたものでしょうか、部長の認識をまずお伺いします。
〇東大野農林水産部長 TPPに関する県の要請に対する政府の対応についてでございますが、県としてこれまで、先ほど委員から御紹介あったように、TPP交渉への参加につきまして、地方の経済活動あるいは国民生活に与える影響などについて十分に情報開示し、かつ、説明を行って、その上で国民的議論を尽くした上で、東日本大震災津波からの復興を目指す被災地域の活力を損なうことがないように慎重に判断してほしいということにつきまして国に求めてまいりましたが、その対応が不十分なままに交渉参加の表明がなされたものと受けとめております。
〇佐々木順一委員 それでは、違った角度から質問しますが、このさっきの3点について要請したわけでありますが、部長はどういうことを期待していたんでしょうか。不十分で終わったということは、結論はそのとおりなんですが、恐らくこうこう、こういうものを期待したと思います。そのこうこう、こういうものを、一部でもいいですから御披瀝いただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 政府に対する要請についての本県としての期待でありますけれども、本県の農林水産業は、御存じのとおり、地域経済社会を支える基幹産業でございます。その基幹産業として、将来にわたって持続的に発展していけること、これが我々にとっては非常に重要なことだと感じてございますし、あともう一つ、先ほどの答弁と重なりますけれども、本県の今にとって最重要課題でございます東日本大震災津波からの復興について、被災地の活力を奪うようなことがあってはいけない、この二つが政府の判断に対する期待であったと理解しております。
〇佐々木順一委員 それでは、国のほうは参加表明を決断したわけでありますが、一方、岩手県は、慎重に対処されたいということから、表現はですよ、あるいは反対という表現まで幅広いその表現方法はありますが、いずれ交渉参加はよろしくない、これが基本だったと思います。しかしながら、今回の参加表明の決断によって、もう今までと違ったステージに入ったと思います。もう参加を表明したわけでありますからね。だから、参加をするなということはもう通用しなくなったと思いますので、そういう面で局面が変わったと思います。
 ついては、今後、このTPP問題について岩手県としてどうするのか。例えば、活動、運動から撤退するとか、あるいは他の都道府県の議会で決議を上げておりますが、条件闘争に入るのか。簡単に言うと、その主要品目の例外を求めることを要望していくのか、あるいは、引き続き交渉参加の撤退を求めて運動を岩手県として強めていくのか、部長はどういう方針といいますか目標で今後運動を展開していくのか、その基本的な考え方についてお伺いいたします。
〇東大野農林水産部長 今後のTPP交渉参加に関する対応についてでございますが、県として、国に対しては、地域における集落営農あるいは6次産業化などの取り組みのこれまでの努力が、将来にわたっての努力が実を結ぶような方向で農林水産業の再生あるいは強化を図る施策が講ぜられること、それから、大震災津波からの復興途上にある被災地の活力を決して低下させることのないよう十分に配慮すること、さらには、国益にそぐわないような交渉は行わないように強く求めていく考えであります。
〇佐々木順一委員 それでは、国益を損なうような交渉は行わないことということでありますが、それは、例えばどういうことでございますか。
〇東大野農林水産部長 先ほど考え方の基本にあると申し上げた農林水産業が、将来にわたって持続的に発展していける、そういった環境整備が一つであると思っています。
〇佐々木順一委員 それじゃ、極端な話ですが、即時撤回なんていうのを求める考えはあるんでしょうか。
〇東大野農林水産部長 私は、一行政担当部門の責任者でございまして、県全体としてどうするかということについては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
〇佐々木順一委員 ちょっと待ってください。いや、そのとおりです。事務方とすれば、そういうお立場でしか表現できないと思いますので、私も十分理解はいたします。
 それじゃ、ちょっと質問の方向を変えますが、きのう農協など51団体で組織するTPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える岩手県民会議、御承知のとおり、農協とか水産、それから森林組合、それから生協ですね、建設業協会も入っていると思いましたが、この51団体が知事に対して、TPP問題に対して要請をしております。これは新聞報道の範囲でありますが、知事は、対応不十分なまま交渉参加が表明されたことは非常に遺憾である。東日本大震災からの復旧、復興の妨げとなるおそれも大きい。国益にそぐわない交渉は行わないよう強く求めていきたい、こういうコメントを寄せております。
 そこに多分、所管は農林水産部ですから部長も同席されていたものと思います。ついては、この知事のコメントに対し、あるいは知事から部長に、このTPP問題に対して、これから岩手県はこういう方向で進むぞと、あるいは意見具申を部長が求められたのかどうか、それを確認させていただきます。
〇東大野農林水産部長 きのうの要請への対応につきましては、私も同席いたしております。知事からは、今、委員から御紹介があったとおりのコメントの要旨でございまして、私としては、そのコメントしたものが、知事から私たちに対して、これからの取り組むべき方向性を示したものと理解しております。
〇佐々木順一委員 それじゃ、その知事が申されたコメントを、部長はどういう考え方で具体的な行動に移していくのか、今思っていることがあれば、どうぞおっしゃっていただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 TPP交渉自体は、単一分野だけではなく広い分野がかかわってございますので、関係分野の事務方とも意見調整しながら対応していきたいと考えてございます。
〇佐々木順一委員 それでは、今までは政府に対して、全国知事会も含めて、あるいは3月上旬ごろには、北海道と東北の知事会名で反対の要請をしてきております。平たく言いますと、政府に対して要請書を提出して、そこで終わっているわけですね。だから、通常、今までのような行動パターンでは効果は期待できないと私は思います。だから、また違った何か活動をしなければならないと思いますが、それが何なのか、ちょっと私も今、頭の中にはひらめきませんが、例えば、今、農林水産業を含む51団体が県民会議をつくって、そのTPP交渉参加の撤回を求める活動をしているわけです。
 しかしながら、これは民間だけでありますから、しかも、一部、TPPの影響がある、例えば医師会とか、そういったところはまだ51団体の中には入っていないわけであります。いずれにしろ21分野で今、交渉をやっているわけでありますが、今後、出口がどうなるかわかりませんけれども、心配されるところは、混合診療の問題とか、それから健康保険の問題とか、いろいろなことが今心配されておりますから、それで、そうであれば、各業界の団体の皆さんがもっと県民会議に入って、大きな組織体としてこれを母体にして活動しなければならないと私は思います。
 ただ、民間だけではだめなんですよ。ここにやっぱり官も入ってこないと本当の力にはならないと私は思います。例えば、地球温暖化防止岩手県民会議というものが岩手県にありますが、これは、まさに官民挙げて取り組んでいる岩手県民会議なんですよ。あるいは、花巻空港の利用促進期成何とか協議会がありますが、これだって、官民挙げて組織をつくって活動しているわけでありますから、私は、民間の団体のみならず、もうここまで来ると、官も入って、やはりいろいろな活動をしていかなければ、今、部長が心配しているようなものは、また、なし崩し的に葬られる可能性があると思います。よって、活動の母体を51団体の民間のみならず、官まで広げるような工夫をやっぱり岩手県はやるべきだと思いますが、部長はどう思いますか。
〇東大野農林水産部長 今、委員から御提案のあったことにつきまして、なかなか単独の部門だけでは判断しがたい要素がございます。したがいまして、委員の御提案ありましたことを各部にも伝えて、対応を検討してまいりたいと考えます。
〇佐々木順一委員 それじゃ、ちょっと事務的なことを聞きます。午前中、影響額が一部答弁でありました。しかしながら、平成22年の政府の試算では、農林水産物の生産額に対する影響額は4兆円強でありました。今回は3兆円強であります。1兆円強の差がここで生じておりますけれども、この1兆円はどこに消えたわけなんでしょうか。計算の前提が違っているのであれば、それをお示しいただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 今回の政府試算についてでございますが、平成22年度の試算では全世界対象という前提で試算が行われておりましたが、今回の試算は、TPP交渉参加の11カ国に限定して試算されたこととあわせまして、輸出国の米の輸出余力をかために見積もったこと、それから、牛肉等、関税の比較的低い品目については、一部の国産品が残存すると想定したこと、それから、残存する国産品の価格につきまして、安い輸入品価格までは下がらずに、関税相当分だけが低下するといった想定をしたことなどが、差額が生じた理由と説明されています。
〇佐々木順一委員 それでは、部長は、これは妥当なものだと思っていますか。
〇東大野農林水産部長 平成22年度の試算、今回の試算とも、いずれにおいても本県の農林水産業の生産に与える影響は大きなものがございます。そしてまた、ひいては地域経済、地域コミュニティに与える影響も大きいことが懸念されるものでございまして、いずれにいたしましても、そういった大きい影響がある問題だと捉えてございます。
〇佐々木順一委員 妥当の答弁はなかったわけでありますが、それじゃ、午前中は米から、一部影響額がありましたが、農林水産部にお願いしたいのでありますが、米、麦、牛肉、乳牛、豚肉、鶏肉、鶏卵、これは当然であります。それから、林業の関係で林産物、一部合板が前は試算にあったと思っておりますが、それから、特に被災地及び本県の三陸沿岸という、やはり特殊な産業圏でもありますから、漁業の品目の関係につきましても、例えばサケ、マスから、ワカメから岩手県特有のホタテとか、あるいはウニ、アワビまで、悪いんですが、生産物に対する生産額への影響を今回の新たな国の試算に基づいて、岩手県でも、今、私が申し上げたことを再計算してほしいと思います。あわせて、地域経済に及ぼす影響、これも計算して委員会に資料を提出していただきたいと思います。
 というのは、常任委員会に今度、請願がかかるわけですよ。その判断材料としてもやっぱり必要だと思いますので、ぜひこの点はお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇東大野農林水産部長 午前中の審査で、3月15日の政府等試算に関連して農業に関する影響は答弁させていただきました。今、御指摘ございました林産物、合板では、本県として10億円、それから水産物では、サケ、マス類が55億円、カツオ、マグロ類が12億円、さらにホタテが11億円など、水産の合計で106億円の影響があると試算できます。農業も含めて全体では1、015億円の影響があり、本県の農林水産物の生産額の約33%が減少するという試算となります。
 なお、この生産額の減少のほか、地域経済への影響額については、現在、担当部で試算中でございますので、御了承ください。
〇佐々木順一委員 委員長、済みませんが、今、部長が答弁されましたので、これを資料として、口頭では今聞きましたが、資料として本委員会に提出していただくように取り計らいをお願い申し上げたいと思っております。いかがですか。
〇郷右近浩副委員長 世話人会で、後刻、協議させていただきます。了解しました。
〇佐々木順一委員 今の影響額はわかりましたが、岩手県全体なんですよね。特に、岩手県は被災地という特殊な事情があります。12の被災自治体、そしてまた、放射能汚染物質で一関市あるいは奥州市方面も影響を受けているわけでありますから、となれば、やっぱり県内市町村の影響額を私は求めたいと思いますが、部長、いかがでしょうか。
〇東大野農林水産部長 市町村ごとの影響額につきましては、現在、試算してございません。かなりの前提を置いての試算は技術的には可能と考えますけれども、その試算数値自体が、それぞれ受け取った方の理解で動くというような事態も考えられますので、試算するかどうかも含めて検討させていただきたいと思います。
〇郷右近浩副委員長 佐々木順一委員に申し上げます。委員の質疑が長時間に及んでおります。世話人会の申し合わせを踏まえて質疑をされるよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇佐々木順一委員 はい、あと二、三分で終わります。
 県も被災地の復興に支障を来さないようというか復興を損なうことのないようと、こう再三要請しているわけでありますから、その説得材料として、やっぱり今回の大震災で受けた市町村の影響、TPPによってこれだけの影響が出るんだということを示さないと説得力がないと思うんですね。復興の妨げになるとか、被災地の復興を損なうことになるとかと、それは言葉ではわかるんですが、やはりそれに説得力を持たせるためにも、ぜひ市町村の影響額を試算していただくよう努力を農林水産部に求めたいと思っております。これは全庁挙げてやってほしいと思っております。
 それで、あと、議事進行であります。委員長にお願い申し上げます。
 先ほど私がTPPの撤回を求める活動の母体を民プラス官も一緒になってという質問をしましたが、なかなか部長も、答弁する立場にないとか、そういうことでありました。知事は知事なりに、新聞報道では、国益を損なうような交渉は行わないよう強く求めていくということを強調しておりますので、今後、岩手県としてTPPに対してどう取り組んでいくのか、その辺、具体的にお聞きする必要が委員会としてあると思います。
 ついては、ここで知事の出席をぜひ求めたいと思いますので、影響額の情報の提供と知事の出席の2点、あわせて委員長にお願い申し上げたいと思います。後刻、世話人会で御検討くださいますようにお願い申し上げまして、質問を終わります。
〇郷右近浩副委員長 ただいま、佐々木順一委員から、知事の出席を求める旨の申し出がありましたが、世話人会の申し合わせにより、知事の出席を求める場合は、最終審査日に行うこととされております。ついては、出席を求めるかどうかについては、後刻、世話人会を開き、協議することといたします。
 佐々木順一委員、御了承願います。
 質疑を続行いたします。
〇熊谷泉委員 私からは、原発事故の特に畜産についての対応をお伺いいたします。
 滞留牛の解消は昨年から平成25年以内に終わるというような答弁をいただいておりますが、現場では、ちょっとそれでは対応できないのではないかという話があります。廃用牛は次々出てくるわけでありまして、それにつきまして、県のほうは平成25年以内に大体解消できるということですが、現状どういうふうになっているか、1点お伺いいたします。
〇及川振興・衛生課長 滞留牛の現状についてでありますが、出荷停止あるいは出荷制限等によりまして出荷できずに滞留している牛につきましては、平成25年2月末現在で約3、000頭と見込んでございます。
 滞留しております廃用牛につきましては、成牛市場への上場または岩手畜産流通センターで屠畜されてございますが、平成25年1月以降、毎月700頭程度が出荷されておりまして、25年度内に滞留が解消するものと推定してございます。
 県といたしましては、現在、生体のままで牛肉中の放射性セシウム濃度を推定する生体推定検査を取り入れてございまして、これをさらに段階的に出荷可否判断する手法として取り入れて、滞留牛の解消に努めてまいりたいと考えてございます。
〇熊谷泉委員 わかりました。今でも3、000頭飼育しているということですが、現場では、特に乳牛なんかは、廃用牛がいると、スペース的なものがありまして新しくその部分に育成牛を導入できない。そこで、現場では、先ほどおっしゃいましたが、岩畜で、特設で放射能をカウントして、生体ではかって今やっている。大体1日に30頭から50頭の処理能力という、それは、いわゆる屠畜能力はあるんですが、先に肥育牛を、優先的に正常なものをつぶした後に、残った枠でやられているということで、岩畜の屠殺枠をもう少しふやして、平成25年度以内ということでありますが、もう少しスピードを上げられないかということです。放射能のレベルが下がらなければいずれ出荷はできないので、ただ、そこのこれから出てくる廃用牛との兼ね合いでそういうことが可能かどうかということですが、それについてお伺いいたします。
〇及川振興・衛生課長 岩手畜産流通センターにおけます屠畜状況でございますが、乳牛につきましては、昨年10月以降、岩畜におきましては月300頭ほど出荷されてございます。それから、肉用繁殖牛の廃用牛でございますけれども、これは本年2月現在でございますが、屠畜場で約260頭ということで、徐々にではありますがふえてきている状況でございます。両方合わせますと、屠場だけで560頭ほど月当たり処理されているということでございますので、今後、少しずつその頭数はふえていくものと考えてございます。
〇熊谷泉委員 わかりました。それでは、ぜひ平成25年度以内にこの滞留牛そのものを解消していただくように、重ねてお願いいたします。
 次に、先ほど工藤勝子委員、それから嵯峨委員からもありましたので、私は、放射能の風評被害については1点だけお伺いいたしますが、実は、食品中の基準値が100ベクレルとなって、いろいろなものに規制がかかったわけでありますが、一般の消費者には不検出とか、そういうものを期待している向きも、それは幼児とか何かの場合にはそういうことも特にあれなんですが、この100ベクレルの安全性についてもう少し一般の消費者に理解してもらわないと、ほとんど店頭に不検出のものばかりあるよと考えられるというか、そういうことで、それも一つの風評被害になっている。
 この100ベクレルの意味づけについて、これは農林水産部の分野かもわかりませんが、一般消費者にもう少し周知して啓蒙をする必要があると思いますが、それについてお伺いいたします。
〇泉流通課総括課長 放射性物質の基準値の安全性についての普及啓発ということの御質問についてでございますが、放射性物質に関する正しい知識、それから健康影響等について理解を深めていただくために、国におきましては、関係する省庁が連携いたしまして、さまざまな広報媒体を通じて、農林水産物の安全を守るための仕組みや、実際の体への影響などについての情報発信がされているほか、消費者と専門家がともに参加する意見交換会などが全国各地で開催されてございます。
 県といたしましても、環境生活部が中心となってございますが、県民向けの放射性物質への理解を深めるための冊子の配布や広域振興局との連携による出前講座、さらに、県内6カ所での生産者、流通業者、消費者、行政関係機関が一堂に会しました、食品の放射性物質汚染による健康影響等を考えるシンポジウムなどのリスクコミュニケーションが行われてございます。
 今後におきましても、農林水産部といたしましては、環境生活部と連携しながら、放射性物質の基準値の安全性について普及啓発をしていきたいと思っております。
〇熊谷泉委員 それでは、最後に損害賠償請求についてお伺いいたします。
 これにつきましては、JAグループで東電の農畜産損害賠償対策岩手県協議会というものをつくって交渉しているわけでありますが、その岩手グループからいただいた資料によると、品目はいろいろありますが、全体で、今まで約73.3~73.4%ぐらいしか支払われていないというお話でありまして、これについては、農家のみならず、牧草を代替して供給しているJA自体も、それの補償がおくれているということで、資料では、JAが農家に供給した代替牧草の請求額が180億円で、合意確定額が21億円で、払われたのは7億4、200万円ぐらいということで、JA自体の経営を大変圧迫している、そういう事態なんですね。
 それで、県としても、この賠償請求については支援していると思いますが、これをもっと加速度的に支払いをしてもらうように、それについての支援策をお聞きいたします。
〇千葉担い手対策課長 JAグループの支払い活動に対する支援についてでございますけれども、県は現在、JAグループの賠償対策協議会にアドバイザーとして参画しまして、協議会の活動を支援しているところでございます。また、知事が東京電力に直接出向きまして、請求月の翌月には賠償金を支払うよう要請しております。本年1月には、知事が、国に対しても、国が責任を持って対処するよう要望するなど、十分で確実な賠償を迅速に行うよう求めてきたところでございます。
 今月に入りましても、農林水産部として、東京電力に対し、生産者に対する損害賠償を迅速かつ十分に行うとともに、請求する際の証憑類を簡素化するよう強く申し入れているところでございます。
 今後も、東京電力や国に対しまして、賠償の完全実施を機会あるごとに要請していきたいと思っております。
〇熊谷泉委員 私も資料をもらっていますが、請求して、次に支払われる、大体それぞれの品目について毎月のように払われるのか、ある程度まとまって、1月置きとか、今までの経過ではそういう支払いなのでしょうか。今後、ことし次に支払われる、もし予想つく月がわかればいつなのか、それをお知らせ願いたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 東電からの損害賠償金の支払いでございますけれども、一時はなかなか本賠償に至らなかったという状況がございましたが、昨年9月から本賠償が始まったといいますか、毎月本賠償が行われるようになってきておりますので、そういった形で進んできていると考えております。こういった本賠償が確実に行われるように、引き続き要請していきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 私も、TPPと新農政の方針等について、部長からお話を承りたいと思います。
 先ほどの佐々木順一委員の質疑の中で数字の妥当性について交わされておりましたけれども、なかなか明確な御答弁はなかったと思います。これは、政府の試算を見ますと、TPPに参加すると消費で3兆円ふえる、輸入は2.6兆円、輸入減が2.9兆円なんていう数字が出ていますけれども、これは、前提の前提が全くブラックボックスだと私は思っております。例えば、消費が3兆円ふえるということですけれども、この前提になっている消費税の税率はどうなのか、それから、為替レートはどこに置いて、何年間据え置きでやっているのか。これが1円、2円変わっただけで簡単に数字が変わる話なんですが、県として、この政府の示した数字については詳細な分析をしていますか。
〇東大野農林水産部長 政府が3月15日に公表した試算内容の中では、原データ等は明らかにされておりませんので、承知しておりません。
〇岩渕誠委員 そこが私は大変な問題だと思っているんです。やはりどういう根拠に基づいて、どういう試算をしたのかということを検証しないと、その数字が本当に正しいものかどうなのか。県はそれに基づいて試算をしているわけですから、当然それだって狂ってくるわけですよ。それは、TPP参加を今のところ数字上でしか多くの国民は見ない、ふえるんだったらいいんじゃないのという感じになっているわけでありますが、やはりそこは、農林水産部としてきちんとやっていただきたいと思うわけであります。
 これは、まだ時間がありますから、当委員会の最終日までにその努力だけはしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
〇東大野農林水産部長 改めて国に資料の提供を求めていきます。
〇岩渕誠委員 委員長においては、今の質疑を踏まえて、早急な資料の提出についても御尽力いただきますようお願い申し上げます。
 そこで、次に、新農政と言われるところに入ってまいりますけれども、例えば、今、産業経済力会議のほうで民間委員と言われる人たちからいろいろな議論が出ていまして、先月の会議の中では、大規模化、6次化、海外輸出という3本柱の話が出てきております。しかし、これは目新しい話はなくて、どうも大丈夫かいという話がいっぱいだと思っておりました。
 例えば海外輸出に関して言うと、今の倍を目指すということですが、これはたかだか1兆円です。伸びる分は5、000億円ちょっと。これに対してTPPで減少する分が4兆円。全くそろばんが合いません。
 それから、6次化に関しても、農業者、水産業者、漁家、農家に入る、収入がアップするという形の6次化であればいいのですが、加工業者、いわゆる経済界だけが潤うような6次化では全く意味がないと思うんですね。大規模化にしても、これだけを進められれば、岩手県の中山間地の農業は壊滅すると私は思うんですが、この方針についてどのように部長は捉えていますか。
〇東大野農林水産部長 今、国において新しい農林水産の施策の方向について議論が重ねられているということでありますが、今、委員が取り上げられた項目について、例えば6次化については、確かに生産者の所得向上という視点で我々は今までも取り組んでまいりましたし、これからも取り組んでいこうと考えてございます。
 それから、大規模化の方向は、地域地域の事情がある中でやられていくと理解し、そうあるべきと考えておりますので、国に対しては、機会あるごとに地域の事情は伝えていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 伝えていくのはそのとおりなんですが、産業経済力会議のメンバーは、御存じのとおり、財界の人間がほとんどです。市場開放積極論者、新自由主義の権化のような元総務大臣もおりまして、この会議の人選をこのまま放置すると、これは岩手県にとって大変マイナスだということを指摘しておきます。
 次に、放射能対策についてお話を伺いたいと思います。
 まず、放射性物質による影響で取引がかなり下がっていて、それを取り戻すのに大変だということで、県は、いわてブランド再生推進事業費を計上して取り組んでいくことになるとうかがっておりますが、この放射性物質による取引の影響額、それから回復ぐあい、それから、新年度の具体的ターゲットと取り組みをお示しいただきたいと思います。
 また、あわせて1月の原賠審の中で第三次追補が明らかになりました。岩手県は拡大されました。これは一般質問でも取り上げておりますが、この賠償認定の拡大に伴って、実態把握をするために大がかりな、大づかみの話は一般質問で部長に答弁いただきましたが、具体策をどのように考えているか、それから、現時点で賠償品目、岩手県では恐らくこういうものが広がるだろう、そして、これぐらいになるだろうという見通しがあれば示していただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 放射性物質による取引の影響額と回復ぐあい、それから、新年度の具体的ターゲットへの取り組みという御質問でございますが、放射性物質による取引の影響額とその回復ぐあいについてでございますが、本県におきましては、牛肉やシイタケなど28品目におきまして、出荷制限や出荷自粛の措置が講じられてございます。その影響で、一部の農林水産物にあっては、買い控えや価格の下落などの風評被害が発生していると認識しております。
 例えば、牛肉の枝肉価格を見ますと、平成23年度におきましては、風評被害により大幅に下落いたしましたが、飼養管理の徹底や全頭検査、適切な情報発信等によりまして、平成24年度には平成22年度の水準まで回復してきているところでございます。
 それから、新年度の具体的なターゲットと取り組みにつきましては、新たに主婦層に向けて、女性誌を通じまして、安全・安心に対する岩手の姿勢を積極的にアピールし消費者行動につなげていくほか、バイヤーやシェフなどの実需者を招聘する産地見学会を開催いたしまして、県農林水産物の信頼を取り戻し、風評被害を解消してまいりたいと考えてございます。
〇菊池副部長兼農林水産企画室長 風評被害の関係で2点御質問がございました。
 まず、風評被害の実態把握についてでありますが、委員御指摘のとおり、国が風評被害の範囲等を定める原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針というものがございますが、これについて、本年1月30日に第三次追補という形で改正がされまして、農林漁業、食品産業の風評被害に本県の農林水産物の品目が追加されております。
 これによりまして、生産者だけではなく、県産の農林水産物を扱います食品製造業者でありますとか小売業者なども、新たに損害賠償の対象となりますことから、今後、風評被害に関する損害賠償請求が増加するものと見込まれます。
 県としては、これまでと同様に、こうした方からの支援要請にも応えていくことが必要と認識しておりますが、風評被害の賠償に関して、この間の県と東京電力とのやりとりの中で、東京電力では、県内の各市町村において、損害賠償のための説明会あるいは個別相談会を開催するという考えも示しているところであります。
 質問のありました実態把握に関しましては、県としては、こういった東京電力の動きと相まって、生産者団体や市町村等の関係機関と連携して、追補の内容あるいは相談窓口の周知を図るとともに、相談者に対して、きめ細かく対応することを徹底していくことで、風評被害の実態に即した損害賠償の請求が円滑に進むよう支援していく考えであります。
 それから、ただいまの追補によりまして損害賠償の品目が拡大しております。それまで、本県では牛肉だけが対象でありました。これに対して、今回の改正によりまして、茶と畜産物を除く農産物、それから林産物、牛乳・乳製品、水産物、家畜飼料、まき・木炭及び堆肥が追加されたところであります。
 これらに係る風評被害の総額については、風評の範囲の面では、生産物価格の下落から、あるいは産地直売所とか観光農園の来客数の減という面があります。それから、対象者で見ますと、これまでの生産者に加えて、流通、加工業者、小売業者など、いずれの面においても広範多岐にわたりますことから、その拡大した分の被害の総額を見通すことは困難な状況であります。
 県としては、この第三次追補の内容や相談窓口の周知を先ほど申し上げました中身で徹底することで、こうした方々の損害賠償の請求が適正に行われるよう、これまでどおり支援してまいる考えであります。
〇岩渕誠委員 いずれ、風評被害の部分は、露出をきちんとして、説明してという、その回数をこなしていくことが最大のポイントだと思いますので、取り残しのないようにお願いしたいと思います。
 次に、今月の末からはいよいよ農作業も本格化するわけでありますが、農家のほうから言われるのは、ことしは畦畔の草を刈ったらどうすればいいんだべ、こういう話が聞こえてまいります。刈り倒し処理が前提ということで進められておりますけれども、昨年の状況では、やはり一部、カメムシ等の発生を招いたことで品質低下になったと。それから、畦畔そのものの管理が、もう一年刈り倒しということになれば、水田の維持が大変難しくなるということを言われております。かといって、これを焼くというのはどうなんだろうかというような話もありまして、種々の影響があると思いますが、県として、その影響をどう捉えていますか。それから、その影響を踏まえて、新年度、焼却も含めてどういう対応をしていくのかお示しいただきたいと思います。
〇杉原農政担当技監 畦畔草の刈り倒し処理による影響、それから新年度の対応ということでございます。
 現在、刈り払った畦畔草でございますけれども、放射性物質影響防止のための農作物生産管理マニュアルの中でも、放射性物質を拡散させないよう、その場に残置ということで、委員からも御指摘があったんですが、残置ということで、そういう中で適切に管理するようお願いしてきているところでございます。パンフレット等を使って、農家の方々に御理解をいただいているところでございます。一方で、野焼きの関係も自粛ということでございますが、これも、高濃度の放射性物質が検出されている事例もあるということでお願いしているところでございますが、やむを得ず焼却する場合につきましても、灰が飛散したり、圃場に流れないようにということで、適切に処分するように周知をしているところでございます。
 こういう中で、委員が御指摘されたように、声が、いつまでこれをやるんだということでございますが、これは、環境サイドにおきましても、この野焼きの自粛関係につきましても、国に対しまして、方針を明確にしてほしいということで要請はしているところでございますが、なかなか回答が返ってきていないところでございます。
 そういうことで、新年度の対応ですけれども、このままですと、これまでどおり適正に管理をしてもらうということで進めざるを得ないようなところでございますが、一方で、畦畔草の家畜への利用自粛の解除につきましては、岩手県だけではなくて、福島県等、ほかの県も国に対して何度となく要請をしてきたということで、3月に国から方針が示されることとなっております。その方針が初めて示されることになっておりまして、事前に情報収集しまして、国や部内の関係者と協議を進めて、今後どう進めるかということについて、現在方針を整理しているところでございますので、そういう意味では、少し動きが出てきたかなというところでございます。
〇岩渕誠委員 問題なのは、家畜に給餌できるかどうかという基準と、燃やしていいかどうかの基準は別だということなわけであります。御存じのとおり、多分稲刈りなんていうのはいいんですよ。問題は、日常の圃場管理ですから、これの労力をどうするかというのは、高齢者にとって大変大きな課題ですので、それは、新基準も含めてぜひ検討していただきたいと思います。
 次に進みます。時間の関係で、私は、米の販売対策のほうを先にお伺いします。
 ことしも県南のひとめぼれは特Aをとりました。大変すばらしい結果だと思いますが、残念ながら、この特Aというのが、岩手県において取引量の拡大や価格に反映しているかどうかと言われますと、これは大変厳しい結果ではないかと思っております。まず、そのことを県としてどう捉えているか。
 それから、他県のことしの状況を見ますと、いわゆる新品種というものが市場投入されて、それが効果を出していると私は見ているんですが、これは取引量の拡大にも価格にも効果が出ていると思いますが、県として、他県のこうした取り組みをどう評価しておりますか。それと、顧みて、岩手県の取り組みはどうでしょうか。
〇泉流通課総括課長 まず最初に、特Aについての御質問についてお答え申し上げます。
 県南ひとめぼれが、財団法人日本穀物検定協会実施の食味ランキングにおきまして、平成6年産から平成24年度産まで18回にわたりまして特Aを獲得いたしましたことは、高品質で良食味の米であると評価されたあかしであると認識しております。県としても、これを本県産米のセールスポイントといたしまして販売促進に取り組んできたところでございます。
 系統販売におきましては、平成23年度産米は完売、平成24年度産米も販売契約率が本年1月で9割を超えておりますが、これは、本県産米が、米卸、実需者から品質、食味ともに一定の評価を得ているあらわれと考えてございます。
 一方、本県の主力品種でありますひとめぼれにつきましては、委員御指摘のとおり、東北各県の主力品種と販売価格との比較において若干低い傾向にあることから、さらなる評価が得られるよう、安全性や品質にすぐれる県産米の特徴を県内外に積極的に情報発信するなど、県産米の評価向上に努めてまいりたいと考えております。
〇中南水田農業課長 他県の新品種投入の効果、それから、県の新品種の取り組みについてという御質問、二つでございました。
 まず、他県の新品種投入の効果でございますが、まず、最上級の食味ではないですが、一定の品質、それから値ごろ感がある価格ということで、外食向けに販路が拡大した北海道のきらら397というような成功事例がある一方、食味評価は本県に匹敵する特A回数を獲得しているものの、ロットの確保がなかなかできず十分な価格を形成できなかった事例もある、そういうさまざまな例があると認識しております。
 なお、委員から、最近開発された、例えば北海道のゆめぴりかとか、山形県のつや姫といったところについて、うまくいっているじゃないかという御指摘ではないかと思うんですが、これらの品種については、まだ生産が開始されて二、三年しか経過していないということで、今後の販売動向ですとか実需者の評価などを見ていきたいと考えております。
 それから、新品種、県のほうの品種開発でございますが、現在、県産米の評価向上を目指して、おいしいお米として全国的に知名度の高いコシヒカリよりも、食味にすぐれた品種の開発を進めているところでございます。
〇岩渕誠委員 その特Aの部分の答弁は今までと全く変わらないですよ。変わらないから値段も上がらないと僕は思いますよ。平成21年のひとめぼれの相対の基準価格が60キロ当たり1万4、400円です。これが平成24年に1万5、500円になりました。しかし、森のくまさんということしトップをとったものは、平成21年は同じ値段ですよね、1万4、400円。これは特A評価、ナンバーワンということで1万6、500円、1俵1、000円違うわけですよ。それから、ゆめぴりか、つや姫は、投入段階でもう既に1万6、000円です。つや姫に至っては既に1万8、000円の相対で、県産米と1俵で2、500円も違う。これは、やっぱりそういう今のような分析では、後塵を拝するだけだと私は思っております。
 期待をするのは新品種の開発であります。そろそろ具体的なスケジュールを示して、やはり市場投入はいつごろだ、それに向けて今こうやっているんだという話をするべきときだと思いますが、いかがですか。
〇中南水田農業課長 現在、県のほうで、コシヒカリよりも食味にすぐれた品種ということで開発を進めているわけですが、この良食味の品種の候補を平成26年度を目標に選抜することとして進めており、27年度から現地での適応性の評価、検討を行い、29年度に販売に向けた栽培を開始する予定と考えております。
〇岩渕誠委員 平成29年度という話が初めてスケジュール感が明らかになったと私は認識しておりますが、大変期待が持てるところかと思います。どうしても新品種の開発には時間がかかりますからやむを得ない部分もあるのですけれども、いずれ各地が新品種の導入で高い効果を上げていますから、それを目指して、これは流通課総括課長、そういうものが出ますよということと、特Aは特Aでいいんですが、今の販売対策は、特定の卸業者、7大業者と言われる業者としかほとんどやっていない。それを広げたって47者ぐらいですよね。でも、その次の小売と消費のところに米の販売対策を行っていない。
 私がそれを聞くと、いつも全農本部によればとかという話になるんですよ。そうじゃなくて、東京事務所なんかは、よく銀座の料理人組合とかを掘り当てていろいろやっていますけれども、そういうように地道なことをやらないと、これは、平成29年の投入の前にもう岩手県の評価が下がってしまうと思うんですよ。
 問題は、その間どうするかということだと思うんですが、そういったことも私はお願いをしたいんですが、当面、販売対策の柱を何に据えるのか、そして、今のところフラッグシップ米という位置づけなのがプレミアムブランド米だと思いますが、今後の取り組みについてお伺いします。
〇泉流通課総括課長 新品種が出るまでの今後の販売対策ということでございますが、いわて純情米を全国有数のブランド米として確立するために、販路の確保及び拡大するため、県では、平成22年度に策定いたしましたいわて純情米の新たな戦略に基づきまして、販売力の強化、知名度の向上、消費拡大について、県と系統、全農、生産者団体とも一緒になりまして取り組んでいるところでございます。
 これらの販売対策におきましては、消費者や市場から支持される付加価値の高いプレミアム商品の開発、PRを通じまして、販売促進はもとより、県産米全体の知名度の向上、評価の向上を図ることが重要と認識しておりまして、プレミアムブランド米の確立支援にも取り組んだところでございます。
 県としては、県産米の広告塔となるようなプレミアムブランド米の活用も含めまして、県産米全体について、より積極的なPRによる知名度や評価の向上対策、多様な販売ルートの開拓による販売力の強化に取り組んでまいりたいと思います。
〇郷右近浩副委員長 岩渕誠委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇岩渕誠委員 了解、最後にします。
 いずれ、米は今ひところよりは高値基調にありますから、農家の皆さんは前よりいいよねというのがあるんだけれども、比較したらみんな怒りますよ、これ。つや姫、なぜ1万8、000円なんですか、森のくまさんって聞いたことがないけれども1万6、500円って一体何なんですかと。岩手はそんなレベルの米をつくっているんじゃないよと。だからもうちょっとそれを消費者のところに直接やるような対策をやらないと、マーケットを動かしているのは消費者ですから、それをきちんとフォローしていただきたいと思います。
 最後、二つまとめて聞きます。
 原発事故の発生後、廃業した繁殖農家というのは結構いるかと思います。これをどのように把握しているでしょうか。廃業補償について県の考え方を示していただきたい。
 それから、新年度予算の中で私は大変高く評価しておりますのは、いわて生まれ・いわて育ちの牛づくりということ、大変僕は画期的だと思います。種つけ、それから素牛購入でそれぞれお金が出る。これは非常に県にしては積極的だと評価しているんですが、対象となる県有種雄牛はどのぐらいのものなのか、それからどの範囲、そして何頭までそれをつくって市場評価に結びつけるつもりなのか聞いて終わります。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました原発事故発生によって廃業した畜産農家と廃業補償についてでございますが、廃業する農家の戸数の推移につきましては震災前後で県全体としては大きな差はございませんけれども、地域によりましては原発事故に起因した廃業の事例もあると聞いてございます。
 このような事案の廃業補償の請求に当たりましては、既往の債務等の状況も十分に吟味していく必要があるだろうと考えておりまして、個別事案ごとに生産者や関係団体に十分事情を聞きながら対応を考えていきたいと考えてございます。
〇及川振興・衛生課長 いわて生まれ・いわて育ちの牛づくり促進事業についてでございますけれども、まず、この事業につきましては、平成25年度から3年間を予定してございます。二つ大きな柱がございまして、一つは、繁殖農家対策ということで家畜人工授精の技術料を補助するというものでございますが、種つけをする県有種雄牛につきましては、平成16年度以降に選抜されましたいわゆる若い新しい県有種雄牛ということで、今後、本県を支える、本県での活躍が期待される種牛としてございます。事業規模につきましては、年間960頭ほど計画してございます。
 次に、肥育農家対策といたしまして肥育素牛導入補助というものを考えてございますけれども、これの対象とします県有種雄牛につきましては、平成19年度以降に選抜されました、これも同じように若い種雄牛でございます。いずれにいたしましてもまだ十分農家に評価が得られていないといったようなものでございますけれども、これの産子といたしまして県内子牛市場に上場される若い種雄牛ということでございます。肥育成績が少ない産子を対象とすることとしてございまして、これの補助単価につきましては3万円ということで、事業規模にしまして年間約480頭を予定してございます。
 対象といたします種牛あるいは地域別の配分計画といった詳細につきましては、今後、農協等関係団体が構成員となっておりますいわて和牛改良増殖対策事業推進協議会において検討していく予定としてございます。
〇斉藤信委員 私も最初にTPPの問題についてお聞きします。
 このTPP交渉参加の問題は、日本の農業、岩手の農業、地域経済、復興の死活にかかわる問題だと思っております。改めて、政府の試算では、農林水産物への影響は33品目で年間3兆円の生産額の減少、農業の多面的機能も1兆6、000億円の損失と示されましたが、岩手県内への影響について、品目ごとに減少額、減少率を農、林、水で示していただきたい。
〇高橋農林水産企画室企画課長 お尋ねのありました品目ごとの影響でございますが、改めまして農産物から申し上げますと、農産物では、米が312億円で50%の減少、小麦が3億円、100%の減少、牛肉が91億円、46%の減少、乳牛が214億円、100%の減少、豚肉が163億円、70%の減少、鶏肉が95億円、20%の減少、鶏卵が21億円、17%の減少となりまして、農産物では合計899億円、37%の減少となります。
 林産物では、合板が10億円で6%の減少、水産物では、主なものがサケ、マス類が55億円で57%の減少、カツオ、マグロ類が12億円、27%の減少、ホタテが11億円、52%の減少などで合計106億円、水産物では23%の減少となります。
 農林水産物全体では1、015億円、本県農林水産物全体の生産額の約33%に相当する額が減少することとなります。
〇斉藤信委員 お米が50%、小麦が100%、乳牛100%、豚肉が70%ですね。これは岩手の農業の基幹品目が壊滅的な影響を受ける。水産の関係も、サケ、マスが57%ですよ。これは復興どころではない。私は、本当にこういう影響が与えられるTPPというのは、絶対に撤回させて阻止しなければならないと思います。
 地域経済への波及効果を質問でもさきに示していましたが、これは出ないんでしょうか。
 食料品製造業への影響をどういうふうに把握しているでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 地域経済への影響額につきましては、現在、担当部で試算中でございます。
 食品製造業への影響につきましては、まだ試算は行っておりません。
〇斉藤信委員 食料品製造業というのは製造業の中で一、二を争うんですよ。岩手の製造業というのは、自動車、食料品なんですよ。だから製造業の柱なんですね。この問題も、あなた方は真剣に試算して地域経済への影響というのをしっかりつかむ必要がありますよ。
 それで、今、農、林、水の品目ごとのが示されたわけだから、第2部の審査の前でも審査中でも全議員に資料をちゃんと配付するように、委員長、よろしくお願いしたい。いいですね。
〇郷右近浩副委員長 できる限り。
〇斉藤信委員 TPP交渉、私は、参加表明のうそ、ごまかし、欺瞞についてお聞きしたいと思います。これは農林水産部長にお聞きしたい。
 安倍首相がTPP交渉参加に前のめりになったのが日米首脳会談のTPPの共同声明でありました。TPPの共同声明には何と書いてあるか。冒頭こう書いてあるんですよ。両政府は、日本がTPP交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、及び日本が他の交渉参加国とともに2011年11月12日にTPP首脳によって表明されたTPPのアウトラインにおいて示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する、これが冒頭です。全ての品目を対象に関税の撤廃、非関税障壁の撤廃を審議すると。
 そこで私、お聞きしたいんだけれども、TPP首脳会談によって表明されたアウトライン、この中身はどういうものですか。
〇東大野農林水産部長 今、委員からは聖域なき関税撤廃が前提ではないかといったような御指摘でございますが、私どもは、一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められているものではないと認識してございます。
〇斉藤信委員 あなたね、私の聞いたことに答えていないんですよ。いいですか。共同声明に、2011年11月12日、TPP首脳会談によって表明されたTPPのアウトラインにおいて示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する。確認しているんですよ、共同声明で。このアウトラインというのは何ですかと聞いているんですよ。知らないんですか。
〇東大野農林水産部長 先ほど申し上げた部分が公表されている政府資料として私どもが承知している内容です。
〇斉藤信委員 死活にかかわる問題で、そんな不勉強ではだめですよ。共同声明でこう書かれているということは、あるということなんだから。それは、文字どおり全ての品目の関税撤廃、非関税障壁の撤廃を目指すということですよ。それが高い水準での協定の達成という意味なんですよ。そのぐらいのこと、共同声明で書いているんだから、一番大事なことを。だから、これは聖域なき関税撤廃が原則でないことを確認したなんていうのは真っ赤なうそなんです。聖域なき関税撤廃が原則だということを確認したんですよ。そういう共同声明なんです。
 実は、国会審議の中でも重大な事実が明らかになりました。昨年6月にカナダ、メキシコがTPP交渉に参加しました。参加表明したのはその前の11月でした。7カ月かかって示された念書があるんですね。その念書というのはどういうものか、三つの内容があります。
 一つは、現行の交渉参加9カ国が既に合意した条文は全て受け入れ、9カ国が合意しない限り再協議は行わない。二つ目、将来ある交渉分野について現行9カ国が合意した場合、拒否権を有さず、その合意に従わないといけない。三つ、交渉を打ち切る権利は9カ国にあって、おくれて交渉入りした国には認められない。
 わかりますか。9カ国で確認したこと、それを前提に新しく入る人たちは交渉に参加するのですと。新しい国には拒否権がありません。交渉の打ち切りは9カ国の権利ですと、こういう中身なんですよ。どこに聖域なき関税化がありますか。ないでしょう。わかっていますか、部長。
〇東大野農林水産部長 聖域なき関税撤廃に関しましては、私どもは先ほど御答弁いたしたとおりに認識してございます。
〇斉藤信委員 岩手の農業がなくなるかもしれないというときに、もっと真剣にTPP交渉というのは何なのか、今の到達点は何なのか、部長が先頭になって研究して把握して知事に報告しなきゃだめでしょう。先ほど佐々木順一委員が知事を呼べということになりましたから、私もぜひ知事を呼んでいただきたい。そんな部長の姿勢だったらTPPの問題に対応できませんよ。岩手の農業を守れませんよ、そんな姿勢では。
 私は、このTPP交渉の問題は一般質問でも取り上げました。北海道の知事は、参加表明前に政府に行って、参加表明直後にもまた政府に抗議、撤回の申し入れをしました。岩手県の知事も、懸念を表明する、反対だと言っているんだから、具体的な行動を起こさなかったらだめなんじゃないでしょうか。行動を起こすべきだとあなたは進言していないんですか。
〇東大野農林水産部長 県としては、今の政権が発足した直後、1月8日にTPP交渉参加に慎重に対応するようにという趣旨の要請はしてございます。それとあわせて、3月にも、北東知事会連名でございますが、これでの要請もしてございます。そういった要請活動を通じて政府に対しては県の考え方を示してまいりました。
〇斉藤信委員 日米首脳会談を前後して情勢は大きく変わっているわけだから、私は、本当に知事が先頭に立って、目に見える形でこのTPP交渉の撤回を求める取り組みを進めるべきだと思います。
 参加表明しても、アメリカの国会の審議で約3カ月かかるんですよ。そして、このTPP交渉は7月、9月に交渉が予定されています。恐らく9月、10月が最後だと言われています、年内にまとめるというんだから。そうすると、うまくいっても1回ぐらいしか交渉参加できない。その交渉の中身も私がさっき言ったように9カ国の合意が前提で、今までの合意を覆すようなことは議題にもならない。聖域なき関税化を求めるなんてことは全然無理ですよ、これは。
 私は、そういう意味で、そういうTPPの実態をあなた方が先頭になって県民にも国民にも知らせて、岩手のかけがえのない農林水産業を守っていく、復興を前に進める。サケ、マスが5割に減って復興なんかできますか。米が半分に減って復興ができますか。この影響額は岩手の農林水産業にどういう影響を与えると部長は考えていますか。
〇東大野農林水産部長 先ほど企画課長から答弁いたしましたとおり、おおむね本県農林水産物の3分の1が失われるということでありますので、生産場面だけではなく、農山漁村の維持といった面でも大きな影響があると考えてございます。
〇斉藤信委員 本当に岩手の農林水産業だけでなく、地域経済の存立が脅かされるような状況だし、これは本当に戦後最大の大災害である東日本大震災津波復興最大の障害になる。体を張って私たちは頑張っていかなくちゃならない。これはぜひ知事を呼んで、改めてこれは知事としっかり議論したい。
 次に、被災農地、農業の復旧状況についてお聞きします。また、被災農家の再開状況はどうなっているか、農地海岸保全施設の復旧状況を含めて示していただきたい。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地及び農地海岸保全施設の復旧状況についてですが、内陸部では、平成24年12月までに復旧対象農地473ヘクタール全ての復旧が完了しております。一方、沿岸部では、復旧対象農地717ヘクタールのうち、当面復旧可能な311ヘクタールにおいて復旧を進めておりまして、平成25年5月までに原形復旧を中心に259ヘクタールの復旧が完了する見通しとなってございます。
 平成25年度は、復興に向けまして、被災した農地と周辺の被災していない農地を一体的に圃場整備を進める。これを本格化させることによりまして、平成26年の作付時期までにさらに約200ヘクタールの復旧を進めることとしております。
 また、被災した農地海岸保全施設、全部で10海岸ございますけれども、この復旧につきましては、野田村の野田海岸が平成24年8月に復旧が完了しておりますし、山田町小谷鳥海岸ほか7海岸では既に復旧工事に着手しております。残る陸前高田市の小友海岸は、実施設計や用地の取得あるいは道路の取りつけなどの協議、調整を現在進めておるところでございます。
〇千葉担い手対策課長 津波で被災した農家の再開状況についてでございますけれども、平成24年は、復旧事業等で復旧された農地のうち102ヘクタールで営農が再開されております。
 また、平成25年の今度の春先の見通しでございますけれども、ただいま伊藤農村建設課総括課長から259ヘクタールの農地復旧がされるということでございますけれども、この1月末に調査をして取りまとめたところ、そのほとんどで営農再開される予定となってございます。
〇斉藤信委員 農地の復旧を急いでほしいんだけれども、陸前高田市からこういう要望がありました。高台移転事業などでかなり膨大な残土が出る、かさ上げしても東京ドーム6杯分残ると言うんですよ。ですから、とりあえずの残土の置き場、そして、かさ上げしてもそれだけ残る。できれば農地に一時そういう残土を置けないかと。ただ、これは農地災害復旧の期限がありますから、その期限が延長されないとこれはできないんです。そういう相談を受けていると思いますけれども、これについてはどう対応できますか。
〇伊藤農村建設課総括課長 先般、陸前高田市からそういった復旧に関連した土地利用と農地の復旧について農林水産大臣宛てに要望されたということは承知しておりまして、その際、原形復旧工事は通常3年ということでこれまで進めてきておりますが、そういった事情を勘案して、復旧工事をその残土の処理が済んだ後に引き続き行うことについては可能だと聞いておりますので、そういった対応をしたいと思っております。
〇斉藤信委員 次に、放射能汚染の被害状況、対策についてお聞きします。
 JAグループで180億円の請求、そして森林組合が8億600万円、JF─県漁連関係で1億9、300万円、合わせて190億8、500万円の請求額ということになっていますが、全体では65%程度の支払い率になっているのではないか。特にJAで180億円なんですが、支払い率を見ますと、廃用牛だとか妊娠牛だとか牧草なんかが40%台にとどまっている。これは、なぜ半分も支払われないのか。この支払いがおくれている理由は何なのか示していただきたい。
〇千葉担い手対策課長 支払いがおくれている理由でございますけれども、廃用牛につきましては大体今43%程度になっておりますけれども、廃用となる理由がさまざまございまして、その確認作業に時間を要している状況でございます。また、稲わらについては、一部地域で汚染稲わらの数量確認が必要と聞いておりますので、それに時間を要しているとうかがっております。(斉藤信委員「牧草は」と呼ぶ)牧草についても、現場での数量の確認に時間を要しているところでございます。
〇斉藤信委員 来年度、放射性物質被害畜産総合対策事業、これは全体で81億円の事業で、牧草地の再生対策、いわて型牧草再生対策、集中管理の廃用牛対策も行われるわけですが、これは現状がどうなって、来年度どこまでその対策が講じられるのかを示していただきたい。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問がございました放射性物質被害畜産総合対策事業の状況と来年度の内容についてでございますけれども、飼料の暫定許容値を超過した牧草地の除染について、今年度の除染実施面積は6、170ヘクタールとなってございまして、除染が必要な全体面積1万5、272ヘクタールから耕起不能箇所や今年度除染した面積を差し引きますと平成25年度以降の除染面積は6、879ヘクタールとなりまして、牧草地を早期に再生するため、十分な除染効果が発揮できるよう丁寧に牧草地の除染を進めてまいりたいと考えてございます。
 市町村が行う利用自粛を要請していない牧草地の放射性物質低減対策につきましては、実施面積は6町村で172ヘクタールとなってございまして、平成25年度につきましては20市町村から約2、500ヘクタールの要望がございまして、引き続き市町村の取り組みについて支援してまいりたいと考えてございます。
 汚染牧草等の保管につきましては、牧草等の焼却処理が行われるまでの間、農家の負担軽減のため、一時保管施設なり集中保管施設の設置に係る経費を支援しておりますけれども、汚染牧草の保管の長期化に対応するための乾燥、圧縮処理、いわゆるペレット化対策を来年度の当初予算に盛り込んだところでございます。
 廃用牛の適正出荷等につきましては、出荷できずに滞留している牛につきましては、先ほど及川振興・衛生課長から述べたとおり、ことし2月末現在で3、000頭と推定してございまして、県内3カ所に設置してございます廃用牛の集中管理施設での飼い直し並びに生体推定法の導入を行いながら、平成25年度内には滞留を解消していく予定でございます。
〇郷右近浩副委員長 斉藤信委員に申し上げます。委員の質疑が長時間に及んでおります。世話人会の申し合わせを踏まえて質疑をされるよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇斉藤信委員 まだ20分で、だんだん早くなっているね。早過ぎるよ。5分ぐらい早いよ。早過ぎるでば。
 いわて型牧草再生対策というのはいわゆる風評被害対策だと思いますが、これは、損害賠償請求はこれからとなるのか。これは2分の1負担ですからね、県が。そうすると県と市町村それぞれ賠償請求するということになるのか示していただきたい。
 あともう一つ、私は、この損害賠償請求でおくれているのが産直施設だと思います。産直施設でも損害賠償請求はされているのか。どういう対策を県として講じているのか、ここの対策をどういうふうに進めようとしているのかお聞きします。
 あわせて、最後の質問もします。
 青年就農給付金事業の申請、認定状況、地域農業マスタープランの作成状況を示していただきたい。
〇泉流通課総括課長 産直施設における損害賠償請求の状況と県の支援ということでございますが、県で把握しております県内の有人産直施設は全てで277ございますが、この全てを対象といたしまして原発事故による影響を調査いたしましたところ、17%である47の施設において被害を受けたと回答を受けております。具体的には、出荷制限等の措置や風評によりまして、来客数の減少が37施設、販売額の減少が45施設となってございます。
 損害賠償の請求状況についてでございますが、県では、産直施設の損害賠償請求に向けまして、東京電力を出席させての説明会や個別相談の開催等を支援しておりまして、これまで、一関市や北上市、遠野市などの10の施設におきまして逸失利益や生産者の販売損失等を請求したほか、11の施設におきまして請求の準備をしていると聞いております。
 なお、10施設の請求額は1、700万円余り、受領は3施設で約600万円の受領となっていると聞いてございます。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました、市町村が行う利用自粛を要請していない牧草地の放射性物質低減対策に係る経費については損害賠償になり得るのかどうかといったお尋ねでございますが、現在、国の主催による会議の場におきまして、利用自粛を要請していない牧草地の除染を風評被害対策として損害賠償の対象にしてもらえないか他県と連携して国に対して要請してございまして、国からは、風評被害を受けている裏づけが必要などといったような指導を受けているところでございますので、引き続き他県と連携しながら国と協議を続けてまいりたいと考えてございます。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 青年就農給付金の申請、認定状況についてでありますけれども、最終取りまとめとしています2月末までの申請者は171人で、この方々は、認定要件を満たして既に給付済みもしくは年度内に給付予定でありまして、所要額は2億1、762万5、000円となっております。内訳としましては、就農前の研修期間中に給付する準備型が42人でありまして、所要額は6、725万円、就農後に給付する経営開始型が129人で所要額1億5、037万5、000円となっております。
〇千葉担い手対策課長 地域農業マスタープランの作成状況についてでございますが、本県では、マスタープランを平成25年度までの2カ年間で県内全域において作成するよう推進しているところであり、1月末現在で18市町村98地区で作成されております。平成25年度末までに約700のマスタープランを作成する見込みでございますけれども、今春の作付時期までにはその約7割の作成を見込んでございます。
 市町村からお聞きしますと、平成24年度の作成のピークを2月から4月に迎えるということで、今、一生懸命やっているところでございますので、引き続き地域の合意形成や市町村のプラン作成を支援していきたいと思っております。
〇郷右近浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 森林整備関係につきまして質問させていただきます。
 森林整備は、これからの資源の有効活用を含め大事なものだと考えておりますけれども、まず、この森林整備をする上では、その状況がどのようになっているかを把握した上で進めなければならないという考えでございますが、現在、間伐等整備を必要とする面積や所有者の数等を含めてどのように把握されているか、また、伐期も当然来ると思いますので、それらの管理などについてはどのようにされているのかお示し願いたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 間伐等整備を必要とする面積と所有者数についてでありますが、間伐等整備を必要とする面積については、岩手県森林吸収源確保推進計画におきまして、平成19年度から平成24年度の6年間に9万4、000ヘクタールの間伐実施を目標として、森林整備加速化・林業再生事業等を活用し、間伐の推進に取り組んでいるところでございます。
 また、森林所有者数につきましては、間伐が必要な林齢16年生から45年生の森林所有者でございますけれども、森林簿によりますと、個人、法人合わせて約4万6、000人となっております。
〇軽石義則委員 計画的に進められているという状況はわかりましたけれども、実際、所有していても、その現地の状況を確認できているかどうか。これは、やはり林業の振興、森林整備は、所有者がまず自覚して、どのような状況になっているかを把握しないとその次のステップに進みづらいことも多くあるのではないかと思っておりますので、そういう意味で、所有者に対する各種制度をどのように周知されているのかお示し願いたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 所有者に対する制度の周知の方法についてでありますが、県では、森林整備に係る補助制度について、定期的に市町村、森林組合、林業事業体等を対象に説明会を開催しているところでございます。また、市町村、森林組合等では、地区座談会の開催等を通じまして、森林所有者に対しまして補助制度等の周知を図っているところでございます。
 大変失礼しました。先ほど伐期の管理状況につきましてお尋ねがございました。
 伐期に関してでございますが、間伐は、先ほどもお話ししましたが、林齢が16年から45年までの間に、樹木の成長度合いに応じまして、通常3回程度実施しております。森林所有者に対しましては、林業普及指導員や森林組合職員が技術指導を行っているところでございます。
〇軽石義則委員 周知はされているということでありますけれども、全ての所有者にそのことが本当に周知されているのか疑問なところもございます。なぜかといいますと、やっぱり森林は、サイクルが長い。2代前の植林が孫の時代に活用する時期に来ます。当然そうなると、しっかり継続して所有する、地域も含めて引き継いでいかなければならないと思いますけれども、現状、担い手そのものもかなり減っておりますし、所有者そのものがそのことを自覚していないことも多くあるのではないかと思っております。
 そういう意味で、市町村並びに森林組合等が説明会、座談会等をしているということでありますけれども、そこに出席している所有者の方々の率、参加率というのはどの程度になっているんでしょうか。
〇阿部森林整備課総括課長 ただいまお話のありました座談会等への出席率でございますが、私も昨年まで大船渡におりましていろいろ現場の状況を聞いておりました。確かに現場の中では、出席率は1回当たり10人程度とか、そういったレベルで余り高くはございませんが、森林組合の経営計画の策定とか、いろいろな意味で、ダイレクトメールを送ったり、いろいろな方法によりまして制度の周知を図っている状況でございます。
〇軽石義則委員 ダイレクトメールをいただいて、その内容をしっかり確認して対応しているかといえば、そこまでまだいっていないのではないかというふうに現状は私も思います。私自身も、自分で所有しているところ、少しですけれども、実際どうなっているのかしばらく現地を確認しておりませんから。そういう意味では、開催する日にちが通常の日にちで、普通の昼であれば参加できない方も多くあると思います。そういう意味では、例えば休みにとか夜にとか、やはり参加率を高める努力もさらにしていただければと思いますし、今、そういう意味では、それら座談会等を含めて出されている課題は何か、そして、それらに対する今後の対応策はどのようにお考えかお示し願いたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 現在出されている課題でございますが、現在、森林施業の大部分が間伐作業になっておりますので、間伐を中心に申し上げますと、森林所有者の経営に対する関心が、お話もありましたようにかなり低くなっている状況にございます。そういった中で、森林施業の実施を積極的に働きかけるということが必要になってきております。また、木材価格が低迷する中で、収益を確保するためには、施業の集約化や路網整備、機械化等によりまして生産コストの低減を図るということも重要な項目となっております。
 今後の対応策でございますが、対応策の一つといたしまして、森林整備事業の補助の要件となる森林経営計画の策定、こういった作業を今、指導員等が中心となりまして、地元の市町村、森林組合職員等と一緒になりまして指導を図っているところでございます。これによりまして、従来の森林所有者へのおつき合いといいますか、そういったところが大分深まってきているところでございます。
 また、森林施業の集約化や機械化、路網整備などによる作業コストの低減などにつきまして、市町村や関係団体などの協力を得ながら積極的に取り組んでいるところでございます。
〇軽石義則委員 ぜひともその部分を有効に実施していただいて、これから復興に関しても県産材の活用というものは非常に大事になってまいりますし、エネルギーとしても有効に活用していかなければならないというところがあります。ぜひ所有者に自分の管理するべきものということを自覚していただくことがまず始まりではないかと思っておりますので、そのことも含めてさらに努力をしていただくことをお願いし、部長の所感を聞いて終わります。
〇東大野農林水産部長 森林の整備に関してもさまざま課題があると思いますし、委員御指摘のように、所有者が必ずしも存在とか整備に関心が高くないという状況もあると思いますが、森林組合等の団体あるいは市町村とも連携しながら、ぜひそういう点ありつつ進めなければならない、そういう心積もりで取り組んでまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 私からは、水産業についてですが、さけます増殖費についてお尋ねしたいと思います。
 昨年は2億9、300万6、000円だったのが、今年度7億6、127万円とさけます増殖費が増額になっております。1月31日の秋サケ漁の速報で見ると、報道等もされておりますけれども、1万トンを切るという状況になっています。1匹当たりの平均体重が落ちているんですね、随分と。意外とこれが重要な問題かなと思ったりしているんです。3.11キログラムから2.68キログラムに随分落ちている、86%と。尾数もそうですけれども、こういったことからいって、何が原因かと聞いてもなかなかこれは難しいと思うんですけれども、ことしは先ほど説明したように予算がこれだけふえているということですけれども、何が例年と違っているのか、その内容についてお尋ねしたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 さけます増殖費は主に二つの項目から成っておりまして、第1に、民間団体に対する稚魚放流費補助、第2には、調査研究指導費でございます。
 平成24年度当初予算における第1の稚魚放流費補助は、本県で生産される稚魚のうち1億尾のみが国庫補助、残りの尾数は県単独補助であったことから、合わせて2億7、900万円余を措置したものであります。また、第2の調査研究指導費は、親魚の年齢、サイズ等に関する調査費として980万円余を措置し、その他経費と合わせて2億9、300万円の予算額となったものでございます。
 平成25年度当初予算における第1の稚魚放流費補助は、本県で生産される稚魚全てが国庫補助の対象となり、高い補助率で支援することが可能となったことから、その所要額を4億7、900万円余として計上したところであります。また、第2の調査研究指導費は、親魚の年齢、サイズ等に関する調査費を加え、今般のサケ不漁の要因究明と早期の資源回復に向けた指導を拡充するため、予算額を増額し2億200万円余を計上したところでございます。
 したがいまして、平成25年度のさけます増殖費については、稚魚放流費補助の国庫対応経費の増額と調査指導研究費の拡充、その他経費を合わせて7億600万円に増額計上したものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 例年ですと、目指すところは年間4億尾でしたか。なかなかそこまでいっていないという事実もあるし、震災の影響というのは、実際には来年の漁からですか、平成23年度に放流していない、平成24年度も少ないということですので。それに対してどういうふうにしたらいいかなかなか対応は難しいんですけれども、私は、さけます増殖事業の、先ほど言っておりましたけれども、今回はこれまでと違って原因究明についての新たなことって何かあるのかなと思って、あったらお聞きしたいんですけれども。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 これまでは、我々、自分たちの県の中で健康な稚魚をつくるということで、それを中心にやってきたわけでありますけれども、今、委員御発言のとおり、1尾当たりのキログラムが下がったり漁獲が下がったということで、これは本県ばかりではなく北海道、太平洋側も同様な傾向にあるものですから、北海道も一緒になって、北海道にある国の機関あるいは北海道の水産技術センター、そういうところと本県と一緒になって研究を進めていきたい、そこのところが大きな違いでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひそうしていただきたいと思います。知床半島のベーリング海峡側のほうの漁はそう変わっていないという話です。むしろそれから南側のほうの漁が北海道も含めてよくないという話です。身近なところでいうと、久慈あたりでもそうですけれども、沿岸に近いところの定置はそれなりにとれているんですね、同じ定置でも。沖に近いほうの定置はとれていないんですよね。何かというと、絶対量が多いと沖のほうにもあふれていってとれるというんですけれども、恐らく帰ってくる数がやはり少ないんですよね。私はそういうふうに理解しているんですけれども、少ないということだから、県としてできるのは、採卵して、健苗─健やかに育ったいい稚魚を放流するしかないんでしょうけれども、これも恐らく、前は一定量ふやして放流すれば一定量が帰ってくる。結局、実はそうではなくて、適量もあるのではないかと。つまり4億尾放すからそれに応じて帰ってくるのではなく、実は2億5、000尾ぐらいがちょうどいいんじゃないかとか─わかりませんけれども、それによって湧き水に入っている酸素の量をきっちりと吸えるからいい健康な種苗が育つんだという話もあったんですけれども、それはどうですかね。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 健苗をつくる際に、これまで私たちは、経験的に、1グラムあるいはもっと大きい1.3グラムということで、大型になればそれだけ活力も増していいのではないかということでやっていたところでありますけれども、ふ化場の中の溶存酸素の状況もどうなのか、今そういうことも調べておりますし、それもあわせて具体的なふ化放流の実際に合わせて検討していきたいと思っています。
 これは4億尾がいいのか2.5億尾がいいのか、ここら辺は業界のほうもいろいろ考えていまして、今まで4.3億尾、それをやはり今おっしゃったような溶存酸素とか水の管理、そういうことを考えて若干減らしたほうがいいのではないかという議論があった中で今回、震災になって、それをかなり下回る数字でしか実際放流できないでいる状況であります。ただ、やはり我々はそこのところを業界が目指すところの数字、尾数4億尾弱ぐらいでまず今のところ目標として、きっちりかつ健康な稚魚をつくって放流していきたいし、放流の適期も、海の水温あるいは餌プランクトン、そういうことも水産技術センターで調査しておりますので、あわせてそういうところと一緒になって取り組んでまいりたいと思っています。
〇嵯峨壱朗委員 本県では、国の事業としてつくり育てる漁業という形でやってきておりますけれども、私いつもこの名前に若干違和感を持っているというのは、寺島技監もプロですからあれですけれども、栽培漁業と養殖と違うんだなと。つくり育てる漁業というと、何か全部養殖で終わっているような気が、イメージ的にですね。ところが、岩手県の場合は、サケの場合でも採卵して種苗をとって放流してと。あとは3年か4年間泳いできて戻ってくる、自然に。アワビもそうですよね。アワビも3センチですか、貝を放流する。みんなそうなんですけれども、つくり育てると言うだけだと、何だか養殖……。自然の力を生かして、そしてつくり育てるというふうに変えればいいんじゃないかなと思ったりしているんですけれども、そうもいかないんでしょうが、この栽培漁業としての岩手の特徴をアピールしてもらいたいし、寺島技監とはこれが最後のやりとりかもしれませんけれども、水産業の岩手県全体として、これまでは言えなかったけれどもこれが言いたかったとか、こうしたほうがいいんじゃないかとか考えとかあったら部長がいないと思って聞かせていただきたいと思うんですけれども、ひとつよろしくお願いいたします。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 私たち水産技師のミッションは、漁家所得の向上と、それに伴う沿岸地域の経済の活性化だと考えております。私は山形県から岩手に来て、岩手の場合は、豊かな海でアワビ、ウニ、これらを官民一体となって資源管理をし、また、当時はワカメの養殖業の普及を一生懸命進めて漁家所得の向上に努めてきているところ。さらには秋サケ、私、昭和53年入庁なので、当時はまだ数千トンぐらい、その前は2、000トンとか3、000トンぐらいあって上ってきたところで、一生懸命官民一体となって沿岸での収益を上げ、その収益でもって漁業者に還元して漁業者の所得の向上につながる施設整備につなげているところ。こういうところがあって、非常に漁業者も収入のベースがあり、山形県は漁船漁業中心なんですけれども、それと比べて、本当にある意味ですばらしいところだなと思いました。
 今言ったつくり育てる漁業、こういうことを一生懸命やっているということでありますけれども、先輩の水産技師たちがこうやって積み上げてきたものを私も一緒になってかかわって、そのミッションに近づけるように努力をしたいということで努めてきたつもりであります。
 しかしながら、今般の東日本大震災津波によって住宅や生産手段である漁船、漁具、養殖施設、いろいろなもの全てと言っていいぐらいのものを失って、絶望の縁にあった多くの漁業者が漁業をあきらめることのないよう、漁協を核にした漁業、養殖業の構築、それから産地魚市場を核とした流通、加工体制の構築を掲げて、国や市町村と連携を図りながら、9分の8という高率補助を創設していただき、漁業者の要望に沿った施設整備に努めてきたところであり、また、生産基盤として欠かせない漁港の整備にしても、被災した全ての漁港の復旧を掲げて災害査定を受け、現在、地域ニーズを踏まえて復旧工事に取り組んでいるところであります。これらの漁協を核にした、あるいは魚市場を核にした全ての被災した漁港の復旧、この三つの施策の柱の方向性は適切なものと思っております。これを着実に実施することによって、漁家所得の向上、それから、それに伴う沿岸地域の経済の活性化につながるものと思っております。
 私の思いとしては、こういうことをきっちりやって、早く沿岸漁業者がやる気を出し、地域も活性化していければいいなというふうに思っております。
〇伊藤勢至委員 嵯峨委員と関連しますが、秋サケの問題についてお伺いしたいと思います。
 2年連続で1万トン割れということでありまして、これが来年も再来年も私は継続するのではないかと危惧いたしております。平成23年の3.11の東日本大震災津波によりまして、まさに放流直前の稚魚が岩手県ではほとんど壊滅したのではないかと思います。この放流の時期を探るために、1週間ほど前から成長した稚魚は─津軽石のふ化場でありますけれども、少しずつ放流はしていたようでありますが、放流してもしばらくは湾内にとどまってからだんだん沖に出ていく。そして、最終的には4年かかって戻ってくる。こういうことなわけでありますけれども、その4年間、サケがどの海で何センチまで成長して、どの海で、つまり津軽海峡を渡ってオホーツク、それからベーリング海に行って千島に行って戻ってくると言われておりますが、どこの海で何センチまで成長して帰ってきたのかという調査というのは今までなさっていないのではないか。だから、放流をするほうにばかり意を用いて、海の状況を調査するのを忘れてきたのではないかと思いますが、この3.11で被災しましたサケのふ化養殖場、あわせてアワビの種苗施設等も含めてその復旧の現況をお知らせいただきたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケのほうは、被災したふ化場は当時15(後刻「21」と訂正)あって、それを今、復旧しておりまして、現在、20ふ化場が稼動しております。
 生産見込みは4億尾近くということでいたんですけれども、なかなか親魚の遡上が悪く、それを補うために海産親魚の捕獲をして卵を確保したりしておりまして、3.6億尾ぐらいいけばと思っておりますけれども、そういう中で、今何とかできるだけ多くの放流をしたいと思っています。
 それから、アワビにつきましては、今、種市の施設、ここは本来ウニの種苗生産施設であったんですが、今回、震災復旧の中でアワビをここでも100万個の生産をし、近隣に放流しようということでやっております。ここが3月にできればそこにアワビを持ってきて飼育開始するし、それからあと大船渡の本所は平成25年8月に完成いたしますので、その後に両方合わせて500万個の生産に向けて作業が開始されます。
 このほか、漁協としては、広田湾漁協とか重茂漁協、田老町漁協が施設を整備してアワビ稚貝の生産をし、放流したいと考えておりまして、将来的には890万個のアワビを放流したいと。漁業者はできるだけ早くということですけれども、工事の関係、資材の関係とかで若干おくれたりしておりますけれども、今、漁協も含め、県の施設についても今急いで工事を進めているところであります。
〇伊藤勢至委員 岩手県のサケ増殖事業は100年の歴史がある。昭和50年代から放流が本格化してまいりまして、これまで30年間で100億円以上の費用を投じて整備をしてきたわけであります。そういう中で、ふ化放流はいいんですけれども、本県のサケのふ化放流は全く100%人工のやり方であると思います。そういう中で、海の生態系の中には、弱肉強食、優勝劣敗、そういう自然界の法則があるんだと思いますけれども、北海道はサケを自然界の川にそのまま遡上させて、自然の力を取り込む方法をしているともうかがっておりますけれども、本県の100%人工ふ化という部分について、いい種が育っていないのではないか、そういう危惧を言う人たちもいるんです。現実に成魚が帰ってきた場合に体がシャーベット状の肉質のものがあったり片目がつぶれていたり、そういうものも結構あるとも聞いております。したがいまして、おかの部分で稚魚を成長させることに意を用いるのは結構だと思うんですが、海の環境というものもあわせて調査をしなければならないのではないか。そういうことは県単独では難しいのかもしれませんが、そういうところに切り込んでいかないといけないのではないかと思います。
 本県の各漁協の換金魚種として大変有力なサケ漁でありますので、まず平成23年はゼロになった。ということは、4年後の平成27年は恐らく5、000トンを切るのかもしれません。来年、再来年が仮に1万トン、1万トンでいきますと、今から5年目が5、000トンを切ってしまう、これは県内の水産漁業界にとっては大変な痛手になると思います。
 したがって、例えば秋田県では、もう10年ぐらい前になりますが、秋田音頭で有名なハタハタ、男鹿で男鹿ブリコでありますが、これが全くとれなくなってしまって、その原因を調査した結果、乱獲にあるということで、3年間ハタハタ漁を禁止して、その後、現況に復旧したという例もあるわけであります。したがって、これからの流れをある程度予測しながら対策、対応をしていかなければならないと思うんですが、100%の人工ふ化ということについてはどのように考えているんでしょうか。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 今まで県としては、自然産卵だけではとても遡上が少なくて漁業が成り立ちがたい部分があり、そこを先ほど申し上げましたように官民一体となってふ化場施設を整備し、また、放流尾保持も行って体制を整えてきた、そういう意味では、この100%の人工ふ化が機能したところであり、今、委員からは、これだけ漁が少なくなれば別途の考え方もあるのではないかということだと思います。
 ただ、今、がらっと変える、これだけ漁協ではサケの定置に対する依存が大きい中で、それをある程度検証した中であれば切りかえということも可能だと思うんですけれども、まだ今、業界の中でもこれを大胆に変えようというような議論にはなってはおりません。我々も進める場合は、やはりそれがある程度検証されて効果があるとなれば話も持っていきやすいんですけれども、なかなかそこのところをうまく議論の中で展開できないでいるところが正直なところでございます。
〇伊藤勢至委員 寺島技監、やりとりをするのも最後かもしれませんから、県のバッジを外したつもりで思い切った答弁をしないと、ある日突然サケが帰ってこなくなったといってからやり出したのでは遅いんだと思います。ひとつ頼みますね。
 それから、副委員長にお礼申し上げますが、私の質問に関しての資料を配付したい旨お願いしましたところ、了解をいただいて配付いただきました。ありがとうございました。
 その資料についてちょっと質問をしたいと思います。
 これは4枚のカラー写真が載った資料でありますが、これは平成12年度の北西太平洋鯨類捕獲調査の際にいただいた写真でありまして、一番上がニタリクジラの胃の内容物、中身はカタクチイワシ、これは暖流系の魚であります。それ以下のミンククジラの胃の内容物でありますが、スルメイカ、サンマ、スケトウダラ、これはいずれも北氷洋、寒流系の魚でありまして、鯨がいかに北極、北方系のこういう魚を大量捕獲しているかの証拠になるものだと私は思っておりまして、IWCの国際捕鯨委員会にも参加してきましたが、このころから鯨がふえているのではないか。そして、その鯨によってサケも捕食されているのではないかとずっと思ってまいりました。
 30年ほど前に商業捕鯨が禁止になりまして、今は調査捕鯨しかできておりません。資源保護の観点からの調査のための鯨をとる、こういうことでありますが、40年ほど前は山田湾にも日東捕鯨という捕鯨会社がございまして、そこでは2枚目の写真の潜水艦のような形をしたマッコウクジラなんかがよくとれていたようでありまして、300トン程度のキャッチャーボートで三陸沖あたりでとっていた。そういう中で、ミンククジラというのも結構三陸沖から北海道沖あるいは北洋にいるようでありまして、そういうものに相当捕獲されているのではないかと思うべきだと思うんです。ところが、そういうことの調査研究というのはしたことがない。何とかしてもらいたい、お願いをと言ってきたわけでありますけれども、大体どこの海で何センチまでおがって帰ってくるのかという調査がないわけです。
 したがって、原因があって結果があるということでありますので、やはり放流、稚魚を成長させるための努力、研究は大いに結構でありますけれども、海の環境といいますか生態系といいますか、そういうところも調査研究をしていかなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 海の生態系、すなわち食べる、食べられるの意味の食物連鎖のことも含めてだと思いますけれども、今お話にありましたとおり、サケは一生の大部分を海で過ごすわけであります。その成長過程において、気候変動による影響やほかの生物による捕食などの影響を受けると考えられ、資源の変動要因を把握するためには広域的な調査の実施が必要と考えております。
 北太平洋全体のサケの資源については、日本、ロシア、カナダ、アメリカ、韓国が加盟する北太平洋溯河性魚類委員会において、気候変動による影響やほかの生物による捕食などの影響などの科学的な調査結果をもとにした情報交換が行われております。また、国の研究機関ではベーリング海においてサケ資源に関する調査が行われておりまして、その調査において、サケの分布密度、成長、どの地域から放流されたサケかなどのデータが今、収集されております。
 県としては、資源の変動要因の把握に向け、こうした国際的な資源調査の拡充を国に働きかけていくとともに、本県沿岸での調査を継続して、また、今春から新たに実施する国や北海道の研究機関との共同研究によって資源の減少要因を把握していきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 ぜひ捕鯨が禁止されてから鯨が相当量ふえているということを頭に置きながら、海の環境、サケにとってすみやすい海にしてやらなければ帰ってこない、このように思いますので、どうぞひとつそういう研究も、県だけでは難しいでしょうから、隣県あるいは北海道も含めてそういうことをぜひやっていただきたいと思います。
 次に、TPPの水産関係について伺いたいと思います。
 これは昨年の12月定例会が終わった後で県の農林水産部農林水産企画室よりもらった資料でありまして、今回いただいている資料とは若干違うと思いますが、この中で、水産についても相当の影響があると言われておりまして、数字が出ております。サケ、マス類が63%減、そしてワカメが93%減、その他いろいろありますけれども、本県のまさに、今言いましたサケ、マスあるいはワカメ、仮にワカメが93%減ということは、減ではなくて、93%の外国産が本県の中で流通すると読めばいいわけでしょう。そうした場合、水産業の影響の予想額を漁家の所得に置きかえた場合、どのくらい減少するのか。先ほど来いろいろな資料の提供を求める要望等がありましたが、ぜひそういう点を資料として出していただきたい。
 それから、JAは、この影響大なりということで非常に強い運動を今、展開なさっておりますが、JFはなかなかぴんときていないというのか、この資料は私なりに配って歩いてはいるんですが、JFから水産業の影響についての問い合わせとか、そういったことはありましたでしょうか。
〇東大野農林水産部長 今、2点お尋ねがありました。
 漁業所得への置きかえについては、技術的にできるかどうか検討させていただきます。
 それから、今回の減少額についてJFから問い合わせがあったかということでございますが、県が試算作業をしていること自体を県漁連にお知らせしてございませんでしたので今まではございませんが、ただ、きのう、JA、それから森連とともにJFもTPP交渉参加表明の撤回を求める要請をしに知事のところにいらっしゃいましたので、農林水産業一体となってそういった活動は展開されているものと承知しております。
〇伊藤勢至委員 最後にしたいと思いますけれども、このTPPがいかに水産漁業界に打撃を与えるものであるかということは一目瞭然だと思うんです。農業はオール岩手でありますが、水産は沿岸だけであります。その沿岸が、平成23年の東日本大震災津波以前、平成21年には重茂半島から南の岩手県の地域が低気圧の影響で養殖施設に大きな被害を受けました。平成22年には、重茂半島から北、そこが北海道沖地震か何かの60センチぐらいの津波でまた大きな被害を受けた。そして、平成23年の東日本大震災津波でありますから、沿岸漁家は3年の間に2回大きな被害をこうむっているわけです。つまり、まさに二重ローンであります。
 そういう状況の中で、20代、30代、40代の人たちが、やはり俺たちは水産漁業で生きるしかないということで立ち上がっていただいて、今、頑張ってもらっているわけでありますけれども、そこに、このTPPの、サケが63%置きかわる、ワカメが93%置きかわる、昆布の関連製品が70%置きかわる、それからホタテが58%置きかわる、こういうことは、その分外国産が入ってきますので売れなくなるということで、当然収入の減につながるわけでありまして、それがわかればわかるほど再起しようと思っている若い人たちにやる気を失わせてしまうのではないかと思います。
 そういったものを切りかえる手だてがない以上、生産は続けていかなければならない。だけど、市場に物があふれる、じゃ、売っていくためには、生産した経費をはるかに切るような単価で販売してお金にかえるしかない。これはもう将来性のない話になるわけでありまして、そういうことが霞が関というところには海がないようでありましてわかっていない。しかも、平常時の場合だったらまだ軽減措置とか特別な何かの措置があってカバーできるかもしれませんが、今回の東日本大震災津波で完膚なきまでにたたかれた本県の沿岸の水産漁業というのは、これは大変なことになりはしないかと思います。
 したがって、一国の総理大臣がやると決めた以上、果たしてどうなるのかわかりませんが、全く非常、緊急事態の本県のことを考えていないと思うしかないと私は思っておりますが、論評するのは難しい立場にあるかもしれませんが、水産漁業という漁家の収入減ということを頭に置いた場合、農林水産部の部長としてはどのようにお考えですか。
〇東大野農林水産部長 本県にとって、沿岸の水産業はまさに地域を支える産業でございます。したがって、その水産業の発展に支障を来すようなことがないよう、そしてまた、今、委員御指摘のように、被災し、それから立ち上がろうとしている、そういった水産業も含めて被災地域の人たちの活力に低下を来すことのないよう、国に対しては求めていく考えであります。
〇伊藤勢至委員 最後にします。
 いずれ、サケあるいはTPPに関する品目につきましては、まさに水産漁業の根幹をなすものであります、全部。したがって、これが置きかわって、自分たちがつくったものが消費されない、停滞する、値段を下げて売るしかない、こうなったらもう先は見えているわけでありますので、どうぞひとつそういうことの不安を持たれないように、やる気を喪失しないような説明といいますか、頑張れみたいな、そういうことで言ってもらいたいということを要望して終わります。
〇郷右近浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより暫時休憩いたします。
 なお、先ほど佐々木順一委員、岩渕誠委員、そして斉藤信委員のほうからも申し出がありました資料の配付及び知事の出席について世話人会において協議いたしたいと思いますので、世話人の方々は議会運営委員会室にお集まり願います。
 では、休憩いたします。
   午後3時21分 休 憩
午後3時48分 再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 先ほど伊藤委員に対する答弁の中で、私はちょっと間違いがございました。サケの被災ふ化場の数を15と申し上げましたけれども、21の誤りでしたので、訂正させていただきたいと思います。どうも大変失礼いたしました。申しわけありませんでした。
〇高橋元委員長 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 それでは、簡潔に3点お伺いします。
 最初は、水資源指定地域内での土地売買等の契約等に係る問題についてお伺いします。
 これは、平成24年3月26日に林野庁長官から都道府県知事宛てに、いわゆる外国人の土地の売買にかかわる問題が惹起しまして、これもマスコミの報道等で大分明らかにされたところでありますが、この林野庁長官のいわゆる届け出制度の運用についてというものに呼応して、11の道県で水資源保全に関係した土地売買等の契約を期限を定めて届け出を義務づける規制を記した条例が制定されています。
 本県におけるこの条例制定についての考え方、それと条例制定についての検討状況をまず示していただきたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 条例制定の関係でございますけれども、まず、水源地域の保全につきましては、昨年4月から施行されました森林法の一部改正で、売買や相続等によりまして新たに森林所有者となった場合、市町村長への届け出が義務化されましたことから、この届け出制度による所有者の的確な把握とあわせて、水源地域など公益上特に重要な森林の保安林への指定や、無秩序な森林の開発を防ぐ林地開発の運用により、本県の大切な水源林や森林が保全されていくよう取り組んでいるところでございます。
 次に、条例の制定につきましては、条例を制定した道県の取り組み状況、あるいは取り組み上の課題等の情報収集を行っているところでございます。今後、環境保全担当部あるいは森林法上の届け出先となっている市町村とも、意見交換をしながら進めていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 今2月定例会ですか、他県でも随分、この制定を目指して取り組みが進んでいるようであります。それで、ちょっと問題提起をしたいんですが、この問題については、いわゆる先ほど答弁の中にあったように、環境関係の部局がやっているところもあるし、それから農林水産部がやっているところもあると。要は、条例の切り口がどこにあるのかというのが非常に問題であります。
 やはり、このような問題が惹起してから、それに対する対応もしなければならないし、あわせて水資源の保全については、さらに県民の意識啓発をするというのも必要かと思います。
 それで、議員発議で、いわての水を守り育てる条例というものが成立しました。条例制定の目的は、水源の涵養と次世代に岩手の豊かな水資源を大切に引くこと、これが主な条例の趣旨でありますが、今回、全国的に展開されているのは、罰則規定があるところもあるし、それから、さまざまな内容がございます。ぜひとも、これは環境生活部の主管している条例ではありますが、この件もあわせて活用できるものであれば活用していただきたいと思うわけですが、その点についてどのような考えであるかお知らせ願います。
〇阿部森林整備課総括課長 いわての水を守り育てる条例の活用についてでありますが、いわての水を守り育てる条例は、御指摘のとおり、水環境の保全及び水資源の確保の観点から制定されたものでございまして、御提言につきましては、所管している部局に伝えまして、今後、意見交換を進めながらやっていきたいと思います。
〇飯澤匡委員 常に目的意識を持って前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、2点目、シイタケ産業の振興についてお伺いします。放射線被害によって大変壊滅的な打撃を受けておりますシイタケ産業でありますが、まとめてお伺いします。
 一つ目は、東京電力からの賠償金の補償状況について、系統、それから森林組合系、おのおのの現況と課題について示していただきたいと思います。
 それから、今定例会で上程されている経営支援資金の貸し付けについて新たに予算化しておりますが、昨年もなされたわけですが、その貸付状況と来年度の見込みについて、まず、この2点についてお伺いします。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、東京電力からの賠償金の補償状況についてでございますが、JAグループ協議会への東京電力からの賠償金の支払い状況ですが、2月20日現在、26億5、200万円の損害賠償請求に対して、13億8、500万円の支払い状況となっております。
 また、森林組合系統の協議会への東電からの賠償金の支払い状況は、2月20日現在、8億600万円の損害賠償請求に対して、7、200万円の支払いとなっております。
 損害賠償請求に係る課題についてでございますが、東京電力による損害賠償が迅速かつ十分に実施されていないこと、森林組合協議会への賠償金の支払いがおくれていること、損害賠償請求の際の証憑類が煩雑であることなどと認識しております。
 次に、原木しいたけ経営緊急支援資金の貸付状況と来年度の見込みについてでございますが、本年度、平成24年度の原木しいたけ経営緊急支援資金の貸し付けは、全体で1億9、000万円ほどとなる見込みでございます。
 平成25年度におきましては、出荷制限、風評被害、ほだ木の更新など25年度に発生する被害のほか、平成24年度分の東京電力からの賠償金未払い分を想定して、7億2、000万円を予算計上しているところでございます。
〇飯澤匡委員 本会議の一般質問等でも議論があったところでありますが、一関管内では、7割ぐらいの生産者が休止もしくは廃止を検討しているという状況であります。それで、経営資金、支援資金についても一応のメニューは示していただきましたが、さらにまた生産の意欲をかき立たせる、それに、今の厳しいこの時期を、難局を頑張ってやるという意味については、経営資金、支援資金だけではなくて、さらに総合的な対策が求められると思うんですね。
 これについては皆様方もお考えのことと思いますが、やはり地元のほだ木を使ってやらなければ、なかなか林業特産物としての価値が、自分たちでも肌感覚でわかっているわけですよね。今、緊急的には皆さん方に準備していただいていますけれども、来年度にやろうとしている除染対策を含めて、もう少し総合的な見地に立った支援策が必要と考えます。
 それで、賠償金を既に受け取った林家の方々から、系統団体については50%、まだまだこれは100%を目指してやっていかなければいけないのですけれども、一時金として一時所得の課税対象となるというようなことで、まさに泣き面に蜂の状況であるという悲痛な叫びが出ているわけであります。この件に対して、皆さん方は直接的には関係ありませんが、この問題をどのように把握をしてなさろうとするのか、ちょっとお知らせを願いたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 賠償金に係る課税の問題でございますが、総務部の審査の際にも答弁があったとおり、生命、心身の損害等に対するものにあっては非課税ですが、必要経費を控除した後の利益の減収分に対するものにあっては課税対象とする旨、国税庁から示されていると承知しております。
 こうした税制上の取り扱いは、原発事故に関する損害賠償全般に当てはまるものでありまして、税制の公平性の観点から、原発事故に係るものに限って非課税の範囲を広げることは難しいとの感触を得ていると担当部から聞いておりますが、税負担の軽減の余地がないのかどうか検討してみたいと思います。
〇飯澤匡委員 それはしっかり、あなた方はやっぱり生産者の立場に立って、生産意欲を継続させる、持続させるということが本当に大事な使命であると思いますので、ぜひとも、その点についても部局を越えて対応していただきたいと思っております。
 あと、これは解釈的な問題になるんですが、まだ、生産者の中では移行係数が1.92ですか、その係数について、また、当初から生シイタケについてのベクレル数が基準になっていると。生シイタケで食べるなんていう人はほとんどいないわけで、そこら辺の初動の考え方が少し混乱を来したのではないかと思うんですが、これらの部分について、チェルノブイリの事故もあり、キノコ類については大変危険であるというようなことが、逆に膨らんでいったという可能性もあるわけですね。したがって、科学的見地に基づいた正しい情報発信も必要だと。これからも、さらにそこら辺はしっかり皆様方も正面から取り組んで、生産者を守るというようなことについて御尽力いただきたいと思うわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇佐野林業振興課総括課長 移行係数についてでございますが、放射性物質の影響を受けたほだ木等からキノコへ放射性物質がどの程度移行するか、これが移行係数と言われるものですが、国においては、森林総合研究所の調査結果に基づいて、一旦、平成23年10月に移行係数を3として、その当時の食品の暫定規制値500ベクレルに対して、安全性を見込んで、キノコ原木の当面の指標値を150ベクレルとしていたところです。
 その後、平成24年4月から食品の新基準値が100ベクレルに見直されるということに合わせまして、その調査結果を改めて見直して、その結果、移行係数を2、キノコ原木の指標値を50ベクレルとしたところでございます。
 さらに、平成24年度においても改めて別の調査をしておりまして、その調査の結果を踏まえても移行係数は2ということで、従前と同程度ということで、指標値の見直しが行われなかったと承知しております。
〇飯澤匡委員 質問の肝は、そういう見地に立っているということは十分わかるわけですが、それが消費者に対しても、包括的にうまく生産者の意向を発信することがやはり大事だと思っております。どうも数字の部分だけひとり歩きをして、さらに、その数字については、新しい食品の見直しについて検討したわけですけれども、これは誰もわからないわけですね。今までそういう経験がなかったわけですから。それはそれとして、決めたことですけれども、さらに情報の発信の仕方についても気をつけていただきたいというのが私の質問の真意でございます。
 最後に、木質バイオマス事業の普及促進についてまとめて伺います。
 私は、平成11年当選で、当時、木質バイオマス等の事業については、部局横断的に、工業技術センターがチップボイラー等の開発、それから、公的な施設についても大いに普及活動を進めてきたと理解しておりますが、どうも最近、その事業の普及が停滞していると思料いたします。所管部局はどのように自己分析しておりますでしょうか、お知らせ願います。
 今後の対策について伺うわけですが、このたび東日本大震災という大きな災害がありまして、その対応に苦慮なされていると思うんですが、やはりここまでようやくたどり着いた事業でありますので、私は、さらに普及発展させるのが絶対必要だという観点に立って質問するわけであります。答弁をお願いします。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、木質バイオマス事業の普及が停滞している原因についての分析と今後の方策についてでありますが、停滞している原因につきましては、景気の低迷などによる企業の設備投資の抑制や、公共団体での木質バイオマス燃焼機器導入の停滞などがあって、木質バイオマス利用が伸び悩んでいると認識しております。
 こういったことから、産業分野への導入を促進する方向を進めるために、平成24年度においては、木質バイオマスコーディネーターによる施設導入時の技術指導を行ったほか、県内4カ所で木質バイオマスエネルギー利用促進セミナーを開催するなど、木質バイオマス利用の普及に取り組んでいるところでございます。
 一方、委員御指摘のように、大震災津波発生以降、県内各地で木質バイオマス発電施設の整備が検討されるなど、再生可能エネルギーへの県民の期待が高まっておりますので、県としては、木質バイオマスコーディネーターによる技術指導に加えまして、今後出てまいります発電等の大口需要に対応した燃料供給体制づくりなど、本県の豊富な森林資源の有効活用につながる木質バイオマス利用を一層促進していく考えでございます。
〇飯澤匡委員 そこで、震災後の対応についても言及いただきましたが、木質バイオマスの利用は、生産から利用までの距離大体30キロ圏内が、地域利用と地元の企業が相まって成立する、地元への貢献が成立するとされております。そのために、再生可能エネルギーを理想的に導入したモデル地区が必要であろうと。
 陸前高田市等は、再生エネルギーについて非常に大きな関心を持って、現在、復興に取り組んでおられます。陸前高田市の後背地には、森林整備等を今までも長い間一生懸命やってこられた住田町もございますし、やはりモデル的に整備することによって他地区にも大いに反響が出るものではないかと思いますが、どのような考え方であるかお示し願いたいと思います。
 また、木質バイオマスについては、発電と熱利用、これがコジェネと言われるその推進について、2本の柱で進めるべきであるというような考えがやはり進んでおりますけれども、熱利用に関しては、今まで片一方の部分にだけ光が照らされてどうもうまくいっていないような気がするわけですが、どのようなスタンスでこれから臨もうとするのかお知らせ願います。
〇佐野林業振興課総括課長 再生可能エネルギーを理想的に導入したモデル地域が必要ではないかというお尋ねでございます。
 まず、委員御指摘のように、木質バイオマスを利用する場合、木質燃料の収集、運搬のコスト面といったことから地域分散型の利用が基本でございます。また、エネルギー利用の効率を考えた観点からは、発電と熱利用を行うコージェネレーションを進めることが望ましいと考えております。一方で、燃料となる木材の安定供給や、発電に伴い発生する熱の利用先とのマッチング、このマッチングのところも大きな課題であると考えております。
 県としては、今後、地域で計画される木質バイオマスエネルギー利用の取り組みについて、エネルギー利用の効率化も含めて、事業実施者、木質燃料供給者、熱需要者との意見交換を行うなど、地域が一体となった取り組みが行われ、木質バイオマスエネルギーの利用拡大が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 そのようにしていただきたいんですが、やはり、より具体的に立地拠点を決めてやっていくというのが必要だと思います。
 先ほどの答弁の中に、木質系バイオマスの燃料を利用した発電というものについて、企業からも提案が具体的にあり、それから、自治体でも、やろうとしている自治体もあります。そこで、代表質問でも言ったんですけれども、これを各部署ごとにやっていきますと、先ほど申し上げたように、供給部分が非常に間に合わなくなる可能性もあるわけです。具体的に、商社系などでも、海岸のある地点に発電所を設けたいという、まだプラン段階の話だそうですけれども、これをもし仮にその規模でやれば、県北の関係の材料はほとんどそちらのほうに供給せざるを得ない状況になるのではないかというような懸念もされているわけでありまして、これは、やっぱり総体的なマスタープランをつくって、拠点化を進めるところは進める、そして、モデル的な地点はここだというようなプランをつくりながらやっていく必要が、もうそういう段階に来ているのではないかと思うんですが、再度その点について答弁を求めたいと思います。
 あわせて、人材の育成ですね。要するに木質バイオマスの中身をよくわかっている、いわゆるフォレスターの養成についても、お金を投じながら養成する必要があると思うんですが、この問題認識についてあわせて伺います。
〇佐野林業振興課総括課長 委員御指摘のとおり、大口の発電施設等が今後設置されることとなりますと、本県の森林資源の持続的な活用の観点等からさまざまな議論が出てくるかと思いますので、大口の需要にも対応していく観点で、森林資源の活用のあり方について、森林林業関係者や需要者等との意識共有をまず図っていくことが重要と考えておりまして、これら関係者等との意見交換を今後進めてまいります。
〇阿部森林整備課総括課長 私からは、フォレスターの養成についてお答えしたいと思います。
 国では、地域の持続的な森林経営を林業、木材産業の活性化、そして、木質バイオマス利用などのビジョンを描き、その実現に向けて市町村等を支援、指導するフォレスターを平成25年度から認定することとしております。
 それまでの間、将来のフォレスターに期待される人材といたしまして、主に国、県の職員を対象に、平成23年度から准フォレスターという形で養成してきているところでございます。本県におきましては、これまで、県職員24名を養成し、各地域で指導員として活動して、また、准フォレスターとして市町村の指導をしているところでございます。
 今後、この准フォレスターが、次にフォレスターとして活動ができるよう養成しながら、地域の資源管理とか木質バイオマスの発展等に向けまして活動していくように養成してまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 最後に部長にお伺いしますが、やはりもう少し県が主体的に再生可能エネルギーについては、特に木質バイオマスについてはかかわっていかなければならないし、それを関係者も期待していると思うんですね。その点について最後に、もう少し前向きな考え方をお示し願えたら幸いです。
〇東大野農林水産部長 木質バイオマスのエネルギー利用につきましては、その資源の供給、それから活用の両面を抱えているのは当部ということになると思っています。そういった意味で、供給サイドの森林組合等とも、いつも一緒になって物事を考えて進めておりましたので、県が問題を投げかけ、一緒に考えて、木質バイオマス利用を進めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 済みません、簡潔に関連質問させてください。
 再生可能エネルギーを理想的に導入したモデル地域の整備についてなんですけれども、先ほどの答弁の中では、市町村との連携をこれからも深めていくということで、ぜひ、もっと強力にやっていただきたいと思うんですが、岩手県内各地のさまざまな自治体で一生懸命やっている自治体があるんですが、その中で、紫波町で大変先進的にやっているところがありまして、まず、産学官で連携されてやっているところですけれども、以前ちょっとお話を伺ったことがありまして、林野庁のほうで、紫波町の取り組みが再編モデル的になっているので、ぜひ全国に向けてモデル事業として発信したいということを紫波町のほうに言われたけれども、岩手県としては何か、先ほどの理由の中で、木材安定供給とか熱の利用の中で課題があるから、ちょっとそこは難しいのではないかというところでモデルにはなれなかったというようなお話を事業者の方からうかがっているんですが、それが事実なのかどうか。また、それを踏まえて、市町村と本当に連携していくつもりがあるのかどうかというか、ぜひもっと率先して手を組んでやっていっていただきたいんですけれども、その件についてお伺いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 紫波町の構想でございますが、役場庁舎等を中心とした熱源供給という取り組みでございます。紫波中央駅前開発地域内で今後建設される公共施設等に、熱エネルギーを供給するエネルギーステーションを整備するという構想とお聞きしたんですが、整備の進度とその整備先の建物、それらをさまざまな補助事業を導入する中で進めていくときに、部分的な、エネルギーステーションだけを林野庁補助で建てたいと言われましても、それは国の補助要件になかなか合致しにくいですねといった経緯があって、林野庁補助の対象ではないという状況になっていると聞いております。
〇吉田敬子委員 詳しい経緯はあれなんですけれども、やはり民間の方とか市町村で携わっている方で、県が本当に後押しをしてくれているのかなということを感じざるを得ないというお話もうかがっていましたので、ぜひ市町村のほうを支えるような形で、県としてもこれから取り組んでいっていただきたいと思います。
〇熊谷泉委員 私から、森林整備について、松くい虫についてだけ、1本だけで質問させていただきます。
 今回、農林水産大臣の駆除命令地区に指定されたということでありますが、これは、飛躍的に被害が拡大したということだと思います。私も紫波町に住んでおりますが、ここ3年ぐらいで非常に爆発的に松くい虫被害が出たんですが、余り数字的なことは聞きませんけれども、この3年でどのぐらい面積が拡大したのか、その1点だけ、まずお伺いいたします。
〇赤澤整備課長 松くい虫による被害面積についてでありますが、平成23年度の県全体の被害面積は1万3、100ヘクタールとなっております。平成20年度の1万5、900ヘクタールと比べれば、県全体で見ますと82%となっております。
 また、盛岡市、矢巾町及び紫波町の県内陸部の被害最先端地域においては、平成23年度の被害面積は201ヘクタールであり、20年度の115ヘクタールに比べれば175%と拡大傾向にある、そういう状況になっております。
〇熊谷泉委員 やはりここ2年間で紫波町、矢巾町のあたりが倍近くにふえたということで、そこで、当局からいただいた資料によりますと、ことし、平成25年度当初予算の2億9、200万円と、昨年度の繰り越しで2億700万円、合計4億9、900万円ということで、対前年比193%、こういう大きな予算がついたわけでありますが、これは多分、農林水産大臣の駆除命令の地区に指定されたからだと思いますが、それでよろしいですか。
〇赤澤整備課長 対前年比193%の予算というようなことですが、これは、やはり国のほうも岩手県が松くい虫被害の最先端だということを認識して、この予算配分になったものと考えているところでございます。
〇熊谷泉委員 そこで、従来の駆除方法というのは、伐倒して、シートをかぶせて薫蒸という、それが今までのやり方だったわけでありますが、今回、平成25年度の事業を見ますと、何項目か今までと違うやり方がふえていると思いますが、この方法でどのくらいの効果が期待されるのか、まずそれをお伺いいたします。
〇赤澤整備課長 平成25年度の駆除のいわゆる事業の内容になりますが、全体では、先ほど言いましたとおり193%の事業費で実施するわけですが、今現在は駆除中心に実施しているところでございまして、被害量につきましては、駆除量が、平成24年度の見込みとしましては1万5、300立方メートル、それを25年計画では8、200立方メートルほどふやしまして2万3、500立方メートルほどの駆除を目指すところでございます。
〇熊谷泉委員 立方メートルで言われるということは、今までどおり伐倒して薫蒸するか、あとは搬出するかということだと思いますが、今、私がもらった資料では航空機による薬剤散布という項目がありますが、これは、盛岡市、矢巾町、紫波町なのかわかりませんが、そういう方法も今回とられるということでよろしいですか。
〇赤澤整備課長 ヘリコプターによる薬剤散布の平成25年度の取り組みでございますが、平成25年度におきましては、一関市、奥州市等の毛越寺とか、あとは猊鼻渓といった重要な松林のある場所におきまして、ヘリコプターを使った航空防除を行うという計画にしております。
〇熊谷泉委員 今の御答弁だと県南のほうのそういうあれで、過去においても、室根村、大船渡市、陸前高田市でそういう航空防除をやったみたいですが、紫波町というか、最近地元でも、そういう航空防除はできないかという意見がよく出ています。というのは、ここ10年間のやり方を見ていると、ある意味、効果がなかったんですよね。これだけ面積が拡大するということは、地元にとってみれば。私も、紫波町の議会に来たとき、10年前に紫波町に入ったときの面積は、今から見れば本当の微々たるものだった。あのとき集中投資してやればこんなに大きな被害にはならなかった。それを延々と、伐倒して、シートをかけて薫蒸した、それだけが町民によく目について、あれだけでどれだけの効果があるのかというのがあるわけですね。
 今お伺いしたいのは、ヘリコプター防除の効果と使用についてのデメリットは何かお伺いいたします。
〇赤澤整備課長 ヘリコプターからの薬剤散布の効果と問題点についてでありますが、ヘリコプターによる薬剤散布は、地上からの散布ができない重要な松林において、松くい虫被害から守る予防措置として最も効果的な手段の一つであると認識しております。
 空中での薬剤散布のため、周囲への薬剤の飛散、いわゆるドリフトと呼ばれているわけですが、このドリフトが問題となるわけですが、実際、この空中散布に当たっては、安全対策に万全を期しており、チラシ、広報等で周辺住民等に対して散布計画の周知を行い、現場周辺に立ち入り注意を呼びかける看板を設置するなど、立ち入り規制や、散布箇所を抽出して、大気中の残留薬剤の分析など自然環境影響調査等に取り組んでいるところでございます。
〇熊谷泉委員 環境調査というか環境に及ぼす影響も大きい、それはいろいろあると思います。だから、地域の理解を得なければいけない。ただ、さっき言った奥州市とか平泉町とか、あっちのほうでやられているのにはそれだけの努力が要ると思うんですが、こっちの、盛岡市、矢巾町、紫波町でも、やはりそういう市町村に説明をして、ある意味、効果的な対策をとらなければ、というのは、紫波町だけでも、西側と東側では前線が物すごくもう拡大しているんですよね。だから、いわゆる病気で言うと、伝染病で言うと、対象が非常に広がっているわけでありまして、これは倍の予算ですけれども、私は、恐らくこれだけ倍の予算にしても、被害の面積が広がっているので、今までのようなやり方では余り効果がないと思いますが、いかがでしょうか。
 あと一つ、時間がないので言います。ヘリ防除については、私も資料をちょっと取り寄せましたが、庄内のいわゆる遊佐町とかあの辺は、クロマツの砂防林なので樹高が低いということもありますが、ある意味、秋田県の南側でも、それなりの効果を上げていると県の職員も認めているわけです。だから、ある意味、飛散を防ぐのであれば、大きなヘリコプターでやるよりも、もうちょっと細かいところで、ラジコンヘリを使うとか、そういう今までの手法と違った方法をとらなければ、私は今の拡大をとめられないと思います。
 あとは、北上の一番最先端は盛岡市の上米内ということになっていますが、そこの北上は、今までのようなやり方でとめられるとは思わないんですよ。ずっと過去の経緯を見ていると。その一番の最先端でことし何をやられるのかお伺いいたします。
〇赤澤整備課長 今のお尋ねでございますが、今までのやり方では被害がなかなか防げないのではないかというようなお尋ねでございますが、今年度、これまでの最前線における被害の全量駆除というようなことで、被害木を中心として、その周りの感染の疑いのあるそういう木も対象として切り出して、被害の拡大を防ぐというような事業にも取り組む予定にしております。そういう事業につきましても、紫波町、盛岡市、矢巾町において重点的に実施したいと考えております。
 また、ラジコンヘリを使っての防除ということですが、やはりラジコンヘリを使う場所というものは、いわゆる木の高さよりも高いところにリフト車を上げて、木を見下ろす形での薬剤散布というのが海岸林のほうで、秋田県、宮城県のほうで行われてきたわけですけれども、本県の場合は、急峻な地形だというようなことで、なかなか面的にその急峻なところに使うのは難しいとは思いますが、中には使える場所があるかもしれませんので、その辺のところは、市町村のほうの要望を受けまして、現地等を確認しながら検討してまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 じゃ、これで最後にします。森林健全化の事業で、転換するために、これは50ヘクタールということなんで、更新伐採ということで、理想的なのは、面的にも枯れた木を全部撤去して新たに植林することが一番いいと思いますが、これで、松が生えるところといえば、大体自然林は、岩山に生えるのが松なので、これを伐採して次にどういう樹種に転換していくのか、あるいはそれを山の持ち主がどういうふうに理解しているか、それについてどういう指導をされているのかお伺いいたします。
〇赤澤整備課長 先ほど1点答弁漏れがございました。最先端の上米内地域における防除についてでございます。
 上米内におきましても、被害木はまだ数本というようなことで、非常に限られたところに発生しているということでございますので、そちらの地域の被害木を中心に徹底的な監視をしまして、とにかく感染が疑われるものも含めまして、そういう防除、薫蒸処理等を行って、その地域での発生を閉じ込めたいと考えております。
 あと、次のお尋ねでございます被害木の伐採後の植林の進め方と樹種についてでございます。
 被害木の伐採後の植林の進め方についてですが、松林を伐採し、他の樹種に転換する、いわゆる樹種転換のためには、森林整備事業のメニューである更新伐という事業がございます。この事業を活用するよう森林所有者のほうには働きかけているところでございます。
 伐採後の樹種転換につきましては、松以外のいわゆる杉、カラマツというものが中心になりますが、そういう針葉樹を植栽する場合や、また、アカマツ林の場合については、天然更新が可能となるような場合もございますので、そういう広葉樹林の造成というようなことを考えておりまして、松くい虫による被害に強い森林づくりを行っていきたいと考えております。
〇熊谷泉委員 わかりました。
 最後に1点だけ。この松林健全化の中で樹幹注入という事業がありまして、樹幹注入は、私たちのほうでも、300年もたった庭木を枯らさないようにとやって、結構これはお金がかかるわけです。これは995本とありますが、本数まで示してあるところを見ると地域が指定されていると思いますが、ここはどこなのか、それをお伺いしたいと思います。
〇赤澤整備課長 樹幹注入につきましては、非常にこれも効果がある事業でございます。現在、この平成25年度の森林整備加速化・林業再生事業で要望が出ている場所としては、花巻市の賢治記念館のあるあの山のあたりといいますか、やはり地域でも守っていきたい松がある、そういう地域において、この樹幹注入を導入して松の保全を図っていくというふうに取り組んでおります。
〇佐々木大和委員 アカマツは岩手県の木でもありますので非常に大事なんですが、松くい虫がそこまで来ております。そういうことで、特に県の場合に、アカマツで保護しなければならないエリア、大事なエリアというものがあると思います。例えば、平泉の世界遺産エリア、ああいうところは絶対保護していかなければいけないと思うわけですし、また、南部アカマツのブランドの東山松とか、あるいは侍浜松、侍浜のほうはいいと思うんですが、その東山松の保護等のためには、この松くい虫対策をどのようにやっておられるか伺います。
〇赤澤整備課長 本県は、松くい虫防除対策を進めるに当たりまして、その対策の対象とする松林を定めております。四つに区分しているところでございますが、高度公益機能森林といいまして、保安林とか、または、いわゆる風致上非常に大切な森林、そういうような森林を高度公益機能森林と位置づけて、また、それを取り囲むような形で、その森林を守るための被害拡大防止森林というような森林を位置づけております。今の二つにつきましては、県が指定していくというような森林になります。
 また、市町村のほうでも独自に、地区保全森林といいまして、市町村のほうで大事な松を守っていきたいというような森林について指定しておるところでございますし、その地区保全森林を取り囲むような形で地区被害拡大防止森林という、四つの区分の松林を設定しているところでございます。
 それぞれの面積につきましては、高度公益機能森林につきましては県内全体では約1万ヘクタール、被害拡大防止森林につきましては1、740ヘクタール、地区保全森林につきましては1万7、900ヘクタール、地区被害拡大防止森林につきましては6、700ヘクタールといったような指定状況になっております。
 東山は、東山松といった有名な天然松の場所になりますが、そちらのほうにつきましての資料はちょっと今ございませんので、その東山松のエリアに対しての現在の松の保護状況については、後ほど調べてお知らせしたいと思います。
 あともう一点、平泉町につきましては、毛越寺近辺につきまして、ヘリコプターによる航空防除を実施しているところでございます。
〇佐々木大和委員 いずれ、アカマツに関しては、日本でも最後のエリアになるわけですから、そういう意味で、ぜひ、これをしっかり守っていくという体制をつくってもらいたいと思います。
 1970年代から、西のほうから大量発生して今日に至っておりますが、これとあわせて病害虫のことで伺いたいんですが、近年、ナラ枯れ、カシノナガキクイムシですか、この部分が発生しているという情報が入っているわけです。県内と、それから東北での発生状況についてお知らせいただきたいと思います。
〇赤澤整備課長 ナラ枯れの発生状況でございます。
 本県では、民有林においては平成23年に初めて発生したところでございます。あと、国有林においては1年前の平成22年に発生したところでございまして、平成24年、今年度につきましては、ナラ枯れ被害は、本県では発生していないという状況になっております。
 また、東北の発生状況につきましては、秋田県、宮城県で被害が発生しているところで、東北地方では特にも山形県が、全国でも相当被害が大きい発生状況になっているというのがその状況でございます。
〇佐々木大和委員 気象条件がかなり影響するということを聞くわけですけれども、昨年は高温少雨の夏だったわけで、ことしあたりは心配なところがあるわけですけれども、そういう意味において、このナラ枯れが発生してきますと、岩手県の森林の中の半分ぐらいが広葉樹林ですから、そういう意味では非常に心配なところがあります。
 そして、今のところは、ほだ木とか、あるいはチップに使っているわけですけれども、そういう中で、この里山の低林化、30年、40年の間に伐採していく形をとらないと、なかなかこれは難しいのではないかと言われているわけですが、低林施業を推進する必要が出てきたのではないかという気がいたしますけれども、この広葉樹林業の推進について、今、国のほうの森林計画の中で、この更新伐が広葉樹にも入ったようですが、県としてこれにどのように取り組んでいくか、所感をいただきたいと思います。
〇竹田林務担当技監 委員からお尋ねのありました広葉樹林業をどう進めるかというお尋ねでございます。
 委員も御指摘のとおり、森林整備事業、国の補助事業において、それまで針葉樹だけが対象だったんですけれども、広葉樹の更新を進めるための伐採、これに対する補助が出るようになりましたので、県とすれば、本県は民有林の半分ほどが広葉樹でございますので、ナラ枯れ対策にもなりますので、積極的に、早目の20年とか30年とかという形での更新を所有者のほうに奨励してまいりたいと思っております。
〇佐々木大和委員 ぜひそういう施策をとってもらって、やはり県土の77%が森林という中で、半分ぐらいがそういう形の山ですから、これをどう活用するかというのが、環境も含めて重要な課題になってくるんだろうと思います。そういう意味で、これまでは初期の育成天然林事業等で対応してきましたが、やはりそういう、今回は、さらにその上の低林施業等の施策を研究する必要があると思いますので、ぜひ、その辺の検討をお願いしたいと思います。
〇関根敏伸委員 私からは、県産材と木質バイオマスの利活用について数点お伺いします。先ほどの飯澤匡委員の質疑とも一部ダブるところがございますが、通告しておりますので質問させていただきます。
 まず、県は今年度、県産材活用促進緊急対策事業ということで、木材加工流通施設でありますとか、バイオマス関連施設等々の整備に補助をしております。あわせて、木質バイオマスの資源活用促進事業、これはコーディネーターを使って新たな木質バイオマスのボイラー利用の新規開拓を進める、こういった事業とうかがっております。いわば県産材の利活用の出口対策と捉えることができると思うんですが、これらの事業によって、いわゆる県内の県産材の利活用の出口がどのように拡大しているのか、また、新年度の取り組みはどのようになっているのか。そして、あわせて県産材の利活用の経年変化についてお尋ねいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、県産材活用促進緊急対策事業、これは国の補助金を投入して行う事業ですが、これでは、平成24年度に5事業体で、製材機械、プレカット加工機械、木材乾燥機を整備し、この5事業体合わせて3万5、000立方メートルの間伐材の生産量の拡大が図られることとなっております。平成25年度につきましては、4事業体で、合板加工機械、木材集出荷施設、木質資源利用ボイラー等の整備を計画しており、現在、その事業実施に向け、県において計画審査を行っているところでございます。
 木質バイオマス資源活用促進事業、これは県単事業でございますが、これにおきましては、平成24年度、委員御指摘のように、木質バイオマスコーディネーターを活用しまして、木質燃料施設の導入を検討する事業体に対し、技術指導等を9回実施しております。平成25年度においても、コーディネーターによる技術指導の取り組みを継続するとともに、発電等の大口需要に対応していくため、林業、木材関係団体等と連携し、木質燃料の安定供給体制づくりを進めていくこととしております。
 次に、県産材の利用量の経年変化ということでございますが、平成19年からの5年間、これは暦年で見ますが、暦年で推移を見ますと、平成19年から22年までの素材生産量は、おおむね年120万立方メートルで推移してございます。震災のあった平成23年につきましては、震災による合板用素材の落ち込みが主な原因となりまして98万4、000立方メートルに減少しております。平成24年につきましてはまだ統計が出ておりませんが、宮古市の合板工場が5月に復旧したほか、丸太素材の流通コスト支援を実施しておりますので、ある程度回復するものと考えております。
〇関根敏伸委員 わかりました。いろいろなこの事業の活用によって、県産材の活用が図られる見通しだということでございます。頑張っていただきたいと思います。
 あわせて、いわゆる震災によって、素材生産者でありますとかチップ生産者の行き場がないということで、県が一定程度、輸送経費に対して助成をするという事業が行われているようでありますが、この事業の現状がどうなっているのか。
 それから、あわせて、新年度同じ事業が継続されるようでありますが、予算額が、今年度の4億1、000万円に比較して1億8、000万円ということで大幅減額になるようでありますけれども、この理由について教えていただきたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 復興木材流通支援事業ということでございます。
 この事業は、被災により受け入れが困難となった合板工場や製紙工場に納入していた原木及びチップをほかの工場に振りかえて輸送するといった場合に、その距離に応じて運搬費の一部を助成する事業でございます。
 平成24年度の現状でございますが、事業量で約15万立方メートル、補助金額で約3億2、000万円を支援する見込みとなっております。
 委員御指摘の当初予算では21万6、000立方メートルで4億2、000万円という計画でございましたが、被災工場の復旧工事が完了しますと振りかえ輸送が不要になるということで、逐次減額になっていくということでございまして、支援対象が大幅に減ったということで、平成25年度当初予算で大幅な減額となったものでございます。
〇関根敏伸委員 ありがとうございます。そうすると、今まで県外でありますとか遠方に行っていた分が、どんどんこの復旧とあわせて県内に納入できるようになったということで、いい状況になっていると理解すればよろしいわけですね。わかりました。
 それから、3点目でございます。先ほど木質バイオマス発電につきまして飯澤匡委員からも触れられました。同じ観点で質問するわけですけれども、宮古市の木質バイオマス発電施設、これが平成23年度の林野庁第3次補正で事業決定して、現在、建設が進められていると思うんですけれども、この状況と原材料の安定供給との関係についてお伺いします。
 まず、施設整備の現状、それから発電開始見通し、それから発電量とそれに必要とされる木質材料の量、そして安定確保の見込み、これについて一体的に教えてください。
〇佐野林業振興課総括課長 宮古市で進められております木質バイオマス発電施設の状況と原材料の安定供給についてでございますが、この施設は、状況でございますが、発電施設本体の契約を平成24年10月に締結し、雪解け以降、現地での工事が本格化するという計画になっておりまして、平成26年3月からの発電開始を予定してございます。
 発電規模につきましては5、800キロワットアワー、このうち5、000キロワットを売電する計画、固定買い取りの売電でございます。5、000キロワットと申しますのは、一般家庭約1万世帯分に相当する発電量となってございます。
 木質燃料につきましては、丸太に換算いたしまして年間約10万立方メートルの燃料用木材を利用する計画となっておりますが、この発電施設を計画している事業体におきましては、自社の木材加工工場の端材等を活用するほかに、未利用間伐材を地域の木材生産事業体から調達するという計画でございまして、燃料供給については、既にこの発電施設の事業者は、10万立方メートルを超える丸太を常に調達してきた実績があるということもございまして、地域の木材生産事業体とのつながりも深いということもございまして、燃料の安定的な調達は現時点では十分可能と考えております。
〇関根敏伸委員 宮古については安定供給が確保できるという見通しでございますが、あわせて、今後の木質バイオマス系発電施設の立地の見込みでありますとか計画がどうなっているのか、これをまず聞かせていただきたいと思いますし、また、先ほど飯澤匡委員からも話がありました。今まで県も熱利用を中心に計画を進められてきたと思いますが、震災後、このバイオマス発電が固定価格買取制度ができたことによって大幅に進んでくるだろうと思っております。そこで、先ほども話がありましたが、大型の発電施設ができることによります木材の安定供給と県内の森林保全、再生が一体的にサイクルがきっちりかみ合ってできるのか、急激な皆伐等を促進するおそれはないのかということが懸念されます。
 あわせて、現在、木質バイオマス発電での木質系の原材料の買い取り価格が1トン当たり2、500円とか3、000円程度だと聞いておりますが、固定価格で買い取ってくれるということになりますと、これが6、000円とか1万円以上になるのではないか。これは報道の話ですから現状どうなるかわかりませんが、仮にそうなったといたしますと、今まで県内の製材でありますとか合板でありますとか製紙でありますとか、さまざま木の素材、間伐材等々を含めて、行き先があった部分との競合が出てくる。価格の折り合いの中で原材料の奪い合いが生じてくる状況が懸念されるということも指摘されている部分であります。こういった部分を含めて、県として長期的にこれらの対応をどうとっていくのか。あわせて、現在、製紙工場等々、原材料の供給への影響が出ている現状にあるのかないのか、この辺についてまとめてお伺いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、今後の県内での発電施設の計画につきましては、東日本大震災津波以降、再生可能エネルギーに大きな注目が集まる中、本県でも複数の木質バイオマス発電の構想あるいは計画がございますが、具体的に事業着手に至っているのは先ほど申し上げた宮古市の1施設のみとなっております。
 こういったことで、現時点では木材価格等の変動や製紙用材等への供給の影響は出ていないところでございますが、先ほど来申し上げているように、本県の森林資源の持続的な活用のあり方について、やはり県内の林業、木材関係者や需要者等と十分な意識共有を図っていくことが重要という認識のもとに、これら関係者との十分な意見交換を今後行ってまいります。
〇竹田林務担当技監 私のほうから、資源の活用の見込み等について補足させていただきます。
 本県の森林は、年間に太る量というのがあります。成長量、これは一本一本は少ないわけですけれども、それが集合すれば相当の量になります。その年間の成長量が約417万立方メートルとなっております。それに対して、先ほど木材の生産量、利用量は全体で─これは製材用も一切含めてですけれども、およそ120万立方メートルということで、3割程度になります。そういうことで、まだまだ太った分を満度に使っていない、計算上ではありますけれどもそういう状況にありますし、間伐材の利用もおよそ3割程度にとどまっているということで、道路等がない場所もありますけれども、7割はそこの現地に捨て置かれているという状況もありますので、そういった意味では、発電施設ができることによってそういう未利用材が使われるというプラスの効果を我々も期待しております。
 ただ、先ほど佐野林業振興課総括課長が話したとおり、やはり地域で丸裸にさせないような利用のあり方を考えていく必要があると思っております。
〇関根敏伸委員 今の説明ですと、まだまだ出口をしっかりつくっていくことも必要だと思っておりますし、長期的には対応も考えていらっしゃるということでございます。
 この木質バイオマスでは、未利用材と一般木材での買い取り価格が違っている、売電の価格が違っているようでありますから、本来さまざまな素材生産に回っていくべきものが燃やされてしまうといった懸念もあるようですから、そういった部分への対応もしっかりとっていただきたいと思います。
 最後、これは通告しておりませんが、先ほど来TPPの話が出ております。農業、水産業、林業も含めて影響額等が示されました。林業では約10億円、生産額が減少されるだろうと。ただ、これは県の試算ですと、関税10%以上ということで合板の1品目のみの試算内容ということになっております。先ほど来さまざまな委員から、もっと詳細な、品目もふやしたり、あるいは市町村ごとの影響額であるとか、こういったことの指摘もあるようでありますので、林業分野についてももう少し影響について細かな試算等についてしっかり考慮いただきたいと思っておりますし、あわせて、今まで輸入材との価格差の中で国産材、県産材が全く出ていかないという状況が長く続いておりました。いろいろな政策の中で少しずつこれが回り始めるという現状の中で、ようやくそこに至ったところでまた仮にこれが導入されますと、輸入価格差が生じてきてこの流れに歯どめがかかってしまう。生産者でありますとか所有者の林業への経営意欲が非常に減退する、私は、こういう精神面的なマイナス要素も非常に大きいと思っております。
 あわせて、森林の場合は、直接的な経済効果でありますとか生産量の減少だけではなくて、先ほど来水源の涵養機能というところもありましたが、何兆円かの森林が適正に保たれることによる涵養機能というものが一定程度金額的なベースで試算されているはずなんです。これが、木が出ていかない、山がますます荒れてしまう、山に手入れをするためにまた補助金が必要になってくる、こういった負の連鎖による水源涵養機能の維持負担額、こういったものも恐らく私は試算しようと思えば出すことは可能なんじゃないかと考えておりますけれども、こういった部分について御所見をいただきながら、ぜひ資料提供について、こういった部分も含めて見える化を図っていただきたいと思いますけれども、御所見をどなたかにお願いしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 今、委員から、合板だけではなく他のものについても試算をという御提言がございました。あと水源涵養についても同様の御提言がございましたけれども、国の品目設定を超えて試算しようとしますと、外国貿易の状況等を全て調べ直して、県が独自に前提を設定して試算する。相手国の資源量も含めて県が独自に調べてということで、作業上は非常に困難を伴うものと考えます。
 あと、水源涵養の関係で、国は今、全体量としての多面的機能の損失部分が1兆6、000億円という数字を出していますが、この試算の方法についてまだ明らかにしておりません。情報入手には努めますけれども、そういったこともございますので、国の試算品目を超えて前提を超えて県が独自に前提を置いて試算するということに関しては非常に困難でございますので、御理解いただきたいと考えます。
〇関根敏伸委員 わかりました。多面的機能についてはぜひ何らかの数値化を、国が恐らく根拠を持って出している数値だと思いますけれども、県としての試算を前向きに検討していただきたいと思います。
〇城内愛彦委員 私からも質問させていただきます。
 漁業担い手確保・育成総合対策事業についてでありますが、おかげさまで被災した沿岸部分の漁業が大分復旧はしてきたところでありますが、その中で担い手というのはどういうふうになっているか現状を伺いたいと思います。またあわせて、今後の見通しとその課題というのをどういうふうに捉えていらっしゃるかお伺いします。
〇石田漁業調整課長 漁業の担い手の関連でございますけれども、県が9月に漁協を対象にアンケート調査を行いました結果によりますと、漁業を再開した経営体が養殖業で53%、漁船漁業で58%という状況になっておりまして、非常に厳しい状況となっております。
 また、このアンケート調査では、同時に震災から5年後の各漁協の経営体の見通しについて漁協の事務方にも尋ねておりまして、この回答によりますと、約7割の漁協が震災前の経営体の数に戻るのは多分厳しいというお答えをいただいています。
 このように、震災により経営体、生産量も減少が見込まれることから、県では、平成25年度の漁業担い手確保・育成総合対策事業によりまして、まずは地域の担い手確保対策を検討する協議会を設置します。また、その協議会では、漁業士、青年漁業者グループの活動支援を検討するとともに、新たに漁協が新規就業者を確保して育成する体制の構築を進めるなど、市町村、関係団体と連携しながら、漁業の担い手確保と地域の受け入れ態勢の構築について取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 今答弁にあったように、現状は大変厳しいです。道具はそろえてもらったけれども、もう一回というわけにはなかなかいかなくなってきましたし、1年、2年休む期間がある方々においては、なかなか復帰できないという状況であります。ぜひどんどん若い人たちを育ててほしいし、あわせて、全然漁家に関係ない方々に対するアプローチというのもあっていいと思います。そういうこともぜひ前向きに検討してほしいと思います。
 また、この事業を去年からやっている中で、どうだったのかという部分をあわせてお願いします。
〇石田漁業調整課長 漁業担い手確保・育成総合対策事業として実施しておりますのは平成24年度からでございまして、この関係で、震災前の取り組みとして漁業担い手確保対策事業という名前で継続しております。これは、漁業就業者の確保に向けて、青年女性部あるいは漁業士の活動支援を行うと同時に、新規就業者の確保につきましては、県漁連と連携しまして、漁業就業フェアの開催に参加しまして、全国からの新規就業者と地元の雇い入れとのマッチングを進めてきているところでございます。
 平成24年度につきましては、現在、全国から募集しました段階で3人の方々が岩手に入りまして、今、漁業研修に取り組んでいるところでございます。
〇城内愛彦委員 廃業もあわせてなかなかもとに戻らないという中にあって3組しか入らないという状況なので、これもまたやっぱり危機的な状況だと思います。ぜひ抜本的なことも考えて対応、対策をお願いしたいと思います。
 次に移ります。
 養殖ワカメの状況についてであります。
 おかげさまで春先のワカメが出回るようになって、ようやく沿岸部の海の幸が戻ってきたのかなという感があるんですが、その復旧状況をお伺いしたいと思います。
 あわせて、先ほど答弁がありましたけれども、もう養殖はやらないんだというようなことを言っている方とか、それも含めて今後の対応をお伺いします。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず、養殖ワカメの復旧状況についてでありますけれども、ワカメの養殖施設は、これまでに約8、200台を整備し、震災前の約7割を確保したところでございます。これにより、養殖ワカメの生産量は平成25年には約1万9、000トンと、震災前の約8割までの回復を見込んでいるところでございます。
 それから、ワカメの養殖を再開した漁業者のほうも含めての復旧というか人のほうの話ですけれども、これも県漁連の調べによりますと約1、000人と、震災前から3割程度減少している状況でございます。
 この意味で、養殖をやらない人たち、この3割減少した分のこととすれば、何とか私たちとしては戻ってきてほしいとは思いつつも、やはり震災で亡くなられた方とか、あるいは家族経営であることもあって、なかなか今やれない部分、あるいは仮設に入っていたり漁村からちょっと離れているようなところの人はなかなか戻ってこられないでいる状況でありますけれども、それでも、今後、生産の回復と担い手の確保を図りたいということで、平成25年度から新たに地域再生営漁計画推進事業に取り組みたいと思っております。これは、各漁協の漁業の形態に応じた個人経営の規模の拡大や、あるいは漁業者のグループ化による協業体の育成、それから漁協が漁業者を直接雇い入れる漁協自営養殖の導入などを支援して、漁協を核とした養殖業の再生を図っていきたい。こういうところになるべく多くそれぞれの事情を抱えている人たちも入り込んで、漁業についていただきたいと思います。
〇城内愛彦委員 先日、養殖ワカメに復帰した田老地区の方とお話をしたんですけれども、あと5年できるかなという話をされて私もショックだったんですけれども、それだけ高齢化が進んでいるということだと思います。そういうことを考えますと、本当に若い年代の方々がどれだけ定着も含めて新規参入をしてくるかということにもかかってくるんだろうと思います。
 また、今後、商品を安定化してブランド化したものを継続して育てていくというのも大事なことでありますし、今回、販路が若干落ちているわけですけれども、そういう意味で、ワカメの値段が平年並みにだんだん戻ってきつつあるんですけれども、去年は御祝儀相場だったわけですけれども、そういう中にあって、消費者の方々の状況というのはどういうふうになっているのかお伺いしたいと思います。
〇泉流通課総括課長 ワカメの消費というお話でございましたが、今、6次産業化に取り組んで、ワカメを直接漁業組合がその場で加工するというような取り組みを行っているわけでございますが、今までは大きな袋だったものを、流通、加工の大手小売のアドバイスをもとに、それをある程度小さくして使いやすいようなパッキングをするなどして、ワカメを買いやすいような形にして生産元から出荷するというような取り組みを行って、消費者がより購入しやすいような取り組みを今行っているというのが現状でございます。
〇城内愛彦委員 ぜひしっかり川下の要望に応えるような形で取り組んでいっていただきたいと思います。そうしていかないとなかなか現金収入が漁家の方々に入ってこないと思いますので、その辺はしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、いわて農林水産業6次産業化、今若干答えも入っていましたけれども、水産業の6次産業化の現状という部分と、今後の見通し、課題はどう捉えていらっしゃるかお伺いします。
〇泉流通課総括課長 水産業の6次産業化の御質問でございます。
 水産業の6次産業化の現状につきましては、県内におきましては、これまで、水産物の付加価値を高めるために、久慈地域におけるサバを使った加工食品の開発や、今申し上げました宮古地区におけるワカメのブランド化、それから大船渡地区におけます漁協の青年部員によりますホタテのブランド化などの取り組みが展開されてきてございます。これらの取り組みは、被害を受けました加工施設等の復旧が進められ、徐々に再開してきてございます。
 今後の見通しでございますが、水産業の復興に当たりましては、施設の復旧、復興とともに、縮小した販路の回復が課題となっておりますことから、漁協等に水産物の加工や流通の専門家を派遣いたしまして、商品の開発などを支援する事業や、いわて農林水産業6次産業化沿岸復興支援事業を創設いたしまして、被災地の12市町村の漁業者等の水産物加工や販売などの6次産業化の取り組みを支援しているところでございます。これらの取り組みによりまして、被災事業者と大手食品卸の連携による販路の開拓や漁業者との新たな取引が始まっており、今後とも、縮小した販路の回復、拡大と漁業者の所得向上に向けまして被災地域における6次産業化を推進してまいる考えでございます。
〇城内愛彦委員 しっかりとこの事業を進めていただければと思います。いろいろな形で物流の間に中間マージンが取られないような形で、直接生産者にお金が入るような形をしっかりと構築していただければと思って、終わります。
〇岩渕誠委員 私は、シイタケの問題に絞って質問させていただきます。
 冒頭、部長から原木シイタケの生産を継続する生産者の数についてのアンケート調査が報告されました。出荷制限指示を受けている14市町の生産者950人の数字ということでありますが、3割程度しか継続しないと。継続しないのが45%、保留─決めかねているというのが23%という数字がありましたけれども、これに関連して、まず、部長はこの数字をどのように受けとめていらっしゃるのか。そして、当然県は、やりますか、やりませんかと言うだけではなく、もっと詳細な調査を行っているものと承知しております。この中で、例えば決めかねている人は何が理由なのか。逆に言うと何の支援を求めているのか。そして、継続する生産者は3割程度おりますけれども、これは、生産スタイルはどういうような形で生産を再開し、継続したいと考えているのか、その辺の分析をどうしておられますか。
〇東大野農林水産部長 シイタケ生産者の生産継続意向の調査の件でありますけれども、数字的には非常に厳しい数字と受けとめております。現在、原木シイタケについて出荷再開のめどが立っていないといったことが非常に大きな要因で、そのめどがあればまた生産者の意向も少し状況が変わってくる可能性もあるとは考えてございますので、我々、まずは出荷再開にめどを立てるために、国と出荷再開のために何をすればいいかというのを協議し、早く決めてもらうということに最善の努力を費やしたいと思います。
 調査内容の分析については担当課長から答弁させます。
〇佐野林業振興課総括課長 調査に当たっては、今進めております原木等処理事業において、ほだ木の処分あるいはほだ場の環境整備を進める中で生産者からの聞き取り等を行って把握しているものでございます。
 生産継続しない、あるいは決めかねている理由については、今、部長からも述べたとおり、やはりめどがなかなか立たないということにあわせまして、生産サイクルの回復まで時間がかかることにあるものと認識しております。
 生産再開のために生産者がどういったことを希望しているかということでありますが、やはり出荷制限解除の見通しを明らかにすること、そして、出荷制限解除後にどうやって生産再開をするか、その生産再開に向けた環境を整えることが重要と認識しております。
 このため県では、シイタケ生産者に対する再生産への支援として、まずは出荷制限解除に向けた協議を急ぐとともに、ほだ場の環境整備や新たな原木の確保のほか、人工ほだ場等のモデル的な整備を支援するなど、できる限りの支援をしていく考えでございます。
〇岩渕誠委員 もう少し詳細にお聞かせいただけるかと思いましたけれども、少し残念な気がしております。
 いずれ現時点で3割しかやらないということは、少し言葉は厳しいかもしれませんけれども、産地を東電が殺したということが私は言えると思いますし、そういう状況にならないようにするために行政はどうするかということだと思うんです。
 その生産サイクルまで時間がかかるということでいえば、今、ほだ場の助成、モデル事業を今年度やりまして、確かに効果があるということは言われておりますけれども、今後果たしてどうなのかということはやってみないとわからないということであります。生産サイクルを再開するに当たって、何度も申し上げておりますけれども、やはり人工ほだ場とか簡易ハウスでの生産再開、まずは出荷できるものをつくって回していくということが一番必要なんですが、一般質問でも取り上げましたが、これの整備事業費の6分の1が自己負担になっている。これはどうしても高いハードルになってくると思います。
 私は指摘させていただきましたし、その後の予算特別委員会でもこの問題は取り上げられております。農林水産部においては、こうした指摘を受けて、東電と交渉していると思いますが、どういうような交渉内容であったか、それについての答えはどうであったのか、部長、お答えください。
〇東大野農林水産部長 人工ほだ場あるいは簡易ハウス施設での栽培事業に係る生産者の負担の件につきましては、先週、東電に直接申し入れをしてございます。その中では、生産者がほだ場を除染した場合であってもなお不安を抱えているという状況に鑑み、この原発事故という事態がなければこういった新たな栽培方法に移行する必要もなかったということを重々理解して対応してほしいということを申し入れてございます。ただ、その場での答えは、生産者の事情はよく理解するけれども持ち帰って検討させていただくと、先週のやりとりではそういうやりとりでございます。
 県としては、引き続き、国に対しても東電を指導するように求めてございますけれども、機会あるごとに施設整備の負担を賠償対象とするよう求めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 現状では、生産サイクルを再開するには、一番いいのは、やはり今申し上げたところで、生産を再開して出荷再開の正常化の糸口をつくってやっていくというのが一番の道筋だと思います。あわせて、将来の減収分、今、非常に取引価格が低迷していますから、いつ時点のものの金額で補償してくれるのか、こういったところも含めてあれなんですが、いずれこれは、東電とのらりくらりとやっていられたのでは、予算はつけましたけれども全然消化もできず再開もできずという悪循環に陥ってきますので、これはぜひ期限を区切って、必要であればというか、すぐにでも部長は東電本社に乗り込んでその場で回答を引き出すような努力をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
〇東大野農林水産部長 生産対策に対する賠償につきましては、できる限りの努力はしたいと考えます。
〇岩渕誠委員 これは本当に生きるか死ぬかの瀬戸際だと思ってやっていただきたいと思います。その先鞭を早くつけられれば決めかねている方々も後に続くのであって、これがずるずるいけば当然この決めかねている人たちは生産再開なんかしませんよ。そういうような気持ちでぜひやっていただきたいと思います。
 これに関連してですけれども、先ほど飯澤委員からもお話がありました。これは最終的には、代替のほだ木をどのようにして確保して、また将来的にはやっぱり自分のところの山の木でつくりたい、それが本当におらほの生産物だということになって、そこまでいって初めて完了ということなのであります。なかなか道は遠いと思いますが、まず、ほだ木の調達の実績、それから新年度の見通し、あるいは、一部では今後不足も懸念されるという話が出ておりますけれども、これに対応して、どう分析してどのようにしているのか。
 それから、まとめて聞きますが、最終的な生産サイクルの完全再開ということになればほだ木の自家調達ということになりますが、これに向けた考え方、これは森林除染との関係も出てきますし移行係数の考え方も出てくるわけでありますけれども、これに向けた考え方、新年度の取り組みについてお願いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、原木の調達の実績、今後の見通しについてでございますが、平成24年度における原木調達は、生産者の方々から要望のあった13万本について確保、及び生産者の方々への供給の見込みが立っております。
 今後については、市町村有林あるいは県有林、国有林、こうした管理者に継続的に原木供給をしていただけるよう要請するとともに、今年度、原木供給に協力いただいた原木林の所有者や木材生産事業体に対し、直接現場に赴くなどして継続的な原木供給やさらなる増産を依頼するなど、関係団体と連携し、原木の安定調達に万全を期してまいりたいと考えております。
 原木の自家調達ということでございますが、本県の原木シイタケ生産は、豊富なコナラなどの森林資源を活用しまして、中山間地域の重要な作目として定着したものでございます。放射性物質濃度が指標値を超え、シイタケ原木林が使用できない地域では大きな影響が出ているところでございます。
 このような原木林について、直ちに原発事故前の利用状況に戻るということはなかなか難しいものと考えていますが、県ではモニタリング調査を継続して行いまして放射性物質の影響渡合いを確認し、使用可能なシイタケ原木林を確認しながら原木としての利用をするなど、山林の活用が早く進むように取り組んでまいります。
 自家調達が困難な生産者の方々に対しましては、原木の確保のため、先ほど申し上げたように、林業関係団体と連携し、原木の安定調達に万全を期していくとともに、新たな原木購入に要したかかり増し経費について損害賠償の対象とするよう、国及び東京電力に求めていきます。
〇岩渕誠委員 今、モニタリングの話がありました。これは、いわゆる山全体の濃度、原木の部分をモニタリングするという手法もあると思いますし、実際にそれを試験栽培という形で、移行係数を確認しながらやるという方法もあると思います。これは当然実証圃でいろいろなことをやって、やっぱり実態に即したことをやっていく。その中で新たな知見も生まれてくるわけですけれども、そのモニタリングはどの程度の精度で具体に何をやっていくのか、これをお示しください。
〇佐野林業振興課総括課長 原木調達の希望があった方とのマッチングの中で、直接、原木林の所有のロットごとに原木を切って、その放射性物質濃度の状況を把握するという形でモニタリングしているほか、各広域振興局等において地点を選定しまして放射性物質濃度をはかっていくという形でございます。
〇岩渕誠委員 最後にします。
 そういう手法はわかりますけれども、それをできるだけ、予算もあるでしょうけれども広範囲にわたって、やっぱり山一つ違うだけでも全然違うわけですよね。やはり小まめな対策をしないと本当に最後のゴールのところに行き着かないと私は思って、大変懸念しております。ぜひ詳細に小まめにメッシュをかけてやるぐらいのことをやらないと、本当にこれは代替の原木があるからいいよということではないんです、やっぱり。生産者のプライド、最後はそこのところがありますから、それに応えるようなやり方をしていかないと本当の意味で生産者のモチベーションというのは下がりますから、ぜひそこは留意してやっていただきたいと思います。部長、感想があれば聞いて終わります。
〇東大野農林水産部長 我々が目指しているものは前の生産活動の形態に戻っていただきたいということでございますので、委員から御指摘があったとおり、生産者の方々がそれぞれ前の生産活動の形に戻れるような、そういったことを目指して取り組みを進めてまいります。
〇神崎浩之委員 私は、森林の環境、観光振興における森林の除染について1点のみお伺いしてまいりたいと思います。
 なかなか、日本全国といったらいいか、福島でも森林の除染が進まないということであります。森林というのは広大な面積がありまして、山における森林というのは水源の涵養や山の災害防止の大きな多面的な機能を持っているということ。それから、山、森林の利用形態がさまざまである。作業場であったり、それからレジャーの場であったりというようなこともあって、人の健康や生活環境への放射能の被害を低減させる必要があると思っております。
 近隣の森林以外も含めた放射性物質による悪影響には、例えば住居等に対する放射線源の影響とか、それから森林へ入る入林者の被曝とか、それから放射性物質の森林外への拡散の影響、それから生産基盤としての森林の影響等々、さまざまな我々のかかわりがあると思っております。
 そこで最初に、森林における放射能汚染にかかわる被害についてお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 森林における放射能汚染にかかわる被害についてでありますが、国が実施した調査結果によりますと、本県の森林は、全域が森林内で活動する場合の国が示した目安を大幅に下回っております。森林内の活動は問題ないものと考えております。
 また、被害についてでございますが、シイタケの原木として─ただいまもお話ありましたけれども─の利用に当たっては、県南地域の部分を中心に制限されている状況にございます。一方、製材あるいは製紙用チップ材としての使用につきましては制限されている状況にはございませんで、通常の生産活動が行われている状況にございます。
〇神崎浩之委員 現時点では、放射能汚染についてでありますけれども、国の航空機モニタリング調査であったり、それからさまざまな空間線量、それから各県内主要地点の庁舎それから公園、森林公園等々の放射線量測定という結果の中において、今、森林は安全だというような状況にあるということであります。
 これは私、商工労働観光部から引き続いて質問しているわけですけれども、しかし、観光の風評被害の額というのは結構な額になっているということであります。そこで、安全と安心は違うという話になるわけでございますけれども、農林水産省でも一応除染の基本的な考え方ということでいろいろと指針等が出ているわけでございますけれども、次の質問は、森林における放射性物質の除去、拡散抑制の体制について、国は指針を出しておりますが県はどういうふうに考えているのかということであります。
 一つには、森林の住宅地の除染の考え方、それから二つ目は、キャンプ場等の除染の考え方ということで、人が日常的に利用する場所ということ、それから住宅地に近い場所の除染の考え方について教えていただきたいと思います。
〇阿部森林整備課総括課長 ただいまお話のありました森林における放射性物質の除去、拡散抑制についてでございますけれども、森林のうち、汚染状況重点調査地域等における生活圏に隣接する20メートル以内の森林につきましては、環境省が示しているガイドラインによりまして除染方法が示されているところでございます。また、それ以外の森林につきましては、現在、国から具体的な方針が示されていないということでございます。環境省は、まだ示しておりませんけれども、若干前向きなコメントは出しておりますけれども、今そういう状況にございます。
〇神崎浩之委員 岩手は観光に力を入れていくわけですけれども、森林にかかわる場所というのも多いわけであります。キャンプ場、温泉、フィールドアスレチック、ビジターセンター等々、人が入る場所であります。今、説明ありました住居等に隣接する森林につきましては、20メートル程度のところの除染、例えば落葉─葉っぱの除去とか、そういうことをやっていくという方針が出ているわけですが、なかなかエリアBというようなところで、住んでいるわけではないんだけれども人が日常的に利用する場所、そういうことについてはなかなか進んでいないというか進めるような感じではない。これは農林水産省と環境部局とでどうやらいろいろとあるような気はしているんですけれども、私が心配しているのは、今現在は基準上は安全なわけです。ところが観光の風評被害はある。
 その中で、これから春に向かって、山であったり温泉であったりキャンプであったり、入るわけです。そのときに、ほかから来た方が、例えば温泉の旅館の雨どいをはかったら高かった。出るような可能性はあるんですね、雨どいをはかられるとか。それから、キャンプ場に行って木の下の葉っぱのところをはかったら高かった。こんなところには子供はよこせないみたいなことというのはあり得ると思うんです。もしもそういう状況が起こって、観光の風評被害、その中で森林の除染という状況になった場合、除染重点地域はいいんですけれども、それ以外の県内の場所については、どこの部署が責任を持ってどういう体制で森林の除染なり管理なりをやっていくのかお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 ただいまお話のありました件でございますが、まず、汚染状況重点調査地域は、今もお話ありましたように関係する2市1町のところで今進めておりますし、それ以外のところで、生活圏域における、ある一定量、仮に毎時1マイクロシーベルト以上のスポット的な高いところにつきましては、現在、県の単独事業になりますが、環境サイドでやっております放射線量低減に向けた取組方針に基づいて、補助事業で、例えば学校の雨どいの下とか、この3市町以外のところで実施されているということで聞いております。そういった3市町以外のところでも、そういう生活圏域につきましては、今進めているという状況でございます。
 先ほどもお話ししましたけれども、森林の場合につきましては、環境省のQ&Aの中には、一部、子供たちが入るキャンプ場につきましては重点地域の関係の中で事業ができるという部分もございますけれども、それ以外のところは今のところ基準値を超えていないという状況もございますので、現在のところ、私どもとすれば森林の生産の状況と同じような形で対応しているところでございます。
〇神崎浩之委員 もう一つ、林業者への安全、それから指導についてですが、作業員、いろいろなところで、森林組合の方等初め、山で通常の業務をする方に対する安全指導、それから、今後、除染という業務も委託されるような状況にもあると思いますが、林業者、作業員、こういう方々への安全、それから指導についてはどういうふうに農林水産部では考えているのかお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 まず、林業者への放射線対策でございますが、国が示しております調査結果によりますと、本県の森林は、その全域が森林内で活動する場合の国が示した目安を大幅に下回っている状況にございますので、林内の作業は問題ないものと考えております。
 また、除染業務に従事する場合には、環境省等のガイドラインに沿った形で、事業者の役割として、現場での空間線量率をはかりながら一定の基準内の作業等を進めていくという形になってくるかと思います。
〇神崎浩之委員 最後に部長にお尋ねしてまいりますが、これから暖かくなることによって、観光という中で森林の放射線の関係、風評被害の関係が非常に心配であります。それからあと、地元の方は、森林は生活圏と離れた存在ではなくて私たちの生活の一部なんだ、森林の中に住んでいるんだということがあって、里山であると言っております。そんなことも含めて、森林を守る、県土のほとんど7割以上が森林という中で、この課題についてどういうふうに思っていらっしゃるのか、所見を伺って終わりにしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 森林の除染のあり方についてでございますが、今、委員御指摘のとおり、県土の8割弱が森林でございます。これを全部除染していくというのは事実上なし得ないことかと思いますが、ただ、当部は森林、林業の振興担当部署でありますので、それに支障が生ずるようであれば、そういったことにももちろん取り組んでいかなければならないと考えます。ただ、それぞれ役目役目がございますので、その役目役目の中で職務を全うしていきたいと考えます。
〇小西和子委員 簡潔に答えていただきたいと思います。
 まず最初に、森林・林業再生プランについてお伺いいたします。まとめてお伺いいたします。
 森林・林業再生プランが位置づけられて、10年後には木材自給率50%を達成するとしております。森林県である岩手県ではこのプランをどのように捉えているのかお伺いいたします。
 持続可能な森林経営を実現していくためには、森林計画を実効あるものとすることだと考えます。そのためには、市町村森林整備計画の策定等が重要になってまいります。そこで、森林・林業再生プランに基づく自治体における森林整備計画策定作業の進捗状況を伺います。
 国のプランにも市民、住民等から政策提言がございました。やっぱり計画作成に当たりましては市民、住民の意見を取り入れることが重要になってくると思いますけれども、実態はいかがでしょうか。
〇竹田林務担当技監 私から、国の森林・林業再生プランを県としてどのように捉えているかということについてお答え申し上げます。
 委員のお話にもあったとおり、このプランは、我が国の森林、林業政策を、それまでの森林の造成というものから木材の利用、そして持続的な森林経営へと大きく転換するものでありまして、10年後─平成32年、現在の自給率のほぼ倍に当たる木材自給率50%以上を目指すものでございます。豊富な森林資源を有する本県にとりましては大変追い風になる施策だと受けとめておりまして、県としても、国の施策であります川上から川中、川下、そういった総合的な施策を進めておりますけれども、これを積極的に取り入れて進める考えでございます。
〇阿部森林整備課総括課長 私から2点答えさせていただきたいと思います。
 まず、自治体における森林整備計画策定の進捗状況についてでございますけれども、森林・林業再生プランの内容を法制面から具現化するということもございまして、平成23年4月に森林法の一部改正がされております。この中では、県が策定する地域森林計画及び市町村が策定する市町村森林整備計画について見直しが必要となったところでございます。県が策定する県内五つの地域森林計画並びに県内33の市町村森林整備計画につきましては、平成23年度内に一斉に計画の樹立や変更を行ったところでございます。
 また、次の、計画策定に当たり、市民、住民の意見を取り入れているかというお尋ねでございますが、県が策定する地域森林計画につきましては、パブリックコメントを実施して広く県民の意見を求めるとともに、岩手県森林審議会で意見をお伺いしているところでございます。
 また、市町村が策定する市町村森林整備計画につきましては、計画策定に係る協議会の開催などを通じまして、地域の森林、林業に精通している学識経験者あるいは森林所有者等の意見を取り入れて策定しているところでございます。
〇小西和子委員 森林法改正に伴う業務が増大いたしまして、なかなか市民、住民の意見を取り入れるところまではいっていないといった市町村も一部にあると聞いております。市民、住民の皆さんにもメリットをしっかり伝えて、これからでもよろしいですので広く意見を取り入れていっていただければと思います。
 それから、森林・林業再生プランに基づくこれまでの取り組み、成果、課題を伺います。あわせて次年度の事業概要についてもお伺いいたします。
〇竹田林務担当技監 最初に、プランの取り組み、成果、課題についてお答え申し上げます。
 プランの施策の推進方向でございます。まず、3点ほど主なものを述べさせていただきます。
 一つには、森林経営計画の作成や人材育成などによる施業集約化の促進がございます。そして2点目として、林内路網整備や高性能林業機械の導入支援による森林経営の低コスト化というものがございます。そして3点目として、木材加工施設整備の支援による木材産業の活性化、これが大きなものでございますけれども、こういった森林・林業再生プランの推進方向を踏まえた施策を昨年2月に策定いたしましたいわて県民計画第2期アクションプランに盛り込み、計画的に本県でも取り組んでおります。
 平成23年度がプランの実質的な初年度に当たったわけですけれども、その成果として、本県におきましては、森林作業道の作設延長が12万5、000メートル、目標とした数字の179%を整備してございます。そのように大幅に目標を上回った、そういったものがございます。その一方で、県産材の供給量が98万4、000立方メートルと震災による落ち込みを何とか少なく食いとめるなど、そういった震災の影響を受けつつも取り組みを着実に進めたところでございます。
 今後の課題につきましては、特にも森林施業の集約化や計画的な木材生産に不可欠な、平成24年度からスタートいたしました森林経営計画の策定を促進すること、また、今後本格化いたします復興住宅や公共施設などへニーズに応じた県産材を安定的に供給していくこと、こういったことが重要であると考えてございます。
 そして2点目の、次年度─平成25年度の事業についてでございますけれども、一つには、今申し上げました森林経営計画の作成や人材育成などによる施業集約化の促進に約1億円、森林整備や林内路網整備、高性能機械の導入支援による間伐の低コスト化の促進に約14億2千万円、三つ目として、木材加工施設の整備支援などによる木材産業の活性化に約6億4、000万円と予算をしっかり計上しているところでございます。引き続き、森林・林業再生プランが目指す本県林業の振興に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 ありがとうございます。このプランというのは、今後の中山間地域振興にもつながる千載一遇のチャンスだと私は捉えております。ぜひ全国にも先駆けて推進していただきたいと思います。
 次に、木炭の振興についてお伺いいたします。まとめてお伺いいたします。
 岩手県は、全国シェア28%を維持しておりまして、ここ何十年と木炭生産日本一であります。そこでお伺いしますけれども、生産量の確保や技術の伝承、それから、需要者のニーズを先取りした振興にどのように取り組んできたのかお伺いいたします。
 それから、原木の円滑な調達のため広葉樹原木の需給状況の情報交換が行われていると聞きますが、木炭関係者も20年生から30年生という若い原木が必要であります。そこで、木炭関係者への情報提供についてはどのように行われているのでしょうか。それから、岩手のブランド木炭の情報発信についてお伺いいたします。
 ここまで、よろしくお願いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、木炭振興につきまして、生産量の確保や技術の伝承、需要者のニーズを先取りした振興についてでございますが、生産量の確保、技術の伝承に関しましては、岩手県木炭協会と連携いたしまして生産指導を行ってきたほか、製炭技士15名を養成したところでございます。
 また、需要者ニーズに応えた販売展開を行うため、産地であります県北の木炭生産者で組織している北いわて木炭産業振興協議会の取り組みに対し、指導、助言を行っておりまして、今年度は、平成24年10月に北海道で事例調査を行ったわけですが、その協議会が行った事例調査について、県として支援を行ったところでございます。
 木炭関係者への広葉樹原木の情報提供についてでございますが、先ほど申し上げました県が支援している北いわて木炭産業振興協議会では、平成24年度中に原木価格の情報交換や補助事業を活用した原木供給に関する情報提供に係る会議を4回開催したところでございます。こういった会議を通じた情報提供もございますし、今後とも、随時、木炭生産者へ広葉樹原木の需給状況などの情報提供をしてまいります。
 岩手のブランド木炭の情報発信についてでございますが、昨年12月、北いわて木炭産業振興協議会、さらに県北の5市町村が構成員となっている日本一の炭の里づくり構想推進協議会、この二つの協議会と連携いたしまして、首都圏において、一般消費者を対象とした消費宣伝や燃料問屋への売り込みなど、情報発信活動を行ったところでございます。
 今後とも、これらの協議会などと連携し、岩手ブランドとしての木炭の情報発信に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 2年前にも発言したんですけれども、岩手のブランド木炭を県産品と一緒に売り込むなどのPRに力を入れていただきたい。前回はサンマのことも言いましたし、それから、短角牛のことも話をしましたけれども、岩手県には自慢できるような魚介類とか肉とかございますので、一緒に売り込みをお願いいたします。
 事業の概要につきましては、本当に簡潔にお願いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 平成25年度事業でございますが、本年度に引き続き、先ほど申し上げた二つの協議会などと連携いたしまして、木炭の新たな販路拡大に向けた情報収集を継続実施いたします。また、首都圏の燃料問屋等の関係者に、岩手ブランドとしての木炭の販路拡大に向けた情報発信を行うこととしております。
 さらに、県北広域振興局において、生産量の確保及び技術伝承を目的として、炭窯づくりに取り組むことにしております。
〇小西和子委員 最後に、いわての森林づくり県民税のことでございますけれども、これもまとめてお伺いします。
 これまでの事業の取り組み、成果、課題、それから、いわての森林づくり県民税についての認知度、というのは2年前は4割程度と聞いておりましたが、その後、向上したかどうか。認知度を高めるための取り組み、成果、課題についてもあわせてお伺いいたします。前回お伺いしたときは、20代、30代の女性の認知度が低いと聞いておりましたけれども、その後どうなったのでしょうか、お伺いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 いわての森林づくり県民税について、これまでの事業の取り組み、成果と課題でございますが、まず、県民税事業の大きな目的でございます公益上重要な人工林を強度間伐し、針広混交林へ誘導するいわて環境の森整備事業、これは、事業開始の平成18年度から24年度までの7年間で、ほぼ計画どおりの1万700ヘクタールの整備見込みとなっております。
 また、県内各地の住民団体やNPO団体が行う森林環境保全活動には、延べ150団体、3万人が参加したほか、小中学校や県民向けに開催した森林学習会等には、延べ約120回、4、000人が参加するなど、森林林業に対する理解醸成に大きく寄与したところであり、いわての森林づくり県民税の取り組みは、着実に成果を上げているものと考えております。
 今後の事業についての課題でございますが、限られた税収の中で、いわて環境の森整備事業による平成23年度から27年度までの第2期5カ年間の整備目標としている8、000ヘクタールを着実に達成する必要がございます。引き続き、整備対象森林の確保と事業の効率的な執行に努めてまいります。
 次に、認知度を高めるための取り組み、成果、課題についてでございますが、平成22年度に行ったアンケートについては、委員御指摘のとおり、認知度が4割程度ということで、かかわりの薄い方々への浸透を図ることが課題であったということでございますが、その後におけるアンケートは実施してございませんので、状況については変化がないということでございます。
 いずれ、認知度を高めるために、地域の方々が自主的に行う森林整備活動や森林環境学習などへ支援を行っているわけですが、これらの事業を実施する団体に対しまして、参加者の方々に、より多く参加していただく、また、県民税を活用した事業であることを参加者へ周知していただくなど、事業の実施に当たって工夫をお願いしているところでございます。
 また、この県民税活用の取り組みや成果などについては、県の公式ホームページへの掲載のほか、報道機関等に対しても積極的に情報提供を行い、多くの県民の皆様に関心を持っていただけるように努めております。
〇小西和子委員 その認知度を高めるため、それも若い女性の認知度を高めるためということで、2年前だったでしょうか、女性林業職の県職員が、森のあねっこというユニットを結成して、情報発信をするという活動を行っておりました。震災後は、業務多忙につき休止をしているというような話も聞いております。もしも可能になったならば、ぜひそういうことでアピールをしていただければ認知度が進むのではないかと思いますし、先ほどホームページの話も出されましたけれども、やっぱり県民税がなぜ必要なのかというようなことがわかるように、どういう森林を目指しているのかということとか、いわて環境の森整備事業でどのところを実施したのかというような、視覚に訴えるようなものをホームページで発信してはいかがかと思われます。
 事業の概要につきましては、ちょっと時間短縮のため結構でございます。もし何か御所見がありましたらお願いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 森のあねっこの活動につきましては、あねっこ本体としての独自の活動というのは委員御指摘のとおりでございますが、森の感謝祭等のイベント、あるいはボランティア発表会等の司会などにおいて活躍していただいておりますので、そういった形で発信に努めていければと思います。
 また、ホームページあるいはいろいろなものについて、広報の仕方の工夫については、今後いろいろ検討してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、TPPによる水産への影響なんですけれども、先ほどの答弁で、106億円の生産額の減少と。紹介されたものだけだと78億円にしかならないので、さらに、ワカメや昆布その他、もっと正確に影響額を示していただきたい。
〇高橋農林水産企画室企画課長 先ほど答弁させていただきました品目につきましては、主なものということでございましたので、試算しましたのは8品目でございますので、8品目について申し上げますと、ちょっと繰り返しになりますが、サケ、マス類が55億円で57%の減、同じくカツオ、マグロ類が12億円で27%、イカ、干しスルメが12億円で41%、ホタテが11億円で52%、タラが9億円で52%、サバが5億円で30%、イワシが1.2億円で45%、アジが2、000万円で47%という試算になっております。
〇斉藤信委員 わかりました。ワカメ、昆布類は、これは11カ国の関係で対象がないということでいいんですか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 TPP交渉参加国からの輸入実績はほとんどないということで、試算に入ってございません。
〇斉藤信委員 それでは、漁業の復旧状況についてお聞きします。
 漁船の確保について、年度内に5、500隻確保の見通しだと。そうすると1、100隻分は繰り越しということになるのか、それも含めて来年度1、200隻の確保という計画ということになるのか、改めてお聞きします。
 それと、漁船確保の中身なんですが、1トン未満の小型漁船、養殖作業船、湾外で使用する少し大型の漁船の確保状況を示していただきたい。
〇石田漁業調整課長 漁船の確保についてでございますけれども、平成23、24年度の補助事業で整備される漁船の確保については、ただいま年度末に向けて追い込みをかけているところでございまして、これまでに交付決定された隻数の変更や繰り越しされる隻数の精査を実施しているところでございます。
 我々が今、18日までにまとめたところでございますけれども、年度内に確保される隻数は5、502隻、それから、平成25年度へ繰り越しされる隻数は800隻と見込んでございます。平成25年度は、当初予算で約200隻の整備を予定しております。
 それから、漁船の確保の状況でございますけれども、1トン未満の小型漁船は、おおむね要望隻数が確保されておりますが、2トン以上の大型船、養殖作業船等の納入がおくれてございますので、これらがおおよそ繰越隻数になっているものと考えておりますので、引き続き、早期納入について、造船メーカー等に協力を要請してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 そうすると、登録漁船数、あとは被害を受けなかった漁船もありますが、震災前と比べて、全体として年度末でどこまで復旧するということになりますか。
〇石田漁業調整課長 被災を免れた船、それから自力復旧した船等を合わせますと、今年度末までに9、400隻程度が稼働可能な隻数となると考えております。
〇斉藤信委員 震災前は1万4、000隻ですから、そこと比べればパーセンテージが出るので、あとは、じゃ、聞かないようにしましょう。
 次に、養殖の関係ですけれども、ワカメ、昆布、カキ、ホタテの養殖施設のそれぞれの整備状況、来年度の見通し、そして、それぞれの漁業者、経営体の状況を示していただきたい。あわせて、漁獲量、漁獲高も示していただきたい。
〇石田漁業調整課長 ワカメ、昆布、カキ、ホタテ養殖施設の整備状況でございますけれども、今年度までのワカメ、昆布等の海藻類の施設は約1万2、000台、カキ、ホタテ等の貝類の施設が約4、000台、そのほかにホヤ等が1、000台程度ございまして、合計1万7、000台の整備を見込んでございます。来年度は、今年度の繰り越し分と合わせまして、当初予算分と合わせ300台の整備を見込んでいるところでございます。
 次に、養殖の再開状況でございますけれども、ワカメ、昆布等複数の種類を組み合わせた複合養殖の経営体がございますので重複しておりますが、調べたところでは、種類別では、ワカメが約1、000経営体、昆布が500経営体、カキとホタテは、どちらも300経営体となっております。
 次に、生産量でございますけれども、平成25年度産のワカメ、今シーズンのものですが1万9、000トン、昆布は約9、000トンと震災前の8割を見込んでございます。カキとホタテにつきましては、出荷まで2年から3年程度かかるものでして、今年度の夏から本格的な生産が始まると見込んでおります。生産額につきましては、今後の価格動向を注視してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 着実に復旧しつつあると受けとめました。
 がんばる養殖、がんばる漁業の取り組み状況、参加漁業者数を示していただきたい。
〇石田漁業調整課長 がんばる養殖復興支援事業の取り組み状況でございますけれども、現在、12漁協において、36グループの計画が認定されまして、延べ451名の漁業者が参画する予定です。
 がんばる漁業復興支援事業でございますが、これは、4漁協において5件の計画が認定されまして、延べ6経営体が参画する予定で現在取り組んでおります。
〇斉藤信委員 じゃ、次に、秋サケ漁の取り組み、これは議論もありましたので、今シーズンの水揚げが7、500トンぐらいですか、昨年よりも下回ったというところに私は本当に衝撃を受けておりますが、今後の対策というか、あと漁協経営への影響をどういうふうに受けとめているか示していただきたい。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 今後の対策につきましては、不漁要因の調査ということになると思いますけれども、この不漁要因につきましては、大きな気候変動によるものとも考えられますが、これまでの研究によれば、放流直後からオホーツク海に至るまでの稚魚の減耗も要因の一つとされており、今春から県水産技術センターが、国や北海道の研究機関と連携して、稚魚の初期生残や減耗要因に関する共同研究を実施する予定としております。
 また、増殖事業関係団体と連携しながら、飼育池ごとの適正な飼育管理や適期、適サイズ放流の徹底などにより、健康な稚魚の放流に取り組むなど、サケ資源の早期回復を図っていく考えであります。
〇大友団体指導課総括課長 今シーズンの秋サケ漁の漁協経営への影響についてでありますが、定置事業の水揚げは不振だったものの、漁獲共済金などの支払いを受けたことや、国のがんばる養殖・復興支援事業の導入により組合員への資材供給が増給したことなどから、各組合とも、平成24年度決算で、おおむね復興再生計画を上回る当期剰余金を確保できる見通しとなっております。
〇斉藤信委員 わかりました。大変厳しい状況の中で何とか黒字だということですので、わかりました。
 次に、地域再生営漁計画、これは平成25年度作成ということになると思いますが、その取り組み状況、特徴、それとあわせて漁業担い手確保・育成総合対策事業、先ほども質問がありました。これは、昨年、実は5億5、000万円余で取り組まれて、今回1、879万円余になっているんですね。これは、何が、どう変わったのか、昨年度の実績はどうだったのか、あわせて示していただきたい。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず初めに、地域再生営漁計画の件についてでありますけれども、まず、この地域再生営漁計画につきましては、漁業、養殖業の生産を回復し、担い手を確保、育成するため、各漁協が生産目標と目標達成に必要な施設や就業者の確保、販売対策等を内容とする計画を策定するもので、県では、計画策定作業に必要な人員の雇用等を支援することとしております。
 また、この計画の実施につきましては、復旧、復興事業によるハード整備や担い手の確保、育成を進める国等の制度も活用しながら、漁協等の取り組みを支援してまいりたいと思っています。
 それから、漁業担い手確保・育成総合対策事業のほうでありますけれども、まず、これは、平成24年度は、漁業を再開できない被災漁業者の緊急的な雇用を目的に、定置網や養殖施設の設置作業への従事などを進めてまいりました。このために約5億5、000万円の予算、要するに被災漁業者を雇い入れるということで多額の予算を計上したものであります。
 平成25年度は、漁業や養殖業の再開が進みまして、被災漁業者の多くが失業状態ではなくなったことから、この雇用目的の事業ではなくて、新たに担い手の確保、育成に向けて地域の協議会を設置し、漁業士等の活動支援や漁協が新規就業者を雇用して育成する体制の構築などに取り組んでいこうとするものであります。
 平成25年度の予算が5億5、000万円だったわけでありますけれども、その実績のほうは4、000万円ほどで、これもかなり大幅にダウンしたわけでありますが、これは平成24年度になりまして、その意味では、漁業者のほうの業務の再開があって要望が少なくなったということでございます。
〇斉藤信委員 漁業担い手確保・育成総合対策事業は、事業の中身として、漁協が自営する定置網漁業や養殖業に新規就業者を雇用するとなっているんですね。私は、大槌漁協とかそういうところからは、そういうものに支援してほしいという具体的な要望も受けたのですが、これは実際、どれだけ取り組まれて、どれだけの新規就業者の雇用があったのか示していただきたい。
〇石田漁業調整課長 漁業担い手確保・育成総合対策事業でございますけれども、先ほどの城内委員への答弁と関係いたしますが、この事業は、一つは、通常の漁業就業者確保の取り組みで、青年部あるいは女性部、それから漁業のマッチング、そういうような取り組みが一つでございます。もう一つは、被災した漁業者を緊急雇用事業を使いまして雇い入れて、養殖施設、定置網の復旧を進めるという二つの事業で構成されております。
 委員御指摘の5億円の予算の減額でございますけれども、平成24年度に取り組んでおりましたが、これについては、二つの漁協で延べ2、900人ほどの就業実績がございます。予算は5億円ほど計上しておりましたけれども、実績が大きく下回ったということで、2月補正予算で大幅に減額したところでございます。
〇斉藤信委員 今の答弁はいいんだけれども、私が聞いたのは、漁協が自営する定置網漁業や養殖漁業に新規就業者を雇用すると、この事業はどうだったのかと。
〇石田漁業調整課長 この事業によりまして、平成24年度は2漁協が、定置網ではなくて養殖施設への従事ということで全部かかわりましたので、おおむね施設の整備に延べ2、900人ほどがかかわったということです。ですので、この方々は、その後の養殖再開に向けて漁業を一部再開しているということで我々は認識しているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。少しかみ合わなかったような気もしますが。
 次に、漁港、防潮堤、防波堤の復旧状況と来年度の見通し、漁業集落機能強化事業の取り組み状況、対象戸数と言うんでしょうか、区画数と言うんでしょうか、それを示していただきたい。
〇大村技術参事兼漁港漁村課総括課長 まず、漁港、防波堤の復旧状況と来年度の見通しについてでありますが、平成25年2月末までに、潮位にかかわらず陸揚げが可能な漁港は72漁港と、被災漁港数の約7割まで復旧しております。県北部の22漁港では、復旧工事を完了しております。
 また、71漁港においては防波堤の本格的な復旧工事に着手しておりまして、平成25年度中には、全ての漁港で倒壊した防波堤の復旧工事に着手することにしております。
 次に、防潮堤の復旧状況と来年度の見通しについてでありますが、被災いたしました54海岸のうち、本年度末までに8地区で工事に着手することとしております。このうち洋野町の種市地区では復旧工事が完了しております。また、平成25年度中には、全ての地区で復旧工事に着手することにしております。
 次に、漁業集落防災機能強化事業の実施状況についてでありますが、これまで、沿岸11市町村の40地区において事業に取り組んでおります。移転対象戸数は、合計約650戸の計画となっております。そのうち田野畑村、宮古市の5地区におきまして、高台の住宅団地等の造成工事に着手しております。
 今後とも、市町村、漁協等と緊密に連携しながら、引き続き漁港、防潮堤等の復旧、整備を進めるとともに、漁業集落の再建が加速化するように頑張ってまいります。
〇斉藤信委員 来年度の予算を見て、漁港災害復旧事業費が541億円、漁業集落防災機能強化事業が41億6、600万円なんですね。かなりの規模の事業が来年度も予定されていると。皆さん大変頑張っていると思うけれども、技術者の確保は大丈夫なのか。いかがですか。
〇大村技術参事兼漁港漁村課総括課長 いろいろな課題がある中で、やはりマンパワーの不足というのは非常に重大な課題だと認識しております。
 ちょっと話がそれますけれども、今回の災害で阪神・淡路大震災と一番違うのは、復旧、復興しようとしている側も被災者であるということが一番大きな課題でございまして、市町村も被災者ですし、我々県職員の沿岸の人たちも、親御さんを亡くしたり、いろいろ厳しい状況の中で頑張っているという状況でございます。
 その中で、技術職員の確保につきましては、まず、他県から、都道府県の応援を今年度は13名派遣していただいておりますが、来年度は、残念ながら10名を切るような状況に今のところなっております。
 それから、新たに任期付職員を採用して何とか頑張ろうと思っておりまして、昨年度は15名採用いたしております。そして、今年度は30名を任期付職員として採用する予定になっております。こういった形で、もともとの職員、それから他県からの応援、それから任期付職員を含めまして頑張っていきたいと思っております。
〇斉藤信委員 これで最後にしますが、林業にかかわって、県産材の活用というのが先ほども議論になりました。私は、一つは、岩手県公共施設・公共事業木材利用推進本部というものがつくられて、県営工事に木材を積極的に活用すると。この計画、目標はどうなっているのか。
 もう一つは、これも先ほど議論がありましたけれども、災害公営住宅、そして持ち家の住宅再建は、恐らく平成25年度、26年度あたりから建設が本格化すると。今でも持ち家なんかの場合には2年待ちになっているんですよ。だから、資材の供給だけではなくて、やっぱりそういう供給体制、森林組合から建築、大工さんの関係までかなりの体制をとってこれはやらないと、住宅を建てる段階になっても建てられないということになりはしないか。その点はどういうふうに検討され、取り組まれているか、木質バイオマスの活用も含めて示していただきたい。
 最後の最後ですが、松くい虫対策について。私は、盛岡市と紫波町についてだけお聞きしたい。
 盛岡市が今、最前線になっております。この盛岡市でどう食いとめる対策になっているか、今回の補正、来年度の取り組みの中身を示していただきたい。
 紫波町については、私も調査をして、この対処をお願いしてまいりましたが、紫波町の国道396号、その周辺が枯れて、いつでも倒木しかねないという深刻な状況がありましたが、この対処、さらにはその樹種転換の取り組み、来年度の事業でも一定の計画があるようですけれども、紫波町もどれだけ対象になっているのか示していただきたい。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画の推進目標ですが、昨年4月に震災を踏まえまして、復興に関する事業量の増大に対応するということで、計画期間を延長するとともに、木材利用量を6万6、000立方メートルに上方修正したところでございます。
 次に、仮設住宅や復興住宅に県産材利用をどうやって促進するかということでございますが、その体制として、県土整備部あるいは建築士事務所協会と連携いたしまして、岩手県地域型復興住宅推進協議会というものを設立しておりまして、住宅建設、木材関係者がグループをつくるという取り組みをしておりまして、岩手県内で135の地域住宅生産者グループが登録されております。平成24年4月から受注開始しておりまして、ちょっと古いですが、平成24年12月までに252棟の注文を受けているということで、こういったグループ等の取り組みによりまして、復興住宅事業に対応してまいりたいと考えております。
 それから、木質バイオマスの取り組みでございますが、平成24年度におけるハード施設の整備におきましては、県内で、チップボイラーが食肉加工工場に2台、それから学校施設に1台の3台が導入されました。また、木くずだきボイラー、これは木材乾燥用でございますが、製材工場に1台導入されております。
 さらに、木質バイオマス発電施設につきまして、宮古市の木材加工企業により整備に着手されたところでございます。
 また、ソフトの取り組みでは、木質バイオマスエネルギーの利用促進を図るための県が委嘱しております木質バイオマスコーディネーターによる導入希望事業者に対する技術指導、それから、新規導入に向けたバイオマスセミナーの開催などを実施しております。
 平成25年度においては、引き続き、木質バイオマスコーディネーターを活用した指導、助言、さらに発電等の大口需要に対応した燃料の安定供給を促進するための安定供給体制整備のための林業、木材関係団体との連携、さらに、木質バイオマス利用に伴う排出量取引への参加支援などに取り組んでまいります。
 さらに、ハード整備を支援する森林整備加速化・林業再生基金事業によりまして、新規の宿泊施設の木質燃料ボイラー等の整備に対する支援を予算として計上させていただいているところでございます。
〇赤澤整備課長 松くい虫防除の最前線である盛岡市での対策を、来年度どう取り組むかという御質問でございます。
 先ほどの答弁もありますが、盛岡市は最前線ということで、被害発生木につきましては、全量駆除を目的に、感染のおそれのあるような劣性木等もあわせて駆除を実施するということに取り組んでまいりたいと思っております。
 また、紫波町396号の周辺の松くい虫の激害地の扱いでございますが、平成24年度事業におきまして3ヘクタールの更新伐を実施したところでございます。更新伐というのは、樹種転換に向けての取り組みということでございます。
 平成25年度に向けましても、紫波町のみならず、激害地における樹種転換につきましては、およそ50ヘクタールを目標に取り組む予定にしております。
 あわせて、先ほど佐々木委員から東山松の防除状況についてのお尋ねがございました。東山松については、東磐井地区に生育するアカマツの銘木のことなんですが、東磐井地区の民有林においては、猊鼻渓、また唐梅館森林公園、こちらのほうで薬剤散布を実施しているところでございます。
 また、国有林においては、東山松の母樹林、立派な銘木なんですが、その林に対して、樹幹注入を行って東山松の保護を図っているというような状況をうかがっております。
〇高橋元委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 質疑がないようでありますので、これで第2部、林業、水産業関係の質疑を終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時26分 散 会

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