平成25年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成25年3月18日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査    村 上   聡
  主査       藤 澤 壮 仁
  主査    藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  教育委員会委員長 八重樫   勝
  教育長    菅 野 洋 樹
  教育次長兼
  教育企画室長   高 橋   信
  教育次長兼
  学校教育室長   多 田 英 史
  参事兼
  教職員課総括課長 佐 藤   新
  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃
  予算財務課長   永 井 榮 一
  学校施設課長   小 倉   茂
  学校企画課長   藤 澤 敦 子
  主任指導主事兼
  特命課長    松 葉   覚
  首席指導主事兼
  義務教育課長   小 菅 正 晴
  特命参事兼
  高校教育課長   高 橋 廣 至
  首席指導主事兼
  特命課長    福 士 猛 夫
  首席指導主事兼
  特別支援教育課長 佐々木 政 義
  首席指導主事兼
  生徒指導課長   田 村   忠
  生涯学習文化課
  総括課長    西 村 文 彦
  特命参事兼
  文化財課長    佐々木 一 成
  首席指導主事兼
  スポーツ健康課
  総括課長    平 藤   淳
  特命参事兼
  小中学校人事課長 漆 原 一 三
  首席経営指導主事
  兼県立学校人事
  課長    土 川   敦

  企業局長    青 木 俊 明
  次長兼
  経営総務室長   水 野 和 彦
  技師長    池 内   達
  経営総務室
  管理課長    宮 澤 寛 行
  経営企画課長   千 枝 泰 航
  業務課総括課長  菅 峨 範 夫
  電気課長    榎     充

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇高橋元委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 木村幸弘委員は欠席とのことであります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第25号から議案第28号まで、議案第35号、議案第37号、議案第38号及び議案第90号の以上28件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会及び企業局関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇菅野教育長 教育委員会関係の平成25年度岩手県一般会計予算について御説明を申し上げます。
 初めに、当初予算編成に当たっての基本的な考え方についてでありますが、東日本大震災津波からの学びの場の復興に向けて引き続き復興計画の実現に全力で取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向け、第2期アクションプランを着実に推進するための予算として編成したところであります。
 まず、復興計画に掲げる取り組みについてでありますが、一つ目は、きめ細やかな学校教育の実践と教育環境の整備、充実であります。
 震災からの岩手の復興、発展を担う児童生徒を育成するためのいわての復興教育プログラム改訂版に対応した副読本の作成や各学校の特色ある取り組みを普及することなどにより、いわての復興教育を進めてまいります。
 また、被災した幼児、児童、生徒の心のサポートを初め、いわての学び希望基金を活用した支援に継続的に取り組むとともに、県立学校施設の復旧整備や県立学校の牧草地の除染措置等を実施し、安全で安心な教育環境の整備、充実を図ってまいります。
 さらに、沿岸地域で取り組まれている地域連携型の防災教育を全県に広め、学校や地域における防災体制の充実に努めてまいります。
 二つ目は、文化芸術環境の整備や伝統文化等の保全と継承であります。
 被災した沿岸市町村の復興を推進するため、開発事業等に係る埋蔵文化財調査を推進するとともに、被災地域の文化財等の修復や復元、文化芸術活動などの復興を支援してまいります。
 また、被災した児童生徒が文化活動の大会等へ参加するための支援を行ってまいります。
 三つ目は、社会教育、生涯学習環境の整備であります。
 社会教育、生涯学習の推進拠点施設の復興支援を行うとともに、地域人材の育成と活用により、子供を中心とした地域活動や地域住民の学習、交流機会を設けるなど、地域コミュニティの再生を支援してまいります。
 四つ目は、スポーツ・レクリエーション環境の整備であります。
 スポーツ・レクリエーション活動施設の復興支援や、被災地のスポーツ活動、健康づくりの再生支援を行うとともに、被災した生徒が運動部活動の大会へ参加するための支援を行ってまいります。
 次に、いわて県民計画第2期アクションプランの着実な推進についてですが、一つ目は、家庭、地域との協働による学校経営の推進であります。
 各学校が、自己評価、学校関係者評価の結果を学校経営の改善に生かし、取り組み内容の質的な向上や、家庭、地域への周知、理解を図る取り組みを進めてまいります。
 また、いわて型コミュニティ・スクールと教育振興運動との連携により、家庭や地域との協働による学校経営を推進してまいります。
 二つ目は、知、徳、体を備え調和のとれた人間形成であります。
 全ての児童生徒が自立して社会で生きていく力を養うために、学習面、生活面の基礎、基本の定着や、目指す進路を実現するための知識や技能の習得など、学校教育をより充実した取り組みとして推進するため、児童生徒の学力向上、豊かな心を育む教育の推進、健やかな体を育む教育の推進、特別支援教育の充実に注力してまいります。
 特に、教員相互の授業参観を活用した校内研修等による授業改善への取り組みや、授業と連動した家庭学習の充実に向けた取り組みなど、学力の向上に取り組んでまいります。
 また、いじめなどの問題行動や不登校などの学校不適応等の未然防止、早期発見、早期対応に関係機関と連携しながら取り組んでまいります。
 三つ目は、生涯を通じた学びの環境づくりであります。
 県民一人一人が、その生涯にわたり、多様な機会を通じて学べる環境づくりに取り組むとともに、個人が学んだ知識や技能を積極的に地域の教育力向上に生かす社会教育事業の充実に取り組んでまいります。
 四つ目は、文化芸術の振興であります。
 平泉の文化遺産の保存管理及び世界遺産追加登録に向けた取り組みを初め、北海道、北東北を中心とした縄文遺跡群、釜石の橋野高炉跡を含む九州、山口の近代化産業遺跡群の世界遺産登録について、関係自治体と連携を図りながら進めてまいります。
 また、文化芸術の鑑賞機会の充実を図るとともに、伝統芸能伝承のため、公演、鑑賞機会の提供や、関係団体と学校教育との連携を進めてまいります。
 五つ目は、豊かなスポーツライフの振興であります。
 平成28年に開催される希望郷いわて国体に向けて、選手強化の取り組みや強化体制の充実に取り組むとともに、スポーツ健康科学サポート体制の充実に取り組んでまいります。
 また、県民の誰もが生涯にわたってスポーツ活動に親しむことのできる環境づくりに取り組むとともに、地域に根差した特色あるスポーツの振興を推進してまいります。
 続きまして、一般会計予算の歳出予算について御説明を申し上げます。
 お手元の議案その1の8ページをお開きいただきたいと存じます。議案第1号平成25年度岩手県一般会計予算でありますが、第1表歳入歳出予算の歳出の表中、教育委員会が所管する予算は、10款教育費1項教育総務費から7項保健体育費までと、9ページの11款災害復旧費7項教育施設災害復旧費のうち学校施設災害復旧事業費を合わせ、総額1、359億1、141万5、000円となります。これを前年度当初予算額と比較いたしますと37億6、513万1、000円、率にして2.7%の減となっております。
 各項目ごとの内容につきましては、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明を申し上げます。予算に関する説明書の204ページをお開きいただきたいと存じます。
 なお、事業費につきましては省略させていただき、主な事項を中心に御説明を申し上げますので、御了承をお願いいたします。
 10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費であります。204ページから205ページにかけての2目事務局費は、事務局の管理運営に要する経費のほか、五つ目の被災児童生徒就学援助事業費補助は、大震災津波により経済的理由から就学が困難となった小中学生の児童生徒を対象として、市町村が行う就学援助事業に対して補助しようとするものであります。一つ飛びまして、いわての学び希望基金奨学金給付事業費は、大震災津波により親御さんを失われた児童生徒等に奨学金を給付するものでありますが、平成25年度は月額定期金の増額や小学校入学祝金の新設などを予定しているものでございます。205ページをごらんいただきたいと存じます。3目教職員人事費は、教職員の健康診断など人事管理に要する経費のほか、児童手当、退職手当等に要する経費であります。206ページをお開き願います。4目教育指導費は、被災した幼児、児童、生徒の心のサポートや学校教育に係るソフト事業に要する経費であり、五つ目の児童生徒健全育成推進費は、震災により心にダメージを受けた幼児、児童、生徒や不登校、いじめなどによる学校不適応の生徒に対応するため、スクールカウンセラーを全ての小中学校と県立高校で活用できるよう配置するとともに、沿岸部の公立学校を支援する巡回型スクールカウンセラーを教育事務所に配置するなど、専門的な相談体制の充実に要する経費であります。二つ飛びまして、特別支援教育推進事業費は、いわて特別支援教育推進プランに基づき、障がいのある児童生徒が充実した学校生活を過ごすことができるよう支援員や看護師を配置するほか、職業指導支援員を沿岸部の特別支援学校に配置するとともに、県内企業との連携を強化するなど、特別支援教育の充実強化に要する経費であり、一つ飛びまして、学校・地域の協働によるキャリア教育推進事業費は、生徒たちの社会人、職業人として自立する能力を養うとともに、地域を担う人材を育成するため、専門高校等において行う実践的な教育活動に要する経費であります。次のいわて未来創造人サポート事業費は、家庭、地域と協働して、岩手の特色ある産業、文化を支える人材を育成するなど、生徒一人一人の進路実現に向けた各学校の取り組みに要する経費であり、次のいわて進学支援ネットワーク事業費は、生徒の進路希望の達成を支援し、将来の岩手を支える人材を育成するため、進学対策講座の開催や各学校の進学指導の取り組みに要する経費であります。一つ飛びまして、中高連携英語力向上推進事業費は、中学生を対象とした英語能力判定テストの実施や指導改善研修会の開催など、生徒の英語力及び教員の授業力の向上に要する経費であり、次の高校数学活性化プロジェクト事業費は、高校における数学教育の課題を整理し、その解決に向けた取り組みの再構築を行うなど、数学の学力向上に要する経費であります。二つ飛びまして、いわての復興教育推進支援事業費及び県立学校復興担い手育成支援事業費は、岩手の復興、発展を支える児童生徒を育成するためのいわての復興教育の充実と推進に要する経費であります。次の復興教育・防災教育推進事業費は、沿岸地域で実施されている地域連携型の防災教育を全県に広め、地域の防災を担う児童生徒への防災教育の充実を図るため、副読本の作成や研修会の実施など関係部局と連携した復興教育、防災教育の取り組みに要する経費であります。一つ飛びまして、指導運営費は、学習定着度状況調査の実施に要する経費のほか、文部科学省からの委託事業等の実施に要する経費であります。206ページから207ページにかけての5目教育センター費は、教職員の研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営に要する経費であり、207ページの下段、6目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等であります。
 208ページをお開きいただきたいと存じます。2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費、旅費等であり、二つ目のすこやかサポート推進事業費は、児童の基本的な生活習慣の定着と基礎学力の向上を図るため、非常勤講師の配置に要する経費であります。
 209ページに参りまして、3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費、旅費等の経費であり、一つ目の教職員費は、人件費、旅費のほか、生徒指導や学習定着状況等で課題のある学校へ非常勤講師等を配置する、学校生活のサポートに要する経費などであります。2目学校管理費は、併設型中高一貫教育校である県立一関第一高等学校附属中学校の管理運営に要する経費であります。
 211ページをお開き願います。4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人件費、旅費等の経費のほか、説明欄一番下の高等学校通学支援バス運行費は、被災した県立高田高校の仮校舎への通学バスの運行に要する経費であります。また、2目全日制高等学校管理費及び212ページに参りまして、3目定時制高等学校管理費は、それぞれの学校の管理運営等に要する経費であります。213ページの4目教育振興費は、高等学校における教育用備品の整備、農業及び水産業教育等の実験実習に要する経費のほか、中ほどの高校奨学事業費補助は、高校生向け奨学資金等を財団法人岩手育英奨学会に対して補助するものであり、一番下のいわての学び希望基金教科書購入費等給付事業費は、大震災津波で被災し、生活基盤を失った高校生に対して、教科書、制服及び修学旅行に要する経費の全部または一部を給付するものであります。213ページから214ページにかけての5目学校建設費は、高等学校の建物等施設整備に要する経費であり、上の二つ、校舎建設事業費及び校地整備事業費は、盛岡商業高等学校の改築工事に係る旧校舎の解体工事やグラウンド整備などに要する経費であり、次の校舎大規模改造事業費は、花北青雲高等学校及び大野高等学校の校舎等の耐震補強工事に要する経費であります。このほか、校舎、教職員住宅等の整備、維持管理に要する経費を計上しております。214ページをごらんいただきたいと存じます。6目通信教育費は、通信教育の管理運営に要する経費であります。
 215ページから216ページにかけての5項特別支援学校費1目特別支援学校費は、特別支援学校教職員の人件費等の管理運営費に要する経費及び各校の維持管理に要する経費のほか、三つ目の施設整備費は、療育センターの移転改築に伴い、盛岡となん支援学校について必要な整備を進めようとするものであります。
 217ページをごらんいただきたいと存じます。6項社会教育費1目社会教育総務費は、社会教育関係職員の人件費のほか、子供の読書活動及び学校、家庭、住民等が総ぐるみで、地域の教育課題の解決に自主的に取り組む教育振興運動の推進に要する経費などであります。また、説明欄下から二つ目の学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業費は、子供を中心とした地域活動及び地域住民の学習や交流の機会を通じた地域コミュニティの再生支援に要する経費であります。217ページから218ページにかけての2目文化財保護費の主な内容といたしまして、218ページ最初の文化財保護推進費は、指定文化財の保存、修理への補助や、民俗芸能の伝承を促進するほか、北海道、北東北の縄文遺跡群及び九州、山口の近代化産業遺産群の世界遺産登録に向けた取り組みの推進に要する経費であります。次の遺跡調査事業費は、沿岸地域の復興事業を円滑かつ迅速に進めるための埋蔵文化財調査に要する経費であり、二つ飛びまして、世界遺産登録推進事業費は、世界遺産に登録された平泉の文化遺産の重要性などを周知するとともに、構成資産の追加登録に向けた取り組みに要する経費であります。218ページから219ページにかけての3目芸術文化振興費は、青少年へのすぐれた芸術鑑賞機会の提供、中高校生の芸術文化活動への支援及び岩手芸術祭の開催経費等の芸術文化振興に要する経費のほか、県民会館の管理運営に要する経費などであります。また、説明欄一番下のいわての学び希望基金被災地児童生徒文化活動支援費補助は、被災した児童生徒の文化活動の大会への参加に要する経費を補助するものであります。219ページの4目図書館費は、県立図書館の管理運営に要する経費であります。下の段5目博物館費は、県立博物館の管理運営に要する経費であります。220ページをお開きいただきたいと存じます。6目美術館費は、県立美術館の管理運営に要する経費のほか、二つ目の震災復興支援あーとキャラバン実施事業費は、被災地域に美術と触れ合い体験する機会を提供するとともに、子供たちの美術教育を支援するなど、あーとキャラバンやワークショップ等の開催に要する経費であります。
 221ページの7項保健体育費1目保健体育総務費は、保健体育関係職員の人件費のほか、県立学校医や児童生徒の検診、その他保健管理に要する経費及び指導運営に要する経費であり、五つ目の児童生徒放射線対策支援事業費は、学校給食のモニタリング検査などに要する経費であります。221ページから222ページにかけての2目体育振興費は、生涯スポーツの振興に要する経費、国民体育大会への本県選手団の派遣経費、児童生徒の体力、運動能力の向上対策に要する経費、各種体育大会への選手派遣に要する経費への補助及び競技力向上のための事業実施に要する経費であります。
 説明欄二つ目の生涯スポーツ推進費は、統合型地域スポーツクラブ及び指導者育成に要する経費であり、四つ目の児童の体力向上推進事業費は、小学校体育指導者の授業力の向上のための研修を行うとともに、小学校体育や中学、高校部活動に地域のスポーツ指導者を派遣するほか、被災地域の中学、高校の運動部が体育施設に移動するためのバスの借り上げなどに要する経費であります。222ページに参りまして、説明欄中ほど競技力向上対策事業費は、国民体育大会や全国規模の大会に出場する選手の強化対策及びジュニア選手の早期発掘と育成などに要する経費であり、一つ飛びまして、第71回国民体育大会選手強化事業費は、希望郷いわて国体に向け、組織の拡充強化、指導体制の確立、選手の育成強化を図るとともに、本県競技スポーツの普及、振興に要する経費であります。次のいわての学び希望基金被災地生徒運動部活動支援費補助は、芸術文化振興費と同様に、運動部活動の県大会や東北大会等への参加に要する経費を補助するものであり、次のスポーツ健康科学サポート推進事業費は、スポーツ健康科学に基づくサポート体制の充実を図り、国体選手等の競技力向上や指導者の資質向上に要する経費であります。3目体育施設費は、県営体育施設の管理運営及び県営体育施設の施設整備に要する経費であります。
 また、ページを飛んでいただきまして、237ページをお開きいただきたいと存じます。11款災害復旧費7項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧のうち、教育委員会関係は、被災した県立高田高校など県立学校施設の災害復旧に要する経費であります。
 次に、債務負担行為について御説明を申し上げます。
 恐縮ですが、議案その1にお戻りをいただきまして、11ページをお開きいただきたいと存じます。第2表債務負担行為の表中、教育委員会で所管する事業は、13ページの下のほうのナンバー45の校地整備事業及びナンバー46の学校施設災害復旧事業の2件であり、校地整備事業は、盛岡商業高等学校の新校舎配置後のグラウンド整備が平成26年度までにわたること、また、学校施設災害復旧事業につきましては、被災した共同実習船翔洋の代船建造工事が平成26年まで、県立高田高等学校の校舎等新築工事が平成27年度までにわたることから、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 以上で一般会計予算の説明を終わらせていただきます。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇高橋元委員長 これより質疑を行いますが、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 私からは1点、生徒の安全管理、安全確保対策についてお伺いをいたします。
 去る2月28日に、二戸市において殺人事件が発生したわけでございますが、このときに地元の小学校は2校が集団下校をするとか、あとは各学校それぞれ、全校集会であるとかいろいろ対応をなされたと思います。
 似たような凶悪殺人事件が、さかのぼりまして平成19年─2007年に、一関市で住職と母親が殺害されたという事件があったわけでございますが、このときも地元の小中学校は、下校時の安全確保対策をいろいろ打たれたようでございますが、確認の意味なんですが、こういった殺人事件などの凶悪事件が発生した場合、生徒の安全管理あるいは確保対策がどのように現状はなっているのか、お伺いをいたしたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 児童生徒の安全管理の状況についてでございます。
 県、市町村教育委員会、各学校におきましては、生活安全、交通安全、災害安全等の観点から、危機管理マニュアルというのを整備してございます。委員御指摘の凶悪事件、事案等の発生時におきましても、このマニュアルなどを活用しながら、保護者そして地域社会、関係機関とも連携をし、委員御指摘のありましたように、集団下校だとか保護者への引渡しだとか保護者同伴の下校など、児童生徒の安全確保を第一に、状況を踏まえながら各学校において適切に対応しているものと考えてございます。
〇五日市王委員 危機管理マニュアルがきちんとあって、それに基づいて対応がなされているということでございますが、これは県内全小、中、高、きちんと整備してあるものでしょうか。
 それと、そのときの判断というのは学校長がなされるものなのか、それとも、小中であれば市町村教育委員会がなされるものなのか、その辺ちょっとどうなっているのかお伺いしたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 平成23年度の国における学校安全の管理の調査の中では、全ての学校において、このマニュアルは整備されていると御回答をいただいております。ただ、全て凶悪事件に対応する項目が入っているかどうかということではなくて、先ほど申し上げましたように、生活安全だとか交通安全だとか、さまざまなそういう観点の全ての項目が網羅されているかということは確認できておりませんけれども、そういう観点での危機管理マニュアルは整備されていると御回答いただいてございます。
 あわせまして、その対応につきましても、各市町村の教育委員会が何らかの形で関係機関、警察等と連携しながら、情報を各学校に提供するだとかそういうことを受けながら、各学校においては、その地域の実態を踏まえて対応しているとうかがってございます。
〇五日市王委員 いずれにいたしましても、今回もこれは警察の審査でも申し上げたんですが、事件発生から2週間余り、被疑者が捕まらなかったということなんです。今、いろいろ捜査の情報も明らかになってきていますが、犯行後も普通に会社に行ったりとかパチンコ屋さんに行ったりとか、いわば隣合わせにいたわけですね。ですから、こういうときは子供たちが第一ですから、もう少し学校関係とも連携を深めて、情報交換をしたほうがよろしいのではないかと警察にも申し上げましたけれども、教育委員会としても、こういった事件が起きたのを機に─直近でも5年前なわけですね、一関の事件が。ですから、もう一度見直すというか、きちんと認識をしていただきながら、警察との情報交換のあり方をもう少し深めていただいて、生徒の安全確保対策には万全を期してほしいと思うんですが、そのことについてお伺いをして終わります。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 警察と情報交換また学校間の連携強化につきましては、現在、不審者情報等については、県警本部と県の教育委員会もございますし、所管の警察署から各市町村の教育委員会等に、随時、情報を共有させていただいているところでございます。
 今後におきましても、必要に応じて学校間で情報を共有するシステムというか、体制をきちっとつくりながら対応していきたいと考えてございます。
 また、学校、家庭、地域社会、関係機関が連携した取り組みというのが非常に重要と考えてございますので、児童生徒の安全で安心な学校生活の確保に、今後も連携をしながら努めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 3点についてお伺いいたします。
 最初に、遺跡調査事業費についてお伺いいたします。
 被災市町村にとりましては、住宅の復興というのが一番の大きな課題になっているんだろうと思っております。それが公営住宅それから個人の住宅、高台へ移転するに当たりまして、この遺跡調査が足かせになっているという課題もありましたが、全国からたくさんの調査員をお願いして調査していると思っております。
 被災市町村の埋蔵文化財の調査に当たりまして、現在調査をされている箇所とか、進捗状況についてお伺いいたします。それから、平成25年度の計画と調査の見通しと課題についてもお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 最初に、現在の進捗状況でございますけれども、沿岸市町村の多くは、防災集団移転等の用地の確定を受けまして、埋蔵文化財の所在状況を確認する試掘調査に取り組んでいるところでございます。中には、既に発掘調査を進めている市町村もございます。また、野田村など一部の自治体では発掘調査が進みまして、既に造成工事に着手しておるところでございます。
 次に、平成25年度の計画と調査の見通しでございますけれども、復興事業に伴います埋蔵文化財調査は、平成25年度、平成26年度にピークを迎えると予想しております。
 県教育委員会では、復興事業関連の分布調査、試掘調査を引き続き実施するほか、沿岸市町村からの要請に応じた調査支援を行うこととしております。
 また、国、県公共事業にかかわります大規模な発掘調査は、公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが受託して進めることとしており、同センターの平成25年度当初の事業量は約20万5、000平米と、今年度比で約2倍の面積となっておりますが、調査員を大幅に増員するなど、早期の発掘調査終了に向けて体制を強化しているとうかがっております。
〇工藤勝子委員 調査に当たっては、例えば記録で保存がいい調査と、それから現地をそのまま保存しなければならないということを聞いたことがございますけれども、今調査している段階で、現地をそのまま保存しなければならないような遺跡が出ているのかどうか。
 それから、余り箇所数がよくわからなかったんですが、平米のほうでお話がございましたけれども、市町村からの要請に応じてという形がありますが、その辺のところをもうちょっと詳しく聞きたいと思っておりますし、現在、調査員がどのくらい、全国からの応援体制になっているのか、その辺がわかりましたらお願いいたします。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 最初に、調査によって土地利用ができなくなった場所があるかという御質問が1点目だと思いますが、発掘調査を回避するために、復興事業の用地の選定に当たっては、可能な限り、周知の遺跡を避けていただくようにお願いしております。また、復興事業の用地に遺跡がある場合でも、記録保存のための調査を実施することとしており、今のところ、調査によって土地利用が不可能となった例はございません。
 あと、箇所数の関係でございますけれども、申しわけございません、全ての市町村の状況について詳しく調べているわけではございませんけれども、例えばということでございますが、大船渡市におきましては、防災集団移転促進事業の予定地が全部で22地区ございます。そのうち、発掘調査の対象となっておりますのは3地区でございます。3地区については、平成25年度に発掘調査を行うこととしております。また、陸前高田市におきましては、防災集団移転促進事業を5地区32団地で予定されておりますけれども、そのうち試掘調査といいまして、埋蔵文化財の所在状況を確認する調査を行う必要があるのは32団地のうち11団地と聞いております。その試掘調査の結果、本発掘調査が必要となる箇所が出てくるものと思われます。
 あとは、全国からの調査員の数という御質問でございますけれども、現在は、県教育委員会に全国の10道府県から1名ずつ、10人の応援職員の派遣を受けて、県職員と合わせて全体で19名の体制で埋蔵文化財調査に当たってございます。
〇工藤勝子委員 平成25年度、平成26年度がピークになるということで、これを進めなければなかなか防災集団移転もできないだろうと思っておりまして、今この19人で当たっているわけですけれども、これはまだ不足しているんじゃないでしょうか。どのくらいいればいいのかということをちゃんと見通しているのか─見通しというか、望んでいるのか。そして、今後どう全国に働きかけて、どれくらいの人をもっと岩手県の調査に当たることができるのか、課題についてもお伺いいたします。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 専門職員の関係でございますが、平成25年度につきましては、県及び沿岸市町村合わせまして、全国の自治体から19名、県内の自治体から3名の、計22名の派遣職員の受け入れが予定されております。必要な専門職員はほぼ充足すると見込んでおります。また、沿岸市町村の中には、次年度に向けまして、専門職員の新規採用を行った自治体も複数ございます。
 今後の課題でございますけれども、平成25年度に発掘調査が増加するものと見込んでおりまして、発掘調査現場が複数展開される自治体では、実際作業をする発掘調査作業員の確保が困難な状況が生じております。県埋蔵文化財センターでは、賃金単価を上げるなど、作業員の確保に努めていると聞いております。
 また、専門の調査員が全国から22名参るわけですけれども、これにつきましても、現在の想定を超えて調査量の増加が見込まれる場合には、年度後半の派遣職員の増員について、文化庁と協議を進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ人材を確保して、これを平成25年度、平成26年度に調査が終了できるような形で進めてほしいと思っております。
 次に、第71回国民体育大会選手強化事業についてお伺いいたします。
 選手強化年次計画の見直しとありましたけれども、この見直しのポイントについて、また、各競技における指導体制の充実とその指導体制の課題についてお伺いいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 強化年次計画の見直しについてでございますが、東日本大震災津波からの復興の中での取り組みとなるため、第71回国民体育大会岩手県選手強化本部を解散いたしまして、昨年4月に、県教育委員会と県体育協会が一体となった、第71回国民体育大会強化委員会を設立したところでございます。
 新組織におきましては、旧選手強化本部と県体協の類似した選手強化事業を統合することで、まず効率化を図る。それから、競技、種別を絞った重点的な強化で確実な競技力向上を図るという2点でございます。さらに、国体を契機に、各競技団体の組織力を高めて、国体後も高い競技力を維持することを狙いとして計画の見直しを行ったところでございます。
 各競技における指導体制についてでございますが、大きく二つ。
 一つは、一貫指導プログラムの整備、それから指導者の資質向上ということでございますが、一貫指導プログラムにつきましては、各競技の指導体制を確立させるために、ジュニア期からの一貫した指導理念に基づく競技力向上を図るための一貫指導プログラムの活用を進めているところでございます。
 また、指導者の資質向上につきましては、国体強化スタッフが中央競技団体が実施する研修会などに参加することにより、指導力の向上を図るとともに、国内の優秀な指導実績を持つ指導者をお呼びいたしまして、指導者及び選手が定期的に指導を受けることによって、指導者の資質向上を図っていくとしております。
 課題につきましてですが、各競技団体の状況を見ますと、体系的で一貫した指導、選手育成が十分にはまだできていない競技団体がございますことから、競技の実情、競技特性に応じたプログラムを充実させるよう、必要な支援を行ってまいるということでございますし、指導者が不足しているという競技団体もございますので、少年種別の強化指定校等の強化拠点への指導者の適正配置を進めるなどで、指導者の活用を図ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 一貫性のプログラムを作成して、指導者も充実していくんだろうと思っていますけれども、平成25年、平成26年、平成27年と、3年とちょっとしかなくなってきている時間の中で、子供たちというんですか、選手の皆さんが、どう成長していくのかということも非常に大きな課題になってくるのではないかと思っておりまして、ぜひ指導体制の強化を進めていただきたいと思っております。
 それで、選手の育成と強化体制の部分のお話もされましたけれども、その中で競技、特に岩手県としてこういう競技に力を入れたいというものがございますでしょうか。全部ならしてやろうとしているのか。総合優勝を狙うということになれば、種目別、全部大体いいところにいかなければならないんだろうと思っていますけれども、その辺のところの考え方と、それから、サポートしてくれる人たちも非常に大事になってくるんだろうと思っていますけれども、サポート体制の整備はどうなっているのか、その充実について。
 それから、まとめて聞きますけれども、今年度、平成25年度の総合成績なり、男子、女子の目標を立てられているのか。そして、だんだん上がっていって、岩手県の国体のときには総合優勝を目指す形でやっているのか、お伺いいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 岩手県として強化していきたい競技ということでございますが、先ほど申し述べましたとおりに、重点的な強化ということを念頭に置いてございまして、現在、さまざまな実績によりまして強化すべき競技あるいは種別、種目というものを絞った形での強化予算の配分という形にしてございます。これにつきましては、ほとんどの競技でいずれかの種別が入っている状況にはございますが、これからまた流動的な部分もございます。全てを今お知らせすることはなかなか難しい状況にございます。
 それから、サポート体制につきましてですが、選手強化において最も大切な分野のスポーツ医・科学サポート体制というところのお話をさせていただきますが、国体強化委員会のスポーツ医・科学委員会と連携を図りながら、国体に向けたスポーツ健康科学サポート推進事業を来年度から実施していくこととしてございます。県有施設を一時使用する形で、アスレティックトレーナー等の専門スタッフを配置し、スポーツ医・科学サポートの体制を選手に与えていくという考えでございます。
 また、今年度、成年選手を将来的に地元に根づかせるとともに、スポーツ活動を実践できる環境を整備することを狙いといたしまして、岩手県社会人スポーツ支援協議会を設立したところでございます。来年度からの本格的な指導ということにはなりますが、成年種別の競技力向上のための環境整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 また、平成25年度、来年度の選手強化の目標ということでございますが、男女総合成績で30位代を目指していこうということでございます。ことしは30位代を同じく目指しまして39位ということでございましたが、できるだけ30位代の前半に上げていきたいと考えてございます。
 最終的に開催年次の総合順位の目標についてでございますが、これにつきましては選手強化事業の見直しなどがございまして、希望郷いわて国体での天皇杯目標についてもあわせて検討を行ったところでございまして、男女総合8位以内の入賞を目指すということで、現在、それを目標に事業を進めているところでございますが、事業の成果を見ながら、目標順位については上方修正をしていきたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 総合優勝を目指すということは、現状の中ではなかなか大変厳しいものがあるんだろうと思っておりまして、今の段階では8位以内ということで、いい線に目標を定めているんじゃないかと思いますけれども、でも、県民の皆さんは、もっと高いものを望んでいるんじゃないかと思いまして、平成25年、平成26年とだんだん順位が上がっていくように、指導体制を強化してやっていただければと思っております。
 最後になりますけれども、閉校となっている高校の跡地利用についてお伺いいたします。
 現在における高校跡地利用の状況と、その管理における管理費についてお伺いしたいと思っております。
 遠野市は、中学校8校が今度、平成25年度から3校に統合されます。そういうことで、立派な木造の校舎が5校あいてくるわけですね。遠野市においてもあいた学校の利用というのが、非常に今後重要な課題になってきます。どうしても建て壊さなければならないような校舎であれば余り問題がないでしょうけれども、本当に建てて立派できれいな校舎で、地域の皆さんが、何とかしなければならないと、一生懸命知恵を絞っているところであります。だから民俗資料館にするとか、福祉の施設にするとか、加工場に変えるとか知恵を絞っているわけですが、では、県立高校においてもあいているところがある、旧遠野高校情報ビジネス校もあいております。そういう中において、利用促進に向けて、市町村とどういう協議をされているのかというところもお聞きしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 閉校となっている高校の数等でございますけれども、高校再編に伴って閉校となっているものが19本分校ございます。それと、校舎移転に伴いまして閉校となっているのが1校で、合わせて20校が閉校となっている状況でございます。
 これら学校施設の利用の状況でございますけれども、売却や貸し付け等によりまして、学校や研修施設などとして財産処分をしたものが7校ございます。それと、統合後の学校での部活動の利用でございますとか、東日本大震災津波による仮設住宅用地としてグラウンドなどを使っているところがございますが、そういった一部の利用にとどまっているものが9校、未利用の状況にあるものが4校という状況になってございます。
 それと、管理費の関係でございますけれども、未利用や一部利用にとどまっている閉校施設の管理費は、機械等による学校警備ということで、その委託費あるいは草刈りなどの経費として、年間で約1、000万円となってございます。
 それと、市町村との協議でございますけれども、未利用あるいは一部利用の施設につきましては、地元市町村を直接訪問するなどして、地域において利活用いただきたいということで、意見交換あるいは情報収集をこれまで図ってきたところでございまして、具体的に今利用希望等が出されているという学校施設につきましては、個別に市町村と条件面等のお話もさせていただいているところでございます。
〇工藤勝子委員 この未利用の4校については、解体をするような状況になっているんでしょうか。
〇小倉学校施設課長 学校施設が非常に大きいということもございまして、財政的な問題等もありまして、現在のところ、解体というところまではまだ至ってございません。
〇工藤勝子委員 それでは、その4施設も跡地というんですか、そういうところも今後できるだけ利用したいと、させていただきたいという形の中で、地元の市町村と協議を進めていくんでしょうか。はい、わかりました。
 地域において、利用されない高校がそのまま放置され─放置しているわけじゃないでしょうけれども、1、000万円もかけて草刈り等を委託しているわけでありますので、ぜひその辺のところをもっと市町村と詰めて、利用できるような方向を見出していただければと思います。
〇及川幸子委員 私からは2点お伺いしたいと思います。
 まず1点目です。青少年の家管理運営費についてですが、今回2億4、938万円が計上されております。今年度の取り組み状況がどうなっているのか、まずお伺いいたします。
〇西村生涯学習文化課総括課長 青少年の家についての御質問でございます。
 現在、県立青少年の家は、県南、陸中海岸、県北の三つの青少年の家がございますが、各施設ともそれぞれの特色を生かし、川遊びやキャンプ体験、登山やアウトドアの料理づくり、冬の雪遊びやスケート教室など、体験活動を通じた青少年の健全育成に取り組んでいるところでございます。
 本年度の利用状況でございますが、2月末現在で延べ8万2、947人の利用があったところでございます。
 なお、陸中海岸青少年の家につきましては、震災の影響によりまして、現在も山田町の船越小学校が施設の一部を仮校舎として利用していることから、震災前の約半分程度の利用となっているところでございます。
〇及川幸子委員 今3カ所ということですが、3カ所の合計が8万2、947人ですね。はい。
 それで、私も随分、金ケ崎町の県南青少年の家のところを通っているんですが、あんまり電気がついていることがないんですね。それで心配しているんですけれども、学校への呼びかけなどはどのようになさってきたのか、まずお願いします。
〇西村生涯学習文化課総括課長 まず、学校への利用に関しての呼びかけについてでございますが、利用者確保の対策といたしまして、県南青少年の家を初め、各青少年の家とも、利用エリア内の小中学校を中心に直接訪問いたしまして、利用の呼びかけをしておるところでございます。それ以外にも、地元のマスコミ各社への情報提供でございますとか、県、市町村広報紙への掲載、ホームページを利用した事業案内等に取り組んでいるところでございまして、今後とも工夫を凝らしたPRに努めていきたいと考えております。
〇及川幸子委員 工夫を凝らしたPRということですが、小中学校に直接訪問してどの程度の成果が上がったんですか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 直接訪問によることの効果ということでございますけれども、なかなかそれによる効果というものを把握しづらいところだと考えてございます。ただ、そういったもの、あるいは先ほど申し上げたような、例えば地元マスコミということでラジオあるいは地元の新聞、そういったものも活用しながら広報しているところでございます。
〇及川幸子委員 何でこういうことをお聞きしているかといいますと、私がPTAのころ、子供を中学校に通わせていたころは、何度か県南青少年の家を利用していました。それで思い出もかなりつくったと思いますが、そのころから結構子供たちは、親の言うことを聞かない。そういうところに行ってキャンプファイヤーをやらせても、全然言うことを聞かない。集合と言っても言うことを聞かない。先生の御苦労が本当にわかったんですけれども、そういう中において、今どの程度の子供たちがこういう青少年の家に入って、規律ある生活について─感想をとると思うんですけれども、その反響はどうなんでしょうか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 体験活動を通じた青少年の健全育成というものが、本施設の設置目的ということになってございます。キャンプあるいはアウトドア、そういったものを通じまして、学校の現場では教えることが難しいようなことについて、学校生活、集団生活を通じて学んでいるということだと思っております。
〇及川幸子委員 本当にそのとおり、すごいいいことだと思います。これが成果が上がって利用者がふえればとってもいいことなんです。今の子供たちにとって必要なことだと思うんですが、ちょっとお聞きしますけれども、胆江の金ケ崎町の県南青少年の家の利用状況を見たんですが、平成21年度73%、平成22年度74.5%、平成23年度70.5%で、4万3、535人でしたけれども、平成24年度、昨年度は何人だったんですか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 平成24年度、今年度で……(及川幸子委員「昨年」と呼ぶ)昨年度、平成23年度……(及川幸子委員「平成23年度までは調べました」と呼ぶ)はい。では、平成24年度。今年度はまだ2月末現在でございますが、県南青少年の家は3万7、699人ということになっております。
〇及川幸子委員 恐らく平成24年度末で締め切っても、それほど数字はいかないと思います。ですから、いろいろと取り組みをなさっているのはわかるんですけれども、成果が上がっていない事業じゃないかと思うんです。ですから、2億4、938万円計上されましたけれども、これはますます疲弊していって、一生懸命取り組んでいるのはわかるんですが、効果があらわれないので予算の計上がますますひどくなるのではないかと危惧しているんですが、今の方法ではなかなか難しいのではないですか。もう一度。
〇西村生涯学習文化課総括課長 なかなか利用者の数がふえていないということでの御指摘だと思っておりますが、近年の状況で申し上げますと、ただいま委員からは県南青少年の家ということの発表がございましたが、3施設全体で見てみますと、平成20年度に約11万4、000人、平成21年度に約10万人、平成22年度に約10万9、000人。平成23年度は震災の影響もございまして約7万2、000人ということになってございます。こういったことから、利用者数については緩やかな減少傾向にあると考えてございますが、この背景には、一つには、ピーク時と比べますと少子化という問題があるように考えてございます。そういった中で、先ほど申し上げたような直接の訪問ですとか、あるいはさまざまな媒体を通じた広報活動というものも取り込んでいるほか、そういった少子化の影響から、青少年だけということも施設の有効利用からは課題だと考えてございまして、現在では、例えば企業の研修あるいは地域の中高年の方を対象としたような事業など、施設の有効利用に活用していくこともあわせて展開しているところでございます。
〇及川幸子委員 この項目の最後になります。八重樫教育委員会委員長、済みません、突然いきます。
 私、とてもこの仕組みはいいことだと思うんです。ですから、持続してもらいたいということで言うんですけれども、常に心を育む教育をなさっているということをおっしゃるんですけれども、これも一貫してとても大事なことなんです。ですから、こういう数字、どんどん減っていく数字を見て、今後に向けた取り組みをどうぞおっしゃってください。
〇八重樫教育委員会委員長 宿泊施設での研修、及川委員おっしゃるとおり私も全く同感です。
 学校、家では身につけないようなしつけの問題。例えば規則正しい生活をすると、あるいは毛布を畳むとか、時間を守るとか、そういうことについては大変いい研修の場だと私は思っていますし、実は、私は県の社会教育課にいた折に、青少年の家の施設のいろんな改善策も出しました。例えば親子で泊まってもいいと。そのときにビール1杯ぐらい飲んでもいいんだという─本当はだめなんですけれども、迷惑をかけないと。そしたら利用者がふえたということもありますし、愛称もつけました。今、総括課長が答弁したように、民間の大人にも使ってもらうということで、ただ、これはここを使うということになりますと、学校訪問して校長に話をするんですけれども、学校には学校の考えもあるということがありますので、及川委員がおっしゃるとおり、魅力のある研修をやって、子供が2泊3日、1泊2日したときに大変変わったという実績を上げるようなプログラムをぜひ組んでもらいたいと思っております。
 それから、高田は流れてしまいましたけれども、市町村立、国立の施設もあるものですから、そちらの利用との競合等もありますので、いずれにしても、私は、学校、家庭だけでは身につけられないような豊かな心、たくましい体を身につけることができますので、県も助言、アドバイスしますけれども、各施設の所長を中心にアイデアを出して考えてもらいたいと思っておりますし、ぜひ充実させていきたいと思います。
〇及川幸子委員 お隣の菅野教育長、この件は本当に大事なことだと思うんです。言うことを聞かない子供たちをどうやって引っ張っていくか。ですから、先生方の仕組みも変えなければなりません。先生方もそういうところに入って、楽しい学校ということで生徒と一緒になってやってほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇菅野教育長 委員の御指摘のとおりだと思っておりまして、私も県に入るとき、最初、岩手山青少年交流の家で新規採用の研修を受けました。やっぱりいろんな意味で非常にベースになったと思っておりますし、若いときにそういった多様な経験をするということは非常に大事なことだろうと思ってございます。
 ただ、本県の課題としては、どうしても施設が老朽化しているという面がございまして、施設から見るとなかなか魅力的でないという課題はあるんですが、しかるべき補修等を行いながら、魅力的なプログラムをつくって、それぞれ子供たちが健やかに育つような一つの大きな支えとなる施設として今後とも発展させていきたいと思っております。
〇及川幸子委員 ありがとうございます。突然で申しわけありません。
 金ケ崎町の県南青少年の家は、今、子供たちは、あそこはお化けが出るよとどんどん広めていますから、やっぱり老朽化が原因だと思っておりますので、どうぞ、いろいろと整備をなされるようにお願いいたします。
 2点目でございます。認定こども園の整備事業についてお伺いいたします。この認定こども園分としての計上の部分はどうだったのか、まずお伺いいたします。
〇小倉学校施設課長 教育委員会関係の認定こども園の予算ということでお答え申し上げますが、事業名といたしましては、幼稚園等の複合化・多機能化推進事業費補助ということで842万5、000円の当初予算案を計上させていただいているところでございます。
 これは、東日本大震災津波で被災いたしました陸前高田市立高田保育所を認定こども園として復旧しようということに対して、幼稚園機能部分の施設整備に対して補助をするというものでございます。
〇及川幸子委員 幼稚園機能部分としての陸前高田市の分ですね。お聞きしましたところ、4億9、000万円の計上というのは総務部にまたがっているということで、大変わかりづらい計上じゃないかと私は思っています。そういう国の政策がやっぱりわかりづらいのが原因じゃないかと思うんです。
 それでお伺いするんですが、総務部とか保健福祉部とかにこれがまたがっているんですが、これとの連携はどのようにとられるのかお伺いいたします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 教育委員会と総務部と保健福祉部の連携についてでございますが、連携は、これまでも幼保一体化に係る推進検討会等を共同で行いましたり、幼稚園に限らず、保育所、認定こども園等の幼児教育施設における研修等につきましても連携を図りながら進めてきたところでございます。
 今後、子ども・子育て支援新制度が平成27年度から本格的なスタートとなります。教育、保育の機能をあわせ持った、法的にも単一の施設を、義務化ではなく政策的に推進することを目指しているということでありますから、より一層の連携のもとに、窓口を一本化しての対応が今後必要になってくると考えております。
〇及川幸子委員 とても重要なことだと思います。窓口一本化に早くしなければならないと思うんですが、みんなそれぞれ思いが強くて、それをまず検証していかなければならないと思うんですが、認定こども園についての検証というのをどのように捉えているのかお伺いします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 今の認定こども園についての検証でありますが、県内の認定こども園は、制度開始の平成18年以降、認定が徐々に増加しまして、現在では公立が7園、私立が14園、計21園となっておりまして、徐々に浸透がされて、内容の周知も少しずつ進んできていると認識しております。
 そういう中で、利点といたしましては、幼保同一のカリキュラムで教育、保育の両方ができるということを生かし、多様なサービスを提供できているということがありますし、職員間の連携による意識も高まってきていると耳にしております。
 課題といたしましては、文部科学省、厚生労働省の制度が並存している現実がありますので、その運営上の事務が煩雑であるということとか、教育機能をどう充実させていくかなどの課題があると聞いております。
 このようなことも含めまして、新制度のもとでの解消が期待されているところでありますが、いずれ、新制度の施行に当たりましては、現在の幼保連携型の認定こども園が原形となって進むものと思いますので、具体的な検証が必要で、さまざまな声を聞きながら、県としても国に状況や意見を述べてまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 最後に、国にその情報とかをどんどん言ってくださるということですが、やっぱり一番それが大事だと思うんです。幼稚園と保育園が一体化という時点で、私はもう何年も前から反対しておりました。もちろん、耳にしているというのではだめなんです。耳にする以外に現場に行かれて、幼稚園の状況、保育園の状況を1日ごらんになったことがありますか。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 現在の職ではないにしても、過去に私も認定こども園等の部分を参観したこと、職員から話を聞いたことはあります。そういう中で、今のような話を伺ったことがあるということでございます。
〇及川幸子委員 実は、話を伺ったぐらいじゃだめなんです。保育園と幼稚園に1日行ってみると、全く違うと私は何回も言っているんです。保育園に送っていくと、鼻を垂らして、先生がおんぶにだっこでしょう。そういう状況で、鼻をかんでやることからですよ。そして、片っ方、幼稚園に送っていきますと、全然違いますよ。お絵描き、切り絵、そしてオルガン、ピアノに合わせて歌を歌う。私は国にも申し上げてきましたが、そういうものを一体化すること自体が現場をわからないのではないかと。耳にしたとか、そういうふうに他人から聞いたんじゃだめだったんです。やっぱり国の役人の方々も現場をしっかり見て、その結果、こういうものを進めなければだめだったと思うんです。
 認定こども園は21カ所ですか、それの、何というか、実施しているところの検証結果がどうだったかというのは聞いたことがありますか。やってよかったよとか、悪かったよとか。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 教育委員会の所掌事項の中には、もちろん幼児教育の、幼稚園教育の中で、特に研修的な部分につきましてこちらの学校教育室が担当しておりますので、そういう認定こども園の先生方が集まる中で、現在の状況について聞いたことがあります。そういう中で、既に過去にも確かに幼稚園の中では預かり保育等をニーズに合わせて既に実施しているところでありましたので、そういう部分では、保育と教育と重なっている部分が現実的にはかなりあったと。そういう中で認定こども園となって、大きなギャップというものは比較的感じないで進めることができたと。特にも、幼稚園の先生であれば保育に関する学習を進めることができたり、情報交換を密にとれる、これまでよりもより広く情報収集することができるようになったということなどは聞いております。
〇及川幸子委員 今後、総務省によって平成27年から子ども・子育て会議がスタートするということですが、それを進めるに当たりまして、今までの検証結果をしっかりと受けとめないと前に進まないと思うんです。ですけど、やっているところは本音は言わないと思います。私は聞いております、保育園も幼稚園も全部。とても困った施策だと。資料も拝見いたしましたが、とにかくごっそりです。見れば見るほどわけがわからない。専門の皆さんですからわかると思うんですが、そういう中において、先生方からは大変不満だらけでいっぱいです。本当の意見は実際上がってこないと思うんです。言えないんです。そういうところもお含みいただいて、今後に向けて、子ども・子育て会議を国のほうで進めるようですが、意見があるときは、やっぱり県のほうからも、さっきおっしゃいましたが、どしどし、びしびしたたきながら言っていただかないと、国が決めた施策だからそのまま進むというのは絶対だめだと思いますので、これは失敗策になりますから、しっかり検証していただきたいと思います。最後に菅野教育長、お願いいたします。
〇菅野教育長 委員御指摘のとおり、これから岩手の将来を担う大事な子供たちですので、そういった子供たちが幼児期においてどういった環境で育ってくるのが最もいいのかということについては、本県の将来を左右する大きな問題だと思っています。
 そして、その議論に当たっては、やはりそれぞれの地域地域の状況、そこで実際に働いていただいている方々の意見というものは非常に大事だろうと思っておりますので、私どもも関係部と一緒にそういった意見をより多く吸収させていただきながら、国に対して必要な提言を行ってまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 保健福祉部の際に私もこの点を取り上げて、及川幸子委員が関連されましたので、私もちょっと関連をいたしたいと思います。
 2点お伺いします。
 いずれ、是非はともあれ法律が通過して、平成27年4月の本格施行に向けて急いで準備をしなければいけないという状況であります。子ども・子育て会議を岩手県でも、市町村でもつくっていかなければいけないんですが、教育委員会としてはどういうスタンスでこの子ども・子育て会議に臨んでいくのかということが1点。
 もう一点は、市町村の教育委員会において、幼児教育は基本的に所管事務になっていますが、ふだんは、公立の幼稚園がある市町村以外はほとんど何もやっていないんです。認定こども園の申請が出た段階で、初めて認定こども園って何だとか、幼稚園教育が今どうなっているのかということを勉強していくというのが実態でありますので、新制度の移行に向かっては、教育委員会としても、所管にはなっているけれども、本格的に取り組んでこなかったその内容を、組織としても、人員としても大きく変える必要があると思うんです。特に、保育と教育が一体となってやっていくわけでありますので、特に幼小連携の部分についての課題がまたさらにふえてきますので、幼児教育のプロフェッショナルの方が県教育委員会の中でもなかなかいないと思うんです。ここについても体制を早急に強化してもらいたいと思うんですが、いかがですか。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 子ども・子育て会議の部分について、どう臨むのかということでございますが、これにつきましては保健福祉部のほうでも答弁させていただきましたとおり、連携を図りながら早急にこれに向けての準備を進めてまいりたいと思います。
 それから、私どものほうで所掌しているのは確かに公立幼稚園ではありますが、認定こども園もその中に含まれておりますし、私立、保育園のほうにもいろんな研修の中では声をかけながら、参加していただいて一緒にやっているという実態があります。ぜひ、そういう部分を幼小連携にも生かしながら、今後進めてまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 公立幼稚園と私立幼稚園と、今までのいろんな縦割りの中で進んできたと思うんですけれども、1回シャッフルしていただきたい。しっかりと、幼児教育と保育とは何ぞやというところで、窓口を一本化しながらやっていただきたいと思います。
 質問の趣旨は、保健福祉部のときも申し上げましたけれども、平成27年4月の本格施行に向かって、政府の方針では平成26年の半ばまでにニーズ調査も終わって、実際の施設給付の金額等も決めていくというスケジュールになっているんですけれども、絶対にこのスケジュールはだめですから、平成25年度中に早く制度設計してもらいたいと思います。
 特に幼稚園については、何でこれを申し上げるかというと、今の幼稚園は、平成27年度までに市町村に対して施設型給付を受けるか受けないかというよりも、受けないのであれば申請しなきゃいけないです。申請しなければ、自動的に施設型給付に移りますから、その施設型給付の内容が全然まだわからないし、周知もされてないし、どうしたらいいんだということだし、保健福祉部のときも申し上げたけれども、施設側が理解していない限り、保護者に対して自信を持って、うちにこういう形で来てもらえばこうなりますよという絵を提示できないんです。ですので、政府の言っている平成26年半ばというのは現実を全然わかっていない話であって、平成25年度中に関係部署と早急に、綿密に調査をした上で制度設計をやるということをやってもらいたいと思うんですが、その点についての所感を教育長に伺って、終わります。
〇菅野教育長 先ほども御答弁申し上げましたように、やはり岩手の子供たちにとって非常に大事な施策の転換が、今、図られようとしているわけですので、私どもとしても、今、委員の御指摘がございました担当部と一緒に連携しながら、私どもに本来求められている役割をしっかり果たしていきたいと思っております。
〇飯澤匡委員 毎度のことで申しわけありませんけれども、外国語教育推進事業費にかかわってお伺いします。今回は小学校における英語教育のあり方についてに絞って、この1点のみお伺いします。まとめてお伺いしますので、留意して御答弁願います。
 最初の質問は、小学校における英語教育、国際理解教育から始まって、今、必修化になっているわけですが、どうも、実態は小学校間で英語活動に差が生じているというのが問題点と指摘されていると聞いております。各教育事務所の指導方法について、どのような指導をなされているのか。そして、外国語学習なのか、国際理解の学習なのか明確でないというような指摘もあります。現状の課題認識をお伺いします。
 二つ目の質問ですが、前にもこれは質問して、答弁をいただいたものでございます。中学校との連携、学習成果の評価方法について、これらについてもしっかりと検証する必要があると思うんですが、どのように対応なさっているのかお伺いします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 小学校の外国語活動についてでございますが、1点目の質問についてでございます。
 平成23年度から、外国語活動という名称で、小学校5年生、6年生、週1時間ずつ、教科ではない枠組みの中で実施しております。
 外国語活動が外国語学習か国際理解学習かというお話ですが、これは明確な区別ではありませんで、言うなれば、両方の機能を受け持つ時間と捉えております。根本の狙いは、外国語になれ親しみ、積極的にコミュニケーションを図ろうとする、いわゆるコミュニケーション能力の素地を養うということが究極の狙いであります。大分定着してきた部分がありまして、小学校の現場の先生方の戸惑いも少なくなってきた部分ではありますが、委員御指摘のとおり、取り組みの差というのは確かにあると認識しております。
 一つは、英語に対する教員の意識の差がありますし、もう一つは、5年生、6年生しか外国語活動がない形なわけで、そこの担任をしたときにはやるけれども、それ以外は実際にはやらないという部分がありまして、そこのところをどう埋めるかということが今後の課題かなと思っております。趣旨のさらなる周知、指導方法の熟達ということが課題であると捉えております。
 次に、2点目の学習成果の評価方法についてでございますが、これにつきましては、教科ではない枠組みということで、小学校であれば、3段階の評価ということはやっておりません。指導要録等に記録する際は文章による記述ということになっておりますし、通知表についても文章で記載することが多いと聞いております。小学校の通知表につきましては、各学校にその評価方法については任せているところでありますので、文章が多いと聞いております。
 なお、各学校がこれにつきましては適切に対応できるように、事前に研修をしてきたところでございます。
〇飯澤匡委員 私が懸念している点については認識が同じであるというので、一つは安心したんですが、国際理解教育のときには低学年からなれ親しむということで、英語に対する意識というんですか、それが低学年から、あの先生が来れば英語の時間が始まるんだなということで、挨拶程度のことから関心も出てくると。ところが、先ほど答弁があったように、今は5年生、6年生だけの対象ということになってしまって、どうも、本当の意味での国際的な理解を深める、コミュニケーション能力を高めるという意味においては、少し気配りに欠けているところがあるんじゃないかというような思いをしております。この決定について、ぜひとも岩手県独自の形でいろんな取り組みをしていただきたいと思っております。
 そこで、さらに問題を掘り下げますが、実際、教員の英語教育における意識調査で、50%の方々が必修化すべきでないというような結果が出ていると聞いております。岩手県ではどのような状況になっていますでしょうか。
 あわせて、外部人材の確保等条件整備のあり方、これは、教員の意識づけと関連させてどのように対応なさっているのかお伺いします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 まず、教員の意識調査ということについてですが、県のほうでは、これについては、英語教育を小学校全部でという部分での意識調査はいたしておりません。外国語活動は、領域として国レベルで既に必修化されている中身でありますし、外国語活動いわゆる英語教育の開始年齢を、小学校の外国語活動の教科化等についてどうかという部分も、国レベルでは検討をしているらしいということも聞いておりますけれども、こちらとしてはそれを待ちたいと考えております。
 次に、条件整備のあり方についてでございますが、特にも外部人材という部分で話をさせていただきますと、各市町村教育委員会において、程度の差はありますけれども、必要に応じて外国語指導助手や地域の英語の得意な人材等を活用いたしまして指導しているということで認識しております。
 さらに、これは人材ではありませんけれども、国からはHi、friends!という冊子の教材とか、附属する電子教材が各学校に配布されておりまして、各学校で電子黒板を利用して指導するといった部分での環境も整えられていると思っております。
〇飯澤匡委員 今回の質問の趣旨は、どうも現場の中で、要は教員の意識の中にも英語を必修化すべきでないと。これは文部科学省の中央教育審議会の会議録から出してきたんですけれども、その内容として、必修化すべきでないという答えは、他の教科の内容をしっかり学んでほしい、次の2番目は、正しい日本語を身につけることが疎かになるとの順となっている。どうも、こういう問題と、本当に腰を据えて外国語教育をやろうという問題をすりかえて、さっき指摘しましたが、現場の中で差が出ていると。その教員の意識の中にそういうものが出ていて、やっぱり小学校はこうあるべきだという非常に固定観念の中でやってしまっていると、これはやっている意味がなくなってくると思うわけです。
 さっき質問した外部人材の登用についても、その使い方が、おのずから、そういう考え方がしっかりしてないと、外部人材が来るから適当にやってくださいと。実際、そういう先生はいらっしゃるそうですから、それではいかぬのですよ。これをしっかり定着させるためには、その意識づけというのはもっともっと必要だと思うんですが、その点について教育長にお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 確かに、学校で限られた時数の中で、それぞれの担任している教員というのは、これもやらせたい、あれも子供たちに学ばせてあげたいということで、非常にいろんな思いを持っていると思います。ただ、委員御指摘のとおり、これからの我が国を考えた場合に、外国の方とのコミュニケーション能力というのは恐らく避けて通れない大きな課題であろうと。そういったところから、小さいうちからいろんな体験をしていくということは非常に大事だろうと思いますし、それが異文化との交流ということにもつながるのだろうと思っています。
 国においていろんな外国語活動についての議論がなされておりますが、私どもとしては、今、課題となっている、今やるべきことをしっかりやっていくということを現場とも意識を共有しながら取り組んでまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 昨年のちょうど秋ぐらいだったですか、地元の高校から、外国語とILCについてちょっと話をしてほしいということで、お話をする機会がございました。外国語については全然興味を示さなかったんですけれども、ILCの段になると、ばっとみんな顔を上げるわけです。やはりいろんな情報も─これは高校生だけじゃなくて小学生も入っている。実際に、私はILC関連の仕事をしたいと口に出して言う子も出てきました。そこで、これは実現するかはまた別の次元の問題ですけれども、ただいま教育長がおっしゃったように、これだけグローバル化が進んできて、やはりそういう人材も岩手の中でつくっていかなければならない。その素地をつくっていくには、小学校で英語になれ親しむというのは、しっかり岩手でも定着させていかなければならないと思います。
 それから、ILC関連についても、配偶者の方々の仕事もこちらのほうでしっかりと問題点として指摘されていますので、そこの環境整備もあわせて、実際問題、そこもまだ決まっていませんけれども、視野に入れながらいろいろ計画を立てる必要があるのではないかと、これはまず意見として申し上げておきます。
 最後にですが、今までの質問の総括的な意味合いを含めるわけですけれども、私は、もっと学校の指導的な立場になる教員、または地区ごとに定期的な情報交換や専門家を交えての研修会、これはやっていると思うんですけれども、さらにその意識づけも含めたしっかりとしたものを定着させてほしいという意味も込めて質問するわけですが、その対応策について最後にお伺いします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 外国語活動については、導入から2年目でありますけれども、より効果的な学習が行われるためには、御指摘のとおり、研修というのは重要であると考えております。現在、県のほうでは、授業力ブラッシュアッププランと銘打ちまして、教育事務所単位に3名の先生方プラス指導主事が入りまして、小学校外国語活動のあり方について、指導案等も含めて研究を深めて、モデル授業を提供するという授業に取り組んでおります。そのほかに教育センターで外国語活動の研修会、小中連携に関する講義等も行っておりますが、ぜひ、今後も、市町村教育委員会と連携しまして研修会の充実を図っていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 去年、小学校の学習発表会を3校ほど見させてもらって、その中でたまたま英語劇をやっていただいた。これも前回、決算特別委員会で言ったと思うんですが、私は大変感動しました。そういうふうに挑戦する教員もいるわけです。その内容はともかくとしても、それに挑戦していくという活動もしっかりと教育現場の中で評価しながら、やる気のある先生たちをどんどん引き上げていくという、何といいますか、空気を醸成するのもこの研修会の中で必要だと思いますので、ぜひ、そういう視野を、学校の授業ということだけでなくて、いろんな部分で評価と、そして伸ばしていくということをやっていただきたいと思います。最後に教育長に聞いて、終わります。
〇菅野教育長 私も小学校の外国語活動の授業を拝見させていただいたことがございます。子供たちは非常に生き生きと明るくやっていまして、むしろ、この子たちが中学校に行って、変な指導をすると、それこそ一発で英語嫌いになるなと、そちらのほうを心配したぐらいでございますので、逆に言うと、小中学校連携した英語の一貫した取り組み、いろんな工夫を小学校で始めていますので、そういった子供たちを育てる取り組みというのを私どもとしてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
〇高橋昌造委員 まず最初に、児童生徒の食育と心のケアを含む健康管理の学校での最前線であります学校給食施設と学校保健室の現状、課題、そして今後の取り組みについてお伺いいたします。
 まず、学校給食施設の現状と課題、そして今後の取り組みなんですが、特にも大震災後の被災市町村の給食施設の被災実態とか、また復旧状況、課題があれば課題も含めてお伺いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 学校給食施設の被災状況のところで御説明申し上げますが、被災地における学校給食施設に関しますと、津波の被害で使用できなくなりました施設は、大船渡市の共同調理場1施設、地震によって配管の破損などで使用できなくなった施設が5施設、そのほか、陸前高田市が災害対策本部を設置いたしました1施設が震災後に使用できなくなったところでございます。
 津波の被害を受けて使用できなくなりました大船渡市の1施設から学校給食の提供を受けていた3校につきましては、提供施設を組みかえることで、学校再開時から震災前と同じような給食を提供してございます。
 配管破損等の被害があった5施設につきましては、平成23年6月には全て復旧いたしまして、また、災害対策本部が設置されました陸前高田市の施設につきましても、平成23年9月には給食センターとして再開しているところでございます。
 現時点における課題につきましてですが、先ほど申し上げました学校給食の提供施設の組みかえによりまして提供する食数が大幅にふえた大船渡市の2施設におきましては、施設面で手狭になっている状況があると聞いてございます。なお、大船渡市におきましては、新共同調理場の整備を計画している状況にあるということでございます。
〇高橋昌造委員 学校給食の環境に関連して、まず、学校給食費の徴収実態、特にも被災地での保護者の所得減少などによって、そういう未納がふえているのかどうか、そういう影響が実際あるものかどうか。そして、あるとすれば、県教育委員会として今後どのような対応を考えているのかお伺いいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 平成24年度におきます学校給食費の徴収状況についてでございますが、全体といたしまして、県平均で、金額ベースで申し上げますと0.5%、件数ベースで申し上げますと1.1%の未納ということになってございまして、特に被災地に特徴があるということは聞いてございません。そのような状況でございます。
〇高橋昌造委員 それから、給食の食材の関係で、特にも放射性物質の濃度の測定体制というか、この結果も含めてどのようになっているのか。あわせて、学校給食の県産食材の利用状況がどうなっているのか。
 実は私が心配しているのは、震災後に食材の内容に変化があるものかどうか。特にも被災後、いわゆる食べることだけでも精いっぱいな状況の中で、学校給食でどのような対応をなされたのか、その辺のところをお伺いいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 学校給食食材の放射性物質濃度測定体制についてでございますが、県立学校におきましては、学校給食を自校調理で実施している11の県立学校全てにおきまして測定機器を設置いたしまして、本年度から給食食材の事前の測定を行っているところでございます。なお、設置した県立学校におきましては、測定機器を持っていない市町村からの依頼に応じての測定も行っているところでございます。これまでの測定の結果におきましては、国の基準値を超えた事例はないということでございます。
 なお、市町村につきましては、県の補助金を活用して測定機器を設置いたしました20市町村を含め、29の市町村において食材及び提供後の給食などの測定を実施していることを把握してございます。
 また、より一層、学校給食に対する安心の確保につなげていくことを目的といたしまして、提供後の学校給食における放射性物質の有無、量について調べるモニタリング検査を国の委託事業により県内5施設で実施しているところでございます。10月からこの2月にかけて行った検査の結果、いずれの施設におきましても放射性物質は検出されてございません。
 それから、県産食材の利用状況につきましてですが、平成23年度につきましては実は調査してございませんが、平成22年度文部科学省調査でございますが、食品数ベースでは本県は33.2%で、全国平均の25%を上回っているという状況でございますし、農林水産部流通課が行っております重量ベースの調査におきましては、平成22年度でございますが、46.4%の県産食材の利用が図られていたということでございます。
〇高橋昌造委員 釈迦に説法じゃないんですけれども、学校給食法には四つの大きな給食目標があって、食料の生産なり配分、そして消費について正しい理解をするようにということが大きな目標になるわけです。だから、県産食材の利活用には特にも力を入れていただきたい。これが目標の達成の一つにもなるわけでございますので。
 また、いわゆる三育の知育、徳育、体育、プラス食育が非常に重要視されているわけですが、今後、学校における食育の成果、何に課題があるのか、そして課題があるとすれば、その課題解決に向けてどのような取り組みをなされてまいるのかお伺いいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 今、委員がおっしゃられましたとおりに、四つの目標を持って食育を推進してまいるところでございますが、学校における食育については、食に対する正しい知識を身につけて、みずからの食生活を考え、望ましい食生活を実践することを目的といたしまして、学校給食を活用しつつ、各教科や総合的な学習の時間における食に関する指導を中心として行っているところでございます。
 実態を申し上げますと、平成24年度の食育の取り組み状況は、小学校で100%、中学校で98.4%、高等学校で75.3%、特別支援学校では92.5%という高い取り組みが図られてございます。
 なお、課題といたしましては、学校給食を実施している小中学校におきましては食育に取り組みやすい状況にあるのですが、学校給食を実施していない学校の食育の進め方に課題があるということでございます。学校教育全体として、学校給食にとらわれずに食育を推進するため、教職員の共通理解を図っていかなければならないと認識してございます。
〇高橋昌造委員 次に、学校保健室です。最近、学校保健室の見える化というか、さっぱり見えないような気がするんです。私は、どうも小さいときは気が弱くて虚弱体質で、保健の先生から肝油をもらって今日があるわけでございますが、いずれ、養護教育の先生方の役割と、そして保健室の機能というか、今現在、もちろん充足はされておると思うんですが、養護教諭の充足状況なり課題があれば、どんなことがあるのかお示し願いたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 養護教諭の役割、保健室の機能でございますが、保健室につきましては、学校保健安全法におきまして、健康診断、健康相談、保健指導、救急処置、その他の保健に関する措置を行うために設けると規定されてございます。また、養護教諭につきましては、児童生徒の健康相談、保健指導、救急処置などの保健室を中心とした保健活動を行っておりますし、加えて、学校医、学校歯科医、学校薬剤師などの関係者及び関係機関と連携しながら、学校保健委員会などの組織的学校保健活動推進の中核を担っているところでございます。
 養護教諭の充足状況でございますが、本年2月末現在、国の基準に基づいて配置されるべき小学校、中学校、特別支援学校及び高等学校には全て配置されているということでございます。
 課題といたしましては、見える化といいますか、外部団体との連携の仕事が随分多くウエートを占めるようになってまいりまして、そちらのほうの時間が結構とられているという状況にあるとうかがっております。
〇高橋昌造委員 保健室というのは、ある意味では児童生徒の駆け込み寺みたいなところもあるわけです。だから、保健室の先生方は、いじめとか不登校の早期発見というか、私は、保健室は非常に大切な場所ではないのかと思うんです。それで、事を起してからでは遅いので、こういう早い段階で発見するということで、いじめ、不登校になる前に、保健室あたりが中心になって、いろんなところ、例えば環境生活部の青少年のほうとか、警察のほうもそうです。そういったところと多角的な連携の体制をとってやることができないものか。そして、非行少年とか何かにならないように芽を摘むことは、保健室の役割というのは非常に大きいと私は思うんです。だから、その辺のところを、今後、そういう関係機関との連携構築を図って対応するお考えがあるのかお伺いいたしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員御指摘のとおり、養護教諭の職務の特質から、健康診断あるいは保健室等での子供への対応を通じまして、いじめあるいは児童虐待、不登校傾向に陥りそうな児童生徒などについていち早く察知できる立場にございます。いじめ、不登校の兆候を発見した場合には、当該児童生徒への心身のケアをまず第一に図るわけでございますが、きめ細かな相談活動を行いながら、早期に適切な対応が必要と判断される場合には、学校として、例えば児童相談所、警察など関係する機関との連携を図りながら、その早期解決に向けて取り組んでいるところでございます。
 なお、スクールカウンセラーなどの配置もございまして、その体制も整いつつありますが、一層充実するように努めてまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 最後に、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業についてお伺いいたします。
 まず一つは、特別連携競技を設定された根拠というか、これがどうなのか。
 それから、クロストレーニングスクールの実態内容というか、実施内容はどうなっているのか。そして、スーパーキッズの育成事業の成果、具体的にスーパーキッズの子供たちが実際どういう状況になっているか、効果があったのか、具体的に示していただきたいということをお聞きして、質問を終わります。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 いわてスーパーキッズ発掘・育成事業の件でございますが、今年度から新たにクロストレーニングということで特別連携競技の種目を実施してございます。この選定につきましては、将来、スーパーキッズが国際大会に出場する可能性の高い競技を設定してございまして、具体的にはオリンピックあるいは世界大会を目指す強い意志のある競技団体である、有望選手を中央競技団体─ナショナルチームとかナショナルトレーニングセンターというところになるかと思いますが、そこで育成するシステムを持つ競技団体である、県内に小中学生の育成環境が整備されているということ、そして県内に盛んな地域があって、その地域と連携した活動ができるという基準を満たした競技団体と連携してクロストレーニングスクールを実施しているところでございます。
 そのスクールの実施内容と成果についてでございますが、昨年度までは月2回のスペシャルスクールを実施してございましたが、クロストレーニングスクールを月1回増加いたしまして、キッズが現在取り組んでいる競技とは関係なく、それぞれの地域で設定された競技のクロストレーニングに参加して、身体能力の向上を図っているところでございます。
 クロストレーニングの目的といたしましては、活動頻度を上げることはもちろんでございますが、競技の特性に基づく身体能力の向上、例えばスケートであればバランス感覚、ボクシングであれば反応、反射能力などということがございますが、それらの向上を図ることを内容として実施してございまして、目的といたしましては、世界大会等出場の可能性の高い競技への転向を促すという目的を持ってございます。クロストレーニングの取り組みで身体能力の向上はもちろん図られますが、将来の種目転向での高い成果を期待しているところでございます。
 それから、事業の成果でございますが、もともと取り組んでいた競技で高い能力を伸ばしているキッズと、種目転向によって高い結果をおさめている2種類ございます。もともと取り組んでいた競技で能力を伸ばしているキッズは、例えば国体の陸上競技のハードルで7位、あるいは全国中学校スキー大会で全国2冠などがございますし、種目変更におきましては、バスケットボールからスピートスケートへ転向いたしまして国体6位入賞、あるいは陸上競技からラグビーへ種目転向いたしまして全国大会に出場している例ということがございます。着実に成果は上がっていると認識してございます。
〇佐々木努委員 通告しておりませんでしたが、スーパーキッズ事業で、前回、私は決算特別委員会のときに、その年度の事業費の規模だけで発掘できるのかということで質問させていただいた経緯があります。そのときは、今後、民間の力を借りながら、事業費アップも含めて充実させていきたいというお話をいただいたような記憶があります。
 平成25年度の予算はたしかマイナス2%でしたか、3%でしたか、多分、その減額した分を民間のほうにも働きかけなども行っていただいているんだと思いますが、現状についてお知らせいただければと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 事業費につきましては、事業の精査に伴っての減ということでございまして、特にこの部分が削れるという認識はございませんが、その分、民間の支援ということで、例えば、今年度におきましては岩手県歯科医師会からの物的な支援等をいただいておりますし、さらに、歯科健診等を実施している部分での無料での事業の提供をいただいているような部分がございます。具体的にどこに幾らお金をという話にはなってございませんが、そういう形での支援をさらに検討していただきながら、引き続き皆さんとともにスーパーキッズを育成していきたいと考えているところでございます。
〇佐々木努委員 いずれ、この事業は、県民の方々はかなり期待している事業でもありますし、国体に向けての選手の育成にもつながると思いますので、積極的に民間から協賛金をもらうとか、寄附金をもらうとか、そういう活動をすべきだと私は思います。これは要望で、終わります。
〇高橋元委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時53分 休 憩
午後1時3分 再開
〇郷右近浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、この後、本日審査を予定している部局について、延べ14名の質問者が予定されております。
 なお、質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数あいる場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑することとし、他の委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合には関連質疑として短時間かつ簡潔に行うことを基本とするとともに、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は、原則として行わないよう御協力をお願いいたします。
 また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう、議事進行に御協力をお願いいたします。
〇嵯峨壱朗委員 質問させていただきます。
 去る3月9日に奥州市で、国際リニアコライダーシンポジュウムinおうしゅうという催しが開催されたようであります。そこで、出席者の中に水沢高校の軍司君が出席して、いろいろと生徒の立場から、なるほどと思うような指摘をしているようであります。
 軍司君によれば、ILC建設が決まれば、市に多くの研究関連施設ができることになり、都市としての発展も期待されると。誘致を機に、今まで以上に、科学が盛んな都市へ発展させていきたいということを述べています。その中で指摘していた、市全体としてということですけれども、岩手県全体としてと読みかえてもいいのかと思うんですけれども、地域の盛り上がりの足りなさを指摘したと。科学への興味、関心をかき立てる環境づくりに向け、親子で参加できる科学教室の開催や、自身が物理学に興味を深めるきっかけともなった科学体験研修のさらなる充実等々、いろんな例を述べてもっと理解したいという、また、理解させていかなければならないということを語っておりましたけれども、教育委員会としては、今年度、このILCの理解を進めるためというか、積極的に子供たちにそういった機会を与える事業があるかどうか、そうすべきと思うんですけれども、お知らせ願いたいと思います。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 ILCについてでございますが、ILC東北誘致の実現には、県民が一体となった取り組みが求められております。
 学校においては、これからの岩手を担う子供たちに本計画を理解させ、実現に向けた機運の醸成を図る意義は、大変大きいものと考えております。これまで、スーパーサイエンスハイスクールである水沢高校、盛岡三高、また、理数科を持つ盛岡一高などでは、日本を代表する研究者によるILCの講演会を実施してまいりました。また、関係団体による中学生を対象の見学会、講演会を実施しております。県南のある中学校では、文化祭においてILCの寸劇を行っております。
 次に、今後の取り組みとして現在予定しているものですが、この3月に、岩手県国際リニアコライダー推進協議会から、めざせ!東北ビックバンというDVDを県立学校数分寄贈されております。このDVDは、大変わかりやすい内容であることから、新年度早々、全ての県立学校に配布し、各校で学習会を実施することで、ILC東北誘致の実現に向けた機運の醸成を図ることとしております。
〇嵯峨壱朗委員 DVDをきっかけにということなんでしょうけれども、私も実はよくわからないんですけれども、難しいですよね。字面では書いていますけれども、電子と陽電子を光に近い速度で衝突させ素粒子を調べ─さっぱりわからない。これをどうやってわからせるのか。そして、実はわかることも大事でしょうけれども、それをきっかけに、例えば科学とかいろんな学習とかに関心を持つような場面をつくっていく、ちょうどいい機会だと思っているんですよ。今の話を聞いていますと、教育委員会としては独自の─本来であれば、もう新年度予算の中で、岩手県として知事もこれを重要な三陸プロジェクトみたいな形で位置づけしているわけですから、教育委員会としても、そういったことを受けてという言い方が正しいのかどうかわかりませんけれども、連携して積極的に予算化してやるべきだったと思うんですけれども、どうでしょうか、その点は。
〇菅野教育長 ILC誘致というのは非常に大きな県政上の課題だと思っておりますし、今、委員から御指摘のありましたとおり、それをきっかけとして、子供たちが科学に目を向けるというのは非常に大事なことだろうと思ってございます。これまでもそういった取り組みを行ってきたところでございますが、特にこういった今回の契機を通じて、いろんな各学校で工夫を凝らした取り組みを行ってまいりたいと思っておりまして、そういう具体的な予算を伴う事業というよりは、各学校において、日常活動においてILCに取り組むといったところから、子供たちの科学の関心を育成するといったことに取り組んでまいりたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひそうしてもらいたいと思います。
 事業化する、しないは、そのとおりだと思うんですけれども、実際にはこういった計画の中にいろいろ説明してありますけれども、教育委員会の中にほとんどというか、ILCのことが出てきていませんよね、全く。そのための授業というのではなくてもいいんですけれども、そういったことも教育現場としも力を入れて一緒になってやっていくんだと。誘致がどうこうではなくて、そういった理解をすることによって、いろんなところに関心を持ってもらうという機会にしてもらいたいと思いますので、ぜひいろんなところで取り入れていただきたいと思います。
 それでは次に移ります。中学生の部活についてお尋ねしたいと思うんです。
 今、言うまでもないことですけれども、少子高齢化ということで、少子化が深刻でどの地域もそうです。昭和29年合併のとき、市町村ごとに大体中学校を配置したわけですけれども、それがどんどん減っていって部活ができなくなっている実態があるかと思うんです。そういった実態が今どうなっているのか、それについてはどういった対策を講じようとしているか、お尋ねしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 生徒数減による運動部活動への影響と実態ということでございますが、生徒数の減少が年々進んでございまして、少子化の影響によって学校内の部の統廃合が進み、自分が希望するスポーツに取り組めない生徒もふえてきている実態がございます。そのため、大会の参加につきましては、特に団体競技において単独チームが組めず、出場できない部もふえてきている状況です。そのため、合同チームの編成により、大会に出場する学校が年々ふえてきている状況にございます。
 その対策についてですが、生徒数減少が進んでいく学校では、活動期間を限定した特設部の設置、あるいは複数の種目に取り組む総合運動部、また、複数校による合同実施などさまざまな形の部活動の形態、運営の実践が検討され始めておりまして、一部導入されているところでございます。
 今後は、それらも含めまして、合同チーム等による大会参加の拡大とともに、地域のスポーツクラブでの活動等についても、県中学校体育連盟あるいは市町村教育委員会と連携しながら、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 合同チームと、複数校であわせてチームをつくったりしているという実態があることは私も知っていました。
 なぜこういうことを聞くかというと、少子化そのものについてどうやって対抗していくかというのは難しいことです。ただ、子供たちの希望を、例えば転校してまで野球があるところに行くとか、部活のために転校する実態もあるんです。だから、それをどう対処したらいいかというのは私もわかりませんけれども、実態をきっちり把握して、なるべく子供たちがしたいことをできるような環境づくりをしていただきたいと思うんです。こういった事例の中には、生徒数が少なくなるので、年度途中で廃部にしてという例もあるんですね。1年生、2年生がいるにもかかわらず。いや、違う部に行けばいいって簡単に学校は言うけれども、そう簡単にいかないわけです。ですから、それをきっかけに不登校になる例もあるんです、実際に。一生懸命部活で頑張ったけれども、それが対応できなくなってどこに行ったらいいだろうという。ですから、単に生徒減によって部活をどうこうというだけでなくて、例えば学校側としても、計画的に年度当初からそれは、前の年からでもいいから決めておいて、中途でやめるとか、そういったのをやっていると子供たちにいろんな影響が出てくるんですよ。学校側は、先生方は、生徒が少ないから廃部にしましょうと。だったら年度当初にわかっているはずですし、ですから、そういったことも含めて慎重に対応していくべきだと思うんですね。妙案があるのかどうか、教育長の見解をもらえたら。
〇菅野教育長 子供たちはいろんな目標を持って学校に通っています。その中で、基本は学習とは言いながら、クラブ活動もしっかり取り組みたいということでいろいろ活躍してくれていますので、子供たちにやりたいことをやらせてあげたいというのは私どもの希望であります。そういった意味で、今委員から御指摘のありました、学校にいろんな事情があるかもしれませんが、年度途中でいわゆる進路、方向性を変えざるを得なかったというようなことが極力出ないように、そういった学校においては計画的に子供たちの育成に取り組んでいただくということが求められると思いますし、先ほど総括課長から答弁を申し上げましたとおり、合同チームの設置ですとかいろんな工夫をそれぞれ学校が取り組むと思いますので、私どもとしてもそういった学校の取り組みを支援しながら、子供たちが部活に取り組める環境の醸成に努めてまいりたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひよろしくお願いします。
 また、途中で廃部するような形のないような、結構あるかもしれません、実態として。影響が大きいので、そういった点もぜひ今後とも注意してもらえればと思います。
 次に移ります。いじめ、体罰の実態等の対応策についてですけれども、一般質問そして総括質疑等でさまざま出てきておりますけれども、私はこの調査の仕方についてちょっとお尋ねしたいと思っていました。
 体罰の調査、文部科学省から来てこの間やられたわけですけれども、岩手県では記名式、子供、親の名前をきっちり書かせた上で学校に提出させる。校長先生に直接やるので、担任は見ることがないというのでそういったやり方をしたみたいですけれども、これは斉藤委員からも議論があったところかと思うんですけれども、実態を把握することに主眼があるわけですね。それで実態把握できるのかどうかというのを改めてどう考えているのか、お尋ねしたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 体罰調査についてでございますが、記名式で行うということにつきまして、今回、文部科学省から緊急の調査という限られた期間であったということで、発生時期、場所等、それから体罰の状況などを詳しく事実関係を確認し、把握しなければならないということがあったため、ほかの県の調査なども参考にいたしまして、それで記名式をとったところでございます。
 委員御指摘のとおり、担任に出さないということでいろいろ配慮したところでございまして、また、市町村とか県教委の連絡先もその通知の中に盛り込んで、もしそういう形で出せないという方については、そちらのほうに出していただけるような配慮もしてきたところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ないのが一番いいわけですけれども、ある場合に、多分、校長先生にとか言っても、親からすると学校に出すわけですよ。ということは、先生も学校も校長も、受ける側からするとほぼ同じですよね。ですから、実態把握という観点からすると、文部科学省は、記名式でやりなさいという指導でもないわけですよね。他県も、宮城県なども記名式でやっているという実態があるようですけれども、ただ、本当に実態を把握したいのであれば、むしろ記名じゃないほうが恐らく実態把握になると思うんです。これは今一定の期間が短かったのでそうしたということですけれども、実態把握にはならないと思います。うちのかみさんとかいろんな父兄から聞いても、書けないと。
 これはいじめの調査も一緒だと思うんですよ。いじめの調査はどういうふうにやっているかというと、私はそのペーパーを見ていないので、記名式ではないとは思うんですけれども、その辺もちょっとわかれば教えていただきたいんですけれども、実態調査にならないと私は思うんですけれども、どうでしょうか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 いじめの調査にかかわっては、先般といいますか、昨年9月に緊急調査を実施してございます。委員御承知おきと思うんですが、その調査にかかわっては、こちらのほうからというか、教育委員会から記名でとか無記名でということではなくて、これは例年各学校で実施しているものでもございますし、各学校の実態に応じて回答しやすいような形でということで、大方は無記名でやっているのではないかと承知してございます。
 あわせて、昨年10月に実施しました各教育事務所単位での緊急の研修会の中でも、そのアンケートの仕方の適切な対応といいますか、どういう形ですればより実態が把握できるかということで、アドバイザーの方からアンケートの項目設定だとか、無記名のほうが妥当性があるとか、そういうことに関してはお知らせというかお伝えをしながら、各学校の実態に応じて実施されているものと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 結局、学校に任せるということなんでしょうけれども、どう考えても、多分、常識的に皆さん方もそう思うでしょうけれども、なかなか記名式で書けないですよ。我々が投票するときも、私は自信を持って記名して書きますけれども、なかなか記名でというのは度胸が要るんですね。ですから、まして子供たちは、記名式でやった場合に、言いたいけれども言わないというほうが実態だと思うんですよ。ですから、これはいろんな対策をしなければならないのが事実ですけれども、それ以前に、実態はどうなのか。それを把握する確度の高いものをやっていかないとだめだと思うんですよ。ですから、私は今後調査する場合には、いじめにしても体罰についても、記名式じゃなくやるべきだと思いますが、その点についてもお伺いしたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 委員御指摘の点につきましては、今回の調査結果を踏まえまして、さまざまな方法で実態把握ができるように、今後、その実態把握のあり方について検討してまいりたいと考えておりますし、もし、そういう事実確認ができた場合には、迅速、丁寧に対応できるように取り組んでまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 午前中も国体関係について質疑が交わされたところでありますが、その中でも、先にスーパーキッズ発掘育成事業についてお伺いをしたいと思います。
 かなりもう踏み込んだというか、質疑が交わされたところであったわけですが、質疑、答弁を聞いている中で、これは一つの目標を持って進むべき事業であると感じております。例えばその中でも、当初は岩手国体を目指してできた事業だと理解しておったわけですが、その後、世界大会またオリンピックに出場できる本県のスポーツ選手を育成するという形になってきたんだと思いますが、以前ちょっと聞いた中では、2020年のオリンピック開催までを目指して事業を進めているという話を聞いたわけですが、その確認が1点と、であるとすれば、オリンピックを目指す過程の中で、岩手国体では、スーパーキッズ発掘事業によって国体に参加する選手が何人ぐらいを目指す、その後の世界大会では何人なんだと、そして最終的に、オリンピックには何人なんだという目標を持ちながら進まないと、その時々の情勢によって変わりますというのであれば、事業の成果というのがどうだったかというのも検証もできないと思いますので、その件について所感をお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 スーパーキッズの目標といいますかコンセプトについてですが、当初から岩手から世界へというコンセプトで動かしてきた事業でございますが、当面、岩手国体が一区切りになるところではあったというのは事実でございます。ただ、当初の事業の目的に若干ブレといいますか、迷いがあったりしたところもございまして、各界の識者から編成しておりますプロジェクトチーム委員会で今一度目標等を設定し直したところ、2020年のオリンピックに選手を出すことを目標に事業を進めていこうということで、目標の上方修正ができたという形で認識してございます。
 なお、岩手国体のときには、今育てておりましたスーパーキッズが大学3年生から小学校6年生というところでございまして、ちょうど国体のぴったりの年齢に入ってまいります。ただ、オリンピックを目指すというような形でやってございますので、必ずしも国体競技にかかわるものではございませんことから、国体にスーパーキッズを何人出しましょうというような目標は設定しておりません。いずれにいたしましても、2020年のオリンピックまでに、オリンピック選手を出そうという考え方で実施してございます。
〇工藤大輔委員 私はやはり目標は持つべきだと思います。大会に何人出るかというのとあわせて、例えば国であったり、県等の強化指定の選手に何人なるんだと。その後のオリンピックに出るためにはそういった過程を必ず踏むわけですので、いきなり国体に出るということにはなりませんから、何人が強化選手に指定される学校であったり、また、選手として育成できたんだと、また、そのためにはあと何をやらなければならないんだということを同時に考え、事業を強化させるためにも、そういった目標を共有し合いながら進んでいくことが何よりも必要だと思いますので、その点について専門家の方々とも再度また協議をして、次の事業の導入も含めて私は目標達成には必要だと思いますので、これだけでは決して事業費的にも何もよくないと思っていますので、十分検討して方向性をこれから示していただきたいと思います。
 同時に、国体開催に当たって、冬季国体の開催も検討しているということで、各競技団体からの意向調査を行っているようであります。その取りまとめ等の検討結果はどのようになっているのか、まず、取りまとめの結果をお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 冬季国体開催についての検討状況でございますが、岩手県体育協会では昨年12月に、関係する競技団体、県スキー連盟、県スケート連盟、そして県アイスホッケー連盟の三つの団体ですが、打ち合わせを開催してございまして、第71回国民体育大会冬季大会の本県開催の意向調査を実施した段階でございます。その結果、3競技団体とも、完全国体として本県開催を希望しているところでございますが、スケート競技とアイスホッケー競技におきまして、競技会場及び日程についての調整が必要となってございまして、現在、調整を進めている段階ということでございます。
〇工藤大輔委員 そうなると、この決定は、日本体育協会の中の国体委員会の場で調整をして検討して、岩手の方針を決めて、そこに国体委員会とのスケジュールと兼ね合わせて進めなければならないと思いますが、例えば開催に向けた検討と、これからの県内の決定のスケジュールはどういった段階で、いつまでの段階で決めていかなければならないのか。そして、その開催に当たって、開催費用の問題また現状の施設で十分なのか、新設をしなければならない施設があるのかどうか。また、選手に対する強化費をどのように設定していかなければならないのか。また、完全国体ということになると、今民間からの協力金、寄附金等も集めながら開催の準備に充てるということになっているわけですが、そうすると、完全国体だとさらに必要なお金もかかってくると思います。それらの課題についてどのように克服していくのか、また、その際の現有施設の活用方針等もわかればお示し願います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 国体開催までのスケジュールということでございますが、現在、県の競技団体間での調整をしておりまして、この結果に基づいて、4月の県体協理事会そして5月の県体協評議員会での協議が見込まれているところでございます。その県体育協会の協議が完全国体として開催するということになれば、岩手県体育協会から、岩手県そして岩手県教育委員会宛てに要望が出されるものと認識してございます。その後、議会の御意見等を賜りながら、12月の日体協の国体委員会において、審議されるのが最短の日程かと認識してございます。
 それから、開催に当たる費用でございますが、これにつきましては、平成23年66回大会の実績を参考にいたしますと、スケート、アイスホッケー競技会、スキー競技会の3競技会で開催経費およそ2億4、000万円、そのうち開催県の負担金が5、300万円という額に上ってございます。
 それから、施設につきましてですが、県内の既存施設は全て国体の開催の基準はクリアしている状況にございます。具体的に申し上げますと、スピードスケートは県営スケート場、そしてフィギュア、アイスホッケー、ショートラットが予想されるインドアリンクにつきまして、盛岡市、花巻市、二戸市、金ケ崎町のもの、スキーにつきましては、八幡平市あるいは雫石町にも公認コースはございますが、そういう県内の施設を活用してできると認識してございます。
 なお、強化費につきましては、71回の国民体育大会向けの選手強化ということで、冬季大会も含んだ形で現在強化してございますので、特別に国体開催に当たって強化ということではございません。
 それから、資金の導入等につきましてですが、これについては、まだはっきりと開催というレベルあるいは県体育協会も意向を示してございませんので、今後の検討となります。
 なお、施設の使用の方針につきましては、新設は現在のところ考えてございません。既存施設での開催を念頭に置いての検討をお願いしているところでございます。
〇工藤大輔委員 開催するにしてもどうするにしても、制限のある期間になり、12月の日体協の国体委員会での決定ということになると、またそれからでは期間も非常にスケジュールがタイトになってくる。その中で成績を残さなければならないということにもなってきますので、関係する競技団体また施設がある自治体とも十分協議をしていただいて、準備を進めていただきたいと思います。
 それでは次に、仮設住宅等で生活をしている小、中、高校生の学習の支援についてお伺いしたいと思います。
 現在、仮設住宅から通う小、中、高校生の学習環境等、また学習に関するニーズをどのように把握し、それらの課題に対応しているのかお伺いをします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 仮設住宅から通学する子供たちのニーズの把握と状況の把握についてでございますが、ニーズにつきましては、状況につきましては、市町村教委それから校長等からの聞き取りを主に把握の手段としております。現在のところ、仮設住宅から通学する子供たちは、被災地の約1割の子供たちがそういう状況にありまして、地域差はあるんですが、学校によっては8割ほどの子が仮設住宅から通うという学校もありますし、仮設も例えば10カ所以上からあるいは学区外から、それからスクールバスで1時間ぐらいかけて拾いながら来るという、非常に困難な状況もあります。
 それから、仮設住宅にはもちろん机もない、それから勉強する部屋もない、物がいっぱいでスペースが限られると。例えば学校で、図工でつくった作品等も家に持ち帰るのが非常に難しいといういろんな状況を聞いております。勉強する環境としては、かなり困難な状況にあるというのはそのとおりでございます。
 そこで、学校では、学習時間をつくり出す工夫を懸命に行っておりまして、例えば放課後教室を開放する、あるいはスクールバスまで残して組織的に学習させる、あるいは放課後にあえて家庭学習時間というのまで設定するという学校、あるいは学校で学習を続けさせて夜に親が迎えに来る等、さまざまな工夫を行いまして、学力保障をなされるように懸命な努力がなされているというところでございます。(工藤大輔委員「今の答弁は小中だけですか」と呼ぶ)小中高あわせて。
〇工藤大輔委員 小中だけの話かと思っていました。失礼しました。
 その中で、こういった環境の中で前々から指摘をされ、そして学校や仮設を直接見たりすると、かなり教育環境、頑張っていても十分なかなかとれていないという感じはします。その中で、他県も実際そうなんですが、学力の低下であったり学習意欲の低下など、学習状況に変化も生じてきているのではないかという思いを持っております。また、それらが進学にどのように今日までの期間の中で影響してきたかどうかという懸念もあるわけですけれども、そのようなところを改善してこられる状況になっていたのかどうか、現状についてお伺いします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 私からは、学力の部分と学習意欲の部分についてお答えさせていただきます。
 学力につきましては、小中学校は県の学習定着度状況調査、それから高校は基礎力確認調査等で追跡しまして確認をしているところなんですが、そういう中では、例えば下降しているとか上昇しているとか、そういった一様の顕著な傾向は認められていない状況であります。
 それから、学習意欲につきましても、これは授業に臨む姿勢については非常に前向きであるということが報告されておりますし、授業の秩序を乱すような問題となる行動もほとんどなくて、集中して授業を受ける子供たちが多いという状況であります。これは、こういうときだからこそ勉強をして学力をつけようという、先生方と子供たちの合言葉にあらわされる部分もあるでしょうし、それから、子供たちにとっては、自分たちが何とかしなければという意識が非常に強く働いている結果なんではないかと思います。ただ、こういう問題というのは、緊張の中で意欲とか使命感を持って子供たちが継続している結果でありまして、これが、疲れの蓄積がマイナスの形であらわれることも当然危惧されるところでありますので、今後もきめ細かな対応、支援が必要かと考えております。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 被災地の中高生の進路に対する震災の影響についてお話をしたいと思います。
 震災で大きな被害があった沿岸部の状況は、大変厳しい状況があります。しかし、生徒の意識ですが、悲惨な状況を見るにつけ、地域の復興の役に立てるよう生きたいと。また、そのために学力やさまざまな能力を身につけたいという思いは、非常に強くなってきていると感じております。さらに、震災後、外部からのさまざまな支援や、海外初め多くの場への招待等が来ており、直接の励ましや交流等が復興に対して、自分たちが本当にこれから地域を担っていかなければならないと、そのような意識が強く育っていると感じております。特にも、交流の場面等を通じ、自分の思いや考えを発表する機会が多いため、自分の気持ちや考えていることを表現する力は、従来より向上してきていると思います。それから、学習だけでなく、多くの生徒が生徒会活動や就職活動等、さまざまな場面での積極性が増してきていると思っております。
 沿岸部の学校では、それら生徒の意欲に応え、仮設住宅等、家庭での学習環境がよくない生徒に配慮し、朝早くから、また、夜遅い時間まで学校をあけており、学習室の提供や課外授業を設定する等の配慮をしております。とは申しましても、被災地の中には、やはり心を痛めている生徒もまだおりますが、生徒同士が互いに励まし合いながら日々学んでおり、そのような生徒に先生方が献身的に応えている状況があります。
 沿岸部の学校では、進学はもとより、就職においても生徒は意欲的に取り組み、着実な成果を上げていると捉えております。
〇工藤大輔委員 高い意識を持ち、被災から立ち上がる、そういった強い思いを持った子供たちが大勢いるんだという今の前向きな答弁を聞くと、非常に安心するわけですが、同時に、一方で、これからまだまだかかる復興への道筋の中で、先ほど課長からも疲労という言葉がありました。それが蓄積していく結果、家庭の環境、親の仕事やまた住む環境の変化等によって、いきなりがくっとなるような子供さん方が今後出てくるんだと思いますので、きめ細かい対応をしなければいけないという課題認識を持っているというのも理解できますし、評価したいと思いますので、その方向でこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、実際に、地域コミュニティ再生支援事業等も用いながら学習支援を行っておる取り組みについてなんですが、現状と取り組み、また、新年度、特に新たにどうするのか、拡充するものがあればお答え願いたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 被災地における仮設住宅に入居している中高生の学習環境の改善についてでありますが、今現在、その仮設住宅に入居している児童生徒については、住宅が狭いあるいは学校から遠距離に仮設団地があるということなどから、家庭学習に困難を抱えていると認識しております。
 県教育委員会としましては、このように状況も踏まえ、中高生の放課後や休日の学習環境を改善し、学びの意欲に応えるために、国の委託事業であります学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業を使いながら、それらの支援ということをしてございます。
 今現在は、沿岸部の市町村やNPO、公益法人などと連携しながら、学校や公共施設、神社、仮設住宅において、平日の夜間あるいは土日の昼間の自学自習に取り組むスペースの確保をしているということでございますが、今現在は沿岸7市町村18カ所で展開しておりまして、登録者数は800人余りに上っております。
 今後の展開についてでございますが、これまでも市町村の要望に応じて拡充を図ってきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、1年前は1市3カ所の実施であったところ、今年度は年度途中からの実施もありまして、今現在は7市町村18カ所と大きく増加してございます。
 今現在の生徒あるいはその保護者からは、来年度、新年度からも継続して実施してほしいという声ですとか、未実施の仮設住宅でも開設してほしいという要望も寄せられていることから、来年度も、今現在進めているところは継続し、かつ、今現在実施していないところについても、市町村あるいは実施しているNPOと調整しながら、随時拡充をしていきたいと考えてります。
〇郷右近浩副委員長 工藤大輔委員に申し上げます。
 世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇工藤大輔委員 了解しました。では、最後にしたいと思います。
 そこで今答弁をいただいた八百数十名の登録者数ということですが、市町村によって実施主体となっている箇所が幾つかあるわけですが、仮設から通っている生徒は先ほど10%程度という答弁があったわけですが、市町村ごとに実数がどうなのか、そこで登録者数がそのとおり反映されているのかどうか、お伺いをしたいと思います。これで最後にします。
〇西村生涯学習文化課総括課長 先ほど仮設住宅に入居している児童生徒の数についての答弁もありましたが、実際にこの被災地の地域コミュニティ再生支援事業で行っております中高生の学習支援の授業開設場所につきましては、必ずしも仮設住宅に入居している児童生徒の数と連動したような形で登録者数があるわけではございません。といいますのも、地域によって被災の状況ですとか、あるいは仮設住宅の状況、あるいは実施している団体がいかに講師が確保できるか、あるいは実施する場所そのものの確保ができるかどうかといったようなところで、地域ごとにさまざまな事情がございますので、そういった事情、状況を反映したような実施場所になってございます。しかしながら、一方で、これまでも市町村の要望に応じて拡充してきたところでございますし、今年度におきましては、実施していない市町村に我々県教育委員会が実際に出向きまして、制度の趣旨等を御説明しながら実施に至ったというところもございます。
 今後とも、そういった状況を見ながら、随時情報提供、説明しながら、地域の実情に応じた支援策を実施していきたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私から3点御質問させていただきたいと思います。
 まず1点目が、沿岸地域の被災した学校の運動部への支援について伺いたいと思います。
 事前に資料をいただいておりまして、被災地における学校においては、グラウンド、体育館の利用状況が、大多数が他校と併用しているという状況にある中で、今までバスを借り上げして内陸へ移動の支援もしていたということでありますが、その回数が二十数回というところもあれば数回というところもあってという中で、この支援が十分であるかどうかもなかなか判断ができないところなんですが、全体的にいろいろ場所場所によって違うとは思うんですけれども、実際に沿岸地域の子供たちの運動部が週何回とか、どのくらいのペースで自由に運動を行えているのか、練習を行えているのか、その概要を教えていただきたいのと、あわせてお聞きしますが、そのような中、子供たちの環境改善の見通しが立っているのか。本年度被災地における運動部の活動支援ということで、児童の体力向上推進事業費というのも計上されておりますが、この点の対策とあわせて伺いたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 沿岸地域で被災した学校の件でございますが、グラウンドにつきましては、活動できる場所が少ないということから、時間を区切って交代して練習を行ったり、校外の施設に移動したりして活動せざるを得ない状況にございますが、ほぼ活動は毎日行えているということでございます。ただ、広いグラウンドあるいは正規の広さのコートということではできませんので、そういう場合にはバスを借り上げて、内陸部等へ移動しての活動ということになってございます。
 委員からお話がございましたとおり、多い学校でも二十数回程度でございまして、これは相手方の学校の都合あるいは学校行事等の都合がございまして、必ずしも十分な活動とは言えない状況ではあるのですが、引き続きこの支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 それから、ソフト面での運動部の支援ということでございますが、現在、県教育委員会では、特に震災によりグラウンド等が被災した被災地においては、効果的な体力、運動能力の向上を図るために、廊下あるいは教室など、狭い場所でも、少人数でも実施できる、限られた状況でもできる運動プログラムを提示いたしまして、各学校での実施に向けて、各種実技研修会等の機会を利用して普及に努めているところでございます。
 来年度におきましては、新たに体力向上を中心としたモデル校を選定いたしまして、大学あるいは地域のスポーツ指導者などの人的資源を活用した、地域を活用した学校丸ごと子供体力向上推進事業を実施することにしてございまして、この事業を通じて、限られた条件の中でも、部活動を通じて体力向上に大きな効果が得られるようなプログラムが作成されることを期待しているところでございます。
〇小倉学校施設課長 グラウンドの環境整備の関係でございますが、ハード面から申し上げますと、今現在、仮設のグラウンドを整備しているあるいは整備中が16校ということになっていまして、全体では制約を受けているのが41校中16校という形になっております。
 この後、整備が進んでいくのかということについてでございますが、なかなか敷地の確保等が難しいということもあって、復興状況等の進捗にあわせて、今後整備等が検討されていくと認識をいたしております。
〇佐々木朋和委員 ソフト面の対策についても言っていただきました。今、体罰問題の流れから、部活動の長時間化とか休みがないとかということも問題にされているところがあります。大変な環境の中ではあるんですが、そういった形で、モデルケースをつくりながら、岩手型のそういう子供たちにも地域活動をしたりとか、また、沿岸地であればボランティア活動をしたりとか、そういう余裕があるような形で、短い時間でも部活動も効果的に、また、限られた中でも効果が上げられるという取り組みをすることが、また地域に子供たちを残していくことにつながると思いますので、岩手においては多くの大学やトップアスリートも、沿岸地域をスポーツを通じて応援していただいていますので、単発的な教室だけじゃなくて、長期にわたるプログラムづくりとか、そういうところでも携わっていただけるような働きかけもしていただきたいと思います。
 次に、子供の心のケアについて伺いたいと思います。
 県の青少年問題協議会に、私、県議会議員として出席をさせていただいているわけでありますが、その被災児童に対する心のケアを行う児童精神科医の不足という点が問題視されておりました。
 今回、スクールカウンセラー等配置事業において、臨床心理士を配するということで対策をとっていただいておりますが、この児童精神科医と臨床心理士の役割の違いといいますか、不足分を補うことができるのか、子供たちの心のケアについて十分なのかお聞かせをいただきたいのと、まとめて聞きますが、沿岸より避難をしている内陸、また、県外へ避難している被災児童の方々へのフォローはどうなっているのか、あわせて伺いたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 まず初めに、臨床心理士等の配置についてでございます。
 スクールカウンセラー等の配置につきましては、児童生徒の状況また各学校のニーズを伺いながら、県内全ての小、中、高等学校で活用できるように配置に努めているところでございますが、やはり専門的な知識と経験を有する臨床心理士等の絶対数が少ない状況にありますので、教員OB等の方々もあわせてお願いをしている状況にございます。そのカウンセラーの方々には、児童生徒へのカウンセリングはもとより、教職員そして保護者向けの研修会への対応など、多様な内容のものをお願いしている状況にございます。
 なお、ケースによっては、精神科医等の医療機関へのつなぎ役を果たすことなどもカウンセラーはしておりまして、今後も学校現場のさまざまなニーズに応えることができるように、臨床心理士等の確保とともに、医療機関との必要に応じた連携に取り組んでまいります。
 次に、沿岸から内陸等に避難をしている被災児童生徒へのフォローについてでございます。
 震災によりまして、児童生徒が内陸等に転校している状況というのがございまして、それも各学校の実態に応じて、児童生徒一人一人に対応できるように、必要な支援を行う必要があるだろうと考えてございます。したがいまして、専門家のカウンセラーの配置はもとより、児童生徒に一義的に対応する教職員の対応力を高めるための研修の実施、そして心の状態を見取るためのアンケート形式による心とからだの健康観察などの継続実施を通じまして、今後も、児童生徒一人一人にきめ細やかに、丁寧に対応してまいります。
〇佐々木朋和委員 県外の被災児童への御答弁がなかったかと思うんですが、それについては移動した県のところでの対応となると思うんですけれども、ぜひ情報はフォローアップして努めていただきたいと思います。
 最後に、同じく青少年問題協議会においては、被災したお子さんを持つ家庭において、ソフト面の支援の必要性ということもアンケートで挙がっておりました。例えばお父さん、お母さん、どちらかを亡くされた家庭においての家事の支援、親御さんはもちろんですけれども、子供さんもお手伝い等々、家事の負担があるというその支援という話もありましたし、部活動の帰りの迎えなどについての支援も必要だという話が、被災者の方から挙げられているという報告がありました。これについて、岩手県においては、県民計画アクションプランにおいて、学校と家庭、地域との協働の推進ということを挙げておりますけれども、そのような中で、学校、家庭、地域、PTAなどとの協働によって解決していけるこれは課題なのではないかという思いもしたわけでございますが、この点についての解決への取り組みについてお伺いをしたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 学校と家庭、地域との協働の推進についてでありますが、震災により、遺児、孤児となった子供たちは、いまだ非常に困難な状況に置かれており、委員御指摘のとおり、遺児、孤児それからその保護者、養育者を地域全体で支援する体制を強化していくということは、非常に重要な課題であると認識しております。
 このような遺児、孤児の生活面での支援につきましては、主として福祉関係部局において取り組まれるものと考えておりますが、教育委員会といたしましても、震災により困難な状況に置かれている子供たちや、その保護者等に対する教育面での各種施策を講じているといったところでございます。例えば、放課後や休日に落ちついて学習に取り組む環境にない子供たちを支援するために、国の予算も活用しながら、市町村やNPO、それから公益法人やボランティアなどといった方々のお力も借りながら、児童生徒の学習の場を設けて、ボランティア等が子供たちの学習を支援するような事業も展開してございます。
 それで、この事業の実施に当たりましては、被災地において、例えば外灯がないとか、あるいは歩道が十分に整備できていないといったような劣悪な交通事情に対応しまして、子供たちが安心して帰宅できるように、点在する仮設住宅へのタクシーとかあるいは巡回バスとか、そういったようなものを実施しながら、送迎に配慮しているという事例もございます。
 今後とも、保健福祉部とも連携しながら、学校、家庭、地域との協働によりまして、地域全体で子供たちあるいはその保護者等を支援するようなことを実施していきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 私からも3点お伺いします。
 学校の図書についてでありますが、司書教諭の配置状況と今後の考え方ということでお伺いしたいと思います。
 この件につきましては、前に予算特別委員会、決算特別委員会で各委員からお話が出ておるわけなんですが、改善方進められているのかどうかも含めて、あわせてお伺いしたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 まず、司書教諭の配置状況でございますけれども、司書教諭につきましては、御案内のとおり、国からの予算あるいは定数が特別に措置されているわけではございませんで、教諭の定数の中から配置をしているところでございます。現在、法的に必置義務のある12学級以上の学校には全て配置しておりまして、小中学校で130校、県立学校で45校に、司書教諭の資格を有する教諭を発令、配置しているところでございます。
 それから、いわゆる学校司書という形での事務職員についてでございますが、これについてもいろいろ御指摘をいただいて、各学校長あるいは教育委員会にお願いいたしまして、可能な限り事務職員の協力を得ながら、司書教諭を中心とした体制づくりに取り組むようにお願いしているところでございます。
〇城内愛彦委員 そこで問題なのは、児童生徒がどんどん少なくなっていく。今、国で規定している12クラス以上とか、一定の規模の学校というのはますます減っていく。小規模の学校というのはどんどんふえてくる中で、配置基準から漏れたときの対応というのは、今後一つの課題になってくると思います。
 そこで、提案になるんですけれども、各教育事務所とか各市町村の教育委員会で、臨時の職員であったり専門的に司書の資格を持った方が、各市町村であったり各エリアを定期的に回って見ていく方向というのを考えるべきではないかと思うんです。
 一方で、先生方、小規模校だと、いろんな意味で、いろんな仕事をかけ持ちをして大変な仕事だとおうかがいしていますので、そういう違った切り口からの検討ということをしてみてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 今、委員から御指摘がありました点、小中学校については、市町村教育委員会において、国から地方交付税の措置がなされていると。これは平成24年度からなんですけれども、これについて周知をしているところでございまして、可能な限り財源を有効に活用して、学校図書館の体制整備を進めてほしいとお願いしているところでございまして、今お話がありました非常勤による配置などもぜひ進めていただくように、今後さまざまな会議等において話をしていきたいと思っております。
 また、司書教諭につきまして、11学級以下の学校でございますが、これについては司書教諭の資格を有する教員がおりますので、そういったものを中心としまして、先ほど申し上げました学校司書ということで、事務職員などもそういう協力をすることによって、図書館運営の充実に努めていくように支援してまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 いずれ、本を読むということは大事なことだと思います。いろんな意味で人生に潤いも与えますし、深みも与えるということですので、ぜひしっかりと取り組んでもらえばと思います。
 次に移ります。学校施設についてであります。
 先ほど来各委員からもお話が出ていますが、被災地の小中学校の教育運動場、施設の復旧状況、今、仮設住宅がたくさん建っておるわけですけれども、そういった中で、子供たちが運動する状況がどうなっているのか。また、今後そういう施設が、いつというのは教育委員会の立場で答えるべきではないんでしょうけれども、その辺はどう考えているか。先ほど来いろんなメニューで、当分の間は対応するということでありますが、今後それがどの辺まで続いていくのかお伺いします。
〇小倉学校施設課長 まず、グラウンドの状況でございますけれども、グラウンドの制約を受けているのは41校ということで先ほども御答弁申し上げたんですが、その中で、仮設も整備済みあるいは整備中で16校ということで、残り25校ということになりますが、この25校につきましては、学校の校地内の空きスペース等の活用でありますとか、近隣の学校あるいは他施設の利用という形になってございます。
 この状況がどれぐらい続くかということでありますけれども、実は仮設のグラウンドの確保ができないという部分が、敷地が近くにあるのかどうかということがございますので、そういった部分が解決していかないとなかなか難しいと考えているところでございますが、復興の進展等に伴いまして、グラウンド、土地の確保等も出てくれば、少しずつでも環境改善に向かっていくのかと考えております。
〇城内愛彦委員 ぜひ、現場と呼応しながら、しっかりと対応してほしいと思います。いずれ、現場現場によって若干ニーズが違いますので、その辺の微妙な対応というのは、ぜひ現場に耳を傾けて対応していただければと思います。
 また、先ほど来、子供たちに対する影響というのは答弁がありましたので、それは結構であります。今後の見通しもそういうことですので、しっかりと対応していただければと思います。
 3点目、最後に移ります。
 いわてキャリア教育の推進についてであります。今、この事業が進められているわけですが、現場の反応、対応はどうなのかと、今後これをどういう形で展開していくのか、2点お伺いします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 キャリア教育につきましては、平成22年度にいわてキャリア教育指針、いわてキャリア教育の手引きというものを作成いたしまして、各学校においては、これをもとにキャリア教育を進めているところでございます。
 具体的に申しますと、学校の中で特別活動、あるいは教科の中でのキャリア教育の授業、地域人材を活用した講演会や講話、職場体験、インターンシップ等を中核とした体験的学習を中心に取り組まれているところでございます。
 そういう中で、学校からは、子供たちの中に、コミュニケーション能力、人間関係の調整力といったものが非常に高まってきたという報告とか、あるいは勤労観、職業観の育成に非常に役立った、将来の生き方を考える子供たちが育ってきたといった成果を聞いております。そのほかに、取り組む先生方からは、特にも10年後の岩手をつくる子供たちを育てているんだという自覚がキャリア教育の中から持てるようになったという報告とか、復興にキャリア教育は非常に必要なものであるという自覚も生まれているところでございます。
 今後の方向性というか、課題についてでございますが、例えば小学校であれば、外部人材の活用というのが一つの大きな課題でありますし、中学校は、体験的活動の職場体験等の受け入れ先の確保といったことも課題になっております。高校は、社会の求める人材と学校教育との人材育成がつながるキャリア教育が必要であると。これは小学校、中学校にも言えることなんですが、そういった声を聞いておりますので、今後といたしましては、学校、社会、特にも産業界、そして行政が連携しましてキャリア教育を一層進めていくことが必要なのではないかと考えております。
〇城内愛彦委員 今、最後にほうで答弁してもらいましたけれども、この事業というのは本当に大事なものだと思います。これがしっかりと小、中、高と連携していくことによって、将来的な人材の育成、ひいては今問題になっているニートというのがなくなってくる、そういう方向に行くものだと私は信じています。ぜひ、しっかりとこれを進めていってほしいし、縦横の連携をしっかりととりながら、子供たちを積み残ししないようにしてほしいと思います。特にも、岩手県また被災した沿岸地域は職種が少ないんです。いろんな人材はいます。確かに外部からの指導というのは受けられるかもしれませんけれども、その子供たちが高校、大学に行って、違う意味での自分たちが学んでこなかった、体験してこなかった職業観に触れたときに、どういうふうに化学変化を起こすかというのが一つあると思うんです。それが失敗してしまうと、夢見たものと実際が違っていて早期に離職してしまうという形になるんだと思うんです。その辺も、メンタル面も含めてどうなのかという、勤労観はしっかりと育てるべきだと思います。体験だけで終わらないような形というのをしっかりと育成してほしいと思うんですが、その辺を最後に教育長からお伺いします。
〇菅野教育長 子供たちは学校を卒業して職業につくわけですので、そういった職業につくに当たっての基礎的なもの、素養、考え方といったものを学校教育の中でしっかり育んでいかなければならないと思っています。それはいろんな方法があると思っていまして、授業を通じて、もしくはいろんな体験活動を通じて、やはり子供たち一人一人が学校を卒業し、職業を担うのだという思いで、それぞれ教員一人一人と手を携え、子供たちの育成に取り組んでまいりたいと思っております。
〇城内愛彦委員 ぜひ、しっかりと進めていただきたいと思います。先ほどお話にもあったとおり、復興を進めていく人材をつくっていただくということになりますので、ぜひお願いして、終わります。
〇吉田敬子委員 先ほどの城内委員の学校図書とキャリア教育のところで関連質問させていただきます。
 学校図書館の担当職員の配置状況については、12月の私の一般質問の際にも、全国の中でも県立高校の配置状況の課題認識について取り上げさせていただきました。その答弁の中で、教育長のほうからは、限られた人員、予算の中でどういったことができるのか検討を進めてまいりたいと考えているということだったんですけれども、今回、来年度の予算には具体的にきちんと反映されて検討事項になっていたかどうか伺います。
 もう一つはキャリア教育についてですが、私自身はキャリア教育の大切さというのはこれまでもいろいろ質問等でさせていただいてきましたが、その中で、普通高校を含む県立高校でのキャリア教育というのをぜひ十分にこれからもやっていってほしいということでお話しさせていただいていましたが、わかる範囲内で結構なんですけれども、普通高校を含めた県立高校でのキャリア教育は、来年度は全校実施する予定になっているのかどうかお示し願います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 まず、学校図書館の事務職員の配置についてでございますけれども、図書館を担当する事務職員の配置状況ということで、他県に比べて非常に低い状況だったということでございまして、その件に関しまして、新たな定数措置というのはなかなか難しい状況でございますので、昨年10月に開催いたしました県立学校長会議におきまして、学校図書館の運営に当たっては、公務分掌上、事務職員に図書館の運営業務というものを担うよう位置づけていただくように、事務職員の役割を明確にしていただくというふうに指示したところでございます。したがいまして、特に予算上、事業としてやるということではなく、現在の定数の中で工夫しながらその体制を整備するということで、来年度取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 高校生のインターンシップの実施状況でございますけれども、平成24年度の全日制公立高校におけるインターンシップの実施率は83.1%でございます。昨年と比べて16.4ポイント上回っており、アクションプランの指標を1.3ポイント上回っております。これは、震災の影響で昨年度は実施できなかった沿岸部の4校が再開されることに加え、新たに6校が実施されたことによるものと考えております。
 来年度は、さらに3校がインターンシップを行うことになっております。ただ、進学校を含めました8校が、やはりなかなか実施ができないというような報告は受けております。進学校の実施率が他に比べて低いのは、インターンシップの受け入れの問題でございます。例えば、将来、パイロットになりたいとか、医師になりたいとか、弁護士になりたいとか、また議員になりたいとかという生徒は進学校に多くあります。そこで、その受け入れ先が少ないというのも原因の一つでございます。今年度は、そういう中で行政書士を目指す生徒を受け入れていただいた事業所もございます。受け入れ先の開拓も今後考えていかなければならないと思っておりますけれども、本年2月の校長会でも、進学校を含めまして、そういう受け入れ先をぜひ開拓して、県教育委員会のほうもそれには相談に乗るという話をしておりますので、今後、何とか1校でも2校でもインターンシップをやっていただきたいと思っています。
〇吉田敬子委員 学校図書につきましては、一般質問の際にもお話しさせていただきましたが、今の職員の方々でやるというのは結構大変なことなのではないかと思っています。ただ、その中で、山形県は100%で、何で差が出ているのかなと。やっぱりこれは努力が足りないのではないのかと正直思いますので、私は、高校生でいかに図書に触れるか、読書も含めてですけれども、大変大事だと思いますので、ぜひ、今後も何とか工夫をしていただいて、配置が何とか高校のほうでもできるよう、よろしくお願いいたします。
 キャリア教育ですけれども、インターンシップの受け入れだけではなく、実際には小、中、高校でも授業の中でいろんな方々に講師として来ていただく、キャリア教育の一つの中で話をする、来ていただく授業があるはずなんですけれども、インターンシップではなく、そういったことだったら、私は、進学校であっても学校で可能ではないのかと。ですので、キャリア教育を推進しているような活動をしている団体が言うには、インターンシップというよりも、たくさんの大人が、仕事はこういうものがあるよというような話をする機会があることが大事だという話も伺っていますので、インターンシップの受け入れ先だけじゃなくて、学校でそういうことができるように、ぜひ、今後、来年度以降もよろしくお願いいたします。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 委員御指摘のとおりだと思います。インターンシップを実施していない学校においても、大学の公開講座への参加、看護体験、企業見学、外部講師によるキャリアガイダンスなど、生徒や地域の実情に応じた体験的な学習活動は高校で100%でございます。
〇神崎浩之委員 学校の閉校に関すること、いじめの2点を通告しておりました。
 最初に、学校の統廃合における教職員のサポートについて質問をしてまいりたいと思います。
 土曜日、日曜日と、一関の同僚議員と3カ所の小学校の閉校式に参加してまいりました。あさって、次の土日の3カ所ということで、一関で6カ所閉校式があります。たしか、昨年はゼロだったと思います。会派に戻りまして先輩議員と話をしましたら、やはり遠野市でも八つ閉校だ、大槌町でも四つ閉校だということで、ありゃりゃ、これは大変なことだなと思っております。
 そこで、今年度の小学校、中学校の閉校の状況についてお伺いいたします。また、その中で内陸と沿岸について分けてお答えをいただきたいと思います。
 次に、学校統廃合のメリット、デメリットについて、二つ目で質問いたします。
 三つ目として、学校統合の県の現在の考え方についてお伺いしたいと思います。
〇藤澤学校企画課長 平成25年3月末の学校数の増減の状況であります。小学校につきましては、統合により五つの市町で14校が廃止となり、三つの市町で4校が新設され、10校の減となります。また、中学校につきましては、統合により五つの市町で15校が廃止となり、2市で4校が新設され、11校の減となります。高等学校、特別支援学校の廃止及び新設はございません。
 この中で、沿岸部につきましては、陸前高田市、大槌町、岩泉町、久慈市におきまして統廃合が実施されている状況にございます。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 私のほうからは、メリット、デメリット、そして統合再編に関する考え方についてお話しさせていただきます。
 まず、統合再編のメリットについてでございますが、これは、複式学級の解消、固定化された人間関係の解消、多様な仲間と交流することによって社会性の育成がより図られるということ、互いに学び合うことによって学習意欲が刺激されて向上するという部分、部活動の選択幅の拡大等が挙げられるのではないかと思います。
 それから、デメリットにつきましては、これは当然広域になるわけですので、通学距離や通学時間の増加等の問題がいろいろな部分に影響を与えてくると思われますし、結果的に学級の児童生徒数が増加するわけなので、その中で教師が一人一人に目が届きにくくなる部分も懸念されるということであります。
 統合再編に関する考え方でございますが、設置者である市町村が、教育環境の整備とか教育効果の向上などを目指して取り組むべき内容でありまして、県教育委員会といたしましては、学校の活性化、教育水準の維持向上を図る観点から、小規模・複式校の統合再編を図ることも有効な施策の一つであると考えております。
 今後、市町村教育委員会に対しましては、県内の先行事例等の情報提供を行うとともに、学校統合を計画する場合には、保護者や地域住民の皆様の十分な御理解と御協力をいただいた上で進めること、そういった部分につきまして支援してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 実に29校が今月閉校されるということでありました。
 メリットにつきましては、一番最初に財政面のことを言うのかなと思いましたら、それがなかったですね。あとは子供の部活動、先ほど午前中にもありましたけれども、そういうものもあるのかなと思っていました。デメリットについては、やはり職員にとっては長距離通勤や単身赴任によって、生徒と教員とのかかわりが希薄になるということもあるのかなと。そこで、大規模校になることで、いじめや不登校の問題に対してきめ細かにできるかなという心配があります。
 そこで、次の質問に学校統合における教職員へのサポートということを通告しておるわけなんですけれども、学校の統廃合の議論をここでするつもりではなくて、それはまた別のときにやりますけれども、閉校にかかわる教員のストレス、統廃合にかかわるその後の教員のフォローについてお願いをしておきたいと思っているわけなんですけれども、やはり統廃合、廃校にするまでには、地区住民への説明なり教職員の事務量の増加、住民説明会などとか、閉校に至るまで、閉校の儀式、終わってから新しい学校に行く、引き継いで、閉校はするんだけれども、新設として同じ学校で、さらに他の教員、生徒を引き受ける、住民も引き受けるみたいな、我々がふだん考えていない部分のストレスなり事務量というのがかかってくると思っております。
 そこで、通常の学校教育現場での仕事やストレスに加えて、さらにまたストレスが蓄積してくるのではないかと思っています。異動1年以内の精神疾患の発症者が多いというようなことが、昨年10月、文部科学省から資料が出ておりますけれども、統廃合後、統合校または異動で別の学校に行ってからメンタルの不調、特に燃え尽き、バーンアウトなんですけれども、そういうことになっていくのではないかという心配を今しているわけでございます。
 統廃合というのはさまざまな目的があるんですが、それに伴って教員が病気にならないかどうか心配なわけなんでありますが、そういうところへの配慮、サポートについてはどういうふうになっているのかお伺いいたします。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 学校統廃合における教職員のサポートについてでございますが、委員御指摘のとおり、学校統合に当たって、統合前における業務量の増加、統合後は生徒や保護者への配慮などさまざまなストレスが蓄積される、高ストレス状態が続いた後の職務達成感、通常時とは異なる心身疲労があるのだろうと推察されるところでございます。
 そこで、私どもとしては、学校の状況に応じまして、リスクを抱えた教職員への気づきと支援が行えるように、管理職にはしっかりと目配りをするよう研修を実施してまいりたいと思っておりますし、当課に保健師がおりますし、沿岸南部にも臨時の看護師がおります。そういう専門家による個別相談をきめ細かく行ってまいりたいと考えておりまして、被災地の学校への支援に加えて、委員から御指摘がありました統合した学校の教職員への支援というのもきめ細かくやっていくよう、サポート体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 バーンアウトという燃え尽きなんですけれども、医師や看護師や教師が多いと。その中でも一番多いのが教師だというようなことが新聞に書いてありました。そこで、ひたむきで仕事熱心で妥協を嫌う完璧主義、そして理想主義などだということで、子供に熱心にかかわる、理想に燃え、責任感のある性格が本来教師に求められているわけなんですが、そういう方が燃え尽きになりやすいということで、そういうすばらしい教師を目指していただきたいんですけれども、そのフォローについてもよろしくお願いしたいと思います。
 次に、いじめについてであります。私は、去る2月28日に一般質問をして、いじめも取り上げたんですが、それから1週間して、2件、いじめの相談を受けております。その中で、高校生だったわけなんですけれども、実は、いじめについては、学校施設外でのいじめの現状についてということで通告を出しておりました。いじめというのは、学校とか通学路であったりとか地域とかショッピングセンターだとか、いろいろあると思うんですが、その中で、今回、私が盲点だなと思ったのがバスとか電車の公共交通機関、そういう場面で実はいじめが行われていたということでありました。一般的に、ほかの人がいますから、バスだとか電車なんかでいじめということはないのかなと思っていたんですけれども、実際、午後の時間帯でほかのお客さんがいないということもあるようであります。そこで、学校施設外でのいじめの状況、いじめの初動対応、それから、私は一般質問でも言ったんですけれども、毎日顔を合わせる信頼できる担任についてお伺いしたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 まず、学校施設外でのいじめの状況、対応についてでございます。各学校におきましては、いじめの把握に当たりまして、児童生徒がいじめを受けた場所を限定することなく、学校内外問わず、子供たちの声に耳を傾けながら、あらゆる情報源をもとに認知に努めているところでございます。
 学校以外の場所におけるいじめにつきましても、特に児童生徒の保護者、そして地域住民の皆様、さらに委員御指摘のような公共交通機関を御利用の方々、またそこにお勤めの方々からの情報提供なども受けながら、常にアンテナを高くして積極的に認知し、いじめ問題が発見された場合には、直ちに機動的に対応していくことが重要と考えてございます。
 次に、いじめの初動対応についてでございます。やはり早期発見、早期対応が重要であろうと考えております。そのためにも、日ごろから教員一人一人が児童生徒の変化にいち早く気づいて、迅速に対応していくことが重要だろうと考えております。よって、子供たちから訴えがあったときには、たとえささいなトラブルでも、問題を軽視することなく、保護者そして友人関係等からの情報収集を通じて的確な事実関係の把握を行いながら、一つ一つ的確に対応していくことが重要と考えてございます。
 いじめ問題への対応につきましては、第一義的には児童生徒に近い教員が行うべきものでございますけれども、事案によっては学校だけでの解決に固執することなく、家庭との連携を密にしながら、適宜、関係機関との連携をとりながら、協力してその解決に当たっていくべきものと認識してございます。
 次に、信頼できる担任についてでございます。やはり児童生徒に一番近い存在でございます。その信頼関係というのが非常に重要だろうと考えてございまして、全ての児童生徒が落ちついて学び、安全に安心して学校生活を送ることができるようにすることがその務めだろうと考えております。担任みずからが日常的に積極的に児童生徒に声をかけながら、児童生徒の声を真摯に受けとめ、教育活動全般を通じて子供たちの興味、関心をつかみつつ、悩み事等に気づいていくことが、生徒指導を行っていく上で非常に重要だろうと考えてございます。
 また、担任のみならず、一人一人の教員が学校というチーム、体制の中で、その自覚を持って協力して行動しながら、日ごろから保護者との信頼関係の構築に努めるとともに、PTA、地域の関係団体の皆様とともに歩む姿勢が重要であろうと考えてございます。
〇神崎浩之委員 最後に、だーっと質問して終わりにいたしますが、そういう公共交通機関は本当に盲点だったと思っているんですが、例えば電車内に啓発のポスターを張るとか、いろんなことがあるのかなと。例えば今の電車でもバスでもワンマンですよね。車掌がいないし、そういう中で、運転手はとにかく安全で定刻に走らせなければならないということが大前提でありますから、ほかのことは業務的にできないと思っているんです。そういう中でこういうことが行われている。啓発のポスターとか、あとは、深刻になれば巡回なども、例えば学校だとか地域の方とか親とか、たまに乗ってみるだとか、防犯カメラだとかブザーだとか、小学校の防犯ブザーだとか、嫌な世の中ですけれども、そういうことなども場合によっては全国的に出てくるのかなと思っております。そういう場所でのいじめがあったということを、意を配して取り組んでいただきたいということであります。
 それから、いじめの初動体制と信頼できる先生なんですけれども、早期発見ということなんですが、実は早期発見していても対応していないという相談なんです。見るからに痩せているわけなんです。女の子で、髪の毛が抜けている。そういう中にあって、それは数カ月前から本当はわかっているはずなんです。だけれども、学校はなかなか動いてくれなかったということがありますので、今は特に春休みでありますので、学校を休んで、休んでいるところから新学期に出ていくというのはなかなか勇気が必要ですし、クラス変えもあるし、担任変えもあるし、いろんな状況の中で、うまく4月につながっていけばいいかなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 父親がいい方なので、これぐらいの高校生ともなると、家庭というよりはやっぱり学校関係の時間が多いと。生徒の中で居場所がなくなっているのであれば、あとはもう先生におすがりするしかないんだ、先生を信頼して、先生に何でも言えよということを、この親がそのいじめられているお子さんに言っていただいているということもありますので、ぜひお願いしたいと思います。担当者の方、最後に教育委員会委員長に答弁を求めまして、質問を終わらせていただきます。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 今、委員御指摘の点、十分検討させていただきたいと考えてございますし、実際の啓発活動につきましては、今年度、県内の全線をクリアしているわけではございませんが、各地域に高等学校の生徒指導の連絡協議会というものがございまして、その先生方が、中、高一緒にやっているところもございますし、街頭指導等ともあわせながら、電車に乗って実際に子供たちの指導をしていただいているという実態もございますし、電車で通われている先生方もたくさんおりますので、そういう折に、自校の生徒のみならず他校の生徒も御指導していただいているとうかがっております。今後もさまざまな会議を通してそのような啓発に努めながら、より充実させてまいりたいと思っております。
 初動対応につきましても、今後、折につけといいますか、さまざまな会議がございますので、その折に、また研修等も通しながら周知徹底に努めてまいりたいと考えございます。
〇八重樫教育委員会委員長 深刻な問題並びにそれに対する納得いくような提案をいただきました。一義的に担任がやっぱり動くべきだと私は思います。もし、今のような事実が真実とすれば─多分真実だと思いますけれども、その教員は担任としてやっぱり失格だと思いますし、それをきちんとフォローしなかった学校体制にも問題があると私は直感的にそう思いました。
 例えばポスターを張るようなこともいい提案ですけれども、そういうこともしなければ車内でのいじめはなくならないようなことにも鈍感であるような学校というのは何たることだという気持ちもしますし、もう一つの提案の例えば巡回、駅に立ってみる、あるいは登下校の電車に教員が交代で乗ってみる、私は必要だと思っています。これは私は前からそう思っていましたので、いじめだけの問題ではなくて、車内でのマナー、非常に目を覆いたくなるような高校生、中学生もいますので、それはぜひ、そういうことをしなければならないような、学校での指導がきちんとなされていないことにもやっぱり残念な思いをします。
 それから、教員については、難関を突破して教員になったわけですので、本当は資質、能力があって採用となったわけですけれども、実際に子供を目の前にしたときに、必ずしもそれを十分にやれない教員もいるわけですので、それは校内において、校長、教頭あるいは先輩の教員たちがよく面倒を見る、指導する。本人ももちろん研修する。そして、なぜこの道に入ったかをきちんと反省しながら、いい教師になるようにしていただきたいと思いますし、最後に、先生に相談しなさいと言ってくれたお父さんのそういう姿勢は私はとてもありがたいと思っています。ですから、新年度は担任を変える、学校体制でやることだと思いますけれども、そういう親の信頼に応えるような学校体制をぜひ築いてほしい。校内でもしもいろんな知恵が出ないときには、本庁にいる生徒指導担当のプロも学校に派遣することも可能だと思いますので、ぜひ子供が救われるような取り組みをしていきたいものだと思います。
〇久保孝喜委員 それでは、最初に被災した文化財の関係についてお尋ねしたいと思います。
 2年たって、被災した文化財についてさまざまな情報が伝えられているところなんですが、本県にあってもかなりの量の文化財が被災しているという実態がございます。
 そこで、まず、文化財といってもかなり広範囲なわけですけれども、とりあえず県の指定文化財だとか、あるいは市町村の指定文化財がどの程度被災して、どのように復元あるいは修復とか、さまざまな言い方はあるのだろうと思いますが、復旧になっているのか、現状の数値があればお示しいただきたいと思います。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 県及び市町村の指定文化財の復旧、復元状況についてでございますが、東日本大震災により被災した県指定文化財は28件と把握しております。これらについては、県の文化財保護事業費補助等を活用し、所有者による修復を支援しているところでございます。平成24年度末までに、所有者による復旧を含め、18件の修復が完了する予定であり、今後も引き続き修復への支援を続けてまいります。
 同様に、市町村指定文化財の被災につきましては70件と把握しております。現時点での修復状況は把握してございませんけれども、今後、市町村の状況を見ながら把握に努めてまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 市町村の状況がわからないということなんですが、この文化財の救援、あるいは全国的な支援のネットワークが既に文化庁を中心にしてつくられていて、かなりの専門家が被災現地に入ったりして、具体的な支援活動、救援活動をしているわけです。さまざまなステージがあるのだろうと思うんですが、例えば専門家が入ってきて、やみくもに文化財を救出するという話でもないわけで、そうやって救出されたものなどが具体的に整理されていったり、あるいは洗浄に入ったり、一時保管をしたりとさまざまなステージがあるのだろうと思うんですが、そういうステージの中で、県全体を統括するといいますか、市町村の進みぐあいも含めて、そういう部署というか、それは県がやるわけではないのでしょうか。たまたま市町村の復旧、復元状況がわからないというのは、どういう理由なのでしょうか、説明をお願いします。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 委員から御指摘がございましたとおり、県全体の状況等の統括は県教育委員会においてやるべきだと考えてございます。市町村の状況について、現在のところ把握しておりませんと申しましたのは、やはり市町村も被災しまして、担当職員もいろんな業務に追われてなかなか大変だということもございまして、被災直後にはそれぞれの市町村における指定文化財の被災状況について悉皆調査を行いましたが、それ以降、個々の文化財が実際どのように現時点で修復されておるかどうかにつきまして、今まで、まだそこまでの情報収集を怠っていたということがございます。先ほども申し上げましたとおり、市町村も大分落ちついたと思いますので、今後、把握に努めてまいりたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 当然のことながら、復旧、復興に当たっての被災文化財が優先順位が高いと言うつもりはもちろんありませんけれども、しかし、大事な文化財、地域の歴史や文化の記憶をとどめるというのが文化財だと言われているわけで、そういう意味では復興の本来の目的からしても、こうした文化財の保存、あるいは恒久保管を含めて、これからの道筋を描くのは復興を考えるのと同義だと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 そこで、被災直後の対応について、どういう教訓を持っているかということをお聞きしたいんですが、こうした指定文化財、あるいは指定されていない民俗文化財などを含めて、トータルとして、報道では県内で50万点を超えるものがあると言われていたわけですけれども、そうしたものを救出する、そしてその次の段階に進むというときには、当然、リスト化が必要だと。そのリスト化が早いか遅いかで、次の一手がどれぐらいの期間でできるのかが決まってくると言われているようなんですが、その点で岩手県はどうだったのかと。専門家のある本によれば、宮城県はかなり早い段階でこのリスト化ができて次の一手に入ることができたというような評価があるようなんですが、岩手県の場合はどうだったのでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 県教育委員会におきましては、被災直後といいますか、3月の下旬ごろから、市町村を全て職員が回って歩きまして、それで個々に聞き取り調査を実施して、どういった文化財を今後救出していくニーズがあるのかということの把握に努めたものでございます。
 今、委員から宮城県のほうが早かったのではないかというようなお話もございましたけれども、岩手県も、そういったわけで大変早い段階から実際行動しておりまして、他県に比べて遅かったというようなことはなかったと認識してございます。
〇久保孝喜委員 形として残っている文化財については、そういう形で段取りを踏まえてやっていくわけですけれども、問題は、例えば文化財にまつわる情報が失われてしまうというケースもあったんだろうと思いますが、そうした情報についての復元といいますか、復旧という点では、今の段階ではどうなんでしょうか、お知らせください。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 今、委員からお話しされましたように、沿岸部の被災した博物館等では、収蔵品が被災して失われたりしたということもございますけれども、それとあわせて、実際どういったものが博物館等にあったのかという、いわゆる台帳的な情報も一緒に失われております。その失われた方も、実際、その台帳が物として失われたこともございますし、現在ですので、パソコンの中にデータとして入っていたものが失われたりということで、さまざまな形で情報等も失われておりますけれども、ただ、台帳等につきましても、救出したものについては、それをまた使えるようにいろいろな手で修理等を行っておりますし、そういった形で、物だけではなくて、できるだけ情報的な復元もできるようにということで努めているところでございます。
〇久保孝喜委員 今のお話にあったように、そういうこともあって、単なる物と情報と一元的に復旧、復元をしていかなきゃならないということだろうと思います。
 それでは、物として完全になくなってしまった、流出してしまったというようなケースの文化財指定のものがどの程度あったのか、あるいは流出した際にはどういう手続に、あるいは対応になっていくのかということについてお話をいただきたいと思います。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 流出等により大きな被害を受けた文化財についてでございますけれども、県指定有形文化財につきましては、そのようなものが2件ございまして、いずれも陸前高田市に所在していたものでございますけれども、一つは建造物の吉田家住宅でございます。もう一つは古文書の吉田家文書でございます。
 吉田家住宅のほうにつきましては、多くの部材が救出されております。現在、どの部分が残っているかを調査しているところでございます。この吉田家住宅につきましては、それらの部材を活用した復元の可能性があることから、当面、県指定の解除ということは考えてはございません。
 また、この吉田家住宅と陸前高田市立図書館に分けて収蔵されていましたのが吉田家文書でございますけれども、このうち、吉田家住宅のほうで保管していた6点につきましては津波により流出して、現在も見つかっておりません。これらについては、しかるべき時期を見計らいまして、所有者から滅失届を提出していただきまして、県指定の一部解除の手続を進めることになろうかと存じております。
〇久保孝喜委員 この貴重な文化財がそういう形で失われてしまうということは大変残念なわけですが、一方で、文化財行政としては、そうやって失われたものをどうやって次の世代へつなげていくか、あるいは紡いでいくかということも一方では重要なんだろうと私は思います。これは、指定された文化財のみならずなんですが、そうやって失われたものの文化財について、行政として、これから先、どういう方向で対応しようとするのか、その辺の考え方があればお示しいただきたいと思います。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 先ほどもお話ししましたけれども、文化財が完全に失われてしまいますと、やはり滅失届という形で、県指定の解除ということが行政手続的には必要だと思っております。
 ただ、それは、完全にもう失われてしまって復元される可能性が全くないという状態になった時点で指定の解除となりますので、先ほど例として挙げました吉田家住宅の場合のような、まだ復元の可能性が残っているものについては県指定を継続して、今後、その復元に向けた動き等が具体化してきましたならば、文化財保護の観点で県としてどのような支援が考えられるのかということを検討することになろうかと存じます。
〇久保孝喜委員 ちょっと聞き方が悪かったです。指定文化財以外のもので言えば、次の項目なんですが、例えばミュージアム、博物館等のこれからの復旧の方向が言われているわけですけれども、具体化はもちろんしていないわけで、長い時間を要するのだろうと思います。
 そういう博物館の所蔵品などを含めて、流出してもうなくなってしまったというものがたくさんあるわけです。そういうものを何らかの形で情報を集めて、こういうものがあったんだけど失われたという形での、震災アーカイブみたいな形での情報発信というものも一方では必要なのではないかという認識だったわけです。
 そこで、沿岸地域の博物館等の文化財、指定もあれば、指定していないものもありますけれども、そうしたものの対象がどれだけになっているのか、あるいは今後の方向性を示していただきたい。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 先ほども申し上げましたが、沿岸部の博物館等では台帳等も一緒に被災したところでございまして、実際被災した文化財の全貌というのは正確にはわかっておりませんけれども、おおよそ50万点を超えるとも言われております。このうち、例えばということで陸前高田市の場合でございますけれども、ここは博物館等施設で最も被害が大きかったところでございますが、ここでは博物館、海と貝のミュージアム、古文書を保管していた図書館、埋蔵文化財収蔵庫を合わせた所蔵資料数約41万点のうち31万点が救出、いわゆる文化財レスキューされたと把握しております。逆に言いますと、10万点は失われて、現在も発見できないでいるという状況でございます。
 今後の修理、修復後の対応方針についてでございますけれども、県では、県立博物館が中心となりまして、救出された文化財等の修理、修復を行っているほか、国の被災ミュージアム再興事業による補助を活用した事業を進めており、自力では復旧困難な博物館等の被災収蔵品の復旧処理を予算面、技術面で支援しているところでございます。
 現在は、修復されても保管場所に苦慮している博物館等が多い状況でございますが、県立博物館等で、修復の完了した収蔵品については、被災館の復旧状況を鑑みながら地元に返していきたいと考えております。
〇久保孝喜委員 最後にしますが、今回の被災文化財の話は、全国的にも、阪神・淡路大震災以後、具体的に、本格的にといいますか、始まった全体の構図というのがあるらしいわけですけれども、被災県として、これから先、いつ起こるかわからない大災害も含めて、こうした文化財の保護だとか救援に係る支援のネットワークみたいなものを構想しておく、あるいは提言をするという方向性が必要なのだろうと。それは、いわば被災県でしかできないという問題もあろうかと思います。既に、文書などを含めた歴史資料については支援のネットワークができているということがあるらしいんですが、一般的な文化財については、今回の枠組みだけで、将来にわたる支援ネットワークとはまだなっていないと聞いていますが、その辺については、そういう提案をぜひしていくべきだと思いますけれども、御認識はいかがでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 委員からお話がありましたとおり、今回の岩手県での文化財レスキューの特に初動段階でございますけれども、博物館の学芸員等のネットワークが大変有効的に機能して素早い救出ができたと全国的にも評価されているところでございます。そういった学芸員の日常的なネットワークというのが今回はあったわけでございますけれども、それをより充実させて、こういった震災が起きた場合に、より有効に機能するような形での恒常的なネットワークの形成等につきまして、これからも国やいろいろなところに働きかけてまいりたいと存じております。
〇久保孝喜委員 わかりました。
 2点目は、高校再編の問題で確認させていただきたいと思います。
 これは、当然のことでありますが、震災後、事実上、高校再編の具体化の話はストップがかかって凍結状態になっているわけですが、予算審査でありますので、これまで明言してきたわけですが、実態に即して適時に議論していくという立場が今まで示されておりましたけれども、新年度においては具体の計画づくりに着手するという考えはないと理解してよろしいでしょうか。
〇福士首席指導主事兼特命課長 高校再編についてでございますが、県立高等学校の次期整備計画につきましては、平成23年度上半期をめどに策定を予定しておりましたが、大震災津波の発生に伴い策定を見送っているところでございます。現時点におきましては、新年度における計画策定に向けた検討の方向性については未定でございまして、県内各ブロックにおける震災後の児童生徒の動向、推移あるいは中学生の志望状況、被災地における復興の状況等を見据えながら調整、検討してまいりたいと思っております。
〇久保孝喜委員 そのとおりでいいわけですが、問題なのは、大震災を受けて、この先もし検討するようなことになっていくとすれば、検討するその条件といいますか、環境をどういう段階で検討しなければいけないかという認識を持っているのか、その辺を教育長にお聞きして、終わりたいと思います。
〇菅野教育長 現在の本県の復興の状況を見ますと、では、いつから検討を開始するということを明言できるような状況にはないと思ってございます。ただ、一方で、先ほどいろんな議論がございますが、社会に出る子供たちの学びの環境としてどういったものがいいのかというものについてはいろいろ御意見があり、各地域でも御議論がなされていると思います。したがいまして、そういった子供たちを取り巻くもろもろの状況を見ながら、私どもとしては、今後、岩手の子供たちが学んでいくためのよりよい環境がどうあればいいのかということを視点に検討してまいりたいと思っております。
〇郷右近浩副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時55分 休 憩
午後3時14分 再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、この後、本日審査を予定している部局について、延べ8人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁とも簡潔明瞭にお願いいたします。
〇高田一郎委員 私から、まずいじめ問題について質問いたします。
 政府の教育再生実行会議から、このほど、いじめ問題等への対応についての提言が示されました。この内容について教育委員会委員長はどう受けとめているのか、まずお聞きいたします。
〇八重樫教育委員会委員長 過日出された第1次提言では、主に道徳の教科化とかあるいはいじめの予防、発見、対策等法整備をする、あるいは体罰の禁止等が内容として盛り込まれていると、新聞で報道されたのを承知いたしております。
 そのうち、いじめに係る体制整備につきましては、社会総がかりでいじめに対峙していくための法律の制定とか、日ごろからの学校、家庭、地域社会、関係機関の綿密な連携体制の構築、いじめる者への毅然とした対応等について言及されておりますが、これまでの本県におけるいじめ問題根絶への取り組みと方向性は同じではないかと認識しておりますが、今後、国の動向を十分に見きわめながら対応してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 県教育委員会のいじめ対応と政府の提言は同じものだという話がありました。私は今回の提言を見て、道徳教育や罰則の強化、あるいはいじめをなくすための新しい法律をつくるというところで、何か上から子供たちを押さえつけるようなものになっているんじゃないかと思います。これで本当にこの問題が解決できるのかどうかということを、改めて教育委員会委員長にお聞きしたいと思うんです。
 私自身は、道徳教育というのは否定はいたしませんけれども、いじめは悪いんだということで教育をしても、その意識が機能しないという問題が現実に起きているわけです。そして、なぜ加害者になってしまうのか。そういう人権侵害なんだと、暴力だということを加害者が理解をし、そして立ち直っていくところまで教育をしていく、そういう指導、教育が大事なわけで、それを厳罰化するとか厳しくするとかということでは、私は根本的な解決にならないと思うんです。
 教育委員会委員長は、いじめの起きない学校づくり、いじめを解決する体制の整備をしたいということを述べていますけれども、具体的にどういうことなのか。この提言が、つまり、道徳教育とか罰則の強化とか、こういったことで根本的に教育が再生できるのかどうか、改めて教育委員会委員長にお聞きしたいと思います。
〇八重樫教育委員会委員長 1点、道徳の教科化については今議論されている最中ですし、ここで私はコメントを差し控えたいと思います。
 私にもいろいろ個人的な考えがありますけれども、例えば人間の優しさとか協力性とか思いやりは評価できるのかどうか、これは難しい問題です。ただ、今論議されている最中なので私はコメントを差し控えたいと思いますが、いじめの問題については、大津市とかいろいろなところで起きているように、子供がみずから命を絶つようなことに発展するようでは絶対許せないことだと、そういう意味でそれは防止したいと。ただ、いじめる側のフォローもしなければならないし、第一義的には、いじめられる子供をきちんと守るということをしていかなければならないと思っております。
 一人一人を大事にする教育をしながら、そういうことをやっていきたいと思います。
〇高田一郎委員 道徳教育についてのコメントを差し控えたいと言いながら、教育委員会の考え方と軌を一にするものだというところはちょっと理解できないと思います。
 ただ、問題なのは、私たちが何度も議会で指摘しているように、なぜいじめが起きるのかという根本のところを掘り下げて、その問題解決に向けて取り組むということが私は大事だと思います。
 私たちはこの間、2010年の国連子どもの権利委員会の問題を指摘して、その中にある、高度に競争的な学校環境が、就学年齢にある子供の間でいじめや精神障がい、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があることを懸念すると、こういう指摘、勧告を受けながら、これを是正してこなかったというところに最大の問題があると私は思います。
 最近、新聞でもちょっと報道されて私もなるほどと思ったんですけれども、大阪の大谷大学の桜井教授が、子どもの生きる世界を見渡せば、能力主義で追われた、確実に、深刻に広がる閉塞感が見てとれると。全国学力テストをしている場合ではないと。競争や比較がさらなるいじめを引き起こすというメカニズムに、政策をつくるのが鈍感になってはならないと述べております。私も本当にそうだと思います。
 この点について教育委員会委員長、改めて答弁をいただければと思っているんですが、いかがでしょうか。
〇八重樫教育委員会委員長 いじめの防止、いじめの根絶については、県の体制としては一脈通じるものがあるという意味での国の提言については、同じような考えをしているということでございまして、一部我々が考えているものと相入れないものもあるいはあるかもしれません、厳密に分析しますと。きちんとした提言がなされたところで、それは我々も考えなければならないと思います。
 それから、全国一律の学力検査がいじめの原因の一つだという見方もあるいはあるかもしれませんが、私個人は、そのように思っていないと。
 なぜ、あれをやるか。あれは、子供たちの順位をつけるためにやっているのではなくて、子供たちの学習の落ち込んでいるところはどこか、あるいは教員の指導力がどこに欠陥があるかということを調べるためにやっているものであって、学校別、市町村別の順位を出して比較する、競争させるものではないと捉えています。ですから、それがいじめの間接あるいは直接の原因に結びつくかどうかということについては、定かではないと思っております。
〇高田一郎委員 競争教育の問題についてはいろいろ意見が異なりますけれども、そういう社会が本当に病んでいるという問題とか、本当に複合的な問題が横たわっていると思うんです。このいじめをなくして、全ての子供たちの能力を本当に豊かに伸ばしていくために、社会が何ができるのか、大人は何をできるのか、こういったことを大いに議論していくということが必要だと思います。学校現場だけの問題にしないで、地域や社会を挙げた取り組みにしていくように、県の教育委員会も大いに力を入れていただきたいと思います。
 次に、学校現場の多忙化の解消問題についてお聞きします。
 これはいじめ問題にもかかわることでありますけれども、まず一つは、現在の教職員の精神疾患などによる病気の休職者数、定年前に先生方がどれだけ退職を余儀なくされているのか、まず、この実態について答弁いただきたいと思います。
 もう一つは、学校現場の多忙化の教育委員会としての認識。
 私も子供を持つ父親なんですけれども、今、学校現場の先生方のお話を聞きますと、子供たちと接する時間が本当に少ないとか、あるいは授業を準備する時間が本当に少ない、こういうことがよく語られます。教育委員会としての学校現場における多忙化の認識、そして県としての解消策、具体的にお伺いしたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 まず、精神疾患等による休職者の数等でございますが、平成23年度の数字でございますが、精神疾患で休職した職員数は70名でございます。それから今年度につきましては、上半期での集計でございますが38名でございます。また、精神疾患により休職している方で退職した方ということで、定年前退職者が平成23年度は14名、今年度は3月末の予定も含めまして9名という状況でございます。
 次に、教育現場の多忙化の認識とその対策ということでございますが、学校では、新学習指導要領の対応ですとか、東日本大震災津波の復興への対応、あるいはいじめ問題への対応など、新たな課題もございまして、大変勤務に負担を感じているというような状況もあることは認識しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、平成21年に多忙化解消検討ワーキンググループが提言を出したところでございまして、それによりまして調査文書あるいは会議、研修を精選する、それから着任届等の届出書類を簡素、廃止するといったような取り組み、あるいは各学校では行事の見直しや職員会議の短縮など行われてきているところでございます。また、部活動についても、休養日の設定ということに取り組んでいるところでございます。
 対策といたしまして、今後も市町村教育委員会と連携いたしまして、特に事務的業務の効率化というものを図り、あとは他校の優良取り組み事例を共有化することなどによりまして、学校独自でも業務改善に取り組んでいただき、教員の業務負担を軽減し、児童生徒と向き合う時間を確保できるように支援してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 とにかく、今教職員の方々は本当に多忙だと。時間外勤務とか持ち帰り仕事がたくさんあって、なかなか教職員にゆとりがない。なかなか教育、子どもたちに接する環境がないということがよく言われているんですけれども、業務の縮減あるいは効率化、今お話しされたようにここが大事だと思います。
 政府の、文部科学省の教職員のメンタルヘルス対策検討会議の中でも、この業務の縮減、効率化ということも強調されているわけで、今、そういう取り組みが行われているというお話がされました。具体的にどの程度改善がされているのかということで、現場を見ますとなかなかそういう状況になくて、むしろ震災対応あるいはいじめの問題、新たな問題を含めて逆に仕事量が増大して、逆に深刻になっているのではないかと現場を見れば思うんですけれども、その対策や効果はどのようになっているのか、お聞きしたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 今の提言による取り組みにつきましては、昨年4月に文部科学省の調査もございまして、あわせて教育委員会としましても、どのような実態になっているか調査したところでございます。
 それによりますと、学校への調査文書とか事務負担の軽減でありますとか、調査研究校の指定の見直し、それから学校の校務運営体制の改善など、それぞれの市町村で取り組んでいると報告をいただいたところでございます。ただ、委員御指摘のとおり、すべての教育委員会あるいは学校でそのような取り組みが徹底されているかということにつきましては、今後、学校訪問を通じてさらに検証してまいりたいと考えておりまして、それを踏まえまして、先ほど申し上げたような取り組み事例を共有化するなど、業務の見直し、改善の支援をしてまいりたいと考えています。
〇高田一郎委員 メンタルヘルス、精神疾患のお話をしましたけれども、今、1次予防で大事なことというのは長時間労働、業務の過重性、これを改善するということ、そして教職員も教育の専門家でありますけれども労働者です。二面性を持っていますから、休暇時間をきちっと保障する、こういう両面でしっかり対応しなければいけない。そのためには教職員をふやしていく、あるいは少人数学級を拡大していくということが根本的に求められていると思うんです。その点についてはいかが考えているでしょうか。
 今回、少人数学級という点では、さらに4年生まで拡大をしたと。今、現自民党政権が前政権の拡大方針の見直しを決めていただけに、大変学校現場では期待が高まっているし、評価いたしておりますけれども、私は今の学校現場の状況を見るとさらなる改善、そういうことが必要だと思いますけれども、このことも含めて答弁いただきたいと思います。
〇漆原特命参事兼小中学校人事課長 委員御存じのとおり、本県の少人数学級は、小学校1年生が平成18年度、学級の連結の関係から平成19年度が小学校2年生、平成21年度に中学校1年生試行で、本年度から35人以下学級を実施しているところであります。
 アンケート調査によりますと、子供たちと向き合う時間が確保されることによって学級集団のまとまりがよくなったりとか、安全健康管理の部分でより一層きめ細かな指導ができると、そして基本的な生活習慣の定着等、人間関係の把握が十分できるということで、来年度から小学校3年生を実施することとしております。その後のことにつきましては、3年生、4年生、県内では学級の編制を考えた場合には、3年生、4年生と連続しますので、4年生は、平成26年度実施する方向で今準備を進めているところであります。それ以降につきましては、国の定数改善計画を十分見きわめていかなければならないと思っております。
 いずれ、本県で今まで実施しておりました少人数学級、少人数指導、そして県独自のサポート推進事業を、この三つの柱のそれぞれの長所を生かしながら、子供たちが学校の中で基本的な生活習慣を十分身につけて、安定した学校生活を送ることができるように進めてまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 次に移りたいと思います。次は、被災した児童の学習環境の改善問題です。
 私も放課後の学習支援あるいはグラウンドの整備の問題について通告をしておりましたが、重複しない程度に質問したいと思います。
 放課後の学習支援の問題ついては実態がわかりました。7市町村、18カ所、800人という数字が出ましたけれども、グラウンドの整備の問題も含めて、子供たちというのは後戻りできないわけでありますから、学びの環境を本当に改善するために、引き続き全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 放課後の学習支援の問題については、昨年と比べて実施団体なども確実にふえていますけれども、その実施団体、NPOとか青年海外協力隊ですか、さまざまなところが担っているわけですけれども、こういった実施している団体の財政的な問題というのは十分なのでしょうか。
 それから、800人の児童が放課後の学習支援を受けているということですけれども、生徒たちの必要な支援というのはどの程度に見ているのか、その辺についてちょっと答弁いただきたい。
 あわせて、グラウンドの整備の問題でありますけれども、41校中16校が仮設グランドを整備されたというお話です。そうしますと、25校がまだまだ整備されていない。これはどの程度時間がかかるのかということについてお伺いしたい。
 それから、こういう仮設グラウンドも整備されていない中での授業、部活動ということになりますけれども、体力の低下に対する影響というものが今どの程度見ているのか、もしわかれば説明していただきたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 まず、私からは、被災した児童の学習環境の改善について御質問がありました点について御回答したいと思います。
 まず、今現在、中高生における放課後あるいは休日の学習支援ということで、国の事業を活用しながら、実際にはNPOなどの民間団体においてさまざま取り組まれているところでございます。その際、御質問がありました財政的な面でございますけれども、今現在の状況で申し上げれば、国の委託事業がない状況で全てのニーズに応えるということはなかなか難しい状況であろうと考えてございます。そういった観点からも、実際の実施団体からは、ぜひこれを継続してほしいという要望が寄せられておりますことから、我々としても、来年度も引き続き継続して実施していきたいと考えてございます。
 それから、今現在、登録している児童生徒の数は800人を超えるという数になっておりますけれども、実際、活動といたしましては、基本的には安心して学べる自学自習の場を提供しつつ、そこに大学生あるいは塾講師、教員経験者等が見守りながら、質問があればそれに適時対応するというスタイルをとってございます。
 そういった観点から授業を実施しておりますけれども、例えば国の事業も活用しながら必要な参考書類を購入するですとか、あるいは冬場はどうしても寒くなりますので必要な灯油の代金に充てるとか、あるいはどうしても帰宅時間が遅くなりますので、そういったものに対応するために乗り合いのタクシーですとか巡回バスを提供するとか、そういったような実情に応じた支援というものをしているところでございます。
 今後とも引き続き、その地域の実情に応じながら、必要な支援をしてまいりたいと考えております。
〇小倉学校施設課長 私からは、仮設グラウンドの整備の関係で御答弁を申し上げます。
 仮設グラウンドの整備につきましては、学校の近隣に適当な用地がないといった事情で、今後の新たな整備には困難が伴うものと考えておりますけれども、市町村の復旧でありますとか復興の進捗ということで、その解消が図られていくような場面も出てくるのかと思っておりますが、これはロードマップ上の数でございますが、現在におきましては、被災した学校17校におきまして高台への移転等、再建に向けた取り組みが進められているということでございまして、この再建整備の中で、体育館あるいはグラウンド等の整備もされるということだろうと思っていまして、山田町の船越小学校におきましては来年度末までに、その他多くの学校では平成27年度末までに復旧整備を目指しているということでございまして、県教育委員会といたしましては、この小中学校の再建等が計画どおり進むように、引き続き市町村に対して必要な支援、助言を行ってまいりたいと考えております。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 このようなグラウンド環境等が体力の低下とどのように関連しているかというお尋ねでございますが、児童生徒の体力、運動能力調査に関して申し上げれば、全国平均値以上の項目割合が平成23年度より13.4ポイント、平成22年度よりは33.5ポイント低下してございまして、現在、40.1%の数値となってございます。簡単に申し上げれば、2年連続して運動能力、体力については、低下傾向が見られるということでございます。これにつきましては、それぞれの学校の実態に応じた状況がございますので、教育事務所保健体育主事の学校訪問指導等を充実させるとともに、限られた状況でもできる運動プログラムの提供ということで解消してまいりたいと考えてございます。
〇高橋元委員長 高田一郎委員に申し上げます。
 世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶこのとないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇高田一郎委員 放課後の学習支援については、これまでボランティアとか人的体制がなかなか整わないとか、財政的な問題でいろいろと課題もあったということをお聞きしてきましたけれども、そうしますと、今現在においては、そういった問題は特になく、順調に対応しているということで理解してよろしいですか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 人的な体制につきましては、これで十分かと言われれば、当然ながらもっと拡充できる部分があればそれにこしたことはないと思っておりますが、全国の大学生がボランティアで参加しているという数もかなり多くございまして、そういった例からしますと、なかなか平日というのは難しいんですが、土日の休日を活用しまして、全国から大学生がボランティアで参加して来ていただけるということがあるようですので、そういった意味からはある程度は充足してきているものと考えております。
〇高田一郎委員 最後にいたします。
 教育の無償化問題についてお聞きしたいと思います。
 昨年9月、政府が国際人権規約社会権規約第13条2項の留保撤回をいたしました。これは画期的なことだと思います。これは、中等教育、高等教育を段階的に無償化にするという国際的な人権規約でありますから、教育の無償化に向けて大きな出来事だったと私は思います。しかし、これまで政府は、無償というのは授業料を徴収しないことなんだと。高校、大学の無償化というのは、義務教育とは同義とは考えていないとの立場であります。しかも、最近、高校の無償化についても所得制限を導入するというような─教育の無償化に向けた状況がありますけれども、しかし、政府の動きというのはそれに逆流しているような姿勢に見えてなりません。こうした問題について、教育委員会としてはどのような考えを持っているのか、お聞きしたいと思います。
〇永井予算財務課長 国際人権規約社会権規約の中等教育、高等教育無償化条項に係る留保の撤回についてでございますが、これは国が昭和41年の同規約批准の際に、規定中の、特に、無償教育の漸進的な導入によりという部分に拘束されない権利を留保したということに端を発していると聞いてございます。
 この理由といたしましては、政府は、負担の公平や無償化財源の確保の観点から、後期中等教育を受ける学生等に対して適正な負担を求めるというのが、当時の政府の方針だったと聞いてございます。今般、委員御案内のとおり、平成24年9月にこの留保を撤回するということで国連に通告したと聞いてございます。
 本県の県立高校教育にかかわるものといたしましては、高校の授業料無償化が挙げられるかと存じますが、教育に係る経済的な負担の軽減を図り、教育の機会均等に寄与することを目的といたしまして、平成22年3月に授業料無償化関係法案が成立したことを受けまして、県教育委員会におきましても、県立学校授業料等条例を一部改正いたしまして、平成22年度から、原則、無償化としているところでございます。
〇高橋元委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇斉藤信委員 いじめ問題に関連をして、教育委員会委員長にお聞きをします。
 大津市立中学校におけるいじめ問題に関する第三者調査委員会の調査報告書というのが出ています。提言部分はホームページでも公開されています。この調査報告書は、市に対する報告というものだけではなく、教員に対して、学校に対して、教育委員会に対して、将来の課題など、六つの項目で全国に呼びかける内容になっています。
 教育委員会委員長は、この大津市立中学校における調査報告書を読まれたのかどうか。そして、この中身には、本当に今いじめ問題を克服する教育が最重要課題だという提起もされています。教育委員会の課題については教員政策の課題も提起をされていますが、まず、読まれているとしたらどのように受けとめているかお聞きしたい。
 二つ目に、実はその調査報告書の中に、国連子どもの権利委員会からの3度にわたる勧告の内容が詳しく紹介をされています。1998年そして2004年、2010年、3回にわたって、高度に競争主義的な学校環境が、就学年齢に当たる児童間でいじめ等の弊害を助長している可能性があると。これは3度にわたってこういう懸念が出されてきたと。これへの対応が弱かったと。さらには、子供がこのいじめ問題を相談する第三者機関が存在していないという問題も指摘をしていますが、教育委員会委員長は、3回にわたる国連子どもの権利委員会の日本政府に対する勧告を読まれましたか。教育委員会で議論されたことはありますか。これは日本政府が批准している、日本の法律の上位にあるものですよ。これが2番目。
 3番目、最後ですけれども、いじめ問題で確かに全県的な研修会が行われました。今の教育の最重要課題の一つと言ってもいいと思いますけれども、私は全ての学校で全教職員が参加した研修が一番大事だと。どれだけの小、中、高の学校でこの研修が行われたのか、その内容、状況をお答えいただきたい。
〇八重樫教育委員会委員長 1番目の大津市の問題につきましては、概要は読んでおります。ほとんどの内容の部分において納得しております。例えばいじめの問題についても、最初に学級崩壊といいましょうか、そういうことから端を発したということなどは、まさに本県にも当てはまるのではないかと思いながら、共感的に読ませていただきました。
 それから、国連の勧告につきましては、斉藤委員から、再三、これまでも何度も言われておりまして、何度も読んでおります。何度も読んでおりますし、国に対する勧告はそのとおりですけれども、考えは、本県においては、競争を助長しているものではないということで考えておりますので、ここも斉藤委員とは常に平行線でありますけれども、読んでおります。ということで、今後ともきちんと読んで、我々が取り入れる部分については取り入れていきたいと思います。
 それから、ことし県下6カ所でやりました研修会については、一斉に全部を集めることはできませんので、ただ、各学校から全部の教員が出ました。いわゆる生徒指導主事、できないところは副校長が出ております。ですから、全部の学校が出ておりますので、参加した教員たちには、各学校において研修するようにと、取り組むようにと。ただ、どのようにやったか、やったかやらなかったかまでは、これは相手を信頼して調査はしておりません。やってくれているものと思いますし、平成25年度においても、私もみずから行きながら、開会式に出ていろんな話をしながら、予算特別委員会等で出た話も話題にしながら、県民がみんな関心を持っているし心配していると。私は先生方を信頼しているのでしっかり頼むよというようなことでお話をしながらやっていきたいと思っております。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 全県の緊急に行った研修会、今、委員長申し上げたとおりでございます。各学校においては、全ての学校で実施をしているところの報告というか把握までしてございませんが、ほぼ全ての学校でやられているのではないかと考えております。幾つかの事例の報告も受けてございますし、当課にも指導主事を招聘して新たにまた研修をやった小学校、中学校、高等学校もございますし、そういうところも含めて、各学校において、今後も適切に対応していくように努めてまいりたいと考えてございます。
〇渡辺幸貫委員 教員住宅について伺います。
 教員住宅は私の知っている限り、本当に僻地校のために畑の中にぽつんとあるのもあれば、まちの中の、これはと思うところにほとんど障子が破れて風化しているような教員住宅しか私は存じ上げません。ということで、実情、要するに戸数とか、利用率だとか、平均築年数だとか、その辺はいかがになっているものかお尋ねします。
〇小倉学校施設課長 教員住宅の実情についてでございますけれども、平成24年5月1日現在、保有している教員住宅が333棟、1、010戸ございます。このうち、入居している戸数が668戸、利用率で申し上げますと66.1%となってございます。また、平均築年数でございますけれども、棟別では約34年となってございます。
〇渡辺幸貫委員 築年数が34年。そして今66%と言いましたけれども、かなり使われていない、私が言っているようなところもたくさんあると思うんですね。そして今回皆さんから学校の統廃合の話もありました。ですから、これはどんどんやっていかないと、本当に病院の問題も北上や花巻でありましたけれども、ここに県議会議員の方がたくさんおられます。ここにいる中でも、333棟もあるんですからみんなどっかに教員住宅を抱えていると思いますよ。ですから、それらを風化させて建てておかないで、早く壊して、そして行き場のない不動産にしてはならんと私は思うのでありますが、それについての見解を聞きたいと思います。
〇小倉学校施設課長 建物の風化ということでございますけれども、教員住宅を築30年以上というところで見ますと、棟数で見ますと約8割という状況になって、老朽化が相当進んでいるということでございますけれども、もう一方で、被災した沿岸地域を中心にしてということでございますが、入居率が8割を超えるというようなところもございまして、一定の需要があるものと考えておりまして、解体等につきましては、今後の利用見込みなどを踏まえまして対応してまいりたいと思っていますが、使える建物については、大規模改修でありますとか維持補修というような形で行いながら活用してまいりたいと考えてございます。
 いずれ、老朽化が激しいと、あるいはここ数年住んでいないという状況もある場所もございますので、そういった部分については、学校からの解体要望等も踏まえまして、用途廃止について検討してまいりたいと考えてございます。
〇渡辺幸貫委員 学校の要望といいますけれども、学校は決断しないと思いますよ。私の知っている目の前のところも、全く決断しないで10年以上放っておくんですよね。そして売るんですかと言ったら、最初売らないと言ったの。そのときは売りたいと言ったの。それであとは誰も触りませんよ。ですから、教育委員会でちゃんと何年間か空き家になったら─もう用途ないと思いますよ、水洗便所の時代ですから。それをはっきり基準を決めて、何年空き家になったらもう壊しましょうと。教育委員会内で決めてどんどん処分されたらいかがですか。そういう方針を決めるつもりがあるかどうか伺って終わります。
〇小倉学校施設課長 教職員住宅の施設整備等につきましては5カ年計画をつくっておりまして、平成24年度から5カ年計画を現在つくっているところでありますけれども、特にもその老朽化が進んでいる状況を踏まえて、一つの考え方でございますけれども、3年以上空き家になっている、築30年以上であるという建物については、財政状況等もございますが、解体という方向で検討してまいりたいという方針のもとに取り組んでいるところでございます。
 ちなみに申し上げますけれども、平成24年5月1日現在で、老朽化等のために3年間入居者がない、学校から解体要望がある30年以上たっているというのは、全体では56棟今ございまして、こういったものを中心に解体について検討してまいりたいと思っております。
〇高橋元委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会の皆さんは退席されて結構です。大変御苦労さまでした。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇青木企業局長 それでは、企業局関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、お手元の議案の説明に入る前に、平成25年度の事業運営に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
 平成25年度の事業運営に当たりましては、平成25年度から平成27年度までを計画期間とする第4次中期経営計画の最初の年度として、現行計画の取り組みを継承しながら、施設の長寿命化及び耐震化の推進、再生可能エネルギーの新規開発の推進といった新たな課題にも積極的に対応し、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進に努めてまいります。
 また、東日本大震災津波からの岩手県全体の復興を支え、次世代への発展を図るため、電力と工業用水の最大限の安定供給に引き続き取り組むとともに、健全経営の維持に努めてまいります。
 電気事業では、施設や設備の修繕、改良及び点検等を計画的に実施し、長寿命化を図りながら引き続き安定供給に努め、電力需要に応じた最大限の供給力を確保してまいります。また、今後の経営環境の変化を見据え、業務効率化によるコストの削減等に取り組み、健全で安定的な経営基盤の維持に努めてまいります。
 新規開発では、平成26年度運転開始予定の胆沢第三発電所及び─仮称ですが、北上大規模太陽光発電所の工事を着実に進めるとともに、一戸町において─これも仮称ですが、高森高原風力発電所の平成29年度の運転開始に向け、環境影響評価や基本設計などを進めてまいります。また、簗川ダムにおける発電所の基本設計を開始するほか、県内全域を対象に複数の河川で候補地点の調査を継続的に実施するなど、再生可能エネルギーの新規開発に率先して取り組んでまいります。また、地域貢献では、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、一般会計及び市町村等のクリーンエネルギー導入事業の支援を、被災地域等の復興に向けたニーズを把握しながら進めてまいります。
 工業用水道事業では、配管の耐震化について目標を定め、積極的に取り組むなど、信頼性の一層の向上を図り、県内経済等を牽引する役割を担う立地企業の生産活動を支えてまいります。さらに、安定した経営を維持し、入畑ダム共同施設の一部譲渡等に伴い、平成24年度決算で新たに発生する欠損金の早期解消を目指します。
 それでは、議案について御説明を申し上げます。
 議案その1の59ページをお開き願います。議案第14号平成25年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
 第2条は、業務の予定量でありますが、第1号の年間販売目標電力量は、胆沢第二発電所ほか13発電所の目標電力量の合計を5億2、186万2、000キロワットアワーと定めようとするものであります。第2号の主要建設事業は、60ページをお開き願いまして、胆沢第三発電所建設工事及び(仮称)北上大規模太陽光発電所建設工事を実施しようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は43億9、708万円で、その主な内訳でありますが、第1項の営業収益42億3、635万円余は、水力発電所13カ所の電力料収入などであり、第2項の財務収益6、862万円余は、株式配当金などであり、第3項の附帯事業収益8、208万円は、稲庭高原風力発電所の電力料収入であります。
 次に、支出の第1款電気事業費用は40億252万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用37億8、880万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費などであり、第2項の財務費用1億1、361万円余は、企業債の支払い利息などであります。第3項の附帯事業費用7、519万円余は、稲庭高原風力発電所の運転管理費用であり、第4項の事業外費用1、982万円余は、消費税及び地方消費税納付予定額であります。 
 この結果、収入と支出を差し引きまして、利益は税込みで3億9、455万円余が見込まれるものであります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。61ページをごらん願います。収入の第1款資本的収入は31億8、769万円余で、その内訳でありますが、第1項の補助金2億25万円は、胆沢第三発電所の建設事業に対する国庫補助金であり、第2項の負担金2、324万円余は、仙人発電所共有施設工事等負担金などであります。第3項の長期貸付金償還金9億5、419万円余は、一般会計などからの貸付金償還金であり、第4項の投資償還収入20億1、000万円は、資金運用のために購入した利付国債の満期償還収入などであります。
 次に、支出の第1款資本的支出は34億1、177万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の建設費10億5、686万円余は、胆沢第三発電所及び(仮称)北上大規模太陽光発電所の工事費などであり、第2項の改良費13億1、051万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であります。第3項の電源開発費1億5、743万円余は、(仮称)高森高原風力発電所建設に係る環境影響評価業務委託や基本設計業務委託及び簗川ダムにおける発電所基本設計業務委託などであり、第4項の企業債償還金3億6、069万円余は、企業債元金の償還金であり、第5項の投資5億100万円は、資金運用に当たって利付国債を購入するものであります。第6項の繰出金2、026万円余は、知事部局が実施する再生可能エネルギー導入促進事業などに充てることとして、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金から一般会計へ繰り出しするものであります。
 次に、第5条の債務負担行為でありますが、これは、(仮称)北上大規模太陽光発電所建設工事のほか、62ページに続く4事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
 以上で電気事業会計の予算の説明を終わります。
 次に、63ページをごらん願います。議案第15号平成25年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
 第2条は、業務の予定量であります。北上工業団地及び岩手中部工業団地に立地する18事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、549万235立方メートルに、1日平均給水量を4万2、439立方メートルにそれぞれ定めようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は9億9、836万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業収益9億9、589万円余は、給水収益などであり、第2項の財務収益148万円余は、受取利息であります。
 次に、支出の第1款工業用水道事業費用は8億8、682万円で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用8億82万円余は、職員給与費、委託費及び減価償却費などであり、第2項の財務費用8、191万円余は、企業債などの支払い利息であります。64ページをお開き願います。第3項の事業外費用358万円余は、消費税及び地方消費税納付予定額であります。
 この結果、収入と支出を差し引きまして、税込みで1億1、154万円余の利益が見込まれるものであります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は5億5、710万円で、その内訳は、第1項の企業債5億5、710万円であり、各工業用水道施設の建設改良資金を借り入れしようとするものであります。
 次に、支出の第1款資本的支出は12億1、554万円余で、その内訳でありますが、第1項の改良費5億5、743万円余は、各工業用水道施設の改良及び更新に要する経費であり、第2項の企業債償還金4億291万円余は、企業債元金の償還金で、第3項の他会計からの長期借入金償還金2億5、519万円余は、一般会計などへの償還金であります。
 次に、第5条の債務負担行為でありますが、これは、第一北上中部工業用水道遠方監視制御装置等機能増設工事のほか、1事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 65ページをごらん願います。第7条は、一時借入金の借り入れ限度額を5億5、800万円と定めようとするものであります。
 第9条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
 以上で工業用水道事業会計の予算の説明を終わります。
 なお、これらの予算に係る実施計画、資金計画、給与費明細書、債務負担行為に関する調書及び財務諸表につきましては、予算に関する説明書の456ページから506ページに記載しておりますが、説明は省略させていただきます。
 以上で企業局関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋元委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 まず最初に、企業局の経営計画についてお伺いをいたします。
 企業局では中期経営計画を策定し、これに基づいて経営を行っているとのことでございますが、現在の計画は、3年間の計画期間が今年度で終わるということでございますけれども、この間、東日本大震災津波や再生可能エネルギーの固定価格買取制度の実施など、経営計画の実施に影響を及ぼすさまざまな要因があったことと思います。
 そこでお伺いをいたしますが、現在の第3次中期経営計画期間中の取り組みについてどのように評価をなされているのか、お伺いをいたします。
〇千枝経営企画課長 第3次中期経営計画期間中の主な取り組みでございますが、計画的で効率的な業務の実施等に取り組んだ結果、電力の供給力の確保と工業用水の需要にしっかりと応えながら、経常収支比率も目標を上回る見込みでありまして、計画の大きな柱である信頼性の確保と経済性の確保の両方を実現する見込みでございます。
 東日本大震災津波に対しましては、電気、工業用水とも停電回復後、速やかに供給を再開したところです。特に、電気事業では、震災後の電力需給の逼迫期に供給力の確保に最大限に取り組み、平成22年度、平成23年度は、出水率にも恵まれまして、6億キロワットアワーを超える供給量となったところでございます。
 工業用水道につきましては、入畑ダムの水源転用を計画どおり進め、未売水の解消や有利子負債の圧縮などに取り組み、自立経営の基盤を整えたところでございます。
 新規開発につきましては、胆沢第四発電所を平成24年12月に運転開始いたしまして、胆沢第三発電所の建設を平成26年度の運転開始に向け、計画どおり進めております。また、(仮称)高森高原風力発電所、(仮称)北上大規模太陽光発電所について、事業化に向けた具体的な取り組みに着手したところでございます。また、稲庭発電所への固定価格買取制度の適用などにも取り組んできたところでございます。
 以上のような取り組みを通じまして、現計画では、6項目の経営の数値目標のうち、1項目を除き、おおむね経営目標は達成される見込みでございまして、計画どおりの取り組みができたものと評価しております。
〇五日市王委員 評価といたしましては、おおむね健全経営といいますか、安定経営といいますか、そういったことだと思います。そういった評価を生かしまして、今度、第4次の中期経営計画はどのような考えに基づいて策定をしていくのか、また、主な課題とそれらにどのように対処していくのか、あわせてお伺いをいたします。
〇千枝経営企画課長 第4次中期経営計画の策定についてでございます。
 東日本大震災津波の発生や再生可能エネルギーの固定価格買取制度の実施などによって、経営環境が現行計画期間中に大きく変化したことに伴いまして、第4次中期経営計画では、再生可能エネルギーの新規開発の推進や、施設の長寿命化や耐震化の推進といった新たな課題への対応が求められていると考えているところでございます。これらの課題に対しまして、従来の経営目標に加えて、新たな目標を設定して積極的に取り組んでいくと考えているところでございます。
 具体的には、電気事業の新規開発では、胆沢第三発電所、(仮称)北上大規模太陽光発電所、(仮称)高森高原風力発電所の建設の進捗状況を目標設定し、胆沢第三と北上大規模太陽光では平成26年度、高森高原風力では平成29年度の運転開始に向け、着実に建設を進めていくということを目標にしております。
 また、工業用水道では、配管の耐震化率を経営目標に掲げまして、44%から55%への向上を目指すほか、平成24年度の入畑ダム水源転用によって生じる欠損金の平成26年度までの解消に向け、しっかりと安定経営の継続に取り組んでいくことにしているところでございます。
〇五日市王委員 新規では、北上の太陽光と高森高原の風力ということであると思うんですが、北上はこの後、どなたかが多分質問されると思うので、私は高森高原風力発電所についてお伺いをいたします。
 企業局で、今お話がありました高森高原風力発電所について、先ほど企業局長からも御説明ございましたけれども、今後は環境影響評価に着手していくと聞いておるわけでございますが、来年度の具体的な取り組みをお伺いいたしたいと思います。あわせて、発電所の運転開始に向けた今後のスケジュールについてもお伺いいたします。
〇榎電気課長 高森高原風力発電所の来年度の取り組みについてでありますが、昨年10月に環境影響評価法が改正され、出力1万キロワット以上の風力発電所が法の対象事業に追加されたことから、これに基づく方法書について、平成25年3月7日付で国と県、関係自治体である二戸市と一戸町に提出し、本日から30日間の縦覧を開始しております。
 来年度は、4月8日に二戸市、翌9日に一戸町でそれぞれ住民説明会の開催を予定しているほか、動植物、騒音、景観などに関する現地調査や、次のステップとなる準備書等の作成に向けた業務を発注することとしております。
 また、この環境影響評価と並行しまして、地上高約60メートルでの風況観測や発電所の基本設計を進めるとともに、機種選定委員会を開催して、風車の機種などを決定したいと考えてございます。
 次に、運転開始に向けた平成26年度以降のスケジュールについてですが、平成26年度は、前年度からの業務を継続しながら、建設用地の確保に向けた具体的な協議を開始する計画としております。さらに、平成27年度には環境影響評価を完了し、国の設備認定や工事計画に係る手続を進め、平成28年度には現地工事に着手して、平成29年度の運転開始を目指してまいりたいと考えております。
〇五日市王委員 ぜひ順調に進めていただきたいと思います。
 そこで、昨年の決算特別委員会でも質問させていただきましたが、いわゆる共同出資のお話でございます。前回はナシのつぶてだったわけでございますが、例えば、地元の自治体あるいは民間企業、さらには一般県民などから、出資に対して、そういった例が国内あるいは海外であるのかということをお伺いしたいんですが。
〇榎電気課長 自治体とか民間企業、一般県民からの出資による運営の事例についてですけれども、他の自治体等から公営企業としての企業局に出資することについては、地方公益企業法上、想定されておりませんので、国内では事例はないのではないかと思われます。また、海外については、残念ながら承知してございません。
〇五日市王委員 いずれ、国内ではそういう事情でできないということになっているのかもわかりませんが、海外などではよくやられているんです。再生可能エネルギーを導入しましょうという大きな流れの中でやられているんです。例えばドイツです。風力では、モアバッハ町というんですか、いわゆる地域社会への新しい価値を創出しましょうということで、これを機に住民を巻き込んで、それで出資をしてもらって、配当を得ながら、それをお小遣いにするのか、出資のお金を返すのか、そこはそれぞれだと思うんですが、そういうこともやられております。また、風力ではフライアトム村、こちらは142人の市民が出資して、そういったことを行っていると。ミュンヘン市は太陽光なんですが、こちらも市民出資ということで、市民を巻き込んでのそういった事業をやられているということでございます。ミュンヘン市では、出資できない低所得者にも銀行がお金を貸して、その配当で借金を返すなりというようなことをやって、返し終わったら、その分が今度は年金の足しになるのか、そういった感じの取り組みもやっているようでございます。
 いずれ、今の制度の中ではできないのかもしれませんが、大きな考え方として、これから日本も再生可能エネルギーを強力に推し進めていくということですから、そういった発想もぜひあってもいいのではないか。しかも、岩手県が率先してそういったことをやられてもおもしろいのではないかという意味でございますので、できないとまた言われるのでしょうが、考え方をお聞きしたいと思います。
〇榎電気課長 まず、海外の事例については詳しい内容は存じておりませんので、どのような方法でなさっているのか、ちょっと答弁できませんが、今回、私どもが計画しております事業では、公営企業ということで低金利で資金が調達できる、法人税などの税金もかからないと、こういった地方公営企業としてのメリットを最大限に生かすことで計画している事業ということで御理解いただければと思います。
〇樋下正信委員 私からは、先ほども説明がありましたけれども、新規の水力開発についてお伺いします。
 今年度、先ほどもお話がありましたけれども、事業化の可能性を検討としている簗川ダムの水力発電について、取り組みと現状、そして今後のスケジュールについてお伺いします。
 もう一つ、現在進めているわけでございますけれども、胆沢第三発電所の進捗状況についてお知らせ願いたいと思います。
 それから、この二つ以外に取り組んでいくような予定があるかないか、その辺もあわせてお知らせ願いたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 まず、簗川ダムの水力発電の取り組み状況につきましては、今年度、概略設計を実施した結果、最大出力1、900キロワットにより年間約1、090万キロワットアワーの発電─これは一般家庭で約3、200世帯の年間の消費電力量に相当する値でございます─が見込まれまして、経済性にすぐれた有望地点であることが確認されております。
 今後の具体的な取り組みといたしましては、平成25年度は発電計画の精度をさらに高めるための基本設計を行うとともに、ダム事業者等の関係機関との事前協議を進めてまいりたいと思っております。また、基本設計の結果を踏まえ、平成26年度にはダム事業者との基本協定の締結や河川管理者への発電水利使用許可申請に向けて協議を開始したいと考えております。
 発電所の建設につきましては、ダム本体工事の進捗状況に合わせながら行いますが、最短のスケジュールとして、平成27年度にダム本体が発注された場合、平成29年度ごろの発電所建設着手、平成32年度の運転開始を見込んでおります。
 次に、胆沢第三発電所についてでございますが、現在、電源開発株式会社の胆沢第一発電所と共同で建設を進めておりまして、既に発注している発電所建屋工事等の現地施工や、電気機械設備の工場製作を行っているところであります。平成25年度では、発電所建屋工事を初めとして水圧鉄管据えつけ工事、送電線工事を完成させるとともに、11月ごろから電気機械設備の据えつけ工事を行う予定でありまして、平成26年7月の運転開始に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 最後に、このほかの取り組み状況ということでございますが、引き続き複数の河川で流況調査を行うほか、既設発電所水路の未利用落差を有効活用する発電計画につきましても概略設計を行うなど、経済性等の評価を踏まえ、今後も有望地点については事業化の可能性を検討してまいりたいと考えております。
〇樋下正信委員 次に、工業用水道事業の老朽化対策と今後の経営見通しについてお聞きしたいと思います。
 現在、公共施設の老朽化対策に関心が集まっております。工業用水道事業は給水を開始してから30年以上が経過していると思いますが、この工業用水道事業ではどのような老朽化対策を行っているのかお聞きしたいと思います。
 そしてまた、工業用水道事業は平成21年度末で累積欠損金を解消したとはいえ、老朽化対策を含め、今後多額の経費が必要になると考えられますが、今後の老朽化対策を踏まえた経営的な見通しについてお知らせ願います。
〇菅峨業務課総括課長 工業用水道事業の老朽化対策についてでございますが、工業用水道施設は、工業用水道施設維持管理要領に基づき点検を実施しておりまして、この点検結果と施設設備の耐用年数等から評価を行い、今後10年間の年度別事業計画を策定し、さらにこれを毎年ローリングさせながら維持管理を行っております。これにより、これまで大規模な事故は発生しておらず、最大のミッションである安定供給を継続しているところであります。
 しかしながら、施設設備のうち給水配管につきましては、そのほとんどが地中に埋設されておりまして、通常は老朽、劣化状況の把握が難しい状況にあります。このため、配管の劣化度調査を実施したところ、腐食が著しい箇所や接続部のずれが大きい箇所があることが判明いたしました。現在、この調査結果をもとに配管更新基本計画を取りまとめておりますが、計画策定に当たっては、工業用水道施設設計指針による震度7クラスの地震にも耐え得る耐震性についても配慮することとしております。
 また、老朽化が著しい配管につきましては早急に対応する必要があることから、今般の国の緊急経済対策による補正予算の工業用水道施設の緊急更新・耐震化補助を活用して更新を進めていく予定であります。これによりまして、配管の耐震化率を、平成24年度末の44%から、第4次中期経営計画の最終年度である平成27年度末には55%まで引き上げることとしております。
 次に、老朽化対策を踏まえた経営見通しについてでございますが、収益的収支は、平成24年度は入畑ダム水源転用によりまして一時的に赤字となりますが、現行の契約水量で試算すれば安定的な収入を継続することができ、平成26年度末には欠損金を解消し、その後は黒字経営を維持できる見込みであります。
 資本的収支につきましては、今後の老朽化対応により企業債が増加いたしますけれども、入畑ダムの転用対価を有効に活用しまして、一般会計や他会計からの支援を要しない自立経営に努めてまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 風力と水力の質問が出たようでございますので、私は太陽光の質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどの質疑の中でも、企業局としては次期中期経営計画においても新規開発を積極的に推進されると聞いております。期待しております。
 先ごろ、私の地元の北上市の北上翔南高校の実習地を利用しての計画だと聞いておりますけれども、大規模太陽光発電の事業化が公表されておりますが、まず、その計画の概要についてお伺いさせていただきます。
〇千枝経営企画課長 本計画の概要でございますが、北上市相去町にある県立北上翔南高等学校実習地のうち、実習に使用されていない約3.4ヘクタールを活用して、最大出力1、400キロワット程度の太陽光発電所を設置しようとするものでございます。概算事業費は5億7、300万円で、運転開始は平成26年6月を予定しております。なお、県みずからが設置する太陽光発電としては初めての大規模太陽光発電所、いわゆるメガソーラーでございます。
 発電した電気については、固定価格買取制度を活用しまして、今後定められる平成25年度の買い取り単価の適用により、全量を売電する予定でございます。年間の売電電力量は約132万キロワットアワーと見込んでおりまして、これは一般家庭の390世帯の年間消費電力量に相当する電力量でございます。
〇関根敏伸委員 太陽光発電事業は、今、県内でも随分進んでおります。多くは民間事業者の取り組みということで聞いているわけでございますが、今回、企業局として取り組もうとする意義につきまして、どのように考えているのかお伺いさせていただきます。
〇千枝経営企画課長 企業局が大規模太陽光発電事業に取り組む意義でございますが、県では、岩手県地球温暖化対策実行計画を策定して再生可能エネルギーの導入目標を定めておりまして、目標の達成に向け、県みずから率先して再生可能エネルギー導入の取り組みを進めることとしております。
 企業局では、かねてから地域に賦存するエネルギー資源である水力や風力を活用した電源開発に取り組んできたところでございますが、次期中期経営計画におりましても新規開発を積極的に推進することにしております。
 本事業もその取り組みの一環でございまして、これまで培ってきた知見を生かして県有地を有効活用し、実行計画の目標達成に寄与するものでございます。また、事業の実施に当たりましては、太陽光発電の仕組みや発電の状況などを示した掲示板を設置するなどして、近隣の学校の児童生徒及び県民の皆様に環境学習の機会をあわせて提供していきたいとも考えております。
〇関根敏伸委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 先ほど、五日市王委員の質疑の中で企業局への出資ということに言及されました。公営企業への出資というのはなかなか難しいというお話でございましたが、私も一般質問でこれを取り上げまして、これからさらに普及させていくには、民間あるいは企業局みずからということのほかに、県民が、市民が、住民が一体的にまさに事業者として取り組むという仕組みをつくっていくということが非常に大切だと思います。
 であれば、企業局に参加ということではなくて、企業局がこういうさまざまな新規の発電をいわゆるノウハウとしてしっかりと蓄積して、企業局が仕組みをつくって、それを提案されるということはできるのだろうと思いますので、それは環境生活部なのか、企業局なのかわかりませんが、そういったことをぜひやっていただきたいなと。それも大きな意義だと思っております。
 次に質問させていただきますが、北上市は非常に雪の多い地帯でございます。事業実施に当たっては、当然、積雪対策とか寒冷地対策等々を考えていらっしゃるかと思っておりますが、雪国ならではの課題をどのように克服されようとしているのかお聞かせいただきます。
〇千枝経営企画課長 雪国ならではの課題についてでございますが、まず積雪対策ということがあると思います。今、御紹介のように、北上市内は県内でも雪が多いところでございますが、太陽電池パネル上の雪が確実に落下するように設置角度や構造を工夫することなどにより、また、落下した雪により太陽電池モジュールが埋没することがないように架台の高さを確保するなどして、積雪による出力低下の影響を最小限に抑えるように取り組んでまいりたいと思っております。
 また、寒冷地対策でございますけれども、施工部材等のすき間に入った水の凍結、融解により設備の破損等が懸念されることから、水抜き穴の設置や取りつけ勾配に留意するなど取り組んでまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 わかりました。
 最後の質問になりますけれども、固定価格買取制度につきましては、急激に太陽光の設置が進んだということで、国は逆にこちらにブレーキをかけて、風力であるとか地熱に移行させようという政策判断のようでありますが、単価が引き下げられるという報道が出ております。平成25年度の買い取り単価及び買い取り期間についてお伺いさせていただきますとともに、それを踏まえて、この事業計画の採算性がちょっと変わってくるのではないかと思いますが、どのように捉えているのかお伺いいたします。
〇千枝経営企画課長 平成25年度の固定価格買取制度の買い取り単価及び期間でございますが、平成25年3月11日に、国の機関であります調達価格等算定委員会において、平成25年度の買い取り単価及び期間に関する意見書が取りまとめられ、公表されたところでございます。その意見書では、10キロワット以上の太陽光発電所の買い取り単価は、いわゆるメガソーラーに対応する単価でございますが、1キロワットアワー当たり税込み37.8円、買い取り期間は現在と同じ20年としているところでございます。現状では買い取り価格が40円のところ、37.8円に下がるということでございます。正式な決定は、今後、同委員会の意見を踏まえまして、年度開始前に経済産業大臣が定めることとしております。現在、まだ正式な決定には至っておりません。
 事業採算性についてですが、買い取り単価は、通常要すると認められる費用と適正な利潤に基づいて定めることとされております。意見書によると、今回の買い取り単価の引き下げの理由は、太陽光パネルなどのシステム価格の低下によるものとされているものですから、買い取り単価が低下するものの、建設費用も低下が見込めるということから、採算性は従来の計画とそれほど変わりないということとなっております。
〇工藤勝博委員 私も、第4次中期経営計画について何点かお伺いしたいと思います。
 皆さんの質問も出ましたけれども、企業局は元祖再生可能エネルギーの最先端だろうと思って、日ごろから敬意を表したいと思いますし、また、積極的な中期経営計画を立てたということもかなり評価したいと思います。
 そういう中で、岩手県の電力の自給は3割を下回っているという中で、企業局の皆さんの積極的な経営というのは、今後の岩手県の電力需要に対する大きな力になるだろうと思いますけれども、今後においてどの程度まで自給力を上げようとなされているのかお伺いしたいと思います。
〇千枝経営企画課長 平成23年度末の再生可能エネルギーによる県内電力自給率は20.12%でございます。平成26年度に胆沢第三発電所が運転開始されると、約0.14ポイントの向上が見込まれます。また、同じく平成26年度に運転開始予定の(仮称)北上大規模太陽光発電所では約0.02ポイント、平成29年度に運転開始予定の(仮称)高森高原風力発電所では約0.59ポイントの向上が見込まれます。これらを合わせますと、平成23年度の実績と比較した場合には約0.75ポイントの向上が見込まれると予想しております。
〇工藤勝博委員 再生可能エネルギーの国の制度設計もありながら、かなり各地でふえておりますけれども、実際、数字的にあらわされてみますと、大したポイントにはならないなという思いがありますけれども、いずれ、今後の電力需要に関してはやっぱり努力していただきたいと思います。
 公営企業で企業局は経営も大変順調だと思いますけれども、老朽化した施設も大分見えているということで、修繕費で80億円の予定もなされております。当然、計画的にやらなければならないと思いますけれども、2年前の大震災とか、いろんな状況の中で、耐震化とかいろんな部分はあると思いますけれども、修繕費が経営に及ぼす影響というのはどういうところなのでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 修繕費などの事業費の内容についてでございますけれども、第4次中期経営計画においては、引き続き電力や工業用水の安定供給を行うため、老朽化が進んだ施設については計画的に修繕や改良、更新工事を実施しまして、施設の長寿命化や耐震化を図っていくこととしております。
 具体的には、電気事業につきましては、今後3年間で、改良費で約30億円、修繕費で約31億円の合計61億円を予定しておりまして、主な事業としては、仙人発電所の1・2号調速基盤改良ほか工事、四十四田発電所の水車発電機分解点検補修工事などを計画しております。また、工業用水道事業につきましては、今後3年間で、改良費約19億円、修繕費約3億円の計22億円を計上しておりまして、主な事業としては、北上ろ過施設の高圧受電盤設備更新工事や第一北上中部工業用水道施設の配管耐震化事業などを計画しております。
 これらは大分金額は大きいですけれども、電気事業の場合は、修繕費につきましてはあらかじめ電気料金に織り込んでいる、あるいは工業用水道につきましても、先般、料金の改定をやりましたけれども、そういった原価計算の中に織り込んでおりまして、また、資本的支出になる改良工事につきましても、今後の経営の見通しにつきまして10年ほど先を見ておりますけれども、十分黒字でやっていけるという見通しをしております。
〇工藤勝博委員 わかりました。
 最後に、今、国でも電力システムの改革ということで大変論議になって、2月下旬にはその方針というのが決定なされたようです。近いうちといいますか、ここ三、四年の間に、電力の自由化あるいはまた送配電の規制解除といいますか、託送料金の規制等が変わるということもなされております。そういうことに対する企業局の電力事業としての対応というのはどのようにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
〇千枝経営企画課長 電力の自由化や発送電分離などの電力システム改革につきましては、経済産業省が所管する電力システム改革専門委員会において議論されてきたところでございまして、今、委員御案内のとおり、今般、安定的な電力供給の実現を選択や競争により目指すというような報告書がまとめられて、平成25年2月15日に公表されたとおりでございます。
 具体的には、電力の小売の全面自由化や送配電の広域化、中立化、市場機能の活用などを段階的に進めることとされているものです。このうち、企業局の経営に最も影響を及ぼすものは、企業局は卸供給事業者でございますので、卸規制の撤廃といったものがあると承知しております。
 今後、国において、この報告書を踏まえた制度設計が具体的に進められると承知しておりますが、現在のところ、詳細については不明でございますので、国の制度設計の検討状況を注視ながら情報収集を行い、適切に対応してまいりたいと思っております。
〇工藤勝博委員 電力も地産地消が県内で賄えるような取り組みをぜひお願いして、質問を終わりたいと思います。
〇軽石義則委員 電源開発に係る事業概要について質問させていただきます。
 先ほど、五日市委員のほうからも高森高原風力発電に関するスケジュール等を含めて質問されておりますけれども、その中で、私は環境影響評価について質問させていただきます。
 事業内容全体を見ますと、平成25年から平成27年まで債務負担全体額で1億2、447万円余という計画のようでございますが、その内容について、具体的内容を示していただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 高森高原風力発電所の環境影響評価法に伴う調査についてでございますけれども、その中身としては、今後、動植物、騒音、景観などに関する現地の調査、あるいは方法書の次のステップとなる準備書あるいは評価書の作成を行う業務、これは委託を考えてございますが、さらには発電所の基本設計業務の発注も考えてございます。
〇軽石義則委員 環境影響については、やはり事業を進める上でもかなり重要なポイントだと思っておりますし、それをしっかりしなければ、その事業の成功というものにも結びついていかないというこれまでの経験もあると思います。
 そういう意味で、環境調査をする地理的範囲はどのような、例えば風車を建てる範囲なのか、それとも系統接続点までの範囲を調査するのか示していただきたいと思います。
〇榎電気課長 環境影響評価を実施する範囲ですけれども、現在、高森高原で計画している地点は、一戸町の鳥海牧野の農地の中で計画しておりまして、風車を建てる計画地点のみの範囲が環境影響評価の対象になってございます。
〇軽石義則委員 その影響評価の結果というのは、調べてみなければわからないことも多くあると思いますけれども、その結果によって、風力発電事業に影響が出てくるということは想定されているのかどうかをお聞きいたします。
〇榎電気課長 以前、平成14年度から平成17年度ごろでしたか、最初に高森高原の計画をしたときに、一応、簡易的な環境影響調査を実施してございます。その段階では、猛禽類に関しても問題になるものはないだろうということで東北電力に発電計画を申し込んだこともございますので、現段階では、環境影響評価によって事業が断念することはないのではないかと考えておりますが、現実には、前回の簡易な環境影響評価を実施してから4年近い年月が過ぎておりますので、特に猛禽類とかに関しては状況がまた変わっているのではないかと思いますので、その結果を踏まえて、改めて採算性を確認する必要があると考えております。
〇軽石義則委員 調査の結果の取り扱いというのも、非常に厳密に取り扱わなければならないことになっているとお聞きしておりますので、そういう意味では、全て情報公開できるものでもないというところもあると聞いております。それらの調査結果の扱いについてはどのように考えているのかお示し願いたいと思います。
〇榎電気課長 調査結果については、住民説明会も必要ですけれども、なおかつ、これから実際に現況調査をしまして、次に準備書というものを作成しますが、これは国に届け出をしまして、その結果について国から答申を受けて、次の段階の評価書を作成して、この評価書も住民説明会を行い、その評価書の結果を国にやはり届け出しまして勧告を受けると。データ、評価の結果については全てオープンにされるというものになってございます。
 ただ、猛禽類などの貴重種については一般には公表しないと。国のほうで審査する顧問委員会というものがございまして、そういう委員会の方々のみに提示して、貴重な動植物に関する情報については一般には公開しないということになっております。
〇軽石義則委員 しっかり環境の影響評価をして、できない部分はできないとしても、地域の皆さんにも理解を得るための努力というものは必要だと思いますので、その点についてはよろしくお願いいたします。
 次に、電源開発の上ではやはり安定的供給ができるエネルギー源を必要とすると思います。それは水力であり、地熱もその一つだと思っておりますけれども、地熱発電の電源開発について、現段階で取り組む方向性とか考え方があればお示し願いたいと思います。
〇千枝経営企画課長 地熱発電につきましては、調査地点の選定や地熱エネルギーの賦存量の調査などから始まり、発電所の運転に至るまで、独自のノウハウや専門技術の蓄積が必要とされているものでございます。また、調査から運転開始まで10年以上の期間と多額の初期投資が必要とされているものでございます。
 こうしたことから、地熱電源の開発は電力会社を中心とした民間企業によって取り組まれているところでございまして、岩手県内でも八幡平周辺において複数の民間事業者が長期間にわたって調査、開発に向けた取り組みを既に進めているところでございます。
 企業局では、従来から実績のある水力、風力に加え、太陽光発電に新たに着手するところでございまして、第4次中期経営計画においても、この三つの新規開発を積極的に推進するところでございます。胆沢第三発電所や(仮称)高森高原風力発電所の建設は多額の資金が必要な大規模な投資となるものでございますから、水力、風力、太陽光の新規開発に全力で取り組んでいくこととしております。
〇斉藤信委員 最初に、稲庭高原風力発電についてお聞きします。
 稲庭高原の場合、今、固定価格買取制度で黒字に転換するという話がありました。これまでの累積赤字と、今度の固定価格買取制度で来年の事業計画を見ると、来年も黒字と見込まれていましたが、どの時点で黒字に転換するのか、これを示していただきたい。
 二つ目に、高森高原の風力発電でありますけれども、今も環境調査の内容が議論されておりました。平成14年度から平成17年度にかけて行われた、これは簡易の環境調査だと思いますけれども、昨年の決算特別委員会でお聞きしたときには、ノスリ、クマタカの生息も指摘されておりました。以前行われた環境調査の内容をもう少し詳しく報告していただきたい。
〇榎電気課長 稲庭高原風力発電所の経営の状況ですけれども、現段階で黒字になると見込んでおりますのは、平成27年度ごろから黒字になるのではないかと見込んでおります。
 次に、高森高原風力発電所地点で、以前、平成14年度から平成17年度まで猛禽類調査を実施しておりますけれども、その当時、ノスリやクマタカ等が見られたというお答えをしておりましたけれども、ほかにハイタカ、オオタカの飛来が確認されております。また、クマタカについては、高森高原地点の北西側の二戸市側のほうにクマタカが生息している可能性があると報告されております。
〇斉藤信委員 以前の環境調査では、ノスリの営巣、繁殖がほぼ確実と。クマタカの生息の可能性もあるということでありました。環境アセスメントでかなり正確な調査が行われると思いますので、これはひとつ慎重にやっていただきたい。風力発電そのものは積極的な取り組みなので、これは指摘だけにとどめておきます。
 次に、北上市の太陽光発電なんですけれども、来年度の予算には3億5、439万円余計上されて、これは土地取得と発電施設の整備となっていますが、この内訳を示していただきたい。用地費が幾らで、来年度盛り込まれている工事費はどういうものなのか。総額5億7、300万円ですから、来年度措置するものがどういうものなのか。
 あわせて、これは、例えば20年なら20年のいわば収支見通しというのはどうなっているのか。太陽光パネルというのは耐用年数はどのぐらいで皆さんが積算しているか、これも含めて示していただきたい。
 あわせて、恐らく北上市で整備する場合には、土台を1メートルぐらい上げなくちゃならぬじゃないかと思っているんですが、そこらの今の基本構想の段階での北上市の太陽光発電の状況を示していただきたい。
〇千枝経営企画課長 事業費の内訳ですけれども、ごく大ざっぱになってしまいますが、用地費は200万円程度(後刻「547万円余」と訂正)でございます。あとは、供給先である東北電力の配電線につなぐといったような経費として2、000万円程度を見込んでございます。そのほかは工事にかかる経費でございまして、ことしに発注しまして、プロポーザル方式でやりますので、工期とか何とかは、また業者からの提案の内容で変わってくることもあると思いますが、ことしは工場製作とか設計ということで、来年に入りまして現地の据えつけを考えております。
 太陽光パネル自体の耐久性というものは20年以上あるものと思っております。ただ、直流で発電したものを交流に変換しないと東北電力の配電線につなげないものですから、そういったものにつきましては15年程度だと言われています。これもメーカーによってさまざまあると思いますので、そういったことにつきましては、プロポーザル方式で業者から提案いただいた中で、総合的に経済性が最もメリットを発揮するものについて採用していくということを検討していきたいと思っております。
 土台につきましては、今現在、30キロワットの太陽光ですが、北上工業用水道に設置してございます。それは、事業用ではなくて所内の電力を賄っているものでございますが、そこの土台の高さが、ちょっとうろ覚えですが、1.2メートル程度で、冬の期間中はそれでも1週間程度も発電しないということもないので、数日はちょっと発電しないこともありますが、1.2メートルとか、それ以上確保できれば事業的には問題ないのではないかと今現在は考えております。
 収支見通しですが、投資資金の回収につきましては、おおむね十四、五年程度たつと回収できるのではないかと試算しております。
〇斉藤信委員 簗川ダムでの水力発電計画というのが出されて驚いているんですけれども、これは一度撤退した経緯があります。簗川ダムそのものは、また5年ごとに大規模事業評価があって、道路が通った段階で、抜本的にこのダムそのものの必要性は見直されるべきものだと私は考えていますが、一度撤退したものを、なぜまたやるのか。
 もう一つは、今までのダム負担金、そして、これから参加するとした場合に、どれだけのダム負担金と事業費が必要になるのか、それを示していただきたい。
〇菅峨業務課総括課長 簗川ダムにつきましては、平成5年3月に簗川ダム建設事業に関する基本協定を締結しまして、一度は発電の計画を進めてきたわけですけれども、平成15年9月に、当時の電力小売の部分自由化による競争激化が予想される中で、ダム完成までに相当の期間がある簗川については、東北電力より開発同意が得られる見込みがないということで撤退しております。これが、最近、国のダムの検証委員会でも、開発を進めることに特に問題ないということを出されましたので、エネルギーの有効活用ということから再度参加を決めたものでございます─参加といいますか、事業化の可能性があるということで、参加したいということにしております。また、その当時とは今の電力需給についても大分変わってきておりますので、そういったことでございます。
 それから、ダム負担金についてでございますけれども、これは、前回参加したときは大体5、200万円ほど負担しております。このダム負担金の扱いにつきましては、当時は既に返ってきませんでしたので、今後、ダム事業者─県土整備部と協議する段階においては、過去に負担したものにつきましてはそのまま生きるのではないか、負担が少なくなるのではないかと考えております。
〇千枝経営企画課長 先ほど、斉藤委員への御答弁で、土地購入費について誤っておりましたので、訂正させていただきます。547万円余を見込んでございます。200万円ということを申し上げましたが、547万円余というところでございます。
〇斉藤信委員 それで、例えば簗川ダムに改めて水力発電開発をするといった場合に、ダム負担金の総額は幾らになるのか、これからどのぐらいの負担が求められるのか。それと、水力発電の開発事業費はどうなるのか。大規模事業評価は5年ごとですが、恐らく来年、再来年ぐらいでまた大規模事業評価になるんじゃないでしょうか、このダム建設事業が。それはどういうふうに見ていますか。
〇菅峨業務課総括課長 今回の簗川発電に係る概算事業費でございますけれども、大体13億円ほどを見込んでおります。ただ、ダム負担金につきましては、今後、県土整備部のほうと協議して決まるということになると思われますので、今は、概算金額としてはちょっとお答えはできないというところでございます。(斉藤信委員「大規模事業評価の時期はわからないの」と呼ぶ)
〇菅峨業務課総括課長(続) 大規模事業評価、再評価については、まだ向こうのほうと協議しておりませんので、これからどうなるか、ちょっとわからないところでございます。
〇斉藤信委員 簗川ダムについては、ダムそのもののあり方が問われる問題ですから、ぜひ慎重に対応していただきたい。
 最後です。工業用水道事業についてお聞きします。
 現在、半導体関係が全体として低迷しています。これが工業用水にどういう影響があるのか。来年度の事業計画は今年度と比べて変わっているのか、変わってないのか。
 もう一つは、富士通がデンソーに移管されました。その影響というのがあるのかないのか、今後の見通しを含めて示していただきたい。
〇菅峨業務課総括課長 工業用水道を使う半導体関係の水の使用状況についてでございますけれども、平成25年2月末現在、工業用水道全体では対前年度比94.3%の使用でございますけれども、うち半導体につきましては対前年度比91.9%で、やや下回っております。
 今後の経営に与える影響についてでございますけれども、工業用水道料金の基本料金は2部制になっていまして、基本料金部分というのは責任水量制でありますので、実使用水量の変動が多少あっても、経営全体には大きな影響は与えないと考えております。
 それから、富士通セミコンダクターからデンソーへ移管されたことについての影響でございますけれども、契約先としましては株式会社富士通ファシリテイーズ・エンジニアリングからデンソーなり富士通セミコンダクターに水を供給しておりましたので、この契約自体は今でも変わりませんので、今のところ、そういった契約が継続すれば、経営への影響はないと考えております。
〇斉藤信委員 一つだけ確認して、終わります。
 半導体が使用水量で91.9%と。だから、これは来年度、今年度と比べて責任水量で変わりがないのかと。
 もう一つは、デンソーに変わったんですけれども、使用水量に変化はないのかという、この2点を確認して、終わります。
〇菅峨業務課総括課長 半導体関連の先ほどの実際の水の使用状況の九十数%と申しますのは、実際に使った水に対しての割合ですので、これは、来年も現在と同じような景気といいますか、そういったものが続けば同じぐらいになるでしょうし、景気がよくなれば多少は上がってくるというようなこともあるかもしれません。これは、計画とは言いましても、実際に企業がどの程度使うかということなので、一応、計画ということで予想はしておりますけれども、なかなかそこまではっきり見通しはつけられないということでございます。
 それから、デンソーにつきましても、実際の今の契約水量は変わりませんので、代金も来年度もまた同じような契約になると考えてございます。
〇小泉光男委員 私も、企業局がこれから第4次中期経営計画で取り組もうとしている再生可能エネルギー、わけても風力発電で一戸町に115億円というありがたい計画が発表されていますので、五日市委員、関根委員あるいは軽石委員などもお聞きしましたが、私が認識していることとちょっと違う回答があったやに感じる部分がありますので、確認も含めて質問をさせていただきたいと思います。三、四点になるかと思います。
 一つは、私はここに、企業局の業務課がつくった大規模施設の整備事業事前評価調書というもののコピーを頂戴して、これを見ての御質問になるわけですけれども、まず、ここで挙げている事業の目的という部分を改めて確認したいと思います。
〇榎電気課長 事業の目的でございますけれども、岩手県がみずから率先して再生エネルギーの導入に取り組むこととしておりますので、地方公営企業として電気事業を運営している企業局としては、既に稲庭高原で風力発電を行っておりますので、その知見を生かしまして大規模風力発電を実施するものでございます。電力自給率の向上と、県と国の二酸化炭素の削減に貢献して、地域社会に貢献できるのではないかと考えてございます。
〇小泉光男委員 今、話されましたように、地域社会の発展とはっきり書いています。地域社会の発展にも資するためにつくるんだと。それで、五日市委員が、事業主体として共同出資は考えていませんかというような聞き方をしたんです。それに対しては、いや、考えていないと。これまでに例がないという言い方をしましたけれども、同じこの補足資料で、山形県酒田市の十里塚では、山形県と酒田市と共同で出資して、総出力1万3、800キロワットの風力発電を計画しているという部分が皆様が出した資料にあるんですけれども、そういった意味では、先ほどの説明と違うんじゃないでしょうか。
〇榎電気課長 山形県の1万3、800キロワットの計画は、あくまでも山形県と酒田市がそれぞれ別々の事業者として計画しているものでございます。共同で事業を行うものではございません。
〇小泉光男委員 今まで県は、企業局しかできないんだと。一戸町とか民間はできないんだという理由としして、あそこは第一種農地であり、農地転用が10ヘクタール以上で実際できないから、できるのは公営企業体に限られるんだというような説明をしてきたと理解してはいますが、そういう説明はしてなかったでしょうか。
〇榎電気課長 議会の答弁等については、農地の関係ではお答えしてなかったかと思います。確かにあの地点は第一種農地でございまして、第一種農地の農地転用はほとんど不可能という現状でございます。ただ、県が行う場合は農地転用の手続が要らないと法律上なってございまして、そういうことで、企業局が県としてあそこの地点農地で風力発電を行うことが可能だということでございます。
〇小泉光男委員 第一種農地は優良農地で、企業局以外は手を出せないということでしたけれども、私は、ここに来るまでに農林水産部にも確認をしてきました。結局、あそこは優良農地とか言いますけれども、牧草地です。それも、例の放射能の汚染で隣の宇別牧場が規制値を越えるセシウムが出て、放牧後、牧草地の刈り取りもできないわけです。その隣接している高森高原のここの鳥海牧野が優良牧地というような認識をする企業局の考え方がいささかわからないというのと、別に農林水産省は、耕作放棄地なども含めて、こういう再生エネルギーの有効活用のために規制緩和をしていくという形でのニュースを取り上げているわけです。そういった意味では、この高森こそ、地域社会の振興に資するために、第一種農地であれ何であれ、ぜひ企業局とともに別な第三者が共同体出資をして、新たなスキーム、これからの21世紀型岩手県企業局の再生可能エネルギーに取り組む姿勢をここでやろうじゃないかというような発想に変えるべきではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
〇榎電気課長 まず、まだ農地法は改正されておりませんので、現実問題として、高森高原の牧野の中で風力発電を行おうとすると、国または県でないと風力発電事業ができない、農地転用が認められないという現状になってございます。ですので、私どもとしては、いわゆる県としての企業局があの地点で一番適した事業者、あの農地の中で事業を行う場合は、岩手県である企業局が事業を行うのが最適であると考えてございます。
〇小泉光男委員 わかりました。そうするとまた環境アセスメントに2年かかる。その後、工事の着手から具体的に運用するのが平成28年、平成29年という4年越しぐらい先ですので、その間にこういう農地法の改正とか、あるいは環境も変わる場合には、企業局のほかに地元の自治体なども加えて運営をしていくというのも考えてほしいという要望で第1点は終わります。
 二つ目に、この事前評価書の中に、地元自治体への波及効果も期待できるということですが、具体的にどういう名目で地元自治体に波及効果があるという考えなのか、お聞かせください。
〇榎電気課長 地元自治体への波及効果でございますが、一つは固定資産税に相当する市町村交付金、これが約10億円と見込まれてございます。地元の一戸町では、これを活用することができるのではないかと考えてございます。
 それから、稲庭高原のほうでございますけれども、3基ございますが、1基のところには、地元の人々が風車の近くまで行けるように、道路というか歩道を整備してございます。ちょっと数字は覚えてございませんが、かなりの観光客が現地に見られていると。あの近くに温泉がございまして、そこから歩いていったりしていると二戸市から聞いてございます。そういう意味で考えますと、高森高原においても施設のそばまで行けるように整備して、観光客なり見学者なりが現地に行きやすいようにすることで、地元にそれなりの貢献ができるのではないかと考えてございます。
 それから、風車自体はメーカーがつくる技術の塊で、なかなか地元の企業が整備とか点検というのは不可能かとは思いますが、例えば稲庭高原においても、除雪とか設備の簡易な点検は地元の業者に発注しておりますので、高森高原においても、そのようなことができるのではないかと考えてございます。
〇小泉光男委員 最後の質問にします。いろいろとお聞きしたかったんですけれども、時間もあれですから。
 それで、私、一番心配しているのは、買い取り価格でございます。今回、この高森の事前評価書では、1キロワット19円で買い取ってくれるだろうということを想定して計画を立てているみたいですけれども、御案内のとおり、太陽光発電も申し込みがだんだんふえてきて、もういっぱいだから下げつつありますよね。風力についても、これから一斉に全国、陸上それから洋上、岩手県でも洋野町それから釜石市と遠野市の境界に民間企業が立てていくということですから、風力発電についても買い取り価格を引き下げていくことになりはせんかという懸念。
 具体的に、去年の4月17日付の経済教室での大橋東大教授の論文によると、再生エネルギー発電事業者に対し、毎年事業収支報告書を義務づけて、それに基づいて買い取り価格を改定することは検討に値するとでもいうか、しなければならないというような書き方をしているんですね。ですから、今19円で買い取る。これから環境評価に入って四、五年後に工事が始まりますといったときに、いや、実は19円で買い取らないんだと。15円にしてくれ、13円にしてくれというようになったときに、中止も含めて後戻りはしないんだろうと思いますけれども、そういったようなことも想定してこの115億円という、私にとってありがたい価格ですけれども、そういった部分をお考えなのか、企業局の考えをお聞かせいただいて終わります。
〇榎電気課長 たしか固定価格買取制度では、毎年実績をもとに価格を国で見直していくということで、太陽光は、来年度、たしか現在42円が38円50銭(後刻「37円80銭」に訂正)に下がると報告されております。ただ、風力については導入実績がないということで、現在の価格22円がそのまま来年度引き継ぐと報道発表されてございます。ただ、風力発電については、固定価格買取制度で当初の3年間は特別な利益を付与すると。プレミアム価格─済みません。太陽光は来年度税込みで37円80銭でした。失礼しました。─固定価格買取制度は、平成24年度から始まりましたけれども、法律の中で最初の3年間だけは特別な利益を付与すると。プレミアム価格と言っておりますが、それを付け加えるとなってございますので、稲庭高原風力発電が環境影響調査を終えて国の設備認定を受ける時期としては、この3年間を過ぎる予定になってございますので、それで一応22円が19円になるだろうということで試算したものでございます。ですので、環境影響調査を実施して、その次の段階で設備認定というのを国に申請いたします。そのときの年度の単価が適用されますので、そのときの単価が今想定しています19円より安くなれば、例えば18円になりますと─実は20年間の運転で19億円の収益を考えてございますが─これが18円になりますと、収支が利益損失で約9億円になります。10億円下がります。ですので、17円になりますと、現在の計画では、事業としては採算が見込まれないという状況になります。ですので、採算の見込まれない事業を実施するのは難しいのではないかと考えてございます。
〇小泉光男委員 そうしますと、環境アセスメント評価が無事に通過して、よし、これで行こうといったときに、国で風力発電についての大型の買い取りは1キロワット15円にしますと言ったときには、この計画の中止はあり得るということでございますか。
〇青木企業局長 ただいまの御質問でございますが、現在の単価は税抜きの22円、御説明申し上げたとおりです。最初の3年間はプレミアムがついて、内部収益率8%高く設定をしている。3年経過後には、それが6%程度まで下がるのではないかと言われております。具体的にどうなるかわかりません。言われておりますので、そういったことを見込んで、将来の単価設定をこちらで想定をして設定しているということでございますが、風力発電につきましては太陽光発電と違いまして、いわゆる量産効果というものについては余り期待できないのではないかと私どもは考えております。
 一つ、そういうことがございますので、毎年のように単価が下がっていくということは、風力発電についてはないだろうと一応見込みを立てているということがございます。
 それからもう一点は、先ほど来出ておりますが、環境アセスメントの問題ですが、環境アセスメントが昨年10月から1万キロワット以上が義務化になりました。ということは、大半の事業は全部それにひっかかるということで、3年ないし4年後にならないと、実際の事業化にならないということが大勢の流れでございますので、その時点においてはある程度の単価の動きはあるかもしれませんが、私ども、その先端で取り組み開始をしていきたいということで今動いておりますので、少数的に、早い段階で事業化に取り組んでいる事業が来年、再来年以降、少しずつ出てくるという状況がございますが、大きな事業については、大半の事業者を含めて3年後、4年後、具体的に動きが出てくるということで、それは私どももその事業者も、皆同じ条件のもとで今事業を進めて、計画を進めているという状況でございまして、今の時点では、そんなに大きな量産化等による単価の減というのは見込まれないだろうということで、3年経過後の下がる分をかたく見積もって推進の見通しを立てているという状況でございます。
〇高橋元委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時24分 散 会

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