平成25年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成25年3月8日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査    村 上   聡
  主査    藤 澤 壮 仁
  主査    藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    上 野 善 晴
  副知事    千 葉 茂 樹

  秘書広報室長   稲 葉 比呂子
  首席調査監    杉 村   孝

  政策地域部長   中 村 一 郎
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長  木 村 卓 也
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長  佐々木 幸 弘
  政策監兼
  ILC推進監   保   和 衛
  市町村課総括課長 紺 野 由 夫

  環境生活企画室
  企画課長    伊 勢   貴


  保健福祉企画室
  企画課長    高 橋 勝 重

  商工企画室
  企画課長    木 村   久

  農林水産企画室
  企画課長    高 橋 昭 雄

  県土整備企画室
  企画課長    及 川   朗

  理事兼復興局
  副局長    高前田 寿 幸
  復興担当技監   蓮 見 有 敏
  復興局企画課
  総括課長    森   達 也

  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃

  議会事務局長   小 原 敏 文
  事務局次長    及 川 伸 一
  総務課総括課長  高 坂 一 彦
  政務調査課長   安 部 光 一

  総務部長    加 藤 主 税
  副部長兼総務室長 根 子 忠 美
  総合防災室長   小 山 雄 士
  総務室管理課長  清 水 一 夫
  入札課長    田 中 耕 平
  放射線影響対策
  課長    渡 辺 英 浩
  人事課総括課長  堀 江   淳
  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
  法務学事課
  総括課長    大 槻 英 毅
  私学・情報
  公開課長    岡 崎 幸 治
  行政情報化
  推進課長    菅 野 義 克
  税務課総括課長  永 田   茂
  管財課総括課長  新 屋 浩 二
  防災危機管理監  會 川 雅 行
  防災消防課長   小 畑   真
  総務事務
  センター所長   佐 藤 応 子
〇高橋元委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第25号から議案第28号まで、議案第35号、議案第37号、議案第38号及び議案第90号の以上28件を一括議題といたします。
 本日は、昨日に引き続き総括質疑を行った後、議会、総務部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 これより、昨日に引き続き総括説明に対する総括質疑を行います。木村幸弘委員。
   〔木村幸弘委員質問者席に着く〕
〇木村幸弘委員 社民党の木村幸弘でございます。限られた時間でございますので、早速、通告に従いまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、国の経済対策についてお伺いいたします。
 安倍総理が日本の強い経済の再生とデフレ経済からの脱却という目的を掲げて、いわゆるアベノミクスと言われる大胆な金融緩和、機動的な財政出動、そして投資を喚起する成長戦略という3本柱を打ち出しました。こうした国の経済政策に呼応するかのように、市場は株高、円安へと反応し、あたかもアベノミクスは成功に向かっているかのような評価となっています。内閣の支持率を押し上げる要因ともなっているわけであります。しかし、現実に目を向けますと、我が国経済がデフレから脱却したわけでもなく、国民生活が改善したわけでもありません。まさしく、全てはこれからの動向にかかっているわけであります。
 そこで、こうした情勢も踏まえて、この経済政策の期待感、そして危うさの二面性について、知事の御所見をお伺いいたします。また、知事は、デフレ脱却の真のポイントをどう捉えているのかお伺いいたします。
〇達増知事 安倍政権の経済財政政策についてでありますが、これまで政府には、東日本大震災津波からの復興を進め、強い地方経済に支えられた強い日本経済を実現していくため、思い切った財政出動と内需拡大型の構造改革に取り組む必要があることを訴えてまいりました。その意味で、安倍政権の取り組みについては一定の評価をしております。
 いわゆるアベノミクスの3本の矢が日本経済の真の再生に結びつくためには、小泉政権のときのような地方切り捨て型ではなく、地方経済が主役となるような内需拡大につながっていくことが重要であり、被災地における中小企業の再生や持続的な地域産業の成長等が図られるようにしていく必要があると思います。
 また、日本経済がデフレに陥っている原因は、基本的に、国内経済において、供給に対して需要が不足している需給ギャップの存在が大きな原因と考えられますので、やはり内需拡大型の経済財政政策を力強く推進していく必要があると考えます。
〇木村幸弘委員 今、御答弁をいただいたポイントといいますか、経済政策の中で期待すべき課題をお答えいただいたわけですが、その中で、何といっても言われているのは個人所得の引き上げ、そして、今、御答弁いただいた内需拡大への連動、その背景には、しっかりとした雇用の安定化というものが今回の経済対策の中で波及されることが重要であると思っております。
 知事として、この国の対策に対して、地方の立場あるいは被災地の視点という観点から言えば、この経済政策に具体的に何を期待し望むのか、改めて御所見をお伺いします。
〇達増知事 国には、日本全体の将来を見据えた国家プロジェクトとして復興を加速し、地域の実情を踏まえた効果的な経済政策を復興施策と一体的に切れ目なく実施していくことを期待します。
 具体的には、経済対策を通じて、発災以前から本県において取り組んできたように地域資源を発掘し、磨き上げ、高付加価値化を生み出す地域に根差した振興策をさらに充実させることによって東日本大震災津波からの復興を加速させ、本県経済の再生と力強い成長につながるようにし、そして、岩手においては、岩手県民一人一人がともに支え合いながら生き生きと働き、安心して暮らしていくことができる社会の実現に資するということを期待しています。
〇木村幸弘委員 そこで、本県の今後の経済対応へということになるわけですが、新年度の予算の中で、県税収入見込みについて、平成24年度当初対比、90億8、900万円、9%増の1、100億900万円として、震災復興特需に伴う建設業の業績アップや雇用状況の好転などを背景にして、個人県民税と法人事業税の大幅な増収を見込んでおります。つまり被災地の特需を全県的に当て込んだ考え方によって増収を見込んでいるとも言えるわけですが、本県では、国の経済政策について、その波及が期待される本県の雇用の安定と県民の可処分所得の増加について、全県という観点と、被災地沿岸部の効果の関係をどう捉えて本県の経済対策の取り組みとするのかお伺いいたします。
〇中村政策地域部長 雇用の安定と可処分所得の増についてでございます。
 県におきましては、今般の国の緊急経済対策等によりまして、復興、防災対策でありますとか、成長による富の創出等を図る観点から、被災地における社会インフラの整備や緊急的な雇用機会の創出、農業生産基盤の整備等を進めることとしてございます。
 これらの事業は、現場のニーズが高いものであるとともに、公共事業等による財政支出の拡大で即効性が期待できるものでございますが、長期的な雇用や所得増の面での効果は限定的なものであると考えてございます。
 そのため、これらの取り組みとあわせまして、これまで進めております中小企業や漁業の再建支援など、中長期的に被災地の経済を活性化させていく取り組みのほか、県の平成25年度予算における自動車産業の振興、農業所得の向上、再生可能エネルギー導入促進など、県民所得向上に資する幅広い施策によりまして、内陸地域の活力が沿岸地域の復興も支えるということにも十分配慮しながら、沿岸地域の取り組み、また、内陸地域の取り組みがそれぞれお互いに効果が波及していくような取り組みをしていきまして、県全体としての経済活性化につなげてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 そういう考え方が大変重要だと思いますが、いずれにしても、新年度予算に向けた県税収入見込みの考え方は、復興特需を当てにした一過性のものだと思わざるを得ません。こうした状況をいつまでも頼るのではなくて、ある意味では、逆にこの状況を生かしていくという考え方に立って、本県の具体的な経済、雇用対策を確立する必要があると思います。
 そういう意味で、知事は、この間、本県の経済成長率あるいは県内総生産目標、1人当たり県民所得向上等の対策を進めてきているわけでありますが、今日のいわて県民計画の重点政策推進目標として位置づけられた県民所得目標の考え方を、復興の先を見据えた、いわゆるあるべき岩手の未来の創造の方向へと具体的に導くような計画をしっかりと示していく必要があると思いますけれども、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 県の復興計画と希望郷いわて、いわて県民計画を合わせてまいりますと、21世紀のグローバル時代、情報化社会にふさわしいような1次産業のあり方、2次産業のあり方、そして観光を初めとする第3次産業のあり方、それぞれを追求するような計画になっておりまして、それは、今この瞬間、いわゆる復興特需的な、復興に直接かかわる雇用というのは、これはこれで被災地が復旧、復興していくためになくてはならない復興の土台となるわけでありますけれども、それだけではなくて、21世紀、我々の子供や孫の時代にも、岩手が暮らしやすい、学びやすい、そして働きやすい県になっていくような計画としておりますので、これを推進していくことが肝要と存じております。
〇木村幸弘委員 そのとおりなんですが、その方向の中で、県民計画の中に記されている政策推進目標の県民所得の向上というのも、県民にこれから一つの展望を示す意味において重要ではないかと思っておりまして、目標の設定の仕方として、国民所得水準との乖離を縮小という表現にとどめているわけであります。そうした考え方を、最初から何か言いわけめいたような目標設定にしているのではなくて、県民所得の分配増加率の実態がもう一方であるわけですけれども、平成13年度以降、平成19年度の分だけを除きますと、実質的に雇用者報酬はマイナスになっている。一方で、企業所得については、平成17年度、平成19年度、平成20年度の3カ年以外は増加しているという実態があります。
 改めて、雇用者報酬への適切な分配が本県でも今まさに求められているのではないかと思うわけであります。そのために、所得の底上げにつながるような具体的な取り組みとして、最低賃金への対応や、あるいは公契約条例の取り組みを推進する。さらには、先ほど御答弁いただいた、まさに中小企業の支援策の強化や、自動車産業を含めた岩手の産業技術力を活用したものづくりの成長産業をそれぞれの分野で具体的に推進していく。そうした中で、総生産力や経済成長率の向上といったものに重要な政策をしっかりと位置づけて、県民にその発信力としての考え方を示していくべきではないかと思いますけれども、改めて、その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 それはそのとおりでございまして、県の復興計画やいわて県民計画もそのような内容になっていると思います。
〇木村幸弘委員 ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
 次に、地方交付税にかかわる問題についてであります。
 知事演述の中で、今回の地方交付税の対応について、国の平成25年度予算案において地方交付税などの地方一般財源総額は確保されたものの、地方と十分協議しないまま、地方公務員給与の減額を前提に地方交付税が削減されており、このことは地方の行政改革への理解が不十分な、地方自治の根幹にかかわる大きな問題と捉えていますと述べました。
 知事の述べた、理解が不十分、地方自治の根幹にかかわる大きな問題という認識について、改めて知事の具体的な真意をお伺いいたします。
〇達増知事 地方6団体の共同声明でも触れられているんですが、本県もでありますけれども、地方は、職員定数の削減など、この10年余り、国をはるかに上回る行財政改革の努力を行っています。これを適切に評価しているとは言いがたいので、理解が不十分と述べました。
 また、地方公務員の給与は、議会や住民の意思に基づいて、それぞれの地方公共団体が自主的に決定すべきものでありますので、地方自治の根幹にかかわるものと述べたものであります。
〇木村幸弘委員 そこで、具体的にもう少しお伺いしたいのですが、一般質問で久保議員の質問に対して知事からは、今後の国との対峙の関係については理論武装をしっかりと行って対応してまいりたいという御答弁をいただいております。具体的に理論武装という御答弁の中身について、今おっしゃった観点とあわせながら、どのような考え方をしっかりと国に訴えていくつもりなのか、改めてお伺いします。
〇達増知事 やはり地方固有の財源である地方交付税を、国の政策目的を達成するための手段として用いるということが問題だと思いますので、そのところをきちっと明らかにしていかなければならないと思っています。
〇木村幸弘委員 わかりました。いずれ、私どもの認識としても、今、知事がイメージの中で考えている国との関係においては、三つの点について、あえて私も指摘しておきたいし、それは地方自治法上の問題としては、分権一括法に基づいて国と地方は対等な関係であるはずなのに、このような措置が行われることがまず問題であるということを指摘したい。
 それから、地方交付税法上の問題では、今おっしゃった地方の固有の財源にまさに手を突っ込んできたという意味においては、これも非常に許しがたい。
 もう一つは、地方公務員法上の問題点として、本来、もともと国家公務員給与削減と公務員制度改革法の成立の中で、労使合意が前提にあって、そのことが今回の問題の前提にあるわけですけれども、それが、政権が変わったことによってほごにされてしまっているという事態になっているわけですから、このこともやはり問題として指摘せざるを得ないと思っています。
 いずれ、このような状況を踏まえたときに、改めて、交付税の給与費削減を前提とした国の予算案が今まさに審議されているわけですけれども、万が一、これらがそのとおり確定されていったときに、知事は本県においてどのような対応をなされるおつもりであるのかお伺いしたいと思います。
〇達増知事 岩手県は岩手県としまして、地方公務員法の諸原則にのっとり、地方公務員給与については、諸般の情勢を総合的に勘案して決定すべきものでありますから、国や他県との均衡、本県の財政状況等を踏まえ十分に検討した上で、適切に対応してまいります。
〇木村幸弘委員 次に移ります。被災者支援の取り組みについてでございますが、まずは被災者の実感ということで、復興加速年と位置づけた知事は、被災者一人一人が、復興の歩みと生活再建について、何をもって加速されたと実感できるような取り組みとするのか、具体的な考えをお伺いしたいと思います。
 また、被災者の意識をどう捉えるかという観点で、知事は演述の中でも、十分な時間を持てない方も多いと認識しているが、この実感の内容をどのように把握されているのかお伺いいたします。
〇達増知事 まず、震災後間もなく2年を迎えるわけでありますが、今なお3万8、000人余りの被災者の方々が応急仮設住宅等で不自由な暮らしを余儀なくされている。また、5、200人余りの方々がふるさとの沿岸を離れて内陸や県外で生活されています。このような被災された方々が一日でも早く安心して生活できるようになり、復興を実感していただくためには、特に住宅再建や防災のまちづくり、なりわいの再生などを重点的に推進し、復興を加速する必要があると考えております。
 具体的には、暮らしの再建については、一日も早く恒久的な住宅にお移りいただくために、県が整備する災害公営住宅約2、800戸について平成26年度までの完成を目指すほか、国が増額交付する震災復興特別交付税215億円を活用し、被災者の住宅再建の支援を充実強化していきます。
 安全の確保に関しては、いまだに被災地に残る災害廃棄物の処理を来年度末までに完了させるほか、津波防災施設の整備などによる多重防災型まちづくり、被災者の生活を支える道路や鉄道の整備を進めていきます。
 なりわいの再生に関しては、漁業関連施設の整備と水産加工業の高度化、被災した中小企業、商店街の事業再生を進める一方、被災者の新たな事業の立ち上げを支援してまいります。
 次に、演述において申し上げた被災者の復興の実感ということについてでありますが、昨年11月に実施したいわて復興ウォッチャー調査の結果によりますと、生活については、回復を感じる方の割合が初めて半数を超えましたが、住宅再建への不安などから、いまだ十分な実感を持てない方も多い状況です。
 地域経済については、雇用のミスマッチ、商店街の本復旧に時間がかかることなどから、回復を感じる方の割合が半数に至っていない状況です。
 そして、まちづくりについては、復興まちづくり事業が目に見える形で進んでいないことなどから、7割近い方が依然として達成を実感できない状況にあるという実感が示されております。
 こうした調査結果に加えまして、実際に私も被災地にお邪魔して、被災者の皆さんの御意見、御要望をお伺いするたびに、住宅の再建や防災のまちづくり、なりわいの再生というところを加速し、住民の暮らしの不安を払拭しながら、迅速な復興を実現していかなければならないと痛感しているところであります。
〇木村幸弘委員 そこで、被災者の生活実態を把握するという考え方についてですが、一つの手段の例として、直接的な生活費の実態もしっかりと状況を見るという考え方が必要ではないかと思っています。
 先般、2月19日付の産経新聞にそうしたアンケート調査の結果が載っておりまして、内容は、山形県に対して県内に避難している被災世帯調査で、月10万円以下の生活費で暮らしている避難世帯が4割を占めているというものでありました。
 本県では、直接の生活費に踏み込んだ調査が行われておりません。参考として、復興局のアンケート結果を見ると、県外及び内陸地区へ移動している被災者へのアンケートということで、世帯の生活資金について、年金、給与以外の収入、つまり義援金、支援金、あるいは震災前の預貯金などに頼っている割合が、複数回答で44.6%という回答になっています。
 また、産経新聞では、関連して、被災者の生活保護世帯の実態についても、厚生労働省のデータとして被災3県について報じています。先日公表された第5回復興インデックスでは、沿岸部の生活保護受給世帯数が前月比0.2%マイナスとして、減少しております。一方、報道記事では、厚生労働省の調査として、平成23年3月から同年12月までに、被災により新たに保護を受給した世帯は72世帯で、平成24年12月までで158世帯、前年から2.2倍増と報じられております。
 岩手県では、沿岸部全ての生活保護世帯の動向を前月比であらわす手法ですが、厚生労働省では、新たに保護を受給した被災世帯を対象とした調査として、県の調査と違う内容があらわれております。こうした情報から、どちらがより被災者の実態に沿ったものであるのか、県民としてわかりにくいものになっていないでしょうか。
 そこで、復興局ではさまざまな取り組みに関する調査を行っておりますが、より被災者の実態に即した内容として調査を行う必要があると思いますが、その点についてのお考えをお伺いいたしたいと思います。
 あわせて、被災者の生活実態をうかがい知るツールとして、災害援護資金貸付金制度の利用実態を参考とすることができると思いますが、その状況と、県としての実績に対する所見をお伺いいたします。
〇高前田理事 被災者の生活実態調査のあり方についてでございますが、被災者の生活再建を支援していくためには、被災者の実態を的確に把握した上で、必要な支援を適時に行っていくことが重要と考えております。
 このようなことから、市町村社会福祉協議会に配置しております生活支援相談員や民生委員、保健師等の個別訪問等により、被災者一人一人の生活実態や必要な支援の内容を把握し、関係機関との情報共有と支援の充実に努めているところでございます。
 また、こうした取り組みに加えまして、沿岸地域においては、仮設住宅団地支援員の活動や被災者相談支援センターでの相談対応、内陸地域においては、被災者相談会や交流会の開催等により、被災者ニーズの把握に努めているところでございます。
 また、昨年10月に実施いたしました県外及び内陸地域へ移動している被災者へのアンケート調査の結果では、まちづくりの進捗状況等の情報に係るニーズが高かったということでございまして、これを受けまして、社会資本の復旧・復興ロードマップや災害公営住宅の整備状況等に関する資料を送付するとともに、沿岸市町村に対しまして、内陸及び県外に移動している被災者に対する積極的な情報提供等を要請したところでございます。
 今後とも、市町村や社会福祉協議会等と連携、協働しながら、被災者一人一人の生活実態の把握に努めながら、きめ細かな支援を実施してまいります。
 二つ目のお尋ねございます災害援護資金貸付金制度の利用実態についてでございますが、災害援護資金は、災害により住居や家屋に被害を受けたり、世帯主が重症を負った場合、一定所得以下の世帯の方に、生活資金や生活再建の資金として、保証人がいれば、無利子で最高350万円、償還期間13年で借り入れることができるものでございます。
 東日本大震災津波の被災者に係る災害援護資金の利用状況を申し上げますと、平成23年度の実績は444件で10億3、989万円余、平成24年度の見込みは345件、9億4、312万円余となってございます。平成24年度見込みは、平成23年度実績に比べ99件減少しているところでございます。
 この災害援護資金は、一定所得以下の世帯を対象としておりますことから、被災者生活再建支援金の基礎支援金の支給世帯は今現在で約2万3、000件ございますけれども、これと比べますと極めて少なくなっておりますが、今後、復興まちづくりの進展に伴って資金需要の増加も見込まれると考えてございます。
〇木村幸弘委員 次に、被災地の雇用対策についてということです。
 先ほど、生活実感あるいは復興の実感が湧かない一つの要因として、雇用の問題なども答弁いただきましたけれども、改めて、第4回の岩手県経済・雇用対策本部会議で、有効求人数の動向について、大船渡、釜石、宮古各職業安定所管内の復興特需による雇用情勢と、本来の沿岸地域における労働力確保に対する影響について、その実態をどのように捉えているのかお伺いいたします。
〇上野副知事 被災地における求人の実態などについてのお尋ねでございますが、大船渡、釜石、宮古各職業安定所管内の雇用情勢について、直近の数値では、有効求人倍率が、震災前の平成23年1月がいずれも0.5倍前後でございましたが、昨年8月にはいずれも1倍を超えまして、ことしの1月の倍率は、大船渡で1.52倍、釜石で1.33倍、宮古で1.15倍となってございます。
 求人数を見ますと、各地域とも求人数の多い産業は建設業、製造業、卸売業、小売業でございます。建設業は災害復旧など工事量の大幅増加に伴う求人、製造業のうち、沿岸部の中心である食料品製造業─水産加工業が中心でございますが─と卸売業、小売業は、工場、店舗の再開に伴う求人が主なものと考えられます。
 沿岸地域における労働力の確保に対する影響につきましては、第1に、業種によって人手不足が深刻な問題となっております。第2に、具体的には、1月の就職件数を有効求人数で割りましたいわゆる充足率を見てまいりますと、建設業で、大船渡5.1%、釜石9.3%、宮古10.4%、食料品製造業では、大船渡7.4%、釜石9.8%、宮古8.0%という状況になってございまして、県の経済・雇用対策本部会議では、その原因といたしまして、建設業におきましては、有資格者や経験者の確保が難しいということ、水産加工業におきましては、労働環境が厳しいというイメージがあること、このほか労働者の住居確保、賃金水準などの問題があることなどの意見が出されたところでございまして、これらへの対策が喫緊の課題であると認識いたしております。
〇木村幸弘委員 そこで、労働力確保にかかわる隘路といいますか、今、分析のお話もいただきましたけれども、復興特需に伴う雇用需要と、本来の地場産業の再生に伴う共存を図っていくためには、労働力の確保をしっかりと行うことが重要です。
 この間の議論の中でも、マッチングに向けてのいろいろな取り組みなどが示されておりますが、改めてその対応策をお伺いします。
〇上野副知事 マッチングに向けました対応策についてでございますが、建設業につきましては、有資格者や経験者の確保に向けまして、車両系建設機械やフォークリフトなどの資格取得のための特別訓練や、長期間現場から離れていた資格取得者向けのオペレーション技術習得など職業訓練の実施により、必要とされる人材を養成してまいります。
 水産加工業につきましては、求職者の方々に対しまして、労働環境の現状を十分に理解していただくため、再建された工場の衛生的で機械化された環境で作業する現場を収録したDVDをジョブカフェやハローワークで放映するなど、求職者の就労意欲の喚起に努めているところでございます。
 今後、さらに、工場見学会や面接会の積み重ねにより、求職者の方々に対しまして就職に向けた意識啓発を行うとともに、企業に対しましては、職場環境の整備に向けた取り組みの支援により、求人条件等の改善を働きかけるほか、外から人を呼び込むための住居確保につきましては市町村とも協議していくなど、求職者と企業とのマッチングの促進に努めてまいります。
〇木村幸弘委員 今のマッチングの取り組み対応ですが、建設業に係る分については、ある意味、復興特需に係る対応ですが、そもそもの水産加工業等現地の産業としての労働力確保の問題が、今、非常に取り上げられているわけであります。そういう意味で、これまでの答弁で言われているような工場見学であるとか、あるいは環境のDVDを上映しながら理解を求めるというだけで、果たして十分なのかなという気がしてなりません。
 そういう意味では、第5回の雇用に関するアンケート調査結果の中でも、例えば仕事内容については、今のような取り組みも必要でしょうが、勤務時間であるとか通勤距離、時間、あるいは賃金水準の条件などを含めて、福利厚生面を含めて、しっかりと側面からこれらを支えていくような制度、取り組みが重要ではないかと思いますけれども、それらの対策はどのようになっているでしょうか。
〇上野副知事 マッチングにつきましての、特に従来からある産業についてのさらなる促進というお尋ねでございましたが、先ほど、県の雇用関係の会議で指摘があったという話を申し上げました。その中でも、もともとある企業を中心に、住居の確保や賃金水準等についてはやっぱり問題、課題があるんじゃないかという指摘がありました。こうしたことを受けまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、住居の確保についてのいろんな手当てをしていくこと。それから、賃金水準について、企業の側にも働きかけて、今までとは違ったクリーンな職場環境とあわせて福利厚生面での向上ということについても、重ねて訴えかけていきたいと思っております。
〇木村幸弘委員 そうした、側面的にいろいろな支援対策をもう少し充実を図るべきだろうと思っています。テレビなどでも報道されておりますが、例えば大船渡のある水産加工会社が、今いる従業員を、何とかそのまま勤めていただくために、山田町まで1時間半もの通勤送迎などへの対応をやったり、いろんな形で事業所自体の負担が非常に大きくなっていると思います。そういった部分で言うと、例えばそれらを何らかの形で支援する組織、NPO等も含めて、そういった側面的な福利厚生面を支えていくような仕組みというか、そういった制度も含めた検討がぜひ必要ではないかと思っておりまして、そうした点について、ぜひ、今後十分に検討いただきたいということを申し上げたいと思います。
 最後になります。復興実施計画にかかわって、第1期計画の最終年度のポイント、そして、第2期計画に向けて、これらの総括を行った上で、どういう方向性を示していくのかについてお伺いして、私の質問とさせていただきます。
〇高前田理事 まず、第1期計画の最終年度のポイントについてでございますが、被災された方々が一日も早く安心して生活できるよう、国や市町村との密接な連携のもと、基盤復興期間の最終年度として、復興計画に掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づく取り組みを加速し、基盤復興を実現することが必要と考えております。
 このため、専門的な人材の確保、自由度の高い財源措置、そして事業用地を円滑に確保するための手続の抜本的な簡素化が必要であると考えておりまして、国に対し、引き続き必要な施策を講ずるよう要望するとともに、県といたしましても、被災者の方々が復興を実感できるよう、まずは住宅の再建や復興まちづくりなどによる暮らしの再建と、多重防災型のまちづくりや水産業を初めとした産業の再生などに重点的に取り組み、基盤復興を加速してまいります。
 それから、第2期計画への展望ということでございます。
 まず、第1期計画の最終年度でございます平成25年度は、被災者の方々に復興を実感していただけますような基盤復興を実現するため、特に、先ほど申し上げましたように、被災者の住宅再建、復興まちづくりを重点的に促進いたしまして、復興を加速してまいりたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、重点的に取り組みます暮らしの再建につきましては、恒久的な住宅への住みかえを進めるため、県が整備する災害公営住宅約2、800戸について平成26年度までの完成を目指すとともに、国が増額交付する震災復興特別交付税を活用して、被災者の住宅再建の支援の充実強化を図ってまいります。
 また、安全の確保については、災害廃棄物の処理を来年度末までに完了させるほか、津波防災施設の整備などによる多重防災型まちづくりを進めてまいります。
 さらに、住民の定着促進に欠くことのできないなりわいの再生については、産業の再生を本格的な雇用につなげるため、漁業関連施設の整備と水産加工業の高度化、被災した中小企業、商店街の事業再生を進めるほか、被災者の新たな事業の立ち上げを支援してまいります。
 第2期実施計画の策定につきましては、平成23年度から平成25年度までの第1期実施計画期間中に実施いたしました施策、事業の達成状況や被災地域の復興状況のほか、基盤復興期間中に顕在化した課題などを総合的に検証いたしますとともに、県議会、市町村、復興委員会などの御意見を踏まえながら、平成25年度末までに策定したいと考えております。
〇高橋元委員長 次に、高田一郎委員。
   〔高田一郎委員質問者席に着く〕
〇高田一郎委員 日本共産党の高田一郎でございます。
 私は、放射能汚染から農業を再生する課題、とりわけシイタケ再生産対策について質問いたします。
 一関市のシイタケ生産農家に対する意向調査では、71.6%が生産を断念するという回答を行っております。大変ショッキングな数字であります。私は、再生産が大変困難な中でも、頑張って生産したいという生産者に対してはしっかりとした再生産対策、そして、やむを得ずやめざるを得ない生産者に対しては、代替作物など具体的な支援策を講ずべきだと思いますけれども、県の考え方を示していただきたいと思います。
〇上野副知事 シイタケの再生産対策や代替作物などの具体的な支援策についてのお尋ねでありますが、シイタケ生産者に対します再生産への支援については、まずは、出荷制限の解除に向けて国との協議を急ぐとともに、ほだ場の環境整備や新たな原木の確保のほか、人工ほだ場等のモデル的な整備を支援するなど、できる限りの支援をしてまいります。
 一方で、原木シイタケ生産をやめ、他の作目への転換を希望される生産者の方に対しましては、個別の生産者の御意向を踏まえながら、耕作面積に制約がある中山間地域でも収益性の高い品目等へ円滑に転換できるよう、農業改良普及センターや地域の生産者団体が連携いたしまして、栽培技術の助言等の支援に取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 そこで、具体的な数字をお伺いしたいんですけれども、一関市では意向調査が行われましたが、今回、出荷制限されているのは14市町村であります。この14市町村の中で、全体の意向調査というのはどのようになっているのか、もし具体的な数字があれば示していただきたいと思います。
〇上野副知事 手元に資料がございませんので、部審査等で御説明させていただけたらと思います。
〇高田一郎委員 今回、継続をなかなか決めかねている生産者もたくさんいるわけですけれども、今、出荷制限の解除が行われない中で、農家の皆さんは、なかなか安全性が保証されない中で生産をためらっているというのが現状だと思います。これは、農家の皆さんの気持ちを考えれば、私は当然だと思います。
 しかし、ほだ場除染の問題では、今年度の事業でありまして、つまり、ことしの植菌を前提にした支援策になっております。ことしの再生産再開だけではなくて、落葉層の除去の意向を示している生産者、あるいは将来頑張りたいんだという生産者にも広く支援の手を差し伸べるべきだと私は思うんですけれども、その辺について副知事の答弁をいただきたいと思います。
〇上野副知事 農家の方々は大変懸念されている、苦しい状況に置かれているということを私どもはきちんと受けとめております。それを受けとめまして、今おっしゃったような、具体的にシイタケの再生産をされるという意向をお持ちの方はもちろんのこと、それ以外の方につきましても、どういう御意向をお持ちか、それから、その手順を、どういう手順を踏んでいくかということについても、私どもは、それぞれの地域の専門家を総動員いたしまして、きちんと対応してまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 きちんと対応していただくという答弁ですけれども、今回の意向調査の中では、県が調査した中では、継続するが300人、保留が220人、やめるが220人ということで、かなり多くの人たちが、生産再開をやりたいんだけれども、どうしたらいいのかと思っている人が圧倒的なんです。そして、継続して、ことし再生産したいという中にも、実はまだためらっている人たちがたくさんいるわけです。しかし、県のほだ場除染は、ことし生産を再開する人のみの支援策になっているんです。ですから、やはりいま少し不安だけれども、これまでの経験を生かして将来やりたいんだという方々にもほだ場除染に対する支援策を行うとか、支援の手を差し伸べるといいますか、そういうことが必要だと思います。シイタケ生産というのは、単年度だけの支援策では継続した取り組みにならないんです。
 知事は、昨日の答弁の中で、不安なく生産できるように全力を挙げたい、そして、全国に誇れる産地になるように県としても頑張りたいということを述べました。全国に誇れる産地になるように県としても頑張りたいというのであれば、単年度の支援策ではなくて、長期的な支援策が、今、求められるし、そういうメッセージをやっぱり生産者に届けていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇上野副知事 原木シイタケの再生産に向けた対応についてでありますけれども、委員おっしゃるように、岩手県はシイタケの東北最大の産地でありますし、日本を代表する産地であります。そうした県内の農林業でも大きなウエートを占める非常に大事な産業でありますので、今おっしゃったような私どもの対応が、私どもは現段階で精いっぱいのことをやっているつもりでありますが、いろんな方の御意見をお聞きしながら、不備なところがあるとすれば、それを早急に改めて、きちんとした中長期的に見た対応をとっていきたいと思っております。
〇高田一郎委員 それでは、具体的な再生産対策に向けた課題についてお聞きしたいと思います。
 今回、県は、生産を再開するシイタケ生産農家に対する簡易ハウス及び人工ほだ場に対する支援策を打ち出しました。これは、生産再開をする上で有効な支援策だと私は思っています。しかし、これは農家の重い負担となっていないのでしょうか。農家負担というのはどのぐらいになるのか示していただきたいと思います。
〇上野副知事 栽培施設整備に係る生産者の負担軽減についてでありますが、現在、国と県で補助をするということになっておるわけですが、農家負担が6分の1程度になると承知いたしております。この生産者負担につきましては、国の補助率を引き上げることによって軽減するように、基本的には負担がほとんどないような状態にしていただきたいというお話を国に既に申し上げております。そういった要望をしていきますし、この生産者負担分につきましては、賠償の対象とするように東京電力を指導することについても要請いたしております。東京電力に対しても、我々から直接同様の要請をしていく考えでございます。
 今後とも、原木シイタケの産地の再生におきましては、今、委員がおっしゃったような、生産者の方々が再び意欲を持って生産活動に取り組めるよう、できる限りの支援をきちんとやってまいります。
〇高田一郎委員 具体的に数字を申し上げますと、人工ほだ場の場合は1、000万円、簡易ハウスの場合は180万円でありますから、農家負担は、人工ほだ場の場合は166万円、簡易ハウスは30万円になります。
 私は、そもそも農家が負担すべき問題なのかということをお伺いいたしました。3年目にしてやっと軌道に乗り始めたやさきに大震災に遭って、借金だけが残ってしまったと。これは一関市の50代の若い生産農家です。もうやめられない、何とか生産して借金を返したいという生産農家もいます。こういう農家の方々、生産手段を全て奪われた被害農家に対して自己負担を求めるべきではないと私は思います。
 そもそも原発の事故がなかったら起こり得ない事態でありますから、これは賠償の対象にして、県は、農家に対して負担を軽減させて、国に、東京電力に賠償させるというスキームこそ再生産対策につながるんじゃないでしょうか。
〇上野副知事 今、委員が御指摘のとおり、生産者の方々に負担を求めるというのは適切でないと私どもも思っていまして、そういうことについては、まずは国がそれを至急補助対象にすべきだと思いますし、最終的には、それは東京電力の賠償という形できちんとした責任がとられるべきだと思っておりまして、その両方につきまして、今、お願いをしているところでありまして、できる限り早く実現するように努力したいと思います。
〇高田一郎委員 全国に誇れる産地になるように全力を挙げて頑張りたいというのであれば、私は、農家負担を極力軽減して、私たちもそういう立場で頑張るから、ぜひ再生産してほしいんだという立場で農家を励まし、東京電力に請求するという姿勢が、今、県に求められていると私は思います。
 時間がないので、次に損害賠償についてお聞きしたいと思います。
 今回の中間指針の第三次追補では岩手も風評被害の対象になりました。しかし、請求しなければ補償しない、被害者には立証責任があるという姿勢に相変わらず東京電力は立っています。賠償も大変おくれています。私は、原発事故がなかったら起こり得なかった損害は全て補償させるんだという姿勢が大事だと思いますけれども、賠償問題に対する県の基本的な考え方について答弁いただきたいと思います。
〇加藤総務部長 賠償に係る県の基本的な考え方でございますが、原発事故に起因いたします損害につきましては、当該事故の原因者である東京電力が一義的にその責任を負うべきものでありまして、東京電力に対しまして、本県で発生している全ての損害につきまして、被害の実態に即した十分な賠償を速やかに行うよう強く求めていくという基本的な考え方で対応させていただいております。
〇高田一郎委員 次に、賠償金の非課税を求める県の対応であります。
 シイタケ生産農家は、農地を汚染され、生産手段も奪われ、そして、この1年数カ月翻弄されて苦悩の日々だった、これがシイタケ生産農家の共通した思いであります。
 私は、国に責任があるにもかかわらず、賠償金に対して課税する、これは大きな問題だと思います。国に特別の措置を求めるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇加藤総務部長 原発事故に係る賠償金につきましては、生命、心身の損害等に対するものにあっては非課税でございますが、必要経費を控除した後の利益の減収分に対するものにありましては課税対象とする旨、国税庁から示されているところでございます。
 こうした税制上の取り扱いは、原発事故ということにかかわらず、損害賠償に対する課税全般に当てはまるものでございまして、税制の公平性の観点から、原発事故に係るものに限って非課税の範囲を広げることは難しいとの感触を国の考え方から得ております。
 したがいまして、非課税範囲の拡充も課題であると認識しておりますが、放射性物質による影響が相当期間に及んでおりまして、生産現場における追加的費用も増加してきておりますことから、個々の生産者におきまして、適正な経費の把握と、その積み上げを通じまして税負担の軽減を図っていく。経費がかさめば、その分は利益から引けるということになりますので、実際はかなり圧縮できると思いますので、そういう対応を行っていくことが現実的ではないかと考えております。
〇高田一郎委員 非課税の範囲を広げることが課題だという総務部長の答弁でありましたけれども、私は、原発被害の課題を解決する上では、平時の対応ではだめだと思うんです。やはり現在の所得税法の根拠というのは平時のケースであって、国の責任が伴う大事故を想定したものではないと思います。過去にも口蹄疫とかあるいは水俣病、オウム真理教などでも非課税にした経緯があります。この賠償金で再度別な形でチャレンジしたい、農家レストランをやりたい、さまざまな形で再チャレンジしようとしている方々がたくさんいます。しかし、これを課税することによって、そのチャンスが奪われてしまうという事態にもなっております。知事、いかがでしょうか。福島県では、オール福島になって非課税を求めるという運動が起きています。知事もここに連帯して、国に対して強く求めていくという立場に立ってほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇達増知事 東日本大震災、その後に発生した原発事故も含めて、これが国家的な非常事態なのだということで、国に対して、さらに踏み込んだ対応を求めるということは一貫してやってきております。また、今の政権になり、復興を加速するという姿勢を強める中で、県も、復興加速ということで、呼応しながらさらに踏み込んだ大震災特例的な対応をこの復興に当たって求めるということをしておりますので、その姿勢はさらに強めていきたいと思います。
〇高田一郎委員 次に、災害公営住宅についてお聞きします。この間、釜石、宮古、山田といったところでの災害公営住宅に対する意向調査では当初の整備計画を上回っています。市町村ごとの災害公営住宅の希望はどう把握されているのでしょうかお伺いいたします。
〇上野副知事 災害公営住宅の希望の把握についてでございますが、各市町村では、被災された方々を対象に意向確認を進めておられまして、災害公営住宅への入居希望者の総数に基づきまして、現時点における整備戸数5、639戸を設定いたしております。
 災害公営住宅の整備戸数につきましては、第1に、市町村が実施してきた意向調査の精度が高まったことや、第2に、被災者の方々の意向が変化することにより数値が変動いたしておりますが、今後とも各市町村と連携しながら、自力での住宅再建が困難で災害公営住宅への入居を希望される被災者の方々には、確実に災害公営住宅を用意できるよう取り組んでまいります。
〇高田一郎委員 確実に災害公営住宅を住民のニーズに沿って取り組んでいきたいという対応はわかりました。しかし、どんどんふえていいのかということにはならないと思うんです。やっぱり持ち家再建がなかなかできないから災害公営住宅に希望が移るわけですから、持ち家再建にもっと力を入れて取り組むという対応を行っていただきたいと思います。
 次に、JR山田線の問題についてお聞きしたいと思います。
 JRから提示されている安全の確保やまちづくりとの整合性、費用負担、復旧後の利用状況などさまざまな課題がありました。先日の新聞報道では、こうした問題について、知事は見通しがおおむね立ってきたと思うと報道されています。本日は復興調整会議が開催されていますけれども、JR山田線の復旧の協議はどこまで進んでいるのかお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 JR東日本は、津波からの安全の確保、まちづくりとの整合性、そして費用負担等が課題との認識を示しているわけですけれども、これまでの復興調整会議や個別の協議の結果、これらの課題についてはおおむね解決の見通しが立ってきているところであります。
 また、復旧後の地元利用ということについても、県と市町村が連携し、最大限取り組むことで合意しておりますので、一部に未解決の課題があるものの、県としては、JR東日本にできるだけ早く鉄道復旧を表明していただきたいと考えております。
〇中村政策地域部長 ただいま知事のほうから御答弁申し上げましたが、さらにつけ加えますと、もう一つ、利用促進の課題も提起されてございますが、これにつきましても、先般、首長会議で検討組織を立ち上げるという合意もいただいて、検討を進めることにしてございますので、何とかJR側の前向きの表明を我々としても期待しているという状況でございます。
〇高田一郎委員 今月の5日、太田国土交通大臣が記者会見を行いまして、新聞報道では、鉄路復旧なら国費投入も検討したいとの報道がありました。この記者会見での発言について、もしわかれば、その内容について示していただきたいと思います。
〇中村政策地域部長 国におきましては、路盤のかさ上げなど復興のまちづくりと一体的に行うものにつきましては、復興交付金の活用についても前向きに検討いただいていると承知しております。ということで、我々といたしましては、国に対して引き続き財政支援といったものも強く求めてまいりたいと考えております。(高田一郎委員「大臣の発言の中身」と呼ぶ)
〇中村政策地域部長 失礼しました。済みません。今、具体の大臣の発言の詳細についてはちょっと資料を持ち合わせておりませんので、答弁は控えさせていただきたいと思います。
〇高橋元委員長 高田委員、よろしいですか。
〇高田一郎委員 答弁できるんですか、できないんですか。
〇中村政策地域部長 失礼しました。大臣の記者会見での発言でございますが、現地の皆様から山田線の復旧について要望があるということはよく承知していると。JR東日本は黒字でもあることから、ぜひともやってもらいたいというようなことも含めた要望であると思っているが、最終決断は、JR東日本が納得しなければ何ともならない、あるいはBRTとの関係についてもしっかり踏まえなくてはいけない、現地の要望もよく聞く必要があるという答弁を大臣は記者会見でされてございます。
〇高田一郎委員 私も、この大臣の記者会見を見ましたけれども、このように話しているんですね。鉄路の復旧が行われるという場合には、国として、これに措置することができるのか、できないのかということについて検討しようという段階だ、こういう認識なんですね。
 東日本大震災からもう2年がたちました。2年たっても復旧の見通しが立っていないのはJRだけなんですよね。いまだにこういう状況が続いている。前政権のときには、黒字の企業には支援をしないというようなスタンスだったんですけれども、これまでは、一関駅のバリアフリー化などを含めて黒字企業であっても支援をしてきたんですね。
 いずれ、今日の段階になったら、私は、JRに対して、かさ上げ分は国が持つからきちんと再建してくださいというような姿勢に国は立つべきだと思います。私は、そういう視点が足りないのではないかと思います。知事、いかがですか。
〇達増知事 国に対して鉄路の復旧については、三鉄にせよ、JRにせよ、その支援をもう発災直後から求めてきたところでございます。そのとおりだと思います。
〇高田一郎委員 ぜひ、国に対して強くこの問題について働きかけて、一日も早い再建を実現するように取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、鉄道の復旧の問題とあわせて、住民の足をいかにきちんと確保するかがとりわけ求められていると思います。
 被災市町村で、デマンドタクシーあるいは乗り合いタクシーなど、さまざまな形で取り組んでおりますけれども、この間、運賃の値上げなどもあって、乗りかえによってかなり負担がかかっているという状況があります。新年度は国の交付金が1、000万円ふえるわけでありますから、具体的に拡充になるように取り組んでいただきたいと思いますが、この点について質問して、終わりたいと思います。
〇中村政策地域部長 来年度は、現行の3、500万円から4、500万円に補助限度額が引き上げられるということになってございます。地元の方々からも、路線の新設でありますとか見直し、また増便等、いろいろ御要望も出ておりますので、今回の引き上げも活用していただきながら、被災者の方々のニーズにできるだけ沿うような形で市町村のほうで対応していただけるものというように考えております。
〇高橋元委員長 次に、小野寺好委員。
   〔小野寺好委員質問者席に着く〕
〇小野寺好委員 公明党小野寺好であります。
 最初に、県民医療について伺います。
 県内公立病院の医師確保ですが、奥州市では、市の診療所を4カ所閉鎖するとのことですし、県都盛岡でさえ、市立病院は、医師不足が原因で赤字経営に陥っているとのことであります。
 県立病院は医師確保が難儀している状況にありますが、市町村から支援依頼の相談があったかどうか、県医療局による支援の状況を伺います。
 二つ目として、医大生への三つの奨学金制度が充実してきましたが、今後の県の医師不足解消見込みの工程を伺います。
 三つ目として、宮城県では、医学部あるいは医科大学の新設について、知事が先頭に立って運動しています。岩手県医師会はこうした動きに真っ向から反対の意思を表明していますが、達増知事はいかがお考えでしょうか。
〇達増知事 では、医学部あるいは医科大学の新設についてでありますが、国では、当面の医師不足への対応について、平成24年9月に発表した方針に基づき、既存の医学部定員増により対応することとして、本県の岩手医科大学においても、平成25年度から5名増の130名の定員とされています。
 今後の医学部新設等については、中長期的には、医師の養成数が増加することが期待される一方で、短期的には、指導力のある勤務医を大学教員として確保する必要があることから、地域病院で勤務する医師の不足が助長されるとの指摘もあるなど、その評価が分かれております。
 県としては、医師不足の解消に向けた医学部新設等について、関係者から出されているさまざまな課題について議論を尽くすべきであると考えております。
 なお、医師不足の解消に当たっては、国の抜本的な制度の改革が必要でありますことから、医師の適正な配置を図るための制度の創設など、積極的な働きかけを国に対して行ってまいります。
〇千葉副知事 現在、この医師確保に係ります市町村への支援についてでございますけれども、市町村の医療機関におきましても、現在、常勤医師の不足あるいは専門医師の不在など、医師確保に対して大変苦労なされているということで、県立病院への依頼がある場合につきましては、現在、診療応援という形で対応しているところでございます。
 これまでも、今お話しございました奥州市あるいは盛岡市の病院等に対しまして診療応援を行ってきたところでございます。また、医師確保につきましても、奥州市と連携しながら、即戦力医師の確保についても支援してきた経緯がございます。
 なお、先般報じられました奥州市江刺区4診療所に関しましては、支援の相談等はなかったと承知しているところでございます。
 次に、医師不足解消の見込みについてでございますけれども、現在、市町村医師養成事業、医療局の医師奨学資金貸付事業及び県の県医師修学資金貸付事業の三つの事業で奨学金制度を実施しておりますけれども、旧制度も含めまして、全体で現在226名の医学生に奨学金を貸与しているところでございます。
 これらの奨学生は、卒業後2年間の臨床研修を経まして、平成28年度以降配置が本格化することが見込まれておりますことから、県内の公立病院におきましても、段階的に医師の充足が図られていくものと考えているところでございます。
 また、これらの養成医師を医師不足地域の医療機関に配置するに当たりましては、養成医師の中小医療機関勤務とスキルアップとの両立、あるいは必要な診療科への配置調整などの課題がございますので、現在、関係機関の有識者によりますワーキンググループを立ち上げまして検討を進めているところでございます。いずれ、平成28年度からの配置調整に向けて、その仕組みを構築したいと考えているところでございます。
〇小野寺好委員 岩手医大附属病院の移転に関して伺います。
 矢巾町に医大薬学部が新設されたのに続き、歯学部、医学部、そして医大附属病院本体の移転と矢継ぎ早に発表されて驚いております。しかも、附属病院は平成30年度に開院予定と、事は急展開で進んでいるようであります。
 医師養成と医療の提供ということで県に大きな貢献をしている医大附属病院に対し、移転新築に関し財政面でどのようにかかわっていくか伺います。
 また、県の高度救命救急センターの運営は医大附属病院にお願いしているわけでありますが、人口の密集している内丸は、規模を縮小して残すのか、あるいは完全に撤退されることになるのでしょうか。矢巾キャンパスとの関係で今後どのような展開になるのか、打ち合わせの状況を伺います。
〇千葉副知事 まず、岩手医科大学附属病院の移転についてでありますけれども、岩手医科大学附属病院は、高度な医療を提供する県内唯一の特定機能病院でありまして、県では、高度救命救急センター等の運営費を助成するなど、連携して取り組んでおります。その結果、高度医療の確保を図っているという形で連携を図っているところでございます。
 同大学の矢巾町への総合移転整備につきましては、これまで薬学部の新設に対応した支援を行い、また、今年度は、災害時地域医療支援教育センターの整備に対する支援等も進めているところでございます。
 今後、附属病院の移転整備に対応し、現行の高度救命救急センターや総合周産期母子医療センター等をベースといたしまして、小児、周産期、救急部門の一体化と機能拡充を図り、効率的かつ安定した高度医療を提供する(仮称)統合医療センターや、あるいは災害時の電力確保を図るためのエネルギーセンターの整備等に対しまして、地域医療再生等臨時特例基金や医療施設耐震化臨時特例基金を活用した支援を行う考えでございます。これまで、先行して導入されましたドクターヘリとあわせた本県三次医療の拠点形成の具体化に向けまして、同大学と協議、調整を進めているところでございます。
 次に、内丸地区についてでございますけれども、昨年12月に行われました岩手医科大学からの発表によりますと、内丸地区には、高規格の診療機器を備え、PET・リニアック先端医療センター─これは現在ございますけれども─と連携し、がんの外来化学療法、あるいは放射線療法などを含む外来で可能な高度医療を提供する(仮称)内丸メディカルセンターを整備するとなっております。したがいまして、先ほどお話がございましたように、現在の救命救急センター等は、矢巾町のほうに移転するという方向でございます。
 今後、この附属病院移転後の患者動向の予測を私ども行う必要があると考えておりまして、その動向等も踏まえながら、二次救急医療の提供等につきましては、新附属病院や、あるいは盛岡広域の他の医療機関との機能分担と連携などを図る必要があると考えておりまして、現時点では、県及び盛岡市等の関係者によります事務レベルでの情報共有を進めているところでございます。
 県といたしましても、同大学から御相談をいただきながら、盛岡市を初めとした地域、地元の医療機関あるいは関係団体等とも連携を図りながら、新しい体制への円滑な移行について支援をしていきたいと考えているところでございます。
〇小野寺好委員 ドクターヘリの運航は、高度救命救急センターの皆さんの熱意によるところが大であります。365日恩恵にあずかっている県民は手放しで喜んでいるわけですが、従事するスタッフの人員、ローテーションの状況、搭乗するドクター、ナースの皆さんから県に対しどのような声が寄せられているか、どのような思いで任務につかれているか伺います。
 また、各地の消防本部におけるドクターヘリという新分野への思いはいかがか、県は2年目に向けてどのような運営方針を考えているか、お知らせいただきたいと思います。
〇千葉副知事 まず、ドクターヘリの運航体制についてでありますけれども、現在、県高度救命救急センターの医師12名と看護師10名がローテーションを組んで搭乗しておりまして、多い方は月に4回から5回のフライトとうかがっているところでございます。
 いつ要請が入るかわからず、常に緊張を強いられる厳しい勤務環境であると私どもも承知しているところでございますけれども、声といたしましては、自分たちが岩手の救急医療を支えている、チーム医療で県民の命を守りたいなど、高い使命感を持って取り組んでいただいていると承知しているところでございます。
 次に、各消防本部におけますドクターヘリに対する思いについてでございますけれども、昨年、県内3カ所で開催いたしました運航事例検証会では、実際に運航要請や安全確保に携わっておられます現地の消防職員の方々から、関係機関によるいわゆる命のリレーが充実し救急医療が進化したという声をいただきますとともに、要請手続や通信手段など、さまざまな改善提案もなされているところでございまして、運航開始前から現在に至るまで、非常に協力的かつ積極的にかかわっていただいていると私どもは考えております。
 さらに、2年目の運航に向けた県としての方針でございますけれども、岩手医科大学や各地の消防本部、患者を受け入れる医療機関との密接な連携のもと、安全運航をまず最優先としながら、医療機関へのヘリポート整備やランデブーポイントのさらなる確保、北東北3県の広域連携など、初年度の運航から明らかになってきております課題などについて、着実に進めていきたいと考えているところでございます。
〇小野寺好委員 災害時医療について伺います。
 東日本大震災では、全国のDMATに御支援いただき、県民こぞって感謝しているところであります。津波のように瞬時に大量の生命を奪う災害は、初動が全てであるような気がします。医師、看護師等の組織化された医療チームを数時間で立ち上げ、救助用の医療器材とともに移動を担うシステムは、どのように構築されているか伺います。
 岩手医大矢巾キャンパスの災害時地域医療支援教育センターは、どのような体制で、いつから稼働するか伺います。
〇千葉副知事 災害時におけます医療チームについてでございますけれども、大規模な災害が発生した場合、災害初期の医療を担う災害派遣医療チームでございますDMATに対しまして、地域防災計画及びDMAT運営要領によりまして、知事から速やかに派遣要請を行うほか、多数の死傷者等の発生が見込まれる場合には、災害拠点病院長の判断により自主的に出動できることとされているところでございます。
 発災時におきましては、こうしたDMAT活動により、現場における初期救急や、あるいは被災地の病院への支援、被災地以外への患者の搬送等が期待されておりますことから、県といたしましては、DMATが今後迅速に被災地で医療活動を行うことができるよう、DMAT隊員が移動するための緊急自動車や必要な医療資機材、衛星携帯電話などの整備に係ります補助を実施しているところでございまして、今後とも、災害初期における医療が迅速かつ的確に提供されますよう、災害医療体制を強化していきたいと考えているところでございます。
 また、災害時地域医療支援教育センターについてでございますが、当該センター長のもと、特命教授等を配置いたしまして、東日本大震災津波における災害対応の問題点の検証を踏まえました実践的研究や人材育成などを行う災害医学講座や、あるいは震災後におけます精神疾患や精神的問題に関する予防と早期発見、早期支援が可能となる体制構築に関する研究と人材育成を行います災害・地域精神医学講座を設置することとしているところでございます。
 また、市民向けの講座といたしましては、災害に対応できる人材養成のために、広く参加者を募って災害に関する研修会を実施することや、県が新年度に予算計上しております災害医療コーディネーターの養成研修等を受託実施することが、現在見込まれているところでございます。
 なお、現時点では、4月1日の開始を予定しているところでございます。
〇小野寺好委員 救急救命士の活動について伺います。
 現在は誰でもAEDの使用ができますが、かつて、医師以外は救急救命士だけに認められていました。現在、気管内へのチューブ挿入とか強心剤の投与も限定的に認められるなど、少しずつ救急救命士の行うことのできる救命措置の範囲が拡大してきました。
 さらに、範囲拡大に向け全国で実証研究を行っているとのことですが、本県での取り組み状況はいかがでしょうか。
 このことに関し、厚生労働省に医師の不足している岩手ならではの提言、要望等を出していれば伺いたいと思います。
〇加藤総務部長 救急救命士の活動についてのお尋ねでございます。
 国におきましては、救急救命士が行う低血糖発作を起こした傷病者へのブドウ糖投与など三つの処置について、今年度から、モデル地域を選定し実証研究を実施しております。
 本県におきましては、胆江地域及び一関地域メディカルコントロール協議会が、これら処置に係る実証研究を実施しておりまして、昨年8月から10月までは、該当する傷病者のデータの収集、そして、昨年11月から本年1月までは、医師の指導のもとで救急救命士が実際に処置を行ったところでございます。
 現在、この実証研究に係る取りまとめの段階にございまして、県として、国に対する提言、要望等を行うには至っておりませんが、実際に現場で取り組まれました協議会の御意見を伺う中で、必要が生じれば、対応を検討していきたいと考えております。
〇小野寺好委員 精神科救急医療について伺います。
 先ごろ県議会の地域医療確保対策特別委員会で群馬県立精神医療センターを訪問し、研修調査してまいりました。ノーマライゼーションが一般化する中、責任能力を欠いた行動から我が身を守らなければならない局面も想定しなければなりません。刑罰法規に触れる行為があった場合、責任能力にもよりますが、警察、検察、矯正施設、保健所、病院等、さまざまな行政機関がかかわってきます。場合によっては、警察が保護も立件もしないとか、病院からは受け付けてもらえないとか、被害者やその関係者が危険な状況に置かれたままということも想定されます。
 視察した群馬県立精神医療センターでは、昼夜の別なく、精神科三次救急の情報センターとして立派に機能し、県民を安心させていましたが、本県の対応はいかがでしょうか。
〇千葉副知事 精神科救急医療についてでございますけれども、県では、休日または夜間におきまして、精神疾患の急変等により医療が必要とされる方に対し、迅速かつ適切に精神科医療を提供する体制を整備しているところでございます。
 この体制は、具体的に申し上げますと、県内を県北、盛岡、岩手中部、県南の四つの精神科救急医療圏として設定しました上で、それぞれの圏域ごとに、年間を通じて、重度の精神科急性期患者に常時対応する精神科救急医療施設を指定いたしまして、精神障がい者の方が、地域において安心して生活できるよう、適切な医療の提供体制を確保しているところでございます。
 これらの体制に加えまして、精神科医療に関する相談を受け付けます精神科救急情報センターを365日、24時間運営しておりまして、精神科救急医療が必要な方やその御家族からの御相談に応じまして、適切な医療につなげる役割を担っているところでございます。
 今後におきましても、これらの体制を基本とし、県民に必要とされる精神科の医療ニーズに的確に対応するよう取り組んでいきたいと考えております。
〇小野寺好委員 自分たちの地域の県立病院を自分たちの手で守っていこうとのボランティア精神で、県立病院にかかわっている皆さんがふえています。花や美術品を飾るだけでなく、診察券の自動受付や支払い機の説明等、患者さんへのかかわりもあるようです。災害時には、医師、看護師に食事を提供したとも聞きます。大変すぐれた行動ではありますが、医療機関という特殊性を考えると、ボランティアの皆さんと病院とできちんとした取り決めが必要ではないかと思います。
 現在、どこの県立病院で、どのような貢献がなされているか、把握している部分を伺います。
 菌やウイルス、個人情報等、患者さんとボランティアの皆さんの両方を守っていくための考慮すべき対策を伺います。
〇千葉副知事 県立病院ボランティアについてでありますけれども、本年2月に調査いたしましたところ、17の病院と二つの地域診療センターにおきまして、38の個人、団体、約900名の方々にボランティア活動をいただいているところでございます。
 その活動内容は、環境美化活動や外来患者への支援など多岐にわたっておりまして、一例を申し上げますと、中央病院では、外来案内や自動支払い機の操作支援、小児患者等の見守り、あるいは千厩病院では、病棟でのレクリエーション、花壇の整備など、多様な活動が行われているところでございます。
 各病院におきましては、ボランティア活動の内容、ボランティア保険への加入、病院内での活動に当たっての遵守事項などを内容といたしますボランティア受け入れ要領を定めておりまして、その受け入れを行っているところでございまして、特に患者さんと直接接する機会のある活動に従事するボランティアの方々に対しましては、予防接種の実施や院内感染防止対策、患者さんのプライバシーへの配慮について、事前に徹底しているところでございます。
 病院ボランティアの活動は、患者さんとの触れ合いを通じて、安らぎを与え、療養環境の向上に大きく貢献をしていただいているところでございます。
 また、最近は、このような活動に加えまして、医療現場についての理解の醸成や適正受診のあり方などの啓発活動も地域で積極的に展開している団体もございます。例えば、一関市千厩地域の団体でございます朝顔のたね─千厩病院を守り隊など、住民みずから地域医療を守り支える運動なども広がっていっているところでございまして、引き続き、こういう機運の醸成や地域と一体となりました医療の確保に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇小野寺好委員 次に、火山防災について伺います。
 かつて、宮城県沖でマグニチュード7.5の地震が30年以内に発生する確率は99%と言われてきましたが、マグニチュード9.0の東日本大震災は、これと別物として発生したとも言われております。要するに、いつ、どこで、どの規模でもう一度発生するかわからないということであります。
 東日本大震災から立ち直っていないこのときに、仮に岩手山が噴火し、県の中心部が被災したら、沿岸被災地への支援も県全体の復興も困難をきわめます。
 東大地震研究所火山噴火予知研究センターでは、東日本大震災で日本列島の地殻構造は大きく変化したが、火山にどう影響が及ぶかはわかっていない。最近の世界の巨大地震では、数年以内に周辺で火山噴火が発生しており、当面は細心の注意を払う必要があるとしています。
 また、県の総合防災室の資料にも、岩手山などの火山活動は、三陸沖の大地震、巨大地震の発生前後5年以内に発生する傾向がある。近年では、平成6年12月の三陸はるか沖地震、マグニチュード7.5の後、平成9年秋田焼山の水蒸気噴火と平成10年岩手山の火山活動活発化などがあったと記しており、火山活動に備えた事前準備の必要性を訴えています。
 そこで伺いますが、1、岩手山火山噴火緊急減災対策砂防計画の検討内容と計画の徹底範囲はどのようになっているか。2、岩手山火山活動観測体制と行政や住民への周知方法はどのようになっているか。3、避難対象地区住民の避難訓練の状況はいかがか。4、指定避難場所の食料等の備えはいかがか。5、かつて、警察本部では噴火災害時には1、000人体制で任務に当たる計画になっていると聞きましたが、県は、このほかの行政機関と連携した訓練などは行っているか。6、降灰による農業への影響予測と対策はいかがか。7、温泉地等で入念な訓練を行うことは、危険性の高い地域ではないかと思われることもありますので、観光イメージを悪化させないことへの兼ね合いをどう考えておりますか伺います。
〇上野副知事 岩手山火山噴火緊急減災対策砂防計画についてのお尋ねでございますが、国では、いつ、どこで起きるか予測が難しい火山噴火に伴い発生する土砂災害に対しまして、緊急対策を迅速かつ効果的に実施し、被害をできる限り軽減、減災するために、火山噴火緊急減災対策砂防計画を策定することといたしておりまして、岩手山につきましては、岩手河川国道事務所において平成22年に作成されたところであります。
 この計画では、緊急時のハード、ソフト対策、火山噴火時における緊急調査及び平常時からの準備事項について定めておりまして、具体的な行動計画につきましては、今後、策定することとされております。
 計画範囲につきましては、平成10年に県や岩手河川国道事務所などで構成する岩手山火山災害対策検討委員会が作成いたしました岩手山防災マップで想定される範囲を基本としておりまして、岩手山周辺4市町村─盛岡市、八幡平市、雫石町、滝沢村の一部が対象となっております。
 次に、降灰による農業への影響予測と対策についてでありますが、降灰による農業への影響につきましては、農作物への降灰の付着による野菜の生育不良や果実の品質低下、火山灰を含む飼料の給与による家畜の消化器障害などが懸念されるところでございます。
 対策といたしましては、散水による作物に付着した灰の速やかな除去、樹勢低下による病害発生を防ぐための薬剤の散布や、堆肥等の土壌改良資材の施用などの実施が必要となります。
 県といたしましては、対策の周知徹底を図りまして、降灰の影響による被害を最小限にとどめられるよう、生産者団体や関係機関と連携いたしまして、迅速な対応に努める考えでございます。
〇加藤総務部長 火山防災関係の残りの質問につきまして、私から答弁申し上げます。
 まず、岩手山火山活動の観測体制と行政、住民への周知方法についてでございます。
 岩手山は、国におきまして監視・観測体制の充実等が必要な火山として選定されておりまして、気象庁及び東北大学などの関係機関が、地震計や傾斜計などの観測機器を設置し、24時間体制で観測、監視を行っておりまして、それぞれの機関の観測データは、関係者間で共有されております。
 また、県におきましては、防災ヘリコプターを活用しました機上からの観測でございますとか、地上での調査を毎年実施しておりますほか、学識経験者、関係機関及び市町村で構成いたします検討会を定期的に開催し、火山活動の状況を把握するよう努めております。
 気象庁が発表いたします噴火警報あるいは噴火予報というもの等々ございますが、これにつきましては、全国瞬時警報システム─J-ALERTで県や関係市町村、こういった行政に伝達されまして、そして、その情報は、市町村の防災行政無線やエリアメールなどによりまして直ちに住民に周知される、こういう方法がとられているということでございます。
 次に、避難対象地区住民の避難訓練の状況でございます。
 岩手山周辺市町村では、地域防災計画の中で、火山災害も念頭に置き、避難訓練の実施について定めておりまして、これに基づきまして、それぞれの市町村において、地区レベルのものを含めまして定期的に訓練を実施しております。
 通常、年1回程度の実施が一般的でございまして、また、明確に火山災害を想定するかどうかということはございますが、それにかかわらず、こうした訓練の中で、地区住民が実地に避難行動をとることを通じまして、避難経路や避難場所、避難の手順などを確認いたしまして、必要な改善をそれぞれ図っているということでございます。
 次に、指定避難場所の食料等の備えについてのお尋ねでございます。
 市町村それぞれで状況が異なっておりますものの、岩手山周辺4市町村では、避難所、役場、体育館などに、所要の食料や水、毛布等を備蓄しております。一定の施設に集約して備蓄している市町村もございますが、実際避難ということになった場合に、避難所に速やかに供給できる方途を講じていると把握しております。
 県では、地域防災計画におきまして、市町村が必要な食料等を指定避難所等へ分散して備蓄するよう定めておりまして、これを踏まえ、各市町村におきましては地域防災計画を見直している段階にございます。今後、それぞれの計画に基づきまして、避難所における備蓄内容の検討が進むものと考えられますことから、県といたしましても、十分な対応が図られるよう、市町村に対する働きかけ、あるいは助言等を行っていきたいと考えております。
 次に、他の行政機関と連携した訓練の実施ということでございます。
 岩手山の活動が活発化いたしました平成10年から15年まで、県、周辺市町村及び防災関係機関が一体となりました噴火対策防災訓練を計9回実施し、迅速かつ円滑な応急対策活動を行うことができるよう、関係機関相互の連携体制の確立を図ってまいりました。
 その後、平成16年に岩手山全山での入山規制が解除されまして、今日に至るまで火山活動が静穏に推移しておりますことから、関係機関が一体となった訓練は実施していない状況でございます。
 火山災害を想定したものではございませんが、総合的な防災訓練の定期的な実施を通じまして、関係機関─警察、消防、自衛隊、気象台等々といったことになると思いますが、そうした関係機関相互の連携を常に確認しておりまして、火山災害発生時におきましても、こうした防災訓練の成果が生かされる中で、密接な連携のもとに災害対応ができるものと考えております。
 こうした認識を有しているものでございますが、具体的に、噴火に伴う災害発生を念頭に置き、関係機関の活動と連携を確認することも重要と考えております。しばらく時間がたっているということもございますので、具体的なそういう取り組みも必要と考えております。平成26年度の総合防災訓練は、火山災害を想定して、八幡平市を中心とした岩手山周辺地域で実施する予定にしておりまして、こうした中で関係機関の活動と連携、実際に火山活動を想定したということで、この確認を行いたいと考えております。
 最後に、こうした火山防災の対策の観光イメージへの影響についてのお尋ねでございます。
 岩手山に限らず、火山は、火山活動による災害の発生が懸念される反面、温泉等の観光資源によりまして地域経済に寄与している、そういう側面もございます。
 火山を活用いたしました観光を推進する立場にある本県にとりまして、さまざまな防災対策を講じ、観光客の安全を確保することが、防災上の観点のみならず、安心して訪問いただく、そうした環境づくりのためにも重要と認識しております。
 このため、これまで答弁申し上げましたもの、引き続き観測、監視の徹底でございますとか、避難対策の強化等を図りつつ、そうした取り組みを県内外に周知することによりまして、あわせて安全・安心な観光地のイメージを醸成していきたいと考えております。
〇高橋元委員長 次に、清水恭一委員。
   〔清水恭一委員質問者席に着く〕
〇清水恭一委員 東日本大震災津波の発生から間もなく2年であります。この2年間、岩手県として、まさに総力を挙げて、その復旧、復興に取り組んでこられました。しかし、まだまだ始まったばかり、復興途上、さまざまな事業のおくれも指摘されております。そしてまた、次から次と新たな課題も出てきます。地域のコミュニティの再生はこれからが本番であります。引き続き、知事を先頭に、県民の大きな支えとして頑張っていただきたいと思います。
 それでは、森林、林業についてお伺いいたします。
 カーボンオフセットといいますか、CO2の吸収量のクレジット制度について伺います。
 県では、県有林においてCO2の排出量取引を実施していると伺っておりますが、その成果はいかがでしょうか。また、広大な森林を有する岩手県においては、森林機能の維持や林業振興のために、このCO2の排出取引量の取り組みを市町村有林や、あるいはそれぞれ個人、私有林に拡大していくべきと考えますが、御所見をお伺いします。
〇上野副知事 CO2吸収量のクレジット制度についてのお尋ねでございますが、県では、県有模範林において実施いたしました間伐により吸収、固定されたCO2につきまして、環境省が創設いたしましたCO2排出量取引制度、いわゆるJ-VERの認証を取得し、平成23年1月のJ-VERクレジット販売開始以来、現在まで、県内外の42の企業、団体に1、540トンを約2、400万円で御購入いただいておりまして、その資金を新たな森林整備に活用しているところでございます。
 また、市町村有林や私有林でのJ-VERの取引につきまして、現在、四つの森林経営体が認証を取得しておられまして、このほか三つの市町が、認証取得に向けて手続を進めておられます。
 県といたしましては、引き続き、森林所有者などを対象といたしましたセミナーの開催などを通じまして、J-VERの取り組みがさらに拡大し、一層の森林整備が推進されるよう取り組んでいく考えでございます。
〇清水恭一委員 大変にありがたい取り組みだと思っております。いずれにいたしましても、その成果をしっかりとそれぞれの森林組合とか、さまざまな林業関係者にお伝えして、大いに周知徹底の中で、林業振興に、その機能維持につながるようにしていただきたいと思います。
 2点目でございますが、水源林の買収対策についてお伺いします。
 これは、外国人が水源地の森林を買収する動きがあると聞いております。いわゆる水のビジネスが過熱化しているようですが、このような水源林の買収について、本県の状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
 また、そうした水源林買収に対応するため、県の豊かな水と環境を、そして、大切な森林を守るルールをつくっていくことも必要ではないかと思っておりますし、今、苦戦している林業の中で、二束三文で山林が売り買いされないような対策が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
〇上野副知事 水源林の買収対策についてでありますが、外国人による水源林の買収状況につきましては、平成20年度から情報収集に努めておりますが、現時点で県内での水源林買収の事例は確認されておりません。
 次に、水源林買収に係る対策についてでございますが、県といたしましては、昨年4月から施行されました森林法の一部改正で、売買や相続等により新たに森林所有者となった場合、市町村長への届け出が義務化されたところでございまして、この届け出制度による所有者の的確な把握とあわせまして、水源地域など公益上特に重要な森林の保安林への指定や、無秩序な森林の開発を防ぐ林地開発制度の運用などの方策を通じまして、本県の大切な水源林や森林が保全されていくよう取り組んでいく考えでございます。
〇清水恭一委員 ありがとうございます。北海道や、あるいは首都圏の群馬県などでは、800ヘクタールにも及ぶところが買収されたというような記事が新聞に出ておりましたので、いずれ、長い間守ってきた森林を守るということも大変に大事なことだと思いますので、引き続き注視をしていただきたいと思います。
 3点目ですが、これはシイタケですが、もう皆さんからそれぞれたくさん伺っておりますので、私は限られたところをお伺いしますが、安全なシイタケ、あるいは安全な原木の確保について、シイタケ農家は、まさに危機的な状況の中で、特にも露地栽培の農家の人たちは、完全な休業状況の中にあるのではないかと認識しております。やりたくても何もできないんだと。
 こうしたことからさまざまな対策もいただいているわけですが、除染機、これは効果は私はちょっとわからないのですが、除染機があると聞いておりますが、除染機なども購入して、いわゆるセシウムを洗い流す、安全な安心な原木の確保にさらに努めるべきと思いますが、御所見を伺います。
〇上野副知事 安全・安心なシイタケ原木の確保についてのお尋ねでありますが、シイタケの生産再開に当たりましては、県では、岩手県森林組合連合会など県内関係団体の協力のもと、放射性物質濃度を検査し、安全な原木林を確保するとともに、原木確保の要望との調整を図り、安全なシイタケ原木の確保、供給に取り組んでいるところでございます。
 生産者の方々は、安全なシイタケ原木を使用したいとの意向が強うございまして、県といたしましては、生産者から御要望のありました13万本について既に確保し、この春の植菌作業に向け、順次供給を進めているところであります。
 なお、先ほど委員より原木のセシウム除染機の導入についてお尋ねがございました。今年度、県内で原木のセシウム除染機を導入するのは1組合のみでございます。このシイタケ生産組合は、補助率2分の1の国庫補助制度を活用しておられます。この国庫補助制度については、県内の生産者の方々に導入の意向を確認いたしましたが、希望されたのはこの1組合のみでございました。
 今後とも、導入希望があった場合には、国庫補助制度の活用などにより導入を支援していきたいと考えております。
〇清水恭一委員 ありがとうございます。いずれ、みずからの山林といいますか地域のほだ木確保等ができるように、引き続き、生産者の不安を解消できるように寄り添った対応をお願い申し上げ、終わります。
〇高橋元委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時49分 休 憩
午後1時2分 再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、小泉光男委員。
   〔小泉光男委員質問者席に着く〕
〇小泉光男委員 無所属の小泉光男でございます。
 私は、三つのテーマに絞って御質問いたします。
 第1は、復興計画といわて県民計画の相関関係についてであります。
 希望郷いわてを導こうとするいわて県民計画は、達増知事就任の翌年から策定され、2年余りの実施を経て、その成果はまさにこれからというとき、2011年東日本大震災が発災したことから、いわて県民計画に加えて8月に復興計画が策定されました。まっしぐらに推進中だった発災前のいわて県民計画も、あの日、波につかりましたが、県は、復興施策も含めた県行政全般にわたる政策や施策の基本的な方向を総合的かつ体系的に定める計画として震災後も白紙撤回しなかったことから、現在、岩手県の将来設計図とも言うべきグランドデザインは、この二つの計画が重畳的、並列的に絡み合って、相互に突き進んでいるのが実態であります。そのことが、復興計画に基づく予算執行なのか、県民計画に基づくそれなのかをわかりづらくしており、先刻問題になった盛岡さんさの台湾派遣費用の出どころがいい例であります。いわて県民計画達成でさえ手いっぱいだったはずのそれを解消宣告せずにそのまま旗を振り続けていることで、今年度予算の4割を占める復興計画と二兎を追う状況となり、そのことが県政執行全般にわたってしわ寄せが来ていると考えます。例えば職員の不足感や組織の疲弊などが感じられる大きな要因と考えるものであります。
 そこで質問します。県は、この現状を認識しているのかどうか。認識がないから、これからもいわて県民計画、復興計画の2本を基本施策として打ち出し続けるのか、あるいは弊害を感じながらも推し進めていくのか、また、計画相互の関連性や、ブッキングした際の優先順位を確認したいと思います。
〇達増知事 復興計画といわて県民計画の関係についてでありますが、復興計画の策定に当たりましては、上位計画の県民計画に掲げる地域経営の考え方や、つながり、ひとという視点を重要な考え方として盛り込むなど、広範囲にわたって県民計画との整合性を図ったところであります。
 県民計画のほうは、長期的な視点に立ち、大震災津波以降も変わることのない岩手のあるべき姿を示しているものであり、震災からの復旧、復興、さらにはその先にある希望郷いわての実現に向けて、復興計画とともに両計画を着実に推進していきたいと考えているところであります。
 今後とも、復興計画に基づく施策を喫緊の課題として優先的に取り組むと同時に、県民計画に基づく施策の推進に当たりましては、復興との関連性を勘案し、政策評価結果を踏まえて事業の効果や効率性などを検証しながら一層の選択と集中を進めて、限られた財源の中で、重点的かつ効果的に取り組んでまいります。
〇小泉光男委員 今の質問と関連しますけれども、きのう、嵯峨委員も取り上げたスマイル130プロジェクトについて、補足的にお聞きします。
 その意図するところはきのうの御説明でわかりましたので省略しますが、この言葉、フレーズはいきなり飛び出してきた感じがします。スマイル130プロジェクトの意味するスキームとか具体的な内容を確認します。
 きのうの説明では、部局横断的な、県内外の復興を高める、機運を高めるとされましたが、どれほどの議論を重ね、練度を持った方針でしょうか。一見、アイデアや思いつきのようにも私には映ります。単なる精神論、スローガン的意味合いで使っているのでしょうか。また、それは復興計画の実現のためか、いわて県民計画達成のための調味料なのでしょうか。また、スマイル130プロジェクトは来年度短期での達成を望んでいるのか、それとも中長期にまたがるプロジェクトとして最終年度まで引っ張るつもりなのかお聞かせください。
〇中村政策地域部長 スマイル130プロジェクトについてでございます。これにつきましては、平成25年度の予算編成過程の中で、岩手県の130万人県民全ての方々が笑顔を取り戻せるような復興を進めようということで、岩手県に派遣でおいでになっている職員の方から提案があったものでございます。このアイデアをベースにして、地元の力とつながりの力といったものを合わせたよい例であるということ、また、復興の取り組み全体に共通するテーマであるということから、スマイル130プロジェクトとして実施しようということで考えているものでございます。
 具体的には、来年度の取り組みの事業の中で、県外に情報発信していく事業でありますとか、ブランドの再生事業といったようなものも幾つか予定されております。そういった取り組みを進めるに際して、スマイル130プロジェクトといった考え方を踏まえて取り組みをしていこうと考えているものでございます。
 また、これまで、庁内の改革運動ということでI援隊運動という取り組みをしてまいりました。これをさらに発展させるというような視点も盛り込みながらこの取り組みを進めてまいりたいということで、中長期的なスパンで復興の取り組みを効果的に推進する一環として、この取り組みをやっていきたいと考えてございます。具体的には、今後さらに詳細を詰めまして、平成25年度からの展開につなげてまいりたいと考えてございます。
〇小泉光男委員 二つ目の質問です。平成25年度予算作成に当たっては、県は緊縮予算の中で最大の縮減や合理化を図った予算と強調しますが、説明とは裏腹に、私には、切迫度、緊張感を感じることができません。例えば来年度予算を1兆1、510億円としながら、未利用県有地の売却として8、000万円を計上しているのみです。これを来年度歳入予算で割ると0.0069%と微々たる金額にすぎず、とても緊急時を見込んだ出血予算には見えないのであります。
 さらに、県は、722事業の事業評価をした結果、41事業を休止または廃止したと説明しますが、これだって5.6%にしかすぎません。県民の強い継続要望を断ってでも廃止したと誇れる内容は何がありましょうか。
 さらに、県内の土地開発公社の2011年度事業状況として、5年以上抱える長期保有土地は全体の95.2%を占めると報道されています。さきの商工文教委員会では、廃校となった高校19校のうち12校が手つかずの状態と説明されました。
 そこで伺います。総額予算のうち、復興予算として全体の4割以上の5、100億円余を充当すると言うなら、復興予算分の4割に相当する一般事業の見直しや削減、廃止をするのが筋であります。緊縮財政と言いながら、虎の子の基金を取り崩して岩手県競馬組合に貸し付けた200億円近い元金の返済計画も求めていません。この予算編成は一体どこから来るのでしょうか。
 なお、きのうの喜多委員の質問で総務部長から、新たな歳入確保策としてネーミングライツも検討したいとの回答がありました。具体的な建物や施設名があればお示し願います。
〇加藤総務部長 復興予算の増大、それと通常分の予算の見直しについてということで、大変厳しい御指摘を頂戴いたしました。
 これについてでございますが、東日本大震災津波からの復旧、復興対策に見込まれる予算につきましては極めて多額に上りまして、通常分の予算の縮減では到底賄い切れないものでございます。したがいまして、本県の復旧、復興に係る予算の財源といたしましては国費を基本に考えざるを得ず、通常分の予算とは別枠として捉え、これをしっかり管理していくべきものと認識しております。
 一方、通常分の予算につきましては、社会保障関係費の自然増でございますとか公債費の増加が見込まれる中、県民生活や産業振興に必要な予算を確保した上で、前年度比2.7%、175億円の減としておりまして、1件ごとに事業の精査を重ね、不要不急な事業は絞り込んでいるものと認識しております。
 また、ネーミングライツについてのお尋ねがございました。具体的な施設等についてということでございます。ネーミングライツについては、現在検討中ということでございます。さまざま他県の例ですとか、ネーミングライツの仕組みの狙いとするところから対象施設等を検討しております。当然、ある程度宣伝周知効果がないと、相手というか、企業なりから手が挙がらないということがございますので、それなりに多くの県民なり住民の皆さんが使っていただく、そして目に触れる、そういうある程度大きな規模の施設ということになってくるかと思います。そういった施設を中心に、現在、関係部局等に、こういったものは考えられないかということで投げかけをしている。ただ、関係部局のほうからも、そもそも、そういう施設の性格ですとか使い道とかの関係でいろいろ整理する課題もあるんじゃないかということでさまざま意見をいただいておりまして、そうしたものを調整している段階でございます。はっきりどの施設を対象にするかという方向性が定まったものが、まだ、こちらとしてできているものではございませんので、具体的な施設名等につきましてはお答えは差し控えさせていただければと存じます。
〇小泉光男委員 三つ目の県北振興重点主義予算についてお尋ねいたします。
 地域間格差是正を目的とした新たな予算措置を講じましたことには敬意を表し、評価したいと思います。特にも浄法寺町にある728年開山と言われる歴史を持つ古刹の修復とか、企業局が高森高原に大規模風力発電の計画を具体化されたということ、あるいは私が前回質問した二戸駅前に駐在所建設の方向が示されたということにつきましては、地元関係者の期待に応える内容であり、その労を多といたします。
 しかしながら、そのほかの県北重点名目に至る予算措置を見れば、政策地域部や県北広域振興局、それぞれ部局に少しずつ予算を振り分けた感が強く、とても県北振興に資する重点配分にふさわしい内容には映りません。あくまでも短期速乾的、通過型一過性カンフル剤の効用という感じがいたします。
 4月から始まるNHK連続テレビ小説あまちゃん放映に関連し、三陸観光復興支援事業として5、200万円計上したことは少なくない予算措置であり、評価はいたしますが、放送期間は6カ月間だけです。この放送が終われば、結局、5、200万円も砂漠に吸い上げられた一滴の清水となりかねず、県北振興に必ずつながると考えるのは早計と言うべきであります。
 そこで質問いたします。数年前に放送されたどんど晴れは、どれぐらいの期間にわたり、どれぐらいの経済効果があったと試算しているのでしょうか。また、前回放送時には県予算としてどれぐらい手当てしたのでしょうか。
〇上野副知事 どんど晴れに関する経済効果あるいは予算についてのお尋ねでございます。放映のございました平成19年は、7月から9月にかけて実施されました北東北デスティネーションキャンペーンの効果もあるとは思われますが、岩手県内の観光客の入り込み数は対前年2.7%の増加、観光消費額は対前年2.0%、約49億円の増加となっております。
 平成20年には、6月の岩手・宮城内陸地震、7月の沿岸北部地震、さらにはリーマンショックなどの影響もございまして、観光客の入り込みが対前年で見まして4.7%の減少となったところではございますが、このドラマで取り上げられました小岩井農場の一本桜やじゃじゃ麺といった観光資源の知名度の向上ということにつきましては、放送終了後においても継続的な効果を及ぼしているものと思っております。
 県予算といたしましては、当時の盛岡地方振興局におきまして、どんど晴れ支援・活用推進協議会に対しまして、平成18年度に260万円、平成19年度に400万円、平成20年度に235万円の計895万円を地域振興推進費から補助金として支出しているところでございます。
〇小泉光男委員 県北を除く県央から県南にかけては、現在の余りある雇用の場に加え、さらなる自動車集積産業の誘致に力を入れたり、莫大な経済効果が期待されるILC誘致への機運醸成が高まっているなど、県北振興の目玉として打ち出したそれとは比較にならないほど重厚にして確実、魅力型予算と映るのであります。
 そこでお伺いします。県北振興重点と銘打ち、本気で地域間格差を考えるなら、長期間にわたり確実に産業振興や地域雇用、または観光誘致に直結する大型プロジェクトや発想転換する大胆な企画が必要ではないでしょうか。例えば多用途コンベンション機能を備えた北岩手未来創造館とか、県立県北物産振興センター、高森高原総合再生エナジードリームランドなど、通年型そして県北の地域経済発展、振興に寄与する計画を示すべきと考えますが、御見解をお知らせいただきたいと思います。
〇中村政策地域部長 県北振興に関する取り組みでございます。県としては、委員のほうからお話があった取り組みなどに加えまして、長期的な取り組みといたしましては、北海道、北東北の縄文遺跡群の構成資産を決定いたしました一戸町の御所野遺跡の世界遺産登録への取り組みを初めといたしまして、先ほどお話にございました大規模風力発電所の建設に向けました環境影響評価の着手、さらには、企業の助成金を活用いたしまして、二戸地域の農産物の情報発信でありますとか、農と福祉の連携などにつきましても展開していくこととしてございます。
 今後におきましても、地元関係者、民間企業の方々とも十分に意見交換をさせていただきながら、地域が一体となりまして、県民計画で目指す地域の将来像を踏まえて、自立と活力を生み出す経済基盤の構築を目指しまして、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〇小泉光男委員 県北・沿岸振興本部長である千葉副知事にお伺いします。究極の策となりますけれども、県庁をここ盛岡から県北地区に移すという思い切った政策はどうでしょうか。半永久的にわたって遷都が難しいということであれば、かつてリビアが採用したとされるトリポリとベンガジの2都市を半年ずつ交代で首都機能を移した時期があります。これに倣って、せめて1年の半分でもという思いはありますが、副知事の御所見をお願いいたします。
〇千葉副知事 大変雄大な構想でございまして、直ちにどのような答弁を申し上げればいいのか、私もちょっと悩むところでございますけれども、いずれ、新幹線が整備されて以来、盛岡と二戸の時間格差と申しますか、いわゆる距離的格差は物すごく縮まったと思っております。
 ただ、実は先日、二戸で、これまで全く弱いと言われておりました冬の観光ということで食のフェアもさせていただきまして、盛岡、北上方面を中心に300人を超える方々に来ていただいて、県北の食を楽しんでいただくようなイベントもさせていただきました。これは一つのこれからの取っかかりだと思っておりますが、そういう意味で、盛岡と二戸をどのような形で連携を強化していくか。その中でも、例えばIGRいわて銀河鉄道でもさまざまな連携した取り組みのブリッジをやっていただいているのではないかと思いますけれども、そういう面をどんどん強化して、さまざまな効果が二戸、内陸や県北までつながるような仕組みを強くしていく必要があるものと考えております。
〇高橋元委員長 次に、佐々木茂光委員。
   〔佐々木茂光委員質問者席に着く〕
〇佐々木茂光委員 私は、最後になりましたので、早速質問に入らせていただきます。
 まず最初に、復興予算の検証と復興加速年に取り組む知事の姿勢についてお尋ねいたします。
 このたびの知事演述で、今年度は復興元年ということから、来年度は復興加速年という形で位置づけて予算編成がされております。東日本大震災からはや2年になろうとしておる中、いまだ復興の実感がほど遠い状況にあるわけであります。
 特にも、生活の基礎となる住宅再建については、大半の被災者が仮設住宅から転居の見通しが立たない状況にあるわけであります。そういった中で、復興元年としての今年度予算の検証と、被災地住民に対して、希望や安心感、そして復興からの加速を実感できるような具体的な事例、取り組み等について、知事の姿勢、そしてまた意気込みをお示し願いたいと思います。
〇達増知事 県では、平成24年度を復興元年と位置づけ、復興計画に基づいて基盤復興に取り組んでまいりました。
 安全の確保については、災害廃棄物の処理が、本年1月末現在3割程度まで進み、高田松原の防潮堤の復旧工事が着工したほか、特に、復興の中核となる復興のまちづくりについては、被災市町村の復興まちづくりの具体化に向けた支援を行い、復興交付金を活用した復興まちづくりの面的整備事業をこれまで県内123地区で進めており、このうち高田西地区を初めとする10地区は着工済みとなっております。
 また、安全を支える交通ネットワークの整備については、11月には、復興道路に位置づけられる三陸沿岸道路の宮古中央-田老間が即年着工したほか、東北横断自動車道宮守-東和間が開通いたしました。
 暮らしの再建については、県と市町村が建設を予定する災害公営住宅の約4割の事業に着手し、野田村野田地区、釜石市上中島地区や大船渡市明神前地区では今年度末までに完成する予定であります。
 なりわいの再生については、補助事業による新規登録漁船数が5、393隻となり、1万隻を超える漁船が稼働可能となるほか、グループ補助等を活用し、水産加工業については、一部再開も含め約8割弱の事業所で事業が再開し、沿岸部の宿泊施設は収容定員の8割弱まで復旧したところであります。
 その一方で、被災された多くの方々がいまだ応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされ、復興の歩みを実感できないという状況にありますことから、被災者の方々に復興を実感していただけるよう平成25年度を復興加速年と位置づけて、安全の確保につきましては、災害廃棄物の処理を平成26年3月までに完了させるほか、防潮堤や高台移転の工事が本格化するところであります。
 また、三陸沿岸道路の高田道路、陸前高田-通岡間及び尾肝要道路が供用予定であります。そして、三陸鉄道は平成26年4月の全線開通を目指して復旧を進めているところであります。
 暮らしの再建につきましては、恒久的な住宅へ早期に住みかえができるよう、県が整備する災害公営住宅約2、800戸について、平成26年度までの完成を目指すとともに、国が増額交付する震災復興特別交付税215億円を活用し、被災者の住宅再建の支援を充実強化していくところであります。
 なりわいの再生については、平成25年度末までに約7、000隻の漁船や、約2万台の養殖施設の整備を進めるほか、国が新たに措置する津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地促進事業補助金を活用した企業立地を促進してまいります。
 また、復興を加速するため、今後とも、内陸と沿岸が一体となったオール岩手による復興を推進し、県内外の多様な主体との連携を強化しながら、一日も早い、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造に向けて取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 次に、産業の振興策についてお尋ねいたします。
 気仙地域における林業支援策についてお尋ねいたします。
 新聞報道によりますと、北上市への合板工場の立地が決定したということでございます。これは本県にとっては大変喜ばしいことであると思います。ただ、残念にも、気仙地域にそういったものが本来ならば欲しかったということをさきにも申し上げておりましたが、気仙地域の住民にとっては大変残念なことでもあります。
 そういった中で、さきにも申し上げておりましたが、気仙地域の人材を活用した地元プレカット工場や木質バイオマス利用施設の整備計画について、その後の進捗状況及び県の支援策等についてお伺いいたします。
〇上野副知事 気仙地域におけます林業支援策についてでありますが、気仙地域において今年度進められておりました地元のプレカット工場の製造ラインの増設につきましては、本年の3月末までに完成する予定となっております。また、製材工場の木材乾燥用ボイラーの整備につきましては、本年2月に完了したところでございます。
 来年度以降は、チップ燃料供給施設や木質バイオマス利用施設の整備などが計画されていることから、県では、木質バイオマスコーディネーターによる技術指導や、森林整備加速化・林業再生基金事業等の活用によりまして施設の整備を支援し、地域の林業、木材産業の振興を図っていく考えでございます。
〇佐々木茂光委員 次に、放射線の影響対策における農業の支援策についてお尋ねいたします。
 先日、雪深い八幡平市の農家を訪れた際に、本来であれば雪解けが待ち遠しいこの時期に、春が来てほしくないというお話をされた方がおりました。その理由として、御案内のとおり、原発事故の影響により、農作物等を生産しても、風評被害等により価格が低下傾向であることから販路が縮小している状況など、意欲的に農作業に取り組む気力が湧いてこないというようなお話をされておりました。
 県では、平成25年度当初予算において、いわてブランド再生推進事業を初めとした販路拡大など農業支援策を実施しているようでありますが、そういった農家等に対して、もう一歩踏み込んだ支援等の考えがあるのかお伺いいたします。
〇上野副知事 放射能影響対策における農業支援策などについてのお尋ねでありますが、県では、生産者の方々が意欲を持って生産活動ができるよう、まず、生産面におきましては生産管理対策を徹底し、安全・安心な農作物の生産を推進するとともに、流通、販売面におきましては、計画的な検査の実施と適切な情報公開、情報発信により、消費者の信頼確保に努めているところでございます。
 この取り組みとあわせまして、生産者団体と連携いたしまして、県内外で行われる県産品フェアや全国的な広報誌などあらゆる機会を活用しながら、消費者に対し、安全・安心でおいしい本県の農作物を積極的にアピールするとともに、実需者に対しまして、県産品を紹介するカタログの配布や産地見学会による生産者との交流機会の提供などを通じまして、県産農産物の評価の向上と販路の拡大を図っていきたいと思っております。
 委員御指摘のございました平成25年度のいわてブランド再生推進事業におきましても、この点を徹底することといたしておりまして、全庁的な活動といたしまして、おっしゃるような農産物の販売の促進、あるいは風評被害対策というものをやっていきたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 次に、災害廃棄物処理の見通しについてお尋ねいたします。
 本県における災害廃棄物の処理量は平成25年1月末現在で29.8%となっております。環境省が定めた本年3月末における中間目標の58%を達成するのが困難と見解を示されております。来年3月までの全量処理が本当に可能なのか、被災地住民としては、3月までにはと言わず、一日でも早く処理していただきたいところであります。今後の処理計画と課題、また、その対応策について具体的にお示し願いたいと思います。
 あわせて、津波堆積土砂の取り扱いについてでありますが、復興資材の見込み、資材としての品質評価の考え方、活用される公共事業の種別等についてお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、災害廃棄物処理の見通しについてでありますが、その主な状況につきまして申し上げますと、まず、可燃物約80万トンでございますけれども、これにつきましては、現在、独自処理を行っております釜石市や陸前高田市におきましても、本年4月から東京都での受け入れが開始される予定でございまして、処理の加速化が図られ、可燃物全体としましては、本年12月までにはおおむね処理が完了するというような見込みを持っております。
 次に、不燃系廃棄物約100万トンについてでありますけれども、約7割程度はセメント工場で再生利用を図ることとしておりまして、それ以外のものにつきましては、市町村や民間の最終処分場に埋め立てる方向で、現在、県内の市町村等と調整中でございまして、一部市町村等から既に受け入れの表明等もしていただいているところでございます。
 あわせて、この不燃系廃棄物につきましては、できるだけ最終処分場に埋め立てる量を減らしたいと考えておりまして、国や専門家などの協力をいただきまして、木くずを多く含んでおります不燃系廃棄物を津波堆積土と混合することにより資材化する方法などについても検討しておりまして、こうした取り組みを含め、できるだけ早期に処理が図られるよう努めていきたいと考えております。
 また、津波堆積土約160万トンにつきましては、可能な限り公共事業資材として活用する計画を持っておりまして、これにつきましてもおおむねめどが立ちつつございますが、今後の懸念といたしましては、用地交渉などが難航し公共事業におくれが生じた場合、分別はされても、処理期限内に本当に活用できるかというようなところが、今、懸念材料となっております。したがいまして、現在、国に対しましては、分別し、復興資材化したものにつきましては、処理期限後におけます保管や運搬に要する経費についても十分財政措置を講じていただきたいということで要望を既にしておりますし、昨日、田中環境副大臣に対しまして、知事から改めて要望もしたところでございます。
 次に、津波堆積土の取り扱いについてでございます。津波堆積土は、先ほど申しましたように、約160万トンと推計しておりまして、公共事業の資材としての活用を図ることとし、その利用先については、現在、おおむね目途が立ちつつある状況でございます。
 資材としての品質評価に当たりましては、国立環境研究所や地盤工学会の協力をいただきまして、復興資材活用マニュアルを県独自に作成し、それに基づきまして、資材として求められる性能を、地盤の強度などに関する試験を行い、評価を行っているところでございます。
 活用される公共事業につきましては、主として、強固な地盤を必要としない土地の造成や農地の復旧などが考えられるところでございます。具体的には、防潮林や圃場整備事業あるいは大規模公園事業などについて、関係部局とマッチングを進めているところでございます。
 例えばでございますが、先ほど申しましたように全体で約160万トンございますけれども、その約半数を占めております陸前高田市におきましては、本年4月から、水洗いによりまして土砂分を分別する新たな施設整備等も進めているところでございまして、今後、本格化することが予定されておりますメモリアルパーク事業や圃場整備事業などにおいて、資材として活用することを現在計画しているところでございます。
〇佐々木茂光委員 次に、復興支援道路についてお尋ねいたします。
 さきの質問でも申し上げましたが、復興道路については、110路線以外の新たな指定は困難との答弁でありましたが、今、こういった状況の中で、昨年の暮れに大きく政権が交代され、まさに国の強靭化策もうたわれている中で、道路というものは、まさにその地域に大きな光を差すものであります。そういった中に、さらに気仙地域に復興道路を整備する考えはないのか、改めてお伺いいたします。
〇上野副知事 気仙地域におけます復興道路の整備についてのお尋ねでございますが、県では、災害に強い高規格道路等による幹線道路ネットワークの構築を被災地の復興に必要不可欠なものと考えまして、震災前から計画あるいは事業が行われております三陸沿岸道路と東北横断自動車道、さらに宮古盛岡横断道路を復興道路として位置づけたところでございます。
 復興道路につきましては、昨年11月には、東北横断自動車道の宮守-東和間24キロメートルが開通したほか、来る3月10日には、宮古盛岡横断道路簗川道路6.7キロメートルを前倒しで供用する予定といたしておりまして、復興のリーディングプロジェクトとして、国や関係機関と一体となって、一日も早い全線開通に全力で取り組むことが重要と考えております。
 気仙地域と内陸を結ぶ国道284号線、343号線、397号線等につきましては、県の復興計画で復興支援道路として位置づけておりまして、交通隘路箇所の解消や防災対策、橋梁耐震化等を重点的に進めておりまして、復興道路と一体となって機能することにより、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築が図られると考えております。
〇佐々木茂光委員 それはこの間の答えと全く同じでございますので、また、新たに時間をとりまして質問したいと思います。
 次に、公営住宅についてお尋ねいたします。
 災害公営住宅の各市町村の充足率、整備計画のスケジュールをお示し願うものであります。特にも仮設住宅の改善状況について、この間、新聞でも言われたように、2年先延ばしの状態の中から、仮設住宅でまた大変つらい思いをするわけでありますが、県はどのように考えておるのかお尋ねいたします。
〇上野副知事 まず、災害公営住宅の充足率と整備計画についてでございますが、各市町村では、被災された方々を対象に意向確認を進めておられまして、災害公営住宅への入居希望者の総数に基づき整備戸数を5、639戸と設定していることから、各市町村における入居希望者に対する整備予定戸数は現時点において充足しているものと捉えております。
 2月末時点の進捗状況につきましては、県内全体で整備する予定の5、639戸のうち、地権者の内諾を得ている用地が3、611戸で64%、そのうち設計を行っているものが1、359戸で24%、工事を行っているものが425戸で8%、完成したものが44戸で1%という進捗状況になっております。
 また、建設戸数の多い市町村の進捗状況についてお答えを申し上げますと、陸前高田市では、計画戸数1、000戸のうち835戸が地権者内諾済み、そのうち645戸が設計中でございます。釜石市では、計画戸数1、121戸のうち485戸が地権者内諾済み、そのうち50戸が設計中、225戸が建設中でございます。
 県は、平成26年度までの完成を目指し、また、各市町村においても、面的整備などにかかる一部の地区を除き、平成27年度末までの完成を目指して取り組んでまいります。
 次に、仮設住宅の改善状況等についてのお尋ねでございますが、水回りや寒さ対策など応急仮設住宅の状況につきましては、水道の凍結防止対策や外壁の断熱工事などを行っており、今後とも定期的な点検を行うともに、応急仮設住宅に生じる不具合等に対しまして、入居者の方々からの申し出に応じて必要な補修を行うことにより、入居者の方々に御不便が生じることのないよう、責任を持って対応してまいります。
 また、県といたしましては、被災された方々が一日も早く安心して暮らすことができるよう、災害公営住宅の早期完成に向けて全力で取り組んでまいります。
〇佐々木茂光委員 被災者がさらに1年半以上も住み続けなければならないということに対して、私も当初は2年で仮設住宅を出るような段取りをしておったんですが、まだまだ出られるような状況にないんです。そういったところをどのように感じておりますか。どのように捉えて、皆さんに、仮設住宅に住んでいる方々に対してどのような言葉をかけてやろうと思っておりますか。
〇上野副知事 仮設住宅にお住まいの方々には多大な御不便をおかけしておりまして、私どもとしては、全力で災害公営住宅の整備あるいは自力再建の支援というのをやってまいったわけですけれども、今おっしゃったように、当初の予定といいますか、お考えどおりに私どもの政策が今ところ実現していないということについて大変申しわけないと思っております。こうした状況を踏まえまして、私どもとしては、一刻も早く、先ほども申し上げましたようなスケジュール、あるいはできる限り前倒しを図りまして災害公営住宅を整備するということ。それから、国とも連携いたしまして、自宅支援についてのさまざまな施策を展開して、自力でお家を建てたいとおっしゃる方についての支援を充足していきたい、十分な支援をしてまいりたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 多大なる御不便というのは、言葉ではそういうふうに表現できますけれども、要は、金とか物とかという形でないんです、今の私たちが不便さを感じているというのは。心の中の、そういう深いところまでみんな入り込んでいる。去年の正月あたりを見ていますと、全然物音がしないんです。話も聞こえないんです。そういった状況の中でみんな、すぐだまっているという言葉はわかりますかね、座ったままじっとしているんです。そういった状況に、今、皆、仮設住宅にいる人たちが置かれているということ。まず、私はそれを非常に強く心配するところでありまして、やはりそういうところから早く皆さんを引っ張り出さないと、本当にそのままになって、まさに仮設住宅の中で終わってしまうという声がいっぱい聞こえております。住宅を建てる前に墓石を建てなきゃだめだという声がいっぱいであります。ですから、そういうところに─知事も答えは現場にあると常々言っております。そしてまた、寄り添うというような言葉もいろんな場面で使っております。知事みずから、そういった思いに対する所感がございましたらお願いしたいと思います。
〇達増知事 去年、アメリカでハリケーン・サンディというのがニューヨーク州、ニュージャージー州を襲いまして、合わせて60万件ぐらいの住宅被害があり、連邦政府は50万世帯分の臨時の住む場所を用意して、それで受け付けて登録してもらって、そこに一時的に住んでもらうということをやっているんですけれども、仮設住宅はつくらないんです。ということは、アパートを借り上げたり、ホテルにただで入れてもらったりというような手配をし、結局、広く被災を受けた場所の人たちは遠く離れたところに住まなければならない。これは、おととし、東日本大震災直前にニュージーランドのクライストチャーチで大きい地震があり、そこでもかなりの住宅が破壊されたんですけれども、やはり仮設住宅というのは建てないで、どこかあるところに移ってもらうと。
 先進国としての大規模災害対策のあり方として、私も、仮設住宅というものが実は日本独自のかなり特徴的な臨時の住宅確保のやり方ではあるんですが、特に岩手県の場合には、やはり大きく被害を受けた沿岸の市町村の中に住みながら復興に取り組んでいく、まちづくりの議論にも参画し、できるだけ早い段階から被災地で働いて稼ぐことができるようになるという観点から、やはり仮設住宅という手段はよかったと思っております。
 ただ、一方で、新しいまちづくり、高台移転や平地の区画整理の事業にまだかなりかかるというのがある中で、仮設住宅での生活が長期化しそうというところがあるんですけれども、なぜ仮設住宅かという原点は、ふるさとを守るためにあるんだということを、仮設住宅を設置し管理している県のほうでも、そのための仮設住宅だという原点をきちっと踏まえて、そこに住んでいる方々がふるさとを守るために力を出して、気持ちを出して働いて、そして生活できるような支援というものを県としてもしっかりしてまいりたいと思います。
〇佐々木茂光委員 次に、県立高田病院の再建についてお尋ねいたします。
 本市は、東日本大震災で1、800人のとうとい人命が奪われたわけであります。多くの市民が県立高田病院の再建をまさに待ち望んでいるわけであります。市民の心の傷は癒えず、先ほど申し上げたように、今なお仮設住宅で大変不自由な生活を余儀なくされております。
 県立高田病院は、地域医療を、院長先生を初め住民の皆様方と一緒になって、医療と福祉の連携など全国に誇れる取り組みが進められてまいりました。県立高田病院自身も、医師体制の充実や訪問診療の実績などの努力が実り、長年赤字だった経営が大幅に改善され─ここから大切なんですが、市民からも大きな信頼と期待が寄せられておりました。そういった中での震災であります。県立高田病院は平成23年度には60床から70床に増床されることになり、そのための工事の準備を進めていたと承知しております。東日本大震災により2人の開業医が亡くなるなど、四つの開業医が姿を消したわけであります。そういった状況のもとで、市民の生命と健康を守るために、本市の復興を進める上で県立高田病院の充実は不可欠となっております。
 また、気仙地域においては、回復期リハビリテーション機能を有した病院を必要としている患者は多く、盛岡市、雫石町に入院しているのが現状であります。今の陸前高田市にとって必要なことは、県立高田病院を縮小することではなく、拡充することであります。ついては、気仙地域住民が切望している一般病棟、回復期リハビリ病棟をそれぞれ40床とした再建計画を見直す考えについてお伺いするわけであります。
 岩手県及び医療局においては、被災地の復興と地域住民の生命と健康を守ることを最優先に考え、岩手県立高田病院の拡充を強く願うものであります。これについて答弁をお願いします。
〇達増知事 県立高田病院の再建についてでありますが、去る1月20日に開催した住民意見交換会におきまして、医療局から、病院整備に係る基本的な考え方として、規模については、被災前の入院患者数の状況等を勘案し、1病棟を整備すること。診療科については、総合診療的な機能を基本とし、内科、外科を中心にこれまでの外来診療機能を維持すること。救急については、診療時間内の一次救急を基本とし、診療時間外の救急は大船渡病院等で対応すること。そして、リハビリについては、入院患者を中心とした維持期のリハビリを提供することなどを説明したと聞いております。
 医療局においては、住民意見交換会での意見、要望等も踏まえて、今年度末を目途に、病院の立地場所や規模、機能等の整備方針の決定に向け、検討が進められているものと承知しております。
 また、地元では回復期リハビリ病棟を要望している旨、うかがっておりますが、現在、医療局において、規模、機能等の具体的検討が行われ、県立大船渡病院との役割分担のもとで、二次保健医療圏の中で適切なリハビリ医療を提供できるよう検討が進められているものと承知しております。
〇佐々木茂光委員 今、知事が言われたように、1月20日というのは、医療局が、意見交換と言いながらも、最終的には医療局の考えを私たちに示して帰ったというのが現状でございますので、さらに地域の方々の意見の集約もお願いしたいと思います。
 先ほど、知事がアメリカの話をされました。私は、アメリカの話を聞きたくて言ったわけじゃないんですが、やはりそれが土地に住む者の性格の違いでもあると思うんです。私たちはずっとそこに住み続けた中でこういう被害を受けたということを考えますと、やはり私が一番言いたいのは、あなたたちは2年で私たちを出すと言ったんじゃないですかということなんです。
〇高橋元委員長 佐々木委員、時間になりました。
〇佐々木茂光委員(続) はい、わかりました。そういうことでよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
〇高橋元委員長 以上で総括説明に対する総括質疑を終わります。
 知事を初め執行部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 これより、各部局別の審査に入るわけでありますが、委員席の移動を行いますので、その間、暫時休憩いたします。
   午後1時53分 休 憩
午後2時17分 再開
〇郷右近浩副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより各部局別の審査を行います。
 質疑につきましては、議会運営委員会の決定及び世話人会の申し合わせにより、質疑項目が複数ある場合、関連する事項はできるだけまとめて質疑することとし、ほかの委員と重複した内容の質疑は極力避け、どうしても必要な場合は、関連質疑として、短時間かつ簡潔に行うことを基本とするとともに、数値の確認のみの質疑や要望のみの発言は原則として行わないよう御協力をお願いいたします。
 また、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、質疑及び答弁は簡潔明瞭に行い、午後5時を目途に審査が終了するよう議事進行に御協力をお願いいたします。
 本日は、議会、総務部関係を終わるように進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、議会事務局長に議会関係の説明を求めます。
〇小原議会事務局長 平成25年度の議会関係の歳出予算について御説明申し上げます。
 予算の内容につきましては、便宜、予算に関する説明書により御説明申し上げますので、予算に関する説明書79ページをお開き願います。第1款議会費第1項議会費のうち、第1目議会費の9億5、003万円余は、議員48名分の報酬、旅費等の議会運営に要する経費であります。次に、80ページにかけてでありますが、第2目事務局費の4億1、226万円余は、議会事務局職員33名分の人件費及び事務費等で、事務局の管理運営に要する経費であります。次に、第3目議員会館費の2、086万円余は、議員会館の管理運営に要する経費であります。
 以上で議会関係の予算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇郷右近浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はございませんか。
〇斉藤信委員 それでは、最初に、政務調査費の返還請求事件について、最高裁への上告は受理されたのでしょうか。審議状況はどうなっているでしょうか。
〇小原議会事務局長 政務調査費返還請求事件でございますけれども、県では、上告受理申立書を平成23年10月13日付で最高裁に送付し、最高裁からは、平成24年2月9日付で、記録到達通知書を受け取っているところでございます。
 現時点で上告の受理、不受理の決定通知は届いておりません。
〇斉藤信委員 そうすると、文書の到達はした、しかし、受理したかどうかはまだわからないと。これはもう1年以上経過をして、まだわからないと。これはどういうものなんですか。弁護士は何と言っているんですか。
〇小原議会事務局長 今後の見通しでございますけれども、これは最高裁判所の判断であり、県としては把握できないものではございますが、最高裁判所がつくっている報告書によりますと、上告審記録受理から上告自体の受理または不受理の決定まで、短いもので3カ月以内、長いものでは2年を超えるものがあるということでございまして、慎重に検討されているものと認識しております。
〇斉藤信委員 わかりました。いずれにしても、まだ受理もされていないというのが実態だったと思います。
 次に、議会棟の禁煙問題についてお聞きします。
 全国の都道府県の禁煙措置、都道府県議会の禁煙措置、受動喫煙防止措置でいいと思いますが、その実施状況はどうなっているでしょうか。
 あわせて、全国議長会というのは、この議会棟における受動喫煙防止について、どういう見解、対応をしているのでしょうか。
〇小原議会事務局長 初めに、全国の都道府県の禁煙措置の状況でございますが、平成24年8月の厚生労働省の調査によりますと、一般県庁舎におきまして、敷地内禁煙は大阪府のみ、建物内禁煙は岩手県など31道府県、建物内分煙は福島県など15都県となっております。
 次に、都道府県議会の禁煙措置状況でございますけれども、平成24年5月の青森県の調査によりますと、敷地内禁煙は大阪府のみ、建物内禁煙は福井県など10県、建物内分煙は岩手県など36都道府県となっておるところでございます。
 なお、議長会ということでございましたけれども、議長会では、禁煙措置等については、協議等はされていないところでございます。
〇斉藤信委員 国会の議会控室の受動喫煙防止対策、さらには厚生労働省の受動喫煙防止対策をどういうふうに受けとめていますか。
〇小原議会事務局長 国会における禁煙措置状況でございますけれども、先日、衆議院事務局に確認いたしましたところ、まず、議事堂内は原則禁煙であるが、喫煙スペースを設けておるとのことでございますし、また、政党控室につきましては、政党の判断に任せているということでございます。
 次に、厚生労働省でございますけれども、厚生労働省では、健康増進法第25条に規定されておりますいわゆる受動喫煙の防止というものにつきましては、平成22年2月25日付で、官公庁や医療施設におきましては全面禁煙することが望ましい等の内容を、また、平成24年10月29日付で、受動喫煙防止の徹底を図るよう、各都道府県などに促しているところでございます。
〇斉藤信委員 私は、受動喫煙防止対策、これは、今、事務局長がお話ししたように、平成22年、厚生労働省から大変詳しい通知が出されて、実は、その厚生労働省から去年、ことしと続けて通知が出ているんですよ。この受動喫煙防止の徹底についてと。ここではどういうふうになっているかというと、いわば不特定多数が集まるところ、これ、官公庁は全面禁煙にすべきだと。全面禁煙にすべきだ、こういう通知なんですよ。
 私は、県議会というのは、これはもう県民に開かれた、控室といえども開かれた施設、公共的な施設だと思います。そういう点では、これは、本来全面禁煙の措置をとるべきではないか。
 もう一つは、今度の定例会でもがん対策というものが積極的に議論されました。国のがん対策、そして県のがん対策の第1位は喫煙対策なんですよ。その具体化として、やっぱり官公庁は全面禁煙すべきだと。そして、喫煙率も、二十数%から12%にこの10年間で下げるんだ、これが国、県のがん対策ですよ。
 私は、がん対策を県議会が推進しようとするんだったら、率先して県議会が全面禁煙に踏み切るべきだと思いますが、事務局長、控室といえども、不特定多数の県民が請願などで立ち寄る、こういう施設だという認識はありますか。
〇小原議会事務局長 健康増進法で規定しております官公庁施設、この官公庁施設には、国の見解では、いわゆる国会等も含まれるということでございますので、いわゆる議事堂も含まれるものと認識しております。
 本県の経過でございますけれども、平成22年から議会運営委員会で検討されておったところでございますが、震災の発生に伴いまして、今現在、実質的な協議は中断とされておるところでございます。
〇斉藤信委員 先ほど事務局長は、岩手県の議会棟は分煙だと言われましたけれども、分煙になっていないと思いますよ。議会棟には分煙の施設がないんだから。本庁、県庁は、それはきちんとした喫煙室を外に設けていますね。議会棟は設けていないですよ。私は、これは厳密に言ったら分煙にならないと思いますね。分煙にするんだったらきちっと分煙にすべきだし、議会棟、この施設内は、受動喫煙防止を県議会が先頭に立って実施するという意味で、やっぱり禁煙の対策をとるべきだと。
 経過は、今、事務局長が言われたように、県議会議員選挙の前、震災の前、議会運営委員会で議論されていたと。それが中断した、こういう経過ですから、私は委員長にお願いしたい。私は去年の決算特別委員会でもこの問題を取り上げたし、当時の議会運営委員長は今の議長ですよ。今回の予算特別委員長は、県議会で最もがん対策を取り上げてきた高橋元委員ですよ。きっちり議長に申し出をして、この議論を再開するように委員長にお願いしたい。どうですか。
〇郷右近浩副委員長 御意見としてお伺いしておきます。
〇斉藤信委員 経過からいって、議論が中断したということですから、いや、全く新しくやれと言っているのではないんですよ。本当に県議会のがん対策の真剣さが問われる。そして、議会基本条例で、県民に開かれた議会を我々が実践する、こういう立場で、きちんと世話人会でも協議して議長に申し出るようにしていただきたい。
 最後ですが、議会図書室の充実について改めてお聞きします。
 私は、去年の9月の決算特別委員会でも、震災関係の図書、地域新聞、被災市町村の記録や広報、各団体の記録集などをぜひ収集してほしいと。私はかなりそういう努力がされていたと思いますが、収集の状況、さらには、来年度どういう方針で引き続き取り組まれるか示していただきたい。
〇小原議会事務局長 震災復興関係の図書の件でございますけれども、震災後の図書等収集方針におきましては、震災からの復興に関する資料を第一として収集することといたしておりまして、平成25年2月末までに収集しました震災復興関連図書、これは、各団体が発行しております記録集を含め305冊となっております。これにつきましては、来年度以降も震災関連図書の充実に努めてまいる予定でございます。
 続きまして、地域新聞でございますが、これは、復興を支援する観点で貴重な情報源であると考えられますことから、昨年10月から、大船渡地区の東海新報や釜石地区の復興釜石新聞、大槌地区の大槌みらい新聞、さらには、釜石地区のコミュニティ情報紙でありますフライキなどにつきまして、図書室に配架してございます。
 なお、広報紙というお話もございましたけれども、広報紙につきましては、現在収集はしておりませんが、御要望があれば、図書室でごらんいただけるよう、各市町村に提供を依頼するなど手続を進めてまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 かつて、この席でもたばこを吸っていい時期がございました。平成7年の初当選のときはそうでありましたが、現在は吸えなくなった、こういうことであります。その一方、当時、岩手県は、いわゆるたばこを吸う人たちからもらった税金を117億円いただいたはずであります。それを各市町村に配分してきた。宮古市も4億円ぐらいは頂戴してきたと思っております。
 今、たばこをつくる人たちが少なくなってはいますが、我々県議会議員は、県民の負託を受けてきているわけでありまして、その県民の中にもたばこを吸う人がいるわけであります。したがいまして、負託を受けてきた我々県議会議員は、自分を支援してくれた人が一人もたばこを吸わなくなったときにこの議論をすればいいのであって、開かれた議会と言うからには、どんどん控室に来ていただいて、たばこを吸いながら大いに議論をしていく、これが大事なんだと思いまして、今現在の状況で私はいいと思いますが、事務局長はいかがお考えですか。
〇小原議会事務局長 議会棟の禁煙状況でございますが、先ほど伊藤委員からもお話がございましたとおり、かつては全ての場所で喫煙が可能であったというところでございます。県庁舎の完全分煙に合わせまして、いわゆる執務室なり2階ロビーは平成13年から、さらには、本会議場、委員会室につきましては、これは議会運営委員会の申し合わせで、平成15年から禁煙を実施しているところでございます。
 いずれ、たばこ自体を禁止するというものではなく、受動喫煙の防止という観点から、どういった扱いが望ましいのかということは、議員間で御協議いただければと思ってございます。
〇伊藤勢至委員 今、私たち日本にとって最も大事なことは、たばこの煙ではなくて、中国からそろそろやってくる黄砂、あるいはPM2.5、これの問題が一番切実だと思っております。したがいまして、日本共産党を通じて中国共産党に申し入れをする、そのくらいのことのあっせんを事務局長はやるべきだと思うんですが、それを伺って、終わります。
〇小原議会事務局長 事務局長が答えるべきものかということもございますので、いずれ、承っておきます。
〇斉藤信委員 私は、本当にこのがん対策に県議会がどう対応しているか、受動喫煙防止というのは国際的な条約、健康増進法第25条に基づいて、全国で、県庁、民間の職場を含めて取り組んでいる問題ですよ。本来、先頭に立つべき県議会が、受動喫煙防止の対策を放置していていいのか、私はこのことを指摘したんですよ。
 例えば、今、議会控室には臨時職員が配置されています。この臨時職員は、毎日のように今、そういう被害を受けているのですよ。私は、そういう問題を解決もしないで、がん対策が語れるのかと。
 突然中国の問題を持ち出すけれども、これは本当に関係ない話で、私たちは、きちんと政党間でやっていますよ。自主独立の政党なんだから、日本共産党は。尖閣の問題でも、堂々たる見解を出して中国政府に申し入れているのは、共産党しかないですよ。ほかの政党はそういうことをやっていますか。
 やっぱり都合の悪い問題があれば、すぐ中国を持ち出すようなやり方は、私は、議会の議論として余り正確な話ではないということをあわせて指摘をしておきます。
〇郷右近浩副委員長 ほかに質疑はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで議会関係の質疑を終わります。
 議会事務局の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでございました。
 次に、総務部長に総務部関係の説明を求めます。
〇加藤総務部長 総務部関係の議案につきまして説明申し上げます。
 資料の説明に入ります前に、平成25年度予算の編成に当たりましての総務部の基本的な考え方を説明申し上げたいと存じます。
 平成25年度の予算編成に当たり、総務部といたしましては、震災からの復旧、復興が県政の最重要課題であることから、復興を推進するための財源確保対策の強化やマンパワーの確保など、復興を支える行財政運営に取り組むとともに、着実な復興と、その先にある希望郷いわての実現に向けて、地域防災力の強化、原発放射線影響対策の推進、岩手県立大学における教育、研究の充実及び特色ある私立学校の支援を重点施策として一層の取り組みを推進してまいります。
 地域防災力の強化に関しましては、東日本大震災津波の教訓を踏まえ、減災の考え方のもと、防災教育の推進や自主防災組織の育成強化、大規模災害に対応できる広域防災拠点の整備に向けた取り組み等を進めてまいります。
 原発放射線影響対策の推進に関しましては、子供の健康と食の安全・安心を重視し、放射線量監視体制の充実強化や放射線量の低減等の原発放射線影響対策を推進するとともに、風評被害の払拭に向けた消費者への情報発信を強化してまいります。
 岩手県立大学における教育・研究の充実に関しましては、公立大学法人岩手県立大学の自主的、自律的な運営を尊重し、経営の効率化を促しながら交付金を交付し、大学の運営を支援することにより、地域の中核人材を育成し、岩手の活力を創出してまいります。
 特色ある私立学校の支援に関しましては、私立学校の教育水準の維持、向上を図り、特色ある教育を推進するため、私立学校の運営費補助や授業料等の負担軽減のための助成など、各種の施策を展開することにより、私学教育を振興してまいります。
 また、歳入についても、復旧、復興に向けた経費に多額の財源が必要となることから、県税収入等の歳入確保に向けた取り組みを進めてまいります。
 自主財源の大宗を占める県税につきましては、岩手県地方税特別滞納整理機構の取り組みや各広域振興局における市町村との連携を強化しながら、個人県民税の収入未済額の縮減に取り組んでまいります。また、課税捕捉調査に努めるほか、県有資産の有効活用など、さまざまな角度から歳入確保に向けた取り組みを進めてまいります。
 あわせて、事業効果や効率性等を検証し、事務事業の見直しや行政の簡素効率化に取り組むとともに、政策の優先度に応じた事業の重点化を進め、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めてまいります。
 以上が平成25年度予算編成に当たりましての総務部の基本的な考え方でございます。
 続きまして、議案第1号平成25年度岩手県一般会計予算の総務部関係の歳出予算について説明申し上げます。
 なお、説明におきましては、金額の読み上げは省略させていただき、主な内容について申し上げます。
 予算に関する説明書の81ページをお開き願います。平成25年度当初予算一般会計の総務部関係の予算総額は、共通経費、予備費を含み1、815億円余となっており、前年度と比較し80億9、290万円余の増額となっております。
 2款総務費1項総務管理費1目一般管理費については、予算額23億8、526万円余のうち、総務部関係は、説明欄のとおり19億5、009万円余となっており、その主なものは、職員の人件費や入札関係費、一般管理事務費等の管理運営費でございます。
 なお、説明欄最後に記載の共通経費1億9、859万円余は、人事異動に伴う赴任旅費などであります。
 82ページに参りまして、2目人事管理費は、職員研修費や退職手当などが主なものであり、3目文書費は、法規審査事務や文書の収受、発送及び保存に要する経費のほか、情報公開制度及び個人情報保護制度の推進に要する経費であります。83ページに参りまして、4目財政管理費は、財政調整基金などの積み立てが主なものでございます。84ページに参りまして、6目財産管理費は、県庁舎や地区合同庁舎、職員公舎並びに通信施設の維持管理等のほか、平成23年度から整備を進めております消防救急無線デジタル化整備に要する経費であります。85ページに参りまして、7目情報システム管理費は、情報システムの管理等に要する経費、8目県外事務所費は、東京事務所の管理運営に要する経費であります。86ページに参りまして、9目公会堂費は、県公会堂の管理に要する経費、10目恩給及び退職年金費は、恩給、退隠料及び扶助料等に要する経費、11目諸費は、宗教法人設立認証事務や公益法人関係事務等に要する経費及び共通経費であります。
 少し飛びまして、90ページをお開き願います。3項徴税費1目税務総務費は、税務関係職員の人件費などの管理運営費であり、2目賦課徴収費は、個人県民税徴収取扱費交付金など、賦課徴収に要する経費であります。
 また少し飛びまして、97ページをお開き願います。6項防災費1目防災総務費は、防災関係職員の人件費などの管理運営費のほか、航空消防防災体制強化推進事業費が主なものであり、2目消防指導費は、危険物の規制や消防学校の運営に要する経費が主なものであります。
 次に、大きく飛びまして、223ページをお開き願います。10款教育費8項大学費1目大学費は、公立大学法人岩手県立大学の運営に係る交付金を交付するものであります。
 224ページに参りまして、9項私立学校費1目私立学校費は、私立高等学校等就学支援金交付金や私立学校運営費補助などの私学教育の振興及び被災した私立学校生徒の支援等を図るための経費であります。
 また少し飛びまして、237ページをお開き願います。11款災害復旧費7項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費のうち総務部関係は、説明欄のとおり3、624万円余となっており、被災した私立学校等の災害復旧事業等を行う場合に経費の一部を補助するものであります。
 238ページに参りまして、12款公債費1項公債費1目元金1、070億672万円余のうち、総務部関係は、保健福祉部の97万円及び復興局の586万円余を除く1、069億9、988万円余となっており、2目利子とあわせ、公債管理特別会計へ繰り出した上で支出する内容となっております。3目公債諸費は、公債管理特別会計への繰出金及び銀行等引受債発行手数料が主なものであります。
 また少し飛びまして、242ページをお開き願います。13款諸支出金4項地方消費税清算金1目地方消費税清算金は、都道府県間での地方消費税の清算を行う経費であります。
 次の243ページの5項利子割交付金1目利子割交付金から249ページの11項自動車取得税交付金1目自動車取得税交付金までにつきましては、いずれも市町村に交付する税関係の交付金であり、250ページ、12項利子割精算金1目利子割精算金は、都道府県間で精算を行う経費であります。
 251ページ、14款予備費は、前年度と同じ3億円を計上しております。
 以上が、議案第1号平成25年度岩手県一般会計予算の総務部関係の歳出予算であります。
 続きまして、議案第9号平成25年度岩手県公債管理特別会計予算について説明申し上げます。
 また、予算に関する説明書の378ページをお開き願います。公債管理特別会計に関する予算の説明事項が378ページから掲載されておりますが、平成25年度の公債管理特別会計の歳入歳出のそれぞれの予算総額は2、200億1、535万円余で、前年度と比較して223億5、368万円余の増額となっております。380ページから383ページにかけてでありますが、公債管理特別会計の歳入となっており、その内容は、県債管理基金からの財産運用収入、一般会計及び県債管理基金からの繰入金及び県債が歳入となっているものでございます。
 続きまして、384ページをお開き願います。公債管理特別会計の歳出となっております。公債管理特別会計の歳出は、県債の元金及び利子の償還、県債管理基金への積立金及び銀行等引受債発行手数料が主なものとなっております。
 以上で総務部関係の議案につきまして説明を終わらせていただきます。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇郷右近浩副委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 私は、まず、歳入第1款の県税に関連してお伺いいたします。
 まず最初に、税務は専門性の高い仕事であるわけでございますが、お聞きしておるところ、県では、人事交流等により税務経験の少ない職員もかなりおるということでございまして、そのような税務環境の中で、どのように人材育成に取り組んでおられるのかお伺いいたします。
〇永田税務課総括課長 税務職員の人材育成についてでありますが、税務経験年数が5年未満の職員は税務職員175名中50名となっておりまして、全体に占める割合が28.6%と最も高く、経験年数の少ない職員の育成が、課題の一つとして認識しております。
 専門性が高い税務としてですが、新任の税務職員を対象とした税務の基礎知識を学ぶための研修、それから、納税者に正しい情報をわかりやすく伝えるためのプレゼン研修などを開催しているほか、中堅以上の職員に対しては、分野別の専門研修を年間7回程度開催しているほか、自治大学校等、他団体の主催する全国的な研修会にも職員を参加させながら、職員の税務知識の習得に努めているところでございます。
 また、岩手県地方税特別滞納整理機構におきましても、納税業務の面で、市町村税務職員を対象とした研修会を開催するなど、県、市町村連携をとりまして人材育成に努めているところでございます。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、県ではICT利活用を着実に推進するため、いわてICT利活用推進プランを昨年6月に策定しておるわけでございますが、地方税務行政においても情報化が進んでおるわけでございまして、本県の税務事務にかかわるICTの利活用について、まず、予算措置がどうなっているのか、また、経費節減の工夫とか、電子申告の利用率等、その状況がどのようになっておるかお示し願いたいと思います。
〇永田税務課総括課長 税務事務に係るICT利活用の予算措置、それから経費節減の工夫についてでございますが、平成25年度、家屋評価システムの導入、それから納税証明書自動発行機等の更新に係る経費などといたしまして4、100万円余、また、電子申告に係る地方税ポータルシステムの運用に係る経費といたしまして2、500万円余を計上しているところでございます。
 このうち地方税ポータルシステムにつきましては、平成22年1月から県内市町村と共同利用により運用していることから、システム導入費及び5年間の運用費の合計額が、県、市町村を合わせ、単独利用した場合と比較して2億2、900万円余の削減を見込んでいるところでございます。
 また、電子申告の利用状況でありますが、本県の利用率は、全国よりも約10ポイント高い57.7%となっているところでございます。
 以上のとおり、本県の税務行政におけるICTの利活用は高い水準にあると思っておりまして、今後も質の高い行政サービスを展開していきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 電子申告の利用率が全国平均より10%高いということで、これをさらに推進していただきますようお願いいたしたいと思います。
 それでは、次に、歳入の確保を図るためには、何といいましても県税の徴収事務が最も重要であると思うわけでございますが、市町村との連携も含め、これまでのこの税収確保に向けた対策にどのように取り組んでおられるかお伺いいたします。
〇永田税務課総括課長 税収確保対策についてでございますが、第2期アクションプランに基づきまして、岩手県税収確保対策指針を策定いたしておりまして、収入未済額等の数値目標の設定をいたしまして税収確保を図るほか、個人県民税対策として、市町村及び滞納整理機構との連携により、合同捜索、それから合同公売などの徴収支援策を講じているところでございます。
 これらの取り組みの成果といたしまして、平成23年度の県税収入未済額は29億7、000万円となりまして、4年ぶりに30億円を下回ったところでございます。
 また、収入未済額の7割強を占めます個人県民税におきましても、平成23年度の収入未済額は20億5、200万円と、平成19年度の税源移譲後、初めて前年を下回ったところでございます。
〇高橋昌造委員 特にも個人県民税については市町村との連携が大事なわけでございますので、今後もしっかり連携して徴収事務に取り組んでいただきますようお願いいたしたいと思います。
 次に、現在復興が加速されている中で、被災者に対する県税の課税免除、そして減免措置の実績をお示し願いたいと思いますし、また、市町村の沿岸被災地の特にも固定資産税が免除される措置が講じられておるわけでございますが、実績がどうなるのかお示し願いたいと思います。
〇永田税務課総括課長 東日本大震災津波への対応でございますが、これまで、県では、被災した家屋、土地及び自動車の代替取得に対する特例措置、減免措置を講じてきましたほか、本県独自の措置といたしまして、被災した法人に係る均等割の課税免除という措置を講じてきたところでございます。
 これらの特例、それから免除措置につきまして、平成24年度における合計額は6億1、100万円余となるところと見込んでおります。
 次に、沿岸で被災した地域の固定資産税の関係でございますが、この免除額につきましては14億3、200万円余りとなる見込みと把握してございます。
 なお、この制度につきましては、平成25年度の税制改正案の中においても、適用期限を1年延長するという措置が盛り込まれているところでございます。
〇高橋昌造委員 それでは、本県ではこういうことはないかと思うのですが、不正軽油の防止対策、県としてはどのような取り組みをなされて、そして、最近そういった事例があったのかどうかお伺いいたします。
〇永田税務課総括課長 不正軽油の防止策についてでございますが、全国的に見ますと、依然、不正軽油の製造及び流通が後を絶たない状況にございます。本年度10月24、25日に実施いたしました全国での全国一斉路上軽油抜き取り調査におきまして、抜き取り本数の4、261本のうち63本、1.5%に不正軽油の疑いがあるものが発見されております。ただ、本県の抜き取り本数72本につきましては、不正軽油が疑われるものは発見されておりません。
 これにつきましては、今後も、ガソリンスタンド等の軽油販売店、それから工事現場等への実地の抜き取り調査を実施いたしまして、引き続き不正軽油の流通防止には努めていきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 それでは、最後になりますが、県が税収確保に向けた取り組みをされておる中で、この確保した県税のうち、市町村に交付されております各種交付金の最近の実態というか推移がどうなっているのかお伺いいたします。
〇永田税務課総括課長 市町村への交付金ということでございますが、県税として一旦収入したもの、県税収入からの市町村への交付金でございますが、交付金の対象となる県税の税目は、県民税のうちの配当割、株式等譲渡所得割、利子割のほか、地方消費税、ゴルフ場利用税及び自動車取得税の6税目となっているところでございます。
 交付額についてでございますが、平成24年度の交付見込み額の主なものは、地方消費税交付金が123億4、900万円余、自動車取得税が17億3、300万円余となっておりまして、これらを含めました6税目の合計額は147億1、700万円余と、対前年度比1.7%の増となる見込みでございます。
〇高橋昌造委員 御答弁ありがとうございました。それで、私は、特にも本県の税務行政が、現下の厳しい社会経済情勢の中で税収確保のために一生懸命取り組んでいるなと実感しております。それで、どうか今後とも、国税、県税、市町村税、この3税が一体となって、また、しっかり連携して税務行政を推進していただきますことをお願いして、終わります。
〇柳村岩見委員 背景については皆様御承知のことと存じますから申し上げません。県営工事の入札において不調が増加してきていると思います。その数字の変化についてお示しいただきたいと思います。
 それから、岩手県営工事のことについてわかっていても、それはしようがないことであって、市町村も、それぞれに復旧工事や復興工事を発注しております。あるいはまた、国においてもそのとおりでありましょう。そういうこと全体を把握しませんと、今後、一体どの程度どうなるのかということについて把握ができないと思いますが、他市町村、あるいはほかの入札が、発注が行われる機関の状況も含めて把握していましょうか。まず、県営工事は把握していると思います。お願いします。
〇田中入札課長 県営工事の入札不調の発生状況の推移ということでございますが、県におきましては、今年度9月までは10%以下で推移してきましたが、10月が17%、11月が26%、12月が29%、1月が22%となりまして、1月末現在の入札不調の発生状況が185件で、平均で13.7%になっているところでございます。
 あと、県以外のということで、市町村ということでございますけれども、申しわけございませんが県としては把握しておりませんが、2月19日に国土交通省主催の会議におきまして、復旧・復興事業の施工確保に関する連絡協議会の資料によりますと、陸前高田市が11.8%、大船渡市が14.6%、釜石市が1.2%となっておるという情報はあるのですが、それ以外の市町村については、ちょっと把握してございません。
〇柳村岩見委員 ここで、総務部総務室入札担当で市町村の不調状況、発注の不調状況を調べてくださいとは申し上げません。ただし、そういう状況について、ほかの調査機関なりが調べていることについて、データをきちっと持って、どう動いているのかということについては把握していただきますようにお願いします。これから一層このことについての変化が起きてくる可能性があると思いますので、お願いしておきたいと思います。みずから調べるというのは大変なこと。
 そこで、そういう状況の中で、今検討されていることがあるんだと思います。そして、今後、検討していかなければならないことがあるんだろうと思います。その中には、国に対して要望しなければならないということもあるんだと思います。そのほかに、入札制度の改革に資するべきだというものもありますでしょう。その分析はなされておりますか。
〇田中入札課長 入札不調対策ということでございますけれども、入札不調の原因となりますのは、震災前に、公共工事の減少によりまして、建設業界におきましては経営の合理化を進めてきたという中での震災による復旧、復興工事が多数発注されているという背景がある中で、公共工事に専任配置が義務づけられております主任技術者が不足しているということですとか、下請等の現場作業員が不足している、あとまた、遠隔地から調達するにしても宿舎が不足しているということ、あと、生コン等の資材が不足しているため工期内の完成ができないおそれがあるということや、資材、労務費の高騰により利益を確保できないおそれがあること等が、入札不調の原因になっていると考えております。
 入札制度を所管する立場からは、入札参加者をふやすためということで、これまで、参加資格に係る施工実績要件ですとか、技術者の施工経験等の緩和を行ってきておりますし、あと、主任技術者等の恒常的な雇用の要件の緩和ですとか、復興JVの活用、あと、沿岸地区での入札参加者が少なくなっているということで、原則的な地域要件の緩和ですとか、あと、内陸に近接する地域を組み合わせるということで、地域要件を拡大するとか、あと、海中工事における地域要件等の緩和等を講じておるところでございます。
 また、工事所管課におきましても、さまざまな施工確保対策を講じているところでございまして、これにつきましては、施工確保対策連絡協議会とか建設業界との意見交換等によりまして、工事担当課等と情報共有しながら、今後も必要な対策を講じてまいりたいと思っております。
 今、検討している部分は、ちょっと細かくなりますけれども、総合評価落札方式におきまして、技術提案書記載の配置予定技術者を配置できない場合に、今までは無効という扱いをしてきたのですが、それをゼロ点評価するとか、あと、10億円以上のWTO未満の発注方針の見直し、今までは2者JVに限るということにしていたのを、県内単者も可能にするような見直し等も今検討しているところでございます。
〇柳村岩見委員 今答弁されたことでよろしいと思います。加えて、例えば、工事現場に行く者の宿舎が欲しい。宿舎を建てることについての補助金を国に対してお願いしたい、こういったときに国に対する要望というものが起こらなければならない。それを、県土整備部がなさればいい、入札は総務部と声高々に岩手県は言われております。
 総務部で、やっぱりそういった感覚、その庁内協議、このことについて、そういう辺のやりとり、例えば、あとは、本当はこれは県土整備部かもしれませんが、人件費の部分に、今、人夫に係る部分について、宿泊費を7、000円積算するということを岩手県は打ち出している、そう説明しています。もらった人がおりません。これはどうやってもらうんですか。入札のときは、まだ、先に見積もりを積算に入れておいてよろしいのですか。それは、もう泊まろうが泊まるまいがもらうんでしょうか。泊まった実績についてもらうんでしょうか。例えば、もらっておいて、泊まらなくてもいいのでしょうかということについてもお願いしたいと思います。
 それから、岩手県県営建設工事入札契約適正化委員会、このメンバーに、個人的にではなくて、役席において大変不満があります。こういう役席を持った方々が、この問題について正確に議論して、経済利害関係を生ずる入札制度について定める勇気を持って、ここの委員会に参加している人が何人おられるかと思うと、本当に末恐ろしい思いがしますけれども、この委員会ではどんな議論がされていますか。
〇田中入札課長 まず、宿泊費の関係の実費計上の話でございますが、その手続につきましては、ちょっと入札のほうでは把握してございません。県土整備部のほうで手続としては、ただ、制度としてやっているものでございまして、聞いたところによると、実費について積み上げてもらって、そして、変更契約で対応するというように話は聞いてございます。
 あと、入札適正化委員会での議論ということでございますけれども、入札適正化委員会では、まず、入札執行上の状況というか、それを報告しまして、そして、さらに抽出案件ということで、個別にどういう入札経過、契約経緯をとっているかということを説明して、その中で、委員のほうから疑問点とかそういうものを指摘していただいているということが一つあります。
 あとまた、どういう入札状況というか工事の動きがあるかということで、統計のとり方なんかについても、今回、特に災害復旧の関係の工事が多くなっていることが増要因になっているということでございましたので、災害復旧の関係がわかるような資料を提出するようにというような御指摘とかがございます。
 あと、制度改正につきましても、例えば総合評価落札方式の関係で、今まで県外に地域要件を広げるときに、県内と県外の実績に差がないような形になっていたのを、県内の実績を評価するというような形に改めようとしたときについての意見をいただいておりました。それについては、特に異議はないという話でございましたし、また、その際に、地域の雇用についてもっと評価すべきではないかとか、そういうような意見等をいただいておるところでございます。
〇柳村岩見委員 最後にしますが、不調になりますと再入札ということになります。再入札のプロセスについて教えてください。
〇田中入札課長 再入札のプロセスということでございますけれども、不調になって、その後どうするかというのは、工事所管課の判断によることになるのですけれども、同じ条件で再入札するという話になりますと、例えば地域要件を振興局間内としていたものを隣まで広げるとか、あと、格付を今までC級業者ということだったのを格上げしてB級にして、あと県内全域に地域要件を広げるとか、そういうような形で再公告をしております。さらにあと、工事所管課の判断で、現在の設計ではちょっとなかなか魅力がないのではないかということがあれば、それをもう一度設計を見直しして、再設計して、また入札にかけるというような手法をとっておるところでございます。
〇柳村岩見委員 今の答弁では設計を見直すと。それを先に答弁なさらなければおかしいことだと思います。相手をかえます、範囲をかえますというのは、ただ単にメンバーをかえることですよ。メンバーをかえるということ。この間のメンバーではだめだったから、別なメンバーにもまたがるようにして入札します。そうすると落札するかもしれない。
 積算が合わないからの不調でしょう。そこの認識がないと、これはひど過ぎる話に終わるのではありませんか。不調というのは、恐らく多くの部分、積算が合わないと。結果、不調になったんですよ。積算を見直してやらなかったら、ただ相手をかえただけで、この人はだめだったけれども、この人はいいかもしれない、こういうやり方でしょう。それは、総務部長、余り長くやりたくないんで、最後に、お願いします。
〇加藤総務部長 入札不調の原因として、設計、積算が不十分だったというか、なかなか事業者の考えるところと合わなかったというのが、恐らく御指摘のように原因の大宗ではないかと思います。その意味で、確かに今の答弁ではいろいろ並べさせていただきましたけれども、その辺の説明ぶりが至らなかったということはあると思います。
 言わんとするところは、確かに大宗は設計、積算の問題じゃないかと今申し上げましたが、いろいろな要因があるだろうということで、工事所管課において、なぜ不調だったのか、その入札参加者の状況とか、その辺も見ながら要因を分析して、その上で、結果として多分積算の問題だということが多くなってくると思うんですけれども、やっていると。その中でいろいろ、今言いましたような、課長が答弁申し上げました要因が出てくるということでございます。要は、きっちりした分析をして、なぜだめだったんだと。では、そこの部分をちゃんと直さないとだめだね、また同じことになってしまうよねということで、そこの部分を直した上でやり直しているという中で、同じ轍を踏まないようなやり方をしている。その中で積算の問題というのはきちっと重視されて、そして設計をし直すということがかなりのウエートを占めているということだと思っております。
〇岩渕誠委員 私は、放射能問題関連と防災関連で大きく2点お聞きしたいと思います。
 まず最初に、放射能問題関連で、東京電力への損害賠償における諸問題についてお尋ねをしてまいります。
 まず初めに、東京電力に対しましては、行政経費の損害賠償を県としても求めているところでございますが、きわめて行政経費につきましては賠償がされておりません。このことをまず初めにお聞きしますけれども、このことが新年度の予算編成に影響した部分があるのでしょうか。
〇八重樫予算調製課総括課長 損害賠償がないことによる予算編成への影響についてでありますけれども、放射線影響対策に係る財源につきましては、検査や除染などの一部に国庫補助制度があるものの、基本的には東京電力の賠償によることとされております。
 平成25年度当初予算において、国庫補助金等で措置されているものを除きまして、本県が一般財源で一時的に手当てしている額は約80億円に上っております。この80億円を、東京電力賠償までの間、一般財源で立てかえているということになります。したがって、国に対しましては、国庫補助制度の拡充ですとか、費用の全額を国が速やかに負担した上で、同額を東京電力に請求する制度を創設するなど、損害賠償が行われるまでの間、本県の財政負担の解消を図るよう要望しているところでございます。
〇岩渕誠委員 確認ですけれども、80億円という数字は、これまでの予算編成ではなくて、新年度の予算編成上の対象になると見込まれる予算だと理解してよろしいか。
〇八重樫予算調製課総括課長 放射線対策関係経費で、国庫補助金等の、あるいは震災復興特別交付税等の財源措置のないもの、措置なしのもの、県の一般財源で持ち出さざるを得ないものが約80億円ございます。平成25年度でございます。
〇岩渕誠委員 これは、額から言うと、大変に大きい数字ということが言えると思います。ただし、昨年来、県が質問して、それに対しての回答が東京電力から来ていますけれども、この回答を読む限り、これは県も分析していますけれども、東京電力の主張どおりにこの様式で行った場合には、大半を放棄することと同様の結果となりかねないという懸念が示されております。80億円ですから、ぜひ、そこはまず広く認識してやっていただきたいと思うんですが、この行政経費の場合は決算が確定してから初めて賠償請求するということで、これは、実際のところ、請求することになるとタイムラグが生じることになるんですが、実はここで一つ大きな問題が出てまいります。
 この議会でもシイタケやさまざまな損害賠償に係る質疑が行われているのでありますが、大もとのところが実は整理されていない。それは何かというと、損害賠償の時効についての考え方です。損害賠償は、御承知のとおり、民法の第709条で規定されておりますが、一般に時効は3年で消滅すると言われております。そのままでありますと、来年の3月11日以降、順次時効が完成してしまうということになるわけであります。これについては県も大分申し入れをしておりまして、2月4日付で東京電力は、損害賠償債権の消滅事項に関する弊社の考え方ということを表明しております。これは、一言で言うと、時効が完成しても、直ちに時効を援用することは考えないということなんですが、これをよく読むと、これは福島県の避難の対象地域に限られたお話でありまして、岩手県の部分については何らの措置が言及されていない。なお、今、政府においても、この時効を停止するべく特例法の制定が進められておりますが、これも同じく福島県に限定されている。
 これは、岩手県としてきちんと対応しないといけないと思いますが、どのような対応をとるおつもりでしょうか。
〇渡辺放射線影響対策課長 損害賠償請求の時効の件でございますが、今、御指摘のとおり、東京電力の見解は、被害者を大きく二つに分けて、事故当時、避難等対象区域に居住していた方と、それ以外の方ということで、県を含めまして、当県の被害者の大半は対象区域外ということで、特に東京電力のほうでは具体的な対応は今回示してございません。個々の事情を踏まえて柔軟な対応をとるというような表現にとどまってございます。
 当県におきましては、個々の損害について、東京電力が賠償対象として認めた都度、被害者が送付を請求した場合に東京電力から請求書が送付されてくるといった状況にございまして、被害者に不利益が生じかねない状況にあると認識してございます。
 また、放射性物質の影響は相当期間に及びまして、その被害の全容もいまだ明らかではないという状況にございます。特にも、中間指針の追補によりまして当県の農林水産物の風評被害が賠償すべき対象として認められたということで、今後さらに被害が具体化していくものと思ってございます。
 こういった関係から、被害者が被害の実態に即した十分な賠償が受けられるよう、東京電力に対しましては損害賠償請求権の消滅時効を援用しないことを確約することを強く求めるとともに、国に対しましては、必要な措置を講じるように要望してまいりたいと思ってございます。
〇岩渕誠委員 これは、法律的に非常に難しいのは、援用しないようにということなんですが、一方で、民法の146条でしたか、時効の利益をあらかじめ放棄することができないとも規定しておるわけであります。そうすると、現状は、善意の解釈によって、被害者の救済を図るかどうかというようなところになるんですが、やはりこれは法によってきちんと整備される、もしくは東京電力と県の間できちんとした文書を交わすなり、ある程度のところでやらないと、時効の完成を盾に損害賠償に応じないという可能性も否定できないのはないかと僕は思っております。
 東京電力と交渉していますと、それは柔軟に対応しますという、非常に頭を下げた対応をやるんですが、例えば食品検査費用請求書という、よく行政の皆さんがかかり増しの経費だということで東京電力に要請するその書式を見ますと、賠償請求期間としては平成23年から平成24年3月までのものである。平成24年4月以降は国の新基準の施行をもって安全性が担保されたので、それ以上のことをやっているのは東京電力の事故とはかかわりがありませんというような理屈で渋っているものもありますから、そこは、やはりちゃんと交渉のテーブルに引っ張り出して合意をさせるべきだと思いますが、いかがですか。
〇渡辺放射線影響対策課長 東京電力の対応につきましては、今、御指摘のとおり、県及び市町村などの独自の判断で行った対応については一切認めないというようなこともございますし、その期間につきましても極めて限定的に対応しているところがございます。そういったところにつきましては、現在、東京電力から徐々に考え方が示されてきていることもございますので、その部分につきまして、法律的な解釈も含めて交渉している段階でございます。
〇岩渕誠委員 先ほど、行政経費でも80億円という数字が明らかになりました。本当に少なくない数字でありますし、きちんと損害賠償に応じさせるために、県はかなり強い態度、そして、福島県以外の自治体とも連携して、ぜひ交渉のテーブルにぎちっと着いて対応していただきたいと思います。
 次に行きます。放射性物質除去・低減技術実証事業というものが新年度で予算計上されております。これは継続の部分がございます。今年度の実績と来年度の事業の詳細をお示しいただきたいと思います。
〇渡辺放射線影響対策課長 放射性物質除去・低減技術実証事業についてでございますが、今年度の実績といたしましては、建物等の放射性物質の除去、低減する技術、農林作物への吸収を抑制する技術及び放射性物質に汚染された廃棄物などを減容化する技術の3分野につきまして全国から公募を行いまして、31件の応募があったところでございます。
 外部有識者からなります選定委員会の評価を経まして5技術を選定いたしまして、現在、2技術─この中には一般家庭において部分的な除染にも活用が可能と見込まれますゼオライト含有高分子水溶液の塗膜乾燥剥離による除染技術といったものもございますが、これら2技術についてはもう既に実施済みでございます。残りの3技術については、現在、調整中あるいはまた実施中のものがございます。
 これらの実証試験の結果につきましては、選定委員会の評価を受けた後に公表させていただきたいと考えておりますし、市町村などに情報提供いたしまして、今後の具体的な取り組みにつながるよう努めてまいりたいと考えております。
 平成25年度につきましても同様の事業を予定してございますが、時間の経過とともに放射線影響対策の課題が変化してきてございます。市町村などへ需要調査をしっかりと行いまして、現場の課題解決に資する技術分野、ニーズを把握した上で実施してまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 ことしは5事業、新年度は少し予算的にもふえるということでございますけれども、いずれ、単なる実験に終わることのないように、そもそも非常に難しい取り組みですから、これは100%実証化しろというのはなかなか酷な話だとは承知しておりますが、せっかく税金を投入して新しい技術の実証をして、それを岩手県の除染にやるという取り組みで、これは単独事業であります。
 福島県は確かに大変な状況でありますから、国が中心になっていろんなことをやっているんですが、低レベルの汚染地域に関しては、各自治体が独自に予算を計上して行っているということで、国のかかわりが低いことについては私は大変不満も持っているんですが、いずれ、早く実証化にたどり着くように指導していただきたいと思います。
 次に行きます。新年度新規事業で計上されております地域防災力強化プロジェクトについてお尋ねをしてまいります。
 まず初めに、消防団活動のマニュアルの策定支援というものが今度の予算には盛り込まれております。震災から2年がたとうとしております。多くの犠牲を出した消防団活動でございますけれども、これについてはさまざまな検証等も進められていると思います。このマニュアルの策定支援に関して、新年度、いろいろ策定していくということでありますけれども、安全上の問題点、教訓、それについてどのような対応策をおとりになるおつもりかお示しいただきたいと思います。
〇小畑防災消防課長 消防団活動の安全対策についてでございますけれども、本年度、県の消防協会と連携いたしまして、市町村が消防団の活動マニュアルの策定または見直しを行う際に活用いただくための消防団の活動指針というものを現在取りまとめているところでございます。
 当時の活動状況につきましては、消防団あるいは市町村の方々からお聞き取りをした結果、情報の収集及び伝達体制が不十分であったことや、明確な退避基準を持たないままさまざまな活動を行わざるを得なかったことなどが課題として挙げられているところでございます。
 このことを踏まえまして、指針におきましては、情報の収集、伝達体制の確立あるいは発災時の活動内容の明確化、最小化といったこと、または退避することを優先とした活動可能時間の設定とともに、このような消防団活動への住民の理解醸成を図ることが必要としているところでございます。
 今後、市町村あるいは消防団の方々から改めて指針に対する意見を伺いまして、必要な修正を行った上で、市町村におけるマニュアルの策定等の支援を行いまして、今後、消防団活動の安全対策の強化を図っていきたいと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 問題点、教訓を踏まえた指針ということが出ておりますけれども、最終的には、退避するにしても、どこに行くにしても、情報手段をどうするかというのが安全を守るための一つの命綱ということになろうかと思いますけれども、現状で、消防団に対しての情報ツール等も含めて、どういう状況になっているのか、あるいはこの後、そういう指針に対応して、そういった整備というのは進めなきゃいけないと思いますが、どういうお考えなのでしょうか。
〇小畑防災消防課長 消防団に対する情報ツールでございますけれども、昨年度、国のほうで国庫補助金制度を設けまして、消防団に対して簡易無線等の配備等を進めているところでございます。実質的には今年度の事業になってございますけれども、おおよそ2、500台ほどが沿岸の消防団のほうに現在入っているという状況でございます。
〇岩渕誠委員 2、500台についての議論はきょうはいたしませんけれども、消防団員数に関しては、消防団員個々ということからすると、充足率は100%ではないはずでありますし、それは分団ごとということなのか、班編成で一つということなのか、それはぜひ十分に措置していただきたいと思います。
 このマニュアルの策定支援に関しては、同列で市町村と事業所の連携支援ということが盛り込まれております。県として、恐らくこれは消防団員確保といった観点での支援になろうかと思うんですが、具体的にどのようなことをするのでしょうか。
〇小畑防災消防課長 市町村、事業所への具体的な連携支援ということでございますけれども、就業構造の変化に伴いまして、本県の消防団員における被雇用者の割合というものは、平成24年4月1日現在で71.7%という状況になってございます。このことから、消防団活動に対する事業所の理解促進というものは、地域防災力の強化のためには重要な課題と認識しているところでございます。県といたしましても、これまでも市町村と連携いたしまして、消防団協力事業所表示制度といった取り組みを実施してきているところでございます。
 今回、指針を作成するに当たりまして、市町村とも連携いたしまして、消防団活動の重要性に加え、このような安全対策といったものの事業所への周知も積極的に行いまして、消防団活動への理解促進とともに市町村と事業所の連携支援に努めて、消防団員の確保にもつなげていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 議会の視察で静岡に参りましたときに、事業税の減免措置等を通じて消防団員を確保するという取り組みを静岡ではやっておりました。必ずしもそれだけが政策ではないと思いますけれども、いずれ、一層の具体策を出していかないと、消防団員の確保につなげるところまでの体系的な政策にはちょっとなり得ないのではないかと思っておりますので、ぜひここは研究されて進めていただきたいと思います。
 次に、地域防災サポーター登録制度というものが今度の防災力強化プロジェクトの中では新規事業という形で出ております。並列して学校現場への防災教育ということがありまして、これは、昨年来、私も取り上げてまいりましたけれども、副読本の配布ということで一つ成果になっているのかなと思いますけれども、この地域防災サポーター登録制度というのはこれからの制度ということでありますので、この詳細、どのような役割を期待されているのかお示しいただきたいと思います。
〇會川防災危機管理監 地域防災サポーター登録制度についてでありますが、災害による被害を軽減するためには、県民に防災の知識や取り組み方を理解してもらうことが重要であり、東日本大震災津波の発生により県民の防災意識が高まっている現在、自主防災組織の育成強化と連動させ、地域単位で防災に関する勉強会や研修会等に対して積極的に支援していくということが必要だと考えているところです。
 このため、来年度、防災に関しましてさまざまなスキルを有する方をサポーターとして登録した上で、市町村や地域から研修会等へ講師の派遣要請があった場合に、サポーターと調整を図り派遣を行う地域防災サポーター登録制度を創設しようとしているものであります。
 先ほどの防災教育教材の充実とともに、このサポーター登録制度の創設により、子供から大人まで、広く県民に対する防災教育の強化を図り、地域の防災力の強化につなげていきたいと考えております。
〇郷右近浩副委員長 岩渕誠委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇岩渕誠委員 わかりました。
 このサポーター登録制度の具体がちょっとわかりません。というのは、どういった経験を持った人ということと、あとは規模ということ。まず、規模がどの程度だかというのがちょっとわかりませんし、それから、改めてお聞きしますが、自主防災組織というような話がありました。震災では自主防災組織の皆様が大変機能されて、経験を持っておろうかと思います。
 ところが、一方、今、自主防災組織はどうなっているかといいますと、御承知のとおり、仮設住宅に入っておりますので、自主防災組織としての活動が中断しているという組織があると思います。ただ、そういう方々の経験こそ、これから生かすべき経験でありまして、ぜひ、地域防災サポーター登録制度にはそういったことも取り入れていただきたいと思いますので、御所見があれば伺います。
 そして、まとめて、計画とすれば、この被災経験を検証して、経験を伝える大切さというのはやっぱり認識されていると思いますが、これは県庁内も同じことだと思います。
 最後にお聞きいたしますが、防災室長、長らく防災の現場にありまして、大変過酷な経験もされてきたことと思います。この防災力強化に向けて、室長として所感があれば伺って、終わります。
〇小山総合防災室長 ただいまの岩渕委員の質問は、まず防災サポーターの関係でございますが、想定しておりますのは、例えば防災士の資格を持った方とか消防のOB、自衛隊のOB等々、また、我々が岩手大学と進めております防災リーダー研修等もありますし、そこの卒業生といいますか、修了生といったいろんな、一般といいますか、防災の経験、知見の深い方々がいらっしゃるのだろうと思っております。規模というお話がありましたが、まだそこまではちょっと想定してございませんが、そういった方々に呼びかけて登録をお願いしたいと考えてございます。
 そういった意味で、ただいまお話がありました自主防災組織のリーダーの方々、その経験豊富な方々が実際に多くいらっしゃると思います。そういった方々も地域における防災教育の指導者として御登録いただければ、地域の防災に非常に役に立つのかなと思っております。
 また、私のというお話がございましたけれども、どういうお話しをすればいいのかちょっとあれなんですが、県庁内におけるこういった3.11に係る経験は、私のみならず各分野分野でいろいろと苦労された方は大勢いらっしゃいます。そういった方々の経験というのは、これからの県庁の防災体制、対応能力の向上に十分生かされるべきであろうと思っております。そういった面から、平成23年度におきましては、3.11に対する災害対応の検証という形で、年度末に検証報告としてまとめさせていただきました。
 また、今、記録史という形で編さんを進めて、年度内発行という格好で考えてございます。県庁内におきましては、独自のそれぞれの取り組みといたしまして、その当時の活動した職員の皆様が手記を書いたり、集めたりといった取り組みもございますし、また、そのときの経験者を呼んでの危機管理セミナー的なものを開いているといった取り組みもございます。いずれ、県庁内でもそういう積極的な取り組みもございますので、そういった経験は生きていくのだろうと期待するところもございます。そういったみんなの力、英知、経験を次につなげなければいけないと思っておりますので、また、我々も、防災訓練の実施等においても、そういった県庁の経験者の知恵とか知識を生かしながら実践的な訓練をして、地域の防災力の向上等にもつなげてまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
〇久保孝喜委員 1点だけ関連質問をさせていただきたいと思うんですが、先ほどの自治体の行政経費の損害賠償にかかわっての件でございます。
 問題意識は共有されていると思うんですけれども、東京電力の側のこれまで支払いに関しての考え方というのは、さまざまな形で漏れ伝わっているところはありますが、明確な支払い基準というのは示されているのかどうか、そこをまず確認させてください。
〇渡辺放射線影響対策課長 東京電力の支払い基準と申しますか、東京電力からの基本的な考え方という形で、何を対象とするか程度については示されてございます。ただ、具体的にどの経費ということになりますと、今、東京電力のほうに、当県から請求したもののうち、どれが該当して、どれが該当しないのかということを明確に示すようにと求めている段階でございます。
〇久保孝喜委員 我々に対する説明も、これまで明確な姿勢というか、項目も含めて、どういう形で支払うつもりなのかを含めた、そういう明確なものがないという説明を私たちは受けてきたわけですけれども、先般、埼玉県に対して東京電力が支払い基準を明示したという新聞報道がございましたけれども、県は、その支払い基準なるものは、既に受けている考え方というものと同じだという認識なのでしょうか。
〇渡辺放射線影響対策課長 新聞報道などにございます他県に示されたものにつきましては、当県に示されたものと同じと東京電力から確認をとってございます。
〇久保孝喜委員 この問題は、ひとり岩手県だけの問題ではもちろんなくて、広範な自治体に及んで、ましてや県内の市町村の経費も当然あるわけですので、その対立点というものをできるだけ早急に、東京電力の主張と我々県の主張はどこがどういうふうに対立しているのか、そして、問題の所在がどこにあるのかということを県民にきちんと説明責任を果たすべきだろうと思うんです。もやもやした形で、まだ払われてない、請求はしてますという形だけが表に出ているというのはよろしくないと思いますので、その辺の見通しを含めて部長にお尋ねしたいと思います。
〇加藤総務部長 一応、東京電力のほうは基準と言っているんですが、今のやりとりでもということでございますが、そんな大した基準なのかなというか、あるいはこちらとしては、毛頭この程度の話で済むものじゃないだろうという段階にとどまっておりまして、今、こちらとしてのいろんな考え方なりを要求して、整理をさせているというところでございます。
 そういうことで、どこがどう、どこまで進んでいて、どこが交渉の論点になっているのかという整理がしづらいところはございますが、今、御質問の中でありましたように、どういう対立点があって、どこが明確なのか、どこが論点なのか、ここを詰めなくちゃいけないんだということを、ある程度の段階で示す必要はあろうかと考えております。
 我々も確かに交渉しているんですけれども、いろいろぶつけているというんですけれども、私もじくじたる思いを持っていますが、まだなかなか具体的な成果が、少なくても数字で見ると金額的には非常に微々たるものだというところでございまして、それが示されない中で、どういう形で我々も対応しているのか、そして、どこまで東京電力と交渉なり、そういうぎりぎりのことをやっているのかという、その辺の姿勢というか、こちらとしての営みも示す。そして、また県民の皆さん、あるいはそういうさまざまなほかの団体も含めて、それに対する窮乏というか、賛同者を募るというか、その追い風によって交渉力も強化しなくちゃいけないという問題意識も持っておりますので、ちょっとそういう工夫を考えさせていただきたいと思います。交渉の進展にもよるかと思いますが、そういう形で受けとめさせていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 大きく2点について伺います。
 最初に、総務省から示された平成25年度の地方財政対策にかかわってお伺いします。
 本会議また総括質疑でも議論になりました、今回、新たな臨時特例ということで、地方公務員給与費の削減が全国的にもあって、これを震災対策に充てようということであります。
 岩手県の対応としてまずお伺いするのは、全国では大体8、504億円を削減額とすると。そして、それに見合う額を緊急課題への対応とすることになっておりますが、本県分の削減額は平成25年度予算にどういうふうに反映されたのか。
 あと、この制度については、知事からの答弁で、地方の独立性という意味について、非常に遺憾であるということも地方6団体の意見とあわせて主張しているわけですが、これは質問にはありましたが、そういう主張がされたということで、これは了としたいと思うんですが、今後、そういう地方財政に手を突っ込むというような臨時特例のこういう例が、今後の継続性については岩手県としてはどのような見込みであるかお示しいただきたいと思います。
〇八重樫予算調製課総括課長 地方公務員給与費の臨時特例の本県への影響についてでありますけれども、本県の当初予算の歳入では、交付税におきまして、給与削減を前提とした減額分マイナス75億円、給与削減に見合う特別枠として計上される地域の元気づくり事業費の増額分23億円、これはプラスでございますので、合わせてマイナス52億円の影響を交付税の減として見込んでいるところでございます。
 また、今回の地方公務員に係る給与削減措置の期間の見通しにつきましては、国から地方に対しまして、平成25年度に限って緊急にお願いする旨の要請があることから、現時点では平成25年度限りと捉えております。
〇飯澤匡委員 それで、マイナス75億円、当初予算に盛り込まれたということですが、それから、緊急課題への対応として、1、全国防災事業費、2、緊急防災・減災事業費、3、地域の元気づくり事業費とただいま紹介がありましたが、この削減に見合う分だけの財源が本当に来るのかどうか。それから、情報では、緊急防災・減災事業費については箱物限定だと。本県としても起債措置をしなければならない部分だというようなことを聞いておりますが、そのようなことになると、本県の削減分に見合うだけ事業費として本当に来るかどうかという部分は問題だと思うんですが、その問題意識と現状についてお答え願いたいと思います。
〇八重樫予算調製課総括課長 委員御指摘のとおり、地域の元気づくり事業費の分につきましては交付税で交付される見込みでございますので、先ほど申し上げたとおり、一般財源で23億円交付されると見込んでおりますが、緊急防災・減災事業につきましては箱物に対する起債措置でございますので、事業をやった場合に、そうした起債措置を行うということでございまして、この地方財政対策の決定が1月29日でございましたので、当初予算の歳出においては、これらの事業費の計上は行っていないところでございます。今後において、具体的な事業等が出てきた段階で、地域の活性化の緊急課題に効率的に活用していくことを考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 それでは、地域の元気づくり事業費は表現も極めて曖昧で、よくわからないんですけれども、23億円の部分については、どのような事業として、今回、予算に盛り込まれたのでしょうか、お知らせ願います。
〇八重樫予算調製課総括課長 現在、地域の元気づくり事業費の中身がまだ示されておらない段階でありまして、本県においても、平成25年度当初予算においては、歳出において事業費の計上は行っていないところでございます。
〇飯澤匡委員 では、75億円削減した部分が、本当に効果的に来るかどうかというのは非常に不透明な部分だと思うんですが、これは、まだまだ政府の方針が見えてこない部分もありますので、恐らく平成25年度の中で補正対応というようなことになると思いますので、これから、地方の財源の自立性ということも含めて、しっかりここは情報発信をしながら、事業費をどのように使うかにしても、しっかりと我々に対しても情報開示をしながらお進めいただきたいと思います。これは要望としておきます。
 2点目ですが、今回、震災対応、復興加速ということで、その予算に対応してかなりの体制整備を進めております。予算の説明会でも御説明をいただきまして、ある程度は理解したわけですが、私は代表質問で質問して、まず第1点は、保健福祉部、医療局の再編に向けて、医師の招聘等新たな展開が必要であろうということで、今回、新たに医療政策室というのを部局再編されたと。これは所管が人事課でありますので、私は、ある程度、権限の付与というものをしっかり明確化しておかないと、名称を変えただけではなかなか実績が上がってこないのだろうと思うんですが、人事課として何を期待して、どういう権限を付与しようとして今回の再編を考えたのか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
〇堀江人事課総括課長 医療政策室の権限についてでございますが、所管する業務としますと、現在の医療推進課の業務、権限に加えまして、保健福祉企画室の医療再生担当が担っております保健医療計画の推進あるいは公立病院改革等の権限が加わること、以上をもちまして医療政策を一元的、一体的に進めることを期待しているものでございます。
 また、所属長となります医療政策室長でございますが、副部長級ということで格上げすることによりまして、一つとしては、より高度な政策判断を機動的に行うことが可能となる。2点目として、市町村、大学、医療機関、また保健医療関係団体との連携が一層強化になるということなどから、この結果としまして、医療に係る喫緊の課題が迅速に対応できるということを我々は意図しているものでございます。
〇飯澤匡委員 これは意見にとどめておきますけれども、あとは部局審査でもう少し詰めたいと思いますが、人事権は医療局では持ってないわけでして、もう少し抜本的なものに踏み込んでいかないと、当面する課題は解決できないのではないかと私は思います。それにしても半歩ぐらいは前進したのかなという感じを持っておりますので、今後、これは推移を見守りたいと思います。
 最後の質問になりますが、今回、予算調製課から財政課に改編されたと。代表質問の中で、私の問いは改編した目的と狙いについてという点について、こういう知事答弁がありました。予算規模が拡大し、一層の財政規律が求められる中、本県も他県と同様の査定方式に転換するとしていると。今まで私は、予算調製について、予算編成システムのありようでありますとか、予算編成の透明化、財政効率的な部分についての考え方を大分指摘してまいりましたし、当局からも御答弁をいただきました。
 ここでかなり気になるのは、名前を変えるのもさることながら、今まで課題として積み残っていたものが、本県も他県と同様の査定方式に変えるという大きな変換はどういうことなのか、詳細をお知らせ願いたいと思います。
〇八重樫予算調製課総括課長 他県と同様の査定方式に変えるとした理由についてでございますけれども、本県財政は、復旧、復興に向けた経費に多額の財源を要するなど、中長期的に厳しい財政状況が続くものと見込まれます。こうした中で、復旧、復興事業を優先しながら、将来を見据えた一般施策もあわせて推進していくためには、各部局の判断に加えまして、全庁的な視野から事業の取捨選択を行うとともに、財源措置の検討など財政的な調整も必要となるものでありまして、このため、平成25年度当初予算から、他県と同様と申し上げましたのは、全ての事務事業を1件ごとに精査して財源の最適配分を行う査定方式─今、ほかの県もほとんどの県でこの方式をとっておりますので、そうした査定方式に転換したということでございます。
〇飯澤匡委員 財政規模が大きく、5、100億円余も震災対応でなるわけですから、この対応だけで大分大変だというのはよくわかります。しかし、今まで持ってきたもの─総務部長も今までの答弁で、予算編成についてはさらにブラッシュアップさせながら財政効率的な部分を高めていくんだと、今までの積み上げがあったわけです。それは、これからどのように分析して、総括して、今回、名前の変更とともに方式を変えたのかということについて、もう少し具体的にお示しください。
〇八重樫予算調製課総括課長 これまでも御答弁申し上げておりますけれども、部局予算枠方式のような、各部局がみずから事業の取捨選択を行うという方式には、もちろん、コスト意識が芽生えるといった長所もありますけれども、やはりその調整には限界がありまして、漫然と継続している事業が見受けられるとか、委員御指摘のような財政効率的な評価ができていないのではないかということで、本県におきましてもそうした予算調製方法を順次変更しながらこれまで来たところでありますが、さらに、今回、震災を受けまして、先ほど申し上げたような財政規律あるいは財政効率的な評価をさらに強めていかなければならないということで、総務部においては、事業の成果を踏まえて事業規模や予算額が適正であるか、あるいは効果的、効率的な事業執行が見込まれるかなどの視点に立って、予算編成の過程の中で1件ごとに精査しているものでありますし、各部局においても、予算要求に当たって事務事業評価をしっかりと行って、そうした評価との連動によって財政的な面での評価をこれからもしっかり行っていこうとするものでございます。
〇飯澤匡委員 これまでの答弁の中でも、ある程度、各部局の政策的なものを取り上げて、まず、そういうコスト意識を持たせてやりましょうと。それがスタートで、それが予算調製課になったと思っております。その中で、ただいま総括課長の答弁にもあるとおり、漫然とやっていた事業もあるし、前の総務部長も、退場していくものについては退場していかなきゃならないんだというようなことも申しておりました。そういう意味で、今回、そういう対応をなされたと理解しますが、この内容については予算の説明会でも一切触れられませんでした。部局再編については、財政課に変わるというのにも、さらっと流されて御説明もなかった。それだからあえて聞くわけなんですけれども、この部分は本県財政運営にとっても根幹の部分なんですが、そのような説明の仕方であって適当であったのかどうか、私はそこら辺を疑問に思うんですが、総務部長、どういうことだったんでしょうか。
〇加藤総務部長 説明会につきましては、全体的な時間の制約もありまして、説明なりは簡潔にといいますか、やらせていただいたところでございます。もとより、改編の狙い、趣旨、目的というものについて、説明を省略しようというか、あるいはそれについて流そうとか、そういう意図は全くございません。むしろ、今、総括課長からも答弁しましたし、私も、これまで答弁なりあるいはさまざまな説明の機会に触れてまいりましたが、予算編成方式を改めるといいますか、あるいはこれまでの取り組みの上に立ってさらに進化させていくという趣旨のことは、こちらとしては積極的に、みずから進んでそういうものを説いていかなければいけないと思っておりますし、議会の中でそういう機会が得られたことは、むしろ貴重なことだったと思っております。また、引き続きそういう機会を捉えて、こちらの意図するところで、どういうことを実現したいのか、それによって、この難しい中でありますが、いい財政運営なりを図りたいという趣旨につきましては説明を尽くしてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 今回、私は、非常に大きな改編だと思うんです。今までの歴史的経過から見ても、どういう考え方を持って名前を改編したかと。というのも、私は代表質問でも指摘しましたが、余りにも権限が集中してきて、他局との部局の権限の差が非常に大きかったというようにも聞いています。ですから、従前に戻すということの危険性についても、やっぱりあなた方もしっかりと、名前を変えたことによってどういうふうに変わるのかということは説明する責任はあると私は思うんです。あえてそういう他意はないと言いますけれども、さらっと流したことについて、私は、問題というか、非常に意図性を感じざるを得ないから、こうやって質問しているわけです。随分視線をそらしますけれども、そのように思っていますよ、私は。(「嫌われているんだ」と呼ぶ者あり)それはそれとして。
 これから、大きな予算規模の中でどういう予算の組み立てをするか。予算編成の透明化については、しっかりこれからも我々は提言をしていきますし、それが県民利益にかなうものだと思っておりますので、これからもそういう説明責任はしっかり果たしていただきたい。
 今回はこれでやめさせていただきます。
〇吉田敬子委員 岩手県立大学における教育、研究の充実について伺います。
 県立大学生のボランティアを初めとする被災地支援に対して、学生だけでなく教職員の方々の活躍については大変敬意を表するものですが、先日、情報技術研究議員連盟がありまして、その中で、会長のお話から、学生の一般教養の底上げを図ってほしいという声がありました。もしかしたら、これはソフトウェア情報学部の学生に限ったことになってしまうのかもしれないんですが、県立大学として、企業の求める学生についてリサーチ等も行って、魅力、特色ある教育内容の充実を図っているのか。
 例えば、お隣の秋田県の県立ではなく公立の秋田国際大学というところがあるんですが、こちらも大体岩手県立大学と同じぐらい、設立10年ほどたつところで、ここは本当に全国から受験生が集まる倍率の高い、そして就職率も100%に近いところと聞いています。企業の方々も大学のほうに、どうしたらこういう学生が集まるのかということで来ているそうなんですけれども、岩手県立大学では具体的に何が魅力、特色あると認識していて、今後の課題に対してどのように取り組んでいくのか伺います。
〇清水総務室管理課長 岩手県立大学における教育内容の充実についてでございますが、県立大学では、卒業生を採用した企業に対しまして、平成18年度から定期的にアンケート調査を行っているところであります。これらの調査結果を踏まえながら、魅力や特色のある教育内容の充実に取り組んできたところでございます。
 また、具体的な魅力といたしましては、大学で学んでいく上で必要とされる基礎的な能力を養う基礎教育や、将来的に社会で役立つ基礎的で多様性に富む教養教育である問題論的アプローチ科目を開講するなど、従来の学問分野の枠にとらわれない、社会のさまざまな問題を考える探究心を育てているところでございます。
 また、それぞれ異なる4学部の教員がそれぞれの個性と専門性を生かし授業を担当しており、異なる4学部の学生がともに学ぶという教育環境が本県の県立大学の魅力であると認識しているところでございます。
 委員から御指摘のありましたように、語学力等の向上ですとか、そういったところでまだまだ課題がございますが、こうした県立大学の魅力をさらに高めるために、現代社会が生み出す諸課題を解決しながら、みずから考え、生きていくことができる基盤となる能力を伸ばすといったことを目的としまして、高等教育企画センター─仮称でございますが─を平成25年度に設置し、平成26年度から、現在あります共通教育センターという組織にかわりまして本格稼働させる予定としているところでございます。
〇吉田敬子委員 先ほどの答弁の中にあります学力、語学力向上ということで、県立大学の基本的方向の五つの中の二つに、地域社会への貢献と、もう一つ国際社会への貢献というものがありまして、地域社会への貢献については、IPUだったりi-MOS等、地域等の取り組みというのは大変評価しているんですけれども、国際社会への貢献というところで、なかなか目に見えたものがないなと私自身は感じるんですが、知事演述の中でも、これからグローバル人材育成に力を入れていくというお話もされておりましたし、本県へのILC誘致のためにも、岩手県立大学で学びながら、今後、ILCが誘致された後の人材育成─雇用がふえていくと思うんですけれども、ILCが誘致されて、せっかく雇用が創出されても、他県から来る学生が多かったりだとかということにならないように、県立大学だけではないですけれども、県立大学でのグローバル人材育成のためにもっと積極的に取り組んでいく必要があると私は思っています。英語を話せればグローバル人材になるというわけではないんですが、教職員の中で英語の話せる方がどのぐらいいるのかだとか、そういったことに関してもぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思うんですけれども、その辺に関して、どのように県では課題認識をされているのか最後にお伺いして、終わりたいと思います。
〇清水総務室管理課長 委員御指摘のとおり、企業に行いましたアンケート調査によりましても、評価の高い点としましては、仕事上の課題等に責任感、倫理観を持って取り組んでいるということが78%と非常に高い評価を受けているところでありますが、一方、国際的なコミュニケーション能力、語学力等に関する評価が13.3%と低いところでございます。こういったことから、主体的に考え、行動できる人材、グローバル社会で活躍できる人材が企業から求められていると認識しているところでございまして、先ほども申し上げましたとおり、平成25年度から設置いたします(仮称)高等教育企画センターといったところで、語学力も含めまして、国際的あるいは地域に貢献できる人材の育成により取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 最初に、東日本大震災津波で大きな犠牲者を出した最大の教訓は避難の問題だったと私は思いますが、避難の状況についての検証は行われているのでしょうか。
 第2点は、現在、防潮堤が破壊されている状況のもとでの避難対策はどうなっているのか。2004年のスマトラ沖大地震の際には、8年たってからマグニチュード8級の余震が2度起きているんです。私は、今の段階での避難対策は大変大事ではないかと思います。
 第3点目に、今後の避難対策をどういうふうに講じていくのか。避難道路、避難場所の確保、避難場所の暖房設備や備蓄など、そういう点についてお答えいただきたい。
〇會川防災危機管理監 まず最初に、避難状況の検証でありますが、県では、東日本大震災津波にかかわる災害対策の検証を行い、避難行動について検証を行ってきたところでございます。
 大きな犠牲者を出した要因といたしましては、ハザードマップにおける浸水が想定される区域以外は安全という認識があったことや、津波規模の過小評価、過去の津波警報の空振りから油断が生じ、避難開始時間がおくれたというようなことが挙げられまして、この検証結果については、今後の防災対策に生かしてまいりたいと考えております。
 続きまして、2番目の防潮堤が破壊されている現状での避難対策についてであります。防潮堤が破壊されている現状下におきましては、津波の高さがそれほどでなくても浸水することが危惧され、津波から身を守るためには、何より早期に高所に避難を行うことが必要となります。早期の避難のためには、迅速な津波情報の伝達が重要となるところであり、県では、市町村の防災行政無線の復旧について支援を行ってまいりました。沿岸町村では、平成24年度末には、難聴地域の解消も含め、J-ALERTと連動した自動起動方式の防災行政無線の復旧を終える見込みでありまして、これにより迅速な避難が可能となるものと考えております。今後とも、このような避難環境の整備につきまして市町村の取り組みを支援し、住民の安全の確保を図ってまいりたいと思います。
 3番目の今後の避難対策の部分でありますが、県の地域防災計画の見直しの中で、東日本大震災津波及び想定される最大クラスの津波を想定して、防潮堤の設置状況等の地域事情を踏まえた津波避難計画を策定するとともに、避難場所の見直し、避難道路等の整備を進めることとしております。
 また、災害時に的確な避難行動がとれるよう、県や市町村が主催する防災訓練に対して住民の参加を促し、具体的かつ実践的な訓練を行うとともに、自主防災組織の育成強化等を通じ、防災意識の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、避難場所の問題でありますが、県では、昨年度の地域防災計画の見直しの中で、非常用電源や暖房器具の整備を含めまして、避難の長期化に応じた避難場所等の環境整備を追加しているところでございます。これを踏まえて、各市町村におきましては地域防災計画を見直しているところであります。既に避難場所の見直しを行った市町村もありますが、今後とも市町村との会議や防災訓練の実施等を通じ、地域の実情に即した避難環境の整備が図られるよう支援してまいろうと考えております。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、消防団活動について、先ほども質問がありましたので、ダブらないようにお聞きしますが、自主的な退避マニュアルを沿岸の消防団では決められているようですが、この状況と、もう一つは、特に被災地の消防団の組織状況はどうなっているのか。極めて献身的な活動がされた、こうした消防団の待遇改善を抜本的に図るべきだと思いますが、それはどうなっているでしょうか。
〇小畑防災消防課長 消防団の活動マニュアルの策定状況、退避ルートの設定状況でございますけれども、沿岸12市町村のうち、現在、7市町でマニュアルを定めているところでございます。いわゆる津波到達予想時刻をもとにいたしました退避時間の設定でございますけれども、これにつきましては、全ての市町村で設定をしているという状況でございます。
 現在、マニュアル等の策定を検討している町村もございますので、今後、今回策定いたします活動指針を活用するなどいたしまして、地域の実情に沿った活動マニュアルの策定について市町村を支援していきたいと考えているところでございます。
 それから、次に、消防団の組織状況でございますけれども、平成24年4月1日現在での本県の消防団員数は2万2、911人となっていまして、市町村が定める消防団員の条例定数の86.3%ということになっているところでございます。
 それから、消防団の処遇改善につきましては、報酬、手当の支給額の引き上げを初めといたしまして、市町村に従前から働きかけているところでございますけれども、大震災津波以降、沿岸の四つの市と村におきまして、報酬あるいは出動手当の引き上げを行っているところでございます。
 今後におきましても、消防団員の活動時の安全対策の確立あるいは装備の充実とあわせまして、処遇改善についても働きかけていきたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 通告したとおりまじめに質問しているんだから、頼むよ。
 次に、原子力災害対策編の地域防災計画の策定にかかわってお聞きします。
 福島第一原発事故に対する県の対応についての教訓、課題をどう捉えているか。原子力災害対策編であらかじめ講じる必要がある対策は何か。私は、岩手県にとっても放射能汚染対策が最も重要な課題となると考えますが、どういう対策が検討されているでしょうか。
〇會川防災危機管理監 まず、最初の福島第一原発事故に対する県の対応についての課題等でありますが、東日本大震災津波発災当時におきましては、沿岸被災地を中心に、被災者救出等の応急対処に全力で取り組んでいたところでありまして、原発事故については、テレビ報道等により情報を得ていたところであります。
 しかしながら、国等から正確な情報が得られないまま、放射性物質の拡散による影響が本県にも及び、放射線影響対策の実施に至ったところであります。このような状況から、早期に情報収集やモニタリング体制の整備など、本県としても、原子力災害に迅速かつ適切に対処できるよう、あらかじめ対処方法を定めておく必要があると認識しているところであります。
 こうした認識とともに、原子力災害への対処としまして、原子力災害発生情報の収集と本県への影響把握、住民への正確な情報の提供、県民への放射線影響の回避などが重要な課題と捉え、これまで原子力災害対策編の作成に努めてきたところであります。
 続きまして、どのような方策を講じる必要があるかというところでありますが、本県は、原子力施設が立地しておりませんで、原子力施設から一定の距離があること、また、原子力災害対策指針に規定します原子力災害重点地域に本県の区域が含まれておらない状況であります。
 原子力災害対策編の作成に当たっては、こうした本県の状況を踏まえ、隣接県の原子力施設において発生する原子力災害に的確に対応するため、本県において、あらかじめ講じる必要があると認められる対策を盛り込むということを基本的な考え方として、作業を進めさせていただいたところです。
 本県において必要な対策として、案におきましては、原子力事業者等からの情報収集や住民等への情報提供、モニタリングの実施など、原子力災害発生情報の収集、提供、本県への影響把握に対する対策、住民等の避難、影響回避、スクリーニングの実施など、住民等への影響回避等に関する対策、追加被曝線量の低減や健康確保に向けた調査の実施など、復旧に向けた対策を中心に盛り込んできたところでありますが、これらの対策を、災害発生前に取り組む事項、災害発生時に取り組む事項などに区分、整理して、案を取りまとめているところであります。
 最後の放射能汚染についてであります。
 原子力災害対策編の作成に当たりましては、放射線医療分野、原子力防災分野の有識者に、県防災会議専門委員として参画いただいております。
 これまでの検討、議論におきまして、専門委員から、原子力災害発生時の防護の基本は、放射性物質を浴びない、体内に取り込まないとの助言を得て、防護対策の中心を避難とする案を作成したところでありますが、原子力災害発生時における体への影響を回避する対策として、避難とともに、国の基準に基づきましたスクリーニング及び体表面汚染の除染の実施について盛り込んだところであります。
 また、案では、緊急時モニタリングの実施結果を踏まえながら、県民が日常生活から受ける追加被曝線量の低減を図るための措置の実施、県民の健康確保に関する調査の実施及び調査結果を踏まえた対策の実施などを盛り込んだところでありまして、こうした対策が、原子力災害発生時に的確に実施できるよう、今後、マニュアルの整備を進めていきたいと考えています。
〇郷右近浩副委員長 この際、進行に御協力願うため、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇斉藤信委員 次に、消費税増税問題ついてお聞きいたします。
 国民、県民の所得が減少して、復興に取り組んでいるときに、私は、消費税の10%大増税というのは本当に許されないと思いますが、この10%増税となった場合に、県民の消費税負担額はどういうふうに推計されるか。県内企業、中小企業の法人事業税の対象企業数、率、これまで事業税を払った企業数の最大の率というのはどうだったでしょうか。県内の消費税の滞納額、滞納事業所数を含めて示していただきたい。
〇永田税務課総括課長 消費税が10%となった場合の県民の消費税負担額でございますが、現在、簡易な給付措置、給付つき税額控除、軽減税率等の検討がされておる段階でございまして、制度の骨格がまだ決まっておりませんで厳密に算定することは困難でありますが、消費動向等が増税後も変化がないものと仮定して、平成22年度の地方消費税から推計いたしますと、税率が10%となった場合の消費税と地方消費税の合計額が1、165億9、000万円と推計されまして、現行税率の場合と比較して582億9、000万円の増と見込まれるところでございます。
 次に、県内企業、中小企業の法人事業税の対象企業数とその税の対象となっている率でございますが、平成24年度の事業税が発生している法人数、企業数でございますが、申告義務のある2万1、774社のうち8、906社で40.9%となってございまして、そのうち資本金額1億円以下の中小企業については2万217社のうち7、412社で36.7%となっているところでございます。
 これまでの最大値でございますが、確定申告をした法人のデータが残っております平成18年度以降でございますが、事業税の対象となった企業数の率の最大は、平成19年度で2万2、571社のうち9、636社で42.7%となっているところでございます。資本金1億円以下の中小企業につきましては、平成21年度以降のデータしかありませんので御了承願いたいのですが、それによりますと、最大は、先ほど申し上げました本年度の2万217社中7、412社の36.7%となっているところでございます。
 次に、県内の消費税の滞納額、滞納事業所数についてでございますが、消費税につきましては、国税のほうで賦課、徴収とも行っておりまして、詳しい資料等が県の手元にはないところでございますが、仙台国税局が発表している国税徴収状況によりますと、平成22年度末の滞納額は65億8、800万円余となっているところでございます。滞納事業所数についてでございますが、これについては公表されておりません。
〇斉藤信委員 中小企業の場合には36.7%、逆にいくと64%弱は赤字ということで、こういう中で消費税が倍になるというのは、まさに中小企業がばたばた倒産ということになりかねないのではないか。これは指摘だけにして、次に、オスプレイの低空飛行訓練の問題について。
 ついにアメリカは、本土の四国、オレンジルートで一方的にこの低空飛行訓練を始めました。沖縄では、日米合意を全然無視して市街地上空、大変危険な訓練が行われているんですね。
 知事は、既にオスプレイの低空飛行訓練に反対の立場を示していますが、この間、どういうふうに国に対して要望、その他行動をしているか。私は、やりますよと言われてからではなく、今からやってはならないという行動をしっかりすべきだと思いますが、いかがですか。
〇會川防災危機管理監 オスプレイの低空飛行訓練に関する県の対応でございますが、県では、昨年8月、東北防衛局長に対し、文書をもって、飛行ルートの詳細や訓練頻度、飛行機体数、飛行時の積載物を明確にすることや、訓練の事前通報について要請するとともに、9月には、知事が直接、東北防衛局長に対して、国においてオスプレイの安全性の検証を行うとともに、県民の不安払拭に努めるよう要請したところでございます。
 今回、オレンジルートにおけます訓練につきましては、本県に対しても、防衛省から事前に連絡がなされているところでありますが、本県にかかわると思われるグリーンルートにおける訓練におきましても、同様に事前連絡がありました場合は、速やかに市町村に連絡する等、情報共有を図るとともに、騒音や低空飛行等の苦情があった場合は、東北防衛局を通じ、米軍に申し入れていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 連絡があった場合じゃだめなんですよ。連絡がないように。岩手県内は、2度にわたって米軍機が墜落事故を起こしているんですよ。私は、岩手上空では、こういう危険な低空飛行訓練をさせないということで、ぜひ知事を先頭に取り組んでいただきたい。
 最後です。旧盛岡短大跡地の利活用の問題について。
 地元で2月18日、旧盛岡短大跡地利用促進期成同盟会が設立されました。私と福井せいじ議員と軽石議員、地元に3人も県議会議員がいまして、私たちも顧問になって、市議会議員も顧問になる、こういうことで、ぜひ残された貴重な用地、施設を地域のために活用してほしいということになりましたが、承知しているでしょうか。
 私は、地元の要望に応えて、県も市と連携しながら、時間をかけて、ぜひこの問題は対応してほしいと考えていますが、いかがでしょうか。
 今の老朽化の状況、維持管理費、利用状況はどうなっているかお聞きします。
〇清水総務室管理課長 期成同盟会でございますが、盛岡市から情報収集いたしましたところ、旧盛岡短期大学跡地が、城南地区の地域住民活動の拠点として将来にわたり貴重な財産であることから、公共施設を中心とした地域の安全・安心な住みよいまちの拠点として有効に活用できるように、整備促進を図ることを目的とし、ことし2月中旬に城南地区の各町内会長を主な構成員として設立されたものであると承知しているところであります。
 また、県が公用または公共用として利用する予定のない未利用資産につきましては、地域振興の観点から、地元市町村における有効活用等も踏まえまして、十分な協議を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 また、現在、県による公共的な利用の可能性が生じていないかにつきまして、改めて各部局に利用希望調査を行っているところであります。今後、その結果や、地元盛岡市の意向も伺いながら、平成25年度において、引き続き検討を進めていく予定でございます。
 現在の短期大学の校舎の老朽化についてでございますが、本館につきましては昭和44年、別館につきましては昭和54年、図書館は平成3年にそれぞれ建築されており、特に本館につきましては、建築から40年以上経過し、雨漏り等がひどく、施設の老朽化も年々顕著になっているところでございます。
 建物の維持管理につきましては、警備の業務委託及び構内の樹木剪定業務委託等で年間80万円ほどかかっているところでございますが、今後、施設の老朽化に伴いまして、維持管理等の経費の増加も見込まれているところでございます。
 現在、建物につきましては、県の行政文書等の保管庫として活用されていますほか、県体育協会が体操競技の練習場に利用しているほか、また、県社会福祉協議会等が被災地支援物資の一時保管場所として、グラウンドにつきましては、盛岡第二高等学校がテニス部の練習場として利用しているところでございます。
〇郷右近浩副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩副委員長 質疑がないようでありますので、これで総務部関係の質疑を終わります。
 総務部の皆様は御苦労さまでございました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時34分 散 会

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