平成25年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成25年3月7日(木)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    小 原 敏 文
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査    村 上   聡
  主査    藤 澤 壮 仁
  主査    藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事      上 野 善 晴
  副知事    千 葉 茂 樹

  秘書広報室長   稲 葉 比呂子
  首席調査監    杉 村   孝

  総務部長    加 藤 主 税
  総務部副部長兼
  総務室長    根 子 忠 美
  人事課総括課長  堀 江   淳
  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
  税務課総括課長  永 田   茂

  政策地域部長   中 村 一 郎
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長  木 村 卓 也
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長  佐々木 幸 弘
  政策監兼
  ILC推進監   保   和 衛
  市町村課総括課長 紺 野 由 夫

  環境生活企画室
  企画課長    伊 勢   貴

  保健福祉企画室
  企画課長    高 橋 勝 重

  商工企画室
  企画課長    木 村   久

  農林水産企画室
  企画課長    高 橋 昭 雄

  県土整備企画室
  企画課長    及 川   朗

  理事兼復興局
  副局長    高前田 寿 幸
  復興担当技監   蓮 見 有 敏
  復興局企画課
  総括課長    森   達 也

  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃
〇小原議会事務局長 おはようございます。御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うことになっております。
 出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 佐々木大和委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま紹介のありました佐々木大和でございます。よろしく御協力のほどお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 なお、福井せいじ委員は、当分の間、欠席とのことでありますので、御了承願います。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別委員長に、高橋元君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました高橋元君を予算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました高橋元君が予算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました高橋元君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 高橋委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長高橋元君委員長席に着く〕
〇高橋元委員長 ただいま予算特別委員長に選任されました高橋元でございます。
 御推挙いただき、大変光栄に存じている次第でございます。委員各位の御協力をいただきまして、職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げ、御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることに決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 予算特別副委員長に郷右近浩君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました郷右近浩君を予算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました郷右近浩君が予算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました郷右近浩君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 郷右近副委員長、御挨拶をお願いします。
〇郷右近浩副委員長 ただいまは副委員長に御選任いただきましてまことにありがとうございます。
 委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、委員の皆様の御協力をお願い申し上げ、ここに御礼を申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
〇高橋元委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案28件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事及び関係部局長等の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後、12日から15日まで、18日、19日及び21日は、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案28件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、21日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査については、世話人会の申し合わせに基づき、第1部を農業関係、第2分を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第20号まで、議案第25号から議案第28号まで、議案第35号、議案第37号、議案第38号及び議案第90号の以上28件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇加藤総務部長 平成25年度当初予算の概要等につきまして、総括的に説明申し上げます。
 この平成25年度当初予算は、県の復興計画における基盤復興期間3カ年の最終年度として、国や市町村と連携を密にし、復興の取り組みを加速させていくための予算として編成したものであり、希望郷いわてを実現するため、岩手の将来を見据えた中長期的な取り組みにも配慮したほか、国のいわゆる15カ月予算に対応した、平成24年度2月補正予算と一体的な予算として県内経済の活性化を図ろうとするものであります。
 それでは、予算の概要について説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開き願います。
 議案第1号平成25年度岩手県一般会計予算であります。
 第1条は歳入歳出の総額を1兆1、517億236万7、000円と定めるものでありますが、これを前年度当初予算と比較しますと3.0%の増となるものです。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等をそれぞれ定めるものであり、第4条は一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は、職員給与について同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について説明申し上げます。便宜、予算に関する説明書で説明申し上げます。この1ページをお開き願います。厚い冊子の資料でございます。
 一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14諸収入まででありまして、その総額は5、410億3、500万円余で、前年度当初予算と比べると13.0%の増となっています。これは、主に災害廃棄物処理に係る市町村からの受託事業収入の増や基金からの繰り入れの増によるものであります。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債であり、その総額は6、106億6、700万円余で、前年度当初予算と比べて4.5%の減となっておりますが、これは、主に地方交付税や県債発行額の減によるものであります。
 この結果、歳入に占める自主財源の割合は47.0%と、前年度から4.2ポイントの増加、一方、依存財源の割合は53.0%となっております。
 次に、歳入の内容について説明申し上げます。4ページをお開き願います。
 まず、1款県税1項県民税は386億5、700万円で、前年度比14.7%の大幅な増となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、個人所得の向上や雇用状況の回復により増収が見込まれることなどによるものであります。
 2項事業税は177億3、400万円で25.0%の大幅な増となっておりますが、これは、建設業を中心とした企業の業績回復に伴い、法人事業税の増収が見込まれることなどによるものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税は、復興事業による公共工事等の影響により123億4、800万円、10.2%の増を見込んでおります。
 4項不動産取得税は22億2、900万円で、9.5%の増と見込んでおります。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は16億5、500万円で37.2%の減、6項ゴルフ場利用税は3億600万円で21.9%の増と見込んでおります。
 10ページの7項自動車取得税は24億7、400万円で15.9%の増、8項軽油引取税は171億7、100万円で1.3%の減と見込んでおります。
 次に、12ページの9項自動車税は、定期課税台数の増加などを考慮して173億円、0.4%の増と見込んでおります。
 10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し、1、800万円を計上しております。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録の見込み数により3、300万円を計上、12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量などを勘案して8、200万円を計上しております。
 16ページの13項は旧法による税でありまして、200万円を計上しております。
 以上、県税の合計額は1、100億900万円で、前年度当初予算に比べ90億8、900万円、9.0%の増となるものであります。
 次に、17ページ、2款地方消費税清算金は256億6、000万円で4.6%の増となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は171億8、400万円、19ページの2項地方揮発油譲与税は39億7、200万円、20ページの3項石油ガス譲与税は2億3、900万円、21ページの4項地方道路譲与税は100万円、22ページの5項航空機燃料譲与税は700万円をそれぞれ計上しております。
 次に、23ページの4款地方特例交付金は、住宅借入金等特別税額控除による減収を補填するための交付金でございまして、2億8、100万円を見込んでおります。
 次に、24ページの5款地方交付税は、地方公務員給与の減額を前提とした削減など国の地方財政対策の内容等を総合的に勘案して推計を行いまして、2、932億3、767万円余と、前年度当初予算に比べ201億8、107万円余、6.4%の減で計上しております。
 25ページの6款交通安全対策特別交付金は5億1、056万円余を見込んでおります。
 次に、26ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、5億3、309万円余、27ページから28ページまでの2項負担金は、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金等を計上しており、29億9、250万円余となっております。
 次の29ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、30ページの4目労働使用料では、産業技術短期大学校授業料、31ページの7目土木使用料では、道路及び河川の占用料、県営住宅使用料などであります。これら使用料の総額は、32ページの最下段の計欄、24億2、862万円余で、前年度に比べ1.9%の増となっております。
 次に、33ページの2項手数料でありますが、その主なものは、36ページの7目土木手数料の建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許更新や自動車保管場所証明に係る手数料などでありまして、合計は、37ページ、計欄の21億1、996万円余となっております。
 次に、38ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では生活保護や災害救助など、5目教育費負担金では40ページの義務教育教職員人件費に係るものや公立高等学校授業料不徴収交付金など、6目災害復旧費負担金では漁港災害復旧事業、河川等災害復旧事業、港湾災害復旧事業などであります。これら国庫負担金の総額は、40ページでございますが、この計欄、1、340億9、406万円余で、前年度より0.3%の増となっております。
 次に、41ページ、2項国庫補助金でありますが、これは、震災復旧、復興事業に係る補助金などでありまして、その総額は、51ページまで進んでいただきまして、一番下の欄でございますが755億1、405万円余で、1.2%の減となっております。
 次に、52ページに参りまして、3項委託金でありますが、その総額は、55ページまで進んでいただきまして、一番下の欄でございますが33億7、664万円余で、これは、震災復旧、復興事業に係る国からの委託調査等が増加したほか、参議院議員選挙執行経費を計上したことなどにより54.6%の増となっております。
 次に、56ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は3億756万円余を計上、57ページから58ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いによる収入などでございまして、5億785万円余を計上しております。
 59ページの11款寄附金は、ふるさと岩手応援寄附など9、991万円余を見込んでおります。
 次に、60ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は2億9、831万円余であります。
 61ページ、2項基金繰入金は、災害廃棄物処理基金や緊急雇用創出事業臨時特例基金、東日本大震災復興交付金基金などの基金を活用するため、1、183億6、291万円余を計上しております。
 なお、2月補正予算を踏まえました平成24年度末の財源対策として活用可能な基金の残高は、ここには記載しておりませんが、平成24年度2月補正で復旧、復興事業の財源として財政調整基金の取り崩しを行ったことなどから、財政調整基金は約229億1、600万円、県債管理基金は約433億7、700万円、地域振興基金が約38億5、500万円、合計で約701億4、800万円と見込んでおります。
 62ページに参りまして、13款繰越金は整理科目であります。
 63ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は2億2、138万円を計上しております。
 64ページの2項預金利子は、金利動向等の見込みから1億5、565万円余を計上しており、65ページ、3項公営企業貸付金元利収入は134億6、800万円を計上しておりますが、県立病院等事業会計への貸し付けの償還金が主なものであります。
 66ページの4項貸付金元利収入は、各行政部門における貸付金に係る元金、利息の収入でございまして、合計額は、67ページの計欄、1、266億2、803万円余となっております。
 68ページの5項受託事業収入は、次の69ページの計欄のとおり総額で1、294億6、867万円余でありますが、災害廃棄物緊急処理の市町村からの受託などによりまして大幅な増となっております。
 次に、70ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収益36億3、828万円余を、71ページの7項利子割精算金収入は566万円余を見込んでおります。
 78ページの8項雑入の総額は、75ページまで進んでいただきまして、計欄の41億2、972万円余と見込んでおります。
 次に、76ページ、15款県債でありますが、その総額は、78ページの計欄のとおり822億5、016万円余であり、前年度に比較して116億2、820万円余、12.4%の減となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでございますが、一旦296ページをごらん願いたいと存じますが、前年度末現在高見込み額が平成24年度末、当該年度末現在高見込み額が平成25年度末の数字となりますが、297ページの計欄をごらんいただきますと、平成24年度末は1兆4、550億7、500万円余、平成25年度末では、同じく計欄の右端になりますが1兆4、308億1、500万円余の残高になると見込んでおります。
 なお、297ページの計欄の下に、県債管理基金積立金及び当該基金積立金分を調整した実質的な県債の現在高見込み額をお示ししております。
 以上で歳入についての説明を終わります。
 次に、歳出についてでございますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に説明申し上げます。
 款別歳出につきましては説明を省略し、私からは性質別の主なものについて申し上げます。
 お手元、また別の冊子になりまして恐縮でございますが、予算に関する資料で説明させていただきます。3ページをお開き願います。平成25年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄を中心にごらんいただきたいと存じます。
 平成25年度当初予算の特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、1の人件費につきましては1.5%の減となっておりまして、退職手当の制度改正による減等を見込んでおります。3の維持補修費につきましては、土木施設等での増額を見込み、13.6%の増で計上しております。4ページに参りまして、5補助費等は、事業復興型雇用創出事業費補助など被災地に対する各種の支援事業を計上した結果、14.4%の増となっております。6の普通建設事業費は、災害公営住宅や復興道路の整備などの復興事業を計上し、4.8%の増となっております。一方、その下の7の災害復旧事業費は、災害廃棄物緊急処理支援事業や漁港災害復旧事業などを計上しておりますが、復旧から復興事業への移行が見込まれますことから6.2%の減で計上しております。5ページに参りまして、8公債費は、過去に発行した県債の償還額が増加することにより3.9%の増となっております。9の積立金は、東日本大震災津波復興交付金基金への積み立てを当初予算から見込んだことなどにより1、342.7%の大幅な増となっております。11の貸付金は、被災した中小企業者に対する金融支援などを引き続き措置し、2.6%の増で計上しております。
 平成25年度岩手県一般会計予算の概要は以上のとおりでございます。特別会計につきましては、所管部局において説明申し上げますので、私からは省略させていただきます。
〇高橋元委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主党が45分、次に、自由民主クラブが42分、次に、希望・みらいフォーラムが36分、次に、地域政党いわてが18分、次に、社民党が15分、次に、日本共産党が12分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属清水恭一委員、無所属小泉光男委員、無所属佐々木茂光委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あすの正午までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いいたします。
 これより総括質疑に入ります。高橋但馬委員。
   〔高橋但馬委員質問者席に着く〕
〇高橋但馬委員 それでは、民主党会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
 なお、長時間にわたりますので、後段を佐々木朋和委員に委ねたいと思います。よろしくお願いいたします。
 また、さきに行われました代表質問並びに一般質問と内容が重複する箇所もあると思いますが、切り口を変えて質問いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波から間もなく2年がたとうとしております。改めまして東日本大震災津波によってお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災されました皆様、沿岸地域に住まわれる皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 それでは、質問いたします。
 まず初めに、東日本大震災津波発災から2年がたつ岩手県及び東北への知事の所感について伺います。
 知事にお尋ねいたします。
 間もなく東日本大震災津波発災2年を迎えますが、この2年を振り返って、県としてもさまざまな取り組みを行ってきたものと思いますが、岩手をどのように復興へ導こうとしているのか、その思い、考えを伺います。
〇達増知事 本県は、東日本大震災津波によりかけがえのない数多くの人命が失われ、甚大な被害を受けました。一方で、この災害の苦しみや悲しみを乗り越えて、安全に暮らし、働くことのできる地域社会を取り戻そうとする県民一人一人の思いのもとに、この2年間でかつてないような地元の底力が発揮され、また、日本のみならず世界に広がるさまざまなつながりの力と相まって、震災以前には見られなかったような自立と共生の取り組みが広がってきたと認識しております。
 こうした中で、答えは現場にあるという考えのもと、被災地の現状や直面している課題、被災者の思いを把握しながら、復興計画に掲げる三つの原則に基づいて、防災のまちづくり、住環境の整備、雇用の確保、水産業を初めとする産業の再生などに取り組んで、安全、暮らし、なりわいの基盤復興が進展しつつあるものと認識いたします。
 その一方で、今なお3万8、000人余りの方々が応急仮設住宅等でいまだ不自由な生活を余儀なくされ、被災された多くの方々が復興の歩みを実感できないという状況にありますことから、復興を加速する必要があると強く実感するところであります。
 このため、平成25年度を復興加速年と位置づけて復興を加速することとし、内陸と沿岸が一体になってオール岩手による復興を推進し、県内外の多様な主体との連帯を強化して、岩手のあるべき未来に追いつく復興を実現、推進してまいりたいと思います。
〇高橋但馬委員 被災者と被災自治体は、県による下支えを本当に望んでいると思います。県として、この被災自治体を引っ張っていく思いでやっていただきたいと考えます。
 次に、平成25年度政府予算は、一般会計で92兆6、115億円、平成24年度当初予算より2兆2、776億円増額となっています。また、東日本大震災復興特別会計予算として3兆7、178億円が計上されています。復興防災対策について、政府の予算の重点化の基本的な考え方は、被災地の復興の加速を最優先として、加速策を具体化し、各種制度等、被災地からの批判、要望に真摯に耳を傾け、きめ細やかな復興施策を実行するとともに、福島の再生のため原子力災害等からの迅速な再生を推進する。このため、復興施策に必要な事業規模と財源を見直す。あわせて、全国防災事業の負担のあり方も見直しを行うとされています。被災地の復興の加速を最優先とした政府予算について、県政運営上どのような評価をされているかお尋ねいたします。
〇達増知事 平成25年度政府予算案については、地方財政対策で一般財源総額が59.8兆円と本年度以上に確保されてはおりますが、地方交付税が地方公務員給与費の一方的な減額等によって17.1兆円と本年度と比較して0.4兆円削減されており、この点では問題があると考えております。
 他方、震災関連予算につきましては、復旧、復興事業の地方負担分として0.6兆円の震災復興特別交付税が別枠で確保され、平成27年度までの5年間の復興財源フレームが総額19兆円から25兆円へと見直され、これによって被災地の復興に必要な財源が一定程度確保される見通しとなり、復興を加速する上で必要な措置でありまして、評価できるところであります。
 個別の分野につきましては、三陸沿岸道路等の復興道路や湾口防波堤等の港湾施設の復旧、整備、さらに三陸鉄道の全線復旧経費などについて必要な予算が確保され、復興の基盤となる社会資本整備について適切な措置がなされたと認識しております。
 また、グループ補助金の継続及び事業対象の拡充、用地取得費も補助対象となる新たな企業立地補助金の創設、水産業の災害復旧事業の大幅な増額が盛り込まれるなど、なりわいの再生に向けて、復旧、復興の加速化や雇用の拡大が期待されます。
 なお、現時点では政府予算が成立しておらず、本県への配分等詳細が不明な部分もまだ多いことから、引き続き国に対して必要額が確保されるよう要請してまいります。
〇高橋但馬委員 その予算の執行について、15カ月予算は、前年度1月から3月を事実上一体のものとみなして15カ月分の財政出動規模を確保する予算編成を行います。公共事業の継続的な実施ができる環境になることで景気の浮上が期待できるということですが、地方自治体の現場でも、無理に予算執行させられ、費用対効果の高い事業は少なくなる、そういう意見もありますが、県としてはどのように認識しているのでしょうか。
〇加藤総務部長 経済対策に係る県の予算の内容並びに執行ということでございますが、2月補正予算におきましては、15カ月予算を標榜いたします国の考え方に沿いつつ、地方負担に係る財源を無駄なく、必要な事業に効果的に活用する方針のもとに、全県的な視点で、復興のさらなる推進や地域経済の活性化につながる事業を予算化したところでございます。
 本県において計上した事業に限って申し上げさせていただければ、費用対効果に疑問が呈せられるような事業はないものと認識しておりますし、また、その執行にも必要な意を用いてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 常にその執行には注意を傾けていただきたいと思います。
 次に、岩手県東日本大震災津波復興計画について伺います。
 1点目、岩手県東日本大震災津波復興計画に掲げたいのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造に向け取り組んできたものと考えます。第1期は基盤復興期間であることから、多重防災型のまちづくり、三陸復興道路の整備、災害復興公営住宅の整備、被災医療確保対策、水産経営基盤の復旧、中小企業の再生等、復興の土台となる事業が進められてきました。本計画の策定から1年を迎える平成24年8月に、平成23年度中間目標に対する進捗率が遅れ、未実施の事業を中心に、その要因を分析し計画に反映させるとともに、これまでの事業の進捗の状況や被災地域における復興の状況、県民意識を踏まえ復興実施計画第1期の点検、見直しを行いました。
 県の復興計画における基盤復興計画最終年度として、国や市町村と連携を密にし、復興の取り組みを加速させていくための予算として編成された当初予算でありますが、災害廃棄物の処理完了、災害公営住宅の早期整備、医療施設等の機能回復など重要な項目が数多くありますが、復興を加速させるために前年度までと大きく違う取り組みについてお知らせください。
〇高前田理事 復興を加速させるための新たな取り組みについてでございますが、県では、平成25年度を復興加速年と位置づけ、被災者の方々に復興を実感していただき、復興実施計画が目指す基盤復興を実現していくため、まず、安全の確保では、災害廃棄物の処理について、課題となっております津波堆積土は、今後、公共工事の加速化を図り、公園や防潮林整備などの資材として積極的な活用を進めるとともに、土砂を多く含む不燃系廃棄物につきましても、県内のセメント工場において再生利用化を図るほか、国や専門家などの協力を得て可能な限り資材化に努めることにより、おおむね処理のめどが立っております可燃系廃棄物とあわせて、一日でも早く処理を終えるよう取り組んでまいります。
 また、暮らしの再建では、県が整備する災害公営住宅の整備につきましては、新たに導入した敷地提案型買い取り方式や設計施工一括選定方式の導入による整備を進め、平成26年度の全戸完成を目指して取り組むとともに、今般、増額措置されました震災復興特別交付税を活用し、被災者の住宅再建の支援を充実強化してまいります。
 また、被災した県立3病院の再建につきましては、今年度内を目途に、病院の立地場所や規模、機能の整備方針を決定するとともに、来年度、基本実施設計に着手するなど、早期開院に向けた取り組みを進めてまいります。
 さらに、なりわいの再生では、新たなまちづくりと連動した商店街の構築等によりにぎわいの回復を図るほか、国が新たに措置する津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地促進事業補助金を活用した企業立地の促進や、県の当初予算に新たに計上したさんりく未来産業企業促進費により被災者の新たな事業の立ち上げを支援してまいります。
〇高橋但馬委員 2点目ですけれども、被災12市町村について伺います。
 被災12市町村では災害廃棄物緊急処理支援事業が進んでおります。本年1月31日現在で、洋野町や久慈市を初めとする4市町村が撤去率100%、続いて岩泉町99.9%、宮古市96.1%となり、最低は山田町の57.1%となります。処理率に関しましても、普代村の70.7%、洋野町の61.8%、最低は岩泉町の10.4%となります。
 12市町村の被災した中小企業の復興状況について見ても、これは商工会議所、商工会の会員事業所を対象とした数値ですので必ずしも全ての事業者を対象としたものではありませんが、12市町村で震災前に7、701あった会員数中、4、321の会員が被害に遭いました。被災事業所の再開率が100%なのは普代村だけであり、休業281、廃業、転出762、不明80という状況で、再開率の平均は74%というのが現状であります。
 一時的な施策でつくり出された職により雇用が確保され、失業者の生活が仮に安定したとしても、その地域で生活を支えている地元の商店や事業所である中小企業の復興がなされないままでは、被災市町村が今後の未来へ向かって豊かなまちになり得るのでしょうか。また、災害復興公営住宅整備事業等、被災12市町村の復興格差が生じていると思います。県の復興計画における基盤復興計画3カ年の最終年度として、先ほども申し上げましたが、市町村と連携を密にし、復興の取り組みを加速させていかなければならないと考えます。来年度、この被災12市町村の復興格差の解消をどのように目に見える形で進めていくのか、知事の考えを伺います。
〇達増知事 被災12市町村の復興の進捗についてでありますが、今回の東日本大震災津波においては、地域によって被災状況や土地利用の状況、産業構造等の地域特性がさまざまであり、復興の進捗状況には市町村によって違いが見られるところであります。
 被災市町村全体の迅速かつ計画的な復興の実現のためには、市町村が地域特性や住民の意向を踏まえて行う復興まちづくりを積極的に支援するとともに、県と市町村が密接な連携を図りながら、一体的に復興の取り組みを推進していくことが重要と考えております。
 このため、任期付職員や再任用職員の採用、総務省の派遣スキーム等に基づく職員派遣要請の継続などに加えて、新たに、復興庁の支援による民間企業等の人材の受け入れなどによって市町村の専門的な人材の確保を支援するとともに、復興整備協議会等を通じて、市町村が行う事業用地に係る農地転用許可などの規制の解除等を促進し、市町村の復興まちづくりを支援していきます。
 また、県と市町村との連携強化を図るために、これまでも県、市町村、業界団体による復旧・復興工事情報連絡会を開催し、建設資材の需給状況の情報共有と円滑な調達に努めてきたところでありますが、平成25年度には新たに沿岸各地域に施工確保対策連絡調整会議を設置して、市町村はもとより、関係団体等との連携を強化して被災市町村全体の復興まちづくりを加速させてまいります。
〇高橋但馬委員 先日、私、大槌の、被災してから年間を通しての町の流れの写真を見せていただいたんですけれども、被災地の瓦れきの撤去は進んでいるんですけれども、いまだ住宅の基礎部分が残っていて、目に見える形で復興が進んでいないなと。特に被災地の方々はそう思っているんだろうと思います。
 今回、平成25年度一般会計は、いわて復興加速予算として当初予算1兆1、517億200万円と、当初予算では県政史上初の1兆円超えをした予算規模となった昨年を上回る予算となりました。震災対応分も10.9%増の509億円を増額しています。震災対応の最終年度の次には第2期の本格復興期間が平成26年度より始まることとなりますが、この平成25年度から平成26年度に、復興を加速した形でどのように移行しようと考えているのか方針をお知らせください。
〇上野副知事 本格復興期間における復興の加速についてのお尋ねでございますが、復興計画は8年間を計画期間としておりまして、平成25年度までの第1期実施計画期間は、緊急的な取り組みとともに復興の基盤づくりを集中的に展開することとしております。そして、これらの成果に立って、平成26年度から3年間の第2期実施計画期間で本格的な取り組みを推進し、最後の2年間でさらなる発展、展開へつなげ、新しい三陸の創造を目指すこととしております。このようなことから、平成25年度は基盤復興の取り組みの総仕上げを行い、平成26年度から始まる本格復興の取り組みにつなげていく重要な年度と位置づけているところでございます。
 そのため、来年度においては、第1に、災害廃棄物の処理を完了させるとともに、防潮堤などの津波防災施設の復旧、整備を促進するほか、第2に、被災者の方々が一日でも早く恒久的な住宅に住みかえできるよう、災害公営住宅の建設や防災集団移転促進事業などの面的整備事業の実施による居住環境の整備促進を図るとともに、国が増額交付する震災復興特別交付税215億円を活用いたしました被災者の住宅再建支援の充実強化など、いわて復興加速予算に掲げる取り組みによりまして社会資本や住環境などの基盤復興を加速してまいります。
 また、平成26年度からの第2期復興実施計画期間におきましては、第1期実施計画の成果を踏まえまして、第1に、防潮堤等津波防災施設の整備を完了させ多重防災型まちづくりを推進するほか、復興道路や復興支援道路などの信頼性の高い交通ネットワークの構築による安全の確保、第2に、市町村と連携いたしまして、まちづくりと一体となった、安全で良質な住宅及び宅地の供給や、新たなまちづくりに連動しました保健、医療、福祉提供体制の再構築などによる暮らしの再建、第3に、さらには、水産加工機能の集積や企業間連携による生産の高度化と高付加価値化を促進いたしましてなりわいの再生を図るなど、復興基本計画において中期的取り組みと位置づけました施策を展開いたしまして、復興計画で目指す、いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を実現したいと考えております。
 そのため、平成25年度におきまして、第1期実施計画の3年間に実施いたしました施策、事業の達成状況や被災地域の復興状況などを総合的に検証いたしまして、市町村や復興委員会などの意見を踏まえながら、第2期実施計画におきまして実施すべき具体的な施策、事業につきまして平成25年度末までに策定してまいります。
〇高橋但馬委員 着実に計画を完了させていくことが目に見える復興につながることだと思いますので、計画をしっかり実行できるように注視していっていただきたいと考えます。
 次に、基礎的財政収支について伺います。
 平成19年度決算より一般会計の県債発行、償還、プライマリーバランスの推移を見てみますと、平成19年度26億円の赤字、平成20年度99億円の赤字、平成21年度290億円の赤字、平成22年度227億円の赤字と推移してきました。そのような中、平成23年度プライマリーバランス32億円の黒字、平成24年度見込みプライマリーバランス63億円、そして平成25年度見込みプライマリーバランス248億円の黒字ということになっています。
 現在、国のプライマリーバランスは大幅な赤字の状態にあります。すなわち、国債の発行を通して現在の負担を将来の世代に先送りしている状況です。予算の配分による現役世代の受益は現役世代の負担で賄うべきだとする観点からプライマリーバランスの黒字化が求められていますが、平成25年度予算を編成する過程でどのような取り組みを行ったのかをお知らせください。
〇加藤総務部長 プライマリーバランスの黒字化に向けた取り組みについてでございます。
 平成25年度予算では、過去の経済対策等に伴い発行した県債の元金償還額が増加しております。57億円程度ということでございますが、これに対しましては県債管理基金の取り崩しで対応したところでございます。
 また、県債の発行の面から申し上げますと、通常分の公共事業につきましては前年度比マイナス10%のシーリングを設けたことでございますとか、国の緊急経済対策に呼応いたしまして公共事業等を2月補正予算に前倒ししたことなどによりまして、建設事業の財源に充てる県債の発行額を縮減しております。56億円程度の縮減という数値になっております。加えまして、国に準拠いたしました退職手当見直しによります退職手当債の発行減が8億円ほど見込まれることがございます。また、地方交付税の振りかえであります臨時財政対策債の減を53億円ほど見込んでいるということでございまして、そういったもろもろの要因がございまして新規の県債発行額が大幅に縮減されることになります。
 これらの結果といたしまして、平成24年度当初予算に続きましてプライマリーバランスの黒字化が図られたものでございます。
〇高橋但馬委員 次に、今回のいわて復興加速予算において新たに設けられた希望郷創造推進費の事業について伺います。
 1点目、安全の確保中の戦略的再生可能エネルギー推進事業費について伺います。
 防災のまちづくりとして戦略的再生可能エネルギー推進事業費が3、200万円計上されています。事業目的は、部局連携により戦略的に再生可能エネルギーの導入拡大に取り組み、民生や産業などの各分野における利活用の促進や環境関連産業の育成、誘致などを図ることにより、いわて県民計画に掲げる環境共生いわて構想の実現を目指すということです。復興の先の未来へつなげる事業として、再生可能エネルギーは県のエネルギーの自給自足に向けて非常に重要なことだと考えます。また、それと同時に、再生可能エネルギー推進では環境関連産業の誘致による雇用の確保も重要課題と考えますが、再生可能エネルギー推進に関する岩手の取り組みとして考えをお知らせください。
〇達増知事 再生可能エネルギーの取り組みについてでありますが、県ではこれまで、市町村と連携しながら、防災拠点や住宅、事業所等への導入や大規模発電施設等の立地促進など積極的に取り組んでまいりましたが、今後、エネルギー自給自足のまちづくりや関連産業の活性化、雇用創出などにつなげていくためには、市町村、事業者、県民等あらゆる主体の連携した取り組みを展開していくことが重要と考えております。
 このため、県では、来年度新たに戦略的再生可能エネルギー推進事業費を計上しまして、メガソーラー等の適地や送電網を含む適地情報マップの作成、地域の特性を生かした再生可能エネルギー導入等のセミナーの開催、これらの情報や支援制度等の情報を盛り込んだポータルサイトの立ち上げなどに取り組むほか、全国的にもポテンシャルの高い地熱の開発調査を進めるなど、再生可能エネルギーの導入環境を整備することとしております。
 また、今後も成長が期待される環境関連産業については、再生可能エネルギー関連企業を重点に引き続き誘致を推進するとともに、海洋エネルギーの利活用や関連産業の集積も見込まれる国際的な海洋エネルギー研究拠点として国が設置を予定している日本版EMECの誘致に取り組んでまいります。
〇高橋但馬委員 後半の三陸創造プロジェクトの推進について、また改めてその部分もお尋ねさせていただきます。
 2点目、なりわいの再生中、いわてブランド再生推進事業費について伺います。
 福島第一原発事故の放射性物質の影響による風評被害を払拭して消費者の信頼を回復し、岩手ブランドを再生させることが県産品の今後を左右します。県のアンテナショップは、東京のいわて銀河プラザ、大阪のjengo、福岡の夢プラザで3店舗ございます。一番売上高のある銀河プラザの売り上げの状況は、平成22年度5億4、863万円、平成23年度8億3、693万円余、今年度1月現在4億6、387万円余です。平成23年度は復興需要で、被災地の品物を購入して被災地の復旧、復興に貢献しようという動きが顕著に出て、前年対比152.6%という数値が出ました。県の県産品の魅力を伝えることと販売機会の拡大はセットで考えなければなりません。また、情報発信の効果が高い手法を考える必要があります。
 新規事業では楽天市場を活用した事業があり、市場内に岩手県特設ページを開設し、百貨店等実店舗での物産展と連動させることで消費者への訴求を重層的に行い、岩手県産品の情報発信及び認知度の向上を行うとのことです。そもそも楽天市場の1日の取扱高は17億4、000万円とのことです。この数字が意味するところは、この額は誰でも知っている大手の百貨店に匹敵するほどの規模の大きさだということです。岩手ブランドを再生させることが一歩一歩復興に向け進んでいる水産業、農林業の再生につながると思いますが、知事の所感をお聞かせください。
〇達増知事 いわてブランド再生推進事業費でありますが、本事業は、安全・安心な県産品の魅力と被災から復興を遂げつつある元気な岩手のイメージを首都圏の消費者に直接届ける攻めの姿勢の情報発信を行うことによって、岩手への信頼を高め、継続的な顧客となっていただくことで岩手ブランドの再生を図ろうとするものであります。
 これまで毎年開催している大手百貨店での岩手県物産展は、県産品の販売拡大や事業者育成を図る上で重要な事業であり、高い情報発信力を有しておりますが、平成25年度は、日本最大級と言われる楽天市場内に岩手県物産展という特設ページを開設し、実店舗とインターネット上の物産展の開催時期を連動させるという初めての取り組みを行うこととしています。
 百貨店と楽天市場の持つ高い集客力と販売力を相互に生かしながら、消費者に対して多面的な情報発信を行うことで県産品の認知度の向上と販売拡大を図るとともに、被災事業者を初めとする県内事業者にさらなる販売機会を提供し、販路の回復、拡大を支援することで本県の産業再生に資するよう積極的に取り組んでまいります。
〇高橋但馬委員 ちょっとその楽天市場について調べてみますと、売り上げをその楽天市場で上げるというのはかなりのノウハウがないと難しいという部分のこともネットでは出ておりましたので、県としてもその部分を気をつけて、しっかりと、開設するのであればそこでの売り上げが目に見えるような形になるようによろしくお願いいたします。
 次に、経済、雇用対策について伺います。
 県では、東日本大震災津波の発災以降、被災企業の早期再建に向けた支援、強固なものづくり基盤の形成や一層の産業収益の促進のために、平成24年度の経済、雇用対策として次のことに取り組みました。
 産業振興施策による雇用創出により、平成24年雇用創出目標を新規約1、400人のうち正規雇用約1、000人、緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生特別基金事業として新規雇用約7、900人、生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業で新規雇用約400人、事業復興型雇用創出事業で新規雇用約1万人の、合計約1万9、700人の雇用創出に取り組んできていると聞いています。
 東日本大震災津波により、平成23年4月には有効求人者数が再び大幅に増加し、同年5月時点では、世界同時不況以前の有効求人者数に比べて1万2、760人増加しています。しかし、平成24年12月時点では、復興需要とさきに挙げました緊急雇用創出事業等による取り組みにより、有効求人者数は2カ月連続で減少し、経済危機以前を約540人下回る求職者数になっている状況です。
 岩手県の求人倍率は昨年夏に一時低下したものの、再び上昇に転じ、3月1日に岩手労働局が発表した職業紹介状況によると、本年1月は、20年ぶりに1倍を超えたとのことです。
 一方、賃金の動向は、内閣府が昨年12月に発表した分析によると、宮城県では震災前の水準を超えているものの、岩手県、福島県では震災前の水準に達しておらず、依然として厳しい状況にあるのが現状です。賃金の動向を震災前の水準に持っていくことが今後重要だと考えますが、平成25年度経済、雇用対策への施策をお知らせください。
〇上野副知事 経済、雇用対策についてでございますが、岩手県の雇用情勢は、東日本大震災津波の発災以降、被災企業の再建や復興需要の増大などにより、基本的に増加をして改善をしてまいりました。
 一方で、被災離職者の雇用は、緊急雇用など短期の雇用に支えられてきた面もあることや、沿岸地域における人手不足の状況から、安定的雇用の場の確保と、復興に向けた企業の労働力の確保に対する支援が必要と考えております。このため、平成25年度の経済、雇用対策といたしまして、第1に、沿岸被災地の産業再生など基盤復興の取り組みを加速するとともに、ものづくり産業や環境産業の振興により、内陸地域の活力を高めていく。第2に、雇用の創出につきましては、長期、安定的雇用の創出に重点的に取り組むことといたしまして、事業復興型雇用創出事業の活用による雇用創出で、今年度の実績見込み5、300人程度と思っておりますが、これを上回る8、400人とする一方、緊急雇用創出事業による雇用、短期の臨時的な雇用創出は、今年度計画を4、300人下回る3、600人に縮小いたしたところでございます。
 また、第3に、就業の支援につきましては、工場見学会や企業向け人材確保セミナーの開催、復旧、復興や成長が見込まれる産業分野に対応した職業訓練の拡充強化のほか、新たに事業者や市町村、商工団体等、地域全体で労働力確保について話し合う組織を設けまして、その解決に取り組んでまいります。
 こうしたことをやることによりまして、岩手県の経済、雇用対策、雇用の場の確保、それから賃金の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇高橋但馬委員 次に、三陸創造プロジェクトの推進について伺います。
 平成23年度、県内消費電力量は884万8、637メガワットアワーです。そのうち28.9%が県内発電電力量であります。そこから火力発電の8.8%を差し引いた20.1%が、再生可能エネルギーによる電力自給率となります。当初予算に組み込まれた国際的研究拠点構築事業費と新規事業の洋上ウインドファーム事業化促進事業費により、洋野町沖合における着床式洋上風力発電の事業化へ向け、地域受け入れ態勢の構築及び環境、漁業への影響調査、関係者とのネットワーク強化を実施し、三陸の地域資源として海洋再生可能エネルギーの導入、利活用を進めるための国際研究開発の拠点を形成していくと、先ほど知事から答弁がございました。
 日本の原子力発電のポテンシャルは4、820万キロワットに対し、再生可能エネルギーのポテンシャルは、太陽光1億5、000万キロワット、陸上風力3億キロワット、洋上風力16億キロワット、中小水力1、400万キロワット、バイオマス3、800万キロワット、地熱1、400万キロワット、合計21億1、600万キロワットと、原子力発電の44倍となるということです。また、その中でも注目されている風力発電、ドイツでは37万人の雇用を創出していますし、日本でもメーカーの直接雇用は1、000人以上、部品メーカーも含めると約1万人の雇用効果があり、地方経済への貢献が高いとされています。
 着床式洋上風力発電の事業化、そして国際的研究拠点構築に向け、県として実現へのスケジュールと方針をお知らせください。
〇上野副知事 三陸創造プロジェクトの推進についてでございますが、まず、着床式洋上風力発電につきましては、沿岸北部におきまして事業化可能調査を実施し、大規模風車の導入による採算性の確保を初め、保守、管理等に伴う雇用創出や漁船利用及び漁礁効果等による漁業経営との協調などの経済効果への期待も示されたところであります。
 一方、課題といたしまして、漁業への影響や送電網への接続などが挙げられていることから、平成25年度には、専門家による調査などを通じまして、これらの課題解決に取り組み、早期実現を目指してまいります。
 次に、国際的研究拠点構築につきましては、国が公募により、海洋エネルギー実証試験場を整備することとしておりまして、間もなく具体的な要件やスケジュールなどが示される予定でございます。
 県では、既に詳細なエネルギーの調査や世界の先端を行く英国スコットランドのEMECとのネットワーク構築、沿岸地域におけるシンポジウムによる機運醸成などに取り組んでいるところであります。
 国においては、平成25年度中に最初の実証試験場の場所を選定するとしておりまして、本県三陸が選定されるよう、漁業者等への説明を重ねながら、地域における意見交換会や関係省庁との協議など、申請に向けた準備を進めてまいります。
〇高橋但馬委員 今まで使われなかったもの、それを資源として新しく生み出すことが今後大切だと思いますので、その計画を引き続き、国とも協議をしながらぜひ実施をしていただきたいと考えます。
 次に、建設工事について伺います。
 昨年12月定例会一般質問で、スライド条項について質問をさせていただきました。復旧、復興に向けた建設工事で、建設作業員や資材価格が高騰し、入札参加業者が集まらないという状況が被災地で起きています。受注をしても赤字になってしまうのであれば、入札不調となるのは当たり前だと考えます。
 平成22年度、1、443件の発注件数に対し43件の取りやめ、平成23年度、1、567件、139件、今年度1月現在で1、355件中185件と、年々増加をしてきています。県としてもスライド条項の適用等、状況打開の対策に取り組んでいるとは承知していますが、例えば資材を調達できるまで現場が動かない状況が続けば、それだけ人件費がかさんでしまいます。その人件費が高騰している状況であれば、目も当てられません。
 被災県である宮城県や福島県に比べ、岩手県の入札の不調の状況は、件数は低いですが、さきに示したとおり年々増加している状況であります。県として、取り組みとしては、当初設計予算2、500万円未満の工事において、2件まで現場代理人を兼務可能にするであるとか、建設工事の技術者の専任等に係る取り扱いについて、工事の対象となる工作物に一体性または連続性が認められる工事については兼任を認めるなどなど、緩和策を拡大しています。その取り組みの現状と、そして今後の対応策をお知らせください。
〇加藤総務部長 技術者不足に係る入札不調対策ということでございますが、現場代理人や主任技術者につきまして、同時に二つの工事を兼務できるようにし、また、その範囲を広げましたほか、技術者の恒常的な雇用関係につきましても、3カ月以上の雇用関係を要件としていたものを、入札書の提出日までに雇用していればよいという形で緩和しております。
 これらの対策のうち、現場代理人の兼務と恒常的な雇用関係の緩和につきましては、適用事例が多く見られまして効果があったものと考えておりますが、主任技術者の兼務の範囲の拡大については、残念ながら余り活用されていない状況でございます。
 この原因といたしまして、建設業法におきまして、技術者が兼務できますのは請負金額が2、500万円未満であることを基本とし、それ以外の要件も設けられておりますが、実際に建設業法の制限もございまして、適用できるケースが限られているためだと考えております。このため、被災3県と仙台市共同で、国土交通省に対しまして、技術者専任の基準額を1億円以上に引き上げるよう要望しているところでございます。
 国の制度緩和が達成されればというか認められました場合には、速やかにそれに呼応して、県としても入札要件のさらなる緩和を講じてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 3月5日の岩手建設工業新聞に、国土交通省の入札制度企画室の内田室長が、このたび入札不調の現状などを説明したとあります。昨年4月から1月まで、岩手県では15%の不調の発生率なんですけれども、小規模工事ほど不調の割合が多いと。不調となった案件もロットの拡大をして、再入札などで最終的に契約に至っていることを強調したとありますけれども、県ではその辺はどのようになっているんでしょうか。
〇加藤総務部長 県におきましても、基本的に再入札の手続、あるいはそれをまた工事を合わせてやるような手続ということで、一旦入札不調になったものにつきましてもそういった工夫を凝らす、あるいは受注側にとって魅力があるといいますか、利幅が出るような形に入札の仕方を改めて再発注する、再入札するという中で、必要な事業がこなされているといいますか、そういう状況でございます。
〇高橋但馬委員 国でも最終的に契約に至っているということをおっしゃっているので、県でもしっかりと不調の部分も契約に至るように、今後とも努力をお願いいたします。
 次に、国土交通省は、今月、被災地の高台移転、防災集団移転促進事業の対象に、事業主体の市町村が、従来、調査から設計、施工まで別々発注していた複数の事業設計、工事を、大手ゼネコンに一括発注する新たな契約方式、コンストラクション・マネジメントを本格導入し大槌町に適用するようですが、県としては、コンストラクション・マネジメントを導入する予定はあるのか。また、あるのであれば、いつごろを目途に考えているのかをお知らせください。
〇上野副知事 コンストラクション・マネジメントについてのお尋ねでございますが、県内市町村が発注する工事では、コンストラクション・マネジメントによる設計・施工一括発注方式を導入しておりますが、陸前高田市において1件を契約済み、山田町及び宮古市においては公告中、大槌町においても公告を予定していると聞いているところでございます。
 なお、コンストラクション・マネジメントを活用した設計・施工一括発注方式は、被災した市町村のマンパワー不足や技術的な支援を行うことにより、復興まちづくりを推進させることを目的とする新たな発注方式でございますため、県といたしましては、本制度の導入は予定をしていないところでございます。
〇高橋但馬委員 次に、観光施策について伺います。
 今回の当初予算において、いわて希望の旅誘客促進事業費等、いわてデスティネーションキャンペーンの取り組みにより構築した官民協働の取り組みをさらに推し進め、いわてDCの効果を持続、拡大させる大型観光キャンペーンを実施するとのことです。
 内容は、観光の力による被災地の早期復旧の促進と全県への誘客拡大を図るためのキャンペーンを展開するとのこと。1、平泉から北へ、2、内陸から沿岸へ、3、二戸を玄関に、4、空路で岩手へ、5、東北を一つに、この五つのキャンペーンがそれぞれ単独に成功したとしても、全県への誘客拡大は進まないと思われます。これらのキャンペーンが連動して成功するために、県としての考えをお知らせください。
〇上野副知事 大型観光キャンペーンについてでございますが、委員御指摘の五つのキャンペーン、これを連動させ、全体のキャンペーンを成功させるためには、民間、市町村が各地域におきまして受け入れ態勢の整備を含む魅力ある観光地づくりを、他方、県は、その観光地をつなぐルートを定番化するための広域の二次交通の充実や、旅行商品の造成、販売の促進を中心に担いながら、相互に連携をいたしましてキャンペーンを展開することが肝要と考えております。このため、いわてDCで構築いたしました行政や観光関係者のみならず、商工、農林水産、金融、報道機関なども含みますオール岩手の体制により、引き続き、来年度の大型観光キャンペーを展開することといたしております。
 この体制のもと、県におきましては、観光コーディネーターの地域への派遣などにより、魅力ある観光地づくりを支援するとともに、復興応援バスツアーの拡充を初めとする広域の二次交通の充実や旅行会社への広告支援などにより、五つの潮流、五つのキャンペーンに沿った旅行商品の造成、販売を強化し、全県への誘客を図ってまいります。
〇高橋但馬委員 そのキャンペーンの一つの内陸から沿岸へ、これは宿泊施設の再開、三陸鉄道の再開、復興国立公園を見据え、三陸観光、内陸から沿岸の旅行ルート定番化に向けた復興応援バスツアーの拡充の支援を行うものです。
 昨年のいわてDC期間中である4月から6月までの観光客の入り込み人数は、盛岡市91万人、前年度比153.3%、花巻市51万4、000人、平成22年度比106.8%、平泉町93万5、000人、平成22年度比161.7%と、内陸地域では、軒並み、DC効果で被災前より入り込み人数がふえています。しかし、被災12市町村においては、久慈市11万1、586人、平成22年度比112.8%、普代村1万4、945人、平成22年度比130.3%と、震災前をこの2市村は上回りましたが、入り込み人数がわからない大槌町を除いたほか、9市町村の平成22年度比は平均63.5%です。原因の一つに、沿岸部はもともと宿泊客の収容量が少ない上に、震災の影響により、さらに宿泊施設が減少した部分が挙げられます。
 被災地の観光誘致は、DC期間中の数値を見ても簡単な話ではありません。昔と違って、観光スタイルが変化している現在、多種多様な誘致策を考えなければなりません。これまでどおりの旅行会社向けや各地での観光プロモーション、イベント開催などに加え、新たな観光資源の発掘、さらには新しい旅行形態の確立など、観光振興策を確立していくことが大切です。
 いわてDC期間中は、三陸海岸のサッパ船ツアー等を織り交ぜながらツアーを組んでいたと考えます。同じような誘致策では入り込み客数はふえないと考えますが、県として観光客誘致にどのような施策で平成25年度は取り組もうとしているのか、お知らせください。
〇上野副知事 被災地も含めました観光誘致に向けた施策についてでございますが、県では、震災学習を中心といたしました教育旅行の誘致を沿岸観光の新たな柱とするため、現在、検討が進められております三陸復興国立公園や三陸ジオパーク、震災復興祈念公園、こうしたものの構想などの具体化を踏まえまして、全国的にも特色ある観光地づくりを進めるとともに、震災語り部ガイドのネットワーク化やスキルアップなどに取り組み、受け入れ態勢の充実を図ってまいります。
 さらに、4月から展開する大型観光キャンペーンにおきましては、NHK連続テレビ小説あまちゃん放映の好機も生かし、内陸から沿岸に向かう復興応援バスツアーを現在の6コースから7コースに拡充するなど、内陸と沿岸をつなぐ観光ルートの定番化を図ることにより、沿岸被災地への誘客などを強化することといたします。
〇高橋但馬委員 観光客の誘致、被災地に旅行客を行かせるというのでもう一つ大切なのが、教育旅行というものがあります。平成24年1月から9月に本県を訪れた教育旅行客は、学校数で延べ3、006校、児童生徒数で18万3、856人回となっています。学校数は874校で、前年度比41.8%の増加、前々年度比で37%、児童生徒数は7万5、553人回と、69.8%の増加、前々年度比では10%増加となっています。全体としては、東日本大震災津波発災前の水準を上回っています。また、市町村別で見ても、徐々にではありますが、被災12市町村へ教育旅行に訪れている校数がふえてきています。
 昨年7月に、東北観光推進機構で、グランドプリンスホテル新高輪において東北教育旅行セミナーを開催いたしました。首都圏の中・高等学校が実施する東北を訪問先とする教育旅行は、東日本大震災以降低迷が続いていました。ですが、震災後の東北をあえて訪れる学校もあることから、今後は、震災、防災学習の観点から需要も考えられ、教育旅行の候補として可能性がさらに大きくなるものと考えています。このようなセミナーを開催することで、徐々に教育旅行に訪れる児童生徒がふえてくるものと考えます。
 県として、教育旅行に訪れる校数をふやすための施策をどのように考えているのか、お知らせください。
〇上野副知事 教育旅行への取り組みについてでございますが、県では、岩手県観光協会と連携をいたしまして、これまで、本県への教育旅行入り込み客数の約4割を占めていた北海道からの入り込みを回復するため、震災以降、札幌市内の全公立中学校キャラバンなどを実施しているところでございます。また、震災以降急増いたしました宮城県内小学校からの入り込みを定着させるため、県内観光関係者と連携をいたしまして、横断幕、小旗による歓迎ムードの醸成やわんこきょうだいとの写真撮影、盛岡さんさ踊りの披露など、おもてなしの充実に取り組んでいるところでございます。
 さらに、北海道、首都圏、関西圏で開催をいたしました教育旅行誘致説明会などにおきましては、主要な体験プログラムといたしまして、震災学習を積極的にPRしてきたところでございまして、その結果、今年度は、千葉県や長崎県からの教育旅行も誘致できたところでございます。
 今後におきましては、平成27年度中の新幹線函館開業も視野に入れまして、中学校キャラバンの対象エリアを函館市及び周辺市町村にも拡大するとともに、東北観光推進機構と連携をいたしまして、九州など新規市場の開拓にも取り組んでまいります。
〇高橋但馬委員 震災の後に、修学旅行の候補地として岩手を取りやめたところからの修学旅行も回復してきていると。さらに、東京、関東圏から、直接被災地を見て学習するという思いも高まっていることから、しっかりと県としても教育旅行の誘致に向けても力を入れていただきたいと考えます。
 次に、岩手医科大学の矢巾移転計画に関して伺います。
 県では、平成25年度当初予算に、医療施設耐震化促進事業費補助5、000万円を計上して、県内の主要な医療機関の耐震化に取り組んでいるところですが、岩手医科大学の内丸附属病院も早急な耐震化が必要な病院となっております。
 岩手医大の計画では、平成31年の運用開始に向け、岩手医科大学の矢巾キャンパス整備計画を策定して矢巾地区への移転を進める一方、内丸地区には循環器医療センターや内丸メディカルセンター、これは仮称とのことですが、がんの化学療法等高度な診療機能を提供する、外来機能を中心とした50床規模の病院が存続する計画で検討されています。現在、1、166床の内丸の附属病院は、矢巾地区への移転事業開始と同時に、並行して解体する予定であります。
 現在の内丸の附属病院では、1日1、000人の入院患者とその付き添い、1日2、000人の外来患者とその付き添い、職員3、000人、そして出入り業者数千名と、1日約1万人の交流人口があります。それに加え、病院周辺の小売店、飲食店、銀行やコンビニを加えると、1万人をはるかに超える交流人口があることは間違いありません。6年後に内丸から病院がなくなるということは、相当の規模の経済がそっくりなくなることになります。近くのひとり暮らしの老人からも不安の声が上がっている現状です。また、周辺の店舗などからも、残ってほしいという声が上がっているものと思われますが、岩手医科大学附属病院という大きな医療施設が移転し、機能を特化した病院施設のみが存続するということで、医療サービス提供の面で不安を訴える声も聞きますが、内丸メディカルセンターなどの整備構想について県としてどう受けとめているか、御所見を伺います。
〇千葉副知事 岩手医科大学の移転についてでありますが、岩手医科大学附属病院は、高度な医療を提供いたします県内唯一の特定機能病院でありまして、今後、矢巾町に移転予定の新附属病院の整備に対しましては、全県的な三次医療提供体制の整備を促進するという観点から、地域医療再生等臨時特例基金等を活用いたしました支援を行う考えでございます。
 一方、同大学が内丸地区に整備を構想しております(仮称)内丸メディカルセンターにつきましては、昨年12月に行われました大学からの発表によりますと、高規格の診療機器を備え、PET・リニアック先端医療センターと連携し、がん外来化学療法、放射線療法などを含む、外来で可能な高度医療を提供する施設を目指すと承知しております。
 今後、附属病院移転後の受療動向の予測等を私どももしていかなければなりませんが、その予測等も踏まえながら、例えば二次救急医療の提供等につきまして、新附属病院や他の医療機関との機能分担と連携を図っていく必要があると考えております。
 県といたしましても、同大学からの構想の具体化にあわせまして、相談をいただきながら、盛岡市を初め地元医療機関、関係団体等と連携を図りながら、新しい体制への円滑な移行を支援していきたいと考えております。
 なお、同大学が昨年12月に発表いたしました基本方針におきまして、移転後の附属病院跡地については、今後、県及び市と相談しながら、将来的な再開発計画を進めるとしているところでございます。
 今後、移転整備の具体化に伴いまして、跡地活用についても検討が本格化することが見込まれておりますので、今、委員から御指摘がありましたとおり、移転は地域経済の影響等も少なくないところがございまして、県といたしましても、大学、盛岡市と情報共有を図りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 大学の跡地の利活用に関しましては、医大のものですから、県から何かということはできないと思うんですけれども、先ほど盛岡市と県と大学との連携という話がありまして、待っているだけではなくて、盛岡市と連携して、県のほうから声をかけて進めていくというのも大切だと思いますので、そういう意気込みでよろしくお願いいたします。
 長時間にわたり、丁寧な御答弁ありがとうございました。残りの時間は佐々木朋和委員に引き継ぎさせていただきます。ありがとうございました。
〇高橋元委員長 次に、佐々木朋和委員。
   〔佐々木朋和委員質問者席に着く〕
〇佐々木朋和委員 それでは、高橋但馬委員に引き続き質問させていただきます。
 佐々木朋和です。よろしくお願いをいたします。
 まず、放射線問題についてお伺いをしたいと思います。
 生産地として大変な危機を迎えておりますシイタケ生産については、県の生産者に寄り添った丁寧な説明と、シイタケ生産の再生に向けた将来不安を払拭する施策が求められております。その観点から質問をさせていただきます。
 現在、シイタケ関連の東京電力への賠償請求は30億円余、うち支払い済みが14億5、600万円余、早急な全額支払いが求められておりますが、今般、東京電力への請求が、かかり増し経費を除く被害額のほぼ全額が上程されたことは、生産者が原木しいたけ経営緊急支援資金、いわゆるつなぎ融資を使える状態になったということであり、今後、生産者が一息ついて再生産へ意欲を出してくださることを期待しております。
 そこで質問ですが、生産者の手元に届いていないのが15億5、000万円余ということであると思います。それに比較して、現在までのつなぎ融資の貸付状況が1億8、000万円ということですが、県はこの制度が十分に生産者に利用されているとお考えでしょうか。
 現場では、沿岸の二重ローン問題と同様、生産者の借金をすることについての抵抗感などがあり、制度利用をちゅうちょする傾向にあると聞きます。東京電力の賠償がなるまでは、返さなくてよいという制度趣旨をどのように徹底させて生産者の意欲向上につなげていくのか、あわせて伺います。
〇上野副知事 原木しいたけ経営緊急支援資金の状況及び制度の周知についてでございますが、県の経営緊急支援資金の利用につきましては、一部の森林組合が独自の融資制度などを設けられたことや、地元の農業協同組合による既存融資を利用する生産者の方がいらしたこと、さらには、生産者の方が生産継続への態度を決めかねている方もおられるということなどから、貸付実績が1億8、000万円にとどまっているというものと考えております。これまでも、制度趣旨や償還方法につきまして周知をしてまいったところでございますが、今後も関係団体や市町村とも連携をいたしまして、再度、制度趣旨等を丁寧に御説明をし、融資を必要とする生産者の利用を促してまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 現在、生産者の数が本当に少なくなってしまっているということについては、この点の経営的なまたは法的なアドバイスが足りなかったということであると思いますので、ぜひとも徹底をお願いしたいと思います。
 次に、出荷制限解除の道筋がなかなか示されていない中、人工ほだ場、出荷制限の対象とならない簡易ハウスに補助を出す特用林産設備等体制整備事業を新設したことは評価をさせていただきます。また、今後、補助のかさ上げなど、さらに改善をしていただきたいと思いますが、春栽培に向けて早期にこの事業が使える体制をとることも求められております。シイタケに限らず、これまで農林系、畜産系の放射線対策は時間との戦い、季節との戦いでありました。今後、生産者にスムーズに補助、制度を提供するために、事業の主体である市町村との総合的な連携強化が求められますが、御所見を伺います。
〇上野副知事 市町村との連携強化についてでありますが、県では、原木シイタケ産地再生に向けまして、ほだ木の処理やほだ場の落葉層の除去、新たな原木の確保に加えまして、本当初予算で、放射性物質の影響を受けにくい栽培方法とされる人工ほだ場や簡易ハウスのモデル的な整備の支援を盛り込んだところでございます。この取り組みを進めるためには、県は、事業主体となる市町村や生産団体との意向も確認をしながら予算化を図ることとしたところでございまして、事業実施に当たりましても、時期を逸することなく事業が推進できるよう、引き続き、事業実施を希望される市町村と連携を密にして取り組みを進めていく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 今年度は、先ほどおっしゃっていただいたように、冬場の雪の状況とか、それに合わせて生産者からは、自分たちが作業する準備の時間がないだとか、また、市町村の予算化をする議会を通す時間がぎりぎりであるとか、そういった話が聞かれておりました。そのことから、県は本当に生産者の作業工程がわかっているのかと、そういうお叱りも受けたところでございます。ぜひ、その点に留意しながら、早目早目に来年度は提案をしていただきたいと思います。トップ同士の呼吸合わせもしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、今後、純粋露地物の原木シイタケの出荷制限解除には、徹底した安全管理と統一的な作業工程が求められ、生産者同士の結束が不可欠となりますし、産地の再生、生産性の向上のためには、やる気のある生産者を集めての勉強会や若手の育成も必要であります。そのような生産者に寄り添うソフト面の支援も必要と思いますが、御所見をお伺いします。
〇上野副知事 生産者へのソフト面での支援についてでありますが、露地栽培の原木シイタケ産地の再生のためには、まずは出荷制限の解除に道を開く必要があると認識をいたしておりまして、国との協議を急いでおりますが、委員御指摘のとおり、生産再開に当たりましては、放射性物質に汚染されていない原木の使用やほだ場の除染を含む、汚染要因を取り除くための生産工程管理が求められるものと考えております。
 具体的な生産工程管理は、今後、国から示されることとなりますが、県といたしましては、産地の再生と消費者の信頼回復に向けまして、この生産工程管理が徹底された生産活動となるよう、生産者や生産団体等と一体となって取り組んでいく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 放射線対策は、畜産ではBSEの対策というのがあったり、そういう経験があったと。また、シイタケはないというところで、生産工程についてはぜひ厚い施策をお願いしたいと思いますし、また、生産者が少なくなって、これまでと違って本当に地域にぽつぽつとしかいないと。それで、本当に孤独な戦いとなるところもありますので、その点での勉強会や集まりとか、そういったところでぜひ厚い施策をお願いしたいと思います。
 次に、シイタケは、この春植菌しても、シイタケが出てくるのが2年後、採算ベースに乗ってくるのが5年目という長いサイクルの事業であります。今、生産者は、一つ目、2年後に出てきたシイタケが汚染されていた場合、東京電力からの補償対象になっていくのか。また、その確約があるのか。二つ目、値崩れしたシイタケが採算ベースに乗るまで風評被害補償が継続するのか。三つ目、県からの補助がどのくらい続いていくのかなどの将来不安を抱え、それが再生産へ向けての大きな足かせとなっております。また、四つ目、原木の継続的な安定供給、価格高騰対策、この春に向けて需要に間に合うだけの供給が可能なのかという不安な点もあります。この点が明確にならない限り、事業として採算をとれる見通しが立たず、再生産を開始する者はふえていきませんし、新年度予算の執行にもつながってまいりません。
 以上、四つの問題点について、確定的な強い情報発信をすべきと思いますが、御所見と現状を伺います。
〇上野副知事 再生産につなげるための情報発信の強化についてのお尋ねでございますが、4点御指摘がございました。
 1点目の発生するシイタケの補償につきましては、国の指標値を下回るほだ木から生産されシイタケが食品の基準値を超えた場合には、損害賠償の対象となるべきものと考えております。
 2点目の風評被害の補償につきましても、風評被害が認められる限り損害賠償の対象となるべきものであり、いずれについても、県といたしましては、東京電力に賠償するよう求めていく考えであります。
 3点目の県からの補助につきましては、生産者の方々が再び意欲を持って生産活動に取り組むことができるよう、必要な支援をきちんと行っていく考えでございます。
 4点目の原木の供給につきましては、原木確保のためのかかり増し経費は、補償が早急に実現するよう東京電力に求めていくほか、この春の原木確保は見込みが立っておりまして、来年度以降も関係団体と連携し、原木確保に万全を期していく考えでございます。
 これらの四つの点につきまして、県といたしましては、東京電力に対しまして適切な損害賠償を求めるとともに、国にも手厚い支援を要請するなど、生産者の方々が不安なく生産再開ができるよう、全力で取り組んでいく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 今述べていただきました長期的な視点の問題は、代替飼料の継続性に不安を寄せる畜産農家にも共通する悩みであります。県内の農林畜産物の放射性物質被害からの再生産に向けては、単年度ごとではない再生ロードマップや、販路復活や輸出を含めての総合的なプロジェクト、そのチームづくりなど、生産者の将来不安を払拭する、目に見える再生産までの道筋を示すことが必要と思いますが、御所見をお願いいたします。
〇上野副知事 県の支援体制の強化についてのお尋ねでございますが、農林畜産物の生産は本県の重要な基幹産業でございまして、放射性物質の影響対策に当たりましては、この産地を守り、将来に向けて持続的に発展していけるよう、生産対策や流通対策を進めているところでございます。
 原木シイタケでは、ほだ木の処理やほだ場の落葉層除去による生産環境の整備、生産に最も重要なほだ木の更新や、新たな取り組みとしての人工ほだ場施設等の整備による生産再開支援、畜産では、耕起不能箇所を除く牧草地の平成25年度中の除染完了による粗飼料基盤の再生など、生産サイクルの再開の見通しをつけることができるよう、生産者団体や市町村と緊密な連携、協力体制のもとで取り組みを進めていくこととしております。
 また、新たに創設いたしますいわてブランド再生推進事業などの風評被害対策を関係部局と連携強化をいたしまして、全庁を挙げて展開をいたしまして、県産農林畜産物への信頼の回復と、国内外への販路の拡幅、拡大を図っていく考えでございます。
 県といたしましては、このような取り組みによりまして、生産者の方々が意欲と展望を持って生産活動を再開し、被災前のように、全国に誇る産地として力強く再生するよう、その実現まで、生産者団体や市町村等と一体となって取り組んでいく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、何年後までにどうするというロードマップなどをつくって、見える形にしていただきたいと思います。
 次に、今、事業ベース、採算ベースが不安定な中、生産を継続するシイタケ農家のモチベーションの一つには、シイタケ生産、山林の保護を継続することにより、次世代につないでいきたいという強い思いがあります。また、みずから近くの山林で原木を切り出し、自然のサイクルの中で生産する状態に戻すことが、最終的な生産者の安心につながっていくと思われます。しかしながら、これまで、切り出せない原木そのものの補償や放射線被害による原木の切り出しが滞るであろう山林再生については語られておりません。今後、山林再生に向けての思いをお聞かせください。
〇上野副知事 山林の再生についてでございますが、本県の原木シイタケ生産は、豊富なコナラなどの森林資源を活用し、中山間地域の重要な作目として定着したものでございまして、放射性物質濃度が指標値を超え、シイタケ原木林が使用できない地域では大きな影響が出ているところでございます。このような原木林につきましては、直ちに原発事故前の利用状況に戻るということは難しいものと考えてはおりますが、県ではモニタリング調査を継続して行い、放射性物質の影響度合いを確認いたしまして、使用可能なシイタケ原木林を確認しながら原木として利用するなど、山林の活用が早く進むように取り組んでいく考えでございます。
〇佐々木朋和委員 次の質問に移ります。
 来年度から、放射線低減対策、風評被害、東京電力への賠償請求支援のため、一関農林振興センターに特命課長を任用し、また、法務学事課には、この1月から現役の弁護士を特命課長として任用したと聞いております。東京電力への賠償請求は、シイタケを含め農林系の大部分が書類作成を終え、問題は早期支払いとなっております。シイタケ人工施設の生産者負担6分の1や、ランニングコストが補償対象となるよう確定することについても、春生産へ向けスピードが求められております。これが1点目です。
 また、このたび、岩手県の風評被害補償が広く求められる方向にあり、早期の条件確定と請求スキームの構築が求められております。
 2番として、産直や道の駅、観光業などの請求に関しては、風評被害があっても復興需要や平泉効果により、前年度と比してトータルの売り上げが勝れば、補償対象外という理不尽な条件の改善など、交渉力や法的知識など専門的なアドバイスが必要な局面にあり、県の支援によって解決までの期間を短縮していくことが求められております。そこで、県は、今後の東京電力への賠償請求に対する支援方法、体制づくりをどのように行っていくのか。今、1、2で挙げた点についても見解をお示しください。
〇加藤総務部長 東京電力への賠償請求に対する支援の方法また体制づくりということでございますが、これまで本県で発生している全ての損害について広く責任を認め、実態に即した賠償を迅速に行うよう東京電力に強く求めるとともに、農林水産関係損害賠償協議会にアドバイザーとして参画し連携を図りますほか、産直施設に関する個別相談会開催等の支援を行ってきております。放射性物質の影響が広範囲、相当期間に及ぶことが見込まれる中、原木シイタケなどの産地の再生が重要な課題となってきていると認識しておりまして、御指摘の点も含めまして、再生産を行うために必要な全ての追加的な費用について賠償の対象とするよう東京電力に要求し、国に対しても必要な措置を要望してきております。この点は継続してまいります。
 また、風評被害が認められました観光関連の事業につきましては、一部賠償金が支払われ進展が見られますものの、賠償対象や期間等には、先方の一方的な主張という面がありますことから、全ての損害について十分かつ迅速な賠償が行われますよう、引き続き粘り強く東京電力との間の交渉を続けてまいります。そうした方々の支援も行っていくということでございます。
 また、今般、中間指針の追補によりまして、本県の農林水産物等の風評被害が幅広く賠償となる旨示されまして、東京電力に対する賠償請求の拡大が見込まれます。このため、県では、これまでの交渉過程において明らかになってきました法律的な課題に的確に対応できますよう、本年1月に採用いたしました弁護士資格を有する職員を積極的に活用いたしますほか、4月から民間事業者からの相談対応に当たる専任職員を配置いたしますし、また、県南広域振興局一関農林振興センターには、放射線影響対策の特命課長を配置することにしておりまして、被災者に寄り添った支援体制の強化を図りまして、これらさまざま今申し上げましたが、体制強化を図る中で支援を強めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、その点の情報発信と個別対応をお願いしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 除染廃棄物円滑化事業費について、今般、道路側溝汚泥処理について国からの指針が示されない中、コンクリート構造の一時保管場所の支援を決定したことを評価させていただきます。しかし、対象市町においては、一時保管場所の選定に苦慮しており、この春の引き上げ作業も、危険のあるところに限定される可能性も出てきております。また、汚泥の引き上げ作業は従来どおり地域住民に任せるわけにもいかず、専門業者に頼むなどのコストも懸念されます。また、水の流れにより、除染対象区域以外の場所でも8、000ベクレルを超えることが予想され、各市町の除染実施計画では対応し切れません。県として、国に、道路側溝汚泥に対応した10分の10の保管場所と汚泥引き上げがセットになった支援策を強く求めるべきと思いますが、県は、この現状をどのように捉え国と交渉しているのか、お聞かせをください。
〇千葉副知事 国による除染の取り組みへの対応についてでありますけれども、道路側溝汚泥につきましては、国の汚染状況重点調査地域に指定されております県南3市町におきましては、汚染の度合いにかかわらず国の除染の支援対象とされておりますが、具体的な処理方法を国が示していないことから、これまでも早急に示すよう要望しているところでございます。しかしながら、現時点においても国から示されておりませんため、住民理解の醸成あるいは仮置き場や最終処分先の確保など、地元市町ではさまざまな困難に直面しており、県としても、早急に解決すべき課題であると認識しております。このため、県独自にガイドラインを制定し、住民説明会に県職員を派遣し、技術的支援を行っておりますし、また、国庫補助対象外とされておりますコンクリート構造の仮置き場施設の整備に要する経費に対して、新たに新年度予算で支援を行うなど、課題解決に向けて県南3市町と連携して、鋭意取り組んでいるところでございます。
 除染は、本来、国の責任において行うべきものでありまして、引き続き国に対して、除染実施計画区域内外や汚染濃度にかかわらず、住民理解が得られる処理方法の提示と財政支援策を強く要望しているところでございます。
 なお、本日、本委員会の開会前の時間でございましたが、田中環境副大臣が来県され、知事からその旨要望を行ったところでございます。
〇佐々木朋和委員 要望も行っていただいたということで、ありがとうございます。
 次に、リニアコライダー誘致についてお聞きしたいと思います。
 国際リニアコライダー計画誘致に向けての取り組みは、県では、来年度、プロジェクト研究調査事業費を計上しておりますが、九州のサイエンスフロンティア構想とILCを核とした東北の将来ビジョン双方を読ませていただいた感想として、東北は、東北全体を巻き込んだ取り組み、関係施設エリアを想定した詳細な設計を行っており、東北人がリニアコライダー計画をイメージできるすばらしいものでありましたが、反面、九州では、リニアコライダーが来たら、九州は日本のためにこのように経済波及効果を最大化できるというアピール、日本が科学立国となるための高等、中等、初等、生涯学習の分野でのこういう取り組みをして、具体的にこうするというような、日本のためという視点で構想を打ち出しております。岩手県においても、日本のためという視点、科学立国に向けた教育の視点、この点に留意しアピールしていくべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 それが本年度中に出すと言われておりますグランドデザインに含まれていくのか、またはプロジェクト研究調査事業費による加速器関連産業集積ロードマップやまちづくりロードマップで語られていくのか、6月に間に合うのか、アピール方法とあわせてお伺いします。
〇中村政策地域部長 ILCに係るプロジェクト研究調査事業についてでございます。
 大震災後、本県におきましては、ILCを東北のみならず、日本の復興の象徴的プロジェクトに位置づけて推進するよう、国や関係国会議員等に提言また要望を行ってまいりました。
 昨年策定をいたしましたILCを核とした東北の将来ビジョンにおきましては、ILCの誘致による東北の震災からの復興と再生のみならず、アジア及び世界の基礎科学水準や産業力の向上と日本の再生、国際プレゼンス・安全保障の向上といった観点からも重要なものという位置づけをしてございます。
 今後も、ILCが復興に大きな役割を果たすということを中心に据えながらも、ビジョンをさらに丁寧に説明していくなどによりまして、日本の再生や科学に関する人材育成等のためにも、必要なプロジェクトであるということをさらにアピールをしてまいりたいと考えております。
 また、本年7月ごろまでに国内一本化への対応といたしましては、まずは年度内に取りまとめを行います東北における国際的なまちづくりのグランドデザインによりまして、民間活力を導入することで、多額の公的負担を伴わずに、世界の研究者が理想とする国際的な研究圏域を一から創造できるという点について示してまいりたいと考えております。
 また、加速器関連産業集積及びまちづくりのためのロードマップ等につきましては、国内候補地が東北に一本化された後に策定をするということにしてございます。
〇佐々木朋和委員 今、御答弁にもありましたように、復興というのが日本のために資する一番のポイントではないかと思っております。このILCを核とした東北の将来ビジョンには、表題に、東日本大震災からの復興に向けてという言葉が添えられております。これをただのスローガンに終わらせることなく、しっかりと復興につなげていく、復興とのつながりをしっかりと全国に示していくことが国民に納得をいただき、沿岸市町村住民や市町村長からの理解を得、県一丸となった誘致運動につながっていくものと思われます。
 リニアコライダー計画の震災復興、人口減少の緩和、雇用確保への寄与度の試算、民間投資や本計画の波及効果による復興関連予算の圧縮などの試算を、先ほど述べていただきましたグランドデザインやロードマップ等々に詳細に述べられていくのか、御所見を伺いたいと思います。
〇中村政策地域部長 ILCの経済波及効果につきましては、東北の将来ビジョンにおきまして、建設から運用の30年間において、全国ベースの生産誘発額を4.3兆円と推計をしてございます。また、岩手経済研究所では、昨年11月、東北の将来ビジョンをもとに、本県への経済波及効果を1.3兆円と推計をしておりまして、ILC建設による波及効果は全県に及びますことから、震災復興や雇用確保への寄与につきましても、可能な限りまちづくりのグランドデザインに盛り込んでまいりたいと考えております。
 また、ILCの建設候補地は沿岸部からも近いということもございますので、例えば実験施設等で使用する機器類等の陸揚げや組み立ての拠点となる可能性とともに、関連施設従業員の通勤エリアということも考えられますことから、沿岸被災地の地域経済や雇用にも大きな効果をもたらすものと想定をしてございます。
 県といたしましては、これまでも沿岸地域の自治体に計画を説明し、ILCへの理解と協力を求めてまいりましたけれども、今後とも誘致活動への連携をお願いするとともに、一般の住民の方々にも理解が浸透するように、講演会等を通じて普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 述べていただきましたとおり、特にも沿岸住民の皆様へその効果が伝わるようなアピールをしていただきたいと思います。
 また、復興への効果拡大には、リニアコライダー関連企業を全県的に育てていかなければなりません。今、各市町村で行っている企業説明会を全県対象で行うべきとも思いますが、プロジェクト研究調査費に含まれているのかお聞かせをください。
〇中村政策地域部長 ILC関連企業の育成についてでございます。
 ILC建設によります地元企業の参入を進めるためには、その波及効果を広げる上でも重要な観点であると認識をしてございます。例えば、一関市におきましては、今年度、民間企業等を対象といたしましたセミナーを6回開催しているほか、岩手県国際リニアコライダー推進協議会におきましても、本年1月に高エネルギー加速器研究機構を視察いたしまして、加速器の製造技術等について調査をするなど、ILC関連分野への参入について機運が生じているところでございます。
 プロジェクト研究調査事業費につきましては、セミナーの開催を想定した経費も含まれており、県といたしましては、今後、高エネルギー加速器研究機構や東北大学等と産業界との橋渡しを行うとともに、岩手大学や民間の推進組織などとも連携をいたしまして、広く企業などを対象としたセミナーを開催するなど、建設段階から地元企業がかかわっていくことができるように、取り組んでまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 九州では、構想の中で、教育産業都市計画を複合した国際研究教育特区を打ち出し、提案をしております。もともとインフラが弱い本県においても、住居、医療、教育、そして復興を複合した特区の活用を検討し、調査、提案をしていくべきと思いますが、御所見はいかがでしょうか。
 また、リニアコライダーを核としたまちづくりは、その設計計画には、該当自治体の能力を超える部分もあるかと思います。専門家派遣など、県の支援が必要と思いますが、来年度のプロジェクト研究費に含まれているのか伺います。
〇中村政策地域部長 特区の活用等につきましてでございます。
 一昨年の国の復興構想会議におきまして、県では、外国人研究者の住居、教育、医療等の規制緩和の実施や関連産業の立地促進のための支援などを求めるTOHOKU国際科学技術研究特区構想を提案いたしました。このように、ILCの受け入れのためには特区制度の活用が必要と認識をしておりまして、ILC誘致の進捗状況を見ながら、本県が対象地域となっております復興特区制度の活用につきましても、検討してまいりたいと考えております。
 また、現在、東北ILC推進協議会におきましては、都市計画の専門家などを交え、まちづくりのグランドデザインの策定に取り組んでいるところでありますが、市町村のまちづくり計画への支援に関しましては、候補地一本化後のまちづくりのロードマップ作成の中で検討してまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、自動車産業の集積について伺いたいと思います。
 今般、自動車関連産業振興アクションプランを作成し、担当課長を配置し、一つの産業を特化し芽出しをしたことは大変評価に値すると思っております。自動車産業で成功をおさめ、そのノウハウを他産業へも波及させていただきたいと思います。
 このプランの基本は、地場企業の技術力強化と人材の育成、そしてそのマッチングであると思います。教育と産業のマッチングについては、かねてより不十分な面を感じておりました。このプランにより、こうした課題が解決されることを期待しており、さらには初等、中等レベルの啓発から、Iターン、Uターン、県外出稼ぎ労働者などへの情報発信などの取り組み、自動車産業に必要な人材を確保する取り組みの強化も必要と思いますが、御所見をお伺いします。
〇上野副知事 自動車産業振興に必要な人材の確保についてでございますが、人材の育成と確保は極めて重要なポイントでございまして、本年2月に策定をいたしました岩手県自動車関連産業振興アクションプランの四つの戦略のうち、その一つに人材育成を掲げたところでございます。その中で、将来を担うものづくり人材の育成強化が必要との認識のもと、小中学生の職場体験や企業人による授業などの充実を図るため、県内各地域の教育界とものづくりネットワークとの連携を一層強化することとしており、ものづくりへの関心を高める中で、自動車関連産業への興味も深められるよう取り組んでまいります。
 また、同戦略の中で、企業の中核となる人材の確保の観点から、Uターン、Iターンによる人材の確保支援にも取り組むこととしておりまして、現在も自動車関連企業の求人が掲載されている岩手県U・Iターンシステムの積極的な活用を促してまいります。
 県では、企業から要請の多い三次元設計技術者の育成や自動車関連以外の企業での研修会、勉強会を初め、持続的に次世代技術に対応できる人材育成プログラムの構築も進めているところでございまして、今後とも、小中学生から社会人まで、広く自動車関連産業に必要な人材の育成、確保に努めてまいります。
〇佐々木朋和委員 ぜひ、自動車産業をモデルに、今後、地域医療や介護、水産加工業など、岩手にとって不可欠な人材の確保に向け、初等、中等レベルの啓発からIターン、Uターンに至るまで、連続性を持った取り組み、また、地域需要から出発したボトムアップの人材育成が必要と思いますので、その先行例としてこの自動車産業が成功されることを大いに期待をしております。
 最後に、国体について伺います。
 県民、企業、団体との協働、新しい岩手型国体のイメージがなかなか伝わっていないというのが現状ではないでしょうか。企業や県民の寄附、既存施設の利用のための条件緩和など、骨格部分はこれまでの議会でも示されておりますが、復興支援への感謝、岩手らしさを伝えるには、ソフト面、企画面での取り組みが重要と思われます。ソフト面での構想、コンセプトが伝わってこそ、初めて企業や個人の寄附も協力も集まってくると思われます。何か具体的な構想があればお示しをいただきたいと思います。
〇中村政策地域部長 国体のソフト面の取り組みでございます。
 先般設定をいたしました国体の式典基本方針でありますとか、県民運動基本計画におきましては、復興支援への感謝や本県の魅力を全国に伝える取り組みを行うことにしてございます。現時点におきましては、具体的には、開会式の式典前演技などに郷土芸能を取り入れるということでありますとか、式典会場におもてなし広場を設置いたしまして、全国から来られるお客様に、本県の郷土料理や特産品を味わっていただくことや、観光、物産の紹介なども考えてございます。
 また、県民運動といたしましては、花いっぱい運動やきれいなまちづくり活動の展開、手づくりによる横断幕、のぼりやメダルの作成、さらには都道府県ごとに子供さん方に応援団といったようなものを結成していただくことも考えておりまして、さまざまな機会を捉えて復興支援の感謝の気持ちを伝え、岩手の魅力を全国に発信をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 震災以来、岩手県にはサッカーの岩清水選手また小笠原選手初め、多くのスポーツ団体がかかわっていただきました。ぜひそういう方々とも連携をして、国体を成功させていただきたいと思いますし、平泉から沿岸、県北への波及というのが大きな課題になっている中で、全県に満遍なく人が来ていただく大きなチャンスであると思いますので、例えば1日多くお泊りいただいて被災地をめぐっていただくとか、何かそういうようなソフト面の取り組みもしていただきたいと思いますし、県民や各NPOへ、企画やアイデアを募集することも啓発の一つにつながると思いますので、よろしく検討をお願いします。
〇高橋元委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時6分 休 憩
午後1時2分 再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、嵯峨壱朗委員。
   〔嵯峨壱朗委員質問者席に着く〕
〇嵯峨壱朗委員 長い時間ですので分けようと思ったんですけれども、分けないでやることにしました。
 総括質疑をいたします。
 平成25年度当初予算についてお尋ねいたします。
 知事は、2月12日の記者会見において、平成25年度予算について、いわて復興加速予算と名づけ、昨年のいわて復興元年予算で打ち出した震災からの着実な推進を継続するとともに、東日本大震災津波被災者の一人一人が復興の歩みを実感できるような取り組みを加速させていく積極予算であること、さらには、県の復興計画における基盤復興期間3カ年の最終年度として、国や市町村と連携を密にし、復興の取り組みを加速させていくための予算として編成したこと、希望郷いわてを実現するため、岩手の将来を見据えた中長期的な取り組みにも配慮し、希望郷創造推進枠も設けるなど、予算の組み替えや部局横断的な新規事業の立ち上げも行っている等々と説明しておりました。そして、平成25年度の当初予算は過去最高であった昨年度を334億円上回る1兆1、517億円となっており、先日発表されました平成24年度2月補正の経済対策分1、146億円を加えた国のいわゆる15カ月予算に対応する予算は、昨年度の当初予算を1、480億円上回る1兆2、663億円となっております。
 新年度予算を通じて復興の先の未来につながる戦略的なプロジェクトを実施するとしておりますが、少し漠然とした感がございましたが、この予算編成に当たり、知事は県民へどのようなメッセージを送ろうとしたのかお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 平成25年度予算についてでありますが、平成25年度は、基盤復興を目指す第1期復興実施計画の最終年度でありますことから、本年を復興加速年と位置づけまして、まず、当初予算においては、復興道路や防災施設、住宅などの整備などの復興関連事業を最大限盛り込み、被災者の皆様が一日も早く希望を持って歩んでいくことができるように復興を加速していくというものであります。
 あわせまして、岩手の将来を見据え、中長期的な視点に立って、岩手の強みや岩手らしさを生かす新たな発想のもとに、国際リニアコライダーの誘致や海洋エネルギーに関する国際的研究拠点の構築、自立・分散型エネルギー供給体制の構築など先駆的、分野横断的な取り組みを進めて世界に誇る新しい岩手を創造し、希望郷いわてを実現していくというものであります。
〇嵯峨壱朗委員 希望郷創造推進費とスマイル130プロジェクトについてお尋ねしますけれども、130というのは130万県民という意味だと聞きましたけれども、なぜ140万じゃないのかと思いましたけれども、それはそれとして、その中で、希望郷いわての創造に向けた先駆性、独自性の高い取り組みを推進している希望郷推進費の考え方と、スマイル130プロジェクトとは一体何をやろうとしているのか具体的にお尋ねしたいと思います。
〇中村政策地域部長 希望郷創造推進費につきましては、これまで以上にしっかりとした部局間の連携を図りまして、岩手の強みを生かした、将来の希望につながる取り組みに積極的に挑戦していこう、そういう機運を醸成いたしまして、いわゆる予算の部局枠にとらわれることなく、高い成果を生むことが期待できる施策の立案につなげたい、そういう思いでこういう取り組みを設けたものでございます。平成25年度当初予算におきましては、19事業、およそ5.1億円を措置したところでございます。
 次に、スマイル130プロジェクトでございますが、これは、復興を進める上での県民の共通の願いであります130万人誰もが笑顔にということをスローガンとして掲げまして、風化防止等のための県外への情報発信でありますとか、岩手ブランドへの信頼を高めるための取り組み、さらには被災地における心のケア、復興まちづくり支援など、人と人とのつながりの力を大切にいたしまして推進していく部局横断的な取り組みとしてこのプロジェクトを打ち出し、県内外の復興の機運を高めていきたいということで考えているものでございます。
 これまでI援隊活動という取り組みもしてまいりましたけれども、そういった取り組み、庁内改革運動のさらなる発展にもこのスマイル130プロジェクトでつなげていきたいという視点も持ちながら、このプロジェクトの熟度を高めまして、中長期的スパンでの復興の取り組みをさらに効果的に推進できるようにこのプロジェクトそのものも練り上げていくことにしたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 このプロジェクトの説明の文章を読んでいてI援隊運動というのはまだやっていたんだなと改めて認識いたしましたが、このプロジェクトに込める知事の思いは相当のものがあると思うんですけれども、それについてもできれば知事にお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 スマイル130プロジェクトは、大阪府から県土整備部に派遣されている職員が、復興を進める上で、県民の意識や心に訴えるような取り組みもしっかり行って復興を進めていくべきではないかという提案を行ったことがきっかけとなって生まれたプロジェクトであります。いわば派遣職員と県職員が復興という目的に向かって協働していく中から出てきた新たな発想に基づくプロジェクトでありまして、この取り組みを通じて関係事業間の連携を図って、130万人誰もが笑顔にという統一したコンセプトを打ち出すことによって復興を県民運動的に盛り上げて、そして、県外とのつながりもさらに強めていきたいと考えております。
 また、このプロジェクトを通じて、県の職員の発想や仕事の仕方にも変化を促して、県が取り組む施策の進化、組織の体質強化にもつなげ、今までI援隊運動として取り組んできたことをさらに発展させていきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 この予算にかかわってですけれども、一般質問等でも議論がありましたけれども、予算を編成する上で、国の財政が厳しくなって臨財債でずっと対応してきた、交付税のかわりに。これって大丈夫かという話がありました。臨財債の県債残高に占める割合が高くなってきているというのは、やはり地方財政の運営の持続可能性が懸念されるというのはそのとおりだと思うんですけれども、実際に国が措置する場合にこれ以外の方法ってあるんでしょうかと思って聞いておりました。その点も説明いただければと思います。
〇加藤総務部長 現行の交付税の法定率では地方財政の収支均衡のためには大きく財源が不足してまいりますことから、毎年度の地方財政対策で臨時財政対策債を含む特例的な対処、これが繰り返されているという状況でございます。
 こうした多額の財源不足の解消ということになりますと、考え方としては、交付税の法定率引き上げによります交付税原資の大幅な充実でございますとか、また、国税収入に限らず、国において交付税原資を調達して交付税に上乗せする、そういうやり方というのが想定されるというか、概念上は考えられるところでございます。ただ、いずれの方策につきましても、国の財政状況が厳しい中では実現は相当困難な面があろうと思っております。
 地方財政全体を持続可能なものとしていくためには、できる限り借入金に頼らない制度運営の確立が必要だと、それはまさにそのとおりでございますが、そのためには、地道に国と地方が足並みをそろえて徹底した行政改革、歳出抑制などによりまして、これは本県だけにとどまらず、国、地方全体を巻き込んだ、そういったものに向けての根本的な検討、議論が求められるものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 県債残高1兆4、000億円ということですけれども、臨財債だと100%交付税で対応してもらえるとか元利償還金の特別な後年度負担の財政措置がありますよね。そうすると償還時の財源がショートする心配はないような気もしますけれども、実際に財源措置がない県債残高というのはどれぐらいなんでしょうか。
〇加藤総務部長 お尋ねの元利償還金に対する交付税措置がない県債残高ということでございますが、平成24年度末におけます県債残高は1兆4、500億円余となりますが、このうち、計算いたしますと6、900億円余、割合で申しますと約5割弱程度が交付税の措置等がない、自前でといいますか、あるいは交付税のほかの部分なり、そういう中で財源を工面する必要があるというものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 いずれ厳しい財政には変わりないと思いますけれども、間違いなく交付税がちゃんと入ってくることも確認していかなければならないと思います。
 それと、この震災対応の予算、発災以降の累計で1兆7、653億円になっています。県の復興計画における基盤復興期間の3カ年の最終年と位置づけられるわけですけれども、安倍内閣においても、復興加速予算として、前政権が決めた復興予算19兆円を撤廃し、25兆円まで拡大したと。また、時を同じくしてこの岩手県でも知事がいわて復興加速予算と名づけたようだが、本当に最終年となるのかなという懸念があります。被災地では、基盤復興期間最終年ということだけれども、なかなか、当然ですけれども、議論されていますけれども、スピードが遅いという声が多く聞こえてきております。実感が湧かないというのが実態だと思うんですけれども、その所感と、その実感を変える、そういった意気込みを伺いたいと思います。
〇高前田理事 復興の実感についてでございますが、復興計画が掲げる安全、暮らし、なりわいの三つの原則に基づく取り組みが進展する一方で、3万8、000人余りの方々が応急仮設住宅等でいまだに不自由な生活を余儀なくされております。いわて復興ウォッチャー調査の結果、それから、被災地を訪問しての被災者や市町村の関係者との意見交換等におきましても被災者の多くの方々に復興の歩みを実感いただけない状況にあると認識しておりまして、今後は、何よりもまず、被災者の住宅再建や復興まちづくりを重点的に促進いたしまして、一日も早く通常の生活に戻りたいという被災者の方々の声に応えていかなければならないと考えてございます。
 こうしたことから、平成25年度は、まず、重点的に取り組みます暮らしの再建につきましては、県が整備する災害公営住宅約2、800戸について平成26年度までの完成を目指すとともに、国が増額交付いたします震災復興特別交付税を活用して、被災者の住宅再建の支援を充実強化してまいります。
 また、安全の確保につきましては、災害廃棄物の処理を平成26年3月までに完了させるほか、多重防災型まちづくりの前提となります津波防災施設の整備を進めてまいります。
 さらに、なりわいの再生では、平成25年度末までに約7、000隻の漁船や約2万台の養殖施設の整備を進めるほか、新たなまちづくりと連動した商店街の構築によるにぎわいの回復を支援してまいります。
 また、その一方で、復興事業を加速させるためには、専門的な人材の確保、自由度の高い財源措置、事業用地を円滑に確保するための手続の抜本的な簡素化などが課題となっておりますことから、今後とも引き続き強く国に要望してまいります。
 こうした取り組みにより、基盤復興期間の最終年度でございます平成25年度を復興加速年とするべく全力で取り組んでまいります。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひお願いしたいと思います。
 先般の知事の記者会見において、せんだって大船渡に安倍総理等が訪問したとき、直接知事が安倍総理に会われて、今、復興の加速ということが大きなテーマであり、そのために市町村、県、国行政が一体となって復興を加速させていこうということで安倍総理と意気投合したと思っていると述べておりましたけれども、どのような内容で意気投合したと思ったのか詳細にお示しいただきたいと思います。
〇達増知事 安倍内閣総理大臣とは、本年1月に行いました東日本大震災津波に対処するための予算措置等を求める被災4県の合同要望の際にも直接お目にかかりまして、復興の加速に向けて国と県が力を合わせていかなければならないということで認識が一致しておりました。さらに、先月の本県被災地視察におきましては、まず、視察先の市長から、復興まちづくり事業を実施するに当たって、用地確保に向けた地権者との交渉を行う傍ら地域森林計画区域の変更などの多くの手続や調整が必要であり、被災地が思うように早期着工できなかったという状況説明があり、また、応急仮設住宅の被災者の方々から一日も早く恒久住宅に移りたいという切実な声を直接お聞きいただきまして、そういった中で、国と県と市町村が一体となって復興を加速させる必要があるという認識をやりとりの中で改めて共有できたと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 意気投合したっていうふうに書いていましたけれども、安倍総理もそう思ったのかちょっと疑問な気もしますけれども、二人の間ですから、それはそれで意気投合したんでしょう。
 安倍首相と会われた際、復興の加速には三つのポイント、知事はいろいろな場面で言っておりますけれども、自由度の高い財源の確保、それとマンパワー不足に対する人的支援、あと用地手続の簡素化、この3点を大体絞って申し上げたということを述べておりました。いろいろな場面で述べております。
 おとといでしたか、衆議院の代表質問のところで公明党の井上議員でしたか、このことを質問しておりました。特に、復興の5省庁40事業ですか、それにかかわって、もっと簡潔にできないのかと。もっと使い勝手がいいようにしてもらえないのかという質問をしたようです。それに対して、きょうの新聞に復興交付金の運用改善ということを根本大臣に示唆したという記事が出ておりました。そのようです。これは、知事が安倍総理に直接要望した復興交付金の運用改善の部分というのがそのとおりになったのかなと思って見ていたんですけれども、知事のこういった流れについての感想をお聞かせ願いたいと思います。
〇高前田理事 ただいまお話がございました復興交付金の運用改善についてでございますが、県では、これまでも、復興交付金につきましては、今、委員御指摘の5省40事業に限定されている現行の基幹事業に、産業でありますとか観光振興などの分野の事業対象を追加すること、それから、基幹事業に附帯するハード、ソフト事業を支援する効果促進事業の弾力的な運用、さらには、広域的な事業の実施のための県に対する効果促進事業費の一括配分措置、こういったようなことなどを要望してまいっております。地方が創意工夫して事業を実施できるような措置を国に対して要望してきたところでございます。
 現在、内閣総理大臣の指示のもとで、復興庁におきまして具体的な運用改善方策が検討されております。本日夕方、総理大臣をトップに全閣僚を構成員といたします復興推進会議で決定されると承知してございまして、本県の先ほど申し上げましたような要望内容を踏まえた措置が講じられることを期待しておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 知事が直接話したことがそういう形になった一つの例かなと思って、そういった流れで知事の感想もお聞かせ願いたかったんですけれども、特にないようですから、それについては聞きません。
 同じような記者会見の中で、市町村と県、国行政が一体となって復興を加速させていこうということで意気投合したと思っていますので、行政としてはそういった形ができていますから、岩手県議会からもそういう復興の加速ということについてさまざまな御意見をいただきながら一緒に進めていくことができるような、そういう復興加速年を議会の面からも強力にしていくような形の議会になればと述べておったようです。私は、これをどういう意味かと思っていろいろ考えました。どういう意味か説明してもらいたいんですけれども、これをこのまま見ていると、国と県と市町村は復興加速年としてもう一体となって意気投合してやっていくんだと。でも、議会はついてこないんだと。これは私どものことを言っているのかわかりませんけれども、ほとんど予算には賛成しているつもりですけれども、そういうふうに感じたんですけれども、この真意をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 記者会見での私の発言について御質問をいただきました。
 この2月定例会にどういうことを期待するのかという趣旨の質問だったと思うんですけれども、そのときはそういう言い方はしなかったんですが、いわば復興加速議会というような形の議会になればいいみたいな気持ちを先ほど述べられたような言葉で表現したように記憶しております。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、行政は一体だけれども議会は一体ではないので、一体になって協力してくれというふうな意味でもなかったと。もう一体だと思っている……。我々は反対するつもりもないんですけれども、応援したいつもりで言っていますけれども、そういう意味ではないんですね、となると。
〇達増知事 議会の意思について、私のほうから何かこういうことが議会の意思だとかというようなコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 そういう話でもないけれども、協力していきますので、特別反対はしませんので、その辺は御理解していただきたいと思います。
 それと、こういった一連の、これは悪いことでもいいことでもないんでしょうけれども、達増知事が希望郷いわてファクスアピニオンというファクスを、どういう方に出しているかわかりませんけれども出しているようです。これにも、ナンバー4、安倍総理、根本復興大臣との被災地視察と書いて同様の内容も書いていました。どういう方々に出しているのかわかりませんけれども、これは実は達増陽子事務所内からのファクスとなっているんです。それは自由ですからいいんですけれども、ちょっと違和感を持って私この資料をもらったんですけれども、これと同じような内容が出ていました。これはどういう人にこういうふうな意見を述べているのか、聞いたら答えますかね、どうでしょう。答えられなかったら答えなくてもいいです、答えないで。
〇達増知事 この予算特別委員会の中で執行部に答弁を求めるに当たっての質問の適否についてであれば委員長に確認していただくのが筋かと思いますが。
〇嵯峨壱朗委員 私からすれば、予算にかかわってだし、知事の発言でもあるし、だと思うんです。でも、違うのかな。まあ、いいです、だったら。こういうことがあったようです。
 質問を変えます。次に移ります。
 衆議院選挙の後、私、こういうのもやるかもしれないという形で通告していると思うんですけれども、テレビで見たんですけれども、知事の上京の際に、私どもの女性代議士とテレビに映っていました。党本部と国に行ったんですかね。要望に行ったんでしょうか、多分。私それを見て実は違和感を持ったんですけれども、これは予算に関係ないと言われればそれまでですよ。ただ、予算に関係があるお願いに行ったんじゃないかと思うんですけれども、何の違和感を持ったかというと、うちの代議士に違和感を持った。高橋比奈子代議士ですけれども、違和感を持った。何であなたが、自分を落とそうとした、そして奥さんまで出した知事のお先棒をかついでいくんだと、私は素朴に疑問に思ったんです。確かに代議士ですから、それはそれとして仕事としていいんでしょうけれども、違和感を持った。
 それと同時に、一緒に行っている達増知事にもちょっと違和感、それは仕方ないですけれども、違和感を持ったんです。率直なこれは感想です。特にコメントは要りませんけれども、私は高橋代議士にもあなたはおかしいんじゃないかと言いました。おかしいとは言っていませんでした。けれども、そういった、ちょっと理解できない行動でした。それはこの辺にしておきます。
 ただ、それでも岩手県のためということでやったと思っているので、それはそれとしていいかと思っていました。
〇達増知事 質問だったように思ったので、もしそうじゃなければあれなんですけれども、政府要望の際に岩手選出の国会議員の皆さんに支援をしていただくということについては、これはぜひやっていただきたいと思います。そのときも高橋比奈子議員のほかにも何人か議員の本人が来られなくて秘書の方も同行されていて、岩手の被災地の実情、県や自治体の困っていることなどを側面的に政府のほうに説明、お手伝いしてくださいまして、これは非常に大事なことなので、ぜひやっていただきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 それはそのとおりです。我々も協力してまいりますけれども、違和感を持ったということを正直に申し述べたんです。
 次に、話題を変えます。普通の質問をします。
 県民所得の向上についてお尋ねします。
 知事は、知事就任以来、いわて県民計画の中で、県政の最重要課題として県民所得の向上を掲げてまいりました。そして、そのための産業振興に向けた取り組みをさまざまな角度から行ってきたと思っております。人口の流出に伴う人口減少の推移をたびたび話題に出して、県内の人口流出を減らすような雇用対策に力を入れて、年々減り続けてきた県予算も若干ではございますが伸びてきているというのも事実であります。
 そうした中で起こった東日本大震災津波であります。企業誘致など第2次、第3次産業は十分とは言えないまでも充実を図ってきつつあると思っておりますが、なかなか県民所得の向上が、震災前も当然そうですけれども伸びていないのが実態と思いますけれども、こういった現状を捉えた知事の所感をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 県民所得についてでありますが、本県の1人当たりの県民所得は平成13年度に大きく落ち込み、その状況が続いていたことから、これを危機と捉えて、知事就任直後策定したいわて希望創造プランにおいて県民所得の向上を重点目標の一つに掲げ、その後策定した第1期アクションプラン、そして第2期アクションプランにおいて、国民所得に対する県民所得水準の乖離を縮小することを政策推進目標の一つに掲げて、これまで、長期的な視野に立ったものづくり産業の振興や地域の特性、資源を生かした産業の振興を図ってまいりました。
 平成22年度においては、1人当たり県民所得は223万4、000円と前年度から0.5%増加したものの、平成19年度から3年連続で縮小してきた1人当たり国民所得との乖離は拡大に転じているところであります。引き続き、本県の中核産業である自動車、半導体などの集積促進や、食産業、観光産業の振興などに取り組んでまいります。
 また、これらの取り組みに加え、大震災津波からの復旧、復興に関連する公共施設や住宅の再建、防潮堤や道路の整備などの建設事業の増加による経済効果や復興計画の三陸創造プロジェクトに掲げるさんりく産業振興プロジェクトの具体的な取り組みなど、本県経済の持続的な発展につなげていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 なかなか大変だと思います。ただ、震災からの早期の復旧、復興を目指して当然やっていかなければならないと思っていました。
 私は、この各種産業の中でも、特に1次産業の所得向上策についてお尋ねしたいと思っております。
 本県は農林水産業を中心とした我が国の食料供給基地と自負しているところでありますが、その農林水産業を中心とする第1次産業の所得が上がってこないというのも県民所得が向上しない原因の一つではないかと思っております。
 農林水産業の数字で見ますと、ピークは平成7年ですか、4、000億円あったのが2、783億円と、1、000億円以上この十数年間の間に生産額が減っているようであります。これは全般にわたってそういう傾向です。ただ、畜産のみが大体同じような1、300億円ぐらいの数字を維持している、そういった実態がございます。また、近年、農林水産業を取り巻いている環境というのは、担い手不足、販売価格の下落とか飼料の高騰、また輸入品の増加など、いろいろな状況の中で厳しいものがあると思っておりました。
 ここ10年来の県における予算の推移を見ていると、非常に振興策というのはずっと減ってきているなと思って見ていました。これは増田知事のころもそうでしたけれども、なぜそうなのかと聞いても答えもなかったんですけれども、私はそういったことにも原因があるのではないかと実は思っているんです。もちろん担い手不足というのもあるでしょう、高齢化もあると思うんですけれども、単純ではないんですけれども、県がこれまで取り組んできた農林水産業の振興策の予算の推移と生産額の推移はどうなっているのかお示しいただければと思います。
〇上野副知事 農林水産業費の予算の推移についてのお尋ねでございますが、過去─おおむね10年くらいの推移ということで申し上げますと、まず予算につきまして、平成15年度が1、060億8、500万円、5年飛びまして平成20年度が644億8、800万円、この間、その後もそうなんですが、公共事業費の削減あるいは人件費、貸付金などの減などにより年々減少いたしておりまして、平成25年度予算を審議いただいておりますが、平成25年度につきましては474億8、900万円で、平成15年度と比べますと約45%の水準ということになっております。
 また、本県の農林水産業の生産額につきましても委員御指摘のとおり総じて減少傾向にございまして、平成25年度はもちろんわかりませんので、東日本大震災津波被害の影響が直接ない直近の平成22年度との比較ということで申し上げますと、平成15年度が3、140億円、これに対しまして平成22年度が2、882億円ということで、約92%の水準になっているということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 これ、予算を拾うのもなかなか大変だったと思うんですけれども、イコール、リンクしているものでもないのかもしれないんですけれども、やはり振興策が減っているのと比例して減っているような気がしているんです。ですから、それをしたからすぐどうこうというものではないと思うんですけれども、ぜひここにと。いわゆる風評被害等の対策というのはまた特別なものがあるんでしょうけれども、そうではなくて、後継者も、俺もやりたいんだと思えるような、そういったものを振興策としてやっていく必要があると思っておりますので、ぜひお願いしたいと思っております。
 また、あわせて、農林水産業の復旧、復興状況について、復興計画と比較して、新年度予算においてはどこまで達成できるのか、また、その達成に向けて課題があるとすればどういったものが挙げられるのかお示し願いたいと思います。
〇上野副知事 農林水産業の復旧、復興状況、あるいは平成25年度の見通し、課題についてのお尋ねでございますけれども、まず、地域に根差した水産業の再生というものを図るため、引き続き漁船や養殖施設、漁港などの復旧、整備を進めることといたしております。
 平成25年度当初予算では、第1期の復興実施計画の最終年度の平成25年末までに、補助金で新たに整備するものといたしまして、漁船は目標の99%に当たる約6、700そう、6、700そうというのは補助金によって整備するものでありまして、いわゆる稼動している漁船ということでいいますと、この6、700そうを整備することによりまして、もともと被災を免れた漁船あるいは補助金によらず整備されている漁船を合わせますとこの平成25年度末で1万600そうぐらいまでいくということを目指しております。
 それから、養殖施設につきましては目標の87%に当たる1万7、300台の整備を見込んでおりまして、今後、漁協からの追加の事業要望があった場合には補正予算等で対応していくことを考えております。
 漁港の整備につきましては、被災しました108漁港のうち31の全ての県管理の漁港と75の市町村管理漁港の計106漁港で本格的な復旧工事に着手いたしておりまして、早期の完成を目指して取り組んでまいります。
 また、農業につきましては、被災した農地と、これに隣接する非被災農地との一体的な圃場整備を本格的に進めることといたしておりまして、全体の復旧、整備対象の面積は749ヘクタールでありますが、このうち市町村の土地利用計画との調整などに時間を要する354ヘクタールを除いて、目標といたしております395ヘクタールにつきましては、平成25年度末にこれを上回る433ヘクタールの復旧、整備が完了する予定でございます。
 今後は、復旧、復興の取り組みにより整備された施設などの有効活用が重要と考えておりまして、復旧、整備の着実な推進とあわせまして、担い手の確保、育成などの体制づくりを促進し、沿岸地域の農林水産業の再構築に取り組んでいく考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 水産業は特にですけれども、生産高も含めて、あと加工とか流通も含めるとかなりの範囲で雇用とかに結びついていくものですのでぜひ復旧、復興をなし遂げていただきたいんですけれども、今、話があったとおり、ハードについてはかなりよく追いついてきていると。定置にしても135分の105カ統ですね。船は、震災前にあった船の状況と、これを機にやめた人もいるのでなかなかそこにはいかないと思うんですけれども、需要を満たしてくれればいいなと思って見ていました。
 その中で、第1次産業、特に私はサケと林業についてちょっとだけお尋ねしたいと思っていました。
 本県漁業の最大の魚種でありますサケですけれども、135カ統だったものを105カ統まで復活したと。そういうふうに努力していることも事実であります。本県はサケの稚魚の放流をして増産に取り組んできたわけですけれども、ピーク時、平成8年7万トンあったものが、ことしは7、000トンですか、そこまで落ち込んでいる。もちろん震災の影響は当然ありますけれども、去年も大体そんな数、その前もそんなに多くないんですね。これは、サケのいろいろな意味での貢献度からするとゆゆしき事実だと思っておりました。
 平成11年度以降になると毎年度4億尾の稚魚放流を継続してきましたけれども、漁獲量はずっと低い状況できておりました。この原因は何かということをずっと言われてまいりました。鯨の説もありました。これも昔からあるようです。本県から放流したサケがベーリング海などの北の海へ回遊していきながら4年後に回帰するわけですけれども、実際には震災の年にはほとんど1匹も放流していないんですね。ですから、その翌年─昨年もかなり少ない放流。ですから、恐らく実際、来年あたりの漁から本格的な減少、これ以上に減る可能性があるのを危惧しているところですけれども、なぜこれがなかなか帰ってこないか。これは海洋の変化が稚魚の生き残りや成長に影響を及ぼしているのではないかとか、あるいは温暖化の問題、ベーリング海の問題、そういったことも含めて、この原因、放流した稚魚の生き残りについて、太平洋側では共通した要因があるのではないかとも言われております。
 サケを回復させるために、サケの親魚から卵をとってふ化させて春に放流するわけですけれども、丈夫な稚魚を育てなければならないのではないか、それが一番大きい原因ではないかという話もあります。過密にすると酸素が不足して丈夫にならない。量を放流すればいいというわけではないんですよね。サケって地下水で育っていますから、酸素をいっぱい含んだ地下水でなければ丈夫に育たない等々いろいろな理由があるようですけれども、平成25年度は予算においてサケの関連予算がどのようになっているのか、そして、このようなサケの不漁対策としてどのような施策を講じようとしているのかお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 平成25年度のサケ関連予算、それから県の施策の推進についてのお尋ねでございますが、当初予算案には、さけます増殖費といたしまして、第1に、サケ資源の安定と早期回復を図るため、社団法人岩手県さけ・ます増殖協会に対する稚魚放流費補助4億7、900万円余、第2に、県水産技術センター等による親魚の年齢、サイズ等に関する調査研究指導費2億200万円余を盛り込んだところでございます。
 このほか、被災したふ化場の復旧のため、漁協に対する支援といたしまして、さけ・ます種苗生産施設等復興支援事業といたしまして2億1、000万円余を計上したところでございます。
 また、秋サケの不漁要因の調査につきましては、委員御指摘のいろいろな議論がございまして、私ども自身まだ定かにわかっておるわけではありませんが、これにつきましては、本県沿岸域での調査に加えまして、この春から新たに国や北海道の研究機関と連携いたしまして、稚魚の初期生残と減耗要因に関する共同研究を実施することといたしております。
 このほか、関係団体と連携いたしまして、健康な稚魚の放流に向けまして、飼育池ごとの適正な飼育管理や適期、適サイズ放流の徹底などに取り組み、秋サケ資源の早期回復を図っていく考えでございます。
〇嵯峨壱朗委員 自然と人工のなせるわざですのでなかなか難しいと思うんですけれども、ぜひ資源回復に努めていただきたいと思っております。できる限りのことをしていっていただきたいと思っております。
 次に、林業政策についてお尋ねします。
 本県は、県土の77%が森林、森林面積は北海道に次いで2位ということになっているようであります。県の林業政策は針葉樹に偏っていると言われております。広葉樹林に対する手当てが進んでいない。森林環境税によって間伐のおくれた人工林の手入れは進んでいるものの、全森林の5割が広葉樹ということで、その対策が必要だと思われております。
 現在、広葉樹林の利用は、シイタケ原木、木炭、そして広葉樹チップが最たる需要先となっているようであります。国では、森林計画によって新たな施策の推進に向けて動き出しているようでありますが、隣の秋田県では、特にも広葉樹にかかわってのようですけれども、秋田県農林漁業振興臨時対策基金56億円を取り崩して基金として積み立てて県としての林業政策を打ち出していると聞いております。実は、この森林の施策というのは、国が予算をつけたものをほぼそのままやっているのが実態のように私は見ていました。県の独自の振興策というのはなかなか入っていないのがずっと森林の予算かなと思って見ておりました。そこで、秋田県の試みというのは一歩踏み込んだ取り組みだなと思ってお伺いしているわけであります。
 そこでお尋ねしますけれども、森林県、林業県として、平成25年度の県が目指す森林、林業施策についてお尋ねしたいと思います。
 そして、未利用広葉樹資源活用支援事業など広葉樹林業施策を実施しているのか、また、県内に東北最大の広葉樹の製紙工場を配する本県の広葉樹資源の活用の取り組みもあわせてお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 平成25年度の森林、林業施策及び広葉樹資源の活用についてのお尋ねでございますが、まず、平成25年度の森林、林業施策についてでございますが、県では、昨年2月に策定いたしましたいわて県民計画第2期アクションプランにおきまして、第1に、地域の森林経営を担う経営体などの育成、第2に、豊富な森林資源を生かした全国屈指の木材産地の形成、第3に、木質バイオマスエネルギーの利活用の促進などを主要な施策としているところであります。
 震災以降、林業施策の中心としてまいりました被害を受けました木材加工施設の早期復旧、整備がほぼ完了する見込みであることから、平成25年度におきましては、新たな木材加工施設や木質バイオマス発電施設などの整備を支援するとともに、発電施設などの整備に伴いまして、今後求められる大口需要に対応するための安定供給体制の構築を支援してまいります。
 また、製材工場を対象といたしまして乾燥技術の指導を強化いたしまして、本格化する復興住宅や公共施設などへの良質な乾燥材等の供給体制の整備に取り組むなど、県産材の利用拡大を図ってまいります。
 さらには、平成24年度からスタートいたしました森林経営計画の策定を本格化させまして、森林施業の集約化による低コスト間伐や低密度植栽の普及などによる再造林の促進に取り組みまして、地域の森林資源の適正な管理と計画的な利用を図っていく考えでございます。
 次に、広葉樹資源の活用についてでありますが、本県の広葉樹資源の活用に対する支援につきましては、広葉樹を計画的に伐採し更新をしていく作業でございます更新伐というものにつきまして、本年度から国庫補助事業を活用し助成を行っているところであります。
 本県では、秋田県が県単独事業として実施しております未利用広葉樹資源活用支援事業のような事業にはまだ取り組んでいないところでありますが、本県の広葉樹資源の活用のあり方につきましては、その重要性に鑑みまして、今後、関係者の方々と十分意見交換をしていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 やはり岩手は、先ほどの海もそうですけれども森林も豊富ですので、ぜひその利用を通じて1次産業振興に資していただきたいと思っていました。合板工場ができるというので、大船渡にあったのが動くのかな、そうではなく改めてできるんでしょうかね、ホクヨープライウッド、大変いいことだと思っていました。いろいろな形で支援していただきながら、ちょっと遠くなるかもしれませんけれども、県民所得の向上にとって第1次産業の振興というのは重要だと、そういった認識をぜひ持っていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、復興のまちづくりについてお尋ねしたいと思います。
 高台移転が今、喫緊の課題になっておるわけでありますけれども、これがなかなか進んでいないというのが取り沙汰されております。知事も、高台移転、早く住むところ、安心して住めるところをつくらなければならないということが最大の課題であるということを再三申し述べておりました。そのとおりだと思っております。
 事業をする際に、実は具体的になればなるほどいろいろな問題が出てきて、私の選挙区であります野田村とかでも、一番進んでいるわけですけれども、課題先進村とも言われておりますけれども、区画整理事業の地域があって、あと危険区域、防集の対象地域がある。そうすると、線を引くと、内側5メートルしか離れていなくても一方は危険区域、一方は土地区画整理事業。そうすると手法が違って、条件がかなり違ってくるんですね。それでなかなか住民の不満がなくならないというのがいろいろな場面にあります。土地区画整理事業というのは土地の形状に応じてつくりますので、川のこっち側は対象にならない。ところが一緒に津波で流されて家がなくなっている、全壊している、でも、その対象にならないというのが最大の課題だったんですね、いろいろな意味で。それが、今回、国の緊急経済対策事業によって復興基金が積み増しされました。全額市町村に交付されるようですけれども、震災復興事業の対象とならない被災者の地域、今説明したような実情にかなり対応できると聞いております。これまで県が要望してきたことが実現した一つかなと思っておりますけれども、その課題の認識とともにお示しいただきたいと思います。この事業の中身も含めてお示しいただきたいと思います。
〇高前田理事 復興基金の積み増しについてでございますが、昨年度創設されました取り崩し型復興基金は、具体化が進む被災地域のまちづくりに応じた住民生活の安定や地域経済の振興に向けた事業に幅広く活用でき、そして、今、委員御指摘のような事業制度の違いによる支援内容の格差是正にも資する財源として有益でありますことから、これまでも、国に対して機会あるごとにその追加的な財源措置を要望してきたところでございます。
 今回の増額措置でございますけれども、これは、被災地域の住宅再建に資する施策を通じて住民の定着を促し、復興まちづくりを推進することを目的としたものでございまして、導入する事業制度の違いによる支援内容の格差を是正し、被災地の状況を踏まえた市町村独自の住宅再建支援策の充実が図られるものとなっておりますことから、この点については本県の要望に沿ったものと認識いたしております。
 一方、被災地域の住民の定着のためには、住宅の再建はもとより、なりわいの再生などが不可欠でございまして、今後、具体化が進む被災地域のまちづくりに応じた地域経済の振興など、被災地域のさまざまなニーズにきめ細やかに対応できるような追加的な財源措置が必要と考えておりまして、引き続き国に対して要望してまいります。
〇嵯峨壱朗委員 これでかなりの部分がカバーされると思って見ていました。ただ、こういう事例があるんですけれども、例えば、自力再建したいと。高台の移転の区画、いわゆる土地があると。ただ、それは防集でつくっている造成工事なので、防集地域以外の人が、同じように全壊した被災者でも、そこに家を建てたいと、自力再建したいと、これはできないんですよね、今の制度だと。これは何とかならないか。それは正しいですよね、認識はと聞きたいんです。高前田理事、わかりますか、正しい認識ですか。
〇高前田理事 防災集団移転促進事業のスキームについてでございますけれども、今、委員御指摘のとおり、防集事業の対象というのは災害危険区域の中にある住宅が高台に移転する場合の事業でございますので、そういう認識で正しいと存じております。
〇嵯峨壱朗委員 防集の地域以外の人でもという人が結構多いんですね。区画整理事業、つまり3メートルしか離れていないんですね、線を引くと、危険区域と土地区画整理事業の区域と。そうすると、3メートルしか離れていないのに、高台に移転したいという人はできないという実態があるわけです。これって結構いろいろな地区でもあると思うんですけれども、それをどうするかというのが意外と、今回の国の交付税の増額では解決し切れない部分かなと思っているんですけれども、実際多分いっぱい出てくる。これを何とかしなきゃならないんじゃないかなと思っているんですけれども、高台移転で、当初、アンケートをとって、自力で建てたいという人が100人いて、どんどん絞ってきているかもしれませんけれども、当初はそうだったけれども、なかなか懐ぐあいがどうこうだとか、やっぱり娘のところに行くとか、何かいろいろなものが出てきて100だったのが80になる可能性があるわけです、移る先が。そうなった場合、20戸あけたままにしておくんですかね。それを高前田理事に聞いてもだめかな。わからなかったら部局で聞きますけれども。
〇高前田理事 今回の交付税の増額措置の対象でございますけれども、この考え方を御説明申し上げますと、災害危険区域に指定されたエリアの中にある住宅については、委員御指摘のとおり、防災集団移転促進事業でさまざまな支援が受けられることになっておるわけでございますけれども、災害危険区域外のいわゆる津波浸水区域にある住宅について、これが防災集団移転促進事業と同様の支援を受けられないということでございまして、いわゆる制度のすき間を埋めるための措置として今回、増額措置が講じられたものでございまして、この経費の積算の内訳を見ますと、例えば、今、委員御指摘のようなかさ上げの経費でございますとか、それから利子補給の関係、そして移転経費といったようなものが積算の内容となってございますので、今回のこの増額措置を市町村で有効に活用していただいて、そういったような住宅の支援を積極的に行うことによりまして住宅再建が進むというふうに考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 部局のところでもこれは細かくお尋ねしたいと思いますけれども、恐らく進んでいくとそういった際の部分のいろいろなずれというのが多々出てくると思うんです。この制度でも対応し切れないものが多分出てくると思うんですが、ぜひそういったものも国に要望して、なるものであればそれを変えてもらいたいし、恐らく防集のところの区画した土地は、私は余ってくると思っているんです、実際に。建てたいと思った人が実は100だったのが80になるとか。そうなった場合、その土地をどうするかという問題がそのうち出てくるんじゃないかと思うので、そういったときにもしかして今言ったような方々が該当するようになるかもしれないんですけれども、想定しておいてもいいのかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、今回、大災害ということで非常時がいまだに続いているわけですけれども、災害復旧の事故繰越や、国で特別な返還を受けて予算をとっているとか、いろいろなことがあるようですけれども、まだまだ法改正で要望すべき点があると思うんですけれども、どうでしょう、どういったものを今、県では課題として抱えているんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
〇高前田理事 法改正等の改正要望についてでございますが、一日も早い復興の実現のためには、専門的な人材の確保、それから、確実で自由度の高い財源措置とともに、復興の円滑かつ迅速な推進のための行政手続の抜本的な簡素化が重要と認識いたしております。
 このため、これまでも、国に対して、事業用地に係る土地収用手続や災害復旧事業における繰越手続の抜本的な簡素化などを講ずるよう要望してきたところでございます。
 その結果、これまでに、国におきましては、事業用地の円滑な確保に向けて、関係省庁による連絡会を設置し、釜石市の片岸海岸地区の防潮堤をモデルケースとして、所有者不明土地の収用等に係る手続の簡素化等を検討していただいているところでございます。それから、事業の繰越手続については、理由書の簡略化や添付書類の廃止、財務局ヒアリングの省略など一定の措置が講じられたところでございます。
 一方で、現在、事実上5年度間に限られております災害復旧事業の事業実施期間の延長や、入札不調などによりやむを得ず執行不能となった予算の後年度における再予算化等が措置されておらず、復旧、復興が完了するまでの間、必要な事業が円滑に行われるよう、国に対し必要な制度改正等を強く要望してまいります。
〇嵯峨壱朗委員 運用で対応できるものは運用でもいいのかもしれませんけれども、ぜひ働きかけていただきたいと思っています。
 同時に、県は県としてできることもあると思うんです、いろいろなことが。これは制度がこうだからじゃなくて、前も指摘した経緯がありますけれども、例えば税の問題とか、防集と漁集だとちょっと土地提供者の税が違ったとか。それって実は確認したら同じようなものだったということもあったし、保安林の解除も、解除は正規にやっていくと難しいけれども、埋蔵調査のためだったら伐採してもいいとか、そういったいろいろな、まともにやるとだめかもしれないけれども、許容の範囲内で同じような効果を生むようなことというのはいっぱいあると思うんです。それをぜひ、ここで言っていいのかどうかは別の問題だけれども、そういうことも含めて、できること、これは制度設計がこうなっているからだめだとかじゃなくて、どうやったらこれをクリアできるかという発想でいろいろなことをやっていただきたいと思っております。
 次に、被災事業所等の復興についてお尋ねしたいと思います。
 これは、昨年9月が一番新しいようです。今、被災事業所復興状況調査というのをやっているようですけれども、私の手に入ったのは9月のものだったんですけれども、古いんですけれども、全体で事業再開にこぎつけたのが51.5%、917事業所、建設業が多いとこの間も議論しておりました。これは、二重ローン問題というのがずっと出ていましたけれども、二重ローンというのは、何もしなければ発生しない問題なんですね。何かしようと思って、再投資しようと思った途端にしか発生しないですよね、二重ローンというのは。ですから、これは極めて前向きな話であって大いに重要だと思っているんですが、岩手県の産業復興相談センターですか、こういったさまざまな相談を持ち込まれると思っているんですけれども、その実態と、問題点をどう捉えているかお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 二重ローン問題との関係で、岩手県産業復興相談センターへの相談の実態あるいは課題についてでございますが、相談センターでは、平成23年10月に開設以来、ことしの1月末までに約390件の相談を受け付けておりまして、これまでに金融機関の債権の買い取りなど、90件の支援を行っているところでございます。
 相談内容につきましては、制度の概要の問い合わせなどが大半を占めておりますが、グループ補助金の交付決定が進むに従いまして、店舗、工場の本格復旧が具体化をし、設備資金などを調達するために、相談に来られる事業者の方々が多くなっております。
 また、昨年、センターが中小企業基盤整備機構の仮設店舗、仮設工場を訪問したところ、事業用地のめどが立たず、本格復旧までの間にも売り上げが減少するなど、現時点で運転資金の確保や資金繰りに不安を抱える事業者が多いと認識をいたしております。
 このため、センターでは、債権の買い取りや設備、運転資金の調達、既往債務、これまでに負っておられる債務の返済猶予などが円滑に行われるよう、金融機関と調整、交渉を進めまして、事業者の事情に応じてきめ細かく対応をすることといたしております。
〇嵯峨壱朗委員 きょうもニュース等でも出ていましたけれども、仮設の店舗の延長ですか、それを認めましょうという話が出ていましたけれども、一方では大型店が出てくるとか、いろいろ複雑な状況だなと思って見ていました。
 まず、グループ補助金をもらっても、4分の1の資金をどうやって工面するかと苦労しているところもあるようですし、最近言われているのは、再開したとしても、特に加工業とかはブランクがあることよって自分の商品を置く売り場がないという、棚割りができなくなっているというのが実態で、それをどうやって確保するか。そこまで県がいろんな形でやっているという話も聞きました。ただ、それが恐らく追いつかないのかなという気がしていました。そういった意味で、今どういった被災事業者に対して対応していくのかという支援策をお尋ねしたいと思います。
〇上野副知事 事業再開後の被災事業者への支援についてでございますが、県では、刻々と変化する被災事業者の課題を共有いたしまして、ともに課題解決を図ることを目的とし、平成24年9月に、沿岸4地域の復興を牽引する企業経営者を食産業復興推進コーディネーターに委嘱をいたしまして、これら4名のコーディネーターの方々とも連携しながら、三つの支援をやっております。
 第1に、売れる商品づくりのため、専門家による被災地巡回相談会での商品の開発指導、第2に、多様な商談機会をつくり出すために、県主催の商談会の開催や全国規模の展示会への出展、第3に、売り上げ拡大のため、量販店や百貨店と連携したフェアや物産展の開催、こうしたことによって、被災事業者の方々のニーズに応じた支援に努めてきたところでございます。
 今後におきましても、被災事業者の方々の課題を的確に把握いたしまして、販路の開拓や取引の拡大に向けた対策を強化してまいります。
〇嵯峨壱朗委員 行政でできることというのはおのずと限界があるかと思うんですけれども、最大限、手を差し伸べてもらえればと、自助努力が実るような形で応援していただきたいと思います。
 次に、産業廃棄物の最終処分場についてお尋ねしたいと思います。
 最終処分場がそろそろいっぱいになるという話です。震災によって525万トンもの災害廃棄物が排出され、県では平成25年度末までに全量撤去するとの説明になっております。この中で、不燃物のうち処理できない災害廃棄物についてはどのように処理する方針なのか、お尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 不燃物の処理方法についてでございますけれども、不燃系廃棄物約100万トンほどございますけれども、約7割程度につきましては、セメント工場で再生利用を図ることとしております。それ以外のもの約3割につきましては、市町村や民間の最終処分場に埋め立てる方向で、現在、関係市町村等とも調整をしているところでございまして、一部もう既に受け入れの表明もいただいているところもございます。しかしながら、あわせて、できるだけ最終処分場に埋め立てられる量を減らしたいと考えておりまして、国や専門家の方々の協力を得て、木くずを多く含む不燃系廃棄物を、津波体積土と混合することによる資材化を図る方法などについても現在検討を進めておりまして、こうした取り組みも含めて、できるだけ早急に処理が進められるように努めていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 災害廃棄物は一般廃棄物という取り扱いでしたね。ですから、最終処分場も、基本的に市町村とか広域事務組合で持っている処分場で処理するというのが通常ですけれども、岩手県でこの産業廃棄物処理場、いわゆるクリーンセンターで処理する必要があるのかなと思って見ていたんですけれども、というのは、最終処分場が早く予定よりも埋まってしまうのはそのせいだとするならば、それで新たな投資をしなければならないとするならば─というか、この一般廃棄物はそこで捨ててもいいんですか。一応その点のことをもう一度いいですか。
〇千葉副知事 今、産業廃棄物につきましては、一般廃棄物だというお話についてはそのとおりであるわけでございますけれども、県のクリーンセンターにおきましても最大限貢献するということで、県内の産業廃棄物10年分の埋め立て容量をまず確保した上で、残りの容量となります10万トンを受け入れることとしております。したがいまして、その関係で、実は当初の埋め立て終了時期よりも、これを受け入れたことで4年ほど終了時期が早まるという状況にございまして、今回、新たな次期最終処分場の整備についての検討にも着手したところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 安定型のものは災害廃棄物の最終処分場に処理してもいいというのは、去年、環境省でしたか、通達か何か出たんですね。なかなか岩手県ではそれを受け入れなかったけれども、それも今やっているようですけれども、それはそれでいいことだと思っていました。安定型ですから。この安定型ではない管理型のものについては─産廃ではないから管理型という言い方も変ですけれども、どうも私はちょっと疑問に思っているのは、すごいコストがかかるわけです、産業廃棄物の最終処分場をつくるとなると、コストと手間と時間がかかる。それを今回の震災で、もう非常時ですからやむを得ないのかもしれないけれども、それを10万トン埋めることによって、予定よりも短い期間しか使えないというのは果たしてどうかなと。これを質問しようと思いながら疑問に思ってきた話なんですけれども、これはちょっと違うんじゃないかという気がしているんですけれども、その考え方を答弁願いたいですが、どうですか。
〇千葉副知事 市町村あるいは民間の処分場にも御協力をいただいているということがあるわけでございますが、県としても、第三セクターでありますが最大限受け入れをする必要があるということで、先ほど答弁を申し上げた次第でございます。
〇嵯峨壱朗委員 一般廃棄物として認められている震災廃棄物の不燃で残って処理し切れないものを処理するということなんでしょうが、その辺の兼ね合いですか、もう少し整理してもいいような気がしました。さはさりながら、新しい産廃の最終処分場もつくろうとして第3回の検討委員会まで開催しておりまして、基本方針がことしの3月、今月ですか、出るということになっているようでありますけれども、その新処分場の建設に当たってのスケジュールまたは建設場所の考え方、運営主体の考え方についてお尋ねしたいと思います。
〇千葉副知事 次期最終処分場の建設につきましては、今委員からお話がございましたように、これまで3回検討委員会を開催させていただきまして、2月4日に基本方針への提言をいただいたところでございます。県といたしましては、3月末までに整備基本方針を策定したいと考えているところでございます。
 具体的にお尋ねがございましたスケジュールにつきましては、現在の目途でございますが、来年度、平成25年度から2年間で、地元の理解をもとに用地を選定し、その後、環境影響評価と基本設計におおむね3年、建設工事に3年を見込んでおりまして、平成32年度末までの完成を目指すことを想定しております。
 建設場所の考え方でございますが、検討委員会からの御提言では、県内全域の産業廃棄物を受け入れております現在のいわてクリーンセンターの最終処分場の代替となる施設でありますので、いわゆる全県を対象として選定することが望ましいという御提言をいただいております。
 また、運営主体につきましても、同じく委員会からでございますけれども、建設費用や年間処理量が試算可能となる用地確定後にPFI方式の導入可能調査を実施し、第三セクター方式や公設公営方式と比較検討する必要があるとの御提言をいただいているところでございます。これらの御提言を踏まえながら、整備基本方針を策定したいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 実はこの産業廃棄物の管理型の最終処分場というものを民間がやっているというのはないんじゃないですか。と、この委員会の報告書に書いています。PFI方式も、産廃の処理センターとしては全国では本県だけなんだそうですね。それからすると、恐らく、本県も公設公営方式もしくは第三セクター方式を主に考えていると思うんですけれども、その点はどうなんでしょう。
〇千葉副知事 いわゆる公共関与の産業廃棄物の処分場については、今のクリーンセンターをつくる際にいろいろと御議論もあったところでございますが、当時の議論の中で、公共関与でつくることが望ましいということの結論を踏まえながら、整備に至っては現在に至っている状況だと考えているところでございます。
 いずれ、現在、その後の最終処分場の全国的な建設の動向から、今委員御指摘のようなお話もございますので、今回の委員会でのPFI方式の調査を実施すべきではないかという御提言も、そういう中から出てきているものと理解しているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 私が懸念しているのは─懸念しているという言い方も変ですけれども、委員会の資料の中で概要版としてイメージ図がここに出ているんですけれども、これで見ると、その前の詳細な資料では運営主体の項目で、どれからやるかというのは、いわゆる官から始まって、パターンとして民営が一番最後に来るんです。PFIもあって、第三セクターがあって。ところが、このイメージ図、概要で見ると、運営主体、用地が決まり次第、民営、PFI、第三セクター、官営を比較検討と、民営が先に来ているんです。私が素直に見ると、ああ、これは民営を考えているのかなと思ったりして見るわけです。そうじゃないという説明をしていました。法律上そうなっているという話をしていましたけれども、その前の詳細にわたっての資料を見ると、そうではないんですね。官営が一番先に検討、順番になっているわけです。ただ、この概要版を見るとそうなっている。そうじゃないのかもしれないですけれども、管理型の産業廃棄物というのは、岩手県は、県境産廃でもあれだけ痛い目に遭っているわけですから、より慎重であるべきだと私は思っています。ですから、ぜひ慎重にやっていただきたい。そして、一つはもうつくってあるので、新たな国庫補助がなかなか受けにくい。とすれば、震災があったわけですから、特例的なものとしてぜひ─働きかけているんでしょうけれども、そういう働きかけをして予算の措置をしてもらって、ぜひ住民が安定してそれを受けられるような、公の関与した、強く関与した施設にしていただきたいと思っております。この点だけ何かあったら。
〇千葉副知事 私どもといたしましては、今、ちょっと委員から御懸念も示されたわけでございますが、PFI方式を第一候補にしているとかということではございません。あくまでも御提言を踏まえながら、一つの検討作業の中でどの方式が望ましいのかということを検討したいと。客観的に検討したいと考えております。
 この公共関与については、本県が当時、全国のモデル的な位置づけでやってきた経緯もございます。さまざまな議論がなされてきた積み重ねもございますので、いずれ十分検討して進めたいと考えております。
 また、お話がございました新たな整備の財源、これについてもいろいろと工夫しながら考えていきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 先般の広域処理に関して、広域処理費用が過大との内容で監査請求が出されたとの報道がありましたけれども、これに関する知事の所感をお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 平成25年2月26日付で、16名の住民から、本県監査委員に対し、災害廃棄物の広域処理に関する公金の支出に対し、地方自治法第242条第1項に基づく監査請求があったと聞いております。
 請求の内容は、本県の行っている広域処理が税金の無駄遣いとの趣旨であると理解しておりますが、広域処理はできるだけ早く処理をするため適正に行ったものと考えており、今後の監査委員の対応を見守っていきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 広域処理に関しますと、可燃物の処理が今月で終了するということだと思うんですけれども、今度は不燃物を自県で処理できない場合には、広域処理をお願いしていかなければならない状況になるかもしれないということですね。そうなった場合に、また問題になるかと思うんですが、新潟県知事の発言についてちょっとお伺いしたいと思います。
 これは恐らく結構影響があると思うんですけれども、先般の災害廃棄物処理に関する新潟県知事の一連の発言を聞いて、知事は、被災地の住民感情をどう考えているのかを改めてお尋ねしたいと思います。
 というのは、本会議で私ども大槌町の岩崎友一委員が質問しました。新潟の廃棄物で問題になっていたのは、大槌町の震災廃棄物なんですね。だから恐らく一生懸命しゃべったと思うんです。そうでもないのかな。
 それで私思うには、知事の発言を聞いていて、放射能にかかわる発言を、どうも新潟県知事の発言を擁護するような雰囲気に聞こえてしまった。それはなぜかというと、煎じ詰めれば、あの発言を容認するということは、大槌町の震災廃棄物は危険だと新潟県知事は言っている。そうしたものは新潟県に持ち込んではならない。黙ってそうした、殺人ともつながりかねない危険な災害廃棄物は、廃棄物の発生地の大槌町に置いておけと。それが当たり前なんだということを言っているわけですよ。擁護とまでは言わないでおきましょう。それを何も言わないで受け入れているということは、大槌町民は岩手県民ですから、そこに危険な廃棄物を、新潟県に置けないような廃棄物を黙って置いておけということを容認したと同じように私は理解するんです。同義に理解するんですが、どうでしょうか。そういった被災地の住民感情を考えて、改めてお尋ねしたいと思います。
〇達増知事 3月2日に碇川大槌町長が長岡市に招かれた際、新潟県の5市に広域処理について謝意を述べられています。この新潟県内の市が、大槌町の災害廃棄物を広域処理してくれることへの感謝の気持ち、これが地元の被災地の皆さんの気持ちを、大槌町長が代表されているのではないかと思います。
 なお、3月2日に、大槌町長がマスコミから新潟県知事に対するコメントを求められた際には、回答は控えさせていただくということだったと聞いております。そして、新潟県3市による広域処理が進められているところであり、地元としても、広域処理がスムーズに進んでいくことを望んでいるのではないかと思いますし、私も同様でございます。
〇嵯峨壱朗委員 知事の立場もわかりますし、新潟県知事にもちろん配慮するのでしょう。それはわからないではないですが、岩崎委員も、率直に知事はどう考えているのか、知事自身としてこのことを受けてどう思ったかということを聞いているわけです。新潟県知事が、法律がどうこうとか、そんな話を聞いているわけじゃない。だから、できるなら、私もそう思うので、今度知事会で会ったら、一言、こういう議論があったので何とかお願いしたいとか、そういうことを言いたいと思うと答えればいいんだなと思って聞いているんですけれども、そうではないですね。だから、どっちかっていうと、何ていうの、どっちを守っているのかと聞きたくなるんですけれども、そういうつもりもないんでしょうね。でも、恐らくそういう発言をしているとそうとられてしまうと私は思うんです。ですから、ぜひ今度新潟県知事に会ったら、何とかお願いしたいと言ってもらいたいんですけれども、どうでしょうか。
〇達増知事 新潟県知事が原発事故以降、それ以前に、新潟県内、これは全国どこでもそうなんですけれども、原発の中で出る廃棄物については、1キロ当たり100ベクレルという基準があったはずなのに、それが原発事故後、1キロ当たり8、000ベクレルまでを一般廃棄物として処理することを認めるというのはおかしいという考え方を持っており、これについて国とずっとやりとりをしているわけでありまして、そういう意味で、きょう午前中、田中環境副大臣にお目にかかった際にも改めて、これは今回御指摘の問題だけではなく、日本全体として、岩手でさまざま進めており、広域処理で御協力もいただいているその基準について国民の間に大きな不安といいますか、強い疑いといいますか、それがあることについては、これはその基準を決めた国のほうからきちっと説明してほしい旨を改めて伝えたところです。
〇嵯峨壱朗委員 新潟県知事は原発がある県の知事として、福島県の事故後の基準と、原発それ前の基準と大幅に変えることは変だろうということで、そういうことを言ったということらしいです、確かに。それはそうかもしれないけれども、そういうことを聞きたいんじゃなくて、ということは、基準がおかしいといっても現実ですから、もう放射能があるのは。
 実際に家でとっている新聞に出ているんですけれども、震災前の放射性セシウムの値とそれ以後の値を比較した最高値が出ている。震災前のほうが実際には高いんです。福島県と宮城県の一部かな、震災後の高いのは。だから、調査したからわかったのであって、もしかしたらチェルノブイリなのか中国の核実験なのかわかりませんけれども、そういった影響があって、ずっとあったのかもしれない、原発もいっぱいあるし。というのも指摘されています、実際。だから、知事の言うこともわからないではないけれども、被災県で自分のところの県の自治体の被災民の廃棄物が行くことによって、そう言われて─新潟県の知事の話もわからないではないけれども、原発が立地している県の知事として。でも、ちょっとわかってちょうだいと、そういう感じで言ってもいいんではないかと思うんですね。知事の言うのもわかりますけれども、そういうことがあってもいいような気がします。実際にこれだけ議論している。資料を持っていますけれども、これは新潟県の議会でもかなりやりとりしています。この3月1日のものでも。これも言わないけれども、言う時間もないけれども、その辺もぜひ考えていただければと思って、質問を終わります。
〇高橋元委員長 次に、喜多正敏委員。
   〔喜多正敏委員質問者席に着く〕
〇喜多正敏委員 希望・みらいフォーラムを代表して総括質問を行います。前半を私から、後半を後藤完委員から質問いたします。
 8分野について質問しますが、時間節約のため、まとめて分野ごとに質問してまいりますのでよろしくお願いします。
 最初に、予算全般についてお伺いします。
 平成25年度当初予算は東日本大震災津波の復興を加速し、また、県民計画に掲げる希望郷いわて実現に向けた施策を着実に推進する予算として、一方、国の補正予算を最大限に活用し、2月補正予算と一体となった切れ目のない対応により、県内経済の活性化に努めるとしています。
 来年度の歳入予算において、県税収入9%の増加を見込んでおり、その中で個人県民税10.9%、法人事業税は24.0%の増加、個人所得や雇用状況の回復、民間企業の建設業を中心に業績回復を見込んでおりますが、具体的に、本県の個人所得、雇用状況の回復、民間、法人企業の業績回復をどの程度と見込んでいるのかお伺いします。
 一方、地方交付税と国庫支出金の合計では、国家公務員の給与削減と同様の措置を地方公務員においても実施することが前提とされたことなどから、平成25年度は5、062億2、300万円と、平成24年度5、256億5、700万円から194億3、400万円の減少となっていますが、県財政に対する影響と知事の御所見をお伺いします。
 繰入金については、財源対策関係基金からの繰入金は160億円であり、平成23年度末残高813億円、平成24年度末655億円、平成25年度末見込み額では495億円と、平成23年度末に比較し318億円の減少と、厳しい状況となっています。基金の取り崩しのほか、使用料、手数料等の見直しや未利用資産の売却により、財源確保に対応したとしておりますが、どの程度予算が見込まれたか、また、今後どのようにしてこうした財源の確保に取り組んでいくのかお伺いします。
 かつての政権のもと、景気対策等のため、公共投資など巨額の県財政出動により多額の県債が財政を圧迫し、さらにその償還ピークを迎えるなど、大変窮屈な財政、県政運営が続くわけでありますが、改めて今後5年間の県債償還額、先ほど嵯峨壱朗委員の質問に対して、起債のことで6、900億円、これは交付税の措置がないというお話がありましたけれども、交付税措置のない県債償還額もわかればあわせてお伺いするとともに、知事の財政、県政運営に対する御所見をお伺いします。
 国の地方財政に対して行った提言や要望、その成果、また、国と地方財政のあり方に対する御所見をお伺いします。
 本県の県政、財政運営は、国の政策や地方財政計画が大きな影響を及ぼすことや、将来の予測が困難なことが多いことは理解していますが、こうした厳しい県政、財政環境だからこそ、戦略的、効果的な県政や財政健全化に取り組むため、中期財政計画や見通しのため、県民に理解を求める必要もあると思います。本県の中期財政見通しが平成18年8月に試算されておりますが、その見直しや新たに試算するお考えはないかお伺いします。
〇達増知事 まず、地方交付税等の減少による県財政への影響についてでありますが、地方交付税のうち普通交付税については、国家公務員と同様の給与削減を前提とした減や県税収入の伸び等により、前年度と比べ110億円程度の減額計上となっています。
 また、震災復興特別交付税については、災害復旧事業の減少に伴う地方負担分の縮小によって、92億円程度の減額計上となっています。
 一方、国庫支出金については、災害復旧事業に係るものが大幅に減となるものの、それ以外は増となっており、全体では7億円程度の増額計上となっています。
 これら国からの移転財源の影響について、通常分の予算においては、普通交付税の減により財源対策基金を取り崩さざるを得ず、厳しい財政運営を強いられる要因の一つとなっています。
 他方、震災分の予算については、災害復旧事業に係る国庫支出金等が減少し、それ以外の復興事業等に係る国庫支出金等が増加していますが、復旧から復興の局面への本格的な移行が予算措置の上でもあらわれているものと考えます。
 次に、財政運営に対する所見等についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に多額の経費を要することに加え、公債費が今後5年間で6、500億円程度に上るなど、義務的経費の割合が高まる中で、自主財源に乏しい本県が、県民の暮らしの安定や地域経済の下支えなど、一定の行政サービスを継続的に提供していくためには、さらなる歳入確保や歳出の徹底した見直しなど不断の行財政改革を進めつつ、国における適切な地方財政対策により財源を確保しながら、規律ある財政運営を行っていくことが不可欠と認識しております。
 このような認識のもと、政府に対する地方財政に関する提言、要望では、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保と、復興に要する費用の地方負担分の財源措置の充実、確保を掲げてまいりました。
 この提言、要望に対しては、地方財政対策において、一般財源総額が前年度並みに確保されるとともに、復旧、復興事業の地方負担分に相当する震災復興特別交付税が、前年度に引き続き別枠で予算化されています。
 国と地方の財政のあり方については、国は、地方が適正な水準の行政サービスを提供できるよう、必要な財源を保障するとともに、具体の施策は、それぞれの地方の自主的な判断と責任のもとに決定、実施されるべきと考えます。これをさらに進めるため、将来的には、国から地方への抜本的な財源の移譲を図るべきと考えます。
〇加藤総務部長 まず、個人所得、雇用状況あるいは法人、企業業績といった面からの税収見込みの根拠ということでございますが、個人所得につきましては、震災発生年に比べまして、平成24年の所得は相当程度の回復を見込んでおります。これが平成25年度の個人県民税の課税ベースとなりますことから、相応の税収が期待できるものでございます。
 また、雇用状況は、本県の平成24年1月から12月の有効求人倍率が0.89と前年を0.35ポイント上回っており、県全体の所得の増につながっていると見込まれます。加えまして、新設住宅着工戸数が12カ月連続、あるいは公共工事請負金額は6カ月連続と、それぞれ前年水準を上回るなど好調な経済指標が見られますので、個人所得に好影響を与えていると考えております。これらを考慮いたしまして、個人県民税につきましては、平成24年度当初予算に対しまして10.9%の増と見込んだところでございます。
 民間企業の業績でございますが、法人事業税の申告税額で見ますと、復旧、復興に係る公共工事等の増加により、前年に比べまして建設業が194.6%の増、卸小売業が66.7%の増となるなど、非製造業を中心に業績の回復が見られ、1月末の法人事業税の調定額は33.1%の増となっております。
 今後も同様の傾向で推移するものと見込まれますことから、法人事業税につきまして、平成24年度当初予算に対し24.0%の増と見込んだところでございます。
 次に、財源確保対策の予算への反映状況についてということでございます。
 平成25年度の予算におきましては、歳入確保の取り組みとして、県有未利用資産の活用として8、000万円、使用料、手数料等の見直しといたしまして50万円余を計上しているところでございます。御指摘のとおり、今後、これまでにも増して厳しい財政運営の局面を迎えることが見込まれますことから、新たな歳入確保策を検討しておりまして、なかなか一つ一つは大きなものではありませんが、さまざま積み上げる必要があると考えておりますので、県有施設への広告事業の拡大でございますとか、ネーミングライツの導入など、こういった新しい仕組みにつきましての取り組みの具体化を進めてまいりたいと考えております。
 それと、一部県債の償還、交付税措置がないものがどのくらいあるかという質問がございました。これにつきましては、先ほど嵯峨委員の質問に対して答弁申し上げましたとおり、残高に対しまして交付税措置がないものが約5割弱ということを申し上げました。基本的に、それが県債償還も比率的に同様ということになろうと思います。
 ちょっとつぶさに試算した資料を持ち合わせておりませんが、県債の償還が単年度ベースで1、200億円台ということでございますので、5割弱ということになりますと、そのうち交付税措置のない分ということになりますと、500億円台が毎年度交付税措置がないものとして、県の財政の中で工面した上で償還するという状況になっております。
 それから、中期財政見通しについてでございます。
 中期財政見通しにつきましては、東日本大震災津波が本県財政にどの程度の影響を及ぼすか等の推計が困難でありましたことから、復旧、復興の具体的な事業規模や、その財源などがある程度把握、見通し可能となった時点におきまして対応を検討していきたいと考えていたものでございます。このような中、国におきましては、復旧、復興事業のための復興交付金でございますとか、地方負担分に対します震災復興特別交付税など、特別の財政措置が創設、そしてそれが継続されておりまして、こうした財政支援が今後も維持されるという前提に立てば、本県財政に対する大震災津波の影響をある程度見込める状況が整いつつあるものと思料しております。
 一方、また別の要素でございますが、平成26年4月に消費税の引き上げが実施に移されたとした場合、地方交付税の算定や本県の税収に大変大きな影響が出てまいる状況もございます。現時点では、これらの影響額につきまして、相応の確度を持った見積もりを行うことは困難な面もございます。
 こうした要素といいますか、こうした状況にありますものの、早期に見込みが立てられるように、情報収集等を含めまして、努力いたしまして中期財政見通しを作成していきたい、それを試みていきたいと考えております。
〇喜多正敏委員 今の総務部長からの答弁の中で、法人、民間の申告税額等のお答えがありましたが、個人所得が回復するということで、相当程度伸びるということでしたが、当然ながら歳入を積算する場合に、個人の所得がこのくらい伸びるから所得税がこのくらい伸びるという積算があると思いますが、その辺がどう見込まれたのかお伺いします。
〇加藤総務部長 個人県民税ということになりますと、課税制度、住民税でございますが、前年の所得ということになります。平成23年と平成24年所得の比較、平成24年所得が平成25年課税ベースということになりますが、課税所得で見ますと8.4%の伸びということになっております。ただ、これは課税所得ということでございまして、税制改正の影響等がございます。税制改正で年少扶養控除等が縮減といいますか廃止になっておりますので、その分課税所得が同じ実際の収入なりでありましても、大きく出るということがございまして、その分を差っ引くといいますか、実際の収入ベースといいますか、課税上の計算を、控除の計算をする以前の総所得金額のベースで差っ引く必要がありますので、8.4%ほどは伸びていない。当然扶養控除でございますので、1人当たり三十数万円、それが家族の数に応じてということになりますので、その分を控除してということになりましてやや複雑な計算になりますが、所得ベースということになりますと、8.4%ほど大きくありませんが、数%、多分3%とかそのぐらいの数字になるかと思いますが、ちょっと詳細な数値は持ち合わせておりませんが、そういった伸びが期待できるということで算定したところでございます。
〇喜多正敏委員 定数的に質問したことについては定数的に、定性的ではなくお答えを願いたいと思います。
 いずれ、厳しい財政状況の中でありますけれども、まずは復興と県勢発展、必要な法や制度の改正、あるいは財源を国に要望しながら、さらに財政健全化の道筋をつくりながら、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、県有施設の維持管理と財政計画についてお伺いします。
 本県県議会においても、県営住宅や農林水産業施設、道路、橋梁などの維持管理や改良等について質疑が交わされてきました。今まで整備が進められてきました広範な公共施設が老朽化し、今後ますます増加する維持管理経費は我が国全体の大きな問題であり、国の支援や管理制度の改善、財源の裏打ちなど、大きな枠組みを必要と思います。本県の道路や橋梁、農林水産業など産業施設、教育施設、医療、福祉施設、県営住宅や県が管理している公共施設で、耐用年数を過ぎているもの、今後10年間で耐用年数を経過する主なものはどの程度の規模となっているか、全体を把握していく必要があると思いますが、これらの公共施設の移転、維持管理計画、特に長寿命化計画の策定状況はどうなっているかお伺いします。
 こうした個別の計画を積み上げて、県全体として公共施設の維持管理に要する費用はどの程度必要なのかを把握した上でどう対応していくか精査し、これを個別計画に反映させ、県全体としての公共施設の維持管理のマネジメントサイクルを回していくことが重要と思います。
 県が管理している道路や橋梁、学校などの教育施設、農林水産業施設、医療、福祉施設、県営住宅などの維持補修費や改良費のこれまでの推移と、平成25年度予算案計上額、また、本県の財政状況や国の支援制度を勘案し、今後、増大が見込まれる維持管理の全体的な把握も含め、どのように対応しようとしているかお伺いします。
 また、公共施設の安全な維持管理に関し、奥羽山脈沿いの雫石盆地西縁、北上低地西縁断層帯に学校や県の庁舎、病院の施設はないか、また、この二つの活断層の状況についてお伺いします。
〇加藤総務部長 まず、公共施設の長寿命化計画等の策定状況についてでございます。
 これまで橋梁などの公共土木施設を中心に、アセットマネジメントの導入を図ってきたところでございまして、公共土木施設11分野のうち、橋梁や県営住宅など6分野について、維持管理計画ないし長寿命化計画を策定しているところでございます。今年度末までには、さらに道路の舗装、砂防施設の2分野についても計画策定を終える予定という状況でございます。
 公共土木施設以外の分野につきましては、それぞれの施設ごとに老朽化に応じた補修や更新を行いながら維持管理に努めておりまして、維持管理計画あるいは長寿命化計画に当たるものの策定には至っておりませんが、先行する公共土木施設の取り組みを参考に、アセットマネジメントの観点から全庁的にどのように取組んでいくべきか、検討を行っている段階でございます。
 次に、維持補修費の問題でございます。
 震災分予算を除きます過去5年の当初予算計上額の維持補修費でございますが、平成21年度が95億円余、平成22年度が96億円余、平成23年度が83億円余、平成24年度が92億円余と参りまして、今回平成25年度は105億円余となっております。
 維持補修費につきましては、活用できる国庫補助や地方債が限られておりまして、その多くは一般財源で対応しなければならないため、その増大は、厳しい本県財政にとりまして大きな負担となってくるものでございます。
 そうした中でございますが、平成25年度政府予算におきまして、地域において老朽化対策の交付金─防災・安全交付金と言われているものでございますが、これが新たに設けられますことから、こうした国庫の活用などを通じまして、県負担の軽減を図りながら、維持補修費に必要な予算の確保に努めていく考えでございます。
 なお、今後の維持管理費の全体的な見通しについてでございますが、維持管理計画、先ほど答弁申し上げましたが、まだ普及し切っていないといいますか、途上だという中でございまして、直ちに示すことは困難でございますが、全庁的な取り組みの検討にあわせまして、適切な把握のあり方を検討してまいりたいという段階でございます。
 それから、活断層についての質問をいただきました。
 雫石盆地西縁断層帯と北上低地西縁断層帯の上部や近傍には、県の学校や庁舎、病院等は設置されておりません。本年1月に公表されました国の地震調査研究推進本部の主要活断層の長期評価によりますと、雫石盆地西縁断層帯につきましては、マグニチュード6.9程度の地震を発生させる可能性があるとされておりますものの、地震発生確率は示されておりません。また、北上低地西縁断層帯につきましては、マグニチュード7.8程度の地震を発生させる可能性があるとされておりますが、今後100年以内での発生確率はほぼ0%といった評価になっております。
〇喜多正敏委員 いずれ、全体を把握して時代の流れに対応、安全かつ長寿命化、効率的、計画的な維持管理をよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、災害復旧と人材養成や資材の確保についてお伺いします。
 東日本大震災津波被災地のインフラや住宅整備、産業活動が次第に進みつつありますが、平成24年2月1日の経済センサス速報によれば、平成21年調査と比較し事業所数、従業員数で10%以上減少しているのは、沿岸被災7市町村で、事業所総数では29.8%、3、319事業所の減少、従業者数では22.4%、1万6、344人の減少となっています。各地に避難し、そこで生活を考える被災者も多く、被災地の人口減少も進んでおり、一刻も早い復旧、復興が望まれます。復興や産業振興のための市街地形成や開発行為など、都市計画や農地、林地も含めた土地利用規制の緩和や手続の簡潔化、埋蔵文化財処理のスピード化などが迅速な事業推進に不可欠と思われますが、改めてこの問題と対応についてお伺いします。
 また、土地所有権について、権利者の死亡や相続の問題、境界確定に大変な時間と労力を要するわけでありますが、この処理は個人任せでは到底おぼつかないと思います。こうした復興に係る土地権利調整が必要な案件はどの程度と見込まれ、処理の実態はどのようになっているのかお伺いします。
 私は、法律家、土地家屋調査士など、専門家も含めたマンパワーの投入や公的支援が必要と思いますが、対応についてお伺いします。
 次に、政府の公共投資拡大に伴い、人間や資材の不足、コストの上昇がさらに進むと思われますが、本県に関係する事業費の規模はどの程度と見込まれるか。先ほど高橋但馬委員の質問に答えて、まだ不明だということでもありましたが、本県復興予算執行への影響、本県復興事業が確実に執行できるのか、対策についてお伺いします。
 特に、人口減少の中にあって、県としても、復旧、復興工事に係る求人に積極的に支援をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇上野副知事 まず、土地の権利調整の実態と対応策についてでございますけれども、災害復旧事業で整備します防潮堤等の事業用地につきましては、現在、権利者調査を進めておりまして、1月末時点の調査結果によりますと、107地区、約5、300件のうち、約800件が相続未処理となっているところであります。
 今後、用地交渉を進めていく中で、遺産分割協議や土地境界の確定が必要となる事例も想定されるところでございますが、中には、当事者間で調整ができず、解決までに時間を要する事例も出てくるものと考えております。
 県といたしましては、これまでも無料法律相談窓口を通じた弁護士の紹介などにつきまして、岩手弁護士会に支援、協力を要請したところでございますが、今後、復旧、復興を加速するために、多数相続など特に難航が想定される案件につきまして、弁護士に用地交渉に関する権利調整を委託するなど、迅速な用地取得に向けた取り組みを行ってまいります。
 次に、政府の公共投資拡大の県復旧事業への影響等についてでございますが、国では、平成24年度補正予算におきまして、約2兆4、000億円の公共事業関係費を措置しておりまして、地方の負担分も合わせた国土交通省関係の事業費は約3兆1、105億円でございまして、本県においては、直轄、補助を合わせまして、補正予算に関して申し上げますと、約343億円の事業が実施される見込みと考えております。
 他方で、平成25年度政府予算、当初予算案につきましては、対前年比15.6%増の約5兆2、853億円の公共事業関係費が計上されておりますが、平成25年度から廃止となります地域自主戦略交付金─公共事業関係の相当分についてでございますが、これを加味した実質的な公共事業関係費は対前年度比0.3%の増ということでございまして、本県における直轄、補助を合わせた国土交通省関係の事業費は、今の段階ではわかりませんけれども、災害復旧事業費を除いて平成24年度当初と多分予算が同じでございますので、同程度の、1、700億円程度が措置されるのではないかと見込んでおります。
 なお、国の平成24年度補正予算並びに平成25年度当初予算に関連する非常に大量の公共事業関係の事業費が本県の復興事業に今後どのような影響を与えるかについては、国や業界団体と情報共有を図りながら、状況を注視していく必要があると考えております。
 次に、復興事業を確実に実施するための対策についてでございますが、本県の復興事業を確実に執行するために、これまで、適切な工事費の算定、技術者、労働者や資材の確保などにさまざまな対策を講じてきたところでございます。具体的には、工事価格につきましては、契約後における単価適用年月の変更、インフレ条項の適用、生コン単価における見積もり活用など、技術者、労働者の確保に関しては、復興JVの活用や宿泊費の実績変更など、資材の確保につきましては、遠隔地からの調達に応じた積算や仮設生コンプラントの誘致など、対応してきたところでございます。
 人口減少の中での県の復旧、復興工事に係る求人の支援につきましては、建設企業における人材確保の支援といたしまして、資格取得のための研修費用の補助など、技術者の育成支援に取り組んでいるところでございまして、就業支援におきましても、平成23年度から復旧、復興事業に対応しました再就職訓練を実施してきたところでございます。
 今後とも、関係機関や業界団体と連携をいたしまして、技術者や作業員の確保を支援してまいります。
〇高前田理事 復興の促進に向けた手続等の簡素化についてでございますが、人口減少を抑え産業を再生するためには、復興のまちづくりを加速する必要があり、被災地の土地利用規制に係る手続や埋蔵文化財調査を計画的かつ迅速に処理していくことが重要な課題と認識しております。このため、農地転用や地域森林計画区域の変更、保安林などの規制の解除について、ワンストップで処理する復興整備協議会をこれまで延べ32回開催し、手続の簡素化と期間の短縮化を図ってきたところでございます。このほか、都市計画法の開発許可については、希望する市町村に対して権限の一部を移譲することにより、手続の迅速化を図っているところでございます。
 また、埋蔵文化財調査につきましては、これまでも体制の強化に努めてきたところでございますが、今後、事業の進展に伴い、調査箇所の増大が見込まれますことから、来年度におきましては、全国の自治体から県への職員派遣を10名から19名に増員すべく調整を行っているほか、内陸市町村から沿岸2市1村へ3名の職員派遣も調整しているところでございます。こうしたことに加えまして、岩手県埋蔵文化財センターにおきましても、人員を倍増させるといった体制強化を予定しているところでございます。
 県といたしましては、今後とも市町村としっかり連携を図りながら、これらの取り組みを通じて、復興まちづくりを加速させてまいります。
〇高橋元委員長 喜多正敏委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際10分間ほど休憩いたします。
   午後2時58分 休 憩
午後3時17分 再開
〇高橋元委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇喜多正敏委員 次に、がん対策についてお伺いします。
 がん対策は、今もがんに苦しむ患者や家族、医療関係者に一刻も早い対策が望まれています。県では、現在、3月を目指してがん対策推進基本計画を策定中ですが、私もさきの12月定例会で質問しましたが、平成25年度予算に策定作業結果や質問した内容が反映されたものがあるのかお伺いします。
 がんは、言うまでもなく早期発見が必要です。最高の胃がんでも検診率36.1%、最低の子宮がんで25.6%です。がん検診や精密検査の正確な受診数を把握し、対策を講じることが必要ですが、地域別や世代別、職業別などの受診率の正確な実態把握と対策が計画され、予算化されたのか、がん検診や精密検査などの受診率向上対策は充実が図られたのか、今後の取り組みも含めてお伺いします。
 がん患者のいろいろな悩みの相談を受けるため、相談支援センターが8圏域に設置され、平成25年度に残る1圏域に設置する計画となっています。国では、平成23年度から都道府県に新たに地域統括相談センターを設置するとしていますが、本県の計画では、相談支援体制については、患者、家族会の意見を踏まえ、相談員の確保や育成、現在の支援センターの課題を整理しながら検討し、平成27年度に実施するとしていますが、既存センターの活動状況や課題を伺うとともに、これと並行的に進めさらに早く開設できないか、総合的センターについて現時点ではどのように想定しているのかお伺いします。
 先日、がんで御主人を亡くされた方から手紙をいただきました。がんを発見されましたが、医師からは腫瘍が小さいのでしばらく様子を見ましょうということでしたが、結局、間もなく亡くなられたということです。こうした患者側からの診断や治療への思い、患者会の役割も大きいわけですが、これに加え、さらにがん登録や相談センター、拠点病院の整備、医師、看護師などの人材の養成、確保などにより、がんの症例や治療などの医療情報を集積することや、その活用が大いに期待されます。こうした患者会の設立や活動支援、患者や家族からの情報発信、医療のデータベース化と活用や拡充について、新年度予算も含めた対応についてお伺いします。
〇千葉副知事 まず、がん計画等の新年度予算への反映状況についてでありますけれども、次期がん対策推進計画におきましては、主要施策といたしまして、12月定例会で委員から御提言等もございましたがん検診受診率の向上などのがんの早期発見を初め、緩和ケア提供体制の充実などのがん医療のほか、新たにがんの教育、普及啓発、がん患者の就労、難治性のがんや小児がん対策などを盛り込むこととしているところでございます。
 具体的に、新年度予算におきましては、ピンクリボンフェスタなどがん検診受診率向上のための普及啓発活動等を行うがん検診受診率向上対策事業、がん医療従事者や認定看護師の養成を行いますがん診療連携拠点病院機能強化事業及び認定看護師養成研修事業費補助、そして、患者、家族会との意見交換会を実施いたします緩和ケア啓発推進事業などを措置し、計画内容の反映を一部図っているところでございます。
 一方、地域における喫煙者に対する禁煙教育や未成年者の喫煙防止対策に係る健康教室、研修会の開催などにつきましてはいわゆるゼロ予算事業として実施していきますほか、がんの教育、普及啓発、がん患者の就労、難治性のがんや小児がん対策などの新規施策─計画におきましては新規施策の具体的な推進に当たりましては、国の施策の動向やがん患者、家族会の意見などもお聞きしながら、また、教育部門や雇用対策部門と連携し、現在策定中の計画の各目標年度を見据えながら着実に推進していきたいと考えているところでございます。
 次に、検診率の実態把握と対策についてでございますけれども、市町村が実施しております各種がん検診及び精密検査の受診率は、国の地域保健・健康増進事業報告により地域別や世代別に把握されておりまして、平成22年度報告によりますと、全国平均よりも高い水準にはございます。しかしながら、職業別につきましては、がん検診が法的に義務づけられていないことなどからその実態をなかなか完全に把握することは困難でございますが、今後、岩手県対ガン協会などの検診実施機関の協力も得ながら受診率の把握に努めていきたいと考えております。
 次期県がん対策推進計画におきましては、保健推進員によります受診勧奨や休日、夜間等の検診実施などの受診環境整備のほか、がんの精密検査を行います医療機関の登録とその情報提供などによる精密検査体制の確保などを盛り込んでいるところでございます。また、平成25年度当初予算におきましては、がん検診及び精密検査受診率向上のための普及啓発や地域がん登録事業の運営に係る経費を計上しておりますほか、地域がん登録の機能強化を図るため、県独自システムから全国標準システムに移行する経費を新たに措置しているところでございます。
 今後とも、がん検診及び精密検査受診率向上のため、市町村や関係機関、民間団体とともにその普及啓発や検診を受けやすい環境整備に取り組んでいきますほか、事業所等が加入する健康保険と連携して、働く世代のがん検診についても推進していきたいと考えているところでございます。
 次に、相談支援センターの活動状況や課題、地域統括相談支援センターの設置についてでありますが、昨年7月までの1年間におけます県内九つの相談支援センターへの相談実績は8、833件、看護師や社会福祉士などの相談員は49人となっておりますが、各センターを運営しております病院ごとにその相談件数や相談体制に差が見られているところでございます。
 県といたしましては、がん医療の均てん化という基本的な考え方のもとに、相談員の育成、確保、がんに関する知識や治療方法などの普及啓発、さらには精神心理的なサポートも含めた相談支援など、がん患者とその家族を支える取り組みの充実強化が必要であると考えております。
 また、各相談支援センターにおけます相談内容を見ますと、がん治療に関することはもちろんでございますけれども、経済的な課題や、あるいは仕事の不安など多岐にわたっておりまして、さまざまな分野に関する相談をワンストップ的に提供していくことが現在求められております。したがいまして、委員御指摘の地域統括相談支援センターの設置に当たりましては、これらの機能をどのように今後備えていくかということを具体的に検討する必要がございます。他県の先行事例や医療関係者、がん患者、家族会からの御意見、あるいはがん対策推進協議会での御審議なども踏まえながら、できる限り早期の設置に向けて努めてまいりたいと考えております。
 次に、がん患者、家族会の活動への支援についてでありますけれども、県はこれまで、がん医療や家族会設立などに関する情報提供を初め、患者、家族会のがん対策推進協議会への参画、パンフレットによる活動内容の紹介などの支援を行ってきたところでございます。また、次期がん対策推進計画におきましては、新たに患者会活動の充実を主要な施策の一つとして位置づけまして、ホームページを活用した活動紹介、就労などの社会的な問題を初めさまざまな分野の相談に対応するための関係機関との連携強化など、さらなる支援を盛り込むことといたしております。
 次に、医療情報のデータベース化と、その活用、拡充についてでありますけれども、県では、がん登録や国のがん統計情報を活用することによりまして、がんに関する症例などの統計データの蓄積を図りながら、県のホームページ等を通じ、医療関係者や県民に情報提供を行っているところであります。次期がん対策推進計画におきましても、がん登録の精度の向上や登録数の増加などの取り組みを施策として盛り込みながら、さらなる充実と活用を図ろうとしているところでございます。
 まとめ的なお話になりますが、県といたしましては、引き続きがん診療連携拠点病院が行いますがん登録などの取り組みを支援いたしますほか、医療関係者やがん患者、家族会との意見交換などをさらに充実して実施していくこととしておりまして、平成25年度の関係予算総額といたしましては1億6、300万円余の所要額を計上しているところでございます。
 今後とも、県民一人一人ががんに関して正しい知識を持ち、安心、納得できる医療が得られますよう、官民一体となりまして計画の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 がんは最大の死亡原因であります。一昨年は高橋元委員長が岩手の患者会とともに、昨年は私と岩手の患者会が参加しました国、県、自治体、がん患者、医療機関などが参加したがんサミットが東京で開催され、大変有意義でありました。残念ながら岩手県は参加しておりませんでしたけれども、こうした機会も含め広く情報収集を行いながら、きめ細かいがん撲滅の施策をこれからも一層推進していただきたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、生活保護者、生活弱者対策についてお伺いします。
 本県の生活保護世帯は、厚生労働省福祉行政報告例によると、平成23年には1万475世帯、保護世帯人数は1万4、849人で、県民人口に対する被保護実人員の割合は1.13%、全国29番目の高さであります。政府は、平成25年度当初予算案において、生活扶助基準を見直し3年間で総額670億円を削減するとし、これによれば、削減率は平均6.5%、最大で10%、受給額が減る世帯は96%に上ると言われています。
 生活保護については、不正受給や生活保護のはざまで孤独死や、受給が困難、給付水準や就労による所得により支給減額など自立意欲が喚起しがたいこと、このほど増員が報道されましたがケースワーカーの不足など、生活保護制度の運用や課題も指摘されています。本県でも、東日本大震災津波の被災生活保護世帯の自立のため、生活保護給付事務費、生活保護受給者就労支援事業費補助、被災生活保護受給者生活再建サポート事業費補助などが予算要求されていますが、本県の生活保護や働いている被保護世帯の実態、これらの事業費補助等の成果と課題についてお伺いします。
 北海道の釧路市では、いきなり就労を求めるのではなく、まず日常生活の自立、次に社会生活の自立、その上で就労自立と、一つずつステップを踏み、平成23年度にはさまざまな自立支援プログラムに約5、000人近い受給者が参加し、最終的に46人が就労自立し、本格的展開を始めた平成18年度以降、累計では200人を超えたということです。働いている被保護世帯の割合は平成23年11月末時点で18.7%と、モデル事業開始前に比較し3.4%高くなったとのことです。
 このような事例を収集し、福祉関係事業所やNPO団体等と連携して、段階的な取り組みにより保護者の生活実態に合わせ自立を促していくことが望まれますが、御所見をお伺いします。
〇千葉副知事 まず、生活保護の実態と各種事業成果、課題についてでありますけれども、本県の被保護世帯数は、東日本大震災津波の影響によりまして沿岸部で減少しておりましたが、平成24年4月以降は沿岸部、内陸部とも横ばいで推移しておりまして、平成25年1月時点では沿岸部で2、266世帯、内陸部で8、261世帯の計1万527世帯で、1万4、631人が受給対象となっております。このうち、就労している者がいる被災被保護世帯でありますが、平成25年1月現在で1、954世帯、被保護世帯全体の18.6%となっております。
 生活保護世帯に対する就労支援等の業務は、町村部は県の広域振興局の生活保護担当部署が、市部は市の福祉事務所が保護の実施機関として担当しているところでございますけれども、本年度におきましては、県では、町村部を対象といたしまして、生活保護給付事務費により被保護者の自立助長を図るため4カ所の実施機関に非常勤の生活保護就労支援相談員計5人を配置いたしますとともに、被災した生活保護受給者の日常生活全般にわたる支援を行うため、沿岸部の実施機関3カ所に非常勤の生活保護生活再建支援相談員計4人を配置しているところでございます。
 また、市部におきましては、生活保護受給者就労支援事業費補助によりまして、9市において生活保護就労支援相談員計17人が配置されておりますとともに、1市においては職場体験等の事業が実施されておりますほか、被災生活保護受給者生活再建サポート事業費補助によりまして、沿岸部の2市におきまして生活保護生活再建支援相談員計2名が配置されているところでございます。
 県内では、これらの支援相談員等によります自立支援に向けた取り組みといたしまして、就労可能と判断される被保護者に対して、ハローワークへの同行訪問や履歴書の作成、面接指導等のきめ細やかな就労支援や相談を行っております。昨年は、県全体で223人の被保護者が新たに就職するなどの成果も上げているところでございます。
 一方、日常生活の訓練や、あるいは働くことへの動機づけを要するなど直ちに一般の就労を目指すことが困難な被保護者が多いということが県内共通の課題ともなっておりまして、来年度におきましては、就労支援相談員の増員を図るなど、支援体制の強化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、段階的な就労支援によります自立促進についてでございますが、今、お答え申し上げましたお話に続くわけでございますけれども、本県では、福祉事務所等の保護の実施機関におきまして、早期の就労に結びつきがたい被保護者も含めまして、個々に必要な就労支援の具体的内容や実施手順等を内容とします就労支援プログラムの実施に取り組んでおりまして、一般の就労が可能な方には、各保護実施機関とハローワークが連携いたしまして生活保護受給者等の支給対象者、事業目標等を盛り込んだ協定を締結し、企業へのあっせんなどの支援を行っているところでございます。
 ただいま委員から御紹介のございました釧路市の事例でございますが、国のセーフティネット支援対策等事業費補助金を活用したモデル事業として開始された取り組みが現在まで継続して発展的に展開されてきているものと伺っております。同市におけます実践は、直ちに一般就労を目指すことが困難な方に就労準備のための支援や社会的自立に向けた中間的就労の場を提供するなど、段階的な就労支援を行う釧路モデルとして全国的に高く評価されているものとうかがっているところでございます。
 本県におきましても、国庫補助事業等を活用いたしまして、直ちに就労を目指すことが困難な被保護者に対しましては、県と市の5カ所の実施機関におきまして、就業体験やボランティア活動の場の提供のほか、社会福祉法人やNPO、第三セクター、一般企業等の御協力をいただいて職場適応訓練事業を実施するなど、就労準備のための支援を含めた段階的な支援に現在取り組んでいるところでございます。
 県といたしましては、来年度も国庫補助事業等の継続的な導入を図ることとしておりまして、各実施機関に対し、例えば釧路市など全国の先進事例や県内での取り組み事例などを積極的に紹介いたしますとともに、福祉関係事務所やNPO団体等との連携を促進し、被保護者の生活実態に応じました就労支援が一層拡充されるように努めてまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 少し古い資料でありますけれども、2007年の厚生労働省の生活扶助基準に関する検討会第1回資料によれば、生活保護を受ける水準の家庭が実に六、七%あるということでありまして、これは、現在の受給者が約200万人、最大の7%ということになりますと700万人に相当すると言われています。それから、この3月に、総務省の発表によれば雇用期間が定まっている有期雇用者が1、410万人もいるということで、年金無加入者や低年金受給者の増加など、今後、生活保護世帯が増加する懸念もありますので、しっかりと生活弱者対策に取り組んでいっていただきたいと思います。
 次に、電力料金の値上げについてお伺いします。
 東北電力は、去る2月14日に平成26年7月1日から家庭向け11.4%の値上げを政府に申請し、政府認可が不要な企業向けは平均17.74%の電気料金の値上げを発表いたしました。安定的な電力供給のためには電力会社の経営安定は重要であり、東北電力は、化石燃料の使用量の増加や円安下の輸入価格の上昇、原発への安全基準への対応などのコストアップ、他方、電力需要減少による収入減少に対応して、人件費や広告宣伝費などのコスト圧縮などを図っても電気料金の値上げは不可欠としております。負担の公平のため、被災地や被災住民、企業などへの例外や緩和措置はないとのことです。
 一方、せっかく国や県、市町村の支援を受け、あるいは自力で工場や商店を再建しても、販路や売り上げも回復していない事業所が多く、計画どおりの値上げが実施されますと、水産業には欠かせない冷蔵冷凍関係会社なども含め、事業再建や復興に大きな影響を及ぼすと思われます。また、生活を切り詰めている被災住民は、電気料金の値上げは、現下の灯油、ガソリン、これからの消費税増税や物価の値上げは大変な負担となります。
 県では、特に影響の大きい業界、分野はどこか、また、その影響についてどのように認識しているかお伺いします。
 エネルギーを安定的、低廉なコストで供給すること、被災地復興は国策にかかわることであり、県では、2月22日、国に対し、電力料金値上げに対し、被災地の復興支援の観点から要望を行ったと聞いておりますが、どのような内容でどのような結果であったのか。今後、福島県、宮城県と連携も必要と思いますが、どのように対応していくのかお伺いします。
 夏には冷房も必要となる観光業や商業なども含め、大きなマイナスからのスタートに立っている被災地の産業復興、事業再建計画の見直しや、経営や省エネ対策支援など、県では今後どのように対応しようとしているのかお伺いします。
〇上野副知事 まず、電力料金の値上げの影響についてでございますが、今般、東北電力が公表いたしました電力料金の値上げは、企業向けについて平成25年7月1日から17.74%値上げをしたいとするものでございまして、影響の大きな分野は、昼夜を通じて連続操業されている電気、半導体製造や冷凍冷蔵庫を使用されている食品加工などと考えられるところでございます。この電力料金の値上げは、被災した企業の事業活動、ひいては雇用に影響が懸念されるものでございまして、被災地の早期復興や復興を牽引する誘致企業の操業にも影響を及ぼすおそれがあるものと考えているところでございます。
 次に、これに関する国への要望などについてでございますが、先日、東北電力の電力料金値上げに伴う本県への影響について国に御説明するとともに、被災地である本県の事情を考慮した施策について国に要望したところでございます。国といたしましては、安倍総理大臣も国会で御答弁をされているとおり、電気の供給に係るコストは電気の利用者が負担するのが原則でありまして、国民の負担で直接的に何らかの補助をするということは考えていないという趣旨のお話があったところでございます。
 県といたしましては、引き続き本県の事情について国に説明し、必要な対策を求めていくこととしております。あわせまして、料金値上げに係る厳正な審査や合理的なコストでの電力安定供給などとともに、被災地であります本県の現状に鑑み、値上げによる影響を緩和するような各種支援策について検討し、国に対して要望してまいります。
 また、今後の県の対応についてでありますが、中小企業者等への影響につきまして、商工団体等と連携し把握に努め、経営相談や金融相談のほか、国の省エネルギー設備の導入に係る支援の活用など、影響を軽減する施策について検討してまいります。
〇喜多正敏委員 これから頑張ろうというとき、1本の矢も放てずに矢折れ尽きてばたっといかないように、ぜひ国のほうには強力に被災3県で連携して要望していっていただきたいと思います。
 販路拡大についてお伺いします。
 東アジア輸出戦略展開事業費やいわて農林水産ブランド輸出促進事業費など海外販路拡大事業が提案されています。今は難しい問題を抱えていますが、巨大市場である中国では、商品のコピーや地名、ブランド、商標などの不適切と思われる登録や使用が問題となっております。岩手の名称が漢字の名称に図形も含まれた商標が中国企業によって登録されていると聞いており、このほか、二戸市の酒造メーカー南部美人が社名や銘柄名、南部鐵器の商標登録が申請され問題となり、本県県議会でも、南部鉄器も含め商標登録や商標権などについて質疑が交わされました。
 そこでお伺いします。岩手の地名や産地、商品、ブランドについて、その後の経過や、新たなこうした問題がないか、また、本県農林水産品や県産品のブランドを守るため、情報収集も重要ですが、申請や登録されてからでは遅いので、先願制度に対応した申請の支援、官民一体となった取り組み体制などの一層の強化が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 国内外で物産展、商談会が開催されておりますが、この2月にアピオで被災地も含めた県下の菓子製造店や福祉団体、ホテル、学校など62店が出展したいわてS-1スイーツフェアが開催され、高速道路もとまる悪天候の中で2万2、000人もの来場者がありました。販路拡大は継続して取り組む必要があり、大館市のアメッコ市なども参考として、市町村にも応分の負担を求めながらこのフェアを継続し、圏域や県内にとどまっている来場者の拡大、冬季観光や新商品開発を促し、被災地も含めた地場産業の振興に資するべきと思いますが、この催事の評価と御所見をお伺いします。
〇上野副知事 まず、岩手関係の商標権などの保護の取り組みについてでございますが、中国などの海外事業展開におきまして、本県のブランドを守るためには、商標や意匠といった知的財産を権利化し、十分管理することが重要と考えております。県といたしましては、第1に、ジェトロのセミナーのあっせんや各種情報提供など知的財産権の保護に関する啓発、第2に、岩手県知財総合支援窓口での個別相談の対応などに加え、第3に、平成21年度から外国への商標出願等に関する手数料や代理人費用等の補助を実施し、海外での商標等の登録申請を支援しているところでございます。
 一方で、本県を代表するブランド産品でございます南部鉄器につきましては、平成19年に中国で商標登録申請され、登録の可否をめぐり関係者で現在も係争中であるほか、中国国内での模造品の流通が確認されております。また、平成22年には、大連経済事務所の調査により、中国における岩手の地名の商標登録申請が確認されたことから、県が中国商標局に異議申し立てを行い、現在、審査中でございます。
 このことから、商標等の登録の促進を行うとともに、大連経済事務所やジェトロ、農林水産知的財産保護コンソーシアムなどの関係機関、海外事業を展開している事業者などとより密接に連携し、不適切な商標使用や模造品流通を監視の上、必要な場合は適切な対抗措置を講ずるなど、官民連携した取り組みを進めてまいります。
 次に、いわてS-1スイーツフェアの成果についてでございますが、S-1スイーツフェアにつきましては、盛岡広域管内市町村など44団体による実行委員会の冬の盛岡・八幡平誘客促進キャンペーンの一環といたしまして、盛岡広域圏を中心といたしましたスイーツ、おやつなどの食文化の魅力を県内外に発信し、冬季における広域圏内への観光客等の誘客を促進することにより、広域圏全体の観光振興及び地域活性化につなげる目的で開催されたものでございます。入場者数は、委員御案内のとおり、2日間で2万1、900人、また、全体販売額は約1、100万円になっているところでございます。
 また、アンケートによると県内来場者が大半を占めてはおりますが、今後は、仙台市や八戸市、首都圏でのPRキャラバンや大手旅行会社による旅行商品の造成の取り組みを強化し、県外からの来場者も拡大させていく必要があると考えております。
 このS-1スイーツフェアは、冬季としては大きな集客をおさめまして、販売額や出展者の声も踏まえると一定の成果が認められるものと考えております。今後につきましては、このフェアを新商品開発の契機とするとともに、被災地も含めた事業者出展により、本県地場産業の振興に資するこの地域の集客効果の高い冬季イベントといたしまして継続開催されるよう、関係市町村や団体と連携しながら県としても支援してまいります。
〇喜多正敏委員 ぜひイベントは継続して、販売なくして事業なしでありますので。
 それから、商標、意匠でありますけれども、千葉県の千葉とか成田というのがもう登録されている。それから、中国企業の出願においては、南部鐡器のほか、米沢織とか米沢牛とかあるわけであります。出されてから対応するということになると非常にコストもかかりますしなかなか期間もかかると。むしろこうしたことには攻撃的にこちらのほうから先願をするというようなことが大事ではないかと思うわけであります。遠野なんていうのは極めて観光客にも人気がある、そういうスポットが遠野ということで登録されるとこれは使えなくなるわけであります。それから、いわて牛もしかりであります。したがいまして、支援措置を講ずるのは当然でありますけれども、むしろ戦略的に先願をするというようなことが必要ではないか。
 昔、ジャスコという量販店が開店間際に、ジャスコが商標登録されていまして開店ができなくなった。それを当時800万円のお金で商標を買い取ったということなんです。1字200万円だと。したがいまして、むしろそういうようなことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇上野副知事 岩手県内の企業、事業者の方々が中国など海外で事業を展開されるに当たりましては、商標権などの保護というのは非常に重要なポイントでございますので、今おっしゃいましたことも含めまして、岩手県のいろいろな産品をどういった形で守っていけるのか、法的な措置がどういうふうにとれるのか、積極的にあらかじめどういった手段がとれるのか、こういうことにつきましても十分勉強して検討してまいりたいと思います。
〇喜多正敏委員 よろしくお願いします。
 最後であります。
 次に、医療機関における消費税負担についてお伺いします。
 県立病院事業の本業の経営状況を示す医業収益から医業費用を引いたいわゆる医業収支状況を見ると、平成21年度は60億9、300万円余の赤字、平成23年度は47億6、100万円余の赤字となっており、平成25年度当初予算においても59億3、600万円余の赤字を見込んでいます。
 ところで、医療機関においては、主たる収益となる診療報酬は消費税法上非課税の扱いとされ、このため、医療品や診療材料、医療機器や経費等の支出において医療機関が支払った消費税は患者に転嫁できず、そのまま費用がかさむ状況になっています。日本医師会の資料によると、厚生労働省はこの問題に対応するためとして、消費税を導入した平成元年に0.76%、5%にアップした平成9年に0.77%、合わせて1.53%を引き上げていますが、この改定による上乗せは36項目のみで、患者や保険者でも不公平であり、医療機関によりコスト構造は異なり、仕入れにかかった消費税もかなり差があることから、医療機関の間でも不公平があると指摘しています。このほかにも、その後、診療報酬のマイナス改定でその分は既になくなったという指摘もあります。
 県立や市町村立の自治体病院は、全国自治体病院協議会などを通じて消費税問題の改善を国に要望していると聞いていますが、県医師会や県内医療機関における消費税負担や国への要望などに関する動向について、県が把握している場合はその状況についてお示しください。
 県立病院において、平成25年度の当初予算において消費税が幾ら発生し、診療報酬の引き上げ相当や繰入金などを加味してもなお最終的に幾ら負担していると考えられるか。消費税が課税されてからの負担総額と、消費税負担がなかった場合、累積欠損は幾らになるか、経営改善効果についてお伺いします。
 さらに、消費税は、経済状況によっては平成26年4月に8%、平成27年10月には10%へと増税されますが、増税された場合の県立病院の増加する消費税額、病院経営への影響をお伺いします。
 県では、現在、次期保健医療計画を策定するとともに、医療機関の震災からの復興を進めているところであり、今後、県内医療体制を再生していく上で、被災地医療機関再建の設備投資に係る控除対象外消費税の是正や特別措置を求めること、8%への増税を控え、地域医療を守るために国に対して損税として申告還付させるなど、患者の負担をふやすのではなく、こうした医療機関の負担解消のための措置を講じるよう働きかけを強化すべきではないかと思いますが、知事の御所見をお伺いします。
〇達増知事 消費税問題改善に係る国への要望についてでありますが、国においては、税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置として、医療機関等における高額の投資に係る消費税の負担に関し、新たに一定の基準に該当するものに対し区分して措置を講ずることを検討することや、医療機関等の消費税の負担について、厚生労働省において定期的に検証を行う場を設けることとするとともに、医療に係る消費税の課税のあり方については引き続き検討することとしています。
 県としては、医療機関に対する消費税制度の見直しについては、国民が将来にわたって安心できる医療制度を確立するためにも重要な課題であると認識しておりまして、昨年11月、全国知事会を通じ、全国自治体病院協議会等9団体と共同で国に対して税制の抜本改正を求めたところであり、今後の国の動向を注視していくとともに、被災地の医療機関の復興や地域医療の確保の妨げとならないよう、制度の見直しや手厚い支援を求めてまいります。
〇千葉副知事 まず、消費税問題に係る県内の医療団体の動向についてでございますけれども、県医師会や県内医療機関におきましては、この問題につきましての勉強会などは行っておりますものの、委員御指摘の全国自治体病院協議会や日本医師会を通じた要望以外には県レベルの要望は行っていないと承知しているところでございます。
 なお、県医師会の会員医療機関からは、消費税負担による経営への影響を懸念する声もあると承知しております。
 次に、県立病院の消費税負担額と経営に与える影響についてでありますが、平成25年度県立病院等事業会計当初予算におきましては消費税負担額が18億円余発生すると見込まれておりまして、これに対して、過去の消費税に対応した診療報酬の引き上げ等によって補填されたと推計される額が約15億円でございまして、最終的には3億円余の負担が見込まれるものと承知しております。
 また、消費税が導入されました平成元年度から平成23年度までの間の消費税負担額は、総額が412億円余であるのに対しまして、診療報酬の引き上げ等によって補填されたと推計する額が約273億円でありまして、その差は139億円余に及んでおります。したがいまして、仮にこの139億円余の負担がなかったとした場合ではありますけれども、平成23年度末の累積欠損金205億円余は65億円程度まで下がるものと見込まれるところであります。
 次に、消費税率が引き上げられた場合の影響についてでありますけれども、平成23年度の決算数値をもとに、診療報酬の引き上げ等は現行スキームのままとしての前提で試算いたしますと、最終的な消費税負担額は、消費税率5%において3億円余となっておりますものが、消費税率8%の場合は約6億円増加して10億円余、10%の場合では約11億円増加いたしまして15億円余となる見込みであると見込んでいるところでございます。
〇喜多正敏委員 消費税問題については、以前にも県議会で質疑が交わされました。私は、一生懸命医療局、県御当局が地域医療を守るため頑張っているものが、こうした制度上の欠陥といいますか不備によって、我々の血税が無駄にというか、それは国庫に回って何かに使われているかもしれませんが、こういうことに使われているということは、やっぱり県民が広く知るべきであると思います。
 決算書は法定で決まっていますから決算書にはなかなか書くことはできないのでありますけれども、附属資料とか、あるいはインターネット等で、やっぱりこうしたことは理解を求めることが適正な医療提供に結びつくのではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
〇千葉副知事 今、委員御指摘のとおりでございまして、消費税の負担は経営収支に大きく影響を及ぼしますし、また、今後、税率の引き上げも見込まれておりますことから、来年度、医療局で策定が本格化いたします次期経営計画のさまざまな説明の場において、あるいは病院等の運営協議会等における住民の方々との懇談の場等もございますが、そういうさまざまな場においてきちんとこういうことについても御説明申し上げ、また、今、御提案ありましたが、ホームページ等も活用して、さまざまな機会を捉えてこの状況については県民の皆様にこの実態をお示ししていく必要があるものと考えております。
〇喜多正敏委員 お医者様も看護師も足りない、医療現場では大変な労働環境で頑張っているわけであります。こうしたお金があれば本当に県民のためになると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。御丁寧な御答弁ありがとうございました。
 引き続き後藤完委員にバトンタッチしたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。
〇高橋元委員長 次に、後藤完委員。
   〔後藤完委員質問者席に着く〕
〇後藤完委員 引き続き質問させていただきます。
 一般質問を初め重複する項目が多々あると思います。できるだけ手短に質問させていただきますので、優しい御答弁をいただければありがたいと思います。
 まず、県債の発行と今後の償還の見通しについてお伺いいたします。
 今般の平成25年度一般会計当初予算におきましては、県の復興計画における基盤復興期間3カ年の最終年度として、復興の取り組みを加速させていくための予算として編成されたところであります。そして、発災以降これまでに震災対応予算として1兆3、000億円余りを措置されているところでありますが、平成25年度におきましても多額の財源が必要とされているところであります。国からの多大な支援が必要とされているところでもあります。
 今、国家公務員と同様の給与の削減を地方公務員においても実施されることを前提といたしまして地方交付税の減額を余儀なくされていることと、過去に発行いたしました県債の償還がここ数年にかけましてピークに達する、そういうことを考えた場合、これまでにも増して厳しい財政運営を強いられることが予想されるものであります。
 しかしながら、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けて全力で取り組んでいかなければならないところであります。当初予算におきましては1兆1、517億円余となり、対前年比3%増となっているところであります。このうち震災対応分は5、161億円とされ、おおむね45%を占めるところであります。これに対し、依存財源は、県債発行額や地方交付税の減少などにより対前年比5%減となる見込みになっております。平成25年度県債発行予定額785億円は、前年当初と比較いたしまして11.6%の減となっているものの、平成25年度全体の県債発行予定額は822億円超となっているところであります。
 地財計画の地方債依存度は13.6%となっております。平成25年度県債依存度は12.4%であります。財政構造の健全性につきまして、過去に用いられていた公債費比率では、10%を超えないことが望ましい、20%を超えると危険信号と一般的には言われておりましたが、現在用いられている地方財政健全化法に基づく本県の実質公債費比率の状況といたしまして、これをどのようにお考えかお伺いいたします。
 この間、震災対応でやむを得ない状況とは思いますが、今後の県債の償還ピークもあわせ、どのような償還の計画となっているのか見通しをお示しいただきたいと思います。
〇加藤総務部長 実質公債費比率に関する認識と県債償還の見通しでございます。
 本県の実質公債費比率は県債の償還の増等に伴いまして年々上昇しておりまして、平成23年度決算では17.6%となっております。県債の償還の増は平成26年度、平成27年度ごろのピークまで続きますことから、来年度算定いたします平成24年度決算の比率、この数値におきましても上昇し、18%台となる見込みでございます。実質公債費比率が18%以上となった場合には、起債に当たりまして総務省の許可を要することとなり、公債費負担適正化計画を策定し、この計画に基づき、公債費を適正に管理していく必要が生じます。
 今後、公債費は平成26、平成27年度のピーク時で1、300億円台半ばになるものと見込んでおりますが、この増に対しましては、基本的には県債管理基金の取り崩しで対応する、やりくりする見通しでございます。これに加えまして、不断の事業見直しによります歳出削減やさらなる財源確保など、さまざまな方策を講じることによりまして償還財源を確保していく必要があるものと認識しております。
〇後藤完委員 いずれまだ余裕があるといたしましても、そういう想定をした中での償還計画あるいは県債の発行に十分な努力をしていただきたいと思います。
 次に、農業者戸別所得補償制度の組みかえについてお伺いします。
 販売価格が生産費を下回る米を初めとする品目の生産を支援する農業者戸別所得補償制度は、2013年産は経営所得安定対策と名称を変えて継続実施される見通しと言われております。対象作物や交付単価の基本的な枠組みは変わらないとされておりますけれども、加算措置など一部移行統合され、2014年産からの導入に向けて多面的機能を評価する日本型直接支払いと、新たな経営安定制度を中心とした担い手統合支援の検討が始められていると聞いているところであります。
 特にも、米の生産数量目標に従って生産を行う農業者に10アール当たり1万5、000円を交付する米の直接支払交付金や、米の販売価格が標準的な販売価格を下回った場合に支払われる米価変動補填交付金などは従来の枠組みどおりとされております。しかし、産地資金は、地域の実情に合わせて都道府県の判断で対象作物と交付単価を決定するとされております。このことから、名称変更に伴い制度の内容がどのように変わるのか、現時点で理解している部分についてお伺いしたいと思います。
 基幹政策の見直しは、農業者や集落営農への影響が大きいと見られます。農業者にわかりやすい制度が望まれるところでございますが、県としてはどのような制度を求め、どのようにして農業者に示していかれるのかあわせてお伺いいたします。
〇上野副知事 農業者戸別所得補償制度についてでございますが、この制度は、平成25年度は経営所得安定対策として同様の内容で継続されると聞いておりまして、現時点で把握している情報は、市町村や農業協同組合などの関係機関を通じまして農業者の方々へ周知をしているところでございます。
 平成26年度以降につきましては、本年1月に農林水産省内に設置されました攻めの農林水産業推進本部におきまして制度の検討開始をされておりますが、国は、現時点では新たな制度の内容については明らかにされておりません。
 県といたしましては、国の制度検討の動きを注視し、情報入手に努めながら、必要に応じて本県の実情等も伝え、生産者の方々が展望を持って農業に取り組むことができる制度となるよう国に求めていくとともに、新たな制度の内容が明らかになり次第、関係機関と連携してしっかり農業者の方々へ周知をしていく考えでございます。
〇後藤完委員 それでは、次に、大気汚染によるモニタリングと今後の対応についてお伺いいたします。
 今、大気汚染が深刻な中国から日本に大量に飛来しております微小粒子状物質PM2.5に対応するため、環境省が今般、専門家会合を設置いたしまして検討に入ったと聞いております。環境基準の倍近い数値が出た地域があるとの発表をいたしたところでもあります。そして、健康に何らかの影響が生じている可能性があるとの懸念を示しているところでもあります。高濃度になった場合、市民に対して外出自粛などの注意喚起をすることを視野に暫定的な指針づくりを目指すとの方針が出されたところでもございますが、呼吸器や循環器に持病のある方に影響が及ぶとの見方も出ているところであります。
 県としても大気汚染によるモニタリング調査を実施しているとは思いますが、十分な配慮を必要とする県民との情報共有について今後どのようにお考えなのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 大気汚染への対応についてでございますけれども、大気の汚染状況につきましては、大気汚染防止法に基づきまして常時監視しておりまして、PM2.5につきましては、本県におきますと国、県、盛岡市が計10地点で測定を行っておりまして、このうち県が実施しております7地点につきましてはリアルタイムで結果を公表しているところでございます。
 昨年までのPM2.5の測定結果でございますが、これは国が定める環境基準に適合しておるところでございます。この環境基準と申しますのは、ちょっと専門的なお話になりますが、1日平均値で1立方メートル当たり35マイクログラム以下かつ1年平均値で15マイクログラム─1立米でございますが─以下というのが環境基準になっておりますけれども、これに適合しておりまして、上昇傾向は見られていないところでございますけれども、今後、本県におきましても汚染物質の飛来が懸念されますことから、県民への迅速な情報提供と注意喚起が行われるよう監視を継続してまいりたいと考えております。
 なお、この環境基準をもとに、住民に外出自粛などの注意換気を行います暫定指針というのが示されております。これは、複数の箇所で早朝の1時間の濃度が同じく1立米当たり85マイクログラムを超える場合でございますが、これは、基本的にはその日の平均濃度が1立米当たり70マイクログラムを超えるということを早朝ベースで整理したものでございますけれども、この早朝の1時間当たりの濃度が85マイクログラムを超える場合に外出自粛などの注意喚起を行うことになっておりますが、これについて、運用に関する詳細がまだ示されていないところでございます。
 先日、熊本県ではこの外出自粛が出されたところでございますけれども、実は昨日、国と都道府県との連絡会議が開催されまして、その具体的な運用に関して説明がなかったと。例えば、先ほど申しました複数の箇所で測定というのは何カ所か、そういうような具体的な都道府県等からの質問に対して国から御回答が示されないという状況でございましたので、県といたしましては、この具体的な運用の明確化につきまして要望していきたいと考えているところでございます。
〇後藤完委員 黄砂なんかも含めまして大変な状況になってきている。健常者につきましてはまあいいとしても、やっぱり呼吸器あるいは循環器に支障のある方々に対しての配慮というのが大事ではないかと思います。したがって、医療機関なり、あるいは各市町村に情報提供を早くできるようなシステムをつくっていただければありがたいと思います。
 次に、松くい虫防止対策についてお伺いしたいところでありますが、一般質問でも出てまいりましたので、簡単に質問させていただきます。
 いろいろと盛岡市あるいは滝沢村を初めとした北上を阻止するという状況で進められております。被害は12市町村に発生しておりまして、2012年9月末現在で2万8、108立米、対前年比17%の増加と言われております。天候不順等いろいろな問題があるとは思いますが、被害木の増加が懸念されているところでございます。今後は、どのような対策をもって被害の北上を阻止していただけるのか、そしてまた、被害木の駆除に当たりまして、感染のおそれのあるものも含めまして、現在までの目標に対する実績はどの程度になっているか、それだけお示しいただきたいと思います。
〇上野副知事 松くい虫被害防止施策についてでありますが、本県では、毎年度、松くい虫被害対策実施方針を定めまして、被害の北上阻止と重要松林の保全を重点に計画的駆除を行うなど、各般の松くい虫被害対策に取り組んでおります。平成23年度の被害量に対する駆除実績は、被害量約3万9、000立方メートルに対しまして駆除量は約2万立方メートルで、52%の駆除率でございます。平成25年度は、これまでの防除事業に加えまして、感染が疑われる松も含め被害木の徹底駆除を行う事業を実施するとともに、内陸部の被害先端地域の盛岡市、矢巾町、紫波町を農林水産大臣の駆除命令区域に設定するよう国に要望するなど、関係市町と連携しながら、できる限りの対策を講じて被害の北上阻止に努めてまいります。
〇後藤完委員 時間がございませんので、急ぎます。
 次に、放射性物質汚染対策につきまして、予算措置の見通しについてお聞きしたいと思います。
 東日本大震災津波の原子力発電所事故で発生しました放射性物質汚染は、県民生活の安全を脅かす重大な問題として波及し、いまだ解決の見えない不透明な状況にあります。本県におきましても粗飼料や稲わら等から放射性物質が検出され、農林水産業や製造業等への影響や、あるいは健康被害など、県民生活の環境への影響がさまざまな風評被害とあわせ、懸念されているところであります。
 農畜産物につきましては、出荷停止等の直接の被害はもとより、牧草等からの放射性物質検出に伴う代替粗飼料の購入に要する費用や風評被害に対しましても、被害の実態を踏まえ、生産者支援、対策を確実に実施することが今後の再生産あるいは農業経営の再開、継続に向け大きな役割を持つと思いますが、現行の予算措置で十分と考えられるのか、今後の見通しについてお伺いいたします。
 あわせて、粗飼料生産基盤の除染対策についてお伺いします。
 岩手県においては、自給粗飼料の生産性向上に向け、放射性物質被害畜産総合対策事業を拡充して、牧草地の除染など総合的な放射線対策を実施すると聞いております。特に牧草地の除染につきましては、今年度の除染を通じた課題等を踏まえ牧草地除染マニュアルを策定し、既に現地において関係者や生産者に対しその内容を説明しているところと伺っております。
 現在、本県におきましても反転耕等による除染対策を進めているところではございますが、石れき等が多い牧草地などで除染効果が十分に見られていない箇所が見受けられるところであります。除染後の牧草の検査結果において再除染が必要とされる牧草地につきましては県は今後どのような対応をしていかれるのか、また、今後の助成を含めてお伺いいたします。
〇上野副知事 まず、放射性物質汚染対策に係る予算措置の見通しについてでありますが、放射性物質の影響対策は、品目により異なる被害の実態を十分に踏まえた上で対策を講じていくことが重要と考えております。平成25年度におきましては、畜産関係では、代替粗飼料の安定供給を確保した上で、一部の耕起不能箇所を除き、平成25年度中に牧草地の除染を完了するよう、また、原木シイタケ関係では、ほだ木の更新やほだ場の環境整備、人工ほだ場等のモデル的な整備を支援するなど、生産再開に向けた取り組みが進展するよう予算を計上したところでございます。これらとあわせまして、農林水産物の共通した課題でございます風評被害の解消に向けた取り組みについても、今年度に引き続き、消費者の信頼回復や販路の回復、拡大を図っていくための予算を盛り込んでございます。このような対策を着実に進めながら、今後の状況の変化により、さらなる取り組みが必要な場合は随時予算を確保し、対策を講じていく考えでございます。
 次に、粗飼料生産基盤の除染対策についてでありますが、今年度実施いたしました牧草地の除染後の効果測定の結果、2回目の除染が必要な牧草地は約6%程度確認されておりまして、県では、除染プロジェクトチームを設置いたしまして、暫定許容値を超過した原因と今後の対策等について検討してまいりました。
 2回目の除染は、ロータリー耕による複数回の攪拌作業とカリウム増強肥料の散布を基本といたしまして、石れきの多寡や前植生の残存等の状況に応じまして重機を活用した除れきなどの対策を講ずることとしておりまして、所要の経費につきましては今年度と同様に県が負担するということにいたしておりまして、平成25年度の当初予算に盛り込んでございます。
〇後藤完委員 今、再除染に向かって進めているところでございますけれども、まだ放射性物質が検出される。終わってもされております。そういうところがございます。恐らくは、再々除染も必要になってくるのではないかと思っておりまして、特にも県南地域はそういうところが多く、今いろいろと農業者の皆さんに言われています。単なる反転耕だけでいいのかどうかということも踏まえて、さらなる除染対策としての御検討をお願い申し上げたいと思います。
 次に、私立高等学校の授業料の減免措置についてお伺いいたします。
 高等学校等就学支援金制度は実施から3年目を迎えておりますが、私学の生徒の経済的負担の軽減にとって大きな支援となっているところであります。しかしながら、授業料が無償となっている公立に比べますと、その負担の格差は依然として大きいものがあります。県として、就学支援金の増額や加算対象者の所得基準額の引き上げ等により、公立、私学の格差を解消されるような対応を検討しておられるのでしょうか。
 あわせて、学校施設整備においても、助成措置が難しいとされるのであれば、融資制度を効率的に活用できる手法はないものでしょうか。公立校に比べて、はるかに財政的基盤の脆弱な私学に対する助成措置の充実が必要と思われますが、どのようにお考えかお伺いします。
 そして、それぞれの学校においては、生徒のニーズの多様化や生涯学習社会を展望した特色のある学校づくりを目指しております。特色ある学校づくり推進に対して、どのような支援をされていかれるのかお伺いをいたします。
〇加藤総務部長 私立高等学校への助成についてのお尋ねでございます。
 まず、就学支援金の増額や加算対象者の所得基準額の引き上げ等についてでございますが、私立高校全日制の授業料は学校法人が独自に定めておりますが、平成24年度平均で申し上げますと、月額1万8、135円となっております。高校無償化法の規定によりまして、公立高校の授業料と同額の、月額9、900円が高等学校等就学支援金として支給され、これに加えまして、低所得世帯につきましては、就学支援金が加算されて支給されているところでございます。さらに、この就学支援金制度を補完するものとして、県では授業料減免補助を行っておりまして、県内私立高校の平均授業料を基準とした場合には、低所得世帯の負担はほぼ解消されているものと見ております。
 現在、国におきましては、就学支援金に所得制限を導入する動きもございまして、その中で公私間格差の解消も検討されるという情報もありますことから、今後、国の制度改正の動向を注視していきたいと考えております。
 次に、学校施設整備の融資制度についてでございますが、学校施設整備に対しましては、日本私立学校振興・共済事業団や岩手県私学振興会による長期低利融資制度がございます。これまでも、当該事業団が行う融資制度におきましては、耐震化等の施設整備に対する長期の低利融資や、老朽化施設整備に対する利子助成の制度が設けられていたところでございます。
 今般、国の補正予算によりまして、新たに耐震改修の補助事業に対する融資が創設されたほか、融資限度率の撤廃でございますとか担保査定額の引き上げが行われておりまして、利用しやすい制度に改善されましたことから、県の私学振興会貸付金とあわせまして、学校法人が効率的に活用できるよう制度の周知を図り、活用を促してまいりたいと考えております。
 次に、私学に対する助成の充実についてということでございますが、私立学校の振興は、本県学校教育の振興を図る上からも重要な課題でございまして、震災からの復興に向けた財政需要が積み上がる中にありましても、各学校の要望を踏まえながら、私学予算の確保に努めているところでございます。
 国におきましては、平成24年度の補正予算や平成25年度の当初予算によりまして、ITや理科設備、防災機能強化施設整備等、教育基盤の整備に対します補助事業の予算が拡充されておりますことから、各学校に対しまして積極的に活用を図るよう、助言してまいりたいと考えております。
 私学関係の質問の最後でございますが、特色ある学校づくり推進に対する支援についてでございますが、県におきましては、各私立高等学校の建学の精神に基づく特色ある教育活動に対する支援は重要と認識しておりまして、新時代を拓く特色ある学校づくり推進事業費補助という事業がございますが、こういったものを通じまして、引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。
〇後藤完委員 大変丁寧な御答弁ありがとうございました。時間ですので、ここで終わらせていただきます。ありがとうございます。
〇高橋元委員長 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 会派を代表して総括質問をします。よろしくお願いします。
 4人目でありますので、既に重複した質問等がありますが、そのまま行いません。答弁を求めない部分とか、順次、入れかえ等もあろうかと思いますので、よろしくお願いします。
 まず1点目は、消費税の関係であります。きょうも質疑がございましたが、何点かさらに詳細に伺いたいと思いますが、これまで知事も各種答弁で、慎重に判断するよう求めていきたいなどとされております。改めてそういう活動をしてきていて、政府の具体的な反応は現時点でどのようになっているのか、また、政府の動向をどのように認識しているのか、まず伺いたいと思います。
〇中村政策地域部長 消費税引き上げに対します政府への要望等でございます。
 新政権発足後、政府・与党に対しまして、被災者の住宅取得に当たっての消費税負担については、その大きさに鑑みまして、仮に税率を上げる場合には、取得の妨げとならないよう、実効性のある措置を講じることを要望してまいりました。これに対しまして、平成25年度税制改正大綱におきまして、住宅ローン減税の特例を4年間延長することとされたほか、被災地におきましては、これに加えて、最大控除額の引き上げと適切な給付措置を講じることが明記をされたところでございます。一定の配慮がなされたものと考えております。しかしながら、具体的な給付内容につきましては、ことしの夏までに示される予定とされておりますことから、今後の動向を注視するとともに、その他の分野を含めて、地域経済や復興への足かせとならないように、必要に応じまして、今後とも要望等をしてまいりたいと考えております。
〇及川あつし委員 今、部長から答弁があったように、実効性のある措置という要望を繰り返したところ、そういう内容までは見えてきたということであろうと思いますが、ただ、中身次第というよりも、まだまだ政府の対応は踏み込みが足りないと私自身は思っております。もっと特例措置的なものを求めない限り、これは共通認識だと思うんですが、被災地の復興に対しては冷や水を浴びせられかねないと考えておりまして、さらなる特例措置の導入について訴えるべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。
 また、特例措置を求めるさまざまな分野、軽減税率の導入とか戻し税方式とかいろんな議論がありますが、その対象分野、今住宅のところが最大の争点になってきていると思うわけですけれども、住宅以外の分野でも、いわゆる特例措置をとるべき分野があるのではないかと考えるところでありますが、この点についてもあわせて伺いたいと思います。
〇加藤総務部長 特例措置の導入についてということでございますが、消費税の増税そのものにつきましては、地方経済や国民生活の実態を的確に把握した上で慎重に判断すべきものでありますが、仮に消費税の増税が可能との判断に至ったとしましても、生活必需品の購入でございますとか低所得者世帯の生活水準の確保、さらに住宅購入を初めといたしました被災地における復興の推進などの観点から、これらの実情に配慮した適切な特例措置の導入が最低限必要なものと考えております。
 なお、先ほどの政策地域部長の答弁もございましたが、国の税制改正大綱でございますとか、また、さらに改正消費税法自体にも軽減税率でございますとか、住宅取得に係る税負担の軽減措置の導入に係る記述がございますので、国におきましても、こうした措置の必要性は認識しているものと受けとめております。
〇達増知事 現在、国においては、簡易な給付措置や給付付き税額控除、軽減税率の導入など、さまざまな選択肢が俎上に乗せられているわけでありますけれども、可能性の段階である上、それぞれの措置についても、どれくらいの規模でどのような内容の措置を講じるのか、具体的な議論は進んでいない状況と認識しております。
 こうした状況にありますので、現時点においては、特例措置の適否について判断しかねると思っておりますけれども、被災地における住民生活の実態を初めとして、地方経済や国民生活の実態に適切に配慮した、真に実効性のある措置が講じられることを期待したいと思います。
〇及川あつし委員 今の知事の答弁については、現時点ではそういう段階だと思いますけれども、9月に政策判断する時点まで、いろいろ憶測はあるわけですけれども、このまま突っ込んでいきそうだなというにおいもありますので、ぜひ適時適切に、被災地として何をその時点で求めるかという準備をぜひ進めていただきたいという趣旨であります。よろしくお願いします。
 次に、東北電力の電気料金の引き上げについてでありますが、先ほど喜多正敏委員の質疑で出ましたので、答弁は求めません。
 その答弁を踏まえてちょっとさらにお伺いしたいのは、上野副知事から、いろいろな形で影響が出ないように働きかけ等を行っていくというような答弁だったかと思うわけですけれども、電力の引き上げの申請については、ここ数日間でこういう資料が各戸に配布されておりまして、私も熟読をいたしました。政府の審査が5日から始まったということで報道もございました。
 その一部報道で私は驚いたのですが、今回の申請した値上げ幅については、東通原発が2015年7月に再稼動するという前提で料金設定をされているということのようでありまして、そうなると、これも予断を持ってお話はしないほうがいいかと思うんですが、今の議論の流れから言うと、なかなか再稼動は難しいのかなということになれば、さらなる電気料金の値上げというのも十二分に想定しながら対処しなければいけないと思っております。特に、本県については電力自給率が低いわけでありますので、今回簗川ダムについて電力、発電を負荷するという方向は非常に正しいと思うんですけれども、もっともっとこの方向を強めていかないと、この電力料金の値上げに対して我々の県民生活が非常に大きな問題を生じると思うので、もっと大きな目で、再度、電源開発等の戦略を練っていただきたいというのと、あとは、先ほど県立病院の消費税の値上げに対するこれまでの影響等がありましたけれども、今回もまた電力料金の値上げ等に関して、きちっとした社会保障分野とか医療の分野に必要な経費が算入されない可能性もあるので、これについてもしっかりウオッチしてやってもらいたいと思うんですが、その点についていかがか、御所見を求めたいと思います。
〇上野副知事 まず、被災地を含んでおります当県における事情ということについて政府によく御説明をする必要があると思っていますし、あわせまして、今委員御指摘のような、当県の電力自給率のアップにつながるような、しかもそれが再生エネルギーという形で実施できるような、そうした厚みを持った施策を実施するに当たって、やはり国の支援がどうしても必要だという部分が多々あると思っています。そういう意味では、今委員からまさに御指摘をいただいたような、大きな目で全体を見た上で、今回の電力料金の引き上げの申請に対しては、それはそれとして私ども意見を申し上げていくわけですが、それとあわせて、今申し上げたような被災地の支援、あるいは当県全体の経済の活性化に資するような、さらには当県全体の電源の、電力供給の多様化に資するような、そうした我々の支援にどういう形で国が新たな支援をしてくれるのか、そうした要望を重ねてやっていきたいと思っております。
〇及川あつし委員 この件については、我が会派及び希望・みらいフォーラムからも意見書の発議が予定されておりまして、今、発議案調整会議で調整をされている段階かと思うわけですけれども、本当にこれは大事な問題でありますので、全体的なさらなる議論をしていきたいと思っております。
 次に、個人版私的整理のガイドラインについて伺いたいと思います。
 この件につきましては、昨年の6月定例会において我が会派が提案し、全会一致で個人版私的債務整理のガイドラインの利用の促進に向けたさらなる支援を求める意見書ということで可決し、意見書を送付したところであります。これにつきましては、個人の二重ローンの問題でございまして、なぜ我々がその際意見書を求めたかというと、債務整理が成立した件数は、昨年の6月の段階で、岩手県支部においてはわずか3件でありました。本当にこんなことをやっていていいのかと。結局、今議会も、住宅再建支援にどういう支援をするかという出口の話ばっかりしていますけれども、どんどんいろいろな支援をやっても、受け皿に穴があいていれば意味がないんですよ。なので、我々はまず入り口の第一歩である個人については、私的債務整理についてしっかりできるようなさらなる対応をしてほしいということで意見を申し上げてきたところでございます。その後、いろいろ政府のほうでも取り組みがあったようでございますが、どういう具体的な改善等も含めた対応があったのか、お示しいただきたいと思います。
〇高前田理事 個人版私的整理ガイドラインに係る政府の取り組みについてでございます。
 国では、政府広報の活用や被災地でのパンフレットの配布などを通じ、ガイドラインの周知を図ってきたほか、金融機関に対しましては、昨年7月に金融庁から全国銀行協会等へ、10月には東北財務局から管内の金融機関に対し、さらなる利用促進を図るため、被災者への周知徹底を図ることを要請したところでございます。また、金融庁から個人版私的整理ガイドライン運営委員会に対し、震災期間の短縮を図るよう指導し、これを受けて昨年8月と昨年10月、この2度にわたりまして、申出書式の簡略化等が図られたと承知してございます。
 また、ガイドライン運営委員会におきましては、金融庁の指導等も踏まえまして、平成24年1月でございますが、手元に残すことができる自由財産の上限を99万円から500万円に引き上げたほか、昨年の12月には、震災後に取得した不動産についても、処分せずに自由財産として取り扱うことができるようになるなど、被災者の生活再建を考慮した、段階的な運用の見直しを行っているところでございます。
〇及川あつし委員 実はいろいろな人づてに、当時金融大臣でありました松下先生にお願いをしたりして動いていただいた寸前に、個人的な事情で自殺をされたということで、お悔やみを申し上げたいとは思っているんですが、一定のそういうアクションはあったと理解をしておりますが、成立件数が3月1日に直近のものが出ました。岩手県支部においては64件ということであります。件数ベースで、倍数で言うと21倍になっているのですが、別の見方をすれば、まだ61件しかこの8カ月でふえていないということであります。私はこの数字は低迷というふうに捉えているのですが、当局においては、この件についてはどのような現状認識と課題認識を持っているのか、また、どのような対応をされていくのか、お示しをいただきたいと思います。
 特に、繰り返しになりますが、個人の債務整理がおくれるということは、住宅再建にとっては致命的な問題になると私は考えておりますで繰り返しお尋ねしているところでありますので、趣旨を酌み取りの上、御答弁いただきますようお願い申し上げます。
〇高前田理事 ガイドラインの現状認識と対応等についてでございますが、金融機関によっては、返済猶予や返済条件変更契約などの措置をとっている場合もあること、それから被災者に制度の内容が十分に伝わっていないことなどから、現在の成立件数に至っているものと考えております。
 直近1年間の成立件数を見てみますと、昨年3月から8月までの半年間で12件だったものが、昨年9月から本年2月までの半年間では、50件と増加傾向で推移しておりまして、今後も成立件数が増加していくことが期待されるところでございます。
 県といたしましては、ガイドラインの利用を通じまして、被災者の債務の減免が早期に行われることは、被災者の生活を再建する上で極めて重要であると認識しておりまして、今後とも、岩手弁護士会やガイドライン運営委員会等、関係機関と連携した積極的な周知と、被災者相談会等の場における被災者への相談支援や情報提供を適切に行ってまいります。
〇及川あつし委員 これは通告していませんけれども、もしわかればお答えいただきたいのですが、どの程度の方が本当に私的債務整理を必要とされているのかというのを、何となくイメージ的にでも、数字としてきちっと捉えられないと思うんですが、どのように県としては把握しているんでしょうか。
 というのは、そこが見えないと、現在64件しか債務整理が終わっていないということについて、十分なスピードで十分な件数なのかどうなのかということも理解できないわけですので、どのような認識を持っているか、その点についてもお答えができるのであればお示しください。
〇高前田理事 ただいまガイドラインの必要とする成立件数をどの程度見込んでいるのかといったようなお尋ねでございます。
 現時点におきまして、明確な見込みの数値を持ち合わせているものではございませんが、ちなみに、本県の建物被害、この件数を見てみますと、約2万5、000棟ということでございまして、それに対して債務成立件数が64件ということでございますので、大体0.26%ということでございます。
 今の段階での債務成立件数を他県と比較してみますと、建物被害に対する債務の成立件数だけを見てみますと、例えば宮城県で申し上げますと0.07%、それから福島県が0.04%ということで、本県は比較的建物被害に対する成立件数の割合では高くなってございます。いずれにいたしましても、今後とも積極的な周知を図りながら、成立件数の増加ということを積極的に促進していきたいと考えております。
〇及川あつし委員 他県との比較もありましたけれども、全体に本当に低調だと思うので、これはまずいなという認識であるということであります。
 5日の報道で、この債務整理の実務に当たられている本県の小口幸人弁護士が意見を出しております。その詳細については時間の関係で申し上げませんが、結論から言えば、私的債務整理という方法では進まないだろうと。やっぱり新たに法的債務整理の仕組みをつくらないと、抜本的な債務整理は終わらないんじゃないかというような見解を示しておりまして、これを読んで、そのとおりだなと改めて思ったところでありますが、このような点についてさらに政府に強力に要請すべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇高前田理事 債務整理の新たな仕組みについてでございますが、ガイドラインの運用につきましては、平成23年8月の運用開始以来、先ほど御答弁申し上げましたような被災者の生活再建を考慮した段階的な運用の見直しが図られてきたところでございます。
 新たな法的整理の仕組みを創設することにつきましては、これまでの制度との整合性を図る必要もございますことから、制定までには相当時間を要すると見込まれるところでございます。しかしながら、個人の住宅ローンに係る二重債務問題が被災者の生活再建に大きな障害となっていることから、これまでも、この問題の早期解決に向け、積極的な支援を行うよう、国に対し要望をしてきたところでございます。
 現在、岩手弁護士会と被災者の生活再建に向けた問題意識の共有、それから課題解決のためのさらなる連携に向けまして、昨年の11月から毎月1回、定期的に意見交換会を開催させていただいております。それから、ガイドライン運営委員会や金融機関とも継続的な情報交換を行っているところでございまして、これらの機会を通じまして、債務整理の望ましいあり方等についても議論しつつ、引き続き国に対しても、個人の二重債務解消に向けた支援を要望してまいります。
〇及川あつし委員 また必要に応じて総務委員会等で話はさせていただきたいと思いますが、繰り返しになりますけれども、本当に大事な問題でありますので、さらに頑張っていただきたいと思います。
 次に、公共関係の建築事業の推進についてという観点で伺います。
 初めに、総括的に震災復興関連事業の円滑な執行ということでお伺いする予定でしたが、既に質疑が交わされたところでありますので、この点については答弁を求めません。
 次に、復興加速化会議というものが過般行われたやに報道でうかがいました。3月3日に行われたということでございますが、この時期にこのような会議が開催された目的、また、一部報道がありましたが、この会議でどのような課題等が取り上げられて具体的な対策に反映される見通しなのか、伺いたいと思います。
〇上野副知事 復興加速化会議についてのお尋ねでございます。
 この会議は、国土交通省東北地方整備局の主催によりまして、被災3県、仙台市、業界団体などが参集いたしまして、宮城県仙台市で3月3日に開催されたものでございます。復旧、復興事業を加速させるため、各発注機関において、これまで実施してきた対策と現状、今後の取り組みについて情報共有し、意見交換を行うためのものとお聞きしております。
 この会議におきましては、復旧、復興の進捗状況、復興事業円滑化のためのこれまで工夫、人、資材の現状などの課題が取り上げられ、地区別の生コン対策について東北地方整備局から示されたところでございます。
 本県におきましては、宮古及び釜石地区の生コンクリートの供給不足への解消に向け、東北地方整備局におきまして、工事の発注動向や生コンの不足量を踏まえ、公共プラントを新設することが示されたところでございます。
〇及川あつし委員 この会議では、一方的に政府のほうから今後の方針が出されるのか、次々課題をこちらから出してまた新しい課題への対応が協議される場なのか、それはどのような会議なんでしょうか。
〇上野副知事 最初の会議でございまして、今後の方針等について詳細な説明があったわけではございませんが、私どもの認識するところ、各発注体、これは国もそうですけれども、県それから仙台市などが集まりましてまず情報共有をするということ、それから課題の整理をするということ、これが一つの大きな目的ではないかと思います。その上で、必要がございますれば、当然私どもといたしましては、こういう場を活用いたしまして国にお願いする件もございますし、国から何らかの協力依頼ということがあるということも将来的には考えられると思います。そうした形で情報共有、課題の整理、それから、それを踏まえての両者のフランクな意見交換の場ということで設けられたのではないかと私ども思っております。
〇及川あつし委員 いい会議だと思いましたので、一つでも課題が解決されるように進めていただきたいということであります。
 次に、全般的な公共事業の発注について、今定例会でも質疑が交わされたところであります。いわゆる積算単価の見直しとか弾力化とか、CM方式とかいろんな議論がありました。
 一つ忘れてはいけないと思って今回取り上げるわけでありますが、いわゆる医療分野とか福祉分野の補助事業です。特にリーマンショック後は、臨時特例交付制度とか基金の事業でやってきているんですけれども、どうもここについてよくよく考えてみたら、補助基準単価の見直しが行われていないとかいろんな問題があって、復興事業と同じように入札不調が出てきておりまして、問題なんじゃないかという認識が私ございます。
 一括して伺いますが、これについてどういう認識であるのかということと、これは政府に対してこの点についても補助基準単価を見直さない限り、これは進まないという認識を持っているわけですが、どのような考えであるか、お示し願いたいと思います。
〇千葉副知事 まず、医療、福祉関係の補助事業についてでございますけれども、現在、子育て支援対策臨時特例基金あるいは障害者自立支援対策臨時特例基金等の基金を活用いたしまして、各種医療、福祉関係施設の整備を進めているところでございます。
 平成24年の入札不調につきましては、補助件数80件に対しまして、子育て支援対策臨時特例基金を活用した保育所整備で6件、障害者自立支援対策臨時特別基金を活用した障がい者福祉施設整備で2件、また、地域医療再生臨時特例基金を活用した県立病院の施設整備で1件の、計9件が出ておるところでございます。
 なお、これら入札不調となったものにつきましては、設計金額の見直しによります再度の入札実施、あるいは随意契約等によりまして契約を締結し、現在、整備は進められているところでございます。
 次に、この補助事業単価の見直しについてでございますけれども、この補助事業等の入札不調の原因につきましては、県営建設工事と同様に、技術者の不足や建設資材の価格上昇などに起因しているものと考えているところでございます。
 子育て支援対策臨時特例基金を活用した補助事業費につきましては、国において一律に定めております補助基準額に基づいているものが大半でございまして、資材価格の高騰等が続いています本県の現在の状況を十分に踏まえたことにはなっていないものがあるのではないかと認識しているところでございます。
 次に、政府に対する要望でございますが、入札不調により発注に時間を要し、結果として工期におくれが生じまして、施設整備等に支障を来すこととなっておりますので、また、入札不調となっていない施設整備等にありましても、補助事業者の負担を伴う事業の場合は、この資材価格の高騰によりまして、補助事業者の自己負担額が増加するなどの影響も懸念されるところでございます。
 今後、医療、福祉関係の施設整備等に係る補助事業を円滑に進めるためには、関係部局との連携をしっかり進めながら、本県の状況を補助基準単価等に反映させることにつきまして、国に対して働きかけをしていく必要があるものと考えております。
〇及川あつし委員 事業主負担の懸念という発言がありましたけれども、もう懸念じゃなくて現実化しておりますので、今答弁のようにぜひお願いをしたいと思います。
 ちょっと順番を変えて、先に奥産道問題について伺いたいと思います。
 樋下議員が一般質問で取り上げておりますが、県土整備部長から、奥産道に対する現時点の認識が示されましたが、達増知事も同じ認識なのかどうか確認の意味で、いわゆる一般県道雫石八幡平線、通称奥産道をめぐるこれまでの推移を踏まえて、知事の認識をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 県土整備部長の答弁のとおりでございますが、県では平成10年に、道路工事の再開を断念した後、平成14年に整備済み区間の道路の利用に伴う人為的影響の軽減や、自然環境の保全を基本的な考え方とする活用計画を策定し、これに基づき、連絡歩道などの整備を進め、平成19年6月から、整備済み車道、連絡歩道及び既設登山道を一連の歩道として供用したところであります。その後、平成21年度に活用検討委員会から、これまでの整備は保全面と利用面から妥当であるとの総合評価をいただき、また、三ツ石湿原とその周辺は保護すべき地域との提言を受けたところであります。
 今後についても、提言の趣旨を踏まえて、引き続き歩道としての利活用を図っていく考えであります。
〇及川あつし委員 わかりました。知事みずから、そのような発言をいただいたということであります。
 質問の趣旨は、1月23日に、八幡平市、雫石町、滝沢村の超党派の議員有志38人が、県道雫石東八幡平線の道路促進議員連盟を設立したということが記事でも出されております。この設立について、事実関係を確認したいのですが、議員連盟の設立前に、知事が、議員連盟の結成を促すということについて、何かしらの行動、発言などを行ったことがないか、関与をした事実はないのか、確認の意味でお伺いをします。
〇達増知事 特にございません。
〇及川あつし委員 仄聞するところによると、地元の議員たちが、達増知事がこういう議員連盟をやれば事態は改善するので、ぜひこういうことをやってくれと発言をしたり、また、議員を勧誘するときに、知事からこういう示唆をいただいているからこうやっているというような話を現実にされているようであります。なので伺ったわけでありまして、改めてお伺いしますが、そういうようなことはないですね。
〇達増知事 ございません。
〇及川あつし委員 では、ないという答弁が出ましたので、それで了といたしたいと思います。
 またもう一つ飛ばします。恐れ入ります。政務秘書の関係について伺いたいと思います。
 これまで何度もお伺いしてまいりましたけれども、答弁予定は秘書広報室長になっておりますが、先に知事に伺いますが、先般の衆議院議員選挙において、木戸口政務秘書が、連日、達増陽子候補事務所にいたという話を聞いておりますし、また、街頭演説会等において、達増陽子候補の標旗を持って、街頭演説会における運動員の役割などをしていたという目撃情報が多数ございますが、これは政務秘書自身の判断でしょうか、それとも、知事の指示でしょうか、お伺いします。
〇達増知事 地方自治法に基づく行政の執行、事務の執行として私からの命令でやっていたわけではございません。一方で、特別職員である知事そして政務秘書、また、それぞれ一人の政治家でもありますし、さまざま政治のありようについてふだんから話し合っておりますし、そういう中で心を一つにして、同じ理想を目指して去年の12月は活動したというところがございます。
〇及川あつし委員 ちょっと曖昧な答弁でわからなかったんですが、せっかく準備されているようですので秘書広報室長にお伺いしますが、政務秘書が特定選挙において、運動員の役割を担うことについての是非について見解を示していただきたいと思います。
〇稲葉秘書広報室長 特定選挙において運動員の役割を担うことについてでございますが、私は運動員の役割というのはちょっと承知しておりませんけれども……(及川あつし委員「通告しているだろう」と呼ぶ)運動員の役割については承知しておりませんが、一般論になるかと思いますけれども、知事の政治活動等にかかわる政務につきましては、秘書の業務と考えております。
 なお、政務秘書は特別職に属する地方公務員ですので、地方公務員法の政治的行為の制限は受けないものであります。
〇及川あつし委員 極めて不誠実な答弁で不満であります。事前に通告している意味がありません。
 私が申し上げたいのは、これまでも何度も知事には申し上げてまいりましたが、国会議員の公設秘書と知事の政務秘書というのはおのずと性格が違うと思うし、県民の見る目が違うと思うんです。そこら辺を留意してやっていただかないと、結局、円滑な県政の執行に資するために政務秘書という方はいるわけでありますので、誤解のないように、7月も参議院選挙がありますので、懸念をするがゆえに今回あえて伺ったところでありますので、県民から誤解のないような政務秘書の役割というものをしっかりと指示していただきたいと思います。所感があれば伺います。
〇達増知事 今まで6年間、そのようにしてまいりましたし、これからもそうしてまいります。
〇及川あつし委員 懸念をしている旨が多いので、伝えたまででありますのでよろしくお願いします。
 きょうは嵯峨壱朗委員で一部質疑がありました新潟県知事の発言に関して伺いたいと思います。
 これはちょっと私も議会運営委員会で取り上げてから非常に思わぬ展開になっていて、不本意なわけであります。達増知事を責めるとかそういう趣旨ではなくて、当初、この発言を聞いて私は本当にひっくり返りました。
 殺人の発言ばっかり引用されておりますが、ちょっと問題となっている部分について二、三、改めて申し上げたいわけですけれども、泉田知事は当初、この発言をするに当たって、甲状腺がんになった話から入って、そして大槌町の瓦れきの処理について言及をされております。途中で、このような放射性物質が入っているものについては、東京電力に引き取ってもらえというような発言もしておりますし、また、一般ごみの中に放射能がまざっていることが当たり前ということで、ゆでガエル、ゆでガエルにされているというような発言をしております。これを素直に読めば、では、大槌町の皆さんはゆでガエルなのかというような感じがしますし、みんなで放射能を浴びましょう、子供のことは知りませんというのですから考えられないですというような発言もされております。
 私は、知事として、直接的に言及するのがまずいという判断があるのであれば、それはそれで了としますが、ただ、このような完全にオーバーランをした発言については、せめて遺憾の意を示すべきではないかと私は思っております。
 また、本会議の答弁では、既に受け入れをしている三条市、柏崎市、長岡市の市長からコメントがないというような答弁がありましたけれども、三条市の市長はちゃんとコメントしているんですね。新潟県内の通常の廃棄物からも同等レベルの放射性物質が検出されており、それでもなお、岩手県の廃棄物を特別扱いすることは、差別的な取り扱いを本県がしていると受けとめられかねないという発言もされおります。また、県議会の代表質問、一般質問等でもいろいろ取り上げられておりまして、私はこの予算特別委員会の総括質疑という場をお借りして、新潟県知事には本当に憤りを持って、岩手の県議会議員として個人的に強く抗議を申し上げたいと思うし、でき得れば再考をしていただいて、全会一致でしかるべき対応をすべきだと私自身は考えております。
 擁護をする必要もないし、抗議をする必要も必ずしもないわけですけれども、間違いについては間違いだということで、認識をしてしかるべき対応をとっていただきたいというのが私の趣旨でありまして、この件について、岩手県議会内で論争になるのは私は本意ではありません。しっかりと現実を見た対応をしてほしいということでありますが、所感を求めて終わります。
〇達増知事 議員の皆さんで何か決めるということについては、これは議会の自治の問題ですので、執行部としてのコメントは控えさせていただきたいと思います。
〇高橋元委員長 お諮りいたします。時間もおおむね5時になりますので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋元委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いをいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時 散 会

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