平成24年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成24年10月23日(火)
1開会 午前10時4分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長     菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査    村 上   聡
  主査    藤 澤 壮 仁
  主査    藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  農林水産部長   東大野 潤 一
  理事    高 橋 嘉 行
  副部長兼
  農林水産企画室長 菊 池   寛
  農政担当技監   杉 原 永 康
  農村整備担当技監
  兼農村計画課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  水産振興課
  総括課長    寺 島 久 明
  競馬改革推進室長 立 花 良 孝
  技術参事兼
  漁港漁村課
  総括課長    大 村 益 男
  農林水産企画室
  企画課長    高 橋 昭 雄
  農林水産企画室
  管理課長    及 川 健 一
  団体指導課
  総括課長    大 友 宏 司
  指導検査課長   小田島   新
  流通課総括課長  泉   裕 之
  農業振興課
  総括課長    工 藤 昌 男
  担い手対策課長  千 葉   匡
  農業普及技術課
  総括課長    鈴 木   茂
  農村建設課
  総括課長    伊 藤 千 一
  農産園芸課
  総括課長    高 橋   渉
  水田農業課長   中 南   博
  畜産課総括課長  渡 辺   亨
  振興・衛生課長  及 川   団
  林業振興課
  総括課長    佐 野   淳
  森林整備課
  総括課長    阿 部 忠 一
  整備課長    赤 澤 由 明
  森林保全課
  総括課長    佐 藤 順 一
  漁業調整課長   石 田 享 一
  競馬改革推進監  内 宮 明 俊
  競馬改革推進室
  特命参事    佐 藤   博
  競馬改革推進室
  特命参事     高 橋   徹

  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    田 村 幸 義

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員     工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 門 口 正 雄
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇小野共委員長 これより本日の会議を開きます。
 初めに、10月18日の部局別審査におきまして、伊藤勢至委員から、10月15日月曜日の総括質疑において、医療法人白光理事、社会福祉法人七星会理事長であります橋本堯夫氏と知事の間における選挙資金の授受の有無に関して、及川あつし委員の発言の取り消しを求める議事進行の件について、10月18日、19日及び22日開催した世話人会の協議結果を報告します。
 伊藤勢至委員から申し出のありました医療法人白光理事、社会福祉法人七星会理事長であります橋本堯夫氏と知事の間における選挙資金の授受の有無に関して、及川あつし委員の発言の取り消しを求める議事進行の件につきましては、及川あつし委員の意向を確認した上で、その発言の取り消しを行わないとの結論に至りましたので、御了承願います。
〇伊藤勢至委員 ただいまの委員長の報告には従うつもりでございますが、ただ、これまでも、17年間の県議会におきまして、思い込みだったり、間違ったり、明らかに違うものについては、私自身もこれまでいろいろなことを指導いただいてまいりまして、自分が間違ったと思うものについては撤回をしてきた経緯もあります。
 今回のことについては、全くそういうことがなかったということが明らかになったものを、未来永劫、県議会の議事録に掲載していくのはいかがか、このように思ったから言ったことでありまして、今後、議会の品位を守るためには、やはりみんなでそういうことをやっていかなければいけないということだけお話をして、終わります。
〇小野共委員長 これより議事に入ります。
 認定第1号平成23年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成23年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、並びに議案第56号及び議案第57号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇東大野農林水産部長 農林水産部関係の平成23年度の決算につきまして御説明申し上げます前に、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取扱方針の概要につきまして御説明申し上げます。
 平成23年度におきましては、岩手県東日本大震災津波復興計画に掲げました漁業協同組合を核とした漁業、養殖業の構築と産地魚市場を核とした流通、加工業の構築を一体的に進めるとともに、漁港、海岸保全施設の応急復旧、被災農地、合板工場の復旧整備などに重点的に取り組みました。
 さらに、食と緑の創造県いわての実現を目指すいわて県民計画の第2期アクションプランに掲げました農林水産業の未来を拓く経営体の育成、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大などの各施策を推進いたしました。
 具体的な成果等につきまして御説明いたします。
 まず、岩手県東日本大震災津波復興計画に掲げた主な取り組みについてでありますが、水産業の再生につきましては、漁船、養殖施設、産地魚市場等の荷さばき施設、製氷・貯氷施設、冷凍冷蔵施設などの整備やサケふ化場の応急的な復旧などに取り組むとともに、漁港等の整備として、岸壁の仮かさ上げなど応急的な復旧整備などに取り組みました。
 この結果、これまで、漁船は、震災後約6、000隻が新規登録され、被災を免れた漁船を合わせ、被災前の5割強の約8、000隻程度が稼働可能となり、養殖施設は被災前の5割の水準まで復旧しております。また、産地魚市場は県内13市場の全てが再開したほか、水産加工場は7割強が再開または一部再開しております。
 さらに、漁港は、応急工事により、全ての漁港で漁船の出入港や接岸が可能となり、比較的被害の少なかった県北部の14漁港では、本格的な復旧工事が完了いたしました。
 農業の再生につきましては、農地、農業用施設の復旧整備などに取り組んだほか、木材加工体制等の再生につきましては、早期に操業再開が可能な木材加工施設の復旧整備などに取り組みました。この結果、これまで内陸部の復旧対象農地は、復旧がほぼ完了したほか、沿岸部の復旧対象農地のうち、当面復旧が可能な農地の4割の復旧が完了しております。
 また、早期の操業再開が可能な木材加工施設の復旧整備が完了したほか、被害が甚大で本格復旧が必要であった施設のうち、4割の復旧が完了しております。
 次に、いわて県民計画の第2期アクションプランに掲げた主な取り組みについてでありますが、農林水産業の未来を拓く経営体の育成につきましては、農地利用集積や経営の高度化支援など、地域農業の核となる認定農業者や集落型の農業経営体の育成に取り組むとともに、地域けん引型林業経営体の施業集約化などに取り組みました。この結果、地域けん引型林業経営体等により施業が集約化された森林経営面積は順調に増加しておりますが、認定農業者等への農地集積面積につきましては、認定農業者の減少に伴い目標を下回っております。
 次に、消費者から信頼される食料・木材供給基地の確立につきましては、県版GAPの普及、定着などによる本県らしい安全・安心な農林水産物の産地づくりに取り組むとともに、高品質、安定生産につながる高度な生産技術の普及など、生産性、市場性の高い産地づくりに取り組みました。この結果、GAP手法を導入する産地数は順調に拡大しているものの、園芸産地形成の取り組みにおくれが見られます。
 次に、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大につきましては、いわて6次産業支援センターを核とした支援、食分野の専門家の派遣、販路開拓のための商談会の開催などに取り組みました。この結果、6次産業化による販売額等は順調に増加する見込みとなっております。
 次に、今後の取り組み方針についてでありますが、まず、岩手県東日本大震災津波復興計画に基づき、被災した農林水産業の復興に向けて、引き続き、漁業協同組合を核とした漁船や養殖施設などの復旧整備と産地魚市場を核とした流通、加工業の構築の一体的な推進や、サケやアワビなどの稚苗生産体制の再構築などに取り組むとともに、漁港等の本格的な復旧整備などを進め、地域に根差した水産業の再生を目指してまいります。
 さらに、沿岸の地域特性を生かした生産性、収益性の高い農業の実現に向けまして、農地等の復旧整備や園芸産地の形成に取り組むほか、地域の木材加工体制の再生に向けて、木材加工施設等の本格的な復旧整備支援などに取り組みます。
 また、原子力発電所事故に起因する放射性物質の影響対策として、牧草地の除染や廃用牛の適正出荷の推進、原木シイタケのほだ木更新の支援や原木の確保など産地再生に向けた生産者支援に取り組むとともに、風評被害対策として、県産農林水産物のPRなどを一層強化します。
 さらに、本県農林水産業が、震災前にも増して、地域経済を支え、持続的に発展できる産業として確立され、生産者や消費者が、その豊かさ、恵みを実感できる食と緑の創造県いわてを実現できるよう、いわて県民計画に基づく取り組みを着実に進めてまいります。
 このため、高い所得を安定的に確保できる経営体の育成や新たな担い手の確保育成、生産性、市場性の高い産地づくりの推進や高品質、安定生産のための生産技術の開発、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大などに重点的に取り組みます。
 以上、当部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
 続きまして、当部関係の平成23年度の決算について御説明申し上げます。
 まず、一般会計についてでありますが、平成23年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 予算現額は、6款農林水産業費のうち県土整備部が所管するものを除いたもの及び16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費並びに4項庁舎等施設災害復旧費のうち当部が所管するものを合わせて3、040億2、351万円余であります。
 これに対する支出済額は941億7、349万円余となり、前年度と比較して、金額で379億4、190万円余、率にして67.5%の増となっております。
 また、翌年度繰越額は、東日本大震災津波被害からの復旧、復興に向けた事業等につきまして、計画調整や設計、工法の検討等に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の1、894億9、598万円余及び補助事業者の事業実施が遅延したことなどによる事故繰越の10億1、849万円余を合わせて1、905億1、447万円余となっております。
 次に、決算の内容につきまして、便宜、平成23年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の248ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費のほか、備考欄五つ目のいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、他産業と連携した新たなビジネスの創出や生産者の加工、販売分野への進出など、農林水産業の6次産業化に向けた取り組みの推進に要した経費です。2目農業金融対策費の主なものでありますが、251ページに参りまして、備考欄四つ目の農業経営改善促進資金貸付金は、農業経営改善計画等を達成しようとする認定農業者に、低利な短期運転資金を融通するため、金融機関に貸付原資を預託する岩手県農業信用基金協会に対し、所要の資金を貸し付けたものです。3目農業構造改善対策費は、都市との交流拡大による農山漁村の活性化を図るため、体験型教育旅行の誘致やグリーン・ツーリズムの拡大に向けた情報発信を行ったものです。4目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営等に要した経費です。252ページをお開き願います。5目農業振興費の主なものでありますが、備考欄七つ目の中山間地域等直接支払事業費は、耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能を確保しながら農業生産活動等を行った農業者等に対し、交付金を交付したものです。備考欄下から六つ目の東日本大震災農業生産対策事業費は、被災地域の早期復興を図るため、農業関連共同利用施設の復旧及び生産資材、農業機械等の導入に要した経費に対し補助したものです。254ページをお開き願います。6目農作物対策費の主なものでありますが、備考欄二つ目の鳥獣被害防止総合対策事業費は、市町村被害防止計画に基づいた被害防止対策等の実施に要した経費に対し補助したものです。7目畑作振興費の主なものでありますが、備考欄下から二つ目の青果物等価格安定対策等事業費補助は、青果物等の価格が著しく低下した場合に、生産者に交付される補給金の造成に要した経費です。8目北上奥羽山系開発費は、北上・奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還などに要した経費です。9目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査などに要した経費です。256ページをお開き願います。10目農業協同組合指導費と11目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に要した経費です。12 目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究等に要した経費です。258ページをお開き願います。13目農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費です。
 次に、2項畜産業費であります。260ページをお開き願います。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等です。2目畜産振興費の主なものは、生産性の高い畜産経営体を育成するため、家畜の飼養管理技術の指導及び改良増殖を初め、生産から流通、消費に至る総合的な畜産経営対策を実施した経費であり、備考欄下から三つ目の肉用牛肥育経営緊急支援事業費補助は、肥育牛等の出荷制限により出荷が遅延し、経営が悪化した生産者に対し支援金を交付したものです。262ページをお開き願います。3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要した経費です。4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染病検査や、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査などに要した経費です。264ページをお開き願います。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究等に要した経費です。
 次に、3項農地費であります。1目農地総務費の主なものは、農地関係職員の人件費等です。2目土地改良費のうち当部関係は、水田の大区画化や排水条件の改良を行う圃場整備や農業水利施設の老朽化に伴う機能保全計画の策定及び補修、改修、農村環境の保全、農道等の整備など、農村の生産基盤や生活環境基盤の総合的な整備等に要した経費です。少し飛びまして、268ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダム、老朽化した水利施設、防潮堤などの整備に要した経費です。4目農地調整費の主なものでありますが、271ページをお開き願います。備考欄一つ目の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借などの業務に要した経費に対して補助したものです。
 次に、4項林業費であります。1目林業総務費の主なものは、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金です。272ページをお開き願います。2目林業構造改善対策費は、林業構造改善事業関係職員の人件費です。3目林業振興指導費の主なものでありますが、備考欄下から七つ目の森林整備加速化・林業再生事業費は、森林の整備や間伐材その他の森林資源の利用を促進するため、間伐の実施、作業道の開設、間伐材の運搬、木材の加工、流通施設や木造公共施設の整備及び高性能林業機械の導入などに係る経費に対し補助したものです。その三つ下の木材供給等緊急対策事業費は、被災地域の仮設住宅等の資材を確保するため、被災した木材加工流通施設の復旧整備及び原木流通に係る経費に対し補助したものです。274ページをお開き願います。4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要した経費です。5目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため森林の整備に対し補助したものです。276ページをお開き願います。6目林道費は、山村地域の生活環境の改善と林業生産基盤の整備を図るための林道整備などに要した経費です。7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要した経費です。278ページをお開き願います。8目林業技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究などに要した経費です。
 次に、5項水産業費であります。1目水産業総務費の主なものは、水産関係職員の人件費や水産科学館の改修に要した経費です。280ページをお開き願います。2目漁業構造改善対策費は、水産物の安定的な供給を図るため整備していた漁業用保管施設につきまして、施工途中で被災したことによる過年度の出来高相当分に対し補助したものです。3目水産業振興費の主なものでありますが、283ページに参りまして、備考欄下から八つ目の漁業信用保証緊急支援資金貸付金は、岩手県漁業信用基金協会が行う漁業信用保証業務に必要な運転資金を貸し付けたものです。次に、漁場復旧対策支援事業費は、被災地域の漁場生産力の回復を図るため、漁場の瓦れき回収処理に要する経費に対し補助したものです。4目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の検査、指導監督に要した経費や、漁業近代化資金等の貸し付けを行う金融機関に対し利子補給等を行ったものです。284ページをお開き願います。5目漁業調整委員会費及び6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整に要した経費です。7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費です。286ページをお開き願います。8目水産技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費であり、9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費です。288ページをお開き願います。10目漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要した経費です。11目漁港漁場整備費の主なものは、安全・安心な水産物供給体制の構築や、豊かで潤いのある漁村環境の整備等を重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備を行った経費であり、備考欄下から五つ目の漁場復旧対策支援事業費は、漁場等に堆積、浮遊した瓦れきの撤去を行ったものです。
 次に、大きく飛びまして、354ページをお開き願います。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、東日本大震災津波及び異常気象などにより被害を受けた農地、農業用施設、海岸保全施設の復旧及び津波により浸水した農地の除塩を実施したほか、農業共同利用施設、卸売市場施設並びに土地改良区事務所等の復旧に要する経費に対し補助したものです。2目林道災害復旧費及び3目治山災害復旧費は、地震、津波及び大雨などにより被害を受けた林道及び治山施設の復旧に要した経費です。356ページをお開き願います。4目漁業用施設災害復旧費及び5目漁港災害復旧費は、地震、津波及び異常気象などにより被害を受けた漁業用施設、漁港及び海岸保全施設の復旧に要した経費です。358ページをお開き願います。6目水産業用施設等災害復旧費は、東日本大震災津波により被災した産地魚市場、サケ・マス生産施設、水産業共同利用施設及び漁業協同組合事務所等の復旧に要する経費に対し補助したものです。7目林業用施設等災害復旧費は、東日本大震災津波により被災した森林組合事務所等の復旧に要する経費に対し補助したものです。
 少し飛びまして、364ページをお開き願います。4項庁舎等施設災害復旧費であります。1目庁公舎等災害復旧費のうち、当部関係は、備考欄下から三つ目の事業で、東日本大震災津波により被災した水産技術センター及び同種市研究室、大船渡研究室並びに漁業取締船岩鷲の復旧に要した経費です。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。恐れ入りますが、お手元の平成23年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただき、34ページをお開き願います。
 農業改良資金等特別会計の予算現額は6億920万円余であります。これに対する収入済額は6億1、062万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等です。次に、支出済額は4億6、247万円余で、円滑な就農を促進するため、新規就農者に就農支援資金を無利子で貸し付けたもの、及び平成22年度の農業改良資金貸付事業終了に伴い、回収した償還金に係る国庫補助金の返還と一般会計への繰り出しを行ったものです。
 36ページをお開き願います。県有林事業特別会計の予算現額は42億5、868万円余であります。これに対する収入済額は40億7、384万円余で、一般会計からの繰入金等です。次に、支出済額は38億6、662万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育等に要した経費です。
 なお、翌年度繰越額は、計画調整や設計、工法の検討等に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の3億7、562万円です。
 38ページをお開き願います。林業改善資金特別会計の予算現額は11億5、061万円余であります。これに対する収入済額は11億5、246万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等です。次に、支出済額は6億198万円余で、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し林業・木材産業改善資金を無利子で貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資の一部を金融機関に対し預託したものです。
 40ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の予算現額は9億6、071万円余であります。これに対する収入済額は9億6、023万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金です。次に、支出済額は2億7、051万円余で、資金の需要に応じた貸付原資の一部について、国庫補助金の返還及び一般会計への繰り出しを行ったものです。
 以上で決算についての説明を終わります。よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇小野共委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇渡辺幸貫委員 私からは、平成23年度の主要施策の成果に関する説明書、そして、いわて県民計画実施状況報告書という立派な本を私たちはいただいているわけでありますが、この目標設定は正しいのかということを伺いたいと思います。
 なぜかといいますと、この数字の中を見ていきますと、農業の場合は、認定農業者の数については、高齢化を理由にして再認定を見送った認定農業者がたくさんいて、達成度はDだと。何か自分のことを言われているような気がしてしようがないのですが。しかし、法人化した集落営農はA、新規就農者数も目標にA、農業参入企業数もA。この評価で岩手の農業の担い手は確保されると書いてあるような、大上段のところには確保が進んでいますと書いてありますし、また、担い手が、耕作放棄地についても利用調整を取り進めて目標達成する見込みでありますということで書いてあります。
 ところが、この数字をよく見ていますと、耕作放棄地もふえておりますし、認定農業者はさっき言ったとおり300人減っていますし、農地集積も、むしろ認定就農者については1、000ヘクタールも減って三角であります。集落営農も、新規就農者数も、農業参入企業も足りないのではないか、つまり目標が小さ過ぎたのではないか。トータルとしては、私は全てDと考えるが、いかがかお伺いします。
〇工藤農業振興課総括課長 担い手の目標数についてでございますが、県では、農業の担い手の減少、高齢化が進んでおるということで、本県農業が持続的に発展していくためには、意欲と能力にすぐれた担い手を確保する、そして、その方々が本県農業の生産の大宗を担う、そういう姿を目指して設定してございます。
 それで、第2期アクションプランにおきましては、平成26年度の目標を、認定農業者数をそういう考え方に立ちまして8、300人と設定しておりますし、法人化した集落組織数を76、そして、新規就農者数は認定農業者数の世代交代を想定して200人、それから、企業参入数は100と設定しており、この確保に向けて取り組んできたところでございます。
 残念ながら、平成23年度の担い手の指標は、法人化した集落営農数なり新規就農数、それから農業参入企業については目標を達成しておりますけれども、認定農業者数は、御指摘のような原因がありまして、プランに掲げる目標に到達できず大変残念であり、そのことについては大変重く受けとめているところでございます。
〇渡辺幸貫委員 今、御報告があったとおり、新規就農の相談者数は230人で、実績も230人ぴったりでAであります。就農者数も、目標200人で、実績200人で、ともにぴったりでAであります。余りに数字が一致しているのではないかと思うのであります。
 また、集落営農組織は目標が4だと。そして、8カ所が実績なので、まあ頑張ったのではないかというようなこともありますが、私の村には集落営農というのは20ぐらいあるんですね。江刺だけでも、それを考えれば何百とありますから、岩手県全体だったら1、000単位だろうと思いますが、目標の4というのは余りに小さいのではないかとも思うのでありますし、岩手県を担うという意味では、さっきの200人とか230人という数字は余りに小さくて、逆に就農者はどんどん、今まで認定農業者は耕作地を返しているんですね、もうやり切れないと。ですから、集積が進むのではなくて、離散していくほうが進んでいるような気が、地域に住んでいてそういう実感がして仕方がありません。
 それで、その辺の状況は素直にやっぱり数字を、目標達成するために、できる範囲の目標にしようという動きに行き過ぎているのではあるまいか。そして、実績というのは、本当はこれぐらいどんとなければならんのだけれども、とても手が届かないのだ、だから集積も大変なのだということを素直にあらわすような目標値が適切だと重ねて思うわけでありますが、いかがでしょうか。
〇工藤農業振興課総括課長 目標数の設定についてでございますけれども、目標数の設定については、先ほど申し上げましたとおり、一定の経営類型をもちまして、そして、その一定の所得を確保する経営体を育成していくという考え方、そして、その経営体の方々が、本県の農地の6割以上を担っていくという考え方で設定しておるものでございます。
 ですから、経営体育成と本県農業の生産を維持発展させていく、そういう考え方に立って設定しておりまして、そういう考え方でアクションプランに掲げる目標を確保していこうということで取り組んでおるものでございます。
 御指摘の部分と若干相反する部分もあろうかと思いますが、そういう考え方で経営体育成と本県農業の維持発展、そういう観点で考えて設定しているものということでございます。
〇渡辺幸貫委員 精神はいいんですよ。精神はいいんだけれども、現実が違うということと、取りまとめされている表書きの文章には、新規就農者、担い手が参入できる環境が整備され、そして、確保育成が進んでいますと大上段に書いてありますよと。実際は違うと私は思いますということを、その辺を素直に捉えないと、別の職業の方は農業を誤解されるのではないかと。農業に対する危機感をぜひ岩手県全体でも共有してほしいという願いを込めて言っているのであります。参考に願えたら幸いです。
〇工藤勝子委員 私からは3点聞きたいと思っております。まず最初に、経営体育成整備事業費補助事業であります。並びに畑地帯総合整備事業についてお伺いいたします。
 水田の整備率、30アール以上、40地区で整備をされているとあります。その中で、中山間地域はこの40地区にどのくらい入っていらっしゃるのか。50.5%という整備率でありますけれども、中山間地域は今後非常に大事になってまいりますが、その中でどのくらい整備率が進んでいるのか。また、畑地帯の整備率についてもお示し願いたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 中山間地域における農地の整備率でございます。水田整備率につきましては、全国の統計基準に基づきまして、農業振興地域内の水田面積に対する30アール区画以上に整備された面積の割合ということで、委員御指摘のとおり、本県では、平成23年度末現在、整備率が50.5%となっております。ただし、平場、中山間という地域区分ごとのデータは整理しておりませんので、御了承願いたいと思います。
 なお、本県では、地形の傾斜がきついなどの地域にありまして、20アール区画以上の水田を整備済みとみなして整理いたしましたデータがございますので、それによりますと、県全体の整備率が64.2%に対して、中山間地域は59.6%と5ポイント程度低くなってございます。
 また、畑地整備率につきましては、同じく農業振興地域内の畑地面積に対するかんがい施設が整備された面積の割合でございます。平成23年度末現在、県内の整備面積は2、213ヘクタール、このうち9割が中山間地域でございます。整備率は県全体、中山間地域ともに3.8%となってございます。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。
 今後、自分の地域を見ながら話をいたしますけれども、非常に水田ではなくなってきて、ほとんど耕作放棄地に近い。結局面積が小さい、そして山間地でありますので、いろいろな被害、後から聞きますけれども、鳥獣被害等があって、そういうところを、前は水田だったんですが、これからは、そこを何とか改良して、少しは傾斜地になっても畑地化していくべきじゃないかという思いがありまして、やはり今後は、この畑地という部分、水田から畑地に変えていく、特にも中山間地、そういうところの整備というものの考え方も必要ではないかと私は思っております。
 それから、担い手を今後きちっと育成する、集落営農をしていくには、この整備というものは非常に大事になってきます。平場のほうであれば、確かに大規模でありますので、集落営農もできますし、担い手もしっかりと耕地を確保してやれる部分があるんですけれども、中山間地域では、担い手がほとんどいないような状況になってきて、平均年齢を見ると、70歳でまだ現役で頑張っている人たちがいっぱいいるわけですよ。あと何年もつかなと思って見ているわけです。
 そういう中において、やはり今後は、この経営体育成の整備、圃場整備というものをどんどん中山間地のほうに入れていくべきだと。だけれども、農家の負担率も高いわけですよね。面積が少ないと高くなるわけですけれども、その辺のところをもう少し考えながら整備を進めていってほしいと思っております。
 県内におけるこの整備事業の課題というものをどう捉えているのか。国が、もともと政権が変わったときに、結局この土地改良事業という予算を大幅に切ったと思っております。そういう部分においてどう考えていらっしゃるのか。やはり国からの助成がなければ、県独自の県単でやれる事業でもないだろうと思います。その辺のところをどう考えているのかもお伺いいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 県内におけます農地整備事業の課題ということでございます。
 水田につきましては、30アール区画以上の整備率が、東北平均が63%に対しまして、本県は10ポイント以上も下回る50.5%ということで、東北では最も低いこともありまして、米の生産費は最も高くなってございます。また、排水改良のおくれから、水田での作付が9割を占める小麦や大豆の単位収量が、東北平均を2割程度下回っている状況にございます。
 また、畑地かんがいの整備率につきましても、全国平均が21%、東北平均が8%に対し、大きく立ちおくれております。園芸作目等の生産に当たりまして、夏場の高温や少雨などの影響を大きく受けやすい状況になっております。
 こうした中、県内各地から水田の整備を中心に、継続地区につきましては早期の完成、新規地区の採択といった多くの要望が寄せられてございます。
 このため、県あるいは地方ともに厳しい財政状況ではございますけれども、整備がおくれております本県の実情を国等に強く訴えながら、引き続き必要な予算の確保に努めるとともに、事業の重点化や建設コストの縮減などを徹底いたしまして、事業効果の早期発現に向けた取り組みを着実に進めていきたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 では、この点について1点だけお聞きいたします。
 東北地域から見ても立ちおくれたと。なぜ立ちおくれたと捉えていらっしゃいますか。
〇伊藤農村建設課総括課長 水田について申し上げますと、いわゆる整備前の10アール区画での整備がむしろ他県よりは進んでいたということが背景にあると思いまして、それらを30アールあるいは1ヘクタールに拡大していくことを現在進めておるわけですが、そういった、むしろ1次整備が先行して、その後の2次整備についての再投資について、農家の方々の合意形成が他県よりはおくれてきたのかなとは思います。
 それから、畑地整備につきましては、これまで、いわゆる天水を中心にした栽培管理等がなされてきたということもありまして、現在、県北あるいは県南の地域では、畑地かんがいを整備しておりますけれども、そういった施設のかん水、いわゆる水を使った栽培技術等の普及につきましても、農家レベルではまだ先行した地区の事例が十分に反映されることがこれまではなかったかと思っております。今後、ことしあるいは去年の暑熱対策などにおきましても、十分かん水効果が見てとれますので、そういった効果もお知らせしながら、畑地かんがいについても整備を進めていく必要があると考えてございます。
〇工藤勝子委員 なかなか難しい部分がありまして、もう耕作放棄している、高齢化によって耕作しないわけでありますので、結局は整備することによって個々の負担率も出てくるわけですよ。10アール当たり例えば10万円かかると言われても、うちはもう耕作しないからその負担をやりたくないという、農家の合意形成がなかなかできない、そういう部分があると思います。しかし、これからの環境を守っていくということに対すれば、これを進めなければならない。それは、やはりそれぞれの集落での話し合いというものが非常に大事になってくるんだろうと思っていますし、ぜひ整備を進める段階でやってほしいなと。
 例えば、小さな集落であったら、県単だけでもやろうとするような意気込みを持ってほしいと思うんですけれども、どうでしょうか。
〇伊藤農村建設課総括課長 中山間地域の整備に当たりましては、これまでも有利な補助事業の導入ということをまず念頭に置きまして、それぞれの事業地区の特性がございますので、勾配がきつい、傾斜のきついような地域にありましては、等高線に沿った区画形状を採用するなど、その建設コストを縮減するということも考えながら、さらには、遠野市の土淵地区などで導入を予定しております農地利用集積の達成度合いに応じまして、促進費を交付するソフト事業などもございまして、そういったさまざまな工夫をしながら農家負担の軽減に努めてきているところでございます。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、放射性物質対策についてお伺いいたします。
 今、盛んと除染が行われております。この牧草地、公営牧場、それから個人の草地でも行われておりますが、これにおける除染対策事業の進捗状況を、例えば3年で完成したいというような県のことがあったと思っておりますが、今年度における牧草地の進捗状況はどうなっているか、お尋ねいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 牧草地除染の進捗状況についてでございますが、現時点で平成24年度実施予定の8、300ヘクタールのうち4、200ヘクタールに着手してございまして、そのうち公共牧場が600ヘクタール、個人草地が3、600ヘクタールとなってございます。
 県では、秋施工を希望している農家も多いことから、前植生の処理を含めまして、施工方法の徹底も図りながら除染作業を進めているところでございます。
〇工藤勝子委員 いろいろと進んできていると思っております。そういう中において、奥州市でのことがちょっとございました。除染は実施したと。確かに効果はあったという話でありますけれども、暫定基準値は100ベクレルを下回らなかったその原因、結局、草地の中でベクレルの高いところの除染の仕方というものが課題になってくるのではないかと思っておりますけれども、その原因についてどう調べているのか、また、そこを除染しなければならないわけですが、その経費は二重にかかるわけでありますが、その辺はどうでしょうか。
〇渡辺畜産課総括課長 牧草地除染で暫定許容値を超過した原因と2回目除染に係る経費等についてでございますけれども、まずもって、除染後の牧草地の利用の可否につきましては、牧草の放射性セシウムの濃度を測定しまして判断しており、今年度、春に除染作業をしました牧草の効果測定の結果、県内682圃場のうち44圃場、6.5%で暫定許容値を下回らなかった事例があったところでございます。
 その原因につきましては、これまでの知見から、前植生の処理や耕起が不十分であったと見てございますが、現在、7月に設置しました除染プロジェクトチームにおきまして、さらに、現地調査に基づく要因解析や除染作業手法の実証試験を進めているところでございます。
 今後、県の除染プロジェクトチームにおける実証試験、あるいは国や他県の試験結果等も参考にしながら、年内には除染マニュアルを策定いたしまして、効果的な除染ができるように取り組んでまいりたいと思います。
 また、2回目の除染につきましては、基本的には、今、国と相談をした上で、東京電力と、2回目の除染経費についても見てもらうように協議をしているところでございます。
〇工藤勝子委員 この除染対策の課題、例えば機械が入れない、例えば3年たっているうちに、そこの草地は多分、少ないところは放射性物質がだんだん下がっていくのではないかということも考えられるわけですけれども、大型機械が入っていけない、だけれども、農業公社等に委託したというようなところもあると思っていますが、そういう部分の課題をどうとらえているのか、それから、県のほうにその除染対策の東電からの補償がきちっと入ってきているのかどうかもお尋ねいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 除染対策の課題と東電賠償の見通しについてでございますけれども、除染対策につきましては、除染作業を進めていく中で、急傾斜地や大きな岩盤などで機械の入らない耕起不能箇所への除染の対応がまずもって課題だと考えてございます。
 耕起不能箇所の除染につきましては、県の除染プロジェクトチームにおける土壌改良資材や土壌へのカリウム、ゼオライト投入による牧草の放射性セシウム吸収抑制の実証試験の結果のほか、国や他県の試験結果等も参考にしながら除染対策を進めてまいりたいと考えてございます。
 また、東京電力への賠償の見通しにつきましては、牧草地の除染に係る経費の賠償は、国と東電との間で考え方が整理されてございまして、それに基づき、除染工程内容の確認や除染作業で生じた機械の破損に係る修理経費を賠償対象とすることなど、随時、東京電力と協議を今続けて、了解を得ているところでございます。
 県では、県単の牧草地再生対策事業を創設しまして、農家の負担が生じないような事業スキームを構築しますとともに、東京電力への賠償は県が一括して請求することにしてございますし、さらには、除染作業に必要な経費につきましては、継続して国に対して国庫補助事業の拡充あるいは支援を要請しているところでございます。
〇工藤勝子委員 畜産に与えた影響というのは一番大きかったのではないかと思っていますが、放射性物質の影響による畜産、農林水産物の出荷規制に与えた、また、風評被害も含めた実態をどう捉えているかお尋ねいたします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 放射性物質の影響による農林水産物の風評被害も含めた被害の実態についてでございますが、本県では、国の出荷制限指示を受けている品目が、牛肉、原木生シイタケ、山菜類など12品目、それから、県が出荷自粛要請を行っている品目が、干しシイタケ、ヤマメなど10品目となっております。牛肉は、全戸検査または全頭検査により、基準値を下回れば出荷可能となってございます。
 また、牧草や稲わら、ほだ木などの利用自粛要請に伴いまして、これらの保管、処理に要する費用及び飼養期間の延長や代替飼料の購入に要する費用などの追加的な負担も発生してございます。
 さらには、菌床シイタケや牛乳、大豆等、出荷制限指示等の対象となっていない品目にあっても、価格下落や取引減少など、いわゆる風評被害が発生している状況にあります。
〇工藤勝子委員 12品目とかいろいろわかりましたのですが、例えば、金額は押さえておりませんでしょうか。押さえているというか、調査していないのでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 被害額ということについてのお尋ねでございますが、被害額につきましては、いわゆる東京電力への損害賠償請求額というものが一つの目安になると思います。これにつきましては、ことしの9月末までの東京電力への損害賠償の請求額で約115億円となってございます。
 このうち、いわゆる風評被害に相当する分につきましては、子牛、それから妊娠牛、成牛、干しシイタケ、生シイタケで約11億円となってございます。
 この風評被害には、肉牛につきましては、販売額と生産額の差額を補aXするという方式で、いわゆる風評被害という部分には含めないで算定してございますが、今、風評被害として捉えているのは11億円ということになってございます。
 なお、これは請求を行っている金額でございますので、請求を行っていないところもまだございますので、被害額については、今申し上げた115億円以上になるものと考えてございます。
〇工藤勝子委員 個人で東電と交渉している部分もあるんですよ。うちはシイタケをやって、これが産直販売なものですから個人だったんですね。それで、今でも被害額というんでしょうか、それが平成22年度産での補償という形だったんですよ。平成23年に収穫した部分ではなくて、22年度分。なぜ22年度分なんですかと。もう22年度はきちんと売っているわけですね。それでおかしいなということだったんですけれども、まあ、そういうことで、いろいろな数々の書類を提出して、まだお金が入っておりません。
 そういう関係もありまして、ぜひ、JAも含め、いろいろな組合、組織団体一体となって、東電の補償に対して、しっかりと東電が農家に対して補償するように県も取り組んでいただければと思っております。
 次に、鳥獣被害対策についてお伺いいたします。まとめてお伺いいたします。
 鳥獣被害の実態と被害額について農林水産部はどう調査されているのかお伺いしたいと思っております。
 せっかくとれた農産物が、収穫間際にさまざまな形で、熊や鹿やハクビシン、県南のほうではイノシシも入っているわけですけれども、非常に被害額が年々大きくなってきている、私はそのように実感しております。そのことによって耕作放棄をしている農家の人たちもたくさんあるわけでありまして、これは環境生活部で話をしてきたんですけれども、農林水産部では被害額についてどう捉えているのか。
 そして、この被害額を減少させていくためには一体どういう対策をとっていけばいいのか。まだモニタリング調査もしていないんだろうと思っています、いろいろ震災のあった関係で。集落に電気牧柵をかけている人たちもありますけれども、かけた人とかけない人の差が非常に出ています。結局かけたところには鹿は入りませんし熊も入りません。ですけれども、かけていなかったところには入って、非常に大変な被害になっています。ところが、農家の人たちは、それぞれの行政センターの農林部のほうに被害届けを出さない、そんな形の中で、大変だ、困ったなという形で稲刈りをしているわけです。そういうのではなくて、ちゃんと届けなければだめなんですよという話をしているんですが、どう捉えているのか。また、今後の対策については、どうか。
 それから、14市町村で鳥獣被害防止計画作成をしたという状況がございます。岩手県内は14市町村だけでよろしいでしょうか。どういう広がりを見せていると捉えているのか。
 それから、環境生活部やこの14市町村とどういう連絡会議を開いて今後の対策をしようとしているのか、連携を実施しているのかをお尋ねいたします。
〇千葉担い手対策課長 鳥獣被害の関係に関しての御質問でございますけれども、まず、鳥獣被害の実態と被害額についてでございますけれども、ニホンジカにつきましては、遠野市や釜石市、大船渡市を初めとする沿岸部などで飼料作物、水稲を中心に、また、ツキノワグマにつきましては、全県的に飼料作物や果樹で、それからハクビシンにつきましては、一関市や大船渡市を初めとした県の南部を中心に被害が発生しているところでございます。また、イノシシも平成22年度に一関市で水稲の被害が確認されているところでございます。
 平成23年度の鳥獣による農作物被害につきましては2億8、600万円という被害額が出てございます。ここ数年は3億円前後と横ばいで推移してございまして、そのうち、ニホンジカによる被害が1億5、700万円と半分以上を占めておりますし、次にツキノワグマが4、700万円、ハクビシンによる被害が1、100万円という被害額になってございます。
 続きまして、被害額を減少するための対策についてでございますけれども、これまで、鳥獣被害防止特別措置法の被害防止計画に基づく侵入防止柵の設置あるいはわなの導入に対して支援を行ってきておるところでございまして、事業実地をしている地区におきましては被害が減少しているものの、それ以外の地域では、鳥獣の生息域が広がっているということがございますし、それから、捕獲の担い手である狩猟者の方が高齢化して減少しているということもございますので、鳥獣の被害が拡大していると認識しているところでございます。
 今後、市町村が連携した広域での一斉捕獲に加えまして、農業者も参画した定期的な侵入防止柵の点検、補修あるいはわなの見回りなどの地域ぐるみの対策を検討してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、市町村とか環境生活部との連携についてでございますけれども、鳥獣による農作物被害の低減のためには、鳥獣の個体数管理を所管する環境生活部との連携が重要であると考えてございます。また、鳥獣被害防止特別措置法に基づきまして被害防止計画を策定してその実践に努めている市町村との連携もこれまた重要であると考えてございます。
 このため、環境生活部とともに、県、市町村あるいはJA等の関係機関で構成いたします岩手県鳥獣被害防止対策連絡会というものを運営してございまして、この連絡会の中で、被害情報の共有あるいは被害防止技術に関する研修等を実施しているところでございます。
 現在のところ、県内では14の市町村で被害防止計画を策定しております。地域的には盛岡以南の市町村での策定が進んでおりますけれども、盛岡以北の県北地域のほうで、まだ被害が少ないという状況もございまして防止計画の策定がおくれておりますので、こうした市町村にも一層働きかけを行いまして、被害防止計画の策定に努めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 これで終わります。
 結局は、集落で取り組むことが一番じゃないかと思います。それぞれの集落の中で、張るところ、張らないところとの差が出ないように、お年寄りで張れない地域もあるわけですよ。だったら集落でこの鳥獣被害対策にしっかり取り組もうという対策が今後大事になってくる。そして、集落で電気牧柵をかける場合は、さらにまたその集落に対しての助成みたいなことを考えられるのかどうか、これが市町村なのかどうか、その辺のところを聞いて終わります。しっかりと対策をとってほしいと思っております。
〇千葉担い手対策課長 鳥獣被害防止特別措置法においては、まず実施をするのは市町村ということになっておりますけれども、県としてもそういった市町村ときちっと連携する場をつくっていきたいと思っておりますし、地域での捕獲技術の普及、そういったこともきちっとやっていきたいと思っておりますので、そういった形で県も一生懸命努めてまいりたいと思っております。
〇及川幸子委員 4点ほど質問を用意しておりましたが、私、以前だと一番バッターで全然心配なかったんですけれども、工藤勝子委員に全部質問、やられたと言うのはおかしいですね。
 でも、私なりに、項目の中で答弁できる部分についてお尋ねしますので、そちらも同じ答弁をしないように工夫しながら答弁してください。
 まずもって、東日本大震災津波から1年7カ月経過しました。その震災の被害は大きいと思いますが、被害状況はどうだったのかということで、農業、畜産関係の被害状況を、大きくでいいです、お知らせいただきたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 震災によるいわゆる農畜産物の被害の御質問でございますが、震災による農業関係の被害につきましては、田畑や水路、パイプハウスなどの破損によりまして約687億6、700万円という被害になってございます。この額の中には、畜産におきまして、停電等によりまして生乳が廃棄されたものとか、養鶏におきまして鶏が死亡したというようなものも含まれてございます。
〇及川幸子委員 田畑、水路が687億円余ということですが、その復旧、復興についてどのような進捗で進んでいるのでしょうか、特に沿岸部。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地、それから農業用施設の復旧状況でございます。
 特に沿岸部というお尋ねでございましたので沿岸部の御紹介をさせていただきますが、復旧対象農地が717ヘクタールございまして、このうち、圃場整備など調整に時間を要する農地を除きまして当面復旧が可能な311ヘクタールについて、9月末時点で118ヘクタール、約4割の復旧が完了してございます。現在、136ヘクタールの工事に着手しておりますし、また、施工同意を今後取得する農地あるいは土地改良法手続中の圃場整備地区などの農地も含めまして、本年度中には311ヘクタール全部の復旧を見込んでいるところでございます。
〇及川幸子委員 4割で、本年度中に全部完了ということですが、米づくりにいそしんでいた方々は、復旧、復興に向かって大分神経を使ってきたと思うので、大変な努力だと思いますが、これは一日も早くやっていただきたいと思います。
 それから、牧草の除染については工藤勝子委員が既に質問されました。そのほかのところですが、私は、畜産以外の農産物とかの除染というのもやってこられたのかをお聞きしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 農産物の除染があったかという質問でございますけれども、放射性物質の基準値をオーバーした作物につきましては、陸前高田市のお茶─3戸ほど出荷してございますが─、その部分だけでございまして、あとは、ソバが昨日検出されました。これは今後の対応となります。お茶につきましては除染の対応をしてございます。
〇及川幸子委員 済みません。お願いしていた部分についてはもうダブっていますので、そこを抜きながらやりますから、ちょっと質問を変えていきますので、ゆっくりしていないでくださいよ、いいでしょうか。
 3点目です。野菜づくり農家への支援、畜産農家への支援はどうだったのかお伺いいたします。農家への支援。
〇渡辺畜産課総括課長 畜産農家への支援についてでございますが、特にも牧草地の除染作業を進めるに当たりましては、広域振興局及び農林振興センターごとに、関係機関、団体で構成します現地工程会議なるものを設置しまして、定期的に開催してございます。その中で、地域の要望や意見を確認しながら詳細な除染工程表を作成するとともに、当然に生産者のほうからしますと、作業の実施時期あるいは施行の主体というのは非常に気になるところでございますので、そういった点を生産者と密接に連絡調整をしながら計画的に作業を進めてきましたし、今後もそのように進めたいと思っております。
〇高橋農産園芸課総括課長 野菜農家への対応でございますけれども、野菜につきましては、今、不検出あるいは基準値未満ということでございますので、広域振興局や普及センターを通じてお話は伺ってございますけれども、意見等はない状況でございます。
 ただし、一方では、放射性物質の影響を防止するために、本年2月に作成いたしましたマニュアルに基づきまして、カリの適正施肥ということなどで生産管理対策は徹底して指導しております。
〇及川幸子委員 牧草の除染ということも先ほど質問されましたけれども、私のほうからは、牧草を除染した後の処理について大変頭を悩ませていたようですが、どうだったのかお伺いしたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 放射性物質の影響を受けた牧草の処理についてでございますが、県といたしましては、市町村と連携し、市町村の既存焼却施設において焼却処理を進めるということにしてございまして、この焼却処理に向けましては、生産者の方々の負担を減らすために牧草を集中的に保管することが望ましいと考えてございまして、しかしながら、地域の実情、地域住民の方々にいろいろ丁寧に説明する必要もあるということで、市町村とともに説明会を行いながら、農家の方々の負担軽減に向けた集中的な保管施設の設置についても取り組んでいるところでございます。
〇及川幸子委員 ぜひ市町村とともに、この課題は大変大きいと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。
 部長の最初の説明の中にありました。風評被害に対しては大変な対策をとられてやっていくということを伺いましたけれども、実は、風評被害、先ほども質問があったんですが、奥州市産の野生キノコがこのたびセシウムの基準値をかなり超過したということで、地元の新聞にさきおとといからずっと載っています。奥州市産の野生キノコ、国が出荷制限指示、こういうふうにばーんと載りますと、奥州市産のキノコは全然だめだよと。とってきた人にもすごい目が向けられまして、こんなもの食ってやるかという感じで、すごい目で見るわけです。苦労していっぱいとってきて、そして家族からも、俺たちは食わないぞと若い人たちが言うものですから、キノコをとってくるのが本当に悪人になってしまいます。
 なぜこのような記事が載るんでしょうね。見ましたら、基準値以下、不検出というのもあるんですよ。こういう載せ方が風評被害を招く一因だと思いますが、いかがでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 野生キノコについてでございますが、野生キノコにつきましては、今、委員からお話がありましたとおり、風評被害の発生を防止していくという観点もございまして、市町村の協力もいただきながら、県として、全市町村の検査、いわゆるモニタリング検査を実施してございます。したがいまして、今、委員から御指摘ありましたとおり、不検出という場合もございます。全県下をモニタリング検査して、どのような状況になっているかということで調査を実施しております。
 さらに、産直施設等で販売されていることが多いということでございますので、消費者に対しては安全が確認されたもののみを販売するという観点から、産直施設等の自主的な検査を要請いたしまして、一定以上の値が出た場合は県が精密検査を実施するということにしてございます。
〇及川幸子委員 産直にキノコを卸している人たちの悲鳴を聞いてきましたが、もう死活問題だと。去年から全然とられないし、ことしもこのように出荷制限指示、国がですよ。そして、小さく胆沢と衣川で採取、野生キノコ基準超、こういうふうに載るものですから、よくよく新聞、最初から最後までずっと見ないと、どこのキノコが食べられなくてどこのキノコがいいのか本当にわからないですよね、こういう書き方じゃ。やっぱり県でもこういうのを指導して、風評被害対策、部長、言葉だけじゃなくて、実際こういうのがあるんですから、こういう記事をごらんになって、こういう表現はよくないなと思われませんか。
〇東大野農林水産部長 野生キノコの出荷制限につきましては、国の方針で、原則、県単位、特に管理できる場合には市町村単位でもいいというのが国の基本的なルールになっています。
 昨年度までは、キノコの種別単位で、超過したものだけは採取制限なり出荷制限がかかったんですけれども、本年度からは、野生キノコ、どの種類、1種でも基準値を超過した場合には全てのキノコの種類が野生のキノコについては出荷制限がかかるといったルールに国が変えてきました。そういったようなこともありまして、市町村単位で1種類、1サンプルでも基準値を超過した場合には、その地域にある野生キノコ全てに出荷制限がかかるというルールに変わりました。
 そういうこともありまして、先ほど企画課長が説明させていただいたとおり、全県下について安全性についてモニタリングするために、各市町村の協力も得て、各市町村ごとに検査を実施してございました。そのほかに、産直で取り扱うものについても、販売者として安全性を確保するというのが基本であると考えていますので、そういった検査もするように、もし疑いがあれば県が精密検査をするというルールもあわせて動かしてございます。
 そういったことで、新聞でさまざまな検出あるいは不検出の報道がされるということで混乱があるというお話でございますが、県が検査した結果については全て公表するのがルールでございますので、結果、報道として御指摘があったような報道の形になっていると思います。
 ただ、今、私が説明さしあげたルールというものが県民の方々によく御理解いただいていない、浸透していないという側面はあるかと思いますので、野生キノコについて、こういったルールの中で安全を確認し、あるいは出荷制限をお願いしているということをPRしてまいりたいと思います。
〇及川幸子委員 部長の言い分もわかりました、国で決めている部分について。ただし、キノコをとって生計を立てていた農家の方々の悲鳴を聞きますと、これは誰の責任かなと。放射能、原発がなかったらこういうことにならないですよね、今かなりの実りの中で。
 そういう中で、やっぱりいろいろな意見を言われるでしょう、困った、死んでしまう、これじゃとかと。そういう場合、今まで国へ賠償請求などの行動をやってきたと言いますが、詳しくどのようにされてきたのか。去年からもう出荷制限になっていたと思うんですが、その辺のところを最後にお聞きします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 東電への請求についてですけれども、県といたしましては、東京電力、それから国に対しまして、賠償が早期かつ確実に行われるようにということで、再三再四何度も要請してきたところでございます。特に、ことし7月と9月には知事が直接東京電力へ出向きまして、請求月の翌月に賠償金を支払うなど、確実な賠償を迅速に行うよう強く求めたところでございます。
 今後とも、東京電力や国に対して、賠償の早期実施を機会あるごとに引き続き要請してまいりたいと思ってございます。
〇東大野農林水産部長 産直施設、それから個別の採取なさっている方々の賠償請求の件でございますが、JAの協議会に請求を委託なさる方についてはJAの協議会を通じてという形になると思いますし、そうではなく個別に賠償請求ということにつきましては、県としても、東京電力の職員に賠償請求のやり方について出席を求めて説明してもらう、あるいは個別にも相談に乗ってもらう、そういったことができるように支援してまいりましたが、引き続きそういう形で、個別の請求をなさる方々についても請求できるといったことについて支援してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 私からも、最初に、東日本大震災被災地における農地、あるいはまた施設、機械等の復旧の状況からお聞きしたいと思いますけれども、農地の復旧は先ほどお話がありました。4割の復旧が今年度中に見込めるということですので、それは省きます。
 農業施設あるいは機械、組織といいますか、共同利用とか個人のものもあると思いますけれども、その辺の復旧の状況をお聞きしたいと思います。
〇高橋農産園芸課総括課長 農業施設等の復旧状況と営農の見通しということでございますが、国の震災交付金などを活用いたしまして、被災した農業施設94カ所のうち87カ所の復旧が完了してございまして、残りの施設についても年度内に復旧する予定でございます。
 また、トラクターや防除機などについて、30地区の農業機械等の導入についても支援を行っているところでございます。
〇工藤勝博委員 そういう中で、ことし営農再開ができた経営体、あるいはまた、来年に向けてはできるんだという経営体の数がわかれば教えてもらいたいと思います。
〇工藤農業振興課総括課長 いろいろなデータがあるので、これがというのはなかなかないので、知っている中でお答えいたしますが、農林水産省が平成24年4月に調査をしたものがございます。これはセンサスをフォローアップするような形で、東日本大震災による農業経営体の被災・経営再開状況ということで調査してございます。それによりますと、津波被害を受けた270集落480経営体、販売している経営体で見ますとそういう数がございまして、そのうち、昨年時点で─この4月時点の調査公表ですので─再開した経営体は90となってございます。昨年でございますので、まだ復旧作業がそんなに進んでいないという中での経営体数ということでございます。これが農林水産省から公表になっている数字でございます。
〇工藤勝博委員 農地の復旧あるいはまた施設の復旧が進んでいる中で、そのままできましたよということではないんだろうと思います。経営体が実際動かないと何のための復旧なのかわからないと思いますけれども、その辺はきちっと把握するべきだろうと思います。
 それも含めて、被災された経営体で、もうこれ以上投資してもできないという経営体もあるかと思います。その辺の数字もきちっと捉えるべきだろうと思いますし、また、今、高齢化といいながらも、生涯現役で頑張るんだという意欲のある経営者もいるだろうと思います。そういうことも含めてきちっと捉えてほしいと思います。
 次の質問に移りますけれども、先ほど渡辺委員からもありましたけれども、主要施策の成果に関する説明書の中で、これから成長が見込めると言われている園芸品目の状況を見ますと、なかなか目標を達成するに至らないというのが毎年のような感じがいたします。このような状況をどのように捉えているのか、まずお伺いいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長 なかなか目標到達できないというお話がございました。本県の園芸生産はこれまで家族経営体が中心でございまして、そういう中で高齢化が進んできた、それに対して新規の就農者が入ってこないというような状況の中で、やはりこうした減少という傾向が出ているものと捉えているところでございます。
〇工藤勝博委員 特にも、数字を出して生産額500万円以上の販売農家をふやすとか、例えば1、000万円以上の農家をふやすとかという大きな目標があるんですけれども、それに到達させるためのプロセスが私はまだ弱いんじゃないかという思いがあります。誰しもが一歩一歩前に進みたいという意識はあるので、そこまでいくには何か不足な点があるのだろうと思いますけれども、その辺きちっと精査しながら、次の事業計画に向けての材料にしていただければと思います。
 次に、新規就農者の大きな勉強の場にもなっておりますけれども、アグリフロンティアの事業についてお伺いいたします。
 平成19年からこのフロンティアスクールが始まっておりますけれども、3年ごとの区切りの中で、平成24年度は最終年度ということもあります。そういう中で、今までの事業の成果をまずお聞きしたいと思います。
〇工藤農業振興課総括課長 アグリフロンティアスクールの事業成果についてでございます。
 岩手大学と県との連携のもとに、平成19年からいわてアグリフロンティアスクールを開設しております。このスクールにおきましては、経営管理やマーケティング能力の向上に向けた講義、そして先進事例調査、さらにはみずからの農業ビジネスプラン作成などの実践教育を行っておりまして、それによりまして地域農業を牽引する農業経営者の育成に取り組んできているところでございます。
 平成23年までのスクール修了者は延べ232名、延べといいますのは、コースが複数ございますので、重複している方もおりますので延べ232名となってございます。この修了者の方々は、みずから作成しましたビジネスプランの実現に向けまして、習得した知識、技術を生かして、経営規模の拡大や6次産業化など経営発展に取り組んでおります。また、いろいろな研修会の講師あるいは集落営農の役員などの任を務めておりまして、地域農業の振興に貢献する人材として多方面で活躍しておりまして、アグリフロンティアスクールにおける取り組みは着実に成果を上げていると認識しております。
〇工藤勝博委員 実際、修了された方々も法人を立ち上げたり、いろいろな分野で活躍しているのは本当に評価されるだろうと思います。
 そういう中で、平成24年度でこの事業も一旦区切られるということですけれども、今後に向けてはどのような取り組みをなされるのかお伺いいたします。
〇工藤農業振興課総括課長 アグリフロンティアスクールの今後の取り組みについてでございますが、スクールの運営費の財源となっているのは文部科学省所管の事業なわけですが、この事業が今年度で終了するということで、委員御指摘のとおり、来年度以降の継続が課題になっておるところでございます。現在、この継続に向けて、岩手大学、それから農業団体と一緒に、スクールの運営方法あるいは体制について検討を進めておるところでございます。
〇工藤勝博委員 ぜひ継続できるような力強い取り組みをしていただきたいと思います。
 次に、畜産振興についてお伺いいたします。
 先ほど来畜産関係については質問がありましたけれども、一つ目は、岩手の畜産ということを大きく捉えて、県内の農業産出額の6割近くを畜産関係で占めているわけです。本当に岩手県の1次産業の中でも大きなウエートがあるわけですけれども、その大きな分野でどのように捉え、また、今後に向けての取り組みをなされるのか、まず1点目にお伺いしたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 本県の畜産の現状認識と課題についてでございますけれども、本県の畜産につきましては、委員、今申されましたとおり、農業産出額の過半を占める本県農業の基幹部門でありますとともに、牛乳や食肉等の生産、加工、流通を通じました関連産業での雇用創出など、地域経済に大きな役割を果たしておりますけれども、大家畜経営における経営規模の拡大なり中小家畜経営を含む畜産全体においては、生産性の向上と高付加価値化を図っていくことが重要であると考えてございます。
 こうした中、平成23年に発生した東日本大震災津波の影響によりまして、酪農家では生乳廃棄を強いられるとともに、加えて、近年の配合飼料価格の高騰などによって厳しい経営となっているものと認識してございます。
 県では、大家畜経営農家に対しまして、乳用初妊牛や繁殖素牛の導入による規模拡大、また、県有種雄牛の造成や乳用牛群検定の推進による生産性の向上など、県、市町村、農業団体と連携して取り組んでいるところでございます。
 また、養豚経営農家に対しましては、臭気対策など飼養環境にすぐれた最新の豚舎整備への補助、飼料用トウモロコシの代替としての飼料用米の利用促進など、生産性の向上と高付加価値化に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、各種補助事業や経営安定対策、価格安定のセーフティネット事業の支援などを通じまして、経営規模拡大や生産性向上を図ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 力強い答弁をいただきましたけれども、先ほど来お話がありますように、一昨年は宮崎県の口蹄疫、そしてまた原発の放射能汚染ということで、畜産をめぐる環境は本当に厳しいという状況であります。そういう中で、きちっとした放射能対策の賠償は本当に力強くやっていただいて、生産意欲がそがれないような形にしていただきたいと思います。
 そこで、先ほどもありました放射能に関する損害賠償、実態は生産者にどのように─畜産農家に限ってですけれども─行われているのか。また、もう一つあわせて、昨年から出荷制限の中で廃用牛といいますか滞留牛があったわけですけれども、廃用牛の状況をお聞きしたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 放射能汚染による畜産に係る損害賠償の実態についてでございますが、JAグループの損害賠償対策岩手県協議会がこれまで請求した111億5、200万円のうち、畜産に係るものにつきましては約104億円であり、内訳につきましては、肉牛に係る損害が約80億円、牧草の代替飼料代が約16億円、子牛や妊娠牛等の価格下落分が約5億円、廃用牛に係る損害が約2億円となっております。
 なお、これらの請求額に対する支払い額につきましては、現在のところ約66億円と、請求額の64%となってございます。
〇及川振興・衛生課長 廃用牛の滞留状況についてでございますけれども、まず、出荷が滞留している廃用牛につきましては、本年9月末時点で約2、500頭。内訳といたしまして、乳用種が250頭、肉用種が2、250頭と推定してございます。
 廃用牛の滞留が解消される時期でございますけれども、乳用牛につきましては平成24年末、肉用牛につきましては平成25年末と見込んでございます。
 県といたしましては、農家で飼い直しが困難となっております廃用牛につきましては、集中管理施設の利用促進を図って農家の負担軽減に努めるとともに、経営が悪化しております農家に対しては支援金の交付を行って、生産者の意欲が減退しないように努めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 先ほど損害賠償の支払い額が64%にとどまっているということですけれども、本来の積み重ねた請求額に対して64%ということは、時間的にまだ東電のほうで精査していないという理解でよろしいんでしょうか。
〇千葉担い手対策課長 支払い実績が約6割となっている主な要因としては、東京電力が請求内容の確認に時間を要していることが大きな原因でございます。
〇工藤勝博委員 いずれ、被災、被害があった農家の思いに応えるためにも、きちっと100%の賠償を求めたいと思います。
 廃用牛の状況はわかりました。乳用牛はことし中に大体滞留が解消されると。しかし、肉用牛に関してはまだ来年いっぱいかかるということですけれども、特にも和牛の繁殖農家の皆さんは小規模の農家が多いと思うんです。そういう中で、この際、もう経営をあきらめるかと、そういう農家もなきにしもあらずだろうと思いますけれども、その辺の対策というのは今後どのように考えているかお伺いしたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 肉用牛農家につきましては、委員御指摘のとおり、非常に小規模のところが多いということでございます。そういった方々の意欲をそがないよう、先ほど申し上げましたように、まず、廃用牛につきましては、そういう支援金、なるべくこれを使っていただきまして、それでどうしても牛舎で廃用牛を飼うことができないというものにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、県の集中管理施設を積極的に御利用いただきたい。そういう形で新しい牛を導入して経営を維持していただければと考えてございます。
〇工藤勝博委員 よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、岩手県の畜産の処理施設でもあります畜産流通センターに関して何点かお伺いいたします。
 一つは、畜産流通センターはここ何年か事業業績が落ち込んでいるということがあります。その落ち込んでいる状況というのをどのように把握しているのか、まず1点目お伺いいたします。
〇泉流通課総括課長 岩手畜産流通センターの運営状況でございますが、今ある資料は平成18年度からでございますが、平成18年度から平成21年度までは営業利益は黒字になってございます。平成22年度は9、000万円ほどの損失、平成23年度も震災の影響を受けまして2億円ほどの損失を計上しております。その前までは順調な経営だったと認識してございます。
〇工藤勝博委員 唯一の処理施設でもありますし、県内の畜産農家が地元で処理して、それを消費者に届けるという大きな役割もあるだろうと思います。そういう中で、生産される畜産の、牛の場合は29%、豚の場合が37%しか処理されていないということですけれども、これはもっと高めるべきだろうと思いますけれども、そういう点はいかがお考えですか。
〇泉流通課総括課長 今の御質問は、岩手畜産流通センターの処理能力ということで、年間では牛が大体6割、それから豚が3割程度の余裕があるということで、もっとできるのではないかという御質問かと思いますが、岩手畜産流通センターにおきましては、屠畜の量というのは、自社の精肉あるいは自社の加工品の販売計画によりまして決まっておるということで、販売量に対応した計画的な処理を行っているということで、なかなか販売量が進まないと処理も進まないというような状況だと認識してございます。
〇工藤勝博委員 施設の能力に関しての話になりますけれども、実際、県内の生産者にすれば、近場で解体しながら製品まで持っていってほしいという思いが強いだろうと思います。少しずつでも改善していってほしいと思いますけれども、そういう中で、一昨年、海外販売ということでラインを増設したということなんですけれども、できてから、口蹄疫の問題、そして原発の問題ということでなかなか販売まで結びついていなかったわけですけれども、先日、再開できたということでありますけれども、その辺の状況についてお知らせいただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 いわて牛の輸出についてでございますが、平成21年度にシンガポール、平成23年度にアメリカ、平成24年度には香港向けの輸出認定をとるということで取り組んでございます。その中で、平成23年度は、アメリカは行きませんでしたが、シンガポールを中心に大体4トンぐらい海外に出荷しているという状況でございます。
 県では、この輸出拡大に向けまして、東南アジアでの県物産のフェア、あるいは海外バイヤーを招聘いたしまして商談会を開催するなど、県産牛肉の安全性、品質を岩畜ともどもアピールしていきたいと思ってございます。
 今後、アメリカに輸出が再開され、今、少量ではありますが、アメリカにも既に牛肉は輸出されてございます。これを契機にいたしまして、今後は、知事によるトップセールスだとか、あるいはレセプションの機会を捉えて海外のバイヤーの皆さんにもアピールしていきたいと思っております。
〇工藤勝博委員 最後になります。
 畜産の振興に関して、部長から一言見解をお聞きしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 先ほど委員の御指摘にもありましたとおり、本県の農業のうち、畜産の割合というのは6割に迫らんという、もう基幹的な分野ということと認識しております。そういう中で、放射性物質の影響を多大に受けているのもやはり畜産という状況にありますけれども、そのほかに、全国と比べて1戸当たりの規模が小さいとか、そういった課題も抱え、生産コストの問題、あるいは生産性効率の問題等を抱えていると認識してございますけれども、本県が持っている特性という中でやはり畜産もそれぞれ経営されていると考えてございますので、そういった特性を前提としながら、どういった方策で生産性を上げるといった取り組みが実現できるかということを念頭に置きながら、これからも畜産の振興を図ってまいりたいと考えてございました。
〇小野共委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時52分 休 憩
午後1時2分 再開
〇岩崎友一副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について、延べ21人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 私から大きく2点、重複した部分は省きながら質問させていただきたいと思います。
 まず1点目、牧草地の再生についてお伺いしたいと思います。
 午前中の審議で、本年度の除染の工程表、目標値8、300ヘクタールのうち着手済みが4、200ヘクタールというお答えがありました。今後、この目標値を今年度中に達成できる見通しなのかどうか、また、未達成となった場合、どのような影響が出てくるのか、その後の対処法についてもお伺いしたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 牧草地再生対策事業の工程表達成の見通し等々についてでございますが、工程表の達成の見通しにつきましては、現在、県農業公社の施工のほか、県内外の飼料生産コントラクター組織や建設業者への委託施工により、体制を強化いたしながら、全力で作業を進めているところでございます。
 目標が未達成になった場合の影響でございますが、草地更新が終了しなかった場合、該当農家には代替飼料の手当て等を継続する必要が生じますが、このような事態が極力発生しないよう、作業の進捗管理や資材調達には万全を期しまして、農家等への委託施工は2カ年での完了を目標に、傾斜等で耕起が困難な圃場につきましては、平成26年度までに終了するよう努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございました。ぜひ、午前中にありました除染後も許容値を超過している部分も含めて、よろしくお願いしたいと思います。
 2番目は割愛させていただきまして、三つ目、二つ目になるのか、来春の再生草の検査が、同時期に多数の検体を測定しなければならない状態になるかと思います。検査体制は十分か、その見通しについてお伺いしたいと思います。
〇渡辺畜産課総括課長 除染後の牧草の検査体制についてでございますが、委員おっしゃるとおり、年々検査の数量はふえてきてございます。除染後の牧草の検査体制につきましては、農協等の協力を得ましたサンプル採取や民間検査機関の活用も図りながら今までも検査を進めてまいりましたし、今後も検査体制には万全の配慮を行っていく必要があると考えてございます。
〇佐々木朋和委員 これから冬に向けて営農相談会等々もあります。そのときにまた聞かれる分野だと思いますので、ぜひ情報発信をしっかりしながら進めていただきたいと思います。
 次に、大きな二つ目の山菜、秋キノコ、産直、道の駅等々について、放射線対策を伺いたいと思います。
 まず初めに、今般の観光業者への風評被害の損害賠償について、お土産屋さんも入ると新聞記事で出ておりました。これについては産直、道の駅も該当するのか。産直、道の駅からは、山菜の出荷停止や秋キノコの出荷停止等々によって、畑ものも店頭に並んでいるんですが、やはり風評被害で、お客様が集まらず、ソフトクリーム等、ほかの分野でも売り上げが下がっているというのがずっと問題となっておりました。この点について、どのような状況になっているのか、お話を伺いたいと思います。
〇泉流通課総括課長 お土産屋に産直、道の駅が含まれるかという御質問でございますが、東京電力が今回、損害賠償の対象としたお土産屋とは、観光客を主に対象としている施設とされており、観光客の減少による販売額が減少した産直や道の駅も対象になると聞いてございます。
〇佐々木朋和委員 いい答弁をいただいてほっとしております。ただ、産直、道の駅については、商工団体、また観光協会等に入っていないところが多くあると思います。その点の情報発信、状況提供についてはどのようになっているのか、通告はありませんが、伺いたいと思います。
〇泉流通課総括課長 産直、道の駅等の損害賠償請求に対するいわゆる農協とかそういった団体に属さない方々の支援ということでよろしいですか。
〇佐々木朋和委員 済みません、通告していなかったので。その産直、道の駅が、今回の観光業者等に含まれるということだったんですが、そのようなことの、産直たちに対して、含まれますよと、また、今週からその説明会がありますよという情報発信、情報提供はしているのかというところ、通告にありませんが、どうなっているのかわかれば、お話をいただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 説明会等の支援ということでございますが、機会あるごとに、例えば産直、あるいはそういった直売施設、あるいは地域の団体におきまして、東電の説明が欲しいというような場合については、東電のほうに説明会に出席するように県として要請しまして、来ていただいて説明会等を開催してございますし、それから、個人的に相談したいという場合には、直接東電に相談するというような形での支援をしております。
〇佐々木朋和委員 今回の報道で出た観光業者としての損害賠償で請求できるんですよというところが含まれるという御答弁が今ありましたので、それについて、産直、道の駅は、商工会とか観光協会には含まれていないので、その情報が行き渡らない可能性がありますので、ぜひ、こちらのほうから情報を発信していただきたいという意味でございました。よろしくお願いします。
 次に移りたいと思います。これまで秋のキノコシーズン、また春の山菜シーズンの売り上げ分の減少の対策を練りながら、組合の東電への賠償の書類作成に産直、道の駅は追われてきたわけでありますが、現在はその賠償の進みぐあいはどうなっているのか、これまでの県の支援とともにお示しいただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 今の道の駅、産直の損害賠償に対する県の支援、それから状況ということでございますが、これまで県は、東京電力に対しまして、山菜等に係る損害賠償の請求の考え方を早急に示してほしいということでの申し出をしておりますほか、東京電力に対して、県内の産直施設の実態を捉えた対応をするようにも要請してございます。一関市や奥州市など5市におきまして、それを踏まえまして、延べ10回にわたり、東京電力に出席を求めての損害賠償の説明会や個別相談会の開催を行っております。
 このような取り組みにより、北上市や一関市の一部の産直においては、既に損害賠償の請求をしたと伺っております。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございました。
 また、JA等に含まれていない個人の農家については、先ほど午前中に部長の答弁がありましたので、3番目は割愛させていただきまして、これからも、まだ請求が成っていないところ、また補償がされていないところが多々ありますので、ぜひ取り組みのほうをお願いしたいと思います。
 次に、最後になりますが、来春の山菜への対応策について。
 現在、山菜について、セシウムの移行メカニズムの解明や、また、種類による濃度の相違など研究は進んでいるのか、それを含めて、来春に向けた山菜への対応策はどうなっているのか、出荷再開への見通しはついているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 来春の山菜についての対応策についてでございますが、山菜の放射性セシウム移行メカニズムにつきましては、山菜の種類による違いも含めまして、これまでのところ、国においても知見は得られていない状況でございます。
 また、国による出荷制限の解除に当たりましては、原則として1市町村当たり3カ所以上、それから直近で1カ月以内の検査結果が全て基準値以下であるということとされております。
 さらに、解除に向けた検査に当たっては、解除申請に係る区域内において、高い放射線量が観測されるなど、より高い放射性セシウム濃度の検出が見込まれる地点から採取された検体を含めること、さらに加えまして、当該区域から採取されたものが基準値を超えることのないことを統計的に解明できることを求められておりまして、広く山野に自生する山菜につきましては、出荷制限が解除される見通しが立たない状況にございます。
〇佐々木朋和委員 御説明を聞いて、なかなか難しいというのはわかりました。そのような中で、宮城県の体力のある産直や道の駅では、やはり春の山菜シーズン、秋のキノコシーズンにどうしても品薄になってしまう、並べるものがなくなってしまうというところで、山菜とかキノコを自家栽培できる形のこまや種を産直で半分補助をして農家につくっていただくと。そうすることによって、農家も収入になるし、産直も品ぞろえが豊富になるという取り組みをしているところもあるようでございます。
 例えば、県ではそのような動きを県内の産直、道の駅に奨励したり、また、県のほうで補助をしたりということはできないのか、お考えを伺いたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 今、委員から御提案のありました山菜の畑等での栽培についてでございますが、確かに産直施設の春の品ぞろえという点で、そんな取り組みのことも考えられるかと思います。
 今後、農林業者などからそのような要望があれば、必要に応じてその支援等、対応を検討してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。
 最後にまとめて部長に所感をお願いしたいと思うんですが、私が質問させていただいた2点も含めて、やはりこれまで国の方針が示されない、また、放射線についてはなかなか知見が得られないということで、農家の皆さんからも、先が見える対応ではない、その場その場のような感じがするということで大変お話が寄せられました。
 来年度からは、ぜひ、この対策をすれば次はこうだよという季節に合わせた、例えば冬の営農相談会等々で見通しがある程度立つような政策をしていっていただきたい。また、岩手県内によっても放射線の濃度によって住民の皆さんの理解度が違いますので、制度も柔軟に運用していただきたい。
 そして、県南広域振興局に放射線対策の出先機関ができたのは大変よかったんですが、やはり廃棄物等々についても、一関市平泉地区がより多くなっておりますので、ぜひ一関農林振興センターにも専門家を多く派遣していただきたいという声が寄せられております。その点について、部長の御所見を伺って、終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 農林関係の放射性物質対応につきましては、知見がない中で、わかった都度対応を立案するといったような過程の中で今まで対策に取り組んでまいりました。そういったことから、生産者の皆様からは、先が見えないというお叱りをいただいてございます。ただ、我々も知見をできるだけ求め、あるいはみずから調査して、方法、手段を講じていく努力はこれからも続けてまいります。
 そのような中で、正直、知見が後から得られてやり返しというようなケースも出てまいるかとは思いますけれども、精いっぱい、生産者の方々がまた生産活動に専念できるような、そういう環境づくりを市町村、生産者団体ともども、もう一度つくってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇佐々木朋和委員 済みません、最後と言いましたが、ありがとうございました。シイタケ等々によっては、国の知見を待たずに、県独自で対策を出していただいたりというところで大変評価しているところでもあります。ぜひ、そうやってその辺のもしかしたらまたやり直しになるかもしれないというところは、そこは正直に農家にもお話をしながら進めていっていただきたいと思います。
〇熊谷泉委員 私は、今までも何回か議会で取り上げられてきましたが、化製場の課題について何点か伺いたいと思います。
 岩手県は、農業生産に占める畜産の割合が高くて、先ほど工藤勝博委員も言っていましたが、ブロイラーは全国で第3位で、1億280万羽を生産しておりますし、乳用牛は4万7、600頭飼養と、これも全国で第3位であります。それから、肉用牛も11万2、900頭の飼養、これも全国第5位でありまして畜産県なわけであります。
 先ほど岩手畜産流通センターの話も出ましたが、畜産においては、その先にもう一つ処理場があるわけでありまして、岩手県の畜産を陰で支えているのは、レンダリングを行っている化製場なわけであります。これは、食肉部分を取り除いた残渣から、皮革あるいは油脂、肥料、飼料を加工しているところでありますが、県内で化製場の許可を受けている事業所の数と、それらが処理している量はどのくらいになっているか伺います。
〇及川振興・衛生課長 県内の化製場についてでありますが、化製場等に関する法律に基づきます許可を受けて現在稼働しております事業所につきましては、7カ所でございます。
 また、県内で発生いたします死亡獣畜の県内におけます処理量につきましては、平成23年度実績で、牛と豚合わせまして約1万2、000頭、それから、屠畜残渣が約7、000トンとなってございます。
〇熊谷泉委員 食物残渣のほかに死亡獣畜も1万2、000頭処理しているということでございますが、この化製場に他県から搬入されているものがあれば、数がどのくらいになっているかも伺いたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 化製場における死亡獣畜の処理状況でございますけれども、県内の化製場では、牛が約7、000頭、それから豚が約2万1、000頭処理されてございます。
 このうち他県から搬入されている数でございますけれども、牛が約3、000頭、豚は約1万2、000頭となってございます。
 なお、死亡した鶏関係でございますけれども、これは、飼料あるいは肥料の原料として、別の飼料または肥料製造工場で処理されてございます。
〇熊谷泉委員 もう一度ちょっと確認しますが、今、他県から来ているものが、牛が3、000頭、豚が1万2、000頭というお話でしたが、これは化製場に入っている数ですか、それとも岩畜に搬入されている数ですか。それをちょっと確認します。
〇及川振興・衛生課長 ただいま申し上げました数字につきましては、死亡獣畜でございますので、死んだ家畜ということでございます。
〇熊谷泉委員 今お聞きしますと、県はともかくとして、他県から牛が3、000頭、豚が1万2、000頭ということで、これは死亡獣畜でありますが、死亡獣畜というのは、疾病によってへい死したものというと、ある意味、感染源の最たるものでありますが、これが岩手県のそれぞれの化製場に入ってくるということになっています。
 私たちがことし春に、再生可能なエネルギーで宮崎県の施設を見せてもらいましたが、宮崎県は、御案内のように、もう口蹄疫でさんざん痛めつけられましたので、その辺の接点は非常に、消毒の体制とか防疫についてかなり神経を使ってやっているわけですが、本県においては、この化製場の防疫についてはどのようになっているかお伺いいたします。
〇及川振興・衛生課長 化製場におけます防疫対策についてでございますけれども、死亡獣畜の受け入れに当たりましては、それぞれの事業者が、その死亡原因が伝染性疾病でないことを獣医師による検案書等によって確認を行っており、また、原料を化製場に搬入する際も、場内の出入り車両の消毒を実施しているという状況にございます。
〇熊谷泉委員 入ってくる車両は消毒されているということでございますが、それがどのくらいなのか、私も最近現場に行っていないからわかりませんが、トラックであれば、ゲートで全部シャワーを浴びるような格好になっているのが普通でありますし、人の出入りも、我々が行った宮崎県は、全部、いわゆるクリーニングルームみたいなというか、そこを全部通ってから入るようになっていました。そういうことが、口蹄疫はなかなかあれですが、今、高病原性インフルエンザもそういう時期になりましたので、まず、他県から入ってくるものを、万が一にもそこから侵入してくることがないようにということで、これについてはよくお願いしたいわけであります。
 実は、化製場のいわゆる一つの監督官庁は環境生活部でありまして、そちらのほうは排水とか臭気とか、ある意味、そういう面では監視をしているわけでありますが、家畜の防疫に関しては、やはり畜産課の分野だと思いますので、ぜひ、しょっちゅう行って立ち入れということではありませんが、その辺の注意をよくお願いしたいと思います。
 それで、一つは、今、岩手県でいろいろ課題になっているのは、ある意味、化製場というのは終末処理のところでありまして、ところが、これがないと、もし化製場がなくてレンダリングができないとなると、さっきの話ではありませんが、県南の江刺では、月間、皮だけでも牛と豚で4万1、000枚処理している、膨大な量なわけですよ。それから、先ほどの残渣も物すごい量になってきます。
 長年この化製場は、陰で支えながら、実際は地域住民から臭気等いろいろな苦情が出て、そのたびに、その会社も施設の改善をしてきたわけですが、根本的に変えていかないと岩手県の畜産は成り立たないということでありますが、それについての所見を伺いたいと思います。
〇及川振興・衛生課長 化製場の臭気対策についてでありますが、県では、これまでも悪臭を防止するための原料管理でありますとか、あるいは処理工程の改善等につきまして、各種事業を活用しながら、ソフト、ハードの両面から支援してまいりましたが、今後とも、化製場におけるレンダリング事業が、本県の畜産を支える産業としてその機能を果たしていけるよう、これからも関係機関、団体と連携しながら取り組んでいく考えでございます。
〇熊谷泉委員 今までも改善はなされたということでございますが、我々が行った宮崎県では、1日に100トンを燃やしながら、その熱と、余ったものは電気に使われていましたが、ボイラーで処理しておりました。
 臭気をなくするためには完全密閉が一番いいわけでありますが、それにもかなりの投資が必要なわけであります。そこで、部長にお聞きしたいんですが、岩手県のそういう化製場が経営的にそれだけの体力があるのかないのか、そのお答えを伺いたいと思います。
〇東大野農林水産部長 大変不勉強で申しわけございませんが、個別の化製場の財務状況については、承知してございません。
〇熊谷泉委員 部長は先進地の化製場をごらんになったことがありますか。
〇東大野農林水産部長 私も宮崎県の化製場は拝見してございます。
〇熊谷泉委員 部長も現地をごらんになったということでありますが、岩手県の施設とは、ある意味、近代的というか、非常に考え方がまた進んでいます。それで、岩手県が畜産県を標榜するのであれば、トータルで考えていかないとやはり難しい問題だと思います。というのは、私も環境生活部に聞きましたけれども、ことしも花巻市では、7月から8月まで、やはりにおいの苦情が来ているんですよ。我々畜産をやっている者は、その化製場の意味もわかっていますしあれですが、一般の住民は、ただただ被害だけをこうむっている。そういうことで、トータルでやっぱり考えていかなければならない。再度、部長の決意を聞いて、終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 先ほど委員御指摘ございましたとおり、畜産の生産のプロセスの最終過程として、化製場は重要な位置づけにあると認識してございます。そういった意味で、生産者がある意味、安心して生産活動ができるというところが、そこに依存しているという考え方もできると考えてございますので、そういった化製場の体制づくり、体制の確保といったことにつきましては、引き続き努力していきたいと考えてございます。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇千葉伝委員 今、熊谷泉委員から化製場の件で質疑がありました。今、部長からも、化製場の必要性の分については十分ある、こういうお答えと思います。
 実は私も、今、県内に7カ所あると言いましたけれども、大きなところは奥州市あるいは花巻市の2カ所ではないかと思います。そこの分のさまざまな衛生を含め、あるいは環境面での指導という分では、県も家畜面あるいは環境面で、人の保健所、あるいは家畜の保健所等がタッチして指導等もやられていると思っております。
 県議になってから実際に私も行って、見たり、聞いたりした。それは、中身は熊谷泉委員が言ったとおり、地域住民から、やはり水質あるいは悪臭、こういう問題、地域に住む人、あるいは学校が近くにある、そういったことで何とかならないかという話で、関連ですので長く申し上げませんが、しからば、どこか別のところにということで移転の話もあった。でも、それもままならない。できるだけそういうところは来てくれるなという状況なわけであります。
 言いたいのは、やっぱり畜産をやっていくのに、これは必ず出てくる副産物だと私は思うんですが、骨とかについては、例えば餌に使うとか、いろいろの活用方法もあるわけですが、どうしても焼いたり何かしなければならない。こういうときの処分というか、それが問題になっています。
 お聞きしたいのは、県がという話の前に、今やっているところはほとんど経営が民間でやられているということで、民間の畜産関係団体、そういったところで、いや、そういうものはやっぱりもっとしっかりとした施設設備のあるところでやるべきという話がちらちらはしているのですが、余り大きい声に今はまだなっていないと私は思っています。
 したがって、もっと県も、それから、先ほど話がありましたけれども、関係団体─関係団体というのは畜産関係団体です、そこと、やはり必要性、そしてどうしたらもっとしっかりとした施設で畜産岩手の部分を県外に発信していくような、私はそういう施設設備になるべきだし、なってほしいと思っています。
 それで、お聞きしたいのは、近いうちと言うとちょっといつになるかわかりませんので、ごく近い将来、そういった機会、いわゆる協議をしたり、必要性なり、そういった場面を例えば畜産関係団体とか中央会なり、JAでもいいのですが、そういったところ、あるいは現地の関係のところと、もう今からでもそういった協議なり話し合いをして、どうしたらいいんだろうということを進めるべきだと私は思うんですが、部長、いかがでしょうか。
〇東大野農林水産部長 化製場の体制づくりということですが、現に今、民間企業が化製工場として活動しているわけで、そういった方々を差し置いて県がということには、基本的にはならないと考えてございます。したがいまして、そういった企業の方々あるいは関係団体、そういう方々と十分意見交換しながら対応を検討してまいりたいと思います。
〇千葉伝委員 ありがとうございます。今ある施設をやっているところに十分聞くのは当然であります。前に私が行ったときに話を聞いたのは、民間でつくって、民間で経営していると。でも、将来的にはなかなか厳しい、難しくなってくる。そうした場合は、例えば公設民営とか、そういった話であれば、ぜひ話に乗ってやりますとかというような話も現地ではしております。
 もう一つ、今ある施設が、いろいろな問題があるたびに、その都度対応で、つぎはぎして何とか経営しているというのが現状じゃないかと私は思います。そういうことから、そこのところも入れて、ごく近い将来、そういう機会が必要だと私は思っておりますので、ぜひ早目にそういう機会をつくっていただきますよう要望いたして、終わります。
〇関根敏伸委員 3点質問させていただきます。
 1点目、放射性物質によります山菜、野生キノコの質問につきましては、先ほど来たくさんの委員から質疑があり、答弁がありましたので、大方割愛させていただきますが、1点だけ、県の出荷自粛要請を受けている地域等があろうかと思っておりますが、この出荷自粛要請という状況の中での販売というものに関しては、罰則がないという報道がされております。
 こういった中で、やはり農家のなりわいという観点から、自主的な検査をしながら、基準値以下のものは販売していくという方向性を打ち出している農家あるいは産直施設等もあるかという報道があったようでございますけれども、県として、農家のなりわいという部分と食の安全と安心という部分の両立について、どういった対応方針をとろうとされているのか、この部分だけちょっとお聞かせいただきたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 現在、野生キノコ及び山菜類に対する国の出荷制限指示、県の出荷自粛要請は、6市2町が対象となってございます。
 委員お尋ねの出荷制限等の中での販売ということにつきましては、県といたしましては、まずは産直施設等の流通関係者に対して、自主的な検査を要請して、一定以上の値が出た場合は、県が精密検査を実施するということで、安全が確認されたものが流通するようにと取り組んでございます。
 農家の方々の貴重な収入の場ということもございますが、一方で、消費者の方々に安全なものを提供しなければならないということがございますので、産直等の施設の方々については、そういうものを取り扱っている事業者の責任として検査を要請しているということで、それに基づき、県も精密検査を実施しているという状況でございます。
〇関根敏伸委員 確認ですが、その自主検査の中で、基準値を下回っているものについては要請をするという形だと思いますけれども、それは、販売者の方々の善意といいますか、何と言ったらいいんでしょうか、そこに任せるということなんですか。あくまで自粛要請という形ではあっても、やめてもらうという強制的な形で臨むということなのかどうか、そこをはっきり教えていただきたいと思います。
〇高橋農林水産企画室企画課長 野生キノコや山菜につきましては、いわゆる畑等で栽培されて、農家の方々の生産の条件とか流通の条件がすっかりわかっているものとは違いまして、どのような状況で発生なり採取されたものかがはっきりと特定できない場合もございますし、それから、それに関する知見、放射性物質がどのような動きを示すかとか、どのような値を示すという知見も得られていない状況でございますので、出荷制限がかかっている市町村でとれたものが安全だということは、はっきり言えないわけでございますので、したがって、出荷自粛をしていただきたいということで要請せざるを得ないと考えてございます。
〇関根敏伸委員 済みません、早く終わるつもりだったんですが、もう少し聞かせてください。
 先ほど来、東電の賠償等について指導したり、助言をしたり、支援をしたりというお話もありましたが、端的に、この野生キノコとか山菜類での出荷制限を受けての販売等のいわゆる損害実態というものは、どの程度金額等で把握されておりますか。そこはちょっと質疑がなかったようなので、改めて聞かせていただきたいんですが。
〇泉流通課総括課長 山菜、キノコ等の被害というか実態でございますが、トータルでの把握は現在いたしておりませんが、一部、県南、奥州市、あとは一関地区における産直からの聞き取りによりますと、ことしの4月から7月までですが、来客、販売額を見ますと、来客数は4%から11%、それから販売額は8%から12%ほど前年に比べ減少していると伺っております。
〇関根敏伸委員 先ほど農畜産物の放射性物質による影響が115億円と。大部分が畜産という状況で理解しておりますし、この畜産の損害賠償の支払い状況についても、十分とは言えないまでも、グループ等を通じながら一定の動きがあると思うんですけれども、恐らくこういった方々の損害賠償の支払い状況というものは芳しくないのではないかと勝手に思料しておりますし、恐らく小規模な方々が多いのでしょうから、系統等を通じてのその支援というのはなかなか受けづらい方々なのではないかと思っております。
 今のお話ですと、そういった方々が販売額で8とか12%という状況でありますと、なりわいという部分に関しても、恐らく小さくない影響があるのだろうと思っておりますので、東電等への損害賠償等へのさまざまな支援ということとあわせて、県としてなり、食の安心と安全を確保しながら、そういった小規模な農家の方とか産直施設の方々への影響を最低限に抑えるような支援というものは、何かとり得る可能性はないのでしょうか。そこをちょっと聞かせていただきたいと思います。
〇泉流通課総括課長 産直施設への支援あるいは農家への支援ということだと思いますが、これにつきましては、系統に加入している方々であれば、系統、全農のほうで一義的にまとめていただけるとお聞きしておりますが、それ以外の属さない個人の方や任意のグループの方々につきまして、あるいは産直の方々につきましては、さまざまな運営形態があるということと、それから、賠償に必要な過去の販売実績等の書類の整備が個々によって変わってまいりますので、基本的には、それぞれの事情に応じた損害賠償をしていくしかないのではないかと思っておりますので、県は、そのためにいろいろな疑問とか、どういった対象なのかということを随時、東京電力に説明会等への出席を強く求めて、出席させまして、個別に相談会を実施したりとか、集団だけでなくて、個々にも対応できるような説明会にしていくよう努力していきたいと思っております。
〇関根敏伸委員 ぜひよろしくお願いしたいと思いますし、宮城県の例がある資料に載っておりましたけれども、風評被害の実態調査を県独自で行って、品目ごとの価格低下の推移でありますとか、買い控えの状況でありますとか、あるいは独自でさまざまな自主検査を行った場合の負担でありますとか、これはわかりやすい形で、系列立てて、そういった系統に属さないような方々の損害賠償がある意味、簡単にできるようなものをつくろうという動きを今されているというようなことを読ませていただきました。
 こういったことを恐らく岩手県あたりは、観光業等も含めて、いろいろな多分野での損害賠償を本当に迅速に、確実に進めるためにも、大きな支援策の一つとして考えていくべきなのではないかと思うんですが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇泉流通課総括課長 産直の実態調査につきましては、宮城県のように詳しくはできないかもしれませんが、このたび、農林水産省で風評被害の実態調査ということが調査されますので、それに合わせて被害の状況について、これも個々の産直によりまして捉え方が違ってくると思いますので、同じような形で被害を調査できるか、これからちょっと検討させていただきますが、調査をしたいと思っております。
 また、その系統に属さない人が簡単にできるような賠償請求の仕組みについても、今の段階でどうこう言えませんが、検討させていただきたいと思います。
〇関根敏伸委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 2点目でございます。先般、東北6県の米の生産費の状況が載っておりました。10アール当たり12万7、291円ということで、前年比2%の減、3年連続生産費が下がっているということが示されております。作付面積が拡大したり、円高メリットで飼料費が低減したり、こういったことがその背景にあるのではないかということでございます。
 先ほどの岩手県の水田整備率の状況は、東北の中でもなかなか厳しい状況であるということが示されておりますが、そういった背景はある程度承知をしておるのですが、岩手県の米の生産費の東北6県あるいは全国比較との状況がどうなっているのか、過去数年の推移の状況とあわせてお示しいただきたいと思います。
〇中南水田農業課長 米の生産費についてのお尋ねでございますが、国の統計調査によりますと、本県の10アール当たり生産費は、直近の3カ年で申し上げますと、平成21年で11万8、264円、平成22年で11万5、353円、平成23年は12万806円と横ばいの傾向で推移しております。
 この平成23年度の生産費について、東北及び全国と比較しますと、本県の場合、肥料、農薬費ですとか農機具費などが高いという状況がございまして、東北平均では1万7、295円、全国平均では4、221円本県が上回っているという状況にございます。
〇関根敏伸委員 改めて、その課題と、これからの解決方策、それから、以前はたしかこの米の生産費の年度当たりの目標値なども定められていた時期があったかと思いますが、現在はそういったものが定められておりませんけれども、今、農家の戸別所得補償などによって米農家等の手取り収入もふえている実態はわかるんですが、やはり、あわせて長期的な生産費の低減策あるいはその目標値というものも定めていく必要があるのではないかと思いますが、その辺もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
〇中南水田農業課長 米の生産費の課題、それから今後の施策というお尋ねでございますが、まず、課題としましては、先ほど言いました肥料、農薬費、それから農機具費などの削減をしていくことが、大きな課題となってございます。
 このため、肥料費について言いますと、地元にございます有機物を有効活用していくことですとか、それから、補給型施肥といいまして、最近、作物が吸収した分だけ補給していく施肥という技術を導入しておりまして、これの導入拡大を考えてございますし、それから、農薬費につきましては、病害虫の発生状況に応じた効果的な防除体系を地域でまとめて導入していくということ、それから、農機具費等では、やはり機械の利用率をいかに高めていくかということもございまして、担い手への農地利用集積による規模拡大といったものの取り組みを進めていきたいと考えてございます。
 こういった取り組みで少しでも生産費を削減していくということで、今現在、目標というのは、かつては定めておりましたが、それについても検討しながら取り組みを進めていきたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 よろしくお願いいたします。
 3点目、岩手競馬についてお伺いいたします。
 競馬は、震災後の経営状況が心配されましたけれども、いろいろ施設に被害があったり、釜石のテレトラックが撤去されたりという状況の中で頑張っていらっしゃっております。今年度も一定の利益確保の見通しができる状況ではないかと思っているわけでありますが、そんな中で、ことしの6月に競馬法が改正されました。地方競馬の支援という目的の中で改正されたと聞いておりますが、改正の具体的な内容をまずお聞かせいただきたいと思います。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 競馬法改正の具体的な内容についてのお尋ねでございますが、今回の競馬法改正は、近年、競馬の売り上げが減少し、地方競馬事業の収支が厳しいという状況にありますことから、地方競馬の活性化を図るためということでございます。
 内容としましては、一つ目には払い戻し率の弾力化と、二つ目にはJRAからいただいています地方競馬主催者に対します支援措置、これを平成29年度まで5年間延長することを内容としているものでございます。
 払い戻し率の弾力化につきましては、現在、地方競馬においては大体75%の払い戻し率になってございますが、これについて、かけ式別ごとに一定の範囲、これは70%を下限としまして、今後、農林水産大臣が定める上限の率の範囲内となりますけれども、この一定の範囲内で競馬主催者が主体的に決定できることとされたものでございます。
 これは、公布の日から3年以内で、政令で定める日から施行という予定になっているものでございます。
〇関根敏伸委員 それでお聞きいたしますが、この1番目の払い戻し率を弾力的に主催者が決定できるということでございますが、この法改正を受けて、今、岩手競馬では、この払い戻し率の考え方等についてどういう検討状況にあるのか、それを教えていただきたいと思います。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 岩手競馬における法改正に伴います払い戻し率の検討状況についてでございますけれども、現在、政令で定めるとされております施行日、それから農林水産大臣の告示で定める払い戻し率の上限、これがまだ決定されていない状況にございます。こういったことから、国の動向を注視している段階にあるところでございます。
 また、他の地方競馬主催者などの動向についても情報収集しているところでございますし、それから、払い戻し率の変更に当たっては、地方競馬主催者が共同で運用しております共同トータリゼータシステム、これは岩手競馬もこの4月から導入してございますけれども、これの改修が必要になってきます。現在、全国公営競馬主催者協議会におきまして、その改修方法あるいは経費負担のあり方など、こういったところの検討を行っている状況にございます。
〇関根敏伸委員 いろいろ国の動きがまだ具体的になっていないということもあるかと思いますけれども、岩手競馬は今、かつての財政競馬という立ち位置から、たしか地域の産業という位置づけの中で、しっかり雇用であるとか、地域経済への波及効果を守っていく、こういう立ち位置に変わっていると思っておりますし、そういった意味においては、厳しいながら着実な運営をしつつあるということは評価をしております。
 ただ、御承知のとおりでありますけれども、やはり県等からの借り入れの元金については、残念ながら、まだ支払いが一度もできていないという状況でありまして、今こういう時期の中で、地域の産業ということをしっかりと県民の皆様方にも御理解いただくという観点からすれば、元金の支払いということを何とか実現できるような利益を出す体制に変わっていかなければならないと思っております。
 そういう意味においては、この払い戻し率の変更が、法改正の中で実現できるという状況に来ているわけですから、最低1億円以上の利益を出して、元金を少しでも返還していくということを何とか実現していただきたいと思うわけでありますが、その課題、その可能性について、今どのように整理をされているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 今回の法改正に伴います払い戻し率の弾力化の検討に当たりましては、払い戻し率を単なる引き下げとしてしまいますと、購入者、いわゆる競馬のファンの方々が減少する、ファン離れにつながるおそれもございます。片や、払い戻し率を上げるようなかけ式を設定することによって、競馬の魅力を高めることもできるという工夫も可能となります。
 さらには、中央競馬との格差というものも当然ありますので、商品能力を高めていく取り組みも必要と認識しているところでございますし、また、一方で、同様の法改正を行った他の公営競技、これはオートレースが先行して実施してございますが、こういったところの払い戻し率を下げた影響といったところも注視しながら、競馬事業の収支に寄与するという法改正の趣旨に沿った成果が得られるよう、また、今、委員から御指摘ありましたように、借入金元金返済にも資するものと考えてございますので、いずれ地域経済あるいは地域の産業、雇用にも寄与するように、岩手競馬としても、現状を十分に踏まえつつ、安定した事業運営につながるように努力してまいりたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 やはり総合的に判断しなければならない難しい問題だと思います。当然、払い戻し率を下げればファン離れということも想定されますし、JRAとかオートレースとか競輪とか、いろいろなものがあるわけですから、そちらに流れかねないという状況もあろうかと思います。
 ただ、今この被災を受けた岩手競馬、こういう時期にある競馬に対してのファンの目は、ある意味、そういった支援を行っていきたいという動きが、恐らくここ数年はあるのではないかと私は思っております。例えば、払い戻し率を下げることによって、結果として、1%をファンの方が岩手競馬の財政状況に貢献するということになれば、結果としてこれが元金の返済になってきて、県のこれからさまざま必要な復興支援のための財源に流していくことができるわけですから、そういった大きな方向性を描いてファンの方に訴えていくことは今しかできないと思いますし、今だとできる可能性はあると思っております。
 こういったところをぜひ考えていただいて、トータリゼータシステム等々でいろいろな固定費も下がりつつありますから、こういったいい時期を捉えて、岩手競馬が、本当の意味で県民からしっかりと支えてもらえるような産業として位置づけるような大きな方向性をぜひ打ち出していただきたい。時期を決めてですよ、時期を決めて打ち出していただきたいと思うんですが、改めて、これに対しての御答弁をいただきたいと思います。
〇高橋理事 ただいま構成団体融資についての御質問を頂戴いたしております。構成団体の融資の返済ということにつきましては、この競馬組合に課せられました大きな課題だと認識いたしております。時間はかかるにいたしましても、その実行は極めて重要とまずもって考えているところでございます。関係者と力を合わせながら、さまざまな方途を講じまして、組合経営を継続しながら、その具体的な対応を検討する必要があると考えております。
 今回の競馬法の改正との関係でございますけれども、事務局長から申し上げましたように、現在の岩手競馬の発売自体が、岩手県内だけの発売ではなくて、これはインターネット発売でございますとか、それから、他の主催者、広域での発売というものがかなりのシェアを占めているということで、岩手だけが突出した見直しをやるということは、全体的な売り上げの減少につながるという大きなリスクを抱えていると思っております。
 ただ、一方、委員御指摘のように、今回の競馬法の改正を契機といたしまして、それを十分活用したいという思いも我々自身持っております。したがいまして、岩手競馬の現状を十分に踏まえながら、経営改善の視点に加えまして、競馬ファンの維持拡大の視点でございますとか、それから、JRAや他の主催者の動向等も十分に見きわめながら、委員が先ほどおっしゃいましたように、総合的に検討してまいりたい。今後、この具体的な対応につきましては、競馬組合議会の先生方、それから、競馬関係者等とも十分に協議をさせていただきたいと考えておりますので、御理解をよろしくお願いいたします。
〇高橋孝眞委員 4点質問いたします。
 最初に、廃用牛の屠畜ですけれども、10月1日より生体推定検査が実施されております。18日までに272頭実施されておりますが、その中で検出された放射性物質の最大値が、推定値でありますけれども、53.5ベクレルと聞いております。当該対象牛はどのようにされているのか、今後どうなるのか、最初に伺います。
〇及川振興・衛生課長 廃用牛の生体推定検査に関するお尋ねでございます。
 先ほど委員おっしゃったように、私ども、昨日まででございますけれども、22日までに屠畜場で出荷された廃用牛292頭について検査を実施してございます。
 このうち1頭が、先ほどお話しございましたとおり、県が定めました基準値であります50ベクレルを若干超過いたしました53.5ベクレルということで推定されましたことから、この牛につきましては、屠畜する前に持ち帰りという形で農家にお引き取りいただいて、50ベクレルを下回るまでの間、飼い直しをしていただくようお願いしてございます。
〇高橋孝眞委員 宮城県からではありますけれども、先日、出荷の肉牛から基準値100ベクレルを超えるものが東京市場で屠畜されております。当然、廃棄処分されたわけでありますけれども、県内からは、肉牛、廃用牛どちらも出荷されないように、生産者等に十分今後も指導強化をしていただきたいとお願いいたします。
 次に、汚染稲わらと牧草の状況であります。
 現在、市町村で保管されている稲わらは8市町で418トン、牧草については23市町村で1万9、222トンあります。現在までの焼却は、稲わらで八幡平市の101トン、牧草については一関市で527トンとなっております。この状況では、永久に保管ということになるのではないかと思います。長期の保管になるのではないでしょうか。
 そういう意味で、稲わらにつきましては刈り取りをされた土地─米を収穫した土地に、牧草は草地にすき込みをするということができないのかどうか伺いたいと思います。特に稲わらは、平成22年にコンバインで刈り取りをしまして、原発事故の発生後、平成23年の春に収集したものであります。その稲わらから高レベルの放射性物質が検出されたということでありますので、水田1団地が仮に10ヘクタールあったといたしますと、このうち5ヘクタールから稲わらを集めたとしますと、隣の残りの5ヘクタールはそのまま稲わらをすき込みをしたということだと思います。当然この5ヘクタールからも稲わらを収集したとすれば、同じレベルの放射性物質が検出されたはずであります。しかし、すき込みされた土地の平成23年産米から、また稲わらからもセシウム、放射性物質は未検出、低レベルであります。そういう意味で、すき込みができないのかどうかお伺いいたします。
〇渡辺畜産課総括課長 汚染牧草なり稲わらのすき込みに対する県の考え方についてでございますが、元来より、特にもこれは汚染牧草の場合ですが、汚染牧草等をすき込むといった処理方法につきましては、農家段階におきましては、以前より生産活動を行っている圃場に汚染牧草等の還元を行うことに対する抵抗感がありまして、処理が進んでいないといった実態にございます。
 県では、こういった実態に加えまして、すき込みにつきましては、現時点では生産物にどの程度影響を与えるのか非常に不明だという状況でございますので、市町村に対しましては焼却等の処理方針を示して、現在、市町村と焼却処理について意見交換を行っているものと認識してございます。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 汚染稲わらをもともとあった水田に施用といいますか、戻せないのかという御質問だったと思いますけれども、放射性セシウム濃度が8、000ベクレル以下の稲わらの利用につきましては、その稲わらが収穫された水田に施用する、いわゆる還元施用に限り、認められているところでございます。また、稲わらの堆肥化の場合については、1、300ベクレル以下の稲わらに限り、堆肥製造の水分調整用として利用することが認められているところでございます。
 ただ、現在保管されている汚染稲わらにつきましては、そのほとんどが生産圃場を特定できないものであると思っておりまして、放射性セシウム濃度も1、300ベクレルを超えるものがほとんどと認識しております。したがいまして、一般的には還元施用も堆肥原料への利用もできないものと認識してございます。
〇高橋孝眞委員 そういうふうに難しいのだと考えてしまいますと、なかなか処理することは面倒ではないかと思うわけであります。そういう意味で、政府は、今、放射性物質を集める方法で、例えば校庭の表土を剥いだりして集める、また、洗浄して、物質を集約するという方法で進めております。しかし、一方では、草地の除染方法は、放射性物質の拡散をする、広く薄める方法で対策をとっているわけであります。矛盾する方法だと私は思うわけでありまして、一生こういう方法であればおかしいのではないか。この地で私どもが生活をする限り、本当に残念だと思うのでありますけれども、上手にこのセシウムといいますか放射性物質とつき合っていかなければいけないのではないかと思うわけであります。
 そこで、県として、農業研究センター等で実験をするなり、草地等もありますし、いろいろな土地があるわけでありますので、そういう場所に、水田であれば汚染稲わらのすき込みをする、米をつくってみる、栽培をする。畑には除染牧草をすき込みをする、そしてデントコーンをつくってみる。そういう飼料作物等を栽培しながら、そういう結果を出しながら、農家に対して、また国に対して、こういう方法で進めなければなかなかできませんよというような進め方といいますか提案の仕方をしていかないと、いつまでたってもこの汚染牧草、汚染稲わらは解消しないのではないかと思うわけでありまして、これらを進めることが私は岩手の1次産業を守っていくことだと思いますので、これは強く要望しておきます。
 次に、被災地の人・農地プランでありますけれども、被災地域では経営再開マスタープランのようでありますけれども、作付状況はどうなっているか伺います。
 また、被災地域における新規就農者数の状況と、どのような支援を行っているのかを伺います。
〇千葉担い手対策課長 被災地域における経営再開マスタープランの策定状況についてでございますが、本県では、平成25年度までの2年間で、津波で被災した沿岸の市町村におきまして、地域農業の目指す姿と実現方向を明確にした経営再開マスタープランの作成を推進しており、9月末現在で、久慈市、洋野町、野田村、普代村及び田野畑村、5市町村13地区で策定されたところでございます。
 沿岸地域で初となる野田村の5地区のマスタープランでは、災害復旧が終了した農地等における営農につきまして、担い手への農地集積を進めるとともに、村が整備する農業機械の共同利用組合を設立し、地域農業の発展を目指す、そういった形となってございます。
 今後も、災害復旧事業の進捗や圃場整備の計画樹立等とあわせまして、市町村、関係機関が一体となって地域の合意形成に向け支援をしていく考えでございます。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 被災地での新規就農者のことについてでありますけれども、平成23年度の被災沿岸12市町村での新規就農者は32人でありまして、被災前5年間と比べまして、人数的にはほぼ同等ということでありました。一方で、大船渡や宮古で開催いたしました就農相談会での相談者は、宮古地域で1人となり、前年に比べて大幅に減少した状態でございました。
 営農状況につきましては、13人が施設野菜、7人が露地野菜、野菜経営が合計20人で、63%と大多数を占めております。
 課題といたしましては、本県沿岸地域の農業は地元消費向けが主力でありましたけれども、被災によりその購買力が大きく損なわれまして、販売先の早期確保が必要と認識いたしておりました。
 そこで、主な支援活動としては、地域の農産物等の販売促進に向けまして、がんばろう!岩手・農村起業復興支援事業などを創設いたしまして、産直や農産加工活動の復活を支援いたしました。一方、青年就農者に対しては、地方の農村青年クラブや生産部会等への加入を勧めまして、仲間づくりによる定着支援を行いますとともに、個別指導もあわせて農業技術の早期の習得を図りました。また、当地域の気候特性を生かした新しい園芸品目、作型の実証展示を行いまして、その普及に努めたところでございます。
〇高橋孝眞委員 マスタープランでありますけれども、沿岸地域、北のほうにつきましては作成になっているようでありますけれども、南のほうについてはこれからという感じで聞きましたので、ひとつ取り組み等をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 また、新規就農者でありますけれども、いろいろな活動を通しながら支援をしているということについてはそのとおりだと思っておりますけれども、実際私、考えますと、県の指導そのものから見ますと、栽培指導は重点を置きながら十分行われていると認識しておりますけれども、残念ながら、経営指導、農家でありますと、農協の経営者を育てるというような意味合いの考え方での経営者に対する指導が少し劣っているのではないかと感じておりますので、それをぜひ強化していただければと思います。
 先ほど、新規就農者が32名とあります。この方々が2年後なり3年後に1人でも2人でも雇用することになりますと、時間はかかりますけれども、産業として育成していくことができるものだと思います。そういう意味合いでぜひお願い申し上げたいと思いますし、そういうことをするためにも、相談機能を充実させるということが必要だと思っております。マスタープランの作成なり新規就農者への支援、県なり、特に地域の農協の役割は非常に重要なわけでありますので、そういう意味で、ひとつ相談機能の充実を考えていただきたい。漁協なり森林組合への機能回復支援事業があります。ぜひ農協にも、この事業では対象にならないのかもしれませんけれども、そういう事業をつくりながら被災地の農家の相談機能を強化していただきたいと考えるわけでありますけれども、いかがでしょうか。
〇工藤農業振興課総括課長 農協等の機能充実のための支援でございますけれども、東日本大震災により被災した生産等の施設の復旧につきましては、東日本大震災復興交付金の活用が考えられます。具体的な営農相談施設の復旧につきましては、この交付金の中の農山漁村活性化プロジェクト支援事業という事業がございますので、この活用が考えられるところでございます。
 今後、農協を含めまして市町村等と地域の話し合いを進めていく中で、この事業の活用が必要ということになりましたら県として助言をしてまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 ぜひ活用しながら取り組んでいっていただきたいと思います。
 最後でありますけれども、土地改良区の件でありますけれども、土地改良区は、農業生産を行う上で欠かせない農地や農業水利施設の整備とともに、各種事業で整備された施設の維持管理などを行いながら、本県農業、農村の振興の一翼を担っていると認識しております。とりわけ農作物の成長に欠かせない命の水を農地に供給するため、かんがい期間には昼夜を問わず用水路、排水路を管理し、農業用水を適切に調整、供給するという重要な役割を担っているわけであります。
 昨今の農業情勢は、農産物価格の低迷や農業従事者の減少、高齢化など厳しい状況にありますが、そういう中で、土地改良区の抱えている課題を県はどのように認識しているのか、また、その課題に対して県はどのように取り組んでいるかについてお伺いいたします。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 県内に土地改良区は48ございますけれども、48の土地改良区が抱えている問題、課題につきまして、県では、大きく三つではないかと認識しております。
 一つは、未収賦課金の発生の問題であります。
 土地改良区は、組合員の皆さんから賦課金をいただいて、それを財源にして運営しているわけでございますけれども、その未収賦課金の増加は土地改良区の運営に大きな支障を来すと考えております。
 それから2点目は、維持管理計画書の整備、更新のおくれであります。
 維持管理計画書は、土地改良区が主な業務としております土地改良施設の維持管理の根本になるものでありますけれども、その大事な書類が適切に更新されていないという課題がございます。
 三つ目は、統合整備のおくれでございます。
 5年前には60あった土地改良区が現在48まで減ってきておりますが、まだまだ受益面積300ヘクタール未満の土地改良区が3分の1を占めるということで、今後の安定的な土地改良区運営が心配されております。
 そこで、その三つの課題の解消に向けて、まず、一つ目の未収賦課金の解消につきましては、県では未収賦課金解消マニュアルというものをつくりまして、土地改良区の役員、職員を対象にした研修会を開催しておりますし、それから、土地改良事業団体連合会が設置しております未収賦課金の解消アドバイザーという方を土地改良区に直接派遣するなどして、個別具体的に土地改良区を指導しております。その結果、全体として未収賦課金は減少傾向にあります。
 二つ目は、維持管理計画書の整備についてでありますけれども、これについても、昨年度、整備の手法マニュアルというものをつくりまして、土地改良区の職員にいろいろ研修を受けていただいております。これについても、土地改良事業団体連合会で地図情報システムというシステムを持っておりますので、それを活用するなど、できるだけ速やかにこの維持管理計画書が整備されるように指導していきたいと思っております。今年度、既に一つの土地改良区が整備を終わりましたし、三つの土地改良区も間もなく終わるということになって、計画的に、あるいは着実に進められてきております。
 三つ目の統合整備についてでありますけれども、県では、第8次統合整備基本計画を策定しまして、できるだけ早く統合整備を進めていきたいと考えておりますが、いずれ、関係する土地改良区の役員あるいは職員の方々の意識改革がまずもって大事だと考えておりまして、その計画に掲げております関係する土地改良区の役員の方々と懇談を重ねておりまして、引き続き、これも土地改良事業団体連合会と一緒になってそうした取り組みを強化していきたいと思っております。
〇高橋孝眞委員 1点目へのお願いでありますけれども、土地改良区の賦課金の未収の件ですけれども、それぞれの土地改良区では回収に努力しているというのはそのとおりだと思っております。ただ、土地改良法上、賦課金は、土地の所有者及び耕作者となっております。農地法上の賃貸借や使用貸借の許可を得た土地はよいのですけれども、それ以外、いわゆる闇小作、または相続をされないまま利用なり栽培されている土地が未収金発生の要件でもあります。このまま放置しておきますとさらに増加が見込まれますので、土地改良法の改正を含めながら、改正を県でやれということにはいきませんけれども、要望をしながら検討し、未収金が増加しないような指導をお願いして質問を終わります。
〇喜多正敏委員 私からも数点お伺いします。
 震災津波の被害についてはいろいろな質疑がありました。私からは、震災津波の施設の被害額ではなく、田んぼや畑が土砂で埋まったり、あるいは塩害、農業用水路の破壊等により、米、野菜などの生産ができない、あるいは収量が落ちたなどの被害があったわけでありますけれども、これらの収量の減少や生産額、農業収入の減収額はどの程度であったか、また、そうしたことについて何らかの対策が講じられたかお伺いします。
 続いて質問いたします。
 2012年度の飲用乳価の交渉が据え置きで決着いたしました。飼料価格が高どまり、原発被害あるいは副産物販売の低迷など、生産者は現行価格を求めてきました。一方、年明け以降、配合飼料補aX基金の枯渇に直面する懸念もあるわけでありますけれども、県では生産者農家の経営状況についてどのように把握し、どのような所感を持っておられるか。また、酪農家に対しての支援や振興策についての取り組み、課題についてお伺いいたします。
〇高橋農産園芸課総括課長 まず、被害額ですが、畜産物を含む農畜産物としての被害ですが、19億8、300万円の全体被害で、12市15町5村ということになります。
 ことし、復旧した水田に作付を行いましたが、現地の農業改良普及センターの収量調査によりますと、塩害の影響等は見られず、被災していない水田の作柄と同等となる見込みと報告を受けてございます。
 今後も、農作物の生育等を確認しながら、収量、品質が安定的に確保できるよう技術指導を徹底してまいりたいと考えております。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 被災地域の農業産出額の減少にいかなる取り組みによって対応してきたかという御質問でございますけれども、我々としては、被災農地での作付を可能な限り進めていくことが地域の希望をつなぎとめるためにも大切であるとの考えから、まずは避難所を巡回しての営農相談を行いまして、被災地における営農技術マニュアルを提供し、塩害対策説明会などを行いまして、関係機関と連携して被災地域の営農再開を一生懸命支援してまいりました。
 これらの取り組みによりまして、平成23年度は8市町村の水田、約7.5ヘクタールでしたけれども、水稲が作付されまして出来秋を迎えることができまして、農業者の方々が大変喜ぶ姿を見ることができました。また平成24年度は、5月末までに復旧した農地104ヘクタールで水稲などが作付され、その成果は、今、高橋総括課長が報告したとおりでございます。
 今後の取り組みの考えですけれども、沿岸地域は小規模農家が多くて高齢化も進行していますことから、担い手の確保が特に重要な課題と認識しておりまして、今後は、営農再開や経営発展に向けまして、担い手グループを中核とした集落営農体制をつくり上げていくために、経営再開マスタープランの作成に向けた地域での話し合いを進めてまいります。
 また、本県三陸沿岸地域の気候特性を生かした新たな施設園芸産地づくりを地域の復興の象徴として位置づけまして、市町等関係者と力を合わせて強力に進めていく覚悟でございます。
〇渡辺畜産課総括課長 飲用乳価据え置きに伴う酪農家支援についてでございますが、酪農家の経営状況につきましては、生乳生産量は減少しているものの、乳価の上昇と低コスト化の推進によりまして平成21年度と平成22年度は安定して推移しておりましたけれども、平成23年度以降につきましては、震災の影響等によりまして、生乳生産量のさらなる減少や配合飼料価格の上昇により厳しい状況にあると認識してございます。
 本県の酪農につきましては、飼養規模が零細でございまして、飼養規模と震災前までの生乳生産量の回復、この2点が大きな課題と考えてございまして、規模拡大対策としましては、いわて未来農業確立総合支援事業による牛舎整備等の支援に取り組んでいるところでございます。また、震災の影響による生乳生産量を回復するため、1、131頭の妊娠牛導入をした結果、平成24年度の生乳生産量は、9月までの累計で震災前の99%まで回復してございます。さらに平成24年度につきましては、いまだ不足している生乳生産量を補うため、300頭の初妊牛導入助成事業を農業団体と県との間で連携して実施してございまして、引き続き規模拡大と生乳生産量の回復に向けて、農業団体と連携して進めてまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 生産するほうの対策についてはわかりました。
 大変厳しいデフレ化の中、市場環境は、スーパーの目玉商品ということで値下げ圧力も高いわけでありますけれども、こうした県産飲用牛乳の需要拡大、それからもう一つは、きのうも学校給食会のことについて飯澤委員、高橋委員などからも質疑が交わされたわけでありますけれども、農林水産部として、県産農業酪農水産品の学校給食の活用についてどのように把握されているか、その数量や金額、全体の学校給食に占める割合はどのように推移しているかお伺いしたいと思います。
〇泉流通課総括課長 御質問は二つだと思います。一つ目が、県産飲用牛乳あるいは加工品の需要の拡大策、それからもう一つが、県産農業酪農水産品の学校給食への活用の推移ということでございます。
 一つ目の、県産飲用牛乳や加工品の需要拡大についてでありますが、県では、関係団体と連携いたしまして、学校給食用牛乳の安定的な供給を推進してございます。それとともに、牛乳、乳製品の栄養に関する知識の普及や酪農に対する理解を醸成しまして、牛乳、乳製品の消費拡大を図るための取り組みをしてございます。
 例えば、小学生を対象としました酪農に関する授業やバターづくりの体験を行います酪農出前教室、一般消費者を対象にした牛乳、乳製品の販売会や骨密度測定を行うミルクフェア、あるいは牛乳、乳製品の利用技術を競う料理コンクールなどの開催を支援しているところでございます。また、6月1日の牛乳の日の記念イベントといたしまして、消費者を対象に県内主要駅付近での県産牛乳のPR活動を行うなど、全国的な運動と連動して消費拡大の運動を展開してございます。
 県としましては、このような取り組みを引き続き支援するとともに、県内外で開催が増加している物産展やフェア等を活用しまして積極的なPRを行い、県産牛乳や乳製品の需要拡大に努めてまいる所存でございます。
 続きまして、県産農業酪農水産品の学校給食への活用でございますが、県産利用率の割合、額は出てございませんが、学校に調査協力をお願いしまして出ました平成22年度における県産食材の利用割合については、全体で46.4%ということで、前回の平成20年度、42.4%に比べまして4ポイントほど増加し、県産材の利用が増加していると認識してございます。
 あわせまして、県産品の利用拡大の取り組みについてでございますが、学校給食を通じまして、子供たちが県産材に触れ、本県の農林水産物への理解を深めてもらうことが重要と考えまして、各市町村教育委員会に対して県産食材の活用について依頼するとともに、全県一斉で岩手とり肉の日や鮭の日の学校給食への取り組み、それから主要産地の市町村でのいわて短角和牛学校給食の日の取り組みなどにつきまして、産直施設を通じた学校給食への県産食材を安定的に供給する仕組みづくりなどに取り組んでいるところでございます。
〇喜多正敏委員 茨城県では、茨城県産のいろいろな食材を使ったこだわりの献立支援を行っているということで、ことしは補正予算を組みましてそうしたことについて取り組みをしている。あるいは米などについてはそういう支援をする県もあるということですが、そうしたことについてもいろいろ積極的にやっているということなので、ぜひ本県においても、今までるる取り上げられた試み、それからもう一つは、実際、学校給食費はなかなか厳しい状況にあるわけなので、こうしたことについて農林水産関係のほうからも大いにプロモートする必要があるのではないかと思うので、御検討をいただきたいと思います。
 それから次に、最近、地球温暖化ということもいろいろ取り組まれているわけでありますけれども、屋上緑化とか建物の壁面緑化は効果があると言われているわけでありますけれども、東京都の農林総合研究センターではこうした研究が行われているわけでありますけれども、本県の試験研究機関ではどのような取り組みが行われているか、あるいは県の評価や所感についてお伺いします。
〇高橋農林水産企画室企画課長 屋上緑化等についてでございますが、本県におきましては本格的な導入の事例は聞いておらないところでございますが、この取り組みにつきましては、屋根からの熱負荷の低減による冷房運転の省エネ化や、植物からの水蒸気の放出による気温の降下、それから二酸化炭素の吸収による削減などの効果がある一方で、散水施設の整備費や維持費などの課題もあると認識してございます。そういう状況でございますが、本県の研究機関における試験等の取り組みはまだ行われていない状況にございます。
〇喜多正敏委員 議会棟の上もかなり屋根が見えてちょっと殺風景だなと思われるわけでありますけれども、いずれこうしたことについては、先発の事例もあるわけでありますけれども、本県の農林業の振興の観点からも、ひとつ情報収集をしながら取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇高橋農林水産企画室企画課長 委員から御提案のあった緑化等の取り組みについてでございますが、環境負荷の軽減、それから農林業振興の観点などから研究すべきさまざまな点があると考えてございまして、関係部局とも意見交換をしてまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 最後でございます。
 完成から40年以上経過している施設として、国営かんがい排水事業、岩手山麓の農業用排水路等があるわけでありますけれども、これについて、本県の取り組みと今後の見通し等についてお伺いします。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 岩手山麓地区でありますけれども、北上高地のてっぺんに岩洞ダムをつくりまして、そこでためた水を北上川を越えて岩手山麓の田畑に供給する、かんがいするという画期的な大プロジェクトでありますけれども、委員御指摘のとおり、既に完成後50年近く経過しておりまして、とりわけ厳しい気象条件も相まって老朽化が進んでおりますし、それから、IGR滝沢駅周辺に施設がありますけれども、そこのところは市街化が進んでおりまして、その市街化への影響ということもありまして、防災的な面も含めて、この際、抜本的な改修あるいは補修等が必要ではないかということになっております。
 そこで、農林水産省の東北農政局でありますけれども、平成25年─来年度の実施設計、平成26年度からの工事着工に向けて、現在、その前段としまして地区調査を実施しております。県では、平成19年度からいわゆる第三者委員会としまして事業構想検討委員会を設置しまして、事業の必要性とか効果、効用等について検討を進めてまいりました。8回ほどの検討を進めておりまして、その結果、意見をいただきまして、この8月31日に国に対して事業実施に同意するという旨の回答をしております。その結果、先般公表されました国の平成25年度概算要求におきまして、平成25年度に全体実施設計地区として要求するということになっております。
 県としましては、この事業が確実に採択されるように、受益団体であります岩手山麓土地改良区、それから滝沢村、さらに盛岡市と一緒になって、国に対して採択いただけるように要望してまいりたいと思っております。
〇喜多正敏委員 大変画期的な事業ということで、アメリカのテネシー開発に匹敵するとも言われた事業であります。ぜひともこれについては確実に予算が獲得できるように、県としても今後とも引き続き御努力をお願いしたいと思います。
〇神崎浩之委員 土地改良費における基盤整備と、それから、熊、イノシシの鳥獣被害対策を通告しておりました。
 震災における農地の被害については説明いただいております。私は、今後、沿岸の農地の復旧について、工事事業者がきちっとそろうのかという視点でお伺いいたします。
 まず、内陸部については、復旧対象農地473ヘクタールのうち99%が復旧を完了し、平成24年度には全て復旧するというような資料がありますが、この点についてはこのとおり進んでいるのかどうかということ。
 それからもう一つ、この内陸部の復旧に際しては、工事が難儀しておりまして、工事事業者がなかなか手を挙げづらかったというようなことを聞いております。それには、3月の震災で、春までに復旧、種まきの前までに復旧させなければならないという工期の関係とか、それから、農地の中には傾斜地もあるし、それからため池等もあって、なかなか工事事業者が手を挙げなかったということを聞いております。
 県としては、その点の平成23年度の農地の復旧の課題とか事業者の参加の状況についてどう把握しているのかお聞きいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 内陸部の農地、農業用施設の復旧状況でございますけれども、内陸部につきましては、災害復旧事業について、市町村等が事業主体になって実施していただいております。その中で、委員から御指摘がありましたように、3月、いわゆる年度末時点ではそういった入札契約に関して事務のおくれが見えたということでございますが、その後、そういった契約に関する手続も工区の見直し等を進める中で解消したと伺っておりまして、農地復旧につきましては、残っております復旧工事が11月末には完成すると聞いておりますし、それから、作付を優先したために、ため池ですとか水路などの整備が後回しになっているという部分もありましたけれども、年度内、3月までには全ての復旧工事が完了すると承知しております。
〇神崎浩之委員 農地は普通の道路とは違いまして、1カ月おくれるだけでも1年間農業がおくれるということもありますので、まあ、でも、早い進捗かなと思っております。
 次に、沿岸部ですが、復旧対象農地717ヘクタールのうち、今16%完了、平成24年度末には43%というような資料がありますが、これについてはこのとおり進んでいるのかどうか。
 そして、先ほどお話ししたとおり、今後、ある程度の数年単位で沿岸部の農地の復旧が必要でありますが、他の建設土木工事もある中で、内容的にも難しい、新規であればなんですが、復旧というのはなかなか手間がかかる工事だと言われておりますが、工事事業者の確保については大丈夫なのかどうかあわせてお伺いいたします。
〇伊藤農村建設課総括課長 沿岸部の農地復旧でございますが、復旧対象面積717ヘクタールのうち、圃場整備ですとか、あるいはまちづくりの関係、土地利用の調整があって当面工事に着手できない部分がございますので、そういったものを除きました311ヘクタールについて、現在、復旧工事を進めておるところでございます。全体としては委員からお話がありましたような進捗ということになりますが、当面工事が可能な範囲についての進捗ということで見ますと、9月末までには約4割程度復旧を進めておりますし、年度末までには予定しております311ヘクタールの工事が、これは原形復旧を中心にした工事ということになりますけれども、完成できると思っております。
 ただ、災害復旧とあわせて行う圃場整備の工事が今後本格化してまいります。そういった中で、御指摘がありましたような施工業者の確保という点では、圃場整備の経験等も十分考慮した形で復旧をしていく必要があるのではないかと思っておりますので、そういった契約が円滑に進むように、適切な対応をしてまいりたいと思っております。
〇神崎浩之委員 続きまして、通常の基盤整備の進捗状況でありますが、午前の工藤勝子委員の答弁に、基盤整備が進まない理由として、10アールの整備を先行したというお話があったんですが、私はもう少し、農家一人一人がどういうふうな課題で進んでいないのかということで、その課題と、課題に対する対応についてお聞きするわけですが、私も何件か相談を受けているわけですが、やはり補助率の問題があります。中山間はいいんですが、平たん地の平場の補助率についても、負担がないようにというような声。それから集積ですね、先祖伝来の土地ということ。それから、改良区をつくらなければならない、これが負担だということ。それから換地対策。それから、計画が立てられないんだと。今、六つぐらいの課題を挙げさせていただきました。これらについては県のほうではどういうふうに把握していて、その対策はどういうふうに考えているのか。それから、ほかにも何か進まない課題等があれば教えていただきたいと思います。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 本県で基盤整備が進みにくい原因、課題についてのお話がありました。午前中も御質疑いただきましたけれども、本県が全国あるいは東北と比べておくれている主な原因を改めて考えてみますと、昭和30年代に積寒事業で10アール区画での整備を県内各地で行いました。その結果、県内ほとんどのところで10アールに整備されているというのが実情ではないかと思っております。その結果、その償還等がしばらくの間続いて、農家が次の投資になかなか踏み切れなかったということ。それから、次に30アールに行く前に、大規模な用水路、排水路の整備に進んだというところがあると思います。いわゆるかんがい排水事業を優先して進めたということがあると思っております。現在はそのかんがい排水事業も大体一段落して、いよいよ全国に追いつくように、2回目の基盤整備を進めているという段階ではないかと理解しております。
 そういうふうな中で、補助率のお話がありました。平場の補助率についてでありますけれども、午前中、中山間地域は平場よりも5%ほど高いというお話をしました。これについては、やはり中山間地域は傾斜がきついとか、あるいは農地が点在しているという不利な条件がありますので、そこのところを勘案して国のほうでも5%のかさ上げをしているということだと思っております。一方、平場のほうは地形条件も緩やかですし、団地化されているということでその分有利になっていると思いますし、基盤整備を進めるに当たっても、10アール当たりの基盤整備事業費はやはり平場のほうが低いということになっておりますので、そのあたりは合理的ではないかと思っております。
 ただ、一方で、事業費については、平場も中山間地域も80%、85%という国、県の補助があるわけですけれども、残った部分についてもできるだけ農家の負担を軽減したいということで、農地を担い手の方々に集めていただくという努力をしていただければ、それに対して促進費というものを交付して、できるだけ地元負担の軽減を図っていくということを進めております。
 それから、土地改良区の問題がありました。基盤整備を行ったところについては、農地あるいは農業用施設は土地改良区が適切な維持管理を進めていくということで進めているわけでございますけれども、そういうことは土地改良法という法律の中にもきちんとうたわれておりまして、予定管理者を定めて、その予定管理者が管理をしていくということになっております。
 県では、土地改良区を設立していないところ、そういう地域では、できるだけ近隣の土地改良区に加入するようにお願いしておりますし、土地改良区に入れないところについては、市町村がかわってその予定管理者になるとか、そういうことを指導しながら、円滑な事業導入につなげていきたいということを考えております。
 いずれ、さまざま事業導入に当たっての課題はあるわけですけれども、米の生産費のお話もございましたけれども、そういうものをできるだけ安くする、あるいは転作農業をきちっとやっていくためには基盤整備がまずもって必要だと考えておりますので、さまざまな課題をクリアしながら基盤整備を導入してまいりたいと思っております。
〇神崎浩之委員 先ほど集落の話し合いでというふうな話があったんですが、やはりもう少し県も中に入っていって集積等の御指導をしていただきたいと思っております。
 次に、鳥獣対策でありますけれども、熊、イノシシについてでありますが、イノシシは、平成23年度、一関市で100万円の農作物の被害だということです。その一関市のどの部分かなと。萩庄地区と藤沢地区ということで、宮城県に接している地域であります。そこで、イノシシは北上してきているのかなと。できれば今の一関の地域でとどめておければ県内の皆さん方に迷惑をかけないなと思っているわけですが、水稲被害ということがありましたけれども、宮城県、それから福島県の現状というのは岩手県に比べてどうなのか、北上についてわかっているところをお話しいただきたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 宮城県と福島県の被害状況でございますけれども、平成22年度の数値で申し上げますけれども、イノシシによる被害は宮城県については3、318万円、それから福島県については5、254万円程度の被害が出ているという農林水産省のデータでございます。
〇神崎浩之委員 市町村は、被害防止計画を立てて、地域協議会を立てて、その中に鳥獣被害対策実施部隊というのを組織するということでありますが、市町村のパンフレットを見ると、鳥獣被害の捕獲は猟友会か対策実施隊へということになっておりますが、実際に鳥獣被害対策実施部隊というのはどういうふうな活動をするのか教えていただきたいと思います。
 あとは、その中で、地域協議会、それから市町村の被害防止計画を立てることによって、わなとか電気柵を設置できるということになっておりますけれども、この電気柵について、盛岡市が1.4キロメートル、それから遠野市が14キロメートル、一関市が6.6キロメートルというような予定があるようでございますが、これは市内の中でも1カ所なのか、それとも数カ所なのか、この三つの市でいいんですけれども、市内の中の箇所数についてあわせてお伺いいたします。
〇千葉担い手対策課長 鳥獣被害対策実施隊でございますけれども、実施隊につきましては、特措法に基づきまして、被害防止計画に基づいて被害防止対策を現地において行う組織でございまして、猟友会の皆様とか、あるいは農業者の方々で構成して、被害防止対策、例えばわなの設置だとかわなの見回り、そういった活動をする組織でございます。
 それから、防護柵、電気柵の実施状況でございますけれども、遠野市につきましては、草地を囲む電気柵を1カ所(後刻「4カ所」と訂正)で実施してございます。盛岡市につきましても同じように1カ所で実施している状況でございます。一関市につきましても、萩庄地区と旧藤沢町の部分で水田を囲うような形で柵を回しているものでございます。
〇神崎浩之委員 被害防止対策の効果ということで、鹿や熊については、柵を設置した農地では被害がない。それから、ハクビシンについても、わなの設置数が増加した市町は被害が軽減というような報告があるようです。そうしますと、いろいろな市町村からこれから要望が出てくると思うんです。電気柵については1メートル当たり390円、それから4段で520円、これは農家が自分で施工する分には資材代は全額出すということなんですが、今後、この広大な岩手県の面積で、鳥獣対策でわな、それから電気柵の効果があるようだということになると莫大な要望とかが出てくると思うんですが、部長に最後にお聞きするわけですけれども、今後、この鳥獣対策、それから電気柵等の要望、対策についてはどういうふうにお考えになっていくのかお聞きしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 市町村に対する鳥獣被害対策の支援につきましては、まず、防止計画を立てていただく必要がございますが、その中で、市町村から取り組みたいという要望をいただけば、その予算の獲得に極力努力するというのが我々の務めだと思っておりますので、農林水産部としては、どちらかというと防御施策的な取り組みが中心になりますけれども、農業被害を極力少なくするように努めてまいりたいと考えてございます。
〇岩崎友一副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時57分 休 憩
午後3時13分 再開
〇小野共委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇千葉担い手対策課長 先ほどの神崎委員の質問の答弁に当たりまして、遠野市の柵の設置箇所を草地1カ所と答弁したところでございますが、これは間違いでございまして、4カ所でございます。そして、対象作物が、リンゴが1カ所、それから水稲が3カ所、計4カ所でございますので、おわびして、訂正いたします。
〇小野共委員長 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日、審査を予定している部局について、延べ15人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇岩渕誠委員 委員長の指示に従いまして、進行に協力するため、被災農地の質問は取りやめて、残りのものをやらせていただきます。
 まず、放射能対策についてお伺いいたします。
 午前中の質疑でもありましたが、賠償請求の実態についてはお示しいただいたところでございますが、被害回復の第一歩は、本賠償が実施されるかどうか、それがきちんと果たされているかどうかということが、農家にとって賠償の中では一番の関心事でございます。
 そこで伺いますが、本賠償の実施状況、そして仮払い精算の状況について、どうなっているかお示しいただきたいと思います。
〇千葉担い手対策課長 東電に対する損害賠償の本賠償の状況でございます。
 本賠償の実施状況と仮払い精算の状況についてでございますけれども、本年4月に、1月請求分までの本賠償として19億1、600万円が支払われておりますが、6月以降、東京電力は、請求内容の確認に時間を要するとの理由から、仮払い方式を導入いたしまして、生産者の2月請求分から8月請求分まで、請求額の50%を仮払いしているところでございます。
 現状では、請求額の50%は請求月の翌々月に農家に支払われておりますけれども、JA協議会の請求額111億5、200万円に対して69億500万円と62%の支払いになっているという状況でございます。
〇岩渕誠委員 確かに、ことしの7月から仮払い請求をしているということで、その支払いのスピードということから考えれば速くはなった。一方で、支払われる額については半額ということでありますから、農家にとっては、場合によっては、特に肉用牛などに関して言えば、従前よりもちょっと状況が悪いぞという声もあるわけであります。
 そうした中で、この肉用牛に関して申し上げますと、昨年の出荷停止の措置以降、賠償をどうするかということになったんですが、全国で今やられているのは原価積み上げ方式という形で、1日の生産費等を積み上げていくという方式で賠償が行われております。これに対して東京電力は、ことし3月のJAの全国協議会の場で、この賠償方法の見直しを提案しております。これは、原価積み上げ方式では賠償額が大きくなるので、価格下落方式へ変更してほしいということを言っております。これは、賠償が仮払いになったのに加えて、農家にとっては非常に大変な話になると思っておりますけれども、この積み上げ方式から下落方式への変更の提案について、県としてどう捉えていますか。
〇千葉担い手対策課長 現在の賠償スキームは、先ほど委員からお話があったように原価積み上げ方式ということでやってございまして、この方式につきましては、出荷制限の指示がある前の昨年7月までに肥育農家に導入された牛を対象としております。20カ月肥育されるということであれば、来年3月には出荷時期を迎えますので、来年春までには、肥育牛の現在のスキームでの賠償請求がほぼ終了するものと見込まれておりますが、それ以降の損害賠償につきまして、現在、東京電力から、価格下落方式での請求を提案されておりまして、現在、JA協議会において対応を協議中と伺っております。
〇岩渕誠委員 県としてどう思っていらっしゃるかというコメントはありませんでしたけれども、いずれ今、御答弁があったように、棚卸しという概念を用いまして、この原価精算方式については、昨年7月15日の段階で、肥育の前にいた牛についてやるということでありまして、今の答弁のように、実はこの対象となる牛は、来年の3月にはほぼいなくなるということになるという実態であります。
 そうしますと何が起きるかというと、現状では市場の価格が低迷しておりますが、その原価積み上げ方式によってある程度の部分が賠償されておりますから、農家の経済的な部分はある程度担保されることになろうかと思いますが、これが3月の段階でなくなるということになると、まさに、そして、しかも下落方式に変わるということ、一方では、その下落方式に変わるということは、立場を変えれば、これは安全宣言ということも言えるわけでありますけれども、非常に悩ましい販売対策の問題が出てこようかと思います。これについて、県はどのように対応していくおつもりなのかお示しください。
〇泉流通課総括課長 いわて牛の販売対策ということで、これは、消費拡大対策、普及宣伝対策という意味でお答えしてよろしゅうございますか。
 県では、県、それから集出荷団体、それから市町村で構成いたしますいわて牛普及推進協議会を主な活動主体といたしまして、消費拡大及び普及宣伝活動を行ってございます。
 昨年度、平成23年度におきましては、原発の事故があったということで、東京食肉市場まつりやいわて牛安全安心の集いを開催いたしまして、知事の安全宣言やチラシ等により、安全安心ないわて牛のPRに努めたところでございます。
 また、首都圏で開催いたしました各種共励会─牛の牛肉共励会でございますが─や研究会における買参人への産地PRの実施や買参人の産地への招聘活動、それから、いわて牛の取扱推奨店での販売促進活動を行っているところでございます。
 また、今年度、平成24年度におきましては、旅行代理店と連携した観光客へのいわて牛クーポンキャンペーンというものも実施してございますし、それから、県内約260店舗のスーパー、精肉店と連携いたしまして、現在、いわて牛、いわて短角和牛食べて応援キャンペーンというものを実施しまして、消費拡大のキャンペーンを行っているところでございます。
 そういった取り組みで、来年度においても、県内外におけるいわて牛の販売促進対策を、より積極的に実施していきたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 いずれ、来年の3月に新しい問題が発生するということを私は指摘したつもりなんでありますけれども、それを乗り越えるためには、現在、仮払いとなっているこの精算を、まず、きちんと本賠償に持っていって、資金的に、農家がある程度の先が見通せる状況で3月を迎えなければならないだろうと。
 もう一つは、その上で、やはり販売対策ですね。今の市況は、東京市場ですけれども、実は岩手県の平均価格は全国平均よりも上回っております。しかし、上回っているといっても、これは数字のマジックでありまして、全体的に景況が下がっていると。この今の市況のまま3月を迎えて、何の対策もなければ、これは、この地震津波があった前よりも恐らく200円程度単価が下がっているのではないか。そうなりますと畜産農家の経営は成り立ちません。当然、子牛市場への影響、それから地域の公畜連携等で生み出しているお金がだんだん減ってくるという悪循環に入ってくるものと私は強く懸念しております。
 そこで部長に伺いますが、やはり、まず本賠償をきちんとするということにどう取り組んでいくのか。一方で、県としては、やはり販売対策というものをもう一歩、本当に本格的に踏み込んでやっていかないと、風評のこともありますけれども、これはしっかりやっていかないと本当の危機だと。本当の危機は3月以降にやってくるということを踏まえて、そこはしっかりと検討していただきたいんですが、いかがですか。
〇東大野農林水産部長 東京電力と生産者団体、生産者の間での肉牛の賠償方式の切りかえが議論されているということで、それを受けて県としてどう対応していくかということでございますが、県としては、先ほどの委員御指摘の仮払いの取り扱いについては、御指摘のとおり、本賠償まで申し込まれないと議論の前提が整えられないと考えてございます。
 ただ、そのほかにも、御指摘のあったさまざま検討すべき点があり、その議論の中で生産者団体あるいは生産者の方々が提案に応じるかどうかという選択がなされていくものと承知してございますが、我々県といたしましても、その結論を前提にしてどう支援していくかということについて真剣に検討してまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれ東京電力は、他県の出荷で引っかかった17件のうち、4件を除きますと、価格下落方式を了承すれば、それは本賠償を支払いますというような条件闘争をしてきております。果たしてそれがいいかどうかというのはこれからの議論だと思いますが、その辺をしっかり、やはり不利な条件にならないように系統とも相談をしながらやっていきたいと思いますし、ちょっと今、答弁ありませんでしたけれども、販売対策のところ、やっぱり今までの販売対策以上に消費者に近いところに売り込んでいく、それを全庁組織を挙げてやっていかないと、これは本当に危機感があります。
 農協の関係者と話をしていますと、これはブラックジョークの一つなんでしょうけれども、やはり1年以上たって、風評なり、震災に対しての部分でまじめに取り組んでくれるところは少なくなってきた。ブラックジョーク的に言えば、まじめにやってくれているのは、セシウム問題でさまざまな報道をした某テレビ局ぐらいだという話をする人もいるぐらいで、やはり温度が冷めてきているということだと思います。したがって、そこはもう少ししっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。
 次に参ります。6次産業化対策について伺います。
 平成23年度の実績、それから効果について、どのように把握されているかお示しください。
〇泉流通課総括課長 平成23年度の6次化事業対策に対する実績ということでございます。
 県では、生産者等によります6次産業化の取り組みを拡大するためには、まず、6次産業化のモデルとなる事業体を育成していくことが重要と考えてございます。平成21年度から6次産業化に取り組む生産者等を公募により選定し、これを支援する事業を展開したところでございます。
 この結果、平成23年度におきましては38事業体で6次産業化に取り組むとともに、103人の雇用が創生されたということで、実績と把握してございます。
〇岩渕誠委員 この6次産業化はこれから大変期待される事業だと思っております。日本国内での食産業と言われる産業は80兆円とも90兆円とも言われているようでありますけれども、そのうちの原材料生産というところに戻ってくるお金は、大体その1割であろうということを言われております。
 この岩手で6次産業をやる意味は、まさにその1割の部分をどうやって取り込んでいくのかという部分でありますが、ただ、バイヤー等といろいろ話をしておりますと、1次的な産品としては大変評価が高いのでありますけれども、一方で、高度化をする施設については、6次化の掛け声とは別に、なかなか進んでいないのが実態ではないかということを指摘する声が強いのでありますが、農産加工施設の高度化の実態については6次化の中でどのように取り組まれてこられたのか、実態についてどう把握されているのかお示しください。
〇泉流通課総括課長 6次化に伴う農産加工施設の高度化という御質問かと思います。
 農産加工施設につきましては、これまで国庫補助事業や県単事業などを活用しながら、例えば農産物の乾燥施設や果実の搾汁の施設など機械設備につきまして、生産者や農事組合法人などの単位で導入されていると認識してございます。
 県では、これら6次産業化を進める観点から、これらの設備等を活用した農林水産物の加工が促進されるよう、民間の専門家のアドバイザーによる専門的な見地からの助言も行ってございます。
 今後とも、本県農林水産物を活用し、生産者等の6次化に向けた取り組みを積極的に支援したいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 最後にします。そういう意気込みとは裏腹に、現実問題、今どこに、何が流れているかといいますと、例えばお肉関係は、ちょっとした加工で少しマーケットを広くしてやりたいというときには、大体山形県に行くんですね。山形県のほうが、そういう施設は大変優秀であると。それから、お米のパックも、実は岩手県になくて、宮城県に持っていっていると。代表的なところで言うと、モチ米は新潟県に行って、何とか侍というのが餅ついた格好してCMになって、大体売り上げが新潟県におりるというパターンでありまして、非常に残念といいますか、もう少しのところだなという感じを持っているんです。
 やはりそういう意味では、農産加工施設の高度化を個々にやるという方法もそうですが、系統あるいは農産加工、6次化の企業の誘致ということも一つ考えが必要なのではないかと。そこは、やはり今の県庁組織の中ですと、どうしても2階の仕事だというような形も見受けられないわけではないんですけれども、そこは農林水産部の中でもきちんと戦略を立ててやっていく必要があると思うんですが、最後に部長の所見を聞いて、終わります。
〇東大野農林水産部長 本県の農産物、水産物等の加工施設が十分ではないということで、その付加価値部分について他県に落ちているのではないかという御指摘でございますけれども、当部として、商工と別物という認識で仕事を進めているわけでは全くなく、人的交流もございます。したがって、商工分野でやられる食品加工についても、さまざまな取り組みがなされていますので、視野を広げて、そういったところの企業も動かしながら、6次産業化が農商工連携という形で進んでいくように取り組んでまいりたいと思います。
〇久保孝喜委員 最初に、昨日もお尋ねを実は教育委員会にしたんですが、歴史的建造物の管理についてお尋ねしたいと思います。
 金ケ崎町六原にあります旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎、現存3棟残っているわけですが、この建物の管理実態について、まずはお示しいただきたいと思います。
〇及川農林水産企画室管理課長 旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎の管理実態についてでございますけれども、当該建物につきましては、昭和7年ころから、農業大学校の前身でございます県立六原青年道場の職員公舎として利用してきたところでございます。既に公舎としての利用を終了いたしまして、平成3年度に用途廃止して普通財産としたものでございまして、現在は、定期的に周辺の草刈りを行うなど、通常の管理を行っているところでございます。
〇久保孝喜委員 この建物については、きのう文化財担当課からもお話があったように、明治の終わりに建てられた建築様式を含めて非常に価値のある建物であるという認識は示されましたが、残念ながら文化財としての近代遺産調査指定のリストからは外れているという話でございました。いずれどのようにするのかというお尋ねに、所有者である、所有管理をしている農林水産部がこれからの方針を決めるであろうというような発言だったわけです。
 そこで、この建物についての、いわゆる文化財的価値をどのように認識されているのか、今後の方針についてお示しいただきたい。
〇及川農林水産企画室管理課長 文化財的価値の認識についてでございますけれども、私どものほうでも、県の教育委員会からいろいろとお聞きしているところでございまして、県が実施いたしました近代化遺産の総合調査、これは平成7年から8年にかけて行われたようでございますが、こういった調査の対象にもなったと聞いているところでございます。
 文化財的価値はあるとお聞きしているところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、私どもでの利用計画等、既になくなっておりますので、今、普通財産としているところでございます。
 今後の方針についてでございますけれども、県といたしましては、今後の活用策がないことから、保存を要望する金ケ崎町での取得が望ましい、金ケ崎町で取得していただいて、保存、活用されることが最も望ましいと考えまして、これまで協議を行ってきたところでございます。
 今後も、教育委員会と連携しながら、引き続き町と協議を行ってまいりたいと考えております。
〇久保孝喜委員 今のようなことで、実はこの20年堂々めぐりをしているわけですね。県は、地元で何とかしてほしい、地元は、所有者である県が方向性をきちんと示してほしい、教育委員会は教育委員会で、文化財的価値はあるけれども、まだ指定もされていない、こういう3者の思惑の中で、20年間、建物が事実上放置されてきた。しかも、この冬を越せるかどうかという実は瀬戸際に建物自体がなっていると。
 担当者の方はごらんになったと思いますが、通常の管理をしていると言いますけれども、町道を挟んで両側にその3棟の建物があるわけですが、事実上、出入り自由、しかも、入り口の扉は外れている、窓の枠が一部外れている。かつて、20年前は良好な保存状態と言われていたものが、土台がやや、一部落ちたりしているということもあって、この冬の風雪に耐えられるかどうかというところが、地元の文化財として価値を見出している方々にとっては非常に心配な思いでいるわけですが、この先も、さっき言ったような方針の中で、事実上、堂々めぐりしているのは十分承知の上でお話をしているんだと思いますが、そのままいわゆる通常の管理というものでこの冬をやり過ごす、こういうことでよろしいんでしょうか。
〇及川農林水産企画室管理課長 私も担当者といたしまして現地を見てきておりますけれども、委員御指摘のとおり、施設の損傷が大分激しくなってきております。倒壊の危険性もあるようにも見えます。
 それで、私どもといたしましても、危険防止のために、応急措置の実施を含めまして、現在、対応を検討中でございます。ただ、いかんせん普通財産ということで、修繕費等の予算の確保もなかなか難しい、現在でも計上しておりません。現在、既定の予算の中でどこまでできるか、また、不十分であるとすればどこまでやらなければならないか、こういったことを検討しながら、業者からも何度か見積もりをいただいているところでございます。現時点でできること、やらなければならないことを検討しているところでございます。
〇久保孝喜委員 担当課として今考えられることをやりたい、可能な範囲でという話でありますから、受けとめますが、今、手をかけるのはまさに緊急的な、一時的な対応ということにならざるを得ないんだと思うんですね。そこで、ぜひ、この20年間堂々めぐりしてきた話を一歩前に進めてもらうことが私は必要だと思いますので、その点は、新年度に向けてぜひとも、教育委員会を含め、地元の自治体も含めて、もうちょっと動くような議論をしていただければと思いますので、その点を確認させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇及川農林水産企画室管理課長 私どももそのように動くような議論をしたいと認識しておりまして、さらに町のほうとも協議を詰めてまいりたいと思います。
〇久保孝喜委員 期待申し上げておきます。
 次に、環境保全型農業直接支払制度についてお尋ねいたします。
 農地・水・環境保全向上対策に続いてのこの国の制度について、昨年度から始まったわけですが、改めて制度の意義と実態、現在の課題についての認識をお示しいただきたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 環境保全型農業直接支援対策の意義と実態と課題についてでありますけれども、まず、本対策は、国、県及び市町村が協力しまして、地球温暖化防止や生物多様性保全に効果の高い営農活動に取り組んでいる農業者に対して直接支援を行うことにより、環境保全型農業を推進する目的で平成23年度より実施されているものです。
 実態につきましては、平成23年度の取り組み状況をお示ししますけれども、19市町村で96名の農業者等が、有機農業やカバークロップなどの営農活動を展開いたしまして、677ヘクタールの農地が支援対象となったところでございます。
 一方、本対策の課題といたしましては、冷涼な気候で実施が困難な水田でのカバークロップなど、本県で多くの農業者が取り組める支援対象の営農活動が少ないことがあります。また、必須の営農活動となっている減農薬、減化学肥料栽培のかかり増し経費が支援対象となっておりませんで、農業者の負担が大きいこと、この二つが大きな課題となっております。
〇久保孝喜委員 この制度自体は、今お話があったように、まさに農業の多面的機能を補完するといいますか、本筋だと私は思うんですが、そういうところにきちんと金を入れていくという意味で、非常に大きな意義を持っていると思うんですね。
 そこで、市町村などを含めて全国の自治体では、この制度にさらに独自の制度をプラスして、なかなか国の制度としては、例えば申請書類が煩雑だとか、さまざまな問題点はまだまだあるわけですけれども、そういうところも含めて支援をしながら、拡充していくという方策がかなりとられている、そういう実態がございます。
 岩手においては、そうした拡充策を含めて、それぞれの自治体の特徴的な取り組みとかというものについて、もし把握があるのであればお示しいただきたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 現在の特徴的な取り組みにつきましては、例えば、平成23年度におきましては、カバークロップが奥州市、花巻市で20ヘクタール、それからリビングマルチとして、二戸市、奥州市等で26ヘクタール、冬期湛水、これはなかなか難しゅうございまして、紫波町で2ヘクタール。ほとんど大宗を占めますのが有機農業の628ヘクタールで、そのうち半分以上がソバ栽培による有機栽培、合わせて677ヘクタールというのが本県の特徴であります。
〇久保孝喜委員 そういう多様な取り組みをさらに拡充していくという意味で、具体的にそういう課題設定があるのであれば、来年度に向けて、県がそういう独自の対策、市町村の取り組みなり、あるいは農業者の取り組みに対して、具体的に国の制度にプラスして支援していくというような考え方についてはどうなんでしょうか。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 御指摘の点については、非常に重要な点であると認識しておりまして、来年度のメニューの拡充に向けまして、岩手ならではのメニュー等を国に要請しながら認めてもらうということで、現在、検討を進めております。
 具体的には、我々としては、まず、米の収穫や乾燥作業で発生する二酸化炭素の削減効果が期待できます水稲の天日乾燥を一つ、岩手の特徴として提案していきたいと考えております。
 それから、二つ目は、水田内の水を落とす中干し期がございますけれども、これを常時湛水するビオトープを設置しまして、ヤゴやオタマジャクシなどの水田内の水生生物を保護する取り組みを考えていきたいと思っております。
 それから、最後、三つ目といたしましては、中干し期や冬期に、本県で絶滅危惧種に指定されましたクロメダカを水路などに移動させながら保護する取り組みについて、岩手ならではの営農活動として国に提案しているところでございます。
 現在、国がこれらのメニューを平成25年度事業の支援対象として承認するために必要な根拠を求められております。その項目としては、二酸化炭素の削減効果、生物に対する保護効果、実施農業者のかかり増し経費などについて求められておりまして、現在、岩手大学の学識経験者などから助言をいただきながら、根拠を取りまとめているところでございます。
〇久保孝喜委員 来年度に向けて、今お話のあったようなことを含めて、ぜひ拡充策として定着ができるように頑張っていただきたいと思います。
 次に、3点目、小水力発電にかかわってお聞きいたします。
 ことしの8月末に農業用水利用の小水力発電の県内組織、推進協議会が発足いたしました。これから、その再生エネルギーの中でも、とりわけ本県のように山合い地が多いところでは、水を活用した再生エネルギーの拡充というのは非常に有効だということをこれまでもお話を申し上げてきたわけですが、この小水力発電の推進協議会、今回は、市町村と改良区の参加ではありますけれども、この発足と県のかかわり方という点で、あるいは県がこれからこの協議会に何を望むかというようなことを含めて、まずはお話をいただきたいと思います。
〇小野共委員長 この際、進行に御協力願うため、答弁は簡潔明瞭にお願いします。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 委員からお話がありましたとおり、小水力発電は、今、注目を浴びている事業でありますけれども、県では、その事業を推進するために、岩手県土地改良事業団体連合会と連携しまして、全ての市町村、それから土地改良区に声をかけまして、この協議会を設立したわけですが、全部で66の団体が加入しております。
 その協議会の活動の中では、まずは会員の皆さんに、小水力発電とは何か、それから、その導入に向けてはどんな課題があるのかというのを共有したいと思っておりまして、まずは情報提供の強化、あるいは設備導入に向けた課題は何なのか、それから、その解決策はどうすべきなのか、そういうところで担当者会議をやったり、あるいは検討部会を設置したりということを進めながらやっていきたいと思っております。
〇久保孝喜委員 この推進協議会を軸にしながら、それぞれの市町村なり事業者に、この小水力発電の意味なりその効果を広く伝えていく役割があるんだろうと思いますが、そこで気になるのは、この協議会でもそうなんですが、報道なんかを見ても、結局そういう施設をつくっても、売電ということだけが何か柱になっていて、どうも売電のための、いわば、言葉は悪いんですが、金もうけのための施設かと受け取られかねない、そういう感じがしてならないんですね。
 県の文書なんかでも売電ということが大体中心になっていて、その他のいわゆる地産地消的エネルギーの確保という観点が非常に薄いのではないかという気がしてならないんですが、その点についての認識はいかがでしょうか。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 この小水力発電のそもそもの目的といいますのは、土地改良施設の維持管理費の軽減、そこに尽きるわけでございますけれども、そのために売電というものがまずあるわけですが、一方では、発電した電力を、送電線までの距離が遠いという場合には、その近くにある、例えば農業用の水路のゲートとかポンプとか、そういうところに供給して、そこで発電した電力を消費するということ、あるいは、先ほど来、鳥獣害の問題が出されておりますけれども、発電した電気を使って電気柵を回すとか、そういうことも各地域で行われておりますので、そういうふうに地場で発電した電気をその地域で使うということを、まずもって進めていきたいと思っております。
〇久保孝喜委員 私は、この小水力に関しては、小水力といってもかなりの幅がありますから一概には言えませんが、しかし、公の、あるいは公益自治体としての県がこの協議会に参加する際には、事業者は、もちろん売電を中心にして考えていくのは、それは理解もできるし、そのとおりでいいんですが、一方では、売電ではなくて、例えば、地産地消にしたらこういう県の支援がありますとかという形で、何らかの誘導策みたいなものを設けないと、事業体としては、当然のことながら売電にしか向かないわけですね。そういう施策をつくっていく役割が県にはあるのではないか。
 県の温暖化計画の中でも地産地消の問題を取り上げていますよね。それで大きな柱にしていまして、その取り組む部局として農林水産部も入っているわけですね。そういう実態からしても、何らかの支援策、誘導策というものがこの際は必要なのではないかと思うんですが、今後の展開としてどのようにお考えでしょうか。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 発電された電力を売電する、それによって土地改良施設の維持管理を軽減するのがまず第一なわけですけれども、あわせて、例えば農業施設、それから公共的な施設が農村部にはさまざまあるわけですので、そういうところに対する、万が一の災害時等の電力の供給とか、そういうところも含めて進めていきたいと思っております。
 いずれ、発電された電気が、その地域の農業振興、それから地域の活性化に仕向けられるように、我々も県として取り組んでいきたいと思っております。
〇斉藤信委員 まず最初に、大震災津波からの農業被害の復旧状況についてお聞きします。
 農地被害は717ヘクタールということで、313ヘクタールは現況で復旧する、これは今年度内にめどが立っていると。404ヘクタールはどういう見通しになっているのか。大区画で圃場整備するのであれば、それは、いつから、どういう形で、どの規模で進められるのか。また、復興組合の取り組み、農家の所得対策についてお聞きしたい。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 まず、農地の復旧、復興、どちらかといいますと復興に当たるわけですけれども、平成25年度以降、整備が必要な406ヘクタールについてでありますが、このうち、あわせ行う圃場整備を進めたいと思っておりますのが180ヘクタールほどございまして、これにつきましては、今年度から着工しまして、できれば平成26年度内に工事を進められればと思っております。それ以外の200ヘクタール余りにつきましては、市町村がさまざま区画整理とか防集事業とかを今検討しておりますが、その土地利用計画とあわせて、整備計画をこれから樹立していくという考えでございます。
〇工藤農業振興課総括課長 復興組合の取り組みについてでございますが、東日本大震災津波により被災した地域におきまして、営農再開に向けた瓦れき拾いや除草作業など、復旧作業を共同で行う農業者に対して、経営再開までの間、支援金を交付する事業として、被災農家経営再開支援事業が国庫事業として措置されておるものでございます。
 この事業を実施する場合、被災地域の農業者で組織する復興組合を設立することとされておりまして、平成23年度は10市町村の24復興組合が設立され、514ヘクタールの農地を対象に共同作業が実施されておるところでございます。
〇斉藤信委員 今、復興組合は514ヘクタールを対象にやったと。現況復旧するのが313ヘクタールで、これは、それ以上にやられたということでよろしいのでしょうか。
 それと、復興実施計画には525ヘクタール対象となっていますが、これは、昨年度どのぐらいの事業費になったのか、農家の所得になったのか、今年度はどう取り組まれているのか示してください。
〇工藤農業振興課総括課長 復興組合の514ヘクタールのうち、沿岸8市町村で取り組まれたところと、それから内陸2市町村と二つございまして、沿岸8市町村では475ヘクタールの取り組み、被災面積の約70%ということになってございます。
 支援金としましては、この復興組合に1億4、300万円が交付され、共同作業の出役に応じて農業者に配分されてございます。平成24年度はこれより若干減りまして、24年度の取り組みは、8市町村で14の復興組合、対象農地が400ヘクタール強という予定になってございます。
〇斉藤信委員 それと、復興実施計画見直し版なんですけれども、被災地農業復興総合支援事業、さらには、農用地災害復旧関連区画整理事業は目玉となっていますが、これはどういう中身ですか。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 県では、温暖な気候など沿岸部の特性を生かしながら、生産性、収益性の高い農業の構築に向けて、地域の意向を確認しながら、圃場整備あるいは農地利用集積を一体的に進めたいということで復興整備計画に掲げているものでございまして、この5月に復興交付金による圃場整備事業として採択された宮古市の摂待地区を初めとする9地区では、既に地元の合意形成が図られまして、土地改良法手続が進められております。この手続が完了した工区から、順次工事に着工していくことにしております。
 それから、今月17日には第4回の復興交付金事業計画の提出がありましたけれども、その際、平成25年度からの圃場整備に向けた計画策定を行うべく、山田町の大沢地区、大浦地区、宮古市の田老地区、津軽石・赤前地区、これらを追加申請したところでありまして、こういうふうに県内沿岸の被災地で津波被害に遭った農地、集団的な農地について、圃場整備を進めながら、地域の営農の再生に取り組んでいきたいと考えております。
〇斉藤信委員 180ヘクタールは圃場整備で進めると、先ほどの被災農地のところ。そして、今、私が聞いた農用地災害復旧関連区画整理事業は306ヘクタールになっているんですが、これは重なりますか、また別な事業ですか。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 基本的には同じ事業でありますけれども、被災地と、被災地を含めて、それから越える部分も合わせて整備計画の中に含めているということで、面積的には大きくなっておりますので、御了解をお願いします。
〇斉藤信委員 では次に、地域農業マスタープラン、青年就農給付金、いわて型集落営農組織についてお聞きします。
 地域農業マスタープランはどれだけ作成されたでしょうか。そのエリア、規模はどうなっているでしょうか。
 青年就農給付金の要望と認定の状況、準備型、経営開始型、それぞれ示していただきたい。9月までにこれは給付するとなっていましたが、給付されたのでしょうか。
 あわせて、これまでは、いわて型集落営農組織の取り組みを進めて、それぞれプランをつくってきました。このいわて型集落営農組織は、今どうなって、そして、このマスタープランとの関係はどうなるのか示していただきたい。
〇千葉担い手対策課長 地域農業マスタープランの作成状況についてでございますが、9月末現在で、沿岸地域での経営再開マスタープランも合わせて11市町村、37地区で策定されているところでございます。
 また、そのエリア、規模についてでございますが、マスタープランの作成範囲という形でお答えさせていただきますが、集落単位で取り組むものが23地区、それから複数集落や旧町村単位で取り組むものが13地区、市町村全域で取り組むものが1地区という内訳になっております。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 青年就農給付金の要望と認定の状況、それから、9月までに給付されたか、準備型、経営開始型でどうなっているかということでございます。
 まず、9月末に取りまとめました受給希望状況は、準備型が36人、経営開始型が147人、合計183人で、金額ベースでは、所要額2億2、900万円余であり、全員に給付できる見込みであります。
 また、青年就農給付金に係る研修計画及び経営開始計画の認定状況につきましてですが、準備型は36人全員の計画を県が承認したところであります。経営開始型につきましては、これまで7市町村が38人の計画を承認しておりまして、この方々については10月より支給開始されているものと考えております。
 今後、給付金の受給を希望する者は、市町村に経営開始計画の承認を申請しまして、市町村は、審査の上、これを順次承認していく予定でありますので、10月にも相当数承認されていると思いますし、今後、順次滞りなく進められていくものと考えております。
〇工藤農業振興課総括課長 いわて型集落営農組織の取り組みについてでございますが、県では、このいわて型集落営農組織の推進ということで、具体的な支援としまして、集落営農推進員を配置して、集落営農組織の研修会の開催、あるいは集落営農モデルの実証、それから担い手の経営指導、さらには、県単事業の一集落一実践事業というものを創設しまして、園芸品目の導入や加工、販売等の促進ということで、言うなれば、経営の高度化、多角化ということを支援してまいりました。
 その結果、地域のリーダーの育成、それから組織内での事業の活動が活発化してきているところ、それから、一集落一実践事業におきましては、新規作物の導入、加工品の開発、産直活動など新たな活動が芽生え、あるいは定着してきていると捉えており、集落営農の発展が促されてきたかなと考えているところでございます。
 さらに、マスタープランとの関係でございますけれども、マスタープランをつくる段階におきまして、各地域においては、地域の中心となる経営体を明確化するということで、地域の中での集落営農組織は、大体はその地域の中での中心となる経営体として位置づけられるものと理解しておりますし、その中では、法人化を視野に入れながら、経営の確立あるいは多角化というところが今後進められるものと理解しております。
〇斉藤信委員 青年就農給付金は、申請が183人あった、これは全員支給可能だという答弁ですね。当初は158人分しか国が認めなかったというのがありましたね。そうではなくて、183人全員が対象になるということでよろしいですね。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 当初158人分のお金が国から参りました。今の183人というのは、実際の給付を希望される方々です。実人数です。ただ、中には4月からさかのぼって受給される方と、それから10月から受給される方、12月から受給される方とさまざまございます。おくれても、5年間ずっと回りながら5年間分は受給できますので、減額されるということではありません。開始時期から6カ月ごとに受給されるということですので特に不利はないんですが、ただ、ことしの年度の予算としては、150万円が1年分ですので、例えば10月後半から受けますと75万円で1人の方は予算が済むということで、183人分は、要するに158人分の予算で間に合うということになります。よろしくお願いします。
〇斉藤信委員 わかりました。9月5日にいただいた資料では、振興局ごとにきれいに158人分に振り分けて、そして、この時点では、準備型と経営開始型を入れると、準備型で52人、経営開始型で166人でしたが、これは減ったんですか、絞られたんですか、どっちですか。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 絞ったのではございませんで、当初希望されていた方が手をおろされたということです。おろされた理由は、親元に就農するけれども、まだ受給の段階に至っていないという方、いろいろございます。
〇斉藤信委員 そのいわて型集落営農組織は、地域農業を守る上で一つの前向きの方向だと。特に、いわて型と言って集落全体で地域農業を守ろうという、これは品目横断的対策が出たときに岩手として打ち出した方向で、私は、それなりの一定の意義を持っていたと思うんですね。今の時点で、どこまでこの集落営農組織はつくられたんですか。
〇工藤農業振興課総括課長 今、御指摘のとおり、国の事業の創設を契機につくられた組織が、約400を超える組織がございます。その組織がいろいろな活動展開をしながら、経営を確立しながら、あるいは、そこの中で経営の多角化を進めながら経営を安定させて、そして法人化を目指すということで、法人化まで至っている組織が、午前中話がありました68組織まで行っております。
 いずれ、地域全体として所得を確保しながら、そういう一定の組織体となって経営を進めていくという方向に行くものと考えております。
〇斉藤信委員 400を超えるって曖昧な数だね。ぱっと出ないの。これは、きちんと聞いているんだよ。これは通告していた中身よ。これだったら通告している意味がない。
〇小野共委員長 答えられますか。
〇工藤農業振興課総括課長 400を超えるというところまでで、その具体的な数字につきましては、もうちょっとお待ちください。済みません。
〇斉藤信委員 じゃ、後で。
 次に、原発事故による影響と対策についてお聞きしますが、111億円のJAを中心にした損害賠償の中で、先ほどの議論を聞きますと、104億円は畜産関係だ、こうお聞きしてよろしいんですか。111億円の損害賠償請求の中での被害額の正確な分類を示していただきたい。
〇高橋農林水産企画室企画課長 損害賠償の請求内容につきまして、内容別には、牧草が16億4、100万円、稲わらが1、600万円、肉牛が79億7、700万円、子牛につきましては3億3、400万円、シイタケが9億8、800万円、それから、農業団体の検査費用ということもありますが、これは協議が調っていない状況でございます。
〇工藤農業振興課総括課長 先ほどの集落営農組織数ですが、平成23年度で421組織となってございます。
〇斉藤信委員 牧草の除染対象面積ですが、9月補正で風評被害対策にも対象を広げたと。これは葛巻町はやっているし、滝沢村もやろうとしているし、それぞれ恐らく9月定例会で補正も出されたと思いますが、当初1万5、000ヘクタールと言っていましたが、この9月補正に対応してどのぐらい除染対象面積はふえているでしょうか。
〇渡辺畜産課総括課長 ただいま御質問のございました牧草地除染対策に係るそれぞれの事業の対象面積についてお話を申し上げたいと思います。
 風評被害対策を含めました除染対象面積につきましては、基本的には、県内の全牧草地面積の約4万ヘクタールでございます。うち約1万5、300ヘクタールは、国で利用自粛を要請している牧草地、約2、000ヘクタールにつきましては、県で原乳対策として利用自粛を要請している牧草地、残りの約2万2、000ヘクタールが、風評被害対策の一環として市町村が独自に取り組む放射線物質低減対策となってございまして、今年度につきましては、複数の市町村で2、200ヘクタールを対象に取り組むことといたしております。
〇斉藤信委員 風評被害対策が2万2、000ヘクタールと。これは市町村の事業でやることになりますから、実施主体は市町村が、それなりの事業体なり何なりにしてやるということになるわけですね。そして、原乳対策の場合は県が責任を持ってというか、これはどういう形でやられるんですか。
〇渡辺畜産課総括課長 県が原乳対策として利用自粛を要請してございます牧草地の除染事業につきましては、基本的には、これは農業団体が事業主体となってやることになってございます。
 当初より、これはことしの3月から4月にかけまして、農業団体のほうから要請があったということも踏まえまして、農業団体と協議した上でそのようにさせていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 私は、9月で積極的にこういう風評被害対策まで打ち出したというのは画期的だと思うんですよ。ただ、これを大いにアピールしないと風評被害対策にならない。除染したからってだめなんですね。やっぱり岩手県は、全牧草地を対象に本当に真剣に取り組んでいると、これはアピールの仕方をぜひ考えてね。
 しかし、2万2、000ヘクタールになるとこれは大変な規模で、本当に実際の酪農や畜産に支障のないようにやるというのは、かなり知恵を使わないと、かえって支障を来すということにならないように知恵を出していただきたい。
 そして、実際にこれは農家施工している方々、JAから聞いても、プラウ耕で18万円というのは、やっぱり現状に合っていないのではないかと。この引き上げの声が強いんですが、実態と対応はどうですか。
〇渡辺畜産課総括課長 除染作業に係る委託単価につきましては、地域の畜産農家等の協力を得ながら、作業現場ごとの状況に弾力的に対応できるように、反転耕並びに攪拌耕などの基本的な除染作業の標準作業単価に加えまして、耕起する深さの確保や石れき除去などの追加作業単価を合算した委託単価に見直しをしているところでございます。
〇斉藤信委員 廃用牛の滞留解消対策、先ほども取り上げられました。平成25年度末までかかるというのでこれは本当に大変な事態だと思いますが、生体検査が進んで、成牛市場ももとどおり再開しているのでしょうか。そして、これはどういうテンポで進むのか。結局、これが滞留してしまうと再生産のシステムがいかないわけですよ。平成25年度末までかかるなんていうことをやっていたら、これは本当に大変なことになってしまうんじゃないか。
 それと、集中管理されていますけれども、いっぱいいっぱいのところ、まだ余裕のあるところ、2、500頭ある割には使えないというのは、ちょっと遠過ぎて届けられないという声も農家の中にあるんですけれども、この2、500頭の滞留牛を効果的に対応するという手だてはないものですか。
〇及川振興・衛生課長 廃用牛の滞留解消対策についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、出荷が滞留している廃用牛につきましては、9月末現在で約2、500頭と推定してございます。県では、3カ所で1、500頭規模の集中管理施設を設置いたしまして、9月末現在で714頭を管理している状況でございます。また、10月1日からは、岩畜において屠畜される廃用牛について、サーベイメーターを用いた生体検査、これの運用を開始しているところでございます。
 さらに、成牛市場でございますけれども、全農岩手県本部では6月から再開いたしてございまして、6月以降9月までに約300頭が売買されておりまして、来月からは月2回の開催が予定されていると聞いてございます。
 いずれ、先ほどございましたように、集中管理施設につきましては、ほぼ収容能力が満杯に達しているところもございますけれども、これにつきましては、飼い直しが終了したものを順次屠畜出荷いたしまして、収容能力に余裕を持たせるという形で調整を図ってまいりますし、また、遠距離ではございますけれども、そちらのほうの利用、活用も促しながら、農家の理解を得ながら進めさせていただきたい。
 なお、それに係る経費につきましては、輸送費に関しましては損害賠償請求の対象となるということを確認してございます。
〇斉藤信委員 最後です。競馬組合の状況についてお聞きします。
 昨年度、大震災津波の被害を受けました。この被害額、全国からの支援額、そして売上実績、さらに、今年度の事業運営の状況についてどうなっているか。
 釜石場外馬券売り場がうまくいかなかったようですが、この要因。
 さらには、今、県、盛岡市、そして奥州市から競馬組合に派遣されている職員は何人いるのか、その人件費はどのぐらいかかっているのか、これを示していただきたい。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 岩手競馬の昨年度及び今年度の事業運営等でございますけれども、まず、昨年度につきましては、委員御指摘のとおり震災があったわけでございまして、岩手競馬としますと12億円の被害があったところでございます。特に釜石の施設については津波の直撃を受けまして廃止したところでございまして、施設の復旧に当たりましては、地方競馬全国協会から、復旧費約4億1、000万円、そのうちの9割について助成をいただいたところでございます。
 それから、昨年度の発売収入でございますけれども、やはり震災の影響がございまして、前年度─平成22年度の発売額に比較しまして37億8、800万円少ない146億4、800万円、これは前年度の8割の水準といったところでございました。
 それから、JRA等からの支援金などをいただきました。JRAからは5億円を超える支援をいただいているところでございます。
 こういった財源を活用いたしまして、自動発売機の整備などコスト削減につながる設備投資を進めてきたところでございますし、それから、将来の負担に備えるための施設等整備基金あるいは退職手当基金、そういったところに積み立てをした上で、平成23年度の利益としては8、300万円を確保したところでございます。
 なお、この利益8、300万円につきましては、地方競馬全国協会の第1号交付金の支払い猶予を受けてございますので、今後の支払いに備えまして、全額、財政調整基金に積み立てをして留保しているところでございます。
 それから、今年度でございますけれども、岩手県競馬組合運営協議会という組織の中で5期に分けて検証等を行っているわけでございますが、そのうち第2期までの発売実績をもとに、9月中旬に開催しました第3回の運営協議会において今年度の収支計画を見直した時点におきましては、発売収入あるいは広域受託協力金の収入合計は当初見込みよりも6億9、000万円ほどふえてございまして、現時点におきましては192億2、000万円となる見込みとしてございます。そこから払戻金など売上原価あるいは販売管理費を差し引いた当期純利益を7、600万円程度と現時点では見込んでいるところでございます。
 それから、釜石場外発売所の設置に向けた取り組みでございますけれども、釜石地域のファンの要望、それから一定の発売額確保など、場外発売所の機能の回復を目指して、釜石地域への設置を要件として、期限を付して企画提案を公募していたところでございます。結果としまして応募を予定していた法人から期限内に具体的な提案がなされませんでしたが、その要因につきましては、市街地に震災からの復興を図るための土地の利用規制がございまして、場外発売所の設置に必要な土地及び建物の確保が困難だったためと伺っているところでございます。なお、この間、地元とも随時協議をしながら進めてきたところでございます。
 組合としましては、やはり安定的な経営を図るために場外発売所の機能回復が必要と考えてございますので、設置場所は、基本的には釜石の機能回復を目指しておるわけですけれども、設置時期あるいは場所も特定をしない形で改めて10月から公募を進めているところでございます。
 それから、競売組合への駐在の職員でございますけれども、県から8名、それから奥州市、盛岡市からそれぞれ2名、合計で12名となっているところでございます。
〇小泉光男委員 1点、確認、1点、担当者から回答、そして最後に、部長から御所見という3点に絞って確認します。
 一番最初に、渡辺幸貫委員から話されました主要施策の成果に関する説明書に対する確認。委員の皆さんも確認していただきたいんですが、例えば46ページ、ここで73番、30アール以上の水田整備率が50.5%達成してAだと。つまり、岩手県の水田の半分が30アール以上に整備されているやに見えるんですけれども、これは大きなまやかしだと思うんです。県北はどうでしょうか、確認します。
〇伊藤農村建設課総括課長 午前中の際にも御説明させていただきましたが、30アール以上の区画について地帯別には整理をしておらないものですから、20アール以上の区画ということで御報告させていただきたいと思いますが、県北、沿岸部の20アール以上の区画整理については約30%程度と理解しております。
〇小泉光男委員 つまり、県北とか沿岸を犠牲にしてと言うとおかしいんですけれども、それらのかなり低い数字を隠して、全体の半分が整備されている、だからAだと。これを岩手県の県北の方が聞いたら一揆を起こすと思いますよ。それでAの評価をされては困るということを申し上げたかったのが1点です。
 次のページの47ページの下から二つ目、表にある県産雑穀日本一ブランド確立事業がDという形ですが、これについて申し上げたいと思います。
 岩手県では、雑穀日本一ブランドの確立を目指して頑張っていることは認めます。二戸と花巻地区において雑穀栽培が盛んなことはそのとおりです。しかし、歴史的に、雑穀栽培をしてきた理由というのは、やませで米がとれない。雑穀しかできないんだと。生きていくためには仕方ないんだ。特に口減らしをされないために、年寄りがやむを得ず隠れてつくってきたという歴史なんです。それを県は、雑穀栽培で本当に農業振興になっているとお考えなのか。
 去年注いだ決算額が87万1、000円です。私は、ゼロが二つほど間違っているんじゃないかとも思いまして確認しましたが、87万1、000円ですよ。それでお聞きします。雑穀の1世帯当たりの収穫量、雑穀の収入金額、例えば農家収入に対する雑穀の比率などを教えてください。
〇沼崎農村整備担当技監兼農村計画課総括課長 ただいま、県北の水田整備率が低く、全県と比べておかしいのではないかというふうなお話がありましたが、県では、それぞれの地域の特性に応じてこれまでも整備を進めております。その観点からいいますと、県北のほうではどうしても畑地帯が広いということで、畑地帯の整備に重点を置いてきておりました。その関係で、県北のほうでは畑地かんがい等が進んできております。
 一方、水田の整備もそれぞれ必要なわけですので、午前中にも議論がありましたけれども、これから、沢沿いに広がっている県北特有の沢田について整備を進めたいということで、今年度から一戸町、二戸市で鳥海とか川又地区というところの整備を進めていくことにしております。引き続き、県北についても基盤整備をしっかりと進めていきたいと思っております。
〇高橋農産園芸課総括課長 1戸当たりの生産量ということですが、品目別にしか把握しておりませんので、平成23年でございますが、ヒエで1戸当たり1、400キロぐらい、アワで248キロ程度、ハト麦が586キロぐらいです。
 1戸当たりの平均販売額、これは、作付農家戸数、これも穀種ごとで、要するに延べ戸数しかなくて、推計値で820戸ほど全体でございますが、全体の販売額を割りますと、平成23年度はおよそ県全体では27万円ほどになります。所得率は、県北は非常に高くて、例示ですが、7割から8割ぐらいの所得率。ちなみに、花巻地域は、逆に機械化等の部分もありまして40%から50%ぐらいとお聞きしてございます。
〇小泉光男委員 そのように、雑穀だけでは、うまくとれた、ことしは非常に豊作だといってもせいぜい50万円ですよ、1世帯当たり。それを踏まえて、今、県が提示した指標で、日本一ブランドと、その予算も含めて、いいのか考えていただきたいという思いです。
 最後に、部長にお聞きします。部長が最初の総括で、豊かさを実感できる岩手の農業に努めるとおっしゃいました。私は、皮肉って言いますけれども、現実は、貧しさを痛感する岩手の農業が実態だと思っているんです、今言ったような数字も含めて。そういった意味で、もちろん私も農家の端くれですからきついことを言うんですけれども、岩手の農業の未来、皆さんがおっしゃったように心配もされています。放射能あたりでのいろいろな諸問題があることも承知しています。しかし、今生きている、これからも生きていかなければいけない、沿岸、県北も含む、あるいは県南も含め零細農家に光を当てていかなければ、豊かさを実感できる岩手の農業に努めるというのは言葉だけで未来永劫いくように私は聞いておりましたが、部長の所見をお伺いして終わります。
〇東大野農林水産部長 県といたしましては、豊かさとかそういうものが実感できるような農業、そういうものを目指してさまざまな取り組みを展開していくということでございまして、その展開の中で、大規模農家だけに着目して施策を推進するとか、そういったことは毛頭考えてございません。さまざまな経営形態がございます。地域特性もございます。そういうものをそれぞれ踏まえながら、施策を考え、展開していきたいと考えてございます。
〇小野共委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 質疑がないようでありますので、第1部農業関係の質疑をこれで終わります。
 次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇軽石義則委員 治山費の関係につきまして質問させていただきます。
 治山事業と地すべり防止事業の現状と、そして今後の課題についてまずお聞きをさせていただきます。
 平成23年度の予算を見ますと、繰越事業費が結構出ておりますし、平成22年度もそういう状況のようでございましたけれども、これら事業の進め方について課題があるのかどうなのか。繰越事業の理由というものをお示し願いたいと思います。
〇佐藤森林保全課総括課長 治山事業と地すべり防止事業の繰り越しの関係でございますけれども、平成23年度の繰り越しが、治山事業予算におきましては約66%、それから地すべり防止事業については93%、前年の平成22年度におきましても、治山事業の繰越予算は71%、それから地すべりが61%と大変大きな数字となってございます。
 これにつきましては、東日本大震災の関係で前年度の予算の分が繰り越されたり、あるいは当年度の予算が執行できなかったりといったようなさまざまな事情がございまして繰り越しとなっているものでございます。
 地すべり防止事業で、平成23年度、特に九十数%と多くなってございますが、額的には2億1、900万円程度でございますが、このうちの1億9、000万円程度が奥州市の増沢というところの地すべり工事なんですけれども、要は地すべり工事と申しますのは、いろいろ観測しながら工法を選択し、実施していくものでございまして、実はそういう関係で対策が決まらなかったということでこういう大きな繰り越しということになってございます。
〇軽石義則委員 東日本大震災津波の関係ということは理解できますけれども、今後の見通しですね。これから復興事業がどんどん岩手県内でも多く発生する中で、これらの事業についても予定どおり進められる状況なのかどうかお示し願いたいと思います。
〇佐藤森林保全課総括課長 東日本大震災津波関係の林業関係の災害復旧につきましてはおおむね順調に進んでございまして、今後は、経常事業におきましても何とか繰越事業を減らしていけるのではないかと考えてございます。
〇軽石義則委員 順調に進むということであれば、ぜひ、岩手の中で、環境保全、また、森林資源の有効活用という関係で、やはりその部分がきっちりされていなければ次の事業展開も難しいと思いますし、また、次いつ災害が起こるかわからない状況の中では、やはり防止対策というものも十分とっていかなければならないという思いでございますので、よろしくお願いします。
 地すべりに関連してさらにお聞きをさせていただきますが、深層崩壊ということで、国土交通省から平成22年8月11日にマップが発表されております。岩手におきましては、古い話になりますけれども、1948年9月16日に宮古市の門馬で深層崩壊が発生している現実もありますし、その推定頻度マップを見ますと、東北の中でも、特に岩手県の盛岡より以北の地層において、高い頻度で、29%という割合で発生し得るというマップの結果も出ているようですけれども、表層の崩壊は、今、多分それに基づいて危険箇所を調べ、対策をとっていると思いますけれども、深層の場合はかなり規模が大きく、災害の程度もかなり厳しくなるという予測もされておりますが、それらについての対策についてお示し願いたいと思います。
〇佐藤森林保全課総括課長 深層崩壊につきましては、委員お話しのとおり、非常に把握することが難しゅうございます。深層崩壊と申しますのは地すべりと発生の形態は同じでございまして、地すべりの場合はゆっくりと地面が動いていきますけれども、深層崩壊の場合には一気に崩れて岩塊までが押し寄せてくる、そういう大きな災害につながるものではありますけれども、地すべりと同様に、発生するまではなかなかその動向がつかみにくいものでございます。
 先ほど委員からもお話がありましたけれども、私どもとすれば、引き続き林地のパトロールとか、そういったものを行いながら、十分情報を集めて対策をとっていきたいと考えてございます。
〇軽石義則委員 具体的なものについてはまだ示す段階にはないということは理解できましたけれども、最近の気象状況を見ますと、県内においても局地的な集中豪雨というものが発生しておりますので、そういう意味では、どこでいつ何が起こるかわからないこともございます。事前にある程度その箇所を把握していくことも大事だと思いますので、今後の対策の中ではそれらも含めて対応していただきたいという思いもございますし、危険箇所を把握した場合、そこに雨がどのぐらい降るのか、降ったのかということも連動して確認できるような方法も今後検討いただければという思いもございますので、そのことについて、最後、考えがあればお聞きして終わりたいと思います。
〇佐藤森林保全課総括課長 今、委員のほうから御指摘があったことにつきましては、今後さらに勉強させていただいて、どういう対応がとれるか検討させていただきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 さけ、ます生産地震災復旧支援緊急事業について初めにお伺いしたいと思います。
 サケですけれども、大体県内の漁獲高は400億円から450億円ぐらいで推移していますけれども、去年は当然カウントできませんけれども、そのうち100億円前後がサケなんですね。その加工からすると、その約4倍とか400億円とか500億円とか言っておりますけれども、大変重要な魚種なわけですけれども、それについて、サケふ化場施設28カ所のうち21カ所が被災したわけですけれども、現在の復旧の状況と、最終的に全てが復旧するのはいつか、その見通しについてお尋ねしたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 ふ化場施設の復旧の状況についてでありますけれども、今春は18ふ化場で稚魚の生産を行い、放流いたしております。そして、今春には19ふ化場で約3億6、000万尾の放流を予定しておりますし、また、今年度、事業中のものもありますので、これらが完了する場合も含めまして、平成26年の春には20のふ化場で約4億尾の放流を見込んでいるところであります。
〇嵯峨壱朗委員 平成26年ということですけれども、復旧した場合には震災前のレベルまで戻るのかどうかということをお尋ねしたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 今申し上げましたとおり、平成26年春には20ふ化場で約4億尾の放流を見込んでいるということで、これにより、おおむね震災前の水準のサケ稚魚放流数が確保できるものと見込んでおります。
〇嵯峨壱朗委員 今期は水温が高いということで、サケの戻ってくるのがおくれているという話を聞いておりますけれども、最新のサケの水揚げの状況はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 今漁期の最新の水揚げ状況としては、今、10月10日現在のが出ておりまして、沿岸漁獲量は対前年比111%となる263トン、漁獲金額では対前年比116%となる1億3、000万円となっております。
〇嵯峨壱朗委員 きょうあたりの新聞に水揚げが出ていましたね。定置というのは1カ統当たり10トンぐらい揚がると大漁だという話をしていましたけれども、やっとそういったときになってきている、そういった時期が来ているなと思って見ておりました。
 去年は放流、恐らくゼロなんですよね。ことしも一定の割合しか放流していないわけですけれども、3年後、4年後はどうなっていくのかという感じがしております。まず、今現在から見通せる今期の最終的な漁獲の状況とか、放流ができなかったことの影響というのはどのように見ているのか、その辺もお聞かせ願えればと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 先ほどお話がありましたとおり、やはり表面水温が平年よりも2から3度ぐらい高く推移している状況であり、秋サケ漁への影響を今、心配しているところであります。
 水産技術センターでは、今年度の秋サケ回帰予測を沿岸と河川を合わせて約1万8、000トンと見込んでおりますけれども、先ほどお話もありましたとおり、やはりなかなか、今の厳しい水揚げ状況、余り伸びていないということから見ますと、残念ながら震災前の水準には至らないのではないかと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 海の様子も変わっているだろうし、温暖化とかさまざまな影響が考えられるわけですけれども、いずれ我々はできることをするしかないわけですけれども、ふ化放流事業というのは継続して初めて意義を持つわけでありますけれども、河川で卵をとる親のサケがどれだけとれるか、そういったものというのは来年の放流に向けて大変重要なことになると思うんですけれども、今回、川に上がってくるサケの水揚げは、どういった推移でどういうふうな予測がされているのかということもお聞かせ願えればと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 今漁期の水揚げ量の予測で、種卵がどの程度確保できるかということでありますけれども、これは、平成25年春に放流する約3億6、000万尾の稚魚を生産するためには、約4億2、000万粒の種卵が必要であります。それには、雄、雌合わせて約53万尾のサケの親魚の確保が必要となります。水産技術センターの予測によりますと、今年度は約69万尾の河川への遡上を見込んでおりまして、予測どおりの河川遡上であれば、今年度の種苗生産計画は達成できる見通しと思っております。
 なお、親魚の河川遡上の予測よりも低調に推移した場合には、業界と連携しながら、県全体の種卵の出入りの調整や親魚使用率のアップなどの対応により種卵生産計画の達成を図っていきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 先ほど冒頭に申し上げたとおり、サケの好不漁が岩手県の水産業、また水産加工業に与える影響は大きいわけですけれども、ふ化放流事業については県としても継続的な支援が必要だと思うんです、復旧はもちろんですけれども。そういった思いというか、意気込みというか、そういったものを部長からもお聞かせ願えればと思いますけれども、よろしくお願いします。
〇東大野農林水産部長 今、委員御指摘のとおり、サケは本県の沿岸漁業で最も重要な魚種と認識しておりまして、漁業者の方々のみならず、漁協も、それから流通関係の方々も加工業者の方々もその恩恵を広く受けていると考えてございます。したがいまして、近年、本県の秋サケは不漁の状況が続いてございますけれども、県といたしましては、引き続きサケふ化放流事業の安定的な継続ということに最善を尽くしてまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員 仮設住宅、それから復興住宅、教育施設等について、平成23年度、それから今後も含めて、県産材の活用の実績、課題、取り組みについてお伺いします。
〇佐野林業振興課総括課長 仮設住宅、復興住宅、また教育施設への県産材の活用状況ということでございますが、まず、仮設住宅用につきましては、昨年度、木ぐい27万本、それから柱やはりなど角材67万本を含む全体で6、700立方メートルを供給したところでございます。
 復興住宅につきましては、昨年度は実績がございません。といいますか、まだ実績の数値が出ていませんが、県産材を活用する136の地域型復興住宅生産グループの中で、9月時点で121件の受注を受けているという状況でございます。
 また、県の教育施設につきましては、平成21年度から平成23年度までの3年間で、高等学校など18校について、内装材を中心に約700立方メートルの木材利用実績となっておりまして、平成23年度においては343立方メートルとなっております。
〇喜多正敏委員 そういう使用に当たっての課題は何かないでしょうか。また、それについての対応はどうしておられるでしょうか。
〇佐野林業振興課総括課長 県といたしましては、建築ニーズに対応した品質の確かな県産材を安定的に供給することが課題と認識しております。このため、補助事業等を活用しまして加工施設の整備を行いますとか、また、乾燥材の安定供給のための技術指導等による技術向上、そういった取り組みを関係団体等と連携しながら今後とも進めてまいります。
〇喜多正敏委員 お話のとおり、県産材の活用や販売力の強化のためには、建設の需要、工事のタイミングに合った乾燥材や使用部位に合った一定の強度の県産材の供給体制が必要だと思っているわけであります。しかしながら、岩手県は原木で移出されて、他県において乾燥されてそれが流通している、あるいは岩手県に入ってくるということで、非常にそうした取り組みがおくれているのではないか、十分でないのではないかという懸念があるわけであります。
 そこでお伺いしますけれども、岩手県の乾燥や強度の表示の状況の推移について、これは私、前に議会で質問しましたけれども、どういう状況に進化をしているのか、そういうことについてお伺いしてみたいと思います。
 それから、競合産地、他産地の状況に比較して本県の状況はどうであるか。そして、設計や建設業者からの本県の県産材に対するこうしたことについての評価はどうなっているのかお伺いします。
〇佐野林業振興課総括課長 乾燥あるいは強度等の表示の状況でございますが、岩手県木材産業協同組合という業界組合がございますが、こちらによりますと、乾燥、強度等の表示に対応できる製材工場は、平成23年度にこれまでより3工場ふえて県内で9工場となっております。ただ、この製材工場においては、乾燥、強度等の表示につきましては、ビルダー等からの要望があった場合に表示しているという状況でありまして、どのぐらいの数量が表示されているかについては把握できないところでございます。
 一方、集成材工場がございますが、こちらでは、県下全6工場で強度表示が可能となっております。その取扱量を見ますと、平成21年度、約7万9、000立方メートルでございましたが、平成23年は約8万9、000立方メートルと、1万立方メートルほど増加しております。
 競合他産地の表示の状況等でございますが、本県と同じように集成材工場では構造材に表示を行ってございますが、製材工場では、一部で積極的に表示している工場が見られる一方で、やはり大半はビルダー等のニーズに対応して表示するという形で、本県と同様にあると聞いております。
 また、建築者等の需要家からの評価といたしましては、特に製材品について、表示そのものを求めるというよりも、品質にすぐれた製品の安定供給を求める声が強いと聞いております。
〇喜多正敏委員 私はそこがちょっと違うと思うんです。やっぱり我々もこうしたことについていろいろお聞きするわけでありますが、設計するときに、これは強度はどうなっているのか、乾燥はどうなっているのかということが明らかにならないと設計で非常に使いにくいということが言われているわけであります。そして大事なことは、言われてから表示するのではなくて、東京の木材市場に行きますと、ちゃんと表示されているものが流通している、売られている、こういうことになっているわけでありますので、むしろ私は、岩手県はおくれているのではないかと思っているわけですが、他産地がそういうことで岩手県と五十歩百歩だという印象を持つのであれば、むしろその先を行って表示をするというようなことで、勝ちにいくような戦略をとらないとなかなか需要家に適時適切に使っていただけない。
 私は、住宅や各種建設工事等、多くの復興需要が見込まれる今こそがまさにタイミングだと、そういうことでありまして、ぜひ乾燥施設や強度測定器の導入については支援強化策をとりまして、導入していくということが極めて大事だと思っているわけであります。特にも木造の建築については、強度とかいろいろなことについて建築確認においてもそういうことが必要だということになっているわけでありますので、そういうマーケット重視の販売戦略をぜひとっていただきたい。
 それからもう一つは、3工場ふえて9工場になったということでありますが、やはりこうしたことについて、マーケットはどういうふうな表示の状況になっているかを県でもしっかり把握して行うべきだと思いますが、部長、その辺はいかがでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 乾燥材の取り扱いでございますけれども、まさに委員御指摘のとおり、マーケットがどういったものを求めているかというのに対応して製品を供給していく、そういう姿勢はどの製品でもそのとおりだと考えます。したがいまして、表示あるいは機械導入等につきまして、関係団体とよく意見交換をし、国庫補助の導入等も検討しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 マーケット・インの考え方を導入して、ぜひそういう振興に努めていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 5問ありましたが、1と5はやめます。後でお知らせください。
 シイタケの放射線被害対策と産業再生の取り組みについて伺います。
 出荷制限解除について、一般質問等でも議論が交わされましたが、林野庁との協議状況について、どのようなスタンスで当局は臨んでいるのか。解除のための申請まで、今進めている具体的手順を示していただきたい。
 現在のところ、林野庁との折衝状況、協議状況の中で、ゴールまであなた方が感触として何合目ぐらいまで来たのかということについて教えていただきたいと思います。
 次に、4番の件について続けて聞きます。
 一関市は、今月末から一時保管を開始する事業計画を生産者に示しております。生産者は事業計画を提出することになっていますが、最終処分方法等、決まっていない事項が多過ぎて、このままでは再生産への意欲の喚起にはならない、つながらないという声が多数出されております。せめて手続の簡略化と調査の助力が行政側として必要ではなかろうかと思うんですが、その対応について示していただきたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、出荷制限解除についての協議状況でございますが、原子力災害対策本部が解除条件に追加した検査対象についての条件、また、管理等によって汚染源となる要因が取り除かれることにつきまして、具体的に林野庁からの助言を受けながら、まずは盛岡市における解除に向けて、この秋に必要な調査あるいは基準値超過のシイタケが流通しないための対策等、出荷制限解除に必要な対応について、協議を具体的に進めているところでございます。
 例えば、検体数をどのくらいのほだ場から何個ずつとるか、あるいは空間線量をはかるとか土壌の調査を行うとか、具体的な助言をいただきながらその準備を進めているところでございます。
 ゴールまで何合目にあるかということにつきましてはなかなか申し上げにくいと思いますが、まずは今言った盛岡市について、早期に林野庁と協議を調えまして、出荷制限解除のための申請ができるように全力で取り組んでいくところでございます。
 二つ目、最終処分方法等につきましては、まず、県として、シイタケのほだ木等の農林業系副産物は焼却処理する方針としていることから、関係部局と連携し、市町村と具体的な処理手順について検討してまいります。
 手続の簡略化と調査の支援についてでありますが、このほだ場環境整備事業については、事業主体となる市町村が生産者の意思確認を行った上で事業計画を取りまとめ、県に提出することとしております。その事業計画につきましては、どういった生産者の方がどういった規模でいつごろどういったほだ場に手をかけるかといったレベルのことを書いていただければ、まず受け付けて一緒に協議しながら進めるということにしておりまして、こういった事業計画の作成に当たっては、県としても市町村等に対しまして必要な助言等を支援してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 後でまとめて現状等について申し上げたいと思います。
 東電から示された賠償手続方法、9月15日、東山町で説明会があって、東北の責任者が出席されたようですが、非常に煩雑で、賠償範囲等も非常にあいまいだと。まさに東電ペースで賠償手続が行われていると思います。このような曖昧な態度で、生産者は非常に再生産意欲が喚起されない。私は、このような不誠実な東電の態度に対して、県はもう少し別の手段をもって早期賠償を求めるべきではないかと思うんですが、何が障害になっているのか、この点、今問題となっている点を明らかにしてほしいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 東京電力との早期賠償に向けた取り組み、あるいは協議等、何がネックになっているかという部分でございますが、損害賠償請求支払いがおくれている主な要因といたしましては、JAと森林組合の二つの損害賠償協議会系統がありますが、両系統協議会とも東京電力側で請求内容の確認に時間を要していることがまず一つ、加えて、森林組合協議会のほうでは、風評被害が発生した時期について、東京電力側といまだ協議が調っていないというところなどによるものと認識しております。
〇飯澤匡委員 あまり時間がないので、もう少し議論を詰めたいところですが、最近、3.11から地元の生産者の方に会うと、日に日に衰弱していっているわけです。会うたびに最近言う言葉は、伝統あるシイタケの生産基地をこのまま崩壊させたくないと。自分のことはさておき、これまで培ってきたノウハウ、また技術、そして、これまで育ててきたものに対して、生産者の方が次々とくしの歯が欠けるように、もうだめだというような悲痛な声が出ております。
 ただいまの質問に対しても、どうもやっぱり、確かに相手のあることですが、県としてここまでやって、次なる展望はどうなんだと。その目標に向かって進んでいくというようなところがなかなか出てこない。展望が出てこないので、何回も一関市側の協力ももらって説明会はやっているものの、手続、そして展望が見えてこない。そしてまた、さらにいろいろな計画書を出さなければならない。手続だけが煩雑になって、なかなか展望が出てこないというところに生産者の再生産の意欲がなかなか出てこないというところがあるんです。
 最終的に、東電の賠償、早期にそれを解決することは大事ですけれども、今回、原木しいたけ経営緊急支援事業が補正予算として決まりましたけれども、もっとさらに、2年後、3年後をにらんで、こういう形で県はやりたいんだという姿勢をしっかり明らかにしながら進めるべきだと思いますが、部長の見解を聞いてきょうは終わります。
〇東大野農林水産部長 今、委員御発言のとおり、伝統ある東磐井の生産基地、これを守るということにつきまして、我々も、北の生産形態と、それから南の生産の形が違うというのも認識しながら対策を考えてございました。
 解除の道筋を明らかにできない、我々はそれを今一番心苦しく思っております。ただ、今回の補正で盛り込ませていただいたことについても、セシウムに汚染されたほだ場で、因果関係は明らかではないけれども、そこに新しいほだ木をまた置くということは解除に向けた取り組みとして決していい方向には働かないだろうと考えて、今回も、五月雨式ではございますがさらに支援策を講じさせていただくことにいたしました。こういった取り組みで、五月雨式の取り組みにはなりますが、今できること、考えられることをやって生産者を支援し、何とか産地として再生していただきたい、それを手伝いたいという姿勢でこれからも取り組ませていただきます。
〇佐々木朋和委員 私も原木シイタケ関係についてお伺いしたいと思います。飯澤委員と重複した部分は省かせていただきます。
 今、部長から答弁もありましたとおり、このたびほだ場の除染について、県で単独で国の判断を待たずにやっていただいたというのは、本当に心から敬意を表させていただきたいと思います。
 その除染の仕方についてなんですが、落葉層の除去というのが基本になると思いますが、現場からは、その下の腐葉土についての除去、また、一緒に立木の枝打ちや土壌へのセシウム吸着剤の散布などあわせて実施できないか、また、根などが張っているほだ場については土が剥げないということで、その上に土をかけられないか、また、廃棄物の土砂が出ないというところで、人工ほだ場なんかでもやはり上に土をかける工法はできないか、そんな話が聞こえてきますが、その点を柔軟に対応できないのか御所見を伺いたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、落葉層の除去とあわせて、立木の枝打ちあるいは土壌へのセシウム吸着剤の散布など実施できないかということでございますが、ほだ場はシイタケ生産の場でありますことから、放射性セシウムの影響の可能性については、状況に応じてできるだけ排除していくことが必要と考えております。ほだ場の環境整備につきましては、そういったことから、主として、放射性セシウムが多く含まれているという知見がさまざま得られている落葉層の除去により実施しようとしております。落葉層を除去する作業の際に、作業の支障となる下草や灌木の刈り払い及び枝葉等の除去を必要最低限の範囲で行うことを認めることとしております。
 セシウム吸着剤の散布による除染方法につきましては、なかなか知見が少ないのでございますが、福島県での事例があると聞いておりますので、その事例の確認をしてまいりたいと考えております。
 また、事業の実施に当たって、盛り土等によって柔軟に対応できないかということでございますが、盛り土によってどういった形でセシウムの影響を排除できるかについての知見がないものですから、効果がその部分については明らかでないということですので、本事業では、基本的には落葉層の除去を対象にいたしまして、放射性物質の影響の可能性をできるだけ排除したいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 なかなか知見が少ない中、また走りながらやっていただいているというところで了解いたしますが、ぜひ今後、状況によって柔軟に対応していただきたいと思います。
 次に、今回の除染については、ほだ場の安全を確保するという面で私は評価させていただきますが、除染後も、余り言いたくないんですが、残念ながらほだ木へのセシウム移行というのが基準値を超した場合の対応、もともとやっておかないと生産者が混乱を来すという心配もあると思いますので、その点がどうなっているのか。落葉層の除去とほだ木の移動後の見通しについて伺いたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 除染後のほだ木へのセシウム移行がどうなっていくかということでございますが、現在、林業技術センターにおいて─これは県南部の現場においてですが─ほだ場からほだ木へのセシウムの移行状況を調査しているところでございます。その調査結果や、ほだ場環境整備実施後に行いますほだ場の状況の調査の結果等も踏まえながら、必要に応じてさらなる対策を検討してまいりたいと思います。
〇佐々木朋和委員 ぜひ生産者の皆さんにあらかじめ説明をしながらやっていただきたいと思います。
 先ほど飯澤委員のお話の中にも、やはり生産者が希望を持ってやれる、やる気を出せるような取り組みをしていただきたいという中で、部長からも御答弁があったと思いますが、人工施設への転換についてお聞きしたいと思います。
 私も、伝統的な工法について、生産者にとっても、金銭的なハードル、また、精神的にも人工施設には抵抗がある方もいらっしゃるということはよく存じ上げておりますが、一方、出荷停止解除の見通しがなかなか示せないという中にあっては、人工施設による栽培をすれば出荷制限がかからないという利点がやはりあります。また、これから、残念ながら生産者の数が高齢化等々もあって少なくなるという中では、生産効率を一人一人の分を上げて生産量を確保していかなければならないという側面もある中にあっては、全体が人工施設に移行するというのではなくて、中にはやはりそういう工法でも続けたいという若い方もいらっしゃいますので、いち早く人工施設に取り組むという施策を市町村と連携をして事業として立ち上げるべきではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 人工施設への転換ということでございますが、シイタケ栽培を行うための人工施設には、大きく分けましてハウスと人工ほだ場の2種類ございます。ハウスについては施設栽培、人工ほだ場については露地栽培という分類になってございまして、いずれにいたしましても、人工施設での栽培については、以前答弁しましたとおり、こういった栽培について、人工ほだ場にしてもハウス栽培にしても、これまでの林内の露地栽培とは全く異なる栽培技術が求められるということから、生産者や集出荷団体等の関係者と十分に意見交換しながら、人工ほだ場も含めまして産地再生の方策を検討してまいります。
〇佐々木朋和委員 生産者の中には、やはり続けるという皆さんにとっての施策を、全体を守っていくという施策とともに、そうやって再生産に向けて前向きに取り組んでいく施策もぜひ出してほしいという声がありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、原木出荷者の対応について、シイタケ生産者については賠償問題等々取り上げられておりますが、原木出荷をしている方々の賠償の進捗状況がどうなっているのか、最後にお聞きして終わりたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 シイタケ原木の出荷者への補償の現状ということでございますが、東京電力では、シイタケ原木林、いわゆる立木の補償については、立木の所有者と購入者間の契約内容などの諸事情がそれぞれ異なっておりまして、個別に事情を確認し検討するという態度をとっております。ただ、現時点で、補償の対象になった事例がないという状況にございます。
 ただ、伐採してしまってシイタケ原木となったもの、あるいは既にシイタケ原木として生産者との間に購入契約の成立があったものについては、補償対象として、これも個別に検討していきたいとされているところでございます。
〇佐々木朋和委員 一部でもありましたが、個別のそういうJAとかに所属しない農家については、きめ細かくやっていただきたいというお話がありましたので、原木出荷者についても対応していただきたいと思います。
〇小野共委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後5時14分 休 憩
午後5時33分 再開
〇岩崎友一副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇岩渕誠委員 私もシイタケの問題を中心にお伺いいたします。
 シイタケが大変困っている状況については、飯澤委員、佐々木委員からも質疑があったところでありますが、初めに県に伺います。
 この一連の事故の影響を受けて、シイタケ農家について、廃業もしくは生産縮小に追い込まれた農家の数等についてどのように把握しておりますか。
〇佐野林業振興課総括課長 廃業、生産縮小に追い込まれた農家の数については具体的には把握できておりませんが、今回の原子力発電所の事故を受けまして、生産者からは、生産継続についての不安の声を多く聞いております。
 また、本年、平成24年春の植菌作業を見合わせた生産者がいるため、植菌量が減少しておりますが、一方、生産継続について決めかねている生産者も多いと認識しております。
〇岩渕誠委員 そういう状況は細かにちょっと示していただきたいと思います。各、胆江地区あるいは両磐地区でアンケートをとっているはずですよね。それで、どれぐらいの方々がどういった状況にあるかということは把握していると思います。示してください。
〇佐野林業振興課総括課長 一関農林振興センターでのアンケートからの推計で申し上げますと、まず、植菌の数が今手元にございます。平成24年春に干しシイタケの植菌を行った生産者は、全体309名中55名と推計しております。
〇岩渕誠委員 ほかにも種類がありますけれども、この資料を見るだけでも相当厳しい状況であることが、この数字、309分の55という数字をとってもわかると思います。今こそ再生産の意欲を持ってもらう政策が必要だということになると思います。
 そういった中で、ちょっと基本的なところから聞いていきますが、県は、再生産に当たって、ほだ木の調査をして、処分量を確定して、そして再生産をするということでスキームをつくっています。
 お伺いいたしますが、ほだ木の処分対象本数は幾らか、今後処分のスキームはどうなるか、それから、代替のほだ木の確保状態と申し込み状況をお知らせください。これがわかれば、処分本数と代替本数の間に差があるということは、それだけ生産意欲が減退している証拠だと思います。その分析も含めて、まとめて聞きますので、お答えください。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、ほだ木の処分対象本数でございますが、県が県内の1、816カ所のほだ場のほだ木について、放射性物質濃度を調査した結果から、国が定めました指標値であります50ベクレル・パー・キログラムを超えたほだ木の本数は約365万本と推計しております。
 この指標値を超過したほだ木について、岩手県きのこ原木等処理事業によりまして、ほだ木の移動、運搬及び一時保管に要する経費を事業主体である市町村に対して補助し、処理を進めるスキームでございます。
 続きまして、代替ほだ木の確保状況、申し込み状況についてでありますが、シイタケ生産者や農協などが、みずからの確保は難しいと判断した見込み本数は、9月末時点で約23万本という状況になっておりまして、要望があった原木を確保するために、県森林組合連合会を中心とする関係団体に県から協力を要請し、森林所有者、国有林、県有林、市町村有林に対して供給の依頼などをして、確保に向けた取り組みをしているところでございます。
 先ほど申し上げました処分が必要となった365万本に対して、申し込み本数が23万本ということで乖離がございますが、これにつきましては、まず、ほだ木の使用年数が数年にわたり、一度に更新されるものではないということや、やはり生産継続を決めかねている生産者が多いことが、この差が生じている要因と考えております。
〇岩渕誠委員 365万本出てくる、それに対して確保しているのは23万本。確かに、生産して計画的に配備をするということであれば、例えば、この23万本掛ける5とか6とかという数字になろうかと思いますが、それでも3分の1というのが、本当に厳しい状況をあらわしていると思います。
 実は、この進まない理由の一つには、予算をつけていただきましたけれども、ほだ場の除染というものをやって本当に効果があるのかどうかということを見きわめたいという生産者もいっぱいあるわけでありますから、本当は効果についても示していただきたかったんですが、先ほどの質疑の中で、なかなかこれはこれからだ、生産物への移行はこれからだということでありますので、ぜひやっていただきたいと思います。
 これを早くしないとどういうことになるかというと、今、現場ではこういう声が出ています。どうせセシウム134については半減期が2年であるから、3年ぐらい山にほったらかしにしておいたほうが下がるのではないか、手をかけるだけ無駄じゃないかというような声が出ております。これをそのまま放置しますと、この365万本分の23万本という数字は、本当に現実のものになってしまう。もう生産地としては壊滅的な数字だと思っております。
 そこで、もう一つの問題は、先ほど佐々木委員も指摘していましたけれども、人工ほだ場等の部分でどういう補助ができるのか、支援ができるのかということだと思います。これは、スキームとしてはもう既にありますね。ただ、このスキームというのが、やっぱり使いづらいんですよ。例えば3県が一緒になって共同でやって、なおかつ半分しか補助しませんと。今、実入りがないのに、半分も出せるシイタケ農家なんかどこにもないですよ。それを横出し、上乗せをして、モデル事業でもいいから、それを例えば森林組合にやる、あるいはある程度の生産規模であればお1人というような形でもしないと、これはもう政策的に引っ張っていく以外にないわけです。そういった今あるものに対して、検討ではなくて、もうするかしないかなんですよ。どうなんですか。
〇佐野林業振興課総括課長 ほだ場環境整備の効果という部分でありましたけれども、今、林業技術センターが行っているのは、ほだ場からほだ木への移行状況調査ということですが、その前段として、林内環境の調査を行ったところでは、放射性物質のほとんどが落葉層にとどまっているという知見が得られております。これは、林野庁が定める技術的指針にも示されているところでございますので、影響の可能性をできるだけ排除する観点から、落葉層のほだ場からの除去は有効ではないかと考えております。
 人工ほだ場建設についての補助要件等の議論がございますが、特定被災地方公共団体市町村において実施する場合に限り、国庫補助金を活用して整備することが可能ということで、委員御指摘のようなさまざまな条件がございまして、補助率は2分の1以内で、1カ所の事業費がおおむね300万円以上で、原則5戸以上の林業者等による組織が必要だという要件がございます。
 人工ほだ場について、出荷制限解除に直ちに結びつくものではございませんが、生産者や集出荷団体等の関係者と十分に意見交換をしながら、産地再生の方策として、人工ほだ場も含めて検討してまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 いずれ365万本を廃棄して、そこにどれだけ近づけられるかというのが、一つの産地の回復の指標になろうかと思います。ぜひそのことを考えてやっていただきたいと思います。
 このシイタケの最後に、私は意見を申し上げたいのですが、9月15日に東山町に東京電力が参って、損害賠償請求の説明会なるものを開きました。私も1時間ほどお邪魔しておりました。驚くべきことに、東京電力は、生産者に対しての資料の中に1枚の紙切れが入っていました。これは東京電力の電話番号でした。損害賠償をするに当たっては、ここに電話をかけてきた人に書類を送ります、こういうようなやり方なんですよ。被害を出したほうが、電話をかけてきて、きちんと名前とあれがわかったらそれを送りますと。こんなばかな話はないんですよ。書類を持ってきて、本当は一軒一軒歩かなければならないような話なのに、そういう対応をいまだにしているということです。ぜひ、県は認識していただいて、善処を申し入れていただきたい。
 もう一つは、さまざまシイタケ関連ではいろいろな予算をつけていただいておりましたが、これは6月の一般質問でも申し上げましたけれども、予算執行については、遅延しているという実態も過去にありました。やっぱり予算を回して初めて事業が成り立つわけでありますから、金庫に眠っていたってしようがないですから、そういったところをきちんとしていただきたいと思うのですが、部長、御所見がありますか。
〇東大野農林水産部長 最初に、東電の説明会で配布した資料の件は、申しわけございませんが、承知してございませんでした。東京電力側が賠償すべき立場にあるのですから、委員御指摘のとおり、そのようなやり方は不適切だと考えます。東京電力に対して必要な申し入れを行いたいと思います。
 それから、予算執行のおくれにつきましては、6月定例会で多々御指摘いただきました。今回、原木更新、ほだ木更新、それから、ほだ場の環境整備の取り組みがこれから始まります。その際に、おくれが出ないように取り組んでまいります。
〇岩渕誠委員 最後に、シイタケとは若干離れますが、森林除染の考え方についてお伺いして終わりたいと思います。
 福島県では、一定レベルの汚染があった場所については森林除染に取り組まれております。私も、福島県の森林管理署に同僚議員とお邪魔して内容を聞いてまいりましたし、中身についてもスライドで説明を受けてまいりましたけれども、今の森林除染の考え方というのは、生活域から20メートル入ったところまでの落ち葉層を完全に取って、あるいは針葉樹であれば枝打ちをして、こういうような対策をしておりました。
 これは、本来であれば環境省の除染の計画の中の部類に入る話でありますけれども、岩手県として、今後、森林除染の考え方、そして、場合によっては生活領域から20メートルというところには県有林というものがあるやもしれませんけれども、こういったことについてどのように進めていくおつもりなのか聞いて、終わります。
〇阿部森林整備課総括課長 生活圏域から20メートルでの森林除染の本県の考え方でございますが、県南部の汚染状況重点調査地域に指定されている一関市、奥州市及び平泉町では、既に除染実施計画が策定されております。そして、その計画では、まず、学校や公共施設といったところを優先的に実施しているところでございます。順次除染を進めているところであります。
 県では、今後、生活圏域で隣接する森林の除染が行われる際、3市町に対し、国等が行っている除染、試験研究等で得られた知見、情報等の提供、そして、森林作業の具体的な手順等について、技術的な指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
 こういった中で、先ほどありました当該地域にある除染が必要な県行造林についてでございますが、これについても、国、県の所有のところは国、県がやらなければならないのですが、その除染の計画そのものは市町村の除染計画の中に位置づけされているという観点もありますので、今後、市町村と連携をとりながら適切に対応してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 私は、水産振興に関して3点ほどお伺いいたします。
 一つ目に、昨年の3.11も大変甚大な被害だったわけですけれども、それ以前にも、年末年始の暴風雪、高波、また、平成22年もそういう被害があったような記憶があります。そういう中で、漁業者の、就業者の再建の状況、そしてまた、担い手の漁業者の状況はどのようになっているのか、まず初めにお伺いいたします。
〇石田漁業調整課長 漁業者の漁業の再建の状況でございますけれども、国が3月に調査しました内容によりますと、被災した経営体の約5割が再開しているとなっております。また、県が9月に漁協を対象に調査しました中では、7割程度が漁業の再開にこぎつけるという結果を得ております。
〇工藤勝博委員 漁業者にとっては漁船の確保が一番の課題だろうと思っておりますけれども、その漁船も徐々にできたということで、その希望されている漁業者の方には、どのような割合で漁船が確保されているのかお伺いしたいと思います。
〇石田漁業調整課長 漁業者の漁船の確保についてでございますけれども、共同漁船事業等で要望していただいた事業の補助事業による整備につきましては、来月から始まるアワビ漁に向けて、小型のいわゆる1トン未満の小さな船は、おおむね要望の9割程度は現在納入されている状況と伺っております。
〇工藤勝博委員 それからまた、中心的な担い手の漁業者の状況はどのようになっているでしょうか。
〇石田漁業調整課長 漁業の再建の状況とあわせて考えますと、被災した漁業者が、まずは漁業に戻るということを重点に昨年度事業を進めまして、一つは、漁業を再開するまでの間に収入を確保する手段としまして、漁協が漁業者を雇用して漁業に復旧するという形をとりました。漁場復旧のための調査や瓦れきの撤去、それから養殖の種苗の生産、養殖施設や定置網の整備、これらによって、まずは漁業に携わりながら、当面の収入を確保するところに力を入れまして、これらをあわせまして延べ19万3、000人ほどの昨年度の雇用の実績となっております。
〇工藤勝博委員 わかりました。
 次に、先ほどの質問と関連がありますけれども、たび重なるそういう災害の中での漁業協同組合の業績の状況についてお伺いしたいと思います。
〇大友団体指導課総括課長 漁協の再建の状況等についてのお尋ねでございますけれども、県内24漁協全てで、大震災津波によりまして、事務所や養殖施設、市場、製氷などの共同利用施設、定置網などで被害があったところでありまして、これらの施設の復旧、復興のために多額の設備投資が求められたところでございます。
 各漁協におきましては、関係団体、機関の指導を受けながら、補助事業の導入や負債整理資金の活用などを内容とする復興再生計画を策定し、系統金融機関等で組織する委員会等での計画承認を受け、経営再建に向けた取り組みを進めてきたところでございます。
 計画初年度であります平成23年度の各漁協における復興再生計画の進捗状況はおおむね順調でありますけれども、今後の定置網の漁獲状況などによりましては、計画が下ぶれする可能性もありますので、引き続き、水産関係団体と連携しながら、計画が着実に実行されるよう、進捗管理や現地指導に努めてまいります。
〇工藤勝博委員 漁協によっては、かなり業務内容に差があるだろうと思いますけれども、昨年の部分に関してはおおむね順調だと。以前から漁協の再編も言われておりますけれども、そういう部分に関しての影響は、どのように考えているでしょうか。
〇大友団体指導課総括課長 今の各漁協におきましては、現在復興、復旧に全力で取り組んでいる段階でございますので、組織の再編というものは、この復興、復旧が落ちついてからということになろうかと思いますけれども、現在、系統におきまして今後の復興ビジョンを作成中でございますので、その中で組織の再編等についても検討がなされるものと理解してございます。
〇工藤勝博委員 ありがとうございます。
 次に、3点目ですけれども、内水面の水産技術センターについてお伺いしたいと思います。
 業務内容は、サケの種苗生産とか、あるいはまたイワナ、ヤマメの研究ということでありますけれども、昨年も質問させていただきました。それの中で総括課長は、サケの回帰率を高めるために内水面でも研究していますと。その技術は、今、特許申請中だというお話もいただきました。その特許申請した技術で今後サケの回帰率向上に結びつけるような状況なのかどうか、初めに伺います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケのほうは、光波長の関係で特許を今、申請しているわけでありますけれども、これは、具体的にふ化場のほうにふ化槽、それからふ上槽、これらに開発した波長による生産飼育、これらを今整備して、今後そこで飼育したものを放流しようということで進めようとしているところであります。
〇工藤勝博委員 そういう技術が確立されて、ふ化も内陸でできれば、水だけは豊富にあるので、ぜひ、さらに研究を進めていただきたいと思いますし、また、何かの委員会で、淡水でクロマグロとかも今、養殖が始まっています。そういう部分を含めて、さらに研究の幅も広げていってほしいと思います。信州では、信州サーモンということで、大変評価の高いニジマスから改良したものも出ておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、林業振興のほうで1点だけお伺いします。
 昨年の年末年始の暴風雪で大変な林木の被害がありました。その林木の復旧状態、林地の復旧状態と、その被害に遭った材木の活用についてお伺いいたします。
〇阿部森林整備課総括課長 ただいまお話のありました雪害の被害でございますが、たしか平成22年12月末から23年1月2日にかけての大雪被害の復旧状況でございますが、森林、あとは林業振興についてお答えさせていただきたいと思います。
 まず、大雪による民有林の被害でございますが、実面積で約250ヘクタールの被害面積となっております。平成23年度には、森林整備事業やいわて環境の森整備事業を活用いたしまして約166ヘクタールの被害木を処理しております。被害面積の約7割を復旧したところでございます。
 残りの被害森林につきましても、引き続き補助事業を活用した被害木処理ができるように指導しているところでございます。
 また、被害材の利用についてでございますが、被害木が点在している状況でございます。また、材の縦割れでございます。これは雪害によって曲がって縦割れが発生しております等によりまして材質が低下していることなどから、ごく限られた利用状況となっております。
 今後は、適切な間伐等による雪害予防等に取り組むとともに、間伐材等が最大限に活用されるよう、路網の整備等を促進してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 最後に、そういう被害があった林地も含めて、荒廃しているものがすごく見受けられます。その辺も含めて、いろいろな事業も取り入れながら、ぜひとも速やかに進めてほしいと思います。
〇福井せいじ委員 私から、被災地における水産物の販路拡大並びに業績の回復についてお聞きします。
 8月1日に行われました被災事業所復興状況調査によりますと、水産加工業における事業再開は75.2%、さらに、建物設備の復旧状況50%以上の業者が55.4%となっておりますが、業績の回復状況を見ますと、震災以前と同じになっているのは8.9%と、まだまだ業績回復についてはおくれているということであります。
 これは、震災以前の取引が中断してしまって回復しないという状況もあるかと思いますが、その復旧状況並びに業績回復に取り組んでいる何か施策があればお聞かせください。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 今、御質問の中で、復興局のほうの調査の内容がありまして、私のほうといたしましても、この調査の結果、本年8月1日現在の状況について実施した被災事業所復興状況調査によるデータでお話しいたしますと、今のお話の中とも重複いたしますけれども、水産加工業者の業績の状況につきましては、やはり被災前と同程度または上回っているとする回答が約1割、それから、被災前よりもある程度減少とする回答が約3割となっております。事業再開から間もないことを考慮いたしましても、やはり厳しい状況の中にあるんだなと思っております。
 当課といたしましては、これまでも専門家と連携しながら、個別事業者の加工場における品質管理の指導を被災前は行ってきたわけでありますけれども、今後、加工業者の復旧の状況等にあわせながら、私たちのモデル事業の中で、水産加工業者向けのHACCP講習会を開催したり、開発した水産加工魚の差別化を図り、新たな販路の開拓を支援していきたいと思っております。
〇福井せいじ委員 なかなか回復しない状況というか、再開しない状況の中で業績回復は難しいということなのでありますけれども、私は、業績回復があって初めて生活再建が成り立つと思いますし、やはり雇用の創出も、その一点にかかっていると思うわけであります。
 となると、業績回復に対する取り組みがいかに必要かということになりますが、私は、今、中断した取引の回復、販路の復旧というものがまず一つ、新規取引の拡大という点も一つ、それから新市場の創造、ある意味では、商品開発をして新しい市場を創造していくといった3点の取り組みが必要だと思いますけれども、そういった点で何か取り組みがなされていれば教えていただきたいのですが、ないでしょうか。
〇泉流通課総括課長 被災地における水産加工品の販路の回復、拡大あるいは新商品の開発といった件についてお答え申し上げます。
 新商品の開発につきましては、今、甚大な被害を受けて販路を喪失いたしました水産加工業者に、新たな取引先を確保し、安定的かつ持続的な生産体制を確立するため、現在、販売先を有する食品大手卸の担当者をアドバイザーとして現地に迎えまして、製品管理や商品開発の指導を定期的に実施しているところでございます。
 水産加工業者の事業再開が間もないことから、アドバイザーの指導はまだ具体的な成果には結びついていないわけでございますが、生産者による従来の商品開発から、消費者の視点に立った商品開発への転換が今進められておりまして、今後、消費者ニーズに対応した新たな商品開発や販路開拓につながるものと期待してございます。
 それから、販路の回復とさらなる拡大ということでございますが、平成23年度におきましては、被災した事業者の売り上げの確保を重点的に行いまして、県外から多くの復興支援イベントの申し出がありまして、これを活用しながら、被災した事業者に対して、イベント情報の提供や参加の調整、特に集客やPR効果が高いと見込まれますイベントに参加する経費の支援などを行いまして、主に消費者向けの事業展開を行い、販路の回復を支援したところでございます。
 今度、販路の拡大でございますが、販路の拡大には、やはり消費者と実需者、バイヤーに買ってもらうというところが必要だと思いますので、今後は、消費者に向けては、首都圏、関西圏、九州圏の空港、駅等における人が集まるところでの本県の農林水産物のPR、これは全体的なイメージのPRを実施するほか、バイヤー向け、実需者向けには、東京、大阪、福岡で商談会を開催いたしまして、これは販路の回復というより、新規開拓、これに積極的に取り組んでもらえるように、商談会を開催したいと思っております。
 それから、生産者の方々からは、やっぱり県としてしっかりした商品、県の商品をPRできるようなカタログとか、そういったものを配布してほしいということでございますので、そういったカタログの配布を通じまして、県内業者の販路の回復、拡大を図っていきたいと思っております。
〇福井せいじ委員 ありがとうございます。今の答弁を聞きますと、販売の経路として二つの経路が挙げられました。一つは一般消費者向け、これは、例えば販売場に出向いていってイベントを催すとか、あるいは物産展を開催するというのが一つと、もう一つは、バイヤーとの交渉の中で商品開発をしながら、またそれを定番化していくという二つの話をいただいたんですけれども、今、復興支援としてイベント用の商品の販売は、1年が経過して次第に落ちついてきているという情報も入っております。私は、そういった意味からいくと、今後は、やはり流通向けの対策を重点的に行っていく必要があると思うんですね。
 実は、私は今回、都内のある大手のチェーン飲食店と振興局を紹介しまして、いろいろな商談ができないだろうかということをやってみました。そうしたところ、さまざまな業者から提案がありまして、今それが結びつきそうな段階にありますけれども、ある意味で、飲食業、チェーン飲食店等との商談会を実施してはいかがかと思うわけであります。
 チェーン飲食店からは、実際にバイヤーが来ますと、実際に商品の開発あるいはその流通経路までアドバイスいただいて、それにかなわなければなかなか納入できない。つまり、商品開発をしながら実際に納入ができるという、勉強と実利、研究と実利が一緒になった展開が望まれるかと思います。
 そういった意味で、チェーン飲食店との商談会を設けるとか、そういった場づくり、それから商売の形づくり、あと縁結びといった観点で、チェーン飲食店との商談会なども開催してはいかがかと思いますけれども、どうでしょうか、お考えをお聞かせください。
〇泉流通課総括課長 御提案ありがとうございます。商談会につきましては、バイヤーのほかに、ホテルの関係者とか、それから、今言ったようなレストランのシェフあるいはオーナーといった方々にも参加していただきましてやっておりますので、幅広く参加していただき、商談の機会を設けさせていただきたいと思っております。
 また、それ以外に、改めてチェーン店との商談会ということであれば、場所とか、時間、予算、人とかの関係もございますので、それについては検討させていただきたいと思います。
〇福井せいじ委員 ありがとうございます。今、加工業者に求められるのは、ある程度のロットを製造することによって経営を軌道に乗せることが必要だと私は思いますし、スピード感が必要であると思います。ぜひともそういった意味で、ある程度ロットがまとまるような商談会を開催していただきたいと思います。
 今、この地方においてはチェーン飲食店がどんどん進出してきて、ある程度、私たちの消費がそっちに移っている。逆に、商品を供給しながらこちらに外貨を稼ぐという観点も必要だと思いますので、ぜひともそういった視点から、商品の業績回復についてお取り組みいただきたいと思います。
 最後は要望で、終わります。
〇城内愛彦委員 それでは、私も質問させていただきます。端的にお伺いします。漁業担い手育成推進費についてであります。
 この事業の利用状況というんですか、認定状況、また、あわせて問題点はあるのか、現在、震災後、廃業する方がどれぐらいあるのか、今後のこの事業の見通しについて、まとめて一気にお伺いします。
〇石田漁業調整課長 漁業担い手育成推進事業の関係でございますけれども、この事業は、漁業就業者の確保、育成や青年女性部の活動の支援をするような事業でございまして、特にこの担い手育成の部分について、県としては、県漁連と連携しまして漁業就業フェアを県内で開催しております。これは、就業を希望する方と漁船や定置網を経営する、いわゆる雇い入れを希望する方とのマッチングで新規の就業者を確保する取り組みでございます。平成21年度は11件、22年度は15件の組み合わせが成立したところでございますけれども、23年度は、実施いたしましたが、震災後間もないことから、なかなかいい成果が得られなかったところでございます。
 この就業フェアのマッチングについての問題点としますと、相互の話をする中で、漁業という職業の確保とともに、住む場所、居住環境のサポートも重要なこととなっておりまして、特に震災によって住む場所の確保がなかなか難しいというところが、新規就業者のこれからの受け入れについて厳しい状況であると考えております。
 今後につきましても、この就業フェアを続けながら、市町村と連携しまして、各漁村の復旧状況やまちづくりの進み状況とあわせながら、住む場所の確保も含めて支援していく考えでございます。
 それから、漁業を諦める方々がどれぐらいいるかというようなお話でございますけれども、先ほど申しましたように、県が9月に調査した中では、約7割が漁業の再開をしているという状況でございます。あとの3割につきまして、また個別に各漁業協同組合を回りながらお話を聞いたところによりますと、震災から約1年半で約7割でございますけれども、まだ漁業を再開するかどうか迷っている方、また、この震災によって、住むところがなくて一時離れている方もいらっしゃいますので、それらの方々がこれからどれぐらい漁業の再開を見込めるかというところも、まだ考えているところのようでございますので、漁協の担当者の感触では、1割程度は漁業者が減少するのではないかという感触を持っているのが、現在の状況でございます。
〇城内愛彦委員 新規で、今まで漁業をしたことがない方、また、漁家に生まれてもいない方々がここに入ってくるわけですので、厳しい状況でありながらも漁業に魅力を感じつつ挑んでくる、そういった方々に、住まいというのは重要な要素でありますけれども、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っています。
 また、廃業する人は、実際は1割より多いようでありますので、この辺は本当に微妙な数字ですけれども、もちろん震災で亡くなってやむを得ず廃業しなければならないという方もこの中に含まれますが、ぜひしっかりとした担い手推進事業を展開していただかないと、なかなか沿岸漁業は、つくり育てる漁業は成り立っていかないのではないかと思いますので、この事業は、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 ちなみに、今年度の新規就業する方の数字というのはわかっていませんか。
〇石田漁業調整課長 今年度も漁業就業マッチングフェアを開催しております。一応マッチングできたところが3件ございましたけれども、この方々については、どの程度定着するか、これから見守っていきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 仕事がない中で3件しかないというのも残念なんですけれども、ぜひPR方、よろしくお願いします。
 次の質問ですけれども、ウニ、アワビの資源の回復状況についてということで、これも一瀉千里でお伺いします。
 収量の状況と、あと売上金額、また、資源の回復状況というのはどう捉えているか、あわせて今後の資源に対してどう考えているのかお伺いしたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 ウニやアワビの資源の回復状況についてでありますけれども、ウニにつきましては、平成24年度はむき身重量で31トン、金額で2億9、000万円であり、震災前の22年度に比べて、重量で23%、金額で35%となっております。
 アワビにつきましては、平成23年度の水揚げ量は117トン、金額は15億円であり、震災前の22年度に比べて、水揚げ量で38%、金額で54%となっております。
 これら資源の回復状況につきましては、震災で漁船がなかなか戻らないということ、そういう漁船の不足や、あるいは海藻の繁茂が著しくなかなかウニ、アワビが見えなかったということもありまして、漁獲が少なかったこともあり、水揚げ量の単純比較によって、資源の回復状況の把握は難しい状況と認識しております。
 今後の対応につきましては、早急なウニ、アワビ資源の造成、回復を図るため、被災した県栽培漁業協会が運営する県有施設や漁協の種苗生産施設の復旧を進め、ウニは平成26年から250万個、アワビは27年から震災前を上回る890万個の供給体制が整う見込みとなっております。
〇城内愛彦委員 昨年のアワビについては値段に助けられたというのが、漁協の方々、関係者の方々の弁でありました。キロ2万円前後でしたか。その前は、普通、大体1万2、000円前後で推移してきたところなんですけれども、1シーズンで漁家の方々が、アワビだけだと500万円ぐらい稼ぐんだそうです。本当に漁家の方々の実入りの大きいところなので、ぜひこれは毎年、これも放流をして、何年か後にそれがとれるという形がずっと続いてきたわけです。今回、震災によって種苗センターも大きな被害を受けましたし、それによって何年か空白の時間があるわけですので、これもまた、数年後にはとれない時期が来るのではないかというのが心配されるところであります。
 いずれ資源の回復状況も、ことしは海藻がたくさんあるために、なかなか海の底が見えないという状況があるそうですけれども、ぜひしっかりと調査をしてほしいなと。早目に対応しないと、何年か後に続けて不漁の時期が来て、漁家の方が大変困るということがないようにしていただきたいと思います。
 ウニについては、比較的成長の度合いが早いということですので、多分二、三年で回復するのではないかという話は聞いております。いずれ共同船利用事業等でしっかりと対応していただいて、ことしのアワビの時期に船が間に合いそうだということで、漁家の方々は胸をなでおろしているところであります。
 ちなみに、ことしもそろそろアワビの事前入札の時期が来るんですけれども、私がちょっと心配するのは、次のナマコにも関連するんですが、アワビがなぜ高いかというのは、乾鮑にして中国に送る、そういう商売をする方々があるからなそうであります。これから中国がちょっと心配な状況にある。ぜひそういうことも考慮しつつも、販路をしっかりと確保していただくようにお願いしたいと思います。
 次の、ナマコ産地づくり推進事業費についてお伺いします。
 事業の成果と、あとは、今後このナマコはどういう形で推進していくのかお伺いしたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 ナマコ産地づくり推進事業費についてでありますけれども、まず、事業の成果につきましては、平成19年度に実施した生息調査により、商品価値の高いアオナマコが優先して分布することを確認いたしております。また、平成19年から21年度に実施したアオナマコの種苗の量産化技術開発により、全国で最大規模となる量産化技術の開発に成功し、平成22年度には、栽培漁業協会種市事業所において、35ミリサイズの稚ナマコを59万個生産いたしました。さらに、平成20年及び21年度に実施した放流効果調査により、放流後1年から2年目においてナマコ生息量の増加を認めたものの、このたびの震災によって、漁獲量の増大の最終的な効果判定ができませんでした。
 今後、ナマコの種苗生産の見通しにつきましては、栽培漁業協会の施設が被災したために、まずは、要望の高いウニ、アワビの種苗生産体制の構築を優先しながら、漁協等の要望を踏まえて、栽培漁業協会と対応を検討してまいりたいと思っております。
〇城内愛彦委員 このナマコも、干しナマコにするという、これも中華の食材であります。青森県陸奥湾、あの辺でやっているのが先進的地域なそうですけれども、後発でやっている─後発という言い方も変ですが、この事業も、私はすごく注目しているところであります。御高齢になってきた漁師の方々が、湾内で、波の静かなところで、静穏域で漁をするには最適なそうでありますので、ぜひ、これも今後しっかりと継続して強化していってほしいと。これこそ、とりやすくて、多分アワビに匹敵するぐらいの値段になる事業だと私は思いますので、産地形成も含めてしっかりとやってほしいということを要望して、終わります。
〇斉藤信委員 まず最初に、漁業、水産業の復興の課題についてお聞きします。
 かなめをなす漁船の確保状況ですが、9月末の交付決定隻数、新規登録漁船数はどうなっているでしょうか。共同利用小型漁船、共同利用漁船事業のそれぞれの新規登録漁船数を含めて示していただきたい。
〇石田漁業調整課長 漁船の交付決定数でございますけれども、これまで約6、500隻となっております。また、震災後9月末までに6、375隻が新規登録されております。
 それから、共同利用小型漁船、共同利用漁船、それぞれ補助事業のメニューごとの船の区分けということでございますけれども、現場の漁船登録の事務がこのような整理になってございませんので、申しわけございませんが、お示しできる状態にはございません。
〇斉藤信委員 交付決定が6、500隻、そして9月末で新規登録が6、375隻ということでした。それで、実は今回9月補正で450隻ふやしたんですね。そうすると、今6、500隻交付になっていますが、今年度末に7、000隻まで行くということになりますか、それとも、6、500隻の中に450隻というのは既に入っているものですか。
〇石田漁業調整課長 当初予算と合わせまして、9月補正で合計しまして450隻規模の予算措置ということでございますので、平成23年度交付決定の約6、100隻と合わせて6、500隻程度が、今年度の整備数ということで考えております。
〇斉藤信委員 そうすると、今年度予算分は全部交付決定したという状況になるんですか。
〇石田漁業調整課長 6、500隻の交付決定は現在までの交付決定で、あと40隻程度が残ってございますので、これらを鋭意進めながら、年度内の交付決定にこぎつけたいと考えております。
〇斉藤信委員 漁業の現場で聞きますと、まだ船が届いていないと、少なくないんですよ。やっぱりせめて今年度中に1漁家に1隻は届くようなところまでいかないと、結局、海に出ようとしても出られないと。1漁家に1隻以上確保するためにはどのぐらい必要なのか。そして、登録されているけれども、まだ漁に出られるような状況になっていないという事態があるのかどうか、いかがですか。
〇石田漁業調整課長 船の納入状況でございますけれども、先ほどの答弁でも申しましたが、まずは、各漁協、漁業者の要望が非常に強い来月から始まるアワビ漁に向けて、特にも小型漁船の供給を急ぎ進めてきたところでございます。1トン未満の小型漁船につきましては、おおむね9割以上現場に入っておりますので、来月からのアワビ漁に使われるものと考えております。
 あと、養殖作業船や湾外で使用する少し大型の船、5トンから10トンクラスでございますけれども、これらにつきましては、大量一括発注ができる状況ではなくて、個々のオーダーメードでございますので、造船所の状況もありますことから、納入がおくれている状況でございます。
 それから、漁船の確保につきましては、県としましては補助事業で実施する上で、各漁協からの要望に基づいて進めておりますので、今後も、漁協の要望を聞きながら事業を進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 わかりました。カキなどの作業船はまだまだ足りないということですので、実情を聞いて、来年度まで6、800隻というのが事業実施計画なんですよ。私は、現段階ではもう足りなくなっていると思うので、やっと造船のテンポも上がってきたところですから、造船がストップしないように、ぜひ必要な手だてをとっていただきたい。
 二つ目に養殖施設の整備、対策ですけれども、ワカメ、カキ、ホタテの養殖施設の整備状況は、直近でどこまで行っているか。養殖を再開した漁民の状況はどうなっているか。がんばる養殖漁業のグループ数、参加漁民数、今後の見通しはどうでしょうか。
〇石田漁業調整課長 ワカメ、カキ、ホタテの養殖施設の関係でございますけれども、9月末までの整備数につきましては、ワカメが約7、500台、カキが1、200台、ホタテが1、200台、それに昆布の養殖施設も合わせますと1万3、000台ほどの整備となっております。
 それから、養殖を再開した漁民の状況でございますけれども、ワカメ養殖につきましては約1、000経営体が生産を開始しておりまして、ことしの春に1万4、000トンほどの生産を上げております。また、昆布の養殖については500経営体ほどが生産を再開し、4、900トンの水揚げをしているところでございます。
 カキ、ホタテの養殖につきましては、今年度から、昨年導入した種苗のうち成長の早いものを一部出荷しておりますけれども、本格的な出荷につきましては来年度以降になる予定でございます。
 それから、がんばる養殖業につきまして、9月末現在、9漁協で24グループが養殖業復興計画の認定を受けておりまして、延べ307名がこの事業に参画し、現在取り組んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 今、ワカメは1、000経営体、そして昆布は500経営体と。現場で聞くと、養殖に戻っているのは半分ぐらいだということでしたが、今の数はどのぐらい戻っているのか。
 それと、これは2月の水産庁のデータでありましたけれども、漁業経営体の再開状況は、岩手県の場合、あの時点で5割そこそこでした。今はもう9月も過ぎていますから、全体としてどのぐらいまで漁業経営体は再開しているのか、推計を含めて示していただきたい。
〇石田漁業調整課長 国の3月の調査では、約5割の経営体が漁業を再開しているということでございましたか、県が9月に各漁協で調査いたしました中では、7割ほどが漁業の再開にこぎつけているところでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。7割というとかなりの程度、私はこの1年7カ月余で戻りつつあるなという感じがいたします。
 次に、秋サケの問題で、これは質問もありましたが、秋サケの漁獲状況、昨年度、今年度。そして、今年度の漁獲予想が出ています。大変低く出ているので心配しているのですが、その漁獲予想の根拠は何か、回帰率低下の原因は何か、北海道と比較してどういう課題、問題があるのか示していただきたい。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 サケの漁獲状況についてでありますけれども、10月10日現在の秋サケ漁獲状況で比較いたしますと、沿岸漁獲量は、昨年度は237トンであったのに対し、今年度は対前年比111%となる263トンとなっております。一方、漁獲金額は、昨年度が約1億1、000万円であったのに対し、今年度は対前年比116%となる1億3、000万円となり、量、金額とも昨年度を上回る状況となっております。
 それから、今年度の漁獲予測とその根拠についてでありますけれども、水産技術センターが公表しました今年度の秋サケ回帰予測によりますと、今漁期は沿岸と河川を合わせて約1万8、000トンの回帰を見込んでおります。
 予測に当たりましては、放流されたサケについて、年齢間の資源量の関係から予測するシブリング法という手法によって予測しております。この手法は、本県のほか、北海道や宮城県でも用いられているものでございます。
 次に、回帰率低下の原因についてでありますけれども、県水産技術センターの研究結果によりますと、放流直後の稚魚の生き残りが回帰率に大きく影響している可能性が示唆されております。
 次に、北海道との比較についてでありますけれども、北海道における今期の回帰予測は3、853万尾、昨年度の実績と比較しますと約103%と予測しております。10月10日現在、北海道の沿岸漁獲量は6万3、000トン、対前年比95%と昨年を下回る実績となっております。
 それから、独立行政法人北海道区水産研究所などのこれまでの調査によりますと、本県と同様に、北海道においても回帰率の低下は、放流直後の稚魚の生き残りが影響している可能性があると伺っております。
〇斉藤信委員 秋サケは去年と比較するだけでは状況がわからないので、これは、平成22年と比較すると263万トンというのは56%、金額でも80%。この秋サケというのが岩手のまさに漁業の柱中の柱ですから、この動向が漁協の再建、漁業の再建の柱にもなっていくと。そういう点で、ことしどこまで回復できるか大きな問題なんですが、定置網の回復状況は、平成22年と比べるとどこまで行きますか。
〇石田漁業調整課長 定置網の回復状況でございますけれども、10月上旬までに全135カ統のうち7割程度の復旧が果たされております。
〇斉藤信委員 わかりました。7割ね。まあ、数も出ていると思いますが、やめましょう。
 次に、ちょっと時間がないので飛びます。松くい虫対策についてお聞きします。
 松くい虫被害の状況はどうなっているか。紫波町では、この間、10年間にわたって持ちこたえてきたけれども、紫波町を突破されて、本当に壊滅的な状況になっておりました。先日、調査をして町長からも話を聞いてきましたが、樹種転換が必要な状況だと。しかし、必要な対策がないんだと、こういうことでありました。紫波町の被害と、そして被害を受けた地域に対する樹種転換だとかさまざまなどういう手だてがあるのか、いわての森林づくり県民税の活用がどういう形でできるのか示していただきたい。
〇赤澤整備課長 松くい虫被害の状況についてでありますが、平成23年度の被害量は約3万9、000立方メートルと、前年度4万4、000立方メートルと比べ11%減少となっております。県南部の高被害地域で減少する一方、内陸の盛岡市、矢巾町、紫波町及び沿岸先端地域である大船渡市での被害量が増加している状況となっております。県内被害市町村は13市町となっており、新たな市町村での発生はない状況です。
 今年度も、平成23年度の被害市町村において引き続き被害が発生しておりまして、内陸の被害最先端地域であります盛岡市、矢巾町、紫波町等において被害量が増加傾向となっております。
 次に、紫波町の被害の状況でございますが、紫波町の被害につきましては、平成12年に初めて被害が確認されており、平成18年度までは200立方メートルから400立方メートルの被害量でありましたが、その後、雪害やたび重なる猛暑の影響で被害が拡大しており、平成23年度は約1、400立方メートルという状況になっております。
 アカマツの樹種転換の状況についてであります。
 先ほど委員がお話ししたように、アカマツの激害地をどうしていくかということですが、アカマツ林を他の樹種に転換する樹種転換については、これまで、県南の被害地域を中心に、過去5年で約20ヘクタール実施しているところでございます。
 被害が拡大している紫波町におきましては、これまでの松くい虫防除事業による被害木の駆除に加えまして、被害が面的に広がった区域については、天然林へ樹種転換する更新伐という平成23年度から導入されている新しい事業でございますが、更新伐の導入をしまして、被害拡大を防止していくということに取り組みたいと思っております。
 最後の質問でございますが、県民税の活用についてでございます。
 今年度からいわての森林づくり県民税を活用した事業に、衰弱木や被圧木等の感染が疑われる松も含めて被害木の徹底駆除を行う事業も追加してございます。これまでの被害防除事業とあわせまして、被害の蔓延防止に取り組んでいく所存でございます。
〇斉藤信委員 ぜひそういう方向でやっていただきたい。実は、被害を食いとめるときには予算がたくさんついたと。しかし、それが乗り越えられるとがくんと松くい虫対策の事業が減ってしまうと言うんですよ。
 だから、被害が大きくなっているときこそ大変なので、そして、こういう事態になっているんですよ。赤沢の道の駅を交差する県道のところなんですけれども、もう真っ赤に枯れちゃって、山の専門家は、台風があったらいつ倒れてもおかしくないという形で、これは県の林業関係と県の土木とNTTなどで協議をしているようですけれども、交通安全にかかわるこういう事態も起きていますので、ぜひこれは早く安全確保対策をとるように求めたいが、いかがですか。
〇赤澤整備課長 紫波町については、国道396号など主要道路のアカマツの枯損が目立っている状況になっております。これを踏まえまして、先ほど委員お話しのとおり、盛岡広域振興局土木部等々の道路管理者等による協議会を立ち上げまして、さまざま協議を開いているところでございます。この協議結果を踏まえまして、9月下旬から盛岡広域振興局の土木部において、国道及び主要地方道の脇にあります枯損木についての伐倒処理は実施したという状況になっております。
 今後とも、道路脇の枯損木については、道路管理者等と連携の上、適時適切に対処していきたいと考えております。
〇岩崎友一副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一副委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。
 農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時39分 散 会

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