平成24年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成24年10月22日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査    村 上   聡
  主査    藤 澤 壮 仁
  主査    藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  教育長    菅 野 洋 樹
  教育次長兼
  教育企画室長   高 橋   信
  教育次長兼
  学校教育室長   多 田 英 史
  参事兼
  教職員課総括課長 佐 藤   新
  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃
  予算財務課長   永 井 榮 一
  学校施設課長   小 倉   茂
  学校企画課長   藤 澤 敦 子
  主任指導主事兼
  特命課長    松 葉   覚
  首席指導主事兼
  義務教育課長   小 菅 正 晴
  特命参事兼
  高校教育課長   高 橋 廣 至
  首席指導主事兼
  特命課長    福 士 猛 夫
  首席指導主事兼
  特別支援教育課長 佐々木 政 義
  首席指導主事兼
  生徒指導課長   田 村   忠
  生涯学習文化課
  総括課長    西 村 文 彦
  特命参事兼
  文化財課長    佐々木 一 成
  首席指導主事兼
  スポーツ健康課
  総括課長    平 藤   淳
  特命参事兼
  小中学校人事課長 漆 原 一 三
  首席経営指導主事
  兼県立学校
  人事課長    土 川   敦

  警察本部長    高 木 紳一郎
  警務部長    高 橋 俊 章
  生活安全部長   小野寺 憲 一
  刑事部長    佐 藤 善 男
  交通部長    佐 藤 哲 夫
  警備部長    工 藤 義 彦
  警務部参事官兼
  首席監察官    吉 田 尚 邦
  警務部参事官兼
  警務課長    西 野   悟
  警務部参事官兼
  会計課長    古 澤 美 幸
  生活安全部
  参事官兼
  生活安全企画課長 青 柳   晃
  刑事部参事官兼
  刑事企画課長   昆   睦 夫
  交通部参事官兼
  交通企画課長   田 鎖 俊 孝
  警備部参事官兼
  公安課長    今 野 秀 人
  総務課長    内 藤 光 樹
  警務課給与調査官 吉 田 伸 広
       
  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    田 村 幸 義

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 門 口 正 雄
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇小野共委員長 これより本日の会議を開きます。
 千葉伝委員から、国民体育大会関係の資料を配付したい旨、あらかじめ申し出があり、当職においてこれを許可の上、お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成23年度岩手県立病院等事業会計決算から、認定第15号平成23年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、並びに議案第56号及び議案第57号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会、警察本部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇菅野教育長 初めに、教育委員会所管の事務事業に係る総括的な評価、成果と、これを踏まえた今後の取り組み方針等について御説明を申し上げます。
 教育委員会におきましては、最優先課題である東日本大震災津波からの学びの場の復興に全力で取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けて、家庭、地域との協働による学校経営の推進、知、徳、体を備え調和のとれた人間形成、生涯を通じた学びの環境づくり、文化芸術の振興及び豊かなスポーツライフの振興の五つを主要な柱として重点的に取り組んできたところでございます。
 まず、家庭、地域との協働による学校経営の推進につきましては、各公立学校において、目標達成型の学校経営が定着してきておりますが、今後は、学校評価結果を学校経営の改善に生かすよう周知徹底するとともに、各学校における取り組み内容の質的な向上と保護者等への周知を一層図ってまいります。
 また、教育振興運動につきましては、家庭教育の充実などに取り組んでいるところでありますが、今後は、震災により生じた新たな地域の教育課題の解決に取り組むほか、放課後の居場所や家庭学習に取り組むことができる場の確保等に努めてまいります。
 さらに、いわての復興教育の推進につきましては、復興教育に係るプログラムの作成、配布を行い、推進校を中心とした実践がおおむね順調に展開されているところであり、今後も先進的な取り組みの拡大や補助教材の活用により事業の充実に取り組んでまいります。
 次に、知、徳、体を備え調和のとれた人間形成についてであります。
 まず、児童生徒の学力向上につきましては、各学校において学習定着度状況調査結果を生かした授業改善や学力向上の取り組みが進んできているところであり、プロジェクトチームによるモデル授業の提示など、現状と課題を客観的に分析、把握し、改善につなげていく取り組みを強化してまいります。
 また、キャリア教育については、震災の影響によりインターンシップや職場体験に支障が生じていることから、岩手労働局やジョブカフェと連携して、受け入れ先事業所の確保に向けた取り組みを強化するとともに、引き続き、いわてキャリア教育指針に基づき、各学校における組織的、系統的なキャリア教育の実践に取り組んでまいります。
 豊かな心を育む教育の推進につきましては、まず、いじめや暴力行為などの問題行動の予防、不登校などの学校不適応の未然防止や早期対応が一層重要になってきていることから、スクールカウンセラーなど専門的な人材の活用、家庭や地域及び関係機関との連携を図ってまいります。
 また、震災により心にダメージを受けた幼児、児童生徒に対する心のサポートが必要であり、臨床心理士等の派遣を継続するとともに、中長期的なサポート体制の充実に取り組んでまいります。
 さらに、児童生徒の学校外における読書時間が学年が進むにつれ減少する傾向が認められることから、教育振興運動における読書活動の推進に係る取り組みを学校教育との連携により進めるとともに、いわての中高生のためのおすすめ図書100選の活用事例を紹介するなど、中高生の読書推進に係る啓発活動に取り組んでまいります。
 健やかな体を育む教育の推進につきましては、震災により全県的に体育施設が破損したほか、被災地の多くの学校の校庭の使用に支障が出ていることによる運動環境の悪化が課題となっております。このため、限られた状況でもできる運動プログラムなどの紹介、仮設運動場整備に対する支援に取り組むとともに、学校と家庭、地域が連携して、運動に親しむ環境づくりや基本的な生活習慣確立の取り組みを継続してまいります。
 特別支援教育の充実につきましては、個別の教育支援計画作成や特別支援学校高等部生徒の就職などが目標どおり進んでいない状況にあります。このため、市町村との連携強化、特別支援学校による地域内の小中学校に対する相談支援、研修の充実、ボランティアの養成、さらに卒業生の一般就労促進のための企業等との連携強化に取り組んでまいります。
 次に、生涯を通じた学びの環境づくりにつきましては、生涯学習リーダー育成の伸び悩みや社会教育施設の被災などの課題があることから、人材育成事業や学習者への啓発、施設復旧支援などに取り組むとともに、学んだ知識、技能を生かし、地域社会に貢献する社会教育施策の拡充を推進してまいります。
 次に、文化芸術の振興につきましては、文化財指定や伝統芸能伝承の取り組みに支障が生じたところであり、文化財指定件数の増加に向けた取り組みや、民俗芸能の公演、観賞機会の提供、後継者育成などの取り組みを進めてまいります。
 また、世界遺産に登録された平泉の文化遺産につきましては、確実な保存管理を行うとともに、柳之御所遺跡など追加登録を目指す資産の調査研究を進めてまいります。世界遺産登録を目指す縄文遺跡群と近代産業遺産群につきましても、早期の登録に向けて取り組んでまいります。
 次に、豊かなスポーツライフの振興につきましては、県民のスポーツ実施状況は向上してきておりますが、総合型地域スポーツクラブの会員数が目標を下回るなど、地域に根差したスポーツ振興の推進状況は十分とは言えないところであり、クラブ未設置市町村の解消、既存クラブの育成などを通じた地域スポーツ環境づくりに引き続き取り組んでまいります。
 また、2巡目岩手国体に向け、選手強化体制の確立を図り、効果的な競技力向上に取り組むとともに、スポーツ医・科学サポート体制の整備を推進してまいります。
 以上、総括的な評価と取り組み方針について申し上げました。
 引き続きまして、決算額等について御説明を申し上げます。
 お手元の平成23年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開きいただきたいと存じます。教育委員会所管に係る一般会計予算現額は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費まで1、451億4、813万円余と、16ページの11款災害復旧費のうち3項教育施設災害復旧費の教育委員会所管分11億6、431万円余を合わせて1、463億1、245万円余で、これに対する支出済額は総額1、438億890万円余、翌年度への繰越額は5億7、175万円余となっており、翌年度繰越額を除いた執行率は98.7%であります。この結果、県の一般会計決算額に占める教育委員会関係の決算額の割合は11.5%となるものであります。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、お手元の平成23年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明を申し上げます。
 恐縮ですが、事項別明細書の330ページをお開き願いたいと存じます。備考欄に記載しております主な事業等について御説明をさせていただきますが、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきたいと存じますので、御了承いただきたいと存じます。
 10款教育費の1項教育総務費でありますが、1目教育委員会費の支出済額1、526万円余は教育委員会の運営に要した経費であります。2目事務局費の支出済額27億5、587万円余の主なものは、事務局職員人件費等の管理運営費のほか、東日本大震災津波により被災した県立学校生徒等に対して、学用品の無償貸与等を行った学校再建関連費、被災した幼児と児童生徒の就園機会や就学機会を確保するため市町村が行う被災幼児就園支援事業及び被災児童生徒就学援助事業に要した経費への補助、親御さんを失った児童生徒等に対する奨学金の給付を行ったいわての学び希望基金奨学金給付事業費、県立学校において放射線量が局所的に高い箇所の調査、除染に要した経費等であります。332ページをお開き願います。3目教職員人事費の支出済額100億6、364万円余の主なものは、教職員健康診断等の人事管理費、子ども手当、退職手当の支給に要した経費であります。4目教育指導費の支出済額9億6、868万円余の主なものは、震災により心にダメージを受けた児童生徒や学校不適応の生徒のためスクールカウンセラーの配置等を行った児童生徒健全育成推進費、県立学校等を結ぶネットワークの運営費と、被災した県立学校のネットワークの復旧を行ったいわて教育情報ネットワーク運営費、特別な支援を必要とする児童生徒のため支援員や看護師の配置等を行った特別支援教育推進事業費、生徒一人一人の進路実現に向けた各学校の取り組みを支援したいわて未来創造人サポート事業費、進学対策講座の開催や各学校の進学指導の取り組みを支援したいわて進学支援ネットワーク事業費、県立学校等における実践的な外国語指導を行った外国語教育推進事業費、335ページに参りまして、新規高卒者の求人開拓や就職支援を行った就職支援相談補助員配置事業費、小中学校の学力向上対策等を行った指導運営費であり、繰越明許費4、248万円余は、いわての復興教育の推進、今後の震災復興の担い手となる高校生等の育成、進学支援、インターネット等を活用した緊急時の学校の情報発信、共有の仕組みの構築に係る経費であります。5目教育センター費の支出済額5億1、897万円余は、総合教育センターの管理運営及び施設設備整備に要した経費であります。6目恩給及び退職年金費の支出済額1億6、732万円余は、恩給及び扶助料等の支給に要した経費であります。
 次に、2項小学校費でありますが、1目教職員費の支出済額486億943万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費、多人数学級等に非常勤講師を配置したすこやかサポート推進事業に要した経費であります。
 次に、336ページをお開き願いたいと存じます。3項中学校費でありますが、1目教職員費の支出済額289億704万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費等であり、2目学校管理費の支出済額852万円余は、一関第一高校附属中学校の管理運営に要した経費であります。
 次に、4項高等学校費でありますが、1目高等学校総務費の支出済額263億983万円余の主なものは、教職員の人件費、旅費等のほか、339ページに参りまして、被災した県立高田高校の仮校舎への通学バスの運行等に要した経費であります。2目全日制高等学校管理費の支出済額15億5、338万円余及び3目定時制高等学校管理費の支出済額8、397万円余は、それぞれ各高等学校の管理運営等に要した経費であります。340ページをお開きいただきたいと存じます。4目教育振興費の支出済額71億3、974万円余の主なものは、高等学校に係る産業教育設備、情報処理教育設備等の設備整備費、農業実習や共同実習船運行のための教育実験実習費、財団法人岩手育英奨学会に対する高校奨学事業費補助、被災した児童生徒等への就学支援、奨学金等の財源として交付された国の臨時特例交付金等の高等学校生徒等修学等支援基金への積み立てであります。5目学校建設費の支出済額12億92万円余の主なものは、盛岡商業高校の耐震改築を行った校舎建設事業費、杜陵高校奥州校ほか1校の体育館建設事業費、水沢高校ほか2校の校舎等の耐震補強などを行った校舎大規模改造事業費であり、繰越明許費2億5、732万円余は、盛岡商業高校耐震改築のうち、産振棟の改築に係る経費であります。342ページをお開き願います。6目通信教育費の支出済額717万円余は、通信教育の管理運営に要した経費であります。
 次に、5項特別支援学校費でありますが、1目特別支援学校費の支出済額106億5、835万円余の主なものは、教職員の人件費を含む管理運営費、一関清明支援学校の整備等を行った施設整備費であります。
 344ページをお開き願います。次に、6項社会教育費でありますが、1目社会教育総務費の支出済額9億3、777万円余の主なものは、放課後子ども教室等を推進した生涯学習推進費、青少年の家の管理運営費、社会教育に係る職員人件費等の指導運営費であります。2目文化財保護費の支出済額3億7、222円余の主なものは、指定文化財の保存、修理に対する補助や、被災した文化財の洗浄、腐敗防止処理等を行った文化財保護推進費、柳之御所遺跡に係る整備調査事業費及び土地公有化事業費、平泉の文化遺産の登録、普及啓発等に要した経費であり、繰越明許費1、901万円余は、柳之御所遺跡土地公有化において家屋移転に不測の日数を要したもの等であります。346ページをお開き願います。3目芸術文化振興費の支出済額2億3、976万円余の主なものは、青少年へのすぐれた芸術鑑賞機会の提供等を行った芸術文化振興事業費、県民会館の管理運営費であります。4目図書館費の支出済額1億8、588万円余は、県立図書館の管理運営に要した経費であり、5目博物館費の支出済額3億181万円余は、県立博物館の管理運営に要した経費であります。348ページをお開き願います。6目美術館費の支出済額3億9、122万円余は、県立美術館の管理運営及び施設整備に要した経費であります。
 次に、7項保健体育費でありますが、1目保健体育総務費の支出済額6億782万円余の主なものは、県立学校児童生徒の健康診断等の保健管理費、学校管理下での災害に係る共済の掛金及び特別弔慰金を含む給付金、学校給食の放射性物質濃度測定機器整備を行った児童生徒放射線対策支援事業費、保健体育及びスポーツ振興に係る職員人件費等の指導運営費であり、繰越明許費1、469万円余は、市町村が行う学校給食放射性物質濃度測定機器整備への補助に係る経費であります。350ページをお開き願います。2目体育振興費の支出済額5億6、127万円余の主なものは、小学校体育指導者の授業力向上や、被災地域の部活動に係る移動バスの借り上げ等を行った児童の体力向上推進事業費、国体等への選手団派遣及び県民体育大会の開催事業費、岩手県体育協会等への選手強化補助及びスーパーキッズの発掘、育成を行った競技力向上対策事業費、第71回国民体育大会に向けた選手強化事業費、本県ほかで開催された平成23年度全国高等学校総合体育大会の運営等に要した経費であります。3目体育施設費の支出済額4億1、094万円余の主なものは、県営体育施設の管理運営及び施設整備に要した経費であり、繰越明許費1、189万円余は、県営野球場の改修に要した経費であります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、362ページをお開きいただきたいと存じます。11款災害復旧費の3項教育施設災害復旧費でありますが、1目学校施設災害復旧費のうち、教育委員会所管分に係る支出済額は7億8、024万円余で、これは、東日本大震災津波により被害があった宮古工業高校等の学校施設の災害復旧等に要した経費であり、繰越明許費2億2、634万円は、同じく被害があった高田高校等の学校施設の災害復旧に係る経費であります。2目社会教育施設災害復旧費の支出済額1、707万円余は、同じく被害があった青少年の家等の社会教育施設の災害復旧に要した経費であります。364ページをお開き願います。3目体育施設災害復旧費の支出済額3、468万円余は、同じく被害があった県営体育館等の体育施設の災害復旧に要した経費であります。
 以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇小野共委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋但馬委員 簡潔に質問させていただきたいと思います。
 被災幼児就園支援事業費補助についてお聞きいたします。事業費補助の内容及びこの事業費補助と幼稚園就園奨励費補助金との関係についてお知らせください。
〇小倉学校施設課長 被災幼児就園支援事業費補助の内容でございますが、東日本大震災津波により、経済的理由から幼稚園への就園が困難となった世帯の幼児の就園機会を確保するために、既存の幼稚園就園奨励事業を実施した市町村に対しまして、新たな負担分を全額国費で支援しようとするものでございます。
 次に、幼稚園就園奨励費補助金との関係でございますけれども、被災幼児就園支援事業費補助につきましては、市町村において行う幼稚園就園奨励事業費が対象となるものでございまして、新たに市町村の就園奨励事業の対象となった場合には、新たに必要となる所要経費の全額を、また、所得階層区分が変更となった世帯の幼児の場合につきましては、被災前と被災後の所得階層区分の補助単価の差額がそれぞれ被災幼児就園支援事業で措置されて、その結果、保護者負担が軽減されるものでございます。
〇高橋但馬委員 それでは、幼稚園の対象となる園児数、そして、この事業を実際に使われた幼児の人数をあわせてお願いいたします。
〇小倉学校施設課長 幼児の対象数でございますが、平成23年度の実績では、県内で17市町村、345名が支給を受けている状況にございます。
〇高橋但馬委員 県内で345名がこの支援事業を受けているということでありますけれども、実際、この事業というのは、平成23年6月から平成26年までの期間の支援事業だと思いますけれども、今後の対象幼児の推移はどのようになるか、県としてどのように把握していますか。
〇小倉学校施設課長 今後の対象幼児の推移ということでございますけれども、市町村のほうから事業計画をとっておりまして、それによりますと、平成24年度は303名、平成25年度は294名、平成26年度は276名と見込まれております。
〇高橋但馬委員 この事業を進めていく中で、この支援を受ける幼児がどんどん減っていくということでいいですよね。
 この事業というのは市町村事業に対する補助事業であると思うんですけれども、実際に市町村に援助することによって、それを支払う保護者の負担が減るということだと思うんです。それで、復興というのは、今、幼稚園に通い出す子供たちの未来をつくることだと思いますし、震災よって、親たちの経済的な理由で、その子供たちが教育を受けられないという状況をやっぱりなくしていかないといけないと思いますので、これからもそういう被災者の子供たちに目を向けた支援事業をしっかりと進めていっていただきたいと思います。以上で終わります。
〇千葉伝委員 私は、スポーツの振興という観点、あるいは国体に向けた競技力向上の取り組みという大きく二つの観点でお聞きしたいと思います。
 事項別明細書では351ページ、先ほど教育長から説明があった体育振興費並びに平成23年度の主要施策の成果に関する説明書の中の122ページ、123ページです。今は主要施策の成果に関する説明書のほうの122ページ、123ページを見ていただきながら質問したいと思います。
 まずは、最初にスポーツの振興あるいは国体に向けた取り組みということで、鋭意、教育委員会の皆さんには、子供から大学あるいは一般まで含めて、岩手のスポーツ振興に取り組んでいただいていると思っております。感謝申し上げるとともに、これからももっともっと頑張っていただきたいという観点であります。
 最初に、122ページにあります豊かなスポーツライフの振興ということの中で、目指す姿指標値があるわけであります。その中で、特に72という項目に国民体育大会天皇杯得点順位があります。平成22年度の現状値が33位、昨年の平成23年の目標も41位という目標を立てて、目標どおり41位になりましたということでAとなっているわけですけれども、下がった成績で云々というのは、私からすればちょっと言いにくいところですけれども、もっと大きな観点で取り組んでいただきたいということで、これの下げた理由、そしてそこの考え方をお聞きしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 平成23年度の目標値を41位と設定した理由についてでございますが、国民体育大会天皇杯得点順位につきましては、第2期アクションプランを作成する時点で、震災の影響により選手強化事業を休止するとともに強化計画の見直しを行っていた時期でございます。このことから、平成23年度の順位は目標値ではなく、実績値を記載させていただいたということでございます。
〇千葉伝委員 いっぱい言いたいことがあるんですが、災害も含めていろいろとあったということで、しからば、ことしの平成24年度の目標値と実績、そして平成28年の、国体の開催予定になっているんですが、そこの目標はどうなっているのでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 平成24年度の目標値と実績についてでございますが、本年度、強化委員会を新たに組織いたしまして、国体天皇杯順位の目標を今年度は30位台、競技獲得点数を815点という目標としてございます。
 実績でございますが、順位は39位ということで目標を達成してございますが、競技獲得点数につきましては790点ということで、目標得点を下回っております。
 平成28年の国体開催時の順位目標でございますが、見直しをかけました強化計画では、震災による影響を踏まえ、天皇杯順位を8位以内と設定してございます。なお、この目標順位につきましては、今後、重点的な強化事業を進めていって、競技力向上の状況を見ながら上方修正を検討していきたいと考えてございます。
〇千葉伝委員 平成28年の国体は8位以内ということであります。あと4年しかないという中でその8位以内を目指すということは、よっぽど頑張らないと難しいことになりかねないと私は思います。したがって、そういった取り組みをこれから頑張っていただきたいということです。
 次の質問に移ります。同じく、中長期的視点に立った選手育成や指導者養成ということが常に求められて、平成28年に向けてますますこれを進めなきゃならないと思っております。
 その中で、ここに国体の天皇杯得点獲得競技数というものがあります。現状の19に対して平成23年度目標が14ということで、ここも低い設定にしたということでありますけれども、その理由と、平成28年の開催時に向けたこの獲得競技数、そこのあたりをお知らせください。
 もう一つ続けて、県内の指導者ということで、もちろんスポーツの選手を育成するには指導者が必要だといった中で、公認資格取得数が平成26年の目標値が2、400人ということで、平成23年でほぼ達成したということであります。いいことだと思いますし、今後、さらにふやす必要があるのではないかと私は思うんですが、そういった計画を平成28年の国体に向けてどう取り組むのでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 平成23年度の天皇杯得点獲得競技数の目標値については、先ほど御説明いたしました目標順位と同様に、計画の見直しなどの観点から、実績値の記載をしたところでございます。
 入賞競技数の平成28年の目標についてでございますが、新しい強化委員会におきましては、入賞数を指標としていないところではございますが、開催年に全競技が入賞し競技得点を獲得するように、天皇杯獲得競技数の目標を40競技とする方向で、現在、検討しているところでございます。
 それから、県内指導者の公認資格取得についてでございますが、公益財団法人日本体育協会の公認スポーツ指導者登録数を指標として計画してございます。増加傾向にあるということでございます。平成28年の国体開催に向けましても、公認資格取得数の目標についてでございますが、強化計画の見直しに伴いまして、資格取得推進のための事業につきましては平成23年度に休止してございまして、国体開催に向けての具体的な目標については、現在設定していないところでございます。
 しかしながら、強化方針の重点でございます一貫指導プログラムを実践するためには、公認資格を持った指導者をふやしていくことが不可欠であると認識してございます。今後、競技団体と連携いたしまして指導者の指導技術を向上させるとともに、効果的な指導体制の確立に重点を置いた事業に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇千葉伝委員 ぜひ、そういった資格のある人をしっかりと確保して取り組んでいただきたいと思うところであります。
 次に、競技力向上の観点で、事業実績でありますが、成果達成度の低いものがここにあるわけであります。中ほどの表の中で、例えば中学生県外チーム交流・選手育成合宿の参加選手数がC、あるいは東北総合体育大会派遣人数がC、体力テスト参加児童数がD、こういった達成度になっているわけですが、その要因と今後の対策で、将来的、4年後の国体はもちろんですけれども、やっぱりずっと継続して競技力向上に取り組むという観点からすれば、以前からスーパーキッズということで取り組んでいただいております。そこの現状と成果あるいは課題というあたりをお聞きしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 推進方策を構成する事業実績における成果指標達成度の低いものということでございますが、達成度がCとなったものは、中学生の県外チーム交流事業実施回数、東北総合体育大会の派遣人数でございます。Dとなったものが、いわてスーパーキッズ発掘・育成事業のチャレンジ2の参加児童ということになってございますが、中学生県外チーム交流事業の実施回数につきましては、東日本大震災津波によります影響で、当初の計画どおり年度末の事業が実施できなかったことが要因でございます。
 今後につきましては、第71回岩手国体に向けました新たな強化計画に基づくジュニア選手強化事業等で中高生の競技力向上を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、東北総合体育大会の派遣人数でございますが、これも東日本大震災津波の影響によりまして、国民体育大会のブロック予選のみが東北総合体育大会で実施されてございます。したがいまして、規模縮小の派遣人数の減ということになってございます。
 スーパーキッズ発掘・育成事業チャレンジ2参加児童数についてでございますが、平成23年度のチャレンジ2につきまして、東日本大震災津波の影響によりまして、体育館の破損あるいは避難場所としての使用などによりまして、沿岸地域による測定会場が十分に確保できなかった状況、また、被災によりまして対象児童の参加が消極的であったことが考えられてございます。
 スーパーキッズ事業の実態でございますが、現在、5期生まで発掘して、育成しておるところでございます。高校1、2年生になる第1期生の中には、全国中学校スキー大会での2冠、あるいは国体では陸上、自転車、スケート競技で入賞を果たすなど、着実に育成事業の成果があらわれてきてございます。今後は、スーパーキッズ修了生の中から、さらに全国上位での活躍、そしてオリンピック等国際大会への出場が実現するよう期待しているところでございます。
 課題といたしましては、県競技団体及び中央競技団体との連携を密にしまして、種目転向を含めた個人に合ったパスウエーのサポートを図っていくような事業の充実を進めてまいりたいと考えてございます。
〇千葉伝委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、スポーツ医・科学サポート体制の関係で、これまで延べ人数の実績が162人、達成度はAとなっておりますけれども、実数はどうなっているのでしょうか。また、目標の452人を達成するには、その実数が何人ぐらい必要となるのでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 スポーツ医・科学体制、派遣トレーナーの実数でございますが、これは、国民体育大会の大会サポートあるいは強化指定校での学校サポートなどに派遣されたトレーナーの延べ人数でございまして、平成23年度実績の162人は、岩手県に在住する5名の日本体育協会公認アスレティックトレーナーによる実績となってございます。
 目標値の452人を達成するためには、単純に計算いたしますと、約3倍の15名のアスレティックトレーナーが必要となります。平成24年度現在で日本体育協会公認のアスレティックトレーナーは1名が新規で認定された状況でございまして、現在、岩手県に6名おります。そして、さらに3名が資格取得のための講習会等を受講中でございます。
 なお、受講資格を得られる人数は、各都道府県に枠がございまして、毎年、2名程度ということでございます。さらに、認定を受けるまでは2年ほど必要でございますので、日本体育協会公認のトレーナーの急増は望めない状況にはございます。しかしながら、県といたしましては、本県独自のアスレティックトレーナー養成事業の修了認定を受けております第1期生40名と、現在、平成25年までの養成を目指して養成しております42名を合わせまして、トータル91名のスタッフで今後の医・科学体制のサポートに当たらせたいと考えているところでございます。
〇千葉伝委員 ぜひ、そういう取り組みをお願いしたいと思います。
 大きな観点で、次に国体の関係についてお伺いしたいと思います。岩手国体に向けての基本的考え方ということで、県のほうでは、団体とかいろんなところにお願いするとか、震災の復興のシンボルということで進めるということの基本的なというか、そこは理解するところでありますけれども、いずれ、今度の平成28年の国体に向けての準備状況とか、そういったことをお聞きしたいところですが、まずは平成23年度、平成24年度─平成24年の国体が終わったばかりですけれども、そこの全般的所感についてと岩手国体に向けての基本的推進、あるいは組織とか人的対応とか課題とか、そういったあたりについて教育長にお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 まず、これまでの国体の状況についてでございますが、先ほど、総括課長から申し上げましたとおり、昨年の山口国体の成績は天皇杯順位が41位と、一昨年の千葉国体を下回るという順位でございました。また、今年度の岐阜国体では天皇杯順位30位台、得点でいきますと815点を目標にしたところでございますが、順位は39位、得点は790点と、目標順位はかろうじて達成いたしましたが、得点は目標に達しないという状況になってございます。
 御存じのとおり、毎年活躍してくれました高校生が今回は成績を落としたということ。ただ、一方で成年種別におきましては、昨年は得点できなかった成年男子のサッカー、ラグビーの活躍が目立つなど、これまで課題となっておりました成年種別の活躍が顕著でございまして、明るい材料も一つ見えてきたのかなと思ってございます。
 平成28年度に開催が内定いたしました岩手国体に向け、今年度から新たな選手強化計画に基づく事業が進められております。各種別において効率的な強化を図り、各競技団体の強化体制を確立いたしまして、競技力の向上に一層努めてまいりたいと考えております。
 それから、岩手国体に向けての準備状況についてでございますが、先ほど委員からお話がございました県民との協働を基本として開催するということで、現在、国体準備委員会組織の中で具体的な対応について種々検討を行っているところでございます。
 やはり課題といたしましては、一方で東日本大震災津波からの復旧、復興を進める中で、国体にどういったリソース、人的なものを含めて、それを投入できるかというものが最大の課題でございます。県の組織の中におきましても、現在所管いたします政策地域部と総務部との間で、将来的な組織はどうあるべきか、どのぐらい人数を投入できるかということを、組織検討の中で、今、一生懸命検討しておるところだと思ってございます。
 いずれにいたしましても、東日本大震災津波の復旧、復興を進めるとともに、国体に向けた準備についても遺漏のなきよう万全を期してまいりたいと思っておりますので、そういった県民との協働を基本ということを趣旨に、いろいろな工夫をしてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 今、教育長の答弁の中で、今後の方針というか、基本的な部分をお伺いしました。いずれ、復興に向けて県から内外に発信するという中でのスポーツの振興、国体ということになると思います。ぜひ、そういったことで頑張っていくためのPRということも重要だと思います。PRの取り組みの分もお聞きしたいと思います。簡単に。
〇菅野教育長 委員御指摘のとおり、やはり国体に向けた盛り上げ、PRということは非常に重要だろうと思ってございます。何回も申し上げて恐縮なんですが、県民との協働という基本的な考え方に基づき、国体機運醸成のための広報活動を充実してまいりたいと考えております。
 具体的には、さきに制定させていただきました大会愛称、スローガン、それから、年内に制定予定の国体マスコットキャラクターを用いたポスター等の作成、さらに来年度に作成を予定しておりますイメージソングの啓発などを民間との協働により展開してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、県民の方々、地域との国体に関する盛り上げを、種々、多様な方策を講じて図っていきたいと思っております。
〇千葉伝委員 きょう、委員長から、私の参考資料の配付の分について御配慮いただいてありがとうございます。それに基づきながら、少し質疑を進めたいと思います。
 私の住む岩手町は、北緯40度の町、北上川源泉の町、ホッケーの町、安全・安心な農畜産物を生産する町でありますが、とりわけホッケー競技は町技と捉えて、小、中、高、家庭婦人、社会人など多くのチームが町内外で活躍し、数多くの優秀な成績を上げております。加えて、地元で生まれ育ったホッケー選手が、4年前の北京オリンピックでは小沢選手が、また、ことしのロンドンオリンピックには田中選手が、岩手、日本を代表して活躍したところであります。
 ここで、配付してあります参考資料をごらんいただきたいと思います。
〔参照〕 配布資料(PDF形式)
 全部を説明するわけにはまいりません。左、中、右ということで、右上の表をごらんいただいて、国民体育大会成績の推移ということで、平成元年から平成24年まで、岩手県総合得点、その総合得点のうちホッケー競技の占める得点、そして天皇杯順位、皇后杯順位とあります。
 それぞれ全部は説明しません。この中で、ホッケーが、例えば平成13年には112.5点、平成15年には148点、平成18年110点と、総合得点に占める割合という分でかなり貢献していると私は思うんですが、例えば天皇杯に占める割合で一番多いのは、平成15年は148点と、半分近くがホッケーの得点と見れると思います。押しなべてそういうことの成績であります。
 それから、右の中ほど、過去10年間競技別総得点。平成15年から平成24年までのこの10年間で、競技別では1位にホッケーが844点、2位のスキーの354点。2.何倍でしょうか、2.5倍ぐらいになるのでしょうか。以下、それぞれの競技で活躍しているわけでありますけれども、得点を稼いでいるということの分からすれば、ホッケーは断トツではないかと思うところであります。
 それから、右の下の表であります。過去8年間の国体の成績で、仮にホッケーがゼロというときには天皇杯の順位がどうなるかと、これが右の表であります。押しなべてことしは少し活躍できなかったんですが、特に平成22年の千葉国体では、33位の天皇杯がホッケーの得点がなければ44位になるということで、11位ぐらいがこれで変わるという内容であります。
 そういう状況でありますが、この表の私の説明を聞いて、教育長の御所見をお伺いします。
〇菅野教育長 ただいま委員から御紹介のありましたとおり、国民体育大会での本県のホッケー競技は、成年男女、少年男女の4種別において継続的に上位に入賞する成績をおさめておりまして、過去の競技種別得点を見ましても、本県の天皇杯順位に大きく貢献している競技と高く評価をさせていただいております。
 これも、岩手国体を契機としてホッケーの町として地域に根差した強化が行われていることが大きいものだろうと思ってございまして、平成28年の岩手国体に向けまして、これまでの実績に基づいて重点競技に指定し、強化を図っておりまして、今後も本県スポーツ界をリードする競技であるよう重点的な強化を進めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 ありがたい評価をいただきました。
 そこで、ちょっとホッケーの関係で問題があるわけであります。
 一つは施設の関係です。ホッケー会場として国体施設基準では人工芝グラウンド2面が必要ということで、今、1面しかないということからすれば、国体の開催が危ぶまれる。会場指定はいいんですが、人工芝のグラウンドの整備がもう1面必要だということであります。
 もう一つは、町内には、先ほど言った小、中、高から社会人まで数多くのチームがある。そうしますと、今、ナイター設備がありません。朝から日が沈むまで練習するわけにはいかない。それぞれの限られた時間で練習したり、あるいは試合をしたりということになりますと、さらに今の成績を維持する、あるいは向上に向けて頑張るということからすれば、何としても─今は1面しかない。平成24年まで4年しかない。もう1面をつくっていただく。そして国体に向けての選手強化を図っていくにはナイター施設もぜひ必要だということで、いろいろとお願いしているところでありますけれども、何とかそこの分をお願いできればと思うんですが、教育長の御所見をお伺いします。
〇菅野教育長 ただいま施設の関係についてお話をいただきました。確かに、国体開催基準上、国体の競技施設についてはいわゆる中央競技団体から原則2面が欲しいというお話は当然そのとおりなんですが、ただ、一方で極力既存の施設を活用することとされてございまして、そういった点で、今、所管部において中央競技団体と鋭意調整を進めさせていただいているわけですが、最悪1面は天然芝でもやむを得ない旨の回答をいただいているとは伺っておりますし、また、夜間照明施設についても、必要がある場合については仮設のナイター照明で対応することも可能ではないかということを担当部局のほうではいろいろ検討を進めているところでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、国体施設としてどういう施設が必要か。これは国体開催基準、中央競技団体の意向、県で定めております国体開催要綱等に基づいて個別に具体的な検討が行われることとされてございますので、こういった中でホッケー競技の会場がどうあるべきかについても、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
〇千葉伝委員 教育のほうはスポーツの振興という立場、施設整備は他部というか、政策地域部ということの振り分けをしているのはわかるんですが─わかるんですがというか、私は、それはちょっとおかしいんじゃないかと思います。スポーツの振興を図っていく、そのためにはしっかりとした施設が必要だ、そして選手強化を図るという流れで、一体的な進め方をすべきだと思うところであります。したがって、先ほどの例えばホッケーの施設が、今は天然芝もありますけれども、じゃ、ほかの県はどうなっているか。県営なり、高校にも人工芝をつくってやっている、そういうところがどんどん国体の成績あるいはインターハイで活躍している状況です。岩手県の岩手町のホッケーは今を維持するだけで大変です。逆に言えば、下がっていく傾向にあります。したがって、先ほどの、こういう別なところがあるからいいんじゃないかという話じゃなくて、ぜひ、もう一つの人工芝をつくって国体に向けてということで、先ほどの得点をさらにふやすようなやり方をしてもらいたい。これはホッケーだけじゃなくて、ほかの競技だって同じだと私は思います。
 言いたいのは、復興に向けてやるよと。そっちにお金がかかるから、スポーツの施設にはお金をかけれません。それでただただ頑張れ、頑張れと。ここの部分は私は一緒じゃないかと。復興を図るシンボルとしてやる。そうであれば、スポーツの振興をしっかりと頑張るよ。そして施設の整備も、やっぱりそのときだけじゃなくて、私はこれはずっと継続していく中身になるだろうと。こういうことでホッケーだけやれという話はしているつもりはありません。ぜひ、そこは政策地域部と一体的な取り組みの中で進めていただきたい。
 それは、さっき言ったナイターの施設だって、そのとおりです。仮設でやると。お聞きしたらば、開催のときだけ電気をつけると。それじゃ、選手の強化にならないわけであります。仮設をやるのであれば、今から仮設をやって、ずうっと国体まで置いていただきたいと思うところであります。少し語気が強くなりましたけれども、国体に向けて頑張っていただきたいという思いからの発言でありますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。最後に教育長の所見をお伺いします。
〇菅野教育長 委員から大変励ましの言葉をいただいたと考えております。委員御存じのとおり、岩手県の体育施設は、昭和45年国体で整備いたしました後、必ずしもその後の整備が進んでおりませんで、非常に脆弱な環境にあるということはおっしゃるとおりでございます。そういった中で、岩手の選手諸君が、指導者を初め懸命の努力をしていただいているということも、また事実でございます。
 国体に向けての選手強化を所管する教育委員会といたしまして、短期間でそれなりの目標を上げなければならないことから、いろんな意味でソフトを中心とした施策として事業を組まざるを得ないという面はございますが、政策地域部ともよく相談をさせていただいて、今後の本県のスポーツ環境がどうあるべきかという観点、国体後も踏まえて、私どもとして検討を進めてまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 私からは4点質問させていただきます。
 まず第1点は、平成23年度の高卒者の就職状況はどうだったのか。特に震災後の沿岸部の状況はどうだったのか、まずお伺いいたします。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 平成23年度高卒者の就職状況でございますけれども、岩手労働局調べによりますと、平成24年6月末現在の就職内定率は全体で99.8%と、前年同月に比べ0.5ポイント上回っております。うち県内就職希望者の内定率は99.6%と、前年同月に比べ0.4ポイント上回っております。
 それから、沿岸地区の就職状況でございますけれども、釜石、宮古、大船渡管内の就職内定率は100%でございます。久慈地区の就職内定率は99.6%、うち県内就職希望者の内定率は99%と、前年同月に比べ0.2ポイント上回っております。
〇及川幸子委員 昨年度は随分よかった気がしますけれども、今年度にかかって大変な状況かと思います。就職がないということで、今から、高校生の親御さんたちから就職先がないということを随分聞くんですが、でも、昨年の結果がこのようなんですけれども、昨年を踏まえて、今年度の予想はそれほど落ち込みがあるのか。そしてまた、この就職に関しては100%でなければならないと思うんですが、商工労働観光部との連携はどうだったのか、働く場所の受け入れ企業の部分はどうだったのかお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 平成24年度の8月の求人倍率ですけれども、1.03倍ということで、昨年の0.65倍をかなり上回っていると思っております。
 続きまして、商工労働観光部との連携についてでございますけれども、各振興局に計38名配置されております就業支援員が、各学校の教員や県内28校に配置している就職支援相談補助員並びにハローワークの高卒就職ジョブサポーターなどと連携し、積極的な求人開拓など、早い時期から県内企業に対する働きかけを行っております。
 こうした働きかけに応じて県内企業が前向きに求人を検討していただいたことにより昨年は1倍を超え、過去10年で最も高い内定率となっております。今年度も同じようにきめ細かい連携をとりながら指導して、昨年度を上回るような実績を残したいと考えております。
〇及川幸子委員 就職相談員ですけれども、各学校に配置されている方々が28校ですか、ここ数年と比べて減っていることはないですよね。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 多少でございますけれども、1名、2名とふえている状況にございます。
〇及川幸子委員 これは国の指導かと思うんですが、絶対この部分については減らさないようにして、商工労働観光部などともぎっちり連携をとりながら、今後においても進めていただきたいと思います。
 2番目です。先ほど来からあったんですが、体育の関係ですが、中学校、高校の部活動の取り組みをお伺いしたいと思いますが、指導者の育成はどうされているのか。この指導者の育成というのは大変だと思いますが、部活動に指導者が、きちんとした人がいるかいないかが、やっぱり選手の育成というものに大きくかかわると思います。そのことからお伺いするんですが、中学校、高校においての体育部の指導者はどうなっているのかお伺いします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 中学校及び高等学校の運動部活動の取り組み、指導者の件でございますが、本県の多くの中学生、高校生は、運動部活動に積極的に取り組んでおりまして、各学校におきまして、生徒の健全育成、技能の向上に向けて、校内の関係職員が中心となって指導しているというような状況でございます。
〇及川幸子委員 実は、市内ですけれども、うちの孫も二つの部活に入っておりますが、5時から7時ごろまで2時間、多いときでは3時間ですか、親が必ずその部活動に行って、練習風景をずっとずっと観察することになっております。何か事故が起きては大変だということでだと思うんですが、両親が大変なときには、私も5時から7時ごろまで行ってその部活を見ているんですが、実はもう2回参加していますけれども、指導者が全然いないんですよ。生徒同士でやっている状況の中で、あれではちょっとうまくならないのではないかなと気の毒に思ったことから、指導者育成は大変だと思いますが、指導者がいない部活もあるのではないですか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 専門的な知識あるいは技能を持たない運動部顧問というものは確かに存在しているとは認識してございます。そういう教員につきまして、経験が浅かったり、専門的な知識を持っていない指導者に対しては、県といたしまして、運動部活動の研修を実施しているところではございます。
〇及川幸子委員 大変取り組んでいただいているのはわかるんですけれども、2時間も見た中で指導者がいないというのは確認しておりますが、そういうふうに専門的知識がなくても─先生は大変忙しいと思います。ですから、やっぱり市内にそういう指導者がいるかどうか、仕事を持っているので大変だと思うんですが、ああいう状況下ではなかなか上達しないのではないかと思って危惧しているわけですが、指導者が実際いない部活もあるでしょう。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員御指摘のとおり、専門的な指導者がいない運動部活動もございます。そういう学校に対しましては、地域に住んでおられますスポーツ指導者を運動部活動の指導者として委嘱いたしまして、指導に当たっていただいている状況もございます。
 今年度も、学校からの希望に応じて、地域のスポーツ指導者を派遣している状況でございます。地域の競技団体との連携が必要と認識してございますので、その連携を図りながら、各学校の運動部活動の支援に努めてまいる考えでございます。
〇及川幸子委員 子供がそういうふうに一生懸命やるのに親がいろいろ努力して参加しなければならないのはわかるんですが、やっぱり地域のスポーツ指導者ということをおっしゃったので、ぜひ県内の学校をちょっと洗ってみてください。絶対誰も指導者がいなくてやっている部活がいっぱいあります。指導者がいて、大変積極的に指導している部活もありますけれども、そういうところがありますので、どうぞ一度、お忙しいでしょうけれども、確認をしていただきたいと思います。
 3点目です。一般質問でも取り上げましたけれども、全国で7万5、000件、岩手は昨年の6倍という大変大きな問題だと思っておりますいじめの実態が、いろいろ取り沙汰されております。大変とうとい命、そして、本当に将来のある子供たちが命を失っていくということ、これは何とかしなければならないと思うんですが、一体平成23年度の岩手県の状況はどうだったのか、6倍というんですが、それに対してどういう対応をしてきたのかお伺いしたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のいじめの状況についてでございます。
 7万5、000件という当該調査につきましては、8月に全国的に実施したものでございまして、本県において2、004件、昨年度1年間の認知件数が331件ということでございましたので、約6倍強の数値となったところでございます。
 これまでの取り組みにおきましては、各学校におきまして、いじめをやはり認知するという観点から、アンケート調査の実施、また、それにかかわる面談等を積極的に実施していただいているところでございますし、日常的に全ての教育活動、例えば道徳教育とか、当然部活動、特別活動、行事等も通しながら、人とのかかわりとかという観点での指導をこれまでも実施してきているところでございます。
〇及川幸子委員 いろいろ取り組みされているようですが、やっぱり小学校の低学年のうちに、命の大切さというか、いじめがどういうふうに悪いものかということを徹底して教えなければならないんですが、これは、アンケートも実際見せていただいて、記入しているのを見ましたけれども、児童生徒が、何でこういうアンケートが来るのかなと親と一緒に余り話し合うこともなく、アンケートにさらさら書いて学校に提出する。何か余りそれの成果は上がっていないのじゃないかと思うんですが。だって、6倍に数がふえているんでしょう、その要因は何だと思いますか。こういうアンケート調査は前からやっていたと思うんですが、その要因。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 今般の調査のこの数がふえた背景と考えていることにつきましては、いじめの問題が、やはり社会問題化していることから、児童生徒はもとより、教職員が、いじめの問題についてより切実に受けとめたことなどにより認知が進んだものと考えておりますし、また、年度途中の調査でございましたので、年間を通した集計結果とは異なりまして、最終的にいじめに類しないと判断されるトラブルとか、子供の間の気持ちの行き違いなどについても余さず学校ですくい上げた結果と捉えてございます。
〇及川幸子委員 やっぱりせっかくやっているアンケート調査、結果がこのようにならないように、子供の間の心の変動をどうぞどうぞつかんでいただいて積極的に取り組んでいただきたい。もちろん家庭との連携というのは大事なので、その辺の連携もとりながら今後進めていただきたいと思います。
 最後になります。豊かな心を育む教育について、その取り組みと今後への課題をお伺いしたいと思います。
 いろいろ取り組んでいただいていることには敬意を表しますが、私の住む奥州市内で、中学校ですが、大変残念なことに、中学生の両親と妹に対して殺傷事件が起きて、大変悲しいことだなと思っております。
 これについて、いろいろ指導はされたようでございますが、その前の取り組み、心を育む教育について、特にも教育長にお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 心を育む教育でございますが、平成23年度におきましては、道徳教育ハンドブックなど道徳副読本、啓発資料の作成、配布を通じまして、心の教育の普及啓発に取り組んでまいりました。
 これをどう成果を評価するかというのは非常に難しい、特に、心の問題として、いわゆる知、徳、体の徳の部分なわけですが、これをどのように評価すべきかというのは非常に難しくて、私どもも悩んでいるところでございます。ただ、一方で、今回の大震災津波で岩手の子供たちが示してくれた行動を見ますと、やはり、それは大きく評価されるべきものなのかなと思ってございます。
 ただ、一方で、今、委員から御指摘のありました事案、またいじめの問題等、やはりこれからもこの問題については、特に重点的に取り組んでいかなければならない課題だろうと思ってございます。
 お話のありました奥州市の事案につきましては、当該校において、市教育委員会と連携しながら、児童生徒の心の安定を図るための緊急スクールカウンセラーの派遣、もしくは外部講師─これは精神科医の先生でございますが─をお招きしての心と命の出前授業を実施するなど、子供たちに寄り添った取り組みを進めてございます。
 県の教育委員会といたしましても、緊急にスクールカウンセラーの派遣等を行ったところでございますが、今後とも、当該学校の実情、要望に応じまして支援に努めてまいりたいと思っております。
〇及川幸子委員 ありがとうございます。教育長、実は、この道徳教育というのも、教科書だけじゃなくて、やっぱり自然の中に触れ合いながら、いろいろ友達関係でやっていくということ、それも大切だと思うんです。動物に接したりですね。しかし、今はなかなかそういう時間がないのではないかと。学校で校外学習は実際されているようですが、形にならないで、やったというだけじゃなくて、その中からどういうものを生み出して、子供がどういうものを感じて帰ってきたのか、大変だと思いますが、その道徳教育についてのお考えを最後にお尋ねして、終わりたいと思います。
〇菅野教育長 実は、私も小学生の孫がおりますので、たまに校外学習から戻ってきて感想文などを書いているのを見たりするんですが、やはり子供たちの反応を見ますと、いろいろな体験を通じて、いろいろなことを考えているということを改めて思ってございます。
 現在、大震災津波からのいわゆる復興教育というものを全県挙げて進めているところでございますが、そこでの一つの大きなテーマもやっぱり心の教育でございますので、そういったいろいろな被災地とのつながり、もしくは、そういったいろいろな実体験を通じながら、本県の子供たちの健やかな心の育成に取り組んでまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 大きく3点についてお伺いします。順番を変えて、最初に、柳之御所遺跡整備調査事業、柳之御所遺跡土地公有化事業、世界遺産登録推進事業についてお伺いします。
 平泉文化遺産の拡張登録を目指していた5資産が、国内の世界遺産暫定リストに9月25日、正式に記載されることが決定いたしました。
 質問の第1は、今後、イコモスの現地調査、勧告を経る、これまで行ってきたと同様の手順を経る必要がありますが、浄土世界ということを中心に現在の世界遺産登録がなされましたが、その関連性が薄いとの指摘を受けたこの5資産、これは除外を余儀なくされた資産であることから、登録に向けた作業はかなり困難が予想されます。今後どのような戦略を持って推進するか伺います。
 まとめて聞きます。
 柳之御所遺跡の調査の進捗状況と、それから来年度予算の見込みについてもお伺いします。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 拡張登録のためには、これまでも有識者から、さらなる調査研究の必要性が指摘されているものでございます。
 そこで、国内の有識者から広く意見を聞きながら、現段階における研究課題を整理するため、10月20日、先週の土曜日に、平泉の文化遺産の世界遺産追加登録に係る国内専門家会議を開催したところであります。
 この会議で指摘された内容、例えば平泉の浄土世界がどのような内容、要素によって構成されるかなどについて、平泉の文化遺産世界遺産拡張登録検討委員会の指導、助言を得ながら、今後の研究の進め方について具体的に検討することとしております。
 なお、拡張登録の価値証明を推進するために必要とされております平泉の基礎的研究につきましては、当面、学術的な研究集会を継続して開催しながら平泉文化についての内容を深め、世界遺産拡張登録への道筋を形づくっていく必要があり、また、個別資産につきましては、県が直接調査、整備の対象としている柳之御所遺跡を初めとして、それぞれ適切に発掘調査等を進めながら、世界遺産としての価値をさらに明らかにしていく必要があると考えております。
 次に、柳之御所遺跡の調査の進捗状況と来年度予算の見込みについてでございますが、柳之御所遺跡では、大規模な堀で囲まれた遺跡の中心部を史跡公園として公開しているところでございます。
 これまで、遺跡の内容解明と今後の整備に向けた資料の蓄積を図るため、堀内部地区の発掘調査を実施してきたところでございますが、平成26年度に堀内部地区の総括報告書を刊行する予定としております。
 また、今後は、遺跡北側の堀外部地区の発掘調査を実施する予定としております。
 今後も、国の補助を得まして、必要な予算を確保しながら発掘調査を継続してまいりたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 一昨日のこの専門家会議ですけれども、ここの中で、やはり基礎研究が必要だと、その不足についても指摘をされたと報道されております。これから、やはり一旦は外したものをさらに追加登録するということについては、さまざまな論理武装、まさに平泉を一つの文化圏、また都市として評価できるかどうかということの作業は、この基礎研究とともに地道な発掘作業が非常に大事かと思いますけれども、その取り組みの方針についてどのような考え方で進もうとするのか、これは教育長にお伺いします。
〇菅野教育長 今、委員御指摘のありました今後追加登録を目指す資産につきましては、改めて平泉の持っている価値というものを世界に示していく、単なる浄土思想の観念だけでなく、それから、先ほどございました都市としての平泉の価値、特に、類似する例えば奈良、京都とも違った具体的な価値があるのだということをこれから世界に向けて立証していかなければならないという問題がございます。
 したがいまして、御指摘のとおり、これから地道な基礎研究とともに、まずは発掘調査を一生懸命やっていかなければならない、それは私ども県、それから該当します一関市、平泉町、奥州市、各市町とも同じような思いで取り組んでいかなければならないと思ってございますので、いずれ関係市町ともよく整合性を図りながら、県としても全力を挙げてそういう基礎研究、発掘に取り組んでまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 次の質問に移ります。まだ平泉関係ですけれども、世界遺産に登録された部分についても、しっかりとした管理戦略を立てる受容力調査というものが必要と、現在も進めていることと思いますが、その調査の状況と、それから課題を示していただきたいと思います。
 平泉町は、来年度の予算要望のときに、県に対しても財政支援を申し入れておりますが、その要望への対応はどのようになされるのかお伺いします。
 そして、これから追加資産の登録には、先ほど教育長の答弁にもありましたように地道な作業が必要ですが、その登録時期のターゲットをどの辺に置いて工程を立てるのか、その点についても、現在考えていることがありましたらお知らせ願いたいと思います。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 まず、平泉の文化遺産の受容力調査の状況と課題についてでございますが、現在の状況でございますけれども、来訪者の管理戦略につきましては、登録の際に世界遺産委員会から勧告された事項でございます。
 管理戦略の策定に当たりましては、詳細な受容力調査に基づくこととされておりますことから、現在、世界遺産登録直後の時期を中心に来訪者数に関する資料整理を進めているところでありまして、今後、整理された来訪者データを分析し、管理戦略を策定していく予定としております。
 現段階の課題でございますけれども、来訪者数の分析に当たりましては、資産の性質に応じました受容力があることを考慮して行う必要があること、また、観自在王院跡や無量光院跡など、具体的な来訪者数の把握が困難な資産につきまして、今後、より詳細なデータを把握する方法を検討する必要があること、さらには、個別の資産単位だけではなく、ある一定範囲内、例えば平泉中心部などにおける来訪者の動態を把握する方法を検討する必要があることなどが挙げられるところでございますけれども、いずれ、イコモス、世界遺産委員会が勧告いたしました内容に適切に対応して、平泉の文化遺産の保存管理を万全にしていきたいと考えてございます。
 続きまして、平泉町への財政支援要望への対応についてでございますけれども、平泉町に対しましては、世界遺産関連の文化財でございますことから、これまで、それらの修復、整備、調査に対しまして、国庫補助事業に対するかさ上げ補助を行ってきたところでございます。
 今後も、資産の適切な保存管理が図られるよう、補助を継続していきたいと考えてございます。
 また、最後に、追加登録の時期についての御質問でございますけれども、今まで申し上げてきたように、各資産につきまして、発掘調査あるいは関連した資産等の調査ですとか、さまざまな詳細な調査が必要とされておりますので、そういった調査研究成果がある程度見えてきた段階で、判断する時期が来るのではないかと考えてございます。
〇飯澤匡委員 それでは、財政支援のほうもよろしくお願いします。
 それでは次に、大きな2番目ですが、英語の学力向上についてお伺いします。これは何度も質問しているんですが、その都度どのような学力向上が図られたのかという点を確認したいと思います。
 一つは、その推進方策を構成する事業に対する実績、外国語教育推進事業、中高連携英語力向上推進事業、いずれも達成度はAとなっておりますが、これは、物理的な数字、参加人員だけが達成されたということでありましたので、実際の成果はどうなっているのでしょうか。客観的に学力は向上しているのかどうなのか示していただきたいと思います。
 それから、2番目、学力向上チームによる個別学校訪問指導、これは力を入れて行うとの過去の答弁がありました。その成果と検証、課題を示していただきたいと思います。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 高校と義務教育、別々にお答えさせていただきます。
 まず、義務教育部分について説明をさせていただきますと、成果指標として、英語検定3級レベルを身につけている中学生の割合を30%という目標にしたところ、平成23年度に本事業において実施した客観的なテスト、これは英語能力判定テストでございますが、これにおいては31%という結果でありまして、達成度がAとなったところであります。この平成23年度の目標は、前年度の実績が25%程度であったことから設定したものであります。
 客観的な学力についてでございますが、平成21年度からの英語能力判定テストの結果の推移を申し上げますと、英語検定3級レベルを身につけている中学生の割合は、平成21年度23%、平成22年度25.6%、平成23年度31.5%、そして平成24年度、今年度は、速報値でございますが35.9%となっておりまして、英語力は、徐々にではありますが、着実に伸びてきているものと認識しております。
 それから、学力向上チームの個別学校訪問についてでございますが、その成果と検証、課題についてでありますが、義務の部分では、成果を検証いたしますと、次の二つと捉えております。
 一つは、この訪問指導等をきっかけに、英語担当教員が授業改善について積極的に取り組み、その結果として、学力の定着が図られてきて、英語検定3級レベルを身につけている中学生の割合が徐々に伸びてきていることが挙げられます。
 二つ目は、訪問指導等をきっかけに、校内研修の活発化が図られるばかりではなくて、地域の英語担当教員同士が、自主的な勉強会を立ち上げて、その中で授業改善の方策を協議し、活発に取り組む事例が出てきたことであります。
 課題といたしましては、成果は徐々に出てきてはいるものの、生徒の英語力について、思考力、判断力、表現力を含めて、さらに向上させることが必要と考えております。そのために、学校訪問指導を丁寧に継続しながら、英語担当教員の指導の悩みをきめ細かく把握して、よりニーズに応じた訪問指導を展開すること、また、各教育事務所の担当指導主事と一緒に訪問指導するなどにより、教師の指導力向上を図り、一層生徒の英語力の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 高校のことについてお答えいたします。
 外国語教育推進事業についてでございますが、成果指標としてNSの県立学校への派遣校数を67校、及びNSが週1回以上授業した県立学校の割合を81%としたところ、希望する全ての県立学校に配置し、週1回以上の授業を実施することができております。
 客観的な学力についてでございますが、基礎力確認調査や英語チャレンジテストの結果から、聞く力の育成に寄与しているものと認識しております。平成24年度高校2年基礎力確認調査63.2%、英語チャレンジテスト48.2%で、4技能のうち平均正答率が一番高いというような結果がございます。
 また、中学校における学習定着度調査等の聞く分野につきましても得点率が高いという結果が出ております。このことから、NSの配置によって英語力、特に聞く力は、徐々にでありますけれども、伸びていると認識しております。
 次に、中高連携英語力向上推進事業についてでございますが、高校教育部分について説明させていただきますと、客観的な学力についてでございますが、平成20年度から、英語検定準2級及び2級レベルを身につけている高校3年生の割合は、平成20年度28.0%、21年度31.0%、22年度34.2%、平成23年度は31.2%でございました。平成23年度には全国平均を上回っており、英語力は徐々に伸びてきていると認識しております。
 それから、学力向上チームによる個別学校訪問指導についてでございますけれども、成果を検証いたしますと、次の二つと捉えております。
 一つは、この訪問指導等をきっかけに多くの英語担当教員が、平成25年4月から実施される学習指導要領に沿った授業について積極的に改善に取り組んでいることが挙げられます。具体的には、学習指導要領にある英語の授業は英語で行うことを基本とするという内容に対して、平成23年度訪問チームが授業を参観した高校英語担当教員93名のうち、ほぼ英語で授業をしていた教員が56名、半分くらい英語で授業していた教員が13名おり、約74%の教員が、新しい学習指導要領に沿った授業を実践しております。
 二つ目は、訪問指導等をきっかけに、高校においても音読テスト等の実技テストを導入するなど、これまでの筆記テスト中心から、より実践的なコミュニケーション能力を育成するテストへ移行している学校がふえてきたことが挙げられます。
 課題といたしましては、生徒のコミュニケーション能力向上に向けた英語教育の改革にまだ十分に対応できていない点があることでございます。そのため、今後とも訪問指導を継続しながら、英語担当教員の指導上の悩みをきめ細かく分析し、各校のニーズに応じた訪問指導を展開すること、また、生徒の英語力を伸ばしている教員の授業を県内に広めること等により、英語担当教員の授業力向上を図り、より一層の英語力向上に努めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 いつになく詳しい答弁ありがとうございます。しっかり課題を踏まえて実践していただきたい。きょうはこれぐらいにして、来年またやります。
 最後の質問、公益財団法人岩手県学校給食会についてちょっとお伺いします。まとめて聞きますので、よろしくお願いします。
 この学校給食会は、財団法人から公益財団法人に今年度から移行しました。移行後の法人の事業が変更された点がありましたら示していただきたい。
 県内の学校及び学校給食センターへの調達率、学校数を分母にした場合、いかほどでありますか、お知らせください。
 それから、地元調達率を重量ベース、金額ベースで過去4年の推移を示していただきたい。
 まず、この三つ。
〇石川教育企画室企画課長 公益財団法人岩手県学校給食会の事業についてでございますけれども、この法人は、移行前の財団法人として行っておりました事業を引き続き実施しておりまして、移行前後の変更はございません。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 学校数を分母にした場合の調達率でございますが、単独調理場を持つ学校59校、学校給食センターとして共同調理を行っているのが65施設ございまして、合わせて124のうち、何らかの給食食材を学校給食会から調達しているということでございますので、100%でございます。
 それから、地元調達率、重量ベースでございますが、平成20年度は41.4%、21年度38.8%、22年度42.2%、23年度は43.0%。金額ベースでございますが、平成20年度は23.9%、21年度26.8%、22年度27.4%、23年度27.5%でございます。
〇飯澤匡委員 調査課に調べていただいて、平成23年度ですか、これはずっと同じ推移であるんですが、野菜、畜産、そして水産物、この調達率が低いわけです。その要因は何か示していただきたい。
 それから、本県と他県、これは全国的に同じような学校給食会というものが設立されていまして、東北で結構でございますので、恐らく全国組織の中であると思うんですが、その調達元はどのようになっておりますでしょうか。同じ業者ではないかどうか、それもあわせて示していただきたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 野菜、畜産、水産物の調達率が低いことでございますが、野菜等につきましては、現在、給食会が扱っておりますのは根菜類を中心に取り扱っておりまして、これは年間を通して需要があるものでございます。しかし、夏季など本県の栽培期間及び供給量が限られる葉物等につきましては、量が限られるなどの理由によって調達率が低くなってございます。
 なお、野菜等については、各調理施設において、地元業者などからの購入が多いとも聞いてございます。
 畜水産物ですが、生ものの水産物等につきましては、県漁業協同組合連合会を通じて供給してございますが、供給する量、種類そのものが限られておりまして、他県産のものが高くなっている状況にあるということでございます。
 それから、調達元でございますが、東北他県の各県の状況に応じまして、食材ごとにそれぞれ業者を選考、選定している状況であるということでございまして、例えば岩手県の学校給食会であれば、県内46、県外56という112社との取引がございまして、一つの取引業者から各県が同時に購入しているような状況はないということでございます。
〇飯澤匡委員 その質問を聞いた上で、今度は地産地消と学校給食についてお伺いします。
 地産地消について、学校給食会に対して、県教委はどのような指導、どのようなかかわり方をしているのか示していただきたい。
 それから、地産地消を自治体によっては随分盛んに行っていて、独自で行っている自治体もございます。このような自治体をどのように評価するのか、お知らせをいただきたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 地産地消と学校給食会の関係でございますが、学校給食会では、本県で生産されました農林水産物及びこれらの農林水産物を主原料として加工された食品の県内の学校給食での活用促進を図るための事業を、文部科学省の委託を受けて実施しているところでございます。このような取り組みを通じて、積極的に地産地消の推進を図っていくという立場を支援しているということでございます。
 それから、自治体独自で調達している食材に関係する評価ですけれども、学校給食の実施者でございます各市町村が、安心・安全を最優先として、栄養バランスのとれた豊かな食事となるよう工夫しながら提供している状況でございまして、これにつきましては、それぞれの地域の実情等に合わせて、調達先を適宜確保していただいているものと認識してございます。
〇飯澤匡委員 さて、じゃ、そこから聞きますが、その学校給食会の存在は、戦後、子供たちが栄養を確保するために、児童または青少年の健全な育成を目的とする事業というように定められたことがありまして、その根拠に基づいてやっているわけですが、どうも最近、各地で進めている地産地消と目的を一にしていないのではないかと思うわけです。
 調達率についてもお伺いしましたが、調達する時期や需要と供給の部分でいろいろ問題はあろうかと思うわけですが、金額ベースでもやはり4分の1強ですね。これは、そうすると、4分の3以上は他県の業者の懐から調達しているということになりますと、これは、4分の1という数字は余り歓迎すべき数字ではないのではないかと。
 学校給食会の設置の経緯、ただいま公益財団法人となりましたけれども、どうもこれについては、今までどおりそのままで、現状のままでいいのかどうか。これは本県だけでなく、他県もそうでしょうけれども、やはり地産地消政策といいますか地産地消を推進する意味で、少しブレーキがかかっている部分はないかと懸念するわけですが、その点についてどのような御認識がございますか、教育長にお伺いします。
〇菅野教育長 学校給食会につきましては、ただいま委員からお話のありました経緯に基づいてそれぞれ設置されているところでございまして、本県におきましても、それぞれの給食を実施している市町村において、学校給食会を特に優先してそういうものの調達を行っているということではないと承知してございます。
 ただ、一方で、そういった小規模な学校、それぞれの地域において、なかなか調達が困難な時期においては、実際においては、こういった存在に一つのメリットがあるとも伺ってございます。
 ただ、いずれにいたしましても、やはりそれぞれの地域において、学校給食を行うに当たって、どのような食材を提供し、どのような立場で行うかというのは、それぞれ市町村教育委員会、実施者において御判断いただいていると思っております。学校給食会においても、地域の実情に応じてそういう提供体制がとれる、もしくはとるように、これはみずから企業努力を行うべきだろうと思ってございまして、そういった点においては、それぞれの市町村の要望に応じて、これからいろいろな事業改善、それから取り組みを行うべきであろうと思ってございますし、私どもも、公益法人としての指導監督機関でございますので、最終的にはそういった視点で指導してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 矢巾町が2008年度ですか、地産地消優良活動表彰ということで、これは町産の供給率が非常に高いということで、矢巾町が表彰されたわけじゃないんですが、その供給元が表彰されたと。それは、学校の栄養士、農家、直売所などとの連携を密にして、作物別の作付スケジュールや情報を共有しているということが高く評価されたとしております。
 また、学校給食の規格から外れた農産物の供給先ですけれども、地元の食材加工協同組合と連携するというようなことで、この食材を学校給食センターに供給しているというような先進的な取り組みもなさっていると。
 やはり既存の供給先があるために、その先進的な取り組みをなさろうとしているところはどんどん進めておるのですが、岩手県が推進している地産地消について、学校現場からもっともっと進んでもいいのではないかという点について、どうも既存のものがあるためにというような印象が拭えないわけですね。今回初めて取り上げさせていただきましたので、今後、私も注視をしてまいりたいと思います。
 今後の地産地消推進や施策展開について、教育委員会として先ほど答弁がありましたけれども、それは、どうも私は表面的な部分の答弁で、そこでおさまっているのではないかという印象があるわけです。農林水産部との連携ももっともっと進める努力をすべき点があろうかと思いますが、施策展開とあわせて、教育長、前向きなお考えを述べていただきたいと思うんですが、御所感があればよろしくお願いします。
〇菅野教育長 やはり岩手の子供たちに岩手の地でとれた安全・安心な食材を使った給食を食べていただくというのは、非常に重要でございます。そういった観点から放射線対策も行っているわけでございますし、今後とも、より一層、農林水産部との連携を密にいたしまして、そういった県内食材の利用促進に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 時間がありませんので簡単に質問させていただきますが、大きく二つ質問を用意してきましたが、二つとも重なりましたので、その中でダブらないところについてだけ質問させていただきます。
 まず初めに、いじめ対策についてお伺いします。
 大津市の中学2年生がいじめによって自殺をした、そのことで、いじめというものが全国的に大きな問題に発展いたしました。他県で起きたこととはいえ、この岩手でも起きないということは断言できないと私は思いますので、これから、教育委員会として、同じような事件事故が起きないように、積極的にこのいじめ対策に取り組んでいかなければならないと思っております。
 そのことも踏まえて、先般、県が行ったいじめ緊急調査、これで件数が2、004件ということでありましたが、県はこの2、004件という数字をどのように捉えているか、そして、このうち人体が脅かされる、またはいじめによって不登校になったというようなものがあれば、その中身と数字的なものを最初にお伺いしたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘の先般の緊急調査についてでございますけれども、2、004件の捉えということでございますが、やはりいじめの問題がこれほど社会問題化してきている状況にございまして、児童生徒はもちろんでございますし、教職員も、まずその問題を切実に感じているということが1点でございます。
 また、やはり年度途中の調査でございますので、最終的にいじめに類しないというトラブル、また、子供たちの間のさまざまな言葉の行き違い等につきましても、余さずすくい上げた結果だろうと捉えてございます。
 2点目の、今般の緊急調査におきまして報告のあったいじめの態様といたしましては、冷やかしやからかいなど心理的な苦痛を訴えるものが非常に多く報告されてございますが、委員御指摘のように、いじめが高じて暴力行為に至った重大な事案等につきましては、数件の報告がなされてございます。
 また、今回の緊急調査の項目にはございませんでしたが、昨年度実施してございます。例年実施しております問題行動等調査の平成23年度集計におきましては、不登校のきっかけとしていじめが挙げられたもの、これは複数回答、他のものも一緒に回答しているものもございますけれども、小・中・高生1、311人の不登校児童生徒のうちの41人が、そのいじめがきっかけということの回答をいただいております。
〇佐々木努委員 ありがとうございます。いじめはそういう不登校にもかなり影響を及ぼすということでありますから、やはりその辺のところの解消に向けても取り組んでいただきたいんですが、先日の熊谷泉議員の一般質問の際に、教育委員長が、学校、地域、家庭が連携して、これからいじめ対策に取り組んでいきたいという御答弁をされましたが、具体的にはどういう形での取り組みをされていくのでしょうか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のように、いじめの問題につきましては、やはり学校、教育委員会と家庭、地域が連携して情報を共有する中で、全力を挙げて解決すべきものだと認識してございます。
 学校が、いじめの問題やその指導方針などを家庭や地域に発信することが重要だと認識してございますし、その機会としての保護者会とか地域懇談会などにおいて、やはり意見を聴取することが非常に重要だろうと認識してございます。そのような観点から、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを進めていくための体制づくりを、今後とも支援してまいりたいと考えてございます。
〇佐々木努委員 ありがとうございます。そのように連携を強めながらお願いしたいと思うんですが、私は、基本的にいじめはなくならないと思っています。これは、人間社会なので仕方がないと思います。そういうことで、教育委員長はいじめを撲滅したいということでお話をされましたが、私は、せめて子供を自殺に追い込むような、そういう悪質ないじめ、あるいは不登校に追い込むようないじめだけは、最低限防いでもらいたいと思っております。
 そのためには、やはり先ほどおっしゃいましたが、学校と家庭と地域、この連携はもちろん大事なんですが、私は今、地域とか家庭の教育力が非常に落ちていると思います。そういう意味からは、このいじめ対策の先頭に立つのは、やっぱり教育委員会、学校であると思います。学校が私は最後のとりでではないかと思いますから、ぜひ教職員の資質の向上も含めたいじめ対策に積極的に今後取り組んでいただきたいと思います。
 2点目は、スポーツ振興です。これもさっき千葉伝委員からお話があったので大分かぶる部分があるのですけれども、先ごろ、ぎふ清流国体が行われまして、岩手県は第39位という成績でありました。聞くところによりますと、知事は激励会で選手の皆さんに30位台を目指せと非常に前向きな激励をされたということで、そのとおり30位台にはなったわけですが、私はもう少し、本当に選手が奮い立つような激励の仕方をしていただきたかったなと少し残念に思っています。
 そういう意味で、来る第71回の2巡目岩手国体に向けて、これからもっともっと順位を上げて、成績を上げて、県民の皆さんに元気を与えてほしいと思うわけですが、先ほど千葉伝委員から、どのような取り組みをしていくかということは話があったので、国体の部はこの辺までにしておきますが、それに関連して、いわてスーパーキッズ発掘育成事業について少し詳しくお伺いしたいと思います。
 先ほど課長から、6年目に入って、今、高校1年生になった子供たちが、徐々にいい成績を上げ始めているという大変明るいお話をいただきました。
 一方で、平成19年に始まったこの事業のチャレンジ2の応募者数、平成19年は1、114名がチャレンジ2に応募しましたが、20年には721人、21年は467人、22年度は488人、昨年は、震災もあって332人と激減いたしました。
 平成24年の募集はたしか10月12日までだったと思いますが、24年はどういう状況になっていますでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 申しわけございません、今年度の途中集計を持ち合わせてございません。
〇佐々木努委員 このように年々応募人数が減少しているわけです。この理由を県ではどのように捉えておりますでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 チャレンジ2と申しますと、学校で行います体力テストの結果に基づいて応募してくるものございまして、県下各地の子供たちを対象にやっているものでございますが、現在、委員御指摘のとおり、減少傾向にあることは事実でございます。
 当初、どういうものかということで大きな期待を持って参加なさった方もおるわけですけれども、どうしてもこのレベルで、こういう種目で、こういう点数、タイムをとらなければならないというような実態が明らかになってまいりまして、ちょっと受けてもどうかなというような考えを持つお子さんも出てきたということでございます。私どもといたしましては、世界に挑戦する意欲を持って選考会に参加する子供たちが少なくなったと捉えてございますので、その意欲を高めることをやっていかなければならないだろうと考えてございます。
〇佐々木努委員 これは、私は一つの理由には、親の経済的な、あるいは時間的なものもあるのではないかと思います。このスーパーキッズ育成事業には、県から平成23年度は1、280万円の予算が支出されていますが、これはあくまで県の予算であって、個々の親が負担する、例えば会場までの送迎する交通費、あるいはユニホーム代、合宿の費用等々、聞くところによりますとかなり費用がかかって、経済的に余裕がない家庭だと、応募しても、なかなかその先に進めないという状況があるとも聞いています。
 そういうことで、私は、経済的に余裕がない家庭の子供でも、オリンピックを目指せるような素質を持った子供はたくさんいらっしゃると思うんですね。経済的に余裕のある方だけが、このスーパーキッズに応募して、そしてその方を支援するという、それで果たしてオリンピック選手を誕生させることができるのかというのは、非常に疑問に思っています。その辺の経済的な負担を減らす方策、そのようなことは検討されていないのでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 トレーニングを月3回ほど、盛岡市を中心に、あるいは県下各地で行ってございますし、委員おっしゃられましたとおり、合宿も夏、冬ということで実施はしてございます。それに係る移動の経費等については、全部親の負担ということも事実でございます。
 県といたしましては、この事業につきましては、最初からそういう形での応募ということではありましたが、負担はそれなりにあるということで、民間から、例えば医師会あるいは薬剤師会等からの御支援もいただきながら、若干の物的な支援はしているつもりでございます。
 今後とも、そういう民間団体等の支援をいただきながら進めていきたいとは考えてございます。
〇佐々木努委員 私は、この事業は非常にいい事業だと思うんです。この間、ロンドンオリンピックが終わりましたが、岩手からも、なでしこジャパンの岩清水選手が活躍して銀メダルを取った、これは、被災した岩手にすごく元気を与えることだったと思います。
 そういう意味から、ぜひこの岩手からたくさんのオリンピック選手を出して、そして、スポーツの力でこの地域を元気にしてもらいたいということで、さらなるこの事業への取り組みを強化していただきたいと思います。
 最後に、じゃ、教育長に所感を伺って、私の質問を終わります。
〇菅野教育長 スーパーキッズの最初、それから最後に私も出させていただいて、それぞれ子供たちとお話をさせていただく機会がございます。それぞれ自分たちの希望を語ってくれますし、修了した子供たちは、そういう経験に基づいて将来の夢を語ってくれます。
 やはり岩手の子供として、いろいろな経験を積んで将来に向かって羽ばたいていただける機会を持ってもらっているんだなということで、改めてこの事業の重要性を感じてございますし、ただいま委員からお話のございましたそういった経済的な問題も含めて、いろいろ民間等との御相談もしながら、こういった事業の充実に努めてまいりたいと思っております。
〇小野共委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時59分 休 憩
午後1時2分 再開
〇岩崎友一副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 執行部から発言を求められておりますので、発言を許します。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 佐々木努委員の御質問にございました、今年度のいわてスーパーキッズチャレンジ2への応募状況でございますが、10月12日金曜日に申し込みを締め切ってございまして、ちょうど300人という数でございます。昨年よりさらに下がっているという状況でございます。
〇岩崎友一副委員長 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ20人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇工藤勝子委員 児童生徒の学力向上についてお尋ねいたします。
 私としては、子供というものは、学力もさることながら、元気で、明るくて、心豊かで、そしていじめもなく伸び伸びと育ってほしいと思っています。だけれども、基礎学力というものはしっかり身につけさせて、そして社会に送り出していかなければならないと思っております。
 そういう中において、学習定着度状況調査並びに基礎力確認調査というものがございまして、授業の内容がわかると答えた児童生徒は、平成23年度目標値64%に対して実績値68%、達成度はAとなりました。
 そこで、私は、逆に考えてみたら、では、残りの32%はわからなくていいのかということなんです。これでいいのかなと私は思ったんです。そして、平成26年度の目標は今年度よりも低い67%なわけです。
 ところが、いろんなところを見ていると、各学校で、わかりやすい授業で児童生徒一人一人に基礎基本が定着するということを目標に掲げているわけです。ですから、かけ離れている。私たちに示す学習定着度状況調査も、例えば小学校だったら80%か90%、中学校に行けば難しくなりますので、どうしてもついていけないかな、わからない授業もあるのかなという思いでの調査、そういうきめ細やかな調査も必要ではないかと思うんですけれども、この調査の実態についてお尋ねいたします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 学力の学習定着度状況調査の関連で、授業がわかると答えた生徒、逆に授業がわからないと答えた数の質問でございましたが、授業がわかると答えた児童生徒の68%については、小、中、高それぞれの合算した平均値でございまして、小学校は、委員御指摘のように非常に高い数値となっております。内容的にやはり難しくなる中学校、高校となりますと、若干低下する傾向にはあると捉えております。
〇工藤勝子委員 ですから、私たちがこういう調査表を見て疑問に思うようではなくてしっかりと、例えば小学校だったらどのぐらい、中学校だったらどのぐらい、高校だったらどのぐらいと。合算してこういう数字というのは余りにもひどいんじゃないかと私は思いました。この点について、来年度はどういたしますか。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 目指す指標としてのあらわし方は全部トータルとした形であらわしておりますが、個別の部分につきましてもぜひ情報を提供してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひそのようにしていただきたいと思っております。そうすれば、やはり小学校というのは一番の基礎でありますので、ここの部分で、例えば32%が授業がわからないということであるなら、これは大変な問題だと思っております。私は、小学校の先生の教育というのは一番重要なところじゃないかと思っているんです。そういう意味で聞きました。
 そこで、私は、秋田県並みとは申しませんけれども、この取り組みに対してもう少し学力を向上させるための取り組みはどうしたらいいのかなと。それで、この調査の中に、宿題を計画的に出している割合というものもございました。そうすると、小学校が82校、中学校46校、高校はありませんでしたけれども、大体この調査も何かいい加減じゃないかと思うんです。こんなものですか、本当に。孫を見ていて、クラブ活動に行って、夜遅く9時、10時に帰ってきて、そしてまた11時ごろまで机に向かっているのを見て、私はやめろと言うんです。こんな夜中まで子供は勉強することないから、いいから、早く寝ろと。体をつくらなきゃだめなんだと、そういう話をしているんですけれども、ばあちゃんは無責任だと言われるんです。宿題を出されていて、やらないでと言われて。ですから、こういう調査の実態も私は非常に疑問を持っているところでありますので、どういう調査をされているのか。また、小学校で、ついていけない、授業がわからないという子供に対して、中学校もそうですけれども、受験がありますので、放課後の授業をしている学校はどのぐらいあるか調査していますか。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 放課後に子供たちを補習している割合については手元にデータがございません。
 それから、どういう調査であったかということでありますが、これは、家庭学習を計画的にという意味は、その日、授業であった内容について、それが定着できるように各教科で調整し合って、小学校であれば1人の担任になるわけですが、より定着を図れるような無理のない宿題を出している割合ということでこちらでは捉えております。
〇工藤勝子委員 よくわからないんですけれども、わかりやすい授業に取り組んでいる学校の割合を平成26年度までに90%から95%に上げると指標に出ているわけです。わかりやすい授業ということですので、工夫するとされているわけです。県内においても、内陸と言ったらいいのか、遠野市なんかは特に学力が低いですので、私も声高らかに言えないんですけれども、そういう中において、やはり県内においても差があるんだろうと思っております。そうすると、岩手県の平均値、学力を上げるには、低い市町村のデータというのは教育委員会がみんな持っているわけです。そういう中において、その低いところの学力の向上は、それぞれ市町村があるわけですので、そこをどう底上げしていくかというところをやっていかないと、岩手県全体の学力というのは伸びてこない、私はそう思っております。そういう面において、県内にも差があるのではないかと思っております。ぜひ、このついていけない子供たちに対して、しっかりついていけるように、今後どのように─私は特に小学校、中学校で力をつけさせてほしいと思っているんですけれども、その考えについて教育長からお伺いいたします。
〇菅野教育長 委員が最初にお話しになりましたとおり、私どもとしては、知・徳・体がバランスよく伸びていけるように子供たちを育てていきたいと思っています。
 ただ、一方で学力も非常に大事でございます。現在取り組んでおりますのは、先ほど御指摘がありましたとおり、やはり学校の中できっちり子供たちが授業がわかるという割合をふやしていくというのが最も基本であろうと。子供たちのうちから授業に出てわからないということであれば、その時間は一体どういうことなんだろうと。だから、一人一人に着目して、わかりやすい授業をやっていこうと、それをまず非常に大事にしていきたいと思っています。
 ただ、あわせて、中学校、高等学校に入ると、やはり学齢が上がるに従って、授業だけで定着を図るというのはなかなか難しい年代も出てきます。そこは、家庭学習と一緒になって取り組まなければならない。ただ、家庭学習の中にも、ただ時間をやればいいということではなくて、毎日毎日やった授業をどう定着させるか、もしくは予習をどうするかということを、授業と体系づけた課題の出し方という取り組みを学校みずからもやっていかなければならない、そういった目標を掲げて、今、それぞれ取り組んでいるところでございます。
 それぞれの地域の問題についてもお話がございましたが、学習定着度状況調査によりましても、やっているのは、単に事業を出すことが目的でやっているわけではございませんで、それぞれの学校、それぞれの地域で課題が何かということを、それぞれ個別の課題を把握して、それをそれぞれ改善に取り組んでいくということが大事だろうと思ってございますので、市町村教育委員会、学校ともども、それぞれの地域、学校ごとの課題に的確に対応できるように、私どもとしても取り組んでまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 田舎ですので、うちの子供たちは塾に行くわけでもありませんし、そういうわけで、学校での勉強が第一になってくるわけですので、ぜひわかりやすい授業に取り組んでほしいですし、小学校の教員の充実というのでしょうか、先生方の教える能力と申しましょうか、そういうものに私は期待したいと思っておりますし、小学校で、どうしても覚え切れない子供たちには、塾にも行かないわけですので、放課後の1時間でも教える体制を何とかとっていただけないでしょうかということでございます。
 次に、教育相談機能の充実についてお尋ねいたします。
 学校不適応、不登校といいますけれども、行けない状況のお話も先ほどございました。平成22年度、小学校で130人、中学校840人、高校880人、合計で1、850人。先ほどの報告で、平成23年度でしょうか、1、311人と私は聞いたんですけれども、その中で41人がいじめで学校に行けない。じゃ、あとの1、270人は何で学校に行けないと捉えていらっしゃるのでしょうか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のように、昨年度の学校不適応、不登校の児童生徒数は公立学校において1、311人でございます。内訳は、小学校が133人、中学校が734人、高校が444人という状況になってございます。
 その原因でございますが、先ほど、いじめ─これも複合的といいますか、複数回答になってございますので、各学年といいますか、校種において非常に顕著に見られるのが情緒的な不安定という点、また、親子関係、家庭での問題等が比率とすれば高いような状況になってございます。
〇工藤勝子委員 平成22年度より減少していますので、その取り組みの成果がちゃんとあらわれてきているんだなと私は捉えたいと思っております。
 だけれども、前に戻りますけれども、授業がわからないと、何のために自分は学校に来ているかわからない。学校が楽しくない、スポーツも不得意だ、そうなってくると学校に行きたくないということもあるでしょうし、家庭の問題だけにこれを押しつけてほしくないという思いもあります。
 じゃ、その生徒に対して、例えばスクールカウンセラーとかソーシャルワーカーとかを配置しているのでしょうけれども、この人たちは子供に対してどのように当たっているのかお聞きいたします。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 現在、スクールカウンセラーにつきましては、県内全ての小、中、高等学校で活用できるような体制は整えてございます。ただ、全ての学校に常時スクールカウンセラーを配置しているという状況にはございませんで、週1回行く学校、年間に6回行く学校、また、緊急といいますか、要請に応じていく学校等、学校の要請に沿ってそのような配置をさせていただいているところでございます。
 スクールカウンセラーにおいては、単独でということよりも、担任の先生または学校の教育相談体制の中で、ぜひやはり不登校児童生徒にカウンセリングをしていただきたい、またはその保護者がぜひ対応していただきたいというときには、タイムリーに対応できるようにカウンセラーの先生方にもお願いしてございますし、まさに学校体制として教育相談に当たっていただきたいということを管理職の先生方にもお願いをしているところでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、現在、例えば週1回とか年に6回しか行かないというようなことでありますけれども、どのぐらいの人数を配置と言ったらいいんでしょうか、スクールカウンセラーの人数がいらっしゃるんですか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 現在、スクールカウンセラーの配置人数につきましては、全体で73名のカウンセラーにお願いしてございます。そのうち、小中学校の配置につきましては有資格者─臨床心理士等の方々ですけれども30名、残りの33名の方は教員OB等の準ずるカウンセラーとしてお願いしてございます。また、高等学校にあっては、小中学校とかぶっている方々もおいでになりますので、高等学校だけの臨床心理士の方は2名お願いしてございます。
 あわせて、今般の東日本大震災津波の関係で沿岸部の子供たちは非常に厳しい状況にあるということから、県外から臨床心理士の方々を現在8名お願いしてございまして、全体で73名のカウンセラーの方々にお願いをしております。
〇工藤勝子委員 全体で73名ということで、県としては、この73名で今のところ間に合うと考えているのか、増員しなければならないと思っているのか。私は、今後、もう少しふやして、ほとんど、ゼロまではいかないでしょうけれども、現在の学校に行けない児童への対応というものに対して当たっていく必要があるんじゃないかと。これからの人生を決める子供たちが、家庭に閉じこもって、学校に、集団生活に行けないということは、私は不幸なことだと思っているんです。そういう意味も含めて、ぜひスクールカウンセラーの今後の増員見通しについてもお尋ねしたいと思っております。
 あわせて、被災市町村の学校における、両親を亡くしたり、片親を亡くしたり、兄弟を亡くしたり、おじいちゃん、おばあちゃんを亡くしたり、元気そうに見えても心に深い傷を負っている子供たちが多いと思っているんです。せめて、沿岸地域にはもう少しスクールカウンセラーを配置するべきではないかと思っているんです。心の、何というんですか、元気そうに見えている中にも、何か非常に寂しい部分とか、相談したい部分とか、いろいろあるんじゃないかと思うんです。そういう部分で、今のところ、沿岸地域のほうで学校に行けないで引きこもっているというような子供もいらっしゃるのかもあわせてお聞きいたします。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のように、カウンセラーの増員につきましては、ぜひともやはりふやしてまいりたいと考えてございます。しかしながら、現在そのような臨床心理士等の資格を持たれている方というのが、本県の場合は、県の臨床心理士会に加盟している方で百三十数名と伺ってございます。そのうち、30名の方々には御協力いただいてございますが、他の方につきましては、やはり病院、大学等の勤務等もおありになって、なかなか難しいという状況がございますし、カウンセラー、臨床心理士の資格を取るということもやはり非常にハードルが高いと伺ってございます。よって、急激に有資格者の人がふえていくという状況には今現在ないという状況であります。
 委員御指摘のように、まさに沿岸部の子供たちへの対応というのは喫緊の課題だと認識してございますし、何とか、そういう形で資格を持たれた方々をぜひ沿岸部等にも配置したいということで、現在は県の臨床心理士会はもちろんでございますが、文部科学省にもお願いし、また、全国の日本臨床心理士会等にもお願いして、現在、先ほど申し上げました8名の方々はおいでになっている状況です。ただ、やはりそこのところも、これからまた何十人という形の増員というのは、全国に募集をかけても非常に厳しい状況にありますが、今後も続けて支援要請をしてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 これで最後にいたします。
 臨床心理士の先生方が非常に少ないということもあるのだろうと思っております。何とか、こういう資格を岩手大学なりそういうところで取れるというんですか、学科みたいなものをぜひつくる必要もあるんじゃないかと思っております。
 そうであるならば、例えば小学校なり中学校を退職された校長先生でも教頭先生でも先生でもいいんですけれども、県内にたくさんいらっしゃると思うんです。元気でいらっしゃる。ゲートボールだとかグランドゴルフなんかやらせていないで、何とかもう少しそういう人たちの人材を活用することを考えてほしいと思うんですけれども、最後に教育長の考えを伺って、終わりたいと思います。
〇菅野教育長 やっぱり子供たちの教育相談機能というのは本当に充実させていかなければならないと思っております。
 先ほど生徒指導課長から御答弁申し上げたとおり、やはり臨床心理士のバードルが非常に高いという問題がございます。ただ、学校自体は臨床心理士だけに頼って教育相談するわけではない。やっぱり子供たちに向き合っているのは先生方ですので、先生方の対応能力を上げていかなければならないと思っています。
 現在、教育センターにおきまして、1年間、毎年10名前後の教員をそういう専門研修を行っています。できれば、そこを修了した後については、資格上、臨床心理士の資格は無理なんですが、それに近い学校心理士の資格を目指している教員もいます。特に、将来的に沿岸部に配置することを前提として募集をかけまして、今、教育センターで研修を積んでもらっていますので、そういう外部の人材を活用するのとあわせて、教員みずからの教育相談機能といいますか、子供たちへの対応能力を上げていく、そういう両面で私どもとしては取り組んでまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 1問だけ、関連してお聞きしたいと思います。田村生徒指導課長と教育長に伺いたいと思います。
 今、カウンセラーの話とかいじめの話が出てまいりましたけれども、ちょっと忘れていただきたくない視点が一つあるので、あえてお話しさせていただきますが、今定例会はずっといじめの問題を話されていますけれども、いわゆるはんつけにするとか、無視するとか、子供が子供を殴るとか、こういう話は伝統的ないじめみたいな感じで、徐々に明らかになってきていると思うんですけれども、やっぱり子供たちがどんどん巧妙になってきていて、学校裏サイトを通じてのいじめというものが物すごくふえてきているし、それを通じて問題が起きると、学校の先生も、当面はそのサイトについてウオッチする。警察もいろいろサイバー犯罪の関係で連携はとっていると思うんですけれども、まだチェックが甘いと思うんです。
 そこでお伺いしたいのは、今、警察と教育委員会でどういう体制になって、そういう子供たちが潜ってやっているいじめの兆候をきちっと把握しているかどうかという問題と、あとは、カウンセラーにしても、いいと思うんですけれども、今の子供の動きについていっていない部分があるんです。なので、カウンセラーの皆さんにも、今の子供の動きをきちっと伝えてもらいたいということ。
 あと、教育長に見解を伺いたいのは、学校の現場でもチェックしていると思います。警察もやっていると思うんですけれども、やっぱり教育委員会とか教育事務所においてもだれか専門にきちっと常時見張っていないと、警察のチェックにひっかからない際どいものがいっぱいあるんです。私が認知していたいろいろな問題も、ああ、こういうネットの言動が最終的に暴行とかいじめにつながっているんだなというグレーゾーンがいっぱいあるので、そこについてはもうちょっと専門的に、犯罪じゃないけれども危ないなと思う兆候を教育委員会としてもつかんでもらいたいんですけれども、どうでしょうか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘の情報端末といいますか、コンピューター等を活用というか、使ってのいじめ等につきましても、いじめの状況把握の中では数パーセントではございますが、実際、そのように回答いただいております。まさに情報に関しての問題というのは、匿名性だとか非公開性の問題などもあり、その状況把握というのは非常に厳しいというか、難しいことは事実でございます。委員御指摘のように、先ほどお話のあったように、現在も本担当のところでは、常時ではございませんけれども、裏サイト等も含めて、監視といいますか、点検をしている状況にございますが、なかなか追いつかない状況もございます。また、県警本部のサイバーのほうとも連携をしながら、何か事案が起きたときの、結局は後追いという形になるのかもしれませんけれども、対応をさせていただいているところでございます。情報共有を今後も図っていきたいと思っております。
 あわせて、やはり子供たちへの情報モラル教育を徹底していかなければならないという観点から、各学校におきましても情報モラルに関してのさまざまな指導をしていただいているところでありますし、これまで、県といたしましても、5分間指導リーフレット的な、若干の時間を使って指導できるような内容の資料を提供させていただいているところでございます。まさに、学校教職員ばかりではなくて、学校にかかわるカウンセラーにもそういう状況はきちっとお伝えしながら、今後も、周知また指導に努めてまいりたいと考えてございます。
〇菅野教育長 いわゆるこういう情報化社会の中で、インターネットもしくは携帯電話を使った対応というのは非常に大事だろうと思ってございます。
 先ほど生徒指導課長が申し上げましたとおり、本庁でもそういった点は、常時とはいきませんが、監視を行っているところでございますが、こういった取り組みを行うとともに、また、もう一つ、今、力を入れておりますのは子供たちに対する情報モラル教育、特に、安易に書き込むということは実は匿名性はないんだと。周りから全部見られているんだよということを、教育センターでシステムをつくっていますので、そういったことを子供たちに見せて、誰にも知られないつもりで書いていることが、実はそれがもう第三者に筒抜けになっているんだという特性も含めて、とにかくそういう情報化社会の陰の部分といいますか、そういったものを子供たちにも常に認識してもらえるような取り組みもまた一方で強めていきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 それでは、数点質問させていただきたいと思います。
 午前中の千葉伝委員の質問の中でかなり重複している分野がありましたので、ちょっとそこは避けながら質問させていただきます。
 国体の結果と選手強化策についてお伺いしたいと思いますが、まず、今回、開催県であった岐阜県の天皇杯の優勝はどのような要因があったか、また、出場種目数など、開催県としてメリットが国体ではあったのかどうか、まず最初にお伺いします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 岐阜国体開催県でありました岐阜県の天皇杯優勝の要因についてでございますが、岐阜県は過去10年ぐらいの成績から見ますと、天皇杯順位20位前後を推移している県でございまして、成年種別を中心として高い競技力を持っている県でございました。したがいまして、点数が安定しておりまして、国体に向けたさらなる強化の成果が2年前ほどから顕著にあらわれて、総合成績を大きく向上させてございます。
 開催県としてのメリットでございますが、開催県はブロック予選を経ないで本大会に全競技、全種別参加できることが挙げられます。出場チームが16以下の団体競技に出場した場合には、1勝すればベスト8、そして競技得点が得られるケースがございますし、初めからベスト8に入ってしまっているような競技、種別に出場するケースなどがあります。
〇工藤大輔委員 そういった中、本県で国体を開催される年度までの準備に当たって、さまざま取り組まなければならないという課題は多くあります。ちなみに、今、フルエントリーした際のメリットの点をおっしゃっていただきましたけれども、そのメリットが生かされた場合、例えばことしのぎふ清流国体で競技得点を獲得しなかった競技、種目のうち、今言ったメリットの、予選なしで出場できて、例えば1勝以内でベスト8に入ったというようなことを想定した場合、今回の成績に当てはめてみると、実際にどのぐらいになるのか、岩手県で開催されたときのメリットを生かした際には実際どうなるのか、想定するポイント等についてお答えください。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 ことしの岐阜国体で本県が全競技、種別に出場して1勝程度勝ったということを仮定して計算してみますと300点程度の得点アップが見込まれまして、トータルで1085.5点程度が見込まれます。ことしの天皇杯順位に当てはめると15位程度の順位になろうかと考えてございます。
 ただ、この試算には個人競技の頑張って点数を伸ばす分が入っておりませんので、岩手国体で目標とする8位は、これからの選手強化によって十分達成可能であると考えてございます。
〇工藤大輔委員 十分達成可能という力強い答弁をいただきました。ただ、近年、国体の成績を見れば40位前後でずっと来ているのが実態なんです。ですので、さらに一つ一つそのポイントが稼げるだろうというところの種目については、特にも限られた選手強化費を充当していきながら、より効果的な対策をとっていただきたいと思うわけです。
 その中で、冬季のスポーツもポイントに加味されるわけですが、岩手とすれば、やはり冬季スポーツをかなり強化していくべきだと思いますが、近年、点数的に十分な結果等も反映されてないのが実態だと思います。今後の強化に対する基本的な考え、そしてまた県北では青少年の家の施設が氷上のスポーツの拠点として位置づけられると思いますが、今、そのところで取り組まれている各種スポーツの状況、そして今後の期待についてお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 冬季競技、冬季スポーツの強化についてでございますが、平成28年の岩手国体の際には、その年に行われる冬季競技の得点ももちろん総合得点として加算されます。また、岩手の地理的な状況を勘案した際に、冬季競技を強化していくということは必要なことであると認識してございます。
 県北青少年の家のスケートリンクについてでございますが、現在、カーリングを中心に活用されてございまして、スケートリンクとして県北地区の中心となって頑張っていただいていると認識してございます。
〇工藤大輔委員 カーリングを中心にという答弁もいただきましたが、アイスホッケーも相当力を入れて、そしてまた、近年、各種大会において成績がどんどん伸びていっているというような状況にあります。国体の中にはアイスホッケーという競技もやはり入っており、ことしの分でいくと、少年男子は3点を獲得しているというような実態であります。今後さらに強化すべき点だと思いますし、成年男子は零点ということで、ここも将来に向けて反映される強化かなと思うわけですが、何よりも、ここの施設整備も必要ではないかと私は思うんです。今、県の御理解をいただきながら、曜日とか時間をかなり拡充して使えるようになっております。これが、結局、選手強化に向けて各種大会の成績に反映されているというのが実態です。それ以前はそうでもなかったんですけれども、県北青少年の家のスポーツ施設を使えるようになってから、さらに成績が伸びているということが実態ですので、できれば施設整備等も含めて、今後、強力に支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 ただいま委員から、県北青少年の家のスケート場の施設整備についての指摘がございました。県北青少年の家につきましては、先ほどから御案内のとおり、カーリング、アイスホッケーといったような競技団体を中心に多く活用していただいておるところでございます。あわせまして、その施設の老朽化といったことも指摘されているところでございます。
 県内には、県北青少年の家のほか陸中海岸青少年の家、県南青少年の家と三つの青少年の家がございます。いずれも老朽化が指摘されているところでございますので、そういったものの全体を含めまして、今後の施設整備計画を検討していきたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 具体的に何か検討スケジュール等はありますか。
〇西村生涯学習文化課総括課長 現在のところ、具体的なスケジュールがあるわけではございませんけれども、私ども教育委員会としても老朽化は認識してございますので、今後検討していきたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 地域でのスポーツ振興の熱も高まっていますし、今は自治体の支援も、サポート体制もできています。また、民間の取り組みも強い状況ですので、そういった意味でスケジュール、計画等も早急にまた検討していただきながら、対策を講じていただきますように、これは要望したいと思います。
 また、選手強化の一つとしてふるさと登録であったり、他県からの選手の招致というのも考えられるわけですけれども、そういった取り組み等はできるのでしょうかお伺いします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 ふるさと登録につきましては、中学校、高校の卒業所在地から出場することができるという制度でございまして、これにつきましては、競技団体を通じて積極的に推進していきたいと考えてございます。
 また、新たな選手の地元雇用ということになろうかと思いますが、選手の確保方策につきましては、さまざまな団体と連携を図りながら進めてまいりたいとは考えてございますが、残された時間が非常に短こうございますので、積極的に取り組んでいかなければならない課題であると認識してございます。
〇工藤大輔委員 今回の国体においても、岩手県出身の選手が他県からやはり出ているケースというのも見受けられます。ふるさと登録になっていれば、すぐ岩手で参加できたり、いろんなルールがあるようですけれども、いずれ、この分野もかなりポイントを稼ぐための手法になってくると思いますので、積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 その中で、またもう一つ、強化策の一つとして、これまで岩手県スポーツ特別強化指定校または推進校という制度を用いながら、学校単位または選手単位で支援策を講じておりますけれども、たしか、推進校に関して言えば年度が限られての制度であって、現在では申請したくても申請できないという状況になっていると思いますが、現状についてお示し願います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 強化指定校制度には、特別強化指定校というものと強化推進校というものがございまして、委員お尋ねの推進校のほうについて御説明させていただきます。
 この制度は平成19年からある制度でございまして、一定の基準でございますが、過去5年の県大会でベスト4以上というところが応募してきたものをこちらで認定したものでございます。この制度は現在募集を中止しておりまして、新たな推進校は指定されていないところでございます。
〇工藤大輔委員 たしか、平成18年度から平成20年度に指定を行って、制度は平成29年度をもって終了するとなっていたはずです。例えば平成21年度以降に強くなっていった学校とかチームというのは、そこに向けても制度を新たに設けるだとか、あるいは新たに指定できるようにして支援するなど取り組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員がおっしゃられますとおり、指定校あるいは推進校を現在の状況に合わせて指定し直したり、延長をかけたりするということは、平成28年の国民体育大会の選手強化から見ましても非常に大切なことだということで認識しております。見直しを図りたいと、現在検討を進めている段階でございます。
〇工藤大輔委員 私は、これは見直さなきゃならないテーマだと思います。
 実際に過去の事例でいくと、3年間県の代表となれば推進校に指定されていると記憶しておりますけれども、現在、例えば一例で申し上げます。大野高校の卓球部なんですけれども、過去2回県で優勝し、大会で全国に出ていますし、今年度も、そういった意味では県の大会で優勝し、3年間という一つの基準をクリアした年となっております。しかしながら、そういった推進校の指定になっていないために、恐らく現場の先生方の配置の問題にもこれはかかわってきますし、あらゆる支援体制にもこれはかかわってくるわけです。そういったところで、他の競技においても同様のケースが見られるかもしれません。また、今後出てくる可能性もあります。やはり国体での成績を上げたい、8位以内に入りたいという大きな目標があるとすれば、現状で伸びるところにどんどん集中投資していくということが大事だと思いますので、検討というよりも、やはり見直さなければならないと私は思いますが、改めてお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 委員の御指摘は全くそのとおりだなと思ってございまして、やはり岩手国体を目指す以上、将来、今の高校生なりが成年種別の主力になるということがございます。そして、これから高校を目指す中学生たちも、そういう視点でスポーツを目指す子供たちが学校に入ってくるということになりますので、岩手国体を一つの契機とするということは重要な視点だろうと思ってございますので、そういった方向で、今、総括課長が検討していると申し上げましたのは、方向性を持たずに検討しているというわけではなくて、そういう見直すべく検討を進めているということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
〇工藤大輔委員 事実上、見直しになると聞いたわけですが、これも早期に固めていただいて、いろんな配置等にもかかわってくる話になってくると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、以前にも指摘したところでありますけれども、これは国体に限らずそうなんですが、例えば小学校のときに県下でもトップの成績を残していたと。しかしながら、中学校に入ったときに、その受け皿となる部活動がないがゆえに、小学校の途中から、あるいは中学校に入った時点で、やっていた種目、競技をやめてしまうという傾向が多々見られます。これが団体スポーツであればいたし方ないという事情も中にはあるかもしれません。しかしながら、例えば水泳の個人であったり、個々にかかわる競技ということに関して言えば、地域等の協力であったり、また、学校の協力ができれば、私は実現可能だなと思うのがあるんです。ただ、現場の学校サイドに置くと、どうしても自分の目の届く範囲の中で生徒の活動を見ていたいということなので、1校、2校、3校ぐらいは認めている学校はあるようですけれども、これがなかなか全県に広がっていかない。結果的に、伸びる生徒の、あるいは子供たちの力を伸ばし切れていないというのがスポーツの実態でもあるのではないかと思います。現状認識と今後の対応についてお伺いします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 学校にない競技種目で高い成績を残しているお子さんが実際おりまして、今回の岐阜国体におきましても、盛岡市内の中学校の女子生徒がライフルに取り組んで国体に出場したり、あるいはボウリングに取り組んで国体に出場しているケースがございます。
 このようなケースは、学校に部活動がなく、外で競技団体の活動としてやらざるを得ないというようなことがございますので、国体に向けましても、このような生徒の活動を促進してさしあげるというような観点から、強化指定のようなものが望ましいのかなということで、現在、体育協会などと検討を進めている段階でございます。
〇工藤大輔委員 今言ったのは、国体に向けては当然そのようにしていただかなければならないわけですが、そうでない場面においても、例えば小学生の場合なんかもこれが必要なんだと私は思います。今すぐでも、本来できること、あとは仕組みをつくれば、実際できることなんですが、現場の学校がなかなか理解されない。
 事例を挙げますと、中学校から約100メートルか200メートル先に町の立派な温水プールがある。中学校には水泳部がない。そして目の前にある。プールにはちゃんと町が採用した職員の人がいて体制が整っている。そういった安全面においても、そしてまた通う距離の面においても、実際可能な面というのがあるんです。そういったところについて、生徒の希望がある、そしてまた、さらに伸びるんだというものがあればサポートするというのが本来の先生方であり、教育機関がやるべきことではないのかと私は思うんです。ですから、国体に向けての答弁はさっきのもので結構ですが、いま一度、全県の状況もしっかり見ていただいて、岩手のスポーツの振興、そして競技力の裾野を大きく広げる対策をとっていただきたいと思います。これは要望したいと思います。
 次に、これも千葉伝委員の質問と重複するんですが、スポーツ医・科学センターに関係してお伺いしたいと思います。
 午前中の質疑、答弁の中で、岩手版アスレティックトレーナー養成事業で、これは1期生、2期生ということで91名の体制が整うというような答弁がありました。実際に今後のことを考えれば、3期生というのも今後どうしていくのか。また、アスレティックトレーナーは、地域的に見て大体バランスのとれたような配置で養成事業が行われているのかどうかお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 第1期のトレーナーにつきましては養成が終わっておりますし、2期のトレーナーにつきましては、震災後の1年間、養成の事業をとめた関係もございまして、来年度までということになってございます。その次につきましては、現在、予定を立ててございません。
 それから、現在、1期、2期を合わせまして、沿岸・県北につきましては12名のトレーナーが養成中あるいは養成済みという状況でございます。バランスは、どうしても県北・沿岸が少ないという状況にはございますので、分け隔てなく、あるいは積極的に全県に配置できるよう配慮していきたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 そのアスレティックトレーナーは、今後、その地域の競技団体、それぞれのかかわりは、実際どのような形でかかわりながら競技力向上に努めていこうとしているのか。
 また、スポーツ医・科学センターもさまざま検討されているというような答弁はあるわけですが、実際にどのようなイメージかというのがなかなかわからないんです。常設機関でやるのか、あるいはそうでないのか。本来であれば、屋内ドームを建設して、その中で一体で整備するということでありました。しかし、事実上、屋内ドームは建設しないのではというような方向に今進んでいると思います、これは国体開催まで。なので、方向が変わってきたはずです。私は、屋内ドームをつくらないというのであれば、その時点でスポーツ医・科学センターはどのような機能で、どのような場所で、どういった方向で整備するという方向を示すべきだったと思いますが、この件について現在の検討状況をお伺いします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 スポーツ医・科学センターでございますが、現在、平成25年度から既存の県有施設を一時借用する形で、アスレティックトレーナー等の専門的なスタッフを配置いたしまして、スポーツ医・科学サポートの拠点となる組織及び体制づくりを行い、当面、国体選手等を対象とした競技力向上、その後、県民を対象とした健康づくり等の事業実施を行う考えでございます。
〇岩崎友一副委員長 もう一つ、前段の質問についての答弁を。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 失礼いたしました。
 トレーナーの果たす役割でございますが、現在、積極的に競技団体に派遣してございまして、強化合宿の場面あるいは大会へ帯同して競技会での医・科学サポート等を実施していただいている状況でございます。
〇工藤大輔委員 来年度から県有施設で設置するということでよろしいんですか、ちょっと確認です。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 その方向で検討しているということでございます。
〇工藤大輔委員 国体まで年数がもう限られて少なくなってきております。体制も早急に整えて、用意ドンでスタートを切らないと、かなりフルスピードで走りながらの体制でやらなきゃならないと思いますが、私は、体制も十分とってほしいんです。その辺についてはどのように検討されていますか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 体制、人的配置で現在検討中のものでございますが、全体的にアドバイスをいただく方、庶務を担当する者、そしてスポーツ医・科学の全体計画を考える者、さらにトレーナーを配置いたしまして専門的なトレーニングをしていただくというような体制を現在考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 わかりました。期待の高い分野、そしてまた成果が問われる国体ということだと思いますので、ぜひ、それに向けて競技団体、選手の期待に沿えるような体制をしっかりつくっていただいて、成果を出していただきたいと思います。
 最後に、埋蔵文化財についてお伺いしたいと思います。埋蔵文化財については、分布調査、試掘調査、発掘調査の3段階に分かれ、これまで岩手県文化振興事業団埋蔵文化センターが県の分は担い、そしてまた市町村事業と個人の関係については、専門職員を配置している市町村などの教育委員会がやってきているわけであります。ただ、中には未配置の市町村もあり、それについては県教育委員会のほうで支援しているという状況だと思います。
 今、復興事業が進む中にあって、やはりこの分野をさらに拡充していかなければ、復興のスピードになかなか合っていかないんじゃないかと思いますけれども、今後の体制等についてお伺いします。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 今後の体制ということでございますけれども、今お話がございましたように、県では、国、県の公共事業に係る分布調査、試掘調査については県教育委員会が行っており、また、その発掘調査は公益財団法人岩手県文化振興事業団埋蔵文化財センターが受託事業として実施することとして取り組んでおります。
 また、埋蔵文化財センターでございますけれども、今後、発掘調査事業量が大幅に増加するということが見込まれておりますので、来年度は調査員を増員するなど、体制を強化すると聞いております。
 また、民間の調査組織というものがございますけれども、調査期間の短縮化につながる技術を有する民間企業への測量等の一部事務委託ということについても、埋蔵文化財センターのほうで既に取り組んでいるところでございます。
 また、市町村教育委員会も発掘調査を実施しておりますけれども、市町村教育委員会におきましても、来年度、職員の採用等で体制を強化している市町村もあるところでございます。また、県の教育委員会も、引き続き県外からの応援職員等の支援を受けまして、そういった専門職員がいない市町村を中心に支援をしてまいりたいと考えてございます。
〇工藤大輔委員 これから事業が相当数進んでいくという中にあって、公共的なもの、また民間が順次進めていくもの、そしてまた新エネルギーの分野においてもかなりの分野で事業化されていく中にあって、新たに調査が必要な箇所というのはどんどん出てくるんだと私は思います。
 そういった中で、一つには県や市町村の復興実施計画等のそういったスケジュール等が整合性がとれているのかどうか。体制整備あるいは必要な期間だとか、また、実施しなければならない箇所数等において、整合性がとれた中での人員配置になっているのかどうかお伺いしたいと思います。
 先ほど、民間事業者の話もちょっとありました。阪神・淡路大震災のときには、民間事業者も活用しながら、とにかくスピートを上げて調査を進めていき、復興の速度をおくらせない、地域の計画に合わせてさらに前倒しでやるんだという形が見えたと思いますけれども、今回の状況を見ると、なかなか民間を活用する動きというのが見えませんが、私は、どんどん活用する必要もあるかと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 最初に、埋蔵文化財調査の人員配置は現在どのような形かという御質問があったと思います。また、スケジュール等の関係、あるいはその整合性がとれているかということでございますけれども、まず、発掘調査の対象がどれぐらいあるかということでございますけれども、沿岸12市町村の周知の遺跡数というのは3、612カ所でございます。これら遺跡の全てが発掘調査の対象となるものではございませんけれども、これから、さまざまな開発事業に伴いまして相当数の遺跡で発掘調査が必要となるものと見込んでおります。また、調査の過程で新たな遺跡が発見されることも十分予想されるものでございます。
 そういった遺跡が発見されてまいりますので、復興計画と埋蔵文化財調査の整合性を図りながら調査を進めていかなければならないのでございますけれども、国、県の復興事業におきましては、埋蔵文化財調査の実施に配慮した事業スケジュールの策定など、各事業者から協力していただいているところでございます。
 また、試掘調査の結果により発掘調査が必要となった遺跡につきましては、発掘調査と復興事業の両立が図られるようスケジュールを、随時、復興開発部局と調整しており、今後も連携を強めてまいります。
 また、市町村が行っている発掘調査につきましても、復興事業との両立が図られるよう助言と指導を行っているところでございます。そのような形で整合性を図っていきたいと考えてございます。
 また、人員配置につきましては、先ほどお話ししましたように、県の教育委員会、市町村の教育委員会、また県の文化振興事業団埋蔵文化財センター、本県におきましてはこの3者が埋蔵文化財調査に従事しておるわけでございますけれども、それぞれが体制を強化して、今後増大するであろう埋蔵文化財調査に対応したいと考えているものでございます。
 民間の調査機関の導入のことでございますけれども、現在は、今言いましたように、県の教育委員会、市町村の教育委員会、埋蔵文化財センターの3者が連携を図りながら対応しているわけでございまして、それぞれが体制を強化するという中で、現在の仕組みを強化する中で対応していきたいと考えてございます。
 現段階では、民間調査組織の調査主体としての導入については、今のところは差し迫った必要はないと考えてございます。先ほど申し上げましたように、民間調査機関のかかわり方というのもさまざまでございまして、先ほど言いましたような調査期間の効率化、それにつながるような技術を有する民間企業は数多くございますので、そういったところへ、県あるいは市町村あるいは埋蔵文化財センターが調査主体になりながら事業を委託していくということは、これからも実施していきたいと考えてございます。
〇岩崎友一副委員長 工藤大輔委員に申し上げます。世話人会の申し合わせにより、1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないよう、議事の進行に御協力をお願いします。また、執行部においても答弁は簡潔にお願いします。
〇工藤大輔委員 今、答弁をいただきましたが、私は考えが逆だと思うんです。調査に合わせた事業の推進という答弁がありましたけれども、本来は、埋蔵文化財の調査ができる体制だとか、これは、1カ所見つかれば数カ月かかるわけです。これに合わせた事業の推進というよりも、復興ができるスピードに合わせてその体制を整え、足りないところについては民間を利用したらどうですかと私は言っているんです。どうもこれまでの答弁を聞けば、埋蔵文化財の調査は、教育委員会あるいは事業団の何か聖域のように私は感じるんですよ。これであってはよくないと思います。
 やはり、特にも東日本大震災の復興に時間を要する、なかなか地理的、いろいろな要件がある。ここをスピードを上げてやろうといった際には、こういった取り組みはしっかり体制を整えて、早期に、見つかったらどんどん進められる体制をとると。民間を活用するんであれば、それを活用するための仕組み立てが必要ですから、どういった基準を設けるかとか準備が必要ですよね。恐らく今の状況ではそういったものも検討していないのでないかと思うんです。
 埋蔵文化財の調査を進めるための体制に係るものが大事なのか、復興のスピードを上げるのが大事なのか、ここは皆さん方のところの考え一つで、これが復興事業を進める上での一番基本的なところなんです。用地がやっと見つかって、ちょっと掘ってみたら何か出てきた。貝が出てきた。調査をやらなければならない。それでまた何カ月もかかってしまう。民間も使わない。これでいいのかということを私は言いたいんです。
 しっかり検討をしていただきながら、とにかく復興のスピードを上げるんだということを教育委員会のサイドにおいても取り組んでいただきますようにお願いしたいと思いますが、教育長の答弁を求めます。
〇菅野教育長 どうしても埋蔵文化財調査は場所が確定しないとできないという面はありますが、ただ、復興事業と十分調整を図りながら、いろいろな方策を講じながら、期間が延びるとかないよう、いろいろな工夫をしていかなければならないと思っています。
 したがいまして、具体的にどういった場所に埋蔵文化財が発見された場合に、どう体制を組んでそれに当たるのかということは、現在のうちから、組織体制がどうあるべきか、それから、先ほど課長が申し上げましたが、民間に具体的な内容を委託する場合に、どういった方策で委託する、もしくはそういった事業者があるのかないのか、そういったところも含めて多方面から検討していかなければならないと思ってございますので、いずれやれることを最大限やりながら、人も確保し、なおかつ、いろいろな委託方法も考えながら、復興事業との調整を十分図りながら進めてまいりたいと思っております。
〇吉田敬子委員 通告の中では県立図書館運営についてということで出していましたが、これは割愛して質問させていただきたいと思います。
 ほかの委員の方から子供たちの学力低下についての質疑がありましたが、私からは、その中でも、子供たちの学力低下と読書率の関係、また、学校図書館の役割等についてお伺いさせていただきます。
 近年の子供たちの学力低下と県内の子供たちの読書状況調査結果から、県ではどのように分析されているのか。学校図書館の整備というものも県としての役割、取り組みの中に入っておりますが、どのように具体的に取り組まれてきて、また、その学校図書館という役割自体も変わってきているかと思うんですが、その役割というものを県としてどのように把握されて、いわて子ども読書プラン2009の中でもさまざまな取り組みを上げておりますが、その成果と課題をお示し願います。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 子供たちの学力と読書率の関係、それから学校図書館の部分について、私から話をさせていただきます。
 近年の子供たちの学力と読書状況調査結果との関係をどのように分析しているかということでございますが、平成23年度の読書状況調査では、読書が好きですかということに対する答えとして、肯定的に答えている小学校5年生は85%、中学校2年生は80%、1カ月の平均読書冊数も増加傾向にあります。
 学力との関係についてですが、読書状況調査そのものからの分析は行っておりませんけれども、全国学力・学習状況調査の国語においては、調査対象である本県の小学校6年生、それから中学校3年生の学力については、国語の学力について全国平均を上回っている状況にありまして、おおむね良好な状況にあります。
 また、岩手県の児童生徒の読書時間も全国より若干高い傾向を示しておりまして、国語の学習への影響は大きいのではないかと捉えております。
 それから、学校図書館のことについてですが、各学校では、学校図書館の持つ読書センターとしての意義、それから学習情報センターとしての役割を大切にした運営が行われてきております。具体的には、学校体制での朝読書、あるいは読書週間の設定、授業の中での調べ学習など、学校図書館の活用が積極的に図られてきております。
 また、学校図書館の掲示とかスペースを工夫したり、地域のボランティアによる読み聞かせや図書の修繕等、それから読書環境の整備も非常に進められてきている現状にあります。
 県教育委員会としましては、児童生徒の読書に親しむ態度とか読書習慣を育成することをねらいとして、学校図書館担当者研修講座を全ての教育事務所で開催して、読書活動の推進を図っているところでございます。
〇西村生涯学習文化課総括課長 教育委員会といたしましては、子供たちが、いつでもどこでも本に親しめる環境づくりを進めるために、家庭、地域、学校及び行政が連携、協力した取り組みを推進し、子供の読書活動に関する普及啓発を図るために、いわて子ども読書プラン2009というものを作成し、今現在、それに沿って各施策を進めているところでございます。
 その成果と課題についてでございますが、まず、成果といたしましては、児童生徒の平均読書冊数が年々増加傾向となっていること、また、読書活動の充実を教育振興運動の全県共通課題に位置づけた結果、読書活動に地域を挙げて取り組んでいる地域が、平成20年度の69%から平成23年度では84%と増加傾向にあること、さらに、この計画の中に市町村に期待することといたしまして、市町村子どもの読書活動推進計画の策定ということを明記しまして、その奨励や情報提供等を行った結果、平成20年度は48.6%だったところ、平成23年度には60.6%の市町村で策定されたということがございます。
 また、課題といたしましては、1カ月に1冊の本も読まない不読者率が、小学校5年生で2%、中学校2年生で10%、高校2年生で36%と、学年が上がるにつれて読書離れの傾向にあるということ、また、学校以外で読書をしない、10分よりも少ないというものを上げておりますが、この児童生徒が小学校5年生で40.3%、中学校2年生で51%ということになっておりまして、学校以外の子供の読書時間が十分とは言えないということが挙げられると思っております。
 県教育委員会といたしましては、今後とも子供の読書活動を支援する取り組みの充実に努めてまいりたいと考えてございます。
〇吉田敬子委員 国語の学力が、小学校6年生、中学校3年生では全国より上、そしてまた、読書冊数も全国より上ということなんですけれども、小学校、中学校、高校の中で、高校生の読書冊数について特にお伺いしたいんですが、評価結果の中でも、児童生徒の読書冊数、高校2年生だけの対象なんですが、Dということで、これというのは、Dという横ばいの状況がずっと続いているとここの結果報告にもありますが、高校生の読書率を高めるためには、具体的にどのような取り組みをされてきたのかお伺いいたします。
〇西村生涯学習文化課総括課長 委員御指摘のとおり、小学校、中学校、高校と学年が上がるに従いまして読書離れが進んでいるという傾向にございます。これにつきましては、先ほど申し上げたとおり、子ども読書計画2009を作成する前に、平成20年度に読書に関する意識調査というものを行ってございます。その結果でございますが、読書が嫌いだという回答をした児童生徒に対しまして、その理由を聞いたところ、読みたい本がない、読む本がわからないという回答が多かったことから、教育委員会といたしましては、多彩なジャンルを網羅した、いわての中高生のためのおすすめ図書100選というものを作成いたしまして、現在、全ての中高生及び学校に配布しているところでございます。
〇吉田敬子委員 アンケートの中でも読みたい本がわからないという生徒のアンケートもあるということなんですが、以前に学校図書館司書の配置数、司書教諭の配置数の資料提供をいただきました。その中で、最近の新聞報道の中にもちょっと載っていたんですけれども、図書館司書の配置について、岩手県はワースト2位とされておりました。
 実際に、本当に中学生、高校生で読書率を高めなければいけないということで県としては把握されているにもかかわらず、配置数が少ないということと、県立高校ですけれども、平成22年度が5校という資料をいただいて、24年度は5校から3校に実際減っている状況だと、これはちょっと正確かどうかも確認しながらなんですが、その状況をどのように認識されているのか。
 学校図書館司書と司書教諭、12学級以上は司書教諭が配置されていればいいということになってはいるんですけれども、やっぱり中学校、高校になるにつれて、学生が本を読まない、そしてまた、読みたい本がわからないとか、そういう子供たちがどうしたらいいかわからないのに対して、学校の図書館司書の方がそういう手助けをする役割を担っていると思います。
 今は、司書教諭の方がそれを担っているとはいえ、今、先生方は大変忙しくて、自分たちのものでいっぱいですし、終わると宿題とか部活動をやっている中で、実際に司書教諭の方が、もしかしたら図書館の業務に従事されていないこともあるのではないかというところも、それを県のほうでは認識されているかも踏まえて、学校図書館司書の配置の状況について伺います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 委員御指摘のとおり、学校図書館の高等学校の担当職員の配置状況というものが、平成22年度で9.2%ということで非常に低かったというような状況でございます。
 私どもとしては、司書教諭を中心といたしまして、図書館担当教員というものが校務分掌で決められておりますので、そういった教員が中心となりまして、事務職員等の協力を得ながら図書館運営をやっている実態だと認識しております。
 この調査結果を受けまして、私どもとしては、事務職員を含めた協力体制というものをもう少し強化してもらうよう、学校のほうに働きかけをしてきたところでございます。
 もう一つ御指摘のありました平成22年度から今年度にかけて学校数が減っているという実態でございますが、22年度の状況で申し上げますと、県の予算措置ということで非常勤の職員を配置する事業がございましたが、その後なくなってしまったというような影響もありまして、非常勤の配置が減ったということでございます。
 今後につきましても、事務職員の役割分担をもう少し明確にするなど、図書館の充実が図られるよう、各学校の状況をよく聞きながら、人的体制の充実に努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 先ほどの質問で、司書教諭の方が本当に実際に携わっているかどうかというところは、県として把握されていますか。
〇土川首席経営指導主事兼県立学校人事課長 司書教諭が実際に図書館業務に携わっているかという御質問でございますが、図書館業務だけということではない学校もあると思いますけれども、基本的には、司書教諭を発令されている者は、図書館業務に携わっていると捉えております。
〇吉田敬子委員 もしかしたら、一応司書教諭を配置すればいいということだけになっているので、本当に図書館に携わっているかどうかというところまで、ぜひ県としてきちんと把握していただきたいと思います。
 その中で、特に高校での図書館司書の数が少なくなっているという状況を、確かに今、図書館という機能自体が変わってきているかもしれませんが、まず、県として、高校での図書館という機能の役割といいますか、どのように把握されているか伺います。
〇多田教育次長兼学校教育室長 高等学校における図書館の教育的な位置づけでございますが、やはり読書活動の中心的な機能と情報の交流ということの機能、大きくはこの二つの側面ということでございます。
 それからもう一つ、やはり小中学校で先ほど義務教育課長が答弁したほかに、高校生として、いわゆる受験等の学習について必要な直接のさまざまな情報を、辞書等も含めて、そういった情報を引っ張り出すような機能も、高校の場合の図書館の役割と捉えております。
〇吉田敬子委員 済みません、通告もなく質問させていただきましたが、最近では、携帯電話とかインターネットが普及して、調べるという作業自体がすごく簡単になってきていると思います。図書館というところは、私も小さいころは、調べ物に行ったりとか、いろいろな情報を収集しに行っている場所であり、ただ、時代が変わっていく中で、図書館の機能ってやっぱり変わっていっている中で、いかに調べ物に対して時間を要することで、その大変さをわかることで、一つのものに対する努力の仕方とかというものも育まれると思いますので、やっぱり図書館でそういうことを一生懸命やっていく学生、特に専門性が高くなればなるほど私は大事だと思っております。
 図書を借りる、借りないとはまた別に、需要がなくなってきているからといって、図書館がただ学習するだけの場になっていると、以前、執行部の方とお話しさせていただいたときに、ただ学習するだけに図書館に来ている高校生が多い。本は借りなくて、学習しに来ると。ただ、それだけではなく、やっぱり機能としては設置しなければいけないと思いますので、司書の配置というものも私は大事だと思いますので、今後、整備、検討していっていただきたいと思います。
 先ほど答弁の中で、いわての中高生のためのおすすめ図書100選ということで、県内中高生に配布しているということですけれども、これを配布したことによって、中高生の読書率は高まったのかどうかをお伺いいたします。
〇西村生涯学習文化課総括課長 先ほども申し上げましたいわての中高生のためのおすすめ図書100選、いわゆるいわ100についての取り組みの成果の御質問でございますが、先ほど申し上げたとおり、このいわ100については、まずは、読みたい本がない、読む本がわからないといったことから、そのきっかけづくりということをまず進めていきたいということで選書したものでございます。
 その成果についてでございますけれども、平成23年度に中学校及び高等学校にその活用状況を調査したところ、中学校53%、高等学校40%において、何らかのこのいわ100を活用した取り組みがなされているということでございました。
 具体例を申し上げますと、図書購入の参考にした、あるいは、いわ100コーナーを設置した、あるいは授業に活用したというような事例を聞いてございます。
 また、このほかにも、岩手県立図書館においても、このいわ100で紹介した図書の紹介、展示が行われているなど、こういった取り組みを通じまして、中高生が図書館の本あるいは図書館以外でも、そこで紹介された本に触れるきっかけづくりになっているかと考えてございます。
〇吉田敬子委員 学力低下と、読書率が上がることで具体的に学力向上につながるかどうかということはわからないかと思うんですが、ただ、やっぱり学校図書館という役割は大事だと私は認識しております。学校教育で教えてもらえないものに触れる機会を与えられるのが学校図書館だと思いますので、今後とも、ぜひ整備、特に県立高校に当たっては、これからよろしくお願いいたします。
 次に、最後になりますが、平泉の文化遺産の学校教育のあり方についてお伺いいたします。
 義務教育の中で、具体的に平泉の文化遺産というものを子供たちにどのように教育しているのか、まずお伺いいたします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 小学校においては、社会科の授業で、第3学年、第4学年で、県の様々な地いきの様子という項目で学習しておりまして、多くの学校が事例地として平泉を取り上げまして、県の副読本を活用しながら、文化遺産を保護、活用する人々の工夫とか努力について学んでおります。
 中学校については、歴史的分野の中世の学習で、奥州藤原氏の繁栄と衰退の歴史、中尊寺金色堂を初めとした平泉文化の概要を学んでおります。
 それから、総合的な学習の時間でテーマとして平泉文化遺産を取り上げている学校も多くありまして、小学校では、修学旅行や見学学習等で平泉を直接訪れまして、文化遺産に実際に触れながら、その価値を学んでおります。
 なお、県といたしましては、このような学校の取り組みを支援するとともに、平泉文化遺産の一層の理解と継承意識の醸成をねらいまして、知事を初め、生涯学習文化課の職員が指導者となって、平泉授業と名づけた出前授業を多くの学校で実施しております。
 今後とも、伝統や文化に関する教育の充実という学習指導要領の趣旨を踏まえながら、このような学習のさらなる充実が図られますよう、平泉文化遺産学習の啓発や支援に取り組んでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 全ての子供たちが義務教育の中で平泉の文化遺産について学んでいるということで、ぜひこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 先日、比叡山の延暦寺のほうに議員団の皆さんと行ってきたのですけれども、その中で言われていたことが、地域の子供たちにいかに延暦寺のことを知ってもらうかということで、延暦寺を地元の小中学生に開放して、あとは、地元の方々とのボランティア活動を子供たちが率先してされているという話をお寺の方から伺いました。
 私も、平泉の世界遺産が、世界の人にもっと来てもらうためには、私たち県民みずからがやっぱり大好きにならないと、わからないと世界に広がらないと思っていますので、教育の中でいかに平泉の文化教育をするかというのが大事かと思いますので、ぜひ引き続きお願いいたします。
 きょうは時間が余りないので、これで終わらせたいと思います。ありがとうございました。
〇嵯峨壱朗委員 いじめについてお尋ねしたいと思います。
 いじめについてはるる議論があったところで、同様の調査の中で、鹿児島県ですか、昨年が342件だったのが、90倍の3万757件に上ったというのがあったようです。岩手県は幸いなのか2、000件ということでしたが、先ほど私が違和感を持って聞いたのは、2、004件になった理由、それは、ふえたのは余さず捉えた結果という説明をしておりましたけれども、本当にそれでいいですかね。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 年度途中ではございますけれども、昨年度の6倍強の数字ということで、一件一件こちらのほうでも全ての事案について確認というところまで至ってはおりませんが、現在精査中ではございますが、かなり細かいといいますか、先ほども申し上げましたように、子供たち同士のちょっとした言葉の行き違いとか、ちょっとしたトラブルも全て上げていただいている結果だろうと考えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 この文部科学省の調査に課題があるのは、方式と、あと調査項目と、各都道府県によって違うんだそうですね。ですから、共通の、同じような問い合わせじゃないので、結果が、例えば鹿児島県で3万件もあったと、それで2、000件。果たして、本当にどっちがどうなのかわからないんですけれどもね。
 私は、今おっしゃられた、余さず捉えた結果というのも同じ説明ですけれども、恐らくそういった認識がいじめを見逃すんだと思うんですよ。冷やかし、からかい、そして精査していけばこれから減っていくという説明でいいんですね、今の説明ではね。ではないかとね。そういう認識が私はおかしいと思うけれどもね。そういう認識が、恐らくほかの、大津市でしたか、ああいうところのものにつながっているんだと思うんですけれども、どうですか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘のことでございますが、本県においては、今般の調査にかかわっては、これは全国で、国で一斉に実施したものを、本県においてはそのとおりに実施させていただいたものでございます。
 他県の状況がどうかということもございますけれども、本県においては、繰り返しになりますが、今回このような社会問題化していることも踏まえながら、かなり丁寧に各学校において、いじめを捉えていただきながら報告いただいたものと認識してございます。
〇嵯峨壱朗委員 私が言っているのはそのことじゃない、それはそうでしょう。そうではなくて、先ほど2、004件にふえた理由について、本来というか、従来は捉えていなかったものを捉えた部分があったからそうなったんだと。それで、年度を締めてみれば、精査していけばもっと減っていくと聞こえましたけれども、違いましたか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 数的には減少していくとは考えておりません。確かに、今の時点でそれがいじめか、また、いじめに至るまでの経過としてのトラブルかという捉えはさまざまあろうかと考えてございますけれども、数的には、大方ここから減るという捉えをしてはございません。
〇嵯峨壱朗委員 さっきの答弁と違うのではないですか。恐らく減っていくだろうというふうに答えたと私は聞いていましたけれども、違いましたか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 減っていくということではございませんで、現時点での捉えがそういう捉えとしておりまして、これから当然解消に向かっていく部分もかなり多いかとは思いますけれども、現時点で、いじめという認識で捉えていたものがそれぐらいの件数あったのではないかと私どもも考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 さっきそういうふうに説明していませんでしたかと。私はそういうふうに捉えたけれども、そうじゃなかったですか。精査していけば、これはいじめじゃないとやっていくと、もっと減っていくというふうに説明しませんでしたか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 中にはそういう部分も少なからずあるかとは考えておりますけれども、大方これぐらい、現時点でそれぐらいございますので、数字的には極端に減るということはないのではないかと捉えてございます。
〇嵯峨壱朗委員 まあ、いいですけれども、私はそういう、私に対する答弁じゃなくて、これまでの及川幸子委員とか佐々木努委員に話した答弁を聞いていてそう思ったんです。そういう認識が、あなたは先生なのかわかりませんけれども、教育現場でそういった認識でやっているとすれば、恐らくそれが発見のおくれにつながっていくんだと私は思いますよ。違いますかね。
 まず、いじめる子が悪いに決まっていますよね。だけれども、生徒たちはそれぞれの事情があって表に出しにくい部分を、アンテナ高くして先生が気づかなければだめだと思うんです。そういった中で、冷やかし、からかい─冷やかし、からかいから始まっていくんですよ。だから、多分そういう認識が間違っていると私は思う。あなたの説明は、先ほどの説明と随分ずらしてきているけれども、そう思いますよ。どうですか。
〇菅野教育長 いじめの問題については、確かにこれだけ件数が去年の調査に比べて大幅にふえたという実態がございますので、そういった意味で、学校の認知度といいますか、そういったものが去年とことしでは違っていたというのは、恐らく動かしがたい事実だろうと思っています。
 ただ、やはりどういったものに対応しなければならないのか、どういった事案について的確に対応しなければならないのかというのは、それぞれの学校ではなくて、やっぱり共通認識を持って取り組まなければならない。それは、学校現場だけの認識ではなくて、そこには外部の、今回の研修会にも外部の講師にも入っていただいているわけですが、やっぱり同じ視点で、同じ目で見て、同じように対応していかなければならないということで、そういういじめに対する認識も全県で共通認識を持ちましょうということで、ああいう緊急の研修会をさせていただいたということでございます。
 今後とも、それぞれの学校の状況に応じながら、しかし、やはり一人の子供に寄り添い、かつ、いじめに対する認識をそれぞれの学校、それぞれの教員が違う対応、違う認識を持つことがなく、一体として対応できるような体制を整えてまいりたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 そうしてもらえればいいですよね。
 ただ、私は、教育委員長の言葉でしたか、一般質問での熊谷泉議員に対しての言葉で、本県の子供はというところがありましたね。大震災を経験して、命の重さ、とうとさ、周りの人たちとのつながり、そして、互いに助け合うことにより、どんな困難な状況でも乗り越えられることを学び、気づいております。だから大丈夫だと言いたいのかわかりませんけれども、逆に言うと、だから余計に深刻ですよね。そういった面で言うと。言いたいことも言えない状況も出ているだろうし。
 学校、家庭、地域、さっき家庭に問題があるような話もしていましたけれども、恐るべき説明だなと思って聞いていましたが、恐らく家庭も、地域までどうか、地域でわかればすごい話だけれども、家庭とか、親とか、一義的に担任の先生、学校の先生が、まずアンテナ高くして、多分調査、ちょっとしたこうあると思うんですね。それに気づくかどうかですね。
 研修会を開いたって、はっきり言ってそんなのなくならないって。それはやったというだけの話でしょう。やらないよりはいい。そういう問題じゃないと思うんです。
 先ほどカウンセラーの話もあったけれども、臨床心理士でしたか、その資格があるかないかという問題じゃないですよね。さっき教育長が言ったとおりで、現場の先生方が一番よく知っているわけだから、しかも大人ですから、いろいろな経験をしていますから、その人たちの技術のアップなのかちょっとわかりませんけれども、そういった部分をアップしていくのが一番ですよね。恐らく、大きいところは先生方がいっぱいいるんだから、できないはずはない。臨床心理士だけの問題じゃない、資格の問題じゃないと思うんです。
 それで、OBの先生方の話もしていましたけれども、校長先生のOBなのかわかりませんが、あの人たちは、どうですか─という聞き方も変だけれども、全部が全部、私は見ていると、この人大丈夫かなという校長がいっぱいいました。その人たちが、校長先生をやったからというだけでカウンセラーをやったって全然意味がないと私は思っていました。ですから、それを頼むにしても、どうやって決めたらいいかわからないけれども、本当にしっかりした人をやってもらいたいと私は思っています。
 以上ですが、しっかりお願いしたいと思います。
 それと、発掘ですけれども、先ほどおくれはないという話でしたが、本当におくれはないですか、どうですか。それによって災害での高台移転とかそういった事業が、ないとは思うんですけれども、今のところどうでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 ただいまのところ、復興事業と発掘調査を両立させるために、関係機関と開発事業との調整を図っておりまして、事業を変更しなければならないような大規模なおくれはないと認識してございます。
〇嵯峨壱朗委員 それはよかったです。安心しましたというか。ただ、これから冬場にかかってくると、発掘調査は、恐らく冬場は雪が降るとやらないんですよね。ですから、もう既に家を建てるというか、災害公営住宅を今、入札しようとしているところに、例えば新たにこれを発掘しなければだめだというものが出たりした例もあるやに聞いているんですよ。そういった場合には、冬を越して来年やるとかとなると、非常にタイムラグもあるし、もう建てられると思っているような、そういった状況の中で考えると、そこに例えば一極的に集中、一時的に人を配置してやるとか、重点配分というのかな、そういったことも配慮願えればという気がします。
 具体的に言うと、多分わかっていると思うんですけれども、野田村の米田地区ってあるんですが、あそこはもう今月あたりですか、公営住宅の入札をするはずなんですね。ところが、新たに発掘しなければだめだというものが出てきたとかで、おくれる可能性があるという話を伺ったんです。そうじゃないようにしていただきたいと思ってですね。
 というのは、そこまで行ってしまうと、住民は、もうできるものだと思っているんですね。ですから、年を越す前に、具体的になってくると多分そこだけじゃないと思うんです。そういうこともぜひ御配慮して応援願えればと思います。どうでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 野田村の米田南浜地区でございますけれども、この地区は、これまで埋蔵文化財宝蔵地、いわゆる遺跡が確認されていないところでございました。先週、周囲の地形等から判断して遺跡の存在の可能性が推測されましたことから、先週の後半でございますけれども、村の教育委員会からの依頼によりまして、県の教育委員会のほうで試掘調査を実施したところ、予定地の一部で、これまで知られていなかった遺跡が発見されたところでございます。
 造成工事の途中なので、それまで存在の知られていなかった遺跡が発見されることを、埋蔵文化財のほうの専門的な用語で不時発見と申します。不時着の不時を使った不時発見でございます。不時発見の場合は、文化財保護法の規定で工事を中断しなければならないわけでございますけれども、そのような不時発見を防ぐために、工事着手前に試掘調査を実施し、遺跡の状況を確認、把握することにより開発事業との調整を図っているところでございます。
 今回、新たに遺跡の発見されました米田南浜地区につきましては、造成の具体的なスケジュールをただいま村のほうに問い合わせ中でございますけれども、おおむね来年の1月から造成工事に着工したいということを聞いてございます。
 委員のお話にございましたとおり、厳冬期は土壌が凍ってしまいまして埋蔵文化財調査はできないわけでございますけれども、まだ冬に入っておりませんので、いずれ造成工事の完了時期に影響を与えないように埋蔵文化財調査を行えるように、現在、村当局と鋭意調整中でございます。
 今後とも、復興事業と埋蔵文化財調査の両立を図ってまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
〇喜多正敏委員 私は3点についてお伺いします。まず、情報処理教育設備整備費及びICTを活用した教育についてお伺いします。
 近年、ICTを活用した教育コンテンツやタブレットを初めとした機器の発達は、非常に目覚ましいものがあります。一方、紙などの教科書類、こういう従来の教材や、みずから思考をめぐらし、手を動かす習得も、その効果、大事さを指摘する考えもあります。
 そこで、まず、教育長に、ICTの活用や従来型教育の方向について所感をお伺いしたいと思います。
 それから、時間の節約のため重ねてお伺いします。
 そのICTを活用した教育についてでありますけれども、本県の情報処理、ICTなどの教育設備機器、あるいはコンテンツ活用の状況、それから、それが全国や東北と比較してどのような水準であるかお伺いしたいと思います。
 また、これらICT活用の情報収集や今後の対応についてお伺いします。
〇菅野教育長 まず、総括的な所感ということでございますが、ICTを活用することは、映像や音声が効果的に使われまして、教員の説明が一層わかりやすく行われる、そういったことで、児童生徒の学習への関心や意欲が向上するといった効果があると思ってございます。
 ただ、一方で、これまでのように教員が児童生徒の思考過程や学習内容を黒板を使って自在にあらわしていく、そういうことによって子供たちが自分の字でノートに書いていくということも、これもまた非常に大事なことであろうと思ってございます。
 したがいまして、私としては、この両方を培っていかなければならないと思ってございますが、ただ、一方で、ICTを使った教育というのは、やっぱり新しい教育ですので、必ずしも教員がこれに習熟していないという問題がございますので、教育センターにおきまして、例えば電子黒板の活用方法ですとか、先ほどおっしゃいましたタブレットも含めて、フラッシュを使った授業改善をどういうふうにやっていくのかとか、そういう専門的な研修を行いまして、教員の資質向上に努めているところでございます。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 情報処理教育設備の整備状況についてでありますが、学校におけるICT環境の整備状況の調査結果によりますと、平成24年3月1日現在で、教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数は、本県が5.2人、全国が6.6人、東北が6.1人ということで、より良好な状況にあると考えます。また、電子黒板のある学校の割合については、本県は約80%でありますが、全国よりも8%、東北よりも11%ほど高い状況にあります。児童生徒がコンピューターを活用した情報教育を受けられる環境としては、おおむね良好な状況にあると認識しております。
 課題でありますが、校内LAN整備などのインターネット等を活用して情報を収集する環境の整備が、全国と比較して、これは十分とは言えない状況にあります。したがいまして、今後も超高速インターネット接続を初めとした情報処理教育設備について、市町村に整備状況などを情報提供しながら推進してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 今、質問しましたが、ICT活用に関する情報収集、具体的に言いますと、私は、東京国際見本市の展示場でのICT活用の展示会に行って、いろいろな教材が出ているのを目の当たりにして大変参考になりました。こうしたことについての情報収集、それから、先ほどコンピューターと電子黒板のお話がありましたけれども、こういうICTに関連したコンテンツ、教材、これの活用の状況はどうなっているでしょうか。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 情報についてでございますが、本県教員の授業中にICTを活用して指導する能力とか、児童生徒のICT活用を指導する能力とか、情報モラルなどを指導する能力、そういったICT活用指導能力につきましては、高校は実は高い状況にあるのですが、小学校、中学校については、インターネット活用等、まだ十分と言えない状況にありまして、課題が見られるということであります。
 今後も、児童生徒の情報活用能力の育成に向けまして、ICT活用による教育的効果や機器について、教育センターと連携しながら十分情報収集を行いまして、教員の指導力の向上を図ってまいりたいと考えております。
 それから、もう一つは、コンテンツの状況についてでございますが、総合教育センターにおきましてもさまざまな教材開発を行っておりまして、そういう中で、例えば、教育センターのデジタル教材/教育用コンテンツというサイトを立ち上げまして、その中に県内のさまざまな先生方、外部の方々の開発した教材をできるだけ情報提供するという形で、開発、普及啓発に努めているところでございます。
〇喜多正敏委員 今から質問することをお答えいただいたような感じでちょっとやりにくいわけでありますけれども、私は、現在の教育コンテンツの、例えば算数とか国語とか理科とか、いろいろなコンテンツが一般に開発されてあるわけです。そうしたものについて、どのように活用されているかということをお伺いしたわけであります。
 それで、今のお話とも関連しますけれども、現場の先生方は、学校公開などに行きますと、自分たちが研究したり、あるいは開発した教材といいますか、こういうふうに指導したほうがいいよというようなことも含めて、これをみずから印刷して、相互に配布、回覧して、あるいは若干実費をいただいてということで、みずから開発している。非常に忙しい中、涙ぐましい努力も重ねているなと私は高く評価してまいりました。
 そうしたことからすると、そういう紙媒体も含めまして、今お話があったとおり、岩手ならではの教材の開発、これを教育委員会や現場の先生方、そして岩手大学、そして、情報の処理能力やいろいろなことで非常に評価の高い岩手県立大学のソフトウェア情報学部と連携して開発していくことがいいのではないかと思っているわけであります。
 そうしたことで、先ほど教育長からもお話がありましたとおり、子供にとっても、非常に関心を持つということからしてもそうですし、もう一つは、岩手県の情報産業のいわゆる組み込みソフトウエアのようなことも大事ですけれども、岩手ならではの完成品のソフトウエアを開発するという視点からも非常に効果があるのではないかと思っているわけでありまして、そうしたデジタルコンテンツの開発の取り組みについて、今後どのように対応していくかお伺いします。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 ICTの活用につきまして、高校についてお話しさせていただきたいと思います。
 岩手大学、県立大学等の県内の5大学が連携した組織でございますいわて高等教育コンソーシアムが、平成21年度から県内の高校に遠隔講義システム、いわゆるテレビ会議システムというものを設置いたしまして、構成大学で収録した講義や講演会の視聴や、それから、構成大学の学生との双方向での意見交換、テレビ会議としての活用などを進めております。
 特にも、震災後の平成23年度は、地域復興を担う中核的人材育成プランの一環として位置づけ、沿岸3校、大船渡高校、釜石高校、久慈高校に設置しているところでございます。
 現在は一部の学校にとどまっておりますけれども、学校にいながら高度な研究内容に触れたり、研究者や大学生と対話することができる等のメリットがございますので、委員御指摘のとおり、今後、それらも活用しながら、また、大学ともいろいろ研究等を進めながら、有効的に活用していきたいと思っています。
〇喜多正敏委員 今は開発をしなくても、例えばeラーニングのシステムとかがあるわけで、今のお話は活用の仕方についての研究だと思うんですが、私が申し上げているのは、そのコンテンツの中身自体の開発を教育現場と情報の関連─メーカーもあります。県内の情報処理に関連しているメーカーもありますし、大学と連携してつくっていってはどうかということを申し上げているわけであります。教育長のお考えをお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 先ほど担当の課長から御報告申し上げましたとおり、現在、教育センターを中心としてそういうコンテンツの開発ですとか収集等を行っているわけでございます。ただ、委員御指摘のとおり、やはり大学の高度な知識、それから、せっかく県立大学のソフトウェア情報学部を持っているわけでございますので、そういった教員、学生の知見をそういったところにどう生かしていくのか、また一方で、学校現場に合うようなコンテンツをつくっていくというのも、大学側にとっても一つ大きなメリットがあるかとも思いますので、その辺については、大学間及び教育センターとも連携しながら、今後十分検討してまいりたいと思っております。
〇喜多正敏委員 次に移ります。先ほど工藤勝子委員からもお話がありましたけれども、学力向上でありますが、特に私は、被災地で、教育施設や教師あるいは生徒さん方が、人的、物的、精神的に非常に影響をこうむったと思われるわけであります。そこで、震災あるいは津波の被災地での、特にも学力の低下を防ぎ、向上させるということがまた必要だと思うんです。こういうようないろいろなダメージを受けた中で教育格差が生まれてはならないと。
 いろいろなスポーツ関係のお話もありましたけれども、こうしたところで、学力はどこでも、全県下やらなければならないわけでありますが、特にも被災地については手厚い対応が必要ではないかと思うのでありますけれども、その取り組みの状況と今後の方向についてお伺いします。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 被災地の学力向上ということでございますが、委員御指摘のとおり、困難な状況の中で子供たち、先生方も非常に奮闘されております。そういう中で、私たちの内部の資料によりますと、顕著な学力低下の傾向は今のところ認められてはおりません。被災地の学校、先生方は、子供たちに寄り添うということを中心に、できるだけふだんの学校生活、そして、わかる授業を充実させながら学力向上に努めているところです。特にも、放課後の個別指導とか、それから、心の安定を図るべく相談活動などを丁寧に行っているところです。
 それから、被災地を中心に県内で190名を超える加配教員が入っておりますので、より一層きめ細かな指導ができるように努めていきたいと思います。
 学力向上ということの御質問ではありましたけれども、それを支えるものは、あくまで知、徳、体のバランスの中で最もよく学力の向上がなされていくと認識しております。そういう中で、全県で取り組んでおります復興教育を通しまして、子供たちの意欲とか自覚を育みながら進めていきたいと考えております。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 被災地の県立高校における学力向上を図る取り組みについて4点御説明いたします。
 まず、1点目は、平成23年度は、各県立高校とも新学期の開始がおくれましたが、長期休業を短縮したり、放課後に補習授業を実施する等の対応により、授業時数を確保し、学習内容の定着に努めました。
 それから、2点目ですけれども、仮設住宅に移住している生徒は、自宅で学習に集中できる環境ではないため、学校は、朝早く、そして夜遅くまで学校を開放し、なるべく長い時間学校で学習できるような配慮を行っております。
 それから、3点目ですが、特に就職希望者の多い学校は、基礎学力の定着のため、当該教科専門の教員のみならず、全ての教員が生徒の指導にかかわり、生徒の理解度に応じたきめ細かい指導を行っております。
 最後でございますけれども、県が、関係機関と連携して、大学入試センター会場を大船渡高校と釜石高校に設置して、地域高校生が受験できるようにいたしまして、生徒の心の負担、それから保護者の経済的な負担を軽くいたしました。
 被災地の生徒については、今後も学校の状況を踏まえながら、学力向上に努めていきたいと思っております。
〇喜多正敏委員 先ほど来話題にもなっておりましたけれども、いじめに走る子供たち、そのいじめを見て見ぬふりするとか、やめさせることができない子供たち、そして、やっぱりそのことに対しては、自分がこういう困難な状況でも周囲から大事にされている、見捨てられていない、愛されるという気持ちが、そうしたことに走らない、自己肯定能力ということで、これからも困難に立ち向かう子供たちを育てていくことにつながると思いますので、ぜひともよろしくお願い申し上げたいと思います。
 これで最後であります。先ほど図書館について吉田敬子委員からいろいろお話がありました。私は、読書や情報収集のために図書館があるわけでありますけれども、どうも行ってみると、古い本が相変わらずあるという状況があるのではないかと思っているわけであります。
 小中学校とか県立図書館の図書購入費の推移、あるいは生徒や県民の図書館の利用状況、先ほどお話がありましたけれども、司書とか司書教諭の配置の実際の実数、あるいは図書館利用拡大への取り組みについてお伺いします。
 また、その図書の購入については、どういう方法で購入されているか、あるいは地元の取扱店が、こういう本が出たよとか、ある書店からは全国のベストセラーを育て上げたという実績もあるわけでありますけれども、そうした図書の購入について、地元取扱店あるいは本屋さんとの何か連携のようなものがあるのかどうかお伺いします。
〇西村生涯学習文化課総括課長 まず、県立図書館から御説明申し上げたいと思います。
 県立図書館でございますけれども、図書資料等の購入予算の推移でございますが、過去5年間申し上げますと、平成19年度が3、736万5、000円、平成20年度が2、890万1、000円、平成21年度が2、713万円、平成22年度が3、446万4、000円、平成23年度が3、424万9、000円となってございます。
 次に、利用状況でございますけれども、平成23年度では51万2、250人となってございます。
 次に、司書の配置でございますけれども、県職員9名中3名、それから、サービス部門は指定管理者制度を導入しておりますが、指定管理者51名中41名、合計61名中44名の司書を配置してございます。
 それから、利用拡大に向けた取り組みでございますけれども、ホームページを利用した図書検索や貸し出しの実施、メールマガジンやフリーペーパー等の広報活動の積極展開、それから、コンシェルジュというものを配置しまして、利用者の案内機能の強化といったものに取り組んでおりまして、今後とも、多くの皆様に御利用いただけるよう取り組みに努めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、図書の購入方法でございますけれども、県立図書館では、岩手県書店商業協同組合からその大部分を購入しておりまして、その他につきましても、盛岡市内の書店等を中心に購入しているということでございます。
〇小倉学校施設課長 私からは、小・中・高の予算等の関係についてお答え申し上げますが、小中につきましては把握しておりませんので、申しわけございません、高校について説明させていただきます。
 まず、高校の図書整備に係る予算でございますけれども、平成20年度が3、902万6、000円、これは1学級当たりで計算いたしますと4万4、197円、21年度が3、623万5、000円、1学級当たり4万1、987円、22年度が3、623万5、000円の予算で、1学級当たり4万2、932円、23年度が3、576万6、000円の予算で、1学級当たりが4万3、040円という状況になっておりまして、ここ数年の状況を見ますと、ほぼ同程度の予算で推移しているというような状況にございます。
 それと、高等学校の図書整備の購入方法あるいは県内書店の利用といいますか、どこで買っているかということになりますけれども、県立高等学校の図書購入につきましては、学校によっては、発行所が直接販売する書籍や専門書などがございまして、県内で買えない事情等がある場合は、一部その県外の書店から購入する場合もございますけれども、基本的には、全ての県立学校において、地元の書店から図書を購入しているというような状況にございます。
〇小菅首席指導主事兼義務教育課長 小中学校の学校図書館の利用状況についてでありますが、平成23年度の読書状況調査によりますと、1カ月間に学校図書館から借りている本の冊数については、小学5年生で6.5冊、中学2年生で1.1冊となっておりまして、前年度に比べて、小学校で増加し、中学校でほぼ同じ冊数となっております。
 それから、学校図書館の利用拡大の取り組みについてでございますが、各学校では、朝読書の位置づけとか委員会活動、それから読書週間等の設定、授業の中での調べ学習など、学校図書館の持つ読書センターとしての位置づけと学習情報センターとしての位置づけを大切にしながら取り組んでいるところでございます。
 また、学校図書館の掲示や展示、机や椅子の配置を工夫したりするとともに、地域のボランティアによる活動が活発に行われているところでございます。
〇喜多正敏委員 映像とかインターネットが非常に活用されているわけでありますけれども、やはり本を読むと、眼光紙背に徹すということもあるので、ぜひこの図書館については、ますます拡大をしていっていただきたいと思っております。
〇岩崎友一副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時4分 休 憩
午後3時23分 再開
〇岩崎友一副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 委員各位及び執行部に申し上げます。この後、本日審査を予定している部局について、延べ15人の質問者が予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇城内愛彦委員 それでは、通告に従って質問させていただきます。教員費についてであります。端的にお伺いしますので、明快な答弁をお願いします。
 正規職員数と非正規職員数ということで、県の先生方の数の割合をお知らせ願いたいと思います。
〇漆原特命参事兼小中学校人事課長 私のほうから小中学校における正規職員と非正規職員についてお答えいたします。
 小中学校の合計の正規職員は─正規職員は校長、副校長、主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭を含みます─平成24年5月1日現在で7、922名、非正規職員のうち常勤職員は613名、非常勤職員は384名おります。その内訳としまして、小学校におきましては、正規職員は4、919名、非正規職員のうち常勤職員は334名、非常勤職員は184名となっております。
 また、中学校におきましては、正規職員は3、003名、非正規職員のうち常勤職員は279名、非常勤職員は200名となっております。
〇土川首席経営指導主事兼県立学校人事課長 県立学校における正規職員数と非正規職員数についてでありますが、平成24年5月1日現在で、県立学校全体としては、正規職員3、346名、非正規職員のうち常勤職員は436名で、そのほかに非常勤職員は266名でございます。高等学校においては、正規職員が2、541名、常勤職員305名、非常勤職員164名、特別支援学校において、正規職員805名、常勤職員131名、非常勤職員102名でございます。
〇城内愛彦委員 正規職員に対しての非正規というんですか、非常勤の先生方も結構多いんですけれども、次の質問に移りますけれども、こういう方々の中でクラスを受け持っている先生方というのはどれぐらいいらっしゃるのでしょうか。
〇漆原特命参事兼小中学校人事課長 小中学校における非正規職員のクラス担任数でありますけれども、5月1日現在で、小学校157名、中学校26名、計180名が担任となっております。
〇土川首席経営指導主事兼県立学校人事課長 県立学校における非正規職員のクラス担任数についてでありますが、平成24年5月1日現在で、高等学校においては9名、特別支援学校においては21名でございます。
〇城内愛彦委員 過日、新聞で、ことし、199名の先生方を採用するという話がありましたけれども、その中で、一発で先生になるという方は最近少ないと思うんですけれども、複数回チャレンジする方というのはどれぐらいの数がいらっしゃるでしょうか。
〇漆原特命参事兼小中学校人事課長 正確な数は把握しておりませんが、7割程度は複数回受験しているものと捉えております。
〇城内愛彦委員 1回で先生になれればいいんでしょうけれども、そうでないという方々がたくさんいる。その中にあって、クラス担任をしている先生方は、担任を持ってしまうと、なかなか受験勉強ができないという話を聞きました。
 そこで、県の事情とすれば、そういう方々は正規職員で本来賄うべきではないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えかお伺いしたいと思います。
〇漆原特命参事兼小中学校人事課長 先ほどお話ししました183名の非正規職員ですが、この方々は、正規職員でおいでになります先生方の産前産後休暇あるいは育児休業、長期の研修、病気休職等によるそのための補充となっておりますので、講師として、非常勤職員として担任されている方々を、今すぐ即正規職員として採用できる状況ではございません。
〇城内愛彦委員 そういう意味でお伺いしたのではなくて、本来、病気であったり産休というのもそのとおりだと思っていますし、それがゆえに非常勤というのはあると思っていますが、それにしても、非常勤の先生方で、本来、学校の先生になりたくて頑張っている方々がクラス担任をしてしまうと、なかなか自分のための時間が持てないということなんです。とすれば、もうちょっと余裕を持って教員の方々─今後、35人学級というのも多分進んでいくのだと思っています。ですので、ぜひ、そういう部分も含めて柔軟に先生方を採用してはどうかという思いでお話ししているんですけれども、その辺の私の考えは間違っているのでしょうかお伺いしたいと思います。
〇漆原特命参事兼小中学校人事課長 委員の思いは非常によく私もわかります。受けとめます。今後の教員定数、児童生徒の減少、あるいは国の定数改善計画等を見通しながら、多くの先生方、非常勤講師の方々を子供たちの前に出させたいと思っております。
〇城内愛彦委員 複数年、先生の試験を受けている方々は、本当に10回以上挑戦している方もあるようですので、そういった方々は、やっぱり試験を通らないと採用にならないですよね。まあ、それはいいです。
 次に移ります。図書費についてであります。先ほど来、吉田敬子委員とか複数の方々から図書費について質問が出ていました。私も若干質問したいと思います。
 学校図書の充足率ということでお伺いしました。そうしたならば、高校の分は充足率という定義がないという話をお伺いしたんですけれども、まず、わかっている分でお伺いしたいと思います。学校図書の充足率の状況をお願いします。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 県立高等学校には、ただいま委員がおっしゃいましたとおり充足率の規定がございませんので、1校当たりの図書館蔵書数の推移について御説明いたします。
 蔵書数の推移は、平成18年度は1万6、980冊、平成19年度は1万7、232冊、平成20年度は1万6、706冊、平成21年度は1万7、064冊でございます。毎年新しい図書を購入いたしますけれども、年々増加しているわけではございません。図書館は、図書貸し出しのほか、学校では調べ学習等を行う場でもあるため、閲覧や学習のためのまとまったスペースが必要でございます。図書を収納するなどの配架スペースに限度があります。図書が単純にふえないのは、スペース確保のため、年度によっては蔵書を選別し、廃棄することが必要であるためでございます。
〇城内愛彦委員 小学校、中学校の部分は押さえてないということでしょうか。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 市町村の小中学校におきましては、文部科学省が実施している学校図書館現状調査によりますと、本県の小学校の約53%、中学校の約45%が文部科学省が定める学校図書館図書標準を達成している状況でございます。
〇城内愛彦委員 高校になって、なかなか本を読む機会が少なくなる。クラブ活動等も一生懸命やっているという話を聞きました。
 そこで、やっぱり小中学校の段階でしっかりと図書になじむというんですか、そういう習慣を身につけるというのは、先ほど来、皆さんからもお話が出ていますので、私もそのとおりだと思っています。ぜひ、県としてこういう支援こそするべきではないかと私は思っております。
 私の地区の宮古市では、前市長がそれを憂えて、基金をつくって、自分の退職金を寄附して、そういう蔵書に向けた動きをしました。平成25年で充足率が宮古市では100%になるそうです。そういうことというのは、奇特な人はなかなかいませんので、県としても、小・中・高がしっかりと連携するような動きをするべきだと思いますが、その辺、教育長、どうでしょうか。
〇菅野教育長 学校図書館における蔵書の充実というのは非常に大きな課題だろうと思ってございます。小中学校におきましては、地方財政措置の中でそういった措置が講じられてもおります。したがいまして、最終的にはそれぞれの市町村の御判断にはなるわけなんですが、私どもとしては、やはり学校図書館の重要性に鑑みて、会議といった場におきまして、それぞれの市町村教育委員会に対しまして、そういった充実方策についてお願いを申し上げているところでございます。今後とも市町村とともに─特に、これから小・中・高校連携が言われておりますので、同じようなそれぞれの地域の子供たちですので、そういった子供たちのための学校図書の充実に努めていきたいと思っております。
〇城内愛彦委員 制度上の仕組みというのは私も存じていてお伺いしましたので、ぜひ、そういう意味での意見交換等も含めて、しっかりと子供たちを真ん中に据えた形で進めていってほしいと思います。
 次の質問に移ります。キャリアアップサポート推進事業費についてであります。この事業は、午前中、及川幸子委員の質問にもあったんですが、私からもちょっとお伺いしたいと思っておりますけれども、この事業の成果はどうだったかお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 キャリアアップサポート推進事業費補助についてでございますが、産業界と教育界の連携により、本県の産業教育の振興を図ることを目的に設置されております岩手県産業教育振興会が行うキャリアアップサポート事業への補助を行ったものでございます。平成23年度は、盛岡工業高校が行った小学校への出前授業の材料費、宮古商業高校や釜石商工高校、遠野緑峰高校、水沢商業高校が行った、小岩井農場を会場とした販売体験授業に参加する生徒の交通費、さらには農業クラブ全国大会への生徒参加費、旅費補助等、専門高校が実施する19件、12校の取り組みの支援を行っております。
 キャリアアップサポート事業は、専門高校が実施する取り組みを支援するものでございます。生徒みずからが企画し、関係者と交渉して事業実施する体験や、実際に商品の企画から仕入れ、販売、決算に至る販売業務を経験することは、実際の仕事の大変さや接客の大切さが実感でき、社会人、職業人として自立するために必要な知識や態度を育てるものになっております。
 県といたしましては、今後とも産業界と連携して専門高校の活動を支援することにより、本県の地域産業を担う人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 ぜひ、この事業についてはしっかりと連携してほしいと思っております。
 過日、商工労働観光部のときも質問したんですけれども、ことしは就職率がいいそうですけれども、実業高校から職場に就職して、すぐやめてしまう子供たちが多い。せっかく受け入れた職場のほうでも、昔のようにじっくり時間をかけて育てる企業というのは今はないんだそうです。即戦力になる人を欲しいということで、求める部分は高いんだけれども、子供たちのスキルがなかなか伴わないまま行くのか、思いが違うのか、その辺のずれというものがあるみたいなので、ぜひ、教育委員会サイドでもしっかりとフォローアップしてほしいと思うんですが、そういうお考えというのはあるのか、また、やっているのかも含めてお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼高校教育課長 今のキャリアアップサポート事業とかインターンシップ等で、各企業とか地域の方々と一緒にこれからの産業人を育てていこうというようなことになっております。
〇城内愛彦委員 機会があって新社員で正社員でとってもらうということはそうはないことで、一回入ってしまって長く勤めることが企業にとってもいいと思いますし、一度やめてしまうと、今度、再就職というのはなかなか難しいです。款項目で別なところに出てきますけれども、ニート対策とかいろいろな問題が出てきますので、ここでしっかりとつないでおくと、後々、県の負担にもならないと思うので、いろんな形で後押しをするというのは、今後、もうちょっと幅を広げて、視点も広げて対策を考えてほしいと思うんですが、教育長、どうでしょうか。
〇菅野教育長 専門高校の教員や子供たちといろんな話をすることがあるんですが、やはり子供たちも随分真摯に向き合っているという感じがいたしています。世の中の企業、経済状況がこういうことなので、やはり自分がしっかり働かなければならないという意欲を持っていってくれていると思います。
 ただ、その辺について、ミスマッチですとか、全員がそういうふうに認識しているかというと、それはまたいろんな課題があろうと思っていますので、それこそ、やっぱり地域、企業、産業界、おかげさまでそれぞれの地域においてネットワークができていますので、そういったネットワークとも十分連携を図りながら、子供たちの将来の職業、こういったものにつくということについての意義づけも含め、私どもとしても全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
〇城内愛彦委員 ぜひ、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に移ります。県営野球場についてであります。県営野球場の利用状況についてお伺いしたいと思います。時間がないので、あわせて改修予定はあるのかどうかお伺いします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 岩手県営野球場の過去5年程度の利用状況でございますが、改修工事の実施などによりまして、年度ごとに多少の増減はありますが、およそ15万人程度の利用がございます。
 改修予定でございますが、昭和45年4月に開場した施設で、老朽化が進行してございますが、計画的な維持補修を行いまして、安心して利用できるように努めているところでございます。今後におきましても、利用者の安全を最重点といたしまして、必要性、緊急性を考慮しながら、計画的な維持管理、補修を行って、施設の耐久性の確保に努めてまいる考えでございます。
〇城内愛彦委員 ことしの夏にオールスターが来ました。その際に、私はチケットがなかなか手に入らなくてテレビ観戦になったんですけれども、その際、見ていて感じたことは、プロの選手でも取れないような球が飛んでくるんです、県営野球場では。次の日、郡山の球場での試合をテレビでまた見たんですけれども、郡山の球場のほうが何か芝生もきれいで、イレギュラーもないというのは、あれはちょっと、見ていて、全国の方々に岩手県営野球場のある意味のすばらしさを知らしめたんじゃないかと思うんですが、ぜひ、しっかりとした─改修をした予算の内訳も見させていただきましたけれども、多分、来る国体の主の硬式野球の会場になるんだと思いますけれども、計画的にしっかりと改修方をしていったほうがいいのではないかと。内野の水はけも今のところはいいようですけれども、そういった施設も、やっているのも資料をいただきましたので、それはそのとおりだと思っています。ただ、いかんせん、外野の芝生、あの辺がちょっと傷んでいるようですので、その辺も計画的に改修していただきたいと思いますが、お考えを再度お伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 施設につきましては、大事に計画的にきちんと使っていこうと考えてございますので、使用状況等を見ながら計画的な補修に努めたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 私は専門分野が柔道であります。野球以外、専門分野以外の人が言うんだから、よっぽどのことだと私は思うんです。ぜひ、その辺を加味して計画を立ててほしいと思います。以上です。
〇郷右近浩委員 私も何件か質問させていただきたいと思います。
 最初に、国体選手強化施設についてお伺いさせていただきたいと思います。この質問については工藤大輔委員よりも質問が出た部分でございますが、重複しないようにしながら質問させていただきたいと思います。
 まずもって、一番最初に、8、186万9、000円の決算額につきましては設計費ということでお伺いしておりますけれども、今後の対応はどのようにしていくか、そういったことをお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 国体選手強化施設、いわゆるドームのことでございますが、委員御指摘のとおり、設計費を積んで、実施設計をもった段階で事業が停止してございます。
 活用期間を十分確保できないなどの理由から、平成28年度を目指した整備は行わないということにしておりますが、今後につきましては、第71回国体終了後の選手強化体制、あるいは東日本大震災津波からの復興状況等を勘案し、整備の必要性を含めて検討を進めることとしてございます。
〇郷右近浩委員 確かに、今、大規模施設に関しては全て凍結というような部分もあり、さらには今回は国体に間に合わないという、もちろん、そうしたもともとの部分もあって凍結になっているということでございます。ただ、凍結といっても、私は、実際問題としてはなかなかもう難しいのではないかというような感触を持っているものでございます。しかしながら、このドーム自体はともかくとしても、医・科学センターの必要性というのは、今後、岩手において、これからの子供たちの育成であり、さらにはスポーツをやる方々のサポートをするために本当に必要なものであると考えているものであります。
 先ほど、工藤大輔委員の質問に対しまして、来年度から県営施設として設置するといったような形の答弁がございましたけれども、どのようなものをどこにというようなことでの大体の計画とか何か、進んでいるものがあるのであればお示しいただきたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 県営施設としての整備ということではございませんでということで、今、御説明いたしますが、いずれ、スポーツ医・科学の理論に基づいた科学的、計画的なサポート体制が競技力向上、県民の健康づくりには必要だという認識に立ってございますが、県内にはスポーツ医・科学の拠点となる専門的な施設や組織がございませんので、スポーツ医・科学に基づくトレーニングあるいは健康増進の支援が可能となるように、早急に体制の整備、専門スタッフの配置が必要になると考えてございます。
 先ほど、工藤大輔委員への答弁の中でもございましたとおり、場所をお借りいたしまして、管理部門としてさまざまな事業を企画、運営していくようなイメージを持ってございます。想定しておりますのが県営体育施設のどこかというようなことで、現段階では、事業担当課としては検討を加えているという段階でございます。
〇郷右近浩委員 わかりました。県営じゃなくて県有施設としてという先ほどの答弁につきましては、ちょっと私が誤っておりましたことをまずおわびいたしたいと思います。
 私自身、今回、早急にドームをつくらないという形であれば、例えば公園の緑地部分の確保であったり、公園法の中のさまざまな問題をクリアするためにも、例えば県営運動公園の中にも医・科学センターであれば設置できるのではないかなどということを実は考えているものであります。そこにつきましての、これは私の思いですので、後で所感をいただきますけれども、そしてそれが、例えば今やっているスーパーキッズ発掘・育成事業なんかにもつながっていくのではないかということで、競技力向上対策事業費についてもあわせてお伺いしていくわけでございますが、県体育協会のほうに委託しております事業を今後どうしていくのかということをちょっと私自身は考えております。と申しますのは、まさにきのう行われておりました岩手県中学校新人大会におきまして、陸上競技等の個人競技であったり─こちらは陸上競技は秋季大会というような形の呼び方をしているやと聞いておりましたけれども、また、それぞれの団体競技の中で、スーパーキッズの子供たちが非常に活躍している部分というのが私自身見えてきたというか、そうしたことにより効果は確実に出てきているんだなということで拝見させていただいておりました。そうしたこの競技力対策事業というか、その強化事業を今後いつまで続けていくのか、そしてまた、岩手国体後、どのようにしていくのか、その部分についてお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 いわてスーパーキッズ発掘・育成事業につきましては、JOC─日本オリンピック委員会あるいは国立スポーツ科学研究所などの有識者を交えましたプロジェクト委員会を組織して事業の企画に当たっているところでございますが、その委員会の中では、国体における活躍のみならず、さらに上のレベルである世界で活躍するトップアスリートを目指す事業として位置づけられてございます。したがいまして、本県から2020年のオリンピック出場を目標とするなど、平成28年の国体が終わりましても継続して事業を進めていくという考えを持って動いてございます。
〇郷右近浩委員 2020年のオリンピックに向けてという、確かに子供たちの中ではそれがかけ声になっているということも聞こえてまいります。私自身、国体に向けて、まず一つの山場はそこかなということを思っていたんですけれども、子供たちの意識というのがオリンピックという、そこに向かっているのではないかということで聞いておりますし、また、このスーパーキッズの育成事業については、すごい指導者の方々に教えてもらえるだとか、そうした親御さんたちの声等も聞こえております。例えば、これまでの学校スポーツ、クラブ活動の中ではなかなか会えなかったような指導者の方であり、そうした体制というのは非常によくやっていただいているというのも聞いております。
 ただ、先ほど来もほかの委員からの指摘にもありましたとおり、チャレンジ2にエントリーする人数であったり、チャレンジ3にエントリーする人数がどうしても少ないといったような部分の指摘があるのも実態であります。しかしながら、この部分に関しましては、今お話しさせていただきましたとおり、例えばそういう指導を受けられるであったりとか、子供たちがどのような形で取り組んでいるかというのがなかなか表に伝わってこないのでありまして、教育委員会が体育協会と一緒になって取り組んで、そこでとにかくいい選手をつくる、子供たちを伸ばすという、確かにそこが主眼ではありますけれども、そのようなことをやっているということをさらにアピールすべきと考えますが、その点についての御所見をいただきます。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員御指摘のとおり、先ほども申し上げましたとおり、ことしも300人のチャレンジ2への応募状況ということでございまして、この事業の意義等を積極的に広報しながら、そしてその効果も、先ほどありましたとおり、活躍している選手を具体的に出しながら皆さんにお伝えしていって、実りある事業にしていきたいと考えてございます。
〇郷右近浩委員 そういう意味では、改めて広報に力を入れていただいて、子供たちに、そういうスーパーキッズという取り組みに対して参加するモチベーションというか、ぜひとも持たせていただくような取り組みを続けていただきたいと思っているところであります。
 そこで、私自身、もちろん今の対象年齢、小学校5、6年生からのスーパーキッズという部分につきましては、確かにさまざまな形での効果も出ているし、その必要性というのも感じているわけですけれども、さらには、実は3歳ぐらいから、幼少期、年少期のころの基礎トレーニングというものが子供たちの運動能力の発達に対して非常に効果的であると考えております。今後、例えば2020年のオリンピックに向けて、さらにはその後続く岩手のスポーツを支えていくといったような観点で考えるならば、今現在は総務部所管の私立学校振興運営費補助の特色ある幼児教育振興事業において、幼稚園ごとに体育だとか水泳だとか、いろいろな取り組みはされています。ただ、そういうものじゃなく、もうちょっと体系立ったような、県として、教育委員会として一緒になって子供たちの運動能力開発というか、そうした部分もやっていくべきだと思いますし、そのためにももちろん医・科学センターがぜひともその拠点になるべきと考えますが、あわせてお考えをお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員御指摘のとおり、幼児期における基礎運動能力のトレーニングは、運動機能が急速に発達する時期でございまして、多様な動きを身につけやすいということで、大変効果があると言われてございます。
 しかしながら、幼児期を含めたスーパーキッズ対象前の児童生徒に対する取り組みも必要であるとは認識ございますが、取り組まれてございませんので、県サッカー協会などがキッズプロジェクトを実施したりしている例もございます。幼児期を含めた年代を対象に取り組んでいる取り組みも県内にもたくさんございますので、今後、競技団体あるいは幼稚園などと連携を図り、スポーツ医・科学の進展というような観点から、幼児期の事業についての必要性、そして実施の可能性について検討してまいりたいと考えます。
〇郷右近浩委員 県サッカー協会の話が出たので、これ以上ここは詰めませんけれども、岩手県サッカー協会において取り組んでいるのも、サッカーのみならず子供たちのそこの本当にいい年代というか、3歳からアンダー6であったりアンダー8というそこの年代に対してどのような取り組みをすれば子供たちの運動能力が伸びるか、まさにそこに主眼が置かれているといったことを一緒になって県としても取り組んでいただきたいと思うところでございます。
 最後に、いじめについて質問させていただきたいと思います。こちらは、先ほど来、皆様方からさまざまな御意見等が出て、さらには教育長より、いじめに対する共通認識を持って対応していくと。全ては本当にそこにかかってくるのかなということで、答弁は全部出たようなものでございますけれども、しかしながら、そこの部分の共通認識という部分についてちょっと質問させていただきたいと思います。
 先日来、指導主任だったり、そうした方々を集めて指導したという話ではありますけれども、しかしながら、現場まで全部伝わっていくのかと私自身は非常に危惧するものであります。といいますのも、どこの誰、何という話ではありませんけれども、ちょっと控えますが、先日、3省庁より省令が発せられて、交通安全の点検だということで、施設の点検ということの話が出た、その直後の地域懇談会及び保護者会において、学校側からは、その点についてはきょうは討論する場ではない。きょうは生活環境の部分についてのお話でございますと。最初から校長先生が、その点についても皆様から意見を伺いたいと言っていることに対して、仕切りのほうで、この件についてはきょうは違いますのでという話になった。どこまで、教育委員会の皆さん方が、そのとき、そのときのその事柄を真剣に考えていても、ちゃんと末端までつながっているのかなと、私はちょっと不思議が気持ちがしながら、その場に居合わせていただきました。
 ただ、それはそれでその場でちょっといろいろ話をさせていただいたんですけれども、それはそれとしても、しかしながら、今回のいじめの問題も、現場の子供たちと毎日向き合っている担任の先生方だったり、そこが同じ認識でもってきちんとできるのかなという危惧を抱いているものであります。ともすれば、本当に難しい問題だというのはわかります。例えばある生徒を呼んで事情を聞いたとすれば、じゃ、その生徒が誰かをいじめたかのような捉えられ方をする。さらには、皆様方がアンケートであったり意見聴取をする。ところが、そこには、細かいものというような話ではないと思います。しかしながら、やはりいろいろな形の、じゃれ合っているような部分であったり、じゃ、それを本当に一つ一つ検証していくのかといったような、それも難しい話である。しかしながら、それをただきちんと丁寧にやらないと、そのこと自体が今度は新たないじめを生んでいくんじゃないかというものも危惧しているものであります。現場の先生方におかれましては本当に大変だと思います。大変だというのは理解しながらも、しかしながら、きちんと認識を一緒にするということについては本当に徹底していただきたい。できることなら、各市町村全部、みんなで一緒になって認識を同じくして考えていけるようにきちんと体制をとっていただきたい。このことをお願いして、所感をいただきながら終わりたいと思います。
〇菅野教育長 委員の御指摘のとおり、非常に大事なことでございます。本会議で教育委員長が、家庭、地域と一体となってということを申し上げ、ただ、その前提としては、やはりプロとしての教員がまず中心になって先頭に立たなきゃならないということも申し上げていましたので、その認識については教育委員会の中で統一したいと思ってございます。
 そういう思いがみんなで共有できるのかというお話もございまして、今回の研修会においては、そういう意味で今までの県─代表者ということではなくて、各学校の生徒指導担当、あとは市町村教育委員会の生徒指導担当に悉皆で参加をお願いしたというのは、そういう思いもございます。順次、教育事務所を通じてつなげるのではなくて、各学校に直接同じ問題、同じ考え方、みんなで集まって考えていただきたいという思いでこういう研修を行いました。ただ、1回で済むとは思ってございませんので、今後の状況をずっと見させていただきながら、こういう研修、いろんな取り組みを継続できるよう、私どもも努めてまいりたいと思っております。
〇神崎浩之委員 滋賀県大津市の事件の教育委員会の会見を見させていただいて、本当に教育委員会は子供を守っているのかなと思いました。そこから端を発しまして、全国、他の教育委員会等の事件に対する会見、コメントを見させていただいたんですが、どうも、教育委員会は、個人を守るというよりは組織を守る機関なのかという印象を私は持っているんですが、その点について、多田教育次長にお伺いしたいと思います。
〇多田教育次長兼学校教育室長 教育委員会ということについて、今、他県の教育委員会も含めてのお尋ねということでございますが、本県の教育委員会のこれまでの取り組みも御承知のとおりだと思いますし、それぞれ32市町村の教育委員会も、今回のいじめという問題につきまして、それに限らずなんでございますが、常に県教育委員会と市町村教育委員会、何よりも学校現場の実情、実態をしっかりと情報共有しながら、その情報もしっかり明らかにしながら、隠すことなく、それぞれ保護者も、地域もこの問題に真正面から取り組んでいきましょうということがまずスタートになっておりまして、この間の委員長のそのようなお話も、そういう背景を踏まえての全県一緒になって取り組んでいきましょうという気持ちのあらわれでございまして、まさにその先頭に立つのが県の教育委員会であると強く覚悟を持って取り組んでいるところでございます。
〇神崎浩之委員 他県のコメントを求めてから本県の考え方と状況について聞くつもりでありました。
 本当に個人を大切にしているのかなということを、私は、あの事件以後も、多くの保護者の皆さん、子供たちの状況をちょっと聞かせていただいて、岩手県の教育委員会も同じようなところがあるのではないかということをちょっと心に思いながら質問していくわけなんですが、通告で、まず最初に少人数学級、少人数指導の少人数教育についてお聞きしたいと思います。
 先ほど、午前中、先輩委員からは孫がということでありましたが、私は娘がということで、うちの娘がちょうど小学校6年生のときに、少人数学級、少人数指導のモデル事業をやった時期でありました。
 そこで、小学校の低学年については少人数学級がいいのではないか、高学年については少人数指導がいいのではないかというようなモデル事業の結果があったようであります。
 そこで、今の実施状況とその成果について─その成果については子供たちにとってどうだったかという切り口でお尋ねをしたいと思います。
〇漆原特命参事兼小中学校人事課長 お尋ねの本県の少人数教育ですが、35人を基準とします少人数学級、国からの加配定数を活用した少人数指導、そして県の単独予算によります非常勤講師の配置によるサポート推進事業の3本柱で進めております。
 お尋ねの少人数学級と少人数指導の実施状況と成果でありますが、まず、少人数学級は、御存じのとおり、本県では平成18年度に小学校1年生、平成19年度に小学校2年生に導入し、中学校1年生については本年度から全面実施しているところであります。本年度の県の少人数学級の対象校ですが、小学校1年生は28校、小学校2年生は32校、中学校1年生は34校が対象となっております。
 これらの成果につきましては、アンケート調査による結果ということで、これは子供の視点というよりも職員の視点という形になりますが、逆に言いますと、職員の視点は子供の育ちを見取ったということでお話をさせていただきます。
 少人数学級の成果としては、小学校では安全、健康管理面、学習集団のまとまり、そして児童生徒の基本的生活習慣等の定着に効果があるとあります。また、中学校におきましても、小学校と同様、生徒の基本的生活習慣の定着、中1ギャップの緩和、不登校や問題行動の抑止など生活面での効果があることと、学習面におきましても、授業中におきまして子供たちの発言の機会が多くあるという効果が挙げられております。
 また、少人数指導につきましては、本年度は小学校128校に215名、中学校114校に201名、小、中合わせまして242校に416名を配置しております。複数の教員によりますチームティーチングや習熟度別指導等による指導方法の改善に取り組みまして、その成果といたしましては、先生側からしますと、教員の指導力、授業力の向上、あるいは子供たちの一人一人に応じたきめ細かな指導による基礎学力の向上など、学習面に効果があるということをアンケート調査でまとめております。
〇神崎浩之委員 この件については、岩手県は国の制度に加えて県単独で実施しているということで、実に評価できると思っています。
 ただ、先ほど言いましたとおり、結果的に子供たちがどうなっているかということです。私は冒頭でも言いました。子供のためにやっているのか、組織のためにやっているのかという話をさせていただいたわけなんですが、やっぱり主語は、子供たちがどうだったのかということを、小学校1年生だから聞いてもわからないではなくて、親にアンケートをとるとか、高学年とか何かについては、親に対しても説明をしながら、こういう体制をとったんだけれども、どうですかということをできるだけ、先生たちがこう言っているからということではなくて、個人、親から聞くようなことをやっていただきたいと思うんですが、教育長、いかがでしょうか。
〇菅野教育長 委員御指摘のとおり、やはり子供たち一人一人に寄り添った教育というものが一番大事だろうと思ってございます。そういった意味で、県の施策、教育委員会の行っている施策が子供たちにどう影響し、それを支援しているのか、また、それを親御さんがどう評価しているのかというのは非常に重要な視点だろうと思ってございます。
 私どもの県におきましては、教育振興運動ですとか、そういう伝統がございます。そういった意味では、地域、家庭の御支援をいただきながら私どもの教育を進めているわけでございますので、今、委員から御提言のありました内容を含め、子供たち、親御さんから県教育委員会の施策がどう評価されているのか、それをどう見ていただいているのかということを常々思い描き、またはいろんな御意見を伺いながら施策の構築に努めていきたいと思っております。
〇神崎浩之委員 次の質問でありますが、教育総務費、児童生徒健全育成推進費の中に、先ほど、スクールカウンセラーというものがありました。今、いろいろ子供たちに対するサポートをして、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、それを支援する心のサポートチーム、支援チーム、臨床心理士等々がいっぱい出ております。これは意外と複雑な仕組みなんですね。私もいろいろと見ているんですが、なかなかよく─スクールカウンセラーとかソーシャルワーカーとか、そういう人間が派遣されているようだっけということはわかるんですが、これらについて少し整理してわかりやすく、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、臨床心理士の関係等、簡潔にその業務内容、実施体制についてもお聞きしたいと思います。
 それから、先ほど、数については、スクールカウンセラーについては紹介がありましたけれども、スクールソーシャルワーカーの配置についてもあわせて御紹介をお願いします。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 初めに、スクールソーシャルワーカーについてでございますが、業務内容につきましては、問題を抱える児童生徒が置かれている環境への働きかけというのが主となってございまして、特にもここはカウンセラーと違うところで、関係機関等とのネットワークの構築ということ、例えば外に出て活動するとかということがございます。
 実施体制といたしましては、今年度、教育事務所に9名を配置してございまして、市町村の求めに応じて、例えば不登校児童生徒の登校支援等に、これも例えば家庭訪問をするだとか、そういうお取り組みをいただいているところでございます。
 次に、カウンセラーにつきましては、先ほども一部申し上げたところでございますけれども、業務内容につきましては、特にも、学校にいて、児童生徒、保護者、教職員等へのカウンセリング、また先生方への指導といいますか、コンサルテーション等を対応していただいているということでございます。
 実施体制といたしましては、これも先ほど申し上げましたように、各学校で今はスクールカウンセラーを活用できる体制を構築しているところでございます。体制、内容については以上でございます。
〇神崎浩之委員 学校から保護者にお便りが来ても、何がソーシャルワーカーで、カウンセラーで、臨床心理士だとか、わからないわけです。その中で、どういうふうな相談ができているのかと疑問を持つわけなんですが、成果はあえて聞かないんですけれども、私は、せっかくのこういうプラスの機能というのがきちんと効果が発揮されているのかなという心配があるんです。逆に、専門職を配置することによって、本当は担任の先生がやることが、責任が、無責任になると言ったら失礼ですけれども、薄くなったりとか、そういう心配をするわけであります。
 このカウンセラーとかソーシャルワーカーの配置というのは、その学校にずっといるわけではなくて、求めがあればとか、定期的に週何回とか、年何回ということで、臨時的に学校にうかがうような体制でありまして、学校側にすれば他人なんです。ほかの部署の人がたまに来るという状況の中で、果たして子供たちとか親が信頼を持って相談できるかということが一つでありますし、また、学校側においても、担任の先生がいながら、臨時的に来る方、この連携がうまくとれているのかなという心配を持っているわけであります。学校があって、校長先生がいて、担任の先生がいるわけなんですが、そこに他人の機関のソーシャルワーカーとかカウンセラーが入ってくる場合に、担任の先生ときちっと連携をとって、プラスの面で子供たちを応援できるかなというのが非常に心配なところであります。
 子供たちの悩みに対して守秘義務もあるでしょうから、こういうことをストレートに担任の先生とか校長先生に言っていいのかどうかということも、カウンセラーとかソーシャルワーカーは悩むところでありますし、そういうことで、他人の専門職が入ることによって、うまく機能していけるのかなということを経験からすごく思うわけなんですが、その辺の心配についていかがでしょうか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 委員御指摘の件でございますけれども、特にも学校において相談といいますか、教育相談をしていく上で重要なのは、そこの現場といいますか、担任等の対応力を上げていくことがやはり重要だろうと考えてございます。よって、カウンセラーなりソーシャルワーカーの専門の方々が入ってくることによりまして、何も、問題をそちらに丸投げと言いますか、移すということではなくて、ぜひ、学校体制の中で、教職員がベースとなりながら、専門の方々の指導、助言を得て、子供のための相談、保護者のための相談となるようにお願いしているところでございますし、カウンセラー、ソーシャルワーカーに委嘱している方々におきましては、年に数回の研修を通して、学校のあり方、また学校の教育相談体制において情報を共有しながら、ぜひお願いしているところでございます。
〇神崎浩之委員 スクールカウンセラーもソーシャルワーカーも時間幾らで雇われて、ほかに仕事を持ちながら、頼まれればそっちの学校に臨時で派遣されるというような体制の中で、うまく機能していただきたいと思っております。特に、子供たちの相談というのは、学校に座っていて、何か相談があったら言ってくださいよということではなくて、やはり家庭にさまざまな課題がある、そういう中で学校から出向いていって、家庭の中に入って相談を解決しないと、子供たちはなかなか向上できないんだという思いがあります。
 そこで、さっき言いましたけれども、学校があって、その上に市町村教育委員会があって、その上に県の教育事務所があって、そして皆さんの県庁の10階があるわけなんですけれども、そういう中で、今のような学校にいるということではなくて、学校から出向いて相談を受け、解決するというようなことについて、県庁としてはどういうふうに支援、連携を構築させるように考えているのかお尋ねしたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 先ほども申し上げたことでございますけれども、やはり子供をベースに考えていった場合に、より近くにいる方々が、より近くにいる範囲でぜひやっていただきたいと考えておりまして、当然、それが学校であり、一番近いところであれば市町村教育委員会であり、そういうところへの人的派遣、また、その体制の整備等への御支援というのは今後も続けてまいりたいと考えてございます。
〇神崎浩之委員 この要綱を見ますと、児童生徒ももとよりなんですが、教職員や保護者に対して助言、援助するとか、学校内におけるチーム体制の構築支援というような、他人が入ってきて、学校の中でいろんなことをやるというのはなかなか難しいんじゃないかな、大変な仕事じゃないかなと思っておりますけれども、ぜひその点を踏まえて御指導いただきたいと思っております。
 最後の項目でありますが、教育センター費の教育センターでありますけれども、ここについては、この冊子を見せていただきまして、教育センターの目的がいろいろ書いてあります。これが実施されれば、岩手県にいじめの問題も学力向上も解決するのではないかというぐらいすばらしい要覧を見せていただいております。
 その中で、いろいろ業務はあるわけなんですが、特に悩みを抱えている学校の先生に対する教育センターとしての支援についてお伺いしたいと思います。
〇藤澤学校企画課長 総合教育センターの支援事業について申し上げたいと思います。
 総合教育センターでは、学校生活に心配がある、あるいは発達に心配があるといった幼児、児童生徒及びその保護者の教育相談に応じるとともに、教職員に対しましても、児童生徒の心のサポートを目的とした研修を実施するなど、その具体的な対応や指導のあり方をサポートするための援助を行っているところでございます。
〇神崎浩之委員 震災もそうなんですけれども、震災以前からやはり悩んでいる先生方というのは多いんです。それに対する御支援策、支援センター、教育センターということで、すごく大きな役割があると思うんですよね。
 その中で、学校の先生というのはエリートなものですから、なかなか自分の弱みを出せないのではないかと私は思っているわけなんですけれども、そういう中にあって、さまざまな場面で悩んでいる先生方がおります。この要覧の中にもいろいろな学校生活に関する心配、こういう内容をやりますよというようなことが書かれておりますけれども、私は、教育委員会の皆さんが、悩んでいる学校の先生を助けられないのに、子供たちを助けるということはできないのではないかと思っております。そこで、学校の先生の支援についてしっかりやっていただきたいと思っております。
 それで、先ほど個人を大切にするのか、組織を大切にするのかという話もしたんですけれども、もう一つ、私が一連の報道の中で気にかかることは、教育委員会の方が、あの子供は家庭に問題があると言う場面が結構あったわけなんですよね。そこで、私は、家庭に問題があるというのは当然じゃないかと。家庭に問題があって、子供がちょっと外れていくということは当然じゃないかと思うんですけれども、その家庭に問題があるという理由で、そこでとどめていることはないのかなと思っております。
 そんなことも含めて、そんなことはもう当然であるので、やっぱり環境を改善しないことには子供たちに光が当たっていかないと思うんですけれども、そういう理由でとまっていることってないでしょうか。そこから踏み込んでさまざまな専門チームがかかわっているのかどうかお聞きしたいと思います。
〇菅野教育長 子供たちを取り巻く環境はかなり多様化しています。そういった意味で、いろいろ課題を抱えている子供たちがいることもまた事実だろうと思ってございます。やはりその子供たちを預かっているのは学校でありますので、ただ、学校がそれを全て解決できるというわけでは、当然これはなかなか難しいだろうと思います。教員は全てのものについて精通しているわけでもございませんし、それぞれの専門的な機関もございます。
 ただ、私どもとして取り組むべきなのは、それぞれの子供たちが抱えている実情に応じて、例えば福祉機関ですとか児童相談所ですとか、それぞれの関係機関がありますので、そちらの関係機関と一緒になって取り組むと。その主体的なところをまず学校が動かなければ、そういった関係機関との連携は進まないだろうと思ってございますので、そういった意味で、学校が全て背負い込むのは当然できないわけですが、ただ、学校がまずそういった口火を切るといいますか、そういった専門機関との連携を行えるようないろいろな体制をとっていく、もしくは、それについての、先ほどお話のありましたスクールソーシャルワーカー、それから、あとは臨床心理士、スクールカウンセラー等の支援をいただきながらそういった動きをしていく、そういったものが非常に大事ではないかと思っております。
〇神崎浩之委員 あと3分ありますが、これだけにします。
 10月19日のテレビ朝日の報道ステーションで、いじめが阻む進学……、高校受験に不条理な壁というような放送があったんですが、誰か見ましたか。見ていないですか。これは後日議論したいと思うんですけれども、そんなことで、つらいながら頑張っている子供っているんですよ。つらい環境にいながら、いじめであったりとか、不登校であったりとか、それから、大変な病気で、それでも頑張っている子供がある。その子供を、やっぱり応援していくような教育委員会でいただきたいと思うんですね。
 日本国憲法の中に幸福を追求する権利がありますよね。私は、教育委員会は、そういう頑張っている、大変な状況においても頑張っている子供たちを応援しないような先生に対して、強く指導していただいて、教育センターのこの表紙には、すべては光ると書いてあるんですね。子供たちに、すべては光るということが書いてありますので、そういう意味で頑張っていただきたい。コメントを求めて、終わります。
〇菅野教育長 教育センターのその言葉、今の現所長の思いがこもっている言葉なんですが、そういった子供たち一人一人が、将来のこれからの岩手を担う大切な一人一人の子供ですので、そういった子供たちのために、私どもが教育という分野を担当しているわけですので、そういったことに思いをいたして、これからも努めてまいりたいと思っております。
〇久保孝喜委員 2点お聞きしたいと思います。1点目は、建造物の近代遺産についてでございます。
 きょうの質疑の中では、今回の大震災の中で、埋蔵文化財との関係を含めて大変微妙な事態に今立ち至っているということが浮き彫りになっているわけですが、私は、建造物に係る文化遺産、しかも、特にも明治期以降の近代遺産について、どのような認識でおられるのかということをまずお聞きしたいわけです。
 決算の評価書の中には、昨年度、津波によって流出した国指定の文化財が3件ほど登録抹消になったということもございますが、埋もれている、表に出ていない文化財ということも含めて、この間の登録文化財、特にも建造物の関係がどういう動向になっているのか、そして、今後の見通しでもし説明できる分があればお話をしていただきたいと思います。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 登録文化財の動向と今後の見通しについてでございますが、県内における登録有形文化財(建造物)の登録件数は、平成24年10月1日現在で77件でございます。また、昨年度以降、登録はございません。
 今後の見通しでございますが、現在、登録候補物件として、県内で数件の建造物が文化庁の現地調査を終えているところでございます。今後、所有者の保存に向けた意思が明らかになったものから、登録手続に入る見込みでございます。
〇久保孝喜委員 先般、東北の登録有形文化財など17件が新たに登録になったという新聞報道がございましたが、残念ながら、この中には岩手県の物件は入っていなかった、こういうことなんですが、実は、私のお隣、金ケ崎町に、県所有の非常に文化的価値が高いと言われ続けてきた建物、この建物が、報告書が出てからおよそ20年間にわたって全く手つかず状態のまま放置されているという物件がございます。
 金ケ崎町の六原というところにある県立農業短大で、今は農林水産部が所管して管理することになっているわけですが、これは、あすの審査でもお尋ねしたいと思っているんですが、こういう県所有で、しかも文化財的価値があるものについて、なぜこれほどに時間を要して、なおかつ、無対策というか全く手がかけられていないのかという疑問が、地域からも出されているわけですね。
 当該の自治体はもちろん、県所有物件ですから、そうそう簡単にこうする、ああするとは言えないという関係、しかもこの20年間にわたって何回か、地方自治体、金ケ崎町、県を含めて、さまざまに協議をしたという経過があるようなんですが、それでも実態は1センチも動いていないと。
 こういう事態があることについてどのようにお考えなのか、そして、こうした県の所有物で文化財的価値があるものはほかにもあるのではないかと思うんですが、その辺の実態についてお示しいただきたいと思います。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 最初に、県所有建造物の登録可能性物件の把握の関係についてからお答えしたいと思います。
 文化庁におきましては、近代化遺産(建造物等)総合調査等、国庫補助によりまして、各県において行われた調査において取り上げられた物件等を、重点的に登録有形文化財として登録する方針を示しているところでございます。
 この近代化遺産総合調査は、本県では平成7年度と8年度に実施されましたが、この調査において詳細調査の終了したもののうち、県所有のものは4件となっております。具体的には、岩手県公会堂、北上市立花の珊瑚橋、一関市川崎町の北上大橋、二戸市の荒瀬橋でございます。
 このうち、岩手県公会堂につきましては、平成18年に登録済みでございます。また、一関市の北上大橋につきましては、既に撤去されております。
 委員からお話のございました旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎につきましては、この近代化遺産総合調査における六原支部官舎の取り扱いでございますけれども、この近代遺産総合調査は、各市町村教育委員会への照会の悉皆調査、そして、その中から主要なものを選択した詳細調査という段階を踏んでやっております。この旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎の建物につきましては、その最初の段階の照会調査の300件の中にはリストアップされておりましたけれども、その中から51カ所を選定して行われました詳細調査、中には、先ほどお話ししました4件が含まれておりますが、その中には含まれていないものでございます。
 それで、この旧陸軍省軍馬補充部六原支部官舎の建物でございますけれども、明治44年につくられたものだと聞いております。それで、現在では用途廃止されておりまして、普通財産として農林水産部において管理しているものと伺っております。
 以前から、地元等から保存活用について農林水産部のほうに要望があると聞いてございますけれども、やっぱり何分古い建物でございますので、保存活用を図っていくには経費がかかるとも思います。今後、保存活用していくことが可能かどうかも含めて、農林水産部のほうにおきまして第一義的には検討すべきものと考えてございます。
〇岩崎友一副委員長 執行部においては、答弁は簡潔にお願いします。
〇久保孝喜委員 文化庁のそうした調査の中に、最終的にはこの軍馬補充部の建物については盛り込まれなかったと。よって、今の段階で県の文化財行政の対象とはならないという認識でいいんですか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 当該建物につきましては、町の指定の文化財にもなっておりませんし、県の指定の文化財にもなっておりませんし、国指定の文化財あるいは国登録の文化財ともなってはございません。
 ただし、先ほど申し上げましたように、100年前の建物でございますので、それで、地域においては、その地域の歴史を語る貴重なものであるという認識は持ってございます。
〇久保孝喜委員 1992年の金ケ崎町で出した報告書、その際は、検証した方は、岩手県の文化財保護審議委員会の委員長ですが、その方の文書を読みますと、この建物は、官舎とはいえ、今、私たちが暮らしている日本型住宅と言われるものの原形を当時の官舎という形式であらわした貴重な文化財的要素を持っているんだと。つまり、田の字型で構成したかつての民家が、やがて中廊下ができて、和室と洋室が派生して同じ建物の中におさまっていくという過程を考える上では、この官舎は、ある意味先駆的な方向性を示した建物である、こういうふうに書いているんですね。
 なおかつ、岩手県の場合は、まさに馬事文化という問題を含めて、明治の時代にこの軍馬補充部が岩手県に誘致された、そして、それがやがて六原青年道場になり、六原の農業短大になっていくという経過をたどるわけですけれども、いずれにしても、そういう町並み形成、あの近辺の町の名前も、この軍馬補充部があった時代にできたというような歴史的な背景もあるんですね。
 いずれにしても、そういう文化的価値がある、しかし、文化財としてはどうかと今、答弁なさいましたけれども、これまで20年間にわたって地元の町村も含めて話をしてきて、なおかつ、当時は良好な保存状態と言われていたんですが、今は管理自体がほとんどされない状態で、誰もが自由に出入りできる。なおかつ、3棟あるわけですが、町並みとして残っているという点でも文化的意味があると書いているんですね。
 なおかつ、これが平成18年の段階では、文化庁の長尾さんという建造物課の調査官も、早く整備ができればいいねというコメントを地元の自治体に残しているというようなこともあって、地元の方々は、これを基軸にしてまちづくりが何とかできないのかというようなことを言っているわけですね。
 ところが、肝心の所有者である県が一歩も方針を出さないというところで、今、一部の建物では、床が落ちて、まだ屋根が残っているので何とか持ちこたえてはいるけれども、地元の方々の話だと、恐らくこの冬を越せないのではないかというような緊急的事態に今、立ち至っているという話なんですね。
 そうすると、文化的価値があると言いながら、県が所有していながら、しかし、手をかけないまま、やがて朽ちるわけですよ。木造ですから。それを黙って見過ごしていていいのか。そこにやっぱり文化財行政の原点があるのではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
〇佐々木特命参事兼文化財課長 当該施設が地域の歴史をたどる上でごく貴重なものであるということの認識については、私どもも同じように考えてございます。
 いずれ、先ほど申し上げましたように、この建造物を保存活用していくには大変経費がかかるものでございます。一般論になりますけれども、こういった文化財を保存活用していく上で、誰が主体的になって取り組んでいくのがいいのかも含めて、農林水産部あるいは金ケ崎町と私どもと相談をしていきたいと考えてございます。
〇久保孝喜委員 私がこれをあえて取り上げたのは、そういう一般論とか、それから、もう話し合いの段階ではないということを言いたいがために出しているので、ぜひ、これは実際に管理責任が農林水産部にあるのでしょうから、ただし、文化財行政に携わる側として、その発信は、しかし、現実をきちんと見ていくということだけは忘れずに続けていただきたい。そのことだけ申し上げておきたいと思います。
 2点目、学校給食における放射線測定検査についてお尋ねいたします。
 この学校給食にかかわっては、これまでも議会でさんざん議論されてきたことなんですが、決算の場ですから改めてお尋ねしますが、学校給食における測定検査等についての基本的な方針、そして、現在行われている実態について簡単に御説明いただきたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 学校給食における放射線測定検査についてでございますが、県では、県産食材等の安全確保方針に基づいて、県内で生産される農林水産物の主な品目について、主要産地を対象にモニタリング等を実施しているところでございます。この取り組みにより、学校給食の安全性の確保に努めていくという方針でございますが、これらの取り組みに加えまして、自校調理で学校給食を実施している11の県立学校全てにおきまして、測定機器を整備し、流通の場を通じない地場産物などの食材の事前測定を実施し、より一層の安全・安心の確保に努めているところでございます。
 また、市町村の関係でございますが、昨年度補助制度を創設いたしまして、20市町村の測定機器の整備を支援したところでございまして、現在、30市町村において、学校給食の測定を行っているところでございます。
 県、市町村とも、これまでの給食食材においては、国の基準値を超過した事例はございません。
 さらに、今年度、文部科学省の委託事業を活用いたしまして、県内の地域バランスを考慮の上、4市町と県立学校1校を対象に、提供後の学校給食1食分について、モニタリング検査を10月から実施しているところでございます。
〇久保孝喜委員 教育分野のみならず、放射線の測定体制について日々拡充されてきたということについては、大変喜ばしい限りだなと思います。ただし、この検査結果をもって全てが解決するわけではもちろんありませんし、これから先のモニタリングというのは、まさに継続的にずっと続けていかなければならないということはそのとおりだろうと思いますが、改めてお聞きしますが、そうした給食にかかわっての放射線検査を、県の教育委員会として、それぞれの自治体の教育委員会等に指示をした文書を出したというのは、いつの時点だったんでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 学校給食の放射線対策についてでございますが、機器測定等の文書ということでは発してございますが、それ以外のところでは、国の考え方によるということでございますので、特には出していない状況でございます。
〇久保孝喜委員 機器の整備その他についてのみ出したということですか。それはいつでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 しばらくお時間をいただきたいと思います。
〇久保孝喜委員 私が言いたいのは、後で教えてもらえばいいんですが、結局、県の放射線対策の大もとの方針が決まったのが昨年の8月ですよね。そこからいよいよいろいろなことの測定、農業分野を含めてさまざま動き始まったというわけですけれども、しかし、現実のほうは、それよりはるか前から実は事態が起きていたというのは、誰もが知っている事実経過でございます。
 学校給食についても、実は教育委員会を含めて、全国のさまざまな自治体の対策などは、早いところはもう4月から始まっている、あるいは5月の連休明けから始まっているところもあるわけですね。県がどういうスタンスで、どう動くかというのが、その大方針が決まらない限り、実は動いていなかったという反省点が私はあるのではないかと思うんですよ。当然、今まで検査しても、確かに国が示した基準値より超えなかったというのは、それ自体は喜ばしいことですけれども、しかし、こうした不測の事態で、実は子供たちの健康にかかわるかもしれないという事案が発生しているのを横目で見ながら、具体的な指示文書が出ていないということ自体が、実は今回の震災全体の中でも、事放射能に関する限り、岩手県が非常におくれていたということのある種の象徴的な事案だったんだろうと私は思うんですね。
 そういう点で、この学校給食の放射線対策の、ある意味ではおくれというか、そういう初動のおくれということを含めて、教育委員会としても一定の検証はしておかないといけないのではないかと思ったりしてお聞きしているんですが、この件に関して、教育長、どのようにお考えでしょうか。
〇菅野教育長 放射線の問題につきましては、委員御指摘のとおり、福島原発の事故発生以来、非常に、本県のみならず全国的な課題となったところでございます。
 県の場合、放射線に関する知見というものは当時、必ずしも十分ではなかったと思ってございます。そういった意味で、国の見解にかなり頼らざるを得なかったという面がございますし、そういった意味で、県民の皆様の安全・安心を守るために、県全体としてどう動くべきかということをいろいろ調整をしながら全庁的に対応したという面がございます。
 それが結果的に、では、現状どうだったのかというものについては、県全体の問題の中の、私どもの担当している部分もございますので、そういった意味で、反省すべきところは反省し、また、今後取り組むべきところは取り組んでまいりたいと思っております。
〇久保孝喜委員 申し上げたとおり、これは教育委員会のみならず、県行政全体の中でもっともっと検証が必要だということを私は言いたいわけです。
 そこで、実態の中で、例えば学校給食が、それぞれの自治体ごとにさまざまな検査体制が行われたりしているわけですけれども、ささやかな金額ですが、例えば検査するための食材費などは、実態としては、自治体が持っているところもあれば、学校がそれを持っているという、給食費の中に含ませて徴収しているところもあると聞いているんですが、そういう予算措置の現状についてはどのように把握されていますか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 県立学校におきましては、食材については県の負担ということになってございます。市町村についてはさまざまであるようでございまして、こちらで一元的に把握はしてございません。
〇久保孝喜委員 そこでも姿勢が問われるわけですよ。つまり、放射線由来のさまざまなかかり増し経費は東電に請求することになっているわけでしょう。なぜ、市町村がどういう負担をしているのかを含めて、きちんと県が把握しようとしないのかということに通じる話だと私は思うんですね。市町村が勝手にやっているんでしょう、そこまで私たち知りませんという話で済むのかという基本的な姿勢が、実は、この予算の問題、予算を誰が払っているのかという問題に通ずると思って私は聞いているんですが、そういう点での認識はないんでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 放射線対策でございますが、さまざまなお金が入ってくるというような状況もございまして、県を通過するもの、あるいは直接それぞれの地域あるいは市町村が、重点状況調査地域などが受領するものとさまざまございますが、学校給食等につきましては、実施主体者である市町村のお考えということで手前どものほうは認識してございまして、そのため把握していないという状況でございます。
〇久保孝喜委員 今の答弁は、結局今後も把握するつもりはない、こういうことなんですかね。私の主張は、そういうことを含めて、少なくとも子供たち、県民の健康に責任を持つ立場にある県教委が、そうした学校給食などを通じて、先ほど出たように、文書自体も出ていないということであれば、市町村独自の固有の事業だから、それはどうぞ御勝手にというスタンスだけで果たして本当にいいのだろうかということを指摘したいわけです。
 トータルとしての放射線対策の不十分な検証ということもあわせて、ぜひともこの点は、これから継続してモニタリングしていくわけですから、その点において明確な方針なり対応というものを県教委で引き続き行っていただきたい。きょうは、そのことだけ申し上げて、終わりたいと思います。
〇高田一郎委員 私は、まず最初に就学援助制度について質問いたします。
 県内の市町村ごとの支給状況、あるいは支給率がどのようになっているのか、まず具体的に示していただきたいと思います。
〇小倉学校施設課長 市町村ごとの就学援助の支給状況でございますけれども、まず、県全体について説明させていただきますが、平成23年度の支給状況等につきましては、文部科学省の実態調査によりますと、県全体では、要保護と認定された児童生徒が1、009人、準要保護児童生徒が9、822人、合わせて1万831人、これは、全児童生徒10万6、331人でございますが、これの10.2%になります。援助総額は約7億8、000万円となってございます。
 それと、平成23年度につきましては、東日本大震災津波により就学困難となった児童生徒の就学機会を確保するために、新たに被災地等の関係の就学援助が設けられております。それでいきますと、認定された児童生徒は4、429人、全児童生徒の4.2%に当たりますが、それと、援助額は約5億7、000万円となっておりまして、通常の従来制度と被災の分を合わせますと、平成23年度の総数でございますが、児童生徒数が1万5、260人、これは全児童生徒の14.4%、援助総額は約13億5、000万円となったところでございます。
〇高田一郎委員 就学援助は、御案内のとおり、生活に困窮する児童生徒に対して就学支援をするという学校教育法に基づいて対応されているんですが、県内の市町村の支給状況を見ますと本当に格差があるんですよね。1.69%の自治体もあれば、久慈市のように24.23%、4人に1人が支給されている、こういう開きが実はあるんですね。
 文部科学省の調査でも、実は岩手の場合は9.24%で下から10番目という状況になっています。これは支給率だけではなくて、対象費目についても大変大きな格差があるということがわかりました。2010年度から支給費目に加わったクラブ活動費、生徒会費、PTA会費については、県内で支給しているのは18市町村、通学費に至っては17市町村、体育の実技用務費については16市町村、このぐらい格差が広がっているわけですね。
 なぜこのように格差が広がっているのか、この点での県教委の認識についてお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 対象費目の市町村の状況で今いろいろ御紹介があったわけでございますけれども、原因ということについては詳しくは精査しておりませんが、やはりそのニーズに合わせてということだろうと理解いたしております。
〇高田一郎委員 市町村のそれぞれのニーズに合わせた対応という話でしたけれども、実は、就学援助制度もこの間大きく変わりまして、これまで就学援助制度については補助金対応だったんですが、どんどんそれが削減されて、2005年あたりだったでしょうか、交付税措置になったということで、自治体の財政が本当に困難であれば、なかなか教育費に充用できないという中で、どんどん格差が広がったと思うんですね。
 実際、準要保護については、要保護世帯に準ずる程度に困窮している児童生徒に対する支援ですから、対応ですから、この準ずるに幅が出てきているんですよね。だから、こういう格差が広がってきていると思うんです。
 やはり教育については、どこのまちに住んでもひとしくいい教育が受けられる、そういう環境をつくっていくことが教育行政に求められると思います。転校して、今まで支給されていたけれども、転校したところに行ったら支給されなかったという事態に実際なっているわけです。実際の現場でもお聞きしますと、最近の経済情勢の中で、給食費とか学級費などを滞納している生徒がふえて、そして、その対策に困ってなかなか本業に力が入らないというようなお話も聞きます。
 私は、そういう中で、父母負担の軽減とか自治体間の格差、これを是正させていくということは県教委の仕事でもあると思うんです。この点についてどのようにお考えなのかお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 父母負担の軽減と自治体間格差の是正についてということでございますけれども、就学援助制度自体が、教育の機会均等を保障するための重要な制度であると認識いたしているところでございまして、県教育委員会といたしましては、各市町村におけるより適切な就学援助制度の運用、あるいは当該制度の趣旨の徹底が図られるよう、市町村教育委員会に対して要請を行っているところでございます。
 少し具体的に言いますと、先ほども御紹介があったところでございますが、PTA会費でありますとかクラブ活動費、あるいは生徒会費は、平成22年度から要保護でも対象になったところでございますが、各市町村が、準要保護においても追加できるように今取り組んでいるということで、父母負担の軽減等にも、若干ながらといいますか、取り組みが見られるところでございます。
〇高田一郎委員 この就学援助制度の趣旨を徹底していきたいというのはわかりますけれども、実際に、実態としてはこういう格差がかなり広がっているわけですよね。支給率についても、繰り返しますけれども、1%台から24%もあると。これは、やはり是正していくことが必要だと思うんですね。
 今、義務教育費は無償だということを言いながら、実際、実態としては教科書が無償なだけであって、やはり教育の機会均等を図る上からも、この自治体間の格差を是正していくべきだと思います。そういう点でぜひ努力していただきたいということを申し上げて、次に、いじめ問題について質問したいと思います。
 いじめ問題については、一般質問やきょうの質疑でも議論が交わされました。この異常にふえている要因とか中身、県のいじめ根絶に向けた取り組みについても答弁いただきましたので、繰り返し質問いたしませんが、私は、前年度と比べて一気にふえたのは、調査内容が違っていたからなのかどうかということをまず一つお伺いしたいと思います。
 そして、先ほどの田村生活指導課長の答弁では、前年度と比べて6倍にふえたというのは、いじめ問題について社会問題化して、そして、切実に教育現場が受けとめたからだというような話がありました。そういうことをいろいろ考えますと、これまでのいじめの認知件数というのは、やはり氷山の一角だったのではないかという思いもしていますし、同時に、いじめが表面化しても、なかなか数として報告されなかったのではないかという思いもするんですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
〇田村首席指導主事兼生徒指導課長 今般の緊急調査の報告についてでございますけれども、緊急調査につきましては、例年実施してございます問題行動等調査と同じ項目で調べてございます。ただ、市町村教育委員会、学校に対しての体制、いじめに対しての体制等の調査も一部含まれてございますので、全てが合致しているものではございません。
 続きまして、いじめの氷山の一角ではないかという議員の御指摘でございます。確かに、この認知につきましては、ここまでがいじめ、これは違うという部分が明確に出されているものは、国の文部科学省の示しております定義においても項目ごとに羅列されているものではございませんで、なかなか具体的にといいますか、判断に困る部分も当然ございます。
 そういう中にあって、今回の緊急調査におきましては、先ほど御答弁させていただいたように、さまざまな子供たちのトラブルとか行き違いの事案につきましても、いじめといいますか、認知件数として今回は上げていただいているというのが現状でございます。
〇高田一郎委員 今回の定例会でもいじめ問題はかなり議論されました。やっぱりいじめというのはどこの学校でも起こり得ることだと思います。それで、今回の大津市の事件をきっかけにして、解決に向けた真剣な取り組みを求めたいと思いますけれども、教育長にちょっとお聞きしたいと思います。
 具体的ないじめに対する対応についてですけれども、やっぱり何よりも一番は被害者を守ること、これを優先させなければならないと思います。同時に、解決する上で大事なことは、加害者がいじめをしなくなるということだと思うんですね。今、深刻で陰湿ないじめをする子供に限って、必ずつらい背景とか過去とかがあると思うんですね。そういうつらさによく共感をして、そのつらいことを一緒になって解決する、そういう対応をしていかなければならないと思います。
 最近、全国各地でこの大津での事件をきっかけにして、いじめを防止する条例をつくるとか、そういう動きがあります。そして、一部マスコミの議論を見ていても、何か加害者を厳罰にとか、出席停止をして上から抑えつけるとか、そういう議論や報道が一部ありますけれども、これではこの問題をさらに複雑化させるような思いを私はしております。
 やはりいじめをなくすという点では、このいじめ問題を乗り越えて、幼さを乗り越えて、自分や他人を大切にする、そういう人間に成長していくというところでの支援を大いにしなければならないと私は思うんですね。
 これから各地でも、市町村自治体でもそういう動きがあるかも知れませんけれども、そういういじめに対する対応についての教育長の考えをまずお聞きしたいと思います。
〇菅野教育長 委員がおっしゃったとおり、まずは、現実にいじめられている子供をしっかり守っていくことを大前提とした上で、やはり子供たちが、今、一人一人置かれている状況をそれぞれ学校が的確に把握しながら、それぞれに応じた対応をしていくことが必要だろうと思ってございます。
 その場合において、全てが学校で解決できるわけではないと思いますので、必要に応じて、他の相談機関の支援を受けながら、また、場合によっては、いろいろな機関とも共同しながら取り組んでいくことが必要だろうと思ってございますが、まずは、各学校において、組織を挙げて、子供たち一人一人に寄り添った対応をしていくことが大事であろうと思っております。
〇高田一郎委員 先ほどの少人数学級の議論の中でも、少人数学級を行った効果として、不登校とか問題行動を把握する上で非常に効果が出ているという話もされました。私は一般質問でも申し上げましたけれども、いじめ問題を解決する上でも、そういう子供と触れ合う時間、ゆとりですね、そして職員会議でも、さまざまな問題が出たら集団で議論し合う環境とか、あるいは子供たち自身の取り組みも本当に大事だと思います。そういう環境がなかなかなかったという点で、ぜひその改善に向けて取り組んでいただきたいと、これは時間がないので指摘だけにとどめておきたいと思います。
 次に、被災した学校の環境改善、児童生徒の放課後の学習支援について質問いたします。
 今回の大震災津波によってグラウンドが使用できなくなった学校41校中、わずか13校が整備あるいは整備の予定ということで、かなり多くのグラウンドが現在でも使用できていない状況です。この残りの整備の見通しについて、まずお伺いします。
〇小倉学校施設課長 41校に対し、今13校が整備済み、あるいは整備中、整備予定ということになっているわけでございますが、それ以外の学校の課題のところですけれども、やはり用地の確保がなかなか困難であるというような状況にございまして、そういった学校におきましては、校地内の空きスペースの活用、あるいは近隣の他校や他施設の活用、空き地の活用といったようなことで、いろいろな制約がある中で工夫して体育の授業等を行っているというような状況にございまして、今すぐ、近いうちにということで仮設グラウンドの整備がなされるような状況にはないと見ております。
〇高田一郎委員 それで、教育委員会からちょっと資料をいただいたんですけれども、整備の予定がないというのが小・中・高入れて18校あるんですよね。これは、仮設住宅の問題とか住宅再建の進捗状況とか、いろいろな条件もあるわけですけれども、大体どの程度こういう状況が続くのかということと、グラウンドがない中で、体力の低下とか、あるいは競技力の低下なども父母の皆さんからさまざま指摘されているところです。内陸の学校に行って競技の練習をしてくるとか、そういうことで父母負担も出てくるのかなという思いもあります。
 そういう中でどんな要求が出ているのか、どの程度こういう状況が続くのか、何年後に改善するのか、その辺についても答弁いただきたいと思います。
〇小倉学校施設課長 残りの学校の仮設グラウンドの整備に向けて、今後どうなるかということでございますけれども、先ほども御答弁申し上げたとおりではございますが、いずれ各学校においても、グラウンドが確保できるのであれば確保したいということで、用地の確保等に向けて取り組んでいただいているとは考えておりますが、本復旧、いわゆる本格復旧に向けての動きも一方で行われているところでございまして、各学校、多くの学校は、平成28年4月の開校を目指している小中学校が多いと把握してございます。
 そういったことで、できるだけ早く各学校で取り組んでいただくということもございますが、一方で、本復旧に向けて、平成28年4月までということも場合によってはあり得るということで考えております。
 あと、体力の低下等、あるいは父母の負担、部活動への支障等の部分でございますけれども、具体的な要求というものは、直接私どものところには届いてございません。
〇高田一郎委員 こういうグラウンドのない状況が続くのは平成28年度までということで、かなり長期にわたってこういう状況が続くと思うんです。用地の確保というのが最大のネックとなっておりますけれども、用地の確保を含めた取り組みに全力を尽くすとともに、ソフト面での支援も含めて支援を強めていただきたいと思います。
 次に、児童生徒の放課後の学習支援についてです。
 この間、ほかの委員の皆さんからも議論がありましたけれども、仮設住宅からの通学とか、狭い仮設で非常に学びの環境が悪化しているという話もされました。この間、中学生や高校生に対する学習支援、NPOとかボランティアが、子供たちを送迎して、公民館とか仮設の空き部屋なんかを利用して学習支援を行っていますね。本当にいいことだと思います。これは今どういう取り組み状況が行われているのか、その実態についてまず答弁いただきたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 被災地における児童生徒の放課後の学習支援についてでございますけれども、現在、被災した沿岸各市町村では、多くの児童生徒が仮設住宅に入居しておりまして、委員御指摘のとおり、放課後の学習を進めていくことに困難な状況を抱えていると認識してございます。
 現在、陸前高田市や大船渡市、釜石市、大槌町、田野畑村で、民間のボランティア団体等と市町村教育委員会が連携した取り組みを進めておりまして、平日の夕方から夜間及び休日の昼間の時間帯に、学校の空き教室や地域の集会施設等10カ所で、約700人の児童生徒が、地元の塾講師や大学生ボランティアの支援を受けながら、放課後の学習に取り組んでいるという状況でございます。
〇高田一郎委員 こういう中高生に対する学習支援が今10カ所、700人ということですが、自治体数は5市町村ですね。これは、被災自治体は12市町村ですけれども、これが5市町村にとどまっているのはどういうことなのでしょうか。ほかにはそういった放課後の学習支援という点で要望がないのかどうか、その辺についてもお伺いしたいと思います。
〇西村生涯学習文化課総括課長 現在は5市町村で実施しておりますが、この取り組みは、昨年度は3市町村で取り組まれておりまして、今年度に入りまして、やはり要望が強いということで市町村も拡大し、また、利用される児童生徒も拡大してございます。
 そして、今現在実施していない市町村からも、来年度に向けて相談も来ておりますので、今後につきましては、被災した市町村のニーズも把握しながら順次進めていきたいと考えてございます。
〇高田一郎委員 被災地の現状をよく調査してさまざま対応していきたいということでありますので、ぜひ要望、実態調査をして、必要な支援を強めていただきたいと思います。
 最後に、シックスクール症候群について質問いたします。
 奥州市の胆沢第一小学校で、校舎の大規模改修に伴って、多数の児童が体調不良を訴えたシックスクール症候群を発症いたしました。現在の児童の状況とか、あるいは市や県の対応はどうだったのか、この点について具体的に説明いただきたいと思います。
〇小倉学校施設課長 まず、児童の状況でございますけれども、奥州市の教育委員会からの報告によりますと、平成22年度末でございますが、22人がシックスクール症候群を発症して、現在7人の児童生徒が治療を継続しているという状況でございます。
 発症したそのほかの児童生徒につきましては、完全に治癒したと診断されるものではございませんけれども、現在、症状は治まっている状況という報告を受けております。
 なお、7人のうち5人が市内の別の学校に転校いたしました。
 それと、奥州市の対応でございますけれども、主なものを申し上げますが、奥州市におきましては、児童の発症後、当該校舎の使用を中止して、他の施設等を利用して分散授業を行ったということ、あるいは換気対策ということで、室内空気環境改善対策の徹底を図ったほか、被災した児童のための活性炭入りマスクでありますとか酸素吸入装置等の配備を行っているところでございます。また、医療費の助成制度の創設等の対応策も講じております。
 それと、県の対応でございますけれども、県におきましては、発症した児童生徒のための個別指導、あるいは自宅学習に対応するための非常勤講師2名を配置いたしましたし、市が主催いたしますシックスクール対策会議に参画して、指導、助言等をさせていただいたところでございます。
 また、各市町村教育委員会に対しましては、数次にわたる通知文書等を出しておりますし、研修会等におきまして、シックスクールの発生防止に向けた注意喚起等を行っているところでございます。
 また、あわせて平成22年9月でございますが、シックスクール対策のポイントを作成いたしまして、全市町村教育委員会に配布、あるいは研修会において直接説明をして、再発防止の取り組みを要請してきたところでございます。
〇高田一郎委員 詳しく説明いただきましてありがとうございます。今のお話を聞きますと、転校した子供もいるということで大変な問題だと思います。こういった問題は、胆沢第一小学校で起きただけではなくて、県内でもこういう問題が起きているかと思いますけれども、こういう問題に対する対応策といいますか、県としての何か指導方針とか、起きた場合のそういうものが確立されているのかどうかということをお聞きしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 県としてどういうふうに取り組んでいるかということでございますけれども、シックスクール対策のポイントを先ほどちょっと御答弁の中で申し上げましたが、そういったものを作成しておりますが、実は、具体的には、発症防止の対策をどうするのか、学校施設の整備等を行った場合にどういう点に留意すべきかでありますとか、発症した児童生徒が出た場合には、具体的にどういう対応をしたらいいのかというようなことを取りまとめたポイントをつくって、各市町村に配布、あるいは研修会で説明したところでございます。
   〔「関連」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 今のシックスクールの問題について、関連で、残念ながら、一戸町内の中学校で、昨年シックスクールが発症したという方から最近相談を受けました。昨年の大規模改造工事の後、4月に体調を崩して、7月1日に専門医に診断をしていただいて、シックスクール症候群と。それで、7月18日から学校に登校できなくなって、今日に至るまでそういう状況になっていると。
 この問題について、一戸町の教育委員会はどのように対応しているのか、まずお聞きします。
〇小倉学校施設課長 シックスクールの症状を発症した方がお一人いらっしゃったわけですが、一戸町におきましては、その後、換気対策でありますとか、学習支援ということで臨時の職員を自宅等に派遣してきたというようなことでございます。
 また、建物のTVOCの測定の実施等を行ってきたところでございます。
〇斉藤信委員 問題は、専門医がシックスクール症候群ですよと、これは大規模改造工事によるいわば有害物質、空気汚染によって発症したものだ、こういう診断書を発行した。
 一戸町が県教委の指導も受けてTVOCの測定を行った。これは、工事はもう2月24日で終わっているんですけれども、測定は実に8月6日です。TVOCの結果は、この生徒がいた教室で400の基準値を超える653という汚染状況が8月の段階で明らかになったと。さらに、避難教室として被服室に変わったんですけれども、実はその被服室も測定したら、ホルムアルデヒドがこの8月の段階で基準値を超えたと。二重に被曝しちゃったんですね。それで深刻な事態になった。
 ところが、一戸町教育委員会は、これを大規模工事によるものだと認めてない。なぜこれは認めないのでしょうか。私は、岩手県のシックスクール対策のポイントからいったら、そして奥州市の小学校の例からいっても、これはきちんとシックスクール症候群発症という形で万全の対応をとるべきだと思うけれども、いかがですか。
〇小倉学校施設課長 大規模工事とシックスクール発症との因果関係ということでございますけれども、いずれ、町の認識といたしましては、さまざまな要因に起因するものと考えているというようなこともございまして、診断が出た段階でどういうふうに判断したかというのは、ちょっとそこは町のほうに詳しく確認はいたしておりませんけれども、そういったような認識の中で、今、委員の御質問にあったとおりだということでございます。
〇斉藤信委員 そんなへっぴり腰の対応でどうするんですか。1人の生徒が今でも学校に行けないような事態になっているのに、あなたが徹底しているというシックスクール対策のポイントに何と書いているか。いいですか。シックスクール症候群─化学物質過敏症は誰でも発症する可能性があります。健康被害をもたらす化学物質は、文部科学省の6物質、厚生労働省の13物質だけではありません。また、指針値以下だから必ず安全だとは限りません。1人でも異常を訴えた場合は、児童生徒全員の安全を考えた対応が必要です。シックスクールとしないための細心の注意を健康被害の未然防止が第一と。発症した場合の対策まであなた方はちゃんと指示しているんじゃないですか。
 こういうふうに一戸町は言っているんです。学校の耐震工事が一因であると推測されるが、全ての原因とまでは言えない。シックスクール症候群の発症は、個人を取り巻くさまざまな環境や、これまで化学物質の暴露状態、個人の体質などさまざまな原因に起因するものとされている。これはとんでもない話ですよ。専門医の診断書があって、TVOCの測定で基準値を超えて、避難した被服室まで超えていたと。これで因果関係が不明だなんていうことを言ったら、大津事件と同じですよ。大津事件は最初どう言ったかというと、いじめはあったが自殺との因果関係は不明と。これが大問題になったんですよ。不明じゃだめなんですよ。結局、不明ということになれば、この生徒の体質問題ということになるんです。二重の誤りを犯すことになってしまう。
 県教育委員会のシックスクール対策のポイントから見て、私は、一戸町の教育委員会の対応は極めて不十分だ、間違っていると思いますけれども、県教育委員会は是正すべきじゃないですか。
〇小倉学校施設課長 一戸町の教育委員会の対応に対しましては、私どもも一緒に入っていろいろ協議といいますか、いろいろ検討させていただいたというような経緯もございます。
 そういう中で、原因がどこにあるのかというのは、やはりまだいろいろ医学的にも確立されていない部分があろうかと思いますので、そこのところは、引き続きということもございますけれども、探っていく必要があろうかと思っています。
 町の対応自体につきましては、シックスクール対策のポイントにも書いておりますけれども、発症後、その換気対策を実施している、あるいは学習支援をやっているというようなこともございまして、できる範囲でいろんなことはやっているということであろうとは思っております。
 ただ、なかなか医学的な見地から、あるいは別の観点から特定できるというところまでは至っていない状況であろうと考えてございます。
〇斉藤信委員 あなた方のポイントでは、シックスクール症候群などの発症者が出てしまった場合の対応と書いているんですよ。これには医師の診断書や意見書等をもとに児童生徒本人や保護者と十分協議して、配慮すべき事項を双方で確認することと。専門医の診断がされているのですよ。TVOCの結果で基準を超えているわけです。4カ月後ですよ。4カ月間、そこで被曝したということなんですよ。
 奥州市の場合は、原因究明の対策委員会をつくって専門家で研究をした。医師の診断も二重三重にやった。そういう対策をとって、ああいう医療費の助成までやったんですよ。不明だと言いながら、原因究明されてないじゃないですか。1年間放置しているんです。県教育委員会がせっかく奥州市の教訓を踏まえてつくったんだから、あなた方がみずからつくったこの精神に基づいてきちんと指導すべきですよ。そして、奥州市の場合もそうだった。奥州市で幼稚園をつくったときも、また同じようなことが出たんだけれども、TVOCの測定というのを義務づけないと、後から発症したら、これは大変なことになってしまうんですよ。そして、どこの市町村でもこういう例が出たら、同じように対策がとれるとすべきだと思うけれども、最後に教育長に聞いて、責任を持ってしっかり対応していただきたい。いかがですか。
〇菅野教育長 奥州市の知見をもとにそういうポイントをお示ししたところでございまして、各市町村において、ただ、あくまでもポイントでございますので、先ほど委員からお話のありました、県教育委員会からの是正権限は、県教育委員会は持っていないわけでございまして、それぞれの実態に応じて、今お話がございましたとおり、それぞれの実情に応じて保護者の方々とよく話し合って、少しでも子供たちにとってよくなる方向に進むよう、私どもとしても助言を続けてまいりたいと思っております。
〇小野寺好委員 特別支援学校について、4点まとめて伺います。
 1番、障がい者の方に普通に接していくには、早い時期からよく理解する必要がありますが、その意味で特別支援学校の小中学部が地域の小中学校と交流や共同学習を行うことは、双方にとって大変有益なことと思います。平成23年度は五つの学校で交流が実施されたとのことですが、地域、人数、日数、内容等をお聞きしたいと思います。
 二つ目、特別支援学校高等部の就職希望者数と就職実績数、主な就職先はいかがでしょうか。
 3、大学進学について、希望者数と進学実績、これまでの大学卒業後の就職状況を把握しておりましたらお伺いしたいと思います。
 4、過日、保健福祉部の審査で人工内耳について伺いましたが、聴覚障がいの方の差異はさまざまでしょうが、聴覚支援学校での人工内耳手術を受けた生徒の割合、対応はどうなさっているか伺います。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育課長 平成23年度に特別支援学校5校が実施いたしました交流及び共同学習についてでありますが、特別支援学校5校は、盛岡みたけ支援学校、花巻清風支援学校、前沢明峰支援学校、宮古恵風支援学校、久慈拓陽支援学校の5校であります。
 本人、保護者の希望のありました小学部、中学部合わせて39名、それぞれ居住する地域は盛岡市、花巻市、奥州市、宮古市、洋野町の5地域の小学校、中学校30校で交流が行われております。
 日数につきましては、特別支援学校の児童生徒の障がい等の状況や受け入れ校の実情に合わせまして、年間1回から4回行われております。
 交流した内容は、小学校でははり絵やかごづくり等の図工的活動、サーキットや水泳等の体育的活動、合奏やリズム遊び等の音楽的活動、中学校におきましては、国語、数学等教科学習への参加、文化祭作品交流などが行われました。
 続きまして、特別支援学校高等部生徒の就職状況についてであります。平成23年度の県立特別支援学校高等部卒業生は214名であり、そのうち就職を希望されました生徒は56名でした。平成24年3月末時点で就職した生徒は50名でしたが、その後、5月1日の調査では、就職実績数は53名となっております。
 卒業生の主な就職先を産業分類別に見ますと、店員や介護補助など第3次産業であるサービス業が約6割強を占めております。続いて食品製造や衣料製造などの第2次産業が3割、残りが農業、漁業等の第1次産業となっております。
 続いて質問の3点目でございますが、特別支援学校卒業生の大学進学状況についてであります。平成23年度卒業生で大学進学を希望した生徒は1名で、私立大学へ進学しております。そのほか7名の生徒が特別支援学校専攻科及び専門学校へ進学しております。
 過去5年間における大学への進学状況といたしましては、国立大学が4名、公立大学が1名、私立大学が7名となっております。
 続いて4点目、県内特別支援学校の人工内耳を装着しております幼児、児童生徒の状況についてでございますが、本県では、聴覚障がいに対応した教育を行っております県立特別支援学校は、盛岡聴覚支援学校と一関清明支援学校の2校でございます。
 人工内耳手術を行い装着した割合につきましては、2校合わせての数値でございますが、幼稚部では20名中8名、40%、小学部は22名中5名、22.7%、中学部は12名中3名、25%、高等部につきましては、盛岡聴覚支援学校のみの設置ですが、16名中1名、6.3%、全体といたしましては24.4%の割合でございます。
 人工内耳を装着することによって音の捉えがよくなり、言語活動が促進され、発語が多くなると伺っております。
 一方、体内部に受信機を埋め込み、皮膚を挟んで磁石を用いて体外部とくっつけるという仕組みになっておりますために、指導に当たっては特に頭部の保護に留意しております。また、集団の場では聞こえの状況が児童生徒それぞれに異なるということから、手話や絵カード等を用いた対応を学校で行っていると承知しております。
〇岩崎友一副委員長 先ほどの久保孝喜委員の質問の件で執行部から発言を求められておりますので、これを許可します。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 先ほどの久保孝喜委員への答弁保留分につきましてですが、岩手県学校給食放射性物質検査設備整備補助金交付要綱の文書日付でございます。平成24年1月17日に発出したものでございます。
 なお、参考までに、平成24年5月17日には県立学校へ市町村が測定を依頼する場合の要領を通知してございます。
〇岩崎友一副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一副委員長 質疑がないようでありますので、教育委員会関係の質疑をこれで終わります。
 教育委員会の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後5時38分 休 憩
午後5時58分 再開
〇小野共委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇高木警察本部長 平成23年度の警察本部関係の決算について御審議をいただくに当たり、初めに、東日本大震災津波に伴う県警察の取り組みについて御説明申し上げます。
 東日本大震災津波により、本県では4、671人のとうとい命が失われ、いまだ1、200人以上の方が行方不明となっております。県警察といたしましては、今後も、行方不明者の捜索、御遺体の身元確認等の活動を継続してまいります。
 他方、震災復興事業の本格化に伴い、復旧、復興に乗じた各種犯罪、各種トラブルや交通事故の発生等が懸念されます。また、被災された方々の生活環境も大きく変化しておりますことから、被災地の状況に応じた治安対策が必要であると考えております。
 県警察といたしましては、被災者の方々の意見、要望等を踏まえ、仮設住宅の巡回や夜間における警戒活動など、被災地の変化に的確に対応した所要の活動を推進し、被災地の安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
 県警察では、平成22年12月に、平成25年度までをめどに、緊急かつ重点的に取り組むべき各種施策を取りまとめ、安全・安心なまちづくりの推進、少年の非行防止と保護対策の推進、悪質、重要犯罪の検挙対策の推進、交通事故抑止対策の推進、テロ対策の推進、災害対策の推進、治安基盤の強化の七つの項目を柱とした第2次岩手県警察総合治安対策プログラムを策定したところでありますが、平成23年は、東日本大震災津波に伴う災害警備活動を最優先としつつ、県下全体の治安維持に必要なプログラムの施策についても重点的に推進したところであります。
 県内の治安情勢といたしまして、平成23年中の刑法犯や交通事故の発生状況等について御説明いたします。
 最初に、刑法犯の発生状況等についてでありますが、平成23年中の県内における刑法犯の認知件数は6、353件と、前年比マイナス1、047件、14.1%の減少となり、戦後最少を記録したところであります。
 犯罪の種別を見ますと、窃盗犯が全体の75.5%と最も多く、この傾向はこれまでと同様であります。窃盗犯の主な特徴を見ますと、殺人、強盗などに発展するおそれのある住宅対象の侵入窃盗犯のうち、かぎをかけないで被害に遭う無施錠被害の割合が72.0%と高い状況にあることから、みずからの安全はみずからが守るといった防犯意識の浸透に努めております。
 次に、平成23年中の県内の交通事故の発生状況等についてでありますが、発生件数は3、746件、死者数は66人、傷者数は4、616人となっており、前年比で発生件数がマイナス351件、死者数がマイナス1人、傷者数がマイナス509人といずれも減少しております。
 長期的に見ましても、交通事故死者数は2年連続して減少し、発生件数及び傷者数は昭和42年以降で最少となり、8年連続して減少いたしました。しかしながら、死亡事故の主な特徴を見ますと、特に昨年は高速道路における交通死亡事故が増加したほか、依然として全死者に占める高齢者の割合が高く、また、薄暮時間帯における死亡事故が増加するなど、交通事故情勢は予断を許さない状況にあります。
 こうした中、本年6月に公表されました県の施策に関する県民意識調査の結果によりますと、犯罪への不安が少ない社会づくり、交通事故の少ない社会づくりが重要度の上位にランクされていることから、県民は良好な治安の維持を強く望んでいるものと思われます。
 こうした諸情勢を踏まえ、県警察といたしましては、今後も、東日本大震災津波への対応と、安全・安心を実感できる地域社会の実現を活動の重点に、県警察の総力を挙げて各種施策に取り組んでまいります。
 続きまして、平成23年度の警察本部関係の決算について御説明申し上げます。お手元の平成23年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。第9款警察費の歳出予算現額は303億6、620万円余で、これに対する支出済額は295億2、004万円余で、執行率は97.2%であります。支出済額は、前年度に比べますと14億3、728万円余、5.1%の増となっております。
 なお、翌年度繰越額の合計額は6億3、467万円余となっております。これは、本年の県議会2月定例会で議決されました警察署非常用発電設備改修、交通安全施設整備などの明許繰越に係る事業費が主なものでございます。
 不用額は2億1、147万円余となっております。その主なものは、退職者数が見込みより少なかったことによる退職手当の残、運転免許関係の講習事務の委託実績が見込みを下回ったことなどによる委託料の残、地域活動、捜査活動、交通取締活動等に係る旅費の支出が見込みを下回ったことによる旅費の残、経費節減等による需用費の残などであります。
 次に、16ページをお開き願います。第11款災害復旧費第4項庁舎等施設災害復旧費に警察施設及び交通安全施設の災害復旧事業費も含まれておりますが、詳細につきましては後ほど歳入歳出決算事項別明細書により御説明させていただきます。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、平成23年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、第9款警察費の説明に際しましては金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 決算事項別明細書の322ページをお開き願います。第9款警察費第1項警察管理費第1目公安委員会費は、公安委員3名の委員報酬及び活動経費であります。第2目警察本部費は、警察職員の給料、職員手当などの給与費が主なものであります。警察費の決算額に占める給与費等人件費の割合は77.7%となっております。平成23年度における警察官の定数は当初2、115人でありましたが、東日本大震災津波により壊滅的な被害を受けた沿岸市町村の良好な治安の確保及び円滑な道路交通を確保することを目的に、年度途中に130人の緊急増員を行い、2、245人となっております。次に、324ページをお開き願います。第3目装備費は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備の経費で、警察車両、警備船、県警ヘリなどの維持管理費が主なものであります。
 なお、平成23年度におきましては、老朽化が進んでおりましたヘリコプターテレビ中継システムの更新整備を行い、最新のデジタルシステム導入により、従来に比べまして高い位置から鮮明な画像を取得できることから、捜査指揮、災害警備あるいは警衛警護等の各種警察活動に有効に活用しております。
 第4目警察施設費は、治安の基盤をなす警察署、交番、駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。第5目運転免許費は、自動車運転免許試験、免許更新、行政処分などに要した経費であります。次に、326ページをお開き願います。第6目は恩給及び退職年金の経費であります。
 第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、110番通報を処理する通信指令システムなどの警察通信施設の維持管理などに要した経費であります。第2目刑事警察費は、少年非行の防止や子供安全対策などの安全・安心なまちづくり推進事業、各種犯罪の捜査、取り締まりなどに要した経費であります。次に、328ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、交通安全や指導取締活動、交通事故の防止と交通の円滑化を図るための交通信号機等の交通安全施設の整備及び維持管理などに要した経費であります。
 次に、364ページをお開き願います。警察施設及び交通安全施設の災害復旧事業に要しました経費につきまして御説明いたします。
 第11款災害復旧費第4項庁舎等施設災害復旧費第2目警察施設災害復旧費の歳出予算現額は19億1、318万円余で、これに対する支出済額は13億9、178万円余で、執行率は72.7%であります。
 なお、翌年度繰越額の合計額は5億1、880万円余となっております。これは、本年の県議会2月定例会で議決されました被災警察施設の外構、埋設物等に係る被災施設解体、交通安全施設災害復旧などの明許繰越に係る事業費が主なものでございます。
 不用額は259万円余となっております。災害復旧事業といたしましては、釜石警察署及び沿岸運転免許センターの仮設庁舎の設置、交通信号機、道路標識等の交通安全施設の復旧などの事業を行っております。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇小野共委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 私からは、大きく分けて4点について簡潔にお伺いいたします。
 まず、決算事項別明細書の327ページの安心・安全なまちづくり推進事業費に関連して、防犯ボランティア活動についてお伺いいたします。
 県内各地に防犯ボランティア団体が結成されておりますが、その活動状況はどうなっているのか。そして、県警察としてどのような支援を行っているのか。また、防犯ボランティア活動上の課題があれば、その課題、そしてその課題解決のためにどのような取り組みを行っているのかお伺いします。
 続きましてお伺いしますが、青色回転灯をつけた車両でパトロールを行っておるわけでございますが、青色回転灯を装備した車両の普及状況、そして効果についてあわせてお伺いいたします。
〇小野寺生活安全部長 防犯ボランティア団体の活動状況についてお答えいたします。
 防犯隊や子ども見守り隊、スクールガードといった防犯ボランティア団体につきましては、委員お話のとおり、現在、大変活動が活発化しておりまして、まちの安心・安全を確保するために大変重要な存在であると認識しております。こうした団体につきましては、それぞれの地域を拠点とした各種活動に積極的に取り組んでいただいているところでございまして、具体的に申し上げますと、青色回転灯装着車両による防犯パトロール活動を初め朝夕の登下校時の時間帯を中心とした子供の見守り活動、万引き防止のための店舗内の巡回、自転車盗を防止するための駐輪場の環境整備等を推進して、県民の防犯意識の高揚と犯罪の未然防止に大きく貢献しているところでございます。
 次に、こうした活動に対します警察の支援状況についてでございますけれども、県警察といたしましては、このような防犯ボランティア団体の活動に対しまして、一つは、犯罪発生状況や不審者情報等の地域安全情報の提供、二つ目としまして、警察との合同パトロールを通じた防犯パトロール活動方法の教示、三つ目としまして、防犯パトロールジャンパーあるいはベスト等の提供等の支援を行っているところでございます。
 また、特に被災地の安全・安心を確保するために、このたび、岩手県防犯協会連合会と共同で防犯活動のノウハウをまとめた小冊子─自主防犯ボランティア活動マニュアルと称しますけれども、これを作成しまして、各仮設住宅団地自治会等に配布したところでございまして、今後、仮設住宅団地内の防犯ボランティア組織の構築等に効果的に使われると思われます。今後とも継続的に活動ができるよう支援の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 次に、こうした防犯ボランティア団体の活動上の課題についてでございますけれども、全国的に同様でございますが、防犯ボランティア団体構成員の高齢化あるいは固定化が指摘されているところでございまして、本県におきましても60歳以上の構成員の比率が61%となり、全国と同様の傾向が見られるところでございます。
 県警察といたしましては、防犯ボランティア団体の活性化に向けて幅広く若い世代や現役世代の防犯ボランティア活動への参加促進を図っていくところでございます。
 一例を挙げますと、これまでに花巻市の富士大学の陸上部の学生等が中心となって結成されましたヤングボランティア団体、花巻ハンズtoハンズと言いますけれども、こうした団体がクラブ活動のランニングを通じた子供の登下校時の通学路のパトロール活動を実施しているところでもございます。
 今後は、各警察署単位での防犯研修会等を充実させるなど、活動の活性化を促進してまいりたいと考えております。
 最後に、青色回転灯装着車両の普及状況についてでございますけれども、活動を開始しました平成17年当時は20団体、運用車両が37台でございましたけれども、平成24年8月末現在では153団体、運用車両が527台、実施者証交付数が─行う方でございますけれども、2、199人と年々増加しているところであり、大変心強く思っているところでございます。
 青色回転灯装着車両による防犯パトロールの効果についてでございますが、このパトロール活動は、これから犯罪を犯そうとしている者に犯行を思いとどまらせる抑止力と県民に安心感を与える効果をあわせもった大切な活動でございまして、目に見える形での犯罪抑止活動として広く県民に周知され、定着してきているところから、今後もさらに効果が期待されるところでございます。
〇高橋昌造委員 次に、交番、駐在所の活動についてお伺いいたします。
 交番、駐在所は管轄する地域のパトロールや住民からの相談など、住民に一番身近な警察として地域に密着した活動を行っていただいているところでありますが、この地域の問題を協議したり、意見、要望を把握する場として交番・駐在所連絡協議会が設置されておるわけでございますが、この協議会の設置状況、活動実態、そして課題があれば、課題についてお伺いいたします。
 また、交番機能の強化として交番相談員が配置されておりますが、県内の交番相談員の配置状況、退職警察官の活用状況についてあわせてお伺いいたします。
〇小野寺生活安全部長 1点目の交番・駐在所連絡協議会の設置状況でございます。交番・駐在所連絡協議会につきましては、交番、駐在所の受け持ち区内におきまして、地域住民の日常生活に身近な犯罪あるいは交通事故、災害等の未然防止、被害の拡大防止や的確な検挙を図るために、住民の方々の御意見、御要望等を広く聴取いたしまして、相互に検討、協議することを目的に設置しているものでございます。
 設置状況についてでございますが、平成24年4月末現在では、県内の交番、駐在所の受け持ち区内に178の連絡協議会が設置されてございます。
 活動実態といたしましては、各協議会が必要に応じて協議会を開催しておりまして、交番、駐在所の地域警察官は、こうした地域の住民の方々から受けました具体的な要望等を踏まえつつ、さまざまな問題解決を図るように努めております。中には、協議会のメンバーの方が、受け持ち警察官と連携しまして、みずから登下校時の児童の見守り活動や交通安全教室の開催など、さまざまな自主的な活動を行っているところもございます。今後とも、安全・安心なまちづくりのために地域住民の方々と連携を深め、連携協議会活動の活性化を図ってまいりたいと考えております。
 2点目の交番相談員についてお答えいたします。交番相談員につきましては、警察官の身分を有しない非常勤の職員でございまして、現在、42の交番中29交番にそれぞれ1名を配置しているところでございます。また、こうした交番相談員につきましては、警察業務に精通し、経験豊富な退職警察官を全て交番相談員に充てているところでございます。
 こうした交番相談員は、活動をちょっとお話ししますと、警察官にかわって地域住民の意見、要望等の聴取や拾得物、遺失物の受理、事件、事故発生時の警察官への連絡、地理案内等の業務に従事しておりまして、こうした交番相談員が配置されました交番では、現職の地域警察官が積極的に外で出られるということがございますし、警察官が外に出たときに、来訪者があったときに、その来訪者に的確に対応できるというようなさまざまな効果がございまして、こうした活動によりまして、地域における生活安全センターとしての交番機能を高めるために大変有効な活動を行っているところでございます。
〇高橋昌造委員 次に、政策評価についてお伺いします。警察における政策評価の実施状況がどうなっているのか。また、いわて県民計画第2期アクションプランの警察関係の指標において、達成度の低い項目への対応についてどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
〇高橋警務部長 県警察が関係いたします政策評価の対象は、いわて県民計画第2期アクションプランの政策項目、安全・安心なまちづくりの推進となっております。県が行います平成24年度の政策評価に関しましては、現在、県におきまして取りまとめ中でございますが、県警察が行いました政策評価につきまして御説明をさせていただきます。
 平成23年の目指す姿指標であります人口10万人当たりの犯罪発生件数は、前年と比較しまして、自転車盗、万引き、振り込め詐欺等が減少し、抑止目標値550.0件以下に対しまして、実績値が447.7件となりまして、達成度はAとなっております。
 一方、年間交通事故死者数は、反射材の着用促進やライトの早目点灯運動などの取り組みにより、薄暮時間帯の交通事故抑止対策を推進し、反射材の着用率やライトの早目点灯率などの向上に努めてまいったところでございますが、同時間帯におきまして、反射材を着用していない歩行者による横断歩道外の横断、あるいは通行車両の直前横断などの歩行者の交通法令違反が関係した交通死亡事故が多く発生したことなどの要因によりまして前年より1名減少したものの、抑止目標であります65人以下に対しまして実績値が66人となったことから、達成度はDとなっております。
 これは、達成度の計算方法といたしまして、平成22年の現状値から数値を下げていくということを目標としますマイナス指標を用いているということでございますので、前年比、平成22年の現状値に比べまして減少はしているところでございますが、抑止目標値を1人超えたということでD評価となっているものでございます。
 具体的推進方策につきましては、県民の防犯意識の高揚等、県警といたしましては6項目に関しまして取り組んでいるところでございますが、その評価につきましては、3項目が順調、2項目がおおむね順調、1項目をややおくれと判断しております。ただ、全体といたしましては、総合評価につきましては、平成23年の目指す姿指標にD評価が一つ、先ほど述べました交通の関係であるところでございますが、県全体の取り組み状況としましてはおおむね順調とされておりますし、また、関係団体等の他の主体の取り組みも順調に進んでいるという評価でございますので、総体としてはおおむね順調と考えているところでございます。
 続きまして、いわて県民計画第2期アクションプランの警察関係の指標について、達成度の低い項目への対応ということでございますが、ただいま御説明いたしましたとおり、平成23年の目指す姿指標のうち、年間交通事故死者数が抑止目標値65人に対しまして、実績値は1人上回る66人となっておりますことから、達成度がDとなっておるところでございます。
 また、本年9月末現在におけます交通事故死者数は60人で、前年同期と比較して15人増加しており、うち高齢者は37人で、前年比13人の増加、交通事故死者における高齢者の占める割合が高くなっていることから、高齢者の交通事故防止が喫緊の課題となっていると考えているところでございます。
 このため、県警察といたしましては、交通事故抑止対策を推進するため、高齢者の交通事故防止対策、薄暮時、夜間の交通事故防止対策、飲酒運転等悪質、危険性、迷惑性の高い違反の取り締まり等の強化、被害軽減対策、自転車の安全利用対策の五つを重点といたしましたセーフティ・ファイブ作戦を引き続き推進しながら、平成24年度から新たに実施いたしました交通安全メッセージカードによります高齢者の交通事故防止対策等の取り組みを推進いたしまして、高齢者の交通事故死者数の抑止に努めてまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋昌造委員 最後に、東日本大震災に関連してお伺いいたします。
 まず、大震災発生後、警察におかれましては、津波災害からの避難誘導、救出救助、行方不明者の捜索、身元確認など、さまざまな活動を行っていただいたわけでございますが、現在どのような取り組みを行っているのか、状況についてお伺いします。また、被災した庁舎、車両、装備品の復旧状況についてもどうなっているのか、あわせてお伺いいたします。
 続きましてお伺いしますが、今回の震災では災害が非常に広範囲にわたり、情報も非常に限られていたことから、救助活動に当たり、警察と消防、自衛隊、海上保安庁といった実動部隊同士の連携の必要性があったわけでございますが、他機関との連携と課題についてどのように考えているのか、あわせてお伺いいたします。
〇工藤警備部長 現在の取り組みにつきましては、主に、一つ目として行方不明者の捜索活動、二つ目として御遺体の身元確認のための活動、3点目として被災地域における安全・安心の確保のための活動を行っております。
 一つ目の行方不明者の捜索活動についてでございますが、いまだに1、200名以上の方が行方不明の状態にあります。一人でも多くの行方不明者を御家族にお返ししたいとの思いで、月命日等の前後において、被災地を管轄する署員を初め機動隊員及び内陸警察署員を動員し、自治体、海上保安庁等の関係機関と連携し、集中捜索を行っているところであります。
 二つ目の御遺体の身元確認のための活動についてでございますが、昨日現在で身元の判明していない御遺体が84体ございます。早期に身元を判明させ、御家族にお返しするため、DNA鑑定、歯牙照合、所持品の確認等を行っているほか、本年6月26日及び10月4日、合わせて15名の似顔絵を作成し、新聞や県警ホームページで公開するなど、広く県民の皆様に身元確認の御協力を呼びかけているところであります。
 三つ目の被災地域における安全・安心の確保のための活動についてでございますが、県警察では、本年2月1日付で16都県から130名の特別出向警察官を受け入れ、大船渡署、釜石署及び宮古署の3警察署に配置し、各警察署において、自動車警ら班、機動捜査班、地域安全班及び交通対策班として、被災地域の安全・安心の確保に当たっているところであります。
 続きまして、3点目の他機関との連携と課題についてでございます。
 発生当初は、携帯電話、一般加入電話等の情報通信手段が途絶するなど被災状況が甚大なため、被害情報の交錯、捜索場所や孤立地域に関する情報の不足などから、捜索場所が重複した地域もございますが、県災害対策本部及び被災地市町村現地災害対策本部における関係機関との情報共有が図られるにつれて、他機関との連携が良好に行われたものと思っております。
 県警察では、発災と同時に県災害対策本部及び現地災害対策本部へ要員を派遣し、情報の共有化を図ったところでありますが、今後、さらなる関係機関との円滑な連携のため、県災害対策本部等への派遣要員の運用について見直しを進めているところであります。
 また、災害警備活動における救出救助、避難誘導等の諸活動を迅速、的確に行うためにも、日ごろから関係機関と連携した各種訓練が重要であると思っており、引き続き各種災害警備訓練を反復実施し、災害発生時における他機関との連携に万全を期したいと考えております。
〇高橋警務部長 続きまして、被災しました庁舎等の復旧状況等について御説明いたします。
 東日本大震災津波によりまして被災しました庁舎につきましては、釜石警察署を初め宮古警察署、沿岸運転免許センター等の主要施設のほか、沿岸各警察署の交番、駐在所を合わせた19の庁舎が津波により全壊または半壊し、使用不能の状態となっておりましたが、本年1月までに、釜石警察署、宮古警察署、沿岸運転免許センター、大船渡警察署高田幹部交番、釜石警察署大槌交番、宮古警察署山田交番の6施設につきまして、仮庁舎の建設または仮復旧工事を済ませ、業務を再開しているところでございます。
 また、その他の施設につきましては、本署や隣接交番等を拠点として業務を行っているところでございますが、いずれの施設もいまだ再建には至っていないところでございます。
 また、床上浸水等、使用不能とまでには至っていない比較的軽微な被災を受けました交番、駐在所5カ所につきましては、既に復旧または仮復旧をしているところでございます。
 次に、警察車両についてでございますが、津波によりまして37台の警察車両が被災し、使用不能となっておりますが、平成23年7月には、警察庁の調整により、他県警察におきまして使用しておりました車両を管理がえいたしまして、全て復旧または仮復旧ということで復旧しているところでございます。
 次に、装備品についてでございますが、津波によりまして耐刃防護衣などの受傷事故防止資器材350点余りを流失または破損したところでございますが、平成23年度の県の6月補正予算によりましてこれらの経費の措置を行い、本年1月までに補aXを終え、全て復旧済みでございます。
 以上が現在までの復旧状態でございますが、県警察といたしましては、被災した警察施設の一日も早い再建に向けまして、被災地の復興計画等を踏まえ、自治体、関係機関等との協議を行うなど、県警察の最優先課題として取り組んでいるところでございます。
〇郷右近浩委員 私からは2件、数点についてお伺いさせていただきたいと思います。
 1件目につきましては、交通安全対策についてお伺いしたいと思います。交通安全対策特別交付金につきましては、平成22年度、5億2、600万円余、また、平成23年度、5億970万円余となっておりまして、それぞれが前年比5.3%減、さらには3.2%減となっておりますけれども、今回は交通安全施設災害復旧事業費という項目もできまして、そうしたことで国の手当てが9億1、500万円余がついておりますけれども、それ以外に、平成23年度の岩手県の交通安全施設整備費を何とかかんとかやりくりしながら8億4、000万円を何とか手当てしていただいているということに関しましては、本当にとてもよく頑張っていただいているといったような思いであります。
 しかしながら、県内のそうした交通安全施設の要望というのはまだまだ本当にたくさんあるものと思いますし、これにつきましては常に市町村ともいろいろお話ししていただきながら、いろいろ調整をとっていただいているものという認識を持っておりますけれども、そうした中で、現在の要望状況、件数、整備率というか、そうしたことに対する充足率というか、そうしたものについてお示しいただきたいと思います。
〇佐藤交通部長 それでは、交通安全施設の整備状況について申し上げます。平成23年度の整備については、要望が407カ所に対しまして整備済みが250カ所であり、整備率は61.4%となっております。内訳につきましては、信号機52カ所に対して17カ所で32.7%、標識につきましては355カ所に対して233カ所で65.6%となっております。
 なお、要望の407カ所は、平成22年度中に提出された要望が大半を占めております。
〇郷右近浩委員 本当にこの要望であり、それをどのようにかして形にしていくということに関しましては、毎年毎年、市町村でも、地区要望からそれを市町村要望にして、それをまた県警へとさまざまな形で協議して、それに対して対応していただいているということで、ただ、それぞれの地元から見ると、もうちょっとここの部分ははねられないような形で何とか手当てしていただきたいと思いながらも、このとおり、県内でまだまだ進んでいない中で、一生懸命頑張っていただいているのかと思っております。
 しかしながら、先ほど、今回の災害復旧事業費の部分で9億1、500万円という話もしましたが、沿岸の被災地においては、都市をこれからつくっていく中で必要なものがどんどん出てくるだろうし、さらには、そうした中で、もちろんほかの内陸であったり被災地以外の部分でも、本当に必要なものというのはこれからまたどんどん出てくるのだろうと感じているところであります。
 そうした中でありますけれども、本年、3省庁より通学路の緊急点検の実施の省令が交付されたということで、私は一般質問でも質問させていただきましたけれども、そこの部分に対して、危険箇所の確認は今現在進められているところだと聞いております。いろんなところでは何千件だったとか何万件だったという話はありますけれども、岩手県においては、今、教育委員会に集約をかけているところだと聞いておりましたけれども、こうしたものに対して、本当にかけ声だけじゃなくて、手当てできるいいチャンスといったら語弊があるのかもしれませんけれども、そうしたことでは、今回、国に対して求めていくべきであると思いますし、きちんとその手当てをやっていただきたいと思うわけでありますが、今後の対応についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤交通部長 それでは、通学路の緊急点検に伴う交通安全施設の予算確保について申し上げます。
 通学路の緊急合同点検の結果、対策必要箇所の抽出を受けて、教育委員会等から、警察が行うことになる対策について要望がなされることになっております。対策要望の中で、交通安全施設整備等につきましては相応の予算が必要になると考えておりますので、警察庁に対しまして、交通安全施設整備補助金等の措置要望等を行うほか、県関係部局と調整の上、予算確保に努め、計画的な施設整備に努めてまいりたいと考えております。
〇郷右近浩委員 もしかしたら、本当に今回、いろんな意味でいろんな憂いをなくすチャンスかもしれません。どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。県の道路交通法についてお伺いしたいと思います。
 先日、私は、保健福祉部の審査の際に、今の訪問看護なり訪問診療の現場についてということで質問をさせていただきました。と申しますのは、今現在、訪問看護については74カ所のステーションで大体3、000人ぐらいの方々を対象にさまざまな形で見ていただいていると。さらには、訪問診療につきましては全県で87カ所において展開されているということで、国の方針もあって、在宅での医療という方向に向かってきているというのがまさに形になってきているんだなと感じております。
 そうした中にありまして、今現在の岩手県道路交通法の施行細則においてですけれども、訪問看護、訪問診療に関する車両は規制の除外となっていないといったことで、とめておいて、その間に駐車違反等で摘発になるといったような事例が数件見受けられてきたのかなということを感じております。ですので、そのことを、先ほど言った数全体をどのようにカバーすればいいのか。それこそ、みんな駐車車両だらけになってしまってというのも確かに大変なことではあるんだといったような認識はありますけれども、しかしながら、やはり医療というものを届けるといったものにおきまして、何とかここを県警も一緒になって取り組んでいただきたいという思いで質問させていただきます。何とか、この規制除外や規制許可の対象について必要と考えておりますけれども、まず最初に、その認識と考え方をお伺いさせていただきたいと思います。
〇佐藤交通部長 駐車禁止規制から除外する車両についてお尋ねですので、申し上げます。
 駐車規制の除外措置は、駐車規制が実施されている全ての場所で、日時を問わず駐車を可能とするものでありまして、交通の安全と円滑を図る観点から、対象車両は限定的な範囲にとどまるとしなければならないものであります。
 岩手県の道路交通法施行細則の第5条第1項第4号では、道路標識等による駐車禁止場所から除外される車両として、医師法に規定する医師または保健師助産師看護師法に規定する助産師が緊急往診のため使用中の車両と規定しております。このため、医師、助産師が緊急往診のため使用中の車両は駐車禁止の除外対象とされております。
 次に、緊急以外の訪問診療の看護に使用する車両につきまして申し上げますと、診療、看護先や車両が特定されますことから、同法施行細則第10条になりますけれども、警察署長の駐車禁止解除許可により駐車禁止場所への駐車が可能となっております。ただし、許可の要件としては、訪問診療、看護先付近に駐車場がないなど個別の実情を把握する必要がありますので、所轄警察署のほうに相談をお願いできればと思います。
 さらに、夜間、閉庁日などで急に訪問診療、看護等について必要になったという場合は、申請に迅速に対応するために、わざわざ署に来ていただくということは必要はありません。これにつきましては、ファクスや電話で受理する制度を設けておりまして、申請者の負担軽減に努めているところであります。
〇郷右近浩委員 まずは警察に御相談をというような部分で、考え方はわかりました。
 ただ、確かにこれだけ訪問看護であったり訪問診察を受けている方々がいらっしゃるということは、物を逆に考えると、ドクターであったり、その事業をやっている方々のモラル的なものも非常に大事なものになってくるのかと思います。そうしたことも含め、警察のほうでぜひとも今後とも指導していっていただきたいと思います。
 今、平成19年にできた施行細則に関しましては、その後の状況、これほど在宅というような形の流れになってきたことを踏まえれば、多少はやっぱりいろんな形で見直すべき部分もあるのかということを感じておりますので、これにつきましては、もちろん公安委員会であったり、さまざまな形で検討することを進めていただければと思いますので、御所見をいただいて、終わりたいと思います。
〇高木警察本部長 ただいま交通部長が答弁したとおりでございますけれども、環境というか、さまざま変わりますし、時代によっていろんな状況も変わっているということでありますので、先ほど御指摘のありましたようなところについては十分目配りをして、必要なものがあれば、当然、改正するような柔軟な対応をとっていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 私も3点ほどお伺いいたします。
 まず1点目ですけれども、昨年7月1日から施行されました暴力団排除条例に関して、その経過あるいはまた成果についてお伺いしたいと思います。
 一つは暴力団の動向、二つ目は取り締まりの状況、そしてまた県民からの声等があればお伺いいたします。
〇佐藤刑事部長 まず初めに、暴力団排除条例の施行後における県内の暴力団の動向についてでありますけれども、暴力団排除条例施行後、暴力団は、勉強会を開催して条例対策を講じるなど、危機感を感じていることがうかがえます。
 当県においては、飲食店等事業者に対する広報活動により事業者の暴力団排除意識が向上したことによって、暴力団側では、事業者との接触が困難になるなど、資金獲得活動に一定の打撃を与えていると考えております。
 次に、暴力団排除条例施行後の暴力団の取り締まり、検挙状況についてでございます。
 組織を挙げて取り組んでいるところでありますけれども、本年は、9月末現在で23人を検挙しており、前年同期比で見ますとマイナス2名となっております。本年中の主な事件としては、県内の暴力団組員による傷害事件、あるいは暴力団幹部による覚せい剤取締法違反事件などを摘発しております。
 また、これまで東日本大震災に関連した事件では、4名の暴力団組員を検挙しております。内容的には、東日本大震災の被災地等の復旧、復興事業に作業員を派遣したとして、昨年7月には暴力団幹部を、10月には暴力団組員をそれぞれ労働者派遣法違反で検挙しております。
 さらには、県の社会福祉協議会が、東日本大震災に関連して特別制度で行った緊急小口資金制度を悪用し、暴力団組員であることを隠して融資を受けたとして、昨年12月と本年1月に、それぞれ暴力団組員を詐欺罪で検挙しております。
 また、これまで暴力団排除条例の適用はありませんけれども、本条例施行後、県警ホームページへの掲示、あるいは飲食店に対するローラー作戦などにより県民への周知を推進した結果、昨年9月と本年7月には、暴力団に現金を提供することが条例違反になることを知った飲食店経営者から、暴力団へのみかじめ料の支払いに関する相談がなされ、組員に中止命令を発出するなど、当該条例と暴力団対策法の相乗効果が確認されております。
 このように、事業者を初め、県民の暴力団排除意識が向上しつつあり、暴力団の組織運営や資金獲得活動に打撃を与えており、引き続き、暴力団排除条例の適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、暴力団排除条例施行後の県民の声はどのようなものがあるかということについてお答えいたします。
 不動産業や金融機関等の事業者間では、契約に関して、暴力団排除条項を導入し、暴力団との関係遮断を明確化する姿勢を見せているほか、飲食業界などからは、暴力団排除条例に関する講習会の開催依頼があるなど、暴力団の排除機運が高まってきているものと感じております。
 このほか、東日本大震災で被災した沿岸地区では、震災に絡んだ復興事業等から暴力団排除の機運が高まり、特に、瓦れき処理に関しては、宮古地区、大槌地区、釜石地区、陸前高田地区の4地区において、事業者、自治体、警察等で構成する暴力団排除協議会を設立し、暴力団関連企業等の介入阻止、排除対策を推進しております。
 また、県内の各市町村では、暴力団排除条例を制定する動きが広まってきており、遠野市や滝沢村等5市町村では、既に条例が制定されておりますし、その他市町村においても、制定の動きが見られるところであります。
〇工藤勝博委員 やっぱりある一定程度の成果が上がっているということがわかりました。そういう中で、他県では、暴力団排除の店というステッカーなんかを張っていて、いろいろなトラブルに巻き込まれるという事例もあったわけですけれども、県内においてはそういうトラブルはなかったでしょうか。
〇佐藤刑事部長 北九州のほうでは大変な事案になっておるようでありますけれども、現時点で、飲食店に対するいろいろな北九州と同様な事案はまだ把握されておりませんが、いずれ、そういう事案が本県で起きてもおかしくないという情勢を想定しながら、暴力団対策法なり暴力団排除条例の適切な運用をしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 わかりました。
 次に、先ほど高橋昌造委員からもありましたけれども、震災後の警察業務について、残された項目の1点をお伺いしたいと思います。
 施設とか車両についての復旧の状況はお知らせがあったわけですけれども、そういう中で、日常の業務についてお伺いしたいと思いますが、前年、平成22年に比べ、認知数、検挙数が減っております。大幅に減っているなと思っておりますけれども、そういう経緯に至った要因はどういう形なんでしょうか。
〇小野寺生活安全部長 被災地の犯罪の情勢、認知件数に関してお話をいたします。
 被災地を管轄します大船渡、釜石、宮古、岩泉及び久慈の5警察署管内の犯罪の発生状況についてお話しいたしますと、平成23年中の刑法犯認知件数は808件で、震災前の平成22年度と比較しますと222件の減少、率にしてマイナス21.6%と大変大幅に減少したところでございます。
 この要因についてでございますけれども、昨年は、東日本大震災津波の発生直後から、全国警察からの大変多数の特別派遣部隊、パトカーもそうでございますが、こうした派遣を受けたと。それから、県内部隊をあわせまして被災地に大量投入しまして、パトカーと赤色灯がついた車両によります顕示的な、目に見えるような街頭活動を強力に推進したところでございまして、こういう特殊事情もございまして、被災地での犯罪発生が抑えられ、刑法犯認知件数が大幅に減少したものと考えております。
〇工藤勝博委員 日常の業務には大変御苦労なさっていると思いますけれども、そういう中で、残念ながら検挙率が下がっているなという、県内全体ですが、その検挙率が下がっているということは、どういうわけなんでしょうか、お伺いします。
〇佐藤刑事部長 検挙率の推移につきましては、手元に、本年9月末現在で刑法犯の検挙率が総数でいきますと42.9%になっております。前年同期比で、全刑法犯総数に占める検挙率は1.1ポイント上がっております。
 当然、毎月毎月で検挙率は把握しておりますけれども、例えば、余罪の多数とか、あるいは自転車盗の関係とか、若干それで上がったり下がったりという状況で推移はしておりますが、冒頭、本部長の説明があったように、無施錠被害率の関係とかが向上したときは、さらに犯罪発生が抑止されるという点では、検挙が上がって認知が減るとなれば検挙率は当然上がるということでありますので、毎月毎月いろいろな治安情勢によって上下するものであります。
 その他、広域で連続発生の事案とかがありまして、これが検挙率が上がらない原因だ、これが上がる原因だ、下がった原因だとかというのは、一概にはなかなか断定しがたいところがありますけれども、いずれ、本年9月末の検挙率でいきますと、昨年同期比では1.1ポイント上がっているということでございますので、引き続き、検挙率の向上に向けて諸施策をとって検挙率向上に取り組みたいと考えております。
〇工藤勝博委員 ありがとうございます。
 最後に、言葉の表現がいいかどうかわかりませんけれども、違法ドラッグとか脱法ハーブとかという表現で、今、注意喚起されておりますが、薬物乱用のまた新たなそういう流れが出てきたなと思っておりますが、この状況について、県内ではどのように把握なされているでしょうか。
〇佐藤刑事部長 いわゆる脱法ドラッグの現状についてお答えいたします。
 近年、全国的に規制薬物等に化学構造を似せてつくられ、規制薬物等と同様の薬理作用を有する物質を含有する脱法ドラッグを販売する店舗やウエブサイトが増加しており、それらのものは、合法ハーブ、お香、アロマ等と称し、いかにも人が摂取するものではないかのごとく装って販売され、これを購入して吸引等した人が、意識障害、嘔吐、けいれん、呼吸困難等を引き起こし、病院に緊急搬送される事例も多発しております。
 緊急搬送された事例の中には、十七、八歳の少年も含まれており、少年の健全育成への支障も懸念されるところであります。
 さらに、合法な物品であることを標榜しながら、実際には規制薬物等を含有する非合法ドラッグを販売する店舗も存在しております。
 このような現状に鑑み、本県警察においては、県主管部局等との連携の強化、販売業者に対する指導、警告、悪質業者に対する取り締まり等により、非合法ドラッグ、脱法ドラッグの供給の遮断と需要の根絶のための対策を推進しております。
 本年9月末現在、県内では、いわゆる脱法ドラッグを販売している業者は確認されておりません。
 また、9月末現在、県内でいわゆる脱法ドラッグを使用したことにより緊急搬送された事案や死亡した事案は、把握されておりません。
 いずれにしましても、インターネットや県外からの入手、使用が容易なものでありますので、捜査、取り締まりを徹底してまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 最後に、この脱法ハーブは、表向きは、痩せられるとか、あるいはまた、興味を引きつけるような形で販売されているということでもありますし、特にも先ほど答弁にもありました、これから若い人たちが、そういうちょっとした興味本位で使用することのないように、県内ではまだ確認されていないと言いながらも、地方都市でも出てきておりますので、十分気をつけながら、取り締まりも含めて注意喚起に努めてほしいと思いますけれども、その辺、本部長からも一言お願いして終わりにしたいと思います。
〇高木警察本部長 ただいま刑事部長から御説明したとおりでございますけれども、これまで、本県においては脱法ドラッグの販売業者の確認ということはなされておりませんし、また、これを摂取しての緊急搬送の事案というものも確認されておりませんが、全国では公然と店頭販売されておるという事実がありますし、また、ネットの時代でありますので幾らでも手に入るというような環境はあろうかと思います。青少年への蔓延等が懸念されるのは事実でございますので、警察といたしましても、関係機関と連携をとりながら、販売業者の把握等に努める一方で、また、悪質業者に対する取り締まりの徹底ということも進めていきたいと考えております。
〇軽石義則委員 私から大きく2点について質問させていただきます。
 警察本部費に関連する部分でございますけれども、東日本大震災津波以降、過酷な現場の中で多くの努力をしていただいていることに敬意を表するところでございますけれども、公務災害の発生状況は、メンタルを含めてどのような状況になっているのか。また、それら公務災害の再発防止対策などあれば、それも含めてお示し願いたいと思いますし、加えて、公務災害の補償件数内訳について、家族の対応も含めてお示し願いたいと思います。
〇高橋警務部長 ただいま公務災害の発生状況等について御質問でございますので、御説明させていただきます。
 公務災害の状況につきましてでございますが、公務災害は、職務執行に際しましてこうむりました負傷、疾病、障害または死亡といった身体的損害が発生した場合に、職員本人または御遺族からの申請に基づきまして認定するところでございますが、平成23年中の件数を申し上げますと、東日本大震災津波によりまして殉職事案が11件発生したことを初め、震災対応活動中に負傷した4件、その他の業務上のものを含めまして35件となっておりまして、これら申請されたものにつきましては、全て認定しているところでございます。
 次に、補償の状況につきまして先に御説明させていただきますが、殉職された職員の遺族の皆様方に対しましては、遺族補償、葬祭補償等が給付されておりますし、また、その他の疾病等あるいは負傷等につきましては、職員本人等に対しまして療養補償を全て行っているところでございます。
 続きまして、公務災害の再発防止対策についてということでございますが、警察業務につきましては、間口も広うございますので、それに伴いまして発生します公務災害につきましても多岐にわたるところがあることも現実でございますので、その防止対策につきましては、それぞれ担当部門が、実情に即した具体的な訓練、教養に努めているのが一般論でございます。
 その一例として御説明を差し上げますけれども、現場におけます職務執行に伴う殉職、受傷事故防止対策の観点から申しますと、警察官の職務執行にはさまざまな危険等が伴うということでございますので、平素から、柔道、剣道あるいは逮捕術等の術科の錬成、あるいは体力向上のための各種施策の実施に努めているところでございます。
 また、特に殉職等の危険度が増します交通事故現場あるいは交通取り締まり等の現場活動につきましては、交通量、天候、路面状況等に応じた各種装備資機材の積極的、有効な活用を含めました具体的な活動要領を定めているところでありまして、これに基づく実践的訓練を中心といたしました指導教養を強化して、その防止に努めているところでございます。
 また、その訓練に当たりましては、訓練者の年齢、体力あるいは技能等によりまして、無理な訓練とならない配慮あるいは施設や訓練環境を十分に配意しながら……。
〇小野共委員長 申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇高橋警務部長(続) はい。安全管理をさらに強化していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 それでは、そこに関連する部分として、メンタルへルスを含めた休務発生状況の内訳についてお示し願いたいと思いますし、加えて、そのメンタルヘルス対策はどのような現状になっているのか。そして、加えて、やはり休務が発生しますと、その職場には人員不足という現状が発生すると思いますけれども、他の業務と違いまして外部委託等での対応というものはなかなかできない職場だと思っておりますので、それらについてのいわゆる定員と、休務発生等の場合の実配置人員の差をどのような形で対応しているのか、お示し願いたいと思います。
〇高橋警務部長 まず、メンタルを含めました休務、休業の発生状況についてでございますが、入院や自宅療養などで休養している職員につきましては、平成24年9月30日現在で11名となっております。そのうち心の病、メンタルによる者が6名、全体の55%となっているところでございます。
 続きまして、メンタルヘルスの対策ということでございます。
 職員に対しますメンタルヘルス対策は、一般的なものでございますが、毎年、各所属の健康管理担当者、これは各警察署の副署長あるいは本部所属等の次長がこれに該当するところでございますが、これらの者を対象にいたしまして、職場におけるメンタルヘルス対応に関する研修を実施しております。また、保健師によります職員の個別相談、あるいは職員の相談に応じる専門医及び臨床心理士の委託、これは県費でお願いしております。また、職員及びその家族の相談に応じる臨床心理士による電話相談窓口等を互助会でも設置するなど、気軽な相談がとれる体制について心がけているところでございます。
 最後に、このような休業している者との実人員の中のバランスということでございますが、今御説明しましたとおり、休業している者だけでも11名ございますので、委員御指摘のとおり、定数と実際に稼働している実人員という部分について差があることは確かでございますし、また、そこの差がなかなか埋めにくいというのも警察業務の特殊性というところでございますが、今現在、震災後といたしましては特にでございますが、特別出向者130人を受けまして、被災の激しかった沿岸3署、大船渡警察署、釜石警察署、宮古警察署に配置しておりますほか、毎年度、人事異動の時期には、こうしたそれぞれの年に応じまして、組織改編を必要に応じて行うなどいたしまして、限られた人員の中で適切な対応が可能となるように配意しているところでございます。
〇軽石義則委員 やはり県民の生命、財産、安全を確保する上で、職場環境というものも非常に大事だと思いますので、今後も十分その点には配慮した取り組みをしていただきたいと思います。
 加えて、警察施設費の中の財産管理費において、やはり生活環境の整備というものも大事だと思いますけれども、公舎の被災状況並びにその後の対応等示していただきたいと思いますし、現状、今後の取り組みなどで課題があれば、あわせてお示し願いたいと思います。
〇高橋警務部長 公舎の被災状況でございますが、先ほどのほかに、公舎につきましては、職員宿舎につきまして、昨年の東日本大震災津波によりまして7棟22戸が全壊または半壊して使用不能な状態になっているところでございます。
 また、これらにつきましては、残念ながら、まだ復旧には至っていないところでございますが、いずれも、被災いたしました警察署あるいは交番等の勤務員の宿舎、職員宿舎ということでございましたので、これらの施設の復旧の動向を見ながら、その配備については努めていきたいと思っております。
 ただ、委員御指摘のとおり、生活環境につきまして整備することについては、県警察としましても非常に重要に考えているところでございまして、施設の復旧とあわせまして、最優先の課題として取り組んでいきたいと思っているところでございます。
〇軽石義則委員 そのような過酷な現場で、非常に皆さんの努力が県民の皆さんからも評価されていると思いますので、ぜひとも引き続き対応していただきたいと思いますし、そういう努力に対して、本部長からの思いがあれば、お聞きして終わりたいと思います。
〇高木警察本部長 現在、130人の緊急増員を受けて被災地における各種活動を実施しているわけでございますけれども、非常に過酷な勤務ということは事実でございまして、その中で一生懸命努力いたしておりますので、先ほど委員御指摘いただきました宿舎の関係でありますとか、そういうどちらかというとちょっと後に回してしまいがちな部分についても、きちっと目配りをして対策を講じていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 私は、被災後の警察施設の復旧状況について伺いますが、先ほど高橋昌造委員、工藤勝博委員の質疑にもありましたので、重複する部分は割愛して、そこから発生する問題についてお尋ねしてまいります。
 先ほど警察署、それから幹部交番、交番、駐在所、再建予定が19という数字を示していただきました。しかし、一方で具体的な再建計画は未定、こういうようなお話がありました。
 今後のまちづくり計画にリンクをするということでしょうから、その未定というのはある程度やむを得ない部分があるかなと思うんですが、一方で、恐らくこうした庁舎の復旧については災害復旧費を充てるのではないかと私は推測するわけでありますが、通常、その災害復旧費の場合は、災害発生からの年度が限られております。一方で、この具体的再建計画はまちづくりと連動するということになりますと、よほど特例法あるいは取り扱いを緩和しないと、なかなか財源的に出てこないということがあろうかと思います。
 警察庁とも協議をしているとお聞きしておりますが、この災害復旧についてどのような考えを持っていらっしゃるのか、それから、具体的再建計画は未定ということでありますが、どうしても19の駐在所、交番、警察署を建設するとなると、ある程度の年次計画も必要だと思うんですが、それはできるだけ、ある程度、どこから取りかかって、どういうふうにやるというのはお示しいただけるものであれば、早くに、いつごろまでにこういう計画を出しますということをしっかりお示しいただいたほうがいいのではないかと思っているんですが、あわせて御答弁をお願いします。
〇高橋警務部長 今、御質問いただきました施設の具体的な再建計画についてでございますが、いまだ復旧していない警察施設の再建につきましては、今回の震災における反省等も含めまして、まず、警察署につきましては特にでございますが、防災拠点としての安全性を確保するということ、また、有事の際には警察活動の継続が必要でございますので、警察活動上のその意味での有利性の確保、また、何よりも地域住民の方の利便性の確保、将来を見据えた体制の確保等、さまざまな観点から検討しているところでございます。
 適地につきましては、今、委員の御指摘にもございましたけれども、なかなか各市町村と被災地の再建計画との兼ね合いということもございまして、そこの協議を今進めているところでございますが、一方で予算的なそこの一般的な年限というところもございますので、その点につきましては、具体的な再建計画の策定に向けまして、今後も引き続き、関係市町村あるいは県知事部局等と連携を密にしながら、また予算等につきましても、警察庁を通じまして、いろいろとお願いして進めたいと思っているところでございます。
 今の時点で具体的にというところでちょっとお示しできない点につきましては、御理解いただければと思っておりますが、繰り返しになりますが、これにつきましては県警としても最重要課題の一つと考えておりますので、早期に取り組みを進めてまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 ぜひ、その財源確保の観点は、内部協議でしょうから、しっかりとお進めいただいて、適地が見つかればすぐにできるような体制にしていただきたいと思うんですが、一方で、現在、仮復旧、仮設庁舎を設置していることについての課題等についてお尋ねしてまいりますけれども、現在、釜石警察署は仮設庁舎でやっている、それから、宮古警察署は、現庁舎を仮復旧しておりますけれども、一部は使用していないということになっておろうかと思います。
 私は、特に釜石署について懸念しておりますのは、所轄機能でありますから、留置管理、検視、取り調べについて、やはり仮庁舎での限界というものがあろうかと思っておるわけであります。現状について課題があればお示しいただきたいと思います。
〇高橋警務部長 今、委員から、特に留置管理状況についてのお尋ねでございますが、東日本大震災後の留置管理状況につきまして、同震災によりまして、今、御指摘がありました釜石警察署、宮古警察署が被災いたしまして、この両警察署につきましては、留置施設が使用不能となっているところでございます。したがいまして、現在、この両警察署の被留置者につきましては、基本的に釜石警察署は遠野警察署へ、宮古警察署は岩泉警察署へそれぞれ留置委託を行っているところでございます。ただ、やはりその委託先の収容人員の問題もございますので、これが定員を超えた場合には、盛岡東署あるいは盛岡西署等、さらに遠いところに留置委託をしているところでございます。
 これに伴う課題ということでございますが、今申し上げましたとおり、また、委員からも御指摘がありましたが、本来の警察署と違うところに委託しておりますので、事件送致あるいは診療等の護送につきましては、委託元の警察署が全て負担をするという状況でございますので、従前に比べまして、これら護送等に伴う移動距離あるいは要する時間が増加していると。また、さらに遠いところに委託留置になった場合には、その状況がさらに重くなるというところが現状でございます。
〇岩渕誠委員 警察業務において神経を使うところはいっぱいあると思いますけれども、私の経験から言うと、留置管理と警衛警護、この二つは、何もなくて当たり前で、何かあると大騒動ということでありますし、そういう意味においては、留置管理、特に取り調べの関係も時間が制約されるということになりますから、これは、ぜひこういった点も踏まえ、あるいは被留置人の人権等の問題もあると思いますので、これはぜひ、その観点からも早急な施設整備をお願いしたいと思います。
 最後に、被災後の治安状況についてお尋ねしてまいります。
 先ほど、全体のお話、そして被災5署の状況について大枠的なところの御説明はいただきました。ちょっと立ち入ってお尋ねしてまいりますが、被災5署の刑法犯の認知件数の中で、やはり変化があらわれているものがあるかと思います。全県に比べて増加しているもの、これは一体どうなのか、その背景をどのように分析をしているのかお示しいただきたいと思います。
〇小野寺生活安全部長 被災地の犯罪発生状況の推移と特徴的な傾向といいますか、こういうことを申し上げたいと思います。
 先ほど工藤委員に対する答弁の中でも申し上げましたけれども、全体的なところは、発災直後の平成23年中につきましては、いろいろと全国的な応援もございまして21.6%と大幅に減少したところでございますけれども、一方で、本年9月末現在を申し上げますが、刑法犯認知件数は679件ということで、昨年9月末現在と比較しますと74件、率にして10.8%、去年よりは若干ふえております。
 しかしながら、震災前の平成22年9月末と比較しますと105件、率にして15.5%の減少ということで、震災前の一昨年よりも本年のほうが数値的には減少しておりますことから、被災地においては一定の治安は確保されているということを踏まえながら、この犯罪内容の変化について申し上げます。
 9月末現在の犯罪の発生傾向といたしましては、仮設住宅の駐車場に駐車中の車両に対する器物損壊、あるいは空き巣などの侵入窃盗被害が若干散見されるところでございますが、こうした件数につきまして見ますと、震災前と比較しますと、犯罪の件数や内容については、大きな変化は認められないところでございます。
 このように、全体的に犯罪の発生はおおむね抑止できているところでございますけれども、一方で、振り込め詐欺を初めとします特殊詐欺が、利殖勧誘詐欺を含めました特殊詐欺でございますけれども、これが増加傾向にありますし、今後復興が本格化する中で、住宅耐震工事あるいはリフォームを装った悪質商法、あるいは詐欺等の発生も懸念される状況にあります。それから、さらに侵入窃盗につきましても若干増加傾向にもございますので、こうした侵入窃盗被害に対する警戒も必要であると認識しております。
 そのために、引き続き、被災地の安全・安心の確保のために、いろいろなパトカーによる警戒活動、あるいは仮設住宅に対する訪問活動、座談会の開催等、防犯ボランティア団体と連携した活動を一層強化してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 いろいろ詐欺あるいは侵入盗、器物損壊と、やや前年よりはふえているという傾向があるようであります。最大の防犯対策は検挙をすることであろうかとは思いますけれども、一方で、いわゆる広報、先ほど部長がおっしゃっていましたが、そういった体制を充実させることは非常に大事なことだと思っています。
 やはり震災前と環境が違うのは、駐在所のお巡りさんが、巡回連絡とかで今も一生懸命やっていらっしゃるかと思いますが、どうしても居住地に今いないということで、いわゆる身近な警察ということに対しての部分が少し薄くなってはいないだろうかということを大変心配しております。
 よく警察の皆さんは、鬼手仏心という言葉を使って、強い捜査機関としての警察活動、そして、本当に信頼されるといいますか、地域警察官の媒介としてといいますか、そういったところをおっしゃるわけでありますけれども、その部分で、やはり広報活動とか底辺を支える活動について、駐在所の再建も含めてしっかり充実していただきたいと思っておるわけでありますが、所感があれば伺って、終わります。
〇小野寺生活安全部長 ただいま委員お話のとおりでございまして、警察活動の中では、地元住民の方からいろいろな犯罪状況についての御意見を伺うとともに、警察からの情報発信というものが大変重要でございます。
 そうしたことから、先ほどもお話がございましたけれども、警察署協議会とか、いろいろな場面で情報を吸い上げながら、一方で、警察が把握しております、先ほど申し上げましたような犯罪の発生状況につきまして、きめ細かく、例えば駐在所、交番等におけますミニ広報紙とか、それから交番速報、さらにはボランティアとか、地元自治体あるいは住民の自主防犯団体がかなりできてきておりますので、そういうところを通じまして、きめ細かな広報に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 私からは、大きく2点についてお伺いいたします。
 まず1点目、交通事故防止対策についてお伺いいたします。
 昨年の交通事故の発生件数も傷者数も前年に比べ大幅に減少しておりますが、これは皆様方の取り組みの成果と認識しております。ところが、ことし上半期を見ますと、発生件数は減少しているにもかかわらず、死者数が前年比9人増で32.1%増となっております。平成23年、平成24年の交通事故、死亡事故のそれぞれの特徴をお伺いいたします。
 まとめてお伺いいたします。
 平成24年の死者数が急増しております。手元に全国データがありますけれども、1月1日から9月27日までの累計死者数の増減数の大きい都道府県というのがありまして、増のほうを見ていきますと、1位が岐阜県でプラス21、2位が岩手県で15人増となっておりまして、これまでずっと交通事故が減ってきていて、すごく成果があらわれているなと思っていたんですが、ここに来て急増しております。この要因をどのように分析しているのかお伺いいたします。
〇佐藤交通部長 それでは、ただいまお尋ねの平成23年中と本年の事故の特徴、それから本年は死者が増加している要因について申し上げます。
 まず、ただいまお話がありましたけれども、平成23年中の岩手県内における交通事故は、発生件数が3、746件、死者数は66人、負傷者数が4、616人でありまして、発生件数、負傷者数は8年連続の減少、死者数は2年連続で減少しております。
 交通死亡事故の特徴につきましては、高齢者の死者が多い、それから時間帯別で午後6時から午後8時の間に多発していることが挙げられます。
 次に、本年につきましては、発生件数、負傷者数は減少傾向で推移しておりますけれども、死者数は9月末現在で60人、先ほどお話がありましたとおり、昨年同期と比較して15人増加しております。特に1月から3月までにおける死者数が21人で、前年と比較しますと10人も増加、うち6人は高速道路で亡くなっております。
 交通死亡事故の特徴としましては、高齢者や夜間の事故が多発しているほかに、路線別に見ますと、高速道路、そして国道の発生が目立っております。
 本年死者数が増加している要因ということですが、本年9月末の死者数の約6割に当たる37人の方は高齢者でありまして、また、増加した15人の死者のうち13人を高齢者が占めております。
 そこで、高齢者が亡くなったときの状況を見ますと、歩行中が18人で最も多くなっております。
 高齢者が犠牲となった歩行中事故の原因といたしましては、まず、車両がライトを下向きで走行してきたことによります発見のおくれ、そして、歩行者側も無理な道路横断などがありまして、事故原因の一端を有していることが判明しております。こういう点が、ことし増加の要因の一つだと考えております。
〇小西和子委員 高齢者の方の死者数が、先ほどお話になりましたけれども、60人中37人で61.7%と大変高いということのお話でした。
 次に、高齢者の交通事故防止対策が重要であると考えます。これまでの取り組みと今後の対策をお伺いいたします。特に重点的に取り組む内容があれば、それもお示しください。
〇佐藤交通部長 それでは、お尋ねのこれまでの取り組みと今後強化をする対策について申し上げます。
 高齢者の交通事故防止につきましては、ただいま御説明いたしましたとおり、喫緊の課題として認識しております。これまでも取り組みを強化してまいったところでありますけれども、歩行中に犠牲になる方が多いことから、今後とも、まず、歩行者教育システムというものがありまして、いずれ交通安全教育用機材を活用した参加、体験、実践型の交通安全教育を通じて、交通ルールの遵守、それから加齢に伴う身体機能の変化などを理解していただく必要があると考えております。
 それから、運転者対策がありまして、運転者対策といたしましては、道路を横断する歩行者に早目に気づかせるために、原則ハイビーム走行の広報を推進するなどしながら、高齢者の交通事故防止を図ってまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 ありがとうございます。釜石市とかでは、シルバー交通安全クリニックとかということで取り組んでいるというようなことも聞いております。それから、高齢者の在宅家庭訪問活動もなさっていまして、平成23年中は6万3、564人とか、ことしに入りましてからは4万9、350人とかと、すごく頭の下がるような活動をされているなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、全国的にも注目を浴びております自転車がかかわる交通事故についてですけれども、平成23年に比べ、平成24年上半期は大幅に減少しております。どのような取り組みを行ったのかお伺いいたします。あわせて今後の対策についてもお示しください。
〇佐藤交通部長 それでは、自転車の交通事故の対策のこれまでの取り組みと今後の対策について申し上げます。
 先ほどお話がありましたけれども、自転車が関係する交通事故につきましては、本年9月末現在、昨年と比較いたしまして、発生件数と負傷者数は、ともに20%減少しております。死者につきましては6人と、昨年と同数となっております。
 自転車の交通事故は、朝夕の通勤通学時間帯に多発する傾向にありますことから、自転車通行が多い中学校、高等学校、そして駅周辺を中心に街頭指導を強化するなど、それから、いわゆるピストというものがありますけれども、ブレーキが装着されない自転車などがありまして、こういう悪質危険な交通違反については、検挙措置を講じているところであります。
 それから、今後の対策につきましては、自転車シミュレーターの活用や、スタントマンにより交通事故を再現させ、交通ルールの重要性を学ばせるスケーアードストレート教育技法、こういうものを活用いたしまして、工夫を凝らした交通安全教育について配意の上、取り組みを強化していきたいと思っています。
〇小西和子委員 信号無視して通るのは自転車が一番多いように見受けられます。あるときは歩行者と一緒に、あるときは自動車と一緒に、そして信号も無視していくと。あとは、追突されそうになることも皆さんも体験していらっしゃると思うんですけれども、今後とも、自転車にかかわる交通事故を減らすための御努力をお願いいたします。
 次に、子供を犯罪から守る対策についてでございますけれども、子供に対する声かけ等事案の認知件数が、平成23年、平成24年と増加の傾向にあります。その特徴と要因、改善のための取り組みをお伺いいたします。あわせて、子供を犯罪から守る対策についてもお伺いいたします。
〇小野寺生活安全部長 県内におけます子供に対する声かけ事案等の認知件数につきましては、平成23年中が218件でございます。平成24年、本年9月末現在は186件で、昨年の同期と比較しまして22件の増加となっているところでございます。
 本年の特徴でございますけれども、発生場所が、道路上が143件と77%、発生時間は、午後3時から午後6時台の下校時間帯が110件で59%と最も多い状況になっております。また、対象につきましては、小学生が93件で全体の50%、女子対象が144件で全体の77%と8割近くを占めております。
 また、声かけ事案の内容としましては、家まで送ってあげる、あるいは、こうした誘いのほか、写真を撮らせてといった容姿の撮影を目的とする声かけ、中学生や高校生に対しましては、携帯番号あるいはメールアドレスを聞き出すという内容の事案も発生しているところでございます。
 増加の要因でございますけれども、声かけ事案等につきましては、これまで、さまざまな機会を通じまして、教育委員会や学校等関係機関と連携しながら防犯指導を推進してまいりました結果、声かけ事案等に対する脅威といいますか、そういう認識が、児童生徒、保護者、学校等の意識が高まってきていることから、事案を潜在化させることなく、きちっと警察や学校へ通報することに結びついているということも、認知件数の増加につながった要因の一つと考えております。
 また、未然防止についての取り組みでございますけれども、県警察といたしましては、警察本部に子ども・女性安全対策係という声かけ事案を専門的に扱う部署がございます。ここを中心としまして、各署と連携しまして、特に声かけ事案の行為者をなるべく特定するということで、事件として立件できれば立件する、立件できない場合にあっても、指導、警告の措置をとっているところでございます。
 また、いろいろな広報の中で、県警ホームページを使った安全・安心マップ、あるいはまちコミ等の携帯電話情報発信サイトを利用した情報発信にも努めているところでございます。
 今後とも引き続き、きめ細かな情報発信等に努めてまいりたいと思っております。
〇小西和子委員 心配なのは被災地の子供たちのことでございます。街灯がまだまだ足りないといった声もありますし、通学路の安全等も心配でございます。不審者情報はどのようになっているのでしょうか。沿岸部の子供を取り巻く環境についてお伺いいたします。
 それから、もうまとめてお伺いいたしますけれども、最後に、沿岸部の子供を犯罪から守るための対策をお伺いいたします。
〇小野寺生活安全部長 それでは、被災した沿岸部の子供たちを取り巻く環境と守るための活動について、あわせてお答えいたします。
 沿岸部を管轄する5警察署管内における子供に対する声かけ事案につきましては、平成23年中が36件、ことし24年9月末現在が24件と、昨年と比較しまして7件減少しているところでございます。
 声かけ事案の特徴でございますけれども、これは、いずれも時間、場所、それから対象も県内全体の傾向と同様となっております。内容につきましても、車に乗っていかないかといった誘いの声かけ、あるいは名前や学校を尋ねるといったような声かけが発生しております。
 被災地においては、特に震災によって学校や通学路の変更が余儀なくされた地域もございます。徐々に暗がりは減ってきておりますけれども、いろいろな環境の変化がございますので、新たな通学路の安全対策が必要な地域も多いということを認識しておりまして、地域住民の方々と連携して、例えば移動交番を拠点にした活動を行っております特別出向者の方々がございます。こういった方々と連携しながら登下校時の見守り活動やパトロール活動を推進しているところでございますし、震災によって、一部地域の防犯ボランティア組織が崩壊しているところもございます。この機能が低下しましたところから、今般、防犯協会連合会と連携した自主防犯ボランティア活動マニュアルというものを作成して、配布しておるところでございまして、そういうものを利用した活動を推進してまいりたいと考えているところでございます。
〇斉藤信委員 最初に、大震災津波における警察本部の取り組みについて、重複を避けてお聞きします。
 大震災津波において、人命救助、遺体捜索、安全確保など、県警本部の取り組みは、これまでどういう実績になっているでしょうか。
〇工藤警備部長 東日本大震災津波の発生直後、県警察では、本部及び全警察署に災害警備本部を設置するとともに、地震発生当初から、被害情報の収集や被災住民の避難誘導、避難広報、被災者の救出救助、行方不明者の捜索活動等に約1、100人体制で対応するとともに、発災当初から、全国警察の広域緊急援助隊等の応援を受け、救出救助、緊急交通路確保等の災害警備活動に取り組んでまいりました。
 その後、被災地での警戒警ら、犯罪の予防、検挙、交通規制等を実施したほか、小中学生の登下校時における警戒、女性サポート隊による防犯指導、相談要望への対応など、避難住民の支援活動を行い、被災地域における安全・安心確保に努めてまいったところであります。
〇斉藤信委員 人命救助、遺体捜索、これはどうなっていますか。
〇工藤警備部長 人命救助活動等につきましては、発災当初、被災地を管轄する警察署の警察官が、住民や消防の方あるいは自治体職員の方々と一緒に多数の住民を救助したと認識しておりますが、何人を救助したのかは、特に集計はしておりません。
 ただし、困難な現場で、例えば、瓦れきに覆われた水に腰までつかりながら救助したとか、火事が迫る倒壊家屋の中から救助したとか、あるいは倒壊家屋に残された高齢者を救出し、背負って搬送したなど、こうした救助の事例については、救助した人数については35人と把握しているところでございます。
〇斉藤信委員 全国的には、これはあなた方からもらった資料で、約3、750人の被災者の救出救助をした、1万5、000体以上の遺体を発見、収容したと。全国的にこういう数が出ているのに、岩手県警の分というのは積み上げであるのではないですか。ないんですか。
〇工藤警備部長 私は先ほど35人と申し上げましたけれども、そのほかに、先ほど申し上げましたように、住民の方あるいは消防の方、自治体職員の方と一緒に救助した人数で把握している人数は136人でありますし、そのほかに、3月12日あるいは13日、ヘリで透析患者であるとか、あるいは傷病人を搬送した人数が26人と把握しております。
〇斉藤信委員 戦後最大の大災害でしたから、1年7カ月余が経過して、私は、それなりにこの間の取り組みというものはしっかり整理されておくべきだと思いますよ。
 それで、惨事ストレス、警察官の心のケアの対策、この間3度にわたって調査しているようですが、これはどうなっていますか。
〇高橋警務部長 今、委員から御指摘がありましたが、警察本部では、今回の震災におけます惨事ストレス対策としまして、昨年4月に全職員を対象としたストレスチェック票を活用したPTSD等のリスク評価を実施するなど、職員の心の健康状態の把握に努め、これらの結果に基づきまして、心のケアが必要な職員に対しましては、医師、臨床心理士等による個別面接、あるいは集団教養等を実施してきたところでございます。
 さらに、昨年9月から第2回目、本年4月から第3回目ということで、ストレスチェック票を活用した同様のリスク評価を実施いたしまして、心のケアが必要な職員に対しましては、引き続き個別面接等を行うなど、ケアを続けているところでございます。
〇斉藤信委員 きちんと、どれだけのリスクが高い職員がいたのか、何で具体的に答えないんですか。そんな抽象的な話じゃわからないじゃないですか。
〇高橋警務部長 ストレスチェック票による調査結果といたしましては、第1回目が237人、第2回目が87人、第3回目が47人という結果になっているところでございます。
〇斉藤信委員 丁寧に質問を出しているんだから、きちんと具体的に答えてください。
 それで、次に超過勤務の状況とサービス残業の問題についてお聞きします。
 過酷な、大変な仕事をされてきたと私は思うけれども、昨年度における警察本部職員の超過勤務時間、これは年間、月、超過勤務手当の支給額、支給時間、これも年間、月で示していただきたい。不支給分の超過勤務時間はどうなっているか。
〇高橋警務部長 昨年度の警察職員の超過勤務時間につきましては、職員1人当たりにいたしますと、年間平均超過勤務時間数が約426.1時間、これを月平均に換算しますと約35.5時間になります。
 超過勤務手当の支給につきましては、支給総額が18億3、726万円余でありまして、職員1人当たりの支給時間にしますと、年間平均支給時間数が約307.2時間、これを月平均に換算しますと約25.6時間であります。
 なお、これらを比較しますと、年間では118.9時間、月では9.9時間となっているところでございます。
〇斉藤信委員 去年、東日本大震災津波の取り組みで、前年と比べると月2時間程度しか残業がふえていないというのがちょっと少ないような気がするけれども、それでも超過勤務手当と比べると119時間、これが不支給ですよね。賃金が下がって、これだけ過酷な仕事をしているときに、これだけの不支給というのは、これはサービス残業、不払い労働ですが、警察本部長、これをどういうふうに受けとめていますか。
〇高木警察本部長 超過勤務についての御質問でございますけれども、改善すべき課題であると認識しております。部内の署長会議あるいは課長会議等におきましても、細かく具体的に指導しておりますし、改善には努めているところでございます。
 また、不要不急の業務の削減に努めるとともに、突発的な事件、事故に対処する必要がある場合には所要の措置を講ずるなど、対策を講じてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 本当に過酷で、献身的な取り組みをされてきた職員に対して、一方で賃下げをされ、サービス残業まであるということは、第一線で働いている警察官にとってみれば許されない事態だと。私の試算だと、1人当たり年間大体37万円の不払い賃金になると思います。
 これは、県警本部はまだ超過勤務時間を把握しているから、本庁より皆さんはまだ誠実だと私は思う。しかし、この差は放置していいということではないので、全力を挙げて解消に取り組んでいただきたい。
 次に、交通信号機の設置状況についてお聞きしますが、先ほども質問がありました。昨年は52機の要望に対して17機と。毎年毎年設置件数が減っているんですよね。その前年、前々年は26機だった。これは、要望が切実な割に信号機の設置件数が減っている理由は何なのか。
〇佐藤交通部長 信号機は交通事故発生の危険性、交通量、道路状況、学校、そして公共施設等の沿道環境などを総合的に検討しまして、さらに、これらについて全県的な見地から設置の必要性、緊急性を勘案し、移設などを含めまして、真に効果的な場所から優先して設置しているところであります。今後とも、限られた予算の中で真に効果的な場所を選定の上、整備を進めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 2年間で26機から17機に減っているわけだから、そして、県内全体からはかなり絞って、本当に緊急性の高いところが要望されているんですよ。私は、そういう中でこれだけ減っているということは問題だと思いますよ。これは予算が削減されて減っているのか。これはかなりな減り方ですよ。もう一回聞きます。何でこんなに減ったんですか。
〇佐藤交通部長 いずれ、全県的な見地から必要性について勘案していかなければならないということでありまして、皆さんの要望に応えられるように一層の努力をしてまいりたいと思いますので、御理解をお願いします。
〇斉藤信委員 わかりました……、よくわからないけど。
 次に、捜査報償費についてお聞きしますが、大震災津波の取り組みのさなかで、私は、捜査報償費は大幅に激減して当たり前だと思うけれども、その実績、そして何に使われたのか、国費、県費それぞれ示していただきたい。
〇高橋警務部長 お尋ねの昨年度の捜査報償費についてでございますが、県費捜査用報償費の執行額は昨年は1、499万円余となっております。また、国費につきましては3、448万円余となっているところでございます。
 それぞれの執行の用途につきましては、捜査協力者、情報提供者への謝礼、これら捜査協力者等との接触に際しての交通費や聞き込み、張り込み、尾行等に必要な交通費、通信費などに使用しているところでございます。
〇斉藤信委員 この捜査報償費というのがいわゆる裏金の原資になったと言われているから、私は毎年この問題を取り上げるんですよ。ましてや去年はあの大震災津波の取り組みで、それこそこんなものを使うような状況じゃなかったと私は思いますよ。
 それで、少年課がふえているんです、平成22年から平成23年。少年犯罪を私は調べてみたけれども、少年犯罪は平成15年から9年連続で減少して、昨年は戦後最低記録を更新したと。少年犯罪数というのは5年前と比べて半減になっているんですよ。そういう中で、何で少年課の捜査報償費はふえるのですか、これは具体的に答えてください。
〇高橋警務部長 捜査報償費の執行額につきましてでございますが、それぞれ所属で取り扱う事件の規模や形態、あるいは捜査に要する期間などによりまして異なるものという認識でございますので、これが増加した個別具体的な理由につきましては一概に申し上げることはできないと考えております。
 ただ、昨年、委員御指摘のとおり、東日本大震災津波に伴う災害警備活動に県警察としまして総力を挙げて取り組んできたところでございますが、これと同時に県内各地において日々発生する犯罪に対しても適切に対応してきたところでございます。(「よし」と呼ぶ者あり)
〇斉藤信委員 全然よくないんですよ。少年犯罪は激減しているんです。5年前と比べて半減以下ですよ。そういう中で、何で捜査報償費がふえるのかと私は具体的に聞いているんです。
 代表監査委員にお聞きしたい。この捜査報償費を監査委員会で監査していますか。そして、その情報を、ちゃんとどなたにこれが渡されたのか、捜査協力者に対する謝礼ですから、本当にそれが実在したのかどうか、そういう監査はされてないんじゃないですか。いかがですか。
〇佐藤監査第二課総括課長 私からお答え申し上げます。
 平成23年度会計に係る警察本部、各警察署の監査は本年6月から9月にかけて実施いたしました。
 御質問の捜査報償費でございますが、捜査報償費の監査に当たりましては、監査対象年度から3カ月分を、事前に通告することなく当日監査時に抽出いたしまして、その月の全ての案件について報償費支出に係る資金前途精算書、支払い精算書、領収証などを点検する方法により実施しました。
 また、これら書類の点検にあわせまして、抽出ではございますが、個々の執行状況について執行捜査官からも必要に応じて事情の聴取を行っております。
 この際、関係する関係諸帳簿は原則開示されておりまして、謝礼等に係る物品の購入及び情報提供者との接触に係る飲食費等について、領収証等により確認をしてございます。抽出ではございますが、この結果、監査の範囲内においては適正に執行されていると認められております。
〇斉藤信委員 領収証、捜査協力者の名前が出て、それは実在なのか確認できたんですか。そこまで出たんですか。
〇佐藤監査第二課総括課長 相手方の名前につきまして、その捜査対象者の名前については確認をしております。その人が実在するかどうかについては、実際に住宅地図等をもってその住所が実在しているかどうか、そこまで確認はさせていただいております。
〇斉藤信委員 その人が本当にもらったかどうかという、ここまで確認してないでしょうから、そこまでやるんですよ、この問題は。裏金というのはそんな簡単な話じゃないので、本当にここまでちゃんとならないとだめですよ。
 最後ですけれども、昨年の9月17日に盛岡西署のトイレで警部補が拳銃自殺をしました。私は、極めて重大な異常な事件だと思うけれども、この拳銃自殺の原因は何ですか。
〇吉田参事官兼首席監察官 委員御指摘のとおり、9月17日にそういう事案があったことは事実でございまして、原因等について、関係者あるいは家族等も含めて調査をいたしました。現在も捜査中でありますけれども、これといった特定には至っておらないのが実態でございます。
〇斉藤信委員 この警部補は6月まで大船渡署の交通課にいたようですが、6月に交通取り締まりのいわばもみ消し事案があって、それを苦にして自殺したのではないかと指摘されていますよ。そういうことはなかったんですか。
〇吉田参事官兼首席監察官 そういう事実につきましては確認されておりません。ありませんでした。
〇斉藤信委員 確認されていない。(吉田参事官兼首席監察官「ありませんでした」と呼ぶ)ありません。
 この方は懲戒免職になったんですか。どういう処理になったんですか。
〇吉田参事官兼首席監察官 死亡した職員については処分できませんので、処分は行いません。
〇斉藤信委員 最後ですけれども、6月に異動した理由は何ですか。
〇吉田参事官兼首席監察官 異動した理由につきましては、定期の異動でございます。
〇斉藤信委員 結局、これだけ異常な、新聞でも大きく報道されたこの事件の原因はいまだにわからない、それがあなた方の捜査の結果ですね。終わります。
〇小泉光男委員 大きなくくりで一つ、小さく分けて3点について御質問します。
 二戸駅近くに交番設置を求めている二戸住民、二戸市議会あるいは二戸市への県警の対応をお聞きするとともに、あわせて岩手県の犯罪防止のための警察活動、大きく言えば自治体警察の組織体制というような観点でお伺いしたいと存じます。
 交番は地域住民にとっての重要な拠点であることは、冒頭に高橋昌造委員からも御質疑があったとおりでございます。また、警察にとっても、警察官の職務活動の適正の先端の部分で、やっぱり町を担保するということのために、世界から交番という警察組織が非常に称賛されているところでございますので、二戸市民にとっても駅前に欲しいという素直な気持ちだと思います。そうした交番の果たす役割を知っているからこそ、新幹線の二戸駅開業後、駅の近くに欲しいという声が年を追うごとに大きくなっていますが、いまだ実現しておりません。
 平成23年度は交番等建設事業費として8、800万円ほど支出されているようではございますが、そういうところを踏まえて御質問します。
 まず、交番設置の内規基準とか条件、あるいは1交番当たりの建設費並びに1交番当たりの年間の維持費などはどういうものなのかお示しいただきたいと存じます。
〇高橋警務部長 維持費等につきましては、今、調べさせていただきます。
 まず、交番、駐在所の設置基準につきまして御説明いたします。
 交番、駐在所の設置につきましては、警察法第53条第5項、地域警察運営規則第15条などに定めております交番・駐在所設置に係る基準を参考といたしまして、住民の利便性、当該地域の人口、世帯数及び事件、事故の発生状況等を勘案しまして、全県的な見地から総合的に判断することとしているところでございます。
〇小泉光男委員 わかったら教えてください。
 次に行きます。岩手県警としては、二戸駅の1日の乗降客あるいは年間の乗客数などは把握していますでしょうか。2つ目の御質問でございます。
〇高橋警務部長 二戸駅におけます1日の乗降者数等につきましては、ただいま把握しておりません。申しわけございません。
〇小泉光男委員 まさに二戸市に確認しましたところ、1日1、134人、年間36万人から37万人と見込まれるというようなことでございました。
 次が大事なところでございます。御承知のように、二戸駅は、県北地域だけではなくて久慈地区の最寄り駅でございます。さらに加えて、二戸市と接する青森県田子町、三戸町、旧名川町、軽米町と接する八戸市南郷区など、岩手、青森両県含め、七、八万人が利用する基幹駅となりつつあります。実際に乗り降りする人だけではなくて、送迎で駅周辺を利用する二次利用人口となると、JR東日本とか二戸市が把握している利用人口よりもさらに格段に多いと考えてよろしいかと存じます。
 しかし、来年で開業10年を迎える二戸駅周辺には交番はございません。一番近いところで、従来、二戸警察署として使用されていた八幡下交番がありますけれども、800メートル離れていますし、二戸本署は金田一田面木ということで、二戸市以外の方にはわかりにくい状況にございます。日暮れと同時に人気がほとんどなくなる駅周辺に交番一つも見当たらないのは、住民にとって不安であるだけでなく、二戸駅に乗り降りした乗客も心細い限りでございます。
 そこで伺います。被災した駐在所とか交番の優先再建が重要だと先ほどの皆様の御質問でわかるところでございますけれども、新幹線二戸駅に交番がなかなかできない理由、これからも設置するお考えなどはないのかどうかについてお聞きします。
〇高橋警務部長 委員御指摘のとおりでございますが、二戸警察署の庁舎移転に伴いまして、二戸駅周辺及び二戸市中心部の警察力の空洞化を心配する地域住民の方々の声がございまして、また強い要望もあったということでございまして、御指摘のございました旧二戸警察署移転とあわせまして旧二戸警察署跡地に、現在、八幡下交番を開設しているところでございます。
 二戸駅周辺への交番の新設、設置につきましては、委員からありましたとおり、御要望を受けているところでございます。県警察といたしましては、これら要望の趣旨を深く認識いたしまして、今後、関係機関との協議等も踏まえまして、引き続き前向きに検討してまいりたいと思っておるところでございます。
 続けて、先ほど委員から御指摘のございました交番、駐在所の建築費等についてでございますが、規模にもよるところでございますが、平均で3、000万円程度ということでございます。
〇名須川晋委員 できるだけ早く終わります。
 身元特定作業訓練についてということで、そのまま全部質問をさせていただきます。
 民間と連携した災害時の身元特定作業訓練、検視の訓練と言っていいかもしれませんが、これがこれまで行われてきたかということと、9月15日にいわて花巻空港における身元特定作業訓練の成果、分析について、警察本部の立場からお知らせをいただきたい。そして、民間と連携したマニュアル等の整備がされてきたか、今後の訓練計画をどうするか。
 以上でございます。早く読んでいただいて結構でございます。
〇佐藤刑事部長 1点目の民間と連携した災害時の身元特定作業訓練のこれまでの実施ですけれども、県警察では平成17年から、岩手県歯科医師会が主催する法歯学セミナー並びに身元確認作業の合同研修会において、大規模災害を想定した身元確認作業の合同訓練を実施しているところであります。なお、昨年は東日本大震災の発生に伴い未実施となっております。
 次に、いわて花巻空港における身元特定作業訓練の成果、分析についてどうかというお尋ねでございます。本年9月15日に花巻市内の花巻市交流会館において、航空機事故発生に伴い多数の死傷者が出たとの想定で、岩手県歯科医師会、岩手県医師会等関係機関、団体等との合同による身元確認作業訓練を実施しております。各班の作業分担の相互確認及び連携など、この種事案に対する一連の流れについて共通認識を得ることができ、相応の成果があったものと考えております。
 次に、マニュアル等の整備の関係でございますけれども、岩手県歯科医師会とは、昭和63年3月7日に多数遺体の身元確認などに関する覚書を取り交わしております。当県警察では、多数死体取り扱いマニュアルを見直し整備して、これにより対応しているところであります。
 最後にお尋ねの今後の訓練計画でございます。合同訓練の検証結果を踏まえ、岩手県歯科医師会、岩手県医師会、岩手検案医会、岩手医科大学法医学教室など、関係機関、団体と連携を図り、今後は、より実践的かつ効果的な訓練を実施し、その練度を向上させてまいりたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 警察業務全般にわたって、ちょっと関連で質問をさせていただきたいと思います。
 今回の震災発災以来、警察の方々が常に前線で指揮をとりながら、我々の住民の安全・安心のために日夜活動していただいております。
 そういった中で、恐らく警察の辞書には、追うという言葉はあっても逃げるという言葉はないんだと私は思っております。私たちは常に、後ろを見ないでとにかく一目散に逃げろと教えられております。警察の方は、追う立場である方々が真っ先に逃げるということは恐らくないと思います。
 そういった中で、第一線にいる方々は最終的にどういうところで判断をして─多くの消防を初めそういう方々が命を落としております。今回の震災でも、警察業務にかかわられた方々も多くの犠牲を出しております。そういった中で、その教訓が、これから来るであろう大災害等に対して、警察の方々の身の安全を誰がどのようにして守っていくのかを最後に聞いて、終わりにしたいと思います。
〇高木警察本部長 ただいまの御質問というのは津波の際の対応についてだろうと思いますけれども、ただいま、警備計画の見直しの作業を進めておりまして、その部分については、時間を限って対応されるというような案を出されている消防関係のお話も聞きますけれども、今、いろいろ検討している最中でございまして、警察職員の身の安全を守りつつ、かつ避難、誘導をスムーズに、適切に行うというような方法について現在検討しているところでございまして、まだ、はっきり申し上げられるような状況にはございませんけれども、今回の震災を参考にして、よりよい方法について検討していきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 最高指揮官という立場で、今、本部長のほうからお話がありましたけれども、検討する、検討するといって、皆さんも私も言っているんですけれども、日常の業務に入っています。とりあえずという言葉は、果たして表現としていいか悪いかわからないんですが、ここは、こういうときにはこうだぞというような、少なくとも岩手県警察の方々には二度とそういう思いをさせたくありませんので、そういうのは強く、みずからの考えでとりあえず発するべきではないかと思うんですが、御所見がありましたら。
〇小野共委員長 申し上げます。ただいまの佐々木茂光委員の質疑は関連性がないものと認められますので、答弁を求めないこととします。御了承をお願いいたします。
 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 質疑がないようでありますので、警察本部関係の質疑をこれで終わります。
 警察本部の皆さんはお疲れさまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後8時8分 散 会

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