平成24年9月定例会 決算特別委員会会議録

前へ 次へ

平成24年10月19日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査    村 上   聡
  主査    藤 澤 壮 仁
  主査    藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  商工労働観光部長 橋 本 良 隆
  副部長兼
  商工企画室長   桐 田 教 男
  雇用対策・労働
  室長    阿 部 信 弘
  商工企画室
  企画課長    木 村   久
  商工企画室
  管理課長    千 葉 義 郎
  経営支援課
  総括課長    松 川   章
  科学・ものづくり
  振興課総括課長  佐々木   淳
  観光課総括課長  戸 舘 弘 幸
  企業立地推進課
  総括課長    飛鳥川 和 彦
  特命参事兼
  雇用対策課長   高 橋 宏 弥
  労働課長    猪久保 健 一

  労働委員会
  事務局長    浅 沼   浩
  審査調整課
  総括課長    吉 田 和 明

  企業局長    青 木 俊 明
  次長兼
  経営総務室長   水 野 和 彦
  技師長    池 内   達
  経営総務室
  管理課長    宮 澤 寛 行
  経営企画課長   千 枝 泰 航
  業務課総括課長  菅 峨 範 夫
  電気課長    榎     充

  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    田 村 幸 義

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 門 口 正 雄
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇小野共委員長 これより本日の会議を開きます。
 福井せいじ委員及び久保孝喜委員は欠席とのことであります。
 この際、商工労働観光部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇橋本商工労働観光部長 恐れ入りますが、審査に先立ちまして、関係書類である平成23年度主要施策の成果に関する説明書、いわて県民計画実施状況報告書の当部関係の事項に記載誤りがありましたので、御報告申し上げます。
 その内容は、お手元に配付しております正誤表のとおりでございます。
〔参照〕 配布資料(PDF形式)
 当該資料は決算関係書類であり、その作成に当たりましては十分注意してきたところでありますが、このような誤りがありましたことに対し、おわびして訂正申し上げます。まことに申しわけありませんでした。
〇小野共委員長 これより議事に入ります。
 認定第1号平成23年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成23年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、並びに議案第56号及び議案第57号の以上17件を一括議題といたします。
 本日は、商工労働観光部、労働委員会、企業局関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇橋本商工労働観光部長 平成23年度の商工労働観光部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部の所管事業に係る総括的な取り組みと成果、これを踏まえた今後の取り組み方向等について御説明申し上げます。
 平成23年度は、3月11日に発生した東日本大震災津波からの復旧、復興を最重要課題として、被災した中小企業等への融資、補助の実施、二重債務問題解決に向けた取り組み、緊急雇用創出事業の活用による雇用創出などに取り組んだところであります。
 加えて、自動車、半導体や医療機器関連産業など国際競争力の高いものづくり産業の集積や、地域資源を生かした食産業や観光産業の振興、県産品の海外市場展開、新産業育成など、本県が直面する諸課題の克服に向け、八つの政策項目を掲げ、取り組んでまいりました。
 まず1点目は、国際競争力の高いものづくり産業の振興であります。
 県では、自動車、半導体、医療機器関連など中核産業を中心とするものづくり産業分野において、地場企業強化と企業誘致の両面から、育てる、つくる、誘致する、人材育成の視点による総合的な支援を推進し、地場企業の技術力、競争力を高めるとともに、復興特区制度の活用等によるものづくり産業の復興を初め、強固なものづくり基盤の形成と世界に展開する足腰の強い産業集積に取り組んでまいりました。その結果、新規取引開拓件数や企業の新規立地、増設、工業高校等における技能士数の増加といった成果が挙げられたところであります。
 今後は、沿岸地域と内陸地域との連携によるものづくり体制を強化するとともに、本県の産業の牽引役であるものづくり産業の復興、そしてさらなる発展を図ってまいります。
 2点目は、食産業の振興であります。
 食産業の振興に当たっては、地場企業や意欲的な事業者を対象に、産業創造アドバイザー等による品質管理や工程改善、経営指導などの支援のほか、食の安心・安全を基本理念に、協働で食産業振興を推進するフード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチによる交流会開催、企業間マッチングを推進し、また、水産加工業の復興支援では、必要不可欠な施設設備へのハード面の支援や生産性向上に向けたソフト支援に取り組んだところであります。その結果、主要重点支援企業における販路拡大、取引拡大や、フード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチへの参加企業等の増加につながったところであります。
 今後も、フード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチを活用したネットワーク構築による食産業振興や、水産加工業の復興に当たっては、生産性や付加価値の高い産業構造に転換するよう支援してまいります。
 3点目は、観光産業の振興でありますが、いわてデスティネーションキャンペーンの実施に向け、観光素材の発掘、磨き上げの支援や、二次交通の充実、さらには旅行商品の造成や販売促進に取り組んだほか、沿岸地域で被災した宿泊施設の早期営業再開支援や、被災経験を伝える新たな取り組みも支援したところであります。また、東日本大震災津波及び原子力発電所事故に起因する風評による自粛、敬遠ムードの払拭のため、正確な情報提供に努めるとともに、震災直後から首都圏を中心とした情報発信による誘客促進を図りました。国際観光については、東北観光推進機構等と連携し、本県の現状と安全性について情報提供を行い、旅行商品の造成などに取り組んだところであります。これらの取り組みにより、国内の観光客入り込み数については震災前の水準に回復しつつあるところです。
 今後においても、いわてデスティネーションキャンペーンの全県への誘客効果を維持拡大させるための宣伝、誘客に取り組むとともに、復興応援ツアーの催行や教育旅行の誘致などにより、県北・沿岸地域への誘客強化に取り組んでまいります。
 4点目は、地場産業の振興であります。
 消費者のライフスタイルに対応した伝統工芸品の魅力を提案する展示販売会の開催や、県外アンテナショップを活用した事業者と連携した情報発信などにより、新規需要の開拓や購買層の拡大等に取り組んでまいりました。これにより、展示販売会への出展者数の増や、アンテナショップでの県産品の販売額については、復興支援の効果と相まって売り上げが大幅に増加となっております。その一方で、高齢化や担い手不足などによる事業者数の減少や、景気悪化等の影響による既存購買層の需要縮小などにより、製造出荷額は減少となっております。
 今後も、本県の地場産業のさらなる成長に向け、産地と協力しながら、ライフスタイルの変化にマッチした新商品の開発、販路拡大を支援してまいります。
 5点目は、次代につながる新たな産業の育成であります。
 県では、新たな産業創出に向け、産学官連携コーディネーターによる産業化への有望シーズの掘り起こしや外部資金等を活用した研究開発を促進するとともに、応用化研究に対する支援を行いました。また、海洋、防災研究拠点の形成に向けて、学術界、研究者等とのネットワーク構築を図るとともに、研究プロジェクトの誘致等にも取り組んでまいりました。
 今後も、産学官金の連携による研究開発に戦略的に取り組むとともに、東日本大震災津波からの復興に向け、新たな研究拠点の形成に取り組んでまいります。
 6点目は、商業、サービス業の振興、そして、各産業を担う中小企業の経営力の強化であります。
 被災した中小企業者に対して、有利な県単融資制度を創設するとともに、施設設備の復旧費を補助することにより再建支援に取り組みました。また、二重債務問題を解決するため、岩手県産業復興相談センターによるワンストップでの相談対応や、岩手産業復興機構による債権買い取り等の金融支援にも取り組みました。
 今後も、引き続き被災した中小企業の復旧、復興を支援するとともに、県内中小企業のさらなる成長、発展に向けた経営の改善や向上、また、地域の商業機能の回復、強化、まちづくりと連動した新たな商店街の構築に向けて取り組んでまいります。
 7点目は、海外市場への展開であります。
 成長著しい東アジア地域を対象とした県産品の販路拡大や企業の海外ビジネス展開の促進を図るため、現地商談会や物産フェアを開催するなど、県産品の認知度向上や輸出の促進支援に取り組んでまいりました。この結果、商談会等における県産品の成約件数が増加したほか、復興支援の動きなども背景として、県産品輸出額についても一定の回復を得たところです。
 今後も、大連経済事務所やこれまで培ってきた人的ネットワークなどを活用しながら、海外市場の開拓を積極的に進めてまいります。
 最後は、雇用、労働環境の整備であります。
 東日本大震災津波による離職者等に対して、雇用対策基金を活用した、当面の生活維持のためのつなぎ雇用の創出や、その後の事業復興型雇用創出事業等を活用した長期、安定的な雇用創出に努めました。また、就業支援員による学校や企業への訪問、大学及びハローワーク等と連携した情報提供や就職面接会の開催、ジョブカフェ等において利用者ニーズに応じたきめ細かな就業支援等に取り組みました。
 今後においても、引き続き産業振興支援策と連動した安定的な雇用創出に努めるとともに、ジョブカフェ等による相談対応や職業訓練の実施などのきめ細かな就業支援の取り組みを推進してまいります。
 以上が商工労働観光部における平成23年度の取り組みと成果の概要であります。
 当部としましては、東日本大震災津波からの復旧、復興を最重要課題として、岩手県東日本大震災津波復興計画を着実に推進するとともに、沿岸地域と内陸地域が一体となった本県産業の振興による地域経済の活性化、雇用確保に努めてまいります。
 以上、平成23年度の総括的な取り組みと成果、今後の取り組み方向について御説明申し上げました。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 それでは、平成23年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開き願います。一般会計歳出における商工労働観光部の決算は、5款労働費のうち、3項労働委員会費を除いたものと、14ページに参りまして、7款商工費の全て、また、16ページに参りまして、11款災害復旧費の4項庁舎等施設災害復旧費の一部と6項商工労働観光施設災害復旧費の全て、その下の12款公債費1項公債費の一部であります。これらの予算現額は2、284億7、946万円余、これに対する支出済額は1、980億5、552万円余、不用額は21億3、802万円余で、執行率は約86.7%であります。また、支出済額を前年度と比較しますと、1、169億672万円余、約144.1%の増となっております。
 なお、翌年度への繰越額は282億8、591万円余でありますが、その主なものは、中小企業等復旧・復興支援事業費補助や中小企業被災資産修繕費補助など、震災関連事業の計画調整に不測の日数を要したことによる繰り越しであります。
 以下、個々の内容につきましては、お手元の平成23年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 それでは、平成23年度歳入歳出決算事項別明細書の240ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、管理運営費は、労政部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。3目労働福祉費でありますが、労働者等生活安定支援資金貸付金は、事業主都合により離職した者の求職活動中の生活安定を図る貸し付けなどに要した経費であります。4目雇用促進費でありますが、次のページ、242ページをお開き願います。一番上の緊急雇用創出事業費補助は、離職を余儀なくされた方々に対し、次の雇用までの短期の雇用、就業機会を創出し、生活の安定を図ることを目的とした事業を行う市町村に対する補助に要した経費であります。次のふるさと雇用再生特別基金事業費補助は、離職された方々等を雇い入れ、地域の雇用再生のために、継続的な雇用機会の創出を図ることを目的とした事業を行う市町村に対する補助に要した経費であります。
 次に、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、中ほどの認定職業訓練費は、職業訓練法人による認定職業訓練の実施に対する補助などに要した経費であります。次のページに参りまして、2目職業訓練校費でありますが、管理運営費は、県立産業技術短期大学校を初めとする県立職業能力開発施設の職員人件費であります。次の公共職業能力開発費は、県立職業能力開発施設において実施する職業訓練などに要した経費であります。
 次に、飛びまして、290ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、管理運営費は、商工業部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。中ほどの次世代グリーンデバイス開発推進事業費は、今後、成長が期待される低炭素関連分野における県内の産業集積を図るため、酸化亜鉛デバイスやリチウムイオン二次電池など、次世代デバイスの開発推進に要した経費であります。下から二つ目の運輸事業振興費補助は、社団法人岩手県トラック協会が実施する輸送サービスの改善、安全運行の確保等の事業に対する補助に要した経費であります。次のページに参りまして、2目中小企業振興費でありますが、四つ目の中小企業経営安定資金貸付金は、売り上げの減少などにより経営の安定に支障を来すおそれのある中小企業者に対する運転資金の貸し付けに要した経費であります。五つ下の中小企業東日本大震災復興資金貸付金は、東日本大震災により著しい被害を受けた県内の被災中小企業者に対する設備及び運転資金の貸し付けに要した経費であります。次のページに参りまして、中ほどより少し上でございますが、中小企業被災資産修繕費補助は、沿岸地域において、被災した中小企業者の現有店舗、工場等の修繕に対して行う市町村の補助事業への補助に要した経費であります。次の岩手産業復興機構支援事業費は、東日本大震災により被害を受けた事業者の二重債務解消を支援するため、岩手産業復興機構への出資等に要した経費であります。五つ下の自動車関連産業創出推進事業費は、自動車関連産業の集積を促進するため、産学官協議会の運営、技術展示商談会の開催、アドバイザーによる技術力向上支援、工程改善研修、協業促進、取引あっせん等に要した経費であります。次のページに参りまして、一番上のいわて食のパワーアップ事業費は、食の安心・安全に取り組む食品事業者が、新規雇用を創出して行う新たな製品やサービスの開発、提供などの事業活動の支援に要した経費であります。3目企業立地対策費でありますが、二つ目の企業立地促進資金貸付金は、立地企業が行う設備投資に対する貸し付けに要した経費であり、その次の企業立地促進奨励事業費補助は、市町村による誘致企業への助成事業に対する補助に要した経費であります。4目中小企業経営指導費でありますが、中小企業ベンチャー支援事業費は、財団法人いわて産業振興センターが実施する専門家派遣事業、取引支援事業等へ の補助に要した経費であります。5目貿易振興費の貿易振興団体助成費は、海外販路拡大の支援基盤整備のための独立行政法人日本貿易振興機構盛岡貿易情報センターへの負担金であります。6目工業技術センター費の地方独立行政法人岩手県工業技術センター運営費交付金は、同センターに対する運営費交付金であります。
 次のページをお開き願います。2項観光費1目観光総務費でありますが、管理運営費は、観光部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。中ほどより少し下のいわてデスティネーションキャンペーン推進協議会負担金は、本年4月から6月まで展開したいわてデスティネーションキャンペーンの実施に要する経費の負担金であります。次の2目観光施設費でありますが、二つ目の観光施設機能強化事業費は、八幡平山頂レストハウスなど県有観光施設の施設改修に要した経費であります。
 次に、飛びまして、364ページをお開き願います。11款災害復旧費の4項庁舎等施設災害復旧費1目庁公舎等災害復旧費の中ほどの公共職業能力開発施設災害復旧事業費は、被災した公共職業能力開発施設の復旧に要した経費であります。
 次に、366ページをお開き願います。6項商工労働観光施設災害復旧費1目労働施設災害復旧費の認定職業訓練施設災害復旧事業費補助は、被災した認定職業訓練校の施設設備の復旧に要する経費の一部について、施設設置者等に対して補助した経費であり、2目商工観光施設災害復旧費の中小企業等復旧・復興支援事業費は、被災した中小企業等が一体となって復旧、復興を行う場合に、施設設備の復旧、整備の補助に要した経費であります。
 次のページをお開き願います。12款公債費1項公債費1目元金の県債償還元金には、当部の所管である中心市街地活性化推進事業資金貸付金に係る独立行政法人中小企業基盤整備機構への償還金4億5、000万円が含まれております。
 以上で一般会計決算の説明を終わります。
 次に、中小企業振興資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 飛びまして、416ページをお開き願います。この特別会計の予算現額は、418ページと420ページに記載しておりますが、歳入、歳出それぞれ107億9、457万8、000円であります。
 まず、歳入につきましては、戻りまして、416ページから419ページに記載しておりますが、収入済額が総額107億8、465万円余であり、その主なものは、一般会計からの繰入金、前年度からの繰越金及び貸付先企業等からの償還金等の諸収入であります。
 次に、歳出につきましては、420ページから421ページに記載しておりますが、支出済額の総額は53億2、127万円余であります。
 1款小規模企業者等設備導入資金貸付費1項貸付費は、財団法人いわて産業振興センターが実施した設備資金貸付事業及び設備貸与事業に対する貸し付け並びに高度化資金貸付金の貸し付けなどに要した経費であります。
 2項貸付事務費は、ただいまの貸付金の貸し付け及び回収に要した事務経費であります。
 以上で商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇小野共委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇田村誠委員 1点に絞って質問させていただきます。
 まず、中小企業振興費に関連してお伺いいたしますが、昨年の東日本大震災発生により沿岸地域の大方の企業は壊滅的な状況となり、路頭に迷っておった中、一日も早い企業活動の再開を目的に、グループ補助金を初め中小企業被災資産復旧事業費補助事業が導入されまして、県当局並びに広域振興局あるいはまた市町村、商工会議所等の関係者の指導のもと、いち早い制度の活用により、地元では、水産加工業や宿泊業など中小企業は復活しつつあり、雇用の確保や地域活性化に向け着実に進展しており、改めて感謝申し上げます。
 そこでお伺いいたしますが、中小企業被災資産復旧事業費補助の限度額の見直しについてでございます。
 その一つとして、見直しの理由の経過について。
 被災事業者の資産復旧を支援するための県と市町村の独自補助制度である中小企業被災資産復旧事業費補助は、従来、補助金限度額は、製造業及び宿泊業は2、000万円、それ以外の業種は300万円とされてきたわけですが、今般、全業種の補助限度額を2、000万円にすると見直しが行われたわけでありますが、どのような理由により見直しが行われるのかお伺いいたします。
 次に、市町村との調整についてでございます。
 この補助金は市町村を通じた間接補助であり、財源の2分の1は市町村が負担するものであります。見直しに当たって、市町村への説明や調整はどのように行ったのかお伺いいたします。
 3点目は、財政負担増への対応及び事業の継続についてでございます。
 今般の見直しは、事業者にとっては非常に好ましいことであると思いますが、一方で、補助の2分の1を負担する市町村からは、財政的に対応できないとする声や財政負担の増加を危惧する声が聞こえております。また、市町村からは、事業の継続を切望する声も聞こえるわけですが、これら市町村の声、要望に対して県はどのように対応するのかお伺いいたします。
〇松川経営支援課総括課長 復旧費補助制度の、まず最初、見直しの経緯ということでございます。
 これは、製造業、宿泊業、それからそれ以外の業種ということで二つのカテゴリーに分けて考えたわけですけれども、実際にその制度を運用いたしましたところ、事業者からの補助申請を受けた中で、復旧費の平均額が、製造、宿泊業で、8月末現在ですけれども1、658万円、それからそれ以外の業種で1、107万円ということで、実際復旧された経費に大きな差がないにもかかわらず補助限度額が2、000万円と300万円とに分かれていたということで補助額に差があったと。宿泊、製造以外の業種の皆様方が実際に復旧する際に多額の自己資金が必要になってくるということで、やはり、より多くの被災事業者が復旧していく中で業種での区分というものをなくしたほうがいいということで見直しをしたということが経緯でございます。
 それから、市町村への説明ということでございますけれども、8月上旬に沿岸の各市町村に対しまして補助限度額の見直しについて意向を確認いたしました。改めてまた8月下旬に市町村の担当者に集まっていただきまして意見交換をしたところでございます。その際には、市町村からは見直しに対して前向きな御意見をいただいたり、あるいは慎重な意見がございまして、改めて私どもとして考えたわけですけれども、先ほど申し上げたとおり、8月末現在の数字を見て、これはやはり見直しをしたほうがいいのではないかということで、改めまして9月上旬から中旬にかけまして、私も含めて担当者で各市町村を回りまして、限度額の見直しをしたいということで直接説明をさせていただいたということでございます。
 それから、財政負担という関係でございますけれども、今般のこの見直しで、県の間接補助ですので、市町村の負担がふえるといったことが当然予想されるわけでございまして、昨年度、創設されております国の取り崩し型の復興基金、これが県、市町村にそれぞれ今、配分されているわけですけれども、これの追加的な財源措置というものを国に対して要望しております。
 それから、事業の継続ということでございますけれども、被災地の新たなまちづくりに伴いまして、本格的な需要というのはこれからではないかと考えております。市町村、商工団体などに状況をお聞きしながら、需要が見込まれる当面の期間は継続ができるように検討してまいりたいと考えています。
〇田村誠委員 その見直しの経過、理由の経過については大変ありがたいことであると感じるわけでございます。
 そこで、市町村との調整についてでありますが、先ほども御答弁がありましたけれども、8月上旬から今度の見直し事業について説明をした。その経過の中で、大変財政負担がふえるということから、市町村ではかなりちゅうちょしたり、あるいは反対という御意見もあったと聞くわけですが、その主な内容についてお示しいただきたいと思いますし、特にも、やはり何と申しましても財政負担が伴うものでありますので、市町村にとって非常に大変だということもあります。さらにはまた、この事業は、過去に利用した方でもさかのぼって再度利用できる、増額分が利用できるということになるわけですが、そうしたものを見てみますと、市町村によっては1億円近い負担増が出てくる。あるいはまた、さらにこれからこうしたすばらしい事業が導入されることによりまして、なお一層ふえてくるものと予想されるわけでございますが、予算の裏づけと申しましても、復興基金から取り崩してやれと言われても、もう既にそれらも行き先が決まったと見られる部分がほとんどだろうと思うんです。そういうことからしますと、制度そのものは大変すばらしい内容ではありますが、変わることによって、財政負担ができない市町村、できる市町村というのが出てくるだろうと思います。そうなりますと、できない、できるでかなり不公平感が醸成されることになりますので、必ずや裏負担ができる、できないで、国に要望すると言っていますが、国も約束はしていないだろうと思うんです。そうした点についてどのようにお考えなのかまずお伺いいたします。
〇松川経営支援課総括課長 市町村に対して見直しの説明をしたと申し上げたわけですけれども、説明の中で、その段階では、それぞれの市町村で検討するとか、あるいは予算当局に相談してみるというようなお話をいただいておりました。その後、確かに財政負担があるという市町村もございまして、今、先行して、かなり実際に補助を実施している市町村がございます。それから、まちづくりの関係でなかなか着手できないところもございますけれども、当然進んでいるところはもう既にいろいろな財政支出をした上での追加的な措置ということになってしまいますので、そういったことで、財政負担について危惧されて御意見をいただいたところでございます。
 そういった意見もございましたので、先ほど申し上げたとおり、国に対して、予算的な措置をしていただきたいということで、復興期金の積み増しといいますか、そういったことを要望しているところでございます。
 それから、市町村で既にこの制度にのっとって要綱改正などをしているところもございまして、そこは余りまちまちにならないようにとは思っております。そういうこともございまして、また市町村の方々ともよく意見調整してそこは進めてまいりたいと思っております。
 そういうことで、市町村の方たちとの意見交換が必要であればまた行いたいと思いますけれども、第一はやはり市町村の財政負担ということかと思いますので、そこは県も市町村も同じベクトルではないかと思っておりますので、そこは協力して、国に対して、必要であれば要望するということになると思っております。
〇田村誠委員 各市町村は、それぞれ大変な財政負担が生じるということで心配されておるわけでございまして、もう既に70を超えるような事業が承認され、そして着手している市町村もあるわけでございまして、それらなどを見ていますと、1億2、000万円以上今後の増分が予想されるということなどもありますので、財政の裏づけについて、もうちょっと市町村と十分な議論をしていただきたいと思いますし、例えば、軽微な変更は事業費の20%以内の減少とするという項も定めているわけでございます。それだけとりましても、事業導入をされますと、各市町村の事情によって、例えば裏負担ができないからやりませんと言われた場合、そういうことがあってはならないと私は思います。国に対し要望を繰り返すこともさることながら、やっぱりきちっとした予算の裏づけというものをもっと明確にすべきだと思います。もしどうしても国ができないと言った場合、果たしてどうなるのかという心配があるわけですが、この辺は部長からも聞きたいと思いますけれども、県としても負担を幾らかしていただくなど、そうしたことも含めて検討すべきだと思いますが、増分の負担増に対する今後の、補償というわけにはいかないと思いますけれども、県としてどう考えておられるのかお伺いしたいと思います。
〇橋本商工労働観光部長 この補助制度につきましては、まず被災事業者の方々に利用いただいてこそ意味のある事業だと考えております。そしてまた、そのためには、市町村に事業主体となっていただく関係で、市町村の財政状況を十分に考慮に入れまして、先ほど松川総括課長も答弁申し上げましたけれども、財源の手当てといたしましては、現時点では、昨年度創設されました取り崩し型の復興基金の追加の積み増しという形での対応が望ましいと考えておりまして、この部分について、ぜひ国にも御理解をいただく中で、市町村の財源手当てに努めてまいりたいと考えております。
〇田村誠委員 いずれ財政負担がかなり伴うということでちゅうちょされておる市町村もあると聞いているわけでございますので、ぜひ国に対して要望を強烈にしていただいて、確約をとっていただくぐらいの勢いでこれをやっていただきますと、さらに復興に弾みがつくものと思いますので、なお一層の御尽力、御支援をお願いいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
〇工藤勝子委員 2点についてお尋ねいたします。
 まず、観光客の実態についてお尋ねいたします。
 東日本大震災の発生や福島原発の事故によります放射性物質の影響によって、平成23年度、岩手県の観光客数の実態とキャンセル状況について。ホテル、旅館、民宿など、観光地に与えた影響についてどう捉えているかお伺いいたします。
〇戸舘観光課総括課長 平成23年度の宿泊実態についてでありますが、国の宿泊旅行統計によりますと、従業員10人以上の施設での数値で申し上げますと、平成23年の県内の宿泊人数は延べ489万4、550人、平成22年の延べ426万2、240人に対しまして約14.8%の増となっております。これは、救援、復旧、復興関係の方々の宿泊の増による影響と推察しているところでございます。
 それから、キャンセルについてですが、発災から約1カ月間の数字のみとなりますが、岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合が取りまとめたところでは、判明しただけで約24万人となっております。
〇工藤勝子委員 私も、遠野市なんですけれども、ほとんどの民宿、旅館、ホテル全て、いろいろな公民館までも支援団体の皆さんが入って利用されたわけでありまして、多分ふえているんじゃないかと思ったんですけれども、逆に内陸のほうの人たちの観光の宿泊の実態はどうだったのかと思って聞いてみたところですけれども、実際にキャンセルが24万人もあったということでございます。
 そこで今度は、東アジアなど外国人宿泊数、平成22年度は8万3、000人という記載がございました。では、平成23年度はと見ると3万2、000人となっておりますが、被災地として、安全・安心の発信や、平泉世界遺産登録のことで情報発信をされたと思っておりますが、その点についてお伺いいたします。
〇戸舘観光課総括課長 東アジアへの情報発信についてでありますけれども、東日本大震災津波の発災後、東アジア諸国、地域においては、東北はもとより、日本全土が被災したかのような誤解が生じた事例もございました。このため、県といたしましても、東北観光推進機構などとも連携いたしまして、台湾、香港、韓国など、本県の主要な市場におきまして、現地旅行会社やメディアの招聘、旅行博への出展等によりまして、外国人観光客の主な訪問先であります本県内陸部は来訪に何ら支障がないこと、放射線量につきましても懸念するレベルではないことを強力にPRしてきたところでございます。
〇工藤勝子委員 今年度は少しは戻っているのかと思うんですけれども、今度は中国とか韓国との領土問題が発生しております。国交が開かれてから40年という記念の年になるんだそうですけれども、逆に今は閉ざされているような状況であります。岩手県にとっても東アジアからの観光客の入りというのは非常に大事ではないかと思っているんですが、現在のキャンセルされている状況をどう捉えているか、それから、今後の見通しについてどう捉えているかお伺いいたします。
〇戸舘観光課総括課長 領土問題によります観光客のキャンセルの実態と今後の見通しについてでありますけれども、県内の主要宿泊施設からは、中国については、この問題によりまして数十人規模のキャンセルがあったと。一方では、韓国については、これを理由としたキャンセルはほとんどないと聞いております。
 この問題は、国における外交交渉による解決を待つほかないところでありますので、県として明確な見通しを立てることは困難と思っておりますが、早期に事態が打開されることを願っておりますし、そういった状況に至った際には、本県に誘客できるように必要な手を適時打っていきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 非常に少ないということで安堵したわけであります。ということは、今もどんどん来ていらっしゃると捉えていいのか。これから冬場に向かって、例えばスキーとか、いろいろな形の中でそちらのほうからおいでになるわけですけれども、そういう部分でぜひ落ちないようにということを祈っているところでもございます。
 次は、県産品の販売についてお伺いいたします。
 中国大連、ソウル事務所との情報交換についてお聞きしたいと思っております。
 現在、領土問題が発生して、放射性物質の関係もあって、南部鉄器は非常に伸びているということでございますけれども、農林水産物の、特に水産物が67%も減少しているというような実態もあるようでございますので、どのような情報交換をされているのか、そして向こうからどういう情報が届いているのか、こちらからはどういう情報を発信しているのかお伺いいたします。
〇桐田副部長兼商工企画室長 海外事務所との情報交換のお尋ねでありますが、大連事務所及びソウル事務所につきましては、現地の情報につきまして電話、メールなどで情報をいただいており、大きな変化はないと伺っているところでございます。
 なお、ソウル事務所につきましては、北海道、北東北3県の4自治体で運営しておりますので、その関係県とも連絡をとり合いまして情報収集に努めているところでございます。
〇工藤勝子委員 もう一度お伺いしますけれども、海外の事務所から県に対して何か情報は入ってきていないんですか、その点も聞いたつもりですけれども、いかがでしょうか。
〇桐田副部長兼商工企画室長 失礼しました。
 海外事務所からは、海外の状況について、特に変わったものはないというふうに情報が来ております。
〇工藤勝子委員 変わったことがないということは、結局いろいろな部分で、県産品、東北3県も含めて順調に販売されていると県は捉えていらっしゃるのか、その点をもう一度お聞きしたいと思っております。
〇桐田副部長兼商工企画室長 大変失礼いたしました。
 一部、予定しておりましたイベントの中止、延期というお話はありましたが、その他、現地の状況等について大きな変化はないということでございます。そして、そのイベントが中止、延期になったことにつきましては、それを踏まえて、今年度予定しておりますその他のイベントの開催について、引き続き現地と調整を図り、本県の県産品の輸出のパイプについては維持を図っていきたいということでございます。
〇工藤勝子委員 最後になりますけれども、東南アジアにおける今後の県産品の販売状況、伸ばしてほしいとは思っているんですけれども、今後の商談会やフェアの開催が延期になったりしているところですけれども、結局、県としての見通しが立たないのかもしれませんけれども、どういうふうに捉えているかお伺いして終わります。
〇桐田副部長兼商工企画室長 商談会、フェアにつきまして、先ほどもちょっと言いかけましたが、今年度においては、中国におきまして1月に広州で物産フェア、2月に上海でインテリア工芸品の展示商談フェア、3月には北京で日本酒試飲商談会を開催することで検討しているところでございます。なお、シンガポールにおいては11月に、それからマレーシアにおいては12月に現地の百貨店におきまして県産品フェアを行う予定としております。
 こういった今後の動きを大事にいたしまして、着実な交流を進めていく観点で来年度以降のさまざまな活動についても考えてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 2点お伺いいたします。
 1点目、海外市場展開については工藤勝子委員の質疑と答弁の中で大体お聞かせいただいたと理解しておりますが、若干補足して聞かせていただきたいと思います。
 今、領土問題発生後の輸出の動き等々については、大きな変化はないとお聞かせいただいてそのように理解いたしましたが、中国の大連市政府との人事交流なども行われていたようでございますが、こういった部分に影響は何かないのか、それを聞かせていただきたいと思いますし、あと改めて、この領土問題、まさに解決を待ちたいという御答弁もありました。そのような背景の中で、県としてなかなかでき得るものというのはないんだろうと思いますが、ただ、中国の中でも大連というのは最も親日的な地域だとも聞いております。私も7月に有志の議員と一緒にお邪魔させていただきながら、大連事務所の頑張りとか、そういったものも目にしてきたわけでございますが、県として培ってきた人的ネットワーク等々、こういったことを利用しながら、でき得る県としての対応というものがあるのかないのか、その辺についてもお聞かせいただきたいと思います。
〇桐田副部長兼商工企画室長 大連との人事交流についてお答えいたします。
 大連市政府に対しまして、現在、本県から1名の職員を派遣しているところでございますが、職務や、あるいは生活の両面において影響はないと報告を受けております。それから、大連市政府から本県に1名職員を受け入れているところでございますが、その派遣について、大連市政府から特段の連絡はありませんので、通常どおりの業務を続けているところでございます。
 続きまして、県のとり得る対応についてでありますが、今、委員がおっしゃいましたように、人脈が大変有効に機能してございます。大連事務所の所長の努力のたまものだと認識してございます。そのような人脈あるいは信頼関係を大切にしながら、県産品の販路開拓に引き続き取り組んでいくことが大事だと考えておりまして、そういった貴重な関係を絶やすことなく、行政機関あるいは事業者等との着実な経済交流を進めてまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 本会議の中でもこの質疑は行われて、副知事からも答弁があったと思います。今、この人的ネットワークによる部分が非常に大きいというふうに答弁がございましたし、私もそのように理解しております。
 そういった中で、今、不透明な状況が続いているわけでありますが、今後のビジネス展開の中で、この海外事務所の利用件数を大幅に伸ばしていく、そういった中で輸出の増とか成約件数の増加に結びつけていくという目標を掲げているわけでありますが、そういった中で、やはりこの大連事務所が果たす役割、位置づけというのは非常に大きいと思いますけれども、改めて、課題も含め、体制整備のあり方等も含め、どのような方向性を今後考えているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇桐田副部長兼商工企画室長 大連経済事務所は、所長を初め職員の努力によって人脈も広がりまして、相談もふえてきております。そういった重要な位置づけと認識しているところでございます。したがいまして、逆に、そういった活動の活発化に伴いまして、活動地域も中国国内に広がってございます。中国の事業所から、あるいは県内の事業所からの相談件数もふえているということで、役割がますます大きくなっているものと考えているところでございます。
 したがいまして、そのような多くの事業案件に的確に対応し、広大な中国国内で活動を円滑に行えるよう、また、多様化する支援分野に個別に丁寧に対応できますよう、適切な事務所体制のあり方を検討してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 マンパワーがやはりこれからもっと必要じゃないかと思いますし、中国も経済力が上がって人件費も大分上がってきていると聞いております。優秀な人材を確保するということがその根本になってくるんだろうと思いますので、よろしくお願いいたします。
 2点目、企業誘致についてでございます。
 新規の企業立地増設件数が平成23年度は128件と、おおむね堅調に推移していると示されております。また、震災後の企業誘致についても、決算特別委員会の総括などでも答弁があって概況は承知しておりますが、改めて、企業誘致に向けての課題は何か、あるいは、産業再生特区という特区制度ができているわけでございますが、特区を活用した取り組みは十分機能しているか、こういった部分についてお聞かせいただきたいと思います。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 企業誘致の課題ということでございます。
 平成23年度におきましては、まずは復興支援の観点もございまして誘致件数は伸びたわけでございますけれども、やはり企業誘致にとっての課題ということでは、今後ますます厳しいということは予想されているところでございます。
 その中で、これまで蓄積された地域資源、これはものづくり産業集積も含めてでございますが、そういった地域資源をいかに活用して誘致をするかというところで、その活用方法というところが一つ課題と考えております。また、沿岸部においては、工業用地の確保、また人材の確保、こういった課題もあろうかと思っております。
 続きまして、産業再生特区につきまして、これらにつきましては沿岸部を中心に幅広く業種が設定されているところでございますので、これらの特区制度を十分に説明しながら、今後また誘致活動を展開することとしております。
 こういった内陸部の進出の利点、また、沿岸部の特区の利点、こういったものを合わせまして、幅広く本県の魅力というものをPRしていくことが肝要かと考えております。
〇関根敏伸委員 よろしくお願いしたいと思います。
 それで、沿岸部のことでございますが、今、答弁の中でもございました。工業用地の確保ということも、今後、被災した地域の土地利用との関係等も出てくるんだろうと思いますが、企業を呼びたくても土地がないと。住宅用地の確保というものが今最も大きな課題になっているようでありますが、そういった部分で、企業誘致に向けての土地の確保もやはり並行に進めていかなければ雇用にも結びついてこないと思いますが、沿岸被災地の工業団地等の被害はどうなっているのか。高台移転などという話も出ているようでありますけれども、そういった部分についての動きとか、あるいは国とか県の支援体制はどのようになっているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 沿岸の津波被害のありました市町村の工業団地は19団地ございます。そのうち、浸水等の被害があった団地は6団地でございます。その中で、復旧済みの団地は2カ所、そして残りの4カ所につきましては、現在、復旧中という状況でございます。
 現時点で、高台移転を計画している、これはどうしても住宅等の用地ということで考えられておりますので、そういった工業団地を計画しているものはございません。
 そして、今後、工業用地の造成、あとは産業用地の創出という部分の支援策でございますが、これは、震災直後にも、国に対しても、これまでも新たな支援制度の創設を要望してきたところでございます。現在、国としても、これらについて検討しているとの情報もあるところでございまして、県といたしましては、引き続き、この制度の実現に向けて積極的に要望を行っていく考えでございます。
〇関根敏伸委員 土地の造成等も含め、情報インフラなども非常に大切な部分だと聞いておりますし、この部分についての国の要望なども行っているようでございますので、引き続き、しっかりとした支援を受けながら、4カ所の早期復旧を目指していただきながら、企業誘致に結びつけていただきたいと思います。
 最後に、この企業誘致の方向性の中で、今、県は、被災地を中心としたまちづくりの新たな方向性の中で、再生可能エネルギーというものを大きな柱に据えているわけでございますけれども、特に沿岸被災地の今後の企業誘致を考える中で、パネルメーカーであるとか風力発電メーカーであるとか、あるいはバイオマスに関係する木材の合板工場であるとか、こういった部分での企業誘致というのが非常に重要だと思っております。当然、県としても取り組みはされているんだろうと思っておりますけれども、この部分についての対応というのをどのようにとろうとされているのか、お聞かせをいただきます。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 再生可能エネルギー分野の企業誘致についてでございますが、昨年の震災以降、常にそのエネルギーの関心は企業のほうからも高まっており、いろんなお話をいただいている状況でございます。また、我々としても、土地の問題はございますけれども、やはり県内の情報を正確に発信していきたいと考えております。
 具体的な動きといたしますと、太陽光パネルメーカーにつきまして、内陸部そして沿岸部、これは当然津波の被害のない土地でございますが、こういったところの御提案、そして木質バイオマス、こういった発電事業者、また、合板メーカーにつきましてはその支援策、そして交渉というものも現在進めているところでございます。
 風力発電関連企業の誘致につきましては、部品がとても大きいということで、これはどちらかというと、港湾を利用した形での輸送であったり立地であったりということでございますので、これにつきましては、被災地の土地利用ということもございますので、若干時間はかかるものと思いますが、我々としても、これは一生懸命誘致として考えているところでございます。
 そういったことで、雇用の創出や地域経済の活性化、こういった分野の業態というところは大変大きいと考えておりますので、引き続き、誘致の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 了解をいたしました。太陽光そのもの、風力そのものは雇用になかなか結びつかないと思いますので、その装置メーカーというものの誘致が最も雇用に結びつくと思います。宮城県では、パネルメーカーの誘致等も具体化しているように聞いておりますし、秋田県なども、風力を随分今前面に出して、風力発電所とともにメーカーの設置ということも、民間レベルではありますが大分動きが出ていると聞いておりますので、ぜひ岩手としてもしっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。終わります。
〇工藤大輔委員 ただいまの関根委員の県北・沿岸地域における企業誘致の関係で関連をさせていただきたいと思います。
 先般、吉田敬子委員の発言の中でも、県北の産業集積というところで、これは県北・沿岸振興の担当のほうから、食品加工であったり縫製業の集積地を生み出すという答弁もあり、現在、その方向で進んでいるということは理解をしております。
 県北の産業構造を見た場合に、もう一つ今伸びているのが畜産業なんです。この畜産業の中で、やませの気候が十分生かされるということ、そしてまた、におい等も関係しますけれども、地域の理解が立地に向けて得られやすい。また、八戸の飼料コンビナートに非常に近いということもあって、注目されている適地だとなっておりますが、この分野においてはどうしても第1次産業に直結するということで、畜産課のほうが担当しているということで、これまで企業誘致の関係は加工であったり、また、今関根委員が質問された分野等の、そっちのほうに特化をしてきたんじゃないかと思うんです。ただ、近年の状況を見ると、ニチレイを含めて、直接企業が生産の実態に入ってきている。日本ハムも、他県でもそうですし、そしてまた、農事組合法人等、これは法人かもしれないですけれども、実際は企業のような形で進んでいる。そういう団体がふえている中で、どうしても見落としてきた分野じゃないかと思うんですが、総括課長の御意見をいただきたいと思います。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 一般質問の中でも、上野副知事のほうからも答弁をさせていただいている部分もございます。これまでの企業誘致につきましては、産業集積を図る種をまずは持ってくるという考えで、大手の誘致を進めてきた部分がございます。そういった分野におきましては、委員御指摘のとおり、我々の部とすると、製造業をまずは本命として誘致活動を行ってきた経緯がございます。それで、先ほど関根委員のほうからも今後の企業誘致の課題という御指摘もございました。その中で、現在、岩手県にあるものづくりの集積または農林水産品、こういった地域資源をまさに無駄なく活用して、一番コスト的にも国内で優位性を持つ、そういった産業をつくっていかなければならないと考えております。そういった意味では、畜産業という部分は、岩手県はかなり有力と考えておりまして、これが今まで部局の縦割りというところはないわけではなかったとは思いますけれども、こういったところの連携を強めまして積極的に誘致すべきと考えております。
 具体的には、そういったニーズのある大手企業、それと地場の企業の連携とか、そういった事業のまずは誘致、そういったところから進めながら種をつくっていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 飛鳥川総括課長のところは、攻めの企業誘致をやってきたところだと思います。一方で、担当となっている畜産のほうは、そういった問い合わせがあった場合に、こういった補助制度がありますということを紹介するだけだったわけです。そうすると、では、どこがそういったところにアポイントをとり、岩手への適地としてどうですかというアプローチをかけるところが、どうしても今までなかったわけです。今、前向きな答弁をいただきましたので了解をし、ぜひ進めていただきたい分野ですが、この地域、工業製品何々といって長く取り組んできても、どうしても成果があらわれにくい。ただ、畜産分野においては、地域の、地場の雇用も非常に大きいですし、また、その後、加工品、食肉処理だとか、いろんな分野に発展できる一大産業ということを県としても位置づけて、ぜひここは─畜産部門は、今、放射性物質の関係でもう手いっぱいで、外に向けては何もできないわけです。ですので、この分野については、企業立地推進課のほうで責任を持ってどんどん攻めていくんだと。1社、2社、3社、どんどん誘致していくんだというような強い取り組みを期待しているわけでありますが、最後にこの件について、もう一度御意見をいただきたいと思います。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 まさに今のようなものを歴史をたどってみると、北海道などはその例と考えております。各地域でものづくりというよりは農林水産の貴重な資源を生かして、そして、ないものをみずからでつくってきた、そういった歴史があるのではないかと思っております。
 私どもとしても、こういったベンチマークをしっかりしながら、積極的に畜産業またこういった農林水産、一次産品と直結するような加工メーカー等の誘致を図っていきたいと考えております。
〇及川あつし委員 緊急雇用創出事業について伺いたいと思います。
 冒頭の橋本商工労働観光部長の平成23年度の重点取り組みの中でも、最初に言及された内容であります。
 ちょっと質問に入る前に数字を確認したいのですが、平成23年度の予算の政府の第1次補正、第3次補正での基金の積み増しの総額が幾らだったか。あとは、主要成果のほうに出ている数字と事前に調査でいただいた数字で、若干、記載の仕方があるんでしょうけれども、この事業によって雇用創出の成果、県の分と市町村の分でどうだったかという、基本的な数値をもう一度御答弁いただきたいんですが、よろしくお願いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 まず、基金の積み増しの額でございますけれども、平成23年度に国からの交付金を受けて積み増しした額は、640億4、513万8、954円になります。
 次に、雇用創出の数でございますけれども、平成23年度は、県分が3、684人、市町村分が7、624人、計1万1、308人となります。
〇及川あつし委員 あえてちょっとお尋ねしたのは、実施状況報告書の中には、雇用創出数7、624人で達成度Bということで、この数字の記載しかありませんでしたので、それは市町村分だと思うんですが、県の分の3、684人もあるということで、ちょっと最初に確認をさせていただきたいと思います。
 そうなりますと、目標値に対しては若干達成していませんが─合計すれば達成しているのかな。そうすると、この達成度Bという評価が変わるのかなという気もしているんですが、この点については後で補足があれば説明をしていただければと思います。
 640億円余の基金積み増しを行って、合計で、県と市町村で1万1、308人の雇用を創出したということで確認をさせていただきましたが、結果として、雇用創出の成果をどのように捉えて分析をされているのか、そこが一番大事なポイントだと思いますので、数字をもとにしての分析等についてお示し願いたいと存じます。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 東日本大震災津波後、本県の雇用情勢は非常に悪化いたしました。そうした中で、事業所に対しては、速やかな復旧再開を支援する産業施策を打ってまいりましたし、同時に、雇用面でも、緊急雇用創出事業による下支えを行ってまいりました。
 平成23年度の雇用の実績は先ほど申し上げた数値のとおりでございますけれども、その内容といたしましては、瓦れき処理でありますとか仮設住宅入居者のサポートなど、被災地のニーズに応じた雇用の創出を行いましたほか、県全域を対象とした地域の企業に就職することを目的とした人材育成とマッチングを行うなど、多様な雇用の創出機会に取り組んだところでございます。
 そうした成果といたしましては、内陸の生産活動の活発化にも寄与しておりますけれども、結果として、県全体の有効求人倍率は平成23年4月の0.42倍から、本年3月には0.81倍というところまで上昇し、この緊急雇用事業も、その情勢回復に一定の効果があったものだと考えております。
〇及川あつし委員 かなり立ち上がりが早かったかなというように私は見ておりましたし、結果として、今御答弁あったように、有効求人倍率に対しても0.42倍から0.81倍に上がったということでありますので、かなりきているなと。もう、一息だなというような感じがしていますが、今、御答弁あった有効求人倍率の0.81倍に対して、この緊急雇用創出事業というものがどの程度寄与しているのか、その分析ができるのであればお示しいただきたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 有効求人倍率そのものにつきましては、求人、求職累積での割り算になるので、その結果として、この緊急雇用創出事業の求人そのものがもたらす効果というのは0.01、多い月で0.04ぐらいと、結果的に数字は非常に小さいんでございますけれども、もう少し別の見方をいたしますと、毎月の新規求人という観点で見ますと、緊急雇用創出事業の求人が月々の新規求人の5%前後を占めておりました。特に、沿岸被災地で見ますと、釜石職業安定所管内では、月々の新規求人の約10%、宮古職業安定所管内では、約12%が緊急雇用で新規求人が出たという数字もございまして、そういう意味では、被災地においては特に求人確保に一定の効果があったのではないかと考えております。
〇及川あつし委員 かなり数字上、インデックスには影響していたと理解をいたしました。
 その中で、マクロの数字上はかなりよくなってきているし、非常にいい対策だったなとは理解をしているのですが、部分的に企業と人材のミスマッチがあると。しかも、そのミスマッチが拡大しているような話も伺います。採用したくて求人を出しても来ないと。これはいろんな複合的な要因があると思うのですが、企業と人材のミスマッチの課題について、どのように認識していて、どういう課題があって、何か解決策があるのかどうか、その点についてもお示しいただきたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 今、委員御指摘のとおり、そのミスマッチの状況としましては、例えば職種によりまして、事務職については、求職者は求人を大きく上回っているという一方で、専門職、技術職ではその逆。その典型的な例が、建設技術者ですとか介護職員等の例がございますけれども、そういった仕事の内容によるミスマッチ等が見られます。その問題の深刻化というのは、長引くような状況が見られてきた。従来は、ある程度時間を置けば徐々に解決してきていたものが、それが少し時間がかかるようになってきたという意味では、深刻化であろうかと思います。
 沿岸地域で行いました私どものアンケート、これはハローワークに求職手続に来ている方を対象に行っておりますが、なかなか就職に至っていない理由についてお尋ねしましたところ、やはり求人条件が自分の希望に合わない。あるいは沿岸におきましては、住居の移転やあとは働くことができる、自分が外に出ることができる時間というのが、生活環境が変わってしまって、従来と同じ職場であってもすぐには戻れない、そういう変化があって就職に至っていないという回答が多く寄せられております。
 こういったものに対する特効薬のような解決策はなかなか見つからないわけでございますけれども、個々の事例を着実につなぎ合わせる取り組みを地道に続ける以外にないと考えておりまして、そういう意味では就職面接会の開催でありますとか、個別カウンセリングによるマッチングの促進とか、あるいは事業復興型ということをことしの重要課題にしておりますが、そういったもので雇用条件の改善に努力していきたいと考えております。
〇及川あつし委員 非常に息の長い作業になると思うんですけれども、ぜひ取り組みを進めていただきたいと思います。
 ここでちょっと提案も含めてお話ししたいのは、もちろん個々のカウンセリングのときに、今のミスマッチの状況がどうで、今後のトレンドがどうなるというお話で、一人一人の求職者に情報を伝達するのも大事だと思うんですけれども、今の状況をもう少し鳥瞰をして、今こうなっていますということをPRしてほしいんですね。
 というのは、就職を探している方は、もちろん自分が何をやりたいかという問題もあるけれども、短期的な問題と中長期的な問題として、どの分野に行けば自分が安定的にそれなりの生活ができるのかという見込みが欲しい。これについては、皆さんがいろいろ個々の事例を分析した全体のレポートみたいなものを、今こうなっていますよというのを見られるような状況にしていただいたほうが、多分、個々の求職者がカウンセリングで1人や何人かの情報を得るよりも、先に自分の中で情勢分析というのをできると思うので、そういう何かの方法も考えていただきたいと思っておりますが、この点についてはいかがですか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 まさに今委員御指摘のようなことを私どもも最近感じておりまして、そういった内容は、既に沿岸でことし回数をふやして行っている合同面接会の場では、それに先立って各職種ごとに、求人がこれぐらいですよと、それに対して求職者はこんなに多いんですと、ここは少ないんですというのをまず説明して、それから、皆さん各企業ブースをお回りくださいということで説明をしたりしております。
 今、委員から御指摘のあったように、個々の就職相談におきましても、そういった説明を加えながら、今後当たってまいりたいと思います。
〇及川あつし委員 情報が結構足りないなというような感じがしておりますので、ぜひ対応をお願いしたいと思います。
 今後についてでありますが、事業継続の必要性についての認識、あとは制度の事業継続の見通しについて伺いたいと思います。
 一応、国の現行要領は平成24年度末ということになっていると承知しておりますし、平成24年度に始まった分については25年度末ということで、この事業の終わりが見えているというような感じがするわけですが、本当に今の状況でこれをやめてしまうことがいいのかどうか。先ほど雇用の有効求人倍率の貢献の数字が出されましたけれども、今これをやめてしまうと、また坂を転げ落ちるように雇用情勢が悪化する可能性があるのかなというような危惧をしているのですが、必要性の認識と事業継続の見通しについて伺いたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 確かに、現在の有効求人倍率は非常に高い水準になってきましたけれども、しかし、実態としては、職種ごとのばらつきもございますので、そういう意味で、まだまだ本県にとってこの事業は必要だと考えております。また、先ほどもちょっと触れましたが、被災地でのニーズに対応した雇用機会を提供していくという意味でも必要と考えておりますし、市町村からも、今年度、その継続について要望を受けたところでございます。既に、県単独あるいは全国知事会等を通じて、国に対しては要望を出しているところでございまして、幸い、平成25年度概算要求にはそれが計上されております。ぜひ、その実現されることを期待しておりますし、国のほうから、何らかの形でその延長が可能になるのではないかというような見通しも伺っているところでございます。そういうことで、ぜひ来年度も取り組んでいきたいと考えています。
〇及川あつし委員 事業継続をしない場合の危険性のほうが高いかなというような感じがしておりますので、今、御答弁あったように、しっかりお取り組みをいただきたいと思います。
 通告をした質問は以上でありますが、先ほど工藤大輔委員から飛鳥川総括課長に質問がありましたが、私もちょっと提言も含めて、雇用創出についてお話をしたいと思いますので、所見だけ伺いたいと思います。
 皆さんが新しいビジネスのシーズをつくるということで、息の長い取り組みをずっとやってきているのは私も承知しております。即効性がなかなか出ないけれども、腰を据えてやるというのは大事だと思うので、今やっていることについて一定の評価をしたいと思うのですが、今、非常に市場環境の変化が早いので、そこに対しての取り組みというのは、どうしても行政のやり方とミスマッチを起こしているような気がするんですね。
 我が県の特性を踏まえたいろんな農林水産分野の取り組み、自動車産業の取り組み、これも大事だと思うのですが、この1年、2年を見ていると、マーケットで非常に効果をあらわしているのは、やっぱりソーシャル・ネットワークキング・サービス系の事業と、あとはバイオですよね。今、医療関連の分野でいろいろ機器の部分はやっていると思うんですけれども、バイオについてももうちょっとやったほうがいいのかなと。ただ、バイオはなかなか簡単に芽が出ませんから、でも、SNSについては、今、岩手県立大学のソフトウェア情報学部に物すごいいい学生がたくさんいて、この学生がどんどん県外に抜かれていっているわけですよね。自動車関連産業のソフトウエアの開発で一部盛岡でもスタートしていますけれども、今、どんどん成長している分野はスマホを使ったSNSのソフト開発の分野だと思うんです。今、ことし上場した新企業も、ほとんどその分野が非常に絶好調ですから、やっぱりそのブランチを誘致するとか、県立大学の学生でこんなにすばらしい学生がいるんだということで、短期的に早く取り組むということも必要だと思います。今年度上場した企業などもどんどん訪問していただいて、ここにブランチをつくって、ソフトウエアの開発をここでやりながら成長に寄与してもらえるということで、そういう提案も必要かなと思っているんですが、その所見だけ伺いたいと思います。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 まさに委員御指摘のとおり、円高の影響で、製造業等については、世界全体のどこでやったらいいのかというところをまずは懸念しながら研究して設置をしていると。そういう意味では、ものづくりというものの大型工場が各地方にぼんぼん建っていくということはなかなか厳しいと。一方、ICTという情報技術の分野につきましては、これは場所を、まず瞬時に世界中飛び交うということで、やはり開発能力、アプリケーションの世界と考えております。その中で、岩手県の中では県立大学も高いポテンシャルということで、これまでも首都圏そしてまた愛知県のそういったソフトウエア会社の誘致も進んできております。また、一方で、人材確保という意味では、なかなか人が集まらないという課題もございますので、ここをどうマッチングしていくか。そして一つモデルをつくって、岩手の中でこれが十分できるというようなものを幅広くPRをして、ぜひ県立大学そして学生、そしてまた、そういった学生が残ってさらに地元のソフトウエアを大きくしていくというようなところの分野について、今後、我々も注力していかなくてはならないと考えております。頑張ってまいります。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 先ほど及川委員から御指摘のありました成果に関する説明書の数値の変動でございますけれども、説明書35ページに、この緊急雇用事業に関する指標等が載ってございます。下寄りの推進方策を構成する事業実績に、緊急雇用事業の内訳の個別事業についての成果が載ってございます。これはあくまでも基金を使った個別事業の数字ということで御理解いただきたいと思います。
 真ん中の具体的な推進方策指標のところの2番に、基金事業による新規雇用創出可能数という数字が載ってございます。これは緊急雇用ともう一つ、同様の基金でふるさと雇用再生事業という基金を使った事業がございます。そこの合体数字で、ちょっとこれもまたさっきの1万1、300人とずれておりますが、わかりにくい格好で申しわけございませんが、ということで、この数値自体は変動ございませんので、よろしくお願いいたします。
〇高橋但馬委員 私は、事項別明細書の299ページのいわてデスティネーションキャンペーン推進協議会負担金について質問をさせていただきます。
 この主要施策の成果に関する説明書の県民計画の実施状況報告書にも同じくリンクしているところでありますけれども、このキャンペーンの活動内容と成果指標の関係、そして、宿泊客数が目標637.3万人、実質が630.6万人、7万人弱、目標に対して少ないわけですけれども、達成できなかった反省と今後の取り組みについてお知らせください。
〇戸舘観光課総括課長 いわてDC推進協議会負担金における活動内容と成果指標ということでありますけれども、平成23年度はいわてDCの実施前年度ということで、このいわてDCのプレキャンペーンというものを展開してまいりました。首都圏でのPRイベント、それから宿泊客を対象としました1、000円の利用券のプレゼント、それから、旅行商品造成を促進する首都圏での会議やDCのお披露目となりますスタートアップミーティングと、こういったものを実施いたしまして、震災による落ち込んだ観光需要の回復に取り組んできたところでございます。
 宿泊客数についてのお尋ねでありますけれども、委員御指摘のとおり、目標の637万3、000人に対しまして実績が630万3、000人ということで、目標達成度は約99%ということで、達成度の区分がBとなってございます。
 この目標設定をいたしました時点で、震災後のいわゆる復旧関連の方々の宿泊需要というのが大きく伸びておりまして、そういったことを見据えながら目標設定をいたしたわけでありますけれども、そこの部分が一定程度落ちてきているということもございます。
 私ども観光所管でありますので、何とか観光による宿泊者をふやしたいということでやってきているわけでありますけれども、目標に達しておりませんので、今年度、いわてデスティネーションキャンペーンを契機といたしまして、まず、集客力のある平泉から県内各宿泊地とを結ぶ2次交通の充実を図ってまいりましたし、現在、このDC実施後でありますけれども、首都圏企業等に対しまして、1、000円の利用券の特典つきの宿泊旅行のセールスを実施するなど、宿泊需要の拡大に継続して取り組んでいるところでございます。
〇高橋但馬委員 活動内容と成果指標の関係についても質問したんですけれども、そちらの回答もお願いいたします。
〇戸舘観光課総括課長 失礼いたしました。先ほど御説明申し上げましたような活動をしてまいりまして、その結果といたしまして、成果指標の中での観光客の入り込み数がございますが、これは震災直後大きく落ち込んだわけでありますけれども、目標の1、191万6、000人に対しまして実績1、343万1、000人で、目標達成度が約113%、達成度の区分がAということで、一定程度、こうした取り組みの成果があらわれているものと認識しております。
〇高橋但馬委員 ここの推進政策を構成する事業実績というのは、最終的にはこの目指す姿指標の部分にも書いてありまして、この目指す姿指標というのは、県民の皆さんとともに目指す政策項目の最終成果指標ということになっております。観光客の入り込み客数は、1、191.6万人の目標に対して、1、343.1万人ということで達成したと。達成度Aということになっております。これに関しては、観光客入り込み客数は世界遺産の平泉を復興のシンボルに挙げて、いわてDCプレキャンペーンを展開することで、目標に対して、回復に向けて取り組みを進めた結果、達成度がAになったと説明が書いてあるわけですけれども、今回のこの入り込み客数というのは、いわてDCプレキャンペーンでありました。先日、いわてDC本番が終了したわけですけれども、ここの達成を踏まえて、目標の入り込み客数、宿泊客数の目標を設定したと思うんですけれども、目標数の800万人入り込み客数、ここに関して目標の設定の理由についてお知らせください。
〇戸舘観光課総括課長 いわてDCの目標設定でありますけれども、この入り込み目標の800万人回といいますのは、このいわてDCの目標設定をした時点で、観光客の入り込みがほぼ9割ぐらいまで戻ってきているという前提に立ちまして、そこをいわてDCの実施と、それから大きなイベントを予定されておりましたので、そういったものによってトータルで15%をさらにプラスをして、全体として震災前水準の5%増にしたいということで、こういう目標設定をしたものでございます。
〇高橋但馬委員 新聞の報道によると、宿泊客数に関しては200万人の目標と書いてあるんですけれども、そこの目標設定も同じような理由になりますか。
〇戸舘観光課総括課長 宿泊客数につきましては、この目標設定をした時点で、先ほど来申し上げておりますが、震災からの復旧、復興に関連した宿泊が相当程度ふえているということでありましたので、これを踏まえて、県内の全体の宿泊施設の定員稼働率を40%。これは、宿泊施設の採算ラインと一般的に言われているようでありますけれども、そこまで持っていきたいということで、こちらのほうは平成23年の同期比、つまりは震災後、復旧関連の方々が入ってきてふえている時期でありますが、ここと比較して、さらにDCの実施によって、20%増加をしたいということで目標設定をしたものでございます。
〇高橋但馬委員 それでは、いわてDCが終了したわけですけれども、未達成の理由をお知らせください。
〇戸舘観光課総括課長 まずは、入り込み客数のほうでありますけれども、目標に対する達成率が92.1%という状況でございますが、ゴールデンウイーク後半の悪天候といった気候要因が影響したところもございますし、あと、被災地、沿岸部におきまして、流失などによって調査ポイント自体が減少するといったような特殊要因もございました。そういった中で、目標に対する達成率92.1%ということでありますけれども、ほぼ震災前の水準に達成したということで、これはDCによる誘客効果もあったと思いますし、また、県内の観光関係者の皆様方に大変頑張っていただいたという成果であろうかと思っております。
 一方、地域別に見ますと、県北・沿岸部など、震災前の水準に届いていない地域もありますので、ここは、今後、大いにてこ入れを図っていかなければならないと考えてございます。
 それから、宿泊のほうでありますけれども、こちらも目標を大きく下回る結果となったわけでありますが、これは延べ宿泊者数で目標設定をしておりましたけれども、実は、この宿泊統計の中で実宿泊者数という統計がございます。これは、長期に滞在している方も─チェックインした1回のところで1回、2回と数える、そういう考え方でありますけれども、これでいきますと、震災前と比較しますと13.4%のプラス、平成23年と比較しますと31%のプラスということで、この辺の動きを見ますと、いわゆる長期に滞在をしている復旧関連の方々も相当程度戻ってしまったのではないか。一方では、同じような被災県であります宮城県、福島県が、この実宿泊者数のところがマイナスという状況になっておりまして、こういった他県と比較しますと、本県においてDCとかこういうキャンペーンを展開し、皆さんに頑張っていただいたということがプラスの方向で作用しているということかと思っておりますけれども、数字としては目標には届かなかったという結果でございます。
〇高橋但馬委員 今の答弁で、天候の関係でよくなかったというのと、津波の影響で調査地点20カ所が減ってしまって調査ができなかったという部分があるんですけれども、この平成23年度の目指す姿指標、このいわてデスティネーション推進協議会負担金の部分で数値が達成しているわけですけれども、そのときも同じ状況だったのではないでしょうか。
〇戸舘観光課総括課長 平成23年度の目標設定をした時点でも、これは震災直後でありますので状況はほぼ類似していると思いますが、この目標設定をした時点では、観光客の入り込み数に関しては相当程度落ちてはいるわけですけれども、徐々に回復基調にあるということを前提としまして、平成26年度までには震災前の水準に戻したいという目標設定でありますし、それから、宿泊客数に関しましては、復旧関連の方々で伸びているというのを前提としまして、そこをさらに伸ばすという目標設定になっておりますし、そういった設定の中で、これは平成23年度に関しましては目標設定をしたのが年度の後半に入っておりまして、ある程度実態を踏まえてここまではいけるのではないかと、ここまで必ずいかなければならないんじゃないかという目標設定をいたしました。結果として、入り込み数であればそこを超えたということでありますし、宿泊客数に関しては、そこに若干届かなかったということでございます。
〇高橋但馬委員 私にしてみると、目標800万人に対して達成できなかった。200万人の宿泊客数に対しても達成できなかった。おおむね達成と見るのか、達成できなかったと見るかによって、今後の問題意識の持ち方が違うと思うんですよ。実際、平成23年度の指標で達成度A、宿泊客数も達成度Bということで、おおむね達成と見て、宿泊の関係は東日本大震災の復旧関係の人が泊まっているんですけれども、これは観光関係じゃないんですよ。観光関係を伸ばすためにどういうことをやったのか、どういうことをやっていかなければならないのかということを進めることで、この200万人の目標に対して宿泊客数が近づくんだと思うんです。このままこれを伸ばしていこうではなく、そういう部分を考えて観光の推進を進めていっていただきたいと思うんです。
 観光関係で最後なんですけれども、新聞にも載っていたんですが、9月から2013年の3月までいわてDCありがとうキャンペーンをやると思うんですけれども、その中身について簡潔にお願いいたします。
〇戸舘観光課総括課長 委員御指摘のとおり、私ども復旧関連の方々の宿泊でよしとしているわけではございませんで、これは観光でいらっしゃるお客様をふやしていきたいというのは私どもも強く思っているところでございます。DCが終わって、県北それから沿岸を中心に震災前の水準に届いていない地域が多くありますので、これらの地域を、誘客の重点地域として、今、DC後のキャンペーンを実施しているところでありまして、本年9月から来年の3月まで、いわてDCありがとうキャンペーンと銘打ちましてキャンペーンを展開しているところでございます。
 このキャンペーンでは、ガイドブックあるいはポスターの首都圏での掲出、それから首都圏、東北地域へのPRキャラバン、それから先ほど申し上げましたが、首都圏の企業1、000社になりますけれども、1、000円クーポン券特典つきの宿泊旅行のセールスと、こういった取り組みをしております。
 それから、先ほど申し上げました誘客の重点地域でありますが、内陸と沿岸を結ぶ復興応援バスツアー、これDC期間中は3コース運行しておりましたが、これを6コースに拡充をして、沿岸部への誘客を図ります。それから、八幡平、二戸地域を対象とした旅行商品の造成、県北地域を回遊するバスツアー、これらの試験運行をしたいと思っております。
 それから、各広域振興局におきまして、盛岡、二戸地域での食をテーマとしたイベントなども集中的に開催をすると、こういうことにいたしておりまして、震災前の水準に届いていない地域への誘客をぜひ強化をして、県全体の誘客を拡大してまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 このありがとうキャンペーンのときに、入り込み客数の目標は何名ですか。
〇戸舘観光課総括課長 このありがとうキャンペーン自体での目標設定というものは特にいたしておりませんけれども、いわて県民計画におきまして、各年度ごとの目標設定をいたしておりますので、この目標が達成できるように引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 私が考えますに、せっかくキャンペーンをやるのですから、そこに対して、これだけの入り込み客数という目標を設定したほうが、そこの目標に対して動き方が決まってくると思います。例えば、ガイドブック20万部、エリアガイドブック5万部、ポスター1万部、これを製作して配布する、これをやりました、達成ですという考えではなくて、これをやって何人呼び込むんだという思いが必要だと思います。ここの部分に関しては、部長に一言いただきたいです。
〇橋本商工労働観光部長 いわてDCは4月から6月まで、終わったわけですが、9月15日から、ありがとうキャンペーンということで3月いっぱい取り組みます。これに当たりましては、アクションプランに年間の目標入り込み客数を掲げているところでございますので、その達成に向けて取り組むということで、先ほど戸舘総括課長のほうから具体的な取り組み内容について答弁をしたところでございますけれども、いずれにいたしましても、いわてDCは32年ぶりの開催でございましたけれども、これで築いた組織体制とか、そういったものはこれからも十分生かしていけると思っております。そういう形の中で、着実にアクションプランの計画達成に向けた取り組みに向けてやっていきたいと思っておりまして、このありがとうキャンペーン自体の目標の捉え方ということもあろうかと思いますけれども、年間を通じての入り込み客数の誘客促進のためのキャンペーンの位置づけと考えて、積極的に取り組んでいるところでございます。
〇高橋但馬委員 ぜひ、観光振興のために御努力をお願いいたします。
 もう一点ですけれども、チャレンジド就業支援事業費についてお伺いいたします。
 働きたい障がい者というのは県内でもふえていると思うんですけれども、その働きたい障がい者数、求職者数、それと就職者数の数値の状況をお願いいたします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 ことし8月の有効求職者数は2、235人、対前年同月比で11.4%の増加、就職者数は、4月から8月までの累計で502人、同様に、前年比較で見ますと46.8%の増加となっております。
〇高橋但馬委員 このチャレンジド就業支援事業費について、事業内容を簡潔にお願いいたします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 内容として大きく三つございます。障がい者の就業を支える体制の整備、二つ目は広報、三つ目は職業訓練でございます。
 一つ目の体制整備は、障害者就業・生活支援センターへ委託して人材育成を行うこと。最後の職業訓練、これは国の委託事業を活用して、座学と職場訓練を組み合わせた職業訓練を行うという内容でございます。
〇高橋但馬委員 先ほどの県内の働きたい障がい者数と就職者数の状況を考えても、障害者就業・生活支援センターというのは重要になってくると思うんですけれども、これの拡充の見通しはあるんでしょうか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 このセンター、現在県の障がい保健福祉圏域、九つございますが、各1カ所指定しております。その運営経費は国の委託事業で賄われて、就業部分は国の委託事業で賄われております。通常ですと、それぞれ2人、盛岡は3人ですが、計19人の就業支援ワーカーが配置されております。これが体制強化として昨年から10人追加配置されております。計29人でございますが、この強化した体制の中で、当面、就業支援を進めてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 このチャレンジド就業支援事業のほうには、障がい者の対応に応じた多様な委託訓練というのがあります。いろんなコースがあって、知的技能習得訓練コースとか、実践能力習得訓練コースとかあるんですけれども、この就職率というのは、全体で見ると52.8%ということなんですけれども、障がい者の方がこういう訓練を受けても、知的技能コースであると40%の就職率、実践能力習得訓練コースだと50%、それぞれそこで勉強して訓練を受けたからといっても、実際の職場に行ってみて、合う合わない、やっぱりそういうのが重要なんだと思うんです。その後に、就職率を高めるためには、この環境をもう少しコースをふやすであるとか、実践能力習得の民間企業の部分をさらにふやすとか、そういう部分が就職率を上げるために重要となると思うんですけれども、これは平成23年度の決算の部分なんですけれども、平成24年度はどのような動きになっているか、最後にお知らせください。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 まず、就職率向上のために、訓練の内容としてはデュアルと申しまして、いわゆる職場実習の期間を少し長くするという内容の質的な向上を図っている部分がございますし、もう一つは、受託機関に対して、訓練終了後も引き続き就職支援のフォローをしていただくという支援部分の強化ということを、より強く求めてまいりたいと考えています。
 今のは訓練の部分ですけれども、そのほかに体制面ですけれども、県のほうで、訓練コーディネーターでありますとか訓練コーチというものを配置して、そこで新規の職場実習の企業等を開拓しております。この開拓を今後も努めてまいりたいと思います。
〇高橋但馬委員 働きたい障がい者の方はふえておりますし、そこのマッチングというか、県のほうでバックアップすることが、働きたいと思う思いをくみ上げることになると思いますので、引き続きバックアップをしっかりやっていただければと思います。
〇小野共委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時58分 休 憩
午後1時2分 再開
〇岩崎友一副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
   〔「あと何人ぐらいいるの」と呼ぶ者あり〕
〇岩崎友一副委員長 あと商工労働観光部8名、企業局8名でございます。よろしくお願いします。
〇嵯峨壱朗委員 端的に聞きます。グループ補助金についてお尋ねいたします。
 グループ補助金は、被災企業が復活する上で非常に有効な事業メニューだったと思っておりますが、これまでの岩手県の申請の状況、それと採択の状況を説明願えればと思います。
〇松川経営支援課総括課長 まず、申請の状況でございますけれども、これまで4回の公募を実施いたしまして、延べ数ですが、175グループ、会社の数としましては1、918社、申請金額としましては1、496億円でございます。これに対しまして、採択、交付決定したグループについては51グループ751者、577億円であります。
〇嵯峨壱朗委員 今、説明いただきました。1、496億円のうち577億円ということで、なかなか希望に沿ってもらえないというような状況が続いているようですけれども、この採択されない理由とか、例えば事業的に特色があれば御説明いただければと思います。
〇松川経営支援課総括課長 申請と採択の状況から申し上げますと、重複して何度か申請されているグループもございますので、それを除きますと、申請事業者の大体7割が採択になっております。
 それから、採択されない理由ということでございますけれども、まずは復興事業計画というものを出していただいて、その上での審査ということになります。グループを構成する共同の事業だとか、あるいは連携することによってどのような効果が発揮できるかというところが十分計画の中に盛り込まれている必要がございますので、その辺あたりがどうしても足らないといった場合には採択が厳しいということになろうかと思います。
 それから、採択の特色と申しますと、これまでの状況を見ますと、大体6割ぐらいが製造業関係のグループでございました。そのうち3割程度が水産加工業という状況でございます。その他、商店街など、宿泊業、小売サービス業などがやはり3割ぐらいということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 70%の企業が採択されているということですけれども、この金額のずれというのはどう理解したらいいのか教えてください。1、496億円の申し込み金額に対して決定金額が577億円と、さっきの7割というもののずれ。(「何回も説明した」と呼ぶ者あり)さっきの説明でいいのか。(「いいんだ」と呼ぶ者あり)さっきの説明でいいということですね。わかりました。失礼しました。
 いずれ7割であればそれなりなのかもしれませんけれども、まだまだ被災地は、恐らくやりたい人がいても土地利用の計画が定まらないとか、さまざまな要素があると思っております。
 次に、この事業が採択されて、建物も建ててある、ただ、精算がなかなか思うとおりいっていないという、その精算の状況についてお尋ねしたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 実際に事業を実施ということになるかと思いますけれども、9月末現在での決定事業者751者のうち163者から事業完了の報告を受けております。そのうち111者が完了確認を終了いたしまして、97者が精算済みということでございます。
〇嵯峨壱朗委員 以前にも指摘したんですけれども、全体で見ると、交付決定して事業を終わっても、支払い済みは252億円ですか、全体の43.8%という状況です。これは、前のときにも聞きましたけれども、なかなか完了確認がうまくいかないとかさまざまな理由があるようですけれども、どういった理由が主なのか。結局、支払い済みにならないと、運転資金として銀行から借り入れて何とか回しているという実態が多いようなんです。その辺のこれからの見通しというか、その理由等もわかればと思います。
〇松川経営支援課総括課長 まず、完了確認のおくれということでございますけれども、特に水産加工業の方たちは今まさに繁忙期でございまして、完了の確認を現地に行って事業者の方に行うわけですけれども、その日程調整がうまくいかないというようなこともございます。それから、書類を準備していただく必要がございますので、そういった準備のためのお願いもしているわけですが、書類の準備が整わないというようなこともございます。
 こういったことをできるだけ防いでいくために、チェックシートみたいなものをつくりまして、事前に事業者の方に準備していただけるようにしたいと思っております。
 それから、やはり事業者にとっては運転資金が厳しいということはよく承知しておるところでございますので、概算払いという方法もとりまして、できるだけ事業が進捗している状況に合わせまして支払いをしていくという方法もとっております。
 いずれ、事業者が早期に復旧して、早く経済活動ができるようにと思っておりますので、今後とも気をつけて進めてまいりたいと思っています。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひお手伝いしながら進めていただければと思います。
 次に、二重ローンについてお尋ねします。
 この二重ローンというのは、実は事業を始めようとして新たに借金をしないと二重ローンというのは存在しないんですよね。だから、やれる状況にあるところ、やる気のあるところにしか二重ローンというのは存在しないわけですけれども、恐らく本来であればやりたくてもやれないところが多いので、これに出てきているところはまだいいところなのかと思って見ていましたけれども、この二重ローンの相談総数と支援の決定の状況について、二つの制度、岩手産業復興機構、また、東日本大震災事業者再生支援機構とあるわけですけれども、それぞれ総数と支援の決定の状況についてお尋ねしたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 まず、岩手産業復興機構、県の機構のほうですけれども、相談センターで相談を受け付けておりますので、まず相談センターの相談件数から申し上げます。336件を受け付けておりまして、そのうち、債権買い取りの支援を決定したのが25件となっております。それから、国でつくりました東日本大震災事業者再生支援機構でございますけれども、こちらのほうの県内事業者の債権買い取りあるいは出資などの支援の決定をしたのが16件となっております。こちらのほうの相談件数については、県内分は把握しておりませんので、御了承願います。
〇嵯峨壱朗委員 相談センターのほうに336件来て、債権の買い取り支援決定が25件、ほかにも長期返済猶予とか新規融資とかあるようですが、これを加えると60件。それにしても336件に対して60件というのはかなり少ないですよね。
 東日本大震災事業者再生支援機構のほうも、県内事業者は支援決定に向けて40件が検討中ということのようですけれども、こういうふうに相談してもなかなか決まらない理由というのはどんなところにあるのか説明願えればと思います。
〇松川経営支援課総括課長 この債権の買い取りというのは、金融機関など債権者が債権者調整を行って、その上で買い取り額を決定して買い取りを進めるという手続がございます。そういったことで、まず、対象の事業者あるいは金融機関との調整ということで時間がかかるというところはございますけれども、昨年度、センターが設立されまして1年を経過したところでございますけれども、徐々にノウハウなども蓄積されまして、決定の手続が早まっていると認識しておるところでございます。
 それから、現実には現地の土地利用などの決定がなかなか進まないということもございまして、相談件数は336件ということでございますけれども、まだまだ潜在していると思っておりますので、これからそういったものもふえていくものと理解しておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 前後したんですけれども、被災企業、今回の震災でおおむねどの程度なのか、把握しているのであればお聞かせ願いたいと思いますし、再開の意向を持っている企業も把握していればどれぐらいなのかをお知らせ願えればと思います。
〇松川経営支援課総括課長 沿岸の商工団体を通じて調べた数字でございます。9月1日現在ということでございますけれども、被災した事業者数につきましては4、325者でございます。それから、事業再開の意思を持って、まだ再開していない事業者については203者となっております。
〇嵯峨壱朗委員 この二重ローンの相談を受けて進めているところもあれば、グループ補助をもらってやっているところもある。県の、先ほど午前中に質問がありました、支援をやっているところ、それぞれを差っ引いての話なんでしょうね。
 雇用の問題も含めてですけれども、企業の再建が非常に重要だと思っておりますし、ただ、今、説明があったように、土地の利用計画がなかなか進まない。高台移転もそうですし、現場でそのままできればいいんですけれども、その辺の関係もあると思いますけれども、これから恐らくこの相談がふえていくだろうと私は思うんですけれども、そういった意味で県の支援は非常に重要になると思うんですけれども、そういった見通しとか支援の体制をどうやっていくか説明願えればと思います。
〇松川経営支援課総括課長 まさにこれから土地利用などが決まっていく中で、資金需要というものが本格化していくと理解しております。そこでやはり相談もふえていくと思っております。
 体制といたしましては、産業復興相談センターというものがございますので、これをぜひこれからも継続して設置するように国に要望してまいりたいと思っていますし、それから、県の職員をセンターに派遣いたしまして体制を強化いたしまして、特にも県、市町村での復興計画の確認とか、あるいは、先ほど委員御指摘のとおり、グループ補助金とか、あるいは高度化資金などの借り入れをしている事業者もございますので、そういった情報を密にしていきまして、早く事業者の方たちが資金繰り、あるいは再建に取り組めるようにと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、県産品の海外輸出についてお尋ねしたいと思います。
 先ほども議論がありましたけれども、先ほど部長の説明で一定の回復を得たところと評価しておりましたけれども、全体で見てみますと、昨年は震災の影響があって苦戦したようですけれども、過去四、五年の動きはどうなっているのか。それと、販路拡大も含めて、海外の販路開拓に県が支援している予算はどれほどなのかというのを教えていただければと思います。
〇桐田副部長兼商工企画室長 県産品の輸出額の動向でございます。
 ジェトロ盛岡貿易情報センターの調査に基づきますと、平成19年度におきまして約30億円、平成22年は13億円、平成23年には8億円となってございます。
 県が行っております海外販路開拓支援予算につきましては、平成19年度におきましては5、600万円ほど、平成22年度も、通常の予算といたしましては5、400万円ほど、平成23年度は6、400万円ほどとなってございます。
〇嵯峨壱朗委員 先ほど、事項別の説明の前に全体の説明を部長がされたときには一定の回復を得たところという説明があったように聞いておりましたけれども、どの点を捉えているのかというのをお伺いしたいのと、実際には、平成19年度の30億円から平成22年度13億円、平成20年、平成21年とどんどん減ってきていますよね。それは、県が意気込んですごく力を入れていると見ていたんですけれども、そうではないんだなというのがわかりました。特に、中国、香港向けが大きく落ち込んでいるように見ておりますけれども、それぞれ思うとおりにいかないその理由というのをどう捉えているかお聞かせください。
〇桐田副部長兼商工企画室長 先ほど申し上げました総額の内訳でございますが、農林水産物及び食品がおおむねを占めてございます。平成19年の30億円のほぼ同額、30億円ほどが農林水産物で、工芸品につきましては2、000万円ほどでございます。それが平成22年度に至りまして13億円に総額が減ったわけですが、農林水産物が12億円に減りまして、工芸品は逆に7、000万円とふえてございます。平成23年度は総額8億円に減りまして、農林水産物が、うち7億円、工芸品は1億円ということでございます。
 冒頭に部長が申し上げました一定の回復と申しますのは、工芸品等を想定しながら説明したものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 そうでしたか。ただ、明らかに、昨年度は別にしても、農林水産物については当部の所管ではないと言われればそれまでかもしれませんけれども、全体として見るとやはり残念な傾向ですよね。工芸品にしても、2、000万円が5年たって1億円になったという程度の話ですよね、実際。費用対効果というのはどうなのかと思って、その費用対効果という捉え方で見た場合、どのように考えているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇桐田副部長兼商工企画室長 費用対効果につきましては、先ほど申し上げました、商工労働観光部として5、000万円ほどの販路開拓支援を行ってございます。その中には大連事務所の運営費なども含んでおります。東アジア、中国の市場につきましては、大いに可能性があって、その取り組みを続けていくことが必要だろうと考えてございます。先ほど申し上げました大連事務所のさまざまなネットワークづくりの活動など成果が徐々に積み上がっておりますので、そういった意味では、まだ大きな金額にはなっていないという御指摘はそのとおりでありますが、これから大いに可能性があると考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 可能性の話をすれば、ありますよね、多分。でも、昨今の情勢を見ていると、私は、大連に事務所をつくるのが必要なのかどうかとも思っています。先ほど関根委員もそう言ったのかな。(関根敏伸委員「逆です」と呼ぶ)ああ、そうでしたか、逆でしたか。と思っているんです。まだまだ国内でやることがあるのではないかと思っているんですが、費用対効果というのをもう少し考えていただきたいと思っておりました。
 大体、この1億円のうち、鉄器がほとんどなんでしょう。どうなんですか。
〇桐田副部長兼商工企画室長 そのとおりでございます。
〇嵯峨壱朗委員 鉄器だけじゃないですよね、工芸品も。輸出にたえられるものがそうだということなのかもしれませんけれども、だから、それを悪いとは言いませんけれども、もっと幅広く、県産品をどうやって売っていくかともし考えるとすれば考えていただきたいし、まだまだ国内の市場というのは広いと思うので、そういった視点が大事だと思っております。
 それと、国内についてお伺いしたいと思います。
 それぞれアンテナショップがあるわけですけれども、アンテナショップの売り上げ、昨年度は震災の影響があって非常に売り上げがあったと言っておりましたけれども、全体の傾向としてどういった売り上げで推移しているかお聞かせ願えればと思います。
〇桐田副部長兼商工企画室長 県外アンテナショップの売り上げの推移でございます。県外事務所、東京、福岡、大阪の3カ所の合計で申し上げます。平成19年度は7億7、300万円、平成20年度は8億2、000万円、平成21年度は8億3、800万円、平成22年度は8億1、500万円、平成23年度におきましては11億3、500万円と、一定の金額を維持しながら、平成23年度は震災復興支援の御支援のおかげで11億円にまで伸びているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 ことしはどういうふうに推移しているのか。今年度の見通しと、県が主催しております物産展等の開催の状況と、把握していれば売り上げの推移、傾向、これはどういうふうになっているのかと思いますが、いかがですか。
〇桐田副部長兼商工企画室長 まず、物産展の数字から先にお答えいたします。平成23年度におきましては、75回物産展を開催いたしまして、売り上げは総額で10億7、200万円ほどになってございます。
 なお、平成24年度の9月までの上半期の状況につきましては、物産展は26回で売上額は3億円ほどになってございまして、昨年度─平成23年度の同時期は開催件数が38回で5億8、000万円ほどですので、昨年に比べますと若干減少傾向でございます。
 それから、アンテナショップについての今年度の状況ですが、平成24年度は、申しわけありませんが8月までの数字でございますが、東京、大阪、福岡のそれぞれの数字でございますけれども、東京が2億3、000万円、大阪が3、300万円、福岡が7、200万円ほどで、それぞれ同時期の前年対比は、東京が56%、大阪が58%、福岡は78%と、物産展と同様に昨年に比べますと減少傾向にございます。
〇嵯峨壱朗委員 毎回言っているのであれですけれども、海外にかなりお金をかけている。五、六千万円ずつずっときていますね。それに引きかえ、国内のそういった物産展も含めてですけれども、展示会等もやっていると書いてあります、この評価には。それはそれでいいことでしょうけれども、結局、被災地にある企業とかも含めてですけれども、県内は輸出するのにたえ得るような製品をつくっているわけではないんです。それ向けにやっているわけではないんですよ、地場産業というのは。先ほどあったように今は鉄器しかないわけでしょう、その1億円ぐらいの売り上げも。ですから、無理して難しいところに売る必要はないんじゃないかなと思っていつも考えているんです。というのは、海外で売っても国内で売っても売り上げは一緒ですからね。市場はもう満杯で、ないんだったら海外に行ってもいいけれども、トヨタじゃないんだから、いっぱいあるわけです、市場は、無限に、国内に。なぜそういうふうに考えないのかなと思うんですが、なぜ考えないんでしょう、そういうふうに。
〇桐田副部長兼商工企画室長 商工労働観光部といたしましては、海外にも力を入れながら新しい市場の開拓ということで取り組んでいるところでございます。県内、国内があって、海外も含めた新しい市場を開拓しながら、県内事業所の方々の利益増進、県民福祉の向上に努めていこうと考えているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 毎回言っていますけれども、どうしても海外に目が行っているようで、ぜひ広く捉えて、身近な市場を開拓することにも力を入れていただきたいと思っております。
 その関連で最後に質問しますけれども、産業貿易振興協会がございました。そこがずっと県の物産展を主催していたわけですけれども、昨年ですか、産業振興センターのほうにその物産展の業務が移管したやに聞いておりますけれども、その理由は何だったんですか。
〇桐田副部長兼商工企画室長 社団法人岩手県産業貿易振興協会におきましては、新しい公益法人制度を踏まえて、どのような法人に移行するかを議論してまいりましたが、平成23年5月の同協会の総会におきまして、協会の運営体制、法律に基づく一般社団法人あるいは公益社団法人に移行する際の制約等も含めて検討した結果、事業目的に類似性が認められ、組織体制が安定している財団法人いわて産業振興センターに業務を移管しながら合併するというふうに議論いたしまして、今は、いわて産業振興センターにおいて業務を行っているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 私が聞きたかったのは、この岩手県産業貿易振興協会という名称で一生懸命やっていた。別に国内のものを無理やりそうやってやらなくてもいいんじゃないんですかということなんですよ。業務を残していわて産業振興センターにその部分だけ移管して、そこにどういった意味があるのか私はよくわからない。なぜそういうふうになっているんでしょうか。よくわからない。
 いわて産業振興センターって、業務内容はちょっと違うんじゃないですか。物販とか、そういった物産展の開催とかをできるような体制になっているのかと思うんですけれども。
〇桐田副部長兼商工企画室長 略称で申し上げて申しわけありませんが、産振センターにおいても物産の業務は行っておりました。そういった事情がありましたので、両者の間で業務を引き継いで運営するということになったところでございます。
 なお、産業貿易振興協会の、これまで培ってきた全国のスーパー、デパートなどのバイヤーの方とのネットワークをそのまま引き継いで、県産品の販路拡大について引き続き取り組んでいるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 これで終わるけれども、桐田副部長、私もよく知っているので、そういったネットワークとか組織を把握している人は1人しかいないですよね、あそこの組織は。ですよね。その人は一生懸命やっているし、経験も豊富な人ですけれども、それをもって引き継ぐとか、組織全体として産業貿易振興協会がそういった力を持っていたのかという疑問もあるわけです。ですから、今のでもいいですけれども、もっとどうあるべきかというのを考えたほうがいいと思う。無理やり持っていかなくてもいいんじゃないですか、ここに。ということは、1人しかいないんだから。しかも、もう定年間近というか、そうでしょう。その人のノウハウを引き継ぐ人はいませんよね、あそこには。なぜそこにそういうふうに無理やりつけたのか、私は理解できない。もっと前向きに考えていくほうがいいと思います。見解があったら。部長でもいいですよ。
〇橋本商工労働観光部長 岩手県産業貿易振興協会は、新しい公益法人制度への移行に当たって、体制的な問題、あるいは一般社団、公益社団いずれにいたしましても、それに移行する体制的な人的な面においても難しい問題がございました。したがいまして、そういうこれまで培ってきた方のノウハウ等を、基盤のしっかりとしたところと一緒になって、安定した体制の中で国内での販売促進を展開していく体制を強化していくという視点で、産業貿易振興協会は解散するというような形の中で現在に至っているものでございますので、決して理由なくして産振センターのほうに移管したということではないと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 理由がなくてやられたら困るから、理由はあるでしょう。それはそれでいいですよ。ただ、もっと現実に即して考える必要があると思います。その点だけ指摘しておきます。
〇喜多正敏委員 私は、観光と雇用について伺います。順番を変えて質問いたしますので、よろしくお願いします。
 まず、東日本大震災津波等により被災して、休業あるいは廃業しているというか、そういう宿泊施設数、それから宿泊定員数、現在まで、再開あるいは開業、復旧、復興した宿泊施設数と宿泊定員数、今後の見通しと、これらについての県の支援の状況、対応についてお伺いします。
 また、被災した宿泊施設、宿泊定員数が減ったわけでありますけれども、その影響額、観光収入に対する影響についてお伺いします。
〇戸舘観光課総括課長 被災いたしました旅館、ホテルの復旧状況等についてでありますけれども、今回の震災によりまして、沿岸12市町村に設置されている主要194施設のうち、被災した施設は115施設、その定員数は6、042人となっております。このうち、営業を再開した施設は42施設、定員数は2、892人、これは9月30日現在で、仮営業のものを含んだものとなっております。被災を免れた施設、それから震災後に新たに開業した施設が6施設ございますが、沿岸地域で営業している施設は合わせて127施設、定員数は6、812人となってございます。震災前と比較いたしますと、施設数で約6割、収容定員で約7割程度まで回復してきているという状況でございます。現在、修繕中の大型の宿泊施設が来月上旬から来春にかけて営業を再開する予定となっておりまして、これらの施設が営業を再開した場合には、施設数で約7割弱、収容人数で約8割程度まで回復するものと見込んでおります。
 県といたしましては、グループ補助金や県単補助金によりまして宿泊事業者の早期事業再開を支援してきたところでございますが、今後とも、これら制度の活用希望がある場合には、引き続き支援に努めてまいりたいと考えております。
 それから、観光収入に対する影響額、観光宿泊者の減少数ということでありますけれども、沿岸部に限定した観光消費額、宿泊者数についてのデータは把握しておりませんけれども、岩手県観光統計による観光消費額で申し上げますと、県全体のデータになりますが、平成23年度における観光目的による宿泊者の観光消費額は、県全体で前年比7.3%減の638億200万円となっております。
 それから、観光庁の宿泊統計によりますと、平成23年において、観光目的の宿泊者が50%以上の宿泊施設における宿泊者数は、県全体で前年比6.3%減の248万5、980人となっております。岩手県観光統計による平成23年度の沿岸部への観光客入り込み数が前年比71.3%減と大きく減少していることを考え合わせますと、沿岸部における観光目的の宿泊者も大幅に減っているものと推測しているところでございます。
〇喜多正敏委員 例えば、宿泊定員数が100%稼動しているということは考えられないので、当然ながら部屋稼働率あるいは宿泊定員稼働率は下がるわけでして、それに対して観光の消費額を掛けると、沿岸被災地の観光収入が全体でどのくらい減ったかというのはあらあらで試算できると思うんです。これについては、農林水産業を含めて地場産業の収入減となって、非常に大きな影響があるということだと思いますが、これについても、やはりちゃんと推計して把握しておく必要があるのではないかと思います。
それから、通告はしておりませんでしたけれども、本日の新聞報道によれば、東京電力は、岩手県を含む東北各地の観光の原発による風評被害についていよいよ賠償するというようなことで、説明会も開くというふうな報道が出ておりました。大変皆様の御努力、関係業界、そして我々もそうしたことについて東京電力へ働きかけをしてきたわけで、望ましいことだと思っております。
通告しないでいきなりで大変恐縮でありますけれども、その中で、風評被害額については50%程度であるとか、あるいは対象期間が2011年3月11日から2012年2月末までと、ある意味での一つの考え方が示されたわけでありますけれども、これについてはどのような印象を持っているかお伺いしたいと思います。
〇木村商工企画室企画課長 観光関係の風評被害に関することでございます。
 委員おっしゃったとおり、昨日、東京電力が本県を含む東北5県を新たに損害賠償の対象地域とするというようなことがございましたので、来週の10月23日から請求可能となるというようなこともございますので、県といたしましては、同じく10月23日に市町村及び観光協会等を対象とする説明会を開催するとともに、相談窓口の紹介とか請求書類の記載に係る助言など、必要な支援を行ってまいりたいと思っております。
 賠償請求が始まるということは一歩前進ということで考えておりますが、今後とも、速やかに賠償金が支払われるように支援をしてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
〇喜多正敏委員 私は、望ましいことは望ましいと思っているのでありますけれども、東京電力の賠償の対象の50%とか、あるいは期間についてどのように所感を持っているかということについてお伺いしたわけですが、それについてはどうでしょうか。
〇木村商工企画室企画課長 今回の対象の期間とかそういう設定については、9月に東京電力と観光団体で損害賠償方法についての一定の合意がなされ、それをもとに今回の対象地域とするというような形のものがなされておりますので、十分観光関係の業界の皆様との意見交換をした上で、このような、十分と言えるかどうかというところはありますけれども、一定の賠償請求の道筋ができたと認識しているところでございます。
〇喜多正敏委員 それでは、県とすれば、この原発の風評被害額について、本県ではどの程度の損害があったというふうに把握されているか、また、今回発表された賠償額は、そのうちどのぐらいのカバーがなされるものと考えておられるかお伺いしたいと思います。
〇木村商工企画室企画課長 私どものほうで観光団体等へのアンケートによります調査等で把握している限りにおいてではございますが、32者、11億6、400万円というふうな観光業者の被害額と把握しているところでございます。
 これがどの程度今回の賠償の中でカバーされるのかという部分については、このアンケート自体がこういう基準がない時点でアンケートしている部分でございますので、今後、我々といたしましては、東電を招いての説明会等もいたしまして、事業者等の状況というものも観光業界の皆様から情報交換等で収集した上で、その賠償額といいますか被害額といいますか、そういうところの精査に努めてまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 観光の担い手である観光宿泊施設とか、ここに書かれている土産物品店とかタクシーとか関連業界があるわけでありますけれども、特にもこうした観光業界の事業所の経営状況、お客様が減っているわけでありますから当然収入が減るということで、大変厳しい経営状況、資金繰りにあるのではないかと一方思われるわけです。たまたま工事業者とかビジネス客がふえているという中での入り込み数の増加もあるわけですけれども、そうした観光企業の経営状況の把握についてはどうなさっておられますか。
〇戸舘観光課総括課長 個別の企業の経営状況というのは、私どもつぶさに把握できておらないというのが正直なところでございます。
〇喜多正敏委員 言うのは一言で、なかなか大変だとは思うのでありますけれども、要するにそういう事業者が健全に経営活動ができて初めて観光振興にもつながるということでありますので、ぜひ商工労働観光部の中で横の連携をしながら、そうした経営状況の把握に努めて、きちっとした情報を把握した上で、経営相談とか、いろいろなことに努めていただきたいと要望いたします。
 それから、5月13日に発生した広島県福山市内のホテルの火災を受けまして、国土交通省と総務省消防庁は、2日に全国の古い旅館、ホテルを対象にした緊急調査結果を発表しました。それによりますと、調査施設の約半数が非常用照明装置の不備など建築基準法違反、約7割が自動火災報知器設備の不備など消防法違反となっているというような報道がされました。法律改正や、あるいは旅館、ホテル等も老朽化したり、あるいは増築、改築等を積み重ねて、なかなか対応が難しいという事例も想定されるわけでありますけれども、安全で安心な旅といいますか、観光客の誘致においてはそうした面も必要だと思うのでありますけれども、消防関係機関などと連携しながら、観光振興の立場から、商工労働観光部としてはこうした実態を把握されているのか、どういう認識を持っているか。また、関係部と連携しながら、観光振興の観点から、安全・安心な観光施設の整備ということについてどういう対応と対策をとられたかお伺いします。
〇戸舘観光課総括課長 県の商工労働観光部といたしましては、これまで、国土交通省とともに、国際観光ホテルとして登録されている宿泊施設を対象といたしまして、消防用施設の整備状況ですとか安全確保の状況について立入点検を年1回実施しているところでございます。平成23年度は5件実施いたしておりまして、対象施設が40施設ほどございますので、国土交通省のほうと合わせて、大体七、八年で一巡するぐらいのペースで今、点検を実施しております。
 これまで大きな問題はなかったと把握しておりますが、今後とも、こうした立入点検を継続して実施いたしまして、観光客の安全を確保してまいりたいと考えております。
 あわせて、今、委員から御指摘のありました広島県でのホテル火災を受けた点検でありますけれども、これは全国的に実施された緊急点検ということでありますが、県内で昭和46年以前に新築されました3階以上のホテル、旅館は29施設ございますが、このうち11施設に違反が認められまして、廃業を検討している1施設を除く10施設に対しまして、所管課から建築基準法令に関する是正指導が行われております。現在も引き続き指導中と聞いておりますけれども、私どもといたしましては、観光客の安全の確保という観点から、早期に是正指導に沿った措置がなされる必要があると考えておりまして、所管部における指導を注視してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 観光客は、高齢化してなかなか肉体的、精神的にも大変な状況もあるわけでありますけれども、そうした高齢者、障がいを持っている方に優しい宿泊施設づくりということで、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会では、人に優しい地域の宿づくり賞という顕彰も行っているわけでありますけれども、そうした優しい施設づくりについての本県の実情と支援についてお伺いします。
〇戸舘観光課総括課長 高齢者や障がい者も含めて人に優しい宿泊施設ということでありますが、本県のひとにやさしいまちづくり条例に基づく、公共的施設整備基準というのがございますが、これに適合している旨の適合章を県内では4施設が交付されております。また、具体的な取り組みのガイドラインであります、ひとにやさしいまちづくり推進指針に基づきまして、38の施設のバリアフリー等に関する情報を県のホームページを通じて発信しているところでございます。
 いずれ、今後も関係部局と連携いたしまして、大変大事な視点だと思いますので、ユニバーサルデザインに配慮した施設の整備が行われるように、意識啓発や情報発信に努めてまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員 本県の観光ポータルサイトを拝見しますと、そうした情報がダイレクトにわかりやすく掲示されていないというように私は感じたわけであります。いろいろなポータルサイトがあるわけでありますけれども、ぜひ本県の観光協会のホームページにおいてもわかりやすく表示をして、そしてそういう施設づくりに誘導していってもらいたい。
 また、救命救急士がいる宿とか、そういうような表示をして安心して高齢者の方をお迎えする施設もあるわけで、消防と連携して、救命救急士の資格、そういったものを旅館の従業員にも取っていただいて、安心して岩手県に来ていただくというようなことについても努めていただきたいと思います。
 それから、岩手県においても、廃業したりして非常に老朽化して、観光地づくり、景観上も損なう原因となるものも随分あるわけでありますけれども、こうした転廃業や美しい観光地づくりについて対応が必要ではないかと思うわけであります。片方は個人財産ということもあってなかなか難しいところもあるんですが、こうしたことについても順次何か取り組みをしていかないと、まさに、そこの観光地に行ったところが非日常感覚をまざまざと味わって、楽しくない雰囲気になっているというふうな気もするんですけれども、これらについては何か対応とかお考えがあればお伺いしたいんですが。
〇戸舘観光課総括課長 休廃業施設の状況でありますけれども、旅館業法上の宿泊施設の廃止届け出件数を申し上げますと、平成22年度は60件、平成23年度は42件となっておりまして、県内において、委員御指摘のように、休業、廃業して放置されていると思われるような観光関連施設も見受けられるところでありまして、こうした施設が長期間にわたり放置されているというのは、委員御指摘のとおり、観光振興という観点からは好ましくないものと考えております。
 そうした施設は、それぞれの設置者の責任において撤去等の必要な措置を講ずるのが原則でありますし、そうした対応がなされることを期待するわけでありますけれども、これは具体的にそういった案件が今、私どもに寄せられているということではありませんが、地域において問題視されるような事態に立ち至った場合には、地元の市町村とともに解決に向けた話し合いの場を設けるとか、そういった形で、望ましい方向に向かうように誘導してまいりたいと思います。
〇喜多正敏委員 なかなか難しい問題ではあると思いますけれども、ぜひ美しい観光地づくり、おもてなしをあらわすという意味からも、建物自体を取り壊せば一番いいんですけれども、できない場合は修景をするとか、いろいろな手だてで、ぜひ観光の専門担当課として、市町村、観光協会と話をして逐次対応していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、雇用についてお伺いいたします。
 改正高年齢者雇用安定法も来年4月から施行されるということもあるわけでありますけれども、若い人の求職はもちろん大事でありますけれども、高齢者の求職、求人あるいは有効求人倍率などのように、働きたい人が本当に働けているか、その雇用実態あるいは定年延長の状況について、企業の取り組みと課題、県の対応についてお伺いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 高齢者に限定した労働市場の統計はあいにく発表されてございませんけれども、別の側面での発表がございまして、31人以上の企業における労働状況ですが、60歳以上となりますけれども、年齢人口が17万1、000人に対して、60歳以上で常用雇用されている、これも31人規模以上の企業ですが、1万5、900人余ということで、1割弱の方々がそういった企業で常用雇用されている。それと、これは年齢が下がって55歳以上になりますけれども、最近の55歳以上に限った求職あるいは就職状況は、雇用情勢の改善に伴って、前年比較では若干上昇ぎみにあると認識しております。
 定年延長の状況ですけれども、これも労働局が発表した、ついきのう、新しいものが発表されましたけれども、きょうは昨年度の数値でお答えさせていただきます。
 定年延長につきましては、定年制がないところ、あるいは65歳以上と定めている企業は、県内で1、491社中、こういった企業が245社、16.4%でございます。さらに、県内の企業の取り組み状況といたしましては、希望者全員が65歳以上まで働ける企業としては858社、57.5
 %。61歳、いわゆる定年以降も何らかの形で継続雇用が可能な制度を導入している企業となると1、388社、93.1%ということで、ここ数年、数値は上昇傾向にございます。
 課題でございますけれども、先ほど93.1%と申しましたけれども、なおこういった継続雇用の制度を実施していないところも若干ございまして、そういったところの早期解消、それと、委員から先ほどお話ございました高年齢者雇用安定法の一部改正が来年4月から施行されますので、そこへの対応というのが当面の課題と考えております。
 県といたしましては、労働局と連携しながら、専ら県はPRという立場になりますけれども、企業に周知や、そういった制度化への働きかけという面で取り組んでまいりたいと考えています。
〇喜多正敏委員 元気で働けるということは健康にもつながるということで、いつまでもぼけない人生を送れるということで、そうした意味からも非常に大事なことで、70歳まで働きたい、しかしながら70歳まで雇用するという企業はまだ十七、八%しかないということで、これについては、労働力も減ってくる状況にもあるので、ぜひ取り組んで、積極的に進めていただきたいと思います。
 そうした中で、岩手県のシルバー人材センター連合会というのがあるわけでありますけれども、平成23年度の主要施策の成果に関する説明書によれば、平成23年度は、きょう訂正がありましたが、7、645人ということで、成果指標は、1万1、000人から減ったということでCということでありましたが、これは被災地の震災津波で減ったということもあるのかなと思いますが、具体的にはどういうわけでこういうふうに減ったのか、あるいは被災地以外でも減っているのか、原因とその対応についてお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 会員数の減少につきましては、一つは、震災の影響というものが考えられます。人口の異動でありますとか、人口自体の減少も一つございます。もう一つは、復興関連需要でさまざまな仕事が出てまいりまして、シルバー人材センターに会員登録をして就業しなくても、ほかに仕事の場がふえたという面で結果的に会員数が減ったと考えております。
〇喜多正敏委員 被災地の会員数の減少と、被災地以外の内陸部の減少というのは具体的にわかるんですか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 個々に具体的な数字は把握してございませんが、全体的な傾向としては、先ほどのような説明を連合会のほうから聞き取りをしておりました。
〇喜多正敏委員 やはり、おっしゃることはあると思います。しかしながら、一方、そういうところではない状況もあると思いますので、このシルバー人材センターの事業については、事業仕分けではじかれたようなこともあって私は非常に残念だと思っているわけでありますけれども、取扱量なんかについても把握されているでしょうか、連合会全体としての。業務件数とか金額ですね。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 業務の受注件数は、平成23年度は3万5、000件余、前年度よりは若干減っております。契約金額は25億9、000万円余ということで、これも前年度より若干減少ということで、ここ数年の推移を見ますと、平成20年度以降、増加傾向にございましたけれども、会員数、受注件数につきましては、平成23年度で減少、契約金額では、平成22年、平成23年と2年連続の減少となっております。
〇喜多正敏委員 ぜひ人材センターの活用と普及について努めていただきたいと思います。
 最後でありますけれども、一般に雇用というのは雇われて働くというような形態が多いわけでありますけれども、県民がみずから出資し、あるいはみずから経営する、そしてそれを協同組合という形で協同による労働ということで進めていくというような動きがありまして、本県でも平成20年にそうした協同による協同組合についての法制化について本議会でも意見書を出しておりました。こうしたことについて、残念ながらまだその法制化には至っていないわけでありますけれども、これは非常に大事なことだと思っておりまして、ソーシャルビジネスとか震災復興についていろいろなNPOも活躍しているわけでありますけれども、またさらにそれを進めるものでもあるのかなと思っております。
 こうしたことについて、県の所感と、それからもう一つは、この10月27日に2012全国集会in東北ということで、シンポジウムやパネルディスカッションの集会が岩手大学を中心として計画されている。被災地のNPOも多く参加しているということで、非常に有意義だと思っているわけでありますけれども、こうした情報収集や、あるいはこういった活動に支援を行うべきと思いますが、県の対応と考え方についてお伺いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 まず、協同労働という形態についてでございますけれども、確かに、今回の震災におきましても、県内、そのほかの宮城県石巻市や登米市におきましても、この形態での被災地での仕事づくり、そして被災失業者の雇用という活動が進んでおります。雇用関係によらない新たな働き方としての協同労働でございます。多様な就業ニーズや社会の環境の変化もございますので、今後の労働のスタイルの中で、一つの重要な形として注目をして見ております。
 27日の全国集会in東北でございますけれども、私ども雇用対策・労働室が、県としての対応の窓口になってございます。後援もさせていただいておりまして、当日は私も参加する予定であります。復興に向けた地域のさまざまな取り組みの発表もあると聞いておりますので、高齢者もそうですし、あるいは女性、あるいは障がい者、そういった形での仕事の創出の可能性について勉強してまいりたいと思っております。
〇喜多正敏委員 この件に関しては、平成21年9月議会においても提案をして、ぜひ県の取り組みをということで、県とすれば、いろいろなこうした団体への情報提供や連携の取り組みをしていきたいと御答弁がありました。きょうもそうした積極的な御答弁がありましたので、今お話にあったとおり、商工労働観光部だけではなく、関係部課へ全部お知らせをして、県を初めとして市町村、関係団体に広く参加を求めまして、ぜひ、こうした動きをバックアップしていただきたいと思います。
 最後に、部長のお考えをお聞きして終わります。
〇橋本商工労働観光部長 協同労働ということで、27日には、東北が拓くきづき合おう!新しい社会というようなテーマで、私も、その集会には参加をする予定にしておりまして、こういったこれからの新しい働き方、そういう雇用のあり方について非常に貴重な機会であると思っておりますので、これからも当部のみならず、関係部とも広く連携、周知を図りながら、そこの機運、調整を図り、こういった取り組みを推進してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 きょうも商工労働観光部の執行部の皆さんが、岩手の織りとか染めの世界に誇れるものをネクタイに締められていてうれしく思います。
 そこで初めに、伝統的工芸品産業育成事業費と伝統工芸産業支援事業費について伺います。
 これまでの取り組みの成果と課題を県でどのように認識されているか伺います。
 これまでの事業評価の結果の中で、伝統産業に係る製造品出荷額が達成度Dということで、県としてどのように認識されているか。
 あわせて、アンテナショップにおける県産品販売額がA、その中に県のこちらの報告の中に、県産品販売額は、伝統工芸事業者等と連携したおかげで、アンテナショップの県産品販売額がふえたということが書いてあるんですけれども、伝統産業に係る製造品出荷額がDということで、どうしてこうつながらなかったのか、県でどのように考えられているか、まずお示し願います。
〇桐田副部長兼商工企画室長 最初に、伝統的工芸品産業育成事業費、伝統工芸産業支援事業費について、成果と課題について御説明いたします。
 伝統的工芸品産業育成事業費につきましては、この事業において、県内の4者が東京で行われた全国展示会に出展をいたしまして、売上額が600万円ほどになってございます。そのような全国での出展を支援する事業でございます。
 伝統工芸産業支援事業費につきましては、首都圏の有力なバイヤーに企画をお願いいたしまして、東京で3回のイベントを行っていただきまして、合わせて37の事業所が参加をいたしまして、合わせて250万円ほどの売り上げがあったところです。
 このような事業におきましては、首都圏において、県産品の魅力を伝えて売り上げを得るということで一定の成果がありましたが、その過程において、バイヤーとの人脈形成、それから、そのバイヤーから制作風景や仕様背景を展示してPRしていく新しい手法などを学んでいるところです。ただ、知名度が上がってきてはおりますが、こういう単発的なイベントでの売り上げということから発展をいたしまして、継続的な取引を目指したいわけですが、それにはまだつながっていないというのが課題だと考えております。
 それから、製造品出荷額の達成度がDだということでございますが、現状値として登録しました平成22年度の24.4億円に対比しまして、実績値として記述しました21.9億円が現状値よりも減少したということで、県の評価ではDということになってございます。
 なお、この目標が25億円と掲げているわけでございますが、平成20年度の売上額が29億円でございまして、平成30年度に29億円を目指すという目標を掲げて、実績が24億円を目指して21億円という途中経過だったわけでございます。
 その理由といたしましては、平成20年度の29億円のときの事業者の数が33あったんですが、Dとなったときの平成22年度の事業数が25者ということで8事業者減って、事業者数の減少も一因ではないかと。それから平成22年におきましては、海外、国内の需要が縮小していたということもありますので、21億円、約22億円にとどまったのではないかと考えているところでございます。
 それから、県のアンテナショップの売り上げが伸びているのに、結果的に伝統工芸品がDにとどまったということでありますが、アンテナショップにおきましては、県の工芸品においても売り上げに貢献していると考えてはおりますが、アンテナショップの売り上げが伸びておりますのは、震災に伴う復興支援などもありまして、大きく伸びてきているところでございます。
 Dに至ったのと整合性が欠けているということでありますが、先ほどDに至ったのは、実績が計画に及ばなかったというだけでございますが、金額的には近いところまでいっているものと考えておりますので、アンテナショップの売り上げとこの成果が連動していくように、引き続き取り組みを強化してまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 ぜひ、そのようにしていただきたいことと、あとは特記事項の中に、近年の不況や生活様式の変化により、伝統工芸産業の需要が大幅に減退している状況にあるという、県の認識だと思うんですが、私はちょっと逆ではないのかなという思いが、震災以降、そういう手仕事だとかぬくもりのあるものに対して皆さんすごい、エネルギーとか環境もそうですけれども、そういった分野に、伝統というものに対しても、私は皆さんが価値を見出してきているんじゃないかと思っておりますので、ほかの委員の皆さんからも御指摘がありましたが、南部鉄器はこれからもっとどんどん、海外も含めてぜひ伸びていっていただきたいと思うんですが、南部鉄器だけではなく、岩手県で伝統的工芸産業に位置づけられているのが南部鉄器以外に岩谷堂箪笥、秀衡塗、浄法寺塗というもの四つですが、もちろんそれももっと頑張っていって、世界に誇れるものだと思いますし、それ以外にも、繊維製品だとホームスパンだとか東山和紙だとか、大野の木工製品というのも皆さん御存じだと思いますし、一戸町には竹細工でいろんなものが小さいんですけれどもたくさんありますので、そういったところにもぜひ目を向けていただいて、支援を引き続きしていっていただきたいと思います。
 答弁の中で、継続的な取引につながらなかったということなので、ぜひ経営支援のほうでもやっていっていただきたいと思います。
 次の質問に移りますが、それと引き続き、県の工業技術センターの事業運営について伺います。
 県の工業技術センターではさまざまな研究開発等をされているんですけれども、その研究開発が実際にどのように成果を上げられていると県は認識しているのかをまず伺います。
〇岩崎友一副委員長 執行部においては、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 工業技術センターの研究開発の成果と実績の認識でございますが、本センターは、県内企業に対して工業技術に関する試験研究の成果を移転、普及することを通じて、産業振興と地域経済の発展に寄与することを目的としております。
 これまで、研究開発の主なものとしては、例えば自動車産業に関係しますと、プラスチック部品の金型から部品を剥がれやすくする技術の開発、あるいは木工製品における象眼技術、さらには清酒の原材料の全てを岩手県産とする岩手オリジナル麹の開発など、そういったものを開発して、県内企業への技術移転を図っております。
 こうした取り組みにつきましては、独立行政法人評価委員会におきましては総合評価がAということで、よくやっているという評価をいただき、また、利用されている企業の皆様にアンケート調査をしておりますが、195社のうち108社が満足、それから62社がどちらかと言えば満足という形で、合計しますと約87%なんですが、利用されている企業も満足という評価に至っており、設置目的に向けて積極的に業務を進めているものと認識しております。
〇吉田敬子委員 私も工業技術センターに行って、どのような事業をされているか話は聞いてきて、本当に研究員の方も一生懸命、たくさん技術開発に努めていらっしゃるという、報告の中にもさまざまな研究をされているんだなということで、ただ、せっかく研究開発されていても、それが事業につながっていないものが結構あるなという認識でした。確かに、評価の中ではAというのが多いんですが、私もやっていることに対してはAの評価ですが、その後、県として、事業を民間企業の利益向上にどのように貢献していくかというつながりについてもっとできるんじゃないかと思っております。
 通告していないんですが、そういった各種装置、機器の貸し出し利用が実際どのくらいされていて、共同開発したことで、企業の利益というのはどのぐらい上がっているかというのが数値としてあるかどうかを含めてお伺いいたします。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 平成23年度の依頼試験、いわゆる物を持ってきて試験をする、そういったものの件数が8、234件。それから機器の貸し出しにつきましては、小さいものから中型の測定装置がありますが、それは2、125件ございます。これに加えてなんですが、技術相談というものがありまして、企業からさまざまな相談を受けて指導するあるいは研究につながる、その成果を事業に展開する等々の技術相談が2、877件ございます。こういった地域の企業のニーズを踏まえて研究開発に移行するということで、その現場現場で困っていること、それから、今後、何かを開発したいといったニーズを踏まえて研究開発をしているわけですが、実際それが製品化してうまくいくかどうかは、相当程度のマーケティングあるいはさまざまな分析のもとで、製品化、事業化というものが成り立ちます。ですので、工業技術センターにおきましては、単なる研究開発だけではなくて、産学官連携の管理法人として研究成果をみずから展開するといった動きも出てきております。
 委員御指摘のとおり、さまざまな研究はしているんですが、事業化に結びつかない部分があるのではないかというのは確かに事実でございまして、さまざま工業技術センターのPRが必要だと思っておりますし、例えば先日公開デイということで小さなお子様から御高齢の方まで、工業技術センターというのはこういうことをやっていますということをPRしていますが、その際には1、500名を超える来場者があったと聞いています。工業技術センターのやっていること、成果をさまざまPRすることが重要だと認識しております。
 それから、成果の金額の面でございますが、事業化される場合には、企業のさまざまなところに埋め込まれるような格好で、開発そのものが幾らにつながった、何につながったというのは非常に評価しにくいところでございます。企業活動そのものがより活発になったかどうかといったところで見ていただければと思います。
〇吉田敬子委員 総括課長の認識と私も同じですので、事業化につながるような支援をまた引き続きやっていっていただきたいことと、いわてのデザインと工芸というのを、東京のほうで工業技術センターが主催でやられて、私も足を運んだのですが、ああいったものがあるといいんではないかと。あと、せっかく技術はあるけれども、おしゃれでないからとか、売れない製品、もうちょっと工夫すればというのがあるんじゃないのかなというものがあるので、そういったところにもぜひ力を入れていっていただきたいと思います。
 岩手のものづくり産業について伺います。
 先ほどほかの委員の方々からも質疑がありましたので簡潔に伺いますが、新たな産業の芽の育成、次世代産業創出プロジェクト推進によって、具体的に新たな雇用というのはどのくらい出されたのか。そしてまた、環境とエネルギー分野においては実際に産業創出支援を行ったのか、そして、それによってどのように雇用が生まれたのかをまずは伺います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 まず、新たな産業の芽の育成の部分でございますが、これはさまざま岩手で持っている研究の種そのものがより大きく育つように、まずは岩手県できっかけをつくるというような取り組みでございます。芽の育成の成果は、次の国の大きなプロジェクトにつながるような位置づけにございます。
 次世代産業創出プロジェクトについては、まさにその次の大きな国のプロジェクトあるいはさまざまな関係でつくった大きなプロジェクトで、製品化に向け、事業化に向け、取り組んでいるというような位置づけでございます。
 産業の芽の育成につきましては、県の単独事業で、いわて戦略的研究開発推進事業ということで、小さな芽を大きくするということを支援してきております。
 主な成果とすれば、例えばですが、酸化亜鉛を用いた照明材料の研究開発、こういったことを行いまして、現在、国のレベルの大型の事業につながっているというような状況にあります。
 次世代産業につきましては、岩手発の新金属材料であるコバルト合金のプロジェクトといったものがありますが、産業クラスターの形成に向けて、医療用のピンセットやはり、あるいは時計の部品など、新しい材料の製品化が進められているというところです。
 それから、環境・エネルギー分野につきましては、下水汚泥などの廃棄物から材料を抽出してリチウムイオン電池の新材料開発をやるというようなこと、それから、環境負荷を低減する大型鋳造の製造技術の開発、そういったものを進めており、今後、産業化に向けて取り組みたいと思っています。
 雇用につきましては、先ほどの成果と同じで、直接的に数字がなかなか出しにくいところであります。我々とすれば、そういう意味で、製造品出荷額ですとか付加価値額等々の数字で押さえながら、これらの貢献ができるだけ見える形でつながるようにということでウオッチしているというところです。
〇吉田敬子委員 ぜひ、そういった環境・エネルギー分野の事業、産業の育成に、ますます力を入れていただきたいと思います。
 次に移りますが、ほかの委員の方からも御指摘もありましたので簡潔に伺いますが、いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンターができたということで、先ほどの話にもちょっとつながるんですが、これから自動車の組み込み系のソフトだけではなくて、ゲームだとかアプリの開発等、新しいものにどんどん取り組んでいくべきだと私は思っております。前の予算特別委員会でもしかしたら話をしたかもしれないんですが、県立大学にソフトウェア情報学部というところがあるので、そういうところで研究開発をしている学生もたくさんいますので、雇用の受け皿にもなると思うので、ぜひ、岩手のものづくり産業の中に、ITを生かしたものをどんどん積極的に取り入れていただきたいと思っておりますが、これまでの取り組みはどのようになっておりますか。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンター、通称i-MOSでありますが、この機関では高度技術者、高度ものづくりとソフトウエアの理解できる技術者ということで、実はスマートフォンアプリ開発の実習等々も始めておりまして、16講座、136名の受講があったところです。平成23年度実績です。
 こうした企業ニーズの高い地場の企業の方々への研修を初め、現在ゲーム開発を初めとするデジタルコンテンツ系の産業振興について、この6月に首都圏を中心に活躍する本県ゆかりのゲームクリエーターの方々が、IWATE GAME FACTORYといったようなチームをつくって、民間の活力を使いながら、デジタルコンテンツ産業を岩手で頑張っていこうといった動きがあります。こういった動きも見ながら、また一緒にやりながら、いわゆる今これからといった技術の部分はしっかりフォローしていきたいと思っています。
 i-MOSにつきましては、まさに本県の情報産業を振興する拠点として設置したものでありますので、このi-MOSをより活用して、情報産業の振興に努めていきたいと思っております。
〇吉田敬子委員 全国でもソフトウエア情報学部というのは余りないということですので、県立大学、岩手の若い人たちの雇用の受け皿にもなるという認識でもってi-MOSの取り組みを私もこれから応援させていただきたいですし、ぜひ、よろしくお願いいたします。
 最後になりますが、企業におけるワーク・ライフ・バランスの取り組みについて他部でちょっと触れたんですが、企業において、子育てしやすい環境のためにどのように取り組まれたのかということと、7月から改正育児・介護休業法が全面施行となったんですけれども、それにおいて平成23年度どのように取り組まれて、実際には、今、企業においてどのくらい導入されているのかを伺います。
〇猪久保労働課長 企業におけるワーク・ライフ・バランスの取り組みについてでございますけれども、本年7月1日から、改正育児・介護休業法全面施行ということになりまして、所管いたします岩手労働局で、県内各地において4カ所でございますけれども、企業を対象とした講習会を開いてございます。制度の周知に取り組んできたというところでございます。
 県におきましても、働きやすい労働環境の整備の推進を図る観点から、労働局と連携をいたしまして、商工関係団体を通じて企業への周知を図る、それから、県のホームページ、広報媒体を活用してさらに周知、啓発を行ってまいったところでございます。あわせまして、今年度中に企業等を対象といたしましたワーク・ライフ・バランスをテーマとした講習会、それからセミナー等の開催を予定してございます。そういうことで、一層の啓発に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
 成果あるいは運用状況という部分でございますけれども、育児・介護休業に関する県の調査といたしまして、今年度7月から8月に実施いたしました企業・事業所行動調査というのがございますけれども、対象1、000社でございますが、回答が658事業所からあったものでございます。この中で、育児休業を制度化した企業というのが79.8%、それから介護休業を制度化した企業というのが73.1%という速報値が出てございます。2年前の同じ調査と比べますと、それぞれ育児休業で6.8%、それから介護休業で5.5%の上昇という状況になってございます。
 今後とも、育児休業を取得しやすい職場環境の整備を目指しまして、ワーク・ライフ・バランスの推進のため、労働局ですとか庁内の関係部局と連携を図りながら、企業への啓発を進めてまいりたいと思ってございます。
〇岩崎友一副委員長 執行部においては、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇吉田敬子委員 先ほど、導入の割合のパーセンテージを伺いました。他部でもちょっとお話しさせていただいたんですが、いかにそれが運用されているかということが大事ですので、その後のフォローアップをぜひお願いいたしまして、質問を以上にいたします。
〇佐々木朋和委員 私からは第7款商工費のうち、2項観光費に関連してお伺いをしたいと思います。
 8月2日に行われました四特の地域資源活用特別委員会の調査におきまして、常磐興産株式会社の顧問であられます坂本様に来ていただきました。その中で、委員のほうから、平泉の世界遺産を生かした岩手県全土に効果を波及させるような何か戦略はないかということで、宿題を預けて帰っていただいたところ、今回、観光活性化の新視点ということで提言を我々委員にいただいておりまして、大変ありがたいことだなと思っております。
 その中で、御指摘の中に、平泉の教育的要素に注目をして、子供をターゲットにした取り組みを特段にやるべきではないかという提言をいただきました。
 子供のときに来ていただいて、好きになっていただいたお客さんは、ヤング層になっても、また、親になって第二ファミリー層になっても、そしておじいちゃん、おばあちゃん、シニア層になってもリピートして来ていただけるという意味で、シニアとともに有効なターゲットではないかと思っております。そしてその中で、取り組みとして、子供にわかりやすい観光地の解説や興味の湧くような仕掛け、また、それらを実践するツアーガイドなど、ソフト面に重点を置いて取り組むべきではないかという提言をいただいているわけでありますが、これまでの県の子供をターゲットにしたソフト面での工夫、取り組みについて伺いたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 子供に着目した取り組みということでありますけれども、幼少期あるいは青年期に訪れた観光地での経験、思い出といったものが、その後の旅行の契機になるというのは御指摘のとおりだと思います。私ども、教育旅行に取り組んでまいりましたのも、そういった効果も見込んでのことということであります。
 ソフト面の充実という意味で、県として何か具体的にというのはこれまで余りないわけでありますけれども、例えば北海道ですとか首都圏で教育旅行のセミナーを開催いたします。そこでは、現地の学校の先生方からも、いろいろな要望も出されるわけでありますので、そこには実際に観光施設の方々も行っていらっしゃいますから、そこでいろんな情報を得て、それぞれの立場でソフトの充実というのは図ってこられたのだと思っています。
 私どもがということでありませんが、例えば平泉町では、県内の放送局と連携をして、小学生なども対象にして、平泉の意義を深く知ってもらうようなウォーキングの行事なんかも開催されているようでありまして、観光施設それぞれに性格や顧客層も異なりますので、御指摘のような視点があるということですとか、具体的な事例についても、観光関係者との意見交換の場などで今後共有してまいりたいと考えます。
〇佐々木朋和委員 平泉ということもそうですが、これから沿岸地域においては震災教育ということも含めて、岩手県が子供たちに来ていただきたい県なんだということをぜひ発信をしていただいて、親が子供に学ばせたいというニーズは確かにあると思います。その中で、ただもう一つ、子供も興味を持っていただくということも重要な点だと思いますので、ぜひその点についてもお願いをしたいと思います。
 次に、個性あるソフトづくりのための住民参加型の企画の支援について伺いたいと思います。
 同じく坂本さんの指摘に、箱物観光からの脱却策として、フラガールやゆふいん音楽祭のような地元住民の企画、参加型のイベント、民の力を生かした個性あるソフトづくりを進めるべきとのお考えをいただきました。平泉においても、ボランティアガイドとか、また県内各地でもB級グルメなど、市民団体が中心になって企画を起こしているというものが目についております。
 県の住民参加型の企画への支援の取り組みと今後の方向性を伺いたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 住民参加型の企画への支援についてでありますけれども、観光は裾野の広い産業であることに加えまして、観光地づくりはまさに地域づくりの一つの形であると考えております。県といたしましても、地域の多様な住民が参加をして、その地域ならではのソフトづくりなどによりまして、観光客から選ばれる観光地づくりを進めていくことが肝要であると考えております。こうした取り組みが、それぞれの地域で主体的に手がけられて進展していくことを期待しておりますし、県といたしましては、必要に応じて広域振興局の地域経営推進費などによりまして、これまでもそうでありますが、引き続き支援をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 2点質問をさせていただきましたが、平成23年度のDCに向けての取り組みというのは、被災を抱えながら、また、沿岸地域の回復を待ってパンフレットを出して全県のDCにしていただいたと。また、ことしは例年並みに観光客も戻ったということは本当にすばらしい取り組みだったと思うし、評価をさせていただきたいと思っております。おかげさまで、震災直後、やめようと思った観光施設も首がつながったという話も実際に聞いております。ありがたかったと思います。
 そんな中で、DC、平泉の効果を持続させていくという面では、これまでDCに向けて取り組みのメーンが、既存のイベントの掘り起こしだとか、また、宣伝、情報発信、そして復興バスツアーに代表されるように交通面の整理というところだったと思います。DCをぜひこれからは総括をしていただいて、来ていただいた方に本当に喜んでいただけるソフトづくりというところに目を向けていかないと、平泉また岩手が息の長い観光地になっていかないと思いますので、これからの流れ、主流は、住民、市民の方々が手づくりでつくったものを行政の皆さんに大きく育てていただくと、そういう流れだと思いますので、お願いをしたいと思います。
 所見を伺いたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 今年度実施したいわてDCの準備段階から、まずは各地域において、今御指摘のありましたようなソフト面の充実も含めて、いい観光地づくりをしましょうということで呼びかけをさせていただき、また、これを県としてバックアップしますという体制でやってまいりました。これは普遍のものであると思いますし、平泉の効果というのを今後長く継続させていくためにも、平泉とともに選ばれる観光地が県内各所にできるというのが大事だと思いますので、そういうことを県としては全力でバックアップをしていきたいと思いますし、そういうものを全国に向けて、あるいは国内外に向けて情報発信をして誘客に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 お願いをいたします。ありがとうございます。
 話を変えて、放射線風評被害の賠償の進捗状況について、先ほど喜多委員より質問がありまして、大体のところは了解をしましたので割愛をさせていただきますが、午前中のやりとりの中で、工藤勝子委員からの御質問に対して、中国からの今般の海外との関係によって減った分のキャンセルが数十件というお話がありましたけれども、それは台湾も含めてのことなのか。また、その数がツアーでなのか、それとも客数でだったのか、確認をさせていただきたいと思いますし、また、韓国も含めて、キャンセルが少なかったという印象を受けたわけでありますが、放射線からの客数が戻った上でキャンセルが少なかったのか、それとも、もともと来ているお客さんが少ないからキャンセルが少なかったのか、その辺の御所見と一緒にいただきたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 午前中、工藤委員への御質問の際に、キャンセルの状況という御質問でございましたので、その点について簡潔に答弁をさせていただきましたが、まず、台湾については、この件で具体的にキャンセルが生じたという情報は得ておりません。
 それから、先ほど午前中に答弁させていただきましたキャンセルでありますけれども、これはインバウンドのお客様を受け入れている施設からの聞き取りによる人数でございます。その中には、ツアーによるものも当然含まれているということでございます。
 それから、韓国も含めて、原発による影響というのはまだ完全に払拭されたとは言いがたい状況にございます。中国は、もともと岩手県の受け入れというのがそれほど多くはなくて、まさにこれからの市場だという認識で私どもセールスを担当してまいりましたので、そういった中でのキャンセルが、先ほど紹介申し上げたような件数ということであります。
 また、韓国につきましては、原発の影響それから円高の問題もありまして、こちらも震災後、十分に回復していない状況にあります。そういった現状でありますので、ここは原発の風評被害というのを一刻も早く解消したいと思っておりますし、さらなる誘客に努めていかなければならないと思っているところでございます。
〇佐々木朋和委員 最後にさせていただきますが、先ほど、今回のDCまた平泉世界遺産の効果で、例年並みに戻ったというのは大変よかったと思っておりますが、ただ、震災が起こる前は、やはり岩手県の観光業者の皆さん方は、例年の2倍とか1.5倍とか、そういうところを期待して、DCと世界遺産がまさに同じくなるというときを待っていたわけで、観光はそういう何年かのサイクルの中の大きなイベントに合わせてストックして設備投資をしていく、そしてお客様に喜ばれる観光地になっていくというサイクルがあったわけであります。その中で、震災復興需要とか、また、DC効果でお客さんが戻ったとはいえ、これからその反動もあると思います。そういう中で、長く2年後、3年後に厳しいときも来ると思いますので、ぜひその辺を考慮に入れながら、放射線対策もしていっていただきたいと思います。答弁はいいです。
〇城内愛彦委員 それでは、通告に従って質問させていただきます。
 まず、岩手の観光の状況についてということであります。午前中も多くの委員の方々から質問を受けましたので、項目を先に言いますのでお答えを願いたいと思います。
 まず、観光客の来県数。そしてまた受け入れ体制と沿岸地域の状況。観光客の今後の見込みとあわせて、これまでと、これからの問題点ということでお伺いしたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 まず、観光客の来県数についてでありますけれども、本県への観光客の入り込み、全県の数値で申し上げますが、平成22年度の延べ2、787万人回余から、平成23年度の延べ2、384万人回余と、約14%ほど減少してございます。沿岸地域のみで申し上げますと、平成22年度の延べ529万人回余から平成23年度の延べ151万人回余と、約71%ほどの減少となっております。
 それから、受け入れ体制ということでありますが、宿泊施設の状況で申し上げますと、内陸部では地震により損傷した施設がございましたが、震災後、早々におおむね営業が再開されました。一方、沿岸12市町村に設置されている施設に関しましては、先ほども答弁させていただきましたが、主要194施設のうち、被災施設が115施設となっております。そのうち営業を再開した施設が、9月30日現在で42施設、それから被災を免れた施設、それから震災後新たに開業した6施設を含めて、現在沿岸地域で営業している施設は127施設となっております。繰り返しになりますが、震災前に比べますと、施設数で約6割、収容定員で約7割程度まで回復してきているという現状でございます。
 それから、今後の復旧あるいは入り込み増に向けた課題ということでありますけれども、ハード面では、宿泊施設を中心としまして、いわゆるグループ補助金等によりまして、その復旧を支援してきたところでありますけれども、予算枠の関係などから、必ずしも希望する事業者全てを採択できていない状況にあること、また、観光関連施設の復旧がまだ進んでいないといったこと。あるいはソフト面では、特に沿岸部におきまして、教育旅行において特に注目が高まっている震災語り部のさらなる育成ですとか、資質の向上といったようなことが今後の課題と認識をしております。
 県といたしましては、施設の復旧に関しては、グループ補助金等について国に対し予算の拡充を求めているところでございますし、観光関連施設の復旧につきましては、市町村の復興交付金の活用を促してまいりたいと考えております。
 それから、語り部の育成資質向上等に関しましては、三陸鉄道など、地元の事業者とともに、沿岸部の観光復興をリードする基盤組織づくりなどに、今後、取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇城内愛彦委員 るる御紹介をいただきました。ありがとうございます。
 そこで、まだまだ被災地の復興状況が悪いということでありますので、ぜひ、これは今後とも手を緩めずにしっかりと支援をしていただきたいと思っております。いずれ、復旧、復興が進んでいきまして三陸縦貫自動車道等が完成された後に、しっかりと国内あるいは外国を含めた観光客の方が、被災をした地域に足を運べるような仕組みづくりをしてほしいと思っております。新幹線も北海道までつながる中にあって、これから東北、この岩手が日本中でいうと、通過をしていく地点になってしまうんではないかと心配をしております。
 震災前も、実は内陸地震等で沿岸地区は被災をしなかったんですけれども、観光客が激減をしてキャンセル等が多かったという状況で、ダメージがありました。そのダメージが冷めやらぬうちに、この震災があったという中にあって、先ほどグループ補助云々、かんぬんというお話がありましたが、なかなかそれも進んでいない。それも事実であります。それには、前段として、厳しい中で宿泊施設を運営されてきた方々が多かった。ここでやめようかと思う方々がたくさん今出ていますので、ぜひ救いの手というか、支援策をしっかりとしていただいて、平泉まで来たお客さんが三陸沿岸まで足を運んでいただけるような、そういう政策をとってほしいと思っております。
 岩手県は四国4県と同等の広さでありまして、観光地から観光地までの点と点がすごい間があるわけです。その辺を逆手にとるような形でやっていければと思いますので、ぜひその辺をしっかりと取り組んでいただきたいと思いますが、部長の御所見をお伺いしたいと思います。
〇橋本商工労働観光部長 沿岸の復旧、復興が最大の課題と考えておりますし、水産業の復興とともに、陸中海岸国立公園というような地域でもあります。ぜひ、こういった地域にこういった資源を生かした振興策を図っていく必要があると考えておりまして、このたびのDCの実施結果においても、入り込み客等々については目標に達しなかったわけですけれども、逆に課題が明確になったと捉えておりまして、そこにしっかりとした、例えば2次交通としての復興応援バスツアーの増発というような新しいコースを設けるなど、被災地の復旧、復興応援にもつながるような取り組みを進めますし、グループ補助金につきましても、さらにその利用促進が進むように、私どもといたしましても予算の要望について国に強力に求めて、ぜひ必要な事業が実施できるように取り組みながら、沿岸振興を観光振興とあわせて図っていきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 ぜひ、しっかりとお願いしたいと思います。
 次に移ります。沿岸地域の雇用の状況ということで通告していますので、質問したいと思います。
 まず1点目は、午前中も各委員からお話がありましたけれども、ミスマッチが改善されたのかという点であります。そして、どうしてこういうことが起きたのかという、問題点は何かというのが2点目であります。皆さん、多分、いろんな形で取り組んでいらっしゃると思いますので、今後の見通しということであります。
 あと、沿岸地域、被災をした高校生の皆さんが、地元に就職したいという思いをたくさん持っていらっしゃいます。そういった方々の求人状況というんですか、その辺をお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 まず、ミスマッチでございますけれども、全体的に沿岸地域の就職率、これは就職件数を毎月の新規求職者数で割った数字ですけれども、3月以降、非常に高い数字でございます。内陸の数字を20%から40%、沿岸は上回っておりますので、それだけ就職は順調に進んでいるんだろうと見ております。いわゆる就職に移行するスピードが速いと見ております。ただ、一方で、先ほど来説明していますように、例えば一つの同じ業種にかなりの数の求人があり、しかも求職者数もいながら、なぜか就職件数は少ないという業種もございます。そういった意味で、ミスマッチというのは部分的にさまざまな形で続いていると考えております。
 この問題点、課題は何かということですけれども、まず一つは、求人と求職者数のアンバランスといった量的なミスマッチというものが見られますし、もう一つには、求人側の示す条件と求職者の希望であるとか、求職者が働ける条件と合わないという生活環境の変化などにもよると思いますが、そういったことで就職に至っていない状況があるという問題点がございます。
 さらに一部ですが、特定の資格、経験を求められる職種については、そういった求人条件となっている資格あるいは経験を満たす求職者がいないために、なかなか求人を満たすことができないというものもあると認識しております。
 今後の見通しでございますけれども、求人活動自体、依然活発でございますので、それともう一つ、条件面で見ましても、正社員求人倍率がかなり高くなってきております。特に沿岸地域は高くなってきております。そういったことから、状況は徐々に改善していくんだろうとは思いますけれども、もう一つは、どれだけ求職者がその地域にいるかということは、一つ今後の課題にもなろうかと思います。ただ、さっき申しましたとおり、条件がよくなってきているので、そういう意味ではいいほうに向かっていく要素はあると考えています。
 こういったミスマッチに対しましては、いずれ地道な取り組みが一番、それが最良の策と今のところ考えておりますので、ハローワークと連携しながら細かに支援してまいりたいと思っています。
 新卒者の求人状況ですけれども、ことし8月末現在、県内企業からの求人受理件数は、沿岸四つの職業安定所で見ますと727人、前年同月比で62%の増加、沿岸四つの職業安定所管内それぞれ全て、対前年に比べて増加という状況になっております。
〇城内愛彦委員 雇用のミスマッチというのは、今おっしゃった説明のとおりであろうかと思います。条件が整わないというのもそのとおりでありますが、先ほどお話に出たグループ補助等で事業再開した方々が求人を出してもなかなか来ない。確かに条件という、お金なのかもしれませんけれども、そういう条件が合わないという話の中で、営業したけれども人が集まらなくて仕事ができないんだという話も一方で聞いています。ぜひ、この辺をしっかり、ミスマッチがないような形でつないでいかないと、復興につながっていかないのではないかと思っています。いずれ、時間がたてば若い人たちはどんどん内陸のほうに移ったり、県外に移ったりして、地元の雇用が少なくなっていくというのは、これは危険な状況になると思いますので、競争力をつける上でもぜひ必要だと思いますので、今後とも予断を許さない形でしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。
 あと、新卒者の件でありますが、この件についても、今は新卒した方々は地元にということで、何でもかんでもやろうという意気込みで高校生の皆さんいらっしゃいます。でも、震災前の子供たちは、就職のミスマッチという言い方はないのかもしれませんけれども、一旦地元には入るんだけれども、自分の希望する職種じゃないために、すぐやめてしまうというお子さんたちが結構いるんです。その辺も学校、教育関係と連携をしながら、しっかりとフォローアップしてほしいと思うんですが、そういう取り組みはこれまでもしてきたのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 離職予防対策といたしましては、私どものほうで、各地域に就業支援員という形で人を配置して、その人たちが頻繁に学校と企業との間を行き来して歩いております。当然、学校とも情報交換をしながら進めております。最終的には、就職指導は学校が行うわけですけれども、就職後、また就職支援員は企業を回りながらその後の状況を聞きながら、場合によっては相談に乗ったりとか、そういう形で連携しております。今回、幸いにも求人が非常に早いペースで出ましたので、そういう意味では、学校の中での就職指導も従前よりは余裕を持ってしっかりやっていただけるものと考えておりまして、そこのところを企業とのつなぎも含めた連携はしっかりやってまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 先ほどのミスマッチの前段のほうでお話しした、一回被災をして離職した方々に求人を出しても、企業として来てもらえないということで、早目に実は高校生のほうにシフトしたという傾向があるようですので、ぜひその辺もしっかりとフォローアップをしていただきたい。
 被災前と被災後で比較しても、内陸と沿岸を比べると、職種、種類が少ないわけであります。子供たちが日ごろ憧れる職種が何なのかというのも、正直わからないんでありますけれども、そういう地元に希望する職種がなかなかないために、県外あるいは首都圏に出るという傾向があるわけですので、縁あって地元に就職を求めた子供たちをしっかりと、地元の雇用をしっかりと支えてくれるような支援も行政とすれば必要だと思いますので、ぜひその辺は続けてほしいと思います。
 次に、委員長いいですか。
〇岩崎友一副委員長 はい。
〇城内愛彦委員(続) 緊急雇用創出事業補助金についてお伺いします。
 通告は総額ということで、前段質問された方々のお話でわかりました。あと、対象もおおむねわかりました。あと、成果はいかようになっているか、この補助金の課題についてということで少しお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 まず、成果でございますけれども、特に全体としての雇用の創出ということが大きく一つございます。もう一つは、被災地の事情という面では、沿岸地域でのさまざまな震災復興への支援、行政のニーズ等への雇用の場が創出され、さらにそういったニーズが生まれることができたという成果がございます。あとは、事業の中では、民間の人材派遣会社とかが多いんですけれども、そういったところで人材育成をしながら、なおかつ、職場実習の企業を見つけてきて、そこで職場訓練というか実習を行うことで、いわゆる先ほど来話のあったマッチングを民間のノウハウを使って行うという事業も行われております。そういった形で、多様な雇用の機会の提供ができたのだろうと思っております。
 課題といたしましては、こういった県内の事情を見ますと、求人倍率自体は上がっていますが、まだいろんな面でニーズ自体は残っていると思います。そうした中で、制度的には平成24年度で終了するという予定となっておりますので、ここにつきましては、国に対して期間延長、さらには基金の積み増しのための交付金の要望を行っております。
 もう一つは、昨年からの震災対応で、この事業自体の全体の規模がかなり大きくなっておりますので、そうした中で、適正な執行をきちんと気を配って実施していくことが必要だと思っております。
〇城内愛彦委員 緊急雇用創出事業補助金、これは前段、午前中に及川委員に対しての説明の中でもわかったんですけれども、瓦れきの処理とかいろんな軽作業に日当を払うという言い方は変ですね、対価をお支払いするという形での事業だったということで、これが逆にいうと、前段、雇用のミスマッチというんですかね、そういうところにも実は足かせになっているんじゃないかなと思っております。従前、例えば、加工場で働くおばちゃんたちがどれぐらい所得があったかわからないけれども、それよりも、こっちのほうが割合がよかったという話も聞きました。それを考えますと、その辺の仕組み自体も、お金の充てどころがちょっとずれていたのではないかと正直思ったものですから、ぜひ今後もそういうことを検討課題に入れて解決してほしいと思います。
 いずれ、観光についてもそうなんですけれども、沿岸地区とすれば、来てみて、泊まって、買って、お金を落としていってほしいと思います。観光も沿岸地区においては大きな産業の一つでありますので、ぜひ雇用のミスマッチ等も加味しながら、鋭意、頑張ってほしいと思います。よろしくどうぞお願いします。
〇岩崎友一副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時2分 休 憩
午後3時24分 再開
〇小野共委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇神崎浩之委員 橋本部長、けさ、TBSの朝ズバッ!で、民主党の長妻代議士がグループ補助金は予備費か補正でつけるというふうなことをおっしゃっておりました。また、財務副大臣も、緊急を要するとして、10月中に決める事業について、グループ補助金は現地でかなりニーズがあるから措置すると語っておりました。この件については我々議員が事あるごとに執拗に当局に求めておりまして、それを受けて担当の方に汗をかいていただいて補正まで準備していただいた、そういうことについてこの場をおかりして大変感謝をしたいと思っております。
 松川総括課長も今晩はゆっくり眠れるんじゃないかと思っておりますけれども、そういうようなことで、この県のつけた補正についても力強く進めていただきたい、採択していただきたいと思っております。部長に所見をお願いします。
〇橋本商工労働観光部長 グループ補助金につきましては踏み込んだ形での9月補正予算措置をしていただいたところでございますので、これを一日も早く実効性のあるものとしていくために、最善の努力を県としてもしながら、ぜひ予算措置をしていただく中で、復興に向けた支援策としてしっかりと取り組みを進めていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 通告は二つ出しておりましたけれども、1点、企業誘致について質問させていただきたいと思います。
 雇用というのは、沿岸被災地の方には住まいとともに重要なことでありますが、内陸においても県北においても重要な課題であります。
 そこで、7款1項3目には企業立地促進資金貸付金、それから企業立地促進奨励事業費補助等がありますが、これはどういう形で具体的に支援をしているのかお伺いいたします。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 まず、企業立地促進資金の貸し付けでございます。これは、県内に工場を立地する企業等が資金をお借りする際に、その一部を県がその金融機関に預託して金利を引き下げる、そうした効果を持たせるものでございます。
 一方、奨励事業費補助につきましては、これは立地した後、操業開始した企業に対して市町村が補助したものに対して、それをさらに支援するという意味合いで県が市町村に対して補助をするものでございます。
〇神崎浩之委員 その受け皿になる県内の工業団地の整備状況についてお伺いいたします。
 これは、県、市町村、それから企業等が整備しておりますけれども、現在、岩手県内の工業団地の箇所数、面積等の整備状況、それから空き状況というか、分譲率はどういう状況になっているのかお尋ねいたします。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 工業団地の整備状況でございます。
 工業団地等ということで、いろいろ工場適地というものもございますので、等ということになりますが、その箇所数は全部で169カ所でございます。そして、この工業用地の面積の合計は2、278ヘクタールぐらいになっております。そして、分譲済み面積でございますけれども、約1、680ヘクタール、分譲率という部分からすると約74%程度になっております。
〇神崎浩之委員 74%ということでありました。先ほど沿岸の工業団地については関根委員から質問もありましたけれども、四つの箇所が今、復旧中ということでありましたけれども、その具体的な地域4カ所についてお尋ねいたしたいと思います。
 それから、もともと平場がなくて住居すら建てられないという状況の中で、しかし、雇用の場として、地元では、工業団地、企業誘致の土地の確保というような相談なりが出されているのかどうかお聞きしたいと思います。
 それから、この項目の三つ目になるんですが、先ほど、課題があるという中で、国に対して支援制度を要望していくという答弁がありました。具体的に、沿岸被災地における工業団地なり企業誘致なりの課題、そして、その課題に対して国に支援制度を求めているという、その求めている内容についてお伺いいたします。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 まず、沿岸の復旧している工業用地等でございます。
 一つは、大船渡市の大船渡港に隣接いたしました永浜、山口地区の工業団地でございます。そして、釜石市の平田工場適地というところがございます。そして、宮古の藤原埠頭工業団地がございます。そして、久慈の久慈港諏訪下工業区域、こういったところ4カ所が現在、復旧中ということでございます。
 続きまして、その相談状況でございます。
 8月に県のほうで沿岸市町村にアンケートを実施させていただきました。その中で、やはり工業用地が必要だというような回答をいただいた市町村は5市町村ございました。また、今はちょっと難しいけれども将来的にというところでは、3市町村が今後は必要だというような考えでいるということでございます。
 そして、三つ目の国への要望の内容でございます。
 沿岸被災地の工業団地の整備に当たって大きな課題というのは、まずは土地がないということでございます。その土地を確保するためには、山を切るか、そして海を埋め立てるかと言いながらも、今までの工業団地も津波をかぶって現在復旧しているということでございますので、かなりのかさ上げが必要になると。そうするとかなりの費用がかかりまして、それを全て分譲費ということで価格に転嫁することは困難だろうと考えております。そういった意味で、企業が求める価格と実際の造成費用の価格差について、やはりその穴埋めが必要ということで、国に対してはこの穴埋めの支援を要望しているところでございます。
〇神崎浩之委員 沿岸については住むところもないという中で、土地の確保もですが、その建設に莫大な費用がかかるということで、我々も一緒に国に対して働きかけてまいりたいと思いますので、住宅地確保もですが、やはり仕事の場をつくっていくことが大変重要だと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、工業団地の、内陸のほうでございますが、先ほど74%ということがありまして、いろいろと私も県内各市町村のを見せていただきました。全体的には26%はあるんですが、やはり地域によって足りないところも出てきているようであります。一関市も、規模は小さいんですけれども、ほとんど100%ということがあって、新たな工業団地という話もあります。それから平泉町も工業団地をというお話がありますが、県内、沿岸被災地以外のところで、現在、工業団地の相談等についてはどのぐらいの─これは市町村だと思いますけれども─数があるのかお聞かせください。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 内陸部における工業団地整備に係る、現在、相談というところにつきましては、平泉町及び一関市から1カ所の団地についての御相談がございます。
〇神崎浩之委員 平泉町の黄金沢というところは、山ではなくて遊水地の土取り場だったところで、もう平場になっている。そして、トラックとかダンプがどんどん、土取り場でしたので、ということで道路も整備されているということ。それから高速道路から国道4号も近いということで、これについてはぜひ早急に整備されることを望んでおるわけでございますけれども、一方、35ヘクタールある中で、20ヘクタール以上だと新たに道路を広げなければならないという課題もあるようでございますけれども、具体的に平泉町の相談についてはどういうふうな進捗で進んでいるのかどうか、もう一度確認させていただきたいと思います。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 平泉町、そして一関市からの相談というのは、まだ具体的な開発面積とかというところではなく、そもそも開発手法ということで、どういった手続を要して、そしてどういった段階で地権者交渉をやっていくというようなことで、そういう段取りの部分の相談ということで今、受けているところでございます。
〇神崎浩之委員 最後になりますけれども、今、この地域というのは、宮城県の大衡村、それから北上市の中間ということで、自動車産業の部品の供給ということで盛り上がりを見せているところであります。一関市には、沿岸の方、陸前高田市の方もいらっしゃっているし気仙沼市の方もいらっしゃっているし南三陸町の方もいらっしゃっているということで、本来であれば地元に帰っていただくのが一番いいわけですけれども、現在、そういう方が仕事を探しているということでありますので、そういうことも含め、この地域の工業団地の誘致について部長からお話をいただきたいと思いますし、それから飛鳥川総括課長、私、名刺をいただきまして、この名刺には、岩手県の企業立地推進課ということで飛鳥川さんの知的なお顔と、それから脇には平泉の中尊寺が載っているんです。ぜひこの名刺を使って、この中尊寺の隣の工業団地に来てくださいということを早急に実現していただきたいと思いまして、これに対する思いを聞いて終わりにしたいと思います。
〇橋本商工労働観光部長 平泉町の工業団地の件についてでございますけれども、一関地区においては、委員御指摘のとおり、工業団地の充足率はかなり高いものになってきております。一方では、自動車産業等の関連産業の立地も期待が高い地域というようなことでございます。また、黄金沢の部分につきましては、私も土取り場時代から現地については承知しております。交通アクセス的な部分が解決され、またさらにインフラ的なもので整備が必要な部分はあります。それは承知しております。したがいまして、オウゴンザワ、コガネザワ、どちらも称しているようですけれども、あの地域については、まずは地元一関市と平泉町、それから地権者の方々で協議していただいて、あの地区をどう生かしていくかということについてしっかり議論をしていただきたいと考えております。そういった中で、工業団地として整備をしていくという方向になった場合につきましては、県としては必要な支援をさせていただきたいと考えているところでございまして、現在はそういう地元の協議、調整の推移を見守っているという状況でございます。
〇飛鳥川企業立地推進課総括課長 知的な顔というところで、今度は似顔絵の名刺をつくって、顔が出ないような形でセールスに歩きたいと考えておりますが、委員からの激励ということで、ぜひ頑張って、工業団地もそうですが、自動車産業ほか産業集積が進むようセールスに歩いてまいります。
〇木村幸弘委員 私からは、まず第1点、雇用対策ですが、施策の成果に関する説明書の35ページです。
 雇用対策、各委員からもそれぞれ質疑が交わされております。何といっても、県民意識調査で重要度第3位、ニーズ第1位ということで、安定した就職環境を求める県民の声、需要、ニーズは高いと思いますけれども、そうした中で、今般の成果の中に記載されております事業復興型雇用創出事業の取り組みであります。これについて、どなたかの委員から質疑が必ず出るだろうと思っていたんですが、意外と出ませんでした。達成度がDということで余りにも低いせいなのか、そういう状況は非常に悩ましいものでありますが、改めて、今回のこうした実績が厳しい結果にあることについてどのように分析されているのか、そして今後の対策と、その対策を講じることによってどういう見通しを持っているのかについてお伺いします。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 平成23年度の実績につきましては非常に目標を下回る結果となりまして、それに対する4月以来の取り組みについて厳しく捉えております。
 課題といたしましては、制度的な制約があって、一部既に雇用した部分については使えないという課題もございますし、もう一つには、県として、さまざまな要件、使うほうにすれば制度的に若干難しいと。非常に難しい制度だという印象も持たれているようでございまして、とにかくその活用促進について周知を図っていく、それを十分、何回も回を重ねて浸透を進めていかなければならないと考えております。
 今後の対策につきましては、制度的課題についてはもちろん国に要望しているところでございまして、何とかそこは国に対応していただきたいと思っております。
 一方で県にできることとしまして、これまで既に、対象事業所となるように、使っている補助金等のメニューは十分拡大してきたところでございますので、あとは、これを既に雇用している方、今年度に入って雇用している事業主たちに周知を図っていくことが一番だと思っております。そういう意味では、商工団体と一緒になって、そういう機会をおかりして説明会も開いておりますし、単独の説明会もやっております。さらには、企業の方が一番顔を合わせるであろう金融機関とか、求人を出す先のハローワークのほうから直接この制度をPRしていただいております。徐々にその成果は9月ごろから出始めてきているのかなという感触も受けておりますので、これが一つの突破口になって、さらにそれが類が類を呼びという形で拡大していくように、今後も引き続きそういった取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 いろいろと制度的な問題を含めて使い勝手が悪いという課題もあるんでしょうが、この制度として、雇用された方に対する賃金補助というか、この部分で、たしか3年間で250万円の支援が行われるという仕組みがあるわけですけれども、この制度が当初議論になったときに、これを3年間の均等割ではなくて、初年度に対して手厚くこの補助をきちんと出して、できるだけインセンティブになるように、雇用としてしっかりと結びついていくような形にしたいという答弁もいただいておりました。250万円で3年間ではなくて、単純に3年で割るのではなくて、最初の1年で大体125万円、約半分ぐらいは先に補助するような考え方を持っておったというふうに聞いておりましたけれども、具体の内容的な部分で、そうしたものが十分にこの制度を活用する部分とうまくマッチングをして、事業者の皆さんへの理解と、それから、それに伴って結びついていく雇用の関係が生かされているのかどうかということを改めて確認したいのですが。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 若干補足説明させていただきますと、制度自体、3年間で225万円、これはフルタイムの労働者を雇用した場合でございますけれども、225万円。初年度は、本県は1年間継続雇用された場合はまず140万円、まさに委員おっしゃったとおり、前倒しで支給することにしております。この制度の趣旨は、そのとおり3年間に分割して支給することによって極力長い雇用を求めるという制度でございますので、そういう形では、徐々に、これから引き続き2年目、3年目ともらえるように、雇用が続くことを期待しております。
 前倒しということで、加えてある程度実績も見ますけれども、前金払い制度も含めて制度の中には取り入れておりますので、会社の雇用条件の改善の一つの材料にしていただくとともに、そういった中で、財政的な、会社の資金的な支援にもなるような形に制度設計しております。そういったところも含めて、もっともっと説明を重ねてまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 そういった制度であるということで、できるだけしっかりとした雇用に、しかも安定的な雇用につなげていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 もう一点ですが、これについては喜多委員のほうからもう大体のところについて質疑が交わされましたので、観光産業における原発事故の、いわゆる東電賠償責任の問題ですが、先ほど喜多委員への答弁の中でお答えいただいた部分について、改めて確認の意味で1点だけお尋ねします。
 賠償対象となる本県の想定されている金額と対象業者ということで32者、11億6、000万円と聞いたんですが、具体的にこの32者の内訳がどのようになっているのかお伺いしたい。
 それから、今後23日以降、そうした説明会を開催し、請求への手続等に取り組んでいくことになるわけですけれども、この32者以外といいますか、今回こういう東電の賠償責任が行われることが明らかになったことを受けて、これ以外にも、あるいはちゅうちょしていた事業所や、そういったところもあるのではないかと思うんです。そういったところにどうきっちりと情報提供し、把握に努めるかという点についてもお伺いしたいと思います。
〇木村商工企画室企画課長 木村委員の質問にお答えいたします。
 先ほど喜多委員への答弁の中でお答えした11億6、400万円の関係でございますが、これは、我々のほうで平成24年3月末現在で観光団体に対するアンケートをとったものの回答を取りまとめたものがこの32者の11億6、400万円という内容でございますので、ことし2月29日まで、東北以外の方の観光客のキャンセルが相当因果関係があるということで今回対象となったんですが、その基準に照らしてどうかというところの試算はまだやっていないところでございます。ただ、この32者の内訳というものでありますと、宿泊業者とか、飲食関係もやっているところとか、テーマパークみたいなところとか、あとバスとか、そういうような形の、必ずしも宿泊業だけの被害で集めたものではございません。
 今後の対応の部分でございますけれども、委員おっしゃったとおり、今回カバーされるものについては、宿泊業のみならず、主として観光客を対象としているような飲食サービス業とか小売業とか運輸業というところも対象となっておりますので、県といたしましては、広く周知を図るというような視点で、来週には、市町村及び観光協会、そしてさまざまな業界団体の方々にも声がけして説明会をしたいと考えているところでございます。
 その趣旨といたしましては、市町村なり観光協会なり、そういう団体の皆さんにも御協力いただきながら、こういう形での賠償が始まったということを皆さんに広く周知させていただいて、なるべく早い時期に賠償を受けられるように支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇木村幸弘委員 農林業の関係の賠償請求に係る取り組みのときもそうだったんですけれども、大きなところはある程度自分たちの力も持っていて、そういったしっかりとした取り組み対応をしながら行っていけるんですけれども、業種によっては、どうしても個人を含めて1人ではなかなかしっかりとこの賠償にかかわる手続等を含めて対応が十分にとれないとか、あるいは不安があるとか手続がわからないとか、いろいろなケースが出てくるだろうと思いますから、そういったところをしっかり捕捉しながら、県としては、市町村あるいは観光協会など、いろいろなそういったルートと連携を十分にとって、しっかりとした対策をやっていただきたいということを申し上げたいと思います。
〇高田一郎委員 私は、まず最初に、仮設店舗の問題について質問いたします。
 中小機構による仮設店舗の設置状況について、具体的にエントリー数とか事業開始箇所、実際営業している状況、この実態について示してください。
〇松川経営支援課総括課長 仮設店舗の申請の状況ということでございますけれども、エントリー数ということで、9月末ですが、343カ所です。そのうち、完成したのが289カ所ということで営業に結びついていると考えております。(高田一郎委員「店舗数、区画数はどのぐらいあるんでしょうか」と呼ぶ)
 エントリーの区画数につきましては、エントリー数343カ所に対しまして、事業開始箇所としまして318カ所。区画数が1、643カ所ですが、そのうち、完成したものは先ほど申し上げたとおりですが、この区画数についてはちょっと把握しておりません。
〇高田一郎委員 1年7カ月たちましたけれども、仮設店舗がまだ設置されていないところがたくさんあるようであります。確かに仮設住宅を優先せざるを得なかったということもありますけれども、いずれにしても大変おくれているような感じがしております。これはなぜおくれているのかということと、その見通しについてお伺いしたいと思います。
 それからもう一つ、この仮設店舗については、期間について、2年とかいろいろ期間があると思うんですけれども、被災地のまちづくりの現状とかいろいろな状況を考えますと2年、3年ではとても対応できないと思いますけれども、この点についてどのように考えているのかも含めて答弁をいただきたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 まず、仮設店舗のおくれというお話でございましたけれども、現実に、南部のほう、大船渡市とか陸前高田市のエントリーの数が多うございます。これはなかなか用地が確保できなかったということで、集積して区画がとれなかったという事情が多分あるかと思います。そういう事情もございまして、やはり大船渡市、それから陸前高田市のエントリー数に対する完成の数というのはまだ足らない、進捗状況としてはおくれているという理解をしております。
 ただ、それにつきましては、着工してから大体2カ月ほどで完成するとお聞きしておりますので、順次、完成に向かうものと思っております。
 それから、設置からの存続期間ということでございますけれども、仮設建築物ということで、建築基準法によりまして2年以内の許可ということで、まず2年間は仮設ということで存置できるわけですけれども、さらに東日本大震災復興特別措置法に基づきまして、これは特区ということになるかと思いますけれども、1年の範囲で延長が可能ということで、その1年可能で、さらにまた特区で1年ずつ更新していくということになるというように思っております。
〇高田一郎委員 仮設店舗については用地の確保がなかなか進まないということでありますけれども、申請をして早く事業を展開したいという事業者の方々の声に応えて、用地の確保、それから期間の延長についても柔軟に対応できるように、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 実は私は、先月、大船渡市の夢商店街を訪問して、理事長とお話をする機会がありました。ここは隣にマイヤの店舗がありまして、実際、売り上げにすごく影響が出ているのかなということで心配して行ったんですけれども、いろいろお話を聞きましたら、震災前の7割とか8割とか、中には震災前を超えるような業績をつくっているということで、私自身、訪問して大変驚きました。
 今まで、周りにシャッターをおろした店舗がたくさんあって、そういう中で営業してきたんですけれども、今回、一つの集積した仮設店舗で営業するということで、毎日、顔合わせができて、そして情報を共有できて、知恵も出てくるんだと。そういう中でいろいろな工夫をして頑張っているんですね。ですから、ここではグループ補助の申請もしているんですけれども、分散して再開してもなかなかうまくいかないと。やっぱり集積して、例えば海の駅のようなものをつくって、海産物なんかも直売する、そういうことでいろいろ考えているわけです。
 ここで部長にお聞きしたいんですけれども、今の商店街、小売業者の本設再開という点では、住宅の再建については、不十分さはありますけれどもさまざまな支援策があります。ですけれども、こういう商店街の再開に向けた支援策というのはまだまだ弱いんじゃないかと思うんです。本当に頑張れば本設再開ができるんだという支援策を国にも求める、そして県もしっかりと早く打ち出して、頑張れば再開できるんだなという展望を示していくべきだと私は思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。
〇橋本商工労働観光部長 小規模な商店の方々についての復旧、復興というのは、これから大変重要な部分だと考えております。県といたしましても、国に対しては、新たな小規模な商店街に対応するような支援制度の創設を働きかけておりまして、これをぜひ実現しながら、しっかりと支援をしていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 理事長もお話しされておりましたけれども、阪神・淡路大震災のときには、神戸の商店街では復興特需で2年間ぐらいはいろいろな業績がよかったけれども、その後はどんどん落ちていくんだという話もされました。そういう意味では、本当に長期的な展望に立って取り組んでいかなければならない課題だと思いますけれども、ぜひ早い段階で具体的な支援策を打ち出して、事業者の皆さんが、繰り返すようですけれども、頑張れば本設再開ができるんだという具体的な支援策を早く打ち出していただきたいということを申し上げたいと思います。
 次に、雇用対策について質問いたします。
 これは、各委員からさまざまな議論がされましたけれども、一つは失業対策、そして雇用のミスマッチの問題について質問したいと思います。
 9月14日現在、雇用保険の給付が終了した方というのは3、268人、これに対して、就職がこの時点でできていない方が2、233人ですから、68.3%、7割近い方々が未就職になっている状況です。やはり家族の生活を支える安定した収入、そして仕事を確保するということは本当に待ったなしの課題であって、ここを重視して取り組まなければならないと思うんですが、こういう方々に対して、一人たりとも長期間にわたって失業状態にさせておくことはできないと思いますけれども、具体的な失業対策、そして、緊急雇用創出事業、これもつなぎの緊急雇用なんですけれども、どのように具体化されているのか、この点についても伺いたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 ミスマッチの問題につきましては、なかなか特効薬がないということで先ほど来御説明しておりましたけれども、まだ就職に至っていない方々への支援といたしましては、面接会の開催でありますとか就職相談を重ねて、また、きめ細やかな情報提供もしながら、仕事を探していらっしゃる方々のニーズあるいは求人側のニーズに合った支援対策をするとともに、職業訓練についても引き続き実施してまいりたいと考えております。
 緊急雇用創出事業につきましては、これまで量的な創出あるいは多様な雇用機会という二つの面で効果を出しておりまして、今回の雇用保険延長給付の給付終了に伴う対応といたしましても、沿岸各地でまだまだ各市町村とも緊急雇用創出事業に取り組んでおりますので、そうした中で雇用の場の創出に実際努めている。事務的な仕事も出していますし、あとは被災者支援という形、そういった業務をつくりながら雇用創出を行っていると考えております。
〇高田一郎委員 雇用のミスマッチについては質問していなかったんですけれども、答弁いただきました。
 この雇用のミスマッチの問題については、この間、ほかの委員が質問をしたわけですけれども、なかなか簡単に解決できる問題ではないということだと思うんです。しかし、被災地の復興を早く進めていくためにも人材確保が必要であって、復興にかかわる仕組みづくりというのが本当に大事だと思うんです。
 そういう点に立って幾つか質問したいと思うんですけれども、今、なかなか人がいないと言われる水産加工業とか建設業、あるいは介護も被災地にとってみれば人材確保は大変大きな課題になっていると思うんですけれども、なかなか人材が確保できていない理由というんですか、この間も答弁ありましたように、労働条件とか、あるいは生活環境の変化という、何となくわかるんですけれども、もう少し具体的な分析が必要だと思うんですけれども、具体的にどういう状況になっているのかということをもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 生活環境の変化等について具体的に幾つか述べますと、まず一つは、従来であれば、住居と水産加工場が近くて自転車で仕事に出かけることができたものが、仮設住宅への移転等でどうしても通勤距離が長くなって、なかなか仕事に、特に水産加工の場合は女性のパートという形態が多いと思うんですけれども、そういった形での仕事に出ることができないとか、あるいは時間的な面で申しますと、子供、孫の世話をしなければならなくなったとか家族の介護を今度は自分がやらなければならなくなったとか、そういった話がアンケートの中では聞こえてきております。
〇高田一郎委員 建設業とか介護とか、こういう分野についてはどうですか。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 失礼しました。
 まず、建設業ですけれども、建設業は、この20年ぐらいの期間、ずっと投資額が減少してきたために、絶対数として、その経験者であるとか就業可能な人たち、人材が少なくなってきていると思います。ここに来て急な復興需要ということで求人が大きく膨らんだために、要は人を探してもそれに対応できる人がいないということがあると思います。
 介護につきましては、2種類あると思います。一つは、看護であるとか介護職員という資格を求められているケースについてはなかなか対応できる人材がいないということ、もう一つは、資格にかかわらない部分については、やはり仕事の条件、例えば夜勤がありますし、あるいは賃金の問題でありますとか、そういったさまざまな条件で求職者が少ない、あるいは定着しないという課題があろうかと思います。
〇高田一郎委員 これまで、雇用のミスマッチ解消のために面接会とか見学会などを開催してさまざまな対応をしているという話がありましたけれども、これはどの程度の効果が上がっているのかという実績をまず示していただきたいと思いますし、さらに、今、議論のありました事業復興型雇用創出助成金、1年以上雇用した場合に最大で225万円助成するという事業ですけれども、特に、ここ岩手の中高年の女性の求職率が震災前の2倍になっている。2倍ですから、震災前よりもかなり高くなっているという話もされております。
 例えば、そういう事業復興型雇用創出助成金は水産加工業なんかには対応することができないんでしょうか。もしできなければ、どういう課題があるのかということも含めてお伺いしたいと思います。
〇高橋特命参事兼雇用対策課長 まず最初に、就職面接会等での具体的な成果でございます。
 回数も多いので一言でこれぐらいと説明できないんですけれども、個別の例で恐縮ですけれども、大船渡地区では、ハローワークが1回につき2社、毎月毎月2回ずつ個別の面接会を開催しております。その会場にいらっしゃる方は、時間は短いですけれども、求職者は1桁、五、六人とかという人数ですが、そうした中でも2人、3人と就職に結びついております。一挙に解決には至らないんですけれども、そういった地道な取り組みを辛抱強く続けていかなければと考えております。
 次に、事業復興型でございますけれども、水産加工業についても適用になりますし、実際、使っていらっしゃる企業はございます。そういう意味では、事業主は制度については御存じだと思っておりますし、また、使える方については申請を出してきている。実際、釜石地区とかで30人、40人単位で再開された事業所から制度の申請も来ております。なので、使えるところでは使っていただいているものと考えております。
〇高田一郎委員 部長にお伺いしたいと思うんですけれども、やっぱりこの雇用問題というのは非常に大変大事な課題だと思うんです。被災地では、復興を進める上でも、人材の確保、お金が行っても、やはり人材を確保しなければなかなか前に進めないという状況もあると思います。こういう被災地の復興を進めていく上でも、復興にかかわる仕組みづくりといいますか、そういうことが非常に大事になっているんじゃないかと思います。現行の対応では対応できない、それを超えた新しい仕組みづくりというのが非常に大事になってくると思うんですけれども、その点についての考えをお聞きして終わりたいと思います。
〇橋本商工労働観光部長 被災地における雇用、とりわけ人材の確保の現行の対応を超えた仕組みづくりが必要ではないかということでございますが、今、考えられる制度的な仕組みにつきましては、あらゆる方策を講じていると認識しておるわけでございます。これらの制度がきっちりとまずは効果的に活用され、そういうことによって対応していくということに注力していきたいと思っております。
 とりわけ事業復興型雇用創出助成金につきましては、申請の受け付け等につきましても、現地に出向いて実際に説明をし、受け付けをするというような体制をとるなどしまして、安定的な雇用創出にぜひつなげていきたいということで、目標に向けたあらゆる努力を積み重ねていきたいと考えております。
〇小野共委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 質疑がないようでありますので、商工労働観光部関係の質疑をこれで終わります。
 商工労働観光部の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 次に、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇浅沼労働委員会事務局長 労働委員会関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、244ページをお開き願います。第5款労働費のうち、第3項労働委員会費が当委員会が所管するものでございます。予算総額1億1、473万1、000円に対し、支出済額は1億1、332万5、000円余となっております。
 支出の内訳といたしましては、1目委員会費3、043万5、000円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要した経費であり、委員15名に対する報酬及び旅費等の事務費でございます。2目事務局費8、289万円余は、事務局の管理運営に要した経費であり、事務局職員の人件費及び旅費、需用費等の事務費でございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇小野共委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 質疑がないようでありますので、労働委員会関係の質疑をこれで終わります。
 労働委員会の皆さんは退席されて結構です。お疲れさまでした。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇青木企業局長 それでは、企業局関係の決算概要及び未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明申し上げます。
 初めに、平成23年度の事業運営における総括的な評価、今後の取り組み方針等について御説明申し上げます。
 平成23年度の事業運営に当たりましては、平成22年度から平成24年度までの中期経営計画の中間の年度として、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進を基本としながら、クリーンな電力と良質な工業用水の安定供給のため、施設の計画的な改良、更新等を行ったほか、業務コストの節減を図り、効率的な経営に努めてまいりました。その結果、損益については両事業とも引き続き黒字を計上することができ、良好な経営を維持していると考えております。
 さらに、電気事業においては、電力の逼迫した需給環境の中で、夏場、冬場の需要期において安定かつ最大限の供給を行えるよう、運転停止を伴う工事、点検については、この時期を避けて実施をしてきたところであります。
 また、水力開発については、胆沢第三、第四発電所の建設に取り組んでおります。胆沢第三発電所は、平成26年度の運転開始に向けて送電設備の工事に着手したところであり、胆沢第四発電所は、土木施設及び機械、電気設備の工事に着手し、平成24年12月の運転開始を予定しているところであります。
 地域社会への貢献につきましては、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、県事業及び設備の導入を行う市町村等に対し、引き続き支援をしたところであります。特にも、沿岸被災地域での設備の導入については、補助要件を緩和し、補助率を引き上げたことにより、仮設住宅周辺での街灯設置等を積極的に支えてきたところであります。
 なお、中期経営計画の取り組みの評価につきましては、電気事業では、出水率が平年を上回ったことなどから、目標電力量に対する供給電力量の達成率が108.6%となったこと、工業用水道事業では、二部料金制導入に伴い、料金が実質7%値下げとなった最初の年でありました。経費の一層の効率的な執行に努めたことにより、経常収支比率が目標を上回るなど、両事業ともに年度目標を上回る成果を上げたものと考えており、外部の有識者で構成される経営評価委員会からも同様の評価をいただいております。
 本年度は、長期経営方針及び中期経営計画に掲げる信頼性の確保、経済性の確保、新規開発、地域貢献及び組織力の向上の五つの経営方針に沿って、一層の経営効率化と健全経営に努め、平成24年7月から開始となった再生可能エネルギーの固定価格買取制度も活用し、新規開発に取り組んでまいりたいと考えております。
 風力発電については、一戸町高森高原地区において具体的に取り組んでまいります。
 また、工業用水道事業においては、平成24年5月に入畑ダム共同施設の一部を東北農政局に有償譲渡したこと等により資金繰りが改善することから、今後、一般会計等からの支援を必要としない経営に努めてまいります。
 それでは、企業局が所管しております認定第2号平成23年度岩手県電気事業会計決算及び議案第56号平成23年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて、並びに認定第3号平成23年度岩手県工業用水道事業会計決算及び議案第57号平成23年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて、お手元の決算書及び議案に基づき、その概要を御説明申し上げます。
 なお、決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成することとなっておりまして、金額に相違がありますので、あらかじめ御了承をお願いします。
 認定第2号平成23年度岩手県電気事業会計決算及び議案第56号平成23年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについてであります。
 電気事業会計決算書の1ページをお開き願います。平成23年度の収益的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目の収入の決算額は46億600万円余、下の表、右から4列目の支出の決算額は40億2、000万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項営業収益44億1、100万円余は、水力発電に係る電力料等であり、第2項財務収益1億600万円余は、株式配当金、長期貸付金利息等であります。
 第3項附帯事業収益5、100万円余は、稲庭高原風力発電所に係る電力料であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項営業費用36億6、000万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用1億5、200万円余は、企業債に係る支払い利息等であります。
 第3項附帯事業費用6、000万円余は、稲庭高原風力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第4項の事業外費用1億4、600万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 次に、2ページをお開き願います。資本的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は20億1、900万円余、下の表、右から4列目、支出の決算額は33億900万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項補助金3、100万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に係る補助金であり、第2項負担金1、800万円余は、仙人発電所の共有施設に係る改良工事の負担金であります。第3項長期貸付金償還金9億6、800万円余は、一般会計等からの長期貸付金の償還金であり、第4項投資償還収入10億100万円は、国債の償還収入であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項建設費1億3、800万円余は、胆沢第三発電所の建設等に要した経費であり、第2項改良費5億2、600万円余は、各水力発電所の施設の改良や更新に要した経費であります。第3項電源開発費200万円余は、有根沢地点等の水力発電開発調査に要した経費であり、第4項企業債償還金4億5、200万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金であります。第5項長期貸付金1億8、600万円余は、工業用水道事業会計に対する企業債償還元金の償還原資として貸し付けをしたものであり、第6項投資19億9、800万円余は、利付国債の購入であります。第7項繰出金500万円余は、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を原資として、一般会計へ繰り出ししたものであります。
 下段、欄外に記載してありますとおり、資本的収入額が資本的支出額に不足する額2億9、200万円余につきましては、減債積立金などをもって補aXしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は右側の上段、5億7、800万円余となっており、この営業利益から財務収支、附帯事業収支及び事業外収支の合計の損失、右側の三角、2、000万円余を差し引いた5億5、800万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の左から2列目の資本金のうち自己資本金は、一番下の当年度末残高のとおり264億2、400万円余、その右隣の借り入れ資本金の当年度末残高は38億5、200万円余であり、左から3列目の剰余金のうち資本剰余金は、国庫補助金以降、3列目の資本剰余金合計の一番下、当年度末残高のとおり20億9、500万円余であります。
 また、剰余金のうち利益剰余金につきましては、減債積立金から環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金までの額に未処分利益剰余金5億5、800万円余を加えた利益剰余金合計の当年度末残高は、一番下のとおり、59億5、800万円余となっております。資本金と剰余金を合わせた当年度末資本合計は、表の一番右下のとおり、383億3、000万円余であります。
 次に、未処分利益剰余金の処分についてでありますが、議案その2の518ページをお開き願います。議案第56号平成23年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについてであります。これは、平成24年4月1日に改正されました地方公営企業法第32条第2項の規定により、繰越欠損金を埋める場合を除き、利益の処分は議決等により処分することとされたことから、議会の議決により処分しようとするものであります。
 処分の内容といたしましては、平成23年度岩手県電気事業会計未処分利益剰余金5億5、801万3、804円のうち、2億6、100万6、902円を減債積立金に、2億6、100万6、902円を建設改良積立金に、3、600万円を環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金にそれぞれ積み立てしようとするものであります。
 電気事業会計決算書の5ページにお戻りを願います。5ページは剰余金処分計算書でありますが、これは、これまで御説明しました資本金、資本剰余金及び未処分利益剰余金に係る処分計算書であります。
 なお、6ページ以降は、貸借対照表、その他の事項についてでございますが、説明を省略させていただき、以上で電気事業会計決算及び同事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについての説明を終わります。
 次に、認定第3号平成23年度岩手県工業用水道事業会計決算及び議案第57号平成23年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについて御説明をいたします。
 工業用水道事業会計決算書の1ページをお開き願います。平成23年度の収益的収入及び支出についてでありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は10億2、200万円余、下の表、支出の決算額は8億6、900万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項営業収益10億1、000万円余は、一般水及びろ過水の給水料金であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項営業費用7億5、500万円余は、各工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用9、700万円余は、企業債及び電気事業会計からの借入金に係る支払い利息であります。第3項事業外費用1、500万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 次に、2ページをお開き願います。資本的収入及び支出でありますが、上の表、収入の決算額は7億6、000万円、下の表、支出の決算額は11億2、600万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項企業債3億8、800万円余は、各工業用水道施設の改良工事に係る起債であり、第2項他会計からの長期借入金3億7、200万円余は、一般会計等からの企業債償還元金の原資として借り入れしたものであります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項改良費3億8、900万円余は、各工業用水道施設の改良や更新に要した経費であり、第2項企業債償還金4億9、300万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債等に係る償還金であります。第3項他会計からの長期借入金償還金2億4、400万円余は、一般会計等からの借入金の償還金であります。
 下段、欄外に記載してありますとおり、資本的収入額が資本的支出額に不足する額3億6、600万円余については、当年度分損益勘定留保資金などをもって補aXしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は右側の中段、2億2、000万円余となっております。この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失、右側の三角、8、600万円余を差し引いた1億3、400万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の左から2列目の資本金のうち自己資本金は、一番下の当年度末残高のとおり29億6、900万円余、右隣の借入資本金の当年度末残高は42億5、500万円余であり、左から3列目の剰余金のうち資本剰余金は、国庫補助金以降3列目の資本剰余金合計の一番下、当年度末残高のとおり40億3、700万円余であります。
 また、剰余金のうち利益剰余金につきましては、減債積立金は、企業債の償還に全額1億5、800万円余を充てたため、当年度末残高はゼロ円となっており、また、未処分利益剰余金は1億3、400万円余となっております。資本金と剰余金を合わせた当年度末資本合計は、表の一番右下のとおり、113億9、700万円余であります。
 次に、未処分利益剰余金の処分についてでありますが、議案その2の519ページをお開き願います。議案第57号平成23年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについてであります。これは、先ほど御説明申し上げました電気事業会計未処分利益剰余金の処分と同様の趣旨で、議会の議決により処分しようとするものであります。
 処分の内容としましては、平成23年度岩手県工業用水道事業会計未処分利益剰余金1億3、448万5、593円全額を減債積立金に積み立てしようとするものであります。
 工業用水道事業会計決算書の5ページにお戻り願います。5ページは、剰余金処分計算書でありますが、これは、これまで御説明しました資本金、資本剰余金及び未処分利益剰余金に係る処分計算書であります。
 なお、6ページ以降は、貸借対照表、その他の事項についてでございますが、説明を省略させていただきます。
 以上で、企業局関係2会計の平成23年度決算及び未処分利益剰余金の処分に関し議決を求めることについての説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願いを申し上げます。
〇小野共委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇五日市王委員 電気事業会計についてお伺いいたします。風力発電への取り組みについてお伺いをいたします。
 まず最初に、稲庭高原風力発電についてお伺いをいたします。
 本年7月1日の再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始に伴い、民間事業者や地方自治体による再生可能エネルギーを利用した発電事業化の動きが活発化しているところでございますが、本県における再生可能エネルギーの先進的な取り組みとして、平成13年から運転している稲庭高原風力発電所については、これまで落雷などによる長期間の発電停止やその補修費用によって赤字運営が続いていると聞いておりますが、まずは平成23年度の運転状況と収支がどうであったのか、お伺いをいたします。
〇榎電気課長 稲庭高原風力発電所の平成23年度の運転状況と収支についてですが、平成23年度は、平均風速の計画値が毎秒7.1メートルに対して、実績が毎秒7.2メートルと計画を上回る風況でありましたが、2号機のブレードが平成22年12月の落雷により損傷したため、平成23年5月の仮復旧まで発電を停止した影響が大きく、供給電力量の目標に対する達成率は92.0%と、計画値を下回っております。このため、単年度の収支状況としましては、総収益5、808万8、000円に対して支出が5、881万5、000円となり、差し引き72万7、000円の赤字となっております。
〇五日市王委員 ことしで運転開始から13年ほどたったわけでございますけれども、今後、売電価格の引き上げなども想定されるわけでございますが、今後の収支の見通しについてはどのようになっているのか、お伺いをいたします。
〇榎電気課長 今後の収支見通しについてですが、現在の売電単価では11円50銭で運転を続けた場合には、現契約17年間の累積損益で2億円程度の赤字となる見込みであります。しかしながら、本年7月1日に施行された固定価格買取制度では、法の施行日前に発電を開始した風力発電であっても、運転開始から20年未満の設備も同制度の対象になったことから、稲庭高原風力発電所を同制度へ移行した場合には、国の補助金分を差し引いても、現在より1.5倍程度高い単価で今後約9年間にわたって売電できるため、収支が大きく改善され、最終的には1億円程度の黒字に転じると見込んでおります。そのため、現在、国への設備認定に係る申請手続を行っているところであります。
〇五日市王委員 最終的には黒字の方向になるということで、私も地元ですので、何となく安心をしたところでございます。
 そのような中でございますけれども、先日、知事が記者会見におきまして、一戸町高森高原地区における大規模風力発電計画について発表いたしました。久々に県北地方にとりましては大変明るい話題でございまして、小泉委員とも喜びを分かち合いたいと思っております。
 この概要についてまずお伺いをいたします。
〇榎電気課長 高森高原地区の風力発電計画についてですけれども、企業局では、かねてから一戸町高森高原地区における風力発電の可能性について検討してきました。固定価格買取制度の開始に伴い、同地区での大規模風力発電計画について、本年6月29日に、東北電力に対して送電線への接続が技術的に可能かどうかの検討を申し込んでいたところ、10月5日に、同社から、企業局の計画どおりの内容で接続可能との回答があったところであります。
 本計画の概要は、最大出力2万5、300キロワット、年間販売電力量は5、300万キロワットアワーで、これは一般家庭約1万6、000世帯分の1年間の消費電力量に相当します。また、県内で初めてとなる蓄電池の併設により、従来の風力発電に比べて出力変動の少ない電力供給が可能となる特徴を持っております。
 運転開始は平成29年を予定しており、概算事業費は約115億円を見込んでおります。
〇五日市王委員 事業費が115億円とかなり大きいわけでございますけれども、ちょっとこの財源についてお伺いをいたしたいと思います。
 また、順番が別になりますが、先ほども御質問いたしましたが、稲庭高原なんかでも落雷などによる事故等のトラブルがあるわけでございますが、そういったことがあることも心配されるんですが、いわゆる事業の採算性が悪化することはないのか、その辺のところもお聞かせ願いたいと思います。
〇榎電気課長 建設のための財源についてですけれども、事業費のうち約半分を自己資金、残りを起債で調達する予定としております。現在、国の補助金はありますが、環境アセスメントに時間を要することから、現時点では、補助制度を活用できる可能性は低いと判断しております。
 次に、稲庭高原の関係ではトラブルがあったわけですけれども、事業の採算性についてですけれども、稲庭高原では、機器のトラブルや冬季の落雷による損失が大きかったんですが、高森高原では、稲庭高原の知見を生かして、機器の信頼性や落雷対策において実績のある機器を選定するほか、地形による風の乱れに配慮した最適な風車の配置により、事業採算性は確保できるものと考えております。
〇五日市王委員 事業費の半分が自己資金ということであるわけでございますが、ここをもう少し詳しく御説明を願ってよろしいですか。例えば、要は貯金がどのくらいあって、どのぐらい取り崩すとか、その後のそれによる会計の影響というか、そういったものもちょっとお聞かせ願いたいんですが。
〇水野次長兼経営総務室長 それについては私のほうからお答え申し上げたいと思いますが、基本的に、現在まで積み立てを行ってきているという状況がございますので、資料にもございますように、建設改良積立金などもかなり積み立ててきているという状況にございます。
 また、そのほか、長年いろんな事業を展開いたしまして積み立ててきた勘定留保資金などがございますので、そういうものを活用しながら、長期的な見通しを立てて計画的に推進していくということにしております。
〇五日市王委員 そこで、これは教えていただきたいんですが、稲庭高原もそうなんですが、今度高森高原ということで、いわゆる立地の自治体がありますよね。稲庭高原で言えば今は二戸市、高森高原で言えば一戸町なんですが、何ていう呼び方がいいのか、立地自治体に財政的な恩恵といいますか、立地何とか補助金とか、そういったものがあるのかどうかちょっとお聞かせ願います。
〇榎電気課長 立地自治体への財政的な恩恵ですけれども、町には運転開始後の20年間で、固定資産税に相当する約10億円の市町村交付金が交付されると試算しております。
〇五日市王委員 そこでなんですが、これもできるかどうかちょっとわからないのでお聞きいたしますが、一つの提案にはなるんですが、先ほど来お話があるように、今後、固定価格買取制度で、さっき11円50銭だったのが恐らく18円近くまで上がっていくということになるんだと思うんですね。そうすると、採算もかなり見込めるというような事業になっていくんだと思うんです。そういった中で、例えば地元の自治体が、この事業に対して115億円の事業費があるわけですが、例えば出資のような形をとると。それで、もうけた分から配当をいただくと。これは、市町村側から見れば、新しい財源確保のあり方の一つでもあるんだと思うんですけれども、そういったことができるのかどうなのか、ちょっとその辺をお伺いいたします。
〇榎電気課長 立地自治体からの出資についてですけれども、まず、高森高原の風力発電については、公営企業としての企業局が、みずから事業主体ということを前提として計画を進めております。
 御質問のほかの自治体が県に出資することについては、法制度上想定されておらず、仮に出資したとしても、それに対する配当という概念がないので、出資のメリットはないのではないかと考えております。
〇五日市王委員 わかりました。そこは私ももう少し勉強させていただきます。
 それで、最後にします。先ほど売電価格が引き上げられるということで、これまで風力発電の採算ラインといいますか、風況の関係が、30メートルの高さで大体毎秒6メートルが一つのラインです。ということで、あちこち風況調査されたと思うんですが、高森は6.0メートル、稲庭が6.7メートルということだったわけですが、今後、売電価格が引き上げられることによって、風況の採算ラインが下がるんだと思うんです。そういうことによって、いわゆる風況がこれまで6メートルが採算ラインだったものが、例えば5メートルぐらいに下がるのか。いわゆる、売り上げが上がるわけですよね。意味わかりますかね。ちょっとそこをお聞きしたいです。
〇榎電気課長 先ほど委員がおっしゃられたとおり、採算ラインが30メートルの高さで年平均6メートルと言われていますので、私どもも何カ所か風況観測しておりますけれども、6メートルを切っている地点については、その段階で採算性は無理だろうということで詳しい検討はしておりません。ですので、今後は、買い取り条件を考慮して検討していきたいと考えております。
〇五日市王委員 風力に関しては、今回かなり大きい事業ですので、この先というのはあるのかないのかちょっとわかりませんけれども、実は二戸市内においても県境の産廃の現場がございまして、跡地利用について、今いろんな民間の企業なんかも、太陽光だとか風力だとかいろんな水面下での動きはあるわけでございますが、その隣接地で、企業局にはかっていただいたところが、結局、風況は5メートルだったんですよね。それで計画にはのってこなかったということは、今のお話であると、5メートルでも可能性が開けてくるのかなというような期待も持つわけでございますけれども、その辺も含めていろいろ検討をしていただければと思います。終わります。
〇熊谷泉委員 私も企業局の再生可能性エネルギーについて知事に伺いましたが、きょうは部局でありますのでもう少し詳しく聞きたいと思います。
 風力については、ほとんど五日市委員に聞かれてしまいましたので、何点か確認しますが、一つは、稲庭高原で約10年間、ある意味これは一つの実証試験みたいなものだったと思いますが、今度一戸の高森高原の10倍ぐらいの規模で、落雷のこともあると思うんですが、この10年間の成果と課題がどのように生かされたのか、まずそれを伺いたいと思います。
〇榎電気課長 稲庭高原風力発電所の成果ですけれども、成果としては、平成13年度に県内で2番目に事業化するなど、民間に先駆けて再生可能エネルギーの導入に取り組んだところであり、県内風力発電の先駆的な役割を担ってきたと考えております。
 課題は、やっぱり落雷対策と収支の改善であると認識しておりますので、落雷対策についてはいろいろと改善をしてきているものと考えております。
〇熊谷泉委員 落雷対策は今度多分とられた上での計画だと思いますが、もう一点確認したいと思います。
 先ほど風力の固定価格買い取りが18円とかで、私、たしか23円と記憶しておりますが、どのぐらいなんでしょうか。
〇榎電気課長 先ほど言った18円というのは、稲庭高原の場合、現在11円50銭のものが、この固定価格買取制度を適用しますと1.5倍ぐらい高くなると見込まれておりまして、それで18円になるものです。現在の固定価格買取制度では、風力の場合、今年度については、消費税抜きですけれども、1キロワットアワー当たり22円となっております。
〇熊谷泉委員 風力に関してはわかりました。
 今回の買い取り価格で企業局のメリットも大体、今までの赤字を取り戻すということで、大変メリットがあると捉えました。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 小水力についても、今、企業局も、ある意味実証に向けて課題に取り組んでいると思いますが、その事業の進み具合と課題は何なのか、お伺いをいたします。
〇菅峨業務課総括課長 本県における小水力発電の成果と課題でございますけれども、企業局で現在取り組んでいる小水力発電としては、平成22年に運転開始した北ノ又第三発電所が順調に稼動しております。また、そのノウハウを踏まえて、胆沢第四発電所の建設を現在進めておりまして、本年12月に運転を開始する予定であります。
 これらの小水力発電の課題としては、スケールメリットが小さいということで、事業の採算性の確保が難しいということでありましたが、県内で継続して流況調査を行っている複数の地点についても、今後これからの固定価格買取制度の活用も視野に入れながら、そういった事業化の可能性があるのかといったところを調査して進めてまいりたいと考えています。
〇熊谷泉委員 多分、固定価格買取制度で、これについても風力と同じように幾らかのメリットはあると思いますが、その数字はよろしいです。
 次に、太陽光発電ですが、沿岸地域では、民間で既にメガソーラーの事業計画も発表されているんですが、新潟県では企業局で太陽光もやっているようで、平成23年度から1、000キロワット、ことしももう一つ1、000キロワットの予定だったようですが、これについて、今回風力発電で110億円の事業費ということで、メガソーラーについても100億円ぐらいの事業費であればある程度かなりのものができると思うんですが、企業局はこのメガソーラーについてどういうこれからの事業展開を考えているのか。やらないと言われればそれまでですが、伺いたいと思います。
〇千枝経営企画課長 メガソーラーにつきましては、平成23年11月に、環境生活部が公表した50カ所の候補地点を机上で検討して、21カ所を現地調査しております。これは沿岸のほうも含めております。その現地調査に伴いまして、有力候補地点を絞って、具体的な土地利用条件や配電線への接続の可否などの調査検討を進めてまいっております。
 今後、事業の経済性等を十分に吟味しまして、事業化が可能であれば速やかに進めてまいりたいと思っております。
〇熊谷泉委員 最後にしますが、本県は、松川地熱発電所が国内で第一に始まったわけですが、私らも再生可能エネルギーの議連で九州に行ってきました。八丁原という九州電力の施設を見てきましたが、ある意味、地熱発電というのは非常に事業費もさることながら、経験が物を言う世界で、技術的にはかなりのテクニックを要する事業だなと思ってきましたが、ただ、これは電力会社がやるか国がやるか─国がやるというか、民間がやらなければできないんですが、企業局は市町村でもできない事業規模を持っていますし、地熱発電についての所見もお伺いしたいと思います。
〇千枝経営企画課長 地熱発電につきましてですが、委員が御指摘のとおり、賦存エネルギー量の正確な把握と、開発や運転に極めて専門的な知見が必要でありまして、開発期間も相当長期間にわたり、また、開発費用も多額にかかるとリスクも大きいものですから、企業局がみずから開発に取り組むことは極めて困難だと考えております。
 なお、地熱発電につきましては、県内の有望地点において民間事業者による具体的な立地計画が進んでおりまして、県として、民間事業者の取り組みに対して側面的な支援を行っていると聞いております。
〇熊谷泉委員 最後に企業局長にお伺いしますが、実はこの買取制度によって、大分ことしから世の中変わって、民間の企業も入ってくるわけですが、県内でも葛巻とかもう事前にある程度先駆けてやっているところもあるんですが、実際はバイオマスにしろあるいは畜産物の発電にしろ、国内のいろんな施設を見てきましたけれども、実際は事業ベースに乗っているものがほとんどないんではないかと思います。このはざまで、先ほど言いましたけれども、市町村にもできない、ある意味力を持っている企業局の役割というのは、今までの経験と技術でやっていける部分が非常に期待が大きいと思いますが、最後にそれについての所見を伺って終わります。
〇青木企業局長 おっしゃるとおりに、再生可能エネルギーは、いろいろ制度創設以来話題になっているわけでございますが、風力発電を初め水力など、ある程度それなりのノウハウ、経験がないと、すぐには事業化というのは難しいという側面もございます。
 一方で、岩手県として再生可能エネルギーの積極的な導入促進を進めていくという大きな政策目標がございますので、私どもといたしましても、県の施策を積極的に促進するという意味で、率先して取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。
 再生可能エネルギーはさまざま種類があるわけでございますが、私ども今までの長年培ってきました水力そして風力、さらには太陽光、そういった経験がございますので、そういった経験のある部分、ノウハウの蓄積のある我々の強みとする分野、ここにおいてしっかりと新開発等に取り組んで、県の施策にも貢献をしていきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 2点お伺いする予定でございましたが、一戸町の風力発電はお二人の質疑でほぼ聞かせていただきました。ただ、若干だけ風力発電の部分で私からも質問いたします。
 事業の採算性を見込めるということでございましたが、できましたら、事業費の内訳、当然収支計画も立てていらっしゃると思いますので、収支見込み。
 それから、稲庭高原の風力発電の経験を踏まえて課題解決の方向性も示されました。落雷対策あと風向き等々の部分が示されましたが、それ以外の課題等、今後、風力を含め、再生可能エネルギーの進出ということを考えたときに、いろいろあるんじゃないかと思いますが、その辺もう少しお聞かせをいただきたいと思います。
〇榎電気課長 高森高原の風力の事業の内訳と収支見込みについてですけれども、事業費約115億円の内訳は、風車等の発電設備に約83億円、蓄電池設備に約21億円、その他に約11億円となっております。
 収支見込みは、毎年約10億円の料金収入により、最終損益によって約19億円の黒字を見込んでおります。
 稲庭高原ではいろんなトラブルがあったわけですけれども、稲庭高原の所見を生かして、機器の信頼性や落雷対策において実績のある機械を選定して、あと、風の乱れに配慮した最適な風車を配置して、採算性を確保していきたいと考えております。
 あと、ほかに問題とされるのは、環境アセスメントが必要な事業でありまして、これに最低でも3年ぐらいかかると言われていますので、実は固定価格買取制度の単価というのは国では毎年見直しをしていくと言っておりまして、今年度は1キロワットアワー当たり22円ですけれども、これが安くなるだろうと見込まれております。ですので、事業化に当たっては、まずは環境アセスメントを速やかに終えるということが現在の課題と考えております。
〇関根敏伸委員 もし、雇用なんかも見込めているのであれば、その辺もちょっと後から聞かせていただきたいと思います。
 課題の中に環境アセスを含め、事業化着手あるいは事業開始までの年数をいかに短縮できるのかという部分が非常に大きいんだろうと思っております。県のほうでは、特区の申請に向けて、再生可能エネルギーをより進めるための動きなどもしているようでございますけれども、環境影響調査でありますとか、土地利用等々の規制緩和ということをしっかり国のほうで認めてもらうということが、スケジュールを短縮して収支をさらに高めていくということになってくるんだろうと思っております。その辺、今いろいろ県でも動きはあると思うんですが、企業局と連携をしながら、どういう動きを進めようとされているのかお伺いをしたいと思っておりますし、あともう一点、課題と言えるのかどうかわかりませんが、風力などの場合、系統への受け入れ枠というのがあると聞いておりまして、出力が安定しないということがその大きな要因だと聞いております。それで恐らく今回、蓄電池型というものを県内初という形で取り入れて、出力を安定させてこの系統への連系を恐らく容易にしようということを計画されているんじゃないかと思うんですけれども、これが技術的に可能になれば、いわゆる枠というものがある意味無制限にというか、それが拡大をしていって、先ほどの風のさまざまな適地という部分もあろうかと思いますが、それとあわせて、風力であるとかいろんな面の再生可能エネルギーの新規立地が進むと、こういった可能性もあるのかなと思うんですが、その辺ちょっと詳しくお聞かせをいただきたいと思います。
〇千枝経営企画課長 環境アセスの期間の短縮についてでございますが、環境アセスは、今お話し申し上げたとおり最低でも3年かかるということで、できるだけ期間を短縮したいと思いまして、県として国のほうへ要望活動をしておりまして、この前、ちょっと日時を忘れましたけれども、環境大臣がいらしたときに、特に知事のほうからもお願いとかしておりますし、また、私どもの公営電気事業経営者会議というものもありまして、そういった団体を通しても、環境アセスの短縮というようなことについてお願いをして国等に働きかけをしております。
〇榎電気課長 蓄電池をつけたタイプの風力発電所ですけれども、東北電力の募集では、蓄電池をつけて出力変動を緩和するということで、これが追加連系分が15万7、400キロワットであると考えており、この範囲内で現在募集をしている状況でございます。あと、平成24年度の受け付け枠として、風力発電導入拡大に向けた実証試験というものを予定しておりまして、この実証試験のために40万キロ枠を設けていまして、平成23年度の募集で20万キロを除いて、あと20万キロ受け付ける予定としておるところでございます。
 雇用に関しては、風力発電ができたことによって、私どもが直接雇用するということは多分なかろうかと思うんですが、例えば建設後にメンテナンスとか、巡視とか、除雪とかの関係で、地元の業者を使うことができるのではないかと考えております。
〇関根敏伸委員 系統連系の枠が無制限ではないということでございますね。ただ、いずれそういった別枠での受け入れ枠があるということで可能性は広がると理解しました。
 最後になります。先ほども熊谷委員からも話がありました。企業局としてこういった事業をいろいろ進めていく意義というものはさまざまあると思うんですが、市町村であるとか、これから民間の事業者であるとかが、こういった部分に参入する際のノウハウをきちっと蓄積して、それをやはり広く浸透させていくということも大きな役割じゃないのかなと思っております。そういったところで、しっかりとノウハウの蓄積、あるいは再生可能エネルギーが、県外業者だけがどんどん来て地産地消というのが名ばかりにならないような、地元の業者であるとか、自治体であるとか、民間の方のファンドであるとか、こういった部分で再生可能エネルギーが供給できるような体制の構築にぜひ努めていただきたいと思っております。
 それから2点目、工業用水のことについて簡単にお聞きをいたします。
 これにつきましては、二部料金制というものを導入されて、実質的に7%の値下げという中で、しっかりと黒字を確保されて頑張っていらっしゃるということで大いに敬意を表したいと思いますし、評価をさせていただきたいわけでありますが、欲張りばっかり言って申しわけございませんが、他県の工業用水の料金と本県の料金を比較したときに、単純に金額だけの比較で見ていいのかどうかも含めてなかなかわからないんですが、基本料金が42円、超過で90円というのが基本路線になっておりますが、東北6県の工業用水等を見たときに、基本料金で2円から59円までの幅があるようでありますし、超過料金でも4円とか、高いところは100円を超えているところもあるんですが、他県とのばらつきというものは相当散見されるなと思っているんですが、他県との料金比較を踏まえた料金設定の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 他県と本県と料金を比較したものということですけれども、本県の基本料金につきましては、今二部料金制になっていますので、基本部分が42円、使用料金が3円、合わせて45円ということでございますけれども、これは工業用水を営む都道府県において合わせて140種類の料金が設定されております。この中で本県の工業用水の、これは一般水でございますけれども、料金の水準は高いほうから30位程度の料金水準にございます。
 工業用水の料金設定につきましては、経済産業省の工業用水道料金算定要領に基づいた原価計算、原価の中身は人件費ですとか減価償却費、あるいは交付金ですとか支払い利息とか、こういったものが入ってございますけれども、この原価計算を行いまして、その後で契約水量に基づいた給水量で割るということで、簡単に言えばそういう計算式で単価がはじかれるわけですけれども、その結果を経済産業省の承認を受けて料金設定してございます。
 各事業によって水源、これは例えば川から直接水をとる表流水ですとか、あるいは本県みたいにダム、こういったところに水源を求める場合もあります。また、水質や規模等も異なるので一概に比較はできませんけれども、本県の場合は、事業開始時期が全国の中では後発でありまして、先ほど申し上げましたように水源をダムに求めているということで、どうしても全国水準に比べて料金が高くなっているものでございます。
〇関根敏伸委員 経営の健全性も含めての設定になっていると思いますが、昨年見直しをしたばかりで、長期計画に沿っていろいろこれからも検討されると思うんですが、企業誘致に与える影響というものも小さくないと思っております。こういった部分で判断しながら企業が動くと思いますが、与える影響等も含め、今後の見通しの有無、課題等も含め、最後に御所見をお伺いさせていただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 確かに工業用水道料金が安くなれば、企業誘致には有利に働くということは考えられます。一方で、給水原価を下回る料金設定になった場合には、経営が成り立たなくなるといった課題もございます。
 平成23年4月1日の料金改定というのは、安定経営をできるぎりぎりの範囲で料金を下げておりまして、当面は料金の見直しについてはする予定はございません。
〇小野共委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後5時16分 休 憩
午後5時38分 再開
〇小野共委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇吉田敬子委員 会派の思いを代表いたしまして質問させていただきます。
 電気事業に関して、クリーンエネルギー導入促進について伺います。
 先ほど来ほかの委員の方々からは細かい事業に関する質問等は出ておりましたが、利益を上げることはもちろん大切なんですけれども、実際に企業局がやられているものが県民にどれだけ還元されているかという視点で質問させていただきます。
 企業局の持つ専門的知見、ノウハウの技術継承や人材育成について、市町村や民間へどのように取り組まれたのか。公益企業の事業者としての立場での利益を県民にどう還元しているのか、これまで市町村や民間の企業等に支援したことで事業化につながったものが具体的にあるのであればそれをお示し願いたいと思います。
 また、企業局の職員は、企業局の業務に何十年と従事するということをこれまでの委員会での質疑、答弁の中で読んだんですけれども、そういった中で、民間企業の持っていないノウハウを企業局の職員の方が還元していくべきだと私は思っておりますが、企業局の職員の方というのは民間企業の方々との交流等はあるのかどうか、まずはお示し願います。
〇宮澤管理課長 企業局の持つ専門的知見、ノウハウの継承や人材育成についての市町村に対する取り組み状況でございますけれども、市町村に対します支援の例といたしましては、八幡平市が平成23年に小水力発電設備を設置いたしました際に、技術面や関係法令手続の面で支援を行ってございます。
 また、県内市町村や各種団体が参加しておりますいわて沿岸北部海洋再生可能エネルギー研究会や岩手県農業水利施設小水力推進協議会などにオブザーバーとして参加しておりまして、専門的な立場から情報提供や意見を述べてございます。一方、民間企業に対しましては、発電所の巡視点検等を業務委託する機会などを捉えまして、必要な技術指導を行うなど企業の育成に努めてございます。
 企業局といたしましては、今後とも、水力発電や風力発電に係るノウハウや経験を生かしまして、市町村が再生可能エネルギーを導入する際の助言等を積極的に行っていきたいと考えております。
 次に、民間企業との交流についてでございます。
 企業局の業務運営におきまして、現在、民間企業とともに、胆沢第三発電所の共同開発でありますとか仙人発電所の共同運転などに取り組んでおりまして、そうした機会におけます関係企業との会議や打ち合わせ、さらには、東北電力とのさまざまな協議の場などを通じまして、技術交流や情報交換等を日常的に行っているところでございます。
 また、職員の研修を目的といたしまして、財団法人新エネルギー財団等と人事交流を行っていた経緯もございますけれども、現在は、内部の人員体制の状況でありますとか派遣先の事情等からこちらのほうは行ってございません。
 いずれ、このような民間企業との交流の場を通じまして、今後ともお互いのノウハウや技術、そういった交流を図るなどいたしまして、職員の資質の向上に努めてまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 通告していたのと順番を変えながらなんですが、先ほどの質問に加えて、県内初の蓄電池併設型の風力発電がこれから設置されるということなんですけれども、これは電力変動の少ないものということで、環境生活部のエネルギー関係の職員の方からも、課題は何かという話をしたときに、電力変動の少ないもの、蓄電池式のものをいかに民間企業でも取り入れていけるかが岩手県のエネルギー産業がこれから発展していく鍵であるというお話も伺っているので、今回、県内初の蓄電池併設型というのは、大変重要な役割を企業局では担っていると私は思っておりますが、その蓄電池式の技術ノウハウの継承というのは市町村等にも今後されていくかと思いますが、その件に関しては、民間等にはどのようにこれから今後、継承というか人材育成も含めてされていくのか、もし予定とかありましたらお示し願います。
〇榎電気課長 蓄電池併設型の発電の技術継承というかノウハウの民間への継承についてですけれども、まず、高森高原の風力発電においては、先ほど委員も言われたとおり、従来の発電に比べて出力変動を小さくできる蓄電池併設型で計画していますが、これは、民間企業が東北電力の技術要件に合うように開発した技術を採用するものであります。ですので、運転開始後2年間にわたって検証したデータについては、民間も含めて広く活用できるものと考えております。
〇吉田敬子委員 民間の開発されたものを取り入れたということなんですけれども、今、エネルギーの分野でいろいろな民間企業がどんどん参入されて、これからもしていってほしいと思う中で、いかに蓄電できるかというのが課題になっている企業も多いようですので、ぜひそういったところを民間のほうにも還元していっていただけたらいいと思っております。
 先ほど、ほかの委員の方への答弁にもありましたが、今回のこういった新しい発電所を建設することで雇用は特に生まれないという話でしたので、雇用は生まれないけれども、技術をいかに民間に還元していくかというところに私は企業局の役割があると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、岩手県地球温暖化対策実行計画の中で再生可能エネルギーの高い導入率を示しているんですけれども、この目標に対して、例えば平成23年度までに、企業局として行ったもので具体的にはどれだけ再生可能エネルギーの導入率というものに貢献されているのかをお示し願います。
〇千枝経営企画課長 地球温暖化対策実行計画における再生エネルギーの導入目標に対する企業局の貢献についてでありますが、再生可能エネルギー導入目標に織り込まれていますのは、水力発電の胆沢第三発電所の1、500キロワットと胆沢第四発電所の160キロワットのみであります。これは、完成時点では水力発電の導入目標の90.7%に当たるものでございます。
 平成23年度時点ではまだ運転しておりませんが、今年度の12月に胆沢第四発電所を運転開始する見込みでありますし、さらに2年後に胆沢第三発電所を運転します。そういった段階でございますけれども、水力の導入目標の増加分の90.7%に当たります。
〇吉田敬子委員 加えて、導入率の中では90.7%という貢献をされているということだったんですけれども、じゃ、具体的には、CO2の削減目標のうち、どのくらい企業局としては目標が達成されているのか。今回の高森高原地区の計画の面を含めると、どのようにまた変わっていくのかをお示し願います。
〇千枝経営企画課長 地球温暖化対策実行計画におけるCO2の排出削減目標30%に対します企業局の貢献目標ですが、この計画について、30%のうち、企業局として貢献する割合というのは特に定められてはおりません。
 ただ、胆沢第三発電所、第四発電所のCO2の削減効果というのは年間4、762トン、あとは一戸町の高森高原地区における風力発電による効果は年間1万8、791トン、これを合わせまして2万3、553トンと試算しております。これは、県のCO2削減目標のうち、再生可能エネルギーの導入による削減量の5%に相当するものと見込んでおります。
〇吉田敬子委員 目標が定められていないということなんですけれども、もし可能であれば、県行政としてもCO2削減に貢献しているんだという意味で、県民に対してCO2削減を促すだけでなく、県自体もやっているんだというのを県民の方に見てもらうためにも、企業局が一生懸命やっている事業でCO2削減にどれだけ貢献しているかというのを県民の方にお示ししたほうが私はいいと思いますので、ぜひ今後、考えていただきたいと思います。
 最後になりますが、7月に導入された固定価格買取制度に伴いまして、これまでも県内での事業化の可能性について調査が行われてきましたが、その結果を踏まえて今後どのような事業展開をされていくのかということをお伺いいたします。
 先ほど、ほかの委員の方への御答弁の中で、太陽光のメガに関しては検討していきたい、地熱に関してはちょっと困難だろうということだったんですが、私は、具体的に木質バイオマス系も例えば県としては何か考えられているのかいないのか、その辺を伺います。
〇榎電気課長 これまでの企業局の調査結果ですけれども、企業局としては、固定価格買取制度の導入以前から、水力発電、風力発電については県内の数地点において新開発の調査検討を行ってきております。
 風力発電については、これまでの調査結果を踏まえて、今回の固定価格買取制度の創設に合わせて高森高原地区において事業の具体化に着手したところでございます。
 水力発電については、新規開発の胆沢第三、第四が現在建設中でありまして、これに続く地点としては、簗川ダムの水力発電やその他の地点について調査検討を行っているところでございます。
 なお、木質バイオマスについては、企業局としては特段取り組みを現在行っておりません。
〇吉田敬子委員 環境生活部関係の調査では結構木質バイオマスの有効性というのも出ておりますので、県として実際それが採算性が合うかどうかまた課題があるというのは伺ってはいるんですが、企業局として、全くゼロではなく、そこも可能性として持っていただきながらぜひこれから検討していっていただきたいと思いますし、一番最初の質問に戻りますが、企業局で行っている事業をいかに市町村や民間に還元していただけるかというのが私は大きな役割だと思っておりますので、引き続き、見える化という形で、CO2削減の件もそうですけれども、ぜひよろしくお願いいたします。御所見を伺って終わります。局長、お願いします。
〇青木企業局長 広くバイオマスまで含めて開発についてさらに検討を進めるべきではないかという御提言でございます。現状を申しますと、先ほども答弁申し上げましたが、風力発電、それから水力発電、今までのノウハウ、技術の蓄積のある部分、そういう強みの部分をしっかりと生かして、新規開発、大規模事業に今は取り組んでいきたいというような基本的な姿勢でございます。
 バイオマスにつきましては、実は燃料の材料といいますか、それらをどう安定的に確保するかとか、経営のためにはその辺の課題があると承知してございますが、そういったそれぞれのバイオマスの特性に応じた原材料の確保という面につきましては、それぞれの業界等、それぞれのエネルギーに精通した方々のノウハウ等を生かして進めていくというのが一番事業としては可能性が出てくるだろうと私どもとしては現時点で考えてございますし、県内でも、各地でそういった観点での検討の動きといいますか調査の動きがあると承知してございますので、県全体としては、そういった民間のバイオマスに対する開発の取り組みについても各部局が連携しながら支援しているという状況ですので、当面、私どもは、私どもの中心として考えている部分に傾注しながら進めていきたいという考え方で進めていきたいと思います。
〇城内愛彦委員 水力発電の取り組みについてお伺いします。
 新規水力発電の取り組みの状況についてお伺いするわけでありますが、私は宮古から通っているんですけれども、106号沿いを通るたびに簗川ダムの取りつけ道路がほぼ完成してまいりました。一番狭い谷合いのところにダム建設予定地の看板が立っているんですが、ボーリング調査などで大分動きが出てきたようであります。
 そこで、本年3月に県で策定した岩手県地球温暖化対策実行計画において再生可能エネルギーの高い導入目標を設定していると承知していますが、新規水力発電として、昨年11月、知事記者会見において、知事は、簗川ダムの水力発電の活用については企業局で検討するという他人事のような話をしているんですけれども、企業局では具体的に検討しているのか伺います。
〇菅峨業務課総括課長 簗川への取り組みということでございますが、東日本大震災津波により電力需給が逼迫したことを契機としまして、再生可能エネルギーに対する期待は高まっております。こういったことで、水力発電を取り巻く環境が大きく変わってきていると認識しております。したがいまして、簗川ダムの水力発電につきましても今後の開発候補地点の一つとして考えていまして、現在、資源エネルギー庁の新エネルギー等導入促進基礎調査事業を活用して調査を行っておりまして、事業化の可能性について検討を進めているところでございます。
〇城内愛彦委員 簗川ダム以外の箇所はどのようになっているでしょうか。
〇菅峨業務課総括課長 簗川以外の箇所につきましては、複数の河川で流況調査を行っておりまして、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の活用も勘案しながら、経済性等において有望地点があれば事業化の可能性について検討を行っていきたいと考えております。
〇城内愛彦委員 簗川ダムができるという最初のころ、私も市会議員でありまして、その当時、あそこの工事事務所に見学に行きました。その際に、ダムは治水と工業用水に使う目的でつくるんだという説明を受けたんですけれども、今日、そういう流れの中では、再生可能エネルギーとしての発電というのをやっぱりするべきだと思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。反対の人もあるというのは知っていますけれども、ぜひ強く進めていただきたいと思います。
 次に、現在、企業局が建設を進めている胆沢第三、第四ダム発電所において、先ほど来話に出ていますけれども、固定価格買取制度が適用になるかどうかをお伺いし、さらに、既設の水力発電所についてはどのようになっていくのかあわせてお伺いしたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 建設中の水力発電所への固定価格買取制度の適用についてでございますけれども、本年12月に運転開始を予定している胆沢第四発電所につきましては、東北電力に卸供給するということを前提に、本年3月に基本契約─これは運転開始から平成32年3月まで長期にわたって電力を供給するという契約になっています─を締結しまして建設を進めてきたところでございます。
 固定価格買取制度では、200キロワット未満の新規水力について、買い取り価格が1キロワットアワー当たり税抜きで34円、買い取り期間が20年間と設定されておりまして、この20年間に限って見れば、同制度を適用した場合、卸供給よりも経済性がよくなると見込まれております。しかしながら、胆沢第四発電所は若柳堰堤からの河川の維持放流を行う設備を兼ねているため、買い取り期間の20年を超えてさらに何十年も長期間にわたって運転を行う必要があります。また、一方で設備の稼働率が高いため、比較的短い周期での改修も必要になります。また、今の固定価格買取制度を終了した後の買い取り条件がどうなるかということは今の段階では不明でございます。こうした点や、東北電力とのこれまでの経緯を踏まえると、安定経営の面でリスクの少ない卸供給を前提に建設を進めていくことが得策と考えております。
 なお、卸供給であっても、運転に必要な経費や適切な事業報酬を確保できる見込みでありまして、事業運営上の問題は特にないと考えております。
 また、平成26年度に運転開始を予定している胆沢第三発電所につきましては、国が現在行っております電気事業制度の見直しに係る検討状況を注視しながら、運転開始までに判断することにしたいと考えております。
 次に、既設水力発電所の固定価格買取制度への移行ということですが、現在、既設の水力発電所につきましては、卸供給として長期的な基本契約を東北電力と締結しておりまして、卸供給料金算定規則に従った電気料金によりまして、安定した経営の持続と電力の供給が図られているところでございます。
 固定価格買取制度では、運転開始から20年未満の既設水力についても同制度の対象になったため、既設水力発電所のうち、運転開始から20年に満たない発電所─具体的には松川発電所、早池峰発電所、柏台発電所、北ノ又第三発電所でございますが─が制度の対象となりますけれども、残された買い取り期間が短いことや、発電所が小規模であるため、本制度から受けるメリットは少なく、経済性比較の一つの判断として、40年間で収支を見通した場合には卸供給が有利になると見込んでおります。このため、この4発電所につきましては、今後も卸供給による契約を継続していきたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 その辺の損益は、しっかりと収支等を見ながら、バランスをとりながら取り組んでほしいと思います。
 いずれ、本県の自然を生かした発電にはこれからも積極的に取り組んでいってほしいし、あわせて、本県は海に面していますので、ぜひ海を生かした発電のほうも検討していただきたいと思いますが、その辺の所見を最後にお伺いして終わりたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 沿岸地域の新規水力の取り組みができないかというお尋ねだと思いますけれども、沿岸地域の新規水力調査につきましては、過去に国で行った調査地点を対象に、取りつけ道路ですとか送配電線、利水状況とか河川の流況を平成23年度に調査したところでございます。この流況等の調査結果からは、発電に利用できる水量が少なく開発には厳しい面もあると考えてございますけれども、今後、地点を絞って補足的な調査を行いながら、基礎データをとりあえず蓄積して、可能なデータが得られるようであれば検討してまいりたいと考えてございます。
〇郷右近浩委員 私からは、岩手県工業用水道事業会計決算について若干お伺いさせていただきたいと思います。
 先ほど、工業用水の基本料金、その他については関根委員から質問がありまして、平成23年4月1日に改定ということで、その中でもぎりぎりの中で改定してきたということでお話しいただきました。しかしながら、北上の関根委員におかれましては、恐らく、いやもうちょっと安く設定してほしいということをかみ殺しながらの質問だったのではないかと思いながら、あわせてそういうことも可能になるかどうかという思いから質問させていただきたいと思います。
 といいますのは、今回、審査意見で、未売水対策の取り組みとして、入畑ダム工業用水道に係る水利権の一部売却を進めるなど経営努力が認められる、そうした意見が入っております。その中におきまして、先ほど冒頭での説明の中でも、一般会計からの支援を必要としないような経営を進めていくんだといったようなお話がありました。企業局では、入畑ダムの水源を農業用水源として東北農政局に有償譲渡するということで、以前より農政局と協議を進めてきたというようなことは覚えておりますけれども、その中で、譲渡が完了したということなのかどうかお伺いしたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 入畑ダムの水源転用に係る進捗状況についてでございますけれども、昨年9月1日付で締結しました入畑ダム共同施設の譲渡に関する基本協定書に基づいて手続を進めてまいりましたが、本年4月19日までに税込みで27億円余の譲渡対価が全て納付されまして、予定どおり5月1日に東北農政局への財産譲渡を行ったところでございます。
 なお、平成21年度から工事中であったため今回の譲渡から除いた入畑ダム堰堤改良事業終了後の資産につきましては─これは約8、800万円相当と見ておりますけれども─平成25年度に予定されている工事が終わった段階で譲渡するということにしております。
〇郷右近浩委員 これまで、工業用水道事業につきましては、資金繰りが本当に厳しい中での経営ということで続けてきていただいている中で、まずはそれでも平成21年には累積赤字解消、そしてその後の単価下げということで、非常に努力していただいた中で今回の転用対価である27億円、その部分につきましては、健全経営に向けた、これからどのようなステップを踏んでいくか、それに対しまして有効な財源だと考えるものであります。
 この部分につきましても、意見書のほうで、今後の経営に当たっては、長期経営方針に基づいた取り組みを着実に実行することによって工業用水の安定的な供給を行うとともに、県企業誘致担当部局との連携を図りながら新たな需要を開拓するなど、県内産業経済の発展に寄与することを期待するといったような意見が付せられているわけでございますけれども、この転用対価を今後どのように活用して、そして県勢の発展のために生かしていこうとしているのか、そしてまた、それを入れた中での今後の経営見通しについてもあわせてお伺いいたしたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 転用対価の活用についてでございますけれども、入畑ダムの転用対価は27億3、000万円余でありますけれども、このうち消費税の納付に1億2、000万円余、国庫補助金の返還金に6億6、000万円余、企業債の繰り上げ償還金に1億3、000万円余、それから、先ほど出ました料金の値下げと二部料金制度導入に伴います減収の補aX財源ということで4億4、000万円余を予定しております。
 残りの13億6、000万円余につきましては、施設や設備が30年以上経過しまして老朽化が進んでおります。特に配管につきましては、更新にあわせて耐震化を進める必要があるため、これらの更新費用等の資本的支出の財源に充てる予定でございます。
 また、今後の経営見通しについてでございますけれども、収益的収支については、平成24年度の水源転用によりまして一時的に固定資産売却損による欠損金が発生しますが、おおむね3年程度で解消される見込みでありまして、その後は安定的な黒字経営を維持できる見込みでございます。資本的収支につきましても、入畑ダム水源転用後は、資金不足が生じない安定経営ができる見込みであります。
 今後の経営に当たりましては、先ほどの転用対価を有効に活用しながら、一般会計や他会計からの支援を要しない自立経営の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
〇郷右近浩委員 今回、ある意味どこかのターニングポイントになって、またここから経営という面でしっかりしていただいて、それが岩手の工業でありさまざまな形の企業誘致であり、そうしたものに結びついていっていただきたいという思いでございます。そうした意味で、企業局長からその考えをいただきまして終わりたいと思います。
〇青木企業局長 今年度は、ただいま御説明申し上げましたとおり、入畑ダムの譲渡に伴う収入が見込まれるという、私ども工業用水道事業会計にとっても、ターニングポイントとなる、今おっしゃったようなそういう年度でもあると思っておりまして、そういう意味では、今年度は工業用水道事業会計の自立元年であると私は考えております。
 そういった観点で、今後の安定経営のためにしっかりと取り組むという出発点の年だろうと考えておりますが、工業用水は、申し上げるまでもなく、企業の活動の根底を支える、電気とともに水が工業の生産を支えるという貴重な役割を持っておりますが、それを安定的にきちんと供給していくということがこれからもますます重要になってまいります。そのためにも、老朽化してきている施設設備を計画的に更新しながら、事故があってとまるとか、そういうことがないようにしっかりと安定供給を進めていく、そういった取り組みをこれからしっかりやって岩手県の産業経済をしっかり支えていくということで役割を果たしていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 私も、最初に、一戸町の高森高原の風力発電の開発についてお聞きします。
 今回の開発計画、私も歓迎したいと思います。久々の前向きのこれは取り組みだと。
 そこで、若干懸念することをお聞きしたいんですけれども、風況調査を見ますと、平均で6.0メートルと。5月から10月は6メートルを下回っているんですね。本当にこれで大丈夫なのかということを一つお答えいただきたい。
 二つ目に、環境調査ですけれども、本格的な環境アセスはこれからですが、これまでも猛禽類の調査とか電波調査とか騒音調査などもやられているようですが、その内容について示していただきたい。
〇榎電気課長 まず、高森高原の平均風速ですけれども、年平均で毎秒6.0メートルということで、一応6.0メートルがちょうど風力開発の場合、開発できる目安と言われております。ただし、この6メートルというのは、実は平成12年から1年間、観測高30メートルの高さで風況観測したものでございまして、現在は風車が大型化しておりますので、来年度からは観測高60メートル程度でまた風況調査を実施しまして、データの精度を高めていきたいと考えております。
 環境影響調査の関係ですけれども、平成14年度から平成17年度までは猛禽類調査、あと、委員が言われたとおり、電波調査など簡易な環境調査を行っております。猛禽類についてはノスリとかクマタカが見られましたけれども、建設には問題がないということで判断しております。
〇斉藤信委員 クマタカはレッドデータブック掲載ですから、ひとつここは慎重にやっていただきたい。葛巻町の場合もかなり風車の距離を置いてそうした対策をとったということもありましたので、これは慎重にひとつ、今後、環境アセスでやると思いますが、対応していただきたいと思います。
 次に、収支の見通しを私もお聞きしたいんですが、20年間の収支の見通しはどうなるのか。その際、いわば固定価格買取制度の価格はどう設定して試算しているのか、いかがですか。
〇榎電気課長 まず、20年間の運転の収支の見込みですけれども、収益は約200億円、営業費は約181億円、累積損益で約19億円の黒字を見込んでおります。
 固定価格買取制度の単価を採用するわけですけれども、国ではこれを毎年見直しするということで、現在の収支見通しでは、ある程度単価の低下を見込んで採算性を検討しております。今後のことになりますけれども、実際の収支については、今後、事業費の精査を行うとともに、買い取り単価の変化を見ながら経済性を再確認していきたいと考えております。
〇斉藤信委員 今後の開発のプロセスですけれども、環境アセスに3年程度かかると。そして、蓄電池併設型の風車ということですから、この事業者の決定はどうするのか、そして、その維持管理はどういうことを考えているのか。日本の技術では対応できないのかどうか、そのことをお聞きしたい。
〇榎電気課長 まず、風力発電設備の調達というか導入ですけれども、これは現在、どこの会社のものを使うかというのは未定でございます。日本製の風力発電設備については、特に大きな問題が発生しているとかは聞いておりませんので、日本の風力発電の技術水準は高いものではないかと認識しております。
 それから、建設が終わった後の点検とかですけれども、発電機本体については、機械自体が技術の塊、ハイテク機器の塊になっていますので、そこについては製作メーカーとか代理店等に委託せざるを得ないものと考えておりますが、設備の簡易な巡視とか、送電線も設置しますので、そういう設備の巡視については地元の電気工事会社とかに委託できるのではないかと考えております。
〇斉藤信委員 立ち入ってお聞きしたいのは、事業者の決定のプロセスなんですけれども、環境アセスが3年ということですから、どの時期に、例えば入札なのかプロポーザルなのか、どういうことを考えているのかお聞きしたい。
 それと、稲庭高原風力発電は外国製でしたね。今でも落雷でやられて、修理に何カ月かかかるという状況になっているんですが、今あれなんですか、落雷対策で対応できるという技術レベルになっているのかどうか。なっているんだとすれば、なぜ稲庭高原は対応できないのか、このことをお聞きしたい。
〇榎電気課長 導入する機器のメーカーの時期ですけれども、まずは事業の基本設計を行いまして、事業費等を精査して、その後に、機種。企業局の場合は、風力発電機器、どこの風車を採用するかについては、企業局で機種選定委員会というものを設定しておりまして、そこで審議して決めることにしております。ですので、それでいきますと、先ほど言いましたように、基本設計が終わった後にその選定委員会を開いて機種のメーカーを決めて、それからメーカーに発注するというプロセスになると考えております。
 稲庭高原の雷の被害ということですけれども、建設した当時には、あの地点で、今我々が受けている雷被害があると正直申し上げてどなたも理解していなかったのかなと考えております。稲庭高原については、機械を全部取りかえて雷対策をすれば一番よろしいんでしょうけれども、それでは物すごく事業費がかかるということで、それぞれできる対策をしてきております。
 一つは、まずは、機械がもともと外国製の機械だったものですから、非常に日本の風には合わなかった機械ということで、電気関係ですけれども、制御装置とか直流交流変換装置は全て国産のものに取りかえてございますし、あと……
〇小野共委員長 申し上げます。答弁は簡潔にお願いいたします。
〇榎電気課長(続) 落雷警報装置を設置したりブレードの先端を耐雷化したりしております。
〇斉藤信委員 これで最後です。
 先ほど、簗川ダムの水力発電という話がありました。簗川ダムの水力発電は当初の計画にあって、これはやめたんですね。やめた経過を示していただきたい。
 私は、もう簗川ダム、そんなものを本当に見直すべきだと思っています。これは100年たったら大変な廃棄物になってしまうんですよ。その撤去費用もかかるんですよ。だから、まず、簗川はやめたんですから、やめた経過は何だったのかということを示していただきたい。
 もう一つは、工業用水道事業についてですが、先ほど、工業用水の転用の売却益が27億円だったと。3月の予算特別委員会のときには22億800万円という形で内訳も聞いたんですが、これが27億円になったというのはどういうことなのか。
 それと、これは全体の貯水容量で何%を占めるのか。恐らく北上工業団地、その他で活用できなかったために余ったと。災い転じて福となすですから結果としてはオーライなんですが、そういう過大投資の状況があったのではないか。これだけ聞いて終わります。
〇菅峨業務課総括課長 まず、簗川発電をやめた経緯ということでございますけれども、実は、平成5年3月に、企業局が発電事業者ということで簗川ダム建設事業に関する基本協定を締結したわけですけれども、その後、平成15年、10年近くたって、企業局は簗川ダムから発電撤退を表明しております。
 その理由といいますのは、電力小売の部分自由化というので当時競争激化が予想される中で、ダム完成までに相当の期間がある簗川につきましては、東北電力から開発同意が得られる見込みがないと。これはさまざま何回も協議は重ねたわけですが、そういった事情で撤退を一時表明したということでございます。
 それから、工業用水道でございますけれども、水源転用の譲渡対価につきまして27億3、000万円というのは税込みになっていまして、この辺は、先ほども説明しましたただいま改良工事をやっている部分については除いていますので、以前、幾らと申し上げたかちょっと覚えておりませんけれども、その辺の差が出ておるのかもしれません。
 水源転用に係る部分というのは、入畑ダムの私どもの水利権は5万2、000トンでして、そのうちの3万5、000トン、6割ちょっとという値になります。
 それから、余ったということは見通しが甘かったということかと思いますけれども、それにつきましては、工業水道というのは、企業誘致の前に整備するために、将来の企業立地をある程度予測しながらその規模を設定いたしますので、実際は計画水量と契約水量の乖離が生じたということで、予定していた企業になかなかいらしていただけなかった、こういったことで乖離が生じたものと認識してございます。
〇小野共委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑をこれで終わります。
 企業局の皆さんはお疲れさまでした。
 次に、10月15日の総括質疑におきまして、及川あつし委員、伊藤勢至委員及び斉藤信委員からそれぞれ申し出のあった花泉診療所の事案に関して参考人の出席を求める件について、10月15日、17日、18日及び本日、開催いたしました世話人会の協議結果を報告いたします。
 初めに、斉藤信委員から申し出のありました、知事からの電話を受けたと証言した女性、また、伊藤勢至委員から申し出のありました、花泉診療所を訪れたという北海道の日本共産党の職員及び一関市花泉町で街宣活動を行ったという日本共産党の職員については、いずれも参考人として出席を求めないとの結論に至りました。
 次に、及川あつし委員から申し出のありました、医療法人白光理事、社会福祉法人七星会理事長橋本堯夫君につきましては、参考人として出席を求め、花泉地域診療センター民間移管の経緯等についてとし、特別委員会室で、10月24日水曜日、午前9時から審査等を行うべきとする意見が大方ではありましたが、参考人の出席を求める必要はないとの意見もあり、結論に至らなかったところであります。
 以上のとおりでありますので、御了承願います。
 これより、世話人会の協議において結論に至らなかった、橋本堯夫氏を参考人として出席を求めることについて採決を行います。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木順一委員 医療法人白光の会長、社会福祉法人七星会の理事長橋本氏の参考人招致の賛否を諮る前に、委員会としてやるべきことがあるとの立場から動議を提出させていただきます。
 すなわち、委員会としての事前調査の必要性であります。その理由は、一般的な参考人招致は、有識者などを議会に招致し、専門的知見を深めるために導入されているものと理解しておりますが、今回の橋本氏の参考人招致につきましては、本来のあり方とは質を異にするものであります。
 例えば、招致を求める理由の一つに、選挙期間中における知事の政治資金の授受の問題がありましたが、結果として返還されていたことを報道を通じ橋本氏みずからが明らかにしております。このこと一つとってみても、橋本氏の発言は正確さに欠け、意図的なものがあることは排除できないところであります。図らずも橋本氏の発言に一貫性がないことについては、たびたび橋本氏と交渉を行ってきた医療局長みずからが昨日の集中審議の場で認めているところでもあります。
 一方、今回の参考人招致は、専ら事実関係などを確認するために実施しようとするものでありますが、このような参考人招致は、慎重の上にも慎重を期し、抑制的に対応することが本来の議会のあり方であり、仮に行う場合には、国会では通例となっておりますが本岩手県議会の特別委員会は初めてのことでありますが、いずれにしろ全会一致でもって出席要請を行うべきものと考えます。この状態のまま、評価が定まらない橋本氏の参考人招致に採決でもって一直線に突き進むことは、議会の品位をみずから汚すことになりかねず、極めて憂慮するものであります。
 ついては、橋本氏の参考人招致を決定する前に、委員会として事前調査を行うことを提案するものであります。例えば、委員会として事前に橋本氏に聞くべき事柄を各会派から聴取し、それを整理し、正副委員長などが委員会を代表して橋本氏と面会、聞き取りを行った上で、その結果を委員会に報告し、その上で橋本氏を委員会に招致するか否かの最終判断を下すべきものと思います。
 なお、昨日の審査では、執行部は、これまでの対応を踏まえると、法人側に対する聞き取り調査の必要性はないとのことでありましたが、橋本氏に対し当委員会が事前調査を行う以上、調査内容の客観性を見きわめるためにも、法人側に対する調査の実施を委員会として執行部に要請することもあわせて提案するものであります。
 以上、審査に慎重さを期すために、採決でもって直ちに橋本氏の参考人招致を行うことには反対するものであり、先ほど申し述べました結果を踏まえて橋本氏の委員会招致の要否の最終判断を行うべきことを重ねて申し上げ、動議といたしたいと思います。
 よろしく委員長、お取り計らいのほどお願いいたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 佐々木順一委員に確認いたします。ただいまの動議につきましては、花泉診療所の事案について、事前に参考人としようとする者に対し予備的な調査を実施するとともに、医療局としての調査も実施させ、それらの結果を踏まえて参考人の出席を求めることの可否を決定すべきという内容でよろしいですか。
〇佐々木順一委員 はい、そのとおりであります。よって、動議が提出された以上、委員長のもとで議題化に向けて手続を進められるよう重ねてお願い申し上げます。
〇小野共委員長 ちなみに、動議としての賛同者はいらっしゃいますね。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 ただいま、佐々木順一委員から、花泉診療所の事案について、事前に参考人としようとする者に対し予備的な調査を実施するとともに、医療局としての調査も実施させ、それらの結果を踏まえて参考人の出席を求めることの可否を決定すべきとの動議が提出されましたので、本動議を直ちに議題とし、採決いたします。
 お諮りいたします。本動議を可とすることに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇小野共委員長 起立少数であります。よって、ただいま佐々木順一委員から動議のありました、花泉診療所の事案について、事前に参考人としようとする者に対し予備的な調査を実施するとともに、医療局としての調査も実施させ、それらの結果を踏まえて参考人の出席を求めることの可否を決定すべきとの動議は、否とすることに決定いたしました。
 では、及川あつし委員から申し出のありました、花泉診療所の事案に関して参考人の出席を求める件について、地方自治法第110条第5項において準用する同法第109条第6項の規定に基づき、医療法人白光理事、社会福祉法人七星会理事長橋本堯夫氏に参考人として出席を求め、意見を聞くことに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇小野共委員長 起立多数であります。よって、花泉診療所の事案に関して参考人の出席を求める件について、医療法人白光理事、社会福祉法人七星会理事長橋本堯夫氏に参考人として出席を求め、意見を聞くことに決定いたしました。
 なお、委員会条例第27条の2の規定に基づき、参考人の出席を求める日時は、平成24年10月24日水曜日、午前9時、場所は、当特別委員会室、意見を聞こうとする案件は、花泉地域診療センターの民間移管の経緯等についてとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員 ちょっと質問させていただきたいと思います。
 今、委員長のほうからお諮りがありました9時からという部分でございますけれども、当日は県土整備部の部局別審査が10時から控えておりますが、1時間でその質疑が終わるという日程で進めると。終われるということで了解してよろしいんでしょうか。
   〔「世話人会で協議済みです、その件は」と呼ぶ者あり〕
〇郷右近浩委員 委員長に聞いているんです。
〇小野共委員長 世話人会で協議の結果は、世話人を通じて各会派のほうに報告しておりますとおりであります。おおむね1時間で終わらせる予定ということでございます。
 ほかにありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 意見を聞こうとする案件は、花泉地域診療センターの民間移管の経緯等についてとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時37分 散 会

前へ 次へ