平成24年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成24年10月15日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    小 原 敏 文
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主任主査    葛 西   貢
  主任主査     村 上   聡
  主査    藤 澤 壮 仁
  主査      藤 枝   修
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事    上 野 善 晴
  副知事    千 葉 茂 樹
  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    田 村 幸 義

  秘書広報室長   稲 葉 比呂子

  総務部長    加 藤 主 税
  総務部副部長兼
  総務室長    根 子 忠 美
  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治

  政策地域部長   中 村 一 郎
  政策地域部副部長
  兼政策推進室長  木 村 卓 也
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長  佐々木 幸 弘

  環境生活企画室
  企画課長    伊 勢   貴

  保健福祉企画室
  企画課長    高 橋 勝 重

  商工企画室
  企画課長    木 村   久

  農林水産企画室
  企画課長    高 橋 昭 雄

  県土整備企画室
  企画課長    及 川   朗

  理事兼復興局
  副局長    高前田 寿 幸
  復興担当技監   蓮 見 有 敏
  復興局企画課
  総括課長    森   達 也

  経営管理課
  総括課長    熊 谷 泰 樹

  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 門 口 正 雄
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦
〇小原議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっておりますので、年長の委員を御紹介申し上げます。
 出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 佐々木大和委員、どうぞ委員長席に御着席を願います。
   〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 おはようございます。
 ただいま御紹介いただきました佐々木大和でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、ただいまから決算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長の互選の職務を行います。
 お諮りいたします。委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法によりたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職において指名することにいたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別委員長に小野共君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名した小野共君を決算特別委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました小野共君が決算特別委員長に当選されました。
 ただいま当選されました小野共君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 小野委員長、委員長席にお着き願います。
   〔決算特別委員長小野共君委員長席に着く〕
〇小野共委員長 ただいま委員各位の御推挙によりまして、決算特別委員長に御指名をいただきまして、大変光栄に存じておる次第でございます。
 委員各位の御協力によって責務を全うしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 お諮りいたします。副委員長の互選の方法につきましては、指名推選の方法により行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 御異議なしと認めます。よって、互選の方法は指名推選によることと決定いたしました。
 お諮りいたします。指名推選の方法につきましては、当職におきまして指名することにしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 御異議なしと認めます。よって、当職において指名することに決定いたしました。
 決算特別副委員長に岩崎友一君を指名いたします。
 お諮りいたします。ただいま当職において指名いたしました岩崎友一君を決算特別副委員長の当選人と定めることに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 御異議なしと認めます。よって、ただいま指名いたしました岩崎友一君が決算特別副委員長に当選されました。
 ただいま当選されました岩崎友一君が会議室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 岩崎副委員長、御挨拶をお願いいたします。
〇岩崎友一副委員長 ただいまは、副委員長に選出いただきましてまことにありがとうございます。
 委員長を補佐いたしまして、委員会の円滑な運営に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇小野共委員長 お諮りいたします。当決算特別委員会に付託されました決算15件及び議案2件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日から19日まで、22日から24日までの8日間は、会計管理者及び関係部局長の説明を求め、質疑を行うこととし、決算15件及び議案2件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、10月24日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、4日目の保健福祉部及び医療局の部局別の審査に際し、花泉診療所の事案を、それぞれの部局審査の後、別に保健福祉部及び医療局双方の関係職員の出席を求めて審査をすることとし、また、7日目の農林水産部の審査につきましては、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成23年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成23年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、並びに議案第56号及び議案第57号の以上17件を一括議題といたします。
 これより会計管理者に決算の総括説明を求めます。
〇菅原会計管理者 おはようございます。それでは、私のほうから平成23年度歳入歳出決算の概要について御説明申し上げます。
 お手元に平成23年度歳入歳出決算書、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書など8件の法定書類のほか、決算調製資料を補完するための説明資料として歳入歳出決算説明書をお配りしております。
 まず、決算の概況について、便宜、この平成23年度歳入歳出決算説明書に基づき御説明させていただきます。
 それでは、歳入歳出決算説明書の1ページをお開き願います。第1平成23年度歳入歳出決算の概況、1決算の状況についてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け全力で取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進するために編成された平成23年度の歳入歳出予算に係る決算の状況は、次のとおりでございます。
 まず、平成23年度一般会計当初予算は骨格予算として6、815億9、877万円が措置され、前年度の当初予算に比べまして171億6、821万円、2.5%の減となっております。
 また、この当初予算に、東日本大震災津波への対応として急遽編成した4月補正予算におきまして、災害救助、応急仮設住宅の整備、災害廃棄物処理など緊急に対応が必要な経費を措置するとともに、6月補正予算以降におきまして、産業の復旧、復興や被災した公共施設の復旧並びに国の交付金等を活用した震災復旧、復興関連基金の造成などに8、508億8、128万円の増額補正が行われたところでございます。これに、前年度からの繰越額479億7、341万円を加えた結果、最終予算額は1兆5、804億5、346万円となり、前年度に比べますと8、172億2、800万円、107.1%の増となったものであります。
 次に、歳入についてでありますが、46ページ及び47ページをお開き願います。第2表一般会計歳入決算状況をごらん願います。
 まず、収入済額は表の区分の上の平成23年度の収入済額(A)の下の合計の欄でございますが、収入済額は1兆3、488億2、595万円余で、前年度と比べますと表の右側、47ページの中ほどの比較増減額(A)-(B)の下の合計の欄でございますが6、118億7、898万円余、83.0%増加し、予算現額に対しまして85.3%、対予算収入率の合計の欄でございますが、調定額に対して98.4%の収入率となっております。
 なお、収入未済額は205億8、953万円余で、前年度に比べまして22億1、735万円余増加いたしましたが、この収入未済額の主なものは諸収入でございます。
 次に、歳出についてでございますが、少し飛びまして、54ページ及び55ページをお開き願います。第7表一般会計歳出決算状況でございます。
 支出済額は1兆2、539億7、382万円余で、前年度に比べますと5、568億6、355万円余、79.9%増加し、予算現額に対する支出済額の割合、対予算執行率というところがございます、その合計欄でございますが、79.3%となっております。また、翌年度繰越額は2、778億9、654万円で、前年度に比べまして2、299億2、312万円余増加いたしましたが、この繰越額の主なものは災害復旧費であります。
 なお、不用額は485億8、309万円余で、前年度に比べまして304億4、132万円余増加しております。
 次に、実質収支の状況についてでありますが、少し戻っていただきまして、44ページ及び45ページをお開き願います。
 第1表一般会計及び特別会計決算状況の表中、一般会計の欄に記載のとおり、一般会計の歳入決算額は1兆3、488億2、595万円余、歳出決算額は1兆2、539億7、382万円余であり、歳入歳出差引額は948億5、212万円余となったものであります。
 また、歳入歳出差引額(A)から翌年度へ繰り越すべき財源(B)809億696万円余を差し引いた実質収支額(C)でございますが、139億4、516万円の黒字となっております。
 次に、一般会計の決算の特色についてでありますが、1ページに戻っていただくようお願いします。1ページ中ほどの2決算の特色のところをごらん願います。
 一般会計の決算の特色といたしましては、第1には、(1)のところでございますけれども、決算の規模が前年度を大幅に上回り過去最高となったことであります。決算規模は、歳入におきましては、国庫支出金、地方交付税等の増加により、前年度を6、118億7、898万円、83.0%上回り、歳出におきましては、民生費、総務費等の増加により、前年度を5、568億6、355万円、79.9%上回ったものでございます。
 第2には、依存財源が大幅に増加したことであります。依存財源が増加した要因といたしましては、災害救助負担金や震災復興関連基金の造成に係る交付金等の増により、国庫支出金が前年度に比べ3、136億8、655万円、296.1%増加したこと、また、震災関係の特別交付税の増や新たに創設された震災復興特別交付税により、地方交付税が前年度に比べ1、621億4、580万円、71.3%増加したこと、このような要因によりまして、依存財源は前年度に比べ4、509億342万円、95.3%増加しております。この結果、歳入総額に占める割合は、依存財源が前年度より4.3ポイント増加し68.5%に、自主財源が同4.3ポイント減少し31.5%となっております。
 第3の特色といたしましては、投資的経費の伸び率が大幅に増加したことであります。投資的経費は、震災により大きな被害を受けた漁港や土木施設等の整備費や災害復旧費の増加により、前年度に比べて1、462億4、097万円、139.3%増加しております。このことにより、歳出総額に占める投資的経費の構成割合は20.0%と、前年度に比べ4.9ポイント増加しております。
 続きまして2ページをお開き願います。一方、義務的経費は、歳出総額が大幅に増加する中、人件費の抑制等によりまして、前年度に比べ39億4、453万円、1.3%の増加にとどまっております。このことにより、義務的経費の構成割合は25.2%と、前年度の44.7%から19.5ポイントと大幅に減少しております。
 なお、その他の経費といたしましては、震災復興関連基金の造成等により、積立金が前年度に比べ2、753億6、429万円と大幅に増加しております。
 第4には、翌年度繰越額が大幅に増加したことであります。翌年度に繰り越した金額は、繰越明許費繰越額が、震災対応の災害復旧費等におきまして計画調整等に不測の日数を要したこと等から2、764億3、321万円となり、前年度に比べ2、423億6、902万円と大幅に増加しております。
 一方、事故繰越額は、補助事業等において震災の影響により事業の実施が遅延したこと等によりまして14億6、333万円となり、前年度に比べ124億4、589万円、89.5%減少しております。これによりまして、繰越額全体では2、778億9、654万円と、前年度に比べ2、299億2、313万円、479.3%増加しております。
 第5には、県債発行額、県債残高がともに減少したことであります。県債発行額は、臨時財政対策債の減などにより、前年度に比べ247億8、054万円、21.0%減少しております。
 なお、県債の発行額が県債償還に充てられる公債費の元金償還金を下回ったことから、平成23年度末の県債残高は1兆4、574億4、810万円となり、前年度に比べ36億4、607万円、0.2%減少しております。
 以上、一般会計の特色を申し上げました。
 次に、特別会計の決算について御説明申し上げます。少し飛びまして、35ページをお開き願います。第3特別会計の決算状況をごらん願います。特別会計歳入歳出決算収支の状況の表により御説明申し上げます。
 母子寡婦福祉資金特別会計など11会計の歳入総額は2、335億9、531万円余であり、前年度に比べ603億4、280万円余の増となりましたが、その主なものは、公債管理特別会計の増などであります。また、歳出総額は2、231億8、473万円余であり、前年度と比較して547億6、530万円余の増となりましたが、その主なものは、公債管理特別会計の増などであります。
 なお、実質収支は、各会計とも黒字または収支均衡となっております。
 以上で決算の概要説明を終わらせていただきますが、決算内容の詳細につきましては、審査日程に従いまして、それぞれ担当の部局長から御説明申し上げることとなっております。
 なお、監査委員から御意見のありました事項につきましては、関係部局において所要の措置を講じているところでございます。
 よろしく御審議くださいますようお願い申し上げて、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
〇小野共委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づきまして、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うこととなっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主党が31分、次に、自由民主クラブが29分、次に、希望・みらいフォーラムが25分、次に、地域政党いわてが13分、次に、社民党が11分、次に、日本共産党が9分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属清水恭一委員、無所属小泉光男委員、無所属佐々木茂光委員の順に、それぞれ7分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の委員が質疑をすることができること。この場合におきましては、会派として続けて行うこととなっておりますので、御了承をお願いいたします。
 なお、総括質疑は、あす遅くとも正午までに終了することを目途とすることにしたいと思っておりますので、皆様の御協力をお願いしたいと思います。
 これより総括質疑に入ります。高橋昌造委員。
   〔高橋昌造委員質問席に着く〕
〇高橋昌造委員 おはようございます。このたび、京都大学の山中伸弥教授が、ノーベル医学生理学賞を御受賞なされたことに対しまして、国民の一人として心からお喜びを申し上げるとともに、お祝いを申し上げる次第であります。
 それで、この御受賞をきっかけに、難病などで苦しんでおられます方々に、一日も早い希望の光が当たりますように切に願うものであります。
 それでは、通告に従いまして、順次、質問をさせていただきます。
 まず、いわて県民計画アクションプランについてお伺いをいたします。
 今定例会に提出された平成23年度の主要施策の成果に関する説明書を見ますと、75.3%の指標がおおむね達成以上という結果になっており、県当局の御努力を評価いたしたいと思います。
 そこでお伺いしますが、第1期アクションプランの成果などをどのように総括して評価しているのでしょうか。
 また、ことし1月に策定した第2期アクションプランに現在取り組まれているわけですが、この第1期の総括や評価を、第2期の政策の見直しや評価の実施方法の改善などにどのように反映させているのか、お伺いします。
〇達増知事 第1期アクションプランの総括等についてでありますが、第1期アクションプランの最終年度である平成22年度の政策評価では、おおむね順調以上の項目が全体の54.8%と半数を超え、医療・子育て・福祉の分野では、地域密着型の介護サービス拠点の整備等の取り組みが、また、社会資本・地域交通・情報基盤の分野では、幹線道路ネットワークの構築等の取り組みがおおむね順調に進むなど、厳しい社会経済情勢の中でも成果を上げたところであります。一方で、産業・雇用分野では、世界同時不況等の影響により製造品出荷額が落ち込み、また、環境分野では、費用負担を伴う再生可能エネルギーの導入が計画どおり進んでいないなどの課題も見られたところであります。
 こうしたことも踏まえて、第2期アクションプランは、第1期プランの評価で明らかとなった課題を各政策の具体的推進方策に反映させるとともに、東日本大震災津波からの復興を初め、本県を取り巻く環境の変化等に的確に対応すべく策定をいたしました。
 具体的には、再生可能エネルギーの導入や防災力の向上を政策推進目標の柱として新たに位置づけるとともに、第1期プランでおくれが見られた産業・雇用分野では、中小企業の経営力の向上の視点を特に出すなど、取り組みを強化したところであります。
 また、政策評価の方法についても、評価が次年度の政策形成や予算編成にどのように結びついたのかをよりわかりやすくすることで、プランのより着実な推進につながるよう、評価結果を予算編成前に公表する仕組みに変更するなどの改善を行ったところであります。
 今後においても、政策評価を通じたPDCAのマネジメントサイクルを確実に機能させていわて県民計画を着実に推進し、震災からの復興、さらには希望郷いわての実現に向けて全力で取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 政策評価は、言っていること、例えば知事演述のことと、そしてやっていること、今度の決算での一致度なわけですが、そこでアクションプランの関係でございますが、費用対効果で捉えた場合はどうなのか、お伺いいたします。
〇中村政策地域部長 アクションプランに係る費用対効果のお尋ねでございます。
 これまで、いわて県民計画に掲げております希望郷いわての実現を目指しまして、重点的、優先的に取り組む政策につきまして、アクションプランとして定めて施策の着実な推進を図ってきたところであります。
 その推進に当たりましては、財政状況が厳しい中で計画の実効性を高めるため、政策評価また事務事業評価を毎年度実施いたしまして、施策、事業の内容や効果を十分に検証して適宜見直しを行い、効果的、効率的な推進に努めてきたところでございます。
 それぞれの個別の事業につきまして、事務事業評価の中で具体的にその効果がどうだったのか、そういったことを十分に検証しながら、翌年度の予算のほうに反映をさせているといったような取り組みを進めてきたところでございます。
 今後とも、財源が限られる中で、政策評価を通じたPDCAのマネジメントサイクルを確実に機能させていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 平成23年9月定例会における知事演述におきまして、本県人口の社会減に歯どめがかかったという、そして一定の成果を得ることができたと述べられておりますが、しかしながら、岩手県毎月人口推計速報によりますと、9月1日現在の推計人口が、前年の9月と比較して9、490人の減となっておりまして、大幅な人口減少が続いております。いわて県民計画にも影響を及ぼすのではないかと思いますが、県として、本県の人口減少の現状や課題をどのように認識し、今後、どのように対応していこうとしているのか、お伺いいたします。
〇中村政策地域部長 人口減少についてでございます。
 本県の人口につきましては、出生数が死亡数を下回る状況にあることや、縮小傾向にあるものの、県外への転出者が転入者を上回る状態が続いておるほか、今後は東日本大震災津波の影響により、さらに人口減少が進むものと懸念をされてございます。
 人口の減少につきましては、地域経済の規模縮小や若年層の減少による活力の低下をもたらし、中山間地域でありますとか、被災地を中心にコミュニティの維持が困難になるということが危惧をされております。
 こうしたことから、県民計画の第2期アクションプランにおきましても、特に人口の社会減を減らすことを政策推進目標として掲げてございまして、産業振興による雇用の場の拡大や、復興を担う人材の誘致による定住の促進などに取り組んでいるところでございます。
 また、少子化対策といたしまして、安心して子どもを産み育てられる環境の整備や、仕事と子育ての両立支援等にも取り組んでございます。さらに、今年度におきましては、県の総合計画審議会の中に人口検討部会を設置いたしまして、本県の人口減少、少子高齢化を踏まえました課題や今後の対応について御審議をいただいているところでございます。そういった議論も踏まえまして、今後の人口減少問題へのさらなる対応につきまして、県としても検討してまいりたいと考えてございます。
〇高橋昌造委員 本年2月の定例会における知事演述におきまして、希望郷いわての実現に向け、県民とともにオール岩手による復興を強力に推進していく決意であると述べられておりますが、今年度、事業を進めながらさまざまな課題も見えてきていると思います。
 そこでお伺いしますが、いわて県民計画を初めとして、県民からのさまざまな御意見や御提言があるわけでございますが、今後の県政運営にどのように反映してまいるのか、お伺いをいたします。
〇稲葉秘書広報室長 県民からの御意見や御提言の反映についてでございますが、平成24年1月から9月までに、205件の御提言等をいただいているところでございます。
 その内容といたしましては、瓦れきの処理に関するものが36件と最も多い状況でございます。そのほかには、職員の接遇等に関するものが33件、放射線量の測定あるいは農林水産物の放射線検査等に関するものが17件、県施設の管理に関するものが14件、鉄道の復旧に関するものが13件など、さまざまな御提言をいただいているところでございます。
 寄せられました御提言につきましては、担当部においてどのように対応するのか検討をし、その結果を提言者に回答しているところでございます。
 本年1月から9月までに寄せられました205件の提言等の県政への反映状況についてでございますが、提言の趣旨に沿った対応、または実現に向けた取り組みが行われているものは約6割、106件ほどございます。
 具体例といたしましては、ごく一部でございますが、瓦れきの処理に関する提言については、海底に沈む瓦れきの処理を行ったことや、放射線量の測定に関する提言については、山菜を含め農林水産物の検査の実施と、その結果の迅速な公表などを行うというような対応をしているところでございます。
 また、当面は実現が難しいとされたものが約3割ほどございまして、その具体例といたしましては、瓦れきの広域処理を行わないでほしいというような意見などがあるところでございます。
 なお、仮設住宅を被災者以外へ賃貸で貸し出し、家賃の一部を義援金に充ててはどうかなどといった、実現が極めて困難な意見等も約1割寄せられております。
 今後につきましても、引き続き県民からの意見、提言に迅速かつ的確に対応し、県政に反映してまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員 今の答弁の中に、職員の接遇の問題が出ましたが、この職員の接遇の問題は、県民からどのような御意見があるのか。
 それから、瓦れきの広域処理をしてほしくないと、このことについては当局はどのような対応をなされているのか、具体的にわかりやすくお示し願いたいと思います。
〇稲葉秘書広報室長 職員の接遇に関しては、一例でございますけれども、来客などのときの応対が、言動がうまくないということなどがございます。それに関しましては、いただきました御提言に対しては、それぞれの所属などで接遇研修などを行う、あるいは具体的な改善について検討をするということで対応してきているところでございます。
 また、瓦れきの広域処理を行わないでほしいという提言につきましては、瓦れきの処理を3年以内に進めるという形で、広域処理の協力をしていただいているところでございますので、そのことをお伝えして御理解をいただくという対応をさせていただいております。
〇高橋昌造委員 平成25年度の予算に、今度、希望郷創造推進費を設けるというような方針が示されたわけでございますが、来年度の政策の推進に当たって、現時点で考えている重点的な取り組みの方向性を、また、推進方策の見直しの方針等があればお示しを願いたいと思います。
〇中村政策地域部長 平成25年度の政策推進の方針についてでございます。
 今年度に引き続きまして、平成25年度におきましても東日本大震災津波からの復旧、復興に全力で取り組むとともに、内陸地域の活力が沿岸地域の復興を支えていくということにも十分配慮をしながら、復興計画と軌を一にした県民計画第2期アクションプランの具体的推進方策に基づいた施策を推進してまいりたいと考えてございます。
 加えて、岩手の将来を見据えて東日本大震災津波からの復興と、その先にある希望郷いわての実現をより確かなものとしていくために、復興計画で掲げてございます三陸創造プロジェクト、これといわて県民計画の岩手の未来を切り拓く六つの構想などの分野横断的、先駆的な取り組みにつきましても具体化を進めてまいりたいと考えてございます。
 具体的な内容につきましては、政策評価で明らかとなった課題や国の動向等も踏まえながら、予算編成の過程の中で十分に検討してまいりたいというように考えてございます。
〇高橋昌造委員 私は、今度の戦略的な推進については、時宜にかなった対応であるのかなと思います。
 そこで知事にお伺いしますが、特にも、第1次産業の関係で、横断的にそして可及的速やかな対応が今求められておりますが、特にも、農業の6次産業化とか農商工連携などの農業経営の多角的な事業展開については、私は、知事がトップリーダーとして、まさにボトムアップじゃなく、リーダーになってトップダウン方式で対応すべきではないのかなと思うんですが、そのことについて知事の所見をお伺いいたします。
〇達増知事 農林水産業関係について、部局横断的に取り組んでいくということは非常に重要でありまして、ふだんの庁議等の幹部会議やまた予算の調製に関する会議、それに関係する政策会議等々でも、私と幹部職員あるいは担当の職員は、意見交換をしているところであります。
 平成25年度、この希望郷創造推進費については、知事、副知事がその調製プロセスに、随時、直接関与しながら調製をしていくことにしておりまして、いい予算ができるようにリーダーシップを発揮してまいりたいと思います。
〇高橋昌造委員 それでは、次に、今後の岩手の復興、そして再生を着実に進めていくためには、財政の健全性が最も重要と思われます。そこで、本県の財政状況について、順次、質問をさせていただきます。
 近年はプライマリーバランスが黒字で運営され、県債残高も、先ほどの会計管理者の説明にもございましたように減少傾向にあるとされておりますが、一方で、臨時財政対策債は国の厳しい財政状況の影響により、平成13年度に制度が始まって以来、多額の発行を強いられている状況にあります。
 そこでお伺いしますが、本県の臨時財政対策債の平成23年度末における残高と、県債残高に占める割合、そして今後の財政運営に与える影響はどうなのか、この見通しをお示し願います。
〇加藤総務部長 臨時財政対策債についてのお尋ねでございます。
 平成23年度末におけます一般会計での残高は3、743億円余でございまして、県債残高全体に占める割合は25.6%、約4分の1となっております。
 また、今後の財政運営に与える影響についてでございますが、臨時財政対策債は、地方の財源不足を補aXするために、本来地方交付税として交付されるべき額の一部を振りかえたものでございまして、その元利償還金相当額は、地方団体の財政運営に支障を生じることがないよう、後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入されているところでございます。このように、臨時財政対策債は地方交付税の代替財源でございまして、基本的な財政需要に見合うものとして発行せざるを得ず、本県として、発行総額を計画的に管理していくことは困難となっております。
 こうした状況ではございますが、県としましては、過度に将来負担を増大させることがないよう、臨時財政対策債以外の県債残高の規模を中長期的に抑制することに努めるほか、国に対しましては、全国知事会等を通じ、真水である地方交付税の法定率引き上げを含めた抜本的な制度見直しを要望していくという考えでございます。
〇高橋昌造委員 県ではさまざまな産業振興施策の取り組みを行っておるわけですが、特にも、農業所得とか事業所得の向上につながることについて一生懸命取り組んでおるわけでございますが、そこでお伺いしますが、県税の課税所得の面から見た場合、本県の所得や税収の構造について、最近の推移と、どのような特徴があるのかお示しを願います。
 また、主な税目について、平成23年度の税収にどのような特徴があったのか、そして徴収率についてもあわせてお示し願います。
〇加藤総務部長 県税の課税所得の面から見ました本県の所得の状況ということでございますが、平成20年度以降の個人県民税の課税実績によりますと、農業所得や事業所得のほか、給与所得も減少してきたところでございます。また、給与所得以外の事業系の所得の占める割合が、低下傾向にあるということでございます。この結果、個人県民税の課税所得は平成20年度をピークに減少してまいりましたが、平成24年度は、年少扶養控除の廃止による税制改正等の影響もございまして課税所得が増加に転じ、課税額も増加すると見込まれるところでございます。
 税収構造でございますが、平成23年度決算額の税目別の構成比を見ますと、個人県民税が29.3%、自動車税18.0%、法人二税17.2%、軽油引取税16.7%、地方消費税10.3%という構成比でございまして、この5税目で9割強を占めるという状況でございます。
 平成20年度以降の推移を見ますと、税目別の構成比に大きな変化は見られないところでございます。また、都市部の都道府県に比しまして、県税総額に占める法人二税の割合が低く、軽油引取税の割合が高いことが本県の特徴でございます。
 主な税目におけます平成23年度の決算額でございますが、前年度比で、軽油引取税が、震災からの復旧、復興事業の影響によりまして17億2、700万円の増、個人県民税が、震災に伴う条例減免等によりまして17億9、100万円の減、自動車税が、被災代替自動車の非課税措置等によりまして6億8、500万円の減、地方消費税が、震災の影響等によりまして15億8、100万円の減となっておりまして、県税総額では32億4、000万円の減となりました。
 また、平成23年度におけます県税総額における徴収率でございますが96.9%となっておりまして、前年の96.7%、0.2ポイント上回ったところでございます。
〇高橋昌造委員 そこでお伺いいたしますが、先ほどの人口減少それから今の所得の減少、これは当然、税収等が減るということは行政サービスの低下にもつながること。将来は、投資、借金ができなくなる、そういう状況下に置かれてくるのではないのかなと。
 知事は、県民の底力とか県民力の向上ということのお話をなされているわけでございますが、私は、このまま人口が減って所得が減ると、これからの本県のあるべき姿が、何となく衰退の道を歩むのではないのかなと、非常に危惧をしておるわけでございますが、この人口減少、所得減少について知事はどのようにお考えなのか、お伺いします。
〇達増知事 本県の人口減少のうちの自然減ということについては、これは全国的な傾向とともに、どんどん人口減少があるんですけれども、人口の社会減については、私が知事を引き継いだ年に人口流出が最悪だったわけでありますけれども、その後マクロ経済政策、ミクロ経済政策、それぞれ工夫を凝らしながら、また、社会的な地域振興等々も組み合わせ人口流出に歯どめがかかり、社会減の人数は減ってきているところであります。まずは、雇用があるんであれば、地元に残りたい、また地元に帰ってきたいという県民が、働いて稼いで自己実現が図れるようにということが大事だと思っております。
 一方で、人口の自然減ということに対しましては、そこに適切に対応することが必要と考えます。実は人口が減るということは、サービスのニーズも減るということでありますので、常にきちんと必要なサービス、高齢化によってかえって高齢者向けサービスはふやしていかなければならないということがあるんだと思いますけれども、逆にニーズが減る部分については、当然このサービスは減らすといいますか、受ける側からすれば今までどおり、あるいは今までよりもいいサービスを受けられるけれども、全体としては受ける人数が減るから供給量が減るような形で、そこをうまく対応していくことによって、受ける側からすればサービスは減らない、むしろふえるようなところもあるというような形で、この人口の自然減に対応した行政サービスのいわば構造改革ということをしていくことが必要と考えております。
〇高橋昌造委員 次に、本県の県税の徴収率は厳しい税務環境の中にありましても全国平均を上回って推移しており、特にも滞納繰越分の徴収率は全国トップクラスであるわけでございます。
 そこで、岩手県地方税特別滞納整理機構は、発足以来、滞納整理のために相当大きな役割を果たしているわけですが、市町村との連携状況を含めて滞納整理機構の運営状況や成果をお示し願います。
〇加藤総務部長 岩手県地方税特別滞納整理機構の活動状況でございますが、市町村や広域振興局の職員を対象とした滞納処分研修会、捜索研修会等を実施し、徴収技術の向上を図っておりますとともに、市町村が抱えます滞納案件につきまして、市町村、広域振興局とともに個別に整理方策を検討するほか、必要に応じて合同で捜索等を行っているところでございます。
 これらの取り組みによりまして、個人県民税で見ますと、平成23年度の収入未済額は前年度より3億9、600万円余の減となりまして、徴収率は前年度より0.6ポイント増の93.0%となったところでございます。このうち、滞納繰越分の収入未済額は前年度より1億2、600万円余の減、徴収率は前年度より3.7ポイント増の24.8%という実績を上げております。
 滞納整理機構への市町村からの派遣職員が平成18年度の発足以来16団体、延べ43名となっておりまして、機構での経験をもとに、市町村における滞納整理の推進や市町村間の情報収集のためのネットワークづくりに寄与しているなど、そういった波及効果も生じているものと認識しております。
〇高橋昌造委員 先ほど以来から総務部長の答弁で、私は本県の税務関係職員は随分頑張っておると思います。その御努力に対しては、私は評価をいたしたいと思います。
 では、次に、消費税の引き上げ分の国と地方との配分については、国と地方の協議の場で議論を重ねた結果、引き上げ分5%のうち、地方に交付税分として0.34%、地方消費税分として1.2%、合わせて1.54%を配分するということになったわけですが、ことし8月に総務大臣から出された書簡には、地方単独事業を含む地方の社会保障の充実、安定化、さらには地方財政の健全化にも寄与するということが言われておるわけですが、本県財政にとっても貴重な財源の確保につながるものと期待しております。この中で、地方への配分が1.54%ふえるうち、1.2%分が地方消費税として配分されるわけですが、本県では現時点でどれぐらいの税収の増が見込まれるのか、お伺いいたします。
〇加藤総務部長 消費税の引き上げに当たりまして検討することとされております軽減税率あるいは給付つき税額控除の可否等という制度の骨格はいまだ決まっておらず、厳密に算定することは困難、そういった留保をつけさせていただきたいと存じますが、消費動向等が増税後も変化がないものといたしまして、平成22年度の地方消費税の決算額116億5、900万円を新税率で単純に割り返しますと、消費税引き上げ後の地方消費税収入額は256億5、000万円と見込まれまして、139億9、100万円の増、県税収入総額に対しましては13.9%増になると試算が出ております。
〇高橋昌造委員 次に、本県の重要な基幹産業であります、また、地域経済の大きな柱であります農林業の振興についてお伺いいたします。
 岩手型モデルとなるような技術の開発や、岩手と言えばこれだというような特産物を生み出していくために、県が先見の明と独自の見解を持ってリードしていくべきだと思います。そこで、先見性と独自性を打ち出しながら機動的な先行投資など、事業の選択と集中を進めていく必要があります。
 東日本大震災津波から1年7カ月を経過した現在、本県の農林業が目指す姿に変わりはないと考えますが、改めて知事のお考えをお伺いします。また、実現に向けた課題をどのように捉え、それにどう対応されようとしているのか、あわせてお伺いいたします。
〇達増知事 本県の農林業が目指す姿ということでお答えいたしますが、農林業は、食品関連産業、木材関連産業、運送業、流通業等、他の産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、本県の地域経済を支える基幹産業の一つとして、持続的な発展を図っていくことが重要と認識しております。しかしながら、本県の農林業は、高齢化の進行等による従事者の減少や、農産物、木材・製材品価格の低迷等による所得の減少など、さまざまな課題を抱えています。このため三つの柱。
 まず一つ、経営体の育成─地域農業の中心となる経営体の明確化と農地集積等を進める地域農業マスタープランの作成、実践や、地域牽引型林業経営体による施業集約化などの経営体の育成。二つ目として、産地づくり─多様性に富んだ地域特性を生かした農林産物の生産拡大など、生産性、市場性の高い産地づくり。3番目に、高付加価値化と販路の拡大ということで、生産者の加工、販売への進出や他産業との連携等による農林産物の高付加価値化や販路の拡大という、この3本の柱に沿った政策によりまして、食と緑の創造県いわての実現を目指し、いわて県民計画に掲げる取り組みを着実に推進してまいります。
〇高橋昌造委員 そして、本県農林業を取り巻く厳しい情勢を踏まえれば、行政のみならず、関係者が一丸となって農林業の振興に取り組んでいく必要があると思いますが、知事の決意のほどをお伺いいたします。
〇達増知事 本県では、県農協中央会会長と県森林組合連合会会長に岩手県大震災津波復興委員会の委員になっていただくなど、今般の大震災津波からの復旧、復興に向けた取り組みも含めて、これまで、農林業を取り巻く環境の変化に対し、生産者、生産者団体、市町村等、農林業関係者と県が一体となって問題解決に当たり、本県農林業の振興に取り組んでまいりました。
 農林業を取り巻く環境が一層厳しさを増す中で、本県は、大震災津波からの復旧、復興という大きな課題も抱えていますが、この危機を乗り越えて、生産者や消費者がその豊かさや恵みを実感できる農林業、農山村の実現を目指して、農林業関係者と県がより一層連携を密にし、一体となって全力で取り組みを進めてまいります。
〇高橋昌造委員 それでは次に、本県農業は先ほどからもお話がございますように、担い手の減少や特にも高齢化、そして耕作放棄地など多くの問題を抱えております。さらに、集落営農組織の法人化に向けた課題も多く、また危惧されておりますが、県では、新規就農者の確保、育成や法人化支援などについてどのような対策を進め、どのような成果があったのかお示し願います。
〇上野副知事 まず、新規就農者の確保、育成についてでございますが、新規就農者の確保、育成につきましては、農業技術の習得、経営の早期安定による所得確保が特に重要な課題と考えてございまして、県といたしましては、県内外での就農相談会の開催、就農希望者の研修受け入れ経営体の登録とマッチングや、就農希望者の就農計画の策定支援などに取り組んでまいりました。
 これらの取り組みの結果、平成20年度以降は毎年200人以上が新規に就農するとともに、過去5年間の新規就農者の営農継続割合は89%と高い定着率となってございます。また、集落営農組織の法人化につきましては、アンケート調査によりますと、組織としての安定的な所得の確保と、経営、運営方針についての合意づくりなどが法人化に向けた課題に挙げられております。
 県では、所得の確保に向けました園芸品目導入や6次産業化をテーマとする研修会、合意づくりのためのリーダーとしての資質向上講座の開催のほか、法人化手続費用につきまして、戸別所得補償制度推進事業を活用いたしました負担軽減などの支援に取り組んでございまして、平成23年度は新たに8組織が法人化し、これまでに68組織、全組織の約15%が法人化しているところでございます。
〇高橋昌造委員 上野副知事、実はきょうはこの新規就農者の確保、育成については各委員からも質問されているわけで、私がきょうあえてお聞きしたのは、今の答弁では新規就農者はふえないと思うんですよね。どうも、根本的な改革をしなければならない。きょうは本当に残念でなりません。もう少し突っ込んだ、こういうふうにやるぞということをもう一度お聞かせ願いたいと思います。
〇上野副知事 新規就農者についての取り組みにつきましては今申し上げたとおりでありますけれども、それではなかなか不十分ではないのかと今の突っ込んだお尋ねでございますが、私どもといたしましては、新規就農者を継続的にふやしていくためには、まず、農業の魅力というものを若い方々にきちんと説明して、農業の未来について、特に若い方々、もちろん途中で農業に入られる方々も含めてでありますけれども、岩手の農業の魅力というものを、これは基本的には岩手県民の方々でありますが、県外の方々も含めて広くPRしていくということがまず大事だと思います。
 2点目は、これは政府の施策として平成24年度から打ち出されておりますが、そうは言いましても、やっぱり財政的な支援というものが必要だと思っていますので、このたび新しい支援が打ち出されましたので、これをきっちりPRして、財政的な支援も含めて、新しい切り口で平成24年度以降は進めることができると思いますので、そういう意味では、今おっしゃったような懸念が当たらないように、私どもとしては一生懸命頑張ってまいります。
〇高橋昌造委員 それでは、またこのことに関連して、農業大学校における学生の就農状況、農業担い手育成のための講座の開設状況、そして農業大学校に対する学生や父兄の評価についてお示し願います。
〇上野副知事 農業大学校におけます学生の就農状況についてでありますが、平成24年3月卒の学生の進路決定率は96%でございまして、自営や雇用就農などの就農が35%、農業関連団体、企業への就職が35%で、合わせて70%の学生が農業関連の業種に進み、農業資材等を取り扱う小売業等を含めますと、90%以上の学生が農業大学校で学んだ知識を生かす道に進んでございます。
 次に、担い手育成のための講座につきましては、平成23年度は、農業入門塾や新規就農者研修などに17講座を開催いたしまして、就農希望者から農業経営者まで延べ4、083人の方が受講しておられます。
 また、ことし2月に実施いたしました学校評価アンケート結果によりますと、農業大学校に対する学生の評価は、よいとおおむねよいを合わせまして79%、保護者の評価は、よいとおおむねよいを合わせまして92%となっておりまして、学生、父兄の双方の方々から高い評価を得ているものと考えております。
〇高橋昌造委員 それで、上野副知事にずばりお聞きしますが、このうち農業後継者になられた方は何人いらっしゃるんですか。
〇上野副知事 ただいまのお話に対するお答えの中で、具体的に自営もしくは雇用経営体での就農という形に進まれた方々が35%でございますので、平成23年度の就農に限って申し上げますと、10名ということでございます。ただ、これらの方々は研修をとりあえず受けられたり、その後、就農された方もいらっしゃるので、これは含んでおりませんので、そういう意味では、直ちに就農される方々の人数というのはそんなに多くございませんけれども、何年間か研修を受けられたりとか、あるいは企業に勤められた後で就農されるという方々もございますので、そうした方も含めて考えていきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 今の答弁は、半分わかったような、わからないようなあれでございますが、また次にお聞きいたします。
 次に、国では環境保全型農業直接支援対策として、農業者等が化学肥料、化学合成農薬を原則5割以上低減する取り組みとセットで地球温暖化防止策や生物多様性保全に効果の高い営農活動に取り組む場合に、取り組み面積に応じて支援するとしており、その具体的な営農活動としては、カバークロップの作付、リビングマルチ、草生栽培の実施、冬期湛水管理、有機農業の取り組みを挙げております。しかし、カバークロップの作付などのメニューは本県ではなかなか実施が困難ではないかと考えますが、これまでに全国及び本県ではどのような取り組みがあったかお示し願います。
〇上野副知事 環境保全型農業直接支援対策の取り組みについてでございますが、まず、カバークロップの作付の平成23年度の取組状況につきましては、42道府県で2、749ヘクタールございまして、このうち北海道が全体の約半分を占めているほか、冬期湛水管理でも山形県、新潟県、福井県の3県で全体の約7割を占めるなど、取組地域や面積が限られている状況にございます。
 一方、本県での平成23年度のカバークロップの作付の取組状況は二つの市で約20ヘクタールとなっておりまして、県としても、市町村と連携いたしましてこの取り組みを周知してまいりましたが、広く普及するためには、冬期の寒冷な本県の水田では実施は難しいとの意見があるなど、課題も多いものと認識いたしております。このため、国に対しまして、本県でも多くの農業者が取り組める営農活動をメニューに追加するように求めてまいりましたが、堆肥の施用というものが来年度の概算要求に盛り込まれておりまして、その実現を期待しているところであります。
〇高橋昌造委員 また、この制度では、今申し上げた営農活動のほか、地域の環境や農業の実態等を勘案して、地域を限定して支援の対象とする地域特認取組も支援の対象にされているということですが、これも同じく全国の取組状況、そして本県の対応についてお伺いいたします。
〇上野副知事 地域特認取組についてでございますが、環境保全型農業直接支援対策におきましては、都道府県の特性を生かしまして取り組む営農活動につきまして、国は、都道府県からの提案を調査、検討いたしまして、適当と判断した場合には、地域特認としての支援の対象とするということになってございまして、平成23年度は、15道府県に対し27件の営農活動が地域特認となっております。
 本県といたしましては、第1に、水稲の天日乾燥、第2に、ヤゴやオタマジャクシなどの水生生物を保護するため、水田内に常時湛水するビオトープの設置、第3に、絶滅危惧種に指定された魚類を中干し期や冬期に水路で保護する、こうした営農活動を地域特認の支援対象とするように国に提案しているところでございます。
 本県が提案している営農活動は、いずれも取り組みが視覚的に見えるものでございまして、環境王国いわてを標榜する本県のイメージアップにも貢献するものと考えております。
〇高橋昌造委員 いずれにいたしましても、環境保全型農業には県としてもしっかり取り組んでいかなければならない。特にも消費者からこれが求められておるわけでございますので、そういったことも含めて今後しっかり対応していただくようにお願いいたします。
 次に、矢巾町の農事組合法人室岡営農組合というものがあるんですが、麦と大豆の立毛間播種技術を導入して、小麦、大豆を2年、水稲を2年の4年サイクルのブロックローテーションにより水田の高度利用を行っております。また、平成20年から縞萎縮病抵抗性を持つゆきちからに品種転換するなど、収量そして品質の向上やコストの削減などの取り組みが評価されております。
 そこで、このような優秀な農業技術の取組事例を県内に広く普及していくべきと考えますが、県ではどのように考えているのかお伺いいたします。
〇上野副知事 優秀な集団の取組事例の普及についてでありますが、小麦作につきましては、御案内のございました室岡営農組合が、昨年度、全国麦作共励会で最高位の農林水産大臣賞を受賞いたしましたほか、大豆作におきましても、二子中央営農組合が平成22年度の全国豆類経営改善共励会で大臣賞を受賞するなど、本県では全国トップクラスの生産組織が育成されております。
 県は、これまでも、高い技術や経営を実践している生産組織を表彰する共励会や、地域で実践されているすぐれた技術を周知する現地技術研修会の開催などに取り組んできたところでありますが、今後とも、県内の優良事例の普及、奨励を通じまして、本県農業の技術や経営の高度化を図っていく考えでございます。
〇高橋昌造委員 上野副知事、この優良事例の普及が大切だと私は思うんです。表彰することも大切なんですが、この普及活動をもう少し具体的に、こういう形で取り組んでいくというようなお考えがあればお示し願いたいと思います。
〇上野副知事 具体的なお話というお尋ねでございますけれども、例えば、もう御案内と思いますが、小麦のゆきちからの普及についてでございますけれども、本県におきましては、小麦の品種としましては、主力でございましたナンブコムギというものが作付面積の6割を占めていたわけでございますけれども、耐病性が強い、あるいは多収、あるいは加工の適性が高いということでゆきちからへの品種転換ということを進めております。今年度は全体の約3割というところまで来たところであります。こうした形で具体的な先進農業者の方々の意見を現場でよく聞いた上で、こうした成功事例といいますか、単に表彰するだけではなくて、そうしたものが普及していくような工夫をしていきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 それから、小麦や大豆の収量向上対策として県が開発した小さく畦立てをして播種する栽培の取り組みや、地下水位制御システム─今、通称FOEASと言われているんですが、この導入について、その実績と今後の計画をお示し願います。
〇上野副知事 お話のございました小畦立て播種栽培などの取り組みについてでございますが、本県の独自開発の湿害防止技術でございます小畦立て播種栽培技術につきましては、平成23年度で1、169ヘクタールと、水田大豆の約3割を占める作付面積までに普及が進んでおります。今後におきましては、本年1月に作成いたしました小畦立て播種栽培技術マニュアルというものを活用いたしながら、農業団体の方々と連携いたしまして、一層の普及に努めてまいります。
 また、水田の地下に埋設したパイプで圃場の排水と給水をいたします地下水位制御システムにつきましては、県内では3カ所、1.8ヘクタールに導入されておりますが、このシステムは全国でも導入例が非常に少ないということでございますので、本県での事例の初期費用や収量等を確認するなど、導入可能性について調査していく考えでございます。
〇高橋昌造委員 いずれにいたしましても、小麦や大豆の収量向上が食料自給率の向上につながるということで、私も、今の仕事に早くピリオドを打って、農家の一人として日本の食料自給率の向上のために貢献いたしたいと思っております。私は真剣でございますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、公益財団法人岩手生物工学研究センターでは、稲の全遺伝子情報ゲノムを最先端の装置で素早く解読し、変異株と比較することで、優良遺伝子を最短1年間で特定する技術が開発されたということですが、この技術を活用して、コシヒカリを超える良食味の品種や直播栽培に適した倒伏しにくい多収品種などについても開発が促進されているものと期待しておりますが、現時点における水稲品種の開発状況をお示し願います。
〇上野副知事 水稲品種の開発状況についてでございますが、まず、岩手生物工学研究センターでは、優良遺伝子を迅速に特定する技術、ムットマップ法を開発するとともに、この技術を用いまして、良食味に関するDNAマーカーを平成23年度に作出いたしております。現在、県の農業研究センターでは、このDNAマーカーを活用いたしまして、良食味遺伝子を持つ優良系統の選抜を実施いたしておりまして、今度、日本穀物検定協会などの食味官能試験も行い、平成26年度を目標に、コシヒカリを超える良食味品種の候補を選抜することといたしております。
 また、このほかにも高温障害に強い系統や、多収で直播栽培に適した系統の開発などに取り組んでおりまして、有望な系統は現地圃場で評価することといたしております。
〇高橋昌造委員 平成26年度に選抜候補を決めると。私は、この研究開発は時間との戦いだと思うんです。岩手県はのんびりしているとは言われますが、この研究開発については時間との戦い、スピード感を持って対応してもらいたい。これは平成26年度でなければできないんですか、もう一度お伺いいたします。
〇上野副知事 先ほど申し上げましたように、岩手生物工学研究センターにおきまして、平成23年度まで品種の開発をしていただいておりまして、その後、平成24年度以降、岩手農業研究センターにおいてDNAマーカーで良食味系統を選抜したり、あるいは平成25年度に岩手農業研究センターの圃場で特定品種を検定、さらにはDNAマーカーで良食味米を選抜するというような手続を経て、平成26年度に候補の決定に至ろうと思っておりますが、おっしゃるように時間との戦いという面がございますので、できるだけ早くということを念頭に置いて作業をやっていきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 いずれ、今、農業が非常に衰退しておるときに、やはり研究開発は夢なんですよね。これができなければ、岩手の農業は終わりですよ。私は、せっかく立派な機械を買っても、平成26年度でなければ選抜候補は─今言われたから、じゃ、もうちょっと前倒しで考えるかと、こんなのんびりなことをやっていたら岩手は取り残されてしまいますよ。だから、はっきり言って、私は、きょうはここのところが一番の総括のポイントにさせていただきたいと思って、上野副知事、もう一度、現場の人たちとお話し合いをして、もうちょっとしっかりやるぞという意気込みをお示し願いたいと思います。
〇上野副知事 水稲品種の開発についての意気込みを示せというお尋ねでありますが、今申し上げましたような作業日程を事務方から伺っておりますが、委員おっしゃるような戦略性を持った、時間との戦いという非常に大事な岩手の農業の将来を決めるような話でありますので、私といたしましては、委員の趣旨をもう一回念頭に置いて、踏まえて、現場の職員と、どれだけ前倒せるか、どれだけ早くやれるかということを真剣に考えていきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 いずれ、余り片言でなく、上野ラッパを吹いて、ちょっとほらを吹いてもいいですから、ほらは夢を与えることです。うそはだめですよ。いずれ、ひとつ夢を語れる農業を─知事も、その意味では、ひとつみんなで一緒になってしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 また、水稲の品種開発は、先ほどもお話があったように、農業研究センターで行われているということは承知しておりますが、米の販売力強化や低コスト栽培につながる品種開発を飛躍的に発展させるためにも、試験研究部門のさらなる充実強化が必要と思いますが、県のお考えをお伺いいたします。
〇上野副知事 水稲の品種開発部門の充実強化についてでございますが、米をめぐります販売競争が激化している中で、本県といたしましても、米の生産者の方々の経営安定のため求められている特性を有する新品種を迅速に育成し、普及していく体制づくりを進めております。
 本県では、生物工学研究センターへの次世代シーケンサーの導入など研究開発基盤の強化により、革新的な育種技術が開発されておりまして、これを県農業研究センターが応用する新品種育成のための新たな体制が構築されております。
 今後は、新品種育成の機能を一層強化するため、農業研究センターと生物工学研究センターの人的交流を含めた連携強化や、品種育成部門の人的資源の充実などについて検討してまいります。
〇高橋昌造委員 それで、農業研究センターでは、水稲の品種開発については今お聞きしたんですが、このほかに野菜とか果樹とか花卉とか、そういったものの品種改良にも取り組まれていると思いますが、そのことについて、もしおわかりであればお示し願いたいと思います。
〇上野副知事 農業研究センターにおきましては、先ほど御指摘がございましたように、いろんな形での研究をやってございます。その多くは、外部からの研究資金を導入してやるという形でやっております。手元に具体的な野菜等についてのデータはございませんけれども、県の単費の予算の補助も引き続き継続的に大事でございますが、そういう外からの実際のニーズに即した形の研究テーマというものを選んで、具体的な応用に早く行けるようなものをやっていくということでございますので、そうした意味では、野菜とかあるいは果樹につきましても、今申し上げたような考え方で、急いで、しかもいいものを導入していくように検討していきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 次に、県では、日本一の雑穀ブランド産地を目指して、平成21年3月にいわて雑穀生産・販売戦略を策定いたしたわけですが、その成果についてお示し願います。特にも、農家の収益確保に向けて、雑穀を利用した商品開発など6次産業化や加工業者との連携が重要と考えますが、その取組状況についてもあわせてお示し願います。
〇上野副知事 いわて雑穀生産、販売戦略の成果についてでありますが、まず、生産面におきましては、除草、収穫作業の機械化や、食味と加工適性にすぐれた県オリジナル品種ねばりっこなど、県産雑穀の生産性と品質向上に向けた技術、品種の開発が進むとともに、本年から農家での生産工程管理、いわゆる県版GAPが導入されるなど、現場での新たな安全・安心の取り組みも進んできております。
 また、販売面では、農家の雑穀ブレンド商品のネット販売や、県内菓子店や製粉会社でのラスクなどの菓子類の製造、販売、食品加工業者でのひえカレーの開発など、6次産業化や商工業との連携による多彩な取り組みが進められております。
 その一方で、近年、作付面積及び販売量が減少傾向にあることから、本年度内を目途に新たな雑穀生産、販売戦略を策定いたしまして、引き続き、雑穀産地の維持、拡大に取り組んでいく考えでございます。
〇高橋昌造委員 それから、日本一の雑穀産地を牽引する県北農業研究所では、岩手県雑穀遺伝資源データベースのシステムの開発や、また、雑穀などの品種開発というものを進めているということですが、最近の研究成果について具体的にお示し願います。
〇上野副知事 県北農業研究所の雑穀に係る研究成果についてでございますが、本県の雑穀に関する試験研究を担う県北農業研究所では、雑穀の高付加価値化に向けた品種開発や、作付面積拡大のための省力的な生産管理技術の開発に取り組んできたところであります。
 品種開発につきましては、ヒエでは、粘りがあり、食味にすぐれ、草丈が低くて栽培しやすい品種としてねばりっこを育成いたしまして、平成24年度には20ヘクタールの作付をされております。また、現在、黄色の鮮やかなアワや、精白処理に適しましたキビの育成に取り組んでおるところでございます。
 一方、省力的な生産管理技術につきましては、アワ栽培などにおいて、生育初期に株間を除草するための耕うん爪の改良や、機械収穫によるロスを少なくするための刈り取り部の改良などの成果をマニュアルといたしまして、生産者に提供しているところでございます。
〇高橋昌造委員 このほかに県北農業研究所ではどのような研究に取り組まれているのか、もしわかれば具体的にお示し願いたいと思います。
〇上野副知事 県北農業研究所での先ほど申し上げましたアワとキビの品種以外についての開発の状況でございますけれども、生産技術につきまして、例えば化学合成農薬を使わない病害虫、雑草の防除技術など、生産現場からの要望に対応するため、例えばでありますが、初期の害虫と雑草害を回避するため、県北部で普及している水稲移植用みのるポットというものを利用した機械移植法を開発したりとか、あるいは化学合成農薬を使わない防除法を開発するため、雑穀に発生する病害虫の種類と発生時期を明らかにし、生物農薬や耕種的な防除法を開発したり、こうした技術開発に取り組んでおるところであります。
〇高橋昌造委員 次に、地域課題に即した技術の開発や普及を進めるためには、先進的な農業者も参画して、試験研究機関、普及組織等が現場で連携することが重要であると思いますが、その取組状況と成果についてお示し願います。
〇上野副知事 試験研究機関、普及組織等の連携についてでございますが、本県では、農業者の圃場において、農業者と県農業研究センターや市町村、JAなどが協働体制を組織いたしまして、技術開発、改良、実証、そして普及から事業化までを一体的に進めてございます。
 具体的事例といたしましては、本県が独自開発いたしました大豆の小畦立て播種栽培技術は、先進的農業者の圃場で技術開発、改良と農業者の技術習得を同時並行的に進めた結果、試験終了翌年の平成20年には864ヘクタールに普及したところであります。
 また、水稲の直播栽培技術につきましては、先進的農業者で構成されます岩手県直播栽培米研究会と協働して取り組むことにより技術の改良が加速され、単収向上が図られた結果、本年の直播による作付面積は537ヘクタールまで拡大しているところでございます。
〇高橋昌造委員 また、研究技術開発の成果を実際に農業の振興に生かしていくためには、それを普及していく取り組みが必要と思われますが、普及実用化に向けてどのように取り組まれているのか、あわせてお伺いいたします。
〇上野副知事 新技術の普及実用化に向けた取り組みについてでございますが、本県は、気候、地形や土壌条件などが多様性に富んでいることから、新技術を普及していくためには、それぞれの地域で新技術の効果を検証し、きめ細かな改善を講じていく必要がございます。また、新技術が生産現場で十分に成果を生み出すには、各農業者が導入する技術を深く理解し、習得することが大切でございまして、さらに、農業者が新技術を実践していく中で得られた知見を収集、分析して、地域に、より適合する技術にしていく必要があります。
 このような技術普及活動は、県内各地域に配置いたしました農業改良普及センターが中核となって担うものでございまして、県といたしましては、農業改良普及センターの相互補完などによる機能強化に努めるとともに、地域の農業者リーダーや市町村、JAなどの団体と一体となった地域協働の活動体制の充実に取り組むことにより、新技術の地域への普及を図っていく考えでございます。
〇高橋昌造委員 次に、畜産関係では肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、改良、増殖等の推進に取り組まれておりますが、その成果についてお示し願います。
〇上野副知事 家畜改良増殖対策事業についてでございますが、近年、脂肪交雑が全国歴代1位の来待招福号、平成22年度全国肉用牛枝肉共励会名誉賞受賞牛の父でございます菊福秀号など、全国トップクラスの高能力種雄牛が造成されているところであります。このような来待招福号や菊福秀号など優秀な種雄牛により県有種雄牛の評価が高まり、平成23年度の県有種雄牛の凍結精液の県内シェアは44%と、10年前の4倍以上に増加いたしたところであります。今後とも、高品質ないわて牛の生産拡大に向けまして県有種雄牛の一層の利用拡大を推進するとともに、DNA解析など科学的技術の活用を図りまして、産肉能力に一層すぐれた種雄牛の効率的な造成に取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 畜産研究所が中心になって、ただいまの答弁にもありましたように、種雄牛の造成にしっかり取り組んでおりますことは、本当に評価に値することだと思います。
 そのほか、畜産研究所としてどのような成果を上げているか、この際、ひとつ披露していただきたいと思います。
〇上野副知事 畜産研究所が中心となって取り組んでおるそのほかの成果についてのお尋ねでございますが、平成23年度の試験研究成果といたしましては、ライ麦とトウモロコシの二毛作体系を確立させ、また、日本短角種の肥育牛の飼料自給率をほぼ100%とする飼養体系を確立いたしました。ライ麦とトウモロコシの二毛作体系の確立は、不耕起によるトウモロコシ栽培と、冬作としてのライ麦栽培を組み合わせた場合の、翌年収穫するトウモロコシの収量が多くなる播種時期、刈り取り適期等の栽培体系を明らかにしたもので、酪農家における自給飼料の増産が可能となったわけであります。
 また、日本短角牛の肥育につきましては、トウモロコシサイレージを利用し、飼料自給率を80%まで高める体系を確立していましたが、たんぱく質源として大豆サイレージを活用することで、飼料自給率をほぼ100%とする肥育管理技術を確立したことで、日本短角種の低コスト生産が可能となったところであります。今後とも、県内生産者の方々の有益な研究成果を上げられるよう努めてまいります。
〇高橋昌造委員 次に、水稲の直播栽培は、育苗、移植作業が不要であることから、労働時間や生産コストの削減が可能であるほか、規模拡大が可能になる技術として全国で導入が進められております。
 県では、水稲の低コスト栽培技術として、湛水直播栽培や乾田直播栽培の技術開発を進め、現地における普及、実証にも取り組まれており、このことについてもっと積極的に直播栽培技術の開発や普及を図っていくべきではないかと考えておりますが、県では、直播栽培の普及を今後どのように進めていくお考えなのかお伺いいたします。
〇上野副知事 水稲の直播栽培技術についてでございますが、この技術は育苗ハウスが不要で、育苗や田植えなどの労働時間を大幅に削減できるなどのメリットがございまして、稲作の低コスト化や規模拡大に有効と考えております。
 県では、直播栽培を普及するため、第1に、直播の導入に積極的な大規模農業者が中心となって実践研究を行っているいわて直播栽培米研究会と連携した研修会を行うこと、第2に、大区画圃場での取組事例の現地検討会を行うことなどに取り組んできたところでございます。
 この結果、平成24年度の導入面積は前年より102ヘクタール多い537ヘクタールにふえまして、取組経営体数で申しますと、91経営体多い297経営体と約1.5倍に増加しているところでございます。
 今後におきましては、これらの取り組みに加えまして、課題となっております初期生育段階の除草技術など単収向上に向けた技術開発を進めまして、直播栽培の拡大を図ってまいります。
〇高橋昌造委員 この間、いわて直播栽培米研究会会長ともちょっと会ってお話をしたんですが、いずれ、直播栽培は農地の利用集積の促進にもつながるということでございますので、今後、一生懸命取り組んでいただくようにお願いをいたしたいと思います。
 次に、本県の農林業は、担い手の育成、確保、産地の形成、環境と調和した農林業生産の推進、食の安全・安心の確保、農山地域の振興など、まだまだ多くの課題を抱えております。
 このような状況の中で、紫波町では、県の農業改良普及センターや町の関係課も含む農林業関係団体が協力して、農林業に関係したいろいろな相談の窓口を一本化したワンフロア化によるワンストップサービスを開始したところであります。農林業にかかわる課題が山積し、かつ複雑化している中で、これらの課題の解決と農林業の活性化を目指しながら、町内農林業の利便を図るためこのような取り組みが行われておりますが、県は、この取り組みをどのように評価しておられるのか、また、このような取り組みを今後推進するお考えがあるのかお伺いいたします。
〇上野副知事 農業関係団体によるワンストップサービスについてでございますが、県では、これまで、地域農林業の核となる経営体の育成や、生産性、市場性の高い産地づくりなどを進めるため、農業改良普及センターや市町村、JAなどが密接に連携いたしまして、目標を共有して、農業者などを総合的に支援する体制の構築に取り組んでまいったところであります。
 現在、御指摘のございました紫波町も含めまして、10地域でこのような支援体制が構築されておりますが、関係機関、団体の情報共有や役割分担による経営指導の充実が図られ、地域振興作物の作付拡大や販売額の増加など、こうした取り組みの成果が上がってきているところであります。このことから、県といたしましては、今後におきましても地域特性を生かした農林業の振興に向け、現地からの要望を踏まえながら、こうしたワンストップの支援体制というものの構築を進めていく考えでございます。
〇高橋昌造委員 いずれ、民間部門である農協、森林組合が行う営農指導事業、それから、公的な部門である農林業の普及事業、推進事業の規模が縮小されておりまして、農林業者への支援機能の低下が、懸念されているというよりも、ずばり低下の一方なわけです。
 そこで、上野副知事、地域に任せるのではなく、県がリーダーとしてやる岩手県版のワンフロア化、ワンストップサービスをやるぞという意気込みはございませんか。
〇上野副知事 農業関係団体の連携におきましては、これまでも普及センターが非常に重要な役割を果たしてきております。私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような農業者の方々に対する支援の強化、これまでのいろんな事情によってサービスが十分に受けられていないのではないかという指摘もございましたが、あるいは関係機関の役割分担の強化ということもございますが、そうしたことを行っていくに当たりましては、十分に県が中心的役割を果たして、県の指導力のもとで地域の農業のワンストップ化というものをさらに進めていきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 次に、農業農村整備事業の大きな柱でありました圃場整備事業、土地改良総合整備事業は経営体育成基盤整備事業に形を変え、予算も、農林水産省が所管する農業農村整備事業から内閣府が所管する地域自主戦略交付金に重心がシフトされたところであります。農業生産基盤を整備する農業農村整備事業は、将来の農業生産力を維持するためにも必要な事業でありますが、現在の事業制度においても十分な整備が行い得るのかお伺いします。
 また、県は、本県の農業生産基盤の現状が抱えている課題をどのように認識し、今後どのように対応していこうとしているのか、あわせてお伺いいたします。
〇上野副知事 本県の農業生産基盤の現状、課題、今後の対応についてでございますが、まず、国の予算が補助金から交付金へとシフトしている中にありまして、本県では、地域の要望を聞き取りながら、従来からの補助事業に交付金によるソフト事業を組み合わせるなど、各種制度を最大限に活用するとともに、事業の重点化や建設コストの縮減に努め、事業効果の早期発現に向けて取り組んでいるところであります。
 一方、本県の農業生産基盤の現状を見ますと、圃場整備のおくれや農業水利施設の老朽化が大きな課題となっております。このため、まず第1に、県といたしましては、国に対して基盤整備がおくれている本県の実情を訴えながら、引き続き必要な予算の確保に努めるとともに、水田の大区画化や農地の利用集積などによる生産コストの低減と、麦、大豆や園芸作物などの品質、単収の向上に向けた排水対策を着実に進めてまいる考えであります。
 また、第2に、年々老朽化が進行いたします農業水利施設につきましては、土地改良区等と連携いたしまして、全面的な改修といったこれまでの手法に加えまして、定期的に機能診断を実施いたしまして、緊急性の高いものから順次補修、更新するなど、長寿命化対策により施設の維持管理コストの低減を図っていく考えであります。
〇高橋昌造委員 農業生産基盤の推進に関連して、もしおわかりなのであれば、圃場の大区画化等の基盤整備状況はどうなっているのか、また、水田の汎用化の推進状況がもしわかれば─これは、わからなければ後で結構でございますので、お願いいたします。
〇上野副知事 水田の大規模化等についての進捗状況についてのお尋ねでございますけれども、もともと県内の水田整備率というものが非常に低い状況でございまして、平成21年で見まして49.2%、あるいは米の生産費が10アール当たり14万4、000円という、これは逆に非常に高い状況であるわけでありまして、こうしたものをできる限り引き上げていこうということで、このたびの例えば沿岸で被災を受けました農地などにつきましても、単なる復旧ではなくて、できる限り大規模化を進めていくということで、これは内陸でも同じでありますけれども、被災を受けた農地についての復旧に当たりましては、そうしたことも考えながらやっていこうということをやっております。
 それから、水利施設につきましても、先ほど申し上げましたように、今後10年以内に、例えば水路ですと半分ぐらいが耐用年数が切れる、あるいはポンプ場ですと9割が切れる、耐用年数超えになるということでございますので、早目早目に手を打っていこうと思っております。
〇高橋昌造委員 次に、本県は林業県として、原木供給にとどまらず、それ以上に製品の供給にもっと力を入れるべきだと考えるわけですが、今後、復興住宅建設が進んでいく中で、建築サイドから求められる寸法、安定性といったものに対して乾燥材の需要が高まるものと考えられますが、現在の乾燥材の生産の割合がどれぐらいなのかお伺いするとともに、また、乾燥施設整備など乾燥材生産の促進に向けてどう対応しようとしてまいるのか、あわせてお伺いいたします。
〇上野副知事 乾燥材生産の促進についてでございますが、県内の人工乾燥材生産量は4万9、000立方メートルでございまして、木材製材品出荷量27万5、000立方メートルに対する割合は約18%でございます。全国の24%をわずかに下回っているという状況でございます。
 県といたしましては、今後見込まれる復興関連の乾燥材需要にしっかりと対応していくためには、乾燥材の供給力や品質について、発注者のニーズを満たせるよう供給体制を整えていくことが重要と認識いたしております。このため、製材工場間の生産連携による乾燥材供給の円滑化や、森林整備加速化・林業再生基金事業などを活用いたしました乾燥施設の整備とあわせまして、生産技術研修会や生産現場での技術指導などによる乾燥技術の向上を図りまして、乾燥材の供給体制の整備に取り組んでいく考えであります。
〇高橋昌造委員 今、上野副知事の答弁にもございましたように、乾燥施設の関係ですが、この整備をいわゆる広域で共同利用施設として県が中心になって導入するお考えがないのかお伺いいたします。
〇上野副知事 共同利用施設として乾燥材の施設整備を導入する考えについてのお尋ねでありますが、地域の製材工場などが共同利用する乾燥施設の設置につきましては、国の森林・林業・木材産業づくり交付金事業の活用というものが考えられますが、施設設置に向けましては、まずは共同利用する地域の製材関係者の意向が重要であると考えておりまして、関係者の意向を十分把握しながら取り組みを支援していきたい、進めていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 県産材の利用推進の阻害要因は何なのか。各委員からもしょっちゅう質問されるわけでございますが、この出口対策と県産材の利用推進が遅々として進まない理由は何なのか、上野副知事の思いをお話ししていただければと。
〇上野副知事 まず、県産材利用の推進全般についてお答えいたしますが、県では、県産材の利用を推進するために、建築ニーズに対応した製品供給ができるよう木材加工施設の整備に取り組むとともに、市町村等が行う県産材を利用した木造公共施設の整備に対する助成、補助を行っているところであります。今後は、大震災津波からの復旧、復興のための公共施設整備や公共工事等で県産材利用の拡大をしていくほか、木質バイオマス発電などの大口需要に対応した木質燃料供給の仕組みづくりへの対応などが課題と認識いたしております。
 このため、大震災津波被害を踏まえて上方修正いたしました県の公共施設・公共工事木材利用推進行動計画に基づきまして、県が率先して県産材の利用に取り組むとともに、市町村に対しましても一層の県産材利用を働きかけているほか、発電事業者と燃料供給者との燃料の安定供給のための提携の支援に取り組んでいく考えでございます。
 間伐材の利用状況につきましては、平成23年度では間伐材積31万7、000立方メートルのうち10万4、000立方メートルが利用され、利用率は33%で、ここ3年間は同程度の水準で推移いたしております。今後は、間伐材の利用を高めていくため、施業の集約化や路網の整備なども進め、切り捨て間伐から搬出間伐への転換を促進するとともに、木質燃料としての利用など、新たな需要開拓に取り組んでまいります。
〇高橋昌造委員 それでは、上野副知事、岩手県は森林県であって、また林業県であると言われるように、森林県ではあるけれども林業県ではないと言われないように、これからしっかり取り組んでもらいたいと思います。
 次に、松くい虫による被害は、関係者の皆さん方の懸命な防除対策にもかかわらず、被害箇所はこれまでの点から面へとさらに広がりを見せており、このままでは県の木であるナンブカアマツを含め県全体に甚大な被害が及びかねません。
 そこで、一日も早く根本的な対策の実施が求められておるわけですが、事態の解決のためにどのような被害拡大防止対策をとっておられるのかお伺いします。
〇上野副知事 松くい虫被害への対応についてでありますが、本県では、被害の北上の阻止と重要松林の保全を重点といたしまして、各般の松くい虫被害対策に取り組んでまいったところでありますが、ここ数年、猛暑の夏が続いておりまして、被害を伝播させるマツノマダラカミキリの活動が活発になっていることもあり、被害量は年間約4万立方メートルと高どまりの状況になってございます。今年度は、いわての森林づくり県民税を活用した事業に、感染が疑われる松も含め被害木の徹底駆除を行う事業も追加いたしまして、これまでの被害防除事業とあわせ被害の蔓延防止に取り組んでいるところであります。
 さらに、松の密度を下げるということも被害拡大防止に有効であることから、被害森林の更新伐採に対する国の補助事業を活用いたしまして松林の樹種転換を進めるなど、地域の被害発生状況に応じて方策を講じながら、被害の拡大防止に努めてまいります。
〇高橋昌造委員 松くい虫の被害の実態ですが、市町村によってどういう状況にあるのか、まず、市町村別で発生状況がわかればお示しを願いたい。
 それから、被害の量、材積でも結構ですので、その状況は、どのようにして松くい虫被害がふえてきているのか、その辺のところもちょっとお示し願いたいと思います。
〇上野副知事 まず、松くい虫の被害量の推移、市町村別の松くい虫の被害発生状況でございますが、本県の松くい虫被害は、一時期は5万4、000立方メートルまで行ったんですけれども、全体といたしましては、最近は水準としては少し落ちましたが、4万立方メートル前後で推移いたしております。
 市町村別の被害の発生状況につきましては、現在、13の市町で被害が発生しておりますが、平成23年度は内陸の例えば盛岡市、矢巾町、紫波町、こうしたところが急激にふえてきている地域の例でございます。あるいは沿岸では大船渡市で先端といいますか、一番北限という意味ですけれども、先端地域としては大船渡市、内陸では盛岡市、矢巾町、紫波町、沿岸では大船渡市、このあたりが先端といいますか、一番境目の地域として前年度よりかなり被害が増加している。その南の地域では、もう少し前のタイミング、少し前から、もう既に松くい虫の被害があるという状況でございます。
 それから、樹種転換あるいは根本的な対策につきましては、過去5年間で樹種転換は毎年平均で20ヘクタールぐらい行ってきているところであります。根本的な対策につきましては、被害木のチップ化による破砕処理というのがマツノマダラカミキリをきちっと駆除することができる一番の方法でありますので、この有益な方法というものをできる限り導入していきたいと思っておりまして、そのためには感染源の処理方法にチップ化を追加するということをいたしまして、被害材を適切に管理できる松くい虫被害木破砕処理工場を認定して、チップ化による駆除を実施していきたいと思っております。
 特に紫波町内では、平成23年度にチップボイラーをラ・フランス温泉館に導入したところでございまして、今後、被害木をチップ化して利用することを検討していきたいと思っております。
〇高橋昌造委員 それで、被害木4万立方メートルということですが、これは時価換算したらどのぐらいの被害額になるんですか。ということは、アカマツの被害によってこのぐらい損失があるんだという少しPRをして、もしわかればお示しを願いたい。
〇上野副知事 相当な額ということだと思いますが、手元に資料がございませんものですから、後ほどきちんと御報告したいと思います。いずれにせよ、4万立方メートルという非常に大きな損失をこうむっているわけでございますので、先ほど申し上げたような形で至急対策を打っていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 いずれ、被害木の実態を、大きな損失ということをやはり皆さんにも知ってもらうことが大切だと思います。
 もう一つ、県有林に対しての松くい虫の被害の実態はあるんですか。
〇上野副知事 被害の実態については、トータルの被害の量しかございませんので、後ほど、県有林、県行造林、模範林等についての被害の実態についてお示ししたいと思います。申しわけありません。
〇高橋昌造委員 もう一つ、昨年、全国的に被害が発生しておりますナラ枯れですが、本県の民有林でも初めて発生いたしたということで、その後、どういう状況なのか。また、ナラ枯れの現状と対策についてお伺いいたします。
〇上野副知事 ナラ枯れへの対応についてでありますが、昨年発生が確認されました民有林のナラ枯れ被害につきましては、被害木18本の全てを伐倒いたしまして、薬剤駆除を行ったところであります。
 県では、ナラ枯れが発見しやすい9月をナラ枯れ被害調査強化月間と定めまして、ヘリコプターによる空中探査を実施するなど、全県を対象に調査いたしておりまして、今年度は国有林で数本の被害が確認されておりますが、民有林の被害は確認されておりません。
 県といたしましては、今後とも本県の広葉樹資源を守るため、市町村や団体などと連携いたしまして監視強化に取り組み、被害木の早期発見に努め、被害の拡大を防止してまいります。
〇高橋昌造委員 いずれ、ナラ枯れの監視も今後しっかりやっていただきたいと思います。
 それから、ナラは、半面、シイタケ原木となる重要な資源であって、また利用もされておるわけですが、また、今、本県では放射性物質の影響で多くのほだ木が使用できなくなり、再生産のための大量のシイタケ原木が必要とされておりますが、そういったことで生産者は来春の植菌用の原木確保に苦労しております。原木供給の一つの方策として、県有林から供給はできないのかお伺いいたします。
〇上野副知事 シイタケ原木供給の一つとして県有林からの供給についてのお尋ねでありますが、県では、いわゆる県有模範林からの原木供給に向けまして、現在、ナラ類の有無、放射性物質の濃度などを調査しているところでありますが、来春のほだ木造成に間に合うよう、供給のためのさまざまな準備を進めていきたいと考えております。
〇高橋昌造委員 最後になりますが、いずれ、シイタケ農家は本当に大変な状況下にあります。その意味でも、私は、県有林に限らず国にもお願いして、国有林からも原木供給ができるように、知事を先頭に、どうか国にも働きかけていただいて、しっかりとほだ木の確保に対応していただくことを切にお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
〇小野共委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時3分 休 憩
午後1時2分 再開
〇小野共委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇上野副知事 先ほどの高橋委員の御質問との関係で追ってお答えをすると申し上げた事項につきまして、簡単に御説明を申し上げます。
 まず、松くい虫被害についてのお尋ねでございましたが、被害量4万立方メートルに対する時価額は幾らぐらいと見込まれるかというお尋ねにつきましては、松くい虫被害の被害額の試算につきましては、松くい虫被害の被害量を約4万立方メートルと見込みまして、それの実損面積、実際に被害に具体的に遭っている面積についての試算が約258ヘクタールということで、これを森林国営保険の損害aX補額、単価を当てはめて計算をいたしますと、約4億6、000万円程度となるということでございます。
 2点目が、県有林の被害量はどれくらいかというお尋ねがございましたが、平成23年度の県有林の被害量は、約92立方メートルということでございます。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
〇小野共委員長 それでは質疑を続行いたします。工藤勝子委員。
   〔工藤勝子委員質問席に着く〕
〇工藤勝子委員 自由民主クラブの工藤勝子です。
 会派を代表いたしまして総括質疑を行わせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず最初に、東日本大震災津波発生による対応と検証について御質問をさせていただきます。
 昨年の3月11日、14時46分、マグニチュード9.0という大地震が発生いたしました。その後、巨大な津波が発生いたしまして、三陸沿岸を襲い、6、000人にも及ぶとうとい方々が犠牲となられました。岩手県史上、経験したことのない未曽有の大震災となりました。
 本格的な災害復旧予算に対する初めての決算審議となります。東日本大震災津波から1年7カ月が経過いたしました。被災地も、災害公営住宅の建設や住宅の再建が始まるなど、まちも少しずつではありますが、復興へ向けて進み出しているものと思っているところであります。再びこのような災害が発生しないことを祈るばかりでありますけれども、もしもの場合を怠ってはならないと思っておりまして、お伺いさせていただきます。
 3月11日の災害発生以来、世界各国から応援を初め、自衛隊や全国各地域から警察、消防、自治体職員の応援をいただきまして、初期の復旧を行ってまいりました。現在も全国各地から、自治体等から応援職員を派遣していただいて、復旧、復興に頑張ってもらっているところでもあります。大変心強く、励まされていると思っております。
 そこで、本県において、地震発生後の初動命令と県庁内の職員の役割分担及びその対応はどうであったか、知事にお伺いいたします。
〇加藤総務部長 地震発生後の初動命令並びに県庁の職員の役割分担等についてというお尋ねでございます。
 大震災津波の発生と同時に災害対策本部を設置いたしまして、直ちに自衛隊等に災害派遣を要請したほか、本部長であります知事からは、各部局に対しまして、人命救助を最優先に、被災者に寄り添った支援をスピード感を持って実施するよう、指示があったところでございます。
 県庁職員は、災害対策本部の規程に基づきまして、それぞれ担当すべき業務に当たるため、その体制を整えていたものの、大規模な停電及び通信網の断絶等によりまして、被災地の状況把握は困難をきわめたという状況でございました。加えまして、道路網の寸断、燃料、物資の不足等により、被災地への支援物資輸送等におくれが生じた面もあったと認識しております。
 なお、2日目以降におきましては、自衛隊等関係機関の支援体制が整ってきたこともあり、徐々に体制を立て直し、各機関等との連携を図りながら、応急対策に当たったものでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、改めてまた知事にお伺いしたいと思います。
 災害対策本部における部局横断的な対応が円滑に行われない面もあったという検証が出ております。その中で、やはり部局横断的な対応をするには、知事の指令が一番ではないかなと思っているんですけれども、知事はどのような指令を出されたんでしょうか。
〇達増知事 発災から約1時間後に開かれた第1回の災害対策本部会議において、まず人命が最優先であると。そして情報がとれない中で、見えないところ、気がつかないようなところ、そこで人命の危機が生じている、そういう可能性を考えながら、まず人命救助のために必要なことをやるようにということを指示しました。
〇工藤勝子委員 はい、わかりました。でも、やはりこういう大震災においては、県庁職員の人たちが部局横断的に一致団結して、全てに取り組んでいくのではないかなと思ったところでもございます。
 いろいろさまざまな本や報道機関の中で、発災後に災害対策本部の混乱状況があったというような報道もございました。県庁内では、日ごろから防災訓練などをきちんと行っているにもかかわらず、混乱が起きたということであります。原因はどうだったのか。また、訓練している機関でさえもこのような混乱が起きたわけでありますので、県内かなりのところで混乱、混雑が起きたのではないかと思っております。
 対策本部ではどのように把握されていたのか。この状況を踏まえて、今後の対策本部のあり方を検証されたかをお伺いいたします。
〇加藤総務部長 発災によりまして、大規模な停電、通信網の断絶等が発生したということでございまして、沿岸被災地を含む県内各地の状況把握は、困難をきわめたところでございます。このため、この段階におきましては、県内における混乱という状況の把握まで至らなかったのが実情でございます。加えて、県庁におきましては、関係機関と連絡も十分とれない状況であったため、どのような災害対応を行えるかどうか、行うべきか、そういった判断に難渋し、混乱という面もあったものと認識しております。
 災害対策本部のあり方についてでございますが、先ほど申し上げましたような情報収集が十分できなかったことのほか、通常時の縦割りやルールに固執し、状況を踏まえた柔軟な対応に欠ける面もあったことなどが、事務を円滑に処理できない要因であったと分析しております。
 こうした分析を踏まえまして、通常時の組織別ではなく、災害対応を部局横断的に実施できるような業務別の組織の構築を図るため、災害対策本部の編成を見直し、体制を強化したところでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、知事にお伺いしたいと思っております。
 対策本部が置かれたのは4階だと思っていますが、その対策本部に知事は足を入れてみましたでしょうか。みましたならば、まず最初に、その所感をお伺いしたいと思います。
〇達増知事 対策本部の会議を開くのは3階の会議室であります。4階には、その対策本部をサポートする支援室が設けられました。
 発災直後、まず中に入って関係者を激励しつつ、また、特に自衛隊初め県以外の国からの派遣職員等々、しっかり挨拶また激励をし、また、お願いを繰り返しながら対応しておりました。
 それで、発災直後はかなりの部分はラインで対応することになります。例えば病院を見ている医療局であれば病院との連絡、学校を見ている教育委員会であれば学校との連絡、そして農林水産関係はそれぞれ農業関係がどうなっているか等々ということで、まず、規定のマニュアルに従って、それぞれやるべきことをまずきちんとスタートさせているというところは確認できました。ただ、そういった連絡の中で、たちまち電話等がつながらなくなって情報が入手できなくなり、そこで特に大きな津波が来ているはずの沿岸の状況が全く把握できないという中で、確実に大勢の方々が命の危機に瀕していると。そういう問題意識は現場のほうでも共有していまして、とりあえず、動かせて県で掌握できている県警ヘリからの情報でありますとか、そういったところに頼みながら、まずスタートしていたという中で、非常な緊張感、また、何かしなければならないのにできないという、もどかしさというものが強くあったことを覚えています。
〇工藤勝子委員 私がここで言いたかったのは、私も5日後だったでしょうか、対策本部に入ってみました。とても想像を絶するような状況でありました。まず、足の踏み場もないと申しましょうか、いろんな人たちが出入りしまして、大混乱というような状況の中でありました。これで本当に対策本部としてスムーズに各市町村と連携をとりながら仕事ができるのかなという思いに駆られました。ある県の職員は、何日か電話のそばに座っていたんでしょうね、多分。もう、くたびれて電話に頭をつけて倒れているような状態の、そういう職員も目の当たりにしたわけです。なぜこういう職員と交代できる職員がいないのかというような思いにも駆られました。ですから、このぐらいの大震災で、あの4階の対策本部で本当に対応ができるのか。県庁はそれは狭いと思いますけれども、どこか別に、対策室が二つに分かれても使えるところがないのかという思いに駆られたところでもあります。所感がありましたら知事からお伺いいたします。
〇達増知事 あのときの支援室のレイアウトでありますとか、そこでの職員の配置等は、岩手・宮城内陸地震の際の反省に基づいて、かなりブラッシュアップ、高度化させたものでありまして、他県のそういった体制と比べても引けをとるものではないと思います。
 5日目になれば、疲労が蓄積した職員等はいたかもしれませんけれども、基本的に、それぞれのラインに従って必要な動きをしていたと承知しております。そして、横の連携については、基本的には対策本部のほうで各部局の代表が出て、各部局からの情報をやりとりする中で、部局横断的なものについてはその場で調整をしていくのが基本でありまして、4階の支援室の段階においては、それぞれラインで動いているところできちっと動くということが重要であったと認識しております。
〇工藤勝子委員 加藤総務部長のほうからいろいろ情報がとれなかったという、大規模な停電が発生したわけですので、市町村との連携と申しましょうか、連絡を取り合うことが非常に困難だと思っております。どんなことがありましても、やはり今後は、県内市町村といかなるときでも連絡体制がとれるようにしておくことが非常に重要ではないかと思っております。
 そこで、防災情報通信設備災害復旧事業費補助を追加補正いたしまして、直ちに体制整備を行えるようにしたと思われるわけですけれども、残念ながら平成23年度は執行率0%であります。平成24年度に全額繰り越しているわけでありますが、事は急を要すると思いますが、今後の事業計画の見通しと今年度中にこの通信網が完了する見通しなのか、お伺いいたします。
〇加藤総務部長 防災情報通信設備災害復旧事業についてでありますが、この事業は、全体計画として県庁統制局、全市町村、全消防本部、6防災機関等及び9地方支部─県の出先ということになりますが─に端末局を設置いたしまして、衛星通信網の再整備を図り、デジタル化することとしている、そういった事業でございます。このうち、平成23年12月補正で予算化した部分につきましては、災害時における起動の確実性を備えた仕様とするため、技術的な検討に時間を要したことなどから契約に至らず、本年度へ繰り越したものでございます。
 現時点におきましては、本年度末までに、県庁統制局のほか、全市町村、全消防本部及び盛岡地方気象台等の4防災機関についての再整備工事が完了する見通しとなっております。
 なお、残りました9地方支部、2防災機関につきましては、今回補正予算を計上したばかりでございますが、速やかに事業着手できるよう準備を進めてまいります。
 それから、市町村との連絡という面で複線化ということを配慮してさまざま取り組みを進めておりまして、今、お尋ねの防災情報通信設備災害復旧事業以外にも、衛星携帯電話の市町村への配布という事業も進めておりますので、これと相まって、いろいろ連絡形態が複線化していくと。当面、この衛星携帯電話の配布によりまして、最低限の部分は確保されているというところでございます。
〇工藤勝子委員 この東日本大震災津波が発生する前は、宮城県沖の地震が、将来、30年後とかという形の中で発生するかもしれないと想定されていたと思っておりました。それが年々近くなってきたわけでありまして、県として、毛布、シート、一部食料を含めて災害備蓄をされていたと思っておりますが、どのくらい準備をされていたか把握できていますでしょうか。
〇加藤総務部長 県では、大震災津波発災以前におきましては、市町村の備蓄を補完するため、乾パン5、000食、毛布1、500枚、防水シート300枚など、所要の災害用備蓄資機材を、消防学校敷地内の倉庫に備蓄しておりました。このほか、大規模災害時における生活必需品、食料及び飲料などの供給につきましては、民間企業、各種団体と供給の協定を締結するということで対応していたところでございます。
〇工藤勝子委員 備蓄されたり協定していたところもあると思いますけれども、それぞれの被災市町村にそれを全部届けられたと思いますけれども、いつごろ、誰が、どのようにして、その地域の避難所に届けられたのかお伺いいたします。
〇加藤総務部長 県備蓄物資の被災市町村への運搬ということでございますが、県では、発災翌日の3月12日に、自衛隊に対しまして物資輸送の要請を行い、消防学校敷地内の倉庫に備蓄しておりました乾パン、毛布等につきまして、大船渡市及び釜石市に対して3.5トントラックで3台分、宮古市及び田野畑村に対して同2台分、洋野町に対しまして同1台分、それぞれ運搬を実施したところでございます。
〇工藤勝子委員 午後2時46分ですので、また3月ですので、午後5時ごろになれば暗くなるんだろうと思っておりまして、大変だったと思っております。ですけれども、そういう大きいところには物資が随時届けられたという情報もあります。確かに遠野のまごころネットが、リュックサックを背負っていろいろ調査して歩いたところによりますと、同じ避難所になっていながら2カ月たってもおにぎり1個、救援物資一つ届くわけじゃなくて、もう着のみ着のまま、お風呂にも入らないで、ずっと自分たちで何とかやりくりして生活していた人たちのグループがありました。そういうところも県がしっかり今後把握して、市町村の役割なのかもしれませんけれども、把握をしておく必要があるのではないかという思いに駆られました。
 また、その夜は非常に雪も降りまして、寒い夜だったんですね。新聞紙があればよかったという話をされて、結局、避難所で塩水をかぶって寒いまま亡くなられた方もあるというような話もありました。
 今後、全国各地で、西日本のほうでも繰り返し大雨や台風、土砂崩れの自然災害が発生しております。災害備蓄を進める必要があるのではないかなと思っております。特にも、首都直下型地震や南海トラフ地震といった、今回の大震災に匹敵するような被害が想定されている中で、他県に被害が発生した場合、本県が受けた今回の支援に対する恩返しということもあるのではないでしょうか。
 今後の備蓄に対する計画はあるのか、また、管理できる備蓄倉庫は整っているのかお伺いいたします。
〇加藤総務部長 災害対応を検証する中で、食料等の備蓄の必要性は再認識された、そういうものであると非常に重く受けとめております。このため、地域防災計画を見直しまして、食料、生活必需品等の備蓄計画を新たに項目立ていたしまして、災害発生直後から、飲料水、食料、生活必需品等の流通が確保されるまでの間、被災者の生活を支えるため必要な物資の備蓄を行うこととし、県民及び事業所における物資の備蓄を促進するという形にしたところでございます。これを受けまして、現在、具体的な備蓄のありようにつきまして、県と市町村と役割分担でございますとか、家庭や事業所における備蓄との兼ね合いなどを考慮しながら検討中でございます。
 また、県の備蓄物資は、消防学校敷地内の倉庫に保管しているということでございますが、大規模災害時に効率的、効果的な物資支援を行うためには、県内複数箇所に備蓄しておく必要があると考えられます。したがいまして、現在、広域防災拠点整備構想を検討しておりますが、この中で議論を深めまして、備蓄倉庫のあり方、この配置につきましても検討してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 復興実施計画における取り組みの進捗状況の中に、安全なまちづくりというところがございます。その中で、これは県民の方ですけれども、今回の震災に対応する今度避難所となるところに、もう、毛布が1枚もないですよということを掲げていらっしゃる方もあることを目にいたしました。そういう現状があるということもございますので、ぜひ認識していただきたいと思っております。少しずつでも、分散する形で避難所にある程度のものは整備する必要があるのではないかなと、そのように思っているところであります。
 東日本大震災津波に係る災害対応の検証報告が、今年の2月に公表されたところでございますが、この検証結果が、本県の地域防災計画にどのように反映されているのか、お伺いいたします。
〇加藤総務部長 検証結果の防災計画の反映ということでございます。市町村や関係機関へのアンケート、現地調査、県防災会議の分科会における検討等を通じまして災害対応の検証を行いましたが、発災直後、大規模停電などにより通信が途絶し、情報収集が困難であったこと、庁舎の損壊や職員の被災、行政データの流出などにより、被災市町村の行政機能が著しく低下したこと、従前の津波被害想定及び避難計画だけでは、今回の津波に対して対応が不十分であったことなど、いろいろ挙げればたくさんになりますが、多くの課題が明らかになったところでございます。
 このような検証を踏まえまして、本年3月に、地域防災計画の見直しを行いまして、例えば防災拠点への非常用電源の整備や燃料の備蓄、衛星携帯電話、無線通信設備の配備、通信施設等の津波流失対策の推進でございますとか、市町村の行政機能が喪失した場合の支援体制の構築や、継続可能な行政データの管理体制の構築でございますとか、さらに最大クラスの津波を想定した避難計画の作成や避難場所等の見直しなど、多岐にわたる項目を反映させたところでございます。
〇工藤勝子委員 この防災計画、それから県民の避難行動、こういうのが非常に今後大事になってくるんだろうと思っておりますが、県民に周知をするために今後どのように行っていこうとしているのか。ホームページだけにするのか、どのような形にするのかをお聞きいたします。
〇加藤総務部長 検証結果につきましては報告書として取りまとめ、県内各市町村に配布した─これは市町村を通じてさまざま活用していただきたいという趣旨で配布したわけでございますが、そのほか県政記者クラブへの情報提供、ホームページへの掲載などを通じまして周知を図ったところでございます。この結果、多くの報道で取り上げられるなど、県民に対しては一定の浸透が図られたものと認識しております。
 検証結果の内容を広く県民に周知することは、御指摘のありましたように、地域や家庭での取り組みを促進する上でも大変重要であると認識しておりますので、自主防災組織が行う防災ワークショップなどの機会、こういうところでテキストがわりといいますか、あるいはその内容を、さわりでありますが説明するとか、そういったことも含めまして、周知をさらに一層強めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、復興財源の確保と財政運営についてお伺いいたします。
 国は、復興予算として、震災後の平成23年度から5年間で19兆円の予算を確保することで、復旧、復興が進んでいくものと思っておりました。しかし、19兆円の予算使途が公表されてみますと、全国防災対策費や疑問を持つ事業にも予算が計上されている現状に非常に驚きました。知事の所感をお伺いいたします。
〇達増知事 復興予算の使途については、現在、国において、政府全体でこれまでの復興予算を活用した事業の精査を行っていると承知しております。
 復興予算については、昨年7月、東日本大震災復興対策本部が決定した東日本大震災からの復興の基本方針に明記されているとおり、国は、国の総力を挙げて東日本大震災からの復旧、そして将来を見据えた復興へと取り組みを進めていかなければならないものとされております。
 こうした復興の基本方針に基づいて予算が計上されることが必要であり、復旧、復興が実現するまでの間、復興交付金やグループ補助金を初めとする、被災地で必要とされている事業予算が確実に確保されるべきものと考えております。
 このような考え方のもと、先般、復興予算の使途について被災地の疑念を払拭するとともに、一日も早い迅速な復興に向けて、既存の枠組みを超える強力な復旧、復興対策を講じるよう、政府に対し要望したところであります。
〇工藤勝子委員 どうぞ政府に対してもしっかり要望をして、岩手県の復旧、復興を進めてほしいと思っております。
 平野復興大臣も、いかがなものかという予算がないわけではないというような、新聞で発言をされておりました。きちんと精査するということでしたし、本県においても復興予算の確保に向けて、どのような要望を行ってきたのかをお伺いいたします。
〇高前田理事 復興予算の確保についてでございますが、7月末における政府要望におきましては、復興の加速化を図るために、復興交付金等による確実な予算措置、地方負担分に対する財源措置の充実、確保、自由度の高い地方財源の一層の確保など、復興財源の確保について重ねて要請してきたところでございます。
 今後とも、被災地の復興事業をさらに加速させる観点から、復興予算の確保についてしっかりと要望してまいります。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 平野復興大臣がこのような発言をされるということは、復興庁の役割というんでしょうか、復興関係の全てを把握しているわけではないんだなということを改めて思い知らされたところであります。
 復興庁の役割分担は改めてどうなっていると思っておりますか。県のほうにも復興局が置かれているわけですけれども、どうなっているでしょうか。また、県の復興局ではこのようなことはないと思いますけれども、関係部局との連絡、調整や役割分担はどうなっているか、お伺いいたします。
〇高前田理事 復興庁の役割分担についてでございますが、復興庁は、内閣総理大臣のリーダーシップのもと、復興に関する国の施策の企画や復興予算の一括要求、各府省への配分などの復興施策の総合調整を行うとともに、復興推進計画の認定、復興交付金の配分など、地方公共団体の一元的な窓口と支援を行うこととされているところでございます。また、県復興局は、復興に向けた専担組織といたしまして、復興計画の進行管理、産業の復興に係る施策の企画調整、被災者の生活再建の支援などを所掌し、各部局は具体的な復興施策を推進しているところでございます。
 こうした役割分担のもと、県の組織を挙げて復興に取り組むため、毎月、知事を本部長に、関係部局長で構成する復興本部員会議を開催し、復旧、復興対策の総合的な方針決定や、各部局が実施をいたします復興施策の連絡、調整を行うとともに、復興局も予算編成や重要施策の協議に参画をいたしまして、関係部局との連携に努めているところでございます。
〇工藤勝子委員 本県においても、平成23年度において、1次、2次、3次と補正予算を編成してまいりました。県政史上、初の1兆5、000億円を超える予算編成となりました。その決算額も1兆2、500億円余となったところでありますが、震災復興対応としての決算額も相当な規模になったと思われます。繰越額を除いてどのくらいであったのか。また、平成23年度に行われた震災関係の復旧、復興施策の概要と、その成果を踏まえた今年度における展開はどうであったのか、お聞きいたします。
 また、多額の繰越額になったようでありますが、その原因は何であったのか。また、平成24年度中にどれくらいの額が解消できるのか、お伺いいたします。
〇加藤総務部長 震災対応分ということで整理しております経費の歳出決算額につきましては、5、220億円余となっております。
〇高前田理事 震災関係経費の特徴についてでございますけれども、平成23年度におきましては、復興計画に掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則のもとで、災害廃棄物の撤去や防災施設等の応急的な復旧、応急仮設住宅や仮設診療所の整備、漁船、養殖施設等の復旧や仮設商店街の整備など、被災地の復旧、復興の第一歩となる緊急的な取り組みを進めるとともに、これとあわせて、本格的な復興に向けた基盤の構築を目指した取り組みを集中的に推進してきたところでございます。
 こうした平成23年度の取り組みの成果を踏まえまして、今年度は、復興交付金を活用した防災まちづくり事業や災害公営住宅の整備に着手するとともに、県内全ての産地魚市場の復旧を完了するなど、第1期復興実施計画が目標とする基盤復興に向けた事業が具体化しつつあるところでございます。
 一方で、被災地におきましては、いまだ多くの県民が復興の進捗を感じられない状況となっておりますことから、8月に改定をいたしました復興実施計画に基づき、安全で安心な防災都市・地域づくりによる安全の確保、住環境の整備や雇用の確保による暮らしの再建、水産業を初めとしたなりわいの再生などの取り組みを一層加速させてまいります。
〇菅原会計管理者 平成24年度への繰越額についてでありますが、一般会計につきましては221件、221事業、2、778億9、654万円余、それから特別会計分につきましては7件、82億3、875万円余となっており、一般会計と特別会計の合計は228件、2、861億3、529万円余となっております。
 次に、繰り越しの原因についてでありますが、震災対応の災害復旧費等において計画調整に不測の日数を要したこと、設計、工法の検討に不測の日数を要したことなどでございます。
 次に、平成24年度に繰り越した事業の進捗状況についてでありますが、決算書類の策定過程に当たりまして、平成24年7月31日現在の進捗状況でございますけれども、一般会計及び特別会計を合わせまして、既に事業が完了したものが23件、62億7、226万円余、今年度末までに事業完了予定のものが205件、2、798億6、302万円余と計画されており、現在、各担当部局において鋭意事業執行に努めているところでございます。
〇工藤勝子委員 そうすると、平成24年度で繰越額がほとんどなくなって国に返還を求められないという形になるのではないかなと思っております。その分、逆に、今度は不足する部分も出てくるのではないかと思っております。
 平成24年度当初予算までに18兆円が予算措置されているということも聞いておりますが、これでは先行き、財源の手当てが心配になってまいります。復興基金や復興交付金、災害特別交付税など、震災対応に必要な財源は担保されているのか、お伺いしたいと思います。
 国庫補助負担事業で事業執行する場合の補助裏には、地方負担分が伴うこととなると思っております。その地方負担分を震災特別交付税で賄うとされておりますが、全額が対象になるのでしょうか。
 災害特別交付税について、復興が終了するまで国の責任において交付されるべきものと考えますが、その見通しはどうでしょうか。
〇高前田理事 震災対応予算への国からの資金手当ての関係でございますが、本県、とりわけ被災地域は経済力が弱く、自主財源に乏しい地域でございますことから、国に対して、国費による充実した支援と、地方負担も含む復興財源の確保を強く要請してきたところでございます。こうした要請を踏まえまして、国におきましては、復旧、復興に係る経費に対して復興交付金や復興基金制度、震災復興特別交付税の創設など、復興の推進のための支援制度を整備したところであり、被災地における復興の取り組みの具体化に従い、順次、必要な復興事業予算が措置されているものと認識をいたしております。しかしながら、今後、さらに復興を加速させるためには、復興交付金制度の柔軟な運用と復興が完了するまでの間の確実な予算措置、復興に要する費用の中央負担分に対する財源措置の確保、自由度の高い地方財源の充実、確保などを講じることが必要となっております。このため、今後とも、国に対して、被災地の復興事業をさらに加速させる観点から、これら復興予算の確保について、引き続き強力な働きかけを行ってまいります。
〇加藤総務部長 震災復興特別交付税についてのお尋ねでございます。
 震災対応分の国庫補助負担事業に係る地方負担分に対しましては、基本的には震災復興特別交付税が充てられるものでございますが、事務費の一部でございますとか、受益者が負担すべき経費などについては対象とならず、一部、地方の負担となっている部分もございます。
 また、震災復興特別交付税は、被災団体の実質的な財政負担を解消することとして創設され、従来の地方交付税とは別枠で確保されているものでございます。こうした制度の趣旨に鑑みますと、平成25年度以降も当然措置されるものと見込んでおりますし、また、そのため、先ほども答弁ありましたが、強力な働きかけを行ってまいります。
〇工藤勝子委員 復興のステージが進むにつれて、さまざまな財源が必要になってくると思われます。国にしっかりと財源措置されますよう、望みたいと思っております。
 そこで、平成23年度に震災対応分として活用された基金は幾らであったでしょうか。また、その主な事業は何であったのか、お伺いいたします。
〇加藤総務部長 基金の震災対応の活用額についてでございますが、平成23年度決算におきまして、震災対応分の事業の活用した基金からの繰り入れ総額は375億4、000万円余となっておりまして、主な事業を申し上げますと、緊急雇用創出事業費補助39億5、000万円余、災害廃棄物処理促進事業費62億2、000万円余、東日本大震災津波復興基金市町村交付金210億円などでございます。これらのさまざまな基金につきましては、国に対しまして弾力的な運用や使用期限の延長などを求めてまいりましたが、緊急雇用創出事業臨時特例基金におきましては、被災県を対象としました緊急雇用創出事業が追加措置されまして、新たに7、752人の雇用が創出されましたほか、高等学校生徒等修学等支援基金におきまして、私立学校等に在学する被災した425名の幼児児童生徒に係る授業料等の減免を対象とするなど、被災地の実情に応じまして活用範囲が広がり、復旧、復興の推進の一助となったものと認識しております。
 また、当初、平成23年度いっぱいで事業終期が設定されておりました10基金につきましては、事業終期が延長されたところでございます。
〇工藤勝子委員 さまざまな財源手当てを模索しながら、一日も早い復興を進めようとしている中であると思っております。
 特例公債法案が成立しておりません。今年度の地方交付税の交付も一部凍結状態になっております。復興事業に影響が出てこないのか、心配しているところでありますが、本県の基金残高でどこまで賄えるのか、その見通しをお伺いいたします。
〇菅原会計管理者 地方交付税の一部凍結についての本県の対応でありますが、本県におきましては、支払い等に要する資金は、歳計現金に加え、各種基金に係る現金を繰りかえて調達しているところでございます。
 なお、各基金の総額は、震災関連基金等の新設や既存基金の積み増しなどにより前年度と比べて大幅に増加しており、9月末時点における繰りかえ額は3、241億円余となっております。
 今後、各種基金事業の実施に伴う基金の取り崩しも見込まれますが、当面は支払い資金の不足は来さないものと見込まれることから、復興関連事業に支障は出ないものと考えております。
〇工藤勝子委員 そのように願うところであります。非常に財源が不足して復旧、復興がおくれるようであっては、本当に大変なことだと思っております。安心していていいのかなという思いで答弁を聞きました。
 直轄事業負担金についてもお伺いいたします。
 震災関連事業で直轄事業がございます。主要4港湾や三陸縦貫自動車道、東北横断自動車道釜石・秋田線の花巻-遠野間がその主なものだと思っておりますが、この直轄事業に対する県負担金はどのぐらいでしょうか。平成23年、平成24年度での実績と、現在この財源は震災特別交付税で賄われていると思っておりますが、実質県負担がないように思いますが、平成25年度以降、財源がまだ不透明であります。財源のあり方によっては、状況はどうなる見込みなのか、お伺いいたします。
〇加藤総務部長 直轄事業に係る県負担金についてでございますが、平成23年度決算におきましては、直轄道路事業や直轄河川事業などに合計125億円余の負担金を支払っております。また、平成24年度9月現計予算でございますが、直轄道路事業、直轄港湾事業などの負担金として、合計195億円余の予算を計上しております。
 直轄事業負担金については、そもそもの制度の存続自体が議論されておりまして、県としてはその廃止を求めている、そういう立場でございます。仮に制度が存続するといたしましても、震災復興特別交付税の趣旨は先ほど答弁したとおりでございますことから、こうした直轄事業負担金に係る部分につきましては、平成25年度以降も、この枠組みの中で確実に措置されるものと見込んでおりますし、また、そのように働きかけていきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 やはり知事が国に出向いていって、こういう部分をしっかりと国で財源を賄っていただくようにお願いしなきゃならないと思いますが、知事にその所感をお伺いいたします。
〇達増知事 私は19兆円で足りる、オーケーということは言っておりませんで、去年、発災直後、そして復興構想会議に被災3県知事が参加して議論する中でも、現場において必要な事業は予算を確保して行わねばならないということで、初めに幾らまでと上限を設けたり、また、財源についても基本的に増税には反対でありましたし、まして、増税によって幾ら確保したから、もうその範囲内で復興をやれというのは、これは被災地、被災者本位の復興という考え方から大きく外れることでありますので、幸い、発災直後から今の復興庁の前身である、復興庁岩手復興局の前身である現地対策室というものが設けられ、関係省庁の職員も現地に常駐していますので、しっかり現地の状況を見定め、そして市町村、県の言うことをよく聞いて、必要な予算を措置するよう、確保を求めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 復興に当たっては、復興計画を策定しております。復興計画の進行管理を行いながら復興を進めていくとされておりますが、県民の意識調査とそれから復興意識調査、ここに乖離があるように思われてなりません。県民の満足度があんまり上がってきていないというこの復興事業に一生懸命取り組んでいる割には、県民に伝わっていないという心配もございます。
 そこで、県民に情報発信を進めることで満足度がだんだん上がっていくと思っておりますが、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 県の復興計画においては、県の役割としては被災市町村の復興支援を掲げ、市町村の具体的な復興の取り組みに際し、復興計画の策定、復興交付金事業等の導入、復興特区制度を活用した土地利用再編に係る手続のワンストップ処理などの支援を行うとともに、復興関連道路等の整備や産業集積など、広域的な課題解決や地域間連携を推進しているところであります。そして、被災された方々の生活再建を支援するために、復興の取り組みや進捗状況をわかりやすくお伝えすることが重要であり、市町村との連携による、住民に身近な社会資本の復旧・復興ロードマップの公表やいわてグラフなどの広報媒体を活用した復興状況の紹介などによって復興情報を発信し、昨年4月のがんばろう!岩手宣言など、知事からも復興に向けた取り組み状況と決意を伝えるというようなことをしているところでございます。
 今後とも、市町村と連携を図りながら、復興事業を加速するとともに、復旧・復興ロードマップの更新等を通じて事業の進捗をわかりやすくお伝えし、被災された方々が復興の歩みを実感できるように努めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 そこで、知事は、平成23年度、沿岸市町村をどれぐらい訪問されたんでしょうか。知事は忙しいでしょうから、それぞれの12市町村を訪問していろいろ懇談をすることは非常に難しいと思いますが、例えば復興計画を掲げて各市町村の首長と一堂に会して意見交換をされたということがあるのでしょうか、お伺いいたします。
〇達増知事 平成23年度は延べ40回、沿岸市町村を訪問いたしまして、個別に市町村長また被災された方々との意見交換を行ってまいりました。また、沿岸13市町村で構成する復興期成同盟会もございますので、その会議に出席するなどして、復興に向けた議論を重ねてきたところであります。
 今後においても、県の組織を挙げて被災地の実情とニーズの把握に努めて、市町村との連携を強化しながら復興を加速してまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 復興を進める上で県の役割、国の役割、市町村の役割、さらに私は住民の役割も必要になってくるのではないかと思っております。まちづくり計画の中において、住民の同意を得られない部分もございます。そういう中において、市町村だけでは何とも対応できない部分も出てくるのではないかと思っておりますが、これに対して県もかかわっていくべきではないかと思います。その役割と県のかかわり方について御質問いたします。
〇高前田理事 県、市町村の役割分担についてというお尋ねでございます。
 市町村につきまして、これは基礎的自治体ということでございまして、地域特性や住民の意向を踏まえ、被災地域の第一線において取り組みを進める復旧、復興の主体としての役割を担っていると考えております。また、県は、そのような市町村の復興の取り組みを積極的に支援するとともに、広域行政を担う地方公共団体として、広域的な課題や複数市町村をまたぐ事業についての計画作成や実施を担っており、また、市町村が地域住民とともに復興に向けた取り組みを加速させるために必要な制度や財政措置を国に提案する役割を担うと認識をいたしております。
 特に、住民との関係で今御指摘がございましたけれども、現在、被災地におきましては、復興のまちづくりに向けました住民とのさまざまな協議が進められてございます。そういったような場につきましても、できる限り県としても参画をさせていただいて、具体的な事業の内容等に関する助言といったようなことを積極的に行っていく必要があると考えておりまして、今後とも、国や市町村と連携を密にしながら、県としての役割、これを積極的に果たしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 次は、鉄路についてお伺いいたします。
 JRの復興ですけれども、一般質問でもありました。山田線におきましても大船渡線においても、なかなかJRでは復興するという言葉が出てきません。その中において、駅舎というのはまちをつくる中心になるべきじゃないかなと、今までもそうだと思っておりましたが、なかなかこれが復興しない状況にあります。今後、どのように岩手県の復興計画をJRのほうに示して理解を得ようとしているのかお聞きしたいと思いますし、大船渡線がバス高速輸送システムに入りました。この件について、知事の所感を伺いたいと思います。
〇達増知事 JR山田線そして大船渡線は、通学や通院など、地域における欠くことのできない重要な足であるとともに、観光振興などの社会的基盤であり、三陸沿岸の復興を下支えする重要な路線であります。平成26年4月の全線再開を目指す三陸鉄道とつながることによって、三陸を縦貫する鉄道としての相乗効果も発揮されるものでありますので、県としては沿線市町と連携を図りながら、鉄道の早期復旧を引き続き国やJR東日本に要望してまいります。
 そして、さきのJR大船渡線公共交通確保会議において、沿線市は鉄道復旧を前提とした上で、復旧までの間の沿線住民の足を早期に確保するため、BRTによる仮復旧を受け入れたと理解しておりまして、できるだけ速やかに運行されることを期待しております。
 一方、BRTによる仮復旧は、あくまで鉄道復旧までの代替交通ということで、県としては沿線市の意向を最大限尊重し、今後も気仙沼駅から陸前矢作駅までの間の鉄道での早期運行再開と鉄道の全線復旧がなされるように、復興調整会議の場などを活用し、関係機関と議論を加速するとともに、JR東日本にも引き続き要望してまいります。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。もう、知事の出番ではないかなと、私はそのように思っているところでもあります。
 次に、災害復興公営住宅についてお伺いいたします。
 県事業で3、231戸、市町村事業で2、370戸、合計で5、601戸という災害復興公営住宅が始まろうとしております。これについて、入りたい人が多いわけですが、入居に際して優先度というものはあるのでしょうか。それから、入居に際しまして、せっかく応急仮設住宅でコミュニティが生まれてきているわけですけれども、それがまた確保できる状況になるのか、そういう移転になるのか、お伺いしたいと思っております。希望しても入居できない人たちができるのではないかと思っておりますが、どのような対応を考えているのか、お伺いいたします。
〇上野副知事 まず、災害公営住宅への入居を希望する世帯についてのお尋ねでございますが、まず参考までに、昨年度の応急仮設住宅の居住者に対して、県が行いましたアンケート結果を参考といたしますと、単身世帯が約20%、2人世帯が30%、3人以上というのが50%程度と想定されております。
 また、災害公営住宅への入居に関する世帯ごとの優先度についてお尋ねがございましたが、県営住宅につきましては、従来と同様に、高齢者、障がい者、母子家庭世帯などの方々が優先的に入居できるようにするなどの措置を考えておりますが、今後とも、市町村とも十分に相談をしながら決めていきたいと考えております。
 次に、地域におけるコミュニティの確保についてでありますが、災害公営住宅の整備に当たりましては、より早く、十分な戸数を建設することが県の役割と考えております。
 災害公営住宅の入居募集に当たりましては、地域のコミュニティの確保に資するよう、かなりの割合をその建設地の市町村に居住する方々への枠としたい、と考えております。
 また、市町村におきましては、地域のニーズを重視して整備を進めておられまして、例えば漁村などで整備される災害公営住宅につきましては、地域の住民を指定して入居させる方法を採用する場合もあると聞いております。
 それから、災害公営住宅への入居希望者が入居できないようにしてはならないという、あるいはそういう対応についてお尋ねがございましたが、まず、住宅の自立再建ということは困難で災害公営住宅の入居を希望しておられる被災者の方々に対しましては、確実に災害公営住宅を用意できるよう、今後も市町村と協力をいたしまして、災害公営住宅の必要戸数の把握に努め、計画の柔軟な見直しを図ってまいりたいと考えております。しかし、必要な災害公営住宅のすべてが完成するまでの間は、入居募集に応募したにもかかわらず、直ちには入居できない被災者の方々が生じることは避けられないことから、県では、応急仮設住宅の維持管理を適切に行いつつ、一刻も早い災害公営住宅の整備を目指して、鋭意、取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 やはり住宅の再建と一緒に、産業振興を進めなければならないと思っております。それで、産業振興についてお伺いいたしますが、新たな産業振興の考え方、雇用の確保の考え方、また、震災以降、新たに立地された企業があるのかどうか、お伺いいたします。
〇達増知事 新たな産業振興についてでありますが、県としては、震災前の単なる復旧にとどまらない、より生産性や付加価値の高い産業へ転換するための復興支援に取り組んでいるところであります。
 具体的には、水産加工業において、トヨタ生産方式の導入による生産工程改善や、専門家による新たな商品開発等への支援などを実施しており、地域の特性や資源を最大限に生かした産業の振興に取り組んでおります。また、被災者が安心して生活再建に取り組むためには、安定的な雇用の確保が不可欠でありますことから、被災地域の産業復興と一体となった雇用確保に向けて、引き続き取り組んでまいります。
 企業立地については、副知事から答弁をさせていただきます。
〇上野副知事 産業復興支援、さらには企業立地についてのお尋ねでありますが、まず、震災以降、本県に対してはさまざまな産業復興支援が寄せられております。例えば、県内企業からの生産設備の無償提供あるいは県外の展示会への招待出展、あるいは被災企業の復興応援としての企画物産展の開催など、本県産業の復興に向けた支援が行われてきたところであります。
 中でも、企業誘致という観点で申し上げますと、震災後の企業誘致につきましては、平成23年度について申しますと、25社の誘致をいただいております。このうち、復興支援による企業進出は、造船業、食料品、コールセンターなど6社、雇用総数は333名となってございます。このように、民間企業、団体等から寄せられたさまざまな支援により、いち早く復旧した企業が多ございまして、心より感謝するところでありまして、このような支援に応えるよう、一層の産業復興に努めてまいります。
〇工藤勝子委員 中小企業復旧・復興支援事業、いわゆるグループ補助事業について、希望者が非常に多かったと思っております。今議会にも補正予算が提案されております。早期の復興を進める上で、事業者の後押しをしっかりしておかなければならないと思っております。25社、平成24年度もあるかもしれませんけれども、沿岸においてはまだまだ足りないと思っております。
 そこで、中小企業被災資産復旧事業費補助、これが創設されました。県の事業であります。300万円から一律2、000万円に要件緩和がされました。利用されたのは、中小企業は114件、約3億円となっておりますが、なぜこういうふうに事業者が少なかったのか、原因をどう捉えているのか、お伺いいたします。
〇上野副知事 中小企業被災資産復旧事業費補助金についてでありますが、利用事業者が少ない要因といたしましては、地域の土地利用の関係から本復旧する用地が定まらないため、本格的な事業再開に着手できない事業者の方々がまだ少なくないということが挙げられると考えております。
〇工藤勝子委員 ぜひ、この要件をもっと緩和してほしいと私は思っております。例えば、この補助事業は被災資産という位置づけであります。ですから、建物及び附属設備、中に入るものですね。構造物、機械または装置の復旧となっております。もっと使い勝手がよくならないのかと思っております。例えば運送業、バス事業者、タクシーなどです。この人たちは、こういう車があって初めて事業が復興するわけですよね。ところが、こういうものにはこの補助事業が当たらないとされております。その理由についてお伺いいたします。
〇上野副知事 先ほどの復旧事業費補助の補助対象経費の考え方についてでありますが、この補助につきましては、津波により事業用資産が全壊、流失した事業者の資産復旧を対象としたものであることから、工場や店舗、事務所など、全ての業種において共通する事業用資産である建物の復旧を本旨としているものでございます。
 なお、機械装置につきましては建物と一体であると考え、補助対象としているものでございます。
〇工藤勝子委員 それはおかしいじゃないですか。だって、機械を入れる建物を建てて、それにも補助がつく。そして、そこに設備する機械にもつく。だけれども、外で営業する人があるわけですよ。つまり、運送業者というのは保冷庫の車─あれはかなり高いと聞いておりますけれども、そういうものがなければ、どんどん海でとれたもの、冷凍したものが届けられないじゃないですか。事業を広げられないじゃないですか。これは県の事業ですよ。国の縛りがあるわけじゃないです。だったら、その辺のところにもう少し補助するべきじゃないですか。考えを改めないのでしょうか。
〇上野副知事 先ほどの補助対象経費の考え方についてでございますけれども、本補助の運用につきましては、これまでも、市町村や商工団体からの要望を踏まえまして、随時、制度の見直しを行ってきたところであります。今後も、先ほどおっしゃいましたような御指摘も踏まえまして、事業主体である市町村と協議しながら、補助対象資産の内容などについて、必要に応じて検討していきたいと思っております。
〇工藤勝子委員 検討という答えが出てきましたけれども、知事はどう考えますか。
〇達増知事 副知事の答弁のとおりでありまして、市町村、そして商工団体と一緒になって取り組んでいきたいと思います。
〇工藤勝子委員 ぜひ、どうぞそのようにしていただきたいと思っております。これを、今後、私たちも見きわめていきたいと思っております。何せ、外に出るものに対しては補助にならないということ自体、私はおかしいと思うんですね。それによって営業が成り立つわけです。バス事業者にしろ、タクシーにしろ、運送業者にしてもそうだと思っておりますので、ぜひ、要件緩和をお願いしたいと重ねてお願いを申し上げたいと思っております。
 これは、被災市町村と補助額の2分の1を折半するということでございますが、非常に被災の大きい自治体にあっては、非常に財源が厳しいと言われております。補助制度の期限が明示されないと判断できないという指摘もございますが、その対応はいかがでしょうか。
〇上野副知事 復旧事業費補助の補助対象の期限あるいは財源についてのお話でございますが、まず、期限についてでありますが、今後、新たなまちづくりの進展に伴いまして本格復旧を目指す事業者の方々がふえてまいりまして、本補助へのニーズはますます高まるものと認識いたしております。このため、地域におけるまちづくりの進捗状況や事業者の復旧状況を踏まえながら、復旧需要が見込まれるまで、当面の間は補助事業の継続を検討していくということを考えております。
 また、これに伴いまして、県と市町村の財政負担が膨大となることが認められることから、地域が独自に展開する経済復興事業に活用できる取り崩し型の復興基金などの追加的な財源措置について、国に対して要望しているところでございます。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いしたいと思っております。
 人口減少の問題について、その対策については先ほども質疑が交わされたところでありますので、私も、時間が余りありませんので、この点は少し省きたいと思っております。
 ただ、やはり沿岸地域において、住宅の再建、そして産業が振興して雇用が進まない限りは、今もどんどん沿岸から内陸または県外に出ている人たちが多いわけであります。ここの社会減というものをしっかりととめる対策をしていかなければならないのだろうと、私はそのように思っているところでもあります。ぜひ、これにしっかりと取り組んでいかなければ、被災地に人がいなくなってしまいますよ。今のままであれば、全然希望も見通しも立たないわけですから、そういう面において県がしっかりこれに対応していただきたいと思っているところであります。
 次に、社会のために貢献する仕事として特定非営利法人NPOの活動がございます。平成21年度に策定したいわて県民計画に掲げる希望郷いわてを推進していくためには、行政だけではなく、地域社会の中で活動を進めている組織、団体、NPOへの支援が非常に重要だと思っております。その中でも、新しい公共を担うとされるNPOというものは非常に重要になってくると思っております。
 そこで、今、県内のNPO組織がどれぐらい認証されているのか、また、この大震災によって支援活動をするというNPOがどれぐらい認証されたのかお伺いいたします。
〇中村政策地域部長 県内のNPO法人の認証についてでございます。平成24年9月末現在、認証を受けた団体はトータルで464法人でございまして、そのうち解散した法人を除くと、9月末現在での法人数は410法人という状況になってございます。また、昨年の震災以降に認証された73法人のうち、震災対応を目的に設立したと思われる法人につきましては30法人という状況でございます。
〇工藤勝子委員 今後の震災対応として30法人もできたわけですが、県ではこのNPOの組織活動をどのように評価しているのか、県事業にどう生かそうとしているのか、協働しようとしているのかお伺いいたします。特にも、復旧、復興にはどのような企画、参画に期待しているのかお伺いいたします。
〇中村政策地域部長 NPOの組織活動の評価についてでございますが、大震災の発災以降、NPO法人の設立件数が増加してございます。多くのNPOが復興支援活動にかかわろうということで、新たに設立されているという状況にもございます。
 昨年度から実施してございます新しい公共の場づくりのためのモデル事業におきましても、復興支援や保健、福祉、まちづくりなどさまざまな分野におきましてNPOから多数の提案がございました。県や市町村と連携、協働した取り組みを実施いたしまして、大きな成果をそれぞれ上げていると認識してございます。
 このようなことから、県といたしましても、NPOには新しい公共の主要な担い手といたしまして、地域の多様な主体と連携、協働しながら、復旧、復興を初めさまざまな地域課題の解決に向けまして積極的に活動されますように期待してございます。
 また、復旧、復興に関しまして、時間とともに変化いたします被災地やまた被災者のニーズに的確に対応する上で、NPOが持っておりますネットワークの力やフットワーク、また、専門性などのいろいろな利点がございます。こういったものを十分に生かした企画や活動につきましても大いに有効であるということで、NPOには期待してございます。
 なお、こうしたNPOの活動が効果的に行えるためには、市町村の復興計画でありますとか、現地で行われておりますさまざまな活動と整合性を図りながら行っていただくということが重要でありますので、市町村等と十分に連携をとっていただくように、NPOに対しては要請しておるところでございます。
〇工藤勝子委員 NPO法人というのは受託事業と自主事業で成り立っていると思っております。ボランティア的な活動をしているNPOもたくさんあるのではないかと思っております。支援や委託事業もなくて寄附も集まりません、また、資金不足から経営も厳しいと言われるNPOもあると思っておりますが、410法人と言われましたNPOの内容の実態を県はどのように把握されているのかお伺いいたします。
〇中村政策地域部長 NPO法人の経営実態でございますが、県では、今年度、新しい公共におけるNPO法人の役割とその支援策についてというテーマで、NPOとの協働による県民協働型評価というものを実施してございます。その中で、県内NPO法人を対象としたアンケート調査を行っておりますが、その結果では、一つは、活動する上での抱えている課題の第1位が活動資金の不足、第2位がスタッフの不足という結果になってございます。
 また、NPO法人の収入の内訳を見ますと、介護保険等の事業を行っている保健等の分野におきましては、独自事業による収入が56.2%と比較的高い数字が出ておりますが、それ以外の分野での独自事業収入については14.7%という低い数字になってございます。また、逆に行政からの委託料は、保健等の分野では17%であるのに対し、それ以外の分野では59.8%という数字になってございます。
 また、会費、入会金収入や寄附金収入におきましても、いずれの分野でもこれらは数パーセントにすぎないということで、特に介護保険事業等の事業系以外のNPOにつきましては独自財源が乏しいという結果になってございます。過去に行われましたアンケート調査におきましてもほぼ同様の結果となってございますので、NPOにおきましては、一般的に活動資金の面で非常に大きな課題を抱えているものと認識してございます。
〇工藤勝子委員 今、御答弁がありましたように、やはり各NPOの方々というのは資金不足に悩んでいるということの実態を県のほうでも把握していらっしゃるようでございます。結局、資金が足りないから人が集まらないわけです。人材を確保できない。専門性を持った人を確保できない。そうすると、さらにまたNPOの活動というんですか、範囲が狭まってくるという部分もあるのではないかと思っております。
 NPOの活動というのは法律で17分野という多岐にわたっております。今ほど、56.2%という保健、医療、福祉の増進活動というのが一番多いわけであります。そのほかにも社会教育の分野、まちづくりの分野など多岐にわたっているわけであります。
 そういう中において、県ではNPOに対してどのような部分の委託事業が多いのか。それから、いろんな17分野の中で、複数で受けている、一つではなくていろんなところに全てに手を挙げて活動しているNPOも見られるわけですけれども、NPO法人に対してどれぐらいの補助金や委託事業を出しているのかお伺いいたします。
〇中村政策地域部長 県からNPO法人への委託事業につきましては、平成23年度におきまして69件、委託額で約4億2、100万円という状況になってございます。また、分野につきましては、福祉分野が35件と最も多く、次いで農林業分野が10件、雇用分野が5件、コミュニティが5件という順になってございます。
 また、補助事業につきましては、平成23年度で27件、交付額で約1億2、800万円という状況になってございます。
〇工藤勝子委員 県から委託事業を受けられるNPOはそれはまずいいと思います。何とかやれるんじゃないかと思っております。その中において、NPO同士の競争も逆に激化してきているんじゃないかと思われます。よくわかりませんが、指名入札で行っているのか、競争入札なのか、受託先を選定するに当たって、事業に対するコンセプトの魅力だとか、NPOとしての活動実績を評価しているのか、新しい提案があるとか、リーダーの人格とか、特に選定の基準に対してウエートを置いている部分は何なのでしょうか、お伺いいたします。
〇中村政策地域部長 委託選定に当たりましての基準についてでございますが、県では、平成22年12月に、NPOを対象に含む事業委託の手続の適正化に関するガイドラインというものを策定してございます。その中で選定基準の明確化というものを掲げてございまして、選定基準を募集要項に記載して公表するように明記してございます。
 このガイドラインにおきましては、一つは、団体に関する選考基準といたしましては、活動実績、事業実施能力、財政状況、法令遵守といったような項目を挙げてございますし、事業内容に関する選考基準といたしましては、目的達成のために効果的な内容となっているか、企画の実現性といったようなことを例示として挙げてございます。
 こういったいろいろな項目を踏まえて選定していただくということになってございますが、それぞれどの項目をどの程度重視するかということにつきましては、それぞれの事業の目的でありますとか期待する効果などによりまして判断が異なるという面もございますので、各事業所管部署におきまして、事業ごとに適切に判断がなされているものと考えてございます。
〇工藤勝子委員 いわてNPOセンターにおける問題が発生したのは近年に新しいところでもございます。やはり一つのNPO法人に対して、複数の分野、事業をずっと委託し続けるということは問題であったのではないかと、私はそのように思っているところであります。
 県は、事件と言えるのかどうだか私もよくわかりませんが、あれから何を反省されたのか。それから、そういう一つのNPOに事業を委託し続けている部分を改正されたのか。今後、新しい次代を担うとされて、社会への貢献、県が非常に期待しておるこのNPOとの連携、協働をどう進めようとしているのかお伺いいたします。
〇中村政策地域部長 今後のNPOとの連携、協働についてでございます。
 いわてNPOセンターに係る一連の不祥事案につきましては、さきに同法人の元理事長及び元職員が逮捕、起訴され、現在は捜査や裁判の進展を見守っているという段階でございます。
 県といたしましては、一連の不祥事が発覚した当初、同法人のコンプライアンスの欠如や不健全な運営等を見抜けず、結果として対応が後手に回ってしまったことにつきましては反省いたしまして、監督権行使の基準等を示したNPO法の運用方針を新たに定めたところでございます。
 また、委託事業に係る不祥事の再発防止に向けまして、先ほど述べました委託事業の手続の適正化に関するガイドラインを策定し、特定のNPOに過度に委託事業が集中しないよう事業実施能力を選定基準に掲げるとともに、NPOに対する事業委託の状況を把握できるように庁内体制を改善したところでございます。
 さらに、委託先となるNPOの運営の適正化に向けまして、会計、労務等に関するセミナーを開催しましたほか、NPO向け広報誌に知事メッセージを掲載するなど、法人のコンプライアンス確立に係る意識喚起など、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
 NPOは新しい公共の担い手ということで非常に期待されてございます。特にも今回の復興支援活動につきましては非常に大きな役割を果たしてきているということもございますので、県といたしましては、NPOの組織運営力の向上を引き続き支援して、さまざまな分野での連携、協働を推進してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 新しい公共の担い手と位置づけられるのだろうと思っております。そういう中において、いわて県民計画、そして知事が掲げる希望郷いわてに対するNPOの働きというのは非常に大きく左右してくるのではないかと私は思っております。
 そこで、知事はこのNPOに対して何を期待して、今後どう支援していけばいいと考えていらっしゃるかお伺いいたします。
〇達増知事 東日本大震災津波以降、NPOが本当に大きな活躍をしてくれていると思います。世界中でさまざま支援の経験のある世界最先端の外国のNGOが岩手の被災地に入ってくれたりもしています。また、一方で今回の被災者の中から、新しい地域づくりのためにNPOを立ち上げて、手づくりの活動をつくっていこうという運動も起きています。
 NPOというのは、その目的や理念、また手法等々、本当にさまざまあるわけでありますけれども、それが多様化し、複雑化していく現代の社会経済に対して大きな役割を果たしていく。それが特に被災地岩手ではっきり見えてきていると思います。ぜひ、NPOの力が復興の大きな力となるように、県のほうでも努めていきたいと思います。
〇工藤勝子委員 知事、ぜひ、NPOの人たちといつか懇談会を開いてやっていただければ、新たにまた意欲が生まれてくるんじゃないかと思って、提言したいと思っております。
 最後に、まとめとしての質問になりますが、復興に取り組む新たな決意と、希望郷いわての実現に向けた決意について知事からお伺いいたします。
 東日本大震災津波の発生によりまして、沿岸地域は壊滅的な状態になりました。復旧、復興に向けて全力を挙げて、県民も、行政も一体となって取り組んでこられたと思っておりますし、これからも力を出し合って協働していかなければならないと思っているところであります。
 復興元年と位置づけられた平成24年度も半年も過ぎました。復興道路や防潮堤、港湾、漁港などの工事発注も行われております。目に見える形で着々と進むことに大きな期待を持っているところであります。
 しかし、今、応急仮設住宅で不自由な暮らしを余儀なくされている皆様方は、第一には自分の住宅の再建であります。どこに安心して将来住むことができるかであります。そして、人間として働いていけること、生きがいを持って仕事をし、自立する生活を確立することであります。復興計画の柱である安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生のため、平成24年度も市町村と連携を一層密にされまして、被災者に寄り添っての事業を着実に進めてほしいと思っております。被災された県民がいつになったら希望郷いわてを実感できるようになるでしょうか、知事の御所見を聞いて、終わりたいと思います。
〇達増知事 東日本大震災津波から1年7カ月以上が経過し、第1期復興実施計画が目標とする基盤復興に向けた事業が具体化しつつありますが、復興に長い時間がかかるということで、さまざまな課題も生じております。今こそ復興計画の目指す姿であるいのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造という目標をしっかりと見定めて、去る8月改訂いたしました復興実施計画に基づいて、安全で安心な防災都市、地域づくりによる安全の確保、住環境の整備や雇用の確保によります暮らしの再建、そして、水産業を初めとしたなりわいの再生、この三つの原則に沿った取り組みを推進していかなければならないところであります。
 また、東日本大震災津波の発生は岩手の状況を大きく変化させたわけでありますけれども、希望郷いわて、いわて県民計画は、それでも変わることのない岩手の目指す姿を示したものであります。
 今後におきましても、復興の取り組みを一層加速させ、大震災津波からの復興は岩手全体の復興でなければならないという認識のもと、復興とその先にある希望郷いわての実現に向け、全力で取り組んでまいります。
〇小野共委員長 次に、工藤大輔委員。
   〔工藤大輔委員質問者席に着く〕
〇工藤大輔委員 希望・みらいフォーラムの工藤大輔でございます。
 東日本大震災からの復興に係る諸課題を中心に、平成23年度決算について質問いたします。
 最初に、実質収支についてお伺いします。
 平成23年度の普通会計決算は、東日本大震災からの復旧、復興予算の原資として、歳入が地方交付税と国庫支出金の大幅増により1兆3、532億円、歳出は普通建設事業費と積立金の大幅増により1兆2、512億円と、前年対比でプラス80%台の決算規模となりました。翌年度への繰越財源881億円を控除した実質収支は139億円の黒字、単年度収支は約10億円の赤字でありますが、実質単年度収支は248億円の黒字となりました。地方公共団体は、民間企業と異なり、営利を目的として存立するものではない以上、黒字が多いほど財政運営が良好とは言えず、適度な余剰金は後年度の財源調整の範囲内に求められるべきであり、必要以上の余剰金は行政サービスの向上なり住民負担の軽減に充てるべきと考えます。実質収支が139億円と大幅な黒字になった要因は何でしょうか、お伺いします。
〇加藤総務部長 平成23年度決算におけます実質収支139億円の主な内容でございますが、震災復興特別交付税において70億円程度の超過の交付が生じたということ、寄附金、県税収入が最終予算額よりそれぞれ10億円程度増収したことなどと認識しております。例年、四十数億円ぐらいが実質収支ということでございますので、それにプラスしてこの分がオンされてくるということでございます。
 このうち、震災復興特別交付税につきましては、復旧、復興事業の実施状況にあわせて地方負担分の相当額に対して財源措置されるものでございますが、平成23年度におきましてはまだ制度創設段階で、手続がよく定まっていないということもございまして、最終予算額を基本に国から交付を受けたところでございます。
 しかしながら、最終的には、災害復旧事業等におきまして国庫補助率がかさ上げされたことによりまして、実際の地方負担分に相当する震災特別交付税につきまして大幅な超過が生じることとなりました。
 なお、この超過分につきましては、平成24年度の震災復興特別交付税の交付額と調整されるという予定でございます。
〇工藤大輔委員 地方公共団体財政健全化法では早期健全化基準は25%とされており、本県の場合は17.6%なので、すぐにこれに抵触するという数値ではありません。しかしながら、実質公債費比率が18%以上になると公債費負担適正化計画の策定が義務づけられ、地方債の発行において国の許可が必要になってくると記憶しています。
 この数年、実質公債費比率は増加傾向にありますが、同様のペースで比率が上昇するものでしょうか。平成26年度から平成27年度にかけて公債費がピークとなりますが、そのころの実質公債費比率はどのぐらいになるとの見通しでしょうかお伺いします。
〇加藤総務部長 実質公債費比率の見込みについてでございますが、算定に当たりましては、今後の地方交付税等一般財源総額の動向でございますとか、大震災津波の復旧、復興事業に係る国の財政措置の影響が大きく出てまいりますため、現時点で正確に計算することは困難な面がございます。
 しかしながら、計算してみますと、復旧、復興事業に係る財政措置が継続されると仮定した場合、公債費の償還が平成26年度、平成27年度ごろにピークを迎えるため、今後、実質公債費比率もそれまでは上昇するということでございまして、平成24年度決算では18%前後、その後の償還ピーク時の決算におきましては最大で19%前後となる見込みでございます。
〇工藤大輔委員 ただいまの答弁からもわかりますように、本県財政は構造的な財源不足もあり、また、これから償還のピークを迎える多額の県債残高、経常収支比率、実質公債費比率等から見ても硬直している状況にあります。
 そこで、監査委員にお伺いしますが、財政再生団体への転落の危険性についてどのような認識を持っているのでしょうか、お伺いします。
〇伊藤監査委員 財政再生団体への転落の可能性ということでございますが、現状のような経済金融環境下では、転落のリスクは極めて小さいだろうとそう認識しております。
 しかしながら、委員御指摘のとおり、特別会計を含む県債の平成23年度末現在高は1兆5、318億円余と過去最高額となり、これは本県の財政や経済規模と比較すれば大きな額であり、財政硬直化など厳しい財政運営を強いる要因となっております。
 地方財政健全化法に基づく健全化判断比率である実質公債費比率及び将来負担比率についても、財政再生団体の基準に至るまではまだ乖離がございますけれども、47都道府県平均をかなり上回る比率となっており、いずれも全国順位40位台の状況であることから、財政健全化に向けた不断の努力が必要であると認識しております。
 現在は、東日本大震災津波からの復旧、復興に係る事業に全力を挙げて取り組んでいかなければならない非常時であり、これらの指標を短期的に改善することは現実的には厳しい状況であることから、決算審査意見書においても、中長期的視点という前提で、県債残高の縮減に努めるなど財政健全化に向けた計画的な財政運営に取り組まれるよう記載したところであります。
〇工藤大輔委員 先ほど総務部長から実質公債費比率が18%前後あるいは19%になるというような答弁がありました。そうなると、公債費負担適正化計画の策定が求められるわけであります。市場における本県の県債の評価の低下など資金調達コストが上昇することも懸念されますが、どのように対処するお考えでしょうかお伺いします。
 また、このような状況はどのぐらい続くのでしょうか、中期的な財政の見通しとあわせてお示し願います。
〇加藤総務部長 地方債の許可団体となった場合の資金調達コストについてのお尋ねでございます。
 現行の地方債制度では、課税権や財政保障制度、早期是正措置としての起債許可制度、財政の早期健全化制度等を通じまして確実に元利償還が行われる仕組みが設けられておりまして、国債と同様、地方債のリスクウエートはゼロとされておりますことから、起債許可団体となった場合でも、直ちに地方債の信用力に影響は生じないものとされております。国がそういう認識であるということでございまして、県としてもそういうものであると受けとめております。
 ただ、その一方、市場に対しましては、起債許可団体になった際に策定する公債費負担適正化計画に基づき公債費負担の適正な管理に努めること、将来的に早期健全化基準に該当する見込みがない、大丈夫であるということを丁寧に説明していく必要があるであろうと認識しております。
 先ほど答弁したとおり、公債費の償還のピークが平成26年度ないし平成27年度ごろと見込まれておりますことから、実質公債費比率も平成28年度─これは平成27年度決算の数字ということになりますが─ごろまでは上昇していく見通しでございまして、こうした公債費の増嵩に加え社会保障経費の増加などもございますので、本県の財政は中期的にも厳しい状況が続くものと認識しております。
〇工藤大輔委員 そうすると、資金調達コスト等の上昇ということが懸念されると私は思うんですけれども、その影響、また対応について、もう少し詳しく御答弁いただきたいと思います。影響があるのか、ないのか。国の考えもそうですが、県の独自の考えをお願いします。
〇加藤総務部長 先ほど答弁いたしましたが、基本的には国債等のリスクウエートはゼロだというのが地方財政制度上の考え方でございまして、県としてもそういうふうに認識している。直ちにそこに、起債許可団体になったからといって、それで金利等資金調達コストにプレミアムがつくとか、そういうことはないと認識しております。実際に本県以上に数値が悪くてということですが、今、許可団体に該当する県におきましても、特段ほかの地方公共団体と明らかな形で調達コストに差が出ているというものは現在ないということでございます。
 ただ、懸念は当然ございます。市場の動きということになりますので、丁寧な説明は尽くさなければいけないということでございます。
〇工藤大輔委員 了解しました。これまで知事は、プライマリーバランスの均衡を図りながらも、減額し続けていた県予算を前年度並みに維持し、県内経済の立て直しに当たってきました。大震災という突発的な災害に見舞われ、復興を進める過程には巨額な投資が必要になってまいります。災害関連事業の実質負担は今のところゼロでありますが、本県財政の状況を知事はどのように踏まえ財政運営を行っていくのでしょうかお伺いします。
〇達増知事 国の予算編成の状況によって地方交付税等一般財源の総額が大きく左右される本県の財政構造にありまして、これまで補正予算と当初予算の一体的な切れ目のない編成や、国の経済対策等により積み立てた基金の効果的な活用などを通じて、県民を取り巻く厳しい状況に立ち向かうための財政運営に努めてきたところであります。
 こうした中、昨年発生した東日本大震災津波からの復旧、復興に向けては多額の財源が必要と見込まれる一方、公債費が今後数年かけて増大していきますことから、本県の財政運営は中長期的に極めて厳しい局面が続くものと見込んでおります。
 このような現状のもと、来年度以降についても、復興交付金や震災復興特別交付税等の財源措置による復興関連施策の継続と必要な予算額の確保が不可欠でありますことから、引き続き、国に対して財源措置の充実、確保を要請してまいります。
 また、県におきましても、引き続きプライマリーバランスの均衡に配慮しつつ、あらゆる手法による歳入の確保、歳出の徹底した見直しなど、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、中長期的には県債残高の規模を抑制するなど、財政健全化にも配慮した財政運営を行いながら、被災地の復旧、復興に向けた事業に最優先で取り組んでいく考えであります。
〇工藤大輔委員 次に、東日本大震災で本県に寄せられた善意についてお伺いします。
 発災以降、全国、全世界からボランティア、義援金、救援物資など多くの善意が寄せられました。県ではどのように取りまとめているのでしょうか。また、このつながりやきずなを大切にし、大震災を風化させない取り組みや息の長い支援、完全復興に向け、新たに発生するであろう諸課題に協力をいただくことも必要だと考えますが、どのように取り組んでいくのかお伺いします。
〇高前田理事 支援内容の取りまとめについてでございますが、国内外の個人や企業、団体を初め外国政府等からも義援金や義援物資等の支援が寄せられているほか、被災地におきましては多様なボランティア活動が展開され、復興に向けた大きな力となっているところでございます。
 その主なものを具体的に申し上げますと、義援金が508億1、800万円余、いわての学び希望基金を含めた県への寄附金が1万3、116件で210億4、100万円余、食料や生活用品など、281の企業、団体等からの無償義援物資、さらには延べ42万5、000人以上のボランティアの支援等をいただいたところでございます。
〇達増知事 息の長い支援ということについてでありますが、復興計画では開かれた復興を掲げています。県内外さらには世界の人たちや多様な団体が緩やかなつながりをもって参画し、地域での交流を広げながら本県の復興をなし遂げていくことが重要と考えております。
 このようなことから、被災地の状況や復興に取り組んでいる岩手の姿を広く国内外に情報発信するために、昨年4月のがんばろう!岩手宣言などによって、私からも復興に向けた取組状況と決意をお伝えしますとともに、首都圏での岩手復興フォーラムの開催、ポスター、広報誌、インターネット等による情報発信などに取り組んできております。
 今年度は新たに、産学官連携組織であるいわて未来づくり機構等との協働によりまして、県民、企業、NPO等の多様な主体の連携交流フォーラムを本県沿岸部で開催し、首都圏及び関西圏においても、情報発信のための復興フォーラムを開催することとしております。
 また、国においては、平成25年度概算要求において、仮称国営鎮魂の丘の整備のための調査費が計上されておりまして、大震災津波の記憶を未来に語り継ぎ、津波防災の文化を国内外へ発信する拠点として整備されるよう、引き続き国に要望してまいります。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、県内さらに国内外に培われたつながりを大切にして、大震災の風化予防と、一日も早い復興に向けた多様な主体による息の長い支援、協力が得られよう努めてまいります。
〇工藤大輔委員 つながりをぜひ大切にしていただきたいと思います。支援を待つというのではなくて、こちらのほうから、例えば補助事業で賄い切れないようなものがあったら直接相談に行ってみるだとか、それぞれの細かい取り組みによって被災者は大いに救われてまいります。また、一人でも多くの方々に、岩手の復興支援サポーターであったり、応援サポーターになってもらうようなかかわりのふえる事業をどんどん展開していただきたいと思いますが、改めてお伺いします。
〇高前田理事 先ほどもお答え申し上げましたように、今回の震災に当たりましては大変大きな力をいただいております。こういった息の長い支援というものをいただけるように、まずはしっかりと情報発信をして、そして本県の実情をしっかりとお伝えしてまいりたいと考えておりまして、あらゆる広報手段、ネットワークというものを使ってそういった情報をお伝えして、大きな力につなげていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、復興のスピードを上げるために必要な喫緊の課題についてお伺いします。
 いわて復興ウォッチャー調査や被災地事業所復興状況調査などの結果を見ると、着実に事業の成果が出ていると感じる一方、そのスピードはまだまだ遅いという指摘が数多くあります。復興予算の財源確保を初め規制緩和、制度の改正など、復興のスピードを上げるために必要な喫緊の課題はどこにあると知事は認識しているのでしょうかお伺いします。
〇達増知事 一日も早い被災地の復興に向けては、確実な財源の確保、復興事業の円滑化に向けた一層の手続の簡素化や規制緩和、そして人材の確保が重要な課題となっており、こうした課題の解決に向けて国への要望等を行ってきたところであります。
 国においては、復興交付金や震災復興特別交付税などによる復興財源の確保、復興特別区域法による土地利用再編手続のワンストップ処理、全国の自治体からの職員派遣スキームの創設などの措置を講じたところであります。
 しかし、東日本大震災津波というこの未曽有の事態からの復興を図るためには、もっと自由度の高い交付金制度の創設や行政手続の一層の簡素化など、思い切った抜本的な特例措置を講じることが必要であります。こうした考え方のもと、国に対しては、被災地の視点に立ち、一日も早い復興を実現するため、国家プロジェクトとして既存の枠組みを超えた強力な復興施策を全力で推進するよう、引き続き強く要望してまいります。
〇工藤大輔委員 相当進んでいる分野もある一方で、やはり以前から指摘していてもなかなか改善されない制度改正等もあります。復興庁もでき、以前の体制よりも強化されていると思いますが、なぜこのような状況が続くのか、ちょっと疑問でなりません。国から来られている副知事また総務部長、もう少しどんどん─役所の体質はこのような状況なのか、もっともっと被災地の状況を感じ取って、早く規制緩和等、また弾力的な運用をすべきものが数多くあるわけでありますが、その点について御認識をお伺いします。
〇上野副知事 復興に向けました規制緩和あるいは国の復興に向けた諸施策を迅速に発動していただくように、県のほうからもっと働きかけてはどうかという趣旨のお尋ねでございますが、私どもは、発災以降、県庁を挙げまして、まずは復興局を─復興局という専担の組織をつくっている県は少ないんですけれども─つくりまして、事あるごとに、国の現地の組織はもちろんのこと東京にも参りまして、あらゆるルートを使って、復興庁、各省庁に対して、その都度、必要と思われる施策について、どの県よりも一番早いタイミングで国に対して働きかけをしてきたつもりでございます。現段階で、私ども自身がそういうことをやってきたにもかかわらず、もちろん進展した部分もございますが、必ずしも十分な規制緩和が図られていない分野が残されていることも事実であります。
 既に、当委員会あるいは一般質問の場で、残された課題については執行部のほうから説明があったかと思いますけれども、例えば所有者不明の土地の扱いの問題ですとか、あるいは仮設住宅についてのいろんな改善の問題とか、細かい話はたくさんありますが、その都度、被災者の方々からいろんなもっともな御指摘をいただいておりますが、それを改善するのにある程度の時間がかかってしまったのは、私どもは大変反省しているところであります。ではございますが、先ほど申し上げましたように、岩手県としては被災県の中でもそういう専担組織を設けて、国との距離をできるだけ縮めて、一番早いスピードで復興がなし遂げられるように全力を挙げて取り組んでおりますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。
〇加藤総務部長 基本的には上野副知事から御答弁申し上げたとおりでございますが、国に自分もいた立場として、どうしても国の役所は制度を非常に大事にしてしまうというか、制度本位主義みたいなところがございます。その制度について、一つのところにこうやると制度全体が崩れてしまうとか、そういうことをすぐ言いたがるということで、それに対して、県としては、もっと被災地の現状、状況というものをきちっと正確に伝えていかなければいけない。そして、一被災地の問題ということではなくて、これをちゃんと、我々が求めているものを入れて、制度改善なり進化させないと、そもそも制度自体が壊れてしまうのだということを、さまざまなデータなり迫真性をもって立証していかなければならないのだろうと思っております。その辺のところを、私も関係部局等と連携して、また知事、副知事の御指導もいただきながら、国に対しまして強く主張してまいりたいと思いますし、そういう中で被災地の復旧、復興にも一助となるように努力してまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 それぞれ御答弁をいただきました。やはり今が非常時であるというような強い認識を忘れてもらっては困ると思うんです。そういったことを国のほうにぜひとも伝えてもらいまして、非常時にすべき対応は何なのかということをこれからも要望していただきたいと思いますし、ぜひ、知事にもその先頭に立って、国のほうには発信していただきたいと思います。
 また、先ほどの質問でもありましたが、5年間で19兆円の復興経費と関係が薄い事業に巨額の予算が投じられていたことが明るみになりました。無駄を省いて財源を生むあの事業仕分け等は一体何だったのかという思いを持ってしまいます。復興という大義を利用し、一般財源の補完をする姿勢は、復興財源を増税して賄うことから、国民の理解は得られないと思います。知事には、先ほど答弁をいただいたところでありますので、重ねての質問とはしませんけれども、よりよい財源を有効に使ってもらうよう、国の会議等において発信していただきたいと思います。
 次に、後方支援の拠点整備についてお伺いします。
 30年の間に99%の確率で発生すると想定されていた宮城県沖地震に対応するため、沿岸の市町と遠野市は2007年に三陸地域地震災害後方支援拠点施設整備推進協議会を発足させ、防災施設の整備や大規模な訓練等を行ってきました。沿岸と内陸の横の連携により、被災地と内陸自治体を結び、現地のボランティアを補完する後方支援の新しい形は今後も有効に機能するものと考えます。広大な県土を有する本県においては、被災地をサポートする機関として、遠野市以外にも拠点整備が必要と考えますが、いかがでしょうか。遠野市が県南部をカバーし、県北部に後方支援の拠点を位置づけ、大災害に備えるべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇加藤総務部長 後方支援の拠点整備についてでございますが、県では、東日本大震災津波に係る災害対応の検証を踏まえ、大規模災害時に、災害対応を効率的、効果的に展開できる拠点が必要と考えておりまして、今年度、広域防災拠点整備構想委員会を設け、広域防災拠点の整備イメージ、備えるべき機能、配置などを主な論点に、構想策定に向けた検討を進めております。
 遠野市のような被災地への後方支援を担う防災拠点につきましては、広い県土を有する本県では、県内で発生が想定される地震、津波や火山災害といった大規模災害に効率的、効果的に対処できますよう、県内に複数箇所配置する必要があると考えておりまして、先だっての委員会におきましては、県北部、県南部にそれぞれ一、二カ所程度配置するといった、バランスも配慮した考え方を提示したところでございます。引き続き委員会において議論を重ねまして、年度内を目途に構想を策定していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 次に、災害対応先進県に向けた対応についてお伺いします。
 大災害の発生時は各種の緊急性の高いニーズに即応しなければなりません。自衛隊や災害派遣医療チームDMATの効果ははかることのできないほど大きいものがありました。今年度を目標に福祉版DMATを創設する動きがありますが、検討状況についてお示し願います。
〇達増知事 東日本大震災津波を教訓としまして、災害発生の初期段階から、避難所等において要援護者の福祉、介護等のニーズ把握や支援調整などを担う災害派遣福祉チーム、いわゆる福祉版DMATについて、本年3月、県内の福祉関係職能等11団体から、その組織化を求める要望書が県に提出されました。県としても、大規模災害時における要援護者のさまざまな福祉的課題に対応するためには、災害派遣福祉チームの創設や、全国規模で福祉、介護の人材が派遣できるような仕組みづくりが急務と判断したところであります。
 こうしたことから、国に対し、災害派遣福祉チームの制度化と、全国組織でチームを派遣、調整するシステムの構築等について要望するとともに、県内でのチームの創設を目指して、本年6月、福祉関係職能団体等とともにワーキング会議を設置したところであります。現在、課題の整理等を行いながら、チームの組織構成や人材の育成、活動の財源等について検討を進めているところであり、年度内を目途に、災害派遣福祉チームについて、その具体的なスキームを構築してまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 東日本大震災の教訓を生かし、次なる世代に向けた新たな災害派遣チームの創設や、災害派遣チームの受け入れに係る対応マニュアルの見直し等も必要かと思います。災害対応の検証を踏まえて、見直しの事例があればお示し願います。
〇加藤総務部長 災害対応の検証を踏まえました災害派遣チームの見直し、動きということでございますが、初動対応におきましては、被災地の状況の的確な把握が不可欠であることが痛感されました。このため、市町村との通信連絡がとれない場合などは、災害現場における被害状況並びに被災市町村における行政機能の状況、必要な支援内容等を調査する県職員によります調査班の派遣を制度化したところでございます。
 また、今般の災害では、庁舎や職員が被災した市町村の行政機能の低下が大きな課題として浮き彫りになりました。こうした事態に対処するために、迅速な職員派遣を可能とするよう、現在、具体の手続をルール化に向けて検討が進められているといった例がございます。
〇小野共委員長 工藤大輔委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、10分間ほど休憩いたします。
 工藤大輔委員、御了承をお願いします。
   午後2時57分 休 憩
午後3時17分 再開
〇小野共委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。工藤大輔委員。
〇工藤大輔委員 引き続きよろしくお願いします。
 ドクターヘリの運用等についてお伺いします。
 平成23年度は運航に向けて準備を行い、この5月から本格運用を始め、半年が経過しました。医療体制の強化を目指したドクターヘリのこの間の要請と搬送の実績はどうであったのでしょうか。課題とあわせてお示し願います。
 また、県消防防災ヘリや県警ヘリも、これまでの救急搬送活動の実績により、救急救助、病院間搬送を行えるとしておりますが、どういう実績を残しているのでしょうか、お伺いします。
〇千葉副知事 ドクターヘリの運用についてでありますが、10月8日現在でございますけれども、運航開始からの約5カ月間で、消防機関からの要請回数136回に対まして、運航回数は122回、天候不良や重複要請などで対応できなかったものが14回となっております。
 次に、県消防防災ヘリによる救助救急活動につきましては、平成23年が121回でありましたが、平成24年が9月までで53回、警察ヘリにつきましては、平成23年が9回でございましたが、平成24年は現時点で実績なしとなっております。これらのヘリを含めた全体の連携によりまして、本県の救助救急事案に対応しているところでございます。
 ドクターヘリにつきましては、現在、課題といたしましてでございますけれども、地域によって要請実績にばらつきがあるなど、消防機関におけます要請の判断に課題があると考えられますことから、消防機関への説明会の開催や各地域での訓練運航の実施等により、速やかな要請が行われますよう働きかけていきたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 搬送できなかった事例として、天候不良等があったということであります。例えばやませ地帯である県北地域においても、これまで、ヘリの運航等において天候が大きな課題となっておりました。そういった中で、県境をカバーする対策を求める自治体または関係機関が多いわけでありますが、どのような対応をしていくのか、お伺いをしたいと思います。
 また、これから冬場を迎えることとなり、初めての冬ということになると、積雪の問題にどのような対応をするかということで、より安全対策が求められておりますが、今後の方向についてもお示し願います。
〇千葉副知事 今御指摘がございましたような県境地域の救急搬送体制についてでございますけれども、その体制の高度化も重要な課題だと認識しております。
 現在、青森、秋田両県との間では、連携運航の実施に向けまして基本的に合意をし、現在、その具体的な要請手続やマニュアルの策定等について検討しているところでございます。できるだけ早期に連携体制が確立されるよう、努めてまいりたいと思っておいます。
 最後に、冬場の運航についてのいろいろと御懸念等についても御指摘がございました。いずれ、初めての冬を体験するわけでございますので、今後のドクターヘリの運航につきましては、一層、消防機関や医療機関の関係機関との連携を密にし、順調に進めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 県境等に対する取り組みの検討状況が今進んでいるということのようですが、いつごろをめどに進めようとするかというような方向性の目標等はあるのでしょうか。
〇千葉副知事 連携についての見通しについてでございますが、8月29日の北海道北東北知事サミットでの合意事項等を踏まえまして、9月から青森県、秋田県と、先ほど申しました要請手続あるいはマニュアル策定などについての調整に着手しております。
 今後、おおむね11月までに、県内における運航実績の検証会なども行いつつ、まだ具体的な予定については明らかにできないところでございますが、できるだけ速やかにスタートしてまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤大輔委員 早急な取り組みを期待したいと思います。
 また、ドクターヘリに関連して、ドクターヘリの基地へリポートとなる岩手医科大学矢巾キャンパスでは、附属病院本体の整備が予定されておりますが、現時点における整備スケジュールをお伺いします。
 また、高度、特殊な医療機能等については、医学教育、研究、診療機能を有するこの拠点を中心に、中核となる医療ゾーンとして集積を図ることが効果的であると考えます。本県の三次医療の提供体制をどのように構築する考えか、お伺いします。
〇千葉副知事 まず、岩手医科大学附属病院に係る移転整備スケジュールについてでございますけれども、現在、建設工事に向けて用地の造成を行っているところでございまして、平成29年度末の竣工、平成30年度当初の開院に向けまして、地域医療再生計画に盛り込んでおります周産期、小児、高度救命救急に係る、仮称でございますけれども、統合医療センターや、あるいは内丸地区に整備予定であります内丸メディカルセンターの具体化などにつきまして、岩手医科大学において検討を行っていると承知しております。
 県におきましても、地域医療確保の観点から、同大学とこの整備について、協議、調整を進めているところでございます。
 また、三次医療の効果的、効率的な提供体制の構築についてでありますが、今後、岩手医科大学附属病院の移転整備に伴いまして、中長期的に統合医療センターを含め、同大学の附属病院を中核として、高度、特殊医療を担う本県の三次医療拠点ゾーンとして形成されることは、県内医療関係者の強い期待もございます。また、医学実習や卒後研修の場として魅力ある環境が整備されることになりますことから、本県の医療の確保、進展に大きく貢献することが期待されているところでございます。
〇工藤大輔委員 ぜひ、その方向で検討を進め、実施に向けて努力をいただきたいと思います。
 次に、矢巾キャンパスの隣接地には、県の消防学校があります。今後、医大を中核とした医療ゾーンの形成を見通した場合には、昭和49年に整備された現在の施設は老朽化しており、将来に向け、広域防災拠点としてふさわしい内容を加味した施設として改修を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 消防学校の配置の見直しについてでありますけれども、消防学校の施設につきましては、昭和49年3月に現在地に移転新築し、さまざまな訓練ニーズに対応した増築や改修等を行ってきたところでございますが、建築から38年が経過いたしておりまして、御案内のとおり、施設の老朽が進んでおり、消防学校施設をどうするかは、今後において課題になるものと認識しております。
 これまでのところ、消防学校の見直しについて具体的な検討には至っておりませんが、現在、広域防災拠点の整備、検討を進めており、今後、この検討との関連も考慮しつつ、ただいま申し上げました三次医療拠点ゾーンの形成の観点も含め、幅広に検討していきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 先般も、消防関係者から、消防学校の老朽化が激しいと、実情に合った、現状に合った新しい機能を有する施設に改修をしてほしいという要望を強くいただいたところであります。こういう事業こそ、復興期間内に復興財源を有効に用いて、整備、改修をすべき案件ではないかと思いますが、この件についての認識をお伺いします。
〇千葉副知事 先ほど申しましたとおり、広域防災拠点の整備、検討ともかかわってございますが、御案内のとおり、整備財源等につきましてもまだまだ未定のところがございますので、それにつきましても研究してまいりたいと思います。
〇工藤大輔委員 では、次に、NPOと行政の連携等についてお伺います。
 時として平等を求めるがゆえに動きが鈍くなりがちな行政をフォローするNPO団体の活動は、災害時に大きな役割を果たしてきました。宮城県石巻市での災害ボランティアセンターの運営は、社会福祉協議会とNPO、NGO等との関係が成功をおさめている事例として注目されるなど、今後、石巻モデルとして定着をしていくものと思います。
 これらの事例のように、官民連携による新しい公共の担い手となるNPOの活動支援に向けた取り組みを加速させる必要があると考えますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 新しい公共の考え方に基づくNPO等と行政や民間企業などが連携した活動が県内でも徐々に定着してきており、特にも東日本大震災津波の発災以来、そうした新しい公共による活動が復旧、復興に大きな役割を果たしています。このため、県では、国の新しい公共支援事業を活用し、本県における新しい公共の普及と拡大に向けた取り組み、そして主要な担い手としてのNPOに対する支援を行っています。
 具体的には、昨年度から新しい公共の場づくりのためのモデル事業として、官民協働により復興支援活動などを行うNPO等に対する資金助成を行っておりまして、さらに今年度は、NPO等の運営基盤を強化するために、税理士等の専門家派遣事業や労務、税務、会計に関する人材育成のための講習会なども実施しています。
 今後とも、NPO等に対する支援を実施し、官民が協働して復興支援などの活動を促進するよう取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 新しい公共の場づくりのためのモデル事業は、非常に希望の多い事業であったと思います。これは、平成23年度、平成24年度の2カ年事業であると思いますが、平成25年度はどのようにしていくのでしょうか。事業継続を考えるべきではないのかと思いますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 県としても、NPOの活動を支援していくことは引き続き重要であると考えており、国に対しても、新しい公共支援事業の継続、あるいは新たなスキームによる事業の実施を要望しています。
 国では、来年度、新たなスキームにより復興支援を行うNPO等に対する支援事業を検討していると伺っておりまして、県としては、国の動向も注視しながら、NPO等に対する必要な支援を検討してまいります。
〇工藤大輔委員 認定NPO法がことし4月に改正となり、認定NPO法人の認定等については、この4月1日からは、国税庁から都道府県において認定作業を進めることとなりました。一番の課題である活動資金を集めやすくするためにも、税制上のメリットがある認定NPO法人の推進が必要と考えております。現在の申請状況と認定事務を行えるようになった県の取り組み状況、今後の目標についてお示しください。
〇中村政策地域部長 認定NPO法人制度の関係でございます。
 認定制度につきましては、NPO法人の財政基盤の強化につながるという観点から、県としても、より多くのNPO法人がこの認定取得に取り組むように支援をしているところでございます。
 具体的には、この4月から、認定制度が県のほうに移譲されたことに伴いまして、当部に非常勤職員1名を新たに配置いたしまして、認定取得を目指す団体からの相談対応や、県内各地におきまして認定NPO法人制度に関する説明会、また、いろんな御質問等に応じているという状況でございます。
 また、本年8月には、内閣府との共催によりまして、認定NPO法人制度説明会を開催しましたほか、今後、NPO法人を対象とする認定NPO法人習得支援研修などを県内4広域圏において開催することとしており、さまざまな機会を通じてこの制度の普及に努めているところでございます。
 現時点におきましては、本県では、認定NPO法人となった団体はまだない状況でございますが、複数の団体から認定申請のための相談を受けているところであり、近々、正式に申請予定の団体もございます。
 今後におきましては、できるだけ早期に県内初の認定NPO法人が誕生し、それに続き、多くの団体が認定NPO法人になることができるように、必要な支援を行ってまいる考えでございます。
〇工藤大輔委員 県内多くのNPOが存在する中で、認定NPO法人になれるということは、一つ大きなハードルをクリアするということになると思います。それだけの可能性のあるNPO法人、大体どのぐらいあるかということを県では認識をされておるのでしょうか。また、それに向けて積極的なサポートが求められると思いますが、いかがでしょうか。
〇中村政策地域部長 現時点で具体的にこの認定を検討しているという団体については、まだそれほど数が多くない状況にございます。できるだけ我々といたしましては、こういった制度も活用しながら、NPOの財政基盤を確立するような形に持っていっていただければと考えておりますので、県としても最大限の支援をしてまいりたいと考えております。
〇工藤大輔委員 新しい公共の担い手となる強いNPOを数多くつくっていただくように、協力するようにお願いしたいと思います。
 次に、震災遺児、孤児への支援についてお伺いします。
 大震災で親を失った本県の18歳未満の子供は、575人に上ると言われております。また、このうち両親あるいはひとり親を失った方々は94人であると数字で出ております。親や大切なものを失い、大きな心の傷を負ったまま成長する遺児、孤児の現状をどうとらえているのでしょうか、お伺いします。
〇千葉副知事 震災遺児、孤児の現状についてでありますけれども、まず、孤児につきましては、親族のもとでの安定した養育環境を第一といたしまして、里親認定を進めてまいりました結果、94人の孤児のうち、親族里親、養育里親に61人が養育され、その他の孤児につきましても、ほとんどが親族に養育されている状況にございます。しかしながら、遺児、孤児につきましては、生活を支える親を亡くし転居が必要になるなど、養育環境が大きく変化しておりますことから、児童相談所や、県が沿岸広域振興局に配置しております遺児家庭支援専門員が家庭訪問すること等によりまして、きめ細やかな相談支援を行うとともに、必要に応じまして、子どものこころのケアセンターによるケアも行っているところでございます。
 こうした遺児、孤児に対する支援は、長期にわたって継続的に取り組む必要がありますことから、今後におきましても、市町村などの関係機関と連携し、ニーズに応じた相談支援や心のケアなどを通じて、これらの児童と家族への支援に取り組んでまいります。
〇工藤大輔委員 遺児、孤児への支援と同様に、新たに家族として迎え入れた里親の生活環境についても、状況は一変したと思います。時間的にも経済的にも精神的にも、さまざまな負担が多いのが実態ではないでしょうか。子供の成長過程では、思春期や反抗期など、実の親でも手を焼くケースが多く、今後、養育面についても不安は尽きてまいらないと思います。引き受け手となった家庭にも、あらゆる面でのサポートが必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 サポート体制の強化についてでありますが、新たに震災孤児を養育することとなった方々につきましては、委員御指摘のとおり、高齢などで不安や負担が大きい方もいらっしゃいますことから、児童相談所においては養育者の意向や状況を個別に確認し、親族里親や養育里親として認定することにより、経済的な負担軽減を図りつつ、定期的な訪問などより、養育支援に努めてきたところでございます。
 また、県里親会に委託いたしまして、親族里親などを対象に、子育てのフォローや相互交流を図るため、平成23年度におきましては、研修交流会や里親サロンを8回実施するとともに、県里親会が、里親経験を生かした個別訪問支援を行ってきたところであります。
 本年度におきましても、このような取り組みを継続して実施しておりますほか、児童相談所と沿岸部の児童養護施設に新たに配置されました里親支援専門相談員が、家庭訪問によりまして里親支援を行っているところであり、こうした取り組みを通じまして、養育者の状況変化や児童の成長などに対応したきめ細やかな支援を行っていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 成長過程での課題というのは、突発的にいろんな事態が想定をされると思います。その中で、特にも学校やまた地域等のかかわりも非常に大切だと思います。そういった点から、さまざまな情報やまた見過ごすことがないように、積極的に関与をしていきながらも、着実にその子供たちが社会へと旅立っていく、そのような形に成長していく姿を県民全体で支えるような仕組みというのも必要だと思います。今後の取り組みを一層期待したいと思います。
 次に、防災集団移転促進事業と土地区画整理事業についてお伺いします。
 被災地において、新しいまちづくりに向けたビジョンや土地利用計画の合意等の取り組みが進んでいます。しかし、先般訪問した仮設店舗の事業者や仮設住宅の入居者からは、いつ、どこに建物を建てられるのか、商店街はどう形成されるのかなど、さまざまな意見が寄せられています。予定されている防災集団移転促進事業と土地区画整理事業の申請、認可、復興交付金の配分など、事業の見通しはどのようになっているのでしょうか、お伺いします。
〇上野副知事 防災集団移転促進事業についてでありますが、現在、7市町村で56地区を予定しておりまして、事業計画を策定し、国土交通大臣の同意を得たものは23地区となっておりまして、年度内に全ての地区の同意を得るよう、住民の合意形成を図りながら、計画の策定を進めているところでございます。
 同意を得た地区では、移転先となっている高台等の詳細な調査設計、用地取得のための交渉、造成工事発注の手続などを行っており、一部地区では、年内にも造成工事に着手できるよう進めているところであります。
 復興交付金につきましては、これまでに51地区で計画策定費と事業費を合わせまして、約739億円が認められているところでございます。
 また、土地区画整理事業についてでありますが、7市町村19地区において予定をしておりまして、このうち、都市計画決定を行ったのが2市町6地区、都市計画案の縦覧を行ったのが2市村2地区となっております。さらに、1市2地区では事業認可を行ったところでございます。その他の地区におきましても、年度内の都市計画決定と事業認可を目指しまして、住民の合意形成に向けた説明会などを行いながら進めております。
 復興交付金につきましては、全地区で計画案作成費などが、1市2地区については事業費も措置をされておりまして、合わせまして約171億円が認められているところでございます。
〇工藤大輔委員 土地利用のおくれは、事業継続の分岐点に置かれている事業者にとっても、地域の経済の再生面から見てもマイナスに作用していくと思います。土地の用途指定や建築確認など、制度の改正あるいは弾力的な運用など、生活再建の見通しが立つような動きということを早急に国にも求め、県でも進めるべきと思います。ぜひ、この対応を進めていただくことが、まず被災地復興の第一のポイントになってきますので、積極的に今後とも取り組んでいただきたいと思います。
 次に、企業誘致についてお伺いします。
 平成23年度の企業誘致の実績は、製造業16社、非製造業8社、市町村分の1カ所を加えて、全体で25社でありました。復興支援の目的と申請を決めた6社が含まれており、件数的にはここ20年で最も多い数を記録しましたが、雇用総数など実態はどうなっているのでしょうか、お伺いします。
 また、県北・沿岸地域では、地域産業力の向上や雇用の場の創出に、即効性の高い企業誘致が期待されてきたものであります。この成果を踏まえた新たな対策と今年度の見通し、特区制度を活用した誘致についてお伺いします。
〇上野副知事 まず、復興支援を目的といたしました企業進出についてでございますが、平成23年度に誘致をいたしました企業は全体で25社ありますが、これに生まれる雇用総数は、操業時において848名となっておりまして、このうち、復興支援による企業進出は6社、雇用総数は333名となっております。
 なお、平成22年度は誘致件数25社、雇用総数319名、平成21年度は12社、123名となっておりまして、平成23年度の実績は、ここ10年間で最も多い数となってございます。
 次に、県北・沿岸地域の企業誘致についてでありますが、この地域の特色に合った企業を誘致することで、既存の産業と有機的に連携した事業展開が期待されると考えておりまして、今後は、こういった企業の誘致に加え、県外企業による地元企業への業務委託や、地元企業との連携による新会社の設立などを目指した県外企業と地域の企業、産業とのコーディネート機能を強化した誘致活動を行っていく考えでございます。
 また、平成24年度の県全体の企業誘致件数は9月末時点で17社となっておりまして、今後、誘致が見込まれる案件が複数あることから、前年を超える件数になるのではないかと期待をいたしているところでございます。この中には、県北・沿岸地域の案件も含まれていることから、立地が確実となるよう努めていくつもりでございます。
 なお、これまでも施設や設備に対する補助制度を活用して誘致を行ってきたところでございますが、新たに法人税の特別控除等被災地に限定したインセンティブであります産業再生特区制度が創設されたことから、これらの制度の周知を図り、さらなる誘致が進むように取り組んでいきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 産業再生特区制度の関係でお伺いをしたいと思います。
 この制度の課題は、税制上の特例措置は3月30日の認定日以降の指定でないと特例措置の対象にならないということになっておりますが、実際、3月30日以前に事業を再開した事業者は指定されているのでしょうか、お伺いします。
〇高前田理事 復興特区の特例措置の対象についてでございますが、昨年12月に施行されました東日本大震災復興特別区域法、いわゆる復興特区法では、国が県の復興推進計画を認定した後に特例措置が適用されるということになっておりまして、本県においては、岩手県産業再生復興推進計画の認定日でございます3月30日以降の適用となります。
 この特区の主な税制特例といたしましては大きく二つございまして、一つは、復興特区法第37条に基づく工場等を取得した場合に、その整備費の一定割合を税額控除または特別償却する特例と、それから同法38条に基づきます被災者等を雇用した場合に給与総額の10%を税額控除する特例、この二つがございまして、この特例のいずれか一つを事業者が選択する制度となっているところでございます。このため、3月30日以前に事業を再開した事業者につきましては、工場等の整備費の税額控除等の特例は適用されないものの、被災者等を雇用した場合の特例は対象となりますことから、この特例を活用し、3月30日以前に事業を再開した8事業者を指定しているところでございます。
 今後におきましても、事業者がこうした特例措置を活用できるよう、引き続き、産業再生特区制度の周知に努めてまいります。
〇工藤大輔委員 大震災から1年以内に自立再建を果たした企業も、見切り発車で動き出したのが実態であると思います。雇用のほうについては適用になるということですが、これは当然、建物についても平等性を期すためには、特例措置の対象とすべきではないかと思います。復興交付金など、県単独事業等で支援するべきと考えますが、いかがでしょうか。
〇高前田理事 ただいま御説明申し上げましたように、この復興特区法の制度上は、この主な二つの税制特例、この二つのうちのいずれか一つということで制度上措置されてございますので、まずはこの制度の活用ということで、その被災者等を雇用した場合の給与総額の10%を税額控除する特例の活用について、積極的に周知を図っていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 被災地の企業の経営に資するように、この分野についてもどうか検討を重ねていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 また、補助事業の申請者の多くは、補助事業の経験が非常に少ないのが実態ではないでしょうか。これから事業全体をフォローするなど管理体制を整え、円滑な事業進捗がなされるように取り組むべきと考えますが、いかがですか。
〇高前田理事 補助事業の進行管理ということでございます。復興に関するさまざまな事業がございます。グループ補助等を初めとした事業がございますので、こういったようなものにつきましては、現在既にさまざまな御要望をいただいているところでございますし、復興交付金事業等の活用についても、既に計画等で出てきているものもございます。こういうものについてはしっかりとその事業内容との精査とあわせまして、進行管理をしていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 特区の関係で最後に1点お伺いしたいと思います。
 宮城県は、東北経済の中心地や沿岸部につながる仙台平野など地形的なメリットがあり、福島県は、福島復興再生特別措置法により、特区法を上回る優遇措置となっております。その結果、申請数が予想を超えているようでありますが、本県の特区を活用した企業の誘致戦略が機能するかどうか、改めてお伺いしたいと思います。
〇上野副知事 特区と関連いたしまして、本県の企業誘致の戦略についてのお尋ねでございますが、本県は、企業立地の補助金につきましては、上限がない独自の優遇制度を持っております。これを活用していくということ。それから、先ほどからお話がございました産業再生特区、あるいは事業復興型雇用助成金等、新たな優遇措置の周知を図りながら、本県の重点産業でございます自動車、あるいは地域によりましては地域それぞれの特色を有する産業、例えば県北・沿岸で言いますと食産業など、こうしたものを中心に企業誘致を進めてまいりたいと考えております。
 また、東日本大震災津波による甚大な被害を受けたほか、原子力災害の風評被害もあることから、本県も対象となるよう、企業立地の新たな補助金を国に要望しているところでございます。
〇工藤大輔委員 特区制度を最大に生かした取り組みをよろしくお願いします。
 次に、被災した中小企業の支援についてお伺いします。
 被災事業所復興状況調査では、まだ再開できていない事業者がいる中で、金融機関に返済条件の緩和を求める中小企業金融円滑化法が、平成25年3月31日までの期限となっています。また、岩手産業再生機構と東日本大震災事業者再生支援機構が取り組んでいる二重債務問題については、既存債権の買い取りが被災3県で一番多い数のようでありますが、件数はそれほど多くない状況にあります。これで地域の産業が再生できるのでしょうか、お伺いします。
 また、グループ補助金についても、4次申請分で半分しか認められていないことや、繰り越しなどの問題も解決していません。また、小規模事業者を認めるなど、採択要件の緩和が求められています。再建資金の円滑した供給に向け、県としてどのような取り組みを進める考えか、お伺いします。
〇上野副知事 被災した中小企業に対する支援についてでありますが、まず、中小企業金融円滑化法につきましては、貸付条件の変更に対応し、被災事業者の資金繰りに万全を期すといった点で、この法律の期限の延長というものは必要であると認識をいたしております。このため、県では、北海道東北地方知事会を通じまして、本年8月に、国に対して中小企業金融円滑化法の期限の再々延長を要望しておりまして、また、来月に再度要望する予定といたしております。
 次に、二重債務問題につきましては、現時点では、本設再開に向けた事業用地が定まらないため、資金需要が本格化するまでまだ時間を要しておりますが、今後、そういう事業用地が少しずつ明らかになってくるに従って、相談してこられる事業者の方もふえてくるのではないかと見込まれるところであります。
 そこで、本県で、国に対しまして相談窓口、この二重債務関係の問題の相談窓口でございます岩手県産業復興相談センターの事業の継続を要望するとともに、職員を派遣することにより、センターの体制強化を図りまして、買い取りなどの迅速化を進めてまいります。
 最後に、グループ補助金につきましては、小規模事業者を中心に要望が依然として多ございまして、さらなる支援が必要であると考えております。このことから、国に対しまして、予算の増額や要件の緩和、運用の弾力化、これらとともに、小規模事業者への新たな補助制度の創設について要望しているところでございます。
 このような取り組みを通じまして、地域産業の一刻も早い再生に努めていきたいと考えております。
〇工藤大輔委員 債権買い取り等の関係については、事業者がみずからの事業がその対象になり得るのかどうかということの認識がまだまだわかっていない、また、情報不足という点もあろうと思います。積極的な情報提供によってより多くの申請者を出し、認定に当たっては、申請者視点に立ったような形でぜひ進めていただきたいと思いますし、強く要請をしてほしいと思います。
 また、来年4月以降の金融機関の対応によっては、県内経済と雇用環境の回復を足踏みさせ、本格復興に水を差す事態になりかねません。地域を支えてきた小規模事業者の再建の意思を尊重し、真の復興につながるよう金融機関の動向を注視し、とるべき対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇上野副知事 まず、二重債務問題の関係で、この岩手県産業復興相談センターの役割は非常に重要だと思っておりまして、先ほどおっしゃいましたように、まず、こういう制度があるということの周知、それから国のほうでは、別途、事業者再生支援機構が設けられておりますが、そのいずれでも、問題、そういったお申し出を受け付けておりますので、そうしたことの周知を図りながら、実際の支援に当たりましては、これは買い取り以外の支援、例えば長期債務の返済の猶予ですとか、あるいは新規の融資ですとか、そうしたものもありますので、そうしたものの周知とともに、新しいいろんな支援については、今委員おっしゃったような被災企業の目線に立って温かい目で見ていきたい、そうした形で支援をしていきたいと思っております。
 それから、中小企業金融円滑化法につきましては、委員おっしゃったように、この法律に書いてあること、これは本来は金融機関が法律がなくてもそうしたコンサルティング機能を果たさなければいけないんじゃないかというふうにも思うわけですが、ただ、他方でこうした法律があることの金融機関への意味合いというのは大きいものがありますので、私どもといたしましては、今このタイミングで、この法律の延長が切れるということについては極めて憂慮しております。
 そうした目で、委員のおっしゃったような考え方で、今後とも国に対して要望していこうと思っております。
〇工藤大輔委員 それでは、次に、放射性物質の影響についてお伺いします。
 原子力発電所の事故影響により、健康への不安が払拭されず、県内産業は大きな被害と影響を受け続けています。県や市町村、関係団体では、除染やモニタリングを初め、各種調査、検査を実施してきた1年でありました。
 県産品や観光面などの被害はどのぐらいになっているのでしょうか。また、風評被害により、市場価格や取引量が大きく落ち込んでいる産業もありますが、放射性物質の影響と考えられる風評被害はどのぐらいに上っているのか、お伺いします。また、実際の請求、そして賠償の進捗状況についてもあわせてお伺いします。
〇加藤総務部長 東京電力に対する風評被害等の損害賠償請求についてでございます。
 原発事故による放射性物質の影響は、県内各種産業に及んでおりまして、現時点で把握しているだけでも、民間の損害額は134億3、000万円を超え、うち、風評被害については28億円余、請求に至っているものは10億円余となっております。
 風評被害の定義が一義的に定まっていないこともございまして、明確に整理するのは困難な面もございますが、風評被害を含む損害賠償金の支払いは、請求額全体の6割程度となっております。これらの損害額は、いまだ新たな被害が発生していることに加え、産地としての再生や信頼回復のために多額の費用が必要でありますことから、今後さらに増加するものと見込まれます。
 風評被害の損害賠償請求につきましては、牛肉、干しシイタケ及び観光業など一定の進展が見られる分野がある一方で、その他の多くの分野おきましては、いまだに東京電力は消極的な姿勢を変えておらず、被害者救済の大きな障害、ネックとなっております。
 県では、これまで発生しております風評被害を含む全ての損害に対して十分な賠償を行うよう、東京電力に対しまして繰り返し要請してきておりまして、本年7月と9月には、知事みずから直接要請したところでございます。引き続き、市町村や他県、関係団体と連携しながら、たゆまず東京電力に対しまして強く要請していく考えでございます。
〇工藤大輔委員 わずかな被害であるものであっても、第1次産業や観光、また、小規模事業者などによって長く続くことによる影響というものは相当大きくなってくると思います。それによる経営や、また、産業生産力が大幅な後退も懸念されております。私はぜひ、農協等のチームとして請求するというのも一つですが、それぞれ個々に対応しなければならない分野というものが数多く見受けられると思います。そういった窓口をぜひつくって、県としてもサポートする必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
〇加藤総務部長 全体がまとまってやるというやり方がとられている分野もありますが、そもそも請求を東京電力がどのぐらい認めるかという段階でとまっておりまして、必ずしも集団で請求に至っていない、それで事業者なりあるいはそれぞれの個人の皆さんが請求に戸惑っているという分野があるというのは確かでございますので、その辺につきましてよく私ども関係部局と連携いたしまして、実態を把握しまして、集団でやる、あるいは県のほうがそれをまとめて後押しするような仕組み、そういうものが必要な部分につきましては、よく関係団体なりにもお話を伺って、あるいは市町村とも連携して、そういう集団での圧力というか、それを高めるような取り組みを展開していきたいと思っております。
〇工藤大輔委員 ぜひ、そのような方向でお願いしたいと思います。
 また、東京電力の対応は遅いというより、原因者である責任を果たそうとしていません。今やるべきことは、謝るだけの姿勢より、かかる責任を認め、速やかに賠償をすることであります。
 原発の安全神話が崩壊し、何かあった際の対応すらできない企業に、重要なエネルギー政策の一翼を担わせるわけにはいかないとの国民の感情は大きくなっています。東京電力の対応に対する知事の見解をお伺いします。
〇達増知事 7月、9月に、新しい会長、社長の体制のもとで面会をしてまいりました。その際は、岩手側からの主張については、きちんと聞いて対応するということではありましたけれども、そもそも、去年の3月11日の大震災による原発事故に伴う放射性物質による被害でありまして、その原因者として、日本中に飛散したセシウム等については、全て会社側が責任を持って回収するというくらいの勢いでやってもらわなければと思っています。そういったところから見ると、まだまだ動きが鈍く、対応が鈍いと言わざるを得ないと思っておりますので、さらに強く働きかけていく必要があると考えます。
〇工藤大輔委員 この分野については、岩手の経済または生産分野が崩壊をするかもしれない。高齢化が進展していく中で、せっかく若い生産者等が力を出そうとしても、その力を十分に発揮できない。将来にわたる不安が増大しているということなので、ぜひ東京電力また国に対しても、積極的にこれはもう力強くやってもらわなければなりませんので、よろしくお願いします。
 それでは、公共事業の入札状況についてお伺いします。
 県営工事は、市町村の復旧、復興関連の工事が増加し始めた昨年10月ごろから、不調の件数等がふえてまいりました。課題等はその中にあると思いますが、県では、これまでそれらを改善するために単価の見直しや施工管理者の配置要件の緩和、復興JV制度等の活用を行ってきました。入札状況はどのようになって、その後の入札状況はどのようになっているのでしょうか。
 また、最近では競争性が働かず、1社のみの入札参加により、予定価格いっぱいでの落札が出ています。旧振興局単位でのランク別の入札参加と落札の実態はどうなっているのか、お伺いします。
〇加藤総務部長 県営工事の入札状況についてでございます。
 まず、全体ということでございますが、平成23年度の入札件数は1、567件でございまして、入札参加者がない、入札後の無効などの理由により取りやめとなった工事は139件、割合でいいますと8.9%でございます。平均落札率は87.4%でございました。
 今年度のデータということになりますが、9月末現在の入札件数は833件で、取りやめとなった工事は67件、割合は8.0%となっております。また、8月までの平均落札率では、91.6%となっております。
 旧振興局単位の入札の実態についてということでございます。
 今年度における8月末で取りまとめた状況でございますが、予定価格5、000万円未満の工事では、工事1件当たりの入札参加者数が多いのは、花巻地区の6.8者、北上地区の6.4者。少ないのは、宮古地区の2.6者、県北本局の2.9者となっております。落札率が高いのは、県北本局の93.4%、県南本局の92.9%。対しまして低いのは、花巻地区88.1%、北上地区の88.7%となっております。
 次いで、予定価格5、000万円以上1億円未満の工事で申し上げますと、入札参加者数が多いのは、北上地区の14.7者、花巻地区の14.0者。少ないのは、大船渡地区の3.7者、宮古地区の3.8者となっております。落札率につきましては、高いのが、大船渡地区の92.0%、一関地区及び県北本局の91.7%でございまして、低いのは、北上地区の85.0%、花巻地区の86.7%となっております。
 予定価格1億円以上の工事となりますと、入札参加者数が多いのは、花巻地区の14.0者、県南本局の11.5者。少ないのは、県北本局の3.7者、沿岸本局の3.8者となっております。落札率が高いのは、宮古地区の95.0%、沿岸本局の94.7%でございます。落札率が低いのは、盛岡地区の84.0%、二戸地区の84.2%というデータになっております。
 総じて、復旧、復興事業の多い沿岸の地区におきまして入札参加者数が少ない傾向が顕著でございまして、落札率も高くなる傾向がうかがえるという状況でございます。
〇工藤大輔委員 災害復興に向けた適切な事業の推進とまた適正な競争という観点も必要だと思いますので、今後、さまざまな視点で注視していただきたいと思います。
 また、国でも、大手建設会社受注の物件が下請企業に流れやすいということを改善するために、コンストラクション・マネジメント方式などの新しい入札契約方式を来年度に向け検討に入ったようであります。県でも、被災地に遠かったり、また、これまで受注機会に恵まれにくかった県内企業の受注拡大に向け、一層の取り組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。
〇加藤総務部長 入札におけます県内企業の受注拡大に向けた取り組みについてでございますが、まず、予定価格1億円以上の工事につきましては、入札参加資格で求める原則的な地域要件を県内全域としておりますので、県内どこの地区からでも入札に参加できることとなっております。
 また、1億円未満の工事にありましては先ほど申し上げたとおりでございますが、沿岸地区における工事の入札参加者数が減少しております。そうした状況もありますことから、このたび内陸の近傍地からも入札に参加できるように、原則的な地域要件、これにつきまして拡大する特例を定めまして、これは今月に入りまして通知いたしまして、本日公告する工事から適用することにしたところでございます。
〇工藤大輔委員 発注に際しては県産資材の優先利用、物価スライド制の弾力的な措置など、市町村においても同様の改善がなされるよう、積極的な対応をお願いしたいと思います。
 以上を申し上げまして質問を終えます。ありがとうございました。(拍手)
〇小野共委員長 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 地域政党いわての及川でございます。会派を代表して13分いただいておりますので、総括質疑をいたしたいと存じます。
 なお、きょうは7項目通告しておりましたけれども、ちょっと事態が変化をいたしましたので、時間の都合もあります。3番の花泉地域診療センター問題についてから知事に伺いたいと存じます。
 この問題につきましては、今回、医療局が一連の経過について最終報告案というのを出してございます。今回の9月の質疑の経過を聞いて、これで決定をして検証するというものでありますが、私は、第1回目に出てきた検証報告書についても、今回についても、到底、納得をいたしておりません。
 まず、知事にお伺いするのは、この最終報告書案についてどのような所感を持っているか、伺いたいと思います。
 この報告書の作成、最終案ができるまでの過程で、知事も経過の確認等を行ったのかどうか。特に、事実経過について知事が知っているということが十分この報告書案には反映されているかどうか、評価も含めて伺いたいと存じます。
〇達増知事 花泉診療所は、無床化した県営の花泉地域診療センターについて、官民問わず入院ベッドが必要であるとの地域の強い意向に沿って、地元一関市の意見も聞きながら、民間事業者のノウハウに期待して移管を行ったものでありますが、有床診療所として10年以上事業を継続することができなかったことは、非常に残念であると考えております。
 今回の検証に当たっては、節目節目で医療局から報告を受けており、最終報告書案は、これまでの県議会での議論を踏まえながら、必要な検証が行われた内容となっていると認識しております。
 医師不足の状況は現在も変わっておらず、民間事業者のノウハウを活用するという手法は、今後の地域医療への期待に応える有力な選択肢の一つであり、今後、他の地域においても民間活用を目指すケースが想定されますことから、今回の検証結果を十分に踏まえて、適切に対応していく必要があると考えております。
〇及川あつし委員 今、知事は必要な検証だったということと、適宜、報告を受けていたということの認識を示されました。その次に、今後、医師不足は続いているので、今回の検証が生かされているということでありました。その最後のほうの答弁については、私も認識は一緒でありまして、今回のいわゆる失敗の事案をきっちりと十分に検証して、何でだめだったのかということをやらない限り、今後の地域医療は、岩手県内において十分に反映できないと思いますよ。ですから、私はいろいろお聞きしたいことがありますが、あえてきょうは過半の時間を割いてこの問題について伺いたいと思います。
 私は、最終報告書というのは、歴史に耐え得るものになるべきだと思っているし、これから順次お聞きしていきますが、事実経過について明らかな虚偽が満載されている内容だと思いますので、その点について伺いたいと思います。
 事実経過についてでありますが、改めて伺います。
 この経過について、知事から見て不足はないですか。この際、補足的な説明があるのであれば伺いたいと思います。特に、これまでさまざまな場面で知事は答弁されておりましたが、公募以前に、接触、電話等のやりとりがなかったかどうか、改めてこの場で伺います。
〇達増知事 後段については、今までの答弁のとおりであります。先ほども述べましたように、これまでの県議会での議論というものも踏まえた報告書になっておりますし、また、医療専門家等も含みますこの県の医療局、委員会の議論も踏まえ、専門的観点からも、また、県議会での議論も反映した検証になっていると思います。
〇及川あつし委員 我々議会、議員ですから、我々がお話ししてきた内容が反映されているかどうかというのは、我々の評価もあるわけですよ。我々の評価からすると、反映されていないという前提でお伺いしています。
 知事は今、これまでの答弁のとおりというお話でしたが、確認しますね。
 白光の会長である橋本堯夫さんと電話でお話ししたことはない、こういう答弁でありました。また、会ったかどうかについては、衆議院議員時代に、いろんなパーティーとかでいろんな大勢の人に会っているので、絶対会っていないとは言わないけれども、この白光の案件が出てから、こういう目的等で会ったことはないということを嵯峨壱朗議員の緊急質問の答弁等で言っていますが、その答弁でよろしいかどうか、再度お伺いします。
〇達増知事 その答弁で結構でございます。
〇及川あつし委員 知事、私、やっぱり今回最後だということだと思うので、私もいろいろこのままじゃいかんなと思いまして、きのう、医療法人白光会長、社会福祉法人七星会理事長橋本堯夫さんにお会いをいただきました。面談をいたしまして、これまで知事が我々に説明してきた内容が本当かどうか、橋本さんの主張についても伺ってまいりました。
 その伺った内容を含めてそれぞれお伺いしますが、電話をしていないということでありましたが、知事が電話をして、その電話を受け取った女性にもお会いして証言をいただきました。
 岩手県知事達増拓也さん、有名な方から突然電話が来たので、びっくりしましたと。そのときに橋本会長がいなかったので、改めて、お伝えいただいた電話番号に橋本会長が電話をして、達増知事とお話ししたというお話をきのう聞いてきたんですが、電話でお話をしたのは達増知事じゃなかったんですか、ということは。確認いたしたいと思います。
〇達増知事 先方がそのようなことを言っていたというのは、過去の議会でも質問いただきましたので、それに対しては先ほどから答えているとおりです。
〇及川あつし委員 極めて不自然だなと私は思います。片方が、受付の女性も、知事からの電話だと言って受け取った。そしてかけたほうもちゃんと話をした。話の内容も、我々にちゃんと話したと言っている。知事は、電話が来ていないと言っている。なかなかこれ、事実を確認できないなということで、その点で、まずこの点については確認をしたいと思います。
 次に、答弁で、会ったかどうかということについても、衆議院議員時代に云々、くんぬんと。先ほどもこれまでの答弁を引用させていただきましたけれども、この点についても、本当に会ったことがないかどうか、記憶を含めて再度御答弁いただきたいと思います。
〇達増知事 過去の答弁、特に変更はいたしません。
〇及川あつし委員 それでは伺いますが、知事は、橋本堯夫白光会長から、選挙の際に、選挙の資金として寄附を受けたなどの記憶はございますか、その点についてもお答えを願います。
〇達増知事 実は、私の、私のといいますか、県の知事政務秘書のところに、ある新聞社から、白光橋本会長が、昨年9月の知事選において、知事が遊説で花泉に来た折、知事のおつきの人に数十万円を渡した。後日、領収書を出すと言われたのにそのままになっている。そのとき知事とは会話をしており、自分の知り合いで盛岡一高出身の医師からよろしくとの言づてを伝えたと、これは事実かという取材がございました。
 事実ではございません。橋本会長から、何らかの封筒が選挙チームの一人に渡されていましたが、当人はそれを断り、しかし強引に渡され、聴衆の面前であったことから封もあけず、遊説場所に来ていた地元の事情を知っている後援者の一人に返還を依頼したと。その地元の方は、翌日朝、当時の医療法人事務局長に自分の経営する店に来てもらって、封筒を会長に返還してもらうよう、封を開けないまま渡したと。事務局長は、何でこのようなことをしたのだろうというようなことを言っており、封筒を預かって帰ったという事実関係を確認しております。先方、知事と会話しておりと言っているそうですけれども、私は覚えがありません。
〇及川あつし委員 じゃ、その現金は、翌日という話ですが、何月何日に、だれがどのような経過で渡されて、その報告をその時点で受けていたのかどうか、その点についてもお答え願います。
〇達増知事 ただいまの話は、取材に対して、とりあえず事実関係を全面的に否定するために調べた内容であり、私が、選挙中にその先方と不適切なやりとりをしたとか、またはお金をもらったということはないということでありますので、それ以上の調査は特にやっておりません。
〇及川あつし委員 きのう、全く同じような内容を我々も聞いてきたんです。知事に選挙のときに資金提供もしたと。しっかり知事と立ち話で、当時の同級生、東北大学の先生のようですけれども─個人名は控えますね。同級生の方の名前も出して、知事と話もして、そこで別れたと。領収書の提示も求めたということだけれども、いまだに返ってこないと。現金の返還について等はこれまであったんですかとお聞きしたんですが、一切返してもらったこともないと言っていましたけれども、この点について、知事はどのような認識を持たれますか。
〇達増知事 知事の付き人に数十万円を渡し、また、知事と会話をしており、自分の知り合いで盛岡一高出身ですから、よろしくとの言づてを伝えと。
 今回、ある新聞から取材があって、そういう内容のことは私も全く初めて聞き、驚いております。特に、知事と会話をしたとか、さまざま言づてを伝えたということは全くありませんので、困惑しております。
〇及川あつし委員 私も、知事のおっしゃる話と、きのうお会いした橋本会長の話が全く違うので、非常に困惑していますが、いずれ、この話というのはなぜお話しするかというと、知事は電話をしたこともない、会ったこともない。片方は、知事にはちゃんと電話もしている、選挙のときに資金提供もしている。でも、お金は返ってきてないよと言っていると。全く違うわけですよ。
 この問題については、知事が受け取って、選挙のときの収支報告を見ましたけれども、記載がないので、受け取ったままだとすれば、これは公職選挙法違反になるし、そういう意味で、御自身の政治的な立場をしっかりするためにも、再度、経過も含めて─今回初めて報道機関から聞いて、調べた内容を聞いたということでありますが、知事として、もう一度、この一連の経過を自身できちっと検証して、聞いて、そして我々に報告するべきだと思うんですが、いかがですか。
〇達増知事 私としては、まず、全面否定できたかなと思っておりますので、特にこれ以上の調査の必要等は感じておりません。政治資金報告書で政治資金を受け取ったことになっていないというのは、全くそのとおりだと思いますので、問題はないと考えます。
〇及川あつし委員 いやいや、片方が全然違うことを言っているんですよ。知事に大いなる疑念が降りかかっているわけです。政治資金に関しては、個人で渡したときのうもお話ししておりましたので、それが、即公職選挙法とか、いわゆる地方公共団体から請け負っている法人が献金していれば、それは問題ですが、個人としてやっているので、グレーだなと。ただし、道義的な問題があるということと、先方は渡したと言っている。知事は受け取っていない。じゃ、そのお金はどこに行っているんだということです。そういう問題も含めて、問題が新たに出てきているので、今、調べる必要はないと言ったけれども、私は、調べる必要があると思いますが、本当に調べる必要がないということでいいですか。
〇達増知事 私の周りにはそのお金はございませんので、大いなる疑念については、この場で、そういうことはないと明確に晴らさせていただきたいと思います。
〇及川あつし委員 議事進行で、ちょっと時計をとめていただいていいですか。
 今お話しした接触の件、現金の授受の件、電話で公募の前に会話をした件、証言する方と知事の答弁が全く違います。これでは我々は事実の確認ができませんし、この最終報告書案が適正かどうかということについて検証できませんので、この際、医療法人白光の会長、社会福祉法人七星会理事長であります橋本堯夫氏を当委員会に参考人としてお呼びし、必要なことについてお聞きしたいと思いますので、委員長のもとにおいてお取り計らいをお願いいたします。
〇小野共委員長 ただいま及川あつし委員から、花泉診療所事案に参考人を呼ぶことにつきまして発言がありましたが、この件につきましては、後刻世話人会を開催して協議いたしたいと思いますので、御了承をお願いいたします。
 質疑を続行します。
〇及川あつし委員 それでは、よろしくお願いします。
 知事、その接触等についてあくまで否定されるようでありますので、証人からできればいろいろお話を聞いて、この点について決着させていただきたいと思います。
 つまり、なぜ私がここにこだわるかというと、結果としてこの事案は失敗してしまったわけですよね。なぜ失敗したかという検証が不十分だ。不十分だから次に生かされない。だから、十分に検証は検証として、事実は事実として認めて、何がだめだったかということを認めていこうということが私のお聞きしている一貫した趣旨であります。
 この最終報告書では、今、知事が評価されたけれども、必要な検証もあって、今後に生かされるような話をされていましたけれども、私からすると、よくもまあ、都合のいいようにやっているなと思います。これは、詳細については、当然、部局別審査で保健福祉部、医療局に伺いたいと思いますが、知事がいる場でお話ししておきたいのは、これも私はずっとおかしいなと思って聞いてきたのは、今回の医療局の報告─お持ちかどうかわかりませんけれども、21ページに、白光側との接触。1回目、平成21年2月16日。2回目、平成21年4月6日。そして、平成21年6月8日に白光から県の医療局に対して、臨時医務嘱託として医師1人を預かっているんです。これについても、白光側については、医療局と話を事前にしていたので、だったら貸していただけませんかという話であったと。きのう、繰り返し言っていたのは、たったこんな2回しか会っていないのに、月給200万円の大事なお医者さんを医療局に貸すなんてことはあり得ないと断言していました。
 あとは、話として私が合点がいったのは、事前に家賃の話も、当時の医療局長と十分話をしていた。4分の1の減免でやりますよと。でも、スタートしてみたら、1階4分の1、2階も4分の1。足し算したら2分の1の割り引きにしかならない。家賃については、ちゃんとその当時、我々は常任委員会でも報告を受けていましたが、法人側と協議をして決めて家賃を設定するというのに、一方的に、家賃は4分の1と当時の医療局長が約束していたのに、2分の1になっちゃったと。おかしいよということで、家賃を払えなかったのではなくて、払わなかったんです。
 伺うところによれば、達増知事との現金のやりとりがあった時期については、あったかどうかはこれから確認しますけれども、知事はないと言っている。あっちは渡したと言っている時期は9月。委託を受けた花泉地域診療センターをもうやめるかどうかの瀬戸際で、補助金云々の話にもなっている。我々も当初びっくりしたわけです。補助金が出なければやめると。何のことかなと思っていたら、これも、補助金については、ずうっと公募の前から出すという約束が口頭であったという証言がきのうございました。まず開けてくれと。開設してくれたら県のほうで補助金をつけるということを言っていた方々がいらっしゃるそうであります。だからこそ、最後の段階で、約束が違うじゃないかといって、補助金が出ないならやめるといったことについて、ああ、だからこういう理屈になるんだなということも含め、きのう、いろいろ伺ってまいりましたが、知事は、一切この点についても記憶もないし、認識もないし、この検証報告書で十分だということで、再度答弁をいただけるのでしょうか、どうでしょうか、もう一度御答弁願います
〇達増知事 花泉の診療センターの民間委託についてはオープンな形で公募が行われ、そして、その公募のプロセスも衆人環視、全ての県民に開かれた形の中で行われ、また、県、一関市、その他関係者、また、そういった中でだれかが反対すれば、いつでもとめられるような形の中で公正に行われたわけであります。
 しかしながら、先ほども述べましたが、官民いずれにせよ、いわばベッドを維持してくれるのであればだれでもいいというような悲痛な叫びの中で、ともすれば、一定の形式を満たせばだれでもいいというような形の選び方をしてしまったのではないかということが今回の本質であり、また教訓であり、したがって、こういった民間に仕事を任せる場合には、単なる形式を満たせばいいというだけではなく、その世評、医療法人なら医療法人の実態、そういったところもきちっとチェックして決めていかなければならないということが、この報告書の教訓ということなのだと思います。
 そういう意味では、もっと相手のことをよく知った上で選んでいかなければならないということが教訓であり、よく知らないまま─もちろん、医療法人上の届け出でありますとか、過去の保健所ですか、県医療当局ですか、その指導の前歴はないとか、そういったところはきちっと調べられたわけですけれども、プラスの、何か一緒に仕事をしたことがあるとか、あるいは何かそういう一緒に仕事をしたことがある人から詳しい情報を聞いているといったような情報も含めて判断したほうが、より適切に進めていけるのではないかということが教訓なのだと思います。
 ですから、先ほど、冒頭でも申し上げましたように、民間活用ということは、特に、この圧倒的な医師不足の中で岩手の地域医療を守っていくためには一つの可能性としてあることですので、今回のことが、結局、医療局の計画どおりにやっていればよかったではないかというような教訓になってはいけないと思っておりまして、もちろん、専門家を中心に医療局の計画を取りまとめた、それはそれできちっと守っていく意義があるわけですが、それと地元のニーズを両立させるための工夫として、そういったさまざまな手法を追求していくということは、それは必要である。そういう意味では、議員の皆さんにもお願いしたいのですが、岩手の地域医療を守っていくために、こういうお医者さんがやる気があるよとか、こういう医療法人がいろいろやりたいと言っているというアイデアがあれば、どんどん医療局やあるいは県当局、知事部局のほうにそういう情報を提供いただき、そうした背景の中で、今回の報告書の趣旨に沿って適切に岩手の地域医療を守っていくということが行われればと思っております。
〇及川あつし委員 世評の件が今回新しく追加になっていますけれども、確かに世評の部分もあったのかもしれない。けれども、私の認識は違って、皆さんは水面下でいろんなことをやり過ぎて、途中経過で我々におかしいじゃないと言われて、途中で萎縮して必要な支援をやらなかったから破綻したんです。堂々と、しっかりオープンに当初から議論を重ねて、我々と胸襟を開いてやっていれば、こんなことになっていない。途中でうそを言ってしまったから、次々にうそを上塗りして、一番最初に固めておかなければいけなかった民間医療機関に対する支援も、伝家の宝刀の刀を抜くことなく、結果として表面上の話だけで、最後のほうは逃げ切ってしまったというような心証を私は持っています。だから、今のような知事の総括では今後の地域医療を守ることはできないと私は思います。よって、きょう、この質疑において知事の認識が示されました。そういう認識では、今後の民間移管も含めた地域医療を守っていく方法についてはまずいと思いますので、必要な質疑をこれから重ねてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 時間が参りましたので、終わります。
   〔「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 ただいま及川あつし委員から随分物騒な言葉が飛び交っているわけですが、一方的に決めつけた上で、一方的にどんどん話をしていくということは、予断を与えかねないと思います。そして、及川あつし委員からは、経営者か何かをこの場に呼んで、証人としてという話がありましたけれども、(「参考人」と呼ぶ者あり)参考人……、証人と言ったんじゃないの。参考人か。参考でもいいけれども、いずれ、我々岩手県議会の特別委員会にそういう人を呼ぶ権限があるのかどうか、まず、そこの確認をするべきだと思います。仮に、その人が一方的に決めつけてかかって、あなたが正しい、あなたが偽証している、あるいは逆なこともあり得るわけですから、そういった場合には、今度はこっちが偽証として訴えることができるのかどうか。誓約書というものはどういうものなのか、そういうことも勘案してからやっていただかないと、岩手県議会の品位を傷つけることになりはしないかと思いますので、委員長を通して、世話人会で確認をする場合に、その点を確認していただきたいと思います。
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇斉藤信委員 今の及川あつし委員の質問の中で、女性が電話を受けたと証言をしたと。これは第三者の証言なんですよ。私もこの問題はずっと指摘していた。ですから、この第三者も参考人として呼んでいただきたい。
〇小野共委員長 ただいま伊藤勢至委員、斉藤信委員のほうから議事進行のお話がありました。繰り返すようですけれども、後刻世話人会を開催して協議いたしたいと思いますので……
   〔「議事進行」と呼ぶ者あり〕
〇伊藤勢至委員 今、斉藤信委員から何かお話がありましたが、あるとき北海道の共産党の職員が病院に来て、いろんなことを調べまくっていったという話もありまして、それを指摘したところ、斉藤委員は、それは問題だという発言もしておったはずであります。この際、北海道の共産党の来ていった職員とか、あるいは花泉に来て街宣活動をやったという共産党の職員も呼んで、参考人として聞くべきだと思います。参考にしていただきたい。
〇斉藤信委員 ここは誹謗中傷をやる場じゃない。私は、この問題は議会の中で明らかにしているんですよ。共産党の道議団が来たというけれども、名刺も何もなかった。そういうことを議会で明らかにしているじゃないですか。そんなことを、誹謗中傷をやるべきじゃないですよ。指摘された疑惑に答えるということで、しっかり世話人会をやってください。
〇小野共委員長 後刻世話人会を開催して協議いたしたいと思いますので、何とぞ御了承をお願いいたします。
 次に、小西和子委員。
   〔小西和子委員質問者席に着く〕
〇小西和子委員 社民党の小西和子でございます。
 最初に、被災者支援について伺います。
 東日本大震災津波発生から1年7カ月が経過しました。国、県、市町村及び関係機関が一体となって復興に、被災者の生活再建のために御尽力いただいているところであります。今後も引き続き被災者一人一人の生活再建、憲法の保障する生存権、幸福追求権の保障を実効あらしめる人間の復興に向けて全力を挙げることを切望いたします。
 知事は、被災者支援のあり方について、行政が被災者一人一人の目線に立ち、復興のステージに応じて人間本位の復興を進めていくという、被災者に寄り添う姿勢で支援を行うとお答えになっていました。発生から1年7カ月がたちましたが、被災者支援の実態をどのように捉えているのか、知事にお伺いいたします。
〇達増知事 本年4月の復興に関する沿岸部の県民意識調査結果によりますと、暮らしの再建の分野においては、住宅再建、雇用の確保などの施策ニーズが高くなっており、また、仮設住宅での生活が長期化していることから、特に心と体のケアが重要な課題となっていると認識しております。
 このため、住宅再建については、本県独自の住宅再建支援制度を創設するとともに、住宅再建支援施策の紹介や、一人一人の復興計画づくりを支援するための相談会の開催、雇用の確保については、就職面接会の開催や就業相談等の実施、心と体のケアについては、保健師等の全戸訪問による健康調査や生活習慣病などの予防指導の実施など、きめ細かな支援に取り組んでいるところであり、今後とも、市町村など関係機関と連携し、被災者に寄り添った支援に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 みなし仮設住宅や仮設住宅以外で暮らす被災者についての実態把握の状況について伺います。
 また、生活再建支援が一人の取り残しもなく、円滑かつ効率的に実施することを目的とした被災者台帳システムの運用状況はいかがでしょうか。
〇高前田理事 まず、みなし仮設住宅及び応急仮設住宅以外で暮らす被災者の実態についてでございますが、現在では、ほとんどの県内市町村におきまして保健師や民生委員等による訪問調査が進み、その実数が把握されているところでございまして、9月3日現在で申し上げますと、民間賃貸住宅や公営住宅等のいわゆるみなし仮設住宅に入居されている方は1万393人、県内の応急仮設住宅以外の自宅や親類宅等にお住まいの方は1万6、182人、また、県外に避難しておられる方は1、711人となっているところでございます。
 また、被災者台帳システムの運用状況につきましては、本年3月までに導入予定の7市町村全てで住民基本台帳等の基本データの入力が完了いたしまして、今年度から運用が開始されたところでございます。
 現在、市町村のニーズに応じて義援金の支給状況等の業務データをシステムに登録した上で、義援金等の支給漏れの確認や被災者相談支援の基礎資料などに活用されているところでございます。特に宮古市では、津波浸水エリア等の地図情報を活用いたしまして罹災証明の申請漏れの確認を行っているほか、今後、住宅再建や健康相談等にも幅広く活用することとしているところでございます。
 県といたしましては、市町村に対し、こうした先進事例の紹介やシステムの活用方策の提案等を行いまして、被災者台帳システムの活用を促進してまいります。
〇小西和子委員 やっと運用されたことに本当にほっとしております。
 関係者の必死の努力にもかかわらず、被災地における孤立死や自殺が後を絶ちません。被災地における孤立死や自殺の現状を伺います。また、どのような対策を講じているのかもあわせてお伺いいたします。
〇千葉副知事 被災地におけます孤立死や自殺の現状についてでありますが、沿岸被災地の応急仮設住宅でひとり暮らしをされ、自宅内で亡くなられた後に発見された方は9月までで10人、また、自宅の外で発見された方が1人ございました。多くは、親族や近隣住民、福祉関係者等によりまして死後1日以内に、最も遅い場合でも2日以内には発見されたと伺っております。
 また、自殺の関係でございますが、沿岸5警察署管内におきまして、震災が発生いたしました昨年3月から12月までの自殺者は80人であり、また、本年1月から8月までの自殺者は47人となっております。
 なお、震災関連の本県の自殺者につきましては、昨年6月から集計、公表されております内閣府の資料によれば、昨年6月から本年8月までで22人となっております。
 次に、被災者の孤立あるいは孤立死を防ぐための取り組みとして、民生委員や生活支援相談員等が応急仮設住宅を戸別訪問して、安否確認や相談、見守り活動を行い、ケアが必要な方については、保健、医療や福祉サービス等へ適切に橋渡しを行っているところであります。
 また、社会福祉協議会等によりますサロン活動を通じて、住民同士の交流の場を提供し、地域における支え合いの機運を醸成するなど、被災地におけます福祉コミュニティの再生にも努めているところでございます。
 また、被災地におけます自殺を防ぐための取り組みといたしましては、昨年度末に設置いたしましたこころのケアセンターにおいて、震災こころの相談室を初め、市町村が行っております全戸訪問や特定健診、こころの健康調査などの保健事業への支援を行い、リスクの高い方を適切な支援につなぐための活動を行っているところでございます。さらには、ゲートキーパー等自殺対策を担う人材の育成や、被災地で傾聴、相談支援等を行う民間団体への支援も積極的に行っているところでございます。
 今後におきましても、市町村や社会福祉協議会等の関係団体と連携を図り、さまざまな取り組みを重層的に展開することによりまして、被災地における孤立、孤立死あるいは自殺の防止に努めてまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 保健師は被災世帯を訪問し、心と体のケア等を行う重要な役割を担っております。沿岸部への保健師の増員を行ってはおりますけれども、今の体制で被災者の心と体のケアが十分と言えるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 心と体のケアの実施体制についてでございますが、沿岸12市町村におきましては、新規採用やあるいは自治体からの派遣の受け入れ等によりまして保健師の確保に努めているところでございます。平成22年4月の120名から平成24年8月には154名と、34名増加しております。
 これらの市町村におきましては、こころのケアセンターと連携し、応急仮設住宅入居者等の全戸訪問によります健康調査、集会所等での健康相談や生活習慣病など要支援者への訪問指導等、被災者の心と体の健康支援を行っているところでございます。
 しかしながら、これまでの通常の業務に加えまして、被災者に対する、今申し上げました訪問指導等による健康支援を継続していくためには、保健師等の専門職員の十分な確保が必要なところでございます。こうしたことから、現在、一部の被災市町村で、地方自治法に基づく保健師の派遣要請を行っているところでございまして、県としても十分に対応していきたいと考えております。
 また、県では、保健所を初め内陸市町村やあるいは県看護協会等の関係団体に御協力を要請し、訪問指導等による健康支援を行う保健師等を派遣していただくなど、支援等も行っているところでございます。
〇小西和子委員 被災者の心と体のケアをするため、保健師を初め専門的な関係者の十分な体制と有効な対策を講じていただきたいものです。間もなく2度目の長く厳しい冬がやってまいります。仮設住宅以外で暮らす被災者を含め、生活再建支援が一人の取り残しもなく実施されることを切望いたします。
 次に、利用者サービス向上と心のケアについて伺います。
 3款民生費において、対前年比増加率が社会福祉費で20.5%、児童福祉費で23.8%となっています。これら決算額増加の一因としては、東日本大震災津波による要保護児童の発生など、要援護者や要保護者の増加も考えられます。先ごろ、今議会において、社会福祉施設等の設備及び運営に関する基準等を定める条例が議決されました。この条例が地域主権改革一括法の成立をもとにしていることから、岩手の全ての人々の幸福追求のために、福祉サービス提供の基礎となる基準について、不断の改善、見直しを続けるべきと考えます。
 県として、社会福祉施設等利用者のサービス向上を図るため、利用者の人権保障、処遇向上、施設設備改善等に今後どのような理念、方針で臨むのか、知事に伺います。
〇達増知事 地域主権改革一括法は、これまで法律等で地方自治体に課していた義務等を見直して、地方自治体の自主性の強化、自由度の拡大を図り、地方の独自性を発揮できるよう制定されたものであると理解しております。
 本定例会で議決いただいた条例におきましては、条例制定に関する国の基準を踏まえながら、関係団体からの意見聴取やパブリックコメントの実施等により、サービス利用者の利便性の向上等に十分配慮しながら、基準を設定したところであります。
 今後におきましても、関係団体や利用者の方々等からのきめ細やかなニーズ把握に努め、利用者の人権保障、処遇向上、施設設備の改善等、さまざまな観点から本県の実情に応じた基準のあり方について不断に見直しを行いながら、利用者の方々が住みなれた地域で安心して生活できる岩手の実現を目指してまいります。
〇小西和子委員 4款衛生費についてですけれども、対前年度比増加率が400%超の状況は、被災地における保健、医療対策の充実を図る上では当然の状況と認識します。
 一方で、保健、医療施設の中でも心のケアは、衛生費に限らず、あらゆる分野、あらゆる階層で取り組まなければならない課題です。県の取り組みは、沿岸部へのこころのケアセンターの設置による継続性を持った対応が期待されますが、過去の大災害事例から学べば、世代を超える長期的ダメージが危惧されるところです。このことに対する取り組みの担保はどのようになされているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 長期的なダメージへの支援についてでありますが、まず、被災者の心のケアにつきましては、過去の大震災の例からも中長期的に継続して取り組む必要があるため、昨年6月から、沿岸3地区に子どものこころのケアセンターを順次設置いたしますとともに、本年2月から、岩手県こころのケアセンター及び沿岸4地区に地域こころのケアセンターを設置し、一人一人に寄り添った支援に取り組んでいるところでございます。
 子どものこころのケアセンターでは、県内外の児童精神科医等の協力をいただきまして、児童相談所、学校等と連携いたしまして、児童の相談、診察、保育士等の支援者向け研修会やケース会議等を行っているところでございます。
 また、岩手県こころのケアセンターでは、精神科医師、臨床心理士、保健師などの専門職員が配置され、震災こころの相談室などの運営を行いますとともに、市町村が行います全戸訪問等への同行支援や訪問活動を通じまして、支援を要する住民に対して個別支援を行っているところでございます。
 あわせて、長期的視点に立ちまして、住民に対する健康教育や心のケアに携わる人材の育成のための研修等も実施することによりまして、地域住民や支援者の対応力の向上を図り、将来的には地域が主体となった心のケア活動も行えるよう支援しているところでございます。
 いずれ、委員の御指摘のとおり、この災害体験は長期にわたり住民のメンタルヘルスに大きな影響を及ぼすことが危惧されております。特に子供の心のケアに関しましては、子供の成長に合わせたきめ細やかな支援が必要であると考えております。県といたしましては、子供から大人まで切れ目のない支援を目指し、時間の経過とともに変化しますニーズにも合わせながら、柔軟かつ適切に対応できる取り組みを継続して行ってまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 住民の相談窓口等の設置は進んでいるところでありますが、あらゆる分野、階層に網羅的に対応できる取り組みがあって、初めて寄り添い型の支援が可能だと思われます。その意味では、住民に対する支援のみならず、住民を支援する幼稚園、学校、社会福祉施設、行政機関等の対人サービスにかかわる全ての人々に対する支援が不可欠と思われますが、現場では、支援する公務員自体が疲弊し、倒れそうになっている状況も散見するところであります。
 また、今後、長期的に住民に対する支援を継続していくためにはマンパワー不足も懸念されるところですが、これについての対応を伺います。こうした支援者支援に関し、心のケア等についてどのような対策をとっていくのか、今後の取り組みの具体的拡充策について伺います。
〇加藤総務部長 被災者支援に係るマンパワーの問題についてでございますが、マンパワー不足に関しましては、首都圏で一般任期付職員採用の募集を呼びかけたほか、国や都道府県等に対し、早い段階から継続派遣の要請とさらなる増員要請を行っていくなど、幅広い取り組みを実施しております。現在、来年度に向けまして一般任期付職員の採用事務を進めておりますが、被災市町村の人員不足に対応するため、県で採用した任期付職員を市町村へ派遣する取り組みも進めております。今後、来年度採用予定の一般職員でございますとか任期付職員の繰り上げ採用、再任用職員の活用、さらには、豊富な経験やマネジメント能力を有する都道府県等の退職者の活用などあらゆる手段を検討し、対応していく所存です。
 また、職員に対するメンタルヘルス対策ということでございますが、被災者支援を着実に実施していく観点から、まず、何よりも職員の健康ということで、この重要性につきましては強く認識しております。このため、職員個々を対象としたメンタルヘルスチェックでございますとか、嘱託精神科医等によります個別相談、メンタルセルフケアに係る研修会等を継続して実施してきたところでございます。引き続きこのような対策を継続するとともに、嘱託精神科医等の先生から意見を聞きながら、職員の置かれた状況に応じて必要な対策をきめ細かく展開していく考えでございます。
 なお、市町村におきましても職員のメンタルヘルス対策に取り組んでいるところでございますが、県としても、地方公務員災害補償基金のメンタルヘルス総合対策事業の活用などを通じまして、必要な支援を行っていきたいと考えております。
〇小西和子委員 任期付職員というのは、専門的知識またはすぐれた識見を有する者を期間を定めて任用すると定められています。正規職員不足の穴埋め的任用をしている実態があるのではないでしょうか。正規職員を採用する基本姿勢を持つべきと考えます。
 他県等からの応援職員をやむを得ず受け入れる場合は、本県における住環境の整備や、派遣元自治体の労働条件と同等の環境整備が必須と考えます。メンタルヘルス対応につきましては、継続性、網羅性、個別性が重要と考えますので、よろしくお願いいたします。
 次に、放射性物質汚染対策と再生可能エネルギーについて伺います。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故から1年7カ月が経過いたしました。福島県では16万人もの人々がふるさとを離れ、不自由な避難生活を送っています。岩手県でも汚染状況重点調査地域に指定されている奥州市と一関市、平泉町は、多くの課題を抱えながら苦悩しております。他の地域も放射線の影響に不安を抱きながらの毎日です。
 知事は、放射性物質汚染の実態と県民の生活についてどのようにとらえているのか、今後の対策についてもあわせて伺います。
〇達増知事 原発事故から1年7カ月が経過し、県内における放射線量は減衰傾向にはございますが、放射性物質の影響は、いまだに身近な生活環境から各種産業の風評被害に至るまで多岐に及んでおり、県民の不安は払拭されておらず、県民の暮らしやなりわいが脅かされている状態であります。
 県では、放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康と食の安全・安心、これらを重視し、市町村と連携しながら、汚染状況重点調査地域である県南3市町を初め県内各地の放射線量の低減や、放射性物質の子供の健康に係る影響調査、県産食材や学校給食の検査体制等を強化するなど、放射線影響対策に取り組んでまいりました。引き続き市町村の取り組みを支援するとともに放射線量等の監視体制の充実強化を図り、放射線量低減措置を積極的に推進し、子供の健康に係る影響調査の継続や県産食材等の検査を徹底することにより、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。
 これらに加え、風評被害を含む商工業や農林水産業など県内の幅広い産業分野で発生している原発事故による被害についても、市町村や関係機関との連携を密にしながら、県として全力を挙げて対策に取り組んでまいります。
〇小西和子委員 大人に比べ放射線に対する感受性が数倍も強いと言われている子供たちを守るために、学校や子供たちが立ち寄る公的な場所の除染や給食の食材の検査等を行ってきました。その後の進捗状況を伺います。
 また、放射線健康影響調査にかかわっては多くの意見が寄せられたところでございます。昨年の調査を踏まえ今年度拡充する事業は、自治体の取り組みに対して補助を行うということですが、検査を希望する子供の数が多いことが予想されます。その場合、どう対処するのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 学校等の除染、食材検査等の進捗状況についてでありますが、学校等の除染につきましては、昨年度、国の対応を待たずに、県内全域を対象とします県単補助制度を創設しまして、子供が長時間生活する学校及び公共施設等において、局所的に放射線量の高い564カ所の除染について、市町村と連携して実施したところでございます。
 今年度は、国により汚染状況重点調査地域に指定されました県南3市町におきまして、国の補助制度等を活用し、学校、保育園、幼稚園等で、校庭の表土入れかえなどによる除染を順次進めているところであり、同地域内の県立学校4校も含め、年度内の除染の完了を目指しているところでございます。
 次に、学校の給食食材の測定についてでありますが、自校で給食を調理提供しております11の県立学校の全てにおきまして、食材の放射性物質濃度の事前測定を行っておりますほか、30市町村において学校給食の測定を行っているところであり、これまで国の基準値を超過した事例は出ていないところでございます。
 次に、今年度に汚染状況重点調査地域内の県南3市町を対象として実施いたします放射線健康相談等支援事業費補助についてでございますが、先日、予算の御承認を頂戴したところでございますけれども、小児を対象とした内部被曝検査につきましては、昨年度実施した調査の際に希望のございました3、700人を想定してるところでございます。今後、これを上回る希望者が出てきた場合には、市町の意向等も踏まえた上で、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 子供たちを放射性物質から守るために対策を全力で進めることを要望いたします。
 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ、地震国での高い危険度を考えれば、原発ゼロの方向を目指すのは当然という声が高まっています。将来の原発ゼロは国民の意見を聴取した上で決定しました。ところが、政府は曖昧な態度をとっています。
 知事は、原発ゼロの方向性と、使用済み核燃料の再処理取りやめについてどのようにお考えでしょうかお伺いいたします。
〇達増知事 昨年3月の原発事故によりまして、原子力の安全性に対する国民の信頼性が大きく揺らぎました。そして、経済効率性の確保に比重を置いて進められてきた原子力政策とエネルギー政策全体の見直しを余儀なくされているものと認識しております。
 そういう中で、岩手県におきましては、第1に、原子力発電所の誘致はしない、第2に、県としてのエネルギー政策は、今後一層、再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組み、エネルギー自給率の向上を図っていくということを基本にしていく旨、明確にしていきたいと思います。
〇小西和子委員 原子力災害への対策についても地域防災計画に盛り込むべきと考えます。県地域防災計画を見直し、新たに原子力災害対策編を設ける方向で検討中ということですけれども、このことについて知事の御見解をお示しください。
〇達増知事 今般の原子力発電所事故は、立地県のみならず、本県を含めた近隣の地方公共団体に対しても、長期かつ広範囲にわたってさまざまな分野に大きな影響をもたらしており、本県としても、原子力災害が発生した場合に、迅速かつ円滑に対策を講じられるよう、あらかじめ対応を定めておく必要があると認識しております。
 また、先般の本会議においては、原子力施設の過酷事故災害を想定した防災計画を策定することなどを内容とする請願が採択されました。
 こうしたことを踏まえて、国の原子力災害対策指針による原子力施設からの距離に基づく対策策定の義務づけいかんにかかわらず、県地域防災計画を見直して、新たに原子力災害対策編を設ける方向で検討中であります。今後、県防災会議の場において関係機関との議論を進め、速やかに実効性のある計画を作成したいと考えております。
〇小西和子委員 これは通告していなかったんですが、県防災会議等のメンバーに原子力の専門家を加えることになると思います。何人ぐらいを想定しているのか、もしありましたらお答え願います。
〇加藤総務部長 先般、防災会議の条例の見直しを可決いただいたところでございます。それを踏まえまして、専門家の方を入れるかどうか。さまざまな専門の分野等ございますし、その中で、今現在の委員の方々とのバランス等も踏まえまして、また、県としてどういうような防災上の課題があるかということも踏まえまして検討させていただきたいと思います。有識者枠の中で何人入れるかというのは、ちょっとこれからの検討ということになりますので、御意見も踏まえまして対応させていただきたいと思います。
〇小西和子委員 汚染された大地と環境、破壊された生活、被曝への健康不安、地域経済と産業の崩壊等々、この教訓は次世代のために生かされなければなりません。隣県には原子力発電所、使用済み核燃料の再処理施設があります。県民の命と暮らしを守るために、県の地域防災会議のメンバーに原子力専門家をぜひ加え、原子力災害への対策に万全を期すべきと考えます。
 岩手県は再生可能エネルギーの宝庫です。本県のすぐれた自然環境を生かした地産地消に基づくエネルギー自給率の向上や、地球温暖化防止や防災のまちづくり等、多面的な効果をもたらす可能性があります。一戸町に大規模風力発電所、紫波町の屋根で太陽光発電と発表されたところですが、再生可能エネルギーの活用の現状と今後のビジョンについて伺います。
〇達増知事 これまで、県では、県施設への率先導入、さらには市町村、事業所等への導入支援など、再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組んできたところであり、その結果、再生可能エネルギーによる電力自給率は平成22年度末で18.1%と、国の10%を大きく上回る実績となっております。今年度は被災家屋での太陽光発電の導入や、洋野町、一関市、盛岡市などではメガソーラー、一関市では大規模風力発電、八幡平市では地熱発電の立地計画が進んでおり、また、地域の特性を生かした小水力発電や木質バイオマスの熱利用などの取り組みも進展しています。
 今後においても、県がみずから率先して風力発電等の再生可能エネルギーの導入に取り組むとともに、防災拠点施設や住宅、事業所等への導入支援や大規模発電施設への立地支援、さらには洋上風力等の海洋再生可能エネルギーの研究開発の推進など県を挙げて取り組みを進め、平成32年度における再生可能エネルギーによる電力自給率35%の目標達成に向けて導入拡大を図ってまいります。
〇小西和子委員 最後に、被災地の教育環境の整備について伺います。
 子供たちの現状や学校施設の復旧の状況、教育環境について知事はどのようにとらえ、今後どのように進めていこうとしているのか、基本的な考えをお伺いいたします。
〇達増知事 被災地では、仮設校舎や他校等で授業等が行われているほか、グラウンドに仮設住宅や仮設校舎が建設されたことにより、教育活動が制約されている学校もあります。こうした状況の中にあっても、子供たちは授業や学校行事、クラブ活動など一生懸命取り組んでいるところであります。
 学校施設の復旧については、山田町立船越小学校や県立高田高等学校において造成工事に着手するなど、学校施設の早期再建に向けた取り組みが行われております。今度とも、市町村とも十分に連携を図りつつ、被災地の教育活動の充実に努めていく考えであります。
〇小西和子委員 発災から1年7カ月が経過しました。心のケアを必要とする子供の数が最多になるのは数年経過してからと言われております。子供たちに寄り添う教職員の現状を知事はどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。今後の教職員の配置の考え方についてもあわせてお伺いいたします。
〇達増知事 被災地における子供たちの学習指導や心のケアを初めとする生活支援など、教職員は重要な役割を果たしておりまして、被災地を中心に小中学校に194名、県立学校に33名、計227名の加配教員を配置しているところであります。
 被災地の子供たちが充実した学校生活を送れるよう、今後とも教職員の手厚い配置が必要であると考えておりまして、教職員の加配措置が継続して講じられるように、国に対して強く要望しているところでございます。
〇小西和子委員 商工文教委員会で大槌町の四つの仮設校舎に入っている小学校、中学校を調査してまいりました。まだ統合しておりませんので、教職員の数というのは多いわけでございますけれども、それでも子供たち一人一人の傷ついた心をケアするために寄り添っているということで、それでもいっぱいいっぱいだということでありました。特にも養護教諭は3人いるんですけれども、3人でも足りないぐらいの状況でございましたので、そのあたり、統合に当たっての配慮をよろしくお願いいたします。
本当に御答弁ありがとうございました。以上で終わります。
〇小野共委員長 お諮りいたします。午後5時も過ぎましたので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇小野共委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時10分 散 会

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