平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 日本共産党を代表して、認定第1号2011年度岩手県立病院等事業会計決算に反対の討論を、認定第4号2011年度岩手県一般会計歳入歳出決算に賛成の討論を行います。
 県立病院に働く医師、看護師等職員の皆さんが、被災地での医療と再建、県民の命と健康を守るために献身的に取り組まれていることに心から敬意を表するものであります。
 しかしながら、民間移管が強行された花泉診療所の有床診療所の運営が破綻し、昨年4月から無床の県立花泉地域診療センターとして運営されることになりました。
 この間の審議を通じて明らかになったことは、第1に、県立花泉地域診療センターの民間移管は県と医療局の主導で進められてきたということであります。県医療局は、1月28日付の新聞で、医療法人白光が、まだ県立花泉地域診療センターの無床化計画が決まっていない中で、民間移管に公募する意思を表明したことを受け、2月16日には一関市長に民間移管を含めた利活用について説明し、無床化された直後の4月23日、第2回地域診療センター等懇談会で民間移管のための公募を実施することを表明しました。このとき、参加者からは、県から民間に移管するという案が出て、きょう、この案を初めて見せられて皆びっくりしているとの発言が出る状況でありました。
 第2に、民間移管が医療法人白光ありきで進められたことであります。民間移管の公募は7月29日から8月25日まで、無床化からわずか4カ月後のことであり、公募期間は27日間だけであり、医療法人白光以外に公募に応じる医療機関が出てこれないような進め方でありました。公募前の6月には、医療法人白光の紹介で医師を臨時医務嘱託として花泉診療所に採用しています。この医師は、民間移管後、診療所長候補の医師でありました。勤務期間は公募期間と重なる7月6日から8月21日となっています。医療法人白光の医師を採用した時期の6月ごろ、達増知事が、医療法人白光理事で会長の橋本堯夫氏に電話していたことが当事者から証言されました。その内容は、今度の件はよろしくお願いしますというもので、橋本堯夫氏は、はい、わかりました。頑張りますと答えたと証言しています。この知事の電話は、医療法人白光の女性職員が受けており、その信憑性は否定しがたいものであります。公募前に知事が医療法人白光に民間移管をお願いしていたとするなら、特定医療法人とのまさに癒着であり、許されないことであります。この疑惑に知事は責任を持って答えるべきであります。
 第3に、医療法人白光の事業計画がずさんで根拠がなかったことであります。事業計画の最大の問題は常勤医師の確保にありました。しかし、8月25日に提出された事業計画に明記された常勤医師2名は、翌年3月25日の開業直前の事業計画の見直しでは全く別人の2名となり、4月開業のときには、診療ができない病気の医師1名という実態でありました。医療法人白光の事業計画は、医師確保の見通しが明るいとして認められたものであります。審査もずさんでしたが、実態のないものでした。本来、内定を取り消すべきものでした。常勤医師2名は最後まで確保されず、赤字体質となり、破綻したのであります。
 第4に、医療法人の世評や実績がまともに審査されなかったことであります。10年間有床診療所を運営することを条件にしながら、民間移管の対象となる医療法人は有床診療所の実績がなく、医療関係者の世評も厳しいものがありました。これらの問題点は県議会で繰り返し指摘されてきたものでありますが、県と医療局は聞く耳を持たず、医療法人白光ありきで暴走してきたのであります。知事と歴代医療局長の責任は極めて重大であります。
 また、被災した県立高田病院、大槌病院、山田病院の再建整備を着実に進めるべきであります。その際、用地の確保に当たっては、高齢者が通院し、入院する地域病院であることを念頭に、単なる高台ではなく、交通の便とまちづくりの中心的な施設として確保するように、県医療局が、市町任せでなく取り組むべきであります。また、病院の規模、機能についても、病院関係者と地域の要望を踏まえて決められるよう強く求めるものであります。
 以上が県立病院等事業会計決算に反対する理由であります。
 認定第4号は、2011年度岩手県一般会計歳入歳出決算であります。歳出決算額は1兆2、539億円余となり、繰越額は2、778億円余、そのうち震災対応分の決算額が5、220億円余、繰越額は2、392億円余で、震災関連の総額は7、989億円余となるものであります。通常の事業の中には簗川ダム建設事業など見直しすべき事業がありますが、昨年度の決算は、戦後最大の大災害となった東日本大震災津波の救援、復旧、復興に係る震災対応の決算が主な中身であります。
 震災関連の主なものは、災害廃棄物処理事業278億円、仮設住宅建設費802億円や避難住民に対する食事等の提供など災害救助費1、161億円、中小企業等に対するグループ補助金437億円、漁船確保や養殖施設整備等への補助など水産業用施設等災害復旧費が85億9、000万円余、繰越額700億円余などであります。仮設住宅の建設で不手際などがあったものの、全体としては被災者の命と暮らしを守り、大震災津波からの復興にとって必要なものでありました。
 復興のあり方としては、被災者の生活再建と漁業、事業者のなりわいの再生を最優先に進めるべきであります。復興事業の優先順位をしっかり定め、大型開発優先の復興とならないようにすべきであります。
 2011年度の岩手県一般会計決算は、戦後最大の大災害となった東日本大震災津波からの復興にかかわるものであります。県政最大の課題である大震災の復興に対する態度が問われるものであり、決して党利党略で対応するべきではありません。12回にわたる復興にかかわる7、900億円余に及ぶ補正予算には、どの党、会派も賛成してきたものではないでしょうか。こうした立場から、日本共産党は、2011年度岩手県一般会計歳入歳出決算に賛成するものであります。
 以上申し上げ、私の討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、千葉伝君。
   〔47番千葉伝君登壇〕

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