平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇28番(関根敏伸君) 希望・みらいフォーラムの関根敏伸でございます。
 認定第1号平成23年度岩手県立病院等事業会計決算及び認定第4号平成23年度岩手県一般会計歳入歳出決算について、委員長報告に対し、反対の立場から討論を行います。
 まず、県立病院等事業会計決算についてでありますが、今般、病院会計決算が特別委員会において採決をもって不認定とされた理由は、花泉地域診療センターの民間移管の経緯に関する検証結果が不十分であったのがその大きな理由と認識しております。
 この花泉地域診療センター事案については、民間移管が行われて以降、たびたび議会の場において議論が交わされてきたところであり、過去にも集中審査が行われた経緯もございます。加えて、今回の決算特別委員会において、検証報告書の内容を軸にして非常に多くの時間を費やして質疑を交わしてまいりましたのは、議員各位、御承知のとおりであります。
 深刻な医師不足の状況における今後の県立病院のあり方を含めた地域医療については、県政の最重要課題の一つであることは言うまでもありません。しかし、これまでの質疑を振り返れば、残念なことではありますが、過去からの同じ質疑と答弁の繰り返しに終始した事実は、各議員共通の認識ではないでしょうか。
 確かに、民間手法を活用した医療と介護の連携による花泉地域診療センターの事業については破綻したと認めざるを得ません。しかしながら、大事なことは、検証報告書に対する議論を深める中から、この失敗の貴重な経験をしっかりと次のステップにつなげていくことであり、最終報告書に至るまでの議論と、そこに示された今後における改善策等を議会と執行部が共通認識とし、不足があるとすれば、今後もさまざまな場面における議論を通じて、岩手における地域医療の新たな方向性をともに導き出していくことであります。
 また、この事業そのものは失敗に終わったわけでありますが、岩手の地域医療を守るための手法の一つとして民間活用を図ろうとした政策の方向性は決して誤ってはいないということは指摘をしておかなければなりません。
 議員各位の記憶にも残っていることと思いますが、森のトレー事案が生じた際においても、議会においては決算不認定という議決は行っておりません。決算認定を行うことは、地方自治法において議会に与えられた権限の一つではありますが、県政における一つの事業の正否をもって、決算の認定、不認定を決しようとする行為は、法律により議会に付与されている権限をいたずらに濫用することにはならないでしょうか。これまでの決算認定に際しては、いずれも附帯意見の中で指摘を行うことによって議会の意思を明確に示してきており、このような問題をもって不認定としたことはないと記憶しております。これまでの決算認定に際しての考え方と本年度はどこが変わったのでありましょうか。
 また、平成23年度岩手県立病院等事業会計決算にあっては、震災津波被害等による多額の特別損失を計上したことにより、最終損益は4億7、000万円余の赤字となったものの、経常損益においては、7対1看護体制等の上位施設基準取得などにより2年連続の黒字を果たしており、医師や看護師不足という厳しい環境下にもかかわらず、継続的な経営改善努力と成果に対しては一定の評価をすべきであると考えます。
 何にも増しまして考えなければならないことは、震災後のまさに経験したことのない状況において、県立の山田、高田、大槌の各病院が被災を受けた中、被災地の医療提供に対しての極限状況下での医療局関係者のさまざまな取り組みと献身的な努力に対してしっかりと目を向け、医療局事業への総合的な評価を下すことこそが、今回の病院決算の認定、不認定の判断基準であるべきと考えます。
 今後は、まさに震災により大きな被害を受けた被災地域等の県立病院施設の復興が喫緊の課題となっております。改めて、今、大事なことは、地域医療を守るための今後のさまざまな可能性への芽を摘むことなく、今の県立病院等が置かれた本当に厳しい環境下での平成23年度事業結果を、本質的な視点で議論し判断することこそが、良識ある議会のあるべき姿と考えるものであります。
 続いて、平成23年度一般会計決算についてでありますが、決算特別委員会における議論を通じても、私には、一般会計決算を不認定とする理由がそもそもよく理解できません。言わずもがな、平成23年度岩手県一般会計決算は、東日本大震災津波直後からの災害救助、復旧そして復興に向け、まさに12回にもわたる補正予算を計上し、1兆円を超える過去に例のない規模となったものであります。
 未曽有の震災の中から立ち上がり、被災地の安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生に向けた復興実施計画を実行するために、国との連携のもとに財源を確保し、かつてない手法や制度の創設を模索しながら、議会と執行部が一体となって予算をつくり上げ、膨大な事業の確実で素早い実行のため真剣な議論をしながら進めてきたのが、平成23年度事業であると理解しております。
 これに加えれば、その財源の中には、海外や全国から寄せられた善意の寄附金などが含まれていることを考えれば、県民を初め国内外の人たちが一丸となって推進してきた復興事業に係る決算と言うべきものでもあります。
 こうした状況にあって、これらの決算を不認定とする判断は、震災からの復旧、復興に向けた今までの数々の取り組みまでも不認定とし、議会における真摯な議論と、復興特別委員会などにおける活動成果までを否定するという自己矛盾にもつながりかねません。
 今回、議会が決算不認定という判断を下すとすれば、一般県民を初め多くの善意を寄せられた方々からは理解を得がたい判断と言わざるを得ず、何にも増して、復興と再生への羅針盤とも言える復興予算、決算を否決されたことに対して、被災地の方々が抱く感情というものは複雑なものにならざるを得ないのではないでしょうか。
 一般会計決算には、県立病院会計への繰出金などが含まれていることがその理由だとすれば、先ほど申し上げましたとおり、一つの事業の失敗を理由に決算全体を否定することは、本質的な決算認定作業に向かう議会のあるべき姿とは到底言うことはできず、まさに木を見て森を見ずの議論になってしまいかねません。
 震災復興からの道のりはまだまだ長く、膨大な予算の確保と多方面にわたる事業の着実で効率的な実行のため、我々議会が果たしていかなければならない役割はますます大きくなることが確実です。
 東日本大震災津波からの復興元年における県議会において、県民が期待する議論は何であるかということに真正面から向き合うことこそが、我々に課せられた責務ではないかということを申し上げまして、反対の討論といたします。
 議員各位の御賛同をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、大宮惇幸君。
   〔33番大宮惇幸君登壇〕

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