平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇14番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘です。
 お疲れのことと存じますが、一般質問最後でございます。幾つか重複した事項もありますけれども、よろしくお願いいたします。
 初めに、解散総選挙の意義と期待される政治の実現についてお伺いします。
 東日本大震災津波災害から、間もなく1年と9カ月が経過します。被災現場の実態については、復興への政策的な論議や机上の計画策定経過を踏まえている限りにおいては、一定の進展をしているかのように見えますが、被災者の方々にとっても、我々自身や復興ウオッチャー等の県民の評価から見ても、現実には復興の姿をいまだに実感できずにいるのが正直な思いであります。
 次第に時間の経過によって被災者の心が安らぐことを願う一方で、復興への道は緒についたばかりであるにもかかわらず、同じ時間軸では風化が進み、人々の災害への記憶が薄まっていくことが懸念されます。
 このような憂いを持ちながら、日本という国の力、国民の総力を信じて、一刻も早い復興の取り組みを政治の力強いリードによって進めていただきたいと願っています。しかしながら、今般行われております衆議院選挙では、国民やメディアの関心は災害復興強化の言葉は少なく、似たり寄ったりの政策論から政治勢力の数合わせの行方に残念ながら向いています。真に国民の暮らしを支え、国民とともに歩み、未曾有の大災害という危機を国民の総力を結集して乗り越えていくために、憲法の理念を踏まえ、平和と安全・安心を基本として国民生活と雇用を守る政策、反消費税増税、反TPP、脱原発など、国民の意思を明確に反映し、国民から信頼される政治が実現されることを切に望むものであります。
 そこで知事に伺いますが、これまでの日本の政治動向をどのように評価されているのでしょうか。また、今回の総選挙の意義と期待される政治の実現についてどのような所感をお持ちか、あわせてお伺いします。
 次に、県民の防災対策についてお伺いします。
 県は去る10月19日の防災会議幹事会議における地域防災計画の見直し検討の中で、震災の対応検証結果を踏まえた追加修正とあわせ、原子力災害対策編を年度内に追加作成することとしました。この件に関し、ことし3月に予算特別委員会総括質疑において、我が社民党会派の久保議員が対策を盛り込む必要性を指摘しましたが、この間、内部ではどのような検討によって原子力災害対策編を追加すると判断したのか、その経緯を御説明願います。また、原子力災害対策編以外の地域防災計画総体についてどのような点が追加修正されるのか、あわせてお伺いします。
 次に、今後の原子力災害対策編策定のタイムスケジュールと、手続及び対策編の基本的骨子とその考え方についてお伺いします。
 また、県民の安全確保の観点から、安定ヨウ素剤の確保やその取り扱い方法の周知などは原発事故発災時の想定上、万が一の備えとして検討すべき重要な課題であり、今回策定する原子力災害対策編に盛り込むべきと思いますが、県の考えをお伺いします。
 そして、基本骨子の中でも特に重要な観点となるのが、確かな情報の収集と伝達の確立です。原子力災害では、一刻も早く放射性物質の拡散情報とその対応が対象地域住民に伝達されることが重要となりますが、そのために災害発生情報を迅速かつ的確に把握できるよう、電力会社等と安全確保のための協定を締結する必要があります。
 昨日の質問と一部重複しますが、この協定は、青森、宮城の隣県のみならず福島の施設も想定範囲とし、東北、東京の両電力会社及び原発関連企業を含めて協議、締結すべきと考えますが、この点について検討されているのかどうか、また、検討されている場合はその内容についてお伺いをいたします。
 さらに、放射能被害は広範囲に及ぶという教訓を踏まえると、県境を越えて複数県が連携した広域的対策が速やかに講じられることが重要になります。その意味で、既に原子力災害対策に一定の対応が図られている青森、宮城、福島各県のほか、本県同様に原発関係施設を持たない隣県も含めた広域の連携体制を構築する必要があると思いますが、知事の考えをお伺いします。
 また、この体制構築のための協議については、原発関係施設を有する県が主導することは、その立場から困難であると考えられます。そこで、原発関係施設を有しない本県の知事こそが、東北知事会などの場を活用して積極的に各県に働きかけるべきと思いますが、あわせて知事の御所見をお伺いします。
 次に、ホールボディカウンター測定機器の導入については、先ほどの質問を踏まえて意見だけ申し上げます。
 先ほどの答弁で、医療レベルから正確な情報を得るために尿検査ということを答弁として申し上げておりますが、一方では、その検査を受ける対象になる子供たちの立場、いわゆる負担の軽減などについて配慮が必要だという声があります。そういう意味においては、この尿検査のみならず、より精密な検査を行うという意味で、ホールボディカウンター測定機器の導入はぜひ必要だと私は考えております。導入については、引き続き、当局において十分に検討されるように申し上げておきたいと思います。
 次に、本県における活断層の実態と今後の対応についてですが、地域防災計画や岩手県広域防災拠点整備構想の策定及び検討に当たって、その基本となるのはいかなる災害に対して備えるのかということであります。
 本県では、阪神・淡路大震災を教訓に、平成7年度から平成9年度にかけて、県内主要活断層のうち、北上低地西縁断層帯を構成する花巻断層帯及び出店断層帯並びに雫石盆地西縁断層帯の調査が行われました。その結果について専門的な評価が示されていますが、この時点での内容について、端的にわかりやすく御説明を願います。
 この調査報告のまとめに示されている花巻断層帯については、最新活動が4、000年前とされているものの、地表段階で複数に枝分かれしている断層帯として現段階で見逃しがある可能性を考えると、4、000年前以降にも断層活動があった可能性を否定できないとしています。したがって、このたびの千年に一度と言われる東日本大震災津波の影響などを踏まえ、新たな知見に基づく追加調査を行うべきではないでしょうか。花巻市からも県に対して要望が出されており、本県の防災計画上、想定すべき地震災害の震源地の最新の知見を掌握する意味で、県の早急な対応を求めます。また、その際に、県内の他の活断層調査についても改めて同時に調査を行うべきと思いますが、あわせて県の考えをお伺いします。
 次に、岩手県広域防災拠点整備構想についてですが、構想の素案の検討における広域防災拠点の配置地域のあり方と想定される大規模災害の関係で特に私が注目するのは、内陸部の想定災害、すなわち、岩手山噴火及び北上低地西縁断層帯の内陸直下型地震の影響と広域支援拠点の位置と考え方をどう整備するかという点です。
 素案では、広域支援拠点Aタイプは1カ所としていますが、その機能はネットワークによる施設分散連携型機能を提案しています。整備構想委員会の広域支援拠点としてまとめた備えるべき機能、人、物、情報は拠点機能の3原則であり、本来一体的な機能として担保されるべきものだと思います。1カ所と言いながら機能分散したイメージでは、目指す考え方と一致しないのではないかと思いますが、県の考えについてお伺いします。
 そこで、私はむしろ、県南、県北に各2カ所配置するという後方支援拠点との連動性を考慮した場合に、県央部内の広域支援拠点も、2カ所にその機能を極力集約して代替機能を補完し合う体制とし、物資支援等の機能ネットワークをその周辺に集約するという形が理想的であるという意見を申し上げます。そして、具体的には、遠野市も含めた県南後方支援拠点と連携する広域支援拠点として、既に今次災害を通じて高い評価のもとに広域支援拠点機能の一部として考えられている花巻空港と、現在花巻市に譲渡し活用をいただいている旧ターミナルビル施設等の活用が効果的であると思います。また、素案では、平素の活用についても国や他県の例を参考に検討されているようですが、これを踏まえると、防災訓練、研修活動や市民の防災教育など、教育、研修機能などが期待されます。その場所の確保も十分であり、さらに私は、その一角に、阪神・淡路大震災記念人と防災未来センターを参考にして、東日本大震災津波の本県全体の被害記録とその全容を紹介する展示、学習の場として、災害記念館機能を整備いただくことを提案します。検討は整備構想委員会で行うとされておりますが、県として御所見があればお伺いいたします。
 次に、民間事業者との災害応援協定の強化の考え方についてですが、検討案では、人、物、情報の想定において、その役割、物資の種類、提供主体等がイメージされています。その中で、民間との関係では、災害応援協定に基づきその支援が決められていると思いますが、まず、人の移動に係る手段として、自衛隊以外の民間交通機関の活用の視点がこの案にはありません。被災者の避難手段の確保の点についてどう検討されているのかどうか、お伺いいたします。
 また、こうした民間との災害時における協力関係に関し、民間事業者の必要資機材確保や管理等に向けた購入、維持経費等の補助制度や税制優遇策等の確立が必要ではないかと思いますが、現時点でそういったシステムはあるのか、あるいは検討されているのか、その状況についてお伺いします。
 次に、放射性物質に汚染された廃棄物の処理等についてお伺いします。
 環境基本計画の改定により、放射性物質による環境汚染対策が追加記載されましたが、その考え方と主な内容についてお伺いします。
 また、そもそも大震災津波検証事項として、これまでの放射能汚染対策については検証、整理されていない事項であり、今回の対応について今後検証していくべきと思いますが、あわせて県の考えをお伺いします。
 次に、放射性物質に汚染された廃棄物の処理等についてですが、県内の放射性物質に汚染された廃棄物の適正処理の具体的対策の考え方について、このたび、県原発放射線影響対策本部でまとめたガイドラインの内容とあわせてお伺いいたします。
 また、生活圏における放射性物質の除染対策について、これまでの取り組みにおける成果と課題をどう捉えているのか、お伺いします。
 さらに、放射性物質除去・低減技術実証事業はどのような取り組みとなっているのか、具体的な内容についてお伺いをいたします。
 次に、測定や除染作業における被曝防止についてですが、原発事故発災以来、県内で放射性物質の測定や除染作業を行う機会がふえていると思われますが、県内の自治体職員や県民がこのような作業に従事する際の被曝防止対策や留意事項等について、県としてどう整理し、どのように市町村や県民に周知してきたのかお伺いします。
 また、学校給食食材に係る放射能測定は、県あるいは市町村独自の体制により、多くは簡易な施設と臨時職員等の配置によって行われているものと思います。そこには、測定対象物である食材がさまざまな形で持ち込まれると思いますが、測定施設や担当職員はどのような被曝・健康管理対策を行っているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、岩手県の職員定数のあり方についてお伺いします。
 東日本大震災からの復旧、復興に取り組む中で、本県を初め、被災自治体における職員のマンパワー不足の状況下で、11市町村の応援要望数371人に対して派遣数は281人にとどまり、90人がなお不足しているという実態が10月1日時点で明らかにされています。また、県では、11月20日に、行政OB任期付職員の採用目標70人に対し応募は45人にとどまり、低調な実態にあることを公表しました。県は、復旧、復興事業を進めるために、来年度までに任期付職員253人の採用を目標とし、そのうち一般任期付職員183人、そして今回のOB任期付職員70人という計画で人材不足に対応しようとしています。
   〔副議長退席、議長着席〕
 そこで、復興人材の確保策について、市町村不足分90人も含めどのように体制を整えようとする考えなのか、具体的な対応策をお示し願います。
 また、あわせて、今回の条例改正案では、平成25年4月1日施行で知事部局の定数を270人増員する提案であり、総定数が4、534人へと増加します。県の説明では、復旧、復興関連の業務量増に対応するためとしていますが、これまでの平時における本来の県職員の不足との関係から見てどういう位置づけとなるものなのか、お伺いいたします。
 次に、岩手県職員の定数管理について伺いますが、この8年間の知事部局の職員定数の推移において、平成16年度からの行財政構造改革プログラムによって600人減、続く平成20年度からの集中改革プログラムで約520人減と、実に約1、120人、知事部局の職員定数が激減しています。また、4広域振興局化が実施された平成22年度は振興局の定数が全体で96人減となり、特に先行した県南局は76人の減、盛岡局が13人減、沿岸局が8人減と、大幅に定数が削減されています。この職員定数に関しては、条例定数と実現員数、そして年度ごとに変動している部局ごと実定数と異なる三つの定数があり、適正数は一体何人なのかわかりにくい状況にあります。
 そこで改めて問いたいのは、知事部局における一般職員の適正な定数とその根拠は何か。また、それは業務量や現場の意向を踏まえた必要な人員の積み上げによって管理されているものなのかお伺いします。
 また、退職数に対する採用数が抑制されてきた結果、補充されない職員分の業務について、職場ではシェアして対応していると思われます。当局が示した職員充足率関係の資料では、部局ごとにその時点の実員数と減ったままの部局の定数をもとにして、どの職場でも常に平均99%の充足率が保持されているという数字のマジックになっています。一方で、退職者数に対する翌年度採用者数の充足率では、平成21年度末退職137人に対し平成22年度採用が48人、わずか35%にすぎず、平成23年度でも44%となっています。
 このように、現実には大幅に職員が減っているのに、表面上の充足率は99%になっており、行き過ぎた定数抑制によって、日常的に職員が不足していたところに大災害が発生してマンパワー不足に拍車をかけ、問題を深刻にしていたのです。改めて、こうした定数管理のあり方について今後どのように対応されていくおつもりか、お伺いをいたします。
 さらに、公務職場におけるワーキングプアの問題は、全国の自治体でも、非正規職員への依存度が拡大をしている点など、深刻化しつつあると認識しております。
 そこで、本県における県及び市町村の実態についていかなる状況となっているのか、正規、非正規別の職員数等の実態について掌握していればお示し願います。
 加えて、こうした問題は、雇用全体のあり方が問われている情勢のもとで、行政が率先して適切な雇用形態を確保すべきとの観点から、その対策を講じるべきであると思いますが、県の考えをお伺いいたします。
 次に、JR線の災害復旧対策等についてお伺いします。
 まずは知事に、鉄道路線の復旧対策に係る基本的な姿勢についてお伺いします。
 本県の交通政策として、また、被災地の復興に向けた鉄道路線の確保対策として、その政策的意味をどう捉えて、県としてどのような方向の取り組みを進めていくお考えでしょうか。
 次に、災害復旧に向けて、本県では岩泉線の廃止宣告に対する対応と、山田線、大船渡線の早期復旧対策という、いずれも大変重要な課題に直面しています。
 この間の協議を踏まえると、JR東日本の言い分は、岩泉線廃止では安全確保と採算性を問題にして、本県の安全対策費用検証に基づく対策費縮小案を一蹴し、さらに決定的であったのは、いかに自治体や国が支援し復旧をしても、採算性の問題という伝家の宝刀を抜いて、廃止の考えは変わらないという強い姿勢をあらわしたことです。この姿勢こそが、私たちにとっては最も危惧しなければならないJRの本音の論理であり、この論理が、山田線、大船渡線の鉄路復興に対する問題に必ず波及してきます。
 山田線及び大船渡線に対するこれまでの協議経過を見ても、山間部の土砂災害と沿岸部の津波災害の違いこそあれ、安全確保が前提条件にあり、まちづくり計画との整合性であるとか財政支援とか、被災地の足元を見ての理屈としか思えないのであります。
 そこで改めて伺いますが、こうしたこの間の岩泉線への対応や山田線、大船渡線復興へ向けた協議経過におけるJR東日本の姿勢に対しては、県はどのような認識を持たれたのでしょうか。また、今後の対策について具体的にどう進めようとしているのか。11月22日、実に半年ぶりに行われた大船渡線の復興調整会議の協議内容とあわせてお伺いします。
 一方、こうした被災地における鉄路復興への道筋が見出せない中で、このたびJR東日本が、来年の冬に釜石線を中心にSL運行を行うという計画を示しました。
 報道によると、20億円かけてSLや地上設備を整備するとのことです。この運行によって、観光面から復興支援と地域活性化に貢献するという、同社関係者のコメントも紹介されていました。このことは、被災の影響の少ない内陸部と釜石線沿線の関係者、あるいは鉄道マニアやファンにとって朗報であると思います。しかし、私の思いとしては、大事な問題をどうするのかという点で素直に喜べず、複雑です。折しも、SL復活経費の20億円と言えば、岩泉線安全対策見直し経費と同額に近いものであることや、山田線、大船渡線復旧経費問題が取り沙汰されているときに、果たして被災地はどういう気持ちであるかということを考えます。
 そこで、この際、JRが真に復興支援を考えているのであれば、釜石線からその先の鉄路復旧を、SL運行に合わせて同時復興させることについて積極的に協議を行い、復旧を具体的に前に進めるよう県として動かしていくべきと思いますが、県の考えはいかがでしょうか。
 最後になりますが、救急搬送ルート整備事業についてお伺いします。
 救急搬送における支障箇所とされた県関係171項目について、これまでの取り組みとして維持修繕系事業の77項目、66カ所は、2010年度末までにすべて改善する予定とされてきましたが、その実績についてお示し願います。
 また、改良系事業では、94項目、63カ所のうち、10工区で事業実施との説明でありましたが、成果に関する説明書では、2010年に1カ所の現状値、そして2014年までの目標値9カ所に対して2011年度実績値が1カ所であり、達成度評価は未確定となっています。説明欄では、国道106号簗川道路など8カ所の整備を進めましたとあります。実績値と説明欄の関係についてもわかるように御説明願います。
 そして、今回の災害との関係で、緊急搬送ルートの方針についてどう考えるのかという点と、新たな政策としてドクターヘリが導入されランデブーポイントとの関係など、救急搬送ルートの考え方を拡充していくのか、あわせてお伺いいたします。
 また、救急搬送ルートとして、花巻、北上両市の関係で、二次保健医療圏における基幹病院とのアクセスにかかわる課題として、県立中部病院につなぐ市道整備に対する取り組みについて、2010年に、特に北上市側の市道飯豊北線の整備への考え方について伺いました。その際に県は、2010年度から社会資本整備総合交付金事業により整備に着手したとの答弁をいただき、この路線は県としても重要な路線であると認識しており、両市と連携していくと力強い答弁を賜りました。しかしながら、それから2年が経過し、花巻市側の市道山の神藤沢町線は、花巻市の積極的な取り組みにより順調に整備が進められ、去る10月30日に北上市境まで全線開通となる一方で、北上市側については、遅々としてその整備が進捗していないという実態であります。現状はどのようになっているのか、お伺いいたします。
 この問題は、両市間の都市計画道路整備の調整が基本であると思いますが、私は前回も指摘しましたが、県立病院統合という県の政策決定によって県立中部病院が両市の中間地点に整備をされました。花巻竏猪k上間の車線拡幅が中途の状態にある混雑する国道4号線を介さずに、直線的なアクセス道路の整備が地域のニーズとして求められています。新たな道路整備という財政負担を伴う点を考えたとき、県として救急搬送に伴うルートの確保の観点から、北上市側のアクセス市道整備促進を図るための具体の支援策と役割を果たすべきだと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
 以上で、登壇しての質問を終わります。御清聴いただき、まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 木村幸弘議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの日本の政治動向の評価と今回の総選挙の意義及び期待される政治についてでありますが、3年前の総選挙において、国民の生活が第一というマニフェストを支持する民意によって政権交代が実現し、国民の期待は高まりましたが、そのマニフェストに反する消費税増税法案が国会に提出されて可決されたことなどにより、政治が流動化する中、衆議院が解散されたものと受けとめております。
 今回の総選挙は、3年前の政権交代そして東日本大震災津波及びそれに伴う原発事故を経験した国民の民意を形にしていく新たな起点としての意義があると考えており、まさにそのような政治の実現こそが国民から期待されているものと考えております。
 次に、県境を越えた広域的な原子力災害対策についてでありますが、災害発生時における広域的な連携については、現在、新潟県を含む北海道、東北8道県と相互応援協定を締結しておりまして、原子力災害にも適用されます。原子力災害発生時においては、県の区域を越えた避難者の発生など、自然災害発生時にも増して広域的な連携がより重要になると想定され、災害情報の共有を初めとして、こうした広域的な連携体制を充実し、実効性のあるものにしていく必要性があると認識しております。
 各道県においては、本県と同様、地域防災計画の見直しを進めているところであります。本県といたしましては、原子力災害発生時における広域的な避難者の受け入れなど、広域的な連携が必要となる対策については前向きに対応していく考えでありますが、その前提として、検討中である原子力発電所立地県を初めとする各道県が自由闊達に意見交換を図り、一定の共通認識を形成していく必要があると考えております。まずは各道県の意向を伺いながら、そうした場の立ち上げを試みたいと思います。
 次に、被災地の鉄道路線の対策についてでありますが、広大な面積を有する本県において、鉄道路線は通学、通院などの地域における重要な足であるとともに、地域間の交流や観光などの地域振興に欠かすことができない交通手段であり、三陸沿岸の復興を下支えする重要な社会的基盤であると認識しております。
 このため、県としては、これまで、土砂崩壊や東日本大震災津波により運休となっているJR岩泉線、山田線及び大船渡線の早期復旧に向け、JR東日本や関係機関と協議を行うとともに、宮城県及び福島県や沿線市町村とともに国への要望を実施してきたところであります。
 今後も、これらの路線の早期復旧がなされるよう、JR東日本や関係機関との協議を加速させるとともに、沿線市町村等と連携しながら、国及びJR東日本に対し、引き続き強く要望を実施してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 大変多岐にわたる質問を頂戴いたしました。大きく3点でございます。
 まず、大きな1点目は、防災対策についてでございます。これにつきましても三つに大きくパートが分かれるかと思いますが、第1は、原子力災害対策でございます。
 その1点目でございますが、地域防災計画への原子力災害対策編の追加の経緯についてでございます。
 東日本大震災津波による原子力発電所事故は、立地県のみならず、本県を含めた近隣の地方公共団体に対しても長期かつ広範囲にわたってあらゆる分野に大きな影響をもたらしており、事故の及ぼす影響の甚大性が広く認識されたところでございます。このため、本県といたしましても、原子力発電所事故等の原子力災害が発生した場合に、迅速かつ円滑に対策を講じられるようあらかじめ対応を定めておく必要があるとの認識を有していたところでございます。しかしながら、国の原子力災害対策の方向性や地域防災計画の策定に係る基本的な考え方が定まらず、これらの動向を踏まえて策定を判断することとしていたものでございます。
 本年9月中旬までに国におきまして新しい原子力規制の体制が構築され、原子力災害対策の見直しを含め防災基本計画が修正されたことに加えまして、これまでの県議会での審議経過も踏まえまして、最終的に県として原子力災害対策編を策定することとしたものでございます。
 原子力災害の2点目ということになります。
 地域防災計画の原子力災害対策編以外の修正内容についてでございますが、防災基本計画の修正に伴う見直しが中心となりますが、その主な内容としては、被災市町村の区域を越えた避難への対応や複合災害発生時の要員等の調整に係る対応、大規模災害発生時におけるほかの地方公共団体への応援、復興計画への多様な主体の意見の反映などでございまして、現在、見直し作業を進めているところでございます。
 次に、原子力災害対策編策定の進め方についてでございますが、防災関係機関の実務者で構成いたします県防災会議幹事会議を来年2月にかけて開催し議論をいただくほか、これと並行して、1月にはパブリックコメントを実施し、県民の皆様の意見を伺いながら検討を重ね、年度内に開催する県の防災会議で決定することを考えております。
 現在、議論のたたき台となる素案を作成している段階でございますが、隣接県の原子力事業所において一定規模の災害が発生した場合を想定し、情報の収集、連絡、住民等への情報伝達、避難、環境等のモニタリングなど、防災基本計画に定める対策のうち、原子力事業所が立地せず、隣接県に立地する原子力事業所との間にも一定の距離があるといった本県の状況を踏まえ、あらかじめ講じておくべき対策を中心に盛り込みたいと考えております。 
 次に、安定ヨウ素剤の確保等についてでございます。
 国の原子力災害対策指針によれば、安定ヨウ素剤の服用は、緊急事態応急対策として実施する防護措置の一つとされており、その投与については、原子力規制委員会が一義的な判断を行い指示することとされております。
 このように、原子力災害対策重点区域であっても、安定ヨウ素剤の服用は専門的見地からの慎重な判断に基づくべきものとされておりまして、原子力事業所からさらに距離を有する本県におきまして、独自に安定ヨウ素剤を確保し、服用の可否を判断することは難しい面があるものと考えております。したがいまして、まずは住民に対する確実な情報伝達や屋内退避を含めた迅速な避難の徹底を図っていくことが重要と認識しております。
 安定ヨウ素剤の服用等につきましては、現在、原子力規制委員会におきまして詳細を検討しているところでございまして、その検討結果も踏まえ、最終的に本県としての原子力災害対策編における位置づけを考えていきたいと考えております。
 次に、安全協定の締結についてでございます。
 県では、現在策定中であります地域防災計画の原子力災害対策編を実効性のあるものにするため、原子力事業者との間で安全協定の締結が必要と考え、隣接する県に原子力発電所を有する東北電力との間で協定締結に向けた協議を実施しております。まずはこの協議を優先することとし、協定締結の見通しが立った段階で、他の原子力事業者との間の協定の必要性についても検討していきたいと考えております。その際、原子力施設の現状や取り巻く環境、本県に影響を及ぼす可能性等を十分考慮するものでございますが、福島県の施設につきましては、今後、稼動があり得るのかといった動向も踏まえまして、慎重に対処したいと考えております。
 また、協定には、原子力災害が発生した際に実効ある防災対策を講じられるよう、他県の例も参考としながら、情報連絡のあり方等、必要な事項を盛り込んでいきたいと考えております。
 防災対策の二つ目のパートということになりますが、活断層についてでございます。
 まず、県内の活断層調査結果についてでございます。
 平成7年度から平成9年度にかけて実施した活断層調査の結果、北上低地西縁断層帯と雫石盆地西縁断層帯が活断層であることは間違いないとされております。北上低地西縁断層帯の北部に当たる花巻断層帯は、長さ約37キロメートルで断層の最新活動は約4、000年前、活動間隔は約3、800年から2万3、000年の幅におさまり、予想される地震のマグニチュードは7.4程度と考えられております。また、南部に当たる出店断層帯については、長さ約24キロメートル、予想される地震のマグニチュードは7.3程度、雫石盆地西縁断層帯については、長さ約20キロメートル、予想される地震のマグニチュードは7.0程度と考えられているものの、この二つの断層帯につきましては、断層の最新活動時期や活動間隔を特定できるデータが得られなかったとされております。
 次に、新たな知見に基づく活断層の追加調査についてでございます。
 現在、活断層の調査につきましては、全国的に統一した観点に基づく評価を行うため、国の地震調査研究推進本部において実施、評価する体制がとられております。本年2月に公表されました主要活断層の長期評価によりますと、北上低地西縁断層帯はマグニチュード7.8程度の地震を発生させる可能性があるとされておりますが、今後100年以内での発生確率はほぼ0%の評価となっているところでございます。
 また、国では、これまでの評価の信頼度を高める必要がある活断層の追加、補完調査を順次実施するとともに、平成22年度からは、全国のマグニチュード6.8以上の地震を発生させる可能性がある活断層等につきまして、地域内に分布している活断層で発生する地震を総合的に評価することなど、新たな評価手法に基づく評価を進めているところでございます。
 現時点におきましては、県内における活断層の再調査や、折爪断層など詳細調査が未実施となっている活断層の調査予定は示されておりません。このため、県では、これまで新たな活断層に対する調査の推進や活断層の実態を一層解明するよう国へ要望してきておりまして、今後とも機会を捉えて早期実施を働きかけてまいります。
 防災対策の第3点目、三つ目のパートでございますが、広域防災拠点に関する御質問でございます。
 まず、広域防災拠点の配置に係る提案についてでございます。
 広域防災拠点の配置形態につきましては、全ての機能を1カ所に集中させる集中配置型と、個々の機能を一定のエリア内の複数箇所に分散し、連携させる分散連携型の二つの形態を中心に、整備構想委員会で検討したところでございます。検討に際しては、この二つの形態のメリット、デメリットの比較も行いましたが、施設間の連携に工夫が必要なものの、既存施設の活用により早期に必要な防災体制の確立が可能であり、また、必要最小限のコストでの実現性も考慮し、構想素案におきましては分散連携型を選択することとしたものでございます。
 なお、集中配置型につきましては、各機能を1カ所に集中して配置するメリットが指摘された一方で、施設が被災した場合には、一度に全ての機能が失われる可能性でございますとか、広大な敷地と多額の整備費用が必要となることなどが指摘されましたことから、構想素案におきましては、国による支援制度の創設の動きなども注視するものとし、長期的な課題と位置づけたところでございます。
 また、花巻空港等の活用についてでございますが、花巻空港は県内の航空輸送拠点であり、備えるべき機能といたしましては、災害時、平時を問わず、空港機能を有効に発揮する観点を第一に検討していく必要があると考えております。御提案の災害記念館的な機能の整備につきましては、構想素案で長期的な課題といたしました集中配置型の施設整備の中で、さまざまな観点から整理、検討していきたいと考えております。
 次に、被災者の移動に係ります民間交通機関の活用についてでございますが、広域防災拠点に関しましては、災害応急対策を実施する自衛隊等の支援部隊の集結拠点、活動拠点などとして整備していくとの考え方のもと、必要な機能を検討してきたものでございまして、拠点機能を働かせて被災者の救出に当たる場合におきましては、支援部隊が有する車両でございますとかヘリコプターを活用することを前提としております。
 なお、一時的な避難場所から環境が整った避難所までの移送など、多くの被災者を移送する必要がある場合におきましては、県バス協会等と締結しております災害時応援協定に基づき、民間交通機関の協力を得て移動手段を確保していくこととしております。
 次に、民間の災害支援協力に対する平常時の財政支援についてでございますが、大規模災害時において迅速、的確な被災者支援を実施するため、県では、現在、100に上る民間企業、団体を相手方として、食料や生活必需品の供給、復旧作業等を内容とした応援協定を締結しております。協定を締結している企業等が災害に際しまして実際に支援のために要した物資や資機材等の経費につきましては県が負担することとしておりますが、平常時における資機材の整備費や維持管理費に対する支援の仕組みは設けておりません。これらの経費は、企業等がみずからの事業の用に供するため、通常の経営判断として支出を決定しているものでございまして、災害時の活動に伴うかかり増し経費には当たらないことから、県は負担をしていないものでございます。こうした状況、枠組みではありますものの、企業等の社会貢献意識にも支えられまして、協定は効果的に機能しているものと認識しております。
 質問の大きな2点目ということになりますが、放射線影響対策でございます。
 その1点目でございますが、放射性物質除去・低減技術実証事業についてでございますが、当該事業は、国や各種研究機関、民間事業者等が研究開発した除去、低減技術につきまして、情報収集や、県内に適用するために必要な実証試験を行うものでございます。
 本県において適用可能性のある技術として、建物や道路等の放射性物質を除去または低減する技術、農林作物への吸収を抑制する技術及び放射性物質に汚染された廃棄物を減容化する技術につきまして公募を行い、31件の応募があったところでございます。現在、関係各部及び県の試験研究機関で構成いたしますプロジェクトチームを中心に選定作業を行っておりまして、外部有識者の意見も踏まえながら5件程度を選定し、年度内に実証試験を行う予定としております。
 事業の実施を通じて得られた情報や実証試験の結果につきましては、逐次市町村等へ提供するほか、効果が確認された技術につきましては、関係機関と調整の上、速やかに具体的な事業の導入につなげていきたいと考えております。
 次に、放射性物質の測定等を行う際の被曝防止に向けた県の対応についてでございますが、放射性物質の影響につきましては、これまでの空間線量率等の測定結果によりますと、県内においては健康に影響を及ぼすレベルにはないことから、放射性物質の測定や除染を実施しても追加被曝線量は比較的小さいと認識しております。
 県では、県民の安全をより一層確保する観点から、本年3月に岩手県放射線量低減マニュアルを策定し、できるだけ追加被曝を避けるために、放射線量の測定や除染等を行う際の服装や効率的な作業手順等について留意事項を取りまとめ、市町村や県民への周知を図ってまいりました。
 なお、汚染状況重点調査地域の県南3市町において除染等に従事する事業者に対しては、厚生労働省令でございますとか、それを受けましたガイドラインに基づき、業務に従事する方の被曝線量の管理等の措置を講じることが求められております。労働局を中心にその周知、徹底を図っておりますが、県や市町村におきましても周知に協力しているところでございます。
 大きな3点目は、県の職員体制、復興人材の確保といった点でございます。
 まず、復興人材の確保方針についてでございますが、来年度の県の復興事業の推進に必要な人員として現状からさらに160人規模の増員を見込んでおり、これに対応するため、市町村の不足数90人を含めまして253人の任期付職員を県が一括採用する手続を進めているところでございます。あわせて、今年度は、全国の都道府県、政令市等から150人余りの職員に応援に来ていただいておりますが、来年度における復興の一層の推進に向けて、県の幹部職員が主な自治体に足を運び、さらなる応援職員の増員について要請を行ってきたところでございます。引き続き、全国知事会等を通じ他県からの応援職員の増員について強力に要請を行うほか、退職職員の再任用等、あらゆる手段を講じて復興人材の確保を進めてまいります。
 次に、今回の定数条例改正案についてでございますが、復興に必要な人員につきましては、これまでの通常業務に必要な人員に上積みして確保することとしており、今回提案しております条例定数の知事部局270人の増員は、県が市町村に派遣するために採用する任期付職員を含め、来年度以降、復興事業の推進に必要となる職員数でございます。これらの前提となる通常業務分の職員数につきましては、円滑な業務執行体制を維持するため、これまでとは異なり、当分の間、現状維持を基本としているところでございます。
 次に、職員の定数管理のあり方についてでございますが、職員定数につきましては、現場の意向を踏まえ、庁内各部局が行政需要に応じて積み上げた要求に基づき、重要度や緊急度等に照らして全庁的な調整を行いまして、毎年度の事務事業を適正、効率的に実施するために必要な体制を整備しているところでございます。
 今後の定数管理につきましては、まずは一日も早い復旧、復興が成し遂げられるよう、必要な組織、職員体制を整備し、人員を確保していくとともに、復興業務以外の業務にありましても、現場の状況把握に努めながら、行政課題に応じた職員定数の適切な管理を図ってまいります。
 最後に、行政としての職員の雇用形態についてでございます。
 行政委員会等他の任命権者も含めました平成24年4月1日現在の職員数でございますが、県が正職員2万4、217人、臨時、非常勤職員5、018人、県内33市町村全体では正職員1万2、948人、臨時、非常勤職員5、625人となっております。これまで、計画的な職員の採用に加えまして、業務の内容に応じて、臨時的なものや裁量度が高くないものにつきましては、臨時職員や非常勤職員を適切に任用することにより効率的、効果的な職員体制の整備に努めてきたところでございます。
 東日本大震災津波からの復旧、復興業務が増大する中にありましても、基本的な考え方は同様でございまして、増加する業務に応じ、臨時、非常勤職員の数も増加しているところでございます。
 今後とも、復旧、復興事業の進捗に応じ、必要な正職員を確保していくとともに、業務の必要に応じ、臨時、非常勤職員を適切に活用してまいります。
  〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、環境基本計画改訂の考え方等についてでありますが、本年9月に施行された原子力規制委員会設置法において、放射性物質による大気の汚染等の防止のための措置が環境基本法の対象とされたことから、関連する内容について計画に記載することとし、これまで、県民の安全・安心を確保する観点から、国の対応方針が示されない段階においても迅速に課題解決に取り組んできたことを踏まえ、基本的な施策の方向を盛り込んだところであります。主な内容は、放射性物質のモニタリングや除染、正しい知識の普及、放射能汚染廃棄物の処理などとなっております。
 なお、個々の取り組みにつきましては、昨年度、原発放射性影響対策本部が策定した放射線量測定に係る対応方針や、このたび策定した廃棄物等の焼却・処分等に係る対応ガイドラインなどにより進めていくこととしております。
 また、検証につきましては、現在、喫緊の課題として対応している最中でありますことから、今後、一定期間を経た段階で行い、計画の見直し等に生かしていきたいと考えております。
 次に、放射性物質に汚染された廃棄物についてでありますが、国が具体的かつ実効性のある処理方法を示さないことから、県南を中心に大量の汚染廃棄物の保管を余儀なくされているところであります。牧草、稲わら、ほだ木等の農林業系副産物は、農林水産部の調査によりますと、9月末で24市町村、合計約4万3、000トンが農家個々での区分保管や地域での集約保管がなされております。また、道路側溝汚泥につきましては、空間線量率が低いことから、現場存置されたままとなっております。
 県では、このような状況を踏まえ、このほど県独自のガイドラインを定め、8、000ベクレル以下に抑制することを基本として、それぞれ既存施設を活用して安全かつ適切に処理することとし、市町村における汚染廃棄物処理を後押しすることといたしました。既に一部市町村においては農林業系副産物の混合焼却が開始されており、道路側溝汚泥につきましても一時保管を含めた具体的な処分方法についての検討が進められており、今後、このガイドラインに基づき、各市町村と一体となって、住民理解を得ながら適正処理を進めてまいります。
 次に、除染対策についてでありますが、県では、昨年度、国の対応を待たずに県単補助制度を創設して、子供が長時間生活する学校及び公共施設等において、局所的に放射線量の高い県内564カ所の除染を市町村と連携して実施したところでございます。今年度は、汚染状況重点調査地域に指定された県南3市町において、国の補助制度を活用し、除染実施計画に基づき、学校、公園等の表土を入れかえた結果、空間線量率が毎時0.23マイクロシーベルト以上であったものが0.06から0.09マイクロシーベルト程度に低下するなど、着実に除染の効果があらわれております。
 今後の課題についてでありますが、県南3市町では、今年度中に学校など子供の生活空間の除染を終えて、来年度は住宅などに対象を拡大することとしておりますことから、円滑な除染実施に向けて、具体的な範囲、手法、進め方などについて、県も一緒になって検討するなど、引き続き支援してまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) JR線の災害復旧対策に係るJR東日本の姿勢についてでありますが、JR岩泉線、山田線及び大船渡線については、まず、復旧方針を明示した上で協議を行うよう求めてきたところでありますが、JR東日本からは、岩泉線については一方的に廃線の意思が示され、また、山田線及び大船渡線についてはいまだ復旧方針が明示されておらず、県としては、JR東日本が地域の公共交通を担う鉄道事業者として責任を持って復旧すべきとの認識から、大変遺憾に思っております。
 また、今後の対策については、JR岩泉線については、沿線市町村が鉄道の復旧を切望しているところであり、その意向を踏まえ、引き続きJR東日本との交渉を粘り強く行っていくほか、現在の代行マイクロバスの運行も課題が生じていることから、当面の交通のあり方やその確保について、鉄道復旧とは切り離して、沿線市町村と連携しながらJR側と協議を進めたいと考えております。
 また、JR山田線及び大船渡線については、議員御指摘のとおり、JR東日本は、鉄道の復旧に当たり、津波時の安全性の確保やまちづくりとの整合性、復旧費用の負担が課題との考えを示しております。先月の大船渡線復興調整会議におきましてもこれらの課題について議論が行われたところであり、今後も、JR東日本や関係機関と、鉄道復旧を前提に、防潮堤や避難路などの整備計画と鉄道の安全性の確保や市町村の復興計画と鉄道の復旧についての協議を実施してまいります。
 また、JR東日本は、原状復旧に係る費用については自社で負担する考えを示しているものの、まちづくりに合わせた線路のかさ上げなどの費用については、国に対し財政支援を求めております。県としては、これらの費用については、地域の復興という観点から国も一定の責任を持って取り組むべきと考えており、まちづくりにおける復興交付金の活用などについて、沿線市町村等とともに国に対し引き続き要望を行ってまいります。
 次に、JRの復興支援と鉄路復旧については、SL運行などJR東日本の復興支援は、観光における誘客など地域振興に資するものと考えておりますが、被災地の真の復興には、三陸鉄道の復旧とあわせ、JR線が復旧し、三陸の鉄道が一つにつながることが極めて重要であると考えております。このため、JR東日本や関係機関と積極的に協議を行っていく必要があると考えており、本年9月に、国及びJR東日本に対し、復興調整会議の開催頻度をふやし積極的に協議を行うよう、沿線市町村と合同で要望を実施したところであり、また、JR東日本や国、市町村との個別の協議が加速されるよう、これらの機関の協議を仲介するなど、積極的に協議の場を設けてきたところであります。
 今後とも、JR東日本や関係機関との協議をさらに加速させ、両線の鉄道復旧の方針が一日も早く決定をされるよう、働きかけを強めてまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、救急搬送ルートにおけます維持修繕系事業の実績についてでありますが、救急搬送ルートにつきましては、救急搬送における患者負担を軽減するために、2009年度から道路環境の改善に取り組んでおります。
 維持修繕系事業における路面不良等の77項目、66カ所の改善につきましては、2010年度末におきまして71項目、62カ所が完了しております。東日本大震災津波の影響によります燃料不足や復旧による交通量の増大によりまして、6項目、4カ所で改善ができなかったものでありますが、翌2011年度にはすべての箇所が改善されております。
 改良系事業の実績についてでありますが、2010年1月に取りまとめました救急搬送における支障項目につきましては、県内各消防本部から聞き取り調査を行いまして、全ての県管理道路を対象とし、急カーブ、急勾配などの支障となる94項目、63カ所を抽出したものであります。
 一方、主要施策の成果に関する説明書で掲げました救急搬送ルートにおける整備完了箇所は、重篤な患者を長距離、長時間搬送するケースが多い転院搬送ルート23路線を対象といたしまして、2014年度までに整備を予定する9カ所を指標としております。その対象が異なっているものであります。
 計画目標及び実績値につきましては、2010年度以降の完了箇所の累計としておりますので、2011年度の目標値及び実績値ともに1カ所となっているところであります。
 達成度につきましては、2011年度に完了した箇所がなかったことからバーとしておりますが、残る8カ所につきましては現在整備を進めており、2014年度までに完了する見込みとなっております。
 救急搬送ルートの考え方についてでありますが、救急搬送は全ての道路が対象となると考えておりますが、まずは2009年度に設定いたしました転院搬送ルートの整備を進めるとともに、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークの構築を進めていくことが肝要と考えております。
 次に、県立中部病院へのアクセス道の整備についてでありますが、花巻市道の山の神藤沢町線につきましては、延長1.7キロを社会資本整備総合交付金で整備を進めてきており、今年度12月下旬に完了する予定と聞いております。
 また、北上市道の飯豊北線につきましては、延長2.4キロメートルを平成22年度から同じく社会資本整備総合交付金で整備を進めておりまして、今年度、用地買収の一部に着手いたしました。
 この市道の整備促進についてでありますが、北上市では、整備が必要な路線が多数ある中、本路線につきましても財政状況などを勘案しながら、早期の供用開始を目指し整備を進めていくと伺っております。
 県といたしましても、この路線は、県立中部病院へのアクセス道路として重要であると認識しております。引き続き、北上市と連携しながら整備が促進されるよう取り組んでまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 学校給食食材に係る放射能の測定体制についてでありますが、現在、自校で学校給食を調理、提供する11の県立学校全てに放射性物質濃度測定器を配備し、地元産の給食食材及び市町村等から依頼を受けた、提供後給食等の食品の測定業務を行っているところでございます。
 給食食材等の測定につきましては、児童生徒を初め県民の皆様への一層の安全・安心確保の観点から取り組んでいるものであり、これら食品が放射性物質濃度の高い危険な測定対象物ではないことから、国からもこれら測定に当たっての被曝対策等のガイドライン等は示されていないところでございます。ただし、測定機器については、児童生徒が出入りしない場所に設置するなどの配慮を行っており、また、これまでの測定実績において、国が定める食品中の放射性物質の基準値を超過した事例はなく、現状におきましては、測定による健康被害を懸念する状況にはないものと考えております。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇14番(木村幸弘君) それでは再質問させていただきますが、2点ほど質問させてもらいます。
 一つは、職員定数の問題にかかわってであります。
 先日、平成24年度の災害対策専門研修トップフォーラムin岩手に参加をさせていただきました。阪神・淡路大震災記念人と防災未来センター長の河田講師によります東日本大震災の教訓と災害時のトップの役割という講演を拝聴したところでございます。
 そこで、この講演内容の中で、巨大社会災害の要件という点について、近年の自治体、いわゆる市町村再編あるいは災害等の関係において、社会システムが大きく変化をする。その過程で行政組織が縮小、再編を進めていく一方で、職員が大幅にそれに伴って削減をされる。そうした状況の中で、行政エリアは逆に拡大をしていく。こういった事態が、災害時のマンパワー不足として災害要件になるという指摘があったところでございます。大規模な災害が発生した際に、そのマンパワー不足が今の進められている行財政改革の一連の流れの中の体制として災害要件になるんだという指摘であります。また、自治体の災害対応能力の8項目の中においても、職員の絶対数の確保という点が、災害に対する総合的な影響にかかわるという指摘をされていました。
 こうした災害と職員体制との関係、いわゆるマンパワーとの関係の指摘について、本県はまさにそういった事態に立ち至って今日さまざまな災害に対応しているわけでありますけれども、改めて、このトップフォーラムに参加をされてこのような指摘がされている点について、どう受けとめられたのかについてお伺いをしたいと思います。
 それから2点目は、JR線復旧関連の問題でありますが、知事の決意、強く要望してまいりますというのはわかるんですが、今ほど中村政策地域部長からも答弁いただいたように、JRの対応そのものには、非常に私自身は本気で復興しようとする気があるのかという点では懐疑的な思いであり、あるいはこのままの対応だけでは厳しいのではないかという率直な気持ちでございます。
 そこで、今後の協議を具体的に進めるに当たって、次のような点をきちんと押さえて、JRあるいは国との協議に臨むべきだろうと思います。
 一つは、岩泉線の関係で言いますと、2000年3月に施行された鉄道事業法、この改正によって、廃止手続が簡略化されて路線の廃止が促進されるということが当時から懸念されておりました。ところが、この法改正が行われて以来、現在までにJR線の廃止は、2003年の広島の可部線、この一部、末端部だけがトカゲの尻尾切りのように廃線になっただけであります。そして三重県の名松線。岩泉線と同様に、かつて国の赤字廃止勧告対象でしたけれども、代替道路未整備を理由に廃止路線から除外をされました。岩泉線と同じであります。2009年の台風災害で全線不通となり、災害区間の復旧は困難ということで、JR東海がバス転換を提案いたしました。三重県では復旧の可能性を検証、調査し、復旧は可能であるという判断をしながら再三要請を繰り返してきた。これも今の岩手県の対応と同じで歩みを進んでおります。安全対策上の問題を含めて、一貫してJR東海は復旧を否定し続けたのでありますが、しかし、その後1年たって、粘り強い交渉の経過と国等への働きかけ、さらには三重県と松坂市等を含めた地元自治体、これらが整備費負担についての具体的な協議も進めながら、JR東海は最終的に復旧について協定を締結、2016年の復旧に向けて現在動いているという状況にあります。
 そしてまた、JR東日本の経営姿勢と体質から見た場合に、去る10月31日の新聞報道で、JR東日本は、2013年3月期の連結業績予想を上方修正したという報道がありました。その内容は、純利益が前年同期比で6割増の1、740億円、売上高が5%増の2兆6、510億円という内容でした。これは、2010年度の同社の比較で見ると、純利益が2010年度では762億円でありましたから、今年度は1、000億円を超える大幅増益になっております。営業収入2兆5、374億円ということで、今年度はまさに増収、増益という実態にあります。しかも、2010年度では、JR東日本の資本積立金、いわゆる内部留保は1兆5、343億円でございます。そしてこれらの増収、増益の要因は、新聞報道によると、東日本大震災の反動によって、東北新幹線の利用が前期のDC効果を含め、観光、復興業務等の両面から拡大することによったと報じてあります。つまり、JR東日本は、大震災によって、被害や損失を地震保険の上限700億円である程度はもうカバーしたと言われておりますけれども、皮肉にも、災害に乗じて、被災地のおかげで大きな利益を得た結果が今回の増収、増益になったということが言えないでしょうか。かつて、阪神・淡路大震災でJR西日本は国の補助に頼らず、1、020億円をみずからの資金を投じて7カ月で災害復旧を行ったと聞いております。莫大な利益を上げているJR東日本が、財政支援を求めることは明らかに道理が通りません。
 JR発足の経緯においては、国鉄の膨大な債務のうち、16兆1、000億円の有利子債務は国の一般会計に承継されることとなり、国の借金として国民が背負っています。JRは単なる私鉄にあらず。継承した鉄路については、公共的使命に基づき運営を継続すべき責任があります。だから、法改正になっても、うかつに廃止という形が出てこないのです。ましてや、このような大災害を受けた地域の復興と被災者の思いに冷や水を浴びせるような仕打ちは、断じてあってはならないことです。
 県は、ぜひとも、強く早期復旧を主張し、調整会議、先ほどこれから加速化していきたいという御答弁もいただきました。半年置きに行われているような調整会議が、一体何の機能を持っているのでしょうか。もっとスピード感を持って、あるいは危機感を持って開催をし、積極的な協議をしていただきたいと思いますけれども、再度、改めてこうした実態を踏まえた対応ということで御所見をお伺いしたいと思います。
〇総務部長(加藤主税君) 職員体制の確保についての再度のお尋ねでございます。
 議員が御紹介、参加されたという11月30日のフォーラムには私も参加、聴講いたしました。職員体制の重要性につきましては重々認識しているところでございます。また、その際、災害時なり、そういう危機管理の観点も含めて考えていく必要も理解しているところでございます。こうした観点もございますし、また、職員体制の整備に当たりましては、さまざまな需要をよく伺って、全体的な調整を図るということもございます。そうしたさまざまな要素もございますが、先ほどるる申し述べました人材の確保とか、そういう調整の方針に沿って、でき得る限りの対応を図ってまいりたいと考えております。
〇政策地域部長(中村一郎君) JR東日本の問題でございます。
 今、議員のほうからお話がございましたが、我々といたしましても、JR東日本につきましては、個別の路線の採算性といったようなことではなくて、やはり地域の非常に重要な公共交通を担っているということでございますので、そういった責任をしっかりと果たしていただきたいと考えてございます。そういったことで、先ほどもお話をいたしましたが、しっかりと今後ともJRと協議を加速化してまいりたいというように考えております。
 また、沿線の市町村とも連携をしながら、いろいろその復旧に当たって提示をされている課題がありますので、こういった課題をしっかりと潰しながら、一日も早い鉄路の再開に向けて全力を向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇14番(木村幸弘君) いずれ、JR線の復旧については、まさに被災地の復興の象徴になるものであります。特に、被災地住民は切なる願いを持っていますし、県は、先ほど御紹介しましたけれども、三重県の名松線復旧の例も参考として、関係市町村一体となって、JR線が鉄道として復旧されるよう、要請や協議を加速化させていただきたいと思います。そのためには、何といっても知事のリーダーシップが重要でございます。事と次第によってはということは言いたくありませんけれども、場合によっては、議場や選挙で知事はよく土下座をしてまいりましたけれども、JR本社前で、被災地を見捨てるなとムシロ旗を掲げて、県民のために、被災地復興のために、土下座をするくらいの決意を持ってこのJRの復旧に臨んでもらいたい、そのような決意も含めた御所感をお伺いして終わりたいと思います。
〇知事(達増拓也君) JR東日本の前社長、また、今の社長と会って話をしておりますけれども、このJR線の岩手県内における、これは宮城県や福島県もそうですけれども、災害復旧というのはJR東日本の経営の問題なのではなく、あくまで東日本大震災津波からの地域の復興の問題なんだと。そして、県もまた市町村もそれぞれ復興計画、まちづくり計画を立てている中で、その復興の中に、計画の推進の中にJR東日本も参加してともに復興を進めるべしということで、復興調整会議に参加してもらっているところでありまして、その場を通じ、改めて申し上げれば、鉄道の復旧は三陸沿岸の復興のためにもぜひとも必要と考えておりますので、今後とも沿岸市町村と連携しながら、早期に鉄道を復旧するよう、JR東日本に対して強く求めてまいります。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   日程第2 議案第6号平成24年度岩手県一般会計補正予算(第4号)の専決処分に関し承認を求めることについてから日程第28 議案第32号吉里吉里漁港防波堤災害復旧工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてまで
〇議長(佐々木博君) この際、日程第2、議案第6号から日程第28、議案第32号までを一括議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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