平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇11番(城内愛彦君) 自由民主クラブの城内愛彦です。
 12月定例会に際し、議席をいただいて2回目の質問の機会をいただきましたことに対して、先輩議員、そして同僚議員に対し感謝いたします。
 質問通告に従い、以下の点について質問あるいは提言になるかもしれませんが、知事を初め当局の明快な答弁を期待し、質問に入ります。
 東日本大震災津波発生からあと4日で1年9カ月がたとうとしています。被災地には、特にも被災され、いまだ仮設住宅で暮らされている方々、みなし仮設で暮らされている方々にとっては厳しい2回目の冬が訪れています。幾ら仮設とはいえ、余りにも苛酷な条件で暮らされている方々の声をお聞きするにつけ、1日でも、1時間でも早い復興を願うものであります。
 発災後の昨年8月に、県内被災市町村に先駆け、岩手県東日本大震災津波復興計画が策定され、県民に示されました。いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造を目指す姿とし、三つの原則である安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生という具体的取り組みを示し、県に復興局を設置し、復旧、復興をより加速させてきたところであります。計画の発表直後、特に被災地においては、この復興計画が心のよりどころであり、希望の光でありました。家財を流され避難所で暮らされている方々は、口々に、いつもとの生活ができるの、仕事はいつからできるのと多くの質問を受けたのを鮮明に思い出します。
 考えてみれば、被災した岩手県沿岸は、過去にも幾度となく津波被害に見舞われてきたところであります。明治以降では、明治29年、昭和8年、そして昭和35年のチリ地震津波が挙げられますが、平均しますと、およそ40年から50年周期で甚大な被害をもたらす津波の被害を受けてきたところであります。先人の方々は、その都度力強く立ち上がり、昨年3月11日発生の東日本大震災津波以前の県沿岸地区のなりわいであり、生活であり、安全対策を成し遂げてこられました。
 宮古市田老地区で昭和8年の津波に遭った方の経験談を伺うと、被災をした次の日から、残った家族で流木や板切れを集めながら、もとの自宅跡に掘っ立て小屋を建てて自立再建をした。海から稼いで何十年もかけて家も建てたが、一瞬にして海が全部持っていってしまった。昔は今のような仮設住宅もなかったから大変だったが、いつになったら自分の家で暮らせるのかと、逆に切実な質問をされ、県で示した計画をお話しすることでその場は納得していただきましたが、被災者の方の多くが今でも同様の不安を抱いているのが現状であります。
 なりわいの再生に関しては、漁業においては、共同利用漁船復旧事業やグループ補助金事業など、被災地沿岸の基幹産業のてこ入れを行う意味合いの事業が展開されてきています。漁業関係は、108の被災漁港の復旧、復興、135の定置網の復旧など、従来のなりわいにより近い形での復旧が進められてきました。1年9カ月が過ぎようとする今日、グループ補助金の第5次公募も行われ、仕事を失ってしまった方々や、いろいろな問題や課題を抱えながら、ようやく事業再開にこぎつけた方々に希望が見えてきたところであります。
 暮らしの再建は、2度目の冬を迎え、要望の多かった追いだき機能のついた給湯器にかえ、風除室の追加発注、そして断熱材もつけ、トランクルームも加えて設置したところであります。万全とは言えないが、少しでも快適な仮設住宅暮らしをしていただきたいと思うところであります。あとは、一日でも早い自立再建か、県、市町村でつくる復興公営住宅へとその歩みを進めていただきたいと考えます。
 安全の確保については、瓦れきの撤去、集約移動が終わり、被災地にはコンクリートの基礎が残され、一面草が生え、この夏は緑に覆われていましたが、本格的な広域処理が始まっています。被災をした防潮堤はかさ上げが決まり、その入札も急ピッチで行われ、予定どおりにいけば平成30年に全ての事業が終了する予定であります。
 11月20日、本音で語ろう県議会を沿岸の被災地山田町で開催しました。地元選出議員の一人として、私もオブザーバーとして参加しました。小雨の降る中、23人の方が参加してくださり、一連の報告も終わりフリートークになると、堰を切ったように復興に対する問題であったり自立再建に対する制度の問題であったり復興予算の使い方に対する問題であったり、時間がオーバーするほどの集会となりました。参加した議員の皆さんは、スピード感も含め、復興のあり方について被災者の方々との乖離を感じられたのではないでしょうか。
 そこでお伺いしますが、仮設住宅でたった1泊の貴重な体験をされ、県民の代表で行政のトップであり、しかるべき責任のある知事に、現在の復興の進捗状況についてその所見を伺います。
 また、東日本大震災津波復興計画策定当初と策定から1年3カ月がたった今日とを比較して、問題があれば示されたい。あわせて、今後、計画が終了する平成30年までの見通しについても伺うものであります。
 次の質問に移ります。第2点目は、平成の市町村合併についてであります。
 我が国では、明治以降3度の市町村大合併を繰り返し、今日の市町村の体系ができました。明治の大合併では、市制、町村制度の実施により全国的に町村の合併が行われたところであり、昭和の大合併では、戦後の新制中学校の設置、管理など行政事務の能率的処理を目的とし、平成の大合併では、地方分権に対応した基礎自治体の行財政基盤の強化などを目的として合併が進められたところであります。
 本県では、昭和の大合併で63になった市町村数は平成の大合併で33になり、全国では自治体数が1、700台に半減するという大合併を経験したわけであります。
 私も、市議会議員時代に2回に分けて合併を経験しました。そのプロセスは大変な経験でありました。任意協議会を立ち上げ、法定協議会に移行し、合併方法について話し合い、時には地域の歴史と文化がぶつかり合い、新たな時代を創造しながら、行政サービスは高いほうを基準とし、その負担は低いほうに統一する作業など、その事務手続のすり合わせをすることの難しさを実感したところであります。国が示した合併特例債という有利な条件が活用できる平成17年3月31日を期限とし、住民の方々に対して、そのメリット、デメリットについてたび重なる説明会を開催し、御理解をいただき、合併にこぎつけました。
 あれから6年がたつわけでありますが、この間に昨年3月11日発生の東日本大震災津波の被害を受けてしまいました。被災地宮古市においては、1度目は旧宮古市、旧田老町、旧新里村の1市1町1村の新設対等合併を経験し、その1年半後に旧川井村との編入合併を経験した上で、この震災津波に対して、合併を推進し、成し遂げることができた関係者の一人として改めてよかったと思うわけでありますが、岩手県として、その総括をされたのであればお示しいただきたいと思います。また、市町村合併を強く推進した県として、その効果についてどのようにお考えかお伺いします。
 次の質問に移ります。第3点目は、東北新幹線延伸の影響と観光振興についてであります。
 東北新幹線は、御存じのとおり昭和57年6月に大宮竏註キ岡間が開通し、ことしで30周年を迎え、秋田新幹線は、平成9年3月に、全国新幹線鉄道整備法に基づかない、新幹線、在来線直通方式のミニ新幹線として開通しました。平成14年には、盛岡竏樗ェ戸間が在来線と引きかえに多大な地元負担もあり開通し、一昨年12月4日には東京から青森まで開通したことは記憶に新しいところであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 県都盛岡市は、もはや新幹線の通過のまちになりました。秋田新幹線が開通して、年間170万人の人が盛岡で乗りかえも含めておりなくなったという調査結果もあるようですが、その経済効果を考えると、首都東京が日帰りの範囲になり、観光面で考えても新幹線の沿線以外はその恩恵も薄いと考えますが、そのメリット、デメリットについて当局の見解をお伺いします。
 また、新幹線の沿線以外に位置する沿岸市町村の観光客の入り込み客数を震災前の平成22年度と比べてみると、震災の影響もあり、久慈市と普代村を除いて大幅に減少するなど、非常に厳しい状況であります。しかしながら、沿岸部の被災した115宿泊施設のうち44施設が再開し、収容人員は75%にまで回復したとのことであり、今後の取り組み次第では入り込み客数の回復が期待されるところであります。これからの沿岸部の復興を考えてみますと、沿岸部への交流人口を増加させることが重要であると考えられ、平成27年の北海道新幹線函館開業なども視野に入れながら、修学旅行生や被災地ツアーなどの受け入れに取り組んでいく必要があると思われますが、今後どのように沿岸部の観光振興を図っていくのかお伺いします。
 次の質問に移ります。第4点目は、看護師確保についてであります。
 岩手県の医師不足は深刻な状態であります。その対策は、議会開催のたびごとに議員各位より質問あるいは提言がなされる、我が岩手県にとって重要案件の一つであります。人口減少に歯どめがかからず、少子化、高齢化が進む広大な県土を有する我が岩手県において、いかにして地域医療を守っていくかについて、まさに特効薬はなく、時間をかけながら、遠回りではありますが、人材の育成、そしてその確保こそが有効な手段であることは異論のないところであります。
 同様の観点から、議席をいただいて以来、たびたび看護師不足対策について取り上げてきましたが、改めて壇上から質問させていただきます。深刻な看護師不足の現状をどのように捉え、解決に向かうのかお伺いします。
 厚生労働省では、平成22年12月に平成23年度から平成27年度までの第7次看護職員需要見通しを公表し、本県でも国の見通しに合わせて第7次岩手県看護職員需要見通しを策定しているところでありますが、看護師の数は800人程度不足している状況にあります。また、本格的な高齢社会を迎え、全国的に看護師不足が深刻化しており、あるアンケートによると約7割の病院が看護師不足と回答するなど、看護師の確保が大きな課題となっています。
 県では、看護師免許を持った方々の職場復帰事業や奨学金事業などの対策を講じられてきており、このことについては一定の評価をするところでありますが、医療の高度化や介護現場でのニーズの高まりなどにより、看護師の需要は一層高まっています。東日本大震災津波により被災した沿岸部では医療施設の復旧がなされつつありますが、押しなべて医療スタッフの不足を耳にします。そのような医療、福祉の現場の声に再度耳を傾け、解決の糸口を示してほしいと考えます。このままでは確実に内陸部と沿岸部の医療の格差が広がることが予測されることから、均衡ある医療の充実に向け、今後どのようにして看護師確保対策を進めていくのか伺います。
 また、看護師の養成機関である県立高等看護学院の定員を見ますと、一関高等看護学院、二戸高等看護学院でそれぞれ35名であるのに対し、宮古高等看護学院は24名となっています。内陸部と沿岸部の医療水準の格差解消のためにもこの定員を拡充する必要があると考えますが、当局の見解を伺います。
 次の質問に移ります。質問の第5点目は、ジオパークについてであります。
 平成24年9月現在、我が国では25の地域が日本ジオパークに認定され、さらに世界ジオパークには、洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島、山陰海岸、室戸の5カ所が認定されており、ジオパークの取り組みは今後ますます活発化していくことが予想されます。
 岩手県の海岸はリアス式海岸で、宮古を中心に、北は隆起し、南は沈下してできた世界に誇れる海岸線であります。そのこともあって、宮古市の郷土史家の駒井雅三先生が提唱して陸中海岸国立公園として指定されました。その風光明媚な観光地は、あの大震災津波にも耐え、その勇姿を目にすることができます。
 震災前は、平泉の世界文化遺産の登録と三陸ジオパークを観光の目玉とし、滞在型、体験観光の誘客に期待が寄せられたところであります。被災した今、津波の爪跡を見学する被災地視察ツアーが注目されておりますが、世界から復興の支援をいただいた御縁を将来につなげるためにも、そこに住む人には気づかないすばらしい財産を世界に発信するチャンスと考えております。本年5月に島原半島で開かれたジオパーク国際ユネスコ会議の大会宣言にも、東日本大震災とジオパークについて取り上げられており、被災地復興という観点からも有効に活用していく必要があると考えます。
 そこで、三陸ジオパーク構想の現在の進捗状況はどのようになっているのか伺います。あわせて、今後の認定に向けた見通しについても伺うものであります。
 次の質問に移ります。質問の第6点目は、グループ補助金事業についてであります。
 グループ補助金は、利用者に有利な内容から4度にわたり事業を実施し、このたび第5次公募も行われることが発表されていますが、被災地でグループがなかなか組めなかった方や敷地の問題、負債の問題、取引相手の問題など、後継者の問題あるいは従業員確保の問題など、お伺いするとさまざまな問題、さまざまな理由から、発災から1年8カ月がたってしまったようであります。しかしながら、ここに来て、少しずつではありますが企業の復旧が進んでおることは、グループ補助金で立ち上がった方々のアドバイス、あるいは担当された県を初めとする関係者の並々ならぬ御尽力の賜物と感謝をする次第であります。
 被災地全体が復興へと歩みを進める中で、補助金の交付決定額も577億円に上り、交付決定事業数も751件とふえ、内容も業種も多岐にわたっていますが、ここに来て、事業を利用している方々から、事業繰り越しの取り扱いについて不安があるという声を耳にしました。その要因はどこにあるのか伺うものであります。
 また、グループ補助金はこのたび5次で終了すると伺いましたが、採択されなかった事業者への今後の対応をどのように考えるのか、あわせて伺います。
 次の質問に移ります。質問の第7点目は、水産振興についてであります。
 昨年12月定例会において初めて登壇の機会をいただき、その際に、漁業者の一日も早い復旧、そしてさらなる復興を願い、漁船、漁具の被害状況や今後の見通しなどについて伺ったわけでありますが、あれから1年がたちました。浜は1年1年が勝負であります。春先にワカメをとり、その後すぐに昆布漁に移り、間もなく定置網の春漁が始まり、初夏にはウニ漁そしてイカ漁に移り、秋にはサンマ漁からサケ漁へ、そして年末のアワビ漁へと1年を通じて前浜を相手にし、つくり育てる漁業を厳しい自然相手に営んできました。
 このように、漁船は漁師にとって生命線でありますが、1万3、271隻もの被害があった漁船について、復旧に向けて大半が手当ての見通しがついたのか伺うものであります。また、水産経営基盤である養殖施設と種苗生産施設の状況についてもあわせて伺います。
 さて、今定例会での質問は水産業の振興であります。言うまでもなく、水産業は、生産、加工、流通まで関連する裾野の広い産業であります。被災沿岸部は、1次産業である漁業に付随する水産加工業も盛んであります。また、それらを受け入れる流通と相まってこそ真の水産業の振興でありますことから伺うものであります。
 被災直後の昨シーズンは、事業を再開した加工業者もあっという間に過ぎた感がありますが、今シーズンは、本県の主力産品であるサンマ、秋サケの不漁により、せっかく立ち上がった加工業者も大変であると聞きました。漁家にとっては、干鮑用のアワビ漁の不漁と価格の低迷とダブルパンチの大変な状況であります。
 そこで、質問の2点目として、水産加工業、流通業の復旧、復興状況について伺います。
 次の質問に移ります。質問の第8点目は、再生可能エネルギーについてであります。
 昨年3月11日発生の東日本大震災津波による東京電力福島第一原発の事故は、日本全体のエネルギーに対する考え方を根本から見直す機会であったと言わざるを得ません。そのような状況下で、電力の固定価格買取制度開始により、火力、水力、原子力のミックスバランスが変わる方向にかじを取り始めました。太陽光発電や小水力発電、木質バイオマス発電、地熱発電など、にわかに注目を浴び始めたことは周知のところであります。本県はもとより、自然のエネルギーの宝庫であり、その潜在的エネルギーの掘り起こしの千載一遇のチャンスではないでしょうか。
 太陽光発電については、本県沿岸部は最適の地であり、多くの河川は、水量が豊富で手つかずの状態であると言っても過言ではありません。また、本県は日本有数の森林を有し、木材の利活用も本県の課題の一つであることなどから、環境に負荷の少ないエネルギーを積極的に取り入れるべきと考え質問します。
 被災地の一助としても、再生可能エネルギーの導入が考えられますが、県全体として計画があればお示しください。あわせて、実施状況についても伺います。
 宮古市では、被災地区に木質バイオマス発電施設を建設するプロジェクトを、関係する企業と公表したところであり、発電した電気は固定価格買取制度で売電、熱はイチゴやトマトなどの大型園芸施設の暖房に利用、また、水素は燃料電池自動車の燃料に利用する計画としています。この取り組みは、被災地の復興に向けて有効な手法と考えられ、将来的には他市町村への普及も検討する価値はあると考えられますが、県では、このような施策に対してどのようにかかわっていくのかお伺いします。
 次の質問に移ります。質問の第9点目は、土坂峠のトンネル化についてであります。
 昨年3月11日発生の地震津波に際し孤立状態になった大槌の方が、救援を求め、土坂峠を越え遠野に駆け込んだことは、過日、特別委員会の視察で遠野市を訪問した折に本田遠野市長から直接伺いました。その方が来られたから後方支援活動が始まったと熱弁を振われたことと、その後の遠野市の後方支援のあり方は周知の限りであります。改めて、遠野市長の英断と行動に敬意を表する次第であります。
 後日、私も久しぶりに土坂峠を通りましたが、国道340号小国地区から大槌地区へ向かう急峻な、そして狭隘な道を通ったとき、この道を自衛隊や緊急車両が通行したかと思うと、感慨深いものを感じてしまいました。対向車がすれ違う場所も少なく、平時ではまだしも、有事の際はより大変と感じた次第であります。被災時に、ラジオでこの峠が通行できることが告げられたこともあり、その混雑ぶりは地域の方の話の中からも感じ取られました。
 川井小国地区の方々の話によりますと、劣悪な主要地方道であることもあり、合併前の川井村時代からトンネル化の要望をしてきた経緯があり、県においては、トンネル化の条件である環境調査や費用対効果分析もすべて終え、ルート決定もし、中心ぐいも打ち、用地取得のための地権者に対する説明会も終え、その後その事業化が期待されたが、その後音沙汰がないとのことでありました。
 本年、岩泉町において、東北地方整備局長の徳山日出男氏の講演に際し、震災時の復旧はくしの歯作戦で行った話を聞き、改めて道路はつながっていないといけない。今日の道路は、物流の道路から命を守る道路へとその役割を増しており、地方と中央の格差是正の観点からも、その作戦の意味を痛感した次第であります。おかげさまで、懸案事項の一つでありました国道340号の立丸峠のトンネル化が事業採択されたことは幸いでありますが、県道大槌小国線の土坂峠のトンネル化は、沿岸部の安全を確保する上でも必要であり、その事業化を訴えるものでありますが、当局の明快な答弁を期待し、壇上からの質問を終わります。
 答弁によっては再質問を行いますので、よろしくお願いをいたします。御清聴ありがとうございました。
(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 城内愛彦議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、東日本大震災津波復興計画の進捗状況についてでありますが、復興計画に掲げる三つの原則ごとに申し上げますと、安全の確保については、本県で発生した災害廃棄物の処理は11月末で24.2%まで進み、木くず、可燃物についてはおおむね期限内処理のめどが立ったほか、復興交付金事業を活用した防災まちづくり事業計画地区の約8割において事業に着手するなど、被災地のまちづくりに向けた事業が本格化しつつあるところであります。
 暮らしの再建については、災害公営住宅約5、600戸のうち約35%の事業に着手するとともに、沿岸部の医療機関については震災前の約9割が診療を行っているところであります。
 また、なりわいの再生については、企業等の二重債務の解消やグループ補助金等を活用した事業所の早期再開を支援し、今年度の魚市場の水揚げ量が震災前の6割に回復し、水産加工業については、一部再開も含め約8割弱の事業所で事業が再開したほか、沿岸部の宿泊施設については、収容定員の8割弱まで復旧したところです。
 このように、第1期の復興実施計画が目標とする基盤復興に向けた事業が具体化しつつある一方で、今なお、約4万人の方々が応急仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされております。また、被災地に直接赴いて被災者の現状や御意見をお伺いするたび、まちづくりや暮らしの再建、産業再生の取り組みを一層加速させていかなければならないという思いを強くしているところであります。
 次に、東日本大震災津波復興計画の問題点についてでありますが、まず、復興計画の策定当初においては、被災者の目線に立った安全確保や生活再建支援などを一刻も早く進めることが課題となっており、緊急的な取り組みとして防災施設等の応急的な復旧や応急仮設住宅の整備、被災者の心と体のケア、企業等の二重債務の解消やグループ補助金を活用した事業所の早期再開などを最優先に進めるとともに、被災により行政機能が大きく損なわれた市町村の機能回復のための人的支援などを行ったところであります。
 計画策定から1年3カ月を経た現在、基盤復興のための事業が本格化し、これに伴い、膨大な工事の設計や発注、埋蔵文化財調査などに携わる専門的な人材の確保、所有者不明や相続未処理などの課題を有する事業用地を円滑に確保するための手続の抜本的な簡素化、復興を実現するまでの間の確実な財源の確保や地域の多様なニーズに対応するための自由度の高い財源措置などが課題となっておりまして、その解決に向けて、機会あるごとに国に要望しているところであります。
 また、復興を加速させるためには、大震災からの復旧に当たって培われたさまざまなつながりを力として生かしていくことが重要であり、今後とも、沿岸地域と内陸地域が一丸となったオール岩手による復興を強力に推進していくとともに、団体、企業、NPO等、県内外の多様な主体との連携を強化しながら、一日も早い復興を実現してまいります。
 次に、東日本大震災津波復興計画の見通しについてでありますが、県の復興計画においては、第1期復興実施計画の目標年次である平成25年度までに復興の基盤づくりを集中的に行い、それらの成果に立って、次の3年間で本格的な復興の取り組みを推進し、平成30年度までの最後の2年間でさらなる展開へつなげ、新しい三陸の創造を目指して取り組んでいくこととしております。
 このような方針のもと、復興計画に掲げた三つの原則に基づき、安全の確保については、多重防災型のまちづくりや災害に強い交通ネットワークの構築、暮らしの再建については、安全で良質な住宅の再建や質の高い保健、医療、福祉提供体制の整備、なりわいの再生については、水産業の生産、流通、加工体制の一体的な整備などの取り組みを推進し、新たな時代に対応した、より安全で一人一人が生き生きと暮らすことのできる三陸の復興を実現してまいります。
 さらに、長期的な視点に立ち、世界に誇る新しい三陸地域の創造を目指す観点から、これを体現するリーディングプロジェクトとして、三陸地域などをフィールドとした国際研究交流拠点の形成や三陸の海洋資源を活用した新産業の創出等、三陸創造プロジェクトに盛り込んだ取り組みを具体的に進めてまいります。
 これらの取り組みによりまして、震災前の地域の姿に戻すというのではなく、復興計画の目指す8年後のいのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造という、未来に追いつく復興を力強く推進してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) まず、市町村合併についてでありますが、平成の大合併などを経て本県では現在33市町村となっておりますが、人口10万人を超える市が新たに三つ誕生するなど、市町村の行財政基盤の強化が図られ、地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を担う体制が整えられつつあると評価をしております。
 また、合併後に実施をした市町村及び地域の方々への調査によりますと、合併により、学校の改築などのハード整備、自治会活動や文化の伝承保存などへの支援が進んだことなど、合併の効果があらわれていると評価をされております。
 さらに、今回の震災対応に当たりましては、例えば宮古市におきましては、本庁舎が津波被害を受けた中で、内陸部にあった旧町村役場が物資配給など後方支援の拠点として機能し、広域的かつ迅速な対応が可能となった面もあるものと考えております。
 次に、三陸ジオパークについてでありますが、本年4月に活動を再開したいわて三陸ジオパーク推進協議会で新たにジオパーク推進員を採用するとともに、学術専門委員の御協力をいただきながら、関連資料の収集、作成やジオサイト候補地、見学コースの検討作業を進めてきたところであります。
 また、日本ジオパーク委員や高知県室戸、長崎県島原など、日本を代表するジオパークの関係者にも御来県いただき、沿岸各地で現地ワークショップを開催しながらジオパークに対する認識を深めるとともに、地元関係者との意見交換や現地調査の機会を設けているところであります。そうした取り組みの中で、新たに青森県八戸市及び階上町、宮城県気仙沼市もエリアに加えた三陸ジオパークを目指すことで関係団体の賛同を得たところであり、来年4月の日本ジオパークへの申請、そして公開審査や現地審査を経て、来年秋ごろの日本ジオパーク認定の実現に向けて準備を進めているところであります。
 今後は、大震災を契機として、地球の活動などを学ぶ教育旅行の受け入れなど、三陸ジオパークの活動を通じて、三陸の魅力や復興の姿を世界に発信してまいりたいと考えております。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、東北新幹線の青森延伸のメリット、デメリットについてでありますが、メリットとしては、首都圏から北東北への移動の速達性や利便性が高まっており、これを生かすことにより、本県への誘客を拡大、定着する好機になっているものと認識をしております。
 一方、デメリットとしては、観光客にとって北東北内の広域回遊が可能となり、観光地の選択肢がより広まることから、魅力やサービスの向上などにより、お客様に選ばれる観光地づくりを進めていかなければ、本県への観光客を十分に取り込めないおそれがあるものと認識をしております。このため、県では、観光コーディネーターを地域に派遣し、お客様に選ばれる観光地づくりに向けた取り組みを支援するほか、集客力のある平泉を中心に県内回遊を促進する二次交通の充実に努めるなど、北東北を訪れる観光客の本県への取り込みを図っているところであります。
 次に、沿岸部の観光振興についてでありますが、沿岸被災地の早期の復興を促進するためにも、沿岸部へ観光客を誘致し、交流人口の拡大により地域経済の活性化を図ることが肝要と認識をしております。このため、これまで、沿岸へ向かう復興応援バスツアーの運行支援や、首都圏のマスコミを県北・沿岸地域へ招待するプレスツアーなどを実施するとともに、北海道や首都圏等で開催した教育旅行誘致説明会において震災学習を中心に据えて強力にPRするなど、沿岸地域への教育旅行の誘致にも取り組んできたところです。
 今後は、宿泊施設の再開など復興の進捗状況も踏まえて、復興応援バスツアーを当初の3コースから6コースに拡充して来年1月から運行するほか、県北・沿岸地域を回遊するバスツアーの試験運行やJR山手線への広告掲出、有名旅行雑誌を活用したPRを行うこととしております。また、ジオパークなど、新たな取り組みと連携するとともに、特にも北海道新幹線函館開業を見据え、北海道南部からの教育旅行の誘致をさらに強化することなどにより、沿岸部の観光振興を図っていきたいと考えております。
 次に、グループ補助金の事業繰り越しについてでありますが、平成23年度に交付決定を受けた事業者の9割以上が年度内に事業完了見込みとなっており、おおむね順調に実施されているものと認識しておりますが、土地問題や設計変更等により実施計画年度内に完了することが困難な事業者もおり、補助の継続に不安を抱いているものと思われます。こうしたことから、繰り越しの手続について、本県を初め被災県が連携して、国に対し、その弾力的運用を強く要望してきたところ、今般、国がそれを受け入れ、手続の簡素化を決定したところです。
 今後は、補助制度の運用について事業者に丁寧に説明をし、安心して事業を進めることができるよう支援してまいります。
 次に、不採択となった事業者への対応についてでありますが、現在第5次公募の受付中であり、来年1月の締め切り時点での状況を見きわめながら、国に対してグループ補助金の来年度以降の事業継続と必要な予算措置を要望していくとともに、県単の中小企業被災資産復旧費補助や融資制度などの活用を促し支援してまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、今後の看護師確保対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、第7次看護職員需給見通しにおいて供給不足が見込まれますことから、県では、これまで、いわて看護職員確保定着アクションプランに基づき、看護職員の安定的な確保と定着を図るための取り組みを進めてきたところであります。特に、平成23年度からは、看護職員の県内定着率を高めるため、県内の特定施設に一定期間勤務することで償還を免除する看護職員修学資金の貸付枠を大幅に拡大したほか、沿岸被災者等へ優先的に貸し付けを行い、その養成、確保に取り組んでおります。
 また、沿岸被災地は発災前から看護職員の確保が困難だった地域であり、被災後は医療機関のほか介護保険施設等で確保が一層困難な状況となっておりますことから、県内外の求職者への被災地での就業の積極的働きかけを行ってきたほか、議員御指摘のように、現場の声に一層耳を傾けながら課題解決を図るため求人医療施設等を訪問し、看護職員確保や就労環境改善のための助言などのマッチング支援を行う被災地看護職員確保定着事業を開始したところであります。
 今後とも、アクションプランに基づき、看護職員の確保、定着に取り組んでいくとともに、沿岸被災地の実情に応じたきめ細やかな看護職員の確保の支援を行うなど、医療資源の地域偏在に対応した取り組みを進めてまいります。
 次に、宮古高等看護学院の定員の拡充についてでありますが、県立宮古高等看護学院につきましては、設置後約20年が経過し施設が老朽化してきていることや施設の一部に震災による被害もあったことから、平成25年度以降、大規模改修により、実習施設の整備など教育環境の充実を図ることとしております。
 また、これとあわせて、被災地における看護職員の確保の観点から、学生定員の拡充も視野に入れた環境の整備を行いたいと考えており、沿岸地区の看護職員の確保状況、志願者数、入学者の動向、卒業生の就業状況等を踏まえ、必要な学生数を検討してまいりたいと考えております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、漁船、養殖施設及び種苗生産施設の復旧の状況についてでありますが、漁船につきましては、10月末現在、これまでに補助事業で交付決定した漁船数は6、551隻で、これに補助事業によらない新規登録漁船2、059隻と被災を免れた漁船を加えますと1万350隻となり、現在のところ被災隻数の78%の水準まで回復できる見通しとなっております。
 また、養殖施設は、200メートル換算で被災前の2万6、514台に対してその50%が復旧しており、今年度中には61%に当たる1万6、120台まで復旧する見通しとなっております。
 さらに、ウニ、アワビの種苗生産施設は、栽培漁業協会が運営する県有施設について、種市施設が平成25年3月末、大船渡施設が平成25年8月末の完成を見込んでおり、これに漁協の施設整備が平成25年度までに完了することで、ウニは平成26年から250万個、アワビは平成27年から被災前を上回る890万個の種苗供給体制が整う見込みです。
 次に、水産加工、流通業の復旧、復興の状況についてでありますが、漁業協同組合や水産加工業協同組合を対象とする魚市場等の荷さばき施設、製氷、貯氷施設、冷凍、冷蔵施設及び加工処理施設等の復旧、整備の状況につきましては、10月末現在、102カ所の施設に着手し、うち57カ所の施設が供用可能となっており、あわせて、これらの施設で使用される機器等の整備も支援しております。このほか、いわゆるグループ補助金事業や市町村の復興交付金事業によって民間事業者等の加工、流通関連施設の復旧、整備が進められており、本年8月1日現在の状況について、被災事業所復興状況調査では、被災した水産加工事業所のうち、一部再開も含め約8割弱が再開しております。
 今後とも、国や市町村と連携しながら、漁業、養殖業と流通、加工業の一体的な復旧、整備を着実に進め、本県水産業の再生を図ってまいります。
 次に、木質バイオマス発電についてでありますが、木質バイオマス発電は、未利用間伐材の需要開拓などにより、林業の活性化や被災地の復興に貢献するものと認識しております。
 宮古市でのプロジェクトは、発電のみならず、熱の活用、さらには最先端技術で水素を製造しようとする先駆的な取り組みであり、実用化されれば地域にもたらす効果は大きいものがあると考えております。一方で、木質燃料の安定的な調達や採算性のほか、先駆的な取り組みであり、技術的な課題も解決していく必要があるものと認識しており、県といたしましては、宮古市と十分情報交換しながら、支援のあり方について検討していきたいと考えております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) 再生可能エネルギーの導入計画及び実施状況についてでありますが、再生可能エネルギーの導入は、エネルギー自給率の向上や地球温暖化防止、さらには災害にも対応できる自立・分散型のエネルギー供給体制の構築を通じた東日本大震災津波からの復興を図る上で重要な課題であると考えております。
 このため、本年3月に策定した岩手県地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーによる電力自給率を平成22年度の18.1%から平成32年度には約2倍の35%とする目標を掲げ、防災拠点施設や住宅、事業所等への導入の支援のほか、県単融資制度の創設など、大規模発電施設の立地に向けた取り組みを進めております。
 こうした取り組みの結果、被災家屋への太陽光発電の導入や、洋野町、久慈市、一関市、盛岡市、北上市など沿岸北部や内陸部を中心にメガソーラーが、一戸町、一関市では大規模風力発電が、八幡平市では地熱発電の立地計画がそれぞれ進んでおり、また、地域の特性を生かした小水力発電や木質バイオマスの熱利用などの取り組みも進展しております。こうした取り組みに加え、復興計画に掲げるさんりくエコタウン形成プロジェクトの推進を図る観点から、自立・分散型のエネルギー供給体制を構築するための調査研究を行うなど、災害にも対応できるまちづくりの実現に向けた取り組みを推進してまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) 土坂峠のトンネル化についてでありますが、東日本大震災津波におきまして、県道大槌小国線は、震災時の避難道路や、後方支援拠点であった遠野市から大槌町への緊急物資の輸送道路等として有効に機能したところであります。このことから、県では復興計画の中で、災害に強く信頼性の高い道路ネットワークを構築するために、大槌小国線を復興関連道路として位置づけ、交通隘路箇所の解消や防災対策、橋梁の耐震化を進めております。
 土坂峠につきましては、早期に整備効果が発現できます現道拡幅区間の約1.1キロメートルの区間につきまして現在整備を進めておりますほか、安全な交通を確保するため、峠地区ののり面防災対策を実施しているところであります。トンネル化につきましては、道路ネットワークの整備における本区間の位置づけや県全体の道路整備計画の中で、交通量の推移などを見きわめながら総合的に判断してまいります。
〇11番(城内愛彦君) 再質問に移ります。
 知事は、11月29日の記者会見で、民意という言葉を用いながら、記者の質問に対していろいろとお答えになっておいででありましたが、復興大臣は、現場を知っている宮城県や岩手県の方がやればよいという特定の方の話を引用しての質問に対し、ある意味、現場において復興大臣のつもりでやっているようなところもありますし、要は、実態として、きちんと被災県の知事が地元にしっかり、被災地にしっかり寄り添いながらまた国を的確に動かしていければいいので、その仕組みについては、今やっているやり方よりもいい方法があるのであれば、それはそれでいいのではないかと思うとお答えになっていますが、そのことについて確認ですが、被災地では、もっと知事の行動力と具体的発信を期待していると思うんです。知事の見解は見解としても、先日、山田町に行って被災地の方々のお話を聞くにつけ、盛岡市にいて気づかないことというのはたくさんあると思うんです。やはりどんどん被災地に足を運ぶべきだと思うことがまず1点あります。その点について伺います。
 2点目は、市町村合併の再質問ですが、震災津波を受け、改めて市町村の合併の必要はないのかお伺いします。
 この件については、今は合併を考える時期ではないのかもしれませんが、一定の復興計画がおさまるだろう10年後のことを考えますと、今から議論をする余地もあるのではないかと考えます。そこで伺うものであります。
 次に、グループ補助金について伺うんですが、被災地に仮設店舗がたくさんできておるわけですが、そこで営業している方々が、今後新たなまちづくりの中で、本格的な自立に向けた復興支援について県としてどういう形で支援をしていくのか、バックアップをしていくのか、その点をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 復興に向けた行動力と具体的発信についてということでありますが、東日本大震災津波の発生以降、答えは現場にあるという考えのもと、復興に携わる者全てが現場である被災地、被災者の声に耳を傾け、今なお非常時であるという認識を持って迅速な復興に当たることが求められていると認識しております。
 こうした考え方のもと、被災地や被災者の実態を踏まえた迅速な復興を実現するために、本県が大震災津波を乗り越えて力強く復興するための復興計画をいち早く策定しましたほか、発災以降、国に対し、二重債務の解消などの新たな復興制度を提案し、その具体化を実現するとともに、国の予算を先取りした補正予算を編成し、1兆3、000億円を超える東日本大震災津波関係予算を措置するなど、県の総力を挙げた取り組みを進めております。
 また、復興に向けた取り組みを加速するため、政府への予算要望活動や国の復興推進委員会での提案、各界のオピニオンリーダーを介した情報発信、マスメディアを通じた提言の発信や首都圏でのフォーラムの開催などにより、既存の枠組みを超えた強力な復旧、復興施策や自由度の高い交付金制度の創設、行政手続の一層の簡素化など、復興に向けた抜本的な特例措置を講ずるよう強く働きかけているところであります。
 今後におきましても、県民の不安を一日も早く払拭し、震災を乗り越えて力強く復興するため、いのちを守り、海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造という目標をしっかり見定めながら、復興、そしてその先にある希望郷いわての実現に向けて県民と一緒に全力で取り組んでまいります。
〇政策地域部長(中村一郎君) 今後の市町村合併についてでございますが、住民に最も身近な基礎的自治体であります市町村の望ましい姿につきましては、合併を選択するか否かも含めまして、住民の意向を踏まえ、それぞれの市町村が自主的に決めるべきものというように考えてございます。
 また、昨年度、岩手県町村会のほうから、効率的な復興の名のもとに市町村合併を強制しないことというような要望も受けていることもあり、県といたしましては、これまでどおり地域の自主的な取り組みを支援することを基本といたしまして対応してまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 仮設店舗から本格的な自立に向けた支援についてでありますが、建物や設備の補助制度が大変有効であると考えておりまして、国にグループ補助金の来年度以降の継続を引き続き要望していくとともに、県単の復旧費補助についても事業の継続を検討することとしております。
 また、国の来年度概算要求におきまして、新規で、商業機能の回復に必要な施設整備を補助する被災地域商業復興支援事業が事項要求されているところでございます。
 このほか、県では、経営力向上のため、仮設店舗に専門家を派遣いたしまして、接遇や店舗レイアウト、販売促進などを指導するほか、新たな商店街構築に向けて、地域の主体的な取り組みを促すため、阪神・淡路大震災の復興事業に経験のあるアドバイザーを派遣し、地域の商店主等による区画整理や商業集積の勉強会を開催しております。
 さらに必要となる支援策につきましては、事業者の方々の声をよくお聞きしながら検討していくなど、これからの本格再開が円滑に進むよう努めてまいります。
〇11番(城内愛彦君) おおむね答弁については了としたいと思いますが、やっぱり一つ納得できないのは土坂トンネルであります。くい打ちもして、これまで前知事が行った住民に対する意思表示と、私は差異があると思うんです。あすあす地元の方々はトンネルが通るんじゃないかと、そこまで期待感を膨らませておったやさきのそういう答弁は、私とすれば、いささかどころではなくて納得ができないところであります。再度そのことについてお伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) 住民の皆様に事業の説明を行ったのが平成12年9月、公表いたしました。そのときには環境が今とちょっと違っておりまして、平成12年のときは、道路の改築系の予算、つまり改良系の予算が年間421億円ほどございました。現在は、改築系の─復興の関係を除きますけれども─ことしの予算は98億円になっています。つまり4分の1以下になっています。それから、やっぱり人口減少が大きいと思います。交通量が極めて減ってきています。そのときには、さまざま開発を見込んだいろいろな台数だとか、いろいろなことを見込んでいたわけですが、現在は、人口減少に向かうとなると、いろいろな施策、それから、例えば川井と大槌の何かの連携とか、そういう新たなことを入れなければ、非常に今、難しい状況に陥っているというのが現状であります。
 ですから、今まで、確かに平成12年以来、現道の部分は今進めてきておりますし、峠部の安全確保は並行的に進めておりますけれども、今後も、どうすれば川井と大槌、それから遠野と大槌、そういう連携の中でどういう施策が打てるか、事業化できるかということについては地元の皆さんとともに研究をしてまいりたいと思います。
〇11番(城内愛彦君) 事情はわかります。でも、約束は約束であります。そのことについては、今後も、私は議席があるうちはしっかりと議論を交わしていきたいと思います。
 終わります。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時21分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 名須川   晋 君
6  番 後 藤   完 君
7  番 佐々木 朋 和 君
8  番 佐々木   努 君
9  番 軽 石 義 則 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 岩 渕   誠 君
18  番 郷右近   浩 君
19  番 喜 多 正 敏 君
20  番 高 橋 但 馬 君
21  番 小 野   共 君
22  番 高 橋   元 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 関 根 敏 伸 君
29  番 工 藤 大 輔 君
30  番 高 橋 昌 造 君
31  番 五日市   王 君
32  番 小田島 峰 雄 君
33  番 大 宮 惇 幸 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 伊 藤 勢 至 君
42  番 佐々木   博 君
43  番 田 村   誠 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時43分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。木村幸弘君。
   〔14番木村幸弘君登壇〕(拍手)

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