平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇13番(吉田敬子君) 地域政党いわての吉田敬子です。
 このたびの登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様に心から感謝申し上げます。また、県民の皆様の声の代弁者としてこの場に立たせていただくことに心から感謝を申し上げます。
 それでは、順次質問してまいります。
 最初に、知事の政治姿勢について伺います。
 今定例会は総選挙の真っただ中にありますが、県政課題は山積しており、震災からの復興を筆頭に、私たち県政に携わる者は、県政課題解決に向けた議論を第一にすべきと考えております。地域政党いわてとしては、これまで、知事の国政へのかかわり方などに県政を推進するトップリーダーとしてさまざまな懸念を示してまいりました。今次、解散総選挙へのスタンスについても申し上げたい事項が多々ありますが、選挙中ということもあり、あえて控え、次回以降の議論の場でその懸念については会派としてただす予定です。
 ただし、知事には、選挙期間と県議会定例会が重なる中で、県政優先、議会対応が第一という姿勢を明らかにしていただきたいと思いますが、所見を伺います。
 次に、仕事と子育ての両立支援と少子化対策について伺います。
 少子化の原因の一つに、未婚化、晩婚化、非婚化が挙げられます。結婚に対する価値観が変化する中、多様化した価値観に対して、結婚を促すことが果たして課題解決につながるかは疑問です。
 私は、少子化対策として、まずやれるべきことは二つあると考えています。一つは、子供が欲しいけれども子供を授かれないカップルへの支援、いわゆる不妊治療への支援、そしてもう一つが待機児童の解消です。少子化や人口減少が進む中、今いる子供たちをまずは社会全体で守り育てる環境整備をすることが重要で、また、そうすることで、これから結婚し子供を持とうとする若い世代に子供を産み育てることの楽しさ、すばらしさを感じてもらい、結婚、子育てに対し不安を与えることのない社会づくりをしていく必要があります。
 現代の女性は、結婚しても、また、子供ができても仕事を続けたいという方がほとんどですが、実態はまだ困難な状況にあります。仕事と子育てを両立するには、まずは子供を安全・安心に預けられる環境でなくてはいけません。待機児童の解消が何よりの少子化対策の一つと考えますが、認可外の施設の希望者や、最初から入園をあきらめてしまっている場合はその数に含まれないため、民間の調査では潜在的な待機児童が相当数存在するとも言われており、県で把握している待機児童数についても潜在需要がカウントされていないのではという懸念があります。預ける側の視点で保育所の体制を見直し、保育ニーズを正確に把握する必要があると考えますが、県では、待機児童の数についてどう分析し、待機児童の解消、放課後の児童の居場所の確保等、保育所等の整備でどのような成果を上げてきたのか、また、解決に至らない原因をどう認識し、今後どのように仕事と子育ての両立支援に取り組んでいこうとしているのか伺います。
 また、非正規雇用等による低所得により生活が安定しない若者がふえている中、非正規雇用のままであっても安定した社会保障が受けられる制度改革が必要であると私は考えます。子供を預けられる環境が整ったとしても、実際には低所得等のため保育料を負担できず、子供を預けられない世帯があることから支援策が必要だと思いますが、それについて県ではどのように考えているか伺います。
 次に、放射性物質の影響とその対策について伺います。
 東日本大震災津波発災後、今なお私たちの生活を脅かしているのが福島第一原発事故後の放射能被害です。シイタケ生産者の方に先日お会いし、先行き不安定な状況に苦しんでおられました。農林水産業事業者はもちろんのこと、風評被害で打撃を受けた観光業界を初めとする、今回の放射能被害で経営等に影響を及ぼされた県民に対する継続的かつさらなる支援拡充、東電への賠償請求と、今後も引き続き放射性物質被害に対する素早い対策を講じていただきたいと思います。牧草等、放射性物質に汚染された廃棄物の焼却、処分等、まだまだ課題が山積しています。
 現在、原発が一つの争点にされた選挙戦が繰り広げられています。もちろん私は、原発に頼らない再生可能エネルギー政策へ国としてシフトしていただきたいと強く願っています。しかし、政府がやるべきことは、将来に対する決断だけではなく、と同時に、起きてしまったことに対する責任行動です。どの政党が政権を握っても、原発事故で苦しんでいる国民に対する一刻も早い措置を講ずる責任があるはずです。そして、防災計画の見直しや原発関連施設を抱える隣県との協定等、今すぐにでも県として独自にできることも多々あります。
 きょうは放射性物質から県民の健康、安全・安心を守るという観点から質問を行います。特に、健康への影響が一番大きいと心配される子供たちへの対策に焦点を絞り、伺います。
 まず、知事に伺います。先ほども少子化対策について取り上げましたが、少子化が進む中、私たちの社会にとって、その子供たちというのはかけがえのない大切な財産です。放射性物質の影響を一番受けやすいとされるのは子供たちです。子供たちを安全・安心に守ることができれば大人にとっても大丈夫だという考えから、私たちの宝であるこの将来ある子供たちの健康をどのように守っていくおつもりなのか、その意気込みについてお示し願います。
 県で県南3市町の子供たちの尿検査を今年度も継続することに対しては、大変感謝し、評価しております。しかし、放射性物質の人体への影響等については知見が乏しいことから、県においては、国の動向に左右されずに、早期発見、早期治療の予防原則にのっとって、子供たちを率先して守るためのあらゆる策を講ずるべきと考えます。
 また、県内では、県南以外の場所でも放射性物質の値が高いホットスポットと呼ばれる場所があります。そこで伺いますが、県が行う子供たちの健康への影響に対する対策について、尿検査のみで十分だという認識であるのか、ホットスポットに住む子供たち等、県南3市町以外の子供たちの健康状況への認識も含め、課題をどのように捉え、また、今後どのように取り組んでいくおつもりなのかお示し願います。
 また、先般、県内諸団体から要望書が提出され、甲状腺検査の実施と岩手県放射線内部被ばく健康影響調査有識者会議へ市民の代表を加えることについて求められておりますが、県としての見解をお示し願います。
 次に、エネルギー政策と森林、林業再生について伺います。
 県の掲げているエネルギー政策については、岩手県の特色あるエネルギー政策として、バイオマスエネルギー、特にも、地元に雇用を生む木質バイオマスを牽引役として推進していくことが有効と認識しています。県内では、地域や民間等と連携した先進的な取り組みが見られる自治体がふえており、県としてさらに後押ししていくべきと考えます。
 政府は、2020年の木材自給率を50%にするという目標値を掲げています。県が取り組む川上、川中、川下のそれぞれの課題の中でも、特に、川上については林内路網の整備、川中については合板工場の誘致、川下については県産材の利用拡大を図ることが急務だと私は考えます。そこで、県ではそれぞれにどのように取り組んでいるのか順次伺います。
 まず、川上の林内路網の整備について。
 国では、森林・林業再生プランにおいて、林道、林業専用道、森林作業道の3区分に整理してそれぞれの役割を明確化するとしていますが、県の計画にはそれが反映されていないのではないでしょうか。県の目標は林道に対するものしか設定されておらず、しかもその数値は平成10年度に策定された民有林林道網整備計画にのっとったもので、新たな森林・林業再生プランに合っていないのではないかと考えます。
 県の路網密度は、現在、1ヘクタール当たり24.4メートルと、全国平均の21.5メートルは上回るものの、ドイツでは、現在、1ヘクタール当たり100メートル以上の路網密度となっており、国としても、これまでの日本の路網密度の設定自体が低過ぎたのではと指摘しています。高性能林業機械の活用等によって林業の生産性を向上させていくためにも林内路網整備は早急に進める必要があると考えますが、県独自の路網整備目標の見直しを含めて県の所感を伺います。
 次に、川中の合板工場の誘致について。
 被災した大船渡市の北日本プライウッド合板工場が再開を断念しました。森林組合関係の方々は、これからますます復興に向けた住宅建築等への木材需要が見込まれる中、他県から木材が入ることになってしまうのではないかと不安を抱いています。
 そこで伺いますが、県では、これまで合板工場等の誘致を進めると答弁してきましたが、実際にどのような誘致活動を行ってきたのか、また、今後の誘致見込みと県としての対応についてお示し願います。
 次に、川下の県産材の利用拡大について。
 県産材については、材を多く利用する住宅建築への利用拡大を促進すべきと考えます。先日、東京ビッグサイトで開催されたジャパンホーム&ビルディングショー2012へ参加しました。ふるさと建材見本市には秋田県、岐阜県、三重県等多数の県が参加しており、中でも秋田県は10年連続参加と伺いました。参加企業の方々には、続けることが大事、東京に来てほかの企業の技術や他県の取り組みを勉強でき、交流が図れるので意欲も湧くと伺い、このような全国展示会等への参加は県産材のPRに大変有効と考えます。また、山形県、山梨県、奈良県等では、企業等と連携または協定を結び、県産材の利用拡大に努めています。
 なお、秋田県では、平成22年10月に施行された公共建築物等木材利用促進法に基づき、木材利用に係る市町村方針を全国で初めて県内全市町村で策定され、県が整備する公共建築物のうち、法令等で規制がない低層の公共建築物は原則木造化、木造化が困難な場合を含め、全ての公共建築物の内装等の木質化を進めており、今般、秋田空港の内装の秋田杉による木質化が決まり、公共性の高いロビー等は県費で行うとのことです。
 このような取り組みを参考に、岩手県でも住宅メーカー等、企業等と連携を図り、これからますます復興需要の見込まれる住宅建材等への県産材利用拡大に取り組むべきと思いますが、県ではどのように県産材の利用拡大に取り組んでいく考えか具体的に伺います。
 次に、環境王国いわてに向けた取り組みについて伺います。
 環境王国いわての実現のためには、かけがえのない地球環境を守り、限りある資源を有効に活用していこうとする循環型社会の形成が重要です。県でも、物を大切にする、ごみは出さない、資源を大切に使うというごみの減量、リサイクルを通じた3R─リデュース、リユース、リサイクルの行動が環境王国いわてのライフスタイルの基本としています。
 一方、本県の災害廃棄物、いわゆる瓦れきの推計量は525万トンで、平成26年3月の処理完了を目指していますが、本年10月末現在の処理進捗率は19.7%となっています。しかし、県内のごみ処理施設では、被災地からの災害廃棄物を受け入れることにより、その処理量が増加しています。災害廃棄物の処理が早く終わることにこしたことはなく、私たち県民の日ごろのごみの軽減により、少しでも県内のごみ処理施設の負担や最終処分場での埋立量を減らすことが求められています。県民一人一人の日常的な取り組みを通じて災害廃棄物の処理を一日も早く終わらせることは、震災からの復興はもちろんのこと、真の環境王国いわての実現に向けた県民意識の醸成、高揚にもつながるものと考え、順次質問します。
 リサイクルの向上と普及について。
 平成22年度の岩手県のリサイクル率は18.7%で、全国平均の20.8%を下回っています。岩手県のリサイクル率は、ここ数年を見てもほぼ横ばいで、常に全国平均を下回っています。県内市町村別のリサイクル率を見ると、滝沢村、住田町、紫波町等が常に上位を占めています。県として、そのリサイクル率の高い要因を把握、分析し、リサイクルの優良モデルとして他市町村への普及に取り組んでいるのか、今後、リサイクル率を向上させるためどのように取り組むのか伺います。
 古着のリサイクルについて。
 リサイクルは、ガラス瓶、紙、プラスチック等の容器包装のリサイクル、家電のリサイクル、携帯電話や電池やパソコン等のリサイクル、古着のリサイクルに大別されます。これらの中で、身近で可能性が十分にあるのに、取り組みが不十分であるのが古着のリサイクルだと考えます。古着のリサイクルをもっと推進すれば岩手県のリサイクル率の向上に寄与できるものと考えますが、県の所感を伺います。
 次に、伝統工芸品と観光振興について伺います。
 日本経済の低迷が続く中、地域経済の活性化のためには、グローバルな視点で先々を見越した戦略が必要です。今後、世界で生き残れる産業を育成していくためのキーワードは、岩手にしかないもの、岩手だからこそであり、これらに合致するものの一つが本県の地場産業である伝統工芸品と考えます。南部鉄器や浄法寺漆だけでなく、東山和紙、織物、染物、木工品、竹、わら細工等、岩手が世界へ誇れる職人わざ、職人芸です。
 県工業技術センターの取り組みも評価しつつ、この伝統工芸品を世界に本県を売り込む戦略品目と位置づけて振興に取り組み、また、後継者育成にもさらに力を注いでいただきたいと思いますが、県の所感を伺います。
 次に、県の観光ホームページと岩手の魅力について伺います。
 県の関与する観光ホームページは、確認できるだけで23個と承知していますが、アクセス数の分析結果に基づき、各ホームページの充実を図ってきたのか伺います。
 県が関与する観光ホームページは、一つ一つがそれぞれとても魅力的で、情報が満載。情報が豊富であることは重要な要素であるものの、ホームページ訪問者に対する利便性を考慮する必要もあるのではと思います。利用者が望む情報が、県の観光ホームページ23個のうちどれか一つのホームページで入手できるよう改修し、ホームページのワンストップ化、利便性の向上を図る必要があると考えますが、御所見を伺います。
 さらに、利用者に対し、岩手を訪問したい、旅したいと強く感じるような魅力度の向上も必要と考えます。このため、現在のホームページで行っている訪問場所のみを順番に掲載する方法に加え、食事や宿泊情報を1コースセットで掲載するのはいかがでしょうか。現在の観光モデルコースに、農業体験や先ほどの伝統工芸品等と観光コースをセットで提案したり、日帰り、1泊、2泊やカップルの旅、女性の旅、夫婦の旅など、目的や用途に合った具体的な選択肢やモデルコース等、岩手の魅力を生かした新たなコースの提案、発信により県の観光ホームページを充実させ、観光振興を図るべきと考えますが、所感を伺います。
 次に、若者の雇用創出のための産業振興と人材育成について伺います。
 岩手は、震災前から過疎化の問題が顕著で、震災後は特に被災地から若者が減っているのが現状です。その大きな原因は、雇用が確保されないための将来不安です。また、岩手の地域経済を活性化するためには、その一つの方策として、県内に本県の将来を担う若者の雇用の場を確保し、U・Iターン者をふやすことが有効と考えます。特にも、エネルギー、環境分野はもちろんのこと、ゲームを含めた携帯用アプリ開発等のICT関連など、若者に関心が高く、魅力ある新たな産業の創出が重要と考えます。特に、ICTについては、技術さえあれば仕事の場所を選ばないため、将来性の高い分野だと考えます。県内では、岩手ゲームファクトリーやいわてデジタルコンテンツ産業育成プロジェクト等の発足、東北最大規模の電子書籍の制作センターがつくられるなどの動きもあります。知事は、どの分野に特に力を入れ、岩手の産業振興を今後どのように展開していくお考えか伺います。
 県内では、ICTに精通し、利活用を進めることのできる人材が不足していることから、岩手県立大学等の果たす役割が重要と考えます。岩手県立大学にはソフトウェア学部がありますが、ICTの進展は目覚ましく、今後もますます技術革新が進むと思われる中、時代の流れに合った講師陣または授業内容等になっているのでしょうか。また、大学の質の低下について危ぶまれる近年、県立大学では、現在、具体的にどのような魅力ある特色づくりに取り組んでいるのでしょうか。
 震災後は、学生ボランティアセンターや復興ガールズなど、学生たちの活動ぶりは将来に希望を感じます。学生たちが地域社会に貢献できる人材育成にさらに力を入れていただきたいと思います。他県では、学外教育の充実を図り、教育力に力を入れている大学もあります。インターンシップ、ボランティア、海外の認定校への留学などに参加できるプログラムを用意するなど、社会人としての基礎となる社会性の養成にも力を入れていくべきと考えますが、ICT産業の人材育成も含め、御所見を伺います。
 次に、県有財産の有効活用について伺います。
 県有財産の一つであるつなぎスイミングセンターについては、昨日の高橋但馬議員の一般質問でも議論が交わされました。県の所有する財産について、公共施設の設置の見直し、行政組織及び県立学校の再編等に伴い、現在、未利用あるいは今後、用途廃止が見込まれる土地、建物が増加傾向にあるなどの考え方のもと県有未利用資産等活用・処分方針が策定されましたが、この方針が策定されたのは平成23年2月で、3月11日の東日本大震災津波発災前のことです。震災後、県では復興基本計画を策定され、その実現に向けて取り組んでいる今、県の目指す希望郷いわての実現のためにも、県有財産に対する基本姿勢、特にも、県による有効活用─再利用に対する考えをまずは改め直すべきと思いますが、県の考えを伺います。
 また、旧盛岡短期大学跡地についても、地域住民からは公共的施設としての利用を図ってほしいとの要望も出ています。廃校となった中学校跡地をワーキングスペースとして活用し、若手起業家の支援にもつながっている世田谷ものづくり学校等も参考に、復興拠点施設や文化芸術振興施設等として利用するなど、売却ではなく、県が利用する方針で再検討する必要もあると思いますが、県の考えを伺います。
 最後に、学校図書館とキャリア教育について伺います。
 県の高等学校の学校図書館担当職員、いわゆる学校司書配置状況は、平成22年度9.2%と、1位が100%の中、全国ワースト2位となっています。しかも、県立高校では、平成22年度の配置数5校が平成24年度には3校へ減ってもいます。県として学校図書館の機能充実を怠ってきた結果ではないでしょうか。
 確かに図書館を利用する高校生の数は減ってきているかもしれません。しかし、だからといってないがしろにしてよいはずはないと思います。学校とは誰にとっても最低限の教育の機会を確保すべき場所であり、図書に触れる子供たちが減ってきている中、学校において図書に接する機会を提供することが本来の役目と考えます。
 そこで伺いますが、現在の県立高等学校の学校図書館担当職員の配置状況が3校となっている理由と、今後、学校図書館をどのように位置づけ、取り組んでいくお考えかお示し願います。
 また、県内の学校図書館については、図書の貸出数の推移や活用状況を把握する必要があると考えますが、所感を伺います。
 若者を取り巻く就労や雇用の環境が大きく変化し、若者の失業率や非正規雇用者が増加傾向にあります。一方、高校や大学を卒業した若者の早期離職傾向や職業観の未熟さ、社会人、職業人としての資質や能力の不足等が社会的に大きな課題となっています。特にも震災後の今、未来の岩手を担う子供たちには将来に夢と希望を抱いてもらわなくてはいけません。公務員や弁護士、医者だけが将来有望な仕事ではありません。多様な将来プランを形成できる子供、挫折や失敗を経験しても立ち直れる、ナンバーワンではなくオンリーワンであることの大切さ、そんな子供たちを育むためには、学校でのキャリア教育が重要です。
 県でのキャリア教育のこれまでの取り組みは評価します。しかし、全ての学校において、社会人、職業人としての自立を図るためのキャリア教育、総合生活力、人生設計力を育むキャリア教育が実施されるよう強く要望します。小中学生はもちろんですが、特にも、社会への出口が近い高校生たちに多様性と価値観を育む必要があり、また、震災後、故郷に貢献したいという子供たちもたくさんいることから、震災からの復興に向け、広い視野を持って、多様性に富んだ人材を育成するためにも、特にも普通高校でのキャリア教育の推進が重要と考えますが、教育長の所感を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。
 今回は、子供たちに重点を置き質問させていただきました。子供たちは、選挙権もなければ経済的な自立もありません。3月11日の震災は確かに大きな悲劇でした。しかし、だからといって、それが子供たちの未来に不利となってはなりません。この国を立て直さないと、一番影響を受けるのは子供たちです。そして、その責任は私たち大人にあります。力のない子供たちの心の声にも寄り添う県政運営に期待を込め、また、復興を担う子供たちに夢と希望を与えられる岩手県であるよう強く願い、終わります。
 答弁によっては、私の再質問並びに同僚議員からの関連質問もあるかもしれませんので、誠意ある御答弁をよろしくお願い申し上げます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 吉田敬子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の政治姿勢についてでありますが、私は、東日本大震災津波の被災県知事として、被災地に寄り添いながら、復興計画及びいわて県民計画を推進しているところであり、今後とも、この大震災からの復旧、復興を進める知事としての役割を果たしていかなければならないと考えております。
 県議会につきましては、執行機関としての県とともに、地方行政における車の両輪として機能することが求められており、県政課題について、議員側と県執行部側との活発な議論が交わされることが、県政運営上、極めて重要と考えております。したがいまして、これまでも、県議会において、知事として真摯に対応してまいりましたし、本議会もそのように対応しているところでございます。その上で、私の政治活動につきましては、法令の趣旨に沿って、適切に行動してまいりたいと考えております。
 次に、子供たちの健康の確保についてでありますが、県では、昨年7月に原発放射線影響対策の基本方針を策定いたしました。その基本方針の中で、県民の安全・安心の確保、とりわけ放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康や食の安全・安心を重視するという方針を掲げております。その方針のもと、学校等の教育施設を初めとした県内各地の放射線量の低減や県産食材、学校給食の検査など、放射線影響対策に取り組んできたところであります。
 岩手の復興、岩手の未来を担うのは子供たちであります。今後とも、市町村と一層連携を図りながら、引き続き放射線量の低減措置を積極的に推進するとともに、内部被曝状況の継続的な把握、放射線に係る健康相談支援やリスクコミュニケーション等に総合的に取り組み、子供たちの安全・安心の確保に努めてまいります。
 次に、若者の雇用を創出する産業振興についてでありますが、本県経済の活性化や人口の社会減等に対応するためには、若者が魅力を感じて働ける雇用の場や、Uターン、Iターンの受け皿となる産業の創出が不可欠であります。このため、裾野が広く雇用吸収力も高い自動車、半導体、医療機器関連産業を中核産業と位置づけるとともに、今後成長が期待される次世代自動車や環境・エネルギー、ロボットなどの産業分野の振興にも取り組んでおります。これらを支える重要な基盤技術であるICT関連技術は若者の関心が高い分野であり、この産業の振興を行うことで、ICT関係学部の卒業者の県内就職の促進や、ICT関連の職種を希望するUターン、Iターン求職者の受け入れにより、若者の雇用創出に努めております。
 また、新たな産業分野といたしまして、若者の関心が特に高く、技術や市場の進化が見込まれるデジタルコンテンツ産業の育成に向けて、県内の産学官関係者でプロジェクトを立ち上げ、ゲーム開発塾や講演会を開催するなど、その取り組みを支援しております。
 県といたしましては、今後とも、これらの取り組みにより、若者にとって魅力ある新たな産業を創出してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁をさせますので御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、子供を安心・安全に預けられる環境整備についてでありますが、保育所の待機児童数については、国が定めた待機児童に関する定義に基づき、保育の実施責任のある市町村を通じて調査を行い、その把握に努めております。
 議員御指摘のありました潜在的な保育需要については把握しておりませんが、平成23年1月に、認可外保育施設や幼稚園の預かり保育等を利用している児童の保護者約4、000人を対象に、今後の認可保育所の利用希望等に関する調査を実施いたしました。その結果、認可保育所の利用が可能であれば利用を希望する者の割合は、回答者約1、700人のうち約600人、34%となっております。一定程度の潜在的な保育需要があると認識しております。
 県では、待機児童の解消に向けた取り組みとして、平成21年度から保育所の緊急整備に重点的に取り組んだ結果、平成23年度までの3年間で38カ所の保育所整備を行い、863名の定員増を図ったところであります。また、放課後児童クラブについては、平成24年5月現在で295クラブと、平成21年度から41クラブ増となっております。しかしながら、県内の保育所における待機児童数は増加傾向にあり、その理由として、新規就労希望者の増加や、産後休暇後、すぐに職場に復帰する方の増加などが要因であると推察しております。このため、県においては、市町村に対し、引き続き待機児童数のほか認可外保育施設の利用状況等、地域の多様な保育ニーズを十分把握した上で、保育所や放課後児童クラブの整備計画等を策定するよう助言するなど、仕事と子育ての両立に向けた支援を行ってまいります。
 次に、低所得者世帯に対する保育料の保護者負担の軽減についてでありますが、保育料は、児童福祉法に基づき、国が全国一律に定めている保育所徴収金基準額を基本とし、市町村が地域の実情に応じて独自に設定しており、現在、県内すべての市町村において、保護者負担の軽減を図るため、国で定めている基準額を下回って保育料を設定しております。
 県といたしましては、保護者の負担が増大することのないよう、こうした市町村の取り組みを支援するため、全国一律に保育所徴収金基準額を定めている国に対して、その引き下げを毎年度要望しているところであります。
 次に、放射性物質の影響とその対策についてであります。
 まず、子供たちの健康への影響についてでありますが、県では、これまで、比較的空間線量が高い県南部を中心として、県独自で子供を対象とする放射線内部被ばく健康影響調査を実施いたしました。その結果については、有識者会議において、放射線による健康影響は極めて小さく、対象者や地域の拡大等を含む調査の継続は必要ないと考えられるとの見解をいただいたところであります。こうした評価について、県民に対する周知に努めてきたところでありますが、県南部を中心に放射線の健康影響に対する不安は必ずしも解消されていないと承知しております。
 今後の取り組みでありますが、現在、前回健康調査を行った子供たちの継続調査を行っているところであり、年明けには有識者会議に諮り、結果について評価をいただくこととしています。その評価については、リスクコミュニテーションの観点から、引き続き、わかりやすく県民の方々に伝えていくように努めてまいります。
 次に、甲状腺検査の実施についてでありますが、現在福島県で行われている甲状腺検査においては、甲状腺の良性疾患であるのう胞や結節が4割前後で発見されておりますが、国においては、福島県以外の3カ所以上の場所で、福島県の調査と同じ基準で甲状腺超音波検査を実施し、その結果を疫学的に比較する調査を実施していると承知しております。
 先ごろ開催いたしました本県の有識者会議におきましては、この調査結果を踏まえて対応を検討することが適切ではないかとの意見もいただいており、県としては、この国における調査なども勘案し、必要な対応を検討してまいります。
 次に、この有識者会議への市民代表の参加についてでありますが、有識者会議は、放射線防護学や緊急被曝医療等の専門家により構成しており、放射線の内部被曝調査の方法や評価について、技術的、専門的な見地から助言、評価をいただくことを目的として設置したものであります。県の方針や政策的判断を決定する場ではないことを御理解いただきたいと思います。
 なお、県民の方々や各種団体からの意見等を踏まえ、これまでも内部被ばく健康影響調査の継続や健康相談等支援事業費補助制度を創設してきたところであり、県としては、今後とも県民の要望に広く耳を傾けてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、林内路網の整備についてでありますが、国は平成22年11月に、森林・林業再生プランを実現していくための検討結果を公表し、その中で、路網を林道、林業専用道及び森林作業道に区分し、傾斜や搬出方法に応じた目指すべき路網整備水準を示しております。
 これまで、県は、民有林林道網整備計画を策定して以降、平成17年度に策定し、平成22年度に見直した林道整備事業中期実施計画に基づき林道の整備を推進してまいりましたが、国が傾斜や搬出方法に着目した路網整備水準を示したことや、本年4月から、計画区域ごとに森林整備を進める森林経営計画制度が開始されたことから、県といたしましては、国が路網区分ごとに示した整備水準も踏まえながら、計画に沿って経営される森林を重点に整備を図っていく必要があると考えており、現在、計画区域における路網整備の進め方の検討を進めております。
 次に、合板工場の誘致についてでありますが、大きく被災した大船渡地区の合板工場が事業再開を断念したことなどから、県は、行き場を失った原木等の新たな供給先への流通経費の支援等に取り組んできておりますが、林業、木材産業の振興のためには、木材の加工、流通が円滑に運ぶよう、合板工場などの加工施設を整備していくことが重要と認識しております。このため、県といたしましては、県産材の供給先となる合板工場をどのように誘致していくかなどにつきまして、企業立地部門と林業振興部門が一体となり検討し、林業関係団体とも連携しながら取り組みを進めております。
 今後とも、県産材の安定した供給先が確保できるよう、実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、県産材の利用拡大についてでありますが、本県では、平成15年12月に、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定し、県が率先して県産材利用に取り組むとともに、市町村に対しましても、公共建築物等木材利用促進法に基づく市町村方針の策定と県産材利用を働きかけてまいりました。
 また、大震災津波被害を踏まえまして、本年4月に、第3期行動計画の県産材利用量を上方修正し、木造住宅の建設や内装材への活用など、災害復興住宅も含めて利用拡大に取り組んでおります。このほか、県産材を使用した民間の復興住宅等の建設等に対する助成や、地域型復興住宅の建築を推進する工務店、林業、木材産業関係者で構成するグループへの情報提供や助言などに取り組み、県産材の利用拡大を図っております。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、リサイクル率の向上についてでありますが、県内でリサイクル率が最も高い岩泉町では、平成14年度にリサイクル推進員を設置し、ごみの分別に係る個別訪問による指導を地道に取り組み、古紙などの集団回収を積極的に実施しております。また、紫波町では、住民団体などが主体となって3R推進のイベント、事例発表や地区ごとの座談会の開催を行うなど、循環型の地域づくりに積極的に取り組んでおります。
 県では、こうした先進事例を市町村担当職員からなる家庭ごみ有料化・減量化研究会の場などを活用しながら情報共有するとともに、技術的な助言や普及啓発活動などを通じてリサイクル率の向上に努めており、今後とも、リサイクル率の低い市町村の底上げを図るなど、市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
 次に、古着のリサイクルについてでありますが、主に工業用雑巾などの原材料としてリサイクルされてきましたが、近年では再生事業者の引き取り数量が減少した影響などから資源化量は減少傾向にあり、現在、分別回収を実施しているのは6市町村にとどまっております。こうした中、新たに県内の古着販売事業者と市町村が連携し、リユースに比重を置いた集団回収が始まってきており、今年度は6市町村において、自治会、子供会などと連携して、8月から10月までに約60トンが収集され、再利用に回されているところでございます。
 古着の再利用は、工業用雑巾などへの再生利用が減少する中にあって、リサイクル率向上のための有効な方法の一つでありますことから、こうした取り組みをもったいない・いわて3R推進会議や家庭ごみ有料化・減量化研究会において情報共有するなど、今後、古着の資源化を一層進めてまいります。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、伝統工芸品の海外戦略品目への位置づけと後継者育成についてでありますが、和紙、織物、染物、木工品や竹、わら細工などの伝統工芸品については、地域の歴史、文化、自然を生かし、すぐれた職人のわざにより継承されてきた魅力あふれる県産品であり、本県の特色ある財産の一つと考えております。
 これらの伝統工芸品を海外戦略の品目として位置づけることにつきましては、本県の魅力発信に活用できる可能性があるものの、輸出の面では、現地ニーズの把握や安定した供給体制の確保などの課題もあり、慎重な検討が必要と考えております。
 また、後継者育成でありますが、伝統工芸産業においては、従事者の高齢化等による後継者の確保が重要な課題となっております。このため、県では、今年度から3年間の予定で緊急雇用創出事業を活用し、南部鉄器、秀衡塗、岩谷堂箪笥の後継者8名の育成に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、伝統工芸品については、ホームページ等によるPRやいわて特産品コンクールを初め、工芸展、物産展への出展による販売促進や魅力発信により、その技能を継承する後継者の参入を促すとともに、伝統工芸産業を担う各産地組合や事業者に対しては、伝統工芸に係る国などの事業を導入することにより、後継者の育成を支援しながら伝統工芸産業の振興を図っていく考えであります。
 次に、県の観光ホームページについてでありますが、アクセス数の分析につきましては、本県の代表的な観光ポータルサイトいわての旅では、平成16年度から平成19年度のアクセス件数が約30万件でしたが、平成19年度に大規模なリニューアルを行い、その結果、平成20年度のアクセス件数が約94万件、それ以降は150万件から160万件程度に急増したところであり、他のサイトにつきましても、アクセス数を把握しながらその充実に努めているものと承知をしております。
 情報の集約による利便性の向上につきましては、県が関係しているウェブサイトは、それぞれに開設目的や主たるターゲットがあるものの、本県を訪問する観光客にとってはいずれも有用な情報が盛り込まれておりますことから、県の観光ポータルサイトいわての旅への情報の取り込みや相互リンクの一層の充実などにより、一元的な情報提供に努めてまいります。
 また、観光ホームページの魅力度の向上につきましては、いわてDCの実施にあわせて、旅行商品等の予約サイトへの直接リンクの設定やオリジナル旅行コース作成機能の追加など、内容の充実を図ったところでございます。
 食事、宿泊、伝統工芸品の情報をセットで掲載、提案することなどにつきましては、各種民間サイトとの機能分担や公平性など、県が観光ポータルサイトを運営する上での制約やホームページの改修が必要となるなどの課題もありますことから、引き続き調査研究してまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) まず、岩手県立大学のICT対応と人材育成についてでございますが、岩手県立大学のソフトウェア情報学部では多様な専門領域の教員を配置するほか、企業から学外講師を招聘し、コンピューターサイエンスを基礎に加え、最新の技術や幅広い社会ニーズに対応する四つの専門コースを設けるとともに、1年次から所属する専門分野ごとの講座制による4年間の専門教育と人間教育に一体的に取り組み、高度なICT人材の育成を図っているところでございます。また、実学重視の観点から演習重視のカリキュラムを取り入れるとともに、震災復興等の地域課題に対する実学実践の教育研究活動、小学生から高校生を対象としたIT体験教室や育成講座の開設など、特色ある取り組みを幅広く展開しているところでございます。
 学外教育につきましては、中国や台湾、オーストリアの大学と国際交流協定を締結しているほか、アメリカの東ワシントン大学への短期留学の派遣プログラムなどを行っておりますが、学生や企業等のニーズも踏まえ、今後も充実を図っていきたいと考えております。
 なお、今後の学部教育の充実に向けて、新入生の基礎学力の不足を補うリメディカル教育や社会性を涵養するためのキャリア教育の充実を図ることを念頭に、来年度からのカリキュラム改定を予定しているところでございます。
 次に、県有財産に対する基本姿勢の見直しについてでございます。
 県有未利用資産等活用・処分方針におきましては、まず第1に、県が公用または公共用として利用することが適当と認められる資産については、全庁的に情報を共有しながら有効活用を図ることを掲げており、次いで、県が利用する予定のない資産については、地元市町村による活用や民間等への売却等の処分を推進することとしており、県による有効活用を前面に打ち出しているところでございます。
 また、東日本大震災津波発生後は、被災地を支援するため、県が所有する土地や建物を仮設住宅等に積極的に利用することとし、市町村など関係機関と連携のもと、瓦れき等の仮置き場でございますとか応急仮設住宅やその敷地、ボランティア拠点等といった形で活用しておりますが、この中には、活用・処分計画におきまして売却対象としている未利用資産も含まれております。
 このように、県による有効活用を基本として、震災後の状況変化をも踏まえた運用を図っておりまして、未利用資産等に係る方針そのものを見直す必要はないものと考えております。
 次に、旧盛岡短期大学跡地の利活用についてでございますが、当該施設につきましては、県有未利用資産等活用・処分方針に基づき、県として公共的な利用が見込まれないことから売却対象資産に整理し、民間事業者への売却を視野に検討を進めてきたところでございます。こうした経緯も踏まえつつ、引き続き、県による公共的な利用の可能性が生じていないかどうか全庁的に情報共有しながら、跡地の公共的な利用や民間事業者の売却について検討を進めていきたいと考えております。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、学校図書館担当職員の配置状況と学校図書館の位置づけ等についてでありますが、県立高等学校の学校図書館担当職員につきましては、平成22年度は施設の集約等により、図書整理の業務が増大した学校に対しまして時限的に非常勤職員を配置したものでありますが、それが一段落したことから、現在の3校の配置にとどまっているものであります。
 来年度から実施される新学習指導要領では、言語活動の充実が求められており、生徒の言語に関する能力を育成するため、各教科等の指導を通じて学校図書館の活用を進めていくことが求められております。このため、限られた人員、予算の中でどういったことができるのか、検討を進めてまいりたいと考えております。
 また、図書貸出数の推移につきましては各学校において把握しており、県といたしましても、抽出により利用状況を把握しているほか、学校図書館の活用状況につきましては、文部科学省調査において、必読書コーナーや推薦図書コーナーの設置等の項目で調査を行っております。
 いずれにいたしましても、高校生が読書に親しむ環境づくりが重要と考えており、それぞれの学校でも、学級文庫として利用したり授業の調べ学習に活用するなど、いろいろ工夫しております。
 県といたしましても、学校図書館の活用のほかに、例えば岩手の中高生のための図書100選の活用などを通じまして、高校生の読書意欲を高めていきたいと考えております。
 次に、キャリア教育の推進についてでありますが、生徒が自己のあり方、生き方を考え、主体的に進路を選択し、社会人、職業人として自立するためにキャリア教育が重要でございます。このため、平成22年3月にいわてキャリア教育指針を策定し、平成23年度からは、その指針に基づくキャリア教育全体計画を普通高校を含む全ての県立高校において作成し、日常の教育活動を含む学校教育全体で、キャリア教育の系統的かつ組織的な推進に取り組んでいるところでございます。
 さらに大震災津波後におきましては、県内の全ての公立学校で取り組んでおりますいわての復興教育の中で、キャリア教育をその大きな柱の一つとして位置づけているところでございます。今後とも、高校生のキャリア教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〇13番(吉田敬子君) 御答弁ありがとうございました。
 何点か再質問させていただきます。
 まずは放射性物質からの子供たちの健康への影響への対策についてですが、先日行われた有識者会議の中では、甲状腺検査に関しては今後検討すべきが適当ではないかということで、ぜひこれから検討していっていただきたいんですが、加えて、放射性物質の内部被曝の有無や程度を検査するホールボディーカウンターの導入について質問させていただきます。
 先日、12月3日に記者会見があって、栗原市では、市独自でこれを購入するという報道を読みました。岩手県の中でも、特に一関市や平泉町からも強い要望が出ていると伺っておりますが、そのホールボディーカウンターの導入について、県でどのように考えておられるのか、見込み、課題等をお示し願います。
 もう一つですが、リサイクル率の向上についてお伺いいたします。
 これもおとといの新聞で拝見いたしましたが、県では、ごみ焼却施設を2017年度をめどに、県内6ブロック各1施設、県全体では6施設に集約するということになっておりまして、先ほど私の質問の中でも述べましたが、災害廃棄物を内陸部でも受け入れている状況の中で、こういった集約化というものを同時にやっていく場合に、処理施設として受け入れが今後困難になったりしないのかどうかというところも含めて、御答弁できる範囲でよろしいですが、よろしくお願いいたします。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 子供たちに対してホールボディーカウンターの検査による内部被曝調査を実施してはどうか、そういう御質問でございましたが、本県で実施いたしております尿検査ですけれども、これは、わずかでも放射性物質が検出される可能性があれば、きちんと調査してほしいという要望が非常に強うございました。こういうことを把握するためには、いわゆるホールボディーカウンター検査よりも、この尿検査のほうが微量レベルで検出可能な調査といたしまして採用したものでございます。
 ホールボディーカウンターを利用した検査につきましては、宮城県南部や栃木県北部、さらには福島県の南相馬市などにおいても実施されているところでありますけれども、現在では、その結果を見ますと、全員の子供たちが検出限界未満と公表されてございます。本県の尿検査ではそれよりも非常に小さいレベルについても検出しておりまして、正確な状況の把握という観点からは尿検査を実施させていただいているところでございます。
 そういうことも踏まえますと、現段階でこのホールボディーカウンターの検査を導入するということについては慎重な判断が必要と考えております。
〇環境生活部長(工藤孝男君) ごみ処理の広域化と瓦れき処理の関連についてのお尋ねにお答えいたします。
 ごみ処理の広域化につきましては、長期的な観点からごみ処理の効率化を図るという観点から進めているものでございまして、現在のところ、具体的な構想が策定されておらないのが盛岡、県南の2カ所がこれから計画を策定していくということになってございます。これはあくまでも中長期的と申しますか、そういう観点からの推進でございます。
 一方、瓦れきの処理につきましては、来年度を目途に処理を進めるということになってございますので、広域化処理と瓦れき処理ということについては、その処理能力という観点からは直接影響を及ぼし合うというものではございません。
 ただ、議員から御指摘のありましたリサイクル率の向上、ひいては1人当たりのごみ排出量の減少ということにつきましては、現在の処理施設の余力を生み出すという意味で、瓦れき処理の推進、さらには、今大変問題になっておりますが、農林業系副産物の焼却処理などについてもよい結果をもたらすということでございますので、県といたしますと、今後とも、古着のリサイクルも含めまして、リサイクル率の向上、そしてごみの減量化を積極的に進めてまいりたいと考えております。
〇13番(吉田敬子君) ホールボディーカウンターの件で、今回、県に出された要望書は、本当にたくさんの団体の方々の声がそこに集約されているということは県でも受けとめていただけていると思っております。本当にお父さん、お母さん方が心配されておりますし、事態が起きてからでは遅いので、未然に防ぐということが本当に大事なことですので、甲状腺検査も、そしてまたホールボディーカウンターについては、ぜひ今後、国をまたないで、岩手県独自で対応できることとして検討していただきたいと思っています。
 その中で、現在、学校施設等での放射性物質の影響と対策についてさまざま御意見等をいただいているんですが、例えばなんですが、奥州市だと前沢区以外の学校グラウンドが除染の対象から外れてしまっているけれども、測定の仕方では0.23マイクロシーベルト以上あるところもあったりだとか、測定の仕方によっていろいろ出てしまうところもあるので、そういったところに関しては適時適切に対応していかなければいけないのではないかと思っております。
 学校給食の中についても、食材の検査のやり方についてやはりいろいろ議論されている中で、県民の皆さんの声をまずは優先して受けとめていただいて検討していただきたく思います。
 もう一つ、学校教育の中での生徒や教師への放射性物質の指導状況についてですが、これは全部というわけではないかもしれないんですけれども、学校教育の中で、今回、福島原発の事故がどうだったかとか、学校での教育というものが保護者の方からは不十分ではないかという声がすごく寄せられております。スライドで1度やったのみで、実際には安全だから大丈夫だというようなことだけで終わってしまっていて、現実に起きたことを事実として学校教育の中でしていないということも伺っております。それらを含めて、学校における放射性物質対策について課題をどのように捉えていて、今後どのように県として取り組んでいくのか最後にお伺いいたします。
〇教育長(菅野洋樹君) 学校における放射性物質対策についてでありますが、教育委員会におきましては、児童生徒が安全・安心な学校生活を送れるようにということで、その環境整備を図るため各般の施策に取り組んできたところでございます。
 具体的には、県内全ての県立学校において、定期的に校地内の空間線量率を測定し、局所的に高い値を測定した10の県立学校の除染を昨年度実施したほか、汚染状況重点調査地域内の四つの県立学校のグラウンド等の除染を現在実施しているところでございます。これは、先ほど申し上げましたとおり、定期的にはかっておりますので、その状況に応じて適切に対応してまいりたいと思っております。
 また、学校給食の対策としては、県立学校及び市町村の放射性物質濃度測定の体制整備を図っておりまして、学校給食の一層の安全・安心の確保に向けた取り組みを進めているところであります。これまでの測定において、国が定める食品中の放射性物質の基準値を超過した事例はないということを確認いたしてございまして、現在のところはそういった状況にございます。
 さらに、お話のありました児童生徒に放射線等について正しい知識を身につけていただくために、教員に対する研修会等も開催いたしているところでございます。
 ただ、一方では、お話のありましたとおり、放射性物質への不安は依然として解消されていないと思われますので、このような取り組みを継続いたしまして、必要な対策を講じ、一層の安心の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木博君) 次に、城内愛彦君。
   〔11番城内愛彦君登壇〕(拍手)

前へ 次へ