平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

前へ 次へ

〇19番(喜多正敏君) 希望・みらいフォーラムの喜多正敏でございます。
 先輩、同僚議員の御配慮により、登壇の機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。さきの質問と重複することもあると思いますが、そのまま質問させていただきます。誠意ある御答弁を期待し、通告順に質問してまいります。
 なお、答弁によっては再質問させていただきます。
 最初に、知事にお伺いします。
 東日本大震災津波発災後1年9カ月を経過し、国や関係機関の支援を得ながら、達増知事のもと、道路や港湾、医療、民生各分野で基盤整備が進みつつありますが、仮設住宅の暮らしが2度目の冬を迎え、まちづくりもまだ形となってあらわれておらず、被災地の人口が流出し、操業を再開した地元企業や水産業などでは、売り上げが戻らない、瓦れき処理がおくれているなど、復興のスピードを一段と加速しなければなりません。本県経済は、復興需要もあり、緩やかな回復基調にあるとされていますが、日本経済は、デフレ基調の中、マイナスの経済成長率、貿易収支の4カ月連続赤字、復興特別所得税の設置の一方、年金の特例水準廃止、消費税の引き上げなど国民負担の増加により、被災地を含め、国民生活や中小企業経営、地域経済への影響も懸念されております。
 そこでお伺いします。消費税増税や復興特別所得税課税、年金の特例水準の廃止、現在議論されているTPPなどについて、本県県民所得や地域経済などに与える影響についてどう認識されているか改めてお伺いします。
 知事は、このような中、県債の償還がピークを迎え厳しい財政環境下で、平成25年度の当初予算をどのような方針で何を重点として編成し、どのように県政を運営していくのかお伺いします。
 また、国内問題については、国も政局を離れ、国民視点、被災地視点で必要な予算を速やかに成立させ、的確なデフレ対策や経済対策、迅速な被災地復興、安心して未来に希望を持って暮らせる政策を迅速に推し進める責任があることは言うまでもありません。知事は、被災地の知事、地方主権、地方行政や地域経営を担う立場から、国に対しどのようなことを期待し、今後どのように対応していくのか御所見をお伺いします。
 次に、総合的な生活支援についてお伺いします。
 東日本大震災津波により肉親を失い、住宅や働く場を流され、仮設住宅や故郷を離れて今なお避難生活を余儀なくされ、被災地のみならず、県内においても有効求人倍率に格差がある中、非正規雇用や低所得者の割合が増加しております。また、心身の障がいやひとり親の増加、高齢化に伴うひとり暮らしの高齢者や要介護高齢者の増加などを背景とし、経済的困窮や社会的孤立により生活に不安を抱えているいわゆる生活困窮者が増加し、こうしたことも一因と思われますが、本県は全国の中でも高い自殺率となっております。県では、こうした生活困窮者の実態や推移をどのように把握しているのかお伺いします。
 このような生活の困窮は、社会からの孤立や親から子への貧困の連鎖を招き、その悩みや課題も、雇用や住宅、健康、心身の悩みなどが絡み合っているのが実情ですが、雇用や障がい、高齢者問題など、それぞれの法律や機関など、縦割りにより対応されているのが現状です。一方、生活困窮者からすれば、どこに相談すればよいのか窓口もわかりにくく、いろいろな問題を一括して相談に乗っていただきたいというのが要望であります。
 そこでお伺いします。厚生労働省が平成24年7月に公表した生活支援戦略中間まとめでは、生活困窮の初期の段階から相談できる総合的な相談窓口、早期に発見、訪問もする体制と、生活困窮者と官民一体で伴走する支援体制が必要であるとしていますが、本県の生活困窮者の相談、支援体制の現状に照らし、こうした取り組みについて御所見をお伺いします。
 ところで、相談窓口は、県民が容易に相談できるよう圏域ごとに設置することが望ましく、既に、県民の要望を受け、千葉県では平成16年から県単独で中核地域生活支援センターを県内13カ所に配置しています。県民が相談しやすい体制や、相談に応じる職員は専門的知識や幅広い情報、経験、人脈などが必要であり、求職の問題では、いわて求職者個別支援事業によりNPO法人などに委託され、幅広く相談に応じられておりますが、財源である国のパーソナル・サポート・モデル事業が本年度で終了となっていることから、厚生労働省が平成25年度に予算要求している生活困窮者支援モデル事業の実現と本県導入を働きかけることも含め、県民が利用しやすい相談体制や人材養成、職員の適切な処遇が必要と思われますが、御所見と県の取り組みについてお伺いします。
 次に、保健医療についてお伺いします。
 最初に、認知症対策についてお伺いします。
 本県の高齢化率は平成23年に27.1%となり、高齢世帯の占める割合は18.3%、そのうち49.3%が高齢単身世帯で、その割合は年々増加しております。そうした中で、本県の認知症高齢者数は、平成18年の2万4、182人から平成24年3月には3万7、863人に増加しております。認知症高齢者の増加に対応するため、厚生労働省は、この9月に平成25年度から平成29年度までの認知症施策推進5カ年計画─オレンジプランを策定しました。オレンジプランでは、認知症の早期診断、早期対応、地域での生活を支える医療や介護サービスの構築、地域での日常生活、家族の支援強化などが掲げられています。
 そこでまず、オレンジプランに対する知事の認識についてお伺いします。また、本県の認知症高齢者数の今後の見通しと、認知症対策の課題や取り組みについてお伺いします。
 次に、がん対策についてお伺いします。
 がんによる人口10万人当たり75歳未満年齢調整死亡率は、平成21年、平成22年を除き全国平均を下回り、平成17年の91.0から平成22年88.4へ減少しており、これまでの県を初めとする関係者の御努力に敬意を表します。
 しかしながら、高齢化の影響もありますが、本県のがん粗死亡率では326.2と全国279.7を上回り、がん死亡者数は平成22年は4、322人で、昭和59年以来、死亡原因の第1位となっています。がん対策には早期発見、早期治療が有効と思いますが、がん検診率が向上しているとはいえ、最高の胃がんでも36.1%、最低の子宮がんでは25.6%であります。
 昨年、秋田県北秋田市で、がんの早期発見や受診率の向上に大きな効果を上げた対象者全員に対するがん検診の案内と未受診者への勧奨を行うがん検診受診勧奨事業、いわゆるコール・リコールの導入も含め、がん検診受診や精密検査受診率向上について、従来のパンフレットやテレビ、催事などの啓蒙から、さらに地域別、性別、世代別など、一段と踏み込んだ、教育や職域も含めた対策の拡大、強化が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 また、がんは高度で長期にわたる療養が必要となりますが、患者の負担の実態や支援のニーズを把握し、がん患者や家族が安心して療養生活が送れるような対策を講じることも必要と思いますが、その課題と対策についてお伺いします。
 岩手県がん診療連携拠点病院や地域がん診療連携拠点病院によりがん治療体制整備に努めているところですが、さらに高度な知見や技術を要する肝臓がんや高度進行がんなど難治性のがんや小児がん等については、圏域や個別病院を超え、専門化していくことや、緩和ケアの一層の充実、長期療養、小児がん患者家族の付き添いなどのための宿泊の支援、働き盛りの患者の雇用継続に対する企業の理解と支援、がん登録制度の徹底などの対策が必要と思います。
 県では、現在、平成25年度から平成29年度までを計画期間とする岩手県がん対策推進計画を現在策定中ですが、現計画の成果と課題がこの計画にどのように反映されるのかお伺いします。
 次に、ドクターヘリについてお伺いします。
 本県のドクターヘリが運航され、救急医療が前進しました。この11月に環境福祉委員会で視察に行った済生会長崎病院屋上にはドクターヘリのヘリポートが設置されておりましたが、市街地だけに周辺住民の騒音や事故に対する不安もあったようですが、説得を重ね設置したとのことであります。本県は、広大な県土ゆえに、県民や周辺の理解を得てヘリポートを速やかに拡充整備していく必要があると思いますが、これまでのドクターヘリ運航の課題についてお伺いします。
 また、各県においても、自県のドクターヘリではカバーし切れない、あるいは時間を要する地域では隣県との連携が必要と思います。このたび、青森県、秋田県、岩手県の3県でドクターヘリの広域連携がなされることとなりました。救急医療体制の強化、北東北3県連携による県政推進の観点から、時宜を得たものと評価したいと思います。
 そこでお伺いします。まず、広域連携によりカバーあるいはメリットを受けると期待される本県、隣県の地域はどこか。ドクターヘリは、救急医療に最も重要である一刻も早い医師による処置を可能にし、さらに、1機だけでは対応できなかった同時刻、複数の出動要請にも応えられる救急医療体制の整備も促進されると期待されますが、出動要請から出動の判断、出動、各県の病院への受け入れなど、どのように運営されるのか。また、現在までの各県のドクターヘリや救急車による対応などから見て、どのような効果と、試験運航期間や年間を通じてどの程度の運航が見込まれるのか。この事業の経費や各県の負担割合はどう考えているのかお伺いします。また、今後、本格運航に向けてどう取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、薬物乱用防止についてお伺いします。
 最近、違法、脱法ドラッグはインターネットでも入手でき、健康被害や車の暴走による交通事故など大きな社会問題となっております。本県の違法、脱法ドラッグ等に関する事案や薬物乱用防止に対する取り組みについてお伺いします。特に子供たちや青少年への教育が重要と思いますが、先日、財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センター等により薬物乱用防止教育認定講師養成講座が開催されましたが、認定講師の活用を含め、薬物乱用防止教育について教育長の御所見と今後の対応についてお伺いします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、被災地を含めた中小企業の振興についてお伺いします。
 まず、中小企業の二重債務問題についてお伺いします。
 被災地の中小企業は、いわゆる二重債務問題を抱えております。県では、国、地元金融機関と連携して平成23年11月に岩手産業復興機構を設立、ワンストップ窓口である岩手県産業復興相談センターと一体となって、金融機関から債権の買い取りや条件変更の事業計画策定支援などを行ってきました。また、平成24年2月には東日本大震災事業者再生支援機構が設立され、金融機関が有する債権の買い取りを通じて再生支援に当たっております。
 そこでお伺いします。これまでのこれら機関の本県の中小企業の二重債務問題に係る債権の買い取り件数や買い取り対象となった債権額、返済条件の変更や指導などの実績とその課題についてどのように認識しているかお伺いします。
 一方、中小企業金融円滑化法の適用を受けた企業は全国で約40万社と言われておりますが、この法律は来年3月で期限切れを迎えます。本県の、この法律によって金融機関から貸付条件の変更を受けた中小企業の実態についてお伺いします。
 次に、グループ補助金についてお伺いします。
 中小企業再生のため、グループ補助金により支援がなされております。この補助制度の残りの自己資金調達や、工事費等の高騰や工期延長等から、当初計画の資金では不足、計画期間では事業完了ができないなどの課題も指摘されております。こうした実態や、交付を受けたグループの事業の実施状況、経営の状況はどうなっているか、各地で仮設された商店街の経営状況など、これら課題と今後の対応についてお伺いします。
 次に、観光振興についてお伺いします。
 まず、地元旅行業の振興についてお伺いします。
 県内各地には旅行業を営む地元企業も所在し、また、これら地元企業が加わる全国的なネットワークも有していると伺っておりますが、こうした地元企業や旅行業界団体の現状について、県ではどのように認識しているかお伺いします。
 地元旅行会社や業界団体は、長く地域で事業を行い、地域の風土や歴史、観光資源に通じ、多彩な人間関係も有しており、大手企業を上回る全国的なネットワークもあり、近年、着地型観光が重要になっている中、こうした地元企業や団体などと連携して観光振興や具体的な旅行商品を企画、誘客することは大変効果的と存じます。地元に本社を置く旅行会社や団体と、観光振興や誘客活動について、県との意見交換、情報交換の場や観光振興業務の委託や連携などについてどのように認識され、また、どのような現状にあるかお伺いします。
 観光は、大変裾野の広い波及効果の大きい産業であり、観光を牽引する地元会社の育成強化も大変重要な目的であり、手段です。地元企業の育成なくしては、観光振興も誘客も十分力を発揮できないと思われます。地元旅行会社や業界団体の力強い育成、振興を望むものですが、今後の対応も含め、御所見をお伺いします。
 次に、コンベンションの誘致について伺います。
 盛岡を初め各地の信用金庫は、全国から岩手県や宮城県など被災地に多数の観光客を送り込み、復興の支援活動を行いました。全国からの支援は、長期にわたる復興の風化を防ぎ、被災地の心と地域経済に大きな励ましになっております。日本商工会議所では、来年7月4日から6日まで、沿岸被災地を実際に視察、体験交流し、盛岡市で約1、200人規模の大会を開く計画と聞いています。県としても、これを支援、活用しながらさらなる誘客や復興につなげていくことが必要と思いますが、県の対応についてお伺いします。
 さらに、各種大会やコンベンション誘致についても、盛岡観光コンベンション協会や関係団体、市町村等と連携して、例えば次の誘客につながる旅行関係業界などの全国大会や防災関連コンベンションなど、ターゲットを戦略的に定め、強力に誘致する必要があると思いますが、御所見をお伺いします。
 次に、北東北3県の連携による沿岸、県央以北への観光客誘致についてお伺いします。
 岩手のデスティネーションキャンペーンは、どちらかというと県南中心、東北六魂祭は県央部に誘客効果が大きかったと思われ、沿岸の宿泊観光施設も次第に再開される中で、県北、沿岸への誘客は依然大きな課題です。
 一方で、観光圏整備法により、2泊3日以上の滞在が可能な、国際競争力の高い魅力ある観光地づくり推進のため、北東北では、新たな青森の旅十和田湖広域観光圏、そして、盛岡・八幡平広域観光圏の観光圏整備実施計画が認定され、また、平成25年10月から12月まで秋田県でのデスティネーションキャンペーンが決定しています。沿岸や県央部以北への誘客について、来年度以降、これら広域観光圏、北東北3県と連携し、特にも秋田デスティネーションキャンペーンや福島で開催される東北六魂祭と有機的な連携を図り、どのように取り組んでいくのか、冬季観光も含め、今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、岩手県立博物館についてお伺いします。
 岩手県は、文化芸術振興のため平成11年3月に岩手県文化振興指針を策定し、その後、達増知事のもと、平成20年5月に岩手県文化芸術振興基本条例が第4章も含め施行され、平成20年12月には岩手県文化芸術振興指針が定められました。条例の第17条において、県は、文化ホール、音楽ホール、美術館、博物館、図書館その他の文化施設が県民に文化芸術活動の場として積極的に活用されるよう、情報の提供、施設間の連携の確保など利便性の向上に努めるものとすると規定されています。
 岩手県立博物館は昭和55年10月に開館し、平成21年1月には入館者が250万人を達成しました。しかしながら、入館者は、平成17年度は5万3、966人、平成20年度は4万1、083人、平成23年度は3万643人、1日平均利用人員はわずか101人となり、また、教育普及事業参加人数でも、同様に推移を見ると、4、856人から1万5、831人に増加したものの、その後、1万190人と、入館者数、参加人数が減少しております。厳しい県財政状況、震災津波被災の影響もあると思いますが、博物館を新鮮にし、教育や研究調査にも資する展示活動費と資料収集保管活動費の合計額では、同様に5、199万円から3、267万円、2、835万円へと減少している状況にもあります。県では、これら博物館利用者数の減少をどのように分析し、どのような利用者の増加対策をとられたのか、課題は何か、今後の対応を含めてお伺いします。
 この10月に、岩手県文化芸術振興議員連盟で秋田県立博物館を視察してまいりました。このとき、岩手県立博物館の大変な協力を得て、アンダー×ワンダー!─北東北の考古学最前線─という見ごたえのある特別展が秋田県立博物館で行われておりました。本県においても、事業費の制約のある中、他県の博物館などと共同で企画展を開催することも有力な方法と思いますが、その取り組みと今後の対応についてお伺いします。
 秋田県立博物館では、昭和50年に生涯教育の重要な部分の一つとして建設され、平成16年4月、開館30年を機に、約21億円をかけリニューアルオープンしました。リニューアル前の入館者は4万人から5万人台でしたが、リニューアル後は16万人、最近5年間は8万人を超える入館者となっております。博物館を教育施設として位置づけ、入館料は無料となっております。さらに現在、開館40周年、平成26年度までを見通し、今後の方向性を見きわめるために、秋田県立博物館が目指す姿、秋田県立博物館中期ビジョンを作成、公表しております。
 我が岩手県立博物館は、既に開館以来32年を経過しております。県政課題がいろいろ山積する中ではありますが、展示内容や展示方法の刷新、研究、資料収集機能の強化、観光、教育などとの新たな連携も含め、県立博物館の今後のあり方、利用促進について、先発事例や博物館を取り巻く環境の変化も参考としながら広く情報収集を行い、抜本的な検討、計画的な整備に着手すべきではないかと思いますが、御所見をお伺いします。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 喜多正敏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、消費税増税等の影響についてでありますが、消費税増税や復興特別所得税課税、年金の特例水準の廃止が、県民の所得や県内経済等に与える影響を厳密に算定することは困難でありますが、これらのことが税負担の増加や可処分所得の減少をもたらすことにより、地域経済の低迷等の好ましくない影響を与えるのではないかと心配しております。
 特に消費税については、その性格上、被災者も含めた広範かつ大規模な増税となりますことから、被災地への影響も大きく、被災者の暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることが懸念されます。
 また、TPP参加による本県への影響については、この協定が関税の撤廃を原則としていますことから、特に農林水産業分野において生産額が大幅に減少すると試算されるところであり、大きな影響を受けることが懸念されます。
 次に、平成25年度当初予算の編成方針等についてでありますが、平成25年度当初予算においては、県債償還の増加分については、県債管理基金の取り崩しにより対応を図る予定でありますものの、公債費以外にも、復旧、復興に向けて多額の財源を要しますことや社会保障関係経費が増加傾向にありますことなど、本県の財政運営は、極めて厳しい局面が続くものと見込まれます。
 このような情勢の中にありましても、今年度に引き続き、平成25年度においても、被災地の復旧、復興に全力で取り組むとともに、限られた財源の中、全ての事務事業を精査し、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成する考えであります。
 特に、平成25年度は基盤復興を目指す第1期復興実施計画の最終年度となりますことから、8月に改訂した復興実施計画に基づき、住環境の整備や水産業等の産業の再生などの被災地の本格的な復興に向けた基盤の構築とともに、放射性物質の風評被害対策等も重点的に進めていく考えであります。
 また、内陸地域の活力を一層高めて沿岸地域を支えることにも配慮しながら、いわて県民計画第2期アクションプランに掲げる取り組みを進めるとともに、岩手の将来を見据え、中長期的な視点に立って、先駆的、分野横断的に取り組む復興計画の三陸創造プロジェクトや、いわて県民計画の岩手の未来を切り拓く6つの構想についても、具体的な取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、国に対する期待と今後の対応についてでありますが、今、国に求められているのは、確実な財源の確保や規制、手続等に対する思い切った特例措置等を講じて、一日も早い被災地の復興に全力を尽くすことであります。
 これに加えて、全国知事会が提言している日本再生十二箇条に掲げましたエネルギーの安定的確保や地域経済の再生、そして、さきに北海道東北地方知事会が提言に盛り込みました国際リニアコライダーの誘致などに積極的に取り組むことを通じて、被災地や日本の再生を果たしていくことであります。
 こうした期待のもと、国に対しましては、今後とも、被災地の視点に立って既存の枠組みにとらわれない施策を全力で推進するよう、全国知事会等と連携しながら、今後とも、あらゆる機会を捉えて働きかけてまいります。
 次に、生活困窮者の相談支援体制に関する取り組みについてでありますが、生活困窮者は、経済的な困窮のみならず、さまざまな課題を複合的に抱えている場合が多いことから、縦割りではない総合相談窓口の整備と生活困窮者が抱える複合的な問題に的確に対応できる支援体制の整備が喫緊の課題であります。
 今般、生活支援戦略の中間まとめにおいて、包括的な総合相談体制の強化や伴走型の支援体制の構築などを内容とする改革の方向性が示されたことは、この解決に向けたものと評価をしております。
 こうした相談支援体制を整備することにより、生活困窮者への支援を手厚くし、困窮からの早期脱却を図っていくとともに、経済的に困窮し、真に支援が必要な方に対しては、適切に生活保護を適用することが大切であると考えており、本県としても、国の検討状況を踏まえながら、その実施に向けて必要な提言を行っていきたいと思います。
 次に、オレンジプランに対する認識についてでありますが、全国を上回るペースで高齢化が進む本県では、認知症高齢者が今後も増加することが見込まれていますことから、認知症の発症予防と早期発見、さらには医療、介護サービスの提供など、地域で認知症の人を支える体制づくりが肝要であると考えています。
 今般、厚生労働省が策定した認知症施策推進5カ年計画、いわゆるオレンジプランでは、早期発見、早期診断のためのかかりつけ医研修や医療機関の整備などについて、数値目標を掲げるとともに、状態に応じた医療、介護などのサービス提供の流れの作成、普及等、今後重点的に取り組む認知症施策が示されたところであります。
 このプランにおいては、精神科病院から短期間での在宅復帰を目指していますが、高齢世帯が多く、在宅のサービス資源が必ずしも十分でない本県では、施設を含む多様な受け皿が必要と考えております。
 このため、県としては、現在策定中の次期岩手県保健医療計画にこうした考えを織り込みつつ、認知症になっても本人の意思が尊重され、住みなれた地域で安心して生活していくことができるよう、本県の実情に応じた医療と介護の連携による認知症対策の推進を図ってまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、生活困窮者の実態や推移についてでありますが、生活困窮者について明確な定義があるわけではありませんが、厚生労働省では、複合的な課題を抱えて経済的困窮や社会的孤立の状態にあり、生活を送る上で大きな不安を抱えている方々を生活困窮者と称しており、低所得者世帯のみならず、障がい者やひとり親世帯など社会的に弱い立場に置かれている方々が、そうした状態に陥りやすいとしております。
 こうした考え方のもと、直近で把握している本県の状況について、それぞれデータのある5年間の推移を見ますと、生活保護世帯数は30.6%、障がい者数は3.6%、ひとり親世帯は8.3%増加しており、こうした状況に鑑みると、近年の社会経済環境の変化に伴い、本県においても生活困窮の状態にある方々が増加しているものと考えており、国の生活支援戦略の検討状況も踏まえながら、こうした方々を適切に支援してまいります。
 次に、本県の認知症高齢者数の今後の見通し等についてでありますが、本年3月に策定したいわていきいきプランでは、認知症高齢者数は平成23年の3万7、900人から、平成26年には4万1、800人と約1割増加すると推計しています。
 認知症は、物忘れなどの初期段階での気づきや対応のおくれがその悪化につながることから、予防、早期発見と鑑別診断、適切な医療、介護サービスの利用に結びつけるための体制整備が課題であると考えております。
 このため、岩手県認知症疾患医療センターを中核として、地域のかかりつけ医等の医療機関や地域包括支援センターへのバックアップ体制の充実を図るとともに、地域密着型介護サービスの着実な整備や介護従事者の対応力向上のための研修の充実等に取り組み、地域で暮らす認知症の方やその家族に対する支援が、切れ目なく提供される体制の構築を図ってまいります。
 次に、がん対策についてであります。
 まず、がん検診受診率の向上等についてでありますが、がん検診につきましては、本県市町村においても、保健推進員による個別訪問やダイレクトメールによる受診勧奨など、いわゆるコール・リコールと同様の取り組みが行われているほか、休日健診などの受診環境整備に努めており、県としても、地域におけるこのような取り組みが効果的であるとの認識のもと、市町村に積極的に普及しているところであります。
 また、子供のころからがんの予防や正しい知識を醸成することが大切であり、検診機関等と連携し、学校での出前講座を開催するとともに、女性特有のがんや働く世代への大腸がん検診を推進するため、無料クーポン券の利用促進を図っていきたいと考えております。
 さらに、職域においては、がん検診受診率向上プロジェクト協定締結企業との協働等による、がん検診受診促進の取り組みを進めることも重要であると考えております。
 次に、安心した療養生活のための課題と対策についてでありますが、患者とその家族のニーズが多様化している中、治療の意義や目的などを正確に提供し、精神心理的にも患者と家族を支えることのできる体制の構築、住みなれた生活の場で必要な医療や介護サービスを受けられる体制の整備、さらには、がんと診断されたときからの適切な治療や緩和ケアの提供などが、喫緊の課題と認識しているところであります。
 県といたしましては、がんの治療や副作用、合併症に関する情報も含め、患者とその家族にとって、活用しやすい相談場所となる総合的な相談支援センターの設置の検討や、地域完結型の医療、介護サービスを提供できる連携体制の構築、さらには、精神的な苦痛に対する心のケアも含めた緩和ケアの提供体制の整備など、患者と家族の視点に立ったがん対策を実施してまいります。
 次に、岩手県がん対策推進計画についてでありますが、平成20年3月に策定した本県のがん対策推進計画では、がんの予防、がんの早期発見とがん医療の均てん化を本県のがん対策における主要な課題と捉え、がん診療連携拠点病院の整備、緩和ケアチームの設置、がん登録の推進などに取り組んできたところであります。
 一方で、議員御指摘のとおり、緩和ケア提供体制の充実を初め、難治性のがんや小児がんへの対策などについては、今後重点的に取り組んでいくべき課題であると認識しております。
 県としては、これまでの成果と今後の課題をしっかりと踏まえた上で、医療従事者の養成やチーム医療の推進などにより、緩和ケアの質の向上やがん登録の取り組みの強化を図るほか、難治性のがんにおける広域連携体制の確保、小児がんにおけるがん診療連携拠点病院と小児がん拠点病院との連携など、本県のがん対策をしっかりと進めてまいります。
 次に、ドクターヘリについてであります。
 まず、これまでのドクターヘリ運航の課題についてでありますが、ドクターヘリは、5月の運航開始から約7カ月間で167回、1日当たり約0.8回の運航を行っており、県としては、救急専門医が患者に早期に接触して治療を開始するドクターヘリの効果が十分発揮されており、順調にスタートを切ったと評価している一方、議員御指摘のとおり、県内全域にヘリポートやドクターヘリと救急隊が合流するランデブーポイントを多数確保することが課題であり、県としても、救命救急センターへのヘリポート整備を進めるとともに、市町村や消防等の関係機関と協力して、冬期間でも着陸可能なランデブーポイントの確保に努めているところであります。
 また、運航の要請実績の少ない地域もありますことから、各地域での事例検証会の開催や訓練運航の実施等により、県内全域において必要な要請が行われるよう引き続き働きかけてまいります。
 次に、北東北3県によるドクターヘリの広域連携についてでありますが、今回の3県の取り組みにおける出動対象は、原則として、各基地病院のヘリポートから100キロメートル圏内の地域とし、出動に当たっては、消防機関による自県のヘリに対する要請を原則としつつ、重複要請や気象条件等の理由で対応できない場合、他県に要請を行うことができるとしております。
 また、実際の出動や着陸、搬送病院の決定等については、他県の運航要領等も踏まえながら搭乗医師が判断することとしており、運航経費については、当面、出動する側の負担としているところであります。
 現時点で広域連携運航に係る具体的な運航回数の見通しをお示しすることは困難でありますが、自県で対応できないケースが減ることが期待されるとともに、災害時等における体制強化にもつながるものと見込んでおり、半年程度の試行期間における実績や課題をしっかり検証した上で、本格実施につなげていきたいと考えております。
 次に、薬物乱用防止の取り組みについてでありますが、国、県、警察や岩手県薬剤師会などで構成する岩手県薬物乱用対策推進本部を設置し、国の第三次薬物乱用防止五か年戦略及び合法ハーブ等と称して販売される薬物に関する当面の乱用防止対策に基づき、普及啓発から取り締まりまで、総合的に薬物乱用防止対策を推進しているところであります。
 また、地域においては、各保健所で薬物乱用の相談窓口を設置し、住民からの相談に応じるほか、薬剤師や保護司などの方359名を薬物乱用防止指導員に委嘱し、地域に根差した普及啓発を行うとともに、ボーイスカウト等、青少年の参加を得て、県内各地で、ダメ・ゼッタイ普及運動などを展開しております。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、県民が利用しやすい相談体制や人材養成等についてでありますが、本県で昨年度から実施しているパーソナル・サポート・モデルプロジェクト事業は、初年度は相談支援拠点を盛岡市と奥州市の2カ所に置いておりましたが、今年度は新たに宮古市に拠点を置き、久慈市、釜石市、大船渡市など沿岸9カ所及び二戸市で定期的な出張相談を行い、より利用しやすい体制としたところです。
 また、この事業の中で、市町村、社会福祉協議会、NPO法人等の職員を対象に、相談スキルの向上を図るための養成講座も開催しているところです。
 この事業は今年度で終了となりますが、平成25年度に国が検討している後継事業に採択されるよう努め、これまでの取り組みで構築したネットワークや相談員の経験が、有効に活用されるよう取り組んでまいります。
 今後、国は制度の法制化も含めて検討する方向と聞いており、国のモデル事業を実施する中で、圏域の設定など、利用しやすい相談体制や職員の処遇について検討してまいりたいと考えております。
 次に、二重債務問題に係る債権の買い取り件数等の実績と課題についてでありますが、本年11月末現在、岩手産業復興機構による債権買い取り決定は31件、対象となった債権額は約69億円となっており、岩手県産業復興相談センターによる返済猶予の支援は24件、新規融資の支援は15件となっております。また、東日本大震災事業者再生支援機構による県内事業所に対する債権買い取り決定は27件となっております。
 このように、買い取りなどの支援は進んできておりますが、課題といたしましては、本設再開に向けた事業用地がなかなか定まらないことが挙げられ、資金需要が本格化するまでにはまだ時間を要しております。今後、事業用地が明らかになるに従って相談される事業者もふえてくるものと考えており、県では、国に対して、相談窓口である岩手県産業復興相談センターの事業継続を要望しているところです。
 次に、中小企業金融円滑化法により、金融機関から貸付条件の変更を受けた中小企業者の実態についてでありますが、県内地方銀行の公表資料によりますと、9月末現在、申し込みが約2万7、000件あり、そのうち約2万5、000件が実行されております。
 次に、グループ補助金についてでありますが、平成23年度に交付決定を受けた295者のうち、事業完了済みが136者、今年度内に完了見込みが135者で、合わせて271者、約92%が年度内に事業完了見込みとなっており、おおむね順調に実施されているものと認識をしております。
 なお、年度内での事業完了が困難な事業者については、国で繰越手続を簡素化することとしており、このことを事業者に丁寧に説明し、安心して事業が進められるよう支援してまいります。
 経営状況につきましては、水産加工業では、さきに実施した事業者へのアンケート調査によりますと、生産能力に比べ出荷額の回復におくれが見られますことから、魅力ある商品づくりと販路開拓が喫緊の課題と認識しております。
 県といたしましては、専門家派遣による指導助言や商談会の開催などにより、商工団体などの支援機関と連携しながら支援をしてまいります。
 また、仮設店舗では、岩手県産業復興相談センターが行った仮設施設アンケート調査によりますと、仮設店舗開設時と比較して売上高、来客数とも減少傾向にあり、仮設店舗や商店街におけるにぎわいの創出や集客力の向上が必要と考えております。
 県といたしましては、いわて希望ファンドの活用や、被災商店街にぎわい支援事業により、販売促進イベントや個店の経営力向上を支援してまいります。
 次に、地元企業や旅行業界団体の現状についてでありますが、本年11月1日現在、旅行業法に基づく旅行業または旅行代理業を営む事業者のうち、国内の旅行商品を造成できる第2種旅行業者が33事業者、近隣市町村内で完結する旅行商品を造成できる第3種旅行業者が24事業者が県に登録されており、第2種のうち32事業者、第3種のうち19事業者が、社団法人全国旅行業協会岩手県支部に加入しております。
 これら事業者は、主に地域住民の旅行手配を中心に行っており、社団法人全国旅行業協会岩手県支部では、加盟業者への指導、苦情処理業務などに当たっているところであります。
 次に、地元旅行会社等と県との意見、情報交換の場等についてでありますが、地域を拠点として旅行業に携わり、お客様の声に直接接している地元旅行業者との意見交換は、県としても重要なものと認識をしており、一部旅行業者とは、誘客キャンペーンの実施の際や県の観光立県推進会議の場などで意見、情報交換を行っております。
 また、着地型旅行商品の造成や受け入れ態勢の整備に連携して取り組んでいる例があるほか、関係者の招聘事業の際などには、必要に応じて業務委託も行っているところであります。
 次に、地元旅行会社や業界団体の育成振興についてでありますが、近年、着地型旅行商品の重要性に対する認識の高まりに加えて、震災を契機に、旅行商品の造成を主眼とする地元旅行業者もふえており、県への新規登録件数が、平成23年度は5件、24年度は、これまでに3件と増加傾向にあります。
 地元に拠点を置く旅行業者には、県としても、着地型旅行商品の積極的な造成を期待しているところであり、今後、こうした地元業者や業界団体との意見交換などを行いながら、地元発の魅力的な旅行商品造成が促進され、地元旅行会社や業界団体の育成、振興につながるよう努めてまいります。
 次に、大会を活用した誘客や復興についてでありますが、日本商工会議所等が開催する観光振興大会において、全国の関係者が本県に集い、観光振興の取り組みについて議論されることは、本県の観光振興にとって大変有意義なものであると認識をしております。
 また、この大会で予定されている被災地を訪れるエクスカーションにより、復興を進める本県の実情を広く知っていただくことは、観光による復興支援の機運醸成にも資するものと期待しているところであります。
 県としても、観光情報の提供などの協力をし、さらなる誘客や復興につなげていきたいと考えております。
 次に、全国大会誘致に関する所見等についてでありますが、経済波及効果が大きいコンベンションは、本県の観光振興にとって重要なものと認識しており、これまで盛岡観光コンベンション協会を中心に、受け入れ態勢の充実に努めてきたところです。
 今年度は、コンベンションの誘致を強化するため、県としても、新たに作成したパンフレットを用いて、商談会への参加、キーパーソンの招聘などに取り組むこととしております。今後は、特に震災以降関心の高まる防災分野や定期的に開催されている医療、福祉関係の学会などの誘致について、関係団体と連携しながら取り組んでまいります。
 次に、北東北3県の連携による沿岸、県央以北への観光客誘致についてでありますが、これまで、北東北3県観光立県推進協議会の取り組みとも連携し、旅行会社の招請による旅行商品造成の促進や情報発信、誘客宣伝活動に取り組んできております。
 来年度、本県では、秋田DCに先行する7月から9月までの3カ月間を中心に、秋田県鹿角市、小坂町、青森県八戸市も参画する大型観光キャンペーンを予定しております。
 このキャンペーンの実施に当たっては、北東北の回遊を促進するため、地元の旅行業者を初め、関係者が一体となった着地型旅行商品づくりを支援するとともに、本県と秋田県や青森県の観光地をつなぐ二次交通の充実を図ってまいります。
 また、キャンペーン期間中に開催されます盛岡さんさ踊りを初め、北東北の夏祭りを東北六魂祭で強力にPRし、北東北3県内の回遊を促進してまいります。
 さらに、冬季観光につきましては、今年度、盛岡・八幡平地域と秋田県鹿角地域や青森県上北地域を一体として回遊する冬季の旅行商品の造成を3県合同で行っているところであり、来年度につきましても、3県が連携した取り組みについて検討するなど、北東北が一体となった誘客に積極的に取り組んでまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、薬物乱用防止教育についてでありますが、国の第三次薬物乱用防止五か年戦略におきましては、青少年による薬物乱用の根絶及び薬物乱用を拒絶する規範意識の向上を目標の一つに掲げており、教育委員会といたしましても、学校における薬物乱用防止教育の推進は、非常に重要なことと考えております。
 学校におきましては、保健体育など関連する教科の授業において、飲酒、喫煙のほか、薬物の健康への影響、薬物乱用が引き起こす社会問題等への学習を行うほか、特別活動や総合的な学習の時間において、薬剤師や警察官等、専門的知識を持つ方を講師に招いて、薬物乱用防止教室を開催しているところでございます。
 また、教職員に対する研修を行い、その資質向上を図っているほか、外部講師を務めていただいている薬剤師等の専門の方々を対象とした研修会も開催しており、今後とも、薬物乱用防止教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、認定講師の活用につきましては、それぞれの学校において、外部講師の確保に苦慮しているというお話は伺っておりませんが、学校の状況やニーズを踏まえ対応していく必要があろうと考えております。
 次に、博物館利用者数についてでありますが、在学児童数の減少や県内外からの教育旅行の減少、また、常設展示の構成に原則的に大きな改変がないことなどの要因により、博物館の利用者数は漸減傾向にございます。特に、平成23年度につきましては、企画展等を中止した影響もあり、利用者数が大きく落ち込みましたが、今年度につきましては、おおむね平成22年度並みに推移しているところでございます。
 これまで、博物館では、さまざまな遊びやものづくりを体験できるイベント、博物館まつりの開催や広報活動の強化により利用者の増加に努めてまいりました。今後は、昨年度から順次実施されております新学習指導要領において、社会科、理科、総合的な学習の時間などにおける博物館等の活用が記載されていることを踏まえ、学習指導要領と博物館の常設展示資料との照合表を作成するなど、学校教育課程での博物館利用を促進し、利用者の増加に努めてまいりたいと考えております。
 次に、他県の博物館等との共同企画展についてでありますが、秋田県立博物館で開催された特別展の展示品の一部は、岩手県立博物館が所有する資料を貸し出ししたものであり、岩手県立博物館におきましても、他県の博物館が所有する資料を活用した企画展等の開催は、これまで実施しているところでございます。
 また、平成16年度、平成19年度、平成22年度には、青森県、秋田県の県立博物館とともに北東北3県共同展を開催しており、今年度につきましても、独立行政法人国立科学博物館と県内被災地域の博物館との連携企画として恐竜博覧会を開催するなど、他の博物館との共同企画展の開催に取り組んできたところでございます。
 今後とも、他の博物館等と連携協力しながら、県民の多様な学習要求に応えるための企画展の開催に努めてまいりたいと考えております。
 次に、県立博物館の今後のあり方、利用促進についてでありますが、これまでも、その時々の状況に応じて施設整備を進めてきており、平成22年度におきましては、博物館が県民の利用しやすい施設となるよう、展示物や案内表示等の美化事業を行うなど、施設の充実を行ってまいりました。
 近年の地球環境保全に対する危機意識の高まり、急速に進む国際化や生活様式の多様化といった社会情勢の大きな変化の中で、博物館の利用促進を図っていくためには、その時々の社会情勢や県民のニーズをきめ細かく把握し、それを博物館の日々の活動に反映させていくことが重要であろうと考えております。
 今後とも、県民の学習意欲に応える生涯学習の中核機関として、県立博物館がより一層充実した役割を果たすことができるよう、職員の資質向上や他機関との連携など、長期的な視点で取り組んでまいりたいと考えております。
   〔警察本部長高木紳一郎君登壇〕
〇警察本部長(高木紳一郎君) 本県においては、いわゆる違法・脱法ドラッグに起因すると認められる死亡事例や交通事故の発生は認知しておらず、また、県内での販売業者は確認されておりませんが、本年11月に入り、いわゆる違法・脱法ドラッグに起因すると認められる緊急搬送事案を認知しております。
 警察といたしましては、全国的に大麻事犯に占める若年層の割合が高水準で推移していることなどを踏まえ、薬物乱用少年の早期発見・保護、家庭、地域に対する広報啓発、学校での薬物乱用防止教室の開催などを推進しているところであります。
 今後とも関係機関との連携を強化し、いわゆる違法・脱法ドラッグの流通実態の把握に努め、違法・脱法ドラッグの販売業者を把握した際には、指導、取り締まりを強化するとともに、県民に対する広報啓発を推進してまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木博君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇19番(喜多正敏君) 生活困窮者に対する相談でありますけれども、いろいろなそれぞれの相談については、例えば、商工部門では働く、あるいは福祉、医療、介護、あるいは県民生活、住宅、それぞれの悩みが複雑に絡み合っているわけです。それが一つ一つの専門の機関では当初の対応ができないということで、部局横断的に、あるいは県のみならず、市町村あるいは関係機関が連携して相談を受け入れていくというようなことが必要だということで、千葉県の例もあるわけでありますけれども、そうしたことについて、既存の例えば消費生活センターなども活用しながら、業際型で相談に応じられるような窓口、相談体制について、ぜひ他県の例を含めながら検討していっていただきたいと思います。
 それから、経済が、被災後、再建もなかなかできない、あるいは道半ばの企業を含めて厳しい経営環境に陥っている実際の会社も少なくないと思います。県では、こうした中、年末や年度末、さらに中小企業金融円滑化法の期限切れを迎えて、中小企業の金融支援について、12月1日から中小企業経営安定資金を創設したわけでありますけれども、その利用見込み企業数とか貸付額についての見通し、来年度以降の取り扱いについてお伺いしたいと思います。
 それから、この中小企業経営安定資金の制度に乗らないような企業についての何か対策はあるのか、それから、この融資制度に加えて、事業再生支援計画の策定支援など、企業ごとの具体的な細やかな支援も商工団体と連携して必要と思いますが、そうした対策についてはどうお考えであるか。
 それから、昨日も新聞で報道されてあったわけでありますけれども、地元の旅行会社も加入している日本旅行業協会では、12月3日に東北復興プロジェクト、行こうよ!東北ツアーで、東北6県を28コースに分けて、会員企業ら1、000人が参加して、本県には4コースが設定されて、150人が参加して、沿岸被災地視察や中尊寺、内陸観光地をめぐったということであります。これを協会では、今後、ツアー企画コンテストを行って、来春以降の各社の旅行商品に生かすという計画で、まさに実践的な企画だなというわけであります。
 観光は総力戦であり、関西や北海道との地域間競争もあるわけであります。私は、県では地元の旅行会社や団体と常日ごろから連携を強化して、こうした計画をむしろ県から働きかけるということがあっていいと思いますが、特にも全国を歩き、本県産業振興に努めている上野副知事に、御所見をお伺いしたいと思います。
 それから、先ほど知事からも、消費税とかいろいろな県民に対する、TPPも含めて、なかなか実態を把握することが難しいというようなことでありましたけれども、国では、こういう消費税を含めて、財源措置として、やはりこの税額をある程度想定して制度を設けて課税していると思うんですね。
 したがって、県においても、こうしたことについては、やはり何か、なかなか確定したことがつかみにくいということはもっともそのとおりでありますけれども、このくらいの影響があるというのは計数的に何らか試算ができないものなのか。そこがわからないと、定性的にお話をされてもどうなのかということがあるわけですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 申しわけありませんけれども、やはり税率の上下、また増税額の数字によって、岩手県民経済がどのくらいの影響を受けるかという算定というのは現在承知しておりませんが、先ほど答弁いたしましたように、過去のさまざまな国による負担増の結果の岩手の経済の状況の変化、また、人口の流出といったような影響等々、かなり深刻なものになるであろうという心配をしているところでございます。
〇副知事(上野善晴君) お尋ねのございました日本旅行業協会の東北復興プロジェクトを生かしました地元の旅行業者の方々の育成、あるいはこれらの方々との連携についてでございますが、御案内のように、このプロジェクトは、日本旅行業協会が会員各社から1、000人規模の商品造成担当者の方々を主体とする訪問団を東北各県に派遣されまして、現地視察などを行い、加盟各社の今後の商品造成に生かそうとするものでございます。
 実際の旅行需要の喚起につきましては、各社の旅行商品造成が大きな鍵を握っておりまして、旅行業界においてこうした取り組みがなされることは非常に歓迎すべきことと考えております。
 今回の主催者でございます日本旅行業協会は、国内の主に大手旅行業者を構成員とする業界団体でございますが、これまでも県では、例えば、着地側からの提案でございます復興応援バスツアーの大手旅行会社の商品への組み込み、こうしたことを働きかけてきたところでございます。
 今後、地元の旅行業者あるいは団体の方々とも協働いたしまして、地元ならではの視点を生かした着地型商品の提案が大手の旅行商品にも活用されますよう、連携をとりまして今後においても働きかけてまいりたいと思っております。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 生活困窮者の相談についてでございますけれども、本県におきましてもワンストップの相談体制を推進するためのセミナーの開催ですとか、あるいは各市町村における総合相談体制それぞれ整備はされてございますが、大きな国の検討の状況とあわせ、また、他県の状況もよく把握しながら、本県にとってどういう形でそういう総合相談体制を構築していくことが必要なのかということをよく検討してまいりたいと考えております。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 企業ごとの具体的かつ細やかな支援についてでございますけれども、県では、経営改善に積極的に取り組む中小企業者が必要な金融支援を受けられるように、中小企業経営安定資金に新たに信用保証料を引き下げた経営力強化対策枠を設けまして、貸付限度額8、000万円とし、12月から取り扱いを開始したところでございます。
 利用に当たりましては、中小企業者が認定支援機関の支援を受けて事業計画を策定することを要件としておりまして、認定を受けた金融機関を含む県内18機関で相談に対応しております。利用企業数や貸付額につきましては、現時点では見通すことは困難でございますが、認定支援機関の取り組みが進むものと考え融資枠を50億円に設定しており、この資金枠が来年度以降も継続できるよう検討してまいります。
 なお、この資金枠の要件に合わない場合でありましても、中小企業経営安定資金そのものは、経営の安定に支障を来している事業者に幅広く対応してきているところでございます。
 また、企業ごとの具体的かつ細やかな支援という部分につきましては、岩手県中小企業再生支援協議会や岩手県産業復興相談センターなどでは相談窓口を設置しております。ここで事業計画の策定支援、さらには金融機関との調整を行っているところでございますが、引き続きこれらの取り組みを継続、強化をしてまいります。
 さらに、県といたしましては、国、岩手県信用保証協会、金融機関、商工団体等と岩手県中小企業支援等連携会議を9月に設立しております。この下部組織として、個別事業者ごとに関係する金融機関等が集まる経営サポート会議を設けまして、事業改善計画の策定支援や必要な金融支援を行うこととしております。
   日程第2 議案第29号農地海岸保全施設災害復旧事業小谷鳥地区堤防工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについてから日程第6 報告第4号岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認に関する報告についてまで
〇議長(佐々木博君) 次に、日程第2、議案第29号から日程第6、報告第4号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。加藤総務部長。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) ただいま議題とされました各案件について説明申し上げます。
 議案第29号から議案第32号までの4件は、東日本大震災津波からの迅速な復興に向けて、農地海岸保全施設及び漁港施設の災害復旧工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 報告第4号は、岩手県信用保証協会が行う保証債務に係る求償権の放棄等の承認に関し報告するものであります。
 以上でありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時57分 散 会

前へ 次へ