平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇35番(嵯峨壱朗君) まさか、今議会の一般質問が総選挙真っただ中になるとは思いもよらず、わかっていれば次回、次々回に一般質問をずらしたかったと思われた人は、今回の登壇者の中では僕だけなのかどうかわかりませんが、一般質問の直前にして、メーンの答弁者がいなくなったらどうしようかとか、総選挙公示後ということで、質問の適不適もあるというし、通告直前まで質問の詳細を詰め切れないでおりました。ということで、限りなく当惑した中、順次質問させていただきます。
 さて、先般、新党日本未来の党が設立されました。先月29日の知事記者会見、その後の各種マスコミ報道等によれば、新党結成のきっかけとなった小沢一郎氏と嘉田滋賀県知事を引き合わせたのが達増拓也本県知事だとか、会談に同席したとか取り沙汰されておりますが、記者会見ではそのことには直接答えておりませんでした。実際はどうなのか、この新党設立に達増知事はどのようにかかわったのかをお尋ねしたいと思います。
 また、記者会見で、この新党に対して、勝手に賛同者とみずからの立場を説明しておりましたが、どのような意味なのでしょうか。単なる賛同者であり、新党のためには具体的な活動はしないという意味で解していいのか、その真意をお尋ねいたします。
 また、知事が新党設立に一定の役割を果たしたということが事実だとするならば、知事自身が、本年を被災地岩手県の復興元年と位置づけ、県政運営の最優先、重要課題として積極的に取り組んできたと信じている県民からすれば、今回の新党設立を初め、達増知事は、実際にどういった価値判断で県政運営を行っているのか、いささか疑問を持たざるを得ないと感じるのは、私だけでしょうか。多くの県民も私と同じ考えを持つと考えますが、知事の見解を求めます。
 昨日、公示を迎えた総選挙。これまでの岩手県の政界地図にはない枠組みでの選挙戦となりました。全国的な趨勢もさることながら、今総選挙の結果が、今後数年間の岩手県の政治のあり方を規定していくであろう重要な選挙であります。
 今回の総選挙で自民党の敵は古い自民党であると石破幹事長が話していたとか。岩手県においては、古い自民党的体質の中でも最も古く、最も変えるべき政治体質を持った独裁的政治リーダーの時代にけじめをつける最大の機会だと私は考えております。いずれ2週間後の16日には一定の結果が出るわけであり、その後の政治的枠組み、政権のあり方を見据えながら、岩手のあるべき政治、行政、社会のあり方を模索していきたいと考えております。
 次に、知事が公言している民意についてお尋ねいたします。
 以前からですけれども、特に先月29日の定例記者会見で、知事は民意という言葉を多用しておりましたが、記者の、新党設立について、小沢一郎氏の生き残りのための党ではないのかという問いに対して、政治というものは、政治家同士の離合集散の次元だけで見る見方もあるのでしょうけれども、私は、むしろ民意があり、民の心があり、それに合わせて政治の形をつくっていけばいいという、これは孟子にはっきり書かれている古来からの東洋の知恵でもあるのですけれども云々と述べておりました。これは、孟子を初めとする儒教で述べられている易姓革命のことなのかよくわかりませんが、また、今回の総選挙で問われているのは、小沢一郎さんの民意重視の政治姿勢に、小沢一郎さん以外の人がむしろどうかかわっていくのかであるとか、小沢、嘉田両氏を引き合わせたのは民意であるとか、さらには、民意は究極的には選挙で示されるなど、さまざまに使われておりますが、詰まるところは、達増知事の考えるいわゆる民意とはどういう意味なのか、改めて御説明願いたいと思います。
 次に、復興元年についてでありますが、初めに、復興元年という表現についてお尋ねいたします。
 私は、本年を復興元年と位置づけること、そのことそのものに異議を述べているのではありませんが、復興元年という表現自体に、最初から違和感を抱いておりました。
 被災地に住む皆さんは、恐らく少しでも早く震災前の生活、状況に戻りたい、一刻も早く復旧してほしいと切に願っているのではないのでしょうか。私は、復興という言葉がひとり歩きすることで、現状と、また被災者の意識と乖離が生じるのではないかといった不安と不満を感じております。このような私の感覚に対する知事の考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、いまだ生活、なりわい、産業などの復旧も全く不十分な状態の中で復興を強調することは、被災された皆さんは言うまでもなく、特にも直接被災者以外の人々の意識の上に、既に被災者、被災地が震災前の状態に復旧し終えているといった印象をもたらしてしまう。そうした意味での意識の上での震災の風化をもたらすのではないのかという懸念を抱くのでありますが、どうでしょうか。
 また、実際に大震災から1年と9カ月が経過しようとする中、災害からの復旧の現状について、知事はどのような認識を持っているのかお尋ねしたいと思います。
 復興局は、平成23年6月10日に条例設立され、その分掌事務として、平成23年東北地方太平洋沖地震及び津波による災害からの復興に係る施策の総合的な企画及び調整並びに特に定める施策の推進に関する事項と規定されております。具体的には、行政組織規則に明記されておりますが、復興に係る施策の総合的な企画、調整、復興に係る計画の進行管理を初めとして、被災地におけるまちづくりに関する企画、調整、農林水産業、ものづくり産業、観光産業等の復興に係る施策の企画、調整、被災者の生活再建の支援に関することなどなどが分掌事務とされております。
 復興計画の推進、被災地におけるまちづくり、農林水産業などの復興、被災者の生活支援、これらは、被災地の復旧、復興を果たす上で最重要課題であることは言うまでもなく、復興局は、他部局をリードして復旧、復興に尽力すべき使命を担っていると思っております。そういった組織だと言えます。
 実際に、震災から1年9カ月程度経過する中で、ますますその重要性が増しているように思われますが、復興局は、こういった他部局をリードして復旧、復興を目指すといった使命を十分果たしてきたと言えるのでしょうか。改めて復興局の役割は何なのか、どのように考えているのかお尋ねいたします。あわせて、現状の職員数と組織体制についてどうなっているのか、適切なのかお尋ねしたいと思います。
 次に、避難者の状況についてでありますが、先月22日、政府は、東日本大震災津波の復興状況に関する報告を発表いたしました。その報告の中で被災各県の復興状況を割合で示しており、河川堤防や国直轄国道などの社会基盤の復旧状況は9割以上と高かった一方で、海岸堤防や防災林の再生事業の着工は約2割、復興住宅の着工も約2割にとどまっているなど、被災者の住まいの再建に時間がかかっている現状が改めて浮き彫りにされております。
 その中で、災害により避難を余儀なくされている被災地全体の状況が示されておりました。それによれば、避難者は、震災直後の約47万人から14万人以上減って32万6、873人となっており、民間アパートなどを借り上げるみなし仮設が16万2、056人と最も多く、次に仮設住宅が11万3、956人、公営住宅などが2万9、822人といった状況であるとのことでした。
 今なお、復旧どころか、寒さもさることながら、当たり前の日常を取り戻せない不便で不安な生活を送っている人がいかに多いことか、今さらながらその深刻さを実感させられます。
 そこでお尋ねいたします。本県において避難者数はどうなっているのか、仮設住宅、みなし仮設、公営住宅などの入居の状況はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
 次に、こうした避難者の生活の再建に欠かせない災害公営住宅についてお尋ねいたします。
 さきの政府報告によりますと、被災地全体で想定される災害公営住宅の必要世帯数2万952戸に対し4、227戸と20%しか着工されていないということでありました。特に本県沿岸は、海岸部が深く山地に入り込んだリアス式海岸で、平たん地が少ないといった地形上の制約から、住宅再建のための用地が不足している地域が多く、災害公営住宅の用地選定に苦慮している市町村が多い状況であります。
 個人の住宅再建については、資金的な問題のほか、このような用地不足の問題も背景にあると思われますが、災害公営住宅の入居希望者数も調査するたびに増加していると言われ、一刻も早い災害公営住宅の建設が切望されております。
 本県の災害公営住宅の整備の現状と今後の見通しはどうなっているのか、お尋ねしたいと思います。
 また、この災害公営住宅の建設のおくれや、次に指摘します高台移転事業の見通しがつかないこと等によって、災害公営住宅の建設、高台移転がおくれ、そのために想定されている仮設住宅等の使用期限が過ぎてしまう可能性が指摘されております。被災者の皆さんにおいては、早期の住宅再建や災害公営住宅への迅速な入居が望ましいことは言うまでもありませんが、そうしたタイムラグも危惧されるところであり、仮設住宅の使用期限等はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
 防災集団移転促進事業等の進捗状況についてでありますが、これは、国の同意を得て工事が始められるわけであります。さきの政府報告によると、国の同意が得られた地区は全体の58%、159地区にすぎないということです。これも高台移転事業全体の進捗に重大な影響を及ぼし、被災者の生活再建がおくれる要因となると考えております。また、既存の市街地において実施する土地区画整理事業も、災害後のまちづくりを推進し、被災者の生活再建を早める上で、早期着工が望まれるところであります。
 そこで、本県における防災集団移転促進事業、土地区画整理事業等の事業計画数と事業認可の現状、認可の見通し、そして、おくれているとすればその原因、さらには、どのように対処していくのかお聞かせ願いたいと思います。
 次に、産業再生の取り組みについてでありますが、被災地の産業は水産業、水産加工業のみならず、各種製造業、サービス業も含むあらゆる産業が、程度の差こそあれ、それぞれの地域で甚大な被害を受けました。
 まず初めに、今般の大震災で壊滅的な被害を受けた水産業、水産加工業についてでありますが、言うまでもなく、沿岸地域経済の基幹産業であり、本県沿岸地域の復活には、このそれぞれの産業の早急な復旧が必要不可欠であります。
 県が11月に公表している復興実施計画における主な取り組みの進捗状況を見ますと、新規登録漁船が約5、000隻、養殖施設が1万3、000台整備され、いずれも第1期目標の7割程度の進捗となっているほか、荷さばき施設や製氷施設など流通加工関連施設が57カ所竣工しております。
 また、甚大な被害を受けた漁港については、県管理の19漁港で潮位にかかわらず陸揚げが可能となり、24漁港で防波堤の本格的な復旧工事に着手するなど、復旧工事が着実に進んでいるように思われますが、一方で、実際には、先ほどの第1期目標の7割という進捗の話がありましたが、全体の目標に対してどうなのかということも明らかにされておりませんし、実際に、浜ではまだ震災前の状況にはほど遠く、漁船は全ての人に1隻までは行き届いていない状況であり、水産加工場、共同利用施設や漁港も満足できるレベルまで復旧しておらず、早急な水産業の全体の復旧が浜から望まれているのも事実であります。
 また、復興商店街、復興食堂等もつくられ、仮復旧の形でも何とか営業を再開し現在に至っているわけですが、地盤沈下への対応も遅々として進まないため、住宅の整備状況、基本的な公共施設の配置なども定まらず、商店街の形成が思うようになされていないことにより、新たな店舗の設置などが進まず、再出発がままならない深刻な状況が続いております。
 そこでお尋ねいたします。生活の再建に必要な雇用の場を確保するためにも早期の復旧、復興が望まれる被災地における水産業、水産加工業、各種商工業などの沿岸地域の主要な産業の復旧状況に対して、知事はどのような認識を持っているのでしょうか。また、それぞれ今後の復旧の見通しなどをどのように考えているのかお尋ねしたいと思います。
 次に、いじめ問題についてお尋ねいたします。
 9月定例会の一般質問、平成23年度決算特別委員会審査の過程でも、多くの議員の皆さんから質問が出されておりました。今回、改めて文部科学省が行ったいじめ問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査結果について、各種報道がなされておりました。大津市の中学校2年生の男子生徒の自殺を受けて実施されたと言われております。調査によれば、全国では、本年4月以降の半年間で、昨年1年間の7万231件の約2倍の14万4、054件にまで認知件数がふえたということであります。
 本県においても、県教委によれば、公立学校全体で─国立は除くということでありますが、いじめの認知件数は、小学校1、338件、中学校507件、高校138件、特別支援学校204件となっており、前年度認知件数の約6倍に急増していると言われております。
 例年実施している問題行動等調査は1985年から始まり、件数は年々減少したと言われますが、1994年度の愛知県西尾市でのやはり中学2年生の男子生徒の自殺がきっかけとなり、文部科学省が、いじめられた子供の立場で調べるようにした結果、やはり94年度は93年度から2.6倍にふえたということであります。
 この後また減少しましたが、やはりこれも北海道滝川市の小学6年生の女子児童が遺書を残して亡くなったのを契機に、また社会問題化いたしました。文部科学省はこのときも、いじめの定義から継続的な攻撃や深刻な苦痛を外して調査した結果、2005年度は2万143件だったのに、2006年度は12万4、898件と6倍強に急増したということであります。
 現在では、一定の人間関係にあるものから、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているものが、定義となっているようであります。このように、何年か置きに、悲惨で深刻な事件の発生を機に、定義、捉え方の見直しを繰り返し、実態把握に努めて現在に至っているということであります。
 さらに、専門家によれば、精神的苦痛には、不安感、恥ずかしさ、みじめな思いも加えるべきと指摘されております。
 深刻ないじめの実態を把握するために、生徒の実情と感覚により近い定義や捉え方を常に取り入れていく必要があると考えます。より生徒の実情に近い現実を把握し、大きないじめになる前に見つけ、対応することが大切だと言われております。
 いじめ問題に関する最近の報道、せんだっての特別委員会での質疑で、小さな兆候をカウントしたので、精査すれば減るのだといったコメントがありましたが、このような認識は本当に適切なのでしょうか、見解をお尋ねいたします。子供たちは、いじめられているということをみずから言うことはないと言われております。
 私自身も、さきの決算特別委員会で質疑を交わしたところでありますが、その中で、質疑の中で、佐々木努議員の質問の中に、いじめが原因となって不登校になっている生徒はいないのかという問いがありました。これに対して、今回の緊急調査の項目にはなかったが、昨年実施した問題行動等調査では、小・中・高校生1、311人の不登校児童生徒のうち41人が、いじめを原因として不登校になったとの回答を得ているとの答弁がありました。
 私は、本年度もこのいじめと不登校の実態調査をしっかりやるべきと考えますが、県教委の緊急調査の結果を見ると、認知されたいじめの解決率は81.7%ということになっております。大変すばらしいことではありますが、その報告自体、実際どうなのかという疑問を抱いているのも事実であります。苦しんでいる多くの子供たちがいるのではないのでしょうか。改めて、いじめと不登校の関係、さらには実態調査の必要性について当局の見解を求めます。
 次に、いじめの抜本的な解決策は一朝一夕には見つからないでしょうが、こうしたいじめ問題に関する有効な施策、手だてとしてはどのようなものが考えられるのか、現場経験も豊富な教育委員会委員長の見解をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、地域医療のあり方についてお尋ねいたします。
 本県における地域医療のあり方に関して、特に、医療過疎の問題についてお尋ねいたします。
 地域医療の提供体制を確保するためには、医師の地域偏在、診療科偏在の解消が必要であり、その前提として、医師の育成、確保が必要であります。
 本県においては、岩手県医師確保対策アクションプランを策定し、医師を育てる事業として、医師養成奨学金事業や地域医療セミナー、いわて医学奨学生サマーガイダンスを実施しております。また、本県での初期臨床研修後も引き続き本県に残ってもらう施策として、臨床研修指導医講習会の開催や研修医のスキルアップセミナーの開催、後期研修プログラムの整備等を行っております。
 さらには、女性医師が仕事と育児の両立を図る環境の整備を目的とした院内保育の充実や、離職した女性医師が安心して復帰できるよう研修等を行う職場復帰支援など、勤務環境の向上に努めております。
 こうした医師確保対策の一つとして、岩手医科大学に設けた地域枠奨学生の第1期生が平成27年度末に初期臨床研修を終了し、平成28年度から本格的に県内医療機関に配置されることになったことは、評価に値すると思っております。
 しかしながら、本県の医師不足、医師の地域偏在や診療科の偏在といった現状は厳しく、県内には、野田村とか普代村、田野畑村といった地域に医師が1人しかいないといった市町村もございます。こういった状態で最低限の医療水準を満たしていると言えるのか、疑問を感じているところであります。
 県立病院の無床化の議論などがされておりますが、私は、そういった医療過疎の実態を見るにつけ、そういった議論に若干違和感を感じて議論してきたのも事実であります。このような医療過疎の実態を把握し、適切に対応することこそ急務と感じております。
 そこで、医師の地域偏在など医療過疎の現状をどう認識しているのかお尋ねいたします。この医療過疎にかかわる課題に対し、県はどのように対応していくのかお尋ねしたいと思います。
 また、本県の医療政策を考える上で、県立病院の重要性は言うまでもありません。さきに述べたように、県立病院の無床化などが議論されているところでありますが、医療局としても、医療過疎の実態を把握し、県立病院のあり方として医療過疎問題に対応することが必要であると考えます。
 本県における県立病院の現在の配置や規模は、歴史的な経過によって現在に至っており、二次保健医療圏の急性期や救急医療を担う基幹的な病院は全て県立となっておりますが、圏域内の各地域においては、県立、市町村立のほか、民間病院等が地域医療を担っており、特に県北・沿岸地域において、医療機関や医師の数が希少となっている地域が多いものと認識しております。
 このように、医療過疎の問題は、当県そのものが全国の中で医療資源に乏しいという問題のほかに、県内でも東北本線沿いと県北・沿岸部、さらには都市部と郡部における医療資源の格差が拡大しているということを踏まえて対応していく必要があると考えます。
 そこで、医療過疎の現状の認識とその対応について、医療局としてどのように考えているのかお尋ねしたいと思います。
 次に、環太平洋連携協定等についてお尋ねしたいと思います。いわゆるTPPでありますが、これへの参加による本県の影響についてお尋ねしたいと思います。
 TPPへの参加についてはさまざまな議論がなされているところであり、経済の面から、貿易の自由化により日本製品の輸出が増大するといったメリットが言われている反面、海外から安い商品が流入することによるデフレの懸念などデメリットが指摘されております。また、医療保険の自由化により公的医療制度が崩壊するのではないかなど、医療保険における問題点も指摘されております。
 しかし、TPPへの参加における最大の問題点は、農林水産業への影響と私は考えております。関税の撤廃により安い農林水産物が流入し、日本の1次産業に重大なダメージを与えることが懸念されております。
 そこで、特に農業の分野において、本県にはどのような影響があるものと考えているのか、知事の所見をお尋ねしたいと思います。
 次に、TPPへの参加に伴う、特にもこの遺伝子組み換え種子についてお尋ねしたいと思います。
 TPPへの参加における問題点として、食品添加物、遺伝子組み換え食品、残留農薬などの規制緩和により、食の安全が脅かされるのではないかとの指摘がなされております。特に遺伝子組み換え作物については、その悪影響を防止するための国際的な議定書がありますが、TPP交渉国のアメリカやオーストラリアなどは、この議定書の締約国となっておりません。TPP交渉により、遺伝子組み換え種子の売り込みを強化するような動きが懸念されるところであります。
 例えば、遺伝子組み換え種子と除草剤をセットで販売するなど海外の戦略的な販売攻勢により、海外産の種子の輸入が大幅に増加するといった事態も想定されます。あるいは、少量の流入であったとしても、在来との交配が進むことにより、本県の豊かな遺伝資源が駆逐されてしまうのではないか、組み換え遺伝子が生態系にまで悪い影響を与えるのではないかと懸念しております。
 そこで、TPPへの参加に伴い遺伝子組み換え種子が本県に入り込むことによってどのような影響が考えられるのか、お尋ねしたいと思います。
 次に、これらに関連して、一代交配種子、いわゆるF1種子から生産された農産物の安全性についてお尋ねしたいと思います。
 F1、一代品種、その種によって次の子孫ができないという種子でありますが、この品種の優秀性が1代限りの性質を持つ農産物ですので、現在流通している野菜のほとんど、岩手におきますと、米、小麦、大豆以外はほとんどがこのF1種子であります。そういった現実を皆さんは御存じでしょうか。
 F1種子から育ったF2はF1より生産性が低下することから、農家は、F1種子を種苗会社から常に購入し続けなければなりません。そういった問題もありますが、より重要なのは、F1品種は、品種の優秀性が1代限り、次に残らない。食品とすることに問題はないのかという点であります。一代交配種子は、昔から農業技術としてはあるわけでありますが、流通している野菜のほとんどがF1品種であるという現実には疑問を感じております。生産者の中にも疑問を持っている方がおられるかもしれません。
 岩手の独自のブランドの品種の野菜等をつくるといった方針にもこれは合致すると思いますけれども、そういったことも含めて、F1種子から生産された農産物の安全性について、食の安全の観点から問題はないのか、知事の見解をお尋ねしたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 嵯峨壱朗議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、日本未来の党の設立等についてでありますが、日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事とは、全国知事会のメンバーとして従来から面識はありましたが、平成23年2月に滋賀県大津市で開催されたシンポジウムに私が招かれて以来、親しく話をするようになりました。意見交換や嘉田知事の著作等で、嘉田知事の考えは、3年前の政権交代マニフェストの理念、政策と方向性が一致していると思われ、私からそのことを話しましたところ、嘉田知事は、全くそのとおりで、あの政権交代には期待をした。それがこんなことになって大変もったいないという趣旨の話をされました。それについて、私や、民主党内で実現しようとしたが実現できずに国民の生活が第一を立ち上げた方々も同じ思いであると話をしました。このような経緯もあり、嘉田知事と小沢一郎氏との会談がなされ、必然的にそれぞれの政治の道が合流したものと認識しております。
 また、勝手に賛同者と申し上げましたのは、嘉田知事が未来の党を旗上げした際、茂木健一郎さんや坂本龍一さんのようにびわこ宣言に賛同者として名を連ねる形ではありませんが、その理念等に賛同する者の一人として、全国の同じ思いを持つ方々と心の中で連帯をしながら賛同者を名乗っていきたいという趣旨からであります。
 さらに、復興に最優先に取り組む中で新党の設立等にかかわることについてですが、私の政治活動については、地方公務員法及び公職選挙法等の法令の趣旨に沿って、適切に行動してまいりたいと考えております。
 次に、私の考える民意の意味についてでありますが、民意は、主権者の意志として基本的には選挙で示されるものでありますが、選挙の結果は民意のあらわれとして尊重しなければならないと考えます。
 3年前の総選挙で政権交代に託された民意は、当時の民主党マニフェストにあるように、消費税増税をせずに、弱いところへの手当てをしっかりとし、格差社会をなくしていくというものであると認識しております。その政権交代に託された民意と、昨年3月11日の東日本大震災津波及びそれに伴う原発事故以降に自覚を深めている民意とが合わさって、今回の総選挙においては新たな民意が形成されていくものと期待しているところです。
 次に、復興元年という表現についてでありますが、県の復興計画においては、今回の東日本大震災津波の被害の広域性、複合性、甚大性などの特徴を踏まえ、応急的な復旧を急ぐ一方、被災地の単なる原状復旧にとどまるものではなく、再び津波によりとうとい人命が失われることのない、より安全で暮らしやすく、誰もが再び人間らしい日々の生活を取り戻すことができる復興を実現することとしております。
 このような方針のもと、まずは被災者の目線に立った生活再建支援などの緊急的な取り組みとして、防災施設等の応急的な復旧や応急仮設住宅の整備、被災者の心と体のケア、企業等の二重債務の解消やグループ補助金等を活用した事業所の早期再開などを最優先に推進してまいりました。これらの取り組みに加え、実質的な復興へのスタートとなる平成24年度については、被災者一人一人の復興を支援し、地域の復興まちづくりを軌道に乗せる大事な1年として復興元年と位置づけたところであります。
 今後、第1期復興実施計画の目標年次である平成25年度までに復興の基盤づくりを集中的に行い、それらの成果に立って、次の3年間で本格的な復興の取り組みを推進し、最後の2年間でさらなる展開へつなげ、新しい三陸の創造を目指して取り組んでまいります。
 次に、震災の風化についてでありますが、いまだ被災地の復旧、復興が緒についたばかりの中で、大震災に関する報道が少なくなっており、大震災の記憶を長くとどめ、被災地の今の状況に関心を持っていただくためには、復旧、復興事業の進捗状況のみならず、被災地の暮らしや産業の現状、直面している課題、さらには将来の生活に対する不安などの被災者の思いを、県内はもとより、国内外にしっかりと情報発信していくことが必要と考えます。
 また、震災からの復旧の現状に関する認識についてでありますが、安全の確保については、復興交付金を活用した防災まちづくり事業計画地区の約8割の事業に着手するなど、被災地のまちづくりに向けた事業が本格化しつつあるところであります。暮らしの再建については、建設が予定されている災害公営住宅約5、600戸のうち、約35%の事業に着手したところであります。なりわいの再生については、一部再開を含め、被災事業所の約8割で事業が再開されるなど、最初の3年間である第1期復興実施計画が目標とする基盤復興に向けた事業が具体化しつつあるところであります。
 一方で、いわて復興ウォッチャー調査の結果を見ますと、いまだ半数以上の方は復興の進捗を感じられないという状況にあり、また、被災地に直接お邪魔して被災者の御意見や御要望をお伺いするたび、防災のまちづくり、住環境の整備や雇用の確保、水産業を初めとした産業の再生などの復興の取り組みをさらに加速させ、一日も早い復興を実現していく必要があると強く認識しているところであります。
 次に、復興局の役割についてでありますが、復興局については、復興に関する取り組みを迅速かつ強力に推進するため、復興計画推進の司令塔の役割を担いますほか、特に、部局横断的または新たな視点での対応が必要となる分野を専属で担当する組織として設置したところであります。
 復興局の組織については、復興計画等を担当する企画課のほか、産業再生特区等、部局を横断して地域産業の再生に取り組む産業再生課や、被災者に寄り添い、支援を行う生活再建課など復興推進に必要な体制整備を行い、また、その業務に見合った職員数として44人を配置しております。
 今後とも、復興の進捗により必要となる業務の変化に応じて、復興局の適切な組織体制の整備を図ってまいります。
 次に、産業再生の取り組みについてでありますが、水産業については、漁船や養殖施設等の漁業生産基盤、産地魚市場等の流通、加工施設の復旧、整備を進めるなど、漁業と流通、加工業の一体的な再生に取り組んできたところであり、この結果、今年度の魚市場の水揚げ量やワカメの生産量が震災前の約6割に回復するとともに、冷蔵能力も被災前の約6割まで回復したところであります。また、商工業については、グループ補助等による施設整備や二重債務の解消に向けた支援などに取り組み、8月に実施した被災事業所復興状況調査によりますと、一部再開済みを含め、約8割の事業所が事業を再開したところです。さらに、観光分野についてもグループ補助等を活用した宿泊施設の復旧が進み、被災前の収容定員の8割弱まで回復したところであります。第1期の復興実施計画が目的とする基盤復興の具体化が進展していると考えております。
 今後、産業再生を加速していくためには、用地や従業員の確保に加え、設計や工事の人手不足などが課題となっていますことから、事業所の再建と密接にかかわる復興まちづくりをさらに加速させるとともに、引き続き市町村と一体となって復興計画に基づく事業の着実な推進を図り、一日も早いなりわいの再生を実現してまいります。
 次に、TPP参加による本県への影響についてでありますが、農林水産省が平成22年度に、関税を撤廃し、生産量の減少に対し何らの対策も講じないとの前提で行った試算方法を参考に本県の農業に与える影響額を試算しますと、米が596億円、鶏肉が310億円、乳牛が214億円など、7品目の合計で生産額が1、469億円減少するとの結果となり、大きな影響が懸念されます。
 一方、本県の農業は、地域経済を支える基幹産業として大きな役割を担ってきたところでありますが、高齢化の進行等による農業従事者の減少、生産物価格の低迷による農業所得の減少に加え、東日本大震災津波により大きな被害を受けた状況にあり、県の復興計画や県民計画に掲げる取り組みを着実に進めていくことが重要と考えております。
 次に、F1種子から生産された農産物の安全性についてですが、我が国で利用されているF1種子は、旧来から品種開発に使用されてきた技術であり、その生産に係る全ての過程において花粉の交配による育種方法が用いられており、その安全性を懸念する必要はないものと承知しております。
 その他のお尋ねにつきましては関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いいたします。
   〔理事高前田寿幸君登壇〕
〇理事(高前田寿幸君) まず、避難者の状況についてでございますが、11月2日現在、本県全体の避難者数は5万6、111人となっており、このうち、応急仮設住宅には全体の約53%に当たる2万9、575人、民間賃貸住宅には13%の7、305人、公営住宅等には約5%の2、758人、県内の御自宅や親類宅等には約26%の1万4、799人、また、県外には3%の1、674人の方が避難しておられます。
 次に、仮設住宅の入居期限についてでございますが、みなし仮設住宅を含めた応急仮設住宅の供与期間は原則2年間とされているところでございますが、その延長につきまして国に要望した結果、本年4月に厚生労働省から1年間の延長が認められたところでございます。このため、現時点での入居期限は、応急仮設住宅につきましては平成26年4月、みなし仮設住宅につきましては平成26年3月までは延長されているところでございます。
 今後とも、被災者の方々が住宅を再建されるまでの間、応急仮設住宅等の提供が必要であると考えており、土地区画整理事業など面的整備による住宅再建や災害公営住宅の整備の進捗状況等を踏まえ、被災者の不安を解消するために、引き続き応急仮設住宅の供与期間の延長について国に強く要望してまいります。
   〔県土整備部長若林治男君登壇〕
〇県土整備部長(若林治男君) まず、災害公営住宅の現状と見通しについてでありますが、県で建設いたします予定の3、231戸につきましては、地権者の内諾を得たものが28団地1、794戸、そのうち設計中のものが6団地476戸、工事中のものが4団地200戸であります。また、市町村で建設いたします予定の2、369戸につきましては、地権者の内諾を得たものが45団地1、047戸、そのうち設計中のものが21団地522戸、工事中のものが5団地95戸、入居を開始したものが1団地44戸であります。
 今後は、県が建設するものは平成26年度まで、市町村が建設するものは平成27年度までに完成することを目指しまして、用地の確保や災害公営住宅の建設に鋭意取り組んでまいります。
 次に、防災集団移転促進事業などの進捗状況についてでありますが、防災集団移転促進事業につきましては、現在、7市町村55地区で予定しており、このうち、国土交通大臣から事業計画の同意を得たものは37地区となっております。土地区画整理事業につきましては、7市町村20地区で予定しておりまして、このうち、都市計画決定が行われたものが13地区、事業認可を行ったのが2地区となっております。
 防災集団移転促進事業につきましては、移転先となる高台等の住宅団地の用地取得に当たり、適地が少ないことに加え、地権者対応や契約手続に時間を要していること、また、土地区画整理事業につきましては、従来の生活の場での再建となりますことから、換地や減歩など具体的な事業計画につきまして合意形成に時間を要していることなどが課題となっております。
 これらの課題解決に向けた取組体制を強化するために、県では、本年10月に知事を本部長といたしますまちづくり・住宅再建推進本部を設置したところでありまして、国や市町村と連携して、用地取得に要する抵当権や所有者不明土地等の課題への対応を進めるために、URや土地開発公社などの関係機関と一体となって、市町村支援を行いながら事業のスピードアップに取り組み、被災者の早期住宅再建を促進してまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 医療過疎についてでありますが、お尋ねの医師の地域偏在については、本県の人口10万人当たりの医師数は、平成22年度の国の調査で、全国平均の230.4人に対し193.7人と36.7ポイント下回っており、全県で医師の絶対数が不足している状況にあります。また、県内においても、盛岡圏域は全国平均を大きく上回っている一方、沿岸、県北地域では盛岡圏域の半分以下となっており、こうした地域における医療の確保は重要な課題と認識しております。
 県といたしましては、このような医師不足や地域偏在の解消に向け、即戦力医師の招聘に取り組むとともに、医師の絶対数の確保に向けて、奨学金制度を拡充し、現在55名の貸付枠でその養成に取り組んでいるところであります。
 議員御指摘のとおり、平成28年度以降、臨床研修を修了した医師の配置が本格化することが見込まれますことから、これらの養成医師を医師不足地域の医療機関に効果的に配置していくための仕組みを構築するため、本年9月に関係機関の有識者をメンバーとするワーキンググループを設置し、現在、その方策を検討しております。
 今後、これらの医師偏在解消に向けた取り組みを推進していくとともに、二次保健医療圏内の病院や診療所の役割分担と連携を促進するなど、地域の限られた医療資源を有効かつ効率的に活用しながら、いわゆる医療過疎地域を初めとする地域医療の確保に取り組んでまいります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 医療過疎に係る医療局の認識と対応についてでありますが、県立病院の常勤医師数は、平成23年度末と医師数が最も多かった平成13年度末を比較いたしますと、北上川流域の地域においては若干の減少でとどまっているものの、県北、沿岸の地域においては約2割減少しているところであります。また、基幹病院については全体としてほぼ同数でありますが、地域病院については全体で約4割減少し、特に旧東磐井地域においては約6割減少しているところであります。県北や沿岸などの地域においては、民間の医療機関も少なく、また、県立病院を含めた公的医療機関も医師不足の状況が続いているところであり、こうした中にあって、基幹病院を中心に、地域病院や市町村立病院等に対する診療応援を行うなどにより地域医療の確保に努めてきたところであります。
 平成28年度以降は、奨学金制度による養成医師の配置が本格化し、医師の充足状況の改善が見込まれるところでありますが、当面、二次保健医療圏を基本とした県立病院相互のネットワークに加え、市町村立病院等との連携を図りながら、良質な医療の持続的な提供に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 遺伝子組み換え種子の流入の影響についてでありますが、組み換え作物に実った種子等が周辺の生態系に侵入した場合、野生植物の種や生態系の維持に影響を与える可能性が指摘されているところであり、これに対処するため、国際的な規制として、生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書を日本を含む163の国と地域が締結しております。
 遺伝子組み換え作物が一般の農地で栽培された場合、組み換え作物から飛散する花粉が周辺の農地の同種の作物に受粉して交雑し、その結果、周辺の作物の性質や生産物の品質が変化する可能性を否定できないと考えており、本県では、遺伝子組み換え食用作物の栽培規制に関するガイドラインによりその栽培を規制し、安心な農産物の生産に取り組んでおります。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) いじめ問題への対策についてお答えいたします。
 いじめは人間として決して許されないことであり、学校教育に携わる全ての関係者一人一人がこの問題の重要性を認識し、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応する必要があると考えております。
 いじめの早期発見、早期対応、未然防止についてはこれまでも各学校において日常の教育活動の中で取り組んでいただいているところでありますが、まずは、子供たちに一番近いところにいる教員、とりわけ担任等が子供たちとの信頼関係を築き、適切に対応していくことが大事であると考えております。また、いじめを認知した場合には、学校全体で解決に当たることが重要であります。
 このことを踏まえ、去る10月にいじめ根絶緊急研修会を実施し、教職員間の共通認識に基づいた迅速かつ丁寧な対応の重要性について、改めて周知したところであります。さらには、学校と教育委員会等の関係を密にし、さまざまな専門機関と連携して丁寧に対応していくことも大切だと考えております。
 今後も、あらゆる教育活動を通じて子供たちに豊かな心を育むとともに、いじめを許さない明るい学校づくりに向け、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを進めてまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) まず、いじめの件数に関する認識についてでありますが、本年8月から9月にかけて実施したいじめの緊急調査において、県内公立学校においては、昨年度1年間の認知件数に比べまして6倍強の2、004件が認知されたところであります。議員御指摘のように、より児童生徒の実情に近い現状を把握し、いじめ問題に早期に対応するためには、件数の多寡のみならず、さらに調査結果にあらわれていない問題もあるとの認識を持ちながら、それぞれに子供たち一人一人がいるということに思いをいたし、一件一件丁寧に対応していくことが必要と考えております。
 次に、いじめと不登校の問題の調査についてでありますが、毎年実施しております問題行動等調査により把握し、その結果を丁寧に分析し、児童生徒の支援に努めてまいります。
 今後とも、きめ細やかな調査を継続し、子供たち一人一人の実態を把握する努力を続けてまいりたいと考えております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 何点か再質問させていただきます。
 通告していたわけですけれども、なかなか知事は真っすぐに答えていただけないなと改めて思いましたけれども、新党についてですけれども、どのような役割を果たしたのか。要するに仲介とか、そういった積極的な役割を果たしたのかどうかということを聞いているので、その点についてもお聞かせ願いたいと思います。仲介ですね。
 そして、民意は主権者、王ではない、民、主権者ということでしょう。選挙の結果を優先するとも言っておりましたね。仮に、知事が支援している方向ではない結果が出た場合、それは知事にとって民意でしょうか。民意として尊重するということでしょうけれども、それでいいのか説明願いたいと思います。
 それと、私は、大阪市とか、滋賀県もそうでしょうけれども、東京都とか財政力に余裕があるところ、また、被災県でもないわけです。そういうところのリーダーが、仮にそういった政治的な国全体のことに積極的にかかわる、そういうのもあるのかなとは思っておりますけれども、知事が言うとおり、岩手県は被災地なわけです、この大震災の。復興が最重要課題と言っているわけです。そうした知事が、もちろん知事として、政治家として国政にもかかわっていくということはあるのでしょうけれども、今そういうことをしているときだったんでしょうかという疑問なんです、私は。そういったことについてどう思うか。活動が自由であるとかないとか、そういうことは聞いておりません。自由にやっているんでしょう、どうせ。きのうも選挙の応援に行っていますよね。そのことをとやかく私は言うつもりはありませんので、自由にやってくださいということです。被災地の知事として適切な行動なのかどうかということを尋ねております。
 それと、きのうの河北新聞でしたか、政党支持の分かれる対応を2人の知事に聞くと。村井宮城県知事、そして達増知事のインタビューの記事が出ておりました。村井知事は、前回の総選挙では特定の政党を推したやに聞いております。今回は、東日本大震災からの復興を早く進めるためという今の立場から、中立の判断をして、全政党に配慮した結果、どこの政党も支持するという態度を示していない。一方、達増知事は、同じ被災地でありながら、御承知のとおりですけれども、一定の特定の政党を支持するということを明確にしております。
 私は、これが被災地でなければいいとは言いませんけれども、やはり被災地の知事としては、復興第一と言うのであれば、こういうものにかかわっている暇はないのではないですか。それが率直な県民の意見だと私は思いますよ。その点についてどう思うか、お尋ねしたいと思います。
 とりあえず、それです。
〇知事(達増拓也君) 党の設立に果たした役割ということは、突き詰めますと、党の名称、党の規約、党の政策など、政党の設立ということに関する意思決定プロセスには、私は関与しておりません。
 民意について。小泉総理のときの郵政民営化総選挙、自民党の圧勝という結果になったんですけれども、では、そのときの民意が、郵政民営化をあのときの主張のように徹底的に迅速に進めなければならないということだったかというと、その後そうはなっていないんですが、特にそういう方向に戻そうとする民意の動きのようなものは余り見られないわけでありまして、多分あのときの民意は、官僚主導の政治に対するアンチの民意、小泉首相が解散を決意したときの演説の中で、郵便局で働いている人は公務員なので、その何十万人という公務員が、そこでそれだけお金を使っていいのかというような、そのアピールの中で、公務員のあり方ということについてかなり、今のままではだめだという民意があらわれたのだと思います。
 したがいまして、選挙の結果というものは、何党が勝つとか、誰が当選するというのも大事ではあるんでしょうけれども、その中で、やはりどういう民意がそこで形成されたのかということをきちんと見抜いて、それが実現する方向に、それぞれの立場でさまざま工夫をしていくということが大事なのではないかと思っております。
 それから、被災地の知事としてということは、これは、国政の動きとかさまざまあります。また、いろいろ岩手の中でも、この大震災や復興と直接関係がないさまざまな問題が起きたり、対応を迫られたりもいたします。そういう中で、被災地の知事として、この県組織を主導しながら、被災地、被災者に向き合いながら、この復興をしっかり進めていくということに関しては、何らもとるところはないと思っておりますが、さまざまな御批判は、謙虚に耳を傾けて、さらによりよい対応をしていくための参考にさせていただきたいと思います。
 それから、村井知事との関係で、被災地の知事は中立化すべきではないかということについては、前にも議会で答弁いたしましたが、競争的な政治状況と復興を進めるということは、矛盾しないと考えております。去年の岩手県での統一地方選挙も、復興が大事だから、党派で争っておらず、復興というところで収れんして、選挙という競争を極力避けるような道もあり得たわけでありますけれども、概して、各政党などが競争しながら、こういう復興が必要、復興はこのように進めていこう、そういう選挙が行われたと思っております。
 そういう競争的な政治の中からよりよい復興のあり方というものが生まれてくる、それが民主主義だと思っておりますので、被災地の知事が、そういう競争的政治の中に、これは、もちろん中立というのも、それは政治的な自由な判断の一つであると思いますし、また、その中で、それぞれの信念に、判断に基づいて法令の範囲内で適切に行動するということは、いいことだと思っております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 小泉首相とかのときのことはどうでもいいんですけれども、あれも私自身は変な選挙だなと思っていますし、それが民意かと言われると、どうなのかと思ったりもしますが、知事が、実はこの間の記者会見で明確に言っているんですよ。その民意は、究極的には選挙で示されると。さっきの答弁でもそう言っていましたね。明確に、選挙の結果が優先されるんだと、民意として。今のはそういったものと矛盾していないですか。
 その民意が正しかったかどうか、方向性が、郵政だけでやった選挙の結果がどうこうというのもあるのかもしれません。それはどうでもいいんですけれども、そうじゃなくて、一般論としてでもいいです。選挙結果が、自分の意に沿わない結果であったとしても、それはやはり民意として捉えるべき、知事の理論からするとそう捉えられるわけですけれども、そうではないのでしょうか。どういう結果が出るかわかりませんよ。恐らくそれを民意として、知事の論理からすれば、民意として捉えるというのが正しい理解の仕方かなと私は思っております。その点についてもお聞かせ願いたいと思います。
 それぞれの知事がどう考えるかというのは、それはそれでいいんです。ただ、際立った対応があるんだなと私は思っています。ぜひ、日本の政治全体のことももちろん、地方自治を預かる責任者として国に対して言うこともあるでしょうし、全体的な、そうじゃなければならないこともあるでしょう。それについては発言していただきたいし、新たな国のあり方を考えていく、それは否定はしませんけれども、岩手県の知事ですから、ぜひとも今は復旧、復興にいそしんでいただきたいと思っております。
 それと、応急仮設住宅のことをお聞きいたします。
 先ほどタイムラグの質問をしましたけれども、制度的にお願いすることによって、延びることは可能なんですが、そのものは応急仮設ですね。強度的にそんな3年も、4年も、5年も住めるものなのかなと、そういった不安も感じるんですけれども、その点はどうなっているのかなと思いますので、お聞かせ願えればと思います。
 それと、遺伝子組み換えについては大きい問題ですから、岩手県ではそういうふうに対処しているということであればそれでいいのかもしれません。実際にTPPが、参加して、実行されてくるとどうなっていくかというのは、県だけで対応できる問題でもないかもしれませんけれども、ぜひ慎重に見ていていただきたいと思います。
 先ほどのF1についてなんですけれども、私も素人なのでよくわからないと言えばわからないんですが、これは、普通に食べているものというのは全部、種を買ってきて、例えば今つくったキュウリから、その花から種をとって次をつくるということは、九十数%の割合でできないんですね。
 私は、伝統野菜ではないけれども、岩手県の独自の野菜をつくるという意味でも、そういった一代交配ではなくて、オリジナルな交配のものをつくっていく、そういったことが重要ではないかと思っています。
 また、安全性に問題がないと言いましたけれども、果たしてそうかなとも思っております。そういった方向で、ぜひ岩手独自の品種という面も踏まえてできないものかなと、F1でないものに力を入れていくことも可能ではないかと思うのですけれども、その点どうなのかお尋ねしたいと思います。
 それと、復興局ですけれども、きょうの新聞でしたか、市町村からも、また岩手県もそうですが、多くの職員、二百数十名でしたかを要望しているという話がありました。私は、復興局の皆さんの仕事は仕事として評価しますけれども、むしろ現場に行ったほうがいいのではないですか。必要な市町村に、その人たちを派遣するとかじゃないですけれども、それぞれの部局に戻して、そして、さらに必要なところに、そのほうがいいのではないかという気がしますけれども、そういう考え方はどうでしょうか。
 この間、あるところからちょっと指摘されましたけれども、二重ローンの問題などでも、どうも生じゃないのか、隔靴掻痒というんでしょうか、どうしても率先して対応するという姿勢を感じない、どうなんだということを指摘されました。一生懸命やっているのでしょうけれども、私のそういった、例えば復興局の職員を市町村に支援として派遣したほうが、実は支援の効果が高いのではないかという意見についてはどうなんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
 それと、グループ補助の活用ですけれども、4回の募集で約175グループが申請して、予算不足で51グループの認定にとどまったということですけれども、今回の第5次によって、どの程度まで求められているものに対して応えられる予定なのか、お聞かせ願えればと思います。
〇知事(達増拓也君) 復興局についてでありますけれども、復興局職員は、円滑な復興事業の推進や被災者支援のため、頻繁に現地に出向き、市町村や関係者とともに復興に取り組んでいるところでございます。そして、被災市町村への支援につきましては、要請に基づいて必要な人員を県から派遣しているほか、さらなる要請に対処するため、県で採用した任期付職員を来年度から市町村に派遣することとしておりまして、条件が整う方については、年度内に前倒しで市町村に派遣することとしております。
   〔35番嵯峨壱朗君「最初の質問」と呼ぶ〕
〇議長(佐々木博君) 知事、最初の質問については。民意について。
〇知事(達増拓也君)(続) 御意見かと思って承っておりましたが、繰り返しますけれども、例えば消費税増税の問題でありますとか、それから格差社会化に歯どめをかけていく、貧困の問題など弱いところに手当てをしていくということについて、3年前の政権交代選挙で民意として示されて、その前の参議院議員選挙も、国民の生活が第一というスローガンで、やはりそのマニフェストに支持が多く寄せられたと理解しております。
 そして、政権交代の次の参議院議員選挙において、民主党が、消費税増税を選挙の際に総理大臣が主張したところ、大きく後退したというようなこともあり、民意に関しては、やはりさまざまな構造改革政策の後、リーマンショックも起きたりしまして、かなり日本経済が弱くなっていて、特に地方経済が疲弊している。岩手の場合も、県民所得がどんどん下がり、雇用が低迷し、人口流出もどんどん年ごとにふえていくという状態でございました。
 そうしたことに歯どめをかけて、立て直していかなければというような民意、それは、どの党が政権をとるとか、どの候補者が当選するとかということは、それはそれで大事なんですけれども、日本国政府が、いかなる理念のもと、いかなる政策を進めていくのかということを、きちんと民意を踏まえてやっていかなければならないということが、私の言いたいことなわけであります。
 そういう意味で、民意というのは選挙の結果として示されるし、その選挙の結果には従うべきだということを申し上げております。
〇理事(高前田寿幸君) 応急仮設住宅の入居期間の延長等に係ります強度等の問題についてでございます。
 応急仮設住宅につきましては、建築基準法による許可に基づいて使用の期限が延長されるということでございまして、現在は、その建築基準法の特例措置によりましてこの延長が行われておるところでございます。
 この許可期間の延長に当たりましては、特別措置法によりまして、1年ごとに安全上、それから防火上、それから衛生上、支障がないということを確認して許可しなければならないとされておりまして、議員御指摘のような強度等の課題があれば、そういったような必要な補強の措置を講じた上で、こういった支障がないということを確認した上で、許可期間の延長を行うことになるということにされております。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 野菜の県独自の品種開発についてでございますが、現在、農家に提供されている種子は、それぞれ消費者の嗜好とか、消費者に対する提案とか、そういうことを念頭に置きながら品種開発されていると承知してございますが、県としてどのような取り組み可能性があるのかについては、関係団体とか生産者の方とか、よく意見交換しながら、その可能性について研究させていただきたいと存じます。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) グループ補助金のお尋ねについてでありますけれども、今回の募集は、11月9日から来年1月11日までの期間中、2回の締め切りを設けており、11月末の締め切りにおきましては、12グループから、補助金申請額で75億円の申請がなされたところでございます。これらの案件につきましては、提出された復興事業計画の審査を行い、採択を判断して、来年1月中旬に決定する予定でございます。
 なお、採択件数につきましては、現時点では、審査段階であるため未定でございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) 最後に知事に質問して終わりますけれども、今の説明を聞いてもよくわからないんですが、知事は、記者会見では、その民意は究極的には選挙で示されるわけです。投票行動によって示されるわけです。ある場面では、その民意は、これから選挙によって示されるわけなのですけれどもと明確に言っております。民意というものはそういうものであるということなんでしょう。
 民意の中身についてはよくわからないんですけれども、つまりは、今回の、今、総選挙の結果とかに限らず、民意は選挙の結果です、民主主義だからということなんでしょうか、そういう理解なんでしょうか。民意は選挙の結果によって示されるという、一般論としてそう知事は思っているというか、そういうことを話しているのではないでしょうか。
 これは、今の話を聞いていると、どうも知事が思う、意図する意思の結果が出た場合には民意に合っていると、そうじゃない場合には民意と違うというふうに思っているのかどうなのかなと思ってしまいますけれども。もう少し言うと、知事が限りなく尊敬している小沢先生の意向に合った方向の結果が出た場合が民意だというふうに理解していいのかどうか。そう思っているんですか。私はそういうふうにしか聞こえないんですけれども、お聞かせ願えればと思います。
〇知事(達増拓也君) 私も、学生時代から公のことにかかわることを学び、公のためになる仕事をしていこう、特にこの日本のためになるようなことをしていこうと志してやってきておりますので、民意の方向性と自分があるべきと思う方向性が、そう乖離はしないような生き方をしてきていると思います。
 そういう意味で、民意の方向性というのは、全て達増知事のいいようになっているというような御質問をされたかと思いますが、完全に一致しているとは私も申しませんけれども、私は、日本が、そのときそのときには大きく揺れ動いたり混乱したりもしてはおりますけれども、10年、20年という大きな流れの中では、基本的に、日本は、私はいい方向に向かっているし、これからも向かうということに大きく期待しておりまして、そういった方向に貢献できればと思っているわけです。
〇議長(佐々木博君) 次に、田村誠君。
   〔43番田村誠君登壇〕(拍手)

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