平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇37番(斉藤信君) 日本共産党を代表して、議案第2号から議案第5号、県職員の期末・勤勉手当を引き下げる議案に対して反対の討論を行います。
 今回の給与改定議案は、県職員の期末・勤勉手当を0.05カ月、県職員1人当たり2万円、総額5億5、000万円引き下げるものであります。
 反対する第1の理由は、昨年、3月11日の東日本大震災以来、その復旧、復興のために献身的に取り組んできた県職員に賃金引き下げで対応することは全く道理がなく、冷たい仕打ちと言うべきものだからであります。県の昨年度の決算額、今年度の予算額は、震災前と比べて1.7倍から1.8倍に当たります。これだけの事業、仕事を少ない県職員で取り組んでいるわけですから、それだけの処遇をすることこそ必要であります。
 県内市町村の実態は、県の人事委員会の勧告どおりに賃金引き下げを行おうとしているところは、33市町村のうち3団体にとどまっています。賃金の引き下げは、被災地で献身的に取り組んでいる公務員の実態に合わないことを示すものではないでしょうか。
 第2に、県職員の給与の実態は、特別調整額の減額措置を含めると月額1、227円、0.33%、民間給与より低いというのが実態です。本来、県職員の給与は引き上げを実施すべきものであります。実態で公民比較を実施しない県人事委員会の勧告は、労働基本権の代償措置としての機能を放棄するものと言わなければなりません。
 第3に、県職員の給与引き下げは、平成11年度以来実に14年連続となり、その減少額は、県職員の平均で年間97万円、総額では260億円の削減となり、県内経済へのマイナスの波及効果は408億円に及ぶものとなっています。県職員、公務員の異常な連続的な賃金引き下げが民間給与の引き下げを招き、賃金引き下げの悪循環を引き起こしています。
 世界に例のないデフレ不況という日本経済の最大の原因は労働者の賃金が引き下げられたことであり、この打開にこそ取り組むべきであります。
 この間、民間大企業は、労働者の賃金抑制と非正規雇用の拡大で、10年間で100兆円も内部留保をため込みました。資本金10億円を超える大企業の内部留保総額は266兆円に及んでいるのであります。この内部留保を雇用確保と中小企業に還元して、国民の所得をふやし内需を拡大することが、デフレ不況を打開する最も重要な課題となっているのであります。
 第4に、東日本大震災の復旧、復興で、県職員、警察本部の職員を含め、事業量が大幅に増加しているにもかかわらず、超過勤務時間が正確に把握されず、手当が全額支給されていないことは問題であります。サービス残業を放置しての賃金引き下げは、二重に認めるわけにはいきません。
 知事部局の場合は、超過勤務手当の支給時間分しか超過勤務手当として認めていない異常な実態であります。超過勤務の実態把握のためには、民間企業では当たり前の出勤時間、退庁時間を客観的に把握するようにすべきであります。県人事委員会も知事部局任せにしないで、労働基準監督機関としての役割を発揮すべきであります。
 第5に、事業量がふえているにもかかわらず、正規職員の数が減少していることも問題であります。
 派遣職員、任期付職員、臨時職員等が増員されていますが、これまでの行政改革の名のもとでの県職員の削減はぎりぎりまで進められ、復旧、復興事業の障害にもなっています。長期にわたる復興事業を支える正規職員を大幅に増員するように求めるものであります。
 また、過酷で過重な仕事に取り組んでいる県職員の心身の健康管理、メンタルヘルス対策に万全を期すべきであります。
 最後に、民主党政権は、人事院勧告制度を無視して、国家公務員の7.8%の賃金引き下げを自民、公明両党と協力して強行しました。解散直前には、国家公務員の退職金を400万円も削減する暴挙まで行いました。今や、民主、自民、公明の密室談合で人事院勧告制度が破壊されていると言わなければなりません。こうした状況のもとで、県の人事委員会も、唯々諾々として国の賃金引き下げに追随することは根拠がなくなったと言わなければなりません。
 戦後最大の大災害、東日本大震災津波の被災者に心を寄せるとともに、復旧、復興に献身的に取り組んでいる県職員、公務員に寄り添って、それに応える待遇の改善を図るよう強く求めて、県職員の賃金引き下げに反対する討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより、議案第2号から議案第5号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立多数であります。よって、議案第2号から議案第5号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例を採決いたします。
 本案は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木博君) 起立全員であります。よって、議案第1号特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後3時20分 散 会

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