平成24年12月定例会 第8回岩手県議会定例会 会議録

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〇16番(小西和子君) 社民党の小西和子でございます。
 第2号議案から第5号議案の県職員の給与改定議案について、委員長報告に反対の討論を行います。
 反対する第1の理由は、昨年の東日本大震災津波からの復興を遂げるべく、日夜、各分野において奮闘している職員の労苦を顧みることなく、勤務意欲の減退を招く内容であることです。
 本県は、本年度を復興元年と位置づけ、知事も記者会見で非常事態は続いているとの表現をする中で、職員は日々復興業務に従事しています。他の都道府県からの応援職員や任期付職員の増員を行ってきてはいますが、地理的アドバイスや派遣元と違う設計システムの指導、復興計画の説明などが必要なことから、その調整役として県職員が多岐にわたり業務を推進している状況にあります。事業費や現場数も増加してきており、職員の超過勤務は増加の一途をたどっています。この間の岩手県集中改革プログラムによって過度な人員削減が行われ、震災時の対応に支障を来たし、職場では慢性的な人員不足に陥っています。人員がふえない中にあっても、当然、職員は復興のスピードを緩めるわけにはいきません。今なお避難生活を余儀なくされている被災地域の住民が一日も早くもとの生活に戻れるよう、県職員は、心身ともに疲弊しながらも、必死で復興業務に専念しています。
 こうした中での期末手当の削減は勤務意欲を奪う結果となります。県職員の賃金はここ数年削減が続き、2001年の年間給与と比較すると103万円、約15%も年収が下がっていることが県人事委員会の報告でも触れられています。むしろ、非常事態に対応し続ける職員に対して賃金改善を初めとする労働条件改善を行うなど、復興業務に邁進できる安心した環境を整備していくことこそが大切であります。
 第2の理由は、被災地域における経済面での復興への懸念です。
 県内企業の経済は、雇用面で有効求人倍率が高い値で推移しているものの、そのほとんどが非正規職員であり、正規職員だけで見ると全国平均よりも下回っているのが現状です。被災地域では企業の復興の兆しが見え始めてはいるものの、その復興をまって経済面の回復を期待するだけでは不十分な状況にあります。県職員の給与改定は、県内市町村、関係団体、民間企業の賃金や県内経済にも大きな影響を与えます。地域における経済復興への影響を回避するためにも、行政がその牽引役となり、賃金改善の道筋をつけていくことこそが必要であります。
 県人事委員会における調査結果の示すとおり、実際には非常に厳しい経済状況に追い込まれている企業が存在することは確かです。しかし、今、岩手県が向かうべき方向は一日も早い被災地域の復興であり、それは、ハード面の復興だけではなく、経済も含めた生活の安定を早期につくることが極めて重要であります。
 いわゆる被災3県と呼ばれる岩手県以外の2県においては給与改定は据え置かれています。とりわけ宮城県の人事委員会勧告においては、職員に対し、適正な水準の処遇を確保することは、職員の努力や実績に報いるとともに職員の士気の維持、高揚に欠くことのできないものであり、結果的に早期の震災復興にも結びつくものであると考えると触れられています。
 岩手県として、職員一同が同じ方向を向き、復興に向けて本気で進んでいこうとするならば、その担い手であり、牽引役である県職員が安心して復興業務に専念できる環境を確保することが必要です。期末手当の削減の本議案の決定を見送ることが、本県全体の早期復興につながるものと考えます。
 以上申し上げ、委員長報告の第2号議案から第5号議案の県職員の給与改定議案についての反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、斉藤信君。
   〔37番斉藤信君登壇〕

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