平成24年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇15番(久保孝喜君) 社民党の久保孝喜でございます。
 本日の知事の記者会見での発言について緊急質問を申し上げたいと思います。
 この緊急質問は、議会運営委員会においてもその緊急性についての疑問が呈されるなど、幾つかの議論が交わされた上でこの場に立たせていただいておりますが、何よりも私は、質問の当事者として、本会議場における知事への質問が、同じ会期中に全く別な表現で記者会見によって知事自身から表明されるという、これは異常な事態だと思ったから、この緊急質問を提示させていただいたわけであります。
 会期中における知事としての発言は、当然のことながら、政治家の側面という点で言えば、それはどんな場所であれ、あるいはどういうシチュエーションであれ、一定の許容範囲というのは当然あるはずであります。しかしながら、議会が県民の負託を得て開催をされているというその期間にあっては、少なくとも、県民の負託を得て質疑をした議員に対しては、誠実かつ丁寧な答弁があってしかるべきですし、その答弁と違う話が会期中に別な形で展開をされるということは、これは議会の存在意義そのものにもかかわる重大な問題だと私は思っております。
 二元代表制において、議会と行政の長の関係性において、極めて重大なきょうの知事発言であったという認識のもとで、以下、質問をさせていただきたいと思います。
 通告をしておりました順番を若干変えてお尋ねを申し上げますので、よろしくお願いいたします。
 まずは、そういう私の認識の中で、本会議において行った知事答弁、この重さというのを、そもそも知事はどのようにお考えになっているのか、まずはお示しをいただきたい。
 さらに2点目、知事の立場という問題と政党所属の立場という問題を知事はどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
 これまで知事は、知事職の二面性ということを盛んに言ってこられました。しかし、この二面性の問題は、そのことによって政治的な立場や意見を本会議場で明確にしなくていいという論拠には私はならないと思いますし、当然のことながら、その二面性を言うには、県民に対する十分な説明責任が伴っていなければならず、さらにまた、客観的合理性、論拠がきちんと示された上で初めて意味を持つものだと私は思っております。したがって、その姿勢は、行政の長と政治家双方に向き合うことができる唯一の場であるこの議会において、きちんと知事自身がそうした立場を表明しなければいけない。その点においてもきょうの記者会見の発言は、私は誠実さを著しく欠いていると思うわけです。
 さらに知事にお尋ねしますが、県民の選挙において、知事は、民主党推薦という立場で選挙を行い支持を得たわけであります。任期途中で、その政党を所属変更するということについては、十分な県民に対する説明、選挙民への責任が生じていると思いますが、そのお考えをお示しいただきたい。
 最後に、今回の知事の発言は、取りざたされております小沢新党なるものがまだ立ち上がっていない状況の中で、いわゆる明言という形で意思表明をされたわけであります。先ほどの選挙民への説明責任ということと相まって、何が知事をしてそうした明言をしなければいけないことになったのかという、極めて不十分な説明責任に結果的にはなってしまっているという点で、知事職としても政治家としても、この際、その選挙民、県民に対する説明責任をどのように果たそうと考えているのか、その点もお尋ねをしたいと思います。
 以上でございます。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 本会議における知事答弁の重さをどう考えているのかということについては、これはもう、久保議員が使っていらっしゃる重さという意味において重いと考えております。
 次に、知事の立場と政党所属の基本的な考え方ということでありますけれども─そうですね、では、丁寧にお答えしていきたいと思いますけれども、そもそも国会議員や地方議員のような形での所属というものは、政党との関係で首長には日本の場合はないですね。アメリカの州知事が、共和党や民主党に所属するというような、制度化されたようなそういう政党所属という形は─どうなんでしょう、中村知事の時代にあったのかもしれませんが、少なくとも、今、すべての人にわかりやすい形での首長の政党所属という制度はないんだと思います。
 そういう中で、民主党の党籍を私が持っていたのは、直接的には代表選挙で投票したかったからです。ただ、それは国会議員票や地方議員票よりも─何ていうんでしょう、ポイントの割合からすると一般党員サポーター票でありますから、それは一つの県の首長としての党の政党所属というのとはちょっと違う形での党籍保有だったと思っております。むしろ、政治家個人として本質的なのは、私は民主党県連代表を務めていましたし、さらには、自由党の県連会長も務めておりました。そういう岩手において改革の政治を展開していく、岩手から日本を変えるという政策理念の流れの中で、政治の政党活動の中で、一時は岩手を代表する立場にもいましたし、民主党岡田代表時代にはネクスト文部科学大臣という、党の幹部の役職にもついていたわけです。私はそれを振り捨てて岩手県知事になっているわけではなくて、そのすべてを持ったままで県民の負託をいただいて岩手県知事になっているわけでありまして、そこは、いわゆる政党所属の─所属している、していないとかという問題以上に、私は日本における改革の政治を切り開き、政権交代が実現可能な日本の民主主義をつくってきたという自負があります。そういう立場からも、今回、いわゆる国民の生活が第一新党をしっかり支え、あるいは場合によってはリードしていくこともあるかもしれません。そういう役割を果たしていかなければならないと思っているわけです。
 そういう趣旨のことは、先週の答弁の中でも短い言葉の中で、舌足らずではあったかもしれませんが伝えようとはいたしましたし、また、新聞記者─新聞だけではありません、記者会見や囲み取材等の中でも、そういう趣旨のことを述べてきたつもりでありますけれども、今話しているのに比べ、腹に力が入っていた具合が弱かったからしっかり伝わらなかったのかもしれませんけれども、そういうことでありました。
 ですから、きょうは何らかの形で参加するということを明言しますと記者会見で述べたんですが、それはある意味、今までしゃべってきたことに比べれば、非常に単純主義的、シンプリスティックな表現であって、マスコミ的にはわかりやすい表現ではあろうけれども、そこにきちっと思いが込められたかどうかについてはじくじたるものがありますし、知事の政党所属ということの複雑さについては、むしろ先週の議会答弁のほうが丁寧な答弁をしたと思っております。
 県民の選挙における選択と任期途中の所属変更についてですけれども、形式的には知事選は無所属で戦っていたわけでありまして、それを民主党が推薦してくれたという格好になっております。ただ、実態については、これは何度も言っているように、3年前のマニフェスト政権交代、衆院選のときの国民との約束、県民との約束というのを、知事選挙の場にも、それをその流れの中で復興を強く主張して当選したと思っておりますので、引き続き、その流れの中で政治活動をしていくことが当然であると思っております。
 以上でございます。
〇15番(久保孝喜君) 今の答弁と先ほどの嵯峨議員に対する答弁を聞いて思ったんですけれども、結局、きょうの記者会見は、非常にシンプルにわかりやすく言ったんだと。そのことを裏返せば、議会答弁は、非常にわかりにくく複雑に答えてしまったということになりはしないかと思うんですね。しかも、知事自身はごらんになったかどうかわかりませんが、きょうの夕方のニュースやあるいはネット上での新聞の配信記事などを見ますと、すべてが知事の、今週中に離党、新党参加ということが最大のニュースソースになっているわけですね。そういうことからしても、この問題が今のこの時期だからこそ、実に県民の関心を非常に呼び、かつ、大きな政治課題になっている。しかも、今取りざたされているような県議会の中の会派構成にかかわって、どちらが何人、どちらが何人というような状況が報じられている中で、知事自身が入党の問題に触れるということは、そういう事態に拍車をかけたり、あるいはさまざまな圧力とも受けとめられかねない事態を生んでいるのではないか。
 知事が本当に復興が第一だと言うのであれば、そういうある意味、雑音を極力廃する答弁の仕方なり発言の仕方というのがあってしかるべきだろうと思うわけですね。しかも、先ほど申し上げたように、知事自身がこれまでの政治経歴の延長上で今回の判断があるのだと、それは結構だと思います。しかし、そのことがどう受けとめられるのか、あるいは議会の中で、どういう発言の経緯があって今回のきょうの発言になったのかという点での配慮は、極めて欠けていたと私は思っていますが、そういう点での反省の言葉は全くないんでしょうか。そういう点でも、知事は明確に答えなければいけないと思います。
 知事自身が、今回の新党へのかかわり方、あるいは離党の考え方も、政治家としての立場として表明されたのだということは非常によくわかりますが、しかし、そのことと、一方で復興元年を強調なさる、力を込めて語られるその姿勢は、県民にとっては実にわかりにくい話になっているんだと思います。こういう時期だからです。こういう報道の環境だからです。だからこそ、きょうの知事の発言は、何らかの意図や思惑があるのではないかというふうにとられていると、その現実を知事はどう考えるのですかと、あえてお聞きをしたいわけなんです。
 以上、お答えをいただきたいと思います。
〇知事(達増拓也君) マスコミの取材の自由、そして報道の自由というのは、憲法が保障しているものでもありますし、私の発言についてマスコミがこれをどう報道するかということについては、これは基本的にマスコミの自由だと思っておりますし、また、私が意図的に操作できるようなものでもないと考えております。ですから、記者会見等あるいは囲み取材においては、聞かれたことにきちんと答えていく、ふさわしい形で答えていくというところに神経を使えばいいと思っております。
 そして、はっきり言って、きょう、私はちょっと演説モードになっているんだと思うんですけれども、さすがに本会議の中で、時間も議会運営委員会で大体何分と決められている、また、質問の仕方によっては90分ですか、制限もあると。そういった中で、今言ったような、自分は元民主党の幹部もやっていたみたいな大演説をしていいのかどうか。これは、説明すればするほどそれは大演説になり、あるいはまた特定の政党の大宣伝になってしまうのではないかと思って、そうならないような遠慮が先週はあったかもしれません。ただ、質問をいただいたことには答えたと思っておりますし、日本において、そもそも細川連立政権から始まった改革の政治の中で、10年余、衆議院議員をやってきた政治家が一つの県の知事になっているということは、日本の政治史上もなかなかほかに例がないことですので、その政治姿勢やその時々の発言の真意について御理解いただくのはそう簡単なことではないんだと思います。しかし、御意見は本当にそのとおりだと思いますので、今後、議会に対する答弁、一層留意してやっていきたいと思います。
〇議長(佐々木博君) 次に、高田一郎君。
   〔1番高田一郎君登壇〕

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