平成24年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇14番(木村幸弘君) 社民党の木村幸弘でございます。
 請願陳情第31号放射能を海に流さないこととする法律、放射能海洋放出規制法(仮称)の法律制定を求める請願、請願陳情第32号岩手県・国土を六ヶ所再処理工場の放射能汚染から守ることについての請願、以上の2件について、委員長報告は、第31号不採択、第32号については一部採択という報告でありますが、本請願はすべて採択とすべきという立場から、委員長報告に対し反対の討論をいたします。
 請願陳情第31号は、重茂漁業協同組合として、六ヶ所を核燃料再処理工場から放射能物質を海や空に放出しないことを求め提出されました。請願では、再処理施設から海中に放出されるトリチウム、ヨウ素129等の廃液が沖合3キロ、水深44メートルの放出口から、線量や毒性が低いので問題ないとして大量放出されることについて、放射性物質の海への放出を規制する法律の制定を求めるものであります。
 請願陳情第32号は、三陸の海を放射能から守る岩手の会から、第1項として、六ヶ所再処理工場に中間貯蔵される高レベル放射性廃液の安全管理の徹底と、万が一のための防護策を講じること、第2項として、使用済み核燃料の再処理を凍結し、永久貯蔵のための直接処分の研究を推し進めるよう、関係機関に働きかけることであります。
 昨年の3.11東日本大震災津波により、東京電力福島第一原発事故が発生。今日もなお、被災住民は先の見えない避難生活を強いられ、生活権と人権が奪われ、さらには、周辺地区はもとより、本県にも放射性物質の拡散に伴う健康への被害と不安、豊かな台地と農林水産業への汚染による除染処理対策や風評被害の影響は計り知れない事態となっております。
 こうした状況のもと、原子力発電のあり方が問われ、国民の多くは、原発を廃止し、再生可能エネルギーを初めとする新たなエネルギー政策に日本は転じるべきとの声が日増しに強まっております。
 また、国においては、原子力委員会小委員会として、核燃料サイクル政策の再処理施設の総合評価をまとめ、将来の原発依存度に応じて使用済み核燃料の処理方法について、全量再処理、全量地中廃棄、併存という形を示しました。その中で、委員会における意思としては、鈴木委員長代理が、個人の意見としながらも、全量再処理からの撤退を明確化したほうがよい。高速増殖炉の実用化が不確実で、再処理に対する積極的な合理性は見当たらないと、6月5日の定例会議で言及されたとのことであります。
 6月21日、委員会としては、先ほどの3種類の方法を提示するも、全量再処理撤退を強くにじませた提言となっています。
 使用済み核燃料の最終処分としては、今、フィンランドが整備を進めているオンカロという高レベル放射性廃棄物の永久地層処理場の例を見てもわかるとおり、10万年間保持するという途方もない年月にわたる放射性物質の半減期を踏まえた地中廃棄等の対策などが迫られております。
 原発政策で問題にされているのは、トイレなきマンションとやゆされるように、処分先が定められていないことであり、そうした中、技術が確立されていないにもかかわらず、再処理ありきの政策が推進されてきました。
 コスト論からしても、六ヶ所再処理工場では、既に建設コストが当初の7、000億円をはるかに超える2兆2、000億円に膨れ上がっております。したがって、小委員会総合評価においても、再処理負担の増大がさらに見込まれることを踏まえ、原発ゼロを進め、再処理をとめて、全量地中廃棄への対策が最も経済的との評価をされています。
 原発は、稼動に伴うリスクと経済コストばかりではなく、使用済み燃料の途方もない年月を管理する未来への責任とリスク、コストも計り知れないほどの影響があることをかんがみれば、請願陳情第32号第2項の願意は極めて適切なものであり、同請願第1項及び請願陳情第31号は、再処理撤退を前提とした汚染防止の措置と当面の中間貯蔵管理に伴う安全の確保ということであり、いずれも請願のとおりに採択すべきであります。
 以上のことを申し上げまして、反対の討論といたします。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
〇議長(佐々木博君) 次に、斉藤信君。
   〔37番斉藤信君登壇〕

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