平成24年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇5番(佐々木朋和君) 民主党の佐々木朋和でございます。
 まず、本日の登壇の機会を与えてくださいました先輩議員、同僚議員に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。これまでと重複する部分もあるかと思いますが、通告に従い質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、本県の中小企業の振興策、雇用のミスマッチ解消について伺います。
 現在、3.11東日本大震災津波で被災した被災事業者が4、240、うち再開できたのが2、692、再開率が63.5%。その再開の仕方も、仮設店舗であったり、既存の雇用が戻るまでに回復していなかったりと、雇用の確保という観点からも、より一層の国や県からの応援が必要な状態であります。現に被災者の方々には、被災したもとの勤め先に再就職したいという方々が多く、雇用のミスマッチ解消の第一は、被災事業者に被災前の雇用機能を回復してもらうことだと考えます。
 そのような中、先般、5月31日付で第4次のグループ補助の申請が終了し、今回で打ち切られる可能性があるということで、43グループ、929事業者の申請があったと聞いております。この制度から漏れた場合、また、今後この制度が打ち切られた場合、建物復旧に使える制度は、製造業、宿泊業以外では300万円上限、2分の1補助の中小企業被災資産復旧事業費補助以外なく、とても仮設店舗以上の本格復旧は望めませんし、商店街など住居と一体となっていた店舗では、住居と店舗を別々に再建しなければならず、かかり増し経費が予想されます。
 本県の雇用の確保は、復興特区による企業誘致と、本県事業者の多数を担う中小企業が1人、2人と雇用を確保していくことと、両輪を大切に進めていかなければなりません。県には、国に対し、グループ補助制度継続の要望、中小企業金融円滑化法の継続要請、グループ補助と中小企業被災資産復旧事業費補助の間を埋める制度の創出が望まれますが、お考えを伺います。
 また、助成制度のほか各種融資制度や二重ローン対策、いわて希望ファンド、民間でも株式会社東日本大震災事業者再生支援機構のスキームなど組み合わせれば、助成制度にこだわらなくても再生可能な事業者があると思われますが、現在、それら制度を複合的に組み合わせ、コーディネートする人材が不足しているように感じます。一時的に仕事を求め、県外で働いている事業者も含めた情報提供の徹底や、被災事業者に対し個別具体的に対応するためのヒアリングの機会を設けるなどの対策が必要と考えますが、今後の取り組みを伺います。
 次に、県の中小企業振興策について伺います。
 平成11年の中小企業基本法の改正と、平成22年中小企業憲章の閣議決定により、地方自治体の中小企業を振興する責務が明確化され、中小企業振興条例の制定の動きが進んでおります。多くは市町村の制定ですが、県レベルでも11府県で制定されており、その内容は、事業者みずからの自助努力を前提に、県、市町村、団体、県民の役割を明確にし、産官学、農商工の連携を促すものであります。
 例えば、先進例である墨田区モデルでは、各事業所への調査を徹底し、中小企業の情報を体系化しており、それをもとに施策が決定されております。また、帯広市においては、農業者も中小企業者の一人ととらえ経営力の強化を図り、同じ中小企業者同士という視点から農商工連携を図り、超強力小麦ゆめちからの開発、日本初の100%国産小麦でつくったパンの商品化を実現させています。
 私は、今後、岩手県の中小企業やグループが一度失った販路を取り戻していくには、より強力な農商工、産官学連携による商品開発が必要であり、今般の被災事業者の調査を契機に、県内中小企業の個別調査、岩手版中小企業白書の作成、中小企業施策の体系化が必要と考えます。業種別ではなく、中小企業という大枠で施策を考えることは、企業の新規事業への参入を促す効果もあると考えますが、お考えを伺います。
 次に、雇用のミスマッチについて伺います。
 現在、県内の有効求人倍率、新卒者の求人については好調に推移しているものの、依然、沿岸を中心に雇用のミスマッチの問題が深刻化していると報道でも伝えられておりますが、県では現状をどのように分析し、今後どのような手を打っていくのかお聞かせください。
 また、仕事を求めている被災者の方にとれば、希望の職種がないということが大きな問題ですが、他方、復興を果たした事業者、または復興のための事業をしている事業者にとってみれば、必要な人材を確保できないということは、復興を加速させていく上で大きな問題です。復興に必要な人材の確保のため、相当数に及ぶ何を職業にしたらよいかわからない方、求人の少ない職業を希望している方を、求職者が少ない業種に向ける取り組みも必要と思いますが、県の取り組みをお聞かせください。
 また、復興に必要な人材を他県に呼びかけるIターン、Uターン運動も、一方では復興のスピードアップに資し、かつ社会減が取りざたされる沿岸地域の人口増加にもつながると見ますが、見解をお聞かせください。
 次に、ICT利活用の取り組みについて伺います。
 今般の震災を教訓に、行政情報ネットワークやコミュニティFMなどの災害時の情報ツールを重層的に配しても、電源を確保できなければ意味がありません。将来的には各家に蓄電池を備えたスマートコミュニティへの取り組みが必要と考えますが、その環境整備の第一歩がICTの整備であります。
 本県においては、ADSLを含むブロードバンド加入可能地域はおおむね100%であるものの、光ファイバーの加入可能世帯率は、全国平均95.1%に対し本県全体で83.7%、さらに沿岸地域で73.9%、県北で70.8%と格差があること。また、ブロードバンド加入可能地域が100%であっても、実際に利用している人をあらわす普及率が50%以下であることが課題として挙げられます。特にも、沿岸地域においては、ボランティアの外国人や大学生などとの継続的なきずなづくりにICTの活用は不可欠であり、復興まちづくりや復興住宅と一体となった沿岸地域のICT格差の是正、ICTを利活用できる地域リーダー、県、市町村職員の養成、高齢者への普及のための方策が必要と考えますが、県のお考えをお示しください。
 次に、平泉世界遺産と観光について伺います。
 大震災以来大きく落ち込んだ観光分野も、今年度はゴールデンウイークで例年の1割減にとどめ、東北六魂祭は目標を上回る24万人の人出。いわてデスティネーションキャンペーンの目玉であった内陸と沿岸を結ぶ復興バスツアーの利用客も6月10日現在で2、124人と好調で、観光客の足としてJRの早期鉄路復旧とともに今後の継続を期待するところであります。
 しかしながら、その陰で、放射線の風評被害から、修学旅行生、外国人観光客の減少はいまだ改善がされておらず、今後、重点的な取り組みとして意識しなければならない状態であります。
 内陸と沿岸の広域圏を越え、合同で平泉世界遺産の学習と、沿岸住民に配慮しながらも、震災、防災学習を一つにパッケージングした取り組み、例えば修学旅行対策として事前学習資料を北海道や関西、名古屋の学校に送付するなど積極的な取り組みをすべきと思いますが、県のお考えをお示しください。
 また、8月のお盆時期には、全国から、御家族のお見舞いや亡くなられた方の鎮魂に、沿岸ゆかりの方を含めたくさんの方の来県が予想されます。ゴールデンウイーク時においても、内陸のホテルや観光施設に沿岸の情報の問い合わせが多数あったとお聞きしております。平泉の世界遺産効果を沿岸、県北に広げるには、沿岸の再開施設情報や、個人でも利用できる復興ツアーメニューなど、内陸、沿岸観光事業者同士の情報連携を進めるべきと考えます。
 また、宿泊施設が限られた沿岸においては、家族、親戚で今後の話し合いをしたい里帰り来県者には、仮設住宅の空き部屋や集会所、公民館を開放したり、一方、お金を落としてくださる復興支援の方には宿泊施設を紹介するというコーディネートが必要になると思われますが、県のお盆時期へ向けた取り組みをお伺いします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、岩手県への国立博物館誘致へ向けた考古学拠点づくりについて伺います。
 これまで平泉町では、世界遺産登録前から、その効果の継続を目指し、国立博物館誘致の動きをしてきました。震災後、埋蔵文化財調査の人手不足が復興の妨げになるおそれがあると言われていますが、東北に考古学研究の拠点施設がないこともその原因の一つと考えます。先般、久慈市において恐竜の骨も発見され、機運も高まっております。平泉世界遺産の効果の継続、国際会議場の設置、東北の埋蔵文化財調査の人材育成のために、国立博物館誘致を目指した平泉または沿岸への考古学拠点の設置を検討すべきと思いますが、お考えを伺います。
 次に、地域医療の確保について伺います。
 本年度の県立病院の医師数は、沿岸被災地への支援のおかげもあり、常勤医12人増と歯どめがかかりつつありますが、依然、医師不足の状態が続いております。本県に来ていただける医師、臨床研修を希望する研修医は、岩手出身者や岩手の大学に通っていたなど岩手ゆかりの方に限定される傾向があることから、今後とも奨学金制度の継続、増加傾向に転じない医学部生の確保に向けた高校生への働きかけなど長期的な取り組みを行っていくことと、県内医師へのスキルアップセミナーや、地域住民と病院との交流を促す取り組みにより、やりがいを創出するなど、残ってもらう取り組みも充実させていくことが必要と思われます。
 また、長期的に医師不足が解消に向かっても、沿岸や僻地の医師不足、医師の偏在の問題は残ります。医師の職業選択の自由に配慮しながらも、僻地勤務とキャリアアップ、スキルアップの両立を手助けする本県の取り組みを進めるとともに、国への制度の創出を強く求める必要があると思いますが、お考えをお聞きします。
 次に、さきの東日本大震災津波における地震被害によって大幅に機能が制限されている大東病院の再建についてお尋ねします。
 大東病院は、昨年の震災直後に入院患者を千廏病院に移し、その後、増築棟を中心に、従来の患者さんをメーンに外来診察のみに対応しているところであり、大東病院の早期再建については地元から要望が出され、地域の医療関係者の協議のほか、医療局や市による地元住民との意見交換も行われてきたところであります。
 この中で、5月に開催された医療局と地元住民との意見交換の場に私も同席させていただきましたが、広い大東地域において、地元住民の入院できる病院の再建に対する要望は切実であり、一方、旧東磐井地域の医師不足もかなり深刻化しており、地域医療の再建、確保が非常に難しい局面にあります。現在、住民も草刈り運動など病院をサポートする動きを始め、地域みんなで病院を守ろうとする機運の醸成にも取り組んでいるところでございます。これまでの議論や意見交換を通じ、大東病院の再建に当たっての課題は、病床規模、リハビリ機能のあり方、既存プールの扱いに整理されつつあるものと認識しており、地元市や住民に十分な説明がなされながら、遅滞なく整備されることに期待しております。
 そこで知事にお伺いしますが、このように地域において必要としている大東病院は早急に再建整備されるべきであると考えられますが、県として、今後どのように再建の方針をまとめ、その後どのように整備を進める見通しとなっているのか、現時点でのお考えをお示しください。
 次に、本県の教育への取り組みについて伺います。
 現在、本県における英語教育の実情は、県立高校において外国語指導助手が平成13年には79名だったものが、現在は46名と減少し、助手を活用した事業は週1回以上。平成23年度から始まった小学校の外国語活動の指導は担任教師によるものとされ、小中学校の指導助手については、その取り組みは市町村ごととされております。新カリキュラムへの対応、少ない外国語指導助手を有効に活用しながら、一方で受験にも備える現場の御苦労はわかった上で、しかしながら、大学も秋入学が検討され、就職においても海外の学生と競わなければならないというグローバル化の中で、都会と違い、学校以外で英語学習の機会が限られる本県の子供たちが、これから他県や海外の子供たちと対等に渡り合っていけるのか、不安が残ります。平泉世界遺産登録により世界からお客様を迎える岩手にとって、外国語でのコミュニケーションができる人材、世界に向かって岩手を発信していく人材はこれからますます必要とされ、地元雇用につながる英語教育の充実は県内に若者を残す仕組みにもなります。
 また、国際リニアコライダー計画を見据え、住民とともにつくる国際都市、外国語教育に力を入れている地域を標榜することは、外国の研究者にとっても魅力的であり、アピール材料となります。そして、沿岸被災地には発災直後から外国のボランティア団体や個人の方々から多くの支援をいただいておりますが、知事が常日ごろおっしゃっているきずなを大切に、継続的に支援をいただきながら復興を遂げなければなりません。沿岸地域の方々からも、その方々にサポーターになっていただき、復興していくさまを何度も見に来ていただきたいとお話をお聞きします。子供たちにその担い手になってもらい、外国の方々との交流の経験を積んでいくことも意味のあることと思います。
 全国一定水準の教育を施さなければならないという大前提は承知しておりますが、大震災の影響で多方面で不自由な生活をしている子供たち、将来に不安を抱えている子供たち、また、これから被災地に生まれてくる子供たちが、この逆境があったから頑張れた、岩手に生まれてよかったと思えるようなものを一つでも二つでも持たせてやりたいと岩手の大人として思います。
 その一つとして、規制緩和を国に要望し、被災県の実情に合った岩手の復興に必要な英語教育を実現すべきと考えます。沿岸被災地や平泉など地域や学校を指定し、どのような教育方法がよいか、先進的取り組みとして特例校措置やモデル事業を使った研究を実行できないか。また、小学校の外国語活動の目標に沿った活動として、例えば沿岸被災地の外国人ボランティアの方々との交流、平泉世界遺産の外国語ガイド体験などを奨励できないか、全体論とあわせて御所見を伺います。
 次に、救急救命教育について伺います。
 現在、一関市や久慈市では子供たちにAEDの使い方や心肺蘇生法などの救急救命の授業を、救急救命士の方や地元の救急救命士養成の専門学校の生徒の協力を得て行っていますが、外国人にとって、子供たちも救急救命処置を心得ている地域は大変な安心感を与え、観光やボランティア支援先、またリニアコライダーの候補地としてのイメージアップ効果も期待されますし、ドクターヘリの運用によって救命医療の充実は図られているものの、共働き家庭がふえ、いざというときに家にはおじいちゃん、おばあちゃんと孫しかいないという状態が今後ふえていくことが予想されます。この取り組みを全県に波及させる施策を推進していくべきと思いますが、お考えを伺います。
 次に、人材教育の取り組みについて伺います。
 さきに述べた医療に限らず、本県で必要な人材は、本県出身者か本県の学校出身などゆかりのある方でなければ、なかなか確保が難しいという現状があり、教育の面で将来の岩手に必要な人材を輩出していく取り組みが必要とされておりますし、高齢化社会が急速に進行している本県において、生産人口を本県にとどめる施策にもなると考えます。
 医療や介護、福祉など地域の維持に必要な人材、自動車関連事業や半導体、医療機器など岩手の重点産業を担う人材を重点人材とし、小・中・高校それぞれのステージで子供たちのやる気を啓発し、大学や専門学校、職業訓練校で重点人材に必要な専門技術を習得できるよう計画的にメニューをそろえ、企業とのマッチングを図っていく。例えば自動車関連産業のICT化が進み、この先、プログラミング技術の要請が高まれば逐次メニューをふやしていくなど、時代の流れに沿い変更を加えていくような体系的、計画的な取り組みが必要と思いますが、御所見を伺います。
 次に、放射線対策について伺います。
 福島第一原発事故に伴う放射線の被害は、その風評被害を含め岩手県全域に及んでいます。県には主導的に放射線対策に当たっていただきたいという県民の声を多く聞きます。一関市、平泉町、奥州市の3市町の除染計画が5月に採択され、本格的な取り組みがスタートされました。まずは子供たちが多く利用する学校や公共施設を中心に、業者を頼んでの除染作業となっておりますが、その後に始まる生活圏の除染については、面積も膨大であり、住民の方々の協力を得なくてはなかなか進められないのではないかと思います。住民とともに協働で除染活動をしていく以上、除染範囲についても紋切り型ではない計画の柔軟な運用が求められ、県にも国への働きかけが期待されますし、ともに汗を流す姿勢も必要と考えますが、市町の除染計画に基づいた除染への県の支援、取り組みを伺います。
 次に、県民との放射線に関するリスクコミュニケーション、情報発信について伺います。
 本県では多くの家庭で田畑を持ち、山に入って山菜をとり、自家消費やおすそ分け文化で御近所とのきずなを深めてきました。現在の安心しておすそ分けができないという状態は田舎らしさの崩壊であり、地域社会の危機であります。流通に上がらない野菜類については自己判断に任せられているというのが現状で、県としては、出荷分の各種野菜の検査結果や、給食に使われる野菜の検査の数値を見て判断していただきたいという方針だったと思いますが、うまく伝わらず、不安から県や市の検査機関に持ち込む住民も多くいます。
 また、簡易検査でも十分なのに、ゲルマニウム半導体でなければいけないという誤解があったり、検査も、場合によって24時間体制で動かしているが、追いつかないという現状の説明や、放射線を体外に出す食事の紹介などの役に立つ知識の啓発も必要と思います。
 また、土から農作物への放射性物質の吸収を下げる土の改良方法など、流通に上げる生産者に提供した情報を、県民の多くが田畑を持ち、自家消費分を生産している状況を踏まえ、生活情報として一般住民にも提供すべきと考えます。
 以上のことを、広報やコミュニティFMなど、住民が常に受け取る媒体を使って発信する必要があると思いますし、県、市町の職員の皆さんが情報を共有し、その答え方、対処法にぶれがないように住民と向き合うことが、中には絶対に検査しなければ納得しない方もいるでしょうが、段階的にこの地域の田舎らしさを取り戻していく方法と思います。
 以上を踏まえ、県の自家消費農作物に対する見解と、不安払拭のための情報発信、リスクコミュニケーションについてお聞かせください。
 次に、農林産物の放射性物質対策について伺います。
 シイタケの再生産に向けた取り組みについて、2月議会で採択したつなぎ融資の運用がおくれたことは、つなぎ融資を当てにし、春切り出しの原木を確保して、春のうちの植菌を計画していた生産者に大きな落胆を与えました。多くの生産者からは、出せないとわかっているシイタケをとるのは精神的につらい、来年春からは新しく取りかえた原木で再スタートを切りたい、来春も原木が供給されず、同じことの繰り返しならば、やめる生産者が多くなり、産地としての瀬戸際であるとのお話を聞きます。県には、早急につなぎ融資を、現物の補償、ほだ木更新、森林組合などへの原木確保のための資金とを並行的に進めるとともに、ほだ場の除染効果の研究、再生産の時間短縮のためのほだ木の熟成の研究などに取り組んでいただくことを期待します。
 以上を踏まえ、県の来春をめどとしたシイタケ再生産の取り組みのタイムスケジュールと、間に合わせるという決意、原木確保の現状をお示しください。
 次に、産直、道の駅への支援について伺います。
 産直、道の駅では、山菜の出荷制限により、現物の売り上げ減少はもとより、山菜がないということが人出の減少につながり、ほかの商品の売り上げにも多くの影響があったと聞いております。私は、山菜文化を継続していくには、除染が容易でなければ、出荷自粛の網を大きくかけるのではなく、旧市町村ごとにかける、または道の駅や産直に持ってきた生産者ごとに計測し、大丈夫なものを出していく、そのような方法を認めていく道しかないのではないかと思います。産直の賠償請求については、小さな産直などは事務能力に乏しく、どのような形で補償の流れをつくっていくのか、今、調整をしていると聞いております。県としてどのようにかかわっていくのか伺います。
 民間の賠償請求事案に、直接の窓口になれないことは承知しておりますが、市町村を越えた枠組みで被害が出ていることから、県の相談サポートや賠償窓口団体への人件費分の補助などできないか、具体的にお伺いします。
 次に、放射性廃棄物について伺います。
 先日、議案等説明会において、発電所事故に起因する放射性物質の影響を受けた農林系副産物の処理について、焼却処分を進める事業経費2億円が示されました。現在、私の地元でも放射性廃棄物の処理が最重要の課題として議論されております。これまでの質問でも問題にされておりますとおり、私も、農家の方々の目の前から一刻も早く廃棄物をなくし、安全性を担保するには、提示された事業のように集中的な保管施設を設置し、随時焼却をしていく道しかないと思います。
 しかし、一関市では、現在二つある焼却施設のうち大東清掃センターで試験焼却を行っていますが、住民感情もあり、一般ごみとまぜて焼却灰のベクレル数を4、000から5、000にコントロールしておりますので、1、600トンで2年の時間がかかります。全体量は牧草だけで6、000トンです。
 一方、もう一つの焼却施設は築30年と老朽化が進み、余力が年1、000トンと少ない上、飛灰のほうにより濃く放射性物質が濃縮されるシステムで、より多くの一般ごみとのまぜ合わせが必要です。牧草は、今後の除染進捗状況によってはさらにふえるかもしれず、そのほかに稲わら、シイタケのほだ木も109万本もあり、畦畔草の処理や汚泥の取り扱いもまだ決まっておりません。解決には、今般の事業予算を拡充し、放射性物質の飛散を抑える機能のついた移動式の仮設焼却炉を配置するなど、処理スピードを加速させながら、地域のごみは地域で処理をしていくという方向を示していくことが必要と思いますが、御所見を伺います。
 以上、質問を終わりますが、場合によっては再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木朋和議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、中小企業振興策についてでありますが、中小企業は、本県の経済活動や地域社会を支える重要な役割を担っています。これまでも、その経営基盤の強化を図るための施策を講じてまいりました。平成23年度に策定したいわて県民計画第2期アクションプランにおいて、従来の分野別の政策項目に中小企業の経営力の向上を加え、横断的な視点による中小企業の振興に向けた取り組みを明確化いたしました。
 具体的には、ものづくり産業人材の育成、地域資源を活用した起業、新事業の展開、設備投資や経営安定のための円滑な資金繰り、さらには、被災した中小企業の再建などについて体系的に支援しているところであります。
 今後とも、アクションプランを基本としつつ、関係団体との意見交換の場などを通じてお聞きする中小企業の生の声も踏まえ、経済環境の変化に応じた施策を立案し、その施策の実施結果の評価を次の施策に反映させながら、中小企業のより一層の振興に積極的に取り組んでまいります。
 次に、県立大東病院の整備についてでありますが、大東病院の整備の方向性を検討するに当たり、これまで地域の医療関係者、地元市町、地域住民、団体などで構成する懇談会を開催し意見を伺うとともに、大東病院を利用する地域の方々を対象とした医療局主催の意見交換会が実施されてまいりました。
 医療局においては、こうした懇談会などで出された意見を踏まえつつ、大東病院の整備に向けた規模、機能などの具体的な検討を行うとともに、地元一関市との協議を進めているところであります。
 今後も、地域の方々や関係機関から御意見を伺う機会を設けながら、今年度前半を目途に整備方針を決定し、平成25年度内の工事着工に向けて実施設計に着手するなど、取り組みを進めていく考えであります。
 次に、放射性廃棄物についてでありますが、汚染された農林業系副産物の処理に当たっては、大東清掃センターでの先行事例を踏まえ、生活系ごみと混合焼却することにより焼却灰の放射性物質濃度が低レベルとなるよう管理し、各種モニタリングと情報開示の仕組みをあわせて構築することで、安全性について住民の理解が得られるよう十分配慮しながら市町村と連携して進めてまいります。
 御提言のあった移動式の仮設焼却炉については、汚染された廃棄物だけを焼却しますと、放射性物質が高レベルに濃縮された焼却灰が大量に発生するという問題があるところであります。
 焼却処理については、できるだけスピーディに進めるためにも、生活ごみとの混合処理を実施しやすい発生市町村または発生市町村を構成員とする一部事務組合の既存施設での処理を進めることを基本とし、市町村等の意見を伺いながら、必要な対応について検討してまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長橋本良隆君登壇〕
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、被災事業者への助成制度についてでありますが、グループ補助制度につきましては、本年5月に実施した第4次公募には県予算額150億円に対し255億円の申請があり、予算額を上回っていることなどから、国に対し継続を強く要望しているところであります。
 また、中小企業金融円滑化法につきましては、震災の影響などにより来年3月まで期限延長されており、金融機関では、中小企業者から貸付条件の変更の申し込みがあった場合には、経営相談に応じて経営再建計画の策定などの支援を行っているところです。
 国では、円滑化法の最終延長後も金融機関に対し引き続きコンサルティング機能を発揮して、中小企業者の経営改善を行うよう求めております。
 県では、金融関係機関連携支援対策会議におきまして、被災事業者の復興支援に向け、金融機関と連携しながら、岩手県産業復興相談センターの機能なども活用し、被災事業者の二重債務問題の解決に取り組んでいるところでございます。
 グループ補助金と県独自の復旧事業費補助との間を埋める制度につきましては、小規模事業者は地域経済にとって重要な雇用の受け皿となっておりますことから、国に対し小規模事業者向けの新たな補助制度の創設を要望しているところでございます。
 次に、被災事業者への支援策についてでありますが、被災した中小企業者の事業再建を支援するため各種制度が整備されており、これまでも商工団体が個別の事業者にそれぞれふさわしい制度を紹介し、活用できるよう相談、支援をしているところでございます。
 県では、こうした商工団体のコーディネート機能を強化するため、今年度、新たに各種制度を調整して紹介できる人材を育成するプロジェクトマネジャー養成研修を実施し、経営指導員の資質向上を図ることとしております。
 また、一時的に県外で操業している事業者につきましては、その場所がさまざまであり、県のホームページを通じて各種支援策を紹介しているところですが、今後、商工団体と連携し、移転先を把握するなどして情報提供の徹底に努めてまいります。
 被災事業者へのヒアリングにつきましては、商工団体が被災事業者の再建状況や課題を把握するための巡回訪問、指導業務を行っており、今後も継続することとしております。
 また、県は今後、これらの取り組みを推進するため、大きな被害のあった商工団体に対して被災商工業者動向調査に係る人的支援を行う予定としております。
 次に、雇用のミスマッチについてでありますが、その要因の一つは、職種や業種によって求人と求職のアンバランスがあるものと考えております。岩手労働局の統計資料におきましても、事務職では求職者が求人を大幅に上回る一方、建築、土木技術者はその逆の状況にあるなど、仕事の内容によりミスマッチが見られるところです。
 また、正規、非正規の雇用形態も要因の一つと考えております。県内の正社員の有効求人倍率は0.37倍と、全国平均の0.43倍を大きく下回っており、求職者からは長期、安定的な雇用の場の拡大が求められているものと認識しております。
 加えて、沿岸被災地における被災求職者にあっては、震災前に勤務していた事業所の再開を待っている状況もあると伺っているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、県といたしましては、就職面接会の開催や個別カウンセリングによるマッチングを促進し、産業施策と連動した事業復興型雇用創出助成金の活用や事業所への要請活動などによる長期、安定的な雇用を確保するとともに、被災事業所の再開により雇用が回復されるよう、関係機関と連携した重層的支援を行ってまいります。
 次に、求職者への取り組みについてでありますが、沿岸地域のマッチング機会確保のため、宮古、釜石、大船渡において地域内の事業所を集めた就職面接会を開催することに加えまして、今年度は新たに、就職率を高める取り組みといたしまして、地域の求人、求職事情を理解いただくためのオリエンテーションや、求職者が自己分析をもとに目標を絞り込むための意識啓発セミナーを実施することとしており、6月から開始したところでございます。
 また、就職に向けた支援といたしましては、職業訓練による資格取得や、座学と事業所での職場実習を組み合わせて継続雇用につなげる人材育成事業なども行っているところでございます。このような取り組みにより、一人でも多くの方が就職できるよう支援を行ってまいります。
 次に、Iターン、Uターン運動についてでありますが、即戦力という点でU・Iターン希望者は非常に有効であると考えられ、岩手県U・Iターンシステムを運用して、登録されているU・Iターン希望者、県内事業所の双方へ求職者、求人情報を紹介し就職への支援を行っているほか、就職関連情報の配信を行っております。
 また、U・Iターン希望者向けの求人をふやすため、就業支援員が県内事業所等に求人登録を随時呼びかけているところであり、こうした取り組みを今後も引き続き行ってまいります。
 次に、修学旅行に向けた取り組みについてでありますが、震災からの復興の象徴である世界遺産平泉と被災地への訪問学習の組み合わせは、次代を担う青少年が、命の尊厳、震災からの教訓などについて学ぶ貴重な機会になるものと認識しております。このため県では、今年度、これまでの自然、山村生活、農業、伝統文化といった体験メニューに加えまして、被災地への訪問学習や平泉文化への理解をさらに深める学習を一体的に紹介する教育旅行ガイドブックを作成したところでございます。
 今後、このガイドブックを活用し、首都圏、北海道及び関西圏において開催する旅行会社や学校関係者との商談会において、震災からの教訓や平泉の人と人、人や自然との共生の理念を学ぶ意義を積極的にPRし、教育旅行の誘致を促進してまいります。
 次に、お盆の時期に向けた取り組みについてでありますが、県内の観光施設や宿泊施設の予約情報、復興応援ツアーなどの情報につきましては、県の観光ホームページに随時掲載しておりますほか、沿岸地域の観光協会の中には地元宿泊施設の詳細な情報を提供しているところもあり、来県者の利便を図っているところでございます。
 また、応急仮設住宅の集会所や空き住戸への入居者の親族の一時的な宿泊は、市町村及び自治会の判断により柔軟な対応も可能となっており、現地の個々の事情により弾力的に運用されるものと聞いているところでございます。
 県といたしましては、沿岸地域の観光の復興に向けまして、民間宿泊施設の収容力の拡大が大きな課題ととらえておりまして、中小企業グループ補助金や県単独補助金によりまして、一刻も早い事業再開が図られるよう積極的に支援しているところでございます。
 次に、人材育成の取り組みについてでありますが、いわて県民計画では、岩手の未来を開く三つの視点として、ゆたかさ、つながり、ひとを掲げ、東日本大震災津波からの復興を第一に、産業、雇用など七つの施策を推進することとしており、人材育成はその基盤をなす重要な取り組みと考えております。
 特に、本県におきましては、産業分野は復興の牽引役として、中長期も見据えながら、いわて産業人材育成会議から提言された育てるべき産業人材像に向け、必要とされるキャリア教育や高度技術者の育成など、小・中・高校生から社会人まで一貫した人材育成に計画的に取り組んでおります。
 中でも、自動車関連分野におきましては、三次元設計開発技術者や組み込みソフトウエア技術者など、本県の強みをより発揮できる取り組み、職業能力開発施設のカリキュラム充実による次世代自動車などの生産技術に対応できる人材など、産業界の高いニーズに対応した育成を進めているところでございます。
 今後におきましても、本県を支える産業人材について、産学官が一体となって、小・中・高校生から社会人まで一貫した育成を推進してまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) ICT利活用の取り組みについてでありますが、県では、今後のICT利活用の推進につきましては、本年6月にいわてICT利活用推進プランを策定し、東日本大震災津波からの復興、産業の振興、だれもが地域で安全に安心して暮らせる環境の実現を図るため、情報通信基盤の復旧、整備とICT利活用の両輪で具体的な取り組みを進めることとしております。
 沿岸部の情報通信基盤につきましては、市町村において、大震災津波により大きな被害を受けた情報通信基盤の復旧を進めるほか、復興に向けて、国の補助金を活用した超高速ブロードバンド基盤の整備等も計画されており、より一層ICTを使いこなせる環境整備を促進してまいります。
 県といたしましては、引き続き市町村に対して国の支援制度の積極的な活用を働きかけるとともに、国に対し、高台移転等の新たなまちづくりに伴う情報通信基盤整備を支援する制度の新設について働きかけをしてまいります。
 また、ICTを利活用できる人材の育成につきましては、学識経験者や民間事業者、NPO等と連携しながら、ICTに関する最新の情報を得られるフェアやセミナーを開催する、そのほか、市町村のICT関連施策の企画、実施支援等の取り組みを進めてまいります。
 さらに、高齢者へのICTの普及を進めるため、沿岸部の高齢者のICT利活用を支援する団体、個人を対象とした講座を日本マイクロソフト株式会社と共同で開催するなど、さまざまな主体と連携をしながらIICTの普及や人材育成に取り組んでまいります。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 医師確保対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、地域医療の確保に当たりましては、医師不足地域での養成医師の勤務とキャリアアップやスキルアップの両立は重要であると考えており、県では、この両立に向けた養成医師の配置のあり方について、地域医療対策協議会で市町村や大学等の関係者から意見を伺いながら検討を進めているところであります。
 今後はさらに、昨年度設置いたしました地域医療支援センターも活用しながら、増加していく養成医師の地域医療機関への計画的な配置や調整を行う仕組みを段階的に整備することといたしております。
 また、医師の地域偏在などの医師不足を解消するためには、国の抜本的な制度改革が必要でありますことから、地域医療に係る基本法の制定など、地域別、診療科別の医師の偏在に対応する具体的な施策の実行について、国に対し要望を行ってまいります。
   〔環境生活部長工藤孝男君登壇〕
〇環境生活部長(工藤孝男君) まず、県南3市町の除染への支援についてでありますが、汚染状況重点調査地域に指定された3市町が除染を迅速に進めていくためには、県と3市町が連携して対応することが最も重要であると認識しております。このため、特措法が全面施行されました本年1月以前から、3市町とともに、除染着手に向け必要となる手続やスケジュールの共有、除染の対象、除染の方法、土壌や廃棄物の処理などの課題について協議を続け、除染実施計画案の提出につなげたほか、県外先行事例の現地調査などにより除染のノウハウ習得に努めるなど、一緒になって取り組みを進めてきたところであります。
 放射性物質の除染は、県、市町ともこれまで経験のない分野であり、また、これまでの国の対応がすべからく遅いことや、汚染土壌の処分基準をいまだに国が示さないなど、除染を進めるに当たっての課題が多いことから、引き続き3市町と連携を十分に図りながら、国からの積極的な対応を引き出し、除染が迅速に進むよう一緒に取り組んでまいります。
 次に、県の自家消費農作物に対する見解と情報発信についてでありますが、本県においては、野生の山菜や原木シイタケなど一部に国の基準値を超過したものがありますが、自家消費用として田畑で通常栽培されている穀物、野菜、果物につきましては、昨年以来、県、市町村、生産者団体等において重層的な検査が行われる中にありまして、基準値を超えたものは一切ありません。安心して栽培していただきたいと考えております。
 しかしながら、県民にこうした情報が十分に伝わっていない面もありますことから、食の安全・安心を確保していくため、県のホームページにおきまして、メッセージ性を高めるよう工夫しながら、これら検査結果をリアルタイムに情報提供しているところであります。
 また、放射性物質に関する正しい知識と健康影響などについて理解を深めていただくため、今年度、生産者、流通事業者、消費者及び行政関係者が一堂に会するリスクコミュニケーションを県内4会場で実施したところであります。
 さらに、県民向けの冊子を作成し、特に県南3市町につきましては今月中に全戸配布することとしているほか、本庁と広域振興局の連携による出前講座やセミナーの実施など、住民の目線に立ったきめ細かな情報発信を行っており、今後とも、御提言の趣旨も踏まえながら、県民との情報共有に努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、シイタケ再生産に向けた取り組みについてでありますが、現在進めているほだ木の全戸検査を7月末に終え、利用できないほだ木を特定した上で、秋口までに更新が必要な原木の本数を最終的に取りまとめ、植菌が始まる1月には生産者に原木が届くよう取り組みを進めることとしており、原木シイタケの再生産に向けた取り組みに支障が生じないよう万全を期してまいります。
 原木の確保につきましては、これまで生産者から希望のあった約33万本の確保を既に県森林組合連合会に依頼しておりますが、今後も、逐次、原木の需要量を伝え、原木の確保を進めてまいります。
 なお、ほだ場の放射性物質の影響状況の調査につきましては、林業技術センターが調査に着手したところであり、この調査で得られた知見は、汚染リスク低減のための技術指導など、今後の原木シイタケの再生産に向けた対策に活用してまいります。
 次に、産直の補償請求についてでありますが、県では、産直施設が農協や会社組織、個人や任意グループにおいて運営されるなど、経営形態がさまざまであるほか、賠償請求に必要となる過去の販売実績等の書類の整備状況も異なっていることから、産直施設の実情に応じたきめ細やかな対応をしていくことが重要と認識しております。このため、東京電力に対し、山菜に係る賠償請求の考え方等を早急に示すことや県内の産直施設の実情をとらえて対応することを要請しているところでございますが、東京電力に出席を求めた相談会の開催や、東京電力が産直施設を訪問しての具体的な請求手続の説明など、産直施設の実情に応じた支援となるよう取り組んでまいります。
   〔教育長菅野洋樹君登壇〕
〇教育長(菅野洋樹君) 国立博物館誘致を目指しました、平泉あるいは沿岸部への考古学拠点の設置についてでありますが、県では、平泉文化の研究の拠点づくりに向けまして、研究を深めることが大事であることから、県内5大学によるいわて高等教育コンソーシアムとの研究連携を含め、国内の研究者との共同研究や発掘調査を進めてきたところでございます。
 このことから、まずは、世界遺産に登録された平泉において、平泉文化を中心とする考古学の研究拠点づくりを進めていくことが必要であろうと考えております。
 沿岸部につきましては、復興事業との調整を図りながら埋蔵文化財の発掘調査に取り組んでいるところでありますが、このことにより多くの考古学的知見が得られると思われますので、その成果を生かす方策について検討してまいりたいと考えております。
 次に、英語教育の充実についてでありますが、今後の国際化社会を見据えたとき、これからの岩手の子供たちにとって英語教育は大変重要であります。小学校での外国語活動の導入、中学校での時数の増加、高校での科目の充実、並びに高校においては英語の授業は英語で行うことを基本とされたことから、英語教育はこれまでよりも強化されると考えております。まずはこの確実な実施に向け、各学校への支援の充実を図ってまいります。
 県では、中学生の英語の語彙力や読解力を強化するモデル事業に取り組んでおりまして、今年度からこれを普及する活動に取り組んでまいります。
 また、沿岸被災地の高校生とワシントンDCの高校生がインターネットを通じて互いの学校の様子やテーマを決めた意見交流を行う活動や、一関一高、花巻南高校を英語力の指導改善事業の指定校とし、両校の生徒が一堂に会して英語のみで受講する英語集中講座などを行うこととしております。
 さらに、県内の小学校において、大学の留学生との交流を行い、英語を実際のコミュニケーションの手段として使う機会を設定し、児童の英語教育の充実を図っている事例もございます。お話のありましたそれぞれの地域や学校の実情、特色にも十分配慮しつつ、多種多様な取り組みを行い、本県の英語教育の充実を図ってまいります。
 次に、救命救急教育についてであります。
 一関市におきましては、本年度、トレーニング用マネキンを全中学校で整備するなど、命を守る施策の一つとして、心肺蘇生法等の取り組みを関係機関の協力を得ながら推進していくことと伺っております。また、久慈市等でも、消防、医療、保健など地域の関係機関が連携して、教職員が消防署員や医師から心肺蘇生法を学び、児童生徒に継続した指導を行うなどの取り組みを進めております。
 これらを含め、平成23年度において、公立中学校では186校中83校、公立高等学校では74校中59校でAEDの使い方などの講習会が実施されております。こうした取り組みが子供たちの安全を守る取り組みとして、また、命の大切さを学ぶ機会としても意義のあるものと考えております。
 一方で、関係機関との連携や機器の整備のあり方等課題もありますことから、これらの課題を整理しながらその促進に努めてまいります。
〇5番(佐々木朋和君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、放射性廃棄物について集中的に再質問をさせていただきます。
 牧草の除染について、これまで3年かけてという県から方針が出されておりますが、先ほど述べたとおり、放射性廃棄物の増加の不安。また、他方でJAなどから代替飼料の配給があるとはいえ、いつまで続けられるかの不安があり、生産者にとって、とても受け入れられない期間であります。現在も北海道の公社から重機をお借りして事に当たっていると聞いておりますが、これまでの答弁でもありましたが、重機を持っている建設業者などでやれる耕起の方法の研究、また、他県公社などから応援をもらうスキームができないか、全体をスピードアップする方法の検討が必要と思いますが、県の御所見を伺います。
 また、先ほど、移動式の焼却炉についてはなかなか難しいという話もありましたが、では、どうやってスピードアップしていったらいいか、そういうところがあると思います。
 私見ですが、そもそも国で示した放射性廃棄物の基準8、000ベクレル超過は指定廃棄物として国がやる、8、000ベクレル以下は一般廃棄物して地域で処理するということが地域住民意識と乖離しており、処理が進まない一因とも考えられます。私は、8、000ベクレル以下も指定廃棄物とし、国の責任において、焼却施設の補助をもらいながら進めていくよう国に訴えるべきと思いますが、中間処理施設、最終処分場の見通しも含め、御答弁をお願いします。
 次に、廃棄物の種類ごとの対応について、特に畦畔草、汚泥について伺います。
 畦畔草、国道、県道、市道道路わきの刈った草の取り扱いについて、現在、県では、住民の方々の声にこたえ、畦畔草の野焼きの自粛をかけております。住民の方々の不安から、その声にこたえる対処としては納得できますが、その後どうするかについて動きがなく、現状、その場所にただ放置している状態であります。県としては、慣習として、刈った草はその場で放置または野焼きしてしまうので、廃棄物として扱わなくてもよいとお考えかもしれませんが、一たん野焼き自粛がかかったからには、地域住民にとってそれは放射性廃棄物であり、今後の見通しが示されなければ不安の種となります。他県においては野焼き自粛制限をかけていないところもあり、放置が続けば、燃やす住民もふえてくることが予想されます。今後、サンプル検査をするのか、制限解除の基準を示すのか、または焼却炉に持っていくのか、方針をお示しいただきたいと思います。
 また、汚泥については、空間線量にかかわらず線量が高く出るなどの予想のつかないところがあり、8、000ベクレル超過も予想され、その性質上、埋却が困難である可能性があります。県の今後の対応、指針をお聞かせください。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 牧草の除染についてでございますが、除染事業の実施期間につきましては、できる限り短期に実施する必要がございますことから、議員からお話のありましたとおり、北海道の農業公社からの応援のほか、県の農業公社で必要な作業機械を確保して農家等に貸与する方法、作業機械を有する畜産農家、飼料生産を請け負うコントラクター組織に加えまして建設業者等の協力を得て作業をする方法、これらの方法によって、順次作業に着手してございます。
 畜産農家等の協力を得て実施する除染作業につきましては、2年間での実施を想定しておりますが、この方法は、畜産農家等の作業準備ができ次第、着手が可能でございますから、可能な限り平成24年度での着手を要請しながら、除染作業の短期化に努めていく考えであります。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 放射性廃棄物の処理についてでありますが、県におきましても、汚染濃度にかかわらず国が責任を持って処理すべきものと考えておりまして、国に対しましては、国が責任を持って適正な処理を進めるとともに、市町村が低レベルに抑えた焼却処理を進める場合にあっても、必要な財源支援措置を講じるよう要望しているところでございます。
 しかしながら、国では、例えば汚染された廃棄物だけを焼却するなど、8、000ベクレルを超えて高濃度に汚染された焼却灰の排出を前提とした処理を進めるなどということであれば、国の責任において、専用の仮設焼却炉でありますとか最終処分場を設置する用意があるという対応にとどまっているところでございます。今後も、国に対し積極的な対応を働きかけてまいりたいと考えてございます。
 次に、畦畔草の処理についてでございますが、野焼きに伴う放射性物質の再拡散を心配する県民からの声が多く寄せられたことを踏まえまして、県としては畦畔の草などの野焼きについて自粛を要請しているところでございます。
 現在、家庭や市町村の一斉清掃に伴い排出されるいわゆる草木につきましては、市町村等の焼却施設で受け入れを行っているところでございますが、畦畔の草でありますとか道路管理に伴い発生する刈り草などの多くについては、現場に残置したり、あるいは除草剤を用いて処理されているというのが実態でございます。
 野焼きにつきましては、国に対し、科学的知見に基づき基準を明確にするよう要請しているところですが、いまだに基準が示されていないということでありますので、解除の方針を示せない状況であります。このため、現場への残置等が困難である場合などにおきましては、市町村等の既存施設での焼却処理を含めて、実態に応じた処理が進められるよう柔軟に対応してまいりたいと思います。特に、除染を進める県南3市町につきましては、除染に伴い発生する草木などの廃棄物も多いと思料されますことから、今後、関係部局や市町とも連携しながら、一緒に処理のあり方について検討してまいります。
 また、側溝などの汚泥の処理についてでありますが、これまでは、廃棄物として市町村等の最終処分場で処理されるか、セメント原料などとして再資源化されてきたところであります。しかしながら、放射性物質に汚染されているという懸念でありますとか、国から具体的な処理方針が示されていないことなどから、処理作業が進んでいないところであります。また、県南3市町における除染に当たっても、これが大きな課題となっているところでございます。
 このため、県におきましては、仮置き場の確保などについて県南3市町と協議を行っているところであり、今後は、再生利用が難しいものについては、やむを得ない現実的な対応といたしまして、市町村等の御理解を得ながら、既存の最終処分場への埋め立てをすることも含めまして検討をしてまいりたいと考えてございます。
 8、000ベクレルを超える汚泥につきましては、国の責任において処理が行われるよう要請してまいります。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時46分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 佐々木 朋 和 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 佐々木   努 君
8  番 軽 石 義 則 君
9  番 後 藤   完 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 高 橋 但 馬 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 小 野   共 君
20  番 郷右近   浩 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 喜 多 正 敏 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 高 橋 昌 造 君
29  番 五日市   王 君
30  番 関 根 敏 伸 君
31  番 小田島 峰 雄 君
32  番 大 宮 惇 幸 君
33  番 工 藤 大 輔 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 佐々木   博 君
41  番 田 村   誠 君
42  番 及 川 幸 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時3分 再開
〇副議長(柳村岩見君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木茂光君。
   〔2番佐々木茂光君登壇〕(拍手)

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