平成24年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇35番(嵯峨壱朗君) 自由民主クラブの嵯峨壱朗でございます。一般質問をさせていただきます。
 ここ数日間、社会保障・税一体改革関連法案の衆議院採決をめぐっての民主党の分裂の余波により、国会は機能不全に陥っております。小沢元代表らの集団離党をめぐる民主党内のごたごたに起因するものであり、達増知事が政治的事故と言われた、いわゆる民主、自民、公明3党合意が原因ともなっていると言われております。凡人の私には相変わらず意味不明で、豊富な達増知事語録の一つであります政治的事故の意味もお尋ねしたいところでありますが、現下のような円高、デフレといった経済情勢の中、いかに景気条項があるとはいえ、被災地に住む者として、現行の消費税増税論議は適切だったかどうかといった疑問もあるところであります。むしろ個人的には、税率が同じでも、税収をふやすために、平成23年度、468兆円に減少した名目GDPを500兆円、600兆円とふやすことにあらゆる努力を傾注すべきと考えております。
 さて知事は、小沢元代表離党、除籍、新党結成といった一連の騒動を受けて、新しい始まりとか新しい出発という表現で積極的に評価し、今まで以上に小沢さんと一緒にやっていきたいと答えたとされており、同じ理念や政策のもと、小沢元代表と同じ方向で日本を改革しようとしてやってきたと述べているようでありますが、知事は、日本をどのように改革しようとしたのか、また、同じ理念や政策とは何を意味しているのか具体的に説明していただきたいと思います。
 また、記者会見等でも民意に寄り添うような政治という表現を多用しており、昨日の久保議員の一般質問でもそのように答弁されておりましたが、知事の言うところの民意に寄り添うような政治とはどのような政治を意味しているのかお聞かせ願いたいと思います。
 さらに知事は、小沢元代表の民主党からの離党、除籍、新党結成といった一連の動きについて、どのようにとらえているのか改めてお聞かせ願いたいと思います。
 これまで知事は、野田政権のさまざまな政権運営に関し、極めて辛口の消極的な評価を連発してきたわけでありますが、同じ政党に属する知事が批判する現政権の東日本大震災発災以来の復旧、復興対策をどのように評価し、本県にとって満足のいくものだったと思っているのか知事の所見をお尋ねしたいと思います。
 あとの質問は降壇しての質問とさせていただきます。
   〔35番嵯峨壱朗君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 嵯峨壱朗議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の発言についてでありますが、私は、地方切り捨て、弱者切り捨ての政治から、生活本位、格差の是正、地方から経済や暮らしがよくなっていくような政策を推進する政治への改革を目指してまいりましたし、今でもそういう政策が必要と考えております。その政策とともにある理念は、一言で言えば国民の生活が第一という言葉に集約されるものであります。
 そして、民意に寄り添うような政治ということでありますが、私は、衆議院議員のころから草の根の知恵と力を総結集というスローガンを使ってまいりました。草の根の日常活動を通じて、政策を練り上げ、理念とともに示して選挙で支持をいただき、その民意に基づき政策を実現する、それが民意に寄り添うような政治であります。
 次に、小沢民主党元代表の動きについてでありますが、国会において3党合意に基づく消費税増税法案の衆議院可決という事態で政権交代に託した民意の行き場が失われるという中、その民意をしっかり受けとめて新しい政権を担おう、失われた政権交代をやり直そうという動きであると思っておりまして、私も大いに賛同するものであります。
 次に、現政権による復興対策についてでありますが、東日本大震災津波は、被害の広域性、甚大性から見ても県や市町村において対応できる範囲を大きく超える国家的な災害であり、復旧、復興に向けた迅速かつ十分な対応を行うためには、国が復興の基本方針を示し、財政的な支援や復興に必要な制度の創設と事業の実施の役割を担うべきものでありますことから、被災直後から機会あるごとに国費による充実した支援と具体的な施策の速やかな実施を訴えてまいりました。
 国においては、補正予算により復興財源を措置するとともに、昨年7月の基本方針の策定、昨年12月の復興特区法など復興関連法の制定、本年2月の復興庁の設置など、復興に向けた国の体制、制度、財源等がようやく整えられたところでありますが、本来であればもっと早急になされてしかるべきであったと考えています。
 国に対しては、あくまでも被災地の視点に立ち、一日も早い復興を実現するため、さらにスピード感を持って対応していただきたいと考えており、国家プロジェクトとして、既存の枠組みを超える強力な復興施策を全力で推進するよう引き続き強く要望してまいります。
〇35番(嵯峨壱朗君) まず、ただいまの登壇しての質問について何点か質問させていただきたいと思います。
 平成19年5月1日の知事の記者会見の記録を見ましたけれども、記者の質問に、知事が現有している民主党籍は今後もこのまま継続して党籍を持つのでしょうかという質問がございました。それに対して、今の民主党というのは日本で一番いい政党だと思っております、その党員であることは私にとって誇りでもあります、ですから、民主党籍を離れるということは考えておりませんと。もうしばらく前の話ですので、現在どうなっているか、その点についてお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私は、政権交代が行われた直後の記者会見で感想を問われたときに、石川啄木の短歌をもじりまして、有権者の民意に向かひて言ふことなし 有権者の民意はありがたきかなということを感想として述べました。それが政権交代ということの本質であったと今でも思っております。そうした民意に逆行するような政策を進め、また、民意に背を向けてしまった民主党に対しては当時と同じ感想は持ちません。
〇35番(嵯峨壱朗君) 政党に対する感想はわかりましたが、この民主党籍を離れるということは考えておりませんというくだりについては現在ではどうなんでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 私の民主党の党籍は一般党員サポーターとしてのものでございまして、恐らく今回、その民主党のもともとの政権交代のときの理念、政策を生かそうという新しい党ができていく流れの中で、かつての民主党を支持していた一般党員サポーターに対してもいろいろな連絡とか働きかけ等が行われると思いますので、一般党員サポーター、ほかの皆さんと一緒にそこに対応していけばいいものかと考えております。
〇35番(嵯峨壱朗君) つまり、私は民主党員ではないので、サポーターと党員というのはどういった違いがあるのか教えていただければと思いますけれども。
〇知事(達増拓也君) そこは民主党の規約に書かれていると思いますので、そちらを参照していただければと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) 答えにくいのでしょう。
 規約はわからないんですけれども、つまり党籍はあるというふうな理解でいいんでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 一般党員としての党籍はある状態だと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) わかりました。
 ということは、これから小沢元代表が離党届を出して、除籍、きょうの午後正式に決まるのかわかりませんけれども、そうしますと、達増知事が、先ほど登壇しての質問のところで私も引用しましたけれども、小沢さんと一緒にやっていくと述べておるわけですけれども、そういった場合には、新しい党はまだできておりませんけれども、恐らくできるんでしょうが、どういうふうな対応をしていくお考えなのかお聞かせ願いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 一般党員の資格を持つ存在としては、これはほかの一般党員の皆さんと同じように、余り国会議員の皆さん方や県議会議員の皆さんほど組織のあり方について、かちっと検討しながら対応するということではなくて、より自由な、政治参加する自由な個人、一般国民、一般住民、そういう個人としての政治参加というスタンスに近いものだと思いますので、そういう自由な形で今後進めていきたいと思っています。
〇35番(嵯峨壱朗君) ということは、新しい政党ができた場合には、個人としての自由な、何と言っていいかわかりませんが、そういった立場として参加していきたい、応援していきたいということでいいんですかね。
〇知事(達増拓也君) まだ存在しない政党について、その手続的なことについてはまだ頭の中に何もございません。
〇35番(嵯峨壱朗君) これで終わってもなんですので次に移りますが、ぜひ、仮に新しい政党に移ったとしても、一党一派に属さないようなスタンスでやっていただければと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。
 また、新しい始まりという表現をしております。マスコミ等の報道でわかったわけですけれども、どういう意味なのかなと思っておりましたけれども、その点お聞かせ願えればと思います。
〇知事(達増拓也君) そのとき、マスコミ取材、囲み取材の中で感想を求められたときに、私はアメリカ人の友人から来た電子メールを紹介し、そこに、達増さん、今、国政ですばらしい動きが出ている─コングラチュレーションズ・オン・ア・ニュー・ビギニングという言葉があって、大変それが私も気に入っていたものですから、それを紹介して、私も同じ気持ちですと述べたところです。
〇35番(嵯峨壱朗君) 私は、今回の一連の出来事で、印象をある社から取材を受けて、王国から民主主義国家への始まりであるというふうに答えたんですけれども、それをどう思いますか。
〇知事(達増拓也君) 意味がちょっと聞き取りにくいところがあったんですけれども、いずれにせよ、こういう大事な政治の転換点にあって、マスコミの取材に誠実に答えられるのは大変すばらしいことだと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) もう一度大きい声で言います。達増知事は王国という言葉も結構使われていましたね、環境王国とか。そういった意味でもないわけですけれども、王国から民主主義国家への始まり、岩手はやっと始まるんだなという意味で私使ったんですけれども、そういったとらえ方はどう思われますか。
〇知事(達増拓也君) 県議会議員として、あるいは政治家個人として、政治の大事な局面に対してそのように意見を述べられることは大変すばらしいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) ありがとうございます。そういった印象を持ってとらえたということを御紹介したいと思いました。
 改めてですけれども、今回、民主党籍のあった国会議員の皆さんが何名か離党して、残る方もおられるわけですけれども、その中に、私が達増知事の後継かなと思って見ておりました階代議士がおりますけれども、今回、達増知事がどういうふうな行動をとられるかわかりませんけれども、違った行動になる可能性もあるわけですけれども、こういったことについてはどのように考えておりますでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 違った行動というか、私は、むしろ一般国民に近い、そういう中からまず一般党員サポーターという形の政治参加をしている格好でありますので、それと全く同じような政治参加の仕方を現職の衆議院議員がやるのかという意味であれば多分そういうことにはならないんだと思うんですけれども、ただ、一つ、先ほどの答弁でも答えたとおり、私は、まず3党合意に基づく消費税法案の可決ということは、民主党という公党にとって決してやってはいけないことをやったと。民意に対してもうはっきり背を向けたことだと思っていますし、また、それがおよそ選挙というものをぶち壊しにしてしまう、選挙の際に国民に対して公約を示し、マニフェストを示し、そして約束をする中で支持を受けて、その民意に基づいて政策を進めるという民主主義の政治のやり方を根本から否定するようなことだと思っていて、そういう考え方は共有しているのではないかと考えております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 先ほどの答弁の中で、復興、復旧の現政権の対応についてお伺いしましたけれども、スピード感に欠けるが、それ以外は大筋、あと法的規制ももう少し考えていただきたいということでしたけれども、それ以外についてはおおむね評価しているという理解でよろしいでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 市町村、県、国あるいは国、県、市町村、行政が力を合わせて一体になってフルセットで被災地、被災者に寄り添うようなやり方でやっていかなければならないということを発災直後から申し上げ、関係者力を合わせて何とかそういう形をつくり、また進めてきたとは思っています。したがって、例えば国の予算、さまざまな措置がなされていますけれども、そのかなりは、まず市町村が必要性を強く言い、そして県から丹念に説明し、そして実現したというようなものがほとんどだと思っております。そういったところは地方公共団体と国とが力を合わせてそれなりの実績を積んできていると思っておりますけれども、一方、国は国として、主体的に国難、国家的災害からの対策、災害に対する対策と復興への施策を進めていかなければならないと思っております。そういったところについてはまだまだ期待にはこたえられていないというふうに思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) 次に、入札の一連のいわゆるミスについてお伺いしたいと思っております。
 これは復興特別委員会等でも議論しているところでありますけれども、そういった議論も知事はやはり見ているかと思いますけれども、この入札問題の本質的な原因はどこにあると考えているのか、また、再発防止についてはどのように考えているのか、知事の所感を含めてお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 入札問題についてでありますが、今回の問題については、災害復旧関係の業務量の増大が背景にありますものの、災害復旧事業関係入札等検証委員会の報告にもございますように、職員の不注意や経験不足、組織内、組織間での情報共有の不足等が主たる原因であったと認識しております。積算の誤り等の事案が多数発生したことを重く受けとめており、業務への影響を最小限に食いとめ、復旧、復興を円滑に進めていかなければならないと考えています。
 このため、今回の事案を契機として全庁的に再発防止に取り組むこととし、二重チェックの徹底、迅速、確実な情報共有の仕組みの構築、技術職員の研修の実施等を打ち出したところであります。また、最低制限価格の設定方法の見直し等を行うほか、検査、審査体制の強化を図るため、検査、審査及び技術指導を専任で行う職を設置することとしたところであります。
 さらには、災害復旧を初めとした業務全般を円滑に推進するため、県全体の事務事業についても、事務事業プロセスの点検、チェック機能の強化、専門的な技術、知識の研修の充実、風通しのよい組織風土の醸成、管理監督者のマネジメント強化について全庁的に取り組むこととしたところであります。
 これらの取り組みを徹底することによって、今回のような事案が二度と生じることのないよう万全を期してまいりたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) 今回、入札の背景と関連すると思って聞くんですけれども、知事は、今回の大震災を受けて、県のみならずですけれども、非常時という認識でしょうか、常時の延長線であるという認識でしょうかお尋ねしたいと思いますけれども。
〇知事(達増拓也君) 今の時点が非常時か常時かという質問かとお聞きしましたけれども、けさの庁議でも幹部職員に訓示したところでありますが、災害対策本部が立ち上がっているような非常事態とは違うけれども、復興というプロセスも、これは準非常事態─非常事態に準ずるような緊張感を持って仕事をしなければならない事態である、そのことを改めてそれぞれきちんと踏まえるようにということを述べたところです。
〇35番(嵯峨壱朗君) そうだと私も思っていました。今回の入札の問題だけではないんですけれども、40年分の仕事量が出ているというふうな見方をしております。それをどうやって常時の体制の延長線上で処理していくのか。私は、それはもう不可能だと思っているんです。つまり、体制もそうですけれども、人員の配置も含めて、もっと現場に、人が必要なところに人を多く配置するとか、そういったところまできっちりやっていかないと直後の非常時とは違った非常時の体制にはならないと思っているんです。そういったところに遠因があると思っているんですけれども、そういったとらえ方はどう思われますか。
〇知事(達増拓也君) さまざま平常時に行わないような手段を講じてマンパワーの確保に努めているところでありますけれども、引き続き多様な方策によるマンパワーの確保に努めて、円滑に復興事業を推進できる体制を整備してまいります。
〇35番(嵯峨壱朗君) 若干具体的なこともここでお伺いしたいと思いますけれども、二重チェックの徹底という話が出ていました。二重チェックをしたらまた人手がかかるんじゃないですかね、単純に。ますます人手が必要になる、時間もかかるのではないかと思うんですが、どうなんでしょう。
 それと、いわゆる最低制限価格をまた見直しとか、さまざまなことをすることによって、この間、これも新聞報道でしか見ておりませんけれども、測量業務というのは、従来も同札、いわゆる同じ価格の入札、1円まで一緒だったという事例が多々あって、くじ引きで決めたんですね。4割ぐらいがくじ引きだということ─もっとだったか─、そういった実態がある中で、さらにまたくじ引きという状況がふえるというふうなことも報道されておりましたけれども、それはどうなんでしょうか。どなたでもいいです。
〇知事(達増拓也君) その二重チェックの徹底、また、最低制限価格の見直し、それぞれやはり必要なことだと思っておりますので、それによってかえって事態が悪化することのないよう進めてまいりたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) ぜひそうならないようにしていただきたいと思います。また、これは恐らく、ヒューマンエラーというんですか、わかりませんけれども、現場の人たちは恐らく一生懸命やっていると思うんです。超勤もかなりに及んでいるという話も聞いております。ですから、ぜひ重点的に人を配置するとか、そういう形で補正することによってまたこういったミスがないようにしていただきたいと思っております。
 これは復興特別委員会での問題になって取り上げられた経緯があるわけですけれども、いわゆる復興局の責任者は副知事なわけであります。これについて、一連の経緯を踏まえて、感想というか、どういったことを思っているかお答え願えればと思います。
〇副知事(上野善晴君) 入札の関係の防止策、それから今後の対応について知事のほうから御答弁申し上げましたが、復興局の現場の担当といたしまして今の御質問にお答えしようと思います。
 議員の御認識、40年分という数字を出されましたけれども、膨大な作業量、未曾有の作業量を抱えて、現場の職員が大変一生懸命頑張っているというのも事実でございます。他方で、こうしたミスというものは、今おっしゃったような非常時に準ずるような状態ですから、決して起こしてはならないことであるわけでありまして、これによってましてや復興がおくれることがあっては絶対にならないという思いを強く持っております。
 したがいまして、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようなプロセスの点検ですとかチェック機能ですとか、こうした基本的なチェックポイント、課題につきましてきっちりと対応していく。他方で、それができるだけ効率的なあり方で、現場の職員の負荷をこれ以上増さないようにということにも留意しながら、もう一つ大事なことは、これによって絶対に全体の工程が後出しになってはいけないと思っていますので、そういう意味では、いろいろなやり方、先ほどもっと人手がかかるんじゃないかとおっしゃいましたが、そういうことにもならないように、それから、今後の工程をいろいろ工夫することによって今まで以上に早く工事ができるように、そうしたことも含めて検討して、ぜひこうしたミスが起きたことが復興に水を差すということにならないように、そういう点は復興局、現場としても県庁全体としてもきっちり留意しながらやっていきたいと思っております。
〇35番(嵯峨壱朗君) ぜひそれぞれうまくいくようにやっていただきたいと思っております。
 次に、震災復興にかかわってですけれども、第2回いわて復興ウォッチャー調査というのがこの間、我々にも手元に配られましたけれども、その報告を見ると、生活の回復度、そして地域経済の回復度については、前回の指標からするとよくなっている。実感的にそうなのかもしれませんが、どちらかというと、沿岸、県北のほうがそういった回復していると受け取っている方々が多いように見ております。ただ、安全なまちづくり達成度は、達成していない、余り達成していないが前回よりもポイントが上がっていまして、不満、達成していないという意識を持っているようですが、いずれ、こういった調査を受けて、知事はどのように思ったのかお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 第2回いわて復興ウォッチャー調査の結果についてでありますが、被災者の生活や地域経済の回復に対する実感は、2月時点の調査に比べ、やや好転しているものの、いまだ半数以上の方々が、やや回復していない、または回復していないと回答しているところであります。また、特に災害に強いまちづくりに関して、約8割の方が余り達成していない、また達成していないと回答しています。これは、復興のまちづくりに向けた具体的な土地利用計画や導入事業の検討が進められているものの、いまだ多くの事業が具体化していないということなどから、被災者の皆さんが復興の歩みを実感できる段階に至っていないということが一つの要因と考えているところであります。
 また、これまで、県政懇談会などの場を通じて、多くの被災者の皆さんから、みずからの生活の再建を考えていくため、まちづくりに関する情報をわかりやすく伝えてほしいという切実な御意見を伺ってきております。こうしたことから、先般、被災者一人一人の復興計画づくりに役立てていただくということで、県民生活に身近な社会資本の復旧・復興ロードマップを公表いたしました。今後も復興の取組状況や見通しを被災者の方々にわかりやすく丁寧にお伝えし、復興実施計画に基づく事業を着実に推進し、一日も早く復興を実現していきたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) やはり復旧・復興ロードマップはよかったと思っております。そのとおりに、まずとにかく実現するように努力していただきたいと思っております。
 次に、静岡県島田市の瓦れき処理に係るいわゆる想定されない大きな燃えないものが入っていたという事例ですけれども、静岡県知事は岩手県に何回か来ておりますし、そして、一生懸命やっております。島田市の市長も、来年、市長選という話も聞いておりますけれども、そういった多くの反対がある中で受け入れたという非常にありがたい話だったわけですけれども、こういった想定しない事例というか、異物が混入したということについては、私は、ぜひ知事が行って直接謝罪すべきだったのではないかと思っておりますが、その点はどう思われているかお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 搬出した木くずの中にコンクリートブロックが混入したということは、相互の信頼関係にかかわるもので、大変遺憾に思っております。
 本件につきましては、発生直後の5月23日夕方に私は第一報を受けまして、直ちに原因の調査と対応策の検討を指示して、翌日の24日、静岡県知事、島田市長、環境大臣に私から電話で直接おわびを申し上げ、そして、しっかり対応させていただく旨を伝えました。翌週、担当部長を静岡県に派遣して、直接、再発防止対策について説明をさせまして、それぞれ知事、市長から、岩手県の対応を了とするということで、受け入れ再開に向けた検討を進めるという意向が示されたということでございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) それで向こうは納得したということでありましょうけれども、私はやっぱり、機会をとらえて直接知事が静岡県の知事等に、こういった時期を失したのかもしれませんけれども、やるべきだったのではないかと思っております。その点、これから県外処理の量も大分ふえているとは聞いておりますけれども、いずれ、そういった誠意を持って対応していってほしいと思っております。
 次に、集団移転事業についてお尋ねします。この集団移転事業ですけれども、生活の再建のかなめなわけでありますが、三つの事業が運用されております。防災集団移転促進事業、漁業集落防災機能強化事業、都市再生区画整理事業。それぞれの自治体が、同じ自治体の中でも、三つの事業の中で、その地域の被災度とか状況に応じて事業を選択しているわけでありますけれども、例えば、久慈市と普代村と洋野町でしたか、被災家屋が点在していることによって、危険区域に設定すると、そこにまだ家がしっかりとあるところもあって、全体を危険区域に指定できないという地域が幾つかあります。県内では、それも含めてですけれども、市町村の中で24カ所がそういった漁業集落防災機能強化事業を選択しております。これは、防災集団移転促進事業のほうが、どちらかというと被災者にとってはいろんな意味で有利な事業とも言われております。それは、制度設計の違いがあるという説明もされましたけれども、できれば同じような─被災度は同じですから、どの事業を選択しても同じような、その差がないような対応をすべきではないかと思っております。
 これについて、まず具体的なことからお伺いしますが、現在、県内におけるこの3事業の決定状況はどうなっているのか。また、支援策や税制面などの違いなど課題はあると言われておりますけれども、その対応策についてお尋ねしたいと思います。
〇理事(高前田寿幸君) 集団移転事業における3事業の決定状況と課題及びその対応策についてでございますが、第2次までの復興交付金の配分では、調査費のみ採択の地区も含めまして、防災集団移転促進事業で7市町村46地区、漁業集落防災機能強化事業で9市町村28地区、都市再生区画整理事業で7市町村21地区が採択されているところでございます。
 これら3事業につきましては、それぞれ目的を持って事業が創設されたものでございまして、実施可能なメニューが異なりますとともに、被災者向けの支援内容も必ずしも一様となっていないため、市町村でも事業実施に当たっての住民合意形成上の課題となっておりますことから、国に対して、事業間の支援格差の是正や弾力的運用を要望しているところでございます。
 復興まちづくりは、各地区の状況を踏まえまして、事業ごとの特徴を生かして進められることが重要であると考えておりまして、県といたしましても、円滑な事業実施に向けて、引き続き復興交付金の柔軟な運用等を国に要望いたしますとともに、積極的に現地に出向き、各種打ち合わせへの参画や現地相談会の開催、具体的な事業メニューの提案などを行いながら、市町村の復興まちづくりを支援してまいります。
〇35番(嵯峨壱朗君) その3事業の差の中でいろいろあったんですけれども、当初、特にこれは久慈市と洋野町と普代村でしたか、エリアが狭いというのもあったんでしょうけれども、他の事業と比べて、また、同じ漁業集落防災機能強化事業をやっている場合でも税制上の不利益が指摘されたんです。これを何とかしたいというのがその市町村の要望だったんですけれども、制度設計が違うから何ともならないという、ずうっとそういう答えでありましたが、その点はどうなんですか。解決されたというか、どういった状況かお示し願えればと思います。
〇理事(高前田寿幸君) ただいまのお尋ねは、漁業集落防災機能強化事業いわゆる漁集事業に係る税制の取り扱いについてのお話かと思います。これにつきましては、議員も御案内のとおり、5月15日に久慈市が復興庁に対しまして、漁集事業においても、防災集団移転促進事業いわゆる防集事業と同様の所得控除を要望いたしました。これを受けまして、5月17日に、市の要望の際、同席しておりました県北広域振興局が農林水産部に対しまして税制上の根拠の確認を依頼してございます。これを受けまして、農林水産部のほうでは、関係法令の適用規定を確認いたしました上で、6月7日に税務署に確認を行ったものでございます。その結果、防集事業とほぼ同様の所得控除が可能であるという御回答をいただいておるところでございます。この回答内容につきましては、既に久慈市に御連絡を差し上げたところでございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) 私もそのように伺っておりますけれども、何が問題かというと、6月7日の時点で税務署に確認してわかったというということに問題があると私は思っているんです。ずっとその課題で訴えていたにもかかわらず、それまで何もやっていなかったということでいいんですか。私はそうとらえるんですけれども。
〇理事(高前田寿幸君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、5月の中旬に─5月17日でございますけれども、県北広域振興局のほうから農林水産部にそういった税制の確認の依頼がございました。それを受けまして、まずは関係法令の適用規定を確認しておりました。その上で、詳細について税務署にその内容の確認を行ったということでございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) 何を言いたいかというと、これはできないんだとか、そういった、何というのか、先入観とかというものではなく、実際はどうなんだろうという、被災地とか被災者の観点で可能かどうかといった立場で対応すべきだと思って言っているんです。つまり、今の流れで言うと、もっと前から実は主張していた。5月17日じゃないです。正式に上がってきたのはそうかもしれませんけれども、そのずっと前から問題があると指摘されていたはずです。それで、提供する地権者との交渉もなかなか進んでいなかったという実態を把握していると思いますけれども、今回の事例はどういうことを意味するかというと、どっちの立場に立つかということです。国はこうだからこうだではなくて、これはどうなんだかという、実際に一歩二歩踏み込んで検証する必要があるということだと思っているんです。それをしなかった結果、6月7日まで延びたんじゃないですか。私はそう思っていますけど。
〇理事(高前田寿幸君) 集団移転事業におきます税制につきましては、租税特別措置法、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律等により規定されてございます。具体的には、個々の案件ごとに税務署が適用の有無を判断して措置されるということになっておりまして、私どもは、それを踏まえまして内容の確認を、できる限りそういった法令に照らしてどうか、何とかそういう措置ができないかということで、最終的に確認するために、税務署のほうにその内容の確認を依頼したということでございます。今後とも、できる限り被災者の支援に立って、こういった事業が円滑に進むような取り組みを心がけてまいりたいと思っております。
〇35番(嵯峨壱朗君) できないとか無理とかと言う前に、どんな可能性があるのかとか、本当はどうなんだという視点ですべて当たっていただきたい。そして、被災地、被災者にとってどうなのか。できないと言うのは簡単ですので、ぜひ、そういった視点で対応していただきたいと思います。調査してもらって、そういった結果になったこと自体はよかったと思っております。
 次に、二重ローンの問題ですけれども、きのうも久保孝喜議員が取り上げておりましたけれども、この二重ローンというので私が今取り上げたいのは、住宅を全壊半壊、なくした方についてでありますが、実は仮設住宅に住んでいて、そして家を流されて、しかし、債権は残ったということで、流されて何もなくなった債権について、毎月8万円なり10万円なり返済しているという事例は多々あると聞いております。神戸市なんかの事例でいきますと、5年後に自己破産が急増すると言われております。今は、例えばいろんな義援金も含めて、そういったもので回しているかもしれませんけれども、無理なわけです。そういった状態の中で、幾らこういった集団の移転事業等をやって土地を用意してやりましょうといったところで、どこから金が来るのかというのが最大の課題です。
 実際にきのうの久保孝喜議員の質問でもありましたけれども、いわゆるガイドラインというものがあって、あれは周知もされていないのも確かにそのとおりですけれども、窓口もはっきりしてない。きょうの新聞によりますと、説明会を開くと出ております。よかったことだと思っておりますけれども、次の段階は、実際に適用できるかどうかということだと思っています。いずれ、深刻だと思います。どう考えたって不可能です。いかに土地は用意しても、建てる人が建てようがないという事態が生ずる可能性があると思っております。
 こういったことについて、通告したとおりに言いますと、窓口は県ではどこなのか。建築住宅課なのかわかりませんけれども、果たしてそれだけでいいのか。もっと全体として対応─振興局に窓口があるということになっておりますけれども、その辺もちょっとお伺いしたいと思います。これはまた国がかかわってのガイドラインということですけれども、県はどのようにかかわって、どのような問題意識を持っているのか。また、それらの相談等を受けて、県はどういうふうに対応するのかということもお聞かせ願いたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) ただいまお話がありました私的整理に関するガイドラインでありますけれども、研究会で策定、公表されて、現在では一般社団法人個人版私的整理ガイドライン運営委員会岩手支部が設けられておりますけれども、そこで相談や申請を受け付けております。今まで相談件数474件、今、申請というか、受け付けたものが75件、成立が3件という状況になっています。
 県の窓口というのは直接はないんですが、相談は受けております。住宅ローンに関しては県土整備部建築住宅課で、被災者からのさまざまな相談につきましては、復興局が設置いたしました被災者相談支援センターで対応しているところであります。県は、これまで、ホームページや暮らしの安心ガイドブックに掲載するなど被災者への周知に努めてまいりましたが、住宅ローン等の二重債務に対する国の積極的な支援も同時に求めてきたところであります。
 どこに問題があるかという話でありますが、弁護士等の支援は受けられますけれども、弁済計画の作成等に手間と時間を要するということがあると思いますし、やはりいまだに本制度の存在を知らない被災者がおられるということがあります。それから、債権者にとって、債務者が破産した場合よりも有利な返済を受けられる弁済計画となる必要がありますので、さまざまな例があるようであります。まず、今残っているものは土地なわけです。土地の評価がやっといろいろ出てきたところだったものですから、その評価でどういう弁済計画を立てるか、収入の計画も含めてやっていくということが、債権者ともいろいろやりとりをしなければいけないという課題があるようであります。
 県といたしましては、今後とも、住宅再建相談会をこれから開催いたしますし、ファイナンシャルプランナーと連携した生活再建相談会等の場におきまして被災者への情報提供を積極的に行っていきますし、制度上の課題があれば、国や関係機関にも働きかけをしてまいりたいと思っております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 弁済期間は原則5年ということになっているようですけれども、474件のうち3件しかなっていない。これはやはり根本的な問題があると理解するしかないんですけれども、その点について教えていただければと思います。どういうふうにどこに問題があるのか。もっと突っ込んでいくと、どこに問題があるのか。いわゆる計画を立てるのが複雑で困難だという話もありますけれども、異常だと思うんです。制度が意味をなしていないわけです。その点、教えてもらえればと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) どこに問題があるのかということですが、3月以降に相談件数がふえたということを聞いております。よって、ある程度の周知がされてきた。それから、今回もまた相談会を開催するということで、まず周知をして、あと、運営委員会の岩手支部自体の体制もやはり若干弱いという部分があります。福島県は4件、宮城県は17件の成立しかなってないんです。ですから、全体的な形での何かの課題があるということで、住財産の大きさだとかというのも、そのハードルは下げたわけですけれども、もっといろいろな形でとにかく周知をしながら相談件数をふやして、そして債権者といろいろやっていくという実際の調整というか、それが今から始まると考えております。県としては、その周知に努めてまいりたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) なぜこれを取り上げているかというと、もちろん被災者の皆さん方の再建に向けて必要なことですからという面もありますし、県で見ると、復旧・復興ロードマップをつくっているわけです。この状態だと、復旧・復興ロードマップどおりいかないんじゃないかと私は思っているんです。土地は用意しましたけれども、災害復興公営住宅はできるかもしれないけれども、私が建てたいと思っている人たちは建てれないですよね。そして、85%で買い取るという話もありますけれども、いずれ、負債を処分できない限り不可能です。だから、改めて聞いているんです。これは、今、周知等を徹底するという表現ですけれども、周知も重要ですけれども、もっと突っ込んで、国に制度の変更とかさまざまなものを要求して、もっと県はかかわっていくべきじゃないかと思う。どこに行ったらいいかわからないんです。ですから、そういったものを含めてもっとかかわりを持つべきだと思います。全体に影響すると思います。その点、だれに聞いたらいいのか。
〇県土整備部長(若林治男君) ことしの夏の統一要望についても、その項目はきちっと入れておりますし、全体のどこに問題があるかというのは、もう一回、再度詰めて、そうした上で、国、関係機関のほうにきちっとした対応について提案をしてまいりたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) 県土整備部長に一生懸命お答えいただいておりますけれども、生活再建というものは復興のかなめだと思うんです。県全体としての問題意識を持っていただきたいと思います。これはぜひ知事にも、副知事にもお願いしたいと思いますけれども、そういった意識で対応していただきたいと思います。
 次ですけれども、被災企業の債権買い取りについてのほうに移らせていただきます。
 県が深くかかわって先駆けた制度でありますけれども、岩手産業復興機構と国の制度の株式会社東日本大震災事業者再生支援機構の二つの窓口があると言われております。それぞれの利用状況とその運用方法の違い、問題点、課題は何なのか、お聞かせ願えればと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 被災企業の債権の買い取りについてでございますけれども、岩手産業復興機構の相談窓口を担います岩手県産業復興相談センターの6月末現在の相談件数は296件で、うち12件の買い取り支援を行っております。また、東日本大震災事業者再生支援機構におきましては支援対象地域全体の相談件数が403件で、そのうち4件の買い取り支援を決定しております。その内訳は、宮城県2件、福島県1件、栃木県1件となっております。
 両機構は、いずれも債権の買い取りを通じまして被災企業の再生を支援する機関でございますけれども、国の震災支援機構におきましては、産業復興機構より幅広い事業者を対象としておりますほか、出資、融資や債務保証も行うこととしておりまして、支援の内容等に違いがあるところでございます。
 両機構の設立当初から岩手県産業復興相談センターがワンストップで対応しておりますけれども、被災企業の方々からは、どちらに相談すればいいのかわからないというような声もございまして、改めて現地説明会を開催して周知を図りながら、利用者への浸透に努めているところでございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) これも先ほどの二重ローンと共通する課題もあるかと思っているんですけれども、商工労働観光部長の資料より若干古いのかもしれませんけれども、286件のうち10件─30件ですか、これも少ないです。もちろん、どこで商売を始めたらいいかという土地利用の問題等も絡んでいるのかとは思いますけれども、いずれ、窓口も含めてどこかに問題があるような気がするんです。需要はもっとあるはずだし、深刻だと思うんです。それを、何というか、今、もう一歩踏み込んで対応するというふうにやっていただきたいと思うんですけれども、各商工会議所とか商工会のセンターに窓口が置かれているようであります。それだけでいいのかも含めてですけれども、もう少し何か工夫が必要かと思うんですけれども、どう思われますでしょうか。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 県を初めといたしまして、金融機関あるいは支援機関で構成しております被災事業者の再生支援に関する意見交換会というものも開催しておりまして、企業再生の迅速化のための情報共有を図りながら、関係者が一丸となって被災企業の一日も早い復興に努めているところでございます。
 なお、復興相談センターにおきましては、相談案件を掘り起こすため、沿岸被災地におきまして定期的に現地相談会を開催するとともに、6月下旬から8月にかけて、すべての仮設店舗、事業所を戸別訪問いたしまして、資金需要ですとか本設の意向などをヒアリング調査しているところでございます。このような活動を行うことによりまして、早い段階から事業者の相談に対応しながら、復興機構等の買い取り等の件数がふえるように努めてまいりたいと考えております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 何回も言っておりますけれども、ぜひ、被災地、被災者の立場に立った視点で、制度運用等も含めて、どうやって解決するかということに努めていっていただきたいと思います。
 水産業関係に係るグループ補助金についてお尋ねしたいと思います。この補助金は、決定したけれども、なかなか事業が終わっていない、もしくは精算が終わってないという状況も耳にしますけれども、補助金の交付決定の状況と事業完了、完了確認、補助金精算払いとそれぞれの状況についてお尋ねしたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 水産業関係に係るグループ補助金についてのお尋ねでございますけれども、補助金交付決定は114件でありまして、6月末現在、事業完了が26件、そのうち完了確認を行ったものが18件、補助金精算払いが12件となっております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 114件のうち完全に精算払いまで終わったのが12件ということですけれども、これは少ないような気がしますけれども、どうでしょう。私が聞いているところによると、事業を完了したけれども、なかなか完了確認に来てくれないんだと。完了確認がなければ精算払いもできないので、それで予定していた資金繰りに困っているという事例も聞いております。というのは、漁業関係というのはほぼ現金で原材料、魚を仕入れるわけですから、そうすると、予定していたものが入らないことによって、金融機関から借りて回しているわけです。それが新たな借り入れを起こせないという状況で、原料を仕入れられないといったところもあるやに聞いております。なぜこんなにおくれているのか。それぞれ理由はあるのでしょうけれども、説明してもらえればと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) まず、補助金につきましては、交付決定されて、さらに事業完了を確認した上で、そういった手続を経た上で完了確認行為が行われますので、完了確認をしている件数自体が、先ほど答弁申し上げましたとおり26件ということなわけですが、そのうち、完了確認まで至っているのが18件ということでございます。この件につきましては、4月から6月にかけまして、補助金交付事務全般ですが、補助事業者からの補助事業完了報告書を受理いたしましてから完了確認の実施までに想定以上の時間を要しているのは事実でございます。この要因といたしましては、概算払いに係る事務、前年度分の支払い事務、完了確認事務、さらには第4次公募に係る審査事務が集中し、事務作業がふくそうしたということが主な要因になってございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) 先ほどの入札とも恐らくかかわってくると思うんですけれども、私が聞いたところによると、本当かどうかですけれども、この事務というのは、全体で295件ある中でそれを4人でやっているという話を聞きました。無理ですよね、それは。だから、今、事務的なものがおくれた結果だということでしたが、それは事務的なものがおくれたのではなくて、おくれるような体制でやっているからじゃないですか、どうでしょう。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) これまで、補助事業の完了、事業者との日程調整から始めまして完了確認に至るまでの間には、確かに県庁の担当課において少人数の体制で事務処理をしてきているということが大きな要因になっております。このため、補助事業完了報告書を受理いたしましてから2週間以内をめどに完了確認を行う体制を早急に整備するということで、ただいま事務処理の見直しを行っているところでございます。
 具体的に申し上げますと、事務処理マニュアルを見直しまして、事務処理職員につきまして広域振興局の職員を含めて増員し、あわせて事業者への事前指導を励行し、速やかな補助事業完了確認事務を進めていくこととしております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 遅きに失した感はありますけれども、ぜひしっかりと現場のニーズにこたえていただきたいと思います。
 次に、被災者の雇用の状況、生活の再建、なりわいの再建ですが、現時点での被災者の雇用状況をどのように把握しているのか、どうなっているのか。また、今後、県としては被災者の雇用の安定のためにどのようなことを考えているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 被災者の雇用状況とその取り組みについてでございますけれども、沿岸4地区の求職者数は、震災直後の平成23年5月には1万4、400人まで増加いたしました。これが平成24年5月には8、860人まで改善してきております。しかしながら、雇用の回復にはなお時間を要するものと認識しております。
 求職者からの聞き取りによりますと、正社員を希望する、あるいは希望に合う求人がないという意見が多かったほか、ハローワークのほうからは、勤務していた職場の再開を待っている人も多いという話も伺っているところでございます。
 このような状況を踏まえまして、県といたしましては、関係機関と連携した被災事業所の再開の支援、事業復興型雇用創出助成金の活用による長期、安定的な雇用の創出に取り組みますとともに、就職面接会によるマッチングの促進、就職が困難な方への寄り添い型支援を行うパーソナルサポート事業の実施など、被災者の雇用対策に取り組んでいくこととしております。
〇35番(嵯峨壱朗君) 多少改善するということですけれども、なかなか思うとおりにはいっていない。
 事業復興型雇用創出助成金についてでありますけれども、せっかくつくった事業でありますけれども、なかなか利用が進んでいないという報道がされておりました。現時点で利用状況はどうなっているのかということと、また、利用が進んでいないとすれば、その原因をどうとらえているのかお聞かせ願えればと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 事業復興型雇用創出助成金についてでございますけれども、その活用状況は、平成24年2月の事業開始から6月25日までで、審査中のものも含めまして76事業所、360人となっております。
 企業の方々からは、事業の仕組みについて、助成対象労働者が平成23年11月21日以降の雇用に限られること、及び再雇用者のみでは対象とならないというようなことを主な意見としていただいているところでございまして、これについての見直しについて国のほうに要望しているところでございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) 要望してもらっているのは大変結構なことですけれども、感触はどうでしょう。解決されそうでしょうか。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 現在までのところにつきましては、国におきましては、この事業は雇用そのものを創出することが本来の事業目的でありますことから、事業創設時点以降の雇用を対象としているものであって、この時点で既に雇用されている方は対象としていない制度であるというような答えをいただいておりますが、この点について遡及適用すべきということを改めて県として要望しているところでございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) ぜひ強く要望していただいて、課題を少しでも現場に合ったような方向で事業も運営していかれるように期待するところであります。
 次に、漁業の復興についてお尋ねしたいと思います。
 言うまでもなく壊滅的な打撃をこうむったわけでありますけれども、漁港等は防波堤も含めそういった施設はまだまだですけれども、漁協市場、冷凍施設等は次第に復旧されているのも事実です。漁船も漁具も整備されてきておりますけれども、ただ、地域によって復旧の進度にずれがある。遅い地域、早い地域があると言われております。本県の漁業の復旧の現状をどのようにとらえているのか、また、今後どのように取り組んでいくのかお知らせ願いたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 漁業の振興についてでございますが、県では、漁業の早期再開に向けまして、漁協を核として補助事業の導入等を進めてまいりましたが、これまでに定置網の約6割が操業を再開し、養殖施設の約5割が復旧して生産活動を再開しております。また、平成23年度の県内魚市場の水揚げ量は前年の約5割、養殖ワカメの生産量は約6割まで回復し、ワカメは日本一の生産量となってございます。復旧、復興は着実に進んでいるものの、ただ、生産施設や集落の被害の渡合いなどによりまして、復旧の進度に差が生じている実態もあると認識しております。
 このため、県といたしましては、復旧がおくれている地域につきましても、必要な施設等の復旧、整備が着実に進捗するよう、地域の事情に十分配慮しながら、関係市町村と連携してその時々のニーズに応じて支援してまいります。
〇35番(嵯峨壱朗君) 特に、例えば漁具、漁船も含めて結構複雑なんですよね、現場の要求というのは。船があればいいとかではなくて、艤装も含めて個人差もあって、なかなか対応するのは大変だとも思いますけれども、ぜひ、なるたけ漁協とも連携しながら、きめ細かい、要望に合ったような対応をしていただきたいと思います。しかも早く、先ほど知事も話していましたけれども、スピード感という言い方をしておりますけれども、それは国だけではなくて県にも恐らく求められていると思うんです。ぜひそういうふうにしていただきたいと思います。
 復興住宅にかかわって質問したいと思いますけれども、被災地の建設予定地と移転予定地、保安林の問題とか農振地域の問題多々あるようですけれども、この保安林の指定解除とか農用地区からの除外、こういったものについてロードマップに影響する懸念があるんですね。実際にその手続がおくれている例があるやに聞いております。さらにスピード化に向かって県の支援が必要なのではないかと思っておりますけれども、この点について県としてどのように把握してどう対処していこうとしているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) 市町村が今進めていますつまり高台移転等の面整備に伴いまして、保安林や農業振興地域の指定の解除が必要な場合などは、被災市町村等は復興整備計画を作成し、復興整備協議会に協議、同意を諮ることにより諸手続のワンストップ化と期間の短縮が図られるということから、現在、10市町村におきまして県が共同して復興整備計画の作成を進めております。これを進めながら、随時必要な支援を行いながらロードマップの進行が確保できるように県としても取り組んでまいりたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) 確かに事務手続は手続上簡略化されていると聞いております。1カ月、2カ月、それぞれ農振の解除とか農地指定も含めて、あと保安林の解除、いわゆる伐採の許可も含めてとは聞いております。ただ、実際には、非常時なので、しかも市町村がその計画を綿密に立てて、その計画が上がってきて初めてやるんだという姿勢だと、恐らくおくれるんです、また。だから、やはりそこまで突っ込んでやらないと、幾ら形式的に事務的な手続を簡略化したといっても実際は進まないと私は見ていますけれども、どうでしょうか、その点は。
〇県土整備部長(若林治男君) 実際そういう例が見え初めておりますので、保安林の解除、それから農振だとかというところにつきまして、現在、住民合意を完全にできるとまではいかなくても、事業計画を立てて、それでその計画に持ち込もうという形で今進めようとしております。ですから、若干それを並行して進めるということを今考えておりますので、従前よりは柔軟な対応という形にしていきたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) やはりそういった現場との認識のずれというのがあるのは事実なので、そして、いわゆる通常時と同じような発想がやっぱりあるので、どうしても通常と同じような手続を踏もうとするんでしょうね。だから恐らく市町村は、それに対応できるほどの今、余裕もないのも事実なんですね。特に村とか、大概そうだと思うんです。そこまでやっぱり入り込んで、計画の段階まで入り込むか、もしくは保安林の解除にしても、保安林でもいろいろな段階、いろいろなものがあるわけですから、それによって柔軟にやっていくというのが必要だと思いますので、ぜひ善処していただきたいと思います。
 もう一つですけれども、優良建築物等整備事業というのがございます。これは、実は非常にいい制度だと私は思っておりますけれども、つまり補助率も高い、そして、これは今回の災害等はかかわっていないですけれども平成3年度に本県も導入しているようですし、そして平成16年度、補助金の見直しということで廃止した経緯があるやに聞いておりますが、今回、震災復興に当たって、仙台市でも一部こういったものを導入しています。これを導入することによって被災者の負担を少なくして住宅を建設できると思っているんですけれども、なぜ……。私は導入すべきだと思うんです、岩手県も。その点の考えをお伺いしたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) 優良建築物等整備事業であります。地上3階以上の中高層建築物の共同住宅等の、耐火または準耐火建築物で新築する場合です。地区面積等の要件を満たす場合に、調査設計計画、既存建物の除去、共用通行部分、それから空き地等の共同施設整備に対しての補助であります。そういう事業です。
 復興交付金による優良建築物等整備事業は補助率が上がりまして、国が5分の2、地方公共団体が5分の2、民間事業者が5分の1の負担となります。ですから、共用部分にこの補助率が適用になるという部分になります。通常時よりも事業者負担が少ない、また別途、地方負担軽減措置もありますので、非常に有利だと思います。民間事業者、市町村にとっても非常に効果的な制度だと思っておりますので、沿岸市町村では現在いろいろ計画を進めている段階でありまして、民間事業者においてもこれから建築物等の具体の計画が検討されていくと聞いています。
 県では、市町村と連携を図りながら、市街地の環境改善や良好な市街地住宅の供給を後押しする優良建築物等整備事業の情報提供やニーズの把握を行いまして、活用の促進に努めながら被災市街地の早期復興を支援していきたいと思います。
〇35番(嵯峨壱朗君) 時間がないので飛ばしますけれども、最後にレンダリングの話をぜひお聞きしたいと思っていまして、今、放射能等の問題で畜産業は大変な状況でありますけれども、先だって県議会の視察に行ってまいりました。そこで、レンダリングというのは、いわゆる畜産業で解体して副次的に発生する畜産副産物を処理するということなようでありますけれども、これが、本県ももちろんあるわけですけれども、畜産振興をしていく上で、岩手県は全国4位と言われております、畜産の生産高。これをもっと振興していく上で、このレンダリング、いわゆる死体とか皮とか、そういったものをきっちり処理する体制が整わなければなかなか振興は無理じゃないかと思っているんです。岩手県の状況はともかくとして、これは先進地に行くとわかりますけれども、それがあって初めて、宮崎県に行ってきましたけれども、可能です。そういったことについて県としてどのように考えているのかお尋ねしたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 畜産副産物処理の現状とレンダリング事業の方向性についてでございますが、化製場は、畜産物の生産、流通の過程で、毎日発生する死亡家畜や屠畜残渣の畜産副産物を適正に処理する、畜産振興上重要な施設と認識してございます。県内には二つの化製場があり、平成23年度の処理実績は2業者合計で死亡家畜が約1万2、000頭、屠畜残渣が約7、000トンとなってございますが、両化製場とも施設の老朽化や悪臭の発生が課題となってございます。
 県では、これまでも悪臭を防止する原料管理や処理工程の改善等につきまして、各種事業を活用してソフト、ハード両面から支援してまいりましたが、今後とも、レンダリング事業が岩手の畜産を支える産業としてその機能を果たしていけるよう、関係機関、団体等と連携しながら取り組んでいく考えでございます。
〇35番(嵯峨壱朗君) その間、このレンダリングを、岩手県の場合、県がかなりの指導力を持ってやっていかなければ進まないと思っておりました。もっと衛生的で合理的で、そしてさらに、ただ単に残渣ではなくて価値があるものとして利用していく、そういった側面もありますので、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。(拍手)
〇議長(佐々木博君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時21分 休 憩
出席議員(47名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 佐々木 朋 和 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 佐々木   努 君
8  番 軽 石 義 則 君
9  番 後 藤   完 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 高 橋 但 馬 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 小 野   共 君
20  番 郷右近   浩 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 喜 多 正 敏 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 高 橋 昌 造 君
29  番 五日市   王 君
30  番 関 根 敏 伸 君
31  番 小田島 峰 雄 君
32  番 大 宮 惇 幸 君
33  番 工 藤 大 輔 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 佐々木   博 君
41  番 田 村   誠 君
42  番 及 川 幸 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(1名)
26  番 及 川 あつし 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時38分 再開
〇議長(佐々木博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。佐々木朋和君。
   〔5番佐々木朋和君登壇〕(拍手)

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