平成24年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇7番(佐々木努君) 民主党の佐々木努です。
 昨年の9月定例会に続き、2度目の登壇をさせていただくことになりました。御配慮いただきました先輩、同僚議員に、心より感謝申し上げます。
 さて、昨年3月の東日本大震災から間もなく1年4カ月がたちますが、今もなお、仮設住宅で不自由な生活を送られております方々に、心よりお見舞いを申し上げます。これから暑い時期を迎えますが、健康にはくれぐれも留意され、一歩一歩前に進まれますことを願っております。
 今、岩手は復興に向け歩みを進めておりますが、従来からのさまざまな諸課題がいまだ解決されておらず、元気な岩手にはほど遠い状況にあります。それでも、前を向いて頑張っておられる県民の皆様の声を県政に反映させることができるよう、精いっぱい質問させていただきますので、県当局には誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従い質問に入ります。
 初めに、災害復興公営住宅について質問いたします。
 去る6月12日、東日本大震災津波復興特別委員会で普代村、田野畑村の現地調査を行い、田野畑村では、田野畑中学校仮設住宅に入居されている方々と意見交換をさせていただきました。仮設住宅での暮らしが長期化している中、入居している皆さんは元気だろうか、そんな思いで仮設住宅に入りましたが、皆さん、元気に笑顔で迎えてくださり安心しました。
 意見交換の中で、私が、何か困っていることはありませんかとお聞きすると、ある方が、何もありません。皆さんによくしてもらってありがたいですと答えてくださり、少しほっとしましたが、今一番望むことは何ですかの問いかけに、早く仮設住宅を出たいですと話され、やはり入居者の方々の一番の望みは、一日も早く仮設住宅を出ることなんだと強く感じました。
 そのように、被災された方々が新たな一歩を踏み出すためには、仮設住宅暮らしを早く解消することが必要であり、そのためにも、被災された多くの方々が希望する復興住宅の建設を早急に進めなければなりません。
 県では、2015年度までに5、340戸の復興住宅を建設する計画でありますが、用地の確保や埋蔵文化財の発掘調査の関係で事業が思うように進んでおらず、目標年度までに建設できないのではないかと危惧しています。今後は、民間が建設した集合住宅等の買い取りなども含め、最速、最善の方策で、住宅整備を進めていただきたいと思います。
 さて、今後、住宅の建設が進み、順次入居が始まるものと思いますが、私は、入居後の高齢者の生活支援、復興住宅のコミュニティ維持に大きな不安を抱いています。
 阪神・淡路大震災の後、神戸市を初めとした被災地に多くの復興住宅が建設されました。あれから17年、その復興住宅では、孤独死の増加など、入居者の高齢化により、コミュニティ崩壊の危機に直面しています。
 もともと高齢化率が高い岩手の沿岸被災地では、復興住宅に入居を希望される方も高齢者の方が多いと聞いており、何らかの対策を講じなければ、同様のことが起きるのは間違いありません。
 先ほどお話しした田野畑中学校仮設住宅の方々が明るく元気なのは、これまでみんなで助け合いながら、しっかりとコミュニティを形成してこられたからであり、私はコミュニティの大切さを改めて感じています。復興住宅ができたからといって住の問題がすべて解決するわけではなく、問題は、入居後、いかにして安心して暮らすことができるかであり、復興住宅のあり方を考えるとき、10年後、20年後を見通したコミュニティづくりも同時に考えていかなければならない重要な課題であり、震災前から長く続いてきた被災前のコミュニティや、仮設住宅で新たに生まれたコミュニティを復興住宅建設に結びつけることも必要と考えます。
 そこで伺います。県は、復興住宅におけるコミュニティをどう考え、入居者が安心して暮らすことができるコミュニティづくりをどのように進めようとしているのでしょうか。今後の取り組みについて伺います。
 次に、放射能汚染対策について2点ほど伺います。
 3月11日に発生した巨大地震と巨大津波、これに加えて発生した福島第一原発事故が震災復興をおくらせ、県民の心を暗くさせている大きな要因となっています。
 原発事故発生後、大量の放射性物質を含んだ雨が県内に降り、特にも県南に位置する奥州市、一関市、平泉町の3市町は、放射線量の高いホットスポットとなりました。この大量に降り注いだ放射性ヨウ素やセシウムは、子供たちの健康により大きな影響を与えるとされており、子供を持つ多くのお父さん、お母さん方が、この問題が発生して以来、今もなお不安な日々を送られています。
 県は、このことを受け、子供たちの健康への影響を確認するため、希望する子供たちを対象に尿検査を実施し、結果について、有識者で組織する岩手県放射線内部被ばく健康影響調査有識者会議で検証を行いました。その結果、今回の検査を継続する必要性は低く、追加調査等も必要ないとの評価を受け、県では、有識者会議の評価を尊重しつつも、県民へのフォローアップの方法を検討することとしたことは周知のとおりであります。しかし、県の結論に対し、岩手県産婦人科医会が異を唱え、去る4月16日、知事に対し、尿検査の結果等についての公開質問状を提出。さらに、5月15日の県の回答を受けて、5月23日に尿検査等の継続実施について要望書が出されたところであります。
 有識者会議では、内部被曝が心配するレベルのものではないとの結論を出しましたが、一方で、低線量被曝を危険視している専門家もおり、保護者の方々は、どちらの言っていることが本当なのか、何が正しいのかわからないまま、不安だけが先行し疑心暗鬼になっております。
   〔議長退席、副議長着席〕
 私は、放射能の専門家ではありませんから、有識者会議が出した結論が正しいのか正しくないのかは判断できません。ただ、私の住む奥州市前沢区でも、何人かの子供たちが区外に避難し、家族がばらばらになって暮らしている状況、そして安全な対策を講じてほしいと訴えてこられる方々の切実な気持ちを思うとき、県は、子供を守ろうと懸命な保護者の方々の思いに配慮した対応をとるべきではないかと思うのであります。
 有識者会議のある委員から、今回の検査の調査対象者について継続的に調査し、前回の調査結果と比較することが県民に対するフォローになるとの発言があったと聞いています。私は、まさにそのことこそが大切であり、県が本当に安全だと考えるなら、心配されている方々に理解される取り組みを行っていくことが、真に県がとるべき姿勢だと思います。そのことからも、多くの保護者の方々が希望する尿検査などの継続的な経過観察と、甲状腺被曝検査の実施なども含めたさまざまな観点からの県民へのフォローアップが欠かせないと思われますが、見解を伺います。
 2点目に、汚染牧草の処理について伺います。
 去る6月21日、金ケ崎町内において放射能被害に係る岩手ふるさと農協酪農部会と県議会議員との意見交換が行われました。会場には管内の多くの酪農家の方々がおいでになり、県議会と県に対し、多くの意見、要望が出されました。意見交換の最後には、知事と議長に対し要望書が提出されましたが、この要望書にある牧草地の除染計画の早期策定、除染作業単価の見直し、代替飼料の確保などについて県にはしっかりと取り組んでいただくことを強く申し上げ、私からは汚染牧草の処理についてのみ質問をいたします。
 今回の原発事故で発生した県内の汚染牧草の総量は約1万9、700トンと推計されていますが、焼却などの処理が進んでいるのはほんの一部であります。これから夏に向け、その量はさらにふえることが想定され、早期の処理が緊急の課題となっています。県では、焼却処分を基本に検討していますが、環境面や焼却施設の能力などを考えた場合に、果たして現実的だろうかと疑問に感じます。
 昨年、汚染稲わら処理の問題で、一関市では、住民の理解が得られずに一時保管場所の設置を断念しました。以降、どの地域でも、一時保管施設設置の議論はなされていないように思います。しかし、このままでは汚染された牧草や稲わらなどの農林業系副産物はふえる一方で、問題はさらに深刻化してまいります。
 焼却にも大きな課題を抱える今、私は、一時保管施設を早急に設置し汚染牧草を集約するのが、現時点では最良の方策ではないかと考えています。そのためにも、処理を市町村任せにするのではなく、県が主導で広域的な一時保管施設を設置し対応に当たるべきだと考えますが、お考えを伺います。
 次に、少子化対策についての質問に移ります。
 ことし1月、国立社会保障・人口問題研究所が公表した日本の将来推計人口によりますと、2060年の日本の総人口は、今の1億2、800万人の約3分の2、8、674万人に減少するとのことであります。これを岩手に当てはめますと、今の約130万人が88万人にまで減少するということになります。この人口減少は、岩手にどのような影響をもたらすのでしょうか。私たちの住む岩手は、50年後、一体どうなっているのでしょうか。この人口減少の要因は、言うまでもなく少子化の進行であり、我が県でも昭和48年から出生数の減少が進行しています。
 県の少子化対策のアクションプランでもあるいわて子どもプランについては前回の一般質問で取り上げましたが、その際の課題としてお話をさせていただいた結婚支援について、再度質問をさせていただきます。
 私はことし48歳になりますが、私の仲のよい同級生に独身者が何人かおり、周囲はとても心配しています。彼らは、結婚したくないのではなく、出会いがなかったためにこれまで独身できました。もちろん、今も結婚願望が強いのですが、50歳を前にして、最近、あきらめにも似た言葉を聞くようになりました。
 このように、結婚したくてもできない人は、皆さんの周りにもたくさんいらっしゃると思います。結婚はプライベートな問題であり、行政がかかわるのはどうかという意見もありますが、こう話すのは行政側の人間ばかりであって、多くの方々は、結婚をしたい人を行政が支援するのは当然のことだと思っています。実際に、私は多くの住民の方々から、結婚支援に対する切実な要望をいただいてきました。県が本気で少子化対策に取り組む気持ちがあるのであれば、子育て支援に偏った施策だけでなく、少子化対策の一丁目一番地一号である結婚支援にもっと力を入れるべきではないでしょうか。
 現在、県や市町村、民間団体が出捐して設置しているいわて子ども希望基金を活用して、岩手県長寿社会振興財団が行っている結婚支援事業i・出会い応援事業は、結婚を希望する男女の出会いの場を提供するパーティー形式のものがほとんどです。平成21年度の事業開始から4年目を迎えておりますが、どのような実績や成果が上がっているのでしょうか。
 率直に申し上げまして、私はこの事業はかなり効率の悪いものだと思っています。なぜなら、私が市職員時代に同様の事業を担当し、ほとんど実績を上げることができなかったからであります。ですから、県や市町村が効果的ではないこの事業をばらばらにやるのではなく、県がこの事業を見直し、それにかわる全県的な結婚支援策を新たに導入してほしいと思っています。
 その新たな支援策とは、平成18年度に設立後、770組を成婚させたいばらき出会いサポートセンターの取り組みのことであり、前回の登壇の際もお話をさせていただきました。その際、県からは、本県における結婚支援事業については、今後検討を行う必要があると考えており、提言内容については、その際の参考とさせていただきたいとの回答をいただきました。
 そこで伺います。私の前回の質問後、県の結婚支援事業についての検討はどこでどのように行われたのか、私の提言はどのように処理されたのか伺います。また、私の提言がそのままになっているのであれば、再度、我が県に茨城県と同様の出会いサポートセンターを設置する考えはないか伺います。
 次に、県立病院の医療体制の整備についてお伺いします。
 近年の全国的な医師不足は、本県医療にも大きな影を落とし、人口10万対医師数が全都道府県の中で40番目の我が県においては、特にも県立病院において医師不足が深刻であり、130万県民の命を守る拠点病院としての機能の低下が危惧されております。
 先日、地元の方からこういうお話を聞きました。
 親戚が脳梗塞で倒れ、救急車で胆沢病院に搬送されたものの、胆沢病院では手術することができずに、他の県立病院に転送された。胆沢病院ですぐに手術ができていれば、障がいも軽く済んだのではないか。自分がもし倒れたら同じことになってしまうと思うと、とても不安だとのことでありました。
 どうしてこのようなことになったのでしょうか。それは、昨年9月まで3人体制であった脳神経外科が、10月からは常勤の臨時医師を含めて2人になったからであります。地域の方々はこの状況を大変心配し、早期の改善を強く求めています。脳神経外科だけではありません。胆沢病院に産科医がいなくなってから既に5年が経過しましたが、地域の強い要望にもかかわらず、いまだに医師が不在の状況が続いています。
 県立胆沢病院は、奥州地域14万人の命を守る地域の拠点病院として大きな役割を担う、地域にはなくてはならない医療機関であります。この大切な医療機関の機能が医師不足によって低下していくことは、地域医療の崩壊をも意味します。県には、地域住民を安心させるため、そして何よりも地域住民の命を守るため、早急に体制の整備を進めてほしいと思います。
 そこで伺います。ことし3月1日現在で、県立病院282診療科のうち、104診療科の常勤医が不在となっております。また、胆沢病院の脳神経外科のように、医師がいても人員が足りず、十分に機能していない診療科もあります。この状況を改善するため、県はこれからどのような取り組みをされていくのか伺います。
 次に、がん対策についてお聞きします。
 先月初旬、元職場の先輩ががんで亡くなりました。51歳の若さでした。仕事柄、人の死という悲しみに接することが多いのですが、私にとっては特にもつらく悲しい出来事であり、また、がんというものにこれまで以上に関心を持つきっかけとなりました。
 現在、我が国の死亡率の第1位はがんであり、3人に1人はがんで亡くなっています。また、がんの発症率は2分の1であり、物騒な話をすれば、この議場におられる方の半分は、計算上はがんを発症するということになります。それほどがんが身近なものになっており、これからの社会は、がんといかに向き合っていくのかが大きな課題であり、私たち一人一人も自分自身の問題として考えていかなければなりません。
 がんの死亡率の上昇を受け、国では平成18年6月に、国民のだれもが、どこにいてもひとしくがん医療を受けることができることを目指したがん対策基本法を制定し、翌平成19年6月にがん対策推進基本計画を策定、県でも平成20年3月にがん対策推進計画を策定し、がん対策に力を入れてきたところであります。しかしながら、我が県のがんの死亡率は、平成21年、平成22年と上昇を続け、がん対策の効果があらわれていないように思われます。全国のがんの死亡率が低下している中、我が県が上昇している原因を県は早急に究明するとともに、これまでのがん対策推進計画における5年間の取り組みをしっかりと検証し、次の対策につなげていかなければなりません。今年度は、その平成25年度から始まる5カ年間の次期がん対策推進計画を策定する年になっており、現在、素案づくりが急ピッチで進められているものと思いますが、次期計画は、国のがん登録の法律化も見据えた新たな取り組みも含め、がんの死亡率を低下させる効果的な施策を盛り込む必要があります。特にも、県内すべてのがん拠点病院に、薬物療法専門医を配置するなどの医療体制の整備や緩和ケアの充実、がん予防への取り組みや検診率の向上など、さらなる取り組みが求められています。
 また、対策を効率的に進めるために、がん患者や市民、議会、行政、医療提供者、民間、メディアの六位一体での取り組みが必要と考えます。それらを踏まえ、県では、次期計画を基本としたこれからのがん対策をどのように進めていくおつもりなのか伺います。
 次に、国際リニアコライダー、いわゆるILCについての質問に移ります。
 先日、大学を卒業したばかりの娘からこんなことを言われました。今、日本は大変な借金を抱えていて、いずれ私たちがそれを背負わされる。そんな未来なんて夢も希望もない。だから私は結婚もしないし子供も産まない。半分は冗談かもしれませんが、返す言葉もありませんでした。多くの若者がこんなことを思っているのだとしたら、とても悲しいことであり、私たちはこれからの子供たちに、負の財産ではなく、明るい夢を残さなければならないと強く思いました。今、その明るい夢となる国際リニアコライダーの誘致が現実のものになろうとしています。
 震災後、国がILCを東北復興のシンボルと位置づけたことにより、まさに加速器のごとく、誘致に向けた取り組みがスピードアップしています。
 東日本大震災津波で甚大な被害を受け、いまだに明るさを取り戻せないでいる本県にとって、世界でたった一つのILC研究施設を誘致することは、被災地岩手だけでなく、東北全体を復興、発展させることにつながるため、何としてでも誘致を実現させなければならない岩手史上最大のプロジェクトであると思っています。年内には技術設計が完了し、いよいよ建設サイトの最終決定が近づいているわけですが、聞くところによりますと、我が県と同様に有力な候補地となっている佐賀県、福岡県では、誘致へ向けた活動が熱を帯び、県民の意識の醸成も進んでいるとのことであります。今、岩手がここでおくれをとり誘致が実現しなければ、岩手再生最大のチャンスを失うことになりかねません。そうならないためにも、県が先頭に立って誘致への取り組みを一層強化していく必要があると考えます。
 そこで伺います。ILCの建設場所は、地質や環境、風土、地元の熱意など、さまざまな要素を総合的に判断し決定されるものと聞いておりますが、県では、それらにおける岩手の強み、弱点をどのようにとらえているのか伺います。また、弱点克服のため、どのような取り組みを進めていくのか、初めに伺います。
 先月の27日、私の地元奥州市前沢区でも、地域で初めてのILC講演会が開催されました。企業の方々が対象の講演会であったため参加者のほとんどは若い方々であり、非常に意義深い講演会となりましたが、一方で、国際リニアコライダーという言葉を初めて耳にしたという方が多いことを知り、周知不足を改めて感じました。
 ILCの誘致には住民の熱意が最も大切であると言われるように、また、実際に建設地がオリンピック方式で決まるとするならば、多くの県民に、特にもILCの恩恵を最も受ける若い世代の人たちに関心を持ってもらうことが最も大切であり、県は、周知への取り組みを急がなければなりません。そのことから、私は、より多くの県民の方々にILCを知ってもらい、さらに対外的にも誘致活動をアピールできるよう、主要な道路への看板設置や駅のホームなどへの横断幕の設置、車用のステッカーの作成などのPR活動を積極的に行うべきだと思います。また、若い人たちに関心を持ってもらうために、県内のすべての中学校、高校で授業に取り入れる、または講演会を行うなどの取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。これらについて、今後、取り組まれるお考えはないか伺います。
 最後に、職員の資質の向上について伺います。
 通常業務のほかに震災対応で頑張っておられるときにこのような質問はどうかと思いましたが、県民に理解をいただける県政の推進には、県職員一人一人の資質向上が必要と考え、あえて質問させていただきます。
 私は、一昨年に市役所を退職するまで、28年余り行政の仕事に携わってきました。この間、目標にする先輩の教えとその後ろ姿を追いかけながら、自分たち自治体職員がいいまちをつくらなければいけない、いいまちがつくれるかどうかは自分たちにかかっている、そういう思いで頑張ってきました。まちは役人がつくるもの、それは役人のおごりかもしれませんが、いいまちにはいい職員がいる、それはこれまでの長年の役所生活で感じてきたことであり、決して間違っているとは思っていません。そのことから、岩手を支える県職員には、この危機的状況を乗り越えさらに岩手が発展するよう、この県は自分たちがつくっていくんだというぐらいの気概を持って職務に当たっていただきたいと思っています。そのことを最初にお話しした上で質問に入ります。
 私は、職員に最も大切なのは、やる気と問題解決能力であると思います。やる気がなければどんなに優秀な職員であっても、いい仕事はできません。また、岩手のさまざまな課題に対応するためには、問題解決能力が欠かせません。震災発生後、私はこの二つの大切さを改めて痛感し、岩手の頭脳である県職員に、この二つの能力を持って岩手の再生に当たってほしいと思っています。
 そこで伺います。このやる気、問題解決能力を向上させるために、県はこれまでどのような取り組みをされてきたのか、また、今後どのように取り組まれるのか伺います。
 最後に、最近気がついたことをお話しして私の質問を終わりたいと思います。
 先日、ある課に用があって議会棟から連絡通路を通り、県庁10階まで階段を上りました。同じように帰りも階段を下りて議会棟に戻りました。この間、通路、階段で20人以上の職員とすれ違いましたが、一度もあいさつを交わすことはありませんでした。民間企業はもちろんのこと、職員教育が行き届いている市町村であれば、すれ違えば必ずこんにちはや御苦労さまですとあいさつをされます。私も役所に入ったときは、上司からあいさつの大切さを教育され、役所全体でもそのような取り組みをしてきました。そして、それが当たり前になり、退職まで続けてくることができました。私は、それが職員の住民に対する思いにつながるのだと思います。
 県庁や合同庁舎に来る人は、だれであれお客様です。そのお客様の多くは緊張しながら庁舎に入ってきます。もちろん、私もいつも緊張します。気軽に声をかけられれば緊張もほぐれ、安心して用を済ませることができるのではないでしょうか。特に問題にするようなことではないかもしれませんし、問題にもいたしませんが、県民から信頼される県職員であるためには、このような小さくても温かい気配りがあってもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 所感を伺って質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 佐々木努議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、震災復興についてですが、被災地域の復興を促進するためには、住民相互のコミュニケーションの維持や地域コミュニティ活動の環境整備はもとより、すべての人が安心して地域で暮らしていけるよう、高齢者や障がい者を住民相互で支え合う福祉のまちづくりの視点等も取り入れながら、地域コミュニティ活動の活性化を図ることが重要と考えております。このため、災害復興公営住宅については、住民相互の交流を促すための集会所等の共有スペースを整備するとともに、入居募集に際しては、地域ごとのコミュニティの維持に配慮することとしています。
 また、地域住民の参加による高齢者や障がい者への生活支援サービスの提供や、NPO等と連携した地域コミュニティ活動の支援などにより、市町村と一体となって災害復興公営住宅のコミュニティづくりに取り組んでまいります。
 次に、がん対策についてでありますが、本県のがんによる死亡者数は年々増加し、死因の約3割を占め、第1位となっており、また、今後、高齢化の進行に伴ってがん患者のさらなる増加が予想されるなど、がん対策の充実は喫緊の課題であります。
 これまで、県では、岩手県がん対策推進計画に基づき、全体目標であるがん死亡率の減少に向けて、がん診療連携拠点病院の整備や医療従事者の確保、がん検診受診率向上のための普及啓発活動などに取り組んできました。
 国においては、先月、がん医療の均てん化、多様な職種の専門性を生かしたチーム医療の推進などによる医療体制の質的な充実に向けた施策や、受動喫煙の防止に向けた職場対策、受診率向上対策などによるがんの予防、早期発見に係る施策などを掲げたがん対策推進基本計画を策定したところです。
 本県の次期計画策定に当たりましては、議員御指摘のとおり、現計画に掲げた指標の進捗状況や本県のがんにかかわる現状と課題をしっかりと検証することが重要でありますことから、岩手県がん対策推進協議会の場で、専門的な見地から御意見をちょうだいしたいと考えております。
 今後、こうした国の考え方やがん対策推進協議会における審議などを踏まえ、また、患者団体や医療関係者、市町村、関係団体とも連携を図りながら、がん診療連携拠点病院における診療体制の構築や医療、福祉従事者に対する緩和ケア研修の充実、禁煙や検診に関するより効果的な普及啓発など、がん対策の着実な推進に努めてまいります。
 次に、国際リニアコライダーについてでありますが、国際リニアコライダー─ILCは、全長31から50キロメートルに及ぶ加速器用トンネルや粒子測定器を収容する地下の大ホールが建設できることなどが条件とされています。
 本県南部の北上山地には、花崗岩岩盤帯が約50キロメートルにわたって分布しており、これまでの調査では、均質で安定的な岩盤であり、ILCの建設に適しているとの評価が得られています。
 岩手県は、宮沢賢治や田中館愛橘などの先人を輩出し、Z項を発見した木村栄ゆかりの国立天文台の観測所があるなど、科学に親しみを持ってきた土地柄であり、加えて、四季折々の風光明媚で豊かな自然や、人と自然との共生を理念とする平泉の文化遺産など、多くの強みとなる要素を持っていると考えております。
 一方、現在、東北加速器基礎科学研究会において策定を進めているILCを核とした東北の将来ビジョンの中では、研究拠点や産業集積拠点、研究者及び家族の居住地区、情報通信ネットワーク等の基盤整備のほか、交通ネットワークの整備等が必要とされているところです。
 県としましては、ILC計画の進展に合わせて、ビジョンの具体化について調査検討してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長小田島智弥君登壇〕
〇保健福祉部長(小田島智弥君) まず、放射能の子供の健康への影響についてでありますが、前回の尿検査の調査対象者に対する継続的な経過観察につきましては、議員から御指摘をいただいたとおり、尿中放射性物質の推移をモニタリングし、そのリスク評価を心配されている方々にわかりやすくお示しをしていくというリスクコミュニケーションの観点から、継続調査の方法について具体の検討を進めているところであります。
 また、甲状腺検査については、有識者会議におきまして、放射性ヨウ素による被曝の状況について測定値がなく、全員不検出という今回の尿検査結果のみからの評価は困難であるものの、放射性セシウムによる内部被曝の調査結果に加え、福島県における複数の調査結果を勘案することで、本県の子供の放射性ヨウ素による内部被曝は極めて小さいと推定される。したがって、甲状腺超音波検査の必要はないと考えられるとの結論が示されたところであります。
 こうしたことから、現時点で本県において甲状腺超音波検査等の臨床検査によって発見される放射線に起因する異常は生じていないものと考えており、現在、福島県で行われている健康管理調査の結果や放射線の健康影響に関する新たな知見の動向を注意深く見守りながら、県としての対応が必要な場合には、その方策について検討してまいります。
 今後の対応につきましては、今回の調査結果を県民に対して正しく、かつ、わかりやすくお伝えするリスクコミュニケーションを継続しながら、今後、国で予定している放射線の健康影響に係る研究調査事業などの動向も踏まえ、さまざまな観点から県民へのフォローアップに努めていきたいと考えております。
 次に、少子化対策についてでありますが、県では、岩手県長寿社会振興財団のいわて子ども希望基金を活用し、市町村や関係団体等と連携を図りながら、平成21年度から、未婚男女の出会い、交流の場を提供するi・出会い応援事業に取り組んでまいりました。
 これまでの実施状況は、今年度の実施予定まで含めると、採択事業が22団体、39事業となっており、昨年度までの参加人員は、講演会等への参加も含め延べ2、552人となり、その取り組みは県内各地域に広がってきているなど、一定の成果が見られるところであります。
 一方、事業開始から3年を経過していることから、昨年12月から、今までの取り組み状況と事業の評価、検証、その課題を踏まえた次年度以降の結婚支援事業のあり方について、県長寿社会振興財団と検討を進めております。その中では、県北・沿岸地域での事業が少なく、今後、当該地域での取り組みを促進する必要があることや、助成事業終了後において、団体の自主的な取り組みが低調であるといった課題も出されております。
 御提言のありました出会いサポートセンター設置による茨城県の取り組みにつきましては、出会いをサポートする人材育成など、本県が参考とすべき事業もありますことから、それらも踏まえ、引き続き検討を行い、秋ごろまでには一定の方向性を見出し、平成25年度から反映させていきたいと考えております。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) 汚染牧草の処理についてでありますが、汚染された牧草の保管、処理につきましては、利用自粛牧草等処理円滑化事業で、処理に係る移動運搬や一時保管などに要する経費につきまして、市町村を通じて畜産農家を支援しているところでございます。
 一時保管施設の設置も含めまして、この事業の実施に際しては、地域の畜産農家や住民の方々などとの調整が重要になると考えたことから、地域の事情に精通した市町村を事業主体としているものであります。
 県といたしましては、畜産農家の方々の保管の負担を減らすために集中的に保管することが望ましいと考えておりますが、地域の実情に応じた対応が必要であることから、市町村と地域の事情や具体的な対応方法について十分に意見交換しながら、集中的な保管施設の設置に取り組んでいく考えであります。
   〔医療局長遠藤達雄君登壇〕
〇医療局長(遠藤達雄君) 県立病院の医療体制の整備についてでありますが、平成24年3月末時点の県立病院の常勤医師数は488名で、前年同期と比較しまして22名の増となっており、これまでの減少傾向に一定の歯どめがかかりつつあるものと認識しておりますが、医師の地域偏在や特定診療科の医師不足など、依然として県立病院の医師数は厳しい状況が続いているところでもあります。
 現在、常勤医が不在で休診や非常勤対応となっている診療科は、いずれも専攻する医師が少なく、また、常勤医の主な派遣元であります関係大学の医局自体、医師の絶対数が不足している状況にあり、現時点では、必要とされるすべての診療科に常勤医を配置することは大変困難であることから、診療科によっては、圏域を超えた連携や近隣病院からの診療応援により地域医療を支えているところであります。
 こうした中、県立病院の勤務医の確保に当たりましては、関係大学との連携を一層強化するとともに、即戦力医師の招聘や臨床研修医の拡大、奨学金制度による養成医師の拡大など、各般の医師確保対策に積極的に取り組んでいるところであり、また、平成20年度から岩手医科大学の定員増に合わせて大幅に拡充した奨学金制度による養成医師の配置が、平成28年度以降本格化することから、県立病院の医師の充足状況の改善が見込まれるところであります。
 今後とも、こうした医師確保対策の充実を図りながら、県立病院の診療体制の整備に取り組んでまいります。
   〔政策地域部長中村一郎君登壇〕
〇政策地域部長(中村一郎君) 国際リニアコライダーについてでありますが、生徒や学生など若い人たちが国際リニアコライダー─ILC計画に触れることは、計画そのものへの理解を深めるばかりではなく、人材育成や理科離れの歯どめにも大きな効果があるものと考えております。
 このため、これまで関係団体等が一関市や奥州市において中高校生を対象とした講演会を開催してきましたが、今年度は、経済団体等で組織する岩手県国際リニアコライダー推進協議会と連携し、授業の一環として高校生を対象とした講演会を2回開催したところであり、今後、一関工業高等専門学校においても開催を予定しております。
 一関市、奥州市においても、中学生を対象としたつくばの研究機関などへの研修会や、民間の財団が主催する高校生、大学生を対象とした楽しむ科学教室を開催するなど、次代を担う人たちへの普及啓発に取り組んでいるほか、県南広域振興局では、ILC計画のパネルを作製しイベント等で活用することとしております。
 今後は、御提言のありました啓発用の看板等を活用したPR活動について、ILC計画の進展を見ながら、関係団体等とも連携し工夫をしていくとともに、高エネルギー加速器研究機構の出前講座なども活用しながら、県南部のみならず、幅広い地域においてILC計画の理解が広まるよう取り組んでまいります。
   〔総務部長加藤主税君登壇〕
〇総務部長(加藤主税君) 職員のやる気と問題解決能力の向上の取り組みについてでございます。
 職員の一層の能力向上を図るため、毎年度、能力開発研修基本計画を策定し、問題解決や政策形成能力を習得するための研修を実施するなど、職員の能力開発に積極的に取り組んできたところでございます。
 また、地域意識の高揚や明朗快活など県職員としてのあるべき姿や行動基準を示した岩手県職員憲章を策定し、その浸透を図るとともに、組織力を向上し、県政に関する意識を共有するため、知事等が現場に出向き職員と意見交換を行っているほか、各所属長が、職員面談を通じて個々の職員の目標を設定し、モチベーションを高めるなど、職員の士気高揚に努めてきたところでございます。
 今後も、各所属が組織の運営指針として策定する業務方針に、県民本位や能力向上などを旨とする職員憲章の具現化に向けた行動を盛り込み、実践するなど、職員憲章のより一層の浸透、定着を図っていくこととしております。
 また、現在、震災後の環境変化を踏まえまして、人材育成の方向性を示しました職員育成ビジョンの見直しを進めており、職員のモチベーション向上策やジョブローテーションの再整理、研修体系の見直しなどを検討することとしております。これらの取り組みを通じまして、職員の士気を高め、震災からの一日も早い復興と行政サービスの向上に努めてまいる考えでございます。
 次に、職員によりますあいさつ、職員の接遇についてでございますが、議員の御指摘につきましては、真摯に受けとめ、反省しなければならないと感じております。
 先ほど申し上げました職員憲章に掲げる県民本位の信条に基づき、常に県民の視点、立場に立って行動するという基本的な姿勢の徹底を図るとともに、そのあらわれといたしまして、職員一人一人の接遇の向上にも努めてまいりたいと考えております。
〇7番(佐々木努君) 前向きな、そして丁寧な御答弁、大変ありがとうございました。
 私も、今回はかなり要望がかったといいますか、ほとんど要望の質問が多かったと思います。いずれ、これらの要望にこたえていただくためには、さっきも言いました、やはり職員の方々のやる気、思い、そして問題解決能力、これが絶対に欠かせないと私は思います。私がここで何をお願いしても、職員の方々がそういう気持ちになって、そういう思いで取り組んでくださらない限り、ただここで言って、おしまいということになってしまいます。
 そういうことで、やはり職員の力をこれからますます向上させる、そういう取り組みが県としては必要かと思います。その人間力といいますか、そういうものの向上、それに対して、知事はどのようにこれから取り組んでいこうとされているのか、職員のトップとしての知事のお考えをお聞きして、私の質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 私も、丸5年以上県庁で仕事をしておりますので、県職員が、あいさつしない職員がいるというのはよくわかっております。しかし、5年前は、もう本当にあいさつしない県職員でした。私があいさつしても、し返さないことがほとんどでありましたけれども、最近は、私があいさつすれば返してくれる、また、私があいさつする前にあいさつしてくれる職員もふえてきたと思います。
 地道ではあるかもしれませんが、この調子で頑張っていきたいと思います。
〇副議長(柳村岩見君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時32分 休 憩
出席議員(48名)
1  番 高 田 一 郎 君
2  番 佐々木 茂 光 君
3  番 小 泉 光 男 君
4  番 清 水 恭 一 君
5  番 佐々木 朋 和 君
6  番 名須川   晋 君
7  番 佐々木   努 君
8  番 軽 石 義 則 君
9  番 後 藤   完 君
10  番 神 崎 浩 之 君
11  番 城 内 愛 彦 君
12  番 福 井 せいじ 君
13  番 吉 田 敬 子 君
14  番 木 村 幸 弘 君
15  番 久 保 孝 喜 君
16  番 小 西 和 子 君
17  番 高 橋 但 馬 君
18  番 岩 渕   誠 君
19  番 小 野   共 君
20  番 郷右近   浩 君
21  番 高 橋   元 君
22  番 喜 多 正 敏 君
23  番 高 橋 孝 眞 君
24  番 岩 崎 友 一 君
25  番 工 藤 勝 博 君
26  番 及 川 あつし 君
27  番 飯 澤   匡 君
28  番 高 橋 昌 造 君
29  番 五日市   王 君
30  番 関 根 敏 伸 君
31  番 小田島 峰 雄 君
32  番 大 宮 惇 幸 君
33  番 工 藤 大 輔 君
34  番 熊 谷   泉 君
35  番 嵯 峨 壱 朗 君
36  番 工 藤 勝 子 君
37  番 斉 藤   信 君
38  番 小野寺   好 君
39  番 佐々木 順 一 君
40  番 佐々木   博 君
41  番 田 村   誠 君
42  番 及 川 幸 子 君
43  番 伊 藤 勢 至 君
44  番 渡 辺 幸 貫 君
45  番 樋 下 正 信 君
46  番 柳 村 岩 見 君
47  番 千 葉   伝 君
48  番 佐々木 大 和 君
欠席議員(なし)
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時48分 再開
〇議長(佐々木博君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。久保孝喜君。
   〔15番久保孝喜君登壇〕(拍手)

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