平成24年6月定例会 第5回岩手県議会定例会会議録

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〇18番(岩渕誠君) 岩渕誠であります。登壇の機会を与えていただきましたすべての皆様に感謝して質問してまいります。
 まず最初に、社会保障と税の一体改革についてお伺いいたします。
 民主、自民、公明の3党協議の末、消費税の増税関連法案が衆議院で可決されました。今国会で成立すれば、再来年の4月には8%、その翌年の10月には10%へと消費増税のレールが敷かれることになります。
 本格的な少子高齢化社会の中で、持続可能な社会保障制度の実現を目指すための消費増税だと、野田内閣はその必要性について強調しているものの、肝心の年金の給付水準や高齢者医療制度などの全体像は明確にされないまま棚上げされ、増税だけが決まるという中身で、一体改革とはほど遠い内容です。将来的な負担と受益の関係が見通せないだけでなく、次世代を担う子育て支援の後退とも受け取られかねない子ども手当の縮小など、現役世代にとってしわ寄せ感が強まっており、納税意欲の減退すら危惧される事態だと言わざるを得ません。
 確かに、国家財政に目を転じれば、財政再建の必要性は理解いたします。財政面での国際的信用の維持が日本にとって大切であることも承知しています。
 しかし、なぜ今、このタイミングなのでしょうか。過去の経験に基づいても、今回の消費増税は、デフレ下で進められていること、また、増税見合いに対しての税の軽減措置、いわゆる見返り減税も示されていないことから、景気全体と市民生活にかつてない影響が出かねないという点で、納得できるものではありません。まずやるべきは、行政の無駄を省き、経済成長対策を具体的に示して、デフレからの脱却を図ることであり、マニフェストを逸脱して増税のみに突き進む野田内閣には、国民の生活が第一を掲げた民主党の本来の姿からは大きく形を変えてしまったと失望と悲しみを感じます。そして、何よりも今、我が国は東日本大震災津波からの復興に全精力を尽くすべきときであるということを忘れてしまってはいないかと、強い憤りを覚えずにはいられません。放射能被害を含め復興への対策が山積する中での消費増税は、なりわいを再生させ、暮らしを再建させていくという強い志を持った被災者と被災地に冷や水を浴びせる行為になりかねません。
 知事にお聞きいたします。この消費増税はまさに復興半ばで行われることになりますが、被災県岩手の知事として、今回の消費増税についての御所見を、今後、被災地で見込まれる具体的な影響とあわせてお聞かせください。
 3党合意後の政局で懸念しているのは、国民の信を得たマニフェストが無秩序に崩壊しかねないということです。例えば高校の授業料無償化は、被災した家庭にとって、未来を担う子供たちを支えてきた非常に重要な政策だったと思います。知事は、主要なマニフェストの一つであるこの高校の授業料無償化が、震災後の岩手にとってどの程度の効果を発揮したと考えているのか、あわせて認識をお示しください。
 次に、震災復興について伺います。
 県は、社会資本の復旧・復興ロードマップを示しました。これは、今後のまちづくりや災害復興住宅などについて具体的スケジュールを明記した工程表で、被災者にとっては生活再建の道筋に役立つものとして評価するものであります。県には、ロードマップで示したスケジュールに沿って復興への着実な歩みを進めてほしいと思いますが、一方で、この工程表がそのとおりに実行できるか、懸念も持たざるを得ません。非常に残念でありますが、復興事業にかかわる入札のミスが相次いでいて、入り口からスケジュールが押していること、全体の事業量に対して資材や人員が本当に確保できる体制にあるか、大きく二つの点ではっきりとした実行の裏づけが必要であります。
 入札のミスについては、まず、原因がどこにあるのか、単にヒューマンエラーだけなのか、システムエラーなのか、人手不足など体制の問題なのか、抜本的な入札制度の見直しが必要なのか。再発防止策が示されたと伺っていますが、改めて県としてとるべき措置はどうなのか、見解を伺います。
   〔副議長退席、議長着席〕
 資材の関係では、復興事業全体でどの程度の資材が必要と試算されているのか。これに対して現在の供給体制は十分なのか。不足する分についてはどのような手段で手当てするのか。特にも、絶対量の不足が指摘されている生コンの供給体制について、とるべき具体策は何か示していただきたい。その上で、この工程表の進行が十分担保されたものであるか、認識をお伺いいたします。
 登壇しての最後の質問は、予算の執行状況についてお尋ねします。
 平成24年度一般会計当初予算は復興元年予算として県が位置づけているもので、被災者の生活再建や安全の確保、放射能対策など、県民生活にとって欠かせない重要な施策が盛り込まれた予算案は圧倒的多数の賛成で、また、平成24年度の第1号補正予算案は全会一致で可決成立しています。とりわけ平成24年度第1号補正予算は、放射性物質の汚染で出荷停止に追い込まれたシイタケ農家に対する緊急支援が盛り込まれたものであります。2月議会の最終日というタイミングで補正予算案が提案された背景には、収入の道が断たれる中、営農の継続や生活の再建のため一刻も早くシイタケ農家を財政支援しなければならない事情があったことは、執行部も議会も共通の認識であったはずであります。しかるに、その執行状況はどうなっているでしょうか。申請書類の要件確定など事務手続のおくれから、手続が始まったのは6月に入ってからではないでしょうか。余りにも遅過ぎると言わざるを得ません。結局、補正予算を組み、スピード審議で農家の苦境を救おうとしたねらいは、現時点で十分に発揮できていないのが実態ではありませんか。なぜ予算執行がおくれているのか、現状とあわせて県の見解を伺います。
 この執行のおくれは、農家の命取りともなりかねない問題だけでなく、議会と執行部との関係においても深刻な問題として受けとめるべきと私は思いますが、これに対する認識、そして、この事態を挽回すべく、県としてどうシイタケ農家の支援を加速、充実するお考えか、具体的にお答えください。
   〔18番岩渕誠君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 岩渕誠議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、消費増税についてでありますが、過去に消費税の増税が行われた際には、マイナス面について徹底的に議論されて、先行的な減税などによる負担軽減策等がさまざま行われましたが、今回、そのような対策が先行していない、あるいは決まっていないことに不安を感じております。また、経済状況が思わしくない中で、増税によって日本経済全体が失速すれば、復興そのものが困難になる可能性もあり、憂慮しております。
 消費税の増税が本県経済等に与える具体的な影響について厳密に算定することは困難でありますが、増税の時期が、本県の復興計画における本格復興期間に当たっていますことから、今後、復興を本格的に推進していく時期に、税負担の増加、可処分所得の減少、また地域経済の低迷等を招き、被災者の暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなることが懸念されます。
 次に、高校の授業料無償化についてでありますが、教育にかかわる経済的な負担の軽減を図り、教育の機会均等に寄与することを目的として、平成22年3月、授業料無償化関係法案が成立し、県としては、県立学校授業料等条例の一部改正や私立高等学校等就学支援金の交付などを行い、平成22年度から原則無償化としています。
 経済的理由による公立及び私立高校の中途退学者数は、無償化導入前の5カ年平均23.2人に対し、平成22年度が3人に減少しており、施策の効果があらわれていると考えられます。
 大震災津波後の本県におきましては、特にも被災家庭における経済的状況が極めて厳しい中、高校の授業料無償化が保護者の経済的な負担を軽減し、教育の機会均等が維持されることによって、これからの復興を担う人材づくりに大きく生かされているものと認識しております。
 その他のお尋ねにつきましては副知事及び関係部長に答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔副知事上野善晴君登壇〕
〇副知事(上野善晴君) まず、入札の関係についてでございますが、県では、今回の事案の発生を受けまして、外部委員を含みます災害復旧事業関係入札等検証委員会を設置いたしまして、原因や問題点を検証するとともに、再発防止に向けた対策を検討いたしまして、6月25日に対応策を取りまとめたところでございます。
 委員会から提出された報告書では、今回の事案は、最低制限価格の算定誤り、単価、歩掛かりの適用誤りや集計漏れなどの積算誤りなどであり、その直接的な原因は、不注意や点検漏れ、知識不足といった、いわゆるヒューマンエラーによるものが多く掲げられております。
 また、事務処理の問題点や課題に対する対応策といたしまして、多重チェックの徹底や情報共有できる仕組みの構築、技術研修の実施などが掲げられたほか、入札制度に対する意見も盛り込まれたところでございます。
 その検証結果を踏まえまして、関係部局で構成をいたします建設関連業務入札契約等適正化検討会におきまして全庁的な検討を行った上、具体的な対応策を取りまとめたところでございます。
 その主な内容といたしましては、以下の点が挙げられます。
 第1に、最低制限価格の算定方法の簡略化といたしまして、業務ごとに異なっております最低制限価格の算定方法を簡素化し、算定誤りを防止するとともに、最低制限価格が類推されにくいよう、一定の幅の中で設定をするということ。
 第2に、職員の技術力の向上といたしまして、積算誤りの防止には職員の技術力の向上が重要であることから、積算担当者、審査担当者を対象とした研修を部局の枠を超えて実施するほか、内容についてもより一層充実させること。
 第3に、確認体制の充実といたしまして、積算、審査担当職員の二重チェックが有効に機能する仕組みの構築や、積算誤りに関する情報を共有できる仕組み、取り組みを進めることとしております。
 また、設計積算業務及び検査、審査業務を強化するため、本庁の漁港漁村課及び沿岸広域振興局の水産部に技術指導などを担当する特命課長を設置し、体制の強化を図ることとしております。
 今後、これらの対応策を通じまして、積算誤りなどの再発防止に取り組むとともに、事業の速やかな推進に努めてまいります。
 次に、資材の供給についてでございますが、沿岸4地域─久慈、宮古、釜石、大船渡、この4地域で、国、県、市町村、業界団体が復旧、復興工事情報連絡会を開催いたしておりまして、生コンクリートや石材などの需給状況につきましての意見交換を行っているところでございます。その会議の中での需要見込みでは、生コンクリートや石材などが、今後、数年にわたり100万立方メートル以上が必要であり、久慈地域を除き、相当量不足するとの認識を共有したところであります。
 これらの不足する資材の安定供給に向けましては、現在、生コンクリート工業組合及び砕石工業組合などの業界団体と具体的な対策について協議を進めているところでございます。特に、生コンクリートの不足につきましては、仮設プラントの建設や材料と運搬車両の県内外からの調達など、各地域の実情を踏まえまして、業界団体と協調しながらあらゆる対策を講じてまいります。
 次に、復旧・復興ロードマップの工程表の進行に対する認識についてでありますが、かつてない大災害からの復旧、復興を実現するためには、かつてない諸課題を解決していく必要があると考えております。復旧、復興を着実に実現するため、県民の皆様の底力と、国、市町村などとの連携、協働の輪の広がりによるオール岩手、オールジャパンの力を結集いたしまして、工程表の進行が確保できるよう努めてまいります。
   〔農林水産部長東大野潤一君登壇〕
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、予算執行がおくれている理由についてでありますが、原木しいたけ経営緊急支援対策のうち、つなぎ資金の貸し付けにより生産者の経営継続を支援する原木しいたけ経営緊急支援資金につきましては、生産者の借り入れ希望を取りまとめる集出荷団体が2系統あることや、賠償請求の方法なども考慮した貸し付けの仕組みづくりが必要だったことなどから調整に時間を要し、貸付制度の施行が6月1日となりました。制度の準備作業と並行して制度の仕組みがほぼ固まった5月下旬からは、市町村、集出荷団体等を対象とした説明会を開催するなど制度の周知に努めましたが、6月末までの貸し付け実績は約3、400万円であり、今後とも、貸し付け希望に応じて速やかに貸し付けが実行できるよう、関係団体と連携して取り組んでまいります。
 次に、予算執行のおくれについての認識と今後の取り組みについてでありますが、原木しいたけ経営緊急支援資金は、シイタケ生産者の経営継続を支援する対策として、その緊急性を御理解いただき、平成24年度当初予算の第1号補正予算として御承認いただいたにもかかわらず、生産物の検査が進み出荷制限が要請される中で、速やかな制度構築ができず、貸し付け実行までに時間を要したことは、生産者や関係者の方々に不安を与えるものであり、深く反省しております。
 また、利用できなくなったほだ木の更新や処分、シイタケ原木の確保など、他の経営緊急支援対策につきましては、現在行っているほだ木の放射性物質検査の結果や、生産者のほだ木更新の希望の状況に応じて速やかに対応できるよう、関係団体とも連絡調整し態勢を整えており、その実行に遺漏のないように万全を期してまいります。
〇18番(岩渕誠君) 農林水産部長、今、反省の意が表明されました。しかし、その前のおくれたことについての理由、これは納得のいくものではないと思います。15億円の第1号補正のうち、大体10億円というのはつなぎ融資の予算だったと思います。本当に今、原木シイタケ農家は収入が全くないんですね。損害賠償もおくれている。その中で予算をどうやって手元に回していくか、これは最大のポイントですよ。金銭的な対応をまず第一にやらなければいけないときです。
 農家は、盆暮れ経済とよく言われます。お盆までにしっかりとそのおくれを回復していただきたいと思います。
 もう一方で、シイタケ農家に対しては、ほだ場の除染効果があるのか、あるいは施設栽培に移行しても、ちゃんと基準値を下回る保証があるかということなど、再生産に対する支援というのも絶対に必要になってくるわけですが、県はそれをどう考えていますでしょうか。特に、ほだ場の環境改善などの影響調査についてどうなっているのか、伺いたいと思います。
 一方、予算の執行という点で、今は全く執行になっていないというところを取り上げましたけれども、反対の問題で、これは住宅再建支援の問題があります。これは国の制度に上乗せ、横出しするという形で、被災住宅のうち、半壊と一部損壊あるいは宅地崩壊などにも範囲を広げたという制度で、大変私は高く評価しているんですが、この予算がなかなか厳しいんじゃないかという指摘があります。
 私の地元の一関市では、既に県からの予算枠はほとんどありません。したがって、補助申請の受け付けをストップしている状態とお聞きしています。これは県の単独事業ですから、対応次第では被災者に不公平が生じるおそれがありますので、ぜひ早急に状況を把握して、必要に応じて予算の編成をするということをぜひしていただきたいと思うんですが、お答えをいただきたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) シイタケの再生産に向けた支援策等についてでありますが、県では、7月末をめどに、生産者全戸のほだ木の検査を実施しております。更新に必要な原木等につきましては、県森林組合連合会に、これまで生産者から希望のあった約33万本を確保するよう依頼しておりますが、今後も、逐次、原木の需要量を伝えて、ほだ木の更新に支障がないよう原木の確保を進めてまいります。
 また、ほだ場の放射性物質の影響状況の調査につきましては、林業技術センターが、春子の収穫がほぼ終了した6月から、県南部のほだ場を抽出して調査に着手しております。
 この調査の内容は、8月までの予定で、ほだ場の空間線量率や表土等の放射性物質濃度を、11月までの予定で、ほだ場の環境の違いによるほだ木への放射性物質の移行の実態を把握することとしており、この調査で得られた知見は、汚染リスクの低減のための技術指導など、今後の原木シイタケの再生産に向けた対策に活用してまいります。
〇県土整備部長(若林治男君) 住宅再建支援の必要な予算の確保でありますけれども、生活再建住宅支援事業につきましては、年度当初、県からの配分額は、市町村の要望を踏まえまして、当面必要とされる額を配分いたしました。現在、一部市町村─一関市でありますけれども─既に補修、改修の部分で配分額を超える申請となっていると聞いております。このため、当面、生活再建住宅支援事業のほかのメニューがあるんですが、宅地復旧の予算だとか、そういう部分を流用して対応するようにお話をしているところであります。
 また、県全体の現時点での執行状況と年間の執行見込み額を今月中旬を目途に把握いたします。
 各市町村の補助金の交付が滞ることがないように、速やかに再配分などの対応を行っていきますとともに、必要な予算は確保してまいります。
〇18番(岩渕誠君) いずれ、予算を立てた意味というのをよく理解していただいて、本当に困っているところに早くお金を回すということについては、特に心を砕いてやっていただきたいと思います。
 復興関連のうち、グループ補助金についてお伺いをしたいと思います。
 グループ補助金については、これも制度としてはいまだかつてないということで評価もされ、期待もされているところですが、やり始めると課題も見えてきたということになると思います。
 まず、この制度の入り口部分のものとしては、補助対象となるグループ機能として示されたのが四つありますけれども、これに当てはまらない事業者が数多くいるため、雇用の受け皿づくりの観点から要件緩和が必要であるということ。
 次に、中間部分の課題としては、グループ補助金のことは認められたんだけれども、4分1の自己資金調達というのがなかなか難しくなっているというところが出ているということ。建設費の増大などで補助決定額と実際の経費に乖離が生じていて、資金調達に困難を来す企業が出ているということが言われています。
 また、トータルの課題としては、補助金の予算執行が単年度主義ですから、実際は市町村の土地利用計画が定まらないうちに、店舗や施設の整備が制度に合わせるためにはどうしても応急的、仮設的な対応をせざるを得なくなっているということ。それから、そもそも要望に対して予算額が不足しているということが言われています。
 このグループ補助金はいいものなんですが、利用しても、結局、仮設的な整備にとどまるということであれば、人口減から来る購買力の低下でつなぎ資金も枯渇してくる。そして、本格復興期を迎える時期には、資金繰りへの悪化が再燃されるということも懸念をされているわけであります。この点において、制度要件の緩和の必要性、そして継続した予算の確保、あるいは本格復興期に必要な支援制度の創設の見通しを示すことが大切だと思うんですが、県として、グループ補助金についての課題をどう認識して、今後、産業再生と雇用確保の観点からどのようにお考えか、お示しをいただきたいと思います。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) グループ補助金についてでございますが、この制度の課題といたしましては、本年5月に実施した第4次公募には、県予算額150億円に対し、43グループから255億円の申請がありました。これまでも申請額が予算額を上回っておりますことから、事業費の十分な確保が必要であること。また、被災企業の本格復興は、市町村の土地利用計画とのかかわりが大きく、かさ上げ、区画整理などにより、事業用地の確保に時間を要すること。さらに、地域経済の復興に当たっては、小規模事業者も雇用の受け皿となって貢献しておりますが、グループ化の要件になじまない面があることなどと認識をしております。
 これらの課題に対しましては、予算額の増額、平成25年度以降の事業継続や事業期間の延長、補助事業の要件緩和や運用の弾力化、さらには小規模事業者向けの新たな補助制度の創設が必要であると考えております。
 地域の実情を踏まえた施策が講じられるよう、国に対して継続的に要望しているところでございます。
 また、今後の産業再生と雇用の確保に向けましては、速やかな事業再開と地域の雇用回復を促進するため、地域の実情や企業の経営状況を踏まえまして、支援機関と連携を図りながら、グループ補助金を初めとするハード整備への支援に加えまして、経営計画の策定などソフト面での支援を重層的に組み合わせて、事業再開をより一層加速させるとともに、こうした産業施策と連動させた事業復興型雇用創出助成金を活用して、長期、安定的な雇用の確保に努めていく考えでございます。
〇18番(岩渕誠君) いずれ、いろんな事業にまだまだお金も必要だということなんですが、どうも霞ヶ関あたりのこのところの発信は、被災地復興の予算はもう終わったんだと言わんばかりに、全く発信が聞こえてこないんですね。聞こえてくるのは増税の話ばっかりということで、本当に嘆かわしいと思います。いずれ、一歩踏み込んだ国の姿勢が必要になるということがあるんですけれども、もう一つのお話で言えば、どうも次に予想されている首都圏あるいは東海などの地震災害を見据えて、今の段階での制度の拡大は限定的にしたいんじゃないか。今広げちゃうと、後が大変じゃないかと、こういう思惑がどうも霞ヶ関にあるんじゃないかと私は考えたくなるんですね。
 財政的にも地域経済力から見ても、非常に脆弱な岩手において復興を目指すことのハードルというのはいかに高いものであるか、もう一度認識をしてほしいと思います。一方で、県としても思い切って地域経済の振興策を全く新しい観点から研究する必要があるのではないかというふうにも思っております。
 それは、一つは、地域通貨の活用ということであります。長崎県の五島列島では、来年度、過疎債を財源にして、日本円に対してプレミアムをつけた地域通貨の発行を計画するなど、地方としての景気刺激策、地域振興策というのも始まろうとしております。ヨーロッパなどでは、地域通貨がしっかりと根づいているところもありまして、ダメージを受けた被災地の経済再生の一つとして、県としても、円よりもプレミアムのある地域通貨の発行など、地方でも地域通貨政策の可能性を検討すべきではないかというふうにも考えるわけでありますけれども、御見解を示していただきたいと思います。
〇政策地域部長(中村一郎君) 地域通貨によります被災地の再生についてでございますが、地域通貨につきましては、ボランティア活動の対価として、協賛店の割引券として発行するものでありますとか、商工会議所が発行いたしますプレミアムつき商品券のようなものなど、さまざまな形態がございます。本県におきましても、過去におきまして、地域課題の解決やコミュニティ活性化等のツールとして幾つか試みがなされたところでございます。
 被災地の経済的な復興を目的といたしまして、使用を被災地に限定したプレミアムつき商品券等を発行することは、地域経済の活性化や域外からの交流人口の増加が期待できる等、一定の効果があるものと考えております。
 一方、具体の検討に当たりましては、沿岸地域の宿泊施設や商業施設等が十分に復旧されていない状況にあることなどから、地域の合意形成、流通形態の組み立て等において、地元商工関係者や地域住民の主体的な取り組み、さらには実情に合わせた工夫が不可欠であると考えております。
 県といたしましては、市町村等と連携の上、実施に当たっての課題や期待される効果などを見きわめながら、どのような手法が考えられるのか、検討してまいりたいと考えております。
〇18番(岩渕誠君) 今のお話の中にありました地域振興券、かつても振興策として出されたわけでありますけれども、地域通貨との最大の違いは、振興券だと1回で終わりなんですね。通貨ですから、これは繰り返して使えるということ。それから、地域通貨というのは、地域の中で使えば、あるいは1カ月以内に使えばプレミアがつくけれども、置いておくと減退をするという、こういったことが理論的にはあるわけでありまして、これは必ずこれから復興していく過程では、景気の中折れというのは必ず出てくる。特に、地域に局所的に出てくることが想定されると思います。そういったときに、今ということではなくても結構なんですね。そういったときにどういうカンフル剤を打てるのかということは、県としてもきちんと、これは政策研究をしていくことが私は必要ではないかなと思っております。
 いずれ、この予算も十分と言えない中で、そこの根本は、どうも復興そのものが忘れ去られているんじゃないかということが一つ根底にあるのではないかと思います。やはり現場をしっかりと見ていただいて、聞いて、感じてほしいと。そうすると、もう少し被災地に寄り添う動きが強まると期待をしております。
 1年以上たちますと、マスコミの報道もなかなかありません。この岩手にいる記者からの発信というのも、全国面に載るということがなかなか少なくなってまいりました。非常に残念なことではあるんですけれども、それに対して、私は、県として震災の形を、姿を残していく、そこから立ち上がった人たちの復興の過程を記憶と記録にとどめていく、これは絶対に必要だと思います。そういったところに来ていただいて、しっかりと歴史を、実態を踏まえていただければ、もう少し被災地に対してのまなざしというのが変わってくるのではないかと思います。だからこそ、私は、メモリアルセンターというものはどうしても整備をすべきだと思います。
 神戸にも、人と防災未来センターというのがあります。あそこは大体80ぐらいのボランティアの方が、今中心になって運営をされております。17年たっているから、子供たちは実はあの神戸の震災を知らないんだと言って、そこにいるボランティアの人たちは、毎日手弁当で来ていろいろやっているということなんですが、私は、ぜひ岩手でも早急にこうしたものをつくって整備をしていくということが必要だと思うんですが、この際、明確にこの整備する姿勢をお示しいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 震災復興祈念公園へのメモリアルセンター的な施設の整備についてでありますが、県の復興計画では、東日本大震災津波の記憶を未来へ語り継ぎ、ふるさとへの思いを継承するメモリアル公園等の拠点施設の整備を掲げています。
 東日本一帯に壊滅的被害をもたらし、世界中から哀悼の意を示され、多くの支援をいただいた今次の津波におきましては、国家の役割としても、その鎮魂と追悼、そして津波防災の文化を国内外に発信していくということが不可欠であります。このため、昨年12月以降、陸前高田市の高田松原地区を候補地として、国営によるメモリアル公園の整備を国に提言してまいりました。
 国家的な事業としてメモリアル公園を実現するためには、地元の熱意とともに、本県独自の具体的な提案を行っていくことが必要と考えまして、あす3日、有識者と市民代表によります高田松原地区震災復興祈念公園構想会議を設置して、今後、この構想会議を軸にしながら、民間、NPO等との連携も含めて、さまざまな形で国に実現を強く働きかけてまいります。
〇18番(岩渕誠君) ぜひ実現をして、やっぱり時とともに記憶は風化をいたします。しかし、本当に風化をさせてはいけないということでありますので、これは箱物の整備になりますから批判もあるかと思いますが、私は、必要なものは必要なところに、必要なだけつくることが必要だと思っております。
 さて、ここからは放射能関連の質問を20分程度させていただきたいと思います。
 ちょっと専門的な横文字が多くなりますけれども、便宜上、お許しをいただきたいと思います。
 初めに、PPAの対応について伺います。
 原子力安全委員会は、原子力防災対策見直しの中間取りまとめをこの3月に公表いたしました。大体161ページに上る膨大なものでありますけれども、この中で注目すべきは、防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方が示されたことです。
 原子力発電所からおおむね5キロを目安としたPAZ、これは直ちに避難をしてくださいという地域。おおむね30キロを目安としたUPZ、これは屋内退避あるいは避難の準備をしてくださいよというところ。そして50キロを目安としたPPAであります。このPPAは、放射性ヨウ素による甲状腺被曝を避けるために、屋内退避や安定ヨウ素剤の服用などの対策を準備する区域ということになっております。
 この定義と原子力発電所からの距離を単純に当てはめていきますと、一関市の南部がこれに該当することになります。これに関連して、また原発から30キロ以内の地域からの避難者について、県内での受け入れ態勢もあわせて検討する場面が出てこようかと思います。今までの区域よりも30キロにこの計画を立てるという地域が広がりましたから、どうしても出てくると思います。PPAの対応とあわせてこうした措置を講ずるには、当然、住民への情報提供、周知体制の整備、安定ヨウ素剤の備蓄などの計画策定の必要性が防災対策の見直しの中でもうたわれています。
 これは、そのとおりになってもらっては大変困る話でありますから、これは眠ったままの対策でいてもらうことが一番いいんですけれども、県として、現段階でどのようなPPA等に対しての対応を考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
 また、この際、電力事業者との間で、情報提供などについてしっかりと体制を構築しておく必要があると思いますが、あわせて見解を伺います。
〇総務部長(加藤主税君) 原子力防災対策についてのお尋ねでございます。女川原発を中心といたしましたPPAの範囲が一部本県にかかりますこと、また、今回の原子力発電所の事故によりまして、県南地域を中心に、放射性物質の影響によるさまざまな被害が生じていることを加えまして、議員御指摘のように、隣接県から本県への避難も想定されますことから、こうした場合の対応につきましてあらかじめ検討、準備をいたしまして、必要な対策を円滑に講じていくことが重要であると認識しております。
 県といたしましては、実効性のあるしっかりとした防災対策が実施できますよう、今回の事故の対応にもかんがみまして検討を開始しておりますが、今後示されるでありましょう国における新たな原子力規制の内容も踏まえながら、関係者との調整や体制の構築に取り組んでまいります。
 このような防災対策の実施に当たりましては、何よりも正確な情報の収集が重要でありますことから、東北電力との間で、情報提供のあり方等に関し、事務的な協議を進めております。
 災害対応に生かせますよう、適時適切な情報を収集できる仕組みにつなげていきたいと考えております。
〇18番(岩渕誠君) やはり情報提供は命でありますので、東北電力との間でしっかりとこれは詰めて、できるだけその過程もオープンにしていただきたいと思います。
 このPPAに関してもわかるように、一番の構えをとらなければいけないというのは、健康への影響ということになろうかと思います。特にも、子供の健康については万全の体制をとってほしいということで、昨年の10月になりますけれども、改選後初の県議会における代表質問におきまして、我が会派の佐々木順一議員から、健康状況調査の実施を強く迫る質問があったわけでありますけれども、これに対して、知事がやるということで事業がスタートしたと認識をしております。
 県は、尿検査を行っているわけでありますけれども、これは福島を除けば、尿検査による影響調査実施というのが岩手だけということで、私は一定の評価をしているところであります。幸い、検査結果も、懸念された健康への影響の兆候はないという有識者会議の見解が示されたところでありますけれども、やはりこうした放射線による影響の発現は、後年度に見られるという知見が一般的だということでありますから、継続した取り組みが必要であることは言うまでもありません。既に継続調査については検討するというところまでの見解を県のほうでは示しておられますけれども、やはり実施をするんだという明確な答弁を求めたいと思います。
 また、食品の安全基準の引き下げや給食食材の検査実施などの体制の拡充が図られていますけれども、さらに子供や妊婦の健康に対して、県として対策をどう強化していくおつもりなのか伺います。
〇保健福祉部長(小田島智弥君) 健康影響調査の継続についてのお尋ねでございますが、本年3月の健康影響調査有識者会議におきまして、本県の子供の放射線被曝による健康影響は極めて小さく、これまでと同様の食生活を継続しても健康に影響が及ぶとは考えにくいという評価をいただいたところでございます。
 しかしながら、県南部を中心に調査の継続を求める声があり、また、医療関係団体から同様の要望もあり、放射線の健康影響に対する不安は必ずしも解消されていないと承知しているところでございます。有識者会議におきましても、今回の調査対象者について継続的に調査し、前回の調査結果と比較することが県民に対するフォローになるという観点での意見もいただいております。こうしたことから尿中放射性物質の推移をモニタリングし、そのリスク評価をわかりやすく県民にお示ししていくというリスクコミュニケーションの観点から、調査を継続することに意義があるのではないかと判断してございます。その継続調査の方法につきましては、時間の経過に伴う健康影響評価や、適切な実施時期の設定等の課題を整理する必要があり、専門家のアドバイスをいただきながら、現在、検討を進めているところでございます。
 また、子供や妊婦の健康対策についてでありますが、県としては、放射線の影響を受けやすいとされる子供の健康を最も重視する観点から、市町村と一層連携を図りながら、学校、公園、広場、運動場など、子供の生活圏を中心とした放射性物質の除染や、食品衛生法に基づく計画的な検査、速やかな公表、回収、さらには学校給食の食材検査等に総合的に引き続き取り組んでいくことはもとより、健康リスクについて継続的に注視していくため、岩手県のサンプリング調査結果に加え、福島県で行われている各種調査、国において調査研究が行われる予定の被曝推計、その他の国際的、科学的知見等の情報を丹念に分析し、現在、関係部局が連携して取り組んでいるリスクコミュニケーションに適時的確に努めてまいります。
〇18番(岩渕誠君) 健康調査については実施を前提に検討しているということでありますので、早くそのアウトラインを決めて、しっかりと示していただきたいと思います。
 この食品の安全基準は、御存じのとおり、4月から厳しくなったわけでありますが、これで守られる部分もある反面、苦境に陥っている部分もある。これは第1次産業に従事する人たちであります。畜産、酪農農家、シイタケ農家に加えて、産直施設に山菜などを提供していた農家、各河川の漁協などにも影響は広がっています。損害賠償に対する東京電力の姿勢は、先ほどの質疑にもありましたけれども、依然として、被害の実態と、それに苦しむ人たちに目を背けているとしか言いようがないと私は思っております。
 賠償の関係でお尋ねしますが、今回、新たに賠償請求を行うことになった各産直施設や各河川の漁協などについては、請求事務の負担が非常に過大になっていると私は認識しております。県としても支援が必要だと思うんですが、見解を伺います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 関係団体等が行う損害賠償請求事務への支援についてでございますが、河川漁協につきましては、現在、岩手県内水面漁連が、漁協からの委任を受けまして東京電力に対する損害賠償請求等を行う内水面漁業損害賠償対策協議会の設立準備を進めております。
 県といたしましては、協議会の設立や賠償請求が円滑に進められるよう、他の事例の情報を提供するなど、事務局となる内水面漁連を支援してまいります。
 一方、産直施設につきましては、運営形態が個人や任意グループ、会社組織など多様であるほか、賠償請求に必要となる過去の販売実績や納税関係書類の整備状況など、それぞれ事情が異なっております。このため、県といたしましては、例えば東京電力の担当者に産直施設を訪問させ、請求手続の相談に応じさせるなど、それぞれの産直施設の事情に応じた損害賠償請求ができるよう支援してまいります。
〇18番(岩渕誠君) 県は、もう一歩前にということが必要ではないかと私は思います。この問題については継続して取り上げますので、次に進みます。
 次は牧草等の放射能の汚染関連で、除染の推進、汚染物の管理と処分方法についてお尋ねをしてまいります。
 まず除染についてですが、酪農ではやはり基準が厳しくなって、1キログラム当たり50ベクレル、それ以外は100ベクレルということで、除染対象面積も1万5、000ヘクタールに拡大しております。除染は何としても営農の継続に欠かせないんですが、県が行っている草地再生事業による除染の効果というのはどうなっているでしょうか。
 農家が自立施工を進めていくために一番ネックになっている部分は、本当にやって効果があるのかということなんです。だから、その効果があったのかどうかしっかりと検証する必要があると思うんですが、現状での効果と課題について示していただきたいと思います。
 また、この1万5、000ヘクタールという数字がありますけれども、実際には機械でできるところというのは本当に限られているんです。例えば一関市の室根高原というのは240ヘクタールありますけれども、機械でできるのは40ヘクタールです。それ以外のところは機械が入らないという状況であります。岩手はこういうところが多いんです。こうした場所での除染については、いろんな技術的な試みも進められていると伺っていますけれども、有効な対策についてどのようにお考えなのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 いずれ、最終的には、各農家と一体になって除染を進めていかないと、国内有数の畜産、酪農県である岩手の基盤が崩壊してしまいます。現在のシステム、特に戸別所得補償制度では、畜産、酪農と耕作地のかかわりを保つことで農村全体が経済的に回るという側面、そういうシステムですから、一刻も早い除染をしないと、地域経済への影響も出てくるということをぜひ理解していただきたいと思います。
 牧草地の除染は、転作水田を含めて、この秋にどの程度進めることができるか、その条件整備が重要だと私は思います。受託農家が積極的に除染に取り組むためには、さらなる支援を求める声が強い作業工賃の見直し、あるいは機材の借り上げ貸与なども含めて、思い切った条件整備を整える必要があると思います。また、工程表を示すべきと思いますけれども、対応策をお示しください。
〇農林水産部長(東大野潤一君) まず、除染の効果についてでございますが、プラウ耕の除染効果につきましては、県の畜産研究所で実施した試験で、300ベクレルを超過した牧草地を反転したことで、その後の播種した牧草の放射性物質濃度は不検出レベルまで低減したとの結果を得ております。また、ロータリー耕の除染効果につきましては、国の試験研究機関で実施した試験では、除染後の牧草の放射性物質濃度が95%低減したとの結果を得たと聞いております。
 一方で、国からは、十分な除染効果を得るため適切な施工とするようにとの助言もございます。除染に当たりましては、耕起する深さなどの施工方法を周知徹底するほか、引き続き、国の除染技術の研究成果を入手するとともに、県の試験データ等も活用しながら、十分な除染効果が得られるよう必要な対応を講じていく考えでございます。
 次に、耕起不能地域での除染対策についてでございますが、機械施工の可否の判断につきましては、個別に現地を確認して、工法及びその面積を検討した上で、機械施工の範囲などを決定していくこととしておりまして、現在、現地確認の作業を進めている段階です。
 また、耕起による除染が困難な場合の対策につきましては、土壌pHの矯正による放射性セシウムの土壌吸着の促進や、土壌へのカリウム投入による牧草の放射性セシウム吸収抑制を検討してございますが、急傾斜地の牧草地の除染につきまして、国の農林水産技術会議が除染技術を検討してございます。平成24年度中に成果が出ると聞いておりますので、それらの知見も参考にしながら、耕起不能地域での除染対策を進めていく考えでございます。
 次に、畜産農家に対する支援策の拡充についてでありますが、除染作業に係る委託単価につきましては、畜産農家等の協力を得られるよう、作業現場ごとの状況に応じて弾力的に対応できる委託単価に見直ししたところでございます。
 また、農家等への機械貸与につきましては、県農業公社で必要な作業機械を確保し、農家等に貸与する方法や、作業機械を有する畜産農家、飼料生産を請け負うコントラクター組織に加えて建設業者等の協力を得て作業をする方法で順次着手してございます。
 また、除染工程表の策定作業に当たりましては、県では、策定の基本的な考え方を市町村、農協等に提示しておりまして、現在、地域の除染作業実施に際しての課題抽出や実施時期、面積の割り当てなど、地域ごとに工程表の作成を進めております。7月中旬には畜産農家に工程表を提示できるように取り組んでまいります。
〇18番(岩渕誠君) いずれ、この問題はこの秋が勝負です。どれだけ意欲があるうちに除染を進められるかというのが最大のポイントだと私は思います。工程表の前倒しにもこれはつながる話ですので、ぜひ条件を整えていただきたいと思います。
 牧草の問題では、管理と処分の問題も大きな課題であります。既に、一部は各戸管理の形で、汚染稲わらとか昨年の牧草を保管していますが、牧草でおよそ2万トン、稲わらで580トン余りとなっていますが、問題は、一時保管はおおむね3年をめどにするという国の方針どおりで終わるかどうかなんです。今、汚染牧草や汚染稲わらを保管するための施設ができて、汚染物質の見える化というのが地域では進んでいます。このことによっていろんな問題が出てきています。これをとにかく早くやってくれないと、農家と住民の間でまたいろんな問題が、感情的あつれきが出てきます。
 県は、汚染された牧草と一般ごみを一緒に焼く混合焼却の方向性を打ち出しております。このことについては一定の前進と受けとめますけれども、これはやはり住民合意が前提の話であります。現在、大東清掃センターで行われている試験焼却の解析結果と、何よりも県も市町村も一緒になって住民に説明をしていくということが大切と思いますが、どうやって住民合意を進めていくおつもりなのか、現時点で受け入れ可能な焼却施設はあるのかどうかも含めてお示しいただきたいと思います。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 汚染された牧草等の焼却処分の推進方策についてでございますが、現在、一関市の大東清掃センターで行われております焼却実証事業の昨年度の結果について、先般開催されました環境省の第13回災害廃棄物安全評価検討会におきまして、排ガス、排水、焼却灰、空間線量率のモニタリング結果すべてにおいて安全性が確認された旨、報告されているところでございます。
 処理に当たりましては、大東清掃センターでの先行事例を踏まえ、生活系ごみと混合焼却することで、焼却灰が8、000ベクレルを超えないよう管理するとともに、各種モニタリングと情報開示の仕組みをあわせて構築することにより、安全性が確保されているということについて住民に十分御理解をいただけるよう進めることとし、県といたしましても、市町村と十分連携しながら住民説明を行ってまいります。
 また、県では、既に県南広域振興局管内の一部市町との間で焼却処理に向けた勉強会を始めておりますが、参加市町からは、既存施設での焼却について一定の理解が得られているものと考えております。
〇18番(岩渕誠君) 受け入れに理解があるということは本当にありがたいことなんですが、一方で、一関市にもう一つある施設は非常に老朽化していまして、そのまま受け入れるということが非常にハードルが高い。事実上、これは難しいんじゃないかという声も出ています。これについては、国のほうが3月の末に今後の処理方針を示していますけれども、ポイントは、国が必要な最終処分場を確保する。その場合は、各都道府県内に集約する。その間、既存の施設で焼却できない場合は仮設焼却炉等を設置するとあります。
 しかし、私は、国が今もって最終処分の具体的な道筋を示していないということ、それから、8、000ベクレルを超える汚染廃棄物だけを対象としていて、それでは本当にわずかだと。県の中で2%にしかならない。国が責任を持たないと言っている8、000ベクレル以下の汚染廃棄物にも、この仮設焼却炉の部分まで広げていかないと意味がない。言っただけじゃ、単なるアリバイづくりじゃないかとも思ってしまいます。
 そもそも、汚染物質の処理を濃度で区分けをする、あれは大きいから県がやりなさい、これは大きいから国がやりなさいという話はちょっと理解に苦しみます。県も国も市も住民合意のために協力体制を整えて、8、000ベクレル以下の汚染物についても一体的に処理する方向性を具体的に進めるべきと思うんですが、県はどのような見解をお持ちでしょうか。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 廃棄物処分に係る国の方針についてでございますが、国は、先ほどお話がありましたとおり、8、000ベクレルを超える廃棄物については、指定廃棄物としてみずからの責任で処理する方針を示しておりますが、国が指定廃棄物を処理するための最終処分場でありますとか仮設焼却施設を設置しようとする場合、住民理解を得るまでには長時間を要するのではないかと考えております。
 また、8、000ベクレル以下の汚染廃棄物につきましては、国から、市町村が一般廃棄物として既存焼却施設で処理するとの方針が示されておりますが、具体的な方策や財政支援等については全く明らかにされていないところであります。
 御指摘のとおり、汚染廃棄物につきましては、国におきまして、汚染濃度にかかわらず一体として処理していくべきものと考えておりまして、国に対してこれまでも要望しているところでありますが、国の処理方針を待っていては課題解決にはつながらないという状況でありますことから、県独自の判断といたしまして、市町村等と連携し、既存焼却施設等を活用した処理を進めようとするものであります。
〇18番(岩渕誠君) 実は、私は、この汚染廃棄物の問題で心配をしているのは地域の信頼関係の破壊なんです。震災瓦れきの広域処理を進めるときの他県のあの状況、いろんなことを岩手の人は心に抱いたと思います。本当にありがたいなという一方で、いろんな反対運動が起こったことについては、どんなに悲しく、残念な思いをしたのか、あるいはそれ以上の思いを、感情を抱いた人もあったと思うんです。
 こうした感情が、今度は地域の中で起こるということが、これは最も避けなければならないことだと私は思っております。同じ被害者同士が、同じ岩手に住む人がいがみ合うという構図だけは絶対に避けなければならないと思っています。そのためには、やっぱり正しい知識、そして徹底した情報公開、住民と向き合う姿勢、こういったことをしっかりと取り組んでいく必要があると思うんですが、この問題の最後に、県の決意と認識を示していただきたいと思います。
〇環境生活部長(工藤孝男君) 汚染廃棄物処理の課題解決に向けた県の取り組み姿勢についてでございますが、住民合意を得ながら対策を進めていくためには、放射性物質と向き合い、正確な情報と正しい知識を県民と行政が共有することが重要であると認識しております。
 このため、県におきましては、独自にモニタリングポストを初めとする測定機器の整備や、水道水、農林水産物や食品等に含まれる放射性物質の濃度測定等を進め、その結果を迅速に県民等にお知らせしているところであります。
 また、県民の放射性物質に対する不安を軽減するため、県南地域を中心に、専門家による県民向けセミナーや出前講座の開催、リーフレットの作成、配布、いわてグラフなどによる各種広報などを積極的に実施しているところであります。
 放射性物質に汚染された廃棄物の処理につきましては、県と市町村が連携して取り組むべき重要な課題であると認識しておりまして、処理の安全性につきまして住民に対して丁寧な説明を行い、理解が得られるよう努めてまいります。
〇18番(岩渕誠君) これは、住民と市町村、県は敵対関係ではないんです。住民も何か解決したいと思っているんです。知恵も出したいと思っているんです。ぜひそういった意見も取り入れて、一緒にやっていく体制をつくっていただきたいと思います。
 次に、岩手国体についてお伺いします。
 岩手国体は、復興国体だということで、県民の期待も強いものがあると思っております。一方で、そもそも2巡目国体ということからして、昭和45年の国体とは違うところがあって当然であると思いますし、県民の願いにも変化があると思います。昭和45年の国体では、開催に合わせて社会資本整備が進んで、それに期待したというところが多かったと思います。しかし、今度の国体は、復興国体とはいえ、そうした社会資本整備の部分に期待するというのはちょっとまた別だろうと思っております。やはり地域の健康づくりなども含めたスポーツの力、そしてそれを支える県民の姿、これを主人公として開催に向けた取り組みが進められるべきではないかと思います。
 そこでお伺いいたしますが、知事が目指す新しい岩手型国体とは何か、改めて示していただきたいと思います。
 また、国体の時期になりますと、競技力向上という話がよく言われますけれども、残念なことに、自県開催が終わりますと、インターハイも国体も何年後かには定位置に戻るということで、いわゆる一時の夢といいますか、官製の競技力向上にとどまっているということなわけです。
 きょう、なでしこジャパンに岩清水梓さんが選ばれたそうであります。活躍を期待するわけでありますけれども、オリンピックなど、岩手からも世界を相手に戦っている若者たちに期待するというのは県民多くの願いだと思います。この前の八重樫東選手のボクシングに感動した方は多かったと思います。そうした点から、岩手のスポーツを支える仕組みづくりも新しい岩手型国体のテーマの一つになるんじゃないかと思うんですが、この際、スポーツの強化部分に対するソフト面での県民基金を創設して、国体はもちろんですけれども、世界に通用する岩手の若者の可能性を長く、広く県民で支えていくことも心の復興につながるのではないかと私は思うんですが、御所見を伺います。
〇知事(達増拓也君) 新しい岩手型国体についてでありますが、昨年の東日本大震災津波の発災以降、多くのトップアスリートの皆さんによる被災地の子供たちへの指導、地域の方々との交流は、子供たちはもちろんですが、大人たちにも大きな勇気と希望を与え、スポーツの持つ力を改めて感じさせるものでした。
 このため、県民の健康づくりと地域の一体感や活力の醸成を図り、すべての県民にとって復興の力となるような国体を目指すとともに、平成28年の国体の開催を通じて、これまで御支援をいただいた全国の方々に県を挙げて感謝の意を表し、復興に向けて着実に進む本県の姿を見ていただく機会にしたいと考えております。
 また、競技施設は既存の施設を最大限活用するとともに、運営全般にわたり県民や企業、団体などさまざまな人や団体が参画し、それぞれの役割を主体的に果たしていただくような、まさに県民の総力を結集して夢と感動を与え、復興のシンボルとなる国体を目指していきたいと考えます。
〇教育長(菅野洋樹君) 岩手のスポーツを支える基金の創設についてでありますが、お話のありましたとおり、岩手県出身選手がオリンピックを初めとする国際大会で活躍する、また、平成28年の本県開催の国民体育大会において県選手団が活躍するといったことは県民にとって大きな喜びでもありますし、子供たちに夢と感動を与えると思っております。
 議員御指摘のとおり、国体開催を契機として、競技力向上、県民のスポーツに対する機運の盛り上がりといったものが一過性に終わることがなく、末永く続く必要があるだろうと。このために、国体終了後も、引き続き岩手のスポーツ振興につながっていくような関係事業を行ってまいりたいと考えております。そのために必要な強化事業等に係る財源確保、人的配置につきましては、県民、企業、団体等との協働を基本として進めていきたいと考えておりますが、県民基金につきましては、県民の皆様の、スポーツをみんなで支えようという機運の醸成が重要と考えておりますので、そうした機運の醸成に努めつつ、その動向も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。
〇18番(岩渕誠君) ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思います。
 ここからはちょっと駆け足になりますが、残りの課題について伺ってまいります。
 まず、平泉の世界遺産登録について伺います。
 本当にありがたいことに世界遺産になりましたが、世界遺産にまだなっていないところがあります。追加登録というのが控えております。今年度中にさまざまな作業を進めると伺っていますが、追加登録に向けた見通しと現状での課題についてお示しいただきたいと思います。
 この問題では、私も昨年6月議会で、やはり平泉文化に対する理解をさらに深めることが肝要だということで、平泉の日をぜひ制定してほしいということをお話しさせていただきましたが、ぜひ踏み込んだ答弁をお聞かせいただきたいと思います。
〇政策地域部長(中村一郎君) 平泉の日の制定についてでございますが、県では、昨年の世界遺産登録から1年が経過いたしました本年6月を世界遺産登録1周年記念月間といたしまして、平泉の価値及び理念をより多くの方々に知っていただくため、地元の自治体や関係団体と連携しながら、平泉ウォークでありますとか平泉福興祭などを実施してきたところでございます。県民の平泉文化に対する理解と関心を深めていくためには、多様な関係者が、6月29日の登録日を中心に、さまざまな情報発信やイベント等世界遺産平泉の持つ価値を県民が認識し、次の世代へ継承するための取り組みを継続的に行っていくことが何よりも重要であると考えております。
 平泉の日の制定につきまして、昨年、議員から御提案いただいて以降、関係者の方々から御意見を伺ったところ、基本的には異論は示されなかったものの、昨年の大震災津波の発災日である3月11日との均衡も考慮すべきではないかとの意見も出されたところでございます。平泉の日の制定につきましては、地元自治体を初めとする関係者の主体的な認識と取り組みが重要でありますことから、これからの状況も見きわめながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えてございます。
〇教育長(菅野洋樹君) いわゆる追加登録についてでありますが、追加登録に当たりましては、新規登録と同様に、まず暫定リストに登載される必要がございます。県におきましては、リストへの早期登載に向けまして、専門家による拡張登録検討委員会において、追加する資産の価値の骨子や評価の基準などについて検討を行ってきたところでありますが、国におきましても、早期に暫定リストに登載できるよう事務を進めていただいていると承知しております。
 今後、暫定リストへの登載を受けて、追加登録を目指す五つの資産について、例えば、課題とされております浄土とのかかわりを学問的に明らかにするために、さらに計画的な調査研究を進め、また、国内外の専門家等の意見を聞きつつ、国及び関係市町と連携を図りながら、追加登録に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
〇18番(岩渕誠君) 平泉では、やはり観光の面で今後まさに正念場ということになると思います。登録後1年からは大体ほかのところも下がっているんです。これに対してどのような対策を打っていくおつもりなのか。
 私は、いろんな対策はあると思うんですが、一つは、来年の秋に登録を目指している和食の世界遺産という無形遺産ですけれども、これが非常に大きな役割を果たすのではないかと考えております。観光の面でも、食の側面から見た被災地の復興という観点からも、県として積極的に取り組むべきものと思いますけれども、見解をお聞かせください。
〇商工労働観光部長(橋本良隆君) 世界遺産登録後の観光客の減少対策についてでございますが、世界遺産登録効果を維持拡大するためには、平泉と本県のさまざまな観光資源とを組み合わせた旅行ルートの定番化を図ることにより、リピーターを確保していくことが肝要と認識しております。このため、いわてデスティネーションキャンペーンにおきましては、平泉と各地の観光資源とを組み合わせた旅行商品や、平泉と各地とを結ぶ二次交通を充実させてきたところでございます。
 今後は、ポストデスティネーションキャンペーンとして、夏季を中心とした中長期滞在旅行の企業等へのセールスの展開、首都圏や仙台圏を主なターゲットとしたポスター、ガイドブックや、さまざまな広告媒体の活用などによる宣伝キャンペーンの展開、さらにはマスコミなどを対象としたモニターツアーの実施によるPRの強化などに取り組み、来年3月まで開催中の東北観光博や、来年度開催される仙台・宮城デスティネーションキャンペーン、秋田デスティネーションキャンペーンとの相乗効果も図りながら、平泉と県内各地への誘客の強化、リピーターの確保に努めてまいります。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 日本食文化の世界無形文化遺産登録に向けた取り組みについてでございますが、国は現在、日本食の文化、和食;日本人の伝統的な食文化の平成25年秋の世界遺産登録を目指して取り組みを進めておりますが、この提案書の中では、地域での郷土料理の知識や技術の伝承に取り組む活動も取り上げて、日本の食文化を構成する重要な要素と位置づけております。本県でも、県南のもち、県北の雑穀、沿岸の海産物など、地域の素材を生かした食文化がはぐくまれてきましたが、県は、食の匠の認定制度などを通じて、このような食文化の伝承や地域に広める取り組みを支援してまいりました。
 日本の食文化の世界遺産登録は、和牛や雑穀を初めとする特色のある農林水産物を有する本県にとりまして有益と考えており、引き続き、地域の食文化の伝承などの取り組みを支援して活発化を図っていく考えであります。
〇18番(岩渕誠君) 食の世界遺産については、もっと国としっかりとコンタクトをとってやっていただきたいと思います。
 質問の最後に、津波、地震以外の災害対策について伺います。
 まず、先月初めに発生したひょうによる果樹被害については、迅速に対応していただきました。ありがとうございます。現在、防除や樹勢回復などの具体策を検討していただいていることに感謝を申し上げたいと思います。一関市内のリンゴ畑の4分の1がほぼ壊滅という状況ですので、引き続き支援のほう、指導のほうをよろしくお願いしたいと思います。
 この問題では、やはり異常気象に対応した備えがなかなか共済制度だけでは難しいということで、行政としても異常気象に対応した災害対策の拡充も必要かと思います。お考えをお示しいただきたいと思います。
〇農林水産部長(東大野潤一君) 降ひょう等の異常気象による被害対策についてでありますが、県といたしましては、これまでも農作物やハウス等を対象とした共済制度への加入を促進するとともに、共済制度の対象とならない被害の軽減回復、拡大防止対策といたしまして、県単独事業の農作物災害復旧対策事業により、緊急病害虫防除や生育回復対策などの実施を支援してまいりました。これに加えて、技術指導の徹底や被害農作物の販売支援などの被害農家支援に取り組んでございますが、さらに、今年度、国が創設いたしました生産施設の復旧等を支援する被災農業者向け経営体育成支援事業の対象の拡大等を国に要請するなど、被害対策が充実するように努めてまいります。
〇18番(岩渕誠君) 現在の共済制度の大変なところは、産地化したところはいいんですよ。産地化を目指すところが、なかなか共済の網にかからないということが問題です。しかし、そこをしっかりとフォローするような形で研究をしていただきたいと思います。
 最後です。北上川の洪水対策も、私の地元では大変大きな課題であります。きのうも実は水防訓練が一関市では行われております。遊水地内の小堤、あるいは磐井川堤防の改修等に加えて、堤防のない下流部分でも対策が進み始めました。一関市内の遊水地内の対策が進みますと、旧川崎村、藤沢町、花泉町の一部流域は、実は洪水時には80センチ水位が上昇し、危険が増大をするという地域があります。狭隘地区と言われるところです。これらは家屋の移転や輪中堤の建設に向けて、今年度に入って大きく進みました。これらの対策は、今、国が中心に行われているんですが、実はそれ以外のところは県がやらなければならないところがいっぱいあるんですね。現在示されている国の対策、これは前倒しで。進んでいく予定であります。残りの地域の浸水対策は県道のかさ上げ、あるいは県管理河川の逆流対策、内水対策が必要になってくると思います。
 川崎村の助役だった県土整備部長、事情がよくわかると思います。前向きの答弁をお願いしたいと思います。
〇県土整備部長(若林治男君) 北上川の遊水地以南の狭隘部の治水対策でありますけれども、国では、狭隘地区の治水対策事業によりまして、砂鉄川合流点から宮城県境まで約16キロにつきまして平成23年度から事業に着手していまして、30年代の完成を目標にしていくと聞いています。過去の洪水により、床上浸水が発生した小日形だとかを優先的に整備すると聞いていますし、その工法では輪中堤とか家屋移転を中心に進めると聞いています。
 当該区間に流れ込む県管理河川、金流川等があるわけですが、近年では平成14年7月、平成19年9月に浸水被害がございます。できれば国に事業をやってちょうだいとお願いをしたいところでありますが、必要に応じまして、県においても浸水対策の検討を行っていきたいと思っております。
 一方、一般県道の東和薄衣線でありますが、国や地域と十分な協議を進めながら、国の治水対策事業実施に伴い必要とされるさまざまな対応が出てきます。これを道路で上げればいいのか、いろんな手法がございますので、これは総合的に判断していきたいと考えております。
〇議長(佐々木博君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時55分 散 会

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