平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 チリ大地震津波による水産被害の復旧、復興支援策として2億2、799万円余の補正予算が提案されました。この提案を評価するものであります。
 その具体的な内容と今後の対策について質問します。
 第1に、養殖施設の復旧支援として強い水産業づくり交付金が1億2、510万円計上されています。これは、事業費500万円以上の災害に強い新たな養殖施設の整備、その経費の2分の1を助成しようとするものであります。対象施設数は概算でどう試算されているでしょうか。また、これは共同管理の施設が対象となりますが、共同管理と個人の施設は現状ではどうなっているでしょうか。
 陸前高田市では、平成15年の災害のときには独自に2割上乗せ助成をした例があります。通常でも1割の上乗せを行っています。市町村の状況を把握しているでしょうか。県としても上乗せ助成をすべきではないでしょうか。
 第2に、事業費500万円以下の施設の場合は、県単独事業の地域営漁計画推進特別対策事業費補助5、569万円が計上されています。この対象施設数はどうなっているでしょうか。この場合も共同管理が対象となるのでしょうか。
 第3に、被害資材の廃棄処分に対する支援が3、892万円余となっています。補助率が3分の1であります。これは、海上での廃棄物引き揚げ等の取り組みも対象になるのでしょうか。
 第4に、種苗確保に対する支援として837万円余が計上されています。ホタテ、カキ等の種苗の必要な確保量と額はそれぞれどうなっているでしょうか。
 第5に、激甚災害指定の見通しもあるようであります。激甚災害指定の場合、個人の施設被害も対象となると思いますが、激甚被害指定の場合の対象と支援策はどうなるでしょうか。また、その際の被害査定は、減価償却される被害額となるのでしょうか。
 第6に、ホヤやエゾイシカゲガイなどの共済の対象となっていない水産物や種苗への対応はどうなるでしょうか。今後の問題として、共済の対象となるよう国に対しても取り組むべきと考えますがいかがでしょうか。
 第7に、経営資金、生活資金の問題でありますが、農林漁業セーフティネット資金は、金利が0.8%から1.05%となっていますが、貸付限度額が原則300万円となっています。宮城県では、県の融資制度の水産業災害対策資金を県と市町村が各1%、県漁協が0.95%補助して無利子にして、限度額1、000万円、融資枠10億円の資金を検討していると報道されています。岩手県としても、宮城県に負けない対策を講じるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、答弁によっては再質問させていただきます。
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、助成対象施設数についてですが、大破や滅失など大きな被害を受け新規整備が必要となる養殖施設数約1、500台を助成対象と考えており、国の強い水産業づくり交付金による整備を基本としながら、国の採択いかんを勘案し、県単独事業により整備することとしております。
 次に、共同管理施設と個人施設の現状についてですが、共同管理施設と個人施設の数は、現在精査中でございますが、今般の補正予算により、現在個人施設であっても、漁協が共同利用施設として整備するものであれば補助の対象とする方向で、地元の御要望も踏まえ、必要に応じ弾力的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、市町村の上乗せ補助の状況についてですが、強い水産業づくり交付金や県単補助金における過去3カ年程度の被災市町のかさ上げ補助は5%から10%程度となっております。今般の津波被害における養殖施設整備へのかさ上げ補助については、最終的には明確な形では聞いていないところであります。
 また、県の上乗せ助成ですが、県単独事業の補助率については、平成15年の暴風雨、波浪被害や十勝沖地震津波など過去の津波対策や、平成20年岩手・宮城内陸地震による農地、農業用施設への被害対策などを総合的に勘案して決定したところであります。
 次に、県単独事業の対象施設ですが、県単独事業である地域営漁計画推進特別対策事業についても、漁協が行う共同利用施設の整備が対象となるものであります。
 次に、海上での廃棄物引き揚げ等の取り組みについてですが、被災した養殖資材、水産物の撤去、処分費用の補助対象には、工事用の作業台船による撤去費用も含まれているところであります。
 次に、ホタテ、カキ等の種苗の必要な量と額についてですが、養殖施設のうちで被害の大きい滅失、大破の施設全体について、カキ、ホタテを対象に必要な種苗数と金額を試算したものでは、カキ、ホタテ合わせて380万個、金額にして2、500万円余と見込まれているところであります。
 今後、被災した養殖施設の復旧状況や施設利用を見ながら、必要な種苗数が明らかとなってきた段階で、さらに必要な対応を検討してまいります。
 次に、激甚災害指定についてですが、激甚災害の対象施設は、個人施設と共同利用施設とに区分されますが、今回の激甚災の指定では、被災規模の大きい宮城県において個人施設が多いことから、指定される場合は個人施設が対象になると見込まれており、施設復旧費の9割が補助されます。過去の事例では、対象施設は市町村ごと、養殖種目ごとに指定され、復旧経費は、被災した施設の経過年数を加味して算出されていますが、現在、国において具体的な取り扱いが検討されているところであります。
 次に、ホヤやエゾイシカゲガイなどの共済の対象となっていない水産物や種苗への対応についてですが、ホヤについては、水産技術センターが人工的に種苗生産できる技術を確立したことから、この普及指導を通して必要な種苗の確保に努めることとしており、普及の状況等を見ながら、必要に応じ対応を検討してまいります。
 また、エゾイシカゲガイの種苗の確保については、天然の種苗を自前で採取するものなので、補助対象からは除かせていただいたところであります。
 現在、ホヤやエゾイシカゲガイについては共済の対象となっておりませんが、養殖対象種として生産の向上が見られることから、今後、漁業共済組合と連携しながら、国への働きかけなどについて検討してまいります。
 次に、経営資金、生活資金についてですが、被災した漁業者が利用できる低利の制度資金として、農林漁業セーフティネット資金、農林漁業施設資金、漁業近代化資金などがあり、また、系統団体でも津波対策資金を創設しており、緊急に資金が必要な場合は、これらの資金の活用を促進しております。
 また、災害個々に対してきめ細かな対応を図るため、現在、系統団体が資金需要の調査を行っております。この調査は、4月までかかるものと見込まれておりますが、調査結果を踏まえて、既存の制度資金での対応が難しく、これを超えた支援が必要な場合は、新たな対応を含め適切に対応してまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) それでは、ちょっと再質問させていただきます。
 まず、知事に、知事も現地の災害調査を行って、漁民をお見舞いすると同時に激励もしてきたと思いますが、知事自身が災害の現場を見て、漁民の訴えも聞いて、この復旧対策にどう取り組もうとしているか、まず、知事の今後の姿勢といいますか、それをお聞きしたいと思います。
 二つ目に、農林水産部長にお聞きしますが、実は、今、沿岸市町村で取り組んでいる課題の一つに、養殖施設の復旧に対して5割、大船渡は6割補助すると。これは、いわゆる使える養殖施設を復旧する、それへの支援なんですね。
 新しい施設をつくるのは強い水産業づくり交付金が対象になります。しかし、一定程度、かなりの程度復旧して使える養殖施設があるわけです。地元沿岸市町村は、直ちに復旧させるということでそういう手だてをとったのですが、私は、こういう養殖施設の復旧に対しても県が何らかの対策を講じる必要があるのではないか、このように考えますが、いかがでしょうか。
 それと、ホヤとエゾイシカゲガイの問題なんですけれども、これは本当に全滅に近いんですね。そして共済がないと。エゾイシカゲガイの場合には、まさに高級品種で、ことし1億円の水揚げをいわば見込んでいたんですよ。それが全滅に近い被害を受けたというので、私は本当にこの被害、打撃というのは大変大きなものがあると思いますが、せっかく新しい養殖の品種として開発して、ここまで持ってきた。これが災害によって何の共済の対象にもならないと。私は、これからまた取り組むことにはなっても、こういうところにこそ、やっぱり県が何らかの支援策を講じてもいいのではないかと。
 共済の対象にするという点では、国会でも前向きの答弁がされていますので、いわばその他の少量水産物などを組み合わせて共済ができないか、今後検討しなければならない大きな課題だという形で、これはぜひ、その他の水産物もあると思いますけれども、早期に実らせていくように県としても努力していただきたい。
 実は、平成15年のあのときも地震災害でありましたけれども、もう本当に5年置きぐらいにこういう災害を受けているわけですよ。今回の被害というのは、まさにその痛みがなくなって、いよいよこれから利益が自分の懐に入ってくるというときに、また被害を受けた。私は、そういうサイクルというのは、今後も余り変わらないのではないかと思うんですね。それだけに、やっぱりしっかりしたセーフティネットを確立していくことが必要ではないか。
 私は最後に融資の問題、宮城県の例もリアルに紹介いたしました。宮城県の場合には、最初から水産業災害対策資金というものがあって、それについて2.95%なんだけれども、県や市町村が1%ずつ、漁協も0.95%出して無利子にすると。やっぱり1、000万円が上限だというのが使いやすいんですよ。水産業の場合に、200万円、300万円では、それだけでは何ともならない。私はそういう意味でいくと、せっかく隣の宮城県でこういう制度があるわけですから、今回、緊急にでも漁協とも協議もしながら、宮城県に負けない対策を講じる必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 今般の津波に関しては、養殖業という岩手県の水産業の多くを占める分野について、岩手県は非常に広範にわたって大きな被害がもたらされたこと、岩手県全体にとって、すべての県民にとって、今回の災害は大きなダメージだったと思っております。
 そして、漁業者の方々は、高齢化が進んでいる一方、沿岸地方、今の経済社会情勢の中で、暮らしや仕事がかなりきつい中での今回の被害ということで、対応を誤れば、漁業者が希望を失って、また沿岸全体の希望も大きく失われてしまう、そういう状況の中で、県としては、養殖に携わる皆さんが、それぞれ希望を持って先に進んでいけるような対策を講じる必要があると感じたところであります。
〇農林水産部長(瀬川純君) 養殖施設の復旧につきましては、市町村や関係団体の御要望等を受けながら検討し、災害に強い施設整備、それも、激甚災よりも早期に対応できるのではないかということで、まずはそういった交付金の形で国に要望を行ったところでありまして、またその後、激甚災の指定が視野に入ってきたことから、そちらのほうの要望も追って行わせていただいたところでございます。
 今、御指摘のような養殖施設の復旧的なものの必要性につきましては、これはまた、市町村や地元の御要望を、よく状況をお聞きしながら、どういった形が適当なのか考えてまいりたいと思います。
 それから、ホヤやエゾイシカゲガイの関係でございますが、現状では共済の対象としては制度上難しいということでございますが、今後、例えば激甚災の指定の中で、魚種として指定にならないかとか、そういったようなことも見ながら、あるいは、今、御紹介いただきましたような国の動向も見ながら、検討してまいりたいと思います。
 それから、宮城県のような資金を事前に用意するような考え方もあろうかと思いますが、本県では、従来、災害個々に対してきめ細かく対応するということで今回のような形になっておりますが、あらかじめそうした資金を事前に用意するような方法が適当かどうかということにつきましては、今後の課題として検討させていただきたいと思います。
〇議長(佐々木一榮君) これをもって質疑を終結いたします。
 次に、ただいま議題となっております議案第73号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第1号)は、お手元に配付いたしてあります委員会付託区分表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
〔参照〕
委員会付託区分表
(第15回県議会定例会 平成22年3月24日)
総務委員会
1 議案第73号中
   第1条第1項
   第1条第2項第1表中
    歳入 各款
農林水産委員会
1 議案第73号中
   第1条第2項第1表中
    歳出 第6款
〇議長(佐々木一榮君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時59分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 雪 文 君
22  番 嵯 峨 壱 朗 君
23  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
36  番 柳 村 岩 見 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時12分 再開
〇議長(佐々木一榮君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
   報 告
〇議長(佐々木一榮君) 総務委員長及び農林水産委員長から、それぞれ委員会報告書が提出されておりますが、後刻詳細に報告を求めますので、朗読を省略いたします。
 日程第33 議案第21号岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例から日程第45 請願陳情まで(続)
〇議長(佐々木一榮君) 日程第33、議案第21号から日程第45、請願陳情までの議事を継続いたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。関根総務委員長。
   〔総務委員長関根敏伸君登壇〕

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