平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 議案第1号、第13号に反対の討論を行います。
 議案第1号は2010年度岩手県一般会計予算であります。
 来年度予算は、昨年8月に行われた総選挙による政権交代が行われて編成された初めての県予算であります。多くの県民は、雇用と福祉など、県民の暮らしを守る県政の転換を強く求めていました。しかし、示された県予算案は、本会議と予算特別委員会での論戦で明らかにしたように、従来型の自民党政治追随の県政を変えるものはほとんどありませんでした。
 反対する第1の理由は、最も切実な課題となっている雇用対策、中小企業対策が極めて不十分なものとなっていることであります。
 昨年1年間の県内の有効求人倍率は0.34倍で、史上最悪となり、一昨年10月以降の事業主都合の離職者は4万5、014人に及んでいます。一方で、ことし1月の雇用保険受給者は8、841人となっています。失業の長期化のもとで、生活の危機に直面しています。ところが、県の雇用対策は産業振興で1、022人、基金事業で短期雇用の2、497人を含め3、120人、合計4、142人の雇用創出にとどまっています。
 3兆5、000億円余の巨額な内部留保をため込みながら工場閉鎖を強行し、870人の首切りを進めたソニー、6、600億円の内部留保をため込みながら1、130人の再配置という首切りを進めている富士通、1、000億円余の内部留保に手をつけず、800人余の期間工と派遣工を雇いどめした関東自動車など、雇用破壊の先陣を切った誘致企業の責任は重大であります。自動車産業と半導体産業の誘致を進め、産業の柱として推進してきた県の責任は重大であり、誘致大企業の雇用と地域経済を守る社会的責任を強く求めるべきであります。
 また、鳩山政権による北上コンピュータ・アカデミーと四つの地域職業訓練センターの理不尽な配置計画に対して、達増知事がいち早く、廃止を容認する譲渡条件の申し入れを行ったことも大問題であります。
 労働者派遣法の改正は、雇用破壊の要因となっている使い捨て派遣労働を是正する重大問題でありますが、短期の雇用でも、1年を超える雇用であれば常用雇用として製造業への派遣禁止の例外とし、登録型派遣についても、専門26業務を例外としていることは全く実効性がない欠陥法案となりかねません。こうした課題について全く政府に物が言えない県の姿勢も問題であります。
 県内の中小企業は、事業所数の99.8%、従業員数の89%を占めています。ところが、赤字の企業が68.1%、中小企業対策の予算が融資を除けばわずか39億円では、地域経済も雇用も守れないことは明らかであります。抜本的な増額と対策の強化を求めるものであります。
 反対する第2の理由は、歴代自民党政治の社会保障削減路線からの転換が図られず、医療、福祉、介護切り捨ての県政が続いていることであります。
 県内市町村の国保税は、所得300万円で40万円を超える異常に高いものとなっています。滞納者が15.5%と加入世帯の7世帯に1世帯を超え3万3、500世帯となっています。滞納者から保険証を取り上げる資格証明書の発行は、2月現在、25市町村で1、267世帯、短期保険証のとめ置きは18市町村で1、562世帯もありました。その後、981世帯に交付されていますが、金の切れ目が命の切れ目と言うべき実態であります。特養ホームの待機者も毎年増加し5、539人に達し、在宅で早急に入所させるべき高齢者が1、022人となっていることも重大であります。さらに、低所得者向けの従来型の多床室が、この間375床も減少していることも問題であります。居宅サービス利用量は全国最低です。保険あって介護なしの実態を打開すべきであります。
 反対する第3の理由は、岩手県の基幹産業である農林水産業の対策が極めて弱いことであります。それは、県の予算全体が増額となる中で、農林水産業の予算は6.1%、41億8、600万円余減額となっていることに象徴的にあらわれています。当面、チリ地震津波による漁業被害に対して、本日提出される補正予算だけでなく、きめ細かな抜本的な対策をさらに講じるよう求めるものであります。農業、漁業、林業を基幹産業にふさわしく、粗生産額が確実に拡大され再生産が保証される対策を講じるべきであります。
 反対する第4の理由は、行き詰まりと破綻が明らかな競走主義と市場原理主義に固執した教育の問題であります。
 学力テストが抽出調査になったものの、72.5%の学校が来年度も参加するということは、競争主義とテスト漬けから抜け出せないことを示すものであります。目標達成型の学校経営は、学校と教育に市場原理を導入するもので、人事考課と一体となった検証は、管理主義を一層強め、教師の多忙化をさらに深刻にして、教育の自由を奪うものになりかねません。
 国の就学支援金制度で私立高校の授業料が軽減されます。ところが、県はこれまでの授業料減免のための予算を8、130万円、84%も削減しました。これは全国ワースト4位であります。削減ではなく、授業料のさらなる軽減のために活用すべきであります。
 反対する第5の理由は、簗川ダムや津付ダム、花巻空港整備事業など、無駄と浪費の大型公共事業に固執して推進しようとしていることであります。
 民主党中心の鳩山政権が、コンクリートから人へのスローガンのもと、不要不急のダムや大型公共事業を見直しているときに、達増県政は、本来、率先してダム事業の見直しに取り組むべきであります。見直しに取り組めない背景には、小沢流の利権政治があるのではないでしょうか。
 議案第13号は、2010年度岩手県立病院等事業会計予算であります。地域医療の確保と県民の命と健康を守るために献身的に取り組んでいる医師、看護師など、医療関係者の皆さんに心から敬意を表するものであります。しかし、県立病院のあり方については、医師不足とともに、昨年、有床診療所の無床化が強行されるなど、重大な問題が少なくありません。
 第1に、県立病院の新しい経営計画に基づく無床化と民間移管の強行路線が行き詰まっていることであります。特に、花泉地域診療センターの無床化強行に続く民間移管の強行は、59年続いた県立の医療機関を廃止するものであり、異常で無謀なものでありました。わずか26日間の公募は、手を挙げていた民間医療法人に決めるための手法でありました。しかし、この民間医療法人は、今日に至るまで医師確保の具体的な見通しもなく、県民と県議会、医療局を欺いてきました。本来、この申請は却下すべきであります。もしこのまま開業しても、10年どころか1年も継続が難しいのではないでしょうか。
 県が無床化を強行した地域についても、命を脅かす深刻な事態が引き起こされており、関係市町村、地域住民とともに、今後の地域医療の確保と医療、介護、福祉の連携に県医療局も責任を果たすべきであります。
 第2に、無床化を強行しても、医師不足と医師の退職に歯どめがかかっていないことであります。今必要なことは、高度医療から地域医療までのネットワークを守り、県下にあまねく医療の均てんを目指してきた県立病院の理念を高く掲げて、そこに魂を込めてこそ、県立病院の魅力を高めることができるということです。そのために、地域医療を守る医師と地域住民との協力、協働を本格的に強化すべきであります。
 第3に、深刻な看護師不足を解決すべきであります。看護師不足の中で7対1の看護体制を進めたために、9日夜勤が広がっています。患者と医療の安全のためにも看護師の大幅な増員に取り組むべきであります。
 第4に、県立沼宮内病院については、病院存続を求める岩手町と地域住民の強い願いにこたえ、検診体制への医療支援などを具体化し、地域医療を守る取り組みを支援すべきであります。機械的に無床化を強行すべきではありません。
 議案第12号は、2010年度岩手県港湾整備事業特別会計予算であります。貨物取扱量が計画から大きく乖離していても、過大な港湾整備事業だけは計画どおり進められており、抜本的に見直しを図るべきであります。
 議案第15号は、2010年度岩手県工業用水道事業会計予算であります。巨額な内部留保を持ちながら、派遣切り、期間工切りを大規模に進めてきた誘致企業に対しても料金の軽減を行うことは、県民の理解が得られないものであります。
 議案第16号から第19号は、県の行う公共事業について、関係市町村に経費の一部を負担させるものであり、負担のあり方を含め見直しが求められているものであります。
 以上申し上げまして反対討論といたします。御清聴ありがとうございました。
〇議長(佐々木一榮君) 以上で通告による討論は終わりました。
 これをもって討論を終結いたします。
 これより議案第1号、議案第12号、議案第13号及び議案第15号から議案第19号までを一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立多数であります。よって、議案第1号、議案第12号、議案第13号及び議案第15号から議案第19号までは、委員長の報告のとおり決定いたしました。
 次に、議案第2号から議案第11号まで、議案第14号、議案第20号、議案第24号から議案第28号まで、議案第30号から議案第34号まで、議案第68号及び議案第69号を一括して採決いたします。
 各案件は、委員長の報告のとおり決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
〇議長(佐々木一榮君) 起立全員であります。よって、議案第2号から議案第11号まで、議案第14号、議案第20号、議案第24号から議案第28号まで、議案第30号から議案第34号まで、議案第68号及び議案第69号は、委員長の報告のとおり決定いたしました。
   日程第33 議案第21号岩手県の事務を市町村が処理することとする事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例から日程第45 請願陳情まで
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第33、議案第21号から日程第45、請願陳情までを一括議題といたします。
 議案第73号平成22年度岩手県一般会計補正予算(第1号)について提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 本日提案いたしました案件について御説明いたします。
 議案第73号は、平成22年度岩手県一般会計補正予算(第1号)であります。これは、先般のチリ地震津波による養殖施設等の水産被害の復旧、復興のための緊急支援に要する経費について補正しようとするものでございます。補正額は2億2、700万円余の増額補正であります。
 補正の内容は、強い水産業づくり交付金1億2、500万円余、地域営漁計画推進特別対策事業費補助1億200万円余であります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木一榮君) これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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