平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇38番(斉藤信君) 日本共産党の斉藤信でございます。
 昨日23日、公正取引委員会が、県内建設業91社のうち審判を継続していた80社に対して、談合を認定する審決を出しました。
 審決によると、80社は、2001年4月1日以降、県内に本店を置く業者のみ参加資格を持つ県発注工事で、受注調整したと認定されています。
 昨年10月に示された審決案では、91社は、01年4月から04年10月にかけて、県発注工事118件、総額168億円について受注調整をした。親睦団体トラスト・メンバーズ─これは組織がえを経てその後解散をされていますが、これを構成し、過去の施工実績との継続性や関連性などを考慮し、受注予定者を決めていたとされています。
 そこで知事に質問します。
 91社による県発注の工事で、談合が認定されたことは極めて重大なことです。このことをどう受けとめているでしょうか。また、知事として、今回の談合認定と審決に対して、従来の枠を超えた対応を検討しているのでしょうか。さらに、これまでに私が県議会でも繰り返し指摘してきた県発注工事に対する小沢事務所による天の声による談合疑惑についても、徹底して調査すべきではないでしょうか。
 宮舘副知事に質問します。
 一番心配される問題は、これまで91社の下請や関連会社として働いてきた建設労働者の雇用確保の問題です。県建設労働組合連合会などからの要望も出されていますが、建設労働者の雇用確保と地域経済対策をどう検討しているのでしょうか。既に市町村で効果を上げている住宅リフォーム助成などの具体的で実効性のある対策を講じるべきではないでしょうか。
 総務部長にお聞きします。
 第1に、91社の現状をどう把握しているでしょうか。倒産や赤字などの状況を示していただきたい。A級建設業者の状況と最近の発注額はどうでしょうか。
 第2に、91社の談合への関与をどう把握しているでしょうか。
 第3に、10%の賠償金の対象業者、1社当たりの賠償金とその総額はどうなるでしょうか。
 第4に、現状では、県の指名停止等、措置基準を見直す環境にはないと考えられますが、市町村は自主的に判断できる問題ではないでしょうか。県内市町村の動向をどう把握しているでしょうか。
 以上ですが、答弁によっては再質問をいたします。
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 斉藤信議員の御質問にお答え申し上げます。
 審決に対する受けとめでありますが、マスコミにより報道されているとおりに、80社の談合を認めるものであると関係者から聞いているところでありますが、違法行為を認める審決が出たとすれば、極めて遺憾なことであります。審決に対しては、公正取引委員会の公表資料によって、その内容等を十分に確認した上で、適時適切に対応してまいります。
 御指摘の談合疑惑については、議員が指摘されている事業については、適正な入札、発注が行われたと承知しております。
 その他のお尋ねにつきましては、副知事及び関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔副知事宮舘壽喜君登壇〕
〇副知事(宮舘壽喜君) 本事案は、本県にとって非常に大きな問題であるというふうに認識しております。審決を受けた企業に対し、県としてどのような措置を行うことになるかは、審決の内容をよく把握した上で検討することとしております。現時点で、その影響を予測することや、影響があった場合の具体的対応について示すことは困難でありますが、近く開催する予定の公正取引委員会排除勧告に関する対策会議を通じまして、関係部局が連携しながら、県民生活への影響が生じないように、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) まず、91社の現状についてでございますが、91社のうち、これまで倒産等によりまして実質的に経営破綻した事業者は、14社あると把握しているところでございます。
 また、これらの受注実績についてでございますが、平成20年度について申し上げますと163億円余、全体の29%を占めているところでございます。
 91社の談合への関与についてでございますが、今回の事案につきましては、公正取引委員会が立入調査等により談合の関与を判断しているものでございます。今後示されます具体的な審判事実の中で、どのような事実認定を行い、どのような評価を公正取引委員会が行ったかというものが明らかになると存じますので、その中で適切に県としても対応してまいりたいと考えてございます。
 それから、1社当たりのいわゆる賠償金とその総額についてでございますが、これは契約約款によりまして10%の損害賠償金を県に納付しなければならないこととされてございます。個別の工事での談合の認定につきましては、公正取引委員会における課徴金納付命令により明らかになるものでございまして、現時点で県の賠償金を算定することは困難でございますので、御理解をいただきたいと思います。
 それから、市町村との関係でございます。入札事務はそれぞれの団体別の固有事務でございまして、各市町村のいわゆる自治事務とされてございます。審決の結果への対応も含め、各市町村で判断すべき事項でございますが、先ほど申し上げましたとおり、市町村から御相談等があった場合につきましては、情報提供等適切に対応してまいりたいと考えております。
〇38番(斉藤信君) では、再質問をさせていただきます。
 今回の91社の談合事件での審決というのは、岩手県の公正な入札を阻害した極めて重大な事件であり、同時に、県内の雇用と地域経済にかかわる重大な問題であります。今、問われているのは、まさに岩手県の危機管理体制であり能力であります。私は、知事のイニシアチブというのは極めて重大だと思います。
 5年間この問題は争われてきた。そして、昨年の10月には審決案が示された。今回の審決は、ある意味でいけば遅きに失したというぐらいの内容であります。ですから、これに対する対応、対策というのは、幾らでも検討できたわけであります。
 そこで、知事に聞きますけれども、昨年10月の審決案を知事は把握したでしょうか。
 そして、きょうの盛岡タイムスによりますと、今度の審決については、23日午前、県の建設業協会に電子メールで、建設業協会は受け取っています。その気になったら手に入れられるじゃないですか。こういうものを機敏に正確につかんで─知事は適時適切と言っているけれども、全然適時適切じゃないんじゃないですか。私は、こういうものをしっかりつかんで、そして機敏に正確に対応することが必要だと思いますが、まず第1点、このことを知事はどういうふうに把握したのか、しなかったのか。
 二つ目に、残念ながら建設業協会の業者が最後までこの入札談合を認めなかった。こういう形で審決に及んだことは極めて残念な事態であります。
 私は、いわばこの排除勧告が出されたときに県議会で取り上げ、当時のトラスト・メンバーズの実態も指摘をしました。このトラスト・メンバーズは、総会の資料でこう書いていたんです。─最近、一般競争、公募型の発注が多くなりましたので、混乱を避けるために、参加希望者は公告日を決めて、3日以内にトラスト・メンバーズ事務局かA級会に申し込んでください。─これがトラスト・メンバーズですよ。まさに談合組織だということを総会資料は示していた。私はそういう意味では、この談合─談合というのは、受注しなくても参加すれば談合なわけですから、そういうことが5年間の審理の中でかなり明らかになってきたと思うんですよ。そういう談合の実態を県が独自にどう調査をしてきたのか、そして、そういう建設業界の刷新をどのように指導してきたのか。何も変わっていないじゃないですか、建設業協会は。
 私は、県議会の議会運営委員会で、一度、県議会に調査委員会を設けて建設業協会の刷新を求めるべきだと。その上で、県に対する弾力的な対応も求める必要があるのではないかという提案をしたことがありますが、残念ながら、会派の理解が得られませんでした。こういう形で、5年前と全く変わらないまま、最後まで入札談合を否定してこういう審決を受けたということは極めて残念な事態で、これから新たに対応する条件をなくしているのではないかと私は考えているんです。
 だから知事に聞きたいんですけれども、今から徹底抗戦した上で、指名停止期間の短縮とか下請に入ってもらえるとか、そういう緩和というのは私は客観的な条件として難しいんではないか。知事は、そういう問題をどういう原理原則に基づいて対応しようとしているか、これ第2点に聞きます。
 第3点は、副知事に聞いたんですけれども、たくさんの業界、団体から要望を受けた。私は談合した業者を助けることにはならないと思うけれども、しかし、その下請で働いている関連企業、下請業者、建設労働者には罪がないわけであります。こういう方々の仕事と雇用をどう守るか、ここに英知を結集すべきですよ。そういうものが5年間を経過したら、ばっと出なければだめですよ。それが危機管理ですよ。それを、審決を見てから対策委員会を開いて考えますなんというのんきなことを言っていちゃ、対策にならないじゃないですか。こういう雇用対策、下請関連企業対策というのは従来の枠を超えてやるべきだ。そして、県内の建設業界を刷新させ、守っていくという県のメッセージを早く示すべきなのですよ。そういう点を全く検討してこないのか、検討途上なのか、そのことを示していただきたい。
 一つだけ具体的な例として住宅リフォーム助成、これは県内、今14市町村を超えて広がって、上限たった10万円、20万円程度の助成で事業費が30倍になっているんですよ。本当に零細、中小の工務店が、ここで助かっている。こういうところに県が助成をして、これを県内全域に広げていくということも、実効性のある対策ではないかと私は考えるものであります。
 そして、最後に総務部長に聞きたいんですけれども、残念ながら入札が行われていた。私は入札の改善というのも、またまた問われてきていると思います。知事に聞いたけれども、答えなかったけれども、そのほかにも談合があったと、かなり具体的に政治と金をめぐる裁判でも指摘をされている。私は真摯になって、判決が出てから、審決が出てから談合を認めるなんていうのじゃなくて、疑惑があったら徹底して究明する、そして、そういう談合を許さない入札制度の改善にさらに取り組んでいくということが必要ではないのか。ダンピングも防止をする、そして、そういう談合も防止をするという対策をさらに一層進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 岩手県として、公共事業の受発注に関し公正に進めていかなければならないということ、また、雇用の確保そして地域経済の対策ということの重要性、御指摘された議員の御趣旨、そのとおりだと私も思っております。
 県としても、入手できる情報に関しては現在入手しているところでありますけれども、司法手続とは違うんでありますけれども、一種の罪の確定、罰の確定、刑の確定という作業でありますので、これは司法手続のような慎重な手続で、根拠に基づいて県としての意思決定等を進めていかなければならないと思っておりますので、正式な情報の公表を待って進めていきたいと、順を追って段取りを踏まえて対応していきたいと考えているところであります。
〇副知事(宮舘壽喜君) 雇用確保と経済対策でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、現時点では審決の内容が詳細にわからないわけでございまして、その対策も具体的にはなかなか現在申し上げられないわけでございますけれども、3、000人を超える、場合によっては臨時等も加えますと4、000人を超えるというふうな大変な事態でございますので、離職者が出た場合は当然雇用対策協議会、これは各地域にございます。そういった場を活用しまして、きめ細かな生活、就労支援等をしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
〇総務部長(菅野洋樹君) 入札改善についてでございますが、これまでの入札制度は、全国的にたび重なるいろんな事件がございまして、そのたびにいろいろ見直されてきたところでございます。ただ、一方で、先般、いろいろ御議論をいただいておりますダンピング対策という面もございます。したがいまして、入札制度につきましては、それぞれの問題点をよくよく把握しながら、改善できるものは速やかに対応しつつ、よりよい県民の皆様から信頼され、公平公正な競争が図られ、しかも、なおかつ、そういったダンピング対策も十分になし得ると、そういうよりよい入札制度を目指しながら、種々検討を進めてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって、緊急質問を終結いたします。
   日程第1 議案第1号平成22年度岩手県一般会計予算から日程第32 議案第69号県立学校授業料等条例の一部を改正する条例
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第1、議案第1号から日程第32、議案第69号までを一括議題といたします。
 各案件に関し、委員長の報告を求めます。中平予算特別委員長。
   〔予算特別委員長中平均君登壇〕

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