平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇23番(及川あつし君) 一般質問ラストバッターになります及川あつしでございます。
 まずもって、過般のハイチ地震、チリ地震、それにあわせた津波の被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 それでは、通告に従いまして順次質問いたします。よろしくお願い申し上げます。
 最初に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
 知事は、昨年来の小沢一郎民主党幹事長の秘書の一連の政治資金規正法違反に関する逮捕の件で、たびたび検察批判を行ってまいりました。問題は、その内容もさることながら、何ゆえそこまで踏み込んで答えるのか、そのような発言が知事としてふさわしいかどうか、何の利益になるかという点であります。
 典型を一つ挙げると、ことし1月18日の知事会見、いまや西松事件での大久保秘書の逮捕というのは不相当な逮捕だったということが見えてきているという発言であります。公判中の案件で、国民が注視している問題について、断定的に一方をかばうかのような発言が、県政の推進、希望郷いわてを標榜し、県民の団結を訴える知事として果たしてふさわしいのかどうか、冷静に御判断をいただきたいと思いますが、御所見を伺います。
 次に、市町村長選挙への関与、特に政務秘書の政治活動、選挙の関与について伺います。この点については、嵯峨議員、熊谷議員からも、県と市町村の間に不信感を醸成するとの懸念が示されました。
 工藤勝博議員も昨年9月定例会において、八幡平市長選挙における知事と政務秘書の関与について懸念を示されました。工藤議員に対しては、長野県における政務秘書の活動をめぐる裁判の判例を引用し、むしろ法令が期待している政治家的活動を行うことが公益に資するものであるというのが法制度の趣旨であるという判例もございますので、そうしたことが参考になるのではないかと思いますとの答弁がございました。
 後学のため、私もこの判例を熟読いたしました。争点は、長野県の村井知事が、その政務秘書に県の事務を行わせず、知事の私的な選挙活動、政党活動及び後援会活動を補佐させるために雇用し、給与等を支払ったことが違法かどうかという点であります。東京高等裁判所の判断は、違法ではないとし、その理由の一つに知事答弁の部分がありました。しかし、熟読すると、その判決では、公共の利益の実現、職務の円滑、効率的な遂行に資する地方公共団体の目的に沿うとの考慮に基づくものと解されるとあり、工藤議員への答弁は、判決の一部を都合のいいように引用したものと解されます。
 知事に伺いますが、知事と政務秘書が県内市町村長選挙において、擁立段階から選挙戦に至るまで深く関与することで、どのような公共の利益の実現と、職務の円滑、効率的な遂行に資することができ、最終的にどのような地方公共団体の目的に沿うとの考慮があるのでしょうか。地域主権、地方分権、地域のことは地域で決めるとの民主党や知事の方針とは明らかに反し、地方公共団体の目的に沿うとは考えられませんが、いかがでしょうか。
 次に、民主党の政権公約の目玉の一つでもあります高速道路の無料化について伺います。
 国土交通省は、6月開始をめどに、高速道路無料化の社会的実験を行うと発表しました。今回の実験は、2012年度に向け段階的に無料化を実施するのが前提と承知いたしております。本県関係は、八戸自動車道安代竏忠コ田百石間、釜石自動車道東和?花巻間の2区間が対象とされ、部分的に無料化するとのことでありますが、政策目的が不明であります。当初、6、000億円を見込んだ実験費が1、000億円に削られたことで、対象区間は大幅に絞り込まれ、国土交通省の政務三役などの発言によれば、多様な場所で渋滞など無料化の影響を見きわめることが目的としていますが、私には言いわけに聞こえます。各種世論調査でも反対が6割を超えている状況ですし、当県議会も、昨年の12月9日の本会議において、発議案第1号高速道路原則無料化の撤回を求める意見書を可決いたしました。その時点においては、来年度予算案も確定せず、財政の基本方針及び財源問題も不透明でありましたが、昨日、予算案は衆議院を通過いたしました。
 民主党の衆議院選マニフェストのもう一つの目玉政策の子ども手当も、恒久財源対策は後回しにし、完全実施について多くの疑問が各方面から呈されている状況です。ガソリン税の暫定税率の廃止はいつのまにかうやむやになり、ひいては高速道路無料化についても与党内からも疑問の声が上がっている状況であります。この問題に関する是非を含めた知事の認識をお伺いします。
 具体には、高速道路無料化による物流コストの低減や道路整備費用の効率化、地域経済への影響などのメリットを民主党は掲げておりますが、八戸自動車道と釜石自動車道の一部の2区間でどの程度その効果が期待できるのでしょうか。いかに社会的実験といえども、私には腑に落ちないところでありますが、今回の社会的実験についても御所見を伺います。
 次に、獣医師の確保についてお伺いいたします。さきの一般質問でも獣医師全般の確保対策について質問がありましたが、私も、同様の趣旨からさらに詳細に伺います。
 私も、ここ数年来、農業者の獣医師不足を懸念する多くの声を伺ってまいりました。畜産農家からは、このままでは、近い将来、家畜の世界も人間同様、医師不足になるという強い懸念が広がっています。政府においても、このような現状認識から、農林水産省で獣医師の需給に関する検討会報告書を平成19年5月にまとめております。報告書では、平成22年度を目途に新たな方針を策定するとされています。その中には、2040年までの期間に獣医事に従事する獣医師の供給総数は3万2、000人でほぼ一定であるのに対し、このうち、診療業務に従事する獣医師については、小動物診療獣医師は2006年現在の1万3、200人から1万6、400人に増加し、一方で、産業動物獣医師は約4、200人から3、100人に減少することが予測されるとされております。また、同報告書で重要なのは、産業動物診療獣医師の供給は、家畜の飼育頭数について、政策目標値を勘案するか否かにかかわらず需要を下回り、産業動物獣医師の不足が発生するものと推計、畜産分野、公衆衛生分野等の公務員獣医師の確保も今後さらに難しくなっていくとされております。また、獣医師の活動分野間、地域間の偏在の是正は、各都道府県における獣医師の確保に関する目標等、都道府県が定める獣医療提供体制整備基本計画の策定の検討の際にも十分考慮されるべきものともされております。
 そこでお伺いしますが、本県の基本計画の策定はどのように進められるのか、その概要をお示し願います。
 また、近年、畜産現場で奮闘する獣医さんが、農協や農業共済組合に就職した後、中途で退職し、小動物の分野に異動したり、大動物の分野に継続的にかかわる場合でも、充実した年齢、時期に北海道などに転勤するなどして、他の職場に異動している方が多いと聞いております。このような実態にどのように対応しようとしているのかもあわせて伺います。
 次に、警察行政について3点、警察本部長にお伺いします。
 第1点は、県内の治安情勢についてであります。
 昨年、県内の刑法犯の認知件数は8、240件と、戦後最少であった昭和52年をさらに下回ったということで、大変喜ばしい限りでございます。県警察のこれまでの犯罪抑止対策が功を奏したものと改めて敬意を表するとともに、今後ますますの奮闘を期待いたします。
 そこでお伺いしますが、昨年の減少要因をどのように分析し、今後、さらなる犯罪抑止に向けどのような課題があるのか、お考えをお示し願います。
 2点目は、児童買春、児童ポルノ事犯についてであります。金目当てに少女の裸を撮影して売りさばくといった児童ポルノ事件が問題となっております。報道によると、2008年の児童ポルノ事件の検挙件数は676件、被害児童は338人、2009年はさらに前年を上回るペースで増加しているとのことであります。本県においても、昨年10月、八幡平市の主婦が自分の娘のポルノ画像を販売目的で撮影したとして逮捕される事案がございました。児童ポルノは、その画像が一たんインターネット上に流出すれば、たとえ被害を受けた児童が保護されたとしても、画像のコピーが繰り返され、回収することがほとんど不可能となり、ファイル共有ソフトを介して世界中に広がってしまうこともあるといいます。また、児童買春や県青少年環境浄化条例違反事件が多々報道されており、多くの場合、インターネットや携帯電話の出会い系サイトなどを通じ被害に遭っているとのことであり、子を持つ親としても、今日の子供たちを取り巻く環境の悪化を大変に危惧しているところでございます。
 そこでお伺いしますが、本県における児童買春、児童ポルノなど青少年の福祉を害する犯罪の実態はどのようになっているのでしょうか。また、こうした状況に対し、県警察としての取り組み状況、関係機関との連携はどのようになっているのかお伺いいたします。
 3点目は、速度規制の見直しについてであります。
 警察庁は、昨年10月、17年ぶりに一般道の規制速度を見直し、市街地の生活道路においては、原則時速30キロ、バイパス道路など走行上の危険が少ない道路については最高で時速80キロを規制速度とするなどの新基準を示しました。平素、私は、主要幹線道路を走っておりますと、規制速度を守っている車は少なく、安全で円滑な交通を確保するために設けられている交通規制も、守られないのであれば意味がなく、実態に即した規制に見直すことは、県民の安全意識の啓発にもつながるものと考えております。
 そこで伺いますが、今後、各都道府県警察が、管内の実情に応じ、住民の意見を参考にしながら規制の見直しを進めるとのことでありますが、具体的にどのような見直しが検討され、現在どのような取り組みが進められているのでしょうか、お示しを願います。
 次に、教育委員長演述について、3点お伺いいたします。
 まずは情報モラルに関する指導についてであります。演述では、学校教育を取り巻く社会の変化として課題の指摘をされておりますが、いじめの温床ともなる学校裏サイトに関して伺います。
 現在でも本県で、残念ながら学校裏サイトが散見される状況です。子供たちは、サイトに掲載されている内容をもとに日常会話がなされるなど、とても健全とは言えない状況であります。本県では、平成18年度以来、各般の対策を講じているものと承知しておりますが、実態をどのように把握され、その対策の効果をどのように検証しているのか、まずは伺います。
 東京都教育委員会は、昨年6月からネット監視会社に委託し、裏サイトの実態調査も進めているようですが、本県でもまずは十分な実態調査も必要と存じますが、あわせて御所見を伺います。
 次に、児童生徒の学力の向上についてでありますが、既に2人の議員から質問が出ておりますが、私から詳細に伺いたいと存じます。
 去る2月17日の岩手県教育研究発表全体会の本県の教育課題と対策の中で、衝撃的なデータが公表されました。内容は、昨年実施の大学入試センター試験主要13科目の県平均点と都道府県順位で、英語、英語リスニング、数学?B、物理?の4科目で全国最下位となるなど、全体的に本県が最下位グループに低迷しているとの結果であります。その他の5教科は46位、40位以内は18位の地学?、32位の国語のみであります。私には、数年前、大学入試センター試験の自己採点で、本県高校生の総合成績が全国最下位だったことが大手予備校の集計でわかったとの報道以来の衝撃であります。残念ながら、教育委員会の各般にわたるこれまでの対策も十分に功を奏さなかった結果であると存じます。この結果は、県民全体の士気にも大いにかかわると存じます。本県の教育課題と対策では、家庭とも連携した家庭学習時間の確保、予習の習慣化との記載がありますが、これまでの認識と対策の域を出ていないのではないでしょうか。
 今議会の答弁では、高校生の授業理解度を調査し、目標点、達成時期などを検討するとされました。私は、従来の対策を抜本的に見直し、さらに本気で学力向上に具体的目標のもとに取り組む姿勢が必要と思います。新たに来年度、調査の実施と目標点、達成時期などを検討することは多といたしますが、待ったなしの抜本対策、今年度も調査と検討にとどまらない具体的対策が早急に必要と存じます。教育を重点公約に掲げた達増知事並びに教育長の学力向上対策に対する基本認識と対策の見直し及び具体的目標の設定についての御所見を伺います。
 次に、図書購入費に関して伺います。
 昨年度、国が必要と認めて算定した公立小・中学校の図書購入費約214億円のうち、各自治体が実際に予算計上した総額は164億円で、予算化率は77%にとどまっていることが文部科学省の調査でわかりました。読書教育を充実させようと、国は2007年から基準財政需要額に図書購入費を約130億円から200億円程度に増額し、購入を促しましたが、自治体が予算化した額はここ数年横ばいであります。図書購入の財源は地方交付税ですが、使途は自治体判断にゆだねられており、財源難の中で約2割が目的外に充てられた格好になっております。
   〔副議長退席、議長着席〕
 本県の予算化率は前年度から9.5%ふえましたが、全国平均を下回る64%、2009年度図書購入費予算額は1億9、392万円で、前年度比2、431万円、14%増でありますが、公立小・中学校1校当たりの予算措置は32万円で、全国平均52万円を大きく下回っております。教育委員長演述では、ことしは国民読書年であることから、読書活動の広がりを積極的に進めると述べています。さらに、ここ数年の教育振興運動でも読書を重点活動に置き、各校とも読書ボランティア組織の立ち上げなどの動きも活発化しております。しかし、本県の予算化率では言行不一致の批判を免れません。教育長の御所見と今年度以降の対応について伺います。
 次に、いわてNPOセンターの不祥事への県当局の一連の対応について伺います。
 冒頭、あえて申し上げますが、私は、この案件に関しては、昨年、担当に問題の可能性を指摘し、調査を依頼し、自来、県の対応をつぶさに監視してまいりました。この一般質問においては、関係者の証言や独自の調査に基づいて、その不正を徹底してただすとともに、健全なNPOを育成し、成熟した民主主義社会を構築するという崇高な理念達成のために、この一般質問の大半を割いて、以下伺うものであります。
 さて、いわてNPOセンターをめぐっては、昨年、旅行代理業申請書偽造、アイーナにおけるコピー代金の不適正経理などの問題が発覚しております。県は、当初、同NPOから提出された報告書では不十分とし、1月に再度の調査を命じました。しかし、出てきたものは、公認会計士が帳簿を確認したという内容、その報告書であります。しかも、結論は、帳簿上は合っているが、書類だけでは詳しい金の流れは把握できないという不十分なもので、NPO側は、会計処理が不適切で、書類等から詳細な金銭の流れを示す根拠は明らかにできなかったため、個人流用等の有無は不明だが、収入の妥当性と処理金額が一致していることから、当法人に与えた影響は限定的なものと判断すると結論づけております。私は、根拠はないが、帳簿上の数字は合っているからこれでいいでしょうという開き直りに思えて仕方ならず、また、個人流用について追及しない県の姿勢に大いに疑問を感じます。1月25日の追加要請の通知によれば、今後、法人が第三者等による調査を実施する場合は、県が当該調査組織の一員として関与すること等の対応も検討しているとしていながら、調査組織に県が入らなかったのはなぜでしょうか。事実経過を具体に聞き取っている私には不可解でなりません。
 私のもとには、かねてより、このNPOについてさまざまな不正な行為についての話が複数から寄せられております。その一つに、いわてNPOセンターの関係者からの告発文がございます。表題は、いわてNPOセンターが起こした旅行業者代理業委託契約書偽造事件についてという、この書類であります。その内容は、いわてNPOセンターの公金流用とも言うべき行為と、県との不適切な関係が記されております。
 まず、ふるさと雇用再生特別交付金を不正に流用した疑いについてであります。
 告発文の一部を引用します。県が昨年4月に公募を行ったグリーン・ツーリズムの委託事業で、いわてNPOセンターが公募に応じ、この事業で3名が採用された。3名は、ふるさと雇用再生特別交付金による雇用として、ハローワークを通じてセンターの求人に応募し、採用された。しかし、採用者のうち、A氏はNPOのマネジャーの元部下であり、公募の前から採用が事実上決まっていた。A氏は個人経営の旅行代理店を営んでいたが、NPOで働き始めた後にもこの個人営業を続けていたとあります。本来、失業者を雇用することが目的のふるさと雇用再生特別交付金が、失業を偽装し、別の仕事を続けている人に対し給与として支払われていたという指摘であります。
 そこで伺いますが、この告発文は県にも送られていますが、県の中でだれがこの事実を把握し、どのような判断で現在のところまで不問に付する取り扱いを行ったのでしょうか、お伺いいたします。特に地域振興部長は、この質問通告前に御存じだったか、あわせて確認をいたします。
 第2に、実際に告発どおりの行為が行われていれば、国民の税金を身内の給料に不正に流用した非常に悪質な犯罪行為だと思いますが、このことについてどうとらえるか、県の認識についてもお伺いいたします。
 第3に、もしこの行為があった可能性を把握していれば、徹底的に調査し、基金が適正に使われているか把握する責任もあると思いますが、認識をお伺いいたします。
 NPO法の第41条では、県は立入調査を行うことができます。しかし、県はNPOの内部調査に重きを置き、基本的にみずから調査を積極的に行う選択をとってきておりません。NPOを認証、監督する立場である岩手県が積極的に立入調査を行わないのはなぜでしょうか、理由を御明示願います。
 私は、これまでに、岩手県の歴代幹部職員と同NPOの前理事長がたび重なる飲食を、職員の職務に係る倫理の保持に関する規則に反する形で行われていたとの証言も関係者から得ておりますが、倫理規則に基づく飲食の届け出は出されているのか伺います。また、この癒着とも言える不適切な関係を保っていたことは確認しているのでしょうか。このような関係が徹底調査を妨げている原因とも思えるのですが、いかがでしょう。
 この告発文には、県とNPOの不適切な関係を指摘する箇所も見られます。県が昨年4月にグリーン・ツーリズムの委託事業先を公募した際のことです。
 再び告発文を引用します。この事業は、かなり前からセンター側に伝えられ、センターは人材確保を図っていたと思われる。これは、後に、県は予算をとれなくなったので、委託事業という形でグリーン・ツーリズム事業を存続させようと考えたのだ。うちに引き続きやらせるためにねというマネジャーの発言からも明らかであると書かれております。公募の事業を対象者に事前に知らせるというのは違法ではないでしょうか。
 私は、かつてこのいわてNPOセンターで働いていた職員ともお会いし、さまざまなお話も伺いました。その方もまた、県側からの詳細なる公募の前の不適切な情報提供について記憶しており、県が事業の公募を行う際には、頻繁にNPOに電話で事前に連絡してきたということでありました。さらに、グリーン・ツーリズムの事業をめぐっては、農林水産部の担当者から、公募の期間中に、他のNPOが応募してきた事業内容についても細かく伝えてきたとのことであります。これが本当なら、県と同NPO法人との関係は極めて異常であったと言わざるを得ません。
 平成17年度から平成21年度にかけて岩手県がいわてNPOセンターに委託した事業は45件、そのうち42件が随意契約であります。その割合は93%。昨年の12月7日の総務常任委員会質疑での高橋昌造議員の質問に対し、担当の総括課長は、委託の集中の理由についての答弁で、公募しても手を挙げたのがセンターだけだったり、提案内容が優位だったりした結果との極めて無責任な答弁をしております。事前に公募内容を打ち合わせたり、他の団体の公募内容を知り得れば、優位になるのは当然であります。県みずからも、いわてNPOセンターに対する不正な情報提供があったかどうか把握するべきですし、随意契約となった経過も調査すべきと思いますが、いかがでしょうか。さらに、担当職員への聞き取り調査などが必要と思われますが、いかがでしょう。
 2月22日には、県が、NPO法人いわてNPOセンターと契約している事業の取り扱いについてという方針が出されました。その中では、信じがたいことに、不適正経理の問題を生じさせたNPO活動交流センター管理運営事業を除き、同法人が県事業に応募することを妨げないものとされました。まさに臭いものにふたをするというこの方針は速やかに撤回し、徹底した調査を県庁内、同NPOに行うべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 また、同NPOの職員の残業代金の不払い等の労働環境の問題もさまざま指摘されておりますが、どのように把握しているのでしょうか。
 いずれにせよ、私は、これまでの一連の県の対応については多くの疑義を感じております。極めて不誠実、不十分と言わざるを得ませんし、到底県民の理解を得られるものではないと存じます。
 私が昨年、問題を通報、指摘した際に、担当の総括課長はその問題を長期間放置し、あげくに、指摘した文書をそのまま監督対象であるいわてNPOセンターの当時の理事長に渡すなどの行動をとりました。そのことによって、公益を通報した人物に精神的な甚大なる被害をもたらした事実は、私は看過できません。これまでの一連の県の対応について問題がなかったかどうか、十分な検証がなされたか、その認識について伺います。
 次に、関連してグリーン・ツーリズムについて伺います。昨年12月28日、一連の問題の発覚に伴い、県は、グリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業の業務委託契約の一部を解除することを決定いたしました。その措置については当然のことであると存じます。しかし、その一方で、岩手県におけるグリーン・ツーリズムの中核を担ってきたいわてグリーン・ツーリズムネットワークからは、グリーン・ツーリズムという言葉がひとり歩きし、悪いイメージが広がっているという声が上がっていますし、今後の事業展開にも大きな不安を抱いている状況です。早急に的確な対応と健全なるグリーン・ツーリズムの発展の施策展開をすべきでありますが、御所見を伺います。
 以上、質問といたします。再質問も予定しておりますが、県民に対して理解できる明快なる御答弁をお願い申し上げます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川あつし議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、西松事件公判に関する記者会見での答えについてでありますが、記者会見等マスコミとの関係においては、知事は、行政を執行する立場である行政の長としての見解以外にも、公選によって選ばれた政治家として、あるいは一個人として見解を求められることがあります。西松事件公判等に関しては政治問題化し、大きな話題としてマスコミの関心も高かったこともあり、記者会見での質問にきちんと答えたところです。
 次に、市町村長選挙への対応についてでありますが、長野県知事の政務秘書に関する裁判の判例は、知事の政治活動を公共の利益を実現するものとして積極的に評価し、それを補佐する政務秘書を設けることは地方公共団体の目的に沿うというものであり、私もそのとおりだと考えております。
 岩手県内における選挙についてでありますが、岩手の有権者は全国的に見ても大変賢明であり、政権与党であるとか行政の長であるとか、そういう権威の押しつけでは選挙に勝てないということを私は十二分に承知しております。
 旧来型のしがらみにとらわれず、自由な意思決定を行う草の根の力を結集した民主主義のあり方を、私は今までも追求してまいりました。これからも、そういう動きを手伝える機会があれば手伝いたいと考えているところであり、そういう活動は公共の利益の実現に資するでありましょうし、また、地方公共団体の目的にも沿うのではないかと考えます。
 次に、高速道路無料化についてでありますが、高速道路の無料化は、国において物流コストの引き下げや人や物の行き来を活発にすることによって、生活コストの引き下げや地域経済の活性化を図るという考えで実施されるものと承知しております。現在の休日上限1、000円による料金引き下げでは県内のインターチェンジの利用交通量が増加し、観光客が増加するなどの効果があったところであります。
 今回の2路線が無料化される効果については、現在の料金引き下げの効果から類推しますと、県北地域の活性化や沿岸部への観光客の誘客に弾みがつくなど、それ相応の効果が期待できるのではないかと考えております。
 なお、社会実験は、高速道路や一般道路における交通量や渋滞の変化、また、地域経済への効果、他の交通機関への影響等を把握、確認するために行うものと聞いており、その結果を注視していきたいと考えております。
 次に、学力向上対策についてでありますが、全国学力・学習状況調査の結果によると、小学校では上位にあるものの、中学校では低下することが明らかとなっており、中学校教育に焦点を当てた対策が必要ではないかと考えております。そこで、来年度は、厳しい定員抑制の中にあっても中学校教育に焦点を当て、生徒一人一人に向き合う指導の充実を図るため、学校生活サポート事業や少人数学級、小中一貫教育の推進、スクールカウンセラーの指導体制の整備などによりまして、教員等の増員を図りながら、中学生の生活や学力向上に向けた対策を講ずることとしております。
 また、高等学校におきましては、学科や教育課程の違いなどもありますので、センター試験の結果のみで学力をはかることは難しい面もあると考えておりますが、今後、教育委員会において十分な分析がなされ、対策が講じられていくものと承知しております。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、獣医療提供体制整備計画の策定についてでありますが、県では、平成16年度に、平成22年度を目標とする岩手県における獣医療を提供する体制の整備を図るための計画を定め、獣医師の確保等に取り組んできたところでありますが、現状では、県計画で目標とした産業動物獣医師はおおむね確保されているものの、若手獣医師が不在の地域があるなど不安材料も抱えております。
 産業動物獣医師は、家畜診療や疾病予防など畜産振興に重要な役割を担っており、国においては、年度内に獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針を策定することとしております。
 本県においても、この基本方針を踏まえ、中長期的な展望に立って新たな獣医療提供体制整備計画─仮称でございますが、この計画を策定することが必要と考えており、来年度早々にも、生産者や農業団体、学識経験者等からなる獣医療検討委員会を設置し、御意見を伺いながら、来年度内の策定に向けて検討を進めてまいります。
 次に、農業共済組合等の獣医師対策についてでありますが、農業共済組合の獣医師を初め、地域に根差して家畜診療等を行う獣医師を確保するためには、やりがいを持って獣医師の専門性を発揮できる環境の整備が必要であると考えております。このため、県としては、第一線の現場で活躍する獣医師に対し、家畜保健衛生所による疾病診断のサポートや学会発表への支援、岩手大学や岩手県獣医師会と連携し、最新の専門的な診断、治療技術の研修などを行っているところであります。
 今後は、こうした取り組みに加え、東北6県の農業共済組合を交えた広域交流等により、高度な獣医技術研さんの場を設けるなど、農業共済組合等の獣医師活動を支援してまいります。
 次に、いわてNPOセンターについてのお尋ねであります。
 まず、基金の流用についてでありますが、いわてグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業を受託したいわてNPOセンターが雇用した3名の職員については、ふるさと雇用再生特別基金事業実施要領に基づき、提出された履歴書や官報による廃業届等から、いずれも失業状態にあることを確認したところであります。
 また、旅行業者代理業に係る虚偽申請等が問題となり、12月3日の県政提言では、職員の雇用が偽装ではないかと指摘する内容が含まれていたことから、12月8日に、いわてNPOセンター理事から、虚偽申請及び退職した職員の雇用状況等について聞き取りを行いましたが、当該職員の雇用について明らかに問題となる事実は確認されなかったものであります。その後、12月28日に当該事業の契約を一部解除したことに伴い、平成22年1月18日から、3回にわたりいわてNPOセンターに対し業務実績検査を実施し、出勤簿や復命書、経理簿等で事業の執行状況を検査したところでありますが、退職した職員の雇用について、不正流用の事実は確認されなかったものであります。
 次に、基金がきちんと使われているかの把握についてですが、いわてグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業の推進に当たっては、基金事業の趣旨に十分留意し適切な執行に努めてきたところであり、御指摘の職員の雇用については必要書類による雇用実態の確認を行ったほか、県政提言等を受けて立入調査等も行ったものでありますが、明らかに雇用の実態を疑うに足りる事実は確認できなかったものであります。しかしながら、この事業が旅行業者代理業に係る虚偽申請などから、契約の一部解除に至った経緯も踏まえ、部内で改めて今回の委託事業について検証し、今後の適切な事業の推進に生かしてまいりたいと考えております。
 次に、公募の事業を対象者に事前に知らせていたのではないかということについてでありますが、担当者等から確認したところ、昨年2月に、基金を活用した新規事業を企画する際、グリーン・ツーリズム実践者の団体であるいわてグリーン・ツーリズムネットワークの事務局を担当しているいわてNPOセンターや、ほかのNPO法人など複数の関係者から、県外営業活動の必要性や進め方等について意見を伺った経緯がありましたが、これは事業の企画の参考とするため関係者の意見を事前に伺ったものであり、特定のNPOに対して、便宜供与に当たる事前の情報提供として行ったものではないと考えております。
 次に、グリーン・ツーリズムについてですが、グリーン・ツーリズムは、都市住民と農山漁村との交流を通じたアグリビジネスの振興や、みずからの地域のよさの再発見などさまざまな効果が期待され、積極的に推進していくことが必要と考えております。そのため、今回の事案を真摯に受けとめ今後の事業の適切な執行に努めるとともに、今年度策定した農山漁村と都市との交流推進方針などに基づき、民間事業体や地域で頑張っている多くの関係者と協働しながら、岩手らしいグリーン・ツーリズムの推進などに一層努めてまいります。
   〔地域振興部長加藤主税君登壇〕
〇地域振興部長(加藤主税君) いわてNPOセンターについてお答え申し上げます。
 まず、同法人が設置した調査組織に県が入らなかった経緯、理由についてでございますが、県は、NPO活動交流センターに設置するコピー機について、利用料金収入取り扱いに不正な処理があるとの県政提言を受けて、同法人に対して経緯等の報告を求めました。また、数回にわたって立入調査を行うとともに、前理事長ほか関係者から聞き取りを行ってきたところでございます。
 これに加えまして、法人みずからによる調査を求めたわけですが、旧体制のもとで行われた調査は十分なものとは認められなかったことから、新体制におきまして、改めて第三者等を交えた客観的な調査の実施が必要と判断いたしました。
 このため、去る1月29日に発足いたしました同法人の新体制に対しまして、改めて同法人が設置する調査組織に加わる意向を示したところ、新理事長から、不適正経理に係る問題について、当法人とかかわりのない外部の公認会計士に調査を依頼し客観的に検証を行うので、県の関与は必要ない旨の申し出がございました。県といたしましては、当該公認会計士による調査によって、県が求める第三者等による客観的な調査が確保できる可能性があると考え、まずは関与を見送ったものでございます。
 当該公認会計士が行った調査内容について確認いたしましたところ、客観性が確保され、相当な調査手法が踏まれており、県が行った場合の調査と同等と評価できると判断したことから、この件に関しましては改めての調査は実施していないものでございます。
 次に、同法人に関する匿名の情報提供─12月末のものということでございますが、これについてでございます。
 当該情報提供につきましては、NPO・文化国際課、広聴広報課あてにそれぞれ送付され受理しております。
 なお、当該情報提供の写しにつきましては、広聴広報課から、関係する商工労働観光部及び農林水産部に公益通報者の保護に留意されるよう、申し沿えた上で開封しております。
 当該情報提供につきましては、NPO・文化国際課内で回覧処理しておりまして、私につきましては、その内容に関して口頭で報告を受けておりまして、承知しておりました。
 情報提供の文書で御指摘の事項につきましては、さきに同様の県政提言─これは11月末のものでございますが、これがございまして、先ほど農林水産部長から答弁がございましたが、既に農林水産部におきまして関係書類等の精査を行っていたものでございます。
 次に、NPO法等に基づく立入調査の実施についてでございますが、県は、法令等に違反する疑いがあると認められる相当な理由があるときは、NPO法に基づきまして、NPO法人の業務や財産の状況等について調査することができるとされております。ただ、この調査に当たりましては、法令等に違反すると疑うに足りる合理的な理由があることを要すると解されておりまして、NPO法は抑制的な運用というふうなことが法の趣旨でございます。このため、今回の事案の内容に関しましては、いまだその法律上の要件を満たすに至っていないことから、NPO法に基づく立入調査は実施していないものでございます。しかしながら、NPO活動交流センターに設置するコピー機の利用料金収入の不正経理の疑いにつきまして、NPO法とは別に当部では同法人に報告を求めるとともに、担当職員が数度にわたって立入調査を行うなど、必要な調査を行ってまいりました。
 さらに、さきの同法人によります旅行業者代理業の不正登録の問題等を踏まえまして、契約しております各事業に関しまして所管の各部局が立入調査等により点検を行っておりまして、現在も引き続き調査を行っているという状況でございます。
 次に、県職員と同法人理事長との関係についての御質問でございますが、議員御指摘のような不適切な関係は確認されておらず、そのような関係はなかったものと認識しております。
 法人に対する調査につきましては、先ほど申し上げましたとおり、これまでも必要な調査に努めてきたところでございます。
 県としては、法人が報告した改善計画の履行状況等を引き続き調査、監視いたしまして、法人の対応が不十分であると判断した場合は、さきに公表した方針を見直す等の対応も必要になってくるものと考えております。
 次に、同法人に対する不正な情報提供の把握等についてでございますが、事業発注に当たっての適切な情報管理の取り扱いにつきましては、日ごろより職員に対して徹底しているため、議員御指摘のような契約締結に至る過程での不適切な経過はないものと認識しております。それぞれの契約は会計規則にのっとった正当な手続によっておりまして、契約の経緯に瑕疵はないものと認識しております。
 次に、県の方針の取り扱いや同法人の労働環境の把握についてでございますが、2月22日の時点におきましては、来年度に向けて事業公募等の手続が迫っていたことから、今回、役員の全面入れかえ等によりまして、不適正な事務処理に関与した役職員が排除されたこと、新たに発足した体制のもとで具体的な再発防止の取り組みが見られることという、その時点での評価をもとにいたしまして当該方針を示したところでございますが、県といたしましては、当該法人の改善計画の履行状況につきまして、引き続き監視していくこととしております。
 このたび、前役員の影響力が残っているとも推認されます報道もありましたこと等を受けまして、改めてこの事実関係や新体制における意思決定の実態等の調査に取り組んでおります。この調査結果等を踏まえまして、さきの方針につきましては、修正も含めて精査いたしたいと存じております。
 また、県では、同法人の労働環境の詳細までは把握しておりませんが、これまでに県民等から同法人の労働環境を懸念する情報が寄せられておりますことから、適切な労働環境を備えますよう、繰り返し要請してきたところでございます。
 次に、一連の県の対応に関する御指摘がございました。文書等の問題でございます。
 議員御指摘の事項につきましては、法人側に対して問題の所在を正確に伝達し対処を促す必要性があると考え、前理事長と相対しやりとりする中で、この文書を渡したというふうなことは事実でございます。文面から既に退職した方であるとうかがわれ、文書を寄せられた情報提供者に不利益が及ぶとは考えていなかったと聞いておりますが、結果といたしまして情報提供者に精神的な苦痛を与えてしまったとのことであり、県としてより慎重な対応があったのではないかと反省しております。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) いわゆる倫理規則に基づく飲食の届け出についでありますが、利害関係者と職員との飲食につきましては、自己の費用負担、いわゆる割り勘をする場合であっても、原則として届け出を要することとされておりますが、打ち合わせ会、意見交換会終了後の出席者同士での反省会、打ち上げでの簡素な飲食などは、届け出を要せずに行うことができることとされております。このような仕組みになってございます。
 知事部局におけるいわてNPOセンターの役職員等が相手方と判明できる飲食の届け出の件数は、平成16年度が3件、平成17年度が1件の計4件でございます。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 学校裏サイトの問題についてでありますが、学校裏サイトのほかに、最近ではプロフィールサイトやゲームサイトを介した情報交流や不適切な書き込みなどが問題となっており、事務局職員などが随時監視しながら、問題があるサイトを発見した場合には、学校と警察へ情報提供をして対応しております。
 このようなサイトでトラブルが発生しないよう、児童生徒に対する情報モラル教育の充実と保護者への啓発などを重視して取り組んでおり、各学校の指導状況、児童生徒、保護者へのアンケートの中からその成果を検証しております。
 成果としては、具体的な事例に基づいた指導を行うことにより、生徒に危険性を意識させることができたという一方で、規範意識や倫理観などを育てる道徳教育がさらに必要であるなどの課題も指摘されております。
 また、実態調査についてでありますが、他県におけるネットパトロールの状況などについては承知していますが、現在では匿名性や非公開性の問題などもあり、全体像の把握はなかなか難しいというふうに認識しております。当面は、現体制での実態把握に努めながら、今後とも情報モラル教育の充実を図っていきたいと考えています。
 次に、児童生徒の学力向上についてでありますが、本県の中学生については、全国や県の諸調査の結果から、中学校数学の正答率が低いことや、家庭学習時間が不足しているなどの課題が明らかになってきております。高校生については、本県独自で調査を実施したことがないものの、平成17年度の文部科学省による調査によれば、授業がよくわかる、大体わかる生徒の割合が41.3%となっており、本県にも同様の傾向があるものと考えております。こうした状況については、本県の重要な課題であると認識しておりますので、解決に向けてなお一層、取り組みを進めていく必要があると認識しております。
 学力向上対策としては、教員の指導力の向上と児童生徒の生活面の両面からの取り組みが必要であると考えており、今年度は学力・授業力向上担当を設置し、中学校、高校への個別訪問や授業力向上セミナーなどを通して、学校が迅速に課題に対処できるよう支援体制を整え、評価、改善を加えながら取り組みの強化を図っているところであります。また、家庭学習についても、授業と連動した課題の工夫や家庭学習時間の確保と環境づくりなど、学校と家庭が一体となった取り組みを今後も一層推進してまいります。
 さらに、小・中学校の円滑な接続を図るために、算数、数学の9年間を見通したカリキュラムの作成などにより、教員の指導力向上に向けた取り組みを進めるとともに、特にも、中学生においては中1ギャップなどを解消し、生徒一人一人の課題に応じた指導を充実するために、学校生活サポート推進事業の実施、小中一貫教育の推進、中学校第1学年における少人数学級の試行などにより、さらなる学力の向上に努めてまいりたいと考えております。
 高校生については、生徒の進路を実現するために、いわて進学支援ネットワーク事業を高校の早い段階から取り組めるように強化するとともに、それぞれ学校の教育課程が異なるため一律に評価することには難しさはあるものの、来年度から授業に対する意識や基礎、基本の確認調査を行い、教員の授業力向上と生徒の学力向上のため、具体的目標の設定に生かしていく考えであります。
 次に、図書購入費でありますが、学校教育における児童生徒の豊かな心の育成を図る読書活動を一層充実させるために、図書費が適切に予算措置されるべきものと考えております。
 議員御指摘のとおり、本県の平成21年度の予算措置率は9.5%増加しており、東北では措置率が一番高いものの、全国平均を約13%下回っております。このような現状について周知し改善を図るため、また、学校教育における読書活動の一層の推進と充実を図るために、図書購入に係る地方交付税措置の趣旨について十分な理解が得られるよう、各市町村に対して今後も指導してまいります。
   〔警察本部長保住正保君登壇〕
〇警察本部長(保住正保君) 初めに、県内の治安情勢についてでありますが、昨年県警察において把握した犯罪の発生件数であります刑法犯認知件数は8、240件であり、対前年比871件、9.6%の大幅な減少となりました。特に、自転車盗につきましては、対前年比243件の減少となっております。これは、警察官による街頭活動を強化したほか、高校や駅管理者に対しまして駐輪場の環境を整備するよう要請したことや、防犯ボランティアの方々によります駅前駐輪場における高校生に対するかぎかけの啓発等の地道かつ献身的な活動によるものと考えております。
 また、対前年比107件、68.2%の大幅な減少となりました振り込め詐欺につきましては、金融機関を初めとする関係機関と連携した被害者防止のための取り組み、緊急雇用創出事業で採用した40名の安全指導員が高齢者宅などを訪問して実施したきめ細やかな啓発事業、その他官民挙げて全国的に取り組んだ各種活動が成果を上げたものと考えております。
 今後のさらなる犯罪抑止に向けた課題といたしましては、引き続き、高校生や大学生の自転車盗被害を抑止するための取り組みを継続強化すること、増加傾向にあります空き巣の対策として、被疑者の徹底検挙に努めるとともにかぎかけを励行すること、少年及び高齢者による万引きが増加していることを踏まえ、小売事業者や福祉団体などから構成されます協議会の設立を支援し、これらの事業者等によりますさまざまな万引き対策を促進すること、振り込め詐欺対策として、手口の変化に応じて被害者となり得る県民の方々の抵抗力を強化するための施策を推進すること、子供や女性に対する凶悪事件を未然に防止するため、情報発信等啓発を強化することなどが挙げられます。
 次に、少年の心身に有害な影響を与え少年の福祉を害する福祉犯の実態についてでありますが、平成21年中58件、51人を検挙しております。これは、前年に比べ件数で37件、検挙人員で29人と大幅な増加となっております。
 その主な内訳は、児童買春6件、5人、児童ポルノの製造及び提供目的所持6件、4人、青少年環境浄化条例に基づくみだらな性行為、13件、10人、同条例に基づく深夜連れ出し、16件、16人となっております。福祉犯の全被害者数は58人でありますが、うち高校生が23人、中学生が17人で、全体の約7割を占めています。これら40人は全員女子生徒であります。県内の地域による被害者の偏在は特に見られません。また、全被害者58人中22人の女子が、ゲームサイトやプロフィールサイト、出会い系サイト等を利用して被害に遭っております。
 こうした状況を踏まえ、県警察といたしましては、教育委員会や学校などと連携をいたしまして、主に中学生や高校生を対象とした広報啓発や、非行防止教室等の開催による被害防止活動に取り組んでおります。
 最後に、速度規制の見直しについてでありますが、現在の交通規制を実施した後におけます道路交通環境の変化に伴い、現在の交通実態に適合しなくなった速度規制を適切に見直そうとするものであります。
 一般道路における速度規制の基準につきましては、警察庁から示されておりますが、その道路が、市街地にあるか否か、2車線か、4車線以上かなどの基準に基づき、さらに、交通事故の発生状況や歩道整備等の道路構造などを補正要因として、総合的に勘案して見直しを行うものであります。現在、県内の50キロ規制区間を中心に検討を進めているところであります。この見直しにつきましては、これまでに関係する地域の交通機関、団体等を対象としたアンケート調査を実施したほか、現在も県警ホームページにおきまして広く意見を公募中でございます。今後、広く県民の意見、要望を参考にしつつ、対象となる箇所につきまして、各警察署の地域の代表者の方々で構成されます交通規制対策協議会における審議を経て、警察本部で検討の上、最終的には公安委員会において決定される予定となっております。
〇23番(及川あつし君) それぞれ質問に対しての御答弁、ありがとうございました。再質問においては、半分を費やしましたいわてNPOセンターに関してのみ御質問をしたいと存じます。
 まずもって、いろいろ御答弁がありましたが、率直に申し上げて、極めて不十分、まだまだ後ろ向き、そのような姿勢においては、これからどうなるのかなと、私は逆に不安に思った次第であります。私だけじゃなく他の議員の皆さんにも来ているかもしれませんけれども、非常に長い年月をかけたうみのような問題でありまして、素直に過去の経過についてきっちりと検証するという答弁が出てこないのもやむを得ないのかもしれませんけれども、まだまだいろんな証言を私もいただいておりますので、まだ会期中であります。予算特別委員会総括質疑、また部局別審査や常任委員会もありますので、その場で─本会議では余りふさわしくもないかと思われる証言もありますので、その都度皆さんにお話しをして、さらに検証してまいりたいと思っております。
 まず、私の不信の発端である情報提供のあり方です。岩手県はNPO法に基づいて監督権を持っていると思うんです。その監督権を持っているところに公益情報が通報としてあった場合に、監督対象に対して、こうした文書が来てますよ、どうなんですかと、こんな形で監督するというのは絶対にあり得ないと私は思いますよ。仮に警察であれば、情報提供者があるものを持ってきて、捜査対象に対して、こんな情報があるんだけどどうだと、こんなことをやるのは、監督権を持っている人間としてあるまじき行為です。一部お認めになりましたが、私は、その答弁は全くもって不十分だと思います。
 部長も十分御承知のとおり、公益通報者保護法というのが制定されております。本県においても公益通報者の保護制度というものがあります。この制度に基づけば、今の答弁どおりであれば、明らかに法律に違反した形でとられた監督権の行使であると思いますし、公益通報者に対して甚大なる精神的被害を与えたということをお認めになりました。認めただけではなくて、処分対象です、これは。その点についてはっきりしていただきたい、被害者がいますので。まず、ここの点、冒頭にお伺いしたいと存じます。
 あと、答弁漏れがございました。45件中42件、93%が随意契約であった。これは常任委員会質疑でもあったところでありますが、常任委員会の質疑の答弁どおり、そういう認識で今もいるということでよろしいのでしょうか。これまでの契約には一切問題がない。総括課長が常任委員会で答弁したとおり、競争の結果、いわてNPOセンターが適格と認められたがゆえに、結果として、平成17年から平成21年において45分の42が随意契約となったという認識でよろしいか、確認のため伺いたいと存じます。
 私は、まだまだ申し上げたいことはありますが、結局、岩手県は、いろいろ御答弁がありましたけれども、NPO法第41条に基づく監督権を十分行使してないと思いますよ。後で予算特別委員会等でお話しをいたします。
 また、きょうは農林水産部にだけお伺いしましたが、たびたび県政提言に基づいて─3度ですか、立入調査をしたとの話でありましたけれども、発注者としても十分指導監督してないということを言わざるを得ません。この点は指摘だけにとどめておきます。
 知事に私はぜひお伺いしたいのであります。知事はこれまで記者会見で、この案件についてもいろいろコメントしておりますが、このNPOというものに対しては、これまで、衆議院議員時代にNPOの推進議員連盟に入って全国を歩いて要望を聞き、NPO法の改正とか、そういったことにも携わってきたということで、NPOに関する深い関与、法律の改正への関与とか関心が随分高いんだなと私は認識しています。また、NPOは、成熟した経済社会にとって非常に重要なものということも述べられております。これは、知事就任前から、私の認識では構造的にあった問題でありますので、ぜひ、知事として、過去の経緯もきちっと検証しながらリーダーシップをとっていただきたいという意味でお伺いします。
 私は、NPOというのは、知事同様、成熟した社会においては本当に大切な公共の分野を担う方々だという認識でおりますが、今回の一つのNPOの事件で、まじめに頑張っているほかのNPOの活動が阻害されては、私は本末転倒になるというふうには思っております。ただし、さはさりながら、今回の経過を中途半端に検証して、そして十分な調査をしない限り、次から次へと同じような問題が出ると思いますし、先ほど、部長が気づいておられて答弁しているのかどうかわかりませんが、既に今回の事件はもう終わったものだという認識で、一連の事件を引き起こした皆さんが対外的に発言しているのを私は聞いていますし、生き残りをかけたいろんな形での、今、行動も行っているということで、私は通報をいただいております。
 その意味で、私は知事にお伺いしたいのは、このいわてNPOセンターに関する問題、そして一連の県の対応についてどういう認識でおられるのか。そして、私は、今の答弁では全く不十分だと思っておりますが、知事として、県庁内部に対してどういう指示をされるおつもりなのか伺いたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県が行う事業に関連して、NPOの不適正な事務処理等が判明したことは極めて遺憾であります。県は、県民等からの指摘を踏まえて、同法人に関する一連の疑惑について立入調査等を行い、実態の解明に取り組むとともに、再発防止に向けた体制づくりに努めてまいりました。
 市民が行う自由な社会貢献活動の健全な発展を促進するというNPO法の理念を損なう活動があらわれてきますと、議員御指摘のとおり、健全な活動を行っている他のNPOに対する信頼にも悪影響を与えるおそれがあります。県としては、NPO法の理念であるNPO法人の説明責任と、市民による監視機能に基づく自浄作用の発揮が図られるよう努めるとともに、必要に応じて適宜適切に法に基づく監督権限を行使してまいります。また、あわせて事業の発注者としても適切な監視、指導を行い、事業の適正な運営を確保してまいります。また、改めて、健全な活動を行っている他のNPOの皆さんには、決して萎縮することなく、目的の達成に向けて頑張っていただきたいと思います。
〇地域振興部長(加藤主税君) まず、情報提供のあり方ということでございます。監督対象に漏らしたのではないかという御指摘でございました。監督対象に漏らすとか、そういうような意図は毛頭ございません。先ほど答弁申し上げましたように、法人に対して、問題の所在を正確に伝達する必要がある。そうでないと、対処なり十分な対処がなされないであろうということから、きちっと伝えたいということから説明する、そういう中で文書が渡るというか、そういう状況に至ったということでございます。
 また……(発言する者あり)、文書につきまして申し上げますと、いただきました文書につきましては、実際に、内容については、インターネット掲示板に既に公表されていたものだと、載せられていたものだと伺っております。そういうものも確認しております。会員制ということで伺っておりますが、1、000名近くの会員を擁する掲示板に載せているというものでございまして、果たして、その辺のところで、どういう内容として寄せられたのかというところがございます。また、そういう意味で公益通報という状況であったのかというところもございまして、その辺を勘案した対応をさせていただいたということでございます。
 続きまして、契約の問題でございます。近年の契約は45件中42件が随意契約であるということでございました。その理由でございますが、まず、NPOとの協働の事業などにつきましては、NPOの創意工夫を求める事業につきまして、企画提案方式による随意契約が適当な選定方法の一つと考えております。これは、平成19年3月に策定いたしました協働推進マニュアルでもこの方法が推奨されております。現在は、この方法によりまして、ほとんどの事業が企画提案方式に基づきます随意契約ということになっております。当然、随意契約ということでありますが、競争性があるということでございまして、その選定に当たりまして、客観的に優位性が認定されているというものでございます。
 また、施設の管理運営事業につきましては、事業の安定性確保の観点などから、当初、企画提案方式により契約した事業につきまして、3年程度を限度に契約更新を行っているという対応が認められているものがございまして、その結果として随意契約になっている部分もございます。また、例は多くはございませんが、実施可能な団体が特定されるという内容というか、そういう性格の契約もございます。この場合に限りましては、特命による随意契約を行っているということでございますが、当然、それぞれ契約の決裁の過程で、随意契約の理由につきましては精査しておりますので、先ほど申し上げましたのは、そういう趣旨から、契約の経過に瑕疵はないという認識に立っているということでございます。
 また、3点目でございますが、NPO法に基づく監督権を十分行使していないのではないかという御指摘でございました。NPO法に基づく監督権という面では、確かに報告、徴集という段階にとどまっております。ただ、先ほど申し上げましたように、随時報告を求めますし、こちらも立入調査を、複数回、繰り返し行っているということでございます。NPO法につきましては、先ほど申し上げましたように、抑制的な運用という法の趣旨とされております。監督する側から見れば、ある意味、なかなか使い勝手が悪いという面が正直ございます。ただ、より抑制的でない手段によりまして、実際にこちらも入って、そういう面につきまして必要な調査を行っているということでございますので、こうした制度の中におきましては、これまでのところの対処につきましては、こちらとしてでき得る限りの対処を行っているものだと認識しております。
〇23番(及川あつし君) 知事から、法にのっとって適切にやっていきたいという答弁がございました。事態が、何がどうなっているのかというのを知事はまだ十二分に把握されていないと思いますので、ぜひ、知事がより関心を持って、全容がどういうものであるかということについて取り組んでもらいたいと思いますが、その意思について再度御答弁をいただきたいと思います。
 今、地域振興部長から御答弁がありましたけれども、とんでもない答弁ですね。公益通報であるかどうかわからない、確かにそうかもしれませんよ。時系列をたどって申し上げますが、私がお渡ししたあの文書は、一部の会員だけに限られるサイトに確かに張られていた。でも、私がお渡ししたときには完全に削除されているんです。その削除されたものを私はお見せして、こういう事実があると、証言もあるし、文書もある。それを相手にそのままコピーをお渡しして、こんなものがありましたかと聞くことが抑制的なNPO法の運用という意味ですか、部長。私はおかしいと思いますよ。その点を再度この場ではお伺いします。
 残余の論点については、たくさんございますので、まだ、数日時間がありますので、十二分に庁内でお調べいただきますように、あわせてお願いを申し上げたいと思います。
 御答弁をお願いします。
〇知事(達増拓也君) NPO法の理念であるNPO法人の説明責任と、市民による監視機能に基づく自浄作用の発揮が図られるよう努めるとともに、必要に応じて適宜適切に法に基づく監督権限を行使していく。また、あわせて事業の発注者としても適切な監視、指導を行い、事業の適正な運営を確保していくという答弁を申し上げました。
 NPO推進というものはいわば性善説に立ち、逆に行政というものは性悪説に立ってさまざまな法令条規で縛られ、そしてさまざまなチェック機能のもとにも置かれているわけでありますけれども、そうした行政だけで公をやっていくのではなく、NPOを初めさまざまな主体が参画していくいわば新しい公共─これは岩手県においては地域経営という言葉で既に取り組んでいることでありますけれども、最近話題になっている新しい公共というものを、これはぜひ日本に根づかせていかなければならないと思っております。いち早く地域経営という形で取り組み始めている岩手県でありますから、今回の問題についてはきちんと取り組んで、今後、岩手が全国から誇れるような形で、このNPOのあり方をきちんと進めていきたいと考えております。
〇地域振興部長(加藤主税君) 情報提供の件でございますが、議員の御指摘を承りまして、いただきました文書、情報提供につきましては、我々も、これが、真実なり内容について正しいということであれば、問題であるという認識は共有いたしました。その問題意識についてきちっと正確に伝える。それを伝えることによって、対処を促さなければいけないという中でのやりとりの対応ということでございました。きちっとある程度説明する中で、そういう文書が存在するんだということで相手に渡すということになったと伺っております。
 そういうことでございまして、意図としては、むしろきちっと対応するということから出たということで御理解いただければと思います。また、先ほども御答弁申し上げましたように、より慎重な対応があり得たのではないかという点につきましては、反省しているところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって一般質問を終結いたします。
   
   日程第2 議案第1号平成22年度岩手県一般会計予算から日程第72 議案第71号地域活性化・公共投資臨時基金条例まで
〇議長(佐々木一榮君) この際、日程第2、議案第1号から日程第72、議案第71号までを一括議題といたします。
 議案第70号及び議案第71号について、提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 本日御提案いたしました各案件について御説明をいたします。
 議案第70号は、平成21年度岩手県一般会計補正予算(第7号)であります。これは、国の経済対策により、今般交付されることとなった地域活性化・公共投資臨時交付金を活用し、基金の造成及び積み増しを行い、平成22年度以降の地域活性化等の事業の財源として活用しようとするものであります。補正額は90億6、600万円余の増額補正であります。補正内容は、公共施設等整備基金への積立金が22億円、新たに造成いたします地域活性化・公共投資臨時基金積立金が68億6、600万円余であります。
 次に、議案第71号は基金条例でありますが、これは、国の交付金を活用し、公共投資等を円滑に行い、地域の活性化を図るための事業に要する経費の財源に充てるため、新たに地域活性化・公共投資臨時基金を設置しようとするものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木一榮君) これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、発言を許します。斉藤信君。

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