平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇37番(阿部富雄君) 通告に従い、順次質問します。
 会計検査院から指摘された需用費の不正経理に関する県の全庁調査結果によると、8部局で1億5、163万円、警察本部の全体調査結果によると、警察本部及び警察署の全46所属で2億1、491万257円との報告がなされています。県は、不適切な事務処理に関する処分、職員負担等に係る対応方針を平成21年2月10日にまとめ、それに基づき国庫補助金等の返還及び職員負担の状況について同年9月に報告しています。不正経理を行った者が身内に甘い職員負担方針をつくり、県民に負担を転嫁することは許されるものでなく、不正経理を行った者が確実に補てんすべきものです。
 平成21年2月10日に不適切な事務処理に関する対応方針が示されました。県議会は、同年3月6日に、国庫補助金の返還に係る県民負担の見直し等に関する決議で、正規の物品調達と比較して割高に納入された増嵩分や、不正な経理によって生じた県民の実質的な負担などに対しては、既に示された職員負担の考え方に加え、さらに十分な検討を講じることを求めました。こうした県民の総意をどう受けとめ、対応してきたのかお聞きします。
 返還についての国の方針がおくれ、平成21年7月になってから方針が示された林野庁委託費及び同年6月に判明した統計調査委託費については、関係省庁と継続して協議を行っているとしていましたが、協議の結論、国庫補助金等の返還及び職員の処分、職員負担等はどのように対応されたのかお聞きします。
 国庫補助金等の返還については、1億2、194万円返還したとしています。会計検査院の指摘額には県単独経費分も含まれていたことから、これらについては、国と協議の上、除外したとしていますが、不正な経理を行った県単独経費は幾らか、正規の物品調達と比較して割高に納入されている増嵩分は職員が負担すべきものですが、対応をお聞きします。
 不正経理により返還金が生じ、それに伴う5、035万1、010円の加算金が発生したところですから、これは県民に転嫁することなく、職員負担によって補てんすべきものです。どう対応してこられたのかお聞きします。
 職員による負担は、出納局等を通じた正規の物品調達と比較して割高に納入されている実態があり、当該金額相当に係る公金の支出増嵩分を補てんする観点から職員負担を求める。あわせて、平成14年4月1日以降の退職者に対しても、現役職員と同様の負担の協力を求めるとしていました。8月末まで収集事務を行い、平成21年8月31日に職員負担収集納付金から県に5、118万円納入されたということですが、不正経理による実質負担分に達していません。対応方針では、担当職員及びその管理監督者などを対象として職員の処分を行うとしていましたが、戒告及び訓告または厳重注意処分はどのように行われたのか、お聞きします。
 処分によって県民負担額が補てんされるのであれば、県民の理解も得られると思います。不正な経理を理由とする特別職の給料減額を行っています。知事30%減、副知事20%減、ともに1カ月、実額56万4、000円です。職員の実害処分者の状況、給与、勤勉手当など、減額総額は幾らになるのか、お聞きします。
 不正経理問題で、不正に経理に関与したなどとして、国庫返還金を個人負担した労働組合加入の職員に対し、組合が個人負担分に対する補てんをしたとの報道がなされています。県は、実態をどのように把握しているのか、お聞きします。
 不正経理の再発防止策では、職員の公金に対する責任の自覚と意識改革を徹底するとしていますが、職員負担分を第三者が補償するのであれば、責任の自覚や意識改革につながらないと考えざるを得ません。このような実態で再発防止ができると考えるのか、お聞きします。
 県警察本部にお聞きします。
 全体調査では、不正な事務処理の発生総額は2億1、491万257円が確認され、国庫補助金の返還額は1、274万4、000円、交付決定取り消しに伴う加算金は623万6、000円となっています。発生総額の国庫支弁経費と県の支弁に係る経費の補助対象経費と補助対象経費以外の経費の内容はどのようになっているのか、お聞きします。
 職員の負担を要する金額は、預け金、差しかえ、一括払いの3態様に限定しています。翌年度納入、前年度納入、先払い、契約前納入による不正経理の総額は1億6、700万円余となっています。これら不正経理についても、納入と支払いが翌年度にまたぐことにより、出納局が物品調達していた単価との差などもあり、割高に納入されたものもあると思います。これらについてはどのように判断したのか、お聞きします。
 県警察の会計処理に対する県民の懸念を払拭し、不適切な事務処理の再発防止策の推進や会計経理の透明性を確保するため、専門的な立場から指導を受けるなどを目的に岩手県警察会計経理アドバイザーを委嘱しました。委嘱した公認会計士に先ごろ講話を受けたとされています。しかし、その講話は非公開で行われたようであります。
 制度の趣旨は、県民の懸念の払拭と再発防止策であり、県民の目に見えない閉鎖された中での取り組みでは、従前と何ら変わりありません。どのような考えのもとで対応してきたのか、制度の趣旨に沿ってできるだけ公開し、県民に理解されるよう取り組むべきと思います。今後のあり方についてお聞きします。
 2008年6月に発生した岩手・宮城内陸地震は、道路、河川、橋梁など、土木施設の被害額80億円を初め、約210億円の甚大な被害をもたらしました。災害から3年目を迎えようとしていますが、市野々原地区一帯と山王山などの治山事業はなお年月を要すると聞いていますが、災害復旧の進捗状況と全面復旧の見通しについてお聞きします。
 本年は、地震災害の復旧から復興への年と位置づけ、復興策を講じることが必要です。被害の集中した国道342号沿線は、宝竜、厳美、矢櫃、祭畤、真湯、須川の六つの温泉が一関温泉郷を形成していること。温泉郷の入り口厳美渓は、栗駒山を源流とする磐井川が2キロメートルにわたり渓谷美をつくり、その造形美は国の名勝天然記念物に指定されています。
 栗駒山は日本一と言われる新緑、紅葉を初め、標高1、129メートルの高地に毎分6、000リットル自然湧出する須川温泉はPH2.2の強酸性で、驚異的な湯量と個性的な泉質を有し、全国でも数少ない蒸しぶろ、おいらんぶろの歴史は古く、徳川時代から300年間湯治場として親しまれ、国民保養温泉地に指定されています。標高1、627メートルの栗駒山山頂からは鳥海山、月山、蔵王連邦、早池峰山、太平洋を望むことができ、国定公園にも指定されています。こうした地域資源を最大限活用し復興に取り組むことが必要ですが、復興策をどう考えているのかお聞きします。
 今回の地震で、全国から多くの方々に励ましや義援金をいただいたことから、お礼と復旧状況を文書やホームページで発信するとともに、地域資源が有するすばらしさや復旧状況を直に見てもらう取り組みを行うべきです。こうした取り組みは、旅行エージェントなどとも連携し、魅力的な企画をつくり、多く人に訪れていただけるよう行うべきですが、どう考えるのかお聞きします。
 昨年は、地震で崩壊した祭畤大橋、市野々原地区の土砂ダムの復旧現場に、81団体、1、927人の多くの視察者が訪れています。また、地震パネル展にも1万1、300人の多くの来場がありました。土砂ダムなど過去に経験したことのない災害の視察や調査を働きかけ受け入れ態勢を整えるとともに、地震パネル展を常設するなど、積極的に外に働きかけ、復興への弾みをつけることが必要です。県も、関係自治体と連携し取り組むべきことと思いますが、対応をお聞きします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 恒常的な復興は、同じ被害を受けた宮城県、秋田県との連携が必要です。この機会に、栗駒山を基点に3県の官民で観光を中心とした協議会を設置し、基盤となる道路網の整備、農林業などの産業基盤の整備、地域振興施設の整備や観光客の誘客に取り組むべきです。協議会の設置についてどう考えるのか、お聞きします。
 観光客が集中するのは、ゴールデンウイークや秋の行楽シーズンです。国道342号須川?真湯間の冬期通行どめの解除は雪崩のおそれがあり、直前まで開通時期が特定できないでいるのが例年であります。雪崩などの防災工事を行い、ゴールデンウイーク前の開通に努め観光振興に弾みをつけるべきですが、対応をお聞きします。
 こうしたさまざまな復興策に取り組み、明年予定されている平泉文化遺産の世界遺産登録を実現し、観光客の受け入れなどに結びつけることが必要と考えます。地震からの復興を世界遺産登録や登録後の地域振興にどう結びつけていこうとするのか、お聞きします。
 農林水産省がまとめた平成21年の国内素材数量は、製材用が前年に比し13%減の1、535万6、000立米、合板用が同23%減の310万3、000立米、新築住宅着工数が80万戸割れで大幅減となったものの、国産材率の向上が図られており、製材用は69%、合板用は5年間で数量が2.3倍、シェア64.8%と急増しています。岩手県の県土の77%を占める森林では、生産コストと販売価格が見合わないことから、下刈りや間伐が進まず山林が放置されています。このような状況で林業振興と林業整備をどう進めていこうとするのか、お聞きします。
 林業は、木材供給という役割に加え、二酸化炭素吸収源、そして地域雇用の受け皿として大きな期待が寄せられています。かつての林業のように、農業と一緒にまた林業所有者が共同でやるという道を閉ざし、プロに依存し、多様な担い手が育たない環境になっています。
 森林整備事業の補助申請は、個人が森林施業計画を作成し、市町村長から認定を受けることで可能ですが、今日までにこの申請によるものは個人では皆無です。制度を知らない、周知されていない、事務の煩雑さもあります。補助金の交付窓口である森林組合に依存せざるを得ず、森林所有者であっても林業へ従事する仕組みになっていません。また、森林所有者、林業者が他から森林作業などを請け負い、収入を得ることは生活を維持する近道です。しかし、県の森林整備事業請負契約等指名競争入札の参加資格は、林業の専門技術者の資格を有していることが要件の一つとされています。これらの受験資格は、業務に従事した期間等が3年以上などの制限を設け、一般の林業者が参加資格を取得することが難しくなっています。安全や技術など一定の知識や経験は必要と思うものの、二、三カ月の短期間で資格を得られるよう配慮すべきです。森林所有者、林業者への支援をどう図っていくのか、お聞きします。
 県は、平成18年から地域牽引型林業経営体を育成しています。19の森林組合、12の民間事業者を対象にしていますが、こうした林業のプロだけを経営体とすることなく、多様な担い手や経営体の育成も必要です。今後、基幹作業道と組み合わせた路網整備や高性能林業械機導入による低コストで採算のとれる林業が求められますが、必ずしも既存のプロでなければできないということにはなりません。森林所有者や一般の林業者でも対応が可能です。
 県内の林業経営は10ヘクタール未満が80%と小規模であり、所有者同士の連携、協力がなければ効率的な経営、整備ができません。山の状態を知っているのは地域の森林所有者であり、地域や所有者とのかかわりを深め、山に目の行き届く多様な担い手や経営体を育成すべきですが、どう考えるのかお聞きします。
 県は、関係団体と連携して緑の雇用担い手対策事業に取り組み、新規就業者の確保、育成を行っていますが、その研修の状況、研修後の就業者数などの成果についてお聞きします。
 京都議定書では、我が国は温室効果ガス排出量を1990年比6%減としました。これに呼応して、県では、岩手県地球温暖化対策地域推進計画を策定し、岩手県の排出量を1990年比8%減、うち、3%を森林の二酸化炭素吸収量に期待するとしています。県は、平成18年の二酸化炭素の排出量の状況をもとに今後13.5%の削減が必要となり、このうち6.4%、81万9、000トンを森林の二酸化炭素吸収量で賄おうとしていますが、荒廃している今の森林の状態で吸収量は正確と言えるのか、お聞きします。
 県有林事業は、これまでに森林の造成に要した借入金が約500億円となっており、木材価格が低迷する中での償還は極めて厳しい状況となったことから、平成16年度から事業の抜本的な見直しと経営の改善を進めています。経営改善の主なものは、林況や立地条件など森林の実態を踏まえ、契約者の合意のもとで森林を長伐期施業林とその他施業林の二つに区分し、収益を確保するとともに、借入金利息を軽減するとしています。対象面積の6万9、000ヘクタールのうち、約2割の1万4、000ヘクタールがその他施業林で、平成21年度から25年に約5、000ヘクタールを解約するとしていますが、長伐期施業林とその他施業林の区分はどう行ったのか、お聞きします。
 長伐期施業林への移行に当たっては、延長期間を50年から80年へとまた10年間の延長も可能としていますが、取り扱いはどう異なるのか、お聞きします。
 その他施業林に区分された森林の解約に当たっては、事業区当たり3、000円程度で土地所有者に買い取ってもらう仕組みをつくったようですが、県の負担が莫大なものになると思います。その他施業林の造成経費は幾らであったのか、買い取りによる費用の差額は幾らになるのか、その財源をどのように処理するのか、お聞きします。
 2011年の世界遺産登録に再挑戦する平泉の文化遺産の推薦書作成に当たっては、推薦書作成委員会に関係市町の代表者が参加していましたし、地域住民には関係市町において地域協議会を組織しており、必要の都度、委員会の審議状況を報告するなど、情報提供や意向把握の機会を設けるとしていましたが、ごく限られた人にとどまっています。県や関係市町の意向がどのようなものであり、どう反映されたのかお聞きします。
 前回の世界遺産登録に当たっては、いわて・平泉観光キャンペーンを展開し県内への誘客を図るとしてきたところです。その一つとして、花巻空港の新ターミナルビルを建設しました。新ターミナルビルを供用したものの、世界遺産登録が延期になったこととあわせ、世界的な金融危機で需要が伸びないこと、日本航空が本年5月から花巻空港と中部国際空港を結ぶ路線を運休するなど、初期の予測が大きく後退しています。
 こうした中で、平成22年度は花巻空港整備事業として並行誘導路等の整備を15億4、000万円をかけて行おうとしています。名古屋便の運休でチャーター便等の使用を拡大できることや投資効果を考慮すれば、直ちに整備する理由は見当たりません。身の丈に合った対応をすべきです。利用者の動向、運航便の回復状況を見きわめ時期を見て整備すべきですが、どう考えるのかお聞きします。
 空港ターミナルビル機能の向上のため、空港旅客ターミナルビルの国際線のチェックインカウンターや手荷物荷さばき所等の拡充を2億円かけて行うとしています。新ターミナルビルは昨年竣工したところです。1年経ずに拡充を行うということは、明らかに設計ミスと言えます。なぜ、新ターミナルビルの建設設計に盛り込まれなかったのか、その責任はどこに起因するのかお聞きします。
 空港利用促進事業として、アクセスバスの運賃補助などを行うとしていますが、その内容はどのようになるのか。新ターミナルビルが供用されてからは、新ターミナルビルを経由する路線バスが限られた運行となり、空港利用が不便になっています。利用者はタクシー利用を余儀なくされ、新たな負担となっています。こうした負担の解消や路線バス乗り入れ拡大のため補助すべきですが、どう対応するのかお聞きします。
 世界遺産登録は、県民や地域にとってどのような影響をもたらすのか、どう変わることができるのか、考えることも大切です。
 平泉町は観光と農業のまちと言われてきました。しかし、観光は限られた人たちが恩恵に浴し、多くの町民が利益を受けることはありませんでした。農業も、圃場整備などの基盤は整備されつつも、まちを支える産業になり切っていません。世界遺産登録は地域の振興と結びつけて取り組むことが必要です。
 花巻空港を利用した観光客の誘客は難しくなっています。これを補うものとして、車両を利用した誘客に期待するところです。高速道路料金は、土曜、日曜日及び祝祭日は全国一律1、000円、通勤時間帯、夜間割引が行われていますし、一部地域では無料化の実験も行われようとしていますから、東北自動車道を活用した誘客に努めるべきです。
 世界遺産候補地に近い場所に中尊寺パーキングエリアがあります。ここにスマートインターチェンジを設置すべきです。下りは毛越寺のすぐ前にあり、上りは交通量が多いことから観光客の利便が図られます。
 スマートインターチェンジの設置は県内初めてであり、高速道路を活用した地域振興を図るため、今後の県内のサービスエリアやパーキングエリアなどにスマートインターチェンジを設置する際のモデルになり得るものであり、実証としても整備すべきです。
 中尊寺パークキングエリアに隣接して、国土交通省が北上川遊水地事業の築堤のための土取り場地があります。約32ヘクタールが平坦地として整備されており、地権者平泉町は工業団地としての活用を望んでいます。当地域は、自動車産業等が立地している地域からも工業団地として好適地です。スマートインターチェンジの設置により、地域における企業立地や経済活動に大きな効果をもたらします。世界遺産登録に合わせ整備すべきですが、対応をお聞きします。
 車両を利用した観光客の誘客のもう一つに、観光・交通情報、休憩施設を提供する道の駅も必要です。平泉町は、毛越寺駐車場内に農産物加工直売施設を設置しました。これは平泉観光に訪れた観光客向けであり、新たな観光客を呼び込む取り組みが必要です。
 平泉町は、柳之御所遺跡の隣接地に道の駅建設を構想しています。当該地は、目の前に本年度、暫定ガイダンス施設もオープンが予定され、観光客のみならず、一般の通行者など広く活用されるものと思います。命名100周年を迎える猊鼻渓の中継基地にもなります。観光・交通情報、休憩施設に直売所など地域産業振興施設の併設により、農業を初めとする地域産業、経済に大きく貢献するものと思います。構想地は国の所有であることから、国との調整、財政支援を含め、県として支援すべきですが、どう対応していくのかお聞きします。
 平泉の価値を高めるためには、従前から指摘した柳之御所ガイダンス施設の整備と政庁柳之御所の復元整備が必要です。ガイダンス施設は新年度に暫定施設がオープンします。柳之御所ガイダンス施設の整備は、世界遺産登録後の平成22年度以降としていますが、どう検討されているのかお聞きします。
 政庁柳之御所の復元は未解明部分があり、検討回数をふやすなど、早く復元整備ができるよう取り組むとしていました。県は、4月の柳之御所史跡公園の開園に合わせ、柳之御所遺跡の建物を復元したコンピューターグラフィックを柳之御所資料館で公開することとしています。未解明部分の検討状況についてお聞きします。
 県際連携については、宮城県、北東北と進めてきました。新年度から県の機構改革で、4広域振興局体制のもとで取り組みが進められます。従来、宮城県との県際連携については、相互の課題協議や情報交換を容易に行えるよう、それぞれに窓口を設置し取り組んできましたが、4広域振興局移行に伴いどの部門が担当することになるのか。今までの連携を後退させることのないよう願うところですが、どう進めていくのかお聞きします。
 連携に当たっては、自動車関連、半導体関連などの連携組織を立ち上げていますが、組織をつくることが成果ではなく、その組織を活用して県民にどのような利益がもたらされたのか、地域がどう振興されたのかが問われます。今日までの取り組みで、どのような利益がもたらされ、どのように地域の振興が図られたと検証しているのか、お聞きします。
 宮城県との連携では、共存共栄できる漁業の操業区域の問題、仙台港寄港のコンテナ船や自動車積み出し船を大船渡港、釜石港へ経由させる港湾の連携など、解決すべき課題が多くあります。県際連携の課題は、相手と利害関係が絡むことから時間を要することもあります。相互の利益を考えれば、数値目標や期限を定め早期に解決することが必要です。それぞれどのように対応していくのか、お聞きします。
 観光については、岩手県から平泉町、一関市が参加している仙台・宮城観光デスティネーションキャンペーン、中尊寺、毛越寺、瑞巌寺、立石寺での四寺廻廊を初め、伊達な広域観光推進協議会などで県境を越えた地域連携の視点から新たな観光ネットワークの構築を図り、相互に地域の魅力を高めていくための取り組みが行われています。こうした観光組織での取り組みをどのように評価しているのか、お聞きします。
 伊達な広域観光推進協議会は、国内外双方からの観光旅客の来訪、滞在を促進することを目的として観光立国推進基本法、観光立国推進基本計画、観光客の来訪、滞在を促進するため地域が一丸となって、魅力ある観光地を形成するための観光圏整備法を受け設立されたものです。
 岩手県の平泉町、一関市、奥州市と宮城県内の市町あわせて、6市4町で2泊3日以上の滞在型観光を促進することとしていますが、成果を上げることができないでいます。どの観光推進団体もパンフレットをつくる、エージェントを招聘するなどの同じような取り組みに終始しています。抜本的な取り組みに変えなければ、所期の目的を達成することはできません。
 こうした中で、みちのく岩手観光立県基本計画案が今議会に提案されています。今後、広域圏ごとに策定されるアクションプランは、この計画との整合を図るとしていますが、今までつくってきた計画とどう違っていくのか、計画達成に向けた具体の推進体制をどのように構築していくのか、お聞きします。
 以上で質問を終わります。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 阿部富雄議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、県議会の決議への対応についてであります。
 県議会からいただいた決議を踏まえて、県においては、県民負担の軽減を図るために、関係省庁と国庫補助金の返還について協議を重ね、返還額の縮減に努めました。また、職員負担金収集納付会が職員及び退職者に広く協力を呼びかけ、その結果、収集目標を上回る負担金が収集され、県に納付されたところであります。
 今回の不適切な事務処理問題については、県行政の最高責任者として私自身強く責任を感じているところであり、こうした事態が二度と発生することがないよう、コンプライアンスの遵守や再発防止策の徹底に努めているところであります。
 また、新たに岩手県職員憲章を制定し、私を含め、職員一人一人が職員憲章の趣旨を踏まえ、より高い意識を持ち、県政が県民から負託されているものであるということをしっかりと自覚しながら、県民の皆様の信頼にこたえられる行政を進めるために、全力を尽くしていく所存であります。
 次に、林野庁委託費及び統計調査委託費の国への返還についてであります。
 林野庁委託費については、国から平成21年7月に返還方針が示されたことを受けて、2月補正予算に返還額47万円余を計上いたしました。また、統計調査委託費については、12月に国との協議が整いましたことを受け、2月補正予算に返還額134万円余を計上いたしました。
 次に、職員の処分についてでありますが、林野庁委託費については、平成21年3月に行った処分の中に含まれております。また、統計調査委託費については、同年10月、新たに戒告2人、訓告1人、厳重注意12人の関係職員の処分を行ったところであります。
 次に、職員負担についてでありますが、林野庁委託費分については、当初から職員負担金収集納付会の目標額に含まれており、また、統計調査委託費分については、当該事案の判明後、関係職員を収集対象職員に追加し、負担金の収集が行われたところであります。
 増嵩分への対応についてでありますが、会計検査院の指摘額には、家畜保健衛生費や土地改良費などにかかわる県単独事業の経費も含まれていましたが、これらについては、国庫補助金の返還にかかわる国との協議の中で国庫補助金の返還対象から除かれたものであり、その額は621万円余になります。この県単独経費については、平成20年10月に実施した全庁調査で明らかになった不適切な事務処理の額に含まれており、他の事案同様に職員負担金の対象とされています。
 加算金への対応についてでありますが、職員負担金は預け金等による公金支出の増嵩分2、250万円余を補てんすることとし、その増嵩分を上回る5、150万円余を目標として設定し、職員及び退職者に対し、議会の決議を踏まえ積極的な協力を呼びかけました。その結果、目標を上回る負担金が集まり、県に納付されたところであります。
 こうした事態を二度と生じさせないよう、職員の先頭に立って努める所存であります。
 国庫補助返還金にかかわる加算金のうち、不適切な事務処理にかかわる需用費の加算金は2、600万円程度と試算されます。これにさきに申し上げた増嵩分2、250万円余を加算しますと4、850万円余となり、結果として収集した職員負担金5、260万円余は、これを上回っているところであります。
 次に、災害復旧状況と全面復旧の見通しについてであります。
 道路など公共土木施設及び農地、農業用施設については、平成22年度中にすべて完了する見込みです。
 磐井川流域の土砂災害については、砂防事業の2カ所が来年度に完了し、治山事業の10地区については、今年度までに6地区、平成24年度までに残り4地区が完了する見込みです。
 国で進めている市野々原地区の天然ダム河道拡幅工事については本年度内に完了するほか、昨年着手された市野々原第2砂防堰堤及び来年着手される他の2カ所についても、平成25年度までに完了する予定と聞いています。
 民有林直轄地すべり防止事業については、平成30年度の完了見込みと聞いています。今後とも、土砂災害からの安全確保に向け、流域の状況観察を行いながら、国と連携し、土砂流出の防止対策を進めてまいります。
 次に、地域資源を活用した復興策についてであります。復興策は、多様な地域資源を生かし、将来とも持続可能な産業基盤の形成の実現を目指すべきであり、観光振興の面では、将来とも安定的な誘客拡大につながるよう、栗駒地域の観光については、交通渋滞緩和対策を初め、さらなる入り込みが期待できる春季、夏季における新たなプログラム開発など、秋田、宮城両県と連携を図りながら取り組んでまいります。
 農業振興の面では、域外からのいわゆる外貨獲得により、将来とも持続可能な経営ができるよう新たな高収益作物の導入や産地拡大の取り組みに加え、一関地方の代表的な食であるもちなどの産業化の支援を通じた食産業の振興などに取り組んでまいります。
 次に、復旧状況を見てもらう取り組みについてであります。国道342号須川竏註^湯間の開通を契機に、全国からのこれまでのさまざまな応援に感謝し、元気になった地域の姿をアピールするため、地元一関市や秋田県と連携した歓迎イベントや、主に仙台圏をターゲットとした観光誘客キャンペーンに取り組んでまいります。また、開通後の誘客を図るべく、早くも先月には、地元一関市や秋田県とも連携して仙台圏の旅行エージェントへの説明会を開催し、本県側から多様な資源を生かした複数のモデルコースを提案した結果、そのうちの一部を活用した商品の企画を早速検討するという約束もいただいております。さらに、今月には首都圏へキャラバンを派遣し、栗駒地域へのバスツアー催行を働きかけることとしています。
 今後とも、他地域からの誘客の拡大や交流の活発化を促していくためには、関係機関との連携のもと、地域のすばらしさをしっかりと情報発信していくことが必要と考えております。
 関係自治体と連携した取り組みについてであります。各機関がこれまで個別に保存してきた被災情報、復旧状況の記録、祭畤大橋などの災害遺構等について後世に伝え語り継ぐとともに、学術研究、防災教育等に積極的に活用していただくための資料の一括保存や提供、また、訪れる視察者の円滑な受け入れのための態勢整備などについて、関係機関が連携して取り組んでいく必要があります。地元一関市では、これまで、国や県が参加する災害遺構保存に関する意見交換会を開催し、災害遺構の伝承資料や遺構整備の検討を行ってきたところであり、県としても、引き続きこうした一関市の取り組みへの参画を通じ取り組んでまいりたいと思います。
 次に、3県の官民による協議会の設置についてであります。栗駒山を中心とした県際地域は、本県や秋田県、宮城県の共有の観光資源であり、これを有効に活用するために、平成19年度に、3県のほか隣接市町、観光関係団体等で構成します栗駒地域交流促進懇談会を設立したところであります。今後、この懇談会を活用しながら、災害からの復旧復興という共通の経験を有する3県の連携をさらに強化し、議員御提案のことも含め、例えば復興に向けたイベントや旅行商品の開発、全国に向けた情報発信等、観光客の誘致を中心とした取り組みを進めていきたいと考えております。
 次に、国道342号の冬期閉鎖後の開通時期についてであります。国道342号の一関市真湯温泉から須川温泉までの冬期通行どめ区間は延長が15.3キロメートルあり、急峻な山腹斜面を走り、また、雪の壁は多いところで5メートルに達する豪雪地帯となっています。このようなことから、除雪に当たっては、雪崩に注意しながら慎重に作業を進めており、開通日は、その年の気象条件によって左右されますが、ゴールデンウイーク前に秋田県側と同時に開通させるよう、平成19年度から取り組んできております。今後とも、春から秋にかけての観光シーズンにおける国内外からの誘客拡大へつながるよう、秋田県と連携した除雪や道路防災施設の整備に取り組んでまいります。
 次に、地震からの復興と平泉の文化遺産の世界遺産登録後の地域振興をどう結びつけるかについてであります。平泉の文化遺産の世界遺産登録は、観光産業を初めとする本県のあらゆる分野に大きな波及効果をもたらすものと考えております。追加登録を目指す骨寺村荘園遺跡などすぐれた観光資源を含む被災地域も極めて魅力的な地域であり、観光客の吸引力はこれまで以上に高まるものと期待されます。したがって、今後は、登録後も見据えた受け入れ態勢の整備や情報発信の強化などに力を入れていきたいと思います。
 次に、林業振興と森林整備についてであります。木材価格の低迷や新設住宅着工数が減退する一方で、本県の森林は、戦後植林した人工林が成熟しつつあり、また、木材加工業界では国産材指向が高まってきております。森林資源を有効に活用し、山元に十分な経済的還元を行う収益性の高い林業を実践していくことが、森林、林業、木材産業を振興する上で重要であります。そのため、昨年12月に策定したいわて県民計画に掲げた地域の森林経営を担う経営体の育成、高性能林業機械の導入と作業道等の整備による低コスト間伐の促進、木材の安定供給から木材加工まで効率的に行う事業体連携、県産材の需要拡大や高付加価値化、こうしたことに取り組み、森林、林業、木材産業の振興に努めていくことしております。
 県有林事業におけるその他施業林の買い取りについてでありますが、その他施業林は、自然災害等により良好な成長が期待できず、将来、採算がとれないと見込まれる分収林であり、解約して経営対象から外し管理費を節減するとともに、現在の借入金を繰り上げ償還することにより将来利息を軽減し、経営の健全化を図ろうとするもので、現在、土地所有者と協議しながら解約を進めているものであります。現在、その他施業林の候補は約5、000ヘクタールで、その造成経費はおよそ77億円となっています。また、解約による土地所有者の買い取り額は少額であり、造成経費との差額もおよそ77億円と見込まれます。この差額については、将来見込まれる長伐期施業林の木材販売収入により充当することとしております。
 次に、平泉の文化遺産の世界遺産登録推薦書の作成にかかわる県や関係市町の意向の反映についてであります。推薦書の作成に当たりましては、文化庁、県及び関係市町は十分に連携、協力しながら進めてきたところであり、推薦書作成委員会はすべて公開で実施し、関係市町においては、地域協議会等の集会の場や広報紙等を通じて、広く住民に周知する取り組みを実施してきました。県及び関係市町では、平成23年の世界遺産登録を確実にするという意向のもとで、文化庁とも十分協議の上、推薦書作成委員や海外の専門家、寺院関係者など、各方面の有識者の意見を踏まえて推薦書を作成していますことから、県や関係市町の意向は適切に反映されてきたと認識しております。
 花巻空港平行誘導路の整備についてであります。国内定期便の利用実績は年々減少傾向にありますが、国際チャーター便については、平成10年度に3、600人程度であったものが、平成20年度には1万人を超えるなど、近年、台湾からのインバウンド便を中心に、毎年多くのチャーター便が運航されています。このように国際チャーター便の運航が伸びている中で、チャーター便機材の大型化に対応できず、ここ数年、国際チャーター便の受け入れを断念した事例が発生しております。平行誘導路が整備されますと、こうした大型機の就航ニーズへの対応が可能になり、観光産業を中心に県内経済にも相当の経済波及効果が期待されますことから、国際チャーター便の誘致拡大に向けて平行誘導路の整備を着実に進めてまいりたいと思います。
 次に、空港ターミナルビルについてであります。今のターミナルビルは、増加傾向にある国際チャーター便に対応するため、国際線専用スペースの大幅な拡大や、国内線と国際線の出発待合室及び手荷物受取所を分離したところでありますが、基本的には、国内定期便の就航しない時間帯に国際チャーター便を受け入れることを想定した施設としたところであります。しかしながら、近年、海外航空会社のニーズの多様化に伴い、受け入れ時間の希望にマッチせず、運航が見送られるケースが発生しています。また、国内線は小型、多頻度運航化の方向にあり、これが進めば、国際チャーター便の受け入れ時間帯の確保も困難となる可能性があり、今後、国内線の路線、便数の維持、充実と国際チャーター便の受け入れ拡大を両立させていくために、現ターミナルビルの機能向上が必要と考えております。
 道の駅の建設についてでありますが、平泉町が柳之御所遺跡の隣接地に道の駅の設置を検討し、道路管理者である国と協議を進めていると聞いております。道の駅は、地域振興施設と24時間利用可能な駐車場、トイレなどの休憩施設を複合化した施設で、地域の主体的な創意工夫により、特産物などの多様な情報やサービスを提供する施設が付加されるものであります。県としては、平泉町と国の協議の動向を注視しながら、必要な支援を検討してまいります。
 宮城県との県際連携についてであります。県南広域振興局では、一関総合支局に県際連携を担当する特命課長を配置してきましたが、4広域振興局体制に移行する中にあっても、引き続き県南広域振興局本局に特命課長を配置し、県南圏域全体として総合的に県際連携に取り組んでいくこととしています。これまでも、県際連絡会議の開催による観光、農林水産業振興にかかわる意見交換、公共事業にかかわる調整、市町災害時相互応援協定の締結など、多彩な取り組みが実施されてきたほか、今年度においては、国道342号の開通の見通しを受けた交流促進の検討や、ダイレクトメールによる県際花めぐりキャンペーンの情報発信などを行っています。今後においても、市町村、NPOなどと現場レベルで十分に連携を図り、県際地域の広域観光の推進を初め、これまでの協力関係や機能の相互補完などをさらに発展させる取り組みを強化してまいります。
 次に、自動車、半導体関連などの連携組織の成果についてであります。自動車分野におきましては、とうほく自動車産業集積連携会議を平成18年に立ち上げ、東北6県知事合同のトップセールスや三河地区での技術展示商談会などに取り組んでいるところです。その結果、関東自動車の設計開発部門が新たに立地しましたほか、県内企業と自動車部品メーカーとの商談がこれまで二十数件成立するなどの成果が上がっております。また、半導体分野においては、宮城県や福島県との連携によりまして、展示会や企業交流会によって県外企業から新たな受注を獲得するなど、県内企業の新規参入や取引拡大につながっております。今後とも、広域で取り組むことが効果的な取り組みについて、東北各県との連携を推進し、本県ものづくり産業の集積促進を図ってまいります。
 次に、宮城県との連携にかかわる諸課題への取り組みについてであります。宮城県との漁業の操業区域問題については、第1に、問題の原因となりました漁業許可証に記載している県境線については、関係漁業者の意向を踏まえ両県とも削除すること、第2に、県境線削除後の相互入会の再開と、両県漁業者が共同で操業する海域の設定などにつきまして、宮城県側と協議を進めております。県としては、本県漁業者と連携し、宮城県側との協調的関係が早期に再構築できるよう努めていきたいと考えております。
 港湾の連携については、定期コンテナ船及び完成自動車運搬船が仙台塩釜港を経由して本県港湾に寄港しておりまして、これら航路の一層の利用促進が本県港湾の課題と考えております。このため、国や東北各県初め産官学の関係者で構成します東北国際物流戦略チームを通じて、効率的な国際物流の実現など東北の活性化に向けて各県連携し、取り組んでおります。今後も、当該組織への参加を通じ、近県と密に情報共有を図りながら、県内港湾の利活用を図ってまいりたいと思います。
 次に、県境を越えた観光の取り組みについてであります。こうした取り組みは、共通の歴史や文化を有する地域が、県域の隔たりを越えて、それぞれの特色を生かしながら広域に連携しているものであり、観光資源を組み合わせた魅力ある旅行商品による誘客、広域観光ルートによる滞留時間の増加、広域として取り組むことによる情報発信力の強化といった連携による相乗効果や波及効果を上げているものと認識しております。
 次に、みちのく岩手観光立県基本計画についてであります。本計画は、いわて県民計画における施策の方向性に沿い、その推進に当たっては、関係部局長で構成する岩手県観光産業振興本部において進行管理を行います。また、県内外の観光事業者や有識者などで構成しますいわて観光立県推進会議からの意見を施策に反映しながら、計画の推進に取り組んでまいります。また、現行の広域圏ごとのアクションプランについては、それぞれ平成22年度で終期を迎えますので、各広域圏において、いわて県南広域圏観光産業振興推進協議会などの広域観光組織と緊密な連携を図りながら新しいアクションプランなどを策定し、その推進に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君)職員の処分についてでありますが、管理監督者、事務処理を直接担当した実務担当者やその上司等を対象といたしまして処分を行ったものであり、県警本部による処分を除く県全体の処分者は、昨年度末時点で、戒告18人、訓告64人、厳重注意431人の計513人となっております。
 次に、処分に係る実害についてでありますが、ただいま申し上げました者のうち、地方公務員法に定める懲戒処分を行った職員数は戒告18人でありますが、この戒告処分を受けた職員については、減給処分や停職処分と異なり、直ちに給与が減額されるものではございませんが、人事評価制度における勤勉手当の成績率が、通常の職員の成績率より低くなることとされていることから、当該処分後の勤勉手当を減額することとなります。減額された額は、総額約210万円と試算しているところでございます。
 次に、職員組合による職員への補償についてでありますが、当該負担金を支払った職員に対する職員団体の補てんにつきましては、職員団体が独自の判断として行ったものであり、その詳細については承知しておらないところでございます。
 次に、不適切な事務処理の再発防止についてでありますが、県といたしましては、再発防止に全力を挙げて取り組むこととし、物品調達システムの見直しを初め、会計事務に係る自己点検や出納局による検査などの内部統制の強化、職員の意識改革を図るための職員教育の徹底などに努めているところでございます。また、監査委員においては、平成21年度から、帳簿の検査に加え、抽出ではありますが、会計検査院が行った検査と同様に、事業者に直接納入等の確認を求め、県の帳簿と事業者の帳簿の両方のチェックを行っているところでございます。県といたしましては、一連の不適切な事務処理が行われてきたことを真摯に重く受けとめ、引き続き再発防止の徹底に努めていく考えであります。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、森林所有者、林業者への支援についてでありますが、国庫補助事業である森林整備事業は、森林組合のほかに森林所有者も事業主体となることができるものであり、所有者みずからが森林整備を実施し、補助金を受領している割合は約3割となっております。補助金申請は、施行地の測量、各種証明書類の準備、申請書の作成など、さまざまな手続を要することから、所有者にかわって森林組合が行ってきたところであります。ただ、所有者みずからが申請することもできますので、その場合には個別に指導してまいります。また、この補助金制度の簡素化につきましては、県としても国に要望しているところでございます。
 また、県が発注する森林整備事業の入札参加資格については、森林整備事業の受注者には、設計書に定める品質に従い、工期内に安全に作業を仕上げてもらう必要があり、これらを管理できる技術者を有していることが必須と考え、そういった趣旨で入札参加資格を定めているところであります。なお、要件を満たす技術者がいない林業事業体が参入できるよう、森林整備技術研修を実施してきたところであり、今後も継続してまいりたいと考えております。
 今後とも、森林所有者、林業者の視点に立って必要な支援に努めてまいります。
 次に、多様な担い手や経営体の育成についてでありますが、森林の管理は所有者にしっかりと行っていただくことが基本であると考えております。このため、林業普及指導員が森林所有者に対し、山の健康診断による個別指導、低コスト間伐などの講習会開催を行っているほか、間伐や作業路など森林整備への助成、森林管理の地域活動に対する助成など、森林整備に熱心に取り組んでいる所有者を支援しているところであります。今後とも、山に目を向け、意欲的に経営を行う森林所有者の育成に努めてまいります。
 次に、緑の担い手対策事業についてでありますが、本県では、平成15年度から平成20年度までの6年間に、森林組合等において、林業への就業を希望する287名が森林作業の実地研修を受講したところであり、平成21年度においても48名の研修が行われております。修了生のほとんどの方が森林組合等の林業事業体に新規雇用され、この間の新規就業者の過半を占めており、従業者確保の有効な対策となっております。
 次に、森林の二酸化炭素吸収についてでありますが、吸収量の対象となる森林は、間伐など適正な管理がなされた森林であり、本県でも、間伐がおくれている森林の解消に鋭意取り組んでいるところであります。吸収量は、国が、こういった適正に管理された森林のみを対象として、京都議定書のルールに従い試算したものと理解しております。今後とも、森林吸収源対策に貢献するため、適切な森林管理に努めてまいります。
 次に、県有林事業における施業林の区分についてでありますが、県有林の経営改善策の柱である森林管理区分に当たっては、平成19年度に設置した有識者等による県有林管理区分検討委員会の意見を踏まえ、森林評価額、団地の規模及びアクセス道の整備状況の三つの要素で契約地を評点したところであります。その結果、評点の高い収益が期待できる契約地は長伐期施業林候補、評点の低い収益が見込めない契約地はその他施業林候補として区分したところであります。
 次に、延長期間の取り扱いについてでありますが、長伐期施業林は、伐期を長期にすることにより、蓄積を増大させ、高い収益が期待できることから、土地所有者の同意のもとに、およそ80年生まで契約を延長するものであります。ただ、所有者の中には、当面10年程度の延長にとどめてほしい旨を希望する方もあり、その意向も尊重しながら契約変更しているものでありますが、次の契約期限到来の時点で再度協議させていただくこととしているものであります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) いわて花巻空港へのアクセスバスの運賃補助等についてでありますが、盛岡からの空港アクセスバスにつきまして、運賃の低廉化等の実証実験を行う予定としております。具体的な割引額や実施期間につきましては、今後、利用者へのアンケートの結果を踏まえ、バス会社と十分協議し、検討してまいります。
 次に、いわて花巻空港へのアクセスにつきましては、新ターミナルビル移転後も、空港利用者の利便性の向上を図っていくため、岩手県空港利用促進協議会の中に空港アクセス改善方策検討専門委員会を設置しまして、空港利用者へのアンケート調査の実施、各交通手段の利用状況の分析等を行い、新規バス路線の創設の可能性を含め検討を進めているところです。今後とも、利用者の利便性の向上がより一層図られるよう検討してまいります。
 次に、平泉町へのスマートインターチェンジの設置についてであります。これまで、高速道路への接続位置や費用対効果など、平泉町や東日本高速道路会社、国土交通省と連携しながら調査検討を進めているところです。一方、国では、高速道路の料金体系のあり方について見直していくこととしておりまして、その内容によって、スマートインターチェンジの計画が影響されますことから、国の動向を注視しているところです。スマートインターチェンジの設置は、高速道路へのアクセスの向上、観光振興及び物流の円滑化など多くの整備効果が期待できることから、引き続き検討を続けていくとともに、整備促進につきまして、今後とも関係機関に対し強く要望をしてまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 柳之御所ガイダンス施設の整備についてでありますが、現在、柳之御所ガイダンス施設については、イコモスの現地調査や世界遺産登録を視野に入れながら、柳之御所資料館を改修して整備を進めており、本年4月にオープンさせることとしております。今後、新たなガイダンス施設の整備については、世界遺産登録後の来館者の状況を十分に見きわめながら検討を進めていきたいと考えております。
 次に、政庁柳之御所の未解明部分の検討状況についてでありますが、柳之御所遺跡の復元整備については、平泉遺跡群調査整備指導委員会の指導を得ながら実施してきているものでありますが、建物の復元については、建築分野と歴史分野の専門家を中心に検討を重ねていただき、基本設計が完了したため復元CGを制作することができました。今後、建築部材の形質や材質、建物の詳細な構造などの未解明な部分については、さらに指導委員会の指導を得ながら対応していきたいと考えております。
   〔警察本部長保住正保君登壇〕
〇警察本部長(保住正保君) 不適切な事務処理の発生総額の内訳につきましては、国庫支弁経費は868万3、477円、補助対象経費は4、743万9、925円、補助対象経費以外の経費は1億5、878万6、855円となっております。
 次に、今般、県警察が職員に対して負担を求めることとしておりますのは、物品の調達時期の差異による調達価格の差異ではなく、実際の物品調達手続におきまして競争性が確保されていないことにより割高な購入となっていると認められます預け金、差しかえ、一括払いの3態様に係る費消を対象とするものであります。
 なお、こうした考え方は、同様の事案で職員が負担した他県等におきましても同様であると認識しております。
 最後に、会計経理アドバイザー制度につきましては、外部の専門家の方から御意見をいただくことで県警察として再発防止策をより効果的に推進し、県民の懸念を払拭しようとするものであります。
 去る1月22日に開催されました県下警察署長会議におきまして、会計経理アドバイザーから講話をいただきました。これは、主に職員を対象としたものであること、質疑応答などにおいて自由闊達な議論を促すことを目的に非公開で行ったものであります。しかしながら、こうした県警察の取り組み姿勢につきましては積極的に情報開示することとしておりまして、報道機関に対して、まず、アドバイザーを委嘱した1月20日に県下警察署長会議で講演をしていただくことをお知らせしたほか、1月22日の県下警察署長会議終了後におきまして講話内容の概要を説明しているところでございます。
 なお、会計経理アドバイザーによる講話につきまして、今後、公開するか否かにつきましては、個々具体的な事例に即して、その方法も含め検討してまいりたいと考えております。
〇37番(阿部富雄君) それでは不明の部分についてお伺いをいたしますが、まず、不正経理の関係でありますけれども、知事は、県議会の決議なども受けて返還金の縮減だとか職員負担の収集目標を上回るように努力をしてきたと、こういう言い方ですね。県議会が行った決議というのは、そういう趣旨じゃないんですよね。質問でも申し上げましたけれども、皆さんが不適切な事務処理に関する処分、職員負担等に係る対処方針を平成21年2月10日にまとめたんですね。それを受けて県議会は、それでは不十分だよと、それをもとに3月6日に考え直しをしなさい、さらに十分な検討を講じなさいという、こういうふうな決議をしたんですよ。時系列的に見たって、県そのものが出した方針が間違いだと、この方針を見直しをしなさいよという、こういうふうな立場で出しているわけですけれども、知事はそういう認識に立つわけですか。
 それから、返還額を縮減したとか収集目標を上回ったということですが、返還額を縮減するのは、これは法的なものについて精査をしたということだけですから、何も返還額そのものを国のほうから猶予されたとか何とかという、そういう中身じゃないでしょう。法律に従って精査した結果が縮減になったという、それだけのことじゃないですか。
 それから、収集目標は後で申し上げたいと思いますけれども、もう一つは、加算金への対応ですね。知事の答弁では、加算金も含めて県民負担はないような答弁をされましたけれども、私どもが皆さんからいただいている資料を見ますと、少なくとも増嵩分の2、200万円、それから加算金の5、000万円、これは負担にかかわる部分なんです。職員が収集した金額というのは5、200万円でしょう。単純に見たって、約2、000万円は県民負担になっているという、こういうことなんです。加算金の対応についても、従来は補助金適正化法によってそれに基づいて返してきたと、いわゆる行政ルールがそうなってきたから今回の加算金についても同じような対応をしてきたという、こういう言い方ですね。ただ、今回の場合は、職員の皆さんが事務処理を誤ったとか何とかじゃなくて、きのうの質問でもありましたように、明らかに地方自治法であるとか会計規則だとか、そういう法に反する行為を行った、いわゆる不正な行為を行ったことによって加算金が発生したわけですから、当然、この部分については職員が負担をするというのは当たり前じゃないですか。そういう認識に立てないですか。
 それから、職員の収集目標が上回ったということですけれども、まずその前に総務部長、極めてあなたの答弁も無責任だといいますか、同じ中にいて全然組合が独自に行ったことだから内容はわからないと、簡単に言うとこういう答弁です。私もわかりませんが、新聞報道などを見るとこういう書き方ですよ。
 皆さんが平成21年2月10日に、この方針をまとめた直後の3月下旬に職員組合はこういうふうなことを決めているんだそうです。組合員については全額補てんすると。それから、準組合員については一律1万円、個人負担分は約600人、そして金額については1、000万円、こういうことですよね。何でこんなことがわからないんですか。知らないなんてとぼけて。まさに無責任だからこういうことになるんですよ。もっと現実を正しく見て、県民にどう説明するかという立場できちっと対応しないと、県民不信を招くというのは当たり前じゃないですか。
 こういうことを考えていった場合、収集目標を上回ったからいいのだという知事の言い方、少なくとも職員が集めたのは5、200万円でしょう。このうちの1、000万円は組合が補てんしたと。こういうことで、だれに責任があるんですか。こんな形で再発防止だとか職員の意識改革などというのは起こるんですか。しかも、職員負担の対象としたのは、その2、担当課長、その1、そして総括課長、まさに県の中枢を担う方々でしょう。こういう方々がこんな対応で本当に再発防止できるんですか。あるいは県民がそんなことを聞いて理解できると思いますか。やっぱりこの辺はきちっとまず対応してもらうというのが私は原則だと思いますから、もう一度きちっとした答弁をいただきたいというふうに思います。
 それから、県有林のその他施業林の区分けです。知事は77億円が丸々持ち出しになるといいますか、造成費にかかってこれが回収できない。この回収分については、将来、長伐期施業林の販売価格の中で補うのだと、こういう言い方をしていますけれども、果たして30年後あるいは10年後に、長伐期施業林で77億円を確保できるという見通しあるんですか。そういうものがないまま、結局は値段が上がらなかったり、思うように売れなかったら77億円は県が負担をする、税金で負担をするということになるんじゃないですか。その辺についてはどのように判断されているのか。もう一度きちっと御答弁いただきたいと思います。
 それから花巻空港整備ですけれども、先ほどの質問の中でも私申し上げたんですが、平行誘導路を緊急に整備すべき理由といいますか、そういうものが果たしてあるのかなということを私は疑問に感じるわけです。客観的に見たって、さっき言ったように需要が低迷している、低迷というよりは減ってきているということです。それから定期便が減らされている、こういう状況です。確かに外国からのチャーター便はふえているかもしれませんけれども、今の状況を考えれば、今のままで当面は対応できるものと、私はそう思っているわけです。
 この空港整備に当たって、県債の発行額14億2、000万円ですね。空港整備と拡充をあわせてだと思いますけれども、14億2、000万円の県債。ことしのプライマリーバランスは27億6、000万円の赤字だと、こういう言い方をしているわけですよ。空港が仮に延期をするだけで、相当プライマリーバランスだって私は改善されるんだろうと思うんです。もう少し努力すれば、プライマリーバランスの均衡は図られたと思うんですけれども、そういう全体的な中身の中で対応するということが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
 知事にお聞きしますけれども、需要見通しは一体どういうふうなことになるという形でお考えになったんでしょうか。それから、費用対効果というのはどのようなるというふうに考えて平行誘導路建設をするという決断に至ったのか、お聞きいたします。
 それから、いわゆる国際線のチェックインカウンター、手荷物荷さばき所の拡充、これも2億円かけてやるというんですね。去年のたしか5月に新ターミナルビルが供用したと思いますけれども、去年の9月議会で、空港ターミナルビルの機能向上の調査費として3、000万円計上しているんです。9月ですよ。そうしますと、5月に開業して、6、7、8月と3カ月でつくったばかりの空港の機能が発揮できない。だから調査費3、000万円をかけて調査して、今度2億円をかけてチェックインカウンター、荷さばき所の拡充を行う。何ですか、これは。
 この前つくったターミナルビルというのは、今言われているようなことに対応するためにつくった空港じゃなかったんですか。3カ月もしないで、まさに開業してすぐこういう事態に至ったということ自体、明らかに設計ミスなり対応のまずさじゃないんですか。だれがこの責任をとるんですか、2億3、000万円という金額。やっぱりこれはきちっと究明をして、そういう設計に至らなかった責任者を明確に処分するとか、県民負担は解消するとか、そういうものをきちっと示すべきですよ。そういうことをしないまま進めるということは私は問題であると、このように思うわけですけれども、いかがでしょうか。
 それから、平泉町のスマートインターチェンジの関係ですけれども、検討をこれからも継続して整備促進を働きかけていくという答弁でした。ぜひお願いしたいわけですが、一体検討を重ねる中でどういう形の検討がされて、何が問題だというふうに出ているんでしょうか。その辺を少し詳しくお話をいただければというふうに思います。
〇知事(達増拓也君) 県議会の決議への対応についてでありますけれども、県議会からいただいた決議については、これをしっかりと踏まえて県として対応をしておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 花巻空港平行誘導路に関し、議員御質問の中で、花巻名古屋便運休というのを前提に御質問されていましたけれども、これについては可及的速やかなる再開というものを鋭意働きかけているところでございます。また、その中で小型便を使うという議論があるわけでございますけれども、札幌便もそうでありますけれども、JALの経営改革の中で、ごく最近、小型便を使ってかつ頻度を高めていくという新しい航空戦略が出てきたところでございまして、これにしっかり対応できるターミナルのあり方というのは、現在あるターミナルの機能をさらに拡充し強化していくことでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 なお、専門性の高い質問をいただきましたので、これについては担当部長から答弁させていただきたいと思います。
〇総務部長(菅野洋樹君) 加算金の関係でございますが、9月議会に御報告させていただきました国庫補助金の返還の状況についてでございますが、返還額1億7、000万円余のうち元金相当部分が約1億2、190万円、それから、これに係ります加算金が約5、000万円でございます。この国庫補助金の返還金につきましては、需用費だけではなくて旅費と賃金も含まれてございます。旅費、賃金につきましては、議員の御指摘がありましたとおり、法に違反した運用規則、運用に違反したということではなくて、支出は適正に行われていたものの、その使途目的が国と県との間で、これは国庫補助対象になる、ならないの議論がございまして、そこが結果的に国庫補助対象とされなかった。需用費につきましては、議員御指摘のとおり、会計法規等に違反した事実があってあのような御報告をさせていただいたものでございますが、旅費、賃金については、そのような状況にはなかったということで御理解をいただきたいと思います。
 先ほどに返って恐縮でございますが、全体の元金の1億2、190万円余のうち、需用費に係る部分が6、230万円、約51%を占めてございます。したがいまして、先ほど知事が御答弁申し上げましたとおり、5、000万円に割合でございます51%を乗じますと、おおむね先ほど知事が申し上げた加算金相当額と試算されますものですから、いわゆる不適切な事務処理に係る加算金に増嵩分を加えましても、職員負担金として徴収した分の範囲内におさまっているという趣旨で申し上げたものでございます。
 それから、職員負担金の補てんにつきましては、やはり不適切な事務処理に対する職員団体としての考えに基づく独自の判断で行われたものと承知してございます。職員団体は独立した団体でありますことから、その行った措置内容及び運営について、県として関与することは差し控えるべきものと考えてございます。
 さらに、再発防止策についてでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、やはり今回の事案にかんがみては、食糧費についての反省が生かされなかったのではないかという反省を私どもも持ってございます。したがいまして、内部統制だけではなくて、やはり外部統制、監査委員という第三者の手によって、しかも会計検査院と同様の手法を用いて監査を行っていただくと。県の内部の資料だけではなくて、実際の事業者にも入っていただいて両面からチェックしていただくと、そういったことも積み重ねながら、この再発防止に万全を期してまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(瀬川純君) その他施業林の買い取り額が少額であるということですが、分収林の現在の評価額が極めて低いということによるものでございますが、一元化によります経営改善の柱として、その他施業林の解約を進めることが必要となっているものでございます。
 県有林事業の一元化に当たっての基本的な考え方では、長期的には、この県有林事業が黒字化されていくということで見込んでおりまして、こういった将来見込まれる木材の販売収入によりまして、その収入で充当されるものと考えております。
 御指摘のとおり、確実な将来の黒字化が必要でございますので、こうした考え方に基づいて進めているところではありますが、今後とも、この木材収入が確実になりますように、山の価値を高めるためのきめ細かな路網整備に努めるとともに、将来利息を軽減するための任意繰り上げ償還について引き続き国に要望するなど、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) いわて花巻空港についてでありますが、国際チャーター便につきまして、昨年の1月に韓国からのチャーター便を受け入れ時間が合わないということもあって断った経緯がございます。それを踏まえまして、いろいろターミナルビルの機能、あるいはいわて花巻空港の機能等を再検討した結果、やはりターミナルビルの機能の向上が必要だということで、9月補正に機能拡充の設計費をお願いしたところでございます。また、国際チャーター便については、ことしの1月にも台湾の航空会社から連続チャーター便の受け入れの打診がございました。ところが、国際線専用のチェックイン施設がない、あるいは国内定期便との関係で受け入れ時間が若干合わない等々いろいろございまして、結果的にはあきらめざるを得なかったということでございました。
 こういう国際線のチャーター便の多様化に伴いまして、私どもとすれば、ターミナルビルの機能向上あるいは平行誘導路の整備が必要であるというふうに考え、今、整備を進め、また、機能向上の予算をお願いしているところでございます。
 それから、平泉町のスマートインターチェンジにつきましてですが、平成20年度から、県、平泉町、国のほうで検討を始めております。平成20年度は調査をメーンに行っておりますけれども、何が課題かということでございますが、やはり採算性がとれるかどうか、あるいはBバイCが果たして要件に合うのかどうか、この2点が大きな課題であるというふうに考えております。
〇37番(阿部富雄君) ちょっと時間の関係で絞ってお尋ねしますが、花巻空港の関係です。
 費用対効果だとか需要の見通しはどうなんですかと、そういうものを判断して今回建設を決断したんじゃないですかということを知事にお聞きしたわけですが、その部分のお答えがありませんでしたし、それから、いわゆる県債の関係の部分ですね、これらについての答弁もなかったわけですが、その辺どうなんでしょう。
 そこで、知事の希望王国マニフェストでは、プライマリーバランスの均衡を図りますと、こういうことはきちっと明記されているんですよね。希望王国マニフェストを今見ているわけですけれども、普通、マニフェストというのは、数値目標だとか時期だとか、あるいは財源等も示してということに一般的には言われているようですが、知事のマニフェストを見ると、数値目標が入っているのはわずかに三つだけなんです。それは、インターネットの人口普及率であるとか県の審議会の調整比率を高めるとか、それからもう一つは、マニフェストになるものかどうかわかりませんけれども、知事の任期は原則2期8年だとか、この三つしか数値としては入っていない。ただ、文脈からして数値目標が入っているというふうに思われるのは、一つは知事の退職金は廃止しますと。それからもう一つは、プライマリーバランスの均衡を図りますと書いています。これは数字が書いていなくても明言していますから、数値目標というふうに見ていいだろうと思います。
 プライマリーバランスの均衡を図りますということについては、マニフェストの中で、道義的信頼を高める戦略の一環として掲げていますと。知事みずからが決めたルールを道義的信頼として県民に約束したんですよ。それを実現する、そういう努力は当然つくったものとして私はやるべき中身じゃないのかなというふうに思います。
 県債の動向はいろいろあると思います。ただ、例えば先ほど言った知事の任期は原則だとか、あるいは何々に努めますということであればファジーな部分ですから、それは許容範囲の中かというふうに考えることもできるわけですけれども、プライマリーバランスについては図りますですから、やっぱりこれはきちっと責任を持つべきものというふうに思うんですが、このままでは県民の信頼を失いかねませんし、やはり県民の県政に対する無関心の助長につながっていくことではないかなというふうに思うわけです。
 知事のマニフェストでは二つの戦略を掲げているわけですね。その一つ、ソフトパワー戦略。ソフトパワーというのは、こういう言い方をしているんですね。文化的魅力と道義的信頼によって相手を動かす力だと。
 さっき、プライマリーバランスを図るというのは、道義的信頼を勝ち取るために書いたのだと、こういうふうに言っているわけですね。そうすると、道義的信頼が失われるとすれば、ソフトパワー戦略そのものが根底から崩れるという、こういうことになるんじゃないでしょうか。やはりここはまだ時間があるわけですから、もう少しきちっと対応するべきだというふうに私は思います。
 それから花巻空港の問題、荷さばき所とチェックインカウンター。開業する前の1月に、韓国からの便が来て混雑したからそれでやったのだと。そうであれば当然まだ開業していなかったわけでありますから、その時点で設計変更がかけられたんじゃないですか。そんなこともしないで開業してからすぐ設計を変えるというのは、こういう考え方自体がおかしいんじゃないですかということを私は言っているんですよ。もともとこのターミナルビルをつくるというのは、こういう需要に対応するためにやってきた中身じゃなかったんですか。いかがですか、その辺は。
〇知事(達増拓也君) 平成22年度予算案は、前年の当初予算に比べまして大幅な伸びをしているところでありますけれども、これは大阪府に次いで全国2位の伸び率であります。今、経済・雇用対策本部長を兼ねる私でありますけれども、そうした経済、雇用対策ということを緊急に進めていき、かつ、岩手の経済社会の足腰を強くする、中長期的にも働いて稼いでいくことが力強くできる県土をつくっていくために、平成22年度予算は県の中では全国最高の伸び率とした積極予算ではありますけれども、そのような予算においても、臨財債を除いた債務についてはむしろ減らすような内容になっておりますし、借金をこれ以上ふやさないというような内容になっているところであります。
 花巻空港につきましては、今、中国を中心にアジアでの航空網の発達は想像を超えるものがありまして、私も実際、香港、台湾などで現地の旅行代理店の方々と話をしますけれども、日本に行くということはもちろんなんですけれども、行ったことのないところに行きたい、また、やったことのない体験、特にほかの人がまだ体験していないようなことをいち早く日本に行って体験したいというように、アジアからの日本への観光のニーズの多様化というのは予想を超える勢いで非常に発達しております。そうしたことが大型機の離着陸に関するニーズの多様化ということにもつながっているわけでありますけれども、やはりこうした中国を中心としたアジアにおける航空機を用いた旅行の発達という追い風は─追い風というよりも、これは経済成長に伴って必然的な自然な流れとして着実にそうなってきているというふうに見ていいと思います。それにしっかり対応していくことが岩手のために非常に重要ではないかと、そういう政策判断で御提案させていただいておりますので、御理解いただきたいと思います。
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 新ターミナルビルの建設時に設計変更したらどうかというお話だったんですが、現在、機能向上を図るための施設は、今のターミナルビルのサイドに別途増築するというようなことで、国際線チェックインカウンターを設けるということでございますので、改めて、今の新ターミナルビルの建坪の中で国際線チェックインカウンターを増設するということではないものですから、設計変更で建設中に行うということは増嵩につながりますので、そこは避けたということでございます。また、昨年1月の韓国からのチャーター便というのは、結果的にはお断りを申し上げたということでございます。
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時4分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 雪 文 君
22  番 嵯 峨 壱 朗 君
23  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
36  番 柳 村 岩 見 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時23分 再開
〇副議長(小野寺研一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(小野寺研一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(小野寺研一君) 日程第1、一般質問を継続いたします。及川あつし君。
   〔23番及川あつし君登壇〕(拍手)

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