平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇10番(菅原一敏君) 岩渕誠議員のチリ地震津波に関連しまして、何点か質問をさせていただきます。
 まずもって、被害を受けられました漁業者の皆様、そして漁業協同組合を初め関係の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 本県の水産業は、水産資源の減少や魚価の低迷、漁業従事者の減少など厳しい状況にある中で、安全・安心で良質な水産物を安定的に供給するとともに、沿岸地域の基幹産業として大きな使命を担っているところでありますが、先ほど、農林水産部長から御答弁がありましたように、去る2月28日のチリ地震津波によりまして、沿岸漁業の生命線とも言える養殖施設に大変大きな壊滅的な被害を受けました。まだ、被害の実態、被害額などの全体像は明らかになってはおりませんが、私の地元、陸前高田市の広田湾漁協だけでも、カキ、ホタテ、ワカメなどの養殖施設を中心に、昨日の時点で5億6、300万円を超える被害額となっており、県全体では、平成15年の十勝沖地震に伴う津波被害を優に超えて、平成6年の北海道東方沖地震津波の被害額12億3、800万円に迫り、あるいはこれを超えるかもしれないという史上まれに見る水産関係災害の様相を呈しているところであります。
 このような状況を踏まえまして、以下3点についてお伺いいたします。
 まず最初に、県は、このたびの水産施設被害の実態についてどのように認識されているのか。そして、大きな被害を受けましたカキ、ホタテ、ワカメ、昆布などの養殖施設の復興については、先ほど御答弁がありましたが、国、県の補助事業を活用するということでありますけれども、それでは、補助対象とはならない補修等の事業、あるいは壊れたいかだ、もつれたロープ、使えなくなった漁具、魚網などについてのいわゆる災害処理についてはどのように対応されようとしているのか。そしてまた、県単独事業による強い養殖施設事業などを活用するということのようでございますが、これらの県単独事業については、需要がいっぱいあるわけでございますが、これにこたえられるだけの予算確保の見通しはどうなのか、この点についてお伺いしたいと思います。
 2点目でございますけれども、漁業共済制度のある水産物については共済金がいずれ支払われるわけでございますけれども、共済制度のないホヤや、あるいは広田湾で生産されておりますエゾイシカゲガイなどの水産物の被害にはどのように対応されるお考えなのか。特にも全滅状態になりましたエゾイシカゲガイについては、広田湾が全国一の生産額を誇っておるところであり、主にすしネタとして非常に有望な新しい養殖品種でありますけれども、この生産再開に向けての支援の体制をどのようにお考えになっているのかお尋ねいたします。
 最後に、国に対して、県としてはまずは局地激甚災害指定に向けての協議、検討などの取り組みが必要であると考えますけれども、県としてはどのように対応されるお考えか。
 以上、3点についてお伺いいたします。
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、被害についての県の認識についてでありますが、本県の水産業は、議員御指摘のとおり、地域経済を支える基幹産業と認識しております。また、今後の県北・沿岸地域の振興を図る上でも重要な位置を占めるものであり、積極的にその振興を図ってきたところであります。こうした中で、今回の津波による被災は、養殖生産物の減産や漁業者の生産意欲の減退が懸念されるなど、大変深刻な状況にあると認識しているところでございます。
 養殖施設の復旧への対応についてでありますが、これにつきましては、まずは被害の詳細な調査結果に基づきまして、地元関係者と復旧方策を十分協議した上で、国の交付金あるいは県単の補助金が活用できるものはそれを導入する、それから、今御指摘がありましたような、それらで対応できないようなものについてどういった方策ができるか、きめ細かく検討して、速やかに対応してまいりたいと考えております。施設の復旧に当たりましては、アンカーやロープなどの強度の増加を図るなど、災害に強い施設の整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、漁業共済制度の対象となっていない種目への対応でございますが、広田湾におきまして、エゾイシカゲガイあるいはホヤの養殖施設に大きな被害が生じていると報告されているところでございます。このエゾイシカゲガイやホヤは漁業共済制度の対象となっておりませんので、共済による救済はできないものでございますが、この被害規模等を勘案しながら、これも国の交付金あるいは県の地域営漁計画推進特別対策事業の導入等を検討するほか、農林漁業セーフティネット資金などの活用の促進も含めて幅広く対策について検討して、対応してまいりたいと考えております。
 次に、国の交付金の活用、激甚災害指定への対応など、国に対する要請についてでございますが、今後、詳細な被害状況や被害額の把握を踏まえ、養殖施設の早期復興等を進めるために国の交付金の導入を図るほか、激甚災害の指定につきましては、その要件について検討し、国に対し必要な要請等を強く働きかけてまいりたいと考えております。
〇10番(菅原一敏君) ありがとうございました。いずれ、現段階の対応ということで、その方針等についてはまだまだこれからという部分もあろうかと思いますけれども、いずれ、漁業者は高齢化しておりますし、また、後継者も不足しているわけでございますので、今回対応を誤れば、今後の生産意欲あるいは就業意欲をそいでしまうことにもなりかねない非常に重要な局面であると思っているところでございますので、県におかれましては、迅速、適切な対応を全力でとられるように強くお願いしたいと思いますし、最後に、非常に大事な事項でもありますし、今後の大きな課題になろうと思っているわけでございますので、ここで知事から御所感をお伺いいたしまして、終わりたいと思います。ありがとうございました。
〇知事(達増拓也君) まずもって、今回の津波により被災された皆様に対し心からお見舞いを申し上げます。また、今回の津波災害の対応に当たって、市町村及び防災関係機関の皆様の御尽力により適切な対応をしていただき、心から感謝を申し上げます。
 現時点において人的被害及び公共土木施設被害は生じていませんが、水産関係、特に養殖施設において相当な被害が生じていますことから、市町村と連携をしながら早急に調査を進め、調査結果がまとまり次第、県としてできる限りの対応を図っていきたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって岩渕誠君の一般質問を終わります。
 次に、阿部富雄君。
   〔37番阿部富雄君登壇〕(拍手)

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