平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇48番(小野寺好君) 公明党の小野寺好であります。
 ハイチ大地震に続き、チリでも2月27日に大地震が発生し、たくさんの方々が犠牲になり、また、本県でも、水産業を中心に甚大な被害が発生しましたことに、心からお見舞いを申し上げます。
 では、通告しておりました事項について、順に質問いたします。
 最初に、知事演述についてお尋ねいたします。
 今回で達増知事の所信表明を4回伺いました。初年度は、新地域主義戦略と岩手ソフトパワー戦略を基本として、6本の政策の柱を掲げ、これからの4年間、県民の方々の先頭に立って、将来の岩手を担っていく子や孫の世代も、大空に希望を描けるような金色に光り輝く岩手づくりに邁進してまいることをここに誓いますと締めくくっております。教育、福祉、医療、産業振興、環境、防災等、新知事の意欲があふれておりました。
 その1年後の所信表明の冒頭では、所得低迷、雇用対策、人口流出、医師不足等を嘆いた演述となっていますが、驚いたことに、今回の所信表明の四つの喫緊の課題と全く同じであります。また、危機を希望にとの言葉も、これまで何度も聞かされましたが、最近ではうつろに響いております。
 ことしは達増県政4年目になりますが、御自身、これまでの3年間をどのように総括し、これからの岩手をどのようにしたいと考えているのでしょうか、お伺いいたします。
 唯一、ドクターヘリへの取り組みは評価しますが、それ以外、何をしてきたのでしょうか。県民の素朴な願いは、普通に仕事をして収入を得、安定した生活をすることであります。しかるに、所得はふえるのではなく減少し、平成20年度の県民所得は前年比マイナス5.3%の225万6、000円でした。県民所得260万円という目標を消してしまいたくなるような数値であります。
 また、基幹産業でありますが、我が県は、かねてより総合食料供給基地岩手を標榜してきましたが、3、000億円を超えていた農業生産額は2、500億円を切り、他産業も同様に低迷しています。就職難、人口減、県立病院勤務医師の相次ぐ離職、不正経理や毎月のように発表される県職員や教員の不祥事、達増知事の描く希望に満ちた黄金の國、いわてはどうなったのでしょうか。危機を希望にと言いますが、多過ぎる危機、マイナスを転換していく方策はいかがでしょうか、お伺いいたします。
 次に、ドクターヘリの導入の促進について伺います。
 救命救急センターは常に忙しい、そこの医師が空を飛ぶ、しかも高額の経費をかけてとなると、到底日本ではなじまないと思われていたドクターヘリ事業ですが、救命率の向上、予後の改善に有効であるとの結論を得て、平成13年度から国の補助事業として開始されました。
 その後、平成19年6月19日、略称ドクターヘリ法案が、自民、公明による議員立法で成立したことから、導入が加速いたしました。ことしは試行的事業開始から10年目で、16道府県20カ所に配備されたと聞いています。
 ドクターヘリ導入に向けて、前知事のときから何度も取り上げてまいりましたが、否定はしないものの、まともに受けてはいただけませんでした。それが、達増知事には、すぐに調査費を計上していただき心から感謝しております。そして、平成22年度予算には7、590万円ほど計上されており、これまで2年間かけて調査検討した結果だと思いますが、その適否と理由、効果、課題はいかがでしょうか。
 なお、あと2年かかると聞きますが、早期導入はできないものか伺います。
 東北では、福島県と青森県で既に運航されて実績も積んでいます。私も先月、福島県立大学附属病院と八戸市立市民病院を視察し、担当スタッフから熱意あふれるお話を伺ってまいりました。
 ドクターヘリは、医師がヘリで急行して初期治療に当たり、次の搬送先での処置につなぐことに最大の意味があり、患者搬送は二義的な意味にあることを確認いたしました。救急車の場合の、救急隊員が医療行為を行えず、もっぱら搬送を任務とすることとは大きく異なっています。
 県高度救命救急センターは、ここ盛岡市内丸にあり、官庁や住宅が密集していてヘリコプターが常駐できるかどうかは不明であります。ドクターがすぐにヘリに搭乗するには、ドクターのそばにヘリを置くか、ヘリのそばでドクターが待機するかですが、この基本的な課題に対し、発進基地方式で導入との報道がありましたが、具体的にお示しいただきたいと思います。
 次に、出産と子育て支援について伺います。
 まず、出産の関係について伺います。
 妊娠の届け出によって母子健康手帳を受け取るわけですが、以前、この手帳を持たないいわゆる飛び込み出産は、盛岡赤十字病院で年間10例程度あると聞いたことがあります。理由は、面倒だとか、時間、お金がないとのことでした。
 その後、公明党は、妊婦健診の公費負担を求めて全国的に署名活動などを展開しましたが、14回程度と言われる妊婦健診をすべて公費負担にすべきだとの要望がかない、暫定的とはいえ、2カ年実現することとなりました。
 その後、本県における飛び込み出産と言われる状況はどう改善されたか、妊婦健診の公的助成は今後どうなるのか伺います。
 また、出産育児一時金でありますが、平成21年1月から、産科医療補償制度の掛金相当額3万円分が増額となり38万円、さらに、同年10月からは42万円になりました。このとき直接支払制度に変わり、一時的とはいえ多額の現金を用意しなくともよくなりました。医療機関にとっては、分娩費未払いと未受診妊婦の存在等の問題が解決されたものの、2カ月ほどおくれて振り込まれることになり、小規模の施設の経営を逼迫させることになったと聞きます。ただし、準備が整わない場合は、この4月以降も猶予を認めるような大臣発言も報道されております。
 このことに関し、分娩を取りやめた施設など心配されますが、県内ではどのような影響が出ているか伺います。
 次に、保育所、幼稚園について伺います。
 政府の子ども・子育てビジョンの12の主要施策の中には幼保一元化が掲げられていますが、現場には高く分厚い壁が存在し容易ではありません。
 幼稚園では、少子化の影響で園児の確保が年ごとに難しくなってきていますが、その一方で、働く女性がふえ、保育所への入所希望者が多過ぎて対応できない、いわゆる待機児童問題があります。以前から指摘されてきていることですが、少子化にもかかわらず、認可保育所の定員はふえてきていますが、それでも県内の都市部では待機児童、乳児の問題が解消されていないと聞いております。
 先日の答弁では、県内では4市95人待機というのが最近の状況のようですが、今後の見通しと0歳や1歳の乳幼児についてはどのような状況にあるか伺います。
 保育所と幼稚園の利点を生かし合い、就学前の教育、保育ニーズに対応する形態として認定こども園がスタートし、本県でも県条例を制定し、3年前に幼稚園型の認定こども園第1号が誕生しましたが、余り後が続きませんが、なぜでしょうか。魅力あるいは需要がないのか、預ける側にメリットがないのか、施設側に問題があるのか、現状と県の展望をお伺いいたします。
 若い夫婦への子育て支援策として、公明党は、就学前の保育所、幼稚園については無償化すべしと主張し、自民党の皆さんにも理解をいただいてまいりました。その伏線として子育て応援特別手当を2カ年実施したわけであります。しかし、さきの総選挙で政権が交代して、これが中断され、民主党が公約した公立高校の無償化が優先されようとしています。
 既に2月25日、衆議院において、この無償化法案が審議入りし、この4月からの実施を目指しているとのことです。公立高校の授業料を徴収しないこととの均衡を図るため、これに見合う金額を私立高校に通う生徒に就学支援金として給付する方針のようですが、私立の場合、倍以上給付されないと平等にはならないのではないでしょうか。公立高校には税金が投入されて運営されているからであります。
 この不平等について、知事はいかがお考えか、お伺いいたします。
 また、私立高校に通う生徒自身に対する教育費の支援、学校法人の経営に対する支援など、本県の私学助成の基本方針を見直していくかどうかお尋ねいたします。
 次に、介護問題について伺います。
 介護保険制度が施行されて、この3月末でちょうど10年が経過することになります。予想し得なかった超高齢社会になりましたが、次の10年後はどうなるのか、さらに、高齢者人口がピークになると言われる15年後はどうなるのか、非常に心配でありますが、被介護者数、総介護事業費、住民の保険料負担など、シミュレーションがあればお伺いいたします。
 高齢等により介護を受けなければならなくなったときに、施設よりも住みなれた我が家がいいに決まっておりますが、家族では十分に対応できない場合は施設に頼らなければなりません。しかし、施設の満床が理由でそれがかなわない場合、身内の介護は、老老介護、シングル介護、介護うつ、場合によっては高齢者虐待等と深刻になります。
 こうした背景から、私ども公明党は、今国会の衆参本会議等で紹介しておりますが、昨年11月から12月にかけて、全国の公明党議員3、000人余りで介護総点検を実施し、実態調査と関係者の声を聴取しましたところ、10万件を超える貴重な御意見と御要望が寄せられました。
 総点検に基づく結論を要約しますと、特養など介護3施設は倍増を、特定施設及びグループホームは3倍増に、さらに在宅介護支援の強化、介護従事者の待遇改善、介護保険料抑制のため公費負担割合を現在の5割から当面6割に引き上げすべしなど、介護制度の抜本的な基盤整備を政府に求めていかなければならないとしていますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 本県の1人当たり介護サービス月額は、平成20年度厚生労働省調査によりますと、全国最下位の16万7、700円という調査結果がありますが、介護サービスが十分提供されていないためなのか、他県よりも元気だということでしょうか。本県の特性があるとすれば、どうとらえているかお尋ねいたします。
 特養については、早急に入所が必要なのは1、000人ほどとも聞きますが、今回、平成21年度補正予算で特養入所待機者解消のため、介護サービス施設等整備臨時特例基金を積み増しし小規模特養の整備に充てられる見通しですが、介護施設の不足状況はどの程度解消されるのか、また、その後の見通しはどうなるのかお伺いいたします。
 なお、在宅介護に関し、家族介護の支援のためにはショートステイやデイサービスなどのさらなる充実が必要と考えますが、現状と今後の見通しはいかがでしょうか。
 前回の介護に関する一般質問で、私は、介護福祉士など資格養成、そのための就学資金貸し付け等を中心に質問したところでありますが、今回は認知症についてお尋ねいたします。
 政府予算には、認知症施策の総合的な推進として36億円計上され、県予算にも認知症対策等総合支援事業が予定されていますが、県は、認知症高齢者本人とその家族に対する支援として、例えば24時間、365日対応のコールセンターが必要かと思いますが、どの程度期待できるかお伺いいたします。
 また、介護保険制度の施行と同時に成年後見制度もスタートしましたが、健康なうちに後見人を選任するとか家族以外の方に金銭を任せることには、多くの方はちゅうちょするのが普通だ思いますが、成年後見制度や日常生活自立支援事業はどの程度活用されているか、あわせてお伺いいたします。
 最近は、高齢者だけでなく、若年性認知症もあると言われておりますが、県内の状況と対応はいかがでしょうか。その自立支援と家族支援についてお伺いいたします。
 次に、公共交通体系整備について伺います。
 県内の貨物も含めた自動車保有台数は若干減少したものの、平成19年度末で約98万台余であり、100世帯当たりの乗用車保有台数は137台で全国第21位。
 こうした車社会を背景に、広い駐車場を持つ郊外型大型店舗が増加し、かつての中心市街地が衰退しております。加えて、急な高齢者社会の到来で、便利さゆえに運転免許証を返納しがたい高齢ドライバーの急増で75歳以上の運転者が加害者となった重大事故の報道が目立ちますが、あるいは交通事故の被害者としてもふえているのではないかと思いますが、現状と対策について、10年前程度と比べた場合、どのように変化しているかお聞きしたいと思います。
 一方、交通弱者対策も深刻で、高齢化による通院等の増加、日常の買い物の場となる小売店の店舗数が減少し生活に不便を来しております。運転免許がないとか自分専用の車を持っていないなど、車が自由に使えない方たちのためだけでなく、マイカーを持っていても、マイカーに頼らなくてもいい公共交通体系が整備されることが期待されます。これは、高齢者外出促進や排ガス削減、温暖化抑止等環境対策としても有効であります。
 公共交通体系整備に関し、交通弱者対策、中心市街地活性化、環境対策等の観点からの知事の御所見及び、盛岡市を初め県内市町村に対し、公共交通体系整備をどこまで支援できるのかお伺いいたします。
 県は、市町村と協力して持続可能な公共交通体系の構築を図るとしていますが、三鉄、IGRを今後も継続させる場合、沿線住民、自治体の負担はどのような見通しになるのか伺います。
 三鉄については、経費節減と利用者拡大のため、かつてDMVを提言いたしましたが、その後いかがでしょうか。また、IGRについては、思い切って単線非電化も検討すべきと思いますが、所見をお伺いいたします。
 また、各市町村では、地域公共交通会議を設置し地域の足を確保しようとしていると思いますが、この会議は一定の機能を果たしているのか、県はどの程度かかわっているのか、実態をお伺いいたします。
 次に、永住外国人への地方参政権付与について伺います。
 かつての日本の植民地政策は、明治時代の北海道アイヌと琉球の人たちへの同化政策、日清戦争による台湾に対する同化政策、1910年の韓国併合条約とその後の戦争突入、強制連行と続きました。
 1945年当時、日本人であるコリアンは約200万人いて、そのうち約150万人は終戦により朝鮮半島に戻ったと言われています。朝鮮半島に戻るつもりでいた残り約50万人は、その後の朝鮮戦争の勃発で半島が混乱したため、戻る機会を失い、ためらっているうちに日常の生活基盤が確立し、今日に至ったと聞いております。
 この約50万人は、サンフランシスコ講話会議での対日平和条約により、特別永住権を取得し、特別永住韓国、朝鮮籍者と認められました。このとき、日本政府は、国籍選択権を認めず、放り出すようにこの50万人の日本国籍を喪失させました。
 この人たちの二世以下の永住者は、日本で生まれ育ち、学び、結婚して子を育て、事業を興し、あるいは雇われて働き、日本に骨を埋めていく、日本人と全く同じ生活実態の方たちであります。
 かつては、公務員応募や就職の際、差別が甚だしかったと聞きますが、本県における一般永住者及び特別永住者の人数、権利、義務の実態はいかがでしょうか。
 また、住民自治の観点から、永住外国人に地方参政権があってしかるべきと考えますが、平成7年の最高裁判決もありますが、知事の御見識はいかがでしょうか。
 ちなみに、公明党は、永住外国人の地方参政権については、相互主義、申請主義を採用するとともに、選挙権を要件とする各種資格及び被選挙権は付与しないと考えていますが、知事の御所見をお伺いいたします。
 次に、教育問題について、教育委員長の所見をお伺いいたします。
 戦前、戦争遂行のために教育が利用されたことにかんがみ、国の三権分立、相互牽制の仕組みの中でも、教育内容と教育の財政は、政権交代によって大きな影響を受けるようであってはならず、この三権から独立させたほうがいいと思いますが、御所見はいかがでしょうか。
 具体例としてお聞きしますが、教員の質向上を目的とした教員免許更新制度は昨年4月にスタートしましたが、新政権は、2年目で廃止するとの方針と伺っております。
 本県の実施状況、当事者の声はいかがであったか、廃止される制度への平成22年度はどのように対応されるのか伺います。
 また、自公政権下で1億5、000万円ほど措置されていた子ども読書応援プロジェクトの廃止、読み聞かせなどを行う子どもゆめ基金も、政府出資金100億円が全額国庫返納、あるいは昨年のスクールニューディール構想の柱となっていた学校ICT化で、電子黒板製造のために設備投資していた企業の困惑報道もあり、驚いております。
 教育の独立に関する所見と現在の制度下での政党政治の影響を少なくするための可能な対策をお伺いいたします。
 次に、学校教育の連携についてですが、県立一関第一高等学校において中高一貫教育がスタートしましたが、第1年目の状況はいかがでしょうか。世評では、中学1年生の学業及び生活態度はすばらしいとのことでありますが、2時間ほどの遠距離通学は気の毒な気がいたします。いずれ子供たちの幸せにつながればと思いますが、過度に県勢の発展とか県民のために働くようになどと押しつけがましくならないよう望みます。
 教育委員長演述に、平成22年度は小中一貫教育に取り組むモデル校を指定し、9年間のカリキュラム作成や教員の相互交流について調査研究を実施するとしていますが、どのような目的でこれに取り組むのかお尋ねいたします。
 高校生の大学進学に関し、いわゆる難関校突破が目的であれば、都市部におけるお受験の低年齢化と同じですが、次は保育所、幼稚園と小学校との連携も試行するのでしょうか。あわせて、これまでの進学支援ネットワーク事業の成果をお伺いいたします。
 次に、県立高校中途退学者の実態と支援策について伺います。
 全国の高校中退者は、毎年6万人ほどではないかと言われておりますが、本県でも、多い年で800人、少ないときで430人ほどだったと思います。学業不振、人間関係のもつれ、経済苦など、さまざまな理由によるでしょうが、高校は、学歴ばかりではなく、知識、人間関係等、生涯の基礎を築く上で重要な時期であります。
 県立高校中途退学者の実態、退学防止と再度の高校進学のための支援の状況をお伺いいたします。
 最後に、犯罪被害者支援対策について伺います。
 普通の市民が、ある日突然、通り魔、テロ等凶悪犯罪の被害者になり、人生、生活のすべてを失ってしまう、残念ながらこのようなことが全国各地でいまだに発生しております。
 岩手県議会は、平成16年9月、犯罪被害者の権利と被害回復制度の確立を求める意見書を採択し、国の関係機関に送付いたしました。これは、息子さんが他県で行われた友人の結婚披露宴に出かけ、そのまま犯罪被害者となり帰らぬ人となってしまったという本県の方からの願いで出されたものでありました。
 その後、全国犯罪被害者の会の熱心な活動もあり、自民、公明及び当時の民主党により、議員立法として犯罪被害者等基本法が成立し、平成17年4月から施行になりました。
 私は、平成17年度決算特別委員会総括質疑で、本県の犯罪被害者支援の取り組みについてお尋ねいたしましたが、相談体制の強化や安全確保に力を入れているが、この法律に基づく基本計画が策定されたら、県としても施策を策定するとの答弁をいただき、そのままにしておりました。
 その後、裁判員制度の実施、現在進められている公訴時効の見直しなど、刑事事件をめぐる状況は大きく変化いたしました。
 また、昨年の2月定例会一般質問で、小田島議員が、犯罪被害者支援対策について、環境生活部長と警察本部長に、具体的な支援策と被害者支援センターの活動実績をただしたところでありますが、これを踏まえて、重ねて以下についてお伺いいたします。
 かつては、具体的な事件が発生しなければ警察は動かないと思われていましたが、犯罪被害者になる危険性を訴えた場合でも対応してくれるようであります。しかし、先ごろの宮城県での石巻3人殺傷事件のように、最悪の結果も発生しており、問題を見過ごすことのないような相談受け付け体制と初動が重要であります。
 被害者支援についてお伺いする前に、県警における警察安全相談受け付け体制はどうなっているかお尋ねいたします。
 ただ、世の中には、いわゆるモンスターペアレント、モンスターペイシェントのたぐいもあり、また、あきれ返るような110番通報もあると聞いております。2、000人余の警察官で十分な対応がとられているのか、その実態をお伺いいたします。
 犯罪被害者本人及びその家族にとって、だれに、何を、どう相談したらいいのかわからないでいると思います。しかし、相談を受けないのに入り込むことはできませんが、警察と県、市町村、民間支援団体は、本人から直接相談を受ける前など、早期の対応をどのようにしているのか伺います。
 被害者からの相談内容は、心のケア、生活再建、法律相談、民事損害賠償請求等と多岐にわたるようですが、あちこち回らなくても済むような一元的な窓口の設置、いわばワンストップサービスが求められているのではないかと思いますが、現状はどのように対応しているかお尋ねいたします。
 以上、登壇しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 小野寺好議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの総括と今後の方向についてであります。
 知事就任以来、岩手が置かれている現状に常に目を向けながら、何をなすべきかを県民とともに考え、行動してきたところでございます。
 この間、平成20年1月にいわて希望創造プランを策定し、県民の所得と雇用、安全な暮らしを守る、これを重点目標として、その実現に向けた取り組みを進めてまいりました。一方、2度にわたる大きな地震災害や世界的な経済危機に端を発した経済、雇用情勢の悪化などの逆風に見舞われたところであります。
 このような逆風に立ち向かう中で、がんばろう!岩手運動や地域医療を支える県民運動など、危機を希望に変えようとする県民一丸となった取り組みも始まっているところであります。
 また、今年度は、希望あふれる岩手の実現に向けて、県民が一体となって行動していくための羅針盤となるいわて県民計画を多くの県民の参加を得ながら策定し、岩手の将来を見据え、具体的に取り組むべき課題を明らかにしてきたところであります。
 今後は、県はもとより、県民の皆さんや企業、NPO、市町村など地域社会を担う皆さんの力を結集しながら、このいわて県民計画を着実に推進し、希望郷いわての実現を目指していきたいと考えております。
 次に、マイナスを転換していく方策についてでありますが、いわて県民計画の策定に当たっては、グローバル化や人口減少、少子高齢化の進行など、岩手を取り巻く環境変化を踏まえつつ、産業や県民生活、教育、文化の各分野において、本県の強みや弱みをしっかり分析したところであります。その中では、自動車産業の集積や新規就農者の増加、さらには、先ほど申し上げたような危機を希望に変えようとする県民運動的な取り組みの始まりなど、さまざまな分野において希望につながる材料があらわれているところであります。
 いわて県民計画では、このような分析結果を踏まえて、希望郷いわてを実現していくための具体的な取り組みとして、産業・雇用、医療・子育て・福祉などなど、分野別の岩手の未来をつくる七つの政策、そして、先駆性、独自性の高い戦略的な取り組みとしての岩手の未来を切り開く六つの構想をお示ししているところであります。
 今後は、これらの政策や構想に基づく取り組みを県民とともに着実に推進していきたいと考えております。
 次に、高校授業料無償化における就学支援金についてでありますが、国においては、高校実質無償化に当たって、高等学校進学者がほとんどを占める中、その教育の成果は社会全体に還元されるものであることから、家庭の状況にかかわらず、すべての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込めるよう、社会全体で支えていくという考え方のもと、公立、私立の別なく、平等に同等の額を助成することとして制度設計を行ったと聞いております。
 この制度によって公立高校においては、授業料が実質無償化になるとともに、私立高校等に通うすべての生徒に対して公立高校の授業料と同等の額が、さらに低所得世帯に対してはその2倍または1.5倍の額が助成されることになり、公私を問わず家庭の教育費負担の軽減が図られ、安心して勉学に打ち込める社会の実現が図られるものと期待しております。
 私学助成の基本方針についてでありますが、県では、私立学校の自主性、独自性を尊重しつつ、教育条件の維持向上や修学上の経済的負担の軽減等を図ることとして私学助成を行ってきています。今般、国の就学支援金のスキームによって、私立高等学校等に就学しているすべての世帯が県の授業料減免補助金額と同額、またはそれ以上の助成を受けることとなりますので、本県におけるこれまでの私学助成のさらなる充実が図られる形となるものと認識しております。
 次に、介護制度の抜本的な基盤整備についてであります。
 公明党が2月24日、政府に対し介護政策についてさまざまな御提言をされたと承知しております。御提言のうち、特別養護老人ホームなど介護保険3施設の大幅な増設、介護従事者の処遇改善、グループホームの低所得者対策などの提言内容については、県においても、これまで県単独の要望や全国知事会を通じた要望を行ってきたところであります。
 本県においては、現在、今年度創設した介護サービス施設等整備臨時特例基金や介護業務従事者処遇改善等臨時特例基金を活用し、小規模特別養護老人ホーム、認知症グループホーム等の整備や介護従事者の具体的な処遇改善に取り組んでいるところであります。
 これらの恒久的な制度への改善やグループホーム利用者の負担軽減などについては、今後も国に対して要望していく必要があると考えておりまして、今回の公明党の提言内容と共通するものもありますことから、時宜を得た貴重な御提言であると認識しております。
 次に、公共交通体系整備に関する所見と市町村支援についてであります。
 公共交通は、県民の自立した日常生活や社会生活の確保、活力ある都市活動の実現、観光や地域間の交流の促進、さらには環境への負荷の低減を図る観点から重要な役割を果たします。
 今後とも公共交通の維持、確保を図るためには、県が広域的かつ幹線的な交通基盤の維持、確保に努めるとともに、域内の公共交通体系の整備、構築に関しては、市町村が主体的に取り組んでいくことが必要です。
 県としては、コミュニティバスの導入などの新しい交通システムの構築に対し、市町村総合補助金を活用し引き続き支援しますほか、来年度においては、市町村の個別の課題に柔軟に対応しながらその解決を図るため、有識者を加えた支援チームを現場に派遣する予定であり、これらを通じて地域の実情に応じた効果的な公共交通体系の整備、構築を支援してまいります。
 次に、永住外国人の地方参政権についてであります。
 私は、事実上、日本国籍を持った住民と同じように地域住民として経済、社会活動に携わっている外国人の皆さんが、住んでいる地域の自治により参画できるようになることは、自治の観点から好ましいと考えております。地方参政権をどの程度日本国民以外にも保障するかについては、憲法の基本的人権にかかわる立法政策の問題でありますことから、まずは、国政の場で十分な議論が行われるべきと考えているところであります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、ドクターヘリ事業の適否等についてでありますが、ドクターヘリによる三次救急医療は、医師等が救急現場に出動することで初期治療の開始時間を大幅に早められるほか、その後の搬送時間についても大幅に短縮できるため、救命率の向上や予後の改善等に大きな効果が期待できるところであり、県土の広い本県におきましては、救急医療の充実にとって有効な手段でありますことから、その導入を促進するため、来年度当初予算案に必要な経費を計上したところであります。
 一方、ドクターヘリが効果的に活用されるためには、基地病院と消防、警察を初めとする関係機関との緊密な連携が必要であり、また、各地の救命救急センターや中核病院にも患者搬送を行うことが見込まれますことから、これらの県立病院等との連携体制の構築も必要であると考えております。さらに、事案によりましては、学校の校庭など県民生活に身近な場所で離発着する場合もありますことから、事業に対する県民の理解を得ることも重要な課題であると認識しております。
 このため、新年度におきましては、関係者によります運航調整委員会等を設置し、出動の手順など運航上の具体的な基準等について協議、調整を進めながら、二次救急、三次救急の医療ネットワーク体系の中で効果的な運用が図られるよう関係機関間の連携体制の構築を図っていくほか、ドクターヘリの先進事例等に関する講演会を開催し、救急医療関係者や一般県民に対して普及啓発を図ってまいりたいと考えております。
 今後におきましては、できるだけ早く導入を進めたいとは考えておりますが、導入までの間に航空法上の条件等を満たしたヘリポートや格納庫、給油施設、通信指令施設などを備えた発信基地を新たに整備する必要があるほか、県内各地への相当数の現場着陸地点の確保や医療スタッフの習熟訓練なども行っていく必要があるため、本格的な運航開始までには、一定程度時間を要するものと考えているところであります。
 次に、ドクターヘリの運用方法についてでありますが、基本的には、基地病院内にヘリポートを確保し、医師も当該病院で待機することが最も望ましい形であるものと認識しておりますが、議員御指摘のとおり、本県におきましては、さまざまな制約により、基地病院と想定する岩手医大附属病院の敷地内や隣接地等に、基地となるヘリポートを確保することが困難な状況にありますことから、本年度設置いたしました有識者会議において検討いたしました結果、先行する沖縄県の事例を参考に、いわゆる発進基地方式での導入が妥当と判断されたところであります。
 本方式では、郊外にヘリコプターが常駐する基地を置きまして、また、医師や看護師も当該基地に待機し、消防機関等からの要請に応じて、ここから救急現場に出動することとなるものであります。また、その後の病院までの患者搬送につきましては、救急現場からあらかじめ病院の近隣に確保しました患者受け入れ用のヘリポートまではヘリコプターで、また、当該受け入れ用のヘリポートから病院までは病院のドクターカーや消防機関の救急車等で、それぞれ搬送しようとするものであります。
 次に、飛び込み出産の状況と妊婦健診の公的助成の見通しについてでありますが、県内の医療機関におけるいわゆる飛び込み出産の状況につきましては、岩手県医師会の調査におきまして、平成19年度は15件、平成20年度は16件となっております。
 しかしながら、妊婦健診の公費負担が14回に拡大されました平成21年度は、4月から9月までの6カ月間で4件と、過去2年間のおおむね半分程度となっております。公費負担の拡大の効果が一定程度出てきているのではないかとも思われますが、制度が創設されて間もないことから、引き続き推移を注視していく必要があるものと考えております。
 また、平成20年度に創設いたしました妊婦健康診査臨時特例基金を活用した妊婦健診の公費負担は、平成22年度までの事業とされており、国からは、平成22年度中に平成23年度以降の取り扱い方針を決定するとの説明を受けているところであります。
 県といたしましては、妊婦健診は、母体や胎児の健康の保持に重要な役割を果たしているものであり、また、妊婦の経済的負担の軽減が図られるという観点からも公費負担は継続して実施されることが望ましいものと考えているところでございます。したがいまして、国に対して、平成23年度以降も公費負担が継続されるよう既に本年度要望しているところでございますが、引き続き制度の恒久化について要望してまいりたいと考えております。
 次に、出産育児一時金直接支払制度の支払い状況についてでありますが、この件に関し、医療費支払い機関に確認しましたところ、直接支払制度が暫定的に導入された平成21年度10月以降現在までの間、県内の分娩取扱医療機関からの請求に対する直接支払いは延べ2、281件、総額9億円余となっていると伺っているところであります。
 また、医療関係団体に状況を伺ったところ、出産育児一時金の直接支払制度による場合は、分娩に伴う請求手続も2カ月ほどおくれて医療費支払い機関から医療機関に対して支払われますことから、医療機関の経営に影響が出ているとされており、本県においても、現在のところこれにより分娩の取り扱いを制限する等には至っていないものの、産科開業医の中には金融機関から資金繰りのために借り入れを行っている例があるとも伺っているところであります。
 議員御指摘のように、分娩を取り扱う開業医の経営に対する影響が大きいと指摘されておりますことから、日本産婦人科学会や産科医療機関等の現場の声を受け、国におきましては、本年4月から予定されております直接支払いの完全実施は、延期も含め検討が行われているものと承知しております。
 県といたしましても、この制度の取り扱いについて、今後、国がどのような判断を示すのか、事態の推移を注視し、関係団体等から御要望があれば、県としてどのような対応が可能か検討を行う必要があるものと考えております。
 次に、保育所待機児童についてでありますが、平成21年4月1日現在の待機児童数は、議員御案内のとおり4市95人で、前年同期に比較し20人増加しておりますが、このうち零歳児と1歳児合わせて53人となっており、前年同期より22人増加している状況にあります。
 県におきましては、昨年度設置いたしました子育て支援対策臨時特例基金等を活用いたしまして、平成22年度までの間に民間保育所の整備を集中的、重点的に促進しておりますが、これに伴い、待機児童が発生しております当該4市のうち3市におきましては、今後の保育ニーズの増加をも見込みまして、本年度からの2カ年で保育所の総定員を365人拡大する予定であります。この場合、さきに申し上げました零歳児と1歳児の合計待機児童数53人のうち、48人については対応できるものと考えております。
 いずれ今後、現時点では整備計画が提出されていない1市を初め、該当4市と個別具体的に協議を重ねながら、待機児童解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、被介護者数等の将来予測についてでありますが、平成20年2月に策定いたしました岩手県地域ケア体制整備構想におきましては、高齢化の進展に伴い、平成17年に約5万6、000人でありました要介護及び要支援認定者が、その20年後であります、また議員お尋ねの本年から15年後でもあります平成37年には約1.5倍の8万2、000人になるものと見込んでいるところであります。
 この構想は、将来における地域包括ケア体制の確立を目指し、高齢者の介護サービス、見守りサービス等の需要等の見通しを盛り込んだものでありますことから、総人口、高齢者数、要介護認定者数などの推計値は取り上げておりますものの、議員お尋ねの将来にわたります総介護事業費や介護保険料については取り上げていないところであります。
 また、これらにつきまして改めてシミュレーションを行うことにつきましては、国において国全体の長期的な試算が示されておりませんことから、本県独自で試算を行うことは困難なものと考えております。
 次に、介護サービス事業の本県の特性でございますが、現在、議員御指摘のような状況にありますのは、施設サービスや地域密着型サービスがおおむね全国平均に近い水準であるのに対しまして、居宅サービスが全国平均に比べて86.3%の水準にとどまっていることがその要因と考えられるところでございます。
 居宅サービスの利用が低調な理由といたしましては、山間地が多く、サービス事業者、サービス利用者とも訪問、通所に係る移動コストがかかるなどの地理的要因や、要介護者の家族がみずから頑張るという気持ちがあり、他人を家に入れたくないなどの意識的な問題などが考えられるところであります。
 このため、本年度からの第4期介護保険事業支援計画では、介護を要する高齢者が住みなれた地域で安心した暮らしができるよう介護サービスの充実を図ることとしておりまして、特に、居宅介護、地域密着型サービスの利用割合を着実に引き上げることとして取り組みを強化しているところでございます。
 具体的には、地域包括支援センターの機能強化を支援し、高齢者一人一人のニーズに応じた適切な医療、介護、福祉等のサービスを効果的に提供する地域包括ケアを推進することにより居宅サービスの利用を促進しますほか、訪問、通い、泊まりのサービスを一体的に提供いたします小規模多機能型居宅介護サービス拠点の整備を促進することによりまして、身近な地域で利用できる介護サービス基盤の充実を図ることとしております。
 次に、介護施設の不足状況についてでありますが、平成21年3月末におけます特別養護老人ホームの入所待機者数は、御案内のとおり5、539人で、そのうち在宅の待機者が1、858人、その中で、市町村が早期の入所が必要と判断した方は1、022名となっております。
 このため、第4期介護保険事業支援計画で予定しております約660床の整備に加え、本年度設置いたしました介護サービス施設等整備臨時特例基金については、当該計画中に約370床の上乗せ整備が可能となるよう基金に積み増しすることとしているところであります。これらが整備された場合、全体として約1、030床増設されることになりますので、今申し上げました早期に入所が必要な待機者への対応が可能になるものと考えております。
 現在、市町村からは上乗せ分につきまして約250床の整備計画を出されておりまして、さらに約120床の整備が可能でありますことから、市町村に対する働きかけを強化していくこととしております。
 次に、在宅介護の充実についてでありますが、ショートステイについては、平成20年度に年間延べ56万人余のサービス利用がありましたが、第4期介護保険事業支援計画におきましては、平成23年に年間延べ68万人余、20.8%の利用増を見込んでいるところであります。
 同様に、デイサービスにつきましても、平成20年度には年間延べ126万回の利用がありましたが、同計画におきましては、平成23年度には年間延べ151万回、19.2%増になるものと見込んでいるところであります。
 県といたしましては、同計画におきまして、ショートステイ、デイサービスを含む居宅サービス全体につきまして、平成23年度には、平成20年度と比較しおおむね20%利用増を見込んでいるところでございまして、各種サービスの周知を図りながら利用を促進することにより、家族介護の支援が充実されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、認知症高齢者本人と家族への支援についてでありますが、県におきましては、平成19年度と平成20年度におきまして、気仙地区でモデル事業として、認知症の方や家族の見守りなど地域が支えていく取り組みを実施したところでありますが、平成22年度からは、その成果を踏まえまして、県内4地域で徘回への対応ネットワークづくりなど、地域でできる具体的な支援の仕組みづくりに取り組むこととしております。
 また、昨年4月に岩手医科大学附属病院に認知症疾患医療センターを委託設置し、認知症の鑑別診断や専門医療相談を開始したところでありまして、平成22年度は、重篤な患者等への対応のための病床確保など、その機能を拡充することとし、当初予算案に盛り込ませていただいているところであります。
 議員御提案のコールセンターにつきましては、本年度、国庫補助制度が創設されたところでありまして、現在、21府県で開始しておりますが、平日の日中のみで、週3日から5日程度の開設状況でございます。
 現在、本県におけます認知症に関する電話相談につきましては、民間団体が県長寿社会振興財団の助成を得まして既に実施しているところでございます。したがいまして、今後、関係者の御意見を伺いながら、今申し上げました民間団体への委託設置などの可能性も含め、国庫補助事業の導入について検討したいと考えているところでございます。
 次に、成年後見制度及び日常生活自立支援事業の活用状況についてでありますが、成年後見制度は、自分で判断できない高齢者などの財産管理や本人にかわって契約などの法律行為を行う制度でございますが、本県におきましては、盛岡家庭裁判所の申し立て受け付け件数が年間200件程度で推移しているところでありまして、県といたしましては、この制度の利用促進を図るため、成年後見人の養成研修や法人後見団体の育成支援を行いますとともに、広く県民に周知を図っているところでございます。
 また、県内9カ所の基幹的な市町村社会福祉協議会で広域的に行われております日常生活自立支援事業は、判断能力が不十分と思われます高齢者の方などの日常の金銭管理や福祉サービスの利用援助を行う制度でございますが、本年1月末現在における県内の計画利用者数が665人となっておりまして、今後とも増加が見込まれますことから、来年度、実施いたします基幹的社会福祉協議会を1カ所増設することとし、関係予算を平成22年度当初予算案に盛り込ませていただいているところでございます。
 次に、若年性認知症対策についてでありますが、県が昨年実施いたしました認知症高齢者等の日常生活自立度調査によりますと、昨年3月末時点で、40歳から64歳までの要介護認定者のうち、見守りや支援、介護が必要な状態にある方、いわゆる若年性認知症者は636人となっております。
 また、平成21年9月1日現在で若年性認知症の方を受け入れる体制にある介護事業所は301事業所、全体事業所の30.5%でありますが、そのうち実際に利用者を受け入れているのは11事業所でありまして、現在、15名程度の方が利用されているところでございます。
 したがいまして、このような状況から、県におきましては、地域包括支援センター連絡会議等を通じまして、若年性認知症の方やその家族の方に対し、各種介護サービスの一層の利用について周知を図るよう会議において依頼をしているところでございます。
 特に、若年性認知症に関する電話相談につきましては、国が昨年10月に愛知県の社会福祉法人に委託いたしまして、全国を対象とした若年性認知症専用の無料相談窓口を設置したところでありまして、県といたしましては、市町村や関係機関を通じて、その周知を図っているところであります。
 また、県民に対しまして、認知症の理解を広げるパンフレットを県認知症疾患医療センターと共同で作成し、現在、配布するなど、さまざまな形で周知を図っているところでございます。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 認定こども園の現状と展望についてでございますが、現在、8園が認定されているほか、認定に向けた相談件数もふえてきている状況にございます。
 認定こども園の課題を把握するため、アンケート調査や情報交換会を行っているところでございますが、認定こども園には、保護者の就労の有無にかかわらず利用できること、教育活動の充実などのメリットがある一方、認定申請手続や会計事務処理が複雑である、また、財政支援が十分でない等の課題が指摘されているところでございます。
 県といたしましては、国の幼保一元化についての検討の方向性を注視しつつ、まずは、認定こども園の制度の普及啓発、申請手続の簡素、効率化に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
   〔地域振興部長加藤主税君登壇〕
〇地域振興部長(加藤主税君) まず、三陸鉄道、IGRに係る負担についてでありますが、三陸鉄道につきましては、昨年11月に国土交通大臣の認定を受けました鉄道事業再構築実施計画によりまして、県と関係市町村が三陸鉄道の設備投資に加え、維持修繕に要する経費を負担するコスト上の上下分離を図りまして三陸鉄道を支えることとしております。平成25年度までの計画期間中、毎年、総額3億円程度の負担を見込んでおります。
 また、IGRに対しましては、県と沿線市町村が、鉄道施設の設備整備に要する経費を負担することとしておりまして、来年度は新指令システム構築があるため総額5億3、000万円程度の負担を、平成23年度以降は老朽化設備の更新に対しまして毎年総額7、000万円程度の負担を見込んでおります。
 なお、こうした中期の見通しにおきましては、ともに沿線住民による直接的な負担は生じないものであります。
 次に、三陸鉄道へのDMV─デュアル・モード・ビークルの導入についてでありますが、車両開発と試験的営業運行を行っておりますJR北海道からは、乗車定員数の拡大や信号設備に対する安全性の確保等の課題に対しまして、現在、実証試験を継続中でありまして、実用化に向けては、もうしばらく時間を要する状況との話を伺っております。当面は、その動向を注視することといたしたいと存じます。
 次に、IGRの単線非電化の検討についてでありますが、これから単線非電化に切りかえるとすれば、JRや青い森鉄道との直通乗り入れは困難となるとともに、輸送量が大幅に減少し、輸送サービスの利便性が低下すること、貨物列車や寝台特急列車の走行ができなくなることによりまして、IGRの収益が大きく低下し、経営を維持することが困難となることなどから、単線非電化は現実的な選択肢とならないのではないかと考えております。
 なお、将来にわたって複線電化の形態を維持するためには、適正な貨物線路使用料の確保が不可欠でございますので、この確保に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、地域公共交通会議についてでございますが、この会議は、市町村が有償のコミュニティバスなどの運行を行う場合に調整機関として設置が必要とされており、関係自治体、事業者、住民などの関係者が、一堂に会して協議することによりまして、地域の多様な意見が反映され、コミュニティバス等の円滑な運営が図られていることから、重要な機能を果たしているものと認識しております。
 現在、県内22市町村におきまして設置されており、県もそのメンバーとして会議に参画し、必要に応じ、意見を申し述べているところでございます。未設置の市町村に対しましては、地域の実情に応じた交通体系を検討する場として有用だと考えておりますので、その設置を促してまいりたいと考えております。
 次に、本県における永住外国人の実態についてでございますが、本県における外国人登録者数は、平成20年12月現在でございますが6、593人でございます。
 これを在留資格別に見ますと、一般永住者が1、342人、特別永住者が798人となっております。
 これら外国人につきましても、権利の性質上、日本国民のみを対象としていると解されるものを除きまして、基本的人権は保障されておりますし、納税の義務なども果たしていただいているものと理解しております。
   〔教育委員会委員長八重樫勝君登壇〕
〇教育委員会委員長(八重樫勝君) 教育問題についてお答えいたします。
 まず、本県における教員免許更新制の実施状況についてでありますが、県教育委員会では、この制度の導入に当たり、教員の研修体系全体を見直し、免許状更新講習を授業力向上研修と位置づけて実施したところでございます。
 研修後のアンケートによりますと、受講者の約98%が、有意義な研修であった、おおむね有意義な研修であったと回答しているほか、対外的にも、この岩手県の方式は高い評価をいただいているところであります。
 今年度スタートしたこの研修は、国の教員免許更新制が廃止となった場合でも、教員の授業力向上のために、教員研修の一環として継続して実施する考えでおります。
 次に、教育の独立についてでありますが、地方行政の中にあって、教育行政については、独立した執行機関としての行政委員会が所管するなど、その独立性は制度面で担保され、十分機能しているものと認識しております。
 国におきましては、教育政策について、教育委員会制度なども含めさまざまな見直しの議論がされておりますが、対応については、今後の動向を十分注視してまいりたいと考えております。
 教育は、その充実を図る上で、安定的かつ継続的な取り組みができる制度や財政的な支援が確保されるべきものと考えておりますが、議員御指摘のような懸念があれば、知事部局とも十分連携して、本県の教育行政の推進に意を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、中高一貫教育1年目の状況についてでありますが、私は、先日、県立中学校の生徒に直接話をし、その成長を見る機会を得ましたが、生徒は皆、高い意欲を持って学校生活を送っており、高校生との交流を通して、社会性やみずからを律する心がはぐくまれていると感じました。
 また、高校生も、中学生に対し範を示すという意識が芽生えていると聞き、中高一貫教育のよさが出てきていると思っております。
 入学当初は、なれない遠距離通学の疲れ等が出ないかと心配しましたが、高校生のサポートも得て、全員元気に学校生活を送っていると聞いております。
 今後も、課題を一つ一つ解決しながら、子供たちが基礎、基本をしっかりと身につけ、より深く学び、将来の進路目標を達成できるよう、中高一貫教育の一層の充実に取り組んでもらいたいと考えております。
 次に、小中一貫教育のモデル校の指定についてのお尋ねでありますが、小中一貫教育は、小学校高学年から中学校にかけての生活や学習のつまずきの増加など、いわゆる中1ギャップと言われるような、小学校と中学校の接続時にかかわる諸課題を解決する取り組みの一つとして、全国的に注目されているものであります。
 このたびのモデル校の指定は、基本的な生活習慣や学習面における基礎、基本を9年間でしっかりと定着させていくことや、小・中学校間にある課題の解決を図っていくための小中一貫教育を、本県でもモデル的に進めていこうというものであります。
 また、幼稚園、保育所と小学校との連携につきましては、これまでも双方の保育や教育を理解し合い、それぞれの学びを生かすよう連携を進めてまいりました。今後も、この取り組みをさらに充実してまいりたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 進学支援ネットワーク事業のこれまでの成果についてでありますが、学校の垣根を越えて、生徒同士が切磋琢磨する機会や教員の研修と情報交換の場が設けられたことにより、生徒の進学意識の向上や教師の指導力の向上が図られるとともに、それぞれの学校における進学指導体制の整備につながっております。
 その結果、年度によって不安定であった進学実績が安定してきたという学校からの報告や、地域社会の発展に寄与する人材の育成に取り組んでほしいという期待にこたえ、地域の高校教育に対する信頼が向上したという報告もされてきております。
 今後は、より高い目標を持って進学を志望する生徒もふえつつありますので、進路を実現する生徒がさらにふえていくよう、より一層、基礎、基本を確実に身につけさせ、学力の向上を図っていく必要があると考えております。
 次に、県立高校中途退学者の実態等についてでありますが、平成20年度の中途退学者は436人であり、前年度比で67人減少しております。
 その中途退学の理由ですけれども、人間関係の不調、学習意欲の喪失、目的意識の欠如などによる学校生活、学業不適応や進路変更ととらえております。
 このような状況においても、今後とも、高校入学時における適切なガイダンスを行い、教育相談体制の充実を図り、3年間を通した計画性のある指導を進めるとともに、中途退学する生徒に対しては、新しい進路についても、生徒や保護者の相談に乗るなどして支援してまいりたいと考えております。
   〔警察本部長保住正保君登壇〕
〇警察本部長(保住正保君) 初めに、75歳以上の高齢者の交通事故の状況でありますが、本県における75歳以上の高齢者が関係する人身交通事故の状況について、昨年と10年前の平成12年との比較でお答えいたします。
 75歳以上の高齢ドライバーが主な原因をつくった人身交通事故は、平成12年は135件、昨年が272件と、この間、倍増しております。
 また、75歳以上の高齢者が被害者となった人身交通事故につきましては、平成12年は307人、昨年が366人と約19%の増加となっており、議員御指摘のとおり、75歳以上の方々が関係する交通事故は、いずれも増加しております。
 次に、高齢者の事故防止対策についてでありますが、高齢ドライバーに対しては、講習予備検査等運転免許更新時における高齢者講習の充実、地域の交通安全センターを活用した実技講習会の実施、歩行者、自転車利用者に対しましては、在宅家庭訪問活動や反射材着用促進活動、街頭活動における声かけによる意識啓発など、各種事故防止対策を推進しているところであります。
 次に、県警察におけます警察安全相談の受け付け体制についてでありますが、一般的な相談窓口として、警察本部と各警察署に警察安全相談係を配置し、種々の相談を受け付け、昼夜を問わず対応しているところであります。
 このほか、警察本部においては、性犯罪、青少年、ストーカー、配偶者暴力などの専門相談窓口も個別に設置しており、相互に連携の上、きめ細やかに対応しているところであります。
 また、中には、他官庁の所管に係る相談なども相当数ございますが、これらに対しても、的確な教示、助言を行っているところであります。
 次に、県警察としての相談対応についてでございますが、寄せられた相談の内容から、人の生命または身体の安全に関する相談については、緊急に対応する必要はないと考えられる場合であっても、速やかに県警察として組織的に対応することとしております。
 これまでも、ストーカーや配偶者暴力、児童虐待等への対応のほか、自殺を未然に防いだものや、高齢の方が巻き込まれたトラブルなど、数多くの事案を解決してきているところでございます。
 次に、相談の早期対応についてでございますが、県警察としては、被害者やその御家庭の方々からの相談受理を待つのではなく、事件発生直後から被害者の方々と接し、その後も定期的に連絡するなど、被害者の方々が抱えている悩みの把握に努めるとともに、捜査状況などの所要の情報を提供することとしております。
 また、被害に伴う経済的、精神的負担の軽減を図るため、犯罪被害給付制度に基づく給付内容の説明、診断書を作成するための費用の公費負担、臨床心理士による相談を通じた心のケアなどを行っているところであります。
 最後に、被害者相談のワンストップサービスについてのお尋ねでありますが、被害者の方々の悩みは多岐にわたり、それぞれ専門の機関、団体が、個々に対応する必要があるものと考えております。
 しかしながら、これらの専門機関、団体が、どのような被害者支援を行っているかなどにつきまして情報を共有することは、これらの機関の連携を確保する上で重要であると考えております。
 県警察では、このような専門機関、団体から構成されます岩手県犯罪被害者等支援連絡会を平成9年に立ち上げるとともに、各警察署におきましても、地区支援ネットワークを設置しているところでございます。
 今後とも、このような連携を強化し、情報の共有を図り、被害者が再び平穏な生活を取り戻せるよう、途切れのない支援を行ってまいりたいと考えております。
〇48番(小野寺好君) 丁寧な御答弁をいただきましてありがとうございます。少し質問させていただきます。
 最初に、ドクターヘリの関係ですけれども、具体的なイメージを答弁いただけるのかなと思いましたら、なかったので、私なりに想定すると、花巻空港とか、あるいは矢巾の岩手医大を新たに建設するところ─1期工事しか終わっていませんけれども─そちらにヘリポートを置いて、その近くにドクターが常駐している、そこから各地に飛んでいく、そういったイメージなんでしょうか。
 その場合に、この特別措置法ができたとき、日本医師会が、もう全面的に、主体的に、積極的にかかわっていく、こういったメッセージを発していますけれども、郡市医師会の皆さんは、これに対してどういう協力姿勢が得られるのかお聞きしたいなと。今のところ県内の各県立病院だけの連携なのかなと、そんな気がしますが、その県の医師会の皆さんとはどうなのか、お尋ねしたいと思います。
 あと、八戸に行ったときに、岩手県内の久慈とか二戸の県民の方たちは、八戸にドクターヘリが設置されて非常に喜んでいると。ついては岩手県の人たちも使わせてもらえるのですかと聞いたらば、初めは、岩手県には使わせてくれないみたいな報道を聞いていたのですが、実際、行って聞いてみたら、既に3回、県立軽米病院、葛巻病院、一戸病院、こちらの救急外来患者を八戸市民病院のほうに搬送して、きちんと対応しましたよと。ただし、県知事同士のお話し合いがなされていないと本当は困るんですけれどもねと、そんなことをおっしゃっていましたが、これについてはどうなのか。
 岩手県の導入が2年先だとすれば、この2年の間、すぐ近くにあるのに、お世話になれるのであればなったほうがいいのではないかなと。防災ヘリの場合は、点検だとか複数の事件の場合に隣県の応援をいただくというような協定があったかと思うんですが、このドクターヘリについても、知事の間同士で使わせてくれよといったお話し合いがなされてしかるべきじゃないのかなと。
 ちなみに、年間1億7、000万円ほどかかる。そのうち半分が国、残りの2分の1についてさらに交付税の措置があるので、実際年間4、250万円ほどと。この負担分について、少し負担していただければ助かるんですけれどもねと、そんなことをおっしゃっていましたが、隣県との協力関係についてはどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。
 それから、福島県へ行ったときに、福島県のドクターがおっしゃっていましたが、搬送については、防災ヘリをもっぱら使ってもらったほうがいいのではないかと。県の今回の予算書の説明会のときにいただいた資料の中に、患者搬送システムといったことでドクターヘリを活用するような、そういったことかなと思っていましたけれども、これについては、ドクターヘリよりも、むしろ防災ヘリのほうをもっと活用したらいいのではないかと思いますが、防災ヘリの現在の利用状況からして、そういったことが見込めるのかどうかお聞きしたいと思います。
 あと、私立の高校の生徒さん、これまでの答弁ですと7、300人ほど、そのうち1割ほどについては、公立と同じように全く負担がなくなるみたいな、残りおよそ6、500人については、私立と公立の場合、2倍くらいの開きがあるので、この一番切実な方たちにとっては、不公平感が残ったままになるのではないのかなと。これに対して何がしかのお手当てできないものか、再度お伺いしたいと思います。
 三つ目は、永住外国人の関係で、知事のほうからはさらりと、国政の場で決定されるべき問題だ、そういったことなんですが、かつては外務省にお勤めだったということで、もっとヒューマニズムにあふれた答弁を期待したんですが、ちょっとこの辺について、例えば、1月20日の知事の記者会見の際にも、A新聞社から、知事は、この参政権付与についてどう思っているのかと聞かれて、これもそっけなく、よいのではないかと思っていますという、この後、さらに同じA新聞社の別な記者が、なぜ、具体的にどの辺がいいのか、そういった質問とかをなされていますが、知事御自身は、この永住外国人の地方参政権について、本心どうお思いなのか。
 ここに来て、非常に現実ちょっと可能性が強くなってきて、民族派というんでしょうか、そういった方たちの非常に強い巻き返しが全国的に展開されていますが、再度、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) まず、私学助成、そして私立高校の高校生への支援ということについては、平成22年度予算に関しては、国の方針に対して、県としても上乗せを行って、まず、今まで以上の支援が行われると。そしてまた、低所得者に対しても、より配慮のある支援が行われることとしていきたいと考えております。
 それから、永住外国人への地方参政権付与について、議員が質問の中でおっしゃったとおり、やはり歴史的経緯のあることであって、その中でおのずとこの落としどころといいますか、そういう歴史的経緯を踏まえて、日本人としてというか、日本国民としてというか、人道的にもあるべき姿というものを冷静に話し合って決めていけばいいんだと思っております。
 ただ、その議論は本当に慎重にしていかなければ、慎重というか、丁寧というか、私のところにも、記者会見で前向きな発言をしていることについて、いろいろメールが来るんですけれども、〇〇の犬めとか、死ねとか、次の選挙で絶対落としてやるとか、非常に攻撃的な、およそ、それこそ日本国民がそれでいいのかと思うような言説が飛び交っている、これは非常に危険な状態だと思っています。
 ですから、議論のプロセス自体も、まさに人道的といいますか、冷静にといいますか、本当に人間としていかにあるべきかということを、日本国民も深く、日本という国ができたときの歴史とか、そういうところまでさかのぼり、そして、これから世界の中で日本国民がどういう役割を果たしていくのかというところまで考えながら決めていけば、そう悪いようにはならないとは思っているんですけれども、難しいなと思っているのが本音であります。
〇議長(佐々木一榮君) 達増知事に申し上げますが、ドクターヘリの運用の青森県との協力関係についても、知事同士のお話がありましたので、知事から答弁をお願いします。
〇知事(達増拓也君) 事務的にいろいろ進めている話ですので、担当部長から答弁させていただきたいと思います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、イメージの話でございますけれども、今年度、コンサルに委託しましたシステム案で御説明いたしますと、発進基地候補地といたしましては、先ほど議員からお話がありましたように、例えば岩手医大の矢巾キャンパス、あるいは市内箱清水にあります医大のグラウンドを発進基地候補地としておりまして、そこにヘリコプター、あとヘリポート等、あるいは、いわゆる待機施設等を準備して、そこから発進することになります。
 その後、いわゆる現地に参りまして、患者さんを引き継ぎまして、その後、盛岡市のほうに戻ってくる場合でございますが、ランデブーヘリポート、いわゆる引き継ぎを行う拠点としまして幾つか、複数確保して運航すべきではないかという調査をいただいております。
 例えばでございますが、県警の東警察署の屋上ヘリポート、あるいは県立盛岡短期大学跡地、あるいは中津川の河川敷等が候補となっているところでございます。
 まず、そういうイメージで今、システムを考えていまして、これからその辺を詰めていくという話になります。
 2点目でございますが、郡市医師会のお話もございました。具体的にどのような御協力を賜るかについては、まだ、これからの話になると思います。ただ、今までの有識者会議の中でも、やはり事案によっては、各地域の中核病院、あるいは県医師会、各郡市医師会とも情報の共有等に努めることが必要であるという御提言もいただいておりますので、どのような形で具体的に御協力を賜るかについては、今後の課題であると考えているところでございます。
 あと、三つ目でございますけれども、八戸のドクターヘリとの関係でございますが、いずれ、今後、岩手県におきましても、正式にドクターヘリが運航する時点では、青森県とのそういう協定等も必要になるものと考えております。
 ただ、現在、青森県の状況についてお伺いしますと、現在の八戸市に配置しておりますドクターヘリは、暫定的な配置というお話でございまして、今後、場合によっては、青森市のほうに配置をするというようなお話も若干聞いております。したがいまして、その辺の状況を私どもとしても注視しながら、各県との関係につきましては、協議の段階にはしかるべき時期があるものではないかと思っております。
 いずれ、最終的には、そのような協定を結んで、関係県相互間での協定を結んだ支援等は必要になるものと考えているところでございます。
 最後に、防災ヘリの活用等についてでございますが、他県におきましては、転院搬送、いわゆる病院から病院に移動させる場合の搬送につきましては、原則としてドクターヘリは対応しない方針にしている県もございます。
 しかしながら、本県で今年度開催いたしました有識者会議におきましては、地域の中核病院で対応できないような患者さんで、緊急的に、例えば盛岡市の救命救急センターに転院搬送しなければならない場合などもあるのではないかということで、そのような場合については、やはりドクターヘリの活用が必要ではないかという意見もちょうだいしております。
 したがいまして、この転院搬送を含むドクターヘリと防災ヘリの活動範囲のすみ分けにつきましては、今後の検討課題の一つと考えておりまして、来年度設置を予定しております運航調整委員会等の中で、関係機関の間で十分御検討いただきたいと考えているところでございます。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時10分 散 会

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