平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇8番(喜多正敏君) 民主党の喜多正敏でございます。このたび、先輩、同僚議員の御配慮により登壇の機会をいただき、感謝申し上げます。
 最初に、ハイチそしてチリの大地震、大津波で被災された皆様にお見舞いを申し上げるとともに、関係者の皆様が防災に努められたことに対し、深く敬意と感謝を申し上げます。県におかれましては、被害状況を速やかに調査し、迅速、適切な対応をお願い申し上げます。
 さきに質問された内容と重複するところがあると存じますが、通告順に従ってそのまま質問いたしますので、前向きな御答弁をよろしくお願いを申し上げます。
 知事は、就任以来、県政のリーダーとして、医療福祉、地域経済の活性化、雇用の確保、競馬問題、さまざまな課題に積極的に取り組んでこられましたが、これまでの県政運営において最も心を砕いたこと、よかったと思うことはどのようなことであったと思っておられますか、お伺いします。
 また、昨年、政権が交代して厳しい経済情勢や税収の落ち込み、財政硬直化のもと、短期間の中ではありましたが、いろいろな改革が盛り込まれた平成22年度当初予算編成が行われ、国会で議論がなされております。さらに、来年度以降もさまざまな政策が展開されていくと思いますが、地方や現場の声を国政に反映させることが重要であります。任期後半を迎える中で、10年にわたるいわて県民計画を策定されましたが、知事は、県民の視点で特に何を重点とし、今後、計画実現のためどのように県政運営を行っていくのか、また国政に提言されていかれるのか、お伺いします。
 次に、産業振興についてお伺いします。
 まず、農業振興についてお伺いします。
 生産費が米販売代金を上回るなど、厳しい農家経営の所得を補償し、振興を図るため戸別所得補償制度がいよいよ実施されますが、本県農業や農家経営における効果、影響などについてどのように評価しているのか、お伺いします。
 一部に、集落営農からの離脱や貸し付けた農地の返還を求める動きなどが報道されておりますが、本県の状況と、国、市町村や農業団体などとどのように連携し、指導、対応しようとしているのか、お伺いします。
 安全・安心な農作物、病害虫や天候不順などに強い農作物づくりが求められています。また、農産物のブランドの確立には、さらに食味のよい均一な品質、安定的な収量が欠かせず、その土台となるのが土づくりであります。
 青森県では日本一の土づくりを目指し、稲作農家4万6、000戸のうち、土壌診断未実施の3万2、000戸分のPH、窒素、燐酸、カリウムの量がわかる約7、000円の簡易土壌診断キットを、県、全農がそれぞれ2分の1の負担で用意し、市町村、農協の営農指導員、県職員が土壌診断を行う計画と聞いておりますが、本県の土壌診断の実績と今後の取り組みをお伺いします。
 次に、畜産、酪農の振興についてお伺いします。
 肉牛農家には、子牛の生産と肥育を行っている農家に大別されます。飼料の高騰や枝肉の価格低迷など厳しい畜産経営ですが、付加価値の向上には子牛の生産農家は肥育への進出も考えられます。技術や生産環境、販路などの問題もあろうかと存じますが、御所見と取り組みについてお伺いします。
 畜産、酪農の振興において、病気の予防、治療などを行う獣医師は欠かせません。適切な肥育と安全、おいしい肉質、酪農製品の生産や経営について、獣医師の指導に期待する声が聞かれます。産業動物を担当する獣医師の開業や就職は少ないと聞きますが、県庁の獣医師の採用は、平成20年度と21年度の当初採用予定数合計9名に対し、実際の採用数は6名でした。本県での開業医や、県や農業団体の産業動物担当の獣医師の確保と、獣医師が行う病気対策、生産、肥育指導に対する畜産、酪農家、関係団体の要望、意見をどのように受けとめられているか、また、その対応についてお伺いいたします。
 林業振興についてお伺いします。
 私は、県産材の利用促進、岩手型住宅への積極的な支援について提言を行ってまいりましたが、来年度予算案の中に、県産材を活用した増改築や新築等に利子補給制度の利用促進策が盛り込まれたことを高く評価するものであります。県産材の活用には、木材価格の低迷、林家、林業従事者の減少、高齢化の中で省力化、低コスト化が大事です。
 そこでお伺いします。
 林地が散在しており、低コストで効率的に施業するため、森林組合等により林地をまとめ団地化し、計画的な施業を一層進める必要があると思いますが、その取り組みについてお伺いします。
 先般、東京中央木材市場を視察した際に、強度や含水率の表示がされているものがあり、構造計算や設計上非常に参考となり産地の差別化になると思いました。本県のこうした表示の実施状況、JAS認定取得企業の状況、乾燥施設、含水率や強度測定設備の保有状況、県の取り組みについてお伺いします。
 岩手のナンブアカマツを活用した埼玉県立武道館や国産材を活用した東大弥生講堂を視察してきましたが、本県でも、現在計画されている多目的屋内練習施設を県産材の活用により建設すべきと思います。本県では、個人住宅では岩手型住宅の啓発が行われているものの、余り理解が進んでいるとは思われません。百聞は一見にしかずであります。岩手型モデル住宅を、現在の不況下に苦しみ、技術の伝承が危惧されている地元工務店や関係団体と連携して建設し、あわせて、ペレットストーブや県産品のショールームなどの機能もあわせ持たせ、県産材などのよさや環境問題への理解を深め、建設、購買意欲を高めることが必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 中小企業の振興についてお伺いします。
 県内の小売店舗は、商業統計によれば、店舗面積1、000平米以上の大規模店舗の売り場面積が平成11年の57万4、000平米から平成19年には83万2、000平米と、約45%増加した一方、小売店舗数は1万8、044店舗から1万4、721店舗へ、約18%も減少しております。
 平成21年度の岩手県商店街実態調査報告書によれば、3年前と比較し、空き店舗がふえたとする商店街が48%、来街者が減った商店街が7割を占めており、また、主な来街者層では88%が高齢者となっております。さらに、5割以上後継者がいる商店街はわずか27%しかない状況となっております。商店街の低迷、店舗の閉鎖などにより、地域経済や雇用の維持、県民の日々の買い物、特に高齢者や車のない消費者に極めて深刻な問題となっております。商店街などの近代化に投資した高度化事業の県に対する償還金滞納額も、平成22年1月現在で8億8、200余万円と、償還に苦しんでいる商店街も見受けられます。
 このような中で、空き施設への店舗や事業所の誘致活動、既存店舗の魅力や経営力の強化、新たに出店したチェーン店などの商店街加入促進、まちづくりを含めた一過性ではないまちなか観光の促進やまちなか居住の促進など、商店街振興策を抜本的に強化すべきであると思いますが、県では現状をどのように認識し、今後どのように対応しようとするのか、お伺いします。
 議員発議によるみちのく岩手観光立県基本条例により、みちのく岩手観光立県基本計画をもとに、国内外からの誘客を促進するため、総合的に観光施策が行われることになったことは意義あることと存じます。
 さて、新幹線がことし12月に青森開業となりますが、本県は通過駅となる一方、北東北が注目され、スピードアップが図られ、さらに移動しやすくなります。新幹線開業を控え、盛岡・八幡平広域観光推進協議会が去る2月18日に設立されました。県では、新幹線延伸をどのように認識され、広域観光も含めどう対応しようとしているか、お伺いします。
 観光振興において景観は重要な要素です。温泉地や観光地、国立公園等における廃屋や古い看板、資材置き場など、景観を損ねるものが見受けられます。もちろん、個人財産にかかわる問題でもあり難しさは承知しておりますが、県や地元市町村、関係者、観光・景観専門家などと連携してその実態の調査を行い、撤去や修景等について、法や条例等によるばかりではなく、魅力ある観光地やふるさとづくりのため話し合いを持つとか、景観形成の支援助成が必要と思いますが、御所見をお伺いします。
 情報産業は今後とも発展が期待される分野であり、県立大学を活用して集積を図るよう提言してまいりましたが、このたび岩手県ものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンターが設置されること、県有地を借用して滝沢村イノベーションパークの整備を促進する計画が進みつつあり、県、滝沢村の御努力を高く評価するものであります。
 そこでお伺いしますが、融合センターの具体的な内容と運営方法、その期待する効果、イノベーションパークにどのような企業、どの程度の集積を期待しているか、また、集積や誘致促進策についてお伺いします。
 ソフトウエア業など、企業誘致のため優遇措置が設けられております。企業立地促進奨励事業費補助金において、製造業以外の新規企業立地の奨励措置適用条件が、新設の場合は、県北・沿岸、東磐井地域では、固定資産投資額が5、000万円以上と新規常用雇用者数が5人以上となっており、それ以外の地域の場合は、同じく固定資産投資額が1億円以上、新規常用雇用者数が10人以上、最終計画20人以上となっておりますが、ソフトウエア業の場合は固定資産投資額がこのように多額になることは少なく、業種の特性や実際に立地する企業の投資内容に応じた優遇措置が必要ではないかと思います。本県の人材の優秀性をPRするとともに、ソフトウエア業などの誘致を一層強化促進するため優遇措置を検討するお考えはないか、お伺いします。
 情報産業の仕事は、ソフトウエアやシステムの完成品の開発と、その一部を受注、下請業務を行っている場合に大別されます。本県にも開発型企業やその成功事例もありますが、付加価値の向上と情報産業振興のためには、地元でのシステム開発、ソフト開発型企業の育成が必要と思います。県としても、県内外の開発シーズやニーズの情報収集や、発掘、需要家とソフト企業のマッチング、さらに営業や販路開拓、人材の育成、地元情報産業団体の活性化などの支援について計画的、総合的な取り組みが必要と思いますが、その実績と今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、消費者行政についてお伺いします。
 消費者庁が昨年9月1日に発足し、今までの生産者視点から消費者重視の姿勢に立った行政が進められることになりました。
 ところで、消費者相談を支えているのは消費生活相談員であります。本県の相談員は1日6時間、週に5日間勤務で、経験の長さも関係なく、一律1カ月12万7、400円であり、身分は非常勤職員の1年契約、昇給制度もなく、岩手県に限ったことではないのでありますけれども、関連法規も多く、専門性に見合う処遇とは言えない状況であります。消費者安全法においても、相談員の適切な処遇に努めることとされておりますが、県民のためにも相談員が安心して職務に励み、専門性を高めることができるよう、処遇の改善、研修や資格取得への支援の取り組みについてお伺いします。
 消費生活相談員が配置されている市町村は、盛岡市が9名、奥州市4名、宮古市2名、花巻市、北上市、久慈市、雫石町が各1名にとどまっております。県では、県民生活センター1カ所に9名、広域振興局11カ所に各2名、合計12カ所、31名が配置されております。他の市町村では、相談員が配置されていないことから役場職員が相談に応じており、相談員がいても1名ではお互いの協議もできず十分とは思えません。例えば、来年度から盛岡消費生活センターを中心として、広域相談体制を組むこととしている盛岡広域圏の例なども参考として、広域で取り組むことも適当であると思いますが、相談員の設置などの取り組みと見通しについてお伺いします。
 子育ての施策の充実についてお伺いします。
 国会で審議中でありますが、来年度予算に子ども手当が盛り込まれたことは大きな前進です。ところで、子供を保育、教育するために保育園や幼稚園の充実は欠かせず、女性の有職率や不況の中で働く希望が高まっており、一層重要性を増しております。
 平成21年4月1日現在における本県の保育所は、定員2万5、497人に対し、入所児童数が2万5、031人で定員充足率は98.2%、待機児童数は95人と聞いております。一方、幼稚園は、国公、私立幼稚園の定員が2万1、595人、園児数が1万3、123人で、充足率は60.8%となっております。保育所入所希望者数は把握されていないようでありますが、保育所に入りたくても入れない児童数はもっと多いのではないかと思います。地域事情も含めその実態を把握し、待機児童を解消すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、政府では、幼保一元化について検討を始めると報じられておりますが、幼保一元化についての課題やメリット、現時点での県として考えなければならない対応についてお伺いします。
 次に、子供の貧困についてお伺いします。
 2004年のOECDの調査によれば、日本の子供の貧困率は13.7%、貧困な子供は7人に1人の割合で、データのそろう22カ国中8番目の貧困率であり、現下の経済情勢からさらに悪化していると思われます。給食費や修学旅行費用が負担できない、病気にかかっても病院に行けない子供たち、さらに親の所得が子供の教育や学力に格差を生み出しているなど、現下の厳しい経済、雇用情勢が罪もない子供たちの貧困をもたらしております。県では、こうした子供の貧困の実態をどうとらえ、どのように対応されているか、今後の取り組みを含めてお伺いします。
 医療、福祉対策についてお伺いします。
 いわていきいきプランが平成21年3月に策定されました。介護老人福祉施設、いわゆる特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、認知症対応型共同生活介護、いわゆる認知症グループホーム、特別施設入居者生活介護の利用状況、また、特別養護老人ホームの入居待機者の動向はどのようになっているか、お伺いします。
 療養病床転換計画によりますと、医療療養病床は平成19年4月1日現在、回復期リハビリを含め2、586床が平成23年度末には1、988床に、また、介護療養病床は、同じく876床あったものが平成23年度末をもって全廃されることになっております。医療療養病床は、平成21年度末には老人保健施設37床、介護療養型老人保健施設83床へ転換、その他一般病床廃止は103床とされております。また、介護療養病床は、平成21年度末には老人保健施設に24床、介護療養型老人保健施設64床、医療療養病床に42床、一般病床への転換、病床の廃止が85床に転換し661床とする計画ですが、現在までの実績と転換が未定である病床数はどの程度か。また、計画達成の見通しと課題並びにその対応についてお伺いします。
 平成20年4月に介護療養型老人保健施設の施設内用、診療報酬など、国の転換に対する支援措置が明らかになりましたが、転換に要する経費負担が懸念されます。医療療養病床から介護療養型老人保健施設などに転換する場合には県が、そして、介護療養病床から介護老人保健施設等に転換する場合には市町村が助成することになっておりますが、計画達成のためどの程度の助成額となるか、厳しい財政事情の中で可能なのか、お伺いします。
 私も家庭で過ごすことが一番と思いますが、老老介護の現状など本当に可能であろうか、非常に危機感を抱くものであります。何といっても、医療介護は安心と誇りを持って暮らしていくために欠かせないものでありますので、ぜひ市町村や関係団体とも連携を図り、現実的な施策を講じるため、介護される人、する人、各施設など、現場に足を運ぶなどして、その声と実態をしっかりと把握することが欠かせないと思いますが、現在の取り組み状況と今後の取り組みについてお伺いします。
 次に、県立大学の活用についてお伺いします。
 岩手県立大学が建学され、昨年10周年を迎えられました。知事は、これまでの県立大学にどのような評価をされ、今後どのような期待を持たれているか、お伺いします。
 県立大学で学んだ学生諸君には、ぜひ岩手の振興に力を発揮していただきたいと思います。
 そこでお伺いします。
 県庁や地元市町村、県内の医療やソフトウエア関連企業などへの就職状況、並びに大学の地元就職や定着のための今後も含めた取り組みについてお伺いします。
 文化振興についてお伺いします。
 岩手には、歴史、風土に根差した地域文化が豊富にあります。私は平成19年12月議会において、伝統芸能の振興のため公演機会を確保すること、首都圏において観光物産展や企業誘致、Uターンフェア、県人会の開催などと連携して、岩手の伝統芸能や文化を紹介することを提言いたしましたが、その後どのように取り組まれたか、今後の取り組みを含めお伺いいたします。
 昨年11月、岩手県文化芸術振興議員連盟では、地域に根差した全国的な演劇活動を行っている秋田県田沢湖町のわらび座を視察してまいりました。わらび座の民族芸術研究所では、全国の民謡や伝統芸能を収集しており、その内容は国内屈指と思われ、みずから演劇活動にも役立てており、また、上下左右の立体的に制作した3次元の安来節の踊りのDVDは踊りも習得しやすく、関連情報も盛り込まれた興味を引く内容でありました。
 我が岩手県立大学でも、伝統芸能の習得のためのコンピューターと映像を活用した研究成果が発表されております。伝統芸能の担い手は高齢化しており、後世に伝承する上からも広く保存が急がれます。県としても、各団体の伝統芸能の記録保存の状況を把握し、市町村、芸能関係団体、県立大学などと連携して、わらび座の例も参考としながら、組織的、計画的に岩手の伝統芸能を記録保存し活用することが必要と思われますが、今後の取り組みを含めて対応をお伺いします。
 2011年は平泉の世界遺産登録を期す年であり、また、東北蝦夷の戦い終焉1200年の年と言われております。この年に当たり、わらび座では、ミュージカル・アテルイ2011を県内や東京、京都など、国内主要都市で上演する計画を進めていると聞いております。
 ちなみに、2001年8月18日から2002年8月18日のアテルイ公演には、岩手県、秋田県等が後援、2003年4月から2004年2月までのアテルイ全国主要都市の公演では岩手県が共催しましたが、今回も県においては、後援のみならず、これを生かし、岩手の歴史や岩手への関心を高めることにつながるよう対応すべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 雇用の確保についてお伺いします。
 国や県、市町村も種々対策を講じているところですが、現下の雇用環境は大変厳しい状況にあります。不幸にして、高校を卒業しても就職できなかった生徒を引き続き支援する仕組みが必要と思われますが、これにいかに取り組まれているか、今後の対応も含めてお伺いいたします。
 また、卒業後、一定期間、就職した生徒と連絡を取り合い、その状況を把握し、必要な相談やアドバイスなどにより、離職の防止や成長を見守るとともに、在校生が卒業生の経験や思いを聞く機会を設けるなどして、生徒の就職への心構えを醸成することや、これらを学校の進路指導の参考とすることが効果的ではないかと思われますが、御所見をお伺いします。
 1947年から1949年に生まれた、いわゆる団塊の世代は退職が始まっております。退職から年金支給までの期間があり、継続して働きたいという希望も多い中、40歳以上の中高年齢層の雇用は厳しい情勢です。本県の団塊の世代は人数も多く、退職による地域経済や社会に与える影響も大きいと思われますが、県はどのように認識し、団塊の世代も含めた中高年齢者の雇用の確保にどう取り組まれるのか、お伺いします。
 また、豊富な経験と知識を生かし、中高年齢者が協同して仲間やあるいは個人で起業し、例えば中小企業の総務や販売、技術などの指導等、いろいろな業務を受託するなどして仕事や職場を創出することも一つの方法と思いますが、御所見と県の支援についてお伺いします。
 以上で質問を終わります。答弁によりましては、自席にて再質問をさせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 喜多正敏議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、これまでの県政運営についてであります。
 私は、知事就任以来、今、岩手で起きている危機の実態を直視し、どう対処すればそれが解決できるかを考え、そして県民と力を合わせて課題解決に当たり、県民の仕事と暮らしを守っていくことに意を用いてきたところであります。
 このような中で、二度にわたる地震からの復興、また、地域医療を支える県民運動の広がりなど、直面するさまざまな危機に立ち向かう県民の前向きな姿勢と努力によって危機を希望に変える取り組みも始まっていることに岩手県民の底力を強く感じているところであります。
 今後におきましても、希望郷いわての実現に向けて、県民と一丸となって全力で取り組んでまいりたいと思います。
 次に、これからの県政運営についてでありますが、いわて県民計画に掲げられた希望郷いわて、これを実現していくためには、県民一丸となった地域づくりを進めていくことが重要であります。
 こうした地域づくりを進めていくためには、まず、県及び県職員が既存の枠組みを超えて独創力と行動力を発揮して、県民と一緒になって課題を解決していくということが必要と考えております。こうしたことから、昨年11月、岩手県I援隊運動を開始いたしました。この展開等によりまして、県民、企業、NPOなど、地域社会を構成するあらゆる主体がともに支え合い総力を結集する地域経営というものを積極的に実践していきたいと考えております。
 また、国に対しましては、地域のことは地域の判断と責任で決定することができる地域主権の確立が重要であると考えておりまして、国と地方の望ましいあり方を踏まえた役割分担の明確化、そして、安定した地方税財政制度の確立、こういったことについて、全国知事会を初め、総務省顧問の立場、また地方行財政検討会議など、さまざまな機会をとらえて積極的に提言してまいりたいと思います。
 次に、子供の貧困についてであります。
 本県において公的支援の対象となっている児童生徒の状況は、平成20年度において、例えば生活保護における教育扶助の受給人員は828人、これは前年度より38人増加しています。また、生活福祉資金のうち教育支援資金の貸付件数や小・中学校の学用品などを市町村が支給する就学援助の受給者数なども前年度より増加しています。
 現在、国の社会保障審議会においては、子供期の貧困は、成人してからも自身の健康や子供の教育、家庭環境等にさまざまな影響があり、当該時期における所得保障や現物給付は、その不利な状況や悪影響を緩和する効果があるという議論もなされています。
 このようなことを踏まえまして、県においては、国が新たに策定した子ども・子育てビジョンをもとに、平成22年度から新たに実施する子ども手当の支給、高校授業料の実質無償化、児童扶養手当の父子家庭への支給拡大などに着実に対応するとともに、現在、県単独で実施しています母子家庭や妊産婦、乳児への医療費助成制度については平成22年度から新たに父子家庭を対象として拡大するなど、子育て家庭への経済的支援の充実に取り組むこととしています。
 しかしながら、子供期の貧困は、経済的な面だけではなく精神的な面にも影響があるとされていますので、いわて県民計画と現在策定中のいわて子どもプランに基づいて、経済的支援に加えて、子供や若者の心の豊かさづくりなども含めた総合的な取り組みを推進していくこととしております。
 次に、県立大学の評価と期待についてであります。
 県立大学は、自然、科学、人間が調和した新たな時代を創造するため、人間性豊かな社会の形成に寄与する、深い知性と豊かな感性を備え、高度な専門性を身につけた自律的な人間を育成することを目的として設置したものであります。
 平成10年の開学以来、県立大学においては、実学実践の教育理念のもと充実した教育研究が実施されてきており、その結果、学生や企業等からは満足度の面で高い評価をいただき、また、高い就職率を維持するなど、建学の理念にかなった有為な人材育成が行われていると認識しております。
 また、共同研究や受託研究等を実施し、地域の課題解決に向けて積極的に取り組む、そして、広く県民を対象として毎年多数の公開講座を開講している、そして、ボランティアセンターを中心に路上生活者を支援するなど、学生による社会貢献活動が多数実践されるといったように、高度で専門的な知識を県民に還元するとともに、地域のニーズに対応した活動により地域に貢献してきていると評価いたします。
 県立大学には、今後とも常に県民が期待する県立の大学のあり方を把握して、それを大学運営に生かすことや、大学の教育研究の成果を広く学内外に共有することを通じ、本県になくてはならない大学となってもらいたいと期待しています。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承お願いします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) 農業振興についてのお尋ねであります。
 まず、戸別所得補償制度についてでありますが、本県農業や農業経営への効果、影響等については、この制度は、米の生産数量目標に即して生産を行った販売農家を対象に一定の所得を補償するセーフティネットであり、米の需給調整の実効性とともに、厳しい経営環境のもとでも安定した農業経営が築き上げられ、本県農業の振興につながるものと期待しております。
 また、集落営農からの離脱や貸付農地の返還を求める動きについては、本県では、現時点では大きな問題となっている事例はないものと考えております。
 今後、仮に集落営農からの離脱等が問題となった場合は、国が設置した岩手県戸別所得補償制度等推進連絡会議を中心に、関係機関、団体が情報共有し、当事者同士での話し合いを基本としながら、この制度が集落営農や規模拡大等によって効率的な経営を行えば所得が増大する仕組みであることなどについて理解を求めるなど、円満な解決に向けて合意形成を促進してまいります。
 次に、土壌診断についてでありますが、本県では、毎年度、農業改良普及センターや全農岩手県本部の広域土壌分析センターなどが精密な土壌診断を行っており、平成20年度の実績は県全体で約1万4、000点となっております。その内訳は野菜が45%を占め、水稲が31%、飼料作物が7%などとなっております。
 土壌診断は、適正な施肥管理や肥料コストの低減に極めて有効な手段でありますことから、今年度新たに、本県が独自に開発した簡易土壌分析システムを国の補助事業を活用しながら集落営農組織等に約40台導入するとともに、このシステムを活用し、生産現場で施肥設計を助言するアドバイザーを319名育成し、施肥改善に取り組んできたところであります。
 今後におきましては、生産現場で農家が手軽に土壌診断を実施できるよう、引き続き簡易土壌分析システムを普及拡大するとともに、施肥設計アドバイザーの育成や診断技術の向上を支援するなど、土壌診断の充実強化により生産性の向上を図ってまいります。
 次に、肉用牛の経営対策についてでありますが、子牛の生産農家が肥育経営に取り組むいわゆる繁殖、肥育一貫経営については、子牛価格が下落した場合のリスクを低減できるなどのメリットがあることから、県としては、経営安定のための有効な手段として積極的に推進する必要があると考えております。
 しかしながら、この推進に当たっては、肥育技術の習得や運転資金の確保、新たな畜舎等の整備などの課題もあることから、農業改良普及センターによる経営、技術指導を行うとともに、国の事業や制度資金の活用促進、さらには県単事業による牛舎等の整備支援などにより繁殖、肥育一貫経営の拡大に引き続き取り組んでまいります。
 次に、獣医師の確保についてでありますが、畜産農家等は、獣医師に対してきめ細やかな家畜診療や飼養管理指導などを期待しており、今後の安定的な獣医師の確保について不安を抱いている地域もあります。
 県としても、安全・安心な畜産物の生産や家畜伝染病の防止対策の強化を図るとともに、こうした畜産農家の期待にこたえるためにも獣医師確保対策の充実を図る必要があると考えております。
 このため、県内での産業動物診療を希望する学生に対する修学資金の貸与、農業団体と連携した獣医系大学への訪問による勧誘や就業体験のための学生の受け入れなどを行ってきたところであり、今後は、こうした取り組みに加え、新たに大学2、3年生を対象とした就業体験を行うなど、獣医師確保対策の充実に努めてまいります。
 次に、林地の団地化についてでありますが、小規模分散的な森林所有形態の中で、所有者への利益をもたらす森林経営を行うには高性能林業機械などによる施業の低コスト化が必要であり、そのためには、議員御指摘のとおり、団地化が不可欠と考えております。
 このため県では、小規模所有の森林を取りまとめて団地化することにより、効率的な経営を行う地域けん引型林業経営体を森林組合や民間事業体の中から31育成したところであり、現在、これら経営体が県内各地で団地化による生産性の高い間伐等を開始しており、アカマツの間伐で森林所有者へ利益を初めて還元できた事例など、成果があらわれ始めているところであります。
 今後とも、これら地域けん引型林業経営体の取り組みをさらに加速させるなど、団地化による効率的な森林施業を積極的に促進してまいります。
 次に、木材の強度等の表示についてでありますが、こうした表示の取り組みについては、県内ではまだ広く行われていないのが現状であります。平成21年6月時点における県内でのJAS取得工場数は6工場で、全工場の約3%となっております。県内で乾燥施設を保有する製材工場等は44工場41社、また、強度測定等の設備を有する工場は5工場となっております。
 県としては、強度や含水率を表示することは製材品販売にとって有効であると認識しており、県内の事業者の中には新たに製材品の強度や含水率表示に取り組もうとする動きもあることから、このような取り組みを支援するなど、品質や性能が保証された製材品の供給拡大に努めてまいります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 岩手型住宅の建設促進についてでありますが、今年度、岩手型住宅のキャッチフレーズを岩手の自然と岩手の技術で岩手のエコライフと定めましてPRを強化しているところでございます。
 平成22年度においては、新たな制度として、県産材を使用する省エネ住宅について利子の助成を実施する予算案を提案しております。
 また、国におきましては、ことしの1月から住宅版エコポイント制度が開始されたほか、木造住宅振興のため、地域材を使用した木造展示住宅を建設する事業者等に対して国が直接補助する制度も設けられたところであります。これらの新たな制度によりまして、岩手型住宅につきましても展示住宅の建設や現場見学会の開催など進むものと考えております。
 県といたしましては、当面、国の補助制度に対する地元工務店の応募状況等を見ながら、また、御提言がありました環境問題への理解を深める取り組みも含めた岩手型住宅のさらなる建設促進策につきまして、関係団体と連携しながら検討を進めてまいります。
 次に、観光地等の景観形成についてですが、御指摘のとおり、県内に散見される廃屋や古い看板、資材置き場等が地域の景観を損ねている状況は、観光振興の面からも改善すべき重要な課題と考えております。
 県では、これらを含む地域の景観の改善活動を支援するため、平成16年度から住民団体等による景観点検事業を観光地等を含む県内29カ所で実施し、多くの地域ではその後の自発的な活動につながっているところでございます。
 また、屋外広告物につきましては、老朽化した看板等を含め、違反広告物の是正や撤去に県内全域で取り組んでおりまして、特に先行して取り組んでいる平泉地域では、把握したすべての違反広告物の是正が完了したところでございます。
 一方、是正指導だけではなく、景観と調和するすぐれたデザインの広告物を奨励するため、昨年度から屋外広告物コンクールを実施しているところでございます。
 来年度からは、良好な景観形成のより一層の推進を図るため、県や市町村、関係団体等による連絡協議会を4広域振興局にそれぞれ設置することとしており、地域の実情に応じた解決方策を検討しながら、より一層魅力あるふるさとづくりに取り組んでまいります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、商店街の振興策についてでありますが、今回実施しました商店街実態調査の結果、店舗数の減少、経営者の高齢化や後継者不足、個店の魅力の低下といった声が多く見受けられ、衰退していると感じている商店街の割合が64.7%を占めておりますことから、その現状は大変厳しいものと認識しております。
 こうした状況下にありましても、開運!100縁商店街を実施しております盛岡駅前商店街、出張販売を実施しております花巻市東和町の土沢商店街、空き店舗を活用して郷土芸能や寄席を開催しております宮古市末広町商店街など元気な商店街も存在するところであり、商店街みずからが前向きに取り組んでいくことが活性化の原動力となると考えているところであります。
 県としましては、このような商店街を支援するため、個店の魅力向上のための店づくりの専門家派遣、商店街を運営する人材の育成のための研修会、講習会の実施、商店街の活性化やまちづくりの取り組みへの支援のためにいわて希望ファンドによる財政的な支援や専門家の派遣などを行っており、今後とも意欲ある商店街を支援していきたいと考えているところであります。
 次に、新幹線延伸についてでありますが、新幹線の新青森延伸に伴い北東北に注目が集まりますことから、本県への誘客はもとより、青森県を訪れる観光客が本県にも足を運ぶよう、広域観光ルートの確立が必要と考えております。
 このため、青森から本県沿岸への誘客を目的に、現在、旅行会社向けの商品造成手引書を作成いたしますとともに、今月、首都圏の窓口担当者約60名を招聘するほか、県、沿線自治体、鉄道事業者等で設置しました北三陸サンライズレール観光振興会議において、山田町のカキ小屋等の観光資源の発掘、磨き上げを行っているところであります。
 また、青森から盛岡方面への誘客につきましては、盛岡市、八幡平市等の10市町村が体験、実践型滞在観光を目指し、盛岡・八幡平広域観光圏の確立に向けた準備を進めており、県としても、こうした動きと連携して宣伝、誘客活動を実施してまいります。
 この1月には、知事のトップセールスによりまして、JR東日本の経営陣に対し本県への旅行商品造成やさらなる誘客を働きかけますとともに、私も関西、中京圏の主要旅行会社に先月訪問し、本県の観光資源のアピールと送客を働きかけたところであり、新幹線延伸を本県観光産業の飛躍の大きなチャンスととらえ、誘客に向け積極的に取り組んでまいります。
 次に、岩手県ものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンター(仮称)についてでありますが、本センターでは、先端的ソフトウエアを軸に、県内ものづくり産業の生産性、付加価値向上につながる産学共同研究の推進、ハードウエアやものづくりのプロセス等を理解し、新製品、新技術開発に貢献できるソフトウエア技術者の育成、カーエレクトロニクス開発製品など、試作開発に要する設備機器の企業への開放などの取り組みを進めております。
 本センターは県立大学が管理運営に当たることとしており、この整備により、県内企業の競争力強化や高付加価値型企業の誘致、高度技術者の地元定着の促進などの効果が期待されます。
 また、イノベーションパークにつきましては、本センターの整備や県立大学ソフトウェア情報学部などが育成する優秀なIT人材を有力なインセンティブに、本県ものづくり産業の技術力や競争力を支えるIT関連企業を誘致することとし、おおむね10年以内に15社程度を集積することを目標としております。
 次に、企業誘致の優遇措置についてでありますが、企業立地促進奨励事業費補助金については、企業立地によります雇用創出効果や地域経済への波及効果等を勘案して、固定資産投資額については原則として1億円以上を補助対象とする等の要件を設けているところでありますが、平成22年度からは、現在の厳しい経済情勢を踏まえ、固定資産投資金額の要件を1億円以上から5、000万円以上に引き下げ、より多くの企業が補助対象となるよう拡充することとしているところであります。
 なお、これまでの折衝経験によりますと、企業進出の決め手は、優秀なIT人材、ビジネスパートナーの確保であり、この3年間におけます21件(後刻「12件」と訂正)の立地につきましても、多くの企業から県立大学ソフトウェア情報学部との共同研究や卒業生の採用などに大きな魅力を感じたと聞いております。
 次に、システム開発、ソフト開発型企業の育成についてでありますが、県では、平成18年3月にいわてIT産業振興ビジョンを策定し、計画的に情報産業の振興に取り組んできました。
 その実績としましては、情報関連企業など産学官が参加する組込み技術研究会が企業の連携の場として、また、マーケットや技術に関する情報収集の場として県内企業に定着したこと、これまで首都圏市場などからあっせんした取引案件のうち26件が成約し、新たな販路開拓や取引拡大が進展してきたこと、企業と工業技術センターの共同技術開発や滝沢村IPUイノベーションセンターを活用した産学連携など、さまざまな展開が生まれていることなどが挙げられます。
 平成22年度におきましては、岩手ものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンターの開設を見据えて、学生、社会人を対象に、ものづくりのプロセスを理解したソフトウエア技術者を養成する新たな事業を実施するほか、産学官の連携、交流、取引案件やシーズ、ニーズのマッチング、企業間交流などに引き続き取り組み、開発型企業の育成、情報産業全体の成長、拡大を促進してまいります。
 次に、高卒者の就職支援についてでありますが、現在、未内定の新規高卒者の方々につきましては、卒業後も就職に向けた支援を継続するため、現在、学校を通じてジョブカフェ、ハローワーク等への登録を呼びかけているところであります。
 ジョブカフェでは、内定に至らなかった生徒一人一人に対しカウンセリングを行い、各自の希望や特性に応じ、就業体験、セミナー等を行うほか、国、市町村等で実施されます各種支援制度を情報提供し、生徒の事情に応じた支援を行っていくよう体制を整えております。
 次に、中高齢者の雇用等の確保についてでありますが、本県においても団塊世代の退職の影響は一部にあると思われますが、県としましては、高齢者雇用支援月間におけます広報や岩手県高齢・障がい者雇用フェスタの開催を通じて周知いたしますとともに、中高齢者に対する職業訓練の実施によります職業能力の開発、向上により、働く意欲と能力を有する中高年の方々の雇用の確保に努めているところであります。
 また、新たな起業は雇用の創出に結びつくと考えており、起業意欲のある中高齢者に対しては、起業ノウハウを提供するセミナーの開催や個別相談、専門家派遣などを実施しているほか、いわて希望ファンドによります助成事業やいわて起業家育成資金の融資制度によります資金面での支援などを実施しており、引き続きニーズに応じた支援を続けてまいります。
 大変恐縮でございます。情報産業企業誘致の優遇措置につきまして、12件というふうに訂正させていただきます。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 消費生活相談員の処遇改善についてでありますが、県では、消費者安全法の施行に伴い、県民生活センターを中核センターとして位置づけ機能強化を図っているところであり、今後の県民生活センターの相談員が担う消費生活相談業務の高度化や件数の増大等を勘案して報酬額を増額改定することとし、所要額を当初予算案に計上しております。
 相談員の研修、資格取得の支援につきましては、相談員が専門的な知識を習得し、消費生活専門相談員として資格を取得できるよう、国民生活センター等が実施する研修への参加や弁護士等専門家から助言を得る機会を確保しているところであり、今後もこうした機会を確保し、相談員の資質向上に努めてまいります。
 次に、消費生活相談の広域相談体制についてでありますが、昨年9月に消費生活安全法が施行され市町村が消費生活相談事務を行うこととされたことから、県では、市町村中心の相談体制の構築に向け、複数の市町村が連携して消費生活相談センターを設置するよう市町村に提案し、働きかけをしてまいりました。
 その結果、平成22年度は、盛岡広域圏を初めとして、二戸、釜石地域の3カ所において広域体制による消費生活センターが、花巻、奥州、久慈の各市においては市単独の消費生活センターが開設され、5カ所のセンターで1名から4名の相談員が増員される見通しとなっております。
 その他の地域におきましても話し合いが進められているところであり、県としては、平成22年度中にそれぞれの地域で方向性が決定され、平成23年度中にはすべての市町村において相談体制の整備が図られるよう市町村に助言するとともに、基金を活用し、消費生活センターの設置について支援をしてまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、保育所待機児童の実態についてでありますが、各市町村に対しましては、年4回、保育所申し込み児童数や入所児童数及び待機児童数の状況の報告を求め、その実態の把握に努めているところでございます。
 平成21年4月1日現在の待機児童数は4市、95人と、前年同期と比較し20人増加しておりますが、発生市町村は2団体減少しており、継続して発生しておりますのは特定の4市のみとなっているところでございます。
 当該4市における状況を見た場合、新興住宅地などで待機児童が発生する一方、他の地域の保育所では定員に余裕が生ずるなど、その発生は特定の地域に限定されてきております。
 また、平成21年3月31日現在の認可外保育施設数等は20市町村、124施設、利用児童数は2、072人となっており、前年度と比較し、施設数は同数、利用児童数は103人減少しているところであります。
 県におきましては、これらの状況を踏まえまして、昨年度設置した子育て支援対策臨時特例基金等を活用し、平成22年度までに民間保育所の整備を集中的、重点的に促進することとしておりますが、これに伴い、県全体では本年度から2カ年で保育所の総定員を475人拡大する予定でありまして、そのうち、待機児童が発生しています当該4市のうち3市におきましては、365人の定員増が図られる予定でございます。
 なお、今年度は担当職員が直接当該4市に出向き解消策等について意見交換を行ってきたところでありまして、今後とも、具体的な協議を重ねながら、待機児童解消に努めてまいりたいと考えております。
 次に、介護老人福祉施設等の利用状況と待機者の動向についてでありますが、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設及び認知症対応型グループホームの利用状況については、それぞれ平成21年10月現在の定員数6、390人、5、451人、1、222人に対し、おおむね100%となっております。また、特定施設入居者生活介護の利用状況については、同じく、定員数802人に対して約70%となっております。
 平成21年3月末におけます特別養護老人ホームへの入所待機者は5、539人で、そのうち在宅の待機者が1、858人、そのうちで市町村が早期の入所が必要と判断した方が1、022人となっております。このため、特別養護老人ホームにつきましては、第4期県介護保険事業支援計画において予定しております約660床の整備に加えまして、本年度設置いたしました介護サービス施設等整備臨時特例基金については、当該計画期間中に370床の上乗せ整備が可能となるよう基金に積み増しをすることとしておりまして、これらが整備された場合、全体として約1、030床増設されることとなりますことから、今申し上げました早期に入所が必要な待機者への対応が可能となるものと考えております。
 現在、市町村等からは上乗せ分につきまして約250床の整備計画が出されておりまして、さらに120床の整備が可能でありますことから、市町村等に対し働きかけを強化していくこととしております。
 次に、療養病床転換計画についてでありますが、医療療養病床については、平成19年4月以降、老人保健施設への転換が13床、介護療養型老人保健施設への転換が95床、一般病床への転換、病床の廃止が125床あったことにより、延べ233床減少する一方、介護療養病床からの医療療養病床への転換が46床、医療療養病床の新設、増設が68床あったことから、平成21年度末には2、467床となる見込みであります。
 また、介護療養病床については、同様に、老人保健施設への転換が24床、医療療養病床への転換が46床、一般病床への転換及び病床の廃止が131床あったことによりまして延べ201床減少し、平成21年度末には675床となる見込みであります。したがいまして、平成21年度末には、療養病床転換計画に定める当該年度末の計画数に対しまして医療療養病床は25床、介護療養病床は14床それぞれ多くなっているところでありますが、医療療養病床につきましては、当初計画に予定しておりませんでした病床の新設、増設が31床あったことによりまして計画と一部差異が生じたものの、現時点では、おおむね計画に沿って推移しているものと考えております。
 国からは、本年1月に、療養病床削減計画の凍結とは、介護療養病床を廃止するという方針を凍結することではなく、平成20年9月の見直し後の目標数であります療養病床のうち、医療療養病床22万床に機械的に削減しないということであるという考え方が示されているところでございます。
 今後、国におきましては、療養病床の転換状況や転換意向等を把握するための実態調査を実施し、その調査結果を踏まえ、介護療養病床の廃止期限の猶予などを含めた必要な対応について検証することとしておりまして、現在、都道府県を通じて当該調査を実施しているところでございます。
 今回の調査結果によりましては、今後の介護療養病床転換計画に大きな影響があるものと考えているところでございます。
 県といたしましては、したがいまして、引き続き国の動向を注視しますとともに、医療関係団体や関係する医療機関に適宜情報提供を行いまして、転換の意向を十分把握し、また、転換に対する不安が生じないよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、療養病床転換への助成についてでありますが、現在の転換計画をもとに助成額を試算しますと、県が補助を行う医療療養病床から介護老人保健施設等への転換につきましては、改築195床、新築、増築24床、改修307床の計526床分で4億1、000万円程度と見込まれ、うち、県の負担割合は27分の5となっておりますことから、8、000万円程度の実負担が見込まれるところであります。
 なお、今年度までに新築54床、改築44床分7、600万円を助成したところであり、同様に県の実負担は約1、400万円となっております。
 また、市町村が補助を行います介護療養病床からの介護老人保健施設等への転換につきましては、改築108床、改修352床の計460床分で3億円程度と見込まれますが、全額が国の交付金で措置されるものであります。
 なお、今年度までに新築48床、4、800万円が助成されているところでございます。
 県といたしましては、厳しい財政状況にあるものの、的確に予算措置を講じて転換を支援しますとともに、市町村に対しても、同様の対応について要請してまいりたいと考えているところでございます。
 次に、介護の実態把握の取り組みについてでありますが、まずもって、介護施策を企画立案し実施していくためには、現実の介護の実態を十分把握することが基本であると認識しております。
 昨年3月に公表いたしました第4期県介護保険事業支援計画の策定に当たりましては、介護保険サービスに対する意向等を把握するため、在宅の要介護高齢者やその家族に対する県調査を実施し、また、各市町村が介護実態の調査等を踏まえて策定した介護保険事業計画について個別にヒアリングを実施するとともに、県高齢者福祉・介護保険推進協議会では各委員のさまざまな意見等をお聞きし、県計画に反映させたところであります。
 計画の実施初年度あります本年度におきましても、介護している家族の会や介護保険事業者との意見交換を行いますとともに、県内各地で実施されておりますセミナーやシンポジウムの機会を活用し、介護者や施設関係者からの介護の実態をお聞きするなど、その把握に努めているところでございます。
 介護の実態につきましては、基本的には市町村等保険者が把握しているところでございますが、県におきましても、各振興局で実施しております事業者指導等を通じて介護の実態を直接把握し、市町村等と認識をより深く共有していく必要があるものと考えております。
 また、私を初め関係職員は、これまでも介護施設等とでその実態を踏まえた御意見等を伺ってきたところでございますが、今後とも、可能な限り現場に赴き、利用者や施設従事者の声もお聞きしながら、介護施設の推進に努めてまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 幼保一元化につきましては、そのメリットとして、保護者の就労の有無にかかわらず利用が可能であること、待機児童の解消、教育と保育を一体的に受けられることなどが挙げられておりますが、一方で、その実現に向けて、幼稚園と保育所の所管省庁が異なり補助制度が一本化されていない、職員配置や施設設備の基準が異なる等の課題があるとされているところでございます。
 国におきましては、幼保一元化を含め、新たな次世代育成支援のための包括的、一元的な制度の構築を進めるとし検討を行っていると聞いておりますが、県といたしましては、こうした国の動向を注視しつつ、適切に対処してまいります。
 次に、県立大学卒業生の地元定着についてでありますが、県や県内市町村に就職した者は、平成20年度で13名、今年度は1月末現在で17名、県内の医療機関へは、平成20年度は41名、今年度は1月末時点で25名、ソフトウエア関連企業へは、平成20年度は16名、今年度は1月末時点で5名となっております。
 県内就職の割合は、平成19年度の32.6%から平成20年度においては40.4%と上昇しておりますが、県立大学におきましては特命課長を新たに設置し、地元企業を訪問し就職先の開拓を実施しているほか、県医療局の説明会や県内IT企業に関するシンポジウムの開催などにより、学生の県内就職への理解促進を行うなど、学生の県内就職を支援するための取り組みを強化しているところでございます。
   〔地域振興部長加藤主税君登壇〕
〇地域振興部長(加藤主税君) 文化芸術の振興についてのうち、まず、岩手の伝統芸能や文化の紹介についてでございます。
 平成20年12月に、岩手県文化芸術振興指針を策定したところでありまして、その中では、伝統文化を保存継承していくための発表や、交流の機会を確保することによる人材の育成と地域コミュニティの活性化促進が、施策の方向の一つとして示されているところでございます。
 県としては、例えば昨年11月中旬に埼玉県で開催されました黄金の國いわてフェアにおきまして、鬼剣舞、早池峰神楽、盛岡さんさ踊りなどを紹介したり、いわて銀河プラザにおきまして、いわて学講座の一環として郷土芸能を披露するなど、岩手の伝統芸能、文化の紹介に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、指針に示された施策の方向に従いまして、また、現在、順次設置に取り組んでおります文化芸術ネットワークのアドバイザーの機能を発揮させることによりまして、発表機会の確保やその情報提供に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、伝統芸能の記録保存についてでございますが、昨年度から、国または県指定の無形文化財を中心に、神楽や剣舞などの伝統芸能のDVD化等による保存に努めております。また、来年度におきましては、市町村や関係団体の要望を把握しながら、市町村等が保有しております既存の映像記録をDVDに記録保存するための事業を、国の緊急雇用創出事業を活用して実施してまいりたいと考えております。
 こうした一般的な映像の記録に加えまして、議員御指摘の高度なコンピューター機能を用いました踊り等の伝承方法の記録保存につきましては、市町村や伝統芸能、文化団体の意向も承りながら、今後、検討してまいりたいと考えております。
 最後に、アテルイ2011についてでございますが、県といたしましても、アテルイなど歴史を通じまして、岩手の風土に根差した人間性や文化に理解を深める貴重な機会となるものと認識しておりまして、アテルイ2011の上演に際しましては、県内学校鑑賞公演に向けた学校長会等への情報提供のほか、先ほど申し上げました黄金の國いわてフェアなどの県外イベントや県人会等を通じたPRなどによりまして、岩手への関心や評価を高めることにつながりますよう、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 働くことや職業に対する意識の醸成についてでありますが、議員御案内のように、離職防止などの観点から、これまでも、学校の教員や就業指導支援員が追指導として生徒が就職した事業所を訪問し、勤務状況などについて聞き取り調査をしており、就職した卒業生と直接面談し、相談に乗るなどのフォローなども行っているところでございます。
 また、各高校では卒業生を招き、卒業生と語る会などの名称で卒業生の実体験を聞くとともに、卒業生と情報交換することで、働くことや職業に対する意識の醸成を行う等の取り組みを行うほか、各校においては、学校の特色に合わせて事業所見学やインターンシップを実施し、在学中に働くことや職業に対する意識の高揚を図っているところでございます。
 今後とも、体系的なキャリア教育の充実を図りながら、生徒一人一人の勤労観、職業観を醸成するとともに、さまざまな工夫をしながら取り組んでまいります。
〇8番(喜多正敏君) 大変御丁寧な答弁、ありがとうございました。何点か再質問をいたします。
 まず、戸別所得補償制度が導入されることにより、産地確立交付金など現行制度と水田利活用自給力向上事業の交付額の推計において、どのようなプラス、マイナスが生じ、どのように対応するか、お伺いしたいと思います。
 2番目は県産材の活用についてであります。
 岩手の山には伐期を迎えた木材資源が多く育っております。ところで、木材の流通は一般的には山から原木が切り出され、木材市場に出荷され製材工場で板や角材などに製材し、工務店や需要家が購入するという流通ルートになっております。公共施設を含め、県産材の活用や岩手型住宅の建設促進のためには、その利用に当たって、必要なときに使いやすい乾燥済みの樹種が一定規格で一定量確保されていることが重要でありますが、現状でどうでしょうか、確保の取り組みについてお伺いします。
 それから、先ほど御答弁にありましたが、製材工場の乾燥機や強度試験設備の設置割合が非常に低いと、こういう状況であります。製材工場は、平成10年には本県には313、平成15年には275、平成20年には195と減少しているわけであります。製材工場がなくなれば、県産材、地元材をひく場所がなくなり、地元工務店も仕入れができなくなるということであります。製材工場を支援するためにも、県としても乾燥機の導入あるいは強度試験設備の導入、あるいは製材工場で単独で品質表示ができるようなJASの認証取得をもう少し強力に支援をすべきではないか。単に情報提供だけではなくて、経済的な支援をしていくべきではないかというふうに思いますので、もう一回御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、観光振興でありますけれども、今、隣の秋田では韓国ドラマが大変有名になり、韓国から観光客が大変押し寄せているというふうに報道されました。今後経済発展とともに、中国、アジアからの観光客が飛躍的に増加すると思われるわけであります。みちのく岩手観光立県基本計画でも、外国人観光客数を平成20年度の9.9万人から25年度には17万人を目指すということになっているわけであります。新幹線で来県される外人もいるわけでありますけれども、加えまして、花巻空港や秋田空港、仙台空港など、東北の空港からの入出国に着目した観光ルートを設定して、近県相互に連携して誘客、回遊促進を図ってはどうか。
 それからもう一つは、盛岡・八幡平広域観光推進協議会においても、多国語表記の観光案内版の計画を考えているわけでありますが、こうしたことも一つ重要なのではないかと思いますので、これについての県の支援についてお伺いをいたします。
 それから、消費生活相談員の問題でありますけれども、国は消費者行政推進基本計画において、地方消費生活センターを中心として一元的な相談窓口を設置すると、全国的なネットワークを構築していくんだと、こういうことであります。国においては、支援はするけれども、消費者行政は地方分権下の自治事務だというふうになって、基本的には地方の自助努力によって強化するというふうにしているわけであります。しかしながら、実態は、その地方自治体の消費者行政の担当者は定期人事異動により何年かでかわる。また、消費生活相談員は、非常勤職員のために教育効果や経験の継承も保障されていない。確かに住民に接している地方自治体としては、住民が個別的に相談に来られた場合はきめ細やかに相談に応じる必要があるわけでありますけれども、一方、国は地方に、国が管理し公開するパイオネットへの苦情相談情報のデータベースで相談情報を入力することを求めておるわけでありますし、また、住む県や市町村によって相談体制に違いがあってはままならないわけでありまして、国としても、消費者行政において責任を持って国民の安全・安心を確保していく部分があるというふうに考えるわけであります。
 そこで、最前線に立つ消費生活相談員が、相談内容によっては権限を持ち、相談現場からの消費者政策の政策形成ができるようにするため、正規職員化への道も含め、さらに地位の確立と必要な財源措置を講じることを国に提言するべきと思いますが、御所見をお伺いします。
 今回、県のほうでは増額をするという消費者相談員の待遇でありますけれども、必ずしも地方振興局に置かれている相談員全部への増額ではないというふうに聞いておるわけであります。したがいまして、抜本的にこういうことについてはなかなか地方も厳しい情勢であるわけでありますが、国に積極的に提言をしていくべきできないかというふうに思います、いかかでしょうか。
 それから、県立大学の活用について、知事は、地域に役立つ人材の養成について述べられたわけであります。社会に出て行って改めて必要性を感じ、さらに専門知識を習得したい、させたいという声もあるわけでありますが、今行っているような学外での講座をさらに拡大して、さらに働きながら学べる祝祭日や休日、夜間等を活用した継続的な講座をさらに拡充することが必要ではないか。また、本県にはないわけでありますが二部の教育課程を検討する考えはないか、お伺いします。
 もう一つは、先ほど中高年齢の雇用確保のいろいろ対策を講じているということでありますが、実効性を期待したいわけであります。これに関連して、臨時的、短期的な高齢者の仕事、生きがい対策としてシルバー人材センターが組織されているわけでありますが、本県のシルバー人材センターは、仕事の受注件数が年間3万5、000件台、契約金額は28億円から27億円であるわけでありますが、シルバー人材センター数は、平成17年度の32団体から20年度では27団体、会員数は8、460人から8、151人と減少しているわけであります。受注金額や会員数の拡大、技能や現業以外の業務の一層の拡大が必要と思われるわけでありますが、県の支援策についてお伺いしたいと思います。
 それから、先ほど企業誘致に関して、何件でしたかソフトウエアの誘致があったということでありましたけれども、実際優遇措置を適用された企業はあったのか、なかったのか。
 私は、製造業とソフトウエア業というのは全く業種、業態が違って、固定資産投資額によって固定資産税で回収をしていろいろな面で波及効果とか奨励措置の財源を確保すると、こういうこともわかるわけでありますけれども、まさに盛岡広域圏においては、ソフトウエアの集積が非常に重要な役割を占めているということで、人材はもちろん優秀だということはわかるわけでありますが、そうしたことだけではなくて、きちっと優遇措置を拡充するべきではないか、もう少し積極的にやっていく必要があるのではないかというふうに思いますので、もう一回御答弁をお願いしたいと思います。
 それから、保育所の入所希望は市町村によって聞いているということでありますが、そもそも保育に欠ける場合に保育を申し込むことが前提として申し込みをしているわけであります。しかしながら、その条件に合わなくて入所をそもそもあきらめているとか、認定園は別として、就職をしていなければ保育所に子供を預けられないと。また、保育園に預けていないと今度は就職に行って採用されないと、こういうジレンマがあるわけであります。もう少しこうした実態について、ただ話を聞いて引き算をするだけではなくて、そうしたことについても実態を把握するべきではないかと。
 保育所というのは、母親が働くためにだけあるのではなくて、もう一つは制度の制約もあるわけでありますけれども、中央教育審議会においても、子供を取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育のあり方の中では、幼児教育の意図として、ゼロ歳児から5歳児までの発達や学びの連続性を確保して、就学へ滑らかな接続を踏まえた教育の充実を目指すと記されているわけであります。したがいまして、小学校入学前の幼児教育としての意義もあるわけでありますから、こうしたことについてもう少し現場に即して話を聞いて政策を形成していくということが必要ではないかと思うのでありますが、いかがでしょうか。
 それから、これは後でもいいんですけれども、土壌診断について、何千カ所やったという話があるわけですけれども、果たしてそれがどの程度のカバー率なのか、農家にとっては、どのくらいの農家の土壌診断をしているのか、ちょっと判断をしかねるわけですね。1万何千カ所が多いのか少ないのか、ちょっとわからない。後で資料をいただきたいと思います。
 以上であります。
〇議長(佐々木一榮君) 最後の土壌診断も質問でよろしいですね。
〇8番(喜多正敏君) 土壌診断は後でよろしいです。資料提供をいただければ。
〇議長(佐々木一榮君) 資料提供でいいですか。
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、水田利活用自給力向上事業への対応についてでありますが、この事業の交付額を全国の統一単価で作物別に推計しますと、岩手県全体では、飼料作物や新規需要米等につきましては増額となりますが、麦、大豆や園芸作物、雑穀等は減額となり、減額となる作物の生産振興への影響が懸念されていたところでございます。このようなことから、国では、単価の減額の影響を緩和するため激変緩和措置を講ずることとし、現在、激変緩和措置の制度設計について、国との協議を進めているところであります。
 県としましては、その他作物に区分されている作物のうち、野菜や雑穀など県が指定する約30品目の単価を可能な限り引き上げ、戦略作物のうち飼料作物は現行の助成水準並みとし、その差額を財源として麦、大豆の単価を引き上げ、さらにはこうした調整によっても減額が埋め切れない場合は、激変緩和調整枠を活用することで、可能な限り現行制度の単価に近づける方向で調整したいと考えており、そうした方向で協議しているところでございます。
 次に、県産材の流通についてでありますが、本県の製材品出荷量に占める乾燥材の割合は、平成13年の4.9%から平成19年は17.1%へと着実に増加しており、全国平均の11.4%を上回っております。
 木材乾燥機等の導入補助につきましては、今年度スタートしました基金事業を活用して、木材乾燥施設の整備等へ支援することとしておりますほか、乾燥材の生産に向けた技術指導や研修会の開催などにより、乾燥材の供給体制強化に努めております。このほか、乾燥施設や木材の強度測定機の導入につきましては、製材関係者のニーズを把握しながら、国の基金事業の活用も含めて支援してまいりたいと考えております。
 さらに、木材市場等が一定規格の乾燥材を一定量ストックできるよう、木材市場を対象とした運転資金としまして、県が金融機関に資金を預託した経営安定資金による融資を行っておりまして、工務店等の利用者が随時に県産材を入手できるように支援しているところであります。
 今後とも、こうした取り組みを進めてまいりたいと存じます。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、中国等の観光客の誘致についてでございますけれども、県では、北東北3県の観光立県推進協議会、東北観光推進機構などを通じまして、東北各県と連携しながら、いわて花巻空港それから隣県の空港を活用しながら、誘客活動を積極的に行っております。
 韓国につきましては、ソウル事務所が昨年10月に、秋田空港イン、青森空港アウトで、本県の主要観光地をめぐるモニターツアーを実施しましたほか、台湾、香港、中国につきましては、昨年春から秋にかけまして、国際観光博覧会等におけます広域観光ルートの紹介や現地旅行会社などへのモデルルートの提案などに取り組み、本年2月の旧正月の時期に合わせました仙台空港やいわて花巻空港を活用しました本県に2泊する商品造成が図られたところであります。これらの取り組みによりまして、昨年12月からことし1月までの外国人の宿泊客数は、前年同期比4割増、4、000人から5、600人というようなことで、県内主要の宿泊施設から聞いております。
 県としましては、外国人向けホームページ等で広域観光ルートを情報発信するなど、東アジアからの誘客に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、シルバー人材センターへの支援でございますけれども、シルバー人材センターの会員数が減少したことにつきましては、受注業務の内容が技能労務的なものが中心というようなことで、会員の持つノウハウと一致しないというようなことで、なかなか会員登録が伸び悩んでいるというふうに考えております。
 シルバー人材センターの連絡会のほうでも、センター業務の普及啓発、あるいは各市町村センターへの指導等を行って、ワークショップ開催、地域社会ニーズとのマッチング等を行いながらシニア就業支援プログラム事業を実施し、新規分野の拡大に取り組んでおりますし、県としましても、同連合会に対し運営費の補助をしておりますほか、高齢者向けの業務の掘り起こしを行う高齢者いきいき生活支援事業などを実施しており、今後も受注業務の拡大について支援していきたいと考えております。
 それから、ソフトウエアの関係の優遇措置でございます。
 3年間で12件ということでお答えしたわけですけれども、これにつきましては、本県の優遇措置の適用があったものはありませんでした。
 なお、この要件緩和につきましては、一応税金投入ということになりますので、その立地によります経済効果とか、あるいはインセンティブの実効性、そういった観点から総合的に検討していく必要があろうかと考えております。
〇環境生活部長(松川求君) 消費者行政に関する国への提言につきましては、昨年、全国知事会を通じまして、相談員の人件費等に基金を充当することや、基金事業終了後の長期的な財源手当てについて配慮することなどの申し入れを行っております。
 今後、市町村と連携した消費者行政を進めるに当たりましては、消費生活相談員の相談現場から行政ニーズを酌み取り、あるいは改善を図る取り組みが必要と考えておりまして、新年度、市町村や関係団体と情報交換を行う場を設けることといたしております。こうした場を通じて相談現場の声を聞きながら、必要に応じ国に対して提言を行ってまいりたいと考えております。
〇総務部長(菅野洋樹君) 県立大学についてでございます。
 県立大学におきましては、アイーナキャンパス等を活用するなどいたしまして、土曜日、日曜日、休日、夜間等における大学院授業や公開講座等を開講しております。今後とも、このような取り組みをさらに充実させ、県民の皆様の学習ニーズに対応してまいりたいと考えております。
 また、2部の教育課程の設置につきましては、入学者の安定的な確保やカリキュラム、教職員体制の見直し等の課題があることから、その必要性や需要を十分に検討する必要があろうと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 今、議員から御指摘がありました、いわば潜在的な待機状況、待機実態ということではないかと思います。私どもといたしましても、そのような実態があることはケースとしては承知しているところでございます。また、先ほど答弁で申しましたとおり、認可外保育施設の中にもそういう潜在的なニーズがあるんじゃないかということも理解しているところでございます。
 いずれ、市町村のほうともいろいろ御相談していますが、いろいろなお考えがありまして、先ほど総定員475名拡大するということで、それについて手を挙げていただいた市町村もございますし、また、そういう状況を踏まえつつ、例えば幼稚園のほうで、ある程度定員がいわゆる重複していないので、そちらのほうで当面受けたいというようなお考えのところもございます。
 いずれ市町村それぞれお考えがありますが、私どもといたしましても、今、議員から御指摘があったような潜在的な需要については念頭にきちんと置いた上で対応してまいりたいと思います。
〇8番(喜多正敏君) これで終わりになります。
 昔、東北を旅をしたという英国のイザベラ・バードさんが山形県の川西町を訪ねて、非常に子供を大事にしているその姿はまさに理想郷である、こういうふうなお話をされました。先ほど知事が子供の貧困、あるいは人づくり、こういうお話をされましたが、いずれさらに積極的に県政を運営していただきたいというふうに御期待を申し上げて質問を終わります。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時17分 散 会

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