平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇17番(五日市王君) 民主党の五日市王でございます。
 質問に先立ちまして、さきのハイチ及びチリの大地震、並びにチリ地震に伴う津波において被害を受けられました皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、県当局におかれましては、復旧に向けた適切かつ速やかな対応をお願いするものであります。
 さて、質問に入ります。
 今般、5度目の登壇の機会を与えていただきました先輩、同僚議員各位に深く感謝を申し上げまして、以下、質問をいたします。
 最初に、地域主権についてお伺いいたします。
 鳩山総理は、施政方針演説において地域主権改革が現政権における改革の一丁目一番地であると述べるとともに、本年が地域主権改革元年であるとの強い決意を表明されました。
   〔議長退席、副議長着席〕
 このことは、地方分権を訴え続けてきた地方にとりましても、また私自身、これまで13年間、政治、行政に携わり、その必要性を強く主張してまいりました者といたしましても、まさに待ちに待った瞬間であり、大変心強く、また、御期待を申し上げているものでございます。
 この地域主権戦略の工程表、いわゆる原口プランによりますと、早速、今国会に国と地方の協議の場設置の法案が提出されることとなっておりますが、2010年度には(仮称)地域主権戦略大綱が、さらにその後、地方政府基本法が策定される見通しで、今後、本格的な地域主権の時代が到来するものと思います。
 さて、この地域主権の主な柱は、義務づけ、枠づけの見直し、基礎自治体への権限移譲、ひもつき補助金の廃止による一括交付金の支給、直轄事業負担金の廃止、出先機関改革などとなっておりますが、これらの改革は国主導で行われるのではなく、地方の主導で行わなければ真の地域主権の確立にはほど遠いものになってしまうと懸念されるところであります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、知事は、総務省における地方行財政検討会議のメンバーでもございます。まさに知事の発言の一つ一つが改革の行方に大きな影響を及ぼすものと思います。知事の地域主権に関する考え方と、今後の果たすべき役割についてどのような認識をお持ちなのかお伺いいたします。
 また、先ごろローカル・アンド・ローカルを合い言葉に、青森、山形、山梨、長野、福井、奈良、島根、高知、熊本の9県知事が政策グループ自立と分散で日本を変えるふるさと知事ネットワークを結成いたしました。今後は、各県各分野の先進政策などを研究し、新しい制度やシステムを提言していくとのことでありますが、知事は、今後の地域主権実現のための活動の場としてどのようなスタンスで活動をされていくのかお伺いいたします。
 登壇しての質問は以上で終わります。
   〔17番五日市王君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 五日市王議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、私の地域主権に関する認識についてでありますが、県民や企業、NPOなど多様な主体と行政がともに手を携えて力を合わせる地域経営の考え方を基本にして、県民が主権者として自立と共生の道を歩んでいく、これが地域主権の確立につながるものと考えております。
 このような観点に立ちまして、私は、総務省顧問としての立場や地方行財政検討会議の場などを通じまして、地域の実情や県民の声を踏まえた地方行財政にかかわる課題などを政府に対してしっかりと伝えるとともに、地域の自立性、主体性を高めて、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決め、活気に満ちた地域社会をみずからの手で構築していくための改革の実現に向け、積極的に意見を申し上げていきたいと考えております。
 次に、今後の地域主権実現のための活動の場についてでありますが、地域主権を実現していくためには、地方みずからが自立に向けた施策を実践していくとともに、共通の問題認識を有している自治体と連携して、先進事例を参考とした施策の実践や研究成果の発信、また、国等への提言を行うといった、東北とか北東北といったブロック圏域とはまた別の取り組みも重要であると認識しております。
 このようなことから、私は日ごろ、他県の知事あるいは他県の市長との意見交換や連携、協力に努めていますほか、全国知事会に設置されましたこの国のあり方に関する研究会でありますとか、私がリーダーを務めております地方行財政検討会議に係るプロジェクトチームといった場での議論の成果を踏まえて、地方の自立に向けたさまざまな制度改革について国に積極的に提言等を行うとともに、本県の施策にも生かしてまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 今の地方行財政検討会議の構成員ですが、地方自治体関係者からは8名となっておりまして、知事からは達増知事ただ一人でございますので、ぜひとも先ほどのようなスタンスで大きな声を上げていっていただければと思います。
 現在、地方行財政検討会議において、議会活性化の一環として地方自治法の抜本改正が議論されているところであります。この中で私が最も注目しているのは、議員を在職のまま副知事や副市長あるいは各部局の主要ポストに起用できるようにするものであります。この件につきましては、2008年10月の一般質問において二元代表制のあり方について質問させていただきましたが、いよいよ現実味が増してまいりました。
 地方行財政検討会議では、この議論と同時に、会社員など多様な人材の立候補を可能にする休職制度や任期満了後の復職制度、議員定数や任期の自由化、通年議会などが議論されるようであり、議会活性化に向けてこの国の形が大きく変わろうとしております。
 こういった地域主権が進めば、近い将来、国の役割は外交、国防、社会保障、治安維持、通貨管理などに限定され、小さな政府が実現いたします。そして、住民サービスのほとんどは住民に一番身近な市町村が行うようになり、都道府県の役割と存在意義は極めて小さくなることが予想されるところであります。
 こういった国の流れを受け、都道府県レベルでは、近畿地方とその周辺の2府5県に全国初となる(仮称)関西広域連合が年内にも設立の動きを見せております。参加するのは、大阪、京都、滋賀、兵庫、和歌山、鳥取、徳島で、広域防災、広域観光、文化振興、広域産業振興などの分野の共同化、効率化の研究を行うとのことであります。
 本県においては、北海道・北東北知事サミットがありますが、地域主権を見据えた観点での県の広域連合や研究会の立ち上げを東北各県に働きかける必要があると思いますが、知事の見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 東北各県との広域連合等についてということでありますけれども、東北各県との連携につきましては、現在、北東北3県において北海道・北東北知事サミットを開催しております。そして、東北全体では北海道東北地方知事会議、また、北海道と東北各県の知事に経済界のトップを加え構成される北海道・東北未来戦略会議、そうした場において広域的課題の解決に取り組んでおります。
 また、個別のテーマについて、とうほく自動車産業集積連携会議でありますとか、東北観光推進機構といったものが設置されております。また、防災、地域医療支援、国際物流、そうした地域横断的な共通テーマについて、官民によるプロジェクトチームが設置されて、東北地域での発展を目指した取り組みが進められております。
 グローバル化や人口減少、少子高齢化が進む中、地域が持続的に発展していくためには、共通の目標のもとに、戦略的に県同士が連携して、県の枠を超えた広域的課題への取り組みを行うことは意義があるものと考えております。
 連携を進めるに当たっては、国の地域主権改革の動向等も踏まえながら、まずは、地域資源の相互活用やスケールメリットを生かすために、北海道・北東北3県や東北全体などで県レベルでの連携実績を着実に積み重ねて、その中から広域連合等の必要性についての合意が形成されていくというのが望ましいものと考えております。
〇17番(五日市王君) 今後、地域主権が進めば、おのずと地方の首長あるいは議会の果たすべき責任は非常に大きくなると考えます。これまでの国への依存体質を改め、岩手のことは岩手で考え行動し、その結果に対しても岩手県が責任を持たなければなりません。
 この意味においては、県庁職員の意識改革とレベルアップは今から積極的に取り組むべき重要な課題であると思います。さらに、県と県内市町村職員と連携したスキルアップ作戦は必要不可欠であると思いますが、今後の地域主権を見据えた職員の研修体制をどのように行うのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 地域を取り巻く課題に的確に対応するためには、グローバル化の中にあっても、岩手らしさを見失わずに世界に通用する地域の独自性を発揮し続けることが大事であります。
 このためには、住民に身近な地方自治体が地域の実情に合わせたサービスを提供していくことが肝要であり、それを担う県職員や市町村職員の資質の一層の向上を図っていくことは極めて重要であります。
 特に、県民を初め、社会を構成する団体等と一緒に希望郷いわてをはぐくんでいくためには、組織や人などを結びつけ、地域のさまざまな課題を行政のみならず地域の持つ総合力で解決していく仕組みづくり、いわばつながりをはぐくむ能力、これが職員に求められていると考えます。
 このような観点から、県としましては、職員研修体系の見直しを行って、来年度からはさまざまな主体と協働し、合意を形成する能力を育成する研修などを充実させることとしています。
 また、議員御提言のとおり、市町村との連携が重要であります。これまでもさまざまな業務分野での研修の実施や振興局での連携等を行ってきておりますが、県の改革改善発表会にも市町村から参加をいただいているところであり、今後、なお一層県と市町村が連携した職員のスキルアップの方途を検討していきたいと思います。
〇17番(五日市王君) 次に、4月から実施される4広域振興局体制のあり方について1点お伺いいたします。
 国の形のあり方につきましては、先ほど来大まかな方向が見えてまいりました。そこで、岩手県のあり方についてお伺いいたします。
 4月から4広域振興局には県庁から権限や財源が大幅に委譲され、まさに地域のことは地域でという地域主権の岩手県版が行われます。広域振興局には新年度から地域振興推進費が増額されることや、振興局長の庁議への参加など機能強化がなされるわけですが、将来的な姿として、今後は県庁をスリムにし、広域振興局を大きくしていくのか、それとも広域振興局を出先機関ととらえ縮小の方向に向かうのか、その姿を示す必要があると思います。
 私個人は、振興局の役割は各市町村や市町村で構成する広域連合などで十分対応できると考えることから、将来的には縮小、廃止に向かうべきと考えておりますが、見解をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 分権型社会においては、住民の生活に密着したサービスは住民に身近な市町村が総合的に提供する役割を担うべきであり、こうした流れのもとでは、市町村の役割が拡大する一方で県の役割が相対的に縮小していくという傾向があると考えます。
 国においては、政権交代という歴史的な変革がなされて、さまざまな改革がスピード感を持って行われつつあります。私もあらゆる機会を通じて意見、提言を行うなど、真の地域主権確立に向け、取り組んでおります。こうした地域主権改革の進展とともに国と地方の関係が抜本的に見直されるなど、新しい国の形があらわれてくるものと考えます。
 県としましては、そうした流れの中で、市町村の一層の自立を支援するためにも、まず4広域振興局体制でその総合力と機動力を生かして、県と市町村が連携しながら地域経営に取り組んで、希望あふれる未来を切り開いていくことが現在の責務であると考えております。
〇17番(五日市王君) 今の振興局のお話なんですが、いずれ広域振興局を出先機関としてとらえるのか、それとも、いわゆる地域主権の中心として、県庁がスリムになって広域振興局を中心にこれからやっていくんだという、そのところが実は今よくまだ見えていないところでございまして、結局議論する側としても、やっぱり将来縮小に向かうのであればそういった形の方向性で議論していきますし、もし四つの体制は残して機能していくんだということになれば、そういった体制でやるようないろいろな提言もできるのかなというふうに考えておりますので、その辺は今後いろいろと市町村とも連携していく中でお示しいただければいいのかなというふうに思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、財政再建についてお伺いいたします。
 国の借金は昨年12月末現在で過去最大の871兆5、104億円となり、国民1人当たりでは約684万円となりました。今後も増加が進む見通しで、今年度末には900兆円、2010年度末には973兆円に達するとも言われており、財政悪化への国民の不安は増すばかりであります。
 この借金依存体質に関しましては、楽観論、悲観論ともさまざまな議論がさまざまな場で語られておりますので割愛いたしまして、県の借金に対する認識についてお伺いいたします。
 県の一般会計の借金残高は2010年度末で1兆4、726億6、726万円となる見込みで、これは県民1人当たり約106万円となります。これに先ほどの国の借金を合わせますと790万円となり、さらに市町村の借金が平均100万円前後あると思われますので、トータルすると、県民1人当たり900万円前後になる計算であります。
 ちなみに、私は4人家族でございますので3、600万円の借金を抱えていることになります。これは、いかに国民の金融資産が1、400兆円、国民1人当たりで約1、100万円あるとはいえ、4人家族の我が家には4、400万円もの資産があるはずもなく、将来に対する不安と世代間における認識の差が余りにも大きいと感じざるを得ない状況であります。
 こういった状況の中、全国に雨後のタケノコのごとく誕生しているいわゆる若手市長さんたちは、将来世代への莫大なツケ回しに強い危機感を持ち、借金体質からの脱却を掲げ、選挙を勝ち上がってきております。
 昨年1月に、33歳で全国最年少として誕生した三重県松阪市の山中市長は、市債残高をリアルタイムで表示する借金時計を市役所前に設置し、市民に借金削減への理解を求めているといいます。また、横須賀市の吉田市長も、昨年6月の選挙におけるマニフェストに借金時計の表示を掲げ、こちらも33歳で当選をいたしました。そのほかにも、30代、40代で当選を果たした若手首長さんたちのほとんどが借金の額を公表し、市民との共通認識を深め、借金体質からの脱却と財政再建を政策の大きな旗印として戦い、勝ち上がってきております。このことは、これまで、ともすれば借金行政に対し不安を感じながらも、正確な情報を得ることに疎かった住民の意識を大きく変えることに一石を投じてくれたものと思います。
 そこで、県においても、県民に対し県債の詳細に関しきちんと説明責任を果たし、返済計画を含め積極的に情報提供をするべきと思いますが、総務部長に見解をお伺いいたします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 財政再権についてでございます。
 御指摘のとおり、県民の皆様に御理解をいただくということは非常に重要なことと考えてございます。1兆4、000億円台まで増加した県債残高、それから、今後償還が高い水準で続くということが本県の財政運営上の大きな課題でございます。
 昨年9月に公表いたしました本県の今後の収支見込みにおきましても、県債発行額や残高の見込みをお示しするとともに、今後の返済のための公債費が高い水準で続くことを御説明したところでございます。
 また、この公債費の高どまり、また、社会保障関係費の増により何ら制度的手当てが講じられず、また、特段の財源対策を行わない場合には、数百億円規模の収支ギャップが生じることもあわせてお示ししたところでございまして、この解消が喫緊の課題となってございます。
 今後、限られた財源の中で、真に必要な事業やサービスを選択していくことや、県民の皆様にも、パートナーとしてともに地域を支えていただくことについて御理解と御協力をいただけるよう、県債も含めました厳しい県財政の状況につきまして、引き続き積極的な情報提供と情報共有に努めてまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) いずれにいたしましても、若い世代というのは詳しい中身もよくわからないかもしれませんが、それは莫大な額に、かなりそういうのは少しずつわかってきて心配をしているところもあると思います。
 県の1兆4、700億円、これは市のときはそうだったんですが、元金ですよね。利子というのは含まれていないんだと思うんです。─入っていますか。入っていないんだと思うんですね。ですから、利子を含めるともっと莫大なお金になると思うんです。だからそういったこともきちんと情報提供をしながら、いろいろ住民の理解を得ながら行政運営をしていくということが信頼関係につながっていくのかと思いますので、ぜひともその辺も積極的にやっていただきたいなと思いますが、何かあれば。
〇総務部長(菅野洋樹君) おっしゃるとおり、これからの岩手を支えていただく方々に県の財政状況を御理解いただき、しかもその中でどのように岩手をともにつくっていっていただけるかということを、よくよく御相談しながら進めるということは非常に重要な課題でございますので、今後とも、御指摘を踏まえいろいろ努力してまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 次に、地域職業訓練センター等の廃止についてお伺いをいたします。
 この件につきましては、先週からいろいろ議論が行われておりまして、何とか存続をしながらこれまでどおりの運営をしていかなければいけないというふうに考えているところでございますので、質問だけいたします。
 地域職業訓練センター及び北上市の情報処理技能者養成施設、これらの施設を活用した事業について、県はこれまで予算面でどのようなかかわりを持ってきたのか、また、そのことについて県は今後どのような対応をするのかということをお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 地域職業訓練センター等の施設は、国が雇用・能力開発機構を通じまして施設を設置しまして、その運営を地域の職業訓練法人に委託しており、主として、在職者に対する認定職業訓練や離職者等を対象としました職業訓練が行われております。このうち、認定職業訓練は職業訓練法人等が行う訓練であり、その運営費及び訓練に係る設備費につきましては、国、県、職業訓練法人が3分の1ずつ負担しております。また、離職者等を対象としました訓練は、国から委託を受けて県が実施しており、委託訓練に係る経費につきましては、県を通じて全額国の財源により賄われております。
 なお、認定訓練を初めこれらの訓練制度は今後も継続されますことから、地域職業訓練センター等が廃止された場合、訓練を実施する施設の確保が大きな課題になると考えております。現在、関係自治体からは、代替の施設を確保することは難しいと聞いておりますので、当該施設の継続的な利用が可能となりますよう、引き続き、そのあり方も含め、関係市と十分意見交換をしながら適切に対応してまいりたいと思っております。
〇17番(五日市王君) 今後は民主党のほうからも譲渡についてのいろいろな話し合いを行うというようなお話で聞いているわけでございますけれども、地元の市町村あるいはセンターの方々の心配というのは、建物の譲渡がどうなるのか。極端に言えば、ただなのか、買い取らなければいけないのかということとあわせまして、これまでの事業というのが廃止になったり縮小になったりするのではないかとか、県は、国から一気に市町村ですべてやってくださいと言われるんじゃないかとか、そういったあたりに心配があるんだと思います。ですから、県がこれまでかかわってきた部分は、事業も含めてきちんと県でやっていただけるというようなことがあれば非常に安心といいますか、まずは安心するのかなというふうに思いますので、ぜひその辺はきちんと市町村とも情報交換をしていただきながら、いずれなくすることのないように頑張っていただきたいというふうに思います。
 次に、観光振興についてお伺いをいたします。
 県では、みちのく岩手観光立県基本条例に基づき、現在、平成25年度までとなる基本計画を策定中であります。この観光振興の必要性や成長産業としての期待感は論を待たないところでありますので、以下、具体的な質問をいたします。
 先般、私の所属いたします産業・雇用対策特別委員会では、神戸市にある神戸国際観光コンベンション協会にお邪魔をし、コンベンション誘致について研修を行いました。
 この神戸市におけるコンベンションの誘致の効果につきましては、2007年度の生産誘発額が1、447億円となっており、これは市内産出額の1.4%、観光全体の経済効果約5、000億円の30%に相当するとのことでありました。国内では、国際会議だけで年間2、000件近く開催されており、コンベンション誘致への期待は膨らむばかりであります。
 みちのく岩手観光立県基本計画案においてもコンベンション誘致の促進を掲げていることから、今後の取り組み強化策についてお示しを願います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) コンベンション誘致につきましては、本県では、財団法人盛岡観光コンベンション協会が中心となりまして取り組んできているところであります。東北新幹線等の高速交通網、アイーナなどの大型コンベンション施設、こういったものを多く有するという優位性がありますことから、平成20年度には124件、参加者延べ10万4、000人のコンベンションが開催されております。
 当協会によりますと、平成19年度に開催されました119件、延べ10万3、000人のコンベンションの経済効果を年間約52億円と推計しているところであります。
 コンベンション開催に伴います数多くの参加者の来訪は、宿泊施設はもとより、飲食店、交通機関等、多方面にわたります経済的な波及効果が期待できますことから、本県の観光振興を図る上で重要な分野であると考えております。
 県におきましては、同協会を初め観光関係事業者、経済団体などと連携を図りながら、みちのく岩手観光立県基本計画を推進していく中で、いわて観光立県推進会議におきまして、全国の学会等に対する誘致活動の方策、地元旅行業者と連携したオプショナルツアーの実施、国際会議の受け入れ態勢整備などにつきまして議論を深めながら、国内外からのコンベンションの誘致に取り組んでまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 神戸でもちょっとお話をお聞きしてきたんですけれども、神戸で開催する人たちは、なぜ神戸を選ぶのかというお話だったんですが、先ほど言った宿泊だとか飲食とかさまざまな要素はもちろんなんですが、選ぶポイントは、団体の偉い方に知り合いがいると。いわゆる、人と人とのつながりが一番なんですよというようなお話もしておりましたので、県人会とかいろんな集まりがあると思いますから、そういったのを利用していただいて、ぜひともそういう誘致にも積極的に取り組んでいただければと思います。
 次に、新年度に漫画雑誌発行について予算計上がしてありますが、私は正直申し上げまして、漫画には余り興味のない人間ではございますが、こういった日本の文化であるポップカルチャーを地域振興に生かそうとする動きが全国に広がっております。県レベルでは富山、高知、福岡など、市町村レベルでは石巻市や兵庫県宝塚市、鳥取県境港市などで、漫画やアニメキャラクターなどを使っての地域おこしを行っており、観光客の増加につながっているようであります。
 また、県内には遠野物語に代表されるように、心霊や妖怪などのスピリチュアルスポットや、幸運や良縁をもたらすと言われるパワースポットも数多く存在し、これらの場所も観光の目玉に変身する大きな可能性を秘めていると考えます。県でも、これらの発掘を始めるなど、積極的に取り組んでいるとお聞きいたしますが、これらを今後の観光振興にどのように生かされるのか、お示しを願います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) スピリチュアルな観光振興についてでございます。
 本県には、世界遺産を目指す平泉の文化遺産、御所野遺跡、早池峰神楽、中野七頭舞、鹿踊りなど1、000を超えます伝統芸能、県内各地で行われます祭り、座敷わらしや鬼を初め昔話、伝説の形で本県の精神文化を伝える有形無形の資源など、歴史や伝統の魅力が豊富に存在しております。これらの観光資源のスピリチュアルな側面につきましても、誘客につながる新しい切り口として民間との役割分担も考慮しながら広くPRを図り、観光客の誘客増につなげてまいりたいと考えております。
 現在、県外向け情報発信事業の一つとして、作家荒俣宏氏、高橋克彦氏に依頼し、岩手のスピリチュアルなスポット発掘に係る対談記事を月刊誌ジェイ・ノベルに連載いただいておりまして、スピリチュアルな観光資源に関心を持つ方々が熱心なファンとしてリピーターになることも期待しながら、その反響、地元の盛り上がりを注視してまいりたいと考えております。
 また、いわゆるパワースポットの背景には豊かな森、清らかな水、そういった恵まれた自然がありまして、そのような場にあります気というようなものも、風水思想を大切にする東アジアの方々にとりましては魅力があるというふうに聞いております。
 今後は、そのような視点も含めまして、本県の魅力をアピールしてまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 部長、ありがとうございます。部長は、こういう言い方はちょっと失礼かもしれませんが、そのままでもスピリチュアルスポットのキャラクターになれそうな雰囲気を醸し出していらっしゃるような気がするんですが、いずれ、たしか日経グローカルでも、2月1日号でこの特集をやっておりまして、あと神社仏閣も初め、いろいろな言い伝えに対して観光客が今ふえているというようなこともありますので、大きなということはちょっと無理かもわかりませんが、ポイントポイントで集客力があると思いますので、ぜひとも推進をしていただきたいと思います。
 次に、企業立地についてお伺いをさせていただきます。
 県では、新年度から企業立地促進奨励事業費補助制度の要件を緩和し、県内に工場等を新設する企業に対する補助を拡大するとの方針を示しました。もとより、県北・沿岸地域には他地域より優遇措置がとられておりましたが、さらなる要件緩和は、企業誘致、雇用拡大への意気込みをあらわすものであり、高く評価するところであります。まずは、この内容についてお示しを願います。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 企業立地促進奨励事業費補助制度についてでございます。
 平成22年度におきましては、現下の厳しい経済情勢を考慮いたしまして、より多くの雇用の場の創出に結びつくように補助要件の緩和をすることとしました。固定資産投資額の下限額を1億円から5、000万円、新規常用雇用者の下限人数を10人から5人に引き下げることとしております。特にも、県北・沿岸地域におきましては、この制度拡充によりまして、25人以上の雇用を伴います工場等の新設、増設につきまして、補助率を従来の10分の2から10分の3に引き上げることとしております。
〇17番(五日市王君) 今のを受けまして、先般、二戸市におきまして、地元企業が事業拡大のため、二戸地区拠点工業団地に入居するための調印式が行われました。この企業は、県の補助要件には合致しないため結果的に県からの補助は受けられず、二戸市独自の補助を受けました。新規雇用を生み出し、事業を拡大しながら新規増設をするという意味においては地元企業も県外企業も同じであり、こういった地元企業の育成は、企業誘致と同時並行的に進めていかなければならないと考えます。特にも、企業誘致が難しい現下の経済状況においては、小さいながらも頑張っている地元企業へは、県、市を挙げてバックアップを行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 地元企業へのバックアップにつきましてでございますけれども、先ほどお話ししました補助制度のほかに、平成18年に特定区域におけます産業の活性化に関する条例というものを制定しまして、市町村の申請に基づいて、工業集積を図っていく地域を特定区域に指定し制度を創設しました。特定区域は、岩手県版経済特区と言えるような制度でございまして、所要の投資、雇用を伴う工場等の新設、増設について、地場企業、誘致企業を問わず、不動産取得税、事業税等の減免、企業立地促進資金の貸付額の拡大などの支援措置を設けております。
 地域に根差した意欲あふれる企業に対しまして、効果的に支援していくことが経済の活性化にとって重要というふうに考えております。市町村等と連携しながら、今後とも、こうした制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) そういった制度が岩手県はかなり進んでいるといいますか、ほかにないような優遇措置を設けていただいて行われているということは高く私も評価をしているところではございます。
 それで、例えば二戸市でも、地場に企業がございます。二戸は平らな土地が余りないもので、これから老朽化、その他、どこかに移転をしたいというような大きな企業も出てくる可能性もあるわけです。あとは、小さいながらも頑張って、雇用規模が3人、4人かもしれませんが、市内では土地が見つけられなくて工業団地に行きたいなという人たちも出てくるかもしれません。これは二戸だけに限らず、そういったところがこれから出てくると思うんですね。それは企業誘致は企業誘致で進めつつも、その辺の受け入れ態勢というのはきちんと何か新しいルールみたいなのを定めて本当はやっていただければいいのかなとも思うんですけれども、いかがでしょうか。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 先ほどお話ししました特区の条例につきましては、これは雇用人数とか一定の要件がございました。そういった意味では、議員がお話ししました例ではちょっと適用にならなかったわけでございますけれども、そのほか新分野に進出するとかあるいは創業するとか、さまざまな補助制度なり融資制度を準備してございます。県としましては、地元の市、町と一緒になりまして、その辺親身になりまして相談に乗りながら、可能な限りの支援をしていきたいと思っております。
〇17番(五日市王君) 次に、教育行政についてお伺いをいたします。
 最初に、国の政策である高校実質無償化について教育長にお伺いをいたします。
 政府は、高校実質無償化について4月からの実施を目指し、今国会に法案を提出しているところであります。この法案が成立すればことし4月から実施されることになり、実際の準備期間は今月1カ月しかございません。
 高校実質無償化は国の政策として実施されるものではありますが、その恩恵は当然ながら県内の高校生も受けることになります。生徒や保護者のことを考えれば、一刻も早く実施すべき事柄ですし、国においては、急ピッチで制度の詳細設計を進めているものと思いますが、岩手県においても、本年4月から実際に公立高校を無償化し、また、私立高校の生徒に対して就学支援金を支給することが必要となります。この2月26日には、授業料条例改正案が追加提案されたところでありますが、高校実質無償化は、県立高校生はもちろんのこと、就学支援金が支給される私立高校生も大きな恩恵を受けるものであり、岩手県内約4万2、000の高校生やその保護者にとって大きな関心事であります。
 4月から実施されるものでもあり、混乱なくスムーズに実施をしていくためには、県としても、現段階でわかっている制度の概要について、特に大多数を占める県立高校の生徒や県民に積極的に広く周知していく必要があると考えますが、教育長のお考えをお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 県立の高等学校の授業料の実質無償化の周知についてでありますけれども、国においては、先ごろ衆議院での当該法案の審議が開始されたところであり、そうした状況も踏まえて、先日、県立学校授業料等条例の一部を改正する条例案を本議会に追加提案したところであります。文部科学省においても、制度の詳細等について周知、広報するパンフレットを作成する予定であると聞いておりますが、県としても、今後の国会や県議会での審議の動向を踏まえつつ、できるだけ早い時期に学校を通じて生徒に、また、そのほかにも報道機関への情報提供を行うなどの方法により、制度の周知に万全を期してまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 次に、知事にお伺いをいたします。
 今回の高校実質無償化により、私立高校生に対しても公立高校の授業料年額に相当する約12万円の就学支援金が支給されることになっております。さらに、低所得世帯の生徒に対しては、年収250万円未満の世帯は2倍の約24万円、年収250万円から350万円未満の世帯は1.5倍の約18万円が支給されることになっており、私立高校生に対してより手厚く措置されることになっています。しかし、私立高校の平均授業料が全国で約35万円、岩手県においては平均約20万4、000円であることを考えれば、岩手県としても、私学に対する授業料減免補助事業などをこれに上乗せして実施することが必要と考えます。
 これまで、全国の各都道府県が私立高校向けの授業料減免事業として約290億円を実施してきたと聞いておりますが、新制度の導入により、各都道府県の支援のかなりの部分については国の就学支援金で対応することができるようになります。岩手県においても、私立高校生のさらなる負担軽減を図るため、これまで実施してきた私学に対する授業料減免事業の財源を活用し上乗せ支援を行うべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 県では、これまで、経済的理由によって修学が困難な私立高等学校等の生徒の授業料負担の軽減を図るために、生活保護世帯、市町村民税非課税世帯などを対象に、年間11万8、800円の授業料減免補助事業を実施してまいりました。国が実施することとしている就学支援金は、私立高等学校等に通うすべての生徒に対して年額11万8、800円を、さらに低所得世帯に対しては増額して助成するというものでありまして、この就学支援金制度の実施によって、これまで県が補助対象としてきた世帯が、県の授業料減免補助金額と同額またはそれ以上の助成を受けることになります。
 県においては、授業料減免補助事業を実施するに当たって、国の就学支援金のスキームによることが適当であると考えておりますが、この国の制度の対象外となった私立高等学校専攻科に通う低所得世帯の生徒や、離職等により家計急変となった世帯に対してはこれに一定額の支援を行いますほか、就学支援金の助成を受けてもなお授業料の負担が生じることから、低所得世帯に対して、就学支援金に上乗せして支援を行うということにしたところであります。
〇17番(五日市王君) これは総務部長にお伺いしますけれども、そうしますと、私立の高校生は大体県内に8、000人弱ぐらいいると聞いておりますけれども、この人たちで実質無償化になる人というのはどのぐらいいるのか。
 それと、これまでは県が減免分を措置してきたわけですが、今度国からお金が来ることによってその分が浮く形になりますよね。そういった部分の県の財政への影響というのはどのぐらいあるものなのか、お伺いをいたします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 本県の私立高等学校等に在籍しております生徒数は約7、300名余でございます。現在、私どもが考えている制度設計によりまして、低所得世帯等を中心として無償化となる生徒数は、大体その約1割程度ではないかと想定してございます。
 それから、予算額のお話がございました。既存の制度で平成21年度の2月現計で申し上げますと、約1億円余このための予算措置をしてございますが、議員お話しのとおり、このかなりの部分が国の制度に包括されることとなりますので、先ほど知事が申し上げましたいわゆる上乗せ分として、平成22年度当初予算では約1、500万円程度を措置してございます。
 高校生を中心としました若い世代への支援につきましては、例えば今年度当初予算におきましては、新たに中・高生の全国体育大会等への支援等を盛り込んだところでございまして、本県の将来を担う若い世代への支援については、今後ともその充実に努めてまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 財政から言えば、1億円から1、500万円を引いて8、500万円ぐらいが浮くというか、そういう意味だと思うんですが、この部分を将来的には少しでも国の趣旨にのっとりまして、広く無償化になる制度をふやしていただきたいなという思いもありますし、この部分は教育以外に使うのではなくて、ぜひとも教育予算として、先ほど言ったような設備のほうだとか、そういったほうに振り向けていただきたいなというふうに、これは答弁は結構ですので、そういうふうに使っていただければいいのかなと御要望を申し上げる次第でございます。
 次に、国の重要文化財改修への支援についてお伺いいたします。
 二戸市浄法寺町にある天台寺の本堂及び仁王堂はともに1990年に国の重要文化財に指定されておりますが、老朽化で傷みがひどく、改修の時期を迎えております。この改修が実現すれば、1690年以来実に320年ぶりの改修となり、地元はもとより、県内でも有数の集客力を誇る瀬戸内寂聴さんの青空説法もさらに集客を伸ばせるものと思います。
 問題は資金であります。この改修には約4億円かかるとの試算がございます。国の重要文化財の場合、国から最大で85%の補助を受けられますが、これをいただいても6、000万円の費用を檀家さんなどで工面しなければなりません。こういった現状は天台寺だけに限らず、これからも多くの重要文化財が直面する課題であると認識いたしております。国の重要文化財改修に対する県のこれまでの対応と今後の支援策についてお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 国の重要文化財に対する県のこれまでの対応についてでありますけれども、県では、県内の重要な建造物について、その価値を積極的に国に伝えながら重要文化財としての国指定を推進してきたところでありますが、その中で、重要文化財の建造物の改修については、これまで正法寺本堂や中尊寺経蔵などに対して国庫補助金を導入し、県としてもかさ上げ補助金を実施してきました。
 しかしながら、県の厳しい財政状況の中で、県単のかさ上げ補助金については見直しが行われておりまして、平成16年度以降、文化財関係の国庫補助事業に対するかさ上げ補助金については、世界遺産関連や災害復旧などの事業に限定されているところでございます。
 今後の支援策でございますが、県においては厳しい財政状況が続いており、なかなかかさ上げ補助金を行うということは難しいと考えておりますが、ただいま五日市王議員からもお話がありました、この補助金、国としては原則は補助金2分の1です。ですから85%来るというのはなかなか難しいんですけれども、原則補助率2分の1とされているこの国庫補助金の導入に当たっては、地元市町村と十分連携を図りながら、文化庁と協議して、できるだけ高い補助率の導入に努めていきたい。さらには、専門家による現地での技術指導について積極的に推進したいというふうに考えております。
〇17番(五日市王君) 平成16年度以降は世界遺産関係であるとか災害の関係に限定しているというお話ですね、かさ上げ部分に関しては。私も、済みません、原則2分の1というのはちょっと知らなかったもので、2分の1となりますと、ますます地元負担がふえるということにもなりますよね。
 そこで、端的に申しますと、そのかさ上げ補助を復活するべきではないかという要望になるわけですけれども、その辺の見解については教育長はいかにお考えでしょうか。
〇教育長(法貴敬君) 財政制度の問題ですので制度を直せばいいんじゃないかという話になるかと思いますけれども、この県単のかさ上げ補助金の見直しの際には、例えば市町村補助金とか地域振興費などに振りかわっているものもありますので、どちらかというと県の財政制度全体で市町村への援助みたいな形になっている財源に振りかわっている経緯もあります。ですから、単純にかさ上げ補助金を復活するということはなかなか難しいと思いますけれども、先ほど申しましたとおり、正法寺などは国が80%、県が10%みたいな形、それから中尊寺は国がまだ50%、県が25%、こういうふうに国も2分の1以上はなかなか出してこないということもありますので、先ほど申し上げたように、できるだけ高い、上限85%になっていますけれども、そういうものはぜひ導入したいというふうに考えております。
〇17番(五日市王君) ちなみに、そのかさ上げが変わった平成16年度以降に、こういった例えば国の重要文化財で改修の時期を迎えているとか、そういう要望があるところというのはどのぐらいあるかというのを把握していたら教えていただきたいんですが。
〇教育長(法貴敬君) さまざまなところで県は何の支援もしないのかみたいな形で要望が出てきていて、その数についてはちょっと手元に持ってきていませんが、要望が強いことは確かでございますが、全体として県の財政制度の中でそういう対応になっているということだけは理解してもらうように努力していただいております。
〇17番(五日市王君) いずれあちこちから要望が出ているお話だと思います。逆に改修をしようと思うほうからすれば、やはり当然莫大な額になると思うんですね、どこのものも。そうなると、県の補助が受けられないのであれば断念というような、受けられないのであればやれませんというふうなことになると思うんです。ですから、それだけ強い要望があるのであれば、平成16年からですから5年、6年たっていますよね、これもニーズととらえれば、復活をしていただくように前向きに検討していただけないものでしょうか。もう一度お伺いします。
〇教育長(法貴敬君) 地元負担というか、当該文化財の所有者、先ほど正法寺なども県が10%かさ上げしたんですけれども、実額としては所有者が1億円くらいやっぱり負担しているんですね。そういう中で、所有者の全体の財政状況の中でどういう援助の仕方が一番いいかということについては、本当に負担できないのかできるのかということも含めてさまざまな検討をしていきたいと考えています。
〇17番(五日市王君) 次に、県内3カ所にある青少年の家についてお伺いいたします。
 昭和52年に陸中海岸青少年の家が開所して以降、昭和56年には県南青少年の家、昭和58年には県北青少年の家が相次いで開所いたしました。いずれの施設もその役割を十分に果たし、青少年の健全育成に寄与してきたものと認識いたしております。また、利用率を見ましても、少子化の人口減少社会にあって、ここ10年間はほぼ横ばいで推移し、近年は増加の傾向も見受けられるなど、関係者の御努力に敬意を表する次第でございます。
 さて、これらの施設は、平成8年度より財団法人岩手県スポーツ振興事業団に管理委託をし、平成18年度からは指定管理者として同事業団が運営を行っております。平成21年度からも引き続き事業団が指定管理者となり、平成23年度まで運営を行う予定でございます。
 これら3施設は、開所から陸中が32年、県南が28年、県北が26年を経過し、設置当初の目的を果たしつつも、新しい時代のニーズにも柔軟かつ迅速に対応していかなければならないと感じております。今後の施設のあり方や運営方法についてどのような展望をお持ちなのかお伺いいたします。
〇教育長(法貴敬君) 青少年の家の施設のあり方についてでありますが、県内三つの青少年の家は、小・中学校による集団宿泊研修、あるいは子供会などの青少年団体による体験学習に利用されるほか、それぞれの施設の特色を生かして、青少年や不登校児童対象のプログラムを提供してきております。
 また、近年は、老朽化した施設の改修をしつつ、利用者ニーズを踏まえ、高齢者や親子を対象としたプログラムを提供するなど、施設の有効活用を図ってきております。
 今後とも、利用者のニーズを踏まえつつ、青少年の健全育成とともに、生涯学習の拠点としての機能を高めてまいりたいというふうに考えています。
 また、施設の運営の展望についてでありますけれども、平成18年度より指定管理者制度の導入により、利用時間の延長あるいは臨時の開館日を設けるなど利用者の利便性が向上しておりますほか、現在の指定管理者である財団法人スポーツ振興事業団のノウハウを生かしたニュースポーツや施設開放などの利用促進事業により、新たな施設利用者の掘り起しが図られているところであります。
 今後とも、民間の活力を利用しながら、利用者ニーズを反映した施設運営を行ってまいりたいというふうに考えています。
〇17番(五日市王君) 私がお聞きしたかったのは、もうそろそろそれぞれ30年近く経過するわけですね、建ててから。例えば県として、いろいろな観点、財政の観点だとか、あと、県財産の売り渡しとか、そういったことが県として、いわゆる県から手放すというようなことまで長期的な展望の中で考えているのかどうかということをお聞きします。
〇教育長(法貴敬君) 今、御答弁申し上げたとおり、青少年の健全育成あるいは生涯学習というのは今度の県民計画の中でも重要な位置づけがされていますので、何十年も先ということになるとちょっと私もわからないんですけれども、当面、岩手県のそういう社会教育の拠点としての位置づけとして運営をしていくということに変わりないというふうに考えています。
〇17番(五日市王君) 次に行きます。
 運転免許証の再発行について警察本部長にお伺いいたします。
 昨年10月の実家の火災に際しましては、警察の皆様には大変お世話になりましたことを改めて御礼申し上げます。
 この火災において家族が罹災者となり、このことは私自身初めての経験でございました。この経験をもとに、一つだけぜひ改善していただきたい課題がございます。
 それは、運転免許証の再発行についてであります。火災や災害において免許証を消失あるいは紛失した場合の再発行について、二戸であれば盛岡または久慈の免許センターに出向けば即日発行、地元の二戸警察署では2週間くらいかかるとのことでありました。被災者にとっては、現場の後片づけやさまざまな行政手続、銀行などへの対応など、とにもかくにも免許証が必要であります。こういった被災などの緊急事態には、1日がかりで盛岡や久慈まで出向かなくても、地元警察署で速やかに再発行していただくことが住民サービスの向上につながると思いますが、見解をお伺いいたします。
〇警察本部長(保住正保君) 御答弁申し上げます。
 運転免許証の再交付についてでありますが、本県では、昭和57年の運転免許試験場を皮切りに、逐次、県南、沿岸、県北、盛岡の各センターを整備しまして、限られた予算と人員の中で、関連機器や通信施設等の整備、免許証の作成や各種講習等のための要員を確保しつつ運転免許証の即日交付を行うこととさせていただいているところであります。
 いろいろな事情で免許証の再交付、再発行の申請をされる方々がおられるわけでございますけれども、昨年1年間の運転免許証を再交付された方の98.2%の方々におかれましては、恐縮ですけれどもこれらの運転免許試験場及び各運転免許センターに御足労いただきまして、そこで手続をしていただきまして即日交付をさせていただいているということでございます。
 また、再交付の申請につきましては、こういった運転免許センター等から遠隔地に所在いたします二戸警察署ほか県内九つの警察署でも受け付けはしておるところであります。しかしながら、これらの警察署におきましては、即日交付するための設備でありますとか人員などを配置できる余裕がないというのが現状でございまして、こういった所要の設備でありますとか人員を擁しております近隣の運転免許センター等との間で一たん受理いたしました申請書類等を郵送でやりとりすることとし、受理から交付までに一定の期間を要しているものでありまして、申請された方に対して、あらかじめ交付日を指定して後日警察署で交付させていただくということをさせていただいているものであります。
 しかしながら、いずれにしましても、こういった九つの警察署で受理する免許証の再交付事務につきましても今後ともサービスの充実には努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
〇17番(五日市王君) 先ほど数字で98.2%の方がセンターに行かれるということなんですが、やはり即日だからそっちに行くという人もかなり多いと思うんですね。ですから、機械の関係とかで各警察署では無理だということは理解できるんですが、やっぱりせめて期間を短縮するような努力をしていただくとか、その辺というのは手間でできるお話だと思うんですが、そういったことはいかがでしょうか。
〇警察本部長(保住正保君) 先ほど九つの警察署で受理している再交付の申請について概要を御説明申し上げました。需要として実際どのぐらいやっているかということについてまず御説明申し上げたいんですけれども、昨年1年間で見ますと、九つの警察署で手続をされたのは100件であります。そうしますと、九つですから、大体一つの警察署にすると毎月1件だけというのがまず実態でございます。
 ただ、さはさりながら、やはり平均2週間かかっているというのも実態でございますので、これはどうしても何日かかるかというのはちょっと事前に読めないというような事情があって、ある程度安全サイドを見て2週間というふうにはさせていただいておるんですが、実際に迅速に処理できるような場合もございますので、そういった場合には個々に申請者の方に御連絡をとらせていただきまして、準備ができましたということで、あらかじめ指定した期日よりも早まった場合には別途連絡をとらせていただいて、受け取りに来ていただいて本人確認その他をさせていただく、このようにさせていただく所存でございます。
〇17番(五日市王君) ぜひ少しでもサービスが向上するようにお願いいたします。
 最後の質問に行きます。
 分煙社会の推進についてお伺いいたします。
 厚生労働省は2月25日、公共施設や飲食店、ホテルなど不特定多数の人が利用する公共的空間を原則全面禁煙とするよう求める通知を都道府県や自治体に出しました。この通知では全面禁煙は努力義務ではありますが、今後は職場の原則全面禁煙に向けた法整備も検討されていることから、たばこ愛好家はますます世間から煙たがられる存在となってきております。
 このことは、たばこ愛好家のみならず、葉たばこ販売額3年連続全国第1位を誇る二戸市にとっても、また、生産者や関係団体等にとりましても、分煙社会の実現を目指し努力している最中のことで、大変ショッキングな事態でございます。特にも生産者にとりましては本年10月からのたばこ税増税とダブルのショックであり、今後の県や自治体、民間企業の対応をかたずをのんで見守っている状況でございます。
 この厚生労働省通知を受けての県の対応はどのようにするのか、保健福祉部長にお伺いいたします。
 また、農林水産部長からは、葉たばこ生産者への影響をどのようにとらえているのかお伺いいたします。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 厚生労働省通知を受けての県の対応についてでありますが、平成15年5月の健康増進法施行後、平成17年2月のたばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の発効、平成19年6月の第2回締結国会議におけるたばこの煙にさらされることからの保護に関するガイドラインの採択など、受動喫煙を取り巻く環境は、分煙から全面禁煙を求める方向に大きく変化してきているところでございます。
 今回の通知は、これを踏まえ、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性を示し、対象施設における対策の推進を求めているものでございます。
 当部といたしましては、本通知の趣旨に沿いまして、市町村及び民間事業者など関係機関、団体への周知を図り、不特定多数の者が利用する施設について、今後、原則として全面禁煙とすることへの理解と協力を求めますとともに、これまで行ってまいりましたたばこの健康への悪影響や禁煙を促す方法等の普及啓発についても、引き続きさまざまな機会をとらえて進めてまいりたいと考えております。
〇農林水産部長(瀬川純君) 現段階で葉たばこ生産者への影響を見通すことは困難ではありますが、本県は全国第3位の葉たばこ生産県でございます。また、葉たばこは県北地方における貴重な換金作物でもありますことから、今回の措置によって生産者に大きな影響が出ることのないよう、日本たばこ産業に対しましても耕作面積等への一定の配慮を働きかけてまいりたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 保健福祉部長からは全面禁煙に向けて働きかけるというようなことでございましたが、総務部長にお伺いします。
 まずは、県庁舎内あるいは振興局、出先機関を管理する総務部長、いかがな対応をなさるのかお伺いいたします。
〇総務部長(菅野洋樹君) 施設の管理者としての役割がございます。現在、県庁及びすべての合同庁舎、出先機関は完全分煙となってございまして、一部の合同庁舎においては建物内全面禁煙としているところもございます。
 今回の厚生労働省の通知におきましては、御紹介ありましたとおり、官公庁においては全面禁煙とすることが望ましいとされたところでございます。今後は、各庁舎において職員衛生委員会が設けられてございますので、その意見などを踏まえまして具体的な対応を検討していきたいと考えております。
〇17番(五日市王君) 県庁内には、昨年、知事の肝いりでI援隊というのが結成されました。実は、私の古巣であります二戸市議会には愛煙会というのがございまして、これはもちろん煙を愛する会でございます。そういった中でも、分煙社会の実現ということで、今いろいろな活動をしながら分煙社会を目指すということで取り組んでいるさなかでもありますので、ぜひともそういった、あとはたばこ産業のこともお考えいただいて結論を出していただけるようにお願い申し上げまして質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後3時27分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 雪 文 君
22  番 嵯 峨 壱 朗 君
23  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
36  番 柳 村 岩 見 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後3時43分 再開
〇議長(佐々木一榮君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。喜多正敏君。
   〔8番喜多正敏君登壇〕(拍手)

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