平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇12番(熊谷泉君) 自由民主クラブの熊谷泉であります。
 今回、4度目の一般質問の機会を与えていただきました先輩、同僚議員の皆様方に感謝を申し上げます。
 27日、南米チリで発生した巨大地震により起きた昨日の津波により被害を受けられました皆様方にお見舞いを申し上げます。また、警戒に当たられました多くの皆様方にも感謝を申し上げます。
 それでは、通告に従い順次質問をしてまいります。
 質問の中に、さきの質問者と重複する箇所があることを御了承くださいますようお願い申し上げます。
 初めに、知事の政治姿勢についてでありますが、今議会にありましても、我が会派から知事の発言、政治姿勢について質問があったところですが、私からも改めて質問をいたします。
 民主党籍を持つ知事は、これまで一貫して、行政の長として、行政の執行の際には不偏不党、公正中立の立場でなければならず、それを貫いていれば、政治活動を含めあとは自由であり、政治家として信念に基づいて行動してまいりたいと発言されております。
 知事は、さきの八幡平市長選挙、一戸町長選挙では民主党系の候補者の応援に駆けつけました。知事の認識は、これが公正中立ということでしょうか。地方分権を進める上では、県と市町村は密接に連携し、お互いを信頼し合い、それぞれが責任ある行政を実行していく必要があります。知事御自身はあくまで問題ないと言うかもしれませんが、地域住民の皆さんにとっては、知事の応援をしない首長となった場合には、県との関係など、さまざまな不安を持つのが自然な感情であります。
 私は、知事というものは、住民の皆さんに無用の心配を抱かせる行動はしてはならないと思うのです。こうした地域の皆さんの心情を察しつつ、県民一人一人の豊かさを目指すのが知事の要件であり、県民とともにつくったいわて県民計画の要諦ではないでしょうか。知事としての立場、政党人としての立場について改めてお考えを伺います。
 また、今後も首長選挙にあっては、民主党候補あるいは民主党系候補の応援に出向くのでしょうか、あわせて伺います。
 次に、いわて県民計画についてでありますが、平成19年4月、達増知事は希望王国マニフェストを掲げ、戦後7人目の岩手県知事に当選されました。そのマニフェストでは、県民所得における本県と東京の格差、県内格差を例示しながら、岩手の危機の原因は、岩手県民のせいではなく、誤った国の政策、すなわち地方切り捨て、格差拡大型の政策が長く続いたものだと明記しております。
 知事就任後、最初に策定したいわて希望創造プランでは、県民所得を平成12年度水準の260万円まで引き上げると強く打ち出されました。ここに知事の強い思いを感じ、また、県民への希望を示すメッセージだったと私は考えておりました。
 政権交代となった今、まさに知事の言う環境は整ったということではないでしょうか。それにもかかわらず、今回のいわて県民計画では、県民所得の目標は何事もなかったように国民所得の乖離を縮小するとの表現にとどまっております。いわば一丁目一番地であった県民にもわかりやすい県民所得の目標を、なぜ今回はこだわりを捨てたのでしょうか。希望をうたう知事であればこそ明確な目標設定があってしかるべきかと思いますが、真意をお伺いいたします。
 また、今後の人口減少は極めて深刻な問題であり、平成47年、約25年後にはおおむね89万人から108万人と、いわば盛岡市の人口規模以上に大幅に落ち込む可能性もあると見込まれております。加えて、少子高齢化も加速的に進む状況にあります。
 2008年1月のいわて希望創造プランにあっては、地域活力の低下をもたらす社会減に歯どめをかける、人口転出への歯どめをかけるとし、今般のいわて県民計画のアクションプラン政策編にも継続してこのことは緊急かつ重大な課題として掲げられており、私も同じ認識であります。
 これまで、人口の社会減に向け、どのような具体策を打ち、その結果どうなっているか伺います。
 また、社会減は、さまざまな立場で、まさに県の社会全体で課題認識を共有し対応すべきものと考えますが、今後はどのように対処していく考えでしょうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、平成22年度当初予算についてお伺いいたします。
 これまで、既に登壇された議員から当初予算についてさまざまな指摘、質問がありましたので、私は、特に農林水産関係の予算についてお伺いいたします。
 農林水産省の平成22年度予算は総額で2兆4、517億円、前年度比マイナス4.2%となっており、そのうち公共事業は6、563億円、前年比マイナス34.1%、農業農村整備にあってはマイナス63.1%であります。コンクリートから人へ、予算の配分を変える思想は無駄を排する点では理解できるところではありますが、地方にはまだまだ必要なコンクリートはあると思います。国の予算の影響を直接受ける本県予算では、地方交付税等の歳入の伸びにより、総額で前年度比6.1%増、6、987億円余となっておりますが、歳出の中身がより精査される必要があります。
 県当局の説明では、いわて県民計画に基づく希望郷いわての実現に向けた事業を盛り込み、また、厳しい経済、雇用情勢や地域医療などの諸課題に対応するため、雇用の創出と就業の支援、地域経済の活性化、人口の社会減に歯どめといった、県民の仕事と暮らしを守るため緊急かつ重大な課題に対応するとして、希望郷いわて元年予算と位置づけられております。本県の基幹産業であり、かつ将来に向け、守り育てなければならない農林水産関係予算が前年度比5.7%の減額となっております。現在の状況下では、雇用環境、雇用の創出と就業支援などの喫緊の課題のため、即効性のある部門に多くの配分がなされたのは理解できますが、農林水産関係予算が減額となった大きな理由は何でしょうかお伺いいたします。また、こうした対応は、来年度一時的なものか、あわせて伺います。
 計画の実効性は、ある程度予算で裏づけられる部門もあります。このような予算の状況の中で、いわて県民計画の中における農林水産部門がどのように位置づけられ、実現していくのか伺います。
 本県の農業生産額は、1985年の3、595億円をピークに、2008年は2、445億円で約1、000億円減少しています。米主体の農業から、千田知事の時代に畜産を振興し、中村知事の時代に野菜を振興、産出額を伸ばした時代もありましたが、今はつくれば何でも売れる消費動向にはありません。一気に農業産出額を伸ばすことは難しいと思われます。
 農林水産省がまとめた2008年の産出額は、野菜や果実の価格低下が響き、2007年比15億円減少し、都道府県別順位も11位から一つ落とし12位になったと報じられております。しかし、食料供給基地を自認する本県がこのままじりじり産出額を落としていくことには歯どめをかけなければなりません。県民所得の向上はもとより大事でありますが、岩手県本来の富を生み出している第1次産業の持つ意味は大きいのです。いわて県民計画のアクションプランには消費者から信頼される産地を確立するとしておりますが、まず来年度の予算にそれらがどのように位置づけられているのでしょうか、来年度の農林水産予算の重点施策とあわせてお伺いいたします。
 次に、畜産におきましては、ここ数年来の配合飼料価格の高騰や景気後退による販売価格の低迷で厳しい経営環境にあります。こうした中で、畜産の振興対策がどのように打ち出されているのかお伺いいたします。
 また、集落営農にありましては、一番期待されているのが経営の多角化、高度化を図るために必要な農業用機械や施設等の導入支援であります。これらの対策はどのようになっていますでしょうかお伺いいたします。
 引き続き農林業の振興についてでありますが、来年度から国直轄事業として水田利活用自給力向上事業、米戸別所得補償モデル事業、戸別所得補償制度導入推進事業等を内容とする総額5、618億円の戸別所得補償制度のモデル対策が始まります。対象となるのは、水田利活用についてはこれまで需給調整に参加してこなかった農家も含まれ、米戸別所得補償では、生産数量目標の範囲内での米の生産、販売を行った農家とされております。農村ではその経済効果を期待するところでもありますが、小規模農家がこれによって現在の経営形態がそのまま維持できるとは考えがたいところであります。
 集落営農によって農業者の高齢化、後継者不足を乗り切ろうとしてきた集落は多くあり、共同作業や機械の共同利用により省力化、低コスト化が図られてきました。これまで培われてきた集落営農が果たしてきた役割の評価と今後の育成方針についてお伺いいたします。
 戦後、我が国では、食料増産と効率的な農業生産を目指して、長年にわたり水田の大規模化や用排水路、農道等の整備を行ってきました。また、先日のテレビ報道では、数年前の穀物高騰を経験した食料輸入国では競って海外へ農地の獲得にしのぎを削っている様子が映し出されていました。ゴールドラッシュならぬランドラッシュと言うそうであります。
 中国、インドはもとより、先進国の中では食料自給率の低い韓国も積極的な動きを見せており、李明博大統領は、国内と同じくらいの農地を国外に確保すると発言していました。可能性はともかくとして、世界の人口が60億人から90億人になろうと予想され、食料危機が訪れるとのことからこのような事態を招いていることは確かであります。
 対象となっているのはアフリカ、ウクライナ、ロシア沿海部のようですが、リーマンショック以来、景気低迷にあえいでいる国々は少しでも条件のよいほうに貸すということで、どちらも真剣でした。
 その中でただ一人、青森県出身の方が紹介されていましたが、日本においてはようやく外務省と農林水産省が対応を始めた様子が映し出されていました。国内には耕作放棄地が問題視されている中で、これからいろいろな議論がなされていくものと考えられます。しかし、広大で肥沃な農地は魅力であり、日本人の技術をもってすれば低コスト生産が可能です。
 我が国では、農地の生産性向上を目的とし、営々として基盤整備が進められてきました。本県においても、胆沢ダムの建設や土地改良が現在も進められています。先に終了したところは恩恵に浴し、いまだ整備の終わっていないところは早期の完成を望んでいると思います。
 先ほど申し上げましたとおり、農業農村整備にあってはマイナス63.1%減、額にして約6、000億円から2、000億円へと大幅なものとなっております。本県への影響が懸念されるところですが、実情はどうなっているのでしょうかお伺いいたします。
 また、こうした状況を受け、本県の土地改良事業を今後どう進めていくのかお伺いいたします。
 次に、林業について伺います。
 先ごろ、岩手県議会森林・林業政策研究会の県産材の活用事例調査に参加させていただきました。短い時間に6カ所の事例を調査することができました。埼玉県立武道館は平成16年の埼玉国体に合わせて平成15年8月にオープンした建物で、大屋根を支える柱やはりに原木換算で約2万本の埼玉県産杉材が使用されており、同館内の剣道場の床810平米には、適度なかたさ、クッション性から岩手アカマツ材が使用されていました。また、東京大学弥生講堂一条ホールは構造材に遠野産ベニカラマツが使用されており、改めて県産材の有用性を認識したところであります。
 国では森林によるCO2削減を図り、公共施設への国産材使用を促進しているところであり、同じく調査した埼玉県宮代町役場庁舎は国内最大級の木造庁舎であり、当時の町長の環境に対する理念から木造とされたとのことでした。平成17年の建設当時は視察も多かったようですが、今年に入ってから相次いで国土交通省、農林水産省が訪れたとのことです。
 今国会においては、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律を提出し、木材の利用の確保を通じた林業の持続的かつ健全な発展を図るため、農林水産大臣及び国土交通大臣が策定する、公共建築物等における国内で生産された木材その他の木材の利用の促進に関する基本方針について定めるとともに、公共建築物等の整備の用に供する木材の製造を業として行う者の登録制度を設ける等の措置を講じたいとしております。いわば公共建築物に対して木材利用の一定の義務化を課するものであり、都道府県の責務や方針の策定などが含まれた内容となっております。私もその方向には賛同するところであり、国の機運も高まりつつあると感じました。
 本県も国内有数の林業県でありますが、これから公共施設への県産材利用をどのように進められるか伺います。
 最近、林業に従事している人が高齢化しているのは農業と同じですが、林業従事者の世代交代と、最近の林業用作業機械は高度に改良されたものが導入されていると聞いております。今後の一層の担い手確保に向けた普及とオペレーターの育成はどのようになっているか伺います。
 先日の調査の中で、浦安市の東京中央木材市場でお話を聞く機会がありました。岩手県は南部アカマツが有名であるが杉材も評価が高いとのことで、秋田県産よりもよいとのことでした。その理由は、加工技術が高く、表面の仕上がりがポイントとのことであります。これからの加工機材の導入も岩手県産材を売り込む上で重要であり、また、木は50年先の需要を見越して植林をしなければなりません。
 最近、松くい虫に耐性を持つアカマツの種子の開発が報道で紹介されておりました。北上ハイテクペーパーを訪れた際は、写真用紙の原料にしているパルプは岩手県産を中心とした広葉樹で、同様の製品はドイツにあるだけで、世界で生産しているのはこの2カ所だけとの説明がありました。岩手県の山は、アカマツ、杉、カラマツ、広葉樹といろいろな可能性を持っていると考えられますが、植林に際しての考え方と、どのような情報を植林関係者に発信していくのかを伺います。
 次に、地域医療についてでありますが、今も県立病院からの医師の退職が続き、深刻な医師不足に苦しんでいる本県でありますが、昨年から数回にわたり開催された地域医療に関する懇談会は、勤務医の過重労働、医師の偏在、かかりつけ医の重要性、コンビニ受診の自粛など、医療のあり方について地域の考え方をもらう機会となったところであります。
 まず、その結果をどのように評価し、また、それぞれの医療圏で提言された内容をどのように行政に生かしていくのか伺います。
 本年4月より予定されていた沼宮内病院の無床化が1年延期されたのは評価いたしますが、その間に地元では受け皿となる民間医療団体等を探さなければなりません。また、4月、無床化された地域でもその方向性を模索しているところであります。
 その中で、花泉地域診療センターが民間の医療法人と社会福祉法人により運営されることとなりました。今年に入ってからも引き続き開設に向けた準備が進められていることと思います。その進捗状況はどのようになっているのでしょうか。
 また、9月議会で議論されている中で県や一関市の支援が打ち出されました。その後、民間で運営する場合、さらに必要とされる支援がなかったのかお伺いいたします。
 先日も大迫地域診療センターについて、地域で催された懇談会の様子が報道されていましたが、ベッド再開を多くの住民が望んでいても、数多くの課題をクリアしなければならない現実があります。花泉地域診療センターに関しては、追加されて支援策が提示されました。本来であればこれらが出そろった段階で公募すべきものと考えられます。今後、民間で運営する場合は、県及び市町村の支援をできるだけ多く提示することが応募の可能性を高めることとなります。
 今回、花泉地域診療センター移管後の運営主体となる医療法人白光及び社会福祉法人七星会に対して、医療局は、土地は無償貸し付けとし、建物の貸付料は、1年目が通常の4分の1に相当する額約336万円、2年目以降は通常の貸付料の2分に1に相当する額で貸し付けるとのことで、2年目以降は約672万円となっております。また、医療機器、備品等については、法人が希望するものについて、原則として残存価格をもとに算出した金額により有償譲渡する。また、緊急時等必要と認められる場合、診療応援をするとしています。保健福祉部は施設整備に対する支援を行うとしており、一関市も、施設整備に当たり1床当たり350万円、約1億円を12月補正予算で予算措置済みと伺っております。医療局と保健福祉部では、他の地域診療センターにおいても同様の支援をなされるものかお伺いいたします。
 次に、学校教育の充実でありますが、紫波総合高校は通学の利便性がよく、広く町内外から生徒が集まっておりますが、学校の位置する紫波町はほぼ県央部にあり、町内の中学生は、高校進学に当たり、北は盛岡から南は北上まで数多くの選択ができる恵まれた環境にあります。紫波総合高校は、人文・自然、情報・経済等5系列から形成されておりますが、平成18年度、平成19年度の卒業生の進路を見ますと、進学も就職もしない未定者が17.3%、19.7%と高く、他の総合高校と比較してそれも多い実態があります。一昨年のリーマンショック以来、雇用情勢が厳しいのが現実でありますが、このままの状態が続くことは好ましいことではありません。盛岡圏域に唯一の総合学科高校として、こうした問題についてどう認識されているのかお伺いいたします。
 また、このような状況を打開するためには一層の体制強化と進路指導が今後必要と考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、児童生徒を支援する体制の強化についてでありますが、不登校や虐待など、子供や保護者をめぐる相談は年々増加しており、内容も多岐にわたることから、その対応には専門的な技術や知識が必要となっております。平成20年度社会福祉行政業務報告によれば、平成20年度に全国の市町村が受け付けた児童家庭に関する相談件数は約27万件で、そのうち児童虐待に関する相談件数は約5万件、本県では約1、500件の受け付けのうち、児童虐待についてはその3分の1の約500件であります。
 一方、全国197カ所の児童相談所が受け付けた平成20年度の児童虐待の相談件数の速報値では前年度比5%増の4万2、662件で、調査を開始以来、18年連続で過去最多を更新したとされております。
 社会保障審議会児童部会は、虐待を受けた児童の親権について見直すため、児童虐待防止法と児童福祉法の改正を検討する専門委員会を設置することを決め、3月下旬にも初会合を開き、2011年2月をめどに報告書を取りまとめるとの発表がありました。これは有識者らで構成する法務省の児童虐待防止のための親権制度研究会が1月、民法で親権を一定期間停止できる制度の導入などの提言を受け検討するものであり、虐待が深刻かつ重大な社会問題となっているあらわれであります。
 こうした中で、市町村においては専門職が極めて少なく、相談窓口の担当は一般職員が当たり、人員配置の関係から短期で異動となる場合もあります。市町村でも、児童相談所が持つ専門的情報や知識、技術が常に活用できるような支援システムを構築していくことが地域では強く求められております。このため、市町村を担当する児童福祉司等の専門員の増員や市町村における個々の相談対応などをより効果的、効率的に行うための専門職員の育成、充実など体制の強化が必要と考えますが、御所見を伺います。
 以上で終わらせていただきます。御答弁によりましては、自席にて再質問をさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 熊谷泉議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、知事の政治姿勢についてでありますが、私は、知事として行政の執行に当たる際には、これまでも不偏不党、公正中立を貫いてまいりましたし、今後とも貫いてまいります。そのような前提のもとで、政治家個人としては、これは政党との関係も含め、自由な活動が保障されるべきと考えております。
 今後の市町村選挙への応援についてということでありますけれども、いずれにせよ、総合的に判断をしながら、政治活動の自由を保障する日本国憲法の趣旨に基づいて、自由にやらせていただきたいと考えております。
 次に、県民所得についてでありますが、世界的な経済の悪化が我が国にも大きな影響を及ぼして、国民所得の落ち込みも見られます。そうした中で、アクションプランの政策推進目標の一つとして県民所得を掲げているわけでありますけれども、これは金額ベースの数値目標ではなくて、国民所得に対する県民所得水準の乖離を縮小するということを目標として掲げたところであります。これは、グローバル化が進んで社会経済情勢が目まぐるしく変化している中で明確な数値目標を定めることが極めて難しい情勢にありますこと、また、物価が継続的に落ち込むデフレ状況であります。こうした中で、国民所得も大幅に減少しており、名目の総生産を基礎とした1人当たり県民所得自体を目標に設定することが、やはりこれも難しいといったことがございます。
 一方で、本県の1人当たり県民所得水準と国民所得水準との乖離が拡大傾向にあります。これを改善していく必要があり、また、デフレ状況等の社会経済情勢の変化の中にあって、そうした影響を受けにくい目標、また、わかりやすい目標を設定することは意義があると考えられますので、全国水準との相対値を目標として設定して、その乖離の縮小に向けて、県民一丸となって努力していくこととしているところであります。
 次に、人口の社会減への取り組み等についてでありますが、平成20年1月に策定したいわて希望創造プランにおいては、重点目標として人口転出への歯どめを掲げて、ものづくりを初めとする産業振興による雇用の場の創出、医師確保、子育て環境の整備を初めとするセーフティネットの充実といった取り組みを展開してまいりました。こうした取り組みなどにより、人口の社会減は平成20年から2年連続で減少しております。一方で、若年層を中心に依然として社会減が続いておりますので、今般策定しましたいわて県民計画においても、人口の社会減に歯どめをかけるということをアクションプランの政策推進目標として掲げて、県民、企業、NPO、市町村等と一体となり、また、新たに、医療環境などの今後成長が期待できる分野の産業振興でありますとか、社会全体で子育てを支援する仕組みづくり、また、県内への定住と交流の促進に向けた体験居住機会の提供などに取り組むこととしております。
 次に、農林水産関係予算の主な理由についてでありますが、これは、国の公共事業費の削減によって、土地改良事業を初めとした農林水産関係の公共事業費が約40億円減少しましたこと、また、漁業指導調査船岩手丸の代船建造事業約10億円分が完了したことなどによるものであります。
 県としては、公共事業費の減少に対応するために、先般提案いたしました平成21年度2月補正予算において、国の追加配分による公共事業を前倒しし、経営体育成基盤整備事業費など10億8、000万円余を計上いたしました。これらと平成22年度当初予算をあわせまして、農林水産分野においても前年度比9割強の公共事業費を確保して、現在実施している継続事業等に影響が生じないよう、取り組むこととしております。
 一方で、公共事業費以外のいわゆる政策的経費につきましては、いわて県民計画に掲げる経営体の育成や食料、木材供給基地の確立など、重点政策を確実に推進するために前年度比で19億1、000万円余の予算を増額したところであります。
 平成23年度以降の対応につきましては、現時点では明確にお答えすることは難しいところでありますが、国の動向を踏まえつつ、社会経済情勢の変化にも適切に対応しながら、本県の農林水産業が持続的に発展できるよう、県として必要な予算の確保に努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので御了承をお願いします。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、いわて県民計画における農林水産部門の位置づけとその実現方策についてでありますが、いわて県民計画において、農林水産業は、地域経済社会を支える重要な産業の一つとして位置づけており、岩手の未来をつくる七つの政策においても、大きな柱の一つとして掲げているところであります。
 農林水産分野の計画の実現に向けては、生産物価格の下落等による厳しい経営環境の中で産出額の減少に歯どめをかけ、さらに増加に転じ、持続的に発展できる農林水産業を確立するため、農林水産業の未来を開く経営体の育成や、消費者から信頼される食料、木材供給基地の確立、さらには、農林水産物の高付加価値化と販路の拡大や、環境保全対策と環境ビジネスなどを推進するための施策に、関係機関、団体と一体となって取り組んでまいります。
 次に、来年度の重点施策と産地の確立に向けた予算についてでありますが、来年度はいわて県民計画を着実に推進するため、一集落一戦略実践活動による集落営農の経営高度化や、新規参入の促進などによる多様な担い手の育成、6次産業化やブランド化の推進による農林水産物の高付加価値化と販路の拡大、さらには、二酸化炭素排出量取引等の新たな環境関連ビジネスの創出などの施策を重点的に展開していくこととしたところであります。
 また、消費者から信頼される産地の確立に向けては、安全・安心な生産体制を強化するための県版GAPの普及や市場性の高い新たな園芸品目の導入、県北・沿岸圏域での施設園芸団地の整備、さらには、林業の低コスト施業のための林内路網整備などを進めるための事業を、当初予算に盛り込んだところであります。
 次に、畜産の振興対策についてでありますが、平成22年度当初予算においては、雄雌の産み分け技術や受精卵移植技術の導入により、能力の高い乳用牛群の整備と、和牛の生産を同時に進める酪農経営モデルの実証や、すぐれた県有種雄牛を効率的に造成するための産肉能力と牛肉のうまみ成分にかかわる遺伝子のDNAマーカーの開発、県北地域における臭気対策技術を取り入れた畜舎の整備に対する助成など、新たな技術を導入する事業などに重点化したところであり、こうした対策により、低コスト、高品質な畜産物の生産による体質の強い畜産経営の確立を支援してまいります。
 次に、農業用機械、施設の導入対策についてでありますが、平成22年度当初予算においては、国庫補助事業を活用し集落営農で利用する汎用コンバインや大豆乾燥調整施設等の整備に対する助成を行うほか、国庫補助事業の対象とならない園芸用防除機や簡易ビニールハウスなどの機械、施設については、県北・沿岸地域の振興にも配慮しながら県単独事業により助成することとしたところであり、こうした対策により、集落営農組織の経営の多角化や高度化を積極的に支援してまいります。
 次に、農林業の振興についてでありますが、まず、集落営農の評価等についてですが、これまで担い手農家を中心に、小規模、兼業農家も参加するいわて型集落営農を推進してきたところであり、現在、県全体で425の組織が育成され、農地利用集積による規模拡大や農業機械の共同利用による省力、低コスト生産に取り組んでいるほか、地域の人材を生かした野菜など、園芸作目の新規導入や農産物の加工、販売など、アグリビジネスへの進出により地域農業の発展に大きな役割を果たしております。
 また、来年度以降導入される戸別所得補償制度は全国一律の交付単価で所得補償がされる仕組みであり、コスト削減によって所得が向上することから、引き続き集落営農の推進を支援していく必要があると考えております。このため、今後とも、経営多角化に必要な農業機械の導入支援や高収益作物の新規導入、農産物の高付加価値化など集落水田農業ビジョンの実践を促進し、集落営農組織の経営発展を支援してまいります。
 次に、国の農業農村整備予算削減の影響と事業の進め方についてでありますが、国は、平成22年度政府予算案において、農業農村整備事業を対前年比36.9%に削減する一方、新たに農山漁村地域整備交付金を創設し1、500億円を計上していますが、現時点では、国からの具体的な配分額が示されておらず、本県への影響額は明らかになっていないところであります。
 我が国の食料供給基地を標榜する本県にとって農業農村整備事業は、意欲と能力を持った経営体の育成や、安全・安心な食料の安定供給を下支えする重要な事業と認識しており、今議会に提案しております平成22年度当初予算及び平成21年度2月補正予算においては、必要な事業を継続できるよう、事業費の確保を図ったところであります。
 今後においては、生産基盤の整備がおくれている本県の実情を踏まえ、必要な財源確保に努めるとともに、水田の整備や老朽化が著しい農業水利施設の改修などに重点化することにより、本県農業の振興に向けた生産基盤の計画的な整備を推進してまいります。
 次に、公共施設への国産材利用についてでありますが、県では、平成15年度に公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定し、本年度まで2期6年間にわたり、県みずからが率先して県産材利用を推進してきたところであります。
 一方、住宅着工戸数の大幅な落ち込みによる民間の木材需要の減少が見込まれること、木材利用による二酸化炭素固定を通じた地球温暖化の防止が課題となっていること、国においても、森林・林業再生プランを策定するなど木材利用を積極的に推進していることから、引き続き、県による率先した取り組みが必要であると認識しております。そのため、平成22年度から24年度までの3年間の新たな第3期行動計画を策定し、実効性のある取り組みを進めることとしたところであり、今後とも、関係部局や市町村等と連携しながら、県産材の需要拡大に努めてまいります。
 次に、林業の担い手確保についてでありますが、担い手確保に向けた普及については、関係機関と連携してきめ細かく取り組んでいるところであり、財団法人岩手県林業労働対策基金が主体となり、毎年度、高校生、社会人を対象とした職場見学会や就業希望者を対象に作業を短期間経験させる講習会を開催しているほか、岩手県森林組合連合会等が主体となり、首都圏や県内で開催する就業相談会において就業希望者からの個別相談に応じるなど、新規就業者の確保に向け、林業就業への理解を深めてもらうよう、普及に努めているところであります。
 また、オペレーターの育成については、県林業技術センターにおいて、毎年度グリーンマイスター養成研修等を開催し、機械操作の高度な技術修得や各種林業機械の運転資格の取得を通じ、中核的林業従事者を育成しているところであります。
 次に、植林の考え方とその情報発信についてでありますが、本県の森林資源は針葉樹と広葉樹が半々で、針葉樹は、杉、アカマツ、カラマツなど多様であることが特徴となっております。この特徴を将来に生かしていくため、自然力による更新が期待できない杉とカラマツについては、その伐採跡地を確実に再造林していくことが重要と考えております。
 再造林に当たっては、肥沃な沢筋には杉、標高の高いところにはカラマツと、適地適木を旨として植林を指導しているところであります。
 また、植林関係者への情報発信については、最近の植林動向や松くい虫被害抵抗性アカマツの苗木提供などの情報を発信しております。
 本県の森林資源の特色が継承されるよう、今後とも植林の促進に取り組んでまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、地域医療に関する懇談会についてでありますが、これまで地域医療に関する議論は、関係団体、医療機関、行政のみで行われてきたところでありますが、当該懇談会には地域住民も参画して議論が交わされ提言がまとめられましたこと、また、例えば釜石圏域における県立病院サポーターズの取り組みや、県立病院の診療応援を行う医師会に対する市の支援の取り組みなどのように、それぞれの主体において、独自にあるいは連携した取り組みが動き出したことは大きな成果であると認識しております。
 県といたしましては、これらの提言の具体化に向け、まずは、地域住民の皆様に理解していただくことが重要であると考えておりまして、各圏域で開催しておりますシンポジウムなどを通じまして、提言の周知等を図っているところでございます。
 また、行政に対する提言でございます医療機関の情報や受診方法の地域住民への周知などにつきましては引き続き実施しますとともに、地域医療連携クリティカルパスの導入による医療機関の連携の促進など、圏域での連携した取り組みにつきましては、保健所がコーディネート役となり推進していくこととしております。
 さらに、提言のうち、その実現に向けてより議論を深めることが必要なもの、例えば盛岡圏域におけます在宅療養支援診療所の活用策などにつきましては、今後、保健所に設置いたします協議組織において、協議、検討を進めることとしております。
 なお、行政に対する提言につきましては、市町村の取り組みも数多く含まれておりまして、その主体的な対応が強く期待されておりますことから、地域の実情に応じました市町村の取り組みの展開を図るため、市町村との連携を一層強化していくこととしております。
 県といたしましては、こうした取り組みを行いながら、地域住民、関係団体、市町村等と一丸となり、地域医療を支える取り組みを推進してまいりたいと考えております。
 次に、児童福祉司の配置等についてでありますが、児童相談所に配置しております児童福祉司につきましては、平成17年度の改正児童福祉法の施行により、児童家庭相談機能の第一義的な対応を義務づけられました市町村への助言指導を行う体制を強化するため、当該時点で13名から22名へ、9名増員されたところであります。また、その後、市町村の相談対応状況を踏まえ、平成20年度にはさらに1名増員し、現在23名体制となっておりますが、平成22年度からはさらに1名の増員を検討いたしております。
 児童相談所による市町村支援につきましては、毎年市町村担当者の研修会を開催いたしますとともに、市町村要保護児童対策地域協議会でのケース検討会議に随時児童福祉司が参加し、助言指導を行っているところでございます。さらに、本年度からは、児童福祉司が定例的に月1回以上市町村を訪問し、市町村担当者に個々のケースへの対応について具体的な指導を行い、市町村の相談対応力の向上を支援することで、児童相談所が持っております援助技術の移転と蓄積を図っているところであります。
 また、児童福祉司の育成につきましては、議員御案内の国の動向にも的確に対応していくため、関係する専門研修への派遣や外部講師を招聘した所内研修を行うなど職員の指導力の向上に努めており、今後とも、児童相談所の業務の向上を図ってまいりたいと考えております。
 なお、各市町村の相談体制の充実につきましてはこれまで個別に働きかけてきたところでありますが、比較的行政規模の大きな市につきましては、福祉専門職の定期的な採用配置など、相談対応の一層の充実のための体制強化について検討していく時期に来ているものと考えており、今後、機会を見て意見交換を行っていきたいと考えております。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 花泉地域診療センターの民間移管の進捗状況についてでありますが、事業開始に向けた準備につきましては、これまで、有床診療所の運営に関する医療法人白光の定款変更認可及び診療所の開設許可、特別養護老人ホーム等の運営を行う社会福祉法人七星会の設立認可等の手続が終了し、2月12日から改修工事に着手しているところであり、3月中旬以降の完成を予定しているところであります。
 さらに、その完成を待って、一関保健所の診療所使用許可、県南広域振興局の特別養護老人ホーム開設許可、一関地区広域行政組合の介護保険に係る事業所指定などが行われる予定であり、医療局としましては、これら諸手続が終了し事業開始に向けた準備が整ったことを確認の上、事業者決定と土地、建物の貸付契約を行うこととしております。
 次に、民間移管等の支援についてでありますが、地域診療センター等の利活用につきましては、議員御指摘のとおり、医療局では、土地、建物の貸付料の減免及び医療機器等の売却等の支援を行うこととしており、また、保健福祉部では、平成23年度までの期限つきではありますが、地元市町村が介護施設の整備を行う民間事業者に補助する場合に、国の交付金を活用して市町村を支援することとしており、この制度を活用して一関市が施設整備費を補助したものであります。
 今後、他の地域診療センター等におきましても同じような事例が生じた場合には、地元市町村とも協議しながら、同様の支援を講じてまいりたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、紫波総合高校の認識についてでありますが、本県においては、現行の県立高等学校新整備計画に基づき、多様化する生徒の学習環境への希望に対応するため総合学科高校の設置を推進してきたところであり、盛岡ブロックにおいては、平成16年度に紫波総合高校を開設したところであります。
 総合学科高校は特色ある科目を設定し、生徒の選択肢を広げ、多様な希望に柔軟に対応できる第3の学科としてその特徴を十分に発揮できるよう取り組んでおり、進路達成状況についても、県全体としてはおおむね良好と認識しております。しかしながら、紫波総合高校においては通学の利便性がよい立地条件もあり、いわばさまざまな事情を抱える多様な生徒が多く在籍していることから、総合学科高校への改編前から進路未定者が多いという実態があったところであります。
 総合学科高校への改編を契機として、現場や関係者の努力により、近年、進路未定者は減少してきている状況にありますが、本年度は現下の厳しい雇用情勢もあり、他の学校に比べるとまだ多い状況となっております。
 今後の対応についてでありますが、生徒一人一人の進路希望の実現に向け、入学後、早い時期からキャリア教育に取り組み、生徒の進路に関する意識を高め、総合学科高校の特徴を生かし、産業社会と人間と、総合的な学習の時間を相互に関連づけた教育活動の充実や、各系列において進路との関連性を重視した科目設定に取り組むとともに、就業支援員を初め関係機関と緊密に連携を図りながら、進路指導を強化してまいります。
〇12番(熊谷泉君) 御答弁ありがとうございました。二、三再質問をさせていただきます。
 まず、農林業の振興についてでありますが、先ほど知事から御答弁いただきましたが、平成23年度以降はまだ明確でないという、国の方針もあるということでございました。ただ、土地改良につきましては、基盤整備は計画段階から5年から10年以上を要する、期間が大変長い事業であります。米価が1俵2万円をしていたころは農家も意欲があったわけでございますが、現下の米価の状況では、農家にとっての経営にも大きな負担となっている事業でもあります。ただ、コンクリートから人へということで、このような削減が、来年、再来年度以降も続くような事態は非常に避けなければならないというふうに思うところでございます。
 よく、子孫に美田を残さずという言葉がありますが、農家は、自分の世代ではもはや土地改良の投資は回収できないと、ある意味、あきらめにも似たような気分があるわけでございます。それが10年もかかっていれば米価も変わってきます。ただ、先ほど言ったように、その農家が頑張っているのは、次世代に効率的な水田を残す、やはり美田を残すという意義で今頑張っているわけでございます。
 もし、戸別補償によって10アール当たり1万5、000円の─極端な話でございますが、それによって、あとは個々でブルドーザーを頼んで勝手にやってくれという、そういう国の施策ではないと思います。もし、そういうことであれば、基盤整備に対する理念がない。1年ごとにこれだけの大幅な削減をするというのは、大変不合理であります。それについての知事の御見解を伺いたいと思います。
 それから、先ほど各市町村の関係でございましたが、答弁のとおりでそれはそれといたしますが、人口減少も県民所得の目標も、実際は34市町村の成果の結果でそれが県のトータルの数字になってくる、そういうふうに考えます。
 知事は、オーケストラで言えば指揮者に当たる。県内34市町村が極めてきれいなハーモニーをつくって、県北・沿岸もしかり。どこのパーツの音色が出ていないのかよく聞きながら、その地域の向上を図るためにタクトを振るのが知事の役目というふうに私は考えます。そういうことにおきましては、県民所得も、それから人口の歯どめも、各市町村もそれぞれ御苦労されているわけでございます。それぞれの首長の困っているところをいち早く吸い上げて、県あるいは国が率先してサポートする、それが知事の役目だと思うところでございます。それにつきましても改めて御見解を伺います。
 それから、先ほどの人口減少につきましては、隣の秋田県では県民が一丸となって脱少子化秋田を掲げ、市町村への少子化対策包括交付金制度を創設して、あるいは結婚支援センター等による若者の出会い等の支援をしております。
 本県でも自然減についても具体的な取り組みが求められるところでございますが、その自然減に対しまして本県の対策をお伺いいたします。
 それから、先ほどの県産材の利用でございますが、最近、6次産業という言葉が大変進んでおります。林業におきましても、木材の食器を加える等、木産材の加工のほうも一つの方策かと思います。木材を活用した6次産業化における本県の考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 土地改良についてでありますけれども、平成22年度当初予算及び平成21年度2月補正予算におきまして、県では、貴重な事業をしっかり継続するために農業農村整備事業費の確保に努めたものを今、この議会に提出させていただいております。
 農業農村整備事業は、低コストで効率的な農業生産ということ、また、洪水防止、水源の涵養、自然環境の保全等々、農業の有する多面的な機能の発揮の上でも重要な事業でありますので、今回の予算に関しても国に対して要望いたしましたけれども、今後におきましても、機会あるごとに国に対し基盤整備のおくれなど本県の実情を説明し、理解を求めながら農業農村整備事業の計画的な推進を図ってまいりたいと考えております。
 それから、市町村長さんたちとの関係について再質問をいただきましたけれども、私の選挙の際に、少なくない数の市町村長さんたちが次点になった自民党推薦候補の推薦人に名前を挙げて、それは選挙中の法定ビラとして全県で配られて、同じビラに県議選の自民党公認推薦の候補者の名前もありましたので、熊谷議員も覚えていらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、また、そのビラには自民党の国会議員の先生方の名前も推薦人に挙げられていて、国政の政治家あるいは市町村のリーダー、知事選にそれぞれの政治的信念に基づき自由に参加していただけであります。
 私は、その自由は本当に尊重されるべきだと思っておりますので、当選後も一切わだかまりなく、34の市町村に対して、知事─行政の長として、住民の暮らしや仕事を守るためのパートナーシップということについては何の恥ずることのない連携をしてやってきたと思いますし、むしろそうしたことを誇りに思っているところでございます。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 本県の少子化対策についてでありますが、いわて県民計画のアクションプランにおきましては、合計特殊出生率の下げどまりを目指し、家庭や子育てに夢をもち安心して子どもを生み育てられる環境の整備を政策項目として掲げ、結婚や子育てに夢を持つ意識の啓発、安全・安心な出産環境の充実、仕事と子育ての両立支援などの充実に取り組むこととしております。
 また、現在策定中のいわて子どもプランでは、若者が家庭や子育てに夢を持てる環境の整備などに取り組むこととしておりまして、既に本年度から、県長寿社会振興財団のいわて子ども希望基金を活用いたしまして、若者の出会いや交流の場の創出を支援しているところであります。
 現在の子育て環境をさらに充実するためには、地域や企業の理解と参画が極めて重要でありますことから、当該基金を活用いたしまして、本年度から各地域に設置しております地域子育て支援推進協議会を通じた地域活動への支援を行いますとともに、来年度からは、男性に育児休業取得を奨励する企業等への助成などにも本格的に取り組むこととしております。
 しかしながら、これらの取り組みをさらに促進するためには、市町村が本年度中に策定することとしております市町村行動計画に基づき、地域全体で子育てを支援していく体制づくりを進め、地域の実情に沿った施策を積極的に展開することが重要であると考えております。
 したがいまして、県といたしましては、当該行動計画の策定に当たりましては、今申し上げた視点から市町村に対しまして必要な助言を行いますとともに、子育て支援対策臨時特例基金を活用して、市町村が行う児童館や放課後児童クラブ、保育所の遊び環境や衛生環境の充実などに対する助成を行い、さらに市町村総合補助金などを通して市町村の主体的な取り組みを積極的に支援し、安心して子供を産み育てる環境の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
〇農林水産部長(瀬川純君) 木材の6次産業化についてでございますが、県では、6次産業チャレンジ支援事業で、森林組合が行う素材生産の際に発生する未利用木材を地域のペレット工場で利用するシステム構築に向けた取り組みを支援しております。また、県産材の高付加価値化の取り組みとして、産学官が連携して県産材と岩谷堂箪笥やホームスパンの伝統工芸技術を融合させた組み立て式ソファーなどの開発の支援に取り組んでおります。さらに、木材加工企業等が県産材の新たな付加価値化を目指して行う健康や装飾など、森林資源を生かした多面的な商品開発に対して、いわて希望ファンドを活用した支援を行っております。
 今後とも、関係団体、企業、研究機関と連携しながら県産材の高付加価値化に取り組んでまいります。
〇12番(熊谷泉君) 農村整備についてでございますが、今回、県で10億円補正をしたということで、90%まで縮小したということでございます。
 国が大幅に削減するところで次々に補正で対応する姿勢も大変ありがたいわけでございますが、今後、土地改良に関しての国の方針がこのような来年度の基本的な姿勢であれば、幾ら本県がそこを補正をするといっても限度があるわけでございます。ぜひとも国の方針を改めて土地改良に対する理念を定めていただきまして、来年度、再来年度以降も予算を盛り込んでいただきますように知事のほうからお願いをしていただくように私のほうから提言申し上げまして、終わります。
〇議長(佐々木一榮君) 次に、五日市王君。
   〔17番五日市王君登壇〕(拍手)

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