平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇29番(新居田弘文君) 民主党の新居田弘文です。
 通告に従い順次質問をいたします。
 知事は、平成22年度の当初予算を、県内の厳しい経済、雇用情勢、そして依然として厳しい県財政の状況の中にあっても、県民一人一人が勇気と希望を持ち、未来に向け力強く歩み出すことができる予算として編成したと知事演述において述べられています。
 振り返れば、3年前の平成19年、知事は希望王国マニフェストを掲げ、危機を希望に変える戦略や政策などを示し、就任されました。その後、本県は2度にわたる大きな地震災害や、世界的な金融危機に端を発した経済、雇用情勢の急激な悪化などに見舞われ、今なお県民生活に暗い影を落としています。
 こうした中にあって、昨年12月に報道された地元紙の県民アンケート調査による達増県政の評価を見ると、評価できる、やや評価できるのプラス評価が58.4%と、前年に比べ18.1ポイント上昇しており、これは、日ごろから、知事の仕事は知ることとして県内各地を回り、県民に目を向け、声を聞きながら的確な対応や施策の展開に努めていることが、この結果にあらわれているものと考えているところであります。
 今般、内閣府から平成21年の10月から12月期の国内総生産の速報値が3期連続プラス成長と公表されたところでありますが、本県においては、有効求人倍率が依然低迷し、とりわけ就職が決まらずに卒業を迎えてしまう若者も懸念されるなど、景気回復の実感がまだまだ感じられない状況にあります。今まさに、知事就任時にも増して危機を希望に変えていく取り組みが求められるものと考えております。知事は、これまでの3年間をどのように総括され、これからの県政を進められようとしているのか、また、その思いをどのように今予算に反映させたのか、改めてお伺いいたします。
 新年度予算は、県税収入が大幅に減収し、厳しい予算編成の中で、経済、雇用情勢や地域医療などの諸課題への対応や、いわて県民計画に基づく希望郷いわての実現に向けた事業の取り組みのため、積極的な予算編成となったと評価されています。
 歳入面では、国における地方交付税総額が前年に比べ約1.1兆円増額されるとともに、臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税総額として24.6兆円と、前年に比較し、3.6兆円の増額が確保されたと伺いました。まさに、現政権が進める地方主権確立の第一歩が地方財政にもプラス効果として働いています。後年度地方交付税措置される臨時財政対策債の増発により、プライマリーバランスが赤字になるのもやむを得ない結果だと思います。
 しかし、一方では、年々膨らむ国の借金、2009年12月末で871兆円、国民1人当たり680万円、岩手県は本年度末で1兆4、400億円余となり、県民1人当たり104万円となるなど、今後、高齢化、少子化が進む中で後世への負担が重くのしかかってきます。特に、小泉政権下で行われた三位一体改革により、地方交付税総額は5兆円とも6兆円とも言われる額が減額され、地方財政が疲弊する大きな要因となり、全国の自治体では地方交付税総額の復元を求めてきました。政権交代により、その一部ではありますが、復元が実現しましたが、引き続き、全国地方6団体として、使用目的を特定しない一括交付金の増額とあわせ、地方交付税総額の増額を求める運動を展開すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 国の地方分権改革の一環で、総務大臣の諮問機関として地方行財政検討会議を設置し、そのメンバーの一人として達増知事が起用されたと伺っています。知事は、地域主権改革担当の総務省顧問に続く起用であったとも報じられ、県民の一人として誇りを感じています。
 そこで、地方行財政検討会議就任までの経過と、同会議での発言スタンスと、地方行財政のあり方についての所見を伺います。また、喫緊の課題に対応するための臨時財政対策債の発行を含めたプライマリーバランスの赤字でありますが、先ほど指摘しましたように、県債残高が限界を超えていると思います。長期的視点に立った財政運営計画を示し、県民の理解と協力を得るべきだと思いますが、知事の所見を伺います。
 次に、地球温暖化対策についてですが、ことしの冬は最近になく厳しい寒さに見舞われ、国によっては都市機能の麻痺や市民生活にも大きな影響を与えています。しかし、長い年月で見ますと確実に地球温暖化は進み、生態系への影響や大災害の原因にもなっています。先進国と発展途上国との温度差はあるものの、世界共通の課題として地球温暖化対策は欠かせない取り組みとなっています。
 このような中、京都議定書の締結に引き続き、世界的な取り組みとして国連気候変動枠組条約第15回締約国会議において、日、米、中国など26の主要国の代表が出席し、政治合意のコペンハーゲン協定に合意しました。日本政府も、これに先立ち、鳩山総理が国連気候変動サミットで、日本の温室効果ガス削減目標を、2020年に1990年比25%削減することを公約しました。一方、県では、平成11年度に策定した県環境基本計画において、二酸化炭素排出量を2010年までに、基準年である1990年比で8%削減することを目標に掲げるとともに、いわて希望創造プランにおいても世界に誇れる岩手の環境の実現を掲げ、地球温暖化対策の推進やバイオマスなどの新エネルギーの利活用の促進、廃棄物対策を通じた循環型地域社会の形成に取り組んでいると承知しています。
 そこで伺いますが、CO2の削減目標に対して、その達成状況はどうなっているのでしょうか。また、一事業者としての岩手県の削減目標と達成状況はどうでしょうか。仮に目標に届いていないとすれば、その原因は何でしょうか。今後の取り組みはいかがでしょうか。
 県は、地球温暖化対策地域推進計画の自動車依存の高い社会の改善─便利な乗り物、自動車を考える─の中で、低燃費、低公害車等の普及とポスト化石燃料の利用を掲げています。そして、昨年6月補正で環境対応車導入促進事業に4億3、000万円余を予算化しました。これは、国の景気対策の一環として、環境にやさしい車の普及と車の購買意欲を喚起しようとするもので、県も国の事業に上乗せし、補助したものです。この補助事業がどのような実績になったのか伺います。国では、平成22年度においてもこの補助事業の継続延長を予定していると聞きますが、県ではどのように考えていますか。今、化石燃料自動車から電気自動車の普及に向けた取り組みが進んでいます。もちろん車価格の問題や充電設備のインフラ整備など解決すべき課題は多く、直ちに一般に普及することは困難ですが、国や企業との連携の中で、自治体も実証事業として取り組んでいます。岩手県での取り組み予定はありませんか。
 新エネルギーの利用で、県は、太陽光や風力、水力、木質バイオマスなどの自然エネルギーの利用について目標を掲げています。その目標達成に向けた具体的な取り組みや今後の方向についてお示し願います。また、過日、新年度予算に洋上風力発電可能性を検討したい旨の報道がありましたが、新エネルギー開発の一環として積極的取り組みに期待しているところでありますが、この洋上風力発電可能性の取り組みを含めお答え願います。
 岩手の農林水産業は、恵まれた地域資源や特性を生かし、我が国の主要な食料、木材の供給基地として確固たる地位を築いてきました。しかし、農業を取り巻く厳しい環境は、担い手の減少や高齢化等により、地域によっては農村社会の維持すら厳しく、農業の多面的機能が評価される中で抜本的対策が求められています。農業収入の基幹をなす米作でも、市場原理と米離れが進み、生産原価を割り込む販売価格となり、農業離れが加速し、耕作放棄地が増加しています。
 今度、政府が打ち出した戸別所得補償制度は、世界的に食料需給の逼迫が予想される中で、国内自給率を10年後には現状の40%から50%に引き上げること。そのために、国内農業生産基盤を活用して水田農業の安定経営を図りつつ、米以外の作物の生産を増大させることであります。平成22年度は、戸別所得補償制度のモデル事業として実施されますが、事業の実施によって、米の戸別所得補償モデル事業で試算される定額分の本県分の交付金総額見込みはどれぐらいになるのか、水田利活用自給力向上事業で交付見込みと試算される総額は、従前の制度─産地確立交付金─実績と比較してどうなるのか、そして、トータルとして、新制度施行により県全体として農家への収入がどう変わるのか、それぞれの見込みをお伺いいたします。
 また、水田利活用自給力向上事業と従前の産地確立交付金制度の比較では、作物によっては、むしろ交付単価が減額され農家手取りが減少、あるいは地域によっては従前の営農指導に逆行するともとれる現象が派生する懸念が広がっており、その中で、岩手県等が国に対して激変緩和対策の措置を要望し、実現したと伺っています。その激変緩和措置によって県内農家に及ぼす効果はどうなるのか伺います。
 あわせて、本県農業の主要作物である畜産について伺います。既に御承知のとおり、県内酪農家、肉牛飼養農家等は、生産物価格の低迷と飼料の高騰のダブルパンチに遭って厳しい経営を余儀なくされ、飼養戸数の減少につながっています。国も、肉用牛肥育経営安定対策事業や加工原料乳生産者補給金制度を含め農家への支援を行っていますが、農家の生産費を確保するには厳しい状況にあり、経営安定対策の強化が必要と言えます。ついては、県としても制度の充実改善を国に求めるとともに、岩手県産畜産物の消費拡大への取り組みと、岩手ブランドの確立が一層求められると思いますが、その具体的取り組みをお伺いいたします。
 また、都市住民からの農村、漁村への関心の高まりの中で、農作業体験や農村文化への触れ合いを求めて、いわゆるグリーン・ツーリズムの交流が拡大しています。岩手の自然を、岩手の人柄を、岩手の産物をPRすることにより、ビジネスチャンスが大きく膨らみ、農村の活性化や所得の向上にもつながるものと思いますが、現状認識と、今後進めようとしている取り組みと、その目指すものを伺います。
 次に、林業振興について伺います。
 毎年、多額の予算を計上し、松くい虫被害の防除や被害木の除去等を進めてきました。そんな中で、このたび、県林業技術センターが、松くい虫被害の感染源であるマツノザイセンチュウに対し高い抵抗性を持つアカマツの品種改良に成功したとの朗報を聞き、改めて関係者の努力に対し敬意を表したいと思います。
 さて、国土の67%を占める森林が十分管理されず今日に至っていますが、地球温暖化対策や森林が持つ多面的機能が再認識され、森林に対する関心が高まっています。岩手県でも、県民の理解と協力により、いわての森林づくり県民税の活用でいわて環境の森整備事業を初め各種の取り組みを行い、来年度で5年目を迎えます。国でも、10年後の木材自給率50%を掲げた森林・林業再生プランを決定するとともに、林野庁は、公共建築物に国産木材の利用を義務化するため、国家機関の建築物2万施設を対象に、一定の国産材利用を義務づけることを内容とする新法を提出すると伝えられています。また、川上に当たる林業現場では、効率的な森林管理と伐採木の搬出を目的とした路網の整備にも力を入れたいとしています。
 そこで質問します。いわての森林づくり県民税の導入によって行われた事業の評価と、今後も継続するかどうか、お考えを伺います。県内自治体で、自治体内から生産される木材の住宅建設利用に当たって補助金等の奨励措置をしている事例がありますが、県でも県産材を使って住宅の新築、改築をする個人への補助制度を創設する予定と伺っていますが、その内容についてお聞きします。また、川上に当たる林業現場への支援はどのようになっているのでしょうか。
   〔副議長退席、議長着席〕
 県は、平成28年度の国体開催に当たって、運動公園内にドーム型屋内練習施設の建設を予定し、新年度予算で基本設計、実施設計等の経費を計上しています。去る9月15日、県議会議長、教育長等に森林・林業会議から施設の木造化についての要望がありましたが、この際、ドームの木造化についても検討してはいかがかと思いますが、教育長の所見を伺います。
 ことしの競馬は、3月の特別開催を残し、実質終了しました。最近の景気低迷の影響もあって売り上げは伸びず、2度の計画変更にかかわらず、計画比98.1%の売り上げとなりました。この結果、年間収支にそごが生じ、施設等の整備用としての基金の取り崩しと、広域受委託業務の収入増及び事業運営費等の見直しにより、かろうじて年間収支バランスを図るものであります。
 岩手競馬事業は、事業収益から構成団体に対し約407億円の配分金を交付し、まさに財政競馬としての役目を100%果たした歴史があります。また、これまでの間、競馬事業を通じて直接勝馬投票券の販売や、厩舎で勤務する厩務員、組合からの業務委託にかかわる社員等を加えると、雇用や地域経済に及ぼした効果ははかり知れないものがあったと思います。
 しかし、一方で、新盛岡競馬場建設費が当初計画の237億円から410億円に拡大したこと、その後の売り上げ減少や借入金残金を抱えている中での積立金の配分、さらには、平成12年度からの年度収支が赤字転落した際の構成団体からの分賦金拠出の不履行等により今日的課題を生じさせたものであって、その責任は非常に大きかったと認識しています。ついには累積欠損が330億円に膨らみ、平成19年2月議会において議論を重ね、年度内収支均衡を条件としての存続を決め、まさに薄氷を踏む思いで経営に当たってきたものと理解しています。そして、新年度には、地方競馬共同トータリゼータシステムの構築参加で、平成24年度以降、毎年度の費用軽減を、一方で、インターネットでの重勝式勝馬投票券の発売により売り上げの回復を図ろうとするものであります。地方競馬共同トータリゼータシステムの構築による岩手競馬の経費節減見込みをどのようにとらえ、新商品の中身と売り上げをどのように考えているのかお伺いします。また、厳しい県内の雇用環境で、国、県も重点施策として取り組んでいますが、今、競馬事業にかかわっての雇用実態をどのようにとらえていますかお伺いします。
 さて、岩手競馬事業は、引き続き存続すべきか、廃止か、あるいは規模を縮小した上での存続を考えるべきか、厳しい判断の時期を迎えつつあると思います。岩手競馬の2場体制では、維持管理固定費の縮減には限度があり、かつ景気低迷下での売り上げ回復は厳しいものがあり、抜本的な検討が避けられないと思っています。岩手競馬の管理者としての知事の所見を伺います。
 県教育委員会は、これからの学校整備の指針となる今後の高等学校教育の基本的方向案を公表し、本年度中に成案化し、おおむね10年後を見据えた実施計画、第2次県立高校整備計画の策定に入るとしています。今回示された案では、高校教育を取り巻く現状認識として、我が国の教育を取り巻く環境が大きく変わる中で、子供たちの間の人間関係を取り結ぶ能力の低下や規範意識の希薄、忍耐力、継続力の低下、自律性や学習意欲の低下などを指摘し、また、教育課程実施状況調査の結果として、授業がよくわかる、大体わかると回答した生徒がわずか4割にとどまり、加えて、体力の低下や食生活の乱れ、さらに、明確な進路意識を持たない生徒が増加していると述べています。そして、今後の岩手の高校教育が目指すものとして、高校時代は、知、徳、体を備え調和のとれた人間形成、言いかえれば自立した社会人としての資質を有する人材の育成期間と定義し、生徒が、自身の目標を達成できるよう教育環境を整備し、教育内容を充実させ、教育の質を保障するとともに、経済的理由や障害等の事情がある生徒に対しても、その能力に応じた教育を受ける機会を保障することが必要であると記述しています。
 さらに、今後の環境整備については、全体方針として、高校教育の質と機会を保障する教育環境を整備するとし、ブロックごとの生徒減少の状況や地域の実情も考慮しつつ整備を図るとしています。しかし、一方では、学級定員や学校規模についてはいわゆる高校標準法を引用し、学級定員数は40人、公立学校の規模は本校で240人、分校は全校で100人を下回らないことを強調されています。
 そこで質問します。子供たちの夢や目標を持ちにくくさせ、人間関係を取り結ぶ能力の低下や規範意識の希薄、忍耐力、継続力の低下、自律性や学習意欲の低下を指摘していますが、その原因をどのように分析され、どのように対策を講じられていますか。
 教育課程実施状況調査の結果、授業がよくわからないと答えた者が60%を超える状況であり、ゆゆしい事態であると指摘せざるを得ませんが、この対策としてどう取り組もうとしていますか、その目標点と到達時期をどのように設定しておられますか伺います。
 高校生の学力は小・中学校の延長であると思います。私は、平成20年6月議会の一般質問で、全国学力調査の結果を踏まえ、全国的比較や、特に秋田県に比べ岩手の成績が厳しかったことを指摘し、教育委員会としての対策を伺いました。それに対し教育長は、秋田県の強みは、小・中の接続を意識した授業の工夫や、授業を中心としながら課題の与え方を工夫した家庭教育を進めていることであり、今後の岩手の教育を進めるに当たって十分参考にしたいと述べられています。その後の取り組み状況と成果について伺います。
 次に、経済的弱者について触れられていますが、具体的にどのような支援策を考えていますか。
 高校の配置については、少子化が進む中で、一定の圏域内で、希望に応じて普通科、専門学科等を選択できることが可能であること、また、地域産業や地域振興に寄与する学科の配置が求められています。
 そこで伺いますが、ブロックによっては、高校標準法にかかわらず、1学級の生徒数及び学校規模を弾力的に扱い、地域の高校を存続し、生徒の経済的、時間的負担の軽減を図るべきと思うが、所見をお聞かせください。また、専門学科の配置についても、現状維持をすべきと思うが、いかがでしょうか。
 さて、昨年は雇用や経済など暗い1年であった中で、花巻東高校野球部の活躍は、我々県民に大きな勇気と感動を与えてくれました。その花巻東高校の佐々木監督を迎えての講演を聞く機会がありました。私は、佐々木監督は、野球の指導者である以上に、生徒に対し人生の目標設定やその具体的取り組みを自覚するような教育を進められるなど、今、教育界に求められている理想の教師像であり、その指導ぶりに感動いたしました。県立高校を初め小・中学校にも求められている教育者の姿だと思いますが、県教委として、教員養成の考え方と方策を伺います。
 次に、警察本部長に伺います。
 まず冒頭、平成20年度一般会計は、警察本部における不適正経理により決算認定されなかったことはまことに残念でありました。県警察には、県民からの信頼回復を得るための一層の努力をお願いしたいと思っております。
 さて、警察は、県民生活の安全・安心を図るため、犯罪の未然防止や取り締まり、交通安全対策等課せられた課題は大きいと思っております。
 最初に、交通事故の実態についてお聞きします。昨年は、警察の努力により交通事故発生件数は減少したものの、死者数が81人にふえました。この死者数の増加の原因と死亡事故の特徴をどのようにとらえているのでしょうか、また、今後の対策はどのように進められるのでしょうか伺います。
 次に、自動車運転免許取得における外国語表記学科試験について伺います。岩手県内には、平成20年12月末現在で6、400人余の外国人が登録されていると伺っております。そのうちアジア系が5、500人余、次いで南アメリカ系、北アメリカ系となっています。当然、多くの方が日本国内での車の運転の必要が生じ、新たに免許取得の機会を求めることになります。私は、以前の質問で、外国語表記による試験問題の実施を検討してはいかがかと述べたことがありますが、その後の取り組みと今後の見通しについて所見を伺います。
 次に、企業局の事業経営についてお尋ねいたします。
 このたび、企業局では、今後10年間の経営を見通した長期経営方針案と、その行動計画と位置づけた第3次中期経営計画案を公表しました。これまで、電気事業と工業用水道事業を通じて、地域振興や産業振興など県の施策と深くかかわりつつ、大きな役割を果たしながら着実に黒字経営を続けていると認識しています。特にも、電気事業における地域貢献や県財政への貢献は、現下の県の財政事情を勘案するとき、大きな支援になっているものと思っております。
 また、最近の地球温暖化対策の取り組みとして、風力や水力エネルギーの活用による発電が推進されています。去る10日には、八幡平市の北ノ又発電所と柏台発電所を結ぶ落差6メートルの導水路を利用した北ノ又第三発電所の運転を開始し、加えて、胆沢ダムからの流下水を利用して発電する胆沢第三発電所の建設が予定されているところであります。工業用水道事業についても、最近の景気低迷により需要量の増加は期待できないものの、引き続き安定した工業用水の供給に努めなければならないと考えています。
 そこでお尋ねします。長期経営方針で重視する5本の柱を掲げ、新規開発として地域エネルギーの活用や、地球環境保全に貢献するための新規水力開発及び風力などの新エネルギーの導入を推進するとしていますが、具体的計画を伺います。
 また、工業用水道の企業への供給過程の中で、配水池と供給先への落差を利用しての、いわゆるマイクロ水力発電の試みについて検討したことがありますか、あるいは自治体や民間が取り組む実証事業についての支援についてのお考えはどうでしょうか、お尋ねいたします。
 以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 新居田弘文議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、知事の県政推進への思いと予算編成についてであります。
 知事就任以来、岩手が置かれている現状に目を向けながら、何をなすべきかを県民とともに考え、行動してまいりました。
 この間、平成20年1月に策定したいわて希望創造プランに掲げた県民所得の向上、雇用環境の改善などの四つの重点目標の実現に向けた取り組みを進めてまいりましたが、一方で、2度にわたる大きな地震災害、また、世界的な経済危機に端を発した経済、雇用情勢の悪化、さらには、深刻さを増す地域医療の危機などの課題にも直面したところであります。
 こうしたさまざまな危機に立ち向かう中で、県民全体の前向きな姿勢と努力が、がんばろう!岩手運動や、また、地域医療を支える県民運動といった、そうした県民運動的な取り組みにも見られるようになってまいりました。
 また、希望あふれる岩手を実現していくための羅針盤となるいわて県民計画を、県民の幅広い参画をいただきながら策定し、岩手の将来を見据え、具体的に取り組むべき課題を明らかにしてきたと思います。
 平成22年度の当初予算案は、この新しい長期計画、いわて県民計画の具体的な推進に向けて、まずは喫緊の課題である雇用対策や地域経済の底上げに意を注ぎつつ、ゆたかさ、つながり、ひと、この三つの視点をそれぞれはぐくむ基盤形成を進めていく、希望維新、希望郷いわて元年予算と位置づけ、必要な事業を盛り込んで、平成21年度当初予算を大幅に上回る積極型の予算編成を行いました。平成22年度は、希望郷いわての実現に向け、力強く一歩を踏み出す1年としたいと考えているところでございます。
 次に、地方交付税の増額についてであります。
 平成22年度の地方財政対策では、地方交付税総額が約16.9兆円と前年度と比較し約1.1兆円が増額され、臨時財政対策債を加えた実質的な地方交付税総額としては約24.6兆円、前年度と比較して約3.6兆円の増額が確保されたところであります。
 この約24.6兆円は過去最高の額であります。厳しい地方税収の減少に的確に対応し、また、三位一体改革による地方交付税の削減、地方経済の低迷、そうした結果、疲弊してきた地方財政に配慮し、かねてから強く訴えてきた地方交付税の復元、増額の要請にこたえたものであって、高く評価するところでありますが、一方、過去に失われた地方交付税の完全な復元までには至っていないというものであります。
 真の地域主権確立のためには、地方がみずからの創意工夫によって、それぞれの実情に合った住民本位の施策を十分に展開できる財源の充実が何よりも肝要と考えております。
 平成23年度からの導入が予定されている一括交付金、また、地方交付税の総額の確保など、今後、議論がなされる地方税財政制度改革に対して、こうした地方の考え方が反映されるように、全国知事会とも連携しながら、あらゆる機会を通じて国に対して提言や要請を行ってまいる考えであります。
 次に、地方行財政検討会議についてであります。
 地方行財政検討会議は、地域主権の確立を目指した地方自治法の抜本的な見直しの案を取りまとめるということで、原口総務大臣を議長として総務省に設置されたものであります。昨年12月、原口総務大臣から私にメンバーとして参画の要請があり、お受けいたしました。
 真の地域主権改革は、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決め、活気に満ちた地域社会をみずからの手で構築していく、そういう社会を確立することと考えておりまして、検討会議においては、住民が真の主権者となって、地方自治の本旨が全うされるような地方自治法の改正に向けた議論が行われるように、全国知事会とも連携をしながら意見を申し上げていきたいと考えております。
 また、地方行財政のあり方については、国と地方のあるべき姿を見据えながら、国から地方への権限移譲、地方税財政制度の改革など、地方の自立につながる制度として確立されていくべきものと考えております。
 次に、長期的視点に立った財政運営計画についてであります。
 1兆4、000億円台まで増加した県債残高の水準、これが、本県の財政運営上の大きな課題の一つとなっていることについては、強く認識しているところでございます。
 平成22年度当初予算におきましては、将来の負担を過度に増加させないよう、臨時財政対策債を除いた県債発行額については、これを縮減するなど、財政の健全化に向けた道筋にも配慮しつつ編成したところでありまして、今後においても、県債残高の規模を中長期的に抑制していくことを目指して、県として主体的に管理可能な地方債については、引き続き、その発行規模を適切に管理していくことが重要と考えております。
 昨年9月に作成した収支見込みにおきましては、今後、公債費が高水準で推移することなどによりまして、平成23年度以降、毎年度大幅な収支ギャップが生じる見込みとなっています。今後、平成23年度以降のアクションプランを策定する中で、この収支ギャップの解消に向けた具体的な対応が検討されていくこととなりますが、これまでの歳入、歳出両面にわたるさまざまな取り組みに加えまして、力強い経済社会構造を構築するということ、そして、多様な主体による公共サービスを担う仕組みづくりを図るということなど、あらゆる取り組みを通じて、持続可能な財政構造の構築に向け全力を傾注していく考えであります。
 また、厳しい県財政の状況について、県民の皆さんに積極的な情報提供と情報共有を行い、限られた財源の中で魅力的で住みよい地域づくりを進めるため、行政とともに地域づくりを担っていただくなど、地域社会を構成するさまざまな主体の総力を結集して、ともに地域課題の解決に当たっていく考えであります。
 次に、岩手競馬についてであります。
 まず、地方競馬共同トータリゼータシステムについてでありますが、これまで各地方競馬主催者が個別に運用してきたトータリゼータシステムを、全主催者が共同して構築するものであります。
 その整備に係る経費については、地方競馬全国協会から5分の4が補助されます。運用経費についても、共同化のスケールメリットによるコスト低減が図られまして、合わせて年間でおおむね1億5、000万円程度の経費が節減される見込みです。
 インターネットでの重勝式の発売についてでありますが、これは、1日のレースのうち、後半5レースの1着をすべて当てるもので、その特徴としては、的中者が出なかった場合に払戻金を持ち越す、いわゆるキャリーオーバーが発生すること、また、購入する馬番号の組み合わせは、コンピューターが自動的に選択することなどから、これまで競馬になじみのなかったお客様も気軽に楽しめるものとなっており、新規ファンの獲得と売り上げの増加につながるものと期待しております。
 その売り上げについては、既に発売を開始している他の地方競馬での発売動向などから、年間で約1億6、000万円と見込んでおります。
 次に、競馬事業にかかわる雇用の実態についてであります。
 平成21年4月時点での関係者数は、組合、公社の職員及び投票従事員や調教師、騎手、厩務員といった厩舎関係者を合わせますと約1、000人、それに取引先企業や競走馬の輸送、そして食堂関係者などを含めますと1、400人を超える方々が、岩手競馬にかかわる仕事に従事しています。
 このように、岩手競馬は、厳しい県内の雇用環境の中にあって、地域における大きな経済主体としての活動を通じて、継続的に多くの雇用を支える重要な地域産業であり、県経済に大きく寄与しているものと認識しております。
 次に、競馬事業の抜本的な検討についてであります。
 岩手競馬は、今申し上げましたとおり、多くの雇用を確保し、重要な地域産業として県経済に寄与しています。
 また、岩手競馬の継続により、時間はかかるにせよ、構成団体融資の元金の返済や、廃止の場合の県民、市民の負担の回避につながりますことから、今後とも、競馬事業を継続させていかなければならないものと認識しております。
 岩手競馬を将来にわたって継続、発展させていくためには、堅実な改革、改善の取り組みと並行して、売り上げの確保や低コスト構造への転換に向け、抜本的な改革の手法や各主催者間の連携強化の取り組みも含め、今後の岩手競馬の事業運営のあり方全般についての検討も進めていかなければならないと考えています。
 1場体制への移行については、これまでのプロジェクトチームにおける検討結果では、解決すべき課題が多いとの結論になっていますが、岩手競馬の存続をより確かなものにするための方策については、さまざまな検討を進め、持続可能な岩手競馬の構築につなげていきたいと考えます。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔環境生活部長松川求君登壇〕
〇環境生活部長(松川求君) 県のCO2排出量の削減目標の達成状況についてでありますが、本県のCO2排出量は、直近のデータであります平成18年が1、358万5、000トンで、基準年であります平成2年に比べ5.5%増加しており、8%削減の目標達成のためには、平成22年までに173万8、000トン以上の削減が必要な状況になっております。
 増加した要因についてでありますが、基準年から増加しておりますのは、家庭部門の33.7%増で、これは、世帯数増加等に伴う電力需要や灯油使用量の増などによるものであり、次いで、小売業などの業務部門が26.0%増となっておりますが、これは、売り場面積の増加等による電力需要の増が主な原因となっております。
 目標年であります新年度におきましては、これまでのエコライフの普及啓発や、いわて地球環境にやさしい事業所認定制度による取り組みなどに加え、温暖化防止いわて県民会議を中核としたエコドライブや減クルマ、ライトダウンなどのキャンペーンを県民運動として展開するほか、地球温暖化対策等推進基金を活用した新エネルギー導入の支援などの取り組みを行い、目標を達成してまいりたいと考えております。
 また、一事業者としての県の削減目標と達成状況についてでありますが、県では、岩手県地球温暖化対策等実行計画を策定し、平成22年度までに温室効果ガス排出量を平成15年度に比べ10%削減することを目標に、節電や重油使用量の削減、エコドライブの推進などの取り組みを進めてまいりました。
 そうした結果、平成20年度の温室効果ガス排出量は、基準年である平成15年度に比べ7.4%減少しておりまして、順調に削減が図られていると考えております。
 目標年度であります新年度におきましては、岩手県エコマネジメントシステムの取り組みの徹底を図り、確実に目標を達成してまいりたいと考えております。
 次に、環境対応車導入促進事業についてでありますが、この事業の実績につきましては、昨年7月7日から8月11日まで申請受け付けを行い、ハイブリッド車830台を含む環境対応車6、301台の導入に支援いたしました。
 この事業により約3、000トンの二酸化炭素の排出削減が見込まれますとともに、県内への経済効果は、直接県内需要約44億円が見込まれ、それにより約68億円の生産が誘発されたと見込んでおります。
 次に、国の補助事業の継続延長への対応についてでありますが、県が環境対応車導入促進事業を開始した昨年7月は、乗用車の新車登録台数が対前年同月比8.5%の増、8月は59.4%の増とその効果が見られたのでありますが、県事業の申請受け付けが終了した9月以降も、対前年同月比約30%増から50%増で推移しておりまして、当初の事業目的は達成されたと考えております。このことから、国の取り組みに呼応した県事業の実施は、予定していないところでございます。
 次に、電気自動車の実証事業の取り組みについてでありますが、国では、昨年度、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車の本格普及に向けた実証実験を行うEV・pHVタウン構想を策定し、モデル地域の公募を行い、青森県など8都府県をEV・pHVタウンに選定したところであります。
 選定された8都府県では、今年度末までにマスタープランを策定し、国では、このマスタープランをもとに、ベストプラクティス集を策定し、他の地域でも適用可能な事例集として公表することとしております。
 また、その後の2次的な募集については、いまだ具体的な内容が示されていないところでございます。
 電気自動車につきましては、御指摘のとおり、二酸化炭素の排出が少なく、本県におきましても、新エネルギービジョンにおいてクリーンエネルギー自動車として位置づけ、普及啓発を図ってきておりますが、1回の充電で走行できる距離が短く、長距離走行には充電設備が必要などといった普及上の課題がございます。
 こうしたことから、本県といたしましては、次世代自動車に係る国の施策の動向を注視しつつ、国が策定するベストプラクティス集などを参考に、今後の普及啓発に役立ててまいりたいと考えております。
 次に、新エネルギーの利用についてでありますが、県では、新エネルギービジョンにおいて、平成22年度までに、太陽光発電は8万7、000キロワット、風力発電は5万キロワット等の目標を掲げ、これまで新エネルギーに係るセミナーの開催や国の支援制度の紹介などの普及啓発を行ってまいりました。
 その結果、平成20年度末の達成状況は、太陽光発電は21.5%、風力発電は134.2%、水力発電は96.3%であり、電力利用全体としては85.1%の達成状況となっております。
 今年度は、住宅用太陽光発電の導入に対し、国の補助制度と一体的に支援を行ったところであり、昨年度と比較して3倍程度の導入が見込まれ、太陽光発電の達成率は、今年度末で10%程度上昇する見込みでございます。
 新年度におきましては、普及啓発の取り組みに加え、公共施設や民間施設への新エネルギーの導入促進を図る地球温暖化対策等推進事業や木質バイオマスを活用する緑のクレジット創出促進事業等を実施し、新エネルギー利用の促進を図ることといたしております。
 また、洋上風力発電については、新年度、海洋研究拠点形成促進事業において、研究会を設置し、洋上風力や波力など海洋再生可能エネルギーの利用可能性に関する調査研究を行うこととしております。
 新エネルギーの利用は、本県に豊富に存在する資源を活用して、地域活力の向上や低炭素社会への転換を進めるものであり、今後とも、その導入を積極的に促進してまいります。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) 戸別所得補償モデル事業についてでありますが、まず、米戸別所得補償モデル事業の交付見込み額については、国では、4月からモデル事業の加入受け付けを予定しており、交付額は、対象面積などが明らかになる6月以降確定いたしますが、仮に平成21年産の水稲共済加入状況をもとに試算しますと、定額部分の交付金額は約74億円と見込まれます。
 また、水田利活用自給力向上事業の交付見込み額は、現在、農業者は平成22年産の営農計画を検討している段階ですので、仮に実績が確定した平成20年産と同じ面積として試算しますと、激変緩和調整枠の金額8億2、900万円を加え約77億円と見込まれ、これは、平成20年度産地確立交付金の交付実績72億円より約5億円の増加となります。
 県全体の交付額は、この試算によれば、合わせて約151億円が見込まれ、農家の収入は、平成20年度に比較して約79億円の増加となるものであります。
 次に、激変緩和措置の効果についてでありますが、水田利活用自給力向上事業で示された全国一律の交付単価では、本県においては、飼料作物や飼料用米等は増額となりますが、麦、大豆や園芸作物、雑穀等は減額となり、これら作物の生産振興への影響が懸念されていたところであります。
 このため、国において激変緩和対策として、作物間での交付単価の調整や、これによっても減少を埋められない場合の調整枠が設けられ、国と協議の上、県において単価の調整等を行うこととされたことから、現在、農家や産地への影響が最小限にとどまるよう、国との協議を進めております。
 この激変緩和措置により、県内各地域では、おおむね現行水準が確保され、これまで推進してきた麦、大豆の団地形成や、園芸作物や雑穀等の産地づくりなどが継続され、安定的な生産体制の維持につながるものと考えております。
 次に、畜産農家の経営安定対策についてでありますが、現下の厳しい経営環境の中で畜産経営の安定化を図るためには、国の畜産経営安定対策の充実強化が必要と考えております。
 このため、県としては、昨年9月と12月に緊急提言を行うなど、国に対して、経営安定のための施策を提案してきたところであります。
 国は、2月24日に平成22年度の経営安定対策等を決定いたしましたが、肉用牛や肉豚の経営安定対策の継続実施などが措置されたところであり、今後は、これらの対策を積極的に活用するとともに、畜産、酪農の所得補償制度なども含め、本県畜産農家の経営安定に必要な施策について、生産者等の意見も聞きながら、引き続き国に提案してまいります。
 また、岩手産畜産物の消費拡大とブランド化については、これまで、首都圏などでのホテル等と連携した販路開拓や、生産者団体と連携した消費拡大キャンペーンなどに取り組んできたところであります。
 今後は、こうした取り組みに加え、安全・安心やおいしさに徹底的にこだわったプレミアム商品の開発などや、食産業や観光と連携した積極的な情報発信に取り組み、官民一体となって岩手ブランドの確立に努めてまいります。
 次に、グリーン・ツーリズムの推進についてですが、本県におけるグリーン・ツーリズムは、都市住民の交流や体験に対するニーズの多様化、体験型教育旅行の増加などから、交流人口が増加傾向にあり、受け入れ体制の整備や本県らしい体験プログラムの提供が求められていると認識しております。
 そのため、今後は、受け入れ農林漁家に対する安全衛生管理研修の実施や体験インストラクターなどの育成、岩手ならではの体験プログラムの充実を図るとともに、障がい者等の方にも来ていただけるような交流モデルを構築し、首都圏等に向けて積極的な情報発信に取り組んでまいります。
 今後とも、本県の多彩な農林水産物や、地域に根差した文化等の地域資源を生かしながら、グリーン・ツーリズムがアグリビジネスの一分野として発展し、地域の振興と活性化につながるよう取り組んでまいります。
 次に、いわての森林づくり県民税の事業の評価についてでありますが、管理不十分な森林を間伐し、針広混交林に誘導する事業については、平成18年度からの4カ年で、全体計画7、500ヘクタールの約7割に当たる森林を確保し、おおむね計画どおりの整備が行われているところであります。
 外部有識者等で構成される事業評価委員会からは、放置されていた森林が着実に整備され、公益的機能の発揮が期待されるなどの評価をいただいているところであります。
 また、地域住民等の森林づくり活動の支援や小・中学生等を対象に学習機会を提供する事業では、4カ年で約2万人の県民の皆様の御参加をいただいており、森林環境保全に対する県民の参画と理解醸成が進んだところであります。
 平成23年度以降の制度の継続については、これまでの事業の評価や県議会での質疑、県民アンケートの結果等を踏まえ、事業評価委員会では、継続することが適当との御意見が数多く出されているところではありますが、委員会として年度内に一定の方向性について提言していただく予定となっております。
 その提言結果等を踏まえながら、さらに県議会や県民の幅広い御意見をお聞きし、継続の可否等について検討してまいります。
 次に、林業現場への支援についてでありますが、本県の森林資源は成熟しつつあり、この資源を山村地域の所得向上につなげることが喫緊の課題となっており、木材生産の低コスト化を早急に図る必要があると考えております。
 このため、森林整備加速化・林業再生基金事業や国の交付金事業を活用し、低コストな木材生産に不可欠な高性能林業機械の導入や、作業道等の林内路網の整備に対して支援を行っております。
 また、この基金事業では、間伐経費に対しても定額の助成を行っており、創意工夫次第で森林所有者の負担なしに間伐を行うことができ、所有者への利益還元につながっております。
 今後とも、山村地域の所得向上と木材生産の拡大を図るため、林業現場に対し、こうした支援を総合的に講じてまいります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 県産材使用住宅への補助制度についてでありますが、来年度予算に住みたい岩手の家づくり促進事業として、個人住宅の建設に対する助成制度を提案しております。
 具体には、高い省エネ性能を備え、かつ、県産材を使用した住宅の新築、増改築に対し、住宅ローンの利子額の一部を補助しようとするものでございます。
 その額は、新築住宅で県産材を10立方メートル以上20立方メートル未満使用した場合、借入金2、000万円を上限として、その1%の最大20万円を助成し、また、県産材を20立方メートル以上使用した場合は、さらに10万円を上乗せ補助するとしています。
 また、増改築に当たっては、床面積1平方メートル当たり0.1立方メートル以上県産材を使用した場合、借入金1、000万円を上限として、その1%の最大10万円を助成するとしています。
 この事業は、大幅な住宅着工の落ち込みを踏まえ、本県の林業振興や県内工務店の活性化につながる取り組みとして実施しようとするものであり、国の住宅版エコポイントと連動することで、住宅建設の需要喚起や県産材を活用した省エネ住宅の普及促進に効果が上がるものと考えております。
   〔企業局長千葉勇人君登壇〕
〇企業局長(千葉勇人君) まず、水力発電等の新規開発事業についてでありますが、局の長期経営方針では、地球温暖化対策や、地域にあるエネルギー資源を有効に活用するためにも、水力発電については、開発候補地点の詳細な調査を進め、補助金等を活用しながら積極的に推進していくこととしております。この具体的な取り組みとしては、まず、来年度建設に着手する胆沢第三発電所に続く新たな開発地点を確保する必要があります。次期候補地点として調査をしてきた雫石町有根沢等はコスト面から進展が図れないため、ほかにも候補地を探すこととし、来年度から県内数カ所で調査に入る計画であります。
 また、風力発電については、民間事業者の活発な取り組みをも考慮し、県北地域で調査を行っている事業者等と情報を交換し合いながら、さらに開発が進むよう努めてまいります。これら開発の可否は主にコスト面にありますが、現在、国において、太陽光発電以外の新エネルギーについても固定価格買い取り制度を検討中でありますので、その動向を的確にとらえながら可能性を追求し、新たな開発に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、マイクロ水力発電への取り組みについてでありますが、マイクロ水力発電は、地域にある既存施設の未利用落差を有効に活用できる新エネルギーとして期待されているところではありますが、工業用水道への落差を利用した発電所の設置は、ユーザーへ供給する水圧が減少してしまうことなどから、適さないものと考えております。
 なお、企業局としましても、こうした資源に着目して事業化を図っており、今月10日に運転を開始した北ノ又第三発電所はこの第1号となります。来年度はダムの維持流量を利用した小水力の胆沢第四発電所の建設計画を進めてまいります。
 また、自治体等への支援としましては、これまでも、例えば八幡平市の農業用水路でのマイクロ水力発電計画等に職員を派遣して技術的支援を行ってきたところであり、今後とも、ノウハウを生かし、県内に新エネルギーの普及が進むよう市町村等を支援してまいりたいと考えております。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、多目的屋内練習施設の木造化についてでありますが、多目的屋内練習施設の整備については、現在、学識経験者など15名で構成する多目的屋内練習施設等整備基本構想検討委員会において、施設のあり方に関する基本的な考え方を協議しており、今年度中に基本構想などの取りまとめを行っているところであります。この委員会においてさまざまな議論がなされておりますが、建設に当たっては、地盤の関係から、くい打ち等の基礎工事や医・科学サポートセンターに係る設備整備等にも相当の経費が見込まれること、あるいは国体開催に向けた競技力向上に寄与するために、できるだけ早期に供用開始するためにはどのような整備方法が妥当かについて検討を重ねているところであります。
 議員から御提言のありました木造化や県産材の利用については、林業関係団体からも強く要望を受けているところでありますが、経費、工期の課題がある中で、県産材をどのように利用していくかについては、平成22年度の基本設計作業を通じてさまざまな角度から検討してまいりたいと考えております。
 次に、子供たちの人間関係を取り結ぶ能力の低下などについてでありますが、第2次県立高等学校長期構想検討委員会の報告の中で、国際化や情報化、グローバルな経済競争を背景とした就労環境の変化や、それに伴う将来に対する不安感の拡大、家族形態の変化など、我が国において進むさまざまな社会の変化が背景にあると御指摘をいただいたところでありますが、その要因を特定することはなかなか困難であると認識しております。
 このような状況において、高校教育の目的である自立した社会人としての資質を有する生徒を育成するために、今後とも、生徒一人一人に対して、生活面や学習面における基礎、基本や、それらを活用する力、コミュニケーション能力など社会の変化に柔軟に対応する能力などをはぐくむとともに、本県の人づくりの土壌の中ではぐくまれてきた資質をさらに伸ばし、目標に向かって堅実に努力する姿勢や態度を身につけさせるため、教育内容の充実や教員の資質、能力の向上、学校経営等の充実などの取り組みを進めてまいります。
 次に、授業の理解度についての対策と学力向上についてであります。
 まず、授業の理解度についての対策ですが、平成17年実施の文部科学省による高等学校教育課程実施状況調査によれば、全国の傾向として、授業がよくわかる、大体わかる生徒の割合が41.3%で、平成15年実施の同調査よりも3.3%増加しているところであります。
 高校生の授業に対する理解度については、本県独自で調査を実施したことはないことから、改めて、来年度調査する予定としております。高等学校は、それぞれ教育課程が異なるため、その結果を一律に評価することに難しさはあるものの、その調査結果を分析した上で、目標点及び達成時期等について検討してまいりたいと考えております。
 また、学力向上については、今年度、学校教育室内に学力・授業力向上担当を設置し、中学校、高等学校の戸別訪問や授業力向上セミナーなどを通じて教員の授業力向上を図る一方で、授業とリンクした宿題の工夫など、家庭学習のあり方について各学校にその趣旨を徹底し、学力向上の取り組みを進めているところであります。
 次に、経済的弱者への支援についてでありますが、高校教育を進めるに当たり、通学費負担の増加など経済的な理由により、高校教育を受ける機会が制限されることがないよう、現行の奨学金制度の活用や、来年度から実施される公立高校授業料の実質無償化など国の施策の影響や効果を見据えつつ、来年度には措置されなかった給付型の奨学金制度の創設などについても国に要望しながら、適切に対応していく考えでございます。
 次に、地域の高校存続と専門学科の配置についてでありますが、公立高校における学校規模や学級編制については、検討委員会においてもさまざまな議論があり、また、地域説明会においても強い要望があることは承知していますが、均質な教育を提供していく上でも、ある程度の基本原則が必要と考えております。その標準は、高校標準法により定められているところであり、原則として、この高校標準法を基本とすることが適当であると考えております。しかしながら、現在、この標準法について、国は見直しの作業に入っていると聞いており、今後、国における学級編制の見直し、あるいは地域での論議を十分に見きわめていく必要があると考えております。
 また、今後の県立高校や学科の配置については、検討委員会の報告を踏まえながら、県の産業振興施策の方向性や産業界のニーズ、中学生の志望動向、高校卒業後の進路状況等を踏まえ、さらに各ブロックの産業構造や地域特性にも十分留意しながら検討することとしており、具体的な配置については、来年度おおむね1年余をかけて、地域と十分意見交換を行いながら総合的に検討してまいりたいと考えております。
 次に、教員養成に当たっては、学校現場において児童生徒に向き合いながら、個々の児童生徒の特性を伸長し、適切に指導ができる教員を養成していくことが必要と考えております。このため、学校現場における実践的な指導力を研さんできるよう、特に指導力のすぐれた教員を平成18年度から指導教諭として学校に配置し、指導体制の強化を図ったところであり、また、授業力の向上を目指して従来の研修体系を見直し、授業力向上研修を新たに実施し、さらには大学院等への長期派遣研修を引き続き行い、教員としてのキャリアや職務能力などに応じて、適切な時期に必要な研修の機会を確保できるように努めているところでございます。今後とも、教員の資質の向上に向けた取り組みを一層進めてまいりたいと考えております。
   〔警察本部長保住正保君登壇〕
〇警察本部長(保住正保君) 交通事故の実態についてでありますが、議員御指摘のとおり、昨年の本県における交通事故は、発生件数、負傷者の人数とも、前年と比較して減少しました。一方、死者数につきましては、前年比12人増の81人となったところであります。
 一昨年と比較して増加した主な要因としては、高速道路で3人が死亡する事故が発生するなど、複数の方が亡くなられた事故が2件から7件に、死者数が4人から15人と大幅に増加したこと、高齢ドライバーが主な原因をつくった事故における死者数が14人から25人と約79%も増加したことなどが挙げられます。また、交通死亡事故の特徴としては、高齢者の死者数が46人と全死者数の57%を占めていること、時間帯別では22件、約30%が午後4時から8時までのいわゆる薄暮時間帯に発生していること、法令違反の形態別では、前方不注視による事故が29件、約40%を占めていることなどが挙げられます。
 こうしたことを踏まえまして、本年は、高齢者の交通事故防止対策、速度抑制対策、薄暮時間帯の交通事故防止対策、各地域の交通事故の分析結果に基づく交通事故防止対策の推進を重点として、悲惨な交通事故の抑止に努めてまいりたいと考えております。また、ランブルストリップスを初めとした交通安全施設の整備や交通安全の広報啓発につきましても、道路管理者や市町村、交通安全協会などの関係機関、団体と連携して取り組んでおり、今後ともこれらの諸対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
 次に、外国語表記による学科試験実施の取り組み状況についてでありますが、英語表記による学科試験を昨年12月15日から実施しております。具体的には、県警察の自動車運転免許試験場及び各運転免許センターにおける普通第一種免許試験及び普通仮免許試験並びに各指定自動車教習所における普通仮免許試験において英語表記問題を導入いたしました。
 これまでの実施状況につきましては、実人員で申し上げますと、昨年12月から本年2月14日までの2カ月間で、普通第一種免許試験を英語で受験した外国人の方はお一人、指定自動車教習所で普通仮免許試験を英語で受験された外国人の方は2人となっております。この間、日本語表記の問題で受験をされた外国人の方は、各試験につきまして24人及び8人となっております。今後、英語表記による試験につきましては、本制度が広く関係者に対して周知され、さらに活用されますよう、広報活動を強化してまいりたいと考えております。
   日程第2 議案第44号平成21年度岩手県一般会計補正予算(第6号)から日程第27 議案第69号県立学校授業料等条例の一部を改正する条例まで
〇議長(佐々木一榮君) 次に、日程第2、議案第44号から日程第27、議案第69号までを一括議題といたします。
 提出者の説明を求めます。菅野総務部長。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) ただいま議題とされました各案件について御説明申し上げます。
 議案第44号は、平成21年度岩手県一般会計補正予算(第6号)であります。これは、6月及び9月の各補正予算に引き続き、地域経済の下支えを行うための事業について、国からの交付金の活用などによる補正予算を編成するとともに、事業費の確定等により整理を要する予算について、所要の調整を行おうとするものであります。これらの結果として、総額158億17万円を増額補正するものであります。
 増額補正の主なものは、地域クリーンエネルギー資源調査費1億1、785万円余、地域医療再生臨時特例基金積立金50億58万円余、医療施設耐震化臨時特例基金積立金24億5、370万円余、緊急雇用創出事業臨時特例基金積立金37億3、177万円余、林建共働型林内路網整備事業費補助1億9、600万円、公営住宅建設事業費8億936万円余、産業教育設備整備費3億7、936万円余等でございます。また、減額補正の主なものは、企業立地促進資金貸付金20億9、946万円余、河川等災害復旧事業費30億8、560万円余等であります。
 次に、繰越明許費の追加は、緊急地方道路整備事業等186事業に係る予算を翌年度に繰り越して使用しようとするものであります。
 次に、債務負担行為の追加及び変更は、林業地域総合整備事業等20件を新たに追加するとともに、9件について限度額等の変更を行おうとするものであります。また、地方債の追加及び変更は、減収補てん債を新たに追加するとともに、12件について起債の限度額を変更しようとするものであります。
 議案第45号から議案第58号までは、平成21年度岩手県母子寡婦福祉資金特別会計等11特別会計及び3企業会計の各補正予算でありますが、これらは、それぞれの事業計画等に基づいて所要額を補正しようとするものであります。
 議案第59号から議案第62号までの4件は、建設事業等に要する経費の一部負担の変更に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第63号、議案第64号、議案第68号及び議案第69号の4件は条例議案でございますが、これらは、地域医療再生臨時特例基金条例及び医療施設耐震化臨時特例基金条例を新たに制定するとともに、岩手県県税条例及び県立学校授業料等条例の一部を改正しようとするものであります。
 議案第65号は、建設工事の請負契約の締結に関し議決を求めようとするものであります。
 議案第66号及び議案第67号は、損害賠償請求事件に係る和解及びこれに伴う損害賠償の額を定めることに関し、それぞれ議決を求めるものであります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議の上、原案に御賛成くださいますようお願い申し上げます。
〇議長(佐々木一榮君) 以上をもって本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時52分 散 会

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