平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇22番(嵯峨壱朗君) 自由民主クラブの嵯峨壱朗でございます。今年度2度目の一般質問をさせていただきます。
 まず、知事の基本姿勢についてお尋ねいたします。
 初めに、新政権発足後の政治状況に関連してお伺いいたします。
 昨年、多くの国民の期待を受けて政権交代がなされました。さまざまな理由が取りざたされました。年ごとにかわる総理大臣に代表されるような、長年続いた自民党政権への不信と戦後の政治行財政構造の制度疲労への不十分な対処などなど。私自身も、根本的な改革が進まず、適切な景気対策もとることができず、さらには、一掃すべきはずの古い自民党的体質に対しても抜本的な対策を打てず、旧来の意識変革もできずに自民党みずから導いた結果でもあったと考えております。
 多くの国民の支持を受けて誕生した民主党を中心とした連立内閣ですが、事業仕分け、コンクリートから人へといった限られた予算配分の抜本的な見直し、さらには、天下りの根絶、公務員制度の根本的な改革など、期待された改革には枚挙にいとまがありません。
 私は、こうした国民の新政権への期待の中で最も大きなものは、古い自民党的体質との決別ではなかったかと考えております。小泉改革も、自民党をぶっ壊すといって、古い自民党的体質を抜本的に見直すことで党改革を断行しようとしたわけでありますが、中途半端に終わり、その後の歴代総理は、組織の維持に力を注がざるを得なかったため、根本的な改革から遠ざかってしまいました。改革道半ばとはいえ、自民党の中でも古い体質との決別が最大の課題でありました。
 国民は新政権に対して、利益誘導型政治、金と政治の問題、いわゆる族議員と官僚と業界との癒着、こうしたさまざまな課題との決別を最も求めていたのではないかと思っております。
 しかるに、昨年来の民主党首脳を中心としたいわゆる政治と金の問題がクローズアップされ、新政権が持つ、あたかも先祖返りしたかのような古い自民党的体質を目の当たりにして、私自身も、期待感があった分、非常に残念でなりません。
 こうした新政権発足後の政治的な状況を知事はどのようにとらえているのでしょうか。本来目指すべき新政権の方向性とは異なっているのではないでしょうか。知事の所見をお伺いしたいと思います。
 次に、県と市町村の関係のあり方についてお尋ねいたします。
 平成の大合併を受けて、昨年から多くの市町村で首長や議員の選挙が行われております。こうした中で、12月25日の河北新報において、久慈市長選について、今後は、振興局じゃなくて市長養成機関と呼んだほうがいいかなと自嘲気味だとか、民主党と知事は、首長に県幹部を送り込み、県下の首長を支配しようとしている。民主が県を思うように動かす現状は、我々には迷惑だ、といった県幹部の発言を取り上げておられました。
 こうした発言自体問題であろうし、事実とすれば、大変ゆゆしき事態だと考えております。県幹部のこうした発言について、知事はどのように考えているのでしょうか。
 また、私は、知事の日ごろの政治スタンスからは、決してそうした事実はないものと思うわけでありますが、知事が実際にそのような想定のもとに市町村長候補の擁立にかかわっているとするならば、大変な問題だと考えますけれども、いかがでしょうか。
 さらには、新政権の目指す地域主権というのでしょうか、そうしたかかわりから見て、県が市町村をコントロールするのではなく、重要なパートナーとして市町村を尊重して行政を進めていくべきと考えますが、県と市町村との関係のあるべき姿についてお尋ねいたします。
 次に、希望郷いわての考え方についてお伺いいたします。
 知事は、3年前の知事選におけるマニフェストを出して以降、希望創造プランを初め、今回の県民計画においても、また知事演述においても、危機を希望に変える、希望あふれる岩手の未来などと、きのう、平沼議員が代表質問で指摘したように、希望という言葉を多用しております。キーワードもしくは県民計画の基本理念をあらわす象徴的な言葉として使用しております。
 東京大学社会科学研究所の希望学プロジェクトチームによる希望学に関する研究成果が、希望学という冊子になって出版されております。これとあわせて知事演述を何度か読み返したわけでありますが、なかなか趣旨をつかみかねておりました。
 そこで、改めてお尋ねいたします。知事の言う希望郷いわての希望とは、どのような意味なのでしょうか。また、知事の言う希望郷いわてとは、どのような岩手なのでしょうか。改めて御説明願いたいと思います。
 次に、4広域振興局体制についてお尋ねいたします。
 来年度から新たに4広域振興局体制に移行するわけでありますが、私は、広い県土、それぞれ違った風土、歴史を持つ岩手県を四つの広域圏に分けること自体に無理があると今でも考えております。
 例えば盛岡圏域は、県都盛岡もあれば、過疎地、中山間地域もあります。統計をとれば、例えば医師数、そして必要病床数など、それぞれの地域の実態を反映せず、典型的に矛盾を生じるものが多々あると考えております。正確な地域の実態を把握できずに、実態に即した適切な政策、行政運営が可能なのか疑問に感じております。そうした中、基礎的自治体であります市町村と振興局との緊密な連携がより重要なものとなってくると考えております。
 そこでお伺いいたします。4広域振興局体制による運営について、政策調整会議を4広域振興局で設置すると報道されておりましたが、既に設置されている県南広域振興局における政策調整会議のこれまでの成果と課題についてお尋ねいたします。
 また、広域振興局長は、4名とも部長級の重要な幹部職員になるとのことですが、権限や責任はこれまでの地方振興局以上に重いものとなれば、それぞれの地域での県の意向が強まるのではないかとの懸念があると言われております。いわゆる地方分権、地域主権といった方向性と逆行するといった心配はないのでしょうか。
 そこで、県、市町村、住民と一体となった行政運営、地域経営を実現させるためにも、政策調整会議等でその議論を住民にも明らかにしながら、地域振興施策を展開していくべきと考えるわけでありますが、政策調整会議のあり方はどうなるのかお尋ねいたします。
 次に、医師確保対策の取り組みについてお尋ねいたします。
 近年深刻化する医師不足、医師の偏在、医師の専門化、特定診療科目の極端な不足等、多くの医師確保に関する課題がクローズアップされてまいりました。特に、県立病院を初めとする勤務医の厳しい勤務環境など、現在の県立病院を核とする岩手県民の安心医療の維持に困難を来すほどに深刻な状況になってまいりました。
 このような状況で、岩手県及び県内市町村では、将来、県内の県立病院及び市町村立病院で地域医療に従事することを希望する学生に貸与する奨学制度の充実を図ってまいりました。しかしながら、その奨学金制度の運用そのものにも多くの課題が指摘されているのも事実であります。
 先日の新聞報道によれば、洋野町では、奨学金制度を活用して、町立病院の医師確保が大変うまくいっているとのことでありました。
 洋野町のような成功事例がある一方で、県内の各市町村が独自に出している奨学金制度について、義務履行をしようとしても、その市町村の病院に適当な働き場所がないという問題があるように伺っております。近年専門化が進んでおりますが、その医師の専門に合った診療科があかない、あるいはそもそも診療科がないという場合があり、医師不足の一因にもなっていると思われます。
 義務履行のあり方を市町村と連携しながら柔軟に運用し、県立病院で義務履行してもよいとするような県内の病院全体で義務履行を認め合うような仕組みも考えるべきではないかと思っております。現状はどうなっているのでしょうか。また、何らかの対策はとれないものなのかお尋ねいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、市町村立の病院を持つ市町村はもとより、県立病院が置かれている市町村においても、地元出身やゆかりのある医師についての情報を集めながら、医師確保対策を懸命に進めているところもあります。
 こうした対策を含めて、県全体の医療を底上げしていくためにも、県と市町村がさらに連携を強めて全国各地で働く医師の情報の共有や、義務履行を果たす職場の連携を図っていくべきと考えますが、医師確保対策に関して、市町村との連携をどのように考えているのかお伺いいたします。
 次に、産業振興についてであります。
 初めに、1次産業。
 今回の政権交代に伴う農政転換で米の戸別所得補償制度の導入に伴う転作作物の助成制度である水田利活用自給力向上事業が創設されているわけでありますが、久慈地域においては、主要な作物であるホウレンソウは、産地確立交付金では交付額が10アール当たり3万円あったものが1万円と大幅に減るとされております。農業振興への影響を危惧しております。
 緒についたばかりの県北、沿岸の産地づくりをいかに考えているのか、少なからぬ影響があるものと思われますが、こうした政策の転換に対し、県北・沿岸振興の一環としてどのように農業振興を図るのか、お取り組みをお伺いしたいと思います。
 また、我が国の木材資源は豊富にあり、最近では、中国の建設需要などの海外市場が期待できるにもかかわらず、消費者に渡る段階になると、価格が高いため輸出が芳しくないと伺っております。林道整備などが不十分なため流通コストがかかり過ぎているのも一因ではないかと考えております。
 林道、路網の整備を通じて、1次産業振興と連動した新たな公共事業の展開に通じていく、そういった面もあると思うわけでありますが、林道政策の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
 あわせて、海外市場を視野に入れながら、安定的な供給体制を充実させて、木材生産の低コスト生産を進めていくことが重要と考えますが、どのように産地づくりを進めていくのでしょうか、具体的な取り組みをお伺いいたします。
 3点目に、水産振興に関しましてお尋ねいたします。
 沿岸地域の振興にとっては、水産業は、当然、中核となる産業であります。本県では、これまで、漁業生産の安定を目指して、つくり育てる漁業を推進してまいりました。その中核は、全国第1位の生産を誇るアワビと2位のサケとなっております。
 サケは、各漁協のふ化場が、毎年約4億3、000万尾の稚魚を生産し放流しております。また、アワビは、県栽培漁業協会などで生産したアワビの稚貝を毎年度800万個放流するなど、各漁協が取り組む種苗放流事業が、サケやアワビの資源造成を支えてまいりました。
 特にも県北地区は、海岸線が外洋に面していることから、ワカメや貝類の養殖が困難なため、サケやアワビの資源造成に対する意識は高く、また、漁業生産に占める割合も高いことから、漁業者や漁協からは、これらの生産の増大に向けた積極的な県の対応を求める声が多く聞かれております。
 サケやアワビの今日の生産があるのは、一朝一夕の取り組みでできたものではなく、これまでの技術開発や種苗放流の継続があって達成されてきたものであり、これまでつくり上げた資源を維持、継続できるよう、今後ともしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。
 そこでお尋ねいたします。私は、沿岸漁業の、特に県北地域の漁業の振興においては、サケとアワビの生産量を増大させることが一番の課題であるとの認識を持っておりますが、県の認識はいかがでしょうか。また、それぞれの生産量増大に対する取り組みを具体的にお尋ねしたいと思います。
 次に、流通面での振興策についてお尋ねいたします。
 特産品の流通振興策として、これまで長年にわたり物産展を全国各地で開催してきたわけでありますが、昨今、百貨店の売り上げ不振、グループ再編等により店舗数も減少し、物産展の開催回数も激減してきたと聞いております。開催の条件も次第に厳しくなっており、昔であれば求められなかった多額の販促経費の負担を求められるようになったため、その負担金を支払えないこともあって、物産展が減少しているといった事情もあるやに聞いております。
 こうした結果、長年蓄積した多くの顧客を失ってしまうといったマイナスの状況が生じてきていると言われております。特にも、高額の伝統工芸品の分野への影響が深刻だと伺っております。
 そうした中で、ここ数年、海外で何回となく物産展を開催しているわけでありますが、費用対効果の観点から、国内での開催を優先すべきと私は考えておりますが、まず、最近の国内、国外での開催状況はどうなっているのかお尋ねいたします。また、今後、物産展等をどのように位置づけ、推進しようとしているのか、あわせてお尋ねいたします。
 最後に、少人数教育についてお尋ねいたします。
 少人数教育には、小学校段階における基本的な生活習慣の定着や基礎学力の向上を目指すもの、あるいは中学校段階では、学習面のほか、生徒指導など安定した学校生活を目指すものがあると思いますが、私は、その効果が非常に高いものと県の施策を評価しているところであります。
 本県で行われている少人数教育の現在の取り組みとその効果はどうなっているんでしょうか。また、今後さらに取り組みを拡大していくのでしょうか、その考え方をお尋ねいたします。
   〔22番嵯峨壱朗君質問席に移動〕
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 嵯峨壱朗議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、新政権発足後の状況についてでありますが、昨年の政権交代は、この国の政治の変革と進化を期待して、新しい政治を切り開こうとした国民の民意によって実現したものと考えております。
 政府は、このような国民の期待にこたえるために、いのちを守る政治という理念のもとで、縦割り行政が支配する利権社会ではなく、横型のきずなの社会の実現を目指しており、この考え方は、ゆたかさ、つながり、ひとを育むことによって、希望郷いわての実現を目指す、いわて県民計画とも方向性を同じくしていると考えます。
 今後は、国民が安心して暮らせる社会の実現に向けて、国民の声に耳を傾け、民意が国のあり方を決めていく政治家主導の政治によって、国民の生活を第一とした、いのちを守る政策が展開されることを期待しているところであります。
 次に、市町村長選挙のあり方についてでありますが、首長選挙への立候補は、日本国憲法が保障する政治的自由に基づく本人の判断であると考えます。選挙の結果、どなたが首長になっても、知事が、行政の長として公正中立の対応をすることに変わりはありません。
 次に、県と市町村との関係のあるべき姿についてでありますが、市町村優先の原則があると思います。市町村は、住民に最も身近な基礎自治体として、住民の生活に密着した行政サービスを総合的に提供する役割を担います。県は、市町村を補完する広域自治体として、広域的な産業振興や基盤整備、雇用対策や市町村支援など、広域的、専門的なサービスを担っていくべきものと認識しております。
 こうした役割分担を踏まえて、県と市町村は、対等、協力の関係のもとで、重要なパートナーとして、それぞれの役割を十分に果たしつつ、住民福祉の向上にともに取り組んでいくことが望ましいと考えます。
 今後においても、広域振興局体制のもとで、市町村との関係に意を用いながら、地域課題の解決に向けて連携して取り組んでまいります。
 次に、希望郷いわてについてであります。
 いわて県民計画における希望という言葉の意味については、各種国語辞典に載っているような一般的な意味で用いております。例えば、広辞苑では、ある事を成就させようとねがい望むことと定義されておりますし、また、議員御指摘の東京大学の希望学では、行動により、具体的な何かを実現しようという、願いと定義されています。
 いわて県民計画においては、みんなの希望が実現し、ふるさと岩手全体に希望があふれる姿を、郷土の郷、故郷の郷、理想郷の郷でもあります郷という言葉を用いて、希望郷いわてとしたところでありますが、県民一人ひとりが、共に支え合いながら、いきいきと働き、安心して暮らし、楽しく学んでいくことのできる希望あふれる社会、とその姿を表現しているところであります。
 次に、県南広域振興局における政策調整会議の成果と課題についてであります。
 本年度、県南広域振興局と奥州市、金ケ崎町をモデルとして、県と市町村の二重行政の実態を明らかにし、その解消に向けた方向性等について協議、調整することを目的として政策調整会議が開催されました。この取り組みの成果としましては、第1に、全国でも先進的な取り組みとして、県と市町の全予算事業であります3、600事業を対象として、それぞれの類似の事業を突合し、二重行政の実態を初めて明らかにいたしました。第2に、二重行政を解消していく上での主要な課題や論点等を整理いたしました。そして、第3に、観光宣伝でありますとか、あるいは有害鳥獣捕獲事務でありますとか、可能なものについては県南広域振興局と市町が連携し、早急に取り組むことといたしました。そういう成果が上がっております。
 一方、課題といたしましては、第1に、モデル市町以外の市町村の意見も聞きながら、二重行政の解消に向けてさらに議論を深めていく必要があること、第2に、今年度の成果を活用しながら今後の作業を効率的に進める必要があることなどが課題として挙げられます。
 次に、政策調整会議のあり方についてでありますが、新しい広域振興局体制のもとにおきましても、地域の個性や特色を生かして地域の価値を高める取り組みは一層強化していく必要があります。それぞれの振興局において、有識者や地域の方々で構成する懇談会や市町村との意見交換等を行いながら、ともに地域の目指す将来像を描いて、その実現に向けて取り組んでいきたいと思います。その一環として、政策調整会議についても、広域振興局と市町村が適切な役割分担のもとで、非効率な二重行政の解消や連携、協働の推進などを目的として開催するものでありまして、来年度においては、県南広域振興局における今年度の成果と課題等を踏まえ、全県的に展開することとしております。会議の運営に当たりましては、公開の上、率直な意見を引き出せるよう意を用いながら市町村の現場の意見をしっかりと受けとめて、検討結果については、県及び市町村の施策に反映できるよう努めてまいります。
 その他のお尋ねにつきましては関係部長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、奨学金制度についてでありますが、現在、県と全市町村で経費を負担して県国民健康保険団体連合会が実施しております市町村医師養成事業では、養成した医師の出身地にとらわれず、すべての市町村及び県立病院等への配置を可能としているところであります。議員御案内の洋野町の事例につきましても、現在の事業の前身となります旧市町村医師養成事業で奨学金の貸与を受けた医師が、現在、地元で3名定着して活躍されているものと認識しております。
 その一方で、議員御指摘のように、市町村が創設した独自の奨学金制度で養成された医師の専門診療科が、義務履行の対象となります市町村の病院等と一致しないこと等の理由により、具体的な医師の配置まで結びつかない例があることにつきましても、事業を実施する市町村や医師を養成する大学からの相談もいただいているところでありまして、県としましても、そのような事案の所在については認識しているところでございます。
 市町村独自の奨学金制度に関しましては、基本的には、その義務履行につきまして県が主導的に関与できる立場にはないことや、各関係市町村においてその配置状況が異なることなどから、議員御指摘の仕組みの創設につきましては、直ちには対応できないものと考えているところでございます。しかしながら、県といたしましても、養成医師のキャリア形成にも配慮しつつ円滑な義務履行が図られ、医師が効果的に配置されることは、地域の医師確保については極めて重要なものであると考えておりまして、市町村や大学から相談をいただいた場合には、医療局とも連携しながら、地域にとって望ましい形となるよう、関係者と調整に当たるなどの役割を担う必要があるものと考えております。
 次に、市町村と連携した医師確保対策についてでありますが、県では医師に係る無料職業紹介事業を実施し、随時、市町村医療機関の医師募集状況を把握しており、面談した医師のニーズに基づく市町村医療機関の紹介や見学への対応等を行っております。こうした活動の結果、市町村医療機関への招聘が実現した例も出てきております。また、市町村と連携した医師招聘活動も有効なものであると考えておりまして、各市町村に対し会議の場などを活用した要請などを行い、これに応じて市町村からゆかりの医師情報の提供を受けるなど、情報の共有を図りながら医師招聘活動を行っているところであります。各市町村におきましても、例えば久慈市における医師に対する独自の貸付条例の制定や、遠野市、山田町における生活環境整備の支援など、さまざまな医師確保の取り組みを行っているところでありますが、県としても、相乗的な効果が期待できる連携や支援の方策を模索し、今後も積極的に対応してまいりたいと考えているところでございます。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君) まず、県北・沿岸における農業振興についてでありますが、水田利活用自給力向上事業では助成額が減額となる転作品目もあり、それら品目の生産振興への影響が懸念されたところでありますが、国の激変緩和措置が講じられることとなり、おおむね現行の助成水準が確保できるのではないかと考えております。今回の農政の政策転換が県北・沿岸地域の農業振興にもつながるよう、市町村等と連携し、助成単価の調整等を行うとともに、制度の趣旨について十分周知を図ってまいります。県北・沿岸地域の農業振興に当たっては、夏季冷涼な気候などの立地条件を有効に活用した収益性の高い園芸等の振興や、農産物の高付加価値化に重点的に取り組む必要があると考えております。そのため、これまでの取り組みに加え新たに菌床しいたけや夏秋どりイチゴ、ホウレンソウの施設園芸団地の形成など、地域の特性に応じた生産振興を積極的に支援してまいります。
 次に、木材の産地づくりについてでありますが、本県の森林資源が成熟しつつある中、多様な木材需要にこたえるため、素材生産のコスト削減や定時、定量の木材の安定供給を図っていくことが必要と認識しております。具体的には、高性能林業機械の導入や林内路網の整備による素材生産の低コスト化の促進、地域けん引型経営体による施業集約化や長期施業受託の取り組みの強化、地域の団体等で組織する木材需給協議会等の開催による大口需要者への原木の安定供給などに取り組んでいるところであります。今後も、これらの取り組みに加え、本年度創設した森林整備加速化・林業再生基金事業を活用するなどして本県の豊富な森林資源を生かした木材の産地づくりに取り組み、山村地域の活性化を図ってまいります。
 次に、サケやアワビの振興策についてでありますが、サケとアワビは本県漁業生産額の約3割を占める重要な魚種となっており、この2魚種を中心とするつくり育てる漁業の推進により生産の増大と安定を図ることは、本県水産業を振興する上で重要な課題と認識しております。サケとアワビの生産量増大対策については、サケは低迷している回帰率の向上、アワビは放流貝の回収率の向上を図るなど、放流した種苗が効率的に漁獲されるよう、種苗生産及び放流体制の改善に取り組むことが必要と考えております。具体的には、サケについては、本年度から進めているサケ回帰率向上緊急対策事業により、強い稚魚の生産技術開発、ふ化場技術者の人材育成、老朽化したふ化場の機器整備について引き続き取り組んでいくほか、アワビについては、来年度から新たにアワビ栽培漁業効率化緊急支援事業により、漁獲しやすい漁場への重点的な種苗放流を誘導しながら回収率を高めることとしており、こうした取り組みを関係団体及び市町村と一体となって進めることで、サケやアワビの生産量の増大を図ってまいります。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) 林道政策の基本的な考え方についてでありますが、本県の豊富な森林資源を有効に活用するため、担い手の育成や森林の団地化など効率的な生産体制を構築するとともに、高性能林業機械を導入した低コスト生産への取り組みが重要であることは、御案内のとおりでございます。林道は、そうした林業機械の走行や木材の搬出などに不可欠な生産基盤として極めて重要な役割を担っているところでございます。そのため、森林施業の安全性や機能面から、恒久的な施設である林道を骨格に、それぞれの森林の地形に応じた路網整備を行っていくことが肝要であると考えております。本県では、林業生産を下支えする森林内の路網がまだ十分とは言えない状況にありますことから、今後とも、地域の実情を十分に踏まえつつ、コスト縮減を図りながら自然環境との調和に配慮した林道等の路網整備を着実に進めてまいります。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 物産展等の開催状況についてありますが、国内の物産展は、平成18年度26回、売り上げ9億3、200万円余、平成19年度37回、11億1、300万円余、平成20年度37回、10億6、700万円余となっております。一方、シンガポール、マレーシアなど海外におきましては、平成18年度2カ国、売り上げ1、000万円余、平成19年度2カ国、2、900万円余、平成20年度3カ国、1、700万円余となっております。物産展は、県内事業者の県外への販路開拓や顧客ニーズの把握等の機会として重要な役割を果たしており、岩手の魅力を丸ごと効果的にPRできる貴重な機会と考えております。しかしながら、近年、百貨店における物産展の開催回数は減少傾向にありますことから、新たに量販店とタイアップした岩手フェア等を開催し、県産品の販路拡大に取り組んでおります。
 一方、国内の人口が減少する中、海外、特にもアジア地域の国々は未開拓の市場であり、今後、大きな市場となる可能性も秘めております。これまで開催した結果から、海外においても県産品の品質は高く評価されていると認識しており、国内販売におけます相乗効果も期待できますことから、今後とも、国内での物産展開催とあわせて海外においてもフェアを開催し、県産品の国内外における販路拡大に積極的に努める考えであります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) 少人数教育についてでありますが、本県では少人数教育として、一つの学級の人数を少なくするいわゆる少人数学級編制と、一つの学級を複数の教員が指導する少人数指導に取り組んでおります。35人の少人数学級編制については、小学校1年生28校と小学校2年生27校の実施に加え、今年度から中学校1年生17校において試行的に実施しており、少人数指導については、小学校112校に203名、中学校120校に226名の教員を配置しております。
 その主な成果でございますが、これまでの調査等によりますと、少人数学級については、基本的生活習慣の定着、児童生徒の安全、健康管理、児童生徒の人間関係把握など生活面で効果的であるという結果を得ており、一方で少人数指導についても、学力の向上、教員の指導力向上、児童生徒の学習意欲の向上など学習面で効果的であるという結果を得ております。今後につきましても、現場の状況に応じ適切な選択をしながら、それぞれの利点を活用し、少人数教育に取り組んでまいりたいと考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 大変ありがとうございました。
 まず初めに、先ほど述べましたけれども、古い自民党的体質をいわゆる壊すことを、恐らくこの間の選挙でも国民は期待したのではないかと思っているんです。その結果じゃなかったかと思っているんですけれども、そういった認識については知事はどう思われますか。
〇知事(達増拓也君) 古い体質という意味では、冷戦構造的な物の考え方ということがあると思います。といいますのは、グローバル化が進んできますと変化が激しい時代になってまいります。優良な大企業が突然破綻をしたりもいたしますので、自由市場経済を尊重しながら、それぞれの国がセーフティネットをしっかり整備していくということがグローバル化社会における国家経営の基本でありまして、それがイギリスのブレア元首相の第三の道でありますとか、欧米あるいはアジアでもですけれども、そういった市場原理を尊重しつつセーフティネットを手厚くしていくという、冷戦時代で言う右と左が融合したような政策体系というものがいろいろ工夫されているわけであります。そうした中で、冷戦構造の枠組みで右と左の対立、自己責任でやっていかないと社会主義になってしまう、そういうセーフティネット的なところを、そこに国のお金をどんどんかけるのは社会主義になってだめだみたいな古い東西対立を前提とした思考の中で、日本国民の生活というものがどんどん荒れていき、特に地方が切り捨てられ弱くなっていった。そうしたことを改めて、ほかの欧米諸国とかアジアとかで普通にやっているようなことを日本でもやっていかなきゃならないんじゃないかというのが民意の大きな流れだったと思います。そういう意味で、そういう方向に大きく日本がかじをとったことは大変いいことだと思っておりますし、また、生活が第一ということで、生活のどういった困難に対してどういうセーフティネットを整備していくかという暮らしの現場の声、民意、国民の声、草の根の声が直接政治を動かしていくような仕組みというのが肝心なところでありまして、そういう方向には着実に進んでいると考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 何というんでしょう、私は知事のこともおおむね理解はしますけれども、しゃべってもしようがないかもしれないんだけれども、僕的に言うと、やはり自民党の古い体質、余りそう言いたくないんですけれども、よくない体質、これはやっぱり利益誘導型政治とか、そういったことがあったんじゃないかと。私はそういうことには関係ないですけれども、あったんだと思うんですよ。それを、やはりもっと民主的にそういったものにしていくという、そういった期待がやっぱり国民の今回の政権交代に対してあったんじゃないかと思っているんです。そのことについてどうか、もう一回お尋ねしたいんですけれども。
〇知事(達増拓也君) そういうお金をめぐる不正のようなことがあってはならないというのは、それは当然のことだと思いますし、広く国民はそういう気持ちだと思います。しかし、古くてもいいものはいいというところもあり、日本の古い伝統のよさでありますとか、地域社会が持っている古い伝統のよさといったことについては、むしろ見直されているようなところもありますので、先ほど申し上げたように、古くてまずいことがあったとすれば、それは東西冷戦時代の思考、枠組みというものが、それがここ10年、20年の日本国民の生活の疲弊につながっていたという、そこが問題の核心だったと理解しております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 違う質問をします。これは認識の違いというか、知事もわかっていると思うんですけれども、自民党も変わらなければならないなと思っています。
 それで、先ほど、首長さんの話を私はしましたけれども、記事に載っているんですけれども、これは、ある県幹部はといって、こういった発言があったと思いますか、知事、どうでしょう。
〇知事(達増拓也君) そういう事実があったことを私は承知しておりません。事実というのは、そういう発言があったということは承知しておりません。
 それから、政治に関して県職員がどういう内心の思いを持つかということについて、知事がとやかく言うのは余り好ましくないと思っております。ただ、そういう意味でこれは一般論、あくまで政治的な考え方に限らず一般的一般論として申し上げれば、思い込みに基づいてだれか人などをのろうような想念を持つということは、一般的にはよくないと考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) これは記事ですからね、実際、知事も私も聞いたわけじゃないので、これ以上言いませんけれども、こういったことはないと私は信じております。これはこの辺にしておきます、切りがないので。
 それで、私が関心があったのは希望郷の希望でした。これは先ほど説明いただきました。知事演述などですと、希望という言葉が頻繁に出てき過ぎる。36回とか37回とか、34回と言う人もいますけれども、むしろ希望のない現実を強調しているように受けとめてしまうという感じがします。だからこそ希望と言っているのかもしれませんけれども、知事は本県の希望の芽というものはどのようなものだと認識しているのでしょうか。また、それがどのように希望につながっていくのか、知事の考えている希望につながっていくのかお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 知事演述でも述べましたように、こういう厳しい社会経済情勢の中にありながら、岩手の未来を担う若い力がスポーツや文化芸術の各分野で全国や世界を舞台に大活躍していること、2度にわたる地震からの復興を目指したがんばろう!岩手運動が盛り上がったこと、そして、県民総参加型の地域医療体制づくりを推進する県民運動が進んでいること、こうした県民の底力というところに希望の芽があると考えております。そして、仕事、暮らし、学びそれぞれの領域において、県民がさまざまな困難にも前向きに取り組んでいるその先に岩手全体の希望というものがあると考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) この希望学の巻頭というか、冒頭というか、刊行に当たってという冒頭文がございます。その中でドイツの哲学者ブロッホの話が出ていましたけれども、希望の原理ということについてだと思うんですが、それをちょっと引用させてもらいますと、希望をまだない存在として定義しているわけですけれども、まだない存在としての希望が象徴するように、希望はいつもどこかがパラドキシカルだ。そして、まだないからこそ求めるべき対象として希望は存在する。希望は画一的な理解を拒絶する怪物である。個人の次元で語るのと、社会の次元で語るのでは、希望の意味はおのずと異なる。その違いを理解することなく、政治が安易に希望を語るのには危険性すらはらんでいると述べられております。知事はもちろん承知しているんでしょうが、こういった指摘をどのようにお考えでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 大変重要な指摘だと思いますので、気をつけて取り組んでいきたいと思います。
〇22番(嵯峨壱朗君) そう言われると、そうですね。恐らく、こういった政治家が希望ということを使う場合には、希望というのは非常に難しいんだと私は思っていました。希望を語って、希望のないところに導いてしまう可能性もあるわけです。それが絶望なのかわかりませんけれども。ですから、このブロッホというのはナチスドイツ時代にアメリカに行っていたのだと思うんですけれども、恐らく、そういった危機でも、今、我々が経験できるような危機ではなくて、本当の危機とか、そういった絶望というものに対しての希望ということだったと私は理解しています。そういった意味で言うと、今、知事がいろんなところで使っておりますけれども、この希望というのは、またちょっと、何というか、いわゆる政治家である知事が希望というものを、今、前面に出している、そういった危険性をやはり自覚してやってもらいたいと改めて思っておりますが、こういった指摘はやっぱりちゃんと認めるというか、それでよろしいですか。
〇知事(達増拓也君) 例えばナチスドイツも国民のある種の希望をあおり、かき立て、そして破局に進んでいったので、個人個人において希望は持つほうがいい、希望は持つほうがいいということは一般的に言えたとしても、それを社会が、社会的に国家などが間違った形で取り入れたときに悲劇が起こり得るということを指摘しているんだと思います。ナチスドイツの場合には、その危機の本質を自分たちの身近な足元のところに見るのではなくて、隣の国が悪いのだとか、国際秩序が悪いのだとか、あるいは経済を牛耳っている特定民族が悪いのだといったような、本質的には危機から目をそらすような形で誘導したところで、一種虚偽の希望といいますか、そういったことを国家目標としたところが間違っていたんだと思います。ですから、岩手においてはきちんと地に足をつけ、それぞれの暮らしや仕事、そして学びの現場において、目の前の困難、危機的状況に対してきちんと向き合っていくような中で、地に足のついた目標、政策、そして事業を決めて進めていくということで、そうした悲劇を避けられるのではないかと思います。
〇22番(嵯峨壱朗君) ナチスの時代とはまた違うのであれですけれども、ぜひ、そういった危険性を十分認識していっていただきたいと思います。
 それで、もう一つ気になる点は、先ほど、実現するということも出てきましたけれども、希望あふれる─希望があふれるだけではだめじゃないかと私は思って、希望を実現する、実現できる社会、実現できる岩手というところが目指すべき方向性だと思っておりますが、何となく、希望がある社会を目指しているような感じがするんですけれども、こういった考え方はどうですかね。
〇知事(達増拓也君) これだけ世の中全体として豊かな社会になってまいりますと、そのさまざまな制度を適切に定めて、それを適切に運用していくのであれば、一人一人が自分なりに自分の目標を定めて、例えば、雄星君が日本一のピッチャーになるぞとか、そういった目標をそれぞれが見つけて、そして自分なりに追求していくことができる、そういう潜在力のある、今そういう時代なんだと思っております。
 ただ、そういう中で、必ず雄星君が日本一になるような施策ができるかというと、それは公の任務ではなく、それは一人一人が工夫すべきことだと思うんですけれども、公がすべきなのは、そういう自分の目標を持てるようになるということだと考えております。自分が目指すべきものが見つかり、そして、それに向かって充実して取り組んでいくことができるということに公が責任を持っていく、そこが、このグローバル化、情報化社会、総体的に豊かにはなっているけれども、それがうまくかみ合っていない時代における目標の持ち方として、ふさわしいのではないかと考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 個人が希望を持てるような社会をまずつくるのが公で、そして、そういった状況の中で実現していくのは、やはり、もちろん個人を中心とした力としてやっていくんだということですよね。今おっしゃったのは、それでいいですか。
〇知事(達増拓也君) 大前提として、セーフティネットがきちんと整備されまして、日々、食べていくでありますとか、あとは、子供が学校に行けるでありますとか、そういったところまでもが個人の目標になってしまうようではよくないと考えておりますし、そういったすべての人が最低限享受すべき部分については、公が結果についても責任を持つということを前提として、さらにその上に、個人がそれぞれ自分なりの目標を持てるようになるということが、さっき言わんとしたことであります。
〇22番(嵯峨壱朗君) また、いろいろな議論を通じて、この希望については理解を深めていきたいと思っております。
 それと、その希望郷いわてを実現する一つの運動というんですか、岩手県I援隊運動というのが、これは昨年ですか始まったようであります。これは、実際にどういった運動をしているのかということを、その中身も含めて説明していただきたいと思います。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) I援隊運動についてでございますが、岩手県I援隊運動は、県及び県職員が、既存の枠組みを超えて、独創力と行動力を発揮しながら、県内外のさまざまな主体と問題意識や地域課題などを共有できるネットワークを築き、その課題解決に取り組んでいこうとするものでございます。
 その代表的な事例といたしましては、買うなら岩手のもの運動の一環として、イベント会場で地元商品のPR活動を行うとともに、職員が共同購入することにより、地域の活性化を支援する花巻・遠野応援隊の取り組みや、県庁内で開催いたしました県内企業の展示販売会を契機として、誘致企業との人的ネットワークを生かした誘致企業本社における県産品販売会の開催、さらには、品質、生産量とも日本一の浄法寺漆の植林から生産、漆器製作、販売まで、漆関係者の横断的なネットワーク形成による浄法寺漆のブランド化の取り組みなどがございます。
 今後とも、この運動を積極的に展開することによりまして、職員の意識改革を進めるとともに、県民と一緒になって創造的に活動する取り組みを進め、希望郷いわての実現を目指してまいります。
〇22番(嵯峨壱朗君) このI援隊の運動についての資料をちょうだいしたんですけれども、これは知事のキャラクターだと思うんですが、たくっち隊長と書いてありますが、まあ、さがっちと呼んでくださいみたいな感じになるんですが、やはりこれは親しみを持ってというふうにキャラクターでやっているんでしょうけれども、ちょっと確認したかったのは、これはバッジもつくったとかという話を聞いたんですが、そうしたバッジをつくって、それは買うのかどうなのかわかりませんが、そういった事実はあるんですか。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) 今、バッジについてのお尋ねをいただきました。このI援隊運動につきましては、今、議員御指摘のとおりでございまして、職員の参加意識を高めて、運動の周知を図るために、キャラクターを作成するとともに、職員公募によりましてロゴマークを作成して、ホームページやリーフレット、それからプレスリリース資料に使用しているところでございます。
 議員御指摘の缶バッジについては、職員の自発的な取り組みとして行われているものでございまして、職員が自費で購入する缶バッジを着用することで、I援隊運動の参加意識を高めるとともに、PR等に活用してもらうこととしているものでございます。
 なお、この缶バッジの売り上げのうち、製作費以外の額につきましては、ハイチ地震災害募金に寄付することを予定しているものでございます。
〇22番(嵯峨壱朗君) 若干懸念があるのは、知事を想像させるというか、そういったバッジであるとすれば、知事の本意とは別に、何か問題が生じるのではないかという気がするんですけれどもね。仮に職員が自発的にやったとしてもですね。ちょっとその辺が気になるところです。その辺どう思うかも、部長からでいいですからお伺いしたいですが。
 それと、売り上げの分をハイチといいましたか、この趣旨からすれば県産品購入に使ったほうがいいのではないですかね。どうでしょうか。私はそのほうがいいかと思うんですけれども。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) まず、缶バッジの意識といいましょうか、そういうことでございますけれども、あくまでも職員の参加意識を高めるといったような運動の周知を図るための目的として、職員の発案によって進められているものでございまして、議員御指摘の点も十分留意しながら、今後とも進めていきたいと思います。
 それから、缶バッジの売り上げのハイチ地震災害募金の関係でございますけれども、この具体的な取り組みをしているところは、先ほど御紹介させていただきました花巻・遠野応援隊というところが中心となって進めておりまして、率先して、この応援隊においては、地元産品の活用ということで、その共同購入等にも取り組んでいるところでございます。
〇22番(嵯峨壱朗君) 知事の意ではないにしろ、もしかして、そういった想像するキャラクターなどが流通─流通という言い方は変だけれども、その辺を若干心配しているんです。これはこの辺にしておきますが。
 次に、今度の希望郷いわてという形で求めている県民計画なわけでありますけれども、かつての県の総合計画というのは、長期ビジョンとか、県政推進の象徴と言われるような、何か比較的大規模な事業とか、私が思うには、今回、例えば国体が想定されますよね。国体の会場のようなものとか、そういった象徴的なものがあっていいのではないかという気はして見ていましたけれども、いわゆる夢をかき立てるような、そういった大規模事業とかというのは、この計画の中でどのように取り扱われたのか、総合政策部長でいいですが、お答え願えればと思います。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) 新しい長期計画の中で、この大規模事業はどういうふうに取り扱われているかということでございます。
 今般、策定いたしましたこの計画の中では、10年後の将来ビジョンというものを見据えて、具体的に取り組むべき七つの政策と六つの構想というものを掲げておるわけでございますけれども、この長期ビジョンの中におきましては、これまでの計画のような、いわゆる大規模事業といったようなものを具体的に位置づけてはおりませんで、具体的な施策の方向性というものを中心に取りまとめております。
 これは、昨今の社会経済情勢等を踏まえて、そういったような大きな施策の方向性をまず県民の皆さんと共有したいという思いの中で、そういうまとめ方になっているものでございます。
〇22番(嵯峨壱朗君) それこそ、厳しい財政の中で言うと、昔のように大規模なものをぼんと打ち上げるとか、そういったことは確かに難しいかなと思っておりますけれども、必要なものは必要なものとしてという観点も大事かと思っておりまして、留意していただければと思います。
 それと、せんだって滋賀県に行ってまいりました。新政権戦略チームというものを早々につくって、県のそういった経験とか課題を踏まえた提案の検討を行って、国との対応も含めてそういったものをつくっているんですけれども、本県では、こういった組織とか、国への要望とか、そういった情報をどのように考えているかお尋ねしたいと思います。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) ただいまは、国への提言等についての検討組織、そして情報提供のあり方といったようなお尋ねかと思います。
 本県におきましては、新政権の発足後、庁内各部局の企画担当課長会議を開催いたしまして、庁内協議を経まして、地域の実態や課題を踏まえた新政権への政策提言を取りまとめて、昨年10月には、県選出の国会議員の皆様に御説明し、御理解をいただいたところでございます。
 また、11月には、平成22年度政府予算案の編成に向け、新たな提言ルールに基づいて、政府・与党に対しこの提言を提出するとともに、この内容を議員の皆様にもお知らせし、情報の共有化を図ったところでございます。
 今後とも、県議会との情報共有に努めながら、適時適切な提言活動を行ってまいりたいと考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 滋賀県では、今の政府の方針として一元化ということで陳情、要望等あったわけですけれども、その際に、例えば岩手県で見ると、民主党県連に要望したと。それとほぼ同時に県議会の各会派に説明しているという方法をとって、平準化というか、そういうふうにやっているんだそうですけれども、岩手県ではどうですか。今のをやっていましたかね。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) これまで、例年の予算編成スケジュールの中では、国への提案の前に、議案等説明会におきまして、県議会の皆様に御説明をさせていただいているところでございますが、今般の新政権発足に伴います予算編成は、非常にタイトなスケジュールの中で行われたということでございまして、先ほど御説明申し上げましたとおり、新たな提言ルールに基づいて提言を提出すると同時に、県議会の皆様にはお知らせを申し上げたということでございます。
〇22番(嵯峨壱朗君) ルールですから、これは政権がどういうふうにやっているか、それについては我々何ともできないことですけれども、やはり、例えば新聞に載って、ああ、民主党さんに要望に行ったんだなと─写真が出ていますよね。ああ、そうなんだなと思うけれども、何を言ったのかなと、何を要望に行ったのかというのを具体的に、多分、私ども自由民主クラブだけじゃなくて、ほかの会派の先生方もそう思っていると思うんです。何となくやっているのはわかるけれども、何をしているのかわからない。だから、もう少しきめ細かく、こういうことを要望しましたとかということは説明してもいいのではないかと思っているんですが、ちょっと足りないような気がしますけれども、どうでしょうか。
〇総合政策部長(高前田寿幸君) 情報提供のあり方等についてでございますけれども、今年度の場合につきましては、県議会の議員の皆様全員に、具体的に要望を申し上げました29項目がございますが、そういった内容についてはお知らせしたところでございます。ただ、事前にというお話があるのであれば、また検討はしなければならないわけですけれども、いずれ具体的な要望内容については、全議員の皆様にお知らせをしたということでございます。
〇22番(嵯峨壱朗君) 事前じゃなくて結構ですので、してからでもいいですから、ぜひ、同じような形で説明してもらえれば、共有化していければいいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それと、先ほどの知事に質問したところの首長選の話にちょっと戻るんですけれども、いろいろな首長選に、やはり知事の政治姿勢としていろいろとかかわっている事実があるわけです。この前もどなたかが聞いたかもしれませんけれども、やはり結果とすると、知事と市町村長との間に不信感とか、さらには首長同士とか、県と市町村との不信感とか、そういったものも惹起しかねないのではないかというのを非常に懸念しているんです。その辺、改めてお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 全国の知事さん方、東北に限定してでもいいんですけれども、民主党の支援で当選した知事もいれば、自民党の支援を受けて当選した知事もいる。それぞれ政治理念でありますとか、あるいは政治姿勢については、お互い相異なるところはあるわけでありますけれども、行政の長として、県と県のいろんな連携をしていくでありますとか、オール東北あるいは北東北として何かやっていくというときは、本当にわだかまりなく、パートナーとして、もう盟友として仕事に取り組んでおりますので、行政の仕事については中立公正、あくまで行政の論理できちんとやっていくということをそれぞれ心得ていさえすれば、首長間にわだかまりとか不安というものは生じないと考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 私が今言っていたのは市町村長との関係であって、当然、恐らく東北6県とか、さまざまな形の、同じ立場の知事さん方は、目的も同じであれば、そういうふうにすることは、当然やっていただかなければ困るんですけれども、市町村長との関係についてお尋ねしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 私の側からは何のわだかまりとか不安とかも持たずに対応しているところであります。ただ、県内市町村長の場合には、政治姿勢というものについて、他県の県知事さん方ほど明確ではない場合も多いので、そういう意味では、そもそもそういったことを意識せずに、いずれにせよ行政の事務の執行者として、その行政の論理に従ってきちんとやっていて、特に問題は生じていないと理解しております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 実際は、多分、市長選なり町長選で実際に戦った人からすると、私を落としに来たんだなと、現実的には当然そう思うわけですし、そうすると、当たり前の話として、何だ、あれはと思うと思うんですよ。これは、人間は多分ね、どんなに冷静に見たとしても。だから、そういったものが、もしかしたら不信感につながっていくのではないかということを懸念しているわけです。
 だから、本当であれば、政治信念はわかるけれども、知事という立場であれば、そういった首長選とかは、僕は、ストレートに行くべきではないのではないかということをいつも思っていますけれども、その点はどうでしょうか。
〇知事(達増拓也君) 自民党政権だったころに、私も自民党が推薦する、自民党が応援する候補者と戦い、当時、自民党政権は、私を落とそうとしていたというような表現も可能な状況の中で知事になったのでありますけれども、しかし、内閣、たとえ自民党政権であってもといいますか、自民党政権内閣の内閣というものは、日本国憲法に従って内閣としての仕事をきちんと全うし、国民にこたえていかなければならない。そういう方向で仕事をするということを信じ、私も行政の長としてやって、例えば安倍晋三総理のときに、菅総務大臣の懐に飛び込んで、医師緊急派遣事業を岩手県に2カ所、3人の医師緊急派遣をやっていただくとか、そういうのは全然わだかまりなく、不安なくやっておりました。
 ですから、繰り返しますけれども、行政の長としての仕事をきちんと法令に従って、単に法令に従うだけじゃなく、その理念に、趣旨に従ってやっていさえすれば、それぞれの政治活動については自由というのが、この日本国憲法が期待しているあり方だと思います。
〇22番(嵯峨壱朗君) 知事の考えはわかりましたけれども、人間ですから、恐らく感情的なものというのは絶対残ると思うんですよ。そうなった場合に、そういったものが、知事のように合理的に考えられればいいんですけれども、合理的に考えられない─そういう言い方も変な話ですが、いわゆる感情的に強い首長さん方からすると、いつまでも根に持って、それが県と市町村との実際の行政の場に悪い影響を与えなければいいなと、そのことを懸念しております。そのことだけ指摘したいと思います。
 それと、違う話をしますね。物産展の話をこの際だからします。あと少しですので。
 先ほど部長から近年の話が出ていましたけれども、平成11年には48回開催されているんですね。そして12年は45回、そして今、30回、31回、平成18年には23回という数字もあります。これは、恐らく百貨店がそういうことをしなくなったとかというのも含めてなんでしょうけれども、僕が聞いているところによると、実は百貨店も苦しいから、先ほどちょっと指摘しましたが、宣伝広告費的なものを要求する例がふえてきているんだそうです。それを他県では、青森県とか秋田県とか、意外と物産振興という位置づけの中で大きく位置づけているんでしょう、そういったものを負担して開催しているという例があるんだそうです。
 岩手県でも、恐らく、東京とか、名古屋とか、ああいう大きいところではそういった負担をして、産業貿易振興協会経由で負担してやっているんだと思うんですけれども、そのことによって物産展が開催できる、できないということがあるやに聞いていました。
 その辺、シャワー効果というものが期待しにくくなっているという面もありながらも、恐らく都心の大きな百貨店でそういったイベントをすることが、実は岩手県のブランドづくりという意味で言うと、いまだに貴重なツールかなと思って見ていますけれども、その点についての認識をお伺いしたいと思います。これは、部長でもいいですけれども。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) ただいまは、物産展の負担金のお話でございますけれども、私どもは、それぞれの百貨店での物産展は、今、議員がお話になりましたとおり、百貨店自体が経営環境が厳しくなっているというようなことで、催事そのものの採算性も重視しているというようなことで、大分縮小傾向にあるというのは、現状のとおりでございます。
 そういった意味では、いろいろ見直しを加えておりまして、例えば、これは大阪の梅田阪神百貨店で、北東北の3県が一緒になって平成19年からやるとか、さまざまな新規の物産展開催には取り組んでいるところでございます。
 負担金のほうにつきましては、各百貨店の経営状況、あるいはこれらの経緯等を踏まえて個別に決定してございまして、それはさまざまでございます。ただ、産業貿易振興協会でやっているものにつきましては、産業貿易振興協会自体の役割が、その協会を通じて岩手をPRしていくというようなことで、負担金を産業貿易振興協会自体に800万円余を負担して、その中で各物産展の開催を支援してございまして、その辺、これからの各百貨店の状況なども見ながら、いろいろ工夫しながら進めてまいりたいと考えております。
〇22番(嵯峨壱朗君) 以上で終わりますけれども、ぜひ前向きな取り組みを期待したいと思います。(拍手)
〇副議長(小野寺研一君) この際、暫時休憩いたします。
   午後4時16分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 雪 文 君
22  番 嵯 峨 壱 朗 君
23  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
36  番 柳 村 岩 見 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後4時33分 再開
〇副議長(小野寺研一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
〇副議長(小野寺研一君) 本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。
〇副議長(小野寺研一君) 日程第1、一般質問を継続いたします。新居田弘文君。
   〔29番新居田弘文君登壇〕(拍手)

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