平成22年2月定例会 第15回岩手県議会定例会 会議録

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〇40番(及川幸子君) 民主党の及川幸子でございます。
 県議会議員としてはや12年目を迎えるところであり、12回目の登壇の機会をいただきました。大変ありがとうございます。
 昨年末、全国議長会より自治功労賞をいただき、感無量の熱い思いを抱き、県民のために働く意義を深く感じ取った私でございます。
 これより、県政が抱える諸課題を順次質問させていただきますので、わかりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず初めに、平成22年度当初予算について伺います。
 予算総額6、987億円余で、前年度当初予算と比較すると399億円余、6.1パーセントの大幅増の2年連続、対前年度比予算増となっております。これは、厳しい経済、雇用情勢を下支えするため、また、地域医療対策等も最重要課題と位置づけ、編成がなされたと伺っております。歳入については、県税収入979億円余と20年ぶりに1、000億円割れとなり、前年度比67億円余、6.5%の減となる見通しであります。法人事業税、法人県民税、個人県民税等の主要税目が大幅に減ったことは長引く景気低迷の影響であり、なかなか日の光が経済を照らせないと言えます。
 初めに、達増知事の、未来に向けた積極的な予算と打ち出されたことに対するお考えをお伺いいたしたいと思います。積極的な予算にすることで、県民一人一人が勇気と希望を持ち、未来に向け力強く歩み出すことができると述べておられますが、県債残高1兆4、724億円、県民1人の借金106万円に上ることを考えたとき、果たしてこの予算編成が未来に向け力強く歩めるのか危惧する声も聞こえるところでありますが、県民負担がふえていくことに対してどのようなお考えか、お示しいただきたいと思います。
 公債費については、以前国の景気対策に応じて実施された大型公共事業が償還期を迎えるためか、今後増額されるようで、県財政は逼迫を避けられない状況であります。景気対策として行われた増田県政時代のツケが、今、重くのしかかってきているところであり、盛岡駅西口ビル、アイーナの例を見ても、ビルの光熱水費が平成20年度で約2億8、000万円も県民負担となっているのが実情であります。主要3基金残高は平成22年度末で191億円と、平成21年度末残高204億円より減少する見込みの中、主要3基金残高枯渇の危機を、達増知事はどのように対処していこうとお考えなのかお伺いいたします。
 国においては、大きな政治のうねりの中、政権が交代、コンクリートから人への施策が打ち出されております。知事は、過去の借金を減らすことよりも、今は経済、雇用の対策を中心に県民の暮らしや仕事の現場をよくすることに力を入れたと述べておられますが、求職者と求人の差が2万人を超える現状、また、若者の就職環境が厳しい現状を見るとき、新規学卒者、既卒者なども含め常用雇用創出4、142人の数字が果たして実現できるものなのか、174億円余の予算が生かされるのかお伺いいたします。
 雇用の場の確保のために企業誘致施策が重要でありますが、企業誘致関係予算48億円余には雇用につながる誘致策が盛り込まれているのかお伺いいたします。
 雇用を多く見込んでいる産業振興施策は、三次元設計開発人材育成事業など、ものづくり産業、企業誘致、農林水産業、農商工連携、福祉分野で1、022人の雇用を見込まれておりますが、人材育成が求められているとき、県内の五つの職業訓練施設を廃止するというまことに残念な通知が厚生労働省からなされたとのことであります。求職者の能力開発の道が閉ざされて、果たして今後において雇用の確立が望めるのか大変心配であります。知事の将来を見据えた雇用施策をお伺いいたします。
 いろいろと述べてまいりましたが、重要なのは産業振興策であり、岩手が位置づける確かな産業の掘り起こし、つまり安心・安全な岩手の食産業、ものづくりから生まれる岩手らしさを産業振興施策に積極的に取り入れていくことが喫緊の課題であり、その成果こそが人材育成、雇用へつながり、県税収入をふやせる大きな道筋であります。知事の産業振興にかける思いをお伺いいたします。
 次に、財源確保策として県有未利用地資産売却に力を入れられるようですが、売りやすい資産は既に売却されており、未利用資産の68件、39万平方メートルを売却するのに、今後において県のホームページでの紹介や、直接不動産業者にアピールするなど検討が始まったようであります。県財政の不足が、来年度以降、毎年度700億円規模となることから見ても、未利用資産の売却や活用策を打ち出していくことが重要であることから、一層の取り組みを望むところですが、御所見をお伺いいたします。
 次に、福祉施策についてお伺いいたします。
 新年度の政府予算において、子ども手当や高校授業料無償化の実現で子育て世代への支援がなされることが決まりました。子ども手当は本年6月からの支給で、子ども1人当たり1万3、000円が受け取れることになり、子育て世代はありがたい恩恵を受けられることになりました。県においても子育て応援大作戦を掲げ、携帯電話サイトを活用するなどして、若い子育て世代のニーズに合わせた情報発信を強化する方針が示されました。
 今後、市町村と連携して岩手ならではの支援を行っていきたいと知事も話されておりますが、県内における保育料の軽減についてお伺いいたします。
 昨年の9月現在、第3子以降の保育料を12市町村が無料化、3市町村が軽減されているようですが、県として、市町村が保育料を軽減できる環境づくりにどのように取り組まれるのかお伺いいたします。また、保育所への待機児童の状況はどうでしょうか、待機児童解消のための施策もあわせてお示しください。
 次に、仕事と子育ての両立支援の充実として掲げております放課後児童クラブ、児童館の運営や母親クラブ等の活動を支援するための事業費が来年度予算に計上されております。放課後児童クラブ、児童館等に小学生児童を受け入れてもらうことは、両親にとっても安心して職場で仕事ができるためのありがたい施策であります。
 そこでお伺いいたしますが、東京都では、児童の受け入れ時間が長い施設が少なく、共働き家庭から改善を求める声が多かったことから、学童クラブの受け入れを夜7時までと延長することにし、その準備が進められているようであります。県内の放課後クラブが7時まで延長している状況はどのようになっているのでしょうか、また、県としてどのような支援をしているのかお伺いいたします。
 次に、ひとり親家庭への支援についてでありますが、私は以前、父子家庭の若い父親が2歳と3歳の子育てをしながら働いている状況が経済的にも大変であると相談を受け、父子家庭にも何らかの支援がないものかと強く切願し、質問いたしました。やっと政府予算に母子家庭と同様に父子家庭にも児童扶養手当が本年8月から支給されることが決まり、子育てと仕事に頑張ってこられた若いお父さんに安堵していただいたと、ありがたい施策に感謝いたしました。県においても、以前、市町村ではばらつきのあった父子家庭に対する医療費の助成に踏み切られ、まさに家庭や子育てに夢を持ち、安心して子供を産み育てられる環境の整備をしていただいたと心より感謝申し上げます。
 そこでお伺いいたします。県内において、母子家庭、父子家庭を対象とした助成の実態をお示しいただきたいと思います。
 次に、児童虐待についてお伺いいたします。決してあってはならない親による子への虐待、とうとい命、かけがえのない命を親に手によって失われていく事実に、私たちは目を背くことなく実態を直視し、絶対に起こさないよう事前に対処していかなければなりません。
 ことし1月28日の報道によりますと、東京、江戸川で起きた事件、小学1年の男の子が両親から暴行を受けて幼い生命をなくしました。虐待のサインは何度も出ていたのに、学校の対応が遅く、命を救えなかったのです。歯科医が診療中、男の子にあざがあるのを見つけ、区の子ども家庭支援センターに通報しております。近所の人から、お父さんにいじめられていないと聞かれると、いじめられていませんと返事をした7歳の男の子、胸の内はどうだったのでしょう。命を落とすまでの暴行の中で、なぜ親をかばっていたのでしょうか。絶対あってはいけないこと、防止策を早目に打つことです。
 県内において、児童相談所等の窓口への相談状況、その対応はどうなっているのでしょうかお伺いいたします。また、学校からの虐待通報はどのようになっているのでしょうか、学校に関係する虐待ケースについてはどのように支援しているのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、インターネット販売についてお伺いいたします。
 私は先日、偶然にも2度、NHKの番組で岩手の食の売り込みが全国に発信されている状況を知り、産業振興、地域振興で岩手の農畜産物が元気づけられるチャンスが到来と胸が躍ったほどでした。岩手県が昨年6月、楽天との連携、協力協定をし、各地域からのおいしい物発信を始めている様子が報道されました。ネットで売れる東北の農畜産物というふれ込みでありますが、ネットの特性を生かしたやり方に、販売店も意欲的に取り組んでいる姿が紹介されておりました。中でも目を引いたのは大船渡の鮮魚店の鮮度へのこだわりということであります。消費者より注文を受け、市場で買い出し、発送ということで在庫を持たないこと、また、地域の協力を得て漁船に小型カメラを導入し、船上で、ネットを通じ、とれたての海の幸をオークションで販売する仕組みも紹介されておりました。店を構え、客が来るのを待つことは難しい時代、どうやって岩手の農畜産物を売り込むか、自分たちで出向いて売るやり方が今求められていることを痛感した私であります。奥州市の米販売店は、月8、000円しか売れなかったのが、手軽に買える米をネットで注文、2キロ1、000円で売り出し、昨年は月に1、000万円の売り上げがあったことや、消費者も台所まで重い米を運んでもらえると大変満足げな様子が紹介されておりました。
 そこでお伺いいたしますが、県と楽天株式会社で締結した協定の内容及びそれに基づく取り組みの状況をお示しください。また、今後どのようにこの取り組みを展開していくのか、あわせてお示しください。
 また、このたび、岩手県南ひとめぼれが食味ランキングAとなり、15回目の受賞とのことであります。これほどいいお米を売らない手はないのです。岩手のすばらしい豊かさを全国に発信していくべきであります。その意味で、農林水産物の販売拡大にインターネットを活用することは極めて有効であると考えますが、県の支援策の展開など取り組みの状況をお伺いいたします。また、そのためにも、消費者に信頼、支持される食料供給基地の確立が必要と考えますが、どのように取り組まれるのか、あわせてお伺いいたします。
 次に、農林業施策についてお伺いいたします。
 農林水産部における当初予算のポイントとして施策の重点項目が五つ掲げられ、主な構成事業がおのおの示されております。この中の経営体の育成でありますが、県内の耕作放棄地約6、900ヘクタールを知るとき、いわて農地再生プロジェクト緊急対策事業の取り組みで、果たして耕作放棄地情報の共有化が図られるのか危惧するものであります。国においても本年度から耕作放棄地再生利用緊急対策事業がスタートしておりますが、その利用は低調であります。農業を取り巻く状況は厳しいものがあり、農家の方々は進んで耕作放棄地の活用に取り組めないものがあると思います。今後、県は耕作放棄地の活用にどのように取り組んでいかれるのか、国の事業との連携のあり方、また、県内においてその活用に本腰を挙げて取り組んでいる状況をお示しください。
 政権交代により農業政策が大きな転換を迎えることになりました。その一つは、稲作農家の赤字を国費で補てんする戸別所得補償制度がスタートすることであります。一律支給される定額補償は10アール当たり1万5、000円、いわゆる減反に参加する販売農家すべてが対象であります。今まで国で推し進めてきた集落営農や生産法人化などの施策に関連してきた農業者の人たちから、この制度に対して意見が寄せられているようですが、経営規模の拡大等の合理化でコストを下げ、黒字を確保する農家もこの制度が適用されることから、今後においても経営の効率化の促進に努めていく必要が大きいと言えます。県においても、この制度の効果が十分に発揮されるよう経営体の育成に努めていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。
 次に、県産材活用促進緊急対策事業についてお伺いいたします。
 本県は森林面積が県土の約77%を占めておりますが、森林県として、林業の活性化を図るため、また、木材需要が外国産に頼られている現状から、地産地消に努め、輸送過程で排出されるCO2を削減し、温暖化防止にも役立てることを目的としてこの事業が進められているようであります。県産材の利用拡大を目指すこの事業について一定の評価をするものですが、私は以前に、増田県政時代、自信を持って進めたペレットストーブ購入時に5万円を助成する制度がいつの間にか消えたときのことを思い浮かべられてならないのであります。この事業の具体的な内容や、いつごろまで継続することとしているのか、また、どのぐらいの県産材活用を見込む計画なのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、医療の充実についてお伺いいたします。
 当初予算において、医師不足に直面する地域医療対策に重点的に予算配分をされたところであり、県民生活を守る上でも高く評価したいと思います。地域医療に対する課題が多い中で、特にも医師確保が求められております。医師不足による診療科目縮減が余儀なくされており、今もなお県内の病院からお医者さんが去っていく状況を見るとき、岩手の医療のあるべき姿を真剣に取り組む時期と言わざるを得ません。一関の県立磐井病院の3人の医師退職、県立南光病院の7人の医師退職、県立千厩病院の一般病床40床休止等、地域医療をどうやって守っていくべきか、常に頭を痛めている医療局であると思います。多くの議論を重ねた5地域診療センターの無床化が決まり、その中の一つ、花泉地域診療センターの民間移管が始まります。いかにして地域の人たちの生命を守っていくか、方法論を交えていかなければなりません。沼宮内病院の無床化が地元の要望で1年延長されましたが、その間に民間移管等の案も地域で模索していかなければなりません。医療局として、医師不足に伴い病床数削減や統合など早目に打ち出し、説明を重ね、理解を求めていくべきと思いますが、今後の県立病院のあり方をどのようにお考えなのでしょうかお伺いいたします。
 また、2月12日の報道で、洋野町の国保種市病院に、町の医師養成奨学金貸付制度を利用した常勤医師3人が診療体制を支えていることを知りました。町に恩返しをしたいという思いの医師に対して、町民の方々はどれほどの安堵感を抱くことでしょうか。県においてもこのような奨学金による医師の養成を行っていますが、制度の利用状況はどうなっているのでしょうか。また、地元への定着の呼びかけの状況と、制度を利用した医師の勤務の状況について、あわせてお伺いいたします。
 県において、地域医療を道路面から支えるために救急搬送ルートの道路改善に取り組む方針が示されました。平成24年度にはドクターヘリの導入を目指しておりますが、県高度救命救急センターを併設する岩手医大にはヘリポートが設置できないため、近隣のヘリポートから病院までの搬送時間がかかる課題もあるようですが、これについて、今後どのように検討するのかお示しいただきたいと思います。
 また、ヘリポートを設置してある県立中部病院を基地病院とするように県内の救急専門医から声が上がっているようですが、これらも含めて今後の取り組みをお示しいただきたいと思います。
 地域医療を守るための地域住民の積極的な活動も始まっているようですが、釜石市内の育児サークルメンバー有志らによる取り組み状況と、今後における県の取り組みをお示しください。
 次に、社会資本整備の今後のあり方についてお伺いいたします。
 民主党が政権公約でコンクリートから人へを掲げ、新年度予算案では公共事業の大幅な削減がなされました。県土整備部においてもさらなる選択と集中が求められてきますが、今後の本県の社会資本整備の基本的な方向についてお伺いいたします。
 さらに、防災の面からしても、ダムに頼らない治水事業も含めて実効ある治水対策が重要となってまいります。また、災害時の緊急輸送道路の防災対策も喫緊の課題であります。これらの取り組み状況をお示しいただきたいと思います。
 国直轄事業の予算の見通しが示されましたが、久慈、宮古両港湾事業費が大幅に削減され、今後、津波対策等にも影響が懸念されるところであります。港湾整備に対する考え方と、国に対しての要望活動も含めて今後の取り組みをお示しください。
 また、いわて花巻空港の利用促進についてでありますが、1月20日、県は国に対して、5月から運休が決まっている名古屋線等の路線維持を要望したと伺っております。平泉世界遺産登録を目前に控え、全国からの誘客の呼び込みに大きな影響を与えてしまうのではないかと思われます。定期路線の維持のための取り組み及び国際チャーター便誘致の取り組みについて、その状況と課題、来年度への展望を伺います。
 次に、学校教育のあり方についてお伺いいたします。
 ゆとり教育が8年前に導入され、その結果、そのゆとりを取り戻すのに必死な今の教育現場ではないでしょうか。子供たちがみずから学ぶ選択をしなければ、ただ教科書に目を通し、時間だけが過ぎていき、大人になって漢字も満足に読み書きができないことになります。今の子供たちはインターネットに頼り、みずから辞書などを用いて調べることをせず、結果、満足に漢字の読み書きができなくなっております。今、学校現場では、読み書きという授業にどれだけ力を入れておられるのか、まずお伺いいたします。
 学童の1日を見ますと、帰宅後は余りゆとりがないように思えます。こうした中では読書の時間を見出すことが大変であります。しかし、読書の大切さを知るとき、30分でもいいから本に目を配る時間がほしい気がするのです。読書に関しての教育現場の取り組みをお示しいただきたいと思います。
 県の教育事務所を現在の10カ所から6カ所に再編統合することが決まり、4月からスタートします。児童生徒数ではなく、学校数や教職員数の多少で設置が決まったようですが、多様化している現在、一人一人の児童が抱える問題ははかり知れないものがあると思われます。指導主事が学校現場に出向き、さまざまに対処なさるようですが、事が起きてからの対処ではなく、事前対処こそが今求められていくべきと思います。そのためには指導主事の配置数をふやすことが必要と思いますが、教育長の御所見をお伺いいたします。
 次に、小・中学生の学力向上、体力向上についてお伺いいたします。
 報道によりますと、昨年4月に行われた全国学力・学習状況調査の結果について、全国では秋田県と福井県が平成19年度から3年連続で好成績を上げる一方、低位のグループも前年と同様の結果になるなど、地域間の学力差が固定化してきている実態が明らかとなったとされております。
 本県の結果を見ますと、小学校6年生は全国平均を上回り上位となる一方、中学3年生では数学で昨年に続き最下位クラスとなり、学年が進むにつれて学力が低下する傾向が浮き彫りになってきております。本県においても、教育委員会はここ数年、学力向上対策に力を注いでいると認識いたしておりますが、これまでの調査結果から、本県が改善しなければならない課題をどのように分析し、その解決のためにどのような取り組みを進めていこうとしているのか、今年度の取り組み状況とあわせてお伺いいたします。
 また、同じく昨年行われた全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果でも、秋田県と福井県が、学力調査同様、全国トップレベルでありました。十分な運動は生活のリズムをつくり、体力は気力の充実、さらには学力向上にもつながると私は思います。そこで、この調査結果から読み取れる本県の課題と解決方策をお示し願います。
 学ぶ力、生きる力をはぐくむ教育のあり方を常に求めていただきたいと思いますが、あわせて教育長のお考えをお示しください。
 これまで、県政が抱える諸課題を取り上げてまいりました。最後に、達増知事が9日、ネット上に短文でつぶやきを投稿するツイッターでつぶやいた一言に原口総務大臣が反応し、遠野市の遠隔医療現場を視察していただいたようであります。公務多忙な知事がツイッターをなさっている。岩手を大事に思い、県民を大切に思う心のあらわれだと感謝の気持ちでいっぱいであります。私たちのつぶやきがあすの県政に反映されることを願い、私の一般質問を終わります。答弁によっては再質問をさせていただきます。
 御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
   〔知事達増拓也君登壇〕
〇知事(達増拓也君) 及川幸子議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、未来に向けた積極的な予算の考え方についてであります。平成22年度当初予算は、希望維新、希望郷いわて元年予算と名づけました。これは、大変な経済、雇用情勢の中でも、県民一人一人が勇気と希望を持ち、未来に向けて力強く歩み出すことができるよう、さまざまな分野にわたり積極的な取り組みを行う予算という意味を込めたものであります。
 昨今大きな問題となっています就職未定の新規卒業予定者への、また新規卒業した方々への支援を含めた幅広い就業支援、雇用創出の取り組みを初め、地域経済の底上げ、各種の中小企業支援対策など、直面する課題にしっかり対処してまいります。
 それに加えまして、医療機器関連産業、海洋産業、次世代グリーンデバイスなど、新しい産業の創出につながる研究シーズの発掘や事業化支援を進めます。
 また、上海万博への出展を初めとします、中国を初めとする東アジアなど海外市場への積極的な販路拡大を進めます。
 ドクターヘリ導入に向けた準備の本格化や地域病院担い手医の育成など、質の高い医療提供体制の整備を初めとしますセーフティネットの充実を進めます。
 子育て情報の発信など、将来の岩手を担う子育て対策の拡充を進めます。
 より地域資源を生かし、地域ニーズに即した事業展開を可能とする4広域局体制の確立と、各広域振興局の創意工夫により活用できる予算の拡充を進めます。
 こうしたさまざまな事業を盛り込みまして平成22年度予算を編成いたしました。将来の希望あふれる岩手の未来に向けまして、確かな一歩を踏み出すことができると考えております。
 次に、県民負担の増加についてであります。
 平成22年度当初予算におきましては、現下の厳しい経済、雇用情勢、深刻さを増す地域医療などの状況を踏まえ、過度に財政再建を重視した予算編成を行うことは適当ではなく、県民の仕事と暮らしを守るために、そういった事業を果断に展開することが必要と考えたところであります。
 近年、地方交付税の振りかえであります臨時財政対策債の大幅増に見られますように、国の施策の選択に伴って発行を余儀なくされる地方債が多額となっております。地方の立場から地方債の発行総額等を計画的にコントロールすることが、事実上困難な状況であります。
 しかし、今回の予算編成に当たりましては、将来負担を過度に増加させないように、県として管理可能な県債は可能な限り抑制していくという方針のもとで、臨時財政対策債を除いた県債発行額については縮減を行っております。その結果、臨時財政対策債以外の県債残高を約360億円減少させておりまして、財政の健全化に向けた道筋にも十分に配慮しております。
 1兆4、000億円台まで増加した県債残高と今後その償還が高い水準で続くことが、本県の財政運営上の大きな課題となりますことから、中長期的には、県債残高の規模を抑制していくことを目指して、規律ある財政運営に努めていく考えであります。
 次に、主要3基金残高の増加についてであります。
 平成22年度当初予算編成におきましては、財政の健全化に向けた道筋にも十分配慮したところであり、主要3基金を含めて、将来の財政需要に備えて、財源対策的な基金の取り崩しは行わないこととしたほか、本日提案します2月補正予算案におきましても、主要3基金に対する積み立てを行っておりまして、本年度末残高では233億円余、平成20年度末残高に比べまして52億円余の増加となる見込みであります。
 今後におきましても、主要3基金の取り崩しを極力抑制して、できる限り基金残高を確保するためにも、アクションプランに基づく行財政改革の取り組みを強力に推し進めてまいります。
 なお、基金残高が減少していますのは、本県に限らず、各県に共通して見られる現象でありますが、その最大の要因は、地方交付税などの地方の財源が十分に確保されずに、地方で対応できる範囲を超えて削減されてきたことによるものであります。
 真の地域主権の確立のためには、地方がみずからの創意工夫によって、それぞれの実情に合った住民本位の施策を十分に展開できる財源の充実が何よりも肝要でありますので、今後、議論がなされる地方税財政制度改革に対して、全国知事会等とも連携しながら、国に提言や要請を行ってまいります。
 次に、常用雇用の創出についてであります。
 今般の経済情勢の悪化に伴って、現時点における本県の求職者数は、リーマンショック以降、約8、000人増加しておりますことから、この解消に向けた対策が急務と認識しております。
 平成22年度当初予算においては、新事業創出、経営支援や企業誘致等の雇用創出効果が高い産業振興施策に74億円余、また、雇用対策基金事業に100億円余を計上し、産業振興及び雇用対策を最重点とした予算を編成したところであります。
 このことによりまして、産業振興施策で1、022人、雇用対策基金事業で3、120人、合わせて4、142人の雇用を直接創出するとともに、これに加えまして、各種の地域経済活性化施策を進めて、県内民間企業における雇用の回復や拡大も促進し、増加した求職者の解消が図られるように全力で取り組んでまいります。
 次に、将来を見据えた雇用施策についてであります。
 今後、安定した雇用を生み出していくためには、自動車など、ものづくり産業の集積とともに、食産業、観光産業といった地域資源型産業など、本県の多様な資源と知恵を生かした産業がさらに活発に展開され、県内経済が力強く循環していく社会が実現されることが望ましいと考えております。
 そのために、こうした産業の発展を支えていく人材の育成が大事でありまして、産業界と連携したキャリア教育や職業訓練、さらには、大学等における高度な教育研究など、教育、訓練機関の果たす役割がますます重要となっていきますことから、県としては、各機関の連携に努めるとともに、それぞれの役割が十分果たされるよう、教育や職業訓練の環境整備にしっかりと取り組んでまいります。
 そうした中で、職業訓練施設につきましては、産業人材育成の拠点として、その機能が十分発揮されるよう適切に対応していきたいと思います。
 次に、産業振興にかける知事の思いについてでありますが、このほど策定しました、いわて県民計画における岩手の未来をつくる七つの政策におきましても、産業創造県いわての実現を目指す産業、雇用分野の取り組みを第1の柱としているところであります。
 本県には、すぐれた技術を有した企業、安心・安全で良質な食、自然や歴史遺産などの観光資源、県内外の企業から評価が高い人材などなど、多様な産業資源があると認識しております。
 こうした地域資源を生かした産業の振興とともに、雇用の場を創出しながら、長期的な視点に立ち、産業界のニーズに即した有為な人材を育成していくことによりまして、県内経済を成長させ、県外から企業や人を呼び込む原動力にしたいと考えております。
 このような経済の好循環をつくり出すことによりまして、本県の課題である県民所得の増加や人口減少の歯どめ、こうしたことに大きな効果が期待できるものと考えておりまして、今後においても、産業創造県いわての実現を目指し、全力を傾注してまいりたいと思います。
 その他のお尋ねにつきましては、関係部局長から答弁させますので、御了承をお願いします。
   〔商工労働観光部長廣田淳君登壇〕
〇商工労働観光部長(廣田淳君) まず、雇用の確保に向けた企業誘致についてでありますが、平成22年度当初予算案に盛り込んだ48億円余のうち44億円余は、進出企業に対する貸付金に要する経費、約3億9、000万円は補助金の交付に要する経費であり、この補助金については、現下の厳しい情勢を考慮し、新たに補助要件の緩和や雇用人数による補助率のかさ上げを行い、一人でも多くの雇用の場を創出したいと考えております。
 企業誘致に当たりましては、こうした優遇措置の活用に加え、優秀な人材の確保、産学官連携、地元企業との取引支援、さらにはインフラの整備など、企業のさまざまなニーズに的確、迅速に対応できる総合力が重要と考えており、市町村との連携を図りながら、総力を挙げて雇用の拡大に結びつく着実な成果を上げてまいりたいと考えております。
 次に、インターネット販売の取り組みについてでありますが、楽天株式会社では、日本の地域産業をより活性化するため、ニッポンを元気にしようプロジェクトとして、全国の自治体との協力関係の構築を進めており、本県においても一昨年に企画提案をいただき、昨年6月にインターネットを活用した本県の観光物産情報のPRや地域活性化について連携、協力していくこととして協定を締結したところであります。
 この協定に基づき、楽天市場内において岩手の観光物産の情報提供を行っているほか、財団法人いわて産業振興センター及び楽天株式会社との共催によるインターネット通販セミナーを今年度2回開催しております。
 インターネット販売の市場は年々拡大を続けておりますことから、県産品等の販路拡大の一つの手段として大変有用であると考えており、今後もセミナー開催などを通じて、インターネット販売のノウハウについて周知を図ってまいります。
   〔総務部長菅野洋樹君登壇〕
〇総務部長(菅野洋樹君) 未利用資産の売却や活用策についてでありますが、未利用資産については、県の各部署や市町村において有効に活用することがまず大事であります。このため、最初にこの検討を進めております。
 県や市町村において活用の予定のない資産につきましては、積極的に売却を進めることとし、平成21年度においては7件、約2億4、000万円余の売却を行ったところでございます。
 しかしながら、未利用資産には、立地条件等から利用価値が低い、また老朽化した建物の解体撤去費用に多くの費用が生じる等の課題を抱えているものもございます。
 今後とも、全庁的に情報の集約や分析を行い、新聞広告等への売却情報の掲載や不動産業者への働きかけ等をさらに積極的に行い、未利用資産の有効活用及び売却を進め、歳入の確保に努めてまいります。
   〔保健福祉部長千葉茂樹君登壇〕
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、保育料の軽減についてでありますが、保育料は、児童福祉法に基づき、国が全国一律に定めております保育所徴収金基準額を基本とし、市町村が地域の実情に応じて独自に設定しております。
 現在、県内すべての市町村におきまして、保護者負担の軽減を図るため、国で定められている基準額を下回って保育料を設定しているところであります。
 また、議員御紹介のとおり、本県の一部市町村においては、世帯第3子以降の保育料の無料化や一部軽減などを実施しているところでもあります。
 県といたしましては、保護者の負担が増大することのないよう、こうした市町村の取り組みを支援しておりまして、具体的には、今申し上げた保育所徴収金基準額を定めております国に対して、その引き下げを毎年度要望しているところでございます。
 国においては、本年度より、同一世帯から2人以上同時に保育所に入所している場合、第3子以降の保育料を無料化したところであり、県におきましては、保護者負担の一層の軽減を図るため、引き続き国に対して要望していくこととしております。
 次に、保育所待機児童の状況についてでありますが、平成21年4月1日現在の待機児童数は4市、95人と、前年同期と比較し20名増加しておりますが、発生市町村は2団体減少しておりまして、継続して発生しておりますのは、特定の4市のみとなっているところでございます。
 また、当該4市における状況を見た場合に、新興住宅地などで待機児童が発生する一方、他の地域の保育所では、定員に余裕が生ずるなど、その発生は特定の地域に限定されてきております。
 次に、待機児童解消の対策についてでありますが、県におきましては、毎年度、待機児童が発生しております市町村と待機児童解消推進会議を開催し、協議を行ってきたところでございますが、今年度には、当該4市に県職員が出向いて、市町村職員や民間保育所長と待機児童解消に向けた具体的な取り組みについて、意見交換を実施するなど、その対応を強化してきているところであります。
 また、昨年度設置いたしました子育て支援対策臨時特例基金等を活用して、平成22年度までに民間保育所の整備を集中的、重点的に促進しておりますが、これに伴い、待機児童が発生しております当該4市のうち3市においては、今後の保育ニーズの増加をも見込みまして、本年度からの2カ年で保育所の総定員を365人拡大する予定であります。
 今後、現時点では整備計画が提出されておりません1市を初め、該当4市と個別、具体的に協議を重ねながら、待機児童解消に努めてまいります。
 次に、仕事と子育ての両立支援についてでありますが、放課後児童クラブは、平成21年5月現在、254クラブとなっており、そのうち、お尋ねのありました平日夜7時まで児童を受け入れているクラブは66カ所、さらに夜7時以降も延長しているクラブは17カ所ありまして、合わせて83カ所、全体の33%となっております。
 県といたしましては、放課後児童クラブは、昼間保護者のいない児童の放課後における健全育成を図ることが設置目的とされておりますことから、その開設時間の設定に当たりましては、保護者のニーズに適切に対応したものとなるよう、市町村に働きかけてきたところであります。
 また、1日6時間を超え、かつ、夜6時を超えて開設する場合や、夏休み等の長期休暇期間に1日8時間を超えて開設する場合には、運営費助成に長時間開設加算を行っているところであります。
 さらに、毎年、放課後児童クラブの指導員の研修会を3回程度開催しておりますが、特に本年度におきましては、10月に官民一体となりまして全国児童館・児童クラブ大会を開催するなど、放課後児童クラブの活動内容の充実を支援しているところでございます。
 次に、ひとり親家庭の支援についてでありますが、平成21年9月に行われました直近の調査結果では、母子家庭は1万2、509世帯、3万2、148人、父子家庭は1、243世帯、3、244人となっております。
 児童扶養手当につきましては、平成20年度で1万771世帯、母子家庭の約9割が支給対象となっております。
 平成22年8月からは、支給対象が父子家庭にも拡大され、969世帯、父子家庭の約8割が対象となるものと見込んでおります。
 また、県単医療費助成につきましては、平成20年度において、母子家庭医療費助成受給者証が交付された対象者は2万9、755人で、世帯員の約9割となっております。
 今議会で御審議いただく平成22年度当初予算案におきましては、10月診療分から、新たに助成対象として医療費助成受給者証が交付される父子家庭の対象者は約2、500人で、世帯員の約8割を見込んでいるところでございます。
 次に、児童虐待防止についてでありますが、平成20年度の県全体の児童虐待相談件数は756件で、前年度より10件増加しております。
 このうち、学校からの虐待通告につきましては143件で、前年度より25件増加しており、全体の相談件数に占める割合が高まってきております。
 学校からの虐待通告の初期対応につきましては、他の虐待通告と同様、市町村や児童相談所が48時間以内に学校訪問や家庭訪問などにより、まずは目視で児童の安全確認を行っておりますが、虐待が確認された場合には、基本的には市町村が、困難事例につきましては児童相談所が、保護者への指導を行っているところでございます。
 また、明らかに虐待があると確認ができなかった場合においても、学校において児童を経過観察し、その様子を市町村や児童相談所が定期的に報告を受けるなど、学校、市町村、児童相談所が関係情報を共有し、一定期間、児童や家庭の見守りを実施しているところであります。
 さらに、本年度におきましては、学校での児童の健康診断や歯科健診時に学校医等が虐待を発見できるよう、小児科医や歯科医を対象といたしました専門的な研修を実施したところでもございます。
 なお、虐待が進行して児童の生命の危機にかかわるなど、児童の安全が確保されないと児童相談所が判断した場合には、一時保護を行うなど、児童の安全を最優先に対応しているところでございます。
 次に、医師確保のための奨学金貸付制度の活用についてでございますが、現在、市町村医師養成事業、医療局医師奨学資金貸付事業及び県医師修学資金貸付事業の三つの奨学金制度で合わせて45名の貸付枠を設定し、本年度は43名がこれらの制度を利用しているところであります。また、前身となる制度も含めますと、現在、全体で150名が奨学金の貸与を受けているところでございます。
 奨学金制度を利用した医師の勤務状況につきましては、市町村医師養成事業では、現在5名が臨床研修に進み、そのうち2名が臨床研修を修了して、来年度から県立病院で勤務する見込みであるほか、平成14年度から19年度まで実施いたしました医療局修学生事業─いわゆる旧地域枠事業でございますが─におきましても、現在8名が臨床研修に進んでおり、そのうち第1期生である4名が臨床研修を修了し、大学院に進む1名を除く3名が、同じく来年度から県立病院で勤務する予定となっております。
 また、医療局医師奨学資金貸付事業につきましては、現在24名が臨床研修を行っておりますが、来年度は、臨床研修を修了する12名のうち、県立病院以外で後期研修等を行う7名を除く5名が配置となり、従来から勤務しております医師と合わせた19名が県立病院で勤務する見込みとなっております。
 なお、奨学金制度を活用いたしました者の地元への定着につきましては、全体を把握してはおりませんが、承知している例で申し上げますと、医療局医師奨学資金貸付事業で原則6年間の義務履行を終了した直近の8名に対して義務履行後の継続勤務を要請したところ、そのうち5名が、現在も県立病院で勤務しております。
 また、議員御紹介のとおり、洋野町の事例におきましても、現在、3名の医師が地元で活躍されているものと承知しております。
 今後は、順次、義務履行を終了した医師が出てくることから、県といたしましても、県内の公的病院等で継続勤務していただけるよう、各事業実施者や市町村等と連携しながら、引き続き働きかけを行ってまいりたいと考えております。
 次に、ヘリポートから病院までの搬送時間の短縮等についてでありますが、本県へのドクターヘリの導入に当たっては、基地病院と想定する岩手医大附属病院の敷地内にヘリポートを確保することが困難であることから、今年度設置いたしました有識者会議で検討を行いました結果、沖縄県の事例を参考に、出動用のヘリポートは郊外に、また、患者受け入れ用のヘリポートは近隣に確保し、当該受け入れ用ヘリポートから病院までは、病院のドクターカーや消防機関の救急車を使用して搬送する、いわゆる発進基地方式での導入が可能と判断されたところであります。
 このため、患者搬送を効率的かつ円滑に行うためには、病院と消防機関等との十分な連携が必要となりますが、具体的な運用方法につきましては、今後、関係者による運航調整委員会等を設置いたしまして、協議、検討してまいりたいと考えております。
 また、基地病院につきましては、地理的な条件や必要となる医療スタッフの確保の見込みなどを勘案し、国庫補助金の交付要件であります救急救命センターの中から、県高度救命救急センターを前提に検討してきたところでございますが、導入後におきましては、基地病院だけではなく、各地域の救命救急センターや中核病院にも患者搬送を行うことが見込まれますことから、これらの県立病院等との連携体制を構築し、二次救急、三次救急の医療ネットワーク体系の中で効果的な運用が図られますよう、当該委員会の場で協議、検討してまいりたいと考えております。
 次に、地域医療を支える住民の取り組みについてでありますが、お尋ねのありました釜石市内の育児サークルメンバーの有志などが中心となって立ち上げました県立釜石病院サポーターズは、当該病院を支援することにより、地域を支え守ることを目的に昨年2月に設立されたところでありまして、これまで、地域医療の現状や病院の取り組みを理解するための勉強会の開催などを行ってきております。
 また、このような地域医療を支えるための住民による自主的活動は、釜石市における当該団体のほか、山田町の山田病院と地域医療を守る会や藤沢町の町民病院を支える会、一関市千厩地域の朝顔のたね─千厩病院を守り隊など、県内各地に広がってきているところであります。
 しかしながら、このような活動は、現時点では、沿岸地域や旧東磐井地域などの特に厳しい医療環境に置かれている地域において活発に行われておりますものの、県央地域等では、県民への情報発信につながるような動きが少ない等、地域におきまして取り組みに温度差があるものと考えております。
 したがいまして、県といたしましては、こういう活動を広く普及するため、市町村を初め、県民みんなで支える岩手の地域医療推進会議の構成団体と一体となりまして、各地域単位での取り組みを一層展開しますとともに、広域振興局の裁量で執行できます予算の活用なども通じまして、必要な支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。
   〔農林水産部長瀬川純君登壇〕
〇農林水産部長(瀬川純君)まず、農林水産物のインターネット販売についてでありますが、消費者ニーズに対応した販路の拡大を図るためには、消費者に直接アピールし、販売できるインターネット販売は重要と考えております。
 インターネット販売は、生産者が専門事業者の販売サイトに参加する方法と、みずから販売サイトを立ち上げる方法がありますが、県としては、専門の事業者と生産者とのマッチング支援のほか、生産者に対し、ホームページの活用指導やインターネット販売に関するセミナーの開催、さらに、今年度からは、いわて6次産業チャレンジ支援事業により、インターネット販売ビジネスモデルの構築等を支援しております。
 今後とも、本県農林水産物の販売促進につながるよう積極的に支援してまいります。
 また、食料供給基地の確立に向けた取り組みについてでありますが、消費者から信頼、支持されるためには、引き続き安全・安心で生産性、市場性の高い産地づくりに取り組んでいくことが必要と考えております。
 このため、県版GAPの普及に加え、新たに、農薬の適正使用等の産地点検や、御指摘のありました県南ひとめぼれのような良食味で安全な米の栽培など、高度な技術の普及、定着を促進するとともに、市場性の高い新たな品目の導入や県北・沿岸圏域での施設園芸団地の整備などを関係団体と連携しながら支援してまいります。
 次に、耕作放棄地の活用についてでありますが、県内の耕作放棄地は、経営耕地面積の約6%を占めるに至っており、その解消は喫緊の課題と認識しております。そのため、関係機関、団体による対策本部、支部を設置して取り組んでおり、農協等に農地再生コーディネーターを配置し、農地情報の共有化や広域的な利用調整、食品企業との連携による販路確保、再生後の営農相談活動等を行っております。また、国の事業については、耕作放棄地の再生整備や実証圃の設置などに耕作放棄地再生利用緊急対策交付金を活用しております。これらの取り組みは緒についたばかりでありますが、釜石市における地元製めん業者との連携によるソバ栽培や、花巻市や遠野市における耕作放棄地再生実証圃の設置など具体的な成果があらわれております。こうした先行的な事例や成果を着実に積み重ね、県内に波及させていくことが重要と考えており、市町村、関係機関、団体と緊密に連携しながら、耕作放棄地の活用に取り組んでまいります。
 次に、戸別所得補償制度と経営体の育成についてでありますが、米戸別所得補償モデル事業は、意欲ある農家が水田農業を継続できる環境を整えることを目的にいわゆる岩盤対策を行うものであり、米価下落や生産費の上昇にも対応可能で、農業経営の安定化に寄与するものと期待しております。この制度は全国一律の交付単価で稲作農家に所得補償される仕組みであり、コスト削減などの取り組みにより農家所得の向上を図っていくことが重要と考えております。そのため、県としても個別経営体への農地の利用集積や、農地、人材、機械、施設等の経営資源がフル活用できる集落営農の推進等により生産コストの一層の低減などが図られるよう支援し、本県農業を担う効率的、安定的な経営体の育成に努めてまいります。
 次に、県産材活用促進緊急対策事業についてでありますが、この事業は、本年度造成した基金を活用し、間伐材等の加工、流通施設整備、地域材を活用した木造公共施設整備、木質バイオマス利用施設整備に対する支援などを内容とするものであり、平成21年度から平成23年度までの3年間にわたり取り組んでいるところであります。この事業により県産材の活用が促進され、林業や木材産業はもとより、森林整備の加速化による二酸化炭素の削減にも貢献すると認識しております。
 また、いわて県民計画のアクションプランにおいては平成22年度の県産材供給量を132万立方メートルとしており、この事業や国の交付金事業などを活用し、目標の達成と上積みを目指してまいります。国においても、昨年12月に森林・林業再生プランを策定し、木材利用の拡大などに取り組んでいくこととしていることから、県としましても、国の動向を踏まえながら、引き続き県産材の需要拡大につながる施策に積極的に取り組んでまいります。
   〔医療局長田村均次君登壇〕
〇医療局長(田村均次君) 今後の県立病院のあり方についてでありますが、御指摘のように、幾つかの病院におきましては、医師の退職等により、限られたドクターの中で診療体制を維持していくため、やむを得ず病床休止や休診をせざるを得なかったところでありますが、このことによる影響を最小限にとどめるべく、二次保健医療圏全体での県立病院相互あるいは市町村や民間の病院、診療所との連携などにより、対応に取り組んでいるところであります。医療局といたしましては、引き続き、保健福祉部と連携して医師確保対策に最大限に取り組みながら、各病院が昨年度策定した経営計画に基づいたそれぞれの診療機能の維持と、それに応じた適切な病床規模により運営がなされるよう努めてまいりたいと考えております。
   〔県土整備部長佐藤文夫君登壇〕
〇県土整備部長(佐藤文夫君) まず、社会資本整備の基本的な方向についてでありますが、これまで、県民生活の利便性の向上を図り、安全で安心な暮らしを守るとともに地域経済を支えるため、道路や河川を初めとする社会資本の整備に全力を挙げて取り組んでまいりましたが、今なお地域から多くの要望をいただいており、本県の社会資本整備は道半ばと考えております。昨年12月に策定しましたいわて県民計画において、社会資本整備を、岩手の未来をつくる七つの政策の一つとして掲げ、産業創造県いわてや、安心して、心豊かに暮らせるいわてなどの実現に向け、いわてを支える基盤づくりを進めることとしています。今後とも、地域の実情を十分に踏まえつつ、選択と集中により一層の重点化を図りながら、必要な社会資本整備について着実に進めてまいります。
 次に、治水対策の取り組み状況についてですが、これまで、社会的な影響や経済性などを勘案しながら、それぞれの河川の特性に応じて最適な治水対策の手法を選択して進めてきたところでございます。
 河川整備に当たっては、一定の治水効果を早期に発現するため、人口や資産が集中する一連区間を設定して計画的に取り組んできたほか、大規模な浸水被害が生じた河川では、再度災害防止を目指し、短期集中的な事業実施に努めてきたところでございます。また、圃場整備事業や土地区画整理事業等と連携し、地域の一体的な土地利用を促進する河川整備も進めているところでございます。一方、洪水時の確実な避難行動を支援する河川水位の情報提供や浸水想定区域図の公表などのソフト面の施策にも取り組んでいるところでございます。
 次に、災害時の緊急輸送道路の防災対策の取り組み状況についてですが、災害時の優先的な交通の確保を目的としまして、緊急輸送道路を指定し、落石や崩壊などのおそれのある斜面に対しましては、吹きつけ工や落石防護ネットなどの道路防災施設の整備を進めており、平成21年度の整備率は約43%になる見込みでございます。
 また、大規模地震によりまして橋脚の損傷や落橋などのおそれのある橋梁については、まず、緊急輸送道路のうち、津波などの被害が懸念される地域へのアクセス道路を優先確保ルートとして選定し、このルート上における耐震補強工事を平成22年度までには完了する予定でございます。そのほかの緊急輸送道路上の橋梁についても順次耐震補強工事を進めておりまして、平成21年度末の整備率は約81%になる見込みです。今後とも、こうしたハード整備とソフト施策を効果的に組み合わせながら防災対策を着実に推進し、災害に強い県土づくりに取り組んでまいります。
 次に、港湾整備に対する考え方についてですが、港湾は陸と海の交通の結節点であり、県内企業の物流の拠点として、また、企業立地などによる産業振興の拠点として重要な役割を担うことから、これまで県内の港湾の整備を進めてきたところでございます。さらには港湾の背後地を津波から守る湾口防波堤等の整備も進めてきたところでございます。また、取扱貨物の拡大や企業誘致など港湾の利活用の推進を図るため、地元市町や関係者等と連携してポートセールスを進めているところでございます。今後とも、既存の港湾施設の適切な維持管理や利活用に向けた取り組みを一層進めるとともに、湾口防波堤や地域振興につながる港湾施設等の整備につきまして、地元市町と連携を密にしながら、事業促進を含め国に積極的に働きかけてまいります。
 次に、いわて花巻空港の利用促進についてですが、国内定期路線の利用促進については、これまで花巻空港を利用した旅行商品の造成支援や利用促進キャンペーンなどを行ってきたところでございます。今後は、地方空港間あるいは他の交通機関との競争が激化する中で、いかに花巻空港の競争力を向上させていくかが課題となってきております。このため、来年度は、バスや乗り合いタクシーなどの空港アクセス改善への取り組みや、利用者アンケートを踏まえたダイヤ改善の要望を航空会社へ行うなど、岩手県空港利用促進協議会を初めとする関係者ともよく連携して、利用者の利便性の向上を図ってまいります。
 また、国際チャーター便の誘致につきましては、海外航空会社の運航ニーズに柔軟に対応していくことが課題となってきております。このため、平行誘導路及び国際線専用チェックイン施設等の整備につきまして、平泉の世界遺産登録が見込まれる平成23年夏ごろの供用開始を目標に着実に進めつつ、来年度も観光需要の拡大が見込まれる東アジア地域の航空会社等へのエアポートセールスをより一層強化し、就航会社や就航地の拡大に努めますとともに、四季を通した運航の実現に積極的に取り組んでまいります。
   〔教育長法貴敬君登壇〕
〇教育長(法貴敬君) まず、読み書きの授業についてでありますが、読み書きは主として国語の授業が基礎となりますが、平成20年3月に告示された今回の学習指導要領では、国語の授業のみならず、すべての教科において読み書きなどの言語活動を位置づけ、その充実を図ることが求められております。このことから、学習指導要領の趣旨を確実に伝えることを通じて各学校を指導、支援しているところであり、また、各学校においては読む、書く、話す、聞くといった言語活動を位置づけた授業に積極的に取り組み、その充実を図るよう進めているところであります。
 次に、読書指導に関する教育現場の取り組みについてでありますが、読書指導については、学校教育活動全体を通じて児童生徒の主体的な読書活動を充実させるよう、各学校において創意工夫しながら取り組んでいるところであります。例えば、朝読書の実施など全校一斉の読書活動を実施している小・中学校は約9割に上り、各学校が積極的に読書活動を行っております。また、保護者や地域住民の図書館ボランティアによる児童への読み聞かせを行ったり、先生から児童生徒へ推薦する本を紹介したり、実際に教室に薦めたい本を置いたりするなど、各学校ごとに児童生徒が主体的、積極的に読書を行うよう工夫しているところであります。さらに、今年度は、教育振興運動の全県共通課題として読書活動の推進を位置づけ、家庭や地域と連携を図りながら親子読書などの取り組みを行っているところであります。来年度は国民読書年でもあることから、豊かな心の育成を図る読書活動を一層推進するよう取り組んでまいります。
 次に、指導主事の増員についてでありますが、今般の教育事務所の再編に当たりましては、再編前後において指導主事の配置数を減ずることなく、統合に伴う組織体制の強化により、指導主事が教科指導や生徒指導における課題に一層適切に対応できるよう十分留意して実施したところであります。
 学校現場での諸課題への対応についてでありますが、議員御案内のように、事後的な対応をすることなく、教員が、児童生徒が抱える課題やその兆候を早期に把握しながら、組織として的確な対応を行うことが肝要であり、学校現場の体制をより一層充実していくことが必要であると考えております。このため、指導教諭や平成22年度に新たに配置することとしております主幹教諭を活用するなどにより、学校における学級づくりの指導や教科指導体制を充実させる一方で、学校生活サポート推進員を増員し、外部人材を幅広く活用するなどにより、学校の学力向上や生徒指導体制の強化を図ることとしております。
 また、不登校に適切に対応するため、スクールカウンセラーがすべての中学校を指導できる体制を構築し、専門的な見地から学校現場が抱える課題について対応できるように対策を講じることとしております。今後とも、指導主事のみならず、学校経営体制の強化を図りながら、児童生徒一人一人が生きる力をはぐくむことが可能になるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、学力向上の取り組みについてでありますが、学力を順位や特定の教科ではかるものでないものの、全国学力・学習状況調査や県の学習定着度状況調査の結果から、本県においては、中学校数学の正答率が低いことや家庭学習の時間が不足しているなどの課題が明らかになってきております。この課題を解決するためには、教員の指導力の向上と児童生徒の生活面の両面からの取り組みが必要であると考えており、今年度は、学校を直接支援する学力・授業力向上担当による学校訪問指導の実施や、学習内容の定着を図るための中学校数学準備問題の活用などにより、授業改善を進めてきております。今後は、小・中の円滑な接続を図るための義務教育9年間を見通した算数、数学カリキュラムの作成などにより、教員の指導力の向上に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えており、また、家庭学習の取り組みについては、学校では授業と連動した課題の出し方の工夫、家庭では家庭学習時間の確保と環境づくりなど、学校と家庭が一体となった取り組みを進めてきており、今後も一層推進してまいりたいと考えております。
 さらに、中1ギャップを解消し、生徒一人一人の課題に応じた指導を充実するために、学校生活サポート推進事業の推進、小・中一貫教育の導入、中学校第1学年における少人数学級の試行などにより、さらなる学力の向上に努めてまいりたいと考えております。
 次に、全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果についてでありますが、本調査は小学校5年生と中学校2年生を対象に実施され、本県の結果は、実技8種目の体力合計点で男女とも全国平均を上回り、都道府県別比較においても前回に引き続き上位の好成績をおさめるなど、これまでの取り組みの成果が徐々にあらわれてきていると分析しております。しかし、すべての運動の基礎となる50メートル走は小学校5年生の男女とも全国平均に及ばなかったことや、肥満傾向児が多いこと、そして運動する子としない子の二極化が見られるなど、なお改善すべき問題があると感じております。本県では、これらの課題を踏まえて、各学校の実態に合わせた取り組みを訪問指導などにより支援するとともに、各種講習会や指導資料の充実による教員の指導力向上を引き続き図ってまいります。また、二極化傾向にあることにかんがみ、地域のスポーツ人材の活用を図りながら、児童生徒が運動に楽しんで取り組めるよう、家庭、地域と連携した取り組みを推進してまいります。
 次に、学ぶ力、生きる力をはぐくむ教育についてでありますが、変化の激しいこれからの社会を生きるためには、確かな学力、豊かな人間性、健康、体力などの生きる力をはぐくむことが求められております。そこで、本県では子供たちを、知、徳、体を備え、調和のとれた人間に育てることを教育の目標に掲げ、基礎、基本の確実な定着を図り、思考力やコミュニケーション能力など社会を生きていくための力を身につけさせ、確かな職業観に基づくみずからの目的に向かって主体的に学ぶ態度を養い、命を大切に、他人を思いやりながら、困難に負けずに生き抜いていくたくましい心と体をはぐくんでいきたいと考えています。そのため、学校のみならず、家庭や地域社会と一層連携、協働を深めながら岩手の教育に取り組んでまいりたいと考えております。
〇40番(及川幸子君) それぞれ御丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 これより再質問をさせていただきます。続けて5点ほど質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、水沢公共職業安定所管内の昨年12月の有効求人倍率は0.29倍で、前月に比べ0.02ポイント改善したものの、県内10職業安定所中では2カ月連続で県下最下位であります。金ケ崎町にある富士通関連の職を失う人は700人規模となり、雇用情勢の悪化は相当なものが予想されます。また、今春、高校卒業予定者の就職内定率も12月現在78.4%で、県内就職希望者の内定率も69.0%と大変深刻であります。大学生の就職内定率も61.3%で、県内はわずか27.3%のみであり、過去最悪の状況であった平成12年前後の就職氷河期よりもさらに低く、雇用情勢の厳しさが、将来を担う若者の育成の芽を絶やしてしまうのではないかと危惧されております。県においては既卒者への支援も継続できるよう準備されているようですが、その内容を、高校、大学新卒者への就職支援策とあわせてお示しいただきたいと思います。
 次に、胆江、盛岡、二戸、両磐の各職業訓練センター、北上市にある情報処理技能者養成施設、北上コンピュータ・アカデミーの突然の廃止の通知は余りにも理解しがたい唐突なやり方であります。県と関係市は1月14日に国に対し運営継続を求めたとのことでありますが、五つの訓練施設で学んでいる生徒はどのぐらいなのでしょうか、これらの施設のかわりとなる施設はあるのでしょうか、県はこの問題をどのようにとらえ、どのように対処されるのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、地域によっては幼稚園の定員割れがある一方で保育所の待機児童がある状況を知るとき、働く親が多い昨今は幼保一元化の推進が求められていくべきとも思われますが、県内の認定こども園への支援の状況と成果をお示しいただきたいと思います。
 国においては、今後5年間で認定保育所などの定員を215万人から26万人増の241万人と数値目標を立てたようですが、県における保育所の定員数値目標はどうなっているのでしょうか、お伺いいたします。
 次に、子供が病気になり、一定期間は家族が見守ることができたとして、治りがけの時期、病児保育施設の利用を望む親が多いことを知りましたが、県内市町村における病児保育施設の設置状況はどうなっているのでしょうか、お示しください。
 一方で、預けるのに利用料が上がると大変であるとの声も聞かれます。安心して子供を預け、働けることが一番ですが、子供の看病で何日も仕事を休めない状況を見るとき、早急な対策を講じるべきと思います。病児保育についての県のお考えをお示しいただきたいと思います。
 最後に、現在、国会において平成22年度予算が審議されておりますが、農業関係の予算につきましても、これまでの政策が大きく転換され、平成23年度から本格的に実施される戸別所得補償制度を検証するためのモデル事業が平成22年度から実施されます。私は、新しい農政に大いに期待しておりますが、農家の皆様方からは農政の大転換に不安の声も聞かれます。その不安というのは、対象作物の助成単価が大幅に引き下げられるのかどうかということです。当初は単価が引き下げられることでしたが、達増知事がみずから国へ提案いただいたこともあり、追加措置として調整枠の260億円が盛り込まれました。本県には8億2、000万円を超える配分があったと伺っております。本県の要望が具体化したことを評価したいと思います。
 そこでお伺いいたします。県では激変緩和策にどのように対応するのかお示しいただきたいと思います。
 以上で再質問を終わりますが、答弁次第では改めて質問をいたします。
〇商工労働観光部長(廣田淳君) 若者の就職支援についてでありますが、新規高卒者につきましては、3月中は、各地域の就業支援員と学校、教育機関と連携し、一人でも多くの生徒が就職できるよう最後まで全力で就職支援を行っているところですが、就職内定に至らないまま卒業を迎える生徒が多く生じることも懸念されますことから、卒業後も就職に向けた支援を継続するため、現在、学校を通じまして、未内定者に対し、ジョブカフェ、ハローワーク等への登録を呼びかけているところであります。ジョブカフェでは、内定に至らなかった生徒一人一人に対しカウンセリングを行い、各自の希望や特性に応じ、就業体験、セミナー等を行いますほか、国、市町村等で実施されます各種支援制度の情報を提供し、生徒の実情に応じた支援を行っていく体制を整えております。
 一方、新たに高卒未就職者等を雇い入れた事業所を対象としました補助金、奨励金の支援を実施しております市町村に対して補助を行うこととしております。また、大学新卒者につきましては、県立大学を初めとしまして、卒業後も継続して就職相談や求人情報の提供体制を整備していると聞いております。県としても、大学との連携をさらに密にし、ジョブカフェを通じたきめ細やかな支援を行うこととしております。
 次に、職業訓練施設の廃止についてであります。五つの施設で学んでいる生徒数でございますが、北上コンピュータ・アカデミーでは合計143名、他の四つの地域職業訓練センターを合わせますと、平成20年度は、普通課程─これは年間51日から52日でございますけれども─約80人、短期課程─2日間でございますが─約3、000人、離職者訓練等受託訓練─60日間でございますが─約500人、その他職業に関する研修、講習、講座、さらには市民講座等では約5万4、000人の方々が利用しております。関係自治体からは、訓練を行うにふさわしい他の施設を確保することは難しいというふうに聞いてございます。今般の情報処理技能者養成施設等の廃止につきましては、独立行政法人改革の一環であると聞いておりますけれども、県内どの地域においても、すべての求職者、在職者等が職業訓練を受けられるようにすることは極めて重要であると認識しておりまして、県としましては、引き続き国などから情報収集を進め、関係自治体と十分意見交換をしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
〇総務部長(菅野洋樹君) 県内の認定こども園への支援状況と成果についてでありますが、まず、認定こども園や認定申請を予定しております園と、県及び関係市町村の職員が出席いたしまして、認定こども園と行政関係者との情報交換会を開催し、現状把握や問題点等の把握に努めているところでございます。また、認定こども園の施設整備等に要する費用を補助するため、平成21年3月に設置いたしました子育て支援対策臨時特例基金の活用について、周知、促進を図っているところでございます。
 県内の認定こども園の認定数は、制度が発足いたしました平成18年度に第1号の園が認定されて以来、現在、8園が認定されております。
 また、年度内及び来年度において、さらに数件の園が認定を受ける予定となっているほか、相談件数もふえておりまして、認定こども園は、県内に定着し始めているものと考えております。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) まず、県におけます保育所の定員数値目標についてでありますが、次世代育成支援対策推進法におきましては、市町村が策定を義務づけられております行動計画に、認可保育所等の受け入れ児童数の目標値を定めることとされておりまして、現行のいわて子どもプランの前期行動計画におきましては、平成21年度の各市町村の目標値の合計を県の目標値といたしまして2万7、031人と掲げているところであります。
 現在、県と市町村のそれぞれにおきまして、3月末を目途に、平成22年度から26年度までの後期行動計画を策定中でありますが、今申し上げました現行の数値目標に対する実績値及び平成26年度の目標値につきましては、その中で取りまとめることとしておりますので、3月末に各市町村の平成26年度の目標値が確定した段階で、県の目標値も設定できるものと考えております。
 次に、病児、病後児保育施設についてでありますが、病気の回復期などにあります児童を病院や保育所などに併設された専用スペースで一時的に保育いたします病児、病後児保育施設は、保護者が安心して子育てができるために極めて重要な施設でありまして、現在8市町村に10施設設置されておりますが、前年度と比較いたしまして、2市町村、2施設増加している状況にございます。
 しかしながら、設置に当たりましては、医療機関の協力や看護師の確保が必要であること、また、今年度から運営費に係る国庫補助制度が見直され、本県の施設のうち、利用実績の少ない施設につきましては補助金額が減額となる施設も生じたことなどもありまして、市町村によっては、早急に拡大を進めることが困難な状況にあるものと理解しております。
 このことから、県といたしましては、現在、市町村が策定しております後期行動計画におきまして、地域の医療資源の状況を踏まえ、可能な限り地域のニーズに対応した目標を設定し、当該事業に積極的に取り組むよう市町村に要請いたしますとともに、小規模施設に対します国庫補助制度の充実を国に要望するなど、必要な支援を行っていきたいと考えております。
〇農林水産部長(瀬川純君) 水田利活用自給力向上事業の激変緩和についてでありますが、国では、減額となる地域や経営体、作物への影響をできる限り緩和するため、作物間での交付単価の調整や激変緩和調整枠の設定などの措置を講ずることとしたところであり、単価の調整等については、国と協議することとされております。
 県としては、作物間での単価調整については、国の制度において、その他作物に区分されている作物は、作物別の単価の弾力的な運用により、県が指定する野菜や雑穀など約30品目の振興作物の単価を可能な限り引き上げるとともに、戦略作物と位置づけられる麦、大豆、飼料作物については、飼料作物の単価は、現行の助成水準並みとし、麦、大豆の単価は、現行の水準に近づける方向で協議を進めております。
 また、激変緩和調整枠、本県分8億2、900万円につきましては、集落営農等担い手の育成や地域振興作物等の産地化が停滞することのないよう、地域の実情に応じた単価の設定を可能とする方向で協議を行っているところであります。
 引き続き、地域の特性を生かした農業振興が図られるよう、協議を進めてまいります。
〇40番(及川幸子君) ありがとうございます。大変重要な課題だと思っておりますので、2点ほど再々質問させていただきます。
 ただいまの五つの訓練施設でございますが、知事の答弁によりますと、将来を見据えた雇用施策についての答弁でございますが、その中で、ものづくり産業の集積、そして人材育成、職業訓練等、関係機関との役割、また職業訓練施設については、人材育成の拠点、そして、その機能が十分発揮されるよう適切に対応したいと述べていらっしゃいました。
 私は、このことからしても、この五つの訓練校、利用者を紹介されましたけれども、大変な利用があります。大変な就職難のときに、やっぱり手に職を持たない人は使えないという企業がいっぱいあると思いますが、国の施策はわかります。私も民主党でございますが、その政策については、いろいろ県民からも異があると思います。そういう中で、やはりこの地方においては、こういう職業訓練校が機能しないと、全くこの利用している生徒に大変な負担をかけます。そのほかに利用するところがあればですけれども、利用するところが全くないということでございます。
 私は、この北上のコンピューター・アカデミーも訪れましたけれども、大変立派な施設の中で学んでいた生徒を見ました。
 そういう中で、もう一度、知事、この件に関して、これから国に、やっぱり地方は違うということを積極的に求めていくべきと思います。最後にお答えいただきたいと思います。
 そしてまた、病児施設でございます。病気をした後に、そういうところを利用する、もっと少ないと思ったんですが、結構あるようでございますが、実は、親御さんたちは、こういう施設があるのすらわからない人が多いと思います。
 私は、退院するときに、やはり小児科の先生なり看護師さんが、こういう施設がありますよと退院時に教えていただくことが、また利用も伸びるのではないかと思います。
 盛岡のこの病児施設では、やはり赤字経営が続いて、国の補助金も削られ、もうこれから経営ができないというような報道もされております。私は、やっぱりこれはニーズにこたえながら、本当に利用されるものであると思いますので、部長、もう一度、この周知徹底をする方策をとられるおつもりはないのか、これからのその望むところをお聞きして、再質問を終わります。
〇知事(達増拓也君) 雇用、またそれにかかわる職業訓練に関しましては、国が、国でやっているこの雇用保険の財源を用いてやってきたという経緯もございまして、そういう意味で、これから国がどういう役割を担っていくのか、そして、国と地方の適切な役割分担のもとで、地方においてどのような対応をしていくのかを県と市町村とで話し合いながら決めていくということが必要と考えておりますので、この問題につきましても、関係市町村ときちんとすり合わせながら、国に対して求めていきたいと思います。
〇保健福祉部長(千葉茂樹君) 病児、病後児保育施設の周知についてでありますが、施設の設置主体であります市町村において、まずもってホームページなどで実施施設や保育時間等を周知している現状にございます。
 しかしながら、今、御指摘のように、なかなか周知が図られていないではないかというようなお話も伺っているところでございまして、県といたしましては、今議会で御審議をいただくこととしております平成22年度当初予算の中で、この子育てに関するテレビ番組の制作や子育て支援情報誌、あるいは携帯電話からアクセスできるホームページの作成などに取り組むこととしておりますので、この中で、病児、病後児保育施設につきましても、地域の重要な子育て情報であるとして提供し、一層の周知を図ってまいりたいと考えております。
〇議長(佐々木一榮君) この際、暫時休憩いたします。
   午後2時41分 休 憩
出席議員(45名)
1  番 木 村 幸 弘 君
2  番 久 保 孝 喜 君
3  番 小 西 和 子 君
4  番 工 藤 勝 博 君
5  番 岩 渕   誠 君
6  番 郷右近   浩 君
7  番 高 橋   元 君
8  番 喜 多 正 敏 君
9  番 高 橋 昌 造 君
10  番 菅 原 一 敏 君
11  番 小野寺 有 一 君
12  番 熊 谷   泉 君
14  番 高 橋 博 之 君
15  番 亀卦川 富 夫 君
16  番 中 平   均 君
17  番 五日市   王 君
18  番 関 根 敏 伸 君
19  番 三 浦 陽 子 君
20  番 小田島 峰 雄 君
21  番 高 橋 雪 文 君
22  番 嵯 峨 壱 朗 君
23  番 及 川 あつし 君
25  番 飯 澤   匡 君
26  番 田 村   誠 君
27  番 大 宮 惇 幸 君
28  番 千 葉 康一郎 君
29  番 新居田 弘 文 君
30  番 工 藤 大 輔 君
31  番 佐々木 順 一 君
32  番 佐々木   博 君
33  番 工 藤 勝 子 君
34  番 平 沼   健 君
35  番 樋 下 正 信 君
37  番 阿 部 富 雄 君
38  番 斉 藤   信 君
39  番 吉 田 洋 治 君
40  番 及 川 幸 子 君
41  番 佐々木 一 榮 君
42  番 伊 藤 勢 至 君
43  番 渡 辺 幸 貫 君
44  番 小野寺 研 一 君
45  番 千 葉   伝 君
46  番 佐々木 大 和 君
47  番 菊 池   勲 君
48  番 小野寺   好 君
欠席議員(1名)
36  番 柳 村 岩 見 君
説明のため出席した者
休憩前に同じ
職務のため議場に出席した事務局職員
休憩前に同じ
午後2時59分 再開
〇議長(佐々木一榮君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日程第1、一般質問を継続いたします。嵯峨壱朗君。
   〔22番嵯峨壱朗君登壇〕

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