平成24年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成24年3月14日(水)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  農林水産部長   東大野 潤 一
  理事    高前田 寿 幸
  農林水産部副部長
  兼農林水産
  企画室長    橋 本 良 隆
  農政担当技監   徳 山 順 一
  農村整備担当技監 須 藤 勝 夫
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  水産振興課
  総括課長    寺 島 久 明
  競馬改革推進室長 立 花 良 孝
  技術参事兼
  農村計画課
  総括課長    沼 崎 光 宏
  農林水産企画室
  企画課長    小 岩 一 幸
  農林水産企画室
  管理課長    高 橋   徹
  団体指導課
  総括課長    大 友 宏 司
  指導検査課長   小田島   新
  流通課総括課長  菊 池   寛
  農業振興課
  総括課長    工 藤 昌 男
  担い手対策課長  千 田 牧 夫
  農業普及技術課
  総括課長    鈴 木   茂
  農村建設課
  総括課長    伊 藤 千 一
  農産園芸課
  総括課長    千 葉 泰 弘
  水田農業課長   小 野 正 隆
  畜産課総括課長  山 田   亙
  振興・衛生課長  渡 辺   亨
  林業振興課
  総括課長    佐 野   淳
  森林整備課
  総括課長    藤 川 敏 彦
  整備課長    赤 澤 由 明
  森林保全課
  総括課長    佐 藤 順 一
  漁業調整課長   石 田 享 一
  漁港漁村課
  総括課長    大 村 益 男
  競馬改革推進監  菅 原 伸 夫
  競馬改革推進室
  特命参事    佐 藤   博
  競馬改革推進室
  特命参事    平 野   直

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇喜多正敏委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第27号から議案第32号まで、議案第34号から議案第37号まで、議案第42号、議案第45号、議案第48号及び議案第49号の以上35件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、本日の農林水産部の審査につきましては、3月5日の当委員会で決定したとおり、第1部及び第2部に分けて審査することとし、第1部では、農業関係分野について、第2部では、林業関係分野及び水産業関係分野についてそれぞれ審査することになっておりますので、御了承願います。
 それでは、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇東大野農林水産部長 農林水産部関係の平成24年度の予算関係議案について御説明申し上げます。
 予算関係議案の説明に入ります前に、平成24年度の農林水産施策の推進に当たっての基本的な考え方を御説明申し上げます。
 まず、本県農林水産業を取り巻く状況でございますが、東日本大震災津波による被害額は、水産業を中心に6、633億2、000万円余となっているほか、原子力発電所事故による放射性物質の影響は、生産、販売等あらゆる面に及んでおります。
 また、本県農林水産業は、長引く景気低迷等に伴う生産物価格の下落などにより、経営環境は厳しさを増しているほか、従事者の減少、高齢化などと相まって、生産活動はもとより、農山漁村の活力の低下も懸念されております。このような状況も踏まえて、平成24年度におきましては、東日本大震災津波復興計画といわて県民計画第2期アクションプランに基づき、本県の農林水産業が、地域経済の基幹産業として再生、発展できるよう、取り組みを進めてまいります。
 まず、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けましては、漁船、養殖施設、漁港、漁場などの漁業生産基盤や種苗生産施設、水産加工施設、海岸保全施設の復旧、整備などに取り組むとともに、農地の復旧と一体となった圃場整備による農地利用の集積、地域特性を生かした園芸産地の形成、木材加工施設の復旧、整備などにも取り組んでまいります。
 また、県産農林水産物の放射性物質検査や牧草地の除染などの取り組みを進めるほか、県産農林水産物の安全性を国内外に発信し、風評被害の防止に取り組むなど、放射性物質対策を総合的に進めてまいります。
 本県農林水産業の振興に向けましては、復興の取り組みと軌を一にして、生産の効率化や生産基盤の整備等による経営体質の強化など、高い所得を安定的に確保できる経営体の育成に取り組むとともに、新たな担い手の確保、育成にも取り組んでまいります。
 また、生産性、市場性の高い産地づくりの推進や、高度な生産技術の開発、普及などによる、安全・安心で高品質な農林水産物の生産を推進するほか、6次産業化等による農林水産物の高付加価値化、販路の拡大に取り組んでまいります。
 このほか、地域資源を活用した農山漁村ビジネスや地域協働による環境保全、木質バイオマスや農業用水などを活用した再生可能エネルギーの利活用促進にも取り組んでまいります。
 それでは、予算関係議案につきまして御説明申し上げます。
 まず、議案第2号平成24年度岩手県一般会計予算でございますが、議案その1の7ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳出の表中、農林水産部関係の予算は、6款農林水産業費の664億9、207万1、000円のうち、県土整備部所管分を除く663億4、014万6、000円、及び9ページに参りまして、11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費の30億1、444万円のうち、農林水産部関係の予算28億7、893万7、000円と4項農林水産施設災害復旧費の744億9、621万1、000円を合わせまして1、437億1、529万4、000円となるものです。これを前年度当初予算と4号補正予算を合わせた額と比較しますと、金額で842億6、232万9、000円、率にして141.7%の増で、震災対応分の予算計上額904億94万1、000円を除いた震災対応以外の予算との比較では61億3、861万2、000円、率にして10.3%の減となります。
 予算の内容につきまして、便宜、予算に関する説明書により説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に簡潔に説明申し上げます。
 予算に関する説明書の141ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費です。1目農業総務費は、農政関係職員の人件費や国土調査等に要する経費です。また、説明欄中ほどのいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、加工、販売分野への進出や、他産業と連携した新たなビジネスの創出など、農林水産業の6次産業化に向けた取り組みを支援しようとするものです。142ページをお開き願います。2目農業金融対策費は、農業近代化資金等の貸し付けを行う農協などの融資機関に対し利子補給等を行うものです。3目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営に要する経費等のほか、いわてニューファーマー支援事業費による新規就農者に対する就農給付金の交付や、農村起業経営体発展支援事業費による農村起業経営体の事業拡大や多角化に向けた取り組みを支援しようとするものです。次に、4目農業振興費の主なものは、143ページの説明欄の中ほど、農業経営基盤強化促進対策事業費補助は、集落営農組織等の経営規模拡大に向けた取り組みを支援するものであり、今回、新たに、農地の出し手である離農者等に対して農地集積交付金を交付しようとするものです。その次の中山間地域等直接支払事業費は、中山間地域におきまして農業生産活動を行う農業者等に対し、平地地域との農業生産条件の格差の範囲内で交付金を交付する経費等であり、144ページに参りまして、いわてリーディング経営体育成支援事業費補助は、本県農業を牽引する先導的な経営体を育成するため、経営規模の拡大を図るために必要な機械、施設の導入に要する経費を補助しようとするものです。5目農作物対策費の鳥獣被害防止総合対策事業費は、野生鳥獣による農作物被害の防止拡大のため、市町村被害防止計画に基づく侵入防止さくの設置等を支援するとともに、急速に生息域が拡大しているハクビシンの生息状況把握や被害防止活動の活発化に取り組もうとするものです。説明欄一番下、強い農業づくり交付金は、米、麦、大豆などの土地利用型作物について、生産性の高い営農システムの確立等を図るため、共同利用施設の整備に要する経費を助成しようとするものです。次に、6目畑作振興費の主なものは、説明欄四つ目のいわての新園芸産地構築支援事業費補助は、園芸主業型経営体を核とした園芸産地づくりを推進するため、園芸生産拡大計画の作成や計画の実現に向けた活動、新作型の導入を支援するとともに、平成24年度にお きましては、新たに、葉たばこ廃作地への園芸品目導入を支援しようとするものです。下から二つ目の三陸みらい園芸産地づくり交付金は、三陸沿岸地域におきまして、生産性、市場性の高い産地づくりを推進するために、夏季冷涼、冬季温暖な三陸沿岸地域の気象条件を生かした野菜のハウス団地の形成を支援しようとするものです。7目北上奥羽山系開発費は、緑資源機構が、北上、奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業に係る地元負担分の償還金などであり、8目植物防疫費は、病害虫の防除指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査等に要する経費です。146ページをお開き願います。9目農業協同組合指導費及び10目農業共済団体指導費は、各組合の指導監督に要する経費、11目農業研究センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費であり、12目農業大学校費は、同校の管理運営等に要する経費です。
 次に、149ページをお開き願います。2項畜産業費です。1目畜産総務費は、畜産関係職員の人件費等です。2目畜産振興費の主なものは、説明欄二つ目の家畜改良増殖対策事業費は、肉用牛の安定的な生産及びブランド化を推進するため、優秀な種雄牛の造成など、黒毛和種及び日本短角種の改良増殖等を推進するために要する経費であり、150ページに参りまして、説明欄下から三つ目、県産牛肉安全安心確立緊急事業対策事業費は、安全・安心な県産牛肉の供給体制を確立するため、県内外に出荷される県産牛全頭の放射性物質検査に係る経費を助成するとともに、県産牛に対する消費者の不安解消への取り組みなど風評被害防止対策を実施するものであり、放射性物質被害畜産総合対策事業費は、県産畜産物の安全性を確保するため、県内産粗飼料の放射性物質の調査を行うとともに、牧草地の再生対策や廃用牛の適正出荷等を支援しようとするものです。3目草地対策費は、生産性の高い畜産経営体の育成と畜産の安定的な発展を図るため、公共牧場やキャトルセンター、畜産農家等の生産基盤の整備への補助に要する経費等であり、4目家畜保健衛生費は、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査等に要する牛海綿状脳症防疫対策事業費のほか、家畜伝染病予防費が主なものです。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営等に要する経費です。
 次に、153ページをお開き願います。3項農地費です。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等であり、2目土地改良費の農林水産部関係の主なものは、説明欄上から六つ目、経営体育成基盤整備事業は、水田の大区画化や用排水路、農道等の整備を一体的に実施し、農作業の効率化等を図るとともに、担い手への農地利用集積を促進し、高生産性農業の実現と、それを担う経営体の育成を図るために要する経費であり、下から三つ目の農地・水保全管理事業費は、農地、農業用水及び農村環境の良好な保全等を図るため、地域住民やNPOなど多様な主体の参画を得て、地域ぐるみで農地や農業用水等を守る活動を行う経費を支援しようとするものです。154ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するための防災ダムや老朽化した水利施設の整備に要する経費です。155ページに参りまして、4目農地調整費は、農地調整関係職員の人件費や農地保有合理化法人業務費補助等に要する経費です。
 次に、157ページをお開き願います。4項林業費です。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金等です。158ページをお開き願います。2目林業振興指導費の主なものは、説明欄一番下の森林整備加速化・林業再生事業費は、森林の整備や間伐材等の森林資源の利用を促進しようとするものであり、そのうち、復興木材流通支援事業費補助は、県内の間伐材等原木やチップの流通を促進するため、素材生産者やチップ生産業者に対して、木材加工工場や製紙工場までの輸送費を支援しようとするものです。159ページに参りまして、県産材活用促進緊急対策事業費補助は、間伐材等の利用量の拡大と地域産業の活性化を図るため、木材加工、流通施設や木質バイオマス関連施設の整備等を支援しようとするものです。また、下から三つ目の特用林産物放射性物質調査事業費は、原木シイタケの放射性物質検査につきまして、出荷前の全戸検査を実施するとともに、生産者への管理指導を行うなどの対策に取り組もうとするものであり、3目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大防止に要する経費等です。4目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、間伐や作業道の整備に対し補助を行うものです。次に、160ページをお開き願います。5目林道費は、民有林林道網整備計画等に基づき、森林整備の基盤となる林道の開設、改良等に要する経費です。161ページに参りまして、6目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要する経費です。162ページに参りまして、7目林業技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費です。
 次に、164ページをお開き願います。5項水産業費です。1目水産業総務費は、水産関係職員の人件費や水産科学館の管理運営等に要する経費です。次に、165ページに参りまして、2目水産業振興費の主なものは、説明欄中ほどのさけ、ます増殖費は、本県の基幹魚種であるサケ資源等の回復を図るため、ふ化場に対する技術指導を行うとともに、漁協等が行う稚魚生産放流に要する経費等を補助しようとするものです。その四つ下の栽培漁業推進事業費は、本県栽培漁業を復興するため、漁協等が行うウニ等種苗放流の取り組み等を支援しようとするものです。さらに、六つ下の漁業担い手確保・育成総合対策事業費は、漁業就業者の確保、育成及び着業並びに本県水産業の復旧、復興を支援するため、養殖漁業を管理する漁協が被災漁業者を雇用して養殖施設を復旧する取り組みや、就業希望者の技術修得を図る取り組み等を支援しようとするものです。次に、3目水産業協同組合指導費は、組合の指導監督や漁業近代化資金等の利子補給等に要する経費です。166ページをお開き願います。4目漁業調整委員会費及び5目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催や漁業調整などに要する経費です。167ページの6目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営等に要する経費であり、7目水産技術センター費は、同センターの管理運営、試験研究等に要する経費です。168ページをお開き願います。8目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営等に要する経費であり、9目漁港管理費は、県管理漁港施設の維持管理等に要する経費です。次に、10目漁港漁場整備費の主なものは、説明欄中ほどの漁業集落防災機能強化事業費は、集落内の地盤かさ上げや集落道、避難地等の生活基盤整備などを行う市町村への国庫補助事業であり、その二つ下の漁港機能復旧事業費は、災害復旧事業と連携して、漁港施設用地のかさ上げなどの改良復旧工事を実施しようとするものです。
 次に、大きく飛びまして、223ページをお開き願います。11款災害復旧費1項庁舎等施設災害復旧費です。1目庁公舎等災害復旧のうち、当部所管のものは水産技術センター施設災害復旧費ですが、これは、本県のアワビ資源を支える種苗放流体制を早期に確立するため、同センターの施設、設備を復旧し、種苗供給機能等の回復を図ろうとするものです。
 次に、226ページをお開き願います。4項農林水産施設災害復旧費です。1目農地及び農業用施設災害復旧費は、ダム、農地等に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費、2目林業用施設等災害復旧費は、震災により流失した森林火災用消火資機材の再配備に要する経費であり、3目林道災害復旧費及び4目治山災害復旧費は、それぞれ林道及び治山施設に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費です。228ページに参りまして、5目水産業用施設等災害復旧費は、漁協等が行う漁船、漁具の整備や、養殖施設、水産業共同利用施設等の復旧、整備等に要する経費であり、6目漁業用施設災害復旧費及び7目漁港災害復旧は、漁業用施設や漁港施設、海岸保全施設等に係る過年災及び現年災の災害復旧に要する経費です。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 議案その1にお戻りいただき、11ページをお開き願います。第2表債務負担行為の表中7、社団法人全国農地保有合理化協会が社団法人岩手県農業公社に融通した資金について元利金の償還がない場合の不足額の損失補償から、12ページの26海岸保全施設災害復旧事業までの20件です。その内容は、社団法人岩手県農業公社の事業資金の借り入れに係る損失補償が1件、農林水産業関係の各種資金の融通に伴う利子補給が9件、平成24年度から翌年度以降にわたって施工される工事等に係るものが10件、いずれも、それぞれ期間及び限度額を定めて債務負担をしようとするものです。
 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。
 21ページをお開き願います。議案第3号平成24年度岩手県農業改良資金等特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ1億5、608万9、000円としようとするものです。
 22ページをお開き願います。第1表歳入歳出予算の歳入の主なものは、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 23ページに参りまして、歳出の主なものは、2款就農支援資金貸付費は、円滑な就農を図るため、認定就農者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものです。
 24ページに参りまして、第2表地方債は、就農支援資金貸付費に充当するものです。
 25ページをお開き願います。議案第4号平成24年度岩手県県有林事業特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ34億8、367万1、000円にしようとするものです。
 26ページをお開き願いまして、歳入の主なものは、1款国庫支出金は、県行造林、模範林及び公営林の整備に係る国庫補助金、3款繰入金は、一般会計及び県営林造成基金からの繰入金、5款諸収入は、立木処分による売り払い収入等です。
 27ページに参りまして、歳出の主なものは、1款県有林事業は、県行造林、模範林及び公営林の維持管理、保育や県債の償還等に要する経費です。
 次に、28ページをお開き願います。議案第5号平成24年度岩手県林業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ13億8、772万7、000円としようとするものです。
 29ページをお開き願います。歳入の主なものは、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款諸収入は、貸付金に係る償還金等です。
 30ページに参りまして、歳出の主なものは、1款林業改善資金貸付費は、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものです。
 次に、31ページをお開き願います。議案第6号平成24年度岩手県沿岸漁業改善資金特別会計予算は、予算の総額を、歳入歳出それぞれ9億9、967万6、000円としようとするものです。
 32ページをお開き願います。歳入の主なものは、2款繰越金は、前年度からの繰越金を予定するもの、3款緒収入は、貸付金に係る償還金等です。
 33ページに参りまして、歳出の1款沿岸漁業改善資金貸付費は、沿岸漁業の経営改善を図るため、漁業従事者等に対し無利子資金を貸し付けようとするものです。
 次に、予算以外の議案について御説明申し上げます。67ページをお開き願います。議案第16号農業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、かんがい排水事業のほか、14事業の農業関係の建設事業に要する経費の一部を受益市町村に負担させようとするものです。
 次に、72ページをお開き願います。議案第17号林業関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、県単独治山事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものです。
 次に、73ページに参りまして、議案第18号水産関係の建設事業に要する経費の一部を負担させることに関し議決を求めることについては、広域漁港整備事業に要する経費の一部を受益市に負担させようとするものです。
 次に、予算関係の条例につきまして御説明申し上げます。
 議案その2の46ページをお開き願います。議案第34号家畜保健衛生所使用料等条例の一部を改正する条例は、家畜保健衛生所の病性鑑定等に係る手数料を改定するとともに、あわせて所要の整備をしようとするものです。
 次に、52ページをお開き願います。議案第36号岩手県手数料条例の一部を改正する条例は、当部所管の分は53ページの別表第6でございます。動物用医薬品の配置販売従事者の身分証明書の交付、書きかえ交付及び再交付につきまして、手数料を徴収しようとするものです。
 以上で予算関係の議案につきましての説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇喜多正敏委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間─おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部の農業関係について質疑はありませんか。
〇渡辺幸貫委員 まず最初に、放射能の損害賠償請求の取り組みについて伺います。
 東京電力の賠償支払いは昨年12月に19億円余となっておりますが、その後も請求が続いているだろうと思いますけれども、支払いの実績はどうなっているのか、ないのではないかと思ったりしております。今後の見通しについてもお伺いいたします。
〇徳山農政担当技監 今般の東京電力の事故に伴う損害賠償の状況でございます。県の農協中央会等が構成員となります県の損害賠償協議会を設立いたしまして、2月までに、5回に及びまして、総額で47億8、800万円ほどを請求済みあるいは請求する予定となっております。これに対しまして、東京電力からの支払いは、昨年12月に一度概算払いがあったところでありまして、その額につきましては19億2、400万円にとどまっているという実態にございます。
 今後の見通しでございますけれども、このような状況から、農家の経営安定には非常に重要な問題があるということで、当協議会あるいは県といたしましても、東京電力に対していろいろ請求してきました。今週の月曜日、12日に、損害賠償県協議会の総会が開かれまして、その総会に東京電力が出席し、今後の見通しについてお話をしております。
 内容は、算定方法について合意している部分と合意していない部分がございますけれども、合意された部分につきましては、4月末までに全額を支払うという内容でございました。県といたしましては、まだ合意していない部分がございますので、その早期合意に向けて、さまざま協議会を支援していくこととしておりますし、東京電力に対しても、引き続き、早期、確実な支払いを求めていきます。
〇渡辺幸貫委員 支払っていただかないと経営のほうが参ってしまいますので、何とかしてもらいたいと思います。
 それに伴いまして、牧草地の除染について伺いますけれども、放射能の除染の必要面積は1万ヘクタールということで発表されておりますし、除染の予算は9億5、000万円とされております。これを10アール当たりに計算しますと9、000円ちょっとということになりますが、この予算で1反歩の田んぼをやりますと、石灰は5袋ぐらいは普通振りますし、草地化成も二、三袋は振りますから、そのお金だけで9、000円になってしまうんじゃないかと思うんですね。種苗費はもっと高いと思うんですね、混播牧草の種というのはね。そうなっていきますから、作業賃などはとてもとても出てこないのではないか。こういう中で除染をしろと。そして、除染の方法もプラウ耕並びに耕起をしろと。ロータリーだと思いますけれども、牧野をローターでなどかきまぜたものでは、とてもとても牧草の種なんか出てきませんから、必ず株のでかい雑草のほうがはるかに元気になりますから、ですから、これを直すというのは必ずプラウ耕が必要だと思うんですね。そういうことにどう対処するのか、この辺の牧草地の除染について伺います。
〇山田畜産課総括課長 牧草地の除染対策についてでございますけれども、具体的な進め方としましては、前の暫定許容値であります300ベクレルを超過する牧草地については反転耕、それから新しい暫定許容値である100ベクレルから300ベクレルまでの牧草地については、ロータリーで土壌を攪拌する攪拌耕を進めていきたいと考えておりますが、これについては、国からの通知で、5、000ベクレルを超えるような土壌については、表土を削り取らなければならないということが言われております。それから、5、000ベクレルを下回るような土壌については、プラウによる反転耕かロータリーによる攪拌耕が有効だということを示しておりますので、本県では5、000ベクレルを超えるような土壌はございませんので、反転耕と攪拌耕で除染をしていきたいと考えてございます。
 それから、除染に対する経費についてでございますが、資材費を含めまして、反転耕で行いますと10アール4万4、000円程度、それから攪拌耕で行いますと2万6、000円程度要すると見込んでおりまして、1万ヘクタールというこれまでの概数でございますけれども、これを除染するためには概算で30億円程度の規模になると考えてございます。
 今年度の当初予算、今、委員から9億円等というお話がありましたけれども、予算を編成するときには、牛の飼料の暫定許容値の具体的な内容がまだわからなかったことや、公社でどれぐらい除染作業ができるかということも不明であったということから、平成23年度の2月補正でお願いいたしました約680ヘクタール、4億円ほどお願いしておりましたけれども、これとは別に、当初予算で約2、000ヘクタール分の除染に要する経費を予算に盛り込んでいるところでございます
 現在、除染対象となる牧草地については、面積を、今、概数1万ヘクタールと申しましたけれども、これを今、精査をさせていただいておりますが、あわせて機械を持っている畜産農家の方、それから種苗生産を共同でやっていらっしゃるコントラクターの方、こういう方々に公社から委託するという方法をとって、なるべく除染面積を拡大したいと考えておりまして、今、そういう方々にお願いをしているところでありますけれども、今後事業費とか、実施時期をなるべく早くしろという声が非常に高いということがありますので、実施時期等を検討した上で必要な予算を確保して、できるだけ早く除染が進むように取り組んでいきたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 今、2、000ヘクタールというお話がありました。つまり、反転耕をするためには、トラクターの馬力も普通は二、三十馬力ぐらいしか持っていないんですが、70馬力とか100馬力とか、大きなトラクターでないと反転ははかどらないですね。それでなおかつ、プラウが今ほとんど農家はもう、牧草地は反転なんて、最近草地更新をしていないから道具がないと思うんですね。その辺の実情についてもちょっとだけお知らせをいただきたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 お話のとおり、大型の農業機械を所有している、特にプラウ等は非常に少ないと思います。それで、一つは、農業公社には、結構草地造成事業をやっておりますのでそういう大型機械がそろっておりますけれども、それだけでは足りないので、北海道の農業公社にお願いをしまして、北海道の農業公社も、うちの公社と同じように草地造成の事業をやっておりますので、助っ人として来ていただいている、間もなく3月から入っていると思いますけれども、それが一つと、あとは、結構規模の大きな市町村の公社とか、あとは、先ほど言いましたコントラクターの方々に何とかお願いをして、そういう大型機械を貸していただく、または労力も出していただいて、公社からその労賃をお支払いするという形で御協力をいただきたいと考えて、今、それの取り組みを行っているところでございます。
〇渡辺幸貫委員 それにしても、ロータリーの数も二十何台とかということも聞きますので、いずれ夏までかかるのか、どこまでかかるのかわかりませんが、やるとすれば今度は草が伸びてきますから、モアで刈らなきゃいかん、刈ってからまたそれを刻みながらすき込むということを考えますと、今の単価はもっと上がるのではないかと思います。
 それともう一つ、さっき攪拌耕も国が認めたとは言いますけれども、現実に草地を持っている農家の人は、攪拌で種をまくなんていうことはしませんから、必ず反転をしなかったら牧草地の更新はできませんから、これはもう常識ですから、それはぜひ国にも要請をしていただいて、必ず反転をしてやるということにしないと、農家は本当に意欲がわかないと思いますね。ぜひそれは国に対して要請してください。
 次に、小水力発電、これは再生可能エネルギーで注目されて皆さんがぜひやるべきだ、箇所数は何ぼだっていう質問がたくさんありました。ところが、現実にやるということになると、水量が一定しなきゃ小水力発電はできませんから、そうすると、自然に農業用の用排水路ということになってくるんだろうと思うんですね。ただ、そういうところ、つまりダムから流れてくるようなところですら、途中に林があったりいろんなことがあって、ちょっと水がふえてきますと枝というか材木というか、それと小動物も、もう、ヘビからタヌキから大きなものはカモシカまで流れてきて、とてもじゃないが数十万円の、新聞に載っているようなちっちゃな発電機など、あっという間に壊れてしまうと私は思うんですね。それには、ちゃんとした自動除じん機がなければならないんですね。自動除じん機というのは、大体1、000万円単位のお金がかかりますから、箇所数は何カ所だなんて安易にお答えいただいても、現実はちりとりがなければ動かないと、こういうことになるんだと思うんですね。ですから、この小水力の前にまずごみの除じんだと思うんですが、それに対する対応について伺いたいと思います。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 小水力発電のごみ対策についてというお話でございますけれども、小水力発電の導入に当たりましては、設置費の経費を回収し得る売電単価、それがまずもって大事なわけですけれども、さらに利用可能な水量、それと高低差、落差、あるいは通水期間といったような設置条件、それらを踏まえて、いかに効率よく発電していくかというところが検討のポイントになると思っております。
 加えて、これまでの設置事例を見ますと、委員御指摘のとおり、発電効率の低下や故障の原因につながるごみ対策、この問題が非常に大事だと認識しております。このため、発電施設の導入に当たりましては、設置位置におけるごみの種類、あるいは量などを十分調査した上で、比較的大きなごみの流入を防ぐスクリーン、あるいは小さなごみを除去する、お話がありました自動式の除じん機など、将来の維持管理のことも考えまして、現地条件に応じた除じん設備の設置を検討してまいりたいと思っております。
 なお、これら施設の導入に当たりましては、地元負担の軽減を図りたいということから、民間の力を借りながら、除じん機の低コスト化に向けた取り組みを促進するとともに、国庫補助事業の活用によって、小水力発電施設と一体的な整備が進められるよう、これからも土地改良区とか市町村を支援してまいりたいと思っております。
〇渡辺幸貫委員 そういうことで、予算の確保をある程度しない限りは、小水力発電というのはできないんだと思うんですね。ですから、今言われた関係機関と一緒になって、除じん機とセットにして、小水力発電をぜひ我が県でもやっていただきたいと思います。
 次に、さっき畜産の続きで聞こうかと思ったんですが、畜産の世界では、具体的な企業の名前で恐縮ですが、太田油脂とか東北油化とか、二つの化製場が岩手県にはあります。それらが施設の老朽が進んで地域の悪臭被害が続いていまして、この議会でも取り上げたときもありました。それで、最近は、最新の密封一貫処理施設も人口密集地、例えば芝浦に連結しているところとか名古屋とか大阪とか、そういうところはまさに都会の中でそういう処理をしているわけですね。それと一方、この間は宮崎県で口蹄疫の問題がありました。こういうものを急遽防ぐということはテレビでもありましたとおり、どんどん屠殺をして処理をしていかなければならないんですね。そういうためにも、化製場がしっかりしていなかったら、岩手県の畜産は風前のともしびだと私は非常に心配をしております。そういう意味で、この位置づけをどう考えて対策をどうするのか、お伺いをいたします。
〇山田畜産課総括課長 化製場についての御質問でございますけれども、本県の畜産にとりましても、化製場は死亡家畜を衛生的に処理するということと、家畜の副産物の処理という、非常に必要不可欠な要素を持っている施設と考えておりまして、県としても、畜産振興上に重要な役割を担っているものと認識をしてございます。
 また、悪臭問題についてでございますけれども、基本的には、悪臭問題は、事業者の社会的責任としてみずから防止対策を講じること、これが基本と考えてはおりますけれども、県としては、化製場の機能、役割を維持するという観点から重要な課題であるととらえております。このため、これまでも、悪臭防止にかかわる原料の管理の仕方だとか処理工程につきまして、所在する各市それから関係機関と連携しながら、改善指導を行ってきたわけですけれども、独立行政法人農畜産業振興機構の事業を活用して、悪臭防止の施設整備も促してきているところでございます。
 今後とも、所在する各市と連携しながら、ソフト、ハード両面から、悪臭問題の解消に向けて指導を行っていきたいと考えてございます。
〇渡辺幸貫委員 この化製場から出てくるのは、結局全部燃やすのか。肉になるのは大体35%ぐらいですから、あとのものは、要するに化製場のお世話になって処理されていくという、畜産の量からすれば膨大なものなんですね。そこから、中には革のようなものは油を絞って我々の革靴だとかかばんだとか、いろんなものになっていくわけですけれども、要するに、副産物として今の二つの化製場は収入があるのかといいますと、私が調べた範囲では、どうも費用のかけぐあいも、どうも思うようにいかんし、どうも製品が、そこから出ていくものがなかなか立派なお金にならんと、三流品なのか、場合によっては燃やさなければならんようなものしか出てこないと。要するに、設備と技術が、もう非常に全国の最低クラスと聞いております。ですから、これは何としても上げなかったら、農業の岩手県は畜産が一番の、ナンバーワンですから、これは化製場が壊れたらあっという間に、もう、牛、豚、鶏、全部だめになります。ぜひこれを更新するというか、前向きに進める意欲があるのか、その意欲をお伺いしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 化製場の全面的な改修が必要ではないかというお話だと思いますけれども、県としても補助を行って、この改修をしていくということもいろいろとやってきているわけですけれども、基本的には一部の施設の改修をしてきております。全面的な改修となりますと、かなりの多額の費用を要するとお聞きしておりますし、県単独でその費用を捻出するというのは相当無理があると考えておりますので、また、その実現には、先ほど委員からもお話がありましたように、企業のみずからの努力と企業の意向をきちんと把握するということが必要だと考えておりますので、全面的な支援策については、国や農畜産業振興機構に対して理解を求めて施策をとっていただく必要があると考えております。
〇渡辺幸貫委員 ぜひそうしていただいて、岩手の畜産を守っていただきたいと思います。
 次に、農業研究センターについて伺います。
 これについては、決算のときに普及センターよりも予算が大きいじゃないかということを私は言ったんでありますが、相変わらず同じような予算が今回も載ってきているんですね。北海道だとか東北6県でも農業研究センターはあります。おのおの米やリンゴ等の果樹だとか畜産の雌雄牛だとか、ブランドの確立と農家の幅広い経営に寄与していると思うんでありますが、改めて我が県の農業研究センター並びに生物工学研究所の存在についてどういうふうに、要するに、まだまだ元気でこれが柱になるんだと思うから同じ予算を挙げてきたんだと思うんで、改めてこの存在についてお伺いをしたい。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 農業研究センターそれから生物工学研究所についてでありますけれども、今、農家の経営改善にどれだけ寄与するか、あるいはそういった決意なり方向性を持っているのかということだと思っておりますけれども、農家の経営改善に大きく寄与する技術の一つとして、新品種開発があると考えております。本県は、地域ごとに気象特性が多様でありますことから、各地域の特性に即した品種が必要と考えておりまして、これまで、耐冷性が強く良食味の品種開発を進めてきましたし、中北部においてオリジナル品種を普及してきました。けれども、県南部の稲作地帯に適合した極良食味品種については、まだ育成できていないと思っております。
 一方、他県では、御指摘のようにオリジナル品種の開発が進みまして、ブランド米の競争が一層激化しておりますことから、本県としても、すぐれた特性を持つ新たな品種の早期開発が求められていると考えております。このため、県では、平成22年3月に策定した技術開発基本方針におきまして、水稲品種開発の目標としてコシヒカリを超える良食味品種の開発を掲げて、その実現に向けて、農業研究センターと生物工学研究所の共同研究として、品種開発期間を大幅に短縮することができる次世代型の育種手法の開発に取り組んでおります。
 現在、世界的にも高く評価されるムットマップ法の開発ですとか、国内有数の解析システムの開発などによりまして、ひとめぼれなどの突然変異1万8、000系統から、有用な遺伝子の特定とそのDNAマーカーの作出を進めているところでありまして、これらの研究を通じて、最先端の育種技術が蓄積されてきていると思っております。近い将来は、新品種開発におきましては、全国をリードする県へと発展していくものと考えているところでございます。
〇渡辺幸貫委員 なんか全国をリードすると大変力強くお話を伺いましたが、おっしゃるような次世代の育種の方法を、解析もできてきたという、DNAマーカーもやったと具体的におっしゃられました。
 では、具体的に言いますが、コシヒカリでも、もう3年も前から新潟ではベータをくっつけて、そういうものを品種の中に取り入れて、これは新潟ですよと、ほかのものと違いますよというコシヒカリの、要するに、何ですかね、保守本流の印をつけた。それはまさにDNAマーカーの解析技術だと思うんですね。ですから、とっくにそっちのほうが何年も前から進んでいるんじゃないですか。そうすると、我々はまだ品種も出てこないのに、そういう印をつけられるなんていうのはすばらしいけれども、現実はまだ先だろうと私は不安を持っております。
 それともう一つ、今お話しになったのは、米の話だけでありますが、具体的に支出の中身を見ていますと事業普及費、つまり、おたくのほうの中身によれば、種子生産等にかかわる経費というのは非常に小さいんですね。1、500万円から1、900万円ですから、事業普及費ですから、要するに新品種ができてきて、そしてリンドウだとか今までであれば酒米だとか、そういうのに発表されていますから、そういうのに寄与したということですから、そういうことに使ったのか知りませんが、いずれにしても他県に比べてすごく低いんですよね。要するに、新しい品種の実績が少なかったんじゃないですか。もし多いとすれば、普及費はどんどんふえて、原原種、原種をつくって皆さんに渡さなければならん、私はそう思うんですね。その辺の今までの経過を、今、大いなる未来を聞きましたから、現状をお聞かせください。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 現状につきましては、県単の研究費につきましては若干下がっておりますけれども、共同研究等による外部資金の獲得によりまして、研究費の総体の確保に努めておりまして、そういう点で充実した研究、効果的な研究の推進に努めているところであります。そういう点で、研究活動については弱体化していないととらえております。
〇渡辺幸貫委員 米ばかり言うとあれですが、例えばリンゴ、私たちの江刺りんごというのは、今まで全国に名をはせてトップブランドだと思ってきました。ところが、それからもう30年余がたちましたから、残念ながらリンゴというのは、大体20年以内に改植をして新しい品種を植えなければ、木が古くなりますとリンゴの玉も小さくなって節で、要するに贈答用、高く売れるようなリンゴはとれなくなってくるんですね。まさにそういう悩みを抱えていまして、そちらのほうから、県で開発されたのはきおうというのが出ていますけれども、最近は江刺でも焦りにて、農家がやっているロマンというのがいいだろうとことし売ったら、きおうよりもロマンのほうが高く売れているというようなことで、農家の開発されたもののほうが品種がよかったりして、我々はそれを高く評価してやっているわけですけれども、残念ながら苗木を出す金も出てこない。したがって、改植ができない古いままだっていう悪循環に実はかなり陥っています。今まさに、私どもの中でも二つぐらいの団地で、億という単位で倒産の瀬戸際にあります。
 岩手の中で、江刺ブランドがそういうことで、風評じゃなくて現実のうわさが出ていきますと、ブランドとして大きく傷つきますし、岩手のリンゴ自体にも大きな傷がつくと私は心配をしているよりも、現実になってくるだろうと思っております。そういうときに、こういう二十何億円もお金があるんだったら、せめて1億円でもいいから、苗木として農家たちに渡してくれれば、さっきの放射能被害の混播牧草ではありませんけれども、そんなにバイオテクノロジーで何億円もお金をかけている研究センターの内訳を見ていきますと、バイオで2億円、何で2億円だとかって、どんどん億単位でお金を使っている。そんなの1億円、2億円でいいから苗木に使ってもらって、これをあんたたち、ただ同然で植えてみろと、改植をしてくれと。そうやって果樹を守らなかったら何のために農業研究センター、生物工学研究所や普及所があるのかという、農政の根本に私は疑問を抱くんですね。それについて、部長からか担当課からかわかりませんが、お答えをいただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 今、委員御指摘のことがございます。そのほかにもさまざまな課題は抱えてございますが、生物工学研究所は公設試で、役立つ技術、そこに何を目指して研究するかというのを強く意識しながら試験研究を進めてございますし、農業研究センターの研究員は、今度は現場で役立つ、それを強く意識して今研究を進めてございます。成果がなかなか出てこないという御指摘を重く受けとめまして、成果が出るような取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。よろしくお願いします。
〇佐々木順一委員 渡辺幸貫委員の例の東京電力の賠償問題について関連質問をさせていただきます。
 先ほど4月末の支払いが内定したというお話がありましたが、中身についてちょっと、どういう項目が賠償の対象になったのか、あるいは合意に至らなかったもの云々という話がありましたが、その合意に至らなかったものがどういう項目なのか。また、特にも干しシイタケについてはいろいろ懸案事項でありましたが、これについては、請求では出荷自粛とか自主回収の要請を受けたものとか、さらに風評被害まで対象になっておりましたが、この件についてはどういう取り扱いになっているのか、お伺いをいたします。
〇徳山農政担当技監 東京電力の賠償の関係でございますけれども、まず、先ほどのお話をもう一回繰り返しますと、これまで請求した分の中から、12月に概算払いが支払われております。この概算払いと、あと、1月に請求した分までの差額に対して今回支払うという意思が出されました。ただ、その場合に、一部品目について合意がなされていないものは除くとなっています。それで、これまで合意しているものでございますけれども、さまざまな項目がございますが、大きなものは稲わら、牧草の代替飼料の購入費、肉用牛の価格低落部分、子牛の価格低落部分でございます。
 今般、争点になっておりますのが、廃用牛の扱いについて、まだ合意がなされていない部分が一つでございますし、もう一点につきましては、出荷時期の問題がございます。肉用牛の出荷時期で、死亡した場合のお金の取り扱いについて、こちらの主張は、出荷制限がかかってから以降すべての期間ということで主張しておりますが、向こうは、岩手県の出荷制限は8月末に解除されているので、その期間に限定すべきだという話も受けております。ただ、この問題については、全国どこの県にも共通する課題でありますので、今、全国中央会のほうがいろいろ折衝しているところであります。
 あと、シイタケの関係につきましては、申しわけございませんけれども、第2部のほうで回答させていただきます。
〇佐々木順一委員 死亡牛と廃用牛は、今、交渉中だと思いますが、これについての見通しは、どういうとらえ方をされているのかお伺いいたします。
 それから、死亡牛と廃用牛の頭数と予想の金額並びに5次請求分の支払いの見通しについて確認させていただきたいと思っております。
〇徳山農政担当技監 廃用牛につきましては約1億9、000万円ほどでございます。ただ、この中で、12月の概算時に既に要求しているものについては9割が概算払いされておりますので、12月の概算払いで支払われない部分、1割の部分についてが保留となっているところでございます。
 死亡牛については、ちょっと額が少ないもので、今、手元にメモがございませんので、追って説明したいと思います。
 見通しについては、残念なことに、今のところまだはっきりしていないというのが実情でございます。県といたしましては、そういう争点について早く合意がされますように、今後とも引き続き協議会の活動を支援していきたいと思っております。
〇喜多正敏委員長 頭数は。
〇徳山農政担当技監 これにつきましても、今、手持ち資料がございませんので、追って説明いたします。
〇高橋元委員 肥育牛の関係なんですが、北上でも肥育農家から毎月毎月一定頭数を出荷しているわけです。ところが、風評被害の関係で1頭当たり20万円から30万円ぐらい価格が少ないんだと。そして、月々出荷しているんです。それを糧に生活しているわけです。12月に1回、今度、4月に1回、これだけ支払いが飛んでしまうと、生活そのものが成り立たないという悲痛な声が届いているんです。ですから、本当であれば、肥育農家に関しては毎月賠償金が支払われるような体制をつくってもらいたいと思うんですが、その辺の話し合いはどうなっているんでしょうか。
〇徳山農政担当技監 まさにそのとおりです。毎月毎月定期的な支払いが行われるよう交渉しているところでございます。
〇高橋元委員 ぜひ、そのことを今後とも強く申し入れをしていただきたいと思います。
〇工藤勝子委員 ただいま、渡辺幸貫委員のほうからも県内の牧草地の除染についての質問がございましたが、別の観点から私は質問させていただきたいと思っております。
 県内の牧草地は、今もお話がありましたように、1万ヘクタールにも及ぶ除染が必要となってきております。私の情報であれば、県南のほうではもうプラウが始まっているというような話も伺っておるところでもございます。
 そこで、この1万ヘクタール分の更新に向けての種子は十分に確保されるのかということでございます。これは、多分、ほとんどが海外から入ってくるはずでございますので、その点をお伺いいたします。
 それから、更新作業は、農業公社、コンストラクターという話もありましたし、畜産農家で大きな機械を持っている人に委託する部分もあると聞いております。
 ところが、春になると、必ず痛ましい農作業事故も発生するわけであります。そして、農家はほとんど高齢化ということもございまして、農業公社等はそれぞれ保険にも加入されていると思っているんですけれども、委託農家への保険加入の促進、短期でこういうものがないのかというところをお聞きしたいと思っております。
 それから、質問に入っていませんでしたけれども、我が家もわずかな畜産農家でございます。何回か草地を更新しようと思ってやったんですけれども、遠野市の牧草地というものはかなり高齢化になってきております。我が家の草地もそうであります。4ヘクタールほどやっていますけれども、それで、ある一部を、1ヘクタールほどを更新しようと思ったんですけれども、うまく牧草が育たなかったんです。私も非常に悪かったなと思っているんですけれども、そういう部分で、やはりpHの検査だとか播種の条件が整わないと、雑草にほとんど覆われてしまって、また耕起しなければならないような状況になってきております。それを2回ほど繰り返してしまいましたが、この指導体制についてもお伺いしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 今回の除染対策の種子の確保についてでございますが、1万ヘクタールというかなりの面積を見込んでおりますので、私たちも種子の確保については非常に気にしております。
 牧草種子については、事業実施主体であります県の農業公社が種苗会社と、注文というんですか、どういう状況かということを確認しながら進めていただいておりますけれども、播種前1カ月程度に種苗会社に注文があれば、ある程度必要量を確保できるという見通しを得ていると聞いております。除染の対象面積、実施時期を、今、精査しておりますので、今後、これらとあわせて早目の注文をして、確保していただくように進めていきたいと考えております。
 それから、作業をやる場合の事故防止と保険加入の問題でございますが、除染作業には、農業公社のほかに、先ほど答えましたように、農家の方、コントラクターの方に応援をいただきながら実施していくこととしておりますけれども、事業実施主体である農業公社においては、作業を行う方を対象にして、事前に十分な説明会、作業前には打ち合わせを行うということを聞いております。そういうことで、作業の安全性については十分周知徹底していただくことをお願いしておりますし、個人事業主が加入できる普通障害保険というものがございます。これは、その方々に入っていただかなければなりませんが、これの加入についても説明会等で周知を図りたいと考えております。
 県としては、引き続き、その事業実施主体であります農業公社と一緒になって、農業公社も指導しながら、作業事故が起きないように万全を期していきたいと考えてございます。
 それから、指導の話でございますけれども、牧草地は年数がたちますとやはり地力が落ちてまいりますので、今回、除染をするところにつきましては、特に天地返しをして、下の土が表面に上がってくるようなところについてはかなり地力が弱っていると思っておりますので、特にも、pHの酸度矯正については、はかりまして、炭酸カルシウム、燐酸質資材については十分な量を施用するように計画しておりますし、これらの指導には、普及センター、広域振興局、農協が一体となって取り組みたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 種子のほうもうまく手に入ればいいなという思いがあるわけですけれども、農業公社だけに任せないで、ぜひ、県のほうももう少し積極的にそういう働きかけをしていただきたいとお願いしたいと思います。
 それから、草地というのは、どうしても平たん地じゃないんです。丘陵、山みたいな、なだらかですけれども、そういう部分もあって、それは、だれでも事故を起こそうと思うとかでなくて、安全には気をつけて作業をしているわけですけれども、そうであっても事故が発生しているわけでありまして、もう65歳を過ぎると保険に入れないんです。そういう部分で、こういう作業を委託する部分の短期みたいなものをぜひJAのほうにも働きかけていただければという思いがございます。
 それから、更新をしなければならない市町村というのは盛岡市のほうまで拡大になってきております。そういうわけで、わかればですけれども、乳牛、肉用牛、遠野市では馬刺しというものもあるわけですが、全体の頭数を把握していれば、牧草地を更新しなければならない地域にいる畜産の頭数、そして、今後、粗飼料が入ってくるわけですが、1日当たり何トンぐらいと見込んでいるのかお伺いしたいと思います。
 結局、春、順調に牧草地に種をまいて更新したとしても、ことしいっぱいは、多分、草地の収穫にならないのだろうと思います。きっと、秋以降、刈った程度で終わって、来年の6月から順調にとれるようになるのかなと思っております。そういう部分で、今後1年間、どのぐらいのトン数を見込んでいるのか。そして、粗飼料が安定的に入ってくるのかということを、今、畜産農家が一番心配しております。ことしは草を刈る手間もないし、いろいろ暑い中で乾草を取る手間暇も省けるねとは言いながらも、本当に入ってくるのかなということを心配しておりますので、その安定供給対策についてお伺いいたします。
 それから、先ほども賠償問題がありましたけれども、粗飼料の代金が全部東京電力の賠償対象になるのか。先ほど言いましたように、農家でも牧草を収穫するためには、それぞれコストもかかっているわけです。そういう部分は取り除かれるのかということがあるので、その部分もお伺いいたします。
〇山田畜産課総括課長 まず、利用自粛をお願いしている市町村は13ございますが、ここにおける家畜の飼養頭数は、一部地域に利用自粛をお願いしているところもありますので、それも含めて全体の頭数になりますけれども、乳牛で約2万頭、肉用牛で約5万8、000頭、馬が280頭と推計しております。
 ここで必要となる代替飼料の数量については、乾草に換算しまして、1月当たり最大6、000トン程度と見込んでおります。1日当たりでは200トン程度ということになります。年間だと7万2、000トンという数量を見込んでございます。
 この粗飼料が安定的に供給されるのかという御質問でございますけれども、一つは、代替飼料の供給を国内で融通してもらうということを国にお願いしておりまして、北海道を初めとして全国から乾草やサイレージを供給できるという申し出が約1万5、000トン、これは乾草に換算しますと約1万トンになりますけれども、これを確保しておりますが、毎月、海外から月当たり約16万トンの乾草が輸入されております。これについて、国や飼料会社に対しまして、一つは、輸入量を拡大していただきたい、それから、船便で時間がかかりますので、今入ってくる分については優先的に被災地に回していただきたいということをお願いしておりまして、現在、農業団体を中心に確保に取り組んでおりますけれども、ある程度供給は可能だと国からは伺っているところでございます。
 それから、代替飼料の代金、生産者への負担についてでございますけれども、これは、本県では農業団体が畜産農家に粗飼料の現物を無料で供給しまして、これに要した経費については、農業団体がかわって東京電力に損害賠償請求をしていくという取り組みをすることとなっておりまして、生産者の負担にはならないと考えております。
 また、これは農協系統だけでなく、全酪連系だとか、全開連系だとか、全国組織があるところについても、国の農畜産業振興機構の同じような原資を貸してくれる制度がございますので、これらを使って、県内のほとんどの部分については、農家にとって生産者の負担にならないような形で粗飼料が供給されることになると考えております。
〇工藤勝子委員 きょうは3月14日ですけれども、酪農家においては間もなく自分で持っている粗飼料を与えられなくなります。そして、私たちは、肉用牛には31日まで、今月いっぱい与えることができます。
 そこで、県内には300ベクレルを超える牧草は1、613トンとこの前の説明でございました。1日5トンずつ、2年かけて焼却するとされております。私たちの牧草というのは300ベクレル未満でありまして、我が家では100ベクレルから150ベクレルぐらいありましたが、今後、この処理はどのぐらいの量になると把握しているのか、今後の処理についてお伺いいたします。
 それから、放射性物質の被害によって、畜産農家に与える影響と申しましょうか、これは答えられない部分もあるかもしれませんけれども、どうとらえていらっしゃるのか。
 それから、遠野市などは、夏山冬里という形で、頭数をふやしながら畜産を拡大しようと推進してきたわけですけれども、今後、どうしても夏山で牧場に放牧するわけにはいかないような状況であります。そうすると、今後、公営牧場もいろんな部分で更新しなければならないのかと思っていますけれども、公営牧場の運営に与える影響についてもお伺いしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 利用自粛をお願いすることに伴う牧草の処理ですけれども、これまでも、300ベクレル以上の酪農家の牧草、3、000ベクレル以上の肉用牛繁殖農家の牧草については処理をお願いしてきているわけでございますが、放射性セシウムの濃度が8、000ベクレル以下の牧草につきましては、国は前から、一般廃棄物として焼却、埋却、生産圃場へのすき込みによる処分を行っていただきたいということを通知しておりまして、私たちも市町村と一緒になってその取り組みを進めております。なかなか進みませんが、それで何とか処分を進めていきたいと考えております。また、8、000ベクレルを超過する牧草については、ことしできました特別措置法に基づきまして国が処分するということで動いているところであります。
 県としては、汚染された牧草の処分については、平成24年度の当初予算にも提案させていただいておりますけれども、放射性物質被害畜産総合対策事業の利用自粛牧草等処理対策という事業で、市町村が行う処分に対して10分の10で補助をするという取り組みをしておりますので、なかなか地域住民の方の同意を得るというのは進んでいないと聞いておりますけれども、何とか連携しながら、適切な処分が進むように取り組んでいきたいと考えてございます。
 それから、畜産農家に与える影響ということでございますが、原発事故に伴う放射性物質が飛んだことによりまして、一つは牧草の利用自粛、汚染稲わらによる国からの牛の出荷制限の指示、さらに出荷制限の一部解除に係る牛の全頭検査、それに伴う廃用牛が滞留した、牧草地の除染をしなければならない、利用できない牧草や稲わらの処分をしなければならないなど、県内全域にさまざまな問題が発生しているということでございます。また、風評被害によりまして牛の枝肉価格が低下しておりますし、一部の牛が東京市場に直接生体で出荷できないというような影響も出ているところでございます。
 こうしたことから、畜産農家の経営の正常化、被害の軽減を図るために、先ほどもお話ししました代替飼料の確保対策、利用困難となった牧草地の除染、利用できない牧草の処分、さらに、出荷を延期せざるを得ない廃用牛については、集中管理施設を設置するなどの支援を行っているところでございますが、風評による被害を軽減するために、東京食肉市場まつり、いわての牛肉安全安心フォーラムの開催など、県内外の消費者に対しても県産牛肉の安全性のPRをして、何とか風評を取り払いたいと考えているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを生産者や関係団体の方と一緒になって進めて、畜産農家が早期に安心して経営できるような支援をしていきたいと考えてございます。
 また、公共牧場の運営に与える影響でございますが、牛用飼料の許容値の引き下げに伴いまして、今、県内で114の公共牧場が稼働しておりますけれども、このうち27の公共牧場が利用できなくなると考えております。そこで放牧されている牛は、乳牛で約1、200頭、肉用牛で約2、900頭となっておりますけれども、これらに対する影響が直接的にまず出てくるものと考えております。このため、現在、利用自粛しなくてもいい牧場、要請していない地域がありますので、こうした牧場に放牧牛を受け入れていただけないかということでお願いし、調整してございます。何件か受け入れ可能というお答えも今いただいておりますが、これから具体的な調整を進めていきたいと考えております。
 また、その公共牧場は、市町村営、団体営といろいろありますが、稼働できないことに伴う損害賠償については、東京電力に対する損害賠償請求の対象となると考えてございます。
〇喜多正敏委員長 この際、進行に御協力願うため、答弁は簡潔にお願いします。
〇工藤勝子委員 私も簡潔明瞭に行います。
 これから、種子の確保にしても、牧草の更新においても、粗飼料の確保においても、また、いろいろ出荷に対しても、JAの動きというんですか、働きというのが非常に大きくなってくるのだろうと思っております。今こそJAの信頼を回復するときじゃないかと思っております。合併して大きくなって、あるか、ないのかわからないような状態になっている今のJAの姿であります。
 そこで、ぜひ、JAと県で支えていただきたいという私の願いでもございますので、同じ情報を共有しながら、県としてのJAに対するいろんな部分での支援対策を部長に伺って、この点は終わります。
〇東大野農林水産部長 今、畜産が抱えている放射性物質関係の問題は、前に戻すという姿勢で進めてございますけれども、技術的な問題とか、仕組みの問題とか、なかなか課題も抱えながら進んでいるという状況にあります。この問題について、JAを中心とする生産者団体とは、最初から、お互いが両輪で動かないと前に進まないという意識は共通して取り組んでまいりました。何事についても協議しながら、相談しながらやってまいりました。これからも、JAを初めとする生産者団体と連携しながら、問題解決に向けて取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、農地転用の実態についてお伺いします。
 2月4日の報道によりますと、農地転用は1、061件、特にも被災された12市町村で2.3倍になっているとありました。これが、高台にある農地の需要が高まっているということでもあります。陸前高田市においては、リンゴ団地が高台にありまして、住宅再建の候補地にもなっていると。その人たちは、リンゴをつくるべきか、被災の人たちの思いにこたえて、リンゴをやめなければならないのかというような報道もございました。
 そこで、その後、1カ月もたっておりますし、復旧、復興も始まっておる中で、農地転用の実態がわかりましたらお示し願いたいと思っておりますし、市町村の農業委員会において事務手続がスピード感をもって行われているのかということを聞きます。
 それから、今後、沿岸地域において、平成24年度に復旧する農地面積、作付作物についてわかりましたらお願いいたしますし、もし、ここの地域においても、水田とするならば、減反、作付面積の調整があるのかお伺いいたします。
〇工藤農業振興課総括課長 私のほうから農地転用の実態についてお答え申し上げます。
 農地転用の実態につきましては、被災12市町村におきましては、平成23年4月から平成24年2月までの転用の申請・許可件数についてでございますけれども、628件ございまして、前年同期と比べますと約2.5倍、面積では約51ヘクタールで、前年同期比2.7倍と大幅にふえております。その用途といたしましては、大部分が住宅あるいは事務所の用地となってございます。
 2点目でございますが、事務処理の日程の関係でございます。事務処理の日程につきましては、委員御指摘のような懸念があったわけでございますが、被災地では、震災から復旧、復興のための農地転用申請が増加しておるという実態がございまして、県といたしましては、速急な対応を図るために転用手続の迅速化ということに取り組んできたところでございます。具体的には、農地法により義務づけられております県農業会議からの意見聴取を月1回行っておったわけですが、これを2回にふやすということで、通常40日程度の期間がかかるわけですが、これを最大2週間程度短縮できたという取り組みをやってきておるところでございます。今後とも、これらの取り組みを促進しまして、転用手続の迅速化を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、今般、土地利用調整の迅速化を図る観点から、東日本大震災復興特別区域法が定められてございますが、農地転用も含め土地利用の許認可手続のワンストップ化が図られるということになりましたので、この制度を活用しながら、市町村と連携しながら、農地転用手続の迅速化に取り組んでまいる予定としております。
〇伊藤農村建設課総括課長 沿岸部におきます農地復旧の見通しでございますが、沿岸部では、とりわけ被害が甚大な陸前高田市など8市町村からの要請を受けまして、県が事業主体となって除塩対策を含めた災害復旧事業を実施しております。既に転用された農地を除きます復旧対象農地が717ヘクタールでございますけれども、このうち、現時点で335ヘクタールの復旧工事が発注済みとなっております。このうち、復旧対象農地の3割に当たります220ヘクタール、内訳を申しますと、水田が約170ヘクタール、畑が約50ヘクタールとなりますが、合わせてこの220ヘクタールについて、今春の作付が可能となるよう復旧工事を進めているところでございます。被災農家は、農業機械を失うなど営農再開が困難な状況にあります。営農意欲が失われないよう、農業機械の確保等の支援や受託農家の調整を進めるなど、復旧する農地すべてが作付されるよう支援しているところでございます。
 作付作物につきましては、被災農家の営農再開の意向把握をしながら、地域の希望に沿ってきめ細かに支援してまいりたいと考えております。
〇小野水田農業課長 被災地における米の生産調整の取り組みについてのお尋ねでございますが、平成24年産米の生産数量目標につきましては、被災地の市町村が不利とならないように、震災前の配分に用いたデータを用いて同様に算定したということでございますし、また、全市町村において前年産の数量を下回らないよう配慮したところでございます。
 現在、被災水田の復旧対策に取り組んでおるところでございますが、依然として米の作付が困難な水田もあるところでございますので、昨年の場合には、被災地の沿岸部から内陸のほうに数量で1、276トン、面積換算で約240ヘクタールの地域間調整に取り組んだところでございますが、本年度におきましても市町村間調整を行うこととしておりまして、農業団体と連携しながら、3月末を目途に調整を図ってまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 除染問題についてもいろいろ意見が出されたところでございます。冒頭、部長が、農林水産物の安全・安心の確保、牧草地の除染にも努めるとおっしゃっていました。今まで質問が出されたことでありますが、私のほうからも、岩手の農畜産物の安全・安心の確保に向けて、それではどのような取り組みをなされるのか。特にも放射能汚染対策としての岩手の畜産、岩手の野菜の安全性についてはどのような取り組みを行うのかお聞きしたいと思います。
〇徳山農政担当技監 本県の安全・安心な農畜産物の確保と放射線対策ということでございます。
 まず、県では、土づくりや農薬の使用回数を減らすなど、消費者から信頼される農産物の産地をつくるため、平成20年に岩手県環境と共生する産地づくり基本計画を策定し、これまで、環境負荷低減技術の開発、普及や、安全な農作物をつくるための生産管理工程の導入などに取り組んでおります。
 この結果、減農薬あるいは減化学肥料栽培などを実践する環境保全型農家の実践者数、また、適正な生産工程管理を行うGAP導入地区数などにおいてはほぼ目標を達成しているところであり、本県は安全・安心な農産物の生産体制の構築が図られていると考えております。
 ただ、今回、放射線の大きな影響が出ております。これに対しましては、まず、消費者に安心して県産農畜産物を利用していただくために、放射性物質の影響を防止する生産管理対策の徹底、そして、検査計画に基づいた検査の実施の二つが重要と考えております。
 このため、まず、農産物の生産管理対策としては、先般、放射性物質影響防止のための農作物生産管理マニュアルを作成いたしまして、普及センター等の営農講習会などの場で生産管理対策を徹底しますとともに、今後ともその調査研究を継続し、新たな知見が得られ次第、これをすぐに現場のほうに戻して、より安全な生産体制を構築していきたいと考えております。
 また、2点目の消費者に安全な農畜産物を提供するため、特に牛肉等でございますけれども、引き続き牛の全頭検査体制を維持していきますし、また、牛乳につきましては、県内の13乳業工場での原乳の定期的な検査、また、豚肉、鶏肉、鶏卵につきましても定期的な検査を実施しておりますし、飼料となる牧草につきましても、牧草の検査あるいは暫定許容値を超過した牧草地の除染など、こういった一連の作業を進めて、特に放射性物質の影響が大きく出ておりますので、畜産物の徹底した安全対策を講じ、消費者にも伝えていきたいと考えております。
〇及川幸子委員 いろいろな取り組みをなさっているというのはわかるんですが、生産、流通、販売という中で、岩手のものは今の取り組みの中で安全だということ。危険性があるときは結構マスコミでも大きく報じられます。しかし、これが大丈夫というのが余り店先に並ばないんです。これは絶対放射能汚染にはなっていない牛肉ですよとか、そういう表示が全然ないので、一々、これはどこ産で大丈夫ですかと聞く姿も見られますが、その辺のところを、安全だという部分について、もっともっとやっぱり出していかないと消費者は求めないのではないかと思うんですが、その点についてもう一度伺いたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 安全・安心の発信について、ただいまの徳山技監からの生産面での答弁を着実に実施した上で、まず、私たちは検査をきっちりと行って、その検査結果をしっかりと速やかに公表するという取り組みを続けていくことが大事だと考えております。
 その上で、岩手県産の農林水産物の安全性については、知事のコメントが入った安全宣言のチラシであるとか、あるいは新聞広告を通じて発信するということを行ってまいりましたし、県の内外で行われる県産品フェア等において、機会をとらえて安全性のアピールをしてまいりました。例えば、昨年の10月には東京都の東京食肉市場まつりにおいて、知事がみずから参加して、牛肉を初めとした県産品の安全性を首都圏の消費者の方々に広くアピールするなど、あらゆる機会をとらえて情報発信に努めてまいりました。こうした取り組みを着実に継続してやっていくということが、消費者の不安の解消、あるいは安全の確保に努めていく結果になると考えてやっております。
〇及川幸子委員 いわてデスティネーションキャンペーン─岩手県の観光に対するそういう動きも始まりますから、岩手といえば畜産、そして前沢牛とすぐ来るように、安全なものはこれだというふうに、三陸の海産物、いろいろ安全であるということをもっともっとアピールして今後も取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますが、牧草の汚染問題です。これがお二方の質問の中に入っていましたが、きのう、金ケ崎町議会の結果が出たんですが、金ケ崎町議会からは、県と連携し、早期除染に努めると。牧草利用自粛問題ということで挙がっておりました。この中で、先ほど話題になっておりましたが、先ほどまでは300ベクレルと遠野市のほうで言っていますが、新聞には100ベクレルを超える市町村には自粛を願いたいということで、奥州市も、金ケ崎町も入っているんですが、この100ベクレルを超えるということは本当なんでしょうか。
〇山田畜産課総括課長 今回、国の指針が、2月3日に食肉の規制値が下がったことに伴ってえさについても下げられたわけですけれども、牛用については、今までは乳牛は300ベクレル、繁殖牛が3、000ベクレル以下という基準でしたけれども、一律100ベクレル以下と決定されております。
〇及川幸子委員 そうなりますと、100ベクレルになったら、どこの牧草地も危ないということなんです。そういう中では、やっぱりかなり早期に手を打たないとだめだと思います。そして、先ほどから話題になっておりました代替飼料を農家に与えるということ。それで無料だということで大変安心しましたけれども、やっぱり早目の対応をしないとだめだと思うんですが、その辺のところを、部長、いかがですか。300ベクレルが100ベクレルになったんですよ。もう急がなきゃだめだと思うんです。岩手県の畜産を守るために、もう一度お答えいただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 委員御指摘のとおり、早期に対応するということで、生産者の方々にも伝えないと、安心して生産活動できないということだと認識しております。県としては、早い時期から農林水産省から情報を得て、それに対応すべく要請もしながら取り組んできてございますし、その情報については、生産者団体と協議しながら、対策、対応を練りながら進めてございますので、これからもそういった姿勢で対策に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 よろしくお願いします。終わります。
〇熊谷泉委員 私のほうからは一つの項目、農業者戸別所得補償制度推進についてお伺いいたします。
 これは政権交代してから始まったわけですが、いろいろ農家にも好評な面もあります。平成22年度に、米の戸別所得補償モデル事業と水田利活用自給力向上事業に岩手県に支払われた額はどのぐらいになっているかお伺いいたします。
〇小野水田農業課長 平成22年度、本県に支払われた交付金の総額が212億8、000万円となっておりまして、その内訳といたしまして、米の戸別所得補償モデル事業の定額部分として67億9、000万円、変動部分として68億4、000万円となっております。また、いわゆる転作部分の水田利活用自給力向上事業として76億5、000万円となっております。
〇熊谷泉委員 平成22年度は、平成21年の米価が下落したところの補てんもあったと思うんですが、これについて、平成23年はどういう状況になる見込みかお伺いいたします。
〇小野水田農業課長 平成23年度の米の所得補償交付金の変動部分の支払いについては、この3月までの相対取引価格でもって基準価格に対して下落した場合には支払われるということでございますが、現時点では変動支払いが行われるということはないと考えております。
〇熊谷泉委員 昨年からいわゆる戸別所得補償方式は畑作まで拡大されましたが、岩手県においてどういうような実績になったのかお伺いいたします。
〇小野水田農業課長 本年度の本格実施によって、新たに畑作物の麦、大豆、ソバ、さらには菜種といったものに対する所得補償交付金が創設されたわけですが、昨年8月末の加入申し込み時点で申し上げますと、麦で3、750ヘクタール、大豆で3、340ヘクタール、ソバで1、060ヘクタール、さらに菜種で40ヘクタールという見込みになっております。
 参考までに、従前、平成22年度までの水田経営所得安定対策の生産条件不利補正対策に比較いたしますと、麦では250ヘクタール、大豆では320ヘクタール程度増加しているところでございます。
 なお、水田と畑地の内訳あるいは交付金額については、現時点ではまだ明らかになっていない状況でございます。
〇熊谷泉委員 今の面積を聞くと、岩手県でも大分これは恩恵があったと思います。
 もう一つは、耕作放棄地に対する事業も組み入れられましたが、耕作放棄地に関しては解消がなかなか難しいわけですが、せっかくこれで、ある意味お金が入ってくる部分もあるんですが、これらの実績についてはいかがでしょうか。
〇千田担い手対策課長 耕作放棄地解消に向けた所得補償制度についてでございますけれども、この中に再生利用加算という制度がございまして、その実績につきましては、この事業自体が平成23年度からスタートしたものでございまして、現在、国において取りまとめ中でございまして、はっきりした数値は出ていませんが、昨年の8月31日に申請を締め切った段階での件数が8件、面積で52ヘクタールとなってございます。
 今後、どういったことが見込まれるかということをちょっとお話しさせていただきますと、耕作放棄地の解消に向けて非常にいい制度でございますので、市町村に対しても、有効な事業として活用の周知を図っていきたいと考えてございます。
〇熊谷泉委員 この事業に対する10アール当たりの単価は幾らですか。
〇千田担い手対策課長 平場と、条件不利地で中山間と単価は違うんですが、平地で10アール当たり2万円、条件不利地では10アール当たり3万円となってございます。
〇熊谷泉委員 お伺いしたときは、明確な見解はまだちょっと出せないようなお話でしたが、今、1万ヘクタールの牧草地の除染が始まろうとしている。普通、牧草地は何年かおきでないと更新しないので、プラウをかけて、ロータリーをかけるというのは、ある意味、これは絶好のチャンスだと思うんです。1万ヘクタールが全部対象になるとは思いませんが、これに、まず、さっき言った麦、大豆、ソバ、菜種をまいたら、戸別補償の対象になりますか。
〇小野水田農業課長 牧草地の除染事業ということではなく、一般的に申し上げて、いわゆる牧草地を切りかえて別の作物を作付して、それが畑作物─適正な肥培管理をして、収穫して販売するということであれば、今回の対象になると考えております。
〇熊谷泉委員 ちょっと畜産課総括課長にお伺いしますが、本来の目的は牧草地の再生ということですが、農家は、4万4、000円の更新費をかけて、それは東京電力から出ると思いますが、実際は、牧草10アール当たりからそれだけの金額としてふだんは上がらないと思うわけですが、これは何年か戸別所得補償で転作作物をつくって、その後に牧草を植えて草地に戻すという、平場であれば、そういう選択をする農家があるいはあるかもしれませんが、それについての見解をお伺いいたします。
〇山田畜産課総括課長 除染対象の牧草地に、耕起をしてからほかの作物をつけて、再度牧草地に戻すということであれば、最初の耕起と、牧草を作付するための経費については除染対策事業で対象になると考えておりますが、何年かといういわゆるタイムスパンが長い場合にどうするかというのはちょっと考えておりませんでしたので、確実に牧草地に戻るのであれば、対象になると考えてございます。
〇喜多正敏委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時48分 休 憩
午後1時3分 再開
〇嵯峨壱朗副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたしますが、第1部、農業関係の審査では、この後10人の質問者が予定されております。その後、林水はたくさんいます。進行に御協力願うため、質疑、答弁とも簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇小田島峰雄委員 簡潔に申し上げます。3点お伺いをいたします。
 まず第1、農業生産基盤の整備を進めるに当たっての基本的な考え方についてお尋ねをいたします。
 この農業生産基盤の整備に関しまして、県におかれても、何年にもわたって少なくない投資を行って整備を進めてきたと承知をいたしております。しかしながら、この投資とは裏腹に、整備率のほうについてはなかなか思ったように上がっていかないのも事実であります。そういう中、昨年の10月に、我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針行動計画が策定されたわけでありますけれども、平地で20から30ヘクタール、中山間地域では10ないし20ヘクタールの規模の経営体が大宗を占める構造を目指すとしております。その実現のためには、何よりも生産基盤の整備が一番大事なものとなるわけであります。御存じのとおり、平成22年度、大幅に農業農村関係予算が削減をされて、それが本年に至ってもなお半分の水準にしか回復していない、そういう中にあって、この農業農村整備予算の少ない中、整備をどうやって、どのように進めていくお考えなのか、まず第一にお尋ねをいたしたいと思います。
〇須藤農村整備担当技監 生産基盤の整備、この後どう進めるかということでありますが、まずは、東日本大震災津波で甚大な被害を受けた沿岸地域におきまして、早期の営農再開に向けた復旧工事や災害復旧と一体となって進める圃場整備に、最優先で取り組んでいく必要があると考えております。
 また、県全体の農業、農村の現状を見ますと、圃場整備のおくれ、そして農業水利施設の老朽化、これが大きな課題となっておりますので、内陸部の生産基盤の整備につきましても、着実に推進していく必要があると認識しております。
 このため、県といたしましては、国に対して、基盤整備がおくれている本県の実情を訴えながら、必要な予算の確保に努めるとともに、事業の重点化や建設コストの縮減を図りながら、米の生産コストの低減や麦、大豆の品質、単収の向上に向けた水田の大区画化や排水対策などの推進にあわせ、農地利用集積を一体的に進めていくということにしております。
 あわせて、年々老朽化が進行する農業水利施設につきましては、全面的な改修といったこれまでの手法に加えまして、定期的な機能診断を通じて、緊急性の高いものから、順次、補修、更新する手法を取り入れながら、長寿命化対策を計画的に進めていきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 総合的に農業農村整備の推進を図っていくんだという今の答弁でございます。そうあってほしいものと思っておりますけれども、とは申しましても、本県の水田面積をお聞きしたところによりますと、9万4、000ヘクタール弱ということでございまして、整備率を1ポイント上げるのでも、940ヘクタールずつ毎年整備しなければいけない。まして、3ポイントも5ポイントも上げるなんていうのは、もう至難のわざだと思うわけであります。そういう中で、いつも御説明いただいておりますとおり、水田の整備率は東北他県に比べて最下位、その逆に、生産費は東北でトップクラスということになりますと、希望を持って農業に取り組める環境ではないわけでありまして、逆に、農業の生産現場から撤退をしようとする農家もこれから出てくる懸念があるわけであります。そういう中で、その年その年の予算に拘束をされずに一定の中長期の整備目標、数値目標などを立てて着実に推進をしていくべきと思いますけれども、その点についてのお考えをお答えいただきたいと思います。
〇須藤農村整備担当技監 中長期目標を持って進めるべきだというお話でございました。
 県では、県全体の計画にあわせまして、農業農村整備に関する計画も立てております。その中で、水田整備つきましても、今後、10年間をかけて、ここまで進めようという計画を持っております。
 今、1ポイント上げるのに900ヘクタール必要だというお話がございました。そのとおりでございまして、今、年間整備している圃場整備面積は大体300ヘクタールくらいであります。1ポイント上げるのに3年くらいかかるという実情でございますが、我々水田の圃場整備そして水利施設の整備、これが最重点だと思っておりますので、そこに予算を重点化しながら、重点的に進めてまいりたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 ぜひ、その計画に沿って着実に推進をされるように希望いたします。
 また、農業農村整備を進める上で、これから大きなネックとなってまいりますのは、中山間地域の問題でございましょう。本県は、農地の大半は中山間など条件不利地域に属しており、特にも私の住まいをいたしております花巻地区は、典型的な中山間地域を多く抱えております。都会から来られたお嬢さんたちは、感激して帰るんでありますけれども、なかなか農家にとっては大変な地域。水面よりものり面のほうが多いという、景観的には非常すぐれた地域ではありますけれども、この中山間地域の整備をどう進めていくかというのが大きな課題なんです。そのことについてのお答えをいただきたいと思います。
〇須藤農村整備担当技監 中山間地域の基盤整備の進め方でありますが、中山間地域は、地形勾配とか農地の分散状況などが地域によって異なっておりますので、それぞれの立地条件に合わせたきめ細やかな整備が必要と認識しております。このような考えのもと、平成24年度は、中山間地域総合整備事業の広田地区を初めといたしまして、6地区などで圃場整備や農道、水路などを整備しようと考えておりますし、また、平成25年度以降の計画的な事業導入に向けて、10地区で計画調査を進めるということにしております。これまで、平場地域におきましては、圃場整備と一体的に行う農地利用集積への取り組みが契機となりまして、担い手の経営規模の拡大や集落営農組織の育成などによりまして、営農の効率化が進んできております。
 そこで、こうした動きが全県に広がっていくように、これまで支援対象となっていなかった中山間地域につきましても、平成24年度から、いわゆる一括交付金を活用いたしまして、県独自の支援制度を創設し、農地利用集積の推進と農家負担の軽減を図りながら、中山間地域の整備を加速化していきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 冒頭申し上げましたように、去年の10月の基本計画、行動計画によれば、中山間地域で10ないし20ヘクタールでございます。現実に、間近に中山間地を見ております者にとりましては、20町歩はもうほとんど、10ヘクタールでもかなり厳しいと思っております。ぜひ力を注いでいただきたいと思うわけであります。
 次に移ります。第2点目でありますけれども、東日本大震災により、県内土地改良区も、少なからず沿岸、内陸を問わず被災したと聞いておりますけれども、まず最初に、この被災した農地や用排水施設を含めた被害の状況についてお伺いをいたします。
 また、瓦れきや塩害により壊滅した農地の復旧をどう進めていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。果たして作付が可能なのか、いつまでに復旧を終え、いつから作付できるのか、こういう点でお答えをいただきたいと思います。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地の復旧でございます。今般の大震災津波によりまして、農地や農業用施設では、全県で1万7、000カ所、639億円の被害が発生してございます。このうち、沿岸部の11市町村で725ヘクタールの農地が津波により被災をしました。とりわけ、被害が甚大な八つの市町村からの要請を受けまして、県が除塩対策を含めた災害復旧事業を実施してございます。
 なお、農地等の瓦れきにつきましては、瓦れき置き場や処理プラントとして使用している16ヘクタールを除いて、ほぼ撤去が完了しております。
 復旧の見通しについてでございますが、内陸部につきましては、大規模な崩落が発生した農地1ヘクタールを除いて、ことしの春の作付に間に合うよう復旧を進めております。沿岸部では、既に転用された農地を除きまして、717ヘクタールを復旧対象と考えておりますが、現時点で335ヘクタールの復旧工事が発注済みとなっております。この335ヘクタールのうち約220ヘクタールにつきまして、ことしの春の作付が可能になりますように、5月中の復旧を目指して進めているところでございます。
〇小田島峰雄委員 一部の復旧がちょっと時間がかかるということでありましょうか。そういう中で、さまざまな国、県の復旧のための予算が確保されているようでありますけれども、改めて、今度は財源の話なんですけれども、復旧のための支援制度はどうなっているかということをお聞きいたしたいと思います。
 そしてまた、沿岸被災地の改良区は農地があって、それに賦課金を賦課して運営財源にしておるわけでありますけれども、その賦課がきちんとできるのかどうか。また、もしできないとすれば、今後の改良区の運営をどう指導していかれるお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 ただいま復旧に当たっての財源それから土地改良区の支援のあり方ということについて御質問いただきました。
 まず、復旧の財源についてでありますけれども、基本的には、災害復旧事業ということで復旧に関する事業、それがまず一つでありますし、もう一つは、国の補助事業、一般の補助事業がございますし、さらに最近、シェアを広げております交付金事業等を使いながらやっていきたいと思っておりますし、さらに、とりわけ沿岸部につきましては、復興交付金事業がございますので、この制度を十分に活用しながらやっていきたいと思っております。
 さらに、土地改良区の問題でございますけれども、今回の大地震津波によりまして、県内の50ある土地改良区のうち、九つの土地改良区において事務所が損壊し、あるいは事務機器とか書類が流されたということになっておりまして、被害の総額が1億円を超えているという状態です。このうち、沿岸部の三つの土地改良区は現在も建物もないという状態になっております。このため、9月定例会で、事業創設を議決していただきました県単独の土地改良区機能回復支援事業、それから国の第3次補正予算で創設されました被災土地改良区復興支援事業、こういうものを組み合わせながら、仮設事務所の設置とか、あるいは流されました車とか事務機器とか、そういうものをもう一回整備するということを応援していきたいと思っております。さらに、関係書類も流されておりますので、それらもまた再度整備しなければならないということで、そうしたことに要する人件費、これについても助成をしていきたいということで、現在作業を進めているところでございます。
 いずれ、こうした助成制度によりまして、土地改良区の執行体制、これの再生とか、賦課金の一部を応援するということはできるわけでございますけれども、より重要なことは、被災農地を一刻も早く復旧、復興させると、それを通じて農業生産を再開していただく、それによって賦課金の納付が可能となる農家経営の復活を下支えしていくと、それが大事だと考えております。地域の要望をしっかりと聞きながら、これからもそうした取り組みを強化していきたいと思っております。
〇小田島峰雄委員 さまざまな支援制度を活用して復旧、復興をなし遂げていくんだと、大変力強いお答えでございます。何とかその方向で、全力で頑張っていただきたいと念願をいたす次第であります。
 とは言いましても、この沿岸被災地の改良区というのは、規模的にも非常に小さいとお聞きをいたしております。これから何年かで復旧をするにしても、今後の経緯というのは極めて困難が予想されるわけであります。そういう中で、この際、改めてそういった改良区の統合再編を進めて運営基盤の強化を図っていくべきではないかという観点から御提案を申し上げるわけであります。
 県は、土地改良区の再編整備計画第8次策定をいたしまして期間満了しましたけれども、9次を策定しないで8次の延長でいっております。8次の実績が少ないという観点もあったかとは思うんでありますけれども、より積極的な統合再編についてのきちんとしたお考えがなければ、8次を延長しても、なかなか県内の改良区の再編というのは進まないものと思います。私のところも含めまして、非常に財政的には小規模でございますので、これからさまざまな課題を抱える、例えば賦課金の滞納問題でありますとか、たくさんの問題を抱えつつ、今改良区の運営に当たっているわけであります。そういう点から、この統合再編をしっかりとしたさまざまな支援制度をつくって、創設をして進めていくべきと考えますが、お考えをお聞きしたいと思います。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 土地改良区の統合整備についてでございますけれども、先ほど委員から御指摘のあったとおり、現在、県内には50の土地改良区があって、それを平成27年度には31まで統合整備したいということで進めております。
 統合整備に当たりましては、岩手県が土地改良事業団体連合会と一緒になって統合整備計画をつくっているわけですけれども、まず統合整備に当たって必要なのは、組合員の理解と、それからみんなで統合整備をやってこういう土地改良区にしていこうという、自主的なあるいは主導的な働きがまず第一だと思っております。そういうことに対する応援をしっかりしていきたいと思っております。
 特に、沿岸地域は、今回非常に大きな被害を受けたわけですけれども、その中で特徴的な事例をお話ししますと、陸前高田市に気仙土地改良区とそれから気仙川土地改良区がございます。今回の被災を契機にして、今までは別々だったわけですけれども、この際一緒になってスケールメリットを発揮して、運営基盤の強化をしていこうではないかという機運が盛り上がりまして、今、合同事務所をつくってやっていこうということになっております。まずは、地域の中での自主的な盛り上がり、それがまず第一だと思っていますので、それを県としてもしっかり応援していきたいと思っております。
〇小田島峰雄委員 最後の質問でございます。
 用排水施設を活用した小水力発電についてお尋ねいたします。
 この小水力につきましては、実に多くの委員が取り上げまして、これまで議論が交わされてきたところでございますが、改めて御質問をさせていただきます。
 ただいまお話がありましたように、県内50の改良区、この改良区が有する主要幹線用水路の延長というのは、実に1、400キロあるということでございます。私から見ますと宝の山、これを活用しない手はないんであります。その重要性を認識しているからこそ、県もこれまで何地区か調査を進めてこられたと承知をいたしております。そういう中で、まず、これまで何地区、何施設調査をされたのかお伺いをいたしたい。その調査した結果、さまざまなデータが蓄積されておられると思いますけれども、その内容についてもあわせてお聞きをいたしたいと思います。
 午前中に渡辺幸貫委員が、いろいろごみの問題とかさまざまな問題を指摘しておりましたけれども、当然それも調査した中に入っているかと思います。そして、申し上げたいのは、さまざまな調査も結構、いろんなデータが蓄積されたら、いよいよこれを具体的に実証して普及をしていく、形のあるものにしていくというのがこれから大事だと、そういう時期に入ってきているのではないかと思いますので、その点についての御見解もお示しをいただきたいと思います。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 小水力発電の件でございますけれども、県では、これまで岩手県土地改良事業団体連合会と連携しながら、農業用ダムとか用排水路などの農業水利施設を活用した小水力発電の立地可能性について調査をしてまいりました。これまで、県内24カ所で可能性調査を実施してきております。このうち、8割につきましては、ゲートの操作などに何とか使えるのではないかということになっておりますが、一方、現在の売電単価では、発電施設の設置に必要な経費、その回収まではなかなかできないということになっております。目下の課題は、売電単価を上げていただくということで、7月1日を期待しているわけでございます。
 もう一つは、小水力発電で課題になりますのは、先ほどのごみの問題等もあるわけでございますけれども、いずれ、そうした問題を一つずつ解決しながら、かつ、国のこういう制度改正がさまざまありますので、そういうものを追い風にしながら、必要なさまざまな情報が入手できますので、それらを土地改良区とか市町村の方々にお伝えしながら、あるいは全国各地でやられておりますので先進地研修、そういうことも通じながら、ぜひ啓発普及を進めていきたいと思っておりまして、そういうことで県では支援していきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 お答えがありましたように、売電単価もまだ決まらない、それから初期投資がどれぐらいになるのかもわからない。その後のメンテナンス、維持管理費もどのぐらいかわからない、こういうないない尽くしの状況では、なかなか改良区も及び腰にならざるを得ないわけであります。
 そこで、先日の新聞報道にも、充電各社が相次ぎ、小型発電システム開発に乗り出したとの報道もございました。これからどんどん性能のいい発電機等が開発されてくるものと思いますけれども、それが例えば急流口や落差口やあるいは水量、そういうもろもろの条件はありますものの、そういったものを例えば県内の意欲的に取り組んでいる改良区を幾つか選定をして、国の支援制度とあわせて、県も応分の支援をしながらモデル的に整備を進めていくお考えはないのかをお聞きいたします。
 真剣に取り組んでいる改良区が県内にはあるわけであります。具体的にどことは申しませんけれども、猿ケ石北部でありますとか江刺猿ケ石であります。そういったところをモデル的に選定して、力強く推進するということもこれは大事なことなんであります。どうぞお考えを。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 小水力発電施設につきましては、近年、技術開発の進展が目覚ましいと。さらに、技術開発はまだまだ可能性を秘めていると存じております。これから、より低コストで発電効率の高い設備が開発されるのではないかということで期待しているところでございます。
 お話がありましたとおり、本県、高低差に富む県土の中に膨大な農業水利施設がございます。それを有効に活用するために、この小水力発電施設の試験研究に携わっております県内外の民間企業、あるいは試験研究機関、そういうところとか、あるいは導入にまさに意欲的な土地改良区の皆さんと一緒になって連携を強めて、当面は国庫補助事業の導入を目指しながら、施設の整備を進めていきたいと考えております。
〇小田島峰雄委員 最後でございます。最後はぜひ部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 用水路を活用した小水力発電を進めていく上で大きなネックとなりますのが、大方の改良区というのは、通水期間が限定されておりますし、許可水量というものもあるわけであります。いわゆる水利権の問題が大きく横たわっております。全国で、過日、さまざま違法取水の問題が顕在化したことから、非常に水利権については国土交通省もナーバスになっております。そういう点で、許可水利権を拡大するなんていうのはかなり難しい問題でありますけれども、今この再生可能エネルギーが大きな議論を呼んでいる、関心が高まっている、こういうときこそ、ぜひ特区を活用して、この際、水利権の拡大に県も応分の力を注ぐべきではないかと思いますけれども、その御見解をお聞きして質問を終わります。
〇東大野農林水産部長 今御指摘ございました、特に非かんがい期の水量の確保という問題でございますが、今お話のあったように、再生可能エネルギーの活用という風が強く吹いているという環境は、一つのタイミングと認識してございますが、今お話のあったような内容について、まず河川管理者でどこまで可能かというのを協議、相談しながら、できる限りそういった問題が解決していくように努力していきたいと考えてございます。
〇嵯峨壱朗副委員長 この際、執行部から発言を求められておりますので、これを許します。
〇徳山農政担当技監 午前中の質疑の中で、数値を整理の上報告すると言っておりました東京電力との取り扱いがまだ合意していない廃用牛と死亡牛の頭数等でございます。
 まず、廃用牛については約850頭が該当しておりまして、その金額については1億9、000万円となってございます。また、死亡牛につきましては、これは屠場出荷したものと死亡牛は一括処理しておりまして、細かく積み上げしておりませんけれども、協議会によりますと約100頭程度が対象となるということで、金額にいたしますと約1億円となってございます。
〇嵯峨壱朗副委員長 この際、進行に御協力願うため、質疑、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
〇福井せいじ委員 何点か通告していたんですけれども、1点にします。
 いわて農林水産業6次産業化推進事業費2億1、500万円を中心に質問をしていきます。
 昨年から6次産業化を推進するために、6次産業支援センターが設置されておるということでありますが、こちらのセンターの今までの取り組み状況、成果、それから平成24年度の予算についてお聞かせいただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 いわて6次産業支援センターでありますが、このセンターは、6次産業化の具体的な事業計画の策定とか、あるいは6次産業化を進めるための組織化、あるいは資金の導入といった生産者が持っている強みとか、それぞれの6次産業化の発展段階のニーズに即した支援を行うことで、生産者の6次産業化に対する思いというものを形にしていくという趣旨で設置し、今取り組んでいるところであります。
 この結果、計画づくりの面では、今、国でいわゆる6次産業化法というものに基づいて、事業者を総合化事業計画認定というのを盛んとやっておりますが、今般の事業計画認定では、岩手県は全国で3位に当たります13の事業者が認定されております。それから、組織化という面では、生産者が6次産業化を目指す上で法人化したいという思いがある中で、そういう支援も行っているわけでありますが、そういう法人化に向けた取り組みも進んでおります。さらには、資金導入という面では、これも国の事業によっている部分がありますが、国が被災からの復興を先導する事業体というものに着目して補助金を出すメニューがあります。県内では、このモデル事業の補助金を五つの事業者が獲得しているというようなことが、6次産業支援センターの成果と言えると思っております。
 それから、支援センターの予算でありますが、今年度、平成23年度は、センターを立ち上げるための経費として105万円を予算措置しているところでありますが、平成24年度─平成24年度以降はと言ったほうがいいと思いますが、国が用意している6次産業化関連事業の予算を活用して、この支援センターの運営あるいは支援センターが活動を行っていくというものに充てていきたいと考えております。
〇福井せいじ委員 平成24年度からの活動予算というのは、予算計上はお幾らなんでしょうか。
〇菊池流通課総括課長 県予算としては計上しておりません。いろんな国の補助事業のメニューなり、あるいは国がプランナーとかアドバイザーを派遣する事業がありまして、我々とすれば、それをいわばとってきて、そのお金でこのセンターを運営していこうと考えております。
〇福井せいじ委員 そうすると、この2億1、500万円余というのは、それを含めた形での総額ととらえていいんでしょう。それとも、そのほかにどういった事業があるのかということを教えていただきたいんですけれども。
〇菊池流通課総括課長 6次産業化の推進事業費に2億1、500万円計上しておりますが、これは、従来からやっております6次産業化に取り組む事業体をモデルとして公募の上選考して、県がその委託費を拠出する形で事業を行っていただくと。これまで20事業体、30事業体がやってきておりますが、1事業体400万円から800万円のあたりで、その事業を1年間やってみましょうという形でやっておりまして、その金額が2億1、500万円になるものであります。
〇福井せいじ委員 今までさまざまな成果というか、13事業立ち上がって全国3位ということでありますが、この6次産業化の推進に当たっての視点という意味でちょっと御質問させていただきたいんですけれども、今、岩手県では、生産者からの視点に立った6次産業化という形で農林水産部が所管をしているという形になっていますが、私は中間流通業者あるいは小売業者、それから消費者視点、加工業者といった視点からの6次産業化というのも大きな推進力になるのではないかと考えますが、そういった方々との連携というのはどのような形で今取り組んでいるのか、教えてください。
〇菊池流通課総括課長 私どもが今行っております6次産業化の取り組みは、お話のありましたとおり、生産者等が6次産業化に取り組むというものを支援するというスタンスで、平成21年から展開してきております。ただ、6次産業化の取り組みが成功するためには、商品をつくっていく上で、消費者のニーズを踏まえることが何より重要だというのはそのとおりでありまして、そのために、今6次産業化に取り組んでいる、あるいはこれから6次産業化に取り組もうとしている生産者に対しまして、県が首都圏のバイヤー、OB、そういう方々で構成する民間のアドバイザー、我々これを食のプロフェッショナルチームと呼んでおりますが、こういう人たちの専門的な見地から助言をいただいて、消費者が求めているものはこういうものですよということをやっております。
 それから、県内外の流通販売業者を岩手県に招聘して、1年に1回、マッチングフェアというものをやっております。これは、県外のバイヤーが岩手県に来て、県内の生産者がつくったものを見て評価すると、よければ買いますというようなマッチングの場になっておりますが、これが今年度でいいますと、バイヤーにその商品が評価されて現実に取引まで行ったというものの割合が出展者の60%になっておりまして、これは年々高まる傾向になっております。
 それから、今後のことを考えますと、こういったマッチングの場に、一般消費者の方々、買う人ではなくて、一般消費者の人たちにも来てもらって評価を受けるというような場もつくって、消費者ニーズをとらえた商品開発の方策を工夫していくと考えております。
〇福井せいじ委員 この6次産業化という意味の中での商品の付加価値を高めていくことが、これから非常に大切だと私は考えています。
 今、生産現場が震災によってなかなか生産ができない状況にある中にあって、一度、ほかの地域やあるいはほかの業者の商品にとってかわられると、なかなか生産現場が復旧しても販売が伴わないと、商品が流れないという状況が出てくると思います。一度ほかに移った販路は、価格を安くするか、あるいは付加価値をつけるかによってしか、回復はできないと私は思っております。そのためにも、さまざまな形でこの付加価値をつけていく取り組みが必要であると考えます。
 今、生産の現場が復旧するまでの間、生産者というのはそういった取り組みをいかにやっていくかが大事だと思います。先ほど課長がおっしゃったように、消費者との対話の場、情報交換の場、流通業者との情報交換の場、そういった時間が今あると思いますので、ぜひとも今回、この震災を機に、さらに6次産業化を進めて、商品の販路の復旧に取り組んでいただきたいと思っております。
 最後に、部長から、この6次産業化にかける思い、あるいは商品の販路復旧にかける、どのような取り組みをなさっていくか、お聞かせをいただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 6次産業化の取り組みでございますが、当部、農林水産の振興の部ですので、生産者がいかに収入を上げるか、もうけていくかという観点で6次産業化に取り組んでおりますけれども、ただ、委員おっしゃるとおり、実際の加工業者なり流通業者、あるいは飲食店と連携したほうがベターな場合ももちろんあるということで農商工連携、そういう視点での取り組みも商工労働観光部と連携しながら入れて取り組んでございました。
 そういう中で、今御提言のありました方策も、6次産業化を生産者の方々に取り組んでいただくためには大切な視点だと考えますので、そういった取り組みも含めて、6次産業化の取り組みをこれから進めていく方策を検討していきたいと思います。
〇関根敏伸委員 農業者の戸別所得補償制度について何点かお伺いをいたします。
 午前中に熊谷泉委員からもこの制度について質問がありまして、平成22年度、県内に支払われた交付金の総額が212億円という御答弁がございましたが、別の観点からお伺いをさせていただきたいと思っております。
 先般、国のほうでは、農業経営統計調査というのを発表されていたようでございます。全国あるいは東北の農家の農業所得等々が新聞報道に載っておりましたけれども、県内の水田稲作販売農家の農業所得の推移はどのようになっているのでしょうか。この戸別所得補償制度が導入される前と導入後の変化がどのようになっているのか。そして、もしわかれば、東北平均や全国平均との差がどのように変化しているのか、以上お尋ねをさせていただきたいと思います。
〇小野水田農業課長 県内の稲作農家の農業所得についてのお尋ねでございますが、現在、都道府県別の農業所得は公表されていないことから、公表されております米生産費調査あるいは相対取引価格、そういったデータをもとに、国が用いている算定方法に準じて独自に試算したところでは、県内の農家の手取額は、直近3カ年について申し上げますと、10アール当たりで、平成20年で2万5、500円、平成21年で1万9、840円、そして平成22年で3万3、360円となっております。
 平成22年度の戸別所得補償制度の導入前後の変化でございますが、平成22年のモデル対策、午前中に答弁申し上げたとおり、米のモデル事業交付金が10アール当たりで、定額部分1万5、000円、変動部分で1万5、100円が支払われたことによりまして、米価格の大幅な下落があったものの、農家手取額は平成21年から比較して68.1%増加したと見込んでおります。
 また、東北平均あるいは全国平均との比較、直接はできないんですが、今申し上げた試算で比較しますと、東北平均の場合は平成21年から平成22年にかけて20.1%の増加であったと。また、全国平均では37.3%の増加であったということで、本県の68.1%の増加というのは非常に大きく上回っていると推定しているところでございます。
〇関根敏伸委員 都道府県別はまだ出ていないということで独自の試算ということだと思いますが、これをお聞きいたしますと、導入後68.1%という大幅な増加と。東北平均、全国平均、岩手の場合は、決して高くない状況だと思っておりましたが、これが大きく上回ったような状況であるとお聞きをさせていただいたところであります。
 同じ視点でお伺いをいたしますが、農地の集積面積の変化、これが戸別所得補償制度が導入される前と導入後では、どのように推移をしているのかお聞きをいたしたいと思います。
〇小野水田農業課長 直近の5年間の水田の集積率で申し上げますと、平成18年度51%から平成22年度には61%ということで、10ポイントの増加となっております。平成23年度からの戸別所得補償制度におきましては、新たな利用権の設定による農地集積に対して、10アール当たりで2万円が交付されるという規模拡大加算というものが創設されたということでございまして、昨年11月末時点の見込みでは279ヘクタールが対象となるということで、この制度の活用によって農地集積がさらに促進されると考えてございます。
〇関根敏伸委員 農地集積面積については、あくまで11月の状況での試算ということだと思いますが、279ヘクタールほど規模加算によって集積が進むと理解をいたしました。
 この戸別所得補償制度につきましては、改めてではございますが、平成22年の4月から開始されて2年目ということだと思います。一部にはばらまきであるとか、あるいはこの制度によって、小規模農家が農地を手放さずに農地の集積がおくれるのではないかと。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるのではないかという批判もあるやに聞いておりますが、今のようなお答えを聞いている分には、農業者にとっての所得の向上にもつながるし、農地の集積についても、一定程度、これからさらに加速をするのではないかと予測をしているわけでありますが、現時点で2年目途中ですが、県としてこの制度をどのように評価をされているのか、お伺いをしたいと思います。
〇小野水田農業課長 特に昨年度、米の概算金が大きく下落した中にあっても、このモデル対策において前年を上回る所得が確保されたということ、モデル対策から本格実施になって、本年度の加入者も増加したということで、農家の方々もその経営の安定に役立ったと評価されているのではないかと考えております。
 また、本年度は、畑作物に対する交付金の支援あるいは規模拡大加算といった措置が整備されたことによって本格実施されたということでございまして、県といたしましては、この制度は、農産物価格低迷の非常に厳しい経営環境の中にあって、農業経営のセーフティネットとして大きな効果が期待されると考えてございます。
〇関根敏伸委員 高い評価と理解をいたします。その上で、新年度、戸別所得補償の制度の推進事業ということで2億6、000万円程度が盛り込まれておりますが、この事業の内容と、こういった事業を活用した岩手の今後の水田農業等の目指す政策の方向性、目標などがありましたらお示しをいただきたいと思います。
〇千田担い手対策課長 所得補償制度の推進事業の内容についてと、それから水田農業の目指す方向についてと、2点のお伺いだったと思いますが、まず推進事業についてでございますが、地域集落の話し合いのもとに、地域農業のあるべき姿、そして中心の担い手となる人を明確にするという地域農業マスタープランの作成を支援する中身のものでございます。このマスタープランに位置づけられた担い手につきましては、農地が集積され、そして担い手の農地を連担化するなどした場合に、農地の出し手に、農地集積協力金が交付されるという仕組みのものでございます。
 また、本県水田農業の目指す方向についてでございますが、第2期アクションプランを県では策定したわけでございますが、その中で、担い手に6割以上の農地が集積するような生産構造となるような目標を掲げてございます。そうしたことを通じまして、生産性の高い米づくり、また、麦、大豆等の土地利用型作物を推進していくというようなことを掲げてございます。ですから、今回の新しく起きた推進事業を用いまして、そういった取り組みをさらに加速化させながら、経営体の規模拡大、農業機械の共同利用等による省力、低コスト生産をますます促進させていきたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 来年になりますと、制度導入3年目ということになります。規模加算が今年度から始まって、さらには来年度は集積協力金ということで、これは1戸当たり30万円とか70万円とかという額が交付されるようでございますけれども、さまざま農地集積が進むような制度が盛り込まれると理解をいたします。
 私は、農業生産県の岩手でございますので、よく言われるとおり、農業政策がころころかわるということによって、生産者が混乱するということはやはり避けなければならないと思っております。いわて県民計画の中でも、制度を有効に活用して、岩手の経営体に農地を集積させながら、力強い農政を進めるんだということが書かれているわけでございますので、生産県という立場から、制度を安定したもので、より地域農業に合ったものと、こういったものに制度をブラッシュアップするという意味合いにおいて、ぜひ大きく声を上げて、国にこの制度の安定化とより充実と、これを求めていく必要こそが、これからの岩手や地域農業の確立に大きく寄与するものと思うんですけれども、そういったお考えについて最後お聞かせをいただいて、終わりたいと思います。
〇徳山農政担当技監 委員御指摘のとおり、戸別所得補償制度は、我が国で新しい制度として立ち上がっております。県内でも、今2年目ということで、大変評価も高く我々もとらえておりまして、先般行った国への要望におきましても、法制度に基づいて安定的な制度にしてくださいということは申し上げてまいりました。
 今後におきましては、今回プラスになります協力金の事業も含めまして、さらに一層、制度となるように機をとらえて要望してまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 私からは、まず初めに、牧草の関係と所得補償制度の絡みの部分についてお尋ねをしてまいります。
 1万ヘクタール、これは除染の対象ということでございますが、私は質問に入る前に、牧野での牧草生産と転作水田での牧草生産、これはいろんな制度上の問題がありまして、これを分けて考えないと、少し混乱が生じるという観点からお聞きをするのでございます。
 その1万ヘクタールの間で、転作水田を利用した牧草生産というのはどれぐらいの規模になるのか。そこの水田に関しては、汚染状況の調査が行われているのかどうか。汚染の調査を行うとすれば、どのタイミングで、いつまでに、どれぐらいの規模でやるのか、お示しをいただきたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 1万ヘクタールの中にどれぐらい水田があるかということでございますが、まだきちんとした集計をしておりませんのではっきりしたことは言えませんが、利用自粛をしている市町村の生産調整の中の牧草の面積というのが約4、000ヘクタールぐらいあるということで、それが一つの目安と考えてございます。
 それから、調査についてでございますけれども、これは平成24年の調査と理解をしておりますけれども、一つは、去年やったのは、エリアに分けて、エリアごとに牧草を調べまして、その中で超えるか超えないかということで判断をしております。ことしにつきましても、一応、平成24年を一たん利用自粛をかけて、それから市町村ごとに牧草の調査をして、それで超えたところについてはエリアを分けて、細分化して調査をするという考え方をとってございます。
〇岩渕誠委員 4、000ヘクタールという数字が出ました。実はこれはすべて所得補償制度にかかわってくると思います。これは3万5、000出てくるということになるわけでありますけれども、これについては、前段として、耕畜連携の部分でのこれは契約が必要になってきます。そうしますと、この汚染の調査を早くやって、そこが使える牧草になるのかどうかによって、これは所得補償が受けられるか受けられないかという大変大きな問題になると思います。所得補償のスケジュールから言うと、大概この牧草の関係は、6月で大体申し込みがなると、こういうことでございますから、それまでにきちんとやらないと困ってくるという話になりますし、実際に、生育状況にもよると思いますけれども、少々問題が出てくるかと思うんですが、その辺の認識です。特に汚染が確認をされてもう使えませんといった場合に、所得補償との関係、あるいは耕畜連携との部分で影響が出てくると思いますが、どのように感じていますか。
〇山田畜産課総括課長 耕畜連携の関係でございますけれども、戸別所得補償制度の中で、耕種農家と畜産農家の連携によって、堆肥交換だとか水田放牧などの取り組みを行った場合に助成金が出るものと考えておりますけれども、牧草の利用自粛を要請していない地域、ここについては、耕畜連携の取り組みに着手したものの、新たに牧草の利用自粛が要請された場合には取り組みが途中でできなくなるということで、交付対象とするように検討していると国からは聞いております。それから、牧草の利用の自粛を要請している地域については、堆肥交換とか水田放牧などの取り組みができないこととなりますので、これについては交付対象外になると聞いております。このような交付対象外となる助成金につきましては、東京電力に対する損害賠償の対象となると考えておりますが、これがきちんと賠償の対象となると明文化されておりませんので、ここについて、今、国に要請をしているところでございます。
〇岩渕誠委員 これは大変な問題だと思います。自粛をして、やれないところで、できないと。しかも明文化されていないということは、これは所得が入ってきませんからね、これをどうするかという問題が大きいと思うわけであります。そこの部分でもう一つの問題は、仮に賠償しますという話になっても、農家の経済からいうと、所得補償制度というのは12月の大体中ごろまでにお金が入ります。それを越えて賠償額が入るようでは、農家は回らないんですね。したがって、12月に賠償のほうでそれをもらうということになった場合でも、おしりというものをきちんと意識をして取り組んでいただかなければならない。お金の問題というのはそうだと思います。
 一方で、もっと深刻に考えなければならないのは、確かにそういうようなことをはっきりと決められればいいんですけれども、決められない場合には、どうせそのまま放置して刈るのもやめて荒らしておくかと、お金をもらえるかもらえないかわからないんだったら、農地はそのままにしておこうやということで、どんどん荒れてしまうというのを大変心配をするわけでありますけれども、この辺の対策について、金銭面とあわせてどのようにお考えですか。
〇山田畜産課総括課長 損害賠償に回った場合、早急に支払いをしてほしいというお話だと思いますけれども、これについては東京電力のほうに要求をしていきたいと考えております。
〇岩渕誠委員 いずれ、はっきりとした形でやっていかないと耕畜連携の部分も進まないし、不安を感じる農家は多いと思うんです。事前にスキームを決める努力をしていただかないと、これは荒れるだけだし、農家所得も減るだけだと。これは最悪の事態ですから、それはぜひ進めていただきたいと思います。
 次に移ります。牧草の話がいろいろ出ていますけれども、農家の実態を見ますと、必ずしも転作水田からの牧草とか牧野のものだけじゃなくて、一番厄介なのは畦畔草ですね。畦畔草の給飼をどうしていくか。それから処分ですね。利用自粛地域における処分ですね。これをどうしていくかということはどのようにお考えですか。
〇山田畜産課総括課長 畦畔草につきましては、水田管理として刈り払い等でやると思います。利用自粛をしていただいているところについては、家畜に給与はしないようにしていただきたいと。その場所に、残置することを基本として検討をしております。その取り扱いにつきましては、放射性物質影響防止のための管理マニュアルというのがありますので、これに追記をして周知を図っていくということに考えてございます。
〇岩渕誠委員 非常にまじめな農家が多くて、畦畔の草をそのままにしておくというのは、精神的にというか心理的に、なかなか難しいと思うんですよね。片づけなきゃいけないんだというようにして、自分のところだけに田んぼがあればいいですよ。雨が降って下に流れていくとかいろいろ考えますと、周辺との関係で、それはなかなかそのとおりにはいかないと思うんですよね。やっぱりどっかで処分をするというような方向を考えないと、集めるのも大変なんですけれども、その辺はもう少し検討を加えてやっていただきたいと思います。これは要望にします。
 次に移ります。放射性物質に関係して、いろいろ風評被害ということがずっと言われてきました。今年度もいろんな取り組みをされてきたわけでありますけれども、新年度においてどのような風評被害対策を行っていくのか、そして風評被害対策を行う上で、何をターゲットにして、どういったところがわかっていないからこういうアプローチをするんだというような分析があれば、あわせてお示しをいただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 放射性物質に起因する風評被害の最大のものは牛肉だと考えております。この牛肉の風評被害対策については、まずは、生産現場において適切な飼養管理を徹底するとともに、仮に暫定規制値、これが4月になると新しい基準値に変わりますけれども、これを超えるおそれがあるような場合には、出荷時期の延期指導を含めて、安全な牛肉の生産、出荷の確保に取り組むことが重要だと考えております。こうした取り組みを基礎にした上で、出荷時には、その全頭を検査する体制を整備することで、安心・安全の確保に努めているところであります。
 こうした中で、この4月には食品の新しい基準値が示されまして、牛肉でいいますと、従来の1キログラム当たり500ベクレルから100ベクレルとなるわけでありますが、ただ、この牛肉に関しては9月30日までの6カ月間は従来の暫定規制値で対応していいですということに国の制度上はなっておりますが、岩手県としては、風評被害を克服する観点からも、県産牛肉については4月1日から新しい基準値を適用して、仮に4月1日以降、100ベクレルを超える牛が発生した場合には出荷者に販売自粛を要請するなど、今まで以上に安全な牛肉の供給を進めるということを検討しておりまして、集出荷団体の意見も聞いた上で、これを進めてまいりたいと思います。これが、今時点で具体的な風評被害対策と言える一番のものかと考えております。
 それから、これまでの対応も含めて、風評被害をどこに向かってアピールしていくのかということについては、私たちは、大きく二つの面があると考えております。一つは、消費者であります。消費者に対しては、放射性物質に対する漠然とした不安というものが大きくて、検査の結果、安全だから大丈夫ですよということがなかなか通じにくいということを感じております。そのために、学識経験者の方々に岩手においでいただいたりして、放射性物質の安全性に関するフォーラムを開催していろいろ理解を深めていくような取り組みからやらなければいけないのかなということで、去年からやっております。
 もう一つの大きな相手方は市場の関係者だと思っております。市場の関係者が、岩手県の肉が他の県と比べて安全か、安心でないかというのは、ひとえに我々の検査体制が実効性があって機能しているんですよというものを市場の関係者の方々にアピールする機会をなるだけ多く設けて、岩手県の実情をわかってもらうということが必要だと考えて、去年以来、東京食肉市場まつりでありますとかあるいはいわて牛の集いに、首都圏の市場関係者とレストラン、ホテルの関係者あるいは外食の関係者を呼んで説明する機会を設けておりまして、こういうことを平成24年度も積極的にやっていこうと考えております。
〇岩渕誠委員 今のところで、1点だけ確認しておきます。
 国は移行期間を設けると。しかし、県は風評被害の防止のために100ベクレルという基準をすぐにやるんだと。これはこれでいいんですけれども、問題は生産現場です。例えば、出荷遅延によるかかり増しの経費については東京電力の賠償対象になっているんですが、一方で、今のお話を聞きますと、国の認めた基準以上に県は厳しくしてまずやるということになった場合に、賠償のときに、実際に出荷遅延でかかり増しが出るところがあると思うんですが、これはちゃんと賠償になるかどうかというのは、生産者からすれば気になるところだと思います。これははっきりしていただきたい。
 それから、一つ戻って、先ほどの牧草の関係で1点だけ。
 使用自粛を解除するという場合があると思います。いろいろ検査して解除していくんだと思いますけれども、これはエリアごとになりますか。1筆とか圃場ごとにじゃなくて、エリアという考え方でいいんでしょうか、その2点を確認させてください。
〇菊池流通課総括課長 国が500ベクレルから100ベクレルということを示したことによって、いわばほかの産地も、何といいますか、できるものであれば、他の県に先駆けてやることが自分の県の安全性をPRするということもあって、岩手県も、むしろそれより先駆けてやるべきではないかという判断からやるわけでありますが、その背景には、国が考え方を示しているものとしては、新しくなる基準値の100ベクレルを前提とした出荷の自粛についても、あるいは100ベクレルを超えていることによって流通在庫になっているものについても賠償の対象になるという見解をいただいておりますので、岩手県がそれに踏み切っても生産者に不利益を与えることにはならないだろうということであります。
〇山田畜産課総括課長 牧草の利用自粛の解除でございますが、今、利用自粛を要請しているところについては、調査はしないで除染のほうにもっていきたいと考えております。
 今、自粛を要請していない市町村、エリアがありますけれども、基本は市町村を単位として調査をしていく。あとは、市町村と協議をしながら、市町村がエリアを分けたいという要望がありましたら、エリアに分けて調査をして、その分ずつ解除していくという考え方をとっております。
〇岩渕誠委員 最後の項目の質問に移りたいと思います。今まで余り気分よく質問できませんでしたけれども、前向きな話で。
 いよいよ和食というものが非常に大きな脚光を浴びてまいりました。今月末までに、これは農林水産省のほうですけれども、無形文化遺産保護条約というものにのっとってユネスコにやると。要するに無形世界遺産ですね。これに和食をやるんだということであります。私が手元に持っているのは、これに向けた検討会の資料でございます。25ページにわたるこの資料の中に、実際の記載のための提案の具体的な中身が載っていますが、25ページのうち、実は9カ所について岩手県あるいは一関のもち文化についての記述がございます。こういうことはヒアリングを受けていると思いますから御存じだと思いますが、食文化の無形遺産登録に向けて、早ければ平成25年の秋と言われていますけれども、現段階で県としてはどのように情報を把握して、今後、無形世界遺産登録に向けて取り組んでいくおつもりなのかお示しください。
〇工藤農業振興課総括課長 和食の無形世界遺産登録についてでございますけれども、農林水産省では、今、委員御指摘のとおり、日本食文化の浸透、深化ということを目的としまして、ユネスコ無形文化遺産保護条約の代表一覧表への登録に向けまして検討会を平成23年に設置し、検討を進めたところでございます。
 この間、本県にも昨年12月に、この提案に対しての賛同を求めるという案内もあったところでございます。その結果といいますか、先週の3月9日に、今、委員御指摘のとおり、国の無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議におきまして、無形文化遺産代表一覧表への記載に向け、「和食;日本人の伝統的な食文化」という名称で、本年3月末までにユネスコに提案書を提出するということが決定されたと承知してございます。
 県の取り組みについてでございますけれども、本県では、今、御指摘のとおり、提案書に数カ所載っておると、食の匠が食文化の伝承に取り組んでいる、あるいは一関もち食推進会議が食育に取り組んでいるということの例示等が載ってございます。本県におきましては、食の匠などによる食文化の伝承活動や食育活動などが県内各地で展開されており、今般の和食の世界無形遺産登録申請に当たりましては、各地の食文化の伝承活動や、日常の食事を通じた食材、農業に対する関心の高まりが期待されると考えてございまして、県内で食文化活動に取り組む一関もち食推進会議など22団体とともに、昨年12月に賛同団体となっているところでございます。
 今後におきましては、この登録に向けて、国におきましていろんな機会をとらえた活動がされる、周知なり推進の活動がされると伺っておるところでございます。本県の多様な食文化を世界に情報発信するとともに、郷土料理、食文化の保存、伝承活動の活発化に向けた取り組みを促進してまいりたいと考えておるところでございます。
〇岩渕誠委員 和食を提案するに当たって、こういうキーワードがあります。食事という空間の中で、自然の尊重という精神を表現している社会的習慣として和食を無形世界遺産に登録するのだということでございます。これを守るために、大体500の全国のコミュニティグループ等の取り組みを中心にして進めていくんだと。それは、今おっしゃったように、県内の22のグループを中心にということなんですが、まさにこの22という数字は、恐らく全国でも多いほうだと思うんです。
 でも、私は、食のたくみとか、あるいはもち文化にかかわらず、沿岸の食の復興といいますか、食を通じた復興という観点からも、これはどんどんコミュニティグループをふやしていって、そして食の世界遺産、まさに自然と調和してきた文化ですから、これは、平泉とともに新しい世界遺産、誇りを持つためにも、ぜひそのグループをしっかりと強化して、後押しをしていただきたいと思いますが、御所見があれば伺って、終わります。
〇工藤農業振興課総括課長 先ほど申し上げましたとおり、県内ではいろんな食育の活動、あるいは食文化の伝承といういろんな地域の食に関する、あるいは生産とまつわる、あるいは地域のいろんな祭事にまつわる取り組みがされていると思ってございます。ですから、そういう意味での伝承とか、それが日本国内あるいは世界に情報発信する絶好の機会だろうと思ってございます。そういう意味も含めまして、この盛り上げあるいは周知の活動を、国と連動しながら、あるいは先ほどの県内の賛同された団体と連携しながら進めてまいりたいと考えています。
〇軽石義則委員 私は、1点、本県基幹産業であります農業の将来を担う人材育成について、農業大学校に関連した質問をさせていただきます。
 農業大学校がこれまで果たしてきた役割、そして全国的にどのような位置づけを今持っているのか。また、現状と課題などについて、まずは先にお示し願いたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 農業大学校がこれまで果たしてきた役割についてですけれども、農業大学校は、昭和56年の統合による開校以来、これまで2、600人の卒業生を県内外に送り出しております。さらに、新規就農者から実践農業経営者などを対象とした研修によりまして、4万5、000人を超える有能な人材の育成に貢献してきたと思っております。本県の農業・農村を支える人材を養成する中核的な機関としての役割を果たしていると考えております。
 それから、全国的な位置づけにつきましては、本県の農業大学校は、全国と同等レベルの入学定員充足率で、秋田県とか他県のほうからも本県の農業大学校に入校されている。県内だけでなく、県内外幅広く、開放的なといいますか、開かれた農業大学校として、学生のいろんな交流、能力向上に役立っていると思っております。
 それから、現状と課題についてですけれども、平成21年度以降の3カ年の入学者175名を見ますと、おおむね3分の1が専業農家の子弟、3分の1が兼業農家の子弟、残り3分の1が非農家の子弟という傾向になっております。
 このように、入学生も多様化しておりますし、また、将来の就農に関する希望も、卒業直後に就農される方から、一たん他産業へ就職した後の就業、あるいは農業法人への就職、いろいろ希望が多様化しております。このような学生の希望に応じた進路の実現に向けまして、農業法人等への就職に向けた進路指導の充実ですとか、関係機関、地域の農業者等との連携による卒業時あるいはその後の長いスパンでとらえた就農支援体制の構築が必要であると考えております。
〇軽石義則委員 中核的な役割を果たしている大事な学校であるという位置づけは理解ができておりますけれども、私も、昨年の秋に大学校祭に参加させていただきまして、実際に現場、校内、施設も含めて案内をいただきました。配慮はいただいているということをお聞きしておりますけれども、校長先生初め職員の皆さんが一生懸命自助努力している現実も実際に見て、お話をしてきました。
 そういうことも含めてでありますけれども、今回の農業大学校の予算の減額があるわけでありますが、その内訳、そして、その中で、施設を含めてそれらの課題は多くあると思いますけれども、それに十分対応できる予算額なのかどうかを示していただきたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 今回の予算額の減額の内訳についてですけれども、今回は、前年度予算と比較して9、188万円が減額になっておりますが、そのうち7、423万円は、平成23年度の単年度事業として行いました水田移転整備に関する費用でありまして、平成24年度は計上する必要がありませんので、そこで減額になっているものです。そのほか若干の職員手当等ありますけれども、全体といたしまして、予算減で農業大学校の機能低下を来たす予算的な対応というものはないと考えております。
 それから、課題、施設の関係ですけれども、農業大学校につきましては、畜産と園芸については既にいろんな学習、研修施設が整備済みですけれども、水田農業、果樹、稲作の点については、平成23年度に一部整備を行いましたけれども、本校の改修整備につきましても今後の課題として、これについては、今、整備計画を検討しております。今後、計画的な整備を進めてまいりたいと思っております。
〇軽石義則委員 機能低下には影響ないというお答えですけれども、そういう意味では、私が見る限りは、設備いわゆる校舎のつくりとか体育館、研修棟、講義室の設備を見ても、夏場はいいかもしれませんが、冬場はとても対応できる状況にはないのではないかとも見えてきましたし、耐震化は既に行っておられるのかどうかもちょっと不安なところもあります。そういうところにもやはり配慮が必要だと思っておりますので、今後、配慮をお願いしたいと思います。
 そういう魅力ある農業を担う若手をつくるためには、魅力ある学校にしていくことも大事だと思っておりますけれども、卒業後の進路、就農状況については先ほど説明がありましたが、さらに詳しく、今後、それを具体的にどのように指導していくのか。そして、就農に直結できるような状況に本当になっているのかどうかもあわせてお示し願いたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 まず、具体的にどのような就農、進路の状況かということですけれども、過去3カ年の本科卒業生165名のうち、自営または農業法人へのいわゆる就農という分類になります方が42名、農業団体や農業関連企業への就職者が71名でありまして、約7割の学生が農業関係の仕事で、今、活躍しております。これは毎年大体同じ傾向と思っております。そのほかに、研修しますとか、進学しますとか、そういった方面に行かれる方がおりますので、そういう意味では卒業生の進路には学校としてもかなり力を入れておりまして、親御さんの期待にもこたえるような形にはなっていると思います。
 一方、すぐに就農に直結するような取り組みということでありますけれども、卒業生のいろんな出身地等での地域の農業者、農業者リーダーとの懇談会ですとかいろんな交流会、就農に向けた進路相談については、農業大学校としてもかなり力を入れてやっております。そういう点で、今、農業経営にかなり高いレベルの能力と経験、技術が要りますので、まずはいろんな場で社会勉強やら実践的な─就職しながら、研修しながら、そして就農開始の準備を整えながら計画的に就農していくという意向の方が多いようでございまして、そういう意味で、先ほど申しましたように、我々も長いスパンで見て、卒業したからどうぞ頑張ってくださいということだけではなくて、その後も、普及センターとか試験場とかいろんな場面でフォローしていくという形の考え方にも、そういう意味で、県なりの現地機関と農業大学校の交流といいますか、密接な連携というものに取り組んでおります。
〇軽石義則委員 それでは、その就農状況の部分については、特に今回、ニューファーマー支援事業というものも県としては項目が出ておりますけれども、そことのかかわりについてはどのような関係になっているのでしょうか。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 ニューファーマー支援事業は、青年就農給付金のうち、準備型については、就農前の研修期間2年以内につきましては年150万円の給付金を支給するものであります。この準備型の給付を受けるには、研修機関で年間1、200時間以上の研修を行うことが一つの条件になっておりますが、農業大学校につきましては青年就農給付金の要件を満たしておりまして、それを希望する方については、我々県としても十分な配慮をしながら対応していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 そのような制度もあるということをきっちりと周知徹底していただくことによってさらに魅力が出てくる。そして、働きがい、やりがい、勉強のしがいにもつながっていくのではないかと思いますので、ぜひともそのことはよろしくお願いしたいと思います。
 最後になりますけれども、今後の農業大学校の運営というものはさらに重要なものになると考えておりまして、やはり時代に合ったカリキュラムをさらに導入していくべきではないかと考えております。例えば、新エネルギー、自然再生エネルギーを活用した農業とか、今求められている、これから求められるかもしれないものも含めてカリキュラムに入れて対応していくことによって、農業の先進、先取りというものができていくと思いますけれども、それらの考えについてお示し願いたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 今の時代に合ったカリキュラムなり学校の運営、内容ということでありましたけれども、まさに、農業大学校につきましては、理論と技術の実践教育、今ありました先進教育、そして全寮制による共同生活による豊かな人間性をはぐくむ教育を特徴としておりまして、カリキュラムについても、一般なり専門の講義、実習のほかに国内外での研修もしておりますし、将来に向けての資格取得、これから多様な農業のあり方に対応する資格取得なり社会体験学習というものも密にして、あるいは先進農家等との交流の中で、さまざまな幅広い教養と国際性あるいは先進性を身につける内容とする努力を重ねております。
 一方で、今後考えていかなければならないことといたしましては、そういう先進性に関連するかもしれませんが、農業従事者の減少や高齢化が急激に進行する中で、先ほど申しました非農家や他産業従事者からの就農を確保する必要がありますし、そのような入学者がふえております。また、農産物価格の低迷など経営環境の悪化があります。そういうことに対応しまして、経営感覚を備え、地域資源を活用した高度な、あるいは先進的な経営に取り組む企業的な経営体の育成も必要と考えております。
 このため、今後、これまでのカリキュラムの基本を維持しながら、新たに非農家出身の就農希望者への対応強化。試験研究機関、先進技術を持つそういう組織、特に、地域の先進的な農業者との連携をサポートしていく。それから、先進的な技術あるいはそういったノウハウを持つ農業法人への就農に向けた進路指導ですとか、卒業生の経営能力向上のためのたゆまざるフォローアップなり先進農家とのネットワークづくりを推進していくとか、そういうことについて検討しまして、農業・農村を取り巻く環境の変化に即応できる人材の育成、機能を我々としても強化していきたいと考えております。
〇軽石義則委員 やはり人材がきちっと育つことによって、その産業がさらに進展、発展していくと考えてございますので、さらにこの農業大学校を有効に活用できる施設にしていただくことをお願い申し上げまして、最後に、部長から何か所見があればお聞きして、終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 私も、先日、農業大学校の卒業式がございまして、学校へ行ってまいりました。施設的には決して恵まれているとは思いませんが、卒業生たちを見ていると非常に力強い感じがいたしました。そういった後継者というか、担い手がこれからも育っていくように努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 私も牧草の除染について質問を用意しておりましたが、重複する部分が多々ありますので、飛ばしながら行きたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず1点目、マンパワーの確保と耕作機械の問題については御答弁等で明らかになりましたので、1点だけ。
 公社の持っている耕作機械もなかなか古くなってきていて、フル稼働に不安があるという話を聞きますので、ぜひその辺もケアをしていただきたいということを指摘して、この点は飛ばさせていただきます。
 次に、プラウ耕の工賃の問題についてなんですけれども、そのような形で農業者の皆さんにお願いをしていくという話なんですが、一関市では、農業公社から10アール当たり3、300円で依頼を受けているところ、一関市の農業委員会のほうの代金としては、田んぼのロータリー作業が5、000円から5、500円ぐらいで、プラウ耕が6、300円という状況にあるという中で、そのような料金体系では牧草のプラウ耕のほうに回っていかないのではないかという懸念があるわけですけれども、この辺の対応についてどのようにお考えか伺いたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 プラウ耕の料金の問題についてでございますけれども、今回の牧草の再生対策に使っています単価は、これまで本県が実施しました草地開発事業の基本になる県の草地対策関係事業設計歩掛基準というものがあります。また、国の土地改良事業の標準工事積算基準というものがあって、これに基づき設定しております。
 県の草地対策関係事業の単価の基準につきましては、生産者の草地造成整備を行うものですので、受益者となる農家の負担をできるだけ抑えるという考え方で、さまざま試行錯誤をして単価を下げてきているという歴史がございます。
 このような背景、考え方から、今回の単価が確かに農業委員会の単価を下回っているというところは事実でございますけれども、例えば労賃などは専門技術者の労賃を使っておりますし、ガソリン等の燃料費は必要額を計上しておりますので、何とかそこは御理解をいただいて進めていただきたいと思っています。
 全作業を受託した場合は、10アール当たり約1万4、000円程度が委託料として生産者の方に支払われるという形になるところでございます。
〇佐々木朋和委員 ということは、トータルで見て理解をいただきたいというような御答弁だったと思いますが、そのような形で進めていく中でも、その中でなかなか進まないという現状があれば、ぜひ、改善も含めて考えながら進めていっていただきたいと思います。
 次に、汚染牧草について、これからふえる可能性もあるということで伺いたいと思います。
 先ほど来議論のあるところですが、今、300ベクレル以上のものをやっているわけですけれども、一関地域では、それにしても、バグフィルターがついている焼却場が1カ所しかないということで、今までの分についても2年間かかると言われております。その中で、今度、100ベクレル以下になれば、どのぐらいの処理をしなければいけない牧草になるのか、県全体でいいですので。先ほど、300ベクレル以上は1、613トンという話を伺いましたが、これから100ベクレル以下になることによって、何トンぐらいのものが試算されるのか、また、何年ぐらいかかって処理していくということなのか、その試算をお教えいただきたいのと、それによって、先ほど岩渕委員から御指摘がありましたが、プラウ耕が進まない、3年かかると言われているところで、プラウ耕がまだ行かないところについて、そのままぼうぼうにしていけば荒れてしまうし、刈れば、そういう処理をしなければいけないものが出てくるということがありますので、その点をどう考えているのかも含めてお伺いしたいと思いますし、処理の計画をお願いしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 牧草の処分についてでございますけれども、利用できなくなる牧草は、今、積算しておりますけれども、まだ集計がとれておりません。ただ、除染が必要な面積が1万ヘクタール程度ということでございますので、相当な量になるのだろうと考えております。申しわけありませんが、数字はまだございません。
 それから、これらの牧草はまず区分管理をして、誤って給与されることがないようにしていただきたいというのが一つと、次は、今、御指摘がありましたように、なかなか進みませんが、順次、すき込みだとか一般廃棄物として焼却、埋却等により処分を行っていただくということで、これに対する支援は続けていきたいと考えております。
 また、その除染対象となった牧草地の牧草については、除染作業が終了するまでの間は利用できないこととなりますので、コントラクター組織や機械を有する畜産農家の協力を得て、できるだけ早く除染を進めたいと考えておりますけれども、見通しを示せと言われると、ちょっとまだ、すぐできるとか、1年でできるとか、どれぐらいでできるというような見通しを示せないというのが現状でございます。
 除染作業がおくれて牧草が伸びてしまった場合の対応ということだと思いますけれども、これは、除染作業の前処理として刈り取りが必要になる場合が必ず出てきます。大きな牧草、ぼうぼうとなった牧草をそのままロータリーなりプラウですき込むことはなかなか難しいということでございますが、これについては、今のところは、生産者において刈り取り調整をしていただくか、除草剤をかけていただくか、その辺を検討しているところでございます。ただ、刈ったものの処分については、利用自粛牧草等処理円滑化事業で支援をしていきたいと考えてございます。
〇佐々木朋和委員 いずれにしても、プラウ耕については、残すにしても、残さないにしても、やはり処理物になってくるという話だったと思うんですけれども、今回の除染の計画については、処理計画と一体になってしなければ、農家がどこにもやれなくて大量に抱えてしまうということになりかねませんので、ぜひ─今までは農村計画の中で循環型の物質がぐるぐる回ってうまくやっていたところを、放射線の問題があって、処理をしなければ、廃棄をしなければいけないものが出てきたということだと思いますので、私は環境生活部のときも質問させていただいたんですが、ぜひ、そちらとも連携して、処理計画と一体となった除染というものを計画していただきたいと思います。これについては要望で終わらせていただきます。
 最後に、牧草から離れて、農林水産物の放射性検査に伴う証明書とかお墨つきを与えていただきたいということについて質問させていただきたいと思います。
 午前中に及川幸子委員からお話がありましたが、これから、いわてデスティネーションキャンペーンが展開され、産直にも県外のお客さんがたくさんお土産を求めて並ぶことになると思うのですが、今、県の施設や市の施設、公の施設で放射性物質の検査をしていただいて、安心だということで市場に出しているわけですけれども、それについて、対外的な公の効力がどうかということで現場の方からは伺っています。
 これから、そのような形で県産品を売っていくときに、午前中のお話でも、全体として岩手のものは安心だという発信をするという話は伺ったんですが、それに対してお墨つき、例えば東京のバイヤーさんとかに行ったときに、こういう形で検査していますから大丈夫なんですという、ブランドというか、お墨つきというか、そういうことができるような証明書もしくは発行シールのようなものがあったり、あとは、今、食の加工品については、公の機関で検査ができなくて自分たちでやっているというところもあるのですが、それについても、自分たちではかったものということで、なかなか公の効力を認めてもらえないということがあるので、県で、こういうマニュアルで検査したら県としてのお墨つきですよとか、そういう形で品物ごとの安全というものをアピールできる仕組みがあればいいのではないかと思うんですが、御所見をお伺いしたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 現在、県では、県産農林水産物の放射性物質濃度の検査計画に従って、県内で生産される農林水産物について、品目ごとに検査対象区域、検査時期を決めて放射性物質検査を実施し、その結果を速やかに公表してきているという状況にあります。
 その検査品目の中で、牛肉については、出荷、屠畜する全頭の放射性物質検査を実施しておりますことから、県内で屠畜された牛は、すべての枝肉に放射性物質検査結果通知書を発行しているところであります。
 しかし、その他の品目について見ますと、検査対象区域の一部の抽出検査ということもありまして、販売される農林水産物の商品ごとのすべてに検査を実施した旨の証明書を発行することは困難であると考えております。
 県ではこれまで、午前中の答弁の繰り返しになりますが、県産農林水産物の安全性について、知事のコメント入りの安全宣言を肉とか米で出しておりますし、新聞広告あるいはホームページ等で情報発信してきたところでありまして、これを今後とも、例えば産直で行われるイベントでありますとか、あるいは県内外で行われる県産品フェアなどに活用して、いろんな機会に示しながら、県が行っている県産農林水産物の安全性の取り組みをアピールしていくということで考えているところであります。
〇佐々木朋和委員 今、流通課総括課長から説明をしていただいたことを現場の産直のおばちゃんがお客さんに説明できればいいんですが、なかなかそういうことがいかないという現状があります。おばちゃんが、ここに岩手県のマークがついているから大丈夫なんだよと一言で説明できるような体制が私は望ましいと思います。また、事あるごとに言っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇工藤勝博委員 私も何点かお聞きいたします。
 まず最初に、平成24年度の目玉事業といいますか、新規の事業を二つお聞きいたします。
 いわてリーディング経営体育成支援事業というものがありますけれども、要は、その地域のリーダーの経営体を応援するというように解釈いたしましたけれども、どのような設備に関しての支援をなされるのか。また、金額は大した金額じゃないんですけれども、支援事業の枠組みをお聞きしたいと思います。
〇工藤農業振興課総括課長 いわてリーディング経営体育成支援事業についてでございます。
 本県農業の持続的な発展を図るためには、地域や産地を牽引する先導的な経営体を育成することが重要だと考えておりまして、この事業は、意欲と能力のある認定農業者の方々が3、000万円以上の販売額を実現するために、経営規模の拡大あるいは多角化に必要な機械、施設をリースする場合に3分の1を補助しようというものでございます。
 これだけではなくて、経営の発展を図るためには、農地の集積、労働力の確保が必要になってくると考えてございまして、農地の利用集積につきましては戸別所得補償制度規模拡大加算、雇用労働力の確保についてはリーディング経営体雇用支援事業の二つの事業、さらには、地域におきましては農協、市町村、あるいは県の出先機関が入っています地域再生協という組織がございます。この地域再生協が経営指導なりその方の支援に当たるということで、言うなれば地域密着で、その方に対して濃密な指導をして、早期にこの目標生産額、販売額を達成していただこうと。その部分の一部ハード分をセットしているものでございます。
〇工藤勝博委員 わかりました。ところが、交付する経営体、要は、法人あるいはまた個人でも大規模にやっている方もありますし、そのことで私も再三お聞きしているんですけれども、なかなか個人が対象にはならないという事業が多いわけです。その辺は、今度の事業に関してはどういう状況になっているでしょうか。
〇工藤農業振興課総括課長 具体的な要領についてはこれから具体的に詰めてまいるのですが、想定しているのは、今おっしゃられましたような個人の認定農業者、あるいは今、マスタープランをこれから地域でつくっていただくことで進めておるんですが、そのマスタープランに位置づけられた地域の中心となる担い手の方々、言うなれば、御指摘のような個人あるいは1戸1法人、そういうところを想定しているものでございます。
〇工藤勝博委員 次の質問とも関連があります、二つ目のいわてニューファーマー支援事業ということで、これは、国が農業再生事業の中で取り上げた平成24年度からの大きな事業でありますけれども、要は、担い手を確保するために新規就農者に対しての支援ということで、当初、これはいいことだなと思っておりました。ところが、その中身を見たら、なかなかこれは難しいなというのが実感としてあります。というのは、その地区によってマスタープランをつくらなきゃならない。その流れを見ると、これからすぐには、だれそれがこの地域でやるというわけにはなかなかいかないなという思いを持っております。事実、私たちの集落でも、今、聞き取り調査を始めました。平成24年度の事業にのせるためには、これから県のほうのどういう指導がなされるのか、まず最初にお伺いいたします。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 いわてニューファーマー支援事業についての今後の取り組みですけれども、今はまだ国のほうから最終的な交付要綱・要領が示されておりませんけれども、私たちとしてもこの制度をとにかく円滑に、しかも大いに活用したいという考え方でいろいろ国から情報収集し、そして市町村のほうに情報提供し、いろいろ下準備を進めております。
 その中で、委員から、大分要件が難しいというお話もありましたが、私たちの認識としては、要件が大分いろいろ拡大緩和してきておりまして、したがって、私たちが当初想定していたよりも多くの人が対象になるのではないかということで、そのことも含め、いろいろ国への要望ですとか対応をしてまいりたいと思っております。いずれ、活用するということで準備を着々と進めていきたいと。
 ただ、一方で、マスタープランのお話がありましたが、マスタープランにつきましては、我々の立場としては、マスタープランに位置づけられる、もしくは位置づけられる予定ということでございますので、マスタープランの準備も進めながら、青年就農給付金の利用なり、農業者の方々への周知なり理解も同時並行で進めていきたと思っております。
〇工藤勝博委員 国では全国でおおよそ2万人ぐらい想定しているという発表もありました。県にとりましては、その辺の数字も多分把握した中での予算計上だろうと思います。そういう中で、以前には集落ビジョンというものもあって、何年か前にやりました。なかなかビジョンどおりにはいかないというのが現実でもあります。ただ、こういう状況の中では、集落の中で1人や2人は必ずおれがやると手を挙げてくれる若い人がいるだろうと期待もしております。そういう期待を持ってこのマスタープランも進めていきたいと思いますけれども、なかなかやっぱりそこまで、何というのか、だれが話をかけて、だれがリードをとるかというのも、今まさにまたスタートの時点になりました。そういう点を含めて、地区の普及センターなり、あるいはまたJAなりに強く指導しないと、なかなか進まないのかなという思いもしております。その辺の今後の予定はどのようになっているでしょうか。
〇工藤農業振興課総括課長 マスタープランの作成についてのこれからの県の取り組みということだと理解しておりますが、委員御指摘のとおり、平成15年から集落水田農業ビジョンをつくって、地域ごとの話し合いの中で、地域の産地づくりなり担い手の明確化なりという取り組みを進めてきております。ただ、なかなか成果が上がらなかったというところもございますが、そこが、まず、これからの農業を地域で進める上でのベースだろうと思ってございまして、それを、今回このマスタープランに、言うなればバージョンアップするような考え方で進めたいと思ってございます。
 具体的な進め方については、県だけでもできませんし、市町村だけでもできないと。そのとおりでございまして、先ほども申し上げました地域再生協の中に関係者がみんな入ってございます。ですから、ここの中でまず推進するチームをつくっていただきまして、地域の区割りもしていただきまして、それでみんなで分担しながら入っていこうと。この部分につきましては、地域再生協のほうの伝達、それぞれ各行政レベルの縦ラインの連絡については周知しながら進めておりますので、地域の中でよく話し合っていただき、進めていただこうかと思っております。
 また、これからのスケジュールについても、まずは地域の中で徹底して話し合っていただく。ですから、いつまでというのは、その地域の中で多分状況が違うだろうと思ってございますが、国なり県の基本的な考え方はここ2年間でつくろうということで取り組んでございますので、まずは地域の中で農家の意向調査、把握をしていただき、できるだけ早くと。そして、特に中心的な担い手になり農地の集積を受ける方、あるいは先ほどのニューファーマーの支援を受ける方については、早くことしの計画をつくっていただいて位置づけしていただき、所要のお金を交付するような仕組みにし、その後でまたさらに見直しするというような手続があろうと思いますので、まずはそういう取り組みもしていただこうと考えておるところでございます。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 本県の農業にとって、多様な力を持つ新規就農者の確保は非常に大事だと思っております。その新規就農者の方々が地域で、困難な時代の中で確実に農業経営を確立していくためには、個人の力だけではなくて、地域で受け入れて育てていく、あるいは地域でそういった方々を育てていくといいますか、そういった体制をとっていく、あるいはそういう考え方を共有する。今、工藤委員がおっしゃいましたように、地域の集落でどう育てていくんだということも含めて、その地域の話し合いが非常に重要ではないかと思っております。そういう意味でも、マスタープランは難しいかもしれませんが、ぜひ、我々としては取り組んでいかなければならない。ここに農業改良普及センターも力を注いでいかなければならないのではないかと思っております。
〇工藤勝博委員 岩手の農業の再生の第一歩ということで位置づけて頑張っていただきたいと思います。
 次の質問をさせてもらいます。
 先ほど6次産業の話もありました。6次産業は大分前から、やはりこれも農業の再生の中で、高い位置づけの中でいろんな支援の事業がありました。そういう中でも、1次産業、2次産業、3次産業を6次産業に結びつけるには、これもなかなか容易でないなというのも実感であります。
 そういう中で、県内でもたくさんの加工場をつくって販売まで結びつけている方が多いわけですけれども、実態はどのような状況になっているのか、まず先にお伺いしたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 今お話がありました、平成21年から事業として6次産業に取り組む事業体を支援してきております。この6次産業の動きを拡大させていくために岩手県で必要なことは何かということをその当時いろいろ考えまして、まず、いわばモデルのない中での取り組みですので、岩手県にふさわしいモデルとなるような事業体を育成していくことから始めることがいいのではないかということで、6次産業化にチャレンジしてみたいという事業体を公募で選んで、一定の委託料をお支払いして事業をやってみましょうという取り組みをここ数年繰り返してきております。
 この取り組みによりまして、これまで43事業体で104人の新規雇用が生まれておりますし、これまでに岩手県には見られなかったような、自分の家で生産した牛肉を使って加工品を開発したり、直営レストランをやることとか、あるいは農産物とか加工品も含めて地域内で宅配をするような事業体も見えてきたというような実績が出ておりまして、一定の効果が出ているものと受けとめております。
 ただし、6次産業化に対する意欲はある、あるいは潜在的なやってみたいという気持ちを漠然とでも持ちながらも、実際に事業に踏み切るためには、資金であるとか、あるいは事業運営に必要ないろんなノウハウを自分が持っていないということから、なかなか実施に踏み切れないでいる方々がたくさんいるという課題があるのも実態であると受けとめております。
〇工藤勝博委員 43事業者が出たということは、それなりの評価はされるべきだろうと思いますけれども、例えば1次産業の農家が加工場をつくって、加工して販売するという、そのハードルの高さも確かにあるんです。ただ、岩手県でいい点は、すぐ直売所が各地区である、少量でも販売ができるという利点も確かにあります。ただ、大きく経営として成り立つにはなかなか難しいなというのが実感として私も持っております。それをもう一歩前に進めるといいますか、ハードルを上げるための支援が必要なのではないかと。スタートはいいけれども、さらにそのスタートから大きく飛躍するという視点がこれから必要なのではないかという思いがしますけれども、そういう点で、ことしの支援事業はどういう感じでとらえるのかお聞きしたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 これまで経験したことのない生産者が6次産業化に取り組むためには、どういう構想を練って、あるいはどういう事業計画を立てて、あるいはどういう商品をつくってということに加えて、つくったものをどこに販売するかといったさまざまなハードルがあるのも現実であります。
 そこで、我々とすれば、これまでのモデル事業体の育成がある程度進んだことを受けて、今度は全県にそういう取り組みを拡大させてすそ野を広げていくためには何かという時期に平成24年度は差しかかっているのではないかと考えておりまして、そのためには、今年度の6月に設置しました6次産業支援センターが何よりの活動の核だと考えております。ここのセンターが持つ専門的なノウハウですとか、あるいはマンパワーで、事業者がどういう構想を持って、具体的にどういう事業計画を立てて、どういう商品をつくって、あるいはどこに売っていったらいいんじゃないかというようなことを丁寧に相談に乗りながら、その人が持っている強い部分もあれば弱い部分もある、そういう事業体の実情に合わせて、こういう方向でやってみませんかというようなやり方を県内で広げていくことがすそ野の拡大に広がっていくと考えて、平成24年度はやろうと考えております。
〇工藤勝博委員 そういう点では大変期待したいと思います。
 次に、従来から岩手の農産物のブランド化に向けてはそれぞれ努力してきたわけですけれども、ブランドも年を経れば何もブランドでなくなるというのを私は実感として持っています。県の中においては、前沢牛のブランド、あるいはまたリンドウとかあります。ただ、そういうブランドじゃない岩手独自のブランドもこれまた必要ではないかという思いをしてお聞きしたいと思います。そういうブランドをつくるもとが農業研究センターあるいは畜産研究センター、林業研究センターがあるわけですけれども、その中からぜひとも生み出してもらいたいという思いでお聞きします。
 よそにないものということになれば、やっぱり岩手在来のもの。特に園芸関係ですと、少量でも、やはり岩手に行くとあのものがあるよと。それを食べるなり、また購入するということで、岩手の魅力がさらに大きくなるのかなという思いで、その研究開発なり、そういう品目を開発する研究センターの取り組みということを強くお願いしたいわけですけれども、従来の品種開発からまた一歩違ったブランドの確立に向けての取り組みというのはどういう思いをしているのかお伺いしたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 品種開発から一歩進んだ岩手独自のブランドづくりに農業研究センターがどのように取り組むのかということですけれども、農業研究センターの研究の推進に当たりましては、四つの基本方向を持って進めております。
 一つは、現場の要望を的確に把握した、現場に密着した課題への重点化ということと、マーケットインの視点による市場性の高い産地づくりに対応する技術開発の部分が一つのブランドになるかと思いますし、効率的、効果的な研究、あるいはいろんな外部資源の活用のための共同研究の強化、先ほど言いましたように、バイオテクノロジー研究を生かした革新的な技術の開発、こういったところを総合しながら岩手オリジナルのものをつくり出していくということだと思いますし、確かに、単に品種一つでブランドになるわけではないと思っています。
 そういうことで、先ほどの四つの基本方針の中から進めてまいりまして、これまでに、ブランドという形にはならないかもしれませんけれども、転作の大豆、麦におきましては、なかなか単収が上がらなくて、量が確保できなくて、いわゆる岩手のブランドといいますか、そういったニーズが確保できない。その課題解決のために、大豆や麦の小うね立て播種栽培技術を開発しまして、これによって単収向上が図られ、実需者ニーズにこたえられるようになってきている。これは現地課題解決がなされまして、江刺区等でも広くこの技術は導入されて、大豆の生産安定に寄与していると思いますし、そういったところで実需者のニーズにこたえる岩手のものというような、委員の御質問とは外れるかもしれませんが、委員御指摘のところでいきますと品種になりますけれども、県産種雄牛の菊福秀につきましては高い市場性が期待できます。
 リンゴにつきましては、先ほど黄王が出ましたけれども、今度、岩手リンゴの新品種の紅いわては非常に高い評価が得られたところで、大きく期待しております。こういった品種と、品種だけではないということで、品質を最大限高めるような、岩手だからできる、光の通りがよく、労働生産性もいい低樹高栽培、こういったものを駆使しながら、ほかの県ではできないような高品質なリンゴをつくり出していく。そのための低樹高栽培の技術は、農業者と農業研究センターが一緒になって開発した樹形剪定技術でありますし、それを可能ならしめるようなJM7という新しい台木は、研究成果の普及によって岩手県内ではほとんど使われておりますが、他県に先駆けて広く普及しております。こういった台木から、木の形から、品種から組み合わせた中で、一つには岩手の新しいブランドづくりをしていくという形で、農業研究センターは体系的に取り組んでいるのではないかと思っております。委員の御質問に答えられなかったと思いますけれども、よろしくお願いします。
〇工藤勝博委員 拡大解釈して理解します。
 私の言わんとするのは、そういう品種開発もいいんですけれども、岩手に来たら岩手にしかないものを研究センターでつくって岩手ブランドにしていただきたいという思いです。
 それとあわせて、研究センターと、先ほど軽石委員からもお話がありました農業大学校、花きセンターがあります。従来ですと、ことしは何か新しいものをやっているのかなという思いで、秋には私も必ず行ってみました。ところが、このごろ、行っても何も見るものがないな、何か、さっぱり寂しいなという思いで今の研究センターを見ていますけれども、実態はどうでしょうか。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 研究ですので、なかなか一目ですぐ見えるところにはないノウハウなり技術はあると思いますけれども、今後、よく見えるように努力いたします。
〇工藤勝博委員 これもまた大変期待したいと思います。
 最後に1点、先ほど来、牧草地の放射能対策がありましたけれども、実は、自粛要請している地域以外でも大変心配している畜産農家が多いわけです。というのも、県北の中でも玉山区の一部と滝沢村の一部、一戸地区に自粛要請があります。その近辺、私の八幡平あるいは岩手町、葛巻町の酪農家の皆さんも、いつその基準値を超えるかわからないという不安を持っておりますけれども、それぞれの牧草地の中では検査もしたということがあります。100ベクレル前後、例えば95ベクレルとか80ベクレルだと、次に測定したときに超えるかもしれないという不安を持っておるんですけれども、そういう近隣の酪農家、畜産農家の方々の対応はどういう形でこれから取り扱うのかお聞きたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 今御指摘がありました暫定許容値に近い値が出た牧草地については、原則としては対象外としているところですけれども、これまで2、000件を超える検査をしておりまして、地図におろして確認ができるような状態になってきていましたので、周辺の圃場の状況を図面で確認して、その方の圃場については個別に判断ができるようにしていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 そういう状況の中で、損害賠償の対象にもなるような状況にしてもらわないと、どうしようかな、もう意欲もなえるなという畜産農家も多いので、その辺もきちっと説明できるような形でこれから取り組んでほしいと思いますけれども、その辺をお聞きして、終わります。
〇山田畜産課総括課長 100ベクレルと損害賠償の関係については、これは東京電力との交渉になると思いますが、そういうところについては、なるべく状況を判断してもらって除染の対象にして、除染すれば草を使えないわけですから、除染は県のほうで経費は持ちますけれども、代替飼料の関係とかがありますので、対象になるように交渉していきたいと考えております。
〇嵯峨壱朗副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後3時8分 休 憩
午後3時27分 再開
〇喜多正敏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇木村幸弘委員 それでは簡潔に、できるだけ短く質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、県の放射線対策本部の取り組みの報告の中でもありますけれども、これまでの農業生産物に対して、検査を引き続き継続をしていくという対応方針が示されておりますが、今日段階で、検査品目、現行30種ということで行われてまいりましたが、これらの30種になっている具体的なその理由、それから、今後、この検査対象品目については拡大をする方向というものを考えているのかどうか。そして、その場合にはどのような体制で臨むのか、その強化等を含めた方針について伺いたいと思います。
 それからもう一つは、同じく報告書の中で、先ほど来、牧草地の除染の問題が随分議論されているんですが、汚染稲わらの処理状況と今後の対応についてはどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。
〇小岩農林水産企画室企画課長 まず、現行の検査の品目の選定理由、今後品目を拡大するのか、検査体制の強化についてでございますけれども、現行の30品目の選定理由についてでありますけれども、これは国が定めます検査対象品目のうち、本県で収穫されます主要な農林水産物につきまして、収穫時期などを考慮して選定したものでございます。
 今後でありますけれども、今般、国のほうで、全国レベルで、これまでに100ベクレルを超えました放射性セシウムが検出された品目などを新たな検査対象品目として設定したところでありまして、この見直しに沿って対応するとともに、本県におきまして、空間放射線量率が比較的高い県南地域で、生産量が多い品目にも配慮しながら、検査対象品目を選定して検査を実施していきたいと考えております。
 また、体制の強化についてでありますけれども、これまでに導入いたしました測定機器につきまして、検査精度の向上を今進めてございます。さらには、農業研究センターへのゲルマニウム半導体検出器などの新たな配備も考えてございまして、こういったことを通じまして、検査体制の充実を図ることとしてございまして、今後も、状況に応じまして検査体制の強化に努めてまいりたいと考えております。
〇山田畜産課総括課長 汚染稲わらの処理状況と今後の対応についてでございますが、汚染された稲わらは18市町村に約600トン保管されておりましたが、これらの市町村では、県単事業等を活用しながら、公共牧場それから農家の庭先等において稲わらをパイプハウスの中にしまうとか、シートで覆うとかというような形で、区分管理をしているところでございます。
 また、処分につきましては、一般廃棄物として焼却、埋却が可能な8、000ベクレル以下の稲わら、約300トンにつきましては、既に七つの市町村で130トンが焼却等の処分を終了しております。また、8、000ベクレルを超過する稲わら約300トンにつきましては、これは今後、特別措置法に基づきまして国が処分を行うこととされてございます。
〇木村幸弘委員 まずは品目の拡大と体制の強化ということで御答弁いただいたわけですが、答弁の中にありましたが、規制値等の見直しによって、新年度を含めての新たな追加対策的なものというのはさらにあるんでしょうか、その点についてお伺いしたいと思います。
 それからあと、今の汚染稲わらの管理の関係ですが、具体的にパイプハウスやビニールシートで覆ってそれぞれ管理をされているということなんですけれども、それらの管理状態といいますか、実態として何か定期的にきちんと管理の状態を確認するとか、それから点検等を含めた対応というのはどのように行われているのか、お伺いしたいと思います。
 次に、新年度予算で措置されております農業生産環境放射性物質影響防止支援事業費についてですが、説明資料によりますと、セシウムの農作物等への影響調査研究の実施等ということになっております。農地土壌の調査研究の実施ということなんですが、具体的にこの中身についてお示しをいただきたいと思います
〇小岩農林水産企画室企画課長 新基準に基づきまして、今後、追加的な対策を講じるのかということの御質問でございました。
 まず、先ほど申しましたとおり、生産物につきましては、品目を拡大しながら、適時適切に検査を実施いたしまして、それを、即、県のホームページ等で公表していくということに取り組みたいと考えてございます。
 あと、さらに、これまでは生産物のみの検査をしてございましたけれども、例えば、県内では間もなく営農シーズンを迎えまして、用水路の泥上げ作業なども開始される時期となってございます。これにつきましては、当然、安全な県産農産物の生産を確保するという観点、もう一つは、生産者が安心して農作業に従事できるという観点から、今後、用水路やため池の土砂につきまして、市町村や施設管理者と十分相談しながら、汚染実態を確認していくことも現在考えてございます。
〇山田畜産課総括課長 汚染された稲わらの管理状況ですけれども、これについてはすっかりマーカーペンで着色をして、きちっとしたハウスの中に隔離するという形で最初は管理しております。それから、これについては、当然、処分が済むまで、定期的に県の職員が確認をしていかなければならないと考えてございます。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 放射性物質の影響防止対策支援事業の調査研究についてでありますけれども、本県の農業者の皆さんが安全を確信して農業生産を行い、消費者が安心できる県産農産物を提供していくためには、科学的知見に基づく農作物への放射性物質の影響防止のための生産管理対策を進めていくことが重要であると思っております。このため、この事業の調査研究では、土壌の種類や養分状態による放射性物質の農作物への吸収、移行の実態を把握しまして、その結果をもとに吸収防止対策を明らかにして、これをもとに安全・安心な農産物の生産を推進していくということであります。
〇木村幸弘委員 そこで、これから春に向って、今の土壌に対するいろんな調査研究であるとか、あるいはお答えいただいた泥上げ作業を初めとした用水路等を含めた放射線の環境影響にしっかりと対処していくという考え方についてですけれども、雪解けの中で、いわゆるセシウムの特質といいますか、水によって流動化していくという問題があるわけですね。この間もさまざまな水の流れによってホットスポットが思わぬところに発生をするとか、そういった課題が出てまいります。そういった部分では、これまで調べたから大丈夫だということではなくて、まさにもう一回、春を迎えていく、そして雪解け等によっていろんな流れが生じる実態を踏まえて、改めての測定調査やしっかりとした対策が講じられなければならないだろうと思っております。
 近畿大学の山崎秀夫教授が、土壌汚染というのは汚染のファーストステップであると。問題は、この間の山間部あるいは森林にたまっているセシウムが、これからどうなるかが最も心配だと。水がどこへ流れていくのか、その流れによっていろんな問題が発生してくるだろうということを述べております。そうした点から言うと、まさに今用水路の対応、ため池の問題を含めて、農林水産部の中においては、単に牧草地のみならず、ある意味ではすべてかということも言われてしまうのかもしれませんけれども、しかし、それほどにここ数年の単位の中では、常にそういう対応を求められると私は思っておりまして、そういった点での総合的な放射線に対する対応策ということで考えていただきたいということで御所見をいただきたいと思いますし、同時に、いろんな農林水産部の事業の中においても、例えば、先ほど農地・水保全管理事業の問題、あるいは森林づくり、これは林業の関係になりますけれども、今度は子供たちを巻き込んでいろんなイベントなども実はあるんですね。植樹祭であるとかいろんなそういった活動も出てまいります。そういった部分を含めて、想定できるものはしっかりと調べておくという対応が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇小岩農林水産企画室企画課長 ただいまの御指摘でございますけれども、まず、後者のほうからお話をいたしますけれども、今後、子供たちが植林等で森林に入るケースもあるだろうということでございました。森林につきましては、昨年の9月から11月にかけまして、国で実施いたしました本県全域の空間放射線量率の調査結果が出てございまして、この結果で言いますと、本県のすべての地域におきまして、国が示しております森林内で活動する場合の目安を下回っておりまして、森林内での作業あるいは活動につきましては支障がないと認識はしてございますけれども、まさしく今、委員が御指摘しましたとおり、それは空からの調査でございますので、今後、森林内での作業の安全性の確保の観点から、森林内の実態も踏まえ、確認することで今考えてございます。
 あと、さらに雪解けの件で、山からセシウムが溶け出すのではないかと、流れてくるのではないかという御指摘でございました。これにつきましては、福島の事例なんかがあるんですけれども、山際の用水路でも、水につきましてはそんなに高くない、1ベクレルくらいだというデータもございまして、こういうことも踏まえながらですけれども、しかしながら、森林にある腐葉土等につきましてはセシウムが沈着している可能性があるということがありますので、例えば森林の腐葉土等が混入いたしました濁り水などが農地に流入しないようなことにつきましては、先般策定いたしました生産管理マニュアル等を用いまして、現在、営農指導を実施しているところでございます。
〇木村幸弘委員 ぜひ、しっかりとした対応をしていただきたいということでございます。
 次に、環境保全対策及び再生可能エネルギー促進対策ということですが、1点目は、バイオエネルギーの利活用促進事業費についてでございます。
 バイオエタノール製造基礎技術の実用化に向けて、最終評価を実施するということで予算措置がされておりますが、どのような考え方での最終評価ということになるのか、あるいは、今日までの取り組み経過と、それを踏まえての実用化へ向けた見通し等についてはどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、小水力発電の調査事業については、先ほど小田島委員のほうから、るるぎちっと質問がありましたので、ただ、私は、この間の小水力の取り組みの中で、売電単価が常に大きな課題だということが繰り返し答弁の中で出されるんですけれども、せっかくこれまで3カ年、24カ所、2、259万円の予算をつぎ込んで調査をやって、そして新年度また1、000万円で調査をやるわけですね。売電単価の問題を前提として、具体的に実用化の取り組みがなかなか踏み切れないということでは、本県の政策として、これから再生可能エネルギーを推進していくという大きな目標を掲げている立場から言えば、それだけを理由にして足踏みしているのは問題があるのではないか。逆に言えば、だったら、幾らの固定価格買取制度の金額が表示されればそこからスタートできるんだという話になると、その思惑の中で、思ったとおりの単価が出ない限りは、この事業は進められないのかということにもなるわけでして、そういった点から言えば、政策的に何らかの、先ほどの御提案ではないですけれども、モデル事業的なものはぜひやってしかるべきではないかと私自身も思いますけれども、その点についてもお伺いします。
〇千田担い手対策課長 バイオエネルギー利活用促進事業についての、なぜ最終評価をするのか、そして実用化への見通しはどうかということで2点のお尋ねだと思いますが、バイオエネルギー利活用促進事業は、生物工学研究センターの持つ高度な遺伝子技術を活用して、食料と競合しない稲わらなどのセルロースからエタノールを製造する技術開発を進めるため、平成20年から実施してきたものでございます。
 最終的な評価についての考え方でございますけれども、平成24年度につきましては、これまで得た成果を活用し、実験室レベルで、実際に稲わらなどのセルロース系原料の分解試験を行い、開発したセルロースの分解酵素の能力やコスト、作業性を明らかにするものでございます。その結果を、国などが開発した市販のセルロース分解酵素と比較し、開発した技術の実用性を評価したいと考えてございます。
 それから、二つ目の実用化への見通しでございますが、実用化に向けては、平成24年度の最終評価を踏まえた上で、セルロースの分解から、アルコール発酵、濃縮などの工程をトータルで実証するプラントを用いた実験が必要であります。既に実用化に向けて実証プラントを整備した研究機関や企業などと連携して、その辺のところを模索していきたいと思ってございます。
 なお、国におきましては、2013年度までに再生可能エネルギーのロードマップの策定を進めることとしており、こうした国の動きも注視しながら、実用化に向けた検討を進めていきたいと考えてございます。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 小水力発電の件でございますけれども、午前中の答弁でもお話ししましたけれども、本県は広大な県土の中に、春の雪解け水に象徴されるような豊富な水量、それから高低差に富む地形など、水が持つ運動エネルギーとそれから位置エネルギー、そういうエネルギーが豊富に賦存しているということで、小水力発電にとってはもってこいの条件を有していると思っております。ただ、一方で、小水力発電の可能性はあると言いながらも、どういう課題があるのかということを少し並べてみますと、4点ほど頭の中にあるわけですけれども、一つは、先ほどお話があった売電単価のことでございます。売電単価については、7月に上がるだろうという期待を込めておりますし、二つ目は、建設コストです。建設コストは本体のほかに、午前中にもありましたけれども、ごみ処理の問題、除じん機の問題があります。そうした施設はどうしてもオーダーメードになります。その場その場で一つ一つの施設の形が違いますので、どうしても割高になるという面がありますので、そういうところはこれから県内外のさまざまな企業の皆さんから提案いただいて、よりやすい、しかも、できればオーダーメードではなくて、既製品のような状態で現地に搬入できればいいなということも考えております。
 それから三つ目は、水利権の問題です。先ほども質問がございましたが、水利権については、農業用水路というのは夏場は水が流れているわけですけれども、冬になりますと水がないという状況で、どうしても1年間を通じて、豊富で安定した水量を確保するというのがまず第一だと思っております。そういう中で、冬場の水量をどうやって確保していくか、そこのところがこれからの課題になってくると思っております。
 それから四つ目は、電気技術者の確保でございます。どうしても電気を発電するということで、電気に関する専門家が張りつく必要があるということがあります。そういうことで、土地改良区の今の実態の中で、果たして通年、電気技術者を配置できるのかという問題もあります。ただ、水利権の問題にしろ、電気技術者の問題にしろ、最近条件が緩和されてきておりますので、そういうところについては追い風と思っておりますので、ぜひその四つの問題を一つずつ解決していきながら、本県で、まさに岩手の立地条件に適応した小水力発電施設というのをつくっていきたいと思っております。
〇木村幸弘委員 まず1点目、バイオエタノールの関係ですが、新たなプラント等の取り組みを考えていくというお話でしたけれども、具体的に、そうすると、この評価を受けて、実用化に向けた次のステップアップの取り組みに入っていくという方向で、今計画としては進んでいると理解していいのかどうか、その点について確認させてください。
 それから、あと、小水力発電の問題、今おっしゃった課題等の克服は大変重要なことだろうと思いますが、この3年間のさまざまな調査活動や事業を推進してきた中で、この四つの課題、売電単価はいずれ法律に基づく新たな単価の価格がどうなるかは別にして、他の建設コスト、あるいは水利権、あるいは技術者の問題等について、この間の調査事業の中では、具体的にはそこは問題としては抽出したけれども、そこを具体的にどう進めるかというところまでの作業、検討というのは行われていなかったのでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。
〇千田担い手対策課長 過去4年間取り組んできたわけですが、現時点では、稲わら等からのバイオエタノールの製造コストはガソリンより価格高になるということと、それからプラントをつくるのかという話ですが、それにつきましては相当多額の建設費がかかるということで、実は国の事業を使ってやれないことはないんですが、国からは一定の成果が出ないと、要するに、低コストで効率よくエネルギーがとれなければ、なかなか採択しにくいという話がございまして、すぐにプラント建設という形にはなりがたいと考えてございます。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 小水力発電の導入に当たっては、まず、そもそも小水力発電施設を設置するのは、農業水利施設を管理する市町村あるいは土地改良区となります。そういう意味で、これまでも県としましては全国の事例も収集したり、あるいは、例えば建設コストについては、つくばにあります農業工学研究所の事例等も収集したりとか、それから水利権についても、全国で冬場の水利権をどうやったら取得できるのかとか、そういうことについていろいろ知見を集めて、それを今まとめております。そして実際に設置しようとする土地改良区の皆さん、市町村の皆さんに、こういう情報をきちんと伝えるというのが大事だと思っております。そういうことで、この3年間の成果をこれからしっかりと伝えていきたいと思っております。
〇木村幸弘委員 バイオエタノールの関係は、いろんな課題をしょいながらも、ここまで研究として取り組んでまいりました。先ほどの農業研究センターや生物工学研究センターは何をやっているんだという、いろんな意味での、別な意味での御意見も多々ありましたけれども、未来志向型の取り組みという観点から、ぜひ何らかの成果あるいは形あるものにしてもらうような方向にぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 それから、小水力の問題は、いわゆる経営的な感覚から売電との折り合いを含めてやろうという発想は一つの方向としてはあるんですけれども、しかし今、いろんな議論の中で言われていることは、本県の再生可能エネルギー推進の大きな牽引的な役割として、何か県民に、あるいは今回の災害を受けた中で、この再生可能エネルギーというものを、本県の政策の大きな柱に据えてそれをしっかりとアピールしていくというのか、何ていうんですか、復興の象徴的な位置づけも含めていろんな形で可能性を示していくという意味において、経営をまず一番にということだけで足踏みをしている形ではなくて、そういったモデル的なもの、事業も含めた中から、岩手の取り組むべき政策の一つの柱として、こういうことが始まったぞということをぜひ示せるようにしていただきたいということを強く求めて終わりたいと思います。
〇斉藤信委員 大震災津波の被害額は、農林水産部は6、633億円という大被害となりました。私は、農業被害額と復旧状況、農地の再生状況について、まず最初にお聞きをします。
〇伊藤農村建設課総括課長 大震災津波の農業被害額と復旧状況についてですが、今般の大震災津波によります農業関係被害額は688億円で、そのうち農地や農業用施設等の被害額は639億円となっております。
 農地等の復旧状況につきましては、内陸部ではほとんどの農地で、ことしの春の作付に間に合うように復旧工事を進めているところでございますし、沿岸部につきましては県が災害復旧事業を実施しておりまして、復旧対象と考えておりますのは、既に転用された農地を除く717ヘクタールととらえておりますが、その3割に当たります約220ヘクタールについて、ことしの春の作付が可能となるように復旧工事を進めております。
 また、沿岸地域におきましては、区画が小さく農道や水路が未整備な農地が多いために、農家の意向を確認しながら、原形復旧にとどまらず、災害復旧と一体となった圃場整備の導入を進めていきたいと考えておりますが、こういった事業の導入には、地元調整ですとかあるいは工事にも相当の期間を要することから、完成は平成25年以降と見込んでおるところでございます。
〇斉藤信委員 今3割ですか、30%程度の農地の復旧で、春の作付は可能だと。その間、農家の所得補償はどうなるのか、所得対策。それと、復興組合もつくられているようですけれども、その農家の取り組みを示してください。
 あわせて、農地農業用施設の639億円の被害のうち、海岸保全施設が332億円なんですね。これは農業用の防潮堤ということになるんですか。ちょっとこの中身も教えてください。それはどこが担当して復旧するのか示してください。
〇千田担い手対策課長 ただいま復興組合の取り組みについてのお尋ねがございましたけれども、作付困難になった農地を有する農家が、被災農家経営再開支援事業という復旧作業に当たった場合に交付金が出る制度がございます。その事業に参加した農家数が約3、000人となっておりまして、多くの方々がその復旧に向けた活動を行っているということでございます。
 内容は、小石を拾ったりちょっとした瓦れきを拾ったり、あと草刈りをしたり、あと水路の簡単な修復をしたりというような取り組みを行ってございます。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地海岸保全施設の件でございますが、県内には10カ所の農地海岸がございまして、そのうち6カ所の農地海岸堤防が破堤をしております、全壊あるいは一部損壊という形で。そのほかに地盤沈下も起こしております。そういったことで、被害額が委員御指摘のような数字ということになっております。この農地海岸保全施設は県が管理しておりますので、県が復旧をするということでございます。
〇斉藤信委員 復興組合は24組合つくられて、16組合については復興交付金が決定したと。この状況を教えてください。すべて対象にならなかったのはなぜなのか。あと、16組合はどういう取り組みをしようとしているのか。
 それと、10カ所の農地海岸堤防なんだけれども、県土整備部の場合は明治の津波に対応するというので、ほとんど10メートル以上のかさ上げをした巨大な堤防になるんだけれども、農地災害の堤防の場合はどういう規模で復旧するのか。
〇千田担い手対策課長 復興組合がどういう取り組みをされたかというお尋ねでございますが、私どもが把握しているのは、沿岸津波被災地区の8市町村で、委員16とおっしゃいましたが、15の組合ということで把握してございます。
 対象の農地面積は475ヘクタールでございまして、これは引き続き平成24年度も続く事業になってございます。
〇伊藤農村建設課総括課長 農地海岸堤防の復旧につきましては、県土整備部所管の海岸などと同様に、一定計画のもとで復旧することを基本としておりますが、その復旧に当たりまして、市町村あるいは地域の方々との意見交換を通じて、その地域の意向を踏まえて堤防の復旧高を決めることにしておりまして、例えば野田につきましては一定計画においては14メートルということで、現況の堤防が12メートルに対して2メートルかさ上げをするという計画でございますが、野田海岸の場合は一線堤、二線堤、多重防御の関係がございまして、現時点では、現況との堤防高と同程度でいいということで調整を今進めているところでございます。すべてを一定計画のもとにということでは、必ずしもないということでございます。
〇斉藤信委員 わかりました。
 では、次に、議論もありましたが、いわてニューファーマー支援事業費について、これまでの新規就農者の実績とあわせてお聞きをしますが、これは準備型の青年就農給付金は年間150万円、最長2年間なんですね。そして、経営開始型の青年就農給付金というのは年間150万円、最長5年間と、今までにない抜本的な新規就農対策だと私は思うけれども、これは今までの新規就農対策がこれに一本化されるのか、今までの新規就農対策は就農対策で、さらに新たな事業としてこれが二本立てで進められるのか。そして先ほども議論になりましたが、人・農地プラン、いわゆる地域農業マスタープラン、これに位置づけられた場合ということになりますから、これはどのレベル、どういうレベルでこの人・農地プランというのが作成されるのか、お聞きをします。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 まず、新規就農者の実績についてですけれども、平成22年度の実績については、新規就農者数は227名であります。このうち、自営、すなわちみずから経営を開始する、あるいは農業法人に雇用されて農業に携わるという、自営就農者に位置づけられる方が169人となっているところであります。
 それから、今般の青年就農給付金がこれまでの担い手対策にかわるものかということですけれども、これは、今までの担い手対策は従前どおり実施してまいりまして、それに今回の給付金事業がプラスされるものであります。したがって、県として新規就農者の技術あるいは経営支援といった生産活動の支援をしてまいりますが、所得が不安定な期間においては、この給付金によって補てんして、いわゆる青年就農者の定着率の向上、早期の経営安定を図るというものであります。
 なお、人・農地プランにつきましては、準備型の給付金については、人・農地プランに位置づけられる必要はありません。
〇斉藤信委員 人・農地プランというのは、どのレベルでつくられるものなのですか。これは市町村がつくるということなんですか。それとも、集落単位のところでつくられるものなのか、それを聞いたんですよ。
 それと、来年度、これは2億2、600万円余の予算ですけれども、準備型がどのぐらい、そして経営開始型がどのぐらい見込んだものなのか。これは別立てで、2本立てということになりますから、私は今までの平成22年の実績、227人というのもそれなりの実績だと思いますよ。それに別立てでやるということになると、これは本当にかなりの新規就農者を確保する、それだけの農業振興がされないといかないと思いますよ。そこらの考え方はどうなっていますか。
〇千田担い手対策課長 人・農地プランのエリアどりというか、どういう範囲でというお尋ねでございましたけれども、これは場合によっては、集落に担い手となる人がいない集落などもございますので、数集落が一緒になったり、場合によっては旧町村単位で組んだりとか、エリアどりは各地域で話し合って決めていただくことになります。話し合いの中で、どういう人が中心の担い手になるか、農地をどう集積するかを話し合っていって、最終的にそのプランを策定するのは市町村という形になってございます。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 今回ニューファーマー支援事業に組み込みました予算につきましては、準備型と経営開始型の区別はしないで、トータルとして計上しております。準備型については、県から給付する仕組みになってまいりますし、経営開始型に対しては県から市町村に交付し、市町村から交付されるという制度になるものと考えております。
〇斉藤信委員 だから、何人の規模なんですかと聞いている。何回も言わせないでください。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 今、予算計上している規模は141名ですが、人数が拡大する場合においては国に要望し、対処してまいります。
〇斉藤信委員 かなり大胆な所得補償なんですよね。だから、私は制度はいいと思うけれども、今までの新規就農対策とあわせてこういう規模でやろうというんだったら、それなりの農業振興策がセットでないとこれはいかないと思うので、そこは指摘だけにとどめて次に行きます。
 放射能汚染被害の実態と対策はかなり議論されましたので、牧草の汚染対策で1万ヘクタールが対象だと。この場合、例えば肉用牛にしても放牧できないわけですよね。こういう放牧できない牛の対策はどうなるのか。
 それと、廃用牛の対策は昨年来やっているんですけれども、これはあふれていて、もう対応できなくなっているんじゃないのか。来年度の廃用牛対策、今どのぐらい滞留しているのか、そのことも含めて示していただきたい。
 それと、青果や畜産、その他の放射能被害の実態と対策も含めて示してください。
〇山田畜産課総括課長 放牧対策でございますが、先ほどお話をしましたけれども、27カ所の放牧場が利用できない状態になるということでございます。県内には114の公共牧場がございますけれども、今汚染されていない地域の公共牧場にお願いをして、受け入れを打診しているところでございます。
〇渡辺振興・衛生課長 ただいま御質問のございました廃用牛の現状と今後の対応でございます。
 現時点におきます廃用牛の滞留状況でございますが、2月末現在で、乳牛については既に12月末現在で解消してございますけれども、肉用繁殖牛では、依然、約1、100頭程度滞留しているものと推察してございます。
 このような状況下で、先般から御議論がありますとおり、牛肉の基準値あるいは飼料の許容値が引き下げられることに伴いまして、今後、酪農家並びに肉牛繁殖牛の廃用牛につきまして、放射性物質濃度が基準値を下回るまでの間、いわゆる出荷できない出荷遅延牛がふえるものと推察してございます。この結果、これらの農家におきましては、経営サイクルが停滞したり、あるいは資金繰りが悪化するということが懸念されますことから、これらの農家につきましては、今年度と同様に、集中管理施設における飼い直し等を行う事業、あるいは廃用牛に対する支援金を交付する事業、これらの支援策を講じながら対応してまいりたい。その旨、当初予算案に盛り込んでいるところでございます。
〇徳山農政担当技監 青果物や畜産などに対する影響の実態と対策ということでございますけれども、まず畜産物につきましては、今お話ししました内容に加えまして、まず牛の出荷制限、これに対しましては全頭検査をきちんと実施し、そして流動化の適正化を図っているところでございます。また、今回の基準値の引き下げに伴う粗飼料の確保につきましても、農業団体と連携しながら、農家に迷惑をかけないような形でやるということで今進めているところでございます。
 また、青果物につきましては、これまで県内での野菜、果樹等13品目、45点について検査をしてきました。その結果、いずれも基準値を大きく下回っている、あるいは全く検出されないという状況になっております。このため、風評被害についても、そのような市場での問題はないと考えております。
〇斉藤信委員 放射能汚染対策で、最終的には賠償問題ですよね。今まで47億8、000万円の請求に対して19億円ぐらいしか、これは12月2日ですよ。賠償されたの、第1回。もう、3カ月以上たっているんですよ。これは何でこんなに3カ月以上たつのか。私たちの生活は、大体毎月単位でしょう、先ほども議論あったけれども。これは毎月毎月支払わせなかったら、農家の生活は成り立ちませんよ。毎月支払わせるという点で、どういう交渉を県はやっているのか、東京電力はどう対応しているのか、これをリアリズムで示してください。
〇徳山農政担当技監 私どもといたしましても、農家の収入が3カ月も入らないというのは、異常な事態だととらえております。これまでも補償金につきましては、確実かつ迅速に支払うように、幾度となく申し入れているところでございます。この点につきましては、農協中央会で行っております県の協議会においても、同様の行動をとっているところでございます。
 今回、なぜこれまで払わなかったということにつきましては、なかなか会社の内容がわからないところがございますけれども、今週の月曜日の県の協議会に東京電力が出席しまして、1月分までの請求額について、合意されたものは4月末までに全額を支払うということを確約いたしましたので、まずそこを全額払っていただくとともに、それ以降につきましては、定期的に払うように今後とも要請していきたいと思います。
〇斉藤信委員 1月分までを4月末までに払う、そういう話ですか。(徳山農政担当技監「はい」と呼ぶ)3月末じゃなくね。だから、そこらあたりもずれているんだよね。もう3カ月過ぎて、今直ちに支払わなくちゃならないのに、1月末までの分を4月末まで払うなんて、こんなずれた話に何でなるんですか。
 部長、こんなことを許していたらだめですよ。これは社会問題にして、毎月毎月支払わせるということをやるまで具体的行動をとるべきじゃないですか。
〇東大野農林水産部長 東京電力からの賠償金の支払いを定期にというお話でございますが、私どもとしても定期で支払ってもらうべく、定期、不定期の東京電力担当者との協議のときは常にお話を、要請しておりますし、あと、そのほかにも農林水産省あるいは文部科学省に対して、定期的なそういった迅速かつ確実な支払いについて申し入れてございます。そういった行動を続けて、何とか定期的な支払いというのが実現されるように努力してまいります。
〇斉藤信委員 今週の月曜日に合意したのが、3月末じゃなくて4月末だなんていうこと自体が私は不届きだと、とんでもないと。農家のやる気なくなりますよ、本当に。私は、東京電力は加害者意識がないんだと思いますよ。だから、これは繰り返し繰り返し、目に見える形でやらないとだめだと、このことは強く指摘しておきます。
 小水力発電はもうかなり議論されましたので、これは割愛して、TPP交渉の状況をどう把握しているか。知事はTPPについては明確に反対を表明していますから、県として、政府に対してどういう対応をこの間とってきたのか、示していただきたい。
〇橋本副部長兼農林水産企画室長 TPP交渉の状況の把握と県の対応についてでございますが、TPP交渉に参加するためには、現在、交渉に参加している9カ国の同意が必要とされておりまして、国におきましては、これら関係国との事前協議を進めている段階と承知をしております。
 国の資料によりますと、事前協議の過程におきまして、関係国の一部から、我が国の交渉参加を支持する旨の発言があったとされております。
 県といたしましては、農林水産業を初め、東日本大震災津波からの復興を見据えながら、国におけるTPP交渉の動向を注視いたしまして、本県社会経済の影響を的確に把握していきますとともに、県民や関係者の意見が反映されるしっかりとした検討が進められるように、必要に応じて国に対して提言等を行ってまいります。
〇斉藤信委員 中身のない答弁だ。本当にそんな認識ではだめですよ。いいですか。3月2日付のこれは岩手日報ですよ。政府が事前協議の内容を公表した。この間、事前協議した4カ国との内容は、全品目の関税撤廃を目指して交渉していると。4カ国側からは、関税撤廃からの除外はTPPの目標と一致しない、除外については議論していない。さらに、90%から95%を即時撤廃し、残る関税も7年以内に段階的に撤廃するべきだとの考えを支持している国が多数あると。関税全面撤廃というのが原則だと明らかになっているわけですよ。協議内容を承知していますね。ますますこのTPP参加というのは許せない。
 改めて聞きますが、関税撤廃されたら、どれだけ岩手県の農業は影響を受けるんですか。その経済波及効果はどれだけとあなた方は試算していますか。そして、実際に政府に対して、この間行動をとってこなかったかどうか、改めて部長にお聞きしたい。
〇東大野農林水産部長 影響額については後ほど答弁させていただきます。
 今までの行動ですけれども、TPP交渉参加という政府の意向が示されて以来、常に知事が答弁申し上げていますとおり、行動はとってきてございます。我々農林水産部門を担当する者としては、まず東日本大震災、これからの復興がまず第一と考えてございますので、その農林水産業自体が地域の社会経済を支えてございますので、そういった意味からも、復旧、復興の妨げにならないものになるように対応していく必要があるというのが基本でございます。
〇小岩農林水産企画室企画課長 関税が撤廃された場合の本県の農林水産物生産額の影響でございますけれども、これは、私どもといたしまして、国の試算方法に基づきまして、農産物、林産物、水産物それぞれの影響額につきまして試算してございます。その結果、農林水全体を合わせまして1、682億円の減になるという試算結果が出てございます。
〇斉藤信委員 知事を先頭に、この間、このTPP交渉について反対とはっきりしているんだから、どれだけ政府に申し入れなり何なりしてきたか、後でお知らせください。
 最後です。競馬組合について一言お聞きをします。
 大震災津波の影響で、私は存亡の危機に競馬組合は立ち至ったんだと思うんです。その割には、結果としては、かなりこれは売上高も前年比に近いものになったと、予想外の結果ですよ。売上高、ことしの取り組み状況はどうだったのか、特徴は何なの。
 それで、私、来年度の事業でちょっと気にかかったのが、釜石の発売場を公募すると、民間公募の手続を進めると、こういうことになっているんですが、被災地でこういう取り組みを進めることがいいのかどうか、そのことを含めて、どういう意味でそれをしようとしているか示してください。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 平成23年度の岩手競馬の事業運営についてでございますが、昨年3月に東日本大震災とその後の余震によって、大きな被害を受けたところでございます。その後、岩手競馬としましては、まず発売施設の復旧、それから水沢競馬場の早期復旧に向けた取り組みを進めてまいりました。そういった中で、地方競馬全国協会から、この施設の復旧について10分の9の補助をいただけるということでございまして、被災総額では12億円あったわけでございますけれども、復旧に要した経費は4億900万円ほどということになってございまして、その10分の9である3億6、900万円の地全協からの助成によって対応ができたということでございます。このことによりまして、施設の早期復旧が可能となりまして、順次、宮古場外は6月4日から発売ができるようになったと。それから、宮城県の大崎市にある三本木場外発売所につきましても、6月25日からの発売開始にこぎつけ、なおかつ、水沢競馬場も復旧ができまして、12月10日から追加開催ができたということになりまして、これによりまして、平成23年度の発売額は、当初計画をしました90日間、97億円ほどの発売額が、最終的には104日間の開催、そして発売額も146億円ということで、当初見込んだところから比較しますと、約1.5倍の発売額を達成することができたということでございます。
 この間、全国から多くの支援をいただいてございますし、それから特に大きな支援は日本中央競馬会、いわゆるJRAから、特に南部杯を東京競馬場で開催していただいたところから支援金をいただいたところでございます。これまでに、岩手競馬としましては5億円に上る支援をいただいているところでございます。
 こういった支援を活用しまして、今後の事業運営が安定的にできるように、施設の整備にも活用させていただいてございます。例えば、発売窓口の自動機化を進めることによって、コスト削減を可能にしたということでございますし、それから、これまで老朽化していた施設について、維持管理経費も多額に要していたところの施設を更新するというようなことで、そして次年度以降の維持管理経費のコスト削減にも活用できたということがございます。
 こういったことによりまして、想定を上回る形での発売額を達成しまして、何とか私ども安定的な事業運営が可能となるような経営体制をつくってまいりたいと考えてございます。
 それから、2点目の釜石場外発売所の設置に向けてでございますけれども、これまで釜石地区では、岩手競馬の発売額としまして自場では約5%のシェアを占めるということで、非常に重要な発売施設になってございます。それから、沿岸地区の雇用の創出であるとか、地域の活性化、そういったところにも非常に貢献している施設というようなこともございますので、私どもとしましては、この釜石地区に、盛岡の大通のミニ場外発売施設がございますけれども、あのような形を一応想定はしてございますけれども、その設置を進めようと考えてございます。
 これは、昨年8月に、地全協交付金の納付猶予を受ける際に策定しました事業収支改善計画にも既に盛り込んでいるところでございまして、それを着実に平成24年度は進めてまいりたいと考えてございます。
 なお、設置方法については、初期投資の負担が生じないこと、あるいは民間のノウハウを活用するというようなことでサービス向上などが期待できます。そういったことで、民間事業者が設置、運営する方式によって整備を考えてございまして、現在、その公募のための手続の要領等、あるいは施設の仕様について検討を進めているところでございまして、それらを固めた上で公募の手続に入ってまいりたいと考えてございます。
〇小泉光男委員 皆様、お疲れさまでございます。もう少しおつき合いをいただきたいと思います。
 ここに来ていきなりちゃぶ台をひっくり返すような、また、自虐的な質問から入ります。気分を壊したら御宥恕願います。
 冒頭、平成24年度農林水産部予算として、部長は合計1、043億円と発表されたかに聞こえました。間違いないでしょうか。1、043億円。(「1、400億円」と呼ぶ者あり)もう一度言います。1、400億円。(東大野農林水産部長「はい」と呼ぶ)わかりました。
 一方、二、三日前に、地域政策部が我々議員に配った所得の年報によりますと、農業生産額は1、076億円と書いてあります。ということは、岩手県全体の生産総額よりも、県の農政にかかわる管理予算が多いということになります。要するに、コストパフォーマンスはゼロどころかマイナス。皆さんは、何のために存在しているかということになるわけですね。民間企業の感覚なら、解体してほかの部署に配置転換、あるいは各地の農家に出稼ぎしてもらったほうがまだいいのではないかと、こういう見方は、私も営農者の端くれですけれども、視野狭窄なのか、部長の御見解を伺います。
〇東大野農林水産部長 平成24年度当初予算でございますけれども、最初の予算説明で申し上げましたとおり、来年度も、半分以上が被災に伴う災害復旧のための予算でございまして、特に水産関係は、戦後60年以上にわたって営々と積み上げてきた財産がすべて崩壊して、それをもとに戻すという作業をここ数年でやらなければならないと、そういう状況の中での予算でございますので、御理解いただきたいと考えております。
〇小泉光男委員 岩手県は、人口や県内総生産など、主な経済指標が大体全国シェアで1%前後と言われてきて、1%経済の県だと言われております。その中にあって、農業の全国シェアは、就業人口で言えば3.4%とか、それから経営耕作面積も3.3%とか、おおむね3%程度を占めてきて、部長が当初言われたように基幹産業だと私も思っています。ところが、この3%であればこれまでの話だということで、年々この3%の数字を割ってきて、直近はわかりませんけれども、2.5%当たりも割っているのではないかという気がしているわけです。一方、農家の1戸当たりの生産の所得額は、90万円から95万円と言われています。耕地10アール当たり平均5万3、000円ですから、1ヘクタールでも53万円にしかならない、農業生産という意味では。私もあさってまでの確定申告で0.6ヘクタールぐらいを、計算すると50万円になりません。ということは、ここなんですね。
 私も地元の皆さんから、農業をやってもあすが見えない。何をやったらいいのか。小泉議員を当選させた結果を示してくれと言われると、私はこたえるあれがないんですよ。私は皆さんを応援する意味で言っているんですよ。農業の体質強化だとか、それから先ほど皆さんから出たようなニューファーマー制度だとかという意味で、本当に期待したいという思いだからこそ申し上げたいわけですけれども、同じく部長の御所見を伺います。
〇東大野農林水産部長 農林水産業の地域的な位置の問題と拝聴いたしましたが、今回、被災してみて私が特に感じたのは、1次産業があるからそこ地域が成り立っているという思いを強くしてございます。そういう意味で、所得が農林水産業から上がらないという実態を何とか改善していくのが我々の仕事だと思って仕事に当たってございますので、これからも生産者の方の所得が少しでも上がる努力は続けてまいりたいと思います。
〇小泉光男委員 最後に感想だけ話します。
 TPP問題を斉藤委員が取り上げましたので、私のほうは割愛しまして、軽石委員が話された農業大学校の件ですけれども、私は全く逆の見方をしています。中規模校の高校4校分ぐらいの年間予算を農業大学校で使われていますけれども、本当に営農者の増加とかあるいは農業の普及に役立っているんだろうか。私は、今のカリキュラムとか、今の中にいる人たちの意見が変わらないのであれば、存在価値そのものがどうなのかなという思いをしているところでございます。これは9月の決算特別委員会でも取り上げましたけれども、いずれ、私としては、ほかの改良センターとか研究所も含めてだと思いますけれども、岩手県の農家の人たちが本当にあすをも生活に厳しいような状況の中で、我々県議会議員あるいは県の職員の行動を見て、本当に期待しておりますので、そのことを申し上げて、終わりたいと思います。
〇喜多正敏委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 質疑がないようでありますので、これで第1部農業関係の質疑を終わります。
 次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 林業の施策についてお伺いいたしますが、私からは、被災地における今後の造林計画についてどうなのかをまず1点お伺いしたいと思います。
〇藤川森林整備課総括課長 被災地における今後の造林計画についてでありますが、東日本大震災津波によって発生した林野火災による民有林の被害面積は約665ヘクタールとなっているところでございます。そのうち、被害が特に激しく、造林による復旧が必要な森林の面積は53ヘクタールとなっているところでございます。
 被害森林の所有者に対しましては、アンケート調査などによりまして復旧の意向を確認しているところでありますが、できるだけ被災者に費用負担の伴わない、森林農地整備センターが行う分収造林事業などによる造林を働きかけているところでございます。
〇及川幸子委員 665ヘクタールの被害があったということですが、防風とか防災に関しての大事な点だと思うんですが、その造林のあり方についてはどうなのかということをお聞きしたいと思います。というのは、高田松原は7、000本の松林がありましたよね。7、000本でしたか。(「7万本」と呼ぶ者あり)7万本ですね。済みません。7万本の松林ということで、1本残って、どっこい一本松ということで随分親しまれてきましたが、その松も、大変手をかけたんですが、塩分を含んだということで、もう終わりかなということですが、その1本の松の行方はおわかりですか。
〇赤澤整備課長 今お尋ねの高田松原の一本松についてでございます。現在、高田松原にある一本松については、昨年の12月に既に枯死している状況ということで、それまでの保護を行っていた方々が市のほうに報告してございます。
〇及川幸子委員 被災地の地元では、あの松林があったおかげで大分被災を免れたという方と、松林の7万本の松が流れたことによって家屋が非常に壊れたとか、大変意見が分かれているわけですけれども、その地元の意見を取り入れながらこの造林の計画に当たられているのかどうかを伺います。
〇佐藤森林保全課総括課長 高田松原の松林の再生につきましては、今回の津波によりまして、高田松原の7万本の松はもとよりですが、それを囲むように設置されております県土整備部所管の海に面した第1線堤と第2線堤ともに倒壊して水没しております。このように高田松原では、松林の再生のための基盤そのものが失われているといったような状況でございまして、まずは防潮堤の復旧を優先しつつ、順次、盛り土などの基盤の造成を図りながら植栽を進めて、第1線堤、第2線堤の間に、被災前の松原とおおむね同様の幅で松林を再生していきたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 ちょっとしつこいんですが、7万本の松のそばに新しい息吹が出て、本当に小さな芽が吹き出したということで、それが育てられているようですが、こういうものを使って、今後、造林計画に生かされるのかどうかをお聞きします。
〇佐藤森林保全課総括課長 松の種子からとか、あるいは接ぎ木等で、さまざまなところでいろいろ苗木の造成を図っているというお話は伺っております。
 具体的な松林の再生につきましては、既に陸前高田市と県の関係部局でいろいろ協議をしているところでございますけれども、そういったものの活用につきましても、今後、地元の市町村あるいは関係者の皆様と御相談をしながら進めていきたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 高田松原というのは、7万本の松林がいつまでもとても印象的に残っているものです。CDも2枚も販売されまして、この間、孫が図書館から借りてきた一本松という本がもう出されておりまして、それを読み聞かせながら私も涙してしまいました。この松林がどういうためにあそこに立っていたか、そういうものを感じながら、やっぱり造林計画に今後も当たっていただきたいと思います。そのことを申し上げて、次に移ります。
 県産干しシイタケが先ほどちょっと話題になりましたけれども、私のほうからこのことについてお伺いしたいと思います。
 県から出荷自粛が要請されまして出荷できなくなった干しシイタケ生産者は収入が断たれ、大変厳しい状況となっております。産地を守るために緊急の対策が必要と考えております。産地を守るために県はどのような対策をとろうとしているのか、まず、現在の検討状況をお伺いいたします。
〇竹田林務担当技監 干しシイタケの産地を守る緊急対策、その検討状況についてでございます。
 本県の原木シイタケの産地を守り、生産を再生するとともに、消費者、取引先の信頼を回復するため、全農あるいは県森連などの集出荷団体や関係市町村と連携いたしまして、生産から販売までの総合的な対策を講じていく必要があると認識しております。このため、生産、出荷、販売の各段階の対策につきまして検討を行っております。
 具体的に申し上げますと、まず、生産対策といたしまして、一つには、原木、ほだ木の放射性物質濃度の測定調査の実施、一つには、使用制限のかかった原木、ほだ木の更新経費へのつなぎ融資、一つには、代替原木の確保への支援、一つには、使用制限のかかった原木、ほだ木処分への助成。
 次に、出荷対策といたしましては、これは生産物のほうですけれども、一つとして、原木シイタケの放射性物質濃度測定検査の実施、一つには、そのための検査機器の整備。
 最後に販売対策でございますけれども、一つには、出荷制限自粛をかけたわけですけれども、平成23年産のシイタケに対する産地維持のためのつなぎ融資、そして、今後、基準値がさらに厳しくなりますので、平成24年産についてもそういった規制がかかる可能性があるということで、平成24年産のシイタケに対する産地維持のためのつなぎ融資、こういった対策を現在検討しているところでございます。
 検査に要する経費等につきましては、既に平成24年度当初予算に盛り込んでいるものもございますけれども、これに加えて、使用が制限された原木、ほだ木の更新経費や、平成23年産あるいは平成24年産についての東京電力の賠償金支払い時までのつなぎ融資、使用を制限された原木、ほだ木の処分経費への助成などの対策につきまして予算を追加提案できるよう、今、調整を進めているところでございます。このような対策によりまして、国内有数の産地でございます本県原木シイタケの産地の維持、再生に取り組んでまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 東京電力への賠償請求をしているようですが、それまでのつなぎ融資ということで考えていただいているようで、ちょっと安心はしましたけれども、やっぱり農家にとっては収入が入らないということが一番大きな問題ではないかと思うんです。そのような状況の中で、つなぎ融資はわかりましたけれども、東京電力へ賠償請求した分についての見通しというのはどうなんでしょうか。
〇佐野林業振興課総括課長 東京電力に対する賠償請求につきましては2系統ございます。JA系統の協議会と森連系統の協議会がございますが、それらの協議会と連携しながら、賠償が早期かつ確実に行われるように努めてまいることとしております。
 なお、本日、東京電力から新たな提案がございまして、シイタケほだ木に係る賠償請求についても賠償対象とするという旨の提示がありまして、そういったことで一歩前進かと思いますが、本日提示を受けたばかりでございますので、その内容を精査しながら、両協議会と連携、調整をしながら適切に請求を図っていきたいと思っております。
〇及川幸子委員 大変努力していただいているのはわかるんですが、やっぱり期間、いつごろがめどかということも東京電力にどんどん詰めていかなければ、もう先が見えないと思うんです。一歩前進はわかりましたけれども、この期日について、もっともっと東京電力に対して請求するべきと思うんですが、いかがですか。
〇竹田林務担当技監 期日でございますけれども、第1部のほうで農業サイドの見通し等を答弁いたしましたけれども、干しシイタケにつきましては、これまでJA系統の協議会のほうで2回ほど賠償請求を既に行ってございますが、支払いはまだという状況でございまして、農業サイドでもお話し申し上げたとおり、1月の請求分まで、今回2回、干しシイタケの関係で賠償請求しているものが該当しますけれども、その2回分をことしの4月末に支払う旨を東京電力は表明しているという状況でございます。
 いずれにしましても、早期そして確実に賠償が支払われるよう、県としても東京電力に要請してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 よろしくお願いいたします。早期、確実にということをおっしゃっていただきましたので、とにかく取り組んでいただきたいと思います。
 干しシイタケのマスコミ報道では、店先に行きますと、主婦層が、干しシイタケはもうだめだよといって買う手をとめるんです。安全な干しシイタケも出回っているということ、その辺についてやっぱり取り組んでいかなければ、岩手県の干しシイタケが全然売れなくなるんじゃないかと思うんですが、最後に部長の御見解を聞いて、終わります。
〇東大野農林水産部長 委員御指摘のとおり、一部で放射性物質が基準値を超えたという事例が発生すると、全体について風評が派生するということは大変感じてございまして、そういう意味からも、やはり生産者一戸一戸を検査し、絶対安全ですよということでの出荷というのが求められると思います。牛と同じような対応になりますが、そういう対応ができるように準備を進めてまいります。
〇城内愛彦委員 私からは林業についてお伺いしたいと思います。
 林業の震災復興についてということで、被災した木材加工施設の状況、今後の県としての取り組み、次に山林整備と原木流通についてと、もう一点は木質の瓦れき処理の状況について、とりあえず3点お伺いしたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 先ほどの答弁の中で、東京電力から本日示された内容について、一部正確を欠く部分がございましたので、追加させていただきます。
 使用制限されたシイタケ原木、ほだ木を損害賠償の対象とするというものでございまして、その中に、将来の逸失利益相当額も補償の対象とするというものが含まれてございますので、追加させていただきます。
 沿岸部の木材加工施設の被災状況等でございますが、今回の震災では、沿岸部に立地していた合板工場や製材工場など多くの施設が被災したが、国の1次補正予算事業によりまして3事業体が既に復旧するなど、県全体で6割程度の事業体が生産を再開してございます。
 また、被災が大きかった木材加工施設は、今後、国の3次補正予算事業による復興を計画しておりまして、木材乾燥機の整備ですとか木材加工施設の整備、木質バイオマス発電施設の整備計画などの事業計画を国に提出したところでございます。
 県といたしましては、今後、復旧事業を着実に進めまして、地域の雇用の場でもある合板工場や製材工場など、木材加工施設の本格復旧に取り組んでいくこととしております。
 次に、山林整備と原木流通についてでございますが、さきの震災によりまして、先ほど申し上げましたように、沿岸地域の合板工場等が被災いたしました。それによりまして、一時、原木流通が停滞しましたが、既に一部の工場が復旧したことによりまして、現在では、前年比較で約7割まで原木の出荷量が回復してきております。
 あわせまして、県としては、1次補正予算事業によります原木等の流通コスト支援に取り組んできたところでありまして、原木の約7万6、000立方メートルが県外の合板工場等へ供給されたところでございます。今後、被災した木材加工施設の早期復旧とあわせ、引き続き原木流通コスト支援を実施しながら、森林整備や原木流通に支障が生じないように取り組んでまいります。
 次に、木質の瓦れきの利用状況でございますが、県の災害廃棄物処理詳細計画では、震災に伴う木質系災害廃棄物の総量は約51万5、000トンと見込まれておりまして、そのうち約47万1、000トンは広域処理される計画となっております。
 県内での木質系災害廃棄物の利用状況でございますが、宮古市の廃棄物処理業者が、昨年の9月からことし1月までに約2、700トンの木質瓦れきをチップ化いたしまして、そのうち良質なものは市内のパーティクルボード工場で加工されまして、応急仮設住宅団地内に設置した集会施設などに使われているほか、合板工場のボイラー燃料としてこのチップが利用されております。
 さらに、燃料としての利用計画でございますが、一関市の食肉加工工場が、国の3次補正予算事業によりましてチップボイラーを導入し、木質系災害廃棄物を利用して燃料として使う計画となっております。
〇城内愛彦委員 丁寧に答弁をいただいてありがとうございます。
 まず、被災した木材の加工というのは、沿岸地区においても大きな産業の一つであります。そこには大変な雇用もありますし、あわせて、近年、周りの山からの原木を木材関係の工場で利用しているということで、まさに川上から川下というすそ野の広い一体化でありますので、ぜひ、この部分は真摯に取り組んでいただきたいと思います。
 これは、制度的に、輸送コストというんですか、木材を沿岸部の加工場で処理できない部分を他地域へ輸送する補助等もあって運送したということなんですけれども、他地域でも地元の木材業を使わなければならないということで、なかなか受け入れ態勢が整わないという状況があるようですので、引き続き、地元のものは地元のものでということで頑張っていただきたい。
 木質の瓦れきの件についても、今お伺いしましたとおりで、これも、今、瓦れきが大変問題になっています。他県での広域処理がなかなか受け入れられない状況がある中にあって、やはり地元でできるものは地元でやるべきだろうと思っておりますので、そういったことも、支援策等も含めてしっかりと取り組みをお願いしたいと思います。
 部長からも少し答弁をいただきたいところなんですけれども、原木シイタケの原料であるほだ木は、沿岸地域も一つの産地でありましたが、今回のことで、まさにダブルパンチの状況にあるわけであります。そういった被害状況も多分わかっていらっしゃると思いますが、沿岸地域の林業の取り組みを部長からも一言お願いしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 本県の森林林業は沿岸地域にとっても重要な産業でございます。加工場も含めて随分被災してございますので、確実にそれを戻していけるようにこれからも取り組みますし、あと、素材生産の方々も行き先を失うということは生活にかかわりますので、流通を確保するように努力してまいります。
〇城内愛彦委員 これから復興していくわけであって、原材料になる木材もしっかりとここで、地元で生産できるようにということでお願いしたいと思います。
 次に移ります。ふ化放流事業の復興状況についてお伺いしたいと思います。
 岩手県は、つくり育てる漁業でこれまでやってきたわけですけれども、多分、今後もこういう体制でいけるためにも、被災したふ化放流施設の被災状況と復興に向けての状況をお伺いしたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 ふ化放流事業の復興状況についてでありますが、東日本大震災津波により、県内28ふ化場のうち21ふ化場が被災いたしましたが、国の1次補正により応急復旧を進め、1月以降、18ふ化場でサケ稚魚の生産を再開しております。
 河川捕獲は約35万尾と低調でありましたが、遡上の好調な河川を中心に積極的な採卵を実施するなど全県的な種卵調整が行われ、今春には、例年の66%に当たる約2億9、000万尾が放流できる見込みであります。
 今後も、国の3次補正を活用し、ふ化場施設の機能強化や効率化を図る本格復旧及びサケ稚魚放流の支援など、サケのふ化放流事業の復興に取り組み、平成24年度には約4億尾生産までの回復を目指してまいります。
〇城内愛彦委員 間に合わなかったのではないかと思って心配してお聞きしたんですけれども、66%までということなんですが、これが4年後、しっかりと帰ってきてくれれば助かるわけなんですけれども、シーズンももう終わりですので何ともならない状況でありますが、地域でも、ふ化場というのは復興のまさにシンボルでもありますので、ぜひこれは急いでやってほしいし、なるべく早くお願いしたいと思います。
〇佐々木大和委員 城内委員に関連して伺います。
 先ほどの林業関係ですけれども、合板工場等は、大震災の後、7割ぐらい復活したという話なわけですけれども、現実には、合板に関しては大船渡が閉鎖、宮古も半分だというような生産体制になると聞いているわけですけれども、7割という話で、ちょっと不思議な気がしました。その辺はもう少し詳しく聞きたいと思います。
 そして、今度の大震災は非常に大きな事故になりまして、チップに関しては、県内ではなくて八戸とか石巻、青森、宮城のほうに運んでいるわけですが、今回の震災で、岩泉のほうでも石巻に納めた人が1人、工場まで行っていてチップ車で亡くなられたという悲惨な事故も出ました。山田で被災したチップ車は、運転手は助かったものですからよかったんですけれども、八戸とか他県まで─特に針葉樹チップに関しては他県に納める。広葉樹に関しては北上まで行きますのでいいんですが、他県に回っているという状況があります。
 そういう中で、先ほどの合板の回復状況とあわせて、チップと、もう一つ、建築用材の需要の大きく三つに分かれるのだと思うわけですけれども、これらの総需要の見通し、生産の状況というものが岩手県の林業の一つのバロメーターになるわけですが、これらを実際に見た場合に、これから生まれてくる建築用材の需要等も考えれば、一定の現況を踏まえて、さらに、今、沈んできた数字なわけですから、比較するところもあると思いますが、目標と現実の今の状況を示していただきたいと思います。
〇竹田林務担当技監 まず、委員がおっしゃる、いわゆる建築用柱、板材といった建築用に向けられる建築用材と、ちょっと曲がり等があって、要するに単板に薄くむいて合板に製造されるような合板用に向けられる部分と、さらにはチップという形で利用される部分、大きく3通りになるのかと思いますけれども、そのとおり、今回の大震災津波によりまして、針葉樹の関係の製紙工場─本県では、八戸の三菱系の製紙工場と石巻にある日本製紙系の製紙工場にそういった針葉樹のチップが運搬されて、委員お話しのとおり、中にはそういった被災された方もおられるわけですけれども、やはり海岸のほうにあったものですから、八戸も石巻も被災しております。ただ、程度のほうは、八戸は若干小さくて復旧が早かったわけですけれども、石巻はまだ完璧には復旧していない状況でございます。大企業でございますので、本県の林業のためにも何とか早く復旧していただきたいと思っております。
 そして、合板でございますけれども、宮古と大船渡に合板工場がございまして、先ほどお答えいたしましたとおり、宮古のほうにつきましては、国の補正予算等も活用いたしまして、この4月にはほぼ震災前の状況に戻ると伺っております。8月には4割程度の復旧、そしてこの4月にはほぼ震災前という状況でございますけれども、ただ、残念ながら、大船渡のほうは事業再開を断念ということで、そちらの行き先が失われたという状況でございます。そういうことについては、先ほどお話ししたとおり、何とか流通コスト支援のほうで頑張っていただきたいと思っております。
 そして、建築用材につきましては、応急仮設工事の住宅関係の需要もございまして、比較的堅調に推移していると思っております。さらに、そういった復興住宅等が本格化すれば、建築用材については県産材の需要がさらに伸びるものと考えてございます。
〇佐野林業振興課総括課長 先ほど、前年比較で約7割まで回復したと申し上げました。これにつきましては、素材の流通を扱っている業者からの聞き取りによるものでございまして、県内のみの流通ではなく、県外向けも合わせてそういった状況だと聞いております。ただ、例えば宮古地方森林組合の状況をお伺いしますと、そちらでは、2月の生産では対前年比4割程度にとどまっているということもございますので、県内での原木の流通、供給状況は厳しいものと考えております。
〇佐々木大和委員 これまで外材が8割というような状況の中で、日本のというか、この地域も海岸沿いに全部木材加工場は張りついたという状況が、今回の被災のまともな影響を受けて、結局、川上もほうもそこでとまったということだったわけです。対症療法的だったわけですが、的確に運賃補助等をやって、秋田、山形まで運んで対応してもらったのは非常によかったようでして、林業関係者も高く評価しているところであります。
 こういう中で、山の木を切った場合に、普通にいって、先ほどの建築用材と、合板と、チップと3段階に分かれる。今はやはり択伐─長伐期になればそうなんでしょうけれども─は簡単にいきませんから、皆伐でいけば、この三つは常に出てくるということで考えなければならないので、これらのバランスが、三つ一緒に需要が上がっていかなければ林業を継続するのは非常に難しいという実態があるわけでして、そういう中で、数量的に岩手県は戦後に大変な面積の造林をしてきまして、半分近い植林地がいよいよ生きるときが来ているわけですから、そういう意味で、数量目標もできればこれから掲げてもらいたいと思いますし、特にも、木材価格の低迷というのがここに大きな課題になってきたと思います。これは、需要が一定のものはあるとは思うんですが、逆に供給過剰的な部分もなくはなかったと思います。
 そういう意味で、これから木材価格を決めるときに、適正なというか、川上と川下が対等に協議できるぐらいの市場のシステムを考えることはできないのでしょうか。何か、その辺についての考え方があれば、岩手県がこれまで進めてきた戦後の植林木を生かすためには、これからのこの価格がやはり一つの課題になるのではないかと思うわけですけれども、その点についてどのように考えておられるのでしょうか。
〇竹田林務担当技監 我々は、林業と木材産業という形で大きくとらえているわけですけれども、実はそこには一つの壁がありまして、川上のほうは丸太、原木を高く買っていただきたい、加工する木材産業はできるだけ安く買いたいといった立場がそれぞれあるわけですけれども、委員がおっしゃる部分として、そこを何とか、お互いウイン・ウインの関係にならないものかというようなお尋ねだと思いますけれども、これについては、これまで個々の素材生産、原木を生産する方々は、どちらかというと零細、小規模な方が多くて交渉力も弱かったわけですが、県内にNJ素材流通協同組合という団体がございます。そういった個々の素材生産の事業体を取りまとめて、合板工場のほうに、あるいはほかの加工企業のほうに納めているという団体でございますけれども、そういった企業側に団体交渉力といったものを持ち得て、価格も安定的にという形で取り組んでいるという、全国的にもモデルとなるような取り組みだとは考えております。
〇佐々木大和委員 そのように、川上、川下がウイン・ウインの関係になれるように、そうしないと、継続していくのにどちらかが犠牲になっていると、これはやっぱり難しいのだろうと思います。幸い、今、国産材時代になって、沿岸部でこういう被害を受けて、川上が被害を受けていますけれども、いよいよ今度は国産材になれば、地理的条件で、沿岸部だと集材が半分しかとれないですが、内陸のほうにもやっぱりそういう形を、山の木を集荷する加工工場が必要になってくるのだろうと思います。そういうところもこういう機会にぜひ推進してもらいたいということをお願いしたいと思います。そして、建築用材、合板、チップは全部連動でいきますから、それぞれの支援体制を個々に検討して、トータル的な成果を上げるようにお願いしたいと思います。
 一つの情報で載っておりますけれども、2009年の森林・林業再生プランでは、10年後の2019年、木材自給率50%以上を目標として政府が掲げたわけですけれども、昨年10月に公共建築物等木材利用促進法が施行されておりまして、そういう意味においては、これまで国がどちらかといえば鉄筋コンクリートで建築していたんですけれども、これを木造にするということで、まさに180度の転換になったと。その理由としては、木造でつくられた校舎等は木のぬくもりを感じて、心の温かい子供が育つといったような学説が紹介されたということになっていますけれども、いずれ、こういう形で木材が見直され、そして、昨日の教育委員会でもたくさんの委員から、県でやる校舎等も木造で進めるようにという意見がいっぱい出ています。
 岩手県は、まさに北海道に次ぐ林業県としてここがスタートだろうと思いますし、今、海岸のほうの1万5、000戸ぐらいの仮設住宅におられる方々も、当然、これから何年以内かには皆さんが家をつくるのだろうと思います。それをまた支援するためにも、県産材で十分対応できるように、この体制を県は整えるべきだと思います。情報的には、建築士会の142グループの岩手型住宅も提案されていますし、そういうところとの連携もしながら、農林水産部の林業担当としてもぜひそこをしっかりやってもらいたい。そういうことで、これにあわせて林務担当技監と部長から所感をもらえればありがたいと思います。
〇竹田林務担当技監 委員から所感ということでございますけれども、山から沿岸部の復興を支援する、目に見える形で支援という形は、やはりそういった復興住宅等へ県産材を安定して供給するという形が一つの姿ではないかと考えております。委員おっしゃるとおり、現在、岩手型復興住宅を142のグループ─この中にはそういった県産材を納めるという川上側の団体、企業が入っておりますので、そういった連携によりまして復興も支援してまいりますし、県産材利用もさらに進めてまいりたいと考えております。
〇東大野農林水産部長 取り組み内容につきましては、今、林務担当技監から申し上げましたが、今、委員からさまざま御示唆いただきました。念頭に置きながら、林業、森林推進に取り組んでまいりたいと思います。
〇田村誠委員 私も林業振興について通告しておりましたけれども、城内委員のほうから質問されましたので、簡単にやらせていただきたいと思います。
 森林組合だとか林業関係の事業者は、これからの間伐材の処理に大いに困っているというのが実態でございます。先ほども秋田などに運搬しているということもありましたし、県内処理分が約4割だということなわけです。大船渡にありました合板会社が倒産しました。これによりまして、当然、そのぐらいの処理というのは大変なんだろうと思いますが、県として、今、いわての森林づくり県民税の徴収や、あるいはまた間伐の促進というのは、これからなお一層強く求められてくるのだろうと思います。特にも杉なんかは伐期を迎えて、もう既におくれているものがありますし、そうしたことからいけば、間伐材の処理だとか、合板会社あるいはさまざまな利用促進というのは当然やらなければならないのだろうと思いますが、ある新聞報道によりますと、合板工場を地域として誘致して林業の振興にかかわっていきたいという地域もあるわけでございますが、ぜひ、そうした地域を支えていただいて、こうした合板企業の誘致なども取り組む考えはないものか、まずお伺いいたします。
〇竹田林務担当技監 先ほど来、大船渡の合板工場が事業再開を断念ということで、そこの部分が失われているということはそのとおりで、川上のほうまで間接的な影響を受けているところでございます。
 そういった意味では、委員おっしゃるとおり、合板工場の誘致ということは、そういった林業振興あるいは雇用の創出という面からも大変有効な施策だと考えております。林業サイドといたしましても、そういった川上の声もたくさん聞いておりますので、そういった方向で機会あるごとに誘致を働きかけてまいりたいと考えております。
〇田村誠委員 170名ほどおった従業員の方々が、もう既に閉鎖というということで失業しているわけでございますし、何にも増して、これから間伐や、あるいは魚つき保安林などもかなりやられているわけですので、こうしたものの処理なども出てくるのだろうと思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。
 次に、水産振興についてお伺いいたします。
 漁民の人たちは、これまで海とともに暮らしてきながら、震災後、壊滅的なときを過ごしてきたこの1年であります。なれない仮設住宅の中で、まさに大きな不安にさいなまれ、時にはあきらめかけながらも、自分は浜とともに生きていくとの決意で、瓦れき処理作業に従事しながら、一日も早く海の恵みを糧にもとの生活に戻りたいとして精いっぱい努力してきたわけでございます。この間、より多くの方々の心温まる御支援、国、県の支援事業による復興に向けて決意を新たに動きをしているわけでございます。
 そのためには、まず一つとして、漁業の基盤整備の最初であります漁協、漁港、漁場の改修状況と海中瓦れきの処理状況はいかがか、お伺いいたします。
 それから、ことしのワカメの収穫の見通しは、おかげさまで養殖事業では一番最初に復旧したわけでありまして、もう既に早どりワカメなどを出荷しているわけでございますが、この3月20日ごろから本格的な収穫作業に取りかかることになってございます。これまで、破壊された岸壁の復旧や資材の調達、養殖ロープの設置、ボイル用機材の確保など、漁協を中心に準備作業に当たってきたわけですが、これまた、いち早い準備作業に支援をいただいた国や県の強い支援事業によるところが大きいと思いまして、改めて感謝を申し上げます。
 そこで、ことしのワカメの収穫状況はいかようになっておりますか。収穫量、金額等わかりましたら教えていただきたい。
 三つ目でございます。サケは先ほど城内委員のほうでお聞きいただきましたので、アワビ、カキ、ホタテ、ホヤなど、こうした養殖事業は製品にするまでに3年から4年の期間がかかるということで、現金収入には結びつかないわけですが、こうしたものも一日も早い準備作業への着手が求められておりますが、現状はどの程度になっているかお伺いいたします。
 四つ目として、漁船の確保の状況と今後見通し。
 やはり漁民にとって、海に出ていくための船の確保がなかなか難しいという状況にあるわけでございますので、今後の見通しについてお伺いいたします。
 それから、漁協経営のかなめでありますサケ漁を初めとする定置漁業の回復は今後の漁協経営に大きく影響して、ひいては水産業振興にも影響するが、県内各地に設置されている定置網の回復状況はどのようになっているのか、まずお伺いいたします。
〇大村漁港漁村課総括課長 漁港、漁場の改修状況と瓦れきの処理状況についてでございますけれども、これまでに泊地、航路の瓦れき撤去、大船渡漁港などの岸壁のかさ上げ等の応急工事を実施しまして、全漁港で荷揚げ作業や漁船の係留が一定程度可能となっております。潮位の高低に左右されずに荷揚げ作業が可能な漁港数は全体の3割まで復旧してきております。
 漁場につきましては、洋野町のウニの増殖漁場に堆積しました土砂の撤去工事を11カ所で実施しまして、既にウニの増殖が可能となっております。
 海中の瓦れきにつきましては、定置網や養殖等の早期再開を図るため、撤去作業の優先度や撤去の必要性などを関係漁協と協議しながら、昨年の7月より、ワカメ等の養殖漁場、定置網漁場などに堆積した瓦れき撤去を実施しました。漁港内泊地、航路すべて含めまして、約50万立方メートルの撤去を完了しているところでございます。
 水産業の復興に向けまして、引き続き、漁港、漁場の本格的な復旧工事を推進するとともに、海中の瓦れきの撤去につきましては、本年度末までには、漁業活動の支障となる瓦れきの撤去をおおむね終えるよう努めてまいりたいと思っております。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 まず初めに、ことしのワカメの収穫の見通しについてでありますけれども、養殖業の復旧に向け、県では、短期間で収益を見込めるワカメを中心にしながら、養殖施設の復旧と種苗の確保について支援してきたところでございます。
 ワカメの養殖施設は例年の6割となる約7、100台が整備され、10月下旬から種糸の巻きつけ作業を開始し、その後、育成に取り組んできているところであります。この施設を活用して1月中旬からは早どりワカメの出荷を開始し、また、3月7日からは本格的な刈り取りが開始されたところであります。現在のところ、平成24年産養殖ワカメは、原藻換算で例年の5割となる約1万3、300トンの生産を見込んでいるところでございます。今始まったばかりでありまして、金額的なところはまだちょっと把握しておりません。
 次に、アワビ増殖の現状と今後の見通しについてでありますけれども、現在、県の二つの種苗生産施設の復旧に取り組んでおり、平成25年には約20万個の稚貝放流を再開し、平成26年には約100万個、平成27年には、民間生産分と合わせ、被災前と同様の約800万個の放流を目指しております。
 次に、カキ、ホタテ、ホヤ等養殖事業の現状と今後の見通しについてでありますけれども、これらの養殖施設は例年の4分の1程度の復旧となっているところでございます。また、カキ種苗は約4万9、000連、ホタテ種苗は稚貝で約880万枚、半成貝で約650万枚が搬入されており、平成22年産のカキ種苗及びホタテの半成貝はことしの秋には出荷できる見込みであります。
 ホヤにつきましては、本年1月に採苗が行われ、平成21年度と比較して6割程度の種苗量を確保しており、これらは平成27年度以降に出荷できる見込みとなっております。
 なお、グループで生産に取り組む漁業者につきましては、養殖業を円滑かつ早期に再開するために必要な経費である養殖資材や人件費などの支援を受けられる国のがんばる養殖復興支援事業の活用が可能であり、県では、当該事業の計画作成等に支援して、漁業者の安定経営を図ってまいりたいと思っております。
〇石田漁業調整課長 漁船と定置網の確保についてでございますけれども、漁船につきましては、今年度予算におきまして、新しい船、中古船、修理船を合わせて6、800隻ほどを確保することで事業を進めているところでございます。2月末現在でございますが、船の新規の登録数は3、327隻となっておりまして、約半分ほどの確保になっております。来年度につきましても、5トン以下の新造船150隻、これに中古船、修理船を合わせて210隻ほどの確保を進めていく予定としております。
 次に、定置網につきましては、大型、小型の定置網を合わせて135カ統ございますけれども、このうち、2月までに約6割に当たる84カ統の定置網が操業を再開しております。残る定置網につきましては、漁業者の意向を踏まえながら、来年度も引き続き支援してまいりたいと考えております。
 特にも、漁業生産手段となっております定置網、漁船の確保でございますが、現場の需要に対しまして製造メーカーの供給が追いつかない状況となっておりますので、県といたしましても、国に要望しながら、早期の確保ができますように努めてまいりたいと思っています。
〇田村誠委員 例えば、海中瓦れきの処理状況は、ことしの3月をもってほぼめどをつけるという御答弁でございました。私自身は、まだまだ残っているのではないかと見受けているわけですけれども、もっと深いところとか入り江などに残っているという気がいたします。そうしたものの処理についても、これまでどおり継続してやっていただけるものかどうか、その点がまず第1点でございます。
 それぞれ四つ、五つについては大変御努力をいただいていたことに感謝申し上げます。
 最後にもう一点だけお伺いいたしますが、このたびの大津波災害で水産関係の予算というのは非常に増大している。例えば水産関係では、県内の予算ベースで、過去3カ年の平均予算は約7億円程度であったものが、今回の災害復旧により、平成23年度は980億円余り、平成24年度は130億円余りとなり、平均の7億円と比べると140倍から18倍という物すごい数に膨らんでおります。また、漁港関係の予算では、過去3カ年の平均が約55億円であったものが、平成23年度は1、070億円、平成24年度は570億円となり、それぞれ20倍から10倍。そして、今回、漁港関係の災害査定を受けた金額は3、000億円ということで、通常の予算の44年分ということに相なるわけでございます。
 それで、各部署それぞれ人手不足というのは十分理解できますけれども、特にも今回の水産の被害というものは甚大な状況にありました。そのために、これらの予算執行に当たりまして、人員の不足、マンパワーが足りないというのが現実ではないのかという思いがいたします。また、漁協などのさまざまな調査、あるいは事業に参加するための申込書などの書類審査だとか指導、こうしたものが本当にやれるのかどうかという心配があるわけでございます。
 そこで、ほかの部署の方々には大変申しわけない話でありますけれども、部長、この人員不足というものに対してどのようにお考えになっているのか、まずお伺いいたします。
〇東大野農林水産部長 瓦れきの件につきましては担当課長から答弁させます。
 人員不足の御指摘で、県としても事業量が大変増大してございます。沿岸市町村の事業量も大変増大していますので、その人員の確保については非常に気にしてございまして、来年度に採用の任期つき人員についても人事当局に申し出て確保できるよう努力はいたしておりますし、あわせて、お話のございました漁協自体の補助金申請等の対応につきましても、漁協自体が被災してございましたので、被災当初から、振興局職員、水産部職員について、漁協の職員と一緒になって、そういった申請手続も取り組むようにというような格好で進めてまいりました。これからも、特にハード事業の事業量が非常に大きいということで、そういった面を全部埋めるだけの人員の調達は、正直なかなかできないとは思いますけれども、工夫しながら、ほかの県からの応援もございますので、そういったものをフルに活用しながら、漁協とか市町村にも応援できるものは応援しながら、水産業の復興をそういう姿勢で取り組んでいきたいと考えております。
〇大村漁港漁村課総括課長 来年度以降の海中の瓦れきの撤去ということだと思いますけれども、委員御指摘の懸念といいますのは、私自身も思っております。これまでも大しけのたびに、いろんな浮遊物が沿岸に寄ってきたり、もしくは、大雨のときに河川のほうからいろんなごみとか瓦れきとかが流入してくるということもございました。ですので、来年度以降も、そういった場合は漁協等の関係団体と協議いたしまして、漁業活動の支障とならないよう、撤去するなどの措置を講じてまいりたいと思っております。
〇田村誠委員 いずれ、マンパワーの不足ということで水産振興が決しておくれることのないように、十二分に御配慮いただきたいと思いますし、私も機会をとらえながら、担当部所のほうにも私自身もお願いをしたいと思っておりますけれども、よろしくお願いを申し上げまして終わります。
〇伊藤勢至委員 関連で1点お伺いをいたします。
 発災以来、本当によく頑張っていただいて、復旧に向けて頑張っていただいた分が今ようやく結実期に入ってきた、これからどんどん復興していくと思います。そういう中で、1点お伺いをしますが、漁協を中心に船を調達していると。これも造船所そのものも被災したりしていまして、なかなか順調でないかもしれませんが、それでも大体そろってきたと。それから定置網、網等もそろってくるとなると、せっかく確保したとらの子の船を養生することも大事だと思っておりまして、ホイストクレーンあるいは巻き上げ機、そういったのも完璧にやられてしまいましたから、こういうものもあわせて整備をしていかなければ、せっかく確保した船を、低気圧でありますとか台風でありますとか、また破壊をしてしまってはいけない、こういうことから、クレーンそして巻き上げ機の設置をお願いしてきました。随分頑張っていただいて、50%を超えるぐらいの復旧がなったようでありますが、まだ半分近く残っている。これが完成する、時期的なものはどのくらいを見込んで、完全復旧まではどのくらいかかるのか、大事な点だと思いますのでお伺いをいたします。
〇大村漁港漁村課総括課長 陸揚げクレーンとか漁船の巻き上げ機、これらは非常に重要な施設だと認識しておりますし、特にクレーンは、これからワカメの水揚げをするもののほか、先ほど委員御指摘の、船を上げて船を守るという施設として非常に重要だと認識をしております。その関係もございまして、今現在ではクレーンを計画としては43基、あと巻き上げ機は143基の計画を立てております。これまで陸揚げクレーンのほうは23基、巻き上げ機は24基の整備が完了しているということで、さらに本年度末にはクレーン8基、巻き上げ機35基が追加して整備されるという予定になっております。クレーンのほうは大分整備がうまくいっておりますが、巻き上げ機のほうは船上げ場が被災しておりますので、この船上げ場の被災を復旧してから巻き上げ機を設置するということになりますので、若干おくれているというような状況になっております。いずれにしましても、重要な施設でありますので、引き続き整備を行っていきたいと思っておりますし、新年度予算では、クレーン14基、巻き上げ機26基を計上させていただいておりますので、引き続き早急に直していきたいと思っています。
〇神崎浩之委員 私は、森林の放射能被害とそれから魚の放射能被害についてお伺いをいたします。
 大気中の線量につきましては、先輩県議の皆様のおかげもちまして、12月に1、000万円をかけて一関にもモニタリングポストを設置していただきまして、大気については安心な後押しをしていただいております。ところが、あの山にはどのぐらい放射能が降って残っているんだろうと。先ほど木村委員もお話ししておりましたけれども、あの山にある、木にある放射性物質が雪解けでおりてくるんじゃないか、それからスギ花粉のように、ぶわっとおりてきたらまた高くなるのではないかという心配をされております。
 そこで、森林の放射能の汚染状況についてお伺いいたします。
 それから、その汚染状況の検査状況、それから林業の放射能対策の予算でありますが、ちょっと見当たらないんですけれどもどこにあるのか。それから、あわせて、森林内で作業をする労働者の方の放射能の対策についてどういう指導をしているのか、あわせてお伺いをいたします。
〇藤川森林整備課総括課長 森林の放射能の汚染状況についてでございますけれども、広い森林をくまなく調査するには、人力ではなかなかできない話でございまして、航空機による調査が最も有効だと考えているところでございます。
 福島原発直後に、国で、福島を中心といたしまして、100キロ圏内で航空機による調査を実施いたしました。本県にも速やかに実施してもらうように要望しておりましたところ、国で昨年の9月から10月に調査を実施いたしまして、11月にその報告が出ております。
 その内容を見ますと、県南一部の地域におきまして、毎時0.2から0.5マイクロシーベルトの地域が若干存在しております。ほかの地域におきましては、毎時0.2マイクロシーベルト以下ということになっておりまして、特に選択的に森林の放射能レベルが高いということにはなっていない状況にあります。
 あと、森林で作業をする労働者の放射能対策はという話でございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたけれども、0.2から0.5マイクロシーベルト、一般的には0.2マイクロシーベルト以下という話でございますので、特に、作業に影響するような、心配をこうむるようなレベルのものではないと認識しているところでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたが、国の調査結果を電子データでいただいておりますので、これを森林内に落とし込むことによって、いつでも森林所有者また森林で作業する方々が見て、放射能対策の参考になるように、早急にする計画になっております。
〇佐野林業振興課総括課長 林業関係の放射性物質調査の予算が見当たらないという件でございますが、予算に関する説明書でいきますと、159ページに、特用林産物放射性物質調査事業費ということで、シイタケ及び原木、ほだ木の調査経費を計上しております。森林そのものの調査経費を計上していないところでございます。これは、国では、木材製品の放射性物質に関する基準を示していないところでございまして、一方、福島県内で国が行った調査結果によりますと、原子力発電所に近い森林で伐採された木材の一部から放射性セシウムが検出されたものの、仮にこの木材で六面を囲った部屋で生活した場合でも、自然放射線量より極めて低い被曝量になるという試算が出ております。
 こういったことから、県としては、製材品に対する放射性物質の影響は少ないものと考えておりまして、そういった予算計上をしなかったものでございます。
〇神崎浩之委員 私はシイタケ以外の質問をしているわけでございまして、先ほど県産材の利用ということで、実はあした県土整備部のほうでも質問、県産材を利用すると住宅に補助が出るんだよと、いい制度だなと思っているわけなんですが、その県産材がみんなの支援でどんどん生産された場合に、それが買っていただけるかということが心配なんですよね。先ほど、特に山に入って検査をしたわけではないですよと。航空機モニタリングの結果ということだったんですが、実際に入って、この木は調査したけれども安心だよというのが一番の消費者に対するアピールだと思っております。
 そこで、福島県では、実際に山に入って、木自体を検査していると思われますが、その辺についてはおわかりでしょう。
〇藤川森林整備課総括課長 福島県でやっておりますので大体データを把握しております。針葉樹と広葉樹がございまして、針葉樹につきましては、地上部で幹と葉っぱを含めて大体49%ということになっております。また、広葉樹につきましては、腐葉土のほうに6割から7割の放射能が分布していると。また、除染につきましても、ある程度、20メートル四方ぐらいで除染しなければなかなか効果がないと言われているところでございます。特に、針葉樹につきましては、葉の部分に、地上部にたくさんありますので、地上部の除染だけでは、なかなかできないという調査結果が出ております。
〇神崎浩之委員 私は実際に葉っぱそれから枝、樹皮、それから腐葉土、こういうのも具体的に、全部じゃないですけれどもはかって、岩手県も大丈夫ですよということをアピールしていただきたいと思うんですね。特に、さっきお話ししました県産材の利用ということを、どんどん声高に我々も言うわけなんですよ。ところが、その木って安心なんですかと一般の人に聞かれたときに、いや、航空機モニタリングでという話になるわけなんですよね。そんなこともありまして、まきとかそれから炭とか大丈夫なのかということも言われておりますので、ぜひ調べていただきたい。腐葉土は園芸なんかでも結構使っておりますよね。そんなことも含めて、午前中も農業の分野だったんですけれども、検査して、ぎっちりはかって安全宣言を出すというのが一番だという話をされておりますので、部長、ちょっとコメントをいただきたいと思います。
〇東大野農林水産部長 第1部の審査で企画課長が申し上げましたとおり、森林についても、空中からはかったものでは、作業するのに、活動するのに支障がないレベルということは承知しておりますが、ただ、お話があれば、具体的に作業をしている、活動しているところが実際にどの程度かといったような確認には取り組んでいきたいと考えてございました。
〇神崎浩之委員 ぜひお願いいたします。県産材の利用を私たちも大きな声で言いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、魚の放射能被害であります。2月27日に県から報告がありまして、心配していたほど海の魚は影響がなかったということで安心をしております。ところが、内陸の川魚のほうが結構影響があったということで、2月27日には、ウグイが砂鉄川で240ベクレルとか、矢作川が225ベクレルとか、そういう結果が公表されておりました。そのときの結果後に、さらに汚染状況ということがあるのかどうか。
 それから、これらに伴いまして、それから過去にさかのぼって、岩手の魚、水産品の風評被害になるようなものはあるのかどうか。また、あわせて、これも放射能対策の水産のほうの予算というのはどうなっているのか、お聞きをいたします。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 川魚、2月27日に公表された後ということで、今サンプリングをやっているところであります。雪がまだ多かったりしてなかなかサンプリングに若干苦労して、それから捕獲もちょっと難しいところではありますけれども、今、それを調査機関に送っているところであります。
 それから、岩手の魚で風評被害があるかということでありますけれども、これにつきましては、本県で暫定規制値の500ベクレルを超えてセシウムを検出された魚種はございません。その意味では、規制もかける必要もなく、また、4月、5月のうちはまだ沿岸のほうも瓦れき等があり、地盤沈下等もあり、なかなか漁そのものがございませんでしたので、ある程度、他県の状況を見ながらやってきて、割と出ても、なれてきたころの6月くらいから県のほうで調査し、また9月から市場のほうでやっておりますので、その意味では、今そういう風評被害というのは水産のほうではございません。
 予算でありますけれども、予算はございません。今、調査そのものは国の事業を活用しておりまして、着払いで、それから検査費用も国で持つというやり方で今多くはやっておりますし、また、影響検査は、水産技術センターでもやっているものについては環保センターにお願いしているので、費用のほうはほとんどかかっておらない状況です。
〇神崎浩之委員 淡水魚が影響出ているということなんですが、この原因は何かと聞いてもあれかもしれないんですが、空気なのか水なのか、それから土とかコケだとか、えさなのかということなんですよね。海の魚は影響ないですよね。淡水魚。これは川だけの問題じゃなくて、サケだって上がってきますよね。ということでいろいろ心配なんですが、この点について何かわかることがあれば教えていただきたいと思います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 今、我々が検査したのは、河川にいる天然魚なわけでありますけれども、他県で養殖業を調べた結果、出ておりません。他県でも、天然魚では出ております。すごいところは500ベクレルを超えた状況もありますけれども、本県ではない中であります。養殖であれば、多分えさを人工的なものをやっている、そのことを考えますと、えさ由来なのかとは思いますけれども、それは確認しておりませんので何とも言えませんけれども、今そんなふうに思っています。
〇神崎浩之委員 川魚に出るということは、魚本体もあるんですが、観光にとっても大きな被害になるわけですよね。今、渓流釣りだとか、イワナだとか、アユとかこれから出てきますので、観光施策にも大きくかかわってくると思います。それから、ウニ、アワビ、サケもそうなんでありますが、先ほども港湾から水産関係にどんどん協力していきましょうという中で、消費者が逆に買い控えがあるようなことになってはいけないと思っておりますので、着払いでどんどん、あっち持ちでいいですから、ぜひ、いろんなところを検査して、安全をアピールして支援をしていただきたいと思います。
 部長、最後にお願いします。
〇東大野農林水産部長 川魚についても、調査、検査に着手したばかりですけれども、順次、北の河川についても検査し、ただ、それが観光に影響を与えるかもしれませんけれども、それはそれとして、状態はしっかり伝えていくということが仕事だと思いますので、そういう姿勢で取り組んでまいります。
〇小野共委員 1点、県内の漁協の経営状況について大きくお伺いいたします。
 2月の新聞報道におきまして、平成22年度の県内の24漁協の決算の情報が提供されておりました。それによりますと、県内24漁協のうち、21の漁協が当期損失、いわゆる赤字を計上しておりました。赤字の原因は、当然、去年の3月11日の津波によります施設あるいは設備の流失、破壊になるんだろう、これは当然なんですけれども、単純に21漁協の赤字額を赤字漁協数で割った、1漁協当たりの赤字の平均額です。2億5、000万円ほどになっておりました。
 まず、お聞きしたいんですが、県内漁協の経営状況、新聞報道はこのとおりなんですが、現状をどのように把握していらっしゃいますか。
〇大友団体指導課総括課長 県内の漁協の経営状況についてでありますけれども、平成22年度決算では、1漁協平均で約3億1、000万円の震災による特別損失を計上しておりまして、1漁協を除き、当期損失を計上したところでございます。
 県内漁協の経営状況でございますけれども、個々の漁協の経営状況につきましては、財務状況の開示の義務がございませんので、個々に数字を説明するわけにはいきませんけれども、各漁協とも、厳しい財務状況にはありますけれども、関係機関、団体の指導を受けながら、補助事業の導入や負債整理資金の活用などを内容といたします復興再生計画を策定いたしまして、系統金融機関等で組織する委員会での計画承認を受けておりまして、大槌町漁協を除きましては、今後10カ年の計画期間内に財務の健全化が図られる見通しが立っているところでございます。
〇小野共委員 10年の復興再生計画が出ているという話が出てまいりました。これはたしか公表されていないものですよね。それはそれでいいんですが、大槌町漁協であります。1月13日の理事会で、11億円の債務超過ということで解散となりました。3月1日に新おおつち漁協が発足したわけでありますが、800人いた組合員が150人ほどになりました。
 そもそもこの新おおつち漁協でありますが、復旧の補助金の受け皿として新しい漁協が成立したわけでありますが、先日のこれも新聞報道なんですが、製氷施設と貯氷施設、ふ化場、あと魚市場の修繕の補助金で、1億4、000万円が補助金として新おおつち漁協に入る予定だったわけでありますが、これが先日水産庁の方針によりまして、新おおつち漁協に入らないと。私が今申し上げた三つの施設を、一たん大槌町の持ち物にして、大槌町を経由して漁協のほうに入るというような話でありました。これはもう存じていると思いますけれども、それでお聞きしたいんですが、ふ化場と製氷施設、貯氷施設が町の持ち物になったときの町のデメリット、あとは漁協にとってのデメリット、これがわかれば教えていただきたいと思います。
〇大友団体指導課総括課長 大槌町漁協が施設を所有した場合のデメリット等につきましての御質問でございますけれども、新おおつち漁協は3月1日に設立となりまして、業務を開始したところでございますけれども、新漁協は資産もなく体制構築も緒についたばかりでありますので、できる限り、新漁協の運営上の負担を軽減していくことが必要との観点から、国より、大槌町による一部施設の保有について打診がされたところでございます。
 大槌町のほうからは、当初、施設を所有した場合の財政負担、それから施設受け入れ後の業務量の増加について懸念しているとの相談があったところでございますけれども、県といたしましては、国に対しまして、町に新たな財政負担が生じないよう、具体的な支援措置の検討を要請しているところでありますし、また、県といたしましても、町の設置条例整備等に際して、技術的な支援などを行っていくこととしておりまして、町の業務上の負担ができる限り生じないような方向で引き受けができないかということで対応させていただいているところでございます。
 新おおつち漁協のデメリットということでございますけれども、新おおつち漁協にとりましては、施設が町有化されることによりまして、今後の運営費の負担上、軽減される部分がありますので、メリットのみがあると認識してございます。
〇小野共委員 わかりました。町のほうには負担がかからないようにしていくという答弁でしたので、そちらの方向でお願いしたいと思います。
 引き続きお聞きしたいんですが、新おおつち漁協ですが、見通しはどうなのか。そして特に新おおつち漁協に対して、県としてどんな支援なりをしていく方向なのか、それを聞かせてください。
〇大友団体指導課総括課長 新おおつち漁協の運営の見通しと県の支援についてでありますけれども、新おおつち漁協は、過去の反省を踏まえまして、過大な設備投資を抑制し、自営定置も縮小するなど、身の丈に合った漁協運営に取り組む方針としているところでありまして、系統団体の指導のもとで策定されました新漁協の設立後3カ年事業の計画では、水揚げ高などの収入をかたく見込んだ上で、2年度目から黒字化する見通しとされているところでございます。
 県といたしましては、水産関係団体や大槌町と連携しながら、事業計画の進捗管理や現地の指導を強化し、新漁協の経営の安定に向けた取り組みの支援に努めてまいりたいと考えております。
〇小野共委員 わかりました。その方向でお願いいたしたいと思います。
 引き続いて、県内のほかの20漁協についてなんですけれども、68億円の特別損失を計上しております。これはどう考えても、漁協単体では経営を基盤に乗せるというものが難しいんだろうと思います。今度は新おおつち漁協だけじゃなくて、ほかの21漁協に対する健全化のための支援は県としてどのように考えているのか、それを聞かせていただきたいということで終わります。
〇大友団体指導課総括課長 県のこれまでの支援と今後の支援についてでございますけれども、県としましては、これまでも、特に財務状況の厳しい漁協に対しましては、系統団体や市町村と連携しまして、財務経営改善計画を策定させまして、その実効を確保するために、関係機関、団体の職員で構成いたしますプロジェクトチームにより現地指導を実施するなど、重点的な支援を行ってきたところでございます。
 今後も引き続き、各漁協における復興再生計画が着実に実行されますよう、計画の進捗管理などを行ってまいりますが、でき得る限り現地に出向きまして対応してまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 端的に干しシイタケの賠償の件についてお伺いします。
 先ほど答弁がございましたが、中身についてちょっと不明な部分がありますので確認をさせてください。
 4月いっぱいで東京電力が賠償するとした中身については、1月末までの請求ということになると思いますが、それは、出荷自粛及び回収にかかわる部分と、いわゆる現物の部分ですね、それから風評被害にかかわる部分と、大きく分けると二つあると思います。出荷の自粛及び回収に対する賠償というのは、4自治体でいいのかどうか。それから、それの賠償の基本となる額の算出方法はどうなのか。それから、風評被害に対する賠償は、これは県全域と考えていいのかどうか。その場合、対象期間はいつからのものになるのか、お示しをいただきたいと思いますし、これはあくまで、今のところ、例えば現物支給に関しましては、系統のほうが請求をしているわけであります。風評被害についてもそうであります。県森連系統の場合は、まだこの協議会が立ち上がっていないと思っているんですが、森連系統についてはこの4月までに払うということなんですけれども、この後の森連系統の部分についてはどういう整理をしているのか、お示しください。
〇佐野林業振興課総括課長 4月末の支払いに向けて取り組んでいると表明された部分につきましては、JA系統の協議会から、11月と1月に請求したものでございまして、中身は風評による価格下落分のみでございます。それから、森組系統で構成される部分につきましては、3月末を目途に、これも風評による価格下落分の請求を行うための取り組みを進めると聞いておりまして、今後、生産物出荷自粛分あるいは返品分については3月末を目途に返品を受け付けますので、それを取りまとめ後に請求と聞いております。
 基本的には、それぞれの系統における単価でもって請求することになるかと思います。
〇岩渕誠委員 それは過去3年の平均に対しての部分ととらえていいかどうか。
 それから、風評被害に対する賠償は県内全域が対象になりますね。
〇佐野林業振興課総括課長 過去3年の平均という考え方で請求することになろうかと思います。
 風評に対する賠償についての東京電力側の考え方は、県全域とされております。
〇岩渕誠委員 それでは、その部分については了解をしました。
 そして、先ほどのお話の中では、いわゆる補正の1号についていろいろ実質的な立てかえ払い、あるいは融資をするということで大変結構なことだと思っていますが、そこにかかわって、特にきょう出てきたもので言うと、ほだ木について将来収益についても賠償するという話、これは大変大きな話だと思うんですが、それはほだ木の調査をやって確定をさせてからということになると思いますが、新年度はほだ木の調査、今もやっていると思いますけれども、これは全戸検査ということになっていますけれども、いつごろを目途に完了させるおつもりなのかどうか、お示しをいただきたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 ほだ木の調査についてのスケジュール的な部分でございますが、県では来年度、市町村、集出荷団体と連携いたしまして、県内の生産者全戸のほだ木検査を実施する予定としております。
 検査の進め方でございますが、出荷自粛要請を行っている4市町から優先的に、春に発生したシイタケの検査と合わせてほだ木の検査を実施することとしております。その後、順次、他の市町村においてもほだ木の検査を実施しまして、秋までに全域の検査を終了したいと考えております。
〇岩渕誠委員 結構かかるなということですが、やむを得ないのかなと思うんですが、これはやはり東京電力に対する請求等のスケジュールとかかわってきます。確かに、ほだ木の更新については1号補正でやるということですから、当面、農家に対しての負担という部分はないんだと思いますが、ただ1点、先ほどの説明を聞きますと、将来収益の部分については、補正の中で恐らく想定をしていないんじゃないかと思うわけであります。つまり、単純に更新費用の部分は持つけれども、東京電力が賠償の対象にするといった将来収益の部分、つまり、ここが一番再生産につながる部分なわけですよね。ここの部分については、1号補正の中で想定をされるものであれば想定をして入れていただきたいですし、そうでなくても、賠償請求の段階で、きちんとほだ木1個についてどれだけというのを計算して、再生産ができるような仕組みをつくっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
〇竹田林務担当技監 先ほども御答弁させていただきましたけれども、まず再生産につきましては、1年分の更新、要は超過したほだ木について、相当数を完全に基準値以下のものに置きかえるという更新費用を考えてございます。委員御指摘の、将来見込まれる収益分まで含めて対象にすべきということでございますけれども、当面は、やはり1年1年の植菌がきちんとこれまでどおりなされれば、産地は継続、再生する、そのように考えておりますので、そういった考え方で今検討しております。
〇東大野農林水産部長 今検討してございますつなぎ融資でございますが、1点は、使用制限で使用できなくなってしまったほだ木については、更新のための経費についてつなぎで融資を考えてございます。
 二つ目の販売対策としてのつなぎ融資ですけれども、基本的には平成23年価格が基準になるかという、そこで検討を進めていましたけれども、出荷制限で売れなくなった場合、それから出荷制限はかからなかったけれども、実際販売できない状態になったような場合等を想定して、そこをつないでやろうとしていますので、それと、出荷はできるけれども価格が下落した部分、そういったところを対象と考えてございますので、言ってみれば、生産されるシイタケについて売れない分、全体を対象にしなければならないと考えておりますので、その先々の年度につきましては、東京電力から賠償される形態がどのような形態で賠償されるのかというのを見ながら、平成25年度以降の対策については検討してまいりたいと考えてございました。
〇岩渕誠委員 最後にします。それだけでは再生産にならないと思うんです。ほだ木を更新して、次の─植菌をするところまではいいですよ、その費用を持つのはいいですよ。その後、成果物ができるまで2年ぐらいかかるわけですよ。この間をどうするかと。これの部分が先が見えないと、再生産につながりませんよという話をしているわけです。したがって、この部分について、賠償するということが明示をされたということはいいことなんだけれども、その部分の資金手当をきちんとしないと、産地形成、維持はなりませんよということなんです。したがって、その部分に対しての補正対応なり新たな支援制度なり、そこの部分について、そもそも東京電力がきちんと賠償するようなスキームをつくっていただきたいということが私の言いたいことです。
 ここで議論をしてもしようがないんですが、そういうことですので、そこはよく勉強をしていただいて、前向きに検討していただきたいと思います。
 所感があれば伺って終わります。
〇竹田林務担当技監 委員おっしゃるのは、恐らく、ほだ木というのは、干しシイタケの場合、発生が始まって5年間続けて発生いたします。そういった将来発生が見込まれる部分の逸失利益まで、当然、東京電力には賠償を求めるという考えでございますけれども、一方、植菌につきましては、一気に植菌をしますと、要は、一気にほだ木が廃ほだになるということですので、植菌についてこれまでどおり、毎年計画的に植菌していくものということを考えておりまして、先ほど、単年度分の植菌更新料をつなぎでという考えで今やっているということでお答え申し上げましたけれども、来年度以降につきましては、東京電力の賠償がどうなるかということも踏まえつつ、必要であれば、さらに新たな対策を継続してくということは当然考えていく必要があると思います。
〇佐々木朋和委員 私も干しシイタケについてお伺いしますが、いろいろと情報が出てきてついていけない部分がありますので、前提でお聞きをしたいと思うんですけれども、通告にありませんが、よろしくお願いします。
 先ほど、ほだ木の賠償について、東京電力が賠償の対象にするとなったわけですけれども、シイタケ生産者の側からだけでなく、これは原木生産者の方からも賠償になるのか。つまり、原木生産者がシイタケ生産者に原木を持っていって、自主的にはかった結果戻されたよと、そういう場合についてもこの賠償の対象になるのか。そして将来の逸失利益。これまで何年も自分の森林で原木をとってきた方が逸失利益として請求をできるのか、お聞きをしてからと思います。
〇竹田林務担当技監 東京電力から、本日、そういった方針、考え方を示されたばかりですので、正直、委員御指摘の部分、我々も大変心配しております。そういった部分について、東京電力の考え方、賠償の考か方をはっきり聞いていきたいと思いますので、ちょっとこの場ではお答えしかねるということで、御了承いただきたいと思います。
〇佐々木朋和委員 その点について気をつけていただいているということで、納得をいたしました。ありがとうございます。
 では、通告に従って質問をしますが、状況も変わっておりますのでいろいろ省きながら……。
   〔地震発生〕
〇喜多正敏委員長 ちょっと中止をして……。
〇佐々木朋和委員 はい、待ちます。
〇喜多正敏委員長 今ちょっと調べに行っておりますので。
 済みません。では、続行してください。
〇佐々木朋和委員 では、改めて質問をさせていただきます。
 まず、今回、ほだ木の補償について東京電力が認めたということで、今、県に先駆けて、一関市では農家が自主的にほだ木の検査をしているということがありまして、その点についてもこれから報われていくという点でよかったなと思っているわけでありますが、ただ、ほだ木の基準について国から示されているのか、どの基準で検査そして賠償の対象になっていくのかというところをお示しいただいて、また、先ほどほだ木、原木の確保について努めているということですが、現在どのような状況になっているのか。そして、汚染をされたほだ木の処分について補助をすると先ほどおっしゃっていただきましたが、その処分の仕方についてどのように計画をしているのか、お示しをいただきたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、ほだ木に係る放射性セシウムの基準でございますが、3月7日付で林野庁から事務連絡で、現時点での見直し案が示されました。
 その内容は、新たな食品基準値である100ベクレルパーキログラムに対応しまして、これまでの原木、ほだ木、150ベクレルから50ベクレルへ引き下げるというものでございます。ただ、指標値の根拠となるデータが少ないことから、国としては引き続き調査を進め、指標値を見直したい旨が付されておりまして、国に対して早期に確定するよう、強く申し入れているところでございます。
 次に、ほだ木の供給体制についてでありますが、この50ベクレルを下回る原木を、更新が必要な生産者に供給できるように、原木を供給する森林組合等に対し、原木林を購入するための資金貸し付けの増額を検討しております。そして、安全なシイタケ生産を再開するための供給体制を早急に構築していくこととしております。
 ほだ木の処分につきましては、県では、国が定めたほだ木の指標値を超え、生産者が利用できずにいる原木とほだ木の仮保管や処分に要する経費についての助成を検討しているところであり、県としては、牧草等の処理スキームと同様、県の全額負担で、関係市町村の理解を得ながら、使用を制限された原木、ほだ木を一般廃棄物として処分する方向で検討しております。
〇佐々木朋和委員 先ほど1部でも述べさせていただきましたが、処分については、通常の廃棄物と一緒に焼却していいよと言われても、なかなか住民理解が得られないというところもありますので、ぜひ環境生活部とも連携をしていただいて、例えば焼却場についてバグフィルターのついたのにかえるとか、そのようなところまで一歩進んで処理の方法についても御検討いただきたいと思いますし、また、確保についてはそのように取り組んでいただいているというところでありますが、これから50ベクレルという基準だと、なかなか生産者の方が自分で山を探してとかというのは、不可能になってくるのではないかと思います。そういう中で、森林組合にお願いをしていくということももちろん重要であると思いますが、例えば宮崎県の諸塚村では、原木、ほだ木銀行というのを、行政、農協、森林組合で一緒になって、原木生産者そしてシイタケ生産者の間を取り持ってやっているという事例がございます。これは村なので、県になって大きくなったらどうかというところはあると思うんですが、そうやって、中に入ってストックをしていくことによって、先ほど御心配されていると言っていた原木生産者の方も、例えば買い上げてストックをしてということで金銭的にも救われる可能性もありますので、ぜひその点についても御検討をいただければと思います。
 次に、シイタケの損害賠償については通告をしておりましたが、先ほどお答えをいただきましたので飛ばさせていただいて、3番目の、県の再生産に向けた補助について、また、1、3は飛ばさせていただいて、2番目に通告をしていた、今まで3次補正によって原木の運賃とか、あと原木を仕入れる分のかかり増し経費についての補助、あとは放射線を防除するためのハウスなどの補助というのを出していただいていたわけでありますが、なかなか現場の声を聞くと、こういうような大変な状態で、2分の1補助では手が出ないとか、あとは個人ではなかなか大変で、これが団体じゃないといけないという条件があったりして使いづらいという声がありましたが、先ほどいろんな取り組みを示していただいたわけですが、この中でこれらの問題が解消されていくのか、伺いたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 国の3次補正予算による補助の利用実態ということでございますが、国の3次補正予算では、原木の運賃かかり増し経費等が補助対称となっておりますが、補助率が2分の1であって自己負担が大きいと。さらに補助要件が5戸以上を構成員とする生産組合となっていることから、非常に使いにくいということがありまして、原木の運賃かかり増し経費に関しては、県内での利用実績はございません。国に対しては、補助要件の緩和を要請しておりますが、今後、集出荷団体等から原木の調達状況も聴取しながら、支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。
〇喜多正敏委員長 お知らせいたします。
 沿岸北部、震度4、青森、震度4、岩手沿岸3、津波注意報が出ておりますので、暫時休憩いたします。
   午後6時16分 休 憩
午後6時53分 再 開
〇喜多正敏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 御案内のとおり、岩手県沿岸に津波注意報が発表されました。これを受けて、先ほど世話人会を開催いたしました。その結果、本日の農林水産部審査は打ち切ることとし、また、今後の日程については被害状況等を踏まえ、あすの午前9時30分以降に、再度、世話人会を開催の上、協議することとしたところでありますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 御異議なしと認めます。本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時54分 散 会

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