平成24年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成24年3月13日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  教育委員会委員長 八重樫   勝
  教育長    菅 野 洋 樹
  教育次長兼
  教育企画室長   高 橋 嘉 行
  教育次長兼
  学校教育室長   佐々木 修 一
  参事兼
  教職員課総括課長 佐 藤   新
  教育企画室
  企画課長     石 川 義 晃
  予算財務課長   泉   裕 之
  学校施設課長   小 倉   茂
  学校企画課長   高 橋   勉
  首席指導主事兼
  義務教育課長   多 田 英 史
  首席指導主事兼
  高校教育課長   高 橋 廣 至
  首席指導主事兼
  特別支援教育
  担当課長    佐々木 政 義
  首席指導主事兼
  生徒指導担当課長 田 村   忠
  高校改革課長   上 田 幹 也
  主任指導主事兼
  産業教育担当課長 阿 部   徹
  生涯学習文化課
  総括課長    錦   泰 司
  首席指導主事兼
  文化財・世界遺産
  課長    中 村 英 俊
  首席指導主事兼
  スポーツ健康課
  総括課長    平 藤   淳
  首席経営指導主事
  兼小中学校人事
  課長    漆 原 一 三
  首席経営指導主事
  兼県立学校人事
  課長    中 山   敏

  企業局長    青 木 俊 明
  企業局次長兼
  経営総務室長   水 野 和 彦
  企業局技師長   池 内   達
  経営総務室
  管理課長     宮 澤 寛 行
  経営企画課長   千 枝 泰 航
  業務課総括課長  菅 峨 範 夫
  電気課長    榎     充

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇喜多正敏委員長 これより本日の会議を開き、直ちに議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第27号から議案第32号まで、議案第34号から議案第37号まで、議案第42号、議案第45号、議案第48号及び議案第49号の以上35件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会及び企業局関係を終わるように進行いたしたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇菅野教育長 教育委員会関係の平成24年度岩手県一般会計予算について御説明申し上げます。
 初めに、当初予算編成に当たっての教育委員会の基本的な考え方でありますが、東日本大震災津波からの教育の復興を重点的に進めるとともに、いわて県民計画の人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向け、第2期アクションプランを着実に推進するために、学校教育、文化芸術、生涯学習、スポーツの分野ごとに事業の重点化を図ったところであります。
 まず、震災からの教育の復興についてでありますが、一つ目は、きめ細やかな学校教育の実践と教育環境の整備、充実であります。
 臨床心理士等のカウンセラーを学校に配置するなど、被災した幼児、児童生徒の心のサポートに継続的に取り組むとともに、県立学校施設の復旧、整備や耐震補強工事を実施してまいります。
 また、県立学校施設の放射線の空間線量率を定期的に測定、公表し、必要に応じて速やかに土壌等の除染作業を実施してまいります。
 さらに、被災によって親を失われた児童生徒等に対し、いわての学び希望基金を活用した支援を行い、安心して就学できる教育環境の整備を進めてまいります。
 二つ目は、文化芸術環境の整備や伝統文化等の保存と継承であります。
 被災地域における復興関連事業を推進するため、埋蔵文化財調査体制の強化を図るほか、被災地域の貴重な文化財の修復や復元、民俗芸能活動などの復興を支援してまいります。
 三つ目は、社会教育、生涯学習環境の整備であります。
 社会教育施設の復旧や事業再開の支援をするとともに、地域人材の育成と活用により、子供を中心とした地域活動や地域住民の学習、交流機会を設けるなど、市町村の社会教育の推進を支援してまいります。
 四つ目は、スポーツ・レクリエーション環境の整備であります。
 スポーツ・レクリエーション活動施設の機能回復の支援や、各地域のスポーツ活動、健康づくりの再生支援を行うほか、生徒たちの各種競技大会へ参加する機会を確保するための支援を行ってまいります。
 次に、いわて県民計画第2期アクションプランの着実な推進についてでありますが、一つ目は、家庭、地域との協働による学校経営の推進であります。
 各学校が自己評価、学校関係者評価を実施し、その結果や改善方策を家庭、地域と共有して学校経営の改善を協働で進めてまいります。
 また、いわて型コミュニティ・スクールと教育振興運動との連携による取り組みを推進しながら、学校の教育活動の成果、課題等を情報発信し、地域、保護者等への理解の促進に取り組んでまいります。
 二つ目は、知、徳、体を備え調和のとれた人間形成であります。
 児童生徒一人一人の学習面や生活面の基礎、基本の定着により、社会を生き抜く力を身につけさせていく学校教育を一層充実した取り組みとして推進するため、児童生徒の学力向上、豊かな心をはぐくむ教育の推進、健やかな体をはぐくむ教育の推進、特別支援教育の充実に力を入れてまいります。
 特に、授業力向上セミナーや指導主事による学校訪問を拡大して教員の授業力向上を図るとともに、諸調査の結果を踏まえた重点的な指導や、授業と連動した家庭学習を推進し、学力向上に取り組んでまいります。
 三つ目は、生涯を通じた学びの環境づくりであります。
 県民一人一人が、生涯にわたって多様な機会を通じて継続的に学べる環境づくりに取り組むとともに、学んだ知識や技能、体験を地域社会に生かし、地域社会に貢献する人材の育成に取り組んでまいります。
 四つ目は、文化芸術の振興であります。
 平泉の文化遺産の世界遺産追加登録、北海道、北東北を中心とした縄文遺跡群及び釜石の橋野高炉跡を含む九州、山口の近代化産業遺跡群の世界遺産登録に向けた取り組みを国、関係市町などとの連携を図りながら進めてまいります。
 また、文化芸術の鑑賞機会の充実を図るとともに、伝統芸術伝承のため、関係団体と学校教育との連携を進めてまいります。
 五つ目は、豊かなスポーツライフの振興であります。
 平成28年に開催される2巡目岩手国体を視野に入れながら、中長期的な視点に立った選手育成や指導者の養成を推進してまいります。
 また、県民が日常的、継続的にスポーツに親しむことができる環境整備に取り組むとともに、地域の特色あるスポーツの振興を推進してまいります。
 続きまして、一般会計予算案について御説明申し上げます。
 お手元の議案その1の8ページをお開きいただきたいと存じます。議案第1号平成24年度岩手県一般会計予算ですが、第1表歳入歳出予算の歳出の表中、教育委員会が所管する予算は、10款教育費1項教育総務費から7項保健体育費までと、9ページの11款災害復旧費7項教育施設災害復旧費のうち学校施設災害復旧事業費を合わせ、総額1、396億7、654万6、000円となります。これを前年度当初予算額と比較いたしますと、39億8、805万6、000円、率にして2.9%の増となっております。
 各項目ごとの内容につきましては、便宜、お手元の予算に関する説明書により御説明申し上げたいと存じます。恐縮ですが、予算に関する説明書の202ページをお開きいただきたいと存じます。
 なお、事業費については省略させていただき、主な事項を中心に御説明申し上げますので、御了承いただきたいと存じます。
 10款教育費1項教育総務費1目教育委員会費は、教育委員会の運営に要する経費であります。202ページから203ページにわたる2目事務局費は、事務局の管理運営に要する経費のほか、いわての学び希望基金奨学金給付事業及び県立学校施設で高い値の空間線量率が測定された場合に土壌等の除染作業を実施する放射線対策事業に要する経費であります。3目教職員人事費は、教職員の健康診断など人事管理に要する経費のほか、子供のための手当、退職手当等に要する経費であります。204ページをお開き願います。4目教育指導費は、被災した幼児、児童生徒の心のサポートや学校教育に係るソフト事業に要する経費であり、5行目の児童生徒健全育成推進費は、震災により心にダメージを受けた幼児、児童生徒や不登校、いじめなどによる学校不適応の生徒に対応するため、スクールカウンセラーをすべての小中学校と県立学校で活用できるよう配置するとともに、沿岸部の公立学校を支援する巡回型スクールカウンセラーを教育事務所に配置するなど、専門的な相談体制の充実に要する経費であります。中ほどの特別支援教育推進事業費は、共に学び、共に育つ教育を目指すいわて特別支援教育推進プランに基づき、障がいのある児童生徒が充実した学校生活を過ごすことができるよう支援員や看護師を配置するほか、沿岸部の特別支援学校高等部生徒の職場実習や就職機会の拡大を図るため、県内企業との連携を強化するなど、特別支援教育の充実強化に要する経費であります。2行飛びまして、学校・地域の協働によるキャリア教育推進事業費は、生徒たちの社会人、職業人として自立する能力を養うとともに、地域を担う人材を育成するため、専門学校における実践的な教育活動に要する経費であります。次のいわて未来創造人サポート事業費は、家庭、地域と協働して、岩手の特色ある産業、文化を支える人材を育成するなど、生徒一人一人の進路実現に向けた各学校の取り組みに要する経費であり、次のいわて進学支援ネットワーク事業費は、生徒の進路希望の達成を支援し、将来の岩手を支える人材を育成するため、進学対策講座の開催や各学校の進学指導の取り組みに要する経費であります。1行飛びまして、中高連携英語力向上推進事業費は、中学生及び高校生を対象とした英語能力判定テストの実施や、指導改善研修会の開催により、生徒の英語力及び教員の授業力の向上に要する経費であり、2行飛びまして、指導運営費は、理科支 援員の配置や学習定着度状況調査の実施に要する経費のほか、文部科学省からの研究委託事業等の実施に要する経費であります。204ページから205ページにわたる5目教育センター費は、教職員の研修などに要する経費のほか、総合教育センターの管理運営に要する経費であり、6目恩給及び退職年金費は、恩給及び扶助料等であります。
 206ページをお開き願います。2項小学校費1目教職員費は、小学校教職員の人件費、旅費等であり、すこやかサポート推進事業費は、児童の基本的な生活習慣の定着と基礎学力の向上を図るため、非常勤講師の配置に要する経費であります。
 207ページの3項中学校費1目教職員費は、中学校教職員の人件費、旅費等の経費であります。
 なお、1行目、教職員費は、人件費、旅費等のほか、生徒指導や学習定着状況等で課題のある学校へ非常勤講師などを配置する、学校生活のサポートに要する経費等であります。
 2目学校管理費は、併設型中高一貫教育校である県立一関第一高等学校附属中学校の管理運営に要する経費であります。
 209ページをお開き願います。4項高等学校費1目高等学校総務費は、高等学校教職員の人件費、旅費等の経費のほか、説明欄下段の高等学校通学支援バス運行費は、被災した高田高等学校の仮校舎への通学バスの運行に要する経費であります。また、2目全日制高等学校管理費、210ページの3目定時制高等学校管理費は、それぞれの学校の管理運営等に要する経費であります。211ページの4目教育振興費は、高等学校における教育用備品の整備、農業及び水産業教育等の実験実習に要する経費のほか、中ほどの高校奨学事業費補助は、高校生向け奨学資金等を財団法人岩手育英奨学会に対し補助するものであり、下段のいわての学び希望基金教科書購入費等給付事業費は、大震災津波で被災し、生活基盤を失った生徒に対して、教科書、制服及び修学旅行に要する経費の一部を給付するものであります。211ページから212ページにわたる5目学校建設費は、高等学校などの建物等施設整備に要する経費であり、校舎建設事業費は、盛岡商業高等学校校舎等の改築工事を進めるほか、新たに着手する花巻農業高等学校校舎の改修設計などに要する経費であります。次の校舎大規模改造事業費は、宮古商業高等学校ほか2校における校舎等の耐震補強工事の実施に要する経費であり、このほか、校舎、教職員住宅等の整備、維持管理に要する経費を計上いたしております。212ページをお開き願います。6目通信教育費は、通信教育の管理運営に要する経費であります。
 213ページの5項特別支援学校費1目特別支援学校費は、特別支援学校教職員の人件費等の管理運営に要する経費及び各校の維持管理に要する経費のほか、3行目の施設整備費は、療育センターの改築整備に伴い、盛岡となん支援学校についても必要な整備をしようとするものであります。
 215ページをお開き願います。6項社会教育費1目社会教育総務費は、社会教育関係職員の人件費のほか、子供の読書活動及び学校、家庭、住民等が総ぐるみで地域の教育課題の解決に自主的に取り組む教育振興運動の推進に要する経費等であります。なお、説明欄下段の学びを通じた被災地の地域コミュニティ再生支援事業費は、被災地を含む各地域の子供たちの放課後の安全、安心な居場所づくりや、地域の学びの場づくりのための地域人材の育成と活用を推進するとともに、地域の学びの場を中心とする地域コミュニティの活性化支援に要する経費であります。215ページから216ページにわたる2目文化財保護費の主な内容といたしまして、216ページの1行目、文化財保護推進費は、指定文化財の保存、修理への補助や民俗芸能の伝承を促進するほか、北海道、北東北の縄文遺跡群及び九州、山口の近代化産業遺跡群の世界遺産登録に向けた取り組みの推進に要する経費であります。次の遺跡調査事業費は、沿岸地域の復興事業を円滑かつ迅速に進めるための埋蔵文化財調査に要する経費であり、2行飛びまして、世界遺産登録推進事業費は、世界遺産に登録された平泉の文化遺産の重要性などを周知するとともに、構成資産の追加登録に向けた取り組みに要する経費であります。216ページから217ページにわたる3目芸術文化振興費は、青少年のすぐれた芸術鑑賞機会の提供、中高校生の芸術文化活動の支援、岩手芸術祭の開催に要する経費などの芸術文化振興に要する経費のほか、県民会館の管理運営に要する経費等であります。
 なお、説明欄下段のいわての学び希望基金被災地児童生徒文化活動支援費補助は、被災した児童生徒の文化活動の大会への参加に要する経費を補助するものであります。
 217ページの4目図書館費は、県立図書館の管理運営に要する経費及び課題解決型支援サービスの充実のための専門職員を配置したビジネス支援コーナーの設置に要する経費であり、5目博物館費は、県立博物館の管理運営に要する経費であります。218ページをお開き願います。6目美術館費は、県立美術館の管理運営に要する経費であります。
 219ページの7項保健体育費1目保健体育総務費は、保健体育関係職員の人件費、県立学校医や児童生徒の健診、その他保健管理に要する経費及び指導運営に要する経費であります。219ページから220ページにわたる2目体育振興費は、生涯スポーツの振興に要する経費、国民体育大会への本県選手団の派遣経費、児童生徒の体力、運動能力の向上対策に要する経費、各種体育大会への選手派遣に要する経費への補助及び競技力向上のための事業実施に要する経費であります。その主な内容として、2行目の生涯スポーツ推進費は、総合型地域スポーツクラブ及び指導者育成に要する経費であり、中ほどの児童の体力向上推進事業費は、小学校体育指導者の授業力向上のための研修を行うとともに、小学校体育や中学、高校部活動に地域のスポーツ人材を派遣するほか、被災地域の中学、高校部活動に対する内陸部等への体育施設に移動するためのバスの借り上げなどに要する経費であります。220ページをお開き願います。説明欄中ほどの競技力向上対策事業費は、国民体育大会や全国規模の大会に出場する選手の強化対策及びジュニア選手の早期発掘と育成などに要する経費であり、5行飛びまして、第71回国民体育大会選手強化事業費は、平成28年に本県で開催される国民体育大会に向け、競技団体と連携して効果的な選手強化を図るとともに、本県競技スポーツの普及、振興に要する経費であります。2行飛びまして、いわての学び希望基金被災地生徒運動部活動支援費補助は、芸術文化振興費と同様に、運動部活動の県大会や東北大会等への参加に要する経費を補助するものであります。3目体育施設費は、県営体育館の管理運営及び県営体育施設の施設整備等に要する経費であります。
 次に、ページを飛んでいただきまして、234ページをお開きいただきたいと存じます。11款災害復旧費7項教育施設災害復旧費1目学校施設災害復旧費は、高田高等学校を新築整備するための造成工事等に要する復旧経費であります。
 次に、債務負担行為について御説明申し上げます。
 恐縮ですが、議案その1にお戻りいただきたいと思います。議案その1の11ページをお開きいただきたいと存じます。第2表債務負担行為の表中、教育委員会で所管する事業は、13ページのナンバー37の特別支援学校施設整備の1件であり、盛岡となん支援学校の改築整備に係る基本設計及び実施設計委託業務が翌年度にわたることから、期間及び限度額を定めて債務を負担しようとするものであります。
 以上で予算関連議案の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
〇喜多正敏委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 早いもので、発災から1年が経過いたしました。本当にこの1年間は大変な思いをして過ごしてきた気がいたします。今でも遺体安置所で見た光景は夢にも出てまいりますし、決して今後、死ぬまで忘れることはできない光景でございました。
 そういう中で、宮古には浄土ヶ浜がありまして、常安寺のある住職が、その浄土ヶ浜の景観を初めて見た際に、浄土とは定めしこのようなところであろうというところから浄土ヶ浜という名前がついたことになっていますが、私が遺体安置所で見ました光景はまさに凄惨なものでありまして、地獄とはこういうところなのか、そのような思いがしたところであります。
 この1年間、ひたすら犠牲となりました方の御冥福をお祈りしてきたところでありますが、1年も経過いたしました。私たちが下ばかりを向いていても次なる世代を元気づけることにはなりませんので、次なる世代が夢を持ってこの岩手に張りついてくれるような大人の仕事をしていかなければならない、このように思っておりますので、スポーツ振興という観点から二つ、三つお聞きしたいと思います。
 何よりも復興の中心となるのは、今の高校生、中学生であろうと思います。もちろん私たちも当然役割をこなさなければなりませんが、そういうふうに思います。
 そういう中で、国体というものも視野に当然入ってきておりますので、そういう観点からも重ねてお伺いしたいと思いますが、昨年3月11日2時46分、宮古湾内には、宮古商業高校のヨット部の生徒たちが七つの船に乗りまして、湾内の外港に近い部分で練習していた。そうしましたところマグニチュード9の地震が発生いたしまして、港には事務所のようなものがあって、NPO法人宮古マリンフィールドに勤めている女性が1人いた。この方がマイクで沖合いの子供たちに連絡しようとしたそうでありますが、当然届くはずがない。したがって、目の前にあった15馬力かそこらの船外機つきのゴムボートに飛び乗って、湾内を奥深く行って、まず子供たちを避難させようということを始めたようであります。
 ところが、白浜の沖合いぐらいですから結構時間がかかる。しかも決して馬力のあるボートではありませんので、ヨット7艇をつなげて引き戻すくらいの力はない。行って何とか戻れとは言ったものの、ひょっとしてこのままみんなと終わるのではないかと思ったようでありますが、そのときまさに神風が吹いたということでありました。津波が襲ってきて、太平洋側から津波にあおられた風が来たのかどうかわかりませんが、宮古湾内の正面にある月山のほうからすごく強い風が吹いてきて、その風に乗ってみんなマリンハーバーに戻ってきて、そして堤防に避難した。ところが、堤防だけでは危ないということで、裏山を越えて宮古商業高校のグラウンドまで逃げて事なきを得たわけであります。
 本当によかったと思っておりますが、その際、宮古高校は当時、試験ということで来ていなかったようでありますけれども、ヨット部のヨットが全部流されてしまいました。去年の7月、東北インターハイが宮古で行われる予定でありましたが、会場を秋田にかわってもらって、だけど子供たちはヨットを続けたいということから、いろいろなところにお願いしたい、こういうことから、連休前だったと思いますが、教育長、次長のところに来て宮古の現状をお話し申し上げて、何とかインターハイに参加できるように、子供たちに元気が出るようにヨットをそろえていただきたいとお願いしたところでございます。わかりましたということで、宮古高校、宮古商業高校にそれぞれ5艇ずつ、あるいは救助船も含めて予算措置をいただいたわけでありますが、一方、世界、全国のヨットマンたちから、この惨状を聞いていろいろ寄贈するヨットが集まってまいりまして、今、何とかその数がもっているようであります。
 また、県土整備部からいろいろなお骨折りをいただきまして、国土交通省の支援資材等を入れる大きなテントをマリーナの一部に設置することができて、大体の船は今そこに格納している状況にありますが、せっかく全国の善意でもらったヨットが全部格納し切れておりません。艇庫が被災して、今、骨組みしか残っていないのであります。
 したがいまして、国体の有力な得点源にもなっている岩手のヨットを復活させるためにも、早く艇庫を改修していただいて、国体に向けての子供たちの活動を支援していただきたい。もちろんヨット以外にもいろいろなスポーツはあると思うんですけれども、宮古でございますので、まずはヨットについてお伺いしたいと思います。せっかく予算を措置してもらいましたが、ヨットは全国から、世界各国からいただきました。したがって、措置してくれた3、000万円は残っているわけでありますから、これは貸しだと思っているんですが、それを艇庫のほうに向けてもらいたい、このように思うわけですが、いかがでございますか。
〇小倉学校施設課長 艇庫の整備についてでございますけれども、ただいま委員から御指摘がありましたように、宮古地区におきましては、ヨット競技で全国大会、インターハイでありますとか国体で非常に大活躍をしてきたということで、そのことが県民あるいは地域の住民に感動あるいは夢を与えてきたと私は思っておりますけれども、そうした部分、競技面からでありますが、サポートするということで、艇庫等のハード面の環境整備を図っていくことは非常に重要であると認識いたしているところでございます。
 艇庫がございましたリアスハーバー宮古につきましては、3月11日の大震災津波によりまして、防波堤でありますとか岸壁が被災したということでございますし、また、建物を建てる地盤も大分沈下しているという状況にございます。こうした状況を考慮いたしますと、直ちに復旧するということは困難な部分があるのかなとは思っているところでございますが、来年度当初予算の中に艇庫の整備費に係る設計費を計上させていただいているところでございまして、関係課とも協議いたしながら、また、現地の復旧の状況も見ながら、艇庫の整備について可能な限り早期に図られるよう努めてまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 いずれ若者にやる気を起こさせて、そしてその結果、岩手に残る、そういう気持ちを持ってもらいたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、ラグビーにつきまして二、三お伺いしたいと思います。
 閉伊川の宮古高校前の第2グラウンドも水をかぶりまして、しかもマグニチュード9ということで随分水没いたしまして、現在でも、仮復旧はしてもらっておりますけれども、大潮になりますと、ポストの下よりも東のほう、インゴールラインですけれども、そこは水が20センチ、30センチかぶる状況にございます。あらあらの補修は宮古市でやってもらっておりますが、雪が解けたら続行してやるということがきのう確認できましたので、これにつきましてはどうのこうのではありませんが、一つだけお話ししておきたいと思います。
 5月の連休前でありましたけれども、県立黒沢尻工業高校のラグビー部の監督、父兄会あるいは生徒たちが、宮古高校のグラウンドが被災したということで復旧の応援に来てくれました。重機を積んで、あるいは土のう袋をいっぱい持って、スクラムマシーン、タックルマシーンなどもボールも置いていってくれたわけでありまして、言ってみればライバル関係にある学校ではありますけれども、そういう被災をしたところにお手伝いに来る、大変麗しいラガー精神だと思って感心しているところでありまして、去年、黒工が勝ったのは、やっぱりこういう心があったからなんて思っているところでありますけれども、宮古高校も3度目の花園を目指して頑張ってもらいたいと思っていますので、フォローをお願いしたいと思います。
 ラグビーに関連してですが、閉伊川の、芝を張った2面のグラウンド、何年か前に作ってもらったところがございます。これが今回の大震災で自衛隊の宿営地に利用されました。したがいまして、それはしようがないことでありますが、芝張りの芝が全部傷んでしまいまして、そのほか、散水施設でありますとかも傷みました。それについて復旧をということでお願いしていましたし、県下高校新人戦は来年度やると四十五、六回になるかもしれませんが、全部宮古市でやってもらっておりました。当然これがなければ昨年も宮古市でやる予定だったんですが、グラウンドがそのとおりということで花巻市でやったと聞いておりますが、復旧していただいて、ただ、今、芝は張っていない。芝は張る時期があるそうですから、その時期にちゃんと張っていただいて、新年度の高校新人選ラグビーはぜひ従来に戻して宮古市でお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 宮古市のへいがわ老木公園多目的グラウンドでございますが、現在、地中の配管等の工事を実施してございまして、この3月中旬をめどに芝張りの工事に着手し、秋口の養生を経て、ことし秋から使用が可能となると伺ってございます。
 新人大会の件でございますが、県高校体育連盟ラグビー専門部は、平成24年度の県高校新人大会ラグビー競技の会場として、伝統のある開催地宮古市の同グラウンドの使用について、市に使用させてほしいと申し入れているところだそうでございます。11月初旬の新人戦は宮古市で行われる予定となってございますので、よろしくお願いいたします。
〇伊藤勢至委員 2巡目国体が終わると、その2年後に今度は世界ワールドカップラグビーが日本で開催されることが既に決まっております。そういう中で、試合を各地で開催したい、それを岩手に呼びたいということでさきの一般質問で小野共議員から出たと思いますけれども、これはトータルでオール岩手のラグビーを元気づけるという意味で、私は非常にいいことだと思っております。まず2巡目国体を成功させたその勢いを駆って、2年後に県内のラガーマンの垂涎の的でありますワールドカップのゲームを見たい、こういう運動をこれから各議員の皆さんのお力をかりながら進めていかなければならないと思っておりますけれども、こういうときであるからこそ、次の世代の子供たちにインターナショナルな目線あるいはインターナショナルな試合を見せるということは大事なことだと思います。
 したがいまして、まず、2巡目国体を成功させ、その余勢を駆ってということでありますが、教育長はどのようにお考えでしょうか、お伺いして終わります。
〇菅野教育長 やっぱりスポーツの力というのは、非常に今回の震災でも大きなものがございました。北東北インターハイの成果がそれを如実にあらわしていると思います。子供たちに将来の夢を持ってもらうということは非常に大事なことでありますので、ワールドカップにつきましても、まずは、どういった状況で会場地が選定されるのか、その情報収集をしっかりやりながら適切に対応してまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 ただいま伊藤勢至委員からワールドカップのお話が出ました。この間、小野共議員からも一般質問にあったわけですが、非常に今回の東日本大震災で大変な被災を受けた釜石市が、市長も、生活再建を優先しよう、そういう思いの中に、ただ、やはり若者に夢をということで、市を挙げてそのワールドカップの誘致に取り組もうというような決断をなされたようでございます。
 ワールドカップの会場については、この委員会室におられる委員の方も恐らく3万人とか4万人規模ぐらいのスタジアムが必要なんだろうというような思いがあるかと思いますが、釜石市が想定しているのは、自然の地形を生かした3、000人程度のスタジアムで誘致をしようというような計画と伺っております。これはやはり、現在のワールドカップを所轄する本部─ヘッドクォーターも、ラグビーへの釜石市民の思い、そして今まで地域に貢献してきた実績、そういうものも非常に深く理解していただいているようでございまして、スタジアムの規模にはこだわらないというようなことも言明していると聞いております。
 誘致をする先、建設先も大体具体化しているようですが、その辺についての情報、それから、そのスタジアムの規模について、教育委員会はどのような所見であるかお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 2019年のラグビーワールドカップの件でございますが、現在、日本で開催する、そして具体的な開催地についてはこれから決まるという状況でございます。
 規模につきましては、2万人あるいは3万人収容の線が出ておりますが、委員御指摘のとおり、ラグビーワールドカップを運営している組織の者がその規模には必ずしもこだわるものではないというお話をされていると聞いてございます。
 ニュージーランドも地震の被災がございまして、その後に前回のワールドカップを実施しておりますが、その際には、一番小さいスタジアム、1万3、000人の常設のスタジアムで実施したようなケースもございます。これを念頭に入れながら、さまざまな情報収集をしていきながら、釜石市にどういうお手伝いができるのかということを検討していきたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 非常に私は、釜石市の姿勢は、3、000人という数字をすぐ出して、現実的な路線で復興に向けての一つの象徴としてというような形で、現実的な選択の中で夢を追求しようとするすばらしい姿勢だと思っております。
 決勝トーナメントに進むような試合を想定しているのではなくて、1次リーグで2試合程度というようなことも既に視野に入れてやっているようでございますので、ぜひとも県の教育委員会も、国体、そしてワールドカップというように、選手の育成も含めて、ラグビーの、特に釜石というのは、競技した者にとっては非常に象徴的、また思い入れのある地区、そしてまた被災した土地でもありますので、ぜひとも前向きに進めていけるように、情報収集するだけではなくて情報発信できるような体制でやっていただきたい、このことを申して終わります。
〇小野共委員 私も一言言わせていただきたいと思います。 
 一般質問でも申し上げさせていただきましたけれども、平成31年、ワールドカップの日本大会が決まっております。今回、世界各国からの援助、そしてさまざまな支援が我が岩手、被災地に集まりました。それに対する御礼の気持ちと申しますか、平成31年にワールドカップがあるときに、世界各国からお客さんが我が岩手、そして三陸沿岸にいらっしゃったとき、8年前にここでこんなに大きな震災があったということ、でも、これだけ復興したんだというような、三陸沿岸のすばらしい景色を私はやっぱり世界の人たちに見てもらいたいと思います。
 見ていただければわかると思いますけれども、2メートルを超える大男が100メートルを11秒で走ってくるわけです。最高のアスリートが最高の技術をあのきれいな芝生で見せるわけです。これは本当に感激します。ラグビーの試合だけではなくて、やはりそういった岩手の三陸のすばらしい復興の姿を世界各国の人たちに見せていただきたいと思います。
 読売新聞の取材でありましたように、ワールドカップを被災地で開催する意義というのはやはりある。そういったものを世界の人たちに見ていただく、そういったところにやっぱり私は意義というものはあると思います。人種もなく、白人、黒人、そして我々黄色い人たち、そういう人種もなく……(「質問、質問」と呼ぶものあり)済みません、熱い思いを語ってしまいました。
 改めてお願いいたしたいんですが、一般質問のときには知事に最後にお聞きして終わったんですけれども、きょうは教育長、お願いいたします。これからにかける熱い思いというか、そういったものを聞かせていただきたいと思います。
〇菅野教育長 本会議でも知事が御答弁されました。釜石市でそういうことをやっていただく。先ほど飯澤委員からもお話がありました、ある程度現実的に、むしろ我々の思いとしてこういう情報を発信していくというのは非常にやっぱり大事なことだろうと思います。したがいまして、それが全県的な取り組みとなるように、教育委員会としてもいろいろ釜石市とともに努力してまいりたいと思っております。
〇小野共委員 同じ質問を教育委員長にお願いいたします。
〇八重樫教育委員会委員長 個人的な話をしますと、私はラグビーが大好きです。高校、大学、社会人と、ビデオを撮りながらとにかく1日何回も見たりしているんですけれども、なぜいいかというと、トライをした人間だけではなくて15人が全員で喜ぶ。1人のヒーローじゃなくて、全員で勝ち取った、そういう喜びを示すところが私は大好きです。そして、今回の震災に当たっても、釜石のラガーマンが避難所で働いたり、いろいろなものを配布したりとか、あの大男たちが涙を流しながら働いているというのを見て、ラグビーそのものだけではなくて、そういう奉仕をする、あるいは仕事をするというところにもスポーツマンらしいところがあると思います。
 結論は、ラグビーだけの話をすると、サッカーはどうしたんだ、野球はどうしたと言われそうですけれども、釜石市を中心にといいましょうか─会場は釜石市でもいいですけれども八幡平市からもそういう話もされますので─、ぜひラグビーの国際大会を誘致して、県民挙げて感謝の気持ちをあらわす。復興、ここまで回復したんだということを示すためにも、ぜひラグビーを岩手県で開催してほしいと思いますし、私も応援していきたいと思います。
〇軽石義則委員 伊藤委員から母校まで褒められましたので、一言言わないと。
 私も昨年10月の初めての定例会に登壇させていただいた際、ワールドカップについて、開催をぜひお願いしたいということで質問させていただいておりましたけれども、やはりこの復興を成し遂げた姿を世界各国の多くの皆さんに見ていただいてPRしていただく絶好の機会であると思いますし、当然、その前段に、国体においても本県のお家芸でありますラグビーが活躍すること、まずは基礎をつくっていくことも大事なことだと思っております。
 各地域でも、いろいろな課題等を抱えながらも、そのために努力したいという声も上がっているところでありますけれども、やはり岩手県が各地の声を取りまとめて全体の力にしていくことはかなり大事なポイントだと思いますけれども、そのことについてさらにいろいろな状況把握をした上で対応していただくこと、そして加えて、やはり底辺といいますか、人口拡大をしなければ選手層も厚くなりませんので、スポーツ競技人口、ラグビーに対しての思いを持っている方々を支援していただくことをさらに強めていただくことをお願いいたし、このことについてまた教育長からぜひとも、知事にきっちりと伝えるということだけでなく、知事からもその答えが出せるように、発信していただけるようにお願いして、所感をお願いいたします。
〇菅野教育長 各委員からお話がありました。まずは岩手国体をしっかりやらなければならない。そのベーシックなところを積み重ねながら、ただ、そのためにはやはり、今、委員からお話がありました選手の層を厚くしていかなければならない、子供たちも含めてなんですが。そういう地道な取り組みを一つ一つ進めながら、ラグビーを初めとする岩手の競技全体に向けての底上げとその振興に努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木大和委員 では、5番目に言わせていただきます。
 今の被災地の元気づけとあわせまして、ラグビーのワールドカップは、前回、日本が候補になったときに空振りした経過があります。そのときに岩手県のラグビー関係者が随分努力をしましてその準備に当たってまいりました。当時は県内いろいろな、秋田もありますし仙台もあるんですけれども、ラグビーに関しては岩手県でいいのではないかと他県の協力も生まれてきた経過もございます。そういう意味で、岩手県の多分ラグビー協会も、みずからの責任でもって、やはりこのワールドカップには頑張って手を挙げて実現していきたい、そういう思いをみんな持っていると思います。
 東北各地の協力を得ながらやる必要のあるワールドカップですので、日本の中での試合数もこのラグビーは少ないと思います。前回の経過の説明のときにも試合数が非常に少なかったんですが、そういう中で、やはり岩手県でやっていきたい。岩手県のラグビーの実績を高く評価しているところから生まれた経過がありますので、その点を踏まえて、ぜひ東北各県と協調する中で実現していただきたい。
 教育委員長、一言お願いします。
〇八重樫教育委員会委員長 各県ともやっぱりいろいろな大会を誘致したいという気持ちがあると思います。その辺を調整しながら、この際、東北3県、被災3県、いろいろな意味で注目されていますし、応援してくださる方も多いのではないかと思いますので、新日鉄釜石時代7連覇という時代もありましたし、そういう意味でも、東北6県とも協調しながら、岩手県でぜひ行われるような形で今後情報収集したり発信もしていきたいと思います。
〇喜多正敏委員長 ほかにありませんか。
〇名須川晋委員 私も体だけはラガーマンでございますが、大変私も興味深く聞いているんですけれども、2002年にジャパン・コリアのサッカーワールドカップがございまして、このとき花巻市がスポーツキャンプ村をキャンプ地として、試合の前のキャンプ地、体調を調整するというところで、1週間とか10日とか、そこでいろいろな練習をしながら体を調整していくというところなんですが、今回、この前いただいた資料を早速ある議員に紹介いたしましたら、この前の市議会なんですが取り上げていただいて、花巻市では、キャンプ地として何とか選ばれるように取り組んでいきたいという前向きなお言葉をいただいたところでございます。
 先ほど八幡平市のお話もあったんですけれども、非常にスポーツキャンプ村というところは冷涼で、しかも芝もすばらしい、近くには温泉があるということでございますから、その大会をする場所だけではなく、キャンプ地、サッカーの場合は全国各地手を挙げられまして残念ながら漏れたんですけれども、ラグビーの場合はちょっとわかりませんが、キャンプ地としての魅力もこの岩手から発信していただきたいということで何とかお願いをいたしたく、要望だけではあれでしょうから、何か御答弁等あればお聞かせください。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 キャンプ地の件でございますが、ワールドカップラグビーのキャンプ地につきましては、会場地と同様の手順で選ばれるというような情報がございます。したがいまして、その際に広く県内のキャンプ地を募る形になろうかと考えてございます。
 なお、2020年に東京オリンピック招致が今、動いてございますが、被災地では積極的にキャンプ地を受け入れる気持ちがあるということでスポーツ関係団体には申し入れしているところでございますので、それとあわせながらキャンプ地を開拓していきたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 大変ありがたい話、八幡平市の名前も出ましたけれども、実は、八幡平市はニュージーランドと大変交流があります。田村市長も行ったり来たりしていますけれども、先般、ニュージーランド大使に、ぜひとも岩手県でキャンプを張ってほしい、特定の国を名指しでお願いしたということ、これからやっぱりそういう取り組みが必要ではないか。漠然としたキャンプ地ではなく、ターゲットを絞って、ぜひ岩手県でキャンプをしてほしい。そして、できるだけ岩手県の釜石市で本大会が開かれるような取り組みがこれから一つのスケジュールとして必要ではないかと思います。
 その辺に関して、県でも当然そういう流れで取り組んでいってほしいと思いますけれども、いかがでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 キャンプ地の招致につきましては、やはりさまざまな代表国との関連が大きくなってくると認識してございますので、相手国を想定したりということでキャンプ地も動かざるを得ないのではないかと考えてございます。そこのところにつきましても、どのような要件が必要なのかという情報を収集いたしまして御提供するような形でいきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
〇工藤勝子委員 夢と希望につながるラグビーのワールドカップ誘致から、また現実に戻りたいと思います。
 沿岸被災地の住宅高台移転に伴う埋蔵、それから遺跡調査についてお伺いいたします。
 県議会の災害対策特別委員会の中でも、現地調査の中で市町村から多くの要望を出されております。そういう中で、岩手県は復興8年という見通しを立てているわけですけれども、今やはり生活の再建が第一でありまして、その中でも、やはり早く自分の家を建てたいという人たちが多くいらっしゃいます。
 そこで、今度、埋蔵文化財遺跡調査の関係で、調査の終了年数の見通しについてお伺いいたします。
 また、現在、市町村からどのくらいの要望を受けていらっしゃるのか、現場の状況と対象市町村についてお伺いいたします。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 沿岸被災地の住宅の高台移転等に伴う埋蔵文化財調査についてでございますけれども、終了の見通しということでございますと、現在のところ、まだ沿岸市町村の復興事業の全体像が明らかになっておらないため、現時点で想定することは難しいところでございますけれども、埋蔵文化財調査が復興事業推進の支障とならないように、調査体制の充実と調査の効率化を図っていきたいと考えているところでございます。
 なお、現在の調査の状況でございますけれども、調査につきましては、野田村あるいは山田町といったところで調査等を実施している状況がございますが、来年度4月以降の調査につきましては、12市町村中、4月以降8市町村から既にそういった移転等に伴う発掘調査の計画が出されておりまして、県では支援してまいりたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 それでは、その箇所にもよるでしょうけれども、大体1カ所どのくらいかかるものなのでしょうか。
 それから、平成24年度、全国からの調査員の方々を増員体制で行うと思っていますが、その体制づくりについてお伺いいたします。
 それから、文化庁は、基本として全部調査するというような方針と私はとらえておりますけれども、県の方針と、それから調査を行おうとしている8市町村の方針をどうとらえていらっしゃるのかということをお聞きいたします。
 これは、やはり現場を、大変貴重だということで保存しなければならないものと、この辺のところは記録でもいいじゃないですかというところもあるんだろうと思っております。中越地震で山古志村も大きな被害を受けて、やはりあそこもどこを掘ってもそういう埋蔵文化財と申しましょうか、遺跡が出てきたんだそうです。そこで、前の村長が独断で、いつかは調査しますよということで、目をつぶって、ある程度の盛り土をしてそのままそこを使ったというようなお話もされておりました。そういうこともありますが、県の方針はどうなんでしょうか、お伺いいたします。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 最初の御質問のところがよく聞き取れず申しわけございませんが、遺跡の箇所あるいは年数ということでございますでしょうか。(「調査にどのくらい時間がかかるのか」と呼ぶ者あり)
 遺跡の内容によりまして、例えばただの家の跡があるところと、沿岸でございますので、貝塚があって貝が大量に積み重なっているといったような状況の中では一概に言えないというようなことがございますが、長い調査になりますと1年では終わらないというような状況もあるところでございます。
 そういった中での次の関連の御質問に続いていくのかととらえてございますが、来年度の全国からの調査員の支援ということでございますが、文化庁の御協力を得まして、都道府県から10名の職員の支援を受ける、そして体制の強化を図るというようなこと、またあわせて、教育委員会におきましても5名増員して調査体制を組んでまいりたいと考えてございます。
 なお、事業が進む中で、年度途中、支援職員が必要になった場合においても、今から文化庁を通じて都道府県と現在調整を進めているということで、セーフティネットをとにかく広く張って対応してまいりたいと考えているところでございます。
 それから、発掘調査についての基本的な方針ということでございますけれども、委員御指摘のとおり、文化庁においては文化財保護法という法律がございまして、遺跡が損壊される場合は発掘調査を実施するんだというようなところでございます。しかしながら、こういった非常時でございますので、いかに調査を効率よくやるのかといったところを考えていこうというようなことで方針が出されております。
 これを受けて、県並びに市町村では、現在考えてございますのは、やはり遺跡は地域の歴史や文化を知る上で欠かせないものであるという認識で、調査はやはり実施するところでございますけれども、しかしながら、発掘調査がそういった復興事業推進の支障とならないように、住宅建設に際しては、今、御指摘ございましたけれども、例えば盛り土をして地下の遺構を壊さない範囲で、家を建てる場合は調査を回避するといった方法、あるいは発掘調査において一番時間がかかりますのは、人手で細かく調査していく、あるいは記録をとる、こういった作業でございますけれども、そういった場合に、デジタル機器を活用して調査の効率化を図る、こういった方法をとっていこうということで今、市町村と共通理解を図っているところでございます。
〇工藤勝子委員 ぜひ、この沿岸地域の住宅を建てたい、例えばあとは学校とか病院とか、そういう公共的な施設を建てていこうとするときにこの調査が足かせにならないようにと思っております。
 各都道府県からの応援態勢は10人ということでありますけれども、調査の資格を持っている人は10人であっても、例えばそれを手助けする人をぜひその地域の人たちの雇用として雇っていただいて、私からイメージすると、はけと移植べらの世界ではないかと思っているんです。そうしますと、そこの現場に1人の調査員が張りついたならば、あとの30人なり40人はそこの現場の市町村の人を雇って、女性でもいいわけです、今、女性の雇用が少ないので、そういう人たちのお手伝いをいただいて、1年とかというのではなくて、もっとスピーディーにこの調査を、私も歴史とか文化を無駄にせいというわけではございませんけれども、ぜひそういうスピードを持った進め方をやっていただければいいのかなと思っております。
 そういう部分において、1億5、100万円の予算でありますけれども、全体的にやるのにこれで間に合うんでしょうか、そういう思いに駆られたわけでありますけれども、この辺についてどのようにお考えなのか、予算が足りるんでしょうか。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 予算のお話でございますが、県としての予算は1億5、000万円ということでございますけれども、基本的に住宅の高台移転等は市町村の事業となってございまして、その発掘調査費については、復興基金のほうに市町村が申し込みをしてございまして、それらを合わせるとトータルで、県内で7億円ぐらいの発掘調査費を用いて来年度につきましてはやる予定でございます。
 なお、もっと事業が本格化するのは、平成25年度以降と考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。ぜひ、今要望されております8市町村と連携をとりながら進めていただければと思っておりますし、あわせて、教育委員会は関係ないかもしれませんけれども、ぜひそういう部分の雇用の創出の部分も兼ねてやっていただければと思っております。
 次に、高田高校の災害復旧についてお伺いしたいと思っております。
 今年度、設計等に入るというような情報をとっておりますけれども、今後における高田高校の、非常に人口が流出しているという状況もある中で、生徒数は変わっていないのかという推移をお聞きしたいと思っております。それから、校舎、体育館、校庭等の整地のすべての完成年度の見通しについてお伺いいたします。
〇上田高校改革課長 まず、高田高校におけます今後の生徒数の推移等でございます。
 気仙地域は、陸前高田市に所在しております高田高校を含めまして、例えば現在仮設住宅に居住している住民の方々がいらっしゃいますが、今後どのような居住形態をとられてまいるか、あるいは内陸部などへ一たん転居された住民の方々もいらっしゃいます。そういった方々は、もしかすると地元のほうに戻ってこられるといった可能性もございますが、現時点では、そういった動向については不透明でございます。
 したがいまして、今後、気仙地域の中学校の卒業生の推移とか、あるいは高田高校を含めました管内高校の例えば規模等についてどうなるのかということを現時点において見きわめることは、かなり難しいのではないかと考えております。
〇小倉学校施設課長 校舎等の完成の見通しでございますけれども、県立高田高校の復旧整備に当たりましては、子供たちの良好な教育環境を確保するという観点から、早期整備を図りたいと考えてございます。
 このため、平成24年度につきましては、用地取得、造成工事、施設の基本設計、実施設計等を行いまして、平成25年度から26年度までの2カ年にわたりまして施設の建設工事を行う予定としております。
 具体的には、校舎につきましては平成25年度の後半から26年度にかけまして、第1体育館につきましては平成25年度、第2体育館につきましては平成25年度の終わりから26年度にかけて整備を行う。また、実習棟につきましても、平成25年度の後半から26年度にかけて整備を行っていく予定としているところでございまして、これら主要施設の平成26年度末までの完成を目指しているところでございます。
 また、グラウンドがあるわけでございますが、県立高田高校の第1グラウンドにつきましては津波で浸水いたしました。また、第2グラウンドがございますが、現在仮設住宅が建設されているというような状況にございまして、陸前高田市の震災復興計画の進捗状況等を踏まえながら、早期整備が図られるよう取り組んでまいります。
〇工藤勝子委員 こういう学校施設は、災害復旧というのは現場復旧だというようなことを聞いております。ということは、結局は、もともとはその場所に建てるのが本当の現場復旧なわけですけれども、その部分は流されたわけですので、別なほうに、安全な場所に移るということは認められたと聞いておりますが、結局、もともとは鉄筋コンクリートの建物だったわけですので、今度新しく建設される校舎も鉄筋コンクリート建てだということでありました。
 そこで、それはそれとして仕方ないのかなと思っていましたけれども、今後、小学校や中学校を建てていくわけですが、何かこういうものに特区法なんかを使えないのかなという思いに駆られたところでもあります。この県産材、それから木材の活用の方針について、例えば、内装になってしまいますよというような教育委員会のお話もございましたが、その辺についてお伺いしたいと思っております。
 それから、この校舎の建設に当たって再生可能エネルギーを導入できないのかという方針であります。例えば、屋根の上に太陽光のパネルを上げるということで、そういうエネルギー導入を学校として、まず生徒さんの科学的なそういう要素も含めてできないのかと。
 それから、光熱には、住田町にチップ工場もありますし、木材も豊富にあるところでありますので、例えばチップボイラーを使えないのかというようなことも考えておりますが、いかがでしょうか、お伺いいたします。
〇小倉学校施設課長 学校施設の整備に当たりましての木材利用等の方針ということでございますけれども、県立高田高校の整備につきましては、委員からも御指摘がありましたように、原形復旧を原則といたしますが、今回は、災害復旧事業という形で整備をすることといたしております。
 木材の活用につきましては、建築基準法等の規制がございますので、そういった法律に留意するとともに、防災対策にも十分に配慮しながら、可能な限り木材利用が図られるというような形で進めたいと考えておりまして、平成24年度に施設の基本設計、実施設計を予定しておりますので、その中で具体的に検討していきたいと思っております。可能な限り、腰壁でありますとか、いろいろなところで木材が活用できるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
 それと、再生可能エネルギーの導入の御質問がございましたが、県立高田高校については、応急避難場所としての機能を有する方向で整備を進めてまいりたい、検討していきたいと考えておりますけれども、この具体の機能につきましては、地元の意向でありますとか、防災対応型太陽光発電設備の導入などが盛り込まれました国の提言なども踏まえながら、基本設計、実施設計の中で検討していきたいと考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 木材で建設をするということは、建築基準法の関係で非常に難しい部分があるだろうと思っております。でも、遠野の例を見ても、遠野市役所の鉄筋コンクリートの建物が全壊して、周りの木造の住宅が一向に壊れないんですね。あれを見ると不思議でならないんですね。あのぐらい頑丈な建物が全壊して、市役所の隣にある古い木造の2階建ての庁舎も壊れなかったし、周りの住宅も壊れていないわけですよ。
 そういう部分から見ると、これは教育委員会の関係ではないでしょうけれども、できるだけ、今後、2階建てぐらいの校舎であったならば、岩手の県産材を使った、子供たちにも夢と希望を与えられるような、そういう木造校舎という考え方を教育委員会みずからも示していく必要があるのではないかと思っております。
 そして、陸前高田市の復興のあかしになる高田高校の建設ではないかと思っております。学校がつくられることによって、これは少しずつ復旧してきているんだ、復興しているんだという、市民に夢と希望を与えられるのではないかと思っております。そして、ここにすばらしい校舎を建てることによって、今、陸前高田から離れている人たちも戻って、ぜひ高田高校に子供を入れたい、そういうような思いに駆られるような校舎づくり、設計にぜひ御尽力していただければという、これは要望でございます。
 それから、花巻農業高等学校の改築も予定されているというような話を聞いておりますが、これこそ農業高校であります。多分、元花巻農林高等学校だったと思っており、宮沢賢治とのゆかりのある高校でもあります。そういう面から木造という考え方がないでしょうか、お伺いいたします。
〇小倉学校施設課長 花巻農業高校の整備についてでございますけれども、花巻農業高校につきましては、平成24年度におきまして施設の設計費を予算案に計上させていただいているところでございます。これは、花巻農業高校の老朽化と学校施設、教室などの狭隘化というような課題がございましたので、それに対応した施設整備ということになりますが、平成25年度に増築工事を行うことにしておりまして、その際、校舎につきましては2階建ての木造校舎にしたいということで、すべて木造で整備を図る予定にしてございます。
 そういったような形で、平成25年度に花巻農業高校の整備があるわけですが、可能な限り、校舎等に木造化が図られる、木造を用いるというような形で進めていければと考えてございます。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。すばらしい御答弁をいただきました。今後、被災された小学校、中学校、高校も、高田高校もそうですけれども、順次建設が進んでいくんだろうと思っております。農林水産業のほうの林業のほうもかなり低迷している状況であります。そういう部分も含めて、ぜひ率先してこういう学校建設に木造を使ってほしいという思いがございますし、今後どんどん再生可能エネルギーを使った校舎づくりというものを目指していただければと思いますので、最後に、教育長からお話を聞いて終わりたいと思います。
〇菅野教育長 やはり木造校舎の持っているあの優しさというかは、子供たちにとって非常に大事なことだろうと思ってございます。花巻農業高校につきましては、先ほど委員からのお話がありましたので、象徴的な意味で、木造化で今具体的な検討を行っているところでございます。
 農林水産部の林務サイドともその辺は鋭意情報交換をいたしてございます。国の農林水産省関係の補助も活用できないかということでいろいろ試行錯誤してございますので、今後ともいろいろな面で努力してまいりたいと思います。
〇及川幸子委員 さすが教育委員会、関連が続々と続きまして、やる気が起きるようでございます。
 東日本大震災から1年が経過したところでございまして、このたびの震災により、沿岸、福島地域よりの転校してきた児童の数を把握しているでしょうか、伺います。また、この転校生への対応をどのように考えていらっしゃるのか、その対応についてもお伺いしたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 まず、東日本大震災により転校した児童生徒数についてでございますが、全国調査を実施した平成23年9月1日現在、公立の小中学校においては、岩手県内における転校が659名、他県からの転入が197名、計856名の転出入がございました。
 次に、転校した児童生徒への対応についてですが、平成23年3月22日通知した県教委からの文書によりまして、被災地域からの児童生徒の転入学に係る配慮事項として、一つ目は、他市町村、他地区から転入してきた児童生徒など、さまざまな状況に置かれている子供同士が、他を思いやる心や協力し合う気持ちを大切にすること。二つ目、誹謗、中傷など不用意な言動に注意し、互いの立場を理解し合い、支え合う気持ちを大切にすること。三つ目としまして、だれに対しても差別をすることなく、また偏見を持つことなく、親切に接すること。四つ目としまして、学校における指導のみならず、家庭などにおいても十分留意いただくよう家庭や地域の協力を得ながら指導することなど、市町村教育委員会及び小中学校に対して、転入生に対する必要な指導、支援を呼びかけておりまして、県内各小中学校においては、学校再開以降も、これまで十分な配慮のもと、適切に対応しているものととらえております。
〇及川幸子委員 私も学校にお邪魔して、転校生に対して全然偏見がなく日常過ごしている様子を見て、本当によかったなと思っております。それは、御努力なさっているたまものだと思っております。
 それで、東日本大震災について、学校現場ではどのように授業の中で取り上げているのか、お伺いしたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 学校現場における今回の震災等の授業の取り組みについてでございますが、県教育委員会では、すべての学校が同じ考えのもと、これからの岩手の復興、発展を担う子供たちの育成に取り組んでいくことができるように、いわての復興教育プログラムを作成しまして、過日、県内の全小・中・高校及び特別支援学校に配布したところでございます。
 このいわての復興教育プログラムにおいては、人づくり、それから、体験から学ぶなど四つの復興教育の視点、それから、八つの教育内容としまして、例えば防災教育、健康教育・心のサポート、そしてキャリア教育、ボランティア教育など、このような八つの教育活動を見直して復興教育として再構築していくものであり、各学校においては、現在、これまで学校や地域の実情に合わせて、特色ある取り組みを展開しているところでございます。
 新年度4月からは、全県の小中学校、市町村から45校をモデル校としまして、それぞれ中心的な取り組みを全県に広げながら、このいわての復興教育を推進してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 いろいろな取り組みの中で、この震災が本当に大変なものであったということを児童にわかってもらうことが一番大事だと思うんですが、実は、関東大震災のときのビデオを、私の地元出身の後藤新平のいろいろ、平成2年のビデオでしたけれども、私も2度ほど見ました。その中で6年生の孫と2年生の孫と会話をしたところ、6年生の孫は地元出身というのがすぐわかりました。後藤新平はすごいねと。しかし、2年生の孫は、ええっ、水沢出身だったの、東京の人だと思ったというふうに言っているものですから、この教育というのは低学年、1年生や2年生にはまだいろいろ教育なさっていないんでしょうか。先ほどいろいろの教育をお話しされましたけれども、どうなんでしょうか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 先ほどの全県で取り組んでおりますいわての復興教育プログラムは、もちろん全校種、そして全学年、低学年にも、発達段階に合わせながら先ほどの八つの教育内容で取り組みを進めているところでございます。
〇及川幸子委員 地元ひいきというのではなくて、いかにこの後藤新平というのが、大復興の中で命がけで日本の国を守ったかということ、ロシアとの交渉から、それから鉄道から何から、NTTのこともそう、いろいろなことをなし遂げてきた人ということを、やっぱり地元だけではない、岩手県内の生徒たちにわかってもらうという教育、この大震災を受けて、以前にこういう偉大な人がいて、日本を守ろうとした人がいたんだよということをやっぱり授業に取り上げていかないと、大きな復興ができないのではないかと思うんですね。
 それで、子供たちに、やっぱり平均して教えてあげるように学校でも取り組んでいただきたいと思います。いかがでしょうか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 特に後藤新平の業績を取り上げて学習する学校についてでございますが、これまでも、県で作成しましたさまざまな道徳などの副読本について、この後藤新平に触れておりますし、それを活用した学校もたくさん今までもございます。
 それから、特にも今回の震災に対応しての後藤新平を取り上げての学校ということでございますが、奥州市を特に例にしますと、特に市内の3・4年生の社会科副読本、わたしたちの奥州市において、この後藤新平を取り扱っております。市内の小学生はすべて4年生で学習する計画になっております。それから、今年度、社会科以外でも、総合的な学習の時間で後藤新平を取り上げている学校も4校ございました。
 そして、全県でということになりますが、委員御指摘のとおり、この後藤新平は、関東大震災からの復興にかかわって、その業績は本当に特筆すべきものということで我々も考えております。今後、本県においては、このような後藤新平を初めとする県内の先人の偉業に学びながら、先人教育として、地域に根差した特色あるいわての復興教育が推進されるよう支援してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 今後に取り組んでいただくということで、お願いいたします。
 それから、先ほど1番目に伺った転校生856名ですが、私の地元の小学校にも福島県からの転校生がいるようでございますが、何も問題がなく過ごしているということを聞いております。
 しかし、この間の報道で、福島県からの中学校の転校生に対して、放射能というレッテルを張っていじめているということを伺いました。県内において転校生に対してのそういういじめはないのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
〇田村首席指導主事兼生徒指導担当課長 福島県からの転校生に対するいじめについてでございますが、県といたしましては、昨年3月、そして4月、6月に、被災児童生徒を受け入れる際の配慮事項や諸問題等の防止の取り組みについて、各市町村教育委員会、そして各県立学校に通知してございます。通知の中身でございますが、被災した児童生徒に対するいじめなどの諸問題が生じた場合には、学校だけの問題とすることなく、所管する教育委員会と連携をしながら、事実関係を把握し、問題解決に取り組むこととしてございます。
 あわせまして、県としては、いじめなどの悩みを電話相談できる機関の一覧を提供してございますし、それにあわせて、24時間相談に対応できる体制を現在構築しているところでございます。
 これまでに県内においては委員御指摘のような事例は報告されてはございませんが、いじめは許されることではない、あってはならないことだという認識を持っておりますので、今後も、実態を把握しながら適切に対応してまいります。
〇及川幸子委員 県内ではいじめがないということを報告いただきました。今後においても、本当に被災された子供たちは大変な思いをしていると思います。それにもめげずに、同じクラスの子供たちと一緒になって毎日勉強して、そして遊んでもらいたいなと思うところから質問いたしました。
 次に、先ほど教育長が説明の中で文化芸術を大事にするということでおっしゃっていましたが、私からは、地域の伝統文化ということが随分継承されておりますが、その行事について学習している授業というのはあるのかどうか、取り上げているのか、その状況をお知らせいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 平成22年度に実施しました教育課程編成状況調査によりますと、伝統芸能、そして伝統工芸といった伝統文化の学習を授業に位置づけている県内の学校は、小学校323校、83%、それから、中学校では128校、68%となっております。
〇及川幸子委員 小学校ではかなり多い数字で本当にいいと思うんですが、中学校になるとぐっと減るんですよね。私は、この間、ミズキ飾りということで小学2年生のクラスに祖父母ということで、議員としてではなくて、祖母として参加してまいりましたが、そのミズキの持つ意味、黄色いもちは何だよ、白いもちは何だよと、そういうところまでお話をされて、それから、おじいちゃん、おばあちゃんたちと一緒に木にミズキ団子を飾ったんですけれども、その子供たちの明るさには、本当に、わあ、よかったなと思いながら一緒にやってきたんです。やっぱりそういうふうに、今があるのは、そういう昔のものを大切にするからだよということを教えてあげるのが私たちなんですが、私たちの家庭も、ミズキを飾っている家庭がどれだけあるかということで、やっぱり学校には感謝しなければならないということで伺ったわけです。
 このミズキづくり、そして、その後に、私は自分で漬けたたくあんを5本切って持っていったんです。そして、児童全員で一緒になって食べたら、何々君のおばあちゃんが漬けたたくあん、おいしかったと、さらにお礼の作文を5人ぐらいからリボンでつづっていただいて、また涙もろくなりまして本当に感激しました。(「会派に持ってこいや」と呼ぶ者あり)済みません、会派に持ってこいということですが。
 そういうことで、一議員じゃなくて、やっぱり一祖母として、そして祖父として、父として、母としての議員でもあるべき姿、私たちはやっぱりこの伝統文化を守っていかなければならないと思うんですが、済みません、教育委員長、この伝統文化を守るという部分で、学校について、小学校も中学校ももっともっと力を入れてやっていくべきと考えます。最後に御所見を伺って、終わります。
〇八重樫教育委員会委員長 及川委員の意見と全く同感でございますけれども、岩手の伝統のよさとか、あるいは先人の知恵を子供たちに伝えるということは、大変大事なことだと思います。ぜひともミズキ団子なり、あるいは田植えのこととか、さまざまな行事が各地域にありますので、それを学校の活動の中に取り入れていきたいと。そのことが、実は高齢者への尊敬の念を育てるとか、あるいは感謝する心とか、そういうことにつながって、県教委が全体として取り組んでいる誇り豊かな人間を育てることにつながっていくのではないかと思います。
 そして、今回の震災においても、例えば、気仙七夕とか、いろいろなところで太鼓で励ますというようなこともありました。実はそういうことにもつながっていくと思いますので、学校では総合学習、道徳、家庭科、いろいろな時間を工夫していただいて、ぜひ充実していきたいと思います。
〇及川幸子委員 済みません、最後と思いましたが、裏面にまだありました。申しわけありません。
 防災学習の状況なんですが、私は、一般質問の際に教育長にお伺いしたんですね。災害対応に関する指針について伺いました。そうしたら、3月中にこの成案が取りまとめできるということだったんですが、3月も半ばでございます。どのような進捗なのかお伺いしたいと思います。
〇上田高校改革課長 防災学習あるいは災害に関しましての指針についてのお尋ねでございますが、一般質問がございまして、教育長から御答弁申し上げましたとおり、本年1月にその案を作成、公表いたしました。現在、学校、市町村教育委員会あるいは専門家の方々から御意見をちょうだいしているところでございます。これらの内容を参考とさせていただきながら、さらに内容を精査していきまして、委員からお話がございましたとおり、ぜひ今月中に成案をお示ししたいと考えておりまして、それに向けた作業を鋭意、現在進めているところでございます。
〇及川幸子委員 余り自信がないようですね。3月中ということは、3月末までにはできると確信してよろしいんですか。
〇上田高校改革課長 恐らく委員の今の御質問は、はっきりした日付がどうなのかというところも含めてのお話かと存じますが、3月の下旬を予定しておりますが、ただ、並行いたしまして県全体で地域防災計画の策定も進めておりますので、そちらの策定時期との関連がございますので、はっきりとした日付についてはまだ決定しておりませんけれども、3月下旬には確実に成案をお示しできると考えております。
〇及川幸子委員 この問題にも関連するんですけれども、防災ということでは耐震化が大変重要だと思っております。県内の学校の耐震化についての進捗状況はどうなのか、そしてまた、特にも沿岸の被災地についての被災された学校、それから被災されなかった学校についての耐震の状況を伺いたいと思います。
〇小倉学校施設課長 県内の小中学校の耐震化の関係でございますけれども、平成22年4月1日現在でございますが、文部科学省の調査結果によりますと73.1%となってございます。市町村の耐震化の計画によりますと、平成27年度末では耐震化率は94.1%ということで21ポイントの増加となる見込みでございます。
 また、被災地の学校施設の耐震化の関係でございますが、県教育委員会といたしましては、被災地における学校施設の早期復旧を促進する、このことが耐震化の向上にもつながると考えておりますし、また、早期耐震化の完了に向けまして、国庫補助制度等の活用も含めまして、引き続き市町村に対して働きかけてまいりたいと思っております。
 また、県立高等学校でございますが、県の耐震改修促進計画に基づいて耐震化を計画的に進めているところでございまして、平成27年度までに耐震化率100%を目指して取り組んでいるという状況でございます。
〇及川幸子委員 最後です。平成24年度に94.1%、そして、最後に伺いました平成27年度まで100%、これでは遅いと思います。耐震化こそ急がなければならない施策だと思うんですが、最後に教育長の所見を聞いて、終わります。
〇菅野教育長 やっぱり学校、子供たちの安全を守るというのは最大の課題でございますので、私どもとして、市町村ともども、耐震化の促進に向けて努力してまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 先ほどの及川幸子委員の質問の中にいわての復興教育プログラムの件が出てきました。これを進めるために、県教委として復興教育担当特命課長を新設するということでありますし、宮古、沿岸南部、これは大船渡の教育事務所に復興教育担当の指導主事を各1名配置するという情報があるんですが、これは、ほかの教育事務所ではどういう取り組みになっていくのかというのがちょっと心配しておりました。それが1点。
 それから、もう一つは、お隣の宮城県の取り組みでは、防災教員を750人養成すると。これは、小・中・高すべての学校に1名ずつ養成をするんだという目標のようでありますし、それから、大規模校には防災担当の専任を配置するという方針なそうでございます。
 県内の各学校を見ても、この防災の関係で校長が先頭を切ってやるのか、あるいは副校長になるのか、それはちょっと難しいだろう。しからばだれがやるんだと。やっぱりそういうことを考えたときに、1人、各学校に防災担当を設けるべきではないかと思うんですが、その辺はどのようにお考えでしょうか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 復興教育を全県で進めるについての推進体制ということでお話をいたしますと、まず、本庁には、先ほどお話しした復興教育担当特命課長を中心とした組織と、それから各教育事務所、先ほどの沿岸南部、それから宮古には専任の復興教育担当指導主事、そのほかの4教育事務所においては、兼任で復興教育担当の指導主事が配置されます。それから、市町村の指導主事は、すべて復興教育担当ということで全市町村に配置されます。
 すべて、先ほどお話しした復興教育の中に防災教育が一つの大きな柱として位置づけられておりますので、市町村教委まで、今お話ししたような全県一本通した、一致した、一体とした体制づくりをまず進めていきます。
 それから、各学校の校務分掌におきましては、先ほどお話しした45校のモデル校は、すべて復興教育担当を位置づけていくと。その中に、やはり防災教育担当という形も含まれるとも考えております。
 それから、そのほかの小中学校におきましては、職員のスタッフ、組織体制、人員を可能なところからそういうような位置づけをしていくと考えております。
 それから、これまでの例でございますと、避難訓練とか防災の指導に当たっては、やはり副校長を中心に今進めているところでございます。校長と副校長の管理職としての役割分担の中で、適切に、これからもより明確な役割分担やら校務分掌での位置づけ、そういった形で全県の組織をもう一度見直す機会とも考えております。
〇城内愛彦委員 私からは2点お伺いしたいと思います。通告順に従って質問したいと思いますが、本年度から中学校の体育で武道が必修になるとお伺いしたんですけれども、その設備の状況と、あと指導をしっかりとできる先生が配備されるのかについてお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 公立中学校におけます格技場の整備状況についてでございますけれども、文部科学省の学校体育施設設置状況調査によりますと、平成23年5月1日現在でございますが、県内の公立中学校におきまして武道場を設置しているのは、柔道場のみが7校、剣道場のみが1校、柔剣道場併設が62校の計70校となってございます。これは全中学校186校の38%に当たる数字でございます。また、今後、武道場の整備を予定しているのは8校ございます。
 なお、設置者は市町村でございますが、市町村において、今後専用の武道場の設置を要しない、具体的には体育館等を活用するということになりますけれども、この学校数は101校ということになってございます。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 指導者の配置状況についてでございますが、武道の指導につきましては、中学校の保健体育担当教員が行うということで進めております。充足しているのかということのお尋ねでございますが、最も選ぶ数の多い予定の柔道を例にとって御説明いたしますが、平成24年度に柔道の履修を予定している中学校は184校中160校、87%でございます。そのうち153校、率にすると95.6%に、過去3年間に研修を受講した教員あるいは柔道の有段者がおるということでございます。
 今後、新年度に柔道を実施するすべての中学校の指導体制を把握しながら、十分ではない学校につきましては、競技団体と協力いたしまして、研修会により指導者を養成したり、地域スポーツ指導者を活用したりして、柔道授業の安全、武道全般の安全と指導の充実に努めてまいるという考えでございます。
〇城内愛彦委員 私は、マイナーなスポーツではありますけれども、格技の中では柔道が好きなものですからちょっと話をさせていただきたいんですけれども、体育館で、常設の格技場がない学校が100校からあるわけですが、その中で、畳等は十分に配備してあるのかという点を1点お伺いしたいと思いますし、それは常設で、限られたスペースですから敷きっ放しというわけにはいかないでしょうから、時間も決められた形で集中的に格技というんですか、柔道であったりは練習するんでしょうけれども、その際に、その生徒が畳を敷いたりするんでしょうが、そういった準備等もできているのか、ちょっと確認したいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 柔道の格技場のないところでの授業の関係でございますが、実は、平成22年度、昨年度でございますが、中学校において柔道を実施している学校が188校中155校ございました。来年度以降に柔道を選ぶ理由の中にも、現在実施していることということがございましたので、施設については大丈夫だとは考えておりますが、先般、文部科学省から安全確保のための緊急対応ということで通知が入りまして、指導者、指導計画、施設設備、そして事故発生の場合の対応について、全学校を調査して見直しなさいという通知が入りましたので、これとあわせて再度調査させていただくことにしたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 柔道は、私はすばらしい競技だとは思うんですが、素人の方が─素人の方と言うんですか、子供たちが学ぶ際には、大変留意をしなければならないスポーツだと思っております。そういった中で、畳が、昔のわら畳じゃなくて、ウレタンの軽い畳で、比較的投げられても痛くないような畳というのが最近出てきていますので、生徒さんたちも、自分たちで自主的に畳を敷いたり、しまったりというのをやらせるべきだと思うんですね。
 そういった中において、従前、格技場があるところは敷きっ放しですから古い畳でもいいと思うんですけれども、これから体育館等でやる中にあっては軽い畳というものを導入してはどうかと考えますが、その辺の考え方はどうでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員御指摘のとおり、現在、新しい畳、わらではない畳が主流になってございます。そこら辺の情報提供もあわせながら、生徒の授業場所の準備というのも大切な教育の一環だと考えてございますので、その部分もお知らせしながら情報提供していきたいと考えてございます。
〇城内愛彦委員 指導される方も、もちろん十二分にルールを守りながら指導されていくと思う中にあって、地域の人材を活用するということを先ほど答弁の中でもおっしゃいましたけれども、地域の人材を確保できるような手だてというんですか、多分には、その地域の柔道協会だったり、そういった協会との連携というものが図られるものだと思っていますが、そういうものは構築できているのでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 地域人材の活用ということでございますが、一つは、体育指導委員などに登録されている方で柔道を指導いただける方を活用すること、そして、もう一つは、県の柔道連盟と連携を深くいたしまして、そちらのほうからの指導者の派遣をお願いするという手はずで進めております。
〇城内愛彦委員 くれぐれも、これは事故のないようにだけはお願いしたいと思っております。他県では事故で訴訟等が起こっている例もあるようですので、ぜひ、起こってからでは大変ですし、しっかりと身につけてしまえば、生涯自分を守れるという意味ではすばらしい柔道だと私は理解していますので、ぜひ、その点に留意をして進めていってもらいたいと思います。
 次に移りますけれども、スーパーキッズ事業についてであります。
 スーパーキッズ事業は平成19年から始まった事業だと認識しているんですが、この間の事業の成果についてと、あと、今後このスーパーキッズがどういう展開になっていくのか、近々国体が岩手で開かれる際に、その国体に向けた人材にもつながるものだと思いつつ、質問したいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 いわてスーパーキッズ発掘・育成事業についてでございますが、これは、平成19年度から実施してございまして、今年度は5年目となる事業でございます。多くのプログラムを実施してございますが、中央のJOCあるいはスポーツ科学研究所などからの講師、あるいはオリンピックに出場された方のプログラムなども実施してございまして、すべて広く公開しながら開催させていただいてございます。
 スーパーキッズの成果でございますが、全般的な運動能力について申し上げますと、日本オリンピック委員会が行っております全国のタレント発掘・事業研修会などで行っている体力測定におきましても、岩手県のスーパーキッズは上位に入るという結果を残しております。運動能力は確実に向上してございます。
 また、競技成績の面から見ますと、今年度におきましては、以前から同じ競技を、スキーをずっとやってきた子供なんですけれども、全国中学校スキー大会で優勝二つというような成果を上げてございますし、これまでと違うスポーツにこの事業のプログラムを通して転向していったスーパーキッズが、国体あるいはインターハイで入賞を果たすなど、各種大会で活躍しているところでございます。
 今後の方向性につきましてですが、来年度からは、これまで身体能力の高い選手を発掘して適性種目を見出していく適性種目選択型という形をとってございましたが、これに加えまして、競技種目を最初から絞って、より専門性を高める種目特化型の育成も手がけようと考えてございます。2本柱で発掘から育成まで進めていくというような考えでございます。
〇城内愛彦委員 今、私もちょっと質問しようと思っておったんですけれども、広く才能がある子供たちを集めて、その能力を深く引き出す作業とすれば、スーパーキッズはもう成果も上げているということで私も高く評価しています。ただ、競技に特化してという部分を私も今言おうと思っておったんですけれども、今年度から取り組むということなんですが、ぜひやってほしい分野だと思っております。
 確かに、子供の才能というのはどこにあるのかわからないというのはそのとおりであります。私も、子供たちに柔道を教えておるんですけれども、その子がある日突然、バスケットをやりたいだの、先ほど来お話にありましたけれども、ラグビーにとられるんです。体が動くようになって走れるようになってくると、ラグビーの人たちが触手を伸ばしてくるんです。
 そういう意味では、やっぱりスーパーキッズは、いろいろな意味で才能を伸ばす機会になろうかと思います。ぜひ、最初から特化をしたような形で人材を育てていくというのも大事な要素だと思いますし、あわせて、競技というのは、見る人も必要ですし、応援をする人も必要ですし、国体というのは、その子供たちの目指す一つの区切りになると思いますので、しっかりと国体に向けた競技育成を進めてほしいと思いますが、その辺で、ちょっと教育長からも所見をお伺いしたいと思いますが、いかがですか。
〇菅野教育長 スーパーキッズは、やはり私もその認証式等に出席させていただきますが、それぞれすばらしい子供に育っています。本県の将来を担うすばらしい人材が育っていると思います。そういった基盤をしっかりつくりながら、やっぱり選手強化というのは一朝一夕にできるわけではありませんので、そういうベーシックなところをしっかりやりながら、また、国体に向けての選手強化に努めてまいりたいと思っております。
〇城内愛彦委員 ちょっと現実問題をお話ししたいと思いますが、県内各地から、広域から子供たちを発掘してくるわけですけれども、御父兄の方々も、合宿等で子供さんたちについては同行しなければならないということで、もうちょっと手厚い予算措置があってもいいのではないかと考えるんです。
 やっぱりスポーツは、とかくお金がかかると思っております。特にもアマチュアスポーツは、スポンサーがあるからこそ成り立つのではないかと言っても過言ではないぐらいお金がかかってくると思います。それは、一流を目指す上においてはですね。生涯スポーツの上においては、自分の身の丈に合ったことをやればいいんでしょうけれども、スーパーキッズを育てる上においては、やはり金の卵でもありますし、そういった子供たちをもうちょっと手厚く支援する方法、方策というものがあってしかりではないかと思うんですが、その辺の所見をお伺いして、終わりたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員おっしゃられるとおり、スーパーキッズのさまざまなプログラムにおいては、親御さんの送迎が原則ということでやらせていただいてございます。その条件でオーディションを受けていただいて、頑張りたいというお子さんが集まってきていることは事実ではございますが、かかり増し経費は結構あるものとは認識してございます。
 例えばライオンズクラブとか、例えば薬剤師会とかという支援の団体からの援助などもございますので、それとあわせながら事業を充実していきたいと考えてございます。よろしくお願いします。
〇喜多正敏委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時53分 休 憩
午後1時3分 再開
〇嵯峨壱朗副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、教育委員会の審査では、この後質問者の方が11名予定されております。進行に御協力願うため、質疑、答弁とも簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇関根敏伸委員 簡潔に、国体について、数点でございますけれどもお伺いいたします。
 政策地域部でもお伺いいたしましたけれども、選手強化という部分で教育委員会にお尋ねいたします。
 まず、選手強化事業費が7、500万円ほど計上されておりますが、この内容と、国体のいろいろなこの1年間の動きを見ながら、今後の選手強化の長期的な方向性についてお尋ねいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 第71回国体に向けた選手強化事業の内容、それから長期的方向についてでございますが、平成28年の岩手国体開催までには、限られた予算と人員を有効に活用しなければならない、より効率的な選手の強化を行わなければならないという観点から、これまでの事業の見直しを図りました。具体的には、昨年まで、組織の充実強化、指導体制の確立、選手の育成強化、そしてサポート体制の整備充実という4本柱で行っていたものに対しまして、強化する対象種目を絞り込み、選手の育成強化に着目した重点競技強化事業を中心とした事業を実施することで計画してございます。
 それから、国体を目指した選手強化の長期的な方向でございますが、これにつきましては、現在、設置してございます選手強化本部の改組も含めた組織の見直しを行うとともに、県体育協会と一体となった強化に取り組んでいきたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 さまざま政策地域部でも、規模とか運営費とか人的な確保とか、頭を悩ませながら国体に向かって準備を進めようとされておりますが、今ですと、対象種目を絞る、重点種目を選定していく、体制を見直していく、こういう形のようですけれども、具体的に今お話しになれる範囲でどういった方向性を考えているのか、もう少し詳しく教えていただけますか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 一つは、組織の見直しでございますが、現在、第71回の国体の選手強化本部があるものを、県体育協会の中の選手強化組織として改組する方向で事務的に検討しているところでございます。これにつきましては、現存の強化組織の中で御検討いただくものと認識してございます。
 なお、重点競技を絞って71国体のほうでは強化してまいりますが、体育協会の中でも既存の選手強化事業がございまして、手前どもでできない部分のところは、そこと体育協会の事業と一緒になって全体のレベルも上げていこうという考えでございます。
〇関根敏伸委員 そういういろいろな試行錯誤の中で選手強化を進められるのだろうと思いますが、今、日体協で、国体の活性化プロジェクトチームというんですか、いろいろ国体の採点方式の見直しということが随分報道されているようでございますけれども、現時点で、県教委としてこの日体協の方向性をどのようにとらえているのでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 国体における得点方式の見直しについてですが、日本体育協会では、国体活性化プロジェクトで、国体を活性化させるという観点で、新しい得点方式の見直しが現在検討されていると認識してございます。
 現行の得点方式は、各種目の1位から8位に得点を与えるという方式でございますが、案といたしまして示されておりますのが、優勝数などを基本にして総合順位を決める方向で検討しているというニュースが流れてございます。ただ、これにつきましてはまだ検討段階の状況でございますので、今後の姿を注視しながら対応していきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 報道によりますと、都道府県の意向も聞いていきたい、競技団体等のヒアリングもしたいみたいなことが載っておったようですが、県とか競技団体には具体にまだこういった方向性についてヒアリング等の時期は示されていないのでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 県あるいは県体育協会には示されてございません。まだ組織内の検討ということでございます。
〇関根敏伸委員 いずれ来年度中みたいな方向性のようですから、今後具体に出てくるのではないかと思いますけれども、こういった日体協の国体改革の動きなども踏まえながら、県として、選手強化という観点から、いわゆる実施目標として岩手のスポーツ水準の飛躍的向上と生涯スポーツの推進を図るということを目標立てにしているわけでございますけれども、目指す目標というものを、岩手型国体という新しい切り口も出ているわけですけれども、これからどのように定めようとしているのかお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 現行では開催県にふさわしい優秀な成績をおさめるということを目標としてございますが、強化組織あるいは強化事業の見直しを今後図ってまいる予定でございまして、その検討と並行しまして目標が新しい組織の中で決定されていくものと認識してございます。できるだけ高い力を出して元気を与えたいと考えてございます。
〇関根敏伸委員 最後になりますけれども、政策地域部にも話をしたんですが、新しい切り口ということですよね。協働型で新しい、国体改革の趣旨も踏まえながら岩手型国体というものをつくっていくんだと、こういったことを打ち上げられて、日体協としても、今までの開催地優勝絶対主義的なことからくるさまざまな弊害を見直そうという中でこのプロジェクトでいろいろな方向性が示されているんだろうと思います。
 そういう意味においては、開催地にふさわしいという、まさにスポーツでございますから順位づけというのは当然出てくるわけでございますが、開催地にふさわしい部分と、国体改革の流れと、新しい岩手国体という切り口と、これをやっぱり何とか、2巡目の岩手国体から国体が本当に変わるんだぞといったような方向性を出していくのがまさに復興のシンボルの国体になるのではないか、こんなふうに考えています。
 先般、政策地域部では、新しい協働型の体制をどうとっていくんだというような話をしましたら、今ある準備委員会等々にもそれなりの人材もたくさんいるから、そういったところと意見を少し、方向性を出していただきたいみたいな話もあったんですが、組織自体が新しい方向性を決める前の組織の中でつくられているものでございますから、まさに岩手型ということをこれから模索する上では、今までにない体制で、ふさわしい順位ということも含めて何らかの形でもむ方向性が私はいいのではないかと。いろいろな新しい発想も出てくるのではないかと思うんですが、この点について最後に御所見をお伺いしたいと思います。
〇菅野教育長 ただいまスポーツ健康課総括課長から申し上げました、県の体育協会という競技団体を統括した組織もございます。したがいまして、本県のスポーツ振興を図る上でそことの連携が非常に大事だろうと思ってございますので、私どもとして新しい組織を形づくる上で、県の体育協会とよく御相談しながら、競技団体の意向も確認しつつ検討してまいりたいと思っております。
 その中で、やはりことしの北東北インターハイを見ても、岩手の若い力がスポーツの面で活躍してくれるというのは非常にやはり県民に明るい希望を与えてくれますので、そういった点からしても選手の強化に私どもとして全力を挙げて努めてまいりたいと思っております。
〇神崎浩之委員 まず初めに、放射線対策事業についてお聞きいたします。事業の内容について簡潔にお願いしたいと思います。
 それからあとは、この説明資料の202ページの10款1項2目の教育委員会の事務局費の中に放射線対策費があるわけでございますが、この項目に計上している意味についてもお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 放射線対策事業についてでございますが、県といたしましては、県内全域の学校等を対象といたしまして、空間線量率が局所的に高い箇所を特定して、線量低減のための土壌処理等を行う事業に取り組んだところでございます。
 平成23年12月末までに県立学校82校の測定と局所的に高い値を示した箇所の除染を終えましたし、各市町村におきましても、公立小中学校の測定及び除染を一巡したところでございます。これにつきましては今後も継続して実施していく構えでございます。
〇泉予算財務課長 ただいまの放射線対策費の予算計上の科目でございますが、教育総務費の事務局費に計上してあるということでございますが、これには、放射線をはかる機器等がございまして、それを各教育事務所等に配備しているわけですが、それは一般にも貸し出すということで、高等学校だけの放射線をはかるという意味ではないので教育委員会の事務局費に計上(後刻「除染に係る経費として計上」と訂正)したものでございます。
〇神崎浩之委員 放射線対策は、他の部局、それから市町村、学校等と連携をとって、ぜひほかとの連携をとりながらやっていただきたいと思います。
 次に、中高一貫校の件であります。
 いよいよ附属中学に入学した方がこの4月に高校に入るという節目の年であります。そこで、この中高一貫校の成果についてお伺いするわけですが、成果の測定方法と、中学生にとっての成果はどうだったのか、それから、現在、高校にいる高校生にとってはどういう成果だったのか。
 次は、いよいよそういうことで今の中学3年生が高校に入るわけですが、それに伴いまして、ことしの受験ですけれども、小学6年生が今度中学校に進む中学受験の状況、それから、中学3年生の一般高校受験の方、約80名が今までの定員から少なくなる、その狭き門をこれから受験するわけでございますが、そういう意味で弊害とかあるのかどうかお伺いいたします。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 県立中高一貫校についてでありますが、これは、6年間の中高教育のもとにおきまして、子供たちがより深く学び、将来の進路、目標を達成できるよう、特色ある教育活動を展開し、次世代のリーダーを育成することをねらいとして教育活動を展開しております。
 中学生としての成果といたしまして、週当たりの授業時数を、学習指導要領で定める時間数を弾力的に扱いながら、発展的な学習あるいは補充的な学習の時間を確保したり、あるいは高校教諭の専門性の高い授業を受けながら、さまざまな授業形態を工夫したりすることによって望ましい学力というものがはぐくまれているととらえております。
 また、部活動においても、中高合同で活動している部もあって、高校生と一緒に活動することにより大きな成果を上げるとともに、幅広い人間関係の中で、豊かな情操がはぐくまれていると認識しております。
 高校生としての成果は、この4月から中学生3年生が78名そろって高校に入学しますので、この後の様子を見ながら、成果というものについても検証していきたいと考えております。
 それから、今回の受験についてでございますが、入学試験、小学校6年生でございましたけれども、募集定員80名に対して受験者数223名ということで受験が行われております。入学者数は、それぞれ男子40名、女子40名、辞退者なく全員そろって入学の手続を進めているところでございます。
 今回の受験につきまして、80名がそのような一関市、奥州市、北上市などを中心に入学していくわけですが、心配、危惧されているそういう影響については、特にこれまでも、4年目の受験になりますが、それぞれの小学校、中学校からは、そのような弊害となるような問題点については聞こえておりません。心配されておりました、リーダーが不足するとか中学校の心配もありましたけれども、これについては、いろいろな形でリーダーが育ってくると。いろいろなチャンスを与えられながら、さらに次の新しいリーダーがそれぞれの学校で育つというようにこちらのほうでも聞いております。
〇嵯峨壱朗副委員長 通告よりも質問内容が細かいようですので、答弁漏れのないように気をつけていただければと思います。
〇神崎浩之委員 高校生の成果というのは、中学校に入ってからのことではなくて、今の現役高校生が、優秀な中学生が来るよということで奮起して、そういういい効果があるのではないかと期待して聞いたところでありますが、これはいいです、後からお聞きいたします。
 それから、受験ですけれども、高校受験なんです、一般受験のほうなんです。約80名、一般受験の門戸が狭められますよね。そこで、今のほかの中学から普通に受験する方々が狭くなっておりますので、例えば、本当は一高を受験したかったけれども、ちょっと危なさそうだからほかのところに行くかなみたいな、そういうような弊害があるのではないかと思ってお聞きしたので、再度この辺についてお聞きします。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 今の御質問ですけれども、倍率的には余り変わりはなくあります。それから、周辺の中学校の状況を聞きましても、スポーツ、それから勉学におきましてやはりこの附属中学校がかなり影響しておりまして、それに向かってそれぞれの中学校も一生懸命頑張ろうという形で進んでいると聞いておりますので、何ら弊害ということはないと考えております。
〇神崎浩之委員 この中高一貫校の最後ですけれども、最初の年は、遠く矢巾町から電車で通ってきているようなお子さんもいらっしゃったということですが、3年たちまして、例えば遠いところではどういうような地区から来ているのか、あとは通学について何か課題等があるかどうかお聞きいたします。
 いずれ本番は、この4月から中学生が高校に進んで、これからが勝負だと思いますので、ぜひ検証に検証を重ねていただきましていい学校にしていただきたいと思います。その質問だけお願いします。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 入学者の出身についてでございますが、一関市、奥州市を中心に、北上市、花巻市、遠いところでは盛岡管内と広がっております。沿岸部からについては、それぞれ居住地を一関市に移動しましての入学という形で、通学距離については、やはり盛岡までの本線筋という範囲で、今年度も1人、年間1人ぐらいずつちょっと遠い距離を通っている現状でございます。
〇神崎浩之委員 ぜひいい学校にしていただきたいと思います。
 三つ目、特別支援学級についてです。支援学校ではなくて特別支援学級についてであります。
 さまざま小学校、中学校、それから肢体不自由児、知的とか、そういうような形で市町村にいろいろな形態で設置していると思いますが、詳しい場所については後から資料提供でいただきますので、全体として小学校、中学校、今の設置状況、それから設置の要望に対する対応状況についてお聞きいたします。
 金ケ崎町でも要望がありまして、このままだと奥州市の学校に通わなければならないんだという要望がありましたので、あわせてお願いしたいと思います。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 私から設置状況と要望への対応についてお話しさせていただきます。
 平成23年度の県内の特別支援学級は全市町村に設置しております。小学校では196校に313学級、中学校におきましては115校に181学級、合わせて小学校、中学校311校に494学級を設置しております。
 要望への対応ですけれども、特別支援学級の新設につきましては、学校やそれぞれの市町村の教育委員会が、子供たち一人一人の状況や保護者の要望を集約した上で、各市町村の就学指導委員会の判断を踏まえて、各教育事務所を通しまして県教委に申請されております。県教委におきましては、子供たち一人一人の状況、障がいの程度等を勘案しながら、あるいは小学校、中学校の連続した指導等を考慮しながら新設の可否を判断しているところであります。今年度におきましては80の申請がありまして、58学級を新設いたしました。昨年度と大体同じような数となっております。
 お話がありました金ケ崎町の部分につきましては金ケ崎中学校のお話かと思いますが、金ケ崎中学校におきまして肢体不自由学級の新設の申請がありまして、協議の結果、新設するということで教育委員会を通して連絡しているところでございます。
〇神崎浩之委員 これは、設置を早急に望むものの、学校のハード的な制約もいっぱいあるんですよね。肢体不自由児学級にしても、それから知的障がいの関係でも、やはり学校のバリアフリー化というかユニバーサルデザインが進んでいない。だけれども、完璧な整備をしながら受け入れるということであればどんどんおくれてしまいますので、あわせながらやっていかなければいけないと思っておりますけれども、この点について、最後に教育長に、岩手県はインクルーシブ教育と言っておりますよね。それで、小学校は結構そういうような配慮があるんですが、中学に行くに従ってどんどん学級数についても対応できなくなっているような状況であります。この辺について、インクルーシブ教育の面から今はどうなっているのか教育長にお尋ねいたします。
〇菅野教育長 今、委員から御指摘のありましたインクルーシブの推進というのは、私ども教育委員会としても大きな目標に掲げてございます。そのためにはいろいろ環境整備も図らなければなりません。施設面もございますし、また、人員の配置の問題もございます。それからあとは、各学校、必ずしも一般の小中学校、高等学校の教員がすべて障がいを持った方々の教育に精通しているわけではございません。したがいまして、教員の資質向上、研修も行っていかなければならない、多々の課題がございます。私どもとしては、今、委員からお話がありましたとおり、課題の一つ一つを粘り強く克服しながら、やはり障がいのある子も障がいのない子もともに学ぶという理念に向かって今後とも引き続き努力してまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 よろしくお願いいたします。
 最後に、震災後の人事についてであります。
 これはちょっと時間をとりたいんですけれども、知事部局はまだ内示がないと思われますが、教育委員会は3月早々に内示をしているようであります。震災後、1年前は大変な人事異動だったと思うんです。それを踏まえて、この4月から教育委員会はどういうような人事異動をしていくのか、これは大きな課題で悩まれていたことだと思っているんです。
 そこで、平成24年度の人事異動の考え方なんですが、進め方も含めて、例えば本人からの聞き取りとか、それから皆様方に対する学校側の希望とか、そういうものの聴取とか面接とか、ある程度通常のときよりは昨年のうちから希望を聞きながら進めてきたと思うんですが、その辺も含め、それから配慮とか調整、そういうようなことでどういうふうな形で今回の人事を進めてきたのか、その経過についてお伺いしたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 平成24年度の人事異動の考え方でございますけれども、人事異動につきましては、本県の教育目的の実現に向けまして、教育施策を展開するため、教員の意欲と能力を重視した人員配置に心がけてきております。特に平成24年度につきましては、東日本大震災津波からの復興への対応ということを一つの大きな柱といたしまして、早期の復興に向けた取り組みを推進するため、被災地域の実情やニーズに配慮するとともに、復興教育を推進するための有為な人材の配置に努めていこうということで方針を掲げ、取り組んでまいりました。
 昨年度は、委員御指摘のとおり、沿岸部の被災の大きかった地区を中心に教員の異動凍結というようなところもあったわけでございます。そうしたことから、今年度は前年度よりも早目に人事異動作業に取りかかりました。また、教員の希望あるいは出身地、そういったところを聞き取りまして、できるだけきめ細やかな人事異動ができるよう、校長と教職員の面談、ヒアリングをきめ細かく行うようにお願いしたところでございます。
 その結果、人事異動の凍結となった昨年度の状況も踏まえますとともに、被災地への異動希望も考慮し、あるいはその教員の出身地などにも配慮しながら作業を進めてきたところでございます。
〇神崎浩之委員 被災を考えると例年以上の配慮が必要だったと思っております。
 職員自身の被災については配慮なされたのか。それから、沿岸部の異動先の生活環境もありますよね、宿泊先がないとか。または遠距離通勤になる方もいらっしゃると思うんですが、その点について配慮されたのかどうか確認させてください。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 まず、教職員の被災状況でございますけれども、親とか配偶者とかを亡くされた教職員が140名余りおりました。そういった教職員への配慮というものは、教職員のケアということで、学校において、あるいはいろいろな形でやってまいりました。人事異動においても、そういった先生方の状況を聞き取りまして、それで希望を聞くなどしまして配慮してきたところでございます。
 また、住宅の確保でございますが、内陸と沿岸部の異動ということになりますと、なかなか沿岸部の住宅の確保が難しいということがございました。そこで、教育事務所や市町村の教育委員会を通じまして、早目に住宅が確保できるように住宅の情報を収集いたしまして、それで学校間での早目の対応というものをお願いしてきたところでございます。
 まだ全部確保できたという報告は受けておりませんが、かなりの形で確保がなされていると聞いておりますので、今後とも必要な情報提供、支援を行いながら住宅の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 被災の影響の強い学校というのが特にあると思うんです。職員間の経験の差もあるでしょうし、それから、そういう学校にいらっしゃって、本当はほかに異動希望を出した方がその学校に残るというようなことがあったのかどうか。
 それから、新しく来る先生にも来た後も大きなストレスがあると思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 先ほどの被災地の学校に勤めている先生の希望のことですが、今年度凍結になった先生方については、学校の実情を最優先しながら、希望をかなえる方向で進めております。また、今年度末におきまして、人事異動要領上、異動希望を出せる方につきましては、当然学校長と十分相談しながら、学校を第一と考えながら進めてきたところであります。
 そういう点から考えていきますと、今年度、条件の整ったすべての先生方が内陸部へ帰るということではなく、留任をして被災地の子供たちと一緒になり復興に取り組むという先生もございます。
〇神崎浩之委員 自分たちのことだけではなく、子供たちのこともあると思います。4月になりましたら、残る先生も新しく来る先生方にも配慮した体制をぜひとっていただきたいと思っております。
 そこで、発災後、今までに沿岸で退職または休職されている先生方というのは何人ぐらいいらっしゃるのかお聞きします。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 退職教員につきましてはデータがございませんので、調べて後でお答えしたいと思います。
 休職につきましては、これまで延べ13名の方々が何らかの形で心のケアが必要だということで休まれておりました。そのうち2名の方が6カ月以上休職になっているととらえております。
〇神崎浩之委員 その十数名ですけれども、被災に伴う心の病なのか、それとも、それとは関係ないもともとの心のケアなのか、その辺については状況を把握しているのかどうか。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 ただいま申し上げた13名というのは、被災に伴って休まれているという先生の延べの数です。なお、この方々も、6名の方々を除き、今、復帰いたしまして、それで元気にやっていると聞いております。
〇神崎浩之委員 一般質問でもいろいろな議員の方が教職員の心のケアはどうなっているんだというような質問をされておりましたけれども、メンタルヘルスチェックをやってもらっているとか、臨床心理士を充てるとか言っておりますけれども、そういう問題では私はないと思っているんです。ああいうふうな学校の環境の中で、自分がちょっとおかしいとか、なかなか書ける状況ではないんですよ。わかりますか、皆さん。特に学校という現場の中で、そういうふうなきちっとした状況の中で、自分がこういうことがおかしいとかというのは書きづらいわけです。自分が何か変なことになっているんじゃないか、そういうことを上司とか先生とか親とか、そういう方に知られたくないというのが普通の人の心理だと思います。
 そういう中で、セルフチェックをやっているとか、それに対して臨床心理士をあてがっていますということですが、そういうことでは本当の解決につながらないですし、経済的なこと、親のこと、だんなさんのこと、いろいろなことで複合的に心の病になっていくわけでございますので、どうぞそういう点から配慮して察知してあげていただきたいと思います。
 それから、そういう相談に対してどういう対応をしていくのかなんです。そういう心の病を持っていて、今、調子が悪いのでどうぞやめてくださいというふうに持っていくのか、それとも、何とかこういうふうな手だてをとってまた学校に復活してくださいよという点で皆様方はその後のチェックした対応を考えているのかどうか、それについて確認させてください。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 まず、さまざまな相談のツールといいますか、窓口があることが必要かと思いますので、そういった形で、セルフチェックだけではなく、電話相談でありますとか、いろいろな相談の窓口をこれからも充実させていきたいと考えております。
 また、病気休暇で療養している教職員につきましては、まず、管理職が定期的に状況把握をするということが大切かと思いますので、そういうきめ細かい対応をしていきたいと思いますし、病状が改善した場合は、円滑な復帰に向けた支援というものを私どもやっておりますので、特に被災地におきましては、各学校とうちの保健師が連携いたしましてそういうサポート体制を構築してまいりたいと考えています。
〇郷右近浩委員 私からは、世界遺産登録推進事業費について、世界遺産の追加登録に向けた取り組みを今後どのように進めていくのか、行っていくのかということについて質問させていただきたいと思います。
 細かいこれまでの取り組みの部分につきましては岩渕誠委員の決算審査のときの質問等で明らかになっているところであり、平成22年2月からワーキンググループが開催されて、そして平成23年11月に拡張登録の検討委員会を一応設置予定と当時はなっておりました。その拡張登録の検討委員会等でどのようなことが話されていたのか、また、それからこの追加登録に向けた取り組みをどのようにしていく方向となっているのか、その点についてお知らせいただきたいと思います。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 平泉の追加登録についてでございますけれども、今、委員御指摘のように、県及び関係市町でワーキンググループをつくってやるとともに専門家による拡張登録検討委員会を設置してまいりましたが、この委員会におきましては、どのような評価基準が適用していくのか、あるいは拡張登録に向けてどのような主題を設定していけばいいのか、そういったようなことをこれまで議論してきたところでございます。また、今後の資産の研究課題の検討などもあわせて議論してきた経過がございます。
 この方向で、来年度におきましては、これらの取り組みをさらに推進いたしますとともに、類似遺産の調査や専門家からの意見の聴取を行うなど幅広い調査を進めることとしておりまして、引き続き、国、関係市町と連携して着実に取り組みを進めていきたいと考えております。
〇郷右近浩委員 わかったようなわからないような。といいますのは、今回、この5カ所の資産は除外資産という名前にはなってしまいましたけれども、私たちのほうではあくまで構成資産である、そうした思いを持っております。もちろんそれぞれの資産というか、地域においても、ボランティアの方々であったりとかが本当にまだ熱心にそちらのほうを幅広く皆さん方にはお伝えするといったような、またさらにお世話をするといったような活動を続けているといった中にありまして、今回、登録資産の中から漏れたとはいえ、実際問題としては、入り込み数というか、今回、平泉に訪れていただいた方がそうしたことでいろいろなところを見ていただいているといったことに関しましては、県のほうでのさまざまなパンフレットへの記載であったりとか、そうしたような取り組みに対しましては本当にありがたく思っておりますし、そうした効果も出ているんだろうなと感じているところであります。
 しかしながら、やはり地元の方々の思いというのは、私たちの、自分たちのところの資産もきちんと登録となって、そして世界遺産の一つということでのそうしたものを持ちたいという思いであると思います。それに対しまして、今のお話ではやはりなかなか、では、いつになるんだというような部分におきまして、本当に力が抜けてしまうというか、そうしたようなお答えだったと思います。
 つきましては、やはり私としては、大体いつごろまでにそうしたことをやっていかなければいけないんだという目標というか、そうしたものを持たなくてはいけないと考えるわけですけれども、その点についていかがお考えかお聞かせください。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 先ほどの拡張登録検討委員会におきまして、もう少し整理させていただきますと、─除外という言葉を使ってちょっと申しわけございませんが─外れている資産が、今後どのような調査研究成果を上げていくことが登録につながるかという議論を少し今、整理させていただいているといった意味におきまして、もう少し調査研究が必要だという指摘をいただいているということがございます。
 したがいまして、今、追加登録の時期を明示することはなかなか難しいんですけれども、ただ、追加登録するためには世界遺産の暫定リストにまず載らなければならないということがございます。ですから、当面といたしましては、暫定リスト登載を目指すことを直近の目標といたしまして取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇郷右近浩委員 イコモスの審査も厳格化してきている中で、新しいコンセプトをどうつくって、そして暫定リストに載せていくかというのは本当に大変なことだと思いますし、またそれが、今現在の認められた部分での平泉というものの資産を守りながら、さらには浄土思想の価値を発信しながらといった、本当に何方にもかけたような形での取り組みというのが必要なことで、大変な作業だろうなというものは私自身感じております。
 しかしながら、やはり先ほど来話しておりますとおり、地元の方々のそうした思いを酌み取っていただきまして、今回残念ながら漏れた部分の資産につきましても早期にきちんと何とか対応できるようによろしくお願いいたしたいと思います。
 次に、生涯スポーツ推進事業についてお伺いさせていただきたいと思います。
 340万円ほどの予算において、一体何をやっていこうというのでしょうかということを聞かせていただきたいと思います。私自身、総合型地域スポーツクラブというのは、これからの少子高齢化の時代においてさまざまな可能性を持ったものであると思います。そうした中において、今回、先ほど話しました予算において創設、そして育成に対してとしては余りにも少ないのではないかと感じておるわけでございますけれども、この予算において何をするのかということでお聞かせいただきたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 340万円ほどの予算額でございますが、これにつきましては、総合型地域スポーツクラブの創設、育成を図るために、専任指導員によるクラブあるいは市町村教育委員会などの巡回指導、そして各種研修会の開催による生涯スポーツ関連指導者の養成を図るというところでございまして、この巡回指導の中では、日本スポーツ振興センター、具体的にはサッカーくじのtoto助成でございます。あるいは文部科学省の委託事業などがございまして、その導入と活用について指導、助言を行うという事業の経費でございます。
〇郷右近浩委員 この総合型地域スポーツクラブにおいては、今から10年ぐらい前に総務省が旗振り役となって地域型のスポーツクラブをつくろうということで、あのときはたしか年300万円掛ける3年間、たしかそんな補助がついて各地にできていったような経緯を私自身覚えているんですけれども、今現在、岩手県内においても50クラブがあってということで、幾つかの市町村においてはまだ設置されていないところもありますけれども、ほとんどのところでできてきているといったような中で、この総合型地域スポーツクラブをきちんと活用することが、先ほどの繰り返しになりますけれども、今、本当に少子化で、中学校でもそれぞれのクラブ活動が組めないといったような状況になっております。そうした中にあっても、きょう、冒頭でラグビーワールドカップの関連の中で、選手の層を厚くする、そうしたことをしなければいけないというようなお話もありましたが、現実には、それぞれのクラブで人の奪い合いというか、そしてもちろん何かのクラブは学校ではできないといったことが起きております。
 その中におきましては、やはりこれからは地域で子供たちの例えばスポーツ環境を整えたり、もしくはスポーツに対する取り組みの機会を与える、そうしたことも必要になってくると思います。そのためには、私自身はこの総合型地域スポーツクラブというのは非常に使い勝手のいい、いい枠組みであるのではないかと考えております。
 そうしたことにおきましては、岩手県として、総合型地域スポーツクラブの位置づけというか、目的、目標、そうしたものはどのようなものを持っておられるのか。あくまで生涯スポーツの拡大というか、それだけにとどまるのか、それとも本当にいろいろな可能性を何とかこのスポーツクラブというフィールドでやっていこう、そうしたところまでの考えがあるのかお聞かせいただきたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 総合型地域スポーツクラブの考え方でございますが、法の改正に伴いまして、現在、国でスポーツ基本計画を組んでございます。その中間答申が出てございまして、委員御指摘のとおり、地域スポーツ活動の拠点のみならず、トップスポーツとの好循環─レベルの高い選手を送り出してレベルの高い選手が戻ってきて指導者になるというような意味での好循環─、そして学校教育との連携、これにつきましては先ほどの運動部活動の問題などが含まれてございまして、幅広い活動が期待されているものでございます。
 ただ、現在、岩手県内の総合型スポーツクラブの一部にはそういう機能を有しているところもございますが、ほとんどはまだ活動が十分ではないところもございますので、当面、その地域のスポーツを生涯、いわゆる狭い意味での生涯スポーツを盛んにさせていこうということで、会員数、つまりスポーツ愛好者をふやしていくという事業に力を注いでおります。ただ、委員御指摘のとおり、あるべき姿は目指していきながらという考えでございますので、よろしくお願いいたします。
〇郷右近浩委員 今、答弁でもいただきましたとおり、総合型地域スポーツクラブの中においては、そのクラブ自体がさまざまなトップをねらうというか、そうしたような活動を続けているところというのも現実にあると思います。
 今回、当初予算にも盛り込んでおります全国中学校体育大会への補助とか全国高校総体への補助、そうした部分もありますけれども、実際、それがもう中学校という枠組みとか高校という枠組みから抜け出しているスポーツ、競技もあります。だとするなら、全体としてどのような形で子供たちのスポーツ機会をつくって、そして上を目指させるようなものもつくり上げていくかということに関しては、本当にまた連携等を密にしながら考えていただきたいと思っております。その点についてまた頑張っていただきたいと思いますので、要望として終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 先ほどの神崎委員の御質問の中で、被災地における退職者の状況についてでございますが、震災津波で死亡して退職したという教職員が県立学校で2名、小中学校で3名おりました。そのほか、途中で被災地域で退職した教職員が1名おりました。ただ、この方が被災による退職かどうかは定かでございません。それから、年度末につきましてはこれから集計いたしますが、今申し上げたように、原因を震災ということで集計するのはなかなか難しいという状況でございます。
〇飯澤匡委員 郷右近委員の世界遺産登録推進事業費に関連して質問します。2回しか立ちませんので、よろしくお願いします。
 皆様の御努力によって世界遺産の登録をなすことができました。本当に県教委の皆さんにも大変な御尽力をいただいたと思っております。
 そこで、今、追加資産の認定の取り組み状況について御答弁があったわけですが、私のほうから、柳之御所の遺跡整備、この調査事業について。柳之御所は世界遺産には入らなかったわけですね。今後の整備の仕方もしっかりと前提を踏まえてやっていかなければならないと思うわけですが、その整備計画、進捗状況についてまず示していただきたいと思います。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 柳之御所遺跡の整備につきましては、池跡や堀、井戸の復元などを終了いたしまして、平成22年4月より史跡公園として公開を開始したところでございます。また、今年度につきましては、発掘調査を終了したエリアについて、整備のための盛り土工事を実施してきたところでございます。
 今後の復元整備についてでございますが、井戸の増設や解説板の設置などを進めることとしておりますが、堀にかかる橋あるいは建物の復元につきましては、今、委員から御指摘もございましたが、世界遺産追加登録ということに当たりまして、その真実性が求められるため、文化庁の指導も得ながら、より慎重な検討が必要になるものと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 柳之御所は追加登録に向けてかなり象徴的な箇所、遺跡だと思っております。登録はなりました。なりましたが、これからその普遍的な価値を知らしめていくことが我々の地域にとって資産となり得るものだと思います。教育現場でも、中世期に奥州平泉が経済的にも文化的にも本当に発信地であったということをしっかり地元学として残していくということが教育委員会に与えられた使命だとも思いますし、このようにリストから外れた遺跡についても、しっかりとその前提を踏まえて整備する、計画していくということがぜひ求められると思いますので、その2点について、最後、これからの意気込み、考え方を聞いて終わりにしたいと思います。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 追加資産に回っていただいた資産につきましては、今後とも調査研究を支援しながら、また、整備についても支援してまいりたいと考えてございます。特にも、今、委員から御指摘ございましたように、普遍的価値の啓発普及、それから保存管理、こういったものが非常に大事になってくるわけでございますけれども、特にも価値につきましては、岩手大学を初め、いわて高等教育コンソーシアムという県内5大学の連携、そのようなところにも枠組みを持ってございまして共同研究等も進めてございますので、そのような成果も情報発信しながら普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
〇小野共委員 1点のみ簡潔に質問いたします。
 2月─先月のマスコミ報道に、仙台市の高砂中学校というところで、津波で卒業証書を流された元学生の人たちのために、仙台市が卒業証書を再発行、再交付してその授与式をやったというニュースがありました。
 お聞きしたいんですが、県内の小・中・高校において、卒業証書の再発行、再交付の制度、現況はどうなっているのか、それを聞かせてください。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 ただいまの御質問ですけれども、県立学校においては、再発行は現在のところしておらないのが現状でございます。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 小中学校につきましては、設置者である各市町村教育委員会がそれぞれ判断されているということで、こちらで今のところその調査等の把握をしておりません。
〇小野共委員 小中学校は調査しておらなくてわからないという現状で、県立高校は再交付はしていないということでありました。今回の津波で、被災者の人たちの気持ちを考えますと、大事なものを流された人たちが多くいるわけでありまして、例えば自分のかなり深い思い入れを持ったものを流されたという人たちも多いだろうと思います。その中の一つが自分の母校の卒業証書ということなんだろうと思います。
 実は去年夏、私、県立高校の卒業証書を再発行して再交付してもらえないかという話を教育委員会にお願いしました、御存じのとおりであります。そのときの教育委員会の答えというのが、結局できないということでした。その理由が、悪用のおそれがあるということと、震災後、3月11日から間もなくだったものですから、事務なりが忙しいとか、確かに避難所に体育館を使われていたというのもありますし、そういった理由で再交付はできないという話をされました。
 それで先月のマスコミ報道となるわけでありますが、仙台市のホームページでも見てみました。卒業証書を喪失、滅失された方に無料で再交付しますということでありました。それで、先月─2月に仙台の高砂中学校というところで再交付をしたわけでございますが、悪用のおそれ云々という話も確かに─合理的なのかどうかわかりませんけれども、罹災証明を出して申請をいただければ、例えばある一定の募集期間を設けて再発行をお願いしたいと思うわけでありますが、答弁をいただきたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 県教委といたしましては、過酷な経験をされている被災した方々が心のよりどころとしているのが卒業証書であり、その卒業証書の再発行を強く希望されているのであれば、これを重く受けとめたいと考えます。
 現在、被災地の高校では、通常業務に加え、復興に大きくかかわって大変多くの業務に追われており、卒業証書の再発行業務はさらなる大きな負担となります。また、用紙、文面、書体、証明者、学校名等、当時の卒業証書を復元できるものではないことから、希望された方々に満足いただけるものを発行できるか等の問題も現在あります。しかし、多くの課題もありますけれども、各学校の状況を聞きながら、被災者の希望に沿えるよう多方面から検討してまいりたいと考えております。
〇小野共委員 ということは、1点大事なことを確認したいんですが、再発行可能ということでよろしいんですね。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 できるだけ可能にしていきたいと思います。
〇小野共委員 了解いたしました。安心いたしました。
 それで、1点目の質問に戻るわけでございますが、小中学校の現状をやはり把握していただきまして、できるだけ小中学校の卒業証書のほうも柔軟に対応していただきたいということと、先月のマスコミ報道にありましたが、できれば授与式のようなものをやっていただくとか、もちろん取りに行きたいという希望があれば取りに来ていただいても結構ですし、郵送していただきたいという方には郵送でも結構だと思いますけれども、基本的にその授与式みたいなものをやってもらって、やっぱりかなり喜ぶと思うんですね、私。これを検討していただきたいのですが、この2点。小中学校の話と、あと授与式のようなもの、その辺をどう考えているのか、それを前向きに検討していただきたいんですがということを聞いて終わります。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 小中学校につきましては、市町村教育委員会の判断ということで先ほどお答えしましたけれども、こちらとしてもその把握に努めながら、それで、市町村のそういう対応について、可能な限り再発行という形についての検討をこちらもお願いしていきたいと思います。
 同時に、その授与式についても、市町村の場合、これも市町村のさまざまな状況、そういう被災地の状況も踏まえて検討いただきたいということをお伝えしたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 県立学校の授与式につきましては、各学校とも十分相談しまして、委員の意に沿うような形で進めてまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 私からは、防災復興教育と学力向上対策について伺います。午前中の質疑でも防災教育、復興教育についてございましたので、一部割愛させていただきながら進めてまいります。
 午前中話題になったのは、このいわての復興教育プログラム、これだと思います。これを拝見しました。大変よくそれぞれの学校がどんな復興教育をやってきたのかということがわかりましたし、どういうような考えで教育委員会がこれからしようとしているのか、非常にわかりやすいテキストだったと思いますが、この中で読み取れること、あるいは書いていたかと思いますが、地域とどういうふうにして一緒になって教育を進めていくのかという観点がうたわれていたものだと思います。それに沿って質問をしてまいります。
 この新年度以降、こうした復興防災教育については、先ほど45校をモデル校にしてというお話でございましたが、そして、防災担当の教員をつけるんだというようなお話でありましたけれども、やはり地元の被災された方の声というのが一番の先生であり、そこで努力されている方に学ぶというのは、これが一番のところだと思います。過去の津波防災教育でも、紙芝居を使ってやっている地元の田畑さんという方がいらっしゃいましたし、大津波の歌なんていうものも歌われて、それで伝承してきたというのがあるんですが、これは、新年度において、そうした被災された方々と学校の関係、防災教育の中でどういうふうに生かしていくのかというのが1点です。
 それから、これは総務部のときにも取り上げさせていただきましたが、地域との防災訓練をどういう形で学校としてやっていくのか。この2点について方針をお示しいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 御質問でございますいわての復興教育ということについての、その中でも防災教育をどのように位置づけていくか、どのように人材を生かして地域とともに進めていくかという御質問ということでお答えいたします。
 まず、いわての復興教育の八つの教育内容の中でも、特にも重視されますこの防災教育でございます。どのように人を生かしていくのかということの一つ目の御質問でございます。
 この震災以降も、それからその以前も含めてでございますが、例えば田老町の田畑ヨシさんとかを含めて、生の体験をさまざまな場所で御講話いただいたり、学校に出向いて授業をしていただいたりということについて、これも、やはりこの1年の中で、その田畑ヨシさんも、内陸部に来て紙芝居を披露したりという事業にも取り組んでいただいております。
 それから、それぞれの地域においても、やはり、例えば滝沢村では、救助活動に当たった自衛隊の方のお話を一本木小学校等で御披露していただいて、授業として取り組んでいただいたり、地域も一緒になってそのお話を聞いて、さまざまな質問をしたり、これからの自分の行動にどう結びつけていくかというまとめ方をした学習も事例としてこちらもとらえております。このいわての復興教育プログラムにも、一部はそういう部分も実践例として紹介しております。
 それから、二つ目の地域との連携、防災訓練あるいは防災教育の地域との連携ということについてでございます。これは、平成21年度の調査についてでございますが、沿岸部12市町村で調査したところ、小学校34校、中学校20校が、地域の活動と一緒に防災教育として学校教育の中に位置づけております。例えば、下校時を想定して地域の方々と避難訓練をした学校もございます。陸前高田市や釜石市において行われております。それから、特定の避難場所へ地域の方々と避難訓練を行っている、そういう事例もございます。
 それから、有名なところでは、釜石東中学校のボランティーストという取り組み、これは、助けられる人から助ける人へという学校の取り組みのスローガンのもとに、地域の方と避難訓練に取り組んでおります。それから、内陸部でも、花巻北中学校の総合防災訓練、これも復興教育プログラムの中に実践事例として掲載しておりますけれども、このような先進的な事例に学びながら、やはり地域と一体となった全県としての防災教育を進めていくようにと考えているところでございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。実践例はそれぞれ承知しているわけでありますけれども、大事なことは、今、学校の防災教育の中で、例えば地域と一緒に避難訓練をするんだとか、そういったことを確実に組み入れていくこと、これはやっぱり必要なことだと思うんです。その先進事例に学びながら、学んだだけでやらないというのじゃ、全くやらないのと一緒ですから、やっぱりやることということで、これは、この震災があったからこそ、地域と協働で学校は避難訓練とかをするんだということを明確に打ち出すべきだと私は思います。いかがですか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 県の教育委員会としまして、先ほど復興教育プログラムの中で、いわゆる地域との交流という教育内容もございます。その中には、地域の方々と一緒に避難訓練あるいは避難所の運営のあり方についての学習という取り組みも位置づけております。そういった形で、学校を通してでも、それから、地域の取り組みから学校を巻き込んでとか、そういう取り組みが復興教育担当を中心にしながら、4月以降はより積極的に、この1年よりもさらに踏み込んだ形で、あるいは計画として年間の中でしっかりしたものに位置づけながら、それぞれの市町村、地域で学区ごとに進めていくことをこちらも支援してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれ、これは確実に進めていただきたいと思います。
 復興教育の最後に、先ほど田畑さんのお話も出ました。いろいろな交流もあります。ただ、残念ながら、小さい子供たちを今の現場に連れていったりすることの問題もあるでしょう。それから、実際に来られる人も限られているでしょう。そうなりますと、やはり中学校、小学校における復興教育のための副読本というものはどうしても必要になってくると思います。先ほど紹介した復興教育プログラムは、あくまでもこれは学校の先生向けの話でありまして、やはり子供たち向けの副読本というものをつくるべきだと思うんです。
 実際には、神戸の震災があったときに、これは兵庫県のほうでつくっております。私も行って、拝見してきました。大変すばらしい内容だと思っているんですが、岩手県の教育委員会としては、この副読本をおつくりになるおつもりがあるのかどうか、つくるとすれば、いつまでにつくって、どういうふうに形を生かしていきたいのか、お示しいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 今お話にございました、神戸で作成した副読本、しあわせはこぼうという副読本がございますが、県教委は、その副読本についても承知しておりながら、いつの段階かでは、そのような教材としての副読本をまとめる必要があるなというものを感じております。
 ただ、このいわての復興教育プログラムを4月以降は45校のモデルを中心に、さらにこの実践事例を収集しながら、そしてその中で、いわゆる授業で使われた効果的な資料あるいは教材を、何年後かに神戸のように1冊にまとめながら、5年たっても10年たっても風化しないような、そして継続的な教育が行われるように、いつの段階かにはそのような副読本の作成に踏み込んでいきたいとは考えております。
〇岩渕誠委員 今のは、いつの段階かやればいいなと、それじゃだめですね。やっぱりつくるんだ、つくって教えるんだということを明確におっしゃっていただきたいんですが、教育長、どうですか。
〇菅野教育長 確かに、今、委員の御指摘のとおり、今回つくりましたのは教師向けの指導書でございます。したがいまして、それらの事案の積み重ねを行いながら、やはり子供たちにどう伝えるかというのは非常に重要な課題でございますので、県教委として、副読本の作成を行ってまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 大変期待の持てる答弁でございました。やはりそれを通じて、豊かな心を持った子供たち、負けない、とにかく頑張るという子供たちをつくっていっていただきたいと思います。
 次の質問に行きます。学力向上対策に移ります。
 学習定着度状況調査、これは毎年やっているわけでありますけれども、新年度もやるということでありますが、去年の状況も踏まえて、今の岩手の子供たちの学習におけるいわゆる弱点を含めた課題、それから改善点はどこなのか、現状についてお示しいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 学習定着度状況調査を踏まえた岩手の子供の現状についてでございますが、県内の小中学生の学力については、国の全国学力・学習状況調査と、それから岩手県の学習定着度状況調査を通して例年把握しておりましたが、本年度につきましては、震災の影響のために国の調査は中止となりましたし、県の調査も学校での状況把握ということで活用しまして、県としての全体の集計、分析は行っておりません。
 ここでは、平成22年度においての本県の学習定着度状況調査の特徴、分析についてお伝えいたします。一つは、成果といたしまして、それまでの課題でありました中学校の数学の部分で、中央値が同程度か高くなりまして、少しずつ課題の改善が図られてきている、全国との差も縮まりつつあると。それから、もう一つ、家庭学習の課題もありましたが、家庭学習の時間についても、それまでに引き続いて増加の傾向にあります。ただ、全国と比較して家庭学習の時間もまだまだ足りない状況でございます。
 現状については、以上でございます。
〇岩渕誠委員 ちょっとそこから派生して聞きますけれども、心配しているのは、やっぱり被災地の子供たちが学習できる環境になかなかないと。新年度でもいろいろサポート事業をやっていますけれども、これで十分に対応できるのかというところを大変心配しております。それは居場所の問題、そして教える側の問題、これは一体どうなっているのか。私は非常に懸念しているわけでありますけれども、新年度においてそれは十分対応できますか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 一つ、子供の学習環境ということについてでございますが、特にも被災した学校、市町村、地区におきましては、現在、そういう環境の改善ということでまず大きな課題に取り組んでおります。仮設校舎に移ったところもありますし、これから3月に向けて移るところもございますし、それから、新校舎の建築に向かって計画を進めているところもあるということでございます。
 4月からの部分につきましては、やはりまだそういう校舎の環境が整わないところにおきましては、よりこの教室環境について、昨年は応急的な教室配置をしたところもございまして、そういったところをもう一度見直ししながら、まずは教室環境を整えた。それから、教師の配置ということにつきましても、やはり引き続いて復興教育加配ということを今、国のほうにお願いしながら、継続的な加配を配置しながら、より一人一人の子供の実情に応じたきめ細かな、個に応じた指導が継続してできるように、今、環境整備に取り組んでいるところでございます。
 それから、放課後等の活用についても、いわゆる通学バスが来るまでの間の時間の活用とか、そういったところでも、NPOとか、市町村独自の放課後の活用の時間帯、学習時間を確保したりということについても、今、全県で取り組んでいるところでございます。
〇岩渕誠委員 これは内陸にも共通するわけでありますけれども、どうしても学習時間が足りていない。時々、土曜日の午前中、これはいろいろボランティアが運営したり、あるいは学校本部が運営をして、教員志望のボランティアとマッチングしながらやっているケースというのが、首都圏なんかは結構あるわけですね。したがって、そういった加配とかといった形だけではなくても教育環境を整えるという可能性はあると思うんです。その辺は十分に検討を踏まえて、若い教員志望の皆さんを生かすという意味からも、僕は非常に効果が今の時期あるのではないかと思っているんですが、その御所見を聞きたいんですが、教育長いかがですか。
〇菅野教育長 先ほど課長から御説明申し上げましたとおり、まず、学校での課程をしっかりやっていく。加配教員も含めてということを前提としつつも、おっしゃったように、放課後をどうするかと。これは、幸いに、例えば県内の大学、それからNPO等が、それぞれ被災地に入っていただきまして、放課後の学習環境が整いつつございます。今、委員から御紹介あったような方策も一つでございますが、そういったものに対して、来年度、国の事業を活用して支援を行いたいと思っております。確かにあれだけの大きな被災ですので、一挙に解決というわけにはまいらないと存じますが、一つ一つ着実に学習環境の改善に努めてまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 今のは小学校、中学校の話ですが、最後は、高校の部分で進学ネットワーク事業というものをやっています。これは、県政課題克服とか県北、沿岸の大学進学、こういったところを向上するという従来のものを、3事業を統合して始まって4年目が終わるというところですが、特にもこの中では、お医者さんをつくる部分で講座をやってきたと思っております。その成果というのがどのように出ているのか、そして、新年度どのような形でやっていくのか。
 まとめて聞きますけれども、今までは、これは名前がすごいんですね、東大医学部対策講座ということでやっておりまして、これは合宿をしたりいろいろやっているんですが、100人以上やって大いに結構なことだと思います。こういう被災の中で合宿関係も限られていると思いますけれども、やはり沿岸の復興に立ち上がりたいというような子供たちもいるわけであります。それは、やっぱり開催場所の工夫とか目的を幅広にとらえるとかということをしないと、ただ単に医学部に入れればいいやとか、この名称を借りれば、東大に入れればいいやという話じゃないと思うんです。その辺は運用の段階で改善の余地があると思うんですが、いかがですか。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 県内の高校では、特に専門的知識を習得するために、大学進学を希望する生徒に対して、学校の垣根を越えて、同じ志を持った他校の生徒同士が同じ場所で切磋琢磨する機会を今までかなり設けてまいりました。それによりまして、医学部や法学部など高い学力が要求される分野の生徒がふえてきております。進学ネットワーク事業開始以来、県全体の医学部への進学数が増加しております。特に県北、沿岸地域の伸びが大きい状況でございます。
 それから、今回の震災で、やはり医学部を目指そうというような生徒も多くなってきております。医学部だけじゃなくて、やはり復興にかかわりたいという高校生が、県立大学、岩手大学を目指している生徒もだんだんふえてきております。
 そういうような生徒にできるだけ支援してまいりたいと私どもも思っておりまして、例えば、来年度は沿岸で進学を目指している普通高校等には、進学ネットワークの予算を多目に出して、特にバス代とかがかかりますので、そのバス代等を計上してありますし、今、委員おっしゃられたように、場所等についても、沿岸でやるとか、それから、岩手大学、県立大学を初め岩手県内の5大学でつくっておりますコンソーシアムという組織があるんですが、そのコンソーシアムも、その進学支援に回って一緒にやろうじゃないかというような話もありますし、NPOも、ことしも来年も何かあれば一緒にやろうと思っておりますので、やはり柔軟な形で支援を考えていきたいと思っております。
〇佐々木努委員 私は二つほど質問を予定しておりましたが、その二つともこれまでに質疑が交わされましたので、簡単に質問をさせていただきます。
 一つ目は、教職員の人事異動に関することです。
 先ほどもいろいろな話があったわけですが、ことしといいますか、新年度の教職員の人事異動の規模と、それから、沿岸被災地における異動の割合を最初にお聞きしたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 新年度の人事異動の規模でございますけれども、定期人事異動ということで、現在精査している段階でございますが、小中学校では1、900人程度、県立の高校、特別支援学校は1、000人程度、事務局は200人程度、合わせて3、100人程度の規模となる見込みでございます。
 これは、昨年と比べますと、昨年は凍結したということもございまして大幅にふえております。900人ほど多くなるということでございます。例年に比べてもやはり300人ほど多いということで、大きな規模になっております。
 沿岸の割合というのは、ちょっと今、出しておりませんので、今後、集計できましたら御報告したいと思います。
〇佐々木努委員 私は、沿岸被災地で仕事をしている学校の先生方を非常に心配しています。この1年本当に大変な思いをして頑張ってこられたと思いますし、実際私の知人も、沿岸でこの1年間一生懸命頑張ってきました。そういうことで、少しでも内陸から沿岸地域に行っている先生方の負担を取り除いてあげたいなというのは私個人の思いですが、でも、現地では、実際は、子供たちを置いて自分は異動できない、異動したくてもできない、そういう思いを持ってまた頑張ろうという先生もいらっしゃると聞いています。
 その一方で、聞くところによりますと、今内陸にいる方で、沿岸被災地で頑張ってみたいという若い方がたくさんいらっしゃるとも聞いています。私はそういうところを、どうしてもこっちに戻ってきたいという方、そして、ぜひとも沿岸被災地に行きたい、そういう方々のマッチングをうまくしていただいて、より効果的な人事異動にしていただきたいと思っています。
 人事異動全体としての考え方なんですが、以前から先生方は、県北がどうしても少ないということで、任用期間中は必ず県北あるいは準県北に行くということになっているようです。それはそれでいいと思いますが、それ以外のときは、できる限り先生方というのは自分の地元にいるべきじゃないかというのが私の持論です。先生方は、やはりそれなりの人材の方々ですから、地域に根差していただきたいし、このような災害になった際は、やっぱり特に沿岸の先生方は、自分が住んでいたところ、自分の肉親がいるところ、自分が育ったところを非常に気にされて、戻りたいという気持ちがより強くなるんだと思います。ですから、いろいろ難しい面があるとは思うんですけれども、今後人事異動を考えるときは、私は地元に根差した、地元への配置を極力していただけるような人事異動にしていただきたいと思っています。
 その件について所見があれば。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 今後の人事異動のあり方でございますけれども、被災地につきましては、学校の復興の状況ですとか、あるいは児童生徒の心のケアとか学習支援の状況などを見ながら、そういう状況、ニーズを把握しまして、今後、学校長、教育委員会等と情報交換を密にして異動を行ってまいりたいと思います。
 また、委員御指摘のとおり、やはり教員は地元でという御指摘でございます。なかなか全体的な県の教職員の出身地のバランスというものがありますが、今後とも、教員の希望や出身地などについても配慮しながら、人事異動に努めてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 二つ目は、学力向上でございます。詰め込み教育から脱却ということでゆとり教育が始まったわけですが、それも終えんを迎えたということであります。このゆとり教育が残したものというのは、やはり学力の低下ではなかったかと私は理解しています。
 特に岩手県においては、その状況が非常に厳しい、中学生、高校生は特に厳しい状況にあると思っていますが、先ほど、県の今現在の児童生徒の学力については岩渕誠委員から質問があったとおりだと思いますが、県として、学力低下の要因はどういうところにあるのか、あわせて学力向上への課題、取り組み、これからどのようにしていくのかというのをお示しいただければと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 今年度は、県の学力調査の実施はそれぞれ参考ということで活用いただいておりますが、それまでの本県のさまざまな調査の分析から、一つは、学力の課題として、いわゆる授業のわかる割合が、特に中学校で7割を切っているというところが課題でございまして、やはりこれは授業のさまざまな工夫、改善が必要である、それを図る必要があるというところを一つとらえております。
 それから、もう一つは家庭学習のあり方。先ほどもお話ししたとおり、まだ家庭学習時間がなかなか確保されないでおります。一つの大きな要因は、調査によって、特にテレビ視聴が本県は全国でもかなり多過ぎる、見ている時間が多過ぎるということが、まず大きなそういう要因ととらえております。
 これらを踏まえまして、県の取り組みといたしましては、一つは、学力・授業力向上担当チームによる個別学校訪問指導です。これによって授業の工夫、改善に努める。それから、各教育事務所における授業力向上のブラッシュアップ事業ということで、教員同士の指導力の向上を図る研修会といったものに積極的に取り組んでおります。
 それから、4月からは、特にこれまでの調査で数学の落ち込んでいる正答率の低い領域を中心に、それぞれ一人一人の能力に応じて取り組めるようなプリントを作成して、これをそれぞれ家庭学習とかでいたしていただくような、そういった取り組みも考えております。
 さまざまな課題を改善するための手だてを考えながら、きめ細かなそういう指導・改善するための支援をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木努委員 ありがとうございます。いずれ子供の学力低下は、私は子供に責任はないと思います。やはり指導する先生なり、家庭なり、あるいは教育委員会なり、そういう方々に大きな責任があるのだと思います。厳しいことを言って大変申しわけないんですけれども、そういうことで、岩手の子供は頭が悪いとネット上で言われるようなことがないように、何とか学力向上に力を入れていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
〇名須川晋委員 それでは、何点か質問をさせていただきます。
 まず、最近、東京大学が主導となりまして大学秋入学制度についてという検討が始まっておりますが、この背景についてと、そして、県の教育委員会としてはどう把握して対応していくかという、合わせて2点をお知らせください。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 大学の秋入学についてでございますけれども、学生の留学や留学生の受け入れ等、大学教育の国際化を進めることがねらいであり、海外の大学では秋入学が標準となっていることを踏まえ、現在、東京大学を中心に検討が進められていると聞いております。
 秋入学となった場合、高校卒業後、大学の入学までの約半年間の過ごし方や就職までの期間の延長による経済的支援の問題等、大きな課題も考えられることから、当面は、情報を収集しながら議論の進展を注視していきたいと思っております。
 実は、明後日、東京大学の鈴木副理事が県庁にやってまいりますので、そのことについて、ちょうどこの秋入学について、県内の高校といろいろお話し合いをしたいというような機会がありますので、それらも踏まえて、今後の秋入学について、本県でもどのように対応していったらいいかということを考えていきたいと思っております。
〇名須川晋委員 それでは、その内容につきまして、後で何かの機会にお知らせをいただければと思います。
 恐らくは、いろいろな教育界の先生方がお話しするには、これが小学校、中学校にも波及してきて、入学が半年から1年早まったほうがいいという論を張る方もいらっしゃるようでございまして、これによって、少子高齢化の中で一刻も早く労働力を市場に提供していくという意図もあるようでございます。そういうところで、高校生、大学生だけの問題ではなくなってくるだろうということで、検討についてはまさにこれからではございましょうが、十分に対応をしていただきたいと思います。
 これは前段でございまして、先ほどこの秋入学が国際化の推進につながるということが、東大の教授の皆様方、先生方が進める理由だとおっしゃられました。ということであれば、やはり本県もこの国際化にならった教育をより一層進めるべきではないかということでの質問でございますけれども、今はこういう時代でございますから、人、もの、情報がすぐに行き交う状況におきまして、将来的に日本が国際競争において生き残る必須条件であると思っております。国際理解教育といいますか、あるいは最近はやりの言葉で言えばグローバル人材育成なんだそうでございますが、これをますます進めることが、この岩手県にとっても重要なことであると。
 人材の育成は、1年、2年、3年では当然終わらないわけでございまして、やはり10年、20年のタームの中で考えていかなければいけないとなると、これを、教育方針をもっと大きく打ち出すことや、これについて、この国際理解教育を進めていくことをますます重要視していただきたいと思うのですが、来年度に向けて、何かこれまでと違った目玉事業があるのであれば─目玉事業と言ってはいけないのかもしれませんが─お知らせいただきたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 ただいまの御質問ですけれども、平成24年度より、来年度より、文部科学省においてもグローバル人材育成促進事業の一環といたしまして、海外に留学する高校生の留学経費支援や海外留学への機運を高めるための取り組みなどを実施することといたしております。
 県教委といたしましても、委員御指摘のとおり、岩手県においてもグローバル人材の育成が必要と考えておりますので、これらの事業を活用して高校生の留学を促進していきたいと思っております。
〇名須川晋委員 私は、人材育成においては、県内で育てていくというだけではなくて、やはりサケのように、大海に出まして、大魚になって戻ってくるほうが、これからの県勢発展に十分つながっていくと確信しておりますので、そういう観点もお持ちになりながら、かわいい子をぜひとも旅に出させてくださいということで、その海外留学もぜひとも進めていただければと思います。
 そういった意味からもあるんですが、ちょっとこれは通告を超えた質問になるんですけれども、今被災地のほうで各地から特使として、全国あるいは世界から被災した子供たちを呼んでいろいろな体験をさせようということが去年もあったはずでございます。ことしもまた、夏休みになればそういうものが多くなってくるのかなと思います。こういう機会をとらえて、子供たちをいろいろなところに行かせてさまざまな経験を積ませるということは、非常に大事だと思っております。被災地で窮屈な生活をしている彼らの心をいやすという効果もあるでしょうし、また、迎えるほうでは、津波や震災の意識を、災害に対する意識をますます向上させるという、お互いの利点があるんだと思います。
 そうした中で、お誘いがありましたら、子供たちをそういうところに、学校側で行ってはいけませんよということではなくて、行ってきなさいと、もちろん学校行事との日程が合えばなんですが、ぜひとも行ってこいという対応をとっていただきたい。
 また、気をつける点といたしましては、例えば生徒会とか児童会の役員が呼ばれることが多分多いのではないか。あるいは野球部とか、何かの体育会とか、そういう子供たちが呼ばれる機会があるんだと思います。私も、昨年ちょっと仲介という形で釜石市とか、あるいは石巻市の野球部の子供たちが東京で試合をする機会にちょっとかかわったんですけれども、どうしても特定の組織に属する子供しかそういう機会が与えられないというのであればまた、行かない子にとっては大変不幸でかわいそうなことでありますので、ぜひともそういうところも配慮しながら、多くの子供たちにさまざまな体験を重ねてほしいということで、御配慮をお願いいたしまして、特段御答弁は要らないんですが、何かございましたらお願いします。
〇菅野教育長 やはり今回の震災津波に際しまして、国内だけではなくて、世界から、岩手県の子供たちをぜひとも招待したいというありがたいお申し出をいただいています。先般も、実は駐日ポーランド大使にお見えいただきまして、ポーランドにそういう機会を与えられました高校生たちと一緒に懇談する機会を与えていただきました。やはり高校生たちは、新しい視点で物を見られたと。やはりポーランドという非常に遠い国でありますが、改めて岩手県の震災に寄せる国外の人たちの思いを感じることができたということを話していただいております。
 したがいまして、そういう機会があれば、やはり子供たちが世界に広く目を開く非常に大事な機会だろうと思っておりますので、私どもとしても、市町村教育委員会、それから学校と連携しながら、それぞれの子供たちの思いが生かされるよう、また支援していただく人たちの思いが生かせるように努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 先ほど神崎委員から特別支援教育について御質問がありましたが、私からは、発達障がいを持ったお子様への特別支援教育について絞ってお話を伺いたいと思います。
 現在、自閉症やアスペラー障がい、情緒障がいなどの発達障がいを持ったお子さんの増加が全国的なニュースになっております。このような症状のお子さんには、早期に発見をして、例えば特別支援学校などで専門的な先生について療育、教育をすることが、大人になったときに社会参画をしていく、そのようなスムーズな流れに持っていく大きな可能性を秘めているという反面、認知されてから間もないということもあって、発見がしづらく、成人になってやっと発見されるという場合がこれまでもあったと聞いていますが、県による発達障がいを持ったお子さんへの早期発見への取り組みと県立特別支援学校などによる教育、療育の取り組みについてお伺いします。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育担当課長 発達障がい児への対応についてでございますが、現在、学校において学習障がいあるいは注意欠陥多動性障がい、高機能自閉症障がい等、発達障がいを含めた特別な教育的な支援を必要とする児童生徒への適切な対応が課題となっております。情緒的な面での支援の必要な生徒というものも、この中に多く含まれていると認識しているところでございます。
 こうした児童生徒への対応に当たっては、委員御指摘のとおり、早期発見、そして早期対応が極めて重要であり、県教育委員会においては、幼稚園、保育所等で指導に当たる方々への具体的な指導方法や内容について、特別支援学校教員が訪問して支援を行ったり、あるいは幼児期における対応を中心とした研修会を開催しているところでございます。
 また、市町村教育委員会が、保健福祉関係機関との連携によって早期から成人期までの一貫した継続的な支援ができますように、特別な支援を必要とする子供一人一人に個別の教育支援計画、いわゆる個別の支援ファイルというものを作成する取り組みを進めており、今年度は、国のモデル事業の一環として、奥州市においてこの作成を行ったところでございます。
 今後におきましても、こうした特別な支援を必要とする子供の早期からの発見が、さらに充実できるように努めてまいりたいと思っております。
〇佐々木朋和委員 そのような取り組みをしていただいている中で、やはり早く発見されたなら、特別支援学校での養育というものが将来の社会参画に向けて有益であるとお話をいただいたわけですが、中には、小学校などで一度県立の支援学校に行ってしまうと、なかなか地域の学校へ戻ってくるのが難しいのではないかと親御さんが懸念されて二の足を踏んでしまうと。県立支援学校の分教室が学校にある場合は、専門的なそういう特別支援学校の教諭の免許を持った先生に療育を受けることができるわけでありますが、そういうことがないという場合には、特別支援学級での療育にとどまってしまうというケースもあると聞いております。
 その生徒さんに対する支援学級の現場の先生の御苦労は理解をした上で述べますが、発達障がいという難しい症状に対して、将来的な改善を目指すには、やはり専門的な療育が必要だと思います。そういうようなしかるべき機関での療育について、親御さんの足かせにならないように、症状の改善に伴って地元学校との行き来ができるとか、そのような垣根の低い取り組みが必要と思いますが、その点に配慮すべきと思いますが、いかがでしょうか。
〇佐々木首席指導主事兼特別支援教育担当課長 委員御指摘のとおり、情緒障がいの場合、適切な教育や指導によって、特別支援学校に入学時にあらわれていたさまざまな症状や困難性が軽減したり改善されるということがあり、そのような場合においては、地域の小中学校に戻るということを前提としております。
 その一方で、近年、特別支援学校に入学する情緒面での支援を必要とする子供たちの中には、障がいの状態や程度が多様化あるいは重複化したり、あるいは二次的な障がいを引き起こしたりという事例も多く、長期間の在籍になるケースというものも少なくはありません。
 こうしたことから、特別支援学校に在籍している間であっても、地域の小中学校との交流及び共同学習を継続的、計画的に実施して、地域とのつながりを保つため、平成24年度から、次年度から、交流籍という仮の籍、いわゆる副次的な籍になりますが、そういうものを地域内の原籍校である小中学校に置く取り組みを、小中学部を置く全特別支援学校で実施することにしております。
 今後においても、このような障がい等によって特別支援学校へ入学した児童生徒が、学習面、生活面での諸課題を改善させ、地域の原籍校である小中学校へ戻ることができるよう、特別支援学校の教育の充実を図るとともに、先ほど申し上げました交流籍の取り組みの実施によって、特別支援学校入学後も地域とのつながりを保ち、現在、そして将来につながる居場所づくりというものにかかわる取り組みの充実を図っていくこととしております。
〇佐々木朋和委員 ありがとうございました。ぜひ、今おっしゃっていただいた交流籍というものを、地域に戻ってもお母さん方にお知らせしていきたいと思います。
 実は、この話を聞いたのは平泉の女性のグループからだったんですけれども、その方々から私は言われたんですが、平泉が今回世界遺産の文化遺産登録になりまして、平泉の文化は中央からの差別を文化的繁栄によって乗り越えようとした文化だと。根底には平等思想があるのだ。だから、平泉を抱える岩手県には、例え少数でも、貴重な人的資源を余すことなく、それぞれの人のかかわり方でいいから社会参画ができる県であってほしいと。障がいを持った子供たちが、将来社会参画ができるような先進的な取り組みをしていただきたいとおっしゃっておりました。
 そのためには、ぜひ、先ほど私も述べましたが、社会参画を見据えた取り組み、垣根の低い教育機関、そのように交流籍などを使って行き来ができる機関、また、生徒さんの障がいに合わせた専門性を高めていくと教育長もおっしゃっていただきましたが、そのような取り組みにぜひ取り組んでいっていただきたいと思います。通告にありませんが、御所見を最後にお願いしたいと思います。
〇菅野教育長 やはり地域の子供を地域で育てるというのは非常に大事なことだろうと思います。ただ、どうしても特別支援学校は、それぞれの県内の限られた地域にしかないという問題もございます。したがいまして、やはりそういう特別な支援を受けながら、しかも地域とのつながりをずっと保っていく、その両面を、先ほど申し上げました取り組みで何とか行いたいと思っておりまして、それは全特別支援学校で来年度から始めるということで、これは市町村教育委員会の御理解もいただかなければなりません、それぞれの小中学校の御理解もいただかなければなりません。ただ、そうすることによって、特別支援学校の子供だけではなくて、地域の小中学校の子供たちに非常にいい影響が出ていると。やはりともに学ぶということを身をもって体験するということが言われておりますので、私どもとしてさらに努力してまいりたいと思っております。
〇嵯峨壱朗副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後2時53分 休 憩
午後3時13分 再開
〇喜多正敏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 執行部からさきの発言の訂正がありますので、発言を許します。
〇泉予算財務課長 先ほど神崎委員の御質問でありました放射線対策費を教育総務費の事務局費に積んでいる理由につきまして、ことし購入いたしました放射線機器等を使用するということで、教育委員会事務局で貸し出すということもありまして事務局費につくということで答弁申し上げましたが、これは、県立高校と県立特別支援学校の除染に係る経費ということでございまして、本来であれば県立学校費と特別支援学校費を別々に組むところでございますが、県立学校の放射線対策を一体的に行うということで事務局費に計上したということで答弁を訂正させていただきます。
 なお、先ほど機器の貸し出しとか機器の整備と申し上げましたのは、7項の保健体育総務費の中で整備した機器の検査に要する経費として平成24年度当初予算で計上しております。
 大変失礼いたしました。
〇吉田敬子委員 私からは何点か、まず一つ目に、これまでも取り上げてきておりますキャリア教育について伺いたいと思います。
 岩渕委員からは防災教育の件でお話がありましたが、今回、いわての復興教育プログラムの中にキャリア教育も大きな位置づけになるというお話が先ほどありましたが、これから子供たちがどのような社会人、職業人に夢を持ってなっていくかというところは大事だと思っておりますが、これまでの成果と課題と、そしていわての復興教育の中のキャリア教育にどのように県としてこれから取り組まれるかお示しください。お願いいたします。
〇阿部主任指導主事兼産業教育担当課長 キャリア教育のこれまでの取り組みの成果、課題についてでございますが、本県では、平成22年3月にいわてキャリア教育指針、8月にはいわてキャリア教育の手引きを策定し、すべての学校が教育活動全体をキャリア教育の視点で見直し、キャリア教育全体計画を作成して、計画的、組織的に取り組んできております。
 今年度、小中学校を対象に実施いたしました平成23年度キャリア教育の推進にかかわる現状調査によりますと、キャリア教育に取り組んだことによる成果として、コミュニケーション能力、人間関係調整力や勤労観、職業観が向上したことを挙げる学校が多くございました。また、高校においては、今年度からすべての学校においてキャリア教育全体計画を作成し、指針に基づいた取り組みが進められているところでございます。
 課題といたしましては、今回の震災の影響等により、沿岸部の学校の職場体験、インターンシップの実施が今後も困難な状況になることが予想されますので、県教育委員会といたしましては、関係部局、関係機関との連携を図りながら、できるだけ実施できますよう学校の支援に取り組んでまいります。
〇吉田敬子委員 前回質問させていただいたときに、小中学校ももちろん大事なんですが、私自身は高校での取り組みというのがもっと大事と思っている中で、これまで専門学校でのインターンシップが多かった中で、普通高校でも今年度はキャリア教育指針を策定しながらこれからやっていかれるということですので、ぜひ普通高校での取り組みをこれからも強化していっていただきたいことと、現場の体験もそうだと思うんですけれども、私も高校生から、たくさんの職業、いろいろな職種の大人にかかわる機会がないので、ぜひこういう話を聞ける機会をふやしてほしいという話を聞いていましたので、性別、世代別ともにたくさんの大人に触れて、子供たちの豊かな心、そして社会人、職業人として育成する取り組みをこれからも続けていっていただきたいと思います。
 次に、県立学校における土壌等の除染、放射線対策についてですけれども、放射性物質に対する学習を教職員の方々にも今年度も含めてやられてきたかと思うんですけれども、これからの取り組みとして、簡単に、子供たちの安全・安心な教育をどのように確保していくつもりかお示しください。お願いいたします。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 子供たちの安全・安心な教育ということでございますが、基本的には放射線量の低減ということで考えてございます。県といたしましては、県内全域の学校等を対象として、空間線量率が局所的に高い箇所を特定いたしまして、線量低減のための土壌処理を行うという事業に取り組んでございます。
 県立学校におきましては、全82校の測定を昨年11月に終えまして、いずれも校庭等の場所で文部科学省が目安としております毎時1.0マイクロシーベルトを下回ってございまして、健康に影響を与えるレベルではないことを確認してございます。
 ただ、局所的に高い値を示した箇所、例えば雨どいの下とか側溝付近であるとか、そういうところもありましたので、そのような場所につきましては、念のため、作業が終了するまでの間、立ち入り制限等の措置を行った上で除染を行ってございます。
 なお、12月末までには、除染の対象となるすべての県立学校において土壌処理等の除染作業を完了したところでございます。
 今後におきましても、定期的に放射線量、空間線量率の測定を行うこととしてございまして、高い値を示す箇所が特定された場合には、同じように立ち入り制限等の措置を行った上で土壌処理等の除染を行い、安心して学校に通えるような環境をつくっていきたいと考えてございます。
〇吉田敬子委員 ぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
 次に移りたいと思います。
 最後に、豊かな体験活動推進事業についてお伺いいたします。
 先ほど及川幸子委員から、伝統文化の、子供たちにそういう昔ながらの教育を進めるべきだというお話があり、私もそうだと思っておりますが、その中で、今回の豊かな体験活動推進事業は自然体験学習を盛り込んでいる事業ということですが、この具体的な取り組み、これまでの取り組みの成果とこれからの課題をどう把握されているか、子供たちの豊かな心をはぐくむための県の大きな考え方としてお示しください。お願いいたします。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 この豊かな体験活動推進事業は、子供たちの豊かな人間性や社会性をはぐくむため、小学校において3泊4日以上の日数で行う自然体験活動等の取り組みを支援するものです。しかしながら、今年度は、震災の影響がありまして実施することができなかった事業です。
 これまでの取り組みの成果として、昨年度の田野畑村田野畑小学校での成果と課題としまして、一つは、自然や仲間と触れ合う中で、多くの児童生徒が規範意識や社会性、命を大切にし、他人を思いやる心などを身につけるということで、豊かな人間性をはぐくむことにつながる取り組みになっているととらえております。
 課題としましては、学習指導要領の改訂によりまして一層重視されたことで、学校と他部局や関係諸機関との連携の工夫にさらに努めながら、体験活動の趣旨の理解を一層深めて、さらなる充実を目指していく必要が挙げられます。
 この取り組みの県教育委員会としての進め方、考え方でございますが、このたびの震災における貴重な体験も踏まえながら、この体験活動を、すべての学校で取り組むこととしておりますいわての復興教育の中の重要な視点の一つとして位置づけながら、これまで以上に体験活動を推進して、豊かな心をはぐくんでまいりたいと考えております。
〇吉田敬子委員 いわての復興教育の中にも大きな位置づけにされているということで、今回の震災で、子供たちに小さいころから、木造校舎のハード面もそうなんですけれども、ソフト面として、例えば木のぬくもりもそうですけれども、自然が大切だということ、自然は、でも脅威も振るうということを体験させるということは大事だと思っております。
 私の地元の小学校で学校林を所有して森林の活動を通じた自然体験をやっているんですけれども、私は、その学校林を通じての取り組みもこれから改めて大事ではないのかと考えている中で、これは通告していなかった点なんですが、県内の小学校の学校林の状況等がもしおわかりであれば伺いたく、そしてまた、学校林の活用に対する県の考え方を最後にお伺いして終わりにいたします。お願いします。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 学校林の取り組み、実践例ということのお尋ねでございますが、体験活動の中でもこれは自然体験の中に位置づけられまして、特にも小学校では自然体験活動としまして71%、中学校では32%が自然体験に取り組んでおります。中でも、学校林を有する実践取り組みとしましては、県内では、例えば森林教室という取り組みの中で、植林体験あるいは草刈り、そして清掃活動ということで取り組む学校、あるいは間伐材を活用しまして、製材して校舎の腰板等の一部に利用したり、あるいは工作等の教材に活用するなど、さまざまな形でこの取り組みが行われているところでございます。
 県教育委員会といたしましても、やはりそういう体験を通して、そして自分たちで育てた木材を活用してさまざま学習に役立てるということは、非常に有効な、豊かな心を育てることにつながると考えております。
〇久保孝喜委員 私は、放射線教育についてのみお尋ねしたいと思います。
 最初に、実際の教育現場でどのように行われているかという点をまずお示しいただきたいのですが、昨年、作成されました文部科学省の副読本の活用率がどの程度になっているのか。あるいは、県もパワーポイント用の教材などもつくられたようでありますが、この教材の活用率はどの程度のものになっているのか。あるいは、どの程度の時間これが活用されているのかといったようなこと、まずはその実際をお示しいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 放射線教育につきまして、国が作成したものの副読本、それから岩手県独自で作成しました県の補助教材、この二つございますが、昨年末、県教育委員会では、県の作成した補助教材ということで、教員対象の研修会を実施したところであります。放射線教育の実施について、小中学校では市町村教育委員会や各学校の判断として行っているものでありまして、県の補助教材の活用も含めて、その実施状況については把握していないところでございます。教員研修を行って、そして12月から2月、3月にかけて今、学校の中で学習教材として活用されているところでございます。
 それから、県立高等学校においては、やはり12月から3月までにこの補助教材を活用しての授業実施ということになっておりますが、県が示した副教材を、それぞれの学校におきまして地域や生徒の実態に合わせて工夫して活用しているものと認識しております。その活用状況や時間数などの把握は、今その最中ということで、まだ行ってはおりません。
 国の作成した副読本については、これは全く、県の作成したものを中心に今、県内では授業に活用されている状況ととらえております。
〇久保孝喜委員 国の副読本は県内にどの程度の量が配布されたんですか。全く使われていないというのは、使わなくてよろしいというか、県教委として、これは参考程度という扱いにしているものなのか、その辺の県教委の姿勢としてどのように示してきたのかをまずお答えいただきたいと思いますし、それから、県の教材の活用率はまだ調査中であると。これは、例えば年度末で全体の調査を行うといったようなスケジュールなんでしょうか。その辺もあわせてお聞きします。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 国の副読本についてでございますが、これは国が、放射線等の人体への影響、防護について学ぶためとしまして、平成23年10月14日作成して配布されております。これは県内では各学校に1部ずつということで配布されておりますが、それぞれの学習への活用については現場に任せるという内容での示し方でございます。
 それから、活用状況についての把握については、まさにまだ授業時数の3月いっぱいのところがございますので、そういったところも踏まえて、年度締めとしまして調査に入りたいと思います。
〇久保孝喜委員 文部科学省の副読本は現場に活用を含めて任せると。しかし、現実には、実際これが放射線教育として活用されている例はないと認識している、こういうことでよろしいわけですね。
 そうすると、この文部科学省の教材、それから副読本、それから県の教材に対する現場からのさまざまな意見というのも承知しているんだろうと思いますが、そういう中身についてお知らせいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 県の作成した補助教材ということでの現場からの感想等についてでございますが、一つは、小学校低学年の教材の導入の部分については、さらに工夫、検討の余地があるのではないか。それからもう一つは、喫煙や運動不足との比較になっているが、生活習慣は個人の努力によって解消できるが、放射線被曝は健康被害につながり、比較は適当ではないなどの否定的な御意見もある一方で、写真や映像をふんだんに活用し、視覚に訴えるつくりになっており、児童生徒が理解しやすい、あるいは、発達段階に合わせて細かく作成してあり、すべての種類が提供されているので、児童生徒の実態に合った形に工夫して実施できるというような評価する意見も寄せられているところでございます。
〇久保孝喜委員 バランスに配慮した答弁、ありがとうございました。
 この副読本の問題は国会でもさまざま問題になりましたし、今議会においてもいろいろ議論が交わされてきたところでございます。国会では、大臣自身が、本来、原発のPR機関であるところにこの制作を委託していたというようなことが問題になって、適当ではなかったというようなことまで飛び出たんですが、最終的にはそのまま配布した、こういう経過もあるわけです。
 一方、県の教材について、今、導入部という話がございましたが、これは言わずと知れた、マッチ、自転車、包丁、これなあにと言って呼びかける。使い方によっては非常に便利だけれども危ないよという導入部だったわけですね。これが子供たちにどういう影響を及ぼすのかということで、学校現場からいろいろ私も声を聞いております。放射線教育というのをどういう形で子供たちに伝えていくのかということは非常に難しいと思います、私も。難しいとは思いますが、しかし、こうした導入部が子供たちに与えるインパクトを考えたときに、果たして妥当なのかどうかという議論はやはり存在するわけです。自転車と放射線が同じなのかと、こういう話に端的にすり込まれるということになってしまっては、これは放射線教育の名にも値しないし、現下の状況から全く乖離した話になってしまう、こういうことだろうと思います。
 何をどう伝えるのかということを県教委としてもきっちり定めておかないと、先ほど、現場に任せるという形で、ある意味丸投げをしてしまっているようなことでは私はいけないんだろうと思います。文部科学省の教材は、本県の教育現場では参考としてご覧くださいというならそういうふうに言うとか、あるいは県のつくった教材については、自信を持って現場で使ってくださいというなら使ってもらうように指示を出すということも含めて基本的な方針が何なのかということが私はなかなか見えてこないという気がしているわけですが、この点についてはどのようにお考えなんでしょうか。何をどう伝えるのか、基本的視点は何かという点でお答えをいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 国の副読本の扱いについてでございますが、これにつきましては、それぞれ各学校に送付されて、活用については、それぞれ市町村あるいは学校で取り組むことと。ところが、内容としまして、県でさまざま検討したところ、やはりそのまま発達段階に応じて、授業として、あるいは学習内容として教材として使うには難しさがあるというので、県としましては責任を持って、こういう形で授業に活用するための補助教材ということをかみ砕いた形で、それから発達段階に応じて作成したところでございます。そこのところ、先ほど説明不足のところがございましたので、そういう県の補助教材の考え方。
 それから、ねらいとしまして、県の補助教材は、児童生徒が放射線の性質や危険性等について正しい知識を身につけ、正確な情報と科学的な根拠に基づいて判断し、行動することができるようになるということを一番強く考えております。
 そして、県として、そのような活用が図られるように、先ほど発達段階のお話をいたしましたが、国の作成したものは小学校、中学校、高校という区切りでしたけれども、県の教材は、小学校は低学年、中学年、高学年と三つに類別しますし、中学生用は1種類、高等学校用は理系と一般の2種類、合計6種類の発達段階に応じた補助教材を作成しております。
 それから、導入の部分についてでございますが、包丁やマッチ、自転車ということでございますが、やはり国の副読本は、そのままでは子供たちの興味、関心に授業として導入部分で結びつけるにはちょっと飛躍があるということで、特に低学年に配慮しまして、身近にあるものということで、そういう危険なもの、扱いを間違えば大変なことになりますということでの包丁、マッチということで、導入にこれを使っているところでございます。
 それから、本県の補助教材につきましては、放射線医学の専門家の指導をその都度つきっきりで受けながら、そういった意味でも適切に作成したものと考えているところでございます。
〇久保孝喜委員 この手の問題では常にぶち当たることなんですが、教育学上どう教えるのか、教育技術の問題と、それから現に起きている現実との整合性というのを教育現場の中でどう図っていくかというのは非常に難しい。しかし、そこは避けては通れない話に現実にはもうなっているわけです。
 そういう実例として、一つお聞きしたいんですが、先般─個々の授業内容をこの場で論評する話もしてはならないと思いますし、決していいことではないんですが、既に報道されていることですのであえて申し上げますけれども─、県立の中学で放射線を正しく知ろうという授業が行われたということで、その報道がございました。その中身を見て─私は一関在住者から連絡が来たりしてこれを知ったわけですけれども─私自身もちょっとびっくりしましたけれども、その授業では、放射線を取り上げて、東北大学の大学院の学生あるいはゼミの皆さんと一緒にキャリア教育の一環として行ったということなんですが、放射線そのものの功罪を問うという授業だったらしいんです。しかもそれは裁判仕立てで、放射線が悪なのか善なのかという問題の立て方をして、検察が悪だと、弁護側は、いや、そんなことはない、いろいろな使い道があるんだと。裁判員裁判で、子供たちがそれを判定する、こういう仕掛けの授業だったらしいんですが、そこで全員一致これは無罪、こういうことになったというわけです。
 その記事を読んで、しかも一関ですよ。今現実に放射線被害が蔓延して風評被害で大変困難な状況があるという中で、この報道が、読んだ方々、一関地域の方々にどういう影響を与えたのかということを考えると、いやあ、これはちょっとという思いにやっぱりなったわけです。
 つまり、ここに象徴されるように、放射線そのものを科学的な知見として学習するということはあっていいし、それはそれで十分授業として成立する話なんですけれども、一方では、地域の中にこれが伝わったときに、親御さんを含めて地域の方々がどう受けとめるのか。放射線は全員一致で無罪だと、こういう報道がなされればどういう反応になっていくのかということも、私は教育現場としては多少配慮しなくてはいけない話なのではないかと。ここに私は難しさの象徴を見たような気がするわけです。
 この事実、実際承知していたのかどうかも含めて、教育長、感想をお持ちですか。
〇菅野教育長 今、中学校でのお話がありました。詳細については私も承知いたしてございません。ただ、お話を承る範囲では、一つはディベートの授業としてやったのかなという感じは持ってございます。ただ、どういった授業内容か詳細に把握してございませんので、なかなかそれに対するコメントをすることは難しいんですが、いずれにいたしましても、それぞれの子供たちの発達段階に応じて適切な授業を行うことが大切だろうと思っております。
〇久保孝喜委員 模範解答でしょうけれども、この授業を含めて、受けとめた住民の方々、先ほど教育長は、地域の子供を地域で育てるんだという話もございました。常に教育現場の教育の実際は、地域の中で見守られて、地域の中で常に還元されていくというサイクルを持っているわけです、本来。だとしたら、こういう話は、どう伝えるかということと同時に、やっぱり教育委員会も意を尽くしてその授業の実際がどうなっているのかということをきちんと把握していくという姿勢が私は必要なんだろうと思いました。
 この記事の最後のほうに、裁判長役の大学院生が、放射線は正しく使えば非常に役立つ、皆さんにもこの最先端科学を学んでもらいたいと。現に学んでいる方がおっしゃっているわけで、それ自体を否定は何もしませんけれども、そういう形でつまり安全神話なるものがこの社会全体に蔓延して、なおかつそれが極端な形で今回、原発事故という形で出てきたと私は思っているものですから、こうした姿勢が文部科学省の副読本にあり、そして県のつくった教材にまでこの精神がある意味一本筋が通っているなという感じがして、これは象徴的な出来事だというふうに取り上げたわけですので、現場の声、さまざまな思いというのをしっかりととらえてこれからの放射線教育を進めていただかなければならないという思いでいるところでございます。
 教育委員長に感想をお尋ねしたいと思います。
〇八重樫教育委員会委員長 県立中学校の授業内容について、詳細も概略もわからないので今の委員からのお話の範囲で判断しますと、例えば放射線の功罪ということについて取り上げることはいいかもしれませんが、それを裁判仕立てでやるというそのやり方に私は個人的には問題があるのではないかと。放射線の働きとか役目とかさまざまなことについて学習するのはいいでしょうけれども、それが子供たちの、今言う裁判員制度の手法を使うというのは授業として本当にどうなのかという疑問は私も持ちます。今、福島があのような問題になっているときに、しかも一関はその影響を受けているというときに、材料としては大事なことなんですけれども、やり方を慎重にやらなければならない。学校からきちんと聞かないとわかりませんけれども、私はそんなふうに思います。
〇伊藤勢至委員 私は最も教育的でない男だと思っていますが、このことについては、やっぱり正しいもの、
 治験しているものは正しく子供に教えるべきだと思います。私たちの年代になれば、何百ベクレルとか何ぼシーベルトとか、何を食ったってもう先がないので大したことはありません。ただ大事なことは、子供たち、これから子供をつくっていく子供たちはそういう状況に置いてはいけないという思いはいたしております。
 先般、この場で県政調査会というのをやりまして、岩手医大の環境部、何かそういう関係の先生が来て講演をしていただきました、放射能についてであります。私はそのとき質問いたしました。我々は健康診断を受ける際にレントゲン写真を撮ります。あるいはMRI等も受けます。そうすると0.04ぐらいの被曝はあるんだと先生がお認めになっていました。したがいまして、そういうことを世の中の人は大体忘れているんです。じゃ、そのレントゲンを受けた人は次の日全部死んだかといえばそんなことはありませんし、レントゲンを一回でも受けた人は死んだかといえば、それは100年もたてば死ぬわけでしょうけれども、一方ではこういういい例として使っているよと。したがって、0.04というのは、人間の許容範囲というか一般常識の中にある、あるいは空気中にもある程度の数量はあるということをやはり子供たちにも正しく教えなければなりません。
 その問題は、ある数値を超えると危ないということは教えなければならないんですが、自然界にもあるんだ、レントゲンなどで使っているんだということも一方で挙げていかなければ、私はうそだと思います。
 教育長もレントゲンを何回かこれまでもお受けになったでしょう。やっぱりそちらが何ぼか上でしょうけれども、まだまだこれから頑張れます。レントゲンはその程度のものですよ。だから、そういうものには善活用もあるんだということを一方では教えなければ、すべて放射能というのをオオカミ少年に仕立ててしまってはいけないと思っております。過敏過ぎると思います。だから、大事なことと過敏過ぎることは線を引いてやらなければならない。
 宮古にコンピューターネット販売をしている水産漁業者がいます。すると、今、0.001シーベルトでも、出たものについては受け付けないと。数字がえらく違うはずなんですよ。だけれども、0.00でも何ぼでも実数が載ってしまうと受け付けません。これはレントゲン以下の数字なんですよ。だから、そういったことを一方で教えていくというスタンスでなければいけないと私は思います。いかがでしょうか。
〇菅野教育長 やはり今回、私ども作成した教材の目的が、児童生徒の皆さんに放射線の性質や危険性等に正しい知識を持ってもらうこと、そういったことを大きなねらいとしています。全学校に理科の教員がいるわけではございませんので、教えるといってもなかなか難しい面があるだろうということで、岩手医大の御協力をいただきながら、岩手医大の放射線医学の専門家の先生方に事前に放射線について解説をしていただいた上で研修会を行ったという配慮もいたしてございます。
 今後、各学校で実際どういうふうに使われているのか、それに対する、各学校で実際教えた評価がどうだったのかということをよくお聞きしながら、よりよいものとなるように私どもとして努めていきたいと思っております。
〇高田一郎委員 私からは、まず、今回の東日本大震災津波で被災された学校施設の再建状況と今後の見通しについてお聞きいたします。
〇小倉学校施設課長 被災いたしました学校施設の再建状況でございますけれども、まず、小中学校につきましては、現在、他の学校施設等で授業再開しているのが24校ございます。このうち、今後、補修復旧により自校の校舎で再建予定が1校、高台や内陸部への移転復旧予定が9校、高台、内陸部への移転復旧先等について検討している学校が11校、復旧方針を協議、検討中が2校、被災前からですが、改築工事をしていた学校が1校という状況になってございます。
〇高田一郎委員 大震災が発生してから1年たつわけですけれども、高台移転ということも検討されているようで、これは仮設住宅などで、数年たたなければ再建できないというような状況になっていると思います。
 今回被災された子供たちは、大震災という経験に加えて、仮設住宅での生活など本当に大変なストレスを抱えながら学校で頑張っていると思うんです。そういう点では、今の学びの環境は、最良の環境の中で勉学に励んでいただきたいと思うんですけれども、今の仮設校舎あるいは間借りなどを行っている学校施設の課題などがあるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 先ほど、自校の校舎以外で授業再開をしている学校が24校ということで申し上げましたけれども、今現在、仮設校舎が整備済みの学校が10校ございます。近々仮設校舎を整備する予定がさらに4校、合わせて14校というような状況になっておりまして、少しでも良好な教育環境の整備に向けて各市町村とも取り組んでいると理解しているところでございます。
 また、他の学校等で授業再開をしている場合における課題ということでございますが、教室の狭隘化等もあろうかと思いますし、グラウンドのこと、あるいは体育館のこと、そういったようなハード面からソフト面、いろいろあろうかと思いますが、各学校ともさまざまな工夫をしながら授業等に取り組んでいる状況と理解しております。
〇高田一郎委員 具体的な課題についてお聞きしたんですけれども、そういう課題というのは、今、余りないということなんでしょうか。その辺についてちょっと詳しく紹介していただきたいと思います。
 いずれ仮設住宅においてはさまざまなふぐあいが生じて、この議会でも大きな問題になっております。問題が起きてから対応するということではなく、これから夏を迎えるわけですけれども、やはり仮設校舎になりますと大変温度が上がって非常に環境が悪いという問題があります。今からそういうことを想定しながら、問題が起きてから対策を組むというのではなくて、想定して対策をとる、そういう対応をしていただきたいと思うんですけれども、現時点での仮設の、あるいは間借りしている学校での課題、今後の対策、その辺についてお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 まず、課題ということでございますけれども、各市町村におきましては、仮設校舎の建設に向けて頑張っているところ、あるいは、さらには、その上で良好な教育環境をさらに求めてということで本格復旧に取り組んでいるところであろうかと思います。
 ただ、仮設校舎等において、例えば昨年夏でございますが、まだ町なかに瓦れき等があった関係で、悪臭とかハエとか、そういったようなものが発生して、暑さだけではなくてにおい等でも非常に困難があったような状況もございました。仮設校舎につきましては、暑さ対策等として今後エアコンを整備する学校もあると聞いておりますし、あるいは扇風機とか網戸等により対応しようというようなことも聞いているところでございます。各市町村さまざまな取り組みをしているということだと思います。
〇高田一郎委員 これから何カ月もしないうちに夏を迎えるわけですけれども、仮設住宅と同じように、問題が起きてから対応するというのではなくて、想定されることを考えながら、問題が起きないようにしっかりと対策をとっていただきたい。仮設校舎には、やはりすべての教室にクーラーを設置するとか、そういったことも含めて今から準備していただきたいと思います。
 今後の学校建設の方針ですけれども、学校の耐震化はもちろんですけれども、やはり避難場所としての役割が発揮できる、文字どおりそういう施設であるべきだと思います。バリアフリー化とか、県内の学校でも水洗化になっていないトイレもまだあるということを聞いてびっくりしているんですけれども、洋式トイレも含めた設置などいろいろな考え方があろうと思うんですけれども、今後の学校改築の基本的な考え方についてお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 今後の学校整備のバリアフリー等に関する考え方ということでございますが、まず最初に、公立学校施設のバリアフリー化については、文部科学省の全国調査があるわけでございますけれども、平成22年7月1日現在の状況調査結果によりますと、県内の小中学校において、スロープでありますとか障がい者トイレでありますとか、何らかのバリアフリー化施設を整備している学校は、全体580校中305校、整備率52.6%となってございます。
 今後の取り組み方針ということで、こういった学校施設、バリアフリー化された施設を震災等のそういった経験も踏まえて改善を図っていくということが必要になってくるだろうと考えてございます。
〇高田一郎委員 耐震化の問題とあわせて、やはり避難場所としての役割が文字どおり発揮できるような施設にしてほしいと思います。
 先ほど、各委員から木造校舎の問題も出されました。私も同感です。当局の答弁も理解するわけです。
 私は以前、旧一関市内の学校の実態について調査したことがあります。国は、木造の耐用年数は30年とか、あるいは鉄筋の場合は60年とか、そういう基準を示していましたけれども、実際は、鉄筋でつくった場合には、25年、30年すると大規模改修が行われて、トータルからすればコスト的にもそんなに変わらないという調査をしたことがあるんです。しかも県産材、地元の木材を使えば地域の林業振興、雇用の確保にもつながるということで、私もこの間、陸前高田市の下矢作小学校とか紫波町の上平沢小学校などを視察した経過があります。私は、ふんだんに県産材を使った、ぬくもりのある木造校舎が県内に大きく広がるように、県としてもやっぱりよく検証して対応していただきたいと思います。この点は要望だけにとどめておきたいと思います。
 次に、学力テストについてお伺いしたいと思います。
 この問題は、一般質問の中でも議論されました。来年4月には全国学力テストも始まりますし、新年度はそれに向けた準備をされる予算も措置されているようであります。また、県独自の学力テストということで、国、県、市町村のテスト、テスト、テストということになります。私は、こういった学力テストに多額のお金、時間をかけるよりも、やはり教員の多忙化とか、あるいは少人数学級とか、そういったところにお金を振り向けるべきだと思うんです。
 そこで何点かお伺いしたいと思うんですけれども、学力テストの必要性について、本会議での答弁では、子供たちのつまずき、実態を調べるため、あるいは教師の指導がどうだったのかということを把握するために学力テストがあると答弁されました。この点については、学力テストをやることによってどう役立ってきたのか、この点について具体的に説明していただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 特に県の学習定着度調査についてですけれども、例えば、正答率において小問ごとに分析いたしまして、それぞれ一人一人の児童生徒の正答率の落ち込んでいるところ、いわゆるつまずいているところを発見し、その改善のための手だてを工夫することができるということが大きなところでございます。
 それから、教師の授業としまして、一斉授業の中でつまずくことのないようにどのように工夫するかとか、それから授業の導入の工夫とか、それからまとめ方とか、板書でのまとめの強調の仕方とか、そういったことも含めて教師の授業改善にこれもつながっているととらえております。
〇高田一郎委員 全国の学力テスト、県、市町村とさまざまやっているわけですけれども、大体これにかかわる費用はどのぐらいになっているんですか。
 それと、1日や2日だけのテストではないわけです。それに対する時間、さまざまな準備があると思うんですけれども、どれだけの時間とお金をかけているのかということをまずお聞きしたいと思います。
 来年4月には全国学力テストがあり、新年度の予算にも反映されていると思うんですけれども、この全国学力テスト一つとってみても、実際、対象となるのは中学校3年生と小学校6年生なわけですよね。これは、調査結果が出たときには、既に卒業間近とか、あるいは進学してしまうとか、そういった状況になるのではないでしょうか。学力テストの結果がつまずきを改善するとか、そういうことに本当につながるのかどうか、指導の改善につながるのかどうかということに非常に疑問を持つんですけれども、その辺はいかがなんでしょうか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 一つ目の予算の件についてですが、いま少し時間をいただきたいと思います。実施上の予算については今調べております。
 それから、実施学年ということで、今、委員から御指摘がありましたけれども、国は小6、中3、県は小学校は4、5年、中学校は1、2年と実施学年は分けてございます。
 それから、国が実施する4月第3週、この調査の結果についてでございますが、これは6月段階で結果が出てきまして、1学期中にそれぞれの学校のその後の、6年生も中学校3年生も2学期から3学期にまとめの段階に入りますが、その中で、先ほどの落ち込んでいる部分を早目に回復するような手だてあるいは授業改善に1学期末には取り組めるようにというような、そういうサイクルで実施されております。
 県の調査につきましても、10月に実施しまして、小学校4、5年生、中学校1、2年生それぞれ12月には結果分析が行われまして、それを一人一人の児童生徒に返しながら、3学期のまとめの時期に、それぞれ5年生は6年生、2年生は中3に上がる前に早目にまとめの学習に入るということで活用しているところでございます。
 国については、額についてはこちらでは把握しかねますが、県の学力向上対策推進事業といたしまして、平成24年度はおよそ1、500万円ということで、先ほどの小4、5、中1、2のそれぞれ学力調査に予算を計上しております。
〇高田一郎委員 学力テストによってつまずきの改善とか、あるいは教師の指導力の向上とかという話をされましたけれども、しかし、現場は本当にそのように受けとめるかどうかということなんです。私も何人かの教師と懇談したり、また、私の親戚にも教師がいますけれども、今、学校に残って残業する、あるいは土、日も家に仕事を持ち込んで授業の準備をしなければならない。子供たちと向き合う時間が本当にない、そういう話が共通して出されます。そういう中で、学力テストがなくても、こういうつまずきの発見とか、あるいは教師の指導力の向上云々といっても、学力テストが必ずしも教育の向上につながらないということは共通して現場では出されているわけです。
 私は今、学校現場で出ている、テスト、テスト、テストで、しかも学校別に公表することによって本当に先生たちが緊張しているという状況、そういうことを考えると、やっぱりこういった学力テストの課題や問題点というのをよく検証して対応していかなければならないと思うんですけれども、その点についてはどのように考えているのでしょうか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 このような調査を行わないで児童生徒の学力向上もできるのはないかというお尋ねではございますが、やはり子供たちの能力を高める上で、特に基礎学力という側面からいきますと、教師の感覚的な部分も大変重要な指導力の大きな側面ではございますが、もう一つは、科学的に、小問ごとの先ほどのような分析をしながら、一人一人の子供のより詳細な学力の状況を把握するということではやはりこの調査が裏づけになってくると。その後の、一つ一つ落ち込んでいる教師自身のとらえ方が授業の改善に生かされてくるということで、やはりいろいろと大事な側面もこの調査にはございます。
 それからもう一つは、基礎学力だけではなく、本県の定着度状況調査の中では、子供たちに質問し、調査を行いまして、家庭での生活習慣、それから家庭学習のあり方とか食生活あたりまでも含めましてそれぞれの実態把握をしながら、学習環境、家庭とともに情報共有もそういうふうな調査の中で行っております。
〇高田一郎委員 もともとこの学力テストが復活したのは、競争することによって学力が向上する、そういう面からスタートしたんですけれども、先日、テレビを見ていましたら、世界で一番子供たちが学校が楽しいと思っている国というのはデンマークだと。そのデンマークの学校の教育の取り組みを報道しておりました。デンマークでは、少人数学級で、子供たち一人一人のカルテを持って本当に行き届いた教育を行っているということなんです。そこでは学力テストはもちろんありません。宿題もない。そして、世界一学力が高いと言われるフィンランドでもテストがない。宿題もない。必ずしもテストが学力の向上につながるということではないと私は思うんです。
 最後にしますけれども、この間、出されていた課題、例えば、本当に効果が上がっているのか。現場と県教育委員会の担当者との乖離があると私は思います。だから、本当に効果が上がっているのかとか、あるいは教師の方々の負担になっていないのか、あるいは学校別に公表されて、点数を上げることが目標になっていないのか、こういう実態をよく精査して対応していただきたいと思います。
 次に、奨学金制度についてお伺いしたいと思います。
 現在の奨学金制度の利用状況と返済状況はどうなっているのか実態を示していただきたいと思います。
〇石川教育企画室企画課長 奨学金制度の利用状況と返済状況についてでございますけれども、本年2月末現在、財団法人岩手育英奨学会が奨学金を貸与している高校生の人数は1、931人、貸与額は5億2、862万円となってございます。
 また、同じく2月末現在の滞納状況でございますけれども、滞納者数は695人、滞納額は5、489万4、733円となってございます。
〇高田一郎委員 どのような推移になっているんですか。
 私が聞いたのは、奨学金の利用状況と返済状況、そして、今、滞納額をお話しされましたけれども、滞納額の推移です。減っているのかふえているのかということをお伺いしたいと思います。
〇石川教育企画室企画課長 滞納額の推移でございますが、滞納率自身は下がってございますが、滞納額自身は額としてはふえてございます。
〇高田一郎委員 財団法人岩手育英奨学会の滞納額の推移、滞納額を見てみますと、利用されている方々はどちらかというと減っているんですけれども、滞納額は額としては年々ふえている、そういう数字に実はなっております。この原因は何かということが大事だと思いますけれども、県としては、どのような原因がそこにあるのかということをまずお伺いしたいと思います。
〇石川教育企画室企画課長 滞納額の解消に向けては努力しているところでございますが、御案内の岩手育英奨学会で貸与しております奨学金のうち、タイプAというものがございます。これは平成16年に国から移管されたものでございまして、年々奨学生の数がふえてございます関係上、滞納者数もふえている状況にございます。
〇高田一郎委員 今、日本の奨学制度を見ていると、やっぱり受益者負担というのが原則になっているんですね。世界の流れというのは、やっぱり給付制の奨学金制度になっているんですけれども、つまり受益者の負担が原則だということなんです。
 しかし、高等教育というのは、受益者は学生のみではないと私は思うんですね。やはり社会全体で若い世代が高等教育を受けることによって新しい技術や知識を身につける、社会の発展にとって欠くことができない、そういうわけですから、そういう点でも、日本のこの奨学金制度は大変大きな問題があると思います。
 問題は、今本当に不安定雇用が広がっているもとで、結局、社会に出たときに賃金が低いということで返済できないという状況になっているんですね。ですから私は、状況変化が起きたときには返済猶予をするとか、あるいは低いときには返済猶予とか、あるいは給付をするとか、そういう方向に今の日本の奨学金制度を変えていかないと、本当に貧しい人は高等教育を受けられない社会になっていくのではないかという不安を持っている一人ですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。
〇石川教育企画室企画課長 財団法人岩手育英奨学会で貸与している奨学金につきましては、無利子ではございますが、返還していただいたお金を次の奨学生に貸与する仕組みということであるために、給付型の奨学金にはなってございません。
 ただ、国の3次補正におきまして、高校生修学支援基金の期限の3年間の延長と交付金の積み増しが行われまして、一定程度の期間と財源が措置されましたことから、低所得者世帯の生徒、それから、特定扶養控除の見直しに伴い負担増が見込まれる生徒に対する返還時の負担軽減制度の導入実現に向けて、現在、岩手育英奨学会と協議を進めているところでございます。
 給付型の創設や奨学金の原資となる財源の安定的かつ十分な措置につきましては、これまでも行っていたところでございますが、引き続き、国に対し要望してまいりたいと考えてございます。
〇喜多正敏委員長 執行部から、教員の異動状況について発言を求められておりますので、これを許します。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 先ほど佐々木努委員からの御質問の中で、内陸、沿岸の異動の数はどの程度かという御質問がございました。それについてお答えいたします。
 内陸部から沿岸部への異動者でございますが、県立学校では約160名、逆に沿岸部から内陸部への異動も160名程度となっております。また、小中学校につきましては、内陸部から沿岸部への異動が160名、沿岸部から内陸部への異動が170名という状況でございます。
 この全体の異動者の割合でございますが、県立学校では転入、転出合わせて約4割、それから、小中学校では約2割が異動するというような状況になってございます。
 よろしくお願いします。
〇喜多正敏委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 質疑がないようでありますので、これで教育委員会関係の質疑を終わります。
 教育委員会の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇青木企業局長 それでは、企業局関係の予算について御説明申し上げます。
 まず、お手元の議案の説明に入る前に、平成24年度の事業運営に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
 平成24年度の事業運営に当たりましては、平成22年度から24年度までを計画期間とする第3次中期経営計画の最終年度として、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進を基本とし、中期経営計画に掲げる経営方針に重点を置きながら、東日本大震災津波からの岩手県全体の復興を支え、次世代への発展を図るため、電力と工業用水の最大限の安定供給に引き続き取り組むとともに、健全経営の維持に努めてまいります。
 電気事業では、平成23年度に引き続き、電力需要に応じた最大限の供給力を確保するため、施設や設備の修繕、改良及び点検等を適切な時期に計画的に実施しながら、引き続き安定供給に努めてまいります。また、料金単価の改定等の影響を見据え、業務効率化によるコストの削減等に取り組み、健全で安定的な経営基盤の維持に努めてまいります。
 新規開発では、平成26年度運転開始予定の胆沢第三発電所及び平成24年度運転開始予定の胆沢第四発電所の工事を着実に進めるとともに、新たな水力発電の候補地点の調査を継続的に進めてまいります。さらに、再生可能エネルギーの全量買取制度の動向を見きわめながら、風力、太陽光発電について調査、検討してまいります。また、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、一般会計及び市町村等のクリーンエネルギー導入事業の支援を行い、被災地域等の復興へ向けたニーズを把握しながら地域貢献に努めてまいります。
 工業用水道事業では、平成24年度に入畑ダム共同施設の一部を東北農政局に有償譲渡することによって、資金繰りが改善されることから、長期的に安定した経営を維持しながら、工業用水の安定供給を図り、県内経済等を牽引する役割を担う立地企業の生産活動を支えてまいります。
 それでは、議案について御説明申し上げます。
 議案その1の60ページをお開き願います。議案第14号平成24年度岩手県電気事業会計予算についてであります。
 第2条は、業務の予定量でありますが、第1号の年間販売目標電力量は、胆沢第二発電所ほか13発電所の目標電力量の合計を5億3、854万8、000キロワットアワーと定めようとするものであります。第2号の主要建設事業は、胆沢第三発電所及び胆沢第四発電所の建設工事を実施しようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款電気事業収益は43億3、444万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業収益42億482万円余は、水力発電所13カ所の電力料収入などであり、第2項の財務収益6、328万円余は、株式配当金などで、第3項の附帯事業収益5、599万円余は、稲庭高原風力発電所の電力料収入であります。
 次に、支出の第1款電気事業費用は40億4、174万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用37億8、598万円余は、職員給与費、修繕費及び減価償却費などであり、第2項の財務費用1億3、091万円余は、企業債の支払い利息などであります。第3項の附帯事業費用5、150万円余は、稲庭高原風力発電所の運転管理費用であり、第4項の事業外費用6、834万円余は、消費税及び地方消費税納付予定額であります。
 この結果、収入と支出を差し引きまして、利益は税込みで2億9、269万円余が見込まれるものであります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。62ページをお開き願います。収入の第1款資本的収入は12億9、414万円で、その主な内訳でありますが、第1項の補助金7、348万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に対する国庫補助金であり、第2項の負担金7、896万円余は、仙人発電所共有施設工事費等負担金などであります。第3項の長期貸付金償還金11億4、154万円は、一般会計などからの貸付金償還金であります。
 次に、支出の第1款資本的支出は25億7、347万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の建設費5億3、133万円余は、胆沢第三発電所及び胆沢第四発電所の工事費などであり、第2項の改良費11億177万円余は、各発電所の設備の改良及び更新に要する経費であります。第3項の電源開発費420万円は、水力発電の新規候補地点に係る流量観測業務委託費などであり、第4項の企業債償還金4億703万円余は、企業債元金の償還金であり、第5項の投資5億100万円は、資金運用に当たって国債を購入するものであります。第6項の繰出金2、312万円余は、知事部局が実施する再生可能エネルギー導入促進事業などに充てることとして、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金から一般会計へ繰り出しするものであります。 
 次に、第5条の債務負担行為でありますが、これは、御所発電所の1号水車発電機分解点検補修ほか工事のほか3事業について、債務負担行為の期間と限度額を定めようとするものであります。
 第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
 以上で電気事業会計の予算の説明を終わります。
 次に、64ページをお開き願います。議案第15号平成24年度岩手県工業用水道事業会計予算について御説明申し上げます。
 第2条は、業務の予定量であります。北上工業団地及び岩手中部工業団地に立地する18事業所に対する給水量について、年間総給水量を1、549万235立方メートルに、1日平均給水量を4万2、439立方メートルにそれぞれ定めようとするものであります。
 第3条は、収益的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款工業用水道事業収益は10億235万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業収益10億138万円余は、給水収益などであります。
 次に、支出の第1款工業用水道事業費用は18億5、076万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の営業費用7億3、133万円余は、職員給与費、委託費及び減価償却費などであり、第2項の財務費用9、320万円余は、企業債などの支払い利息であります。第3項の事業外費用1億3、293万円余は、消費税及び地方消費税納付予定額であります。第4項の特別損失8億9、278万円余は、入畑ダム共同施設の一部を東北農政局に譲渡することに伴う固定資産売却損などであります。
 この結果、収入と支出を差し引きまして、税込みで8億4、840万円余の損失が見込まれるものでありますが、特別損失のうち国庫補助金相当分4億9、349万円余につきましては、地方公営企業法の一部改正により、資本剰余金処分に係る議会の議決をもって解消されるものであり、残る欠損金についても3年で解消できる見込みであります。
 第4条は、資本的収入及び支出の予定額であります。収入の第1款資本的収入は33億3、236万円で、その主な内訳でありますが、第1項の企業債5億9、420万円は、各工業用水道施設の建設改良資金を借り入れしようとするものであり、第2項の固定資産売却代金27億3、816万円は、東北農政局に農業かんがい用として入畑ダム共同施設の一部を譲渡する資産などの売却代金であります。
 次に、支出の第1款資本的支出は26億3、135万円余で、その主な内訳でありますが、第1項の改良費5億9、429万円余は、各工業用水道施設の改良及び更新に要する経費であり、第2項の企業債償還金5億8、737万円余は、企業債元金の償還金であり、第3項の他会計からの長期借入金償還金6億2、859万円余は、一般会計などへの償還金であります。第4項の国庫補助金返還金8億2、108万円余は、入畑ダム共同施設の一部譲渡に伴い、譲渡する資産の国庫補助金相当分を国に返還するものであります。
 次に、第6条は、一時借入金の借り入れ限度額を5億9、500万円と定めようとするものであります。
 66ページをお開き願います。第8条は、議会の議決を経なければ流用することができない経費と、その金額を定めようとするものであります。
 第9条は、重要な資産の処分についてであります。内容については、先ほど申し上げております入畑ダム共同施設の譲渡に係るものであり、ダム堰堤の持ち分の一部を東北農政局に譲渡しようとするものであります。
 以上で工業用水道事業会計の予算の説明を終わります。
 なお、これらの予算に係る実施計画、資金計画、給与費明細書、債務負担行為に関する調書及び財務諸表につきましては、予算に関する説明書の451ページから500ページに記載しておりますが、説明は省略させていただきます。
 以上で企業局関係の議案の説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇喜多正敏委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇高橋昌造委員 私は、予算に関する説明書の451ページの電気事業会計に関連して2点について、まずお伺いいたします。
 まず最初に、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金についてお伺いいたします。
 企業局では、電気事業の利益剰余金の一部を充当して環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を積み立て、これを利活用した地域貢献を行っておりますが、今年度はどのような取り組みをなされたのか、また、今後積立金をどのように利活用してこの地域貢献を進めていく方針なのか、あわせてお伺いいたします。
〇千枝経営企画課長 環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金は、県内の環境保全やクリーンエネルギーの導入を通じ、地域貢献を目的として、平成18年度に電気事業の特別利益等、約3億円を原資として創設したものであり、一般会計で行う事業へ充当するための繰出金や市町村等が行うクリーンエネルギー等の導入を行う際の支援等に活用しているところでございます。
 平成23年度の活用実績でございますが、一般会計への繰り出しは、震災対応による繰出対象事業が見直されまして、3事業、540万円余にとどまる見込みでございます。
 また、市町村等を対象にしますクリーンエネルギー等導入支援事業は、例年どおり5月から7月にかけて募集した結果、4件、570万円余の応募にとどまり、発災直後ということもあり、沿岸市町村からの応募がなかったという状況でございました。
 そこで、9月から11月にかけまして、沿岸被災地域等を対象にしまして補助率の上限を75%から90%に上げ、ニーズの高かったLED防犯灯も補助対象に広げるなど要件を緩和しまして2次募集を行いました。その結果、6件、1、080万円余の応募があり、これらについて交付決定をしてまいりました。これによりまして、仮設住宅周辺の防犯灯などが整備され、現在活用されているところでございます。
 引き続きまして、今後の方向性ということでございますが、平成23年度末の残高の見込みは1億5、940万円余であり、平成24年度以降もクリーンエネルギー導入支援事業及び一般会計で実施する事業に繰り出しを行うために、当面十分な残高を確保しているところでございます。平成24年度は、一般会計への繰り出しでは8事業に充当するため2、310万円余を繰り出す見込みでございます。
 また、クリーンエネルギー導入支援事業は2、000万円に活用額をふやし、今後募集を実施することとしております。募集に際しましては、市町村に対して実施したアンケート結果を踏まえ、県の復興支援策や被災地域のニーズなどを把握しながら、支援対象や支援規模等を検討し、積極的に地域貢献に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
〇高橋昌造委員 いずれにいたしましても、今後とも、この積立金の利活用をして、地域貢献のために積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、新規水力開発についてお伺いいたします。
 胆沢第三発電所は、企業局としては柏台発電所以来10年ぶりの本格的な発電所の建設であり、胆沢ダムに発電所を建設するということで各種工事がふくそうし、さまざまな面で調整が多いと思いますが、この工事の進捗状況と今後の予定をお伺いします。
 また、この発電所の下流で建設を進めております胆沢第四発電所についても、同様にお伺いいたします。
〇菅峨業務課総括課長 建設中の発電所の進捗状況についてでありますが、胆沢第三発電所につきましては、昨年5月から現地の工事に着手し、今までに発電所の基礎工事と水圧鉄管の製作、据えつけ工事などを進めております。
 先月2月までは冬季のため作業は一時中断しておりましたが、今月から作業を再開しており、今後は、発電所建屋や水車発電機などの工事を進め、平成26年7月の運転開始を目指しております。
 胆沢第四発電所につきましては、昨年8月に事業用地の買収を済ませ、12月から現地の工事に着手し、現在は発電所の土木工事を進めております。
 今後は、水圧鉄管や水車発電機への製作、据えつけ工事を進め、胆沢ダムの貯水試験が始まる本年12月に運転開始の予定であります。
〇高橋昌造委員 いずれにいたしましても、この胆沢第三、第四の発電所は、新規水力開発の目玉事業でありますので、今後ともしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 次に、国において今検討が進められております再生可能エネルギー固定価格買取法が昨年成立したわけでございますが、この東日本大震災津波を契機として再生可能エネルギーに対する期待が高まっておるわけでございますが、次年度以降の新規水力開発に今後どのように取り組んでいくお考えなのか、お示し願いたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 新規水力開発の取り組み状況でございますけれども、県では、いわて県民計画第2期アクションプランや現在策定中の岩手県地球温暖化対策実行計画などにおいても、再生可能エネルギーの高い導入目標を掲げておりまして、水力開発を取り巻く環境も大きく変わってきていると認識しているところであります。
 このことから、新規開発につきましては、現在複数の河川で流況調査を行っておりまして、今後明らかになる再生可能エネルギーの買い取り条件など、制度の動向を注視しつつ、事業化の可能性について、引き続き調査検討を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
〇高橋昌造委員 それでは、最後に、この予算に関する説明書の479ページの工業用水道事業会計に関連してお伺いいたします。
 今、世界的な景気の悪化に伴い、工業用水の使用料も大幅に減少しておるということを伺っておりますが、いずれにいたしましても、この経済情勢が回復しないうちに、今度のこの東日本大震災津波または円高等により、国内の経済情勢は非常に厳しいものになっております。そこで、工業用水を使用している企業においても苦しい経営環境に置かれておるということでございます。
 そこでお伺いいたしますが、工業用水の使用量は、こうした経済情勢を反映しているものと思われます。平成23年度の工業用水の実使用量はどうなっているのかお伺いいたします。
 また、今年度から2部料金制への料金改定をしたことにより、水の使用量が減少した場合、経営に影響するものと思われますが、平成23年度の収支の見込みと今後の経営見通しをお示し願いたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 平成23年度の工業用水の実使用の動向についてでございますけれども、3月11日に発生した東日本大震災津波や余震の影響で、4月は対前年比でマイナス34.5%と大幅な落ち込みとなりました。5月以降はおおむね対前年比マイナス10%前後で推移しておりましたが、10月から12月はマイナス20%前後と大幅な落ち込みになっております。
 平成23年4月から24年2月までの工業用水の実使用量は、前年同期比マイナスでございまして13.9%、使用量として約120万立方メートル減少してございます。このことから、震災以降、若干回復傾向にあるものの、震災や円高等の影響を受けたものと思われ、本格的な回復までには至っておりません。
 続きまして、今年度の水の収支見込みでございますけれども、今年度、水の使用量が減少した影響につきましては、当初予算と比較しまして450万円余の減収見込みとなっております。しかしながら、料金収入全体では、当初予算と比較しますと、契約水量を超過した料金が大幅に増加したことから、料金収入は当初予算額を達成できる見通しとなりまして、黒字経営を維持できるものと考えております。
 また、今後の経営見通しについてでございますけれども、収益的収支につきましては、平成24年度の入畑ダム水源転用によりまして、一時的に固定資産売却損による欠損金が生じるものの、おおむね3年程度で解消され、その後は安定的な黒字経営を継続できるものと見込んでおります。
 次に、資本的収支についてでありますけれども、入畑ダムの水源転用後は27億円余の対価収入のうち12億円余が資金として活用できることから、資金不足が生じない安定経営ができるものと考えております。
〇高橋昌造委員 いずれ企業局におきましては、今後とも電気事業、そして工業用水事業の堅実な経営に努めていただくようにお願いして、終わります。
〇城内愛彦委員 私からも2点お伺いしたいんですけれども、料金改定についてであります。
 電気料金の改定についてお伺いしたいんですけれども、電気料金については、ことし2年に1度の改定の時期にあり、売電先である東北電力との協議が多分進んでいるものと思っておりますが、東北電力は昨年、大震災津波と新潟、福島の豪雨による甚大な被害を受けて経営が厳しいという話は伺っていました。このような中で、今回の料金改定の協議は例年以上に厳しいものという感じがしますけれども、経営の根幹にかかわる料金改定の状況について伺うものであります。
 また、料金が決まる前に編成した平成24年度の予算への影響があるのかどうかについても伺いたいと思います。
〇榎電気課長 電気料金の改定についてですけれども、東北電力とは、平成24年度及び25年度の料金について、昨年の12月から改定協議を進めてきたところであります。
 同社は、厳しい経営状況の中、本県にも大幅な経費削減を求めてきたところでありますが、安定供給に欠かせない修繕等の必要性について丁寧に説明し協議を重ねた結果、水力発電所の売電単価を1キロワットアワー当たり7円10銭とし、3月9日付で電力受給契約を締結しております。
 今回の総括原価を前回と比較しますと、一部発電所の機械装置の償却終了に伴い減価償却費が大幅に減少したほか、起債償還に伴う支払い利息の減少等がありました。これに対して、施設の適切な維持管理に必要な修繕費や退職給与金などは増額となっております。この結果、総括原価が約8、100万円の減額となり、現契約の単価7円26銭と比較して2.2%の減となっております。
 次に、平成24年度の予算への影響についてですが、この料金は、当初予算において想定した単価7円を上回ったことから、収入において約5、600万円の増額が見込まれるものであります。
 今後とも、支出の面で経費節減を図り、安定経営に努めてまいりたいと考えております。
〇城内愛彦委員 きのう東北電力の方々と勉強会をさせていただいて、その際に資料をいただいて、ことしの夏、電気供給量と、あと想定する需要量のワット数の差が出ておりました。供給体制というのは、先ほど、冒頭述べたとおりで大変な状況にあるということで、なかなか大変だと。その中において、岩手県で売電をしている安定的な電気が注目されたところなんですけれども、今年度も大分改修工事等があるようでありますが、その改修時期とその夏場のピーク時にぶつからなければいいなと思うんですが、そういう計画的な改修というのは図っているのか、お伺いしたいと思います。
〇榎電気課長 今年度については、まず、平成23年度については、東北電力から7月から9月、あと11月から2月においての電力需要期については、できるだけ定期点検や工事等を延期してもらえないかということで要望がありまして、東北電力のほうに私どももできるだけ協力するということで、可能な限り東北電力の要請にこたえております。この結果、工事とかの委託については、平成23年度から24年度に移行して、できるだけ発電を実施できるようにしております。
 この東北電力から要請を受けた期間におきまして、7月から9月と11月から12月、あと1月から2月までですけれども、この電力の需要期間に、合わせまして約2、543万キロワットアワーの増加が見込まれております。
〇城内愛彦委員 いずれ復興元年と言われる本年度は、沿岸地区においては電気の需要というのは高まるものと思っていますし、仮設住宅の方々も、多分暑い夏は冷房を使わざるを得ない中にあっては、電気の需要というのはやはり重要だと思っておりますので、ぜひ安定供給に努めていただきたいと思います。
〇飯澤匡委員 重複したものがございますので、それは割愛してお聞きします。
 まず第1に、今回の震災で大変甚大な被害をこうむりましたけれども、そのエネルギーに対する国民の認識というものも、やはり大事なものはしっかり使っていくんだというような認識が、国民的な議論のもとに大分高まりつつある。そして、先ほど来議論がありましたように、再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度、このような法律もできました。まさにこれから、昭和30年以来、岩手県民にとって、皆様方が果たしてきたそういうものが、さらに発展するような時期に来たのではないかと思っております。
 そこで、まず第1にお伺いするのは、ちょっと質問の順番を取りかえますけれども、企業局が持っているハード部分、こうして見ますと、昭和30年代、あと昭和50年代の後半、あとは平成になってから、大体定期的に発電所が設備されておるわけですが、やはりかなり耐用年数を経ているものがございます。
 これらのすばらしいハードを、やはりしっかりと次世代につなぐために、法定耐用年数を超過するものについて修繕、改良をしていかなければならない。これは計画的にやっていかなければならないと思うんですが、来年度以降のその計画、それから具体的にどういう予算の配分で行おうとしているのか、その点について示していただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 施設への対応ということで、平成24年度以降の予算の投入予定額ということですけれども、修繕費につきましては、平成24年度の当初予算額で6億8、000万円余、平成25年度から28年度までの4カ年の平均では9億4、000万円余を見込んでおります。
 また、改良費につきましては、平成24年度当初予算額で11億円余、平成25年度から28年度までは年平均8億7、000万円余、これからの5年間についてはそういうふうに計画を立てております。
〇飯澤匡委員 わかりました。大体それぐらいの予算を確保しているということですが、長期ビジョンの中で、企業局が中期計画の方針の中に書いてあります技術の継承や、それから人材育成、これらも非常に大事な観点かと思いますが、この点についてどのような取り組みを考えられているか、率直に、短くでいいですから。
〇水野次長兼経営総務室長 先ほどお尋ねありました技術の継承あるいは人材育成ということでございますけれども、企業局の場合は、企業局で育つというのが基本的な考え方になってございまして、知事部局との交流もございますが、ほぼ何十年かの職員生活は、企業局で企業局の業務に従事するという形になってございます。
 そういう点も踏まえまして、私も来て感じたことでございますが、かなりの研修を実際に実施しておりまして、50代の職員が20代の職員を教育する、あるいは外部に行って研修を受けるという形でかなり充実した研修教育を実施しているという状況でございまして、これが5年、10年ということで積み重なっていくことによりまして、人材の育成が進むのではないかと考えてございます。
〇飯澤匡委員 突然の質問で済みませんでした。
 最後にお聞きしますが、現在は平成25年までの第3次中期経営計画の第1段階、ホップ・ステップ・ジャンプのホップという時期に当たり、平成25年度から第4次中期経営計画を策定することになっておりますが、その策定状況についてお聞きします。
〇千枝経営企画課長 現在、第3次中期経営計画に取り組んでおりまして、長期経営方針の第1期の行動計画と位置づけて実施しているところでございます。長期経営方針で示している5本柱、信頼性の確保、経済性の確保、新規開発、地域貢献、組織力の向上に沿って、具体的な目標と行動計画を策定しております。
 平成23年度の取り組み状況につきましては、例えば電気事業では、供給電力量が目標を11ポイント程度上回る見込みでございますし、経常収支比率は、目標を若干上回る109%程度となる見込みでございます。工業用水道事業につきましては、実給水量は目標を下回っているものの、経常収支比率は、目標を6ポイント程度上回る111%程度となる見込みです。
 このような今年度の取り組みはおおむね順調に進んでおりまして、外部の有識者で構成されている経営評価委員会による決算前の暫定評価では、総じて良好という評価も受けているところでございます。
 平成25年度以降の第4次中期経営計画につきましては、来年度に、これまでの取り組みの成果と課題を整理し、再生可能エネルギー固定価格買取制度の動向など経営環境の変化を適切に踏まえつつ、経営評価委員会の意見も伺いながら策定してまいりたいと思っております。
〇飯澤匡委員 先ほど来、新規の水力開発の検討状況についてもお示しいただきましたが、冒頭申し上げましたように、局面が非常に変わりつつある。やはりその環境の変化をどうとらえて次の計画に反映させていくかと。堅実な経営も大変結構ですけれども、震災復興から立ち上がるために企業局がやらなければならない使命、そして行動というものをしっかり第4次の中期計画に反映させていただきたい、このことを最後に申し上げまして終わらせていただきます。所感がありましたら、局長、お願いします。
〇青木企業局長 企業局の水力発電などの新規開発の取り組みでございますけれども、これは、長期の10年計画であります長期方針、この中にも新規開発を積極的に進めていく、取り組みを進めて、10年後にはその新しい開発を実現するように取り組んでいく、そのような方針を掲げているところでございまして、現在の第3次中期経営計画におきましても、現在、工事を進めております胆沢第三、第四、これらをまずしっかりと工事を進めながら、新たな次の候補地点を調査するということで掲げておりまして、その取り組みを今進めているところでございます。
 再生可能エネルギーを取り巻く状況については昨年来大きく変化してございますが、新規開発に積極的に取り組んでいくということにつきましては、私どもは基本的な状況は変わらないという姿勢でおりますので、来年度に向けても、その新規開発に向けての取り組み、どうしても水力開発の場合ですと、流量観測をきちんとしながら、採算性がどうかとかといったところを十分に検討するということで、直ちに次にということは難しい状況もございますけれども、調査をしっかりと進めながら次の新たな候補地点の開発につなげるような取り組みを進めていきたいと考えてございまして、来年度の取り組み状況も踏まえながら、その次の第4次計画の中にしっかりと位置づけて取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。
〇木村幸弘委員 それでは、私からも何点か質問しますが、今、各委員からの質問で重複した点もございますので、それを避けたいと思います。
 第1点は、先ほど城内委員の質問の中で売電単価の見込み、状況とその影響についてお答えいただきましたので、そこで、今後の売電単価、先ほどの説明では、平成24年、25年度の2カ年に係る改定の協議を東北電力と行ってきたということで、その協議の結果として、水力の単価について3月9日に決定されたという御答弁でした。そうしますと、この売電単価の改定にかかわるいろいろなルールというか一つの考え方もあるでしょうし、それから、将来的な見通しについても含めていろいろと企業経営の中で考えていく必要があるんだろうと思いますが、それらの単価の動きに対する今後の動向を含めて、どのような所感をお持ちであるかということを改めてお聞きしたいと思います。
 それから、先ほど水力の点についての単価が示されましたけれども、風力の場合はどうなっているのか、あわせてお聞きしたいと思います。
 それから、2点目は、修繕費等の関係では、今、飯澤委員から質問がありました。予算的な考え方が示されましたけれども、修繕費あるいは今回の建設事業なども予算が計上されておりますが、これらの具体的な中身といいますか、その点についてお聞かせいただきたい。例えば、震災等における施設等への影響などはどのような状況だったのか、あるいはそれに対してどれだけの修繕等がかかってきているのか、そういった状況がどうなのか。それから、全体的な修繕の中で、耐用年数等を含めた施設の改修等に係る経費が主だとは思いますけれども、主な修繕の経費に係る理由についてもお示しいただきたいと思います。
〇榎電気課長 売電単価の推移と今後の動向ですけれども、売電単価については、電力自由化に伴い、平成14年度から料金の算定方法が変更となりまして、事業報酬額が減少してきております。そのほかに、発電所建設時の起債償還が進んだことに伴い支払い利息が減少していることなどから、平成10年度、11年度の単価8円59銭を最高に低下傾向で推移してきております。
 今後とも、売電単価の改定に当たっては、安定経営に必要な経費を確保し、将来にわたって安定した事業が継続できるように努めてまいりたいと考えております。
 風力の単価についてですが、風力は、稲庭高原風力を1カ所運営していますけれども、風力は11円50銭で東北電力に売電することにしております。
〇菅峨業務課総括課長 修繕費、建設費の事業内容、また、震災等の影響ということでございます。
 まず、修繕費、建設費の事業内容でございますけれども、修繕費につきましては、設備の機能維持を目的として計画的に老朽化した設備の補修や部品の取りかえを行っているほか、企業局電気工作物保安規程に基づきまして、定められた周期で機械設備等の分解点検を実施しております。平成24年度は岩洞第二発電所、仙人発電所及び北ノ又第二発電所の水車発電機の分解点検補修工事、これは、いわゆるオーバーホールでございます。このほか、土木設備のコンクリート補修工事や水圧鉄管の塗装補修工事、電気設備の部品補修などを予定しております。
 次に、建設費につきましては、先ほども申し上げましたが、胆沢第三発電所及び第四発電所の建設事業に係る経費でございまして、胆沢第三発電所につきましては、国の胆沢ダム及び電源開発株式会社等の共有の土木設備や機械設備の建設に係る負担金、それから、県単独で発注する放水路ゲートの工事費などであります。胆沢第四発電所につきましては、発電所の建屋、土木施設、水車発電機等の建設に係る工事費などでございます。
 次に、震災等の影響ということでございますが、今回は発電に支障となるような被害はなく運転を継続しておりますが、軽微なコンクリートの破損あるいは電気部品に亀裂が確認されたため、平成24年度に補修工事を行う予定でございます。これにつきましては、金額的には、コンクリート補修につきましては400万円ほど、それから、亀裂が生じた電気部品の取りかえについては2、700万円ほどを要しまして、今年度工事を行う予定でございます。
〇木村幸弘委員 それから、今修繕等に係る説明をいただきましたけれども、具体的にその修繕に当たっては、いわゆる県内の事業者等にどのくらいの発注をされているのか。具体的に、やはり発電施設ということで、事業者の関係でも、県内の事業者がどれだけあるのか、そういうすそ野も含めていろいろと考えたときに、どういった県内業者の受注状況になっているのかといったものについても、今回の予算措置に当たって、あるいはこれまでの実績の中で、どういう状況で受発注が行われているかお示しください。
 次に、企業局の電気事業にかかわる今後の方針ということなんです。先ほど高橋昌造委員からは、クリーンエネルギー導入促進に係るこれからの利活用方針等を含めて、飯澤委員からも御意見があったわけでありますし、それに対して局長からは、地域開発を含めて積極的な取り組みを進めていくという地域貢献の決意もいただきました。
 そこで、いろいろとお伺いしますけれども、まずは、企業局の年間の販売目標電力量についてですが、今回の予算の中では13発電所における電力量が記載されておりますが、今後のいわゆる拡大方針ということについては、どのようにお考えになっているのかについてお伺いしたいと思います。
 それから、維持修繕費ともかかわってくるんだろうと思いますけれども、現在の施設を生かして、発電能力を向上させるということも一つ重要な取り組みになるのではないかと思っていますが、それらの既存の施設の発電能力の向上対策というものについても、検討されている点があればお示しください。
〇水野次長兼経営総務室長 まず最初に、先ほど冒頭にございました修繕に係る県内受注の状況ということでございますけれども、当局におきましては、建設工事の発注に際しまして、知事部局と同様でございますが、設計金額が250万円を超えます工事につきましては、地方自治法に定めるところによりまして、県内業者を第1順位ということで選定する条件付一般競争入札によりまして発注することを基本としてございます。
 平成23年度、今年度における状況でございますが、先ほど申しました設計金額が250万円を超えます修繕あるいは建設、改良工事の発注、これは契約実績が28件ございまして、そのうち県内業者への発注件数は11件ございます。率にいたしまして39.3%という構成になってございます。ちなみに、契約金額につきましては2億2、700万円余という数値になってございます。
 当局におきましては、先ほど申し上げました入札参加資格の設定に当たりましても、繰り返しになりますが、条件付一般競争入札における入札参加資格の設定基準ということで、それに基づきまして県内業者を第1順位として設定しているところではございますが、ただ、なかなかそれによれないという事例もございまして、例えば、電気事業の水車発電機等製作据えつけ工事、このような工事につきましては、やはり専門技術を要する特殊な工事でございますから、県内に施工実績のある業者がいれば先ほどのような形で発注いたしますが、その業者が少ないという状況におきましては、県外業者も含めまして条件付一般競争入札を実施するということもございます。
 それから、施工が困難というふうな、やはり県外の製作業者以外なかなかできないという工事もございますので、そういう際には、やむを得ず県外業者に発注するという状況もございますので、結論として、先ほどのような発注状況になっているという状況でございます。
〇榎電気課長 東北電力への年間販売目標電力量の拡大方針についてですけれども、平成24年度の年間販売目標電力量は約5億3、900万キロワットアワーであります。これは、河川の流入量の平年値をベースに算出される可能電力量から、当該年度に計画されている定期点検や工事等によって停止している分を差し引いたものでありまして、最大限に発電した場合の電力量になっております。
 次に、現在の施設を生かした発電能力の向上対策についてですが、平成12年度に岩洞第二発電所で水車を更新して出力を300キロワットアップしております。ほかに、平成19年度に胆沢第二発電所で同様に600キロワット出力をアップしております。老朽化した水車を更新する場合には、出力アップの可能性を検討して、発電能力を向上させております。
 今後も、発電設備の更新に際しては、同様の出力アップを検討していきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 ありがとうございます。修繕に係る県内受注業者の率ですが、やはり、私もちょっと技術的な問題も含めてなかなか難しい面もあるのかなと予想はしていたんですけれども、そういった数字で、ちょっと残念でもあり、逆に、そういった技術的な面から、県内の事業者にかかわるいろいろなこういった電気事業ですから、今後の再生可能エネルギーの推進の取り組みの中で、やはり事業としての体制づくりも、もう一つ目標として取り組む必要があるのではないかと感じたところでございます。
 その部分では、企業局のさまざまなこうした事業展開の中で持っているノウハウや、あるいは経験なども踏まえながら、県内事業者にもそれが生かされていくようなことがぜひなされていけばいいのではないかと思っておりますが、そういった点についての所感があれば、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
 それから、能力向上対策の部分で言うと、今の水力発電の関係で言えば、小水力の取り組みなども含めて、いろいろと水車の能力、いわゆるスクリューの能力と言うんですか、非常に技術革新というか、進んでいる部分もかなりあると聞いておりますので、そういった部分の活用も含めて、ぜひ企業局としての今後のさまざまな施設更新を含めた取り組みの中で、そういった新たな技術なども取り入れながら発電能力も高めていただきたいと思いますけれども、その方針等があれば、改めて聞かせていただきたいと思います。
 最後に、先ほど、いわゆる地域貢献への企業局としての取り組みの決意を局長からいただきましたけれども、温暖化計画が今、県の実行計画として検討、協議が進められておりますが、その際に、やはり再生エネルギーの推進に当たって、企業局としてどういう役割を果たしていくのかということが、私は非常に重要だと思っております。
 そういう意味で、先ほど飯澤委員や高橋昌造委員からも御質問があったわけでありますけれども、そこで、同じことを聞くわけにいきませんので、今度、県が再生可能エネルギーの復興推進協議会という会議を3月15日に開催するという旨の通知が入っているんですけれども、その構成員の中に、岩手県としては環境生活部長のみなんですね。あと、各被災自治体等を含めて、それから、電気供給会社と言ったらいいんでしょうか、太陽光、風力、地熱と、それぞれの関連する会社がそこのメンバーに入っているということになっておりました。私は、なぜここに企業局が入らないのかなと、この構成員のメンバー表を見て素朴に疑問に感じました。県としての再生可能エネルギーの取り組み推進のまさに牽引役として、企業局はこれまでもその役割を果たしてきたし、先ほど来の議論の中でも、地域貢献を含めて、県の重要な再生可能エネルギー推進のまさに役割を担っているはずなんですけれども、そこにメンバーとして入っていないと。この協議会組織を立ち上げ、あるいはこれから開催されていく中で、県とはどのような連携、協議を企業局としては行ってきているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇池内企業局技師長 水力で得られたこれまでのノウハウを地元の業者等への伝達というか育成というような観点につきましては、例えば稲庭高原風力発電所というのがございますけれども、ここにおいて定期点検をする場合には地元の業者にお願いしまして、風力というところの新しい技術についても、地元の業者がそういった技術を獲得できるようなこともやっておりますし、水力発電所におきましても、いろいろな機会を得てそういった業者の育成には今後とも努めてまいりたいと考えております。
 それから、技術革新、新しい技術を施設整備のときに取り入れていくということに関しましても、全国に公営電気事業者というのが26県あるわけですけれども、そういう中でも岩手県は、昔からそういった技術を取り入れてくるというところについては結構実績があります。例えば、一極集中型というか、遠方監視制御、集中監視制御するという場合には、全国の中では一番最初にそういった技術を取り入れていくというようなこともありますし、今後につきましても、いろいろな情報、そういった技術動向を十分情報収集して施設整備に生かしていきたいと考えております。
〇千枝経営企画課長 委員お尋ねの協議会の件でございますが、協議会は、たしかきょう新聞報道等もなされておりますが、県として、対外的な機関の皆様、市町村の皆様と一緒になって再生可能エネルギーを進めるための土地利用の規制緩和等についていろいろ協議していく場であると聞いているところでございます。我々としましては、岩手県再生可能エネルギー導入推進本部という中で、担当の環境生活部等といろいろ協議して、我々の要望等を伝えて県として一体的に取り組んでいくこととしております。
 また、この再生可能エネルギーの導入目標への貢献でございますけれども、とりあえず我々としましては、平成26年7月に運転開始予定の胆沢第三発電所、本年12月運転開始予定の胆沢第四発電所の工事を着実に実施してまいるといったことで貢献してまいりたい。
 また、これから新規開発を着実に進めるとともに、今後の対応につきましては、今申し上げました岩手県再生可能エネルギー導入推進本部等におきまして、関係部局と十分連携を図りながら、水力や風力等の積極的な新規開発に努めるなど、岩手県地球温暖化対策実行計画の目標達成に貢献してまいりたいと思っております。
〇木村幸弘委員 最後の復興推進協議会にかかわる問題については、企業局を責めるわけにはいかない。最終的にこの構成員を決めるのは環境生活部が取りまとめた形なんでしょうからあれですけれども、ただ、構成員のメンバーをちゃんと書き物で、御丁寧にそれぞれの分野なんですよ。太陽光関係はNTTファシリティーズ、風力は電源開発株式会社、地熱は岩手地熱株式会社、それで、水力がないんですね、この構成団体の中に。水力がすぽっと抜けていて、それで考えてみると、本県の再生可能エネルギーの電力自給率24%、その主たる重要な役割を担っている企業局、水力発電を中心にして取り組んできている企業局がどうせならばきちんとこの構成メンバーに入っていいのではないかと私自身は感じたところでございます。
 いずれ県のさまざまな取り組み、対応の中で、企業局の活動については、局長の決意もいただきましたけれども、ぜひ一生懸命頑張っていただきたいということでエールを送って質問を終わります。
〇斉藤信委員 最初に、稲庭高原風力発電の今年度の実績、収支の見通しはどうなっているか。来年度の予算、先ほどの説明を聞きますと、来年度は辛うじて440万円程度の黒字という計画にはなっていますが、今年度の状況はどうでしょうか。
〇榎電気課長 稲庭高原風力発電所の平成23年度の運転状況ですけれども、2月末までの実績ですと、目標に対して95%の達成率であります。3月は若干風況が悪いため、今年度の達成率は95%前後になるのではないかと考えております。
 平成23年度の収支の見通しですけれども、平成23年度は、2号機がブレードの落雷損傷によりまして平成22年12月から平成23年5月中旬まで運転停止しておりまして、これらのことから電力収入が287万円余減少しております。これに対して支出のほうは、1号機と2号機の落雷したブレードの補修のほか、3号機のブレード内に避雷導体というのが入っていまして、それが断線したということで、これの補修が追加となりまして、費用が515万円余増となる見込みでございます。この結果、平成23年度は460万円余の赤字となる見込みでございます。
 平成24年度については、落雷による損傷等によるブレードの補修を予定しておりませんので、306万円余の黒字を見込んでおります。
〇斉藤信委員 今年度は比較的順調と見ていましたけれども、それでも460万円の赤字と。今まで黒字になったのはこの間あるのかどうか。累積で収支はどうなるのか。
 先ほど、風力の売電単価は11円50銭ということでしたけれども、固定価格買取制度が実施されても既設の風力発電というのは対象にならないんですか、なるんですか、ここを示してください。
〇榎電気課長 まず先に、固定価格買取制度の関係ですけれども、現在、国において固定買い取り価格や期間、買い取り対象などを審議中でございまして、既設の風力発電所が買い取り対象になるかどうかは明らかになっておりません。ですので、買い取り条件によっては既設の風力が収支の改善になることもあり得るかと考えております。
 稲庭高原風力の収支で黒字になった年ということですけれども、平成16年と平成19年に黒字になっております。
〇斉藤信委員 なかなか厳しい状況で、私、総括原価方式というのであれば、こうした事故や改修を含めて東北電力に見てもらわないと、赤字が続くというのであれば、東北電力は赤字にならないけれども風力発電は赤字って、これはおかしいと思うんですよ、総括原価方式という点でいけば。これ、なぜ今までのそういうものが見られないのか、どうなんですか。
〇榎電気課長 風力発電所の場合については総括原価方式で料金を算定しているわけではなくて、11円50銭で東北電力に売電するという契約を結んでおります。
〇斉藤信委員 電力会社は、全体の電気料金は総括原価方式で決めているわけですよね。だから、風力発電を買い取って、風力発電をやっているほうは赤字、東北電力は黒字というのは変な話ですよね。私はそこらあたりは問題があるのではないかと思いますが、いずれ固定価格買取制度が今や決められようとしているときに既設の風力発電が対象になるかならないか不明だというのも大変あいまいな話だなと感じます。
 二つ目に、新エネルギーの可能性調査、風力や太陽光や、何をどのように今、調査してきたのか、その調査結果は現段階でどうなのか具体的に示してください。
〇榎電気課長 風力の新規開発の可能性ですけれども、実は今年度、東北電力の新規風力募集がありまして、平成18年度に応募しましたが採択されなかった一戸町の高森高原周辺について応募しました。しかしながら、抽せんの結果、下位になったということで、系統連系候補者になる可能性が極めて低い状況となっております。
 今後は、今回から新たに自治体枠というものが設けられまして、これへの募集に向けて検討していきたいと考えております。
 水力については、複数の河川で流況調査を行ってきておりますが、残念ながら買い取り価格の条件などがはっきりしないということで、今後の情勢を見きわめて事業化の可能性について調査していきたいと考えております。
〇千枝経営企画課長 太陽光発電について御答弁申し上げます。
 太陽光発電につきましては、環境生活部で示しているメガソーラーの候補地を何点か視察、現地調査を行ったほか、建設工事のシミュレーションあるいは現地の日射量のデータの調査を実施しております。
 今後、固定価格買取制度における単価あるいは期間等が明示になった段階でいろいろ具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 岩手県の地球温暖化防止実行計画案、これは今度の議会で議決されようとしているけれども、風力発電は8倍ですよね。太陽光発電は4倍にふやすと。CO2の30%削減を目指すという大変意欲的な計画を決めようとしているわけです。私は、新たな制度も今つくられようとしている、この中身は極めて曖昧模糊としているのだけれども、こういう県の計画が立てられて状況も大きく変わっているときに、ぜひ企業局は頑張って再生可能エネルギーの分野での取り組みを強めていただきたい。
 最後、3番目ですが、工業用水道事業会計についてお聞きいたします。
 入畑ダムの工業用水の転用で、来年度、26億8、000万円で売却をするということのようですけれども、この売却額は具体的に何にどのように使われるのか示していただきたい。
〇菅峨業務課総括課長 入畑ダム工業用水の転用に伴う売却額の活用でございますけれども、税抜きの売却額は26億800万円でございます。そのうち、国庫補助金の返還として8億2、000万円余、企業債の繰り上げ償還として1億4、000万円余、今後の資金不足への対応分として12億2、000万円余、今年度から実施しております料金値下げの原資として4億3、000万円余の活用を予定しております。
〇斉藤信委員 26億800万円で売却してかなりこれで改善されるんじゃないかと思ったら、今、聞きますとほとんど返還とか繰り上げ償還とかで、結局、実のあるのは4億3、000万円の料金値下げですよね。これは先行してことしから年間7、000万円、6年間やると。私、今まで工業用水道はずっと赤字で、累積赤字もあって岩手県が毎年出資してきたと。こういうことからいったら、こういう売却額というのは、本来、県民に還元されるべきなのではないのかと思うんですけれども、これは企業局長に聞きましょう、全然これは企業局の体質強化にも、そして県民への還元にもならないってどういうことなんでしょうか。
〇青木企業局長 入畑ダムの水源転用に伴う償還金等の支払い等が出てくるということもございますけれども、平成21年度で累積の赤字を解消するということで、おかげさまで黒字基調での経営ができるようになってきたという状況がございます。そういった中での水源転用に伴う26億円余の資金が入ってきて、それをどう活用するかということで検討したということでございますけれども、一つは、安定経営のための資金としてしっかりと活用するということと、最終的には、安定経営の資金として使えるということは、県から今までいろいろな形で一般会計から支援をいただいておりますが─出資金ですとか貸付金ですとか、そういった支援─、いわば県民の皆様からの税金で支援をいただいていた部分を、いただかなくても自立で経営できるようになってくるということがございます。私どもにとってもメリットがある、それから、県民へのそういう意味でのお返しにもつながる。そして、それは、あくまでもユーザーの方々の利用の収入をいただいた結果、そのような結果になった。経営につながってきているということがございますので、ユーザーの方々にもその一部を還元する、そのような考え方で料金の低減のための料金改定というようなことでの先行的な取り組みを今年度から実施しているということでございます。
〇斉藤信委員 これが最後ですけれども、企業債の償還額がまだ54億円あるわけですね。これは計画的に返すということなんだけれども、私は、ある意味でいくと、こういう累積の債務の返済にこそ回して身軽にするということが必要だったのではないのかと思いますが、今後の工業用水道の見通しはどうですか。来年の計画を見ても、ことしは90%ですか、工業用水の実績ですね。来年から余りふえないんじゃないですか。そして、施設の老朽化なんかもあっていろいろあるんじゃないですか。そういう見通しがしっかり立って、これはされているのかどうか、これを最後に聞いて終わります。
〇菅峨業務課総括課長 来年度以降の工業用水の使用見込みにつきましては、円高とかいろいろな要因で、なかなか半導体企業ですとかそういったところの使用量は上がっておりませんので、こういったところがこれからの経済動向によってはどうなるかということがありますけれども、一応ある程度使用量の減というのもリスクとしては見込んでおりますので、私どもの経営にとっても、その見込んだ額というのは、実際使用されない分というのは基本料金に比べて少ないものですから、そういった意味では経営に直接的に与える影響というのは少ないと考えてございます。
〇喜多正敏委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 質疑がないようでありますので、これで企業局関係の質疑を終わります。
 企業局の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時34分 散 会

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