平成24年2月定例会 予算特別委員会会議録

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平成24年3月5日(月)
1開会 午前10時3分
1出席委員  別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  事務局長    宮   一 夫
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査       村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査       千 葉 智 貴
1説明員
  知事    達 増 拓 也
  副知事      上 野 善 晴
  副知事    千 葉 茂 樹

  秘書広報室長   稲 葉 比呂子
  首席調査監    杉 村   孝

  総務部長    加 藤 主 税
  総務部副部長兼
  総務室長    小 原 敏 文
  人事課総括課長  浅 沼 康 揮
  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
  税務課総括課長  永 田   茂

  政策地域部副部長
  兼政策推進室長  木 村 卓 也
  政策地域部副部長
  兼地域振興室長兼
  復興局参事    佐々木 和 延
  政策監    大 平   尚
  市町村課総括課長 堀 江   淳

  環境生活企画室
  企画課長     伊 勢   貴

  保健福祉企画室
  企画課長    高 橋 勝 重

  商工企画室
  企画課長    飛鳥川 和 彦

  農林水産企画室
  企画課長    小 岩 一 幸

  県土整備企画室
  企画課長    及 川   朗

  理事兼復興局
  副局長      廣 田   淳
  理事兼復興局
  副局長兼
  企画課総括課長兼
  まちづくり再生課
  総括課長    平 井 節 生
  企画課計画課長
  兼政策推進室
  評価課長    森   達 也

  経営管理課
  総括課長     大 槻 英 毅

  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃
〇宮議会事務局長 御承知のとおり、委員長が互選されるまでの間、委員会条例第7条第2項の規定により、年長の委員が委員長の職務を行うこととなっております。
 出席委員中、佐々木大和委員が年長の委員でありますので、御紹介申し上げます。
 佐々木大和委員、委員長席に御着席をお願いいたします。
   〔年長委員佐々木大和君委員長席に着く〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま紹介されました佐々木大和でございます。よろしく御協力をお願いいたします。
 それでは、ただいまから予算特別委員会を開会し、直ちに本日の会議を開きます。
 これより委員長の互選を行います。委員会条例第7条第2項の規定により、委員長互選の職務を行います。
 委員長互選の方法は投票により行います。
 委員会室の閉鎖を命じます。
   〔委員会室閉鎖〕
〇佐々木大和年長委員 ただいまの出席委員数は47名であります。
 お諮りいたします。立会人に佐々木努君、福井せいじ君を指名いたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 御異議なしと認めます。よって、立会人に佐々木努君、福井せいじ君を指名いたします。
 投票用紙を配付いたします。
 念のため申し上げます。用紙は白色、投票は単記無記名であります。
   〔投票用紙配付〕
〇佐々木大和年長委員 投票用紙の配付漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 配付漏れなしと認めます。
 投票箱を改めます。
   〔投票箱点検〕
〇佐々木大和年長委員 異状なしと認めます。
 これより投票に移ります。職員の点呼に応じて、順次投票願います。
 点呼いたします。
   〔氏名点呼〕
   〔各員投票〕
〇佐々木大和年長委員 投票漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇佐々木大和年長委員 投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 開票を行います。
 佐々木努君、福井せいじ君、立ち会いをお願いします。
 〔開票〕
〇佐々木大和年長委員 選挙の結果を報告いたします。
 投票総数 47票
  有効投票 44票
  無効投票 3票
 有効投票中
  喜多正敏君 37票
  飯澤 匡君 7票
 以上のとおりであります。よって、喜多正敏君が予算特別委員長に当選されました。
 委員会室の閉鎖を解きます。
   〔委員会室開鎖〕
〇佐々木大和年長委員 ただいま当選されました喜多正敏君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 喜多正敏委員長、委員長席にお着き願います。
   〔予算特別委員長喜多正敏君委員長席に着く〕
〇喜多正敏委員長 ただいまは、委員各位の御推挙により予算特別委員長に選出をいただきまして、大変光栄に存じておる次第であります。
 委員各位の御協力をいただきまして職責を全うしたいと考えておりますので、御協力をよろしくお願いを申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)
 引き続いて副委員長の互選を行いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより副委員長の互選を行います。
 副委員長互選の方法は投票により行います。
 委員会室の閉鎖を命じます。
   〔委員会室閉鎖〕
〇喜多正敏委員長 ただいまの出席委員数は47名であります。
 お諮りいたします。立会人に軽石義則君、高橋孝眞君を指名したいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 御異議なしと認め、よって、立会人に軽石義則君、高橋孝眞君を指名いたします。
 投票用紙を配付いたします。
 念のため申し上げます。用紙はダイダイ色、投票は単記無記名であります。
   〔投票用紙配付〕
〇喜多正敏委員長 投票用紙の配付漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 配付漏れなしと認め、投票箱を改めます。
   〔投票箱点検〕
〇喜多正敏委員長 異状なしと認めます。
 これより投票に移ります。職員の点呼に応じて、順次投票願います。
 点呼いたします。
   〔氏名点呼〕
   〔各員投票〕
〇喜多正敏委員長 投票漏れはありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 投票漏れなしと認めます。
 投票を終了いたします。
 開票を行います。
 軽石義則君、高橋孝眞君、立ち会いをお願いします。
   〔開票〕
〇喜多正敏委員長 選挙の結果を報告いたします。
 投票総数 47票
  有効投票 44票
  無効投票 3票
 有効投票中
  嵯峨壱朗君 44票
 以上のとおりであります。よって、嵯峨壱朗君が予算特別副委員長に当選されました。
 委員会室の閉鎖を解きます。
   〔委員会室開鎖〕
〇喜多正敏委員長 ただいま当選されました嵯峨壱朗君が委員会室におられますので、本席から当選の告知をいたします。
 嵯峨壱朗副委員長、ごあいさつを願います。
〇嵯峨壱朗副委員長 ただいまは大変ありがとうございました。難しい字にもかかわらず名前を書いていただいてありがとうございます。
 委員会の円滑な運営に誠心誠意努めて、委員長を補佐してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
〇喜多正敏委員長 執行部職員を入室させますので、しばらくお待ち願います。
   〔執行部職員入室〕
〇喜多正敏委員長 お諮りいたします。当予算特別委員会に付託されました議案35件についての審査の方法でありますが、お手元に配付してあります日程案のとおり、本日及び明日は、知事、副知事及び関係部局長の出席を求め総括質疑を行い、明日の総括質疑終了後から9日まで及び12日から15日までは、関係部局長等の出席を求めて部局ごとに質疑を行うこととし、議案35件に対する意見の取りまとめと採決につきましては、15日の県土整備部関係の質疑が終わった後、各会派の意見調整を経た上で行いたいと思います。
 なお、8日目の農林水産部の審査については、第1部を農業関係、第2部を林業、水産業関係とし、それぞれ区分して審査することとしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 これより議事に入ります。
 議案第1号から議案第21号まで、議案第27号から議案第32号まで、議案第34号から議案第37号まで、議案第42号、議案第45号、議案第48号及び議案第49号の以上35件を一括議題といたします。
 総務部長に総括説明を求めます。
〇加藤総務部長 平成24年度当初予算の概要等につきまして、総括的に説明申し上げます。
 この平成24年度当初予算は、東日本大震災津波からの復旧、復興に向け全力で取り組むとともに、いわて県民計画に掲げる希望郷いわての実現に向けた施策を着実に推進する予算として編成したところであり、復興計画に掲げた安全、暮らし、なりわいの基盤を復興する取り組みを迅速に実施しつつ、復興計画と軌を一にしたいわて県民計画第2期アクションプランの着実な推進を図るものでございます。
 それでは、予算の概要について説明申し上げます。
 お手元の議案その1の1ページをお開き願います。議案第1号平成24年度岩手県一般会計予算であります。
 第1条は、歳入歳出の総額を1兆1、183億2、955万3、000円と定めるものでありますが、これを前年度当初予算と比較しますと64.1%の増、前年度当初予算に6月の第4号補正予算を加えました実質的な当初予算額と比較しますと60.9%の増となるものでございます。第2条は債務負担行為の限度額等を、第3条は地方債の限度額等を、それぞれ定めるものであり、第4条は一時借入金の最高額を1、000億円とするものであります。第5条は職員給与について、同一款内での予算流用を定めるものであります。
 次に、歳入について説明申し上げます。便宜、予算に関する説明書の1ページをお開き願います。
 一般会計歳入歳出予算事項別明細書の1総括、歳入のうち、自主財源は、1県税、2地方消費税清算金、7分担金及び負担金、8使用料及び手数料、さらに10財産収入から14の諸収入までであります。その総額は4、787億4、900万円余で、前年度当初予算と比べると84.5%の増となっております。これは、災害廃棄物処理に係る市町村からの受託事業の実施による諸収入の増や国からの交付金により造成した基金からの繰り入れによる増などによるものであり、区分上は自主財源となりますが、外部からの支出金の受け入れ増を主な要因とするものでございます。
 また、依存財源は、3地方譲与税、4地方特例交付金、5地方交付税、6交通安全対策特別交付金、9国庫支出金、15県債でございますが、その総額は6、395億7、900万円余で、前年度当初予算対比で51.5%の増となっておりますが、これは、主に震災復興特別交付税の交付に伴います地方交付税の増や国庫支出金の著しい増などによるものであります。
 この結果、歳入に占めます自主財源の割合は42.8%と前年度当初予算の38.1%から4.7ポイント増加し、一方、依存財源の割合は57.2%となっております。
 次に、これら歳入の内容について説明申し上げます。4ページをお開き願います。
 まず、1款県税1項県民税は337億100万円で、前年度当初予算対比4.6%の減となっておりますが、これは、1目の個人県民税について、東日本大震災津波による税の減免措置による減額等が見込まれることから、13億100万円の減となっていることなどによるものでございます。
 5ページの2項事業税は141億8、200万円で0.1%の減となっておりますが、これは、震災で被災した個人事業者の所得の減少によるものであります。
 次に、6ページの3項地方消費税は、消費税の収入額の推移をもとに112億600万円、3.6%の減を見込んだものでございます。
 7ページの4項不動産取得税は、震災の影響等による非課税、減免措置の影響が見込まれますことから20億3、500万円で3.0%の減となっております。
 8ページに参りまして、5項県たばこ税は、平成22年の税制改正の影響により26億3、600万円で4.9%の増、9ページの6項ゴルフ場利用税は、利用人員の減少が見込まれますことから2億5、100万円で18.5%の減となっております。
 10ページの7項自動車取得税は、エコカー減税の見直しを考慮いたしまして21億3、500万円で10.1%の増を見込んでおります。
 11ページの8項軽油引取税は、震災復興のための災害復旧事業等の増加による軽油取引の増加が見込まれますことから174億400万円で21.6%の大幅な増を見込んでおります。
 次に、12ページの9項自動車税は、自動車保有台数の減少及び被災代替自動車の非課税を考慮しまして172億3、400万円で4.2%の減となっております。
 13ページの10項鉱区税は、最近の課税実績等を勘案し1、800万円を計上したものであります。
 次に、14ページの11項狩猟税は、狩猟者登録見込み数により3、600万円を、15ページの12項産業廃棄物税は、最終処分場の年間埋立量等を勘案いたしまして8、000万円を見込んだものであります。
 16ページの13項は、旧法による税であります。
 以上、県税の合計額は1、009億2、000万円で、前年度当初予算額に比べ5億500万円、0.5%の増となるものでございます。
 次に、17ページの2款地方消費税清算金は245億3、700万円で4.7%の減となっております。
 18ページに参りまして、3款地方譲与税1項地方法人特別譲与税は150億8、600万円、19ページの2項地方揮発油譲与税は39億7、200万円、20ページの3項石油ガス譲与税は2億3、900万円、21ページの4項地方道路譲与税は100万円、22ページの5項航空機燃料譲与税は700万円を見込んだものであります。
 次に、23ページの4款地方特例交付金1項地方特例交付金は、税源移譲に伴う住宅借入金等特別税額控除による減収を補てんするための特例交付金でございまして2億1、800万円を見込んだものであります。
 次に、24ページの5款地方交付税は3、134億1、875万円余で、前年度当初予算対比では865億9、560万円余、38.2%の増で計上しておりますが、これは、震災復興特別交付税の交付を見込んだこと等によるものでございます。
 次に、25ページの6款交通安全対策特別交付金は5億2、144万円を見込んだものであります。
 次に、26ページの7款分担金及び負担金でありますが、1項分担金は、そのほとんどが農業農村整備事業等に係るものであり、27ページから28ページまでの2項負担金は、民生、衛生、農林水産業、土木及び教育に係る受益者負担金、市町村負担金等をそれぞれ事業規模に応じ計上したものでございます。
 次の、29ページ、8款使用料及び手数料でありますが、1項使用料の主なものを申し上げますと、30ページの4目労働使用料では産業技術短期大学校授業料、31ページの7目土木使用料では道路及び河川の占用料、県営住宅使用料などであります。これら使用料の総額は、32ページの最下段の23億8、284万円余であり、前年度に比べ6.7%の減となっております。
 次に、33ページの2項手数料でありますが、その主なものは、34ページの3目衛生手数料の食品営業許可や屠畜検査に係る手数料、36ページの7目土木手数料の建設業者許可や建築確認に係る手数料、8目警察手数料の運転免許更新等に係る手数料などであり、その合計は、37ページ最下段の21億3、554万円余で、前年度比7.6%の減となっております。
 次に、38ページ、9款国庫支出金でありますが、1項国庫負担金の主なものを申し上げますと、1目民生費負担金では、7節の児童保護委託13億8、054万円余、10節の生活保護28億5、565万円余、39ページの4目土木費負担金では基幹河川改修事業、砂防事業など、40ページにかけての5目教育費負担金では義務教育人件費に係るものや公立高等学校授業料不徴収交付金など、また、同じ40ページの6目災害復旧費負担金では、3節の漁港災害復旧事業、4節の河川等災害復旧事業、5節の港湾災害復旧事業などがその主なものでございます。これら国庫負担金の総額は、40ページの計欄でございますが1、336億2、707万円余で、前年度より273.6%の著しい増加となっております。
 次に、41ページ、2項国庫補助金でありますが、その総額は、51ページまで進んでいただきまして、最下段でございますが764億2、774万円余で103.4%の増となっておりますが、これは、震災からの復旧、復興のための各種の事業を展開することによるものでございます。
 次に、52ページに参りまして、3項委託金でありますが、その総額は、54ページまで進んでいただきまして、これも最下段になりますが21億8、349万円余で87.8%の増となっております。これにつきましても、震災からの復旧、復興のための国からの委託調査や事業が増加したことなどによるものでございます。
 次に、55ページの10款財産収入でありますが、1項財産運用収入は3億5、610万円余を計上したものであります。56ページから57ページにかけての2項財産売払収入は、県有未利用地や生産物の売り払いなどでありまして6億4、417万円余、74.9%と大幅な減となっておりますが、これは、平成23年度に東京事務所の売却という特殊要因がございまして、その売却収入を計上していたものでございますが、これが皆減したことによるものでございます。
 次に、58ページの11款寄附金は、環境保全協力金など2、159万円余を見込んでいるものでございます。
 次に、59ページ、12款繰入金1項特別会計繰入金は3億6、148万円余で39.8%の減となっております。
 60ページ、2項基金繰入金は、緊急雇用創出事業臨時特例基金や東日本大震災復興交付金基金などのいわゆる特定目的基金の資金の活用など912億8、171万円余を計上したものであります。
 なお、2月補正予算を踏まえました平成23年度末の財政対策として活用可能な基金の残高でございますが、ここには記載しておりませんが、平成23年度における財政調整基金の取り崩し額について積み戻しを行ったこと、公共施設等整備基金を廃止し、県債管理基金に積み立てたことなどから、財政調整基金は376億6、800万円、県債管理基金は420億9、100万円、合計で797億5、900万円と見込んでおります。
 61ページに参りまして、13款繰越金でございますが、これは整理科目でございます。
 62ページの14款諸収入1項延滞金、加算金及び過料等は2億3、098万円余を計上しており、63ページの2項預金利子は、金利動向などから9、019万円余を見込んでおります。
 64ページ、3項公営企業貸付金元利収入は106億5、454万円で、県立病院等事業会計への貸付金元金が主なものであり、65ページの4項貸付金元利収入は、衛生や農林水産業、また、66ページの商工など、各行政部門におきます貸付金に係る元利収入で、その合計額は1、227億5、479万円余となっております。
 67ページ、5項受託事業収入は、次の68ページの総額のとおり1、082億6、737万円余の著しい増加となっておりますが、これは、災害廃棄物緊急処理に係る市町村からの事務の受託によるものでございます。
 次に、69ページ、6項収益事業収入は、宝くじ収入33億1、905万円余を、70ページの7項利子割精算金収入は1、128万円を見込んでおります。
 72ページ、8項雑入の総額は、74ページまで進ませていただきまして41億8、765万円余を見込んでおります。
 次に、75ページ、15款県債でありますが、その総額は、77ページに記載しておりますとおり938億7、837万円余であり、前年度に比較しまして39億8、462万円余、4.1%の減となっております。
 この結果、県債の現在高見込みでございますが、一たん291ページまで進ませていただきまして、前年度末現在高見込み額が平成23年度末、当該年度末現在高見込み額が平成24年度末の数字となりますが、292ページの計欄になります。平成23年度末の見込み額は1兆4、654億6、900万円余、平成24年度末では、同じく計欄の右端になりますが1兆4、585億9、900万円余と見込んでおります。
 なお、292ページの計欄の下に県債管理基金積立金及び当該基金積立金分を調整いたしました実質的な県債の現在高見込み額をお示ししております。
 以上で歳入についての説明を終わらせていただきます。
 次に、歳出でありますが、主要な事業につきましては、それぞれ所管部局の審議の際に担当部局長から詳細に説明申し上げます。
 款別歳出につきましては説明を省略いたしまして、私からは性質別の主なものについて説明申し上げます。
 お手元の予算に関する資料で説明させていただきます。予算に関する資料の3ページをお開き願います。平成24年度一般会計歳出性質別内訳表でございますが、この表の右端の前年度当初予算からの増減率の欄をごらんいただきたいと存じます。
 平成24年度当初予算は、東日本大震災津波からの復旧、復興のための事業を計上しているため、各性質別予算の内訳も、対前年度比較の数値では大幅に増加している状況にございます。
 特徴的なところを何点か申し上げますと、まず、人件費につきましては0.4%の増となっております。職員数の縮減など総人件費の抑制により通常の人件費は減少いたしますものの、教員、警察職員に係る震災加配対応分の増でございますとか、他県等からの派遣職員受け入れ負担金の増等によりまして、全体としては増加するものでございます。4ページに参りまして、補助費等は、事業復興型雇用創出事業費補助など、被災地に対する各種の支援事業を計上した結果、23.7%の増となっております。普通建設事業費は、災害公営住宅や復興道路の整備など、被災地における社会資本の整備等を促進するため42.7%の増となっているところでございます。災害復旧事業費は、災害廃棄物緊急処理支援事業や漁港災害復旧事業の実施など、震災からの復旧、復興を力強く推進するため4、994.3%の著しい増加となっております。次に、5ページに参りまして、公債費は、過去に発行いたしました県債の償還額が増加することによりまして3.3%の増となっております。貸付金は、被災した中小企業者に対する金融支援を図るため89.1%の増となっております。
 平成24年度岩手県一般会計予算の概要は、以上のとおりであります。特別会計につきましては、所管部局の審査におきまして説明申し上げますので、この場では省略させていただきます。
 以上でございます。
〇喜多正敏委員長 ただいまから総括質疑に入るわけでありますが、議会運営委員会の決定に基づき、総括質疑は、各会派及び会派に所属しない議員に質疑時間を配分して行うことになっております。
 質疑時間につきましては、まず、民主党が75分、次に、自由民主クラブが42分、次に、地域政党いわてが18分、次に、社民党が15分、次に、日本共産党が12分、次に、会派に所属しない議員は、公明党小野寺好委員、無所属清水恭一委員、無所属小泉光男委員、無所属佐々木茂光委員の順に、それぞれ9分となっております。
 各会派は、配分された時間の範囲内で複数の議員が質疑をすることができること、この場合におきましては、会派として続けて行うこととされておりますので、御了承願います。
 なお、総括質疑は、あすの正午までに終了することを目途とすることになっておりますので、御協力をお願いします。
 これより総括質疑に入ります。高橋元委員。
   〔高橋元委員質問者席に着く〕
〇高橋元委員 それでは、民主党会派を代表いたしまして総括質疑をさせていただきます。
 なお、長時間にわたりますので、後段を後藤完委員にゆだねたいと思います。よろしくお願いいたします。
 第1項、東日本大震災発災1周年を迎えての知事の所感について伺います。
 平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波、その後の最大余震被災から間もなく1年となります。思い起こせば、ちょうど1年前のこの予算特別委員会部局別審査の最終日、県土整備部の審査中でありまして、数人の方の携帯から地震警報が発せられ、その直後に、これまで経験したことのない巨大地震が発生しました。左右に激しく、しかも長い時間の揺れは、県内に甚大な被害を想定させるもので、委員会を中止し、災害対応にそれぞれ向かったわけであります。
 まちじゅうは電気が消えておりましたが、県庁は非常用電源に切りかわり、控室で地震情報を見ておりましたところ、15時過ぎになって県内沿岸に真っ黒い津波が押し寄せている映像が映し出され、言葉を失ったことがきのうのことのように思い出されます。
 改めまして、大震災によってお亡くなりになりました方々に哀悼のまことをささげ、被災されました皆様、沿岸地域に住まわれる皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
 達増知事を初め、すべての職員の皆様は、大地震津波発災以来、昼夜をたがわず被災者の救出、救援に全力で当たられ、救援道路の確保から、救援物資の搬入、被災者の生活支援、仮設住宅の建設、瓦れき処理、そして緊急復旧工事等、さらに、原子力発電所事故による放射性物質拡散被害への対応と、数年分の業務が凝縮されたこの1年であったものと、心から敬意を表し、御慰労申し上げます。御苦労さまでした。
 千年に一度と言われる大災害津波でしたので、対応マニュアルはなく、すべてが手探り、即断即決での行動、取り組みであり、国や県、市町村に多くの不満や非難の声が出てくることは至極当然であります。大事なことは、こうした声にどう対処していくか、一日も早く日常生活を取り戻すこと、将来に希望を創造していくことであると思います。
 知事にお尋ねします。間もなく東日本大震災発災1周年を迎えますが、この1年を振り返って、何を感じ、何を教訓とし、どのような岩手を創造していこうとするのか、その思い、考えを伺います。
〇達増知事 東日本大震災津波により、沿岸地域を中心に、かけがえのない数多くの人命が失われ、甚大な被害が生じ、昨年は、本県にとって未曾有の大災害に見舞われた年となりました。
 こうした中、被災地において、多くの苦難に直面しながらも、家族やふるさとへの強い思いやつながりを持ってそれを乗り越えてきた一人一人の姿に示されるように、県民の底力が発揮されるとともに、連携、協働の大きな輪が広がりました。
 また、甚大な被害によって行政機能が低下した市町村への他の地方公共団体からの支援、全国、海外からの被災者一人一人に寄り添うボランティア活動などのさまざまな支援など、地球的な規模での社会のつながりを認識したところであります。
 県においては、答えは現場にあるとの考えのもと、被災地の実態や、現場で何が必要か、何をなすべきかを把握し、県の復興計画において、復興に向けた三つの原則、安全の確保、生活の再建、なりわいの再生、これらを掲げ、多重防災型まちづくりの計画策定、住環境の整備や雇用の確保、本県沿岸部の基幹産業の一つであります水産業を初めとした産業再生の取り組みを推進してまいりました。
 これからも、現場力を発揮しながら、さまざまなつながりを力とし、被災者一人一人に寄り添った行政を進めて、沿岸地域と内陸地域が一丸となったオール岩手による復興を強力に進め、いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造、そして、希望郷いわての実現を目指してまいります。
〇高橋元委員 ありがとうございました。
 第2項、政府予算について伺います。
 1点目、平成23年度の4次にわたる国の補正予算に対する評価について伺います。
 政府は、東日本大震災からの復旧、復興に対応するために、第1次から第3次の補正予算を組み、合計18兆円を計上するとともに、現在開会中の第180通常国会においても第4次補正として2.5兆円を計上し、2月8日に成立しております。本格的な復興へ向けた12兆円の3次補正への対応は、本県では、12月定例会で一部を前倒しして取り組んだほか、今2月定例会での対応であります。
 達増知事は、8月に岩手県東日本大震災津波復興計画をいち早く策定し、9月15日には、政府に対し、平成23年度補正予算及び平成24年度政府予算編成に向けて、東日本大震災津波に関する要望書を提出され、また、12月5日に第2弾の要望書を提出されたわけですが、政府の東日本大震災復旧、復興への対応として、4次にわたる総額20兆5、000億円の補正をどう評価し、本県のこれまでの対応に必要な予算は確保できたと思われるか、所感をお伺いします。
 また、3カ月以内に2度にわたる国への要望書提出は、どのような背景によるものか、あわせてお伺いいたします。
〇達増知事 本県では、地域の被災状況に応じた復旧、復興の取り組みを早急に行うため、これまで、国の予算を先取りしながら、今年度、10次にわたる補正予算を編成し、本県の復興に向けた取り組みを全力で推進してまいりました。この間、国においては4次にわたる補正予算により、復興財源の措置や復興特区法等復興関連法案の成立、復興庁の設置などが行われ、復興に向けた体制、制度、財源がようやく整いつつあるところでありますが、本来であれば、もっと早急になされるべきだったと考えております。
 9月から12月にかけての要望におきましては、本格的補正予算や復興特区制度、復興交付金制度などの国における制度、財源等が明らかとならない中で、それらの早期実現等を目的とした要望活動を行っていたものであります。今後とも、国に対しましては、機会あるごとに国費による充実した支援と、既存の枠組みを越える強力な復旧、復興施策の速やかな実施を訴えてまいります。
〇高橋元委員 それでは、2点目、国の平成24年度予算に対する評価について伺います。
 平成24年度政府予算は、一般会計で90兆3、339億円、前年比2.9%の減額となっており、新たに(仮称)東日本大震災復興特別会計を設け、この復興特別会計に3兆7、754億円を計上しております。野田政権は、平成24年度を日本再生元年と位置づけ、被災地の経済社会の再生と原発事故からの再生、日本再生重点化措置等を通じた経済分野のフロンティア開拓、雇用環境の整備と人材育成を進めることによる分厚い中間層の復活、農林漁業の再生、エネルギー・環境政策の再設計、地域主権改革、そして既存予算の不断の見直しの7項目を基本方針に掲げております。
 また、地方財政への対応として、通常収支分において地方交付税が前年度比811億円、0.5%増、財源不足とその補てん措置として、建設地方債の増発、地方交付税の増額、過去に発行された臨時財政対策債の元利償還等に係る臨時財政対策債の発行などが盛り込まれております。東日本大震災分では1兆7、800億円程度とされ、直轄、補助事業に係る地方負担分、地方単独事業分、被災者の負担軽減及び復旧、復興に向けた取り組みを推進するための税制上の対応分、緊急防災、減災事業を進めるとしております。復旧、復興には、一般会計及び特別会計を合わせて5兆5、554億円が計上されたこととなります。平成23年度、4次にわたる補正と合わせ、1年間の総事業量からすると、かなり潤沢にも見えなくはないわけでありますが、県政運営上、平成24年度政府予算をどう評価しておられるか、復旧、復興に不足は生じないか伺います。
〇達増知事 厳しい財政状況の中で、地方財政対策で一般財源総額が59.6兆円と前年度以上に確保され、地方交付税が17.5兆円と、前年度と比較し0.1兆円増額されました。また、東日本大震災からの復旧、復興事業の地方負担分として、0.7兆円の震災復興特別交付税が別枠で確保されたことについては、一定の評価ができるものと考えております。
 東日本大震災津波関連予算についても、本年度の4次にわたる補正予算に引き続き、平成24年度に創設予定の東日本大震災復興特別会計で総額約3.8兆円が確保されたことは、迅速な復旧、復興を切れ目なく継続させる観点で評価できるものと考えております。
 特に基盤整備関連予算では、三陸沿岸道路等の復興道路について、国の予算全体で1、088億円、湾口防波堤等の港湾施設の復旧、整備については2、277億円が確保され、本年度第3次補正予算とあわせて大規模な予算が措置されたところであります。
 また、三陸鉄道の早期復旧に関しても22.5億円が確保され、平成26年4月の全線運転再開に向けた計画的な復旧、整備が担保されました。
 産業の再生面では、水産基盤整備事業などの水産業の復旧、復興を加速させる予算843億円が措置されたほか、被災企業への支援として、本年度創設されたグループ補助金関連予算500億円が確保され、来年度も継続して実施されることとなっています。
 なお、政府の当初予算が成立しておらず、現時点で本県への配分等、詳細が不明な部分も多く、引き続き国に対し、必要額が確保されるよう強力に要請してまいります。
〇高橋元委員 第3項、復興庁について伺います。
 1点目、復興庁発足に対する知事の所感についてお伺いいたします。
 大震災発災から11カ月が経過した本年2月10日、ようやく復興庁が発足しました。復興庁発足に当たって野田首相は記者会見の中で、復興の司令塔になる組織で、大きな役割は、被災自治体の要望にワンストップで迅速に対応することと役所の縦割りを乗り越えること。各省より格上の立場という位置づけで、迅速果断に調整するのが何より大事。職員は現場主義を徹底し、先例主義にとらわれず使命を果たしてほしいと述べられ、出先機関として盛岡市に岩手復興局が、宮古市、釜石市に支所が設けられております。復興庁は野田首相がトップとなり、担当大臣として本県出身の平野達男参議院議員が就任いたしました。今後取り組むさまざまな復興事業を進める上で、本県の現状を熟知しておられる平野大臣であり、スピーディーに事業採択がなされ、国の支援も大いに期待されるものと思います。ただ、主導権省庁綱引き、寄り合い世帯、縦割り懸念、二重行政も─などのうがった見方をされており、復興庁発足に当たって、知事はどのように評価しておられるか、所感を伺います。
〇達増知事 復興庁は復興の司令塔になる組織であり、内閣総理大臣の強いリーダーシップのもと、復興に関する国の施策の基本的な方針などの企画や各省の施策の総合調整を行うとともに、復興推進計画の認定、復興交付金の配分など地方公共団体への一元的な窓口と支援を行うために設置されたものであり、その役割に期待しております。
 また、岩手復興局の設置と宮古市及び釜石市への支所の設置により、被災地により近いところで、現場で何が起こっているのか、何を求めているのかを直接くみ上げ、被災自治体からの要望、提案に対し迅速な意思決定を行い、実行に移し、県、市町村の復興計画に基づく事業の推進が一層図られるものと期待しております。
〇高橋元委員 2点目、岩手復興局との連携についてお伺いいたします。
 岩手復興局は、盛岡市中央通一丁目のビル内に設置されていた東日本大震災復興対策本部岩手現地対策本部を衣がえして開設され、宮古支所並びに釜石支所はそれぞれ県の地区合同庁舎内に設置となり、看板が掲げられております。岩手復興局は約30人体制と言われ、宮古、釜石両支所も、現在2名体制から5人前後まで拡充されるとのことであります。岩手復興局事務所は距離的に近いですが、迅速果断の調整に微妙な距離であり、この距離を埋めていく仕組みづくりが必要ではないかと思うところであります。定期協議など、岩手復興局との連携をどう構築するのか伺います。
 私見ですが、岩手復興局は、できれば県庁内に開設してほしかったと思うところであります。
〇廣田理事 これまでも、復旧、復興対策の総合的な方針決定や各部局等が実施する対策の連絡、調整のため県が開催いたします岩手県東日本大震災津波復興本部員会議に、岩手現地対策本部長や事務局長にも出席していただくなど、相互の情報共有を図ってきたところであります。岩手復興局設置後におきましても、岩手復興局主催の岩手復興関係省庁連絡会議にオブザーバーとして出席し、情報共有を図っております。
 また、設置後、こうした会議に加えまして、国と県、被災地の市町村長が意見交換を行う場として、去る2月19日に第1回目が開催されたところであります。
 県としましても、定期的な情報交換はもちろんのこと、日常におきましても緊密な情報交換を頻繁に行い、直接被災地の意見や声が政策に反映され、実現されますよう、これまで以上に国、県がしっかりと連携し、市町村の復興への取り組みを支援していきたいと考えております。
〇高橋元委員 3点目、復興庁並びに岩手復興局への県職員派遣についてお伺いいたします。
 平野復興大臣の就任により、本県の復旧事業が遅滞なく迅速に進むことを願っているところであります。復興庁を母体とし、各省庁と調整となれば、それぞれの部署に岩手の実情を説明し、岩手の意思を伝え、そして、県や市町村との調整などを行う担当者が必要ではないかと思うところであります。事業調整と連携のため、復興庁並びに岩手復興局へ県職員の派遣は考えていないのか伺います。
 お隣の宮城県の動きであります。復興庁発足と同時に本庁へ東京事務所の事務職主事を、仙台市に設置された出先機関の復興局に、土木職の災害復興企画部震災復興政策課課長補佐並びに土木部道路課主査の3名を平成24年度末まで派遣したとのことであります。この宮城県の取り組み、目的をどうとらえ、分析し、本県で宮城県と同様の取り組みをほかの取り組みでカバーできる体制にあるのか、いささか心配になりましたので、所感をお伺いしたいと思います。
〇廣田理事 復興庁等への県職員の派遣についてでございます。復興庁が所掌いたします復興特区関係、復興交付金関係などの業務に従事することは、県における復旧、復興事業の推進にも意義があるものと考えております。現在、本県職員を復興庁に派遣することで、国と調整をしているところであります。
〇高橋元委員 派遣することで調整中ということですが、およそどういう形で、何人ぐらいということは、今この時点でお話しいただけるのでしょうか。
〇廣田理事 ただいま調整中ではございますけれども、1名ということで、期間につきましては、現在、相談をしているところであります。
〇高橋元委員 それでは、第4項、第2期アクションプランについて伺います。
 1点目、県内経済の現在と計画終了年の経済、産業についてお尋ねいたします。
 ギリシャのデフォルト問題に端を発した欧州金融危機や米国経済の低迷、そして、我が国においては超円高による大幅な貿易赤字、日本を代表するトップ企業の経営悪化と、経済環境は悪化しております。これまでメード・イン・ジャパンの代表格であった白物家電や自動車、半導体製品などは、韓国や中国、台湾などに取ってかわられ、ものづくりの将来は先細りの感さえいたします。産業と今日の繁栄を支えてきた団塊の世代も65歳を迎え、労働市場から姿を消し始め、労働力人口も、消費経済も急激に減少しております。
 このような状況を踏まえ、知事は、県内経済の現状をどのようにとらえ、県民計画の終了する平成30年度末の経済や産業はどのような姿になると予測しておられるか伺います。
〇達増知事 まず、県内経済の現状についてでありますが、先月、政策地域部で公表した最近の景況では、新設住宅着工戸数が3カ月連続、鉱工業生産指数が9カ月連続で前年水準を下回っている一方で、大型小売店販売額は8カ月連続、乗用車新車登録台数は4カ月連続、公共工事請負金額は3カ月連続でそれぞれ前年水準を上回っており、有効求人倍率についても上昇が続いているなど、東日本大震災津波の影響等によりなお厳しい状況にはある中で、持ち直しの動きが続いているとしているところであります。
 また、計画終了年の経済、産業についてでありますが、我が国の経済情勢は、平成20年の世界的な金融危機を初め、その後の欧州各国の財政金融危機、円高の進行による企業の業績悪化や海外移転の加速に伴う国内産業の空洞化などにより、不透明感が高まっています。
 こうした中にありまして、いわて県民計画長期ビジョンにおいて、仕事分野の10年後に実現していきたい岩手の未来として、地域社会の姿を地域の多様な資源と知恵を生かした活力ある産業が展開し、地域や分野を超えて産業が結びつき、県内経済が力強く循環していると描いているところであります。
 今後においては、今般策定した第2期アクションプランを着実に推進し、計画終了時には、震災発生前よりも未来に向かって進み、そのときの日本や世界の経済の中で名誉ある役割を担うような希望郷いわてを実現してまいります。
〇高橋元委員 2点目、第1期アクションプランの成果についてお尋ねいたします。
 希望郷いわてを目指すいわて県民計画は、平成21年度から平成30年度までの10年間にわたる計画期間とし、平成21年度に策定されました。政策編、地域編、改革編の3部構成であり、計画達成に向け、第1期2年、第2期4年、第3期4年の知事任期に合わせてアクションプランが策定されることとなっております。本来であれば、知事改選が昨年の4月に行われ、新知事のもとに、昨年の9月ごろ、第2期アクションプランが策定されていたものと推察されますが、9月の知事選挙を受け、本年2月策定となりました。このプランは、第1期アクションプランの評価を踏まえて作成されたわけですが、大震災という予測できない事態となり、評価も難しいものとなったと思うところであります。
 第1期アクションプランにおける四つの評価─政策評価、事務事業評価、公共事業評価、大規模事業評価について報告書が作成されておりますが、その成果に対する所感を伺います。
 また、大震災発災を受け、長期ビジョンである県民計画そのものの見直しを検討したとのことですが、どのような議論がなされ、変更せずの結論に至ったのか伺います。
〇達増知事 第1期アクションプランの最終年度である平成22年度の政策の評価では、おおむね順調以上と評価された政策項目が全体の54.8%と半数を超え、医療・子育て・福祉の分野では、新型インフルエンザ対策や地域密着型の介護サービス拠点等の整備などの取り組みがおおむね順調に進み、また、社会資本・地域交通・情報基盤の分野では、幹線道路ネットワークの構築や、地域間の交流、連携の基盤となる道路整備などの取り組みがおおむね順調に進むなど、厳しい社会経済情勢の中でも成果を上げたところであります。
 一方で、産業・雇用分野では、世界同時不況や円高の影響により製造品出荷額が落ち込み、環境分野では、費用負担を伴う再生可能エネルギーや木質バイオマスエネルギー設備の導入が計画どおり進んでいないなど、進捗に課題も見られます。
 評価で明らかとなった課題については、例えば、産業・雇用分野においては、国際競争力の高いものづくり産業の集積促進、地域の特性、資源を生かした食産業や医療、環境等の今後成長が期待できる分野の産業振興をさらに進めていくことや、雇用対策基金等を活用した雇用創出や就職支援に取り組んでいくことなどを、今般策定した第2期アクションプランの具体的な推進方策に反映させたところであり、引き続き、希望郷いわての実現に向け、全力を傾注してまいります。
〇千葉副知事 長期ビジョンの見直しについてでありますが、長期ビジョンにつきましては、東日本大震災津波の発災を受けまして、その内容を見直す必要がないか、県総合計画審議会の御意見も伺いながら点検を行ったところでございます。
 審議会では、委員から、復興の取り組みについては、復興計画を基本としてアクションプランに盛り込み進めていくのが適当であることなどの御意見をいただいたところでございます。
 また、大震災津波による被災があったものの、本県における基本的な地域資源は変わらないこと、10年後の自分や岩手のありたい姿などの県民一人一人の将来の希望を重ね合わせながら描いております、みんなの基本目標と実現していきたい岩手の未来は変わりないこと等、取りまとめていただいたところでございます。
 県といたしましても、大震災津波の発災などを契機とした社会経済情勢の変化がありましても、希望郷いわてを支える本県の地域資源の状況は大きく変わらないと考え、長期ビジョンについては変更しないとの結論に至ったものでございます。
〇高橋元委員 3点目、計画終了年度の県勢についてお伺いいたします。
 いわて県民計画に掲げる希望郷いわてを実現するため、平成26年度までの今後4年間にわたる重点的、優先的に取り組む施策や目標などを盛り込んだいわて県民計画第2期アクションプランが策定となりました。
 政策編では、政策推進目標として位置づけてきた人口、県民所得、雇用環境、地域医療に加え、大震災発災を踏まえて新たに再生可能エネルギーと防災分野の取り組みが盛り込まれています。地域編では、内陸地域の活力が沿岸地域の復興を支えるとの観点から、被災地域の復興支援に資する取り組みが盛り込まれています。改革編では、震災後の状況変化を踏まえ、復興を支える人材育成、限られた財源や人的資源の効果的活用、新しい公共の推進などを進めるとされています。
 本県人口は、震災で6、000人を超える方々が亡くなられ、あるいはいまだ行方不明の方がおられ、自然減は大きなものがあり、県民所得は、農林水産業の不振や企業業績悪化等により減少し、雇用環境も、欧米の財政問題に端を発する経済不況、新興国の産業発展や円高等による受注減などにより失業者増、ほかにも経済の成熟化による消費減退、少子化、急激な高齢化などさまざまな課題が山積しております。そのような中での県民計画第2期アクションプラン策定であり、県民の一人として大きな期待を寄せております。
 この第2期アクションプランは実質3年間の取り組みであり、目指す姿についての指標や復興関連施策、岩手の未来を拓く6つの構想、関連施策の一覧を明示しておりますが、人口、県民所得、雇用環境、地域医療、再生可能エネルギー、防災において、終了年度の平成26年度末、県勢はどのような姿を想定しておられるかお伺いいたします。
〇達増知事 第2期アクションプランでは、全力を傾注すべき政策推進目標として東日本大震災津波からの復興を進め、本県の地域資源を生かし、県民の仕事、暮らし、学び・こころを守ることと定め、人口、県民所得、雇用環境、地域医療、再生可能エネルギー、防災の6つの具体的な目標を掲げています。
 これらの六つの目標は、42の政策項目や6つの構想など、アクションプラン全体を推進していくことにより達成していくこととしており、具体的には、人口、県民所得については、地域活力の低下をもたらす人口の社会減を減らすことや、国民所得に対する県民所得水準の乖離を縮小することとし、雇用環境、地域医療、再生可能エネルギー、防災については、関係政策項目において目指す姿指標を設定し、平成26年度における計画目標値を定めたところであります。
 今後、県民を初め、企業、NPOなど地域社会を構成するあらゆる主体の総力を結集しながら、政策推進目標はもとより、各政策項目に掲げたみんなで目指す姿の達成に向けて全力で取り組んでまいります。
〇高橋元委員 第5項、平成24年度当初予算について伺います。
 1点目、平成24年度当初予算に込めた知事の思いについて伺います。
 昨年8月に岩手県東日本大震災津波復興計画を策定し、本年2月には県民計画第2期アクションプランが策定となり、そして、この二つの計画を受けて平成24年度岩手県一般会計当初予算が編成されました。予算の呼称はいわて復興元年予算ということで、特別な思いが伝わってまいりますが、知事は、予算編成に当たってどのような思い、考えを込められたのか伺います。
〇達増知事 被災者一人一人が復興の主役として、自分自身の安全と健康を守りながら相互に助け合い、さまざまな主体の協力を得て、生活再建や地域の社会経済活動の充実に向けて力強く前進できるよう、積極的に支援していくことが重要と認識しております。このため、県民が心を一つにして、被災以前よりも安全、被災以前よりも安心、そして被災以前よりも豊かな岩手の実現に向けて邁進することができるようにとの思いを込め、平成24年度の当初予算は、被災者一人一人の復興を支援し、地域の復興の流れを加速させることに意を用いながら、いわて復興元年予算として、東日本大震災津波からの復興を着実に推進する予算として編成を行ったところであります。
〇高橋元委員 2点目、平成24年度当初予算の編成過程についてお伺いいたします。
 平成24年度一般会計は、いわて復興元年予算として歳入歳出総額1兆1、183億円が計上され、当初予算では、県政史上初の1兆円超えの予算規模となっております。通常経費は見直しにより削減、震災復興経費は最大限措置との方向性のもと、予算編成作業が進められたようですが、予算編成に当たって、どのような過程、審議のもとに予算編成方針を定め、伝達し、各部局での編成作業を進め、調製を加えて成案となったのか、予算編成の過程についてお伺いいたします。また、知事査定の場において、主にどのような議論がなされたか、その内容についてお知らせ願いたい。
〇加藤総務部長 平成24年度当初予算の編成過程についての御質問でございます。
 東日本大震災津波からの復旧、復興に最優先で取り組むとともに、通常の予算につきましては、歳出の徹底した見直しや一層の選択と集中を図るよう、知事並びに副知事と十分協議の上、方針を決定してきたものでございます。
 また、予算の調製に当たりましては、知事査定までの間におきまして、知事、副知事と各部局長を初めとする各部局職員が数次にわたり検討を重ねまして、復旧、復興に係る取り組みを重点的に進めるとともに、県民のニーズを的確に把握し、事業の優先度、緊急度等につきまして特に留意いたしまして、厳しい選択を行ってきたものでございます。
 知事査定の場におきます議論ということでございますが、大震災津波からの復興は、内陸地域も含めた岩手全体の復興でなければならないという認識のもとに、内陸地域と沿岸地域が一体となって施策を推進できますよう、復興のための事業や、それに伴う財源の確保などにつきまして活発に議論が展開されたものでございます。
〇高橋元委員 第6項、震災復興予算について伺います。
 1点目、復興実施計画の進捗状況について伺います。
 大震災発災以降、被災者救助や緊急災害復旧工事、そして復興にこれまで措置されてきた予算総額は、平成22年度補正から今議会までで累計7、998億円となっております。迅速な復興を推進するための復興計画の進行管理の一環として、復興計画の施策体系及び構成事業22項目ごとに代表的な取り組みを選定し、本年1月までの実施状況がまとめられ、公表となっております。今後、毎月更新されるとのことで、復興計画の進捗状況、問題点や課題も浮き彫りになってくるものと注視しております。
 そこで伺いますが、1月でまとめられた実施状況をどのように分析し、どう評価しているのか。また、問題、課題はどのようなものがあり、解決に向け、どう取り組んでいるか伺います。
 次に、復興実施計画第1期、基盤復興期間3年の中間年として、そして本格的な復興に着手するいわて復興元年予算との位置づけのもと、震災対応分として4、651億円の予算配分となっていますが、復興計画第1期に掲げる441事業はすべて着手できる見通しとなっているか伺います。
〇平井理事 復興実施計画の進捗についてでございますけれども、復興計画に掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則ごとに1月末時点での取り組みの進捗状況を見ますと、まず、安全の確保の事例として、復興道路として三陸縦貫道や東北横断道釜石秋田線等の重点整備を進めているところであり、昨年の国の第3次補正予算を機に、計画延長393キロメートル全線において事業化され、12月から測量が開始されたところでございます。
 暮らしの再建の取り組みにつきましては、住宅の供給に向けた災害復興公営住宅等の整備について市町村等との調整を進めており、準備の整った箇所から順次設計委託等の発注準備を進めているところでございます。
 なりわいの再生の取り組みにつきましては、水産業の再生に向けて、県内に13ある産地魚市場のうち13(後刻「12」と訂正)市場は既に再開しているところであり、復興に向けた動きが具体化してきていると感じております。
 その一方で、約4万3、000人の方々は依然として仮設住宅等に仮住まいの状況にあり、一日も早く安心して生活が送れるよう、まちづくりや産業再生の取り組みを加速させていく必要があると存じております。そのためのハード事業を進めていく技術者や、埋蔵文化財調査のための調査員等、多くの専門的知識を有する人材が必要となります。また、被災者の心身の健康を守るため、きめ細かに保健活動や心のケア活動を行っていく必要があり、これらソフト事業を担う専門職員についても多くの人材が必要となるところでございます。現在、国、全国の都道府県及び市町村などから多くの職員の派遣をいただいているところでございますが、被災市町村におけるさらなるマンパワーの確保につきまして、国等の関係機関による継続した支援を要請してまいります。
 次に、第1期計画に掲げる事業の着手見込みについてでございますが、復興実施計画第1期に掲げる441事業につきましては、平成23年度に387事業、平成24年度に47事業、平成25年度に7事業を着手する計画としているところでございます。その大半は計画どおり着手しているところでございますが、平成23年度分の12事業、平成24年度分の7事業、合計19事業については、それぞれのまちづくり計画の具体化等を待ち、着手したいと考えてございます。
 その主な内訳は、緊急避難路整備事業など10事業につきましては、事業の詳細について検討は進めているものの、具体の着工、着手に至っていないもの、障がい者支援施設等災害復旧事業など2事業につきましては、既存の制度があるものの、市町村から事業実施の希望がないものとなっているところでございます。
〇高橋元委員 2点目、復興特区についてお伺いいたします。
 本県では10の特区を予定しておりますが、第1弾として、保健・医療・福祉復興推進計画を取りまとめ、1月31日に申請し、あわせて第1次の復興交付金事業計画の提出を行い、保健・医療・福祉復興推進計画においては2月9日に認可されました。また、2月6日に第2弾として産業再生復興推進計画の申請を行っております。隣県の宮城県は民間投資促進特区、福島県では産業復興投資促進特区と、第1弾に産業再生を掲げている中、なぜ本県は保健・医療・福祉特区であったのか。これでは、産業再生の面でおくれをとるのではないかと危惧しておりましたけれども、第2弾として直ちに産業再生復興特区の申請をされたことで安堵いたしました。素早い取り組みに、こぶしを上げないで済みました。ありがとうございます。
 復興特区の推進について理解したのでありますが、今回、初めに第1弾として、保健・医療・福祉特区を、第2弾として産業再生特区を選ばれたのか、その理由と、それぞれの計画の効果を伺います。
 第3弾として、再生可能エネルギー特区やまちづくり特区についても申請に向けて検討中とのことであります。この復興特区は、どのような条件が整った時点で申請手続をするのか、提出時期をいつごろと考えているのか伺います。
〇平井理事 まず、復興特区申請の順番についてでございますが、県では、復興特区法を有効に活用し、地域の迅速な復興を実現するため、まちづくり、産業再生、再生可能エネルギー、保健・医療・福祉の各分野で、必要とする特例措置の検討を進めてきたところでございます。復興を急ぐ観点から、これらの各分野の特区をできるだけ早く申請する考えでございますが、特例が適用されるエリアの設定や、申請に先立ち調整すべき関係機関の数において特例の種類により差があり、申請までの調整に要した時間に差が生じたところでございます。
 効果についてでございますが、保健・医療・福祉分野につきましては、医療機関における医療従事者の配置基準の特例、薬局等整備における構造設備基準の特例、介護施設等における医師の配置基準及び開設者要件に関する弾力的対応を計画に位置づけたことにより、医療及び福祉サービスの本格的再開や薬局等の開設促進の効果が期待されます。
 産業再生分野につきましては、被災地の雇用創出を促進するための税制上の特例措置、医療機器製造販売業等に係る特例措置を計画に位置づけており、企業誘致を初めとした雇用機会の確保、創出が期待されるところでございます。
 次に、再生可能エネルギー特区とまちづくり特区の申請時期についてでございますが、これらにつきましては、申請に向けた準備を市町村とともに進めているところでございます。
 まず、再生可能エネルギー特区につきましては、国への新たな特例措置の提案を前提とした特区申請を予定しており、導入促進に当たっての課題を踏まえた具体的な規制緩和措置について、市町村や事業者からの提案を受けながら検討を進めているところでございます。
 次に、まちづくり特区につきましては、市町村のまちづくりに関する具体的計画の検討状況やニーズを踏まえ、必要とする特例措置が適時に活用できるよう調整を進めているところであり、平成24年度早期の特区申請を目指す考えでございます。
 恐れ入りますが、先ほどの私の答弁で、産地魚市場13あるうち13市場が既に再開と申しましたけれども、12市場が既に再開の誤りでございました。大変失礼いたしました。
〇高橋元委員 3点目、建設工事について伺います。
 国土交通省は、東日本大震災に伴う復旧、復興事業をめぐり、建設作業員の不足や人件費の高騰で採算がとれず入札不調がふえていることを踏まえ、公共工事の労務単価を2月中に引き上げる方針を示し、契約済みの工事請負代金に労務費を上乗せすることも可能としたほか、人手不足をカバーするため、被災地以外の企業と被災地の会社との復興JV制度も創設するとしています。
 また、建設業界から、遠隔地からの作業員を確保するための交通費や宿泊費などで地元建設事業者の負担が増しており、国などが宿舎を提供するのが効果的とした要望を出し、これに国土交通省は、交通費などのコストも予定価格に反映させる対応策を検討するとのことであります。県としても、入札制度改善検討委員会で入札参加資格の要件緩和を決め、3月1日の公告工事から順次適用するとしております。変更内容は、地域要件の緩和、過去の施工実績を問わない、現場責任者の常駐義務の緩和の3点とのことであります。
 私の地元では、県内建設事業者が総力で震災復旧、復興に取り組むためには、県営工事A級、B級、C級の企業力に応じたすみ分けをすべきで、A級は主に震災復旧、復興工事、B級、C級は主に地元地区の従来の工事との意見があります。また、内陸から沿岸部へおよそ100キロという遠隔地への作業員移動は、片道2時間前後を要することで、作業員への負荷と交通安全上の問題があり、対応策として仮宿舎が必要であるとのことから、工事代金への費用上乗せ等の対応策を早期に進めてほしいとの要望を受けております。この2点について所感を伺います。
 工事を管理監督する現場技術者が不足とのことですが、復興工事は10年前後経年することから、工事現場の管理監督を担当できる技術技能者養成を行うべきと思いますが、そのような取り組みは検討されていないか伺います。
 建設資材の確保ですが、大量の土砂利、型枠、鉄筋、生コン等、多品種、大量の資材を要するものであり、受注事業者の力量に任せるのか、資材の確保に県も一定の役割を担っていくのか伺います。
〇上野副知事 まず、建設業者の御提案に対する所感についてのお尋ねでございますが、建設事業者の企業力に応じたすみ分けにつきましては、県営建設工事の入札参加資格におけるA級、B級、C級の等級別の区分は、発注される工事の規模や難易度に見合った施工能力を有する者による適正な競争環境を整備することを目的として設定しているものでございます。
 例えば、発注標準額2、500万円未満の比較的少額な工事につきましては、工事場所が所在する振興局の管内業者に発注しているところでございます。震災復旧、復興工事の発注に当たりましても、工事の規模や難易度に応じた等級別区分により発注することといたしております。
 なお、地域要件につきましては、今後の入札状況を見まして、内陸地域の事業者も沿岸の災害復旧事業の入札に参加できるように特例を設けることといたしております。
 次に、工事代金への宿舎費の上乗せについてでございますが、国、県、市町村などの復旧、復興工事が本格化することに伴いまして、被災地域以外からも労働力を確保するため、工事代金への宿舎費や労働者の輸送に要する費用を計上する必要があると認識いたしておりまして、追加費用の計上を国に対し要望していたところでございます。
 このたび、国では、当面の運用といたしまして、被災3県に対し、被災地以外からの労働者確保に要する追加費用の計上を認める旨の通知があったところでございます。岩手県におきましては、3月5日─本日でございますが─以降に入札公告を行う工事から追加費用を計上することとしたところでございます。
 次に、技術者の養成についてでございますが、県では、次世代の公共土木施設の維持管理を担う技術者の育成を目的といたしまして、平成22年度及び平成23年度に若年建設業離職者を新規に雇用し、現場での技術指導や資格試験取得のための研修を行い、建設技術者を育成する企業に対して補助を行ってきたところでございます。
 こうした中で、東日本大震災津波による復旧、復興事業に伴う技術者不足への対応は急務であることから、平成24年度からは、新規卒業者も事業の対象といたしまして、取得資格の対象を管工事や電気工事にも拡大し、雇用期間も1年から2年に延長するなど事業内容を充実させ、技術者の育成確保に努めていくことといたしております。
 次に、建設資材の確保についてでありますが、国、県、市町村などの復旧、復興工事が本格化することに伴いまして大量の建設資材が必要となってくるものと認識しております。こうした認識のもと、東北地方整備局が主催いたしまして、東北管内での発注状況等に関する情報連絡会が設置されておりまして、その中で建設資材の需要動向などにつきましても情報共有を行っているところでございます。
 また、石材や生コンなどの地元で調達する必要のある資材につきましては、今後、沿岸広域振興局管内などの地域単位で、国、県、市町村などの発注者と建設業者や資材納入業者など業界団体との間で情報交換の場を設けることといたしておりまして、必要な対応を検討してまいります。
〇高橋元委員 建設資材が足りなくて工事が進まないということのないように、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 4点目、復興公営住宅の建設についてお伺いいたします。
 復興公営住宅の建設が待ち望まれておりますが、県の見通しでは4、000戸から5、000戸の建設とのことであります。入居を希望する方々は、若い世代から高齢者世代など広範にわたるものと思われますが、どのような仕様、大きさの公営住宅をどの程度建設しようと検討されているのか。市町村単位の戸数計画ができておれば、これについてもお伺いしたいと思います。
〇上野副知事 災害復興公営住宅の建設についてでございますが、災害復興公営住宅の仕様につきましては、御高齢の被災者の方々が多い傾向となっておりますが、多様な世代の方々が安心して生活できるようバリアフリーに配慮した仕様とするとともに、耐久性や省エネ機能などを確保した住宅となるよう計画いたしております。
 住宅の大きさにつきましては、市町村とも協議しながら、被災者の世帯構成に合わせ計画することといたしております。被災者の方々は単身者や少人数の世帯が多いことから、比較的小規模な住居の比率が高くなるものと考えております。
 次に、市町村単位での戸数計画についてでございますが、市町村単位での戸数計画につきましては、被災規模の比較的大きい宮古市以南の市と町でそれぞれ500戸程度から1、000戸程度、岩泉町以北におきましては数十戸から100戸程度の建設が必要なものと想定いたしております。今後、市町村と協議いたしまして、具体的な建設計画の検討を進めてまいります。
〇高橋元委員 5点目、浸水移転地域の宅地買い上げについてお伺いいたします。
 被災市町村における復興計画が策定となり、復興に向けて新たなまちづくりが始まろうとしております。高台移転に向けて、移転予定地の買い上げや浸水地域の宅地買い上げに対応するため、県では、不動産鑑定士協会に被災地域の不動産鑑定を一括して依頼しており、3月末までにその結果がまとまるとされております。
 そのような中、野田村では村独自に不動産鑑定士を依頼し、その結果をもとに、2月25日、被災村民に説明会を持ったとの報道がありました。その内容は、震災のない場合と仮定して、1月の標準価格と比較し、2ないし3割減とのことで、移転先となる高台造成地の平均分譲価格とほぼ同じ価格で購入できる見通しであるとのことであります。野田村のいち早い買い上げ価格と購入価格の村民提示は復興を大いに促進するものであり、被災村民に希望を与え、これから示される他市町村のモデルケースとして生かされる取り組みではないかと思うところでありますが、これをどのように評価しているのかお伺いいたします。
〇平井理事 野田村が独自に行った高台移転に係る土地の買い取り価格等の提示に関してでございます。現在、市町村では、早期の復興事業の着手に向け、具体のまちづくりのための住民合意に向けた意見調整が行われているところでございますが、被災者が住宅再建の方針を判断するための被災した従前地の買い取り価格等の提示が課題となっているところでございます。
 野田村における土地の買い取り価格等の提示は、被災者が事業導入により受けることとなる支援内容が具体に提示されることで、被災者それぞれの自立再建等に向けた検討が可能になるとともに事業用地の早期取得にもつながるので、有効な取り組みと考えております。
 なお、現在、県では、市町村による被災地域の土地の買い取り価格の提示に資するため、沿岸12市町村を対象に不動産鑑定を実施しており、今後、これらの結果を活用し、地域住民との合意形成や円滑な事業用地の確保等が推進されるよう、県としても支援してまいります。
〇喜多正敏委員長 高橋元委員の質疑の途中ではありますが、世話人会の申し合わせにより、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
 高橋元委員、御了承願います。
   午前11時54分 休 憩
午後1時2分 再開
〇喜多正敏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇高橋元委員 それでは、引き続き質問をさせていただきます。
 6点目、漁協並びにさけ・ます増殖組織の統合についてお伺いいたします。
 沿岸部の復興に水産業の再生は欠かすことができません。しかし、水産業の核である県内漁協の経営状態は厳しい現状にあります。漁獲量の減少や魚価の低迷、組合員の高齢化、担い手不足など、農業に類似した課題がある中、今回の大震災と原発事故の影響が追い打ちをかけた状態にあると言っても過言ではありません。
 先月中旬、県内漁協の2010年度決算内容が報道されましたが、大槌漁協が震災の影響で約11億円の債務超過に至り、組合を解散し、新たに新組合を設立する方針を決定したとのことや、6漁協が債務超過に陥っていることが取り上げられました。
 漁業の復旧、復興を進める一方で漁協の経営改善も図らなければなりませんが、まず、担い手の急激な増加を見込めない中にあって、構成する組合員の減少をカバーするには、農協が進める合併のように、漁協も早期に合併を進める必要があると思うところでありますが、県として、水産振興を進める上で核となる漁協の経営安定をどう協議しているのか伺います。
 さけ増殖事業ですが、県増殖協会の事務局の説明によりますと、平成22年度の親魚の捕獲尾数は56万尾と低調で、昭和55年水準まで落ち込み、回帰資源が低迷した年度であったとのことであります。
 採卵は4億9、400万粒が確保でき、稚魚4億1、500万尾を準備した矢先、大津波が襲来し19カ所のふ化場が津波被害を受け、9カ所のふ化場は津波被害を逃れ予定どおり放流ができたとのことであります。
 さけ増殖事業は、各漁協それぞれの取り組みで親魚の捕獲、採卵、受精、養殖と多くの工程がある中、取り組み内容に差異があるとのことで、採卵が9主要河川ふ化場で予定どおりできなかったとのことであります。
 サケは本県漁業の中核ですので、本来であれば県が中心となって捕獲から放流まで一貫して管理すべきと思うところですが、そのような考えはないのか伺います。
〇上野副知事 まず、漁協の経営安定についてでございますが、県内のほとんどの漁協が、大震災津波の被災により、平成22年度決算で当期損失を計上しておりまして、それに加えまして、平成23年度は、復旧、復興のための多くの設備投資などが求められたところでございます。
 このような状況に対応するため、各漁協とも、関係機関、団体の指導を受けながら、補助事業の導入や負債整理資金の活用などを内容とする復興再生計画を策定し、系統金融機関等で組織する委員会での計画承認を受けまして、経営再建に向けた取り組みを進めているところでございます。
 また、県魚連も事業、組織の再編も含めた県域全体の中長期的な復興ビジョンを平成24年度上半期中を目途に策定するように求められておりまして、県といたしましては、大震災津波からの復旧、復興とあわせまして、県漁連等が新たなビジョンに基づき進める事業、組織の再編の取り組みを支援してまいります。
 次に、さけ増殖事業についてでありますが、本県では、各漁協がふ化場を整備、運営し、漁協や漁業者が定置網、はえ縄などで漁獲した水揚げ額の一部を増殖経費に充当する民間事業として取り組まれております。
 各ふ化場は、サケの回帰時期や資源量、施設内容等に違いがございますため、それぞれ異なる生産工程となっておりますが、各ふ化場の技術向上や人材育成、卵の移出入については、県さけ・ます増殖協会が主導して進めておりまして、県全体のサケ資源造成の中心的な役割を果たしております。
 今般の東日本大震災津波からの復興に当たりましては、県は、増殖協会の構成員とも協議をしながら、ふ化場間の連携や効率化が図られるよう漁協などの民間のふ化場の復旧、整備を支援しておりまして、今後も民間団体によるさけ増殖事業を推進していく考えでございます。
〇高橋元委員 これまでの取り組みでは、民間団体への支援という形で、それはそれで私はよかったと思っています。ただ、この震災を受けて、各漁協が大きな被害を受けた中、このふ化場が、個々それぞれの取り組みでこれからも目標とする採卵ができるのかということを考えますと、私は、この機会に、ぜひそのふ化場のさまざまな経営あるいは事業運営も含めて、一括して進めるべきじゃないかなと。
 そういう意味では、先ほどもお話ししましたが、漁協の統合だけではなしに、このふ化場についても、やはり早期に統合を図って、一貫して採卵から放流まで取り組むべきだと思いますけれども、その辺についてはどのようなお考えでしょうか。もう一度所感をお伺いしたいと思います。
〇上野副知事 ふ化場の統合等についての所感でございますけれども、本県のさけ増殖事業は、増殖協会が県全体のサケ資源造成や技術力向上の中心となりまして、他方で地域の漁協、漁業者が直接にふ化事業にかかわるというような方式で行ってきております。
 本県のつくり育てる漁業を推進していく上で、こうしたやり方はよりよい方法と考えておりまして、県としても、今、委員が御指摘になったような問題点を十分認識しながら、安定的な増殖事業を展開できるように、必要な支援をしてまいりたいと思っております。
〇高橋元委員 ぜひ漁業の中核となるさけ・ます増殖事業でございますので、取り組みに凹凸がないように、同じような形で取り組みが行われまして、放流がうまく順調に進むように願っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 7点目、被災した県施設の再建についてお尋ねいたします。
 大津波によって高校や病院、警察署、交番、駐在所など、多くの県有施設が被害を受けましたが、修繕をして再利用するもの、移転新築するもの、取り壊し廃止するものなどあると思いますが、どのように検討されているかお示しください。
〇加藤総務部長 被災した県有施設についてでございますが、182施設が被害を受けまして、被害額は概算で122億4、200万円余と見込んでおります。そのうち、全壊したものが45施設、半壊が15施設となっております。
 全壊または半壊いたしました60施設のうち、移転新築を予定しているものが高田高校など29施設、現在地で再建を予定しているものが南部栽培漁業センターなど2施設、大規模修繕を加えまして引き続き使用するものが水産技術センターなど10施設、対応を現在検討中のものが19施設となっておりまして、現段階では、廃止を決定しているものはございません。
 また、全半壊に至らない施設につきましては、修繕を加えた上で引き続き使用することとしております。
 関係機関、各市町村と連携を図りつつ、市町村が策定中の復興計画を見きわめながら、施設の早期復旧を推進してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 第7項、組織、職員体制について伺います。
 震災からの復旧、復興を迅速かつ強力に推進する体制整備を主眼に事務事業の見直しが図られ、復興道路の整備に向けた用地事務、災害復旧事務等、緊急かつ重要な課題に人的資源を重点的に配置するとともに、復旧、復興業務の進捗に応じて組織体制の見直しが図られました。
 行財政改革を進める中での人員削減、それとは反対に、復旧、復興に事務職、技術職の人員不足という両局面を抱えての人事で御苦労されたものと思うところであります。
 新年度の組織体制と職員体制の概要、特徴を伺います。
〇加藤総務部長 組織体制の面ということでございますが、市町村の復興施策の支援を強化するため、復興局に復興担当技監を、また、沿岸部の広域振興局に復興推進課を設置するとともに、災害廃棄物処理の推進体制を一層強化するため、環境生活部に廃棄物特別対策室を設置する、こういった措置を講じたところでございます。
 また、職員体制の面につきましては、事務事業の見直しによりまして41人の削減を図りつつ、防潮堤等の整備を担う土木技術職員を130人程度、用地取得を担う職員を20人程度増員するほか、きめ細かい心のケア活動を実施していただくため、保健師等を6人増員するなど、重点配置を図ったところでございます。
〇高橋元委員 被災3県で復旧、復興が同じようなテンポで進められていくわけでありますので、技術職が大変足りないのではないかと思うところでございます。
 マンパワーの確保のため、全国の都道府県に対し職員派遣の要請や任期付職員の採用も検討されておりますが、どのような見通しであるか伺います。
 任期付職員の採用は、県内にとどまらず、広く全国に公募し、Iターンに結びついていければ二重の効果と思うところですが、全国公募は考えておられないか伺います。
〇加藤総務部長 職員派遣や任期付職員の採用見通しということでございます。
 平成24年度における都道府県等からの職員派遣につきましては、全国知事会などを通じて調整を進めてきました結果、2月末時点におきまして、30都道府県及び4政令指定都市から、土木職の75名、事務職の37名など、合計139名について派遣の応諾をいただいておりまして、調整が進んでいるということでございます。今年度に派遣いただいている職員に比べまして、さらに20名程度増加可能と見込んでいるところでございます。
 また、任期付職員につきましては、本年4月の採用予定人員を、一般事務は60名、総合土木の職員につきましては48名の計108名といたしまして、人事委員会におきまして、去る3月2日に最終の合格発表を行ったところでございます。
 任期付職員の募集に当たりましては、県のU・Iターンシステムに登録している方々に情報提供を行いましたほか、人事委員会の職員が首都圏のマスコミを訪問いたしまして、記事の掲載依頼なども行っておりまして、こうしたことで県外からも意欲的に御応募いただいたということになっております。最終合格者数における県外在住者の割合は、一般事務で40.6%、総合土木で36.0%となったところでございます。
 今後は、4月1日付の採用に向けまして、沿岸部を中心とした配属先の調整など具体的に進めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 ありがとうございます。
 第8項、放射線対策について伺います。
 1点目、食品の安全基準について伺います。
 4月から食品中の放射性セシウムの新基準値が運用されます。野菜類、穀類、肉、卵、魚など乳製品を含む一般食品の基準値は、暫定500ベクレルから新100ベクレルと5倍厳しくなり、飲料水が200ベクレルから10ベクレルと20倍に、牛乳、加工乳などは200ベクレルから50ベクレルと4倍に、乳児用食品が50ベクレルに改まります。
 このような新基準のもと、農畜産物の安全確保対策はどうなっているのかお示しください。
 繁殖和牛用飼料の基準値も1キログラム当たり3、000ベクレルから100ベクレルに大幅に引き下げられます。一関地方の牧草から平均100ベクレルを超えるセシウムが検出されたことにより、全域の牧草、水田畦畔、野草も全面自粛となるとのことであります。
 牧草にかわる代替飼料をどう確保していくのか、費用高騰にどう対応していくのか、県としての対応策、支援策をお示しください。
 また、現在、一関地方の約580ヘクタールを対象に牧草地再生、草地更新事業が進められておりますが、あと3、000ヘクタール必要で、完了に少なくても3年はかかるとのことであり、畜産農家からは、その間、牧草地はどうなるか具体の対応策を示してほしいとの意見があります。改めて私からもこの点について伺います。
 乾燥シイタケについてですが、一般質問でも取り上げられ、おおよその状況は理解するものですが、県が奥州、一関、大船渡の3市と平泉町及び集荷、出荷する2団体に自主回収を要請したとのことであります。どのような状況になっているのかお伺いいたします。
〇上野副知事 まず、農畜産物の安全確保対策についてでございますが、県では、この2月に作成いたしました放射性物質影響防止のための農作物生産管理マニュアルを活用いたしました生産管理対策の周知徹底や利用が困難となっております牧草地の再生のための除染などに取り組んでおりまして、今後も、こうした取り組みの継続、強化を図りながら、安全な県産農畜産物の生産に取り組んでまいります。
 また、これまでに導入いたしました測定計器の検査精度の向上や農業研究センターへのゲルマニウム半導体検出器の新たな配備など、検査体制の充実を図りながら、引き続き、検査計画に基づく県産農畜産物の検査の実施に取り組み、消費者への安全・安心な県産農畜産物の提供に努めてまいります。
 次に、牧草の代替飼料の確保についてでありますが、今般の牛用飼料の暫定許容値の引き下げに伴い、概数で1万ヘクタール程度の牧草地が利用困難となるため、代替飼料といたしまして、干し草換算で月当たり最大6、000トン程度を確保する必要が生じるものと見込んでおります。
 代替飼料の供給可能量につきましては、現在、北海道を初め、全国から干し草やサイレージで約1万5、000トン、干し草に換算すると約1万トンとなっているほか、海外から月当たり約16万トンの干し草が輸入されておりまして、国や飼料会社に対しまして、輸入量を拡大し必要量を確保するよう要請し、供給可能との見通しが示されているところであります。
 また、代替飼料につきましては、農業団体が畜産農家に粗飼料の現物を供給する計画となっており、これに要した経費につきましては、東京電力に損害賠償を請求していくものとなっておりますので、生産者の負担にならないものと考えております。
 次に、牧草地再生、草地更新事業についてでありますが、利用困難となりました牧草地につきましては、早急に除染対策を進め、再生していくことが重要でありますが、第1に、今般の飼料の暫定許容値の引き下げに伴い除染対象面積が拡大すること、第2に、事業実施主体である県農業公社の除染作業能力に限界があることから、除染作業をできる限り短期間に実施する体制の整備が必要と考えております。
 このため、牧草地の除染作業につきまして、現在、県農業公社による事業実施に加え、北海道農業公社から応援を得ておりますが、さらに、地域で飼料生産を請け負うコントラクター組織や作業機械を有する畜産農家の積極的な協力を得て、作業能力の大幅な増強を図り除染作業の短期化に努めてまいります。
 次に、シイタケの自主回収の要請についてでありますが、県では、食品の放射性物質の暫定規制値を超過した3市1町で生産されました平成23年度産の原木露地栽培の干しシイタケにつきまして、本年2月14日に、全国農業協同組合連合会岩手県本部─全農県本部─と岩手県森林組合連合会─県森連─等に対しまして、出荷自粛及び自主回収を要請したところであります。
 これらの集出荷団体では、県の要請を受けまして、速やかに全国の販売先に自主回収する旨の連絡をいたしまして、今までのところ、全農県本部と県森連合わせまして約2、600キロを回収している状況でありまして、両団体とも今年度末を目途にさらに回収を進める予定と聞いておりますが、県といたしましては、適切な回収が進められるよう必要に応じて支援をしてまいります。
〇高橋元委員 放射線問題で畜産農家は大変大きな痛手を受けておりますので、ぜひ、引き続き手厚い支援をよろしくお願いしたいと思います。
 2点目、放射能対策チームの県南局設置についてお伺いいたします。
 放射性物質の影響が日を追うごとにさまざまなところで出現しております。県南地域で生産される農林水畜産物、野生する山野草やキノコ類など、そしてホットスポットの出現と、これまでの取り組みは問題が出てからの対応で、後手に回っている感がしてなりません。
 さまざまな汚染が心配される現地に、これは県南広域振興局管内でありますけれども、この現地に放射線調査や汚染を心配する県民の相談に乗れる担当者を複数配置し、ワンストップで対応できる放射線対応チームを設置すべきと思いますが、そのような考えはないのかお伺いいたします。
〇加藤総務部長 放射線関係に対応するチームの県南局への設置というお尋ねでございます。
 県南広域振興局管内では、3市町が、放射性物質汚染対処特別措置法の汚染状況重点調査地域に指定され、現在、除染実施計画を策定中でございます。
 また、肉用牛及び干しシイタケ等の農業分野の対応を初め、学校等における放射線の影響対策など、さまざまな課題を抱えておりまして、県民の方々から多くの意見、相談が寄せられている状況でございます。
 これまでも、県南広域振興局の各部署におきまして相談対応や連絡調整に努めてきたところでございますが、より円滑で組織的な対応が図られますよう、現在、県南広域振興局に総合窓口の開設や現地対応を調整する枠組みを設ける方向で検討中でございます。関係市町村や県民の理解が得られ、そして、本庁組織との連携が強化されるよう工夫を凝らしてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 ぜひ早期に総合窓口の設置をよろしくお願いしたいと思います。あっちへ行って、こっちへ行って相談するというのは大変つらいものがあるわけでございます。よろしくお願いしたいと思います。
 第9項、歳入確保の取り組みについて伺います。
 1点目、自主財源について伺います。
 歳入において、自主財源全体が落ち込む中、県税だけが復興工事による工事用車両の運行に伴う軽油引取税の増加を見込んで0.5%伸びておりますが、自主財源の増加は今後も見込めないのか、その見通しと現在取り組んでいる増加対策についてお示しください。
〇加藤総務部長 自主財源の大宗を占めます県税収入につきましては、企業収益の一定の回復によります法人事業税の増でございますとか、復旧、復興に伴う工事、物流の活発化による軽油引取税の増を見込んでおります。
 我が国全体の景気の下方リスクもございまして、今後の見通しは不透明なところもございますが、法人県民税の超過課税の継続でございますとか、的確な課税客体の把握などの取り組みに加えまして、中長期的には、被災地の復興を含めまして地域経済の活性化を進めることによりまして、税源の充実、涵養を図ってまいります。
 このほか、県有未利用資産の処分や県有資産を広告媒体といたしました広告事業、県有施設における自動販売機設置に係る公募制─これはまだ試行でございますが─の導入、滞納債権の整理、使用料、手数料の見直しなど、現在取り組んでいる方策を着実に進めることによりまして、自主財源の確保に努めてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 2点目、未利用官舎の修繕、売却計画についてお尋ねします。
 各広域振興局職員宿舎並びに警察官宿舎、教員宿舎は、老朽化したものが多く、修繕もされず空き家になっているものが多数存在しております。
 現在、未利用の官舎はどのくらい存在し、この空き家を今後どうする予定か、再利用あるいは処分計画をお示しください。処分となればどのくらいの売り払い収入となるのか、試算額もお示しください。
〇加藤総務部長 未利用の公舎の件数、これは件数ということになりますが、建物の数ということになりますが、本年2月末現在、14件となっております。
 これらの今後の活用、処分計画でございますが、被災者の住宅やボランティア拠点など、被災地の復興支援のために有効活用されている資産を除きまして、将来とも公用、公共用として活用する見込みのない資産につきましては、それぞれの状況に応じまして、建物の解体撤去などの条件整備を行いまして資産価値を高める。そういう形で資産価値を高めた上で、一般競争入札により売却処分を行うなど、県有未利用資産等活用・処分方針に基づきまして積極的な対応に努めていく所存です。
 処分した場合の売り払い収入の見込み額でございますが、売却価格につきましては、一般競争入札に付する時点での不動産鑑定評価額を最低の売却価格として設定しておりますことから、現時点では算定しておりませんが、台帳価格で申し上げますと、これは全部売れた場合ということになりますが、12億6、200万円余ということとなっております。最適な時期の売却を心がけるということに尽きるわけでございますが、できるだけ多くの売り払い収入の確保を図ってまいります。
〇高橋元委員 監査委員を拝命して、あちこちの学校や警察署を回らせていただいておりますが、非常に傷んで、住むにたえないということであいているところがたくさんあるんですね。その中で見直しをしていただきながら、もう利用の方針がなければ、私は、早急に売却するなり、あるいは再利用するのであれば早急に整備をするなり、そういったことをする必要があるのではないかという思いをしておりました。今後とも、どうぞよろしく対処をお願いしたいと思います。
 3点目、積立基金についてお尋ねいたします。
 平成21年度以降、国の経済対策や雇用対策、福祉対策等で積み立てられた基金数及び積立総額、これまでの取り崩し額、平成24年度当初予算への充当後の基金残高についてお示しください。
 また、基金を活用した事業のうち、充当額の多い緊急雇用創出事業、地域医療再生、介護サービス施設等整備、子育て支援、障がい者自立支援について、これまでの取り組み効果と平成24年度事業内容をお示しいただきたい。
〇加藤総務部長 平成21年度以降、経済対策等により設置した基金についてでございますが、平成23年度末までに22基金を設置しておりまして、これまで約2、530億円の積み立てに対しまして、約860億円を取り崩し、活用してきたところでございます。
 これら22基金の中には、平成23年度におきまして、震災対応のため新たに設置いたしました復興交付金基金や国の交付金の増額配分を受けたものも含まれておりますが、平成24年度当初予算におきましては、このうちから約720億円を事業の財源として充当しております。
 先ほどのこれまで取り崩した額、平成24年度の見込んでいる額を引きまして、残額は約950億円になる見込みでございます。
〇上野副知事 ただいま委員御指摘の基金のうち、緊急雇用創出事業についての基金のこれまでの取り組み効果と、それから、平成24年度の事業内容についてでございますが、緊急雇用創出事業臨時特例基金につきましては、平成20年度から23年度まで約755億円を積み立てておりまして、事業実施によりまして約2万人余の雇用を創出したところでございます。このうち、平成23年度におきましては、1月31日現在で約1万1、800人余の新規雇用を創出したところであります。このような取り組みなどにより、本年1月には有効求人倍率が0.75倍まで上昇したところと承知しております。
 平成24年度におきましても、引き続き、従来の緊急雇用創出事業を活用いたしまして約6、000人の短期雇用創出を図るとともに、事業復興型雇用創出事業を活用いたしまして、約1万人の長期かつ安定的な雇用の創出にも取り組んでいくことといたしております。
〇千葉副知事 地域医療再生臨時特例基金等の取り組み効果と平成24年度事業内容についてでありますが、まず、地域医療再生臨時特例基金事業につきましては、これまで、ドクターヘリ運航体制の構築のための基盤整備を初め、周産期医療情報ネットワークの拡充、県立釜石病院における放射線治療機能の整備や奨学金による医師養成等に取り組み、また、仮設診療所の整備や被災医療提供施設の機能回復の支援等、被災地における医療提供体制の復旧に取り組んでいるところでございます。
 平成24年度におきましては、引き続きドクターヘリの運航や医師、看護師等の医療人材の確保等に取り組みますとともに、被災地の医療提供体制の再建と全県的な災害時医療提供体制の強化に取り組むこととしております。
 次に、介護サービス施設等整備臨時特例基金事業につきましては、これまで、地域密着型サービス施設102カ所、1、410床やスプリンクラー設置136カ所の整備等を進めておりまして、また、被災地におけます高齢者サポート拠点の設置7カ所などによります要介護高齢者の生活支援等に取り組んでいるところでございます。
 平成24年度におきましては、引き続き地域密着型サービス施設の整備等を促進しますとともに、被災者の生活や健康の支援、被災地における地域包括ケアの推進に取り組むこととしております。
 次に、子育て支援対策臨時特例基金事業につきましては、これまで、保育所の緊急整備に取り組み、平成21年度からの3年間で38カ所整備し、863名の定員増が図られる予定でありますほか、携帯電話からでも利用可能なホームページや子育て応援マンガの作成による子育て世代に対する情報発信の強化を図り、また、被災児童等の心のケアなどに取り組んでいるところでございます。
 平成24年度につきましては、引き続き保育所整備等に取り組みますとともに、子どものこころのケアセンターの運営などの被災児童対策に取り組むこととしております。
 次に、障害者自立支援対策臨時特例基金事業につきましては、これまで延べ107カ所の障害福祉サービス事業所の施設改修や設備整備等を進め、また、被災した居宅介護事業者等の復旧支援や岩手県こころのケアセンターを設置し、被災者の心のケアなどに取り組んでいるところでございます。
 平成24年度につきましては、引き続き事業所の施設改修等に取り組みますとともに、被災者の心のケアと被災地の事業所の安定運営に向けた支援に取り組んでいくこととしております。
〇高橋元委員 基金活用による事業効果がどんどん出ているということだと思います。ありがとうございます。
 第10項、平泉世界文化遺産の活用について伺います。
 ちまたに地獄に仏という言葉がありますが、大震災大津波被災で大きな悲しみの中にあった昨年の6月末、平泉文化遺産が世界遺産に登録決定されました。世界文化遺産登録は3年越しの私たちの願いであり、取り組みの結実でありましたし、郷土再興の希望の明かりをともしていただき、御先祖様に感謝を申し上げる次第であります。
 春夏秋冬の季節の中に生き、生かされ、物質的な富とかけ離れ、争いのない心穏やかな生活を求めてきた文化は、必ずや世界の方々にも理解していただけるものと思うところであります。
 この世界遺産登録は、昨年は大震災被災直後であり、大きなイベントを開催できなかったところですが、本年は、4月からのJRグループによるデスティネーションキャンペーン、5月連休恒例の春の藤原まつりと、年度当初に2大イベントが繰り広げられ、国内外から多くの観光客が平泉と県内各地を訪れていただけるものと推察されます。
 平泉文化遺産の世界文化遺産登録を観光産業や教育、文化の両面で今後どのように活用していくお考えか伺います。
 また、県民の共有財産としての位置づけや県外へのPR効果が期待される自動車ご当地ナンバープレート平泉は、その後どのような展開となっているのか、あわせて県民、国民が平泉世界文化遺産に触れ、理解するイベントとして、いわて平泉の日を指定する考えはないか伺います。私見ですが、候補日としては、清衡公によって金色堂が上棟した8月20日がいいのではないかと思っているところです。
〇千葉副知事 3点お尋ねがございました。まず、平泉世界文化遺産の活用についてでありますが、世界遺産登録により高まりました平泉の集客力を県全域に波及させることが肝要と考えておりまして、委員からただいまお話のございました、いわてデスティネーションキャンペーンでは、平泉と県内各地の観光地を組み合わせた旅行商品の充実を図っているほか、新たに、平泉と平泉以北をつなぐバスの運行や内陸部と沿岸部をバスでつなぐ復興応援ツアーを設定しているところでございます。
 今後におきましても、平泉と平泉以北とをつなぐルートの一層の定番化を図り、全県域への誘客を促進していきたいと考えているところでございます。
 また、平泉の世界遺産は、先人が守り伝えてまいりましたすぐれた文化遺産でありまして、県民一人一人がその価値を十分に理解するとともに、将来にわたりまして守り伝えていく活動が大切でございます。したがいまして、児童生徒を対象といたしました平泉授業の実施により、郷土に対する愛着や誇りをはぐくみますとともに、平泉に関する研究成果を発表いたします平泉文化フォーラムの開催などによりまして、引き続き国内外に世界遺産平泉の文化的価値を発信してまいりたいと考えております。
 次に、ご当地ナンバープレート等についてでありますが、現在、国が昨年10月に設置いたしましたナンバープレートのあり方に関する懇談会におきまして、御当地ナンバーのあり方について検討がなされているところでございます。
 これまで3回開催されまして、導入済み地域での効果やナンバープレートの機能などが議論されておりまして、今後、年度内を目途に中間取りまとめを行う予定とお聞きしております。
 また、平泉ナンバーの導入を目指し、平成23年1月に一関市、奥州市、平泉町及び金ケ崎町で構成いたします平泉ナンバーを実現させる会が発足したところでございます。
 同会では、昨年秋から署名活動を行ってきたところでございますが、2月24日時点で目標の10万人を超える約11万人の署名が集まったところでありまして、今後、年度内に国に対しましてこれらの署名を手交しますとともに、平泉ナンバー実現のための要望を行う予定と承知しているところでございます。
 県といたしましては、早期に平泉ナンバーが実現できますよう、この国の懇談会の検討状況を注視しつつ、地元とも連携しながら、引き続き、国に対して要望していきたいと考えております。
 次に、いわて平泉の日の指定についてでありますが、この指定につきましては、世界遺産登録直後の昨年6月の定例会におきまして、知事から、県民が平泉の理念を見詰め直し、次世代への継承や国内外への発信を行っていく上で、毎年改めて平泉を考える契機となると考えられることから、関係者の御意見等も伺いながら研究してまいりたいと答弁申し上げたところでございます。
 その後、関係者から御意見を伺いましたところ、基本的に異論はなかったものの、大震災津波の発災日であります3月11日の取り扱いとの均衡なども考慮する必要があるのではないかというような御意見もちょうだいしておりまして、引き続き研究してまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 どうぞよろしく御検討をお願いしたいと思います。
 第11項、第71回岩手国体への準備について伺います。
 平成28年開催の第71回岩手国体開催準備については、大震災発災を受け、国体開催の是非について各界並びに県民に考えていただくこの1年でありました。時間的に少し遠回りをしましたが、国体開催について県民の心が一つになったことや開催に向けてさまざまな意見、アイデアも寄せられ、意義のある1年であったと思うところです。新年度は、国体推進課を改組して国体室を設置し、市町村、民間等との協働を基本とした開催準備を進めるとしております。
 いよいよ本格的な開催準備が始まるわけですが、新年度は、新しい岩手型国体の開催に向けた推進体制の整備や市町村競技施設の整備等に向けて、どのような取り組みを計画しているかお伺いいたします。
〇千葉副知事 新年度の新しい岩手型国体の開催に向けた取り組みについてでありますが、岩手国体につきましては、先催県のようにすべての業務を県直営方式で行うことが困難でありますことから、県民、企業、団体等との協働を基本とし、必要な業務については、ゼロからのスタートという発想に基づいて構築する、新しい岩手型国体の開催に向けて準備を進めることとしております。
 したがいまして、例えば推進体制におきましては、新たに国体岩手県準備委員会に仮称でございますが募金推進委員会を設置し、広く県民等からの寄附を募り、また、企業協賛のあり方の検討を進めることを想定しております。県民等との協働を基本とした準備体制を構築していきたいと考えております。
 また、市町村競技施設の整備等につきましては、現在、中央競技団体から求められております整備を行わなければ競技を実施できないのかどうか、施設基準の弾力的運用につきまして重ねて要望を行うなど、極力、既存施設の活用を基本として実施できるよう努めてまいります。
〇高橋元委員 第12項、産業政策について伺います。
 1点目、ものづくり産業についてであります。
 ものづくり産業振興の柱を自動車関連産業、半導体関連産業、医療機器関連産業の3本としておりますが、3本柱の県内の動向と今後の見通しをお示しください。
 また、円高の影響はどの程度と予測し、雇用環境はどのように変化しているか、あわせてお示しください。
〇上野副知事 ものづくり産業についてでございますけれども、本県のものづくり産業は、平成19年に製造品出荷額が過去最高を記録するなど右肩上がりに成長してきたものの、リーマンショックで大きく下落した後、現在は徐々に回復しつつある状況にございます。
 その中で、まず、自動車関連産業におきましては、現在、関東自動車工業の新型車生産がフル稼働の状況と聞いておりまして、今後も本県の中核産業として、また、世界のスモールハイブリッド車のマザー工場として、県内経済を牽引していくものと考えているところであります。
 半導体関連産業につきましては、産業全体の景況や設備投資に影響を受けるなど、波のある産業ではございますけれども、今後、半導体需要は世界的に確実に増大すると見込まれておりまして、本県においては、新たな半導体工場の建設や地場企業の参入拡大により、着実に伸びるものと期待いたしているところであります。
 次に、医療機器関連産業につきましては、平成22年の生産額が過去最高を記録するなど着実に伸びており、今後、新たな医療機器の生産や開発の進展により、さらに成長していくと見込んでいるところであります。
 円高の影響につきましては、県内におきましては、自動車関連産業は好調であるものの、半導体関連などの輸出中心の産業では厳しいとの声があり、長期化による影響が懸念されるところでございます。
 そうした中、日銀は、2月14日に金融緩和の強化を表明いたしておりまして、一時は1ドル76円台を記録した為替相場が、現在は80円台になるなど、今後、円高対策の効果が発現することを期待いたしております。
 次に、雇用環境につきましては、岩手労働局によりますと、新規の求人は全体的に増加傾向にございまして、中でも自動車関連産業、輸送用機械器具の求人が増加するなど、昨年から大幅に改善されている状況でございます。
〇高橋元委員 2点目、トヨタ自動車の東北生産拠点化への対応についてお伺いいたします。
 本年7月、東北に生産拠点を持つグループ3社が統合してトヨタ自動車東日本株式会社が発足となります。宮城県大衡村に本社を置き、部品の現地調達率を高めるため、技術力のある地場企業を発掘する東北現調化センターを本社内に置くほか、岩手工場となる現在の金ケ崎町関東自動車工業内に、開発拠点となる技術センター東北が設置される予定にあります。
 トヨタ自動車の東北拠点化は願ってもない体制ですが、本社と東北現調化センターが宮城県では、本県の進めている自動車関連産業の一層の振興に不安めいたものを感じますが、トヨタ社のこうした事業展開に県としてどのように対応していくお考えか、お示しください。
〇上野副知事 トヨタ自動車の東北生産拠点化への対応についてでございますが、トヨタ自動車は、東北をコンパクト車に専門性を持つ国内第3の拠点として、車両の開発から生産まで一貫して行う自立的な生産拠点とし、エンジンなどのユニットや部品の生産、調達についても行っていく方針を表明いたしております。
 将来的には、東北での現地調達率を8割まで引き上げたいとされております。本社機能も東北に置かれることと相まって、東北における設計開発や部品の調達の機会が格段に増加することとなるものと考えております。地場企業にとりましては、技術提案や直接的な取引交渉などアクセスの利便性をてこに、大きなビジネスチャンスをもたらす好機だととらえております。
 本県では、主力の生産拠点と開発拠点の立地を強みといたしまして、現在、企業にとって最も必要とされるコスト競争力の強化あるいは開発機能の充実強化に重点的に取り組み、地場企業の参入や取引の拡大、2次、3次サプライヤーへの押し上げ、積極的な企業誘致などにより東北の拠点化効果を最大限に生かし、本県への産業集積を着実に進めてまいります。
〇高橋元委員 第13項、海洋研究パークについて伺います。
 被災沿岸には、国や大学等の研究施設が多数ありましたが、津波による被災状況はどうなっているのか。また、再建は、三陸地域の海洋資源発掘と事業化並びに漁業振興のかなめであります。再建に向け各機関へどう働きかけ、どのように進展しているのかお示しください。
 特区を活用し、各研究機関や海外の研究機関に働きかけ、それらの研究機関を1カ所に集約し、共同研究、独自研究ができる海洋研究パークを創設できないかお伺いいたします。
〇上野副知事 まず、沿岸地区の研究施設の被災状況等についてでありますが、研究機関の被災状況につきましては、第1に、東京大学大気海洋研究所につきましては、3階建ての2階まで浸水、調査船や水槽が流失いたしております。第2に、北里大学海洋生命科学部におきましては、津波被害はございませんが、地震で研究・実験棟5棟のうち3棟に大きな被害がありまして、今後、解体の見込みと聞いております。いずれも大きな被害を受けております。
 次に、県といたしましては、被災直後から、各機関の被災状況の把握と国への復旧、復興に向けた支援の要望を行ってきたところであります。現在、第1に、東京大学大気海洋研究所では、大槌町の土地利用計画に合わせ再建を予定されております。第2に、北里大学海洋生命科学部におきましては、学生教育は、平成27年度までの5年間、神奈川県の相模原キャンパスに移転となっておりますが、フィールド研究は継続といったように、各機関の研究機能は確保されておりまして、それぞれ再建に向けて動いているところでございます。
 次に、海洋研究パークの創設についてのお尋ねでございますが、これまで、県は、平成21年度にいわて海洋研究コンソーシアムを組織いたしまして、海洋研究機関のネットワーク強化や研究交流などに取り組み、震災以後は、これらの活動の蓄積をもとに国際海洋研究拠点の構築を国に対し要望してきたところでございます。
 その結果、国のプロジェクトといたしまして、今後10年間にわたり、大規模な海洋生態系等の調査研究を行う東北マリンサイエンス拠点形成事業が動き出したところであります。
 各機関では、それぞれの地域特性を生かした特徴ある研究を進めることとしておりまして、県といたしましては、これらの機関の連担により、三陸を一つの研究ゾーンととらえ、国内外の研究者による海洋研究を促進しながら、その拠点性を高めていきたいと考えております。
〇高橋元委員 県として東北国際科学技術研究特区を導入し、海洋環境、生態系の国際海洋研究所を誘致するとしております。もう少し資源開発という面でも取り組みを検討していただきたいと思っているところです。
 申すまでもなく、資源の少ない我が国でありますが、その一方で世界第6位の海洋国家であります。陸地における資源が枯渇しようとしているときに、いまだ海底資源や海洋資源については、大宇宙同様、その大部分が未知の世界でもあります。
 三陸沖には日本海溝が南北に走り、黒潮、親潮の交差する海域であり、海底にも、そして海水にも鉱物が存在するとされております。このような現状から、海洋環境、生態系の国際海洋研究にとどまらず、海底の資源探査や海水から溶存資源を回収する研究なども加え、筑波学園都市に匹敵するような海洋研究パークを提案するものであります。
 知事の御所見を伺います。
〇達増知事 海洋研究パークについてでありますが、東北国際科学技術研究特区は、ILCや海洋研究等、本県の特性を十分に生かし、県全体として復興を果たす中で、世界最先端の研究エリアを目指すものであります。
 平成21年度の県の海洋資源調査によれば、天然ガス等の海底資源や海中資源の利活用の可能性があるとされ、これまで、国に対し調査実施の要望を行ってきており、今般、三陸沖の海底資源調査も再開されると聞いております。
 こうした状況も踏まえ、海洋研究拠点については、再建を目指す東京大学大気海洋研究所など、いわて海洋研究コンソーシアムを中心に、漁業振興、地域振興に資する海洋生態系等の研究の集積を進めながら、委員の御提案を含め、世界的な研究拠点となるよう引き続き努めてまいります。
〇高橋元委員 第14項、電子行政への移行について伺います。
 このたびの大震災大津波によって、陸前高田市、大槌町の庁舎も被災しました。陸前高田市の場合、電子化されていた住民基本台帳などの記録は県に残っていたデータをもとにほぼ復元できましたが、健康福祉施策に関する基礎情報である各種検診のデータや介護記録などについては、庁舎内のシステムそのものが被災したことから、発災直後にはデータ利用が不可能となったほか、バックアップからのデータ復元や必要な機器の整備にも相当な時間を要しました。
 業務継続計画─BCPは、企業の危機管理としてのシステムと思っていたところですが、今回の震災によって、各自治体も同様な危機管理をしなければならないことを知らしめております。
 市町村が管理する住民基本台帳や税務などに関する住民情報を遠隔地にある民間のデータセンターに預ける自治体クラウドと呼ばれる取り組みが、今回の震災を機に全国の自治体で加速しているとのことであります。総務省も、被災した市町村が導入する場合に、実質的に国が費用を全額負担することとし、大槌町も新年度から導入する方針と聞いております。
 こうした国の後方支援や県内市町村の導入に向けた動向を機に、県を挙げて自治体クラウドの導入による電子自治体化を図るべきと考えるところですが、そのような検討はされていないのか伺います。
〇千葉副知事 電子行政への移行についてでありますが、県におきましては、これまで、全国に先駆けたサーバー統合の実施や事業者のクラウドコンピューティングサービスを利用する電子申請システムの導入など、いわゆる自治体クラウドの取り組みを進めてきたところでございます。
 また、市町村におきましては、今回の大震災津波の被災を踏まえまして、町村会では、既に自治体クラウドの調査研究に着手しているところでございます。市長会におきましても、自治体クラウドなどの新たな課題に対する認識を深める場として、町村会と合同の全県型の検討組織の設置に向け検討しているところでございます。
 さらに、沿岸部の一部市町村は、単独または共同で、自治体クラウドの導入に向けまして、国の第3次補正予算に計上されております補助金の交付申請を行ったと承知しております。
 今後の本県の電子自治体化につきましてでございますけれども、県と市町村のクラウドシステムの共同化は、なかなかさまざまな点で難しいものがあると思っておりますが、今回の大震災津波によりまして市町村の電子データが一時的に消失したことを踏まえまして、業務継続のための取り組みとして市町村におけるバックアップ機能を確保することがまずは急務と考えておりまして、現在、市町村から御意見を伺い、その支援のあり方について検討しているところでございます。
 また、市町村の自治体クラウドにつきましては、今、申し上げました検討組織に県も参画いたしまして、市長会や町村会と連携しながら、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 第15項、ドクターヘリの運航について伺います。
 矢巾町にできる岩手医科大学附属病院のヘリポートを拠点とし、県内全域を30分程度でカバーできるとされるドクターヘリが、いよいよ5月上旬にスタートいたします。飛行は午前8時半から午後5時ごろを予定しており、パイロット、整備士、医師、看護師が搭乗し、患者は1度に2人まで乗せられるとのことであり、患者の搬送先は、盛岡市内の医大附属病院、県立中央病院のほか県内11病院となっております。
 医療機関の患者受け入れ体制、県内各地のヘリ乗降地の確保など、運航に向けた準備は万全であるか、運航までに解決しなければならない問題、課題はないか伺います。
 先日、県議会保健・医療・福祉政策研究会で県立中央病院を視察した際に、ドクターヘリの運航に向けた取り組みの中で、患者搬送体制に不安を感じたところであります。県立中央病院搬送へのランデブーポイントは遠過ぎないか、病院の近くにヘリポートを整備すべきと考えられますが、どのような問題があるかお伺いいたします。
〇千葉副知事 ドクターヘリ運航開始に向けた準備状況、課題についてでありますけれども、去る2月20日に開催いたしました岩手県ドクターヘリ運航調整委員会におきまして、本県ドクターヘリの運航ルールでございます運航要領を決定いたしますとともに、矢巾町への基地ヘリポート整備や受け入れ医療機関における患者受け入れ体制確立の要請、県内の各消防本部から推薦されました約600カ所のランデブーポイントの使用承諾手続など、運航開始に向けた準備を着実に進めているところでございます。
 これらの準備と並行いたしまして、特に今後は、安全かつ円滑な運航の実現に向けまして、基地病院はもとより、それぞれの地域において直接事業に携わられます消防機関や医療機関との実際的な連携体制を構築していくことが重要な課題であると考えております。
 このため、本格運航の開始以前に、関係機関が参加した実地訓練を行うこととしておりまして、4月からの試験訓練運航では、要請から出動、着陸、医療機関への搬送といった具体的な流れを確認しながら、関係機関の密接な連携体制を確立したいと考えているところでございます。
 また、県立中央病院のヘリポート整備についてでありますが、同病院につきましては、基地病院でございます岩手医科大学附属病院と同様、市街地に立地しておりますことから、病院敷地内へ新規にヘリポートを整備することは難しいと判断いたしておりまして、患者搬送に当たりましては、県警盛岡東署の屋上ヘリポートを使用することとしております。
 こうした市街地におけますヘリポートの確保につきましては、航空法上の要件を満たす敷地確保の問題、あるいは騒音、砂じんによります周囲への影響など解決すべき課題がございますけれども、ドクターヘリ導入のメリットを最大限発揮していくためにも、高度な救急医療を提供しています同病院の近隣を含め、盛岡地域に利便性の高いヘリの離着陸場所を複数確保していくことが重要であると考えておりまして、引き続き検討してまいります。
〇高橋元委員 以前に北海道のドクターヘリ導入の病院を見てくる機会がございましたけれども、そこの病院は、病院附属の駐車場の屋上を利用して発着をしておりました。あそこの駐車場は、隣近所に高いビルもあって大変なのかもしれませんが、いろいろな方策もまた改めて考えていただきたいものだと思っております。
 第16項、がん対策について伺います。
 平成24年度は、岩手県がん対策推進計画最終目標年次であります。目標の達成見通しはどのようになっているか、最終年度は、がん対策をどう進めようとしておられるか、できれば詳細にお示しください。
〇千葉副知事 岩手県がん対策推進計画の目標達成の見通しについてでありますが、この計画では、全体目標でございますがん死亡率の減少に向け、検診受診率やがん医療を担う医師数の増加等の28項目の個別目標を定めておりまして、全体目標でございますがん死亡率の減少については、平成24年度目標数値81.8人以下に対して、平成22年度数値では88.4人となっている状況でございます。
 また、がん対策は、大きく5分野に区分して取り組んでおりますが、がん医療などの3分野では、13項目のうち、平成23年度現在、化学療法従事専門医師の確保や、すべての圏域への緩和ケアチームの設置など5項目が目標達成しておりまして、また、未達成の8項目につきましても、今後の県立釜石病院のがん医療機能の強化に伴いまして、おおむね達成できる見込みでございます。
 一方、がん予防の分野におきましては、9項目のうち、喫煙の健康影響に関する普及啓発など2項目が目標達成しておりますけれども、未成年者の喫煙率減少、公的施設における受動喫煙防止対策の推進などについてはいまだ未達成となっておりまして、また、がんの早期発見分野におけるがん検診受診率では、主要な五つのがんの受診率50%の目標に対しまして、一番高い胃がんについても平成22年度現在では36.1%にとどまっている状況でございますので、県民や事業者等への普及啓発が大きな課題であると認識しております。
 このため、平成24年度のがん対策の取り組みにつきましては、今後、県計画の着実な推進に向けまして、特にがん予防、がん検診の分野について、市町村や関係団体と一層連携しながら、民間事業者や県民への働きかけをさらに進めていく必要があると考えておりまして、本年度から県がん対策推進協議会の委員に、市町村長、保険者、事業者の委員を新たに加え、予防や検診の体制強化についても議論を行っているところでございます。こうした関係団体との一層の連携を図りながら、たばこ対策や検診についての県民や事業者等への普及啓発を進めていくほか、がん診療連携拠点病院を中心としたがん医療機能の強化や、緩和ケア認定看護師などの人材育成の取り組みも進めていきたいと考えております。
〇高橋元委員 ただいま報告のあったとおり、がんの早期発見の部分についてもなかなか進まないと。乳がん検診の受診率が平成16年27.4%、平成22年度は26%ということで、逆に下がっているところもあるわけです。
 そこで、受診率の向上についてとマンモグラフィーの整備等の要請についてお尋ねしたいと思いますが、受診率の向上について、2月に日本医師会公衆衛生がん対策委員会が、特定検診、がん検診等の受診率向上について医師会会長に答申した内容が公表されております。それによると、受診率を阻害している要因として、市町村によっては積極的な広報や受診勧奨を行っていない。がん検診実施主体が企業、市町村、個人の人間ドック等に分かれ、正確な受診率の把握が困難。がん検診台帳等受診をサポートするシステムの欠如、国民の正しい知識の不十分さ。医療資源の不足の5点のほか、市町村によって受診費用の一部負担があることや、検診が平日に限られるなど挙げられております。本県の受診率がなかなか高まらない要因としてどのようなことが考えられ、今後どのような対策を進める考えかお伺いしたい。
 次に、マンモグラフィーの整備等の要請についてでありますが、本県における乳がん死亡者が増加の傾向にあります。乳がん検診は視触診だけでは十分でなく、マンモグラティー検査の有用性は明らかであるとされておりますが、全国的にマンモグラフィーの機器整備がいまだ少なく、読影医も少ないと言われております。本県の実情と養成計画はどうなっているのかお示しください。
〇千葉副知事 がん検診の受診率がなかなか向上しない要因ということにつきましては、今、委員からもさまざまな原因等が御指摘されたところでございますけれども、特にも、私どもは、この要因の中の一つといたしましては、やっぱり県民、個人の認識の問題も大きいのではないかと考えております。特に身体に異常を感じないがためにがん検診の必要性を認識しないなど、いわゆるがん検診に関する正しい知識の普及啓発はまだまだ十分ではないというのが大きな要因ではないかと考えております。いずれ、このことにつきましては、県といたしましても、受診率向上におきまして、正しい知識の普及あるいは検診によるがんの早期発見の重要性について一層周知していかなければならないと考えているところでございます。
 具体的には、今お話がございましたが、市町村等の関係機関、団体と連携いたしまして、がん検診受診勧奨のテレビCM等の放映、あるいは最近大分定着してまいりましたが、ピンクリボンフェスタの開催あるいはがん検診受診勧奨リーフレットの配布などの普及啓発事業を一層実施しますとともに、特に受診率の低い地域を対象といたしましては、検診関係者によります受診率向上に向けた課題検討会などを開催していくなど、地道な取り組みもしていかなければならないと考えているところでございます。
 次に、マンモグラフィーの整備状況あるいは読影医の養成等についてでございます。現在、県内でマンモグラフィーを設置しています検診機関等は48機関、また、その読影医として76人が認定されているところと承知しております。いずれ、今後、本県の乳がん検診におけますマンモグラフィーによる検診をより一層推進していくため、国や医師会などの関係機関、団体と連携いたしまして、読影医の養成等も国に対して働きかけてまいりたいと考えているところでございます。
〇高橋元委員 つい先日、私の地元で、私の2歳上の方が胃がんで亡くなりました。弔問に行きましたら、御家族の方がお話ししていたんですけれども、胃が痛いということで薬を飲んで、そして治ったと。またしばらくして胃が痛くて薬を飲んで治る。そのことの繰り返しで、気がついたときにはもう手おくれのがんが進行していたということなんです。そういう意味では、正しい知識の普及というのは本当に重要なことだと私は思っております。こういう悲しいことが起こらないように、ぜひ普及のほうには力を入れて進めてほしいと、このようにお願いします。
 第17項、最後になりますが、防災教育について伺います。
 東日本大震災、大地震と大津波は自然の驚異をまざまざと見せつけるものでありました。防災を目指して突き進んでも、自然の大きな力の前に私たち人間の力は遠く及びません。完全な防災が難しいのであれば、可能な限り減災を目指さなければなりません。昨年の3月11日、この日の大震災を教訓に、発災日を中心とした防災教育を推進できないものかお伺いいたします。
〇加藤総務部長 防災教育の推進ということでございますが、今回の災害では、迅速な避難の重要性などさまざまな教訓が得られたところでございまして、こうした記憶や教訓を語り継ぎ、県民の防災意識の徹底、高揚を図っていく必要があると考えます。
 県では、発災1年となる3月11日を迎えるに当たりまして、防災意識の啓発を図るため防災訓練を実施するとともに、市町村に対しましては、この日を中心とした期間に防災関連の取り組みを実施していただくよう要請したところでございます。
 今後もこのような取り組みを継続していくことになりますが、市町村との連携を強化し、実施方法や県民への働きかけにつきましてさまざまな工夫を凝らすことによりまして、防災意識の徹底、高揚を期してまいりたいと考えております。また、その際、子供たちへの防災教育が大きな効果を発揮するという指摘もございますし、こちらも期待できますので、教育委員会や学校現場との連携にも十分意を用いてまいりたいと考えております。
〇高橋元委員 長時間にわたり懇切丁寧な御答弁、大変ありがとうございました。
 私の残りの時間は後藤完委員に引き継ぎをさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇喜多正敏委員長 次に、後藤完委員。
   〔後藤完委員質問者席に着く〕
〇後藤完委員 民主党の後藤完でございます。高橋元委員に引き続きまして質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、財政状況と今後の見通しにつきまして、3点お伺いいたしたいと思います。
 平成24年度の国の予算におきましては、東日本大震災からの復興、経済分野のフロンティアの開拓、分厚い中間層の復活、農林漁業の再生、エネルギー・環境政策の再設計の五つの重点分野を中心に、日本再生に向けて全力で取り組むとされているところであります。
 あわせて、地域主権の改革を確実に推進するとしておりまして、地域主権改革においては、地域のことは地域で決めるための重要な改革であるとしながら、平成24年度予算におきましても補助金等の一括交付金化を進め、対象事業の拡大、増額を図るとしているところであります。また、地方交付税の確保に当たりましては、地域主権改革に沿った財源の充実を図るために、前年度比811億円の0.5%増となっております。地域経済基盤強化・雇用等対策費として整理統合しておりまして、地域が実施する緊急事業に対応するための緊急枠を含めて計上いたしているところであります。
 そこで、国の地方財政政策に対する知事の御評価をお伺いいたします。
 次に、県財政の見通しについてであります。
 東日本大震災における本県の人的被害は6、178人、住居の家屋被害は全半壊を含めまして2万4、746棟となっているところであります。本県の復興に要する経費は、国、県、市町村で約8兆円と試算されているところであります。このような状況下の中で、復興事業費が今後の県財政に及ぼす影響は極めて大きいわけでありますが、国においては、震災復興交付金や震災復興特別交付税の創設など、地方負担に対する支援制度を整備されているところでもあります。財政運営の見通しは不透明ではございますけれども、復旧、復興に向けた財政需要も多額でありますことから、今後も国に対する要請を強力に進めていくことが肝要と思われます。
 公債費も増加いたしまして、非常に厳しい財政状況ではございますが、本県の今後の財政の見通しについてお伺いいたします。
 また、平成22年度の主要施策の成果や平成23年度の事業の実施状況等を踏まえ、今後の県政運営についてどのように取り組まれていかれるのか、基本的なお考えをお伺いいたします。
 3点目でございますが、さきの一般質問でも提起されたところでございます。高橋元委員の内容とも重複いたすところがあるとは思いますが、東日本大震災に伴う復旧、復興事業の施工の確保についてであります。
 現在、本震災復旧対応工事の発注がなされているところでありますが、入札時におきまして不落物件が増加していると聞いております。今回の災害は、これまでの公共事業が継続的な事業費の減少時にありまして、技術者や技能者が減少している状況下に発災したと思っております。通常の業務に加えまして、現在多くの災害復旧工事の発注が行われていると思いますが、専門的な能力を要する職種を中心といたしまして、技術者や技能者が不足している状況が見受けられますほか、労賃の実勢単価が上昇しておりまして、予定価格との間に乖離が発生していると思われます。本県においても入札不調があると思いますが、現時点での入札不調はどの程度の割合になっておられるのか。あわせて、国直轄事業におきましても、可能であればお示しいただきたいと思います。
 また、今後は、復旧、復興事業につきまして大量の工事が発注されることが想定されますが、その着実な進捗を図るために、現在どのような入札不調対策を講じていかれるのかお伺いいたします。
〇達増知事 平成24年度の地方財政政策に対する評価についてでありますが、国においても、厳しい財政状況の中、震災分を除く通常収支分の地方財政計画で一般財源総額が59.6兆円、地方交付税が17.5兆円と、ともに前年度以上確保されたことは一定の評価をするものであります。
 一方で、国の公共事業関連経費の減などに伴う投資的経費の減や定員純減などによる給与関係経費の減に伴い、通常収支分の地方財政計画の規模は81.9兆円と0.6兆円縮小しており、県の通常分の予算規模についても困難なやりくりを強いられたものであります。
 また、東日本大震災津波分については、通常収支分と区分され、これに係る事業の地方負担分として0.7兆円の震災復興特別交付税が別枠で確保されました。これにより復旧、復興に係る財源措置についてある程度のめどが立ったものでありまして、復旧、復興を切れ目なく継続させる観点から、評価できるものと考えております。
 今後の財政見通しについてでありますが、東日本大震災津波からの復旧、復興に向けて多額の財源が必要と見込まれる一方で、公債費が今後増大していくことから、本県財政は、これまでにも増して厳しい局面を迎えることが見込まれます。このような中にあっても、被災地の復旧、復興に向けた事業には最優先で取り組んでいく必要があることから、引き続き、国に対して復興費用の地方負担分に対する財源措置の充実、確保を要請してまいります。
 また、県においても、あらゆる手法により歳入の確保に努めていくとともに、事業効果や効率性を検証しながら歳出の徹底した見直しを行うなど、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努め、財政健全化にも配慮した財政運営を行ってまいります。
 今後の県政運営の基本的な考え方についてでありますが、平成22年度の政策の評価では、先ほど答弁申し上げたように、おおむね順調以上と評価された政策項目が全体の54.8%、医療・子育て・福祉の分野などで成果を上げたものがあったものの、産業・雇用分野などで進捗のおくれも見られております。
 平成23年度は、東日本大震災津波の発災に対応し、復興計画に掲げる安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則に基づき、災害廃棄物の撤去、処理や、防災施設等の応急的な復旧、雇用対策基金を活用した雇用の場の創出や、被災者相談支援センターを中心とする総合的な相談支援体制の構築、漁船、養殖施設や水産加工関連施設等の整備や、グループ補助等を活用した被災企業の再建に向けた支援などの復興に向けた取り組みを重点的に実施するとともに、国際競争力の高いものづくり産業の振興や、平泉の文化遺産の世界遺産登録を生かした観光産業の振興、農林水産物の高付加価値化に向けた6次産業化の取り組みなど、いわて県民計画に基づく政策を総合的に推進したところであります。
 政策評価で明らかとなった課題については、今般策定したいわて県民計画第2期アクションプランの具体的な推進方策に反映させたところでありますが、今後は、引き続き沿岸地域の復興を最重要課題として取り組むと同時に、大震災津波からの復興は岩手全体の復興でなければならないとの認識のもと、復興の取り組みを地域の振興につなげていく取り組みを進めてまいります。
〇加藤総務部長 県営建設工事の入札不調の発生状況でございますが、1月末現在での取りまとめでございますが、1、237件中119件、割合は9.6%でございまして、前年度の2.9%に比べまして非常に高い率となっております。なお、このうち約9割が2、500万円未満の小規模工事での不調となっております。
 また、国の状況ということでございますが、岩手県内での国土交通省所管の国直轄工事の不調でございますが、270件中20件、7.4%となっております。
 次に、入札不調対策ということでございますが、入札参加者をふやすための参加資格に係る施工実績要件の緩和や、技術者の不足に対応するための現場代理人の兼務承認などを盛り込んだ特例を今月から実施しております。また、工事担当課におきましても、複数の小規模工事の一括発注でございますとか工期の加算などの対策を講じているところでございます。今後も、入札の実施状況を見ながら適切に対策を講じてまいる考えでございます。
〇後藤完委員 次に、農業振興についてお伺いいたします。
 先般策定されましたいわて県民計画第2期アクションプランの中で食と緑の創造県いわての実現を掲げまして、本県の基幹産業である農業の振興に取り組んでいくとしておられます。農業就業人口は、平成12年の約12万3、000人から、平成22年には約9万人と、3割ほど減少いたしております。耕作放棄地に当たりましてもこの10年間で約2割増加するなど、農業生産構造の脆弱化が進んできているところであります。
 このような状況下におきまして、農業を地域産業の中心に据えた地域農業を確立していくためには、強い意思を持った担い手を育成する必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、平成22年の農業産出額は2、287億円で、前年に比べまして108億円、4.5%の減少となっております。その傾向は毎年続いている状況にあります。かつて奥州市胆沢区におきましては、転作対応作目として導入いたしました夏秋ピーマンの一大産地として取り組んだところでもあり、相応の生産額を占めていたところでもあります。今、減少を続ける農業産出額を伸ばしていくためには、まず園芸振興を図っていくべきと考えますが、十分な所得確保ができ、農業者が意欲を持って生産拡大に取り組めるような園芸振興策について、どのようにお考えかお伺いいたします。
〇上野副知事 まず、担い手の育成についてでありますが、本県農業は、従事者の減少、高齢化や耕作放棄地の増加、農業産出額の減少などの諸課題を抱えておりますが、地域経済社会を支える産業として持続的に発展していくためには、地域を担う意欲と能力を持った認定農業者や集落営農組織のリーダーなどの人材の確保、育成と、その実践への支援が重要であると認識いたしております。
 このため、各地域におきまして、地域の合意のもと、マスタープランの作成を通じまして、地域農業のあるべき姿と中心となる担い手を明確化する取り組みを推進するとともに、その実現に向けまして、第1に、岩手大学と連携したアグリフロンティアスクールの開設による経営管理能力やビジネスセンスの向上、第2に、戸別所得補償制度規模拡大加算等を活用した農地の利用集積に加えまして、第3に、新たに県独自に実施いたしますいわてリーディング経営体育成支援事業などにより、機械、施設等の整備や新規雇用による経営の規模拡大や高度化などを支援いたしまして、地域農業を力強く牽引する担い手、いわゆるリーディング経営体の育成に取り組んでまいります。
 次に、園芸振興策についてでありますが、本県では、これまで、地域ごとの立地条件を生かし、ピーマンやホウレンソウ、リンドウ、リンゴなど全国に誇れる産地が形成されてまいりました。しかしながら、小規模農家が多く、高齢化も進行し、生産力が低下するとともに、生産資材価格の高どまりや農産物価格の低迷などにより収益性が悪化してきていることから、今後、園芸を主業とする農家が中心となった産地構造への転換や生産性の向上が必要と認識いたしております。
 このため、県といたしましては、担い手の確保や生産、販売力の強化などによる産地の再構築に向けて、第1に、雇用労働力の確保、第2に、省力低コスト技術や単収向上技術の導入、第3に、作型の組み合わせによる出荷期間の延長などにより、各産地の生産者みずからが作成した園芸産地拡大実践プランの推進を支援するとともに、沿岸地域における施設園芸団地の整備や、葉たばこ廃作地への園芸品目の導入などにより、収益性の高い園芸産地を確立していく考えでございます。
〇後藤完委員 次に、災害廃棄物の処理対策についてお伺いいたします。
 本県の災害廃棄物は推定435万トンと言われております。1次仮置き場への搬入率は1月末におきまして90%に達しているところであり、平成24年3月末までに撤去を完了するとされております。その処理につきましては、県内既存施設のほか宮古、釜石の仮設焼却炉及び広域処理によりまして平成26年3月までに完了の予定とされております。2次仮置き場による本格的な選別処理を平成24年1月から開始されておりますが、県外広域処理においては、東京都が平成23年11月から、2月7日には秋田県との受け入れ協定を締結しているところでもあります。特にも、被災されました自動車等の分別処理に当たりましては、所有権の問題や制限があると聞いておりまして、未着手のまま処理が困難となっている状況であると聞いております。現状と今後の対応につきましてお伺いいたします。
 また、昨年8月の県の詳細計画策定時に把握できなかった海中瓦れきや建物の解体により生じますところの災害廃棄物の発生量をどのように精査し、処理していかれるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、被災自動車の処理の現状と今後の対応についてでありますけれども、被災自動車につきましては、自動車リサイクル法に基づきまして、市町村が所有者確認等を行いながら処理を行っている状況にございます。具体の処理に当たりましては、所有者が判明した場合は、所有者自身または所有者から依頼を受けました市町村が、また、所有者が不明または連絡がとれない場合は、市町村が車両情報を2週間以上公告した上で処理業者に引き渡している状況にございます。現在、仮置き場への搬入はおおむね完了し、運び込まれました約1万8、000台のうち、所有者が引き取った台数及び市町村が処理した台数は合計約1万台となっております。
 処理がおくれている理由でございますけれども、所有者への連絡や、あるいはナンバープレートがない車両の所有者確認などに時間を要しているためと承知しているところでございます。
 各市町村では、本年夏ごろまでには処理を終えるよう取り組んでいると承知しておりまして、県といたしましては、引き続き、公告や業者引き渡しが迅速かつ円滑に行われますよう、処理手続に係る助言や処理業者に関する情報の提供を行うなど、できるだけ早期に処理が完了するよう支援してまいります。
 次に、災害廃棄物の発生量の精査と処理についてでございますが、昨年8月の処理計画策定時には、仮置き場におきまして測量等を行い、発生量を約435万トンと推計したところでございます。現在も海中からの引き揚げや、あるいは建物の解体が進められておりまして、来年度早々に、専門業者に委託いたしまして、市町村ごとに、木材やコンクリートがら、金属くず等、種類別の量を精査する予定でございます。処理に当たりましては、3年以内を基本としつつ、広域処理の拡大やさらなる県内の処理先の確保など、必要な調整を図ってまいりたいと考えております。
〇後藤完委員 次に、放射性物質対策について2点ほどお伺いいたします。
 第2期アクションプランにおきましては、東日本大震災津波で被災した農林水産業の復興に向けては、農林水産物の生産等に必要な生産基盤等の復旧、整備や生産体制の再構築を図るとしておられます。本県農林水産物の安全性の情報を国内外に発信し、原子力発電所の事故を起因とする風評被害の防止に取り組むとされております。
 今般、放射性物質の影響を把握するためにモニタリング調査が実施されまして、各市町村においては、放射性物質汚染対処特措法による汚染状況重点地域の指定を受けまして、取り組みを開始しているところであります。
 このような中で、山林の放射線汚染が問われているところでありますが、森林地域における放射性物質の調査は実施されておられるのでしょうか。相当の放射性物質が腐葉土を通しまして、平地林の水路、側溝等に蓄積しているのではないだろうかという不安材料がございます。
 先般の干しシイタケの出荷自粛におきましても、シイタケ栽培の原材料であります原木、ほだ木は山林保管のものを使用しているところであります。因果関係がはっきりしていませんが、平地、山林の調査を実施すべきと思いますが、いかがでしょうか。そして、山林際にあります農地等への影響はないのでしょうか。現在の調査状況があればお示しいただき、今後の対応についてもお伺いいたします。
 次に、モニタリング体制の整備についてであります。
 県におかれましては、原発事故による放射線影響に対応するため、原発放射線影響対策の基本方針、原発事故に伴う放射線量等測定に係る対応方針、放射線量低減に向けた取組方針を策定されまして、測定調査、除染等の対応に当たっているところでありますが、現在、モニタリングポスト4台、サーベイメーター10台、ゲルマニウム半導体検出器1台を設置しているところでありますけれども、今年度末に向けまして、モニタリングポストを10台まで、サーベイメーターは13台まで、ゲルマニウム半導体検出器が3台までの整備と聞いております。
 本県への影響を継続的に監視するための測定体制を強化されましたことは、成果として受けとめたいと思いますし、県民への安心感の醸成につながると思います。しかし、本機器の活用状況等、各市町村との連携はどのようになっておられるのか。また、測定結果の公表につきましてどのような対応をなされるのか、県民との情報をどのように共有されていかれるのかお伺いいたします。
〇上野副知事 山林等における放射線調査についてでありますが、県といたしまして森林の調査は実施しておりませんが、昨年9月から10月にかけまして、国が航空機により実施いたしました本県全域の空間線量率等の調査結果では、県南部の一部の地域が毎時0.2から0.5マイクロシーベルト、他の地域では毎時0.2マイクロシーベルト以下で、すべての地域で国が示しております森林内で活動する場合の目安を下回っております。
 一方、昨年11月に県と国が連携して実施いたしました農地土壌の放射性物質濃度の測定調査では、最大でも土壌1キログラム当たり756ベクレルであり、水稲の作付制限の目安とされた5、000ベクレルをすべての地点で大きく下回り、また、本県の農地で生産された食用農産物の検査結果でも、本年4月から適用される一般食品の新たな基準値の100ベクレルを超過した例はなく、いずれも問題のない水準にあると認識いたしております。
 しかしながら、森林にある腐葉土等に放射性セシウムが沈着している可能性があることから、森林の腐葉土等が混入した濁り水が農地に流入しないよう、放射性物質影響防止のための農作物生産管理マニュアルに記載し、周知を図っているところでございます。
〇千葉副知事 モニタリング体制の整備についてでございますけれども、モニタリングポストについては、現在、盛岡市、一関市、大船渡市、宮古市に配備し、12月からリアルタイムで測定結果の公表を行っておりますが、さらに3月中旬までに滝沢村、花巻市、奥州市、釜石市、久慈市、二戸市を加え、全県域を常時監視する体制が整う予定でございます。
 また、サーベイメータにつきましては、高性能の機種を各広域振興局等に配備し、毎月、県内55定点などで生活圏の放射線量を測定、公表しますとともに、市町村等に貸し出しを行っておりまして、地域の状況に応じたきめ細やかな測定を支援しているところでございます。このほか、教育分野では学校の放射線量の測定に、農業分野では農畜産物の放射性物質の測定等のために機器を整備し、対策に取り組んでいるところでございます。
 さらに、ゲルマニウム半導体検出器により、各市町村の水道水、農林水産物等に含まれております放射性物質を測定しておりますが、年度末までにさらに2台増設し、検査体制の充実を図ってまいります。
 測定結果につきましては、ホームページや報道機関等を通じ速やかに公表することとしており、県民への情報提供に努めてまいりたいと考えております。
〇後藤完委員 次に、被災地域における介護サービス提供体制の確保についてお伺いいたします。
 沿岸被災地の特別養護老人ホームや老人保健施設、認知症高齢者グループホームなど入所、居住系の福祉施設等につきましては、入所定員ベースで見ると、震災前には3、769床であったところ、現在、入所可能となっておられますのは、新設を含め3、639床と9割を超える水準まで回復して、各地域でサービス提供の再開に向けて積極的に取り組みが行われているとお聞きしております。
 しかしながら、津波の直撃を受け、全壊した施設等にありましては、本年度中の再開は難しい状況にあるとも伺っているところであります。被災地において、介護を要する高齢者等が地域で安心して生活できるよう、被害状況に応じてこれらの介護サービス提供体制の早期の機能回復を図る必要があると考えます。
 そこでお伺いいたしますが、被災した入所、居住系施設や通所、訪問等の居宅系サービス事業所の復旧、復興に向けてどのように取り組んでいかれるのでしょうか。また、今後、被災地域において高齢者の心身の健康を守り、住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、新たなまちづくりと連動しながら、医療や介護、福祉の連携のもと、介護、福祉サービスが一体的、継続的に提供される体制を確保することが重要と考えますが、介護サービス提供体制の再構築に向けてどのような方針で取り組まれるのか、具体的な支援策も含めてお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、被災施設等の復旧、復興への取り組みについてでございますけれども、被災した施設や事業所に対し、損壊した建物の一部修繕や移転改築、事業再開に要するパソコンや車両等の備品購入、被災失業者の雇用による職員体制の拡充など、施設設備の復旧支援や人材確保の支援等によりまして、早期復旧に努めてきているところでございます。
 その結果、被災地域におけます入所、居住系の施設は、震災後開設されたものや仮設で再開したところを含め、入所定員数で震災以前の約96%まで回復しておりまして、現在、未再開の施設は8施設となっているところでございます。
 また、居宅系事業所は、震災前、被災地域に408事業所ございましたが、現在、サービス提供が可能となっておりますのは、震災後に指定されたものも含め403事業所と約98%まで回復しておりまして、震災の関係で休廃止状態となっておりますのが16事業所となっております。今後も、未再開の施設の復旧支援や被災地域の介護事業者の人材確保に関する支援を継続いたしますとともに、地元市町村と連携しながら、高齢者等サポート拠点の整備やその運営支援を行いまして、被災地域におきます介護サービス提供体制の確保を図っていきたいと考えております。
 次に、介護サービス提供体制の再構築についてでございますけれども、被災地域におきまして介護を要する高齢者の方が、住みなれた地域で安心して暮らすことができるよう、まずは、今申し上げましたような被災施設の復旧や事業者の再開への支援、応急仮設住宅地域での高齢者等サポート拠点の整備、運営支援など、介護サービス提供体制の早急な復旧に努めますとともに、今後、新たなまちづくりと連動いたしました医療、介護等のサービスを一体的、継続的に提供いたします地域包括ケアシステムの構築が重要であると考えております。
 このため、今年度策定いたしますいわていきいきプラン2014におきましては、地域包括ケアシステムの構築を基本方針として掲げておりまして、県や市町村の復興計画に基づく取り組みと連携を図りながら、新しいまちづくりの中で医療提供施設や介護、福祉施設の高台への移転や合築など、効率的、効果的な施設整備を促進しますとともに、大規模入所施設から小規模施設への計画的な転換や分散など、サービス提供体制の再構築に向けた検討を進めることとしております。
 また、具体的な支援策といたしましては、国の第3次補正予算において創設されました介護基盤復興まちづくり整備事業を活用いたしまして、既存施設に地域交流スペースや訪問、通所による介護や看護、リハビリテーション、配食等のサービス拠点を併設するなどの新たな取り組みを進めますとともに、小規模特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホーム、小規模多機能型施設等の地域密着型在宅サービス拠点の整備も進め、市町村が進めます地域包括ケアシステムの構築を支援してまいりたいと考えております。
〇後藤完委員 次に、地域医療の体制整備について2点ほどお伺いいたします。
 まず、医師確保対策についてでありますが、国におきましては、地域の医師不足が深刻である状況を踏まえまして、地方自治体が実施する医学生に対する奨学金貸与事業や研修医に対する修学資金等の貸与事業、そして、救急を担う勤務医や産科医、新生児科医療の手当への財政支援、医師確保対策等の推進に係る国庫補助事業の地方負担につきまして、平成24年度においても地方交付税措置を講ずるとしております。
 本県においては、医師の偏在解消や定着を図るためとして、対策費7億9、300万円の予算を計上されておりますが、臨床研修制度により大学医局への入局者が減少していることから、大学が医師派遣機能を十分に発揮することができなくなっていること、医療安全対策推進や緊急対応の増加、作成書類の増加等によりまして業務量が拡大し、勤務環境が悪化している状況や女性医師の増加などを考えたときに、勤務医師の確保にどのように対応していかれるのか、今後の見通しについてお伺いいたします。
 次に、地域医療の確立についてでございます。
 医療資源の効率的な活用や経営改善を進めていくためには、県立病院のほかに他の自治体病院や民間の医療機関の役割分担を明確にし、福祉、介護、予防を含めた地域の連携によりまして、地域医療の体制を整備していくと県の保健医療計画で示されているところであります。
 今、中核病院診療応援事業や地域医療を考える出前講座の実施や地域連携クリティカルパスの導入支援など進められているところでございますが、二次保健医療圏における県立病院を初めとする医療機関の役割分担をどのように行い、住民が安心して期待される地域医療を確立していかれるのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、医師確保対策についてでありますが、本県の地域医療は、医師の地域偏在や、産科、小児科など特定診療科の医師不足、過酷な勤務環境等に起因する病院勤務医の離職など、依然として厳しい状況が続いているものと認識しております。このため、県といたしましては、即戦力医師の招聘に精力的に取り組みますとともに、救急勤務医や新生児担当医などへの手当の支給や、女性医師の育児、職場復帰などの就業支援、医師の業務を支援する医療クラークの確保などの勤務環境改善など、勤務医師の確保、定着に向け、全力で取り組んでいるところでございます。
 また、今後の医師確保の見通しにつきましては、奨学金制度による医師養成について、貸し付け枠の大幅な拡充などに重点的に取り組んできておりまして、平成28年度以降、その配置が本格化しますことから、県内の医師数の着実な増加が見込まれているところでございます。
 県といたしましては、医師不足病院の医師確保支援や、医師のキャリア形成支援のために今年度設置いたしました地域医療支援センターも活用しながら、医師の計画的な配置や調整を行う仕組みを段階的に整備するなど、勤務医師の不足や地域偏在の解消に向けた取り組みをさらに進めていきたいと考えております。
 次に、地域医療の確立についてでございますが、限られた医療資源の中で、県民が安心して医療を受けられるようにするためには、中核的な医療機能を担います病院と、身近で総合的な医療を担うかかりつけ医などとの役割分担と連携によりまして、二次保健医療圏あるいは全県を単位といたしまして、切れ目のない良質な医療を提供する体制を構築していくことが必要であると考えております。
 このため、保健医療計画に基づきます地域連携クリティカルパスの導入や、公立病院改革プランに基づく公立病院の機能の見直し、ネットワーク化などによりまして、医療機関相互の役割分担や連携に取り組んできているところでございます。
 来年度、作業が本格化いたします次期保健医療計画の策定に当たりましては、これまでの取り組みの検証に加え、地域の医療資源の現状や求められております医療機能を十分把握しながら、例えば現在進めております在宅医療推進に向けた有識者懇談会における意見等も反映し、質の高い在宅医療を効果的に提供するための人材育成や、地域における医療機関とのネットワークなどの推進方策を計画に盛り込むなど、県民のニーズに対応した医療提供体制の構築に向けまして、地域における医療機能の適切な分担、連携を一層推進してまいりたいと思っております。
〇後藤完委員 医師対策、確保につきましては大変な御苦労をなされていると思います。私は、基本的には、県立病院を含め公立病院あるいは自治体病院は決して黒字にならなくていいと思っております。いわゆる臨床患者を多くふやすのではなくて、まさに予防医療というものを保健、福祉と並行して病院経営に取り入れていく、このことが健康な県民なり住民を支えるものだと思っておりますし、まさに地域医療のかなめだと思っています。そういうことも含みながら、ぜひ、県立病院の確立には皆さんには御努力をお願いして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
〇喜多正敏委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時48分 休 憩
午後3時7分 再開
〇喜多正敏委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、熊谷泉委員。
   〔熊谷泉委員質問者席に着く〕(拍手)
〇熊谷泉委員 自由民主クラブの熊谷泉でございます。
 今回の予算特別委員会で総括質疑をさせていただくことになりました。なお、持ち時間の後段は、福井せいじ委員が質疑を行うこととしておりますので、よろしくお願いいたします。
 平成24年度の予算は、いわて復興元年予算とし、平成23年度当初予算に比較して約4、230億円、率にして60.9%の大幅増となる1兆1、183億円とされており、当初予算としては過去最大規模であります。
 歳入の主なものは、東日本大震災津波からの復旧、復興のため、震災復興特別交付税や国庫補助金、各種基金からの繰入金などの大幅な増加であり、歳出においては、災害廃棄物緊急処理支援事業や漁港災害復旧事業、災害復興公営住宅等の早期の整備が挙げられます。
 このような平成24年度の予算の中身でありますので、私も、復興事業を主体に質問をさせていただきます。
 まず、復興局に対する所感についてでありますが、1次、2次補正予算で積まれた6.7兆円のお金が昨年末の時点で55%の3.7兆円しか使われていないとされております。特にインフラ整備がおくれている状況の中、ようやく2月10日に復興の司令塔となる復興庁が発足しました。復興庁は2021年2月まで設置され、初代復興相は本県選出の平野大臣であり、各省庁より高い位置づけで、首相がトップとなり、復興にかかわる企画や復興事業の推進管理、復興特区の認定や復興交付金の分配などを担うとされております。岩手県においては、盛岡市に岩手復興局を置き、当面、各省庁からの出向で30人体制で業務に当たるとされております。
 先日、仙台市で復興に関する大会があり、私も出席する機会がありましたが、政府代表として復興大臣政務官である郡和子議員があいさつの中で、復興局を初め、支所の職員には、きめ細かく市町村の要望を聞いて歩くようにと指示を出しているというあいさつでありました。
 そこでお伺いいたしますが、この組織にどのように対応されていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 岩手復興局の設置と宮古市、そして釜石市への支所の設置によりまして、被災地により近いところで、現場で何が起こっているのか、何を求めているのかを直接くみ上げ、被災自治体からの要望、提案に対し迅速な意思決定を行い、実行に移し、県、市町村の復興計画に基づく事業の推進が一層図られるものと期待いたします。
 県が開催する岩手県東日本大震災津波復興本部員会議や国と県、被災地の市町村長との意見交換などにおいて、相互の情報共有を図るなど、これまで以上に国、県がしっかり連携し、市町村の復興への取り組みを支援していきたいと考えております。
〇熊谷泉委員 次に、3月2日に復興庁は第1回の交付金交付可能額の通知を出しました。本県分は事業ベースで957億2、000万円、市町村別では、釜石市175億700万円を筆頭に沿岸被災地に一関市を加えた13市町村に交付されるといたしておりますが、この中身について知事に所見をお伺いいたします。
〇達増知事 中身の詳細については、ただいま分析中でございます。全体的には、今回は緊急を要する事業について手当てをいただいたかと思っております。
 今回手当てされなかった事業については、されなかった理由を確認の上、2次、3次の要望において再度交付を目指してまいります。
〇熊谷泉委員 次に、復興庁の所掌事務は、復興に関する国の施策の企画、調整、地方公共団体への一元的な窓口と支援を行うとしており、復興局等を岩手県、宮城県、福島県に置き、現地で被災自治体の要望を受けてワンストップで対応するとされております。
 そこで伺いますが、盛岡市にある国の復興局は、具体的にどのような事業を行っていくのか、これに対して県はどのような働きかけを行っていくのかを伺います。
〇廣田理事 岩手復興局への働きかけでございますけれども、岩手復興局は、一つは、被災自治体の要望に対してワンストップで対応する、二つ目は、被災市町村の復興特区計画、復興交付金事業計画の策定支援、受理、そして、三つ目は、関係機関との総合調整などを行っていくと承知しております。
 県としましても、被災地の復興を加速させるため、岩手復興局を窓口として、今まで以上に、引き続き強力な復旧、復興対策に必要な要望を行い、被災地の意見や声が政策に反映され実現されますよう、市町村の復興への取り組みを支援していきたいと考えております。
〇熊谷泉委員 次に、県の沿岸広域振興局と国の宮古、釜石の支所はどのような役割を担っていくのかお伺いいたします。また、市町村と県に対する復興庁の直接の窓口はどこになるのか伺いをいたします。
〇廣田理事 沿岸広域振興局と国の支所の役割についてでございますけれども、復旧、復興に当たりましては、市町村が地域特性、住民の意向を踏まえて第一線におきまして復興の取り組みを進める役割を担っているところでありますし、県は、沿岸広域振興局、県北広域振興局ともども、市町村の自主的な復興を積極的に支援するとともに、広域行政を担う地方公共団体として、広域的な課題や複数市町村をまたぐ事業についての計画作成や実施を担っております。
 国は、財政、人材、ノウハウ等の面から、必要な制度設計や支援を責任を持って実施する役割を担っております。
 こうしたことから、県と国がケース・バイ・ケースで判断しながら、よりスピーディーで弾力的に市町村の復興への取り組みを支援する役割を担うものと考えております。
 二つ目の復興庁の直接の窓口についてでございますけれども、東京都内に設置されました復興庁でございます。これは、各省庁の復興施策の総合調整や勧告、復興事業の統括、監理、復興特別区域の認定、復興交付金の配分等に当たります。
 また、盛岡市に設置されました岩手復興局は、復興庁の出先機関として、復興特区の認定に向けた推進計画の策定支援、復興交付金の計画策定支援、被災自治体からの要望などの一元的な窓口機能を担います。
 そして、宮古、釜石の支所は、被災地の現場に密着した窓口として、自治体の相談、支援、要望に対応すると承知しております。
 こうしましたことから、まず、被災地に最も近い支所が、市町村からの相談や協議にワンストップで対応し、事案の内容に応じて、岩手復興局や復興庁につなぐなど、迅速で的確な対応がなされることを期待しているところであります。
〇熊谷泉委員 今、御回答がありましたが、これの中身についてもう一度伺いますが、従来行ってきた県と各省庁の協議は、今後どのくらい簡略化されるとお考えですか、お伺いいたします。
〇廣田理事 協議の簡略化についてでございますけれども、復興庁の所掌事務として、一つは、復興に関する国の施策の企画、調整、そしてもう一つは、地方公共団体への一元的な窓口と支援を行うと言われてございまして、我々、県としましては、岩手復興局を窓口として、可能な限り迅速で効率的な復興が進むよう、その役割に期待しているところであります。
〇熊谷泉委員 最後に知事にお聞きいたします。
 国はワンストップというお話をしていますが、今の仕組みの中で、今、るる廣田理事からもお話がありましたが、知事の所感として、これが本当にワンストップの体制になるか、最後にお伺いいたします。
〇達増知事 今、答弁ありましたように、岩手復興局、また、宮古、釜石の支所それぞれに自治体の相談、支援、要望に対応する窓口機能を担うということで、しっかり果たされることを期待します。
〇熊谷泉委員 次に、災害廃棄物処理についてお伺いいたします。
 本県の推計発生量は435万トン、県内の一般廃棄物量の約10年分に相当するとされております。435万トンのうち、復興資材として活用予定の堆積物等を除き、焼却や埋め立て等の処理が必要なもの、つまり柱材、角材、可燃物、不燃物は約183万トンとされております。
 また、鉄くずは計73万3、600トンとなり、業者等に売却されるということになっておりますが、その焼却や埋却等の処理が必要なもののうち、処理期限の平成26年3月までに完了するためには、約57万トンを県外で広域処理する必要があるとされております。
 これらにつきまして、知事に、まず何点かお伺いいたします。
 まず、処理期限を平成26年3月としている理由は何なのかお尋ねいたします。
〇達増知事 復旧、復興に向けた早期処理の必要性ということがございまして、また、県内の処理施設の能力、そして国の処理方針等を総合的に勘案して、3年以内としたところであります。
〇熊谷泉委員 現在、マスコミでもいろいろと報道されておりますが、神奈川県の知事が宮古市を訪れたり、そしてまた、静岡県島田市が山田町からの瓦れき試験焼却を行う際、市内外の約1、200人分の反対署名等が手渡されたりするような状況であります。
 昨日の新聞紙上で、2月に実施された共同通信社の自治体向けのアンケートの中身は、岩手県、宮城県の瓦れき受け入れについて回答した市町村の33%が現実では困難、あるいは53%が全く考えていないと全体の86%が難色を示しております。
 これら岩手県の災害廃棄物の処理の受け入れを表明した他県の自治体で、放射能等を理由とした住民の反対があることについての知事の御所見を伺います。
〇達増知事 受け入れを反対する住民の声については、被災地を助けたいという思いはお持ちでも、見えない放射性物質に対して不安があり、その点、安心ができないということではないかと感じております。
 県としては、本県災害廃棄物の安全性について、先行している処理事例も踏まえてわかりやすく説明するなど、一人でも多くの方々の御理解が得られるよう丁寧に取り組んでいく必要があると考えております。
 広域処理については、放射性物質に対する懸念から停滞していたわけでありますけれども、東京都での受け入れ実施に加えて、静岡県島田市での試験焼却の実施、秋田県や八戸市との処理協定の締結のほか、埼玉県などでの試験焼却が決定するなど、支援の動きが広がってきています。
 一方、現状のままでは3年以内の処理が厳しい状況でありますので、広域処理の一層の拡大に向け、引き続き、広域処理の必要性と本県災害廃棄物の安全性を丁寧に説明し、また、国に対しても、これまで以上に住民への説明責任を果たすとともに、負担の大きい受け入れ側自治体への支援を充実することなど、国に対し、さらなる対策の強化を求めてまいります。
〇熊谷泉委員 国にさらなる対策を求めるということでございますが、先日、野田首相が、広域処理に当たり、受け入れ自治体への財政支援も示唆しておりますが、また、必要とあれば、閣僚らが直接住民に説明することも考えたいと申しております。
 この際、被災県の知事といたしまして、県外自治体に積極的に働きかけるべきと考えますが、これについての御所見と、今は、国の思いと被災県の思いとはかなり乖離したのが現状ではないかと思いますが、再度、知事にお伺いいたします。今後の見通しについてどういうふうにお考えなのか、お伺いいたします。
〇達増知事 今、正確にどのマスコミだったか思い出せないのですけれども、自治体ではなくて、国民、住民に直接アンケートをした結果で、たしか七十何%かの、少なくとも半分以上の人が、受け入れてもいいと。受け入れ絶対反対というのは15%だったか、いずれにせよ、半分以上のアンケートを受けた人は、被災地の瓦れきを受け入れてもいいと答えていたというのが、マスコミで報道されていたという記憶がございます。
 したがって、やはり放射能に対する不安はあるけれども、復興という中で、瓦れきの広域処理ということで、やはり困ったときはお互いさま、一役買いたいという善意は、日本全国に非常に深くあるという実感をしております。
 したがって、あとは、制度的に段階を追って、受け入れ側住民の皆さんが安心して、そして受け入れ自治体が丁寧に、かつスムーズに受け入れの実際の行動がとれるようにしていけばいいということであって、そういう中で、今、委員御指摘の、野田総理大臣が、国として説明をして回ること、そして、国として受け入れ自治体に財政的な支援もするということ、こういったことについては、もう去年から岩手から国のほうにずっと言ってきたことでありますので、国がそういうところで動き出すと、広域処理のスキームというのはかなり日本のきずなの動きとして現実のものになってくるのではないかと期待しております。
〇熊谷泉委員 私も、最後にもう一点お伺いしたいわけですが、実は、福島県の瓦れきについては、これはもうもろに放射能の問題があって県外にはなかなか難しいと思います。当面、広域処理は、岩手県と宮城県が主体となっておりますが、先ほど、それぞれの閣僚が出向かれるということでございましたが、知事としてはどういうお考えなのか、もう一度お伺いいたします。
〇達増知事 岩手県から国にもう去年から累次言っていますのは、この放射能問題というのは、基本的に東京電力に責任があり、そして、国の原子力政策ということで、原子力事故対策本部は総理大臣が本部長でありますし、国において解決されるべき問題であると。それが、地方自治体に責任が押しつけられることがあってはならないということで、国が責任を持って対応すべしということを言ってきたところでありまして、そういう中で、国の内閣がきちんと広域処理についても全国に説明をして、そして、受け入れ自治体の財政支援も国が責任を持つということになってくれば、本来のあるべき放射能汚染対策ということが軌道に乗っていくのではないかと考えております。
〇熊谷泉委員 しつこいようで申しわけございませんが、神奈川県の黒岩知事が宮古市に来ていただきました。そういうことで、やっぱり被災県の知事としては、来ていただいて、その結果を待つのもしかるべきかと思いますが、状況においては、被災県の知事も、全国をまたにかけて歩けということではございませんが、そういうよその県にある程度、トップが直接出向いてお願いするという形があってもいいかと思いますが、それについてお伺いいたします。
〇達増知事 御意見、参考にさせていただきたいと思います。
〇熊谷泉委員 現在、確実に広域処理が行われている自治体はどこなのか、そしてまた、その処理量をお伺いいたしたいと思います。
 そして、このほかにも広域処理として具体的に話が進められているものがどのくらいあるのか、お伺いいたします。
〇千葉副知事 広域処理が行われております自治体と処理量についてでございますが、現在、処理が行われておりますのは東京都と山形県でございまして、これまでの東京都の処理量は約3、400トン、山形県の処理量は約800トンとなっております。
 その他、具体に広域処理の話が進められている事案についてでありますが、受け入れに向け、具体にお話が進んでいるところは6府県でございまして、そのうち、処理協定締結済みあるいは試験焼却の実施または実施見込みは4県となっております。
〇熊谷泉委員 広域処理ではまだ4県進められているということでございますが、よそはよそとして、県内でも、3年以内になかなか難しいということであれば、今度、宮古市、釜石市で仮設焼却炉が3月から稼働し、処理量が日量、合計で約204トンとされております。
 今後、仮設焼却炉や県内の清掃事業所や環境組合など、もっと処理量をふやすことができないのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 処理量の増加についてでございますが、仮設焼却炉につきましては、現在、フル稼働で処理量を見込んでいるところでございます。
 県内清掃事業所等につきましては、生活ごみ等の処理に影響が出ない範囲で産業廃棄物を受け入れているところでございますので、今後、処理状況を踏まえ、受け入れ数量のさらなる増加が可能かどうか、各設置者と協議をしていきたいと考えております。
〇熊谷泉委員 今、岩手県は幸い大船渡市に大きな太平洋セメントというプラントがあったわけでございますが、本格稼働すると日量1、000トンの焼却が可能と聞いております。
 セメントを焼成するのにはどんな前処理が必要なのか、また、国内にもほかにセメントプラントがあると思いますが、こういう大きな処理業界に協力依頼がどの程度なされているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 まず、セメント焼成に係ります前処理についてでございますけれども、太平洋セメント大船渡工場では、昨年5月から処理が進められ、また、三菱マテリアル岩手工場においても、今年度中に処理が開始される見込みでございます。
 セメント焼成に係る前処理につきましては、可燃物や不燃物に選別した災害廃棄物を5センチ以下に破砕いたしまして、また、太平洋セメント大船渡工場では、大量に処理いたしますので、除塩施設を設置し、塩素濃度を調整していく必要があるものと考えております。
 また、セメント工業界への協力依頼についてでありますが、広域処理に当たりましては、まず、受け入れ自治体や地域住民の理解と協力が当然のことながら前提となりますことから、都道府県を通じて、セメント工場の活用を打診しているところでございます。青森県の八戸セメント、埼玉県の太平洋セメント及び三菱マテリアルにおきまして、今月中にも受け入れに向けた試験焼却を行う予定でございます。
 いずれ、セメント原料ともなり、かつ、焼却灰を排出しないセメント工場の活用は最も効率的な処理方法の一つでございますので、引き続き協力をお願いしてまいりたいと考えております。
〇熊谷泉委員 ありがとうございました。
 今、工程の分離過程では、1次仮置き場で粗選別、2次仮置き場で破砕、選別となされているわけでございますが、選別された廃棄物は、復興資材や鉄くずなど新たな資源として活用される面もあるわけでございます。
 被災地でも、本当の瓦れきの山で積まれている状態から、分別されたものについてであれば住民の視点も変わってくるのではないかと考えますが、現在、破砕、選別ラインはどのくらいあり、それらによる分別処理はどのくらいの期間で終了する予定なのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 破砕、選別ラインの数についてでございますけれども、破砕、選別ラインは、現在、陸前高田市、大船渡市、釜石市、大槌町、山田町に各1施設、宮古市に2施設、合計7施設ございます。加えて野田村にも1施設設置する予定でございまして、現在準備を進めているところでございます。
 分別処理の終了予定期間については、なかなか現時点で明確にお答えできないところでございますが、いずれ破砕、選別は、その後の焼却処理の前処理に位置づけられておりますので、この平成26年3月末の処理期限を念頭に、できるだけ速やかに作業行う必要があるものと考えております。
〇熊谷泉委員 選別については、平成26年3月までということでございますが、やはりこれだけは確実にやっていかなければ、住民としては、ある意味、本当に復興がおくれているという実態になると思いますので、ぜひその点はお願いしたいと思います。
 次に、1次仮置き場からの処理についてでありますが、まず一つは、今は県北から県南までの沿岸部の1次仮置き場からの処理は一斉に始まっているのか、お伺いいたします。
 また、今の流れでいきますと、3年以内に終わればいいのですが、時間の経過とともに、やっぱり1次仮置き場からは、公共用地に急遽置かれている部分もあると思います。実際は、その置かれている場所は、この復興のために、本来は別な用途で、いろいろなものが建つとか活用されるべき場所だったと思いますが、それぞれの処理について、今後、優先順位をどのようにされていくのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 処理の優先順位についてでありますけれども、現在、産業廃棄物の仮置き場への撤去がおおむね完了し、現在、各沿岸市町村におきましては、分別、破砕等の処理が順次行われていることを承知しております。
 今後とも、処理を進めるに当たっては、市町村と緊密に連携し、その意向を十分踏まえながら、今、委員からも御懸念が示されましたが、仮置き場が防潮堤の整備やまちづくり等の支障となる場合には、優先的に処理するなど、市町村の復旧、復興の妨げにならないように配慮していく必要があるものと考えております。
〇熊谷泉委員 次に、土地利用と高台移転についてお伺いいたします。
 この問題は、生活再建あるいは産業再生に当たり最も重要な問題であります。反面、事業費もマンパワーも必要とされる事業と考えますが、これらについて知事の御所見と、県としてどのような支援を行っていくのかお伺いいたします。
〇達増知事 土地利用と高台移転についてでありますが、土地利用計画が早期に策定され、高台への移転や市街地の整備が進むことは、被災者の生活再建や産業再生に向けて大変重要であります。
 県では、市町村が住民や関係者の意見を十分に踏まえ、地域の合意形成を図り、土地利用計画を取りまとめ、それに基づくまちづくりを推進できるよう、国に対して復興事業実施のための財源の確保と人的支援について求めてきております。
 財源については、復興特別区域法に基づき、地方公共団体の財政負担のない復興交付金事業制度が創設されたところで、それらの国の財政的支援措置の積極的な活用を推進していきます。
 また、人的支援については、県市長会や県町村会を通じた県内市町村からの派遣や、総務省や国土交通省等を通じた他県からの支援が行われることとなっております。
 今後とも、復興の進捗により変化するニーズに対応し、引き続き、必要な財源とマンパワーの確保に向け、国に対して要望することも含め、まちづくりの推進を図ってまいります。
〇熊谷泉委員 それでは、まず、産業再生についてでありますが、水産加工場や工場用地については、今後どのような手順で確保されていくのか、また、それに伴う課題は何なのか、そして、大体どのくらいの期間でそれらが建設可能となるのか、お示しを願いたいと思います。
〇平井理事 水産加工場等工場用地が確保されるプロセスについてでございますが、現在、沿岸市町村におきましては、浸水した土地について、住居や事業所の建設を見合わせるよう市民にお願いしつつ、それらの土地を含む都市計画等の土地利用に関する計画の策定作業を進めているところでございます。
 そのような計画の中で、水産加工その他の工場については、浸水した区域でも立地を可能とするケースも考えられ、そのような区域におきましては、土地利用計画が決まり次第、立地の促進を行っていけるものと考えております。
 一方、想定される浸水高さによっては、かさ上げを含む土地区画整理を行う等、大規模な都市計画事業を行う区域もございます。そのような区域では、事業の都市計画決定、事業認可、施行規程としての条例の制定、換地計画策定等のプロセスを経て造成工事に着手することになります。
 工場が建設可能になる時期につきましては、市町村の土地利用計画が、早いところでは平成24年度の早い時期に策定されると考えられますことから、その時点で建設可能になる区域もあれば、土地区画整理等を予定する区域につきましては、数年を要するケースも出てくるものと考えられます。
〇熊谷泉委員 次に、住宅再建についてでありますが、今議会の一般質問でも、仮設住宅での生活がいかに大変であるものかが取り上げられておりました。一日も早く仮設からの移住ができるよう願うものであります。
 県は昨年10月に岩手県住宅復興の基本方針を策定し、それによりまして災害復興公営住宅等を含む復興住宅の供給を進めていると考えております。現在、市町村と連携しながら、条件の整った箇所から順次、設計委託等の発注を進めており、釜石地区の2団地、約160戸分については設計業務に着手、大槌地区の団地約35戸分については入札公告を行ったところと、これは昨年の復興局の資料でございますので、またそれから進展していると思いますが、できる限り基盤復興期間内、つまり平成25年度での完成を目指すとされております。
 具体的に、平成24年度、そして25年度にどのくらいの戸数が確保されるのかお伺いいたします。
〇上野副知事 災害復興公営住宅についてでありますが、本県では、今年度、平成23年度は750戸、来年度、24年度は1、000戸に着手することといたしまして、予算を計上しているところであります。
 来年度の末には、今年度着手分のうち約200戸程度が完成する見込みであります。また、平成25年度末には、来年度着手分までの1、750戸と市町村が建設される住宅750戸、合わせて約2、500戸が完成することになると考えております。
 さらに、民間活力を活用することなどで、4、000戸から5、000戸としている供給計画のうちの大半の戸数の確保を目指すこととしております。
〇熊谷泉委員 予定の約50%が平成25年度までに完成するということで、まず復興の第一番は、安心によって生活が確保されることだと思います。
 次に、防災集団移転促進事業についてでありますが、防災のための集団移転促進事業にかかわる国の財政上の特別措置等に関する法律に基づいて、被災地域においての住民の住居に適当でない地域にある住居の集団移転を行うための事業ということになっております。事業に必要な経費の全額が東日本大震災復興特別区域法に基づく復興交付金及び震災復興特別交付税として、本事業の施行者である地方公共団体に交付されるとされております。まさに国家プロジェクトであります。
 この事業をスピード感を持って行うためにも、国の復興庁の果たす役割は大きいわけでありますが、県は、市町村との間にあって、具体的に今どのような働きをしておられるのかお伺いいたします。
〇平井理事 防災集団移転について、県の役割についてでございますが、市町村が事業主体となる防災集団移転促進事業の実施に当たりましては、被災状況や従前の土地利用等、地域的要素を勘案した適切な計画策定と丁寧な住民合意の手続が不可欠でございます。
 また、事業費の確保と補助限度額の撤廃などの特例を受けるための復興交付金事業計画の作成や、事業用地に係る許認可等の特例をワンストップで受けるための復興整備計画の作成を予定しているところでございます。
 政府の復興特別区域基本方針によりますと、新設された復興庁は、復興整備計画及び復興交付金事業計画の作成に関係する支援、助言、調整などを行うこととされております。
 県といたしましては、日常的に市町村のまちづくり事業を支援している関係から、適切な計画策定や丁寧な住民合意手続等についてアドバイスを行ってきたところでございます。
 また、復興交付金事業計画の策定につきましては、市町村との共同計画として全面的に市町村を支援しているところであり、復興整備計画の策定につきましても、復興庁と協力しつつ、適時の策定に向けて市町村と調整作業を行っているところでございます。
 今後とも、防災集団移転促進事業が早期に進捗するよう、県としても意を払ってまいります。
〇熊谷泉委員 復興庁と緊密な連絡、連携をとって行われているということでございますが、本事業は、復興計画等の策定から始まり、被災者の集団移転に対する合意形成を経て、移転促進区域内の宅地等の買い取り、住宅地への移転まで最短でどのくらいの時間を要すると予想されているのか、お伺いいたします。また、先行して事業着手しているところがあれば、それもお示し願いたいと思います。
〇平井理事 防災集団移転促進事業についてでございますが、防災集団移転促進事業のプロセスといたしましては、被災者の高台移転に関する合意形成が得られた後、復興特別区域法に係る特例を受けるための復興交付金事業計画の策定や開発許可等の事業用地に係る許認可等の手続、事業計画の国土交通大臣の同意、さらに、事業用地の確保等が行われ、移転先となる住宅団地の造成工事に着手することとなります。
 住宅等の建築工事が開始できる時期は、造成工事終了後となるため造成の規模により大きく異なりますが、過去の事例では、おおむね2年から3年後となっております。県内におきましては、野田村及び山田町におきまして、事業計画の国土交通大臣の同意に向け作業が進められているところでございます。
 県といたしましては、被災者が住宅再建の方針を判断する上で必要となる被災地域の土地の買い取り価格の提示に資するための不動産鑑定の実施や事業用地に係る許認可等をワンストップで行うことができる復興整備計画の策定など、復興事業の円滑かつ迅速な実施に向け市町村を支援してまいります。
〇熊谷泉委員 野田村と山田町で今、先行しているということでありますが、二、三年かかるということになれば、やはり仮設もその間の二、三年とダブってくるわけでございますので、集団移転がどこの市町村でも円滑に進めばいいと思いますが、まず、先行できるところからどんどん進めていただくことが被災者としては励みになると思いますので、まず、本当に高台に移転されることを望むところであります。
 この高台移転につきましては、従来から言われておりますが、沿岸の高台には先人が住んでおった場所がほとんどだということでありますが、埋蔵文化財調査も、ある意味、一つの大きな課題になっていくと思います。この期間の短縮について何か方策があればお示し願いたいと思います。
〇千葉副知事 埋蔵文化財調査についてでありますが、住宅等の高台移転によります発掘調査の増加に対応いたしますため、来年度、県教育委員会におきましては、担当職員を5名増員し、さらに、他の都道府県から10人の支援職員を受け入れるなど体制の強化を図ることにより、発掘調査期間の短縮を図ることとしております。
 また、住宅建設に際しましては、状況に応じて盛り土することによって発掘調査を回避するほか、発掘調査によって時間を要する工程につきましては、デジタル機器を積極的に活用するなど、発掘調査の効率化を図り、調査期間の短縮に努めていくこととしているところでございます。
 なお、これらのことにつきましては、これまで、地元市町村教育委員会と協議が重ねられてきておりますほか、先般開催されました市長会及び町村会においても説明を行い、市町村長の御理解もいただいているところでございます。
〇熊谷泉委員 昨年、先行して議会でも取り上げておりました野田村の保育園の調査が、私は比較的スムーズになされたのではないかと思います。今、デジタルとか、あとはそういうお話もありましたが、まず、マンパワーが必要であります。あと私は、あるいは非常に難しい話かもしれませんが、特区ということもいろいろ考えていく必要もあるかと思いますが、ぜひ県外からの支援もいただきながら、この期間の短縮に努めていただきたいと思います。
 次に、復興特区制度についてお伺いいたします。
 2月9日に岩手県知事が申請していた保健・医療・福祉復興計画が、復興特区第1号となって認定されました。そのことは評価されるものでありますが、同時に、宮城県が申請していた民間投資促進特区も同日に認定されております。
 岩手県も産業再生に向けて岩手県産業再生振興推進計画の申請を2月6日に行っておりますが、これは宮城県と同時期に認定されるべき性格のものと考えますが、先ほどマンパワー、エリアの調整にということもお話があったところでございますが、まず、なぜ産業再生の復興を先に考えられなかったのか。私らは今、宮城県と、産業集積については、ある意味、一関市を境にしのぎを削っている状況であります。それについての知事の御所見をお伺いいたします。
〇達増知事 産業再生特区についてでありますが、県では、産業の集積等による雇用機会の確保、創出を図るとともに、地域の特性を生かした産業を振興することにより、被災地域の経済の活性化を図ることを目的として、東日本大震災復興特別区域法に基づく岩手県産業再生復興推進計画を2月6日に国に申請しました。
 計画の認定については、それぞれの県計画に特徴があり、それを踏まえて、国において審査し、計画ごとに認定されるということでありますけれども、早期の認定に向けて国に働きかけを行っております。
 計画においては、雇用等に甚大な被害を受けた沿岸地域に加えまして、内陸地域も含む県内全市町村に復興産業集積区域を設定しておりまして、沿岸地域の産業と内陸地域の産業との取引関係の拡大によって、自動車、半導体、医療機器等のものづくり産業や水産加工業等の食品関連産業などの集積が期待されるところであります。
 県としては、復興特区制度に基づく特例措置を有効に活用しながら、被災地域の産業再生を図っていく考えであります。
〇熊谷泉委員 そのことは従来説明されておりますが、確かに保健・医療・福祉の問題も、今の岩手県の医療を見れば、これも優先課題であったと思いますが、どうも我々県民は、宮城県北にあれだけ自動車産業が集積されておる実態を考えますと、やはり岩手県もそれにおくれることなく産業集積の問題を特区で取り上げるべきではなかったのかと思いますが、もう一度知事にお伺いいたします。
〇達増知事 保健・医療・福祉復興計画と、それから岩手県産業再生復興推進計画については、ほぼ同時期に出しているということで、産業再生ということを保健・医療・福祉に比べて特段に優先しないということでは全くございません。
〇熊谷泉委員 それでは、次に移りたいと思います。
 市町村のニーズについてでありますが、仙台市では、農と食のフロンティア推進特区を申請しました。これは、仙台市東部の約3、000ヘクタールが対象区域で、新規立地した企業への法人税を5年間免除する税制特例などを生かし、新規農業法人の設立を促しているとしておりますが、本県における本制度への市町村のニーズは何なのか、また、市町村からの提案を促すような周知はなされているのかをお伺いいたします。
〇平井理事 市町村のニーズ調査についてでございますけれども、市町村に対する復興特区制度の周知につきましては、10月以降3度開催された国の担当者による制度説明会のほか、11月には、本県の職員が沿岸12市町村を個別に訪問し、復興特区制度の概要説明と意見交換を実施したところでございます。
 その上で、県では、平成24年1月に市町村に対し復興推進計画への位置づけを希望する特例措置等に関するニーズ調査を行いました。
 この調査結果によると、沿岸地域においては、迅速な復興を果たすためのまちづくり、産業再生、再生可能エネルギー、保健・医療・福祉の各分野の規制、手続の特例措置や税、金融上の優遇措置が必要とされており、内陸地域におきましては、産業再生に向けた税、金融上の特例措置の需要があったところでございます。また、計画の作成に当たりましては、まずは、県との共同で申請を進めたいとの意向を把握しているところでございます。
 県におきましては、これらのニーズを踏まえながら、市町村が必要とする特例措置が適時に活用できるよう、市町村との連携のもとで復興特区申請を進めてまいります。引き続き、市長会、町村会の場などを通じて、復興特区申請に関する岩手県の基本的方針を説明するなど、機会をとらえて、その積極的活用について周知に努めてまいります。
〇熊谷泉委員 いろいろ説明されたようでございますが、市町村のアイデアとしては何も出なかったわけでしょうか。
〇平井理事 沿岸地域におきましては、まさに今、取り組んでおります四つの分野、まちづくり等でございますけれども、それに対するニーズ、規制手続の緩和、税、金融上の優遇措置が必要とされたという声が上がっております。内陸地域におきましては、産業再生に関する税、金融上の優遇措置が必要という声が上がったということでございます。
〇熊谷泉委員 次に、被災地への人的支援についてでありますが、昨年の1次、2次補正で予算化されたものの、公共事業では1.4兆円の約15%の2、100億円しか実際に使われていなかったとの記事もあります。公共事業の中で最も予算が大きい道路や堤防、下水道などの災害復旧の執行に、自治体の人手不足により予算要求の資料が作成できなかったことも一因としております。
 まず、予算要求ができなかったということが最初にあるという、ふだんでは考えられないことでありますが、同じ記事に、技術系の職員が足らず、山のようにある道路や施設復旧の図面がもうかけないと、ある市役所の職員のコメントも載せてありました。これが昨年までの実態と思われます。
 今定例会の質疑の中でも土木工事の人手不足が取り上げられておりますが、自治体への人的支援も昨年以上に要求されております。まず、平成24年度に他県から本県に派遣される予定人数はどのくらいなのかお伺いいたします。
〇加藤総務部長 平成24年度におけます県外から本県への職員派遣についてでございますが、2月末時点におきまして、30都道府県及び4政令指定都市から、土木職の75名、事務職の37名、建築職の6名など、合計で139名について応諾をいただいております。今年度に比べて20名程度の増加が可能と見込んでいるところでございます。
〇熊谷泉委員 今は県についての派遣の状況でありましたが、次に、同じく平成24年度、被災市町村への職員の派遣の状況はどのようになっているのかお伺いいたします。また、これら各市町村への派遣窓口と、これらの調整はどこが行っているのかお伺いいたします。
〇千葉副知事 被災市町村への派遣についてでありますが、まず、平成24年度の職員派遣の状況につきましては、現時点でございますけれども、被災市町村の行政機能回復及び市街地復興のため、来年度、県内外の市町村から、派遣要請のありました11市町村に対して217名の職員の派遣調整を行ったところでございます。これは、現在派遣中の129人に比べまして88人の増となっております。
 また、派遣の調整についてでありますけれども、本年度は、被災市町村への行政機能の回復のための職員派遣、これを政策地域部が窓口となって調整を行ってきたところでございますが、一方、来年度の職員派遣は、これに加えまして、市街地整備事業、高台移転事業等、復興事業の着手に伴います多数の技術職員が求められていることから、こうした事業に通じました県土整備部等においても職員派遣の調整に当たっておりまして、関係部局が連携して取り組んでいる状況にございます。
〇熊谷泉委員 従来より増員されているということでございますが、実際これは、被害市町村では、この対応で十分とされているのか、まず所見をお伺いいたします。
〇千葉副知事 この今現在の要請については、個々の市町村ごとに県のほうでもお邪魔していろいろと意見をお伺いしておりまして、現時点の市町村の要請に対しては対応していると理解しております。
〇熊谷泉委員 先ほどのお話にもありましたが、埋蔵文化財調査についてお伺いいたします。
 宮古市が1名、大船渡市2名、釜石市1名、山田町1名の5名となっておって、さっきまた、ほかにも対応されるということでございますが、これは平成24年度の状況であって、今後、高台移転とか土地価格が決まった段階で、来年以降はこの要求がもっとふえるものなのか、その辺の見通しをお伺いいたします。
〇千葉副知事 教育委員会に私どもが確認したのですが、やはり事業の本格化は平成25年度になるのではないかと。したがいまして、その時点では、さらに増員が必要になるのではないかという状況だと承知しております。
〇熊谷泉委員 県外からも応援を頼まなければならないということでありますが、これも、どこまでも応援していただければ助かるわけでございますが、県外からの人的支援は、先ほど、埋蔵文化財の調査はむしろ平成25年のほうがふえるというお話でありますが、今後、これが平成26年、27年もこれだけの支援がなければ本当に我が県の復興ができないのか、これについて大体どういう流れになっていくのか、最後にお伺いしたいと思います。
〇千葉副知事 現在の時点でその中期的な予測がなかなか困難な状況でございます。復興の取り組みにつきましては、本県では8年でと、あるいは市町村によっては10年という話もございますが、いずれ長期間に及ぶことが見込まれております。したがいまして、やはり県内外、特に県外からの人的支援というものは、当分継続してお願いしていかなければならないと考えております。
〇熊谷泉委員 最後になりますが、平成24年度予算について一つお伺いいたします。
 今年度予算については沿岸の復興に係るものが主体となっており、一方では、通常分だけでは昨年度よりも減少していると承知しております。
 知事は、事業効果や効率性等を検証しながら、歳出の徹底した見直しを行うなど一層の選択と集中を図るとしておりますが、通常分においては何を削減し、何を選択されたのか、具体的にお示し願いたいと思います。
〇加藤総務部長 選択と集中の中身ということでございますが、当初予算のうち、通常分は全体で421億円の減となっておりますが、このうち普通建設事業を初めといたします投資的経費が350億円の減と、その大半を占めている状況でございます。
 これは、特に沿岸部におきましては、震災分である災害復旧事業を最優先に実施するということでございまして、通常分の普通建設事業費が減少するに至ったものでございます。
 また、政策的経費につきましては、削減率を設定した上で事業の選択と集中を図ってきたところでございます。その中におきましても、内陸地域と沿岸地域が一体となって実施する、沿岸地域の復興を内陸地域も下支えするといった事業等につきまして、重点的に予算計上を行ったものでございます。
〇熊谷泉委員 実は、ちょっとわかったようでわからないような中身だと思うんですが、具体的に何の事業が対象なのか、本当は聞きたかったところでありますが、次に移りたいと思います。
 今回の予算はまさに沿岸の復興が喫緊の課題であります。これについては県民のだれもおよそ異存のあるところではございませんが、実際は県央部についてもいろんなものが削減された中で、県央部の事業が大幅にまたおくれるということがあれば、やっぱり我々、中にいる者としては、住民に対しての説明も今必要とされておるところであります。
 そこで、復興需要により労働単価や資材の値上がりは県央部の事業執行にも影響してくると考えられますが、これらに対してどのような対策がなされているのかお伺いいたします。
〇上野副知事 労働単価、資材費についてでございますが、積算に用います労務単価につきましては、国により各県ごとに設定されるものでございますが、被災3県に対しましては、2月17日に、上昇傾向にございました労務単価が公表されまして、本県におきましても2月20日から適用したところでありまして、今後とも国に対し、実勢価格を即時に反映するよう要望してまいります。
 また、資材単価につきましては、県が実勢単価調査等を行い、石材、生コンクリート、アスファルト合材については県内19地区ごと、その他資材につきましては県内一律として設定しておりますが、毎月の市場の変動状況が5%から10%を超えるような顕著な場合には、速やかに改定を行うこととしているところであります。
 さらに、工事契約後に賃金または物価の大きな変動により設計単価を改定した場合には、残工事について、受注者と協議の上、その変動に対応した工事費の増額変更を行う、いわゆるスライド条項により対応することとしているところでございます。
〇熊谷泉委員 当局はそういう御答弁でありますが、実際、これは現場でそういう対応についてのみというんですか、本当にどういう声が上がっているのか、現場の声が十分吸収されているかどうか、再度お伺いいたします。
〇上野副知事 労務単価、資材費等についての現場の声についてのお尋ねでございますけれども、今申し上げたような制度を運用しておりますが、現場の工事関係者の方々、資材の調達の関係者の方々の意見をよく聞きながら、そういう情報交換をしながら、適切に実勢が反映できるように意を払ってまいりたいと思っております。
〇熊谷泉委員 御答弁大変ありがとうございました。残りの時間を福井委員が続行しますので、よろしくお願いいたします。(拍手)
〇喜多正敏委員長 次に、福井せいじ委員。
   〔福井せいじ委員質問者席に着く〕
〇福井せいじ委員 自由民主クラブの福井せいじです。何点か大項目を質問させていただきますが、前の委員の質疑あるいは時間の関係で順番を前後することがありますので、御了承いただきたいと思います。
 まず初めに、県の東日本大震災津波復興計画と被災市町村の復興の進捗状況についてお伺いいたします。
 当局は、昨年8月、岩手県東日本大震災津波復興計画を作成。復興に向けての目指す姿や原則、具体的取り組み等を示した復興基本計画を示し、また、復興のために行う施策、事業とその工程表等を明らかにする復興実施計画を示し、復興期間を三つの期間に区分し、平成30年までの工程表を公表しました。その後、住田町を除く沿岸11市町村が復興計画を決定しました。
 ここでお聞きしますが、県の目指す復興の姿と、被災市町村の復興計画の目指す姿が整合しているのかお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 県の復興計画は、復興の目指す姿や復興の道筋を明らかにするとともに、被災市町村が策定する計画の指針となり、自主的な復興を支援する計画としての役割も担っております。安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生の三つの原則を掲げ、多重防災型まちづくりを目指すためのまちづくりのパターンを示したことは、その役割に資するものであります。
 県のほうの計画策定に当たっては、沿岸市町村長などと意見交換を行うとともに、県の基本計画案を早期に示すことで、市町村のほうが策定する計画とのそごを来たさないよう配慮いたしました。沿岸12市町村においては昨年中に復興計画等が策定されたところであり、それぞれの被災状況、地域資源、市町村総合計画など、地域特性を踏まえた復興の目指す姿が掲げられていますが、その背景をなす考え方は、県復興計画の考え方と軌を一にしたものとなっていると考えております。
〇福井せいじ委員 確かに、県がいち早く基本計画を作成し、それをもとに被災市町村が整合すべく計画を立てたということはよろしいことだと思います。そのためにも、早く計画を出していただいたことに、まずもって敬意を表します。
 さて、県民は一刻も早い暮らしの再建、なりわいの再生を望んでいますが、県は、各市町村が決定した復興計画の進捗状況をどのような仕組みで把握するのか。そして、現状について、各市町村の進捗状況を知事はどのように評価なさっているかお聞かせください。
〇達増知事 県としましては、進捗状況を把握して、市町村と軌を一にして復興をなし遂げていくために、計画に基づく各種復旧事業や復興交付金事業等、復興関係事業の実施状況などの把握に努めております。
 また、復興局において随時開催している市町村長等との意見交換におきまして計画の進捗状況等について把握しているほか、沿岸及び県北広域振興局においても、局内に市町村担当者を置いて、建築や都市計画等の技術職員の市町村への派遣を通じて計画の進捗状況等について情報共有を図りながら、被災市町村と一体となった復興の取り組みを推進しています。
 各市町村計画の進捗状況については、沿岸12市町村において、昨年中に策定された復興計画に基づき、現在、具体的な土地利用計画の検討や、防災集団移転促進事業や土地区画整理事業など導入事業の検討が行われているところであり、計画に基づく取り組みの具体化が緒についたところと認識しております。
 今後とも、県として市町村との連携を密にしながら、市町村の復興計画の進捗状況等に応じたきめ細かな支援を行ってまいります。
〇福井せいじ委員 今、知事の御答弁で、復興局と市町村との意見交換会をやっていらっしゃるとおっしゃいましたが、一つここで聞きたいのは、その回数、頻度です。例えば1カ月に1回やっているとか、随時開催しているとか、そういった回数について、後でもいいですから、お聞かせいただきたいと思います。
 それで、その復興のスピードについてなんですけれども、まず、被災市町村の復興計画の決定時期を見ますと、久慈市が最速で昨年7月22日に決定しました。最後は大槌町の12月26日になっております。このように市町村によって復興の取り組みの進捗度合い、スピードの違いが散見されるわけでありますが、被災市町村の復興の進捗状況と、県当局が推進している復興計画とをいかにスピード、進捗の度合いの整合性を図っていくか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇達増知事 被災市町村のほうではそれぞれ復興計画を策定したわけでありますけれども、被災状況や土地利用の状況、また、産業構造等の地域特性がさまざまでありますので、復興の取り組みの進捗は市町村によって異なる状況にあります。
 一方、沿岸地域を初めとした本県全体の復興の迅速かつ着実な実現のためには、県の事業執行に当たって、被災市町村が策定する復興計画等に基づく取り組みとの整合性に十分配慮して、県と市町村が一体的に復興の取り組みを推進していくことが重要であります。このため、市町村との連携を密にして、復興計画の進捗状況を踏まえて、人的、技術的にきめ細かな支援を行いつつ、必要な財政支援や制度については県のほうから国に要望することによって、復興が着実に達成されるように取り組みを推進してまいります。
〇廣田理事 市町村との意見交換についてでございますけれども、上野副知事が大体1カ月に一遍程度、個別に首長さんを訪問していろいろとお話を聞いておりますし、それから、私が1カ月半に一遍程度、副市町村長さんを訪問していろいろとお話を聞いてきたところでございます。
〇福井せいじ委員 今の知事の答弁のように、被災市町村ごとに状況によって異なる復興の進捗状況をとらえて、それに応じて支援をしていくということが私は必要だと思っています。歩みを一にしていくことが、効果的、効率的な復興を推進すると考えますので、ぜひ、そのような状況把握をしっかりとりながら、支援の体制の緩急をつけて御支援いただきたいと思っております。
 さて、被災者からは、そのような中でも、いつ、どこに家を建てることができるのか、いつ、どこに店を建てて商売を再開できるのか、早く示してほしいと。それが見えないと我慢ができないと言われています。実際に被災前の土地の利用計画が定まらないということで、大槌町に立地していた加工業者が鵜住居に移った事例や、山田町のホタテ加工業者が北海道に移転し、事業再開した事例も伺っております。既に震災から1年がたとうとしている今、いつ、どこにの答えを一刻も早く示すためには何をすればいいかと私は知事に問いたいのでありますが、いかがでしょうか。
〇達増知事 店舗等が再建できる時期、またその場所を示していくことは、被災地の一日も早い暮らしの再建、なりわいの再生のために必要であります。市町村においては、おのおのの復興計画に基づいて、土地利用計画の策定や、計画実現に向けた導入事業の選定に向けて、住民また関係者の意見を十分に踏まえて地域の合意形成を図っていく必要があり、県としては、そのような取り組みを支援しているところであります。
 また、県では、被災者が住宅再建の方針を判断する上で必要となる市町村による被災地域の土地の買い取り価格の提示に資するため、沿岸12市町村を対象に不動産鑑定を実施しているところであります。今後とも、被災者一人一人が復興に向けた計画を描くことができるように、市町村と連携してまちづくりの推進を進めてまいります。
〇福井せいじ委員 合意形成も本当に必要ではあると思いますが、その形成をするためには、やはり多くの時間、多くの労力が必要とは思われますが、それを短縮するのが人員の確保、増員であると思いますので、そういったことをどこに求めてこの増員計画をしていくのか明確に示して、支援をしていっていただきたいと思います。
 すべて失った被災者が生きていくためには、未来の夢を持ち、みずからを奮い立たせて毎日を暮らしていくことが必要だと私は思います。夢に日付を打つ、場所を決める、そうすることがさらに強い希望を抱け、仕事に励もうとする意欲を喚起すると思います。日付と場所が設定されてこそ、個々の暮らしの再建となりわいの再生を実現できると思います。そして、その日付が先になるほど可能性が小さくなります。それゆえに、私は、もっと短期間でこの復興計画が終了するようにすべきと考えます。先ほどから伺っていますと、高台移転は3年、あるいはその先、事業が始まるまではそのまた先というお話が多々出ていましたが、3年先、自分の暮らしがどうなるか見えないのでは、本当に我慢することができない、どこかに行ってしまいたいと思う気持ちが出てくるやに思います。もっと短期間で復興基本計画が終了するようにすべきと考えますが、知事に御所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 県の復興基本計画は期間8年間でありますけれども、最後の2年は、さらなる展開を図っていく期間という位置づけであり、6年後の本格復興期間の終わりまでには大方の復興を遂げるという内容になっております。復興実施計画は、復興の基盤づくりを集中的に展開することとした平成23年度から平成25年度の間に、県が直接実施する事業のほか国の直轄事業、市町村に対する補助事業など、計画策定段階で想定し得る事業を掲げております。今後、国の新たな予算措置や制度の創設など、計画の策定後に生じたさまざまな社会的変化、復興の状況等を踏まえて、迅速な復興が図られるよう、事業の変更や新たな事業の追加など、必要に応じて県の計画についても所要の見直しを行ってまいります。
〇福井せいじ委員 災害廃棄物の処理等、決めた目標はなかなか完遂できないというような状況も起きています。目標をいかに短縮するか、それも必要な復興計画の大きなかぎとなりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 続きまして、震災復旧工事についてお伺いしたいと思います。ちょっと順番がずれますが。
 私は、今震災復旧工事は県内事業者の育成の機会でもあると考えています。ここ数年発注されることのなかった大型工事や特殊技術を用いた工事など、規模や技術的な観点で多様な工事が発注されると推測されます。このような状況の中で、大手建設事業者単独の工事ではなく、実績のある大手と県内建設事業者がJVを組んで多様な工事を経験することが県内建設事業者の技術向上の機会となり、また、多様な工事の実績を残すことになり、今後の経営強化につながると考えます。
 そこでお聞きします。今震災復旧工事において、大手ゼネコン単独の工事発注ではなく、必ず地元企業とのJVを前提とした入札を行ってほしいと考えますが、当局のお考えをお示しください。
〇加藤総務部長 大規模な工事でゼネコン等県外業者がJVの代表者となる場合でありましても、WTO協定対象工事や特殊な工事を除きまして、県内業者を構成員に含めることを工事発注の際の条件としております。
 また、こういうふうな場合、県外の大手と県内業者のJVとなる場合でございますが、県内業者育成の観点から、当該工事に求める施工実績要件を満たす県内業者が少ないときには、要件を緩和する取り扱いをしておりまして、県内事業者の機会の確保に留意しているところでございます。
〇福井せいじ委員 ぜひとも、県内事業者が次へのステップが踏めるような仕組みづくりをして、さらに育成に努めていただきたいと考えております。
 さて、2月29日、小野共議員も一般質問しましたが、改めてここでお聞きしたいと思います。
 平成24年度から震災復旧公営工事が本格的に発注されます。公営住宅が4、000戸から5、000戸、そのほかにも、既に沿岸各地では復興道路の着工、さらに国の直轄工事である釜石港の港湾防波堤も着工されます。このように防潮堤、防波堤、道路、橋梁、港湾、漁業関連施設、公営住宅、民間事業者施設、民間住宅、さらには被災市町村の多くの土木、建設工事が着手されますが、一時に発注が集中しますと、県内建設業者だけでは工事が担えず、大手ゼネコンを初め県外業者へ発注が流れると考えられます。また、資材、人手も不足すると考えますが、おのおの工事の優先順位を明確にし、庁内部署横断的な総合調整をする必要があると私は考えますが、当局のお考えをお聞かせください。
〇上野副知事 工事発注に係ります県の総合調整についてでございますが、県といたしましては、東日本大震災津波によるかつてない規模の大災害に対しまして、発災当初から迅速な応急復旧に取り組んできたところでございまして、今後も、被災地域の安全の確保や被災者の暮らしの再建を早急に進めていかなければならないと考えているところであります。このため、津波防災施設等の復旧、整備などの多重防災型まちづくりや災害復興公営住宅などの整備等は、可能な限り迅速に進める必要があると考えているところであります。
 一方、岩手を支える基盤となる社会資本の整備を維持していくためには、建設業が果たす役割は極めて重要でございまして、引き続き、被災地域の建設企業を初め県内の建設企業による雇用が確保されるよう、復旧、復興工事の発注に当たりましては、地元企業の受注に配慮してまいりたいと考えております。
 今後、復旧、復興工事を円滑に進める上で、沿岸広域振興局管内などの地域単位で、国、県、市町村などの発注者と、建設業者や資材納入業者などの業界団体との間で情報交換の場を設け、発注見通しや労働者の確保、建設資材の調達などの課題への対応を検討してまいりたいと考えております。
〇福井せいじ委員 ぜひとも、今、上野副知事がおっしゃった広域振興局管内における国、県、市町村、業界団体との連絡協議は重要だと思っております。現場における進捗状況を調整しながら、資材の確保あるいは労務等の確保に当たっていただいて、円滑な工事を進めていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、用意していた質問をちょっと省きながらいきたいと思います。
 今、資材の関係でもお話がありましたが、コンクリート調達についてお伺いしたいと思います。
 前例のないほどの多くの工事が集中的に発注されるわけでありますが、現在、沿岸地域にはコンクリートプラントが10カ所ほどしかないと私は伺っておりますが、すべてのプラントの供給量を合計しても、この工事に対して不足することは必至だと思われております。また、このコンクリートの材料である砕石も圧倒的に不足すると思われますが、コンクリートの調達については当局はいかなる対策をお考えか、お聞かせください。
〇上野副知事 コンクリートの供給不足対策についてのお尋ねでございますが、生コンクリートにつきましては、製造から打設までの時間が非常に制限されておりまして、このため、建設資材の中でも地元調達割合の高い資材でございます。地元において供給体制や需要量の把握に努める必要があると認識いたしております。今後、先ほど申し上げました話と関連いたしますが、沿岸広域振興局管内などの地域単位で、国、県、市町村などの発注者と、建設業者、資材納入業者など業界団体との間で情報交換の場を設けることとしておりまして、必要な対策をきちんと検討してまいりたいと考えております。
〇福井せいじ委員 関係の方々と調整しながらということですが、圧倒的に量が不足しませんか。調整して済む問題だとちょっと私は思えないんですけれども、例えば、こういった考え方もあるかと思うんですけれども、プラントの増設を県当局が主導して、今あるプラントだけではなく、さらに大規模なプラントを県が主体となって増設し、そこで供給体制をつくるというようなことは考えられないでしょうか。
〇上野副知事 委員御指摘の話との関連でもう少し申し上げますと、今後考えられる対応策といたしまして、御指摘ございましたように、大規模な需要を伴う発注工事が、かなりの確率でといいますか、必至だと思われますけれども、その場合の専用の製造プラントの設置をどうしていくのか、あるいは隣接県などから骨材購入が急増する場合の実勢に応じた適正な積算価格の設定の問題ですとか、あるいは業界団体に対しまして、需要量の増加が見込まれる地域に業界団体が新たな製造プラントを建設した場合の実勢に応じた適正な積算価格の設定、こうした点についてよく対応策を練っていこうと思っております。
〇福井せいじ委員 私は、県主導のプラント建設という話もしましたが、そういった意味では、民間業者が新たなプラントを増設するといった場合には、さまざまな支援をしながら、コンクリートの供給量を確保するという状況を県がつくり上げることが大切だと思います。ぜひとも、そういった支援策も含めて考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇上野副知事 委員が御指摘されたような点も十分踏まえまして、コンクリートの供給不足というような事態が復興の支障にならないように、きちんと考えていきたいと思っております。
〇福井せいじ委員 県の役割というのは、発注すればそこで終わりというわけではないと私は思っております。特に、今回の震災関連、復旧工事においては、最後の最後まで、完成するまで私たちが見届けなければいけない。そのために、発注した後も、いかに資材あるいは労働が確保されるか、そういったことも何とか支援していきたい。そしてまた私たちも応援していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、ちょっと時間がなくなってまいりました。ここで災害廃棄物の再生についてお聞きしたいと思います。
 災害廃棄物については、今までの委員、そしてまた一般質問でもさまざまな議論がなされてきましたが、きのうの新聞を読みますと、災害廃棄物の処理をめぐって、今、日本が揺れ動いていると私は感じます。昨年の震災以降、全国各地からボランティアの人々が駆けつけたり、多くの方々の善意による義援金が多数寄せられたり、きずなという言葉に象徴された日本人の思いやりにあふれた行動は世界から称賛を受けました。しかし、震災から1年を経ようとしている今、災害廃棄物の処理をめぐって日本各地で受け入れ反対運動が活発化し、そのきずなの精神が壊れつつあるように感じます。
 私は、この廃棄物処理に関する今の状況の真の問題点は、人々の感情でもなく、経済的負担でもないと考えています。ひとえに廃棄物の放射能に関する正しい情報が伝わっていないことにあると考えます。正しい情報が伝わっていない原因は政府に対する信頼の欠如でもあり、さらに、私たちが情報を伝える技術が稚拙であることにも起因していると私は考えます。安全性を証明できる数値データを公表していく方法もありますが、もっと肌感覚というか、手触り感に訴える方法が大切だと私は感じています。そしてまた、この災害廃棄物は、震災以前は被災者の方々の暮らしの中の大切な財産であったはずです。そのもと財産であり、暮らしの中に息づいていたものが焼却処理されるということは悲しいことでもあります。そのようなことから、今、被災地にうず高く積まれている災害廃棄物に再び命を吹き込みよみがえらせ、さらに多くの方々に安全性を共有していただくことはできないかと考えました。
 そこで提案します。私は、デザイナー、建築家の方々の力を借りて、災害廃棄物の中の高田松原の松や材木を家具として再生させる仕組み、組織をつくりたいと考えます。一昨日、私は木工家具デザイナーの小田原健さんのもとを訪れました。この方は、平成3年、大分県を襲った台風19号により300万平方キロメートルの杉の木がなぎ倒され、その倒木を材料にしてログハウスをつくり、倒木材をよみがえらせた方です。
 今、このような仕組みをつくり、災害廃棄物の安全性をPRしていくことが復興の大きな足がかりとなると考えますが、いかがでしょうか。否定の意見は表面化しやすいです。しかし、肯定の意見はなかなかサイレントマジョリティーとして表面化しないものです。この表面化していく、肯定の意見を表面化させる仕組みをつくりたいと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
〇達増知事 災害廃棄物の処理に当たりましては、できる限り再生利用を図ることが重要であり、既に宮古市のボード会社が災害廃棄物中の木材を板材に再生利用して、復興ボードとして販売するなどの取り組みが行われております。また、高田松原の松を利用して仏像を製作するなどの取り組みも行われているところであります。
 広域処理を推進し、災害廃棄物を早期に処理するには、本県災害廃棄物の安全性を丁寧に説明し、理解を得ることが重要であり、いただいた御意見も踏まえながら、引き続きさまざまな取り組みについて検討してまいりたいと思います。
〇福井せいじ委員 終わります。(拍手)
〇喜多正敏委員長 次に、及川あつし委員。
   〔及川あつし委員質問者席に着く〕
〇及川あつし委員 まず、情報発信に関してでありますが、今定例会で知事などからいろいろ御答弁がありましたけれども、これから県民が期待しているのは、ひとしく県民は復興に向かっていると思うんですけれども、では、一体これからどうなるんだという具体的な姿だと思うんです。せっかく今回も前向きな御答弁がいろいろありましたけれども、まさに断片的で、体系的じゃない形で、それぞれの委員の質問に対しての答弁がありました。例えば、復興交付金事業については、関根委員の質問に対して理事が答えられた。復興工事の関係の平成24年度分の経済効果については商工労働観光部長から答弁があった。これは非常に前向きな数値でありまして、こういう前向きな数値は、やっぱり知事が前向きに、もっと体系的にどんどん県民に発信することで、県民の皆さんに希望を持ってもらえると思うんですが、これを知事に伺う前に、秘書広報室の広報のやり方にも問題があると私は思っていますけれども、余り御答弁がなかった稲葉秘書広報室長、御答弁願います。
〇稲葉秘書広報室長 情報発信のさらなる工夫についてでございますが、委員からお話がありましたように、岩手がどのような復興に向かっているのかについて、県民に対して的確に情報発信することが重要であると考えているところでございます。オール岩手として復興に取り組んでいくためには、特にも、知事みずからが県民に対してメッセージを発信することが重要でありますことから、県政広報誌でありますいわてグラフや県政テレビ番組での知事メッセージの発信、また、定例記者会見や報道各社からのインタビュー取材への対応、インターネット知事室における知事メッセージなどを通じて知事から情報発信してきているところでございます。
 また、いわてグラフや県政テレビ番組では、県の復興に向けた施策やその現状、復興に向かって取り組んでいる人々の姿などを中心に情報発信をしているところでございまして、復興に向かう県民の一体感の醸成に努めてきているところでございます。今後も、希望郷いわての実現に向け、県民一人一人が希望を持ち、復興に取り組んでいけるよう、知事からの情報発信を初めとし、いわてグラフや県政番組の内容をよりわかりやすく工夫するなど、的確でタイムリーな情報発信に努めてまいります。
〇及川あつし委員 的確でタイムリーもなんですけれども、悪いと言っているわけじゃなくて、せっかくの数字をもっと工夫して、県民に夢を与えるようにしていただきたいという趣旨です。
 例えば、今回、答弁にはありませんが、いわてデスティネーションキャンペーンの経済波及効果─後で伺ったら、これは岩手経済研究所と岩手県で共同で調査したと。今月号の岩手経済研究に出ているんです。103億9、100万円の3カ月の効果と。地元紙には、文章の中でちょろっとしか出てないです。この数字などというのは、いわてデスティネーションキャンペーンということでいっぱいいろいろ話をしていますけれども、具体的にどうなるんだというところが、まだ県民の中に十二分に伝わってきていませんので、こうした数値も含めて、県民にぜひ夢を与えていただきたいという趣旨であります。
 また、この前、総務委員会で平成23年度予算の繰越額をお聞きしましたけれども、震災関連だけで言うと、2、750億円繰り越すと。つまり平成24年度は3、500億円の震災関連工事の予算があるので、足し算すれば6、250億円です。これまでの計算の仕方でざっくりと私なりに計算すると1.7倍になるので、平成24年度は、例えば震災関連工事で経済波及効果は1兆円を超えるよという言い方だっていいと思うんです。雇用効果も5万人が見込まれると言っていますけれども、1.7倍したら8万5、000人ですから、こういう夢がある数値をぜひ与えていただきたいということですが、知事、何か所感がありますか。
〇達増知事 庁議の場でも、今回のこの議会が始まるに当たりまして、議会の場は、復興というともすれば膨大な情報の中で、その全貌を把握していただいたり、あるいは重要な具体的なところを知っていただくことが難しいことについて、県民の皆さんに知っていただく大きな機会なのだから、議員の皆さんの質問にきちんと答弁を準備する作業を通じて積極的に県民に広報していくようにと指導しているところであります。執行部が県民に対してメッセージを送る最大の場は議会だと思っております。私の知事演述を初めといたしまして、まずはそういったところに力を入れていき、そして、先ほど秘書広報室長が答弁しましたように、ツイッターとかというようなことも工夫しながら、さまざま努力していきたいと思います。
〇及川あつし委員 ぜひお願いします。
 次に、復興の進捗状況について伺います。
 最近、県民の皆さんからは仙台と盛岡の比較の話を聞きます。どうも仙台はバブルだなと。私も、予約をとろうとしてもホテルがなかなかとれないとか、いろんな現象が見えますし、報道でもあります。では、盛岡はどうかというと、まだそこまで至ってないような感じがするわけですが、ちょっと怖いのは、その状況が岩手県と宮城県の復興の進捗状況に絡められて語られているきらいがあるということでありまして、お尋ねしたいのは、仙台のいわゆる復興バブルと本県の進捗状況について、知事はどのように分析して認識しているのか。これは県民に対して、難しいかもしれませんが、ぜひ御説明いただければと思います。
〇達増知事 仙台市で、いわゆる復興バブルが生じていると報道されているということについては承知しております。
 岩手県のほうでは、復興事業の柱である復興交付金事業について、国に対する第1回目の申請額約5、438億円でありまして、これをもとに岩手県の産業連関表で試算しますと、岩手の地域経済への波及効果は、沿岸部全域で約8、000億円程度になると試算されます。この経済波及効果が早期に生じるように、今後速やかに交付申請を進めて、具体の事業に着手してまいります。
 また、経済波及効果ができる限り県内に生じるように、公共事業の発注方法を工夫してまいります。また、事業効果が長期に生じることも重要でありますので、事業の実施においては、若者が定着できる雇用の創出、美しいまちづくり等にも努めてまいります。
〇及川あつし委員 質問の趣旨のもう一つは、これは総務委員会でも指摘しましたけれども、今、県内の民間工事も進まない。なぜか。宮城県にどんどんと職人さんが取られている、多分これが市場の現状だと思うんです。そうした意味において、宮城県の状況と本県の状況というのは常に見比べて進んでいかないと、こちらの計画も順調に進まないんじゃないかと思うから伺っているわけであります。
 例えば、これも、この前いただいた労務単価の見直しですと、岩手県の全職種の平均値の見直しは3.3%アップですが、宮城県は7.8%アップなんです。今の民間ベースの労務単価もかなり違うと言われておりますけれども、これは公的にまた労務単価の違いをオーソライズしたということになって、私が懸念するのは、さらにこうした人の引っ張り合いとか物の引っ張り合いになりかねないかなという意味で質問しています。通告はしていませんけれども、何か所感があれば、御答弁いただければと思います。
〇達増知事 基本的には、岩手の中において岩手の被災者の皆さんがきちんと安全の確保、生活の再建、そしてなりわいの再生ということを進めていくことができるように、また、内陸と沿岸が一体となってオール岩手の復興を実現することができるように、岩手の現場に即した対応をしていくのが基本と思っておりますけれども、周辺県、隣県等の動きも参考にしてまいりたいと思います。
〇及川あつし委員 ぜひ、隣県の動向は注視していただきたいと思います。
 次に、たくさん質問が出ていますが、いわゆる瓦れきの広域処理についてであります。
 昨年の6月の一般質問で懸念を私は示しましたけれども、非常に残念な状況がここまで来ております。岩手県のこれまでの取り組みについても、これまでそれぞれ御説明がありましたけれども、達増知事が、こうやってきましたよという説明がなかなか聞こえてこないんです。なので、いろんなことをやられてきたと思うのですが、知事が、広域処理についてこれまでどのような取り組みをされてきたのか、この際、お聞きしたいと思います。
〇達増知事 広域処理については、特に放射性物質関連の問題については国の責任において推進することが必要であるということで、これまでも繰り返し、総理大臣を初め環境大臣、復興大臣等、政府に強く要請してきたところであります。その結果、総理大臣が全国知事会で協力を要請、環境大臣がさまざまな機会を通じて全国に呼びかける、また、先ほどこの委員会でのやりとりの中であったように、総理大臣が内閣としての説明や、また、受け入れ自治体への財政支援についても言及するというように、国もこれまで以上に自治体との調整や被災地とのマッチングに取り組んでいると思います。
 また、本県と地理的、経済的に結びつきが強い近隣県の理解と協力が非常に重要でありますので、北海道東北地方知事会議の場などにおきまして、それぞれの知事さん方に直接協力を呼びかけるなど、さまざまな機会をとらえて各県にお願いをしてきたところであります。これまでの取り組みを通じて、東京都の受け入れに加えて秋田県や八戸市と協定を締結するなど、近隣県を初めとした支援の動きが広がってきていると認識しております。
〇及川あつし委員 わかりました。これは熊谷泉委員も先ほど同様の質問をしているんですが、もちろん国の責任だと我々はわかっています。ただ、やっぱり知事もこの問題の当事者の一人として、これまでもいろいろやってきたのは理解していますけれども、さらに頑張ってもらいたいという趣旨の質問ですが、これから他の都道府県の知事の皆さんなどと交渉していく必要もあると思うんですけれども、そこについてどのようなお考えを持っているかお示し願います。
〇達増知事 瓦れきの広域処理の受け入れの判断に当たっては、正しい情報の提供が非常に重要でありますので、前向きな自治体に対して岩手から職員を派遣して、本県の状況、瓦れきの状況について説明し、また、県内被災地を案内して、放射性物質による汚染の度合いが極めて低いことを確認していただくなど、理解の醸成に努めているところであります。
 受け入れに向けて尽力いただいている秋田県を初め8自治体の長の連名で、みんなの力でがれき処理プロジェクトというものが設立されるなど、新たな支援の動きが広がっておりますので、こうした動きも踏まえながら、広域処理が一層加速するよう、さまざまな機会をとらえて働きかけていきたいと思います。
〇及川あつし委員 知事のできる、知事だからできる役割というものもあると思うので、それこそまた秘書広報室に申し上げて恐縮なんですけれども、場面場面にやっぱり知事が出ていくことによって物が進むということは必ずありますので、この問題についても知事の、言い方は悪いかもしれませんけれども、活用方法について、これは十分に検討するべきだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 そうした趣旨で伺いますが、いわゆる京都市で昨年、五山送り火の中の大文字焼き騒動というものがありました。これは、私は、全国に風評被害が広がった一つのきっかけにもなってしまったという意味で、大変に残念だし、いまだにこの問題は引きずっています。例えば陸前高田市から持っていかれた500本のまきは、まだ京都市の保管庫で、倉庫で眠ったままなんです。1、140ベクレル検出されたということで、その500本のまきをどうするんだということで、まだ議論になっている。この議論が起こるたびに、岩手県の廃棄物は放射能まじりだということで、どんどん市民に不安を与えている。まだ放置されたままの問題です。そうした意味において、知事は、このいわゆる京都の大文字焼き騒動というものについてどのようにとらえているか、所感をちょっと伺いたいと思います。
〇達増知事 昨年6月に、京都五山送り火に高田松原の松を使用するという話を伺ったときは、京都市民の被災地支援に向けた温かい御配慮に感激いたしました。8月、樹皮から放射性物質が検出され、安全かどうか判断できないという理由から使用を断念されたことは、ちょうど初盆を迎えるというタイミングで、被災者の心に寄り添うすばらしい取り組みであっただけに、大変残念に思っております。
 この背景の一つには、放射性物質を含む廃棄物の処理についての国の安全基準が当時不備であったことが挙げられます。この一連の出来事によって災害廃棄物に対する不安が風評となり、受け入れに前向きであった自治体も慎重となるなど、今日の広域処理の停滞を招いたところがあると考えております。
 現在、広域処理については、本県災害廃棄物の安全性についての理解も徐々に進んで支援の輪も広がってきていますので、今後とも一層の受け入れ拡大に向けて取り組んでまいりたいと思います。
〇及川あつし委員 詳細は部局でやりますけれども、今、知事から御答弁があった、当時の政府の基準づくりの不備は、また、今、大事な場面に来ていまして、大阪府の松井知事が受け入れるということになりました。私は、京都に交渉に行ったときに気づいたんですが、関西の広域でやっている埋め立て、大阪湾フェニックス計画で、海洋の埋め立てについては、政府が基準を出さないから、我々がやりたくてもやれないんだという言い方をされました。今回、松井知事がやるということになったんですけれども、いまだにこの埋め立て基準はできてないので、多分、ここでひっかかると思うんです。これは早急に政府に、せっかく大阪府が前向きに来ているんだけれども、基準がないことによって受け入れ断念ということになれば、またおくれますので、これは早急に政府にやってもらいたいんですが、いかがですか。知事か副知事、どちらか御答弁願います。
〇千葉副知事 今のお話でございますけれども、ガイドラインについては8月に策定されているという状況でございますので、いずれ、今回の埋め立て基準につきまして、きちんと国に対してさらに確認を求め、この対応について、関西での取り組みが進むように進めていきたいと思っております。
〇及川あつし委員 突然の質問で恐縮ですけれども、海洋の埋め立てについてはまだ出てないはずなんですよ。8月は全体のものが出ていますけれども、海洋が出ていない。だから、ここについてはぜひ進めていただきたいという趣旨でありますので、よろしくお願いします。
 次に、県内の金融機関の現状と課題について伺いたいと思います。
 震災がありまして、保険金の支払いなどが主な要因で県内の金融機関の預金残高は急激に伸びておりまして、日銀の盛岡支店の統計を見ますと、昨年の12月末で何と4兆9、601億円、前年対比11.2%であります。本県の金融機関は基本的に預貸率が非常に悪うございまして、この期間、貸し出し残高は2兆3、157億円、わずか2.9%しか伸びていない。預金が11.2%伸びたけれども、貸し出しは2.9%しか伸びていないという現状であります。金融機関は、ただ単に預金がたまっていくと、貸し出しができなければ運用できないということで、預金保険料などでコストがかさんで非常に厳しい状況だということで、地元の金融機関については、これから復興のかぎですから、こうした金融機関の状況を的確にとらえていく必要があると思うんですが、上野副知事が所管かと伺っておりますが、地元金融機関の現状と課題について、どのように認識しているのか伺いたいと存じます。
〇上野副知事 県内の金融機関の現状と課題についてでございますが、県内金融機関では、発災直後から、独自の災害復旧資金の創設や復旧支援チームの設置、さらには、国や県と連携した事業者の二重債務解消への対応など、被災地の復興に向けて積極的に取り組んできておられると認識いたしております。
 他方で、御指摘のとおり、県内金融機関では、預金残高の大きな伸びに対しまして貸出金残高の伸びが鈍化しているという状況がございます。特に、地銀3行で例えてみますと、平成23年度の第3・四半期決算では、中小企業向け等の事業性貸し出しの割合が前年同期をわずかに下回っておりまして、本業の貸し出しがなかなか伸びていないという状況にあることは事実でございます。
 こうした状況ではありますが、現在、グループ補助金などによる支援や二重債務問題の解消につきましても進めていただいておりまして、今後さらに事業再生に伴った資金需要が見込まれることから、県といたしましても、県内金融機関が一堂に会しました金融懇談会というものをやっているんですが、これも震災後は復興を支援するという形に衣がえをしておりますが、そうした場などさまざまな機会を通じまして、地元の金融機関の皆様方に積極的な金融支援について御協力を求めていきたいと思っております。
 金融機関は、こうした資金需要に的確にこたえて円滑な資金供給に努め、被災地の復興の一翼を担うとともに、地域金融機関として、これまで培った情報やノウハウを生かして、ものづくりや観光、食産業の振興、さらには農業の6次産業化の推進など、地元に密着した産業振興に積極的に取り組んでいただきたいと考えております。
〇及川あつし委員 よろしくお願いします。
 なお、今、御答弁があった県内の金融機関の現状を踏まえて伺いますが、我が県も県債をいろいろ発行しているわけですが、県債の発行をするに当たっての調達の方法があると思います。今、政府のほうでは市場公募債をやれみたいな話もあるんですが、本県の公債発行の考え方、市場公募債の導入も含めて、どのような基本的な考え方に基づいているのか、先ほどの金融機関の現状も踏まえてお伺いしたいと思います。
〇加藤総務部長 県債発行の考え方ということでございますが、公的資金の段階的な縮小が進んでいる中でございまして、本県におきましても、銀行等の引き受け資金など民間資金の割合が高まっております。県債の発行に当たりましては、低利で安定的な調達を基本としておりまして、証券発行方式の活用でございますとか償還期間の多様化など、流動性にも配慮した調達に努めております。
 市場公募地方債の導入につきましては、広く募るということでございますので、低利で安定的な資金調達が期待できるものの、現在、地元金融機関を初めといたしました各金融機関の引き受け意欲が高い─いろいろ預金はふえているという中で、非常にそこをうまく低利で出していただけるという状況もございます。そういうことで、銀行等引き受けによる資金調達が順調であるという事情もございます。
 実際、発行の手数料、また、市場公募ということになりますと、専門職員の養成、配置といったこともございますので、トータルコストを十分考慮する必要があると考えておりまして、こうしたさまざまな要因を踏まえまして、今後の金融市場の動向などを総合的に勘案いたしまして、市場公募地方債の導入につきましては、引き続き検討を重ねていきたいと考えております。
〇及川あつし委員 証券会社系のシンクタンクは、市場公募債を出せ、出せみたいなレポートも出していますけれども、今、部長から御答弁があったようにトータルコストで考えていただいて、県内の金融機関の現状も踏まえて、しかるべき県債の発行のあり方をやっていただきたいということでございます。
 次に、エネルギー問題について伺います。
 御案内かと思うわけですが、2月24日、枝野大臣はついに原発の再稼働の必要性について言及されたと報道されております。4月末には国内54基すべての原発がとまることが不可避の現状になってまいりました。
 ついては、今後の電力需給の見通しをどのように認識しているのか、知事に伺いたいと存じます。
〇達増知事 今後の電力需給の見通しについてでありますが、昨年11月、国が策定したエネルギー需給安定行動計画によりますと、原子力発電所の再稼働が行われない場合、ことしの夏は、昨年と同様に節電対策を講じたとしても、電力需要のピーク時には日本全体の供給余力は4%程度とされ、火力発電所の運転再開のおくれなどが生じれば、全国的に供給不足になるおそれがあるとされています。同じく、東北電力管内においては、供給余力が2割程度と全国に比べて大きいものの、猛暑等による需要の大幅な増加があった場合に、昨年、緊急的に実施された電力会社間の電力融通がことしは困難となることも予想されることから、電力需給見通しは厳しい状況が続くものと認識しております。
〇及川あつし委員 知事、電力需給については枝野大臣が1月からころころ発言を変えているんです。最初は、ことしについては電力使用制限によらずとも乗り切ることは大丈夫だと言ってみたり、最終の最後になって、今になったら、原発を動かさなきゃだめだと言ってみたり、いろいろぶれがあるなと。
 そういう中で、去年は本県については、被災県ということでいわゆる計画停電の対象地域にならなかったけれども、今一番心配しているのは、いわゆる計画停電であります。計画停電というのは、基本的に避けなければいけないし、絶対避けなければいけない問題だと思っています。そうした観点から言うと、我々として、計画停電を避けるために何をするべきかという目標、努力というものが必要だと思いますし、そのために知事も今後必要な行動をとっていくべきだと思っているんですが、知事の所見を伺いたいと思います。
〇達増知事 昨年の厳しい電力需給状況を踏まえて、庁議において節電対策の強化を確認し、全部局において取り組んだ結果、県としまして、ピーク時電力が前年より約22%の削減となりました。さらに、国や市町村等とも連携しながら、県民や事業者の方々に幅広く節電の取り組みを呼びかけた結果、オール岩手としまして約20%の削減が図られて、昨年、計画停電が回避できたものであります。ことしも厳しい需給状況にありますので、引き続き、県またオール岩手の省エネ、節電対策に取り組んでまいります。
〇及川あつし委員 知事にお願いしたいのは、東北電力からことしの夏の電力需給の見通しがまだ出ていないということなんですけれども、もちろん県民も節電努力をするということも大事なんですけれども、早目にその見通しを出していただいて、県として何をやるべきかということを十分考えなければいけないと思うんです。ぜひ、そうした行動については早目の行動をお願いしたいと思いますし、計画停電を避ける努力をするけれども、やむを得ず計画停電になってしまった場合の万が一の計画、対応というものも大事なのかなと思います。去年の関東の計画停電の実証をいろいろ仄聞しますと、現場では非常に大変な問題があったと聞いておりますが、本県ではならないようにすることが第1で、万が一の場合に備えるというのが第2だと思うわけですが、万が一の備え、医療、介護などライフラインを維持するための対策についての検討はどう考えていますか、お伺いいたします。
〇達増知事 医療、介護などの分野での対策が重要でありまして、東日本大震災津波を踏まえて、災害に強い医療提供体制を整備していくため、国の補助制度や地域医療再生臨時特例交付金を活用して、災害拠点病院や透析医療機関を対象とした自家発電装置の整備支援を当初予算案に盛り込んでおります。また、国の平成23年度第1次補正において介護施設等を対象とした非常用自家発電装置の設置に対する支援が盛り込まれましたので、本県では、昨年6月補正予算において介護施設及び障がい者支援施設等を対象とした自家発電設備整備支援を措置して、これまで合わせて54施設に対し補助を行っております。
 県としましては、患者また入所者の生命、身体の安全確保の観点から、医療施設や介護施設等の電力の安定供給は極めて重要と考えており、国に対して必要な設備整備等に対する財政支援の拡充や、計画停電時でも通電される施設の拡大を働きかけてまいります。
〇及川あつし委員 緊急的にいろいろやられているのは承知しておりますけれども、夏に間に合うか間に合わないかの問題もあると思うので、そこは、計画について詳細の検討をぜひお願いしたいと思います。
 エネルギー対策全般についてでありますが、今回、本県の地球温暖化対策実行計画が提案されておりますけれども、前から私は申し上げておりますが、電力の自給率の目標がないということについて大変に疑問を持っている一人であります。
 しかも、現在、本県においては、環境生活部が再生エネルギーの所管をやっておりますけれども、具体については農林水産部の中で水力のことをやっていたり、木質バイオマスの件を推進したり、ちょっとばらばら感があるなという感じもしていますし、本来的なエネルギーの政策という部門をしっかりとつくってやっていく必要があると思っておりますが、現状と課題についてどのように認識しているのか伺いたいと存じます。
〇達増知事 県の地球温暖化対策実行計画におきまして、本県に豊富に賦存する再生可能エネルギーを電力利用することが、地球温暖化防止や防災面でも大きな効果が期待できるという考えに基づきまして、再生可能エネルギーによる電力自給率を目標に掲げました。
 今後、固定価格買取制度の実施により、再生可能エネルギーの利活用が一層進むと考えておりまして、県では、目標達成に向けて、太陽光、風力、地熱などの大規模発電施設の立地や防災拠点施設、住宅、事業所等への導入などに積極的に取り組んでまいります。
 推進体制についてでありますが、まず、それぞれの所管部局が、それぞれの専門性を生かすことによって大きな成果を上げることができるということがある反面、それですと横断的な情報共有や、また総合的な取り組みが場合によっては不十分となる可能性があるという課題も挙げられます。
 このため、本年1月、知事を本部長とする再生可能エネルギー推進本部を立ち上げまして、再生可能エネルギーへの期待の高まりにこたえられるよう、全庁的な情報共有や施策の調整を行いながら、総合的かつ積極的に施策を展開してまいります。
〇及川あつし委員 今、知事から答弁あった、反面という言葉の後が、今ちょっと現状としてあるのかなという感じがしております。ある課ではアクセルを踏んで、ある課ではブレーキを踏んでいる、こういうところも散見されますので、ぜひ一度、御精査をお願いしたいと思います。
 次に、雇用対策及び被災者の生活再建対策について伺います。
 今回、我が会派が提起をして、各派共同提案の見込みでありますが、求職者支援制度における訓練受講給付金の支給要件についての改善を求めているところでありますが、これは去年、盛岡市でこの制度で受講している方から相談がありました。津波で御主人を亡くされた。そして、2人の子供を連れて盛岡市に来て、この訓練を受講して何とか生活をしのいでいる。しかし、12月になって、子供が2人続けざまにインフルエンザにかかって休んでしまった。そうしたら、出席要件の8割を欠いてしまったので給付されなかった。何とかならんかという話で、調べたのですけれども、これは何ともならんのですね。
 何度も要望したら、2月から、2月6日以降にインフルエンザにかかった場合はオーケーということになったんですが、インフルエンザはいいけれども、ノロウイルスはだめとか、いろいろな問題がまだまだあって、今、雇用保険が切れて、この制度というのは、セーフティネットの中でもかなり緊急性が高い、重要性が高いものだと思っておりますが、県は実態を把握しておりますでしょうか。また、その把握のもとに、我々も意見書を出す予定にしておりますが、県としても政府に制度改善を求めるべきと考えていますが、いかがですか。
〇上野副知事 求職者支援制度における訓練受講給付金の支給要件の改善についてのお尋ねでございますが、訓練受講給付金につきましては、訓練期間の8割以上出席することが支給要件となっておりますが、県内におきましては、本人や家族のインフルエンザ感染や本人の疾病による定期的な通院など、やむを得ない事情により2割以上欠席したことから、支給要件を満たさず訓練受講給付金を受給できない事案が生じていると岩手労働局より伺っております。
 こうした状況を踏まえまして、国におきましては、2月7日以降の支給申請から、本人や家族がインフルエンザに感染したことを理由とする欠席につきまして、出席要件の算定から除く旨の制度改善がなされたところであります。
 県といたしましては、今後、本人の責めによらない真にやむを得ない理由による欠席の事案があった場合の取り扱いにつきましては、岩手労働局に情報提供するとともに、今回と同様の対応がとれないものかどうか、必要に応じて検討をお願いしてまいります。
〇及川あつし委員 これは、今申し上げたノロウイルスは認められないんですよ。こういう問題もあるので、ぜひ早急にお願いしたいと思います。
 あと、被災者の皆さんも今、就業意欲が非常にわいてきているということも多分原因なんだと思うんですが、県内の保育所の入所状況がまたまた厳しくなっていると思っております。
 県からは、厚生労働省が数字を発表していないので数字を答弁できないと思いますので、私から申し上げれば、盛岡市については1月1日現在で待機児童が233名となっている。全県では1月1日現在で多分400名を超えているんです。猛烈にこれがふえております。
 この現状について、また、今後の見込みについてお考えを示していただきたいと思います。また、緊急対策も必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 待機児童の現状と今後の見込みについてでございますけれども、待機児童数は、年度当初と比較いたしまして、年度途中では一定の増加が見込まれますことから、ことしの1月の状況を改めて市町村に確認いたしましたところ、内陸部の市町村では、これまでより待機児童数が増加しておりまして、委員が今御指摘のような状況にございます。したがいまして、県全体として保育ニーズが増加傾向にあると考えております。
 県では、これまでも待機児童の解消に向けて対象となる市町村と定期的に協議を行ってきておりますが、市町村からは、その理由として、新規就労希望者の増加や、あるいは産後休暇後、直ちに職場に復帰する方の増加などが挙げられておりまして、また、委員御指摘のように、東日本大震災津波による沿岸部からの避難や移住なども、その一つの要因に含まれているものと推察しているところでございます。
 このため、まず、市町村に対しましては、待機児童の発生、増加要因を十分分析した上で、保育所の整備計画等を策定するよう助言しているところでございまして、今後とも具体的な協議を重ねながら、計画的な保育サービスの提供が図られるように支援したいと考えております。
 また、今般の東日本大震災津波被災による避難への対応に関しましては、市町村に対し、被災児童を保育所で受け入れる場合、処遇に著しい影響が生じない範囲であれば、最低基準を一時的に下回ってもやむを得ないとする通知を発しているところでございまして、このような制度の活用により適切に対応することも促しているところでございます。
〇及川あつし委員 今、副知事がおっしゃった点は、再度徹底をお願いしたいと思います。最低基準の件ですね。
 なぜ待機児童がふえているかのもう一つの理由は、私は、明らかに保育士の関係だと思うんですね。
 次に二つまとめて聞きますが、まず、県内の養成施設の卒業生の就職状況はどうなっていますでしょうか。また、これは年度途中に保育士の確保をしようとしても、今は来ないんです。そういった意味で対策を講ずる時期に来ていると思うんですが、いかがでしょうか。
〇千葉副知事 まず、保育士養成施設卒業生の県内保育所就職状況についてでありますが、県内の保育士養成施設4施設の平成22年度卒業生のうち、就職者数は全体で261名となっております。
 この就職者のうち、保育所への就職者は168名でございますが、そのうち県内の保育所への就職者は115名であり、就職者全体に占める割合は44.1%となっているところでございます。
 次に、保育士確保に関する現状認識と対策についてでありますが、市町村からは、年度途中での保育士の確保が困難な状況にあることも待機児童が増加する要因の一つと伺っておりまして、待機児童の解消に向けては、施設整備による定員拡大に加え、保育士の確保対策についても課題となってきていると認識しております。
 この年度途中での保育士の確保につきましては、新規卒業者の採用が困難でありますことから、在宅の保育士の活用を検討する必要があると考えておりまして、県では、本年2月に、岩手県で保育士登録を行った方約9、900名余を対象に、現在の就労状況や今後の就労意向などの調査を行ったところでございます。
 結果の詳細につきましては、現在、集計、分析中でありますが、現時点での集計結果によりますと、県内在住の方からの回答者約3、600名のうち、現在働いていない、または保育所等以外の業種に就業している方は約1、100名でありまして、そのうち、今後、保育所で働きたいという意向を持っている方が約450名いらっしゃるところでございます。
 このため、県といたしましては、今後、本調査結果をもとに分析を進めまして、市町村や関係団体と連携しながら、保育士の確保対策について検討していきたいと考えております。
〇及川あつし委員 ありがとうございます。待遇の面も、多分これは介護士と同じ問題があると思うので、あわせて取り組みをお願いしたいと思います。
 40秒、国体について最後伺います。
 準備業務について。去年1年間、準備業務がとまってしまったわけですが、準備のおくれを心配しておりますが、平成23年度分のおくれをどう取り戻していくのか、準備業務について伺います。
 次に、選手強化施設について、知事は、国体の選手強化本部長でありますから伺いますが、多目的屋内練習施設─ドーム、人工芝グラウンドの整備についてどのように進めていくのか、その状況について知事の所見も伺いたいと思います。
〇千葉副知事 第71回国民体育大会の開催準備でございますが、御案内のとおり、本年1月30日に開催いたしました岩手県準備委員会第5回総会におきまして、本大会を復興のシンボルと位置づけ、県民との協働を基本とする新しい岩手型国体として開催することとし、大会開催方針を変更し、開催に向けて新たなスタートを切ったところでございます。
 来年度は、政策地域部にございます国体推進課を国体室に格上げし、体制強化を図りつつ、6月には開催申請書を提出し、開催内定となるよう準備を進める予定としております。
 いずれ、先ほど御答弁申しましたこの準備委員会に、例えば、仮称でございますが、募金推進委員会を設置し、県民からの寄附募集等も本格化していきたいと考えておりますし、また、一方、国体の愛称やスローガンの制定、マスコットの募集、競技会運営に係る全般的な検討なども行うこととしており、平成28年の開催に向けて準備に万全を期していきたいと考えております。
〇達増知事 国体選手強化施設についてでありますが、多目的屋内練習施設、いわゆるドームについては、競技力向上のため、競技者等が気象条件等に左右されず、計画的かつ継続的にトレーニングが実施可能な環境整備、また、スポーツ医・科学サポート体制を拡充することが必要であることから、整備を計画したところであります。
 第71回国民体育大会に向けた選手強化については、国体の開催方針を踏まえた新しい発想に基づく競技力向上対策に取り組むこととしており、平成24年度以降は、これまで以上に各競技団体との連携を密にし、より効率的な競技力向上を実施するための年次計画や強化事業を再構築することとしています。
 ドームについては、既に実施計画を終えていますが、選手強化事業の中にどのように位置づけていくか、選手強化のあり方とあわせて検討してまいります。
 また、県営運動公園の人工芝グラウンド整備については、サッカーの競技会場として使用が見込まれたことから、設置者である県において整備を計画したところでありまして、サッカーの競技会場については、現在、会場地市町村と競技団体において、会場数や整備計画について調整中でございます。
〇及川あつし委員 いずれ、県民の夢を実現できるように、ぜひ、ともに頑張ってまいりたいと思います。
 終わります。(拍手)
〇喜多正敏委員長 お諮りいたします。5時も過ぎましたので、続く総括質疑はあす行うこととしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇喜多正敏委員長 ご異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 あす以降は、毎日午前10時から開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時22分 散 会

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