平成23年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成23年11月1日(火)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  農林水産部長   東大野 潤 一
  理事    高前田 寿 幸
  副部長兼
  農林水産企画室長 橋 本 良 隆
  農政担当技監   徳 山 順 一
  農村整備担当技監 須 藤 勝 夫
  林務担当技監   竹 田 光 一
  水産担当技監兼
  水産振興課    寺 島 久 明
  総括課長
  競馬改革推進室長 立 花 良 孝
  技術参事兼
  農村計画課    沼 崎 光 宏
  総括課長
  農林水産企画室
  企画課長    小 岩 一 幸
  農林水産企画室
  管理課長    高 橋   徹
  団体指導課
  総括課長    大 友 宏 司
  指導検査課長   小田島   新
  流通課総括課長  菊 池   寛
  農業振興課
  総括課長    工 藤 昌 男
  担い手対策課長  千 田 牧 夫
  農業普及技術課
  総括課長    鈴 木   茂
  農村建設課
  総括課長    伊 藤 千 一 
  農産園芸課
  総括課長    千 葉 泰 弘
  水田農業課長   小 野 正 隆
  畜産課総括課長  山 田   亙
  振興・衛生課長  渡 辺   亨
  林業振興課
  総括課長    佐 野   淳
  森林整備課
  総括課長    藤 川 敏 彦
  整備課長    赤 澤 由 明
  森林保全課
  総括課長    佐 藤 順 一
  漁業調整課長   石 田  享一
  漁港漁村課
  総括課長    大 村 益 男
  競馬改革推進監  菅 原 伸 夫
  競馬改革推進室
  特命参事    佐 藤   博
  競馬改革推進室
  特命参事    平 野   直

  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    浅 沼   浩

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇高橋昌造委員長 これより本日の会議を開きます。
 10月28日の当委員会において、久保孝喜委員及び斉藤信委員から、花泉診療所の事案について、知事並びに保健福祉部及び医療局の関係職員の出席を求めて集中審査を行われたい旨の発言があった件について、10月28日及び昨日、世話人会を開催し、協議いたしましたので、その協議結果を御報告いたします。
 久保孝喜委員及び斉藤信委員から発言があった花泉診療所の事案については、11月2日の最終日の県土整備部の審査終了後、知事及び宮舘副知事並びに保健福祉部及び医療局の関係職員の出席を求め、集中審査を行うこととするとの結論に至りました。
 また、質疑の方法については、1会派につき、答弁時間を含めて30分以内、また、会派に所属しない委員についても1人30分以内とし、その30分の範囲内で、会派内の複数の委員が質疑を行うことができるとの結論に至りました。
 お諮りいたします。世話人会の協議結果のとおり、花泉診療所の事案については、11月2日の最終日の県土整備部の審査終了後、本委員会に、知事及び宮舘副知事並びに保健福祉部及び医療局の関係職員の出席を求め、集中審査を行うこととし、質疑の方法については、1会派につき、答弁時間を含めて30分以内、また、会派に所属しない委員についても1人30分以内とし、その30分の範囲内で、会派内の複数の委員が質疑を行うことができるとすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、農林水産部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 なお、委員各位御承知のとおり、本日の農林水産部の審査につきましては、議会運営委員会の決定に基づき、第1部、第2部に分けて審査することとし、第1部では農業関係分野について、第2部では林業関係分野及び水産業関係分野について審査することになっておりますので、御了承願います。
 最初に、農林水産部長に農林水産部関係の説明を求めます。
〇東大野農林水産部長 農林水産部関係の平成22年度の決算について御説明申し上げます前に、農林水産部所管の事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について説明申し上げます。
 なお、主な成果につきましては、東日本大震災津波の発災前の状況でございますので、御了承願います。
 平成22年度におきましては、就業者の減少、高齢化の進行や景気悪化に伴います生産物価格の低下など、農林水産業を取り巻く環境が厳しさを増していく中、本県の農林水産業を、我が国の食を支える産業として、また、地域経済を牽引する内需主導型産業として確立していくため、いわて県民計画に基づき各種施策を推進いたしました。
 具体的な成果につきましては、いわて県民計画アクションプラン政策編の政策項目ごとに申し上げます。
 まず、一つ目の柱でございます農林水産業の未来を開く経営体の育成についてでありますが、担い手への農地利用集積や経営の高度化支援など、認定農業者や集落型の農業経営体の育成に取り組んだほか、経営力の向上に向けた地域森林経営プランの実践支援によります地域けん引型林業経営体の育成、漁協の地域営漁計画の実践支援によります中核的な養殖漁業経営体の育成に取り組んだところです。
 この結果、地域けん引型林業経営体数は順調に増加してきておりますが、認定農業者数や中核的な養殖漁業経営体数につきましては、高齢化による経営規模の縮小や、平成22年2月のチリ地震津波によります養殖施設の損壊などにより目標を下回る見込みです。
 次に、二つ目の柱であります消費者から信頼される食料、木材供給基地の確立についてでありますが、東北初の県版GAPの普及、定着などによる安全・安心で高品質な農林水産物の供給体制づくりに取り組みましたほか、高品質、低コスト、安定生産につながる農林水産物生産技術の普及、定着、低コスト間伐に対応した高性能林業機械の導入、サケの回帰率向上に向けた生産技術開発やワカメ養殖の機械化など、生産性、市場性の高い産地づくりに取り組んだところでございます。
 また、加工、業務用需要に対応した野菜産地づくりや園芸新品目の導入促進、高品質、安定生産等を実現する新たな品種や生産技術の戦略的な開発にも取り組んだところでございます。
 こうした取り組みを進めてございますが、景気低迷によります生産物価格の下落などもあり、平成21年の産出額等は、農業、林業、漁業とも前年を下回りました。
 次に、三つ目の柱である農林水産物の高付加価値化と販路の拡大についてでありますが、食のプロフェッショナルチーム等との連携による商品開発、販路開拓など、農林水産物の付加価値向上に取り組むとともに、販売チャネルの確立や情報発信などに取り組んだところです。この結果、6次産業化による販売額等は順調に増加してきております。
 次に、四つ目の柱であるいわての魅力あふれる農山漁村の確立についてでありますが、グリーン・ツーリズム受け入れ体制の強化や集落営農組織等の起業活動を支援したほか、地域住民等との協働による農地等の保全活動の支援などに取り組んだところです。この結果、農地等の保全活動に取り組む地区数や、アグリビジネス販売額は増加傾向にありますが、グリーン・ツーリズム交流人口につきましては、体験型教育旅行受け入れ人数の伸び悩みにより目標を下回る見込みです。
 次に、五つ目の柱である環境保全対策と環境ビジネスの推進についてでありますが、環境保全型農業の実践支援や、森林資源を活用した排出量取引等の制度参加の支援などに取り組んだところです。この結果、環境保全型農業実践者数や、森林資源を活用した排出量取引等による二酸化炭素削減に取り組む事業所数は着実に増加しております。
 次に、今後の取り組み方針についてでありますが、本県農林水産業は、東日本大震災津波により、沿岸地域を中心に甚大な被害が生じており、特に被害が甚大な水産業はもとより、農林業を含めた全体の早期復興に向けたこれまでの取り組みをより加速させていくことが重要と考えております。
 このため、本年8月に策定した岩手県東日本大震災津波復興計画に基づき、漁協を核とした漁業、養殖業の構築と、産地魚市場を核とした流通、加工体制の構築に取り組むとともに、漁港等の生産基盤や海岸保全施設などの速やかな復旧整備を進め、地域に根差した水産業の再生を目指してまいります。
 また、地域特性等を生かした生産性、収益性の高い農業の実現に向け、園芸産地の形成や農地等の農業生産基盤の復旧整備に取り組むほか、被災した合板工場の復旧整備の支援などにより、地域の木材加工体制の再生も進めてまいります。
 さらに、本県農林水産業が、震災前にも増して地域経済を支え、持続的に発展できる産業として確立し、生産者や消費者がその豊かさ、恵みを実感できる食と緑の創造県いわてを実現できるよう、いわて県民計画に基づく取り組みを着実に進めていくことが重要と考えております。このため、大震災津波によるさまざまな影響なども配慮しながら、地域の核となる高い経営感覚を備えた担い手の確保、育成や、生産性、市場性が高く、安全で安心な産地づくり、農林水産物の高付加価値化などを重点に、いわて県民計画第2期アクションプランの策定を進め、その推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上、当部所管の平成22年度における事務事業に係る主な成果と今後の取り組み方針の概要について御説明申し上げました。
 続きまして、当部関係の平成22年度の決算についての御説明を申し上げます。
 まず、一般会計についてでありますが、平成22年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。
 予算現額は、6款農林水産業費のうち、県土整備部が所管するものを除いたもの及び16ページの11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費を合わせまして757億2、864万円余であります。
 これに対する支出済額は562億3、159万円余となり、前年度に比較して、金額で166億3、406万円余、率にして22.8%の減となっております。また、翌年度繰越額は、計画調整や設計、工法の検討等に不測の日数を要したことなどによりまして、繰越明許費の127億854万円余及び東日本大震災津波により事業が遅延したことなどによる事故繰越の52億8、746万円余を合わせて179億9、600万円余となりました。
 次に、決算の内容につきまして、平成22年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 歳入歳出決算事項別明細書の242ページをお開き願います。6款農林水産業費1項農業費であります。1目農業総務費の主なものは、農政関係職員の人件費などの管理運営や国土調査に要した経費であり、備考欄五つ目のいわて農林水産業6次産業化推進事業費は、他産業と連携した新たなビジネスの創出や加工、販売分野への進出など、農林水産業の6次産業化に向けた取り組みの推進に要した経費です。2目農業金融対策費の主なものでありますが、245ページに参りまして、備考欄六つ目の米価下落緊急対策資金貸付金は、平成22年産米に係る概算金の大幅な引き下げにより資金繰りが悪化した稲作農家の経営の早期安定化を図るため、所要資金を貸し付けるための原資の一部を金融機関に預託した経費です。3目農業構造改善対策費は、都市との交流拡大による農山漁村の活性化を図るため、体験型教育旅行の誘致やグリーン・ツーリズムの拡大に向けた情報発信を行ったものです。4目農業改良普及費は、農業改良普及センターの管理運営等に要した経費です。246ページをお開き願います。5目農業振興費の主なものでありますが、備考欄中ほどの中山間地域等直接支払事業費は、耕作放棄地の発生を防止し、多面的機能を確保しながら農業生産活動等を行った農業者等に対し交付金を交付したものです。その次のいわて希望農業担い手応援事業費補助は、集落営農組織等の経営の多角化や、県北地域などにおける競争力の高い園芸、畜産等の産地形成、地域資源を活用したアグリビジネスの展開などに要した経費に対し補助したものです。248ページをお開き願います。6目農作物対策費の主なものでありますが、備考欄二つ目の鳥獣被害防止総合対策事業費は、市町村被害防止計画に基づいた防護対策等の実施に要した経費に対し、補助したものです。7目畑作振興費の主なものでありますが、備考欄下から二つ目、青果物等価格安定対策等事業費補助は、青果物等の価格が著しく低下した場合に、生産者に交付される補給金の造成に要した経費です。8目北上奥羽山系開発費は、北上・奥羽山系地域で実施した広域農業開発事業における地元負担金の償還などに要した経費です。250ページをお開き願います。9目植物防疫費は、病害虫の防疫指導のほか、生産者及び農薬販売業者に対する農薬の適正使用、適正販売の指導、検査などに要した経費です。10目農業協同組合指導費と11目農業共済団体指導費は、各組合の検査、指導監督に 要した経費です。12目農業研究センター費は、同センターの管理運営及び試験研究等に要した経費です。252ページをお開き願います。13目農業大学校費は、同校の管理運営に要した経費です。
 次に、254ページをお開き願います。2項畜産業費であります。1目畜産総務費の主なものは、畜産関係職員の人件費等です。2目畜産振興費は、生産性の高い畜産経営体を育成するため、家畜の飼養管理技術の指導及び改良増殖を初め生産から流通、消費に至る総合的な畜産経営対策に要した経費です。256ページをお開き願います。3目草地対策費は、飼料基盤に立脚した効率的な経営体の育成及びこれを核とした畜産主産地の整備を行うため、草地の整備改良や畜舎等の整備に要した経費です。4目家畜保健衛生費は、家畜伝染病予防法に基づく家畜伝染病検査や、24カ月齢以上の死亡牛のBSE検査などに要した経費です。258ページをお開き願います。5目農業研究センター費は、畜産研究所の管理運営及び試験研究等に要した経費です。
 次に、3項農地費であります。1目農地総務費は、農地関係職員の人件費等です。260ページをお開き願います。2目土地改良費のうち、当部関係は、水田の大区画化や排水条件の改良を行う圃場整備、用排水路等の整備、既存施設の老朽化に伴う機能保全計画の策定及び改修、農村景観の保全、農道等の整備など、農村の生産基盤や生活環境の総合的な整備等に要した経費です。262ページをお開き願います。3目農地防災事業費は、農地、農業用施設等への自然災害を未然に防止するため、防災ダム、老朽化した水利施設、防潮堤などの整備に要した経費です。264ページをお開き願います。4目農地調整費の主なものでありますが、備考欄二つ目の農地保有合理化促進費は、農業経営の規模拡大、農地の集団化等を促進するため、岩手県農業公社が行う農用地等の売買、賃貸借などの業務に要した経費に対し補助したものです。
 次に、4項林業費であります。1目林業総務費は、林政関係職員の人件費や県有林事業特別会計への繰出金です。266ページをお開き願います。2目林業構造改善対策費は、林業構造改善事業で施設導入を行った事業体等への経営指導などに要した経費です。3目林業振興指導費の主なものでありますが、備考欄中ほどのしいたけ等特用林産振興対策事業費は、特用林産物の生産体制の強化を図るため、シイタケ等の栽培技術などの研修や、新規参入者へのほだ木の整備に対する助成、原木の安定供給に必要な資金の貸し付けなどに要した経費です。269ページに参りまして、備考欄中ほどの森林整備加速化・林業再生事業費は、森林の整備や、間伐材その他の森林資源の利用を促進するため、間伐の実施、作業道の開設、間伐材の運搬、木材の加工、流通施設や木造公共施設の整備及び高性能林業機械の導入などに係る経費に対し補助したものです。その二つ下の緑のクレジット創出促進事業費は、本県の豊富な森林資源を活用した二酸化炭素排出量取引やカーボンオフセットの取り組みの促進に要した経費です。4目森林病害虫等防除費は、松くい虫などの森林病害虫の防除と被害拡大の防止に要した経費です。5目造林費は、森林の公益的機能の維持増進と森林資源の充実を図るため、森林の育成管理や広葉樹林の整備に対し補助したものです。270ページをお開き願います。6目林道費は、山村地域の生活環境の改善と林業生産基盤の整備を図るための林道整備などに要した経費です。7目治山費は、山地災害を未然に防止し、県土の保全を図るため、治山や地すべり防止、保安林の管理、整備などに要した経費です。272ページをお開き願います。8目林業技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究などに要した経費です。
 次に、274ページをお開き願います。5項水産業費であります。1目水産業総務費は、水産業関係職員の人件費や水産科学館の改修に要した経費です。2目漁業構造改善対策費は、水産物の安定的な供給を図るため、養殖施設や漁業用作業、保管施設などの整備に対し補助したものです。276ページをお開き願います。3目水産業振興費の主なものでありますが、備考欄二つ目の定置網復旧支援資金融通対策費は、平成18年度の低気圧などにより定置網に被害を受けた漁業者等の経営の安定化を図るため、漁業者等に資金貸し付けを行う岩手県信用漁業協同組合連合会に対し、その原資の一部を預託したものです。備考欄下から七つ目の栽培漁業推進事業費は、アワビ等の種苗放流事業を促進するとともに、投資効果の向上を図るための実証試験など、生産の効率化に取り組む漁協等に対してその経費の一部を助成したほか、県栽培漁業協会の経営の安定化を図るための運転資金の貸し付けに要した経費です。278ページをお開き願います。4目水産業協同組合指導費は、漁業協同組合の検査、指導監督に要した経費や、漁業近代化資金等の貸し付けを行う 金融機関に対し利子補給等を行ったものです。5目漁業調整委員会費及び6目漁業調整費は、海区漁業調整委員会等の開催費や漁業調整に要した経費です。280ページをお開き願います。7目漁業取締費は、漁業取締事務所の管理運営や漁業取締船の運航などに要した経費であり、8目水産技術センター費は、同センターの管理運営や試験研究に要した経費です。282ページをお開き願います。9目内水面水産技術センター費は、同センターの管理運営に要した経費であり、10目漁港管理費は、県管理漁港の施設の維持管理等に要した経費です。11目漁港漁場整備費は、安全・安心な水産物の供給体制の構築や、豊かで潤いのある漁村環境の整備等を重点とした漁港、漁場、漁村の水産基盤施設の総合的な整備に要した経費です。
 次に、大きく飛びまして、354ページをお開きください。11款災害復旧費1項農林水産施設災害復旧費であります。1目農地及び農業用施設災害復旧費、2目林道災害復旧費、5目漁港災害復旧費は、異常気象などにより被害を受けた施設等の復旧に要した経費です。356ページをお開き願います。6目水産養殖施設災害復旧費は、平成22年のチリ地震津波で被害を受けた養殖施設等の復旧に要した経費です。
 以上で一般会計の説明を終わります。
 次に、特別会計について御説明申し上げます。恐れ入りますが、平成22年度岩手県歳入歳出決算書にお戻りいただき、30ページをお開き願います。
 農業改良資金特別会計の予算現額は6億6、546万円余であります。これに対する収入済額は6億6、719万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等です。次に、支出済額は1億4、915万円余で、円滑な就農を促進するため、新規就農者に就農支援資金を無利子で貸し付けたものです。
 32ページをお開き願います。県有林事業特別会計の予算現額は42億1、777万円余であります。これに対する収入済額は40億9、247万円余で、一般会計からの繰入金等です。次に、支出済額は39億4、926万円余で、県行造林、模範林、公営林の維持管理、保育等に要した経費です。
 なお、翌年度繰越額は、計画調整や設計、工法の検討等に不測の日数を要したことなどによる繰越明許費の2億3、541万円余及び東日本大震災津波により事業が遅延したことなどによる事故繰越1、350万円余を合わせて2億4、892万円余となりました。
 34ページをお開き願います。林業改善資金特別会計の予算現額は11億8、540万円余であります。これに対する収入済額は11億9、368万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金等です。次に、支出済額は6億4、773万円余で、林業経営の改善を図るため、林業者等に対し林業・木材産業改善資金を無利子で貸し付けたもの、及び森林組合等に低利の運転資金を融通するため、その原資の一部を金融機関に預託したものです。
 36ページをお開き願います。沿岸漁業改善資金特別会計の予算現額は8億5、521万円余であります。これに対する収入済額は8億9、270万円余で、前年度からの繰越金や貸付金に係る償還金です。次に、支出済額は2、739万円余で、沿岸漁業経営の改善を図るため、漁業者等に対し経営等改善資金を無利子で貸し付けたものです。
 以上で決算の説明を終わります。よろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明のうち、第1部農業関係について質疑はありませんか。
〇渡辺幸貫委員 私からは、まず、生物工学研究所の費用を、いろいろバイオテクノロジーであるとかいわてブランド確立、先端バイオだとか、また、その成果として農業研究センターに関連していくわけでありますが、農業研究センターも12億円、8億円とか、トータルとすると二十何億円も研究費に充てられているような気がいたします。
 そこで、今、こういう研究をしている中で、新聞によりますと、数日前は、例えば米の場合には新潟の米を追い越せとばかりに、北海道のゆめぴりかとか、全国でCMをやりながら大いに売り出している。山形は前からいつもつや姫だとか、いろいろセールスしていて、かなり努力しているようであります。
 岩手県においては、かけはし以来、余りぱっとした品種を聞いたこともないのでありますが、かけはしは平成五、六年のころですから、今は平成22年ですから、そんなことを思ったときに、これだけの経費を使いながら、どんな成果があるのか。そして、特に米などをよく見ていますと、水稲の新品種は15種を目標として14種を開発したとして、ところが、ランクはDだということであります。いつもこういう質問をすると、いや、リンドウなんかの新品種はAランクで非常にいいんだというような返事をよくもらいますけれども、果たして、この生物工学研究所並びに農業研究センターは、どういう研究成果と、それをどういうふうに皆さんは評価していらっしゃるかお聞かせいただきたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 県試験研究機関に係る研究成果についてでございますけれども、水田農業に関する研究成果といたしましては、農業研究センターでは県のオリジナル水稲品種としてどんぴしゃり、いわてっこ、吟ぎんが、もち美人などを育成してまいっております。
 一方、湛水直播技術では、寒冷地でも直播の苗立ちが安定する作溝同時播種装置を開発しまして、これについては特許出願中であります。
 転作作物の単収向上技術につきましては、転作大豆の湿害を軽減する小うね立て播種栽培技術を開発しまして、本技術については、平成23年度において県内の大豆面積の3割まで拡大し、収量も3割ほどの増収効果が得られております。平成22年には小麦にも適用する技術を確立しまして、約20%の増収が期待されているところであります。
 一方、生物工学研究センターでは、低温発芽性を識別するDNAマーカーですとか、いもち病の抵抗性を識別するDNAマーカーを開発済みであります。このほか、新たに導入しました次世代シーケンサーを用いまして、新たなオリジナル品種の育成に必要な良食味に関係するDNAマーカーの開発を進めているところであります。
 このような取り組みの中で、生物工学研究センターでは、林業技術センターや水産技術センター、岩手医科大学等と連携しまして、イサダなどの県産食材に含まれる機能性成分の探索を行うなど、基礎技術の開発において成果を出しているところであります。
 このように、生物工学研究センターでは基礎的な技術を、農業研究センターでは地域課題の解決に必要な技術の開発を担っておりまして、今後とも、これらの成果を生かして生産性、収益性の高い水田農業の確立に必要な技術の開発と普及に努め、地域貢献を果たしてまいりたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 今、どんぴしゃりだとかいろいろ新オリジナル水稲品種をちらっとお話しされましたが、予算書を見ていますと、その経費はたった342万円でありますから、その金額だけを見ますと、基礎的な研究をした成果だろうと思いますけれども、なおかつ、主要施策の成果に関する説明書によれば、なぜ水稲はDランクであったかというと、ことしは暑かったから、なかなか候補系統の特性を把握し切れず、現地適応調査を延長する必要があったことなどから、目標を下回るのでDランクと書いてあります。
 ところが、今、水稲の場合にはまさに暑さに対してどうするかということが品種開発の大宗になっている。品種というものは、そもそもひとめぼれとかコシヒカリというのは、いろんなところで面積を広くつくれるからブランドになるのでありまして、今おっしゃったような品種は、ここにいる皆さんも忘れ去られている品種ではないか。名前すら覚えていないというふうな、要するに、耐冷性ばかり図っていて、日本全体の中での品種改良の方向性が間違っているのではないかと私は不安を感じます。それについてどう思っていらっしゃるのか。
 それともう一つ、これは部長に聞かなきゃならんだろうと思いますけれども、今、米の分野ではTPPなど非常に盛んに論じられております。そして、30ヘクタールから40ヘクタールの経営体をやっていくのだということを話しされている。
 そこで、農業改良普及センターはそういうことを今後─農協なんていうのは予算がありませんから、指導費はほとんど出ない、生み出せないという経営状況でありますので、普及員にやっぱりゆだねながら、新しい方向を農家は何とかしたいという切実な思いで、品種がなかったら、経営体を何とかしながら、経営をどうするか、先を早く見出したいという思いだろうと思いますが、残念ながら、農業改良普及センターの費用を見ていますと、18億円ちょっとなんですね。今申し上げた生物工学研究所や農業研究センターよりはるかに予算が小さい。そういう小さい中で普及員があちこち歩いている。本当にこれが今の時世に合っているかということを担当課と、後半は部長に聞きたい。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 ただいま委員から、本県の水稲の品種改良の方向性が違っているのではないかという御質問がございました。確かに、おっしゃるとおり、本県はこれまで、先ほどありましたいわてっこやどんぴしゃりなど耐冷性や耐病性の強い品種開発を目標に取り組んできたところであります。
 一方、他の主産県では食味にすぐれたオリジナル品種を既に開発しているところもありまして、御指摘のように、本県においても早急に良食味のオリジナル品種の開発が必要であると認識しております。
 このため、県では、平成22年3月に財団法人岩手生物工学研究センターに次世代シーケンサーを導入いたしまして、良食味品種の開発年限を飛躍的に短縮するDNAマーカーの開発を進めているところでございます。現在までに、DNAマーカーの開発に必要なひとめぼれなどの国内品種や外国稲など70系統について遺伝子配列の解読を終了したところであります。今後、生物工学研究センターでは、この遺伝子配列データから良食味に関係する遺伝子を同定いたしましてDNAマーカーを作出する予定であります。この技術を農業研究センターに移転し、コシヒカリを超える良食味品種の候補を、平成26年度を目標として開発することといたしております。
〇東大野農林水産部長 試験研究機関の予算規模の関係でございますが、本県の試験研究機関は、委員御存じのとおり、普及と一体、現地の感覚を持って研究課題を選別し、研究開発、技術開発、そして品種改良実証試験に取り組んでいるという位置づけでございまして、人事的にも、普及と試験研究機関を行き来しながら技術普及なりにも努めているという運営の仕方をしてございます。
 これに対して生物工学研究所は、先ほどDNAマーカーの事例を紹介させていただきましたけれども、研究開発なり技術開発を促進するような技術を開発していきたいという視点で研究テーマを選び、そして研究に努力してございますので、生物工学研究所、そして農業の試験研究機関、普及が一体で現場の生産者の方々を支援しているという形で取り組んでおりますので、これからも現場で、生産者の方に普及なり、できる技術も試験研究機関が支えないとやはり発展していかないと認識してございますので、全体で一体のものとして取り組んでいきたいと考えてございます。
〇渡辺幸貫委員 今、DNAマーカーの話もありましたが、遺伝学的には花を咲かせるというのは初歩的なことで、それから実をならせるというのは、生育期間も長いですから、非常に難しいことになります。したがって、リンドウのようなものは割かし楽なんです。それに岩手県の独自のものですからいいんですが、米のようなものは、DNAマーカーだのといっていても、それじゃまだまだ先じゃないですかという思いを私は強くします。
 なぜ部長に先ほどの質問をしたかというと、私は江刺りんごの生産地で暮らしておりますが、例えばリンゴの品種開発数は46のうち46もできましたからAランクだといっているんですね。だけど、そんなにたくさんだと、何を植えていいかというところになりますと、例えば、リンゴ新品種普及面積についてはDランクだ、一番低かったという反省をしているんですね、主要施策の成果の報告書によれば。そうすると、何をふやせばいいかということになると、技術員をふやして、岩手県は何を売るんだと。46品種もいっぱいつくったからいいでしょうということにならないんです。ふじを普及するというのを、例えばそれに焦点を絞っていくとか、米だってそうです。焦点を絞ったからこそ、一気にブランド米ができたんです。だから、その辺をよく考えていただきたいと思います。
 私は、自分でも農協におりましたが、ひとめぼれをやるときには、東北143号という品種でした。私は古川農業試験場に行きました。それで、まだ番号がついているときに江刺でも一気につくりました。やっぱりある程度のトン数がなければ、何万トンというトン数がなかったらブランドにならないんです。それをやろうという意欲がなきゃならない。
 そういう点で、私は品種開発だけにウエートを置いている岩手県の農政ではならんと。やはり何をするかというところに重点を置かなかったら、TPPであろうとも、そういう波を乗り切れないんだという危機感を持って聞いているんです。ですから、予算の配分について今後考えようとするのか、しないのかだけお答え願いたい。
〇東大野農林水産部長 予算の配分についてでございますけれども、それぞれ試験研究員─運営費といいましても、研究自体に必要な人件費という中身もございます。そういった中で普及とのバランスなどもさまざま考え合わせながら、今後の試験研究、そして普及といった事業を推進してまいりたいと考えてございます。
〇渡辺幸貫委員 それでは、次に移ります。
 今、岩手県、宮城県、福島県は、何でも失われたブランドになってしまったのではないかと思うんです。畜産であろうとも、今言った果樹とか米であろうとも、どうも、我々は、放射線によってブランドが失われたという思いを強くするわけであります。そして、それを何とか次第次第に盛り返していくというためにはブランドの再生をしなきゃならぬ。
 そこで、この予算の中でどこにそのブランドの再生の予算があるのだろうと見ていきますと、本当にどこにあるのかわからないぐらいちょっぴりしかないんですね。ブランドの再生というのは、よく質問にもありますけれども、宣伝じゃないんです。トータルなんです。要するに、どんな品種、さっき言ったような品種を生産して、できたものをどういうふうに製品にするのか、加工するのか。そして最後に、よし、売り出せるぞという広告宣伝が出てくるわけです。ですから、トータルとしてブランド化について、失われたブランドをどう再生していくかという観点で質問したいと思います。このブランド化についてどう考えているかお尋ねします。
〇菊池流通課総括課長 県産農林水産物のブランド化についてでありますが、米を例にとって申し上げますと、岩手県の米は、環境保全型農業でありますとか、あるいは耕畜連携による循環型農業という取り組みによりまして、安定的な品質、食味のよさが全国トップレベルであるといった、他産地にはない強みを持っているという認識はございます。
 本年2月にいわて純情米の新たな戦略を策定したところでありますが、この戦略では、こうした岩手県産の高品質な米の生産を進めるとともに、その米が消費者とか実需者から支持される産地にしていこうということを目指して取り組んでおります。特に、販売面ではJA全農いわて、あるいはいわて純情米需要拡大推進協議会といった関係機関と連携しまして、生協と交流事業を行うといったコミュニケーションを重視した関係強化、あるいは県産米の広告塔となるプレミアムブランド米の販売拡大に取り組んでいるところであります。
 なお、委員から御指摘いただいておりますが、農産物について、消費者あるいは市場関係者から高い評価を得て、それがブランドとして形成されていくためには、食味のよさなどに加えまして、生産過程での取り組み、安全性や高品質へのこだわりといったものにしっかりとした裏づけが備わっているということが重要な要素であると考えております。このいわて純情米の新たな戦略では、例えば第三者機関による食味評価の育種への活用、あるいは耕畜連携による循環型農業の確立といったことを産地づくりの戦略に盛り込んでおります。
 県としましては、この新たな戦略を確実に達成していくということで、県産米のブランド力向上を図っていきたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 今の認識で全く思うのでありますが、生産圃場から選果場、そして製品を加工するというんですか、例えばカントリーエレベーターの施設だとか、食味を分析して、そういうものばかり入れていくというような、そういう施設に対してやっぱりお金をかけなかったらブランドが出ないということですよね。ですから、流通課だけじゃなくてほかの部門で、今言った圃場からカントリーエレベーターのようなもの、または選果場、そういう予算をつける努力を国に、我々の被災県は大いに予算をとらなきゃならんのじゃないかと私は思いますので、その努力を期待したいと思います。
 その次は牧草地のことをちょっと聞きたいのでありますが、牧草地の再生については、そちらからよく、放射線の高いところは表土を何とかするとか何かやらなきゃいかんという認識を前から話をされている。
 そこで、草地の更新というのは、プラウのようなもので、ディスクハローのようなもので天地返しをしなきゃならんというのはだれでも思うのでありますが、ただ、新しい牧草の種をそれでまいていくということになりますと、農家は、モアという草刈り機はあるかもしらんですけれども、続く畜産不況の中で、牧草地をそうやって新しくするなんてことは最近はないんじゃないかと私は思うんです。つまりプラウだとか大型のディスクハローなんていうものはもう既に手放しているんじゃないかと心配します。それらの機械の購入費であるとか、種代だとか、草地肥料代だとか、そしてまた、恐らくことしはまけないから来年だと思いますが、そういうことをやるとすれば、1年間は草地は使えなくなるということになります。そうすると、酪農なんかは青草が不可欠でありますので、自給飼料のない草地を持っている酪農なんていうのは、ちょっと私には考えられないんだけれども、そういう予算化の対応というんですか、東京電力に請求するのももちろん大切でありますが、そういう側面からの分析といいますか、援助の仕方といいますか、それらについてはどう考えているかお伺いします。
〇山田畜産課総括課長 ただいま牧草地の再生についてお話がございましたけれども、御指摘のとおり、10月末現在で四つの市町、8エリアで牧草利用を自粛していただくという事態になっております。
 本県は、自給飼料基盤に立脚した酪農、肉牛生産をうたっているわけですので、飼料基盤というのは非常に重要なものだと考えておりまして、この回復について十分対策が必要だと考えてございます。
 国に対しましては、牧草利用を─先ほどお話がありました除染、放射性物質を低減する技術というのがまだ示されておりませんので、早急に示すように要望しておりますし、この要望をした結果、国からの明示を受けて効果的な手法を用いた牧草地の更新などを検討してまいりたいと考えております。
〇渡辺幸貫委員 そういうふうにやりたいと。私が言っているのは、側面からそういう道具だとか種代だとか、いろんなことを応援する気持ちがありますかということを聞いていますので、それについてお答えをいただいて、終わります。
〇山田畜産課総括課長 ただいまお話がありましたことも含めて、全体として検討したいと考えております。
〇工藤勝子委員 私からは、葉たばこ廃作農家の指導についてお伺いいたします。
 葉たばこ生産は、県の農業生産額50億5、000万円を超える基幹産業でありました。特にも、中山間地で栽培されておりまして、これまで所得の向上につながってきたと思っております。地域における共同作業は今も残っておりますし、日本たばこ産業からの無償で種の配付など、それから乾燥室、パイプハウス、機械の導入の助成金など、農家にとっては所得率の非常に高い葉たばこ栽培でありました。
 ところが、近年、喫煙に対するさまざまな議論等とか縛りが出てきまして、そしてまた製品たばこの値上がりにもよりまして非常に苦しい状態になってきました。
 そこで、JTの話ですと、1年分の在庫が適正の在庫となるのだそうですけれども、今は2年分の在庫がたまってしまったということで、このままでまた値上げも検討されている中で、何とか廃作農家を全国的に救わなければならないということになりました。
 それで、全部廃作する農家に対して10アール当たり28万円支給しますので、ぜひやめてほしいということが回りました。それを募った結果、平成23年度で岩手県に1、882名の耕作者がおりましたけれども、この28万円いただかなくてもやめようとした人も140名ほどおりまして、結局は、トータルで1、276名が減ということになりました。そして、面積も13万5、750アールから2万9、350アールが減となって10万6、400アールという形になったところでもあります。
 そうすると、今後、岩手県内においてこの2万9、000アールを含む畑地があいてしまうことになります。そしてまた中山間地でもあります。では、この面積に今後農家の人たちが何を作付していこうかと。たばこというのは所得率も高かったわけであります。ですから、そういう関係の中で、10アールつくれば何ぼ残って使えるという計算のできる─これは契約栽培でありますので、災害に遭えばあったで、8割以上災害になれば、それが無償で補てんされるシステムがありましたので、今、農家の人たちは何をやろうかと非常に悩んでいる状況でもあります。
 そこで、安定的な所得を今後も確保して岩手県の農業所得を上げていくためにも、ここに指導体制をしっかり取り組んでほしいと思っているわけです。
 宮崎県においては、この案が出た途端に、すぐ農家の人たちを募りながら─募ったわけじゃないでしょうけれども、懇談会を早い段階で開いているんです。農業新聞に出ておりましたので、多分ごらんになったんだろうと思っております。
 そしてまた、畑地のほかに、乾燥室と申しましょうか、パイプハウスもいっぱい持っている農家の人たちがあるわけです。この活用も非常に重要になってきます。そこに、例えば岩手県で、中山間地でありますので、ホウレンソウをやるとか、園芸作物をやる、花をやらせる。何をするにしても、この農家の人たちは今までこの指導が結局JTだったんです。たばこをつくる一貫した指導体制は、県とか農協ではなくてJTがすべてやってきたわけなんです。そこから手が離れるわけです。そうなったときに、ここにやはり畑地と、またパイプハウス等を使った今後の営農指導というものが非常に大事になってくるのではないかと思っておりまして、その点について、今後どう進めようとしているのかお伺いしたいと思っているところでもあります。
 ちなみに、二戸で145名、盛岡で179名、千厩で133名の方が廃作になります。そういった面積も出ております。そういうところで、まずお伺いいたします。
〇千葉農産園芸課総括課長 今お話にありましたように、葉たばこの来年作は本県でもかなり大幅な減作が見込まれておるところでございまして、その畑地の活用なり、あるいはその施設の活用についてのお尋ねでございました。
 たばこ畑につきましては、これまできめ細かな栽培管理が行われてきておりまして、農地として非常に優良な農地だと認識しております。そういう生産力が高い優良農地でありますことから、生産機械、施設も含めまして有効活用を図ることが必要と考えておるところでございます。
 このため、県では、関係機関、団体と連携して、ネギ、ピーマンあるいは小菊等の収益性の高い園芸作物の導入を進めまして、農家所得の確保に努める考えでございます。第1弾として、今、葉たばこ廃作農家を対象としてアンケート調査というか、意向の確認調査を行っておるところでございます。
 また、葉たばこ乾燥用ハウスにつきましては、小菊の苗づくりやミニトマト栽培での活用事例がもう既にございますので、これらを参考にしながら、園芸導入に向けて、その有効活用を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
〇工藤勝子委員 ネギ、ピーマン、小菊という話もありました。主要統計調査を見たときに、いろんな作物がほとんどDという評価で、結局、いろいろ自然災害とかを含めて、そういう評価がありました。そういう中で、では、ネギ、ピーマン、小菊、何かかにかをやらなければならないわけです。たばこをつくるために、私たちも10アール当たり2トンぐらいの堆肥を入れてきましたので、1年ぐらい、特別な手を加えなくても畑地は非常に肥えておりますし、いいものがつくれると思っておりますけれども、あとは価格なんですね。どうやって所得を上げるか。ネギにしても、ピーマンにしても、なかなか所得が上がらない。ことしピーマンをつくっている農家の人たちも、前半は高かったけれども、後半は市場で1袋10円とかと言われたと。とるのも、とてもじゃないけどやめたほうがいいということなんです。そういう形の中で、しっかりとした今後の販売、さらに付加価値を高める方策を進めていかなければならないのではないかと思っておりまして、意向調査をしているということでありますので、今後ともしっかりとした指導体制をとっていただければと思っております。その所感についてもお伺いいたします。
 それから、たばこというのは非常に害があると言われております。私は、害があるのかなと思って不思議でならないんですけれども、でも、そう言われている、風評があります。ですけれども、県議会として、ぜひたばこ農家の人たちを─たばこ農家が悪いわけじゃないです。たばこ農家の人たちが煙を出しているわけではありませんから、その辺のところをもう少し応援していただきたい、私はそう思います。そして、たばこ税が一般財源で24億円入っているんです。私は、たばこを吸っている人たちに高額納税者だと言っているんです。そういうこともありまして、ぜひ、今後のたばこ生産に対する県の認識も伺いたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 たばこ栽培についてでありますけれども、委員のお話にもありましたように、本県は全国3位の葉たばこ生産県でありますし、中山間地域に欠くことのできない作物であります。なおかつ所得率も非常にいい、生産側にとっては非常にいい作物だと思っております。いかんせん、ここに来まして、たばこを取り巻く状況が非常に厳しくなっているという形で、生産側から見れば、やむを得ず生産をやめざるを得ないという状況になっている。葉たばこ生産農家からすれば、厳しい状況だと認識しておるところでございます。県といたしましては、引き続き、耕作農家が意欲を持って葉たばこ生産に専念できるよう、省力、低コスト栽培に向けた機械の導入支援、あるいは葉たばこ栽培でここ最近問題になっております立枯病防除対策の徹底を図りますとともに、全国葉たばこ生産府県知事協議会を通じて、国及びその買い入れ会社に対し、農家経営の安定に必要な面積の確保を要望するなど、生産性の高い葉たばこ経営の確立に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
〇工藤勝子委員 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 ちなみに、部長は、たばこを愛用されているのかしていないのか、お伺いしたいと思っております。最後でよろしいです。
 次に、野生動物の被害対策についてもお伺いしたいと思っております。環境生活部でもお伺いいたしました。それくらい、遠野にとりましては、シカ対策は非常に大変な状況になっております。そこで、草地の被害が一番大きいと聞いておりますけれども、その被害額、さらには、電木等でかなり助成をいただいておりました。そういう被害対策を進めた上で、その効果についてもお伺いいたします。
〇千田担い手対策課長 お尋ねのシカを中心とする被害対策の進め方の効果についてでございますけれども、国の事業の要件であります市町村被害防止計画というものを策定しなければならないんですが、平成22年度については、新たに二つの市と町で計画が策定されまして、現在、県下で10市町において計画が策定されております。このうち、七つの市と町において、平成22年度において鳥獣被害防止総合支援事業が実施されまして、捕獲わな136個の導入のほか、総延長14キロに及ぶ防護さく、防護網が整備されました。
 実際の被害の効果があったかというお尋ねだと思うんですが、実は津波で大船渡市、陸前高田市、大槌町が被災を受けまして、この3市町については実態がつかめないものですから、昨年度と同額を仮に計上してみた場合の平成22年度の被害額でございますが、前年に比べ3、400万円増の3億1、600万円ばかりになるという計算になります。
 以上の実態を踏まえまして、被害が急速に拡大しているということもございますので、今後、対策の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 非常に被害額も年々大きくなっておりますし、畜産農家の人たちは、特に中山間地で畜産をしているわけですけれども、一番草がほとんどとれなくなってきているという状況で、一番栄養分の高い、量のとれるこの一番草が減少するということは、畜産農家を続けられるかどうかという死活問題になってきているという話を一生懸命言われております。それからまた、水田に電気木さくを回したところと回さないところとでは格段の差がありまして、もう本当に大変な状況でもあります。今後、ぜひ、農林水産部としてこの被害額を少しでも減らすために御尽力いただければと思っております。
 特にも、今は県北の人たちもまだまだと思っているかもしれませんけれども、これ以上北に行かない、そして北の農作物の被害を食いとめるには、どっかで私はとめなければならないと思うんですね。じゃ、五葉山地域だけでとめられるかと言ったら、私、かなり無理があるんだろうと思うんです。そうすると、遠野のあたりで北に行くのをとめてやって、県北の人たちがシカの被害なんか受けないようにしなきゃならないのかなと思ったりしております。そういう犠牲的な考えもありますけれども、逆転的発想を持って、これを観光に生かせないかという考えがあるわけですね。というのは、笛吹峠に広大な牧草地がありましたけれども、今、あそこはごらんのとおり、シカ牧場となっておりまして、だれもあそこに行って草を取ったりしていないんですね。じゃ、あそこに壮大な構想でもって、囲いをとってそこに全部捕獲するみたいな形で、自然的に淘汰させるならさせてもいいですし、観光客をそっちのほうに、シカ牧場として見学させて回す。さらには、そこに屠蓄場もつくって加工させる。これは国の補助もありますので、そういう形でとって、そこで肉を加工して行った人たちに食べさせる、販売する、そういう対策ぐらいとっていかないと、もう猟友会の人たちに頼んで何とかとってもらったって、どうにもならない状態です。
 私は、一つ言いたいのは、部長に、遠野に泊まってシカの現状を見ていただきたい。マスコミの人たちも取り上げて、どういう状態かちゃんと見てほしい。毎日新聞の一面に上がりましたけれども、大変な状況であります。その現状をしっかりと把握してほしいと思っております。その点については部長からもお伺いしたいと思っております。
 ちゃんと保護区をつくって守るのが環境生活部であって、これ以上被害を拡大しないで捕獲するのは農林水産部でもあります。ですから、今後、私の考えたような構想がまだまだ先のことであるとするならば、ぜひハンターの人たちに、1頭当たり鉄砲の玉代もかかっておりますので、その人たちに、1頭とったら幾らか出すとかということを考えてはいないのか。ぜひ、そこの予算を考えていただきたいと思いますが、部長の答弁をお願いいたします。
〇東大野農林水産部長 被害対策についてでございますけれども、今、委員から御提案のあった活用策については商工とも関係すると思いますので、さまざま研究させていただきたいと思います。
 あと、さらに褒賞金のたぐいの取り組みで促進してはいかがかという御提案もありました。これについて、現在そのような方法でということは考えてございませんでしたけれども、さらに関係部ともよくよく検討しないと結論が出せないものと思いますので、そこの検討はさせていただきます。
 さらに、従前の質問で喫煙の話がございましたけれども、私は30年以上にわたってずっと喫煙してございます。これからもやめるつもりはございません。
 それとはかかわりなく、たばこそのものは収益性の高い中山間地域にとっては大切な作物でありますので、それが将来に維持できるような努力は県もするということ、それから転作、廃作が求められてございますので、それに対する支援も、指導もきっちりしていくという対応をとっていきたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 私は出荷遅延牛の関係でお尋ねをしてまいりますが、その前に、東日本大震災におきましては、内陸の圃場が大変被害を受けたわけであります。特に一関は大きかったわけでありますが、農村整備の関係職員の皆様の査定前着工につきまして多大なる、強力なリーダーシップのもとで復旧を急いでいただきまして、しっかりとした収穫ができております。このことは、この場を借りて御礼を申し上げてから質問に入りたいと思います。
 まず、出荷遅延牛の実態についてお尋ねをしてまいります。
 現在、国の基準に従いまして、500ベクレルを超える牛肉を出さないというもとで、各県の農林センターで1頭1頭の給餌状況を確認した上で、計算式に基づいて、500ベクレルを出さないような状況になるまで出荷を自粛させている措置がとられていると思いますが、現段階で出荷遅延牛がどの程度いるのでありましょうか、お示しをいただきたいと思います。
〇渡辺振興・衛生課長 ただいま御質問がございました出荷遅延牛の現状、滞留対策についてでございますけれども、肥育牛につきましては、例年であれば、県内、県外合わせて月に約2、000頭が屠畜されてございますが、出荷制限の一部解除以降の屠蓄状況を見てみますと、9月では約1、700頭まで回復し、10月では約2、500頭と、例年以上の屠畜が行われているために、現状では遅延頭数は約1、800頭と推察してございます。今後、県外への出荷が進むことによりまして、この出荷遅延につきましては、徐々に解消されていくものと考えてございます。
〇岩渕誠委員 ここで問題は、来年1月以降に、どの程度出荷遅延の見込みがあるかということが、一つのポイントになると思います。といいますのは、国の買い上げ対策につきましては、12月を一つの区切りとしているわけでございます。そうしますと、現在の買い取りのスキームが適用にならないというおそれが出てまいります。1月以降に見込まれる出荷遅延牛がどの程度いるのか、そしてまた、それ以降についてどのように対応していくおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 また、あわせて、この出荷遅延による問題は、賠償請求ともかかわってきております。きのう、東電に対しまして肥育牛の賠償請求を行い、東電からは、新聞報道によりますと、年内に賠償額を支払うという発言もあったようでありますが、やはり出荷がおくれていることによって、出荷をしなければ賠償請求のところにのらないわけであります。出荷がおくれればおくれるほど、賠償の対象にならないという問題が出てくるわけであります。したがいまして、この1月以降の問題とあわせて、できるだけ早く出荷をしていく体制をとらなければ、せっかくのスキームが農家のもとに行かないということになります。特にも農家経済は、盆暮れの支払いというのが大変大きくなっておりますので、その営農対策も含めてどの程度考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
〇渡辺振興・衛生課長 ただいま御質問のございました1月以降も出荷が遅延する肥育牛がいるのではないかと、その実態はどうなのかということと、農家の負担軽減対応策ということだろうと思います。
 事故後、稲わらを給与しまして、その給与量から推計をして、牛肉中の放射性セシウム濃度が500ベクレル以上を超えるおそれがあるために1月以降も出荷が行えない肥育牛につきましては、現地の聞き取り調査の結果、約150頭を見込んでございます。県では、この1月以降も出荷が行えない肥育牛への支援が必要と考えてございまして、現在、国の肉用牛肥育経営緊急支援事業の実施期間が12月までになってございますことから、1月以降の出荷遅延牛も対象とするように、国に対して事業の実施期間の延長について要望を行っているところでございます。
 次に、農家の負担軽減の対応等々についてでございますけれども、出荷が滞留している肥育牛のかかり増し経費等々につきましては、委員御指摘のとおり、東京電力に損害賠償を求めることになるというのはそのとおりでございます。ただ、損害賠償請求を行うまでの資金繰り対応につきましては、先ほど申し上げました国の支援事業でやり繰りをさせていただいているということでございます。また、あわせまして、新たな肥育素牛を導入する牛舎の空きスペースを確保するために、県では、出荷遅延牛を集中管理する施設や管理方法などにつきまして、現在、地域関係機関、団体と調整を詰めているところでございます。
〇岩渕誠委員 150頭の遅延牛が見込まれていると。これは要望をしているということでございますが、農協系統によれば、無利子、無担保の、大体80万円ぐらいだと思いますけれども、融資で対応しているところもあるわけでありますけれども、ただ、1月以降がはっきりしないということであれば、これは本当に入ってくるんだろうかと、12月までで分けられちゃ困るよということがあるわけでありますし、先ほども指摘しましたとおり、とにかく出荷をしなければ賠償請求の対象にもならないということでありますから、私はこれは要望ということではなくて確約をさせると。でなければ、県独自の対策というのも私は必要になってくると思うんですが、いかがですか。
〇渡辺振興・衛生課長 ただいま御指摘のございました国の肉用牛の支援事業の実施期間の延長についてでございますけれども、現在、国では、本県の要望を踏まえまして、他の出荷制限を行いました3県についても同様な調査をしてございまして、現段階で前向きに考えているというお答えを聞いてございますので、その線でやっていけるものと考えてございます。
〇岩渕誠委員 それを聞いて多少安心をいたしましたが、ぜひ早い段階でそれを制度化、確約をしていただけるように御努力をいただきたいと思います。
 農家の負担軽減についてもお話がございました。やはり出荷遅延牛につきましては、当然経費の発生ということがございますが、今はどちらかというと、経費の発生もさることながら、いわゆる副産物、滞留しているということは、当然、堆肥についても高濃度のものが出てくるということでありまして、これが移動できないということが管理上問題になってきているわけであります。したがいまして、今、集中管理というのはかなり効果的な部分があろうかと思いますが、実際にどの程度具体に詰まっているものなのか、そして集中管理をする場合にはだれが行うことになるのか、こういったことが決まっていればお示しをいただきたいと思います。
〇渡辺振興・衛生課長 今、御質問のございました現地における集中管理体制の確保という部分におきましては、詳細の部分でいろいろと課題がございます。今、委員がおっしゃいました堆肥の処理をいかにしたらいいのかという問題も一つございまして、その問題について言いますと、定期的にその堆肥をまず検査をすると。そして400ベクレル以下であれば、ふだんどおりの堆肥処理をさせていただくと。仮に400べクレルを超える場合にあっては、そこについては県が責任を持って処理を考えていきますということで、現地と打ち合わせをしているところでございます。
〇岩渕誠委員 いずれ、県が前面に出た形でこの滞留牛対策を行っていただきたいと思います。
 一方で、今の集中管理の問題について申し上げれば、農家によっては、やはり自分の育てた牛でありますから、集中管理をするということではなくて、最後まで面倒を見たいという農家もあります。そのために、簡易のハウスを建設したいという意向を持っている方も中にはいらっしゃるようであります。これについては、現状でなかなか賠償の対象になるかどうかという、非常に難しい問題もあるわけでありますけれども、今回の出荷遅延の問題は、農家は本当に被害者であるということにかんがみまして、そういった農家の思いも酌みながら、できる限りの補助等の対応をしていただきたいと、これは要望にとどめたいと思います。
 最後に、稲わらの保管の関係についてお尋ねをしてまいります。
 一関市では汚染稲わらが一番多いわけでありますが、ここに来まして、市が前面に立って、中間の保管施設の提示をして住民との協議に入ったという報道がされております。しかし、やはり稲わらの保管についても住民が納得をするというところは非常に難しい問題があろうかと思います。一方で、宮城県では、県が前面に立ちまして、稲わらの保管先、それから住民理解の形成というところでやっているわけでありまして、両県を比較いたしますと、県の支援ということについては、ややもう少し踏み込んだ姿勢が求められるのではないかと思っておるわけでありますが、県では、この一関市とどう協調して、どう支援をしていくおつもりなのか、お示しをいただきたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 ただいま稲わらの処理の話が質問されましたけれども、県としては、稲わらを今保管している市町村は18ございますけれども、保管する数量だとか放射性物質の濃度、これらの状況が異なりますので、それぞれの市町村の実情に応じて処理をしていただくということで、市町村との協議を行っております。
 処理方法としては埋却、─埋めること、それから焼くこと─焼却、それから圃場にすき込むことの三つが国から示されておりますけれども、埋却については、農林水産省と環境省との間でまだ調整がついていないということでストップをくっております。
 それから、8、000ベクレルを超えました稲わらについては、最終的な処理方法が国から示されていないなどのことから、これら処理が進まない大きな原因になっていると考えております。
 さらに、今年度産の稲わらを保管する場所もないということがありますので、早急に一時保管する場所を確保していく必要があるという声も一関市ほかから伺っております。そのため、最終処分が実施されるまでの間の一時保管もやむを得ないものだと考えておりまして、今回予算化をしました利用自粛牧草等処理円滑化事業というのを県単で立ち上げましたけれども、これらに埋却や焼却、すき込みに加えまして、一時保管の取り組みについても対象にするように検討しておりまして、具体的には、一関市に先週お伺いして市の考え方を伺いまして、それを事業化できるかどうかという検討も進めさせていただいているところでございます。
〇岩渕誠委員 私が申し上げたいのは、県としてこういうルールがあります、こういう予算をつけました、市と協議をしていますと、ここまではいいんですよ。今問題なのは、住民合意を、どうやって理解をしていただいて、そしてこの処理を的確に進めるかという、そこの部分が一番問題なんでありまして、ここの部分は、地元の市町村にのみ、あるいは地元の市町村が前面に立つ形だけじゃなくて、やはり県が住民に対して相当の情報提供なり説明なりという部分を市町村と一緒にやっていかないと、これは現実のものにならないと思うわけであります。まさに、みんないろんな思いがある中で、とにかく今何とかしなきゃいけないということは確か。一方で、そういうのは来てもらっちゃ困るよという心理的な問題もある中でどうしていくかという、これはまさに市町村にお願いしますと、そういう話じゃないと思うんですよね。もう少し県も前面に立って私は姿勢を見せるべきではないかということを問うているわけでありまして、この辺についてのお考えをお示しいただきたいと思うんですが。
〇山田畜産課総括課長 一関市におきまして一時保管場所を今検討しているようですが、その際の住民説明会で、安全性だとか健康に対する影響について不安があったというお話を伺っております。一関市としては、汚染された稲わらの保管については、十分な安全管理をしていく体制をとりたいというお話は伺っておりますので、県といたしましても、稲わらの処理が進んで、これは畜産農家が従前のような生産活動に専念できるためにもぜひ必要だと思っておりますし、地域住民の方の不安も払拭していかなければならないと考えておりますので、そういう取り組みに対しては県としても支援してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 最後に部長にお聞きします。支援をすると言葉では言いますが、やっぱり前面に出て市町村と一緒になって解決、住民理解のところをやっていかないと、いつまでもこれは時間をかけていられません。実際に、候補地というのはあと1月もすれば雪が降ってきます。実際に、場所は決まったけれども、住民合意がないから搬入できないということが出てくるんです。そうなると、全くもって生産サイクルも滞ったままになりますし、一体どうするんだという話がいつまでたっても残りますよ。予算はつくったけれども、結局不用額になっちゃうと、そういうことも想定されるわけでありますが、改めて部長の考えを聞いて終わります。
〇東大野農林水産部長 汚染された稲わらと牧草の処分につきましては、地域地域で処分を進めないとなかなか進まないだろうということで、市町村を事業主体ということで事業を予算化させていただきました。ただ、具体的な処理に当たっては、本庁もそうですけれども、広域振興局あと農林振興センターを含めて、各市町村とやり方を同じに詰めていくということで考えてございます。したがいまして、決して市町村に場所の選定なりを全部お任せするというか、市町村だけに動いてもらうということでは考えてございませんので、具体的に一関市なりの、県として動いてほしいというお考えをお聞きしながら対応してまいりたいと思います。
〇高橋孝眞委員 ただいま岩渕委員からも牛の滞留の件につきまして、遅延牛につきまして質問がありましたけれども、私からは、和牛の繁殖牛の滞っている部分、また、乳牛の廃用としての滞っている部分につきまして、どの程度県は把握しているかについてお聞きしたいと思いますし、今までですと、これらの牛につきましては、中央家畜市場にほとんどの農家は出荷をしております。そういう意味合いでは、中央市場の成牛市場が今とまっている、開催されていない状況でありますので、この開催の時期の見通しについて伺いたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 成牛市場の再開の見通しについてであります。
 本県の出荷制限が8月25日をもって一部解除されましたが、県外へ生体で移動できる牛は、全戸検査において、その検査結果が50ベクレル以下となった農家に限られております。成牛市場は、県外からの購買者が取引の相当部分を占めておりまして、繁殖、酪農の全戸検査の進捗がおくれている中では、県外に移動できる牛が市場を開催しても集まらないということなどの理由から、成牛市場の開設者である全農岩手県本部では定期的な市場開設を見送って、9月と10月に1回ずつ、購買者をしかも県内の農協、生産者に限定して、上場する牛の月齢も限定した形の臨時の家畜市場を開設してきたところであります。
 今後の見込みにつきましては、全農県本部とすれば、引き続き、取引の参加者等を限定して臨時の家畜市場を11月と12月に1回ずつ開催する予定と聞いておりまして、従来のような県外の購買者を含めて、また、いわゆる廃用牛が上場できるような成牛市場の再開の見通しは、現時点では立っていないという状況であります。
 なお、岩手畜産流通センターにおいて全戸検査を実施しておりますが、出荷制限の一部解除後、しばらくの間は肥育農家を優先して検査を実施しておりましたがために、繁殖農家、酪農農家の廃用牛の更新のための屠畜とか検査がおくれがちになっていたという状況にあります。今後は、岩畜での屠畜の検査頭数をふやしまして、全戸検査済み農家を増加させることができる状況が整ってきておりますので、そういう形で成牛市場の開設を後押ししてまいりたいと考えております。
〇渡辺振興・衛生課長 続きまして、ただいま御質問のございました和牛繁殖や酪農家の廃用牛の滞留の現状について申し上げたいと思います。
 県内における廃用牛につきましては、この8月1日から、その主な出荷先でございます成牛市場が開催されていませんことや、屠畜再開後、肥育牛を先行して検査を実施したことに伴いまして、10月末で約1、000頭、これは酪農家の廃用牛、肉用繁殖牛の廃用牛大体半々と考えてございます。この1、000頭が滞留しているものと推察してございます。
〇高橋孝眞委員 これらの牛につきましては、農家にとりまして再生産をすると考えますと、和牛で言いますと、子牛を買いまして、2年かかってやっと生まれた子牛を販売できるという状況でありますし、酪農家におきましても、育成牛を導入して、乳として販売をするにもまた1年かかると、こういう状況であります。今、原発の関係で、補償があるからいいのではないかと思われるのかもしれませんが、いつまでもそれは続くというものではないと思いますし、いつの時点でもう問題はございませんよと宣言されるかもわからない。収束するのがいつかということがわからない現状ですから、何としても、この牛を早期に農家としては再生産するために出荷しなければいけない、牛舎から出してしまわなければいけないというのが一番の課題だと思っております。そういう意味合いで、先ほど肥育牛については集中管理をするというお話をしておりますけれども、これらも一緒になって集中管理をするという対策を講じないと、本当に岩手の畜産はだめになってしまうのではないかと思いますので、ぜひ早期に集中管理をするような対策を講じてほしいと、このようにお願いをしておきます。
 それから、もう一点でありますけれども、園芸品目の関係で、ナス、夏秋イチゴないしはパプリカ等で34ヘクタールの達成度でAとなっておりますが、AからDという評価につきましては、目標値が高ければDになるし、目標値が低ければAになるという格好だというふうにしか思わないわけでありますけれども、これら3品目のオリジナル品種について開発されているのかどうか、伺いたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 県オリジナル園芸品目の開発状況についてでありますが、県では、これまで、優良な園芸品目の供給による市場評価の向上、あるいは他産地との差別化を図るためにオリジナル品種の開発を進めております。これまで、リンドウ、小菊、それからリンゴ、ブドウ、枝豆等を品種登録しておるところでございます。
 今、お尋ねのありましたナスや夏秋イチゴ、パプリカなどの野菜につきましては、民間育種が非常に盛んでございまして、民間品種の活用を基本といたしまして取り組んでいるところでございます。
 今後の園芸品目の品種開発は、これまでの育種ノウハウの蓄積があるリンドウとリンゴに絞って取り組むこととしておるところでございます。
〇高橋孝眞委員 園芸品目、新品目として、これらを県として推進しますよというのが三つの部分の品種だろうと思います。特に夏秋イチゴでありますけれども、栃木県は夏おとめ、長野はサマープリンセスという独特な品種を開発しまして、それらで全国に販売をしておりますし有利販売をしております。ぜひ夏秋イチゴ等につきましても、新品種につきましても、県独自の品種開発に取り組んでいただきたいと要望をいたします。
 特に、夏秋イチゴでありますけれども、他の産地と競合するということはございませんで、夏秋イチゴは9割方が輸入で、国産が1割というところでございます。そういう意味合いでは、夏秋イチゴの取り組みというのは県として特に考えていいのではないかと思いますし、沿岸地方で考えますと、気象条件から見ましても、やませの地帯は非常に夏秋イチゴの栽培に適しているのではないかと思います。設備等もできるだけかけない方法ですることが、農業の再生産、農家にとりましての生産にとって一番いいのではないかと私は思っておりますので、ひとつそれらにつきまして検討していただきたいと思います。これにつきましてお伺いしたいと思います。
〇千葉農産園芸課総括課長 沿岸地域における園芸振興のお話でありました。県のこのたびの復興計画におきましても、三陸沿岸地域の気象特性を生かした園芸産地の形成を進めることとしております。その中で、イチゴは有望な品目だと考えているところでございます。このイチゴにつきましては、農業研究センターで、これまで、本県沿岸地域の気象特性に適合するイチゴ品種をいろいろ試験しておりますとともに、イチゴの高設栽培技術を開発し特許を出願しているところでございます。現在、この高設栽培の普及定着に向けて陸前高田市で実証試験を行っておりまして、こうした技術的な支援や生産施設の整備等を通じて、三陸沿岸地域の新たな園芸産地づくりを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋孝眞委員 済みませんが、今、研究している施設はどこの施設と話されたか、もう一回お願いします。
〇千葉農産園芸課総括課長 北上にあります岩手県農業研究センターでございます。
〇高橋但馬委員 私は、農業構造改善対策費のいわてグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業費についてお尋ねをいたします。
 まず、この事業の趣旨についてお知らせください。
〇工藤農業振興課総括課長 いわてグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業の趣旨についてでございますが、この事業は、全国的に農山漁村と都市との交流が活発化している中で、本県のグリーン・ツーリズムの取り組みや受け入れ体制などの情報を広くPRし、そして県外からの誘客の拡大を図るということを目的に、平成21年度から3カ年間の事業として取り組んでいるものでございます。
 その取り組みの内容でございますが、旅行会社を公募しまして、県内で開発されている体験プログラムを盛り込んだグリーン・ツーリズムツアーの商品を企画すること、そして、首都圏や関西、北海道等において、旅行商品の販売のための営業活動を展開するということを委託しているものでございます。
〇高橋但馬委員 まず、そういう旅行商品を使って、本県における都市と農山漁村の交流人口を一層拡大させて、県産品の地産地消を進めるものだと私は考えております。県として、グリーン・ツーリズムの受け入れ体制整備として県が取り組んでいる事業をお知らせください。
〇工藤農業振興課総括課長 受け入れ体制整備についてでございますが、都市との交流人口の拡大に伴いまして受け入れ体制の充実を図ることが重要だということから、県では、これまで、いわてふるさと体験事業によりまして、市町村、関係団体と連携しながら取り組んでおります。
 具体的には、受け入れ農林漁家の掘り起こし、あるいは受け入れ組織の育成、あるいは安全、衛生研修会の開催、あるいは最後に、体験インストラクター等の育成というものを進めまして、受け入れ体制の確立に取り組んできておるところでございます。
 こうした取り組みの結果、受け入れ団体は平成20年度末と比べまして8団体ふえ、現在18団体となり、それぞれの地域で体験プログラムの開発、あるいは体験型教育旅行の受け入れ、誘客に向けたPR活動など、独自の活動が展開されているというところでございます。
〇高橋但馬委員 私の理解では、グリーン・ツーリズムの受け入れ体制の整備という部分と首都圏に対する営業活動、この2本立てで県として頑張っていくと考えているわけですけれども、実際、商品としてこういうふうに、がんばろう岩手震災復興支援ツアーもしくは岩手出会いふれあい体験の旅、いろいろこの中では岩手の秋、山の幸、海の幸が盛りだくさん、葛巻、岩泉、田野畑、宮古、秋の岩手を味わう旅とか、実際に被災地を訪れて瓦れきの集積の山を見学したり、いろいろなことが盛り込まれているツアーがある。このツアーは、実際20企画のうち9個が商品化をされていると伺いましたけれども、このグリーン・ツーリズムの商品の販売を行い、県外から誘客を進めるために観光課との連携はどうなっているのか、お知らせください。
〇工藤農業振興課総括課長 観光課といいますか、観光分野ととらえておりますが、観光分野との連携ということで申し上げますと、グリーン・ツーリズムの旅行者の拡大にとりましては、観光部門との連携というのは大変重要でございます。特にも、県内外への情報発信、さらには誘客の拡大という面で有効だと考えております。そういう観点から、旅行エージェントや観光協会への情報提供を通じまして、本県への誘客や新たな旅行商品の開発を促進するとともに、観光協会が主催します首都圏や北海道等での県外の教育旅行誘致説明会の参加、こういう取り組みを行ってきているところでございます。
 今後におきましても、平成24年度に予定されておりますデスティネーションキャンペーンへの参加、あるいは引き続き地域での取り組み状況についての情報提供などを行いながら、観光分野との密接な連携をしてまいりたいと考えております。
〇高橋但馬委員 今回の成果に関する取りまとめを見ますと、いわてグリーン・ツーリズム県外営業活動強化事業費の活動内容について、県外からの誘客者数の目標が、計画値が1、200名で、実績値が4、304名で、達成度がAとなっているわけです。実際、私がこの企画についてJTBにお話を伺ったところ、この9企画のうち、実際に最小催行人員が集まっているものは2商品しかないと。実際に行われているものは二つしかないわけですね。実際、この計画というのは、平成21年度から23年度まで調査、情報収集をして商品の造成、販売、こちらの商品をつくって販売化するというところから、最終的に平成23年度で収益モデルの構築をして、この3年間の計画が終わって最終的には新たな事業部を開設。これは平成24年度の目標なんですけれども、この予算で、JTBは2名の職員をこのために雇っています。この計画期間が終わってしまってその新たな事業部を開設した場合、その人件費はこの予算から出るのではなくて、JTBが負担をしなければならないわけですね。この岩手の県産品の地産地消をさらに進めるためのこのツアーを続けていくためにも、これからの計画そしてその平成24年度の事業部の開設に向けた県としての取り組みが必要だと私は考えます。実際に委託をして任せるのではなくて、県としてそれをどのように実現していくのか、そのお考えを最後にお聞かせください。
〇工藤農業振興課総括課長 ただいまの御質問でございますが、この委託事業者はお話のとおりJTBでございますが、平成22年に2名を新たに雇用して、専門的な担当を敷きながら商品開発等を行ってきているということでございますが、県では、この事業終了後─平成24年度でございますが─その終了後におきましても、引き続きグリーン・ツーリズム担当を配置していただき、そして商品開発、PR、こういう取り組みが一層強化されるよう、県とすれば、誘導あるいは指導という言葉になりますけれども、そういう取り組みをしているところでございます。今、そういうことを働きかけながら進めておるところでございます。
〇福井せいじ委員 私はブランド推進の件、6次産業化の件、地産地消の件の3点についてお聞きしますが、渡辺委員からもブランド化についてお話がありましたので、重複しない部分でお聞きをしていきたいと思います。
 まず、ブランド化推進の目的と、ブランドという言葉の意義、定義についてどのようにお考えになっているか、お聞かせください。
〇菊池流通課総括課長 ブランドの意義、定義についてでありますが、明確な定義というのがなかなかしづらいところでありますが、例えば岩手県の農林水産物の販売が、今、全国的に競争環境の中で行われているというときに、他産地との差別化を図ったり、あるいは有利な販売につなげていくというときに、品質が高いということ、あるいは値段が安いということだけではなかなか消費者の方々の理解を得られないと。したがって、消費者とか市場から、品質の高さあるいは値段ではない部分で信頼を形成されると、それがブランドではないかと考えております。
〇福井せいじ委員 品質そして価格にも左右されないような地位というか、品格というか、そういったものをつくらなければいけないということだと思うんですけれども、私はブランドというのは、信頼、信用だと思います。それを確立することがブランド化であると思っております。
 まず一つは、農林水産物、食に関しては安全・安心、それからコストパフォーマンス、それからまた情報関係、トレーサビリティーを含んだ、そういった信用をいかに確立していくか。品質とか価格というのは、非常に似通ったものがあると思うんですね。品質の競争というのは、いずれどの産地でもやっていくことでありますが、さらに、それに信用を加えていくことが私は大事だと思っております。そのために、ブランドを確立するためのきっちりとしたサイクルをつくる、仕組みをつくる必要があると思います。例えば、前沢牛においては、どのような飼育をしていくか、あるいはどのような基準で出荷をしていくか、そういったサイクルをつくる、あるいは基準をつくる必要があると考えていますが、当局においてそういった基準づくり、仕組みづくりについては何かお考え、そしてまた実践なさっていることがあれば教えてください。
〇菊池流通課総括課長 先ほどお話ししましたブランドのとらえ方に対して、県では、具体的に申し上げますと、米を例に挙げますと、農薬の使用回数とか食味というものに徹底してこだわった、いわてプレミアム米というものや、牛肉で言いますと、高品質ないわて牛の中でも5等級をよりすぐった、いわて牛五つ星というプレミアム牛肉という新商品を開発しております。これは、こういった水準の高いものを岩手県でつくれるというものを全国に示すことによって、ほかの産物全体を牽引していくという手法からとっている取り組みでありますが、これを知事のトップセールス、その他でアピールすることによって、岩手県全体の農林水産物に対する消費者の方々からすれば評価、客観的に見ればブランドというものにつなげていきたいと、今、取り組んでいるところであります。
〇福井せいじ委員 生産物というものはいかに信用をつくっていくかということに関してちょっとお話をしますけれども、例えばワインのことをお話ししますと、ワインにはランキングがあります。その等級があって、トップの等級をとるためには、ブドウの単位面積当たりの収量であるとか、あるいは土壌の組成についての現象、限定とか、あるいは使用ブドウ品種の限定とか、つくるに当たってのさまざまな基準を設け、それをクリアして初めて味ができ上がってくる。そして味についての品質評価もして、その基準に達しないものは出荷しないと。そういった厳しい評価、そしてまた基準をクリアするためのさまざまな試みが必要であると思うんですけれども、そういった仕組み、基準をつくることが必要であると思いますが、いかがでしょうか。
〇菊池流通課総括課長 いわて牛という言葉が取り上げられる機会が多いわけでありますが、例えばいわて牛を例にとりますと、肉質で3等級以上のものをもって我々はいわて牛と称して、中央に対して販売をしていくという取り組みをしておりますし、それと類似のものは米であり野菜であり、多少それぞれの品目ごとの特性に応じて違いはありますが、そういった形で、他の産地に負けないものを出していこうという取り組みをしております。
〇福井せいじ委員 わかりました。もう一つブランドについてお聞きしたいのは、このブランド力のブラッシュアップの方法なんですけれども、ブランドというのは自己満足やひとりよがりになってはいけない、やはり第三者評価が非常に必要だと私は考えます。そのために、産地における品質向上の取り組みがあって、そしてまた、流通における高品質を維持する物流体制であるとか販売体制、そして市場評価の検証あるいはその産地での検証した情報を還元し、また技術改善をしていく、それがまた第三者評価につながっていくという仕組みをつくることが大事だと思うんですけれども、今、第三者評価についてはどのような形で、このブランド、さまざまな品種があると思うんですけれども、いかに行っているかお聞かせください。
〇菊池流通課総括課長 先ほど話をしました牛肉の例で言いますと、東京食肉市場において、一般の生産者もおりますし、それから後継者の方を対象に、50頭ないし60頭を共励会と称して屠畜をして、そこではその市場の専門家の方から、今回出頭された肉についての評価はこうでしたと、この部分が悪くてこの部分がよかったということを評価していただいておりますが、そういうことを繰り返しながら、岩手県の肉のレベルを上げていくということをしておりますし、野菜を例にとりますと、東京の大田市場の専門家の方に、年に何回か岩手県においでいただいて、品ぞろえ会とか目ぞろえ会というような言い方をしておりますが、それぞれの産地から出品された野菜を見て、東京の市場ニーズから見た評価というものをいただいているというようなことを繰り返しているところであります。
〇福井せいじ委員 そういった食味とか見た目とか、そういったイメージについての評価というのも必要なんでしょうけれども、今、市場の話が出ましたが、私は、このブランドの信用、安全・安心を確立するために、例えば公設市場における残留農薬とか放射性物質等の検査機能を持たせて、公設市場を経由した商品については安全なんだといった、流通におけるチェック機能を加味した上でのさらに信用の積み増しというか、安全の積算というのも必要なんではないかと思いますけれども、この公設市場を経由するという機能を加えてはいかがかと私は考えております。これは要望としてお話をしておきます。
 あと、6次産業化についてちょっとお聞きしたいんですけれども、これもTPPの参加あるいはさまざまな農産物の競争において非常にこれから必要な取り組みだと思いますが、6次産業化の販売額が129億円と書いてありますけれども、これはいかにして算出しているのかを教えていただきたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 我々が県民計画の中で6次産業化の販売額として積算しているものが三つございまして、一つは、県内の産地直売施設での売上額であります。それから、生産者等が6次産業に取り組んだ場合の販売することができた加工品の額、それから三つ目が、今、我々が6次産業を拡大するためにチャレンジする事業を推進しておりますけれども、このチャレンジする事業の中から生み出された加工品等の販売額を足して数字にしているものであります。
〇福井せいじ委員 私は、6次産業化のイメージそして6次産業化の意義から考えた場合に、例えば一次生産物の価格、そして二次加工製品の価格、そして三次商品の価格、そういったものの積算を目標値にしたほうが、より6次産業化の効果が目に見えてきて、それに取り組む意欲のある人がふえるのではないかと考えますが、そういった算出ではできないものかどうか、教えてください。
〇菊池流通課総括課長 いろいろなとらえ方で6次産業の発展系というのをとらえることができると思いますが、正直申し上げまして、今は、県内で少しでも多くの方々が6次産業にチャレンジしてみようという取り組みをできるだけ県内に拡大させていくという部分に力を入れておりまして、それらが発展していった場合に、いろんな分析の仕方としてそういった財務的な分析でありますとか、バランスシートの分析というところまで行ければいいのでありますが、今はとりあえず、なるべく取り組みを広く県内に拡大させるというところに力を入れている段階でございます。
〇福井せいじ委員 そうすると、6次産業化に取り組む人たちをふやすということが必要だと思うんですけれども、潜在ニーズの掘り起こしというのが可否を、成否を決めるのではないかと思うんですけれども、いかに6次産業化の概念とか仕組みとか効果をわかりやすく説明して、その理解をいただいて意欲を持つ事業者をふやす、そのような取り組みはいかになさっているのか教えてください。
〇菊池流通課総括課長 生産者の人たちが6次産業に取り組んでみようといった動きが県内で拡大していくためには、まず、わかりやすいモデルといいますか、県内でモデルになり得る事業体、これを育成していくことが重要であると考えまして、平成21年度から、6次産業化にチャレンジする事業者を公募により選定して、その取り組みを支援するという事業を展開しております。この取り組みでは、これまで30事業体、70人の雇用とともに、これまでに県内にはなかったモデルとして、自分の家で生産した牛肉を加工して直営レストランを開くといった動き、あるいは農産物とか加工品を地域で宅配してお届けするというようなモデルが始まっておりまして、私たちとすれば、この拡大の目的からは、こういった取り組みの手法を県内全域に普及させていくために、広域振興局ごとのネットワークでありますとか、あるいは6次産業化に取り組んでいる事業者同士の交流といったものを進める取り組みをしているところであります。
〇高橋昌造委員長 この際、昼食ため午後1時まで休憩いたします。
   午後0時2分 休 憩
午後1時2分 再開
〇熊谷泉副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、第1部農業関係において、この後、7人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁とも簡潔明瞭にお願いいたします。
〇佐々木努委員 それでは、私からは大きく2点について質問をさせていただきます。質問者が多いようですので、簡潔に質問をさせていただきます。
 最初に、畜産業における原発事故の対応についてお伺いしたいと思いますけれども、通告では二つの項目を予定しておりましたが、午前中に、我が会派の渡辺委員からそのうちの一つ、牧草地の除染についての質問がありましたので、その件につきましては、私からもしっかりと県には対応していただくようにお願いをしたいということで、この程度にとどめたいと思います。
 そして、二つ目の質問の乳廃用牛の出荷自粛に係る救済措置につきましても、先ほど来、何名かの委員から質問がありました。私も同様の質問でありますが、ちょっとだけ視点を変えてというか、質問させていただきたいと思います。
 さきの一般質問におきまして、我が会派の佐々木順一委員、そして私から乳廃用牛の出荷自粛に係る救済措置についての質問をさせていただきました。その際の答弁につきましては、当局からは、資金繰り対策については今後も国に対して要請していく。また、廃用牛の集中管理施設の確保について、関係機関、団体と検討を進めていくという答弁をいただいております。その後、当局の対応はどのように行ってきたのか、まずそれについてお伺いしたいと思います。
〇渡辺振興・衛生課長 ただいま御質問のございましたその後の乳廃用牛の集中管理体制の状況についてどうなったのかという質問でございますが、現在、集中管理施設の場所を具体に現場の関係者に提示いたしまして調整を図るとともに、具体的な飼料給与法なり事故牛の取り扱いなど、その管理方法等々について関係者と詰めているところでございます。
〇佐々木努委員 申しわけありません。もう一つの買い取りを国に要請していくということについてはどうなっておりますでしょうか。
〇渡辺振興・衛生課長 今、御質問のございました、恐らく廃用牛のいわゆる実質買い上げ事業、肥育牛と同様な事業を国に対して要望できないかということだろうと思いますが、これについても、引き続き国に対して要望しているところでございます。
〇佐々木努委員 わかりました。この件につきましては、10月26日にJA岩手ふるさとから県に対して要望書が提出されているはずでございます。そしてまた、同じ10月26日にJA岩手ふるさと主催で補償に関する畜産農家への説明会がもたれました。その際は、県といいますか、広域振興局から職員の方が出席されたと聞いております。その会議の中では、県の対応が遅いという話があって、その広域振興局の職員の方はまさに集中砲火を浴びて、ハチの巣状態で帰ったという話を私は聞きました。
 これまで、県では震災対応で非常に忙しいところ、この対策にも一生懸命取り組んでいらっしゃると思いますが、一方で、取り組んでいる状況というのが生産者に伝わっていないということが、今回の会議での農家から県に対する厳しいお話があったということにつながっていると思います。
 今、畜産農家はあすをも見えぬそういう厳しい状況でありますから、私は、県の皆さんには本当に親身になって畜産農家のことを考えていただいて、できる限り情報を伝える、連携を密にしながらこの対応に一緒になって取り組んでいくという姿勢を見せていただきたいと思います。その辺の見解について、部長からお話をいただければと思います。
〇東大野農林水産部長 畜産農家に対する対策でございますけれども、県として、これまで市町村なり生産者団体の方々とよくよくお話しし合いながら対策を講じてまいりました。ただ、委員からお話のあったように、生産者の方から見ると対応が遅いという御批判もあろうかとは存じますが、片方で全県の均衡も考えながら、あるいは予算も確保しながら事業を進めなければならないという事情もこれありではございますけれども、今後とも、生産者の方がどのような対応を求めているかということを十分お聞きしながら対応してまいりたいと思います。
〇佐々木努委員 よろしくお願いします。
 それでは、2点目に岩手競馬の運営についてお聞きしたいと思います。
 岩手競馬につきましては、赤字即廃止という制約の中で、ここ数年、厳しい運営を続けているわけでありますが、そのような中、3月11日の東日本大震災によって競馬施設もかなり被害を受けたと伺っています。特にも、釜石のテレトラック、水沢本場の二つの施設の被害は非常に大きくて、それらも含めた総額は12億円と聞いております。正直、私も当初、これでもしかしたら岩手競馬は終わってしまうのではないかという心配もいたしましたが、競馬組合を初め関係者の努力、そしてJRAあるいは地方競馬全国協会、これらの支援のもとに、おくれましたが、開幕を迎えることができて、今も順調にといいますか、運営を続けているという状況であります。
 最近、新聞では、今シーズンは黒字が見込まれるという記事も目にしましたが、県として、被災を受けた今シーズンの馬券の売り上げにつきましてどのように分析しているのか、あわせて、今後の収支の見通しについてお示しいただければと思います。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 岩手競馬の今年度の売り上げ状況についてでございますが、震災により開催期間を短縮したこと、発売できない施設は、委員御指摘のとおり、釜石が被災しまして廃止したところでございます。それから、復旧工事のために発売を中止せざるを得ない施設─宮古が6月4日から再開してございますし、三本木についても6月25日から再開してございますが、そういったことが起きてございます。また、震災による消費等の影響といったものがどの程度落ち込みがあるのか、非常に予測が困難であったところでございます。
 まず、発売額については、前年度対比が半減程度するというような状況を見込んだところでございましたが、被災により発売できなかった施設の復旧が順調に進みまして、発売額も増加に転じているところがございます。また、震災による消費等の冷え込みといった影響が当初の予測よりも小さかったということがございます。そういったことで、きのうまでの発売成績でございますけれども、対計画比では119.0%となってございます。一方、対前年度比較では91.0%ということで、比較的堅調に推移しているという状況でございます。
 それから、収支の見込みについてでございますが、7月18日までの第1期の終了時点におきましては、水沢競馬の追加開催も踏まえまして、9、400万円程度の利益を見込んだところでございます。また、第2期、これは9月26日までの期間になるわけでございますけれども、この時点での収支見込みにつきましては、先般開催されました南部杯の部分も含めまして、次の岩手県競馬組合運営協議会において精査、協議することとしているところでございます。
〇佐々木努委員 次に、今回、競馬組合に対しまして、JRA初め各方面から見舞金、支援金が送られておりますけれども、現在の受け入れ状況をお示しいただければと思います。また、その使途についてもお示しください。よろしくお願いします。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 競馬組合に対する支援金等の受け入れ状況とその使途についてでありますが、10月末日現在で24団体、個人から、昨日のJRAからの支援金の贈呈も含めまして、総額5億1、660万円余の支援金を賜っているところでございます。内訳ですが、JRAからは、昨日の3億5、000万円と、さきに協力金として1億5、000万円いただいてございますので、合わせて5億円余となってございます。それから、全国的な地方競馬団体からは1、000万円、他の地方競馬主催者などからは240万円余、岩手県馬主会等岩手競馬の関係団体あるいは個人の方々から280万円余となってございます。
 次に、支援金等の使途でございますけれども、その大部分につきましては、震災後に見直しをしました本年度の収支計画の中で、収支均衡を図るための財源として既に見込んでいるところでございます。ただ、今回の南部杯の開催に伴う支援金については、当初の見込み額を上回った部分もございます。
 こういった今回の南部杯の開催に伴う支援金が見込みよりも上回った部分などを含めまして、今後の収支見通しを精査しながら、さきに競馬法に基づいて地方競馬全国協会への交付金の支払い猶予を受けるために、農林水産大臣の同意を得るためにつくりました事業収支改善計画というものがございまして、その中に盛り込んでおります低コスト経営体質への構造転換あるいは発売体制の強化など、こういった取り組みをできるだけ前倒しして実施することも含めまして、今、総合的に検討しているところでございます。
 具体的には、自動発売機の導入などによりまして発売経費の削減を図るといった低コスト経営体質を構築する費用などに活用してまいりたいと考えてございます。それらを含めますと、現時点での収支見通しでございますけれども、先ほど御答弁申し上げました第1期終了時点と同額程度の利益は確保できるのではないかと見込んでいるところでございます。
〇佐々木努委員 それを聞いて少し安心しました。
 次に、今回、JRAから、今お話があったように、県と競馬組合にそれぞれ5億円ほどの義援金、支援金をいただいたわけですけれども、それにつきましては、今回、東京競馬場で南部杯が開催されたということがその大きな理由だと私は理解しています。東京競馬場で南部杯が開催されるのは今回が初めてなんですが、その開催されることになった経緯についてお知らせいただきたいと思います。
 それから、来年以降も同様な取り組みができないものか、JRAとはどのような話をされているのか、その辺もお伺いします。
〇佐藤競馬改革推進室特命参事 南部杯の開催の経緯についてでございますけれども、3月の震災の影響によりまして岩手競馬も多くの被災を受けたということでございますが、開催日数あるいは発売施設が減少するということで、厳しい経営環境に置かれる状況となりました。そういったことから、国あるいは地方競馬全国協会とあわせまして日本中央競馬会にも支援を要請してきたところでございます。盛岡競馬場と東京競馬場が姉妹提携を結んでいるという縁もございまして、従来、盛岡競馬場で開催してきました南部杯を、本年度は岩手競馬支援のためということで、日本中央競馬会の主催により東京競馬場で施行することとなりまして、このレースの売り上げの一部を岩手競馬に拠出していただくこととなったというところでございます。
 さらに、昨年の南部杯が5億円の売り上げでございました。本年は70億円ということで、14倍ということもございました。ただ、今年度については、あくまでも、岩手競馬が被災して、その復旧、復興の支援のためにということで、本年度限りの開催ということになってございます。ですから、来年度以降につきましては盛岡競馬場での開催を予定しているところでございます。
〇佐々木努委員 先ほど、盛岡競馬場と東京競馬場は提携を結んでいるというお話を伺いました。やはりこれから岩手競馬を存続させていくためにはJRAから支援を受けなければならないと私は思っています。そういう意味からも、ことしは震災があったからということだと思いますが、来年度以降もまた東京競馬場で開催していただいて、その売り上げの5%をまたもらうとか、そういう支援を訴えていかなければならないんじゃないかと私は思っています。そういうことですので、積極的な働きかけを今後もしていただければと思います。
 それから、通告にはありませんが、最後の質問です。今シーズンの岩手競馬も終盤戦に入りました。12月の初旬から水沢競馬場に舞台を移すとなっているようです。年内にスタンドが、競馬場施設が修復になって本当によかったと思いますが、さらなる売り上げ増を期待したいと思っています。
 岩手競馬は、今回、大震災という非常に厳しい状況を乗り越えようとしております。しかしながら、今後存続していくためには、さまざまな課題を克服していかなければならないと思います。もし、岩手競馬が廃止になれば、たくさんの方々が職を失います。地域経済にも大きな影響を与えることになります。震災の影響が非常に大きくて、これから数年間はその影響が心配されるところではありますが、何とかこの競馬を存続させるために、これからどのような思いをもって頑張っていかれるのか、副管理者である理事からその強い決意を伺って、私からの質問を終わらせていただきます。よろしくお願いします。
〇高前田理事 岩手競馬は、ことしは震災の影響もございまして、非常に厳しい状況に置かれておりましたが、先ほど来お話を申し上げておりますとおり、JRA初め地方競馬全国協会、そして全国の主催者から数々の御支援を賜って、何とか今、競馬を開催できているということでございます。
 こういった全国からの支援に報いるためにも、しっかりとした安定的な経営基盤を築いていくということが私どもの重要な課題だと認識いたしておりまして、具体的に申し上げますと、ことしの8月でございますけれども、農林水産大臣からも御同意をいただきました事業収支改善計画というものがございます。これによりまして、この5年間を集中的な改革期間と位置づけまして、二つの柱で取り組むことにいたしております。
 一つは、低コスト体質への改革で、そういった低コスト構造というものを築いていくというのが一つ。もう一つは、売り上げの向上ということでございまして、これは、レースの魅力の向上であるとか発売体制の強化といったような内容でございます。
 それぞれ具体的に申し上げますと、低コスト体質の関係につきましては、先ほどお話を申し上げました自動発売機の導入を初めとして、来年4月からは共同トータリゼータシステムという全国共通のシステムが稼働いたしまして、ランニングコストが大分下がります。そういったことを通じて、そういった体質を築いていくということでございます。
 もう一点の売り上げの拡大に向けた取り組みでございますが、何よりも競馬の本質は馬でございまして、賞典費については、これまで数次にわたったコスト調整の中で大分下がっておりますけれども、少しでもそれを戻していけるような取り組みをしたいということ。それから、来年の10月からでございますけれども、JRAのネット会員、これは全国で308万人おりますけれども、こういった方々に対する地方競馬の発売ができるような環境ができてまいります。そういったシステムを最大限に活用して売り上げの向上に努めて、安定的な経営基盤を築いてまいりたいと考えております。
〇神崎浩之委員 通告に従って、1点、汚染稲わらの処理について絞って質問させていただきます。
 午前の質疑もありましたので、半分ぐらいに遠慮しながらやっておりますが、まず初めに、汚染稲わらの処理について、処理方針、国の役割、県の役割、市町村の役割について確認させていただきます。
〇山田畜産課総括課長 農家が保有しております汚染稲わらの処理についてでございますが、まず、処理方針ということでございますけれども、7月の農林水産省からの通知でございますが、放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8、000ベクレル以下のものにつきましては、通常の一般廃棄物として処分することができる。ただし、生産された圃場が明らかであれば、その圃場に還元施用することもできるとされております。しかし、午前中にも申し上げましたけれども、埋却することにつきましては、農林水産省と環境省との間の調整がまだついていない状況となっておりまして、これについて、今、早急に調整をつけていただいて、方針を示していただくように国に要望しているところでございます。
 それから、国の役割、県の役割、市町村の役割ということでございますけれども、原子力政策につきましては、国の専管事項であるということがありましたので、これは、国の一元的な責任のもとで必要な措置が講じられるべきものであると考えております。また、地方自治体、県や市町村にありましては、国の判断のもとで適切な役割を果たすべきものと考えてございます。
 県と市町村の関係でございますが、今般の汚染稲わらの処理に当たりましては、県においては、これは市町村の協力をいただきながらでございますけれども、すべての畜産農家への立入調査だとか汚染稲わらの検査、稲わらの隔離、誤って使うことがないように封印するなどという取り組みを実施しております。
 市町村にお願いしているのは、汚染した稲わらを処理する場合については、その場所の決め方については県だけの判断ではできないということで、処分方法とか場所について市町村に決めていただいて、─これは県が協力をするわけでございますけれども、その決めたものにつきまして市町村を支援していくことにしているところでございます。
〇神崎浩之委員 ただいま、国の方針が定まっていないという中で、つらい質問になりますけれども、県の役割についてはっきり聞きたかったところなのですが、今聞くと、立ち入り調査とか検査ということで、問題なのは、早く処理してほしいわけです。これについて、最後にまた質問いたしますけれども、県の対応について、責任を持ってやっていただきたいというのが趣旨であります。
 次に、県内農家の汚染稲わらの保有状況でありますが、一関市は400トンと出ております。県、他の主な市町村について、保有状況はどういうふうになっているのかお聞きいたします。
〇山田畜産課総括課長 私のほうで押さえておりますのは、汚染稲わらは全部で約600トン程度保有されていると考えております。これについては、今、18市町村に汚染された稲わらが、これは県内産、県外からの購入のものを含めて保管されている状況と考えております。
 この市町村の内訳については、市町村の了解を得ておりませんので、市町村名は省略させていただきたいと思います。
〇神崎浩之委員 今、それらの保有の課題についてと処理の進捗状況についてお聞きするわけでございますが、一関市については、新聞で皆さん御案内のとおりでありますが、他市町村、他県での進捗状況について、わかればお示しいただきたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 汚染された稲わらの処理の進捗状況でございますけれども、午前中もお話ししましたけれども、18の市町村それぞれにあるものについて、保管されている数量だとか放射性物質の濃度が異なっておりますので、それぞれの市町村の実情に応じて、埋却だとか焼却だとかすき込みだとか、そういう処理方法を検討されているところでございます。
 ただ、先ほどもお話ししましたように、埋却については農林水産省と環境省との調整がついていないということで、これについてはまだ埋却をしていいという段階になっておりません。また、8、000ベクレルを超えた稲わらについては、最終的な処理方法が国から示されておりませんので、これらについてもまだ処理の状況が進んでいないと残念ながらお答えするしかないと考えております。
 そのほか、埋却を希望する市町村が県内は多いわけですけれども、これについては、今のお話と、用地確保についてもなかなか難しいということがありまして、進んでいない一つの原因になっていると考えております。
 他県の状況でございますが、新聞報道等によりますと、宮城県では、一時保管ということで、市町村と協力して動き出しているということでありますので、県においても、今、一時保管について検討を進めているところでございます。
〇神崎浩之委員 土日と一関市で農業祭がありまして、畜産の方、一般市民の方、それから一時保管場所と選定されている地域の方からいろんなお話を今回聞いてきたわけでございます。
 そこで、一時保管場所とか選定の要件について聞くわけなんですが、現在、一関市が、決定ではないんですが、選定といった地域は山の上なんです。そこは一関市の磐井川という水源地であるということで心配しております。それから、農家もおりますので、農産物の風評被害も含めて心配を出されております。何よりも、3年前の岩手・宮城内陸地震の震源地なんですよ。震源地のすぐ近くということで、いまだに余震があるんです。余震がある中で大丈夫なのか、擁壁をつくっても大丈夫なのか。それが一関市の水道水に影響があるんじゃないかという心配がされております。
 それから、観光地でありまして、須川温泉、祭畤温泉のところでありまして、落橋した祭畤大橋のすぐ2キロぐらいのところにありまして、観光面でも非常に心配を出されております。そこに行き来の輸送の危険等も出されておるわけなんですが、そもそもこの一時保管場所というのはどういうものなのか、エリア的な場所とか、規模とかの面も含めて。それから、一時保管場所と決定するのはだれなのか、実施主体はどこであるのか。先ほど、心配な面が出されているわけなんですが、安全面の観点から、水だとか農作物等々、選定に当たっての安全面の要件等があるのかお聞きしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 稲わらの一時保管場所の要件、条件等でございますけれども、国から示されている要件につきましては、まず人の立ち入りを制限する。これは安全面ということでございますけれども、例えば有刺鉄線をめぐらせて、そこを立入禁止にする標識を設置する等の措置をとっていただくということを場所選定の条件としておりますし、選定に当たりましては、地元の意見を聞きながら、地元の了解をいただいて選定する。県としては、先ほどもお話ししましたけれども、場所等に精通しております市町村に場所の選定についてはお願いしたい。安全性等につきましては、設計段階のそれぞれのものをお互い協議しながら内容を詰めて、─これは国とも相談していかなければなりませんけれども、決定していきたいと考えてございます。
 先ほどお話がありました地下水汚染だとか農産物への影響、観光等いろんな面で考えなければならない点はあると思いますので、これについては、今回は一関市が具体的に動かれておりますので、一関市と協議しながら進めていきたいと考えておりまして、先般、私も市にお伺いして、市の職員の方にお話を伺ってまいって、これからいろいろと相談に乗りながら一緒にやっていきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 一時保管場所の選定についてなんですけれども、きのうの新聞では、地元は反発している。だけれども、市側とは議論並行だと出ていたわけなんですが、けさの新聞を見ますと、市長も住民合意が重要なんだと。きのう新聞、そしてきょうの新聞にはまた異なるような対応で、これだけやはり一時保管場所の選定については本当に悩ましいことだと思っております。
 今の説明で、選定については市町村だということで、決定はというところがちょっと私は聞き取れなかったんですが、選定は市町村、決定はどこがするのか、もう一度確認させてください。
〇山田畜産課総括課長 場所の決定についは、国と県と協議しながら、市町村に決めていただきたいと考えております。
〇神崎浩之委員 一時保管場所が不安な中には、そこが恒久的に置かれるんじゃないかという心配も出されております。そこで、次の段階の最終処分地が決定すれば、ある程度、3年だけだよ、1年だけだよということで納得されることもあるのではないかと思われるんですが、その最終処分について県はどう考えているのか。先ほど、埋却とか焼却というのはあるんですが、あるうわさとか情報では、岩手県にはそういう最終処分とか焼却の施設をつくらないんじゃないかといううわさもあるんですが、あわせてお考えをお聞きしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 最終処分のお話ですけれども、一つは、焼却するということで、これは一関市も動いていただいております。ただし、8、000ベクレル以下のものしか今はその対象にならないということで、8、000ベクレルを超える稲わらについて、最終的な処分の方法が国からまだ示されておりませんので、今、そこを早く示していただかないと、地域の住民の方に説明しても、一時保管とはいえ、納得していただけないだろうと考えておりますので、これは急いでいただきたいと考えております。
 それから、最終処分の仕方については、これも、国からは埋却についてはまだ示されておりませんけれども、いわゆる放射性廃棄物の高濃度のものはコンクリートで固めるとか、そういう形までは想定していないと伺っておりますので、低レベルのものは埋却、焼却、すき込みという形での処理を国は考えていると聞いております。
〇神崎浩之委員 部長にお聞きするわけでございますけれども、稲わらの処理については、一時保管場所も含めてなんですが、県として広域でやっていこうという考えなのか、それともエリアごと、市町村ごと、どういう処理の方法と考えておられるのか、所見をお伺いしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 稲わらの処理の範囲ですけれども、8月臨時会で(後刻訂正)関係予算を提出させていただいたときに、事業主体として市町村にお願いするという事業の枠組みをつくりました。考え方としては、広域処理した場合に、やはり地域ごとに場所を選定するのはなかなか難しいのではないかということを考えました。やむを得ず自区市町村内処理というのが最も適切な方法ではないかと考え、そういう枠組みで事業を推進したいと考えてございます。
〇神崎浩之委員 先ほどの新聞報道で、きのうときょうでもすぐ変わっているというぐらい悩ましいことだという話をさせていただきました。ごみ焼却炉をどこにつくるかとか、そういう問題よりも結構厳しい事象だと思っております。
 そこで、先ほど、だれが決定者、機関なのかと。県の役割として、調査だとか検査だとかということだけでなくて、やはり真剣になって、今、目の前にある稲わらが早く処分できるように力を注いでいただきたいと思っております。
 最後にコメントを求めるわけでございますが、午前中の答弁で、堆肥は県が責任を持ってということをおっしゃられました。堆肥は県が責任を持ってという答弁があったわけなんですけれども、同じことなので、ぜひ、稲わらについても県が責任を持って─私は、きのうの新聞が出たときには、国に対して、東京電力に対して県は働きかけてくれというところで質問をとめようと思ったんですけれども、きょうの新聞を見て、一転しているわけなんです。それだけやっぱり苦労しているということなので、ぜひ、岩手県として、責任を持って被災者に寄り添う対応を今後進めていただきたいと思います。コメントを求めて、私の質問を終わります。
〇東大野農林水産部長 稲わら、牧草の処分についてでございますけれども、県といたしましても、畜産農家の窮状を考えると、一刻も早く処分したいということではございますが、ただ、他の地域に持ち出すわけにもいかず、そこで、そういった畜産農家の状況を地域に理解していただき、処分を進めなければならないと考えてございまして、決して市町村にすべてお任せするという考え方では全くございません。そういうこともあって、県単で事業も議会にお願いし、認めていただいたという経緯でございますので、県が市町村ともどもこの問題には対応していくという姿勢には何ら変わるところはございません。
〇佐々木朋和委員 では、私からも2点、重複する部分は割愛させていただきながら質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず1点目は、農作物の放射線の風評被害対策について伺います。
 岩手県では、平成22年度いわて県民計画第1期アクションプランにおいて、岩手県産の農畜産物の高付加価値化、ブランド化、そして食の安全・安心、地産地消に積極的に取り組まれ、一定の成果を上げてこられたところでございますが、今回の震災、放射線の風評被害によりまして、午前中に渡辺委員の御指摘もありましたとおり、その成果においても大きな影響があると聞いております。連日の報道で、最近の市場価格の動向や消費動向についても大変気になるところでありますが、県外の県産品のイベントなどでは、逆に岩手県内の消費動向はどうですかと。岩手県で敬遠されているものについては売るということもなかなかできませんよという声も聞かれていると聞きます、県外だけでなく県内の消費動向も教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇菊池流通課総括課長 農林水産物に係る風評被害の状況でありますが、まず、米について申し上げますと、平成22年産のひとめぼれの取引価格は年間を通じて1万2、000円前後で推移しておりまして、これは震災以降も大きな価格の変動はありません。野菜についても、本年の4月から9月までの野菜全体の販売単価で見ますと、前年比較で103%となって、堅調に推移しております。このことから、米と野菜については放射能の風評被害による販売への直接的な影響はなかったと考えております。
 牛肉につきましては、東京食肉市場における本県産牛肉の価格が、7月に放射性セシウムの検出が公表された後、前年同時期との比較で見ると、いわゆる本県が主力としております高級牛肉のA5、A4というもので見ますと、25%から35%程度下落しております。それは、出荷制限が解除された9月になって幾分値を戻した時期はありましたが、基本的には回復していないという状況にあります。
 消費動向について、県内の主な産直等に確認しておりますが、一部の県外客がギフトの注文を取りやめたという事例はあったものの、風評被害という影響はほとんどなかったという声が返ってきております。
 それから、平泉等の観光施設におきましても、特に平泉については世界遺産の登録決定後は客足も増加し、売り上げが好調な状態にあると確認しております。
〇佐々木朋和委員 安心した気持ちではありますが、県内の消費動向を気にするというのは、午前中の工藤農業振興課総括課長の答弁でもありましたとおり、4月にはデスティネーションキャンペーンがございます。DCと呼ばせていただきますが、DCは観光のみのイベントではなくて、岩手に来たお客様に岩手県食材をアピールする、また、安全・安心の復活をアピールするまたとないチャンスだと思います。しかしながら、逆の要素もあって、東京で岩手の食の安全・安心をうたっても、いざDCの期間にたくさんのお客様が来たときに、岩手県に来たら飲食店で県産品を扱っていない、そんな状態になりますと、かえって風評被害を広める結果にもなってしまうと思います。農林水産部の皆さんは、第1期アクションプランでもグリーン・ツーリズムなどの取り組みによって観光と絡めた農業を推し進めておられますけれども、今回のDCについても、午前中の答弁でいろいろな取り組みを計画されているとお聞きしました。消費動向、市場価格回復の具体策を、県外、県内、特にもDC対策も含めてお示しいただきたいと思います。よろしくお願いします。
〇菊池流通課総括課長 市場価格を回復させるために、大きく二つの側面から対策を進めているところでありまして、一つ目は、広く消費者の方々に県産牛肉等の安全性をPRすることであります。県では、毎月第4金、土、日曜日をいわて食財の日と設定して、県内のスーパー等において地産地消の取り組みを進めておりますが、この日にあわせて岩手の牛肉復活祭と銘打ったイベントを開催するほか、首都圏に出向いて、11月の下旬には食肉の安全・安心の理解促進を図ることに向けたシンポジウムを開催することとしております。
 それから、大きい対策の二つ目でありますが、これまで、東京食肉市場などにおいて本県産の牛肉を買い支えていただいている方がおります。こういった方々に、本県の検査体制が安全なんだということを周知することが今求められていると考えておりまして、10月6日に、東京食肉市場においていわて牛安全安心の集いというものを開催し、本県の生産者と一緒になって市場関係者にPRしてきたところであります。もともとは本県では地産地消県民運動というものに取り組んでおりまして、そういう意味では、ディスティネーションキャンペーン等を機会に県外から県内においでになった方々には、岩手県は地元のものを取り扱っているなというものが、他県に比べれば見えるようになっているものと考えております。
〇佐々木朋和委員 来年4月には、盛岡駅におり立ったお客様が、岩手の食のアピールポスターがどどんと張ってある、また、岩手県内の飲食店に行ったら、岩手県産のものがいつも以上に、例年以上に食べられるという状態になるように、これから冬、ぜひお取り組みをいただきたいと思います。
 次に、一般質問でもお聞きいたしましたが、農畜産物に対するベクレル表示については、牛肉ならまだしも、農産物については難しいというお話がございました。その中で、250万円ほどの機材で、ベルトコンベアの流れの中で放射線を検知する機械があると聞いておりますが、岩手県食材のブランド化、これからは検査済みだということも一つのブランドになってくるかもしれません。今のところ、野菜について風評被害はないと言っていますが、ブランド化に向けてもJAなどの団体へ導入を支援するお考えなどないかお聞きしたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 ただいまのJAのいわゆるベルトコンベア式の放射性物質測定機器の導入支援についてですけれども、これは連続測定ができる機械ということだろうと思いますが、このベルトコンベアの流れの中で放射性物質を検出する機材については、国内の事業者が、梱包状態の食品中の放射性物質を連続的に測定可能な機器として、本年9月に発売を開始したものです。本県では県南部のJAで1台導入していると聞いております。
 一方、このような放射性物質の測定機器については、1検体当たりの測定時間が物流に対応できるかどうか。これは連続測定の場合は12秒で測定できますが、精密測定の場合は120秒ということになっております。その場合、今後変更が見込まれる食品中の放射性物質の規制値の見直しに、この測定機器の検出限界値が対応できるかということがございまして、例えば葉菜類でありますと、12秒の連続検査の場合は、検出限界が250ベクレルということで比較的高いものでございますから、これが消費者や流通のほうのニーズにマッチングできるかどうか、導入に当たっては十分に検討すべき事項もあるのではないかと考えております。
 そのため、JAが本機器を導入するに当たっては、こうした観点から私どもも十分なアドバイスを行うとともに、活用できる国庫補助事業なども紹介しながら、十分検討するよう指導や支援をしてまいりたいと考えております。
〇佐々木朋和委員 いずれ、放射線対策というものが、ブランドづくりということのこれからの世の中では第一歩になるのではないかと思いますので、ぜひ、引き続き御検討をお願い申し上げます。
 大きく2点目で放射能汚染牧草、稲わらの問題について質問を予定したおりましたが、午前中、岩渕委員、神崎委員より御指摘がありましたので、私も本当に同じ気持ちでございます。
 その中で1点だけ。今、県南においては、これは放射線の問題全般ですが、各市町村ごとでそれぞれの状況に合わせて対応ということが基本になっているところではありますが、市町村ごとで対応しているというのが、住民の皆さんにとってはかえって混乱のもとになっているような気がいたします。午前中も御指摘がありましたが、一関市ではこうやった、そしたら、隣の市町村でも、今やってないのはこれはおくれているのか、同じことをやらなきゃいけないのかというような不安が住民の皆さんのあつれきになったり、職員の皆さんのストレスにもなっていると思います。各市町村の情報共有、交換する場というものを県が音頭をとってぜひやっていただきたいと思いますし、せめて広域振興局ごとぐらいの単位では統一の方法でやっていただきたいという思いがございます。ぜひ、県の主体性を持った対応をしていただきたいと思いますが、その点について所感をお願いしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 ただいまございました市町村の取り組みに対する情報共有の場の提供ということでございますけれども、確かに、それぞれの地域で必ずしも同じ歩調で処理に対する取り組みが進んでいる状況ではないというのは承知しております。一関市のように試験焼却までやっているところもございますし、まだ場所の選定で相当苦労されているところもあると理解しておりますので、市町村と県も一緒になって、取り組みの参考にしていただくために、近々、国から県、市町村による情報交換の場を設定して、稲わらの処理を円滑に進めたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
〇工藤勝博委員 私からは大きく3点質問させていただきます。
 一つ目は経営体の育成ということで、大きく見ますと、九つの事業があるわけですけれども、その予算額が127億6、611万円、決算が84億885万円ということで、実際、3分の1は使われていなかったということで、そういう状況はどういう内容だったのか、1点、先にお伺いいたします。
〇千田担い手対策課長 ちょっと手元に細かい資料を持ってきてないので、後ほどお尋ねにお答えしたいと思います。
〇工藤勝博委員 経営体の育成ということで、経営体は、主業農家、今は認定農家になっていますけれども、その部分と、あとは集落営農のような組織経営体と2種類あるわけですけれども、その育成の過程の中で事業がどういう形で経営体に取り入れられ、採択されているのかをお伺いしたいです。
〇千田担い手対策課長 集落営農組織の育成についてということでございますけれども、何よりもリーダー育成が大切だと思ってございまして、集落営農組織の経営発展のためには、生産性の向上、経営の多角化を図ることが必要でございます。こうした集落営農の組織がこれらの取り組みを進めていくためには、組織を牽引するリーダーの育成が重要でございます。このため、農地の利用集積や農業機械の整理合理化等に向けた集落の中での合意形成をきちっと図る必要があるということで、研修会等も引き続き開催することとしてございます。また、新規作物の導入ですとか流通、加工部門への進出など経営計画の策定支援等を行いながら、こうした集落営農を牽引していくリーダーの資質向上を図ってまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 そういう中で、相当なコストをかけて支援しているわけですけれども、ここ数年来、農業生産額は年々下降ぎみということでもあります。このぐらいコストをかけても、実際、なぜ生産が伸びないかというのをもう少し掘り下げて考えてみる必要もあるのではないかと私は思います。というのも、個人の経営体であろうが、集落の経営体であろうが、それだけ投資したら、やっぱりそれだけの生産額を上げなければ当然経営は成り立たないだろうと思います。そういう事業のあり方も含めてお聞きしたいんですけれども、平成22年度の場合、どれだけの支援事業がそれぞれの経営体でなされているのかお伺いいたします。
〇千田担い手対策課長 今、手元に資料はありますけれども、担い手関係の事業というのは相当数に及んでいまして、個々に御説明したらよろしいでしょうか。(「何を言っているんだよ」と呼ぶ者あり)わかりました。
 農業振興費というくくりの中で大きく担い手の関係の事業費があるんですが、昨年度の決算額では合計で36億円ほどになっております。それから、先ほど御指摘のあった多額な不用額が出ているという話なんですが、幾つかの事業で不用額が出てはございますが、特にも大きいのは農地利用集積事業でございまして、これは、担い手に対してマッチングして農地等の権利委譲をする事業なんですが、大概の地域では1月、2月に利用権設定が行われるものですから、2月補正で不用額を落とすのがおくれることがございまして、この事業で3、300万円ほどの不用額を出してございます。
 それから、農山漁村活性化プロジェクト交付金というものがあるんですが、これにつきましても、一部工事すべきものが施工できなくなったということで、これで1、200万円ほどの不用額が出ています。あと、幾つかの事業でも不用額が出てございますが、100万円未満のものが多数でございます。
〇工藤勝博委員 例年、こういう予算を組んで、決算もなされているわけでございますけれども、平成22年度の場合、不用額が大変多い。やっぱり現場の声というものが届いていない部分がかなりあるだろうと思いますし、そういうことも含めて、もっときちっと精査する必要もあるのではないかと思います。せっかくの予算を立てて執行できない部分、例えば平成22年度は35%ほどでもありますし、これこれをやりますという予算を組んで、実際、現場におりない予算であれば、何のための予算かということも含めて検証し直す必要があるだろうと思いますし、このような状況の中で、農産物の販売状況も大変厳しい中ですけれども、それられをきちっとやることによって、経営体なり、またそれにかかわる人たちの意識も高まるだろうと思います。
 そういう中で、組織的な運営については、例えば一番苦労なされているのは、事務局がいろんな部分で大きな力を担っております。そういう事務局を担当する方が、うちの近くの営農組合でもありますけれども、県の職員が率先してやっている営農組合もあります。やはりそこまで踏み込んだ形で地域のそういう経営体をみんなで守るんだ、地域を、何というか、元気を出してやるべということをやっております。そういうことも含めて、率先して職員もそこまで踏み込んだ形で取り組んでほしいと思いますが、この点につきまして部長からもお聞きしたいと思います。そういう職員が現実にいますから、感想をお聞きしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 まず、最初に不用額の件ですけれども、どうしても我が部は産業振興部ということで、可能性があるならば予算は確保しておきたいという気持ちが影響し、そういうことが起こっている可能性もございますけれども、予算が制約されている中ということがございますので慎重に精査し、今後、不用額が生じないような対応をしてまいりたいと思います。できるだけ、そのような対応をしてまいりたいと思います。
 それから、職員としての地域での姿勢ですけれども、委員が紹介していただいたような事例について、ほかにも、職員として戻って兼業で営農している職員もございます。そういう職員は、積極的に地域活動にも参加していっていると思いますので、そういう職員の動きみたいなものは、できるだけ生かせるようなことをしてまいりたいと思います。
〇工藤勝博委員 今の質問はこれで終わりますけれども、次に、昨年から始まった戸別所得補償にかかわって、県ではどのような評価をなされているか、また、その課題もたくさん見えているだろうと思います。あわせて、今議論されているTPPの問題も含めて、この戸別所得補償との関係をどのように見ているか、お聞きしたいと思います。
〇千田担い手対策課長 ことしから始まった戸別所得補償制度の本格実施についてでございますけれども、昨年、平成21年度の米に限った制度が始まったわけですが、昨年度は米の概算金が大幅に下落したということがありまして、このモデル対策によって前年を上回る所得が確保されたということで、現場においては、多くの農家が経営安定に役立ったと評価しております。平成23年度も、そういったことから加入者がふえているという実態にございます。そして、本年度から対象作物を、麦、大豆等畑作物まで追加して、経営規模の拡大に対する追加措置ですとか、それから本格実施としてスタートしたわけでございますが、県としましては、本制度が、農産物の価格低迷などで厳しい経営環境にある中にあって、農業経営のセーフティネットとして大きな効果があると期待しているものでございます。
 このため、意欲ある農業者が安定して継続的に農業に取り組むことが大切でございますので、国に対しましては、法制化を含めた制度の恒久化、そして去る8月3日にも、知事が農林水産大臣に直接要望もしたところでございますので、今後も、機会あるごとに継続的にこの制度が恒久化されるように要望してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 たしか昨年から始まったこの戸別所得補償制度、昨年は逆に米価が大幅に下落したと。それで補償があったからよかったべということにはなっていないですね、実際は。最低限の生産費を何とか補償したという形で、農家にとってみれば、何らそこで満足だという数字にはなっていないです。ことしはまたいろんな形の中で、集落営農の部分でも、逆にそうであれば、もうそこから抜けて個々でやりますという農家も、うちの組合でもあります。そういう形で、評価するのはまだまだ時間もかかるし、本当にこれでいいのかということも吟味する必要があるだろうと思いますし、また、今度のTPPに関連すればちょっと変ですけれども、そういう中で、集落営農の維持をどういう形で持っていけばいいのかという、そういう指導の方法でもこれからもっと現場の声を十分精査する必要があるだろうと思います。その辺に関して、今後の見通しも含めて、この所得補償あるいはまた組織の指導をお聞かせいただきたいと思います。
〇徳山農政担当技監 本格的にことしから始まりました戸別所得補償制度の今後の見通しということでございます。
 まず、第1点といたしまして、TPPとは私どもすっかり切り離して考えております。これまでの長い間の米価低迷の中で、農家の所得を補償するという機能を発揮する制度としていろんな制度の変遷がありましたが、ある程度のところで落ちついたものではないかというとらえ方をしております。
 あとはもう一点の大きな問題といたしまして、集落営農組織を今後どのようにするかというお話がございました。集落営農組織については、県内でも400以上できておりますけれども、内容を見ますと、まだまだ戸別経営体の集合体であったり、あるいは一方では、法人経営を、非常にレベルの高い経営をして所得を確実に上げているところもございますので、県としては、できるだけ確実な経営を上げられるような経営管理能力の向上、このための新作物の導入とか農地の利用集積、このようなことを進めながら、一層の集落営農組織の本来の目的である経営体としての機能が果たせるような形で進めていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 そういう思いで予算を当然これからまた策定すると思いますけれども、実際そういう集落営農なり候補が使い勝手のいい予算にぜひ来年度は向けていただきたいと思います。
 次に、畜産振興についてお伺いします。
 畜産も大変な状況の中にありますけれども、岩手県の農業生産額の中で畜産は6割ほどを占めているわけですけれども、そういう中で、昨年度、平成22年度は年末の大雪、そして年末年始の豪雪によって大変な被害も受けておりました。そういう中で、一番経営安定に結びつくのは自給飼料の確保だろうと思います。自給飼料も、先ほど来草地の話もありました。草地以外に、昨年、ここ数年前から飼料米というのも作付されて、相当、量が生産されるようになりましたけれども、その実態と、そして、畜産農家がどのような評価をして、今後、経営に取り入れていくのかをお伺いいたします。 
〇山田畜産課総括課長 ただいま自給飼料、えさ米等の御質問がございましたけれども、飼料の価格だとか、それから震災等で痛切に感じましたけれども、供給もかなり不安定な中で、やはり自給できる飼料に、飼料基盤に立脚した畜産、それは肉牛、酪農に限らず、養豚なんかも含めますけれども、これを進めていくことが非常に重要なことだと理解をしております。本県には、豊富な草資源それから水田といった飼料基盤となり得るものがありますので、これらを活用して増産をしていきたいと考えてございます。このため、草地、飼料畑については、今回の放射能の関係、除染対策も含めて、国の事業なども積極的に利用しまして、牧草地の更新、再生、それから飼料畑の整備ということで、生産性の高い飼料生産を進めていきたいと考えておりますし、低利用地等も含めまして栄養価の高いえさ用のトウモロコシ、これらの作付拡大も進めていきたいと考えております。
 それから、もう一つの大きな飼料基盤になります水田についてでございますけれども、これは、稲発酵粗飼料、いわゆるホールクロップサイレージと言っていますけれども、これとかえさ米など、かなりここ数年ふえております。えさ米は、ことしの作付見込みで約1、800ヘクタール、昨年が800ヘクタールということでしたので、1、000ヘクタールぐらい増加してございます。
 これの利用についての課題については、使う側は、どうしてもトウモロコシとか輸入するえさとの値段の差、これが大きいとなかなか使いづらい、物については非常にいいものだという理解は示しておりますけれども、価格差があるということで、これについては使うほうで、それを使ってどういう副産物をつくっていくかということも含めて検討をしながら、耕種農家の方とのマッチング、それからえさ米生産の低コスト生産、直播栽培などが今検討されておりますけれども、こういうもので実証を進めていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 自給飼料の基盤は、岩手県にとっては本当にすばらしい資源であると思いますし、また、土地利用の部分においても、水田を活用したえさ米が大変急激に伸びているということでありますけれども、この伸びた理由はほとんど、ことしの部分は、対策の中で8万円という支援があるというのが大きな要因だろうと思いますけれども、一番心配なのは、これがいつまで続くのかということだろうと思います。そういうことも含めて、どういう思いを持っているかお聞きしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 えさ米については、確かに今委員御指摘のように、戸別所得補償対策関係の、10アール当たり8万円という追い風というんですか、これによって支えられているところはあると思いますが、使っている側のニーズも結構出てきておりまして、養豚なんかでは、これを使ったいわゆるブランド肉みたいな形で売り出しているところもございます。そういうところについては、価格の問題は確かにありますけれども、そういう使い方をしていただけるのであれば、えさ米はある程度定着して残っていけるのではないかと考えておりますけれども、確かに価格差を考えると、支援というのはこれからもある程度必要ではないかと考えております。
〇工藤勝博委員 えさ米を活用している畜産農家の皆さんにとれば、これは絶対必要だと。それで一つの、今お話がありましたけれども、ブランドもとっているんだということでありますので、これは国にも働きかけながら、継続してそういう対策に取り組んでいただくように希望いたします。
 次に、ブランド化の話は先ほどありましたので省略いたします。
 三つ目として、先ほど言いましたけれども、豪雪あるいはまた災害、停電、大変畜産農家にとっては従来に経験していないような災害が連続して起きました。そういう災害への対応というのはどのようなお考えを持っているのか、お聞きしたいと思います。
〇山田畜産課総括課長 この年末からの豪雪、停電、えさ不足等によりまして畜産農家は大きく被害を受けたわけですけれども、一つは、大雪によりまして畜舎が倒壊をしたと。それから、停電によりまして搾乳ができなくなった。それから、そのために牛乳を廃棄せざるを得なくなったということとか、牛が乳房炎とか健康を損ねた。それから、一たん下がるとなかなか牛乳生産というのは回復しないということがありますので、生産回復がおくれるということがありまして、かなりの被害が出ております。県では、いわて希望農業担い手応援事業、これらを使いまして、畜舎等の整備を支援させていただいておりますし、あとは乳房炎が発生した農場については、乳量回復のため、いわて酪農の郷サポートチームというのが、振興局それから普及センター、市町村、農協の方々でチームをつくって、こういう農家に対して指導をしていただいております。
 また、生乳の廃棄については国に対して要望はしたわけですけれども、なかなかそれに対する対策を打っていただいておりませんが、農業団体で、豪雪のときの分については互助制度を活用して補てんをしていただいたと伺っております。
 また、津波とか大震災による停電では、長期にわたる燃油の不足、それから八戸、石巻のえさ工場の損壊に伴うえさの供給停止ということも発生しておりますので、これによって家畜の死亡、それから生乳の廃棄、それから肉質については、出荷の遅延による肉質の低下という被害が発生しているところであります。それに対応して、当時は家畜のえさとか燃油を運ぶための車の災害派遣従事車両の指定とか高速道路の無料化とか、こういうものを国に要請していただいたところでありますし、燃料については、水産庁の船で支援をしていただいたということもございます。
 えさ不足が継続する中で、被害を最小限に食いとめるための給餌制限とか衛生管理などの衛生指導も徹底をしたところでありますけれども、今後、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、やはり自給飼料の基盤を大事にして、自然災害の発生に対してもある程度対応できるような体制をとっていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 畜産経営をなさっている方は、ほとんど大規模化に向っております。こういう災害があると、その被害も大変な被害にもなっておりますし、特にも、電源が停電したということで、先ほど搾乳あるいはまた絞った牛乳を冷却できない、本当に捨てざるを得なかったというのが連続して起きたんですね。そういう中で、一つは、対策としては、全戸が自家発電というのは無理だろうと思いますけれども、そういう緊急のときに必要な機材は当然備えるべきだろうと思います。そういう支援の方法もこれから考えていかなければならないと思いますけれども、その辺はどのように思っているでしょうか。
〇山田畜産課総括課長 いわゆる自家発電用の電源対策につきましては、共済組合がこれに対する支援を検討しているところもございます。それから、県単の事業でも特認で対応できないことはないと考えております。あと、再生可能エネルギーという話もありますので、こういうものについては国に対して要求をしていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 3点目の質問をいたします。
 新しい販売といいますか、ビジネスの中で、6次産業なり、あるいはまた女性がかかわった産直、あるいはまた農家レストラン等が岩手県では大変ふえてもおります。資料もいただきました。それぞれの地域で元気なエネルギーを持っているのは女性の皆さんなんですね。岩手県は、特にも産地直売所が全国でも多い県でもあります。多い県でありながら、逆に競争も激しくなっているというのも実態であります。そういう中で、産地直売所の今の実態と今後の運営にかかわりましてお聞きしたいと思いますけれども、農産物の販売、6次産業に向けた取り組みとあわせてお聞きしたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 産地直売所の運営と実態についてでありますが、現在、県内に産地直売所は約260カ所設置されております。その全体の売上額は、平成21年度の実績で約107億円となっておりまして、生産者の所得確保あるいは地産地消の拠点として重要な役割を担っていると考えております。その中で、1億円以上の売り上げのある施設が増加傾向にありまして、前年度よりも2カ所多い30カ所となっておりまして、その30カ所が占める全体の売り上げの割合は約67%となっております。
 運営組織別に見てみますと、任意団体で運営する産直が全体の8割以上を占めてはおりますが、先ほど申し上げました1億円以上を売り上げる施設の中では、株式会社や農事組合法人といった割合が高まっておりまして、こうしたところでは、レストランの併設でありますとか、体験、交流施設の併設など、消費者に対してそれまでにない新しいサービスの提供が活発に行われているという特徴がございます。
 県としましては、それぞれの産地直売所が抱えるニーズに応じまして、民間のアドバイザーによります店舗づくりであるとか商品の開発の指導に加えまして、近年、産地直売所が弁当をつくって地域に宅配するといった新しい食品供給のビジネスもありまして、そういった取り組みを積極的に支援して、地産地消の核となります産地直売所の機能を一層強化していきたいと考えております。
 なお、任意団体で運営しております産地直売所の中には、将来に向けて何らかの組織化を目指していきたいというところも見受けられます。
 6次産業化の取り組みの中で専門的な支援を行うために、いわて6次産業支援センターをことしの6月に設置してございますが、先ほど申し上げました産直が自分のところの運営体制を見直したいという相談についてもここで受けて、そこの産直が目指そうとする姿とか、そういう実情に応じた支援をしていきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 産地直売所は一般の消費者の皆さんの一つの遊びのルートにもなっているといいますか、行楽のルートにもなっているんですよね。やっぱり岩手の魅力を高めるためにも、岩手の素材を使った商品の開発、当然地元にあるすばらしい農産物を使った、それを加工してお客さんに喜んでもらうという、これは本当に、一番これから岩手の魅力を発揮するいいチャンスだと思いますし、また、岩手ならではの素材がたくさんあります。それらを発揮できるような力を、女性の皆さんから発信してもらえるような特段の支援の方策をぜひつくるべきだろうと思っておりますけれども、その辺のお考えがあればお聞きして終わりたいと思います。
〇菊池流通課総括課長 岩手県の産地直売所が、それぞれの特色を生かしながら今後利用されていくために、これまでにない新しい視点というのが必要になっておりまして、それはなかなか行政で目の届かないところもたくさんあります。私たちは、そういったことに対して、県内の産直を運営する人同士がお互いに情報交換をしたり、ネットワークをつくったりして、新しい情報を相互に交換したり、あるいは成功事例をともに分かち合うようなことを重ねていくことによって、岩手県の産地直売所がこれから売上額を伸ばしていっていただければと思っているわけですが、産地直売所の交流会などを見ますと、女性の方々の視点というのがかなり新しい材料として意見交換されていることもふえてきておりますので、そういったニーズもこれからどんどん支援していきたいと考えております。
〇沼崎技術参事兼農村計画課総括課長 先ほど工藤勝博委員から経営体の育成の関係で、予算127億6、000万円に対して決算が84億円ぐらいで、40億円ほどの差があるんだけれどもというお話がありました。それについてお答えしたいと思います。
 これは九つの事業で構成されていることになっておりまして、そのトータルが127億円であり、84億円なわけですけれども、その主なものといいますか、予算でその中のハード事業とかソフト事業がさまざまあるわけですけれども、その主なものの中で一番大きなのは圃場整備事業、経営体育成基盤整備事業になるわけですし、それからもう一つは、県北とか県南で事業をやっています畑地体の総合整備事業という土地改良の事業があるんですけれども、そういうハード事業が主な金がさになっていますが、その中で、例えば圃場整備事業につきましては、平成22年度に国の経済対策で補正予算がありました。その年は平成22年、昨年度は国の農業農村整備関係の予算がかなり減額になったということで我々も危機感を覚えまして、これは少しでも国から予算を持ってきたい、あるいは全国から少しでもかき集めてきたいということで、いろいろ画策をしまして予算を集めてきた。それを年度が押し迫ってから予算を確保したということもあって、どうしてもその年に消化できなくて、ほとんどが繰り越したということになっております。
 繰り越しの内訳ですけれども、圃場整備で37億円、それから畑地体総合整備で4億円ということで、合わせますと41億円ということになって、大体それに合うということになっております。
 ということで、40億円については不用額ではなくて、翌年度きちんと、平成23年度に使わせていただいておりますのでお知らせします。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 委員から、農村における女性の活躍、これに対して県としてどのように取り組むかというお伺いがありました。本県では、アグリビジネスに取り組む女性経営体数は、平成22年度で421経営体になっております。ここ5カ年で53経営体増加しておりまして、また、販売額もこの5年間で4億円増加して、21億円となっております。21億円というのは小さいのですけれども、これらは女性ならではの心遣い、わざを生かして農産加工、産直、農家レストラン等の活動を行っております。こうした活動は、高付加価値化ですとか農家所得の向上、それから加工体験やレストランを通じた食文化の発信や都市住民との交流によって、地域の活性化に大きく寄与しております。しかしながら、私たちの認識としては、経営体の過半は販売額が300万円以下にとどまっておりまして、新商品開発ですとか販路開拓などの経営改善などのほか、やや高齢化の傾向がありますので、新たな起業経営体、女性の活躍あるいは参入の育成などが課題となっていると考えております。したがいまして、県としては、これからも商品開発や経営を管理する外部専門家を講師として、個別相談活動ですとかアグリビジネス操業塾などの講座を開催しながら、意欲を持って取り組む新しい人材の掘り起こしにも取り組みながら、女性のアグリビジネスの振興を図っていきたいと考えております。
〇久保孝喜委員 私からは1点だけ、農地などの放射能汚染にかかわってお聞きをしたいと思います。
 これは農林水産部のみならず、県行政全体にかかわる話なんですが、部としての発災初動の危機認識についてまずお伺いをいたしたいと思います。
 この原子力発電所事故にかかわっては、当初から風評の問題がかなり大きく取り上げられておりましたし、現実、どのように放射性物質が拡散をしているのかというのがわからない段階で、なかなか行政が動きがとれなかったという事情はあったにせよ、農林水産部としてはどのような、当初、初動の段階で測定体制を考えていたのか、あるいはどういう体制を組んだのか、まずはお聞きをしたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 測定体制ですけれども、まず、農地につきましては、発災後、初動の土壌調査につきましては、他県においては国が主導で行ったものでありますけれども、国は、本県での調査は必要ないとして行わなかったものと承知しております。現時点では、県内農地土壌の放射性物質の測定とその実態に応じた技術指導が必要なことから、必要な予算を9月補正で措置したところでありまして、農業研究センターや農業改良普及センターによるサンプリング体制を整えまして、11月中に農地土壌の検体採取を終了する計画としております。
 また、他部局との連携については、環境生活部、教育委員会が実施した公園や学校のグラウンドの土壌に含まれる物質の測定結果などの情報も共有しながら、今回調査する農地土壌の放射性物質の測定結果についても、情報を共有することにしております。
〇久保孝喜委員 2項目めも一緒に答えていただきましたけれども、この問題は、結局のところ、他部局でも指摘をしてきたことなんですが、県としての放射能汚染あるいは放射性物質の拡散に対する統一的な方針、あるいは対応指針というのが他県に比べてかなり遅く定められたというところで、現実的には、今お話があったように、結果的に初動段階では、他県の動向を注視するだとか、あるいは状況を見て動くとかという言葉に終始していたわけですね。やっと動き出したのが、例の牧草の汚染の問題が発覚をしてから以降はそれなりの認識もあったんだと思いますし、しかし、実際には、8月の対策本部設置の段階まで、本格的な対策というにはほど遠い状況が続いていたんだと私は思っております。農林水産部としても、全くの非常時の段階で、今考えると必要だったという対策すべてをやらなくてはいけないということを言うつもりはありませんけれども、しかし、こうした県の行政の内部では、放射能汚染などということが想定に全くなかったということも含めて、危機管理の問題は冷静に総括をしていく必要があるだろうと思っておりまして、その点では、ぜひこれから全庁的な取り組みもあわせてお願いしたいと思っているところです。
 そこで、今お話があった、補正予算で策定されました土壌汚染のマップづくりが既に公表されておりまして動いております。これは、6月定例会の段階では国が動き始めて、宮城県以南については8月段階でマップができたと、こういうことになっているわけですが、県も今その調査を開始したと、そのための予算もつけたということなんですが、このマップの公表時期はおよそいつになるのかということをお尋ねしたいと思います。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 このマップにつきましては、土壌のサンプリングによるデータと、それから航空機による放射線量の面的な測定、これをあわせましてマッピング化するものでございまして、その技術につきましては、国に依頼して、国の技術をもってマッピング作業をしますので、今聞いているところでは、そのマッピングの公表時期は3月になると承っております。
〇久保孝喜委員 一部新聞報道で、年内にも公表できるという報道があったのは、今の話とは別な話なんですか。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 年内につきましてはマッピング化ではなくて、マッピングの前段階の基礎データとなる土壌調査のデータについて、年内もしくは年明けごろを見込めるのではないかということでございます。
〇久保孝喜委員 これは早いにこしたことはないというのはだれもが思うわけですけれども、例えばこの問題で言うと、今、食品の暫定規制値の問題が、国において改正の動きがあって議論がされていますよね。最近の報道では、現在の規制値から5分の1程度になるのではないかとも言われております。そうすると、春先を含めた農産物の物流に当たって、現在の検査の体制や、もちろん土壌汚染がどれだけかということにもかかわるわけですけれども、現在の検査体制をかなり強化して臨まないと、実際には新たな風評をまた生みかねないということを私は懸念するわけなんです。そういう点で言うと、国は、現在、検査実績の少ない自治体の農産物などを抜き打ち検査していると、こう伝えられておりますけれども、より検査体制を強化し、かつ、その頻度を高め、なおかつ、その情報を提供するという体制ができていないと、風評の被害をこうむることになるということのある意味裏返しなわけですね。そういう点で、これは部長にお聞きしますけれども、これから先の検査体制を含めて強化ということが求められておりますが、新年度予算も見据えながら、部としてどのように対応されていくのか、この点をお聞きしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 来年度に向けての検査体制、検査計画の件でございますけれども、今、県が策定を求められている検査計画、災害対策本部の指示による検査計画につきましては、個別品目ごとに関係省庁と打ち合わせをし、頻度についても確認しながら品目を定め、回数も定めて実施してございます。この取り組みは、来年度ももちろん続けていかれるものと考えてございます。
 それから検査体制でございますけれども、農林水産省から簡易の検査器でございますけれども、それを牛の検査合わせて7台の配置を無償で提供を受けてございますし、今後、県としてゲルマニウム半導体検出器の増設も予定されてございますので、それらを活用して、新たな暫定規制値なり許容値が明らかになった場合でも対応ができるように、体制は整ってきているかと考えてございます。
〇久保孝喜委員 この放射能汚染の問題は、きょうもさまざま議論があったように、さまざまな領域にまで及んでいるわけですね。稲わらだとかあるいは堆肥だとかいろんな部門に及んで、広範囲にこれからもどんどんなっていくだろうと思っていますが、当然のことながら、それに即して東電に対する賠償請求という問題が出てまいります。既に農業団体を含めて賠償請求が行われて、JAは先般も総額10億円でしたか、2回目の請求をなされたという報道がございますが、農林水産部も東電の社員に対して立ち会いをして請求にかかわってきた当事者でもあると思います。そういう請求にかかわる基本的姿勢、これは農林水産部だけの姿勢ということではもちろんないんだと思いますが、まずはその基本的な考え方、農林水産部としての立場を御説明いただきたいと思います。
〇千田担い手対策課長 東京電力に対する損害賠償の基本的な考え方というお問い合わせだったと思いますが、今回の原子力発電所事故によりまして、農産物の損害賠償請求に向けて、県の農業協同組合中央会が全国の中央会の指導助言を受けて、7月19日に、県内の農業団体を構成員とした損害賠償対策岩手県協議会を設立したところでございます。この協議会では、東京電力に対しまして、1次請求ということで、9月末として牧草の利用自粛により損害が出たということで2、900万円、また、昨日、10月31日でございますが、第2次請求として、牧草のほかに肉牛、稲わら、そして検査費用にかかわる損害として約9億8、000万円、合わせますと10億円を超えるわけでございますが、それぞれの請求につきましては、1次請求については11月中旬に、そして2次請求については12月中に支払われる予定と伺っております。
 県のかかわり方ですが、先ほど委員の質問の中にありましたが、損害賠償を円滑に進めるために、県協議会のアドバイザーという立場で参画しております。この活動を支援するというよりは、スムーズに請求事務が進むようにということで、県もサポートしているというような体制でございます。
〇久保孝喜委員 今、御答弁ありまして、県が農業団体などの請求にアドバイザーとして意見具申をするという立場、もう一方の立場は、まさに県行政自体が被害者であるという点もあるわけですね。これは他部局でもお聞きしましたけれども、かかり増し経費を含めて、あるいは県有の農地だとか試験場地、圃場を含めて、ここに対する被害というのも当然あるわけでありますが、こうした被害の積算というのは、今現在どのようになっているんでしょうか。
〇千田担い手対策課長 委員御指摘のとおり、当然ながら県有の農地ですとか県有地が被害をこうむっていると認識してございます。これについては、今後取りまとめるということにしておりますけれども、まずもって、県民、生産者のかかわる損害賠償が優先されるだろうということでございまして、現在、振興局等の現地機関におきましても、各JA等が取りまとめ作業を側面的に支援するという形でございまして、県民の損害賠償の手続が一定程度めどがついた段階で県の取りまとめ、そして賠償請求という作業に入っていくのかなと思ってございます。
〇久保孝喜委員 作業の手順として私も理解はしますし、優先順位がどこかというのは自明のことでありますからそのとおりなんですが、一方で、この放射線の問題は、これから先、他部局にもまたがるかなり重大な、多分、かなり長期にわたって続く案件になってまいります。したがって、そうなればなるほどに、さまざまな分野に広がるこうした損害というものを行政が率先して取りまとめていく、あるいは発信をしていくということが絶対必要になってくるわけですね。しかるべき時期にという今御答弁があったわけですが、県全体としてのいち早い賠償請求の方針というものを、いつの段階でどのように行うのかという具体例を示すこと、そしてなおかつ、例えば一番被害が見える形で発信もされている農林水産の分野で、農林水産部としての今お話のあった県有の農地だとか圃場だとか、そういったところについてはこれぐらいの額になるんだよということを例示的に発信をすることで、さまざまな生産者などがこれから先の風評被害に対して安心して賠償請求ができる体制、そういう環境をつくっていく一助になるんではないかと私は思ったりしているんですが、この点について部長のコメントがあればお聞きして終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 県自体のいわばかかり増し経費のことでございますけれども、これは県の対応する本部がございますので、それに対して委員から御指摘があった旨を報告し、対応してまいりたいと思います。
〇斉藤信委員 最初に、農業産出額の推移と減少している主な要因をお聞きします。
 これは10年間のスパンで、農業産出額の推移、そして県の農業決算額、10年間でどう推移をしたか、示していただきたい。
〇千田担い手対策課長 私から、農業生産額の推移についてお話ししたいと思います。
 国の生産農業所得統計によりますと、平成2年には3、478億円あった本県の産出額でございましたが、10年後の平成12年には2、849億円、そして直近でございますが、これは9年後になりますが、平成21年には2、395億円と減少傾向にございます。
 この要因でございますが、平成2年当時は、産出額全体の3分の1を米が占めてございました。当時は米価もさほど下落せずにあったんですが、その後、米価の下落が続き、そして生産調整の強化等が大きく生産額の減少の原因になったのかと思ってございます。それから、あと農産物全体の価格低迷や農業従事者の減少、高齢化が進行し、全体としての生産力の低下、こういったことが主な原因ではないかと考えてございます。
〇小岩農林水産企画室企画課長 県の農業決算額の10年スパンでの推移についてでございますけれども、平成22年度の農業関係の決算額ですけれども、335億6、300万円余でありまして、まず、5年前の平成17年度決算額519億900万円余と比べますと183億4、600万円余、率にして35.3%の減となってございます。また、10年前でございますけれども、平成12年度の決算額1、107億9、000万円余と比べますと772億2、700万円余、率にして69.7%の減となってございます。
 この10年間におけます決算額の減少要因でありますけれども、主に公共事業費の削減によるもので、約407億円となってございまして、そのほか、従来、県予算を通じて行っておりました補助事業が、国から関係団体への直接補助となったものですとか、さらに時限的に創設していただきました貸付金の終了によるもの、また、平成22年度ですけれども、大震災津波によりまして次年度に事故繰り越ししたものなどが主な要因となってございます。
〇斉藤信委員 産出額は平成2年、20年前からの推移をお知らせいただきました。20年前と比べれば、1、000億円以上減少していると。10年前と比べても、450億円ぐらい減少しているわけです。要因は、直接的には米の産出額が減った、米価が下がった、農産物が低迷したと。この最大の背景は農産物の輸入自由化ですよ。輸入自由化の影響でこういう形になったんだと思いますね。そして一方で、農業予算額が、公共事業が400億円この10年間で占めると言っても、1、100億円から335億円ですよ。3割。これでは農業を振興しようと言ったってできないじゃないですか。
 部長、こういう長期低落、激減と言ってもいい。産出額、それ以上に農業予算を減らしてきたというのは、私は農業県、食料県を標榜する上ではもう極めて問題ではないかと思いますが、いかがですか。
〇東大野農林水産部長 予算額、生産額の減少についてでございますけれども、生産額については、委員から御指摘のあったような要因を背景としての減少だと考えてございます。あと、予算額の減少につきましては公共事業費の減少、これが非常に大きい。ただ、生産基盤の整備がそれだけ進捗がおくれているということにつながっていると考えますが、今後に向けて、農地整備等の公共事業予算もできる限りのことはしながら確保して、今後の農業の振興を図ってまいりたいと考えてございます。
〇斉藤信委員 公共事業をウルグアイ・ラウンド対策でふやし過ぎたと、私はこういう問題があると思いますよ。ただ、それを差し引いても農業予算というのが激減をしたと。これでは、農業を立て直そうにも立て直せない。私はそのことは指摘だけしておきます。
 次に、TPPの問題について、知事が10月28日に緊急提言書を出しました。どこに行ったかというと、民主党岩手県連に行ったんですね。だから、新聞記事もちっちゃい新聞記事でした、本当に探さないと見逃してしまうような。岩手県の農業の死活にかかわる、日本の農業の死活にかかわるこの重大問題で、知事が行動するってこんなことでいいんですか。北海道の知事だって鹿児島の知事だって、政府に直接足を運んでやっているじゃないですか。私は余りにもお粗末じゃないかと思うけれども、部長、相談してやったんですか。
〇東大野農林水産部長 10月28日の緊急提言につきましては、政府に対して提言するときのルールにのっとって実施したものであります。
〇斉藤信委員 民主党県連にわざわざ知事が足を運んでね、それがルールなんですか。何で政府に行かないんですか。政府に行くことだってあるじゃないですか。こんな重大な問題を県議会でけんけんがくがく議論して、我々は意見書も上げた。そういうときに、11月12日、13日のAPECに向けて、これも決めようというときに、知事が政府に足を運んで総理大臣とか官房長官になぜ会わないんですか。こんなお粗末な対応はほんとに弱腰ではないのかと、こんなことでアピールできますか。
〇東大野農林水産部長 今回の知事の提言書の提出でございますけれども、全国知事会が提出した、北海道及び東北六県の知事が連名で提出した、重ねて知事がみずから提言書を提出したということであって、十分アピールしているのだと理解してございます。
〇斉藤信委員 私、この緊急提言書をもらったけれども、宛名が書いていない。これ、私によこしたのが間違ったんでしょうかね。知事がこういうときこそ、何をさて置いても政府に足を運んで直訴するぐらいの、そういうことでないとこの問題は打開できませんよ。
 それで私は、危機意識が欠けているんではないかと思いますので、少し立ち入ってお聞きをいたします。
 TPPというのは関税撤廃が原則です。農林水産部もその影響調査はやりました。米は95%、596億円減少すると。岩手県の米生産費、タイ、アメリカの輸出額はわかりますか。
〇小野水田農業課長 岩手県の米の生産費につきましては、直近の平成21年で申し上げますと、60キロ当たりで1万4、219円となっております。
 それから、外国産米の輸入価格についてでございますが、今年度、平成23年度のミニマムアクセス米の5回の入札結果で申し上げますと、アメリカ、タイ、オーストラリアの3カ国が落札の実績がございまして、落札価格は税込みで1トン当たり約6万3、000円から8万円程度となっておりまして、これを60キロ当たりに換算いたしますと、約3、800円から4、800円ということになります。
〇斉藤信委員 1万4、219円、それに対して今アメリカ、タイ、オーストラリアから入ってきているのは3、800円から4、800円ですよ。これで岩手の農業を守れるのかと。余りにも自明のことではないのかと。
 牛肉、ブロイラーの影響を私ちょっとリアルに聞きたいんだけれども、例えば岩手県の試算では、牛肉は61%、120億円減少すると。乳牛は100%ですよ、214億円。岩手の畜産は壊滅ですね、これ。先ほど畜産というのは産出額の6割を占めるんだと。本当に原則関税撤廃になったら、岩手の農業は柱も何もなくなっちゃうんじゃないですか。いかがですか。
〇東大野農林水産部長 御指摘のあった生産数量、生産額の減少につきましては、これは農林水産省の試算に基づいて100%関税が撤廃され、何らの国内施策が講じられなかった場合の計算として算出されていると、それを岩手に当てはめて試算したという結果でございまして、今、参加の可否、交易条件、国内対策が何らまだ明らかにされていない段階での評価は控えさせていただきます。
〇斉藤信委員 そんなことを言っているからだめなんですよ。決まってから何言ったってだめでしょうが。今、許せないんだと、そのリアリズムで。
 これは農業だけじゃない。製造業の第1位の出荷額は食料品なんですよ。食料品出荷額の主な中身はわかりますか。
〇菊池流通課総括課長 正確な形での食料品の製造出荷額の推移が、平成21年のものが確定数値かどうかちょっと自信がありませんが、平成21年で3、582億円となっております。
〇斉藤信委員 私はその中身を聞いたんだけれども、食料品は3、594億円で、これは製造業出荷額の第1位です。その中身は、第1位が畜産食料品製造業なんですよ。これは1、610億円です。第2位が水産食料品製造業、740億円。第3位がパン、菓子製造業。いわば、農業だけじゃない。岩手の農林水産物を原料にした畜産加工、そして水産食料品、これがその中身なんですよ。私はまさに岩手の食料品出荷額の大半を占める、まさにそういう影響が極めて大きいんではないかと。そういう試算をあなた方はしていませんか。
〇小岩農林水産企画室企画課長 当部におきましては、さきに昨年の11月にお示ししましたとおり、農林水産物に係る影響額については試算しておりますけれども、それ以外のものにつきましては、国では多面的機能への影響ですとか出しておりますけれども、国の試算方法が明らかになっておらないものですから、当部としては、直接の農林水産物に係る影響についてのみ試算しているところであります。
〇斉藤信委員 これは農業が壊滅するだけではなくて、岩手の製造業の第1位である食料品製造業、地域経済に重大な影響を与えると。
 じゃ、これはわかるでしょうか。私、先ほど食料品出荷額の主な中身が畜産食料品であり水産食料品だと。この原料は県内からどのぐらい供給されているか、それはわかりますか。
〇小岩農林水産企画室企画課長 私どもといたしましては承知してございません。申しわけございません。
〇斉藤信委員 畜産の中では、ブロイラーがかなりを占めるんですよね。本当にブロイラーもだめになりますよ。牛肉もだめになる。私はそういう意味では、そういうのもしっかり影響を把握して─知事の提言書はこうなんですよ。慎重に対処することなんですよ。反対まで打ち出せていない。3月の予算特別委員会で聞いたときにも、慎重に対処なんですよ。半年過ぎても慎重に、慎重にって、あのときも国民的議論が必要だと。半年過ぎて国民的議論をやっていないんだったら、直前になったこの段階ではっきりと、こういうTPP交渉参加には反対だと私は主張すべきだと。半年たって同じような申し入れをしているようでは、私は本当に県民の危機感というのは伝わらないのではないか。これは部長に聞いても仕方がないので、次に進みます。
 放射能汚染対策等全面賠償について私からもお聞きをします。
 放射能汚染の実態を簡潔に、そして今の時点で損害額はどのように出ているのか、それは調査率どのぐらいなのか、示していただきたい。
〇千田担い手対策課長 放射能汚染の実態についてでございますが、本県では、牧草について、国の暫定許容値を超過した放射性物質が検出されまして、現在のところ、一関市、遠野市、陸前高田市、平泉町の4市町8エリアで、牧草の利用自粛がかかっているというような状態でございます。
 それから、次に損害額でございますが、損害賠償対策岩手県協議会が今まで請求した額として御紹介させていただきます。
 10月末までに東京電力に請求した分として、牧草の利用自粛にかかわる損害約5、600万円、肉牛の価格下落や出荷制限に係る損害として約9億6、000万円、それから、稲わらの代替飼料確保に要した経費として約160万円、牛肉の検査に要した費用として2、400万円、合計で10億4、300万円となってございます。
 実際どれぐらいまで調査が進んでいるのかというのは、それはどの程度まで広がりを見せているのかが不明でございますので、現時点ではお答えできません。
〇斉藤信委員 ちょっと調査率がわからないというので残念なんだけれども、例えば肉牛の9億6、000万円って一番多いですよね。肉牛については出荷停止分、あとはえさ代分と─これはえさ代は入って、これは大体どのぐらいの被害率かわかりませんか。
〇徳山農政担当技監 細かい数字を持ってございませんけれども、被害額の積算といたしまして、まず販売したときの代金の風評被害に伴う下落分、これに加えまして、飼育期間の延長に伴うかかり増し経費─えさ代でございますけれども、この程度となっております。具体的に、通常1カ月で約2万円程度えさ代がかかりますので、2カ月停滞すれば4万円程度かかるととらえております。
〇斉藤信委員 この間、東京電力から知事にも来た、議長にも来たようでありますけれども、この時点で賠償は3カ月に1回だと、こういう話ですよね。農家の被害というのは、毎月毎月生活費がかかりますからね、経営費がかかりますから、これはもう出したら毎月賠償させると、こういうことが必要だと思いますが、東京電力の副社長とのやりとり、東京電力の現段階での対応、これはどうなっているんでしょうか。
〇千田担い手対策課長 賠償金の支払いの期間ですが、当初、東京電力は3カ月ごとに清算してお支払いするという予定でしたが、毎月払う形で、前に倒して支払いが始まってございます。それで、9月末に請求した分については、11月の中ごろにはお支払いできるだろうと。それから、10月末の分については12月中に農家の手元に届くように支払いますと。それからあと、もう一度年内の請求があるんですが、11月11日までに請求した分については、年内にお支払いしたいという御意向を示しております。
〇斉藤信委員 我々も毎月報酬をもらう、労働者もみんな毎月月給もらうんですよ。農家も同じなんですよ。毎月毎月の生活費がかかるんです。3カ月なんて、こういうスパンでは絶対だめですから、年内までは見えたようだけれども、これはきっちり毎月毎月賠償させるということで、しっかりやっていただきたい。
 それで、牛肉もそうなんだけれども、80万円で事実上買い上げて、60万円で売れば、農家が20万円返還するんですね。そして、農家がそれを賠償請求すると。こういう二度手間しないで、例えば畜産協会にそれを委託しているんだったら、畜産協会がどうせ協議会でまとめるわけでしょう。畜産協会でまとめて、売った証明書で差額をやる。いわば賠償金が来なければ農家に戻らないなんていうやり方は私は見直すべきだと思うけれども、いかがですか。
〇山田畜産課総括課長 今回の放射性物質問題の原因者というのは東京電力であるという大原則がありますので、それに基づいて東京電力に損害賠償は請求する、これは一つの原則でございます。あと、その事業主体をどこにするかという話は、損害賠償の協議会が畜産物の実質買い上げ事業の事業者にはなれないということもありますし、逆に畜産協会が損害賠償の請求をするということも想定しておりませんので、今のようなスキームで、結果として、畜産協会が数字を持っていますので、それと損害賠償のほうの協議会と連携してやればスムーズにいくと考えております。
〇斉藤信委員 だから、私が言っているのは、例えば黒毛なら黒毛で、80万円で買い上げるでしょう。これは県の制度でも国の制度でも。しかし、60万円で売れば、畜産協会に20万円返すんですよ。こんな面倒なことをやらないで、畜産協会がその事務手続を代行すればいいだけの話じゃないですか。現実問題はそうなっているんですか。私はそう言っているんですよ。
〇山田畜産課総括課長 実質買い上げの話は、例えば80万円を先に生産者の方に交付金としてお渡しします。それで、60万円で売れた場合は、その60万円と、東京電力に損害賠償をした後おろしていただくというスキームになっておりますので、先に20万円を払うということではございません。
〇斉藤信委員 ちょっとわからないけれども、損害賠償した後、20万円を畜産協会に戻す─どこに戻すんですか。ちょっとよくわからない。
〇山田畜産課総括課長 80万円を畜産協会から生産者の方に交付します。生産者の方は、それを市場で売って、例えば60万円で売れたとしますと、それはそのとき返してもいいですし、東京電力から、例えば20万円賠償請求して返ってきたときに、合わせて返してもいいというスキームになっています。
〇斉藤信委員 わかりました。賠償額が入ってから戻してもいいということですね。じゃ、時期的に、売った後返すということではない、そういうことで理解してよろしいわけですね。事実上、賠償された後戻す、精算するという手続になっているんですか。
〇山田畜産課総括課長 国の要綱でも、販売時もしくは損害賠償を受け取ったときに返還するとなっております。
〇斉藤信委員 私は販売時ということを聞いていたので、それは賠償時でもいい、賠償された時点でも精算はいいということですね。それは県の事業も、国の事業も同じだということですね。わかりました。了解しました。それではいいと思います。
 では、きょうはここで終わります。
〇小泉光男委員 冒頭に、渡辺委員から農業研究センターの件について御質問がありました。私も、関連するという形で一つだけにとどめたいと思います。
 県からの資料を見ますと、農業費ということで農業研究センターで12億何がし、畜産業費ということで、同じく農業研究センター費で8億何がし、二つの農業研究センターという部分で予算が出てきて、渡辺委員が指摘されましたように、合計で二十数億円もかかっているということでございましたが、これと絡めて、県立農業大学校について、一、二点お伺いしたいと思います。
 まず、県立農業大学校の目的は、研究機関なのか、育成機関なのか、普及機関なのか、あるいは単なる行政組織の一つなのかというのと、平成23年4月の入学者数を教えてください。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 農業大学校についてでありますが、農業大学校は教育機関であります。
 それから、平成23年度の入学者数は、本科が定員70名に対して67名、研究科が定員20名に対して2人でございます。
〇小泉光男委員 今、話されましたように、特に研究科の場合は20名の定員に対して2名だというお話でした。昨年度あるいは一昨年度は本科も充足率が77%となっております。要するに、定員に大きく満たないのは、県立大学校としての役割を終えたか、あるいはもう一つの理由は魅力がない。農業後継者あるいはそのほかも含めて、農業大学校で学ぶだけの価値がないからこのような数字になっているとも思いますけれども、これに対する所見をお願いします。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 一昨年は7割強まで下がっておりますが、その前はまた9割ぐらいの定員充足率もありまして、最近の情勢としては、入学者数の定員充足率の多少の上下はありますけれども、過去に比べれば、おおむね高い充足率で推移していると思っておりますし、平成23年度も推薦入学を現在受け付けておりますが、ほぼ推薦入学の枠に近い形での応募がございます。
 そのようなわけで、農業大学校につきましては、教養科目や専門科目の講義や実習のほかに、農家派遣研修ですとか海外農業研修など幅広い教養と国際性を身につけた農業の担い手が養成される内容になっておりますので、理論と技術を一体的に学習する実践教育、高度先端技術を学ぶ先進教育の考え方に基づきまして、加えて、全寮制による自主的な共同活動を通じて、学生相互の啓発を助長しながら豊かな人間性をはぐくむ教育を進めていると思っております。
 そういう意味で、農業大学校はさらに新規就農希望者ですとか新規就農者、農業経営者あるいはリーダー等指導者の方々まで幅広い人材を対象にした研修を実施しております。本県農業、農村を支える人材の養成の中核的な機関としての役割を果たしていると思っております。
〇小泉光男委員 今、担当者の説明でしたけれども、この10年間の卒業生が608名で、実は農業についた方あるいは農協とか農業関係の法人についた方が145名、4分の1で、ほかは農業と関係ないところに就職などをしていると聞いているとすれば、今の説明は、私としては納得できかねるということでございます。
 もう一つ重要なことを確認したいと思います。学生に対して、授業料を含めて年間1人当たり大体どれぐらいかかっているか教えていただけますでしょうか。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 年間の授業料につきましては、年額11万8、800円であります。このほかに寮費がかかりますけれども、これは食費等の実費ということであります。
〇小泉光男委員 私の聞いた趣旨が違いました。経費です。運営費を含めて、生徒1人当たりどれぐらいかかっているかということでお聞きしたけれども、実は花巻農業高校では1人当たり年間115万円かかっているんだそうです。ところが、私が県立農業大学校を同じような形で見ていくと285万円、1人当たり300万円。要する花巻農業高校に比べて3倍もかかって何を教えているのか、あるいは何を学べるのかということでお聞きしたところでございます。お願いします。
〇鈴木農業普及技術課総括課長 農業大学校におきましては、一般教養、例えば暮らしと心理、暮らしと経済から外国語、情報処理、保健体育から全学科共通の農政概論とか農業経営あるいは土壌学、肥料学といったもの、専門学科としては、まさに作物や流通やビジネス、経営の専門項目まで幅広く授業し、それをまた圃場なりで実践するという体制になっておりますので、やはり普通の学校に比べますと、その分、経費といいますか、大学校の管理運営費は要するものと考えております。
〇小泉光男委員 最後の質問になります。
 農業高校で3年、大学で4年、そういった間の2年間の短期大学で学べる、あるいは研究するというのは甚だ限られていると私は見ております。
 最後の質問は、学科ということで、主に農産園芸学科と畜産学科の二つがあって学んでいるようですけれども、今、県では6次化が必要だということで、いろんな分野で訴えてございますけれども、まさに岩手県立農業大学校こそ6次化を養う生徒の授業といいますか、カリキュラムが必要ではないか。そういった意味では、昭和56年の設立以来、ほとんど科目が変わってなくて、古い農業あるいは畜産、花卉園芸についてのみ授業をしてないか。本当に6次化が必要であれば、私ならば、科目に流通、加工、販売あるいはマーケティング、ファイナンス、財務、コンプライアンス、もっと言えば、最近のTPPに関して言えば農業貿易論みたいなものを授業科目に入れますけれども、どう見ても、ただ生産者を生み出す、育成という言葉でしょうか、そういったような大学校になってはいないかと思いますけれども、やっぱり時代とともに科目も、あるいは求めるべき学問の姿も変わっていくべきものと思いますけれども、ここの見解を部長にお聞きして、私の質問を終わります。
〇東大野農林水産部長 農業大学校のカリキュラムのことでございますが、農業大学校のカリキュラムは、農業者としての基本を学ぶという点でこのカリキュラムは形成されているとは思いますが、ただ、農業経営の部分について、企業的なセンス、感覚を身につけるということもあって、そのようなカリキュラムも導入されてございます。ただ、将来に向けて生産から販売、さらに加工、飲食、さまざまなことにチャレンジしていかなければならないということも考え、中に流通関係とか簿記、あるいは加工、国際農業といったものも含めて勉強してもらっております。ただ、そういった科目については、不断に見直しながら、そのときの需要、社会的な要請に合うことが、委員御指摘のとおり必要だと考えますので、今後ともそういった検討は怠らないように取り組んでまいりたいと思います。
〇熊谷泉副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇熊谷泉副委員長 質疑がないようでありますので、第1部農業関係の質疑をこれで終わります。
 この際、世話人会の申し合わせにより10分間ほど休憩いたします。
   午後3時21分 休 憩
午後3時39分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、東大野農林水産部長から発言を求められておりますので、これを許します。
〇東大野農林水産部長 第1部の神崎委員の牧草の処理に関する質疑中でございますが、関係事業の利用自粛牧草等処理円滑化事業費補助の予算化の時期につきまして、8月臨時補正で措置と申し上げましたが、8月に先決処分し、9月の臨時会で承認をいただいた事業ですので、訂正させていただきます。
〇高橋昌造委員長 次に、第2部林業、水産業関係についての質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 水産振興について二、三点お伺いいたします。
 まず、今回の大震災で水産漁業界がまさに壊滅的に被害をこうむっておりますが、今、現金収入がない状況でございます。仮にあるとすれば、漁港等の瓦れき処理の日雇いといいますか、日銭を稼ぎに行く程度でございます。そういう中で、いよいよアワビの漁期に入ってまいりました。ただ、今回の大津波で非常に生息が偏っている、あるいは深場に避難しているのかどうかわかりませんが、従来いるようなところに姿が見えないということから、いわゆる口開けを延期している漁協もあるようでありますが、そういう中で価格は昨年の6割高でございます。したがいまして、年内の唯一の現金収入であるアワビの密漁を何とか防止してもらいたいということで、これは、きのうの警察の審査の際にもお願いをいたしました。警察でも、この重要性はわかっていただいているようでありますので、警察の派遣している職員のいろんな部分と、あるいは県の監視船、あるいは海上保安庁の船を応援するなど、海岸線740キロを少ない船で有効的に防御していくということは非常に難しいかと思いますが、震災という特殊事情にかんがみまして、ぜひとも応援の手をできる限りふやして、漁業者の収入確保に努めていただきたい。これは警察とダブりますので、要望だけにしておきます。
 次に、今回の震災後、県漁連あるいは各漁協を中心にまず動いたのが船の確保だったと思っております。これはもちろん非常に大事な話でありますから、だったら私は別のほうに動こう、次なる手段に動こうということで、農林水産部にいろいろお願いしてまいりました。
 せっかく確保いたしましたとらの子の船を、これからの低気圧、あるいは台風は余りないかもしれませんが、大潮、高潮などでまた被害を受けるようなことがあってはいけないということから、ホイストクレーン、いわゆるつり上げるクレーンです。海水面から陸地に引き揚げをして、今回、格納、収納するのが、防潮堤、防波堤が相当壊れていますので、相当陸の上のほうに格納しなければならないかもしれませんが、何よりも大事なのは、船を陸に揚げるクレーンが必要だということから、お願いをしてまいりました。6月の補正予算に80機ぐらいのホイストクレーン─これはちょっと入ってない部分がありますので、県北を入れれば100台近いホイストクレーンかもしれません。1台2、000万円としても相当なお金ですが、これをよくわかっていただいて、手当てをしていただきました。8月の末には内示を出していただきました。
 ところが、現地では仕事が進んでいないということであります。これには、製作する会社が少ない、あるいはクレーン屋がいっぱいだということもあったり、あるいはもう一つは現地の設置する港、港の勾配が狂ってしまったり、水をかぶっているということでありますが、しかし、今は非常事態のときでありまして、来春の3月あるいは3月末、4月にかけての早どりワカメがアワビの次の収入源になるわけでありますので、このクレーンが完成していないと、せっかくとったワカメをまた海に投棄しなければならないのではないかという心配も聞いております。したがいまして、平時の場合でないということから、クレーンを設置するコンクリートの台座基礎といったもので高さを調整すれば設置が可能だと思いますので、そういった平時のやり方でないやり方で設置を進めていただきたい、急いでいただきたいと思うんですが、まずこれから伺います。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 ただいまお話のありました荷さばき、船も揚げるクレーンについてでありますけれども、今年度、漁協や県が事業主体となりまして、現在、三十数機の整備を行うこととしております。既に発注したもの、また、今後発注するもの等がございます。それは、それぞれの漁港の状況と被災の程度の状況、それらを調査しながら、修繕でもつのか、あるいは新規でなければだめなのか、そこら辺を含めて、今現在進めているところであります。
 今お話にありましたとおり、このクレーンは、しけなどから船を守るため、それから養殖の作業の効率化、ワカメの収穫時のための省力化の機器として非常に重要な施設でありまして、私たちも少なくとも2月の早どりワカメには間に合う形で整備をしていきたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 せっかく手当てが早かったんですから、早い手当てが効率、効果的に使ってもらえるようなものにしてこそ、初めての手当てだと思いますので、ぜひおくれないようにお願いしておきたいと思います。
 それから、本県の有力魚種でありますサケについて伺います。
 ほとんどのふ化場が被災いたしまして、放流前の稚魚がほとんど─放流前でありましたが、一部は、成長の早いものは若干放流を始めていたところもあるようでありますが、恐らくほとんどが全滅の状況だと思います。したがいまして、4年後にはサケがほとんど帰ってこないということをまず頭に置くべきであると思っております。そして、何が何でも今年度の、今、早期群が来ていますけれども、この早期群をとり込んで、早く卵にして来春のふ化放流に備えなければ、来春のふ化放流がおくれるようなことがあれば、4年後も、5年後も貴重なサケが帰ってこないということになりはしないかと危惧いたしております。
 そういう中で、被災の数が数でしたので、時間もお金もかかるということから、まず、全県の6割の復旧、復活を目指したいということで手当てはいただいていると思っておりますけれども、早期群がそろそろ終わりになりまして、12月に向けて本格的な漁がふえてくると思うんですが、現在、サケの回帰率といいますか、川への遡上に非常にばらつきがあるようであります。沖の定置網では1網に1、000本、2、000本単位で入ってみたり、本来、100匹単位で川に上がってくるものが10匹単位だったり、非常にばらつきがある。これから盛漁期になりますので、どこまで回復できるかわかりませんが、現在のふ化場の復旧の状況と遡上の状況、その辺をお知らせください。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 ふ化場の施設整備につきましては、国の1次補正でもって仮設的な復旧ということで、本格復旧でないもの、かなり深いダメージを受けたものも、修繕という形でできるものは修繕ということで取り組ませていただきまして、現在17カ所、ふ化場としては15カ所、2カ所は海中飼育用の施設の整備、これらについて進めておりまして、中にはもうほとんど完成間近なふ化場もあれば、中には、やはりダメージの大きさがありまして、なかなかまだ着工まで至っていないところ、それぞれ程度に応じての復旧状況になってございます。
 もう一点、本格復旧につきましても、今後、国の3次補正の状況を見ながら整備を進めていきたいと思っております。これによって、春の稚魚の放流は、前回の委員会等では2億五、六千万尾ぐらいということでお話ししておりましたけれども、現在かなり進度が進んでおりまして、今、3億3、000万尾ぐらいの放流を見込んでいる最中でございます。
 あと、水揚げというか、復旧の状況でございますけれども、これにつきましては、現在、沿岸漁獲605トン、金額で2億9、000万円という状況になってございます。数量では約7割、金額では約9割ぐらいの対前年の比較になってございます。前旬まではかなり悪くて5割ぐらいだったりしていたんですが、ここのところ、盛漁期に向かって少し量的にふえてきている状況でありますので、私たちとしては、何としても12月の盛漁期に期待しているところでございます。
〇伊藤勢至委員 平成9年には7万3、000トンの水揚げがありました。平成15年に5万トンを切って、今や3万トンを切って2万5、000トンに限りなく近づいております。ずっとこれまで、なぜここまで落ち込んできたのか、調査、研究をするべきだと何回も言ってきましたけれども、いまだに成果が出ておりません。ただ、今この場合は、その議論をする時間がありませんので、まず、何としても来春のふ化放流事業を成功させるように頑張っていただきたいと思います。
 中津川にことしもサケが帰ってきた。これで海が元気になったね、サケが帰ってきてよかったねなんて言っていますが、あれは4年前に放流したサケなんです。そこを報道陣は間違わないでぜひ報道していただきたいと思っておりまして、あのことで水産、漁業が復活したなんていうトーンは絶対だめです。間違っています。そのようにあなた方からも発信してもらいたいと思います。
 それから、アワビの畜養施設がこれまた全部流失をしてしまいました。アワビも日本一の水揚げを誇る三陸産のアワビでありまして、そういうところで値段が高い、量が少ない。当然、密漁がねらってくるわけでありますが、これはこれとして先ほどお願いしましたので、サケのふ化場の復旧が終わったら、アワビの畜養施設のほうに今度は取り組むというお話を聞きましたが、それについての見通しをお伺いしたいと思います。
 発災後、現地に入って、アワビの畜養施設が全部流れた状況を、何もないものを見てもらったわけですが、何もないものを見ていただいた東大野農林水産部長から次なる方針をお聞きして、終わりたいと思います。
〇東大野農林水産部長 アワビの養殖施設の復旧に向けてでございますが、今、すべての施設が被災しているという状況でございます。そのうち、県の栽培漁業協会が運営していた県の施設について、まず、比較的被災の少ない種市において、ウニとあわせてアワビの養殖に着手し、その後に大船渡を整備して、そちらで本格的に種苗生産を始めるという考え方をとってございます。
 あと、民間の施設につきましては、それぞれの民間の事業者の事情もございますので、事情をよく聞きながら、どのタイミングで復旧整備していくかを決めていくということになりますが、全体でアワビの種苗生産の回復を図るように取り組んでまいります。
〇伊藤勢至委員 最後にしますけれども、先般、平野達男復興大臣が宮古市役所においでになりまして、私もその場にも同席したのでありますが、水産漁業関係者も同席しておりました。平野復興大臣は、これから復興費をどんどん予算をつけるから、どんどん要望を上げてこいという話でございました。皆様方は、何となく予算というものに縛られて、予算が来てから動こうという思いがあるのかもしれませんが、事ここに至っては、まさにピンチがチャンスでありまして、これもやる、あれもやるというものをどんどん打ち上げていただいて、積極的に予算を獲得して、何としても水産漁業者の所得が早く戻るように取り組んでいただきたいということでお願いをして、終わります。
〇工藤勝子委員 防潮林についてお尋ねいたします。
 海岸において防潮林が植栽されておりました。今回の東日本大震災津波によって、例えば高田松原の350年前に植えられた3万5、000本もあるという松が根こそぎ流されました。1本残っております。復興松として象徴されておりますが、この防潮林の効果をどう検証し、認識されたのかお伺いいたします。
〇佐藤森林保全課総括課長 東日本大震災津波におけます防潮林の効果に対する認識でございますが、今回の津波では、本県の防潮林はほとんど折損、流出する壊滅的な被害を受けております。
 国では、本県を含めまして青森県から千葉県に至る防潮林の調査を実施しておりまして、その結果、津波の流速やエネルギーを低下させ、破壊力を弱める効果、また、樹木が漂流物の移動を阻止し、二次的被害を軽減または防止する効果など、津波に対する一定の効果を確認しているところでございまして、本県の防潮林についてもこういった効果があったものと認識しております。
〇工藤勝子委員 一定の効果があったという検証がされているようでありますが、例えば、今後、沿岸に新たに植栽をするとすれば、多分、現状のままではかなり難しく、課題も多くあるのではないかと思っておりますので、どういう課題があるのかお伺いしたいと思っております。
 また、松─アカマツでしょうか─が一番塩害に強いとも言われておりますけれども、結局、海の青さと緑の松の景観がマッチするというのは三陸沿岸にとって非常に大事だと思いますけれども、例えば防潮林としての考えがあったとすれば、もっと深く根が張れる、また塩害に強い品種があるのかもお尋ねいたします。
〇佐藤森林保全課総括課長 被災した防潮林の再生に当たりましては、植栽する場所に地盤沈下あるいは土砂が流失している箇所がございまして、まずはそれを復旧することが必要であること、また、防潮林の主要樹種である松、特にも松くい虫被害に強い松の苗木を大量に確保すること、これらが課題となってございます。
 また、塩害に強いアカマツはないかといった御質問でしたけれども、現時点で塩害に対して特別に強いといったような松の検証はされてございません。
〇工藤勝子委員 松の検証はされていないということでありますけれども、例えば予想される品種と申しましょうか、そういうものがあるのかないのか、お伺いしたいと思っております。
 それから、今後、いろんなまちづくりや防潮堤が整備されて、今度はどこに松を植えて守るかという段階に入ったときに、これを一括して業者に頼んで植えてもらうのではなくて、地元の市民なり町民なり、そういう皆さんが植えるという方策もあると思いますし、県内、県外からいろいろ募って植えていただくという方策もあるのではないかと思っております。ということは、将来に向けて、自分が植えた松が沿岸でどう成長していくかということを見守っていくというんでしょうか、見ていくということも大きな効果になってくるのではないかと思っております。そうすれば、県外であれば、その松を見に1年に1回は必ず沿岸を訪れるということからすれば、観光にも結びついていくのではないかと思って、その辺の所感もお伺いしたいと思います。
〇佐藤森林保全課総括課長 防潮林として植える場合の樹種といたしましてはクロマツとアカマツがございます。いずれも塩害には強い樹種ということになってございますので、まず、防潮林の再生に当たっては、それら樹種を中心に植えていきたいと考えてございます。
 それから、民間の力を活用した防潮林の再生といったお尋ねだったと思いますけれども、防潮林の植栽、その後の管理といったものはやはり行政が主体となって行うべきであろうとまずは考えております。しかし、その育成には長期を要するということで、まず、復興のまちづくりの一環として地域住民の積極的な参画が必要であると認識しております。さらに、広くNPOとか民間団体の参画もいただきながら森林をつくり育てていくことも非常に重要だと考えてございまして、こういったことにつきましては、市町村と連携しながら民間の活動をバックアップしていきたいと考えてございます。
〇工藤勝子委員 では、2点目に県産材の振興策についてお伺いいたします。
 地球温暖化対策、木材の持つ特性、そういうものが高く評価されている現在であります。世界的に木材需要が増加してきているとも言われております。県は、林業の目指すべき姿として、10年後の木材自給率50%を掲げております。戦後植林された多くの山林で適期を迎えていると思いますし、高齢期に入っている山林もあると思っております。でも、平成21年度の林業生産額は、景気低迷による新設住宅着工数の減少で195億円と、前年を下回っております。また、森林の多面的機能を保つための間伐実施面積も、目標値1万5、400ヘクタールに対して9、107ヘクタールとなって、間伐事業がおくれております。山林所有者から見れば、所得の上がらない現状でありますので、木材価格が低迷する中で間伐事業にも手をつけないということがあるかもしれませんが、この原因をどのようにとらえているのかお伺いいたします。
〇竹田林務担当技監 まずもって林業生産額が低い状況、そして間伐も目標面積を下回っているといった状況の原因をどのようにとらえているかということでございますけれども、委員のお話の中にもあったとおり、木材価格が長期にわたって低迷しております。そういった影響もございまして、山主さん、森林所有者の方々の林業経営に対する意欲が残念ながら低いという状況となっております。
 一方、所有形態を見ますと、10ヘクタール、昔流で言うと10町歩以下の所有者の方々が8割ということで、そういった大変小さい面積で個々個別に経営していく上では、やっぱりなかなか採算がとれないということがございますので、低い価格の中でいかにコストを下げて利益を上げるかということが重要なわけですけれども、伐採というような高度な技術も要します。機械も操作しなければいけないといったこともありまして、所有者にはなかなか手が出せなくなっているということでありまして、県としては、そういったことから、森林所有者にかわってプロの事業体がやっていくといった取り組みを今進めてございます。
〇工藤勝子委員 それでは、次に移ります。
 この大震災の復興に向かって、これからいろいろ個人住宅を初めといたしまして学校、病院、公営住宅というものがどんどん建設されてくるのではないかと思っております。そういう中において、今、大手ハウスメーカーの情報を見ますと、現在の為替動向、円高に注目して、国産材を活用するよりも、今、製品化されて入ってきている部分もかなりありますが、外材を輸入したほうがコストが安く完成できる方向を見ていると言われております。そうなると、さらにまた県産材とか国産材のいろんな活用面で外材と競争できない部分が出てくるのではないかと思っておりまして、円高による外材輸入の影響をどうとらえているのか。また、この復興に向かって県産材の需要と供給のバランスをどのように考えているのかお伺いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 円高による木材輸入の影響と復興に向けた需給バランスについてでありますが、我が国における本年1月から8月までの輸入累計金額で見ますと、林産物全体で7、057億円となっておりまして、前年同期比で15%の輸入の増加でございます。このうち合板が1、152億円と対前年同期比で36%の増加となっております。このことを見ますと、東日本大震災津波で東北地方の合板工場が壊滅的な被害を受け、合板の供給が停止したことに伴いまして合板等の輸入量が急増したことによる部分が大きいと考えております。
 本県では、委員御指摘のように、今後、復興住宅などの建設需要が期待されるわけですが、県産材の利用拡大に向けて、今般の円高が長期化した場合、輸入材との価格競争が激しくなることも懸念されるということで、今後の円高の推移について注視していくことが必要だと認識しております。
〇工藤勝子委員 そうすれば、県内の合板会社等の復旧、復興というのは早期に図っていかなければならない部分というのは出てくるんじゃないかと思いまして、その辺に対する支援策も進めていただかなければならないと思っております。
 また、公共的建設物の建設に当たって、木造技術者、設計する人と申しましょうか、設計とかこれにかかわる技術者の人材の育成をどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思っております。
 また、県内に木造加工業者もたくさんございます。遠野市には大型の木工団地もあります。そういう中で、外材が主体の製材工場もあったわけですが、今後、国産材の原料転換も求められると思っております。今後、促進するための、今の合板の復旧もそうですが、方向性、県の支援対策についてお伺いいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 まず、復興に向けた県産材の振興対策ということでございますが、施工技術者等の養成につきましては、県土整備部と連携しながら、いわて森の棟梁登録制度というものを設けまして、研修等を行いながら養成を図っているところでございます。
 また、公共施設につきましては、岩手県公共施設・公共工事木材利用推進行動計画を策定しまして、県営施設の建設工事などで率先して県産材の利用に取り組んできたところでございます。
 今後建設される災害復興公営住宅等では、木造住宅の建設あるいは内装材等における木材の積極的な活用を図るとともに、あわせて請負者に対して県産材の活用を要請することで、多くの県産材を利用するよう取り組んでおります。
 また、沿岸部の合板工場の復旧に向けましては、国の1次補正予算を活用して既に取り組んでいるところがあるほか、今般の3次補正も活用して、さらに復旧、復興を支援してまいりたいと考えております。
〇竹田林務担当技監 私からは、委員の御質問のうちの合板以外の木材加工業者の今後の課題と方向性、そして県の支援策ということでございましたので、お答え申し上げたいと思います。
 まず最初に、木材加工業者がこれから取り組むべき課題としては、いわゆる実需者である工務店のようなところから求められるものをしっかりつくっていかなければならない。そして、生産に当たってはコストをできるだけ抑えていくといった取り組みが必要であると考えております。このため、実需者ニーズをしっかりとらえ、求められる製品を確実、低コストで生産供給する体制づくりを進めていく必要があると考えております。
 次に、これに対する県の支援策でございますけれども、先ほどもお話があったとおり、今後、復興住宅などの建設が本格化していくわけですけれども、県産材による岩手県型復興住宅を建築業者と木材加工業者が連携して建築する取り組みなど、加工業者が建設サイドのニーズをしっかりとらえる仕組みづくりを促進するとともに、国の補助事業等を活用いたしまして木材加工施設整備を進めまして、本県の基幹産業としての木材産業を支援してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ニーズをとらえることは、確かにそのとおりだと思っていますけれども、問題は、加工業者でどうやってコストを下げていくか、ここだろうと思うんです。ただコストを下げればいいんじゃないかと言われても、では、加工業者はどこでどうコストを下げたらいいのか。人件費を下げればいいのか、機械導入をやめればいいのか、いろんな形の中で課題があると思うんです。その辺のコストを下げることの課題をもうちょっと詳しくお聞かせいただきたいと思っております。
 また、今後、沿岸における学校とか福祉施設、保育園、幼稚園、病院も含めて、病院にどのような木材が使えるかというところも自分も想像してはみたんですけれども、いろんな形の中で、今後、県産材を使っていろんな公共的なものを建ててほしいという願いがある中で、例えば教育委員会に言っても、コストが高くなる、建設費がどうしても高くなるということで懸念されるわけですけれども、では、そこの部分を例えば農林水産部である程度助成して、それでも県産材を使って林業振興を図るんだという考えになるのかならないのか、そういうこともしっかりと各部局に働きかけていくのか、そういうものがあるのかないのかもあわせてお伺いいたします。
〇竹田林務担当技監 まず最初に、コスト削減は業者さんによってさまざまなケースがあろうかと思いますけれども、一例として申し上げれば、基本的に円柱形の丸太を四角く加工するわけですけれども、そういった製造ラインにおいてできるだけ人を配置しない─いわゆるノーマンという言い方をしますけれども、今、機械も大分進歩しておりまして、できるだけ人手をかけない製造ラインにするといった、これは大量生産型の工場に見られますけれども、そういった低コスト化が考えられますし、現在、乾燥材は、乾燥割合を20%以下にしないとなかなか工務店は使ってくれないという状況があるわけですけれども、乾燥する施設も、従来、重油でボイラーをたいていたものを、みずからの工場で発生する木くずでボイラーを運転するということで、自前の廃材的なものですので、コストがそこで抑えられるといった取り組みをされている業者さんもおります。そういった形で、個々、ケースはさまざまあろうかと思いますけれども、やはりコスト削減に向けた努力は、どんな作業でもそうかと思うんですけれども、いろいろ工夫していく必要があると考えております。
 次に、学校あるいは病院、大きい公共施設から小さな公共施設までさまざまあろうかと思うんですけれども、そういったものに対する当部としての県産材利用の支援の考え方でございます。
 今年度まで森林整備加速化・林業再生基金という3年間限りの事業がございまして、これは、そういった公共木造施設に対しても林業サイドから支援して、できるだけそういった地元材を使っていただこうという取り組みを進めたところでございます。そして、コストの部分について言えば、さまざまな事例があって、先般、たまたま金ケ崎町の永岡小学校というところを視察させていただきましたけれども、こちらはこの3月に完成したばかりですが、単価計算したら、いわゆる学校の補助基準である単価─数字はしっかり覚えていないんですけれども、その中でおさまったというお話を聞いております。工夫次第では、通常のそういった公共施設を担当する部署の補助金でも間に合うケースがあると思いますので、いろいろそういった事例等も紹介しながら、何とか県産材利用を進めてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 林業を営む人、また、林業までいかなくても山を持っている人たちが元気を出して、川上から川下の加工、流通までしっかりと県産材が活用されていかれますように、今、いいチャンスじゃないかととらえておりますので、その振興策をしっかりとやっていただければと思います。終わります。
〇佐々木大和委員 県産材利用拡大に関連して伺います。
 県内の森林の3分の1が国有林で、国有林はそれだけの面積ですから、計画的に供給されていくんだと思いますが、3分の2の民有林は、先ほどの答弁のとおり、小規模の所有者もたくさんおります。そういう中で安定供給の一つの期待部分として機関造林分があると思うんですけれども、これまでやってきた県行造林─公団は別ですから、今、県で直接管理している県行造林と前の公社造林、これらの機関造林が、先ほどのお話のとおり、戦後の植林から50年を迎えたものが結構ある。10齢級までもう届いたものが出てきましたので、本来は製品化されるべきだと思うんですが、延長もしているわけですけれども、その機関造林の利用と、今回の県産材の利用拡大をどうマッチングさせていくか、その辺についての考え方を伺いたいと思います。
 もう一つ、機関造林の今の除間伐がまだまだ続くわけですけれども、その事業形態が自由競争の体制で競争入札になってきたということで、山にとっては特殊な形になったんです。逆に言えば、その競争原理が、なかなか難しいんだと思うんですが、今、除伐、間伐をするときに競争入札で仕事を進めていく。これまでの経過と違った人が入札で取ったときに、現場の管理も、多分、県の各農林振興センターがやっているのだろうと思いますが、その管理の問題はないのか、その辺についても伺います。
〇佐藤森林保全課総括課長 機関造林の除間伐に対して競争入札が導入されて、さまざまな業者の方々がそれをやっているということについて何か問題はないかということでございますけれども、これにつきましては、今のところ、特にそういったことで大きな問題が発生したといったようなことは現時点では聞いてございません。
〇竹田林務担当技監 最初のお尋ねでございます県行造林、林業公社として造成した森林は、委員御指摘のとおり、県行造林のほうがやや早目に造林したものですから、ちょっと年数を早く迎えておりますけれども、標準伐期齢であるおよそ50年を迎えつつあって、そういった意味においては伐採時期でございますが、こういった県行造林なり公社の経営方針として、今、なかなか材価が低迷しているものですから、できるたけ長伐期にもっていくという方針ではありますが、そうはいっても契約が到達しているものもありまして、それらについては立木処分、伐採をしているという状況でございます。いずれ、県といたしますれば、そういった利用というものをにらみつつ、できるだけ有利に販売して、県有林の特別会計にできるだけ収入を入れたいという方針でやっております。
 そういうことで、例えば先ほどあったとおり、公共施設の建築があるからここの県有林、県行造林を伐採するといった形では実施してございませんけれども、できるだけ高く売るという視点で経営を行っております。
〇佐々木大和委員 民有林の中でこれだけの大きな面積を管理するのはやっぱり県の分野だと思うので、県産材活用をしていくときのリーダー的な役割はそこで持たなければ、なかなか安定供給につながっていかないんじゃないか。そういうところをぜひ検討課題として進めてもらいたいと思います。
 それから、先ほどの除間伐に対して、入札制度で人が変わっても問題はないというんですが、確かに地上権設定しているので権利は管理者にあるんでしょうけれども、実際、現地の森林組合等の話だと、ことし入札で負けて今回管理が変わりましたと。だから、別な人がもう入りますということが、ここ数年、しょっちゅう来るんです。こういうことになってくると、果たして山は、先ほどのお話のように、契約が80年までもう行ってますね。そういう格好でもっていくときに、人が代々変わることは変わるんですが、3、000本植えた木を600本、500本にしていく。その過程の中で、山を見ながら、1本ずつの木を見ながら育てていくわけですから、そういう思いが消えて、単純に仕事だけをやっていく格好になると将来が非常に不安になる、そういう思いを持っている人がたくさんおります。単純な経済活動だけではないわけですので、ぜひ、そういう点をしっかりやってもらいたいと思います。その辺の検討もぜひお願いしたいと思います。
 それから、先ほど出ました森林整備加速化・林業再生基金に絡んで、3カ年事業で今やっているわけですが、そういう中で、今後さらに3カ年という提案が出ているようでございます。そういう報道を見れば、今後3年間で住宅再建など約834万立方メートルの木材需要を見込むということになっていまして、その8割を国産材で賄いたい、そのための施策をとりたいということで進めているようでありますが、先ほど来お話が出ましたように、低コストの輸入材に対抗できる良質な国産材を安定供給するための体制を築くということになると本当に大変だと思うんですが、この8割が667万立方メートルのようですけれども、岩手県がどの辺まで取り組んでいこうとしているのか、検討が進んでいるのであれば、ぜひここで報告いただければと思います。
〇竹田林務担当技監 まず最初に、先ほどと関連してもう一度御質問があったわけですけれども、県有林、公社営林については、単なる木材の生産ということのみならず、やっぱり経済活動以外のそういった使命も持っているというお話でございます。まさにそのとおりだと思っております。本県に民有林が78万ヘクタールほどありますけれども、そのうち県が経営管理する今の県行造林、県有林あるいは公社営林は合わせますと8万5、000ヘクタールということで、1割を超えます。そういう意味ではそうした資源の、例えば素材生産量の調整という機能、あるいは山村地域の経済を回していくといった使命もこれまでは持ってきておりますので、そこについては、経済活動以外の部分を含めましてしっかり経営してまいりたいと思っております。
 それから、森林整備加速化・林業再生基金の関係でございます。国では、そういったところで国産材を8割という目標等も掲げておるということですけれども、県内に限って見ますと、今、8割が県産材を活用している。この8割の計算は、県内の木材関係の工場で使用する丸太の8割は県内で生産された丸太を供給しているということでありますので、そういった意味では、もう既に、この基金で目標とするレベルは県ではもう達成しているということでありますけれども、本県、豊富な森林資源を有効に活用するというのは我々の大きな課題でございますので、さらに取り組んでまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 私からは1点、木質バイオマスエネルギーの利活用策につきまして何点かお伺いをさせていただきます。
 まず初めに、平成22年度の取り組みの全般的な結果と評価について、あわせまして、ペレット利用とチップ利用、それぞれ目標を立てて、施策を立てていたようでありますが、目標達成度と未達成の主な理由についてまずお示しをいただきたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 木質バイオマス利用に関する平成22年度の取り組みの全般的結果と評価についてであります。
 平成22年度は、木質バイオマス利用を促進するために、まず、県が委嘱した木質バイオマスコーディネーターを活用したボイラー導入やペレット製造に関する技術的な指導を行いました。また、林地残材等の燃料利用を促進するための現地検討会や意見交換会を開催いたしました。さらに、森林整備加速化・林業再生基金事業等によるボイラー整備や、間伐材の安定供給コスト支援などに取り組んでまいりました。
 平成22年度の木質バイオマス燃焼機器の導入実績は、ペレットストーブが69台、ペレットボイラーが4台、チップボイラーが4台となっております。この結果、平成22年度末の木質バイオマス燃焼機器の累計導入台数で見ますと1、466台となっておりまして、これは、北海道に次ぐ全国第2位の実績となっておりまして、着実な利用拡大が図られていると評価しているところでございます。
 一方、ペレット利用とチップ利用の目標到達度と未達成の主な理由ということでございますが、目標として掲げておりますのは、ペレットの利用量またチップの利用量をいわて県民計画の目標値に掲げてございまして、平成22年度のペレット利用量を実績で申し上げますと3、496トン、同じくチップの利用量の実績が2、274トンとなっておりまして、それぞれいわて県民計画の目標値であります4、900トン、そして3、100トンに対しまして、ペレットが71%、チップが73%と計画を達成できなかったところでございます。これは、景気の低迷等によりまして、企業の新たな設備投資が抑制されていることや、公共団体での施設整備事業が先送りされているなど、木質バイオマス燃焼機器の導入が停滞したことにより、ペレットやチップの利用量が伸びなかったものと考えております。
〇関根敏伸委員 ペレット利用とチップ利用の未達成の主な理由が示されました。片や、平成22年度の全般的取り組みの評価については、おおむね順調という課長からの御答弁であったようでありますが、その認識について私は若干異論があるんですけれども、御承知のとおり、県は、木質バイオマスに対しまして本当に積極的にプロジェクトとして推し進めてまいりました。2000年に県計画をつくって、2002年度ですか、部局横断で利用促進のための会議をつくって、いわゆる40の政策に織り込んで、具体的に拡大プロジェクトを順次推し進めてきたと。その中にいわて型のペレットストーブを開発したり、発売に対して補助をしたりと、こういう一連の取り組みがあって今があるという認識だと思います。そういう意味では、ちょうど約10年間経過をしたと思うわけでありますけれども、この10年間の取り組みには一定の評価を私はいたしますし、導入期において、全国に先駆けてペレットの成功例をつくって市場をつくったという意味においては、本当に岩手の取り組みは、今まではすばらしかったなと見ておったわけでありますが、ただ、今回の議会でも、さまざまペレットストーブの導入への質問等も取り上げられておりました。ここ一、二年、こういった部分に関しての施策の変更等があります。個人のペレットストーブからチップボイラーやペレットボイラー等をさらに大規模な施設に導入をして、ペレット利用やチップ利用をふやすと。恐らくこういう方向転換の中で進められてきたのがここ数年の流れだと理解をしておりますが、ただ、今見たように、おおむね良好という課長の評価とは裏腹に、ペレット利用という、チップ利用という、大きな施策の大前提である目標がDランクであるという状況です。ペレットについては前年度を下回った実績だと思っておりまして、私は今の状況の認識というものを少し改める必要があるのではないかと思っております。
 そこで、これからのことについて伺いたいんですが、次の10年間の明確な取り組み、有効な制度、政策、これが必要であると。今の木質バイオマスの利活用推進の施策については、行き詰まり感があるという指摘があります。また、当初は、県の取り組みについても、今申し上げましたとおり、部局横断でさまざまな取り組みを系統立てて行ってきたと。そういう中で、一定の評価というか一定の具体的な結果が出たわけでありますが、現状は、部局横断の取り組みが事実上終了し、担当課レベルの対応に終わっている。そして、担当課が国のスキームの枠組みだけで対応しておって、県独自の取り組みというものがこの木質バイオマスに対しては見られない、こういう評価があるということも私は耳にしておりますが、こういった現在の行き詰まり感、あるいは県の対応の評価に対して県はどのような所感をお持ちなのか、お伺いをいたします。
〇佐野林業振興課総括課長 委員御指摘のとおり、ペレットストーブ等の導入につきましては、先駆けてスタートした部分で一気に進んだ部分がありまして、足踏み感があるのも確かでございます。ただ、一方、県といたしましても、本年3月に、これまでの成果や課題を検証して、いわて木質バイオマスエネルギー利用拡大プランの第3ステージを策定しまして、次のステージということで取り組みを進めることとしております。具体的には、これからは木質燃料をいかに安定して供給するか、安定供給体制を確立することが必要であろうと。さらに、大規模な木質バイオマスエネルギー利用施設を誘致するなどしてバイオマス利用をさらに促進する必要があろうと。公共施設や産業分野への木質燃料ボイラーを導入していこうということに取り組むこととしております。特に、今後、短期的な取り組みになろうかと思いますが、現在設置をしております木質バイオマスコーディネーターによる自治体や企業への施設整備に関する技術指導をこちらから出向いて行うとか、具体的な木質バイオマスの利用に関しても、円滑に燃料供給を行うための具体的な体制づくりを行っていこうということにしておりまして、これらによりまして、木質バイオマスエネルギーの利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 この第3ステージの取り組み内容はちょっと私は承知しておりませんが、今までの10年間を踏まえてぜひ積極的に、新しい10年間というものを長期的展望で取り組みをいただきたいという趣旨で御質問しているわけであります。
 この第3ステージの取り組みが、いつ計画立てられたかちょっとわかりませんが、御承知のとおり、今回の震災が発災いたしました。この震災の発災前と発災後では、恐らく再生可能エネルギーを含め、木質バイオマスの利活用という部分に関しても、相当、環境というか、県民を含め国民の意識というか、こういったものが劇的に変わってきているんじゃないのかと私は思っております。そういった意味合いにおいて、先ほど来、個人向けのストーブ等は導入を控えながら大規模なものにシフトしていく、あるいは技術的な支援をコーディネーターで行っていく、そしてまた、林地残材を利用していく、間伐材の利用に対して支援をする、こういう流れはいいんですが、こういった3.11の前後で、また、この部分の見直しということも相当していく必要があるのではないかという考えもしております。あわせて、目標の指標の設定についてでもありますが、ペレットとチップの利用量について大きな目標の枠組みをつくっているわけでありますが、今、課長からお話があったとおり、これからさらに市場を拡大していこうとしたときに、この取り組みの観点からでは私はできないんじゃないかと思っております。機器の開発をさらに進めて小型化あるいは安価なものをつくるとか、あるいは燃料のチップ等に関しても、ペレット等に関しても、今県内では供給が目いっぱいだという情報もあります。また、今、チップの原材料は木材加工場の端材を使っているというのが、ほぼこれがもう出てこないだろうと。そして、今言ったように、林地残材を使うとか間伐材を使う、そうなったときに、それをとってくる林業業者だって必要になってくる。コストを下げるために機械がもしかすると必要になるかもしれない。路網とか作業道が必要になるかもしれない。そういったトータル的にバイオマスをどこまでふやすのか、そのためにどういう指標をトータル的に組み合わせて実現をしていくのか、こういったことがより一層、これから密に求められる状況に来ているんじゃないかと思うんですが、こういった状況についてはいかがでしょうか。
〇佐野林業振興課総括課長 現在の目標指標の設定についてでありますが、先ほど申し上げた第3ステージのプランは本年3月、まさしく発災前に策定されたところでありまして、その段階では、平成22年度の燃焼機器の導入見込み数をもとにした目標を立ててございました。今般、いわて県民計画の第2期アクションプランの目標指標の策定作業中でございます。こういった震災後の状況も踏まえて、どういった指標が適当なのかについても検討してまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 ぜひお願いをしたいと思います。
 先般、私、木質バイオマスの利活用に関して、ある研修会に行ってまいりました。実はきょうの質問も大体おわかりかと思います、提言等もいただいているかと思いますので。そういった研究会の中で出てきたさまざまな議論の中で、本当にそうだなと思いつつ、かつ、可能性が非常に強いものだと思うものですから質問しているわけです。
 そんな中で、その研究会で県に提言されているもののうちの一つに、いわゆる木質バイオマスの生産と利用を地域で完結するモデル地区をぜひつくるべきであるということが提言されておりました。それには半径30キロ程度の地域に一定の山があるとか、そこに燃焼機器があるとか、そこに利用を循環する仕組みがあるとか、こういったものができるという条件だと思いますけれども、これは私、本当にそうだなと思って聞いておりました。そんな中で、きょうは提言も含めてそういったことを聞いてみたいと思って、先ほど実は県の復興実施計画を見ておったわけでありますが、まさに県の復興実施計画の中の一つにそういったことが盛り込まれていたようでありますから、ぜひその辺の中身を詳しく聞かせていただきたいと思いますが、仮称でありますが、木質バイオマスモデルタウン造成の事業というものが今年度から、平成23年度から26年度までになるのか、計画で組み込まれているようでありますが、このモデル事業の概要、それからスケジュール、こういったものについて現状をお知らせいただきたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 復興特区の一つとして、いわての森林の再生・活用特区というものを提案してございまして、その中の大きな部分をなすものとして、木質バイオマスモデルタウンということを提案したところでございます。林野庁の国の2次補正予算におきまして、木質系震災廃棄物等の活用可能性調査という形で具体化が図られようとしております。これは、まず一時的には、今般の震災によります木質系震災廃棄物を利用して、発電及び熱供給を行う地域モデルをつくろうということで、これを本県を含む4地域で調査を実施しておりまして、年度内に木質バイオマスによる発電や地域熱の供給など、具体的な活用可能性を明らかにした報告が示されると承知しております。この調査の中では、先ほど申し上げました木質系の震災廃棄物の処理が終了した後は、地域における未利用間伐材等、いわゆる林地残材とか加工廃材等でございますが、そういったものの利用を想定した調査がなされるということで、まさしく地域における供給と利用のモデルについての報告がなされることを期待しておりまして、県としては、今後、地域における木質燃料の生産と安定供給体制の確立や集落単位での地域熱供給など、木質バイオマスエネルギー利用施設の誘致、そして公共施設や産業分野への木質燃料ボイラーの導入など、そういった地域を単位とした木質バイオマスエネルギーの利用促進を図っていきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 基本設計の委託でありますとか、モデル候補地の合意形成を図るための説明会等というのがこの実施概要に示されておりますが、こういったものの大まかなスケジュール等はどうなるのか、今の現状でお知らせいただきたいと思います。
〇佐野林業振興課総括課長 現在の2次補正の取り組みでございますが、国が直轄の調査事業を行っておりまして、受託した会社は三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社でございますが、8月下旬から県内の3地域─宮古市の周辺、釜石市の周辺、気仙地域で調査を開始してございます。先ほど申し上げましたように、事業の実施期間として、平成24年3月9日までに成果物を出すという形で聞いております。
〇関根敏伸委員 これはそうすると国が主導で、国直轄という事業の中で、県の関与というのは出てこないということですか。
〇佐野林業振興課総括課長 先ほど申し上げましたように、地域との調整等につきまして県として可能な限りの協力をしているところでございます。
〇関根敏伸委員 わかりました。ぜひ、その辺のモデル地域の調整等々について、県が木質バイオマスの利活用については、まさに国に先駆ける形でさまざまな取り組みをしてきたわけですから、国直轄と言いながらも国に任せきりになるのではなくて、事業の内容についてもどんどん意見提言を行いながら、実のあるものにぜひしていただきたいと思っております。
 それで、最後になるわけでありますが、先ほど工藤勝子委員からも、また、さまざまな議員からも災害公営住宅等の、復興住宅に対しての県産材利用の取り組み等が質疑されているわけでありますが、私はもちろん、県産材の利用を促進していただきたいと思いますが、あわせて、例えば公営災害住宅4、000戸から5、000戸、こういった基本の方針、想定戸数が示されております。民間持ち家9、000戸から9、500戸といった部分に関して、燃焼系のチップボイラーであるとかペレットストーブであるとか、あるいは集合住宅については集中型の暖房給湯等をぜひ積極的に─県土整備部になるんでしょうか─他部局とまさに横断的に進めていくと、その中でここの復興とあわせて木材のバイオマスの利活用をふやす、その中に市場を形成する、こういう大きな大きな見通しに立った取り組みが必要だと思うんですが、いかがでございましょうか。
〇佐野林業振興課総括課長 災害公営住宅へのペレット、チップボイラー、ストーブ等の設置についてでありますが、委員御指摘のとおり、県土整備部が発表いたしました岩手県住宅復興の基本方針の供給方針の一つとして、再生可能エネルギーの活用に配慮した住まいづくりを推進するとされております。そういった中で、ストーブやボイラーなどの木質バイオマス利用機器がどういうふうに設置できるか、あるいは設置ができない等も含めまして、今後、関係部局とも連携して検討してまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。
 あわせて、仮称の事業で、県産材を一定以上使用した者に対しては、地域型商品券や住宅設備費等と交換可能な復興住宅ポイントを付与する、こういったものも事業概要の中で示されております。ぜひこういった中に、住宅設備の中にペレット機器であるとかを盛り込んでいくとか、そういったものを総合的にぜひ企画立てて住民の方にお示しをいただく、それには当然供給体制もしっかりとられていなければならない。チップやペレットの価格だって、これは適正価格でなければ消費者は選択しないわけでありますから、まさにそういったところをモデル地域をつくりつつ、あわせて復興住宅、恒久住宅に向けてのいろんな動きが出てくるわけでありますから、ぜひ並行的と申しますか、私はモデル事業を先行して、きっちりと成功させて、こういったものにこういうモデルが、循環したモデルができるんだよということを示していく、こういう必要があるのではないかと思います。
 岩手では、年間68万キロリットルの灯油と重油を使っているそうでありまして、市場価格換算すると580億円だそうであります。1割を木質バイオマスに向けるだけで、60億円から70億円のいわゆる域内にお金がおりるということもまさに研修会の中では指摘をされておりました。いろんな意味で、地域の富あるいは雇用、そしてエネルギー需給、さまざまな観点から、ぜひ県が国を引っ張る形でこういった事業を進めていただくことをお願いを申し上げたいと思いますが、最後に部長から御答弁をお願いしたいと思います。
〇東大野農林水産部長 木質バイオマスの活用、それから県産材の活用、両方とも森林県として課されている課題ですし、ある資源を域内で有効に活用していくというのが地域内の活性化にもつながると考えますので、その活用に向けた取り組みに努力してまいりたいと考えてございます。
〇工藤勝博委員 1点だけお伺いいたします。
 水産業の部分で内水面水産技術センターに関してお聞きいたします。
 このセンターは、前身から数えると56年という長い歴史がありますけれども、その中で今日までの成果ということと、また、今後の課題もたくさんあるだろうと思います。その辺をお伺いいたします。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 内水面水産技術センター、内水面関係の指導所として養殖場、養鱒場を扱いながら地元の養殖業者への種苗の供給、そういう役割を果たしてきたところであります。その中で、アユの冷水病とかあるいはニジマスの三倍体とか、それからヒメマスの養殖技術の開発とかさまざまなことをやってきており、センターでは、内水面の養殖漁業者に対してニジマス等の種卵や稚魚、それらを提供してきたところであります。
 このほかに、本来、サケは海のほうの水産技術センターでずっとやってきていたわけでありますけれども、この3年ぐらいから、淡水を使って回帰率の向上に寄与する研究も必要だろうということで、一部内水面水産技術センターでも、このサケの種苗生産に今取り組んでいるところであります。ここでは、特にも種卵、受精卵の管理の効率化につながる新たな技術を開発して、現在特許出願中であります。この技術を導入したふ化槽が今期から県内のふ化場で試験採用されるところに今なっております。
 今後、こういうふ化場での使用結果から実用性などを見て、改良、改善に努めていきたいと思っております。
 それから、あと特にもアユ─本県でもこのアユは遊魚のほうで非常に注目されているところでありますけれども、県内で放流しているアユについては、遺伝的にこれまで解析を行っており、親、それぞれ何代も卵を出し受精させ、またそれを飼育して受精さすという、継代というやり方で稚魚をとって、それぞれ各河川に放流してきているわけでありますけれども、この環境変化に適応する能力に影響する遺伝的多様性が、継代すると低下していくということが研究の結果わかりまして、この遺伝的多様性を高めるためには、天然魚に近い継群を親として確保して使っていくことが好ましくはあります。しかし一方で、この天然魚の飼育というのはなかなか難しく、種苗生産効率が低下する面がございます。この二つの面、条件のつり合いを考慮しながら、良質な種苗を生産していくのが今後の課題となっております。
 これまで、本県アユは栽培漁業センターで種苗生産していましたけれども、親等を失ってしまいましたので、今、改めて、どういう形でアユの種苗生産をやっていくのかも一つの大きな課題だと思っております。
〇工藤勝博委員 大変幅広く河川を活用した稚魚の生産からまたサケまでやっておりますけれども、私も近いものですから行って見させてもらう機会があります。大変施設も老朽化しておりますし、特にも今回の地震が相次いだ中で、施設の改修もままならない状況だろうと思っておりますし、また、今後そういう河川を活用した、また、特にも養殖業をやっておられる方も相当な数あると伺っております。その内水面の漁協組合等の活動なり組合の運営にもかなり関連があるだろうと思いますけれども、その辺の漁協組合との連携というのはどのような状況になっているでしょうか、お伺いいたします。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 内水面水産技術センターの職員は漁病の防疫師の資格を持っており、各養殖業者に漁病の防止の指導をやったり、実際病気になった場合は、それらをサンプリングしてその原因を詰め、そしてそれらへの対処の指導等をやっております。また、それぞれ養殖業者の中には、釣り堀的なもので観光客を呼んで、誘致しながらやっているところもあります。そういうところには、先ほど申しました種苗や種卵それから稚魚、これらも提供したりして、各組合と連携しながら今やっているところがあります。また、特にもサケの関係でも、内水面からも出かけていって、いろいろ指導してきたりしているところもあります。
〇工藤勝博委員 岩手県にはきれいな河川といいますか、すばらしいそういう河川がたくさんあります。そして釣り人も、相当な数が岩手県の河川でいろんな余暇を楽しんだり、あるいはまた自然に触れ合うというすばらしい資源があります。そういう中で、イワナとかあるいは先ほど言いましたアユなんかもすごい資源だろうと思います。継続してそういう岩手の魅力をアップさせるためにも、この内水面水産技術センターのさらなる充実も図りながら取り組んでいただくようにお願いしたいと思いますし、よく、秋祭りなんかではマスのつかみ取りとか、子供たちも大変興味を持って魚に触れているということもありますし、また、今回の震災の中でも、沿岸で震災後魚がとれないというときに、内陸から持っていって炭火焼きにしたりして提供したということも現実にあります。そういうことも含めて、内陸も海も一緒になって取り組みをさらに進めていただくようにお願いしたいと思いますし、最後、センターの今後の整備の状況等がもしあれば、お知らせ願いたいと思います。
〇石田漁業調整課長 内水面水産技術センターの整備でございますけれども、これまで、サクラマスの種苗生産という事業でやっていまして、平成初年度、早い時期に整備をしてきたところが大体整備の最終になっております。近年の大きな整備は現在ございませんので、これからの整備につきましては、施設の使用状況も見まして、必要なところを必要な手当をしていく形で、現場と相談しながら進めていきたいと考えております。
〇斉藤信委員 それでは、林業の生産額と決算額、この推移をまず示していただきたい。
 それと、林業は1960年代に真っ先に輸入自由化の洗礼を受けていますが、この輸入自由化の県内林業に対する影響はどうだったのか、示していただきたい。
〇佐野林業振興課総括課長 私からは、本県の林業産出額の推移等についてお答え申し上げます。
 本県の林業産出額の推移でございますが、昭和55年の419億円をピークに、平成21年には195億円と大幅に減少しているところでございます。このうち産出額の大部分を占める木材生産額で見ますと、同じく、昭和55年の365億円から平成21年には129億円と、約4割まで落ち込んできております。これは、木材価格の下落と、その影響を受けた木材生産量の減少が主な要因と考えております。
 自由化の県内林業への影響でございますが、昭和39年、1964年に丸太の関税が撤廃されて以来、既に40年以上が経過しておりまして、この間、経済、社会環境も大きく変化しておりまして、この影響を具体的に算出することは困難であると考えております。
〇小岩農林水産企画室企画課長 林業関係の決算額の推移についてでありますけれども、平成22年度は169億3、200万円余となってございまして、平成5年の119億8、000万円余に比べまして49億5、200万円余ふえてございます。一方、10年前の平成2年の295億6、100万円余と比べますと、126億2、800万円余減少してございまして、42%ほどの減少となってございます。
〇斉藤信委員 昭和55年の419億円から平成21年195億円と、まさにこれが自由化の影響なんですよ。自由化の影響が今わからないなんて、そんなとんちんかんな答弁しちゃだめですよ。丸太の価格が3分の1に下がったじゃないですか。そして、当時の自給率、あの当時何%でしたかね。80%ですか。それが今、少し盛り上がって26%でしょう。違いますか。ちょっと確認します。
〇竹田林務担当技監 自給率は、委員からお話しあった26%だと認識しております。(斉藤信委員「当時、1960年代は、自由化の前は」と呼ぶ)
 昭和39年、完全自由化の前の自給率につきましては、はっきりした数字は記憶がちょっと薄れておりまして、ただ、委員御指摘のとおり8割、そういった程度、高い水準だったと記憶しております。
〇斉藤信委員 TPPを考えるときに、林業というのは1960年代に自由化されて、私はこれが一つの実証なんだと思うんですよ。だから、自給率が約8割から26%、そして、丸太の価格は3分の1に下がって、ほとんどこれ変わっていないですよね。さらにTPPで関税を撤廃すると言ったら、今林業を盛り上げようとしている、政府の政策でも木材自給率50%と掲げて、私は、全くこれは逆行するやり方ではないのか。この林業の分野でTPPの与える影響を部長にお聞きしましょう。どう受けとめていますか。
〇東大野農林水産部長 交渉参加の可否、交易条件、国内対策等が明らかになってございませんので、影響額を推しはかることは困難でございます。
〇斉藤信委員 政府の答弁よりひどいね。大体ね、TPPに参加しようというときに、対策が示されていないということが異常でしよう。示されていなかったら、示されていない中で判断するしかないんですよ。そういうTPPに断固として反対という、部長がその程度のことを言わなかったら、どうやって岩手の林業を守るんですか。今、いろんな議論されているけれども、これでTPPやってみなさい。この議論、全く無駄になりますよ。全く無駄になりますよ。そういう問題なんですよ。私はそういう意味で、林業の分野というのは真っ先に自由化されて洗礼を受けた、そこに今の困難が私は最大の原因があると思いますが、少し前に進めたいと思うけれども、県産材の供給量、間伐実施面積、この推移、課題はどうなっているか。そして、林業再生プラン、これに基づく県の取り組みはどうなっているか、示していただきたい。
〇竹田林務担当技監 まず、最初に、県産材供給量、間伐実施面積の推移と課題についてでございます。
 県産材供給量は、平成18年度以降、おおむね120万立方メートル前後で推移しております。平成22年の供給量は126万立方メートルとなっております。一方、間伐実施面積につきましては、平成18年度から21年度までは年間約1万2、000ヘクタールで推移してきておりましたが、平成22年度は、年末年始の豪雪や東日本大震災津波の影響等によりまして、9、107ヘクタールと大幅に減少したというところでございます。
 ここ数年、そのとおり、横ばいで推移しております県産材供給量と間伐面積を伸ばすためには、いかに低コストで間伐を進めるかということが課題であると考えております。このため、間伐対象森林を集約化しまして、機械による効率的な間伐を実施できる担い手の育成に取り組みますとともに、林内路網の整備、高性能林業機械の導入をさらに促進してまいりたいと考えております。
 そして、森林・林業再生プランの取り組みでございます。森林・林業再生プランは、我が国の森林、林業政策を、森林の造成から木材の利用、持続的な森林経営と大きく転換するもので、10年後に国産材自給率50%以上を目指すものでございます。このプランは、森林資源が豊富な本県にとりまして追い風になるものでございます。一つには、低コスト間伐技術の習得支援など、地域の森林経営を担っていく経営体の育成、二つ目として、林内路網の整備や機械化など効率的で安定的な林業経営基盤づくり、三つ目として、合板工場等、加工施設整備への支援など、県内木材産業の活性化、そういったものに重点的に取り組んでいるところでございます。こういった取り組みは、本県沿岸地域の復興にも大きく寄与するものと考えております。
〇斉藤信委員 本当に森林・林業再生プランで、国として木材自給率50%を目指すと。しかし、全く反対のことをやろうとしているので、この行方は大変微妙だけれども、私は、岩手県が先頭に立って、この木材・林業再生プランの取り組みを進める必要があると思います。
 関連して、今、復旧、復興のかかわりで、合板工場がかなり被災をした。そのために、いわば現地から木材を供給できないという今状況になっていますが、合板工場の被災と再建の状況、見通しを示していただきたい。
〇佐野林業振興課総括課長 沿岸地域に立地します合板工場、製材加工施設等では、津波による建物の損壊や加工施設の流出など甚大な被害を受け、操業停止を余儀なくされた事業体が多くございます。このため、県としましては、国の1次補正予算を活用いたしまして、木材供給等緊急対策事業として6月補正予算を措置いたしまして、現在、この事業を活用しながら、合板工場や製材工場の早期復旧を支援しております。さらに、被災した工場に対して原木等を供給していた事業体に対して、流通コスト支援として緊急の運搬コスト等の支援を行っているところでございます。(斉藤信委員「見通しは」と呼ぶ)
 失礼いたしました。この1次補正を活用いたしまして、宮古地域におきましては3事業体が復旧に着手して、既に稼働を始めているところが多くございます。そういった状況でございます。
〇斉藤信委員 宮古を言ったら、大船渡も言ってくれればいいんだけれどもね。
 わかりました。時間がないので先に進みますが、木質バイオマスの取り組みについては、たくさんの方々から議論がありました。3月につくったいわて木質バイオマスエネルギー利用拡大プラン、この副題がいいんですね。みどりのエネルギー利用日本一に向けてと。日本一に向けてと。スローガンは意気込みがあるけれども、中身を見るともうひとつなんだね。やっぱり今までの延長線上ではないのかと、私はそういう気がします。
 ペレットストーブにしても、ペレットボイラー、チップボイラーにしても、これは岩手県がかなり先駆けて取り組んだというところがあるんですね。先駆けたけれども、息切れしているんですよ。本当に定着するところまでいかないで補助金もやめちゃったと。私、例えばペレットストーブで言えば、一般家庭に普及するような研究開発と普及までやらないとだめだと思います。一般家庭から見ると、やっぱり大き過ぎるし高過ぎるんです。今度、住田の仮設住宅に住田町が配備したんですよ、小型のペレットストーブを。小型の仮設に。私びっくりしました。仮設用のペレットストーブですよ。ただ、それをどこでつくったかというと新潟でつくっているんですよ。モアツリーズという、坂本龍一さんの関係があるようだけれども、しかし、そういうことができるんなら、一般家庭用にも使えるものが開発できるのではないか。私はそういう意味でいけば、そういうところまで徹底してやってこそ、日本一になると思うんですね。
 私、この間、2回葛巻町に行って、さまざまな取り組みを見てきました。葛巻町は頑張っているけれども、まだペレットボイラーにしてもバイオマス発電にしても、採算がとれるところまでいっているわけじゃないんですよ。それでも、日本一の先頭を切ってやっているんです。例えば自然エネルギーの補助金というのは、太陽光から、バイオマスから、ハイブリットからエコキュートまで、新エネルギーにかかわるものは全部補助金出しています。ペレットストーブは、上限10万円出していますよ。私はそういうぐらいのことを、日本一ということであれば、研究開発からそして普及、定着まで取り組む必要があるのではないかと思いますが、そういうところまでやる実績と今後の課題についてお聞きしたい。
〇佐野林業振興課総括課長 本県では、平成10年度からバイオマス利用に取り組んで、先駆けて進めております。これまで、いわて型のペレットストーブの開発と家庭や事業所への普及、県営屋内温水プールなど公共施設への木質燃料ボイラーの率先導入、養鶏施設など産業分野への利用拡大に取り組んできたところでございます。この結果、ペレットストーブが、平成22年度までに1、394台、ペレットボイラーが52台、チップボイラー20台という導入実績となっております。
 今後については、先ほども申し上げましたように、産業分野での利用拡大とそれに対する木質燃料の安定供給などを重点課題に、被災地の復興にもつながる木質バイオマスの利用促進に取り組んでまいります。
〇斉藤信委員 ちょっと残念ながら、日本一を目指すという意気込みがもうひとつ、残念ながら私はこの中身を読んだけれども、今の答弁を聞いたけれども、この葛巻町のような意気込みをまだ感じられませんよ。やっぱり利用日本一を目指すというのであれば、それだけの積極的な目標、計画、そしてそれを裏づけるような補助金も含めた取り組みがなかったら、補助金は出しませんけれども頑張りますと、これでは─あの財政力の弱い葛巻町であれだけやっているんですから、逆に岩手県がそういう取り組みをやったら全国から注目をされて、さらに大きな波及効果が出るんだと思いますよ。葛巻町は、大体年間200から300団体の視察が来ています。これを岩手県規模でやったら、そういう大きな効果を私は発揮できるのではないか。これは要望だけにとどめて、次に漁業に行きます。
 漁業についても、生産額の推移と決算額を示していただきたい。それと、今度の大震災津波の復旧状況について、リアリズムでお聞きしたい。船の確保はどこまで行ったか。養殖施設の整備はどこまで来ているか。サケはえ縄漁はさっき答弁があったようですが、定置はどこまで取り組めるようになったのか、リアリズム、数で示していただきたい。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 水産業の生産額の推移でありますけれども、生産額の推移を単年度で比較いたしますとどうしても年変動が大きいので、直近の5年とそれ以前の5年ごとの平均値で比較いたしました。直近の平成17年から21年までの5カ年平均で見た海面漁業、養殖業生産額は約420億円であり、その前の平成12年から16年までの5カ年平均との比較ではほとんど変化は見られませんが、さらに前の平成7年から11年までの5カ年平均との比較では、約100億円、2割ほど減少しております。
〇小岩農林水産企画室企画課長 水産関係の決算額についてでありますけれども、平成22年度は53億5、300万円余となってございます。一方、5年前の平成17年度は90億400万円余となってございまして、36億5、100万円余減少してございます。一方、10年前ですけれども、平成12年度の決算額を見ますと213億6、000万円余となってございまして、160億700万円余減少してございまして、その減少率は74%ほどになってございます。
〇斉藤信委員 私、もっと聞いたんですよ。二つまとめて聞いたんです。
〇高橋昌造委員長 一回に答えてくださいね。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 はい、わかりました。済みませんでした。
 漁船の確保につきましては、共同利用漁船等復旧支援対策事業により、今回の補正予算に盛り込んだものも合わせて約6、800隻を整備することとしており、9月末現在の新規登録隻数は1、123隻となっております。
 次に、養殖施設の整備については、来年の春には収穫が可能となるワカメ、コンブ養殖を中心に、約1万1、000台の整備を進めており、今年度中に被災前の約4割の復旧を目指しております。
 次に、サケ定置網漁の状況につきましては、これまでに70カ統が稼働したところであり、今年度中に被災前の約6割の復旧を目指しておりますが、10月20日現在の秋サケの沿岸漁獲量は605トンで、対前年比約7割となっており、沿岸漁獲金額は2億9、000万円で、対前年比約9割となっております。
〇斉藤信委員 水産業の産出額は400億円前後、これは大体この10年間推移をしていると、私は比較的健闘していると思います。しかし、一方で、水産業予算が10年前の213億円から53億円に74%も減ったと。これ、本当は減らし過ぎではないのか。本当に漁業、水産業を守ろうという姿勢が見えない。逆行しているんじゃないでしょうか。何でこんなに減ったのか、水産業の決算額が。これはひとつ答えていただきたい。
〇小岩農林水産企画室企画課長 公共事業費を見ますと、平成14年当時114億円ほどあったものが、平成22年度は26億円ほどに減ってございまして、これが大きい原因ではないかと考えてございます。
〇斉藤信委員 これは農業とちょっと違って、水産業の公共事業というのは漁港の整備ですから、これは簡単に無駄遣いと言えない。そして114億円だったのが26億円で、160億円減っているんですよ。半分しか説明していない。私はこういうときだからこそ─今回は大震災で大変な復旧予算がついているんだけれども、今までの流れから言ったら、本当に水産業を振興させるという姿勢に欠けたのではないか、指摘だけにとどめておきます。
 船の確保が今1、123隻だと。養殖の整備もアンカーが届かないとか、追加ロープが届かないとか、漁民は今、今頑張ろうとしているんですね。ここの見通しはどうでしょうか。例えば年内にどこまで行きそうなのか。船についてはメーカーの製造能力もあるけれども、しかし、そんなことを言っていたら予算消化できないと思うんですよ。そこの見通しを示してください。
〇石田漁業調整課長 漁船の復旧につきましては、現在国の方にも申し入れしておりまして、国では、全国の大手メーカー4社ありますけれども、そちらに働きかけて、なるべく早く復旧できるようにお願いしているということです。
 それから養殖施設につきましては、今年度の予算の中で、震災前の約4割の規模の養殖施設の事業を今進めているところでございまして、特にもワカメ、コンブなど、収入が早く確保できる海藻類の養殖を優先的に取り組むことで、各漁協と相談しながら今進めているところでございます。
〇斉藤信委員 予算化もされていることなので、そしてそれはどんどんかなり大規模なものになっているので、これがきっちり遂行されるように、予算化したからというのではなくて、やっぱりそれがきちんと現場に船が、養殖施設や魚網が届くようにひとつしっかり見てやっていただきたい。
 それで、私はさっきの定置にかかわって、サケの刺し網漁を求める漁民の声も出ておりますが、サケの刺し網漁にかかわる課題はどういう手続が求められるのか。2月24日に知事もこうした漁民の要請を受けていますね。知事はどういう立場でこれに対応したのか、それを示してください。
〇石田漁業調整課長 サケの刺し網でございますけれども、まず、刺し網漁法ですが、陸上で言えばかすみ網みたいなものでございまして、魚の通り道に能動的に、あと、機動的に敷設することで、非常に漁獲効率の高い漁具となっております。そのため、サケの資源保護上の観点から、現在、サケを漁獲の対象とはしてございません。また、刺し網によって、ほかの漁業との間で、操業海域あるいは漁具が錯綜する場面もございますので、漁業調整上の観点からも、現在、サケの漁獲は認めていないところでございます。
 刺し網の漁獲に対する手続でございますけれども、まず第一には、要望される方々も含めて、漁協の中で、地域の中でしっかり議論していただきたいということです。これはサケの資源の管理それから利用配分、それからほかの漁業との調整、こういう方向性でしっかり議論した上で合意形成が図られる見通しとなった場合には、県としてもその状況を把握しまして、このサケの漁獲について検討を始める土台ができるのかと考えております。
〇寺島水産担当技監兼水産振興課総括課長 2月24日、これらの漁業者から要望があったわけでありますけれども、漁業者の要望は、県と県漁連と彼らの代表との懇談を希望しておりまして、その中には、資源の管理を適切にとか、組織の改革をとか、そういう彼らの思いが4項目あって、それらについて検討することは、漁業、いろんな調整をする上でいいというふうに感じたからではないかと思っております。
〇斉藤信委員 サケの刺し網漁の問題についてはさまざまな課題があると、手続もあると、わかりました。同時に、知事が直接そういう漁民の要望を受けているということもこれは重大な中身で、漁民の間でこれが大いに議論されて解決されることを期待したいと思います。
 最後です。111の漁港のうち、108漁港が今度の震災で被害を受けました。岩手県がすべての漁港を復旧させて漁村を守るという方向を目指して取り組んでいることを私は評価したいと思います。岩手における漁港の果たしている役割、位置づけ、そして今の復旧状況、これを最後に聞いて終わります。
〇大村漁港漁村課総括課長 まず、漁港の復旧状況についてでございますけれども、これまで漁港の泊地、航路に堆積、浮遊しておりました瓦れき等の撤去、それから防波堤や臨港道路などの応急工事を実施いたしまして、111あります漁港の中で被害を受けた108漁港で漁船の利用が可能になっているという状況にございます。
 それから、岩手の漁港の位置づけと役割の話でございますけれども、岩手の漁港といいますのは、ある意味、まちと同じような役割を果たしているというものでございます。漁港は単に水揚げをするという機能は十分発揮しておりますが、そのほかに、リアス式海岸という特徴の中にあって、用地が少ないところです。漁港の用地の中でいろんなことをやっています。何をやっているかと言いますと、地域のお祭りをやったり消防演習をやったり、それから付近のお母様方が散歩をしたり、内陸の方々が来て魚釣りをやったり、そういう多面的な機能を持っているのが漁港でございます。それがリアス式海岸のそれぞれの入り江の中に漁業の集落があって、そこに漁港があってなりわいとして成り立っているということでございます。
 それで、沿岸地域には12市町村、住田町を入れて13市町村あるわけですけれども、大体30万人弱ぐらいの方々が住んでおりまして、それで海を守っていただいていると私は考えております。その漁業者の方はもちろんですけれども、漁業者の方々が前浜で養殖をやるとによって海の環境をきれいに保っているということですので、私とすれば、沿岸の方々に非常に感謝を申し上げて、岩手県の107キロのきれいな海を守っていただいている。それは、とにもかくにも111の漁港でなりわいをやっているからだと思っておりますので、その108漁港はすべて直したいと考えております。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 関連。大事なことを言い忘れましたので、関連で立たせていただきます。3分だけ時間をいただきたいと思います。お許しください。
 今回、宮古湾内で養殖施設がほとんど壊滅状態になりました。平成16年には十勝沖地震ということで60センチの津波が襲来して、その際は北海道奥尻地方でやっているスーパーアンカーに固定方式を変えたいということで、県の補助を使ってやらせてもらいました。その後、今度は昨年6月、そして今回の大震災ということで、大変な被害を重ねて受けているわけであります。
 そういう中で、40代後半、50代後半の若い人たちが、やはり自分たちには漁業しかない、カキの養殖をやりたいということで立ち上がってくれまして、先般、カキのオーナー制というのを立ち上げてくれました。1口5、000円で、そのうちの1、000円は自分たちの漁具をそろえるために使って、来年4月には、できたといいますか、そのカキをオーナーのところに送る。1口5、000円ということでやってくれまして、私も、県庁を12階から1階まで全部、営業マンとして歩いて、大勢の皆さんにも御加入いただきました。東大野部長、橋本副部長、会計管理者にも御加入いただいたと思っておりまして、議会事務局の皆さんを初め250口から300口ぐらいの御加入をいただいたと思っております。決して強制したのではありませんが、御加入をいただきまして、今、若い人たちがねじり鉢巻で大変頑張っております。ありがたかったと思っておりまして、会派の方々にも感謝を申し上げたいと思います。いずれ、来年の4月、いいものが来ると思いますので、楽しみにしていただきたいわけでありますが、県内の被災を受けたそういう漁協青年部たちの中で、こういうやり方で元気を出していこうという動きがあったら教えていただいて、地元にも教えたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇石田漁業調整課長 カキのオーナー制とまではいかないと思いますけれども、気仙地区で、綾里地区の小石浜の青年部が、自分たちの復旧、復興に向けて東京でPRをしたりということで、養殖の再開に向けて関係の皆さんの御協力を得たいという活動を進めていることは承知してございます。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、農林水産部関係の質疑をこれで終わります。農林水産部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後5時28分 散会

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