平成23年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成23年10月31日(月)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査    佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  教育長    菅 野 洋 樹
  教育次長兼
  教育企画室長   高 橋 嘉 行
  教育次長兼
  学校教育室長   佐々木 修 一
  参事兼
  教職員課総括課長 佐 藤   新
  教育企画室
  企画課長    石 川 義 晃
  予算財務課長   泉   裕 之
  学校施設課長   小 倉   茂
  学校企画課長   高 橋   勉
  首席指導主事兼
  義務教育課長   多 田 英 史
  首席指導主事兼
  高校教育課長   高 橋 廣 至
  首席指導主事兼
  特別支援教育   佐々木 政 義
  担当課長
  主任指導主事兼
  生徒指導担当課長 田 村   忠
  高校改革課長   上 田 幹 也
  首席指導主事兼
  産業教育担当課長 阿 部   徹
  生涯学習文化課
  総括課長    錦   泰 司
  首席指導主事兼
  文化財・世界遺産 中 村 英 俊
  課長
  首席指導主事兼
  スポーツ健康課  平 藤   淳
  総括課長
  首席経営指導主事
  兼小中学校    漆 原 一 三
  人事課長
  特命参事兼
  県立学校人事課長 中 山   敏

  警察本部長    樹 下   尚
  警務部長    森 本 敦 司
  生活安全部長   千 田 敏 信
  刑事部長    遠 藤 貞 造
  交通部長    吉 田   修
  警備部長    佐 藤 善 男
  警務部参事官兼
  首席監察官    小野寺 憲 一
  警務部参事官兼
  警務課長    吉 田 尚 邦
  警務部参事官兼
  会計課長    川 村 邦 光
  生活安全部
  参事官兼
  生活安全企画課長 佐々木 芳 春
  刑事部参事官兼
  刑事企画課長   伊 藤 広 務
  交通部参事官兼
  交通企画課長   工 藤 義 彦
  警備部参事官兼
  公安課長    今 野 秀 人
  総務課長    熊 谷 芳 文
  警務課給与調査官 吉 田 伸 広

  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    浅 沼   浩

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇高橋昌造委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで、決算15件を一括議題といたします。
 本日は、教育委員会、警察本部関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、教育長に教育委員会関係の説明を求めます。
〇菅野教育長 平成22年度の教育委員会関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、教育委員会所管の事務事業に係る総括的な評価、成果とこれを踏まえた今後の取り組み方針につきまして御説明申し上げます。
 いわて県民計画に掲げる人材・文化芸術の宝庫いわての実現に向けて、家庭、地域との協働による学校経営の推進、知・徳・体を備え調和のとれた人間形成、生涯を通じた学びの環境づくり、文化芸術の振興及び豊かなスポーツライフの振興の五つを主要な柱として取り組んできたところでございます。
 まず、家庭、地域との協働による学校経営の推進につきましては、すべての学校において目標達成型の学校経営が定着してきておりますが、さらに、家庭、地域と協働しながら、開かれた学校経営となるよう、学校経営計画の達成状況、成果、課題等を公表するとともに、先進的な取り組みを他校に普及していくなど、取り組み内容の質的向上を図っていくことといたしております。
 また、東日本大震災津波による被災からの復旧、復興を担う子供たちを育成するため、いわての復興教育を学校経営計画等に位置づけながら取り組んでまいります。
 次に、知・徳・体を備え調和のとれた人間形成に向けて、児童生徒の学力向上については、学習定着度状況調査等の結果の詳細な分析、特に算数、数学、英語での指導上の課題の分析に努めたところであり、この結果を踏まえながら、教員の授業力向上を初め、授業と連動した家庭学習の取り組みなどに集中的に取り組んでいるところであります。
 また、小学校でのすこやかサポート推進事業や中学校での学校生活サポート推進事業等の少人数教育の取り組みにより、児童生徒に学習面、生活面で成果があらわれております。さらに、家庭学習の充実と読書活動の推進を教育振興運動の全県共通課題として提唱することにより、家庭での取り組みが徐々に浸透してきており、引き続き家庭、地域との連携により学力向上の取り組みを強化してまいりたいと考えております。
 また、平成22年に策定した本県キャリア教育の方向性を示したいわてキャリア教育指針、あるいは各学校における進め方を示したいわてキャリア教育の手引に基づき、児童生徒が社会人、職業人として自立するための能力の育成に学校教育全体で計画的、組織的に取り組んでまいります。
 豊かな心を育む教育の推進については、児童生徒の読書活動は学年の進行とともに低下する傾向が認められますことから、今後、県内すべての中学生、高校生に配布した中高生のためのおすすめ図書100選の活用と選書の充実を図りながら、読書活動の習慣化に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、児童生徒の問題行動や学校不適応の未然防止については、月3日以上欠席した児童生徒には速やかに対応するなど、早期発見、早期対応に重点的に取り組んでまいりましたが、今後も引き続き、教員の指導力向上やスクールカウンセラーの配置等による教育相談体制の整備を推進するとともに、学校、家庭、地域が緊密に連携しながら対応してまいります。
 さらに、携帯電話等を通じた問題行動の防止を図るため、今後とも啓発活動を実施するなど、情報モラル教育を推進してまいります。
 また、東日本大震災津波により心のケアが必要となった児童生徒への心のサポートのため、臨床心理士等で構成する、いわて子どもの心サポートチームによる支援を組織的かつ継続的に行ってまいります。
 健やかな体を育む教育の推進については、各小中学校で、まなびフェストに健康、体力に関する目標を設定して取り組んでいるものの、体力・運動能力調査及び肥満傾向児の指標のいずれも目標値には及ばない状況であります。このため、学校、家庭が協力して、基礎的な生活習慣の確立や運動機会の確保の取り組みを継続していくほか、体育の授業力向上に取り組んでまいります。
 特別支援教育の充実については、高等学校における特別支援教育支援員の配置や特別支援学校における医療的ケアの必要な児童生徒への看護師の配置など、支援体制の充実に努めておりますが、全体としてはおおむね順調ではあるものの、小中学校における個別の指導計画の作成や特別支援教育ボランティアの登録者数が伸び悩んでいるといった課題もある状況にあります。
 このため、平成21年度に策定した、いわて特別支援教育推進プランを着実に推進し、共に学び、共に育つ教育の実現に向けて、教員研修の充実や、市町村と協力して、児童生徒一人一人のニーズにこたえられるよう支援体制を整備していくとともに、特別な支援が必要な子供に対する教育についての県民の理解の促進等に引き続き取り組んでまいります。
 次に、生涯を通じた学びの環境づくりにつきましては、県民一人一人が生涯にわたって多様な機会を通じて学ぶことができるよう、生涯学習情報提供システムの利便性の向上等に取り組んできたところでありますが、今後とも、学びの場いわてとしての環境づくりを推進してまいります。
 次に、文化芸術の振興につきましては、平泉の文化遺産が、本年6月にパリで開催された第35回ユネスコ世界遺産委員会において世界遺産に登録されたところであります。今後は、引き続き保存管理を確実に推進するとともに、登録が見送られた柳之御所遺跡や再推薦しなかった4資産の追加登録に向けた調査研究などの取り組みを進めてまいります。こうした中で、情報発信などの普及啓発活動にも一層工夫しながら取り組んでまいります。
 また、平成20年に策定した文化芸術振興指針に掲げる豊かさを感じ伝える國いわての実現に向け、文化振興基金を活用した新進、若手芸術家育成支援などに取り組んできたところであり、今後も引き続き文化芸術の振興に取り組んでまいります。
 次に、豊かなスポーツライフの振興につきましては、県民のスポーツ活動に取り組む状況は十分とは言えないところであります。このため、地域の生涯スポーツの拠点となる総合型地域スポーツクラブの創設育成により、だれもがスポーツに親しむことができる環境づくりに取り組むとともに、東日本大震災津波の影響により、被災された方々のスポーツ活動の低下と運動不足による健康被害が問題となっていることから、健康づくりに取り組めるサポート体制の充実を図ってまいります。
 また、選手強化につきましては、各年度における目標順位に到達していない状況にあることから、スポーツ医・科学サポートの環境整備や、競技者のけがの予防や体調管理等を行うアスレチックトレーナーの増員を図るとともに、小学生から高校生を対象とした強化や練習環境の整備に取り組み、関係団体との連携を深めながら、中長期的な視点に立った選手育成や指導者育成を推進してまいりたいと考えております。
 以上、総括的な評価と取り組み方針について申し上げました。
 引き続きまして、決算額等の説明に入らせていただきます。お手元の平成22年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開きいただきたいと存じます。
 教育委員会所管に係る一般会計予算規模は、10款教育費のうち1項教育総務費から7項保健体育費まで1、397億8、173万円余と、16ページの11款災害復旧費のうち3項教育施設災害復旧費の1億378万円余を合わせた1、398億8、552万円余で、これに対する支出済額は1、369億8、185万円余、翌年度への繰越額は18億3、390万円余となっており、翌年度繰越額を除いた執行率は99.2%となっております。この結果、県の一般会計決算額に占める教育委員会関係の決算額の割合は19.6%となるものであります。
 以下、個々の内容につきましては、便宜、平成22年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 恐縮ですが、決算事項別明細書の330ページをお開きいただきたいと存じます。
 備考欄に記載している主な事業等について御説明いたしますが、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただきますので、御了承いただきたいと存じます。
 10款教育費の1項教育総務費でありますが、1目教育委員会費の支出済額は1、500万円余で、これは、委員会の運営に要した経費であります。2目事務局費の支出済額18億1、877万円余の主なものは、事務局職員の人件費等管理運営費、語学指導支援のための外国青年招致事業費であり、繰越明許費3億円は、東日本大震災津波により被災した学校の教育環境整備に係る経費であり、事故繰越279万円余は、東日本大震災津波により物品の納入が遅延したことによるものであります。3目教職員人事費の支出済額99億8、059万円余の主なものは、教職員健康診断等の人事管理費、333ページに参りまして、子ども手当、退職手当の支給に要した経費であり、繰越明許費172万円余は、教職員の健康管理のためのシステム改修に係る経費であります。4目教育指導費の支出済額8億9、532万円余の主なものは、学校不適応対策のためスクールカウンセラー等の配置を行った児童生徒健全育成推進費、県立学校等を結ぶいわて教育情報ネットワーク運営費、特別な支援を必要とする児童生徒への支援体制を充実するために看護師や支援員を配置した特別支援教育推進事業費、高等学校が合同で進学対策に取り組むいわて進学支援ネットワーク事業費、335ページに参りまして、外国語指導助手を配置する外国語教育推進事業費、新規高卒者の就職支援の充実を図る就職支援相談補助員配置事業費、学力向上対策等に取り組んだ指導運営費であり、繰越明許費172万円余は、事故により廃車となった公用車の更新に係る経費であり、事故繰越10万円余は、東日本大震災津波により物品の納入が遅延したことによるものであります。5目教育センター費の支出済額は6億31万円余で、総合教育センターの管理運営及び冷暖房設備改修等の施設設備整備に要した経費であり、事故繰越1億1、273万円余は、東日本大震災津波により電気設備改修が遅延したこと等によるものであります。6目恩給及び退職年金費の支出済額は2億279万円余で、恩給及び扶助料等の支給に要した経費であります。
 次に、2項小学校費1目教職員費でありますが、支出済額483億4、101万円余の主なものは、小学校の教職員人件費、小学校の多人数学級等に非常勤講師を配置したすこやかサポート推進事業費であります。
 次に、336ページをお開き願います。3項中学校費でありますが、1目教職員費の支出済額283億4、148万円余の主なものは、中学校の教職員人件費であり、2目学校管理費の支出済額814万円余は、一関第一高等学校附属中学校の管理運営に要した経費であります。
 次に、4項高等学校費でありますが、1目高等学校総務費の支出済額261億2、340万円余の主なものは、県立高校の教職員人件費、339ページに参りまして、高校再編に伴う通学バス支援等の高等学校教育改革推進費であります。2目全日制高等学校管理費の支出済額15億3、983万円余の主なものは、各高校の管理運営に要した経費であり、事故繰越744万円余は、東日本大震災津波により物品の納入が遅延したこと等によるものであります。3目定時制高等学校管理費の支出済額6、241万円余の主なものは、各高校の管理運営に要した経費であり、事故繰越2、838万円余は、東日本大震災津波により杜陵高校教務システム更新が遅延したことによるものであります。次に、340ページをお開き願います。4目教育振興費の支出済額15億8、272万円余の主なものは、産業教育設備、部活動設備等の高等学校に係る設備整備費、農業実習や共同実習船運航のための教育実験実習費、財団法人岩手育英奨学会に対する高校奨学事業費補助であり、繰越明許費6、058万円余は、産業教育設備及び部活動設備の整備に係る経費であり、事故繰越351万円余は、同じく物品の納入が遅延したことによるものであります。5目学校建設費の支出済額18億2、070万円余の主なものは、釜石商工高校の体育館整備や盛岡商業高校の耐震改築設計を行った校舎建設事業費、岩谷堂高校のほか1校の体育館建設事業費、大船渡東高校ほか2校の校地整備事業費、盛岡工業高校ほか1校の校舎及び花北青雲高校ほか11校の屋内運動場の耐震補強並びに2校の校舎耐震補強設計等を行った校舎大規模改造事業費でございまして、繰越明許費2億6、657万円余は、一関第一高校附属中学校の体育館新築に係る経費、宮古高校の屋内運動場の耐震補強に係る経費、県立高校の寄宿舎耐震補強や、暖房機、ボイラー設備の改修に係る経費であり、事故繰越1、049万円余は、東日本大震災津波により県立学校の耐震補強設計、耐震診断が遅延したこと等によるものであります。次に、342ページをお開き願います。6目通信教育費の支出済額は549万円余で、通信教育の管理運営に要した経費であり、事故繰越86万円余は、物品の納入が遅延したことによるものであります。
 次に、5項特別支援学校費1目特別支援学校費でありますが、支出済額104億3、147万円余の主なものは、特別支援学校教職員の人件費を含む管理運営費、一関清明支援学校の整備等を行った施設整備費であり、繰越明許費7億3、955万円余は、一関清明支援学校整備や各学校の施設改修に係る経費等であり、事故繰越299万円余は、物品の納入が遅延したこと等によるものであります。
 次に、344ページをお開き願います。6項社会教育費でありますが、1目社会教育総務費の支出済額10億4、705万円余の主なものは、放課後子ども教室等を推進する生涯学習推進費、青少年の家の管理運営費、社会教育に係る職員人件費等の指導運営費であり、事故繰越319万円余は、物品の納入が遅延したこと等によるものであります。2目文化財保護費の支出済額3億24万円余の主なものは、指定文化財の保存、修理に要する補助等を行う文化財保護推進費、柳之御所遺跡に係る整備調査事業費及び土地公有化事業費、世界遺産登録推進事業費であり、繰越明許費1、947万円は、柳之御所遺跡土地公有化において家屋移転に不測の日数を要したものであり、事故繰越2、084万円余は、物品の納入が遅延したこと等によるものであります。次に、346ページをお開き願います。3目芸術文化振興費の支出済額2億821万円余の主なものは、芸術文化の普及、振興のための芸術文化振興事業費、県民会館の管理運営に要した経費であり、繰越明許費3、418万円余は、県民会館の煙突改修に係る経費であります。4目図書館費の支出済額は2億5、249万円余で、県立図書館の管理運営に要した経費であり、繰越明許費1、813万円余は、図書情報システムの更新に係る経費であり、事故繰越546万円余は、デジタルライブラリーシステム開発が遅延したことによるものであります。次に、348ページをお開き願います。5目博物館費の支出済額3億7、558万円余の主なものは、県立博物館の管理運営に要した経費であります。6目美術館費の支出済額は4億8、243万円余で、県立美術館の管理運営に要した経費であり、繰越明許費1、333万円余は、非常用蓄電池の更新等に係る経費であります。
 次に、7項保健体育費でありますが、1目保健体育総務費の支出済額5億4、668万円余の主なものは、県立学校児童生徒の健康診断等保健管理費、学校管理下での災害に対する共済の掛金及び給付金、保健体育及びスポーツ振興に係る職員人件費等の指導運営費であります。次に、350ページをお開き願います。2目体育振興費の支出済額5億629万円余の主なものは、スポーツ教室開催などの生涯スポーツ推進費、県民体育大会の開催及び国体等への選手団派遣事業費、県体協、中体連、高体連への選手強化補助及びスーパーキッズの発掘、育成を行った競技力向上対策事業費、国体に向けた選手強化事業費であり、繰越明許費1、661万円余は、選手強化のための練習機器整備に係る経費であり、事故繰越45万円余は、物品の納入が遅延したこと等によるものであります。3目体育施設費の支出済額14億9、333万円余の主なものは、県営体育施設の管理運営費、国体選手強化に係る県営スキージャンプ場整備、県営陸上競技場改修等の施設整備費であり、繰越明許費5、893万円余は、体育施設の改修及び備品整備に係る経費であります。
 次に、356ページをお開き願います。11款災害復旧費の3項教育施設災害復旧費でありますが、昨年末の大雨、大雪及び東日本大震災津波により被災した学校施設の災害復旧が年度内に完了しなかったため、予算現額1億378万円余を全額、翌年度に繰り越すものであります。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 これより質疑を行いますが、委員各位のお手元に配付させていただいております教育委員会審査における席割表に誤りがありましたので、訂正をさせていただきます。古内会計管理者から菅原会計管理者に御訂正を願います。後ほど、席割表を差しかえさせていただきますので、御了承願います。
 それでは、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇伊藤勢至委員 2点についてお伺いいたします。
 今回の大震災は、大変な被害だったわけでありますけれども、いろいろな各界各層の御支援をいただきまして、明るいニュースもぽつぽつ出てくるようになりました。
 27日の新聞ですけれども、来年の7月23日、プロ野球のオールスター戦を県民球場で開催することが正式に決定したということで、達増知事にプロ野球を統括する日本野球機構から報告があったようでございます。大変すばらしいニュースだと思っておりますし、達増知事は、これを受けまして、すばらしいビッグプレゼント、勇気と元気、希望につながるとおっしゃっておりますが、全くそのとおりだと思います。
 その主催者側では、被災者を招待し、チケットを県民に優先販売する検討を進める意向も示した、このように書いてあります。本当にこれはありがたいことだと思っておりまして、特にも、東北楽天の三木谷社長さんの大きな御支援があったやに聞いておりまして、ありがたいことだと思っております。
 ところで、この県営球場でありますけれども、余りキャパが大きくないと思っております。この試合を迎えるに当たって、仮設のスタンドをつくるとか、何かそういう具体の相談事とかが始まっているんでしょうか。まずお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 県営球場の収容人員等のお尋ねでございますが、この夏にプロ野球を実施した際は2万人程度の集客がございました。仮設スタンドにつきましては、今のところ主催者とのお話はございませんが、例えばシャワー室であるとか周辺施設について、これから協議が始まるところでございます。
〇伊藤勢至委員 いろいろな子供たちが、スポーツに親しんできた子供たち、心身の鍛練、そういう子供たちが、いろいろな面で被災を受けております。野球に限らず。したがって、これはオールスポーツという観点から、できれば、被災をした地域のスポーツに親しんでいる子供たちは全部招待をしてもらいたいとは思うんでありますが、子供たちだけでは商売にならないということもあるんでしょうが、そういったところで、このプロ野球の、しかもオールスター戦、菊池雄星が投げて、畠山が打つといったら、これは岩手県の最高の組み合わせになりますよね。そういう中で、子供たちにぜひ触れ合ってもらいたいと思います。
 したがって、会場に入って試合を見ることがかなわないとしても、この選手たちというのは、ホテルから球場に直行してゲームをするわけではないと思うんですね。体が資本の選手たち、大事にしますから、必ずサブグラウンドか何かでウオーミングアップをしてからゲームに臨んでくる。そうしたら、球場に入ってゲームを見られない子供たちなどは、そういう第2球場などに集めて、プロ野球の選手の、オールスターの選手の練習状況を見る、これだけでも試合を観戦したぐらいの感動はあるんだと思いますし、触れ合いも期待できるんだと思います。
 そういうことを考えて、冥土の土産に1回は見たいという人もいらっしゃるでしょうけれども、どっちかといえば私もそれに近いんですが、この際、私はテレビ観戦をするほうに決めまして、もしそういう場面があれば、やはり次の世代を、しかも今回の大震災は、阪神・淡路大震災と比べて10年、20年スパンでかかるのではないかと言われています。そういうときの主体になる子供たちに夢を置いていくという意味から、そういう機会をいっぱいつくりたいと思うんですが、これからの打ち合わせになると思いますが、こちらから積極的にお願いして、どんどん触れ合いの機会をつくってもらいたいものだ、このように思うんですが、いかがでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 委員御指摘のとおり、あこがれの選手たちがハイレベルなプレーを展開する試合、あるいは関連イベントを間近で見られるという機会はまたとないチャンスであると認識してございますので、関連イベントあるいはテレビ中継などにつきましても、主催者とこれから打ち合わせをして進めていきたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 本当のビッグプレゼントでありますので、その効果を上げられるようにぜひお願いいたしたいと思います。
 それから、もう一つお願いいたします。今回の大震災、学校がそれぞれあるわけでありますけれども、学校の長は校長さんであるわけであります。統括者でありますが。しかし、ここに顕著な対照例が二つございました。
 一つのところでは、避難場所の指定を受けておりませんけれども、近隣に小高い山も何もないということで、鉄筋コンクリートづくり3階の校舎を目がけて、その前には校庭もあるわけですので、車で避難をする人たちがどんどん集まって学校に押し寄せた。
 そこの校長先生は、さあ、いらっしゃい、いらっしゃい。どうぞ、どうぞ。しかも、2階でも危ないので3階まで上がってください。校長先生がそういうスタイルですから、先生方もそういうことで、お年寄りとか、ちょっと体の悪い人たちには手をかして3階まで避難をさせた。そうしたら、そこの学校の2階の中間まであの真っ黒い水が来たんですね。3階に避難をしてよかったと思います。
 結果的には、その学校に1晩泊まることになりました。校長先生は、全校の水をかぶらなかったカーテンを集めて、これを毛布のかわりにお使いください、大変丁寧に対応をした先生がいらっしゃいます。これは非常によかったと思います。
 また、ある対照的な別の学校では、同じく近隣に3階建ての建物はそこしかない。そこで、近隣の人たちが集まってきて入ろうとしたら、大の手を広げて、ここは避難場所の指定を受けていません、避難場所ではありません、こういう先生がいたということであります。
 たまたまこっちのほうは、山田線の軌道敷と、それから、川の堤防が、あと5センチか10センチ水がふえればオーバーしてきたのかもしれませんが、幸いにして水に浸ることはありませんでした。
 同じ条件の中で、ある高校の校長先生は、そのように、どんどんお入りください、2階は危ないので3階まで上がってくださいと言う、片方の人は、ここは避難場所ではありませんというふうにしてとめる。こういうお話を聞いたことがありますか。実際にあった話なんです。いかが思いますか。
〇高橋学校企画課長 学校における避難してきた住民への対応ということでございます。
 今回の東日本大震災津波に当たりましては、いずれの学校におきましても、これまで考えたこともないような状況が次々に起こったために、大変な大きな混乱を来したというのが、前提としてあったと考えてございます。
 そのような中で、委員のお話になったような校長先生のリーダーシップが十分に発揮できた学校と、なかなかそのようにできなかった学校があったと考えてございます。
〇伊藤勢至委員 先生と生徒だけで学校というのは成り立っているものではないと思っております。立地する場所、その地域の皆さん、あるいは御父兄の皆さんトータルで学校というのは成り立っていると考えますと、これは、いわゆる一人親方、1人で仕事をしている人だったら自分だけの判断でいいわけですが、組織を持って、組織の上になった人は、万一の場合、イエスかノーかの判断をすぐ出せる、そういうふだんからの心構えを持っておりませんと対応できないものだと思います。組織が大きくなればなるほど、そのトップのイエスかノーで決まってしまうわけですね。
 したがいまして、今どうせい、こうせいと言っても、もう終わったことでありますけれども、そのうちまた、近い将来、これがないとも限りません。あるいは沿岸だけではなくて、山のほうでも洪水という話もありますし、山津波ということもありますので、今回の痛い教訓を無にしないように、トップの間でも、やはり万一の場合はという話し合いぐらいはやっておくべきじゃないでしょうか。進めか、のけか、とまれか、あるいは戻れかです。白か黒か、トップはそれだけでいいんですよ。そういう場をおつくりいただいたほうがいいんだと思うので、あえてどこの学校とか、どこのと個人名は言いませんけれども、オールという観点から教育長の考え方を伺いまして、これを教訓にしてどうしようということをまずお聞きをしてみます。
〇菅野教育長 委員御指摘のとおり、今回、未曾有の災害があったということで、学校の対応も一部に混乱があったという実態は否めないと思います。その後、校長、副校長等と意見交換を行ってございますが、やはりそれぞれの学校から、こういった反省点があるというお話が出てきてございます。
 今回の教訓を次に生かしていかなければならないということで、私どもといたしましても、危機管理においてどう対応すべきなのかということについて、基本的な考え方を取りまとめたいと思ってございまして、現在、作業を進めているところでございます。そういった中におきまして、それぞれの学校のトップの対応を含め、どうあるべきかということについても生かしながら、次の機会に備えてまいりたいと思っております。
〇伊藤勢至委員 これはルールの話ではありません。人間としての、人間性の話です。助けてくれと言ってきた人をどうするのか。窮鳥が懐に飛び込んできたときどうするのかという話のことだと思いましてね。教える教材の中にありませんので教えませんでしたとか、学校は校庭から中だけが自分の範疇ですなんて、そういうことではいけないと思いますので、もっと大きな目でその地域全体を見て、学校はどういう地位にあるのかぐらいは、ふだんからお話をしていただいて、ぜひこういうことのないように取り組んでいただきたいとお願いをしておきます。
 終わります。
〇工藤勝子委員 私からは、中高一貫校についてお伺いしたいと思っております。
 中高一貫校として募集し、県立一関第一高等学校附属中学校としてスタートして3年になります。成果という話を聞きましたけれども、まだ卒業生を出していないということで成果という話は聞けませんでした。
 その中で、今後の中で中高一貫校という、80名の募集でありますけれども、すごい人数の方々が受験されております。小学校6年生で受験されるわけですけれども、80人の枠に277人とか、今年度も219名の子供たちが応募しております。
 そういう中において、今後、中高一貫校を設置して進める方向を考えていらっしゃるのか、また、今後、被災された沿岸地域に、例えばこういう中高一貫校を設置する県としての方向があるのか、お伺いいたします。
〇上田高校改革課長 委員から中高一貫校についてのお尋ねがございました。御指摘がありましたとおり、一関第一高等学校附属中学校は、ことし3年目を迎えております。
 今後の展開についてのお尋ねかと存じますが、併設型の中高一貫校と申しますけれども、今後の展開につきましては、1校目が、先ほど申し上げました一関地区の附属中学校でございますので、その成果あるいは課題等をしっかりと検証いたしまして、その方向について検討してまいりたいと考えております。
 また、中高一貫校の沿岸地域への設置についてというお尋ねでございますが、幾つかの市町村では、中高一貫校に向けた検討を進めていると聞いておりますけれども、その高校なりの志願状況なりを見せていただきつつ、ただ、申し上げた県全体の今後の展開とあわせまして、その導入の方向性について検討してまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 住田高校の中高一貫校を要望されて、かなり年数もたっていると思うんです。私たちも市町村要望を受けたとき、必ず住田町から、住田町で中高一貫校をやりたいというお話があるわけですけれども、実現をしていないわけですね。多分、生徒の減少とかで難しい部分もあるでしょうけれども、町長さんの思いというのは、中学校と高校一貫でやって、そして、地域の人材を住田町に残したい、そういう方向づけもあるわけですが、この住田高の要望を県はどう受けとめていらっしゃるのかお伺いいたします。
〇上田高校改革課長 住田高校への中高一貫教育の導入についてのお尋ねでございます。
 住田町からは、昨年度は中高一貫校の導入につきましての御要望はちょうだいしておるところでございます。さまざまなお取り組みあるいは検討をされていると聞いておりますけれども、中高一貫校につきまして、住田町の御認識といたしましては、学力、指導等の面で一定の成果は期待できるのではないかというお考えをお持ちと聞いております。
 ただ、一方で、例えば中学校と高校ということでございますので、連携して教育をしてまいるということでは、定員割れの状況についても、やはり課題があるという御指摘を住田町自身もお持ちと聞いております。
 先ほど申し上げましたとおり、県全体のこの制度の導入についての検討とあわせて検討させていただきたいと考えておりますし、住田高校につきましては、次の平成24年度の入試の状況、志願の状況等もあわせて見せていただきたいと考えています。
〇工藤勝子委員 いろいろと検証を踏まえてということでありますけれども、例えば、じゃ、その検証を何年で終えて、そういう方向づけをしようとしているのか。私たちは、検証しますと言われれば、ああ、そうですかで終わるわけですけれども、では何年、例えば、この一関一高の附属中学校の成果とか課題も踏まえて今後検討するといったときに、何年でこの検討課題をしっかり方向づけをするのか、やるとかやらないとか、そういうものをするのか、その辺のところの見通しをお聞きしたいと思いますので、お願いいたします。
〇上田高校改革課長 中高一貫校の導入についての今後の見通しについてのお尋ねかと存じます。併設型の中高一貫校ということでお答え申し上げたいと思います。
 ただいま御説明申し上げました一関一高附属中学校につきましては、ただいま中学3年生までそろいまして、来年度、この子供たちが高校に上がるということでございます。
 中学校に入りますときには、生徒それぞれ、例えば、進路に関しての希望等も持って中学校に入ってもらったということでございます。今後、高校に上がった際のさまざまな課題等もやはり出てまいろうかと思います。そういったことを検証いたしまして、さらに、先ほど申し上げました進路の希望がどのように実現されたかということもあわせて検証してまいりたいと考えておりますので、高校にこれから3年間在籍いたしますので、そこでの課題あるいは取り組み等については、ぜひ見せていただきたいと考えております。
〇工藤勝子委員 なかなかはっきりしないわけですけれども、ぜひ検証をしっかりやっていただきたいと思っております。
 なぜこういう話をするかというと、集まってくる子供が、一関だからかもしれませんけれども、非常に競争率が激しいわけです。激しいと言ったらいいでしょうか、すごいわけですよね。それだけ期待している。子供も期待し、親も期待しているところだと思うんですよ。だから、結局、遠いところは田野畑、それから宮古、釜石。遠野は近いと言うかもしれませんけれども、そういうところからも、1人の子供でありますが、親がそこに、もう中学校からお金をかけて出しているわけですよ。それくらいこういう中高一貫校に対する、教育の方向というものに高い関心があり、子供に対する期待、県教委に対する期待もあるのではないかと私は思って取り上げた次第でもあります。
 そういう形の中で、今後、中高一貫校を進めるということであるなら、進めるか進めないかわかりませんけれども、ぜひ、私はこういうニーズにこたえていける、そういう方向づけをしていただければと思っております。
 次に、今度は、県内の小中一貫教育モデルプラン作成地区ということで出てまいりました。これは、新しい学習指導要領の改訂に伴って、各市町村でこのモデルプランを作成することに対して県が支援をするということだったようであります。
 奥州市前沢地区、それから普代村で推進校として多分手を上げて、そこに県がいろいろ支援をしているのではないかと思っています。
 そうすると、こういうところで今後、このモデルプランをつくったことによって、この小学校と中学校が一貫した教育的な方向に行く可能性も出てくるのかなと思いました。
 いろいろ考えてみますと、私の地区にも、ずっと前から、一貫校と言わなくても、大出小中学校で、同じ校舎で小学生と中学生が一緒に教育を受けて、そこを地区の人たちがすごくバックアップして、応援して、あの学校をなくしたくないということで盛り上がった学校がございましたけれども、最終的に、小学校、中学校の生徒合わせて5名ということになって、ことし閉校となりました。
 ですから、新しいものではないなという考えがいたしましたけれども、今後、この小中の、これは市町村の教育委員会だと言いながらも、支援しているという環境の中で、今後のこの小中の新しいモデルプランの一貫校に対して、県はどのような見通しをつけながら支援をしていこうとしているのか、お伺いいたします。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 小中一貫教育のモデル地区ということについてでございますが、義務教育は、本来9年間という見通しで構成されておりまして、子供たちの成長に合わせて教育活動を9年間で系統的に展開していくという、この小中一貫教育に関する取り組みは、全国的にも注目されて、各自治体において積極的に進めている現状でございます。
 本県においても、9年間で人を育てるという考え方に立った教育を行って、高等学校教育へとつないでいくということが重視されるべきととらえております。そこで、奥州市と普代村の二つの教育委員会をモデル地区として指定しているところでございます。
 県教育委員会としましては、柔軟な教育課程の編成の一つとして、小中一貫教育の導入を視野に入れ、積極的に取り組もうとする市町村教育委員会や学校を支援して、県と市町村共同で小中一貫教育のあり方やその内容について研究をしていくことにより、県内各学校のモデルをつくる機会となり、その成果を普及することで本県教育の向上に資するという考えに立ち、本事業を実施しております。
 本事業につきましては、平成22年度からの3年間でございまして、今年度が2年目ということでのモデル指定になっております。
 今後につきましてでございますが、今後の課題ということについて、よく市町村とともにこれを検証しながら進めていきたいと思っております。現在のところ、2年目を迎えて、9年間の一貫した教育カリキュラムの作成、それから、小学校における教科担任制の導入、小中学校教員の相互の乗り入れ授業の実施等に取り組んでいるところでございます。県内の各校の参考モデルとなる資料としていくことができるよう、適宜、状況把握をしながら、取り組みを評価して、適切に支援しながら全県に情報発信、情報提供していきたいと考えているところでございます。
 いずれ、先ほどの小中併設校も、そういう事例としてもこれは先行的に県内には何校かございます。そういった取り組みも含めまして、しっかりとそういう先進的なモデル地区の取り組みを検証して、今後の改善に生かしてまいりたいと考えております。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。
 何か見通しの明るいお話も聞きましたけれども、例えば、今回、沿岸地域の小中学校も被災されて、流された学校も多いわけです。そして、新しい学校もつくらなければならなくなってくる。そういうときに、まだこのモデルプランとしての作成ができていない、─2年目ですのでできていないのですけれども、例えば、沿岸地域で被災された、流されたところには、今度、学校を多分つくれないと思うんですよ。避難所になったりする場所になりますので、今後は、やはりそういう流されるところに学校とか、役場とか、市役所とか、警察とか、それから病院とかは、絶対安全な高台につくらなければならないだろうと思うんです。
 そうすると、沿岸地域はあのとおり、平たいところの面積がありませんので、学校というのは、学校だけ建てればいいのじゃなくて、結局それに伴う校庭等も必要になってくるわけです。そうしたときに、例えばどこかの地区1カ所に小学校、中学校が建てられる、一貫校みたいな教育ができる、そういう考え等は、県教委で今、検討していないのでしょうか。その辺のところも教育長に伺ってみたいと思います。
 それから、新しい学習指導要領が平成23年発表になりました。そういうことで、私もそれを見てみたんですけれども、一番変わったところは、授業量が少しふえると。小中学校の1、2年生で週当たり2時間、3、4年で1時間、そして来年から、今度は中学校が週1時間ふえるというような学習指導要領が発表されております。
 そして、理念は生きる力であります。まさに、結局、今度の震災を受けた子供たちが、たくましく今後、世の中を切り開きながら、自分たちの地域を見据えながら、復興に向かって子供たちが元気を出して取り組んでいく、生きる力ということで、すごい学習指導要領が出てきたなと思っておりました。
 それを受けまして、今後、教育委員会としての新しいというんでしょうか、学習指導要領をさらに発表して、この生きる力を中心とした方向づけのものを出そうとしているのか、その辺のところもあわせて教育長にお伺いします。
 それから、質問通告していませんでしたけれども、今後、復興して、小中学校を建設するときは、ぜひ、岩手県の木造建築でということを要望しながら、その辺の所感を伺って、終わりたいと思います。
〇菅野教育長 義務教育9年間というものを一貫して子供を育てていく、こういう視点は、どうしても小学校と中学校という校種が違っていたということで、なかなかその接続に課題があった。ただ、子供はずっと1人ですので、9年間を通じて同じ思いを持って育てていくということで、校種を越えた具体的なカリキュラムがどうあるべきか、教員とのやりとりがどうあるべきかということを、今、モデル地区をつくってやっているところでございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、沿岸部におきましては、恐らくこれから多様なやり方で学校建設を行っていくという動きがあろうと思っています。その中で、お話のございました、同じスペースの中で小中学校を一貫して建てていく、そういった考え方も一つの非常に大きな柱になる考え方ではないかと思ってございまして、私どもといたしましても、市町村それぞれの実情、お考えをよくお聞きしながら、施設建設については、そういったことが国の的確な支援が受けられるように、また、教科指導に際しましては、先ほど申し上げましたそういう一貫教育のあり方が、よりそういった被災地においても適用できますように支援に努めてまいりたいと思ってございます。
 また、それから、新しい学習指導要領につきましては、私どもも生きる力というものを大きく打ち出してございました。今回の震災津波に関しまして改めて感じましたのは、やはり岩手の子供たちは、自分の命を大切にし、他者の命を大切にするといった力が非常に備わっている。そういった力をこれからも次の復旧、復興に生かしていかなければならないと思ってございまして、そこで、いわての復興教育というものを提唱してございます。その中で、それぞれの取り組み、命を大切にする、それから、これからどう生きていくかということを市町村ともども、学校ともどもよく考えながら、岩手の教育に生かしてまいりたいと思ってございます。
 それからあと、木造校舎建築については、改めて地域に親しまれる校舎、潤い、ぬくもりのある校舎という意味で、木造校舎の果たす役割というものは非常に大きいと思ってございまして、そういった取り組みが推進されますよう、市町村ともども、特に国の補助に当たって、他の方法に比べてそれが不利とならないように、私どもとしても国に対してよく実情を訴え、そういった実現に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。終わりにしますと言いましたので、ぜひそういう方向で進めてほしいと思っております。
 この間、沿岸の人から話を聞いたときに、この震災で、子供たちはすごかったと。なぜかというと、大の大人の男の人たちは、たき火を囲んで、座って、動かれない。自分たちが現実を受け入れられない、たき火を囲んで話をしているだけの状況の中で、トイレの水を流さなければならないために、プールからせっせと水をくんだのは子供たちだったと。そういう姿を見ていて、大人が何と思ったんだろうかという話をされた方もいらっしゃいました。
 ですから、子供たちというのは非常にたくましい。それで、今回の震災も受けとめて、いろいろな物資の仕分けをしたのも、中学生を初めとするそういう子供たちであったし、水をくんで一生懸命きれいにしようとしたのも、本当は子供たちだったというような話を聞いて、ぜひ、今後とも教育の充実に力をいただきたいと思います。
 終わります。
〇高橋昌造委員長 答弁はいいですね。
〇工藤勝子委員 はい。
〇佐々木茂光委員 関連。今、住田高校の中高一貫のお話がちょっと出ましたので、1点だけ。
 一関一高の取り組みについては、これから検証していくということでございますけれども、やはりそれは、岩手県の中では、申せば中央での取り組みということで、私は、一つのデータをとるのであるならば、2カ所なり、3カ所なり、同じように、同時に並行しながら岩手県全域の調査なり検証をしていくのも一つの進め方ではないかとも思います。よしあしは、これはいろいろ出てくるかと思いますけれども、その成果を1校の取り組みの中で評価をするよりも、さらに2校、3校と総合的に判断をしていくのも一つの検証の仕方ではないかと思いますが、そのような考えになられないのでしょうか。ひとつお願いします。
〇上田高校改革課長 中高一貫教育、特にも併設型の中高一貫校についてのお尋ねかと存じます。
 この展開につきましては、平成22年3月に高等教育の基本的方向ということで基本的な方向性を出させていただきました。その中でいろいろと先んじて検討委員会での御議論等もございましたが、まず1校目、一関第一高等学校附属中学校に併設型中高一貫教育を導入いたしましたので、この成果を見るのがやはり先だろうと。何しろ中学生ということになりますと、12歳でございますので、そういった子供たちをお預かりするという観点からは、きちんと検証した上で次の展開を考えるべきだ、こういう御意見もちょうだいいたしまして、そのように方向づけをさせていただいているということでございます。
 2校、3校と今後広げていくということにつきましては、そういったことも念頭に置きながら、ただ、1校目の検証、これはきちんとやらせていただいた上で、その方向については方向づけをさせていただきたいと考えております。
〇佐々木茂光委員 ですから、今、少子化ということがいろいろ叫ばれておりまして、その地域によってもその実情が大分変わっていますね。中央部と沿岸部と。そう考えていきますと、その検証に時間をとられていては、ますますその地域の環境というのは変わってくると思うんですね。そうですから、早目に出すのであれば、それが1年、2年で出る話ではもちろんないと思うんですが、やはりそれは早々に急いで取り組まなければならないと思うんです。
 ちなみに、じゃ、何年ぐらいでその検証される結果が出てくるんでしょうか。1点だけ。
〇上田高校改革課長 まず、検証につきましては、ただいま中学校の生徒が、今年度といいますか、来年度高校に上がりますので、その状況等、さまざまな課題等も検証させていただきたいと考えております。
 具体的にどうするかということにつきましては、現時点では明確にこうこうという方向性についてはお話し申し上げるわけには参りませんけれども、委員から御指摘がございました点もございますので、そこも含めて今後検討を深めてまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 何点か質問させていただきます。
 大震災に向けて、私どもも大槌町に瓦れき撤去で4月11日に行ってきましたけれども、学校現場の被害が大変ひどいということを目の当たりにしてまいりました。
 それから、6月13日になりまして、災害対策特別委員会の調査で、また大槌町を回らせていただきまして、現場で皆さんと意見交換をしてまいりました。
 その際、教育現場の方からの御意見をちょうだいしたんですが、子供たちの心のケアをするためには、壊れた学校を何とかしてほしいという要望がありました。というのは、毎日その前を通って学校に通う生徒、その心情を察するときに、やっぱりこれは何とかしなければという思いで、要望を受けまして、私も委員会等で質問いたしましたけれども、その費用というのはどこからも出ないということ、市町村からも、県からも、国からも。ところが、1校壊すためには1億円かかる。大槌町では4校壊れたので4億円かかるので何とかしてほしいということで、ずっとずっと要望されておりました。
 しかし、このたび、政府でその費用を何とか見られるというとてもいい知らせが届きましたので、何とか廃校になった学校を壊すという部分が見えたのだなという思いでうれしくなりましたけれども、その学校というのは県内でどのくらいあるか、そして、これからの壊すための進め方、その様子をお聞きしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 津波被害等に伴っての学校施設の状況でございますけれども、今現在、他校で授業を再開しているところは、発災当初は小中学校で24校、県立学校で2校ございましたが、現在はそのうち5校が仮設校舎に移っておりまして、19校が他校等で授業を行っている状況でございます。
 この自校で授業ができない、再開できないでいるところについては何らかの校舎の改築等が必要になってくるということだと思っておりますが、その整備に係る経費につきましては、委員御指摘のとおり国の予算等がついてございます。簡単に申し上げますと、移転整備に伴う経費についてはなかなか災害復旧事業と認めがたいということも当初ございましたけれども、県といたしましても、国に対してそうした事例についても対象にするようにという要望を続けてきた中で、移転新築についても、文部科学省との協議は必要になりますけれども、対象とすることができるとなったものでございます。
 廃校となった校舎─いわゆる使えなくなった校舎の処理についてでございますが、文部科学省の災害復旧事業を使って処理できることになってございます。
 なお、この文部科学省の補助事業で処理できない事情がある場合につきましては、環境省が所管しております災害廃棄物に係る補助事業ということで、これを活用してできるとなってございます。
〇及川幸子委員 御努力が実ってとてもよかったなと思うんですが、その廃校となった学校の処理、どのくらいの程度で処理できるのか、その見通しをお聞きしたかったんですが。
〇小倉学校施設課長 廃校施設の処理の関係でございますが、各市町村におきましては、現在、復興計画等を策定検討中であるということで、具体的にはその中で検討されていくということで承知しております。
〇及川幸子委員 そうしましたら、近い将来、廃校になる学校は片づけがそろそろ始まるということですよね。そうとらえてよろしいんでしょうか。
〇小倉学校施設課長 具体的に、廃校となるといいますか、現在使っていない校舎をどういうふうにするかということについては、各市町村、学校ごとにいろいろな事情があるだろうと思っております。例えば、2階、3階の校舎のうち1階部分が浸水しているところがあって、そこについては学校以外の形で使うということも検討しているところもございますし、もうその学校自体が使えないということで、別の場所─高台等に移転新築するということもあって、その辺の事情は今後、各市町村と情報共有等をしながら進めていく必要があるだろうと思ってございます。
〇及川幸子委員 いずれきょうの報道でも、岩手県教育委員会では震災後の心身ケアの充実ということで14万人の生徒に対して毎年意識調査を始めるという大変すばらしい取り組みもスタートしたということですので、こういう廃校になった学校をそのままにしないで、いち早く市町村とも連携をとりながら片づけていただきたいと思っております。
 次に移りたいと思います。
 震災遺児に向けた基金の取り組みがなされているようですが、この取り組み状況と、今の段階での基金の成果、間に合うのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
〇石川教育企画室企画課長 県内におけます震災遺児の状況といわての学び希望基金の取り組み状況についてでございます。
 保健福祉部による調査によりますと、10月28日現在、本県におきまして震災により両親を亡くされた子供は93名、それから、どちらか一方の親を亡くした子供は476名となってございます。
 いわての学び希望基金につきましては、県議会6月臨時会におきまして基金を創設いたしまして国内外からの寄附を募っておりまして、復興局によりますと、9月末現在で2、797件、約18億2、600万円の寄附をお申し出いただいていると伺っております。
 県といたしましては、この基金を活用しまして、親を亡くした子供たちを対象としまして、未就学の子供には給付金の給付事業、それから小学生から大学生などの子供には奨学金の給付事業を行うことといたしまして、今月5日から募集を開始しているところでございまして、こうした子供たちが希望に沿った学校に進み、社会人としてひとり立ちするまで息の長い支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 18億2、600万円ですか、これは当初目的とした金額をほぼ達成したという金額ですか。
〇石川教育企画室企画課長 今回、この給付金の給付事業、それから奨学金の給付事業の見通し全体として大体20億円ほどの事業規模を考えてございますけれども、先ほども申しましたお申し出いただきました18億2、600万円の寄附に加えまして、県からの拠出金1億円なども加えますとほぼ対応できるくらいの規模になっているところでございます。
〇及川幸子委員 ほぼといっても1億円近くは足りないということですよね。
 実は、県内や県外から震災に向けていろいろな募金をしたいということで、何に役立てようかということで問われることがあります。そういうときに、やっぱり震災で親を亡くした方、片親を亡くした子供たち、そういう方々を助けたいという申し入れがあるんですが、まだ基金というのは受け付けると考えてよろしいでしょうか。
〇石川教育企画室企画課長 こうした震災によりまして親を亡くした子供たちにつきましては息の長い支援が必要だと考えておりまして、この基金につきましては当面10年間程度の御寄附も募っているということで、引き続き寄附につきましてもお願いしてまいりたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 教育に関する費用というのはそれで賄われると思うんですが、この両親を亡くした子供たち93人、それから片親を亡くした476人、この子供たちのことを思うと心のケアの部分が大切になってくると思うんですが、その子供たちに対する心のケアという部分についてもこの基金の活用を考えているかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
〇石川教育企画室企画課長 現在のところ、この基金につきましては給付金あるいは奨学金という形での目的を考えてございますが、今後、それ以外の使い道などにつきましても検討してまいりたいと思いますが、既に県教委としましてこころのサポートチームによるサポートなどによりまして心のケア、サポートを行っておりますので、これにつきましても引き続き関係部とも連携しながら進めてまいりたいと考えてございます。
〇及川幸子委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 最後に、教育長に突然お尋ねしたいと思うんですが、私も県議会議員として13年目を迎えるわけですが、子供たちの道徳教育や心をはぐくむ教育についてずっとずっと訴えてまいりました。このたびの震災について、県内の子供たちにどのように授業で教えるというか道徳の時間で教えて、今後どう学ばせていくのか、県内の状況、突然でございますが、教育長、お知らせいただきたいと思います。
〇菅野教育長 先ほど工藤委員からもお話がございました。今回の震災に際しまして、岩手の子供たちは、自分の命を守る、それから他者の命を守る、それから他人を助けるということについて本当に全力を尽くしてやってくれたと思ってございます。こういったものは、やはりそれぞれ培ってこられた地域の力、家庭の力が非常に大きいのだろうと思ってございます。
 それぞれの学校におきましては、今回の震災津波を踏まえまして、それぞれの地域で、被災した地域にあっては自分たちがどう今後生きていくのか、それから、それを支援する地域にあっては、被災した地域を自分らがどうつながりを持って支援していくのかといういろいろな取り組みが行われてございます。私どもといたしまして、それぞれの地域で行われている取り組みを、岩手の復興教育の大きな柱として心の教育があるだろうと思ってございまして、そこで基本的な考え方をまとめた上で、それぞれ県内各地で行われておりますいろいろな事例を実例としてそこに集中し、岩手を挙げて岩手の子供たちのそういった、今、委員から御指摘がありました心の教育のより充実に努めてまいりたいと思っております。
〇及川幸子委員 各学校では、今、文化祭が真っ盛りだと思っております。私、おとといお邪魔した市内の小学校で、学習を音楽を中心とした表現で行うということで、父兄が体育館に随分集まって、2時間ほど学習の部分の成果を見てきました。1年生から6年生までさすがに元気いい発表でございましたが、6年生の子供たちになりまして、やっぱり何か訴えるという部分が育っているんだなと思いました。心に平和のとりでをということで、広島の原爆によっていろいろ感じ取られたことを寸劇でやられていた子供たち。やっぱりそれも教育の一環で、大変大事なことだと思うんです。文化祭ももちろん大切です。自分のつくった作品を各教室に並べて御父兄の方に見ていただくのも大変大事だと思うんですけれども、そのように一堂に会して1年生から6年生まで全校生徒を集めて学習の成果を発表させる、そういうことが一番大事だなと思っております。
 今回の災害に向けた部分について教育長からお話がありました。原子爆弾がいかに恐ろしいかということを寸劇で発表された子供たち、本当に心からそれを訴えていた子供たちだと思って、私どももちょっと涙しながら見てまいりましたけれども、そういうふうに、文化祭ではない形でのそういう心の部分の発表をやっている学校というのは結構あるんでしょうか。
〇菅野教育長 土曜日に私もある学校の学習発表会を見学させていただきまして、それぞれの学校においては、それぞれの子供たちの状況、それから、その学校行事の中でいろいろなことに取り組んでいると思います。ある学校においては、被災地に寄せる例えば新たな歌をつくってそれをCD化し、それを売却したお金をぜひ被災地に届けたいとか、あとは率先して被災地に赴いてボランティア活動をなさっている学校等もございます。
 したがいまして、それぞれの学校のカリキュラム、状況に応じて、今、委員お話のあったいろいろな取り組み、それは原爆に寄せる思いもあると思いますし、それから災害に寄せる思いもあります。それからあとは、今、より困難な状況に置かれている外国の子供たちに寄せる思い、いろいろなものがあると思います。それぞれ各学校において実情に応じて取り組まれているものと考えております。
〇及川幸子委員 ありがとうございます。菅野教育長も土曜日にお邪魔したということで安心しました。
 今後においても、やっぱり学習ももちろん大事ですけれども、いつまでたっても心をはぐくむ教育に重点を置いて県の教育を考えていただきたい、そのように思っております。
〇嵯峨壱朗委員 何点か質問させていただきます。
 初めに、県民意識調査、七つの政策の中で教育についてですけれども、子供の学力が向上する教育がされることを重要と見ている方々が多くおられます。平成22年度、平成23年度も83%を超えている状態ですけれども、学習定着度調査等によってはどういった状況になっているのかお尋ねしたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 学習定着度状況調査の状況についてでございます。
 昨年度実施した状況の中で何点か特徴がございましたが、全体として、小中学校合わせて中央値が同程度か、あるいは高くなった教科がふえてきているということで、定着が少しずつ図られつつある。
 それから校種別でございますが、小学校においては、この3年間で分布、広がり、ばらつきが狭くなる傾向にある。それから中学校におきましては、数学が中央値が同程度か高くなって、ある程度幅もばらつきも狭まっているということで、少しずつ課題の改善が図られている。しかしながら、他の教科においてはまだ定着に課題があるというのが昨年度の状況でございます。
〇嵯峨壱朗委員 なかなかその中央値とかわかりづらいので、定着度の調査のものをもらったんですけれども、それは後で説明してもらいます。
 大体話としてわかりますが、主要施策の成果に関する説明書で見ると、目指す指標に対して、達成度がAのものが二つに対してDというのが五つになっております。それを考えてみるとなかなか達成されていないという状況のように見えますけれども、どうでしょうか、この点については。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 学習定着度状況調査の状況の分析については、本県では特に正答率のばらつき、散らばりに着目して分析しております。このばらつきの状況によって、中2の数学の達成度はA、そのほかの英語等についてはD、そのような状況になっております。
 正答率のばらつきの状況を見たときに、中学校数学においては、改善の要因として、一人一人の習熟の状況に合わせたきめ細やかな指導ができつつある、よって、第3グループといいますか、そういうつまづいている層の底上げが図られてきているということで目標に達しているところととらえております。
 しかし、他の教科や学年においては、やはりまだ目標に達していない状況、ばらつきが少しずつは狭まってきてはおりますけれども、まだ目標に達していないということでとらえております。
〇嵯峨壱朗委員 平たく言うと、現状どうなんですか、岩手の子供たちの学習状況はということなんです。もしもっと底上げしなければだめだと─それ以上なのかもしれないけれども─、だとするならば、その原因はどこにあって、どうしたらそれがもっと上がっていくのかという点についてもちょっとお考えをお聞かせ願えればと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 教科、学年によってまだ改善の必要な部分もたくさん課題としてございます。いろいろさまざまな調査から、何点か取り組むべき方向性が出てきております。
 一つは授業でございますが、わかる割合ということでこれも調査しておりますが、小学校ではかなりの高い率でわかる授業ということで進められてきておりますが、中学校発達段階、学習内容が難しくなってくる段階におきまして、わかる割合が7割を切ったりしている状況でございます。したがって、学校の日々の授業の中で、わかる授業ということを一人一人の指導に当たる教員がさまざまな工夫を行っているところでございます。
 それからもう一つ、調査の中で課題となっているのは、本県でテレビ視聴とかそういう時間が全国でも大変多いという結果が出てきております。いわゆる家庭学習についての取り組みを、授業と連動した課題の工夫や家庭学習時間の確保という環境づくり等、これも各学校において家庭と連携した共通な取り組みを今進めているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 切りがない話ですので、ぜひ学力向上に向けて全力を尽くしていただきたいと思います。
 次に移りますけれども、ことし大震災があって、学校も、先ほどの質問にもありましたけれども大きな被害を受けたと。同時に、先生方が住む教員住宅もそうですけれども、住居等がどういった状況になっていたのかお知らせ願えればと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 被災地の教職員の住居の関係でございますけれども、発災当初、小中学校の教職員が475人、県立学校の教職員が197人、合わせて672人の教職員の方々の住居が被災したということで、その被災地域の割合でいくと約20%余りかと存じておりますが、多くの教職員が避難所や学校に宿泊するなど、住居が確保できない状況でございました。
 9月末現在で調べたところ、すべての教職員が教員住宅や仮設住宅等に入居しておりまして、現在は確保しているというふうに把握しております。
〇嵯峨壱朗委員 3月の教職員の異動も結構混乱しましたよね。震災前に発表して、それが震災後停止になって、またぎりぎり4月直前あたりにまた出たということで。そして、被災地は原則異動はないということだったんですけれども、場所によっては、例えば久慈地区なんかは普通に異動したということで、結構先生方は混乱していました。宿等も探せなかったということで、盛岡に転勤する人を探せなかったというのがあったようです。
 今の話ですとおおむねきちんと住んでいるということですけれども、来年度の教職員の異動というのはどのような傾向でしょうか。ことしは抑えられたと思うんですけれども、どんな状況なのかちょっと見通しをお聞かせ願いたいと思います。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 平成24年度の人事異動につきましては、人事異動方針というのを定めておりまして、東日本大震災津波からの復興への対応というのを一つの柱に立てまして、早期の復興に向けた取り組みを推進するため、有意な人材配置に努めるとしております。
 具体的には、人事異動の配置に当たっては、昨年度内示した内容がございますが、その昨年度最初に内示した内容を踏まえつつ、現在の状況も聞きながら、被災地域に異動したいという教職員もございますので、そういった希望なども考慮しながら配置を検討してまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 先ほど住居はうまく充足しているということでしたけれども、大きな異動が出てくるとまた、定数は変わらないのでそのまま同じところに住めばいいのかもしれませんけれども、心配するところがあります。つまり、一般の住宅は、例えば県立大学の宮古に行っている生徒も住居が見つからなくてバスで─今どうなっているかわかりませんけれども─運んでいたという例もありますので、その辺も心配するんですけれども、どう見ていますか、住居の確保。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 委員御指摘のとおり現在入っている教職員が異動するということになりますので、新たに入ってくる教職員の住宅の確保というのが大きな課題であると認識しております。
 したがいまして、県としては市町村教育委員会と十分連携し、また、学校にも情報収集に努めるようお願いしているところでございまして、当方でも不動産関係の情報収集にも努めておりまして、可能な限り、3月に異動内示になった先生方が確実に住居が確保できるよう努めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 よろしくお願いしたいと思いますが、例えば仮設住宅、あいているところもありますよね。そうしますとそういったところも、どこまで柔軟に使えるようになるかわかりませんけれども、使えるのであれば使ったほうが、そうすれば地域住民とのコミュニケーションも含めてよりいいような気がしますけれども、どんなものでしょうか。
〇佐藤参事兼教職員課総括課長 仮設住宅につきましては、県立学校の教職員につきましては県で調整をしておりますので県でその住宅の確保について行っておりますが、小中学校の教職員については市町村の調整ということになりますので、私どもも教育事務所を通じまして、市町村教育委員会にその住宅の確保、仮設住宅のあきがあればそこを提供してもらえるようにお願いしているところでございます。
〇岩渕誠委員 それでは、私は大きく3点についてお伺いしてまいります。
 まず、学校における放射能教育の関係についてお尋ねしてまいりたいと思います。この問題につきましては一般質問でも質疑が交わされたところでありますけれども、今後の展開を含めて少しお聞きしてまいりたいと思います。
 まず初めに、放射能教育、今の現状の中で、やはり放射能に対する知識、一体どういったものなのかということがなかなかわからないというのが今の現状をつくり出している大きな要因ではないかと思うのでありますけれども、これまでの放射性物質にかかわる教育の実態はどうであったのか。そしてまた、これからこの放射性物質の教育について、学校現場でどのような教育を進めていくことになるのかまずお示しいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 これまでの放射性物質の教育ということについてでございますが、放射線についてはこれまで小学校理科では取り上げられたことはありませんが、中学校理科において、学習指導要領の改訂によりまして来年度から使用する教科書で取り上げられることになっております。また、高等学校では科目物理IIの指導内容となっておりまして、これは選択科目であるため、選択した生徒が履修しているものであります。
 続きまして、これからの放射線に関する学習の見通し等についてでありますが、やはり児童生徒や保護者の放射線に対する関心や不安が高まっていることや、先ほど申し上げましたとおり、来年度から使用する中学校理科の教科書の中で取り上げられることから、学校が安心して学習に取り組める体制を整える必要があると考えておりまして、現在、県としてそのための補助教材の作成に取り組んでいるところでございます。
 児童生徒に対する放射線に関する学習の今後の見通しでございますが、県立学校においては、ことし12月から来年2月の間に各学校において実施する方向で進めているところでありますし、市町村立の小中学校においては、実施について市町村教育委員会と相談しながら今後進めてまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 やはりそういう意味におきましては、放射能に関する教育を学校現場でやるということは大いに意義のあることだと思います。
 補助教材についてもそういう御答弁がありましたけれども、今、私取り寄せた資料で、これは今月ですか、放射線等に関する副読本作成委員会というのが小学校、中学校、高校とそれぞれ副読本をつくったもので、お手元にあると思いますが、中身を見てみますと、大変難しい副読本であるなと思っております。こういったものを参考にしながら補助教材というものをつくり上げていくおつもりなのかどうか、オリジナルなものになるのか。これ、拝見しました。率直に、わかる内容ととても難しい内容と、私が文系ということを差し引いてもなかなか難しい内容であるなと思っているんですが、どういったところを主眼にどういった形で教えていくおつもりなのかお聞かせいただきたいと思います。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 放射線学習の内容についてということでございますが、現在、県教育委員会及び総合教育センターで、理科を担当する指導主事等によって検討委員会を組織しまして学習で使用する補助教材の作成を進めておりますが、この補助教材は、それぞれの発達段階ということで、小学校低・中・高学年、中学校、高校用と、それぞれ学校種別、発達段階に対応するように作成しているところでございますし、やはり先ほど示されました文部科学省の副読本を参考にしているところでございます。
 県として補助教材を作成しているねらいでございますが、児童生徒が放射線の性質や危険性等について正しい知識を身につけ、正確な情報と科学的な根拠に基づいて判断し、行動することをねらいとしております。そのような内容を目指しながら、先ほどの文部科学省の副読本を参考にして、さらには放射線医学の専門家と連携しながら県としての補助教材の作成を進めているところであります。
〇岩渕誠委員 いずれ、オリジナルといいますか、あの副読本の内容をやるとなると相当こま数も必要なわけでありますし、授業の実態、学校経営の実態に合わせて、わかりやすく、どこまでというのは県独自で考えられてもいいんだと思います。
 ただ一方で、一つ私が懸念しておりますのは、これだけさまざまな情報があふれている中で、実際に教える立場の学校の先生方がこれをどういうふうにして教えていくのか。それから、これに対していろいろな情報が出る中で、どう自信を持ってやったらいいのか。というのは、現場では、放射線について教えなければならないという意識はあっても、じゃ、どうやって教えたらいいのかというのが学校現場の戸惑いとして、特に県南部では強く出ていると私も伺っております。
 この辺、もう県立学校では12月からということでありますし、市町村については実施に向けて検討中ということでありますが、教員に対してのこの辺の説明、指導というものを県教委としてはどのようにお考えでしょうか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 教員への説明、それから指導の方法等についてであります。
 委員御指摘のとおり、副読本そのものについてはかなり難しい部分もございますので、児童生徒にわかりやすく、あるいはポイントを押さえた指導ができるようにということで、例えばパワーポイントとか映像とか、そういった写真や図を使いながら、そういう教材を今工夫しながら作成しているところでございます。
 それから、教員がそういった意味でこの副読本や補助教材をもとにスムーズに授業等に取り組むことができますよう、県内小・中・高校・特別支援学校の教員を対象とした県教育委員会主催の研修会を実施することとしております。
 具体的には、県が作成した補助教材をテキストとして、さまざまな今お話ししたパワーポイント等も駆使しながら、適切な指導について、小・中・高等学校等のすべての学校の理科担当教員を1名対象といたしまして、高校においては総合教育センター、小中学校においては教育事務所単位の会場で、12月中をめどに研修する方向で調整を行っております。
 なお、私立学校、国立学校─岩手大学教育学部附属小学校でございますが─についても研修会の出席について御案内したいと考えております。
〇岩渕誠委員 教材がどのようなものができ上がるかも含めてそこはしっかりと前に進めていただきたいと思いますし、現場の理解を得られるように、相当いろいろなところに配慮をしながら教えてわかってもらうということが大事だと思いますので、引き続き御対応をお願いしたいと思います。
 次に、35人学級の成果についてお尋ねしてまいります。
 今、中学校1年生時における35人学級については試行という形で進められていると承知しております。このねらいについては、申し上げるまでもなく、中1ギャップ、これは学力向上も含めた対策ということでありますけれども、平成22年度、実際にどの程度の学校が導入しているのか、実施率、それから、引き続きどういう効果があったと検証しているのかについてお示しいただきたいと思います。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 本県の少人数教育は、複数の先生が指導を行う少人数指導と、それから35人以下の学級編制による、委員からお話がありました少人数学級、さらには、先生方の取り組みをサポートするサポート推進事業の三つの柱で進めてきております。
 中学校1年生の少人数学級については平成21年度から市町村の選択により試行で行っておるわけですが、平成22年度は25校が試行で実施しております。実施率は、平成21年度は40%、平成22年度は60%となっております。
 成果としますと、昨年度のアンケート調査によりますと、学習面では、子供たちの授業中の発言の機会が多くなった、あるいは先生方が子供たち一人一人に丁寧な評価ができるようになった。生活面におきましては、中1ギャップの緩和に大きな効果があったし、あるいは基本的な生活習慣等の定着に効果が高いという回答を得ているところであります。学習面と生徒指導面両面におきまして成果を上げていると認識しているところでございます。
〇岩渕誠委員 年々実施率が上がってきているということでございますし、効果は確認されているということでございます。手元に平成23年度の資料をいただきましたけれども、実施校も31校にふえておりますし実施率も8割近くということでありますから、やはりよいということがこの率に反映されているんだろうと思います。
 一方で、実施しない学校もございます。これは選択制といえども、例えば盛岡市ではやっているところとやっていないところがある。花巻市でもやっているところとやっていないところがあるというように対応が分かれているわけでありますけれども、実施したいんだけれどもできないという理由があるのか、そもそも効果がないというような判断をしているのか、この辺はどのように分析されていますか。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 実施をしていない、選択をしている市町村につきましては、各学校の実態に応じる、あるいは施設等のことを考慮して選択、実施と。実施していない市町村につきましては、それぞれ少人数指導における複数の指導で対応するということで実施しないということで、こちらとすれば調査等で確認しております。
〇岩渕誠委員 わかりました。それぞれの考えということなんですが、さて、この中1ギャップを解消して少人数教育で効果があってというところまではいいわけでありますけれども、じゃ、2年生になったときに、この35人学級を解消しているケース、あるいはいろいろな理由で解消しないケースというのがあると思います。
 私、現場からお聞きしますと、せっかく中1の段階で35人学級で上手に回っていた。いろいろな面で成果があったんだけれども、中学校2年生になってクラス編制が40人になるといったときに中学校1年生で見られたような効果というのが少なくなっているのではないか。これは数字的なものではなくて皮膚感覚ということのようでありますけれども、現場の声としてはこういう声が上がっているわけであります。
 このような声についてはお聞きになったことがあるかどうか、あるいは中2段階で35人から学級定員がふえた場合の影響については県教委としてはどのように分析されていますか。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 先ほどお話をいたしましたが、中学校1年生に入ったときの中1ギャップの解消のために少人数学級を取り入れて、子供たちが教科担任とか部活動等に十分対応するようになってある程度子供たちが安定した生活と。中学校2年生にいきますと、それぞれの集団の中での自分の立ち位置を見つけながら自分の能力を発揮するのではないかと思っております。
 ただ、2年生になりますと、学年が進むとともに学習内容等も難しくなりますので、そこに対してはきめ細かな指導の対応が必要ですし、また、生徒指導関係につきましても、心の発達の問題、思春期等のこともありますので、その課題に対することも懸念されております。それに関しましては、県では国の加配手数を活用しまして少人数指導加配、あるいは心の生徒指導関係につきましては国からの児童生徒支援加配あるいは学校生活サポートの授業等で対応し、きめ細かな支援ができるようにしているところでございます。
〇岩渕誠委員 やはり35人から40人になるということでのふぐあいといいますか、これをいわゆるオプショナル的な体制で何とかしようということが認識されているということではないかと思います。私は、そのオプション的な加配とかさまざまな制度活用というのは大事なわけでありますけれども、ただやはり本来的にはこの35人という学級定員を完全施行して、そして2年生とか3年生にまで広げていくということが、特に学力向上の観点からも、それから生徒指導の観点からも必要ではないかと思っております。
 最近の学校をめぐる状況にかんがみましても、いろいろインクルーシブとかという動向が出てきている中で、果たして従来の40人というのが適正規模なのかどうかという議論はもう一度しなければならないと思っているわけであります。
 そこでお聞きいたしますけれども、中学校全体で、岩手県の場合、35人学級を実施した場合の財政負担、人材的な部分も含めてどういうふうになっているのか、あるいはこのあたりについて、どのように県として35人学級の必要性をとらえているのかお示しいただきたいと思います。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 平成23年度の9月1日の生徒の数によりますと、平成24年度の中学校における、特にも中学校2年生、3年生において35人学級を実施した場合には、教職員定数は約120人の増、それに伴う経費は約10億円の増額が必要となっております。
 また、先ほど委員からお話がありました35人以下学級の実施に向けて国での定数改善計画が昨年度行われたわけですが、これらのことに関しましては、私どもとしましても、全国の都道府県教育長協議会や、あるいは教育委員長協議会を通しながら、小学校2年生の学年において35人以下学級が早期に実現するように定数改善につきましては国に要望してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれお金もかかることではありますが、いろいろ環境が変化する中で、やっぱり私たちが未来を託すのは子供しかないと。妻子もいない私が言うのもなんでありますけれども、そう思いますので、しっかりとその辺は35人学級の実現に向けてぜひ検討していただきたいと思いますし、その辺については教育長の御見解を伺いたいと思います。
〇菅野教育長 子供たちの教育環境をどうよりよいものにしていくかというのは非常に大事なことだろうと思ってございます。特にそういった中で、35人以下学級の実現ということについては、現在、小学校1年生、2年生、それから中1で実施しているわけですが、国からの加配定数を何とかやりくりしてやっているという状況にございます。これ以上の拡張はちょっと人の面の限界がそろそろき始めているのかなと。したがいまして、国の制度改革によるところが非常に大きいわけでございますので、その辺については、やはり基本的な教育環境をどうセッティングしていくかというのは国の大きな役割だと思いますので、その辺について私どもとしての思いを国にしっかり届けていきたいと思ってございますし、その中で今後の岩手の教育のあり方についても取り組んでまいりたいと思っております。
〇岩渕誠委員 わかりました。よろしくお願いします。
 最後に、まとめてお聞きいたします。
 平泉の世界遺産対策でございます。おかげさまで世界遺産にはなったわけでありますけれども、一方でブラッシュアップというのは常にしていかなければならないということでございます。四つほどまとめてお聞きします。
 まず、平成22年度中の学術調査の成果についてどうだったのか。これをどういう形で世界遺産の中に盛り込んでいく努力をされているのかというのが一つ。
 それから、平泉の世界遺産については、何々跡ということで、現状、遺跡が残っていないケースがあるわけでありますが、これをどういうふうにして価値を知らしめるために見える化を行っているか。
 三つ目は、その中の一つとして、目玉になっていますのは、今、柳之御所遺跡の整備、復元ということが出ております。ただし、これにつきましては、世界遺産の登録を受けまして、容易に復元が可能な状況ではないのではないかと懸念しております。当初計画と考え方にどのようなずれが出てきているのかお示しいただきたいと思います。
 最後に、これらも含めて、バーチャルの遺跡というのを何度も指摘申し上げておりますけれども、これの方向性について、6月には御答弁をいただいたわけでありますけれども、その後の検討の結果についてあわせてお示しいただきたいと思います。
〇中村首席指導主事兼文化財・世界遺産課長 まず、平成22年度の学術調査の成果についてでございますが、昨年度の世界遺産構成資産でございます三つの史跡について御紹介申し上げますと、中尊寺の大池跡におきましては池跡の調査と中島の調査を実施いたしまして、池跡につきましては周囲の堤防の様子がわかり、それからまた中島につきましては柱の痕跡等を確認しておりまして、このことによって将来の池跡復元に向けた基礎資料が徐々に整いつつあると認識してございます。
 また、無量光院跡についてでございますけれども、同じように中島の調査を実施し、やはりここからも柱の痕跡を確認してございますが、これは本堂の前で何か踊り等を踊る舞台の機能を持った建物があったのではないかということが明らかになってまいりました。これも将来の整備に向けた調査ということで実施して成果を生かしてまいるということでございます。
 それから、柳之御所遺跡についてでございますけれども、内部は整備いたしましたが、周囲との関係で昨年度は堀跡の調査を実施いたしました。二重の堀跡がめぐるわけでありますけれども、外側の堀と内側の堀の様相の異なりといったものを確認いたしまして、これらも後々の整備に生かしてまいりたいと考えているところでございます。
 続きまして、そういった遺跡がわかりづらい、見える化という御質問でございましたが、確かに地下に埋蔵している考古学遺跡につきましてはなかなかわかりづらいということで、例えば柳之御所でいいますと建物の位置に柱の一部を提示してわかるようにする、あるいはガイダンス施設等でCGでいろいろイメージを持っていただく、あるいは展示をするといったことで往時の様子をわかりやすく伝えることに努めているわけでございまして、世界遺産というものはその価値をしっかり伝えていくことが大事でございますので、今後とも引き続きこういった取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
 柳之御所の復元の将来的なことについてでございますけれども、委員から御指摘ございましたように、残念ながら世界遺産には今回外れましたが、今後目指していく上で、建物等を復元するということは真実性という観点の中で非常にハードルが高いという認識がございまして、これらは、今までもお答え申し上げてまいりましたが、さらに厳しさを増していく様相があるのではないかと考えてございます。
 そういった中で、これも前から委員から御指摘いただいておりますバーチャル技術を用いた遺跡の復元、こういったものは非常に有効な手段ではないかと認識してございまして、県教育委員会といたしましても各地でのそういったデモンストレーションに参加いたしまして実際に体験しているところでございます。ただ、実際拝見する中で、実現にはもう少し時間がかかりそうだという認識も持ってございまして、平泉町も同じような思いでバーチャル技術の活用を考えてございますので、町とも連携して、今後そういった実現に向けた可能性の推移といったものを見守ってまいりたいと考えてございます。
〇岩渕誠委員 わかりました。いずれ、観光戦略上も、新たな平泉の魅力をどういうふうにして出していくか、ブラッシュアップしていくかということの基本はやっぱり学術調査だと思います。知られていないこと、疑問というものは平泉の遺産の場合はまだまだございます。ぜひとも、非常に一見地味な調査になりますけれども、これを着実に行っていただくことがこの後の平泉の世界遺産の価値と観光にも影響すると思いますし、あわせて、その調査をどういう形で知らしめていくかという見える化という問題はセットの問題だと思っておりますので、ぜひその辺はしっかりと御留意をいただいて取り組んでいただくことをお願いして終わります。
〇高橋昌造委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時53分 休 憩
午後1時2分 再開
〇熊谷泉副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇飯澤匡委員 英語の学力向上についてのみお聞きします。これは3年連続同じことを聞きます。
 平成21年度に英語力向上プロジェクト事業を立ち上げ、英語力の向上については力を入れていると冒頭にも教育長から説明がございました。それで、昨年の答弁で、なかなか成果が上がらないということで、今後どのような改善策を講じるのかというと、そのときの答弁は、学力向上担当チームによる個別学校訪問指導、授業力向上セミナーに加えて、各地域の指導主事による学校訪問指導を継続して、きめ細やかな指導、改善に向けた支援を実施するとされています。
 学力の向上は上がったのでしょうか、お尋ねします。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 英語の学力の向上の効果についてでございますが、昨年度答弁した中身の各種研修会や訪問指導等の実施により、微増ではありますが、英語に関して徐々に効果が見られてきているものととらえております。
 例えば、実施して3年目となる英語能力判定テストにおいて、英検3級程度相当の生徒の割合を比較してみますと、開始した当初、平成21年度は22.9%、昨年度、平成22年度は25.6%、今年度、平成23年度は、速報値によりますと31.5%と増加傾向にございます。これらの増加傾向を踏まえまして、これまでの取り組み成果と課題をまた踏まえながら、改善に努めてまいりたいとは考えております。
〇飯澤匡委員 じゃ、お聞きしますけれども、昨年も同じことを聞いたんです。英語の学力向上について、英語検定、それぞれの級レベルの英語力を身につけている生徒の割合。ことしは昨年より目標値が、高校生の場合は上がっているわけですよね、35.0から40.0%と。そういうことで、ことしの実績値は、この主要施策の成果に関する説明書によれば、中学生の3級レベルが27.6%、目標値が50.0%です。昨年の実績値が27.4%、0.2ポイント上がっていると。それから、高校生は、準2級レベルで昨年よりは3.2ポイント上がっていて、しかし、目標値には達していないと。昨年は35.0%で、ことしは目標値が40.0%でありましたので、これは上がっていないんですよね。要するに、指標を決めても上がっていないと。これはどういうことでしょうか。昨年も同じことを聞きました。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 中学生につきましてでございますが、この指標の動向が芳しくないということの要因の一つとしまして、いわゆる研修及びそれぞれ個別の生徒に対する対策がまだ不十分であるということでとらえております。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 高校英語につきましても、昨年度の目標達成レベルには達しておりません。この40%というのは、できればこの40%に達してもらいたいという気持ちで上げたわけですけれども、なかなかそこまでの力がなかったということになっております。
 高校では、反省点として、先生の一方的な説明の授業とか、それから、大量の予習を生徒に課し、その答え合わせをするということが反省点に挙げられておりますので、できるだけそういうものを解消して、授業に取り入れて生かしていこうと思っております。
 ただし、この2年間では6.2%上がっていますので、さらに、この反省点を踏まえて、ぜひ40%に近づけるように頑張りたいと思っています。
〇飯澤匡委員 達成度が、これはDなわけですよ。D判定。達していないということなんです。問題は、そこに向けたどういう方策、施策を県教育委員会が現場に伝えたかということなんですね。
 先ほど6ポイント上がったと言いましたが、それではだめなんですよ。やっぱり上げないと。上げる努力をしないというところを私が問題にしているわけです。
 こういうことを書いてあるんですよ。なぜ行かなかったかという理由に、いいですか、教員の研修機会が限られるため指導方法の改善について十分な浸透が図られなかったと。これはどういうことですか。目標達成について、研修機会が限られたから浸透しなかった。自分たちは何もやっていなかったということじゃないですか。なぜ政策評価レポートにこういうものが出てくるんですか、こういう言葉が。私は、そこが問題だと思っているんです。教育長、いかがですか。
〇菅野教育長 英語力の向上については、数学と並んで本県の非常に最大の課題であります。それぞれ若干の伸びは見られているところでございますが、やはりこれはもう少し、私どもとして努力をしなければならない。
 ただ、やっぱり私どもとしてやらなければならないのは、学校現場それぞれが一つ一つその課題をとらえて、それぞれの学校で地道に改善に取り組んでいただくと。なかなか県教委としては、こういったことでみんなでやろうねということで声をかけたというところでございます。それが必ずしも浸透し切れなかったというのは、これは私どもの責任だろうと思ってございます。
 ただ、やはり英語力の向上に向けて、学校、それから市町村教委、県教委が一体となって取り組めるよう、私どもとしても、今後とも英語力の向上に努力してまいりたいと思ってございます。
〇飯澤匡委員 私の言ったのは、言葉だけじゃだめだということなんですよ。去年と同じことを聞いて、結局、授業力向上セミナーに加えて、各地域の指導主事による学校訪問指導を継続して、学校現場とこの課題を共有し、きめ細やかな指導、改善に向けた支援を実施してまいりたいと思いますと去年の答弁。
 ことしの評価については、もう一回言いますよ、教員の研修機会が限られるためと。どうやってステップアップしたことをやったんですか。同じことをやっていたのではないですか。その中身を問うているわけです。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 教員の英語担当の研修の機会が限られているという現状につきましては、小規模校等において、担当教員が1名という学校の実情もございまして、なかなかセンターなり、あるいは研修場所まで、あるいは他県までということで出かける機会が限られているという意味もございました。
 それで、その解決のために、指導主事が直接学校を訪問する、要請を受けて、どんどんそのような学校訪問を直接、積極的にそういう実情を抱えた教員のところには出向くということも平成22年度から取り組んできているところでございます。そういった研修の機会がなかなかとれないでいるところへの改善策として、そのような取り組みも行っております。
 それから、平成22年度の3学期─1月、2月にかけまして、県の学力調査にかかわって、英語担当教員の方々に対して、調査の分析の仕方や、授業へどう生かすかという研修も、3学期の中でこれも緊急的に取り組んだところでございます。
 具体的にはそういうところを行ってまいりました。
〇飯澤匡委員 原因があって、結果があるわけです。昨年も同じことを聞いて、結局、少し数値が上がっています、頑張っていますということで、皆さん方はそうやって収れんさせてしまっている、そこに問題があると私は思うんです。
 じゃ、1人しかいないところにはどうやってフォローアップしていくか、そこの戦略なり、あなた方がしっかりとした─英語、数学を向上させるんでしょう。向上させるんでしょう。向上させるためにどうしたらいいかというのは、現場をもっと鍛えなければならないじゃないですか。鍛えるためには、皆さん方がしっかりそれをフォローアップしなければならないじゃないですか。
 今の答弁を聞いていても、言いわけですよ。自分たちがこれだけやっていますから勘弁してくださいというようにしか聞こえない。もう少し、同じことを何回も、3年連続です、私が聞いているのは。
 こうやってD判定が出ること自体に対して、私が問題にしているのは、こういう研修機会が限られているから浸透が図られませんでしたと、これじゃ、情けないじゃないですか。一生懸命やったけれども、これぐらいの成果にとどまった。しかし、次回はここの部分を改善してもっとやりたい、そういうことがこのレポートに書かれないとおかしいのではないですか。それじゃ、このまま行っても全然改善されないじゃないですか。いかがですか。
〇高橋学校企画課長 英語、数学の学力向上の取り組みについてでございますが、お話しさせていただいておりますように、学力向上の担当を設けて取り組んでいるところでございます。その分析の中で、学力向上がなぜうまく進まないのかという分析をしておりまして、その大きなポイントが、授業の内容がわかるという生徒が割合でなかなかふえていっていないという状況がわかったということで、そのわかる授業をやるためにどのようなことをしていくかということで取り組みを進めているところでございます。
 具体的には、わかる授業を行うためには、まず、わかりやすい授業であるということが必要ですので、授業力不足があるということでございます。また、その授業内容の定着ができていないということで、授業中の演習の仕方ですとか、あとは、その定着ということで、家庭学習の課題の与え方を適切に行うということですとか、あとは、基本的な定着ができていないということで、中学生においては小学校の学習内容の定着、高校においては中学校の学習内容の定着ということをそれぞれ進めなければならないということで指導をやっているものでございます。
 授業力不足の関係では、先ほど来お話しさせていただいておりますように、研修が重要だということがわかっております。研修につきましては、一生懸命取り組む先生と、なかなか取り組めない先生といるということがございまして、その県全体としての目標として、必ず自分の授業をほかの先生が見て、意見をもらおうという取り組みをしようということで今年度から進めておりますし、また、来年度ということで、さらに、前回答弁させてもらった以降に取り組みを強めて進めているものでございます。
〇飯澤匡委員 私が問題としているのは、何回も言いますけれども、やると言っていながら、その結果に対する答えが、研修機会が限られている、こういうことが出てしまったんでは、何をやっているのかということです。身内だけの問題で済ませてしまっている。
 生徒の学力を上げるために、あなた方はどういう戦略をつくって現場に浸透させるかということに尽きるわけですよ。それを、みずからの研修機会は限られていると、これじゃ、いかんでしょう、どう考えたって。そこを問題としているわけです。
 何回も申し上げて恐縮ですけれども、結果を踏まえて、じゃ、来年以降はどういうふうにするのか、再度これを聞きます。
 今、昨年の答弁を踏まえて、学校現場でこういうことをやっているということを聞きましたけれども、これは、何回もD判定が出ているのじゃ、何のための指標かというのがわからなくなります。それとも、この指標自体がちょっとおかしいと思っていますか。
 それとあわせて、じゃ、来年度の目標値に向かった現場での学力向上のための、教育委員会はこういうふうにやるんだ、英語についてはこういうふうにやるんだということを最後、また来年も聞かれないように、しっかりとした答弁をお願いします。
〇佐々木教育次長兼学校教育室長 英語の学力向上についてでございますが、今年度で3年目の学力向上チームが、中学校、高校を回っての訪問指導、3年目でございます。昨年度までの2年間で、特にも中学校につきましては、英語と数学のすべての教員の授業を担当の指導主事が見たところでございます。その結果、やはりなかなか生徒にわかりにくい授業もございますし、一方では、非常にすばらしい授業も見えたところでございます。
 私どもとしましては、一つは、やはり子供たちが授業がわからないと言っておりますので、これは、全国の学力調査等でもそのような結果が出ておりますので、やはりよい授業、わかる授業をつくってもらうために、よい授業を見る機会をふやしていきたいと考えておりますし、それから、指導力がまだまだ不足であるという教員に対しましては、指導の訪問の回数をふやすでございますとか、そういう教員の授業力を上げる、その結果として授業がよくわかるという生徒をふやしてまいりたいと思っております。
 それから、英語につきましては、いろいろな力があるわけです。聞く力、読む力、書く力、話す力とございますけれども、本県の生徒たちは、ペーパーテストではかる限りでは、聞く力に比べまして読む力と書く力が格段に落ちているという結果が出ておりますので、昨年度から、特にもこの読む力、書く力、バランスよくやれればいいんですが、まずは、私どもが力を入れているのは読む力でございます。その結果、昨年度1年間、読む力というところで、特にも中学校、高校の授業で力を入れてまいりまして、今年度、先ほど課長が申し上げました3級レベルが若干増加しているというのは、細かく分析してみますと、この読む力の成績が改善された結果でございました。
 私どもは、まだまだ不足だと思っておりますので、この読む力、そして、さらには書く力の向上を図ってまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 最後にします。
 各種方策をやっていると思うんですが、私は、この英語学力向上に限らず、すべての施策において、こういう身内が、研修機会が限られたとかと言う問題について、もう完全に自分たちの努力不足をここに上げておいて、できませんでしたというような指標の成果の評価に入れること自体おかしいですよということを指摘しておるのであります。これはすべてにおいて通じるんですよ。岩手県の教育行政、教育委員会の姿勢がここにあらわれてしまったんでは、何のための指標だということになってしまいます。
 来年もこの指標は続けられるんでしょうから、その具体策については、またお聞きしたいと思っております。よろしくお願いします。
〇木村幸弘委員 3点ほどお伺いいたしたいと思います。
 まず、1点目は、学校の耐震整備についてでございますけれども、この間の岩手県の耐震改修促進計画に基づいて耐震整備が進められてきていると思いますが、その具体的な取り組み、進捗状況等について、まずお伺いしたいと思います。
 また、同時に、この促進計画に基づいて、整備計画の期間として平成27年度が一つの目標年度になっているわけでありますが、この目標年度に向けてどのような状況であるのかということについて、お尋ねしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 まず、耐震整備計画に基づく達成率の状況でございますけれども、県立学校の耐震化につきましては、平成19年1月に策定されました岩手県耐震改修促進計画に基づきまして取り組んでいるところでございます。
 平成21年度末現在の耐震化率は80.4%でございます。平成22年度におきましては、盛岡工業高校の校舎、花巻農業高校の体育館など10棟の耐震化工事を行いまして、22年度末には耐震化率が85.9%になっているところでございます。
 耐震化が図られていない建物につきましては、学校施設の安全性を早期に確保する観点から、耐震補強工事等の前倒し実施等も検討しながら、耐震化率100%を目標に計画的に取り組んでいきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 今、県立学校の関係について報告をいただきましたが、あわせて、市町村立学校の関係についてはどのようになっているでしょうか、お伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 小中学校の耐震化でございますけれども、県の耐震改修促進計画の平成27年度末目標値は75%になっておりまして、平成21年度末現在では耐震化率が71.6%となっております。
 県教育委員会といたしましては、学校施設の耐震化を促進するために、毎年、市町村教育委員会職員を対象といたしました研修会を開催するとともに、さまざまな機会をとらえて市町村に対して助言、指導してきたところでありまして、今後も引き続き、早期の耐震化について働きかけていきたいと考えております。
 また、国に対しましても、市町村の厳しい財政状況を踏まえ、耐震化事業に対する国庫補助率のかさ上げなどの財政支援措置を拡充するよう、引き続き要望してまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 ありがとうございます。
 そこで、平成27年度目標達成に向けてということですが、ただ、県の改修促進計画の中身を見ますと、県立学校については、まず100%を目標として立てているんですけれども、市町村立学校の場合には75%を目標ということになっていまして、目標の設定として、今の小中学校の進捗率の状況から言うとどうなのかなと思うんですが、今回、大震災という影響も受けて、改めてこの耐震化率に対する県民あるいはそれぞれの地域住民の方々の関心度合いも高まっているとすれば、この目標設定のあり方についても、100%というところに市町村立も含めてより早期に達成できるような手だてというものが改めて必要になってくるのではないかと思いますけれども、その点についてどう考えているのかというのが1点です。
 それから、もう一つは、今回、沿岸部における津波被害等を受けて、被災した学校の再建に取り組まなければならない課題、さらに、その耐震化等の整備ということで、沿岸地域におけるそうした耐震と再建の取り組み、さらに言えば、内陸部における耐震の取り組みということで、それぞれの地域、地域のいろいろな状況を新たに踏まえた中で、この計画そのもののあり方をいろいろと考えていく必要があるのではないかとも思うんですけれども、その点についてはどうなのかお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 まず、小中学校の耐震化率の関係でございますけれども、県の耐震改修促進計画につきましては、市町村の計画に基づいて県土整備部で取りまとめをして75%という目標を設定しているところでございますが、文部科学省サイドの調査の目標等でいきますと、国におきましては、平成27年度末までに早期に完了、できるだけ早く耐震化を図るというような目標も立ててございますので、県といたしましては、そういったことに向けまして、市町村が早期に耐震化の完了を図るように指導、助言等をしているところでございます。
 ちなみに申し上げますと、これは市町村の計画ということになりますが、平成27年度末の94.1%を目標に、今、市町村で耐震化を進めているという状況でございます。
 それと、内陸と沿岸地域における耐震化についての御質問がございました。
 沿岸につきましては、今回の震災で避難所等になった学校施設が非常に多いということで、そういう意味で、学校施設の安全化を図ることは極めて重要だと認識をいたしているところでございます。ただ、その耐震化の状況を見ますと、沿岸地区とか内陸によって大きく特徴づけられるということはございませんので、各市町村における耐震化の状況を踏まえまして、今後、耐震化を図っていく必要があるのかなと思っております。
 まず、具体的に申し上げますと、耐震化率の低い市町村等に対しましては、こちらから出向くなり、あるいはいろいろな機会をとらえまして耐震化の促進を働きかけてまいりたいと思っておりますし、先ほど申し上げました平成27年度末までの耐震化の目標というのが一応あるわけですが、それ以降に耐震化が行われる市町村も現にございますので、そういった部分についても、早期に耐震化が図られるように指導、助言をしてまいりたいと考えております。
〇木村幸弘委員 わかりました。いずれ、今、御答弁いただいたように、市町村ごとの年度ごと整備計画の状況などを見ますと、随分大きく立ちおくれているところがありますし、順次、計画的に数字が整備計画として上がっている市町村については、多少、平成27年をまたいで、越えても、おおむね100%に近いところに向かっているなというのはわかるんですけれども、そこがちょっと途中で立ちどまっているような市町村もあるようですから、その辺のところの指導も含めた体制については、早期に促進が図られるようにぜひお願いしたいと思います。
 2点目ですが、次に、子供たちを放射能被害から守るという観点で、その取り組みについてお伺いするわけでありますが、この間も、それぞれの質問などの中で指摘あるいは質疑されてきている部分ですが、学校の測定体制について、10月19日の商工文教委員会審査などで、10月13日現在の放射線測定の結果などについて県教委からも答弁が出ているわけであります。結果として高い数字が出た学校について、その後の除染対策も含めて早期にやりたいという考え方は示されておりますが、具体的にはどのような対応がなされてきているのか、改めてお伺いしたいということであります。
 それから、もう一つは、県が調査をするのとは別に、いろいろと県南地区のそれぞれの市単位でも、市教委レベルでも測定調査が行われております。そうした市単位で行われている調査では、例えば10月20日に一関市教委が行った調査によると、例えば高さ1センチでそのときに初めて測定した結果が出されたということで、その時点で、1センチの高さで言えば、92施設から毎時1マイクロシーベルト以上の測定した箇所が見つかったということが報じられております。
 県では、基本的には国の対応方針に基づいて50センチという高さを基本にしてはかっているわけでありますけれども、こうした市レベルでは、さらに踏み込んで1センチの高さからしっかりとした1マイクロシーベルト以上の高い実態というものを把握し、その取り組みを進めようとしているわけでありますが、そうした対策の違いというか考え方の違い、この部分をきちんとしていかないとだめなのではないかと思うんですけれども、県の考え方はどういうふうになっているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 県立学校におけます除染作業の実施状況ということでございますけれども、基準値を超える測定結果によりまして、10月28日現在でございますが、10校が除染対象ということになっておりまして、10月中に除染作業が完了する学校、これは見込みも含みますが、4校でございます。
 また、業者が決定して、11月上旬までに除染作業を予定している学校が2校ございます。それと、業者が決定しておりますが、除染作業日の調整中の学校が1校という状況になってございます。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 除染の関係でございますが、現在、県教育委員会といたしましては、すべての県立学校を対象といたしまして、局所的に空間線量率が高い箇所を特定し、除染するという取り組みを行ってございますが、具体的に、この事業では、予備調査として建物の周囲の地表面付近をすべて測定いたしまして、局所的に放射線量の高い箇所を特定した後、県が策定いたしました放射線量等測定に係る対応方針に基づきまして、地表面から1メートルまたは50センチの高さの空間線量率を再度測定いたしまして、毎時1マイクロシーベルトを超えた場合に除染を行うという方針で臨んでいるものでございます。
 なお、市町村が小中学校等を対象にいたしまして同様の取り組みを行う場合、それに要した経費の一部を県が助成することとしておりますが、それぞれの市町村では、利用の実情に応じまして、例えば5センチ、あるいは1センチの高さの空間線量率を測定し、その結果をもとに除染することとしているところもございます。
 県といたしましては、そのような場合であっても、それぞれの市町村の判断を尊重いたしまして、必要な支援をすることにしているところでございます。
〇木村幸弘委員 県立学校と市町村立学校のそれぞれの対応の違いや考え方の違いはあるんでしょうが、私とすれば、やはり県として、小中学校だから、あるいは県立学校だからという立て分けの違いではなくて、やはりきちんとこの放射能の対策について、あるいは測定の方向性というかその考え方については、統一した対応の中で、県民にすべからく統一的な数字としてわかるようにしてもらいたいと思うんですね。
 例えば、一関市など小中学校単位でやっている、市教委などが取り組んでいるそういうモニタリングの測定の体制についても、基本的には、除染作業に当たって、国が示したモニタリングマニュアルに沿ってやっている作業なわけですよね。
 ところが、県の対応方針は、高さを50センチという形で、県立学校の場合はそういう県の考え方で対応しているということになるのですけれども、国が、モニタリングマニュアルで高さ1センチもはかっていいという表現なのか、はかるべきだという指導のもとになっているのか、ちょっとその辺のところがあるんですが、いずれにしても、そういった統一的な対応じゃないという部分が、私にはどうしても、新聞報道を見ていても、そのとき、そのときのいろいろな調査の数字がそれぞれの状況の中で出てくると、非常に、ある意味混乱するというか、情報が錯綜する。
 そんな中で、県民としての正しい理解を得るにも不十分な点があるのではないかと思うんですが、そういった点で、ぜひ、この放射能測定の対応の仕方ということについては統一的な対応が望ましいと私自身は思っているんですけれども、改めて県としての考え方をお伺いしたいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 国が定めております学校等における放射線測定の手引には、50センチまたは1メートルの地上高で測定することと明確に定められております。ただ、その前に、手前どもで行っております測定方法と同じように、地表面を1回測定いたしまして、高いところの線量を、小学校であれば50センチ、高等学校であれば1メートルということで統一しておりますので、県内の市町村におきましても、1センチ、5センチというような違いはございますが、国のほうでは50センチ、1メートルということで統一の見解が出ておりますので、県といたしましても、それに従って測定を行っているところでございます。
〇木村幸弘委員 そうしますと、一関市の調査された部分で報道されている中身で、一関市教委が今回初めて1センチの高さを調べたと。それは、国が示した除染作業に当たってのモニタリングマニュアルに沿って、地表から1センチの高さも新たに加えて調査をしたのだと報じられているんですけれども、その考え方というのは、いわゆる国には、モニタリングマニュアルと言われるものの中でそういう基準が示されているということにはならないのですか。その点についてちょっと確認したいと思います。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 国のモニタリングマニュアルにつきましては、委員御指摘のとおり、1センチもはかりなさいということにはなっておるんですけれども、除染につきましては、毎時1マイクロシーベルト未満を目安とするということにかんがみ、50センチの高さ、中学校以上においては1メートルにおいて、1マイクロシーベルト毎時以上の場所が目安になると明示されてございますので、1センチが1マイクロシーベルトということではなくて、線量の高い部分を探すために、1センチあるいは地表面5センチで探して、その後、50センチあるいは1メートルの空間線量をはかって、そこが1マイクロシーベルトより高い場合に除染をしなさいという示し方でございます。
〇木村幸弘委員 わかりました。いずれにしても、ただ、とりわけ子供たちの置かれた環境というか、学校生活における子供たちの状況を含めて考えると、限りなく我々大人の視点ではなくて、子供の視点というんですか、当然、小さい子供さんたちもいるわけですし、そういった部分で言えば、確かに50センチあるいは1メートルという考え方はあるのでしょうけれども、しかし、より濃度の高いポイントをきちんと押さえておくというのは、私は、やはり原則的に学校の管理責任上においては重要なポイントになるのではないかと思うんです。
 考え方として、その上で50センチ、1メートルだというのも理屈としてはあるのかもしれませんけれども、しかし、学校を管理する側あるいは子供たちの健康を守るという視点に立てば、より高い濃度でどういう実態になっているのかということを把握する姿勢は必要だということを、ぜひ指摘しておきたいと思います。
 3点目ですが、最後になりますけれども、いわゆる内部被曝の問題についてであります。
 この間、保健福祉部の審議であるとか、それぞれの質問の中でも県の考え方が示されておりまして、残念ながら、サンプリング調査を行って、具体的にどういう調査、検討を進めていくのかということについて、まだ検討中である、早期の実施を目指したいというだけの答弁にとどまっているわけであります。
 この考え方についても、やはり今の内部被曝の問題について、子供たちの一日も早い健康を確保する、あるいは安全を守っていくという観点に立てば、今の県が進め、検討している中身が、どれほどの検討の中身で、どれだけの時間がかかるのかなかなか見えなくて、実際に福島県などを含めて、子供たちのそういった内部被曝調査が行われているところと何が違うのか、岩手県は、また別の独自の調査方法を考えているのか、そのために時間がかかるのか。そういった部分で、何が違うから、あるいは何に時間がかかるためにきちんとした調査がいつ行われるか示すことができないのか、その点についての考え方はどうなんでしょうか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 内部被曝調査の早期実施につきましてですが、現在、保健福祉部において、子供の尿中放射性物質に係るサンプリング調査の実施に向けて検討していると伺ってございます。
 今後は、専門家の意見、市町村の意向を伺いながら検討を進めていると聞いている段階でございます。
〇木村幸弘委員 教育委員会サイドからすると、専門的な部分ですから、それ以上の答えが出ないと言われればそれまでなんですけれども、ただ、逆に言えば、県教委の立場から、しっかりとその内部被曝に対する調査などについては、やはり強力にプッシュしていく必要があるのではないかと思います。具体的に、教育長は、県の原発放射能影響対策本部等にかかわりながら、この内部被曝の問題についてどのような議論をされていますか。
〇菅野教育長 本委員会においても、担当部で御答弁申し上げたところでございますが、子供たちの健康をどう守っていくかという教育委員会の立場、これは、私どもとしてしっかり踏まえなければならないと思いますし、また、ただ、今、委員から御指摘がありましたとおり、私どもとして、こういった特に医学的知見を持っているわけではないというところもございます。また、専門家の御判断もやはり尊重されるべきであろうと。そういった意味では、やはり専門的知見を持っていらっしゃる医療機関と専門に所掌している保健福祉部において、いろいろな状況を踏まえながら、専門家の意見をいただきながら検討させていただくことになっているんだろうと思ってございます。
 ただ、私どもといたしましても、子供の健康をより守るという視点から、私どもの立場といたしまして、今、平藤総括課長が御答弁申し上げましたとおり、学校の環境面での対策を講じながら、子供の安全の確保に努めてまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 それでは、私からも幾つか質問いたします。
 まず、学校の復旧状況についてお伺いしたいと思います。
 午前の質疑でもこの問題が議論されましたけれども、今回の大震災で全壊、一部損壊、たくさんあったと思いますが、この建設、再建の見通しなどについて具体的にお伺いいたします。
 また、県立高校についても全壊しました。特に、県立高田高校の復旧の見通しについて、どんなスケジュールになっているのかについてもお伺いいたします。
〇小倉学校施設課長 学校の再建に向けた取り組みでございますけれども、市町村立学校につきましては、設置者である各市町村におきまして、応急仮設校舎の整備でありますとか、本格復旧に向けた検討などを行っているところでございます。
 県立学校につきましては、高田高校と宮古工業高校が津波により被災しておりますけれども、宮古工業高校については、復旧工事が完了し、8月29日から自校で授業を再開したところでございます。
 高田高校の復旧でございますけれども、この復旧整備につきましては、県の復興計画の復興実施計画にも位置づけているところでございますが、市のまちづくり方針等も踏まえまして整備の方向づけをしたいと考えておりまして、現在、事務的に調整を進めているところでございます。
 地元の方からは、一日でも早く再建してほしいというような声がございまして、県教育委員会といたしましても、早期に再建が図られるように、関係の方々とも十分連携を図りながら全力を尽くしてまいる考えでございます。
 小中学校の再建に向けた取り組みということでございますけれども、市町村立学校につきましては、現在検討を進めているところでございますが、まず、応急仮設校舎の整備を進めているところということで、大槌町につきましては仮設校舎に移っておりますし、現在、釜石市において整備中と聞いているところでございます。また、岩泉町におきましては、今後、整備予定と聞いておりまして、今後、具体的にどういうふうに学校再建をしていくかということで、各市町村まちづくり計画等も踏まえながら検討していくと承知しております。
〇高田一郎委員 県立高校では、高田高校がまだ再開の見通しが立っていないということですけれども、市のまちづくり計画との関係とか、さまざまなクリアしなければならない課題もたくさんあるというのは承知しておりますが、現地の方々からお聞きしますと、やっぱり、せめて新しい再開した校舎で卒業したいと一日も早い復旧を願っているわけです。そういった被災地の皆さんの願いにこたえられるようなスケジュールになっているかどうかということをお聞きしたいと思います。
 それと、学校の再建問題では、当初は、政府も原形復旧じゃないと認めないとか、あるいは全壊した建物の瓦れき処理も支援の対象にしないとかという方向になっていたんですけれども、国がしっかりと対応してほしいという声が全国から広がる中で、国も重い腰を上げて対応するようになったわけです。そういう点では、早期復旧に向けて条件も広がっているように思うんですけれども、再建する上でのいわゆる財政的な支援がどうなっているのか、地元はどのぐらいの負担が必要になっているのか、その辺についても答弁いただきたいと思います。
〇小倉学校施設課長 高田高校の再建のスケジュールでございますけれども、現在、どの場所に整備をするかということがまずございまして、その後に、設計でありますとか、建物の建築等という形で進んでいくわけですが、時期につきましては、いずれ、場所がまず決まらないとその先に進めないということがございます。
 それと、整備スケジュールの関係で言いますと、その建築の部分について言いますと、今回の9月定例会でも議決をいただいたところでございますが、盛岡商業高校の建物で言いますと、建築に2年かかっております。そういったことで、いろいろな準備を進めてまいりますけれども、今の在校生が新しい校舎で卒業するというスケジュールは、なかなか厳しいのかなと感じているところでございます。
 また、復旧等に当たっての財政支援ということでございますが、委員から御指摘がありましたように、これは文部科学省との個別協議が必要になってまいりますが、新築移転等につきましても災害復旧事業ということで認められるということがございまして、いずれ、そういった国庫補助事業制度を使いながら復旧工事を進めていく必要があると思っております。
 この財政支援の内容でございますけれども、災害復旧事業ということで該当いたしますと、補助率は3分の2ということになっております。残り3分の1が地方負担ということになりますが、その95%が交付税措置をされることになっておりますので、市町村の学校施設の再建に向けましては、こういった国庫補助事業制度等も活用しながら、早期に復旧整備が図られるように県としても進めていきたいと考えております。
〇高田一郎委員 被災を受けた沿岸自治体は、財政基盤が非常に脆弱でありますので、地元自治体にも最小限の負担といいますか、極力ゼロに近いような形で復旧ができるよう、引き続き国にも申し入れといいますか要望を強く働きかけていただきたいと思います。
 学校の再建については、生徒の減少とか、あるいはまちの復興計画等、さまざまな課題もありますけれども、一日も早い学校の再建を行っていただきますように強くお願いしたいということで、次に移らせていただきます。
 次に、就学援助の支給状況、課題であります。
 被災された児童生徒が、教育費や、あるいは生活費の心配なく学校生活を送れるということは、学校の施設整備とあわせて大変大きな課題だと思っております。
 この間、第1次補正で、経済的に厳しい児童生徒に対して臨時の就学支援制度が行われてきました。しかし、こういう支援は臨時的な措置であって、あくまでも年内ということが言われております。これは、被災地の父母の皆さん、あるいは学校関係者からも継続を望む声が出ております。これに対して、県当局はどのような対応をしようとしているかということをお伺いしたいと思います。
 同時に、就学援助制度ですけれども、現在の就学援助制度は、交付税措置によりまして、何年か前から自治体によって支給内容に大幅に差が出ている状況です。被災された児童生徒が、教育費や生活費の心配なく生活が送れるような、そういう就学援助制度になっているのかを含めて、その実態がどうなっているのかについてもお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 就学援助に対します国の特例措置等の延長の関係でございますけれども、県といたしましては、今回の大震災津波被害が非常に甚大であるということで、多くの児童生徒が被災している状況を踏まえまして、国の被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金、この事業の継続延長を要望してきたところでございます。
 国におきましては、第3次補正予算案において、平成24年度から26年度までの3カ年になりますが、延長に伴う所要額が計上されていると承知いたしております。
 また、県の6月補正予算で措置したところでございますが、被災児童生徒就学援助事業費補助の関係でございますけれども、被災した児童生徒の就学の機会均等ということ、あるいは経済的理由によって就学ができなくなるということがあってはならないということで、県で予算措置をしたわけでございますが、この対象人数でございますが、予算ベースで5、093人に対しまして約7億3、800万円の予算を措置しているところでございます。
 これにつきましては、国の特例交付金を活用して予算を措置し、国からは10分の10のお金が来るということで、必要十分な予算になっているということでございます。
〇高田一郎委員 1年限りの対応ということで、県も、国に向けて引き続きの支援を求めていくということでありますので、了解いたしました。
 被災地では、仕事の確保とか、失業者がふえて、本当に将来どうやっていっていいかわからないという状況がありますし、まだまだ解決しなければならない課題がたくさんありますので、引き続き国に対して支援の拡充、充実を求めることを求めて、次に移りたいと思います。
 次は、学校施設の耐震化の問題です。先ほども木村委員から同じ質問がされておりました。私も通告しておりますので、再度質問したいと思います。
 これは、私は一般質問でも県当局の姿勢をただしましたけれども、高校については100%の目標に向けて具体的に取り組んでおり、そういう方向になっているということでありますので、これについては了解いたしましたが、小中学校についてです。
 小中学校については、平成27年度末までの耐震化については、484棟のうち378棟が平成27年度までに耐震化されるという一般質問での答弁でありました。残る106棟をどうするかということだと思うんです。
 これまでは、統合が具体的に決まったとか、あるいは進めている、そういう学校については、ある意味ではやむを得ないという面がありますけれども、それを除く学校については、やはりここ3年とか4年とか目標を決めて耐震化を図るべきではないかと思うんです。
 これは、財政的な問題とかがありますし、国の耐震化に対する支援策を強めていくということが根本にありますけれども、やはり、県としても3年以内にやるような特別な手だて、対策というものがもう必要ではないでしょうか。国の支援策の拡充を待ってから対応ということで本当にいいのかどうかということについてもお伺いしたいと思います。
〇小倉学校施設課長 市町村立学校の耐震化の促進の関係でございますけれども、この耐震化につきましては、平成27年度までのできるだけ早い時期に耐震化を完了することを目指すということで、文部科学省でその目標を示しているところでございますので、市町村に対しましては、さらに耐震化を促進するように働きかけてまいりたいと考えております。
 この耐震化に当たりましては、国におきましても補助制度等があるわけでございますが、補助率のかさ上げでありますとか、あるいは予算措置等もなされるように、国に対して強く働きかけをしていきたいと思っているところでございます。
 県の手だてというお話もございましたけれども、まずは、国の補助制度等を活用して進めていただければと考えているところでございます。
〇高田一郎委員 今回の大震災を振り返ってみて、今、県政にとって必要なのは、これは言うまでもなく被災地の救援、復興、そして、何よりもこの大震災を経験して、災害に強いまちづくりということだと思うんですね。
 そのときに、子供たちが1日の大半を過ごす学校、そして、災害のときに避難所になるこの学校の耐震化というのは、やはり待ったなしの課題だと思うんですね。
 やはり国も問題があると思うんですよ。目標を示しながら財政的な支援がいま一つだというのは、ここに問題があると思います。耐震化が急速に進まないのは。しかし、ここを待っていてもやはり前に進まないということで、問題は、一般質問でも教育長から答弁がありましたけれども、統合の問題と財政的な問題、この二つだというんですよね。そうであるならば、市町村に対して指導、助言するということにとどまらないで、やはり当該自治体で本当に耐震化を、こういう支援だったらやってみようというような、そういう具体的な、もっと踏み込んだ支援策が必要ではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
〇小倉学校施設課長 学校施設の耐震化に係ります予算ということで、国におきましては補正予算等で措置しているというような状況もございますし、来年度当初予算でも前倒しで実施というような情報もございますけれども、いずれそういった形で、財政的な部分については国の補正予算等も活用させていただく中で耐震化を早急に進めていくことが非常に大事だろうと思っております。
 県といたしましても、各市町村には耐震化を進めるに当たってのいろいろな事情があろうかと思いますので、その辺きめ細かく把握した上で、個別個別といいますか、状況に応じたお願いをしていくということも必要であろうと考えております。
〇高田一郎委員 ぜひそういう方向で頑張って取り組んでいただきたいと思います。
 次に、教職員の定数増員あるいは少人数学級の問題についてお伺いしたいと思います。
 被災地では、学校の再建とか教育費の父母負担軽減とともに、子供のケアの問題あるいは生活の心配などさまざまな課題がある中で、教職員のこれに対する増員を求める声も出ております。教職員自身も被災者でありますので、さまざまな形で困難を抱えていると思います。そういう点では、この間さまざまな被災地の学校に対する職員の増員などに取り組んでいるということも承知していますけれども、今の教員の定数の増員のあり方ではまだまだ十分ではないのではないかと思います。この点についてどのようにお考えなのでしょうか。
 また、少人数学級の問題についても、午前、質疑が交わされました。平成22年度の少人数学級の調査、私もこの調査結果のまとめを拝見いたしました。県教育委員会もこの少人数学級は大きな成果が出ているということを認めているわけでありますが、これをさらに小学校3年生、4年生まで引き上げるということを考えていくべきではないかと思うんですが、この点についての考えをお伺いいたします。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 先ほどの教職員定数の増員についてですが、子供たちの心のケア等を含めて生徒指導上の課題等については、国の加配措置、児童生徒支援あるいは県で行われておりますすこやかサポート、学校生活サポート等を配置しながら一人一人の状況に応じたきめ細かな指導をしているところでございます。また、東日本大震災津波による甚大な被害を受けました沿岸部の学校を中心としまして、子供たちの心のケア、学習のおくれ等に対応するために、国から震災加配措置により201人を増員し、対応しているところでございます。
 今後につきましても継続されるように、震災加配については、子供たちの状況、学校の状況を把握しながら国に要望してまいりたいと考えております。
 それから、少人数学級につきましては、委員がお話をいたしましたように、少人数学級の成果が上がっているところであります。今年度、小学校1年生に国の制度として35人以下学級が実施されたわけですが、その定数措置につきましては少人数加配から振りかえられたところで、少人数加配が減ぜられたところであります。今回、小学校2年生へ35人以下学級を実施するための定数改善に向けて文部科学省では国に概算要求しているところでありますけれども、この定数措置がどのように行われていくのか、これからの国の予算編成状況や、さらには定数改善計画の動向を踏まえながら慎重に検討してまいりたいと考えております。
〇高田一郎委員 少人数学級の問題ですけれども、先ほど教育長からは財政的な問題があってなかなか限界なんだというお話をされました。しかし、文部科学省の動きを見ますと、先ほど答弁ありましたように、新年度については2年生まで拡大する、そういう概算要求を行っているという報道もされております。これまで、国は1年生、岩手県はそれに上乗せした形で2年生までやっております。来年、国がそういう形で2年生まで拡大するとなるとさらに新たな財政負担というのはそんなにないわけで、3年生とかに引き上げる、そういう条件があるんじゃないかなと。財政的にもそんなに負担にならないことになると思うんですが、その辺についていかがでしょうか。
〇漆原首席経営指導主事兼小中学校人事課長 先ほどもお話を申し上げましたが、小学校2年生35人以下学級につきましては、今年度同様に大幅な定数改善がなされない場合もある、そういうことも予想されますので国の動向を注視しながら考えてまいりたいと思いますし、小学校3年生の拡充となりますと、小学校3年生、4年生の接続、連続を考えると、来年度小3が次年度の小4への拡充も保証していかなければなりませんので、国の定数改善計画の動向を十分見きわめながら岩手県の少人数教育のあり方について検討してまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 先ほど教育長は、財政的な関係で限界があるというお話をされましたけれども、国の文部科学省のそういう動きもありまして、そんなに財政負担にならないで私は対応できると思います。
 ただ、教育委員会としては、少人数学級に対する調査でも、大きな効果があるということが市町村教育委員会も、また学校関係者も、現場の方々の共通した声になっているわけです。ですから、教育長としては、財政的な問題ということで知事部局の方向を見るのではなくて、やっぱり現場の方々の声にこたえて、子供たちの成長、こういう立場で取り組んでいくべきだと思うんですけれども、その辺のことをひとつ教育長にお伺いしたいことと、あと、やっぱり国の姿勢といいますか、国に対する要求というものが一番大事だと思うんです。この間、政府は、小中学校で35人学級、小学校では1、2年を30人以下にするという少人数学級に向けた8年計画をつくりましたよね。ところが、財源問題を理由にして今回1年生のみになったということで、計画はあるんだけれどもさまざまな理由を挙げてそれが実現できないということで、こういった国の対応もただしていくといいますか、要求をしていくというか、こういうことが同時に大事になっていると思うんですが、この辺についてもあわせて教育長の考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇菅野教育長 子供たちによりよい教育環境を整えるというのは私どもの最大の務めでございます。したがいまして、こういった義務教育においては、基本となる制度については国においてしっかり措置していただくべきであろうと思っておりまして、35人以下学級についても現場から一定の効果があるという評価をいただいてございますので、そういった点が一刻も早く実現できるよう、私どももあらゆる機会を通じて国に訴えてまいりたいと思っております。
 また、先ほど小中学校人事課長が申し上げましたのは、私どもの1、2年生、中1で実施している少人数学級については国の加配措置を活用しながらやってきたと。ただ、今回、国において小学校1年生に35人以下学級を導入したわけでございますが、その加配措置を振りかえる格好で実施されたので、したがいまして、今後、国の定数改善計画等の動向をしっかり見きわめる必要があるという趣旨で申し上げたものでございます。
〇高田一郎委員 放射能問題について最後に一つお伺いいたします。木村委員の質問に私も同感なんです。そういう立場でお聞きしたいと思います。
 市町村については地上地点で測定しているけれども県の施設については必ずしもそうならないということ─除染の対象となるところですね、そうならないということなんですが、私は、市町村と同じような対応をぜひしていただきたいということでお伺いします。
 先ほど予備調査をしているというお話がありました。県の施設においては地表面を測定して、局所的に高いところについては50センチ、1メートルで調査をし、そして基準値を超えたところは除染の対象にするという話でした。この局所的に高いというのはどういうのを指すんですか。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 例えば校舎がございますとすれば校舎の周りぐるりを全部線量計を持って歩きまして、針の振れが出ますので、その針の振れを確認いたしましたところにマークを置きまして、再度そこを高くして線量をはかるという方法でございます。
   〔「よし」と呼ぶ者あり〕
〇高田一郎委員 よしという声もあるんですが、私はちょっと理解できないんですが、そうすると、地表面を測定するんですね。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 地表面の線量は反応させます。線量計の針の動きで確認しておりまして、例えばそこの線量をはかるとすれば、30秒なり何秒を何回か繰り返して正確な線量を出すものですので、それについては50センチの高さあるいは1メートルの高さではかりまして、国の基準に合わせて除染が必要な場所であるのかどうかを判定するという手順でございます。
〇熊谷泉副委員長 高田委員に申し上げますが、質疑が長時間に及んでおりますので、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇高田一郎委員 じゃ、一言。
 やっぱり国の基準に合わせた対応をするのではなくて、現在、県内市町村でやっている調査、除染に合わせるということが必要じゃないでしょうか。同じ県内に住んでいて県と市町村の対応が食い違っているということはやはり行政不信が出てくるんじゃないでしょうか。これについて質問して私の質問を終わります。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 現在、除染の目安として示されている数値につきましては、国から示されております1メートルあるいは50センチで1マイクロシーベルト毎時というものしかございません。例えば1センチ、5センチで何マイクロシーベルト毎時が出たときに除染しなさいという知見は私ども残念ながら持ち合わせてございませんので、国の指標で統一して運用させていただいているところでございます。
〇斉藤信委員 関連。今の放射線の測定の問題で、私は総括質疑でも取り上げたんですよ。岩手県の方針は変わっているんですよ。利用状況に応じて県も対応するというのが今の方針なんですよ。市町村は、盛岡市も奥州市も地上5センチ、一関市は1センチでやった。1センチでやったら91カ所ですよ、1マイクロシーベルトを超えたのは。そして、91施設、480カ所ですよ。圧倒的にホットスポットがふえたのですよ。
 県立学校、特別支援学校、利用状況からいったら市町村と同じようにやるべきじゃないですか。それが総務部長が答弁した中身じゃないですか。
 教育長に聞きましょう。県がかかわる教育施設は地上地点の測定をやらないのか、利用状況に応じてというのはどういうことなのか答えていただきたい。
〇菅野教育長 測定の実態及び現在の教育委員会の除染の考え方は先ほどスポーツ健康課総括課長から申し上げたとおりでございます。
 私どもとしては、やはりとにかく今、県立学校の子供たちに一刻も早く今より安心してもらえる状況をつくり出すことが大事だろうと思ってございまして、現在行っている対策─測定と除染─県南部の40校については完了したところでございますので、これから県北部に移ってまいります。県北部についても一刻も早く、現在25校で終えたところでございますので、まだ全部終わってございません。したがいまして、これを一刻も早くやってまいりたいと思っておりますし、ただこれは、一通り測定、除染が終わっても、これで終わりということではございません。引き続き今後、例えば落ち葉の堆積等ございますので、したがいまして、今後継続してすべての県立学校において測定、調査を行い、必要があればさらにまた除染措置を行う等、継続した取り組みをやってまいりたいと思っておりまして、したがいまして、そういった継続した取り組みを行うことによって、生徒もしくは御父兄の方々に安心を持っていただくことがまず今、喫緊の課題ではないかと思っております。
〇斉藤信委員 私の質問に答えていないんですよ。利用状況に応じて県も市町村に準じてやるというのが総括質疑での総務部長の答弁でした。今、二重基準になっているんですよ。市町村は地上地点でやって、それも除染の対象にしていると。地上地点でやったらホットスポットが圧倒的にふえたというのが一関市の実態ですよ。
 平藤総括課長に聞くけれども、50センチ、1メートルをはかるときに地上地点もはかったのかどうか。はっきり答えてくださいよ。地上地点もはかった上で50センチ、1メートルを公表して除染の対象にしているのか。
 私は、市町村は地上もやって除染の対象にしているが県はそうではないという、この二重基準では県民の理解は得られないと思いますよ。同じ基準でやるべきじゃないですか、県内は。県のほうがおくれているのですよ。これだったら、県は何でそんなに腰が引けているんだということになるんじゃないですか。これは改めて教育長にお聞きしたい。
〇菅野教育長 先ほどの答弁を繰り返すようで申しわけございませんが、継続した取り組みをしっかりやって、今回がこれで終わりということではございませんので、そういった取り組みをやることによって、生徒、それから御父兄の方々に安心感を持っていただくことが大事だろうと思ってございます。
 また、市町村におきまして実態に応じて、今、委員から御指摘のありましたとおり、市町村によっては5センチで測定し、そこを除染の対象にしたり、10センチで測定してそこを除染対象にしている市町村があることは承知してございます。一方で、そうやって行ったことに対しまして県で一定の支援を行うこととしてございますが、逆にそういった場合には支援をしないということのほうが県と市町村の関係で、市町村の実態に応じてやっていただいたことについて県が一切支援しないということは問題であろうということで支援することとしたと思っておりまして、そういった意味では、市町村の実態に応じて、極力市町村と一緒になって県民の方々の安心を守っていくという県としての姿勢を示し得たものではないかと思っております。
〇平藤首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長 局所的に放射線量が高い地点の絞り込みをするために地表面をはかっておりますが、これにつきましては時定数が3秒といいまして、3秒はかって振れるレベルかどうかということを確認いたしまして、それを上に上げて10秒の時定数で正確にはかるということをしておりますので、高いところで振れているという状況は確認できますが、その数値が正確かどうかということについては公表できるものではないと認識してございます。
〇斉藤信委員 総務部長はいわば利用状況に応じて県もそういう調査をするんだと、市町村に準じてやるんだと言ったけれども、結局、県教委は今の段階ではやらないと、こういうことですね。
 平藤総括課長、3秒だけやったというのはやったことにならない、そんなことは。やったことにならないんですよ。せっかく市町村がそういう形で、これはもう本当に子供たちの安全、父兄の安心感、こういう形で少なくない市町村がやっていますよ。滝沢村もやっていますよ。そういうときに、もう7カ月過ぎているんですよ、これから継続的にやりますなんて、そんな悠長な対応だから県民の理解を得られないんですよ。最後にそこだけ聞いて終わります。
〇菅野教育長 先ほど測定方法については申し上げましたので、50センチ、1メートルのところで一定の測定方法に基づきはかっていただいて、そこを除染の対象に現状はしているということでございます。したがいまして、今後、国の知見等もいろいろ変わってくると存じます。残念ながら私どもで国の知見が誤っているという科学的根拠を持ち合わせているわけではございませんので、したがいまして、そういった統一的な国の基準に基づいて、必要があれば見直す等、県民の方々に安心を持っていただけるような取り組みを今後ともしっかりやっていきたいと思っております。
〇及川あつし委員 私も放射能の件、いろいろお話ししたいことはあるんですが、改めてまとめてやります。
 通告していた内容をちょっと順番を変えまして、先に被災地からの高校生の入学、転校について、次に教員住宅の関係、最後に教育委員会制度という順番に変えさせていただきたいと存じます。よろしくお願いします。
 まず、被災地からの高校生の件でありますが、一般入試が3月11日の前に行われて、入学選抜の事務をやっていた中で3月11日の震災を受けたということであります。入試の当日も、今思えばあれが大地震の余震だったのかなと思うとぞっとするわけですが、その後、県教委では、県立高校の選抜について、被災地からの子供の入試について特別な措置というか柔軟な対応をされたと私も理解しておりますが、どういう対応を平成23年度の入学生について行ったのか。内陸部に改めて入試を受け直した子供たちも相当数いたと思いますが、どの程度の人数がいてどういう対応をとったのかまず伺いたいと思います。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 本年度の入試につきましては、入試直後の震災でありましたので、まず合格発表をおくらせ、さらに再募集の期間も長くし、受験生が受験機会を失うことのないように配慮いたしました。そこで受験できなかった生徒はいないものと把握しております。
 それから次に、被災した生徒に対する配慮でありますが、教科書や学用品等の無償配布を行いました。また、奨学金等の借り入れ等についても学校等に周知徹底いたしました。学校によっては、制服の配布や、すべての学校で修学旅行が実施できるよう、NPOとタイアップしながら一緒に考えてまいりました。修学旅行につきましては、修学旅行に行けない生徒等はいないものと把握しております。
〇及川あつし委員 わかりました。再募集等で柔軟な対応をして平成23年度入学の子供については何とかかんとか乗り切ったのかなという感じで認識しております。
 あと、福島県などの子供も含めて県立高校に転校の希望者が相当いて、これも大分柔軟な対応をしたと理解しておりますけれども、被災地─福島県も含めた転校生について県立高校でどういう対応をとってどういう状況になっているのか、その点についてもあわせてお知らせ願います。
〇高橋首席指導主事兼高校教育課長 被災地の転校生でございますけれども、県外からは19名の転校生がございました。それから、県内では56名の転校生がありまして、今、何人かはまたもとのところに帰るとかちょっと移動しておりますけれども、合わせて約70名ぐらいが現在も県内に転校しているという状況になっていると思います。
 転校に関しましては、文部科学省より被災した生徒の修学機会の確保を優先するようにとの通知がありましたので、県内の公立高校への転学につきましては、当該生徒、保護者、関係職員の負担をできるだけ軽くするよう転校の試験等をなくしまして、本人、保護者の希望を尊重しながら、県教委を通して各学校との調整を図ってまいりました。
 来年度でございますけれども、来年度の入試につきましては、特に県外に転学した生徒が本県を受験した場合は、他県に住所を移している場合においても、生徒の保護者の希望を尊重し、受験ができるように配慮してまいりたいと考えております。従来でありますと住所を移してありますといろいろな支障がございましたけれども、本来は本県の生徒であるということにかんがみまして、受験には柔軟に配慮してまいりたいと思っております。
 また、他県から本県に転学し、受験したい場合の生徒についても、同様に生徒、保護者の希望を十分尊重して考えてまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 わかりました。私が伺っている中では70名ぐらい子供さんがいるので、100%すばらしいベストマッチができたとは思いませんけれども、その学校と学力の関係でいろいろあるとかも聞きました。ただ、緊急避難的にこういう措置でやられたのは私は了としたいと思っておりますが、今、答弁で出ましたが、平成24年度の対応ということですけれども、居住地の件については柔軟に対応する、ここはいいと思うんですけれども、選考するに当たって学区の問題がありますよね。特に盛岡市の学区の定数の中で被災地からの子供さんをどういう位置づけをするのかという問題。
 あとは、入試の中で、選考の枠というんですか、そこについて特別なことを考えているのかどうかというのが2点目。
 三つ目は、結果として70名余り特別に受け入れた関係もあって、そもそもの学校の定数を上回っている状況だと思うんです。これについていいとか悪いということではなくて、これから何年かかけてこういうことが起きてくると思いますので、各校の定数については基本的にどう考えているのか。当面、被災地の住居の問題とか復旧、復興の状態とかも含めて、希望の多い県立高校の定数についても何か検討しているのか。その点についても、そろそろ今、3年生の親御さんたちは入試を気にしてきている時期でありますので、ちまたの話題にもなっておりますのであえてお伺いしたいと思います。
〇上田高校改革課長 お尋ねが幾つかございましたけれども、まず、学区の取り扱いについてお話し申し上げます。
 従来でございますと、普通科に関しましては原則として定員の10%学区外を認めるというのが一般的な取り扱いとなっておりますが、こういった特殊な事情のある子供たちにつきましては例外措置ということで、もちろん事情等はお伺いいたしますけれども、そこの10%から除く全く別の取り扱いにしたいと考えております。
 それから、今後におけます学校あるいは学科の定数のお話でございますが、本来でございますと、いろいろ御説明申し上げましたとおり新しい高校の整備計画を本年度策定の予定でございましたが、このような情勢でございますので、ことしは策定を行わないということで決めさせていただいたところでございます。
 今の時点でいつ策定をするということを申し上げられる状況ではございませんけれども、そこでの策定に向けた検討の中で、あわせて、例えば定数なり、あるいは学級数のあり方について検討させていただきたいと存じます。
〇及川あつし委員 まだ明確にお答えできる状況じゃないと思うんですが、いずれ、平成23年度の新入生、転校生のみならず、来年から、何年続くのかわかりませんけれども、かなり今までと違う状況があると思いますので、当然に被災地から内陸部に入学を希望する子供さんたちに特別な配慮をしていただきたいのと、それに伴う影響については当該学区にもしかるべき説明をぜひお願いしたいという趣旨でありますので、よろしくお願いします。
 就学の支援の内容については、先ほど質疑がありましたので、継続してしっかりまた働きかけもお願いしたいと思います。
 2点目は、きょうも一部、先生方が沿岸被災地においてどこに住むのかという話が嵯峨委員などから議論がありましたので、それにも関連してお伺いしたいと思います。
 まず、教員の住宅公舎についてでありますが、今回、未利用資産の関係をずっと私が精査しておりましたら、県立高校の校長先生たちには教員住宅というのがあるんだなということを気づかせてもらいましたし、あとはいろいろなところに先生方のための公舎というのも相当あるんだなと思いました。
 その中で、そもそも論でちょっとお伺いしたいのは、教員用の住宅については、まずその財産を取得するに当たってどのような趣旨と目的と原則があったのか、そういったものに関する方針、計画等があれば時期も含めてお知らせいただきたいと思います。
〇小倉学校施設課長 教職員住宅の整備の趣旨、目的、原則でございますけれども、教職員住宅につきましては、教職員の生活の安定を図ることにより職務の能率的な遂行を助長し、学校教育の円滑な運営に資することを目的に整備をしてきたものでございます。本県は県土が広大であるということ、あるいは交通ネットワークの状況等から自宅から通勤できない教職員が多いということを踏まえまして、各学校や各地区の教職員数あるいは入居動向等に基づきまして計画的に整備、配置を行ってきたところでございます。
 計画の関係でございますけれども、教職員住宅の整備計画につきましては、教育委員会におきまして、平成17年度に、平成18年度から平成22年度までの5カ年計画となります第5次教職員公舎整備計画を策定いたしまして、現有公舎の活用と、老朽化等により今後の利用が見込めない公舎の用途廃止に主眼を置いて取り組んでいるところでございます。
〇及川あつし委員 平成25年までの整備計画があるというのを今初めてお伺いしました。
 そこでお尋ねしたいのは、私も問題意識を持ってからいろいろヒアリングをしてみたんですが、交通事情の悪い地域については、先生方のしかるべき住居を取得して、そして先生方に住んでもらって子供たちのために頑張ってもらうというのは当然のことだと思いますし、今、沿岸の被災地においては、住むところすらどうするか、きょうも質疑があったわけですが、そこについても可及的速やかに対応していかなければいけないという一方の状況がある。
 片や、中身を調べていくと、例えば今回、3校の校長先生の公舎が売却対象になっていたかと思うのですが、その他の教員用の住宅公舎についても何年も住んでいないというところがいっぱいあるようでございます。それについては、理由をちょっと聞いていきますと、整備はしてきたと思うんですけれどもメンテナンスがほとんどできていない。カビ臭くてとても住めないというところがかなりあって、ただただ保有しているというところがかなりあると承知しております。これについてどういう認識であるのかということをお伺いしたいと思いますし、本来的に使うために取得しているわけでありますので、例えば盛岡市とかで教員用の住宅を取得してここに必ず住めよということが本当に適正なのかどうか。逆に民間の住宅を借り上げてそこにしっかり住んでもらうほうが私は結果として費用対効果が高いんじゃないかと思いますし、どうも先生方も、あるんだけれども住みたくないし、住みたくないんだけれどもそれも余り言っちゃいけないしというような悪い堂々めぐりがあるようでありますので、この点については、はっきりと要らないものはもう処分して、そして必要なものは取得するし環境がいいところについては民間の賃貸でやっていく、そして必要ない財産は処分していくという方針も必要かと思うのですが、所見も含めてお伺いいたします。
〇小倉学校施設課長 まず、公舎の状況ということでございますけれども、先ほどもお答えいたしましたとおり、公舎につきましては現有公舎をまず活用すると。老朽化が進んでいる公舎について、今後の活用が見込めない公舎については用途廃止を行うということをまず基本にやってきております。
 公舎の老朽化の状況でございますが、建築から30年以上を経過した建物は現在689戸ございまして、これは全教職員住宅公舎の67.8%を占めているところでございます。
 それと、盛岡地域の入居の状況ということだと思いますけれども、盛岡地区の教職員がどういうところに住んでいるかということで、割合で申し上げますと、公舎に入居している方が9.3%、民間のアパート等に入居している方が26.9%、自宅から通勤されている方が63.6%、残りはその他ということになりますが、全県で申し上げますと、公舎に入居している方が15.3%、民間アパート等に入居されている方が31.8%、自宅が52.6%という形になっておりまして、民間のアパート等が数多くある盛岡地区においてもっと率が高いのかなという感じもしたんですが、むしろ自宅から通っている教職員の数が多いという状況になってございます。
 申しおくれましたが、これはことしの6月1日現在の状況でございます。
〇及川あつし委員 それぞれの財産がどういった環境なのかこれから時間をかけて見ていこうと思っているんですけれども、周辺からの目でも、何でここはいつも空き家になっているんだというふうに見られているところも多々あるようでありますので早目の対応をお願いしたいと思いますし、今、御答弁あったように、30年超の建物が689もあるんですか。こんなに多いのかと改めて思いましたけれども、多分今までの経費の節減という話でリフォームに関してはほとんど手がついていないんじゃないかと思いますので、めり張りをつけて取り組みをしていただきたいという趣旨でありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 3点目、これは菅野教育長とのやりとりのみになると思いますので、お願いします。
 昨年から議会の同意人事のあり方ということで一部改善をして、教育委員の議会同意に当たってあらかじめ議運の場で教育委員の選任について質疑を交わすことになって、これまで3人に係って質疑を交わしてまいりました。その際ずっと問題意識として持っておりましたので、本日、菅野教育長にもその認識を改めて問うてみたいという趣旨であります。
 まず、教育委員会制度でありますけれども、申すまでもなく教育委員会というのは、諸規定にありますとおり、重要事項を決定すること、そして基本方針を決定すること、それをレイマンコントロールの体制下で合議制で教育委員が決めていく。そこで決定した事項を、教育長が事務の長として、あとは専門的な教育委員会の皆さんを指揮監督、命令していくという一応制度上の建前にはなっているということであります。
 建前と現実というのはえてして違うものでありまして、教育委員会制度についても、民主党も政権公約で教育委員会制度については変えるということを言っておりますが、なかなか議論になっていませんのでそういうふうにはすぐいかないのかなという感じはしておりますが、いずれ現行制度においても本来の趣旨を生かした運用というのが必要なんじゃないかと実は思っております。つまり、制度上規定されている本来的な任務と現状についてということで伺いたいと思います。
 議事録を、ずっと議運の質疑の関係もあって私も見てまいりましたけれども、教育委員会については、いわゆる定例会というのがあったりとか現場に行ったり、いろいろな業務を年間100日以上やっているというのもこれまで質疑で明らかにされておりますけれども、定例会の内容を見る限り、制度で規定されている教育委員会じゃないんじゃないかなといつも私は思います。
 つまり、教育委員会の事務局の皆さんが報告を出したり議案を出したりして教育委員の皆さんが短時間で議論をしてそれの是非について議決する。ほぼ賛成ということでずっと来ておりますけれども、重要事項の決定、これについては本来任務ですからそうなんだろうなと思うんですけれども、じゃ、基本方針というのはいつどこで議論をして、だれが出しているんだというのが全く見えないんです。ですから、いわば今の教育委員というのは議会みたいなもので、執行当局が教育委員会の事務局の皆さんで、それに対して教育委員の皆さんが議案を審議しているだけと。それというのは、本来の教育委員会の制度のそもそも論からいうと足りないんじゃないかなというような気がいたしておりますが、菅野教育長は教育委員でもありますので、制度のそもそも本来規定している任務と現状の教育委員会の運用の実態についてどのように認識していますか。
〇菅野教育長 教育委員会制度の目的は今、委員からお話のあったところでございまして、教育委員が基本的な方向性を定めつつ、それを事務局がその方針に基づいて日常的な業務を執行していくと。委員からお話のありましたとおり、一番大きいのは、例えば来年度の教育委員会をいつして、こういう方向性にしようと。毎年、議会で教育委員長が演述を申し上げているわけでございますが、ここが最も来年度の教育委員会の方針に係る部分だろうと思います。
 そういったものの策定に当たりましては、大変恐縮でございますが、やはり原案はある程度事務局でつくらせていただきます、こういうふうな格好でいかがでしょうかということで。そして、教育委員の皆様に教育委員会の協議会、これは別途、教育委員会議とは別に毎月1回ずつ開いてございますので、そういった機会に応じていろいろそこの中で御議論をいただいて、いや、ここが足りないとか、いや、ここはこうすべきだとか、そういう御意見をいただいてさらにまた事務局がまとめ上げ、さらに最終的には、教育委員長演述の場合は委員長にお見せして委員長の御了解をいただくという手続もございますし、あとは、来年度の教育委員会の業務方針、これも毎年お出ししているわけでございますが、それも同じようなプロセスをたどりながら、最後は教育委員会議で議決をいただくという格好にしてございます。
 ただ、確かに、やはり教育委員の皆様方、それぞれもと義務教育の先生、高等学校の先生、それから民間の方々といろいろな知見を持っていらっしゃいます。そういった方々、いわゆるレイマンコントロールとして、教育行政の専門家だけではなくて一般県民の視点をよりそこに取り入れていくという視点も非常に大事だろうと思ってございますので、私ども事務局を預かる身といたしましては、そういった委員さんの知見、識見がより以上に県の教育行政に発揮できるよう、私どもとしてサポートを全力を尽くしてまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 なぜ私、今回これを取り上げたかというと、質疑を交わしてきてからの疑問がずっとあったということと、今回、3月11日の震災による本当に未曾有の被害を受けて社会状況がどんどん変わっていますよね。これに対して、一方で教育委員会というのはどうしても中長期的な継続性を求める組織ですから、こういう基本的に持っている教育委員会事務局の体質と、今の社会状況が変わるという中でどうやって今のニーズにこたえるかといったときには、やっぱり教育委員の皆さんが機動的に、今この問題だろうと。じゃ、この問題をどうするんだということをフリーディスカッションしながら、事務局に対して逆にこの課題についてはどうなっているんだと問うような場面がもっとなければだめなんじゃないかという意味です。
 特に震災後の─会議録しか我々見られませんからあれですが、会議録を見る限りでは、世の中で議論されていて問題意識を持っているものと、教育委員会の中で議論されているものにどうも整合性を感じないんですよね。なぜこの問題を今議論していないのと。当然議案中心の議論はやっているんだと思いますけれども、レイマンコントロールとして、教育の専門家、いろいろな知識を持っている人が教育委員に我々も同意をしてお任せしている部分があるわけですから、もっとリーダーシップとかもっと積極的に問題に対して教育委員から事務局に対して投げかける機会をつくってもいいんじゃないかと。そういう機会があれば、きょう出たようないろいろな議論、放射能の測定、除染の関係とか給食の安全性の確保とか、これというのは教育委員から先にこの課題はどうなんだというのをもっと出してやってほしいという意味ですが、この点については菅野教育長はどうお思いでしょうか。
〇菅野教育長 今回の震災津波の発災に際しましては、随分教育委員の方々、特に委員長には全被災地を訪問していただきまして現地の状況をつぶさに見ていただきました。そういったところから感じ取っていただいたことを私どもに日常的にもお話しいただいています。
 ただ、やはり今、委員からお話のありましたとおり、より教育委員の活動が目に見える格好で、県民の方々にわかるような格好で行う必要があるということについては、私どもサポートする立場の事務局といたしましては、そういった考え方を踏まえまして、より教育委員会の各委員のサポート、支援、そういったものについて全力を尽くしてまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 最後にします。
 我々も議会で同意人事で議決をしてきているという責務がありますので、しっかりと注視しながら活躍に期待したいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
〇佐々木茂光委員 私からは、今、皆さんからいろいろと質疑があったようでございますので、3点ほど質問させていただきたいと思います。
 まず、今回は3月11日の被災以来、教育環境、学校の施設も随分変わったわけでありますが、その中で、小学校、中学校のグラウンドが仮設住宅の設置に─いち早く住宅を提供するという意味でそういう場所を選んだのだとは思いますが、今、実際どのぐらいの学校がそういうふうな仮設住宅の場所になっているんでしょうか。
〇小倉学校施設課長 学校のグラウンドに仮設住宅が建設されている学校数でございますが、小学校が20校、中学校が11校となっております。
〇佐々木茂光委員 そういった状況がいつまで続くんでしょうか。
〇小倉学校施設課長 仮設住宅が建設されております学校の教育環境の復旧ということだと思いますが、その時期でございますけれども、被災前の状態に戻るまでには相当の期間が必要であろうと思っております。
 その仮設住宅が設置されているなどのために校庭が使えない学校におきましては、近隣の体育館を借用しているという事例もございますし、学校用地のあいているスペースを活用しているという事例がございまして、いずれにいたしましても、子供たちの心身両面からのサポートというものが重要であろうと認識いたしております。
〇佐々木茂光委員 今言われたように、まさに心身の両立というか心と体のバランスをとらせる意味では、そうでなくても結構子供たちというのはストレスがたまっている状態で、まるっきり思いっ切り走ることもできない、暴れることもできない、やっぱりそういうのをきちんと取り込まないと、もちろん勉強にも身が入っていかないような気がするんです。ですから、いつになるかわからないようなお話では、例えば、近隣のと言っても、かなり移動するのに時間がかかるわけです。そういったところを含め、例えば近くにどこか野山を崩して、早々にとりあえずグラウンドじゃなくても走れるスペースぐらいとるとか、そういうものにもっと積極的に取り組むべきじゃないかと思うんですが、そういう考えは持ち得ていないんでしょうか。
〇小倉学校施設課長 グラウンドの確保ということで、学校設置者は市町村でございますので、要はまちづくりでありますとかいろいろな要素があるんだと思います。そういった中で、総合的にといいますか、いろいろな事情を考慮する中で解決していくべき部分が非常に多いんじゃないかと思っています。私ども、学校の施設整備でもそうですが、市町村の意向あるいは現状というものを十分に踏まえてその整備を進めていこうということで今取り組んでおりますので、そういったような部分につきましても情報等を共有しながらやっていくべきなのかなと感じております。
〇佐々木茂光委員 ですから、市町村の取り組み方というのはもちろんわかるんです。場所をどういう場所にする、こういう場所にすると。もちろん市町村の考えも当然まちづくりの中に含めて考えていくというのはわかるんですが、子供たちというのは、ある意味自分たちからそういうことってはっきり言って言えないですよね。学校の教育者の人たちも、子供たちのそういう不都合な面を承知していても、学校、教育行政というもののとらえ方をすると、地域から県教委に届けるというのもかなり時間があると思うんです。
 私が言っているのは、こういう事態だからこそ、県の児童生徒を含めて、教育の場で県のほうから、そういうものは強く自分たちから動いていってほしいと思うんです。市町村は、被災地であるがゆえに待ちの姿勢なんです。待ちの姿勢というのは、自分たちはこういうふうにしたいと思ってもそれすらつくり得ない状況に今あるということです。だから、子供たちの教育を考えたときに、必ずしもそれは正常じゃないんだと。だから、何とか解決する方法を逆に市町村で考えたほうがいいんじゃないかという強い、自分たちから、みずから、県教委からそういう動きに対して後押しをするような動きをとるべきじゃないかという考えなんですが、私の考えていることとまるっきり逆ですよね。下から上がってきたものに対しては、私たちはそれに一緒になって相談をしますよと言うのではなく、私が言っているのは、皆さんから、どうだと、こういうふうにやっていくかというふうな話が必要だと思っているんですが、その辺の考えはいかがでしょうか。だれか。
〇菅野教育長 被災地の置かれている状況を見て、しかもそこにいる子供たちのことを考えたときに県教委として何ができるのかと。それは市町村でいろいろ悩まれていることが多々あります。こういうことをやろうとしても本当に財政上大丈夫なんだろうか、国の補助をもらえるんだろうかと。それが立ち行かなければ、これを町長部局に要求したところでなかなかうまくいかないだろう、そういういろいろな悩みを抱えていらっしゃいます。
 私どもとしても、待ちの姿勢ということではなくて、各教育事務所に私どもから派遣しております指導主事もおりますし、それから市町村にそれぞれの指導主事も駐在しております。そういったところで、各教育事務所を通じて、それぞれの市町村が学校の状況、市町村の状況をよくよく把握しながら、こういった方策が考えられるのではないか、それは文部科学省とも十分調整をした上で、市町村ともども一緒になって考えていくという姿勢で私どもとしても臨んでまいりたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 その取り組みはわかるんですけれども、ある意味時間がたっていくんですね。子供たちだって小学校は6年間でしょう。中学生だって3年間ですね。どうするかなと思っているうちにもう3年はただたってしまうんですよね。だから、そういうふうな考えを早く起こさせるという意味でも、よし、じゃ、この際だから山を崩すべとか、─極論から言えばですよ、そういうふうな現実的なものに踏み込んでいただきたい。じゃ、それに対する金をどうするのかという議論になると、結局、山を崩すこともできないし山を削ることもできないで終わってしまう。そうやっているうちに3年、5年たつんですよね。
 だから、この震災から早く子供たちに立ち上がらせる意味でも、やはり県のほうから強く動いてもらえないのかというのが私のそういった思いなんですけれども、それはいいです。考えていただければいい。やはり待ちの姿勢では絶対に子供たちは起き上がれないですよ。
 実際、グラウンドで遊ぶことがないから、仮設住宅の水の周りで遊んでいるんですよね。水たまりができてしまって。そこで横になって転がって遊んでいるんですよ。正常でないことは確かなんだけれども、今まで子供たちも逆にそういうところで泥んこ遊びをすることがなかったから、ある意味いい機会を得たのかなと私も黙って見ているんですけれどもね。
 あとは家庭の中に帰って、子供たちの発散というのか、そういうのがちょっと聞こえてきたりするんです。すべてそれが校庭、グラウンドで思いっ切り体を使わないからそういうのが見えてきたというのに必ずしもこれは結びついているものではないとは思いますけれども、やはりそういうところも考えて、早くとにかくそういう状況、環境を改善してやるという動きはぜひ強く望みたいと思います。
 それから、被災されて、隣の小学校に学校ごと一緒に行って、同じ校舎の中で二つの小学校があったり中学校があったりしている状況があると思うんですが、その辺はどのようにとらえているんでしょうか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 一つの学校に複数の学校が同居しているという状況についてでございますが、現在、小中学校においてほかの施設を使用している学校は小学校で14校、中学校で8校ありますが、受け入れている側の学校も含めますと小学校21校、中学校9校ということになります。
 現在、この被災した小中学校につきましては、各市町村において、それぞれの校舎のあり方とか次の段階とか、よりよい学習環境の一刻も早い整備を進めるということで県と一緒にさまざまな検討を重ねているところでございます。
〇佐々木茂光委員 今、校庭の話もちょっと出したんですけれども、やはり生徒も2組、先生も2組、当然なんですよね、これは。一つ屋根で二つの学校がやるわけですけれども、教室もたまたまあいているからということでそういう取り組みをされているんですが、学校としての、子供たちを教育していく上での学校の方針というものを必ずそれぞれ学校に持ち得ていると思うんです、特色ある学校ということで。2校がたまたま同じような方向を向いて学校教育に、時間のカリキュラムというんですか、そういう時間的な割りつけなんかもいろいろ学校の特徴の中に入っていくかと思うんですが、その辺の不都合というのは出てくるということはないんですか。
〇多田首席指導主事兼義務教育課長 先ほどの学校数、一緒に教育活動を行っている学校についてですけれども、一つの学校に二つの学校が入っている場合の学校経営については、例えばそれぞれ授業を一緒に合同で行う学校もありますし、校舎がたまたま北校舎、南校舎と分かれて、それぞれ空き教室等もフルに活用しながら、そういうふうに分かれてそれぞれの経営で務めている学校、さまざまな状況にございます。それぞれの実態に応じながら、7カ月過ぎておるところでございますが、工夫を重ねながら、それぞれ学校─校長も含めて教員同士懸命に子供たちのために教育活動に全力を挙げているところでございます。
 特に不都合ということではこちらでは把握しておりません。
〇熊谷泉副委員長 佐々木委員に申し上げますが、決算審査であることの趣旨を踏まえ、簡潔明瞭にお願いいたします。
〇佐々木茂光委員 3時過ぎたから恐らくそういうふうに言ったかと思いますけれども、あと1点だけ。
 だから、その不都合感というのは先生たちはわからないというか、要は子供たちなんですね、不都合感というのは。そういうところを、やっぱり目を見張るところに見張っていかないと、子供たちはそういう状況にあるからといって我慢するところはもちろん我慢しているはずなんです、あらゆる面で。それが大人の社会と子供たちの社会の違いなんです。子供たちは、この震災というのはある意味ずっとしょっていかなければならないことなんです。その間に、自分たちが小学校のときはこうだったなと、ある意味いろいろな思い出がその中に詰まることももちろんあります。それが将来的に生きてくることもいっぱいあるんです。ただ、今の目線の中で子供たちの生活のなりわいをとらえているようでは、やっぱり子供たちだって本当にいい思い出よりも悪い気持ちにしかなっていかない気がする。
 ある意味もっともっと現場から子供たちにささっていって、子供たちというのはよっぽどでない限り口をあかないと思うんです、つらいことというのはみんな伏せているから。家に持ち帰っている。家に持ち帰って、言葉で出せないから体で暴れまくるわけ。だから、子供たちの教育の環境をよりよくしていくためには、そういう見えない部分を拾い上げていくという気持ちになって教育に当たっていただきたい。そういうふうに思いますけれども、その辺の所感がありましたら。
〇菅野教育長 今、委員から御指摘があったことは非常に大事なことだろうと思ってございます。私どもも、先ほど委員から御紹介ありました、子供さんを対象としたアンケート調査、これは心の健康調査とも言っていますが、そういったことをやろうとしているのもやっぱりそれが一つの考え方でございます。
 現実的に見える子供は心の中にずっとそれを閉じ込めておきがちだと。そういったところをいろいろな感情から推測して、それに対して一つ一つ手を早く打っていかないと、それこそあと何年かたったときに子供が非常につらい思いをしてくる、そういう思いもございます。
 したがいまして、そういった調査を継続しつつ、子供たちの状況をよりよく一人一人見ながら、その子供たちにとってどういう対応が一番いいのかを学校施設の環境整備も含めて一人一人に着目しながら私どもとして市町村ともども努力してまいりたいと思っております。
〇佐々木茂光委員 十五の春という言葉があるように、あすあす受験を控えている中学生がいるわけです。この被災を機に、ある意味いろいろな面でこれからの将来を、自分の不安、それから家族環境の不安、いろいろなものを持って高校受験というものに対して消極的になっているような子供もいると私にも聞こえてきたりするもので、やはりこういうときには絶対そういうことで教育の環境を奪われることのないように、大人の立場からそういうところにも、とにかく受験しろとか学校にちゃんと行けよというような、そういうのも教育の場から子供たちに対して将来的にも発していただきたい、それをまず強く望んで終わりにします。
〇熊谷泉副委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇熊谷泉副委員長 質疑がないようでありますので、教育委員会関係の質疑をこれで終わります。
 教育委員会の皆様は退席されて結構です。御苦労さまでした。
 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩をいたします。
   午後3時6分 休 憩
午後3時32分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 次に、警察本部長に警察本部関係の説明を求めます。
〇樹下警察本部長 平成22年度の警察本部関係の決算について御審議いただくに当たり、まず、東日本大震災津波に伴う警察の取り組みについて御説明申し上げます。
 県警察では、このたびの東日本大震災津波に当たり、発生直後から、被災者の避難誘導や救出救助を初め、行方不明者の捜索、御遺体の身元確認及び御遺族への引き渡しなどの活動のほか、被災地域における安心・安全の確保のためのパトロール活動や交通安全の確保のための交通対策等について、全国警察からの応援を得て強力に推進してきたところであります。
 これまでのところ、被災地では一応の落ち着きを取り戻しつつあるものの、いまだ1、400人以上の方が行方不明となっていることから、引き続き行方不明者の捜索活動を行うとともに、御遺体の身元確認を徹底してまいりたいと考えております。
 また、被災された方々の生活環境も大きく変化してきており、被災地の状況に応じた治安対策が必要であると考えております。県警察といたしましては、仮設住宅の巡回や夜間における警戒活動など被災地の変化に的確に対応した所要の活動を推進し、被災地における安全・安心の確保に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、警察業務の推進状況について御説明申し上げます。
 県警察では、平成18年12月に平成22年度までを目途に、緊急かつ重点的に取り組むべき各種施策を取りまとめた岩手県警察総合治安対策プログラムを策定したところであり、平成22年度も引き続き本プログラムに掲げる7項目、安全・安心なまちづくりの推進、少年非行防止対策の推進、悪質、重要犯罪の検挙対策の推進、交通事故抑止対策の推進、テロ対策の推進、災害対策の推進、治安基盤の強化を柱に、組織の総力を挙げて取り組んだところであります。
 その結果、平成22年の刑法犯の認知件数は7、400件と平成21年の戦後最少記録でありました8、240件を大幅に更新しましたほか、刑法犯の検挙率につきましては53.9%と前年比で9.9ポイントの増となったところであります。
 次に、交通事故の発生状況を見ますと、平成22年の交通事故の死者数は67人で前年比14人の減少となったところであります。長期的に見ましても、交通事故の死者数は、平成14年から減少傾向となっており、特に、平成18年以降は、2けた台で推移しております。
 また、平成22年の交通事故の負傷者数でございますけれども、5、125人で、前年比278人の減少で、7年連続の減少となっております。
 このように、治安情勢は一定の落ち着きを見せておりますけれども、殺人などの県民が不安に感じる凶悪犯罪が依然として発生しているほか、交通事故死者数に占める高齢者の割合が高いなど、県民が安全・安心を実感するまでには至っていないものと認識しております。
 こうした中、平成23年の県の施策に関する県民意識調査の結果によりますと、交通事故の少ない社会づくりや犯罪への不安が少ない社会づくりが重要度の上位にランクされていることから、県民は、良好な治安の維持を強く望んでいるものと思われます。
 県警察といたしましては、こうした諸情勢を踏まえ、自治体や関係機関を初めとして、県民の皆様と連携した総合的な治安対策を推進し、県民が安全・安心を実感できる地域社会の実現を目指し、今後とも組織の総力を挙げて取り組んでまいります。
 続きまして、平成22年度警察本部関係の決算について御説明申し上げます。お手元の平成22年度岩手県歳入歳出決算書の14ページをお開き願います。第9款警察費の歳出予算現額は290億1、388万円余で、これに対する支出済額は280億8、276万円余で、執行率は約96.8%であります。支出済額は、前年度に比べますと2億7、696万円余、約1%の減となっております。
 なお、翌年度繰越額の合計額は4億4、970万円余となっております。これは、平成23年2月県議会で議決されました警察署電気設備改修工事、交通安全施設整備などの明許繰り越しに係る事業費並びに平成23年6月県議会に御報告しております東日本大震災津波の影響により納入や施工におくれが生じ、翌年度に繰り越された事故繰越に係る事業費が主なものでございます。
 不用額は4億8、141万円余となっております。その主なものは、東日本大震災津波により被災した警察庁舎の復旧工事を優先する必要が生じたため、急遽、警察本部庁舎空調設備改修工事などを休止したことによる工事請負費の残、東日本大震災津波の発生により、年度末の人事異動が延期されたことによる旅費の残、退職手当、宿直手当等の実績が見込みより下回ったことによる職員手当等の残などであります。
 次に、一般会計決算の内容につきまして、平成22年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、金額の読み上げは省略させていただき、主な事業を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 決算事項別明細書の322ページをお開き願います。第9款警察費第1項警察管理費第1目公安委員会費は、公安委員3名の委員報酬及び活動経費であります。第2目警察本部費は、警察職員の給料、職員手当などの給与費が主なものであります。警察費の決算額に占める給与費等人件費の割合は約78%となっております。平成22年度における警察官定数は2、112人、警察官以外の職員の定数は319人であります。その他非常勤として交番相談員29人、警察安全相談員13人などの職員が勤務しております。次に、324ページをお開き願います。第3目装備費は、犯罪捜査や災害対策などに対応するための警察装備の経費で、警察車両の購入や、車両、警備船、航空機などの維持管理費が主なものであります。第4目警察施設費は、治安の基盤をなす警察署、交番・駐在所などの警察施設の整備や維持管理などに要した経費であります。この中には、平成21年度から2カ年事業で進めてきた二戸警察署の移転新築工事費、警察本部庁舎の外壁、防災設備、非常用発電設備及び非常用昇降設備等の改修工事費、盛岡東警察署松園交番、江刺警察署愛宕駐在所、千厩警察署黄海駐在所、大船渡警察署広田駐在所、久慈警察署大川目駐在所の新築工事費などが含まれております。第5目運転免許費は、自動車運転免許試験、免許更新、行政処分などに要した経費であります。次に、326ページをお開き願います。第6目は、恩給及び退職年金の経費であります。
 第2項警察活動費第1目一般警察活動費は、110番通報を処理する通信指令システムなどの警察通信施設の維持管理経費、犯罪被害者等支援のための補助経費であります。第2目刑事警察費は、少年非行防止や子供の安全対策などの安全・安心なまちづくり推進事業に要した経費、犯罪捜査に要した旅費等の経費、防犯活動支援のための補助経費、法医解剖施設整備のための補助経費であります。次に、328ページをお開き願います。第3目交通指導取締費は、交通安全や指導取締活動の経費、交通事故の防止と交通の円滑化を図るための交通信号機等の交通安全施設の整備及び維持管理に要した経費であります。
 以上のとおりでありますので、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇飯澤匡委員 冬期間の高速道路の安全対策についてお伺いします。
 12月から高速道路の通行は無料化、被災者限定という枠が解かれ、東北自動車道は、白河以北は完全無料化になる見通しでございます。現時点でも通行量が増加しておりますが、今後、冬期間、現時点でも大変な交通量であることから、通勤時など、さらなる交通量の増大が見込まれるところでございます。
 質問の第1は、冬期間の交通安全対策、高速道路の交通安全対策は、さらなる対策が必要と考えますが、どのような対策を処するのかお伺いいたします。
 そして、質問の2点目は、混雑、渋滞が特に予想されるインターチェンジの入り口、出口は、特にも注意が必要と考えますが、対策を示していただきたいと思います。
〇吉田交通部長 質問は2点でありますので、まず、第1問目の、さらなる対策についてお話しさせていただきます。
 冬の高速道路は、積雪凍結路面や吹雪等により視界が不良を生ずるなど厳しい道路環境にあります。そのため、冬期間には積雪凍結面における速度超過や急なハンドル操作による滑走事故が多発する傾向にあり、昨年は、交通事故の約6割が冬期間の11月から3月に発生しております。
 このように、当県の高速道路では、最も交通事故の発生が危惧される季節に、委員御指摘のとおり、東北地方の高速道路が無料化されれば、交通量の増加が見込まれることから、県警察といたしましては、高速道路利用者の皆さんに対し、県警ホームページ、交通安全キャンペーン等を通じ、早目の冬用タイヤの装着、タイヤの空気圧、燃料の点検、走行時の規制速度の遵守、路面状況に応じた適切なハンドル操作等について広報するとともに、情報板を活用して、高速道路における交通事故、渋滞状況等や積雪による路面状況等について情報提供を行い、注意喚起を図ることとしております。
 また、初冬期には、インターチェンジ等で検問を実施して、冬道における安全走行や適正な滑りどめ装置の着装指導、高速道路本線上でのパトカーによる警戒、駐留監視活動の強化を図るとともに、道路管理者に対し、きめ細かな除雪、融雪剤散布の実施等を要請し、交通事故防止を図ることとしております。
 質問の二つ目でありますけれども、インターチェンジ入り口、出口で特に必要と考える対策であります。
 被災者等を対象とした高速道路の無料化が実施された6月20日以降、朝夕の通勤時間帯や休日を中心とした盛岡南、盛岡インターチェンジ等の流出車線では交通渋滞が発生しており、渋滞車両による追突事故も発生しております。
 これまでの渋滞の主な原因は、被災者等を対象とした無料開放による交通量の増加と料金所一般レーンにおける被災証明書等の確認作業によるものであると考えております。
 12月から予定されている無料開放では、東北地域の一定の区間での料金が無料となるものであり、一般レーンに加えETCレーンの利用もできることから、料金所における被災証明書確認作業が原因となっている渋滞は解消されるものと感じておりますが、交通量のさらなる増加が予想されることから、県警察としても、インターチェンジ出入り口における今後の状況について、重大な関心を持って注視してまいりたいと考えております。
 県警といたしましては、これまで以上に、県警ホームページによる交通事故発生状況の掲出、報道機関に対する資料の提供、トラック、バス事業者が会員となっている高速道路安全協議会による広報などによって、安全指導とあわせて広報啓発活動を推進するほか、道路管理者に対し、インターチェンジ入り口や本線情報板、簡易情報板による渋滞情報の掲示、道路管理者による後方警戒の要請をするなど、道路管理者との連携強化による渋滞緩和と交通事故防止に努めてまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 ありがとうございます。
 現在でもやはり相当な交通量でございまして、東京都の首都高並みの交通量になるときもございます。走行車線、そして通行車線を縦横無尽に出たり入ったりする車両も多々見受けられます。このような状況が続きますと大変事故も多いのではないかと危惧するところでございます。
 答弁にもございましたように、道路管理者との連携を密にするということが一番肝要かと思いますので、その点をまさに留意されて、交通事故防止に努めていただきたいと思います。
 以上で終わります。
〇小西和子委員 私からは、子供を犯罪から守る対策についてお伺いいたします。
 近年、子供たちが犯罪の犠牲になるという痛ましい事件が後を絶ちません。そのような社会的背景を受けまして、子供たちを守るさまざまな取り組みが行われております。
 中でも、登下校の安全確保と犯罪から子供を守る対策がいろいろ行われてまいりました。その中の一つとして、子ども110番の家についてお伺いいたします。
 地域ぐるみで子供の安全を守っていくボランティア活動であります子ども110番の家の登録状況、活動状況、活動上の問題点とその対策についてお伺いいたします。
〇千田生活安全部長 県内の子ども110番の家の現状についてお答えいたします。
 まず、子ども110番の家等の設置状況についてでございますけれども、子ども110番の家は、平成22年12月末現在で県内に1万3、980カ所ございます。また、子ども110番の家(後刻「110番の車」に訂正)にあっては1万7、146台であります。
 活動状況につきましては、昨年、元交際相手から車で追尾されました女性が、身の危険を感じまして、女性・子ども110番の店に指定されましたコンビニエンスストアに駆け込んで保護された事例とか、あるいは、腕をつかまれた小学生の女児が、近くの子ども110番の家であるクリーニング店に駆け込みまして、店員から110番通報が寄せられた事例がございます。
 子ども110番の家の防犯ボランティア活動に取り組んでおられる方々につきましては、警察署で、毎年、研修会等を通じまして、事件、事故あるいは声かけ事案を認知した際の適切な110番通報について御協力をお願いしているところでございます。
 また、子供たちが不安を感じたときに遠慮なく駆け込むことができるように、小学校での防犯教室、あるいは登下校での機会を通じまして、あるいは子ども110番の家のスタンプラリーを行って、ふだんから子ども110番の家の周知と相互の交流に努めているところでございます。
〇小西和子委員 先ほどもお話がありましたけれども、子供がちゅうちょなく、安心して駆け込むことができるような取り組みを関係機関と連携いたしまして強化していくことを要望いたします。
 それでは、子ども110番の家は、児童虐待防止の地域の見守りとか、それから、青少年の健全育成のプランにも位置づけられておりまして、大変重要な役割を果たしております。さらに登録数をふやして、関係機関との連携のもと、その普及を図ることを望みます。
 続きまして、子供に対する声かけ事案の平成22年と平成23年の9月時点までの認知件数、発生場所、発生時間帯、対象児童、もしわかれば性別の大体の割合で結構でございます。それから、被害の内容についてお伺いいたします。
〇千田生活安全部長 先に、先ほどのお答えの中で、110番の家と、それから子ども110番の車というこの二つに分けておりましたけれども、110番の車につきまして110番の家とお話ししましたが、1万7、146台というのは110番の車ということでございましたので、訂正いたします。
 それでは、今回の質問の関係で、子供に対する声かけ事案の認知件数等についてお答えいたします。
 まず、平成22年中の子供に対する声かけ事案についてでございますけれども、認知件数は182件でございます。発生場所は、道路上が157件、86%と大半を占めております。発生時間帯は、午後3時から午後4時台の一般的な下校時間帯が69件、38%と最も多い状況です。このうち小学校の児童が対象とされた件数は89件と全体の約半数でありまして、そのうち対象児童は、高学年の女児が37件で最も多く全体の41%、次いで小学校低学年の女児が33件で全体の37%、女児が全体の77%を占めております。具体的な行為といたしましては、車に乗せてあげるなどの誘う、あるいは肩にさわる、腕をつかむなどの身体的な接触を伴うものもあります。
 次に、平成23年9月末現在の状況でございますけれども、認知件数は164件で、前年の同じ時期と比べまして33件増加しております。発生場所は道路上が80%と引き続き高く、発生時間帯、対象児童、具体的な行為については、昨年と同様な傾向となっております。
〇小西和子委員 平成22年の認知件数は先ほどお話がありましたけれども、平成21年と比べて50件もふえているということを予算特別委員会のときにお聞きしましたが、これを改善するために平成23年に行ってきた取り組みと、子供を犯罪から守る対策についてお伺いいたします。
〇千田生活安全部長 まず、声かけ事案の急増とその対策についてお答えいたします。
 声かけ事案につきましては、強制わいせつ事件、あるいは誘拐、殺人事件といった凶悪事件の前兆事案ととらえております。重大事件の発生を未然に防止するため、学校等の関係機関と連携して、保護者あるいは地域の方々に声かけ事案の積極的な広報を行ってきたところでございます。
 県警察におきましては、声かけ事案の捜査を専門的に行う子ども・女性安全対策係を中心といたしまして、声かけ事案の行為者を特定し、犯罪に該当する行為があれば検挙し、犯罪に該当する行為がない場合でも、指導、警告を行って、犯罪の発生を未然に防止する活動を推進しております。
 あわせまして、まちコミ等の携帯電話の情報発信サイト、あるいはインターネットを通じた発生情報の迅速な発信や、発生地域におけるパトロールの強化を図るなど、県警察を挙げて、子供と女性を犯罪から守る取り組みを強力に推進しているところでございます。
 子供を犯罪から守る対策につきましては、学校、地域社会へのきめ細かな情報発信やスクールガード、あるいは子ども見守り隊などの自主的な防犯ボランティアの皆様方の御協力をいただきながら、関係機関と連携して、各種の安全対策を推進してきたところでございます。
 今後も引き続き、地域の実態に応じた安全対策を推進してまいりたいと考えております。
〇小西和子委員 先ほど、平成23年の認知件数は、平成22年同期に比べて33件増と答弁いただきましたけれども、さらなる取り組みの強化をお願いいたします。
 続きまして、被災した沿岸部における子供に対する声かけ事案の実態についてお伺いいたします。
 まとめてお伺いいたしますけれども、被災した沿岸部では、街灯の整備がおくれておりまして、夕方になると真っ暗になって危険であるという声が学校から挙がっております。また、下校時とても心配なんですという声も聞こえてきます。さらに、不審者情報がある地域もあります。それから、同じようなことですけれども、治安が悪くなっているといったことも伝わっております。
 そこで、学校等では、このことから集団で歩くように指導したり、それから夜間、定時制の場合は、危険でありますので、家族の方が迎えに来るといったようなことで対応はしているということです。
 そこで、街灯がない暗い道を通学する中高生への声かけ事案、小学生は明るいうちに帰すように配慮しているかと思うんですが、もし小学生の実態もありましたら、それもあわせてお願いします。
 中高生への声かけ事案の実態と対策をお伺いいたします。
〇千田生活安全部長 被災した沿岸部の子供に対する声かけ事案の実態について、まずお答えいたします。
 沿岸部を管轄する大船渡、釜石、宮古、岩泉、久慈の各警察署管内の平成23年9月末における子供に対する声かけ事案の合計の認知件数は31件で、前年の同じ時期に比べまして11件増加しています。
 発生時間は、下校途中の明るい時間帯の発生が16件で51%、発生場所のほとんどは道路上で、声をかけられた対象は、小学生の女児が11件の35%と最も多く、次いで中学生、高校生などで、女性が81%を占めております。
 具体的な行為としましては、小学生の女児は、お菓子をあげるなどの誘いが多く、中学・高校生に対しましては、体への接触行為や卑わいな言葉をかけるなど、さまざまでございます。
 続きまして、街灯がない暗い道を通学する中高生の声かけ事案の実態と対策についてお答えいたします。
 先ほどお話ししました被災地5警察署管内における平成23年9月末までの声かけ事案は31件発生しておりますけれども、中学生あるいは高校生が対象とされたものが13件、42%となっております。
 この中で、被災により街灯が消失した場所での発生はございませんけれども、発生場所は、道路上が9件の69%と最も多く、発生時間帯は午後5時から9時までが7件の23%、また、朝の通学時間帯にも5件、16%発生しており、すべて女性を対象としたものであります。
 具体的な形態といたしましては、身体に触れる行為が6件で46%と最も多くて、次いで、卑わいな言葉をかける行為などであります。
 県警察といたしましては、当県及び全国の女性警察官を主体といたしました被害者支援隊、あるいは全国からの警戒、警らの応援部隊による通学路等のパトロール活動を強化しているほか、街灯が消失したため暗がりとなった地域の住民から寄せられる街灯設置の要望を市町村に伝えますとともに、防犯協会の協力を得ましてソーラーライトを設置しており、さらには、学校や仮設住宅団地での防犯教室の開催、仮設住宅団地自治会の安全部会によるパトロール活動の支援、さいがいエフエム放送を利用した注意喚起など、県警察を挙げて子供と女性を犯罪から守る取り組みを推進しているところでございます。
〇小西和子委員 昨日、たまたま被災した地域の方とお話をする機会がございました。そうしましたならば、下校時、ある高校の近くにあるバス停に、他県の警察官、応援の警察官の方のようでしたけれども、待機をしていて、何コースかにバスは運行されているんだと思いますが、最後の生徒さんがバスに乗るまで見守っていると。本当にありがたいといった感謝の言葉がありましたので、引き続きお願いいたします。
 子供というのは、地域の宝でございます。子供たちが安心して登下校できるような、そして、安心して暮らせるような地域の環境整備をさらに進めていただきたいと思います。
 今後も、子供たちの安全確保に向けて、なお一層の御尽力をお願いいたしまして、終わります。
〇高橋昌造委員長 答弁はいいですね。
〇小西和子委員 いいです。
〇斉藤信委員 それでは、3.11の大震災津波の人命救助、そして遺体の捜索から交通規制まで、県警察本部の皆さんの御苦労に、まず最初に、心から敬意を表したいと思います。
 それで、警察本部の施設、人員、車両等の被害状況はどうか、復旧状況を含めて示していただきたい。
〇森本警務部長 警察施設、人員、車両等の被災、復旧状況の御質問でございます。
 まず、警察施設につきましては、釜石警察署は2階まで、宮古警察署は1階まで津波により損壊し、このほか、交番5カ所、駐在所10カ所を含めて19の施設が全壊の被害を受けております。
 復旧状況につきましては、現在のところ、釜石警察署、沿岸運転免許センター、高田幹部交番、大槌交番及び山田交番について、仮設庁舎を設置し、地域の治安確保に向けて業務を行っているところであります。
 なお、一部の仮設庁舎については、より一層、活動拠点としての強化を図るため、別地に建てかえることとしております。
 次に、人的被害でありますけれども、本震災により11名の警察官が殉職をしております。いずれも沿岸署において、地域住民の避難誘導等に当たっていたところ、津波に巻き込まれたものであります。
 また、車両につきましてでありますけれども、沿岸4警察署及び交通機動隊沿岸分駐隊の車両合計で37台が被災をしております。その内訳は、四輪車が30台、二輪車が7台となっております。
 車両の復旧状況につきましてですけれども、被災直後は、内陸署から沿岸署に車両を再配置して応急対応しております。その後、警察庁の調整により、他県警察が管理していた国有車両を当県警察の管理に移し、体制を整備しているものであります。
〇斉藤信委員 釜石警察署、そして高田幹部交番、この復旧状況、再建の計画の見通し、そして、財源は、これは100%国の負担で見てもらえると思いますが、いかがですか。
〇森本警務部長 釜石警察署、高田幹部交番についてでございますけれども、現在まで、先ほど申し上げましたとおり、釜石警察署と高田幹部交番につきましては、仮設庁舎で業務を行っているところであります。
 なお、釜石警察署につきましては、現在、企業の一部施設を借り上げて業務を行っているところでございまして、別地に仮設庁舎を建築中であります。
 また、高田幹部交番につきましても、狭隘等の理由によりまして、現在の場所から移設することを考えているものであります。
 被災した警察施設の復旧につきましてでありますけれども、このたびの津波被害の現状を踏まえまして、災害発生時においても警察活動を十分に展開できる防災拠点として再建、復旧を図ることとしております。また、同時に、地域の皆さんの利便性を考慮することが必要と考えております。
 今後、関係機関、各自治体と連携を図りつつ、自治体が策定した復興計画や治安を取り巻く環境を見きわめながら、施設の早期復旧を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
 それから、今後の再建に伴い必要となる財源でございますけれども、災害復旧費補助金を活用して、建築費の3分の2の国の財政支援を見込んでいるところでございます。
〇斉藤信委員 今、最後の財源のところで3分の2補助、その他の施設だと3分の1の地方負担に95%の交付税措置と。これは警察も同じですか。
〇森本警務部長 警察についても同じでございます。
〇斉藤信委員 全国からのこれまでの都道府県警察からの応援、そして、県内からの沿岸に対する応援というのはこれまでどうだったのか、現状は、今どういう形の応援体制になっているのか示していただきたい。
〇佐藤警備部長 災害警備に当たっては、発災当初から全国警察の応援を得ており、最大時1日約1、500人体制、これまで延べ23万人余となっております。
 活動内容としましては、県内部隊とともに、行方不明者の捜索、収容及び御遺体の検視、被災地における盗難防止や仮設住宅への巡回、徒歩やパトカーによる警戒活動、交通安全の確保など、被災地の状況に応じた活動を行っております。
 一方、県内部隊は、発災当初から最大時では1日約1、100人体制のもとに災害警備活動を行っております。
 被災地では、今なお数多くの行方不明者がおり、さまざまな思いを抱きながら生活しておられ、パトロールをしてくれて安心だ、遠いところから来てくれてありがたい等々の声が寄せられております。
 発災から間もなく8カ月を迎え、被災地では徐々に落ち着きを取り戻しつつありますことから、被災地の状況を踏まえて、現在は、特別派遣部隊約500人、県内部隊約600人の体制で活動を行っております。
 県警察といたしましては、今後とも、特別派遣部隊の応援を得ながら、被災地の状況に応じて、引き続き治安の確保に万全を期してまいりたいと思っております。
〇斉藤信委員 現状でも全国からの応援が500人、そして県内部隊で600人の被災地への応援体制をとっていると。限られた人員の中で、これは大変なことだと思うんですね。
 それで、次に超過勤務の話を聞きますが、今年度は9月補正で6億8、000万円の超過勤務の増額補正という異例の措置がとられたわけですけれども、昨年1年間、職員1人当たりの平均年間超過勤務時間、そして、1人当たりの年間平均支給時間、これはどうなっているでしょうか。支給率、そして平均賃金で試算すると支給分というのはどのぐらいになるのか。
〇森本警務部長 昨年度の超過勤務時間と超過勤務手当の支給状況についての御質問ということでございますけれども、まず、職員1人当たりの年間平均超過勤務時間は405.8時間、1人当たりの年間平均支給時間数は、月平均支給時間が約19.8時間でありますことから、年に換算いたしますと約237.6時間となっております。
 また、1人当たりの年間平均超過勤務時間数に占める年間平均支給時間数の割合は約59%となります。
 最後の御質問でございますけれども、職員の超過勤務時間数及び時間単価に個々に差がありますことから、一概には算出しかねるところでございます。
〇斉藤信委員 1人平均405時間超過勤務をして、超過勤務手当は237.6時間と、4割は支給されていないと。大震災もあったからでしょう、昨年度、1年前と比べますと超過勤務時間もふえています。そして、手当の時間数もふえているけれども、乖離は広がりました。
 実は、平成21年度は、私の試算で42%不支給で、37万5、000円が不払い賃金でした。今回試算しますと52万円になります。1人当たりの不払い賃金ね。私は、本当にこれだけ大奮闘されている警察職員に対して、やっぱり100%支給して当たり前じゃないかと。
 これは警察本部長に聞きます。支給時間は若干ふえているけれども、不払い賃金の額はふえています。これは、思い切って改善されるべきじゃないでしょうか。
〇樹下警察本部長 超過勤務につきましては、予算の範囲内でこれを命令することとしておりますけれども、超過勤務が長時間にわたること自体、やはり改善すべき課題であると認識しております。
 特に、本年につきましては、東日本大震災が発生以降、職員に相当の疲労が蓄積されておりまして、健康管理の面からも、勤務時間の縮減に努めることが大きな課題であると認識しております。
 今後とも、不要不急の業務を削減しまして、事務の合理化、効率化をさらに進めますとともに、今回の災害もそうでありますけれども、突発的な事件、事故に対処する必要がある場合には、所要の措置を講じるなど適切に対応してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 警察本部長の答弁としては、これは失格ですよ。予算の範囲内で支払うものではないんですよ。働いた分支払う、これが憲法の原則ですから。不払い労働、サービス残業というのは、社会的犯罪なんですよ。犯罪を取り締まるべき警察が、みずから社会的犯罪行為をやっていると。きょうは指摘だけにとどめておきます。
 それで、私はさっき一つだけ聞き忘れたことがありますので、改めて。今、死者が、これは10月27日現在、4、664人で、行方不明者が1、479人ですが、この死者のうち、身元判明者、身元不明者、これはどうなっているでしょうか。
〇遠藤刑事部長 東日本大震災における遺体収容数については、先ほど委員から発表がありましたが、身元判明している方については4、406名、身元が判明していない方については258名、全体の5.5%、これが、身元が判明していないといった数字でございます。
〇斉藤信委員 そうすると、行方不明者が1、470名余、恐らくDNA鑑定などで明らかになれば、その分、行方不明者が減少する、こういう形になるのでしょうか。
 ついでですので、DNA鑑定でどのぐらい身元が判明されているんでしょうか。
〇遠藤刑事部長 震災におけるDNA鑑定における身元確認状況について御説明いたします。
 DNA型鑑定による身元確認につきましては、まず、1点目は、遺体のDNAと本人由来物が完全一致するもの、これは、御遺体から採取したDNA資料の鑑定結果と、それから、行方不明者御本人の毛髪、あるいはへその緒とか歯ブラシ等本人が使用していたもの、いわゆる本人由来物、それから、日本赤十字社で保存しております血液との照合から身元を確認特定するもの、これが1点目であります。
 それから、2点目は、御遺体から採取したDNA型資料の鑑定結果と、それから、不明者の家族から提出をいただいた資料のDNA型鑑定結果を照合いたしまして、親子に矛盾しないもの、それから血族関係の確率が高いものを抽出し、これだけでは本人と特定されないために、さらに、御遺体の身体特徴、それから所持品の追跡、あるいは御遺族や知人等からの聞き取り結果を複合的に判断して不明者を特定している、こういう状況であります。
 特定事例といたしましては、着衣のタグからネットでの販売ルートを追跡して特定したもの、それから、人工関節のロットナンバーを判読して確認をしたもの、入れ歯について歯科技工士への聞き込みにより確認をしたもの、コルセット販売店に対する聞き込みにより特定したものなど、多数ございます。
 DNA型鑑定による身元確認状況につきましては、10月28日現在、いわゆる不明者本人の由来物や日本赤十字社の保存血液から34名の身元を確認しているところであります。それから、不明者の家族から提出いただいたDNA資料の鑑定結果と御遺体の身体特徴等から複合的に判断をいたしまして862名の身元を判明させておりまして、合わせて896名の身元を確認しているところであります。
〇斉藤信委員 わかりました。
 次に、捜査報償費についてお聞きいたします。
 平成22年度の捜査報償費について、国費分、県費分、どうなったでしょうか。国費、県費でそれぞれ使途に違いがあるのか。あわせて、久慈署の捜査報償費が前年度の72万円から103万円に約30%ふえていますが、これは特別な事件、事情があったのでしょうか。
〇森本警務部長 まず最初に、昨年度の捜査費の執行状況についてでありますけれども、平成22年度の捜査費の執行額は、国費捜査費が3、603万円余、県費捜査用報償費が1、712万8、000円余となっております。
 使途に関する御質問でありますけれども、国費と県費の経費の負担区分につきましては、警察法第37条及び警察法施行令第2条により区分されているところでありますけれども、例えば、遠隔地における捜査での車両の借り上げでありますとか、捜査情報提供謝礼といったような捜査費の使い方といったものに関しましては、国費捜査費と県費捜査用報償費に差異はございません。
 それから、次に、久慈警察署の捜査費の増加した理由ということでお尋ねがございましたけれども、捜査用報償費の執行額につきましては、それぞれの年度で取り扱う事件の規模や形態あるいは捜査の期間などによって異なるものと認識をしております。増加した個別具体的な理由は、一概には申し上げることはできないものと考えております。
〇斉藤信委員 捜査報償費というのは、この内訳、監査委員もしっかり調べられないというブラックボックスで、国費、県費合わせますと5、316万円余と、これは大変大きな課題で、私は、これは本来、県民につまびらかにすべきだと。少なくとも監査委員には、この裏づけを明らかにすべきだと。これも、きょうは指摘だけにとどめて。
 次に、これは予算特別委員会でも私は取り上げたんですが、昨年の2月、裏金を苦にして置き手紙を置いて失踪した会計係長が、4月15日に遺体で発見されました。3月の予算特別委員会の段階では、自殺と断定していない、現在も捜査中、こういう答弁がありましたが、この捜査はどうなっているでしょうか。
〇小野寺警務部参事官兼首席監察官 昨年4月15日に警察署の事務職員が沿岸部の沖合で遺体で発見されましたことにつきましては、事故あるいは自殺など、あらゆる面から捜査を継続しておりますが、いずれにつきましても断定できるものがございません。現在も継続して捜査を行っているところでございます。
〇斉藤信委員 捜査が続いてうやむやとならないように、私は強く求めておきたいと思います。
 最後です。県内における自転車による事故はどうなっているか。この間、自転車走行に対する規制強化というものが全国的に出されていますが、岩手県内における自転車事故の実態、それに対する対応をお知らせください。
〇吉田交通部長 本年9月末の県内における自転車が関係する交通事故につきましては、発生件数が383件、前年比プラス13件、死者数6人、前年比プラス2人、傷者数381人、前年比プラス11人と、昨年に比べて増加しておりますが、事故の大半は、自転車対車─車両によるものであります。一方、自転車対歩行者の事故は4件、自転車単独事故は23件発生しておりますが、死者はゼロであります。
 過去5年の自転車が関係する交通事故の推移を見ますと、発生件数、傷者数は減少傾向にありますが、死者数は横ばい状態となっております。
 なお、事故の大半は、自転車対車両が占めており、本年と同じ傾向であるほか、自転車対歩行者の事故における死亡事故の発生はありません。
 県警による自転車事故防止の対策でありますけれども、自転車事故防止をするためには、自転車を利用する方々が交通ルールをしっかり理解していただき、遵守していただくことが必要でありますことから、警察といたしましては、自治体や学校、自転車関係事業者等と連携し、自転車安全利用五則等を活用しての児童生徒、高齢者等の幅広い年齢層に対し、自転車の基本的なルールの周知を図るほか、自転車安全教育や街頭での指導啓発活動などを推進してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 全国的な規制によりますと、今までは2メートル以上の歩道であれば走行可、これからは3メートル以上だと。恐らく岩手県内で3メートル以上の歩道があるところというのは、ほとんどないんだと思うんですね。
 しかし、今、お話があったように、事故の実態は自転車と車なわけですよ。車道を走った場合に、さらに危険度が増すのではないか。そういう意味では、やっぱり自転車レーンをつくるとか、歩道を整備するとか、このことをセットにやらないと、これは本質的な解決にならないのではないか。
 もちろん、前提問題としては、やっぱり自転車走行のルールといいますか、これを徹底させることが大変大事で、意外と自転車というのは保険に入っていないわけですので、重大事故になったときの補償問題というのは極めて深刻なんですよ。私は、この議会でも一度取り上げたことがあるんだけれども。
 そういう意味で、警察でやれることと、歩道、車道の整備というのはまた別だと思いますが、そういう点で、こういう規制とあわせて本格的な自転車事故の防止対策というものを関係機関が協力してやるべきではないかと思いますが、この県の体制はどうなっているでしょうか。
〇吉田交通部長 今般、警察庁から幅員3メートル未満の歩道における自転車歩道通行可の交通規制などの見直しについては示されたところであり、これは、一律に規制を解除するものではありません。その趣旨につきましては、昨今の自転車にかかわる交通状況、例えば、歩行者に危険を感じさせるなど歩行者の安全が軽視されている状況が見られることから、自動車、自転車及び歩行者の通行区分の分離といった自転車走行環境の整備が必要でありますが、それとあわせて、委員御指摘のとおり、自転車利用者のルールの遵守やマナーの向上を図るものであります。
 普通自転車は、歩行者通行可の標識等がある場合のほか、普通自転車の運転者が13歳未満の児童や幼児、70歳以上の方または身体不自由な方であるとき、著しく交通量が多く、かつ車道の幅が狭いなど、普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認めるときには、歩道を通行することが可能であります。
 警察といたしましても、自転車の通行実態、自転車が関係する交通事故の発生状況を分析し、自転車歩道通行可の交通規制のあり方について、歩行者保護の観点から、より適切なものにしてまいりたいと思われますし、また、関係機関に交通環境についても要請し、今後、交通安全、自転車に関する事故の防止を図ってまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 わかりました。
〇伊藤勢至委員 当該委員でありますので、最後に一つだけ伺わせていただきたいと思います。
 今回の大震災で警察官が11名、そして消防職員が8名、消防団員が119名殉職をしているわけでありまして、改めて、これらの方々の御冥福をお祈り申し上げる次第です。
 また、同僚を11名亡くされた皆様のお心をおもんぱかるときに、本当に御苦労さまでしたと申し上げるしかないのであります。
 ただ、制度といたしまして、警察賞じゅつ金あるいは消防賞じゅつ金というものがございまして、岩手県は6月の補正予算に警察賞じゅつ金6億1、000万円、消防賞じゅつ金31億円の補正を計上いたしましたが、消防を例にとりまして、30代、40代で殉職をして、あるいは小さいお子さんを残して殉職をされたとなった場合、その貴重なとうとい対価としてあがなうのは、これはお金でしかありませんけれども、消防団員の場合、市町村の消防組合などでやっている査定、それを受けて県が同じく横並び、国が横並び、こういうふうになりましても1億円にならない状況にあります。
 今、交通事故なんかで死亡した場合でも、30代、40代でありますと、ホフマン方式という計算になってもう2億円ぐらいにはなるはずでありますので、さきの常任委員会では、総務委員長に、被災をした3県の議長から全国議長会の中で持ち上げてもらって、この際、こういうときでなければできない待遇の底上げを図ってもらうようお願いしているところであります。
 私自身も、29年消防団に所属しておりましたので、こういう面から待遇の底上げを図って士気を盛り上げていかなければならないと思っております。これについては答弁は要りません。
 一つ質問とお願いを申し上げたいと思います。ちょっと前置きが長くなりますが、この1年間で岩手県の水産漁業界は2回大きな被害を受けました。昨年6月はチリ地震津波の被害ということで、宮古の重茂半島から広田湾までの南が大きな被害を受けました。そして、昨年の暮れからことしの正月にかけまして、宮古の重茂半島から北部、洋野町までが大きな養殖被害を受けて、そして、今度の3月11日は全県的な被害を受けた、こういうことで、まさに二重ローンに今苦しんでいる状況にあります。
 そういう中で水産漁業界、特に養殖業界の年内の現金収入の道は、今、入札が始まっておりますけれども、アワビしかございません。8月にはウニが終わりましたけれども、海が荒れている、あるいは瓦れき等で荒れているということから、魚価、漁獲高とも決していいものではありませんでしたが、恐らくこれからの年内の現金収入にアワビという部分にかけている漁家が多いんだと思います。ただ、船がなくなっていますので、1隻の船でとっても10人で分けるような状況です。
 そのアワビの価格は、98年以降で最高値ということで約7割も高い価格であります。となりますと、密漁団が動いてくる可能性があるのではないかと思います。これまで、おかのほうに保冷車を隠して、ウエットスーツ、アクアラングを使って100馬力のエンジンを二つつけた船などを使ってやってくるこの密漁団は、県の監視船あるいは漁協が出している監視船が、仮に見つけても、追いかけても振り切られてしまいます。したがいまして、これを抑えていくためには、現職の警察官を派遣しているというだけでも十分抑止力になるのでありますが、3年か4年前から現職警官を1人派遣していただいております。これは当然継続をしていただかなければなりませんが、今回のこの大震災にかんがみて、前にもお願いいたしましたけれども、青森と岩手の県境に1人、岩手と宮城の県境に1人の2人体制に、少なくともこの海が復旧するまでの間、2人体制の監視をぜひお願いしたいと思うのであります。
 これは、沿岸の漁民の所得の向上をつなぎとめる唯一の手段ともいえますし、県警のヘリコプターなどを使ってやっていただければさらに効果があるものと思いますが、何とか漁民の収入の道を助けていただきたいとお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
〇千田生活安全部長 岩手県の漁業取締事務所には、平成4年以降、捜査経験豊富な警部1名を派遣してきたところでありまして、捜査官として、漁業関係法令違反の取り締まり、あるいは犯罪捜査の実践的な指導、警察、海上保安部等との共同取り締まりとその連絡調整に当たっております。
 先般、宮城海上保安部が、被災地である宮城県石巻市でアワビの密漁事犯を検挙しているところでありますけれども、県警察では、海産物の密漁事犯、特にも海外でも有名な県産アワビの密漁事犯につきましては、漁業関係者に経済的な損失を与えるのみならず、復旧、復興を妨げる悪質重要な事犯であると位置づけまして、漁業取締事務所、海上保安部、漁協等の関係機関と連携した取り締まりの強化を指示したところであり、被災地の安全・安心の確保に当たる応援派遣部隊においても、密漁事犯の取り締まりを念頭に置いたパトロール活動を展開しております。
 委員御質問の県漁業取締事務所の体制強化につきましては、県警察といたしまして、漁業取締事務所と緊密な連携を図るために、これまで警察官1名を派遣しているところであり、今後につきましても、現在、県警察において最重点で取り組んでおります被災地における御遺体の捜索や犯罪抑止対策の推進状況、あるいは今後の復旧、復興の状況、密漁事犯の発生状況に関する情勢を総合的に勘案しながら判断してまいりたいと考えております。
〇伊藤勢至委員 ありがとうございます。
 県警本部長、うそは泥棒の始まりと言われておりますから、県警本部長としてはそういう言葉は使いづらいのだと思いますが、うそも方便という話もあります。マスコミの連中が今、聞き耳を立てておりますし、その後ろには暴力団、暴力団の資金になるべく密漁団が情勢を探っているかもしれません。したがいまして、2人体制あるいは県警ヘリを使ってでも前向きに検討しますぐらいの言葉をいただきますと、これが抑止力になるのであります。うそも方便、答弁があったらよろしく。
〇樹下警察本部長 アワビの問題につきましては、新聞報道等で、震災の影響による環境の変化等々によりまして、例年よりもはるかに高値で取引をされていると承知しておりまして、その密漁対策が大きな課題となっているということで、先ほど生活安全部長からも答弁いたしましたけれども、警察といたしましても、必要な取り締まりを行ってきたところでございます。
 ただ、一方で、現在、全国の都道府県警察から多くの警察官の応援派遣をいただきながら震災対応に当たっているという事情もございます。そういう状況でございますので、県警といたしましては、引き続き、沿岸地域における地域住民の安全・安心確保対策を最重点とした警察活動を推進していくこととしておりまして、漁業取締事務所の体制の強化のあり方につきましては、復旧、復興の状況、被災地の治安状況、密漁事犯の動向等を総合的に勘案しまして判断をしてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、警察本部関係の質疑をこれで終わります。
 警察本部の皆さんは御苦労さまでした。
 以上で本日の日程は全部終了いたしました。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後4時36分 散会

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