平成23年9月定例会 決算特別委員会会議録

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平成23年10月28日(金)
1開会 午前10時2分
1出席委員 別紙出席簿のとおり
1事務局職員
  議事調査課
  総括課長    菊 池   哲
  議事管理担当課長 岩 渕 伸 也
  主任主査     佐々木   誠
  主査    葛 西   貢
  主査    菅 原 俊 樹
  主査    村 上   聡
  主査    大 森 健 一
  主査    千 葉 智 貴
1説明員
  商工労働観光部長 齋 藤 淳 夫
  副部長兼
  商工企画室長   高 橋   信
  雇用対策・
  労働室長    阿 部 信 弘
  商工企画室
  企画課長    飛鳥川 和 彦
  商工企画室
  管理課長    木 村   稔
  経営支援課
  総括課長     松 川   章
  科学・ものづくり
  振興課総括課長  佐々木   淳
  産業経済交流課
  総括課長    福 澤 淳 一
  観光課総括課長  戸 舘 弘 幸
  企業立地推進課
  総括課長    保   和 衛
  特命参事兼
  雇用対策課長   津軽石 昭 彦
  労働課長    猪久保 健 一

  労働委員会
  事務局長    小 川 明 彦
  審査調整課
  総括課長    吉 田 和 明

  企業局長    青 木 俊 明
  次長兼
  経営総務室長   水 野 和 彦
  技師長    池 内   達
  経営総務室
  管理課長    宮 澤 寛 行
  経営企画課長   千 枝 泰 航
  業務課総括課長  菅 峨 範 夫
  電気課長    榎     充

  会計管理者    菅 原 和 彦
  出納指導監    浅 沼   浩

  監査委員    伊 藤 孝次郎
  監査委員    工 藤 洋 子
  監査委員事務局長 千 田   永
  監査第一課
  総括課長    小 原 一 信
  監査第二課
  総括課長    佐 藤 和 彦

  予算調製課
  総括課長    八重樫 幸 治
〇高橋昌造委員長 これより本日の会議を開きます。
 これより議事に入ります。
 認定第1号平成22年度岩手県立病院等事業会計決算から認定第15号平成22年度岩手県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算まで決算15件を一括議題といたします。
 本日は、商工労働観光部、労働委員会、企業局関係を終わるよう進行したいと思いますので、御協力をお願いいたします。
 最初に、商工労働観光部長に商工労働観光部関係の説明を求めます。
〇齋藤商工労働観光部長 それでは、平成22年度の商工労働観光部関係の決算について御説明申し上げます。
 初めに、当部の所管事業に係る総括的な取り組みと成果、及び東日本大震災津波からの復旧、復興への取り組みを踏まえた今後の方向等について御説明申し上げます。
 平成22年度は、本県を取り巻く経済、雇用情勢が依然として厳しい状況にある中、地域経済の活性化、雇用の創出と就業の支援など、本県が直面する諸課題の克服に向け、産業創造県いわての実現を目指し、いわて県民計画に掲げる八つの政策項目について、事業に取り組んでまいりました。
 以後、配付してあります主要施策の成果に関する説明書、それと、いわて県民計画実施状況報告書の内容をもとに御説明申し上げます。
 それでは、平成22年度主要施策の成果に関する説明書及びいわて県民計画実施状況報告書の9ページから12ページまでをごらんください。
 まず、1点目は、国際競争力の高いものづくり産業の振興であります。
 県では、自動車、半導体関連など、世界に通じ、地場企業の強みを生かせる分野について、地場企業の強化と企業誘致の両面から総合的な支援を行い、ものづくり基盤の形成を促進するとともに、次代の展開を見据えた戦略的な取り組みを強化してまいりました。その結果、新規取引開拓件数や企業の新規立地、増設、工業高校等における技能士数の増加という成果が挙げられたほか、医療機器の試作開発や展示会への出展など、新たな展開に向けた取り組みが進展したところであります。
 今後は、沿岸地域の早期復興支援とともに、沿岸地域と内陸地域との連携によるものづくり人材の育成や技術開発支援、企業誘致による集積促進を図り、国際競争力の高いものづくり産業の振興を目指して取り組んでまいります。
 次に、13ページ、14ページをごらんください。2点目は、食産業の振興であります。
 食産業の振興に当たっては、今後の成長が期待できる地場企業や意欲的な生産者を対象に、産業創造アドバイザー等の民間力を活用した商品開発、販路開拓の支援、農商工連携、食産業クラスター形成などを促進してまいりました。その結果、中小企業者と農林漁業者の連携体が行う新商品開発や販路開拓の着実な進展が見られたほか、食の安全・安心活動の見える化を推進するフード・コミュニケーション・プロジェクト岩手ブランチへの参加企業が増加したところであります。
 今後は、沿岸地域での水産加工業の復旧、復興を図るとともに、地域特有の食材や資源を活用し、高付加価値化の推進など、岩手の強みを生かした食産業の振興に取り組んでまいります。
 次に、15ページから19ページまでをごらんください。3点目は、観光産業の振興でありますが、地域回遊交流型観光を推進するため、地域の特色や資源を最大限生かし、観光力の強化に取り組むとともに、いわて・平泉観光キャンペーンの実施などにより情報発信に努めてまいりました。また、国際観光については、東北各県と広域的な取り組みを強化し、積極的な誘客活動を行った結果、円高などの影響があった中、外国人観光客は昨年を上回ったところであります。
 今後は、大きく落ち込んだ観光需要の回復に向け、本県の多様な観光資源をさらに磨き上げるとともに、受け入れ体制の整備を促進し、来年のいわてデスティネーションキャンペーンを通じて、平泉の世界遺産登録効果の維持、拡大に努めてまいります。
 次に、20ページ、21ページをごらんください。4点目は、地場産業の振興であります。
 本県の地域資源と文化にはぐくまれた地場産業の振興を図るため、国内外における物産展、商談会等の開催や県外アンテナショップを活用した情報発信などにより、消費者のニーズの把握や、新たな販路の開拓に意欲的な事業者を支援してまいりました。新商品開発については着実な進展が見られるものの、景気悪化の影響で全国的に製造品出荷額が減少し、本県においても厳しい状況となりました。
 今後は、本県の地場産業のさらなる成長に向け、産地と協力しながら、ライフスタイルの変化にマッチした新商品の開発、販路拡大を支援してまいります。
 次に、22ページから24ページをごらんください。5点目は、次代につながる新たな産業の育成であります。
 県では、平成21年度に策定した科学技術による地域イノベーション指針に基づき、医療機器関連産業の創出へ向けた開発支援や海洋バイオ関連研究の推進など、それぞれのステップに応じた取り組みを進めました。
 また、いわてものづくり・ソフトウェア融合テクノロジーセンターの整備や知的財産に関する総合支援窓口の新設など、研究開発の基盤整備も行ったところであります。
 今後も、次世代産業の創出につながる研究開発とその事業化を進めていくほか、東日本大震災津波からの復興の核として、三陸地域における国際的な海洋や防災の研究拠点の形成を目指す取り組みも進めております。
 次に、25ページ、26ページをごらんください。6点目は、商業、サービス業の振興であります。
 地域の経済、雇用を支える商業者等を育成、支援し、商店街の振興を図るため、個店経営者を対象に専門家による個別指導などを実施してまいりました。この結果、魅力ある商店づくりのための支援を行った店舗では、売り上げや客単価がふえるなど一定の成果を上げたところであります。
 今後は、被災地域における商店街の再構築に向け、市町村が主体となる合意形成等の取り組みに対し支援を行うなど、再建支援と復興に向けた取り組みを進めてまいります。
 次に、27ページから29ページをごらんください。7点目は、海外市場への展開であります。
 成長著しい東アジア地域を対象とした海外ビジネス展開の促進や販路拡大を図るため、現地商談会や物産フェアを開催したほか、上海万博への出展を通じて県産品の認知度の向上や輸出の促進を支援いたしました。この結果、東アジア地域への輸出額が大幅に伸びたほか、外国人観光客数が増加したところであります。
 今後も、昨年の上海万博への出展により形成された人的ネットワークなどを活用しながら、販路拡大や海外ビジネス展開支援など積極的な海外市場の開拓に努めてまいります。
 次に、30ページから33ページをごらんください。最後は、雇用、労働環境の整備であります。
 産業振興施策の推進や緊急雇用創出事業の推進により雇用の場の創出を進めた結果、有効求人倍率も震災前の平成23年2月には0.5倍にまで回復いたしました。しかし、東日本大震災津波により、沿岸地域では多くの企業が被災し、雇用の場が失われるなど、県内の雇用情勢は厳しいものとなりました。
 今後、雇用の場の確保については、離職を余儀なくされた方々に対する各種就業支援や緊急雇用創出事業の活用により、雇用の下支えを図りながら、地域の産業振興による雇用の創出を積極的に支援してまいります。
 加えて、内陸地域における経済活動の回復を着実なものとし、雇用の拡大が図られるよう取り組みを進めてまいります。
 以上が商工労働観光部における平成22年度の取り組みと成果の概要でありますが、当部といたしましては、東日本大震災津波からの復旧、復興を最重要課題として、先般策定いたしました岩手県東日本大震災津波復興計画を着実に推進するとともに、沿岸地域と内陸地域が一体となった本県産業の振興による地域経済の活性化、雇用確保に努めてまいります。
 以上、平成22年度の総括的な取り組みと成果、今後の取り組み方向について御説明申し上げました。
 続きまして、決算の概要について御説明申し上げます。
 次に、平成22年度岩手県歳入歳出決算書の12ページをお開きください。一般会計歳出における商工労働観光部の決算は、5款労働費のうち3項労働委員会費を除いたものと、14ページに参りまして、7款商工費のすべて、また、16ページに参りまして、13款諸支出金の一部であります。これらの予算現額は828億7、023万円余、これに対する支出済額は811億4、879万円余、不用額は7億4、495万円余で、執行率は約97.9%であります。また、支出済額を前年度と比較いたしますと1億3、172万円余、約0.2%の増となっております。
 なお、翌年度への繰越額は9億7、648万円余でありますが、その主なものは、国の経済対策に伴いますきめ細かな交付金及び住民生活に光を注ぐ交付金に対応した事業の計画調整に不測の日数を要したことによる繰り越し、及び東日本大震災津波による事業の終了確認ができなかったことによる繰り越しであります。
 以下、個々の内容につきましては、お手元の平成22年度歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げます。
 なお、事業ごとの金額の読み上げは省略させていただき、主な事業の内容を中心に御説明申し上げますので、御了承願います。
 それでは、事項別明細書の234ページをお開き願います。5款労働費1項労政費1目労政総務費でありますが、管理運営費は、労政部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。2目労働教育費でありますが、各種労働講座開設費は、県内4地区の雇用・労働フォーラムの開催などに要した経費であります。3目労働福祉費でありますが、労働者等生活安定支援資金貸付金は、事業主都合により離職した者の求職活動の生活安定を図るための貸し付けなどに要した経費であります。4目雇用促進費でありますが、次のページ、236ページに参りまして、上から四つ目でございますが、ジョブカフェいわて管理運営費は、若年者に対する就職相談等のサービスをワンストップで提供するジョブカフェいわての管理運営に要した経費であります。四つ下の緊急雇用創出事業費補助は、離職を余儀なくされた方々に対し、次の雇用までの短期の雇用、就業機会を創出し、生活の安定を図ることを目的とした事業を行う市町村に対する補助に要した経費であります。次の、ふるさと雇用再生特別基金事業費補助は、離職された方々などを雇い入れ、地域の再生雇用のために、継続的な雇用機会の創出を図ることを目的とした事業を行う市町村に対する補助に要した経費であります。
 次に、2項職業訓練費1目職業訓練総務費でありますが、一番下にあります認定職業訓練費は、職業訓練法人による認定職業訓練の実施に対する補助などに要した経費でございます。次のページ、238ページに参りますが、2目職業訓練校費であります。管理運営費は、県立産業技術短期大学校を初めとする県立職業能力開発施設の職員人件費であります。公共職業能力開発費は、県立職業能力開発施設において実施する職業訓練などに要した経費であります。三つ下に就職支援能力開発費がございます。これは、離職者等を対象とした職業訓練の実施などに要した経費であります。
 次に、飛びまして、286ページをお開き願います。7款商工費1項商工業費1目商工業総務費でありますが、管理運営費は、商工業部門の職員人件費など、管理運営に要した経費であります。下のほうに参りまして、いわて戦略的研究開発推進事業費は、産業化が有望な大学等の研究課題に対する研究資金の支援などに要した経費であります。次のページ、288ページに参ります。上から三つ目でございます運輸事業振興費補助は、社団法人岩手県トラック協会が実施する輸送サービスの改善、安全運行の確保などの事業に対する補助に要した経費であります。中ほどに参りまして、東アジア輸出戦略展開事業費は、上海万国博覧会に出展し、県産品の販路拡大及び観光客誘致を推進するとともに、日本酒及び南部鉄器を輸出重点産品に位置づけ、東アジアでの販路拡大を支援するために要した経費であります。2目中小企業振興費でありますが、四つ目に書いてあります中小企業経営安定資金貸付金は、売り上げの減少などにより経営の安定に支障を来すおそれのある中小企業者に対する運転資金の貸し付けに要した経費であります。次のページ、290ページに参りまして、上から八つ目の商工業小規模事業経営支援事業費補助は、商工会、商工会議所及び岩手県商工会連合会が行う商工業小規模事業者の経営改善普及事業などの実施に対する補助に要した経費であります。下のほうに参りまして、自動車関連産業創出推進事業費は、自動車関連産業の生産工程の改善指導や地場企業の取引拡大支援などに要した経費でございます。次のページに参ります。292ページ中段、3目企業立地対策費でありますが、企業立地促進資金貸付金は、立地企業が行う設備投資に対する貸し付けに要した経費であります。企業立地促進奨励事業費補助は、市町村による誘致企業への助成事業に対する補助に要した経費でございます。下のほう、4目中小企業経営指導費でありますが、中小企業ベンチャー支援事業費は、財団法人いわて産業振興センターが実施する専門家派遣事業、取引支援事業等への補助に要した経費であります。次のページ、294ページに参りまして、5目貿易振興費の貿易振興団体助成費は、海外販路拡大の支援基盤整備のための独立行政法人日本貿易振興機構─通称ジェトロ─盛岡貿易情報センターへの負担金でございます。6目工業技術センター費の地方独立行政法人岩手県工業技術センター運営費交付金は、同センターの運営に係る人件費等の交 付金であります。
 次に、2項観光費1目観光総務費でありますが、管理運営費は、観光部門の職員人件費等、管理運営に要した経費であります。下のほうから数えまして八つ目でございますが、いわて・平泉観光キャンペーン実行委員会負担金は、県内の観光資源を全国に情報発信し、観光客の誘致拡大を図るため実施したいわて・平泉観光キャンペーンの負担金であります。一番下に書いてありますいわてデスティネーションキャンペーン推進協議会負担金は、来年4月から6月までのいわてデスティネーションキャンペーンの実施に向け、地域における観光資源の発掘と磨き上げを支援するとともに、全国の旅行会社を集めて観光資源を売り込む全国会議の企画などを実施する経費の負担金であります。次のページ、296ページに参りまして、2目観光施設費でありますが、八幡平景観保全観光振興事業費は、八幡平の景観を保全するため、老朽化した八幡平ロッジ等施設の解体撤去に要した経費であります。
 次に、飛びまして、362ページをお開き願います。13款諸支出金3項公営企業負担金1目公営企業負担金でありますが、工業用水道事業会計負担金には、雇用の維持確保のため、県営工業用水道を利用している企業に対する料金の減免に係る負担金1億59万円余が含まれております。
 以上で一般会計決算の説明を終わります。
 次に、中小企業振興資金特別会計の決算について御説明申し上げます。
 また飛びまして、408ページをお開き願います。この特別会計の予算規模は、410ページと412ページに記載しておりますが、歳入歳出それぞれ18億719万6、000円であります。
 まず、歳入につきましては、少々戻りまして、408ページから411ページに記載しておりますが、収入済額が総額17億8、061万円余であり、その主なものは、一般会計からの繰入金、繰越金及び貸付先企業等からの償還金等の諸収入であります。
 次に、歳出につきましては、412ページから413ページに記載しておりますが、支出済みの総額は8億3、126万円余であります。1款小規模企業者設備導入資金貸付費1項貸付費は、財団法人いわて産業振興センターが実施した設備資金貸付事業及び設備貸与事業に対する貸し付け、並びに高度化資金貸付金の貸し付けなどに要した経費であります。
 2項貸付事務費は、ただいまの貸付金の貸し付け及び回収に要した事務経費であります。
 以上で商工労働観光部関係の決算についての説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 これより質疑を行いますが、世話人会の申し合わせにより、各委員の発言の機会を保障するため、1人の委員の質疑が長時間、おおむね30分に及ぶことのないよう、質疑、答弁とも簡潔明瞭に行い、議事進行に御協力をお願いいたします。
 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇及川幸子委員 おはようございます。この朝のあいさつをどれだけしたかったことか。初めて申し上げました。
 大変御苦労さまでございます。部長の今の説明をお聞きしますと、まず、再建に向けた復興の取り組みを最重要課題ということでお願いしたいと思います。そういうふうに説明をいただきました。
 2点ほどお尋ねしたいと思います。
 まず、1点目ですが、観光施策についてお伺いいたします。
 まず、県内の観光というのは、入り込み数も観光客も大分ふえまして、一般質問とか、総括の質疑の中での答弁、大変結果がいいようでございますが、ただ、観光客の目を岩手に向けさせるためには、やっぱり観光協会との連携が大変重要だと考えます。県内市町村の観光協会との連携はどのように図られてきたのか、まずお伺いしたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 市町村観光協会との連携等についてでありますが、市町村観光協会とは、県が実施する大型観光キャンペーン等における地域ごとの取り組みにおいて、観光資源の磨き上げや商品化に向けた提案などの面で連携を図っているほか、国内外から旅行代理店を招聘する事業がございますが、この際の視察場所の選定、あるいは同行アテンドなどにも協力をいただいているところでございます。
 また、県観光協会におきましては、市町村観光協会に対して、関係諸団体等からの情報提供、市町村観光協会から寄せられる市町村のイベント情報の県観光ポータルサイトへの掲示、市町村協会職員も対象とした観光研修の実施など、所要の連携を図ってきたところでございます。
〇及川幸子委員 ありがとうございます。
 県の観光協会と連携をとりながらやっているということで、盛岡駅におりますと、あそこでお客様に対しての説明をする窓口を設置していろいろ努力なさっているようですが、県内の観光施策をするに当たりまして、問題点、課題等はあるのかどうか伺います。
〇戸舘観光課総括課長 今、盛岡駅の観光サポーターについての話がございましたが、県の観光協会、それから、市町村観光協会、これは連携を強めておりまして、これまでのところ大きな問題点や課題があるとは承知しておりませんけれども、今後、本県の観光振興をさらに推進していく上で、地域における拠点組織として、市町村観光協会とは一層の機能強化を期待しつつ、いわてデスティネーションキャンペーンを控えて、さらに連携を深めてまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 10月18日の佐々木朋和議員の一般質問の中で、知事から観光振興については、集客数の高まった人々を沿岸に呼び込むという内容の答弁がされましたけれども、この沿岸という部分、被災を受けて大変な時期でございますが、やっぱり県内を見ますと、被災を受けながらも、元気いっぱいに若い人たちがいろいろな知恵をもって自分たちのところへ呼び込むという努力が時々見られておりますが、被災地の観光協会の状況というのはどうだったのか、事務所が残っているか、それとも役員がまだ健在でそういう努力をなさっているのか、その状況をお知らせいただきたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 被災市町村の観光協会の状況でありますけれども、被害がなく通常どおり運営されているところが久慈市など6カ所、それから、被災をして、事務所が一部流されたりとかというところがありますけれども、活動にいろいろ程度の差はありますが、運営を継続している協会が6カ所と承知しております。
〇及川幸子委員 沿岸に県外からお客様を呼び込むというのは、準備が不備だったりしてなかなか大変だと思いますけれども、やっぱり元気を見せるというときに、そこの沿岸地域の特産物を広めるためには、そういう観光協会で残っている方々に、県としてもいろいろな指導をなさって、元気をつけて、ますますこの岩手県のよさをやっていくという意味では、もっともっと強化しなければならないのではないかと思います。
 それで、岩手への観光客が多くなっているのはお聞きしていますけれども、宿泊がされていないということをお聞きしますが、その点についてはどうでしょうか。
〇戸舘観光課総括課長 国の宿泊統計というものがございますけれども、これによりますと、平成22年─これは暦年でございますが─県内の宿泊者数は約426万人泊ということになっておりまして、過去3年間の状況を見ますと、年々、少しずつですが増加している傾向にございます。
 一方、平成22年の本県の延べ宿泊者数に占める県外宿泊客の割合が64%ということで、これは、全国平均の72%と比較しますとちょっと低い傾向にありますので、今後、県外観光客の誘客というところに力を入れていかなければならないと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 平泉が登録に成りまして、宿泊がふえたのかと思いましたら、結構ふえていないようなんですけれども、その辺はどうですか。
〇戸舘観光課総括課長 私ども、今月、平泉におきまして、平泉を訪れた観光客354人の方に対しましてアンケート調査をいたしました。その状況で申し上げますと、平泉を訪れた県外客の方々のうち、宿泊日数ですけれども、1泊2日という方が最も多くて32%、次いで日帰りの方が28%、2泊3日が24%ということで、約7割の方が1泊以上は宿泊している、こういう状況でございます。
〇及川幸子委員 私は、登録後の354人のアンケート調査では7割の方が宿泊されているということですけれども、この354人というそのアンケート調査も低いと思いますよ。実際お聞きしますと、岩手県に泊まらないで、秋田県とか青森県、北海道にそのまま行っているお客さんが大分多いようです。
 実は、平泉を見ていただいて、岩手県内をやっぱり歩いていただいて、泊まっていただくのが一番の目的じゃないかと思うんですよ。その辺のところのチェックが大変おろそかなのではないかと。
 そして、宿泊先も、県外のお客様が満足するくらい整備されているのかどうか。登録後ですよ、登録後。その辺をお聞かせいただきたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 サンプル数が少のうございますけれども、この私どもが調べた中では、宿泊先としては、岩手県内が最も多くて55%、次いで宮城県が22%、その他県外が9%という状況になっておりまして、県内の宿泊先のうち、平泉、それから平泉周辺が48%、それ以外の岩手県内が52%という状況になっておりまして、平泉、一関周辺が一番多うございますけれども、それに次いで花巻、それから盛岡近辺に宿泊している、こういう状況でございます。
〇及川幸子委員 その数字を述べた感じを見ますと、これでいいのかなというふうにしかとられないのですけれども、全然これでいいとは思わないんですよね。というのは、登録後、宿泊先の整備がよくなっているところが余り見られないんですよ。全国のお客さんを迎え入れるためのおもてなしの部分が、その宿泊先でよくなっているところがあるのかなという気がしますけれども、どうなんですか。この数字だけをちょっと比較しますと、うん、なるほどと思うんですが、宿泊先の近辺を歩いたり、泊まってみますと、全然変わっていないような気がいたしますけれども、どうですか。おもてなしの部分について。
〇戸舘観光課総括課長 個々の宿泊施設においてどんな取り組みがなされているか、つぶさには承知しておりませんけれども、登録を機に、送迎バスを出したりしている宿泊施設もあると聞いておりますし、また、これは登録後ということではありませんけれども、いろいろとその施設の特色を出したおもてなしをしている施設もあると聞いておりますので、そういった個々の施設の取り組みというものをもっともっと強めていただきたいと思っております。
〇及川幸子委員 観光の最後ですが、今、最後に答弁なさった件ですが、その地域の特産を生かした食という部分について、食というものについて頑張っていくということをさっき部長もおっしゃっていました。やっぱりおもてなしには、特産を生かした食の部分が重要と思います。そういう振る舞いを登録後、随分力を入れているかどうか、お伺いいたします。
〇戸舘観光課総括課長 近年、観光事業者の皆様方の地産地消への意識が確実に高まってきていると思います。地元の食材を利用した宿泊プランで、昨年は、いわて牛を召し上がっていただいた方に、抽せんでいわて牛をプレゼントするという取り組みをした宿泊施設もあると聞いておりますし、また、ことし、沿岸部において、網起こしを体験していただいて、そこでとれたものを朝食にお出しするという取り組みを始めた施設もあると聞いております。
 そういった地元の食材を利用した宿泊プランですとか、あるいは特別メニューを提供する旅館、ホテル、飲食店も含めてそういった施設がふえてきていると認識しております。地元の特色を出すという意味では、やっぱりその地元の食材を使うというのは大きな財産になると思いますので、こういった取り組みを支援してまいりたいと考えております。
〇及川幸子委員 県で一生懸命になってこのおもてなしという部分で、ただいま申し上げた地元の食材を利用した宿泊先がどうなのか、もう徹底して見ていただきたいと思います。やっぱりそれが全然変わらないような状況で全国のお客様を受け入れるというのは無理だと思いますので、その辺のところをどうぞ今後チェックしていただいて、本当に努力している企業なのかどうか、宿泊先なのかどうか、やっていただきたいと思います。
 次に移ります。雇用の場の確立についてですが、こういう震災がありますと、働く場所がないということで、住民の方々も大変危惧していると思います。被災地の方々も危惧していると思います。
 そういう中で、誘致企業の推進、促進が重要となりますが、この取り組みについて、その成果を伺いたいと思います。また、それによってどの程度の就業が図られたのかも伺いたいと思います。
〇保企業立地推進課総括課長 平成22年度の企業誘致件数の実績で申し上げますと、その件数は23件でございまして、これによりまして、計画数値ではございますが、526人の雇用が見込まれております。
 また、過去に誘致した企業が、平成22年度中に操業を始めたり増設を行ったこと等によりまして、その雇用増という点から申し上げますと、その実績は416人でございます。
〇及川幸子委員 延べでは1、000人に満たないと思いますけれども、実は、被災地において、大槌町では、水産加工業が、停止していたところが、来年2月に操業ということで、ここは100人ですね。それから、釜石市のシイタケ工場、ここも来年始まるということで150人、これで250人という雇用が図られるわけですけれども、被災地において、実態をどのようにとらえているのか、被災を受けて職を失った人たちをどのようにとらえているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 被災地における雇用情勢ということでございます。
 震災津波によりましては、多くの企業が被災して、多数の方々が離職を余儀なくされているということでございます。県におきましては、震災後直ちに緊急雇用創出事業によります雇用対策を始めましたし、それから、事業所の復興、復旧についても、各種の施策を実施しているところでございます。
 そういった形で雇用の場の確保を行ってきているところでございまして、有効求人倍率で申し上げますと、4月には、沿岸地域では軒並み0.2倍台でございました。これが8月の段階では、宮古が0.55、釜石が0.52、大船渡が0.47ということで、そういった点では0.5倍台まで回復してきておりまして、数値の面では相当程度改善はしておりますけれども、まだまだ本格的な雇用回復というのは時間がかかるかと思いますので、そういった点にこれから取り組みを強化してまいりたいと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 被災地で今、全体で、全体ですよ、働く場所がないということで求めている方々の状況はどうですか。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 震災後、どれくらい失業されている方がふえているかということだと思いますけれども、県全体で、5月の時点でございますが、求職者の方が4万6、000人でございました。これは、経済が比較的堅調でありましたリーマンショック前と比べますと1万3、000人ぐらいふえてございます。このうち約半数、6、500人以上が沿岸地域での方々だということでございます。これが、現在少しずつ、復旧事業等によりまして吸収されつつある状況ではありますが、なお、まだ多くの方が職を求めているというような状況にあると認識しております。
〇及川幸子委員 被災地においては、職がないということは、若い人たちは、子育てをしながら、生活ができないということで他県に移動するということで人口流出の歯どめがかからないと思っております。お忙しいとは思うんですが、そういうところも把握しながら、釜石にはどのくらい、大船渡にはどのくらい職を求めている人がいるか、そして、その地域にどの程度働く場所があるかということを早急に精査していかなければならないのではないかと思うんですね。
 釜石市にシイタケ工場ができましたけれども、釜石市では、海から近い浸水地でも、商業用なら活用できる方向ということが打ち出されております。今、大型店は、どこに出そうかということでいろいろ策を練っているようでございます。そういうところが出ますと、何十人という雇用が確保できるわけです。
 この6、500人の雇用を守るためには、そして岩手県の人口流出を防ぐためには、もっともっと積極的に早い施策でやらないと、どんどん人口の流出がなされていくのではないかと危惧するものですが、いかがでしょうか。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 委員御指摘のとおり、そういった意味では、被災地の雇用を守るということで、国におきまして、今般、10月に沿岸地域で雇用保険の受給期間を3カ月延長してございまして、そういったことによりまして、一定程度の生活の維持でありますとかといったことにつながるものと思っております。県といたしましても、産業復興とあわせて、それまでの時間が少しかかりますので、例えば緊急雇用創出事業などを活用しながら、当面の雇用を確保してまいりたいと考えているところでございます。
〇及川幸子委員 いずれ、これは時間がないと思います。釜石市に今度できるシイタケ工場ですが、中身を見ますと、工場電力には木質バイオマスボイラーを利用し、震災に伴う瓦れきを燃料として使う。本当にこれは、もう瓦れきも使いながら燃料も考えていく、そして、さらに、人も150人ということですから、他局と連携をとりながら、とにかく早急にこの雇用という部分を守っていただきたいと思いますが、最後、部長の見解を聞いて、終わります。
〇齋藤商工労働観光部長 全くおっしゃるとおりだと思います。私ども、事業所の復興が本格的な雇用の復興と見ておりますが、残念ながら、なかなか目に見えた形にならないというのは、特に、土地利用の点でなかなかうまくいかないというのが大きいかと思います。
 補助制度、例えばグループ補助金につきましては、先ほどの補正でも300億円認めていただきましたので、資金的な点ではかなりの支援が企業に対してもできているわけでございますが、あとは、現実の面として、建てる場所の問題が次に出てまいります。土地を見つけられた企業はいいのですが、なかなかはっきりしない。
 これは、今、県土整備部で、防波堤の高さというものを各市町村に示しております。これによりまして、浸水区域というものがかなりはっきりいたしますので、市町村では、どこからどこまでが、どういう土地として使えるのかというのが見えてまいります。
 こういった形で、かなりの判断を早くしていただいて、どこが、どう土地を使えるのかということさえ決まれば、目に見える形で工場あるいは事業所の復活というものが今後進んでいくと思いますので、私どもも、そうした動きと歩調を合わせながら支援してまいりたい。
 当面、仮設店舗、こういったものを今、中小企業基盤整備機構で整備しておりますけれども、こちらを国にお願いしてどんどん建てておりますので、一刻も早く実質的な経済を回すように、我々も努めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 食産業の振興についてお尋ねいたします。
 県内における豊富な食材を生かしながら、安全・安心な食の情報を発信することで、新しい食のビジネスを始める企業も多くなってきたのではないかと思っております。高付加価値をつけ、販路開拓も活発化することで、今後は、ものづくり産業とともに、食産業に岩手県は大きな期待を寄せているのではないかと思っておりますし、私も期待しているところでもあります。
 そこで、食料品の製造出荷額も伸びてきております。3、594億円、これは、目標も上回っておるところであります。平成22年度、食産業に支援した企業数と支援内容を伺いたいと思っております。
 また、農商工連携促進の中で、いわて食のパワーアップ事業がございます。その支援する事業によって、新商品の開発、販路開拓が行われていると思っておりますが、農商工連携ファンド支援数は7件ということでありますが、農商工連携のこの成果、パワーアップ事業の課題についてお伺いいたします。
〇福澤産業経済交流課総括課長 食産業の支援企業数でございますが、地域の中核企業や今後成長が期待できる地場企業、意欲的な生産者等21社に対して、産業創造アドバイザーや大手量販店のバイヤーなどを活用し、商品開発─これは、ヨーグルトやしめサバ、干しシイタケ等でございますが、その開発や販路開拓等を重点的に支援したところでございます。
 また、農商工連携につきましては、農業生産者と加工食品事業者の連携による商品開発等ファンドを活用しまして7件支援したところでございまして、その主な内容といたしましては、地場の麦芽を原料とした炭酸飲料、あるいは杜仲茶を与えたブランド豚の開発、あるいは県産の米粉を活用したお菓子、そうした内容でございます。
 さらに、県内外での商談会等で延べ140社の企業の取引拡大を支援しているところでございます。
 それから、いわて食のパワーアップ事業の関係についてでございます。
 この事業につきましては、新規雇用による商品開発、市場開拓、新生産方式の導入など新たな取り組みを支援したところであり、14社を採択しまして、95人の新規雇用が創出されたところでございます。
 その商品開発等の具体的な内容、成果でございますが、沿岸部の乳業メーカーと酒造、製パン、化粧品の各メーカーとの連携により、ヨーグルトリキュールや蒸しパン、トリートメントを商品化した事例、あるいは県北部の酒造メーカーが、農業生産組合と連携し、スパークリングタイプの梅酒を商品化した事例、また、沿岸部の食品加工メーカーが、コールセンターを設置し、直売部門の強化による新規顧客を開拓した事例などが生まれているところでございます。
 今後、こうした成果を一層拡大させますとともに、地域に波及させていくことが必要と考えているところでございます。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。
 いろいろと、山ブドウとか雑穀とかブランドになった商品もたくさんあるわけですし、今、聞いたものでも初めて聞く商品名もあったわけでございますので、まだまだこれからだと思いますけれども、PRが非常に大事ではないかと思っております。そのPRするには、やはりいろいろなPRをする冊子と申しましょうか、そういうデザイン等も大事になってくるのだろうと思っています。パッケージも大事だろうと思っております。ぜひそういうところにも力を入れていただければと思っております。
 また、この東日本大震災津波によって被害を受けられた水産加工業者はどれくらいになるでしょうか。また、7カ月を経過した上で事業を再開された企業はどれくらいになっているのかお伺いいたします。
 水産加工業者は、大きい企業も多分あったんだろうと思っておりますし、また、今後、これから、7カ月以上経過した中で、生活の再建というのは、被災者にとって非常に大事になってくる大きな要素だと思っております。そこには、やはり雇用が生まれなければなりませんし、雇用対策も進めていかなければならないと思っております。
 中小企業、さらにまた零細企業も多分多かったのではないかと思っておりますけれども、事業者が再建しようと思っても、融資制度とか、貸付制度が受けやすい形でないと、中小企業や零細企業というのは非常に大変じゃないかと思っているところであります。
 国、県の助成制度が、こういう中小、また零細企業にも手厚くされない限りは、今まであった多くの沿岸地域の企業というのは、再建が非常に難しくなってくるのだろうと思っております。
 そこで、国の支援制度の幅から外れる企業に対して、県独自の支援体制ができないのか、そういうことも伺ってみたいと思います。
〇福澤産業経済交流課総括課長 沿岸地域の水産加工業の被災状況等についてでございますが、工業統計調査の対象となっている従業員4人以上の事業所は、沿岸地域に156事業所が立地してございます。このうち全壊など何らかの被害を受けた事業所は138事業所、88.5%となってございます。
 この138事業所のうち、9月末現在で再開済みが32事業所、23.2%、それから、今後再開したいという意思を示している事業所が74事業所、53.6%となってございます。
 こうした状況にかんがみまして、中小零細の企業への支援についてでございますけれども、まず、財政的な支援として、中小企業災害復旧資金や中小企業東日本大震災復興資金などの制度融資により、零細な事業者の資金需要に対してもきめ細かく対応するほか、相談センターや債権買い取りを行うファンドを創設するなど、二重債務問題にも対処しながら円滑な資金繰りを支援しているところでございます。
 また、さらには、今9月定例会において増額を御承認いただきましたけれども、ヤマト福祉財団からの助成金を受けまして措置いたしました水産高次加工事業者生産回復支援事業において、これは、現在、募集を終了したところでございますが、107社に対し、生産回復に必要な加工機械等の整備に要する経費への補助として、16億円の助成を内定しているところでございます。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。
 4人以上の零細企業の中で156事業所も被害に遭っているわけでありまして、9月末、32事業所が再開したということは非常に喜ばしいことですし、この人たちは、多分、自力で始めたのではないかと思っておりますけれども、まだまだ、また事業を始めたいと思っている事業者が74事業所もあるわけですね。もし融資とか、いろいろなこういう支援が受けられるのであるならば始めたいと思っている、そういう事業者もあるのではないかと思っております。
 ぜひ今後、ヤマト福祉財団からの御支援もあるようでございますけれども、いろいろな形の中で、全国にはこういう財団関係で、ぜひ支援をして、企業を立ち上げて生活再建を進めてほしいという人たちがあるのではないかと思っておりますので、県も、そういうところにもぜひ情報をとっていただいて、沿岸地域の企業の支援をどんどん進めていって、今、仮設に入って生活しているわけですけれども、これからは自力で生活していかなければなりませんし、自分のうちも建てたいと思っているでしょう。いろいろな形の中で雇用対策を進めるには、大企業もさることながら、こういう中小、そして零細企業がいっぱい立ち上がることで元気が回復するのではないかと思っております。そういう面において、ぜひ、県がこういう手厚い融資制度をきめ細かくやってほしいと思っておりますので、もう一つ聞いてから、部長から御所見をお伺いいたします。
 岩手県には、産業創造アドバイザーという方が8名委嘱されております。それぞれの分野で活躍をされていると聞いております。そこで、やはりこの融資制度とあわせて、この沿岸の食産業を立ち上げる、企業を立ち上げていくためには、こういう人的な支援というものも非常に必要になってくるのではないかと思っておりますが、そのお考えをあわせて部長にお聞きいたします。
〇齋藤商工労働観光部長 今の産業創造アドバイザーのお尋ねですが、現在、流通業や百貨店のOB、それからマーケティングの専門家など8名の方々を、産業創造アドバイザーとして委嘱させていただいております。これは、震災前から活動いただいておりまして、例えば、久慈の漁協に入りまして、非常においしいしめサバを開発するとか、あるいは、大手量販店とマッチングなどを行いまして首都圏において販売会を行うなど、非常に実績を上げております。
 引き続き、被災した食品関係事業者につきましても、こういった方々に入っていただいて、これまで築いてきました販路というものが維持されるようにお願いしているところでございます。
 それから、あるいは自動車関係の方々、これは食品アドバイザーではございませんが、新しく工場を立ち上げるときに、例えば、自動車関係のカイゼンという考えを工場に持ち込んで、できるだけ効率的な工場を立ち上げてもらおうということで、これも現実的に幾つかの工場にアドバイザーとして、県のある自動車メーカーでございますが、その方々に入っていただいて指導も受けております。
 ですので、こういう人的支援も、実は、目に見えませんが、復旧、復興の中で、大きな意味で私ども実際に動いておりますので、これも強く進めていきたいと思います。
 それから、もう一つ、融資の関係でございますけれども、これは、被災直後にそのための緊急対策基金というものを立ち上げておりますし、それから、これは、6月の補正で県単で500億円の制度融資も立ち上げております。これもかなり有利な金利でございますが、できるだけ、資金需要に関しましては、いろいろな形でオーダーにこたえて、きめ細かく対応してまいりたいと思っております。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。いろいろな融資制度があるようですけれども、ちょっと質問の中に入れていなかったんですが、国からの支援、さらには県の今の500億円を含めて、どのくらいの企業に当たるとお考えになっていらっしゃるのか。また、今のこういう産業創造アドバイザーのような方々をもう少し増員して、沿岸独自に配置して当たるお考えがあるのかないのか、お伺いいたします。
〇福澤産業経済交流課総括課長 どのくらいの企業に対して支援を行っていくかということでございますが、水産加工について申し上げますと、先ほどのヤマト関係の補助金、あるいは、いわゆるグループ補助金で、今後、2次、3次の助成も実施されるわけでございますが、そうした部分の活用で、ほぼフォローというか支援ができるのではないかと考えているところでございます。
 それから、アドバイザーの関係でございますが、先ほど部長も答弁いたしましたけれども、自動車関係のアドバイザー、今お2人お願いしておりますし、そのほかに、名古屋のほうの中部産業連盟という、これも自動車関係者の社団法人でございますが、工程改善等の指導というかコンサルティング業務をしてございまして、そこからも、無償で本県に来ていただいて、企業の改善等の指導に当たっていただいているところでございます。
 今後も、そうした方々の協力をいただくとともに、量販店のバイヤーさんとかの力もかりながら、沿岸地域の企業の復興支援に努めてまいりたいと考えております。
〇松川経営支援課総括課長 先ほど部長が申しました6月補正でつくりました東日本大震災復興資金で申し上げますと、1、349件の利用がございまして、補償実績ですけれども、現時点で293億円の利用があるということでございますので、いずれ、震災に対応して、被災された企業が、そういうものを活用しながら再建に立ち向かっておられると考えております。
〇工藤勝子委員 ありがとうございました。
 ぜひ事業をやりたいという企業に対して、県が相談窓口を開き、融資制度も広げて、そして支援をし、三陸沿岸の企業の立ち上げに尽力していただきたいと思って、質問を終わります。
〇関根敏伸委員 私からは、大きく3点御質問をさせていただきます。
 今の県の最大にして喫緊の課題は、今回の震災津波からの復旧、復興であることは言うまでもありません。殊にも沿岸部の産業、なりわいの再生ということでさまざまな取り組みをされていらっしゃいます。また、そういった部分に対して質問も集中しているわけでありますが、知事も、知事演述の中で、この復旧、復興を進めるためには、内陸の経済が元気でなければならない、内陸の経済の活性化と復旧、復興は一体であるといった趣旨の知事演述を述べていらっしゃいますし、冒頭の部長の話の中でも、そういったことが込められていたかと思います。
 そういった中で、3点質問させていただくわけでありますが、震災発災当時は本当にさまざまな混乱の中、ものづくり産業も相当痛んだという記憶があります。殊にも、部品が入ってこないという状況の中で、操業率がどんどん落ちていった。あるいは福島の原発の影響で、電力の安定供給がどうなるのかわからない。当時、今ほどではないにしても、円高が相当進行していたという中で、岩手が進めてきたものづくりの産業が、本当に岩手に残ってしっかりこれから操業されていかれるのかと、私、個人的にそういった不安を随分感じたことがあったんですが、そういった中にあって、御承知のとおり、7月でしたけれども、トヨタの豊田社長が、東北復興支援策ということで大変力強い支援策を示されました。
 今さら言うまでもないわけでありますが、岩手では小型のハイブリット車を生産していくと。また、関東自動車を含め3社を統合して、いわゆる九州と中部の3拠点として、新たに東北をどんどん一貫体制に進めていくと。宮城にもエンジン工場をつくったり、人材の育成機関をつくったり、こういった支援策が述べられていたわけであります。そんな中で、さっき言いました、関東自動車とセントラル自動車とトヨタ自動車東北の3社を統合したいわゆる統合会社をつくって、関東自動車の岩手工場に設置される予定の開発、部品調達拠点をつくっていくといったことが示されていたかと思っております。
 そこでお伺いしたいわけでありますけれども、この新しい統合会社によってつくられようとしております開発、部品調達拠点の概要、そして岩手にこれを置かれる意義、これをどう県としてはとらえていらっしゃるのか。そして、この新たな拠点を核として、県としてこれからどうやってこの自動車産業に対して取り組みを進めていこうとされているのか、まず、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 開発、部品調達拠点の設置につきましては正式には聞いていないところではありますが、新しい自動車を持続的に提供していく際の中核は、やはり開発と調達機能と考えております。平成21年春に、関東自動車工業岩手工場敷地内に開発センター東北が設置されております。このセンターを軸に拡充する形で設置されるように、県としても働きかけを行っていると。開発、調達機能はものづくりの枢要な、中核な機能ととらえております。その環境整備の一環といたしまして、開発を担う高度技術人材の育成、あるいは試作開発支援によります開発段階から自動車メーカーに参画できるような、地元企業の技術の強化に努めているというところでございます。
〇関根敏伸委員 まだ概要がはっきり示されていないということですね。そうすると、この設置場所についても、関東自動車の今の岩手工場の敷地内に設置されるかどうかということも不明瞭な状況であると理解してよろしいですか……。はい。
 ただ、この開発拠点そして調達拠点ということになってきたときに、その概要が示されていないことはそのとおりだと思っておりますが、あわせて、この東北復興支援策の中で、部品の現地調達率を将来的には80%まで何とか高めていきたいというお話もされていたわけであります。この現地調達率ということの意味もちょっと不明瞭なわけでありますけれども、県としてはこの現地調達率80%が実現した場合、現実的に市場の規模がどの程度拡大してくるのか、こういったことに関しては試算をされていらっしゃるのでしょうか。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 現在、東北の現地調達率は42%ないし43%と言われておりまして、自動車関連産業は約1兆円の規模でございます。エンジンの生産など、現地調達率の向上分も含めまして、一定程度の一貫生産体制の構築を前提にして、現在、東北では2兆円産業といったところを見込み、それを目標にして取り組んでいるところでございます。
 参考まで、岩手県そのものの自動車関連産業の額は3、700億円余ということで、東北においては30%ないし40%を占めているという状況にございます。
〇関根敏伸委員 この現地調達率というのは、あくまでこれは東北全体のというとらえ方ということになるわけですよね。この復興支援策の中でも言われておりますが、恐らくトヨタとしては、今後は北関東まで視野に入れて現地としてとらえながら、そこで現地調達率を高めていくということを想定していらっしゃるのだなと思っているわけでありますけれども、今、部品調達率が42%ということも示されているわけでありますけれども、現在の部品調達率の現状認識とあわせて課題、そしてこれから80%─東北あるいは北関東も含めて、トヨタ自動車が進めようとしているこういった状況、目標に対して、県内の企業参入やあるいは新規企業立地に向けた県としての取り組みをお知らせいただきたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 部品調達率につきましては、ここ最近横ばいで来ておりまして、その要因といたしましては、エンジンやミッションなどの基幹部品、あるいは電装品等々の調達が域外だったということが挙げられます。今般、宮城にエンジン工場が新設されるというようなお話もございますので、部品の調達率は上がっていくものと見ておりますが、そういった状況にあって、岩手の地元の企業がいかに参入できるかといったところが大事でありまして、そこが課題でもあると認識しております。このため、自動車メーカーが求めます品質、コストなどの水準がクリアできるように、コスト競争力の強化あるいは技術開発力の強化といったところを重点的に支援していきたいと思っております。
 また、あわせて、企業の参入率につきましては、県内では調達の難しい電装品等の高機能部品、あるいは塗装、金型などの基盤技術の分野について、その企業あるいは設計開発部門の誘致に戦略的に取り組んでいきますし、今後もやっていきたいと考えているところです。
〇関根敏伸委員 先ほど来申し上げておりますが、県としていわゆる東北という大きなとらえ方をしながら、県だけではなくて、東北各県と力を合わせて自動車産業の誘致ということに取り組んでいると、こういう方向性もよく理解をしております。ただ、現実問題として、岩手の優位性というものをしっかりと売り込んでいきながら岩手県内に誘致を進めていくと、岩手県内の企業をとにかくハードルの高い自動車産業にどんどん参入をしていくような後押しをしていく、こういったことがぜひ必要になってくるんだろうと思っております。なかなか部品調達率が進まないということ、それだけハードルが高いということだと思いますけれども、今申し上げましたような大きな方向性とともに、ぜひ具体的な部品調達率の中に、岩手県の企業がどんどん参入していけるような後押しをお願いしたいと思います。
 2点目お伺いさせていただきます。
 いわゆる連峰型のものづくり産業を岩手は進めてきたわけでありますが、そのうちのもう一つの柱であります半導体の集積に向けてということでございまして、具体的には岩手東芝の件に関してでございます。
 これも10月でございましたけれども、地元新聞に、東芝の新工場の着工時期についての記事が載っております。これにつきましては、北上の岩手東芝の社長が発言をされていた記事でありますけれども、世界の景気動向とかさまざまな不安定要素があるからことしは難しいが、早ければ、来年の秋から年末にかけて、四日市の第2期分を建設するか、北上で量産を目指すかを判断することになるだろうと、こういった発言の趣旨が載っていたわけでありますが、県として、改めて、東芝の新工場設置の判断時期をどうとらえているのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
〇保企業立地推進課総括課長 北上市におけます東芝の新工場につきましては、残念ながら平成21年に着工延期になっております。早期の着工が待たれるわけでございますけれども、その時期につきましては、私どもとしましては、今後の半導体市場の動向ですとか、半導体の製造技術の進展といった複雑な要素が絡んでいると判断しておりまして、そういったものの動向を踏まえながら、会社のほうで判断されるものと考えております。
〇関根敏伸委員 そうすると、来年の秋から年末にかけて判断をしていくという時期についても、県としては微妙にとらえているという認識でありますか。
〇保企業立地推進課総括課長 確かに10月16日付の新聞の記事につきましては、私どもも承知してはございますけれども、私どもとしましては、必ずしもそのとおりになるかどうかということについては、公式には確認はしていないというところでございます。
〇関根敏伸委員 県としては慎重な発言にならざるを得ないのはそのとおりだと思います。岩手東芝の社長の発言は、さまざまな判断に基づいて恐らく発言されたものだと私は思いますけれども、だとすれば、来年の秋ということを仮に想定いたしますと、残されている時間というのは非常に限られてくるということになるんだろうと思います。これを見ますと、四日市か北上かという、さまざまな景気動向や市場動向をにらんで判断されるということになるんだろうと思いますが、ぜひ、北上工場の着工に向けた実現化を県としても力強く支援をしていただきたいという意味でお尋ねをしますが、新工場実現のため、今までの半導体集積促進への取り組みを改めてどう評価し、どう課題があるのかということを整理しながら、今後の取り組み策をお示しいただきたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 まず、取り組みの評価でありますが、いわて半導体関連産業集積促進協議会というものを平成20年に立ち上げましたが、そのときから会員数が70ふえまして、現在286会員となっております。また、昨年度、平成22年度の専門展示会で、例えば有望案件とされたものが100を超えている状況、さらには、県内の半導体デバイスメーカーと地場企業が連携した研究会をつくりまして、新しいビジネスを目指すといったような、業界として積極的な動きがございます。そういったところでは、地元としては一定の評価ができるものではないかとはとらえておりますが、県内企業はやっぱり依然として厳しい状況にございます。ですので、企業活動の停滞や経営資源の流出を最小限に抑えて、産業集積としての活力や競争力を維持、確保していくことが課題ととらえております。このため、企業そのものの体質的な強化として、県内企業を総合力で対応するという形でネットワークの強化や、やはりそれぞれの技術の向上、また、人材育成といったところを着実に積み重ねていきながら、対外的にも、技術と人材が岩手の強みだと言われるよう努めながら、新たな立地を促進できるように取り組んでいきたいと考えております。
〇関根敏伸委員 私が聞きたかったのは、今言ったように、いわて県民計画の取り組みのこの本の中にも示されておりますが、ネットワークの参加会員数というのは一つの指標にとらえながらこれを進めてきたわけでありますが、こういった取り組みをすることが、半導体の集積促進ということを一番手っ取り早く実現できるのは、東芝の新工場の立地であるわけですよね。これを進めていくことが、この立地促進に向けた評価、東芝内の評価、立地に向けて北上に来ようという評価を高めるための施策になっているのかどうかということも含めて、私は評価を聞きたかったわけであります。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 立地に際してはさまざまな要因があると思っていますが、岩手県とすれば、立地に際して人材の確保ですとか即戦力、あるいはさまざまな技術があるといったところで、企業内でも新しい展開にも即座に対応できるというところで、ほかにはない岩手の強みとして、私どもとしては技術あるいは人材といったところを強調しながら、そういった立地にも寄与するよう努めているところでございます。
〇関根敏伸委員 私もたびたび東芝の関係者の方とお話をする機会がありますが、確かに人材評価はおっしゃるとおりです。非常に高い評価をいただいております。これが四日市との競争の中で、最終的な判断の大きな材料になることを私は期待もしておりますが、あわせて、企業でありますから、判断の中にいろんな要素を加味して最終判断をするということになる意味において、人材とあわせて、今、岩手は特定区域における産業の活性化に関する条例などもつくりながら優遇措置もつくっております。税の減免、補助金を含め、こういったものもつくっているわけでありますけれども、判断に大きな影響を及ぼすであろうこういった施策も含めながら、ぜひ残された─残されているのかどうかわかりませんが、期限がどんどん来ているんだと思います。そこに大きな切り札となる施策や取り組み方向も盛り込んでいただきたいと、こんなふうに思っての質問でありますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
〇保企業立地推進課総括課長 改めて東芝の新工場についての期待というものは、まさにそのとおりでございます。今、答弁ありましたとおり、技術や人材といったこともそのとおりでございますし、また、県の優遇施策としても、これは全国でもトップレベルだと自負してございます。会社側とは、これまでも定期的なコンタクトはずっと継続しておりまして、地元の、岩手の思い、あるいは北上が候補地であるということで全く変わりないわけでございまして、今後とも、早期着工に向けた働きかけは積極的に行ってまいりたいと考えております。
〇関根敏伸委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
 それで、3番目の質問に移るわけでありますけれども、今の自動車と半導体とも密接に関係してくるわけでありますが、国際競争力の高いものづくり産業ということでさまざまな施策を進めてきたわけでありますが、今、急速な円高の中で、国際競争力というものが失われつつあるという状況にあります。きょうの新聞でも、戦後最高値ですか、これも連日更新をしておりまして、75円67銭という状況になっております。トヨタの社長がこの東北に対しての復興支援策を示した中でも、こういう記事がありました。円高がやっぱり大変だと。85円以下の円高では太刀打ちできないと。何とか同じ土俵で戦える環境整備をと、こういった発言もされていたやに聞いております。その発言の時期からもう既に10円程度円高が進行していると。
 これは県にお尋ねするのもなんなんですけれども、日銀とか政府でも金融緩和とかいろんな策を考えているようでありますが、県としてやれるべきことというものをしっかりやっていく必要があるんだろうと思っております。そこで、改めて、円高による県内の産業への影響をどうとらえているのか、あわせて、県としてできる対策、どのように考えてどう進めようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇飛鳥川商工企画室企画課長 委員御指摘のとおり、自動車、半導体、まさに輸出の目玉という部分で、昨今の円高につきましては、仮に長期化した場合、本県のみならず、国内の産業界全体にとっての死活問題と認識をしております。地方におきましても、産業の空洞化といったものも懸念されることから、国家的な課題として、国において速やかにその対策に取り組まれるべきものと考えております。
 県では、国に対しまして、円高に対する効果的な対応策とともに総合的な国内経済対策を実施するよう、これまでも要望してきているところでございます。今般、国では、円高への総合的対応策というものが示されたところでございます。今後も引き続き、為替相場の安定に向けた必要な措置を行っていただくとともに、雇用対策を含めたさらなる国内景気対策を行うよう、引き続き要望していきたいと考えているところでございます。
 なお、県の対策ということでございますが、今回の9月補正におきましても、県単融資制度の追加融資枠を拡充させていただいて、企業の資金繰り対策といったものを講じさせていただいているところでございます。
 具体的に企業の支援という部分で、どこまで県単独でできるかというところは、輸出また輸入をしている企業それぞれに経営相談等を行いながら、個別に対応していきたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 国にさまざま要望するのはまさしくそのとおりでありまして、まさにこの問題は国が解決していかなければならない問題でありますが、私、冒頭にも申し上げたとおり、県としてやり得ることがあるのではないですかということを申し上げました。影響をどうとらえているのかということを申し上げたんですが、県として、県内の輸出関連企業とか、それに関連する企業とかさまざまあると思うんですが、そういったところへの影響の調査的なものというのはやられていらっしゃらないんですか。
〇飛鳥川商工企画室企画課長 企業等へのヒアリングといった部分でございますけれども、県及びジェトロ盛岡で、貿易輸出入実績のある企業団体172社、こちらにアンケート調査を行ったところでございます。その中で、126社から回答があったところでございまして、回答企業の中では製造業が最も多くて83社、その他卸売業とか小売とかという部分がございます。その中で、現在の円高水準の経営に与える影響という部分で、悪影響とするものがまず半分近く、44%程度ございました。一方、よい影響とするものが15%という状況でございました。その要因といたしましては、悪い影響の部分でございますが、発注元からのコストダウンの要請、あとは輸出数量減少の影響での受注量の減といったものがございます。一方、よい影響を与えるという部分では、輸入原材料のコスト縮減といったものもございました。
 こういったことで、アンケートの中で、公的な対策、支援策についても企業から記載をしていただいておりますけれども、何は言っても、国内景気対策そして法人税の軽減、こういったものが求められているところでございます。そして、県といたしまして、一律に円高というものは、先ほど申しましたとおり県独自ではなかなか厳しいものがございますので、円高対策というよりも、円高に対応できるというようなところで、経営相談等を中心に個別支援を行っていきたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 私が申し上げたいのは、そういったところなんです。言うまでもないですが、リーマンショックのときも大変だったわけですよね。結果として、県内から撤退された企業もありました。相当、雇用にも影響が及びました。ただ、ああいう状況の中で、企業が方針を発表した段階ではもう遅いですよね。それでどうしようかということが議会でも議論になるんですが、そうなった段階で、私は、県ででき得ることというのは非常に限られてくると思うんです。ですから私が申し上げたいのは、その前段階の中で、企業に寄り添って、企業に本当にきめ細かく聞いていく、県でできなければ市町村が主体となって、この地域は、この行政は我々を必要としてくれているんだと、我々の声を聞きながらいろんな解決策を模索しているんだということもしっかりと示していくと。具体的な解決策はできないかもしれませんが、企業と一緒に解決策を考えていくということが行政としてできるのであれば、最終的に撤退の発表が、寝耳に水のような形で発表されるということには私はならないのではないかと。少なくとも、そういったことが抑えられるのではないかと私は思っております。円高でいい影響も多分あるんだろうと思いますが、どちらかというと悪い面を過小評価しないで、悪い面をある程度最悪のことまで想定をしながらやっていくということが、今、県に求められる姿勢だと考えておりまして、そういったことを強く求めたいと思うわけでありますが、それを再度御答弁いただきたいと思います。
〇飛鳥川商工企画室企画課長 委員御指摘のとおり、円高が企業経営に与える部分ということでは、本県ではものづくり産業が牽引役ということで、いろんな産業分野に影響している、そして域外のお金を県内に持ってくるということからすると、円高については総じて言えば、かなり厳しい環境を強いられてくると考えております。
 繰り返しになりますけれども、今おっしゃられたとおり、県、市町村連携をしながら、そして企業の相談にきめ細かく対応してまいりたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 復興局等の審査とか、総括質疑とか一般質問等でも議論があったところですけれども、大震災の影響を受けて、この間の説明ですと、沿岸地域の1万3、000社のうち7、000社が被災を受けた。そして4、000社程度が、今、復旧、復興に向けて事業を開始しているという説明がありました。この支援については、マイナスをゼロに近づける支援と、ゼロから少しでも前に進む支援と両方あるかと思うんですけれども、今回、議会等でもそうですけれども、議案で出てきました設備貸与の権利の放棄とか、そういった形でいろいろ支援しているわけですけれども、中小企業振興費、これは今回の決算でもいろんな振興費が貸付金等あるわけですけれども、震災の影響はどうなのかお聞かせ願いたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 震災の影響で中小企業振興費ということでございますけれども、年度当初は567億円ということでしたが、震災の復旧、復興の対策としまして追加の補正を重ねておりまして、現在992億円の規模ということで、425億円の増額ということになっております。
 主な内容といたしましては、長期、低利な制度資金としての中小企業東日本大震災の復興資金や、あるいは事業再開のための補助金といたしまして、中小企業被災資産修繕費の補助制度といったものを創設したところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 種々施策を実行していただいておりますけれども、これは平成22年度のそういった被災企業の貸付金とかその取り扱いとかの、残高という表現が適切なのかわかりませんけれども、どうなっているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 震災の影響でということだと思いますが、今、手元にございます岩手県信用保証協会のデータで申し上げさせていただきます。
 沿岸12市町村における本年9月末の保証残高でございますけれども、約630億円となっております。これは、前年の同期と比べますとほぼ同程度ということでございまして、いずれ、信用保証協会では、被災企業に対しまして保証料の支払い期限の延長など、いろんな条件変更とか、あるいは新たな保証に積極的に応じまして、円滑な資金繰りになるように努めておるというところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 1万3、000社のうち7、000社が被害を受けたと。ということは、これは既に借りていたもの、貸していたものというかあるわけですよね。それはこの間の議会で決めた機構等が対応するのかどうかわかりませんけれども、そういったものっていうのはどういうふうな取り扱いになっていくんでしょう。
〇松川経営支援課総括課長 まず、機構との関係でございますけれども、いろんな県単融資もございますし、あるいは金融機関からのいろんな借り入れがあったといった場合には、相談センターに持ち込まれて、そして債権者間の調整を行った上で、買い取りが必要と判断された場合には、これからつくりますけれども、産業復興機構に買い取りを要請するというふうになります。
 先ほど申し上げましたいろんな保証を行っているようなものでございますけれども、その中にも、恐らく被災企業の中では、相談センターに相談されるような案件も含まれているのではないかと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 県は間接的な形でかかわっているものが多いのかもしれませんが、これだけの被害で人が亡くなったりすると、経営している人そのもの、例えば会社もなくなったけれども経営している人そのもの、書類も全く残っていないとか、そういったもの等もあるのではないかと思うんですけれども、こういったのは全体的にどういう扱いなるのかと思っているんです。県の貸し付けと同時に、一般債権も機構の対象になるという話でしたけれども、結構、銀行等の資産もかなり痛んでいるんじゃないかと思うんですよね、そういった意味で言うと。表には出てきていないけれども。恐らく整理していないから資産として、貸付金として残っているんだと思うんですけれども、実際には回収不能となっているものってかなりあるんではないかと思うですけれども、そういったことについても情報としてありますか、わかりますか。
〇松川経営支援課総括課長 被災によりまして書類等がなくなっている、現実にそういったものもあるようでございますので、そういったものについては、過去の取引なども参考にしながらということになろうかと思います。
 そういうことで、機構につきましては、先ほど申し上げたとおり、過去の実績などを参考にしながら買い取りということを進めていくことになりますし、それからもう一点御質問がございました、銀行での回収の状況ということでございますけれども、それにつきましても、債権者調整の中でそのあたりは整理されるのではないかと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 書類の滅失とかというのもあるんですけれども、中小零細企業で言うと、借りていた人、会社もなくなっているし、返済する人がいないとか、そういうのもあるんだと思うんですね、これだけの被害だと。そういったことについても把握はされているんでしょうか、どうでしょう。
〇松川経営支援課総括課長 商工団体では、それぞれ会員事業者を個別に訪問するなどして状況を把握しているとお聞きしておりますので、そういった中で、いろいろ支援策などの対応を考えているかと思います。
 それから、滅失したとかあるいは事業者がいなくなったというような場合もあろうかと思いますけれども、そういった場合についてはいろんな債権の整理の仕方もあろうかと思いますので、その中で整理されていくものと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 こういった県の関与の限界というのもあるかと思うんですけれども、なぜ銀行等の話をするかというと、これからいろんな事業資金等の需要があった場合でも、一時的に、今東北地区の、特に被災地を中心とした金融機関の預金残高がふえていると言われておりますね。これは保険が大量に振り込まれたというか、払われた影響だと言われております。一方では、預金が余りにも多過ぎて、そして実際にはそれを復興へ向けての資金として貸し付けしていきたいのでしょうけれども、そこまで行っていないという状況で、金融機関もかなり苦しいと。ということは、復旧、復興に影響していくと、そういったことがあると思っています。ですから、県としてもどこまで関与できるかわかりませんけれども、情報というのはちゃんととらえておく必要があるかなと思っております。そういう認識でいいですか、大変だなという認識で。今の私の説明というのは当たっていますか。
〇松川経営支援課総括課長 金融機関での事業資金がふえているということは、先ほど委員から御指摘があったこと、あるいは支払い猶予など金融機関でもしておりますので、そういったことで一時的に預金がふえているということもあると聞いております。そういった中で、復興に向けての資金需要に対応していくということでございますので、そのためにも県でいろんな制度融資も準備しておりますので、有効に活用していただきながら、再建に向けて取り組んでいただくように期待しているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 よろしくお願いしたいと思います。
 あと、被災中小企業等の施設等再建支援、さまざまな施策を出しているわけですけれども、特に幾つかある補助事業の中で、補助申請の状況と、実際に申請があり、交付したという実績はどうなっているのかということをお聞かせ願いたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 被災した中小企業等への債権を支援するということで、中小企業等復旧・復興支援補助事業、いわゆるグループ補助金でございますけれども、6月に行いました1次公募では、51グループ、339社から545億円の応募がございました。これにつきましては8グループを採択いたしまして、77億円の交付をしているところであります。
 それから、9月には2次公募ということでやっておりまして、予算額が54億円に対しまして35グループ、263社、334億円の規模の応募がございました。現在、それを審査しているところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 これは、この間の補正でも出てきて大体議論になってわかっているところですけれども、中小企業被災資産修繕事業費補助もしくは被災工場再建支援事業費補助等が予算化されて補助申請が来ていると思うんです。実際に交付していると思うんですけれども、それについてもお伺いしたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 被災資産修繕費補助の関係でございますけれども、10月26日現在でございますけれども、窓口であります市町村に対しまして、397社から17億1、000万円余の申請がなされておるところでございます。
〇保企業立地推進課総括課長 私から、被災工場再建支援事業費補助の状況について申し上げます。
 これも4月に補正でお認めいただいた工場再建のための補助事業でございますが、この制定の後、国からいわゆるグループ補助という、補助率の上で有利なものが出たということもございまして、今のところ、そちらに申請が向かっているということで、現時点では、私どもの補助金で申請を受け付けたというところまでは至っていないところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 修繕事業費補助ですけれども、17億1、511万円余、大体397社から交付申請が市町村を通じて来ていると。そして、これに対して補助実績というのはどうなっているんでしょう。
〇松川経営支援課総括課長 これは市町村で事業を行うもので、その申請を受け付けまして、市町村から県に申請をしてもらって、それに対して県から交付するということになっております。現時点では、3億円余の交付でございます。これはまだ市町村段階で審査をしておりまして、県にまだ書類が送られてこないということもございまして、先ほどの数字からしますとちょっと乖離しているかと思います。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、先ほどの数字はどうやって把握したんですか、そうすると。教えてください。
〇松川経営支援課総括課長 先ほどの数字は、事業者から市町村に対しての交付申請をしたというものでございます。
〇嵯峨壱朗委員 総額の予算が6億8、000万円ということで、このまま交付申請が来ると17億1、000万円で、約11億円弱ですか、11億円ぐらいの不足が出てくるわけですよね。これはどういう対処をするんですか。それとも精査して削るんですか、どうなんでしょう。
〇松川経営支援課総括課長 ちょっと説明が十分じゃございませんでしたので申し上げたいと思います。
 市町村と一緒に補助するということですので、県と市町村が、それぞれ半分ずつ持つということになっております。ということで、金額的には倍になっているということでございます。
 それから、予算の状況でございますけれども、修繕費補助につきましては、例えばグループの補助金と重複しての交付はできないんですけれども、申請そのものは可能だということで、有利な補助金であるグループの補助金に対して申請することは可能となっております。現に、そういったことでグループの補助金にも申請して、その中でグループの補助金に採択された場合には、そちらの補助を受けるとなっている企業もございますので、できるだけグループ化などを提案しながら、多くの企業が補助を受けることによって支援を受け、そして再建ができるようにと考えておるところでございます。
〇嵯峨壱朗委員 グループ補助は比較的大きい企業が大体参画していますね、中小企業と言ってもね。そして、この修繕事業費補助というのは、金額から言っても100万円以上の修繕を行うこととか、製造業によっては1、000万円以上の修繕を、小さいわけですよ。恐らく需要は結構あるかと、397件という数字があって。仮にこれが半分は市町村が負担する、そのとおりですけれども、それでも残が出ますよね。残というのは間に合わないですよね、この交付申請に対して。その分についてはどうするんですか。
〇松川経営支援課総括課長 これからグループの補助金に申請するという企業もあろうかと思います。今、3次公募を受け付けておるところでございまして、11月8日まで公募期間でございます。締め切った段階で採択することにはなると思いますけれども、そういった中で状況を見ながら対応を考えていきたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 市町村では結構要望しているけれども、県でなかなか認めてくれないという声も実際にはあるんですよね。それは6億8、000万円という上限を決めてしまったからなのかわかりませんけれども、先ほど説明あった被災工場再建支援事業費補助、これ2億2、000万円が全く使われていないというのであれば、可能であれば、例えばこの2億2、000万円を需要のある修繕事業費補助に振り分けるとかもできるんではないですか、例えばですね。というふうにやったら、市町村の要望にこたえられるんじゃないですか。グループ補助と言っても、グループ補助に全部これから申請するという、本当の零細企業は無理ですからね。そういうふうに対処できないものかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
〇高橋副部長兼商工企画室長 基本的なスタンスについては、先ほど経営支援課総括課長が申し上げたとおりでございまして、まずはグループ補助で救えるものは救う。通常、そちらのほうが補助率が高いということでございますので、そういった対応を見ながら全体の中で考えていきたいと思っております。
〇嵯峨壱朗委員 ということは、先ほど話したことは可能だということですか。そういう理解でいいですか。
〇高橋副部長兼商工企画室長 予算のことでございますので必要な手続等があると思いますが、そういったことも含めて考えてまいりたいと思います。
〇嵯峨壱朗委員 よろしくお願いしたいと思います。
 もう一点ですけれども、これも中小企業振興費にかかわってですけれども、物産販路の開拓事業費、もしくは物産販路開拓資金貸付金等、さまざま物産展等、物産の販売についての支援があるわけですけれども、先ほど部長からの説明で聞きますと、Dというところがありました。例えば、岩手県の協会主催物産展等の回数が、計画が6に対して3だけだということですけれども、半分ということですね。これは何らかの理由があると思うんですけれども、平成22年度の県外物産展の開催の状況等はどうだったのか。そしてまた、平成23年度のこれまでの状況は、震災の影響を受けてこれはプラス、マイナスあると思うんですけれども、どうなっているのかお聞かせ願いたいと思います。
〇福澤産業経済交流課総括課長 県外での物産展の状況でございます。岩手県産株式会社がかかわった部分で申し上げますと、県単独での主催または北東北3県等で共同開催したもの、これらの状況でございますが、平成22年度におきましては、県単独での開催が12回、北東北3県によるものが4回、東北6県によるものが20回、計36回で、総売上金額は4億6、400万円となってございます。
 それから、今年度4月から9月までの上半期の状況についてでございますが、県単独が7回、北東北3県が3回、東北6県が12回の計22回で、総売上金額が3億3、600万円、昨年同期に比べまして、回数で8回、57%の増、金額では1億4、700万円、78%の増加となってございます。
〇嵯峨壱朗委員 物産展というのはこれからですからね。1月、2月、3月になっています。恐らくメーンになってくると思うので、これからどんどんふえてくると思いますので、いい傾向だなと思っていました。そうした中で若干心配なのは、福島の原発の事故がありましたね。こういったものも、岩手の産品ということに影響が懸念されるわけです。また、業者によっては、例えばどうなんだという、ちゃんと状況を調べて出せという要求も来ているやに聞いております。こういった情報として知っているか、また、対処をどう考えているかお聞かせ願いたいと思います。
〇福澤産業経済交流課総括課長 放射能関係の影響でございますけれども、岩手県産からの報告を受けているところでございますが、その中では、本年度は九州地区で開催する予定であった物産展が、放射能への不安を理由に、開催を断られたというケースが1件ございます。そのほか、物産展会場の百貨店から、放射能検査の証明書の提示を求められたという事例や、福岡のアンテナショップでございますが、こちらでは、お客様から、放射能は大丈夫かという問い合わせもあったという報告を受けているところでございます。
 こうした事例の対応でございますが、これまでも物産展の会場となる百貨店は、お客様に対しては丁寧な説明で理解を得られるように努めてきたところでございますけれども、現段階では、県内においても放射線量の測定体制が整いつつございますので、今後は、そうした測定データ等をもとに、県産品が安全であることの説明を行いまして、風評の払拭に努めてまいりたいと考えております。
〇嵯峨壱朗委員 恐らく出てきているので、その証明書というのが、食品というのは、ほとんど零細企業が多いですよ。そういうところというのは対応できるかどうかという不安があります。その辺も恐らく県のほうとして何らかのバックアップがないと、物産展そのものに出られなくなるとか、会社もそうですけれども、出る業者がないとか、可能性もあるなという気がしております。不安に思っております。いわゆるそういったことがないこと、これ以上広がらないことをまず第一に願うわけですけれども、ぜひそういった対処を考えていただきたいと思います。
 また、物産展等についても、いまだに有効な物産品の宣伝とかのツールでありますので、ぜひ支援をお願いしていきたいと思っておりますが、部長、何か今のことに積極的に対処していきたいということが、もしあれば。
〇齋藤商工労働観光部長 私ども県産品をできるだけ多くの、ほかの地域の方々に買っていただいて外貨を稼ぐというのは非常に大きなテーマだと思っております。一生懸命頑張って、できるだけ外貨を稼いでまいりたいと思います。
〇高橋昌造委員長 この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。
   午前11時54分 休 憩
午後1時2分 再開
〇熊谷泉副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、商工労働観光部関係の審査では、この後、8人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁とも簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇小野共委員 震災関連の質問を何点かさせていただきたいと思います。
 3月11日の震災以降、被災地の壊滅的な打撃によりまして、前からの懸案事項でありました、大きな大きな懸案事項でありました内陸と沿岸、県北との格差が大きくなっていくのではないのかという懸念が大きくなっているんだろうと思います。
 きょうまでの決算審査の中で、さまざまな情報が明らかになってまいりました。被災地におきましては、企業あるいは商業が6、000ですか、6、000の企業と商業に携わっている数ですか、6、000が被災したということでございます。
 あとは、被災地から内陸あるいは県外に移動してしまった人口の数も発表されたところでございます。沿岸12市町村から内陸市町村の個人宅へ移転している被災者の数が2、714人、これは、先日の当局からの発表であります。それと、他の都道府県に移転している被災者数は1、593人、合わせて4、300人を超える人口が、被災地から移動したということに数字上はなるわけでございます。
 基本的に、その自治体の総合力は、やはり人口ではかれるということが言えるんだろうと思います。その観点から何点か質問いたしたいんですが、震災後、沿岸被災地の企業のうち、被災地を出て─今度は企業です。内陸または県外へ出ていった企業数についてお聞かせください。
 そして、その出ていった企業、被災地で被災した企業なんですけれども、もとの被災地に開業できなかった、営業再開できなかった理由をどのように分析しているのか、それを聞かせてください。
〇保企業立地推進課総括課長 沿岸の被災地から内陸部に一時避難をして営業を行っている企業は、主なところで6社と把握してございます。また、例えば県外の事業所に従業員を異動させて県外で営業する、継続するという例はございますが、現時点で、完全に県外に移転してしまったという企業は、今のところ承知してはございません。
 それから、被災して、避難している理由ということでございますが、やはり被災地が津波をかぶったということで、もとの場所でなかなか操業が難しい、それから、市町村における土地利用の調整が今後図られるということで、そういったことに時間を要するという関係で、それまで営業をとめるわけにはいかないということでの一時避難ということが多いと聞いております。
〇小野共委員 了解しました。6社ですか。
 被災地に開業できなかった、営業を再開できなかった理由、その事業を再開するための、私も、やはり用地も一つの大きい要因なんだろうと思っております。現時点で、その被災地の市町村では復興計画も、御存じのとおりなかなか進んでおらない状況でございますし、やはり建築制限を被災地でかけるかどうかと、実際に条例制定するかどうかというのも、大きい大きい問題点、混乱と申しますか、混乱させる状況になっているんだろうと思います。
 そもそも企業あるいは企業と付随して人口の移動の大きい要因となっているものが、私は、一般論として二つあるんだろうと思います。所得と雇用です。所得に関する限りは、所得の低いところから高い場所に人口は移動するということでございます。雇用に関しては、やはり同じことが言えるんだろうと思います。その選択のできる、多いところに移動するという傾向が一般論としてあるんだろうと思います。そうすると、内陸と沿岸との格差の問題を考えたときに、それでは、今、実際に被災地でもとの場所に住みたいという人たちを、じゃ、どのように戻すのか、戻りたいと思っている人たちをどのように戻す環境を整備するのかという話に具体的になっていくと思いますが、その辺の方針を、どのような施策なりを考えているのか、そのあたりを聞かせてください。
〇保企業立地推進課総括課長 私から、企業の支援という立場から申し上げたいと思いますが、これら避難している企業の多くは、やむを得ず今、別の場所でおりますけれども、やはりもとの場所でやりたいというお気持ちを持ってございます。
 事業再開に当たっては、私ども、個別の企業の皆様のニーズをよく聞いて、できる限り地元の市町村、もとの市町村の皆さんと一緒に、連携を図って、可能な限り早く再建できるように進めてまいりたいと思っております。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 私から、雇用の立場からお話を申し上げたいと思います。
 人口が流出しないようにという観点から申し上げれば、私どもとしますと、地元での雇用がなるべく多く出るように配慮しなければならないと考えております。そういった点では、もちろん産業復興によります本格的な雇用というものが大事でございますけれども、それもなかなか、少し時間がかかると。そういった中では、我々といたしますと、緊急雇用創出事業等を活用いたしまして、当面そこでの雇用を生み出していくと。
 これも、当初は、瓦れきの処理でありますとかといった、割と仕事の内容が一律的なものが多かったわけでございますけれども、ここへ参りまして、例えば釜石復興新聞など、そういったタウン紙の発行でありますとか、あるいは、大船渡市では、雇用の事業として仮設住宅の運営、コミュニティづくり、あるいは野田村では、仮設住宅における助成のいろいろな相談支援とか、そういった多種多様な仕事を、つなぎ雇用ではありますけれども、そういったものをつくっていって、まずは地元から出ないようにするということを一生懸命やっていかなければいけないと思っていますし、それに取り組んでまいりたいと考えております。
〇小野共委員 やはり雇用の施策なんだろうと思います。どれだけ具体的な雇用の施策を、どれだけ具体的なと申しますか、効果のある雇用の施策を立てることができるのかということなんだろうと思います。本当に、本当に難しい話だと思います。
 政治が、あるいは行政が実際に、じゃ、かなり効果のある施策をつくることが本当にできるんだろうかということなんだろうと思いますけれども、やはり、繰り返しますが、難しい問題なんだろうと思います。
 私は、やはり被災地に人口を戻す─戻すというか、被災地にまた戻ってきたい、戻って住み直したいという人たちのために、もう一つ、居住の施策というものも考える必要があるんだろうと思っております。雇用と居住の環境の整備であります。
 今、3.11の震災から7カ月経過して、人口の移動が私は2回あるんだろうと思います。1回目は、3.11から2カ月あるいは3カ月たったあの時期、3月、4月、ゴールデンウイークまでのあたりだと思います。被災して、住むところがなくなった人たちが、近隣の親あるいはその兄弟、あるいは息子、娘さんのところに移動していったというような話であります。当然、失業してほかの地域に移り住んでいったという人口移動だったんだと思います。これに対しては、実際には余り効果的な施策を打つことができなかったというのが、私は現状だと思います。
 あともう一回は、あと2年後、いや3年後に来るであろう仮設住宅の住居の満了の期間なんだろうと思います。これが2年あるいは3年後、原則的には2年となっていますけれども、2年後に来るであろうこの仮設住宅の満了の時期に備えて、行政は、どんな施策を、どんな居住政策を打つことができるんだろうかと思っております。その2年後あるいは3年後に向けて考えている、雇用に関して、やはり人口の移動のことも考えておかなくてはいけないと思いますので、そのあたりの居住の政策で何か考えていることがあったら聞かせてください。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 私どもといたしますと、雇用の立場ということでございますが、先ほど申し上げたように、生活支援のサービスを雇用として使っていくということが、当面、必要ではないかと考えておりまして、我々は、実は毎週、復興局とミーティングをやっておりまして、生活支援の中で何とか居住性を高めていって、それが、できれば雇用の形で転換できるようにということをやっておるわけでございます。
 先ほど申し上げたような仮設住宅でのいろいろなサービス向上といったものを他の市町村に対しても、今、いろいろな形で情報提供したり、あるいは一緒に事業化しませんかということを、私ども現地に参りまして提案したり、お願いしたりしているところでして、そういったことを通じて、居住環境を少しでも高めていって、人口の流出を食いとめるということに努めてまいりたいと思います。
 それから、仮設住宅の年限については、たしか復興局で、その延長について国にもお願いしていると聞いているところでございます。
〇小野共委員 了解です。
 有効求人倍率についてお伺いいたします。
 先日、当局から資料を出していただきました。ここ1年間の有効求人倍率の推移というものが出ております。震災直後、今までの決算審査特別委員会の中でも何回か議論されていたことでありますが、4月の有効求人倍率、大きく沿岸で、釜石、宮古、大船渡、久慈の四つのハローワーク管内の有効求人倍率が、たしか0.2倍率でありました。これは、平成に入って23年たちますが、きっと最悪の数字だったんだろうと思います。
 去年の8月の同じ管内の有効求人倍率が0.5倍台でありましたのが、手元の資料にある8月の有効求人倍率が、やはり本当にもとに戻っておりました。0.5倍ほどに戻っておりました。
 お聞きしたいのが、これは、実際に被災地というか沿岸の市町村に住んでいるんですけれども、実感が全くないんですが、雇用が、有効求人倍率がふえたという実感が全くと言っていいほどないんですが、有効求人倍率が震災前の水準に戻った理由について、どのように分析していらっしゃるんでしょうか。そして、その実感が余りないというのは、どういう理由なんでしょうか。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 有効求人倍率についてのお尋ねであります。
 実は、本日午前中に岩手労働局から新しい9月の雇用情勢の統計が発表になりまして、そのほうから少し御紹介申し上げたいと思います。
 県全体といたしますと、8月の有効求人倍率が0.57倍でありましたが、これが0.02ポイント改善いたしまして0.59倍に改善しております。地域別で申し上げますと、北上地区が1.05倍、花巻が0.79倍、盛岡が0.66倍という形で改善しております。
 沿岸地域につきましても、釜石が0.56倍、それから宮古が0.57倍、大船渡が0.51倍という形で、それぞれ前月に比べまして改善しておりまして、いずれも0.5倍台まで改善しているという状況でございます。
 この要因につきましては二つあろうかと思います。一つは、よく言われているところの建設業を中心にいたしました復興関連需要による求人であります。それから、これは9月の発表から少し出てきた傾向でございますけれども、若干、産業復興の動きが、わずかではございますが出てきたのではないかということでございます。
 具体的には、9月の統計の中で申し上げますと、建設業についての求人が前年対比で320.2%の増、前年同月比で。それから、サービス業の求人が前年対比で59.6%の増。このサービス業の中には、主なものといたしましていわゆる警備業が含まれておりまして、これは、工事現場等の警備による求人と言われております。そういった意味では、建設関連を中心にいたしまして、復興需要がかなりの要因となっているというのが第1点。
 それから、第2点目といたしまして、先ほど産業復興の動きが少し出てきているのではないかというお話を申し上げましたが、沿岸地区─釜石、宮古、大船渡のハローワーク管内では、食品製造業の求人が前年対比で93.1%増ということで、前年対比でも2倍近くの求人が出始めてきていると。これは9月の統計になってから出てきたことでございますけれども、そういった意味では、復興需要に加えまして、水産業を中心にした食品製造業等に少し改善の兆しが出てまいったのではないかと考えております。
 そういった意味では、建設復興関連につきましては、被災後、4月以降一貫して前年同期を上回る求人が出ておりまして、それによって求職者が就職してきているということによって、有効求人倍率がもとに戻ってきているのではないかということでございます。
 それから、就職数ということから申し上げますと、これは、前月が3、600人余りでございました。県内トータルでございますけれども。これが、9月が4、100人ということで500人ほどふえてございます。そういった意味では、少しずつではございますけれども、離職者の方が就職に向かっていらっしゃる方も出始めているということで、まだまだ雇用がよくなったという実感が難しいかと思いますけれども、全体とすると少しずつ改善に向かっているのではないかと認識しているところでございます。
〇小野共委員 有効求人倍率を押し上げる要因は二つあるんだろうと思います。求人数を求職者数で割ったものが有効求人倍率、その建設業あるいは産業の求人数がふえるか、そして、もう一個の要因は、求職者数自体が減ったのかということなんだろうと思います。
 今の説明によりますと、両方の要因で有効求人倍率が上がったという話なんだろうと思います。了解です。
 三つ目の質問をいたします。知的研究機関の三陸地域への設置についてお伺いいたします。
 海洋資源研究所と津波防災研究所の三陸沿岸地域への見通しについて、これは、たしか6月での知事の政府への要望について、これは要望項目に入っていただろうと思いますけれども、その県の動きと国の動き、市町村の動きについて聞かせていただきたいと思います。
 そして、あともう一点、どのぐらいの雇用を想定しているのか、それもあわせて聞かせてください。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 県におきましては、これまで、国に対して、本県への設置に向けて重ねて要望しております。それと同時に、国内外の研究者とのネットワークの構築、いわば応援団づくりのために、学会等による被災地調査の受け入れやシンポジウムの誘致、開催に努めてきております。
 国におきましては、本県の要望を受け入れて、海洋研究につきましては、大槌町の東京大学大気海洋研究所などを中心とした東北マリンサイエンス拠点の形成、津波防災研究につきましては、三陸沖への地震、津波観測網の整備など、これらを3次補正予算案に盛り込んでいるという状況にございます。
 市町村におきましては、県、関係機関と連携して、一体で今動いているという状況でございまして、今回の3次補正予算の動き等々も踏まえながら、拠点形成に向けて努めてまいりたいと考えております。
〇小野共委員 大槌町と宮城県の女川町ですか、東北マリンサイエンス拠点の形成に10年計画で取り組むというのが、先日、文部科学省の方針として発表されたようでございます。一つ目の海洋資源研究所の集約化に向けて、第一歩を踏み出したのかなという気がいたしております。
 いずれにいたしましても、この被災地の雇用の確保、内陸と沿岸との格差の解消に向けて、さらに努力していただくことを要望いたしまして、終わります。
〇岩崎友一委員 先ほど来、質疑が交わされておりますけれども、私から、支援企業に対する支援について、大きくこれ1点をお伺いさせていただきたいと思います。
 まず最初に、国の中小機構が仮設店舗、事務所、工場等、そういう仮設施設の整備を進めておりますけれども、その整備状況はどうなっているのか、各市町村ごとに、現在の状況と今後の見通しについてお尋ねいたします。
〇松川経営支援課総括課長 中小機構の仮設施設の整備状況ですが、10月21日現在でお聞きしたところでございます。13市町村で120カ所の事業実施が決定しておりまして、そのうち61カ所が着工、19カ所が完成しているとお聞きしております。
 市町村ごとの状況でございますが、洋野町につきましては、実施決定が3カ所、着工済みは1カ所、完成はまだでございます。久慈市につきましては、実施決定が10カ所、着工済みが5カ所、完成3カ所でございます。野田村につきましては、実施決定が11カ所、着工済み9カ所、うち完成が7カ所でございます。普代村につきましては、実施決定5カ所、着工済み3カ所、完成はまだでございます。田野畑村につきましては、実施決定3カ所、着工済み2カ所、完成はまだでございます。岩泉町につきましては、実施決定5カ所、着工済み1カ所、完成1カ所でございます。宮古市につきましては、実施決定2カ所、着工済み1カ所、完成1カ所でございます。山田町につきましては、実施決定11カ所、着工済み4カ所、完成はまだでございます。大槌町につきましては、実施決定6カ所、着工済み5カ所、うち完成が2カ所でございます。釜石市につきましては、実施決定5カ所、着工済み4カ所、うち完成3カ所でございます。大船渡市につきましては、実施決定12カ所、着工済み8カ所、うち完成1カ所でございます。陸前高田市につきましては、実施決定46カ所、着工済み17カ所、うち完成1カ所でございます。一関市につきましては、実施決定が1カ所、着工済み1カ所、完成はまだでございます。
〇岩崎友一委員 完成がまだというのが各市町村結構あるわけですけれども、完成見込みというのは、年内に完成するものなんでしょうか、どうでしょうか。
〇松川経営支援課総括課長 今お聞きしているところでは、着工しているものについては、年内におおむね完成できるとお伺いしております。
〇岩崎友一委員 この話は、発災後すぐ出まして、夏過ぎぐらいにはどこもできるのではないかと各事業者かなり期待していたわけですが、理由があってか、相当おくれているという状況だと思うんですが、年内に完成しないものもあるということですが、その理由は何ででしょうか、お尋ねします。
〇松川経営支援課総括課長 市町村から中小機構に対して要望することによって、まずはエントリーシートというものを提出いたします。現地を確認しまして、市町村との協議などもしながら建築確認等をやっておきまして、その上で着工ということになります。
 この間に、例えば、農地でありますと農地の転用許可とか、あるいは建築についての建築確認などの手続がございますけれども、県でかかわるものについては、可能な限り早期にできるように協力しているところでございます。
〇岩崎友一委員 何か、確かに今のを聞いていますと、理由になっているのか、なっていないのかちょっとわからないのですけれども、ただ、これは、地元の事業者、まず、この中小機構のものに期待している事業者が本当に多いわけですね。募集だけは、各市町村、多分もう終わっているはずなんです。しかしながら、全然進まないということで、非常にもどかしい思いをしていますので、そういういろいろな理由のような、理由じゃないようなものを聞きますけれども、県からもしっかり各市町村と連携して国に働きかけて、一日も早く使えるようにいろいろと頑張っていただきたいと思います。
 二つ目ですけれども、先ほど嵯峨委員からも話がありました中小企業の被災資産修繕事業費補助についてですが、先ほどの答弁で、現時点では事業者から17億1、000万円の申請があるということでしたが、この事業者の市町村別の内訳、事業数と金額、両方示していただきたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 市町村ごとの内訳でございますが、久慈市、18件、1億1、500万円。野田村、12件、1、200万円。岩泉町、7件、2、200万円。宮古市、148件、4億100万円。山田町、9件、2、600万円。大槌町、7件、6、000万円。釜石市、70件、3億7、700万円。大船渡市、114件、6億7、000万円。陸前高田市、9件、3、200万円となっております。
〇岩崎友一委員 今の説明を聞いていますと、市町村の中心部が甚大な被害を受けました陸前高田市、大槌町、山田町の事業者数と金額が少ないと思うんですけれども、その原因についてどのように考えていますでしょうか。
〇松川経営支援課総括課長 この修繕費の補助というものが、早期の復旧ということで修繕する施設についての補助でございましたので、やはり施設そのものが滅失してしまったような、流失してしまったようなところについては、件数が少ないという状況でございます。
〇岩崎友一委員 私もまさにそのとおりだと思うんですけれども、そうやって甚大な被害を受けました陸前高田市、大槌町、山田町は、なかなか事業が再開できない、またそういう制度も使えないという状況で、これは、政策地域部にもらった資料で、これは社会減の人数ですけれども、陸前高田市が2、860人、大槌町が2、388人、山田町が1、583人、3月1日と9月1日でそのくらい人数が減っているわけですが、やはりこの町というのは、県内でも、復旧が遅ければ遅いほど、どんどん人口が流出しているという状況だと思います。
 そこでちょっとお尋ねしますが、陸前高田市、大槌町、山田町のように甚大な被害を受けた市町村に対する制度というものが今現在あるのかないのか、ないとすれば、今後どういった制度を考えているのかお尋ねします。
〇松川経営支援課総括課長 まず、甚大な被害、あるいは被災地全般ということでございますけれども、長期有利な低利の大型の融資制度の創設をいたしましたし、あるいは、さんりく基金による設備の投資などについての助成、あるいはグループの補助金など、あるいは資金繰りに関しての二重債務問題もございますので、そのための相談センターも設置いたしまして、債権の買い取りなどを行うファンドなども創設するということにしております。
 いろいろな支援策を総合的に講じながら支援してまいりたいと思っております。
〇岩崎友一委員 総合的な支援策とは言いますけれども、既に講じた措置もあるわけで、そういった結果が今のような状況で、どんどん若者がもう出ていっている状況です。これは今も変わりません。
 やはり私は、地元事業者の再開については、震災後から、まだ仮設住宅に皆さんが入居する前、避難所にいる段階から、避難所の方々が困っているのが、仮設住宅にいつ入れるか、働く場所がないということだとずっと言い続けていますけれども、正直なところ、何ら変わっていないような気がするんですね。
 今のその制度を見ますと、グループ補助金は確かに大企業が使えると。やっぱりある程度小さい企業になってくると、私もそのグループ補助金の申請用紙を見ましたけれども、プレゼンというか、いろいろな事業計画を組んで、説明したり云々というのができない業者の方々もたくさんいると。また、その修繕費補助に関しても、鉄筋とかが残っていなければならない、または、例えば、残っているところを借りてやろうと思っても、もともと自分のところでなければできないとか、そういう弊害もあります。
 また、先ほど話に出たさんりく基金に関しても、最高100万円の補助だと思うんですけれども、被災の実態によって必要な補助というのは変わってくると思うんですが、そういうきめ細やかな対応が全くできていない状況だと思うわけです。もう発災から8カ月たちますけれども、それがなかなか改善されないという状況なんですが、その点について部長はどのように思いますでしょうか。
〇齋藤商工労働観光部長 確かに、本当にいろいろな状況に応じた制度、それから、支援というものが充実しているかという点については、至らない部分がまだあると思います。そういうことに関しまして、随時、現場の状況を見ながら、国に対する要望もございます。グループ補助金も、当初の考え方とかなり適用範囲が変わってきていまして、必ずしも大きなものだけではなくて、中小もかなり対象になってきておりますので、額の増額も含めて、柔軟な対応については、現場の状況を見ながら要望していく必要があると思っております。
 それから、もう一つは、先ほども答弁申し上げましたが、金銭的な部分、融資とか補助金については、かなりの部分充実してきておりますが、要するにハード、具体的にどこに何を建てるかという点でなかなか決まらない。特に、御案内のありました大槌町、陸前高田市、山田町というのは、まちそのものが流れてしまって、そこにまた建てられるかということ自体がはっきりしていない部分がございます。したがいまして、なかなか目に見える形になりにくいというのはそのとおりでございますが、単に金銭的な制度だけではなくて、まちづくり全体、ハード整備全体のあり方も含めて、一緒になって考えていかなければならない問題と考えております。
〇岩崎友一委員 部長がおっしゃるように、ハードもあるのですけれども、やっぱり、確かに今、自分の土地が浸水してもう使えないという状況でも、どこかで再開したいという声も結構多く聞こえるんです。ただ、やっぱりその制度の問題がありまして、どの制度が使えるのかとか、グループ補助も使いづらいとかいろいろありまして、まず、そのグループ補助に関しても、皆さん困って市町村に聞きに行っても、市町村では、担当者がわからないということで、結局そういった状況もあるようですので、もう少しわかりやすい説明とかもお願いしたいと思います。
 あと、とにかくスピード感を持ってやっていただきたいというのが、どんどん人口が減っている中で、これ以上人口が減って、事業を再開しても事業として成り立たない可能性も出てきます。そうなりますと、地元事業者の再開というのがなかなかできなくなると思いますので、早急にとか可及的速やかにというわけではなくて、もう大至急この問題には取り組んでいただきたいと思います。いつまでも現地のニーズを把握しながらとか、そういうものはもう待っていられませんので、本当によろしくお願いしたいと思います。
 最後に、部長に力強い答弁をお聞きして、終わりたいと思います。
〇齋藤商工労働観光部長 なかなか市町村で対応ができないという点については、申しわけなく思います。これは、県と国の直接の事業でございますので市町村を通さない、それで、なかなか市町村でもその辺の事情がわからないということがございますが、商工会議所とか、いろいろな経済団体を通じて周知に努めておりますし、それから、さっき申し上げたとおり、私どもは、できるだけ4分の3という有利な補助率を多くの事業者の方々に使っていただきたいと考えております。それでだめだったら県単という制度でお救いする格好になりますが、そこも含めて、きめ細かに今後対応してまいりたいと思います。
〇岩崎友一委員 よろしくお願いします。
〇岩渕誠委員 私は、いわて銀河プラザの関係、そして、平泉の観光対策、2点についてお伺いしてまいります。
 まずは、いわて銀河プラザの関係でお尋ねしてまいります。
 いわて銀河プラザは、当然、首都圏における岩手県の情報発信基地、そして、物産の関係の拠点ということで、この震災を経験しまして、特にもその役割は重要なものと認識しております。
 そこでお伺いいたしますが、平成22年度のいわて銀河プラザ、このショップ並びに卸部門での売上実績、それから販売ルートの新規開拓等、どのようなことであったのかお聞きしたいと思います。
 あわせて、被災後、さまざまな点で被災県のアンテナショップというのは注目を浴びているわけでありますが、被災後の販売状況等についてお示しいただきたいと思います。
〇福澤産業経済交流課総括課長 まず、いわて銀河プラザの平成22年度のショップの売り上げでございます。
 平成22年度につきましては5億4、863万円で、前年に比較しまして2.3%の減少ということで、開設以来、初めて減少に転じた状況にございます。
 それから、平成22年度の岩手県産の東京支店での卸売の売上高でございますが、これにつきましては9億4、200万円余ということで、前年に比べて2%の増加という状況になってございます。
 それから、販売ルートの開拓でございますが、例えば、誘致企業の本社等での出張販売、こういう部分での新しい会場の開拓、あるいは食の見本市でありますスーパーマーケット・トレードショー、あるいは問屋さん主催の見本市もございまして、そういうものに出展しまして、そうした中から新しい取引なり、あるいは新商品について取引が成立したという成果も生まれてきているところでございます。
 それから、被災後の販売状況等でございます。
 本年4月から9月までのいわて銀河プラザショップでの売り上げでございますが4億7、200万円余、昨年同期に比べまして74%の増加となっておりまして、特に、4月、5月は1億円を超えるという大変好調な売り上げを出しているという状況です。
 それから、卸売でございますが、これも、今年度上半期の状況でございますが6億4、100万円余ということで、昨年同期に比べまして1億7、500万円余、37.7%の増加という状況になっております。
〇岩渕誠委員 ありがとうございました。
 ショップの売り上げが、これは初めて下がったということでございますが、これについては、主なターゲットであります集客のメーンになります層は、いわて銀河プラザの前に歌舞伎座がございまして、これが休館になったという影響を受けたのだろうと思います。
 一方で、卸売の関係は、平成21年度、大分大きく減らしていたわけでありますが、ようやく歯どめがかかったのかなと思っています。本来、アンテナショップのねらいから言いますと、ショップの売り上げも大事ですが、卸を通じた展開、そこで結果的に幅広く展開するというのが、アンテナショップに求められている第一の性格だと思いますから、これは大変いい傾向ではないかと思っております。
 そして、被災後の状況は、本当にこれはありがたいと思います。これは、いわて銀河プラザにかかわる職員の皆さんの御努力もさることながら、首都圏の皆さんが、被災県を応援したいということで来場者も多いようでありますし、購買単価も上がっているとお聞きいたしております。
 ただ、ここで問題なのは、これだけいろいろなことで上がってきている、例えば、バスツアーを組んで被災県のショップを回ったりとか、あるいはテレビで取り上げていただくということで来たお客さんを、どうやってこれをリピーターにしていくか。あるいは卸で、復興フェアという形で、そこにいろいろアクセスをして県産の物を売っていく、それが結果、被災地の支援につながるんだよということで、今まではそれでよかったと思うんですが、せっかく広がったこのパイを維持、さらに発展するという部分からしますと、震災から7カ月を経て少しその課題も見えてきているのではないかと思っているんですが、現状、こういった指摘についてどのように分析をされますか。
〇福澤産業経済交流課総括課長 震災後につきましては、復興支援ということで、ショップにもお客様がかなり多くいらしていただいて、買い物をしていただいていると。新規にいらしていただいたお客様もあるわけですが、こういう方々には、ポイントカードの発行、あるいはダイレクトメールで催事の案内等、そうした小まめなリピーターに向けた対応を行っているところでございます。
 それから、今回、首都圏の復興支援のフェア等で、これまで取引のなかった百貨店とか量販店とつながりができましたので、こうした部分も今後、継続的な販路の場になるように、営業にもいろいろ努めているところでございます。
 現在の課題としては、岩手県産自体は、こうしたことへの対応として、パートを店舗対応として2人、イベント対応としてアルバイト6人を採用しまして対応しているところでございますが、岩手県産自体の職員が休みもとれないという状況で、それで、もうかなり疲れが出てきているということで、今後については、県産品のPR効果とか売り上げとか、あるいは復興への貢献度というか、継続できる販路となる可能性、そうした点から、その対応のあり方というものを検討していかなければならないと思っておりますし、体制づくりも進めていかなければならないと思っています。
 今後、岩手県産、それから東京事務所とも協議してまいりたいと考えております。
〇岩渕誠委員 大事なことは、こういったいろいろ支援をしてくださる皆さんの思いを一過性のものにしないと。復興を果たしていくためには、本当に今回の場合は、息長く買い続けていただくというか、岩手のファンになっていただく、応援団になっていただくということが大事なわけでありますから、その点において、いろいろと東京のマーケットを回ってみますと、今言われているのは、各地で復興フェアというのをあちこちやっていると。それは、正直言ってちょっと飽きてきたという状況が見られる。
 そういった中で、やはり今まで被災地に向けられていた支援の思いが、少し減速ぎみではないかと。そういう意味においては、工夫をしてやっていく必要もあります。もちろん、今おっしゃったように、人的にも少し疲れが出ている部分というのはあると思いますが、これは、私はいい取り組みだと思っていますけれども、販売サポーターというものをいわて銀河プラザでは今年度に入って結成をして、組織化をしているということでありますから、そういったものも使わないといけないと思います。
 もう一言言えば、県の東京事務所も、今、かつての場所から分かれて、企業立地を含めた部門がいわて銀河プラザの中に入りましたね。職員体制、県庁職員の体制もふえていると思います。そういった中で、やはりもう一工夫必要ではないかと思うんですが、いかがですか。
〇福澤産業経済交流課総括課長 委員御指摘のとおり、東京事務所の企業立地観光部がいわて銀河プラザに統合されたということでは、体制としては強化されたのだろうと。そうした体制も生かして、やはりきちんとファンづくりなり継続した販路の確保、そうしたものに向けて、実効性のある取り組みについて検討、対応してまいりたいと思います。
〇岩渕誠委員 いずれ、できることを今、東京の最前線でやっていただくということは、背後にいる生産者、それから加工業者にとっても大変心強い部分になると思いますので、そこは踏ん張りどころだと思っております。
 商工労働観光部のサイドから言うと、5階の農林水産部とまた違ったアプローチの仕方もあるんだろうと思っています。例えば、トヨタ自動車関連の業者と、きのうまででしたか、商談会を県南振興局主催でやっているような、やはり企業と生産地を結ぶような取り組み、これを、雇用もしっかりとつくってもらわなければならないですけれども、販売、物を買うという意味でも、企業にもしっかりと協力をいただくということは、やはりこれから必要なことではないかと思っておりますので、そういった取り組みも含めてしっかりとやっていただきたいと思います。これは要望といたします。
 時間がありませんので、平泉の観光に話を移させていただきます。
 今年度に入りまして、平泉の文化遺産は世界遺産登録ということになりました。これを見据えた形で、平成22年度以前はいわば布石を打ってきた、観光について布石を打ってきたということだと思います。
 そこでお伺いいたしますが、平成22年度、この世界遺産を見据えた各種の観光対策がとられてきたわけでありますが、実際に世界遺産登録になりまして、この布石はどのような効果をもたらしたのか、あるいは課題としてどんなものが残ったのか、どのように分析していらっしゃいますか。
〇戸舘観光課総括課長 平成22年度に行った世界遺産登録を見据えた観光対策ということでありますが、まず一つは、未知の奥・平泉観光振興事業という事業を展開してまいりました。これは、平泉への誘客の強化を主目的としたものでありまして、マスメディアの活用等による世界遺産登録応援キャンペーンや、県内のボランティアガイドへの研修会などを実施してきたものでありまして、世界遺産登録に向けた機運の盛り上がり、あるいは観光客の受け入れ体制の整備につながったものととらえております。
 それから、いわて・平泉観光キャンペーンは、平成20年度から3年間続けて展開をしてまいりました。平泉への誘客効果はもとより、これは、全県に波及させるということを目的としてきたものでありまして、ガイドブック、ポスターによる首都圏への宣伝事業、あるいは旅行会社等へのセールス活動、それから、県内各地でのおもてなしイベントの開催などの受け入れ体制の整備といったものに取り組んできたところでございます。
 このキャンペーンに継続して取り組んできたことによりまして、地域資源を活用したさまざまな取り組みというものが、各地で根づいてきたものと考えております。
 また、効果という意味では、登録後の入り込み数で申し上げますと、平泉では前年同期に比較して約111%の増加、それから、平泉以外も約4%の増加ということでありまして、5月、6月に大きく減少していたことを考えますと、登録後、これは、平泉の登録の効果というものもあると思いますが、さまざま取り組んできた成果があらわれてきたのではないかととらえております。
 それから、今後の課題ということでありますけれども、この平泉の登録効果をできるだけ長く維持するということと、あわせて県内広く、誘客につなげていくということが課題だと考えております。そういった意味では、平泉と一つの旅行の中で組み合わされる観光地というものを県内にたくさんつくっていくことが必要だろうと思っておりまして、そういう意味では、各地域のいわゆる観光力というものをもっともっと上げていかなければならない、その辺が課題だと考えております。
〇岩渕誠委員 これまでの対策の大きな流れは二つあったと思うんです。今、課題としておっしゃったのがまさにそうだと思うんですが、一つは、平泉に来た観光客をどう県内に展開していくか、そのための基盤整備をどうしていくか、旅行商品をどうやってつくっていくかというのが、これまでの取り組みの柱の一つだったと思います。
 そして、もう一つの柱というのは、世界遺産登録の各地の状況を見ても、登録直後は非常に多くの観光客が来るんだけれども、自然遺産を除いては二、三年で終わってしまう、いわゆる一過性のブームに終わってしまう。これをどういうふうにそうならないようにするかというのが、これまでの取り組みの大きな二つのポイントではなかったかと私は思っております。
 そういう意味では、やはり後段の課題について言えば、中尊寺を見て、毛越寺を見て、よかったな、何か食べたな、じゃ、帰るか、こういうことでは、また同じ二の舞だということは、もう何度もいろいろな議会の場でも指摘をされてきたわけでありますが、そういう意味におきますと、平泉の場合は消失した遺産も多いわけであります。そこを見える化をするということ、あるいは歴史的な背景を踏まえて、学びという、知るという観点からどういうふうに観光の魅力をブラッシュアップしていくか、このあたりが大事だったと私は思っているんですが、この辺についてのアプローチというのは、どのような現状になっているのでしょうか。
〇戸舘観光課総括課長 平泉が世界遺産登録になって以降、特に顕著だと聞いておりますが、平泉に滞在する時間が長くなっていると聞いております。以前、いわゆる通過型で、1時間かそこらで通過をしていくという観光から、平泉の文化遺産センターを中心に、平泉を学ぶといった観光の仕方に徐々に変わってきていると聞いておりまして、日帰りの観光客の方も多くいらっしゃるんですけれども、そういった方々も、平泉への滞在時間そのものは長くなってきていると聞いております。
 平泉の文化遺産の魅力について、消失した資産もございますので、CG映像も含めて、わかりやすい解説によって観光客に伝えるということが大事だと思いますけれども、そういった目的で、平成21年4月に平泉文化遺産センターが設立されまして、こちらも、世界遺産登録後の7月から9月までの来館者で見ますと、昨年の同時期に比べて約228%の増ということで、委員御指摘のような、しっかりと平泉を学ぶという意味での観光が徐々に広がってきているのかなと受けとめております。
〇岩渕誠委員 私はそういう部分は評価をいたしますが、例えば、柳之御所跡とか無量光院跡は、やはりもう少し観光コンテンツの開発の余地があるだろうと思っています。今行けば何もないわけですよ。何もないわけです。ただ、往時をしのんで、ここはこうでしたよといったときに、やっぱりイメージできるものがなければならないと思います。
 そういった意味では、奈良県の明日香村が先進地であります。東京大学の池内教授がやっていますが、バーチャルリアリティーの活用ということもやっていますし、その試作品というものを私は、先日見せていただきましたけれども、なかなか効果的なものだと思っておりますので、その辺の研究もしていただきたいと思います。
 この平泉の全体の観光客を下げないということで言うと、一番期待されているのが、来年のデスティネーションキャンペーンと思っております。被災があった中でのこのデスティネーションキャンペーンというのは、この展開も非常に難しくなってくるのかなと思っておるわけでありますが、現状で、このデスティネーションキャンペーンを被災の中で迎えるわけでありますが、どのような対策をとっているでしょうか。
 それから、時間がありませんからまとめてお聞きいたしますけれども、このデスティネーションキャンペーンまでは、県内の観光の力をそこに集中するんだというある程度の思いというのがあると思うんですが、デスティネーションキャンペーン後、ポストデスティネーションキャンペーンといいますか、そこの観光展開をどうしていくかというのが、まだちょっと見えない状況かなと思っているんですが、そこでお考えがあればお示しいただきたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 この被災の中でのデスティネーションキャンペーンということになりますけれども、私どもとしては、できるだけ被災地も含めてこのデスティネーションキャンペーンの効果というものを発揮させていきたいと思っておりまして、まず一つは、沿岸の施設の復旧あるいは事業の立て直しに向けて、さまざまな修繕費の補助等の施策を講じているところでありますし、来年の4月にスタートするデスティネーションキャンペーンに、できるだけ沿岸地域の被災地の観光資源も位置づけたいということで、従来ですと、このデスティネーションキャンペーンに向けての全国宣伝販売促進会議というものを1年前ぐらいに開催するわけですが、私どもは、ここを見直しいたしまして、今月4日に首都圏のほうに、東京に出向いて、商品造成のための会議を1回開催いたしました。
 また、来年の3月、デスティネーションキャンペーンのスタート直前ということになりますが、こちらは、盛岡市に全国から旅行会社等の方々を招いてスタートアップのイベントを開催したいと思っております。そこでは、できるだけ被災地の観光資源等も、そこ目がけて復旧していただいて、できるだけ広くPRをしたいと考えているところでございます。
 それから、デスティネーションキャンペーン後の取り組みについてということでありますけれども、このデスティネーションキャンペーンに向けて、全県的な推進組織を立ち上げ、あるいは各地域ごとにもそういう推進組織を立ち上げて、今、デスティネーションキャンペーンに向かって取り組んでいるところでありますが、この組織体制を継承して、まさに各地域にネットワークが根づく形にまずは持っていくということでありますし、それから、効果的なイベントあるいは情報発信ということで、デスティネーションキャンペーン後においても、復興を目指してこういったイベント等も切れ目なくやっていく必要があると思っておりまして、今、国で実施を検討しております東北観光博、あるいは本県のデスティネーションキャンペーンの翌年に宮城県と秋田県でデスティネーションキャンペーンが予定されておりますので、これらによる東北への誘客効果というものをぜひ岩手県に引っ張ってくるように、いろいろと考えていきたいと思っております。
〇岩渕誠委員 最後にします。何度か指摘をしてまいりましたけれども、やはり、今こういう被災の中にあって、平泉だけが、あるいは内陸だけがという展開、なかなかこれは難しいであろう。やっぱり被災地に寄り添う観光というものもあってしかるべきだと思うわけであります。
 県南でよく我繁盛と言いますけれども、自分のところだけがよければいいんだ、こういうことではやっぱりだめでありまして、沿岸では今、いろいろな新聞にも取り上げられておりますが、例えば、被災地の皆さんが桜を植えようとかといったものに対して、観光という言葉はふさわしくないと思いますが、どういう支援をする、サポーターをする、そういう観点で首都圏や、あるいは全国から人を呼び込んで、被災地との交流といいますか、そういう観点での観光のあり方というのは、この被災地を長く支えてもらう応援団づくりという観点からも私は必要なことではないかと思っているわけであります。
 今後の観光施策の中で、被災地をどう盛り上げていくか、被災地をどう支えてもらうか、そのためにどう人を岩手に呼んでくるのか、この観点でやはり政策展開が必要ではないかと思っているわけでありますが、部長に御見解を聞いて、終わりたいと思います。
〇齋藤商工労働観光部長 それもごもっともなお話だと思います。一言で言いますと、今、ボランティアに来ていただいているのも一つの観光だと思いますし、それから、もう一つは、別のところで御質問がございましたが、東大海洋研を初めとする三陸の研究施設が復活していくと。ここは、逆に言いますと、世界にも類のない、唯一津波のデータのとれている、継続的な研究が行われている場所ということで、また、被災地とは別の意味の、科学的なあるいは世界的にも津波の研究拠点になる可能性を持っているわけでございます。したがいまして、いろいろ人が来るという、例えば学会を開催してそれを集めてやるとか、いろいろ多様な可能性が考えられると思います。被災地観光という言葉は、一体、何年間使えるのか。私ども、復興を目指して頑張っておりますので、早く被災地という言葉を払拭いたしまして、もとの三陸の美しい海にお客さんが来ていただく体制を整えていきたいと思いますし、今、観光施設につきましても、グループ補助金を入れまして、デスティネーションキャンペーンに間に合わせて、何とかデスティネーションキャンペーンに参加していただいて、そして、できるだけ多くのお客さんに来ていただくことが、これまた次の三陸の活力になると思っておりますので、そこを目指して頑張ってまいりたいと思います。
〇神崎浩之委員 自由民主クラブ、そして、皆さんのお世話をいただきまして平泉が世界遺産になりました一関選挙区の神崎浩之でございます。
 まず、齋藤商工労働観光部長にお尋ねをいたします。
 アメリカの心理学者にマズローさんと言うんですけれども、彼は、人間の欲求を五つの段階に分けると。マズローの欲求階層説というのがあるんですが、そういうことを聞いたことがあるかどうか、まず最初にそのことを。
〇齋藤商工労働観光部長 不勉強を露呈するようで大変恥ずかしいんですが、五つの欲望で構成されていると聞いております。一番は、平たく言いますと、食欲であるとか、人間が生きる上での最低、必要最小限の欲から発しまして、最後は個人的な欲から減退していく、世界平和に対する欲とか、そういう非常に高尚な欲で人間というのが構成されていると伺っております。
〇神崎浩之委員 さすが、県職員の皆さんは学識が高い。そのとおりでありまして、五つに分けているわけなんですが、その一番底辺の部分というのが、食べる、寝る、出すという生理的な欲求でありまして、その次に安全な場所で住みたい。雨風をしのいで、そして寒くない、暑くない、そういうところで住みたい。その上に、だんだんと自己実現の欲求というのが一番上にあるわけなんですが、これは実は震災の復興のハードのプログラムがあるわけなんですが、そのハードと背中合わせにソフトというか、ハードではなくて、ハートのプログラムがあるというものがありますので、知事も、被災者に寄り添った支援をというものがありますので、ぜひ商工労働観光部の皆さん、ほかの職員の皆さんにもメンタルな部分も学んでいただいて、被災者に寄り添って、今後の事業を展開していただきたいと思っております。
 これからの段階でありますが、職員の皆さん、それから県議の先輩の皆さんの御尽力をいただきまして、何とか、先ほどの最低限の欲求、それから住居、住まいについて達成をさせていただいているところでありますが、これからはやっぱり復興は雇用の確保、経済の立ち上がりということで、雇用と観光を含めた産業の振興についてお尋ねをしてまいります。
 まず初めに、5款1項4目、労働費、労政費、雇用促進費の中の緊急雇用創出事業費補助、それからふるさと雇用再生特別基金事業費補助についてお伺いいたします。
 この制度は平成20年度から事業をスタートしたわけでございますが、この成果に関する説明書の中には平成22年度の実績が出ているわけでございますが、平成20年度からの事業スタートということで、この3年間、累計のこの二つの事業の雇用者の数についてお聞きをしたいと思います。その数の中には、実人員と延べ人員があると思いますが、あわせてお尋ねをいたします。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 緊急雇用創出事業、それからふるさと雇用再生特別基金事業における平成20年度からの雇用創出数の成果ということでございます。
 緊急雇用創出事業につきましては、3年間で8、200名の新規雇用を創出してございます。それから、ふるさと雇用基金事業では1、362名の新規雇用を創出しておりまして、合わせて9、562人の新たな雇用の場を創出しているところでございます。
 それから、2点目の実人員がどれくらいかということでございます。今、申し上げた数は実は毎年の延べ人数でございまして、実人員についてはデータがございませんが、例えばふるさと雇用基金事業の場合について申し上げますと、大体1年間に700人から800人程度の方が雇用されているわけでございますが、この方々は恐らく、大体多くは継続されて雇用されている方ということになりますので、この部分については、丸々実人員として雇用されているのではないかと思われます。 
 それから、緊急雇用の部分につきましては、ちょっとデータを持ち合わせてございませんので、御了承願いたいと思います。
〇神崎浩之委員 これは6カ月とか、1年とか2年とかという範囲がありますので、今の話でいきますと実績の数はどんどん上がっていくわけなんですが、実際に実人員として何人が雇用されているのかということを、今後、把握していただきたいと思っております。
 それから、ただいま御説明をいただきました8、200人とそれから1、300人でございますけれども、これはもともと平成20年の時の麻生政権が、年度末にばたばたと組み上げて、大変自治体には慌てさせた事業だと思っておるわけなんですけれども、そもそものこの人数というのは、県としてはこれでよかったのか。例えば、予算的にこの人数しか雇用できなかったのか、それとも、資金的には余裕があったんだけれども、ほかのふぐあいによってこれぐらいしか実績が出なかったのか、その点についてお伺いをいたします。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 基金事業についての予算的な部分と実際的な部分との評価ということになろうかと思いますけれども、岩手県の場合、実は求職者と求人の乖離というのが、大体1万人から1万5、000人ぐらいで季節的に変動してございます。そういった点では、その求人不足数をすべて基金でもって吸収するのは難しゅうございますけれども、その中で、毎年度大体3、000人から4、000人、3割から4割程度をこの基金事業で吸収しているということになるのではないかと。そういった点では、リーマンショック後の厳しい雇用情勢の中で、一定の効果はあったものではないかと思っております。
 それから、予算的な部分でございます。これまで100億円以上の、今年度においては、ふるさと雇用と緊急雇用で合わせて、累計で200億円ぐらいの予算を使って雇用創出事業をやっておるところでございますけれども、それを使って、市町村の御協力を得ながら一生懸命雇用を創出しているところでありまして、今後も予算を有効に使いながら、雇用の創出に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
〇神崎浩之委員 私も発足当時、この事業をよく眺めておったわけなんですが、使いづらかったのは、自治体の事業に絡めたということなので、何でもよいわけじゃなかったんですよね。そんなことで、それに合わせて事業展開が御苦労なさった課題ではなかったのかなとお察しするところでありますが、いずれにしても、とりあえず雇ったからいいというわけではなくて、これを起爆剤に、その後、正社員なり何なりに継続して雇用されることが一番の目標だと思っているわけなんですが、この事業を通して、事業終了後の方々が、どれだけ正職員なりそれから臨時なりに継続して雇用されているのか、そういう数字があれば教えていただきたいと思います。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 基金事業での雇用が終わった後の継続雇用の状況はどうかということでございますけれども、緊急雇用創出事業につきまして、平成21年度に雇われた方がその後どうなったかというフォローアップの調査─平成22年9月に実施しておりますサンプリング調査でございますけれども、その結果によりますと、基金事業が終了した後、すぐに就労口があったという方が全体の67%でございます。この67%のうち、調査時点の9月、半年後の雇用状況についてさらにお尋ねしたところ、67%のうちの28%の方が、同じ会社に継続して働いていますと。それから、60%の方は別の会社に雇用されているという結果が出てございます。
 それから、ふるさと雇用基金事業につきましては、こちらはフォローの調査がございませんが、例えば平成22年度末で、24名の方が事業終了前に正社員化されているというデータがございます。
〇神崎浩之委員 この事業は6カ月を限度として、1回更新可とか1年以内更新不可とか、それから被災失業者に対しては複数回の更新ができるとかとなっておって、当局の皆さんもこの数字をとらえるのは大変な作業だと思っているんですが、ただ、上辺だけの数字じゃなくて、いかにこの事業を起爆剤に、正職員なり継続して雇用できたかというのが一番のねらいだと思っております。特に、このふるさと雇用基金事業については、ある程度のお金をいっぱい使って実施しているわけですよね。ということなので、ぜひ、活用した会社には継続して正社員として雇っていただきたいし、それから、臨時なり何なり、パートなり継続していただくように、そういう意味からも、今後、ぜひ数字をとらえていただきたいと思っております。
 次に二つ目でありますが、5款2項2目の職業訓練費、職業訓練校費の中の公共職業能力開発費でありますが、これは通告しておりまして、その後ヒアリングの中で説明をいただいたわけでございますが、簡単に説明お願いしたいと思います。
〇猪久保労働課長 公共職業能力開発費についてでございますが、この開発費の中身でございますけれども、県立の職業能力開発施設、産業技術短期大学校それから高等技術専門校、こちらの運営経費、それから同施設での非常勤講師等の給与、さらには、訓練手当等に要する経費が主なものでございます。
〇神崎浩之委員 平成22年には、岩手県は、この職業訓練に対して大きな汚点を残したと私は思っております。それは、北上のコンピュータ・アカデミーを初め、四つの職業訓練センターを国で実施していたわけなんですけれども、それが国でやめて移管ということになっておりまして、これらの施設というのは、産業の人材育成であったり求職者の支援であったり、この地域に対して大きな貢献をしてきた施設でありました。これが実は雇用・能力開発機構、国の組織でありますが、これが私のしごと館の無駄遣いそれから天下り等で、事業仕分けで廃止というふうなことのあおりを受けて、地方のこういう職業訓練が閉鎖されかねないような事態になりました。そこで、関係自治体は県に、何とか国で存続をと、それから県で存続をという願いがありまして、一関市の勝部市長も、知事とは大分懇意のようだったわけなんですが、お願いに行ったんですが、県では持てないということだったんですが、その経過について御説明をいただきたいと思います。
〇猪久保労働課長 厚生労働省から、平成21年12月25日付で、今御指摘のありました地域職業訓練センターにつきましては、平成22年度末での廃止という方針が示されたところでございます。それに前後いたしまして、県といたしましては、各関係市とのさまざまな調整を経まして、平成23年3月までに、旧雇用・能力開発機構から、すべての関係市に施設が無償で譲渡されたという経緯でございます。譲渡を受けました施設につきましては当該市が所有いたしますし、職業訓練法人が管理運営をいたしまして、職業訓練を現在も実施しているというところでございます。
〇神崎浩之委員 関係自治体は、できれば国へ、県へということだったんですが、県から見離されて市町村にという残念な気持ちであったわけでございます。
 なぜ国、県でという思いだったかというと、市町村が実施主体になりますと、市民が対象となってくるわけなんですよね。それで、千厩の場合には、奥州であったりそれから陸前高田であったり、それから気仙沼の方であったりとか、広域的に、それから県境を越えて訓練を実施していた施設であったので、できれば広域の方が対象でできるような仕組みを残したいという気持ちであったんですが、皆さん方も努力したと思いますけれども、残念な結果に終わっておりますが、そのハード面はいいとして、事業については、国の事業で実施したことについては今現在どうなっているのか、お聞きしたいと思います。
〇猪久保労働課長 事業でございますけれども、施設譲渡によります激変緩和措置というのを3カ年、今年度よりとっていただいていますので、施設の修繕につきましてはこの3カ年間、国の負担ということになってございます。
 今後とも、この3年間、計画的な修繕等を図っていただくよう、国が関係市に、今後、事務等の計画作成の依頼をする予定となってございますので、その修繕計画の策定につきまして、県として支援をしっかりしてまいりたいと考えてございます。(神崎浩之委員「事業内容」と呼ぶ)
 業務支援ということでございますが、先ほど言った修繕計画等の業務は当然支援面での事業がございますが、そのほかにつきましても、現在は国からのさまざま補助金、修繕費の全額負担という補助がございますので、これらにつきまして調整を行いながら支援しているところでございます。
〇神崎浩之委員 雇用・能力開発機構につきましては、法人が今度、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構というのに変わって事業を継続している資料があります。事業仕分けで廃止になった機構が、名前を変えて違うので生まれ変わるような、よくテレビでやっておりましたけれども、いずれにしてもこれは職業訓練ですよね。ソフト面は非常にいい制度で使い勝手のいい事業でありましたので、これが今後も県内の求職者に後押しになればと思っております。
 部長、これは国が直接やっている事業なので、なかなか県経由でお金が行かないわけでございますので、県も、なかなか事業とか内容について把握しづらいことだと思っているんです。その中で、県が直接雇用に関係すること、それから市町村が独自でやっているという事業も多くありますので、ぜひアンテナを張っていただいて、強力に連携を進めながら雇用対策に頑張っていただきたいと思っております。
 続きまして、次の7款1項1目商工業総務費の中の産学官連携機能強化対策事業、それから県南広域ものづくり強化対策事業費についてお伺いをいたします。
 まず、この事業につきましては、産学官連携ということで大学に配置してということなんですが、事業の概要を見ますと、いわて産業振興センターにコーディネーターを置くと、それから岩手大学、岩手県立大学、岩手医科大学に配置してということでございますが、これを見ると、盛岡ばっかりでまだ研究しているというイメージがあるんですが、例えば、こういうものが産学官の連携を地域の中で組み立てていくようなコーディネートまで実際やられているのかどうかについてお聞きをしたいと思います。
 それから具体的な成果、先ほど杜仲茶の豚肉ができたとかいう話がありましたけれども、具体的な成果についてもお伺いをいたします。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 本事業は、委員おっしゃるとおり、4人ほど大学等にコーディネーターを配置して産学官連携を進めるものでございますが、対象としております企業とは全県をカバーする形になっておりまして、特に研究シーズを持っているところで効果的な産学官の連携を図ろうということでございますし、いわて産業振興センターでは、一関高専ともつながりを持ちながら取り組みをやっているという状況にございます。
 それから成果でございますが、例えば国等の競争的資金等の獲得件数でございますが、このコーディネーターが48件ほどまとめて申請をし、15件が採択になっている、あるいは企業と研究者の技術シーズをきめ細かに歩きまして、そのマッチング紹介等47件、平成22年度はやっている等々、つなぎ役として機能を十分に果たしているのではないかととらえております。
〇神崎浩之委員 私が質問する意図はわかっていただいたと思うわけなんですが、次に、県南広域ものづくり強化対策事業に関して質問するわけなんですけれども、地域の中に出向いていって、地域の産学官連携をしていただきたいなということです。四つの広域振興局体制でがっちりやりますよというのが中にあるわけなんですけれども、県南広域ものづくり強化対策事業についてお聞きをしたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 県南広域ものづくり強化対策事業につきましては、県とすれば、自動車、半導体、医療機器等、中核産業を中心に産業振興をしながら全県を振興するという中で、県南広域振興局は、やはり地元に企業が近いので細かく丁寧にフォローができるということで、さまざま施策をする中で、全体として機能するような事業となっております。例えばですが、アドバイザーという自動車関係の方がおりまして、この方が県南エリア等々の企業を回りながらマッチングをするですとか、いろんな見学会あるいは視察会等々をやっておりまして、まさに産学官の連携そのものを県南局で、組織あるいはアドバイザー等々で行っているということでございます。
〇神崎浩之委員 先ほどの産学官連携に絡めてなんですけれども、本県は農業県でありますので、ぜひ農業と産学官連携も強めていただきたい。
 農業については、6次産業化というものがありますよね。その中には、産学官連携も入っているわけでございまして、農業にかかわらず、水産業も含めてなんですが、地域再生のために組み立てていただきたい、垣根を越えて連携をとって組み立てていただきたいと思います。
 それから最後、平泉の世界遺産関係でありますが、これにつきましては、及川委員それから岩渕委員の質問の中でお聞きをしたところであります。
 まず1点、及川委員の御質問に対する答弁の中で、宿泊の数が、そういう少ないデータの中での答弁であったのが残念だったなと思っております。
 それから、さまざまな登録後の課題があるわけなんですけれども、平成22年当時、この事業を組み立てるに当たりまして、登録後の課題についてはどういう話し合いがされていたのか、お聞きいたします。
〇戸舘観光課総括課長 事業を始めた当時のということでありますけれども、世界遺産登録というものがもう目前に迫っておりましたので、まずは登録効果を十分に活用して、平泉にお客さんに来ていただこうというのが第1点でありますし、もう一つは、繰り返しになりますが、3年間継続して実施してまいりましたいわて・平泉観光キャンペーンによりまして、県内広く誘客効果というものを広げていこうという考え方で事業を展開してきたところでございます。
〇神崎浩之委員 今、現場の課題は、泊まっていただけないということですよね。それから、また来てくれるのかなという心配であります。それから、今、泊まるところないんですよね。平泉も一関も、実は被災者の関係がありまして、観光客が泊まりたいというような要望があるんですけれども、泊まれないんですよね。泊まる場所がない。被災関係でいろんな方々が厳美の旅館等も埋まっておりますので、そんな実態があります。非常に残念なことだと思っております。
 そういう課題があるということと、それに付随してJR平泉駅なんですが、表側はきれいになったんですけれども、ユニバーサルデザイン化になっていないということで、新幹線で一関に来て、そこから在来線で平泉に行くわけなんですが、そこで高齢者や子供を抱える方、それから障がい者の方がなかなか観光できないようなことなんで、そのJRの駅舎改修についてわかる情報があれば、教えていただきたいと思います。
 あわせて、他の世界遺産が決まったら、ますますお客さんが今度はそっちの方に流れていくんじゃないかということもありますので、国内の他の世界遺産の今後の動向についてお聞かせいただきたいと思います。
〇戸舘観光課総括課長 平泉駅のユニバーサル化についてのお尋ねでありますけれども、今般、JR東日本では、平泉駅の外観の改装とあわせまして、多目的トイレの設置ですとか、あるいは待ち合いスペースの拡張など、ユニバーサル化も含めた改修工事を行ったと聞いているところでございます。
 それから、世界遺産登録の動向ということでありますが、教育委員会から私ども聞いているところでは、今、暫定一覧表に記載されているもので、近々動き出しそうなものが鎌倉と富士山の世界遺産登録、こちらのほうが推薦書の暫定版をユネスコに提出をしたと聞いております。
〇熊谷泉副委員長 神崎委員に申し上げます。
 1人の委員の質疑が長時間に及ぶことのないように、議事の進行に御協力をお願いいたします。
〇神崎浩之委員 平泉の売り方について、今後も皆さんのお知恵を拝借いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
〇飯澤匡委員 大きく3点について質問いたします。
 まず、第1点は、雇用対策についてでございます。
 県の雇用対策施策は、主体的に就職支援、主に離職者を対象にした施策が中心でございますが、このたびの東日本大震災を受けて、私は離職を避けると、離職を防止する対策も必要ではないかと。ますますこの点については大きく要望が高まっているのではないかと思いますが、まず、質問の第1は、現状の対応はどうなっているか示していただきたい。
 2番目は、離職防止策に関する今後の施策展開はどのように図ろうとするのか、お知らせ願います。
〇津軽石特命参事兼雇用対策課長 県の離職防止の対策ということでございます。
 まず、一般の方の離職防止につきましては、国で雇用調整助成金等の制度がございますので、そういったものを、広域振興局等の就業支援員等が企業等を訪問しておりますけれども、そういった中で、制度の周知等を図って利用の促進を図っていく、あるいは離職を考えている方についての労働相談等を対応していくということがございます。
 それからもう一点、離職者の内容を見ますと、若年者の離職というのが非常に多い現状でございます。この点については、県といたしますと、大きく二つのアプローチをしてございます。
 まず、第1点は、県の広域振興局等に39人の就業支援員を配置してございます。この就業支援員が、年間に延べ5、000回、県内の企業を巡回しておりまして、新卒者の方を採用した事業所の採用担当者あるいは人事担当者に対して、人材育成の留意点でありますとかあるいはいろんな相談窓口等で情報提供を行っております。また、直接本人に面談をいたしまして、就職後の各種の相談等を受けるというような支援を行っているというのが第1点。
 それから2点目は、ジョブカフェを通じた支援でございまして、これにつきましては、まず就職を前に、卒業する高校3年生全員に、こういった形でしごとの教え、これは昨年の卒業生に配った資料でございますけれども、就職に当たって、社会のルールでありますとか、職場でのいろんなマナーでありますとか、そういったものを漫画仕立てでわかりやすく解説するということを通じて、組織の中で生きていくということについて教えるというのがございます。
 それから、ジョブカフェにおきまして各地域を回りまして、事業所の人事担当者あるいは若手の使用者などを対象にいたしまして、職場づくりでありますとか、メンタルヘルス等を含めたセミナーを開催いたしまして、地域の新入社員が定着する取り組みをしているということでございます。
 それから、新入社員相互が会社を超えてネットワークづくりができるように、フォローアップのセミナーなどを行っていると、こういった形で、現在、離職防止対策を行っているということでございます。
 それから、今後の対応、施策展開ということでございますけれども、これまでも行ってまいりました職場定着支援あるいは企業向けの支援等を引き続き行っていくほか、各地域におきまして、学校と連携しながらキャリア教育を推進すると、そういった中で、幼いころから職業意識と申しますか職業観と申しますか、そういったものを醸成するような取り組みをやっておりますし、それから高校生、大学生につきましては、地域の産業界等の協力を得ながら、インターンシップ等の受け入れを促進していくということをやっていきたいと考えております。
 そういったことを通じて、地域全体でもって人材を育成するというような仕組みをつくってまいりまして、離職の防止につなげてまいりたいと考えているところでございます。
〇飯澤匡委員 御丁寧な答弁ありがとうございます。
 それで、私は先ほど申し上げましたように、震災後、いかにして雇用していた方が、特に沿岸の被災地域の方が、企業の経営者の方々に対して、確かに経営支援もそうですけれども、離職をさせないための、その観点に立った経営支援も必要であるということ、それから2点目ですが、世の中が成熟化してきていまして、要は、学校生活から社会人となるという部分の際が非常に際立ってきていると。要は、私の感じているところでは大体30歳ぐらいまでは、企業が人材教育について、お金もそれから時間もかけなければならないという状況です。この不況下、今、職業の不況下において、それだけする暇も時間もないわけですから、その点についてやはりより具体的に、そして余りお役所仕事のような形でない支援を望みたいと思っております。
 企業が即戦力を望むというのは、それだけせっぱ詰まっております。やはり中小企業に対しても、就職支援員の方々、今結構な人数いらっしゃいますので、より機能的な形で離職防止に努めていただきたいと思っております。この件についてはこれで終わります。
 次、職業訓練についてでございます。
 震災後、資格を取得するための職業訓練の需要が急激に高まってきております。今後、復旧、復興に向けても、ますます内陸地区の職業訓練校の存在価値を上げる必要があると考えます。そして、かつ、内容の充実を図る必要がございます。
 質問の第1は、瓦れき処理などの重機オペレーターの資格取得希望者が増大しているため、職訓校の対応が追いつかないとの情報がございますが、現状をどのように把握していますでしょうか。
 そして2番目、東磐職訓校が県南地区にございますけれども、宮城県からの希望者も多いと聞いております。ところが、他県との役所手続の差があり、複雑な事務処理を強いられていると聞いておりますが、何とか改善できないかと思いますが、この対策についてお知らせ願います。
〇猪久保労働課長 1点目の重機オペレーター等の関係の職業訓練についてでありますけれども、震災の復旧等に関連いたしまして、設備工事など建設業の求人がふえているところでございまして、建設機械の操作の資格取得、これを希望する求職者がふえておるというところでございます。このため、技能講習等の登録教習機関でございます東磐高等職業訓練校におきましては、年度当初に計画しておりました車両系の建設機械運転などの資格が取得できます訓練コース、この定員を大幅にふやしまして、機動的な対応をとっていただいているところでございます。また、沿岸地区におけます建設機械等の操作資格取得、この特別訓練コースを、いわゆる総合オペレーション科と申しますけれども、こちらを設置するに当たりましては、先ほどの東磐高等職業訓練校から講師ですとか検定員などの全面的な協力、支援をいただきまして、実施が可能となっているものでございます。
 県といたしましては、今後とも、訓練のニーズを注視いたしまして適切な訓練を実施できますよう、引き続き支援してまいりたいと考えてございます。
 2点目の、県外からの職業訓練希望者への手続の関係でございますが、本県で行ってございます離職者等の職業訓練についてでございますが、宮城県の方も受講しておるという現実が御指摘のとおりございます。宮城県内のハローワークで求職登録をしている方が本県での訓練を希望する場合、宮城労働局それから岩手労働局、この間での受講手続というやりとりがございまして、それが県外からの希望者に対して手続がふえるという事務作業がございますけれども、岩手労働局から伺っているところによりますと、訓練希望者に対しては、できるだけ不便をかけないということに配慮して手続をされているということでございます。
 今後とも、関係機関と連携いたしまして、訓練希望者に不便が生じることがないよう、対応してまいりたいと考えております。
〇飯澤匡委員 1番目の質問に関しては、これは弾力的な、そして機能的な支援をこれからもお願いしたいと。
 それで、宮城県気仙沼市からなんですけれども、今の現状を東磐高等職業訓練校に確認をいたしましたら、やはりお金の出どころが、岩手県、そして気仙沼市のほうは宮城県で出るので、どうしても五、六人の受講の希望の枠があれば、そこの中に全部宮城県を入れるわけにはなかなかいかないと、そういう雰囲気があると。したがって、このお金の割り振りについても、こういう震災という大きな事象が起きましたので、弾力的な運用ができないかと。それには、先ほど答弁をいただきました、広域での、県をまたいでの、そして講習メニューを弾力的にふやすであるとか、そういうものが前提でございますけれども、このようなことを岩手県だけで完結するという観点ではなくて、広域でできるような形で運用の工夫をしていただけないかと思うんですが、その点について御所見を求めます。
〇猪久保労働課長 現場での採用に当たってのいろんな面接でございますけれども、今御指摘のありました実態を私どもも詳細に把握してはございませんので、その辺の状況を把握するとともに、今後、適正なあり方を検討してまいりたいと考えてございます。
〇飯澤匡委員 一関市では、気仙沼市の方々にも室根地区においては仮設住宅もつくる、千厩地区にもつくるという形で、広域で支援もしているところでございます。ぜひとも、この件については、宮城県並びに広域でできるような形で工夫をしていただきたい。
 あわせて、技能講習についても、外に出向いてやっているという実績を示していただきました。これも今の法律の壁がありますが、一定期間でという条件もつけて、気仙沼市方面に出向ける方策も考えていただけないかという要望もございましたので、その点についてもあわせて御検討いただきたいと思います。
 3点目ですが、電力供給不安のある地域─いわゆる被災した地域でございますが、その地域にある企業に対して、海外からの企業誘致の働きかけが強まっているという報道がございます。9月12日の官庁速報において、地方経済産業局を通じて、全国の企業へのアンケートでこのような傾向が浮かび上がったとされています。東北の38%、関東の20%の企業が、中国や韓国側から企業誘致のコンタクトがあったと。全国平均は大体16%だということでございます。この点について、県当局はこの情報、そしてまた企業の動きがあるかどうか把握をしているでしょうか、お知らせ願います。
〇保企業立地推進課総括課長 この調査につきましては、経済産業局から私どもに、直接、電話での問い合わせ等もございまして、調査自体は承知してございます。ただ、実際に、県内の企業にそのようなコンタクトがあったかどうかということまでは、申しわけございません、ちょっと把握はしておりません。ただ、例えば岩手にある企業が韓国なり中国なりに持っていかれると、そちらに移ってしまうといった事例は今のところはございません。
〇飯澤匡委員 直接的な動きも大事ですけれども、私は電力供給に不安がある地域というのは、ちょっとひっかかるわけでございます。このたびの震災でも、1日とまっただけで、もとに戻るには数週間かかったという事例もございます。ただいま申し上げた韓国、中国は、もう政府自体が積極的に企業誘致を行うということで、力強く運動を展開していると報道されております。
 そこで、福島第一原発の問題以降、電力供給について、大変、今、全国でも議論になっているところでございますが、再生エネルギーを活用するという方策、これはもっとさらに推進を加速する必要があると考えます。国では、発電、送電分離を初め、エネルギーを地産地消するという方向性も今議論されているようでございますが、当部局においては、この再生エネルギー推進を加速する、そういう方策についてどのようにお考えなのか、お聞かせ願います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 再生可能エネルギーでありますが、県といたしましても、本県復興の核の一つに位置づけて、全県での取り組みを進めるということにしておりまして、環境王国いわて実現の大きな柱の一つとして位置づけるという、大きな県としても状況変化があったといいますか、今後の方向性がございます。バイオマスあるいは地熱のこれまでの取り組みの実績がございます。それから太陽光につきましては、今回は大規模な調査を進めるなど、さまざまな動きがございます。当部といたしましては、海の資源、海洋エネルギーを徹底的にそのエネルギーとして使うべく、調査研究を進めていきたいと考えております。
〇飯澤匡委員 このたびの県民計画で、三陸の創造プロジェクトの中にそれも盛り込まれております。今、ようやく、そういう再生可能エネルギーについての機運が高まってきておりますので、積極的にこういう展開をするという姿勢を見せないと、海外からどんどんいろんな食指が伸びてくるということを払拭するためにも、県の強い姿勢を望むものでありますが、最後に部長から再度答弁を求めて終わります。
〇齋藤商工労働観光部長 確かに、特にエネルギーとして見た場合の電力というのは、我々にとっても非常に大事でございまして、岩手県は原発はございません。火力も、民間の新日鉄釜石が持っているミドル対応の火力があるだけで、むしろ地熱であるとか、あるいは先ほど科学・ものづくり振興課総括課長が紹介したとおり、非常に海洋エネルギーの可能性に満ちております。そうした意味で、今回もNEDOの補助金が入るなど、具体的な動きも見えてきております。私たち、この事業化、具体化に向けて取り組みまして、逆に言いますと、自然エネルギー、再生可能エネルギーの県であると認知をされるぐらいに頑張ってまいりたいと思います。
〇熊谷泉副委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後2時54分 休 憩
午後3時17分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
〇木村幸弘委員 私から大きく2点の課題についてお伺いしたいと思いますが、まず最初の1点目ですが、平成22年度事業の中で、新規産業創出に向けたイノベーション指針というものの策定が行われ、それに基づいた取り組みが進められてきているわけでございますけれども、具体的に、その取り組みの状況などについて、まずは説明をいただきたいと思います。
 それから、まとめて聞きますが、医療機器関連産業の創出の取り組みについてでございます。これについても、取り組みの成果などについて、一応、指標などでは達成度Aなどの評価もあるわけでありますが、具体的にはどのような成果としての評価を上げているのか、その点についてお伺いします。
 それから、関連して、いわゆる本県の産業の主要な施策として自動車、半導体、そして、今申し上げた医療機器関連産業と、この三つの柱が今、本県におけるものづくり産業の中心をなすという位置づけになっているわけでありますけれども、そうした産業推進の中で、各委員からもこの間の質問の中でも出ましたが、地元の企業あるいは地場の中小企業に対して、どれだけの仕事としてこれらの主要な産業から仕事が回ってきているのかという部分で、やはりそのすそ野に対して、どれだけの影響を持って経済効果を上げるかというのがこれからの産業推進の中では重要だと思いますので、それらの状況についてお伺いしたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 科学技術によります地域イノベーション指針に基づく事業の成果でありますが、このイノベーション指針には五つの個別戦略がございます。その戦略ごとに一通り簡潔に成果を申し上げたいと思います。
 一つは、技術開発戦略というものがございます。これにつきましては、医療機器試作開発といったもの、あるいは、いわて戦略的研究開発支援ということで、県単で今後の成長が見込める研究の支援を行う等々を行っております。
 二つ目が、人材育成、確保戦略でございますが、例えば、ものづくり大学院への支援ということで、企業の方が、岩手大学で高度な技術を学ぼうといった際に県が支援すること、あるいは、県とすれば、デジタルエンジニア育成センターとして三次元CADの高度な技術者の育成を行っているというところでございます。
 三つ目が、研究開発基盤強化戦略というものでございますが、これは、先般開設されました、いわてものづくりソフトウェア融合テクノロジーセンターのような、企業の方々が必要とされる技術者を養成する施設、機能の整備、あるいは岩手県知財支援窓口といった知財の部分での支援をするような機能といったものを整備させていただきました。
 四つ目は、資金支援戦略ということで、引き続き、リエゾン-Iということで、金融機関との協力をしながら、研究開発の支援を行っているところでございます。
 最後、五つ目が、産学官連携戦略ということで、産学官の連携連絡会議ということで、産学官のコーディネーターあるいは担当する職員等々で密接な情報共有をするということで、そういう会議を持って、さまざまな動きを支援するといったことを行っているところでございます。
 二つ目の御質問の医療機器関連の成果でありますが、この医療機器関連産業につきましては、産学官で組織される、いわて医療機器事業化研究会といったものが母体となって事業を進めるという進め方をしておりまして、医療機器の試作開発といったものにつきましては、岩手医科大学と県内企業による外科手術用鉗子等の試作開発といったものを行っておりますし、昨年度創設しました開発に係る補助制度では、4件ほど、地元企業が医療機器の試作開発に取り組んでいるところでございます。
 また、あわせて医療機器の展示会といったものも支援しておりまして、出展によるさまざまな引き合い等々が出てきておりますので、出展効果も認められるという状況にございます。
 三つ目でございますが、地元企業の仕事の状況ということかと思います。
 平成22年度の新規取引について御紹介申し上げますと、自動車関係では11件、これは前年比2件増でございます。半導体関係では4件、これは前年比1件増でございます。情報関連産業では10件、これは前年と同じという状況になっております。
 また、県内主要発注企業外注ニーズ調査ということで、県内主要98社がどのような発注を行っているかという調査がございまして、平成22年中の状況を申し上げますと、県内企業への外注額は528億円、約15%という状況にございます。
〇木村幸弘委員 ありがとうございます。
 そこで、今回のこの科学技術による地域イノベーション指針というものの考え方ですけれども、いわゆる五つの戦略というのは、今、御説明いただいたんですが、問題は、この研究というか、いろいろな、さまざまな取り組みの結果をどう形にするかというところが非常に大事だろうと思うんです。これまでもこういった科学技術等を生かしながら調査研究を進めていこうという発想は常にあったんですが、そこから本当に実用化して、それが具体的に産業として、仕事としてそこからつながって業になっていくというか、そういった部分をどう整えていくかというのが、大変重要だと思っています。その点については、この間の、今、御報告いただいた戦略の中で、どのような形や方向性が示されようとしているのか、あるいは現在進められてきているのか、改めてお伺いしたいと思っております。
 それからあと、地元の企業に対するさまざまな発注をどう広げていくか、あるいは拡大をしていくかという取り組みが大変重要だと思いますけれども、午前中の関根委員の質問でも、車の関係で調達率の問題なども質問されておりましたが、なかなか全体として、地域の地場産業に対して経済効果あるいはそういった仕事としてどれだけ回っていくかというところでいろいろな課題があるんだろうと思いますが、改めて、その辺のところはどのような認識をされているのかお伺いしたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 委員御指摘のとおり、いかに事業化し県内の経済につながっていくかということは大事だという認識で、県も努めております。
 これまでは一定程度の補助金制度といったものがあったわけですが、やはり事業化を行う際には、試作開発といった研究開発から次の段階の取り組みが必要だろうということで、昨年度は、医療機器に関して新たな試作開発の補助制度を設けさせていただきましたし、自動車におきましても、なかなか1社では参入が難しいという状況もありましたので、協業して、新たな機能あるいは技術を結び合わせるといったことで参入をするような協業促進の補助金等も設けさせていただいております。
 研究開発につきましては、将来に向けた事業化、まさに岩手の産業として育つといったものを見きわめながら、種をまきつつ、事業化に近いところの制度も埋めて、事業化につきましては、いわて産業振興センター等、さまざまな支援機関がございますので、そういったところと連携しながら、まさに研究開発から事業化までを一貫して県としても支援していく体制、それから、その結果をしっかり追いかけていくような取り組みといったことをやっていきたいと思っております。
 それから、県内の企業の受注の向上についてでありますが、やはり県外に発注する事例が多いということは実情でございます。
 そういったことを踏まえながら、我々とすれば、いわゆるマッチングができるような場というものがまだまだ少ないと。県内企業は、いろいろな売り込みあるいはPRという機会が十分でない場合もございますので、技術展示商談会や取引あっせんといった場を積極的に設けるような形で支援をするほか、取引が新たにできる、あるいは拡充できるそのポイントになるのが、やはり技術と人材と言われておりますので、技術開発支援あるいは人材の育成などをしっかり着実にやっていきたいと考えております。
〇木村幸弘委員 わかりました。
 いずれ、この新しい科学技術による地域イノベーション指針の中では、環境と共生するようないろいろな取り組みなども柱の中には基本戦略として位置づけられているわけであります。環境エネルギー産業などを含めて入っているわけですけれども、先ほど飯澤委員からも、当部として新たに再生可能エネルギーをきちんと位置づけて取り組めという質疑もあったわけですが、私自身も確かにそのように思っておりまして、いずれ、このいろいろな新規産業の中でも、環境エネルギーにかかわる産業推進というのは、これから大変重要だろうと思います。
 再生可能エネルギーは、その一つの大きな重要な戦略というか目標になっていくでしょうし、リニアコライダーなど、いろいろな新たな本県の今後の科学的な事業展開などが期待されている分野もあるわけですけれども、そうした方向性については、今後の県のさまざまな上位計画との関係であるとか、それから、そういった取り組みとあわせて、この指針がどういう役割を果たしていくのかということについて、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 それから、2点目に、工業技術センターのこの間の取り組みの関係ですが、3.11の東日本大震災津波の後、本県の製造業等を中心にして、工業技術センターに放射能の測定に対しての問い合わせ等も随分あって、その対応に追われたというお話を聞いておりますが、実際に工業技術センターとしてどのような役割を果たし、あるいは工業技術センターとして、そうした測定能力体制がどうなっていたのか、確認をさせていただきたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 イノベーション指針と再生可能エネルギーの関係でございますが、このイノベーション指針につきましては、県として、産学官金という、金融機関も一緒になってこの方向で取り組もうと決めておるものでございます。環境、エネルギー産業といったものは、県の戦略産業として位置づけられていると認識しておりますので、今般の震災からの復旧、復興を初め、環境政策の部分でも、このイノベーション指針といったものが一体となって進んでいくと考えております。
 それから、工業技術センターの放射線の対応の件でございますが、現在、工業技術センターでは、有資格者を中心に5名による放射線対策班といったものを設けて、被災直後から対応を行っております。
 10月27日、昨日現在で、実際に測定して証明書のようなものを出すといったものにつきましては195点ございます。それから、相談についても200件を超える相談が来ておりまして、相当さまざまな話が来ているという状況にございます。
 工業技術センターの役割でございますが、県では放射線対策の本部会議というものを持っておりまして、その中で、それぞれが有するできることの役割分担ということをやっておりまして、工業技術センターでは、工業製品を中心とした測定はもちろんのこと、県全体として、測定能力体制の補完、あるいはさまざまな対象物における効果的な測定方法の技術的な支援といったものも行うという位置づけになっておりまして、これは、県として万全の放射線対策を行う上での重要な役割ととらえております。
〇木村幸弘委員 その工業技術センターの取り組みが、地域のものづくり産業にとって、特に輸出製品については、海外から相当、発災直後からさまざまな部品、細かいものまで含めて、放射能の影響がどうなっているのかということで、それをきちんと証明した上でないと輸出できないなどということもあったやに聞いておりました。
 いろいろなそういった取り組み、対応について、今回、補正予算の中で、ゲルマニウム半導体測定機器が新たに追加補正で購入される予定になっていましたけれども、今後、そういった新たな測定機器の購入などが行われることによって、工業技術センターとして期待される役割といったものがどうなっているのかということ。
 それから、県の放射線対策本部との連携について言うと、工業技術センターであるとか、あるいは環境保健研究センターであるとか、こうした外郭団体との連携というものは、本部対策会議の中の位置づけから言うと余り重視されていない関係になっているのではないかとも拝見されたわけです。
 そういう意味で、今、御答弁いただいたとおり、重要な役割を持っているという位置づけからすると、今後の放射能対応策について、やはり本庁における対策本部と、いろいろな技術的な能力や知見を持って有効に連携協力できるこういった外郭の組織との連携というものが重要ではないかと思いますけれども、その点についてお伺いして、終わりたいと思います。
〇佐々木科学・ものづくり振興課総括課長 ゲルマニウム型半導体検出器でありますが、これは、いわゆるベクレル表示、ベクレル測定ができるという測定器でありまして、ほかにはさまざまな簡易な測定器がありますが、それらはcpmあるいはマイクロシーベルトといった単位の、いわば受ける量をはかる機械でございまして、ゲルマニウム型でありますと、発生するまさにパワーをはかるということで、例えるならば、明るさで言うとカンデラがベクトルでルクスがシーベルトというような、そんな関係にあるのですけれども。済みません。
 そういうことで、ベクレルというのが、その物が発する量を精緻に測定する単位ということになりますので、工業技術センターにはいろいろな相談がございます。相談があった際に、いろいろな測定器には誤差が実はあって、cpmはベクレル表示する場合に換算するんですが、やはり誤差も生ずると言われております。ですので、いろいろな測定するものに対して、精緻にはかって、これはこういうことですとやはり公的な立場で明確に示す必要があるんだろうという意味もあって、ゲルマニウム型の測定器を購入させていただきたいと考えております。
 それから、余り工業技術センターが重視されていないのではないかという御懸念ではありますが、常に本部会議あるいは連絡会議で、県としてどれだけの測定できる機能あるいは体制があるかというものをチェックしながらやっておりまして、当部とすれば、工業技術センターの所管部として常に一体で動いておりますので、いわてグラフにも、工業製品についてはこちらに問い合わせをというのは、科学・ものづくり振興課という窓口で受けさせていただくこともやっており、県と一体で動いていますので、県民の放射線対策として、できるだけ要請にこたえられる形で、一体で対応していきたいと思っています。
〇高田一郎委員 それでは、私からは、中小企業対策について幾つか質問をいたします。
 岩手県の中小企業数は、事業所数では99.8%、雇用者数で89%を占めるなど、農林業とともに岩手の経済を支える主役になっていると思います。それにふさわしい予算とか、あるいは事業展開が必要だと思います。
 そこで、平成22年度の決算に占める中小企業対策費はどのぐらいになっているのでしょうか。そして、平成22年度を振り返って、中小企業対策の課題は何なのか、ここについて、まずお伺いしたいと思います。
〇飛鳥川商工企画室企画課長 まず、平成22年度の中小企業対策関連の決算額でございますが、649億4、100万円余でございます。商工労働観光部一般会計決算額に対する部分で80%の割合となっております。
〇松川経営支援課総括課長 中小企業対策の課題ということでございますけれども、平成22年度といたしましては、設備投資など中小企業者の前向きな資金需要にこたえるために、商工観光振興資金の増額を行っております。
 また、新分野の進出に意欲的に取り組む中小企業者を支援するために、中小企業成長応援資金を新たに創設しております。
 こういったことで、中小企業者のニーズに対応した金融支援策を行ったことによりまして、平成22年度の倒産件数については、最近10年間では最少となったということで、今後も適時適切な支援をしてまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 平成22年度の全体の決算に対するいわゆる中小企業関連の決算がどの程度の割合になっているのかということをお聞きしたのであります。融資を除いて、ここはお伺いしたいと思います。
 やはり中小企業対策を考える上で大事なことは、大震災津波の被害で甚大な影響を受けた、そういう中小企業に対しての対策が、私は、今一番問われているのではないかと思います。
 そこで、基本的なスタンスについてお伺いしたいんですけれども、私は、意欲のあるすべての中小企業者に対しての支援を行うべきだと思います。これが復興の大きな力になると思いますけれども、その点について御答弁いただきたいと思います。
〇飛鳥川商工企画室企画課長 いわゆる融資─金融対策を除いた中小企業対策の関連決算額ということでございます。これにつきましては40億8、900万円余となっておりまして、当部における一般会計決算額に対する割合とすると5%となっております。全体の一般会計決算総額に対しては0.6%という割合でございます。
〇松川経営支援課総括課長 意欲のある被災事業者の再建ということでございますけれども、さまざまな融資制度あるいは補助制度などがございますので、そういうものを活用していただきながら、再建に取り組んでいただくというふうに考えております。
〇高田一郎委員 意欲のある事業者への支援の問題なんですけれども、やはり、この支援を行う上で大事なことは、実態の把握だと思うんです。先ほどの委員の質問の中で数字も出されましたけれども、中小企業の被害状況、1万4、000の中小企業に対して被害は7、000、そして、そのうち4、000の中小企業が事業を再開したということがお話しされました。
 ただ、この3、000の被害の状態といいますか、どういう状態になっているのか、あるいは水産加工の問題についても138の事業所が被害を受けたとお話をされましたけれども、残りの32の事業所は見通しが立っていないわけですね。こういった、なぜ再建ができないでいるのか、その障害になっているのは何なのかという実態を明らかにして、やはり対策をとっていく必要があると思いますけれども、こういう対応をしているのかどうかということもお聞きしたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 被災の程度については、それぞれ一部損壊、あるいは全部損壊といいますか、流失とかさまざまな段階があろうかと思います。いずれそういったそれぞれの被災状況に対応できるように、いろいろな補助制度、それから融資制度ということがございますので、そのニーズに合わせた支援策で対応していただければと思います。
 それから、なかなか制度そのものがよくわからないということもあろうかと思いますので、商工団体などの相談機関あるいは産業支援機関などと諮りながら、いろいろな対応をしてまいりたいと思っております。
〇高田一郎委員 今のニーズに合わせた支援という話をされましたけれども、そのとおりだと思うんですが、ただ、被災された中小商工業者の実態を踏まえて支援を行っていくということだと思うんです。
 もう一回繰り返しますけれども、被災された中小業者は7、000、そのうち事業再開が、例えば4、000というお話がありました。じゃ、残りの3、000はどうして再開ができないのかとか、あるいは、その4、000の事業者が再開したのであれば、軌道に乗っていくためには今どんな要求が必要なのか、こういう具体的な実態をつかんで、そこでニーズが出てくると思うんですが、そういう対応をしていってほしいと思います。
 そこは要望にしたいと思いますけれども、そこで、今、中小業者の皆さんが一番切実に思っているのが二重ローン対策だと思います。この二重ローン対策をしっかりやることが、事業再開につながり、また、雇用の拡大にもつながっていくと思います。
 そこで、最近、東日本大震災事業再生支援機構というものが3党で合意されて、今度の通常国会に提案されようとしております。これは、震災前の債権を国が金融機関から数千億円規模で買い取って、最長15年間返済猶予をするという、いわば新しい機構になっている、そういう報道がされています。被災地からも歓迎するような声が出ていますけれども、その事業内容についてお伺いしたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 ちょっと私も新聞報道程度の知識しかございませんけれども、事業内容といたしましては、支援対象といたしましては、各県でこれから創設される産業復興機構による債権買い取りが困難な事業者、特に小規模事業者、農林水産事業者、医療福祉事業者等を重点的に支援対象とするということで、産業復興機構と相互補完しながら、支援の拡充を図るということが言われております。
 それから、債権の買い取りにつきましては、金融機関の新規融資を前提にしまして、買い取り価格については、債務者の状況を正しく反映した適正な価格での買い取りということで、簡便な方法で算定すると聞いております。
 それから、出資につきましては、国が全額行うということにされておりますが、損失が発生した場合には、各県の産業復興機構と同様に、地域金融機関が損失の一部を負担するとされていると報じられているところでございます。
〇高田一郎委員 これまでの産業支援機構ですか、岩手県の産業復興機構については、この間の議論でも、再建が可能な事業所に対する支援ということで、本当に優良企業しか救済の対象にならないのではないかという議論もありましたけれども、今度の新しい機構については、幅広い事業者の方々が救済の対象になるのではないかということで、そういう基本的な方向が今、提示されているわけです。
 被災者にとっては二つの機構が存在するわけで、これに対して被災者の立場に立った対応が必要だと思うんですね。両方の機構にそれぞれ相談に行くとかではなくて、機構は二つ存在しますけれども、やっぱり一体的な対応を行っていく必要があるのではないかと思うんですが、その辺についてはどのようにお考えなのでしょうか。
〇松川経営支援課総括課長 それぞれ報道という段階で理解している範囲でございますけれども、本県で進めております産業復興機構の役割と、それから、新しく法案として検討されております再生支援機構法というものについて、それぞれ併存する可能性もございますけれども、その状況については、現段階では注視するというところかと思っております。
〇高田一郎委員 震災発生からもう7カ月を過ぎようとしているのですけれども、政府の対応が非常におくれていると思うんですね。ただ、伝えられている報道によりますと、今回の新しい機構というのは、産業復興機構よりもさらに幅広い事業者の方々が対象になるのではないかという基本的な方向が示されたわけでありますから、県としても、やっぱりスピード感を持って積極的な対応をしていただきたいと思います。
 ただ、私が心配するのは、この法案も、実は11月の国会に提案して、そして、国会を通過するのはいつになるかわかりませんけれども、恐らく事業が始まるのは来年以降になってしまうと思うんですね。そうしますと、やはり今の産業復興機構ですか、これが、できるだけ多くの事業者を救うような、そういうスキーム、機構にしていかなければならないと思います。
 実は、昨日の参議院財政金融委員会におきまして、我が党の大門実紀史参議院議員の質問に対して、安住財務大臣は、幅を持ってこのスキームに入れて、できるだけ助けるべきだという答弁を行いました。
 私は、今度やられようとしている新しい機構は、恐らく稼働するのは来年ということになると、今の産業復興機構をできるだけ多くの事業者を救う、そういう内容にしていかなければならないと思うんですけれども、その辺についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 産業復興機構は債権の買い取りをするわけですが、いわばその前段階で、相談センターというものを設けて既に稼働しております。
 そこで、さまざまな相談が持ち込まれるということでございまして、その中でいろいろな支援策が検討される。その一つの方法としての債権買い取りということでございますので、物によっては、債権買い取りではなく別な方法の支援制度とか、あるいは再生計画をまた改めてつくるとか、そういったことでいろいろ支援するという方法もあろうかと思います。
 債権買い取りがすべてこの二重ローン対策ということではなかろうと思います。資金繰りということであれば、再融資を受けるということで緩和される面もあろうかと思いますので、そういった相談センターを活用していただきながら、中小企業の皆様方が再建できるようにと考えております。
〇高田一郎委員 岩手県が発足したこの産業復興支援機構、これは、中身をよく見ますと、いわば産業復興相談センターの統括責任者は岩手銀行のOB、そして、相談センターの37名の相談員は、37人中29人が金融機関からの人材登用になっております。買い取りを決定するのも民間の投資会社だと言われていますので、やはり幅広く救うという判断を、大きな銀行とか、あるいは投資会社に任せては、なかなか本当の救済にならないのではないかと思うんですね。
 だから、人の配置の問題とかやり方を見直して、できるだけ多くの事業所を救う、そういう産業復興機構にしていかなければならないと思いますけれども、その辺はいかが考えているでしょうか。
〇松川経営支援課総括課長 相談センターの体制でございますけれども、やはり金融債権の審査等もございますので、金融機関出身の方たちがいるということでございますが、さらに、税理士、公認会計士、中小企業診断士など、専門の方たちも参画しておりまして、それぞれのグループの中に必ずいろいろな、信用といいますか、そういう方たちも入っていただいて、公平な判断をしていただくように配慮しております。
 金融機関の方たちだから金融機関ベースになるというわけではなくて、金融の専門家としての判断ということで金融機関の方がいるということでございます。
〇高田一郎委員 専門家の判断だというお話がありましたけれども、やっぱり被災地の方々の話を聞くと、これは一部の優良企業しか対象にならないのではないかという話を私も被災地に行ってよく聞いてきます。そして、地方銀行の幹部の方も、10月19日の新聞でも報道されていましたけれども、政府がつくる産業復興機構、これは、銀行も出資しているため優良な企業向けしか仕組めない、関係者もこういう証言をしているわけで、だからこそ、一部の優良企業しか救えないということで今度の新しい支援機構が提起されたのではないかと思うんです。
 私は、ぜひ、きのうの国会での議論にもありましたように、安住財務大臣も、できるだけ多くこの対象に入れて助けるべきだという国会答弁が行われたわけですから、やっぱりそれにふさわしい産業復興機構にしていただきたいと思いますし、また、緊急対策として、返済猶予など、金融機関に対しても徹底させるということも同時にやっていかなければならないのではないかと思います。
 ちょっと時間がないので、次に、グループホーム(後刻「グループ補助金」と訂正)、そして中小企業に対する修繕費補助についてお伺いいたします。
 これは、先ほどほかの委員からも質問がありました。グループホーム(後刻「グループ補助金」と訂正)については、この間、事業費が少ないこともあって3分の1に圧縮されていました。今回、新しく補正予算300億円が追加補正されましたけれども、これによって実際はどうなるのかということをお聞きしたいと思います。つまり、圧縮された補助が、今回の300億円の追加補正によって文字どおり4分の3の補助になるのかというのが一つです。
 そして、第2次分について、既に申請を受け付けて、国に対して恐らく申請を行っているのではないかと思うんですが、先ほどの説明では、263者、334億円の申請があったとなっていますが、これがどのような形で国に申請されているのか、ここについても具体的な数字を示してください。
〇高橋昌造委員長 高田委員にちょっと確認いたしますが、今、グループホームと言ったんですが、グループ補助金ですね。間違いないですね。
〇高田一郎委員 間違いないです。済みません。
〇松川経営支援課総括課長 グループ補助金の関係でございますけれども、まず、1次採択で採択しましたグループの対象となった企業への補助金の配分ということでございますが、国に、いわば追加といいますか、そういうことができないかということでは協議しておる段階でございます。
 それから、2次募集で採択したいというグループにつきましては、国に今、進達しているところでございますけれども、予算規模につきましては、国、県合わせまして54億円ということでございますので、その範囲の中でということになります。
〇高田一郎委員 ちょっとよく理解できなかったのでもう一回質問いたしますが、これまでは、予算規模が少なくて、申請が多くて、3分の1の補助になっていたと。これが、300億円の追加補正することによって、これまでこのグループ補助を受けていた方々が、文字どおりグループ補助として4分の3がしっかりと補助になるのかというのが一つです。
 もう一つは、2次申請で263者が申請をし、その事業規模は334億円だという説明がありました。国に対しては、どのぐらいの申請数を行ったのかと。つまり、今まで希望されている事業者に十分にこたえるようなグループ補助になっているのかどうかということをお聞きしたのです。
〇松川経営支援課総括課長 まず、1次採択で採択されました企業についての4分の3の補助になるようにというお話でございますけれども、その企業のいわば追加につきましては、国にまず協議しているということで、今回の補正予算で300億円をお認めいただきましたので、できるだけその中で対応できるようにと考えておりますが、事業の中身については、自動的に4分の3になるということではなくて、必要な事業についての補助でございますので、そこは精査させていただきたいと思っております。
 それから、2次募集の263者ということでございますけれども、その中から、先ほど予算規模が54億円と申し上げましたので、グループを選定して、審査いたしまして、その中で54億円の範囲内になるように国に今、進達しているということでございます。
〇高田一郎委員 このグループ補助の趣旨に沿って4の分3がしっかりと補助になるということ、そして、希望される事業者に十分にこたえられるグループ補助になるということで理解してよろしいのでしょうか。
 3次申請も行われるとお聞きしておりましたけれども、これからも、その申請に沿って、希望される事業者に十分なグループ補助になるように、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、最後に、中小企業の被災資産修繕事業費補助についてお伺いしたいと思います。
 先ほどもお2人から議論がありました。具体的な数字も示されたわけですけれども、恐らくグループ補助がどういう形で認定されるのか、これによって随分この事業も左右されていくのではないかと思います。
 現在、17億円の申請に対して交付されているのが3億円ですから、予算的には6億8、000万円ということですけれども、これは、グループ補助がどういう形で数字が動くかによって随分違ってくると思います。
 この問題についても、希望される中小業者の皆さんが、すべての希望される業者の皆さんにこたえられるような事業にしてほしいということであります。やはり予算を上回る申請であれば、それにふさわしい予算措置をしてもらうとか、そういう対応が必要ではないかと思います。
 私も内陸部に住んでいるんですけれども、今、本当に中小零細業者は、100万円や150万円の修繕費補助も対応できない、既に借金をしていますから、100万円、150万円なくても事業所を閉める、そういう企業も生まれております。ですから、今回の大震災で多くの中小業者が被災を受けたわけで、やはり全体を底上げしなければ復興にはならないと思いますので、そういう対応をしていただきたいということを要望したいと思いますけれども、その辺について県当局の考え、見解をお伺いしたいと思います。
〇松川経営支援課総括課長 修繕費補助でございますけれども、限られた予算の中での制度でございますので、ある程度修繕の費用が大きな企業を対象にしたということで、小売サービス業については、県としては100万円以上、それから、製造業については1、000万円以上ということで、そういったものを対象にしたということでございます。
 ただ、ある程度、この基準を考えるに当たりましては、現地の被災状況などもお聞きしながら制度を設定したものでございますので、そこは御理解いただきたいと考えております。
〇工藤勝博委員 簡潔に2点質問いたします。
 東京事務所における平成22年度及び23年度の上半期の企業誘致や観光開発等の活動実績について、まずお伺いいたします。
〇木村商工企画室管理課長 東京事務所における企業誘致や観光関係の活動実績についてでございますが、まず、平成22年度の実績につきましては、企業訪問が265件、いわて銀河プラザにおける観光相談が1万3、524件、レジャー記者クラブへの対応等が10回、旅行代理店訪問等が12回ということになっております。
 それから、平成23年度上半期の実績につきましては、企業訪問が185件ということで前年同期比30%の増、それから、いわて銀河プラザにおける観光相談は7、646件ということで前年同期比より0.4%減ということで、前年並みという状況です。それから、レジャー記者クラブへの対応は5回、旅行代理店訪問が4回ということで、こちらは昨年よりは減っているという状況でございます。
〇工藤勝博委員 東京事務所でも、それぞれ大変活発に活動されているということを確認いたしました。
 また、特にもいわて銀河プラザにおいては、アンテナショップでは大変好調な販売も続いているということで、前段、岩渕委員の質問にもありましたけれども、その分は省略させていただきますが、他県でも都内に相当数のアンテナショップがあると。しかしながら、その運営に対しては大変苦戦しているというのが実態のようでございますけれども、いわて銀河プラザは、成果が大変上がっているということはすばらしいと思います。
 ただ、4月以降─震災以降ですか、その部分は、都内の皆さんの岩手を応援するという思いが大変あるんだろうと思います。それが本当に一過性に終わらないような、引き続き岩手のファンになるような、そういう取り組みがぜひとも必要だろうと思いますし、また、そこをきっかけに、大きな商談、販路も拡大するだろうとも思います。その辺を含めて、これから十分対応していただければと思います。
 また、本年10月から、東京事務所の中にあった企業立地観光部が、銀座のいわて銀河プラザに移転して統合されたということでありますけれども、その効果はどのような形であらわれているのでしょうか、お伺いします。
〇木村商工企画室管理課長 いわて銀河プラザへの移転に伴う効果の関係ですけれども、今、お話がありましたとおり、本年10月から、東京事務所の総務行政部は都道府県会館に移転しました。それから、企業立地観光部は、いわて銀河プラザへと執務場所を移しました。
 二つに分かれたことによりまして、組織的には効率的でなくなった部分もあるところでございますけれども、企業立地観光部の職員8名全員が、アンテナショップ直販部門等のある場所にそろったということですので、企業誘致や観光振興、それから、物産振興等の業務を迅速かつ一体的に進めることができるとともに、企業や一般の方々にとりましても、これらの業務がいわて銀河プラザに一本化されたということで、わかりやすく、また、訪問しやすくなるなどの効果もあるものと考えております。
 今後とも、これらの効果を生かしながら、企業情報の収集や観光情報の発信につなげてまいりたいと考えております。
〇工藤勝博委員 それぞれの部門ごとというか分野ごとに大変努力なされているということの報告がありましたけれども、本当にさらに頑張っていただきたいと思います。
 2点目に移りますけれども、岩手県の経済を支えているのは、やはりものづくり、そして食産業の大きな二つがありますが、その食産業についてお伺いいたします。
 今の経済の大変厳しい中でも、食に関する部分は、実績としても前年を若干でも上回ったということは、それなりの努力の成果だろうと思います。まして、食産業にかかわる事業者の皆さんの努力も大変すばらしいと思いますけれども、岩手の食産業の主な製品といいますか、出荷はどのようなものなんでしょうか、お伺いいたします。
〇福澤産業経済交流課総括課長 本県食産業の主要な分類についてでございますけれども、平成21年の工業統計調査では、本県食料品製造業全体の出荷額については3、594億円でございますが、その内訳としては、出荷額の多い順に、ブロイラー加工品などの畜産食料品が1、611億円、全体に占める割合が44.8%、次が冷凍水産食品などの水産食料品が741億円、20.6%、次に、パン、菓子が351億円、9.8%。これら3分野合わせて食産業全体の75.2%を占めるという状況にございます。
〇工藤勝博委員 大変明確な数字が出ていると思います。この生産額といいますか、第1点、大きな畜産、そして水産、あるいはパン、菓子というわけですけれども、特にも県北・沿岸は畜産、そして、沿岸は当然水産でございます。そういう中で、岩手県のさらなる経済の発展は、この振興なくして岩手はないだろうと私は思います。
 そういう中で、今般の被災された沿岸の加工製造業者の状況はどのようになっているでしょうか、お願いいたします。
〇福澤産業経済交流課総括課長 沿岸の加工業の状況でございますが、水産加工業の復興状況については先ほどもお答えしたところでございますが、138事業所が被災し、そのうち32事業所が再開、74事業所が今後再開の意思を持っているということでございます。
 このほか、食品製造業のメーカーがあるわけでございますが、特に酒造メーカーで大きな被害を受けたところがございますけれども、水産加工に比べると、水産加工以外については、浜辺に近いところでなくても操業できるということもありまして、被害の割合というか被災割合は低いものと考えているところでございます。
〇工藤勝博委員 そういう中で、まだ被災された事業者の皆さんで、再開しようかどうしようか大変迷っている状況の方々もたくさんおられると思います。それは、やはり先ほど来お話がありました資金の問題だろうと思います。そういうものは、やっぱり手厚く、あるいはまた、逆に背中を押すような方向で事業再開をしていただくような形をとるべきだろうと思います。手を上げるのを待っているのではなくて、逆に背中を押すような形で、岩手の産業を守るといいますか成長させるためにも、そういう皆さんの力が必要だろうと思いますけれども、その辺、部長のお考えを聞いて、終わります。
〇齋藤商工労働観光部長 御指摘のとおり、本県は、世界三大漁場に面しておりまして、魚が大変とれる、しかも良質な魚がとれる。実は、これが魚だけですと、非常に買いたたかれて余り沿岸にお金が落ちない。ところが、魚を保存、それから保冷、冷蔵・冷凍して、水産加工業者がこれを加工して高く売ることで、漁業者には高いお金の魚が入る、それから水産加工業者は安く材料を調達できる、そして、私どもからしますと、水産加工でつくったものが県外に売れて外貨を稼ぐという、これは一体不可分のものになっております。
 したがいまして、グループ補助金でも、水産加工業を中心にまず1回目は採択いたしました。それから、ヤマト福祉財団からいただいた補助金も、これはほとんど水産加工業者に投入しております。ですので、私たちは傾斜生産方式と呼んでいますが、農林水産部と一緒になりまして、水産業と水産加工業をセットで、できる限り早く立ち上げて、そして、まず沿岸の柱にしようと考えております。
 先ほど申し上げましたグループ補助金もしかり、それから、融資の面、そして二重債務の解消、これはすべてセットで、できるだけ同じ業者に集中的に投入して、一刻も早く立ち上がるように努めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、商工労働観光部関係の質疑をこれで終わります。
 商工労働観光部の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、労働委員会事務局長に労働委員会関係の説明を求めます。
〇小川労働委員会事務局長 労働委員会関係の決算につきまして御説明申し上げます。
 便宜、お手元の歳入歳出決算事項別明細書により御説明申し上げますので、238ページをお開き願います。
 第5款労働費のうち、第3項労働委員会費が当委員会が所管するものでございます。予算総額1億1、558万2、000円に対し、支出済額は1億1、426万円余となっております。
 次に、240ページをお開き願います。支出の内訳といたしましては、1目委員会費2、945万7、000円余は、労使紛争の解決を図るための労働委員会の運営に要した経費であり、委員15名に対する報酬及び旅費等の事務費でございます。2目事務局費8、480万2、000円余は、事務局の管理運営に要した経費であり、事務局職員の人件費及び旅費、需用費等の事務費でございます。
 以上で説明を終わります。よろしく御審議賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、労働委員会関係の質疑をこれで終わります。
 労働委員会事務局の皆さんは退席されて結構です。御苦労さまでした。
 次に、企業局長に企業局関係の説明を求めます。
〇青木企業局長 企業局関係の決算概要について御説明申し上げます。
 初めに、平成22年度の事業運営における総括的な評価、今後の取り組み方針等について御説明申し上げます。
 平成22年度の事業運営に当たりましては、平成22年度から24年度までの中期経営計画の初年度として、公営企業の経営の基本原則である経済性の発揮と公共の福祉の増進を基本とし、中期経営計画に掲げる経営方針に重点を置きながら、水力発電を中心としたクリーンな電力と良質な工業用水の安定供給のため、施設の計画的な改良、更新等を行ったほか、業務コストの節減を図り、効率的な経営に努めてまいりました。
 また、3月の大震災では、施設の大きな損傷もなく、長期間にわたる供給停止にも至らなかったこともあり、損益については両事業とも引き続き黒字を計上することができ、良好な経営を維持していると考えております。
 また、水力開発につきましては、胆沢第三、第四発電所の建設に取り組んでいるほか、地域社会への貢献については、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を活用し、地球温暖化対策や環境教育などの県事業及び小規模なクリーンエネルギー設備の導入を行う市町村等に対し、引き続き支援をしたところであります。
 なお、中期経営計画の取り組みの評価については、電気事業では、出水率が平年を上回ったことなどから、目標電力量に対する供給電力量の達成率が115.7%、工業用水道事業では、経費の一層の効果的な執行に努めたほか、高利率企業債の借りかえによる支払い利息の軽減効果により経常収支比率は目標を上回るなど、両事業とも年度目標を上回る成果を上げたものと考えており、外部の有識者で構成される経営評価委員会からも同様の評価をいただいております。
 本年度は、長期経営方針及び中期経営計画に掲げる信頼性の確保、経済性の確保、新規開発、地域貢献及び組織力の向上の五つの経営方針に沿って一層の経営効率化と健全経営に努め、平成24年7月から開始となる再生可能エネルギーの固定価格買取制度の動向を見据えながら、経営環境の変化にも適切に対応したいと考えております。
 また、工業用水道事業においては、平成21年度末で累積欠損金が解消し、さらに、今後、入畑ダムの水利権の一部を有償譲渡することにより資金繰りが改善することから、本年4月から料金の値下げを実施するとともに、今後、一般会計等からの支援を必要としない経営に努めてまいります。
 それでは、企業局が所管しております認定第2号平成22年度岩手県電気事業会計決算及び認定第3号平成22年度岩手県工業用水道事業会計決算について、お手元の決算書に基づき、その概要を御説明申し上げます。
 なお、決算書のうち決算報告書は、予算に対する決算という性格上、消費税及び地方消費税を含めた金額で作成しておりますが、損益計算書及びその他の財務諸表は、消費税及び地方消費税抜きの金額で作成することとなっておりまして、金額に相違がありますのであらかじめ御了承をお願いします。
 認定第2号平成22年度岩手県電気事業会計決算であります。
 電気事業会計決算書の1ページをお開き願います。平成22年度の収益的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目の収入の決算額は46億6、800万円余、下の表、右から4列目の支出の決算額は40億6、100万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項営業収益44億2、200万円余は、水力発電に係る電力料等であり、第2項財務収益1億8、200万円余は、株式配当金、長期貸付金利息等であります。第3項附帯事業収益4、100万円余は、稲庭高原風力発電所に係る電力料であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項営業費用36億8、500万円余は、水力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用1億7、800万円余は、企業債に係る支払い利息等であります。第3項附帯事業費用5、500万円余は、稲庭高原風力発電所の運転及び管理運営に要した経費であり、第4項の事業外費用1億4、200万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 次に、2ページをお開き願います。資本的収入及び支出でありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は7億5、000万円余、下の表、支出の決算額は14億600万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項補助金3、100万円余は、胆沢第三発電所の建設事業に係る補助金であり、第2項負担金1億100万円余は、仙人発電所の共有施設に係る改良工事の負担金であります。第3項長期貸付金償還金6億1、700万円余は、一般会計等からの長期貸付金の償還金であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項建設費1億1、000万円余は、胆沢第三発電所の建設に要した経費であり、第2項改良費6億3、400万円余は、各水力発電所の施設の改良や更新に要した経費であります。第3項電源開発費800万円余は、胆沢第四発電所建設に係る実施設計及び水力発電開発調査に要した経費であり、第4項企業債償還金5億800万円余は、発電所の建設のために借り入れた企業債の償還金であります。第5項長期貸付金1億2、600万円余は、工業用水道事業会計に対する企業債償還元金の償還原資として貸し付けをしたものであり、第6項繰出金1、700万円余は、環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金を原資として、一般会計へ繰り出ししたものであります。
 下段、欄外に記載してありますとおり、資本的収入額が資本的支出額に不足する額6億5、500万円余については、減債積立金などをもって補てんをしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は右側の上段、5億7、600万円余となっており、この営業利益に財務収支、附帯事業収支及び事業外収支の合計の利益70万円余を加えた当年度純利益の5億7、600万円余となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の利益剰余金の部でありますが、減債積立金から5ページの環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金までの当年度末の積立金合計額は、5ページ、右側中段の二重線を引いております53億6、700万円余となっており、また、当年度未処分利益剰余金は、右側の一番下、5億7、600万円余となっております。
 次に、6ページをお開き願います。資本剰余金の部でありますが、国庫補助金以下3科目の当年度末の合計額は、右側の一番下、20億6、400万円余となっております。
 次に、7ページの剰余金処分計算書案でありますが、当年度未処分利益剰余金5億7、600万円余につきましては、5億4、000万円余を企業債償還金に充てるための減債積立金に積み立て、3、600万円を環境保全・クリーンエネルギー導入促進積立金に積み立てしようとするものであります。
 なお、8ページ以降の貸借対照表、その他の事項については説明を省略させていただき、以上で電気事業会計決算の説明を終わります。
 次に、認定第3号平成22年度岩手県工業用水道事業会計決算について御説明を申し上げます。
 工業用水道事業会計決算書の1ページをお開き願います。平成22年度の収益的収入及び支出についてでありますが、上の表、右から3列目、収入の決算額は10億2、900万円余、下の表、支出の決算額は8億6、100万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項営業収益9億2、700万円余は、一般水及びろ過水の給水料金であり、第3項事業外収益1億100万円余は、工業用水道料金の減免をするために措置された一般会計からの負担金等であります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項営業費用7億3、200万円余は、各工業用水道施設の給水業務及び管理運営に要した経費であり、第2項財務費用1億700万円余は、企業債及び電気事業会計からの借入金に係る支払い利息であります。第3項事業外費用2、100万円余は、納付消費税及び地方消費税等であります。
 次に、2ページをお開き願います。資本的収入及び支出でありますが、上の表、収入の決算額は4億4、500万円余、下の表、支出の決算額は9億5、600万円余であります。
 収入の主な内訳でありますが、上の表、第1項企業債1億9、200万円余は、各工業用水道施設の改良工事に係る起債であり、第2項出資金1億2、600万円余は、経営健全化支援に係る一般会計からの出資金であります。第3項他会計からの長期借入金1億2、600万円余は、電気事業会計から企業債償還元金の原資として借り入れしたものであります。
 支出の主な内訳でありますが、下の表、第1項改良費1億9、300万円余は、各工業用水道施設の改良や更新に要した経費であり、第2項企業債償還金5億2、800万円余は、工業用水道施設の建設のために借り入れした企業債等に係る償還金であります。第3項他会計からの長期借入金償還金2億3、400万円余は、一般会計等からの借入金の償還金であります。
 下段、欄外に記載してありますとおり、資本的収入額が資本的支出額に不足する額5億1、000万円余については、当年度分損益勘定留保資金などをもって補てんしたところであります。
 次に、3ページの損益計算書でありますが、営業利益は右側の中段、1億6、400万円余となっております。この営業利益から財務収支及び事業外収支の合計の損失、右側の三角、500万円余を差し引いた1億5、800万円余が当年度純利益となっております。
 次に、4ページをお開き願います。剰余金計算書の利益剰余金の部でありますが、減債積立金は、企業債の償還に全額1億2、100万円余を充てたため、積立金の残額はゼロ円となっており、また、当年度未処分利益剰余金は、右側の中段の二重線を引いております1億5、800万円余となっております。
 また、資本剰余金の部でありますが、国庫補助金以下3科目の当年度末の合計額は、5ページ右側の二重線を引いております40億3、800万円余となっております。
 次に、6ページの剰余金処分計算書案でありますが、当年度未処分利益剰余金1億5、800万円余の全額を企業債償還金に充てるための減債積立金に積み立てしようとするものであります。
 なお、7ページ以降の貸借対照表、その他の事項については説明を省略させていただきます。
 以上で、企業局関係2会計の平成22年度決算の説明を終わります。よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
〇高橋昌造委員長 ただいまの説明に対し質疑はありませんか。
〇関根敏伸委員 大きく2点についてお伺いをいたします。
 今、局長から概略的に決算の御説明をいただきました。おおむね良好な経営状況であると理解をしながら聞かせていただいておったわけでありますが、改めて中期経営計画、3カ年の初年度ということのようでありますけれども、平成22年度の中期経営計画への取り組みと決算の評価を聞かせていただきたいと思いますし、あわせて、どのような視点で事業経営に取り組んでこられたのか、成果なども含めましてお聞かせをいただきたいと思います。
〇青木企業局長 平成22年度の中期経営計画への取り組み状況と決算の評価等についてでございますが、平成22年度は、24年度までの計画期間としている第3次中期経営計画の初年度として、電気、工業用水の安定供給による信頼性の確保、収入の確保、支出の適正化等による経済性の確保など、五つの経営方針と具体的な数値目標を経営指標として掲げ、実績と評価を踏まえた持続発展的な事業展開を図りながら、経営の推進に取り組んできたところでございます。
 平成22年度における取り組みの状況でございますが、まず、電気事業につきましては、供給電力量は、平年を上回る出水率があったということから、目標に対する達成率が115.7%となり、これは、平成14年度以来の8年ぶりに6億キロワットを超える電力量となったところでございます。経常収支比率は、経費の効率的な執行に努めた結果、目標の110%に対して4.9ポイント上回る114.9%となり、純利益は5億7、600万円余を確保したところでございます。また、新規開発につきましては、胆沢第三発電所で工事に着手したほか、胆沢第四発電所で実施設計が完了するなど、順調に推移をしてきたところでございます。
 次に、工業用水道事業でございますが、実給水量は、3月11日の東日本大震災津波の影響もございまして目標に達しなかったところでございますけれども、経常収支比率は、修繕費の事業内容ですとか設計の精査など効果的な執行に努めたことは、企業債残高の減少、そして高利率の企業債の低利率への借りかえの効果などによりまして、目標の114%を5.2ポイント上回る119.2%となりまして、純利益は1億5、800万円余となったところでございます。
 これらの経営目標の達成状況や行動計画の取り組み状況につきましては、外部の有識者5名で構成される経営評価委員会における評価におきましても、おおむね良好との評価をいただいているところでございます。
〇関根敏伸委員 本当に経営評価委員会からも一定の評価をいただいているということでございまして、ぜひ、今年度も頑張って経営努力に努めていただきたいと思います。
 そういった中で、電気事業会計についてまずお伺いしたいんですが、局長の説明の中にも触れられました固定価格買取制度の動向も踏まえながら、環境に対応していくという御説明があったようでございます。
 基本的なところからお聞かせいただきたいんですが、この買取制度が来年の7月から始まってくるわけでございます。詳細は決まっていないようでありますが、電気の種類、設置形態、規模に応じて毎年価格が決定されるという状況だと聞いているわけなんですが、こういったときに、今ある風力あるいは水力の設備がどう対応になるのか、また、新しい発電ということから言うと、今、開発が進められようとしている胆沢第三発電所、第四発電所だけが対応になってくるのか、あるいは価格の動向等も何とも言えないかと思っておりますけれども、発電コストに一定の利潤を加えたものをこの価格に決定をしていくということも決められているようでありますけれども、こういった状況等をどう見据えていらっしゃるのか、聞かせていただきたいと思います。
〇千枝経営企画課長 固定価格買取制度を中心としたお尋ねでございますが、委員御案内のとおり、来年7月から施行されるということで、現在、まだ詳細設計を政府等で実施しているところでございます。それらの動向を踏まえて、私ども新規開発、風力あるいは新たな水力というのに対応してまいりたいと思っておりますが、既存の水力発電所につきましては固定価格買取制度の対象ではなくて、従来どおりの契約で東北電力と電気のやりとりをするということで、昨年度から10カ年の長期契約で対応しております。ですから、水力発電所あとは胆沢第三発電所につきましては、この制度が決まる前から着工しておりまして、こういったものについては、従来どおりの東北電力との契約で臨むということになっておりますし、新たに胆沢第四発電所につきましては、この固定価格買取制度の対象となり得るものでございますが、現在、東北電力と従来どおりの契約でどうかというところで協議を進めているところでございます。
〇関根敏伸委員 わかりました。そうすると、現在の設備と胆沢第三発電所までは現状どおりと。胆沢第四発電所については、この制度の動向も踏まえ、これは東北電力との交渉ということになるんですか、話し合いということですか。ここをちょっとはっきり聞かせていただきたいと思います。
〇青木企業局長 ただいまのお話にございました胆沢第四発電所でございますが、私どもの基本的な考え方としましては、固定価格買取制度ではなく、従前の流れでの東北電力との供給協定に基づく供給、そういう方向で供給を進めていきたいと考えているところでございます。
〇関根敏伸委員 ちょっとよくわからないんですが、済みません。これは、この固定価格買取制度によって、国が定めた委員によって、決められた電力の種類ごとの価格が新しい設備に適用されるという形にはならないということですか。ここだけちょっと確認させてください。
〇青木企業局長 新しい固定価格買取制度でございますけれども、まだ買い取り期間ですとか買い取り単価が決まっていないと、これからの検討という状況にあるということで、我々としても、この先の見通しをまだ十分につかむことができないという状況がございます。一方で、私ども、現在は、電気事業法上は、卸供給事業という立場で東北電力に電気を供給しているわけでございますが、その卸供給でもいくことができますし、新しい固定価格制度の単価、供給というほうを選択もできるという状況でございます。したがいまして、私どもとしては、どちらかをこれから選択をしていくということになるわけでございますが、固定価格買取制度自体がまだ詳細が決まっていないという状況にございます。一方で、胆沢第四発電所につきましては間もなく工事が始まる、来年度には完成をするということでございまして、時間的な余裕も余りないという、さまざまなリスクもあるということをいろいろ総合的に検討した結果、従前の卸供給で今回は東北電力と協議をしようということで、今、協議を進めている状況でございます。
〇関根敏伸委員 何となく整理がつきました。そういった中でお伺いしたいんですが、この中期経営計画にも定められておりますと同時に、今、県政の大きな要請でもあります自然エネルギー、再生可能エネルギーの取り組みというものはどんどん促進をしていかなければならないんだろうと思っております。この買取制度の詳細等はまだはっきりはしていないという状況でありますが、例えば風力、水力もそうであります。岩手の場合、バイオマスとか地熱とか、こういった非常に可能性のある電源等もあるわけでございますけれども、この買取制度等も見据えながら、企業局として今後、この再生可能エネルギーの開発をどう進められようとしているのか、その方針等についてお聞かせをいただきたいと思います。
〇千枝経営企画課長 企業局は、再生可能エネルギーである水力発電や風力発電の開発に積極的に取り組んできており、先ほどお話ししましたけれども、現在も、二つの水力発電所を建設中であるほか、新たな建設可能な地点がないか、調査検討を継続して行っております。そのほかの太陽光発電など、再生可能エネルギーの開発につきましては、繰り返しになりますが、固定価格買取制度の買い取り単価や期間、国のそのほかの支援制度の状況、これらによりまして開発の環境が大きく変化すると認識しておりまして、その動向を注視しながら、事業化の可能性について検討してまいりたいと思っております。
 企業局としては、関係部局と連携を図りながら、経済性を確保しつつ、水力発電所や風力発電所を中心とした再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。また、電力の安定的な供給に、そういったことを通じて貢献してまいりたいと思っております。
〇関根敏伸委員 ぜひ期待をしておりますので、県庁内他部局等々とも連携をしながら、国の情報をいち早くつかんで、積極的な開発に向けた御努力をお願いしたいと思います。
 次に、工業用水事業についてお伺いをいたします。
 先ほど御説明にもありました。平成24年度に工業用水の未売水を農業用水として転売をされるということで、昨年度の予算特別委員会等でも説明があったところであります。
 入畑ダムの水源転用、この進捗状況がどうなっているのか。また、これが、たしか26億円程度の譲渡と聞いておったわけでございますが、この水源転用が経営にどう影響してくるのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 入畑ダムの水源転用に係る進捗状況についてでありますが、平成17年12月に締結した入畑ダム共同施設の譲渡に関する覚書により、平成24年度に、工業用水の余剰水の一部を東北農政局に有償譲渡することとしておりましたが、本年に入りまして、9月1日付で、入畑ダム共同施設の譲渡に関する基本協定書を、東北農政局と正式に締結したところであります。今回締結した基本協定書におきましては、転用する水量を日量3万5、000立方メートル、譲渡対価を消費税込みで27億3、600万円余、譲渡時期については平成24年4月末日とし、現在改良工事を行っております入畑ダムの資産分については、工事終了後に別途有償譲渡するということにしたものでございます。
 今後は、東北農政局と財産の譲渡契約等詳細についての協議を進めるとともに、東北農政局を含めた入畑ダム関係者と、ダム管理についての協議を進めていく予定であります。
 次に、経営に与える影響についてでございますが、余剰水の譲渡に伴い未売水が減少するとともに、企業債の支払い利息や減価償却費、ダム管理負担金、市町村交付金等の費用が軽減されます。また、このほかに譲渡対価により資金繰りが改善され、料金値下げの財源としても活用できる見通しが立ったため、今年度から料金値下げをすることとしたものでございます。
〇関根敏伸委員 わかりました。資金繰りは相当改善されると思っております。次にお聞きをする料金の値下げ等にも、この前提条件があってこそ踏み切れたものだと思っております。ただ、1点、いただいております中期経営計画によりますと、平成24年度に固定資産売却損が計上されるような見込みでありますけれども、この状況についてだけ若干お聞かせをいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 平成24年度に一応見込まれております固定資産の売却損ですけれども、これにつきましては、実際に譲渡契約をこれから結ぶわけですけれども、原簿との差額分について生じるものでございまして、それについては、ほとんど今の段階では余り変わっていないかなということでございます。
〇関根敏伸委員 経常収支は一たん赤字になるけれども、資金繰りを含めた経営環境等々含めると好転すると、こういう理解になるんでしょうか。
〇菅峨業務課総括課長 ただいまの欠損金につきましては、ただいまの見込みでは、二、三年ぐらいで解消するものと見込んでございます。
〇関根敏伸委員 わかりました。次にお尋ねします。
 3月11日に震災の発災があったわけでございますけれども、お聞きをしますと、3月11日から3月31日までの間、工業用水道料金を免除したと伺っていたわけでありますけれども、どのような判断で免除されたのか、また、免除額はどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 震災に伴う料金免除の考え方についてでございますけれども、その根拠となるものは県営工業用水道料金徴収条例第4条に基づいて免除したものでございまして、同条には、災害等の事情で給水を停止したときや公益上の理由があると認めるときは、料金を免除できる旨、規定されているところであります。
 免除の考え方としては、3月の震災時は工業用水の給水停止期間は4日間であり、3月15日には復旧しているものの、ユーザー自体が地震の被害をこうむったことに加え、物流停滞等の影響によりまして、3月中は操業再開のめどが立たず、工業用水が通常の使用状況に至っていなかったところでございます。したがいまして、料金を免除することにより、一日でも早いユーザーの復旧を支援し、産業振興を支えるという点で公益上の理由があると認め、特例として料金を全額免除することとしたものでございます。
 なお、料金免除に当たりましては、資金不足とならないよう、不急の修繕の延期等により、めどをつけた上で実施したものでございます。
 また、免除額につきましては総額が5、600万円余で、内訳としては、給水の停止分が780万円余、公益上の理由によるものが4、800万円余でございます。
〇関根敏伸委員 了解をいたしました。根拠法令があるわけですね。その中で、実質的に4日間停止をした部分と公共等、公益等の理由の中で大局的な判断に立って、やむを得ない事情ということで免除されたと理解をいたしました。私も、判断としてはこういった状況の中ではやむを得なかったのではないかと思っておりますし、工業用水事業そのものが、企業等を支えながら地域経済を発展させるという大局的な目的があるわけでありますから、そういった意味では、私は妥当な判断だったのではないかと思っております。
 もう一点お伺いをします。今年度より、水の使用料が反映される仕組みに料金改定がなされました。実質的には値下げされたと理解をしております。責任水量制から二部制ということになって、工業用水で言うと2.4%ですか、ろ過水で言いますと16.1%の料金値下げということになるわけでありますけれども、この震災の影響を含め、料金改定に伴いまして、今年度、平成23年度の収支見込みをどうとらえていらっしゃるのか、また、あわせて、今後の工業用水経営、全体の経営見通しについてもお聞かせをいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 平成23年度の収支見込についてでございますが、今回の料金改訂は、水の使用量にかかわらず、契約水量に応じて料金を徴収する責任水量制から、水の使用料が反映される二部料金体系としたものでございます。3月11日に発生した東日本大震災津波の影響で、4月は対前年比で34.5%と大きく落ち込んだこともあり、平成23年4月から9月までの半年の間、工業用水の使用量は、前年同期比で13.4%の減、66万立方メートル余り減少しており、現時点での収入の減少額は、対前年同期比で、料金値下げ分としては3、800万円余、使用量の減分として270万円余となってございます。
 ユーザーから今後の使用見込みを確認したところ、当初予算と比較しますと、使用量減少分に伴う料金減収は年間620万円余と見込まれるものの、契約水量を超過しているユーザーもありまして、この分の収入を加えると、料金の全体の収入は当初予算額を達成できると見込まれ、黒字経営を維持できるものと考えてございます。
 今後の経営の見通しについてでございますが、収益的収支については、平成24年度の入畑ダム水源転用により、先ほども御説明しましたけれども、一時的に固定資産売却損による欠損金が生じるものの、おおむね二、三年で解消されます。その後は、安定的な黒字経営を継続できるものと見込んでございます。
 次に、資本的収支についてでありますけれども、入畑ダムの水源転用後は、27億円余の対価収入のうち、所要経費と料金値下げ分を除きました12億円余が資金として活用できることから、一般会計等からの支援を必要としない経営ができるものと考えてございます。
〇関根敏伸委員 最後にします。今年度でも黒字化が達成できそうだという状況、今年度以降、安定した経営が見通せるという状況だと理解をいたしました。そんな中で、料金体系も変わってまいりました。言うなれば、水を多く使っていただければいただけるほど、あるいはユーザー数がふえればふえるほど、工業用水の経営もよくなってくると。地域の経済も活性化してくるんだろうと思いますが、そういった中で、地元自治体等からは、新たな工業団地等への施設の延長等々も要請を受けているやに聞いているわけでございますけれども、こういった実現のための課題と見通しについて、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 地元自治体からの要望があるかということのお尋ねでございますが、北上南部工業団地につきましては、現在、工業用水の配水管の設置がなされておらず、地元からは、具体的な立地が見込まれた時点での工業用水の必要量の確保と、迅速な供給体制の確立を要望されているところでございます。このような中、企業局におきましては、用水型企業誘致のための情報収集や連絡調整を行うため、工業用水道施設が所在する市町と県の関係部局と一緒に工業用水利用促進等関係会議を開催し、関係機関と連携を図っているところでございますが、現在のところ、北上南部工業団地につきましては、用水型企業誘致についての情報はないと聞いているところでございます。
 次に、こうした施設の実現のための課題と見通しについてでございますけれども、工業用水道施設の整備につきましては、水源の確保や取水施設、送配水施設等の整備に多額の投資を要することから、工業団地内に相当規模の用水需要が見込まれる等、収支の均衡が図られる必要があると考えております。したがいまして、施設延長につきましては、企業立地部門と密接な連携のもと情報収集に努め、用水型企業の立地が決まった時点で、供給規模や経済性等を十分に検討の上、対応してまいりたいと考えてございます。
〇渡辺幸貫委員 今、全量、固定価格買取制度の話がありました。買い取りは種別によってまだ決まっていないと、国で来年7月だと言っていますけれども、それで、そもそも水力発電はお宅では7.26円のコストですし、一関の照井堰、あそこは8.9円だと。わずか1円ちょっとしか規模の差も、それだけ水力というのはすごいコストパフォーマンスというか、非常に安くできるわけですね。それに一方、太陽光なんていうのは42円だと。48円から42円になったばかり。そうすると、何が一番日本のエネルギーを、要するにコストを上げないでどうしたらいいのかということを、私たちはこの再生の中で考えなきゃならない時期にあると思うんですね。その意見を、国に対して岩手県でもぶつけなきゃならん。そういうときに、国の対応を見てという、盛んにさっき返事がありまして、どれをふやすか考えますということがありましたけれども、岩手県の考えを企業局がぶつけなきゃならん。なぜかというと、今までは、相対の取引の電力のコストは何かということを盛んに研究してきたのは企業局でありますから、小水力発電所は、例えば農林水産部でやりますとか、いろんなことを言っていても始まらないと私は思うんですね。環境は環境生活部、そっちだとかね。ですから、国に対してどういうふうに、どれがコストですぐれているとか、そういう考えが県にあるのかどうか。そしてあるとすれば、それを国にぶつける意欲を持っているというんですか、岩手県の意見をぶつけるチャンスといいますか、そういう気持ちがあるのかどうかを伺いたいと思います。
〇青木企業局長 発電のその種別ごとのコストについてのお話でございますが、私ども水力発電と風力発電を行っておりますので、これらの発電についての実際のコストはどういう状況か、建設に係るコスト等を含めて、今までの蓄積があって承知をしているわけでございますが、その他の新エネルギー、再生可能エネルギーも含めてのコストということになりますと、私どもとしても具体の実績、情報はないという状況がございます。現在、国では、全電力源のコストについて検討するということで今進んでいると承知してございますので、私どもとしては、最終的に水力発電も含めて、コストがどういう位置づけになるのかということについて、国の検討状況を注視しているという状況でございます。
 また、今お話にございましたとおり、水力発電につきましてはコストパフォーマンスが大変いいと私どもも自負しておりますが、実は初期費用がかかると。それを、40年ですとかそういう長い期間をかけて回収をしていく、そういう水力発電については特殊性があるということもございます。ほかの風力等々に比べますと、安定的な発電はできるという特徴もあるということもございます。そういった水力発電についての特殊性があるわけでございますが、それを進めていくためには、初期費用をある程度解決していかないと、今後の開発をどんどん進めていくということはかなりの問題、課題があるという状況がございますので、そういったところを含めての水力への支援、特性を踏まえたような価格の設定なり措置等について、県としても国に要望しているという状況でございます。
〇渡辺幸貫委員 今、データがないという話がありましたが、私の手元には、資源エネルギー庁の試算によれば、大規模な風力は10円から14円、水力であれば8円から13円とか、火力は7円から8円とか、一応のものは出ているわけですよね。そうすると、今、施設も含めてという話がありました。今、盛んに議論されているのは、小水力なんか新聞紙上に最近出ていますが、それらは施設を新たにつくろうというわけじゃなくて、それらの落差をうまく利用しようじゃないかという話だと思うんですね。その利用した結果が、さっき言った照井土地改良区では8.9円でしたよということなんですよね。ですから、私たちはそういう安いもの、10円以下とか10円ちょっとぐらいのものを、さっき言われた固定価格の中にうまく反映してもらえば、日本全体のエネルギーコストが安くなるんだという基本的な信念を持つべきだということを私は言いたいんですね。それが1点。
 もう一つの質問ですが、さっきいろんなエネルギーでこれから計画をしていきたいという話がありましたが、再生可能エネルギー特別措置法というんですか、そしてあと小水力発電であれば、今度は復興特区の場合には国土交通省や経済産業省への報告ぐらいで、簡単に5カ月から1カ月ぐらいで設置できるように短縮になるんだということが新聞で報じられております。そう考えたときには、まさに全国的には、環境省であれば1、400万キロワット、100万キロワットの原発であれば14基分の可能性があると。さっきどなたかの質問でもありましたけれども、いずれ、そういう可能性があるとすれば、設置型でなくてもいいからあるものを生かす。例えば、県で持っている遠野第二ダムとか、ちょっとしたダムもあちこちにあると思うんですね。そういうものを生かすという考え方をすれば、コストということもかなり低目に抑えられて、新たに企業局が設置できるという考え方になるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
〇青木企業局長 委員お話のとおり、水力発電はほかの電源に比べて、安い単価で発電ができるということについては私ども同様に考えてございます。したがいまして、そういう発電がさらに取り組みとして、そのように国には単価設定等について要望しているという状況でございます。また、既存のものができるかどうかということについては、個別具体の条件等を踏まえながら、事業の採算性から見てどうなのかとか、そういう国の支援制度等活用がどうなるか、いろいろな検討、さらには接続の条件が出てくるのかどうかとか、そういったいろんな条件等を踏まえながら個別に検討が必要だということでございますので、個別個別に可能性があるものについてのは検討はこれからも進めてまいりたいと思います。
〇工藤勝子委員 ただいま関根委員また渡辺委員から、いろいろと自然、クリーンなエネルギーの水力に対する方向、電力、そして来年の7月ですか、電力の固定価格買取制度のお話もございました。この辺のところを中心に私も質問しようと思っていましたけれども、時間の関係もありますので、一応要点を絞って御質問したいと思います。
 岩手県にはいろんな形の中で広大な面積がありますし、また、福島第一原発の事故によって、国民全体がクリーンな自然エネルギーに、また再生可能エネルギーに注目しているんだろうと思っています。また、将来に向かって原発から脱却し、いろんなこういうエネルギーに転換が求められていくのではないかと思っているところでもあります。
 そこで、岩手県が今度胆沢ダム、ここの第三発電所、そして第四発電所の詳細な設計も行われております。今後の進捗状況、そして今後の見通し、予定、そのところをまずお聞きいたします。
〇榎電気課長 胆沢第三発電所の進捗状況ですけれども、胆沢第三発電所は、電源開発株式会社の新胆沢第一発電所とともに、ダム直下に共同で建設することとしております。本年は、電源開発株式会社と共同で導水管の一部据えつけや発電所基礎工事に着手し、順調に進んでおります。
 今後についてですけれども、発電所建屋本体工事については今年度中に発注し、平成24年度の着工を予定しております。
 なお、発電所の運転開始は、ダムの完成後となる平成26年度を予定しております。
 次に、胆沢第四発電所の建設についてですが、胆沢第四発電所は、胆沢ダムから放流される河川維持流量を利用するもので、現在の胆沢第二発電所取水口である若柳堰堤に、新たにこの維持流量を流す設備とあわせて設置することとしており、最大出力140キロワットの発電を行う計画であります。胆沢ダムでは、平成24年12月からダム下流に維持流量を流しながら貯水試験を予定しているため、この発電所の運転開始をこれにあわせることとして、現在、電気、機械、土木の各種工事について受注者が決定し、着工に向けて準備を進めているところでございます。
〇工藤勝子委員 東北電力と電力需給契約、水力売電単価というのを1年契約で定めております。1キロワットアワー7円26銭ということであります。これが1年契約でありますので、この3月で切れますので、また新たに契約が設定されるんだろうなと、協定が結ばれるんだろうなと思っていますけれども、こういう福島の原発事故を受けて、国の方針も新たに定まってきて、例えばこの売電単価が少しは高くなるだろうと予想されているのかどうか、その辺のところ。そして、稲庭風力発電所の売電単価は11円50銭とあります。これが平成13年から平成30年9月10日まで協定を結ばれております。そうすると、この稲庭風力発電所の平成30年9月10日まで売電単価が動かないのか。幾ら国の方針が定まっても契約だから、これは平成30年までこのままの価格でいくのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
〇榎電気課長 まず、東北電力との需給契約ですけれども、これは2年間の契約をしておりまして、現在、平成22年度、23年度の契約で、次の契約が平成24年度、25年度を予定しておりまして、今後、平成24年度、25年度の契約の打ち合わせを東北電力と行うこととしております。
 なお、契約に当たっては、卸料金算定規則に基づいて必要経費を積み上げて、なおかつ、そこに適正な利潤を加えて、それを原価として東北電力と交渉しながら単価を決めるやり方をとっております。
 それから、稲庭風力発電所の単価ですけれども、これは11円50銭で契約しておりますが、建設のときに補助金を受けているということと、現在は固定価格買取制度の内容の詳細が不明ですけれども、補助金を受けた施設については対象にならないという情報もありましたので、実際には、今現在発電されている施設に、その買取制度が適用になるかどうかも一切内容が不明なので、現状では、平成30年まで11円50銭で売電するものと考えております。
〇工藤勝子委員 わかりました。補助金を受けているからこのままで推移するのではないかという御答弁でございましたけれども、今後、いろんな形の中で国の法律も変わってくるでしょうし、このままでいいということではなくて、今後この水力発電の開発を進めるにしても、この売電単価が高くなれば、結局コストの面をカバーできてくるわけですよね。そういうことによって、今後、国なり東北電力との協定の中で企業局として私は頑張っていただきたいと。今のままでよしということではなくて、頑張っていただきたいと思っているところでもあります。今後、やはり新規の開発ということも非常に大事になってくるんだろうと思っておりますし、先ほどから話しております売電単価の引き上げ等も御尽力いただければと思っております。ぜひ、来年、平成24年7月からですか、電力固定価格買取制度の改定を、この法律の改正がされておりますので詳細が出てくるんだろうと思いますけれども、それらを見据えながら、岩手県の今後の自然をまさに十分に使って、新たなクリーンエネルギーを生み出してほしいと思っておりますけれども、最後に青木局長の今後の方針を聞いて終わりたいと思います。
〇青木企業局長 私ども企業局では、これまでクリーンなエネルギーを開発し、安定供給をしていくということで水力発電、風力発電に取り組んできたところでございます。
 今後におきましても、本県にたくさんある資源、そしてクリーンなエネルギーである水力発電、そして風力発電、これからも積極的に取り組みを進めながら、電力の安定供給等、引き続き県の電力の需給力向上ということも含めて取り組みを進めてまいりたいと考えております。
〇高橋昌造委員長 この際、世話人会の申し合わせにより、10分間ほど休憩いたします。
   午後5時16分 休 憩
午後5時32分 再開
〇高橋昌造委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これから質疑を続行いたしますが、本日は、この後、4人の質問者が予定されております。進行に御協力を願うため、質疑、答弁、特にも答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑を続行いたします。
〇神崎浩之委員 企業局、電力、工業用水については初めて触れることでございますので、これからがんがん勉強していきますので、よろしくお願いいたします。
 通告は、東日本大震災における施設等の被害状況はとしておりました。先輩議員や、それから当局に聞けば、ほとんど影響がなかったというお話をされておりましたけれども、被害状況についてお伺いしたいと思います。
 それから、発災後は、東北電力が停電だったということがあるわけなんですが、その東北電力が停電になることによって、企業局の工業用水、それから電力に影響があったのかどうか、それを2点目でお聞きしたいと思います。
 それから、3点目は、その東北電力の停電によりまして、企業局の工業用水、電力の供給について何か影響があったのかどうか、三つお聞きしたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 東日本大震災津波における施設等の被害状況についてでございますけれども、発電施設につきましては、被害はありませんでした。また、工業用水道施設におきましては、第一北上中部工業用水道の擁壁ブロックの亀裂ですとか、脱水機建屋の天井や壁に損傷等があり、全体で約900万円の復旧経費を要しますが、給水に影響を与えるものではなく、今年度中におおむね修復する見込みでございます。
 次に、東北電力が停電になったことによる影響ということでございますが、電気事業につきましては、施設に被害はありませんでしたけれども、実際には、送電線が停電したために発電機が接続できないということになりました。
 それから、工業用水道施設につきましては、やはり北上一帯が、東北電力の送電線が停電したので、ユーザーももちろんですけれども、私どもの施設も4日間ばかり停電しております。
 それから、停電によりまして発電電力量が減少したということもございまして、仮に停電がなければ発電できた量というのは、大体167万キロワットアワーということになってございます。
〇神崎浩之委員 あれだけの災害にありながら900万円程度の被害ということで、これは奇跡的なことではないかと思っております。一関市も、須川パイロットといって広大な山を切り開いた農地があるんですけれども、北上川から水をとって、それを配水しているものなんですが、大分やられたわけです。規模は違うんですが、何か今回の被災を受けなかったことに工夫とか、メンテナンスがよかったのか、何かそういうものがあれば教えていただきたいと思います。
 二つ目の質問は、先ほどの関根委員の質問と同じでございます。平成22年度、また、それ以前において工業用水の新規の要望はあったかどうかという質問をさせていただいて、通告をさせていただきました。先ほどの答弁で了解いたしましたが、一つ、新規については多額な経費がかかるという説明でありましたけれども、そのほかに、お金以外に、新規で工業用水を引きたいという場合には、どういうような制約というか要件があるのかどうか、確認をさせてください。
〇菅峨業務課総括課長 大規模な地震に対する備えといいますか工夫、メンテナンスをどのようにしているかというお尋ねでございますけれども、電気事業につきましては、胆沢第二発電所という昭和30年の初めごろにできた発電所が当局では一番古いわけですけれども、当時もいろいろな技術基準がございまして、それにのっとって発電設備を設置してございまして、主に土木施設、あるいは発電機そのものにつきましても、非常に頑丈につくられているというのが実際のところでございます。
 工業用水道につきましては、同じように配管は当然走っているわけでございますけれども、施設なり、配管につきまして、あるいは発電施設につきましては、企業局の内部に点検する場所、あるいはインターバル、大体どのぐらいの間隔で、例えば1年に1回やるのか、3年に1回やるのか、あるいはオーバーホール、10年に1回ぐらいのオーバーホール、こういった基準を設けまして点検していますので、仮に経年劣化なんかがあった場合でもすぐに発見できるということで、補修は必要な都度やっております。そうした意味でも、震災とか大規模な地震に対しての備えはしているのではないかと考えております。
 それから、工業用水の新しい地域に水を引く場合ということだと思いますけれども、これにつきましては、当然、先ほど説明しましたように、規模ですとか、経済性というものを十分考えていかなければならないわけですけれども、それとともに、やはり県の産業振興施策としての位置づけといったものも大切になってくると思いますので、先ほど言った多額の投資が必要になる場合には、一般会計の負担も伴うことがありますので、そういった面で関係部局と相談しなければならないし、あとは水源、この水源がやはり一番重要かと思いますが、こういった手当てができるのかどうかといったところからも考えていかなければならないのではないかと考えてございます。
〇神崎浩之委員 東北電力も大分やられましたからね。今回の震災でね。企業局の発電所はすごいなと思っておりました。
 新規については、お金のこともあるんですけれども、水源ですよね。水源の確保が難しいということで。
 一関市も、平泉を含めて工業団地の要望が多くて、震災後、トヨタがいち早く、引き続き東北を拠点にしていきますよというありがたいお話があって、一関市も、関東自動車、それからセントラル自動車の中間点ということで自動車関連産業誘致という話があるんですが、自動車関連は水をいっぱい使いますよね。そういうことで、県のこの工業用水を活用できなければ難しいことだなということもありますけれども、そういう課題があるということがわかりました。
 最後に、局長に小水力発電について所見をお聞きいたしたいと思います。
 局長は、以前、県南広域振興局の副局長、それからその前は一関総合支局の総合支局長でいらっしゃいまして、一関には照井堰という小水力発電を実施しているわけですが、局長は、照井堰の小水力発電について見たことがあるかどうかと、それから、今後、県内における小水力発電の推進についての所見を伺って、終わりとしたいと思います。
〇青木企業局長 今、お話のございました照井堰の小水力発電の施設でございますが、私が一関総合支局の総合支局長を務めておりました折に工事が始まりまして、年度末に完成をしたということで、工事が進められていたと承知してございまして、完成直後に私も現地の発電所をいろいろ拝見させていただいて、どのような仕組み、どのような考え方で発電所をつくってきたのかというお話も伺いながら、いろいろ勉強させていただいたということがございました。
 お話の小水力発電でございますが、地域の用水路等、使われないままの資源として有効に活用するという意味では、大変意義のある発電方式でございますし、地域で発電したものを、その地域の中でできるだけ使っていこうということの考え方にもつながってくる、合うような発電形式でございます。
 そういう意味では、これから県内各地でも、農業団体等を含めて小水力発電の開発がもっと進むことを私どもも期待しているところでございます。
 私も、企業局としての水力発電のノウハウもございます、そういう人材も抱えてございますので、そういうお話、相談等がございましたらば、いろいろお手伝いできるという体制も整えておりますので、いろいろな意味でのお手伝い、支援もできるかと考えているところでございます。
〇及川あつし委員 会派の議員の意見を、思いを代表しまして、企業局に私から質問をさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、長期経営方針、きょう説明もありました第3次中期経営計画についてお尋ねしたいと存じます。
 平成22年から始まったこの長期経営方針でありますが、その中に、長期的な課題及び取り組みの方向性というものが記載されてございます。特に、電気事業についてお尋ねしたいわけですが、その中にうたわれている現状と課題については、誤っているとは私も思いません。この方向で引き続き取り組んでいただきたいと思うわけですが、震災を経て経営環境が大きく激変したと思うんです。そうしますと、この長期経営方針についても、当然に見直さなければいけないと我々は考えてございますが、見直しについての基本姿勢について、また、見直すとすればその時期についてお示しいただきたいと存じます。
〇千枝経営企画課長 長期経営方針についてでございます。
 企業局の目指す将来像なども含めまして、長期的な視点での経営方針や今後10年間の取り組みの方向などを盛り込んで、取り組み期間10年間と設定してやっております。
 この中で経営方針として重視する5本柱、信頼性の確保、経済性の確保等々掲げているわけですが、長期ビジョンとして、10年後のありたい姿を示すなど、長期経営方針は長期的な取り組みの方向性を示しているものでして、したがいまして、長期経営方針の変更というところまでは、今、考えてございません。
 しかし、これを具体化する取り組みとしまして、3年程度の取り組み期間を設定した中期経営計画というものを持っておりまして、具体的な取り組み目標と行動計画を設定して事業を実施しております。
 中期経営計画におきましては、経営目標の数値は、その時々の状況によりまして毎年見直しを行っております。そしてまた、次期中期経営計画は来年度策定することになっておりますので、経営環境の変化を的確に反映した次期の中期経営計画を策定して、時代の要請やニーズに積極的にこたえて、県民福祉の向上に努めてまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 ありがとうございます。
 長期的なものは見直さないものの、その都度立てる中期経営計画の中で的確にやっていくということでありますので、それは了といたしたいと思います。
 何を申し上げたいかというと、企業局がそもそも持っている5本柱にもありますけれども、地域貢献、この中でも、先ほど来議論がありますとおり、電力受給の逼迫状況に対して、企業局が地域貢献をしなければいけないという立場で、これから何をやっていくのかという具体性だと思うんですね。
 コンセプトは、全議員が共有しているように、再生可能エネルギーを本県でさらに広げていく、ここまではいいと思うんですけれども、電力受給の逼迫に対して、当然、東北電力もこれからさらなる具体化したものをやっていくと思うんですが、企業局として、電力自給率が低い、そして、電力需給が逼迫しているこの中で、さらに企業局としてどうするんだという視点が、長期的な観点からも、中期的な観点からもどうしても必要だと我々は認識しておりますが、哲学的な話で恐縮ですが、局長はどのようにお考えでしょうか。
〇青木企業局長 委員のお話にございましたが、電力需給の逼迫という問題と長期的な自給率の向上という面でのお話でございますけれども、短期的には、電力需給の逼迫というものにつきましては、ことしの夏もそうでございましたし、ことしの冬場も、11月以降、そういう状況が懸念されているという状況がございます。
 そういう状況でございますので、通常ですと、計画的に定期点検ですとか保守工事をするために、一定期間、発電所の発電を停止したりとかというような措置を講じながら運営をしていくわけですけれども、逼迫する時期には、そういう工事、定期点検は時期的に行わないで、ほかの時期にずらす、そういうことで、逼迫時期にはできるだけ発電体制をきちんとやって発電量をふやしていく、最大限の発電を進めていく、そういう体制をとっていくことが必要だということで、ことしの夏もそのようにいたしましたし、ことしの冬場も、そのようなことで今、計画をしているところでございます。
 実績としましても、ことしの夏場は計画よりも23%程度の発電量を─水量が多くあったということもございますけれども、そういう実績もあるということでございます。短期的にはそういうことで、東北電力ともいろいろ調整、協議を行いながら、そういう意味での貢献をこれからも果たしていくということで考えたいと思っております。
 自給率の向上につきましては、新規開発の取り組みということがやっぱり基本となってくるわけでございます。長期経営方針計画におきましても、新規開発の取り組みを進めていくと考えてございますので、国の制度等の状況が動いてきているところもございますので、そういう動向も十分に注視、見据えながら、採算性を考慮しながら、どうやったら発電新規開発に結びつくことができるかということでの調査、検討をしっかりと進めながら、これからの開発に結びつけていきたいと考えております。
〇及川あつし委員 大変に心強い答弁でありましたし、夏の電力需給の逼迫状況に対して、企業局がそういう努力をされていたというのも、実は今初めて知りました。そういうことがあったのであれば、ぜひもっとPRしていただきたいと思いますし、冬場に向かっても頑張っていただきたいと思います。
 先ほど商工労働観光部の部局審査において、我が会派の飯澤匡委員が質問させていただきまして、改めて紹介いたしますが、経済産業省の地方経済産業局が調べたところによると、全国平均は16%だけれども、東北地方に限っては38%の企業に中国や韓国から企業誘致のコンタクトがあった。その理由は、電力需給が不安定な地域をあえてねらってやってきている。これに対していい、悪いという是非を言うべきものではないと思いますけれども、やっぱり電力の安定供給体制がどの程度あるかというのは、もう言うまでもなく、地域経済のファンダメンタルだと思いますので、そうした観点からも、でき得れば中長期経営計画の中にも、中期経営計画の中にも、電力需給の逼迫に対しての社会貢献を果たすという観点で、ぜひお取り組みいただきたいと繰り返し申し上げたいと思います。
 もう一点、今、お取り組みを夏もやっていただいたということでありますし、冬場に向かっても最大限頑張るというお話がございました。心強い限りでありますが、そもそもの経営目標の中で、供給電力量については、平成22年度が52万1、999ワット、24年は44万9、019─これはメガワットと言うんですか、MWhでどう読むかわかりませんが、そもそもの供給電力量の目標は平成22年から24年に対して下がっているわけであります。これは、施設の老朽化の問題もあるかと思いますけれども、どうしてこういう供給量の目標がそもそもあったのかということと、今お話しいただいたように、これから頑張って電力量をふやしていくという話がありましたが、そこの関係はどうなっているのか御説明いただきたいと思います。
 さらに、今、御答弁が一部ありましたけれども、今持っている施設を頑張って稼働状況を上げることによって冬場も対応するというお話でした。夏場は水量も多かったので23%アップさせたということですが、冬場については、ことしは、今の現存施設をフル稼働させることで供給量がどの程度ふやせる見込みなのでしょうか。見込みがあればお示しいただきたいと思います。
〇千枝経営企画課長 中期経営計画における供給電力量の目標でございますが、平成22年度の目標を大きく上回ったのは、過去の平均に比べて流入量が多かったということで、目標値を達成できるかどうかというのは、河川の水の量が平年より多いか少ないかというところが大きいところがございます。
 あと、目標値の設定の仕方でございますが、目標値の設定は、古い発電所ですと過去50年とか、そういった過去の流入量に応じた発電実績をもとに、その年度、その年度で定期点検を行ったり、改良工事等を行って、発電所を停止させなければいけないといった期間を除いて、どのぐらい発電できるかということを計算します。そういった過去の実績から、今年度のそういう停止などの状況を踏まえて設定しているものです。
 今年度の目標につきましては、この大震災を踏まえて、定期点検とか、長期間発電所をとめる工事といったものを延期しております。そういった延期したものを踏まえて、従来、ローリングしまして、目標を高く56万メガワットアワーというところに設定をし直したものです。そういったことで、毎年毎年、先ほど申し上げましたけれども、目標については変更させていただいているところでございます。
 55万4千メガワットアワーから56万メガワットアワーにふえた分、この差し引きが6メガワットアワー(後刻「600万キロワットアワー」と訂正)ということになりますが、その分が、今現在想定されるこういった対応に応じたふえる量、発電量ということになるわけでございます。
 来年度につきましても、そういった施設の適切な維持管理を前提に、点検工事等の時期を東北電力と調整して、そういった目標をまた決定してまいりたいと思っております。
〇及川あつし委員 わかりました。頑張って6メガワットアワー(後刻「600万キロワットアワー」と訂正)をやっていただけるということでありますが、ぜひ、安全運転に留意しながら、しっかりお願いしたいと思います。
 関連してでありますが、今回の決算の中で、平成22年度の電源開発調査の状況というものが示されております。局長から答弁あったように、これから、県内のエネルギー自給率を高め電力の逼迫状況に対して貢献をしていくということになれば、特に新規の開発については、この電源開発調査に対して所要の予算措置をして、電源開発の可能性をさらに探っていく必要があると認識しております。
 ただ、決算書を見ますと、平成20、21、22年と実績ベースで見ましても電源開発調査の額が減少してきているということでありますので、掲げている目標と決算ベースの額に、私の中ではちょっと理解できないものがありましたので、この理由についてどうお考えなのか。来年度以降、この基本になる電源開発調査費についてはどのように考えていくのか、基本的な考え方についてお示しいただきたいと思います。
〇菅峨業務課総括課長 電源開発調査についてでございますけれども、電源開発調査は、発電所を建設するための流量観測あるいは設計などの費用を盛り込んでございまして、平成22年度の実績が前年度を下回った主な理由としましては、胆沢第三発電所の建設が本格化したことに伴いまして、今まで電源開発調査費で支出していた胆沢第三発電所に係る費用を、平成22年度からは建設費に振りかえて支出したためでございます。したがいまして、調査を縮小するといった趣旨ではございません。
 それで、今後の方針についてでございますけれども、測水調査など開発に必要な経費については、今後も計上して、引き続き水力開発に積極的に取り組んでまいりたいと思っています。
〇千枝経営企画課長 先ほど私、6メガワットアワーと申し上げましたが、失礼いたしました、600万キロワットアワーの想定でございます。訂正させていただきます。済みませんでした。
〇及川あつし委員 わかりました。訂正ということでありますので、私の先ほどの発言中、6メガワットアワーと言いましたが、600万キロワットアワーと訂正をさせていただきたいと思います。
 今、電源開発調査に係る費用については、特殊事情があったということで理解いたしましたし、これから、御答弁にありましたとおり、新規の電源開発については、今後の予算が大事だと思いますので、平成24年度の編成に当たっては、思い切って電源開発について調査費をつけて、体制の整備もお願いしたいと思います。
 最後の1点でありますが、これは全部局に聞いておりますので御了承いただきたいと思うわけですが、企業局につきましても一部遊休資産があると理解しております。他部局同様、資産処分の方針があるのかどうか、売却対象資産のリストアップができているか、できているとすれば帳簿価格の総額、平成22年度売却したものがあれば実績、今後の売却予定についても示していただきたいと思います。
〇水野次長兼経営総務室長 4点のお尋ねでございますが、資産の処分につきましてお答え申し上げます。
 1点目でございますが、資産の処分方針についてということで、企業局におきましても、他部局と同様に、平成22年度に未利用資産の活用あるいは処分について局内で検討いたしまして、本年4月に企業局未利用資産等の活用、処分方針を策定したところでございます。
 2点目でございますが、売却対象資産のリストアップについてということでございますけれども、先ほどの活用、処分方針の中で、売却対象資産の区分を設けまして、明確にリストアップをしている状況でございます。
 3点目でございます。売却対象資産の帳簿価格総額でございますが、平成22年度末におきまして、その残存価格でございますが、旧職員公舎など土地が5件、180万円余、それから、建物が1件ございまして360万円余となってございます。
 最後に、平成22年度の資産の売却実績についてでございますけれども、1件ございまして、盛岡市の市道拡幅整備の用地といたしまして、旧職員公舎跡地が売却価格36万円余となってございます。
 今後の売却予定についてでございますけれども、先ほど申し上げましたように、本年4月に活用、処分方針を策定いたしました。それに基づきまして、売却できる可能性の高い資産などを優先度を含めまして、現在、検討しているところでございまして、今後、資産の状況、各種発電所等、各地にございますので、その状況がかなり違ってございます。その資産の状況に応じまして、建物の解体撤去が必要なものはその条件整備を行う、いろいろな条件整備を行った上で、一般競争入札によりまして売却処分の手続を進めていくとしてございます。
〇及川あつし委員 わかりました。企業局については、額的には余り大きなものがないというのが確認できました。ありがとうございます。
 そこで、知事部局、教育委員会、警察本部等にもかなり売却対象資産があるということが今回初めてわかったわけでありますけれども、企業局で太陽光をやるのかどうなのかわかりませんが、もしやる場合については、売却対象資産以外の、いわゆる帳簿上残しておくだけの資産というものもかなりあると今回承りました。これについては、そのままにしておけば県有財産として完全に未利用で遊休資産になっていくわけでありますので、もし調査が可能なのであれば、知事部局、教育委員会、警察本部で持っている売却対象資産以外のところを精査していただいて、遊休資産から活用資産に電源開発も含めてできないかということも今回ちょっと考えました。ぜひそういうことも今後検討していただきたいと思うんですが、所感があれば、その点だけ伺って、終わりたいと思います。
〇水野次長兼経営総務室長 当局の状況は先ほどの状況でございますが、知事部局ほか何部局か既にお聞きになったということでございますので、かなり遊休資産等あるという状況は認識してございますが、現在、環境生活部におきまして、将来の利活用につきまして、遊休資産を含めていろいろな調査をしていると聞き及んでございます。そういう状況も踏まえまして、先ほど局長からも御答弁申し上げましたように、それがいろいろな面で、多様な面で検討いたしまして、可能であれば、そういうところにも踏み込んでまいりたいと思いますが、当然、各種調整が入ってまいると考えてございますので、その上でまた、そこら辺も含めて検討させていただきたいと思ってございます。
〇久保孝喜委員 私からは、ただ1点お聞きをしたいと思います。クリーンエネルギーの導入支援事業について伺いたいのですが、まず最初に、発言の趣旨なんですけれども、この地域貢献活動としてのさまざまな市町村に対するクリーンエネルギー導入支援事業ですが、先ほど来議論のある再生エネルギー特別措置法の実施を来年に控えて、再生エネルギーの事業をそれぞれの地域づくりの柱に据えようという市町村が大変多いわけですけれども、しかし、一方でなかなか専門的な知見を含めてノウハウもないというようなことがあって、非常に足踏みをしている状況というものも一方ではあると。やれるところはどんどん行くけれども、やれないところは置き去りにされているみたいなところも、これから出てくるのではないかと。
 そのときに、そういう専門的知見とノウハウを持っている企業局が、これまでの地域貢献活動とはもう少し別のスタンスで、そうした市町村に対する支援というものができないのかという意味で3点の御質問を出しておったわけですので、これはまとめてお尋ねしたいと思います。
 昨年度の支援実績、具体例も含めて。それから、市町村における導入支援事業のアフターフォロー、あるいは継続的に支援しているという事例があるのかどうか。そして、この事業についての今後の課題についての考え方をまずお聞きして、先ほどの趣旨に沿った質問を継続したいと思いますので、よろしくお願いします。
〇千枝経営企画課長 まず、クリーンエネルギー導入支援事業の平成22年度の実績でございますが、クリーンエネルギー導入支援事業の実績は、津波避難地域へのソーラー式避難誘導標識や公園への太陽光や風力を利用した外灯の設置など、3町4団体、合計7件に対しまして1、100万円余の支援を行ってまいりました。
 また、制度を創設して以来、平成22年度まで33市町村中21市町村において、延べ55件の支援を行ってまいったところです。
 市町村の導入後におけるフォローということですが、私どもは、制度創設以来、導入者に対しまして、設備の適正な管理及び効果を確認するため、設備導入の翌年度に利用状況を確認してまいったところであります。
 また、事業実施の効果等を把握するため、設備を導入した施設の利用者に対してアンケートを実施してきております。
 こういったことでは、すべての設備導入者から、おおむね満足だという評価をいただいておりますし、あと、設備の利用者につきましても、おおむね役に立っている設備だというお話を伺っているところであります。
 今後の課題につきましては、そういったいろいろ支援者からお話等を伺っておりますけれども、東日本大震災津波以降、自立分散型のエネルギーとして再生可能エネルギーの重要性がより高まっておりますことから、より多くの市町村においてこの事業が活用され、関係部局や市町村等の連携の上に、地域のニーズを踏まえた事業内容の充実とPRが大切だと考えております。
 今年度につきましては、沿岸市町村からのニーズを調査した上、現在、津波の被害を受けた市町村及び仮設住宅周辺を対象とした2次募集を行っております。内容につきましては、新たにLEDの照明のみの街路灯の設置も対象に加えたほか、地域の防犯、防災に資するものにつきましては、通常4分の3以内の補助率を10分の9以内に引き上げて支援するなど、充実を図っているところでございます。
 来年度につきましても、現在の実施状況やニーズ等を踏まえながら、支援対象や支援規模等について検討してまいりたいと思っております。
〇久保孝喜委員 そこで、これまで行ってきたこの支援事業は、大変貴重なものだったと思いますし、今、御報告あったとおり、それぞれ支援を受けた市町村にとっては、大変ありがたかったということだったろうと思います。
 こうした支援事業そのものは、もちろん否定もしませんし、これからも継続をしていただきたいということを前提にした上で、先ほど来申し上げているような再生可能エネルギー特別措置法の新たな環境ということもあって、企業局の重要性といいますか、あるいは専門的知見、ノウハウが、一躍、飛躍的に高まる環境に今あると私は思うわけです。そうすると、結果的に、この支援事業なども、そうしたスタンスでもう少し幅を持ったものに変えていく必要があるのではないかというのが私の考え方です。
 例えば、最近の報道では、北海道などでは、今まで潜在的にある電源資源といいますかそういうものについて、市町村がどれだけあるのかということを感覚ではわかるけれども、数値としてなかなか出せないというようなときに、北海道がソフトを提供して、そして、潜在的なエネルギー資源を目に見える形にするという事業を全市町村に対して行うというような報道がございました。
 こういうものを聞きますと、まさにその先導的役割は企業局にあるのではないかと私は思ったものですから、これまで行ってきた支援事業に、こうした公営企業としてのこれまで積み上げてきたノウハウ、知見を生かす道を探るべき時期に来ているのではないかと思うんですが、その点に対する所感をお聞きしたいと思います。
〇千枝経営企画課長 私ども、このクリーンエネルギー導入支援事業につきましては、電気事業の利益剰余金の一部を積み立てて実施しているところでございまして、年間1、500万円程度の総額でございます。こういった限られた原資の中で県民の皆さんが広く御活用できるようなものとして設置しているわけでございまして、この活用につきましては、限定されたものとならざるを得ないとは思っております。
 ただ、今現在、例えば八幡平市でこの前、小水力発電が運転開始しましたけれども、ああいった設置の端緒につきまして、私ども企業局に相談をされてきて、こういったものができないかといった相談は随時承って、参考意見を述べて、地域振興の一助ということにはしております。
 そういった意味では、我々が持っているノウハウにつきましては惜しみなく相談者に、県民の皆さん、あるいは事業者、あるいは市町村の皆さんにお示しして、活用していただければとは思っております。
〇久保孝喜委員 了解しましたが、ぜひとも、これまでの予算的枠組みはもちろんあるんだろうと思いますし、それから、知事部局とのコラボレーションということも、これから先、復興計画の中にも再生可能エネルギーの問題は大きな柱になっていますので、当然必要になってくるだろうと思います。
 ただ、これまでと同様の規模で再生可能エネルギーを含めた支援事業をやっていればいいという時代ではもうなくなって、企業局自身も、そして知事部局も含めて、先ほど来お話があるような、みずからの実力をもっと前に出して訴えかける、そういう事業展開を望みたいと私は思っていますが、局長から所感があればお聞きしたいと思います。
〇青木企業局長 このクリーンエネルギー導入支援事業そのものの制度の枠組みは、先ほど担当の課長から申し上げたとおりでございまして、あくまでも公営企業の事業者としての立場で利益を一般県民の皆様方に還元をする、そういう一つの方策として取り組んでいるということがございますので、他の部局での施策のように、予算をたくさん確保しながら積極的にどんどん広げていくことには、一定の限界があるということは否定できないと私どもも考えているわけでございます。
 職員のいろいろなノウハウの蓄積もございます。県全体として、市町村なり各団体のそういう再生可能エネルギーに対する取り組みをどう支援するかということもこれからの大きな課題でございますので、関係部局とも十分に連携、情報交換しながら、県として一体的な支援といったものにつなげられるように我々としても努力してまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 最初に、工業用水道事業会計決算について聞きます。
 平成21年度に続いて、22年度も工業用水の使用料の値下げを行いました。これは、契約水量の10%の金額ということでよろしいのでしょうか。
 それと、今年度は新たな恒久的な対策で使用料の値下げが行われましたが、この仕組みは、ろ過水を使用した場合に大幅な引き下げになるというものだったと思いますが、その今までの引き下げと今年度の引き下げの違い、額を示していただきたい。
〇菅峨業務課総括課長 平成21年度と22年度の減免についてでございますけれども、これは、委員のおっしゃるとおり、知事部局と連携しまして、雇用の維持確保の対策のために措置される一般会計からの負担金を受けて、契約水量の10%相当額を減免したものでございます。
 減免額につきましては、平成21年度は1億40万円、平成22年度は1億50万円となってございます。
 また、今年度4月から実施しております料金の引き下げについてでございますけれども、これについては、一般水とろ過水合わせておおむね7、200万円の引き下げになると見込んでおります。
 また、ろ過水のほうが一般水に比べて引き下げている幅が大きいということでございますが、その基本的な考えについては、一般水と言っていますが、工業用水の料金というのは水の使用料金でございまして、ろ過料金は水の処理料金でございます。こうした事業の性質が異なりますので、別々に原価計算を行っております。
〇斉藤信委員 雇用確保、維持のために1億円余の値下げを行ったと。しかし、18事業所、製造業が17事業所ということになりますけれども、使っている主な大手の事業所は、この間、大幅に人減らしをしたんですよ。雇用確保に本当に結びついたのか、その結果がわかりますか。
〇菅峨業務課総括課長 減免の効果についてでございますけれども、それぞれのこの料金の引き下げ、あるいは10%減免については、何人雇用したかというところまではなかなか把握できないのが実態でございまして、県内の有効求人倍率ということでそれを推しはかっているところでございます。
 この効果ということについて、有効求人倍率で見ますと、県内の有効求人倍率は依然として厳しい水準にありますけれども、平成22年度につきましては、全県あるいは北上管内とも前年同月を上回っておりまして、回復基調になってございますので、一定の効果はあったものと認識しております。
〇斉藤信委員 私はリアリズムで聞きますよ。平成19年2月から平成23年2月まで、県内誘致企業上位10社、この中には、工業用水を使っている東京セイコー、岩手東芝、富士通、関東自動車が入っていますけれども、2、645人減らしているんです。減らしているんですよ。雇用確保と言いながら、そういう義務づける何もなくて1億円値下げだけしたというやり方は、まさに大盤振る舞いということにならないか。雇用確保が目的だったら、何人確保したのかということをきちんと担保すべきだったと私は思いますが、いかがでしょうか。
〇菅峨業務課総括課長 10%減免につきましては、雇用するという条件で減免するという条件は、料金的にはつけられないということでございます。
〇斉藤信委員 だから、名目は雇用維持、確保だけれども、中身は把握しない、つかみ金だったということでしょう。これ、1億円というのは県民の税金ですよ。私は厳密に使うべきだと。そして、こういう大手は、厳しい経済情勢の中でも利益を上げているのですよ。本来、中小企業を守るべきなんですよ。そういうことを、これは指摘だけにとどめておきます。
 それで、問題は、今年度から始めている恒久的な引き下げなんですね。ろ過水使用のたった2企業に5、300万円の引き下げをやるんですよ。一般水は1、900万円ですよ。わずか2社に、不当な引き下げということになるのではないですか。
 そして、この恒久対策は、何を財源に、いつまでこれを続けるのか、これを示していただきたい。
〇菅峨業務課総括課長 ろ過水については、確かに2社しか使っておりませんけれども、先ほども申し上げましたように、料金を設定するための原価につきましては、将来の3年なり、そういった期間を見越して料金設定をしていまして、例えば一般水ですと、その水源というのはダムですので、ダムはかなり負担金を伴いまして、減価償却期間も長い、支払い利息も多いということでどうしても高目になってきますが、ろ過施設は、そうした水源に係る費用というものがないものですから、これは、減価償却が終わり次第、単価的には下がってくるということで、今回はろ過水のほうが下げ幅が大きかったということでございます。
 それから、今年度から始めております料金の引き下げの原資につきましては、入畑ダムの水源転用の対価をもとに4億円ばかりをその引き下げに使うということで、恒久的といいましても、10年程度先を見て資金繰りができるようにということで定めたもので、これは、恒久といっても20年も30年もということではございませんので、これもその都度、経営の状況を見ながら、また定めていくということになろうかと思います。
〇斉藤信委員 入畑ダムの工業用水の農業用水への転用で、これは26億円。先ほど消費税を含めれば27億3、000万円とありましたね。この26億円をどういうふうに活用する計画になっていますか。これが引き下げの財源なんでしょう。だから、7億2、000万円はここから出すということになるんですか。そのほか、どういう形で資金計画を考えているか示してください。
〇菅峨業務課総括課長 入畑ダムの水源転用の活用計画についてでございますけれども、譲渡対価は27億3、600万円余が対価として入るわけですが、このうち国庫補助金の返還金に8億2、100万円余、企業債の繰上償還に1億3、700万円余、それから転用に伴う経費や資金不足の補てんが12億4、500万円余を予定しておりまして、残り、料金値下げの4億円を引き下げの財源に充てますが、それから今後の施設修繕等の経費に活用することによって、今後とも経営の維持を図ってまいりたいと考えています。
〇斉藤信委員 そうすると、7、200万円を10年間続ければ7億2、000万円になるわけですね。そのうちの4億円は、この入畑ダム、そして、あとの3億2、000万円は毎年の黒字から、黒字になったら黒字からということでよろしいんですか。
〇菅峨業務課総括課長 ちょっと説明不足でしたが、4億円余というのは、いわゆる年間で7、200万円の引き下げになりますが、それの10倍ということではありませんで、実際は、その資金の需要のめどが立つまでということで6年程度、それで7、200万円掛ける6ということで4億円ほどと見てございます。
〇斉藤信委員 先ほどは10年ぐらいを見通してと言って、財源的には6年を見ているということですね。
 次に、稲庭風力発電の実績と採算についてお聞きします。
 いよいよ再生可能エネルギー、自然エネルギーの活用というのは、本格的な取り組みが求められている。そのときに、この稲庭の実績、これは、私は大変大事なことだと思うけれども、この発電の実績、そして採算の状況、そして、今後これを本当に普及する上で何が課題になっているのか、そのことを示していただきたい。
〇榎電気課長 稲庭高原風力発電所の平成22年度の運転の状況ですが、平均風速が計画値7メートル毎秒に対して、実績値が6.7メートル毎秒ということで、風況が悪かったことに加えまして、2号機のブレードが落雷により大きく損傷したことにより、昨年12月末から本年5月末まで長期停止を余儀なくされたことが影響しまして、売電電力量としては、達成率は73.7%にとどまり、最終的には、損益は850万円余の赤字になっております。
 今後の課題ですけれども、まず、抜本的な落雷対策については、以前、相当な工事費と長期にわたる停止が必要であると考えていました。このため、この実施を見合わせていましたが、メーカーから安価に施工できる方法の提案を受け、今年度、2号機のブレードの復旧工事に合わせまして耐雷化の改造を行っており、今後は、落雷による被害は減少するものと期待しております。
 なお、稲庭風力発電所は、先月で運転を開始してから10年間を経過し、これからは、機械部品の経年劣化による故障も予想されますので、適切な維持管理を行いながら安定運転に努めてまいりたいと考えております。
〇斉藤信委員 県内各地で風力発電の取り組みが進められようとしております。私は、岩手県の企業局が、これは先駆的に10年前にやったわけですから、これが本当に成功事例になるように、ぜひ頑張っていただきたい。
 それで、新エネルギーの開発の取り組みで私は具体的にお聞きしたいんだけれども、今年度、風力、小水力その他、どの分野の開発の調査をしているのか、これを示してください。
 あと、最後、先ほど未利用資産の問題が提起されましたが、岩洞ダムにあったゴルフ場は、その後どうなったのか。東八幡平温泉郷に最初につくった保養所は、どのように処理されたのか。売却していれば、売却額も含めて示していただきたい。
〇榎電気課長 新エネルギーの開発の関係ですけれども、まず、水力開発ですが、胆沢第三発電所は建設中でありまして、胆沢第四発電所については、受注者が決まり、着工に向けて準備を進めております。
 今後の水力開発の取り組みですけれども、これまで流量観測を行ってきました雫石町有根沢などの4地点は、経済性の面から直ちに開発に着手できない状況にあります。このため、今年度は、昨年度に引き続き、これまでとは異なった複数の河川で流況調査を行い、発電量や工事費、土地の利用状況などについて概略の検討を行っている状況であります。
 次に、風力についてですけれども、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の買い取り期間や買い取り価格などの検討が今後行われるので、買取制度の動きや東北電力株式会社の募集条件を見きわめながら、採算性などを含めた開発可能性の検討を進めることとしております。
〇水野次長兼経営総務室長 先ほど2点御照会がございました。1点の八幡平の施設につきましては、現在、種々企業局においていろいろな面で活用している部分もございますが、まだ売却するまでには至っておりません。
 今後、先ほど申し上げましたように、いろいろ検討を加えまして、将来的には、良好な方向に行くように頑張ってまいりたいと思ってございます。
 それから、かなり前のゴルフ場の件でございますが、現在、地域貢献ということもございますので、既に、ちょっと時点は不明で、私、現在持ち合わせてございませんが、それぞれの地域の方々に返還したという状況でございます。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
〇工藤勝博委員 済みません、通告しておりませんでしたけれども、1点だけお聞きしたいと思います。
 先ほど稲庭風力発電のお話もありました。岩手県には、葛巻町は風力を含めて、町内の電力需給量の1.6倍の電力を発電していますけれども、葛巻町では、町内のほとんどを風況調査して、立地可能な場所が百数十基、風力発電可能だということが示されております。
 そういうすばらしい立地条件がある中で、企業局は、今後どのようなそのとらえ方をしているのかお伺いしたいと思います。
〇千枝経営企画課長 葛巻町での風況調査につきましては、風の状況というところにつきましては、まさしくすごい資源があると認識しております。
 ただ、今もう一点、発電した電気をどこに売るかということ、つまり系統連系と専門用語で言っておりますが、電力の送電線につなげなければいけない、そういった課題があります。
 今現在、電源開発の子会社が葛巻町でやっていらっしゃいますけれども、実は、電気は、私どもの岩洞発電所の附属施設の送電線を利用して東北電力に売電しております。そういった意味で、私ども、直接的には電源開発ですが、葛巻町にも貢献していると自負をしておるところでございます。
 いずれ、戻りますけれども、風の状況は大変すばらしいんですが、送電線がなかなか利用できない、新たに自前で整備するには物すごくお金がかかるということで、私どもとしては、先ほど申しました形で協力させていただいているというところで、御了解いただきたいと思います。
〇工藤勝博委員 そういう経過があるというのも承知しておりますけれども、ただ、やはり今後、これからクリーンエネルギーを岩手県も当然進めなければならないし、そういう立地条件にすぐれた場所があるということは、これは確かに資源になります。
 ただ、葛巻町の場合、北上山系の開発によって、かなり標高の高いところまで道路網が整備されておりますし、送電線の話もありましたけれども、それは、つくれば可能なわけですから、今後の一つの事業としての取り組みを期待して、終わります。
〇高橋昌造委員長 答弁はいいですね。
〇工藤勝博委員 はい。
〇高橋昌造委員長 ほかに質疑はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕
〇高橋昌造委員長 質疑がないようでありますので、企業局関係の質疑をこれで終わります。
 企業局の皆さんは御苦労さまでした。
〇久保孝喜委員 委員長において、世話人会の協議に付していただきたく発言をさせていただきます。案件は、いわゆる花泉診療所問題でございます。
 昨日、医療局の質疑が交わされたところなんですが、けさの新聞報道で、昨日までの答弁とはかなり違う報道もなされておりますし、これまでの委員会や、あるいは本会議の質疑等の答弁とも違う事態が報道されているということにかんがみて、もとより、この事案は、決算審査の時期、それから内容を含むわけです。したがって、取りまとめ前の本委員会での集中審査を求めたいと思います。
 今回報道されている事態で言えば、まさに決定的な意味を持った重大な事態だと思っております。したがって、出席要請は、これまでこの事案、民間移管を含めて地域医療政策のモデル的な事業だと言明をしてきた知事、そして、医療法上の所管の部である保健福祉部、さらには、当事者である医療局に出席を求めた上で、集中審査をお願いしたいということを御協議願いたいということでございます。
〇高橋昌造委員長 ただいま久保孝喜委員から発言がありました件について、ほかに発言はありませんか。
〇斉藤信委員 きのう、これは私が取り上げたばかりで、入院機能を要するということが施設契約の大前提なんですね。ところが、きょうの報道は、入院を維持する気はない、それは医療局にも話していたという、ここまで来ているわけですから、これはぜひ、知事、医療局長、保健福祉部長を呼んで、最終日に集中審議していただきたい。
〇高橋昌造委員長 あとはよろしいですか。
 ただいま、久保委員、そして斉藤委員から発言がありました件について、世話人会を開いて協議を行った上で、後日、改めて当職から御報告等をすることといたしたいと思いますが、久保委員、そして斉藤信委員、いかがですか。よろしいですか。
 それでは、以上で本日の日程は全部終了いたしました。本日はこれをもって散会いたします。
   午後6時36分 散会

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